「特派員コラム 【千夜一夜】 消えるお年玉?(10/09)」
エジプトのお札はくたびれている。古い札は湿ったような感触で、時には嫌なにおいもする。
先日、道端の焦点で買い物をしたら、見たことのない硬貨が釣り銭に交じっていた。
真新しい1エジプト・ポンド(約20円)だった。
財務省は6月、紙幣だった1ポンドと50ピアストル(0・5ポンド)を硬貨に切り替えると
発表したが、ようやく町中に流通し始めたわけだ。1ポンド硬貨には古代エジプトの
ツタンカーメン王、50ピアストルにはクレオパトラの肖像がそれぞれ彫られている。
1ポンドは日常生活で最も頻繁に使われる存在だ。タクシーでは、小銭がないと釣り銭を
もらうにも苦労することがある。それだけに、1ポンドが硬貨になることには、
「重くて、かさばる」と不評の声も多いようだ。
ネット掲示板でも話題になっていて、面白かったのは、子供に渡す“お年玉”に困るという
コメントだった。
田舎の方では、イスラム教のお祭りの際に「お祝いの言葉」をお札に書いて子供たちに
渡す風習があるという。以前はよく25ピアストル紙幣が使われていたのだが、数年前に
硬貨に変わり、大人たちは50ピアストル紙幣を渡すようになった。ところが、
50ピアストルも1ポンドも硬貨になってしまうと、これからは5ポンド札にお祝いを
書いて渡さなくてはならなくなる。うまくいけば子供たちには一気に10倍の“増収”
になるが、むしろお年玉の風習は消えてゆくような気がする。
引用元:産経新聞
http://www.sankei.co.jp/ (10/09)
http://www.sankei.co.jp/databox/tokuhain/0610/061009m_int_51_1.htm