□ボーイング、エアバス06-25年予測 航空機需要302兆円
米航空機製造最大手ボーイングと、欧州航空防衛最大手EADSがそ
れぞれまとめた2006〜25年の民間機需要予測によると、旅客と貨
物需要の拡大を背景に、今後20年間に世界全体で2兆6000億ドル
(約302兆円)相当の航空機需要が発生することが分かった。両社は
ともに、アジア地域が市場を牽引(けんいん)すると予測。アジアでの
販売合戦が激化しそうだ。(坂本一之)
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ボーイングは今後20年間の乗客の伸び率を年平均4・9%増、貨物
を同6・1%増と見込み、機材需要を約2万7200機と試算した。2
5年時点では、全世界で現在の2倍を超える約3万6000機の商用機
が飛んでいるとみている。
アジア太平洋地域は200〜400人乗りの需要が多く、全体の3
6%(金額ベース)を占めると推定している。他の地域では北米が2
8%、欧州が24%。同社商用機部門のランディ・バセラ副社長は「ア
ジア?欧州間などの路線では200〜400人乗りの機材がほとんどと
なり、便数や直行便サービスが増加するだろう」と分析する。
機材需要の実数は、100〜240人乗りが1万6540機、20
0〜400人乗りが6230機で、この2機種の比率は86%(金額
ベース)になる見通し。このため同社は、100〜400人乗りを成長
戦略の中心に据える。
一方、欧州航空機製造最大手、エアバスを傘下に持つEADSは同期
間の航空機需要を約2万2700機と試算した。経済発展を続ける中国
やインドなどの需要増から、2年前の前回予測と比べ5400機の上方
修正。金額ではボーイングと同じ2兆6000億ドルとした。
このうち中国では100〜240人乗りなどの需要が拡大するとみて
いる。今年10月には、このクラスの機種である「A320」を150
機納入することで中国と合意。これにからみ、中国からの受注拡大を
狙って、天津に欧州以外では初となる「A320」の最終組立工場を建
設する。
≪中国向け全力≫
米ブルームバーグによると、エアバス幹部は「航空旅客の成長テンポ
が速い地域は明らかに中国」として、中国からの受注に全力をあげる考
えを示している。さらに、同幹部は「今後20年における超大型機需要
の約60%はアジア」と述べ、約2年の納期遅れが出ている超大型機
「A380」商戦ではアジアに重点を置く方針を強調している。
このほかエアバスは、200〜400人乗りでは、ボーイング777
の対抗機となる「A350XWB」を投入する意向。エアバスは「A3
80」の納期遅れで経営不振に陥っているだけに、長期にわたって需要
が見込まれる同機の販売戦略が注目される。
出典:FujiSankei Business i. 2006/11/29
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200611290032a.nwc