★イラクで治安改善の動き…テロ激減、避難民も帰還
対米協力者へのテロや宗派抗争などによる殺人事件が頻発していたイラクで、シーア派住民が
多数を占めるバグダッド東部など一部の地域で治安が改善し、夕方以降の買い物や夜間外出を
楽しむ住民も出始めた。
シリアやヨルダンに逃れていた人々や国内避難民も少しずつ帰還し、失われた日常生活を
取り戻そうとしている。
「治安の悪化で2005年初めに閉鎖した工場の操業を最近再開した。顧客への配達も始めた
ところで、昔に戻ったようだ」。バグダッド市内東南部のニュー・バグダッドで食品加工業を営む
アワド・サルミさん(62)は、本紙のバグダッド通信員を前に相好を崩した。
同市内北部のアザミヤ地区に住むワリード・アリさん(34)も数週間前、避難していたバグダッド
南方の町から戻り、衣料品店を再開。「昔はテロリストの巣窟だったが、随分よくなった」と語る。
周辺国からの帰還組もいる。市中心部で写真屋を営むハズィム・ザルガニさん(37)は、「シリアで
2年間、辛酸をなめ、故郷に帰りたいと思い続けてきた」。親せきの「今なら大丈夫」という言葉を
信じて戻ってきたという。
マリキ首相は今月11日、バグダッドにおけるテロ行為が昨年に比べて77%減少し、国内外に
避難していた7000家族が首都に帰還した、と発表した。
イラク駐留米軍のジェームズ・シモンズ少将も15日、イラク全土で道路脇や車などに仕掛けられた
自家製爆弾の数が、今年3月の3239個から徐々に減り、10月は1560個になったと語った。
マリキ首相の挙げた数字には疑問も出ているが、市民の声は、「治安改善」が政府の宣伝だけでない
ことを物語っている。
シーア派の聖地で、イラク最大級の墓地を抱える中部のナジャフでは、「墓掘り作業員が
暇になった」との軽口が聞かれるという。墓地の担当者によると、テロや抗争の犠牲となって
埋葬される遺体の数が、7月には約900体だったのが、10月は130体まで減ったというのだ。
「治安改善」の理由は明確でないが、政府当局者は「民兵組織や旧バース党員との対話、
恩赦などによって国民和解を進めた結果だ」と胸を張る。米軍増強によって今年2月から始まった
過激派掃討作戦が奏功した、との指摘もある。
だが、この動きが一過性で終わるか、太い流れとなってイラクの正常化へ向かうかは予断を許さない。
バグダッド西部に住むスンニ派市民(39)は、「(旧ユーゴの)民族浄化にも似た宗派ごとの住み
分けが進んだ結果で、昔に戻りつつあるのではない」と断言する。「それに、バグダッドの治安
改善は(市中央を流れる)チグリス川の東岸部だけ。シーア派住民地域に限られている」
イラク南部のバスラでは、英兵約500人が9月初め、市中心部の旧大統領宮殿から引き揚げて
以来、流血事件が激減した。英軍少将は、「攻撃対象(である我々)が消えたからだ」と認めた。
(2007年11月23日9時43分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20071123i4w1.htm 【イラク】バスラ治安情勢、軍高官の見方−イラク紙 [11/22]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1195695465/ 【イラク】バグダッドの治安改善? 商業街のにぎわい戻る [11/15]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1195176093/ 【コラム】マスコミが書かない「イラク情勢の好転」=古森義久 [11/6]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1194491768/