新燃岳の活動、依然活発 噴火、長引く可能性も
宮崎、鹿児島県境の霧島連山・新燃岳(しんもえだけ)(1421メートル)は29日も小規模な噴火を繰り返し、噴煙を上げ続けた。
宮崎県都城市などでは4日連続で大量の灰が降り、市民生活や農作物への影響が深刻になってきた。
福岡管区気象台などによると、活動は依然活発という。
噴火は近年散発的に起きていた小規模なものと違い、マグマの上昇に伴う本格的な噴火となり、専門家は長期化の可能性を指摘する。
新燃岳周辺の地殻変動の観測では、2009年から山の膨張が続いていた。
国土地理院によると膨張は約4センチ、地下のマグマが700万立方メートル増えたと推定する。
噴火後に1センチ縮んだ。マグマが減ったと見られる。
東京大地震研究所の上空からの観測では、すり鉢状になった火口の底に複数の噴出口があり、溶岩ドームができているのが確認された。
噴煙に伴う火砕流が外側の山肌を流れ下った跡も見つかった。
武尾実教授は「ドームは火口の中にあるので、20年前の雲仙・普賢岳のように崩れて起こるタイプの火砕流が山麓(さんろく)を襲うことはないが、
マグマの出口に栓をした状態になっており、吹き飛ばして爆発的な噴火を繰り返す可能性がある。
立ち入り禁止範囲の拡大が必要な事態も起こりえる」と見ている。
新燃岳は江戸時代の1716年から1年半続いた噴火で、地下水が加熱されて起きる小規模な水蒸気爆発の後、
マグマが直接噴き出す大規模な噴火となり、人命や家屋が失われる被害が出た。
今回も08年から水蒸気爆発を繰り返してからマグマが噴き出す噴火が続いており、噴出物のタイプも江戸時代と似ていた。
産業技術総合研究所の下司信夫研究員は「このタイプのマグマは、散発的に爆発を繰り返しながら数年にわたって噴火が続くケースが多い。
今回も長引く可能性もある」と話している。
朝日新聞 2011年1月29日22時14分
http://www.asahi.com/national/update/0129/TKY201101290297.html