「米紙実験…取材の段階で読者参加 ネットで情報提供呼びかけ」
USA TODAYをはじめ90紙を発行する米国最大の新聞チェーン、ガネットが、
新聞製作過程を全面的に見直し、取材の段階でインターネットを利用して読者の参加を
仰ぐ実験を始めた。「クラウド・ソーシング(群衆への発注)」と名付けられたこの試み、
部数減に悩む新聞業界の生き残り策として注目を集めているが、情報の真偽の精査が
正確に機能するのかなどの点で、根強い反発と異論が残っている。
フロリダ州南部フォートマイヤーズにあるガネット傘下の地方紙「ニュース・プレス」に
昨年5月、読者から「上下水道を自宅に引き込むために4万ドルを請求された」との電話が
かかった。公共サービスを受けるために4万ドル−。編集局は、この“ネタ”は
「ニュースになる」と判断した。 通常、そこから担当記者が任命され、関係先や
専門家に対し、事実確認や背景の発掘作業が展開される。紙面化は、そうした取材のため、
一定の期間を経た後になる。
だが、ガネット幹部は、この取材にクラウド・ソーシングの手法を適用。
ニュース・プレス紙はまず、「こんな情報がある」と自社のウェブサイトに掲載し、
その上で、「知っていることがあったら、教えてほしい」と呼びかけた。
「当然ながら、読者は記者よりもたくさんのことを知っていた」と、同紙のケート・
マリーモント編集長は振り返る。
その後、クラウド・ソーシングの実験は半ば、記者や編集者の手を離れ、ウェブ上で
自律的に展開していった。「ある読者が疑問を提起すると、別の読者が答えを投稿する。
非公開の行政当局の書類も、読者から提供された。本物であることを確認した上で、
それもウェブで公開した」(マリーモント編集長)。その結果をもとに何本もの記事が
「ニュース・プレス」紙面にも掲載された。
同様の試みは、同じくガネット傘下のシンシナティ・エンクワイアラー紙(オハイオ州)でも
行われた。昨年11月の中間選挙で、同紙が「投票トラブルはないか」とウェブ上で
呼びかけたところ、携帯電話やパソコン経由の現場報告が続々と寄せられた。
同紙のグレゴリー・コーティー記者は、「元来、現場の声を広く聞く新聞の取材は
クラウド・ソーシング以外の何物でもない。ただ、最新のIT(情報技術)によって、
効率が格段にアップした」と評価する。
ただし、うまくいかなかった例もある。ある殺人事件について情報提供を呼びかけた際、
真偽不明の情報が殺到し、結局関連ページは閉鎖に追い込まれた。コーティー記者は
「群衆は知恵に満ち、多くの情報を持ってはいるが、真偽を判断し分かりやすく伝えるのは苦手。
そこに、ジャーナリストの役目があると思う」と話している。
(※
>>2 以降に続きます)
引用元:産経新聞
http://www.sankei.co.jp/ (2007/01/03 08:32)
http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070103/usa070103000.htm 画像:
米国の新聞発行部数
http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070103/usa070103000-1.jpg 関連スレ:
【スウェーデン】世界最古の新聞が印刷終了へ 1645年創刊 ネットでの情報提供に切り替え [061230]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1167448603/ 【米国】NYタイムズの寄稿論文の一部が黒塗りで掲載 執筆者は「政治的な理由で検閲された」と批判[12/23]
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1166914772/ (※
>>1 よりの続き)
≪サイト重心、改革に異論も≫
取材、編集過程への「クラウド・ソーシング」の導入は、実はガネットが進める改革の
ほんの一部にすぎない。
昨年12月、ガネットは投資家向け説明会で今後、事業の重心を紙媒体からインターネットに移し、
新聞の「編集局」を年中無休24時間体制の「インフォメーション・センター」に再編すると
明らかにした。
具体的な改革案としては、読者を取材過程に引き込むねらいのクラウド・ソーシングの
ほかにも、モバイルPCを手に記者がマイカーで町を移動しながら、目についたイベントを
片っ端から記事にし、直接ウェブサイトに載せる「モバイル・ジャーナリスト」制度などが
提唱されている。紙の新聞ではスペースの制約から不可能だった、極めてローカルな
ニュースを拾い上げようとする試みだ。
こうした改革でウェブサイトへのアクセスが増えれば、広告収入増が見込めるという戦略だ。
ガネット傘下の地方紙11紙ですでに試験的な導入が始まっており、すでに新聞編集と
ウェブサイトの編集が統合されたUSA TODAYを除き今年5月までに、傘下全紙で
改革が行われる。
急進的な改革なだけに不満の声も出ている。ワシントン・ポスト紙によると、
「ニュース・プレス」紙のある編集者は「モバイル・ジャーナリストが勝手に記事を
掲載するのは、新聞作りの約束に違反している」と非難。また、ウェブ上では絶えず
新しい記事が要求され、速報性に重点が置かれて質の低下が著しいと嘆く匿名による
内部の声も紹介されている。
引用元:産経新聞
http://www.sankei.co.jp/ (2007/01/03 08:32)
http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070103/usa070103000.htm