【政治】 2009年「民主党マニフェスト」よりも、2005年「自民党マニフェスト」をチェックするのが先だ…ジャーナリスト・上杉隆氏★3

このエントリーをはてなブックマークに追加
1擬古牛φ ★
★民主党マニフェストに“ダメ出し”するのがメディアの仕事か?

 7月27日、民主党がマニフェストを発表した。
会場のホテルニューオータニには500人を超える報道陣が押しかけた。
 本コラムの読者ならばすでに知っている通り、民主党は記者会見をすべてのプレスに開放している。
そのため、フリーランス、雑誌記者、海外メディアなどの記者たちも取材が可能であった。
 驚いたのは海外メディアの関心の高さである。会場には何台もの海外プレスのカメラが並び、
記者たちがひっきりなしにリポートを送っている。
 こんな光景がかつてあっただろうか。それはあたかも内閣総理大臣の公約発表会見かのようであった。
 マニフェストは「政権公約」と訳されることからもわかる通り、政権獲得が期待される政党が、
今後の数値目標や工程表などを具体的に示した上で、施政に関して有権者に約束するものである。
 そうした意味でいえば、自民党と民主党以外の政党の「マニフェスト」を、マニフェストと
呼んでいいのか疑問の残るところだ。
 少なくともマニフェスト発祥の地・英国では、少数政党のそれは「マニフェスト」とは呼ばない。

●民主党のマニフェストに 自民党閣僚が猛反発
 さて、今回のその民主党のマニフェストだが、柱となるものは、なんといっても207兆円規模の
予算を全面的に組み替えて、税金の無駄遣いを止め、財源を捻出するというものである。
 それにより、政府は当面の間、消費税増税や国債の増発などの政策は控えることができる。
それこそが民主党の最大の売りであり、「官僚政治」からの脱却につながるのだという。
 試算では、4年間で16.8兆円の財源を節約できることになっている。
仮に捻出できなかった場合、鳩山由紀夫代表は、政治的な責任を取るとも明言している。
 この革命的な民主党のマニフェスト発表に対して、自民党の閣僚から猛反発の声が上がっている。
(続く)
ダイヤモンド・オンライン http://diamond.jp/series/uesugi/10088/
前スレ http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1249393190/

続きは>>2-5 >>6-9あたりに
2擬古牛φ ★:2009/08/06(木) 10:31:25 ID:???0
>>1の続き

「安保外交が極めて不安だ。このような民主党に政権をゆだねるわけにいかない」(麻生太郎首相)
「マクロの財政、経済政策が入っていない。極論すれば選挙用のフライフィッシング」(与謝野馨財務・金融担当相)
「ポピュリズムの極み。突然、何十兆円も捻出される魔法の種を教えてもらいたい」(甘利明行政改革担当相)

 そもそも、ほぼ半世紀にわたって政府として施政を為し、約800兆円もの「借金」を作ったのは自民党である。
その自民党にだけは言われたくない、と鳩山代表が言うのも理解できる。
 逆に、選挙を目前にした自民党からしてみれば、断末魔のこうした攻撃の方法しか残されていない。
所詮、政治は権力闘争であり、選挙はその最大の戦いだ。その点で、自民党の閣僚の発言も理解できる。

●民主党公約の実現性をメディアは疑問視するが
 問題はメディアの論調だ。マニフェスト発表翌日の社説は、そろって、自民党の論調に歩調を合わせた。
〈民主党が27日、衆院選のマニフェスト(政権公約)を発表した。予算の全面組み替えや無駄の排除を柱とする
「5つの約束」を掲げ、政権交代への意欲が伝わってくる。一方、個別政策には、ばらまきの要素を帯びたものも多く、
財源や負担増の議論を避けた印象がぬぐえない〉(日本経済新聞/7月28日社説)
〈民主党が衆院選の政権公約を発表した。政権交代を意識し、内政、外交両面で現実路線に踏み出したことは
歓迎するが、十分とは言えない。政権公約は内政面で、子ども手当、高校の無償化、ガソリンの暫定税率の廃止など、
国民生活に深くかかわる直接給付型の政策を、ずらりと並べている。ただ、どんな魅力的な政策も、
必要な費用や具体的な財源措置を一体のものとして検討しなければ、その是非は判断できない。(中略)

http://diamond.jp/series/uesugi/10088/?page=2

続く
3擬古牛φ ★:2009/08/06(木) 10:31:36 ID:???0
>>2の続き

 一昨年の参院選公約と比べれば政策の実施時期を特定し、財源も具体的になった点では前進だ。
だが、国の総予算207兆円の組み替えで巨額の財源を本当に確保できるか、との疑念が依然残る〉(読売新聞/7月28日社説。

 こうした論調に筆者は違和感を持つ。筆者は民主党員でもなければ、民主党支持者でもない。
だが、野党である民主党のマニフェストの実現性に疑問を投げるこの種の「社説」や「テレビ解説」を
どうしても理解できないのだ。
 そもそもマニフェストは、実現可能性を問うものではなく、将来の政策を示し、その達成度合いを
チェックするための指針なのである。よって、メディアに期待されるのは、未来の実現可能性を問うことではなく、
現実(過去の)のマニフェストの達成状況を検証することではないか。

 つまり、2009年の「民主党マニフェスト」よりも、2005年の「自民党マニフェスト」をチェックするのが先なのである。
 相変わらず政府のプロパガンダにそのまま乗せられた報道姿勢には、あきれるというよりも笑ってしまう。

●まだ打席に立っていない民主党の三者凡退を語る愚
 すべての新聞やテレビは、郵政選挙マニフェストを、もう一度確認した方がいいのではないか。
次のようなたとえ話で説明しよう。
 1955年以降、自民党は実に長い間バッターボックスに立っていた。
93年の一時期を除いて、責任政党として日本の発展に大きく寄与してきたのは紛れもない事実である。
 だが、いまや、その長かった攻撃も終わろうとしている。
鳩山一郎首相から数えて、25人の首相がバッターボックスに立ち、ヒットを打ってきた。
だが、二回の表の攻撃は、麻生首相という打者の凡打に終わるのは確定的なのだ。
 総選挙後には自民党は野に下るだろう。それは、16年ぶりに野党がバッターボックスに立つことを意味する。
 自民党の選手や応援団からしてみれば、二回の裏に臨む民主党の打者たちに対して、
「三振」や「凡打」を期待し、野次を浴びせるのは当然である。

http://diamond.jp/series/uesugi/10088/?page=3

続く
4擬古牛φ ★:2009/08/06(木) 10:31:53 ID:???0
>>3の続き

 一方で、民主党の選手や応援団は、「ホームラン」や「ヒット」を期待している。
結果は、打席に立ってみなければわからない。先頭打者の鳩山首相がどんなバッティングを
みせるかはマニフェストで想像がつくが、その結果は神のみぞ知るところだ。
 ところが、それを中継する、もしくは記事を書く記者たちは、なぜか二回裏の攻撃のことばかりを語っている。
まだ打席にも入っていない民主党の攻撃について、三者凡退を決めつけているのだ。
 筆者が、財源論と実現性について偏る報道に違和感を持つのはこうしたことなのだ。

●双方を批判して客観性を装う報道姿勢
 未来の検証も大事だが、2回表の自民党の長い攻撃を一切解説せず、
ネクスト・バッターズ・サークルで素振りをしている打者ばかりを批判するのはおかしいと率直に思う。
 どうせそうするのであるならば、この際、メディアは、海外の新聞などがそうするように、
両党のマニフェストを仔細に比較検証し、自らの立場を明確にし、支持を打ち出してみたらどうだろうか。
 双方を批判しながら、自らを客観的だと称し、安全な場所に逃げ続ける報道姿勢はそろそろ改めたらどうか。
 筆者にはいまのマスコミ論調が、じつはマニフェストの検証から逃れるための口実であり、
思考停止の欺瞞としか思えない。
 あした(7月31日)、自民党はマニフェストを発表するという。
現時点の取材では、そこに具体的な数値データや工程表は盛り込まれそうもない。
 仮にそうであるならば、それは実現可能性どころではなく、マニフェストの要件を満たさないことになる。
 その時、果たして、新聞の「社説」や「テレビ解説」は、自民党マニフェストをどう報じるのか。
マニフェスト報道を検証してみようではないか。

ダイヤモンド・オンライン http://diamond.jp/series/uesugi/10088/?page=4