100万台を超えるホームコンピュータのパワーをまとめて,1台のコンピュータのように動かし,
炭疽菌の治療法開発に利用するAnthrax Research Project(炭疽菌研究プロジェクト)に参加
している研究者が3月8日,炭疽菌の治療に利用できるかもしれない化合物を多数発見した
ことを明らかにした。
このプロジェクトに協力する英国の研究者は,米国と英国の政府機関に,30万の炭疽菌の
治療薬候補を収めた2枚のCDを提出した。研究者によると,このうち治療薬(抗生物質ではなく,
炭疽菌の致死効果に対抗する抗毒薬)として有望な候補は1万2000あるようだという。
(中略)
「たった24日で35億の分子をテストできた」とRichards氏。同氏は,これは製薬会社が単独で
できる作業量を上回ると考えている。従来の手法を使っていたら,このプロジェクトは数年
かかっていただろう,と同氏。
このプロジェクトに協力した米テキサスの企業,United DevicesのCEO(最高経営責任者),
Ed Hubbard氏は,次のように語っている。「これは,インターネットを1つのコンピューティング
プラットフォームとして利用し,従来のコンピューティング手法ではなし得ない規模と速度で,
重要な現実世界の問題を解決した史上初の試みだ」
(中略)
抗毒薬を発見するための取り組みは以前から行われていたが,昨年10月のバイオテロ以降,
そのペースは加速した。昨年末,研究者らはターゲット――炭疽菌バクテリア上にある,
毒素の効果をブロックできる箇所を発見した。 このターゲットの形が分かれば,この部分に
はまる分子を探して,それをブロックすることができる。だが数十億の既知の化合物をスクリー
ニングするには,莫大なコンピューティングパワーが必要だ。
がん研究に出資している米国立がん研究財団(NFCR)は,昨年4月からオクスフォード大学,
United Devices,Intelと協力して,白血病の治療物質候補をスクリーニングするプロジェクトを
進めていた。
ホームコンピュータのダウンタイムを利用して,電波望遠鏡の信号を解析して地球外生命体の
通信を探るSETI@homeプロジェクトのように,このプロジェクトではPCユーザーから寄付された
コンピュータのリソースを利用している。
寄付を希望するユーザーは,スクリーンセーバーをダウンロードする。このソフトはテキサス州
オースティンのサーバにダイヤルアップで接続し,ユーザーのコンピュータで何ができるかを
確認して,コンピュータが使われていないときに割り当て分の作業を取得し,数値を解析する。
NFCRのプロジェクトには,215カ国の150万人のコンピュータユーザーが協力。バチカン市国
からも2人が協力している。このプロジェクトでは最終的に,白血病の治療に利用できそうな26の
化合物が選別される予定だ。
これらの企業/団体はMicrosoftと共に,NFCRのプロジェクトで使われたソフトを,炭疽菌
研究向けに改変した。炭疽菌研究プロジェクトは1月22日に始まり,2月14日に終了している。
30万の治療薬候補のリストは,米国防総省と英国の科学技術局,国防省,保健省に提出
される。
(中略)
国防総省もNIHも,スクリーニングされた化合物の炭疽菌に対する効果をテストする研究所を
持っている。実験段階の薬剤を市販の段階まで持っていくには,通常は平均10年かかるが,
Richards氏によると,今回のプロジェクトで発見された薬は,もっと早く,おそらくは2〜4年以内に
実用レベルに達する見込みだという。
ソース:
http://www.zdnet.co.jp/news/reuters/020311/e_anthrax.html リクエスト:
http://news.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1015833085/114 関連スレ: 【UD】白血病患者を救え!プロジェクト3
http://news.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1014457182/