中国としては、北朝鮮の体制崩壊を防ぐために石油や食糧の援助を北朝鮮に送っ
てはいるが、この厄介な隣国がいつ米国の勢力圏にはいるかわからないので、「
敵に渡すぐらいなら、その前に自分のものにしたい」という防衛策を考えるのは
、地政学上当然だった。
2002年、中国政府は、現在の中国東北地方(旧満州)東南部から北朝鮮にかけての
広大な地域を紀元前37年〜紀元後668年に支配した古代国家・高句麗を、朝鮮民族
の王朝ではなく、中国の地方政権と位置付けて中国史に編入するためのプロジェ
クト「東北工程」を開始し・・・
これは紛れもなく、中国が北朝鮮を侵略するための伏線、侵略の「大義名分作り」である。
中朝間に深刻な軍事対立があると知れると、中韓からは外国企業が逃げ出し、日
米はミサイル防衛計画の仮想敵国が(北朝鮮でなく)中国であると言わざるをえな
くなる。
・・・北朝鮮が米国に求めた「体制の保証」とは、「北朝鮮が中国と戦争する
とき、石油の供給などで応援して、中国の侵略から守ってくれ」ということなの
だ。・・・「1994年に、北朝鮮が
米国の支援を得て中朝開戦の準備にはいる寸前まで行った」
中朝が開戦するということは、朝鮮半島が不安定になるということであり、その
可能性がわかれば、韓国に進出している外国企業は難民の大量発生や戦火の飛び
火を懸念して一斉に逃げ出すに違いない。韓国は日米などと違って自前の技術や
資本をほとんど持たない二流経済国なので、外国企業に逃げられれば、経済が一
気に衰退し、三流国に転落する。
同じことは、中国の、とくに東北地方(旧満州)にも言える。北朝鮮のように、失
うべき経済インフラを何も持たず、重要な軍需工場をすべて地下に建設している
国とは異なり、中国の大連や北京の「地上部分」には豊かな工業団地や中産階級
の住宅があるので、そこにミサイルを一発撃ち込まれただけで、中国全土はパニ
ック状態になる。北朝鮮のノドンミサイルは上海にラクに届くし、テポドンミサ
イルも、近い将来性能が上がれば、さらに遠くの中国領土を攻撃できる。
中朝開戦の恐れがある、などという情報が流れれば、韓国だけでなく、中国(東北
地方)からも外国資本が逃げ出して経済が衰退し、中国市場への輸出に依存してい
る日米欧の企業も打撃を受ける。だから、そんな情報はあまり早く流れないほう
がいい(但し、いつまでも中国の野放図な環境破壊や資源の浪費を放置しておくと
「ある日突然」中国経済が破綻し、世界経済全体が大打撃を受ける恐れがあるの
で、世界はそろそろ「中国依存症」から脱却しなければならないことも間違いな
い)。
また、日米はほんとうは、将来の中国の脅威に備えてミサイル防衛(MD)計画を進
めているが、国交のある中国に向かってそんなことを言えば外交問題になるので
、表向き「MDは、たとえば北朝鮮のミサイルを撃ち落とすため」というウソをつ
いていると考えられる。
このように、韓国のみならず、中国も日米もそれぞれ異なる思惑から、中朝開戦
の可能性を語ることをタブーにし、国を挙げて情報操作をしているため、いまの
ところ世界中の投資家はだまされて中韓への投資を続けている(日本の大手紙、TV
はこの件をまったく取り上げないが、唯一『週刊文春』が一度だけ報道した。同
誌2006年11月9日号 p.p 40-41 「開戦前夜『中朝国境』もの凄い修羅場」 <
http://www.bunshun.co.jp/mag/shukanbunshun/shukanbunshun061109.htm > )
。・・・2007年の6か国協議は(94年の米朝協議も)元々米国が北朝鮮に「一
方的な支援」を行う口実を作るための通過儀礼であり、上記の「合意」は中朝開
戦に向けた米朝の出来レースと見てよい。
【前々々回「北朝鮮の北〜シリーズ『中朝開戦』(1)」は → <
http://www.akashic-record.com/y2007/cvsnk.html > 】
【前々回「脱北者のウソ〜シリーズ『中朝開戦』(2)」は → <
http://www.akashic-record.com/y2007/sklie.html > 】
【前回「戦時統制権の謎〜シリーズ『中朝開戦』(3)」は → <
http://www.akashic-record.com/y2007/wtctrl.html> 】
【「国連事務総長の謎〜シリーズ「中朝開戦」(4)」は → <
http://www.akashic-record.com/y2007/unsg.html > 】