魔王「私が勇者になる……だと?」

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11 ◆6IywhsJ167pP
側近「なる、て言うかなれ、だな」
魔王「拒否する権利は」
側近「ねぇけど?」
魔王「……ああ、そう」
側近「そこ!」
魔王「は?」
側近「お前は昔からそうだ。諦め早すぎる!」
魔王「……私は、不必要なもめ事は好まない」
側近「お前何!?ねぇ、何!?」
魔王「……魔王、だが」
側近「だろ?ねぇ、魔王だろ!?」
魔王「まあ」
側近「魔王ってのは、ね!?無意味に人間滅ぼそうとしたり、世界滅ぼそうとするもんだろ!?」
魔王「知らんよ」
側近「……はあ、もう」
魔王「ため息を吐きたいのは私の方だ。私は曲がりなりにも魔王だぞ?」
側近「そうだね。日がな一日本読んだり、料理してるけど魔王だね!」
魔王「……本を読むのは良いことだ。料理だって、やっていれば上手くなる」
側近「そりゃね。最初、卵焼きだって言って消し炭持ってきたときは吃驚したがね」
魔王「最近はケークサレに凝ってるんだが」
側近「この間のほうれん草とサツマイモの奴は上手かった」
魔王「あれは自信作だ」
側近「チーズが入ってたら……って、そうじゃ無くて!」
側近「だーかーら!お前、魔王なんだから魔王らしく、ちょっとはさぁ!」
21 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/01(月) 20:55:05.17 ID:QQZ2gTIwP
魔王「魔王らしく勇者になれ、ってのは……おかしいだろう?」
側近「敵を欺くにはまず味方からって言葉知ってるか」
魔王「……人には器と言う物がな?」
側近「哀れんだ目で見るなあああああ!何も考えなしで言ってるんじゃねぇから!」
魔王「そうなのか?……破れかぶれなのかと」
側近「お前ねぇ……」
魔王「理由があるなら聞こう。理由と言うか……策、か」
側近「お前が魔王らしくない理由は?」
魔王「……私は魔王だと言っているだろう」
側近「いや、だから……ああもう面倒臭い。とにかく、魔王軍の俺たちとしてはな?」
側近「もうちょっと、こう、威厳を見せて欲しい訳だ」
魔王「はぁ」
側近「……そりゃ、確かに?攻め込んでくる人間も居ないしな?」
側近「この、阿呆みたいに平和な世の中で、争いなんてこれっぽちもありゃしねぇ」
魔王「そうだな。人間と魔族の争いの話しも、ここ数十年聞いていないな」
側近「30と3年な」
魔王「……細かいな」
側近「そりゃ小競り合い程度はあるぜ?知能もないに等しい奴らが人間襲って食ったりさ」
魔王「人間は雑食だから不味そうだけどなぁ……肉堅そうだし」
側近「料理の話じゃないから!」
3名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 20:59:16.46 ID:s9r7nTVm0
期待
4名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 20:59:58.07 ID:7gvUEEMX0
紫煙
5名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 21:00:10.38 ID:z7LR2qtP0
wktk
6名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 21:00:36.39 ID:i09Giz4m0
こわけしてほしいな
71 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/01(月) 21:05:30.68 ID:QQZ2gTIwP
魔王「……すまん」
側近「まあ、なんて言うか……素直なのは良いことだがね」
側近「俺とか、お前をよく知る奴……お前の近くに居る奴はな?」
魔王「うん?」
側近「ぶっちゃけ、お前がすげぇ強いのは知ってる訳だ」
魔王「まあ……うん」
側近「それこそ、魔王の名にふさわしい……って、解ってるさ。でもな?」
魔王「うん……?」
側近「先代とお前が交代したときは、先代が勇者に敗れた訳でも」
側近「転成したらお前が魔王としてここにいましたー、でも」
側近「ないわけで?」
魔王「まあ……親父は寿命だったからなぁ」
側近「そういう事。代替わりの儀式が、親殺しって事実を」
側近「知ってるのは……古参の奴らだけだ」
側近「で、そう言う奴らは、寿命でくたばっちまったか」
側近「まあ……所謂、穏健派、って奴だ」
魔王「穏健派?」
側近「便宜上な……ま、もう解るだろうけど」
側近「言うなれば、過激派って言える奴らが居る訳だ」
81 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/01(月) 21:11:52.37 ID:QQZ2gTIwP
魔王「過激派……」
側近「これが、さ……『人間共滅ぼすぞ!おー!』ならまだ良いわけよ」
魔王「矛先は私か?」
側近「そういう事。力で決着着けましょうや、魔王倒せば俺が時期魔王でいいじゃん?」
側近「……なんて、不届き者の集まりが、過激派」
魔王「それと私が勇者になるって話とどう繋がるんだ」
側近「まあ、実際あいつら、お前の力をなめまくってくれちゃっては居るんだが」
側近「数が、なあ……」
魔王「そんなに?」
側近「まあ、隊長クラスほぼ全員プラス、そいつらの部下山ほど?」
魔王「……うーん」
側近「正直、お前が負けるとは思わないんだが」
魔王「だったら、別に良いだろう」
側近「あーほーう!」
側近「魔王軍の実力者クラスが根こそぎ居なくなった時に」
側近「人間の方から攻め込まれたらどーなるとおもってんの!?」
魔王「いや、私一人いれば大丈夫だろう、多分」
側近「……負けるとは思わない、といっただろ?以上でも以下でもないんだぜ」
91 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/01(月) 21:19:45.42 ID:QQZ2gTIwP
魔王「……無傷では流石にいられないか」
側近「ついでにだな。俺だって、人間とこのまま、共存だとかなれ合いとかは御免だ」
側近「御免だ、が!」
魔王「が?」
側近「このバランスの取れてる感じは良いと思ってる訳」
側近「勇者が居て、人間共が力をつけてきた訳で無く」
側近「こっちとあっちで我関せず。その点に関しては、お前の力は大きいと思ってるんだ」
魔王「……ありがとう」
側近「……俺は、正直人間は好きじゃねぇからさ」
側近「でも別に、根絶やしにまでする必要もないと思うし」
魔王「それ、親父の受け売りだろう」
側近「まあ……そうだな。産まれた時から可愛がって貰ったからな」
魔王「………」
側近「まあ、だから俺にとってもお前はとっても大事な人な訳です」
魔王「衝撃の告白」
側近「俺に同性愛の趣味はねぇよ!」
側近「とーにーかーく! ……ったく本当にお前は話逸らすの得意だな」
魔王「ありがとう」
側近「褒めてねえええええ!」
101 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/01(月) 21:29:02.09 ID:QQZ2gTIwP
魔王「褒めてくれたのは嬉しいんだが、全く最初の話に繋がらないんだって」
側近「褒めてねぇって!……だから、ああ、何だったっけ?」
魔王「歳か?側近……」
側近「哀れんだ目を向けるな!えっと、だから!」
側近「人間側から勇者が出れば、過激派の奴らもお前をどうこう言ってる場合じゃないだろうし」
側近「緊張状態にはなるだろうが、お前が勇者であれば、魔王は倒される事はないし!」
魔王「何で?」
側近「阿呆ですか!?魔王はお前だろ!?」
魔王「え……魔王の侭で勇者になれるの?」
側近「ああああああ、もう!言い直します!勇者の振りをして旅してこい!」
魔王「なんだ。最初からそう言えば良いのに」
側近「疲れた。スゲェ疲れた。ありえねぇぐらい疲れた」
魔王「やっぱり歳か?」
側近「殺すぞお前………嘘ですごめんなさい」
魔王「うん、解ってるよ。お前じゃ無理だし」
側近「笑顔で言うな。解ってるけどちょっぴり傷付く」
魔王「面倒臭い奴だねぇ」
側近「お前にだけは言われたくねええええええええええええええ!」
111 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/01(月) 21:34:28.55 ID:QQZ2gTIwP
魔王「しかし、本物の勇者が現れたらどうするんだ?」
側近「勇者の世界は実力勝負だろ?お前に勝てる奴なんか居ないって」
側近「あんなもん、名乗ったモン勝ち。従って、お前が勇者で問題無し」
魔王「……そんな簡単に行く物か?」
121 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/01(月) 21:35:56.04 ID:QQZ2gTIwP
ちょっと離席、ごめん
後ほど来れたら後ほど!
13名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 21:37:00.19 ID:7gvUEEMX0
>>12
待ってるぞ
14名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 21:43:03.23 ID:MT+lIa9F0
新作キター
期待してるよおば……ねーさん!
15 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/01(月) 21:44:23.40 ID:z7LR2qtP0
C
16名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 21:53:02.64 ID:cNFDSGhFO
おばねーさん好きです!
17 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/01(月) 22:01:32.16 ID:af3h/1esO
拒否権は無いんだなの人?
18名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 22:52:34.05 ID:QgLXTVUl0
シリアス、ホラーときて、今回はコメディかな?
バッドエンドに期待
19名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 01:08:10.07 ID:uiIFZWdS0
期待
20名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 02:10:56.42 ID:ENT0Rsiq0
まってた
21 忍法帖【Lv=2,xxxP】(1+0:8) :2013/04/02(火) 02:16:26.87 ID:n3ahzq0f0
BBAきた!
22名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 08:00:32.02 ID:/C0B1pS3i
アラビアンナイト系BBAきた!
231 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/02(火) 08:57:13.71 ID:y1ambUQpP
おはよう!面接までー!
241 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/02(火) 09:04:23.51 ID:y1ambUQpP
側近「……ちょっと聞きたいんだけど」
魔王「何?」
側近「お前、勇者って何か知ってる?」
魔王「馬鹿にするな。それぐらい知ってる」ムッ
側近「そりゃすまん……で?」
魔王「光に選ばれた伝説の勇者って奴だろ。書庫の本で読んだ」
側近「え?」
魔王「え?」
側近「……ま、まあ、お前が産まれてから、争いが起こってないし」
側近「目立った勇者が出てきてないからな。しかたないけど……」ブツブツ
魔王「ハッキリ言え」
側近「お前が読んだってのは……あー……」
魔王「魔王が世界を滅ぼそうとしたときに、光の中から颯爽と現れて」
魔王「ばったばったとモンスター共をなぎ倒して、伝説の剣で魔王を倒すんだろ?」
側近「……良し。話をしよう。取りあえずお茶の用意をさせようか」
魔王「?? ……私はコーヒーとラズベリータルトが良いな」
251 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/02(火) 09:14:31.06 ID:y1ambUQpP
……
………
…………

側近「えーとりあえず」
魔王「うん」モグモグ
側近「そもそも勇者なんて称号は後付けで」
魔王「そうなのか?」
側近「考えてもみろ。『勇者だから魔王を倒す』訳じゃなくて」
側近「『魔王を倒したから勇者と呼ばれた』んだって方が自然でしょうが」
魔王「んー、どっちでも良い」
側近「そういうこと言うな……まあ、いつの間にか強い奴が出てきたら」
側近「勇者って呼ばれる様になっちゃったんだがな」
魔王「へぇ」
側近「だから、勇者の振りして旅をしろってのも本来は語弊があるが」
側近「わかりやすいかと思ったんだがな……」
魔王「ちょっと待て。って事は、勇者ってのは一杯居るのか?」
側近「そりゃ勿論」
魔王「……何で?」
側近「A村の英雄=勇者様。B国の一番強い人=勇者様、ってなってけば」
側近「ごろごろ居る事になるだろ?」
魔王「ほう」
側近「だから、お前は実力は本物なんだから」
261 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/02(火) 09:19:47.87 ID:y1ambUQpP
側近「旅をして、困ってる奴を助けてる間に」
側近「自然とそう呼ばれる様になる筈だ」
魔王「……魔王が人助けをするのか?」
側近「さっきも言っただろ、この状態って結構良い筈なんだ」
側近「だから、それを保てる様にしたい訳。俺はね」
魔王「お前含め穏健派……って奴らは、だな」
側近「まぁな。そりゃ腐っても魔族だからな。血の気の多い奴も居るけれど」
側近「争いになりゃ、人間も魔族も、無駄に命を落とすことになるからなぁ」
魔王「ふむ……」
側近「そりゃ、お前が人間を滅ぼして……とか言い出したら」
側近「誰も反対はしないだろうけどな」
魔王「そうなのか?」
側近「そりゃそうだろ……お前は、魔王なんだから」
側近「俺たちの王。従うのは当然さ……そりゃ、100%全員がそうとは限らんけど」
側近「お前に威厳を見せろ、って言ったのは、だな」
魔王「うん?」
271 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/02(火) 09:24:55.97 ID:y1ambUQpP
側近「なんもしないからだ」
魔王「そんな事は無いだろ」
側近「読書とか料理とかじゃないから!」
魔王「えー」
側近「頬を膨らますな……あのな?」
側近「滅ぼすわけでも、共存の道を取るわけでも、この今の我関せずの状態を保とうとも」
側近「お前は宣言の一つすらしてないだろうが!」
魔王「でも、親父が死んで私が魔王になってから」
魔王「ずっとこの状態が続いてるじゃないか。良いことだとは私も思うよ?」
魔王「だからって、それを私が『魔王として』決めてしまうのはどうかと思うんだよ」
魔王「人も魔も、それぞれの意思で自然にそういう風になれば一番良いじゃないか」
側近「そりゃもっともだけどな?でもこのまま放置しとくと」
側近「……過激派の奴らが、やばいんだって」
魔王「で、私に勇者になれ、か」
側近「まあ、そういう事だ」
魔王「しかしなぁ……人助けとか……」
側近「気負う必要は無いさ。お前なら……まあ、あれだ」
側近「普通にしてたら、それで充分だと思う」
魔王「??」
281 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/02(火) 09:30:16.42 ID:y1ambUQpP
側近「争いは好まないんだろ?」
魔王「まあ、そりゃ」
側近「えーと。だからまあ、気にせず旅して来い。旅行だ、旅行」
魔王「だったら私が魔王って事を隠すだけで良いじゃないか」
側近「勇者って言われれば牽制になるって言ってんだろーが!」
魔王「上手く行くのかねぇ」
側近「俺だって動くさ……人間側の方に潜り込んで、何か企んでる奴も居るからさ」
側近「そういう不穏分子を、まあ……ちょいっと潰しては欲しいがな」
魔王「……私がやるのか?」
側近「それぐらいはやりなさい!」
魔王「んー……」メンドクサイ
側近「面倒じゃない!良いのか?お前の地位が過激派に奪われたら」
側近「……多分、全面戦争だぜ?」
魔王「それは……もっと面倒臭い」
側近「だろ?良し。じゃあ準備するぞ」
魔王「待て。まだやるとは言ってない」
側近「ここで返事を保留すると、お前はまた何時までも動かないからな」
魔王「……魔王に命令するのなんて、側近ぐらいだ」
側近「じゃ無きゃ俺がこの地位に就いてる意味無いの」
291 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/02(火) 09:40:03.98 ID:y1ambUQpP
魔王「しかし……私が不在の間はどうするんだ?」
側近「瞑想中とでも言っておくさ」
魔王「うわ適当」
側近「阿呆。それで良いんだよ!」
側近「瞑想中って事は、力を貯めてるって事だろ?」
魔王「それも牽制か」
側近「そういう事。それに俺はここを動かねぇし……ってか、動けねぇし、流石に」
魔王「お前……一人で大丈夫か?」
側近「腐っても側近ですから」
魔王「私の一人旅か……」
側近「気楽で良いだろ?てか……普段、城から離れる事も無いんだし」
側近「ま、気負わず頑張ってくれよ」
魔王「うーん……」
側近「何だよ。まだ何か不満か?」
魔王「いや、何着ていこうかなーって」
側近「……そんな姿で言わないで」
魔王「何だよ。私の容姿は悪く無いはずだ」
側近「そりゃ先代魔王は男前だったからね。お前そっくりだからね。でもそうじゃなくてね!」
魔王「?」
側近「男が言う台詞じゃねぇって言いたいいんだよ!阿呆!」
301 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/02(火) 09:41:08.07 ID:y1ambUQpP
朝ご飯のスコーンを作ってくる(・ω・)
31名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 09:41:50.05 ID:jVXCxT0s0
乙!
いってらー
321 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/02(火) 10:28:16.88 ID:y1ambUQpP
時間なくなっちまったorz

面接に出発してくる!
33名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 11:01:08.52 ID:gWPg3L/I0
いてらー
34名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 11:40:39.67 ID:LlyGpouQP
スコーン(・ω・ )
35名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 11:54:50.84 ID:ENT0Rsiq0
スコーン!スコーン!
36名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 12:33:58.05 ID:ls0M1sLR0
今ごろ上司とスコーンバッコンしてるんだろうなw
幼女に弟かw
37名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 12:35:43.97 ID:pc6iH9Ti0
面白いけど1レスが長い
38奈良県民 ◆YJlzW4M4/U :2013/04/02(火) 14:14:53.93 ID:Do/cHWRm0
期待
391 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/02(火) 14:21:33.04 ID:y1ambUQpP
面接なのに上司って何だよwww
受かってからだろ上司になるのはwww
そんですこーんばこーんしねぇよ!!
幼女一人で手一杯!www

取りあえず、幼女に乗っ取られるまで少しだけー
40名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 14:27:18.22 ID:HnpGOOYQ0
期待(・ω・)スコーン
411 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/02(火) 14:28:42.08 ID:y1ambUQpP
魔王「旅行に出るんだから別にそれぐらい楽しみにしたって良いだろう」
側近「……勇者って言われても不自然じゃないようにしてくれよ?」
魔王「俺の見た目は人間と変わらんから大丈夫だと思うが」
側近「服装の話!」
魔王「まあ、流石にこのままでは行かないさ。ローブじゃ動きにくいしな」
側近「当たり前だ。そんな上から下まで真っ黒じゃ、怪しすぎるわ」
魔王「何だ。黒は駄目なのか」
側近「別に駄目じゃねぇけど」
魔王「じゃあ、白金の鎧に赤いマントとかどうだ」
側近「……旅人っぽい服装じゃ駄目なの?ねぇ、駄目なの?」
魔王「鎧格好良いじゃないか」
側近「今のローブと大差無い!」
魔王「怪しくはないだろう?」
側近「悪目立ちするのは一緒だろうが!何処の国の騎士様ですか!」
魔王「注文が多いなぁ」
側近「俺が用意するから、文句言うなよ!絶対!」
魔王「拒否権は……」
側近「ありません!」
裸エプロン
431 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/02(火) 14:35:06.84 ID:y1ambUQpP
……
………
…………

魔王「……これ?」
側近「これ」
魔王「確かに動きやすいけど……」
側近「勇者、として旅に出るんじゃなくて、あくまでもそう言われる様な感じで!」
魔王「どこからどう見ても旅の剣士にしか見えない……」
側近「だから、それで良いんだって何度言えば!」
魔王「あれ、側近……私の剣は?」
側近「こっち持ってけ」
魔王「なんだこれ……ただの鋼の剣じゃないか」
側近「お前のあの禍々しい剣を人前で振り回す気だったなんて流石に言わないよな?」
魔王「……言わないから、そんな泣きそうな顔するな」
側近「俺の胃に穴が開いたら責任取れよ」
魔王「私は回復魔法は使えないぞ?」
側近「そうだね!知ってる!けどそういう意味じゃなくてな!」
側近「……ああ、胃がいてぇ」
44名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 14:36:04.34 ID:ENT0Rsiq0
吃驚って漢字すきだね
451 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/02(火) 14:38:29.88 ID:y1ambUQpP
魔王「旅に出ろって言ったのはお前なのに……」
側近「考え無しで言った訳じゃないが、こんなに苦労するとは思わなかった」
魔王「まあ、良い。バカンスだと思って楽しんでくるとするか」
側近「仕事は忘れるなよ」
魔王「仕事?」
側近「解った。もう一回一から十までぜーーーーーんぶ説明してやるから」
側近「そこ座れ。終わるまで飯抜きな」
魔王「ごめんなさい、解ってます」
側近「本当か?」
魔王「過激派沈めて来れば良いんだろ」
側近「おう……頼むぜ?」
461 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/02(火) 14:39:56.59 ID:y1ambUQpP
幼女に乗っ取られますorz
NTRkwks
48名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 14:47:30.02 ID:ENT0Rsiq0
YO!JOE!!
49名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 18:04:39.62 ID:xISb8K5l0
魔王は私なのか俺なのか



細かくてごめん
気にしないで
50名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 19:44:17.38 ID:Th1uG0m00
俺は美少女系美男子で想像してる
51名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 19:55:38.89 ID:IoBwvDVo0
お母さんと呼ばせてください
52名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 21:34:39.26 ID:rSU4KM9Y0
乗っ取られるのはわかっとるわ、まとめて書きため出来んわだったらss速報行けよ
53名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 22:19:31.64 ID:LlyGpouQP
まとめて書き溜めなくてもいいぜ
のんびりやれや
54名も無き被検体774号+:2013/04/03(水) 01:18:09.13 ID:NbKYhXYl0
のんびり待つよー
55名も無き被検体774号+:2013/04/03(水) 08:27:48.96 ID:LQ3ydZH3P
ゆっくりでいいぞ
スコーンBBA
561 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/03(水) 10:55:58.37 ID:HqI9MVXFP
>>49
ごめん、私!
気をつける!

ありがとー!

>>51
んなでっかいの産んだ覚えはないわー!!www

あとのんびり言うてくれてありがと!
頑張る!
571 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/03(水) 10:59:36.13 ID:HqI9MVXFP
魔王「じゃあ……行くか……っと」
魔王「どうどうと出て行ったらまずいんだったな」
側近「お。良く解ってるじゃないか」
魔王「お前は私を何だと」
側近「取りあえず、玉座の奥の間に入って内側から鍵かけて」
側近「ついでに封印していってくれ」
魔王「……そこまでするのか?」
側近「もっかい説明しましょうか、魔王様」
魔王「側近の笑顔が怖い」
側近「解ったらさっさとやれ。んで転移してけ」
魔王「どこが普通の旅なんだか……」
側近「人に見つからない様なとこに飛べよ!」
魔王「はいはい……しかしな、どこ行くかな」
側近「あ。出来れば定期的に連絡欲しいんだが」
魔王「……お前は結構、さらっと無茶言うよな」
側近「お前なら簡単だろ」
魔王「だから、お前は私を何だと」
側近「魔王以外の何だと」
581 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/03(水) 11:02:17.82 ID:HqI9MVXFP
魔王「……定期的に連絡って言ってもだな」
側近「ん?」
魔王「どうせ、その過激派とやらに気取られない様にとか言うんだろ」
側近「当たり前だろ」
魔王「ふむ……仕方ない」ス…
側近「何するんだよ、変なポーズして……うわッ!?」

グチャ、ズル……

側近「うああああああああああああ、おま、お前何を!!!」
魔王「はい」ポイ
側近「ちょ、なんで投げるの!」ガシ!
魔王「食え」
側近「………はぁ!?」
側近「何やってんすか、ちょ、ぬるぬるするし!」
魔王「だから、食えってば」
59名も無き被検体774号+:2013/04/03(水) 11:02:51.23 ID:hC/hFmgq0
読みにくすぎる
601 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/03(水) 11:05:08.33 ID:HqI9MVXFP
側近「あのな、いきなり躊躇無く自分の目に指突っ込んで」
側近「めんたま引っ張り出して、人に放り投げてしかもそれ食えとか」
側近「何なのそれ、何の罰ゲームなの!?」
魔王「ああ、もうウルサイ」ヒョイ。グリッ
側近「ちょ、む、………ッ ぐっ……」
魔王「良いから飲み込め」
側近「げほッげほ……ッ」
魔王「これで誰からも悟られず、お前が望めば私の見た全てを」
魔王「見る事ができる……後で返せよ」
側近「……な、なんなのその、無茶苦茶なの……」
魔王「魔王だからな、私は」
611 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/03(水) 11:06:55.98 ID:HqI9MVXFP
お昼ご飯の用意をしてくるー
62名も無き被検体774号+:2013/04/03(水) 11:07:53.63 ID:AazIzM2S0
乙!
いってらー
63名も無き被検体774号+:2013/04/03(水) 11:24:25.07 ID:wFXwLiln0
目玉焼きつくるのかな
64 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/03(水) 11:46:31.93 ID:+DCOgQFU0
oh…
65 [―{}@{}@{}-] 名も無き被検体774号+:2013/04/03(水) 12:16:17.77 ID:EJZzeJvOP
多分とても肉肉しい目玉焼きだな
66名も無き被検体774号+:2013/04/03(水) 13:03:38.59 ID:INp26Lge0
いいなあ…俺も食いたい
67名も無き被検体774号+:2013/04/03(水) 19:28:53.29 ID:P1kdqRdx0
68名も無き被検体774号+:2013/04/03(水) 20:58:46.05 ID:wFXwLiln0
い、いつまで昼飯用意してるんだ!
69名も無き被検体774号+:2013/04/03(水) 21:02:24.10 ID:pnKagOeo0
1さんの家ではまだ昼なんだよ(震え声
701 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 04:09:41.86 ID:In3QnSPVP
側近「見るってどうやるんだよ……」
魔王「集中すれば見れる」
側近「本当にお前は規格外だな……」
魔王「そうか? ……あ、すまん側近。眼帯かなんかくれ」
側近「治せないのかよ!」
魔王「私は治癒魔法は使えないと言っただろう」
側近「あー……ちょっとこっち向け」パァア
側近「……良し。傷は塞いだ……が、目立つな」
魔王「便利だな、お前」
側近「……お前にだけは言われたくないよ。ほら、この布でも巻いとけ」
魔王「ん……で?次は何だっけ。鍵と封印か」
側近「ああ。こっちだ」カチャ。キィ
魔王「良し、じゃあ……」
側近「待て待て待て!俺出てからじゃないと!」
魔王「え?」
側近「え、じゃネェよ!俺まで閉じ込めてどーすんの!」
魔王「あ、そうか」
711 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 04:13:29.48 ID:In3QnSPVP
側近「頼むよもう……」
魔王「んじゃ、いってきます」
側近「どこ行くか決まったか?」
魔王「南の方かな」
側近「またアバウトな」
魔王「まあ、楽しんでくるさ……じゃあな」パタン。カチャ。
側近「……なんかどっと疲れた……ッ」
側近「扉越しでもスゲェ力感じるなぁ……本当に規格外なんだから!」
側近(後は……上手くやってくれよ)

……
………
…………

シュウン……

魔王(キョロキョロ)
魔王「森の中……か。誰も居ないな」
魔王「さて……ここは何処だろうな」

??「誰!?」
魔王「ん?」
721 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 04:25:41.21 ID:In3QnSPVP
??「……どうして、こんな所にいるの」
魔王「ああ、えっと……」
魔王(さて、どうする……ん、この娘……)
??「答えて!」
魔王「……すまん、覚えて無いんだ」
??「え?」
魔王(とぼけるが勝ち)
魔王「気がついたら、ここに居た。ここは……何処だ?」
??「………」
魔王(流石に怪しいかなぁ……)
??「ここは……とある、森の外れ。人が立ち入れる場所じゃないわ」
??「……でも、貴方人じゃないわね」
魔王「……エルフの森か?」
??「!」
魔王(聞いた事があるな。地上で有り地上でない、この世の物とは思えない楽園……だったか)
魔王「私は……あー……少年、だ」
??「名前は覚えてるの?」
魔王「一応……人で無いのも自覚してるつもりだ」
??「そう……」
731 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 04:31:31.77 ID:In3QnSPVP
魔王(この娘……エルフだな。人の気とは随分違う。しかし……?)
??「エルフの森には入れないわよ。道は閉ざされた」
魔王「閉ざされた?」
??「………」
魔王「……私に聞かす話ではなさそうだな」
??「貴方も……早く、どこかに行く事ね」
??「エルフは、人に干渉する事を嫌う」
魔王「私は人では無いがな」
??「余計に、よ」
魔王「しかし……道も何も解らないんだがな」
??「随分力を持った魔族見たいじゃないの。どうにだってなるでしょう」
魔王(まあ、その通りなんだけど)
魔王「……名を聞いても?」
??「どうして私が、貴方に名乗らなくちゃいけないの」
魔王「……まあ、そうだけど」
魔王「私は名乗ったぞ?それに、先に名を聞いたのはお前……君だろう」
??「……姫よ」
魔王「姫、な。随分……具合が悪そうに見えるが。それに……なんでそんなにびしょ濡れなんだ」
姫「平気よ……逆に聞きたいわ。さっきまであんなに雨が降っていたのに」
姫「貴方はどうして濡れて無いのよ」
741 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 04:38:09.34 ID:In3QnSPVP
魔王「……なんでだろうな」
魔王(転移してきたから、とは言えないなぁ)
姫「ああ、覚えて無いんだっけ……」フラ
魔王「おい……足下ふらふらじゃないか」ガシ
姫「触らないで!……あ……ッ」クラ…
魔王「無理せず休め。そんなか細い身で、森の中を行く気か?」
魔王「……何でエルフの森に戻らない?」
姫「言ったでしょ……道は、閉ざされ……」
魔王「……すまん、喋らなくて良い」
魔王(随分辛そうだ……外傷はなさそうだが……病か?)
姫「……早く、ここから……離れ、な……きゃ……」ハァハァ
魔王(身体が随分冷えているな……仕方ない)ヒョイ
姫「きゃ……ッ 何するのよ!」
魔王「歩けないんだろう」
姫「だ、だからって……抱えないで……よ……!」
魔王「離れなきゃ行けないんだろう?」
姫「………ッ」
魔王「方向だけ教えろ」
姫「……ここから、遠ければ何処でも」
魔王「ふむ……」
魔王(魔物の気配はあまりしないが……できれば安全な方向に、だな)スタスタ
姫「……お節介。お礼は言わないわよ」
魔王「黙ってろってば」
75 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/04(木) 04:46:32.37 ID:gAppd5xGO
……
………
…………

+   +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)
  ワクワクテカテカ
 (0゜∪ ∪ +
 と__)__) +

…………
………
……
761 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 04:47:48.70 ID:In3QnSPVP
姫「………」
魔王(こっちか……ん、これは……)スタスタ

ザァ……!

姫「……綺麗」
魔王「ああ……」
魔王(空気も汚れて居ない……ここなら、休めるか)
魔王「ここなら魔物も来ないだろう……下ろすぞ」
姫「ん……こんな場所、あったのね」
魔王「おま……君、エルフだろう。知らなかったのか?」
姫「エルフは、エルフの森から出る事は無いわ」
魔王「……君は?」
姫「………」
魔王「まあ、良いか……少し休め。しかし……先に身体を拭いた方が良いか」
姫「……ありがとう」
魔王「礼は言わないんじゃなかったのか」
姫「気が変わったのよ」
魔王「ふぅん……」キョロキョロ
魔王(苔に……小さな花。木漏れ日が射して、木陰には爽やかな風)
魔王(……絵本の中の世界だな)
娘「………」スゥ
魔王「娘? ……眠ったか」
魔王(私は治癒魔法は使えないしな……体力に任せるしかないな)
771 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 04:52:30.28 ID:In3QnSPVP
魔王(ふむ……)スタスタ
魔王(お、これは……薬草か)プチ
魔王(こっちも……と)プチプチ
魔王「薬草の宝庫だな……素晴らしいの一言に尽きる」
魔王「これは……ふむ」プチプチ
魔王「良し、これだけあれば……」
魔王(後は枯れ木を集めて……火をつけて、と)ボッ
魔王(器になるような物は……無いか、流石に)
魔王(……この、太い枝を使うか)ボキッ
魔王(ナイフ……鋼の剣しかない)
魔王(うーん)
魔王(仕方ない、魔法で)エイッ
魔王(良し。これで湯を沸かして……)

……
………
…………

パチパチ……

娘「……?」パチ
魔王「起きたか」
娘「暖かい……これ、貴方が?」
魔王「まあ」
781 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 04:55:59.00 ID:In3QnSPVP
娘「……良い匂い」
魔王「ほら、飲め」
娘「これは?」
魔王「薬草を煎じただけだが……身体は温まるだろう」
姫「充分暖かいわ」
魔王「内側からも暖めた方が良い」
姫「……」
魔王「そんな顔をするな。変な物は入れてないさ」
姫「……」コク
姫「……美味しい!」
魔王「そりゃ良かった」
姫「どこから……こんな物持ってきたの」
魔王「まあ……魔法って奴だ」
姫「……素直なのね」
魔王「お……君には魔族だってばれてるみたいだしな」
姫「お前で良いわよ」
魔王「すまん……」
姫「魔族って言うのは随分……便利なのね」
魔王「私は規格外らしいからな」
姫「規格外?」
79名も無き被検体774号+:2013/04/04(木) 04:59:04.44 ID:6abyu0ye0
この時間に料理とか聞くとお腹がすく
801 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 05:01:42.49 ID:In3QnSPVP
魔王「まあ……魔族の中でも力が強い方だからな」
姫「そう……でしょうね」
魔王「わかるのか?」
姫「え?」
魔王「さっき、私を見てすぐに人間じゃないと見抜いたな」
姫「……貴方だって、エルフの森だとすぐに言い当てたじゃないの」
魔王「知識として知っていただけだ」
魔王「地上であり地上でない、この世の物とは思えない楽園」
姫「………」
魔王「本当にあるとは思わなかったが。しかし……美しい場所だ」
姫「本当のエルフの森は、もっと美しいわ」
魔王「え?」
姫「言ったでしょう。道は閉ざされた……ここは、エルフの森じゃない」
姫「エルフの森に、魔物の気配なんてしない」
魔王「……じゃあ、ここは?」
姫「………」
魔王「まあ、言いたく無ければ良い」
魔王「それを飲んだら、もう一度休め。身体に触る」
姫「もう平気よ」
魔王「……変な物も入れてないし、何もしない」
姫「魔族の言葉なんて信じられないわ」
魔王(その割には素直に飲んだくせに……)
魔王「身重の娘をどうこうする様な悪趣味じゃないよ、私は」
娘「!」
魔王「失いたくないなら、眠れ」
811 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 05:02:22.44 ID:In3QnSPVP
>>79
夜食(?)しようか迷ってる
821 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 05:08:16.24 ID:In3QnSPVP
姫「………」
魔王「見張っててやるから」
姫「………」コロンッフイッ
魔王(意地っ張りめ)クック
魔王(さて……身体は温まっただろう、が)
魔王(食事も取らさないとな……しかし、エルフって何食べるんだろうか)
魔王(大した準備もないしな……野草ぐらいしか)

ガサッ

魔王「……野兎か」ヒュンッ

ピィィッ

魔王(姫一人ぐらいなら……充分か)
魔王(血を抜いて、捌いて……と)
魔王(肉に臭みが残ると食いにくいか……香草をすり込んで)
魔王「……焼くか、煮るか」
魔王(迷うところだな)
魔王「目が覚めたら聞いてみよう」

……
………
…………
831 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 05:14:14.69 ID:In3QnSPVP
姫「!」パチッ
姫(私、寝て……少年、は?)キョロキョロ
姫(居ない……行ってしまった、のかしら)
姫「……!」
姫(血の匂い……!?)
魔王「やっと起きたか」
姫「少年!?」
魔王「なんだ……!顔が青いな。どうした?」
姫「い、いえ……血の匂い、が……」
魔王「ああ、兎を捌いたからな」
姫「……ひィッ」
魔王「何だ」
姫「……」
魔王「エルフが何を食うか解らなかったからな……煮るのが良いか?それとも焼くか?」
姫「い、いらないわよ!」
魔王「何だ、腹減ってないのか?」
姫「だって、そんな……ッ」
魔王「?」
姫「さ、さっき迄生きてたんでしょ!?殺したの!?」
魔王「……生では食えんだろう?」キョトン
姫「そう言う問題じゃなくて!」
魔王「じゃあ、なんだ」
姫「か……かわいそう、じゃないの……!」
魔王「ふむ……エルフは菜食者か?」
姫「そ、そうじゃないけど……」
841 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 05:20:02.87 ID:In3QnSPVP
魔王「ならば何を食ってきた?」
姫「そ、れは……用意、してくれたもの……」
魔王「うん。例えば?」
姫「……サラダ、とか魚とか」
魔王「うん」
姫「お肉も……食べた、けど」
魔王「なんだ、食うんじゃないか」
姫「でも!」
魔王「お前がどんな環境で育ったのかは解らんが」
魔王「今まで口にしてきただろう肉も、こいつとかわらんだろう?」
姫「そう……だけど……」
魔王「お前はこうして、目の当たりにしたことは無いんだろうが」
魔王「取れたては旨い。それに……屠った以上、食うのは礼儀だ」
姫「礼儀?」
魔王「そうだ。命に対する感謝。美味しく頂きます、ってな」
姫「……」
魔王「食わねば死ぬだけだ。それとも、エルフは食事をしなくても死なないのか?」
姫「……」
魔王「違うだろう?」
姫「……ええ」
魔王「ならば、感謝して……残さず食う。そうしないと生きられない、し」
魔王「屠った以上、その義務がある」
魔王「お前が食わないならば、私が頂くがな」ボウッ
姫「……ッ」
魔王「時間が経てば傷んでしまうからな。今日は焼く事にする」パチパチ
851 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 05:24:44.26 ID:In3QnSPVP
姫(肉の焼ける匂い……命の、焦げる匂い)
姫(可哀想……とは、思う、けれど……)
姫(礼儀。感謝……良い、匂い)
姫「……一匹だけ、なの?」
魔王「ん?ああ……お前に食わすのなら充分かと思ってな」
姫「………」
魔王「良し、もう良いか……いただきます」パクッ
姫「……」グゥ
魔王「ほら」
姫「い、いらないって……!」グゥウウウ
魔王「腹は素直だぞ」
姫「………ッ」カァ
魔王「それに、育てて行かねばならんのだろう」ホラ
姫「……ありがとう」ソロ……パクッ
魔王「旨いか?」
姫「……苦い」
魔王「あれ?焼きすぎたか?」
姫(違う……これは、命の……重み。苦み)
姫「ううん……違うの」
姫「美味しい……」ポロポロ
魔王「……泣くほど?」
姫「………」
姫(美味しく、食べてあげる事が、礼儀……)ポロポロ
861 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 05:29:59.79 ID:In3QnSPVP
魔王「うん、旨い。流石私……しかし、もう少しなぁ」ブツブツ
姫(この子……育てないと……!)
魔王「煮込んだら堅くなったかなぁ……火の調節が……」ブツブツ
姫「……ご馳走様でした」
魔王「ん、全部食ったか。お粗末様」
姫「少年」
魔王「ん……何だ?」
姫「ありがとう」
魔王「どういたしまして……で、だ」
姫「?」
魔王「何処へ行けば良いんだ?」
姫「え?」
魔王「いや、別に一緒じゃなくても良いんだが」
姫「……貴方は、本当にエルフの森を訪ねて来たのではないのね?」
魔王「違う……と、思うが」
魔王(そうだった。覚えて無いとか言ったんだ)
姫「そう……」
魔王「お前は何処へ行く気だったんだ?」
姫「私、は……」
魔王「あー……言いたく無いことは言わなくて良い、が」
姫「……行く当てなんて、無いのよ」
魔王「……え?」
姫「道は閉ざされた、って行ったでしょう?」
姫「私は……あの森を追い出されたのよ」
871 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 05:37:24.29 ID:In3QnSPVP
魔王「……ふむ」
姫「驚かないの」
魔王「状況が解らんからな。驚く事も納得する事もできん」
姫「……そう、よね」
魔王「なら、適当に行くか。離れた方が良いのだろう」
姫「え?ええ、それは、まあ」
魔王「一緒が嫌ならば適当に安全なところで別れよう」
姫「……え?」
魔王「私も特にこれと言って、どこかに行かねばならん訳でも無し」
魔王「……と、思うし」
魔王(危ない危ない)
姫「そう……」
魔王「何だ、不満か?」
姫「いえ、そういう……訳じゃ」
魔王「何だ?言いたいことはハッキリと言ってみろ」
姫「……私」
魔王「うん」
姫「どうしたら良いのか……解らない」
魔王「?」
881 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 05:44:56.85 ID:In3QnSPVP
姫「行く当てもない。何処に行けば良いのかも……解らない」
魔王「………」
姫「……何を、どうして良いのか……!私、一人じゃ……!」
魔王「子を産む気は無いのか?」
姫「……え?」
魔王「すまん、突っ込んだ事を聞くが……望んだ子ではなかったのか」
姫「………」
魔王「言いたく無ければ……」
姫「私は、禁忌を犯したの」
魔王「……禁忌?」
姫「エルフは、人に干渉する事を嫌う」
魔王「ああ、言っていたな」
姫「……森に。いえ、正確には……森の外れに、ね。人が迷い込んできたの」
魔王「エルフの森に、か」
姫「偶にあるらしいわ。心の優しい者は迷って迷って……外へ出る」
姫「心の悪しき者は……森の中で果て、肉は養分となる」
魔王「ふむ」
姫「私はそう聞かされて育った。迷い込んできた彼は……優しい人だったのでしょうね」
姫「森の中に迷い込んで、疲れ果てていた」
姫「私……森の外へ出ては行けないと言われていたけれど」
姫「外れの……そうね、さっき、貴方が居た当たり」
姫「あの当たりまでは、偶に……足を伸ばしてた」
891 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 05:53:05.65 ID:In3QnSPVP
魔王「ほう」
姫「何時もはすぐに戻れるのよ。願えば……道は開けるから」
魔王「願えば? ……便利だな」
姫「不思議な力って言うのはそういう物だと教わったわ。願う、思う力」
魔王「願えば……思いが強ければ、叶う?」
姫「そんな感じかしらね……それで」
姫「私は、倒れている彼を見つけた。そうして彼を連れて、森の中へ戻った」
魔王「歓迎されなかった……んだろうな」
姫「勿論よ。でも……私は、エルフの森の外れの小屋に彼を住まわせ、看護した」
姫「最初は物珍しさだった……話の中でしか知らなかった人間」
姫「エルフより遙かに短い命しか持たない、弱い人間……」
魔王「………」
姫「でも、彼はとても強い……心の強い人だった。優しい人だった」
魔王「では、腹の子は……」
姫「ええ。その彼の子よ。私達は、何時しか惹かれ合った」
魔王「……その、人の子は?」
姫「……雨の夜、エルフの矢に射貫かれて死んだわ」
魔王「……何?」
姫「彼を快く思わない人は多かった。それでも……少しずつ、受け入れてくれていると」
姫「思ってた……!けど……!」
魔王「ふむ……首謀者は解ったのか?」
姫「……エルフの若者の一人。何れ、私と……結ばれる筈だった人」
魔王「……嫉妬、か?」
姫「それもあるでしょうけど……エルフの長が決めただけの相手よ」
姫「私は、誰かに決められた人と、なんて……!」
魔王「ふむ……しかも相手が人間であるとなれば、か」
901 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 06:01:03.96 ID:In3QnSPVP
姫「若者はエルフの中でも強かった。私の相手には相応しい……だなんて!」
姫「勝手だわ!」
魔王「……お前は……エルフの中でも特別だった、のか?」
姫「エルフの長は……父よ」
魔王「ああ、成る程……では、その若者は次期長と言う訳か」
姫「……だからって、彼を殺すだなんて!」
魔王(種族の差、と言うのは……複雑なんだろうな)
魔王(魔族には……そういうのはあまりない……筈、だがなぁ)
魔王(わからん……今度側近に聞いてみるか)
姫「エルフ達は、彼を殺し、森の中に隠してしまった」
姫「……そんな事で、私があの若者を好きになんてなれる筈無いのに!」
魔王「ふむ」
姫「でも……もう、遅かったのよ」
魔王「遅かった?」
姫「そう。私のお腹には……」
魔王「……その、人の子との子供が、か」
姫「ええ……それを知った長……父は、堕胎を勧めた……と言うか」
姫「強行しようとしたわ」
魔王「………」
姫「だから、逃げ出したの」
魔王「良く逃げられたな」
姫「え?」
魔王「大事に育てられて来たのだろう事は容易に想像出来るんだが」
魔王「……彼らの行動や、堕胎の是非はともかくとして」
魔王「お前は大事な……まあ、言葉が正しいかは解らんが」
911 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 06:06:01.92 ID:In3QnSPVP
魔王「エルフの跡取り、だろう?次期長の……あー……嫁?」
魔王「世襲制であるとするなら……いや、それは違うのか。その若者が次の……」
姫「……エルフの長の座は世襲制よ。さっきは別に訂正しなかったけど」
姫「次の長は私……エルフは生涯、一人の子しか産むことは出来ない」
魔王「……そうなのか?」
姫「体力的な問題かもね。寿命は人より長いけど……」
魔王「ふむ」
姫「堕胎を強行しようとしたのは、その所為よ」
姫「それを一人とカウントするのかしないのかは解らないけど」
魔王「うーん……そこは難しい問題だな」
姫「もしカウントしないなら、私が若者と子供を作って」
姫「……次代のエルフを産まなければ、エルフの長の血は途絶えるから」
魔王「もし……生めなければ?」
姫「どっちみち、終わりね……後は滅びるだけ」
魔王「……」
姫「言ったでしょう?私は……絶対に犯してはならない禁忌を犯した」
魔王「本当に……良く逃げられたな」
921 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 06:12:55.30 ID:In3QnSPVP
姫「長は代々、森を守護し……育む者」
魔王「うん?」
姫「確かに、少しばかり……他のエルフより強い力を持っているわ」
魔王「ふむ」
姫「だから私は森に呼びかけた……通して、逃がして……ってね」
魔王「成る程……と、納得して良いのか解らんが」
姫「そして道は……閉ざされた。多分、永遠に」
魔王「何故だ?」
姫「森の意思よ……森は、滅びの道を選んだ」
魔王「……そうなのか?」
姫「推測だけど……」
魔王「他の者が長に選出される可能性は?」
姫「無いわ……多分。永遠に近い時間を、エルフ達はあの美しい森の中でだけで」
姫「過ごしてきた……何も代わらない。私達は……そうで無いと生きていけない」
魔王「ふむ……」
姫「人の子の世界へと出て行ったエルフは確かに、他にも居るわ」
魔王「そうなのか?」
姫「そうでないと、人や、貴方達が私達の存在を知る事は無いと思わない?」
魔王「うん……まあ、そうかもな」
姫「追っ手が来ないとは限らないけどね……森の中に入ることは……できないでしょうけど」
姫「出る事は……不可能とは限らないし」
魔王「でも一方通行だろう?」
姫「ええ」
931 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 06:17:23.78 ID:In3QnSPVP
姫「そんな……勇気を持つ者が居るとは思えないけれど」
魔王「可能性が0で無い限り……と、考えないとは限らないな」
姫「まあ、ね」
魔王「成る程……で、だ」
姫「?」
魔王「お前は……まだ、どうしたいのか解らないのか?」
姫「え……?」
魔王「嫌だから、それだけで……森を飛び出した訳じゃないんだろう?」
姫「……」
魔王「滅びてしまえば良いと、復讐心だけだったのか?」
姫「……」
魔王「……その、彼との子を……育てたいのではないのか」
姫「……」
魔王「殺せるか?堕胎を拒否し、そこまでして守った命を」
姫「……」
魔王「食うために屠った命を可哀想と嘆いたお前が」
姫「……」
魔王「……どうする?」
姫「でも、私……一人じゃ、何も出来ない」
魔王「……」
姫「狩りなんて出来ないし、料理だって……!」
魔王「では、諦めるのか」
姫「……ッ」
941 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 06:22:25.32 ID:In3QnSPVP
魔王「出来なければ出来る様になれば良い」
姫「そんな、簡単に言わないでよ!」
魔王「言うほど簡単ではないな、確かに。だが、難しくもないだろう?」
魔王「やるかやらないかだ。自分の為には出来なくても、その子の為になら出来ないか?」
魔王「できないのならば、諦めるしかないな」
姫「……ッ」
魔王「愛し合った人の子の、大切な命を……繋いでは行かないのか」
姫「……どう、すれば良い、のよ……ッそんな、事……ッ言われたって!」
魔王「お前、魔法は使えるんだろう?」
姫「え?」
魔王「それで取りあえずは獣を倒せないか」
姫「わ……私が!?無理よ!」
魔王「なんだ、魔法使えないのか」
姫「え、つ、使えるけど……」
魔王「ふむ。ならば可能だな……あ、治癒魔法か?ならば……」
姫「治癒魔法を使えるのは、人間の特権よ」
魔王「え?」
姫「弱くて強い人だけの特権……そう、習ったけれど」
魔王「……そうなのか?」
姫「ええ。貴方魔族だから……知らないのかもしれないけど」
魔王「いや、ああ……まあ……」
魔王(あれ……?じゃあ側近は……何故?)
951 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 06:27:48.82 ID:In3QnSPVP
魔王(まあ……良い。それは後だ)
魔王「ならば……どうにかなるじゃないか」
姫「……でも!」
魔王「腹の中の子も、腹が減るんだぞ?」
姫「う……」
魔王「後は、そうだなぁ……料理か」
姫「やったこと……無いわ」
魔王「やれば楽しいんだがな」
姫「貴方は……得意なの?」
魔王「うん。一番最初に作った卵焼きは消し炭になったが」
姫「……」クスクス
魔王「笑うな」
姫「でも……」
魔王「何だ?」
姫「……どうやって覚えれば良いのよ」
魔王「ふむ……魔法と料理ならば、私が教えよう」
姫「え?」
魔王「暫し同行してくれる事を許してくれるなら、な」
姫「……」
魔王「どちらにしろ、こんな何もない森の中ではどうにもできんだろう?」
姫「まあ……そう、だけど」
魔王「……全国を回ろうかと思う」
姫「え?」
魔王「この大陸……いや、島、か?解らんが」
魔王「色々見て回るのも良いだろう。子供だってはいそうですかと」
魔王「ぽん、と産まれる訳でなし」
姫「……」
961 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 06:34:20.45 ID:In3QnSPVP
魔王「……ついでに、私の記憶の手がかりが見つかるかもしれないしな?」
魔王(危ない……また忘れるとこだった)
魔王(この娘と……そうだな。夫婦者とでもして旅をすれば)
魔王(色々、都合も良さそうだしな)
姫「そうね……解ったわ」
魔王「うん……ありがとう」
姫「一つ……約束して?」
魔王「うん?」
姫「私に……手は出さないで」
魔王「前にも言ったが……身重の女をどうこうする趣味は無い」
姫「ふふ……信じるわ」
魔王「魔族の言う事なんて、って言われるかと思ったが」
魔王「……あっさりだな」
姫「エルフはね……嘘を吐いてはいけないの」
魔王「え?」
姫「嘘を吐くと、それが本当になるのよ」
魔王「嘘が本当になる?」
姫「そう……ああ、自分の身に関する事だけよ?」
姫「例えば……そうね。加護を偽る、とか」
魔王「……加護?」
姫「え?」
魔王「加護って……なんだ?」
姫「……し、知らないの?」
魔王「??」
971 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 06:40:12.41 ID:In3QnSPVP
姫「生ある者は必ず、何かの加護を受けているのよ」
姫「水だったり、火だったり……」
魔王「ああ、属性の事か」
姫「そう。なんだ知ってるんじゃないの」
魔王「本を読むのは好きだからな」
姫「そういうのは覚えてるの?」
魔王(ぎくっ)
魔王「じ、自分がどうしてここに居たのか覚えて無いだけだからな」
姫「ふぅん……まあ、良いわ」
姫「えっと……例えば、優れた加護を持ってるのに、持ってないって嘘を吐くと」
姫「本当にその優れた加護を失ってしまう、とかね」
魔王「優れた加護……優れた属性って、なんだ?」
姫「ああ……説明すると長いけど……」
魔王「構わん。聞かせてくれ……と、言いたいが」
魔王「移動しながらにしようか……歩けるか?」
姫「え、ええ……」
魔王「取りあえず……日が暮れる前に移動したい、が」
姫「何処に……行くの?」
魔王「それだ、問題は」
魔王(この娘を連れて転移しても良いが……私も、外に出るのは初めてだしなぁ)
魔王(地図は大体頭に入ってるつもりだが……うーん)
魔王(娘の知識も……あっても紙上での物だとすれば、私と代わらんしな)
姫「……少年?」
魔王「行きたい場所とか、あるか?」
981 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 06:45:03.49 ID:In3QnSPVP
姫「……解らない」
魔王「だよな」
姫「あ……景色の綺麗な所」
魔王「また曖昧な」
姫「だって……」
魔王「うーん……とにかく、街には行きたいな」
姫「……人ばっかりじゃないの」
魔王「そりゃそうだろう。身の回りの物も揃えないといかんだろうし」
魔王「……仕方ない。つかまれ、姫」ガシ
姫「え? ちょ……ッ」
魔王(地図……えーと、思い出せ、私……)
魔王「適当に飛ぶか」
姫「え、飛ぶって……!?」

シュゥン……ッ

……
………
…………

シュウゥ………

姫「きゃああああああッ」
魔王「ああ、ウルサイ……耳元で大きな声を出すな」
姫「ちょ、今の、何……ッ え、何、ここ……ッ!?」
魔王(さて、どの辺かなぁ……)キョロキョロ
姫「な、なん、だ……ったの……」
魔王「何、って……転移魔法?」
姫「転移魔法!?」
魔王「そうだが?」
991 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 06:51:29.55 ID:In3QnSPVP
姫「な、なに、それ……」
魔王「ちょっと静かに……」
魔王(んー……集中して、と……遠見……ああ、あっちの方向に街があるな)
姫「ちょっと!少年!」
魔王「はいはい、ちょっと待ってね」
魔王「良し、こっちだな……行くぞ」
姫「そ、そんな……闇雲に歩いたって!」
魔王「遠見したから大丈夫だ」
姫「遠見!?」
魔王「なんなんださっきから。そんなに珍しいか?」
魔王「……そりゃそうか。エルフの森で育ってるんだものな」
姫「しッ ……それは口に出さないで!」
魔王「あ……すまん」
姫「そ、そりゃ……私の知識なんて本で読んだだけだけど……」
姫「でも、貴方みたいな力……聞いた事無いわ!?」
魔王「まあ……私は規格外だからなぁ……」
姫「だからって……程があるわよ……!?」
姫「それに……貴方、何の加護を受けているの?」
魔王「ん?ああ……属性の事か?」
姫「……紫の瞳、なんて」
魔王「瞳の色が関係あるのか?」
姫「……瞳の色はね、大体その属性を表す場合が多いのよ」
魔王「ほう?」
姫「肌や髪の色は変えられても、瞳の色は変えられないでしょう」
魔王「ああ、成る程なぁ……て、事は」
魔王「姫は水の属性なんだな?」
姫「ええ……そうよ。エルフは大体、優れた加護を受けているの」
魔王「ああ、そうだ忘れてた。その優れた加護ってのは?」
1001 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 06:58:24.67 ID:In3QnSPVP
姫「持つ属性の、魔法的な力の干渉を受けないって言って……解る?」
魔王「うん? ……もう少しかみ砕いて説明してくれ」
姫「んーと、私は水の加護を受けてるから、水の魔法では濡れないし、傷も負わない」
魔王「成る程……便利だな。あれ?でもお前びしょ濡れになってたじゃないか」
姫「雨とか自然の物は別。普通に濡れるし、冷たさも感じるわ」
魔王「ふむ……」
姫「で……貴方、何の加護を受けているの?」
魔王「何だろうなぁ……考えたこと無かったな」
姫「ええ?それはおかしいでしょう、だって……普通、加護以外の魔法は使えないんだから」
魔王「しかし私は炎も出せるし、水も出せるぞ?」
姫「え?」
魔王「風だって操れる」
姫「え?」
魔王「……そうでなければ、あの森の中でどうやって火をおこし湯を沸かしたと」
姫「あ……!」
魔王「後は何ができるかなぁ……苦労したことないからなぁ……」
姫(な……なんなの!?この人……!?)
姫(私……とんでもない人と一緒にいるんじゃ……!?)
姫「……でも、多分……貴方のその、闇色の瞳は目立つ、わね……」
魔王「そうなのか?俺はお前の方が目立つと思うが」
姫「私? ……何でよ」
魔王「綺麗だからな、お前は」
姫「な……ッ」
1011 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 07:05:41.35 ID:In3QnSPVP
魔王「嘘じゃ無いぞ?」
姫「あ……ありがと……」
魔王「……街が見えてきたな」
姫「あ……あれが……!」
姫「……ここまで、喧噪が届くのね」
魔王「取りあえず……暫くはあそこにいるか」
姫「一所に……長居は出来ないわよ」
魔王「何でだ?」
姫「……貴方、賢いのか阿呆なのか解らないわね」
魔王「??」
姫「貴方も私も人じゃ無い。魔族って……エルフよりも長寿なんでしょう?」
魔王「まあ……そうだろうなぁ。もう何年生きてるか忘れたが」
姫「見た目の成長は?」
魔王「ん? ……随分長くこのままだな、そういえば。ああ、そうか……」
姫「そうよ……ずっと歳が代わらないのよ」
魔王「うーん……不便だな」
魔王(いっそ魔王城に連れ込む……いや、無理だな)
魔王(今の状態じゃあそこには……しかも、私は瞑想中だとかになってた)
姫「何年か毎に転々とするしか無いわね」
魔王「……いや、しかし子供が生まれたら」
姫「………」
魔王「どうした?」
姫「エルフの……妊娠期間って凄く長いの」
魔王「は?」
姫「人って、一年足らずで産まれるんでしょう?」
魔王「あ、ああ……そうだな」
魔王「……ちなみに、どれぐらい掛かる?」
姫「……人の血が半分入ってるから、解らないけど」
魔王「うん」
姫「……50年ぐらい?」
魔王「嘘だろ!?」
1021 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 07:10:33.05 ID:In3QnSPVP
姫「エルフは嘘はつけないの!」
魔王「あ、ああ……そうか……いや、でも!」
魔王「いくら何でも長すぎないか!?」
姫「……エルフの寿命は、ほぼ300年よ」
魔王「あ、ああ……」
姫「私は、既に100年ほど生きているわ」
魔王「うん」
姫「……まあ、良いわ」
魔王「な、何だ?」
姫「街の近くよ……又にしましょ」
魔王「50年って……」
姫「そうしてゆっくり……育むの」
魔王「森の中でしか生きていけないと言うのは……それも理由の一つか」
姫「……そうでしょうね」
魔王「腹は目立つ様になるのか?」
姫「その辺は多分代わらないわね……でも」
姫「この子は……」
魔王「人の子だから、なぁ……未知数だな」
姫「ええ」
魔王「ふむ……良し、街の入り口だ」
魔王「私達は旅の……夫婦だ。のんびり、各地を回っている」
姫「……仕方ないわね」
魔王「お前は……あー……治癒魔法は使えないんだよなぁ」
姫「そうよ」
魔王「シスターってのは無理があるか……」
103 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/04(木) 07:12:18.58 ID:/0aWOZmB0
やっぱ「拒否権はないんだな」の人か
支援
1041 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 07:14:33.45 ID:In3QnSPVP
姫「どうして?」
魔王「旅の司祭とその護衛、だと納得されやすいかとな」
姫「魔法使いとその護衛、で良いじゃないの」
姫「貴方、剣もぶら下げてるんだし」
魔王「まあ……それで良いか」
姫「さあ……行きましょう」
魔王「まずは……宿の確保と飯だな」

……
………
…………

旅籠

魔王「旨い!」
姫「本当だ、美味しい……!」
女将「そりゃ良かった。どんどん食べて頂戴ね!」
女将「もうすぐ、式典があってね。この街も随分活気づいてるからさ」
女将「毎日お客さんが多くて、万々歳さ」
魔王「式典?」
女将「お客さんたち旅人だろ?」
魔王「ん?ああ……ふらふらと、ね」
女将「丁度良いところに来たねぇ。ああ、お酒は?」
魔王「あー。私は貰おうかな」
姫「あ、私……この木の実のジュースが良いな」
女将「あいよー!」
1051 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 07:20:03.73 ID:In3QnSPVP
魔王「で、式典って?」
女将「ああ、そうそう……もうすぐこの街の聖誕祭でね」
女将「街一番のお金持ちの家が、まあ……魔術大会みたいなのを開催するのさ」
魔王「魔術大会?」
女将「ああ、魔法の腕に覚えがあれば参加してみたらどうだい?」
女将「優勝したら賞金と、余程優秀ならそのお金持ちの家の擁護も受けられるよ」
女将「まあ、あんた達夫婦なんだったら、関係ないけどねぇ……」
姫「このサラダお変わりください!」
魔王「何時の間に全部食った!?」
姫「美味しいんだもの」
魔王「ま、まあ……良いけど」
姫「あと、チキンの香草焼きと、ミネストローネ!」
魔王(……良く食うなぁ)
魔王「あ、女将……夫婦だったらって……」

オカミサーン!チュウモーン!

女将「はいよー!」
魔王「あ……行っちゃったか」
姫「このニシンのパイ包み美味しいわ!」
魔王「あ、ああ……まあ、食欲があるのは良いことだ」
魔王(この細い身体の何処に入るんだ……不思議)
1061 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 07:26:35.23 ID:In3QnSPVP
姫「さっき街の人が言ってたけど」
魔王「うん?」
姫「ここ、魔導の街って言うんですって」
姫「何でも、優れた加護を持つ一族が居て」
姫「実質、その人達がこの街のトップみたいね」
魔王「へぇ……しかし、優れた加護ってのは、エ……」
姫「し! ……特権では無いわ。多い、ってだけ」
姫「勿論……私達の種族の中にも、優れた加護を持たない者は居る」
魔王「ほう……」
姫「だからって……どうだって訳でも無いけどね」
姫「私達は……人や、ま……貴方達と違って、争いとは無縁だもの」
魔王「私達も争いばかりしてた訳では無いぞ」
魔王「実際、ここ30年あまり何も起こっていない」
姫「そうなの?」
魔王「ああ。そりゃ中には……起こしたい奴もいるみたいだけどな」
姫「ふぅん……迷惑な話ね」
姫「でも……魔王が暴れ出すと、勇者が現れるんじゃないの?」
魔王「……そりゃ、御伽噺の世界の話だろう?」
姫「そうなの?」
魔王「……と、思う。と言うか……聞いたよ」
姫「ふぅん……あ、サラダ来た!」
魔王「……流石に私はお腹が一杯になってきたんだが」
1071 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 07:35:53.43 ID:In3QnSPVP
姫「あら、食べちゃうわよ……ん、美味しい!」
魔王「しかし……さっきの話は気になるな」
姫「え?」
魔王「家の擁護がって奴だ」
魔王(たかが人間の一族……だろう?夫婦だと関係ないってのは……)
魔王「魔術大会か……」

??「教えてやろうか?」

魔王「……君は?」
??「名を聞くなら先に名乗るのが礼儀ってもんじゃないのか?」
魔王「……少年。こっちは、姫」
??「お前達……夫婦か?」
魔王「質問の前に名を教えて貰いたいな。私は名乗ったぞ?」
??「ああ、ご尤もだな……俺は盗賊。まぁ……賞金稼ぎだな」
姫「賞金稼ぎ?」
盗賊「世の中金! ……とはまあ言わないがな。あって困るモンじゃねぇだろ?」
盗賊「この平和なご時世、がっつり大金大もうけ!てのは中々難しいがな」
魔王「ふむ……で、教えてくれるのならありがたいが」
魔王「何故、かを聞いても良い物かな」
盗賊「別にこれと言った理由は無いがね。まあそうだなぁ……見ない顔だし?」
盗賊「もし魔術大会にでるなら……ちょっとばかし、相談があってね?」
魔王「相談?」
盗賊「ああ……先に聞いとこう。お前達、夫婦か恋人同士か?」
1081 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 07:42:16.36 ID:In3QnSPVP
姫「……夫婦よ」
魔王「ああ」
盗賊「そうか……そりゃ重畳」ニッ
魔王「それがどうした?」
盗賊「さっき女将に聞いてただろ。夫婦だとなんだ、ってな」
魔王「ああ、擁護ってのは何の話だ?」
盗賊「お前達この街は初めてか?」
魔王「ああ、さっき着いたばかりだ」
盗賊「ここは、魔導の街と呼ばれている。魔法に関する著書や道具なんかが」
盗賊「世界中から集まってくるんだ。その手の知識を持った者や、魔法の腕に」
盗賊「覚えがある奴らなんかも、多いし、ここに住む事に憧れる者も後を絶たない」
魔王「ふむ」
盗賊「だがな?この街に住むには条件が居る」
魔王「条件?」
盗賊「そう。魔法を使えること。それが最低条件。力が強ければ強いほど」
盗賊「良い土地と、良い家が準備して貰える」
姫「家まで用意して貰えるの?」
盗賊「ああ、観光は未だなんだな?」
魔王「着いたばかりだからな」
盗賊「暫く滞在するんだろう……まあ、明日にでも見てみると良いが」
盗賊「わかりやすい作りになってるぜ、この街」
1091 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 07:54:07.34 ID:In3QnSPVP
盗賊「今俺たちが居るこのエリアが商業区。街の入り口だな」
盗賊「奥には居住区があるんだが……そっちの方へ行くほど、大きくて立派な店がある」
魔王「ほう」
盗賊「居住区に行くともっとわかりやすい。入り口から奥に向かって」
盗賊「だんだんと立派になっていくのさ」
魔王「成る程……力関係を表しているのか」
盗賊「そういう事」
魔王「だが、それがどうした?」
盗賊「要するに階級差が激しいのさ。一番奥の、まるで城みたいな家がこの街の主」
盗賊「魔法使い一家の家だ……魔術大会の主催者が住んでる」
盗賊「で、だ……擁護ってのは、要するにそいつに気に入られた証」
盗賊「優れた加護を持つ一族なのさ、あいつらは」
姫「確かに珍しいけど……それが何の関係があるのよ」
盗賊「姉ちゃん、よく考えてみろよ?」
盗賊「優れた加護同士がくっついて子供作ったとしたって」
盗賊「必ずしも、優れた加護を持つ子供が生まれるとは限らないだろ?」
姫「……どういうこと?」
1101 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 07:56:19.10 ID:In3QnSPVP
盗賊「あいつらは、そういう劣等種を捨てるのさ」
姫「!?」
魔王「劣等種……?」
盗賊「あいつらの言葉を借りただけだ。そう睨むな」
盗賊「あいつらは偶に、こうして大会を開いて」
盗賊「我こそは、って奴を街に集める」
盗賊「……それで、優勝者や力の持つ奴を家に取り入れる」
姫「養子にするって事? ……でも、随分と血に誇りを持ってるみたいじゃないの」
盗賊「一族の娘や息子と婚姻させるのさ」
姫「!」
盗賊「そうすれば、優れた血の子供が出来る確率が高いと信じてる」
魔王「それは……実際にどうなんだ?」
盗賊「さあな。確率だとかそういう話はわかんネェけど」
盗賊「あいつらにとっちゃ、関係ないんだろ」
盗賊「実際、そうやってのし上がってきた家だからな」
魔王「よく知っているな」
盗賊「……盗賊の知識舐めちゃいけねぇぜ?」
姫「それで……それと、夫婦ってのと」
姫「何がどう、関係があるのよ?」
魔王「そう、だな。いい話、ってのも……まあ、気にはなるが」
盗賊「そう急かすなよ……あんた達が夫婦なら」
盗賊「無理矢理結婚させられる事は無いだろうからさ」
盗賊「……ちょっと、頼みたい事があるんだけど、な」
1111 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 08:01:08.63 ID:In3QnSPVP
魔王「それが……いい話、か?」
盗賊「まあ、そうだ。もし、腕に覚えがあるなら、大会に出て欲しい」
盗賊「……優勝して欲しいんだ」
姫「貴方が自分で出れば良いじゃないの」
盗賊「俺は魔法が使えないんだよ」
姫「……理由は?私達に、大会に出て欲しい理由」
盗賊「……」
魔王「何故黙る?」
盗賊「いや、そりゃそうだ。フェアじゃ無いな」
盗賊「……俺も劣等種の一人だからだ」
姫「……」
魔王「姫?」
姫「加護の力が酷く弱いわね、貴方」
盗賊「!?」
魔王「解るのか?」
姫「……私は、そういうのを感じる力があるの」
姫「最初、貴方の事だって……言い当てたでしょ、少年」
魔王「ああ……成る程」
魔王(エルフって言うのは……そういう種族、なのか?)
魔王(嘘は吐かないしな……あれ?でもさっき……夫婦、って……)
魔王(………?)
1121 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 08:10:15.78 ID:In3QnSPVP
盗賊「姉ちゃん……何者だ?」
姫「私は私よ」
魔王「……お前がその、劣等種、の一人だとして……」
盗賊「優勝して欲しい理由か?」
魔王「ああ」
盗賊「……金が欲しい」
姫「労力は私達で、お金だけ寄越せなんて、どこがいい話なのよ!」
盗賊「勿論、礼はするさ! ……この街の近くに小さな島がある」
盗賊「港からは船も出てない。本当に小さな島だ」
盗賊「……俺たちはそこで暮らしてる」
姫「どうやってここまで来たのよ……」
盗賊「……世界の海を渡る、海賊の話は知ってるか?」
魔王「聞いた事が無いな」
盗賊「そうか……あんた達、多分良いところの人達なんだな」
魔王「……」
姫「……」
盗賊「まあ、そうやって……色々助けて貰えることには感謝してるさ」
姫「海賊が人助けねぇ……」
盗賊「悪い奴らばかりじゃないんだぜ?」
盗賊「船長は粗野で粗暴で口も顔も悪いが、豪快で良い奴だ」
魔王「……結構酷いこと言うな」
盗賊「と、とにかく、だ! ……助けて貰えないか?」
盗賊「もし、信じるのが無理だったら……一度、来てくれないか」
魔王「島にか?」
盗賊「ああ……船長には話をつけておく!」
魔王「……どうする、姫?」
姫「……」
盗賊「頼むよ!きちんと礼はするから!」
姫「礼って何よ……お金も無いんでしょうに」
1131 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 08:19:37.74 ID:In3QnSPVP
盗賊「……お宝、だ」
姫「お宝? ……どうしてお金に換えないのよ」
盗賊「……知人から譲って貰った物なんだ」
姫「は?」
盗賊「知人は……金に換えれば良いってくれたんだ。だが……」
盗賊「売ろうにも価値を解って貰える奴が居ないんだよ!」
姫「呆れた……そんな物押しつけて、金を寄越せって事!?」
盗賊「あんた達旅人なんだろう?使えさえすれば役には立つよ!絶対に!」
姫「話にならないわね。行きましょ、少年」
魔王「まあ、まあ……」
盗賊「待ってくれ!頼むよ……!」
姫「貴方賞金稼ぎなんでしょ?頑張って稼いだら良いじゃないの!」
盗賊「こんな平和な世界で、どうやって稼ぐんだよ!」
姫「モンスター討伐でも何でもあるでしょうに!」
魔王「落ち着け二人とも……あんまり大声を出すな。目立つ……」
姫「……」
盗賊「……」
魔王「まあ、お前が必死なのは解った。が、確かに少々虫が良すぎるだろう?」
魔王「姫もそう……ムキになるな」
姫「……」
盗賊「それは……解ってる、けど」
魔王「他にも理由があるんじゃないのか?」
盗賊「……」
1141 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 08:25:38.10 ID:In3QnSPVP
魔王「言いたく無いなら言わなくて良い、とは……言えないぞ?」
盗賊「……俺に、その、さっき言ったお宝をくれた知人が、な」
魔王「うん?」
盗賊「あの家の奴に殺されたんだよ!」
姫「……何で?」
盗賊「知人は、優れた加護を持っていた。だけど……」
盗賊「……」
姫「だけど?」
盗賊「信じてくれるか?」
姫「内容に寄るわね」
盗賊「……あいつは、エルフだったんだ」
姫「!」
魔王「エルフ……?」
盗賊「ああ。エルフってのは人と関わるのを嫌がるとか、どっかの住処から出ないとか」
盗賊「色々聞いた。けど、あいつは……人が好きだって言って、その住処とやらを」
盗賊「飛び出してきたらしいんだ。そいつの紹介で、船長とも知り合ったし」
盗賊「……島に逃げれたのも、そいつのおかげなんだ」
姫「……その人は、なんで殺されたのよ」
盗賊「拒んだからさ。あの家の娘との婚姻を」
魔王「それだけの理由で?」
1151 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 08:34:41.47 ID:In3QnSPVP
盗賊「人外のくせにって……酷く痛めつけられて」
盗賊「最後は、ぼろぼろにされて……街の外れに捨てられてたらしい」
魔王「らしい、とは?」
盗賊「船長に聞いたんだ。俺は……その時、島に居た」
姫「酷い……」
盗賊「俺たちは……劣等種は、奴隷にされて売られるか」
盗賊「居住区にある娼館で働かされるかどっちかだ」
魔王「娼館?」
盗賊「そうだ。居住区の片隅にやたら立派な建物がある」
盗賊「そこで……あの家の賓客とやらをもてなすのさ」
盗賊「そこには逃げられずに掴まった劣等種がまだ沢山いる」
盗賊「あいつは、そいつらも何れ、助け出そうって……」
姫「……それで、お金がいるの?でもお金があっても……」
盗賊「できれば助けたいさ!だけど……島での生活も、苦しいんだ」
盗賊「助ける為に。力をつけるために……金がいるんだ!」
魔王「ふむ……で、そのエルフの知人に貰ったって言う物は?」
盗賊「弓だ。エルフの弓」
姫「……!」
盗賊「凄く軽くて、貴重な物だと言ってた」
盗賊「力の無い女でも扱える代物だそうだ……俺が使うと壊れそうで」
盗賊「……その侭、置いてある」
魔王「ふむ……」
姫「良いわ」
盗賊「え?」
1161 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 08:42:53.76 ID:In3QnSPVP
姫「やってあげる……そのエルフの弓、確かにくれるんでしょうね?」
盗賊「も、勿論だ!どうせ……使えないし、売ることも出来ないし」
姫「……もう一つ、条件があるわ」
盗賊「な、なんだよ」
姫「エルフのその……知人から聞いた話を、色々教えて頂戴」
盗賊「そ、そんな事でいいならいくらでも!」
魔王「ふむ……仕方ないな。姫がそう言うなら」
盗賊「……あ、ありがとう!ありがとう!」ガシッ
魔王「痛い痛い痛い」
姫「大会は何時なの?」
盗賊「一週間後だ。選手の登録は居住区の入り口で受け付けてる」
魔王「では明日登録を済ますか」
姫「そうね……宿も一週間分に延長しておきましょう」
盗賊「助かるよ……!ありがとう!」
魔王「しかし、その家の……知人を殺したとか言う奴は」
魔王「大会に出るのか?」
盗賊「ああ。優勝候補だ……あいつは、とてつもなく……強い」
魔王「ふむ」
魔王(まあ、私が出れば負ける事はないだろうが……)
盗賊「名は覚えているか?」
盗賊「忘れるもんか!魔導将軍……!」
魔王「……魔導将軍?」
魔王(まさか……な)
1171 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 08:46:56.21 ID:In3QnSPVP
姫「じゃあ、明日昼にここで待ち合わせしましょう」
盗賊「ああ!」
魔王「……」
姫「少年?」
魔王「ああ、いや……部屋へ戻ろう」
魔王(側近に一度連絡を取ってみるべき……か)

……
………
…………

魔王「一部屋、か……」パタン
姫「夫婦、てことにしてあるのに、二部屋取ったら不自然でしょ」
魔王「ああ、そうだ……それで思い出した」
姫「え?」
魔王「お前、さっき盗賊に聞かれて夫婦だと言い切っただろう」
姫「ええ」
魔王「……嘘はつけないんじゃ無かったのか」
姫「……そうね」
魔王「大丈夫なのか?」
姫「夫婦になっちゃうのかもね」
魔王「おいおい」
姫「別に……良いわ。貴方は、手は出さないと約束してくれたし」
魔王「そういう問題か?」
姫「否定する訳にはいかないでしょ」
魔王「そりゃそうだが」
1181 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 08:51:30.32 ID:In3QnSPVP
姫「子供が貴方の子になるわけでも無いわ」
魔王「まあ……そうだけど」
姫「……産むまでの間、よ」
魔王「?」
姫「いえ……それより、どう思う?」
魔王「さっきの話か? ……まあ、嘘を吐いている様には見えなかったが」
姫「そうね……でも。お金を渡すのは良いわ。でも……それで」
姫「彼らは、救われるのかしら」
魔王「それは無いな」
姫「……あっさり言い切ったわね」
魔王「島での生活は豊かになるかもしれないがな」
魔王「……娼館にいるとか言う者を助ける事はできないだろう」
姫「そう……よね」
魔王「それに、本当に島へ……まあ、何処でも良いが」
魔王「逃げ出したい者ばかりだと思うか?」
姫「……どういう意味?」
魔王「そこでしか生きていけないと思っていたら、だ」
魔王「……誰かの庇護下に居る方がと言った方が良いかな」
姫「でも、無理矢理……ッ」
魔王「辛いだろう、が……島に放り出され、力も持たず……どうやって生きていく?」
魔王「勿論、盗賊達が手助けはするだろうが……」
魔王「彼らとて、庇護する為だけに生きている訳ではあるまい?」
姫「……」
1191 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 08:57:34.46 ID:In3QnSPVP
魔王「渡した金も、いつかは尽きる。生活水準を上げれば尚更だ」
魔王「また稼げば良いだろう。助け出せば働き手も増えるだろう、が」
魔王「そう……うまくいくばかり、とは私は思えないがな」
姫「私は……運が良かったのね」
魔王「ん?」
姫「あのまま一人で居れば、野垂れ死んでいたかもしれないわ」
姫「……いえ、きっとそうなってたわね」
魔王「……」
姫「一人じゃ何もできない。どうしたら良いのかも解らない……って」
姫「私も……誰かにどうにかしてもらう生活だった、もの……ずっと」
魔王「……彼らの未来は彼らが決める。どうなるかも彼ら次第だ」
姫「……」
魔王「理想ばかり追い求めても現実はついては来ないからな。だが……」
魔王「やってみる事は悪い事じゃ無い。理想を叶えたければ」
魔王「現実にすれば良いだけだ」
姫「言うのは簡単、だけどね」
魔王「ま、そのとおりだな……しかし」
姫「ん?」
魔王「手加減しないと、私なら相手を殺しかねないしなぁ……」
姫「ああ、魔導将軍、とやら?そのことなんだけど……」
魔王「属性も一つに絞って……」
姫「私が出るわ?」
魔王「は?」
1201 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 09:03:20.16 ID:In3QnSPVP
姫「一週間あるじゃない、魔法教えて頂戴」
魔王「いや、待て待て待て。お前、そんな身体で」
姫「大丈夫よ。随分回復したし」
魔王「……まあ、あの食いっぷり見てればそれはそうかもしれないが」
姫「貴方なら本当に殺しちゃうわよ?」
魔王「そうだ!お前……感じる力がどうとか言ってたな」
姫「ああ……それがどうしたの?」
魔王「あれは……エルフ独特のものか?」
姫「いえ……長の血を引く特権、かしらね」
魔王「ほう」
姫「物事を正しく……と言うか。素直に? …ううん、説明が難しいけど」
姫「とにかく、感じる、の」
魔王「成る程、な」
姫「……解った?」
魔王「いや、あんまり……でもまあ、そういう事なんだろうと」
魔王「感じておく」
姫「ふふ……真似しないでよ」
魔王「間違えてるか?」
姫「いえ。あってるわ」
魔王「さて……お前はそろそろ休め」
姫「そうね。明日から頑張って練習しなきゃ」
魔王「本気か?」
姫「反対なの?」
魔王「いや……そういうわけでは無いが」
魔王(魔導将軍、か……それが、本当にあの魔導将軍なら)
魔王(少々厄介、だな……)
1211 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 09:10:08.20 ID:In3QnSPVP
姫「ふあぁ……流石に疲れたわ」
魔王「ああ、もう休め」
姫「うん……おやすみ……」スゥ
魔王(眠ったか……さて、と……)

魔王『側近。そっきーん!聞こえるか?』
側近『うわ、魔王様!?え、なにこれ!?』
魔王『心話……て言えば良いのか?』
側近『アンタ本当に規格外だな……今どこに居るんだ?』
魔王『魔導の街とやらだ……ちょっと調べて欲しいんだが』
側近『魔導の街!?』
魔王『なんだ?』
側近『一番不穏な所にいきなり乗り込んだのかよ!』
魔王『不穏?』
側近『そこの人間共もなんだか良からぬ事企んでるって噂があるんだ』
側近『私設軍隊を作るとかな……』
魔王『私設軍隊……ふむ。ますます怪しいな』
側近『何かあったのか?』
魔王『街の生誕祭だかなんかで、魔術大会をやるらしいんだが』
魔王『優勝候補の名が魔導将軍と言うらしい』
側近『……マジで?』
魔王『本当にあいつなら偽名を使うかとも思ったんだが……』
側近『そういう所、実際魔族は抜けてるからなぁ……良し、解った』
側近『ちょいと調べてみるわ』
魔王『ああ、それからな』
側近『ん?』
魔王『エルフについて知りたい』
1221 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 09:13:12.20 ID:In3QnSPVP
側近『エルフぅ?』
魔王『ああ。ちょっと同行することになってな』
側近『はぁ!?アンタ一人じゃ無いの!?』
魔王『ああ。エルフの娘と一緒だ』
側近『……まさか、身分ばらしてねぇだろうな!?』
魔王『大丈夫だ。少年と名乗った。魔族だって事はばれたが』
側近『ばらしたの!?』
魔王『私が言った訳じゃ無い! ……そういうのを感じる能力があるらしいんだ』
側近『大丈夫なのかよ……』
魔王『とにかく、頼んだぞ!』
側近『あ、ちょ……!』

魔王「良し、と……私も休むかな」
魔王(明日は……別行動して私も少し調べてみるか)
1231 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/04(木) 09:14:37.76 ID:In3QnSPVP
幼女起きたー
今日はおでかけるので、夜に来れたら又!
124 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/04(木) 09:18:19.05 ID:/0aWOZmB0
おつお
125名も無き被検体774号+:2013/04/04(木) 09:49:01.51 ID:iCaAFXlU0
おっつんぽっぽ〜
126名も無き被検体774号+:2013/04/04(木) 10:44:12.59 ID:iCaAFXlU0
いやぁ、期待しているよ
127名も無き被検体774号+:2013/04/04(木) 10:49:43.42 ID:H4DhvWfg0
これ、拒否権はないんだな、と同じ世界?
128名も無き被検体774号+:2013/04/04(木) 12:27:41.18 ID:gQ/vjAoI0
>>127
俺も思った

このエルフちゃんって僧侶を産んだエルフなのかな?
129名も無き被検体774号+:2013/04/04(木) 12:41:49.42 ID:wgQ8kE0m0
>>127
みたいだね
魔王がいても勇者がいないってことはループ前ってことかな?
130 [―{}@{}@{}-] 名も無き被検体774号+:2013/04/04(木) 15:09:57.09 ID:BMqItRmWP
この話はあの絵本の話に、"すごく似ている"だけでただのパラレルワールドだったりして

でもそうで無くてもすごく面白いわ
131名も無き被検体774号+:2013/04/04(木) 20:52:33.80 ID:w5621o/L0
132名も無き被検体774号+:2013/04/04(木) 22:20:58.53 ID:iCaAFXlU0
まってまぁああっす
133名も無き被検体774号+:2013/04/04(木) 22:44:18.40 ID:zPZnIjxW0
保守
134名も無き被検体774号+:2013/04/04(木) 23:36:28.04 ID:BYIzlxA40
魔王が世襲制だからパラレル?
とてもおもしろいです。
続きを期待してのんびり待ちます
135名も無き被検体774号+:2013/04/04(木) 23:53:44.63 ID:VLpfX7RD0
別物で素直によもうぜ
余計な詮索はまだ早い
136名も無き被検体774号+:2013/04/05(金) 00:18:50.96 ID:ALLXeV9hO
前の最初の方しか読めなかった(追いつけず断念した)けど、十分面白い!
今回こそ読破する!
137名も無き被検体774号+:2013/04/05(金) 01:32:52.16 ID:UC9hd39D0
まさかのリンク・・・ふぉおお
138名も無き被検体774号+:2013/04/05(金) 04:48:24.60 ID:OEw7vejp0
かなりためてたのに一気に読んじまったぁぁぁぁ!面白すぎる!素敵なBBA!はやく続きを。そして幼女をよこせ
1391 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 09:53:29.47 ID:bdB+ZflXP
おはよう!
幼女はやらああああああああん!www
1401 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 10:12:29.38 ID:bdB+ZflXP
……
………
…………

受付「こんにちは。出場希望の方ですか?」
姫「ええ」
魔王「……本気か?」
姫「貴方が出れないんだから、私が出ないとね」
魔王「出れない訳じゃ……」
姫「駄目!」
魔王「……」フゥ
受付「ええと……そちらのお嬢さんだけでよろしいですか?」
姫「結構よ」
魔王(大丈夫かなぁ……)
受付「では、先に簡単にルールを説明させて戴きます」
受付「試合は、予選と本選に分けて行います」
魔王「ふむ」
受付「予選は一週間後、二日間に分けて行います」
受付「予選の時は観客は入れませんので、審査員と関係者……ご家族等ですね」
受付「のみ、観覧可能となります」
受付「それから二日の休みを挟み、予選を勝ち抜いた上位8名でトーナメント戦で行います」
受付「一回戦が午前午後の2試合ずつで2日間、翌日準決勝、一日の休みを挟んで決勝となります」
魔王「結構時間かかるんだな」
1411 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 10:21:22.25 ID:bdB+ZflXP
受付「全力で戦っていただきますのでね」
受付「試合後、司祭がきちんと回復させて頂きますので怪我等の心配はありません」
受付「魔法以外の攻撃は禁止、即反則負けとなります」
受付「勿論、相手に致命傷を与える等の攻撃も禁止となります」
受付「禁止行為をされた方は、以後この大会への出場資格を失います」
受付「ご理解頂けますか?」
姫「ええ、解ったわ」
魔王(ふむ……回復してもらえるならまあ、安心か)
魔王(殺される心配もなさそうだしな……)
受付「それから、予選を勝ち抜いた方は、その日からの街での滞在費は無料とさせて頂いております」
魔王「ほう」
受付「証明書を発行しますので、宿屋へお持ちください」
姫「結構しっかりしてるのね……」
受付「由緒ある、立派な大会ですから」
魔王「ふむ……予選に出るのはどれぐらいの人数なんだ?」
受付「今の時点で40人ほどですね」
姫「40人!?」
受付「はい」
姫「予選って二日しか無いんでしょう!?」
受付「ええ。ですから、体力面や魔力の分配なども必要ですね」
魔王「最初っから飛ばしていくと魔力切れ、スタミナ切れで……アウトだな」
1421 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 10:28:38.48 ID:bdB+ZflXP
受付「出場受付は本日までですので……まあ、最終的には50人ほどかと」
姫「厳しいわね……」
魔王「優遇処置などはあるのか?」
姫「少年?」
受付「優遇……とは?」
魔王「前大会での優勝者は予選免除、とかかな」
受付「ああ、そういうのはありませんよ。あくまで公平に、と」
受付「主催者様はお考えですので」
魔王「そうか……」
魔王(って事は、魔導将軍も予選に顔を出すって事だな)
魔王(私の顔を見られるのは……まずいな)
姫「どうしたの?」
魔王「いや……何でも無い。説明はこれで終わりか?」
受付「ええ、以上ですよ……ではここにサインを」
姫「ええ……これで良い?」
受付「はい確かに。姫さんですね」
受付「では予選は一週間後。集合時間は正午です」
受付「遅刻されると失格になりますのでご注意ください」
姫「解ったわ……行きましょう、少年」
魔王「ああ……あいつもう来てるかな」
姫「どうかしらね……少し早いけど、お昼にしましょ」
143名も無き被検体774号+:2013/04/05(金) 10:30:49.83 ID:9Hfu/JT+0
最近この手のSSよく見るよね
1441 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 10:37:20.36 ID:bdB+ZflXP
……
………
…………

旅籠

盗賊「おう!おはよう!」
魔王「なんだ、早いな」
盗賊「まあな……浮き足立っちまって」
姫「子供じゃ無いんだから」
盗賊「出場申し込みしてきたのか?」
姫「心配しなくてもちゃんとしてきたわよ」
盗賊「……そうか」
魔王「何だ、変な顔して」
盗賊「ん……いや、昨日は……興奮しちまって悪かった」
盗賊「簡単に優勝してくれなんて無茶言っちまって……」
姫「今更ねぇ……すみませーん!ポーチドエッグとライ麦トースト、それからベーコン……良く焼いてね」
魔王「……我が儘だなぁ」
盗賊「え、姉ちゃんの分なのか!?」
姫「後グレープフルーツジュース。フレッシュで」
魔王「ああもう面倒だ。私も同じで良い……盗賊は?」
盗賊「え、いや、俺は……」
魔王「金なら心配するな」
盗賊「俺も同じの!」
姫「あ、御免……話し中断させちゃったわね」
魔王「それこそ今更だな!」
1451 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 10:45:35.67 ID:bdB+ZflXP
盗賊「あ、ああ……その。手伝って貰えるのは嬉しいんだ」
盗賊「確かに、金は欲しい。みんなを助けたいしな」
魔王「……」
魔王(助ける、か……難しいだろうな)
盗賊「だが……その。無理はするなよ?」
盗賊「お前強そうだけどさ……あいつも、魔導将軍も……多分、すげぇ強いから」
魔王「……ふむ」
姫「出るのは私よ?」
盗賊「……へ?」
姫「何よ。間抜けな顔して」
盗賊「え、ね、姉ちゃんが出るの!?」
魔王「まあ……不本意ながら」
盗賊「マジで!?」
姫「何よ、不満なの!?」
盗賊「姉ちゃんの方が……魔法は得意なのか?」
魔王「どうだろうなぁ……」
姫「大丈夫よ、ちゃんと少年に教えて貰うから」
盗賊「……へ?」
魔王「素質は……あるとは思う。が……未知数だな」
盗賊「……え、え?」
姫「まあ、良いじゃないの。無理するなって今言ったばかりでしょ?」
盗賊「まじかあああああああああああ!?」
1461 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 11:01:15.00 ID:bdB+ZflXP
魔王「まあまあ……何とか鍛えるさ」
姫「そうよ。心配する事無いわよ」
盗賊「ま、まじ……か……」
姫「しつこいわね!」ムッ
盗賊「い、いや……姉ちゃんも魔法使えるんだもんな……」
盗賊「うん……まあ……大丈夫、だよな……」
姫「貴方ねえ!無理矢理頼んでおきながら……!」
魔王「落ち着け二人とも……ほら、飯が来た!」
魔王(こっちが疲れる……全く)
姫「……いただきます」
盗賊「いただきます……」
魔王「はい、いただきます……ああ、そうだ。この後どうするんだ?」
盗賊「え?ああ……そうだな。船長にはまだ連絡が取れてないんだ」
姫「ああ、島に来てって奴? ……別に、もう疑って無いわよ?」
盗賊「それはまあ……ありがたいけど」
盗賊「弓はあっちに置いてあるんだ。それに……まあ、一度見てもらいたい」
魔王「どちらにしても連絡が取れてないならどうしようも無いだろう?」
盗賊「まあ、そりゃそうなんだが」
魔王「大会が終わってからでも構わんだろう。別に……私達は」
姫「そうね。急ぐ旅でも無いし」
盗賊「まあ……そうなんだけどな」
1471 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 11:06:38.50 ID:bdB+ZflXP
魔王「何か……不都合でも?」
盗賊「いや……その、終わっちまってさ、まあもし、だけど」
盗賊「姉ちゃんが優勝出来たとしたら、さ……その」
姫「……色々と忙しくなる、と言いたいのね?」
魔王(随分と都合の良い解釈をするな、本当に……)
魔王(しかし……そうだな。厄介事に巻き込まれるのもな)
魔王「まあ、連絡が取れ次第時間があれば行けば良いんじゃないか?」
盗賊「あ、ああ!悪いな!」
姫「特にこれといってやる事無いわね……じゃあ午後から……」
魔王「では私は少し別行動しても構わんだろうか?」
姫「え!?」
魔王「ん?何かまずいか?」
姫「特訓しなきゃ!」
魔王「ああ……そんなに時間はかからんさ。多分……だが」
姫「……どこかに、行くの?」
魔王「お前を置いてこの街を出たりはせんよ」
盗賊「ラブラブだな」
姫「え?」
魔王「茶化すな……少し調べたい事があってな」
盗賊「良いぜ、姉ちゃんは俺がちゃんと見といてやるよ」
姫「何よ、貴方が面倒見られる側でしょ!?」
盗賊「そ、そんな事無いだろう!」
1481 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 11:20:32.20 ID:bdB+ZflXP
魔王「お前達うるさい……とにかく、まあ一緒に居てやってくれるなら」
魔王「安心はできるから……頼んで良いか?盗賊」
盗賊「ああ、任せておきな!」
姫「えぇ……」
魔王「それに姫も、話を聞きたかったんだろう?」
姫「あ……それは、うん……」
盗賊「なら、ついでに図書館に案内してやるよ」
姫「図書館?」
盗賊「ああ。世界一とも言われる立派な図書館があるんだ……って、そっか」
盗賊「観光も未だだったんだな……なんなら、街の中も案内するぜ」
姫「そうね……図書館は興味あるし」
姫「ぶらぶら歩きながら、話を聞かせて貰おうかしら」
魔王「決まったか?」
盗賊「ああ……待ち合わせはまたここで良いのか?」
魔王「そうだな……どうせ夕食は必要だし」
魔王「ここの料理は旨い……他の店にも興味はあるが」
盗賊「一番のお勧めはここだな。他に旨い店も……あるけど」
姫「毎日同じもねぇ……そっちは、場所ややこしいの?」
盗賊「……まあ、ちょっとな」
姫「……?」
魔王「ここなら確実にわかるんだし、ここで良いだろう」
魔王「待つのに疲れる場所でもあるまい……では、支払いを済ませて私は行くよ」
姫「ええ、いってらっしゃい」
魔王「……気をつけてな、二人とも」スタスタ……
盗賊「ああ、大丈夫だ……任せとけ」
1491 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 11:29:59.21 ID:bdB+ZflXP
姫(用事って何かしら……)
盗賊「やっぱり……寂しいのか?居ないと」
姫「え?」
盗賊「いや……じっと見てるから」
姫「ああ……そんなんじゃ無いわ」
盗賊「なあ……変な事聞いて良いか?」
姫「……何よ」
盗賊「あいつ……少年、てさ。目……どうしたんだ?」
姫「え?ああ……瞳の色の事?」
盗賊「あ、違う違う……確かに紫ってのは珍しいけど」
盗賊「あいつ、隻眼じゃ無いのか?布巻いてるし……」
姫「ああ、そういえば……」
盗賊「え、夫婦なのに知らないの!?」
姫「……だって、会った時からあれだもの」
盗賊「き、気にならないのか?」
姫「別に……容姿で何かを判断するの?」
盗賊「いや……そういう訳じゃないけどさ」
姫「何が言いたいのよ」
盗賊「……いや。ただ単に、百戦錬磨的な、さ。感じなのかと」
姫「それが……私達に声をかけた理由?」
盗賊「まあ、それもある」
姫「呆れた。本当に短絡的ね」
盗賊「お前なぁ!」ムッ
1501 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 11:40:50.40 ID:bdB+ZflXP
姫「本当の事でしょ」
盗賊「必死なんだよ、それだけ……!そりゃ、お前達みたいに恵まれた育ちしてりゃ」
盗賊「わっかんねぇだろうけどな!」
姫「……自分が恵まれてるなんて思ったこと無いわよ」
盗賊「は?」
姫「そりゃね。確かに、誰かに蔑まれたり……そんな事はされてこなかったわ」
姫「だけど、これはしちゃだめ、あれはしちゃだめ……こうしなさい、ああしなさい」
姫「そんな暮らしは、私にとっては不幸だったわ」
姫「貴方から見ればそんなの不幸に入らない、って言うかもしれないわね」
姫「感じ方なんてそれぞれ。人の事なんて、解る訳無い。自分の事は自分にしか解らない」
姫「……違うかしら?」
盗賊「……」
姫「幸せ不幸せなんて、誰かと、何かと……比べる物じゃないわ」
姫「貴方は今、自分の幸せだと思う形……みんなを解放して、お金を稼いで……」
姫「島での暮らしを豊かにする為に、頑張ってるんでしょう?」
盗賊「……うん」
姫「良い方向に必ず進むとは限らないわ。色んな可能性を考えておかないと」
姫「でも、努力することは悪い事じゃ無いし、それが絶対に無駄に終わる事なんて無い」
姫「努力した分、必ず何かは見えてくるわ」
姫「……だから、もう少し、考えて行動しなさい、って事」
盗賊「うん……御免」
姫「……私も、言葉が悪かったわ。ご免なさい」
盗賊「アンタは素直なんだな……あいつに、知人に似てるよ」
姫「そう……」
盗賊「エルフは嘘がつけないって言ってた。嘘を吐くと、それが本当になってしまうから」
盗賊「嘘を吐いてはいけないんだと」
姫「……」
1511 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 11:56:22.76 ID:bdB+ZflXP
盗賊「あいつの言葉はいつもまっすぐだったよ……本当、似てる」
盗賊「……そんな、あいつを……俺から奪ったあの家……許せない!」
姫「貴方……昨日から、気になってたんだけど」
盗賊「……なんだよ」
姫「女の子よね?」
盗賊「!!」
姫「……別に理由は聞かないわよ」
盗賊「……」
姫「話したいなら聞いてあげるけど?」
盗賊「あいつらにとって、劣等種はただの道具だ」
盗賊「いちいち顔なんて覚えてネェよ……だが」
盗賊「一応の変装……それだけさ」
姫「……」
盗賊「……」
盗賊「あいつらは……優れた加護が無いと解れば、烙印だとか言って」
盗賊「身体のどこかに焼き鏝で印と数字を刻まれる」
姫「……!」
1521 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 11:57:37.90 ID:bdB+ZflXP
お買い物とおひるごはーん
153 [―{}@{}@{}-] 名も無き被検体774号+:2013/04/05(金) 12:03:17.55 ID:Te1Hb6uSP
スコーン(・ω・ )
いてらー、
154名も無き被検体774号+:2013/04/05(金) 12:04:14.64 ID:8vS1CzH00
スコーンいってらー
155名も無き被検体774号+:2013/04/05(金) 13:10:17.46 ID:UC9hd39D0
スコーン!
1561 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 13:56:30.08 ID:bdB+ZflXP
仕事決まったあああああああああああああああ!
制服合わせに行くまでもう少しだけ!

流石に昼ご飯スコーンじゃねぇよwww
157名も無き被検体774号+:2013/04/05(金) 13:57:49.69 ID:vkw5XeTV0
おめー
1581 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 14:09:37.46 ID:bdB+ZflXP
盗賊「名前は奪われて、その身体に刻まれた数字で呼ばれるのさ」
盗賊「脱走したり反抗した奴は……見せしめに拷問されて殺される」
姫「……良く逃げ出せたわね」
盗賊「……劣等種は奴隷として売られるか、あの娼館で働かされるんだといっただろ?」
盗賊「俺は売られたのさ……役に立たなかったからな」
姫「役に立たない?」
盗賊「姉ちゃんは女だからな……こんな事言ってもわからねぇだろうけど」
盗賊「綺麗に着飾られただけの人形の玩具を抱いておもしろいか?」
姫「……!」
盗賊「あえぎ声一つあげず、痛めつけても悲鳴も零さない、ただのガラクタに」
盗賊「高い金を払いたがる馬鹿は居ないのさ」
盗賊「だったら、奴隷として売っぱらった方が良いだろう?」
盗賊「……俺は運良く、知人に買われたんだ」
姫「……エルフの?」
盗賊「そう。ラッキーだと思った」
盗賊「……大人しく買われてしまえば、後はそいつを殺して逃げるつもりだったからな」
盗賊「細い身体に、優しそうな顔をしてた。こんな……いい人に見えそうな奴でも」
盗賊「奴隷なんて買い求めるんだ。ろくな世の中じゃネェ……だから」
盗賊「殺す事に罪悪感なんて感じなかったし、躊躇もしなかったよ」
盗賊「なのに……あっさりと、組み敷かれちまった」
姫「……」
1591 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 14:20:41.70 ID:bdB+ZflXP
盗賊「エルフってのは……後から聞いた話だけど」
盗賊「身が軽いんだな……蔑まれて来ただけの、糞ガキの……俺じゃ」
盗賊「適うはずが無かった」
姫「……その知人は、男性よね?」
盗賊「ああ。だから……その侭、あの……娼館であった奴らみたいに」
盗賊「無茶苦茶に犯されるか、殺されるんだと思った」
盗賊「でも……こんな形で生かされるより、死んだ方がマシさ」
盗賊「だから、もう殺せって言ったんだ。なのに……抵抗をやめた俺に、知人は」
盗賊「食事と、暖かい布団を与えてくれた」
姫「……成る程」
盗賊「ん?」
姫「貴方が好きになっても仕方ないな、て」
盗賊「な、そ! ……ち、違う!」
姫「顔真っ赤よ」クス
盗賊「聞けよ!」
姫「はいはい」
盗賊「……そ、それで、まあ……色々教えてくれたり、だな」
姫「島に暮らすことを提案したのも……その知人?」
盗賊「そうだ。何人か……娼館から逃がしてくれたりもした」
姫「……どうやって?」
盗賊「それは……わからない」
160 [―{}@{}@{}-] 名も無き被検体774号+:2013/04/05(金) 14:26:55.47 ID:Te1Hb6uSP
>>156
マジおめでとうスコーン
161名も無き被検体774号+:2013/04/05(金) 14:27:53.99 ID:WJXy1gzA0
>>156
こうして社会にスコーンとはまるのであった
1621 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 14:31:57.31 ID:bdB+ZflXP
姫「え……」
盗賊「……あいつ、結構金持ってたんだ。多分、俺にくれたみたいに」
盗賊「エルフの何とか……とか、売ったのかなって勝手に思ってるんだけど」
姫「ああ……」
姫(エルフは薬草の扱いとかにも長ける……そういうの、かしらね)
盗賊「それに、腕も立ったんだ。だから、どこかの武術大会やらなにやらに出て」
盗賊「賞金稼いだ、とかさ。そう言う話も……はっきりとは教えてくれなかったけど」
盗賊「ちらっとは聞いた事あるんだ」
姫「……そういう大会って、結構やってるの?」
盗賊「まあ、平和な世の中だからな。賞金稼ぎっつったって……あんまり仕事がねぇって」
盗賊「言っただろ?」
姫「昨日言ってたわね」
盗賊「俺は知人に剣を教えて貰ったけど、あいつは確かに強かった」
盗賊「金のある奴らは、腕の良い用心棒を雇う……だから」
盗賊「俺程度の奴らじゃ、あんまり良い仕事にはありつけないのさ」
姫「知人ほどの腕がなければ……って事ね」
盗賊「ああ」
姫「……剣だけじゃないんでしょ?」
盗賊「え?」
姫「その知人に教えて貰った事、よ」
盗賊「ああ……エルフの話が聞きたいんだったな」
盗賊「……理由を聞いても良いか?」
姫「単純に知りたいから、じゃ駄目かしら?」
1631 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 14:32:55.04 ID:bdB+ZflXP
>>157>>160>>061

あーりーがーとー!
スコーン、流行?www
1641 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 14:35:51.64 ID:bdB+ZflXP
あ、安価ミス……

>>157>>160>>161
1651 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 14:43:58.15 ID:bdB+ZflXP
盗賊「いや……駄目じゃ無いけど」
姫「そうね……知識は持ってて無駄じゃ無い。貴方のお金と一緒ね」
盗賊「そうか……解った」
姫「気を悪くした?」
盗賊「いや? ……本当に、似てるなと思っただけだ」
盗賊「……悪気は無いんだろうしな、良し!」
姫「?」
盗賊「街を歩きながらにしよう……約束通り案内するよ」スタスタ
姫「ええ……そうね。行きましょうか」スタスタ……キィ、パタン

アリガトウゴザイマシター!

盗賊「……ここが、街の入り口だろ?」
姫「貴方の話じゃ、奥に行くほど高級、なんだっけ」
盗賊「ああ……だが宿屋とこの店はまあ、別だと思って良い」
姫「そうなの?」
盗賊「旅人向けにあんまり粗末な物は見せられないだろ」
姫「ああ……成る程」
盗賊「かといって、商売できてる以上、一定レベル以上だと思ってくれれば良い」
姫「えっと……魔法が使える事が最低条件?」
盗賊「オーナーがな。腕の良い職人、商人達を雇えるだけの金と地位を持ってるって事」
1661 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 14:52:16.53 ID:bdB+ZflXP
盗賊「ここから奥に、ずっと色んな店が並ぶ。この辺は良いんだが……」
姫「え?」
盗賊「歩くだけならともかく、奥に行くほどちょっと……俺は店内には入れないからさ」
盗賊「中、覗きたいなら外で待ってるから言ってくれ」
姫「ああ、そういう事ね……別に良いわよ」
盗賊「欲しい物とか無いのか?」
姫「うーん……特に思いつかないけど」
姫「それに、お金を持ってるのは私じゃ無くて少年だから」
姫「勝手に買い物は出来ないわ」
姫(あ……そういえば、あの人……何も言ってなかったけど)
姫(……私、気にせず使わせてた……後で聞いてみなくちゃ)
盗賊「そうか……商業区と居住区の間の道を入っていくと」
盗賊「大きな図書館がある。そっちへ向かうか」
姫「ええ。そうしましょ……で、話の続き、聞いて良いかしら」
盗賊「ああ、そうだったな……とは、言え」
盗賊「何を聞きたいんだ?」
姫「……そうね。貴方が聞いた全て?」
盗賊「うーん……そうだなぁ」
盗賊「エルフは、人より寿命が長いとか……」
姫「うん」
盗賊「身が軽い、てのも言ってたな。人ほどの力は無いらしいけど」
盗賊「後……ああ、そうだ。エルフはその殆どが、優れた加護を受けてるって」
姫「ええ……それは、私も知ってるわ」
盗賊「……知り合いが居るのか?エルフの」
姫「……まあ、ね」
1671 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 15:03:03.59 ID:bdB+ZflXP
盗賊「なら……ある程度知ってるんじゃないのか?」
姫「そうだけど……私も、もう会えないのよ」
盗賊「……そうか」
姫「その、知人は……エルフの、も……住処の事は言ってなかった?」
盗賊「ん?ああ……飛び出してきた、って奴か」
姫「ええ」
盗賊「そうだな……長の娘が生まれた時の話は何度か聞いたな」
姫「!」
盗賊「決まって酔っ払った時に、泣きながら話してた……」
娘「泣きながら……?」
盗賊「……あいつ、200年以上生きてたんだって」
盗賊「見た目は、15.6……そうだな、姉ちゃんと代わらない位だな」
姫「……貴方もそれぐらい、よね」
盗賊「少し下だ……で、な。あいつ、長の嫁さんが好きだったらしくてさ」
姫(……ママ)
盗賊「でも、長の命令……とか、決定とかは絶対で」
盗賊「その嫁さんと、長の結婚が決まった時に……一晩泣いた、とかさ」
姫「………」
1681 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 15:04:14.34 ID:bdB+ZflXP
何かちょっと中途半端だけど、取りあえずいってきまーす!
また夜来れたら!
169名も無き被検体774号+:2013/04/05(金) 15:27:21.47 ID:noUfx5850
おーう仕事おめでとう!待ってるぜー
1701 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 18:02:10.66 ID:bdB+ZflXP
>>169
あーりーがーと!

お風呂たまるまで少しだけー
171禁書・デ・ライオン【第三位】 7段 ◆o8T3jH17gc :2013/04/05(金) 18:10:56.62 ID:dWVQCI1i0
エロと萌え要素希望
1721 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 18:11:39.43 ID:bdB+ZflXP
盗賊「その好きだった人の妊娠が解ったときに」
盗賊「……エルフの住処を出る決心をしたらしいんだ」
姫「……そう」
盗賊「三日三晩、宴会?だかなんだか……するんだと。エルフ達ってさ」
姫「宴会って……」
盗賊「なんて言うんだ?ああいうの……要は、めでたいって祭りだろ?」
姫「産まれて来る子供の無事と、エルフ達のこれからの幸せを願う……」
姫「そうね、お祭りね。詩を唄い琴を奏で……踊るのよ」
盗賊「知ってるのか?」
姫「見たことは無いわ。聞いただけ……それは素晴らしいお祭りだそうよ」
盗賊「ああ……それは知人も言ってた」
盗賊「『花は歓喜に咲き乱れ……」
姫「風は唄い木々を揺らす。大地はそこに生きる物全てを祝福する』……ね」
盗賊「……知人に聞いたとおりだ」
姫「そうして、50年」
盗賊「ああ……知人の好きだった人は、花の様に可憐で美しい娘を産んで」
盗賊「……死んだんだそうだ」
姫「………」
盗賊「凄いよな。50年も、腹の中で育てるだなんて」
1731 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/05(金) 18:12:35.72 ID:bdB+ZflXP
お風呂溜まっちゃった……orz
これたら夜にー!
174名も無き被検体774号+:2013/04/05(金) 21:23:30.28 ID:UC9hd39D0
OKスコーン
175名も無き被検体774号+:2013/04/05(金) 22:47:46.32 ID:fCYrr/JR0
まってるスコーン
176名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 00:32:17.97 ID:AAhOw1JI0
がんばれスコーン
177名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 00:39:19.16 ID:3sANjtCR0
このスコーン俺とは違う24時間サイクルをおくってるのか?
178名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 00:43:07.88 ID:Tz1m1O7k0
基準が幼女だからスコーン
179名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 02:48:43.07 ID:xAMKBtL/P
幼女スコーンスタイルだからな
180名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 03:48:06.64 ID:LiH9Kz0W0
素敵なBBA!幼女が一口食べたスコーンをよこせ!
1811 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 10:38:25.80 ID:uzkSiPWxP
おはようー
……何時の間に私がすこーんにwww

今日幼女と作ったクロックムッシュのかじりかけしかねぇよwww
182名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 10:44:24.00 ID:YrQdGaZS0
おはよー
ワッフルとかスコーンとかクロックムッシュとかオサレだないつも
1831 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 10:44:41.38 ID:uzkSiPWxP
姫「それだけ……ゆっくりじゃないと、エルフの身体はもたないのよ」
姫「出産って言う大仕事に、慣れないの」
盗賊「……なあ」
姫「ん?」
盗賊「知人が言ってた。どうしてあの人だけが死ななければ行けないんだって」
盗賊「他のエルフは……大丈夫なのに、どうしてあの人だけ、って」
姫「……」
盗賊「寝て起きて酒が抜けると、大抵……覚えて無いって笑って誤魔化すんだ」
盗賊「……結局、教えてくれなかったな」
姫「その、あの人って言うのは……長の奥さんだったんでしょ?」
盗賊「あ、ああ……」
姫「エルフの長は、少しばかり……他のエルフよりも強い力を持っているの」
姫「だからよ……弱い身体で、強い個体を産むのに耐えられる筈が無い」
姫「それだけの話よ」
盗賊「ど……う言う意味だ?」
姫「エルフの長……次の長、ね」
姫「……それを産む人……要するに、長の母は、出産を終えれば死んでしまうのよ」
1841 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 10:47:25.47 ID:uzkSiPWxP
>>182
ホットケーキミックスで簡単に〜とか
ホットサンドメーカーに挟むだけのなんちゃって、とか
そんなんだよー
幼女と一緒に作るからねぇ
1851 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 10:54:14.59 ID:uzkSiPWxP
盗賊「……絶対?」
姫「死ななかった前例は無いそうよ」
盗賊「じゃあ……長になる奴は……必ず母親を知らないのか」
姫「そういう事になるわね」
盗賊「……なのに、三日三晩祝う?頭……おかしいんじゃないのか!」
姫「……種族が違えば、理解できないのは仕方ないわよ」
姫「彼らには……それが当然なんだもの」
盗賊「知人は……知ってた、のかな」
姫「そりゃそうでしょ」
盗賊「……」
姫「で?」
盗賊「え?」
姫「その人が妊娠したときに、知人は……人の子の世界に出る決心をしたんでしょ?」
盗賊「あ、ああ……まあ、どうしてその娘が生まれるまで居たのかとかはわかんないけど」
盗賊「……娘が産まれた後、その人の葬儀が終わった夜に」
盗賊「飛び出した、んだそうだ。雨の夜だったって言ってた」
姫「……誰か、エルフが……死ぬとね」
姫「雨が降るの……必ずね」
盗賊「……姉ちゃん、俺より詳しいじゃねぇか」
盗賊「俺の話……必要か?」
姫「知ってる知識でも……他人の口から聞くとまた、違った一面が見えるかもしれないじゃない」
盗賊「……そういうもんか?」
姫「そういうもんよ」
1861 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 11:12:36.63 ID:uzkSiPWxP
盗賊「ふぅん……」
姫「他には?」
盗賊「え?えーっと……そうだなぁ」
盗賊「娘は……新緑の髪に、透き通った湖の色みたいな瞳で」
盗賊「雪よりも白い肌に……小鳥みたいに、可憐、な……声……」ジィ
姫「な……何よ」
盗賊「……姉ちゃん、その娘みたいだな」
姫「……」
盗賊「髪も瞳も肌も……その娘と一緒だ。声だって……綺麗だし」
盗賊「……口は悪いけど」
姫「素直なだけよ」ムッ
盗賊「美人は、得なんだろうな」ハァ
姫「何なのよ……」
盗賊「いや。羨ましいなと思って」
盗賊「姉ちゃんぐらい、俺も……綺麗だったらな」
姫「知人が振り向いてくれたかも? ……やっぱり好きだったんじゃないの」
1871 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 11:20:59.43 ID:uzkSiPWxP
盗賊「アンタに言われたとおりさ。雛鳥の刷り込みと一緒さ」
盗賊「……でも。知人はもう……ッ」
姫「……仲間を救いたいってのが嘘だとは言わないけど」
姫「復讐心の方が強そうね」
盗賊「否定はしねぇよ……知人を殺したあいつ、魔導将軍……ッ」
盗賊「……出来れば、この手でぶち殺してやりたいけど!」
盗賊「こんな……俺の力じゃ。八つ裂きにされて終わりなのは解ってる」
姫「ちょっと待って。優勝してお金が欲しいんでしょ?」
盗賊「……」
姫「私達、殺人まで請け負ったつもりは無いわよ」
盗賊「解ってるよ……あいつが、負けるだけでも……多少はスッとするさ」
姫「……」
盗賊「ここだ。この道を曲がれば……ほら」
姫「え? ……あ」
盗賊「正面のでかい門があるだろ?あれが……図書館だ」
姫「想像してたより大きいわね……」
盗賊「まあ、世界一をうたうだけはあると思うぜ……さてどれぐらい時間が欲しい?」
姫「え?一緒に入ってくれないの?」
盗賊「読書は一人の方が良いだろ?俺は……ちょっと船長に会ってくる」
姫「ああ……海賊?」
1881 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 11:29:37.24 ID:uzkSiPWxP
盗賊「心配しなくても、ちゃんと迎えに来る。ここなら俺も入れるし」
盗賊「……そうだな。三時間ほどで良いか?」
姫「ええ……また何時でも来れるでしょう?」
盗賊「ああ……一人で出て行くなよ?」
姫「解ってるわよ……ちゃんと待ってるわ」
盗賊「じゃあ、後でな!」タタタ
姫(……根の深い問題ね。あれもこれも……全て)スタスタ。ギィイ……
姫(ええと……)キョロキョロ
司書「お探しの本はおきまりですか?」
姫「え……ああ、えっと……エルフに関する本ってあるかしら」
司書「はい、エルフ関連の本は……そうですね」
司書「この……当たりの……緑の棚にまとめてあります」
司書「館内地図をお渡ししておきますね」
姫「ありがとう」
司書「また何かありましたら、お声をおかけくださいませ」
姫(えっと……こっちか)スタスタ
姫(緑、緑……あれね)
姫(『エルフの生態』『種族辞典』『エルフの森の謎』……大した数が無いわね)
姫(よいしょっと……)ペラ
姫(…………)

……
………
…………
1891 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 11:45:56.45 ID:uzkSiPWxP
魔王(さて、調べると言ってもな)スタスタ
魔王(先に……)
魔王『側近?』
側近『何ー!今無理!俺は忙しいの!』
側近『あっちでこの書類調べて書庫行ってえーっと、飯食う時間がねえええええ!』
魔王『……なんか、すまん』
魔王(後にするか……ふむ、では……)スタスタ
魔王(さっきの受付は……あれか。姫と一緒に居た所を見られているが……)
魔王(……まあ、良いか)スタスタ
魔王「ああ、すまんが」
受付「出場の受付は……おや、先ほどの」
魔王「この先は居住区とやらだったな。入って良いのか?」
受付「別に構いませんが……何のご用で?」
魔王「いや……ちょっとな。まああれだ……酒場で娼館があるとの噂を聞いたのでな」
受付「……ほう」
魔王「で、まあ……ちょっと興味があってな」
受付「ご紹介された方のお名前は?」
魔王(紹介?)
魔王「いや……聞いていないな」
受付「では……ご案内はできかねます」
魔王「会員制か何かなのか」
受付「守秘義務がありますので」
1901 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 11:53:23.77 ID:uzkSiPWxP
魔王(うーん、厳しいなぁ)
魔王「そうか。では出直すとしよう」
受付「ご理解頂き感謝致します」
魔王(娼館の存在自体は否定しないんだな……まあ、別に違法な物で無ければ)
魔王(隠す必要は無い、と言う事か……)
魔王(酒場で知り合う……紹介……ブツブツ)
魔王(……そういえば、盗賊が何か言ってたな)
魔王(『あそこには入れない』だったか)
魔王(ふむ……)スタスタ

魔王「ここか……」
魔王(商業区の奥に位置する、と言う事は……高級店って認識で良いんだろうかな)
魔王(入ってみるか)キィ……カランカラン

イラッシャイマセ……

魔王(ふむ。昼間というのに中々賑わっているな)
魔王(店の作りも、雰囲気も向こうの料理店とは……随分違うな)
マスター「ご注文は?」
魔王「あー……白ワインを」
マスター「グラスでよろしいですか」
魔王「ああ」
魔王(……取りあえず、会話を拾ってみるか……)
1911 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 12:03:17.03 ID:uzkSiPWxP
『あいつ、見慣れない顔だな……旅人か?』
『身なりは悪く無いな……出場者か何かだろう』
『店を出るときに、値段を見て青ざめたらおもしろいのにな』
『目を覆っているな……隻眼か?』
『紫の瞳……珍しいな。加護は何なんだろうか』
『剣を持ってるじゃないか……出場者の護衛か?』

ヒソヒソ……ヒソヒソ……

魔王(……興味津々だな)
魔王(私の話ばかりか……仕方ないかな)

『……しかし、この間のあの劣等種は』

魔王(……お)

『中々楽しめた……あれは……』

キィ……カランカラン

『し……ッ 魔導将軍だ』

魔王「……!」
1921 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 12:12:39.15 ID:uzkSiPWxP
魔導将軍「……やあ、マスター……!!」
マスター「いらっしゃいませ、魔導将軍様……どうされました?」
魔王(うわぁ、こっち見てるー!)フイッ
魔導将軍「……いや、何でも無い」スタスタ
魔王(……しまったな。まさかこんな所で鉢合わせるとは)
魔導将軍「ワインの赤。デキャンタで……それから、軽く何か食事を」
マスター「かしこまりました。すぐにご用意致します」
魔王(気付いてない……?訳は無いな)
魔王(あいつは……俺の顔を知ってるし……しまったな)
魔王(周囲の音を拾うのに、魔力を隠す所か……はぁ)
魔王(あいつほどの奴なら……容易く察するだろう)
魔王(あー、もう……私の阿呆)

『魔導将軍、あの……旅人の男をご存じか?』
『そうそう……珍しい紫の瞳をしてる』

魔王(はい、アウトー!完璧アウトー!)
魔王(……とは、言え。ここで焦って出て行くのも不自然……だが)
魔王(長居する必要もない……というかさっさと去るべきだな)グイッ
魔王「ご馳走様……もう行く」
マスター「ありがとうございました……では、お会計を」
魔王「ん……」
魔王(たっか!ぼったくりも良いところだな……)
1931 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 12:22:59.02 ID:uzkSiPWxP
魔導将軍「お待ちください、旅の……方?」
魔王(げ……)
魔導将軍「先程、受付の者に聞きました。美しい娘が、珍しい紫の隻眼の男を伴って」
魔導将軍「……出場の申し込みにやってきた、とね」
魔王(……はぁ、また側近に大目玉食らうなぁ)
魔導将軍「貴方の事では?」
魔王「だろうな。否定しても信じないだろう……こんな面をしてるとな」
客の男「口を慎み給え!このお方は……」
魔導将軍「構わない、気にしないでくれ」
客の男「……魔導将軍が、そう言われるのなら……」
魔導将軍「……貴方は、出場されないのですか」
魔王「妻が出ると言って聞かないのでな」
魔導将軍「妻……?」
魔王「ああ……」
魔王(側近が怖い、側近が怖い、側近がこわい……)
魔導将軍「そうですか……いえ、ね……先ほど……」
魔王「何だ?」
魔導将軍「娼館に行きたいと、言っていた……らしいでは無いですか?」
魔王(筒抜けだな……こいつはそれだけ信頼されてるって事か?)
1941 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 12:31:46.97 ID:uzkSiPWxP
『妻が居るのに娼館とは……中々好き者だな』
『何……男なんて、所詮はそのようなものだ……お前だって人の事は』

ヒソヒソ……クスクス……

魔王「ああ。ちょっと噂を聞いたのでな」
魔導将軍「……成る程。良ければ私が紹介しましょうか」
魔王「!?」
魔導将軍「どうしたのです?」
魔王(何を企んでいる……?)
魔王(罠、か……そう考えるのが妥当だが)
魔王(ここで断るのもな……)
魔王(まあ、どうにかなるだろ)
魔王「それは願っても無いが……良いのか」
魔導将軍「お喜びにならないので?」
魔王「初対面の見ず知らずの男に何故、そこまでしてくれる?」
魔導将軍「お祭りムードですから。ただの旅人の貴方が」
魔導将軍「噂を聞いて興味を持つのも仕方ない話だと思いますし」
魔導将軍「……凄まじい魔力をお持ちの様ですので」
魔王「……」
魔導将軍「資格は、充分かと?」ニッコリ

『何!?そうなのか……!?』
『流石魔導将軍……!そんな事も分かるのか』
『でも、あいつは剣を……魔法剣士なのか?ならば……』
『ううむ……取り入っておけば、後々……』

ヒソヒソ……ヒソヒソ……

魔王(腐ってんなぁ……)
1951 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 12:38:04.03 ID:uzkSiPWxP
魔王(しかし……動きにくくなるな。牽制のつもりか?)
魔王(……うーん)
魔王「では……お言葉に甘えようか」
魔導将軍「ええ……構いませんよ。後ほど、伝えておきますので」
魔導将軍「どうぞ、本日の午後以降、何時でも都合の良い時にお尋ねください」
魔王(……午後以降、か)
魔王(待ち合わせまで時間はあるが……ふむ)
魔王「ああ……感謝するよ、魔導将軍」
魔導将軍「私の名をご存じで?」
魔王「さっき、マスターがそう呼んでいただろう」
魔導将軍「ああ、そうでしたね……貴方は」
魔王「ん?」
魔導将軍「……なんと、名乗っておいでで?」
魔王「……少年だ」
魔導将軍「そうですか。では……少年さん」
魔導将軍「楽しい時間をお過ごしください?」
魔王「ああ……ありがとう。では失礼するよ」スタスタ
1961 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 12:45:10.21 ID:uzkSiPWxP
魔王(夕刻には戻らないといけないしな……午後以降、って)
魔王(もうすぐか……食事を済ませたら伝えて置いて貰える、と)
魔王(そんな感じかな……しかし)
魔王(……姫は、目立つ。あまり一人にしておかない方が良いか)
魔王(今日は図書館に行くとか言ってたな……盗賊が一緒だが)
魔王(……任せきりにするわけにも行かなくなったか)
魔王(魔導将軍も……あの様子じゃ)
魔王(この街で目立った事はできないと思う、が……)
魔王(過激派の他の面子に接触されたら厄介だな……)
魔王(時間的に、厳しいとは思うが……)

魔王『……側近?』
側近『何!俺は忙しいって……!』
魔王『魔導将軍に見つかった』
側近『………』
魔王『側近?聞いてるか?』
側近『お前はあれですか。そんなに俺の胃を……』
側近『穴だらけにしたいのかあああああああああああああああああ!』
魔王『……すまん。だが、うるさい』
側近『もう、勘弁してくれよおぉ……』
魔王『いや、あのな……その、ちょっと言い訳を……』
側近『聞きたくないわー! ……あ、いや。状況は聞かせろ。今すぐに』
魔王『……あ、ああ』
1971 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 12:52:00.14 ID:uzkSiPWxP
魔王『魔導の街の実力者?と言うか……まあ、随分と信用を得ているみたいだな』
側近『あそこは魔法の力が強ければ貴族になれる街だからな』
魔王『貴族?』
側近『勝手にそう名乗ってるだけだけどな』
魔王『ふむ。まあ、その……貴族?が集うらしい店の中で偶然会ったんだが』
側近『何でそんなところに足を運ぶんだよお前は!もう!阿呆ですか馬鹿ですか!』
魔王『悪かったって……確かに軽率だった。だが……』
側近『何!』
魔王『あいつが、私の事を凄まじい魔力を持ってるとばらしてくれたおかげで』
側近『ああああああ、胃がいてぇ……』
魔王『最後まで聞けって。私も多分、貴族共に信用される立場にはなれそうだ』
側近『……ん?情報を探れそうって事か?』
魔王『まあ、どこまで信用されるかはわからんがな。悪い事ばかりではなさそうだ』
側近『ふむ……まあ、そうでなかったら目も当てられねぇけど』
魔王『魔導将軍について、何か解ったか?』
側近『暫く城を留守にしてる事は間違いないな。転移なんて出来るのは』
側近『お前ぐらいのもんだから』
側近『まあ、お前の不在はばれてるが、確かめに帰ってくるなんて可能性は』
側近『無いに等しいな』
魔王『そうだな……だが、他の過激派に接触されるのは厄介だろう』
側近『それはまずい……が、魔導の街の中で重要な位置にいるんだったら』
側近『動きにくいのは確かだろう?』
1981 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 12:58:18.62 ID:uzkSiPWxP
魔王『ああ……そうだな。一週間後には、大会も始まる』
魔王『少なくともそれまでは大丈夫だろう』
側近『一週間か……解った。それまでにもう少し探ってみる』
魔王『ああ、頼む。私も出来るだけ……』
側近『出来るだけ大人しくしててね!』
魔王『……はい』
側近『で、エルフの方なんだが』
魔王『ああ、何か解ったか?』
側近『阿呆!そんな時間ありません!』
魔王『……そ、そうか。すまん』
側近『その街にはでかい図書館があるだろ?そこで調べる方が』
側近『手っ取り早い気がするがな』
魔王『そうか……』
側近『つか、エルフの娘と一緒にいるんだろ?』
側近『そいつに聞きなさいよ』
魔王『まあ……そうなんだがな』
側近『取りあえず、魔導将軍の方が大問題!』
魔王『……ご尤も』
側近『本当に!頼むから!あんまり変に目立つ事はしないでくれよ!』
魔王『ああ解ってるよ……娼館が見えた。また後でな』
側近『しょうかんんんん!?ねえ、お前、俺の話聞いてる!?ねぇ!?』
側近『おい、こら!まお………!!!』

魔王(心話でまで騒がないで欲しい……)
1991 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 12:59:29.24 ID:uzkSiPWxP
おひるごはんー!
食べたら幼女の人形の服をつくらにゃいかんらしいのでorz
また、夕方来れたらー
200禁書・デ・ライオン【第一位】 7段 ◆o8T3jH17gc :2013/04/06(土) 13:06:38.53 ID:X0joRJ/d0
エロと萌え要素よろしく
201名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 13:07:20.88 ID:3sANjtCR0
くそッ!いっつも拒否できない理由で消えやがって!!




・・・はッ!
202名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 13:34:19.20 ID:kLELiW6H0
人形の服まで作れるのかよ
なんて高性能なんだBBA幼女とうちにくる気はないか
203名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 14:36:40.13 ID:3sANjtCR0
服も人形も買ってやるから!はよ!
2041 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 15:11:27.31 ID:uzkSiPWxP
ただいまー
帽子二つ作ったら取りあえず満足したようだ

>>200
期待に添えるかはわからんなぁ……ごめんな

>>201
はっ!てなんだよwww

>>202
洋裁は趣味なんだ
気持ちは嬉しいが残念ながら売約済みなんだ、すまんwww

>>203
楽しみにしてくれるのあありがたいんだが
ぽいぽい買い与えちゃいけませんwww
205名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 15:19:13.41 ID:n6VJFdFb0
はよ....!
気になるなこれ
2061 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 15:21:34.10 ID:uzkSiPWxP
魔王(そういえば受付の奴居なかったな……申し込みは今日までとか言ってたか)
魔王(修了したって事、だろうな……ん、建物の前に誰か居る)
魔王「……すまんが」
管理人「おお!貴方様が魔導将軍の言っておられた方ですな!」
魔王「あ、ああ……?」
管理人「うむ!珍しい紫の瞳!少年様で間違いないですかな?」
魔王「……ああ。魔導将軍に紹介して貰ったからな。来て見たんだが」
管理人「ええ、ええ!お聞きしておりますとも!」
管理人「どうも……その節は受付が失礼をしたようで?」
管理人「あいつはどうにも、こう、要領の悪いところが……」
魔王「否、仕方あるまい……というか、あれはあれで正しい判断だろう?」
魔王「私はただの旅人なんだし……」
管理人「いや、全くその通り!あいつは何時も冷静な奴でしてな!」
魔王(どっちなんだよ)
管理人「あ、申し遅れました、私この娼館を管理させて頂いております」
管理人「管理人と申します……以後、どうぞ、お見知りおきを!」
魔王「あ……ああ……宜しく」
管理人「しかし少年様のその瞳は珍しいですな!」
管理人「一体何の加護を……」
魔王「すまんがあまり時間が無いんだ」
管理人「こッ これは失礼を!どうぞ、中へ……!」
魔王(好きにはなれんタイプだなぁ……)
207名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 15:24:36.51 ID:3sANjtCR0
キタ・・・!
2081 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 15:36:00.97 ID:uzkSiPWxP
魔王(この街の、そこそこの地位に居る奴らは……まあ)
魔王(ひとまとめにする気は無いが、皆こんな感じなんだろうな)
魔王(魔導将軍の……あの一言で。皆……ただの旅人に見えるだろう私に)
魔王(手のひらを返したように接するのだろう)
魔王(……自分の首、絞めたかな……ハァ)
管理人「では、コチラのお部屋でお待ちください」カチャ
魔王「……廊下もそうだが、この建物は随分と豪華だな……この部屋も」
管理人「それはもう!こうして特別なお客様をお迎え致しますから!」
管理人「それに……こちらは、そのお客様の中でも、さらに特別な方だけを」
管理人「お通しする……特別室で御座いますから」
魔王「成る程。魔導将軍の紹介と言うだけでそこまでして貰えるのか」
管理人「いえいえいえ……それだけでは御座いませんとも」ニヤ
魔王(私も特別である、と言いたいのか……本当に)
魔王(『魔力に優れる』と言うだけで……これほど態度を変えれるものなのか)
管理人「で……どのような物が好みで?」
魔王「物?」
管理人「ええ。男も女も……揃っておりますよ?」
魔王「そうだな……では」
魔王「一番、人気の無い『人』を呼んで貰おうか」
管理人「人気の無い物……ですか?」
魔王「ああ。人気の無い、人、だ」
管理人「で、ですが……今でしたらうちの一番人気も……あ!」
管理人「初物がお好みですか!?でしたら……!」
魔王「……」イライラ。ジロッ
管理人「……ひッ ……い、いや、お優しい事で!」
管理人「確かに、経験を積ますのも大事なことです!すぐにお呼び致します!」
2091 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 15:44:06.99 ID:uzkSiPWxP
管理人「少年様はこのまま、ここでお待ちを!」
管理人「準備ができ次第、すぐにお茶を持って来させますので!」

ダダダダ!バタン!

魔王「……ハァ」
魔王(こんな……こんな街、こんな世界、が……)
魔王(皆の憧れ?上辺のおべっかだけの男に必要以上に持ち上げられ)
魔王(色を貪るのが……貴族の証か?)
魔王(……しかも、その相手は本来ならば)
魔王(崇めへつらう筈の魔法使い一家の血筋の者……)
魔王(優れた加護を持たないと言うだけで、物扱い……)
魔王(助けてやりたいとは、確かに思う。思う……が)

コンコン

魔王「はい」
??「失礼します」
魔王「……お前が、呼ばれた者か?」
??「いいえ。私は……お茶をお持ちしただけです」
??「貴方様のお相手をする者が来るまで……お茶と、お話のお相手を」
魔王「名は?」
??「……少女です。私は……お戯れは、ご勘弁を」
魔王「ああ……心配はしなくて良い。そんな気は無い」
少女「ありがとうございます」
魔王「では……二人分の茶を用意したら、そっちに座ってくれ」
少女「……よろしいのですか?」
魔王「相手をしてくれるのだろう?まさか……これまで戯れに入るとは言わないよな」
2101 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 15:50:25.91 ID:uzkSiPWxP
少女「ありがとうございます……では、少々お待ちください」
魔王(綺麗な顔立ちの少女だな。服で隠れている部分は解らないが……)
魔王(……この少女も辛い目にあっているのだろうか)
魔王(……痛ましいことだ)
少女「どうぞ。コーヒーとお茶菓子です」
魔王「ああ、ありがとう……座ってくつろいでくれ」
少女「ですが……いえ、はい」ストン
魔王「……聞きたい事があるんだが」
少女「お答えできる範囲でしたら」
魔王「なんと呼んで良いのか解らないから、彼らの使う言葉で訪ねるのを許してくれ」
魔王「お前も……劣等種、なのか」
少女「はい。ここには、管理人様とお客様以外……劣等種の者しかおりません」
魔王「……そう呼ばれて嫌では無いのか?」
少女「事実ですから」
魔王「……」
少女「……」
魔王「お前はさっき、戯れは勘弁してくれと言ったな」
少女「はい」
魔王「ここの……この街の力関係を考えれば」
魔王「それが許される様には思わないのだが」
少女「そういうときは、こう申し上げて居ます」
少女「『魔導将軍に初めてを捧げる事になっております』と」
211名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 15:52:32.34 ID:n6VJFdFb0
紙媒体で読みたいわ
2121 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 15:59:33.95 ID:uzkSiPWxP
魔王「……魔導将軍、に?」
少女「はい。この大会が終われば、ゆっくりと……会いに来ると」
少女「ですので、それまではこうして……お茶の準備や、お話のお相手を」
魔王「ふむ……魔導将軍の名を出せば、大体の者は素直に言う事を聞く、か」
少女「はい」
魔王(随分と入り込んだ物だ。確かにあいつの実力ならば……)
魔王(いくら優れていると言え、人間では歯が立たないだろうしな)
魔王(あいつなりにこの少女を助けようと……は、無いか)
魔王(……慈悲のあるタイプでは無かったな)
魔王「お前は……」
少女「はい?」
魔王「ここに、来て……長くは無いんだな?」
少女「はい。つい一月ほど前に」
魔王「そうか……気分を害すような事を聞く。構わないか?」
少女「お戯れ以外、拒否する権利は御座いませんので」
魔王(綺麗な顔をしているのに……もったいないな。表情が……無い)
魔王(当然か……親に捨てられ、人以下の扱いしかされていない)
魔王(しかも……普通の者以上の暮らしをしていたであろうに)
魔王(この少女はまだ……恵まれているのだろうか)
魔王(いや、だが……魔導将軍の手が着けば……その後は同じか)
魔王(継続的に庇護するとは思えん……)
魔王「……優れた加護の無い者は……劣等種と呼ばれるんだろう」
少女「そうです」
魔王「そう、呼ばれる様になる経緯を……教えては貰えないだろうか」
2131 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 16:08:59.05 ID:uzkSiPWxP
少女「あの血筋の者は、幼い頃から魔法に対しては」
少女「英才教育……と呼ばれる物を受けて育ちます」
少女「早くから魔法を使用できる者も多いです……そして」
少女「加護の属性の魔法をある程度使用できる様になれば、試されます」
魔王「試される?」
少女「はい。いくら優れた加護を持って生まれたとは言え」
少女「魔法を使える様になるまでは、加護の力を最大限には発揮できませんから」
魔王「……成る程。で、その方法とは?」
少女「同じ属性を持つ一族の者が、試される者に魔法を放つのです」
魔王「……魔法の火で焼かれなければ合格、さもなければ」
魔王「烙印と数字を刻まれ……」
少女「はい。劣等種の烙印を押された者は、ここでこうしてお客様をもてなすか」
少女「奴隷として、売られます」
魔王「……」
少女「魔力の発現が早く、幼くして試され、劣等種とされた者は……特に需要があります」
魔王「!?」
少女「そういう嗜好の方は多いんです」
魔王「……それについて、お前は何も思わないのか?」
少女「……」
魔王「……」
2141 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 16:17:29.81 ID:uzkSiPWxP
魔王「例えば……救ってやりたい、とか」
少女「……」
魔王(表情も変えない……聞くだけ無駄、なのか?)ハァ
魔王「では……発現が遅い者は?」
少女「13迄に発現しなければ、それも劣等種とされます」
魔王「……若くないか?」
少女「それ以後の成長は余り期待できないので」
魔王「そう、か……すまなかった」
少女「?」
魔王「言いにくいことを言わせたな。好奇心だけで物を言った訳では無い……と」
魔王「言っても信じられないだろうが。許してくれ」
少女「あ……頭を上げてください!」
少女「こんなの見られたら……私が怒られます!」
魔王「……そうか」
魔王「もう一つだけ、良いか」
少女「はい」
魔王「魔導将軍にあった回数はどのぐらいだ?」
少女「ここへ通われる回数でしたら、週に一度あるかないかです」
魔王「ふむ……それは、お前がここへ来た一ヶ月の間の話、だな」
少女「はい」
魔王「お前を召した事は……無いのか?」
少女「一度だけ……初めてお会いした時」
少女「ですが、その時は大会の準備等でご多忙であられて」
少女「それで……この様な状態に」
魔王「……成る程」
2151 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 16:24:26.92 ID:uzkSiPWxP
魔王「それは……話しても良い話だったか?」
少女「大丈夫です。何度も聞かれ、何度も他の方にも」
少女「説明している事ですから」
魔王「そうか……では、初回も何もせずに帰って行ったのか」
少女「はい……管理人様に約束だけ、取り付けられて、帰られました」
魔王「では、私は……ここへ来る度に」
魔王「こうしてお前とお茶を飲むことが出来るのだな」
少女「? ……はい。ですが……」
魔王「解っている。後一週間の間、だろう」
少女「はい」
魔王(この少女から色々と話を聞き出せれば……良いんだが)
魔王(魔導将軍と繋がっている可能性も否定は出来ないしな……)
魔王(……ああ、そうか。これすら罠の可能性があるか)
魔王(しまった。話しすぎた……かな?)

コンコン

少女「……では、私はこれで」
魔王「ああ、ありがとう……又な」
少女「……」
少女「失礼致します」

カチャ

娼婦「し、失礼します……」カタカタ
魔王「ああ……どうぞ。そっちへ座って」
娼婦「い、いえ!とんでもない……!」
魔王「……」ハァ
娼婦「!」ビクッ
魔王「あー……」
魔王(なんて言えば良いんだ?命令?座れ?うーん)
魔王「まあ、とにかく気にしなくて良いから、座ってくれ」
2161 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 16:26:39.70 ID:uzkSiPWxP
晩ご飯の支度ー!
ちょっと離席ー!
217名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 16:39:02.75 ID:kLELiW6H0
この焦らし上手!待ってる!
2181 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 16:56:59.93 ID:uzkSiPWxP
娼婦「で、でも……」
魔王「あー……座れ、と命令したら従ってくれるのだろうが」
魔王「あんまりそんな事は言いたくないんだがな」
娼婦「あの……本当に良いんですか」
魔王「ああ。まあ、先に言っておくけれど」
魔王「別に私は、君に何もする気は無いし」
娼婦「え……」
魔王「あ、べ、別にそんな気が起こらないとか。その……マイナスに取らないでくれ」
魔王「話をしたい。それだけなんだ」
娼婦「……」
魔王「どれぐらい……時間があるんだったかな」
娼婦「あ……二時間ほど、です」
魔王「そうか……それほど長居はできないんだが……まあ」
魔王「時間の許す限り、話に付き合ってはくれないか」
娼婦「本当に……それで、よろしいのですか」
魔王「勿論だ」
娼婦「あ……よ、喜んで!」
魔王「ふむ。笑った方が可愛いな」
娼婦「え……」カァ
魔王「色々と、聞いても良いだろうか?」
娼婦「あ……はい。あ、でも……その。お答えできる範囲、になりますが」
魔王「ああ。言いたく無いことは言いたく無いと言ってくれれば良い」
2191 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 17:10:46.96 ID:uzkSiPWxP
娼婦「い、いえそんな事は……!」
魔王「遠慮する必要も気を必要も無い……と言っても」
魔王「流石に無理だろうとは思う、が……」
娼婦「はい……あ、いえ、その……」
魔王「お前は……幾つだ?」
娼婦「あ……!す、すみません、私ったら……!」
魔王「ん?」
娼婦「名も名乗らず……あの、娼婦、と申します。歳は……19です」
魔王「そうか。見た目よりは幼く見えるな」
娼婦「私は……13の歳になっても魔力の発現が見られず」
娼婦「……それで、ここに。多分、今ここに居る劣等種の中では」
娼婦「最年長だと思います。だから、あの……」
娼婦「……」
魔王「どうした。遠慮する必要は無いと言ったはずだ」
娼婦「お言葉に甘えて……どうして、私をお召しに?」
魔王「……随分、失礼な言い方をしてしまったんだが」
娼婦「いえ、あの……一番人気の無い者を、とは……管理人様にお聞きしました」
娼婦「私は……歳も歳ですし。本当に、人気なんてありませんから」
魔王「さっき、少女から……まあ、色々と聞いたんだが」
娼婦「はい?」
魔王「幼い者の方が、人気があるとか何とかな」
娼婦「……そうですね」
魔王「そんな理由で……お前は人気が無い、と?」
娼婦「一理はあります……が、私はここに、長くいますので」
娼婦「使い古された道具は……後は廃棄を待つだけです」
魔王「……人は。命あるものは道具などではない」
娼婦「少年様……」
魔王「魔導将軍の紹介と言うのは聞いているのだろう」
娼婦「あ、はい……」
2201 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 17:19:20.16 ID:uzkSiPWxP
魔王「……魔導将軍の相手をした事はあるか?」
娼婦「……」
魔王「すまん。その辺は答えられんか」
娼婦「……報告義務が、あるのです」
魔王「報告義務?」
娼婦「はい。どんな会話をしたか……覚えている範囲で、ですが」
魔王「……ふむ」
娼婦「その後の会話と食い違うと、嘘をついたと……罰せられますし」
娼婦「ある程度の好みを把握できれば……」
魔王「成る程。次にもっと良い相手を紹介できる、か」
娼婦「はい」
魔王「……こうして、私と話だけをしていたと報告すると怒られるか?」
娼婦「どうでしょう……食い違う事がなければ、何も言われないとは思いますが」
娼婦「内容については……多分、事細かく聞かれるかと」
魔王「ふむ。甘い物は好きか?」
娼婦「はい……?ええ、まあ」
魔王「私はフランボワーズが大好きでな」
魔王「次に来る時は、用意しておいてくれるとありがたい」
娼婦「は、はあ……それは構いませんが……」
魔王「それから、私は料理も好きでな」
娼婦「??」
魔王「こうやって料理の蘊蓄を語り出すと、二時間等あっという間なのだ」
娼婦「あ……!」
魔王「お前、料理は?」
娼婦「あ……あの、恥ずかしながら……その、あまり経験が無く……」
魔王「ふむ。では私の、マニアックな知識の話はちんぷんかんぷんだな」
娼婦「……」クスクス
2211 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 17:28:33.41 ID:uzkSiPWxP
魔王「これは、一番大事な事だ」
魔王「……秘密は守れるか?」
娼婦「そ、れは……どういう…?」
魔王「イエスかノーで答えてくれるとありがたい」
娼婦「……ノーを言う権利は、ありませんから」
魔王「良いだろう……では、もう一つ質問を」
魔王「……逃げ出したいと思うか?」
娼婦「……え?」
魔王「例え話だ……もし、こう言う場所から逃げ出した者達が居たとして」
魔王「そういう場所に……お前も行きたいと思うか?」
娼婦「……叶う筈がありません」
魔王「それは、何故?」
娼婦「少し前に……そういう人達が居たと聞きました」
魔王(盗賊達の事……か?)
娼婦「ですが、全て捕らえられ……処分された、と聞いています」
魔王「……」
娼婦「首謀者は……とあるエルフの若者だったと」
魔王「!」
娼婦「優れた加護を持っている事実を盾に、一族の娘に婚姻を申し込んだら」
娼婦「断られ、腹いせに劣等種を逃がし……」
魔王(……盗賊に聞いた話と違うな。しかし……)
娼婦「そして……魔導将軍に捕らえられ、そのまま殺された、と」
魔王(希望を与えないため、一族の名誉を守るため……)
魔王(事実は……隠した、と考えるのが妥当、か?)
娼婦「あの事件があって、魔導将軍は一気に名声を上げられました」
魔王「うん……?」
娼婦「優れた加護を持ち、人寄りも身軽だとされるエルフを易々と捕らえ」
娼婦「……倒してしまったのですから」
2221 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 17:35:53.41 ID:uzkSiPWxP
魔王「それは……何時ぐらいの事だ?」
娼婦「はっきりとは覚えていませんが……一年以上は前だったと思います」
魔王「そうか……」
娼婦「ですから……無理です。それに……」
魔王「それに?」
娼婦「多分、この大会が終わったら私は……この娼館を去る事になると思います」
魔王「……何故だ?」
娼婦「もう、19ですから……それに」
魔王「人気も無い……からか?」
娼婦「はい」
魔王「……去って、何処へ行く?」
娼婦「ただ同然の値で、闇の奴隷市で売り出されるでしょう」
魔王「買い手が付かなければ?」
娼婦「……処分されるだけです」
魔王「嫌では……無いのか?」
娼婦「……そりゃ、死にたくはありません」
娼婦「死にたいと思った時もありましたが……そういうのは通り越しました」
娼婦「ずっとここに居れば、最低限の食事と寝床、それに衣服等は与えられます」
娼婦「みすぼらしい格好の侭、お客様の前に出る訳にはいきませんからね」
魔王「……」
娼婦「逃げたってどうなるんです……失敗すれば、殺されるだけ」
娼婦「人以下の酷い扱いを受けても、ここに居れば……生きてはいられる」
娼婦「今更、自由を与えられても困ります。どうすれば良いかなんて……解らない」
223名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 17:37:55.35 ID:eLzx/Uxx0
随分難しくなってきたな
期待
2241 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 17:41:45.79 ID:uzkSiPWxP
娼婦「ここに居れば、失礼さえしなければ。従順にしていれば」
娼婦「生きていられる。無理にされる苦痛も、痛めつけられる恐怖も」
娼婦「……慣れてしまえば、どうってことはありません」
魔王「しかし……お前は」
娼婦「はい……まだ決定ではありませんけど」
娼婦「だけど……それも運命なんでしょう」
娼婦「ここを……劣等種、奴隷……と、言う……庇護を」
娼婦「奪われ、自由を与えられる方が」
魔王「……恐ろしい、か?」
娼婦「はい」
魔王(……間違えて居ないとは言わない。言わない……が)
魔王(懸念していた通り……と言わざるを得ないな。しかし……)
魔王「もし、その逃げ出した者達が……生きて、自由の中で暮らしているとしたら?」
娼婦「ありえません……魔導将軍に、敵う筈が……」
魔王「もし、だ。仮定して……の話だ」
魔王「お前は、それでも……そこへ行きたいと思わないか」
娼婦「……」
魔王「……」
娼婦「期待は、したくないのです」
魔王「……そうか」
娼婦「期待して、裏切られるのは……懲り懲りです」
魔王「そう、か……」
225禁書・デ・ライオン【第四位】7段 ◆o8T3jH17gc :2013/04/06(土) 17:45:23.98 ID:X0joRJ/d0
エロと萌えまだか
下半身が寒い
2261 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 17:51:31.05 ID:uzkSiPWxP
娼婦「……申し訳ありません。お言葉に甘えすぎました」
魔王「いや、何も気にする事は無い」
娼婦「今日は……ケーキとお料理のお話でしたのにね」
魔王「そんな話しかしてないさ……私達は」
娼婦「……少年様」
魔王「ん?」
娼婦「自由は、私達にとって……不自由なんです」
魔王「……」
娼婦「不自由と言う名の自由が、幸せなんです」
娼婦「きっと……ここに生きる劣等種達の殆どが、そう思っていると思います」
魔王「そうか……ありがとう。有意義な時間だった」
娼婦「私もです……まだ、お時間残っておられますが?」
魔王「連れとの約束があってな……今日は、失礼する」
魔王「すまないが……管理人を呼んで貰えるか?」
娼婦「はい……では失礼致します」
魔王「……娼婦」
娼婦「はい? ……大丈夫です。フランボワーズと、お料理ですね」
魔王「ああ、それはそうなんだが、そうじゃ無くて」
娼婦「?」
魔王「時間が許せばまた来る」
娼婦「……期待せずに、お待ちしています」パタン
魔王(根深い……余りにも)
魔王(盗賊には……言えないな。少なくとも今は)
魔王(……肝心の魔導将軍の話はあまり聞けなかったな)
魔王(少女よりかは……聞き出しやすい気はするが)
2271 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 17:52:26.50 ID:uzkSiPWxP
>>225
はいてくれ風邪引くからwww
あんまり期待しないで貰えると助かるんだが……
228名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 17:56:41.96 ID:AAhOw1JI0
>>225
あんまりスコーン困らせんなよ!
2291 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 18:00:28.33 ID:uzkSiPWxP
魔王(しかし……魔導将軍に関しては)
魔王(嗅ぎ回る訳には……いかないな)
魔王(どちらにしても、大会が終わるまで……お互いに、無茶な事はできん)
魔王(この時間なら……まだ姫達は図書館にいるだろうか)
魔王(……間に合えば良いが)
魔王(遠見すれば確実なんだが……魔導将軍に悟られる訳にはいかんしな)

コンコン

魔王「開いているぞ」
管理人「まだお時間がありますが……何か、あの物に不備でも?」
魔王「いや、私が約束があってな……大変有意義な時間だった」
管理人「……あの物で、ですか?」
魔王「勿論だ……次回来る時には、約束の物を用意しておいてくれと」
魔王「娼婦に伝えておいてくれ」
管理人「は!?次回もあの物をご指名で!?」
魔王「そのつもりだが?」
管理人「そ、そうですか!それは……いえ、その。気に入って頂き……」
管理人「私としても、嬉しい限りです……はい」
魔王「ああ……金はここに置いておくぞ?」
管理人「あ!はい……いち、に……はい、確かに!」
管理人「門の所までお送りを……!」
魔王「ああ、構わんから……ここで」
魔王(甲高い声で耳元でぎゃあぎゃあとおべっかを使われるのは御免だ……)
2301 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 18:06:50.65 ID:uzkSiPWxP
管理人「は、は……ありがとうございました!少年様!」
魔王(やれやれ……何だかどっと疲れたな)スタスタ

……
………
…………

姫(……これも、知ってる話ばかり)ペラ
姫(やっぱり……森から出たエルフがもたらした知識、何だろうけど)
姫(あんまり……詳しくは記されて居ないわね)
姫(そりゃあそう、か……秘密なんかをそう簡単に)
姫(文献になんて残さないわよね……)
姫(当たり障りの無い事、ばかり……でも)
姫(エルフの森の道は……閉ざされた)
姫(森は……滅びの道を選んだ)
姫(長は、もう……居ない。産まれない)
姫(私は、この子を産んだら……!)

ガチャ……ギィイイ

姫(……? 誰か来たのね……盗賊かしら?)
2311 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/06(土) 18:08:18.23 ID:uzkSiPWxP
お風呂ー!
と、晩ご飯!

夜来れたら又!
232名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 18:09:30.31 ID:n6VJFdFb0
焦らしすぎwww
233 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/06(土) 19:44:35.05 ID:BHspumx+0
1はいつでも焦らしプレイ
234名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 19:50:26.54 ID:MagqfnW60
焦らしBBA
235名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 20:41:03.25 ID:xAMKBtL/P
アラビアンナイト系BBA…
236禁書・デ・ライオン【第四位】7段 ◆o8T3jH17gc :2013/04/06(土) 20:43:49.13 ID:X0joRJ/d0
下半身が寒い
《(;´Д`)》ブルブル
は、はやくしてー
237 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/06(土) 22:28:57.61 ID:LpiptzrI0
保守
238名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 22:33:44.89 ID:V02RjSPR0
この1ワンパターンであんまり面白くないよね
239名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 22:35:24.76 ID:AAhOw1JI0
わざわざ言いにくるツンデレがいるなんて流石スコーン
240名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 22:59:53.60 ID:OJmz92rF0
ほしゅ
241名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 23:09:09.29 ID:hrZ4uOCh0
やっとおいついたー!!

3部作の時からずっと大学生ぐらいの青年だと思ってたまさかBB(ryおねーさまだとは

あと前のスレの「ようじょ茹で上がったーーー!!」で(*´ω`*)←みたいになった
242名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 00:16:15.11 ID:X9h0mKT50
スコーンはやくー
243名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 05:30:33.97 ID:OpoHa4qR0
むう 面白い 続きが気になるスコーン
2441 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 09:51:28.29 ID:PF1U2bDSP
おはようー
スコーンばっか食ってないんだけどwww
245禁書・デ・ライオン【第四位】7段 ◆o8T3jH17gc :2013/04/07(日) 10:00:09.90 ID:WrnMSpkw0
さ、さむい
246名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 10:19:08.14 ID:2RBe1BIe0
おはよースコーン
247名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 10:26:57.56 ID:EpJrW6k90
もう、コテをスコーンにしたら?w
248名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 10:27:15.53 ID:GFQzQMKE0
>>245
俺のパンツでよろしければ//
2491 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 10:32:02.66 ID:PF1U2bDSP
コツ……コツ……

姫(……まっすぐこっちに向かってる?)
姫(と、すると……)
姫「少年?」
魔導将軍「成る程。確かに美しい娘だな」
姫「!」
姫(少年じゃ……無い……誰?)
姫(それに、この人……!)
魔導将軍「そう警戒した顔をしなくても良い。こんな場所で危害を加える気等は無い」
姫「……そうね。確かに殺気は感じない……貴方、どなた?」
魔導将軍「ほう。そんな事が解るのか?」
姫「質問はこっちが先よ」
魔導将軍「失礼……私は魔導将軍」
姫「……貴方が」
2501 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 10:33:00.71 ID:PF1U2bDSP
>>247
考えたけど、それwww
でもスコーンBBAはいやだあああああwww
251名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 10:33:06.70 ID:mF1QSnKB0
>>1マダー?
2521 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 10:48:46.56 ID:PF1U2bDSP
魔導将軍「今度は君が答えて貰えるかな」
姫「……貴方だって、殺気があるかないか。それぐらい解るでしょう?」
魔導将軍「歴戦の戦士であれば、そうだろうな。だが、君は?」
姫「……」
魔導将軍「まあ、良い……少年を待っていたのか?」
姫「……貴方に、何か関係あるかしら?」
魔導将軍「そう敵意をむき出しにするな。別に危害を加える気は無いと」
魔導将軍「言った筈だが?」
姫「……」
魔導将軍「まあ、大方……劣等種の生き残りから」
魔導将軍「下らない事を吹き込まれたのだろが……」
姫「!」
魔導将軍「図星か」クック
姫(……しまった!?)
魔導将軍「怒った様なその顔も美しいが……個人的には」
魔導将軍「苦痛と恥辱に満ちた顔の方が好みだな」グイッ
姫「きゃ……ッ」
魔導将軍「……よく似てる」
姫「離して!」
2531 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 10:56:19.77 ID:PF1U2bDSP
魔導将軍「エルフと言うのは皆……お前やあの男の様に」
魔導将軍「美しいのか?」
姫「離して、ってば!」バッ
魔導将軍「……あの小娘は?」
姫「何の事よ……」キッ
魔導将軍「……まあ、良い。娘よ、覚えておくんだな」
魔導将軍「ここは、魔導の街……私の目は至る所にあるのだと」
姫「……どうして、貴方が……貴方みたいな人が」
姫「この街の……人間の中に、居るの」
魔導将軍「どういう意味だ?」
姫「貴方……人間じゃ無いじゃない!」
魔導将軍「余り大きな声でそんな事を言わないで貰いたいな」
魔導将軍「私の……気が変わってしまうかもしれないぞ?」
姫「……ッ」ゾクッ
姫(殺気……違う、愉悦……!)
姫(余計な事を言うと……殺すとでも言いたいの……)
姫(でも……ッ)
2541 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 11:02:11.34 ID:PF1U2bDSP
姫「お……脅しても、無駄よ?」
魔導将軍「何故そう言い切れる」
姫「……この街で信頼厚い、魔導将軍が」
姫「こんな所で……ただの旅人の私に……何をできると言うの」
魔導将軍「今日、今ここでと誰が言った?」
姫「……そうね。でも大会が終わる迄」
姫「出場予定者が不慮の事故、なんて……!」
魔導将軍「この街での私は信頼厚いのだろう?」
魔導将軍「誰がどう、私を疑う……」
姫「……!」
魔導将軍「例えば……そうだな。不慮の事故で」
魔導将軍「大会中に、お前を殺してしまっても」
姫「……そんな事したら!」
魔導将軍「黙らせられないほどの力しか無いと思うのか?」
魔導将軍「……良く解るのでは無いのか?その、エルフの力で」
姫「……私を、殺す、気?」
魔導将軍「そんな事をすれば、あいつは黙って居ないだろうなぁ?」
姫「……あいつ?」
2551 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 11:12:32.54 ID:PF1U2bDSP
魔導将軍「少年、と名乗っている……お前の夫だろう?」
姫「……」
魔導将軍「解っているのか?あいつが何者なのか」
魔導将軍「わかって共に居るのか?」
姫「貴方に関係無いでしょう?他人の色恋沙汰にそんなに興味があるの?」
魔導将軍「城に連れ帰られ、世継ぎを設けられる訳にはいかないからな」
姫「……城?世継ぎ……?」
姫(それなりの……地位のある魔族なのかしら)
姫(まあ、あれだけの力を持っていれば……頷けるけど)
魔導将軍「何だ……お前、知らないのか?」
姫「彼が……人でないから何だって言うの」
魔導将軍「そうか……知らないのか」クックック
姫「何なのよ!」
魔導将軍「良いだろう、教えてやろう。あいつは魔王だ」
姫「……は?」
魔導将軍「日がな一日、のんびりと怠惰に過ごすだけの能なしのな」
魔導将軍「女連れで旅行など……何のカモフラージュかと思ったが」
姫「ま、おう……少年が?」
魔導将軍「……考えすぎだったかもな。お前に、己が正体すら教えていないとは」
2561 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 11:21:29.16 ID:PF1U2bDSP
姫「魔王……魔族の、王……?」
魔導将軍「まあ良い。準備は……整った」
姫「……?」
魔導将軍「後は……」

ギィィ……バタン

魔導将軍「……ち、あいつか」
姫(この気配は……少年……ッ)
姫「少年!こっち……!」
魔導将軍「………」

タタタ……

魔王「姫、どこだ…… ……!」
魔王「……大丈夫か?」
姫「……」ギュ
魔王「姫? ……魔導将軍。こんな場所で私の妻に何か用かな」
魔導将軍「少々聞きたい事がありましてね。それより、娼館はどうでした?」
魔導将軍「好みの娘は居ましたか、魔王様?」
魔王「!」チラ
姫「……」フイッ
魔王(ふむ……ばれたか。仕方ないな)
魔王「……まあ、そうだな。お前は相変わらず、良い趣味をしているな」
魔導将軍「少女にあいましたか……あれは良い女でしょう」
2571 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 11:33:41.45 ID:PF1U2bDSP
魔導将軍「きっと良い声で鳴く……あの綺麗な顔が」
魔導将軍「苦痛に歪む所を想像すると……たまりませんな」
魔王「理解できない嗜好だ」
魔導将軍「そうですか?……その娘も相当な上物だと思いますがね?」
魔王「お前と一緒にするな。私はお前程悪趣味じゃない」
魔導将軍「……妻を置いて、娼館に赴くのが悪趣味で無いと?」
魔王「ふむ……そう言われると否定はできんな」
魔導将軍「はっはっは!貴方は本当に……!」
魔導将軍「……本当に、どうして貴方が……貴方等が王なんだ!」キッ
魔王「そんな事言われてもな」
魔導将軍「魔王様。貴方は……王に相応しく無い」
魔導将軍「大会が終われば、私は軍を率いて城に攻め入る」
姫「……軍!?」
魔王(私設軍隊……と言うのは本当だったのか)
魔導将軍「この街の人間共は、確かに屑だ。腐っている」
魔導将軍「下らない血に拘り、力の弱い者は淘汰される」
魔王「……」
魔導将軍「だが、それで良い……世界は弱肉強食で無ければならん」
2581 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 11:42:44.03 ID:PF1U2bDSP
魔王「この街の人達を戦争の道具にする気か……それで、城が落ちると」
魔王「本当に思っているのか?」
魔導将軍「ここだけだと……私だけだとお思いか?」
魔王「さぁな。その辺は側近に任せっきりだからな」
魔導将軍「フン。前魔王の腰巾着か……思えば、あの男が来てからだ」
魔導将軍「不干渉と言う名の平和に、何の価値がある」
魔導将軍「争いがなければ、この世界は……世界そのものは腐敗の道を辿るだけだ!」
魔王「阿呆かお前は。争いばかりしていて何が生まれるんだ。生あるものの命を」
魔王「無駄に奪い、戦火に街や自然を焼け落とされ、何が残る?」
魔導将軍「混沌だ!」
魔王「は?」
魔導将軍「……貴方も魔族だろう。血をみたく無いのか!」
魔導将軍「弱き者が強き者に蹂躙される様は美しいだろう!」
魔王「だから私は、お前の様に悪趣味では無いと言っただろう」
魔導将軍「……城を開けた事を後悔するが良い」
魔王「……はいそうですか、とそんな事を私が許すと思うか?」
魔導将軍「腑抜けの魔王に何ができる」
魔王「……」
魔導将軍「返事も出来ないか……まあ良い。娘」
姫「な……何よ」
魔導将軍「大会で私はお前を殺そう。覚悟しておくが良い」
姫「な……!?」
259名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 11:43:05.35 ID:2RBe1BIe0
>>250 もしかして:手遅れ
2601 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 11:48:47.31 ID:PF1U2bDSP
魔導将軍「棄権は許さんぞ……私の目がある事を」
魔導将軍「ゆめゆめ、忘れるな」
姫「……ッ そんな簡単に、殺されてたまるもんですか!」
魔王「姫! ……挑発に乗るんじゃ無い」
姫「……ッ」
魔導将軍「愛した女が目の前で八つ裂きにされる様を見たくは無いだろう?」
魔導将軍「あの紅い椅子を譲るなら今のうちだ、魔王様」
魔王「残念だが断る……あれは私の椅子なのでな」
魔導将軍「お前は本当に愚かな王だ……後戻りは出来んぞ……!」

カチャ……スタッタタタ……

魔導将軍「!?」
姫「あ……ッ」
盗賊「やっぱここか、へへ、窓から入って正か……!!」
盗賊「ま……魔導将軍……!?」
魔王(……またタイミングの悪い)
2611 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 12:04:25.65 ID:PF1U2bDSP
お昼ご飯のじゅんびーぃ
2621 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 12:19:55.95 ID:PF1U2bDSP
魔導将軍「……猿かと思えば。劣等種の生き残り……か」
盗賊「な、な……ッ んで、お前が、ここ……、に……ッ」
姫「大丈夫だから……落ち着いて、ね?」
魔王「……魔導将軍」
魔導将軍「命拾いしたな、小娘」クルッ ……スタスタ
盗賊「な……ッ なんで、お前達、あいつと……ッ」
姫「し……! とにかく、出ましょう」
魔王「ああ……しかしなんで窓から……」
姫「そんなの後! ……盗賊、立てるわね?」
盗賊「あ、ああ……でも、なんで……!」
姫「気になるのは解るけど、後だってば!」
盗賊「……」
姫「盗賊、来た時と同じ窓から出て。私達は玄関から出ましょう」
魔王「そうだな……約束通りあそこで待ち合わせで良いか?」
姫「……いえ。出来れば避けたい」
魔王「何故だ……と、説明は後、か。しかし……」
盗賊「港に、大きな船が止まってる」
魔王「船?」
盗賊「……船長が帰ってきたんだ」
姫「島へ行くかはともかくとして、乗せて貰いましょう」
姫「……少年」
魔王「何だ」
姫「……いえ。行きましょう」
盗賊「少年と姫って伝えてある。俺は先に……乗ってるぜ」タタタ……ヒラリ
2631 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 12:35:27.41 ID:PF1U2bDSP
魔王「……姫」スタスタ
姫「何?」スタスタ
魔王「……あー、その。怒ってる?」
姫「何に対してどう怒れば良いのかしら」
魔王(……凄く怒ってる、のかなぁ)
姫「……正体を隠してた事は、後でちゃんと説明してくれるんでしょ?」
魔王「まあ、こうなってしまった以上……と、シィ……」
司書「お帰りですか? ……ご利用、ありがとうございました」
姫「ええ……ありがとう」

キィ、バタン……

姫「……魔導将軍とは、知り合いなのね」
魔王「まあ……私は魔王だからな」
姫「その辺はゆっくり聞くわ……何だか、複雑な事情がありそうだし」
魔王「ああ……すまん」
魔王「後……その」
姫「娼館に言った話?」
魔王「……まあ」
姫「それは怒るところじゃないでしょ……別に、本当の夫婦じゃないんだし」
魔王「……何もしてないぞ」
姫「人の話聞いてる?」
魔王「いや……女性には気分の良い話じゃないだろうしな」
姫「……情報でも集めに行ったんでしょ」
魔王「良くおわかりで」
姫「貴方しか入れない場所だしね……あ、大きな船ってアレかしら」
2641 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 12:41:16.24 ID:PF1U2bDSP
ピザやけたーぁ。
お昼食べてきまーす。
265名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 12:48:56.47 ID:BDwcwde4O
僕にもスコーンピザおなしゃす
266名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 12:51:57.83 ID:WLpRIWZRP
それはピザと思いきやワッフルではないか?!
267禁書・デ・ライオン【第四位】7段 ◆o8T3jH17gc :2013/04/07(日) 12:59:51.33 ID:WrnMSpkw0
寒いよー
268名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 13:13:21.55 ID:2RBe1BIe0
わっふるわっふるー
269名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 13:16:30.74 ID:Jmknou+e0
え?スコーン焼いたらワッフルでピザができて幼女が茹で上がったって?
つづきはよ!
2701 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 13:44:54.21 ID:PF1U2bDSP
もう無茶苦茶だなwww
バイトまでもう少しー!
2711 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 13:54:08.13 ID:PF1U2bDSP
魔王「あれが……?普通の商船にしか見えないが」
姫「誰か居るわ……聞いてみましょ」スタスタ
姫「あの……」
船長「おう! ……少年と、姫だな?」
魔王「本当に……この船なのか」
船長「何だ。あんまりに立派で驚いたか!」ハハハ!
魔王「いや……まあ。普通の船にしか見えないから」
船長「堂々と着岸できると思うか?」
姫「ご尤もね……で、私達を乗せて貰って良いのかしら?」
船長「おう。美人は大歓迎だぜ」
魔王「……私は歓迎されないのか」
船長「男はナァ……と言いたいが」
船長「盗賊の頼みじゃしょーがねぇ。歓迎してやるよ」
魔王「そりゃ、どうも」
船長「そんな面すんな。冗談だよ……聞けば……助けてくれるらしいじゃネェか」
船長「ま、詳しい話は後だ……乗りな。取りあえず出港する」
魔王「ああ……姫、手を」
姫「ええ……」
船長「美男美女の組み合わせ……ね。ケッ」
船長「テメェらー!出港すんぞー!」

アイアイサー!
2721 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 14:08:05.00 ID:PF1U2bDSP
魔王「船長……盗賊は?」
船長「あー……」
姫「?」
船長「船室に飛び込むなり、出てこネェんだな」
魔王「……そうか」
姫「今はそっとしておいた方が良いかしらね……」
魔王「そう……だな」
船長「さて、取りあえずここから離れるぞ」
魔王「島まで行くのか?」
船長「真っ直ぐ進む訳にはいかないからな。いきなりはいかねぇよ」
姫「海、荒れてる様には見えないけど……」
魔王「後をつけられると困るからだろう」
姫「あ……そうか」
船長「そういう事。あの島が見つかっちまえば……今度こそ、皆殺しだ」
魔王「どこに向かうんだ?」
船長「あんたら次第なんだけどな」
姫「え?」
船長「魔導将軍に目をつけられたらしいじゃネェか……」
魔王「この船……監視されてるのか?」
姫「魔導将軍、言ってたわ……私の目があることを忘れるな、って」
2731 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 14:14:50.34 ID:PF1U2bDSP
船長「スパイが潜り込んでるとすれば、お前達以外には居ないけどな」
魔王「!」
姫「船長!?」
船長「……知り合いだったんだってな?お前さん」
魔王「魔導将軍か……ああ。そうだな」
船長「盗賊を騙してたのか?」
魔王「……ふむ。成る程な……確かに、そう勘違いされても不思議では無い」
姫「少年!」
船長「何が目的だ?」チャキ……ス
魔王「物騒な物は仕舞って貰えるとありがたいんだがな……」
姫「船長!やめて……私達は、そんなんじゃないわ!」
魔王「誓おう。私達は……スパイ等では無い」
姫「そうよ!剣を下ろして!」
船長「口で言うのは簡単だ……証拠はあるのか?」
魔王「とりあえず話を聞いてくれないか。それから判断すれば良い」
魔王「信じられなければ、私を殺せば良い」
姫「少年!」
魔王「大丈夫だ、姫」
船長「……」
2741 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 14:21:17.75 ID:PF1U2bDSP
魔王「盗賊を呼んできてくれないか」
船長「……取りあえず街から離れる。俺は舵をとらなきゃいけねぇ」
船長「話はそれからだ……案内させる。船室に居ろ……おい!」
魔王「……ありがとう」
姫「……」
海賊「おい、こっちだ」スタスタ

……
………
…………

バタン!カチャ

魔王「……事実上、軟禁だな。内側からじゃ開かなくなってる」
姫「外には見張り……ね」
魔王「まあ……話して信じて貰えることを祈るしかないな」
姫「……ねぇ」
魔王「そんな……不安そうな顔をするな。大丈夫だ……お前は、私が守るよ」
姫「ありがとう……でも、そうじゃ無くて、ね?」
魔王「ん?」
姫「今の内に……説明してちょうだい」
魔王「ああ……そうだな。丁度良い時間が出来た」
姫「楽観的ね……」
魔王「正直そう、悲観する状況では無いんだよ。私にとっては、だが」
2751 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 14:26:59.78 ID:PF1U2bDSP
姫「……そうなの?」
魔王「ああ。扉の鍵なんて私には意味が無いし。ここが海の上だろうと」
魔王「お前を連れて、私なら何処にでも行ける……そんな事はしないがな」
姫「ますます疑われるだけね」
魔王「どころか……流石に、気を張っているだろうからな」
姫「え?」
魔王「魔導将軍さ……私の気配を察しただろう、図書館で」
姫「あ……!そうだわ、あの時、なんで……」
魔王「まあ、わざとと言えばわざとだ。私も魔導将軍の気を追っていたし」
姫「それで私にも解ったのね」
魔王「ああ……向こうも察すれば、下手には動けないと思ったんだが……」
魔王「随分と挑発していたみたいだったから……ひやひやしたさ」
姫「……ごめんなさい」
魔王「無事だったなら良い……しかし」
姫「あの人、魔族なのね」
魔王「そうだ。魔王軍の中の魔導部隊隊長だ」
姫「……そして、貴方は……魔物の、王」
魔王「……ああ」
姫「記憶喪失、て言うのも嘘なのね?」
魔王「すまん」
姫「あの時……エルフの森の傍で本当は何をしていたの?」
姫「……何をしようと、していたの?」
2761 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 14:39:32.74 ID:PF1U2bDSP
魔王「ふむ。順を追って説明しよう……疑問があれば都度聞いてくれ」
魔王「まず……私は、魔王。名の通り魔を統べる王だ」
魔王「魔王は世襲制なんだ。エルフと似ているな」
姫「魔王の子供が必ず次の魔王になるのね」
魔王「そうだ。そして魔王は必ず世に一人しか存在しない」
姫「……魔王が死ぬ迄力は受け継がれない、と言う事?」
魔王「うーん、うん。まあそうなんだが」
魔王「正確には、魔王の子供が魔王をその手で殺して初めて」
魔王「力が受け継がれる、だな」
姫「……親殺しが世代交代の証?」
魔王「そうだ……そしてこれは、前魔王に近い地位に居た者しか知り得ない」
魔王「要は……そうだな。これまた説明がややこしいが」
魔王「今のところ、穏健派と呼ばれている、親父の代からの古参の魔族の一部と」
魔王「側近、それから実子である私だ」
姫「……穏健派」
魔王「ああ。今のこの状態……人も魔も、基本的には不干渉な状態で」
魔王「支配されるもされないも無い、これと言った争いも無い状態を」
魔王「良しとしている者達、だ」
2771 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 14:45:36.85 ID:PF1U2bDSP
姫「じゃあ……魔導将軍達は……」
魔王「過激派、だな。争いを好み、人を支配する事を望んでいる……んだろうな」
姫「だろう、って……推測なの?」
魔王「とりあえずの矛先は私だそうなのでな」
姫「……言ってたわね。『紅い椅子を寄越せ?』」
魔王「玉座の間の椅子の事だろう。要するに……あいつは自分が王になりたいのさ」
魔王「話してて良く解っただろう?あいつは……まあ、あいつだけじゃ無いが」
魔王「人と変わらぬ姿を持って居ても、魔は魔……血の気の多い奴は多い」
魔王「そして自分の方が。魔族こそが……何よりも優れていると驕っているのさ」
姫「……魔導の街の人達と気が合う訳ね」
魔王「そうだな……そして、頭に血が上ると理性を無くしやすい」
魔王「知能は高い筈なのにな……愚かなもんだ」
姫「……じゃあ、大会で私を殺すと言ったのは」
魔王「本気だろうな。どうにでもなると思っているのだろうし」
魔王「……まあ、大会までは身動きが取れないと暴露したみたいなもんでもある」
魔王「本当に、そういう所は抜けてる」
姫「攻め込む、て話も……?」
魔王「すぐにでは無いだろうがな。あの街の人々をけしかけて」
魔王「戦争でも始めるつもりなのか……」
姫「そんな!」
2781 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 14:51:52.89 ID:PF1U2bDSP
魔王「言ってただろう?『私だけと思うか』だとか何とか」
姫「あ……そうか。他にも……」
魔王「ああ。私の椅子を狙うのはあいつだけでは無い」
魔王「私を引きずり下ろした所で、後は結局魔族同士の殺し合いになる」
魔王「そうして手に入れたたかだか椅子に、何の価値があるんだか」
姫「……でも」
魔王「ん?」
姫「それを知っていたのなら、どうして貴方は城を離れたの」
魔王「まあ、偵察と言えば聞こえは良いだろうかなぁ……」
姫「……魔王自ら?」
魔王「過激派の奴らは、私が……親父を殺した事などしらんからな」
魔王「私の力なんて、知らない……舐められているのさ」
姫「だからって……」
魔王「まあ、それは追々。ともかく、適当に南へ転移しようとして」
魔王「着いた場所で、お前と会った。まさか誰か居るとも」
魔王「……あそこが、エルフの森の近くだとも思わなかったんだ」
魔王「外に出るのは初めてだったんだ……私の知識は全て紙上の物でしか無い」
魔王「……咄嗟に嘘を吐いたのは、すまなかった」
姫「いえ……まあ、でも……あそこで、まさか馬鹿正直に魔王だって言われてたら」
姫「私は……今、ここでこうしては居ないわね」
魔王「だろう、な」
2791 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 14:57:00.97 ID:PF1U2bDSP
姫「でも、だとしたら……」
魔王「ん?」
姫「きっと、野垂れ死んでたわ。前にも言った通り」
魔王「……」
姫「結果としては良かったのよ。何だか……妙な事にはなってるけれど」
魔王「まあ、それは否定できないな」
姫「これから……どうするの?」
魔王「あいつを……魔導将軍をこのまま野放しにはしておけないからな」
姫「……」
魔王「勿論、お前を殺させる訳にもいかない」
姫「でも……どうやって」
魔王「そうだな……それは、盗賊達と話すとしよう」
魔王「娼館での話なんだが」
姫「ん……?」
魔王「まあ、懸念したとおりだった。今更自由を与えられても困る、とな」
姫「そう……」
魔王「どうにかしてやりたいとは思うが……」
姫「……」
魔王「それに、あの……知人の話だがな」

コンコン

姫「シッ……」

カチャ

海賊「盗賊と船長が食堂で待ってる。出ろ」
2801 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/07(日) 14:58:45.84 ID:PF1U2bDSP
初出勤いってきます!
281名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 15:06:13.15 ID:nDQfHfN6O
いてらー
282名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 15:09:57.85 ID:POLBw4vR0
続きを楽しみに待ってる!
283禁書・デ・ライオン【第四位】7段 ◆o8T3jH17gc :2013/04/07(日) 16:10:16.49 ID:WrnMSpkw0
寒い
284名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 16:28:30.37 ID:AA+FcQMj0
いてらー!
285名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 18:28:33.39 ID:EpJrW6k90
いてらーって、仕事、水系かい?
286名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 22:31:24.91 ID:BBzdjn3T0
今日はもう来ないのかな?
287名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 22:32:22.93 ID:1yJHADDl0
続き楽しみー
288名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 22:38:37.46 ID:y+5l+5eN0
終わりまでずっとついて行きます
289名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 22:47:35.14 ID:ZphSnGO80
さっさと書けや劣等種BBA
290名も無き被検体774号+:2013/04/08(月) 00:06:47.71 ID:EMBKOfQK0
>>289
素敵なBBAの文句はそこまでや
291名も無き被検体774号+:2013/04/08(月) 05:29:17.37 ID:wiQXHDiP0
保守
2921 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 10:00:30.80 ID:CBQOxBPrP
おはよう〜
流石に昨日は疲れて帰るなり寝てもうたorz

仕事は水系じゃないよー
病院の受付的な。
白衣のBBAしてきたぜ!
大学生かと思った!ってお世辞言われてご機嫌良くしてたwww

取りあえず朝ご飯とコーヒー準備して
頑張るよ!
2931 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 10:09:25.93 ID:CBQOxBPrP
魔王「そうか……盗賊の様子は?」
海賊「……」
姫「返事ぐらいしなさいよ」
海賊「……早く出ろ」スタスタ
魔王「良いさ……誤解を解けば良いだけだ」
姫「……そうね」

……
………
…………

船長「おう。どうだった、特別室の居心地は?」
姫「どうみても物置だったわよ」
船長「特別だろ?」
姫「……埃っぽくて狭くて、喉が痛いわ」
盗賊「……姉ちゃん、アンタも知ってたのか?」
姫「何を?」
盗賊「魔導将軍の事だ! ……ッ少年は、知り合いなんだろ!?」
盗賊「あんなにエルフの話を聞きたがったのは……!」
船長「落ち着け、盗賊……まあ、ゆっくり行こうや」
魔王(食堂……成る程な。見た目がでかい訳では無いのか)
魔王(中も広くて……まあ、立派なもんだ)
魔王(こんなご時世……これほどの物を維持できるとなると)
魔王(色々とコネと言うか……パイプがあるのだろうな)
2941 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 10:19:52.09 ID:CBQOxBPrP
船長「少年」
魔王「……なんだ?」
船長「お前さん……信じるに値しない話なら」
船長「殺せば良いと言ってたな」
盗賊「……え?」
魔王「ああ。構わない」
姫「少年!」
魔王「……可能なら、の条件付きだがな」
船長「言うじゃネェか……海の男の力、甘く見るんじゃネェぞ?」
姫「少年……!船長もやめて頂戴!」
姫「……盗賊」
盗賊「何だよ」
姫「どうしてあんなにエルフの話を聞きたがったか……だったわね」
盗賊「……そうだ。知人の事探って、どうするつもりだったんだよ!」
盗賊「魔導将軍は……エルフの住処を探してるんだろう!?」
盗賊「あいつ……あの、サディスト野郎……!」
魔王「……そうなのか?」
盗賊「しらばっくれんな!」
姫「……エルフの森にはもう誰もたどり着けないわ」
盗賊「森?」
船長「……何で、エルフの住処が森だと知っている?」
姫「そこで育ったからよ……盗賊、貴方言ったわよね」
姫「知人と、私がどこか似てるって」
2951 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 10:39:05.95 ID:CBQOxBPrP
盗賊「……姉ちゃん、エルフなのか……? ……ッう、嘘吐くな!」
盗賊「そんな、ゴロゴロ人の世界にエルフなんて……!」
船長「落ち着け、盗賊……お嬢ちゃん、誰もたどり着けないってのは」
船長「どういう事だ?」
姫「森への道は閉ざされた……長を失ったから。エルフの森は、滅びる事を選んだの」
船長「長を……失った?」
姫「そうよ……私は、エルフの長の娘であり次期長」
姫「そして、長を生む者」
盗賊「……な」
姫「知人が言ってたんでしょう」
姫「『新緑の髪に湖の瞳』……」
盗賊「……『雪よりも白い肌に小鳥の様な可憐な声』」
姫「その娘は私よ。私は……ママの顔を知らない」
姫「長を生む者は、子を産んだ後は生きられないと」
姫「……この間、話したでしょう」
魔王「待て、では、お前は……」
姫「……少し待って、少年」
魔王「……」
2961 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 10:45:42.75 ID:CBQOxBPrP
盗賊「なら……姉ちゃんは、知人を知ってるのか……?」
姫「何時森を出たのか知らないけれど、多分知らないでしょうね」
姫「私、もう100年程生きているもの」
船長「……にわかには信じられネェ話だと思わないか?」
姫「そうね。だけど……私は嘘を吐くことは出来ない」
姫「エルフが嘘を吐けば、その嘘は本当になってしまう」
姫「……だから、嘘はつけないの」
魔王「……姫、ではお前は……」
姫「待ってってば、少年……隠すつもりじゃ無かったのよ」
姫「……貴方に言う必要は無いかと思っていたの」
船長「何の話だ?」
魔王「……姫?」
姫「……」ハァ
姫「私のお腹には子供が居るのよ」
姫「……長の血を引く子。だから」
魔王「生んだ後は生きられない、のか」
姫「そうね……まあ、未知数だけど」
盗賊「未知数……?」
姫「父親は……人間なの」
2971 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 10:55:02.09 ID:CBQOxBPrP
盗賊「……少年、お前……知らなかったのか!?」
盗賊「お前達、夫婦なんだろう!?」
魔王「あー……いや、その」
姫「父親は少年じゃ無いわ。ある日、森の中に迷い込んできた……人の旅人よ」
船長「エルフの森に迷い込んだのか」
姫「そう。森は……心清き者は迷い迷って外に」
船長「……心悪しき者は出られずに死ぬ、んだな」
盗賊「船長……?」
姫「……疲れ切って倒れた彼を保護したのは私。そして……」
盗賊「……どうして、人だと解るんだ?」
姫「エルフの長の特権よ。感じる力……最初にあった時」
姫「言ったわよね。貴方の加護の力は酷く弱いと」
盗賊「……!」
姫「エルフは少なからずそういう力を持っているけど……」
姫「長のそれは普通より、強い」
船長「……その男はどうなった?」
姫「死んだわ。雨の夜、エルフの矢に射貫かれて」
盗賊「!」
船長「……殺されたのか」
姫「ええ。私と……婚姻を結ぶ筈だったエルフの若者にね」
2981 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 11:05:24.42 ID:CBQOxBPrP
姫「長……パパは私の妊娠を知って、堕胎を強行しようとしたけど」
姫「私は拒否して逃げ出したの。そしたら、森の外れで少年に出会った」
盗賊「……夫婦じゃ無かったのか!?」
盗賊「でも、あの時……!」
姫「そう。私は……夫婦だと『嘘を吐いた』わ」
魔王「……本当の夫婦になったとしても、子供が私の子になるわけで無いからな」
魔王「構わない……ん、だそうだ。それに、私は姫には」
魔王「指一本触れないと誓った」
盗賊「……お前、なんでエルフの森になんか居たんだよ」
盗賊「やっぱり、あの森を狙って……!」
船長「そう短絡的になるな、盗賊……」
船長「お嬢ちゃん」
姫「何?」
船長「エルフの妊娠期間は、50年程なんだよな?」
姫「ええ。でも……この子は解らない。だから、未知数」
船長「どうするんだ……生んだら死ぬ、んだろう」
姫「……」
船長「もし、だ。本当に夫婦になったとしたって」
船長「……少年は、お前より先に……」
魔王「その心配は無い。私は……私も人ではないからな」
姫「少年……」
魔王「構わん。話してしまう方が良いだろう……もう」
魔王(本当に側近の胃が穴だらけになったらどうしよう)
2991 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 11:08:15.79 ID:CBQOxBPrP
ちょっと自転車買いに行ってくる
300名も無き被検体774号+:2013/04/08(月) 11:11:37.79 ID:XO6HrTqx0
乙!いってらー!
3011 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 12:07:46.46 ID:CBQOxBPrP
盗賊「……は!?まさかお前まで……!!」
魔王「エルフだとか言うんじゃ無いだろうな、か?」
魔王「そんな事は言わん……私は魔族だ」
船長「魔族!?」
魔王「と、言うか……魔王だ」
盗賊「ま……魔王!?」
魔王「そうだ。それから……魔導将軍も、な」
船長「……仲間か?」
魔王「種族で言えば……そうだな。部下という方が正しい」
盗賊「て、めえええええ!!」ガシッ
魔王「……ッ」
盗賊「やっぱり……やっぱり、仲間だったのかよ!お前……!」
姫「やめて頂戴、盗賊!」
船長「盗賊!やめろ!」
盗賊「何だよ!船長は許せるのかよ!こいつ……!!」
船長「……少年の話が本当なら、お前じゃ八つ裂きにされるだけじゃすまん」
盗賊「……ッ」
船長「手を離せ……盗賊!」
盗賊「何でだよ!何で、こんな奴……!」
船長「やめろって言ってんだろ!海に放り出されてぇのか!」
盗賊「……ッ ちッ」パッ……
魔王「……」フゥ
3021 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 12:16:57.04 ID:CBQOxBPrP
船長「お前の話を信じる、として、だ」
魔王「……うん?」
船長「何故、魔王がエルフの森に居たんだ?」
魔王「……信じて貰えるとして、話すが」
魔王「魔王城から転移魔法で飛んだ先があそこだっただけだ」
船長「転移魔法? ……そんなもん、聞いた事ネェぞ」
姫「……私だって聞いた事無いわ。でも……私は、実際に体験した」
船長「体験?」
姫「そうよ。エルフの森から……じゃなきゃ、どうやってここまで来たと思う?」
船長「……」
魔王「私は城から出た事が無かったからな」
魔王「……地図は頭に入っているが、城からともかく南へ、と」
魔王「念じたら……エルフの森の傍に着いた、と言う訳だ」
盗賊「信じられるかよ、そんな話……!」
姫「貴方はエルフを……知人を信じないの?」
盗賊「え?」
姫「エルフは嘘を吐かない。私はエルフよ」
姫「……まあ、それすらも疑われたら、意味が無い話になるけど」
盗賊「……」
3031 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 12:28:32.39 ID:CBQOxBPrP
船長「ふむ……まあ、全て事実だとしても、だ」
船長「少年……お前が、敵じゃ無いと言う証拠にはならないがな」
魔王「まあ、そうだな……取りあえず、話の先を聞く気はあるか?」
船長「……話してみろ」
魔王「魔導将軍……だけ、じゃ無いがまあ」
魔王「魔族と言うのは、多分お前達……大体人が認識している通り」
魔王「血の気の多いものでな。残忍な性格の奴も多い……まあ」
魔王「知能も高く、人と変わらん外見を持っている力の強い奴になれば特に、だ」
船長「まあ、そうだろうな。人寄りも強い力を持てば」
船長「……そうなってしまうのも、解らん話じゃない」
船長「お前だけは違うとでも言いたいのか?」
魔王「……まあ、逸るな」
魔王「姫にはある程度話したが……」
姫「穏健派と過激派の話ね」
船長「派閥があるのか?」
魔王「便宜上そう呼んでるだけだ」
3041 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 12:29:25.01 ID:CBQOxBPrP
お昼ご飯食べて、幼女と公園行ってくるー!
夕方か、夜に!

今日は頑張って起きる!
お、起きたい……www
305名も無き被検体774号+:2013/04/08(月) 14:01:57.42 ID:cuXXItve0
いってらー
306禁書・デ・ライオン【第四位】7段 ◆o8T3jH17gc :2013/04/08(月) 16:12:48.83 ID:8znpdUQ/0
だからエロを・・・
3071 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 17:05:46.60 ID:CBQOxBPrP
ただいま!
しまむら初体験してきたwww

>>306
だから、期待しないでいただければ助かると……
多分、エロは書くとしても本編ではかかんと思うよー
ごめんなー
308:2013/04/08(月) 17:13:35.35 ID:WuicFcSG0
おかえり〜、早くかいて
もうお腹が減り過ぎてやばい
3091 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 17:20:54.03 ID:CBQOxBPrP
魔王「穏健派と呼んでも、別に人との共存を望む訳では無い」
魔王「今のこの状態……不干渉で居る事を望んでいるに過ぎんがな」
船長「お前は、30年程前の戦争は知っているのか?」
魔王「……恥ずかしい話だが、聞いただけに過ぎん」
船長「そうか……まあ、俺もまだ子供だったんでな」
船長「知識としてしってるだけだが……お嬢ちゃんは?」
姫「私はエルフの森に居たから……知らないわ」
盗賊「……知人が」
魔王「ん?」
盗賊「知人が、言ってた。魔導の街の私設軍隊と、魔族の争いだったと」
魔王「そうだ……その争いの元凶の者同士が今度は」
魔王「……手を組んだと考えると、何ともな」
船長「手を組んだ?」
魔王「まあ……魔導の街の人達が今、何処まで把握しているかは解らんが」
姫「……似たもの同士よね。魔導将軍も、街の……貴族達も」
船長「待て……解るように説明しろ」
310禁書・デ・ライオン【第四位】7段 ◆o8T3jH17gc :2013/04/08(月) 17:29:29.64 ID:8znpdUQ/0
エロ無し?
Σ(゚д゚lll)ガーン
3111 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 17:46:05.10 ID:CBQOxBPrP
魔王「過激派と言ってもな……別に今すぐに人間を滅ぼせとか」
魔王「支配しろとか言っている訳じゃ無いんだ」
魔王「少なくとも……魔導将軍の狙いは、私だ」
盗賊「何故だ? ……お前、魔王なんじゃ無いのか」
姫「魔王だから、よ。彼は……魔導将軍は、魔王の椅子を狙ってるの」
盗賊「何で姉ちゃんが知ってんだ……?」
姫「聞いたからよ、図書館で……そんなに睨まないで頂戴」
魔王「そういう事だ。魔導将軍があの街に取り入った理由は」
魔王「人とは言え……優れた加護を持つ魔法に優れた者である事と」
魔王「……30年前の争いがあったからだろう」
姫「私はその戦争は知らないけれど……」
姫「聞いていれば、本当によく似てるわ」
姫「プライドが高く、残忍で……自分の野望の事しか頭に無い」
盗賊「……」
3121 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 17:54:30.43 ID:CBQOxBPrP
魔王「あの戦争は、魔族側の圧倒的勝利で終わった」
魔王「……そりゃそうだ。いくら魔法の力に優れるとは言え」
魔王「たかだか人間、軍人でも無い……そんな物では」
魔王「魔導将軍の敵じゃ無い」
盗賊「……その時の指揮官は魔導将軍だったのか?」
魔王「その筈だ。私は……『適任に任せろ』と指示しただけだからな」
船長「……その適任が、あの男か」
魔王「正直、他の隊長クラスの魔族と大差ない……皆、性格も力も」
魔王「似たような物だ」
盗賊「……あんなのが一杯居るのか!?」
魔王「ああ。そして……先ほど話した過激派と言うのは」
魔王「その隊長クラスほぼ全員だ」
盗賊「……そ、んな」
船長「だが……おかしくないか。魔導将軍がそれほど残忍な性格なのだったら」
船長「魔導の街は壊滅状態になっていてもおかしく無いはずだ」
魔王「私はあの時、一応……本当に、一応な?」
魔王「鎮圧の命は出したが、不必要に殺すなと伝えたんだ」
魔王「性格からして、聞くはずは無いと思ったが……何故か」
魔王「本当に、主力部隊だけを制圧し、あいつは戻って来た」
姫「……そっちの方がおかしいわね」
3131 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 18:04:22.35 ID:CBQOxBPrP
魔王「だろう? ……私もそう思った、が」
魔王「今回のこの……下準備だと思えば、合点はいかなくもない」
盗賊「どういう意味だ?」
魔王「魔導の街の人間に屈辱と恐怖を植え付け、時を待つ……私達にとって」
魔王「30年など、あっと言う間だ。そうして……」
姫「力を見せつけ、再起を促す……」
船長「強力な後ろ盾があれば、虎の威を借る狐よろしく、発起も容易い、か」
魔王「そういう事だ。実際……私設軍隊を作るとか言う噂もあるらしい」
船長「……信頼できる情報なのか?」
魔王「うちには優秀な側近がいてな……まあ、胃は弱いが」
盗賊「胃……?」
魔王「まあ、それは良い。とにかく……」
姫「そうか……!だから、あいつ……!」
船長「な、なんだ?」
姫「あいつは図書館で、私に言ったのよ。大会で私を殺すとね」
盗賊「!?」
姫「目の前で愛した女を八つ裂きにされたくなければ、椅子を譲れ……とも」
魔王「大会のルール違反等、後でどうとでも出来ると思っているのだろう」
魔王「実際、あいつが優勝し、その場で発起を促せば」
盗賊「……そんな事、どうでも良くなる……?」
船長「可能性は高いな……否。寧ろその通りになるだろう」
3141 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 18:14:45.01 ID:CBQOxBPrP
魔王「私達が思っているより、準備は進んで居るのかもしれん」
魔王「……やけに自信満々だったしな。まあ、過剰に自分の力を驕るのは」
魔王「愚か者の証、とも言えだろうが」
船長「……ふぅむ。しかし発起させてどうなる?」
船長「まさか、魔導将軍とその私設軍隊とやらだけで」
船長「……魔王を討ち取ろうと考えている訳じゃネェだろう?」
魔王「隊長クラスのほぼ全員が過激派と考えて間違い無い、と言っただろう?」
魔王「魔導将軍と、魔導の街の人達の様に……他の物達も世界中で決起したら?」
姫「……人間側と魔王の、全面戦争になるわね」
盗賊「そんな……!!」
魔王「そういう事だ……人間達は、駒に過ぎん……良い様に利用されるだけだ」
3151 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/08(月) 18:16:10.99 ID:CBQOxBPrP
お風呂溜まっちゃったー
ご飯して幼女寝かしたら、またー
起きれたら、だけど……
316名も無き被検体774号+:2013/04/08(月) 19:13:49.81 ID:vclQFKmEP
幼女グツグツTime
317名も無き被検体774号+:2013/04/08(月) 23:15:37.28 ID:8hJXENPC0
いつまで幼女煮込んでるんだ
318名も無き被検体774号+:2013/04/08(月) 23:44:38.10 ID:qcdTU/+XP
そろそろ幼女溶けた頃かな
319名も無き被検体774号+:2013/04/08(月) 23:47:21.12 ID:1Rzgeh2f0
幼女とろけた〜?
320名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 00:11:30.03 ID:xJMKnKmvP
幼女は溶けて湯船と化したのだった
3211 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 09:42:36.81 ID:T7fmS7FrP
おはよー
今日はバイト行くまでー
3221 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 09:52:46.34 ID:T7fmS7FrP
魔王「で……それを阻止する為に私は城を出た、と言うか」
魔王「出さされた……と言うか」
船長「出さされた?」
魔王「さっきも言っただろう?優秀な側近が居るんだ」
魔王「私の不在を他に知らせない為に、あいつ自身は城から離れられないが」
魔王「連絡は何時でも取れる」
魔王(この風景を見ていれば……血でも吐いてるかもしれんがな)
姫「どうやって? ……まさか、何度も転移で戻るわけには……」
魔王「ああ、それはな……魔導将軍も網を張っているだろうし」
魔王「魔力の痕跡をつかまれたくはないからな」
魔王「私の一部を持っているから、かな。それによって繋がっている」
姫「まさか……瞳!?」
魔王「……まあ、そうだ」
船長「奪われた、のか?」
魔王「そんなんじゃ無い。私が与えた……こういうことになった時に」
魔王「手っ取り早く連絡を取る事ができるからな」
3231 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 10:08:15.20 ID:T7fmS7FrP
盗賊「それ……元に戻る、のか?」
魔王「どうだろうなぁ……でもまあ、もしもの時に」
魔王「あいつの力が増幅されるならそれはそれで助かるし」
船長「……にわかには信じられない話だな」
魔王「私は……まだ疑われているのか?」
船長「ああ、そうじゃ無くて……いや、その、な?」
姫「事実自体が現実離れしてるって事よ……」
盗賊「でも、なんでお前が……なんだよ。魔王なんだろ?」
魔王「一番身軽だからな。最悪転移魔法ですぐに戻れるし」
魔王「……私の本当の力を知っているのは、側近と後数人しかいない」
姫「魔導将軍、言ってたわね……ええっと『腑抜けの王』だったかしら」
魔王「私の……不干渉で良いじゃないかと言うのが気に入らんのだろう」
船長「気に入らんからと言って、自分らの主だろう、お前……」
魔王「親父の代からそれほど大きな争いなんか起きていないからな」
魔王「今の隊長クラスが私の実力を知らないのは無理も無い……し」
魔王「殆どが世襲制だとしか思っていないからな」
盗賊「違うのか?」
魔王「いや、まあ……そうなんだがな」
姫「要するに、血だけで魔王の座を簡単に手に入れられるなんてズルイ」
姫「魔族らしく実力勝負にすれば良いのに……て言いたいのね」
魔王「ま、そんな所だろう」
3241 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 10:14:42.62 ID:T7fmS7FrP
魔王「実際に進言してきた奴はおらんが……事実がそう物語っているな」
魔王「親父……前魔王の息子と言うだけで、魔王……魔族の頂点に君臨するんだ」
魔王「しかもそいつが『腑抜け』と見れば……と言う気持ちも分からんでも無いが」
魔王「だが……過ぎた行為には罰を与えねば、な」
船長「……舐められるお前にも原因があると思うが」
魔王「それを言われると痛い……全く持って否定はできん」
魔王「私としては……な。魔王としてこうだ、と宣言したり命令したりするより」
魔王「人も魔も、それぞれが自分で考えた上で」
魔王「この……今の状況ってのが一番ありがたいんだがな」
姫「少年……」
魔王「命令されて、嫌々従っても……それは本当の意味の幸せじゃないだろうし」
魔王「押さえつけると逆に、反発は強くなるだろうしなぁ」
盗賊「……」
魔王「が、まあ……それじゃ駄目だった、と言うのが現実だ」
魔王「だから、な……」
姫「城を出て来たのね。身分を隠して……」
盗賊「……」
船長「さっき、出さされたと言ったのは?」
3251 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 10:19:49.56 ID:T7fmS7FrP
魔王「まあ、人の振りして旅に出ろと発案したのはその……側近なんだ」
魔王「勇者と呼ばれる様に振る舞ってこい、とな」
姫「勇者?」
魔王「ああ。勇者と言うのは、悪い魔王を倒す為に」
魔王「光の中から颯爽と現れたりするものじゃないらしな」
船長「えっ」
盗賊「えっ」
姫「えっ」
魔王「……なんだ」
船長「当たり前だろう、阿呆かお前は」
姫「……そうなの?」
盗賊「姉ちゃんまで……まあ、でも仕方無い……か」
盗賊「悪い魔王をやっつける為に、伝説の勇者が……なんてのは」
盗賊「御伽噺の世界だけのもんだよ」
盗賊「現実に、そんなもの居るはずが無い……居たら……この世界は……」
魔王「……」
魔王「まあ、な。私だって、魔物や魔族達を統べる、魔の世界の王と言うだけで」
魔王「人間の世界に存在する一国の王とやらと何も代わらない筈なんだが」
姫「魔王って言うだけで、恐ろしいイメージしか無いわよね」
3261 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 10:26:14.45 ID:T7fmS7FrP
船長「しかし……勇者になれ?ん?勇者と呼ばれろ?か?」
船長「……てのは?」
魔王「まあ、要するに……勇者と言う存在が明るみにでて来れば」
魔王「牽制になり、奴ら……過激派の奴らも」
魔王「反乱企んでる暇無くなるだろうと言う……な」
姫「ああ、成る程……で、少年が勇者だったら」
魔王「そう。私が倒される心配も無い……まあ」
魔王「そうそう、私が誰かに負ける事なんて無いと思うがな」
船長「随分な自身だな」
魔王「……魔導将軍達は、私の本当の実力を知らないと言っただろう?」
盗賊「お前……強いのか?まあ……」
盗賊「転移だの何だの……聞いてりゃ、まあ……あれだけど」
魔王「隊長クラスが全員束になって掛かってきても」
魔王「死にはしないだろうな」
盗賊「え!?」
船長「……随分と吹きやがるな」
魔王「死にはしないだろう、と言うだけだ」
魔王「五体満足でいられるかは別問題だぞ」
盗賊「……じゃ、じゃあ、魔導将軍一人だったら……!!」
魔王「確かに、殺すだけならばな。だが……」
姫「魔導の街の人達を巻き込んでしまっている以上……」
魔王「そうだ。あいつ一人を殺して、その後の展開が気になる」
魔王「おいそれと手を出すには……情報が少なすぎる」
3271 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 10:38:47.74 ID:T7fmS7FrP
船長「しかし……指導者が居なくなれば、挫かれないか?」
魔王「どうだろうな……良い方に転がってくれれば良いが」
魔王「魔導将軍が居る限り、矛先が私なのが解っているからな」
魔王「……あの街の貴族共は、攻撃の対象を……力の無い人達に向けそうだからな」
盗賊「あ……」
魔王「今現在、お前達の島の所在はばれていない、と思っているんだな?」
船長「ああ、へまはしてないつもりでいた。いた、が」
船長「魔導将軍が魔族だと解った以上、全く安心は出来ないな」
盗賊「な、なんでだよ!!」
船長「魔族の力がどの程度なのかわからないが……」
船長「……人であると思っていた時以上の警戒はすべきだろう?」
姫「そうね……魔導将軍も、気配とか……わかるみたいだし、ね」
魔王「図書館での話か。あれは魔力の察知しただけにすぎんだろう」
魔王「その証拠に、盗賊が来た時は気がついていなかっただろう?」
魔王「……まあ、興奮して集中を欠いていたと言うのもあるだろうが」
3281 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 10:45:47.53 ID:T7fmS7FrP
船長「ああ……ばれていて、機会をうかがってただけだとしたら」
魔王「まあ、大会が終わる迄は……大丈夫だろうと思うがな」
盗賊「保証はネェだろう……!?」
魔王「いや……聞いた話だとな」
盗賊「え?」
魔王「あの……娼館の中で過ごす者達は」
魔王「『エルフの若者が一族の娘に婚姻を断られた腹いせに劣等種を逃がした』」
魔王「『が、魔導将軍に掴まって皆殺しにされた』と……聞かされているらしい」
船長「何……?」
魔王「だから、お前達が生きている事は知らないし、希望も持っていない」
盗賊「な、なんでそんな事知ってんだよ!どこでそんな事……!!」
魔王「調べたい事があると言っただろう……娼館にいってみたんだ」
魔王「そこで直接、娼婦という娘に聞いた」
盗賊「!」
魔王「……逃げられるとしたら、逃げたいか、ともな」
魔王「聞いてみたんだが……」
盗賊「そんなの、逃げたいに決まってんだ!何言って……!」
3291 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 10:46:31.82 ID:T7fmS7FrP
買い物いってきまーす
330名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 10:48:31.64 ID:I3jko1Co0
乙!いってらー
331名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 12:13:27.53 ID:5SRmoVxf0
やっとおいついた 私怨
332 [―{}@{}@{}-] 名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 12:34:40.94 ID:xJMKnKmvP
>>329
何言って……!
いってらっしゃーい
3331 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 13:27:53.04 ID:T7fmS7FrP
はぁ、お腹いっぱい
バイトまで少しだけー
3341 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 13:34:58.26 ID:T7fmS7FrP
魔王「……」
盗賊「おい!少年……何とか……!」
魔王「今更、自由を与えられてもどうすれば良いのかわからないし」
魔王「怖い……のだそうだ」
盗賊「そんな!!」
船長「……だが、それと大会が終わるまで安全というのは何も繋がらネェぞ」
魔王「娼館で、少女という娘に会ったんだが」
魔王「少女は、茶を運んでくれたりするだけでな」
魔王「理由を聞いてみると、魔導将軍が大会が終われば、手を着けるらしく」
魔王「……今はまだ、誰の相手もしていないらしいんだ」
盗賊「だから……なんだっていうんだよ!」
魔王「あいつは私の力を……まあ、完全に舐めきっている……し」
魔王「大会に出るのは、姫だ」
姫「……負ける筈が無いと思っているでしょうね、あの人は」
魔王「ああ。それに……棄権は許さんとも言っていただろう?」
姫「ええ」
魔王「確実にお前を、舞台の上でなぶり殺しにし、見世物にする気だろう」
船長「……随分あっさりと言うな」
姫「……」
3351 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 13:40:48.32 ID:T7fmS7FrP
魔王「私が着いているんだ。絶対にそんな事はさせない」
盗賊「……随分な自信だな。相手は魔導将軍だぞ!?」
魔王「私は魔王だ」
姫「……ちゃんと、特訓してくれるんでしょうね」
魔王「心配するな。お前も、お前の腹の子も……ちゃんと守る」
船長「しかし、だからって……」
魔王「魔導将軍は残忍な男だ……し、趣味も悪い」
姫「そうね。随分と加虐するのが好きみたいだったわ」
盗賊「……そう、なのか?」
姫「ええ。恐怖や苦痛に歪む顔はたまらないとかね」
船長「成る程な。娼館の少女や、お嬢ちゃん……その楽しみがある限り」
魔王「ああ。無茶をすれば楽しみが奪われるからな。しかも、勝てると確信している姫が相手だ」
魔王「……それに、私も居る」
盗賊「少年」
魔王「なんだ」
盗賊「……信じて良いんだな」
魔王「ああ」
船長「聞く限り、その転移術とやらで……何時だって逃げられたんだろう」
魔王「そうだな。それ以前に……あんな鍵、意味は無い」
3361 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 13:47:27.16 ID:T7fmS7FrP
姫「本当に規格外よね……」
船長「規格外か……違い無い」
盗賊「……少年、あの」
魔王「何だ」
盗賊「駄目なのか。救えないのか!?」
魔王「……解らん。こればっかりは。だが……」
盗賊「だが……?」
魔王「今は、大会に勝つ事を考えるべきだ」
船長「……そうだな。だが、嬢ちゃんじゃ……」
魔王「素質は悪く無い、と思うんだが……しかしな」
姫「何よ……」
魔王「身重の娘になぁ……それに」
魔王「相手はあの魔導将軍だからな……流石に、正直勝てるとは思わん、のだが」
姫「やってみなくちゃわかんないでしょ!」
魔王「取りあえず、まあ……特訓とやらをしようじゃないか」
魔王「予選で負ければそれはそれだ」
盗賊「で、でも……!」
船長「盗賊。流石に……無茶は言えネェぞ」
船長「魔導将軍が魔族だと解った以上……他人様には」
盗賊「……ああ。だけど」
魔王「まあ、あまり深く悩むな。心配しなくても策はある」
姫「……何企んでるのよ」
3371 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 13:54:05.19 ID:T7fmS7FrP
魔王「とにかく、特訓とやらをするにしても」
魔王「船の上ではどうにもならないだろう」
姫「そうね……でも、予選当日まで街には戻らない方が良いわよ」
姫「この船……それこそ目をつけられちゃうわ」
魔王「そうだな。まあ、移動は心配無い。私がお前を抱えて飛べば良い」
盗賊「お、俺も連れて行ってくれよ!?」
魔王「盗賊は駄目だ……魔導将軍に顔がばれてるだろ」
船長「そうだ。お前は大人しくしておけ」
盗賊「……」
船長「仕方ないな……何時までもウロウロとしている訳にもいかん」
船長「島へ行く……良いな?」
盗賊「……勝手にしろ」
船長「拗ねるな糞ガキ……ったく。魔導将軍さえどうにかなれば」
船長「助かる道だって探せるだろう……目先の事ばかりに囚われるなよ」
魔王「どれぐらいかかる?」
船長「今日は一日、この侭北へ向かう……それからぐるっと一つ、大陸を回り」
船長「廃港で小さな船に乗り換える」
魔王「廃港?」
船長「そうだ。大陸とはお世辞にも呼べない小さな……陸地がある」
船長「そこに、もう古くなって使われていない港があるんだ」
船長「港とは名ばかりだけどな……まあ、この船でも」
船長「ぎりぎり着岸はできるんだ」
3381 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 14:01:45.82 ID:T7fmS7FrP
魔王「成る程、そこから小さな船でやっと行ける島、か」
船長「……まぁ、な」ニヤ
姫「……?」
船長「まあ、二日あれば着けるって事だ。あんた達の移動時間を考えんで済むなら」
船長「何も問題はないだろう」
船長「後、魔法の特訓なら甲板でやりな。どうせもう少し北へ出れば」
船長「海の魔物にも襲われるだろう」
姫「海にも……魔物が居るの?」
船長「ああ……通る辺りはまだそれほど強い奴じゃないけどな」
姫「北へ行くほど……魔物は強くなるの?」
船長「空を見れば納得するさ」
姫「空……?」
船長「後で甲板に出て、北の方角を見ろ……理由が解るさ」
魔王「……行ってみるか?」
船長「俺は舵を見に行くさ。進路も伝えねばならんからな」
船長「後で、ちゃんとした部屋を用意させる……それ迄は自由にしてろ」スタスタ

パタン

魔王「どうする、姫?」
姫「ええ……行くわ。盗賊は?」
盗賊「俺は……良いよ」
3391 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 14:05:25.03 ID:T7fmS7FrP
姫「そう……じゃあ、後で」スタスタ。パタン
魔王「盗賊……」
盗賊「……疑って悪かったな」
魔王「いや。怪しいかそうでないかと言われれば、な」
魔王「当然の感情だろう……構わんさ」
盗賊「なあ……勝てるのか?姉ちゃん……」
盗賊「本当の夫婦じゃ無いとは言え……」
魔王「心配に決まってる。だが……」
魔王「私がいるんだ。大丈夫だ……本当に行かないのか?」
盗賊「北の空なんて見飽きたさ……行ってこいよ」
魔王「……そうか」スタスタ……パタン

盗賊「何だよ、自由が怖いって……」
盗賊「今の状態が、正しい訳無いだろう!?」
盗賊「俺たちだって……人間なんだぞ!?生きてるんだぞ!?」
盗賊「物じゃ……道具なんかじゃ……無いんだ……!!」

……
………
…………
3401 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 14:15:09.90 ID:T7fmS7FrP
魔王「……姫」
姫「風が強いわね……空って……あれの事?」
魔王「……ああ。そうだな」
姫「真っ黒……紫?にも見えるわ」
姫「貴方の瞳みたい」
魔王「……あの暗い空の下……北の果てには」
姫「……?」
魔王「私の城がある」
姫「魔王の、城……?」
魔王「そうだ。最果ての大陸にある最果ての街。そこが……私達魔族の暮らす街だ」
姫「魔族の街……」
魔王「果てしなく広がる大きな大陸だ……全貌は私にも解らない」
魔王「人が踏み入れれば、渦巻く魔の気に」
魔王「弱い身は蝕まれるだろう……と、言われているな」
姫「実際の所はどうなの?」
魔王「さあな。好んで近寄ってくる人間は居ないだろうからな」
姫「……あの闇色の雲は、魔の気の集まりなのね」
魔王「そうだな。かといって別に、心地よいとも思わないがな」
3411 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 14:24:50.34 ID:T7fmS7FrP
姫「そうなの?」
魔王「ああ。こうして……人の暮らす大陸へと渡ったのは初めてだが」
魔王「澄み渡る様な青い空や、緑の香を含む柔らかい風の方が私は好きだな」
魔王「……気分が良くなる」
姫「変わってる……のかしらね。魔族……なのに」
魔王「どうかな。案外……そういうのに焦がれて」
魔王「それを手に入れたいと思っただけなのかもしれんぞ?」
魔王「……人間を侵略しよう、等と、思った切欠はな」
姫「身勝手な話ね」
魔王「もう何百年も昔……親父が魔王になった頃の話だからな」
魔王「人と魔の全面戦争、なんて」
姫「……少年……魔王の、お父様が……始めたの?」
魔王「少年で良い……いや、魔王でも良いけど……ああ、戦争の話か?」
魔王「いや……言葉が足らなかったな」
魔王「実際に戦争があったのは親父の前の魔王の時だ」
姫「おじいさま……?」
魔王「か、ばぁさんか知らん。が、随分と好戦的な奴だったらしくてな」
魔王「親父が……そいつを倒し、勇者を退けたって事ぐらいしか解らんが」
姫「お父様は……強かったのね」
3421 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 14:34:47.57 ID:T7fmS7FrP
魔王「魔王だからな」
姫「でも、その……お父様を、倒したのは貴方」
魔王「ああ……親父はどちらかと言えば人が好きだったらしい」
魔王「私は……良くわからん。解らん……が」
魔王「別に侵略しようとは思わんしな」
姫「不干渉が丁度良いって言ってたわね」
魔王「そうだな」
姫「……貴方や、お父様みたいな考え方してくれる方が……人間にはありがたいんでしょうね」
魔王「だろうな。さっき言った切欠って言うのは、ただの冗談だが」
魔王「……この空の下で暮らしたいと言うのなら、共存の道を探せば良いだけだ」
魔王「私は御免だがな」
姫「……お父様は、そう考えていらしたの?」
魔王「いや……まあ、もう本当のところはわからんが」
魔王「不干渉で丁度良いのだろうとは良く口にしていたな」
3431 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 14:40:26.83 ID:T7fmS7FrP
魔王「自分に言い聞かしていたのかもしれん。穏健派の……殆どは」
魔王「親父の代からの古参の連中だ。寿命でもう世を去った者も多いが」
魔王「人が好きだと言う奴も多かった……共存を未だに願う者も居るのかもな」
姫「……魔族にも寿命があるの?」
魔王「不老の者は居るが、不死では無いさ。親父だってそれを悟って」
魔王「力が衰えきる前に。他の魔族を押さえられなくなる前に……」
姫「貴方に、魔王の名を譲ったのね……」
魔王「寿命が近いとは言え、親父は強かった……まあ、そんな状態の親父に」
魔王「勝てない程度では、私も魔王の器とは言えないのだろうが」
姫「勝てなければ……どうなったの?」
魔王「さぁ、な……こればっかりはわからん」
姫「そう……そうよね」
魔王「ん……」
姫「え?」
魔王「昔話はこれぐらいにしよう……波が」
姫「波……?」
魔王「急に静かに……!!」

グラグラ……!

姫「きゃ……ッ!?」
海賊「魔物だー!」
魔王「ふむ……いきなりの実戦か」
姫「え、ええ!?」
3441 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 14:44:44.03 ID:T7fmS7FrP
魔王「海の魔物に水の魔法は不利……だろうが、まあ良いだろう」
姫「ちょ、そんな……!」
魔王「大丈夫だ……お前なら」
魔王「教えてくれたのはお前だろう……願えば、叶う……だったか?」
姫「え!?」

海賊「槍を持てー!」
船長「な、なんだどうした……ッ 魔物か!?」
船長「お嬢ちゃん、少年!」

キシャアアアア!

魔王「集中して……今だ、放て!」
姫「え、え……ッ み、水よ……!!」

ギャアアアア!!

魔王「うん、そんな感じ……だが、流石に効いてないな……」
姫「ひッ ……い、今の、私が……!?」
魔王「数も多いな……姫、下がっていろ……雷よ!」

ピシャアアアア……ン!!
ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
3451 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 14:51:58.09 ID:T7fmS7FrP
船長「……す、すげぇ」
海賊「嘘だろ……一発で、あんな大群……!」
魔王「ふむ……やはり雷に弱いのか……ッ う…ッ!?」ピリピリ…
魔王「ああ、暫く水に触るなよ……感電するぞ」
船長「マジかよ……」
姫「……凄い」
魔王「姫、大丈夫か?」
姫「え、ええ……まあ……」
魔王「……」キョロキョロ
魔王「なんだ、みんな揃って……口、開いてるぞ」
船長「そりゃびっくりもするわ!……何だよ、今の威力は……」

側近『こらあああああああああああああああああ!』
魔王「うわッ」
姫「え!?」
側近『おーまーえーはあああああ!!』
側近『あれほど、あれほど目立つ事はすんなと……言っただろうがあああ!!』
側近『本当にあれか!?お前は心労で俺を殺す気か!?何!?何なの!?』
側近『俺に個人的な怨みかなんかあんの!?ねえ!!! ……ッう……』
側近『胃がいてええぇ……』
魔王『あ、ああ……その、ちゃんと説明するから……』
側近『薬……胃の薬……』
3461 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 14:52:38.56 ID:T7fmS7FrP
バイトー!
行ってきます!
3471 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/09(火) 14:54:20.10 ID:T7fmS7FrP
ああああ、一カ所訂正……orz

海賊「嘘だろ……一発で、あんな大群……!」
魔王「ふむ……やはり雷に弱いのか……ッ う…ッ!?」ピリピリ…
魔王「ああ、暫く水に触るなよ……感電するぞ」



海賊「嘘だろ……一発で、あんな大群……ッ う…ッ!?」ピリピリ…
魔王「ふむ……やはり雷に弱いのか……」
魔王「ああ、暫く水に触るなよ……感電するぞ」

ごめんなさいorz

ほんまにいってきまーすー
348名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 14:55:26.63 ID:I3jko1Co0
乙!いってらー
349名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 15:07:59.50 ID:aqXTIMlN0
いってらー
350名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 15:53:27.63 ID:sYfcvYCk0
ほしゅ
351名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 16:35:32.13 ID:sYfcvYCk0
352名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 16:48:21.46 ID:L2DRjvRA0
353名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 17:37:08.66 ID:GGHgrcZG0
354名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 17:53:42.74 ID:t5fPMru0i
355名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 18:31:34.91 ID:YpINKH4y0
つ、続きいいいい
バイト頑張れBBA!!
356名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 19:46:35.09 ID:65hHE0zn0
保守頑張るからBBAも頑張れ!
357名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 22:44:39.29 ID:sYfcvYCk0
ほ?
358名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 23:07:32.93 ID:L2DRjvRA0
し?
359名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 23:13:35.10 ID:sYfcvYCk0
い?
360名も無き被検体774号+:2013/04/09(火) 23:24:21.02 ID:akRAvAM20
361名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 00:26:10.10 ID:qI/Xsrg70
362名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 00:46:24.35 ID:f9Lu6EaF0
363名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 04:44:40.98 ID:EQ3EwgaD0
364名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 06:13:59.00 ID:mNXBuvGHP
365名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 06:42:59.57 ID:p3OWvzOG0
366禁書・デ・ライオン【第四位】7段 ◆o8T3jH17gc :2013/04/10(水) 06:45:37.62 ID:oF9BghTC0
367名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 07:13:54.55 ID:EQ3EwgaD0
ほしゅ
3681 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 09:36:50.38 ID:9DeXYz1TP
おはよう!
おいもほくほく、良いな……
明日スイートポテト作ろう

ちょっと体調不調なので今日はのんびりー
3691 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 10:05:35.99 ID:9DeXYz1TP
姫「少年……どうしたの?」
魔王「あ、ああ……ちょっと待ってくれ……」
船長「頭抱えて……痛むのか」
魔王「い、いや……」
側近『はぁ……全く、なぁにを堂々とがっつり魔法ぶちかましちゃってくれてんの!!』
側近『とにかく説明しなさい、今すぐ!!』
魔王『わ、わかった。解ったらから落ち着け!今海賊船の中でだな』
側近『海賊船んんんん!?』
魔王『だ、だから……』

バタバタバタ……!

盗賊「おい、凄い音したけど大丈夫か……!?」
盗賊「少年!?どうした……」
魔王「あ、ああ……大丈夫だ。大丈夫だから……ちょっと待ってくれ」

魔王『とにかく、全部説明するから、ちょっと落ち着け!』
魔王『……良い方向に進むかもしれん。知恵を貸せ、側近』
370名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 10:09:02.90 ID:EQ3EwgaD0
キタ――(゚∀゚)――!!
3711 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 10:24:31.09 ID:9DeXYz1TP
……
………
…………

魔王『と、言う訳でだな』
側近『……』
魔王『側近?』
側近『だな、じゃねえええええええええええええええよ!』
魔王『……だから、うるさいってお前』
側近『何でこんな短時間でそんな展開になってんの!!!』
魔王『ちょっとみんなに身分がばれて……』
側近『宣戦布告さてただけってか!!!』
魔王『……まあ、まあ』
側近『血吐きそう………』
魔王『お前そんなにメンタル弱かったか?』
3721 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 10:36:14.06 ID:9DeXYz1TP
側近『お前がいい加減過ぎるんだよ!あれほど目立つなと……!』
魔王『まあ、まあ……そう悲観するな』
魔王『見えてきた物もあるだろう?』
側近『……それは否定しないが』
側近『過ぎた事を言っても仕方ないけどな……』
魔王『ああ。それに……この機会に魔導の街も鎮圧させてしまいたい』
側近『……争いは嫌いじゃ無かったのか』
魔王『戦争などする気は無いぞ……しかし今のあの状況の侭放置しておくと』
魔王『魔導将軍が例え居なくなっても、何れ同じ事を繰り返すだろう』
側近『ふむ……』
魔王『それに武力行使なんかすれば、人間は魔王の侵略だ何だと』
魔王『それこそ、世界中で戦争に向かっての歩みが進むだろう?』
側近『……どうするつもりなんだ』
魔王『だから知恵を貸せと言っただろう』
側近『え……もしかして、俺に丸投げ?』
3731 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 10:50:42.17 ID:9DeXYz1TP
魔王『い、いや、そう言う訳じゃない』
魔王『……が、私一人で考えてもな。勿論……姫達の力も借りるが』
魔王『お前の意見も聞いた方が良いだろう?』
側近『まあ……お前の暴走止めないとな』
魔王『私の事……信用してないのか?』
側近『今更何言ってくれちゃってんの、お前……』
魔王『側近酷い』
側近『あれだけやっちゃ駄目って事散々やっといて良く言うね!』
魔王『……すまん』
側近『素直だな』
魔王『まあ、成り行きとは言えちょっとやり過ぎた感が無くは無い』
側近『ちょっと?』
魔王『……』
側近『まあ、良い。たっぷり説教したいのは山々だが』
側近『時間も無いな……とりあえず』
3741 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 10:57:20.54 ID:9DeXYz1TP
側近『その、島とやらに向かうんだな』
魔王『ああ……攻撃を仕掛けてくる可能性は低いだろうから』
魔王『船上と、そこで姫に魔法を教えようと思う』
側近『……劣等種の集まりの島だろう。反発されないか?』
魔王『それについてはちょっと考えがある』
側近『えー』
魔王『……なんだ』
側近『いや、大丈夫かなと』
魔王『信用しろ』
側近『あんなけ……まあ、良い。胃が痛くなる、思い出すと』
魔王『……一つ、問題が残るんだが』
側近『一つしかないの?本当に?』
魔王『……』
側近『悪かったよ。拗ねるな。で?何だよ』
魔王『いや、何かあったかなって考えてただけだ』
側近『あ、そ……』
魔王『魔導将軍の事だが……』
側近『ん?』
魔王『殺して良いんだな』
3751 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 11:09:59.74 ID:9DeXYz1TP
側近『何だ、そんな事か。好きにしろ』
魔王『……あっさりだな』
側近『生かしておく理由は?』
魔王『戦力的にどうとかこうとか?』
側近『不干渉最高とか言ってて?』
魔王『……まあ、最悪私一人でどうにかなるが』
側近『武力放棄する必要は無いと思うが、反乱の芽なんかいらないだろ?』
魔王『……まあな。だが……吉とでるか否か』
側近『他の過激派のやつらに、か……まあ、十中八九』
側近『……反抗心に火をつけるだろうな』
魔王『だな……だが、仕方ない』
側近『ん?』
魔王『咲こうとするなら摘んで回るさ……いらないんだろう、そんな芽など』
側近『……』
魔王『どうした?』
側近『いや、魔王らしい事言ってるな、と……初めて思った』
魔王『だから、お前は私を何だと……』
側近『勇者になれ、って……最初の目的からはかけ離れてきたが』
側近『これはこれで……まあ、良い方向に進んでるんだろう……と』
側近『信じたいね』
魔王『ああ……』
側近『意地でも信じておかないと、本当に俺の胃がやられる……』
魔王『……お大事に』
3761 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 11:16:16.82 ID:9DeXYz1TP
側近『ありがとよ、元凶』
魔王『トゲがあるなぁ……まあ良いけど』
側近『遠慮しあう仲でもネェだろ』
魔王『ああ。それからな……ちょっと考えておいて欲しい事があるんだが』
側近『あ?』

……
………
…………

姫「少年……遅いわね」
船長「城にいる側近って奴と心話……だったか」
船長「しかし……魔族ってのは本当に何でもできるんだな」
姫「彼は特別よ……魔王ですもの」
船長「しかし……」
姫「言ってたわ。魔導将軍は……少年の力を舐めている、って」
船長「確かに……あの雷の魔法はスゲェが」
盗賊「……あいつの属性ってなんなんだ?」
姫「え?」
盗賊「紫の瞳なんて、見たことなかった……聞いた事も」
船長「雷じゃないのか?」
姫「本人曰く……炎も水も、風も操れるそうよ」
盗賊「え!?」
3771 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 11:27:54.80 ID:9DeXYz1TP
姫「複数の加護を持つなんて聞いた事も無いけど……」
船長「まあ……人智を超えた存在なんだろう」
盗賊「……ずるいよな」
船長「あん?」
盗賊「人の中でもさ……俺らみたいのも居るのに」
姫「……」
船長「一緒に考えちゃいけねぇだろ……ありゃ、魔族だ」
船長「人じゃネェ……そういう、存在なんだ」
姫「でも、生きてるのは一緒よ。人も……魔も、エルフも」
船長「……」
姫「その重さに差違なんか無い」
盗賊「……御免」
姫「なんで謝るの」
盗賊「色々……なんか。旨く言えない、けど……」
盗賊「俺が……あんな事頼まなきゃ……命、狙われなくてすんだのに」
姫「なんだ、そんな事」
盗賊「そんな事、て……」
姫「大丈夫よ。少年が言ってたでしょ……死なせないって」
姫「信じてるわ。大丈夫」
3781 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 11:41:28.18 ID:9DeXYz1TP
カチャ

魔王「すまん、待たせたな」
船長「おう……終わったか?」
魔王「ああ……今どの辺だ?」
船長「明日の夜には廃港に着く……まあ、のんびりしておけ」
魔王「そうか……姫、体調は?」
姫「平気よ」
魔王「盗賊は?」
盗賊「え?」
魔王「まあ、気分とか?」
盗賊「あ、ああ……俺は別に……」
魔王「ふむ、重畳……では、特訓始めるぞ」
盗賊「え、俺も?」
魔王「そうだ」
盗賊「な、何の嫌がらせだよ!俺は魔法なんて……!」
魔王「気を悪くしないで聞いて欲しい」
魔王「お前、一応魔法の基礎は身についているんだろう?」
盗賊「え? ……ああ、まあ」
魔王「うん……それは、島にいる人達も一緒だな?」
盗賊「ああ……だが、それが何なんだよ」
魔王「金が無くても、生活が豊かになる方法を考えてみた」
盗賊「え?」
船長「俺は必要なさそうだな……操舵室に行くぜ?」
魔王「ああ……だが、お前にも後で手伝って欲しい事があるんだ、船長」
船長「俺に?俺は……魔法の知識なんざネェぞ」
魔王「別件だ……まあ、これからする事に無関係では無いが」
船長「?」
3791 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 11:46:27.18 ID:9DeXYz1TP
魔王「後で時間があれば話を聞いてくれ」
船長「ああ……まあ、じゃあ後でな」スタスタ
姫「何を企んでいるのよ」
魔王「楽しい事だ」ニッ
盗賊「金が無くても……本当か?」
魔王「まあ、まだ考えてみた、だからな。実現可能かどうかは」
魔王「やってみなければ解らない……が」
盗賊「……」
魔王「で、勿論姫の力も居る訳だ」
姫「私で出来る事なら」
魔王「ああ。ついでに……特訓にもなる」
姫「……早く言いなさいよ」
魔王「良し……まず私がやってみるから見ていてくれ……炎よ」ボゥ
盗賊「うわ、お前船室で何を……!!」
姫「きゃ……ッ」
魔王「心配するな……これ以上でかくはならん」
盗賊「……て、手のひらから炎が出てる……!」
姫「……これを、どうするの」
魔王「こうする……集中して、イメージするんだ」
魔王「この炎を……そうだな。石に変える……閉じ込める」シュゥ……
盗賊「……!」
姫「炎が……固まった……!?」
3801 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 11:53:43.46 ID:9DeXYz1TP
魔王「これが、魔石」コロン
盗賊「紅い……透明な石?……綺麗だ」
魔王「触って良いぞ。熱くは無い」
姫「……本当ね。ただの石に見える……けど」
盗賊「俺にも貸して……宝石みたいだな」
魔王「では、これを……解放する」
盗賊「解放?」
魔王「そうだ。石を魔法に戻す……こうして、握って……」ボウッ……シュウ……
盗賊「うあ……ッ」
姫「凄い……!」
魔王「私の魔力だからな。最小限に押しとどめて具現化したに過ぎないが」
魔王「普通に解放してしまうと、船を燃やしかねんから、今は私の中に戻したが」
魔王「これを応用すれば、島での生活……楽にならんか?」
盗賊「………!」
魔王「価値が理解されるなら、流通させれば金にも換えられるだろう」
盗賊「す……すげぇ!」
魔王「盗賊。また気を悪くさせたらすまないが……」
盗賊「な、なんだ」
魔王「優れた加護を持たないと言うだけで、普通に魔法を使える者もいるのだろう?」
盗賊「劣等種の中にか?勿論だ。そう言う奴らの方が多い」
姫「そうか!その人達に、この技術を教えれば……!」
魔王「そうだ。島の者達だけでも作れるだろう?」
魔王「私がある程度用意してやるのは構わないんだが……それじゃ意味が無いだろう」
3811 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 12:01:18.90 ID:9DeXYz1TP
姫「そうね。それに……やめておいた方が良い。貴方……魔族だもの」
盗賊「え?」
姫「盗賊は……いいえ、人には、ね。感じないと思うけど」
姫「……魔族の魔気は……エルフには、辛い」
姫「持っているだけで、息苦しくなりそうだったわ」
姫「……最小限の力で、それだもの」
盗賊「お、俺は感じなかったけど……」
魔王「ふむ……姫の……エルフの感じる力、だろうな」
魔王「だが生成するのが人間で、使うのも人間ならば支障は無いだろう」
姫「ええ。問題無いわ」
魔王「私のは見本に過ぎん。実際にいくつか作って島に持って行くつもりだが」
魔王「それは姫の役目だ」
姫「え……私?」
魔王「ああ。お前の加護は水だろう?」
魔王「最も生活に欠かせない物だし……一応、魔法の特訓のつもりでもあるしな」
姫「……わかったわ。やってみる!」
盗賊「お、俺は何をすれば良いんだ?」
魔王「姫の作った魔石から、魔法を取り出す特訓だ」
魔王「お前ができなければ、島の人達に教えてやれないだろう?」
盗賊「そ、そうか……良し!頑張るぞ!」
魔王「二人ともやる気になってくれた様で何よりだ」
3821 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 12:09:29.58 ID:9DeXYz1TP
姫「ええと……まずは魔法を……」
魔王「いきなり全開にするなよ、攻撃する訳じゃないんだから」
魔王「小さく、手の平の上に乗せる様に……」
姫「み……水よ!」ザァ……

バッッシャアアアアアアアアアアアン!

盗賊「つめてぇ!」ポタポタ……
魔王「……姫」ポタポタ……
姫「ご、ごめんなさい!」

バタバタ、バタン!

船長「どうし……!? ……何やってんだお前ら……!?」
姫「ごめんなさい……」
盗賊「……本当に姉ちゃん、濡れてねぇ……ズルイ」
魔王「濡れただけで済んだんだ。それだけでもまあ……大したもんだ」
魔王「一応、普通の水を呼べたと言う事だな……すまん、タオルくれ」
船長「……甲板でやってくんねぇか。特訓なんだろうが」
船長「失敗される度に部屋が水浸しじゃ、そのうち船がプールになっちまう」
魔王「……すまん」
盗賊「ほら、タオル……外でやろうぜ」
姫「うん……ごめんなさい」
3831 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 12:17:42.54 ID:9DeXYz1TP
お昼ご飯してくるー!
午後からちょっと幼女と出かけます

やっと明日から幼稚園始まるぜー!
これたら夕方来るけど、夜は今日は寝ないと明日もたんし
体調も万全じゃ無いので、夕方無理なら明日になっちゃう……ごめん
保守していただけると嬉しいです

では!
384名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 12:20:09.65 ID:II/54yfC0
乙!いってらー
385名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 12:25:54.98 ID:YiXwwnxv0
何が保守してや
アホちゃうかクソBBA
パー速かss速報行けやボケ
386名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 12:43:00.58 ID:JpXbF9aB0
ごゆっくり(ヾ(´・ω・`)
387禁書・デ・ライオン【第四位】7段 ◆o8T3jH17gc :2013/04/10(水) 15:26:09.09 ID:oF9BghTC0
>>385
じゃあなぜ見てるんだm9(^Д^)
388名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 16:58:47.05 ID:qI/Xsrg70
ほしゅ
389名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 17:18:24.57 ID:Zgq8H4J10
捕手
390名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 18:06:56.67 ID:EQ3EwgaD0
ほしゅしゅ
391名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 18:18:02.75 ID:b+0PJH/c0
>>383
だっせーssだな
いちいち保守お願いすんなksつまんね
すまん空気ぶち壊して
きにせず続けて
392名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 18:22:04.50 ID:EQ3EwgaD0
続きが気になるぅぅぅぅ
393 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/10(水) 18:22:44.20 ID:XwyF20o5O
+   +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)
  ワクワクテカテカ
 (0゜∪ ∪ +
 と__)__) +
3941 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 18:38:25.46 ID:9DeXYz1TP
ただいまー
お風呂まで少しだけ
3951 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 19:00:27.38 ID:9DeXYz1TP
……
………
…………

姫「水よ!…… ………!」ユラ……
盗賊「やったぁ………!?」
魔王「気を抜くな、姫……その侭……」
姫「これを……石に……なるように……ッ」
魔王「気負い過ぎるな……ゆっくりだ」
姫「……!」コロン
盗賊「出来た!」
姫「でき、た……?」
魔王「……うん、そうだな。今の感覚を忘れるな」
盗賊「すげぇ……本当に、石みたいだ……蒼くて、綺麗だ」
魔王「良し、じゃあ次は……盗賊だ」
魔王「最初は解放してしまって良い……水に戻す事だけを考えろ」
魔王「慣れれば、少しずつ取り出すなりなんなり応用は利く」
盗賊「戻す……水に」
魔王「あふれ出す様を。滝の様にでも良い。わき水でも……何でも」
盗賊「水……ッ」ザァアアア……ッ
姫「やったわ!」
396名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 19:01:45.30 ID:mZX2rKfw0
見てるよ見てるよー!
3971 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 19:05:14.71 ID:9DeXYz1TP
盗賊「できた……俺に……?」
魔王「上出来だ。流石だな」
盗賊「え?」
魔王「一生懸命学んできたんだろう。無駄でも何でも無い」
盗賊「……ああ!」
魔王「姫、失敗しても良いから、さっきの要領でどんどん作るんだ」
魔王「盗賊は片っ端から水へと変えろ……慣れれば、次に進もう」
盗賊「姉ちゃん……なんか、御免な。一生懸命作ってくれてるのに」
姫「それは違うわ、盗賊……競争よ」
盗賊「競争?」
姫「解放が追いつかない位、どんどん作ってやるわ!!」
盗賊「ま、負けないからな!!」
魔王「……お互い、気を遣わなくて済むのは良いが」
姫「水よ!」バッシャン!
姫「ああ、もう……もう一度……ッ 出来た!」コロン
盗賊「良し……解放……あれ?」
盗賊「解放……!」ザァァ
姫「あ……!ま、負けないわよ!」ミズヨ!
盗賊「俺だって!」カイホウ!
魔王「……まあ、良いか。何だか楽しそうだし」
3981 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 19:08:31.99 ID:9DeXYz1TP
船長「おい、少ね……うわ、なんだこれ!?」
魔王「ああ、船長か……すまんな」
船長「……まあ、甲板だから別に良いがな」
魔王「溜まってきたら……海に捨てとく」
船長「……で、具体的に何やってんだ?」
魔王「まあ……魔力の結晶を作ってる、んだ」
船長「結晶?」
3991 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/10(水) 19:09:41.43 ID:9DeXYz1TP
お風呂入って飯食ってくるー!
又明日!
400名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 19:13:43.41 ID:7AOf7QSn0
乙っす!
401名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 20:15:58.40 ID:HSQhelI70
ツンデレの多いスレだwww
いってらスコーン
402名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 20:36:00.32 ID:sz5/yMrx0
はよ!AA略
403名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 23:15:30.51 ID:tuILWWUQO
404名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 23:21:57.24 ID:/Hp0B/h40
405名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 23:22:59.39 ID:GSGuchgs0
406名も無き被検体774号+:2013/04/10(水) 23:31:32.17 ID:qI/Xsrg70
407 忍法帖【Lv=14,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/10(水) 23:33:30.16 ID:GPtaszgj0
408 忍法帖【Lv=4,xxxP】(1+0:8) :2013/04/10(水) 23:36:34.76 ID:eskm6Il70
409名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 00:33:13.94 ID:Br8x9KGd0
410名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 01:08:00.43 ID:x+Lt+3ut0
411名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 05:21:00.00 ID:PiE8YGFZO
星ゅ
412名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 07:20:47.03 ID:Yg6Aordm0
/⌒⌒⌒\
\ 〜 /
  \  / 
   ̄ ̄
413名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 07:21:39.29 ID:Yg6Aordm0
ズレた…
/⌒⌒⌒\
\ 〜 /
\  / 
  ̄ ̄
414名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 07:24:01.85 ID:+QKIfilA0
スコーンに見えない
どうみてもカップケーキorz
415名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 08:26:31.73 ID:wSVL+NS50
拝読していてDQ4コマ的な二次漫画を描きたくなったのだが
こういうスレでそんなことやっても良いのだろうか
イラストは見るけど漫画はなぁ……
場違いならスルー頼みます
是非問わず完結までは黙って正座です
416名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 09:09:15.41 ID:/TE0x/gn0
417名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 09:35:04.10 ID:nDGe95ixP
>>415
良いかどうかなんて現物みないとわからないんだから描いて出しちゃいなよ
418名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 09:43:43.45 ID:3lUlss6fO
>>415
間割るのが気になるなら別スレ立ててみるとかどうかな

ほしゅ
419名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 10:24:59.97 ID:VtHFCCie0
追いついたwww
なかなか面白いぞスコーンBBAwww
420 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/11(木) 11:36:48.83 ID:6sdopbVAO
>>415
よろしくたのむ
+   +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)
  ワクワクテカテカ
 (0゜∪ ∪ +
 と__)__) +
4211 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 13:04:49.40 ID:IKnsrjixP
用事が済むまでもうちょっと!

>>415
寧ろ嬉しい!
ガンガンやって欲しいよー、イラストも漫画も!
ありがとう!
422名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 13:19:41.04 ID:fe0l5r06P
え、1は湖池屋なの?
4231 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 14:27:13.59 ID:IKnsrjixP
魔王「ああ。魔力を石に変えると言うか、閉じ込めると言うか……」
船長「そんな事出来るのか? ……エルフってのは凄いな」
魔王「いや。あれは見本を作って貰ってるに過ぎんよ。特訓の役目もあるが」
船長「見本?」
魔王「そうだ……ああ、今時間は良いのか?」
船長「ああ、海も荒れてないし、後は任せておいて行けるだろう」
魔王「そうか……なら少し、詳しく話そう」
船長「じゃあ中に入れ……甲板の様子も見える」
魔王「解った……姫と盗賊に伝えて、すぐに行く」
船長「待ってるぜ」スタスタ
魔王「姫!盗賊!」
姫「あはは、ほら、頑張らなきゃ!私随分慣れてきたわよ!」コロン、コロン
盗賊「くっそぉ。負けネェよ!」ザバァ……ザザ……
魔王「私は船長室に居る!何かあったら呼びに来てくれ!」
姫「解ったわ!」
盗賊「おう!」
魔王「疲れたら休めよ!船長と話が終わったら、次に進むからな!」
姫「ええ……それ!」コロンコロン
盗賊「俺だって!」ザバァ……
魔王「……遊んでる様にしか見えんな」スタスタ……カチャ
船長「まあ、楽しく学べると言うのは良いことさ」
4241 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 14:40:54.38 ID:IKnsrjixP
船長「で……なんだ」
魔王「海賊ってのは、何処にでも行くのか?」
船長「まあ、海がある限りな」
魔王「ふむ……略奪等も行うのか」
船長「……何が言いたい?」
魔王「咎めたりしたい訳では無い。どういう物か知りたいだけだ」
船長「それが……お前の言ってた話たい内容、か?」
魔王「関係はある」
船長「まあ……良いだろう。海賊と言っても、様々だ」
船長「俺たちだけでは無いからな」
魔王「それはそうだな。他にも居るだろう」
船長「だが、これほど大きな船を有している奴らは他にはいない……と」
船長「自負はしている」
魔王「ふむ……収入源は?」
船長「さっきお前が言ったとおり。略奪も含まれる……が」
船長「俺たちは基本、同族の船しか襲わない」
魔王「他の海賊船か……」
船長「そうだ。余りにも酷い奴らは船毎ぶっつぶしたのもある」
魔王「……ほう。確かに、この船には屈強な奴らが多いな」
4251 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 14:49:29.91 ID:IKnsrjixP
船長「船を襲うのは同族だけじゃないからな」
魔王「……魔物だな」
船長「そうだ。寧ろ、そっちの方が多い……し、手強い」
船長「ああ、そうだ。さっきの……お前の雷の魔法か」
魔王「ん?ああ」
船長「……スゲェ威力だった。やはり……魔族と言うのは恐ろしいな」
魔王「別に魔力の問題だけじゃ無い。海の魔物は雷を苦手とするものが多いんだ」
船長「……そうなのか?」
魔王「ああ。弱点を突くのは大事な事だ」
船長「そうか……だが、この船に魔法を使える奴は居ないからな」
船長「……話が逸れたな。まあ……海賊ってのも、昔に比べれば減った訳だ」
魔王「ふむ……」
船長「俺たちだって……人間同士で争いたい訳じゃないからな」
船長「だが……生きて、生活していかなきゃならねぇ」
船長「……お前、エルフの知人の話は聞いただろう?」
魔王「ああ。魔導将軍に殺されたって言う……」
船長「そうだ。俺は……俺たちは、昔、小さな島に停泊した」
船長「何かお宝でも眠ってやしねぇかと探検に行ったわけだ」
魔王「? ……ああ」
4261 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 15:04:33.83 ID:IKnsrjixP
船長「そこは、エルフの森がある島だった」
魔王「!」
船長「俺たちは散り散りになり、彷徨った。俺は運良く……知人に助けられた、のさ」
魔王「それで知っていたのだな。心優しき物は……」
船長「ああ。知人に聞いた話だ。奴は、森を出て来たところだったんだ」
船長「だが、どこかへ行こうにも足が無い。方法も解らない」
船長「助けてやる代わりに、自分を船に乗せてくれ、とな」
魔王「島から連れ出せ、って事か」
船長「ああ……結局、船に戻った人間は2/3程度だった」
船長「それで、その話を聞いたって訳だ。お宝を探しに行った奴の2/3が」
船長「心優しいってのも……笑い話だがな」
魔王「残りは?」
船長「知人曰く森の中で息絶えるだろうとの事だった」
船長「肉は土に還り、エルフの森の養分となる」
船長「そうして、エルフの森は……エルフ達は」
船長「人の命を吸って、生きているのだ、とな」
魔王「……」
船長「安心しろ。姫には言わん」
魔王「いや……別に、それは……な」
船長「……まあ、良い、それでな」
船長「知人を船に乗せ、暫くのんびりと世界を回った訳だ」
4271 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 15:16:07.86 ID:IKnsrjixP
船長「知人は、色んな地域で様々な野草や香草を集め、それを煎じてくれた」
船長「エルフってのは、そういう扱いだとか知識に長けるらしくてな」
船長「そういうのを売ったりして、少しずつ金を貯めた訳だ」
魔王「ふむ……」
船長「ノウハウも教えてはくれたんだが、やはり奴には敵わネェ……」
船長「確保した取引先も、品質が落ちたと知れば値を渋る……ま、当然だわな」
魔王「ああ……しかし」
船長「だからって、それで良しとは行かネェだろ?」
船長「こんな事にならなけりゃ、次は……北の大陸に出向こうかと思っていた所だったんだ」
魔王「……最果ての街に、か」
船長「ああ。だが……やめた」
魔王「……」
船長「魔導将軍みたいな奴らが、わんさか居るんだろう?」
船長「命が幾つあっても足りネェよ」
魔王「……ふむ」
船長「今までの顧客の中には、手に入れるのが少々危険だったり」
船長「……まあ、曰く付きのモンを好んで集めたがる変人達が多少は居るからな」
船長「そういう依頼をこなしていれば、多少は……潤うさ」
魔王「成る程、な」
船長「話は終わりだ……気は済んだか?」
魔王「そうだな……では、次は私が話そう」
船長「何だ、聞きたいだけじゃ無かったのか?」
4281 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 15:23:11.44 ID:IKnsrjixP
魔王「手伝って欲しい事があると言っただろう?」
船長「ああ……そうだったな。だが……アレの事じゃネェのか?」
船長「無関係じゃネェとか言ってただろ……だが」
魔王「アレ……ああ、あの二人か。まあ、そうなんだが」
船長「俺は魔法に関してはからっきしだって言っただろ?」
魔王「まあ、聞いてくれ……さっきのお前の話を聞いて」
魔王「私は……大丈夫だろうと確信できたしな」ニッ
船長「?」
魔王「とりあえず、あの二人が今作っているものだが」
船長「魔法の結晶、だろう?」
魔王「そうだ。魔石、だ。あれは見本だと言っただろう?」
船長「ああ……だが見本ってのはどういう意味だ?」
魔王「姫の特訓にもなるし、目で見た方が信じるだろうと思ってな」
魔王「……あれを、島へと持って行くんだ」
船長「……島へ?」
魔王「ああ。そうして、作り方や使い方を教え、島の人達に作って貰う」
船長「待て待て待て。それは無理だろ!あいつら……!」
魔王「劣等種、と言いたいんだろう?だが」
魔王「そう呼ばれる要因は何だ?優れた加護がないからと言うだけだろう」
船長「ま、まあ……そうだが」
4291 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 15:34:26.74 ID:IKnsrjixP
魔王「だが、きっちりと基本は押さえている筈だ」
魔王「それに、優れた加護を持たんと言うだけで、普通に魔法を使える者も多いのだろう?」
船長「それはそうだが……」
魔王「で、あれば……方法さえ教えれば、飲み込みは早いはずだ」
船長「しかし……魔法だとか、そういう物に……コンプレックス持ってる連中ばっかりだぜ?」
船長「そう旨く行くかぁ?」
魔王「だから盗賊に使い方を教えたんだ」
船長「?」
魔王「わからんか?あいつは……確かに加護の力が弱いが」
魔王「魔法に関しての基礎はきっちりと身についている筈だ。使えない、と言うだけでな」
船長「……率先してあいつにやらせる事で」
魔王「ああ。自分にも出来ると……自信になると思う、んだが」
魔王「それによって、島の生活は便利になるはずだ……し」
船長「ん?」
魔王「安定して生産、供給できる様になれば、流通もさせやすいだろう?」
船長「流通?」
魔王「お前に頼みたいのは、それだ……価値が認められ、収入源になれば」
魔王「島も、お前も……潤わないか?」
船長「……」
魔王(あれ……安直だったか?)
4301 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 15:39:59.42 ID:IKnsrjixP
船長「……しかし」
魔王「ん?」
船長「いや……だとしたら……」
魔王「あの……船長?」
船長「ちょっと黙ってろ! ……あっちのおっさんは……」ブツブツ
魔王「……」
船長「そうか!あのババアなら高く買うだろうな!それに……!」
魔王「……ッ」ビクッ
魔王(……ノリノリ、と見て良いんだろうな)
船長「おい、少年!」
魔王「な、何だ……」
船長「何でもその魔石とやらに出来るのか!?」
魔王「な、何でもってのは……?」
船長「島には治癒魔法が使える奴も居るはずだ。そういう奴の力を魔石にすれば」
船長「怪我も治せるだろ!?」
魔王「あ、ああ……まあ、そういう使い方も出来る、かな?」
船長「そりゃあ良い!傭兵だとか賞金稼ぎにゃ高値で売れるだろう!」
魔王「……」
魔王(目、キラキラさせてまぁ……)

カチャ。バタン!
4311 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 15:54:18.99 ID:IKnsrjixP
姫「もう、無理……」
盗賊「船長、タオルくれ、タオル……!」
船長「……」ブツブツ
魔王(聞いてないな……仕方ない)
魔王「……ちょっと待ってろ……ほら」
魔王「しかし……なんで盗賊だけそんなびしょ濡れなんだ」
盗賊「最後の最後で姉ちゃんにぶちかまされたんだよ……」
姫「ごめんなさい……はぁ、ちょっと……座らせて……」
魔王「大丈夫か?」
盗賊「ああ、平気だ……それより、これ見てくれよ!」コロンコロンコロン……
魔王「ほう……随分出来たな」
船長「お……!見せてくれよ……へぇ。綺麗なモンだな」
姫「コツはかなり掴めたわ」
魔王「あの短時間で大したもんだ……身体は冷えてないか?」
姫「大丈夫……私は濡れて無いもの」
盗賊「本当にズルいよな、姉ちゃん……あ、でも聞いてくれよ、少年!」
魔王「ん?」
盗賊「ほら、これ……こうやってな?」グッ

サァアアアアア……

船長「ああああ、お前、部屋の中で何すんだ!」
魔王「ふむ……シャワーだな」
姫「凄いでしょ、盗賊」
盗賊「んで……ほら!」

ザアアアアア!

魔王「勢いを変えられるのか」
船長「おい、こら俺の部屋……!ああ、もう!後で拭けよ!」
4321 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 16:15:31.31 ID:IKnsrjixP
魔王「凄いな……本当に、二人とも良くやった」
盗賊「へへ……」
姫「水だから、勢いに差をつける位しか出来ないけどね」
船長「確かに……こりゃスゲェな」
魔王「ああ、そうだ……船長、さっきの話の続きだが」
船長「おう、任せとけ!なぁに……悪い様にはしねぇよ!」
魔王「あ、ああ……」
盗賊「何の話だ?」
魔王「まあ……後でゆっくり説明してやる。とりあえず、二人ともゆっくり休め」
船長「そうだな……の前に、盗賊!お前は掃除だ! ……ったく」
船長「水浸しにしやがって……」ブツブツ
盗賊「えぇ!?俺だって疲れてんのに……」
船長「阿呆!やることやってから寝ろ!」
魔王「では、姫……部屋へ戻ろう」
姫「え、ええでも……」
盗賊「あー……良いよ、俺一人でやるよ」
盗賊「姉ちゃんだいぶ魔力消費しただろ?……腹に子もいるんだから」
姫「……じゃあ、お言葉に甘えて」
船長「ああ、案内させるわ……おい!」
海賊「あいよ! ……こっちだ。ついてきな」
4331 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 16:29:27.36 ID:IKnsrjixP
……
………
…………

カチャ……パタン

姫「はぁ……疲れた!」ゴロン
魔王「しかし、これはまた……凄い部屋だな」
姫「そうね……豪華な部屋」
魔王「……無理はしてないか?」
姫「ええ……楽しかったわ」
魔王「そうか」
姫「コツも掴んだし……まあ、攻撃するのとは随分違う、けど」
姫「コントロールする、って言うのは……解った気がする」
魔王「ああ……着くまでゆっくり休んでいると良い」
姫「ええ……そう、ね……」スゥ
魔王「眠ったか……私も少し休む、かな」
魔王(さて……問題は魔導将軍、だな)
魔王(どうするか……)スウ ……

……
………
…………

盗賊「なあ、船長」ゴシゴシ
船長「ほら、そっちまだ濡れてるぞ……なんだ?」
盗賊「……やれると、思うか?」
船長「だからさっき説明しただろ?俺が船で……」
盗賊「魔石の話じゃネェよ!」
船長「あん? ……じゃあ何だよ」
盗賊「魔導将軍、だ!」
船長「ああ……そっちか」
4341 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 16:34:07.24 ID:IKnsrjixP
盗賊「あいつを片付けねぇと……どっちにしろ」
盗賊「魔石の流通だとか、何だとか……旨くいかねぇんだぜ?」
船長「まあ……そうだよな」
盗賊「少年なら……大丈夫なんだろうけど……」
船長「だが……これだけの魔石をあの短時間で作っちまうんだ」
船長「お嬢ちゃんだって相当なモンだろう?」
盗賊「魔力の量の問題じゃ無い……だろう?」
船長「ん?」
盗賊「魔法で戦う、んだぜ……尋常じゃ無い魔力量があったって」
盗賊「姉ちゃんは、スタミナもねぇ……」
船長「……」
盗賊「特訓、たって……確かに、姉ちゃんすげぇコントロールできる様になってたけど」
盗賊「……攻撃力とか、戦闘術、とかさ」
船長「明日には、島に着く」
船長「……向こうでどうにか鍛えるんだろうさ。俺には……わからん」
盗賊「……まあ、そうだろうけど。でも、場所がなぁ……」
船長「そうだな。あまり派手にやられても……な」
盗賊「良し……終わった」
船長「ご苦労さん……お前も休め」
船長「明日も魔石とやら、作るんだろ?」
盗賊「ああ……じゃあ、戻るわ」スタスタ
船長「おやすみ」
4351 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 16:40:55.51 ID:IKnsrjixP
船長「……魔石、ね」コロン
船長「スゲェやつらを、船に乗せちまったもんだ」
船長「おう。俺も休むわ……時間になったら起こせよ!」
アイアイサー!
船長「スピードを緩めるな……良い波だしな」
海賊「この侭行けば、明日の昼前には着きますぜ?」
船長「半日早いな……まあ、良いだろう」

……
………
…………

コンコン……コンコン!

魔王「……ん?」
姫(すやすや)
魔王「姫……は寝てるか……はい?」
盗賊「俺だ。開けて良いか?」
魔王「ああ……構わん」

カチャ

盗賊「おはよう……と、姉ちゃんまだ寝てるのか」
魔王「もう朝か……余程疲れたんだろうな。起きたらまた昨日の続きを……」
盗賊「もう昼過ぎだよ」
魔王「何……?そんなに寝たのか」
盗賊「それに、続きは後だ」
魔王「……何かあったのか?」
4361 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 16:46:48.32 ID:IKnsrjixP
盗賊「ああ、違う違う……まあ、夜の間に何回か魔物に襲われたけど」
魔王「……マジで?」
盗賊「大丈夫だよ。海賊達、強いしな」
魔王「そ、そうか……すまんな」
盗賊「それに、もうすぐ廃港に着くんだ……一度上陸して、夜を待つんだとさ」
魔王「……随分早くないか」
盗賊「良い風に良い波だったんだと……まあ、急がなくて良いから」
盗賊「下船できる準備しといてくれ……で、食事も用意できてるし」
姫「……んん」
魔王「起きたか?」
姫「お腹……すいた……」
盗賊「ははッ ……じゃあ、食堂で待ってるよ。俺もマダだし、飯」
魔王「ああ……すぐに行くよ」

……
………
…………

船長「おう、おはようさん」
姫「おはよう、船長……もう着くんですって?」
船長「ああ……随分と条件が良くてな」
魔王「降りるのか?」
船長「小舟に乗り換える必要があるからな……俺も行くぜ」
魔王「船長も?」
4371 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 16:55:09.24 ID:IKnsrjixP
船長「何だ、不服か?」
魔王「いや、そうじゃない……留守にして良いのか?」
船長「野郎共がいりゃ心配はネェよ。船もうごかす訳で無し」
盗賊「何でも、お前に見せたい場所があるらしいぜ、少年」
魔王「私に?」
船長「ま、着いてからのお楽しみだ」ニヤ
姫「……なんか企んでる顔ね」
船長「ふふん」
盗賊「しかし……姉ちゃん本当に良く食うよな」
姫「二人分ですもの」
魔王「……食欲旺盛なのは良いことだ」
魔王(エルフってのは皆、大食いなのか……?)
船長「お……そろそろだな。おい、飯が済んだら甲板に来い」
船長「俺は先に行くぜ」スタスタ
魔王「ああ……私も行こう。姫は盗賊とゆっくり来い……どうせ」
魔王「……まだ食うんだろう」
姫「ええ……そうね。盗賊、そっちのパン取ってくれない?」
盗賊「……4つ目だぜ。まあ、良いけど……腹、痛くならねぇ?」
姫「なんで?」モグモグ
盗賊「……どうぞ」ハイ

……
………
…………

魔王「……あれか」
船長「ああ」
4381 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 17:06:16.61 ID:IKnsrjixP
魔王「ここから……見てもぼろぼろだな」
船長「言っただろう、辛うじて……だと」
魔王「見せたかった物って言うのはこれか?」
船長「いや、それは降りてからだ」
魔王「しかし……随分……」
船長「何だ?」
魔王「……なんと言えば良いのか。息が……詰まりそうだ」
船長「美しいだろ……無人の島なんだ」
魔王「無人……?」
船長「ああ……噂では魔物に食われ全滅したらしいぞ」
魔王「……」
船長「それも、随分昔の話だ。少し行けば……廃墟がある」
魔王「街があったのか」
船長「小さい街だがな……城跡もある」
魔王「……見せたいのはそれか」
船長「ああ……来たな」
魔王「ん? ……ああ」
姫「あそこに降りるのね……」
魔王「ああ……大丈夫か?」
姫「何が?」
4391 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 17:10:32.04 ID:IKnsrjixP
魔王「体調……と言うか、気分」
姫「ええ……これといって。どころか……」
姫「随分と……良い気分だわ。空気も澄んでいるし……光に溢れてる」
盗賊「おい、二人とも何かに掴まれ。揺れるぞ……着岸する」

グラグラ……

魔王「ああ……っと。姫、掴まれ」
姫「きゃっ ……ええ」
船長「良し……降りるぞ」スタスタ
盗賊「おう」スタスタ
魔王「……」
姫「少年?」
魔王「いや……」
魔王(何だろう……息苦しい、と言うか……)
魔王(自然が美しくて、息が詰まる……?否、違うな……)
魔王「……行こうか」スタスタ
姫「ええ」スタスタ
4401 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 17:15:29.42 ID:IKnsrjixP
船長「おいお前ら!日が沈んだら小舟を下ろす」
船長「ちょっと行ってくるから……それまでに準備頼んだぞ!」

アイアイサー!

魔王「……」
姫「少年……大丈夫?顔色が悪いわ」
魔王「ふむ……なんだろうな、これは」
船長「おいおい、どうした?」
船長「魔王が船酔いか?……格好つかねぇな」
魔王「いや、そんなんじゃ無い……この場所は……」
姫「……清浄すぎる、のかしら」
盗賊「え?」
姫「私には……凄く、心地が良い。そうね……何かに癒されているみたい」
盗賊「自然が多いからな。なぁんにもない小さい陸なんだぜ?でも……」
盗賊「花も草木も、すげぇ元気なんだ。いつ来ても」
船長「船に戻るか……と言いたいが……」
魔王「いや、見せたい物があるんだろう。構わん……大丈夫だ」
姫「……魔族には、辛いのかもね」
姫「光が……とても、多い」
魔王「……かもな」
4411 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 17:22:10.15 ID:IKnsrjixP
船長「良し……無理はするなよ。こっち……この川沿いの道だ」
魔王「この先に……その廃墟と城跡があるのか」
船長「ああ……だがそこまで行ってる時間はネェ」
魔王「うん?しかし……」
船長「途中で道を曲がる……小高い丘があるんだ」
船長「そこに……知人の墓がある」
盗賊「……」
魔王「見せたい物……は、それか」
船長「後は……行けば解る」
姫「……本当に、凄いわね」
盗賊「え?」
姫「川を流れる水も……綺麗。見ているだけで癒されるみたい……」
盗賊「ああ……人が、居ないからかもな」
姫「……自然しか無いから?でも、街があったんでしょう?」
魔王「大昔に魔物に襲われて全滅した……んだそうだ」
姫「……そう」
盗賊「噂に過ぎないぜ?」
魔王「しかし……」
船長「ん?」
魔王「……私ですら、息苦しく感じる程だ」
4421 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 17:27:21.44 ID:IKnsrjixP
魔王「獣に近いだろう、下等な……そうだな」
魔王「あまり力の強くない魔物しか生息できなさそうだがな……」
船長「確かに、弱い魔物しか居ないな」
船長「戦う術を知らネェ女子供ならまだしも、力の弱い盗賊一人でも」
船長「余裕で一人で行き来出来る程度だからな」
魔王「昔はどうだったのか解らんがな……今のこの状態では……な」
盗賊「俺が強くなったんじゃねぇの?」
魔王「……丘の上、あれか?」
船長「ああ、そうだ……もう少しだ」
盗賊「無視かよ!」
姫「まあまあ……わ、 ……あ……ッ」

ザアアアアァァ……ッ

姫「な、に……これ……!なんて……美しい、の……!」
魔王「……これは、見事」
盗賊「すげぇだろ?」
船長「あいつの亡骸を拾って、ここに埋めたらな」
船長「一月もしないうちに、この様だ」
4431 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 17:36:21.92 ID:IKnsrjixP
姫「……光が、溢れてる。本当に……凄い……!」
盗賊「枯れないんだ。ここの花も……草も」
姫「エルフの祝福ね……」
船長「祝福?」
姫「ええ……エルフの亡骸は、森の中では……だけど」
姫「勿論、土に還される。そして森の生命力となるのよ」
姫「花となり、草となり……風になり、雨になる」
姫「私達、残されたエルフに、恵みがある様に」
盗賊「……そっか」
姫「きっと……この土地、この島は……浄化されたのね」
姫「エルフの血肉で……」
魔王「……成る程な。光の力の強い土地なのか」
船長「そうなのか?」
魔王「私達魔族の住む最果ての地……北の大地は」
魔王「こことは逆だ。魔の気が渦巻き、光の力は弱い」
魔王「……船上で、姫に話したな」
姫「ええ……でも、少年は」
姫「海を渡る風や、晴れやかな蒼い空の方が心地良いって言ったじゃ無い」
魔王「ああ……気分的にはな。だが……」
魔王「やはり……私は魔族だからな」
4441 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 17:44:17.82 ID:IKnsrjixP
魔王「光が濃すぎるのは……少々、堪える様だ」
盗賊「魔王にも弱点があるんだな」
姫「おかしな話よね……光と闇なんて……同じなのに」
船長「同じ?」
姫「同じと言うか……光が無ければ闇も生まれないでしょう?」
姫「闇が無ければ、光は輝けない……表裏一体じゃない」
盗賊「……知人が言ってた。そういえば」
船長「ありゃあ、御伽噺だろう?」
姫「御伽噺?」
盗賊「光と闇の獣ってのが、人間だとさ」
魔王「なんだ、それは」
盗賊「人は弱いけど、強いから……それは、光も闇も」
盗賊「両方を兼ね備えているから、だって。だから」
盗賊「人は、善にも悪にもなれる……ってさ」
魔王「……ふむ」
姫「魔族は……闇の力が濃いのかしら。だから……少年は……」
魔王「溢れんばかりの光は苦痛に感じるのかもな」
盗賊「だが、光そのもの、闇そのもの……なんてモンは存在しないだろう?」
魔王「存在するとすれば、それこそ御伽噺……や、神話の世界だな」
船長「……さて、長居する必要もないだろう」
船長「そろそろ戻るか……じき、日も暮れるぜ」
4451 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 17:57:52.10 ID:IKnsrjixP
姫「ええ……でも、船長はどうしてここを……見せようと思ったの?」
船長「何となくだ……ついで、だよ。墓参りも兼ねて、な」
魔王「……街と城跡も気になるが」
船長「ここから半日ほど掛かるぜ?」
魔王「そうか……」
盗賊「またにしろよ……魔導将軍さえ倒せば、何時だって来れる」
魔王「……ああ」
魔王(後で……側近に調べておいて貰うか)

……
………
…………

船長「良し、準備出来てるな……気をつけて乗れよ? ……っと」
姫「小舟って……これ!?」
盗賊「四人か……ギリギリだな……よっと!おい船長、腹が邪魔だ」
船長「うるせぇ、小さくなってろ!」
船長「俺と少年と交代で漕げば……夜明けまでには着くだろ」
魔王「人力か……」
船長「目立つ訳にいかねぇだろうが」
4461 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 18:04:35.43 ID:IKnsrjixP
姫「無茶苦茶ね……よいしょ……きゃっ」
魔王「気をつけろ……ん、揺れるな」
船長「乗ったな? ……あんまり動くなよ」
魔王「まあ、待て……方向はどっちだ?」
船長「ん? ……こっちへ、真っ直ぐだ。取りあえずな」
魔王「そうか……座っておけよ……水よ!」
姫「え、ちょっと……何する気……ッ きゃあ!」
盗賊「うわッ」
魔王「波打ちて運べ……音立てず、静寂の内に」
魔王「行け、滑る様に……走れ!」

ザアアアアアアアアアアアア……ッ

船長「……ま、まじか……!」
魔王「あんまり喋るな。舌噛むぞ……方向だけ指してくれ」
船長「……お、おう……そのまま ……もう少し、北東」
盗賊「……信じらんねぇ……痛ッ」
船長「見えた、あれだ! ……ああ、そっちへ行くな反対の……あの、入り江へ」
魔王「……良し。ここだな」
姫「……本当に規格外ね」
魔王「言い飽きてくれ、そろそろ……それ」
4471 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 18:11:31.64 ID:IKnsrjixP
船長「……あっちゅーまに着いちまった」
盗賊「まだ……みんな起きてるだろうな」
魔王「ふむ。就寝前なら迷惑でも無いだろう……で、ここは」
魔王「位置的にどの辺なんだ?」
船長「ああ、そうか……まだ言ってなかったな」
盗賊「聞いて驚け!……ここはな。魔導の街の、すぐ傍の無人島だ」
姫「……ええ!?」
船長「住んでるのは魔導の街からは見えない裏っかわだけどな」
魔王「灯台もと暗し、と言う奴か……?」
船長「しらみつぶしに探してる訳じゃネェだろうってのもあるがな」
盗賊「だからこんな方法でしか来れないんだよ」
盗賊「……見つかるかもって思ってビクビク過ごすってのは」
盗賊「どうせ、どこに居たって一緒なんだ」
姫「……考えた、わね」
船長「良し、コッチだ……ちょっと歩くぞ」
盗賊「取りあえず、俺が事情を説明してくる……俺の家で待っててくれ」
姫「旨く行く……かしら、ね」
魔王「さぁな……」

……
………
…………
4481 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 18:18:30.34 ID:IKnsrjixP
姫「……遅いわね」
船長「まあ……待つしかねぇだろ」
魔王「船長は……面識あるんだろう?」
船長「一応な。だが……そんな頻繁に来る訳じゃねぇからな」
船長「盗賊と一緒に食料とか運んでは来るが……漕ぎ手は大体他の海賊共に」
船長「任せるしな……それに、来ても」
船長「会って話して、ってのは……しねぇしな」
姫「……難しそうね」
魔王「ああ……だが……」
船長「持って行ったんだろう?あの……魔石、か」
魔王「ああ。見せてくるって張り切ってたが」
姫「……不必要に、虐げられてきた人達だもの」
姫「すぐに……心を開けと言う方が、無理があるわ」
船長「……近道が一つだけある」
姫「魔導将軍を倒して、娼館で働く人を……解放する、ね」
魔王「前者はどうにでもなる。問題は……後者だ」
船長「……」

バタバタバタ……バタン!

盗賊「姉ちゃん!来てくれ!」
4491 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 18:26:55.25 ID:IKnsrjixP
姫「え!?わ、私……!?」
盗賊「見せてやって欲しいんだ! ……魔石に、なるところ」
姫「え、ええ……それは……」
盗賊「早く!」グイッタタタ
姫「ちょ、ちょっと待って……!」タタタ
船長「お、おい!」ガタッ
魔王「まあ、待て……」
船長「しかし、放っておくのは……」
魔王「案外、姫だけの方がうまく行くかもしれん……任せよう」
船長「あ、ああ……しかし……」
魔王「さて……寝床はここで良いのか?」
船長「あ?ああ……まあ、ここしかどうしようもネェだろ」
魔王「ふむ……私は街へ戻ろうと思う」
船長「ん?ああ……まあ、お前はそれで……良いだろうけど」
船長「姫は良いのか?」
魔王「手紙でも残していくさ。ここへ戻るだろう?」
魔王「船へ戻るなら送り届けよう……あの廃港から離れれば」
船長「……まあ、確かに……何日もあんな場所に止めっぱなしにしてるよりゃ」
船長「良いだろうが……」
魔王「ああ。つながりがあると疑われるのもまずいだろう」
船長「良し……じゃあそうするか」
魔王「予選が始まれば、私達は街を離れられなくなる」
魔王「予選の前日……あの廃港に居てくれ」
4501 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 18:36:18.25 ID:IKnsrjixP
船長「わかった……が、盗賊はどうする?」
魔王「船に届けるか、ここに置いていく……私は場所さえ解れば」
魔王「何時でも戻れるからな。船の位置までは流石に見つけられんが」
船長「そういう事か。解った……予選の前日に、廃港で」
魔王「ああ……ちょっとだけ待ってくれ。メモを……」サラサラ
魔王「良し……では、掴まれ」
船長「お、おう……」

シュゥン……

魔王「……っと」トン
海賊「うわあああああああああああ!?」
船長「……ッ う、お、あ……!」ドタ
魔王「……ちゃんと掴まれと言っただろうに」
海賊「せ、せせせせ、せんちょう!?」
海賊「ど、どこから ……!?」
魔王「ではな」シュゥウン
船長「消えた……本当に、すげぇな」
海賊「……」
船長「おい、何時までそんなとこ座ってんだ」
海賊「腰が……抜けました……」
船長「……なんだ、情けねぇな。海の男が……」
海賊「船長も足がくがくしてるじゃないっすか」
船長「う……うるせぇ!」
4511 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 18:43:49.46 ID:IKnsrjixP
……
………
…………

シュゥン……トン

魔王「多分、この辺……ああ、ここだな」
魔王『側近』
側近『おう、なんだ……殺したか?』
魔王『……物騒だな』
側近『違うのか……で、何だよ』
魔王『見てくれ』
側近『は!?』
魔王『最初に言っただろう。望めば俺が見ている物が見れると』
側近『ああ、そういう意味ね……ちょっと待て。ええと……どうやるんだよ、ったく』
魔王『この間の時も見たんじゃ無いのか?』
側近『あんなけ派手に魔法ぶちかましゃ厭でも感じるっつーの……まあ』
側近『お前の目ん玉、飲み込んだからだろうがな……ん、どこだ、そこ?』
魔王『廃墟の街と……城跡らしい』
側近『はぁ……どこに居んの、お前……』
魔王『昔、魔物に襲われて全滅したらしいんだがな。廃港の様なものもある』
魔王『島の規模はそれほど大きくないんだが……どうも、光の力が強い様でな』
側近『光?』
魔王『ああ……丘の上にエルフの知人の墓がある。姫はエルフの加護だとか』
魔王『言ってたが……元々それほど強い魔物も生息していそうにない』
側近『浄化されたとでも?だが……滅ぼされたのは昔なんだよな?』
魔王『その辺も定かじゃ無いんだ……で』
側近『俺に調べとけって事ね……はいはい』
4521 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 18:49:06.88 ID:IKnsrjixP
魔王『ああ……頼む。私は今から魔導の街に戻る』
側近『……頼むから変な事すんなよ?』
魔王『大丈夫だ……あの街に居れば、逆にあいつも手を出せんだろう』
側近『今のところ、他も目立った動きはねぇな……が』
魔王『が? ……なんだ』
側近『魔導将軍をやった後は、こうのんびりはしてられねぇぞ』
魔王『……だろうな』
側近『姫の事もあるだろう……惚れたのか?』
魔王『身重の娘にか……阿呆か』
側近『違うなら良いがね……どうするんだ?』
魔王『どうしようか』
側近『お前なぁ……』
魔王『生まれるとしても、50年も先だろう』
魔王『それまで、共にしているとは思えんさ』
側近『……ま、良い。取りあえず調べておくぜ……ああ、もう本当手が足りん!』
魔王『すまんな』
側近『放り出したのは俺だしな……変な心配して胃が痛むより随分マシだ』
魔王『……悪かった、って』
4531 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 18:53:36.58 ID:IKnsrjixP
側近『じゃあな……何かあったらすぐ知らせろよ』
魔王『ああ……頼む』
魔王(さて……街へ戻るか)

シュゥウン

魔王(ここは……ん?)
魔王(娼館の裏手か……丁度良い)
魔王「……おい、管理人」
管理人「何だ……! こ、ここここ、これは少年様!」
魔王「娼婦を頼む……それから」
管理人「フランボワーズですね!」
魔王「覚えていてくれたんだな」
管理人「それはもう……!さあ、どうぞ」

……
………
…………

コンコン

少女「失礼致します……お茶をお持ちしました」
魔王「ああ、ありがとう……少女」
少女「……もう、来られないかと思っておりました」
魔王「何故だ?」
少女「何となく……です。どうぞ……」
魔王「ありがとう……良い香りだ。君も座って……つきあってくれ」
少女「はい……ありがとうございます」
4541 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/11(木) 18:54:16.17 ID:IKnsrjixP
さて、お風呂とご飯〜
また明日、かな〜
455名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 19:21:39.91 ID:pIJiIMtx0
おとなしく待ってるー
456名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 19:55:39.35 ID:x+Lt+3ut0
フランソワーズBBA…
まってりゅ…orz
457名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 22:31:42.58 ID:0YGlkYVy0
458名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 22:48:35.97 ID:YfSkjoqT0
459名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 22:54:10.31 ID:IKKr7PKN0
460名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 22:57:13.48 ID:Y0DDZmRQ0
461名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 23:03:23.15 ID:Y0DDZmRQ0
462名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 23:06:13.83 ID:EeM0iKsm0
463名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 23:13:40.73 ID:Y0DDZmRQ0
464名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 23:15:30.92 ID:q0lrikLi0
465名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 23:28:10.58 ID:IKKr7PKN0
466名も無き被検体774号+:2013/04/11(木) 23:43:43.12 ID:BCI7TR4+0
467名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 00:14:11.47 ID:gJoKDc6L0
468名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 01:18:30.53 ID:BhRu4aqA0
469415:2013/04/12(金) 03:52:24.48 ID:tAQyhZXO0
ttp://s-up.info/uploads/201201083284.png

ありがとう、お言葉に甘えて一枚だけ。側近かわいいよ側近。
しかし、シリアスに本編を楽しんだ後の読者ハガキコーナーのやうなものに私はなりたい……
今後、>>1の完結又は続編宣言までは水面下で描こうと思います。

もとい、それまでにイメージが出ていれば可能な範囲で合わせます。
今回は>>50に引きずられただけであって、つまり趣味全開でしぬほど楽しかった。
470415:2013/04/12(金) 04:05:57.91 ID:tAQyhZXO0
ttp://s-up.info/view/201201/083289.png
いきなり色々間違えた。すまぬ。
471名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 06:04:38.21 ID:MVg9nV5w0
普通に上手いwww
472名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 06:11:47.98 ID:32ErU4RKP
これは…
もっとたくさん描いて欲しいくらいうまい
473名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 06:42:20.14 ID:8ogOFj5z0
うまいな

ただ、イメージと違いすぎたw
別に否定はしないけど、見たくなかった
側近は美形のイメージなく読んでたからね
ごめんよ
474名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 08:03:02.39 ID:VQMrwchR0
上手いか?
なんかちょっとキモい
自分でスレ立ててやれよw
475名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 08:55:59.01 ID:8ogOFj5z0
>>474
別に下手ではないでしょ
>>1が言うようにがんがんしたらいいし、俺はイメージ違ってただけ
>>469が思う通りにしたらいいさ

ただ、ここは文字がメインだから、イメージの批判は来る前提だよね
4761 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 09:28:21.75 ID:MY2NTeWoP
おはよー!
幼女幼稚園に放してきた!やっとはじまったー!
けど帰ってくるの早いのよね……orz
お迎えまで少しだけー

>>415
ふおおおおおおおおおお、ありがとう!
側近、毛根が……www

イメージは人それぞれだからなぁ、仕方ないと思うけど
気にせず、書きたいもの書いてなー?
私はすっげぇ嬉しいよ!
絵がかけるだけでもすげぇのに漫画とかすげーな!
ほんまにありがとーーーー!!!
4771 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 09:29:52.80 ID:MY2NTeWoP
後ちょっと相談……

多分これ、1スレで終わる気がしないorz
いや、終わるかもしれんけど……

で、流石にパート○○とかでここで続けるのは気が引けるので
パー速にお引っ越ししたほうが良いかなと考えてるんだ

終わらせれば良いんだけどね……御免orz
4781 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 09:43:01.35 ID:MY2NTeWoP
魔王「今日は……少し突っ込んだ事を聞いても良いか?」
少女「お戯れ以外、拒否する権利はありませんから」
魔王「ふむ……甘い物は好きか?」
少女「え? ……はあ、まあ」
魔王「何が好きなんだ……やはりケーキか?」
少女「……クリーム系は、ちょっと。タルトとか……好きです」
魔王「ふむ。覚えておこう」
少女「突っ込んだ事、と言うのは……それですか?」
魔王「ああ、いやいや……気を悪くしたら、すまん」
少女「……」
魔王「お前は、優れた加護を持たないだけか?」
少女「……? 仰る意味が……」
魔王「ああ、すまん……普通に魔法は使えるのか」
少女「ああ……はい。一応……」
魔王「ふむ」
少女「それが、どうかしましたか」
魔王「もう一つ……お前の属性……加護は、風か?」
魔王「綺麗な緑の瞳をしている」
少女「……使える魔法は風です。緑……大地の加護を受けています」
4791 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 09:47:55.15 ID:MY2NTeWoP
魔王「大地の加護か……そうか」
魔王「うん、解った。ありがとう」
少女「? ……はぁ」
魔王「あと少しだな。予選まで」
少女「そうですね」
魔王「……魔導将軍は恐ろしいか?」
少女「それこそ、拒否する権利などありません」
魔王「ふむ。少女は……本は好きか?」
少女「本? ……読書、と言う意味ですか」
魔王「まあそうだな」
少女「家に居る時はよく読みました。幼い時は童話や神話の類を」
魔王「うん」
少女「……魔力が発現してからは、魔導書のみしか与えられませんでしたが」
魔王「魔導書?」
少女「はい。この街の図書館にも沢山あるはずです」
魔王「そうか……一度行ってみても良いな」
少女「お好きでしたら……お勧めです」

コンコン

魔王「ああ……来たな」
少女「はい……では、私はこれで」
魔王「ああ、また明日な」
少女「明日?」
娼婦「失礼致します……」
少女「……では、私はこれで」
4801 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 09:50:28.37 ID:MY2NTeWoP
パタン

娼婦「いらっしゃいませ、少年様」
魔王「ああ、元気にしていたか」
娼婦「つい先日じゃありませんか……これ、どうぞ」
魔王「おお……旨そうだな」
娼婦「約束ですから」
魔王「……一つだけか?」
娼婦「え?」
魔王「お前の分が無いじゃないか」
娼婦「え、そんな、私は……」
魔王「甘い物は好きなのだろう?」
娼婦「そうですが……」
魔王「気の利かない男だな、あの管理人は……仕方ない」
魔王「今日は、半分こしよう」
娼婦「え、ええ!?」
魔王「なんだ、厭か?」
娼婦「いえ、あの……!」
魔王「遠慮はせんで良い……ああ、そうだ。娼婦」
娼婦「は、はい……?」
4811 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 09:55:06.70 ID:MY2NTeWoP
魔王「タルトは好きか?」
娼婦「え? ……ああ、はい、まあ」
魔王「そうか、良かった……ん、皿を取ってくれるか」
娼婦「あ、は、はい!」
魔王「ん……半分な」
娼婦「あ……ありがとうございます……」
魔王「まあ、座れ。ああ、すまん茶を……」
娼婦「じ、自分でやります!」
魔王「そうか?では任せる ああ、そうだ……先日は、大丈夫だったか?」
娼婦「ああ……ええ。随分と驚いてはいらっしゃいましたが」
魔王「うむ」
娼婦「もう少し……ここに居られる事になりました」
魔王「ほう?」
娼婦「……大会が終われば、どこかへ行かれるのでしょう?」
魔王「ん?」
娼婦「少なくとも、それまでは」
魔王「……本当に数日の話ではないか」
娼婦「少年様が必要とされる限りは……です」
魔王「……」
娼婦「あ……! も、申し訳ありません。催促をする訳では……!」
4821 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 09:59:20.10 ID:MY2NTeWoP
魔王「あ?ああ……いや、そういう」
魔王「……」
娼婦「少年様……あの、お気を悪く……されました……よね」
娼婦「どうか……お許しください!その……!」
魔王「違う」
娼婦「え……?」
魔王「必要としていれば、拒否はしないで居てくれるのだな?」
娼婦「そ、それは……勿論です」
魔王「その時、お前に拒否する権利があるとすればどうだ?」
娼婦「そんな……そんな権利は、私には……」
魔王「あったとして、だ」
娼婦「……前にも、申し上げました。私は……」
魔王「期待するのは厭、か」
娼婦「……はい。もう絶望を味わうのは……厭です」
魔王「必ず約束すると言っても?」
娼婦「……申し訳ありません」
魔王「信じられんか?」
4831 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 10:07:32.15 ID:MY2NTeWoP
娼婦「……」
魔王「いや、すまん……無茶な話だな」
娼婦「私は、何を信じれば良いのか……そもそも、それすら解らないんです」
魔王「……」
娼婦「あの家に生まれたばかりに。私に優れた加護が無いばかりに」
娼婦「……親に捨てられ、道具として扱われ」
娼婦「最後は、売られるか処分されるか……いえ。売られた先での扱いも」
娼婦「期待できた物ものではありません」
魔王「……」
娼婦「死んだ方がましだとすら……思えなくなりました」
娼婦「ですが……それすらも欲ですよね?」
魔王「欲……?」
娼婦「はい。最後の、欲……ここに居れば綺麗な服を着、髪を結われ」
娼婦「お客様に選んでさえ戴ければ……生きてはいられる」
娼婦「不思議です。あんなに辛いと。もう……死にたいと何度も思ったのに」
娼婦「でも、私は生きています。生きたいと思います」
魔王「……」
娼婦「でもそれは……何れ、死ぬから」
娼婦「暖かい布団の上では無いでしょう。大事な人に看取られてでも無い」
4841 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 10:11:56.43 ID:MY2NTeWoP
娼婦「使えなくなった道具を、玩具を破棄するだけですから」
娼婦「……そして、それは近い内にやってくるんです」
娼婦「だから、せめて今は生きてはいたい……勿論」
娼婦「自決等選ぶと、他の人達に迷惑がかかるから……と言うのも」
娼婦「……ありますけど」
魔王「ふむ」
娼婦「やっぱり、死ぬのは怖いですから」
魔王「……そんな泣きそうな顔で笑わないでくれ」
娼婦「最後に、こうして……少年様に選ばれて良かったです」
娼婦「楽しい時間も過ごせたのだと、そう思って……残りを過ごせます」
魔王「それは、違う」
娼婦「え?」
魔王「楽しい時間を経験すれば、もっと楽しくいたいと思うのが……人……」
魔王「否。生きている者の正直な気持ちの筈だ」
娼婦「……」
魔王「何を信じたら良いのか解らないと言ったな」
娼婦「……はい」
魔王「自分のその気持ちを信じてはみないか?」
娼婦「え……?」
4851 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 10:23:33.54 ID:MY2NTeWoP
魔王「私と居て楽しい。ならば……もっと居たいとは思って貰えないのか?」
娼婦「そ、それは……勿論、そう思います!ですが……」
娼婦「大会が終われば、貴方は去ってしまわれる」
娼婦「……それに、奥様もいらっしゃるのでしょう?」
魔王「……まあ、それはそうだが」
魔王(忘れてた……が、そんな話したか……?)
魔王(……魔導将軍か)
娼婦「私は……たかだか商売女……いえ。そんな良い物ですら」
魔王「……」
娼婦「物の分際で……出過ぎた事を思っても……」
魔王「違う、そうでは無くて……」
娼婦「違いません! ……ここを出て、生きて行けた者等居ない……!」
魔王「……居る」
娼婦「え……?」
魔王「居るんだ、娼婦。詳細は言えない、し他言もしないで欲しい」
娼婦「だ、だって……皆殺しに……!」
魔王「違う。皆生きている……勿論、贅沢な暮らしなどしていないだろう」
魔王「髪も結っては貰えない。綺麗な服だって着れない」
魔王「だがな?」
4861 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 10:30:27.38 ID:MY2NTeWoP
魔王「……そういう者達は、今から自分たちを、自分たちでどうにかしようと」
魔王「頑張っている……筈だ」
魔王(盗賊と姫が……旨くやって居るはずだ。そうであって欲しい)
魔王「生きたいと願い、楽しく過ごしたいと自分で考えている」
魔王「……願えば叶う」
娼婦「……嘘です!何をどう願っても……何も、叶い等……!」
魔王「では、今から叶う様、努力すれば良い……確かに、お前一人では」
魔王「……否。誰も一人では成し遂げられん。色々と根が深く、問題も多い」
魔王「だが、私だけでは無い。皆で……知恵を出し、身を動かせば」
魔王「夢を、現実にしようと……引き寄せるべく、動けば」
娼婦「……よしんば、生きていたとて」
娼婦「私には……そんな強さは、ありません……!」
魔王「やらずに諦める方が楽か?道具の様に使い捨てられ、死ぬ方が?」
魔王「……生きていたいと願うのは、確かに自分だろうに」
娼婦「……」ポロポロ
魔王「すまん……きつい言い方だったか」
娼婦「……いいえ。申し訳ありません……」グイッゴシゴシ
魔王「すぐに……どうこうしろとは言わん」
魔王「少しだけで良い。信じて……見てはくれんか」
娼婦「……」
魔王「楽しい時間を過ごしていたいと思った……お前自身を」

リン……リリン……

魔王「……この音は?」
4871 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 10:33:58.74 ID:MY2NTeWoP
娼婦「あ……時間、です」
魔王「そうか……」
娼婦「あの……」
魔王「ん?」
娼婦「……出過ぎた事を言いました。どうか、お許しを」
魔王「遠慮する事など何も無い……今日も楽しかった」
娼婦「ありがとうございます……ケーキ、美味しかったです」
魔王「ああ……また来る」
娼婦「……お待ちしております。では」スタスタ

カチャ

魔王(前進した、と……思って良い、のだろうかな)
魔王(……泣かせてしまった)

コンコン。カチャ

管理人「少年様!今日もありがとうございます!……如何でしたか?」
魔王「明日は、フルーツタルトを三つ用意しておいてくれ」
管理人「は!?は、はい!」
魔王「金だ……ではな」
4881 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 10:42:20.27 ID:MY2NTeWoP
魔王(娼館の裏手……ここで良いか……ん?)
魔王(あれは……!? ……あ、しま……ッ)

シュゥウン

魔導将軍「少年は来たか?」
管理人「はい、今し方帰られましたが……」
魔導将軍「そうか、やはり今の気配は……」
管理人「魔導将軍様?」
魔導将軍「いや……良い。誰を召した?」
管理人「以前と同じ、娼婦です」
魔導将軍「そうか……では、その女を呼べ」
管理人「は、はい、直ちに!」
魔導将軍「後、酒だ……少女に相手をさせる」
魔導将軍「準備が出来ればすぐにだ……良いな」
管理人「勿論です! ……どうぞ」

……
………
…………

シュゥウン……スタッ

姫「きゃあッ ……しょ、少年!」
盗賊「うわああああ!?」
魔王「あ、ああ……すまん」
 
4891 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 10:47:57.38 ID:MY2NTeWoP
魔王(魔導将軍……少女に会いに来たのか?)
魔王(……まあ、良い。まさか戻るわけにはいかん)
魔王(ばれて……いるだろうな。仕方ない……大会までは)
魔王(奴も目立った事はできんだろう)
姫「どこ行ってたのよ、もう……」
魔王「メモを残しておいただろう?」
盗賊「……て、転移……て、奴か……?」
姫「すぐに戻る、ってだけじゃわかんないでしょ! ……船長は?」
魔王「船に戻してきた……何時までもあそこに停泊させているよりは良いだろう」
盗賊「……腰抜かしてたんじゃネェの、船長」
魔王「大丈夫だろう……それより、どうだった?」
姫「ええ……結論は、大成功よ!」
魔王「ほう?」
盗賊「最初はみんな怯えてたけどな」
姫「盗賊にも出来る……て言うのは、大きかったみたい。こんな言い方……申し訳ないけど」
盗賊「気にしなくて良い……事実だし、実際、効果はでかいんだ」
魔王「では……」
姫「ええ。流石に……ちゃんと学んでいるだけあるわ。皆飲み込み早いもの」
盗賊「姫に実際にやってもらったんだ。で……やってみたら出来る奴も結構居た」
魔王「凄いな」
盗賊「流石にもうみんな寝たけどな……魔法使う事なんて殆どないしよ」
姫「疲れちゃったのね」
4901 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 10:48:38.38 ID:MY2NTeWoP
お迎え行って、お昼食べてくるー
また後でバイト行くまで!
491名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 10:51:54.34 ID:Aus5jJKk0
乙!いってらー!
492名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 10:56:17.01 ID:m82Bs5/p0
おつ〜てら〜

楽しみにしとるよ!
493名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 11:59:16.82 ID:8ogOFj5z0
>>477
べつに、ビップラはパート気にしないけどね
たまに言うやつはいるけどw
494名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 13:25:03.41 ID:BhRu4aqA0
気にしないからここで
4951 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 14:01:46.24 ID:MY2NTeWoP
魔王「そうか……ん、これか?」
姫「ええ……炎に、水、風……雷に……」
盗賊「間違えない様にだけしないとな」
魔王「まあ、大体の色で区別出来るだろう」
姫「ええ……でも、見て?これ、私ので……こっちは、島の人の」
魔王「……微かにだが、色が違うな」
盗賊「個人差、だろ?」
魔王「ああ、そうだろうな……しかし」
姫「何?」
魔王「いや。綺麗だなと思って」
盗賊「そうだな……見た目も綺麗で、しかも使って便利ってなりゃ」
盗賊「……生活資金も、充分まかなえるだろう」
魔王「流通するまでが大変だろうけどな」
姫「そこは船長が張り切ってたじゃないの」
盗賊「ああ……だけど」
魔王「全て……魔導将軍を倒してから、だ」
姫「……」
盗賊「……」
魔王「二人とも、そんな顔をするな」
姫「でも……私で、大丈夫かしら」
魔王「……無理だろう」
盗賊「少年……!」
4961 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 14:09:36.28 ID:MY2NTeWoP
魔王「殺せるか?」
姫「……え?」
魔王「魔導将軍を倒そうと思えば、殺す気で行かねば敵わないだろう」
魔王「それに……」
盗賊「……それに?」
魔王「実際……私はそのつもりだ」
姫「!」
盗賊「……ッ で、でも……大会のルールは……」
魔王「姫を殺すと、堂々と宣戦布告されたのに」
魔王「こちらは負かすだけで良いのか?」
魔王「……敵も取りたいのだろう」
盗賊「それは……そうだけど」
魔王「私としては……魔王以下、現状維持を望む立場としては」
魔王「生かしておく必要は無い……が」
魔王「流石に私も、その役目を姫に押しつける気は無い」
姫「……」
盗賊「だけど……」
魔王「大丈夫だ。だが……姫には予選にはちゃんと出て貰う」
姫「……ええ」
盗賊「殺す……のか」
魔王「怖じ気づいたか?」
盗賊「……ッ 違……ッ」
4971 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 14:16:00.01 ID:MY2NTeWoP
魔王「まあ良い……任せておけ」
盗賊「……ああ。それが良いんだろう……否」
盗賊「それしか……無いんだろうな」
姫「ねえ、少年」
魔王「なんだ?」
姫「次の段階に進む、って言ってたでしょ?」
魔王「ああ、そうだな……まあ、発想の問題なんだが」
盗賊「発想?」
魔王「ああ、例えば……使うぞ?」コロン
姫「ええ……」
魔王「器に、水の魔石で……水を、注ぐ」ザァ……
盗賊「うん」
魔王「これもな、少しだけ解放すれば、石の中に力を残した侭にできるだろう?」
姫「ああ……繰り返し何度か使えるって事ね」
魔王「そうだ……これは姫のだな。結構残ってるな」
盗賊「そうか、威力を押さえた侭、力を注ぎ続けられれば……」
魔王「ああ。圧縮して容量を増やせる……ま、それは鍛錬次第だな」
魔王「で、だ……ここに、火の魔石をかざす……ほら」グツグツ……
盗賊「湯になった!」
魔王「……これも慣れねば一気に沸き立つか……蒸発するだろうが」
4981 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 14:21:30.26 ID:MY2NTeWoP
盗賊「成る程な……風の魔石で洗濯物も乾かせるかな?」
魔王「慣れる迄は切り刻むかもしれないがな……まあ、そういう風に」
魔王「工夫して使ってみて欲しい」
盗賊「おう!……あ、そういえば船長が言ってたぜ」
魔王「ん?」
盗賊「治癒魔法を使える奴の力を魔石にすれば……って」
姫「ああ、成る程……怪我も治せるわね」
魔王「そうだな……ふむ、この透明の石がそうか?」
姫「ああ、そうだわ。水の加護を持つ子だったのだけど」
姫「治癒の力を得意とする様ね」
魔王「……薄い水色にも見えるな」
盗賊「間違えない様にしないとな」
魔王「姫ならば、触れば解るんだろうがな……」
盗賊「見分け方とかも考えないとなぁ……」
魔王「そっちは任せた……姫は教えつつ」
魔王「コントロールする方法を身につけておいてくれ」
姫「ええ」
魔王「戦う術については……明日だな」
4991 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 14:27:49.38 ID:MY2NTeWoP
盗賊「剣なら多少は教えてやれる……んだがな」
魔王「ああ、それでも良いぞ?」
姫「え?」
魔王「盗賊に相手して貰って、避ける練習ぐらいはしておくと良い」
魔王「治癒魔法を使える者が居るのならば、安心だ」
姫「そうね……多少の痛みにも、慣れないと」
魔王「ついでに水の壁を張る練習にもなるな」
姫「水の……壁?」
魔王「ああ……こんな風に」ザァ……ッ
盗賊「うあ」
姫「……あっさりね」
魔王「魔法を跳ね返せれば、上出来だ」
盗賊「……お前、本当に何でもできるんだな」
魔王「まあ、魔王だからな……だが」
魔王「姫の様に、優れた加護とやらは私には無い様だぞ?」
姫「そ……そうなの?」
魔王「ああ。船の上で、お前の魔法の水でずぶ濡れになっただろう」
盗賊「そういえば……」
姫「水じゃ無いかもしれないじゃない……ああ、でも」
姫「……様々な加護を持っているものね」
魔王「どうなんだろうな……私の属性がなんなのか」
魔王「自分でもさっぱりわからんがな。魔法が色々と使えると言うだけで」
盗賊「……本当に規格外だ」
5001 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 14:32:50.38 ID:MY2NTeWoP
魔王「さて、そろそろ休むと良い……私も、休ませて貰おう」
姫「明日も……どこかへ行くの?」
魔王「ああ。約束がある」
盗賊「約束……?」
魔王「ちょっとな……夜には戻る」
姫「気をつけてね」
魔王「大丈夫だ……ではな」スタスタ
盗賊「おいおい、どこ行くんだよ」
魔王「ここで三人は無理があるだろう。二人はゆっくり休め」
魔王「……私は何処でも眠れる」

パタン

盗賊「良いのか?」
姫「え?」
盗賊「……まあ、本当の夫婦じゃ無いんだろうが、さ」
姫「大丈夫よ……彼は、魔王だもの」
盗賊「まあ……そうだけど」
姫「私達は、私達の出来る事をしましょ」
盗賊「ああ……姫が、そういうなら良いけどさ」
姫「休むのも大事……布団、借りるわよ?」
盗賊「おう……あ、真ん中で寝るなよ、それしか無いんだから」
姫「うん……蹴らないでよ」
盗賊「そんな寝相悪くねぇよ!」
5011 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 14:36:08.89 ID:MY2NTeWoP
……
………
…………

魔王(星空か……綺麗だな)
魔王(城からは……否。あの最果ての地の空には……星など、煌めかん)
魔王「……」
魔王『側近。起きてるか』
側近『……ああ、今調べていた所だ』
魔王『書庫か?』
側近『ああ』
魔王『一人……だな?』
側近『こんなかび臭い場所、好んで利用するのはお前ぐらいのモンだ』
魔王『そうか……重畳』シュゥウン
側近『え?』
魔王「……ふむ。懐かしい匂いだ」シュゥン
側近「おわああああああああああああ!」
魔王「でかい声出すな。うるさい」
5021 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 14:40:07.90 ID:MY2NTeWoP
側近「お、おま、おま……!な、なななな、何やってんだ!!」
魔王「うるさいと言っているだろう」
側近「……もう、何も言わん。何も考えん!」
魔王「心労が溜まるとハゲるぞ」
側近「……殺すぞ、お前」
魔王「出来る物ならどうぞ……なんだ、気にしてたのか」ナデ
側近「額を撫でるなああああああああ!」
魔王「……なんだこれ、古い地図だな」
側近「人の話……聞こうよ……」
魔王「泣くな、男の泣き顔など可愛くない」
側近「……本当に、お前って奴は」
魔王「ふむ……始まりの街?」
側近「……もう、良い。何も言わん。何も考えん……」
魔王「それはさっきも聞いた………おい、この地図……」
側近「……」ハァ
側近「お前の『目』を通して見たあの街、な」
側近「多分……これだ」
5031 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 14:46:52.45 ID:MY2NTeWoP
魔王「……港。これは……川だな」
側近「ああ、街まで通って無かったか?」
魔王「自分で歩いた訳では無いが……地形的にはそんな感じだったな」
側近「この……地図の小さな街が多分そうだ。城の印もある」
魔王「……ふむ」
側近「先々代の時の戦争で……あの地に魔物が放たれた様だ」
側近「えっと……ああ、これだ。ちょっと読みにくいがな」
魔王「どれ……狼将軍の部隊……か?」
側近「ああ。暫く手下共が住み着いたんだろうが……」
魔王「海に浮かぶ大きくは無い……島、か」
側近「食料の人も居なくなり、共食いしたんだろう」
魔王「共食い?」
側近「あの将軍の眷属の狼は、そういう種族だ」
魔王「……で、自ら滅びたか」
側近「そもそも、それほど強い魔物が住む土地じゃ無い」
魔王「ふむ……しかし、先住の魔物は……どうやって生き延びた?」
側近「元々が獣に近い種族しか居ない上に、自然の多い土地だ」
側近「まあ……推測に過ぎんが、闘争本能が強く無い分」
側近「……どうにか逃げ、隠れ……てた、んじゃないか?」
側近「未だに魔物が住んでいると言うなら、それぐらいしか思い浮かばんよ」
5041 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 14:54:35.59 ID:MY2NTeWoP
側近「それに、あの狼共は必要以上に水を嫌うからな」
側近「……水辺に住む奴らは、案外安全だったのかもな」
魔王「水棲の魔物……ふむ」
側近「見たか?」
魔王「否……確認はしていない。だが……光の力が強いと言う現象は?」
側近「あっちこっち書物をひっくり返したが……まだ何もわからん」
側近「姫が言う様に……エルフの加護だとか言うモンが以外とでかいのかもな」
魔王「しかし……エルフと言うのは光の加護を持つのか?」
側近「それこそエルフのお姫さんに聞けよ」
魔王「……そうだな」
側近「まあ、強い魔物がいないってのは土地的なモンもでかいぜ」
魔王「ん?」
側近「現存した街としては……ここから、最も遠いからな」
魔王「……成る程な」
側近「この大陸に近づけば近づく程、魔の気が濃くなってくるからな」
魔王「そうか……ありがとう」
側近「魔導将軍の方はどうだ」
魔王「大会までは動かないとみて良いだろう」
魔王「あいつの悪趣味具合には反吐が出る……宣言通り」
魔王「……舞台の上で姫を嬲り殺すつもりなのだろう」
側近「あっさり言うね……」
魔王「私がそんな事させる筈無いだろう?」
5051 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 14:59:29.73 ID:MY2NTeWoP
側近「まあ……お前がその気ならそうだろう、が」
側近「……本当に惚れたんじゃ無いのか?」
魔王「阿呆……人の子を孕むエルフの娘に惚れてどうするんだ」
側近「……ま、良いさ」
魔王「もう少しここで本を読んでいく」
側近「あ?ああ……別に構わんけど」
魔王「……どうした?」
側近「へ?」
魔王「いや……何時もなら怒鳴られそうなモンなのに」
側近「言っただろ。もう何も考えたくないの!」
魔王「信じてる位言えば良いのに……」
側近「何それ気持ち悪い」
魔王「……見張ってろよ」
側近「俺は寝ちゃいけないのかよ!」
魔王「私が見つかったら困るだろう」
側近「そりゃあもう、がっつり困る」
魔王「ん、任せた……朝には転移する」
側近「……あ、あれ?」
魔王「ほら、出てけ……しっかり寝ないと、抜けるぞ?」
側近「はげてねぇわ!抜けねぇわ!しかもアンタが今寝るなって!」
魔王「寝るなとは言ってない……ああ、もう時間がもったいない」
魔王「頼んだぞ?」ペラペラ
側近「本当……理不尽だよなぁ……」ハァ……スタスタ

パタン
5061 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/12(金) 15:00:07.60 ID:MY2NTeWoP
ばーいーと!
507名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 15:03:52.21 ID:m82Bs5/p0
いてーら
508名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 17:07:47.27 ID:OeA68eEH0
魔王と側近が描かれてる!かわええ!!
盗賊描いてみたいけどここに載せてみてもいいだろうか
509禁書・デ・ライオン【第四位】8段 ◆XXuCSx4PyA :2013/04/12(金) 17:12:00.98 ID:dBd5p/sA0
いいよ
510名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 18:00:06.27 ID:32ErU4RKP
パー速ならageたときだけ「sageろボケ」って言われるだけで特に荒らされる事も無い
それに下げないと使えないワードとかがあるが、下げてれば基本的に静か
それにここよりも落ちないから保守は全くと言っていいほどいらない
が、絵を描く人は寄ってこないかもな

ここは悪態ついてゆく人がいて、たまにたちの悪いのがいるが、NGにして相手にしなければ良いだけで特にパートにしても問題ないよ
511名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 18:39:05.97 ID:6Tt72J2zP
私もここでパートスレで全然いい
512名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 18:54:31.92 ID:OeA68eEH0
盗賊描いてみたけど画像貼り付けできないorz
513禁書・デ・ライオン【第一学区】8段 ◆LION///Gac :2013/04/12(金) 20:15:35.89 ID:dBd5p/sA0
>>512
おねがいします!!!
514名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 20:54:17.21 ID:32ErU4RKP
>>512
http://
↑をはずしたら貼れるはず
多分レベルが足りんのだろう
515名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 21:34:49.90 ID:2fw0/q8s0
側近の逆輸入に笑ったw
うちもここでいいと思うよーがんばれスコーン
516名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 22:16:56.42 ID:OeA68eEH0
iPhoneのBB2Cからなんだけどエラーメッセージが出て貼り付けすらできないんだorz
517名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 22:20:43.90 ID:Cpz36YMnO
518名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 22:21:20.84 ID:32ErU4RKP
>>516
とりあえず!ninjaしてくれ

BB2Cの問題ならうぷろだの設定を変えて別のにして見るんだ
やり方はわかるか?
519 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/12(金) 22:38:10.74 ID:OeA68eEH0
これでいいんだろうか
てすbeebee2see.appspot.com/i/azuYnfKgCAw.jpg
beebee2see.appspot.com/i/azuYuL2iCAw.jpg
520名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 22:39:02.26 ID:RlZ3TEP90
俺もここで続けて欲しいな
521名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 22:41:59.32 ID:32ErU4RKP
522名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 22:43:30.03 ID:32ErU4RKP
レベルは足りてるから、なぜエラーが出るのかわからんな
とりあえず貼り直しておいた

盗賊ええやん
523名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 22:48:53.62 ID:OeA68eEH0
>>521-522
わー貼り直しありがとう!アドバイスもありがとう!
うpロダ設定で変えてみたんだ!
524名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 22:51:19.36 ID:32ErU4RKP
>>523
うpろだ変えてURLが本文に貼れたのならhttp://は消さんでもいいよ
これを消すのはレベルが足りてない人のための対策だからな!
525名も無き被検体774号+:2013/04/12(金) 23:15:25.45 ID:OeA68eEH0
>>524
なるほどじゃあまたなにか描いた時にはそうする!
526名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 00:42:58.93 ID:4JqJd47J0
ほ?
527名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 01:21:08.68 ID:aDb5lt780
続き気になる^_^
528名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 06:18:07.52 ID:BIxLxr+h0
なぜみんな美形なんだw
529名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 06:30:49.87 ID:oZZECaCr0
ほす
5301 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 10:13:22.73 ID:ttjS92xMP
おはよう!
地震で起きたけど幼女も泣くし二度寝たよ……orz

じゃあ、ここで続けようかなー
ありがとね。

で、盗賊かわえええええ!
BB2Cでチェックしながら、楽しみにしてた!
ありがとおおおおおおおおお!!!

取りあえずお昼ご飯までー!!!
5311 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 10:34:22.00 ID:ttjS92xMP
魔王(始まりの街、か……そんな名があったのだな。あの……街)
魔王(水辺に魔物……ではあの丘を迂回して、平地を行けば)
魔王(もう少し安全に移動できるのだろうか?)
魔王(……まあ、良い。それよりも……確か……ああ、あった)バサバサ
魔王「……げほッ」
魔王(埃が……私しか使わないからなぁ)
魔王(エルフの本に、勇者と魔王の物語……それから)
魔王(人と魔の……神話)
魔王(これぐらいで良いか……あとは)ドサッ
魔王「……光、と、闇……どこかで見た気がするんだがな」
魔王(魔導書……童話、歴史書……片っ端から放り出すか)ポイポイ
魔王「それから……ああ、あった」ペラ
5321 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 10:48:23.93 ID:ttjS92xMP
魔王「ふむ ……」ペラ
魔王(以前、おもしろそうだと思って避けてあったんだが)
魔王(……人の書いた本、なんだろうが)
魔王(ちんぷんかんぷんだな……仕方ない。これは置いておこう)ポイ
魔王「これと、これと……良し」
魔王(朝まで……もう少しあるな)
魔王(もう一度……目を通しておくか)

……
………
…………

コンコン

側近「おい……居るのか?」カチャ……キョロキョロ
側近「……行ったか」
側近「結局……一睡もできんかった」ハァ
側近「……ん、なんだこれ……『商売の基本?』」ペラ
側近「魔王様の本……か?あいつ、こんなもん……」ペラペラ……
側近(ふむふむ)

……
………
…………

シュゥウン、スタ…

魔王(魔導の街の……外の、森か)
魔王(……丁度良いな。本も……うん、間違えて無いな)バサバサ
魔王(残りの分は盗賊の部屋に置いてきたし)
魔王(……二人とももう居なかったな。熱心な事だ)
533名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 10:53:20.16 ID:1XEQtNdhP
女の子らしい格好して恥らう盗賊はよ
5341 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 11:12:19.35 ID:ttjS92xMP
魔王「さて……管理人。いるか?」
管理人「おお!少年様!お待ちしておりましたぞ!」
魔王「娼婦を頼む」
管理人「ええ、ええ!ケーキもご用意しております!」
魔王「そうか。まず一つ持ってきてくれ。二つは……後ほど」
管理人「はい。では二つは娼婦に準備させます。どうぞ」カチャ
魔王「ああ」スタスタ
管理人「今日は……ちょっと趣向を凝らせましてな」
魔王「ほう?」
管理人「まあ……お楽しみに」ニヤニヤ
魔王(笑うと気持ち悪いなぁ)
管理人「では……いつも通り、こちらでお待ちください」
魔王「ああ……ありがとう」
管理人「では、失礼致します」

パタン……コンコン

魔王「はい?」
少女「失礼致します……お茶と、ケーキをお持ちしました」
魔王「ああ。ありがとう……それは、君の分だ」
少女「え?」
5351 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 11:19:48.30 ID:ttjS92xMP
魔王「タルトが好きだと言っていただろう」
少女「……ありがとう、ございます」
魔王「ああ……座って食べなさい」
少女「はい……では、先にお茶の準備を」
魔王「うん……それからな」
少女「はい?」
魔王「これを」スッ
少女「……本?」
魔王「ああ……本も好きだと言っていたからな。読書をする時間があれば良いが」
少女「ええ、まあそれは……」
少女「御伽噺、ですか?勇者と魔王、エルフ……神話」
魔王「ああ。気に入ってくれれば良いんだが」
少女「……」
魔王(あ、微かに頬が綻んでる)
少女「……良いんですか?」
魔王「ああ、構わん。私はもう何度も読んだしな」
5361 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 11:29:50.07 ID:ttjS92xMP
少女「ありがとう……ございます」
魔王(あまり表情の変わらん娘だと思っていたが)
魔王(……嬉しそうだ。良かった)
少女「……少年様」
魔王「何だ?」
少女「昨日、魔導将軍がいらっしゃいました」
魔王「……そうか」
魔王(やはり、昨日転移の直前に見たと思ったのは間違いじゃ無かったんだな)
魔王「お前に会いに来たんだろう?」
少女「……娼婦を召された様です」
魔王「あの娘……を?」
少女「私は……特例です。普段、誰が誰のお気に入りであろうと」
少女「関係ありません……金で、買われる玩具に過ぎません」
魔王「まあ……娼館だからな」
少女「魔導将軍は、それだけ……この街で力を持っています」
魔王「……みたいだな」
少女「魔導将軍が……娼婦に興味を持ったのは……」
魔王「私がここ連日、あの娘を召している、からか」
少女「はい……そして」
少女「昨日は、随分と興奮された様子で帰って行かれました」
魔王「興奮?」
少女「……行為の後でしょうから。当然と言えば当然なんですが」
少女「昨日は、なんと言うか……」
5371 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 11:37:58.11 ID:ttjS92xMP
少女「怒りと、興奮と……」
魔王「……?」
少女「『明日の少年の顔が見物だ』と……笑ってらしたので」
魔王「……」
少女「……」
魔王「どうして、教えてくれる?」
少女「……わかりません。何となく、です」
魔王「そうか……ありがとう」
少女「いいえ……昨日……」
魔王「ん?」
少女「もう、来られないと思っていたと言いましたよね」
魔王「ああ……そういえば言ってたな」
少女「この街に……魔導将軍を恐れ、崇め……讃えない人間は居ません」
少女「だから……」
魔王「そうか……私は、ただの旅人だ。ここの人間ではないからな」
少女「それだけですか?」
魔王「……」
少女「……」
5381 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 11:43:28.49 ID:ttjS92xMP
魔王「ああ……それだけだ」
少女「そうですか……奥様がご無事である事を祈ります」
魔王「……何か聞いたのか?」
少女「……」
魔王「少女?」
魔王「……否。言いたく無いなら……」
少女「あの方は、酔われるととても……口が良くお滑りになる」
少女「ご自分の正体も。貴方様も本名も……奥様をどうしたいのかも」
魔王「……」
少女「私を、どうしたいのかも。全て……」
魔王「君は……大会が終われば、どうなる?」
少女「初めてを捧げるのでしょう……そうして、いたぶり弄んだ後」
少女「殺してしまわれるおつもりの様ですよ」
魔王「!?」
少女「だから、安心して酒を飲み、そうして零してしまうのでしょう」
魔王「……もう一度、聞こう」
少女「はい」
魔王「君は魔導将軍の正体も、私や、ひ……妻の事も」
魔王「全て知っている上で、私にそれを教えてくれているのか」
少女「……はい」
魔王「何故だ?」
5391 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 11:50:26.28 ID:ttjS92xMP
少女「先ほど言いました。何となく……です」
魔王「……」
少女「希望の光を見いだすとすれば」
魔王「……?」
少女「今、貴方しか無いのでしょう……魔王様」
魔王「私が……希望の光? ……魔王が、光か」
少女「はい」
魔王「……」
少女「……」

コンコン

少女「では、私はこれで……もう、明日はきっと来られないでしょう」
少女「……もし、次に会う事があれば。本……返します」
魔王「それは別に……構わんぞ。元々お前にあげるつもりで……」
少女「返します。次まで、お借りします。ですから……」
魔王「……」
少女「……」

コンコン

少女「……では」
魔王「約束だ、少女……また、後で」
少女「はい……また後で」カチャ
娼婦「失礼……致します」
少女「……手伝いましょうか」
娼婦「いえ……一人でやれと……言われましたから」
5401 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 11:55:51.20 ID:ttjS92xMP
少女「……そうですか」
娼婦「……」フラフラ

パタン

魔王「……?」
娼婦「お待ち……しておりました……少年様」カチャ
魔王「どうした、顔色が……しかし」
魔王「今日はまた……随分と雰囲気が違う」
娼婦「……」
魔王「……何故、そこに黙って立っている?」
魔王(ケーキの盆を持つ手が震えて……否、何故片手で持っているんだ?)
魔王(しかも……真っ黒のドレスに、ベール……顔色が悪く見えるのは)
魔王(影になっている所為か?しかし……あれではまるで喪に服す者の格好だ)
魔王「娼婦……?」
娼婦「こういうのが、お好みだと……魔導将軍様が、一通り」
娼婦「……昨夜、与えて下さいました……」フラ
魔王「危ない……!」タタ……ガシッ
魔王「!?」
5411 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 12:11:05.07 ID:ttjS92xMP
魔王「お前、腕が……!!」
魔王(左腕が……無い……!?)
娼婦「……治癒は、していただいてます……心配は」
娼婦「いりません……」
魔王「……ッ とにかく、横になれ」ヒョイ
娼婦「きゃ……ッ」
魔王「……傷を見せろ」ドサ……ゴソゴソ
娼婦「……ッ」
魔王「あ、すまん……痛むか?」
娼婦「……はい。少し」
魔王(確かに、傷口はふさがっているが……ぐちゃぐちゃだ)
魔王(力任せに引きちぎったな)
魔王(顔色が悪いのは痛みと……失血か。傷は治しても)
魔王(……失った血は簡単に戻らない)
娼婦「……申し訳、ありません……断る事ができず……」
魔王「魔導将軍か……」
娼婦「……いえ。それは……この、服……です」
魔王「ああ……そんな事か。気にする事は無い」
魔王(喪服……本気で姫を殺す気だと……言いたいのか……!!)
娼婦「……ふぅ」
魔王「横になっていろ……食欲は?」
娼婦「いえ……折角ですが……」
魔王「そうか」
娼婦「申し訳ありません……私の、分まで……用意して、くださった、のに」
5421 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 12:16:24.27 ID:ttjS92xMP
魔王「……気にするな」
魔王(ろくな食事も与えられて居ないのだろう、このままでは……ん?)コロン
魔王(……あ!)
魔王「昨日、あのまま……持ってきたのか」
娼婦「何です、それ……綺麗……」
魔王「もう一度傷を見せてくれ……触れるぞ」
娼婦「……? は……い、 ……ッ」
魔王「少し、我慢しろ……」パァ……
娼婦「ぅ…… ……ん……?」
魔王「痛みは……気分はどうだ?」
娼婦「え……嘘みたい……痛くない……」
魔王「ふぅ……そうか……」パリン……ッ
魔王(割れた……使い尽くしたか)
娼婦「あ……あの、それは……?」
魔王「ああ……後で説明する。顔色は……余り戻らないな」
魔王「気分が良いのなら、ケーキを食べろ……まあ、余り栄養にはならないが」
魔王「食べないよりマシだろう」
5431 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 12:17:45.83 ID:ttjS92xMP
おひるごはーん
544名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 12:20:01.28 ID:oZZECaCr0
楽しみにしてます〜
545名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 12:31:26.10 ID:+VXFCISAi
ほしゅ
546名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 12:50:51.08 ID:RdqyVMTM0
魔導将軍ド外道だなー
ムカつく野郎だ!
魔王様がんばれ!
5471 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 13:17:06.29 ID:ttjS92xMP
娼婦「はい……」
魔王「ああ、起きなくて良い……いや、食えんか」
魔王「そこに……もたれておけ。茶と一緒に準備しよう」
娼婦「そ、そんな、あの……!」
魔王「構わん……甘えておけ」
娼婦「申し訳ありません……」
魔王「……ほら、あーん」
娼婦「え……」
魔王「ん?」
娼婦「あ、あーん」
魔王「旨いか?」
娼婦「はい……美味しい」
魔王「うん。私も頂こう」
娼婦「少年様は……治癒魔法が使えるのですか」
魔王「ん?ああ……あれは私の魔法では無いぞ」
娼婦「え? ……でも」
魔王「見ただろう?さっきの……あの石」
娼婦「はい……薄い、水色の……あ、でも割れて……」
魔王「ああ、使い切ってしまったからな」
娼婦「?」
5481 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 13:33:39.02 ID:ttjS92xMP
魔王「あれは魔石と言ってな。まあ……魔力を結晶化したものだ」
娼婦「え……そ、そんな事が……出来る人がいるの……ですか」
魔王「鍛錬次第で誰でもできるぞ?」
娼婦「……まさか!」
魔王「本当だ。それに……さっきのあの、治癒の力の魔石はな」
魔王「……劣等種の一人が、作った者だ」
魔王(何か他に言い方無いもんかなぁ……しかし島の者とも今は言えんしな)
娼婦「……それは、流石に……嘘、でしょう……?」
魔王「今更お前を騙してどうする……まあ、良い。信じられないのも仕方ない」
魔王「だが……石の姿はお前も見ただろう。そして、お前の痛みを取ったのも事実だ」
娼婦「……はい。それは疑ってもおりませんが」
魔王「昨日、言ったであろう……生きている、と」
娼婦「はい……詳細は話せない……でしたね」
魔王「ああ。彼らの安全を守ってやらねばならんのでな」
娼婦「……ですが、劣等種は……」
魔王「優れた加護が無いと言うだけだろう?」
魔王「そんな者、私にも無い」
娼婦「……え!?」
魔王「魔導将軍がどんな説明を管理人にしたのかは知らんが」
魔王「『凄まじい魔力をお持ちの様で』だとか……そんな事しか私は言われていない」
5491 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 13:38:37.62 ID:ttjS92xMP
娼婦「で、でも……!」
魔王「信じられんか?では……見せよう。炎よ!」ボゥ……ジュ!
娼婦「腕が……!! や、やめてください……!!」
魔王「な?火傷しただろう?」
娼婦「……ど、どうして……!?」
魔王「ん?」
娼婦「どうして、そこまでするんです……!?」
魔王「こんな物で信じて貰えるなら易いもんだ」
娼婦「……」
魔王「そんな呆れた様な顔をするな……大丈夫だから」
娼婦「……」ポロポロ
魔王「な、なんで泣くんだ……悪かったよ。ちゃんと、後で治癒して貰うさ」
娼婦「……」ポロポロ
魔王「……困ったな」
娼婦「ち……違います」
魔王「ん……何がだ?」
娼婦「……ん、ですね?」
魔王「うん?」
娼婦「信じて……良いのです、ね?」
魔王「……勿論だ」
5501 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 13:45:12.25 ID:ttjS92xMP
娼婦「……ッ 申し訳ありません。お見苦しい所を、お見せ……しました」ゴシゴシ
魔王「いや……構わん。落ち着いたか?」
娼婦「はい……」
魔王「……言いにくいだろうが。昨日の話を聞かせてくれるか」
娼婦「大丈夫です……昨日、少年様と入れ替わりに魔導将軍がいらっしゃいました」
魔王「ああ……」
娼婦「そして……普段、少年様と何をしているのか、と」
魔王「……」

……
………
…………

娼婦「少年様と、ですか……それは」
魔導将軍「何もしていないらしいのは聞いている」
魔導将軍「話すだけで帰るのだろう……何の話をしているのか、と」
魔導将軍「聞いているんだ……話せ」
娼婦「お客様の情報を漏らす訳には……きゃっ」バシッ
魔導将軍「私が話せと言っているんだ」グイ
娼婦「い、痛い……ッ か、髪を……掴まな……ッ」
魔導将軍「ほう?私に逆らうか?」ブチブチッ
娼婦「きゃあああああ!」
魔導将軍「痛いか? ……髪を抜かれた程度で大袈裟だな」
魔導将軍「もっと痛くされたくなければ……」
娼婦「りょ……料理の、話とか、です……!」
魔導将軍「料理?」
551名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 13:48:14.96 ID:3Pz3rrhn0
支援
552名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 13:52:44.26 ID:oZZECaCr0
これは面白いぞ
5531 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 13:53:32.97 ID:ttjS92xMP
娼婦「は、はい……私は、知識が無いので、大半は理解出来ません、が……」
魔導将軍「嘘を吐け!」バシン!バシ
娼婦「い、ヤ……ッ ほ、ほんと……です!」
娼婦「ふ、フランボワーズが、お好き……だ、とか……」
魔導将軍「……」バシッ
娼婦「い、イヤ……あ、ゥ……え……ッ」
魔導将軍「フン……まだ言わんか……言えん程の事か?」
娼婦「ほ、ほん……と …うぇ、ええ……ッ 本当、に……!」ゲホゲホッ
魔導将軍「……腰抜けめ。まあ良い」
魔導将軍「女、酒をつげ」
娼婦「は、はい……ただ、いま……」
魔導将軍「……」グイッゴクゴク
魔導将軍「おい、女」
娼婦「は……い……」
魔導将軍「嘘を吐くと……どうなるか解るだろう?」
娼婦「……はい。私、は……嘘など、つきません」
娼婦「魔導将軍につく嘘など……ありません」
魔導将軍「そうだな。私に逆らえる者等居ない」
娼婦「はい……」
魔導将軍「……あの男は本当にどうしようも無い……阿呆だ」
魔導将軍「腰抜けだ……!女連れで旅行とは……腐った野郎だ!」
5541 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 14:01:28.41 ID:ttjS92xMP
娼婦「……わ、私……私、達は……」
魔導将軍「うん?」
娼婦「劣等種です……貴方様、魔導将軍様方に、逆らって……生きて、など」
魔導将軍「そうだな。良いだろう。信じてやる……が」ギュ
娼婦「あり……がとうござ……?」
魔導将軍「細い腕だな……こうすると、取れてしまいそうだ……!」グイ……ブチブチ!
娼婦「ぎ、い ……ァ、 ……ああああああああああああああああ!!」
娼婦「あ、ァアア、あ……! あ……あ ァ アアアア……!」ゴロゴロ……
魔導将軍「フン……ここで生きるのに、腕一本無くても支障はあるまい?」ポイ
魔導将軍「さあ、話せ……少年は何を喋った。お前に何を聞いた」
娼婦「イッィ、 あ、あ……ァあ……ッ」
魔導将軍「言えと言ってるんだ!」ガスッ ……グリグリ!
娼婦「あ、あ……ッ い、あ、足……ふま、な……ッ」
魔導将軍「言え!」
娼婦「……お、美味しい…… ケーキ、の作り方、を……!」
魔導将軍「……本当にそれだけなのか?」
娼婦「……う、うそ、等……! あ、ぁ……」
魔導将軍「……本当の愚か者だったか」スタスタ……チリン、チリン

コンコン。カチャ

管理人「魔導将軍様、お呼び…… ……で、しょ、うか……」
魔導将軍「フン、蒼い顔をして……見慣れているだろうに」
管理人「い、いやはや……私は、その……ええ、まあ」
魔導将軍「治癒出来る者を呼べ。今こいつを殺す訳にはいかん」
5551 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 14:05:59.33 ID:ttjS92xMP
管理人「は、は……直ちに!」
魔導将軍「明日、少年に会わせてやらんとならんからな……それに」
魔導将軍「こうも汚れていては抱く気にもならん……別の部屋を用意しろ」
魔導将軍「酒の追加もだ……少女に持って来させろ」
管理人「は、は……!誰か!手当を!」
魔導将軍「それから、これを」バサッ
管理人「こ、このドレス……は?」
魔導将軍「何、この娘に今日の礼だ……明日、少年にこれを着せて会わせろ」
管理人「か……かしこまりました。すぐにご用意致しますのであちらへ……」

……
………
…………

娼婦「……」
魔王「……」
娼婦「……私はその後、治癒され……再度、魔導将軍の待つ部屋へ」
娼婦「それから……その……強引に、何度も私を……」
魔王「もう良い……すまなかった」
娼婦「い、いえ、そんな……!少年様の所為では……!」
魔王「……」
魔王(魔導将軍……あの、男……!)
魔王「……娼婦」
娼婦「はい……」
5561 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 14:14:51.05 ID:ttjS92xMP
魔王「顔を見せてみろ……ああ、酷い痣だな」
娼婦「……大丈夫、です。さっきの石のおかげで痛みは……」
魔王「……すまなかった。この通りだ」ペコ
娼婦「あ、頭を上げてください!貴方の所為じゃ……!」
魔王「いや……私の所為だ。私が……!」
魔王「……」
魔王「娼婦……今は、まだ詳しくは話せない」
娼婦「……?」
魔王「だが、勇気を出して……私を信じてくれ」
娼婦「少年様」
魔王「ん?」
娼婦「先ほど、言いましたよ……信じます」
娼婦「彼らが……生きている事も」
娼婦「……貴方を。信じます……期待、して良いんですね?」
魔王「勿論だ」
娼婦「……はい」
魔王「1度目は」
娼婦「?」
魔王「期待しないで待っていると言ったな」
娼婦「??」
魔王「昨日は、はっきり待っていると言ってくれた」
娼婦「ああ……はい」
5571 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 14:19:06.39 ID:ttjS92xMP
魔王「明日は……来れん。予選の前日だ」
娼婦「……出られるのですね」
魔王「妻が、だがな……」
娼婦「……」
魔王「だが、約束する。大会が終われば、お前を……お前達を解放する」
娼婦「え……?」
魔王「この腐った制度をぶち壊してやる。劣等種等と、二度と呼ばせはしない」
娼婦「で、でも……」
魔王「言うほど簡単で無いのは解っている。すぐには無理だろう」
魔王「だが……二度とこんな目には遭わせない。こんな生活はさせない」
魔王「自分で考え、自分で生きていく様に……辛い、かもしれん」
魔王「自由は、不自由かもしれん……だが」
魔王「不自由が自由だ等と、二度と口にしないで良い様に」
娼婦「……」
魔王「約束する。絶対だ……私は裏切らない」
娼婦「はい……信じます。期待しています」
娼婦「……お待ち、しております」
魔王「うん」
娼婦「……少年様」
魔王「ん?」
娼婦「……」
魔王「どうした?」
娼婦「……いえ」
5581 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 14:23:07.52 ID:ttjS92xMP
魔王「何だ。ハッキリ言え」
娼婦「一つ、お願いがある……の、ですが」
魔王「ああ、言ってみろ」
娼婦「今度、で良いです」
魔王「?」
娼婦「大会が終わって、ゆっくり、時間がある時に」
魔王「……ああ。解った。約束だ」ニコ
娼婦「はい!」ニコ
魔王「……魔導将軍も、もう忙しいだろう。来ないだろうと思うが」
娼婦「大丈夫です……来ても、何も言いません」
娼婦「腕が無くなろうが、足が無くなろうが……」
娼婦「大丈夫です。必ず、もう一度会えると信じています」
娼婦「……願えば、叶うんですよね?」
魔王「ああ……必ず。私が叶えてやる」

リン……リリン……

魔王「時間だな……このまま、ここに居ろ」
娼婦「で、でも……」
魔王「構わん。管理人の所へは私が行く」スタスタ
娼婦「あ、お……お待ちを!」スタ……
魔王「何だ……あ、お前、動くな……と ……っ!」チュ
娼婦「……いって、らっしゃいませ」
魔王「……ああ」
5591 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 14:28:27.47 ID:ttjS92xMP
パタン

魔王(びっくりした……)
魔王(……人と言うのは、強いな)
魔王(裏切る訳にはいかん……管理人は……ああ、居た)スタスタ
魔王「おい」
管理人「は、はい……!?しょ、少年様!?」
管理人「ど……どう、されまし……た……?」
魔王「……あの部屋を貸し切るのに、どれほどの値がかかる」
管理人「は!?」
魔王「あの娘、随分と無茶をされた様だ。大会が終わる迄、あの部屋を使わせるのと」
魔王「娘に充分な食事を与えるのにどれぐらい掛かるんだ」
管理人「は……は、あの……それは、あのえっと……」
管理人「……こ、これぐらい、で」スッ
魔王「……良いだろう。ただし」ジロッ
管理人「ひッ」
魔王「部屋から放り出したり、食事を与えねば……それ相応の事をさせて貰うぞ」
管理人「は、はい、それは……もう……ッ」
魔王「では……ほら」ジャラ
管理人「ひ、ひぃ、ふぅ……み………」
魔王「……」
管理人「す、少し多い、ですが……」
魔王「きちんとすると約束するなら、取っておけ」
管理人「い、良いんですか」
魔王「約束するなら、だ」
管理人「そ、それはもう!い、いやぁ……!少年様は、お優しい事で……!」
5601 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 14:33:02.52 ID:ttjS92xMP
管理人「ま、魔導将軍様は、その……少々、残虐な趣味をおもちでしてな」
管理人「あの方はあの方で、素晴らしい方なのですが、いや、流石!」
管理人「少年様は、さらに……」
魔王「あの男の話を私にするな!」
管理人「ひッ ……も、申し訳ありません!」ビクッ
魔王「……くれぐれも、頼んだぞ」
管理人「は、はい!これからも、どうぞ、ごひいきに……!!」
魔王「……」スタスタ
魔王(……乗ってやろう、魔導将軍。お前の策に)
魔王(決勝まで……姫を進ませてやる。そして……)
魔王(決戦の舞台で、思う存分……八つ裂きに……してみるが良い!)
魔王(……出来るものならば、な)

……
………
…………

シュゥン……スタ……

姫「おかえりなさい、少年」
盗賊「うあああああああああ!」
姫「……そろそろ慣れなさいよ。うるさいわね」
魔王「行くぞ」
姫「え……もう?」
魔王「あの墓へ寄っていく」
盗賊「……どうしたのさ、少年……随分……怖い顔して」
5611 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 14:37:42.11 ID:ttjS92xMP
魔王「……すまん」
姫「何か……あったの?」
魔王「いや……大丈夫だ。すまん落ち着いたら……話す」
魔王「とにかく、準備をしよう」
盗賊「な、なあ……やっぱ、俺は留守番なのか?」
魔王「……ここに残すか、船に残すか……と思っていたが」
盗賊「……だ、よな」
魔王「魔導将軍が死ぬところを見たいのか」
盗賊「……ッ」ビクッ
盗賊(少年……なんか、今日本当に……怖い)
姫「……少年、話したくないなら聞かないけど」
姫「盗賊を怖がらせないで。女の子なのよ?」
魔王「……すま……ん?女の子?」
盗賊「……そうだよ」
魔王「……まじで?」
盗賊「わ、悪かったな!まじだよ!こんなんでもな!」
魔王「そ、そうか……い、いや。すまん。男だからと……怖がらせて良い訳でも」
魔王「無いんだが……そ、そうか……」
姫「気付いて無かったの?」
魔王「え……あ、ああ……」
盗賊「……それでよく、自分の奥さんと二人っきりにしといたな」
姫「……振り、だから」
魔王「……すまなかった」
5621 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 14:46:06.24 ID:ttjS92xMP
魔王「しかし……そんなに行きたいのか?」
盗賊「そ……りゃあ」
姫「別に、良いじゃないの。連れて行ってやれば」
魔王「ふむ……しかし、その姿は見られているだろう?」
姫「ふふ……ちょっと、耳貸して、少年」ゴニョゴニョ
魔王「……姫、随分楽しそうだな」
姫「でも良い考えでしょ?」
盗賊「お、おい……なんだよ!」
魔王「行きたいんだろう?」
盗賊「……そうだって言ってんだろ」
盗賊「あいつは……知人の敵だ!俺が……敵わないなら、せめて」
盗賊「死に様……見てやる……!」
魔王「良いだろう……だが、大人しくしていろよ?」
盗賊「も、勿論だ!」
姫「うふふ……決まりね」
盗賊「……?」
魔王「石の方はどうなった?」
姫「出来る人が増えてきたわ……やっぱり、飲み込みが早い」
姫「それに……盗賊に付き合って貰って鍛錬もしたし」
盗賊「姉ちゃん、すげぇよ。戦闘慣れなんてしてないはずなのに」
盗賊「俺のスピードに劣らないどころか……俺も追いつけねぇんだぜ」
魔王「エルフは身が軽いと言うからな」
5631 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 14:52:46.28 ID:ttjS92xMP
魔王「問題は……実戦だと言う事と、スタミナか」
姫「これ……ちょっと貰ってきたの」コロン
魔王「ん?魔石か?」
姫「治癒魔法のね……こっそり持っとこうかと」
魔王「成る程な」
盗賊「作戦は先手必勝!素早さ行かして先制攻撃狙えば……行けるだろう」
魔王「ふむ……まあ、実際それしかないな。長引けば振りだ」
魔王「それに……多分、予選ではそれほど強い奴とはあたらんだろう」
盗賊「え……そりゃわかんねぇだろ?」
魔王「魔導将軍の望みは?」
姫「……決勝の舞台で、私を八つ裂きにする事」
魔王「そうだ……進ませるだろうさ、なんとしても決勝まで」
盗賊「……自分の欲望の為に、か」
魔王「ああ……喜んでその策に乗ってやろう」ニィ
姫「……魔王らしく見えるわね、そんな顔してると」
盗賊「確かに」
魔王「……私は確かに魔王なんだが?」
盗賊「良し、じゃあ……行くぞ!」
魔王「無視か!」
姫「ええ……少年、良い?」
魔王「ああ、掴まれ」
盗賊「え……あ、そうか、転移魔法」
魔王「しっかり掴まっておけよ」シュゥウン

……
………
…………

シュゥン……スタ
姫「……あら?」
盗賊「うわあああああああああああああッ」 ドタッ
魔王「寄ると行っただろう」
5641 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 15:03:31.80 ID:ttjS92xMP
盗賊「……知人の墓か……うあッ」ドタッ
姫「ちょっと、何やってるのよ……大丈夫?」
盗賊「あ、足が震えて立てねぇ……」
姫「情けないわね……」
魔王「やはり……息苦しいな」
姫「こんなに心地良いのにね」
魔王「……仕方ない」
盗賊「……知人、待ってろよ。絶対……敵、取るからな……!」
魔王「姫、エルフは……光の加護を受ける者がいるのか?」
姫「え……?いいえ。光の加護なんて聞いた事無いわ」
魔王「そうなのか?」
姫「そうよ……闇の加護を持つ者だって居ないのと同じ」
盗賊「……少年は、違うのか?」
姫「え?」
魔王「……どうだかな。魔王だから闇の加護とは安直な気もするが」
姫「可能性は無くはないわね……規格外だし」
魔王「……紫、闇の色の瞳、か……成る程」
姫「そんな他人事みたいに……」
魔王「まあ、良い……忘れてくれ」
魔王(光の加護は存在しない……?では……)
魔王(この土の下に眠る者は……光の加護を受けている訳では無いのか)
魔王(……では、何故……まあ、良い)
魔王(今は……やることがある)
盗賊「サンキュ……連れてきてくれて」
5651 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 15:07:59.58 ID:ttjS92xMP
魔王「いや……私も確かめたい事があったんだ」
姫「ここから廃港が見える……船、いるわね」
魔王「ああ……行こう」
盗賊「……もう一回、か……酔いそう」
魔王「掴まったな? ……行くぞ」シュゥン

……
………
…………

シュウン…スタ
スタ……ドタ!

姫「船長、久しぶり」
盗賊「いたた……ッ」
魔王「待たせたな」
船長「おう……準備は整ったか?」
魔王「ああ……盗賊も連れて行く」
船長「こいつも?」
盗賊「……見てやる。しっかり、この目で……あいつの最期……ッ」
魔王「だ、そうだ」
船長「ふむ……」
姫「取りあえず、予選の間は船に居て頂戴よ?」
盗賊「解ってるよ」
魔王「では、私と姫は行く……」
船長「ああ……気をつけろよ?」
姫「大丈夫よ」
5661 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/13(土) 15:11:25.31 ID:ttjS92xMP
ばーいーとー!
又明日、昼過ぎに!
明日朝早いんだよねぇ……orz
567名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 15:15:44.27 ID:oZZECaCr0
乙です!
楽しみに待ってます!
568名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 17:36:07.90 ID:GizZJOOvi
569名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 18:13:14.22 ID:nbB0umOv0
570名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 19:37:56.77 ID:9g3r4CTL0
>>533
どうやらフラグが立ったみたいだぞ
571名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 19:58:06.88 ID:1XEQtNdhP
>>570
                                               __
       ___                  /     /     |       |  /
     /     \              /     /   __|       |  /
    /         ヘ            /|     /|       |/ ̄|     | ./
    |          |           /  |   /  |     /|  __|    |/
    |  ⌒   ⌒ | _人__         |      |    /  |  (_人   ○
    |          |  `Y´
    ヘ  tェェェェャ /        ∩
   /  ヽ   ̄ /          / |
   /___ ̄ ̄ト 、       /  ̄ ̄j
  /      ヽ   ハ       /    リ
  |         \  |     /   /ー―′
  |           \|   /   / 
  |\         ヽ<    / 
  |  > ,,               /
  |     > ,, ____ /
572名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 22:12:51.94 ID:/OQUcKqr0
573名も無き被検体774号+:2013/04/13(土) 23:14:29.49 ID:RdqyVMTM0
さてどうなるか
574名も無き被検体774号+:2013/04/14(日) 02:50:49.28 ID:rD6uv8wk0
ほー
575415:2013/04/14(日) 04:50:15.22 ID:p73c7DEm0
キャラの容姿は>>1の頭をスコーン(・ω・)しないと見られないし、
それ自体が読み手の想像とは違う可能性もある。
逆輸入は凄く嬉しいけど、あくまでも一読者が勝手に描いたものだからなw
その辺りは縛られないで欲しいです。

ttp://s-up.info/view/201201/083701.png
緊張感台無し覚悟で前髪ふさふさの道を模索。側近かわいそうだよ側近。
5761 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 07:04:49.08 ID:siYl2q+VP
おはよ〜
おでかけるまで少しだけー

>>415
スコーンしないでええええwww
私もそんなに、正直イメージしてるわけじゃ無いんだな〜
割とこっそり、逆輸入してる事もあったりするwww
それもありかーって、イメージにあえばこっそりwww
何でもかんでもって訳じゃ勿論ないよー
でもまあ、側近は苦労人
5771 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 07:31:29.29 ID:siYl2q+VP
姫「少年が……魔王が味方よ。安心して」
盗賊「言葉だけ聞くと色々おかしいよな……いってらっしゃい」

シュゥン……

船長「……ん、お前何持ってんだ?」
盗賊「ああ、これ?少年がどっかから持ってきたんだ」
船長「本? ……うわ、こりゃ……随分と古いな……っぷ、かび臭ぇ!」げほ
船長「しかし……ぼろぼろだが随分良い装飾だな……」ペラペラ
盗賊「これは神話だって言ってたな。後は童話に……魔導書」
船長「魔導書……は、パス。俺にはさっぱりだ……ほれ」
盗賊「ちょ、投げんなよ……でもさ、これ」
船長「ん?」
盗賊「俺らが読んでたのと全く違う内容だったんだぜ」
船長「お前も読んだのか?」
盗賊「姉ちゃんが読んでる間暇だったからな」
船長「ほう……で、違うってのはどういう事だ?」
盗賊「俺も詳しくはわかんねぇけど、人を魔に変えるとかさ」
船長「はぁ?んな事出来るのか?」
盗賊「さぁね……少年ならできんじゃねーの?なんせ魔王だし」
船長「ふぅん……」ペラ
船長「光と、闇……ねぇ」ペラ
船長「……」
盗賊「……」
盗賊(読書姿がすっげぇ似合わねぇ……)
5781 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 08:03:58.05 ID:siYl2q+VP
……
………
…………

シュゥン……

姫「……ここは?」
魔王「最初、この街に来る前に飛んできた辺りだな」
姫「喧噪が……聞こえる」
魔王「夜が明ければ予選が始まるからな」
姫「一度宿に戻らないとね」
魔王「ああ……手配が済めば」
姫「……お腹すいた」
魔王「……手配が済んで、食事が済めば……ショッピング、だな」
姫「そうね……あの店に行くの?」
魔王「否……違う所に行こう」
姫「? ……あそこ、美味しかったのに」
魔王「情報収集も兼ねて……な。ここからは歩くぞ。ほら、掴まれ」
姫「大丈夫よ?」
魔王「私達は夫婦なのだろう?」
姫「……何か企んでるわね?」
魔王「そんな事は無い」ニッ
姫「嘘ばっかり……ま、良いわ。行きましょう」
5791 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 08:24:27.17 ID:siYl2q+VP
……
………
…………

カラン、コロン

イラッシャイマセ……

魔王「二人だ」
マスター「……どうぞ、こちらへ」
姫「……あ!」
魔導将軍「……これは、これは」
魔王「ああ……」
姫「……」チラ。ギュ
魔王「食事か」ギュウ
魔導将軍「ええ。ここは酒だけで無く飯も旨いのですよ」
魔導将軍「初めまして……細君、でよろしいのですかな」
姫「……」
魔王「ああ。私の妻だ」
魔導将軍「……明日の予選に、出られるとか?」
姫「……ええ、そうよ」
魔王「私達も食事にしよう、姫……好きな物を頼みなさい」スタスタ。ストン
姫「……」タタ、ストン
姫「ちょっと、少年!」コソコソ
魔王「しッ……普通にしていろ。大丈夫だ」コソコソ
姫「……解ってて連れてきたわね」コソ
魔王「何のことだか……私はワインを。彼女には……」
姫「木の実のジュース。それから……牛肉のワイン煮、ほうれん草とベーコンのキッシュ」
姫「シーザーサラダと、キノコのクリームパスタ、後……」
魔王「……取りあえずそれぐらいで」
姫「えぇ……」
魔王「足りなければ後で!」
下着が寒い
5811 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 08:28:25.87 ID:siYl2q+VP
魔導将軍「はっはっは!随分と食欲旺盛であられるな。その細身の何処へ入るやら」
姫「食べても太らない体質なのよ」
魔王(……ふむ。気配を手繰って来たは良いが)
魔王(さて……流石にぼろはださんだろうが……私は、情報集めておくか)

『あいつ、この間の……』
『紫の瞳の魔法剣士か……随分と美しい娘だ』
『妻だとか言ってたな……あの娘が大会に?』
『いくら治癒されると言っても……あの娘の叫びが聞けると思うと』
『ふふ……見物だな。だが……あれでは』
『予選は勝ち残れまい』

魔王(趣味の悪い奴ばかりだな……)
姫「少年?」
魔王「ああ、すまん。どうした?」
姫「乾杯しましょ……『私達』の勝利を願って!」
魔王「ああ、乾杯!」
5821 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 08:59:28.12 ID:siYl2q+VP
魔導将軍「……随分な自信ですな。まあ、そうで無くては大会を開いた意味も無い」
魔王「皆、我こそはと集うのだろう……何、私達も」
魔王「……旅の途中の暇つぶしだ」
魔導将軍「暇つぶし……だと?」
魔王「ああ。長い当ての無い旅だからな……偶には刺激も必要だ、なぁ?」
姫「このお肉美味しい!上品な味ね……スープも欲しいわ……すみませーん!」
魔王「……」
魔導将軍「フン……成る程な。これだけ暢気な夫婦では……ははッ!」
魔王「食欲があるのは良いことだろう……今は外で食すしか無いが」
魔王「何れ戻った時には、腕の振るい甲斐があると言うものだ」
魔導将軍「……連れ戻るつもりなのか」
魔王「妻を置いて何処へ行く夫も居るまい?」
魔導将軍「……」
魔王「……」ニコ
姫「暖まる……少年、美味しいわよ、このミネストローネ」
魔導将軍「……世継ぎを設ける気か?」
魔王「我が家は世襲制な物でな。男子では無くとも構わんが」
魔王「妻に似た娘ならば、さぞや可愛いだろう」
魔導将軍「こんな状況におかれ、暢気な事よ!だから貴様は……!!」

『先ほどから……何の話をしているんだ、魔導将軍は……』
『旧知の仲なのか?あの二人……しかし、以前は……』
『どうやら、使い古した玩具がお気に入りだと聞いたがな』
5831 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 09:12:54.92 ID:siYl2q+VP
魔王「何かな?」
魔導将軍「……」

『使い古し……ふふ、妻が若くつまらんのか』
『確かに美しい娘だが……まあ、男にはそういうときもある』
『ははは……ッ優れた加護を持とうが否、そこは関係無いさ……』

ははは……ッ

姫「ねえ、少年。デザート食べて良い?」
魔王「どうぞ? ……今度、時間がある時に私が作ってやろう」
姫「本当?約束よ?」
魔王「ああ」
魔導将軍「……私はそろそろ失礼する!」ガタン
姫「頑張って決勝まで行きたいわ……そうなれば宜しくね、魔導将軍」
魔導将軍「……期待していますぞ」スタスタ
魔王「……解ってやってるな」
姫「人の事言えるの貴方」
魔王「奴は激昂しやすい……これで、意地でも決勝で」
姫「そうね……私と、当たる様にするでしょうね。でも」
姫「……必要無かったんじゃ無いの?こんなの」
5841 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 09:17:39.65 ID:siYl2q+VP
魔王「ん?」
姫「こんな事しなくても……」
魔王「まあ、な。だが……ここの飯が旨そうだったからな」
魔王「姫にも食わしてやりたかったんだ」
姫「そう……ありがとう」
魔王(一人で来たと後でばれたら怨まれそうだしな)
姫「じゃあ……次はショッピングね」
魔王「ああ……では行こうか」

『食事にショッピング……まあ、暢気な事で』
『仕方あるまい……明日になって蒼い顔をしているのも見物だ』
『違い無い……はは!』
『しかし……もしかしたら相当強いのかもしれんぞ?』
『あの娘がか?』
『魔導将軍にあれほどの口をきけるのだ……相当の阿呆か、大物か』
『良し!前者に賭けるぞ』
『あ、ズルイな……俺も前者だ……』

魔王(……本当に腐ってるなぁ。まあ、良い。それも……もう少しだ)

アリガトウゴザイマシタ……

姫「まずは……服、ね」
5851 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 09:25:39.31 ID:siYl2q+VP
では、バイトいってきまーす!
頭〜の〜な〜か〜
サクサクスカスカスコーーン
で〜きてるよぉ〜
587名も無き被検体774号+:2013/04/14(日) 09:51:42.74 ID:cFzgumsJ0
続きが気になる
帰ってくるまでこっちも作業するか
588名も無き被検体774号+:2013/04/14(日) 11:20:52.35 ID:z4aXyzbJP
マインドスコーン(・ω・ )
5891 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 13:13:37.51 ID:siYl2q+VP
ただいまー
お昼も食べたし午後のバイトまでー!
5901 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 13:19:53.17 ID:siYl2q+VP
魔王「楽しそうだな、姫」スタスタ
姫「そうね……あ、あのドレス可愛い!」タタタッ
魔王「どれ……あの、ふりふりした奴か」
姫「似合いそうじゃない?」
魔王「……否定はしないが」
姫「何よ」
魔王「こんなもん着れるかー!ってキレてるあいつの顔が容易に想像出来る」
姫「可愛いのに……」
魔王「着飾りたい気持ちは分からんでもないがな」
魔王「もう少し、こう……難易度の低いのをだな」
姫「んん……じゃあ、あれは?」
魔王「外から見ても仕方ないだろう。店内に入れば良い」

イラッシャイマセー

姫「一杯あるわね……迷っちゃう」
魔王「欲しければ自分のも買うと良い」
姫「……聞こうと思って忘れてたんだけど」
魔王「ん?」
姫「貴方……お金は大丈夫なの?」
5911 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 13:27:50.97 ID:siYl2q+VP
魔王「まあ……結構持ち出してきたからな」
魔王(側近はまた胃を痛めてるかもしれんが)
姫「そう……あれだけ食べておいてなんだけど」
魔王「全く今更だな」
姫「……ごめんなさい」
魔王「良いさ。無くなれば稼げば良い」
姫「……あ、このローブ綺麗……!」
魔王(聞いてるのか否か、気にしてるのか否か)フフ
魔王(こうしていると、何処にでも居る娘にしか見えんな……可愛いモンだ)
魔王(……可愛い、か)
姫「ねえ、少年!」
魔王「ん」
姫「これどう? ……彼女に」
魔王「ほう……良いんじゃないか?シンプルだし」
姫「でも黒って言うのもね……」
魔王「紅い髪に紅い瞳をしているんだ。別に良いだろう」
姫「うーん、もうちょっと可愛い方が……あ、同じ形のピンクがあるわ!」
魔王(盗賊……ご愁傷様)
姫「これにしましょう、少年!あと、靴と……リボンも居るわね」
魔王(姫だったら文句も言うまい……)
姫「ん。これで良いわ」
魔王(まあ、満足そうだから良いか)
魔王「……あのローブはいらんのか?」
姫「……ええ」
魔王「欲しければ……」
姫「いえ、良いの。全部終わってからにする」
魔王「……そうか」
5921 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 13:34:19.52 ID:siYl2q+VP
アリガトウゴザイマシター

姫「……服って高いのね」
魔王「そうか。こんな風に買い物したりするのは……」
姫「ええ、初めてよ……びっくりした」
魔王「この店……否、街は特別だろう」
魔王「これで成り立つと言うのも大した物だが」
姫「でも……手触りは良かったわね」
魔王「そうだな。まあ……確かに良い物だ」
姫「さて……どうしましょうか」
魔王「宿の手配も済ましてあるし、もう戻って眠ろう」
魔王「……気付いているだろう?」コソ
姫「ええ……見張られてる」コソ
魔王「予選が済むまで大人しくしているに限る」
姫「そうね……確か、二日休みがあるんだったかしら」
魔王「ああ。その間に迎えに行くか……船には離れておいて貰わないとな」
姫「……私、大丈夫かしら」
魔王「不安になってきたか?」
姫「少し……だけ」
魔王「大丈夫だ……信じろ」
姫「ん……」
5931 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 13:41:46.12 ID:siYl2q+VP
魔王「部屋へ戻って……休もう。明日は本当に早い」
姫「ええ……そうね。行きましょ」スタスタ……パタン

オカエリナサイマセー

『……真っ直ぐ宿に向かったな』
『しかし……魔導将軍もあの二人を見張れとは……どういうことだ?』
『詮索は身を滅ぼすぞ……充分すぎる大金、貰ってんだ』
『そうだな……後で一杯やろうぜ』
『おう……一時間ほど、見て……出てこなければ……』

魔王(……ご苦労な事で)
魔王「姫、明日は……おや」
姫「……」スゥスゥ
魔王「食って、騒いで寝て……子供みたいだな」クス
魔王(おやすみ、姫……さて)
魔王(私も……休む、かな。小細工は不要だろうが……)
魔王(力を温存して置くに越したことは無い。いよいよ……だ)

……
………
…………

翌日・予選会場

姫「……凄い人」
魔王「選手と関係者だけだと聞いていたがな」
姫「50人……ですっけ?」
魔王「どういうルールでやるんだかな」
5941 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 13:53:00.45 ID:siYl2q+VP
姫「一対一では……時間が掛かりすぎるわ」

『それでは、予選を開始したいと思います!』
『選手番号、1〜25の方は会場の方へ!』

魔王「姫は?」
姫「……49」
魔王「うん?……結構早く受け付けたろうに」
姫「……そうよね……あ!少年……!」
魔王「……魔導将軍か」

『では、これより予選を開始します……!』
『ルールは簡単!終了時間まで会場内に残っていた方が予選通過です!』

魔王「ほう……」
姫「え?どういうこと?」

『なお、場外へ出された場合、棄権された場合は失格となります!』

魔王「簡単だ。その場に立ち続け、向かってくる奴は吹っ飛ばせば良い」
姫「どこが簡単よ!」
5951 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 14:02:18.72 ID:siYl2q+VP
魔王「……サポートはする」
姫「ど……どうやって、よ」
魔王「お前は普通に戦っていれば良い……ほら、始まるぞ」
魔王(随分強そうな奴が揃っている……が)
魔王(魔導将軍……どう出る?)

『揃いましたね……では、始めます!』

ワアアアアアアッ

魔導将軍「……氷よ」
バキィィィンッ

姫「! ……そんな、一瞬で氷った!?」
魔王「……」
魔王(同じ加護の者が居たとして……さて)
魔王(どれほど残るかな)

炎使い「く……ッ いきなり、とはね……ッ」ホノオヨ!
風使い「切り裂け……ッ風よ!」
水使い「ゆるりと溶かせ……我が、水よ!」
氷使い「効かないわよ!」パリンッ

魔王(1.2.3……4人、か)
姫「嘘……四人がかりなのに……魔導将軍に効いてないじゃない……ッ」
魔王「そりゃそうだろう……随分、力は押さえている様だが」
魔王(さて……後半戦は何人残るかな)
5961 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 14:09:57.75 ID:siYl2q+VP
『そこまで! ……救護班急いでください!』
『予選通過者は……』
『魔導将軍!風使い!氷使い!炎使い!水使い!』
『15分後、後半戦を行います!』

姫「む……無理、よ……!」
魔王「落ち着け、姫……魔導将軍はもう出てこない」
姫「でも……!」
魔王「……多分、真っ先にお前が狙われるだろう」
姫「……」
魔王「始まればすぐに、全力で水の壁を築け」
姫「……解った」
魔王「後は……まあ、任せておけ」

『出場者、26〜52迄の方は会場の方へ!』

魔王「……良し。大丈夫だ、信じろ」
姫「いって……きます」スタスタ
魔王(さて……ん?)
魔導将軍「如何でしたかな」
魔王「……流石、と言う他無いが」
魔導将軍「姫には勝ち残って貰わねば困る」
魔王「お前の欲望の為にか」
5971 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 14:16:11.69 ID:siYl2q+VP
魔導将軍「……どうせ、力添えする気だろう」
魔王「お前が咎めるか」
魔導将軍「否?いくら……腰抜け腑抜けの貴様だとて」
魔導将軍「それを貴様の仕業と見抜ける者は居まい……私以外にはな」
魔王「見逃すと?」
魔導将軍「言っただろう……勝ち残って貰わねば困る、と」
魔導将軍「……どうせ、何の細工もして無いとは思っていまい?」
魔王「さてな」
魔導将軍「昨夜の挑発に態々乗ってやったんだ。感謝して貰いたい」
魔王「何のことやら」
魔導将軍「何十倍……否、何百倍の後悔で己の愚かさを嘆くが良い」
魔王「そっくり返してやるよ」
魔導将軍「……ッ 言わせておけば……ッ」
魔王「私を誰だと思っている……阿呆め」
魔導将軍「世襲制で王の座に納まっただけの貴様に、何が出来る!」
魔王「声を荒げるなよ……目立つぞ」
魔導将軍「……!」
魔王「……随分少ないな」
魔導将軍「当然だろう。私の力に臆さぬ者等、余程の阿呆だけだ」
魔導将軍「……お前達の様にな」
5981 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 14:25:53.28 ID:siYl2q+VP
魔王「……蒼い瞳の者が多いな」
魔導将軍「偶然だ」
魔王(姫と同じ加護の者を集めたな……姫にダメージが行かない様に、か)
魔王(後はスタミナ勝負……だが)
魔王(優れた加護を持たねば、同じ加護同士 ……姫の敵じゃ無い)
魔導将軍「約半分……か。まあまあだな」
魔王「本戦に進むのは8人だろう?」
魔導将軍「大凡な……以下であれば問題無い」
魔王「……随分と大雑把な事で。 ……で、お前何時までここにいるつもりだ」
魔導将軍「お前が逃げださんならば必要無いがな……折角だ」
魔導将軍「出来レースに似たものとは言え、あの娘の肌に傷が付くのを」
魔導将軍「見ていくのも良いだろう」
魔王「……悪趣味な奴め」
魔導将軍「お前の力が及ばぬならば……私が変わりになってやらねばな?」
魔王(どうあっても姫を勝たす気……か)
魔王「お気遣いどうも……始まるな」

『では……開始!』

姫「……ええと、水の壁……!」
姫(手が……足が……震えて……!)
雷使い「お嬢ちゃん、あんよが震えてるわよ?」
雷使い「大人しく……!」
姫「……水よ、土よりも硬く壁となりて、守れ!」

ゴオオオオオォ!

雷使い「きゃ、あ………ッ」
水魔導師「うあ……ッ 押される……!?」
姫「行け……ッ 粛々と押し流せ!」

ザアアアアアアアアアアアアアア!
5991 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 14:31:39.68 ID:siYl2q+VP
魔王(ほーぉ……大した物だ)
魔王(これは……私は必要なさそう、だが)
魔王(……ま、ちょっと後押ししとくか。魔導将軍の目もあるし)
魔導将軍「……腐っても魔族か」
魔王「そりゃどうも」

雷使い「く……雷よ!勢いを……削げ……ッ」
水魔導師「ま、守れ……水よ、同族よ……飲み込め!」

『そ……そこまで!救護班、場外の選手の救出を……!』

魔導将軍「終わったな……まあ、本命が残ったか」
魔王「……予想通りか?」
魔導将軍「さあな……では、失礼する」
魔導将軍「……決勝で会おう、と伝えておいてくれ」
魔王「忘れなければな」
魔王(今のところ……一番厄介なのは、水魔導師……あいつか)
姫「少年!」タタタ
魔王「ああ、お疲れ……予選突破おめでとう」
6001 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 14:36:40.33 ID:siYl2q+VP
姫「ありがとう……ねえ?」
魔王「ん?」
姫「予選……二日に分けてやるって言ってなかった?」
魔王「……そういえば」

『えー、ここでルールの変更をお伝え致します!』
『決勝進出者8名が出揃いましたので、明日からトーナメント戦を行います!』
『対戦順は追ってお知らせしますので、出場者の方はその侭お待ちください!』

姫「えぇ……!?」

『回復が必要な方は救護ブースまでお越し下さい!』

魔王「……逃がさないと言いたいのか」
姫「逃げ出したりしないわよ」
魔王「まあ、良い……発表されれば、宿へ戻ろう」
姫「え……彼女、どうするの?」
魔王「どうにだってなるさ……要は逃げなければ良いだけの話だろう」
姫「ええ……そうだけど」

『それではただいまより、発表致します!』
6011 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 14:39:28.30 ID:siYl2q+VP
第1試合

水魔導師 - 魔導将軍

第2試合

雷使い - 炎使い

第3試合

水使い - 姫

第4試合

氷使い - 風使い

姫「……これも、仕組んだのかしらね」
魔王「さてな……」

『明日、午前午後に別れ、2試合行います!』
『以後の予定は都度……』

魔王「では、戻ろうか、姫」
姫「え、ええ……だけど……」
魔王「大丈夫だ」
6021 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 14:46:21.65 ID:siYl2q+VP
……
………
…………

宿屋

姫「どうするのよ。相変わらず、見張り居たわよ?」
魔王「ここから転移して、また戻ってくれば良い」
姫「……あ、そうか。でも……部屋を覗かれたら?」
魔王「心配性だな……では、そこに枕を二つ並べてくれ」
姫「……こう?」
魔王「ああ……良し」パァ……ッ
姫「あ……わ、私と、少年……!?」
魔王「動かんがな」
姫「……寝てる様には見えるわね」
魔王「これで良いだろう……私達は、疲れてぐっすり、だ」
姫「……本当に何でも出来るのね」
魔王「願えば叶うのだろう?」
姫「だからって……程があるわよ」
魔王「ふむ……そうかな。姫、ドレスは持ったか?」
姫「あ、いけない……! うん……良いわよ」
魔王「では、行こうか」シュゥウン
6031 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 14:53:45.56 ID:siYl2q+VP
……
………
…………

シュゥン……スタ!

盗賊「おう……あれ、早くねぇか?」
船長「おわ!」
姫「流石に慣れたのね」
魔王「予選は無事に終わったぞ」
盗賊「え……もう?」
船長「いきなり魔導将軍と一騎打ち……じゃネェだろうな」
魔王「まだだ……明日から本戦開始だそうだ」
盗賊「……早まったのか?予定」
姫「どうあっても私を……私達を逃がさないつもりの様よ?」
魔王「ご丁寧に見張りまでつけてな」
盗賊「で、迎えに来てくれたのか……て」
盗賊「……何でそんなニヤニヤしてんだよ、姉ちゃん」
姫「ニコニコって言ってよ」
魔王「……私を責めるなよ」
盗賊「え?」
6041 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 14:57:01.97 ID:siYl2q+VP
姫「大人しくしてるって、約束したわよね?」
盗賊「え、え?」
姫「きっと貴方に似合うわよ!ちゃんと私が選んだんだから!」
盗賊「な、何の話だよ……」
姫「さ、こっち……船長、部屋借りるわよ?」ガシ
船長「お、おう……何が始まるんだ?」
盗賊「え、ちょ、姉ちゃん!? ちょ、離して……!!」ズルズル……
魔王「……見てれば解る」ハァ
魔王(姫……完全に楽しんでいるな)

パタン

船長「お嬢ちゃん、やけに楽しそうだったな」
魔王「買い物は楽しかったんだそうだ」
船長「……ああ、そういう事な」
魔王「良い玩具だな……あれでは」
船長「まあ良いじゃネェか。盗賊だって女なんだし、嫌々言ってても内心は……」

コンナフクキレルカー!
カワイイジャナイノ、ヨクニアッテルワヨ!
ショウネンー!ナンデトメナカッタンダヨー!

船長「……心底嫌がってるか」
魔王「やっぱり黒にしてれば良かったか」
船長「何選んだんだ……?」
魔王「……ピンクのドレス」
船長「……」ハァ
6051 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/14(日) 14:57:50.90 ID:siYl2q+VP
再びバイト!
眠たいー!
606名も無き被検体774号+:2013/04/14(日) 15:02:28.76 ID:lRfOlV0R0
ふぁいとー
嗚呼寒い
608名も無き被検体774号+:2013/04/14(日) 19:12:57.14 ID:WApe6Is60
絵を書くのが好きな人、物語を考えるのが好きな人、システムを作りたい人必見。
「ウ・ディ・タ」とは? 
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Gravity、ワノハナ、魔王は倒れ、世界は闇に包まれた、ある旅人の手記、などなど
609 忍法帖【Lv=34,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/14(日) 19:29:02.27 ID:Ks+C+Fb70
フラグ回収乙でスコーン
610名も無き被検体774号+:2013/04/14(日) 19:29:43.10 ID:z4aXyzbJP
後は絵師様が…
611名も無き被検体774号+:2013/04/14(日) 21:16:54.81 ID:TVIJazM10
612名も無き被検体774号+:2013/04/14(日) 21:25:26.57 ID:pBaFauSC0
613名も無き被検体774号+:2013/04/14(日) 21:48:43.12 ID:gjNP0vAQ0
614名も無き被検体774号+:2013/04/14(日) 21:49:33.26 ID:9ayeQrid0
615名も無き被検体774号+:2013/04/14(日) 21:58:13.05 ID:WLFo+JMi0
616名も無き被検体774号+:2013/04/14(日) 22:03:15.96 ID:rxP8rkBG0
617名も無き被検体774号+:2013/04/14(日) 22:05:03.96 ID:TVIJazM10
618 忍法帖【Lv=9,xxxP】(1+0:8) :2013/04/14(日) 22:14:58.07 ID:pBaFauSC0
つ・・・繋がった!
619名も無き被検体774号+:2013/04/14(日) 22:19:22.42 ID:EyrW83rbO
やっと追いついた!
620 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/15(月) 00:58:29.50 ID:koDas6pv0
支援!
621名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 01:15:00.76 ID:uCdcjiHJ0
支援
622名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 02:04:17.85 ID:48Gu45Il0
保守
623名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 07:57:04.62 ID:9g5elJda0
624名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 08:27:58.23 ID:qMG2kJyM0
>>575
この絵のタッチきらいすぎる
腐女子向けか
625名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 09:01:52.77 ID:9g5elJda0
俺は良いと思うけどなあ
上手いというかこなれてるね
6261 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 09:37:13.54 ID:/4uiwsxlP
おはよー!
お迎えまで!

てかさ、たんまに>>608の書き込み見るけど
ゲーム作れってことかいwww
627名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 09:48:02.95 ID:48Gu45Il0
おかか
6281 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 09:49:03.12 ID:/4uiwsxlP
カチャ

姫「少年、見てよ! ……可愛いでしょ? ……と、ちょっと!」グイ
姫「盗賊!」グイグイ
盗賊「痛い痛い、引っ張るなって……! …わッ」タタ
魔王「ほーぉ……可愛いじゃ無いか」
船長「……馬子にも衣装」
盗賊「う、ううううう、うるせぇ!」
姫「褒めてるんじゃないの……良く似合ってるって」
姫「ね?少年」
魔王「うん。可愛いな」
盗賊「なッ あ、べ、別に、俺は……!」カァ
姫「わ・た・し!」
盗賊「へ?」
姫「俺、じゃないでしょ? ……大人しくしてるって約束。忘れた?」
盗賊「……絶対喋らねぇ」
船長「そっちの特訓もした方が良いんじゃねぇのか」クック
盗賊「うるせ……ッ」
姫「……」ジロ
盗賊「う……うるさ、い……わ、ね……ッ」
魔王(わお、真っ赤)
盗賊「ああああああああああああ、もおッ」ダダダダ
姫「あ、ちょっと、何処行くのよ!」タタタ
船長「あっはっはっは!一丁前に照れてやがる!」
魔王「……ちょっと可哀想な気がしなくもないが」
6291 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 09:57:58.07 ID:/4uiwsxlP
船長「良いんだよ、連れて行くのに約束したんだろ?」
魔王「まあ、大人しくしてろよ、とはな」
船長「はぁ、腹が痛ェ……ああ、そうだ少年」
魔王「何だ?」
船長「この本なんだが」トントン
魔王「ん?ああ……盗賊が持ってきたんだな」
船長「随分年代物だな……どうしたんだ?」
魔王「城から持ってきた……私も読もうと思ってたんだがな」
船長「ほう……中々興味深いぞ、これ」
魔王「読んだのか?」
船長「ぱらぱらとだけだがな……まあ、お前達を待っている間」
船長「良い暇つぶしになるさ」
魔王「……しかし似合わんな」
船長「俺が本を読んでるのがか? ……ほっとけ」
魔王「光と闇の神話……か」ペラ
船長「神話と言うより、詩かね」
魔王「詩?」
船長「ああ……『始まりは終わりだった。古の神との忘れられた契約』」ペラ
魔王「『限りなく遠く、果てしなく近い最果ての地』……最果ての、地?」ペラ
船長「……な?面白いだろう」
魔王「……『神は光と闇を生み出し、大地を作り水を育み炎を抱き過ごした』」
魔王「ふむ……」
6301 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 10:11:35.97 ID:/4uiwsxlP
船長「まだ読んでないんだろう……終われば、読んでみれば良い」
魔王「そうだな……確かに、興味深い」

バタバタバタ

盗賊「ハァ、ハァ……」
魔王「……何やってるんだ」
姫「な、なんで逃げるのよ……」
盗賊「何で追っかけてくるんだよ!」
船長「……あんまり暴れ回るなよ、お前ら」
魔王「姫、この本……読んだか?」
姫「え……?ああ、それ……うん。読んだわよ」
魔王「どうだった?」
姫「どう、って……面白かったけど……そうね、えっと……」
姫「『途切れる事無く回り続ける、表裏一体の運命の輪』だったかしら」
魔王「表裏一体の運命の輪……」
姫「説明しがたいわね……読んでみるのが一番だと思うけど」
魔王「ふむ」
姫「前に言った……でしょう?」
姫「光と闇は、表裏一体……そんな感じの事が書いてあったわ」
船長「ストップ、そこまでだ……俺もまだ読んでないからな」
盗賊「……面白いのか、それ」
6311 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 10:27:03.82 ID:/4uiwsxlP
姫「神様が人と魔を作った、って言うお話、ね」
船長「言うなって言ってんだろうが……」
姫「あ……ご、ごめんなさい」
盗賊「どうせ俺には……私には理解できね……ないわよ」
魔王「頑張ってるじゃないか」ニヤニヤ
盗賊「……こんな格好に迄されて、置いてかれたらたまらないよ」
魔王「では行くか……」
盗賊「明日の朝じゃ無いのか?」
魔王「試合は昼からだがな……夜の内に移動しておいた方が良いだろう」
盗賊「……怪しまれない?」
魔王「まあ、部屋に戻れば解る……逃げなければ良いのさ」
姫「魔導将軍の心配はそこだけね」
魔王「そういう事」
盗賊「……とうとう、か」
船長「ああ……俺も、色々準備をしておこうかね」ニヤ
魔王「……船長が?」
船長「おう……まあ、お前さん達が旨くやってくれるのが大前提だがな」
魔王「心配するな。大丈夫だ……約束もしたしな」
姫「約束?」
魔王「姫は明日、勝つ事だけを考えていれば良い」
盗賊「……頼むぜ、姉ちゃん、少年」
6321 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 10:33:41.61 ID:/4uiwsxlP
……
………
…………

翌日

ザワザワ……

盗賊「すげぇ人……」
姫「見物人がこんなに……ちょっと緊張するわ」
魔王「午前中の2試合の結果はどうだったんだろうな」
盗賊「あっちに張り出されてるぞ」スタスタ
姫「……私はそろそろ行かないとね」
魔王「ああ……気をつけて行ってこい」
姫「……ええ」
魔王(水使い、だったか……まあ、姫が有利に違い無いだろうが)
盗賊「少年、これ……」
魔王「魔導将軍と、雷使いが残ったか……まあ、予想通りだな」
盗賊「そうなのか?」
魔王「予選を見た限り……はな」
魔導将軍「逃げずに来たか」
盗賊「あ……ッ!」ギュ
魔王「……」ギュ
魔導将軍「何時ぞやの猿か……フン。旨く化けたものだ」
盗賊「誰が猿だ……!」
魔王「気にするな……逃がすつもりもなかろうに良く言うな」
6331 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 10:40:14.35 ID:/4uiwsxlP
魔導将軍「怖じ気づいて逃亡されると私の楽しみが奪われるのでな」
魔王「で……お前も見ていくのか?」
魔導将軍「否?流石に忙しくてね……相手がアレでは、心配のしようも無いしな」
魔王「……やはり細工したな」
魔導将軍「何のことだか……では失礼。姫の勝利を祈っているよ。心から……な」
魔王「姫は必ず勝つさ……決勝の舞台に立つ為にな」
魔導将軍「……フン。その強がり、何時まで持つやら……!」スタスタ
盗賊「……」カタカタ
魔王「恐れずとも良い」
盗賊「こ、怖がってなんか……!」
魔王「震えてるぞ……」
盗賊「……ッ」ギュ
魔王「はいはい……ほら、適当な場所に座るぞ……始まる」

『それではこれより、第3試合!水使いvs姫の試合を開始します!』
『時間内に場外へ出た場合、魔法以外の攻撃をした場合は失格になります!』
『では、初め!』

ワアアアアアアアアアアアア!

盗賊「姉ちゃん……」
魔王「大丈夫だ……最悪私がどうにかする」
盗賊(頑張れ……!)
6341 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 10:49:20.46 ID:/4uiwsxlP
姫(先手必勝、先手必勝……!)
姫「みず……!」
水使い「水よ!彼の者を覆い絡め取れ!」
姫「!」
姫(しま……ッ)

ザァ……!グルグル………!ギュぅ……!

姫「……ッ」
水使い「君は動けない! ……水よ、そのまま……!」
姫「水よ、広がり、放て……他の魔力そのまま、我が力へと!」ググ……ッ

バシャアアアアア!

水使い「な……ッ!?」

盗賊「うわ……ぁ……」
魔王(姫には効かん……相手の魔法を取り込んで、そのまま返したか)
魔王(……長期戦に持ち込まれると、厄介だが)
6351 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 10:50:08.57 ID:/4uiwsxlP
お迎えー!
帰ってきて出かけるまでにまた来れたらー!
636名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 11:05:58.47 ID:w/BUo3GC0
乙!いってらー!
637名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 13:03:39.73 ID:9g5elJda0
いそがしいやつだなあ
6381@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 13:23:52.32 ID:/4uiwsxlP
間に合わんかったーわ……
面接行ってきまー。
夕方帰って時間あったらー!
639名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 13:29:55.35 ID:9g5elJda0
久しぶりにきたから知らんのだが医療関係に勤めが決まったのではなかったのか?
6401@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 13:41:33.64 ID:/4uiwsxlP
姫「……押し出せ!」

ザァアアア…!

盗賊「……やった……か!?」
魔王「場外を狙ったか……」
魔王(だが……!)

水使い「……ぅ、あ……ッ あ、まい!」
水使い「水よ……! 巻き付け……!」

盗賊「ああ……!」
魔王(自分の体を水の勢いで引き戻すつもりか……力くらべだな)
魔王(五分……否、長引けば……姫が不利だ)
盗賊「姉ちゃん!頑張れ……!」
魔王「……」
魔王(仕方ない、少し私が……ん?)

姫「甘いのは、貴方よ……!行け!」
姫「……追撃!」

ザァアアアアアアア!
6411@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 13:43:58.48 ID:/4uiwsxlP
なんだ、P2経由だと普通に書けるのか

>>639
うん、仕事は行ってるけど、午後からだけなんだ。
今日はGWの単発の派遣登録の面接に行くんだよ。
電車なうだよ(笑)
642名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 14:00:07.29 ID:9g5elJda0
マジか
頑張れよ





なんかネバーテンディングストーリー思い出すな
6431@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 14:00:45.34 ID:/4uiwsxlP
ちなみに迷子なぅ(ーー;)
1さん、ダンジョンなうだわ…
644名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 14:31:47.45 ID:NL/i/wwg0
魔王に転移してもらおう(棒
6451@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 14:41:54.74 ID:/4uiwsxlP
無事終了……そして無事決定!
GW稼ぐぜー!

お茶飲んで帰るー
駅どこだー(笑)
646名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 15:09:22.38 ID:9g5elJda0
新宿か?
俺も2年くらい出れなかったな
6471@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 15:10:46.58 ID:/4uiwsxlP
水使い「な、まだ、余力が……!?」
水使い「あ、ぁ……ッ」

ザザァア……ッ

『場外ー!!水使い、失格です!!』
『勝者、姫ー!!』

ワァアアアアアアアア!!!

魔王(これは……魔石、か?)
魔王(……成る程な。私が手を貸す迄もなかったか)
盗賊「す、すげぇ……姉ちゃん、勝っちまった……」
魔王「次の試合が始まるな……見たいか?」
盗賊「え、お……じゃ無かった、私?」
魔王「……」
盗賊「何でそこで変な顔すんだよ」
魔王「いや、慣れないな、と……痛い、殴るな」
6481@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 15:12:19.90 ID:/4uiwsxlP
>>646
大阪駅だよー
新宿はもっと凄いよね。
一時期良く東京行ってた時に何回か行ったけど、ありゃ確かにダンジョンだわ…
6491@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 15:19:33.49 ID:/4uiwsxlP
盗賊「どっちでも良いよ。どうせ……明日はまだ、魔道将軍とは当たらないだろ」
魔王「まぁ……そうだろうな」
姫「少年!」タタタ……
魔王「お疲れ、姫……良く頑張った」

『そこまで!勝者、風使いー!』

魔王「……随分早いな」
姫「このまま続けて準決勝ですって」
魔王「何……?」
盗賊「まじで?」
姫「ええ……だから会場内にいるように言われたんだけど……」
魔王「幾ら回復して貰えるとは言え……根本的にスタミナが……」
6501@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 15:44:59.65 ID:/4uiwsxlP
魔王(疲れさせるつもりか……?)
魔王(しかし……そんな事をしても、意味が無いだろう……)
魔王(ん、あれは……魔道将軍?)
盗賊「……少年?」
魔王「ちょっと……待ってくれ」
魔王(集中すれば……聞こえるか)

『あれが例の娘か……成る程、美しいな』
『で……隣に居るのが、夫だと?』
『はい……請われ、私が娼館へ招待した者です』
『フン……あれ程の美しい者を妻にしておきながら』
『娼婦を選んだと言う物好きか』

魔王(見た事の無い男と喋ってるな)

『準決勝まで勝ち残ったとなると、中々の力の持ち主の様だな』
『はい。試合を見ていた所、優れた加護の持ち主の様で』
ウディタやるか
652名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 16:48:42.89 ID:9g5elJda0
SSと一緒にスコーンBBAの物語も進んでいるいるという不思議物語だ
よくよく考えればスコーンの力を借りないとウディタで作れない
654名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 18:44:55.62 ID:vMRWcGnZ0
寒い人と1さんの合作…スコーン
ウディタは重くて使えない
6561 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 20:30:44.10 ID:/4uiwsxlP
『ほう……残念だな。相手がおらねば息子の嫁に欲しいが』
『……五体満足で無くて良いなら、ご用意しましょうか?』
『……ふむ』
『予定とは少々狂いますが……それも、一興』
『そなたも目を着けておったのか、魔道将軍』
『まあ……ですが、ご領主様のご意向とあれば、無視する訳には行きますまい?』
『成る程……そなたは誠、出来た男よな……だか、男はどうする』
『……お許し頂けましたら、処分を』
『口外するは相成らぬぞ?』
『勿論で御座います』
6571 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 20:46:38.86 ID:/4uiwsxlP
『……思い出すのぅ。そなたが、あの……何と言ったか。エルフの男を殺した時の事を』
『……』
『そんな複雑な顔をするで無い……魔道将軍。何時も感謝しているのだ』
『は……』
『こうして、空いた時間に来て試合の段取りを着けてくれた事にも礼を言おう』
『……勿体無いお言葉』
『あの娘の血に濡れた姿は……さぞ、美しいだろう』
『ご領主様。お約束の件ですが……』
『解っている……我が優れた血筋の者を集め、私設軍隊を作る、だな』
『はい……魔族が大人しくしている今、我ら……優れた者達が』
『最果てと呼ばれる北の大地……魔族共の住む土地を攻めるのだろう?』
6581 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 21:14:20.57 ID:/4uiwsxlP
『そうして……魔王を倒し、我らが世界の覇者となる……我らならそれが出来ると』
『そう、申したな……魔道将軍』
『はい』
『確かにそなた程の力があれば可能だろう……楽しみにしているぞ』
『御意』
『……先ずはそなたか』
『ええ……では、これで』
『期待しているぞ、魔道将軍……』

魔王(……ふざけた真似を)
盗賊「おい、少年?」
魔王「……姫、予定変更だ」
6591 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 21:32:30.24 ID:/4uiwsxlP
姫「え?」
魔王「こっちへ……恐らく、一瞬で方がつくだろう……今の内だ」グイ
姫「え、ちょっ……!」
盗賊「お、おい、どこ行くんだよ!」
魔王「少しそこで待っててくれ……直ぐに戻る」
盗賊「……」
盗賊(何処に……木陰?何やって……)

『これより準決勝!魔道将軍vs風使いの試合を始めます!』

盗賊「あ……始まっ……うわ……!」

『じ、場外!風使い選手、一瞬で場外へと吹き飛ばされました!』
『勝者!魔道将軍!』

盗賊「……本当に一瞬じゃねえか」
盗賊(少年達……何処に……)
6601 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 21:45:08.79 ID:/4uiwsxlP
魔王?「……」スタスタ
盗賊「あ、少年……!あれ、姉ちゃんは?」
魔王?「……」ス…
盗賊「ん、あっち? ……ああ、集合か……てか何で喋んな……!?」
盗賊(あ、あれ……瞳が……蒼い……?)ジィ
魔王?「……」
盗賊(……まさか!?)
魔王?「シィ……!」
盗賊「え……ええ!?」バッ!

『では、始めます……!』
『準決勝二回戦は、姫vs雷使い!』

盗賊(あれ……姉ちゃんの姿だけど……)
盗賊(少年!?)
661名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 21:51:12.98 ID:Xxtdf1+O0
すごい今更だけど台詞の間に改行いれたら見やすいと思う
6621 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 21:59:56.83 ID:/4uiwsxlP
姫?「……」

雷使い「片目瞑っちゃって余裕ね?アンタ、優れた加護持ってんのね……」

姫?「……」

雷使い「……水使いの時は余裕だったろうけど、アタシが相手なら話は別よ」

雷使い「その澄ました顔、苦痛に歪ませてやるわ……ッ雷よ!」

バリバリ…ッ

姫?「……水よ」

ザァア…ッ

雷使い「また水の防壁?何とかの一つ覚えね……ッ 落ちろ!」
6631 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 22:01:01.92 ID:/4uiwsxlP
こうかな。
……見やすい?
今もしもしからなので、遅いのは勘弁してなー
664名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 22:09:31.43 ID:1I/pQdJ+0
別に今までので慣れちゃったから変えなくていいと思う
前のが見やすい
6651 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 22:16:23.98 ID:/4uiwsxlP
姫?「…… 行け」

バリバリ…ッ パリ……ザァアアアアア!

雷使い「な…ッ!?」

盗賊「……み、水が雷帯びた侭……雷使いに……!!」

雷使い「きゃ……ぁあああ!」
姫?「……帯電してるとキツイだろうな」
雷使い「あ、あ…… ッ!!」バタッ

魔王?「……私じゃ、ああは行かないわね」
盗賊「……その声、やっぱり」
魔王?「……話は、後。先に宿に戻りましょ……魔道将軍にはばれてる筈よ」
盗賊「……ああ」
魔王?「なるべく人の多い所……選んて行くわよ」
6661 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 22:21:14.16 ID:/4uiwsxlP
『雷使い選手、起き上がれません!』
『勝者、姫!』

ワァアアアアアアアア!

姫?「……すまんな」スタスタ

領主「いや見事だ!なぁ、魔道将軍?」
魔道将軍「……ええ」
領主「優れた加護もさることながら、魔力も申し分無い……あの娘がいれば」
領主「……魔族にも勝てるだろう!」
魔道将軍「……」
領主「魔道将軍」
魔道将軍「はい……」
領主「五体満足で連れて来い……何とか兵士とすべく説得しろ」
魔道将軍「……し、しかし!」
6671 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 22:25:05.14 ID:/4uiwsxlP
領主「そなたには他を当てがってやる」
領主「魔族共を滅ぼした後、息子の子供を産ませた後ならば好きにしても良い……解ったな!」
魔道将軍「……仰せの侭に」
領主「うむ……明日が楽しみだ!」ハハハ!
魔道将軍(潮時か……まぁ、良い)
魔道将軍(予定とは随分違ったが……直接決着を着けるのも悪くない)
魔道将軍(明日……貴様を、切り裂いてやる……魔王!)
668名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 22:43:33.95 ID:cvkD0MIv0
やっと追いついた、面白い!
6691 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 22:56:48.86 ID:/4uiwsxlP
……
………
…………

宿屋

カチャ……パタン

盗賊「おう、おかえり」
姫?「ああ……大丈夫だったか?」
魔王?「ええ、人が多くて助かったわ……」
盗賊「……ごめん、何か、うん。すげぇ違和感」
姫?「ま、そりゃそうだろうな……」
魔王?「とりあえず、一端戻してよ」
姫?「ふむ、そうだな……」シュウ…
姫「……ふう」
魔王「やはりしっくりくるな」
盗賊「……しかし、何だってこんな事……」
魔王「この街の領主らしき男と魔道将軍の話を耳にしたからな」
6701 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 23:02:22.74 ID:/4uiwsxlP
盗賊「何時の話だ?」
魔王「姫の最初の試合が終わった後だな」
盗賊「え……え?」
魔王「受付だかの側の賓客席だろう場所に見えたんだ」
盗賊「……随分離れてるじゃねぇかよ。聞こえたのか!?」
魔王「集中すればな」
盗賊「……はぁ」
姫「規格外って忘れちゃ駄目よ」
魔王「姫……酷い」
姫「事実でしょ」
魔王「……内容は、こうだ」
魔王「領主は息子の嫁に姫が欲しいが、夫……私が居る」
魔王「魔道将軍は、姫を殺すつもりだが、五体満足で無くて良いならと約束した」
姫「勝手な……!」
6711 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 23:07:54.49 ID:/4uiwsxlP
魔王「領主も了承した……私の処分を魔道将軍が行う許可も含めてな」
盗賊「!」
魔王「領主も知人の件は知っていた様だ……ま、当然だろうが」
盗賊「……あいつら!」
姫「急に準決勝が行われたのは、領主が来たから……なのね?」
魔王「だろうな。魔道将軍と同じ様な悪趣味な男の様だ」
盗賊「そりゃそうだろう……あんな、娼館だ、奴隷だ……劣等種だと」
盗賊「言い出した奴ら……!」
魔王「本当は明日の時点で姫とすり替わるつもりだったんだかな」
6721 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 23:13:56.04 ID:/4uiwsxlP
魔王「属性的に不利だからな……あの雷使い、実力はずば抜けていたし」
姫「そうなの?」
魔王「見た感じ……な」
盗賊「……明日、どうするんだ?」
魔王「向こうは色々と予定が狂ったろうが……私の予定は変わらんさ」
姫「魔道将軍を……殺すのね」
魔王「ああ……領主もな」
盗賊「え!?」
姫「……」
魔王「私は最初からそのつもりだったが?」
盗賊「……そ、そうなのか……?」チラ
姫「……私は知らなかったわよ」
6731 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 23:41:43.31 ID:/4uiwsxlP
魔王「こんな制度、無くした方が良い。この街には前科もあることだしな」
盗賊「……30年前の、か」
魔王「そうだ……私達魔族にとっても、人にとっても……害にしかならん」
盗賊「だが……恨みは買うぜ?」
姫「そうね……最低な奴らとは思うけど、貴族達も人よ」
姫「それに……そう簡単には……それこそ、物理的に壊しでもしない限り」
魔王「……出来る事をするだけさ」
魔王「様は住み分けだろう?……不干渉万歳、さ。価値が違いすぎるならば、な」
盗賊「……信じてるぜ」
魔王「うん?」
6741 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/15(月) 23:46:27.32 ID:/4uiwsxlP
盗賊「……願い、叶えてくれ」
盗賊「劣等種も、人なんだ。生きてるんだ」
姫「……」
盗賊「せめて……物じゃなくなる様に……!」
魔王「……心配するな。信じろ」
姫「明日は朝からよ、少年」
魔王「ああ……ゆっくり休もう」
魔王「明日……いよいよだ」
盗賊「……魔道将軍」
姫「殺す……のね」
魔王「ああ。腐った不条理をぶっつぶす」
675名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 23:57:35.55 ID:5jPskVjVP
腐った不条理か…
676名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 23:58:39.06 ID:vuf4bd190
腐条理…
677名も無き被検体774号+:2013/04/15(月) 23:59:50.90 ID:qSsGh8Xn0
面白くなってきた
6781 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 00:07:09.39 ID:gVrDOBhBP
……
………
…………

翌日

盗賊「……なぁ、姉ちゃ……少年」
魔王?「何」
盗賊「それ、見えてんの……」
魔王?「仕方ないでしょ……瞳、見えない様にしなきゃ」
盗賊「こっちからじゃフードで顔なんか見えないって」
魔王?「ちゃんと会場のしょ……姫の姿は見えてるわよ」
盗賊「……しかし、凄い人だな」
魔道将軍「当たり前だろう。最高のショーだからな」
盗賊「!」
魔王?「!」
魔道将軍「動くな……心配せずとも何もせん」
6791 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 00:13:40.48 ID:gVrDOBhBP
魔王?「何やってんの……もう、向こうにいるわよ」
魔道将軍「解っている……用件を伝えに来ただけだ」
盗賊「……何だよ」
魔道将軍「領主がお前をご所望だ……私に娘を殺すなと、な」
姫「……大人しく聞くとは思えないけどね」
魔道将軍「まずは……あいつだ」ス…

姫?「……」

盗賊(少年……こっち見てる。聞いてるのかな……)
魔道将軍「……あいつさえ殺せば、領主などどうでも良い。感謝するぞ、娘」
魔道将軍「……愛した男が悪かったな」
魔王?「どうでも良い事を、べらべらと良く喋る男より悪い奴なんて居ないわ」
6801 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 00:15:15.02 ID:gVrDOBhBP
姫「……大人しく聞くとは思えないけどね」

魔王?「……大人しく聞くとは思えないけどね」

訂正orz
6811 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 00:20:50.33 ID:gVrDOBhBP
魔道将軍「……ッ 何とでも言うが良い。今の内だ!」
魔道将軍「所詮、力あるものには逆らえんのだ……身を持って知れ!」

『それでは、これより決勝戦を始めたいと思います!』
『魔道将軍、姫……両者、中央へ!』

魔道将軍「次はお前だ、エルフの姫……約束通り、八つ裂きにしてやる」スタスタ
魔王?「私はそんな約束した覚えないけどね」
盗賊「……怖くないのか?」
魔王?「怖い? ……いいえ」
魔王?「私は……彼を信じてるいるもの」
6821 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 00:25:42.84 ID:gVrDOBhBP
魔道将軍「……何度も夢に見たぞ。こうしてお前を殺す夢をな」
姫?「夢は夢に過ぎんぞ、魔道将軍……余り驕ると痛い目にあう」
魔道将軍「そっくりそのまま返してやる!……何が共存だ、不干渉だ!力は使ってこそ意味がある!」
姫?「そうか……そうだな。だが……茶番を長引かすのも興醒めだろう」
姫?「……始めようか。魔道将軍」
魔道将軍「死に急ぐか……本当に愚かな奴……腑抜けた王め!」

『始め!』
6831 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 00:30:34.73 ID:gVrDOBhBP
魔道将軍「氷よ!」

盗賊「……ッ早い!」
魔王?「……!」

ピキピキ…ピキ……

魔道将軍「肉と血と共に砕け値れ!」

バリィイイイン!

姫?「ふむ……何かしたか?」
魔道将軍「な……ッ!?」
姫?「どうした……驚いた顔をして」
魔道将軍「な……何故、効かない!?何故……立って……!」
姫?「何だ、もう終わりか?……つまらんな」
姫?「水よ!」ザァア……
魔道将軍「……く、そんな物……!」
6841 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 00:34:54.33 ID:gVrDOBhBP
姫?「龍となりて、顎を食いちぎれ!」
魔道将軍「な……!」

ギャアアアアアア!

魔道将軍「ぐ、あぁあああァ!?」

盗賊「す……す、ご……!」
魔王?「……ッ」
魔王?(魔道将軍は……じわじわと……責めるつもりだった……?)
魔王?(それとも、少年との力の差……?)
魔王?(……船の上で見た、雷の魔法なんて、比にならない……!)

姫?「……流石に絶えたか」
魔道将軍「お、お前……!」
6851 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 00:39:43.53 ID:gVrDOBhBP
魔道将軍「ぐ、ぅ……ッ」フラ
姫?「足元がふらついてるぞ……情けないな」
姫?「炎よ……」
魔道将軍「!?」
姫?「彼の者の身を焦がせ……!」
魔道将軍「 ば、馬鹿な……ッ!?」ゴロン……ッ
姫?「おお、避けたか……が、次はどうかな。雷よ!」
魔道将軍「ぁあああァアアアア!?」
姫?「風よ!……先ずは、右手」
魔道将軍「な、ん………ッ!!」

ザクッ……ブシュゥ……ッ
6861 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 00:44:47.63 ID:gVrDOBhBP
盗賊「な、ん……だ、ありゃ……ッひ、ぃ……!?」

姫?「左手」

ザクザク!

魔道将軍「ギャ、ィ……あああぁアア!」

魔王?「……ッ」

姫?「……飽きたな。足だ」

ザクザクッ……ザク……ビチャァ…

魔道将軍「ぁ、ア………、 ァ…!」

盗賊(あの魔道将軍が……こんなに、簡単に……!)
魔王?(あんな、に……容易く、あれだけの属性の魔法を使いこなすの!?)
魔王?(……信じ、られない)
6871 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 00:49:47.03 ID:gVrDOBhBP
姫?「……お前の趣味に合わせてやろうかと思ってたんだがな。どうも、いかん」
姫?「飽きた。これ以上は……面倒だ」

『ぁ、あ……す、ストップ!ストップです!きゅ、救護班、早く……!』

姫?「死ね」

ビュ……ザクゥ……ッ!

領主「ぎ、ぎゃあああああああ!!」

ゴロン……

魔王?「……ッ」
盗賊(首が……っ!!)
6881 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 00:56:31.54 ID:gVrDOBhBP
姫?「……あんな所まで飛んだか」シュウン

『ひ、ひィ、ま、魔道将軍……ッ! あの、娘……!? き、消えた!?』

シュウン、スタ

姫?「文字通り高い場所から眺めている気分はどうだ、領主殿」
領主「ひ、ィ……ッ だ、誰、誰か……っ!」
姫?「私が欲しかったのだろう……勝って喜ばんのか」
領主「た、助けろッだれか、早く……!」
姫?「黙れ!」
領主「……ッ あ、ぁ……な、何が欲しい!?言って見るが良い!」
領主「金か、何だ!?優勝者はそなただ!」
領主「何でも、思うまま……ッ!」
6891 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 01:00:32.60 ID:gVrDOBhBP
姫?「黙れと言ったんだかな……まあ良い」
姫?「望むまま、と言ったな?」
領主「も、勿論だ!だから、だから……ッ命だけは……ッ」
姫?「大袈裟だな……たかが大会だろうに」ニィ
姫?「しかも私は失格の筈だがな……領主であるお前が優勝者は私だと言ったのだ」
姫?「さぁ……その旨を宣言するが良い」
領主「あ、ぁ…! し、しか……し……ッ」
姫?「……」ジロ
6901 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 01:06:10.22 ID:gVrDOBhBP
領主「ひ、ひいっ!」
領主「み、皆の者良く聞け!今回の優勝者はこの姫だ!」
姫?「……私の望みはこの街だ」
領主「な、何!?」
姫?「望むまま……?」
領主「こ、この者に、街を与える!」
領主「今日からこの街は、この者の……!」
姫?「それからお前の命だよ」
領主「な!?」
姫?「……一つで満足出来なんだのは、お前も同じだろうて」

パリ…バリバリバリバリ!
ピシャァアアアア……ン!

領主「ギャアアアアアアあああああああ!」
691名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 01:07:40.72 ID:ZhSCUdmI0
面白い寝れない
6921 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 01:11:55.75 ID:gVrDOBhBP
盗賊「……」
魔王?「……」
姫?「……さて、と。これで私が名実共に領主になった訳だが?」

シィ……ン

姫?(……やりすぎたか?)

「り、領主様!」
姫?「ん?」
「わ、私はこういう者で……!」
「領主様!それよりも私の話を……!」

ザワザワ……ガヤガヤ……

姫?「ふむ」
姫?「あー……先ずは休みたい。それから……そうだな。こいつの息子を呼べ」
「ひっ……ぜ、前領主の、ですか?」
姫?「ああ……とにかく宿を……ああ、いや」
姫?「夫と友人も連れて娼館へ行く」
6931 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 01:17:51.33 ID:gVrDOBhBP
姫?「部屋を用意しておいてくれ」
「は、はい!すぐに!」
姫?「……ふむ。では三刻後に息子を連れて娼館へ」スタスタ
魔王?「……何、する気?」
姫?「救うのだろう?」
盗賊「あ、ああ……だけど……」
姫?「まあ、とにかく着いて来い」
姫?「……大丈夫だ。約束を果たしに行く」

……
………
…………

管理人「こ、これは、少年様……と、ひ、姫……さ、ま……ッ」カタカタ
姫?「……部屋の準備は?」
管理人「と、整っております!」
姫?「ふむ……案内してくれ。それから……」
管理人「は、はい!」
6941 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 01:26:00.22 ID:gVrDOBhBP
姫?「お前以外の全員を待機させておいてくれ……呼ぶまでは誰も入れるなよ」
管理人「は、はい……!」

……
………
…………

パタン

姫?「さて……とりあえず姿を戻すか」シュウ……
姫「ね、ねぇ……」
魔王「何だ?」
姫「……街が欲しい、て」
盗賊「そ、そうだよ……どうして……」
魔王「権力を取り上げる為だ……と、説明の前に」プチ
姫「……?髪の毛抜いて何するのよ」
魔王「『無事達成した。準備出来次第、魔導の街迄来られたし』……良し」ポゥン
盗賊「……げ、鳥になった!?」
6951 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 01:31:54.44 ID:gVrDOBhBP
姫「黒い鳥……黒髪だから?」
盗賊「小さいカラス……」
魔王「良し、船長の所へ行け」バサバサバサ……
姫「船呼んで何するのよ……」
魔王「ここにいる皆をあの島へ運ぶのさ」
魔王「もう、あの廃港を利用する必要も無い」
盗賊「……」
姫「どうしたの、盗賊……救いたかったんでしょう?」
盗賊「……来て、くれるのかな」
魔王「まあ、やるだけはやってみよう。盗賊、すまんが管理人に」
魔王「皆を呼ぶ様伝えてくれ」
盗賊「あ、ああ……」
姫「姿はどうするのよ」
魔王「夫に譲ったと、一言言えば良いのさ」
696名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 01:33:48.93 ID:6pSJD6Os0
5時起きなのに気になって眠れんっ
6971 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 01:36:28.24 ID:gVrDOBhBP
姫「納得するかしら……」
魔王「難しそうなら、息子が来る前にまた姿を変えれば良い」

コンコン

管理人「あ、あの……全て集めましたが」
魔王「ご苦労……では、お前は出てくれ」
管理人「し、しかし……領主は姫様では?」チラ
姫「少年の言葉は私の言葉……夫婦ですもの」
魔王(二度目の嘘か……ふむ)
管理人「は、はい!ほら入りなさい!」
管理人「では、私は……これで……」チラッチラ
魔王「早く出て行け」
管理人「!」バタン!
6981 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 01:43:43.20 ID:gVrDOBhBP
盗賊「娼婦!」
娼婦「盗賊……あ、ぁ、本当に、生きて……!」ギュウ
盗賊「当たり前だ!俺が簡単にくたばらネェよ!」
魔王「……期待していて、良かっただろう?」
娼婦「少年様……!はい……!」
少女「少年様」
魔王「本は読んだか?」
少女「はい。返すお約束、しましたから」
魔王「本当に構わんのだかな」
少女「いいえ……良いのです。代わりに、一つだけ」
魔王「何だ?」
少女「後で……先に、やる事があるのでしょう」
魔王「……ああ」
6991 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 01:48:50.90 ID:gVrDOBhBP
魔王「あー。手短に説明する」
魔王「……今日から、お前達は自由だ」

ザワザワ…

魔王「私は前領主……あの、家の筆頭の者だな。から、街の全てを譲り受けた」
魔王「が、正直興味が無いから」
盗賊「は!?」
魔王「最後まで聞け……まず、劣等種と言う呼び名や、制度など全てを廃止する」
魔王「勿論この娼館もだ」
魔王「だが、だからと言って、家には戻れんだろうし……戻りたくないだろう」
7001 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 01:54:38.70 ID:gVrDOBhBP
魔王「……以前、逃げ出し魔道将軍に殺されたと言う君達の仲間は生きている」
魔王「……盗賊」
盗賊「あ、うん……本当だ。ここから少し離れた島で、生活してる」
盗賊「生活が便利になる……道具とか、収入を得る為の手だてとかもさ」
盗賊「この二人と、今から船で迎えに来てくれるやつとかも」
盗賊「手伝ってくれてさ!……だ、だから……!」

「今更そんな事言われても……」
「誰が守ってくれるの……」

盗賊「……!」
盗賊「俺達はもう、自由なんだぜ!?」
盗賊「何だって出来る、して良いんだ!」
7011 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 01:59:13.69 ID:gVrDOBhBP
娼婦「そうよ……私達は何も出来ない。でも、出来る様に頑張る事はできる」
盗賊「娼婦……」
娼婦「勇気を、出しましょう?」
娼婦「……恐いけど。こうして、救いの手は差し伸べられた。その事実だけでも」
娼婦「奇跡の様なものよ……目の当たりにした今、信じなければ」
娼婦「何時、信じるの?」

ザワザワ…
デモ……ダッテ……

魔王「ふむ。一つ考えがあるのだが、聞いてみないか?」
7021 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 02:06:37.13 ID:gVrDOBhBP
魔王「今、盗賊達が住んでいる島に、港を作ろうと思っているんだ」
盗賊「港?」
魔王「ああ。海路が開ければ、この街との貿易も出来る……まあ」
魔王「最初は援助だろうが」
盗賊「この……街と……大丈夫か?」
魔王「それもちゃんと考えてる。で、だ」
魔王「島に港を作るとなれば、人員もいるだろう……他の大陸から人員を募る」
盗賊「給料どうすんだよ」
魔王「援助させるさ……まぁ、もろもろ条件を上げ、全て飲む事を約束するなら」
魔王「息子にこの街の権利を返すのさ」
姫「……成る程ね」
7031 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 02:13:11.28 ID:gVrDOBhBP
姫「返して欲しくば言う事を聞け、か……まぁ、ちょっと乱暴だけど」
魔王「あれだけの事をして今更だな」
盗賊「でも……」
魔王「まあ、待て。で、人が入ってくるなら出ても行くよな。人だけじゃない。物も、金も、知識も」
盗賊「あ……魔石!」
魔王「ああ、流通も見込めるだろう?」
魔王「だから……娼館を、島に作ろうと思う」
盗賊「少年!?」
魔王「ただし、やりたい人が無理のない範囲でだぞ、勿論」
魔王「施設や料金も相応にして、な」
盗賊「そんな!折角自由に……!」

「私……それなら行くわ」

盗賊「え!?」
7041 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 02:16:44.85 ID:gVrDOBhBP
「いきなり自由にどうぞ、て言われても困る……先はわからないわ、でも」
「今は……それしか出来るものがない」

盗賊「……」
魔王「嫌になればやめればいいんだ。続けたければそうすれば良い」
姫「そうね。自由だものね」
魔王「と、言う訳だ……ん、汽笛が聞こえるな」
盗賊「俺が連れてくよ……行こうぜ」
「あ、あの……!」
魔王「ん?」
7051 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 02:21:51.58 ID:gVrDOBhBP
「他の土地に連れてって貰う事は?」
魔王「勿論、構わんよ」
姫「島に先に行くんでしょう……一度降りても良いし、船に残って貰っても良いわよね?」
魔王「ああ、そうだな。盗賊、船長に……」
盗賊「伝えるよ!」
姫「……嬉しそうね」
魔王「ま、そりゃ……な」
姫「残ってる人……居ないわね」
魔王「そうか……良かった」
管理人「あ、あのぅ……」
魔王「何だ?」
管理人「その。娘達はどこに?」
管理人「今日のお客様がもうすぐ……」
魔王「娼館はもう廃業だ」
管理人「は!?」
7061 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 02:26:27.00 ID:gVrDOBhBP
魔王「そろそろ良い時間だな……」
魔王「管理人、最後の仕事だ」
管理人「え、え?あ、あの……」
魔王「息子とやらを読んで来い」
管理人「あ、あの、あの……!」
魔王「早く行け!」
管理人「は、はい!」タタタ

……
………
…………

息子「どういうおつもりか!」バン!
息子「こんな……!こんな条件を飲めと!?」
魔王「ああ、そうだ。私と姫は確かに領主殿から街を頂いたからな」
魔王「それをただでお返しいたそうと言うのだ。なんの文句があると言うのか」
7071 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 02:34:16.77 ID:gVrDOBhBP
姫「そうよ。それに簡単な条件でしょ?」
姫「劣等種廃止。伴って娼館廃業」
魔王「貴族制度の廃止。ただし、前領主直系の者に限り、街の責任者として」
魔王「ある程度の権限を認める」
魔王「島への援助、これも向こう5年短い期間だ」
息子「何が短いだ!港を作る為の人員の給料は全て魔導の街に負担しろと言うのだろう!」
姫「……当然でしょ?」
魔王「飲めぬなら返さぬだけだ」
魔王「魔道将軍ももう居ない。恫喝だけで言う事を聞くと思うな」
息子「……!」
姫「貴方達がして来た事と同じって解ってるんでしょう?」
7081 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 02:38:30.48 ID:gVrDOBhBP
姫「……権力で押さえつけて来ただけ」
姫「私達には効かないわ」
息子「何故だ!?」
魔王「ん?」
息子「何故……他人の為にここまで!」
魔王「私設軍隊など持たれても困るのさ」
息子「!」
魔王「……まだ次があれば全力で全てを潰す」
息子「ひ……ッ」
魔王「どうするんだ?」
息子「わ、解った……条件を飲む」
魔王「ふむ。ではすぐに街中に宣言しろ」
姫「それを確認すれば、私達は去りましょう」
7091 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 02:43:24.61 ID:gVrDOBhBP
魔王「ああ……では、な」

……
………
…………

シュウゥン……スタ

船長「おう、お疲れさん」
魔王「ああ……盗賊は?」
船長「島に降りて行ったさ。はりきって間席の使い方と作り方、教えてたぜ」
魔王「そうか……全員降りたのか?」
船長「いや……二人だけ残ってる」
姫「後は全員、島に残るの?」
船長「みたいだな……最初は違う土地にって言ってた奴も居たが」
魔王「そうか……その二人は?」
船長「甲板だ……とりあえず盗賊呼んでくるわ」
姫「あ……待って、私も行くわ」
7101 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 02:47:18.06 ID:gVrDOBhBP
魔王「ああ……」
魔王(二人か……誰だろうな)スタスタ
娼婦「あ……少年様」
魔王「一人は……やはりお前か」
娼婦「……私は、神に仕えようと思いまして」
魔王「ほう?」
娼婦「片腕も失いましたし……」
魔王「……すまなかった」
娼婦「謝らないで……良いんです」
娼婦「少年様、覚えてますか?」
魔王「ん?」
娼婦「お願いが、ある……と」
魔王「ああ……勿論だ」
711 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/16(火) 02:47:38.94 ID:PULobWuV0
不覚にも間席でw
7121 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 02:50:37.92 ID:gVrDOBhBP
娼婦「私、何処かの街で神に仕え、何れ……この街に戻りたいんです」
魔王「うん」
娼婦「その時にでも……料理、教えて下さい」
魔王「ああ、お安い御用だ」
娼婦「……少年様」
魔王「……?」
娼婦「……」
魔王(何だ、目を閉じて……あ)
魔王(……そういう事か)オデコニチュ
娼婦「……」
魔王「頑張れよ」
娼婦「……はい。少年様も、お元気で」
7131 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 02:53:48.01 ID:gVrDOBhBP
魔王「もう一人……残ってるのがいると聞いたが?」
娼婦「ああ、あちらに……あの、私……もう少しここに居ても?」
魔王「そうか……ああ、勿論だ」スタスタ
魔王(……ん、あの髪の色は)
魔王「少女……?」
少女「はい」
魔王「お前だったのか……」
少女「本、お返しします」
魔王「本当に……良いのに」
少女「我儘を言って良いなら、他のが読みたいです」
7141 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 02:57:52.58 ID:gVrDOBhBP
魔王「ああ、そりゃ構わんが。船長の部屋にあるばずた……で、お前はどこへ行きたいんだ?」
少女「……最果ての地へ」
魔王「……何?」
少女「無茶を承知でお願いいたします」
魔王「な、何だ」
少女「私を魔族へと変じて、お側に仕えさせて下さい」
魔王「……は?いや、待て……いくらなんでも、そんな事は……」
少女「船長さんの持っていた本、お城から持っていらしたんでしょう?」
魔王「あ?あ、あ……なんだ、見たのか?」
7151 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 03:00:22.56 ID:gVrDOBhBP
少女「パラパラとだけ……魔道書の様な物に、人を魔へと変じる方法が書いてありました」
魔王「……」
少女「ですから……お願いします」
魔王「し、しかし……」
少女「私達はもう、自由なのでしょう?」
少女「なら、自分の道は自分で選びたい……お願いします」
少女「どうぞ、お側に……魔王様」
7161 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 03:01:07.54 ID:gVrDOBhBP
誤字も増えて参りました……
眠気もねむねむなのでまた明日ー
717 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/16(火) 03:02:51.15 ID:PULobWuV0
おつお
718名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 03:28:14.01 ID:2+Xn6ToTO
おつおつ
719名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 05:44:57.19 ID:7jj/IDU/0
ちょっとうろ覚えだが拒否権の魔法使いの地元にあった丘の上の教会、創始者ってもしかして…?
720名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 07:04:31.15 ID:CCoXiiVA0
>>719
え、誰!?拒否権はないんだなを見なきゃ

これで魔導の街編はおしまいですね。長かったなー
でもこれ次スレたてないと終わらなさそう

質問
今まで出てきたキャラはまた出てくるのでしょうか!?
あと魔導将軍と少女と婚婦と姫と船長のイラストが出来てません!!書いてください!!
722名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 07:25:10.50 ID:7jj/IDU/0
>>721
魔法使いの外伝で丘の上に教会があったという描写があったんで、
娼婦が僧侶として凱旋した後その教会建てたのかなーと思っただけなんだ
拒否権の時代でも劣等種扱い的な古い習慣が残ってたり魔法大会が残ってることを考えると、
外伝で出てきた港は今回作られることが決まった港かなー?とか
723名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 07:26:54.84 ID:GANMoZTF0
面白かった!
乙!
724名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 07:34:52.02 ID:7jj/IDU/0
それと、もしハーフエルフの僧侶ちゃんが姫の娘だとしたら、
娼婦の息子辺りが僧侶ちゃんを育てた神父になっててもおかしくないかなと
ただこれは時代設定が分からないし、ピンクの栞も読んでない人間の想像なので聞き流してください
725名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 07:44:03.31 ID:NJyYGzYHP
僧侶と魔法使いの会話で魔法使いが「いつか本当にうちに来なさいよね」ってセリフがあったと思う
それによると僧侶と魔法使いの故郷は違う事になるから僧侶を育てた神父はまた別の人かもなぁスコーン
>>723
終わってねーよ
727名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 08:13:15.27 ID:Ojv13Hno0
>>726
知ってるぞ?
7281 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 09:35:34.18 ID:gVrDOBhBP
おはよう!お迎えまでー

>>721
無計画なのでわかりませんwww
7291 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 09:45:42.03 ID:gVrDOBhBP
魔王「考えておく……と言う返事で良いか?今は」
少女「……充分です」
魔王「その魔導書とやらに目も通さねばいかんしな」
魔王「それに……可能だとしても、だ」
少女「はい」
魔王「ここでは流石にな……」
少女「魔王様はこれから?」
魔王「ふむ……そうだな」
魔王「魔導将軍を殺してしまった以上、今まで程のんびりとはしてられんな」
魔王「……一度、城に戻らねばならんだろう」
少女「一緒に行きます」
魔王「……ふむ」
少女「駄目ですか?」
魔王「否……まあ、問題が山積みなのでな」
魔王「今すぐに連れて行くと約束は出来ん」
少女「……」
魔王「まずはその方法とやらを確かめてからだ」
少女「……はい」
魔王「それに……姫の事もある」
魔王(……取りあえず、側近に事の次第を伝えねばな)
魔王「まだここにいるのか?」
少女「いえ……」
魔王「船長に言って本を借りて読んでいると良い……降りる気は無いのだろう?」
少女「はい」
魔王「取りあえず、島の方も見て来ねばな」
少女「魔王様」
魔王「ん?」
少女「……ありがとうございます」スタスタ
7301 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 09:51:12.27 ID:gVrDOBhBP
魔王(ふむ……拒否しても無駄だろうな)
魔王(しかし、人を魔に……だと?)
魔王(……そんな事が可能なんだろうかな)
魔王『側近?』
側近『おう……ご苦労さん。こっちは大騒ぎだけどな!』
魔王『……胃は大丈夫か』
側近『聞くな……しかしまた、派手にやったな』
魔王『ん?何故知ってる?』
側近『お前が言ったんだろうが、望めば全て見られるって』
魔王『見てたのか……なら説明する必要は無いな』
側近『だが、残念な事に……時間が無い』
魔王『不在がばれたか?』
側近『ならまだ良かったかもな』
魔王『?』
側近『お前の仕業とは、流石に誰も思いつかんさ……まだな』
側近『魔導将軍の短絡的な性格のおかげで』
側近『まだ誰も、あいつとお前が接触してたとは感づいてないが』
魔王『……ばれるのも時間の問題か』
側近『隻眼の紫の瞳の男……まあ、隻眼ってのはともかく』
側近『紫……闇色の瞳なんて、お前しかいないからな』
魔王『……そうなのか?』
側近『俺の知るかぎり……な』
7311 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 09:58:58.27 ID:gVrDOBhBP
魔王『ふむ……私は一度城に戻ろうと思うのだが』
側近『少女とやらを連れてか』
魔王『……可能ならば、な』
側近『人を魔へと、て奴か?』
魔王『……ああ』
側近『結論から言えば、可能だった』
魔王『……だった?過去形だな』
側近『お前は気付いていないかもしれないが……』
魔王『否……お前の件だろう』
側近『……何時からそんなお利口さんになったの』
魔王『お前な……』
側近『何時気付いた?』
魔王『治癒魔法、回復魔法ってのは……人の特権なんだそうだな』
側近『……ああ。弱くて強い、人間だけの特権だ』
魔王『経緯やお前の昔語りは今度聞くとして』
魔王『……お前を魔へと変じたのは、親父だな?』
側近『そうだ』
魔王『……ならば、私に出来ない理由も無いわけだ』
側近『と、思うがな……解らん』
側近『方法とかな……俺にはさっぱり知識が無い』
魔王『それっぽい魔導書は見つけた、んだがな』
側近『……まじで?』
魔王『ああ……後で読んでみるさ』
側近『……姫はどうする?』
7321 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 10:13:51.11 ID:gVrDOBhBP
魔王『放って行く訳にも……とは、思うが』
魔王『……姫次第だな』
側近『そうか……何かあったら、すぐに知らせる』
側近『何時でも戻れる準備をしておいてくれよ?』
魔王『ああ……解った』
魔王『それから、例の話だが……』
側近『おう……準備は出来てるぜ』
魔王『嬉しそうだな』
側近『……全て片が付いたら、の話になるがな』
魔王『それは……準備が出来てると言うのか』
側近『お、俺の気持ちの準備は、だよ!』
魔王『……まあ良い。では話すぞ?』
側近『おう……楽しみにしてる』

魔王(あいつ……あんなにああいう類の話に興味あったのか?)
魔王(まあ、良いか……さて)
姫「少年!」
魔王「ああ……戻ったか、姫」
船長「お前も来てくれ……これからの事を話さなんとな」
魔王「そうだな……私も船長に話がある」
船長「おう?」
盗賊「早くしてくれよ!みんな待ってんだから!」
魔王「なんだ……着替えたのか。似合ってたのに」
盗賊「ドレスなんかで作業出来ないだろ!」
7331 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 10:22:37.20 ID:gVrDOBhBP
船長「……あの二人は?」
魔王「娼婦と少女か……そうだな、呼んで来よう」
魔王「船を下りぬのならば、伝えておかねばならん事もある」
姫「じゃあ、食堂で待ってるわね」
魔王「ああ、姫?」
姫「何?」
魔王「お前……これから、どうするんだ?」
盗賊「少年!早くー!」
姫「……後で、話すわ」
魔王「うん……わかった」

……
………
…………

食堂

船長「とりあえず……だ。俺はこれから、世界を回る」
魔王「ほう?」
盗賊「まずは港を作らなきゃ始まらないからな」
船長「海賊達にも声をかけて回る。商船に転向してくれる奴らが居れば」
船長「貿易の幅も広がるだろう?……海に関しては、これほど力強い奴らはいねぇさ」
魔王「ふむ……ついでに、人員も確保できるな」
船長「魔導の街からの援助は?」
魔王「一応5年だな」
盗賊「それまでに、魔石の流通を形にしないとな」
姫「生産の方は問題なさそうだったわよ……流石に、皆基礎はしっかりしてる」
7341 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 10:29:56.58 ID:gVrDOBhBP
盗賊「俺は……島に残る。皆に教えなきゃ行けないし」
魔王「そうだな。それが良いだろう」
船長「とりあえず、海賊共を何人か残して行く」
船長「用心棒代わりになるだろうしな……娼館もついでに作ってやらにゃいかん」
盗賊「……本当に、作るのか?」
魔王「必要がなくなれば別の物にすれば良いだけだ、盗賊」
姫「……今は、それが彼女たちの安心の為に必要なだけよ」
盗賊「……」
船長「無理に働かせるわけじゃ無い。それしか出来んと言うのも」
船長「あいつらの立派な意思だと思ってやれ」
盗賊「……そ……う、だな」
魔王「娼婦は、どうする?」
娼婦「船で世界を回るなら……どこかの、教会へ行きたいと思います」
娼婦「そこまで……ご一緒させてください」
船長「ああ。良いぜ……街を転々としていれば良い場所も見つかるだろう」
娼婦「はい。そして、何れ……この島に教会を作りたいのです」
姫「素敵な話ね……少女は?」
少女「私は、魔王様と共に最果ての街へ」
姫「え!?」
盗賊「……魔族が住む場所なんだろう?」
少女「はい。魔王様のお力で、魔へと変じさせて頂くつもりです」
魔王「……」
船長「少年?」
魔王「……意思は変わらない、わな」
少女「はい。永い時を生き、知識を得たいのです」
姫「……知識?」
少女「この世界の全てを知りたい」
盗賊「だ、だからって……!」
7351 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 10:36:25.44 ID:gVrDOBhBP
少女「人として、私が居る場所はありません。勿論、島での生活は……」
少女「楽しいでしょう。けれど……私は、知りたい」
少女「それに、魔王様の傍に居たいのです」
魔王「……」
姫「……出来るの?そんな事……」
船長「少年が城から持ってきた魔導書にそんな事が書いてあった、と言ってたな」
盗賊「あ、ああ……だけど……」
魔王「前例は、確かにある……が」
姫「え!?」
魔王「私にも知識が無い……から、返事は保留だ」
魔王「まずはその本を読んでみんとな」
少女「はい」
姫「……本気なのね」
少女「勿論です……興味がありました。昔から」
少女「人とは、魔とは……エルフとは」
姫「……」
少女「魔王様に本を貸して頂き、読んで……さらに知りたいと思いました」
魔王「と、言う訳だ……私も、魔導将軍を殺した以上」
魔王「色々と面倒事が降りかかってくるのもそう遠い話では無いだろう」
姫「……城に、戻るの?」
魔王「一度はな……で、だ」
魔王「姫は……どうする?」
盗賊「姉ちゃん、島に来ないか?」
姫「え……」
7361 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 10:41:54.38 ID:gVrDOBhBP
盗賊「50年とか、掛かるとは言え、さ……お腹に子供も居るんだし」
少女「……魔王様の、子供……?」
魔王「いや……私の子では無い」
姫「……この子は人との子……いつ生まれるのか」
姫「どんな子になるのか……さっぱり解らないわ」
少女「ハーフエルフ……ですか」
姫「ハーフエルフ……?」
少女「……いえ。そんな言葉があるわけでは無いのですが」
姫「……そうね。確かに間違いじゃ無いわ」
盗賊「どうだい、姉ちゃん? ……のんびりしようよ。一緒に」
姫「……ごめんなさい、盗賊。私も……少年に、いえ……魔王について行くわ」
魔王「……姫」
姫「駄目とは言わせないわ……私達、夫婦なんですもの?」
魔王「……それは、便宜上……」
姫「私はもう嘘を吐いてしまったわ……それとも、私じゃイヤかしら」
魔王「……ふむ」
姫「魔王の妻となれば、おいそれと手出しは出来ないでしょう?」
姫「それに……貴方が、守ってくれる」
魔王「……利用するつもりか」
姫「お互いにね」
船長「お、おい……」
魔王「……良いだろう」
少女「魔王様……」
魔王「便宜上、だ……が」
魔王「私も精々、利用させて貰うとしよう」
姫「決まりね」ニコ
船長「……良いのか?」
7371 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 10:48:53.19 ID:gVrDOBhBP
魔王「仕方ない……放り出して行く訳にもいかん」
魔王「子供についても……まあ、50年か」
魔王「考える時間はある」
姫「……ありがとう」
魔王「相変わらず我が儘で強引だ……まあ、嫌いでは無い」
少女「……」
魔王「しかしな……はいそうですかと連れて戻る訳にはな……」
船長「魔導将軍の様なのが山ほどいるんだろう?」
魔王「まあ……直接城へと行けば良い話なんだが……ん?」
魔王「……」
姫「どうしたの?」
魔王「船長」
船長「な、何だよ」
魔王「話したい事があると言っただろう……金は払う」
魔王「一つ、依頼を受けてくれんか」
船長「お?おお……そりゃ、構わネェが……」
魔王「これと……あれと……」
船長「お?  ……おお、そりゃまあ……」

盗賊「ねえちゃん……」
姫「なんて顔してるのよ……」
盗賊「……遊びに、来てくれよ!?」
姫「勿論よ……やだ、ちょっと……泣かないでよ!?」グスッ
盗賊「また会える、よな?絶対だぜ!?」ポロポロ
姫「あ……当たり前でしょ!」

娼婦「……信じられませんね」
少女「何がです?」
娼婦「種を超えて……こうして」
少女「……」
娼婦「何時か、これが当たり前に……当たり前の世界に、なるのでしょうか」
少女「……どう、でしょうね」
7381 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 10:49:40.63 ID:gVrDOBhBP
おーむかえー!
739名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 10:59:29.65 ID:+U9wLfq40
いってらー
740名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 11:45:27.99 ID:9Qd+98W40
らー。
連休暇だから楽しみにしてます。
7411 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/16(火) 15:16:06.06 ID:gVrDOBhBP
ばたばたしてたらバイトの時間!
また夜これたらー!
742名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 15:37:31.42 ID:9Qd+98W40
待ってます。
743名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 18:48:38.02 ID:EcrBXw8e0
追いついた!待ってる!
744名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 19:36:36.96 ID:ZZMwD6F9O
追い付いたー♪ヽ(´▽`)/
スコーン待ってます!
745名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 20:50:10.34 ID:Ojv13Hno0
うぃ
746 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/16(火) 23:21:11.25 ID:72+LUZY30
ほし
747名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 23:22:11.17 ID:Bgl/23TYO
ひゅう
748名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 23:27:13.26 ID:Ojv13Hno0
まん
749名も無き被検体774号+:2013/04/16(火) 23:52:11.64 ID:wp37YWTI0
750名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 00:04:37.38 ID:VYZNtiyDP
ろすけ
751名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 02:17:58.78 ID:FXxQWn/P0
752名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 06:07:12.08 ID:FXxQWn/P0
しゅ
753名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 07:55:57.19 ID:JaO8t1mC0
スコーン
754名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 08:05:14.24 ID:YSyvF8OI0
755名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 08:23:21.64 ID:5EvPutxs0
7561 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/17(水) 09:43:45.52 ID:nqV6nB00P
おはよう!
慣れないチャリ通勤で筋肉痛が痛いorz
7571 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/17(水) 09:51:45.90 ID:nqV6nB00P
娼婦「……種族の差になんか捕らわれず、皆仲良く出来れば」
娼婦「どれほど、平和になるでしょうか……」
少女「そう簡単には行かないでしょう……私達人間の間だけでも」
少女「血筋だ、能力だと……もう忘れたのですか。私達が劣等種と呼ばれて居たこと」
娼婦「……」
少女「貴女の考えを否定する訳では無いです。でも……」
娼婦「解っています……とても、難しいのだと言う事は」
娼婦「でも……少女さん。貴女が、世界を知りたいと思うのと同じで」
娼婦「私も、やってみたい。平和を……説いてみたい」
少女「……そうですか」
娼婦「願えば叶う、のでしょう?」
少女「易くは無いでしょうが……」
娼婦「……貴女は、近づくのですね。その……易い位置に」
少女「魔へと変じる事? ……そうですね」
娼婦「私にはそんな勇気は……」
少女「そうですか?私は……安易な道を選んだだけに過ぎないかもしれませんよ」
娼婦「え?」
少女「地道に努力しようとする貴女の方が、立派です」
少女「私は……人と言う器を捨てるだけです……簡単な話」
娼婦「……それを選び取る決断も、立派な勇気だと思います」
少女「……」
7581 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/17(水) 10:01:58.05 ID:nqV6nB00P
魔王「良し、城に戻るぞ!」
少女「え?」
姫「え?」
盗賊「え?」
娼婦「……もう、ですか?」
魔王「ああ……忙しくなるぞ、姫」ニヤ
姫「……また、何企んでるのよ」
魔王「楽しい事だ」
姫「……側近さんの胃が心配ね」
少女「あの、魔王様……」
魔王「心配するな。お前も一緒だ、少女」
娼婦「もう、行ってしまわれるのですか」
魔王「……今生の別れでもあるまい。そんな顔をするな」
盗賊「少年……」
魔王「お前もだ、盗賊……泣いている暇なんか無いだろう?」
盗賊「……」
魔王「心配するな。立派な街を作ってくれんと、こっそり姫と」
魔王「……遊びにこれんだろう?」ポンポン
盗賊「頭撫でるなよ……!子供じゃねぇんだから!」
船長「全く次から次と面白ぇ事ばかり企みやがるな、この魔王様は」ニヤニヤ
魔王「どうせなら楽しまないと損だろう……頼むぞ、船長」
船長「おう、まかせとけ!」
盗賊「何なんだよ、一体……」
7591 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/17(水) 10:07:50.76 ID:nqV6nB00P
魔王「では船長……娼婦の事を頼む」
船長「ああ。きっちり送り届けるさ……暫くは船の旅だ」
船長「慣れる迄辛いかもしれんが……頑張れよ」
娼婦「はい……大丈夫です」
盗賊「……見送ったら、俺は島に戻るよ」
魔王「もう島では無い……名前を決めたぞ?」
姫「……少年が?」
魔王「なんだ、不服か?」
姫「いえ……まともなら文句は無いわよ」
盗賊「街の名前……か。何にしたんだ?」
魔王「『港街』だ!」
少女「……安直」
魔王「あ、あれ……良い名前だろう?」
姫「まあ、へんてこな名前で無くて良かったわね」
盗賊「……俺は、気に入ったぜ」
船長「良し……この辺にしとくぞ。何時までたっても進めん」
魔王「ああ……では、姫、少女。掴まれ」
盗賊「ああああああ、ちょっと待った!」バタバタ……
姫「え、な、何?」
船長「どこ行ったんだあいつ……」

バタバタバタ……

盗賊「姉ちゃん、これ!」
姫「……! これ……」
盗賊「約束の、エルフの弓だ」
魔王「……すっかり忘れてたな」
7601 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/17(水) 10:27:18.51 ID:nqV6nB00P
姫「……でも、良いの?」
盗賊「今更だな……良いんだ」
盗賊「知人だって、その方が喜ぶさ……どうせ、俺には扱えないし」
姫「……ありがとう」ギュ
魔王「城に着いたら扱い方を教えてやる」
姫「ええ」
少女「……美しい弓ですね。でも細い……大丈夫なのですか」
魔王「力の弱いエルフでも易く扱える様な素材なのだろう」
姫「……ええ。とても軽い。これなら私の腕でも引けそうよ」
盗賊「本当に……ちゃんと、遊びに来いよ!?」
魔王「無論だ……旨い飯屋、期待してるぞ」
船長「じゃあ……またな、魔王」
魔王「ああ……ではな、船長。例の件、頼んだぞ」

シュゥウン……!

娼婦「……す、ごい……!転移魔法……!?」
盗賊「軽く酔うぜ、ありゃ……」
船長「ま……体験するとたまげるな、確かに」
盗賊「さて……んじゃ、俺は島……じゃネェや。港街に戻るぜ」
船長「ああ、俺達も出港する。商船と人員の手配は任せておけ」
盗賊「……娼婦は?」
娼婦「私は……」チラ
船長「ん?ああ……とりあえず、近場の街から回っていく」
船長「最終目的地は、北の最果ての街だ」ニヤ
盗賊「……え!?」
7611 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/17(水) 10:40:54.59 ID:nqV6nB00P
船長「姫と祝言をあげるんだとよ……で」
船長「ドレスと花を頼まれた訳だ……城まで届けろ、とな」
娼婦「……大丈夫、なのですか」
船長「過激派共を一掃した後に届ければ良いそうだ……随分時間はあるさ」
船長「その間に良い場所を見つければ、そこで下ろしてやるよ、娼婦」
船長「受け入れてくれる教会も見つかるだろう」
盗賊「……それ、お前生きてるか船長」
船長「阿呆!俺はそんな歳じゃネェや!」
盗賊「……そっか。じゃあ……本当に夫婦になるのか」
船長「どうだかな……」
娼婦「お腹に、子供が……と言っていらっしゃいましたが?」
船長「ありゃ、少年の……魔王の子じゃネェ。だが……」
盗賊「……あいつなら、ちゃんと姉ちゃんと子供を守ってくれるよ」
娼婦「そう……ですね」
船長「良し……出港だ!野郎共、帆を上げろ!」

アイアイサー!

盗賊「ああああ、ちょっと待て、俺を下ろしてからだろ!?」
盗賊「じゃあな、船長!待ってるぜ!」バタバタバタ
娼婦「まずは……何処へ?」
船長「そうだな、人手の確保と……ああ、否」
船長「まずは他の海賊共に声をかけねぇとな……良し」
7621 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/17(水) 10:46:14.64 ID:nqV6nB00P
船長「ここから少し行った所に、鍛冶師共が集まる集落がある」
船長「田舎だが……故に職にあぶれてる奴も多いはずだ」
船長「小さな港もあるし、そこに向かうか」
娼婦「海賊さんとは……何処で?」
船長「あそこの地酒は旨いんだ……ついでに輸出の話持ちかけりゃ」
船長「良い稼ぎになるかもしれん……それに」
船長「その酒目当てに集まる奴らも多いのさ」
娼婦「へえ……」
船長「娼婦よ、お前さん、酒は行ける口か?」
娼婦「どうでしょう……飲んだことが無いので」
船長「そりゃ人生損してるぜ……一度飲んでみると良い」
船長「金が出来れば船も作れる……はは!楽しくなってきたな!」
娼婦「ふふ……」
船長「野郎共!目的地は鍛冶師の村だ!」

アイアイサー!
7631 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/17(水) 10:46:55.18 ID:nqV6nB00P
お迎え!
764名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 10:53:40.94 ID:lIHYz7Vx0
楽しみにしてます!!
765名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 11:35:20.03 ID:kc8YPcJG0
毎回楽しみにしてる
766名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 11:56:01.05 ID:gNtslndA0
マッチョります…
767 [―{}@{}@{}-] 名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 12:29:20.64 ID:VYZNtiyDP
       /フフ        ム`ヽ
      / ノ)  ヘ⌒ヽフ   ) ヽ
     ゙/ |  ( ´・ω・)ノ⌒(ゝ._,ノ
     / ノ⌒7⌒ヽーく  \ /
     丶_ ノ 。   ノ、  。|/
       `ヽ `ー-'´_人`ー'ノ
         丶  ̄ _人'彡ノ
         ノ  r'十ヽ/
       /`ヽ_/ 十∨、
768名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 14:54:08.37 ID:5EvPutxs0
            ∧  ∧
(*‘ω‘*) ぼいんっ
       /フフ (     ) ム`ヽ
      / ノ)    v v   ) ヽ
     ゙/ |    川  ノ⌒(ゝ._,ノ
     / ノ⌒7⌒ヽーく  \ /
     丶_ ノ 。   ノ、  。|/
       `ヽ `ー-'´_人`ー'ノ
         丶  ̄ _人'彡ノ
         ノ  r'十ヽ/
       /`ヽ_/ 十∨、   
769名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 14:54:39.13 ID:5EvPutxs0
ズレタorz
770 忍法帖【Lv=30,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/17(水) 15:08:18.14 ID:gNtslndA0
キニスンナ
771名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 19:33:44.60 ID:g37plGO+0
772名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 20:38:53.51 ID:YSyvF8OI0
773 忍法帖【Lv=31,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/17(水) 20:56:40.88 ID:gNtslndA0
すこーんBBA?????
7741 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/17(水) 21:01:56.93 ID:nqV6nB00P
幼女寝かしてるなうー
も少し待ってください(ーー;)
775名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 21:41:37.69 ID:YSyvF8OI0
待ってるよー
776名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 23:26:42.04 ID:JaO8t1mC0
待ってるスコーン
777名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 23:30:27.29 ID:EKleIf2p0
幼女寝かしてると思ったら幼女に寝かされてたんだ…状態なのか…
778名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 23:37:50.79 ID:V9ihJAari
ママンは大変だからな
ウチの見ててもよくやると思うよ
でも楽しみにしてるからな!
779名も無き被検体774号+:2013/04/17(水) 23:38:25.71 ID:y0MDCaGrO
でも実際よく働く人だと思うわ
幼女の送迎に家事に仕事
仕事の間幼女はどうしてるんだろう
7801 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/17(水) 23:58:01.13 ID:nqV6nB00P
あぶねー、寝るとこだった
仕事の間幼女はじじばばと遊んでるよー
7811 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 00:04:51.48 ID:c/wO+3y2P
……
………
…………

シュウン……

側近「ん? ……うわあああああああ!」
魔王「悲鳴で出迎えとは……驚きだな」
姫「ここが……魔王城? ……随分、埃っぽいわね」
少女「凄い……本の山が天井まで……」
側近「……いきなり二人の女を抱えて現れる方が驚くわ、普通」
魔王「何でお前、書庫にいるんだ?」
側近「調べものしてたからだよ……てか、お前!」
側近「帰ってくるなら知らせろよ!」
魔王「ああ、すまん。忘れてた……そんな事より」
側近「そんな事て」
魔王「……人を魔にするにはどうすれば良い?」
782名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 00:05:40.01 ID:iL0nBfeVi
寝ちゃいなよ
と言ってあげたい気持ちが半分
783名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 00:15:27.26 ID:kiCOHywj0
>>782同意
身体壊しそうでそっちでもドキドキだ
途中で読めなくなる方が辛いからあんまり無理しないでなー
スコーンと幼女の為ならいくらでも保守する
7841 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 00:16:53.97 ID:c/wO+3y2P
側近「いきなり本題だな」
魔王「可能ならば早く済ます方が良いだろう……まだ問題は山程残ってるんだ」
側近「そりゃそうだが……ん」
魔王「どうした?」
側近「……随分顔色が悪い」
姫「……」
魔王「姫……?どうした」
姫「……息が、苦し……」
側近「……例のエルフか?」
魔王「ああ……そうか、魔の気か!」
少女「……横にさせた方が良さそうです」
少女「それに、これだけカビっぽいのは……」
魔王「そ、そうか……側近」
側近「お前の部屋連れてけ。ジジィ呼んでくるから!」バタバタ
姫「……ぅ」
少女「魔王様、早く!」
魔王「あ、ああ……」
7851 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 00:17:45.31 ID:c/wO+3y2P
ありがとなー
もうちょいだけー
無理せず寝るよー
7861 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 00:30:14.38 ID:c/wO+3y2P
……
………
…………

魔王「……随分、体が熱い」
少女「熱があるんです……多分、魔の気に負けまいとしてるんでしょうが」
魔王「お前は平気なのか?」
少女「私はエルフじゃありません……ただの人間です」
魔王「……感じる力、か」
少女「人よりも敏感なのでしょうね」

コンコン

側近「ジジィ連れて来たぞ」
ジジィ「全く、魔王様はまたどんな訳のわからない物を拾って来たかと思えば」
ジジィ「エルフとはのう……どれ」
少女「……この方、は?」
魔王「穏健派の最年長者だ……耄碌ジジィは名前も忘れたらしくてな」
ジジィ「偉そうに言うわい……魔王様が赤ん坊の頃からしっとるんですぞ?」
側近「名前忘れたのは事実だろうが……それより、お姫さんはどうだ?」
7871 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 00:39:13.41 ID:c/wO+3y2P
うん、思考力がついてこない(ーー;)
無理せず寝ますわ…また明日…

おやすみなさい
788名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 00:46:42.38 ID:rNQ0SDhs0


ってなんて読むんだよ(;・∀・)
おやすみーまってる
789名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 00:48:04.70 ID:y5iKFqoIP
ワシも耄碌したかのう…
790名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 01:46:45.37 ID:NG7lzn3+P
もうろくだよ!
791名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 06:23:17.39 ID:FhmGn7yN0
耄碌とか今のゆとり社会じゃもう、ロクな漢字じゃねぇな
7921 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 09:04:25.04 ID:c/wO+3y2P
おはよう!
お迎えまでー!
793名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 09:04:27.40 ID:ZFvPFHsV0
続き気になるー
794 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/18(木) 09:12:55.74 ID:fxfBCv5y0
よっしゃー!
7951 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 09:25:14.24 ID:c/wO+3y2P
ジジィ「うぅむ……熱いな」
魔王「姫は……エルフの長の娘なんだそうだ」
側近「……腹に子もいるんだろう」
ジジィ「大した女を選んだのう……魔王様も変わり者じゃて」
魔王「私の子では無いわ!」
ジジィ「なんじゃ、違うのか……ますます変わっておるのう」
魔王「その辺は後でゆっくり説明してやるから」
魔王「先に……とにかくどうにかしてやってくれ」
少女「魔王様」
魔王「ん?」
少女「書庫に戻っても良いでしょうか?」
魔王「あ、ああ……そりゃ構わんが」
少女「何か……知恵が無いか、探してきます」
側近「俺も行こう……一人にさせるのはちと不安だし」
ジジィ「否、側近はここにいなされ……お前さん、治癒魔法使えるじゃろ」
魔王「ん……しかし」
ジジィ「その少女には魔王様がついて行ってやれば良い……というか」
ジジィ「寧ろ、出て行っておくれ?」
魔王「……随分な言われ様なんだが」
ジジィ「この娘、魔の気にやられておるなら」
ジジィ「魔王様が傍に居ない方がマシになるかもしれん」
少女「一人より二人の方が、はかどります。魔王様……」
魔王「……解った」スタスタ

パタン
7961 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 09:34:31.81 ID:c/wO+3y2P
ジジィ「あの少女は治癒魔法は使えんのか」
側近「何だよ、俺じゃ役不足って言いたいのか」パァア……
ジジィ「そうじゃないわい……だが、お前さんも元人間とは言え」
ジジィ「今じゃ立派な魔族じゃろうて」
側近「まあ、そうだけど……んん、ちょっと呼吸、マシになったか?」
ジジィ「気休めじゃな……何かを病んでいるとかでは無いからのう」
側近「……なんか方法ないのか?」
ジジィ「簡単に言うでないわ……前代未聞じゃて、こんなもの」
側近「エルフの長ってのは……普通のエルフよりも」
側近「感じる力、とやらが優れているそうだ」
ジジィ「一番の特効薬はここを離れる事であろうが」
側近「……まあ、な」
ジジィ「それでは魔王様がこのエルフを連れ帰った意味が無いのじゃろう」
ジジィ「さて……何か良い策が見つかれば良いがの」
側近「大丈夫なのか?これ……」
ジジィ「今すぐどうこうは無いじゃろう、が……」
ジジィ「このエルフの娘の身体を蝕んでいく事に間違いは無いのう」
ジジィ「子を宿しているのならば、さらに……心配じゃな」
側近「ふむ……」
ジジィ「さて、儂らに出来る事と言えば、ここで娘を眺めている位じゃ」
ジジィ「その間に……説明して貰おうかの」
側近「……魔王様に後で聞けば良いだろ」
ジジィ「耄碌ジジィじゃで……忘れぬ内に聞いておかねばの?」
側近「……好奇心で目輝かして言うんじゃねぇよ」
7971 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 09:43:52.88 ID:c/wO+3y2P
……
………
…………

魔王「何かあったか?」
少女「いえ……それより、ちょっと整理してください、魔王様」
少女「本の種類がばらばらです」
魔王「……覚えてたら」
少女「側近様は……治癒魔法が使えるのですか」
魔王「あいつは……元人間らしいからな」
少女「……前例、ですね」
魔王「ああ……お前の件を後回しにしてすまんな」
少女「いえ……あ!」
魔王「何かあったか?」
少女「……あの」
魔王「何だ?」
少女「……魔石は、如何でしょうか」
魔王「魔石?」
少女「はい。癒やしの力の魔石を、姫様のお側に置けば」
少女「……マシに、なりませんか」
魔王「成る程……しかし……」
少女「私は……治癒魔法は使えませんが……」
魔王「お前は緑……大地の加護を受けていたな」
少女「?はい……」
魔王「それで、少しはマシにならんだろうか」
魔王「……幸い、お前はまだ人間だ」
少女「やってみましょう……ですが」
魔王「何だ?」
少女「方法が……解りません」
7981 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 09:53:39.47 ID:c/wO+3y2P
魔王「……私が教える」
少女「はい……!」
魔王「すまん……少女」
少女「いいえ。魔王様は……私の主様ですから」
魔王「……ありがとう。ではまず、イメージするんだ。力を石に変じる様に……」
少女「はい……ッ風、よ……ッ!」ザァアア……
魔王「うん。コントロールは難しいかもしれんが……お?」
少女「……石に。石……ッ」コロン
魔王「流石だな……一発で成功するとは」
少女「……これが、魔石。風よ……!」コロン、コロン
魔王「……凄いな」
少女「お役に立つ為ならば……願えば、叶うのでしょう?」
少女「魔王様が、教えてくれた事です」コロン
魔王「……うん。そうだったな」
魔王「それぐらいで良い……無理はするな」
少女「……は、い……」ハァ
魔王「一度戻るか……これで、楽になってくれると良いが」

……
………
…………

側近「……て、訳だ」
ジジィ「成る程のぅ……魔導将軍も哀れじゃな」
側近「ただの阿呆だ。魔王様に反旗翻そうなんざ……自業自得だ」
7991 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 10:00:13.65 ID:c/wO+3y2P
コンコン

側近「ん?戻ったか……」
ジジィ「待て……魔王様ならば態々ノック等せんじゃろう……誰じゃ」

使い魔「……側近様、狼将軍がお目通りを願っておられますが」

側近「チ、聞きつけたか……」
ジジィ「ほう、で狼将軍は何処に?」

使い魔「控えの間にお待ち頂いております、が……」

ジジィ「気の短いあの女が大人しく待っておるとも思えんの……儂が行こう」
側近「すまん、ジジィ」
ジジィ「何、耄碌じじいが役に立つのはこのぐらいじゃて」

カチャ……パタン

側近「やばいな……早く戻れよ、魔王」

バタバタバタ……!

側近「ん?」

バターン!

魔王「側近、姫は!?」
少女「ま、魔王様、そんなに走られては……!」ハァハァ
側近「……お行儀悪いなお前は本当に」
魔王「こんな時にそんなこと……ん、ジジィは?」
8001 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 10:09:26.59 ID:c/wO+3y2P
少女「お話は後です! ……姫様、これを」コロン、コロン
少女「胸元に……」
姫「……ん、ぅう…… ……」スゥ
魔王「呼吸が楽になった……な」フゥ
側近「これが……魔石か」
魔王「ああ……少女はまだ人間だからな」
側近「緑……大地の加護か。成る程、考えたな……しかし」
魔王「気休めなのは解ってるが……」
少女「お側に居て、必要になれば作ります……ですが」
少女「癒やしの魔石の方が、効果はあると思いますが」
魔王「ふむ……港街に行って買い付けてくるか。私ならば一瞬だ」
側近「残念だが……お前に城を離れて貰っては、困る」
魔王「何?」
側近「……狼将軍が控えの間に来たそうだ。今、ジジィが対応してるが」
魔王「もう嗅ぎ付けたか……早いな」
側近「魔導将軍の事か、お前が姫を連れ込んだことか……まだ解らんがな」
魔王「ふむ……そうか」
側近「こらこらこらこら!ストップストップ!どこ行くの!?」
魔王「ん、来てるのだろう?」
側近「ジジィに任せとけ! ……お前が出て行ったらややこしい!」
8011 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 10:19:15.42 ID:c/wO+3y2P
魔王「しかし……」
側近「そりゃな、転移なんて出来るのお前ぐらいだが」
側近「こんな事が続けば、流石に不在はまずいって」
少女「……側近様に行って貰えばよろしいのでは?」
側近「え?俺? ……あっさり言うけど、俺は転移なんて出来ネェぞ?」
少女「いえ、魔王様のお力で……側近様を転移させる事はできないのですか?」
魔王「……ふむ。成る程な。考えたことは無かったが」
側近「……俺、飛ばされるの?」
魔王「そうか。お前私の目も持っているな」
少女「目……?」
魔王「良し……じゃあ、行け側近」
側近「いきなり!?」
魔王「港街は目を通して見ただろう? ……では」
側近「待て待て待て!」
魔王「何だ、怖いのか?」
側近「違うわあああああああ!帰り!帰りどうすんだよ!」
魔王「あ」
少女「あ……」
側近「ちょっと……少女ちゃんまで……」
魔王「普通に帰ってこさせるとなると時間が掛かるな……」
少女「魔王様のお力も、魔石化できるのですよね?」
魔王「あ?ああ……まあ」
少女「では、転移の魔法を魔石にしては如何でしょう」
側近「……そんな簡単にできるもんなの?」
8021 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 10:28:48.42 ID:c/wO+3y2P
少女「いくつか作って渡しておけば、色々な所に行って貰えますよ」
側近「さりげなくパシリにしようとしてないか、それ」
魔王「そうだな……良し」パァ……コロンコロンコロン
姫「ぅう……ッ」パリン、パリンッ
少女「あ……!姫様!」
少女「……風よ!」コロン、コロン
側近「……なんか、少女ちゃんまで規格外に見えてきた」
魔王「優秀だと言ってやれ……少女は人間だ」
少女「まだ人間、です……良し、これで……姫様、大丈夫ですか?」
側近「そこ、拘るね……転移石、ねぇ……」
魔王「それだけあれば行けるな……しかし……」チラ
少女「大丈夫です、まだ余力あります……」
少女「割れたらまた、作りますから」
側近「……どちらにしろ、お前一緒に居ない方が良いよ」
魔王「ああ……だが」
少女「別室でされるのは目立ちます……私は大丈夫ですから」
少女「ここで、側近様を転移させてください」
少女「……姫様、少しだけ……我慢してくださいね」
魔王「ジジィが戻ればすぐに、姫の部屋を用意させよう」
側近「はいはい……行ってきますよ」
魔王「港街には盗賊が居るはずだ……癒やしの石を買ってきてくれ」
魔王「数は多ければ多いほど良い……頼むぞ」
側近「ああ。何かあったらすぐ連絡しろよ」
魔王「解ってる……頼むぞ、側近」ス……パァッ

シュゥンッ
8031 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 10:37:48.02 ID:c/wO+3y2P
少女「風よ……!」コロン、コロン……
姫「……う、ぅ……」パリン…
魔王「大丈夫、か……?」
少女「……取りあえず、は」
魔王「私が着いている、とも言えんな……しかし、お前も顔が青い」
少女「流石に……そろそろ魔力が……」
魔王「落ち着いたらお前の部屋と食事も準備させる」
魔王「……すまん。本当に」
少女「自分で望んでしている事です。魔王様が謝る必要はありません」

カチャ

ジジィ「やれやれ、全くあの女は……おや、側近はどこに行った」
魔王「すまん、ジジィ……先に姫と少女の部屋を用意させたい」
ジジィ「ふむ……そうじゃな、魔王様の傍じゃ姫様の身体に触るの」
ジジィ「……少女の顔色も悪い様じゃ。それに、その石は……?」
魔王「好奇心旺盛なジジィだな全く。話は後!」
ジジィ「ほうほう、すまんのぅ……すぐに使い魔を呼ぼう」

……
………
…………

シュゥウン……ッ

盗賊「ん?」
側近「おわあああああああああああああ!」ドタ!
盗賊「うわあああああああああああああ!?」
8041 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 10:44:49.39 ID:c/wO+3y2P
側近「……」グタ
盗賊「な、な……ッ な、何だお前……ッ!?」
側近「う、ぅえ……何これ、気持ち悪ぅ……!」オエェ
盗賊「お、おい……ッお前、何者だ!」シャキン
側近「誰か知らんが、やめてくれ……切られたら痛いしよけれる気、しない、今……」
盗賊「……こ、答えろよ!」
側近「魔王様……阿呆ぅ……ッ くそ、乱暴な奴……!」
盗賊「ま……魔王?」
側近「うぅ……ああ、すまん。ここ港街だよな?」フラフラ
盗賊「……何で知ってるんだ」ス……
側近「盗賊ちゃんって子は……?あれ、お前……見た事ある顔だな」
盗賊「俺はお前なんか知らネェぞ!」
側近「あ。ピンクのドレス着てたろ……前。えっと……魔王に言われて」
側近「いや、飛ばされて? ……来たんだけど」
盗賊「な、なんでしってんだよ!?」
側近「見てたからな……ああ、だから!盗賊ちゃんってどこに居る?」
側近「……姫様の事で用事が……」
盗賊「!姫がどうかしたのか!?」
側近「や、だから、盗賊ちゃ……」
盗賊「盗賊は俺だよ! ……おい、姫どうしたんだよ!」ガシ
側近「く、苦しいから離して……話せねぇって!」
8051 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 10:46:20.67 ID:c/wO+3y2P
おーむーかえ!
806名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 10:59:15.80 ID:Sod1HJYk0
乙!いってらー
807名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 12:27:39.42 ID:TntttsUeO
びーびーえー\(^○^)/
808名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 13:17:02.28 ID:ZFvPFHsV0
続きーー!
809名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 13:23:41.17 ID:cQU53vXG0
お待ち申し上げろ
8101 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 13:42:19.17 ID:c/wO+3y2P
裾直し終わる迄まってくださいorz
811名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 13:57:01.65 ID:l8jumASD0
側近はピンクの盗賊しか知らないのかw
これで「盗賊ちゃんはもっと可愛いはずだ」と言われたら不憫だなww
812名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 13:58:34.68 ID:l8jumASD0
あ、勘違いしてたわスマン
813 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/18(木) 14:57:35.88 ID:fxfBCv5y0
キター!
8141 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 15:04:43.19 ID:c/wO+3y2P
ついでにドーナツまで作らされましたorz
予防注射行くまでもう少しー
815名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 15:12:50.14 ID:lz/qfJobO
ほんといいかーちゃんだなーウラマヤ
8161 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 15:15:21.32 ID:c/wO+3y2P
盗賊「……あ、悪い」パッ
側近「げほ……ッ ま、まあすぐに会えて良かったぜ……」
側近「実はだな……」

……
………
…………

船長「よーし、そのまま……着岸しろ!」

アイアイサー!

娼婦「随分……その、長閑な村ですね」
船長「良く言えばそうだな。悪く言えば糞田舎、だ」
船長「ま、魔導の街と比べりゃどこだって田舎だわな」
娼婦「……申し訳ありません」
船長「阿呆。お前さんが謝ってどうするよ……良し、降りるぞ」
船長「俺は酒場に行くけど……どうする?」
娼婦「あ……あの」
船長「不安だったら着いてこい」
娼婦「……お供します」
船長「おう……って、あのさ」
娼婦「はい?」
8171 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 15:27:10.32 ID:c/wO+3y2P
船長「別にかしこまって喋る必要ねぇんだぜ?」
娼婦「あ……はい、でも……その」
娼婦「もう、癖になってしまってるんです……気にならなければ……」
船長「まあ、別にお前さんが気、使ってないなら良いけどよ」
娼婦「はい……大丈夫です」
船長「ん……じゃ、行くか」スタスタ
娼婦「あ……!」
船長「ん?おう、足下気をつけろよ」
娼婦「は、はい……あの、あれ……!」
船長「ん……ああ、十字架か」
船長「そういえば、この街にも小さいが教会があったな」
娼婦「あ、あの……」
船長「別に俺は気にせず行ってこいよ」
娼婦「は、はい!ありがとうございます!」タタタ……
船長「まあ、酒場に連れて行くよりまし……かね」

娼婦「……綺麗」ハァ
娼婦(ベールを被った、美しい……女性)
娼婦(これは、祈りを捧げている姿?)
娼婦(夜になれば……このガラスを通して)
娼婦(月の光が差し込む……のね)キィ
娼婦「……失礼、します」
8181 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 15:44:14.86 ID:c/wO+3y2P
娼婦(……中も、綺麗。それに静か)
神父「おや、こんな田舎の教会に……珍しい」
神父「何か、ご用でしょうか?」
娼婦「あ……神父様、ですか」
神父「はい……貴女は?」
娼婦「娼婦、と申します。あの……」
娼婦「……用事、と言う訳では、無いのですが」
神父「ああ、それほどかしこまられなくても」
神父「何も無くても、構わないのですよ……全てに、開かれた場所ですから」
娼婦「ありがとうございます……綺麗ですね。それに……とても、落ち着く」
娼婦「癒されると言うか……」
神父「そうですか……それは良かった。おや、貴女……腕が……?」
娼婦「あ……」
神父「すみません……触れるべきではありませんでしたか」
娼婦「いいえ……受け入れて生きる覚悟はありますから」
神父「お強い方ですね」
娼婦「……自由は不自由では無いと、教えて下さった方が居ましたので」
神父「そうですか……ふむ。こちらを向いて?」
娼婦「はい……?」
神父「……綺麗な、深い青の瞳をしていらっしゃる」
娼婦「そう、ですか……?」ドキ
娼婦(……いやだ、私……何で)ドキドキ
神父「曇りの無い澄んだ瞳……人を疑うことを知らない……」
娼婦「……」ドキドキ
神父「……故に、愚か」ニヤ
娼婦「え……?」
神父「……目を見ろ娼婦。名を預かる」ジィ……
娼婦「あ、ぁ………」クラクラ……フラリ
神父「おっと……」ガシ
8191 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 16:04:05.88 ID:c/wO+3y2P
神父「……さて、魔王様。今頃魔導将軍を倒したって」
神父「安心していらっしゃる頃でしょうかね……」クック
神父「この娘は頂くよ……自分の甘さを身をもって知れば良い」バサッ
神父「ああ、肩凝るな……良くこんなモン着てるよ」
神父「さて……目を覚ませ、娼婦」
娼婦「う……うぅん……」
神父「お前は何をしにここへ来た?」
娼婦「神に、仕える為……に」
神父「お前の神は私だ」チュ
娼婦「……私の神は、貴方……ぁ」
神父「そうだ。お前は神に仕えて何をする?」チュ、チュ……
娼婦「ん、 ……私、は……人々に、癒し、を……ぁ …ンッ」
神父「そうか……具体的には?」ペロ
娼婦「ぅ、 ……ッ ン、癒しの、魔法で…… 魔石、を……」ハァ
神父「魔石……?詳しく話せ」
娼婦「力を、具現化……あ、ァ……ッ」
神父「……フゥン、それ、魔王様の入れ知恵?中々考えるね」
神父「魔法を具現化……ね。頭は回るのか」
神父「まあ、そうじゃ無いと……魔導将軍を出し抜けないな」
娼婦「ァ、あ……ッ」
神父「君の神は、だれ?」
娼婦「あ、ぁ……貴方、です……ンッ」
神父「そう……僕。インキュバスが、君の神だ」
娼婦「インキュバス、様……あ、アァ……ッ!」
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
ハァハァ
8211 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 16:19:24.35 ID:c/wO+3y2P
インキュバス「魔石……癒やしの魔石……ね」ペロ
インキュバス「利用させて貰うか……この娘諸共ね」
インキュバス「さて……娼婦。君は……この教会に仕える事を決めた」
娼婦「この、教会……に」
インキュバス「そう。そして……君の名は今日からシスターだ」
娼婦「シ、スター……」
インキュバス「そう。娼婦という名は捨てた。忙しい神父に変わって」
インキュバス「君は祈りを捧げるんだ。良いね?」
娼婦「は、い……」
インキュバス「良い子だ……そうしていれば、またご褒美を上げるからね」
娼婦「は……い、インキュバス、様……」
インキュバス「ふふ……魔王様、今度こそ……終わり、だよ」

……
………
…………

船長「良し、決まりだな」
海賊「俺もとうとう海賊廃業か……」
船長「名残惜しいか?」
海賊「いやぁ……まあ、子供ももうすぐ産まれるしな」
海賊「定期船の船長となりゃ、金に困る事もネェかな」
船長「軌道に乗りゃぁなあ……ま、暫くは」
船長「魔導の街から補助が出る……飢える事ぁネェだろ」
海賊「しかし……なぁ。本当なんだろうな?」
船長「だから前金で随分渡しただろ?」
海賊「それが無きゃ到底信じられネェ話だぜ……」
8221 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 16:43:51.19 ID:c/wO+3y2P
船長「ただしさっきも言ったが、船は持ち込みだぜ?」
海賊「そりゃまあ構わネェよ。アレだってそもそもが商船だよ」
船長「そうだったか……ま、早々に一隻確保できたとなりゃ、俺も」
船長「今日は旨い酒が飲めるってなモンだ」
海賊「おう、そうだな、今日は飲もうぜ……ぱーっと行かないとだろ?」
海賊「こういう時は、さ」
船長「俺の奢りで、って言いてぇんだろ……残念だがな」
船長「連れがいるんだよ」
海賊「……女、か!?」
船長「女は女だが、俺のじゃネェよ」
海賊「なぁんだ……お前にも漸く春が来たかと思ったのによ」
船長「ほっとけ……今教会を見に行ってる」
海賊「教会?」
船長「ああ。神に仕えたいんだとよ」
海賊「へぇ……そりゃ、お前がどんだけ男前でも無理だな」
船長「だからほっとけって!」
海賊「しかしなぁ。ここの村の教会は……無人だぜ?随分前から」
船長「そうなのか?」
海賊「確か、な」
8231 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/18(木) 16:54:19.55 ID:c/wO+3y2P
予防注射いってきまーす
ご飯とお風呂でまた夜、かなー?
824名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 17:24:42.57 ID:6ib67nn00
いってらっさい。
まってま。
825名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 18:20:45.37 ID:aNnCVNYCO
行ってらー!
こんな母ちゃんほしいわ
826名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 19:46:01.92 ID:ZFvPFHsV0
雲行きが怪しくなってきましたな...
827 忍法帖【Lv=32,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/18(木) 20:07:00.51 ID:ipVOIJvo0
まってまふ。
828名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 21:37:51.39 ID:y+k6R4HX0
いってらっしゃーい
829名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 23:31:39.08 ID:TntttsUeO
(((*^(エ)^)‐o
830名も無き被検体774号+:2013/04/18(木) 23:58:17.58 ID:3qAHsgC+0
(΄◉◞౪◟◉‵)
831名も無き被検体774号+:2013/04/19(金) 01:06:26.84 ID:d2QlwHBj0
早く読みたい
832 忍法帖【Lv=32,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/19(金) 04:00:54.13 ID:hsBS8DIj0
ネチネチしちったかww
お疲れ様。
俺は仕事イッテクルゼ!!
833名も無き被検体774号+:2013/04/19(金) 08:24:17.44 ID:baCUG6vX0
8341 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/19(金) 09:03:15.34 ID:a9CwiSexP
おはよー!
お迎えまで!

つか昼間に職場に呼び出された
新しい先生がどーのこーの……なんじゃいな
8351 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/19(金) 09:08:05.03 ID:a9CwiSexP
船長「ふむ……まあ、旅のついでに乗せてるだけだからな」
船長「詳しいことはわからねぇ」
船長(つーか、言えねぇしな)
海賊「まあ、その内良いところ見つかるだろ。どの街にも教会ぐらいあるさ」
船長「そうだな……つか、それにしては遅いな」
海賊「ん?ああ、その女か?」
船長「酒場に行くとは言ってあるが」
海賊「迷うほど大きな村じゃねぇだろ」

キィ……パタン

娼婦「船長さん」
船長「おう、お帰り……どうだった?」
娼婦「はい、私……この村に残ります」
船長「へ?」
娼婦「神父様がお忙しくて、人手を探していらっしゃいましたので」
娼婦「それに……とても綺麗で、気に入ってしまいました」
娼婦「ここの、教会」ニィ
8361 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/19(金) 09:17:38.76 ID:a9CwiSexP
船長「お、おう……そりゃ良かったな、だけどよ」
船長「ここって、無人だったんじゃねぇのか?教会……」チラ
海賊「んあ? ……いや、俺もずっと滞在してる訳じゃねぇしよ」
娼婦「はい、神父様もつい先日、いらっしゃった様で」
海賊「へぇ……まあ、良かったんじゃネェの?」
海賊「酒や食いもの目当てに立ち寄る男達にとって」
海賊「べっぴんさんがいるとなりゃ、村も潤うじゃねぇか」ハハハ!
娼婦「そんな……」
船長「……んで、その神父様とやらは?」
娼婦「はい、裏の山の方へ薬草を採りにいかれました」
船長「そうか……良いんだな?」
娼婦「ええ。短い間でしたが、ありがとうございました、船長さん」
船長「おう……頑張れよ」
娼婦「名も頂きました……これからはシスターと言う名で生きていきます」
船長「そうか……」
娼婦「では、失礼致します……」スタスタ
船長「……」
海賊「良い女だねぇ……ちょっとの間でも一緒の船に居たんだろ?」
船長「ああ……まあ」
海賊「どした?」
船長「いや……なんか、な」
8371 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/19(金) 09:34:18.21 ID:a9CwiSexP
海賊「何だよ、寂しいのかよ」ハハハ!
船長「阿呆。そんなんじゃネェよ」
海賊「まあ、これでのんびり飲めるじゃネェか!」
船長「……奢らねぇぞ」
海賊「振られ虫にゃ奢ってやるよ!」
船長「違うっつってんだろうが!」
船長(……なんだか、な。気にしすぎか?)

……
………
…………

側近「……13個、か」コロン
盗賊「全部渡しちまう訳には……悪い」
側近「いや、そりゃ当たり前だ。お前達は生活していかなきゃいけねぇんだし」
盗賊「治癒魔法使える奴少ないんだ。それに……」
盗賊「みんな、あんまり良い……境遇じゃなかったからな」
盗賊「基礎は出来てても体力とか、魔力とか……少なくて」
側近「これだけでも助かるさ……取りあえず、他の方法も探すしな」
盗賊「姫……だからここに居ろって言ったのに……」グッ
8381 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/19(金) 09:45:58.80 ID:a9CwiSexP
側近「俺もその方が良かったんじゃ無いかと思うけどな」
側近「……だが、姫様自身が望んだ事だ」
盗賊「……うん」
側近「また、来る時までに用意しておいて貰えるとありがたい……ほら、これ」
盗賊「ああ、そりゃ勿論だ。姫の為って言えばみんな喜んで……おわ、重ッ」ズシ
盗賊「……え、金……こんなに!?多いよ!」
側近「お前達の生活の為だ。取っとけ」
盗賊「で、でも……!」
側近「仕事は仕事。これは報酬なんだから、ありがたく受け取りなさい」
盗賊「良いのか……?」
側近「当たり前だ。親しき仲にも礼儀あり、だぜ」
盗賊「サンキュ……ありがたく貰っとく」
側近「ああ、じゃあとりあえず戻るか……少女ちゃんの力じゃ限界があるしな」
盗賊「ん?少女って……治癒魔法使えたのか」
側近「ああ、いや。大地の加護受けてんだ、あいつ。だから……」
盗賊「ああ……緑とか水とかは癒やしの力に長ける……か、ら……」
盗賊「……」
側近「どうした?」
盗賊「あの、場所……」
側近「ん?」
盗賊「……聞いてると思うけど。廃港のあるあの島」
8391 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/19(金) 09:52:48.70 ID:a9CwiSexP
側近「ああ……『始まりの大陸』な」
盗賊「始まりの大陸……?」
側近「滅びる前はそう呼ばれて居たみたいなんだ」
側近「……それが、どした?」
盗賊「いや……姫と魔王が言ってただろ?」
盗賊「光の溢れる美しい場所だって。魔王が……息苦しい位」
側近「……そうか!」
側近「知人の墓があるんだったな……丘の上、か」
盗賊「あ、ああ……エルフの加護がどうとか言ってた」
側近「良し……俺はそこに行ってみる!」
盗賊「え!?で、でも船は……」
側近「大丈夫だ。魔王様に貰った転移石がある……ああ、また気持ち悪くなるのか」
盗賊「我慢しろよそれぐらい!」
側近「うぅ……そ、そうだよな」
盗賊「俺たちも石の準備しておくから……頑張ってくれ」
側近「ああ、そっちは頼んだぜ……!」グッ

シュゥウン……
オェ……

盗賊「……おえ、て聞こえた」

……
………
…………

シュウン……ドタ!

側近「……うぅ、痛いわ気持ち悪いわ……」
8401 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/19(金) 10:02:47.73 ID:a9CwiSexP
側近「魔王様の目で見たのは確か……」
側近「……始まりの街か。ぼろぼろだな」
側近(川沿いに歩いて……丘の上……この道かな)スタスタ

ザァアアッ

側近「……おっと」
側近(吹き抜ける暖かい風に、爽やかな陽の光、ね)
側近「成る程。こりゃ……魔族にはきついか」
側近(元人間とは言え……闇を選んだ奴には確かに)
側近「……息苦しい、ね」
側近(枯れない花、エルフの加護か)
側近「かといってなぁ……俺じゃ……」
側近『魔王様!』
魔王『側近、今どこだ?』
側近『始まりの街だ』
魔王『……何で?』
側近『手短に話す……姫はどうだ?』
魔王『部屋を移して、少しマシな様だが……』
側近『そうか……とりあえず、治癒の石は買ってきたが』
側近『数がな……で、だ』
側近『……知人の墓に来てみた。エルフの加護だとか、聞いたからな』
8411 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/19(金) 10:15:13.29 ID:a9CwiSexP
魔王『ふむ……そういえばそうだったな』
側近『かといって、俺にはどうしようも無いけどな』
魔王『……お前、魔族だしな。となると……少女か』
側近『ああ……だが……』
魔王『……取りあえず戻れ。姫には少女がついてるし、ジジィもいるしな』
魔王『書庫に居る……そこに戻ってくれ』
側近『ああ、解った』
魔王『狼将軍の話もせねばなるまい……待ってるぞ』

側近「……そうか、狼将軍忘れてたわ」
側近(はぁ、胃が痛い……)グッ

シュゥウン

……
………
…………

シュンッ スタッ

側近「……お、立てた。 ……あ、気持ち悪」ウェ
魔王「こっちだ、側近」
側近「本当にお前、この部屋好きだな」
魔王「必要に駆られてるだろう、今は」
側近「……姫は?」
魔王「私の部屋の隣にベッドを運ばせた……その続き間に少女を」
側近「そうか……大丈夫なのか?それで……」
8421 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/19(金) 10:29:15.06 ID:a9CwiSexP
魔王「部屋の入口に石を置いてある……姫の傍にもな」
側近「……随分疲れたんじゃないか、少女ちゃん」
魔王「だろうな。今は食事を取らせて休ませた」

カチャ

ジジィ「ふう、寝顔は可愛いものよの……おや、側近戻ったか」
側近「おう……丁度良かった。癒しの石だ」ジャラ
ジジィ「なんじゃ、これだけか……ああ、これ。魔王様は近づくでない」
魔王「……魔法を使わねば大丈夫だろうに」
側近「人が苦労してきたって言うのに、労いの言葉一つないかな、このジジィは」
ジジィ「魔王様の転移の力で、じゃろう……何が苦労か」
ジジィ「魔王様、何か見つかりましたかの?」
魔王「これといってめぼしい物は……な。まあ、だが」
魔王「少女に頼まれた物は見つけた」
側近「何頼まれたんだ?」
魔王「魔力を高める方法、とやらの本だ」
側近「……大丈夫なのか?」
魔王「読むだけなら支障あるまい」
ジジィ「ふむ……では石は預かりますぞ。姫様の部屋へ置いて来ねばの」
ジジィ「お二人も魔王様の部屋へ……ここはかび臭くてな」
魔王「ああ……側近、そっちの本と羊皮紙の束を持ってくれ」
側近「あ?ああ……何すんだ、こんなもん」
魔王「まあ……暇つぶしだ」
側近「潰す暇なんかあるのかよ……」
8431 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/19(金) 10:41:18.75 ID:a9CwiSexP
おむかえー!
844名も無き被検体774号+:2013/04/19(金) 10:42:27.31 ID:CKMsLIn90
乙!いってらー
845名も無き被検体774号+:2013/04/19(金) 13:06:37.45 ID:d4i5fZXE0
待ってるお!
8461 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/19(金) 14:50:40.33 ID:a9CwiSexP
幼女と昼寝てたらこんな時間!
バイトいてきまー!
847名も無き被検体774号+:2013/04/19(金) 16:11:00.42 ID:qwua4bFDO
らっしゃい(*´・∀・)ノ゛
848名も無き被検体774号+:2013/04/19(金) 17:13:20.13 ID:oyG5tBq10
いってらスコーン
849名も無き被検体774号+:2013/04/19(金) 18:09:03.91 ID:J/cyq6DP0
今更だが魔王と魔導将軍の戦いはもう少し描写が欲しかったなー
仮にも将軍と言う名前が付いてるんだから本当の姿の一つや二つあっても良かった
長々と語られて見開き1ページでお終いでは肩透かしされた感が否めない
850名も無き被検体774号+:2013/04/19(金) 21:11:11.05 ID:baCUG6vX0
おもしろし!
待ってますぜー
851名も無き被検体774号+:2013/04/19(金) 21:41:48.25 ID:SKstgLSx0
>>849
魔王>将軍含む隊長クラス全員とその部下全員
っていう凄まじい力量差が前提となってるとそこまで疑問には思わないけどなぁ
852名も無き被検体774号+:2013/04/20(土) 00:40:56.75 ID:1Ae83HYL0
てか、魔導将軍と決着つけたあたりでまとめに向かうのかと…まだ続くのか
雲行き怪しいけどハッピーエンドに行って欲しいな
何気に側近が1番好きなキャラだ
853名も無き被検体774号+:2013/04/20(土) 06:26:00.06 ID:a1Pi1zLo0
854名も無き被検体774号+:2013/04/20(土) 07:13:22.20 ID:k8vgnNlXO
早く書けよスコーン
ずっと待ってんだよBBA









拝啓スコBBA様

いつも心待ちにしております。
幼女、仕事、家事に魔王に大変だと思いますがたまにはゆっくり体を休めて下さいね。
855名も無き被検体774号+:2013/04/20(土) 09:05:24.55 ID:Ke6YqR1e0
ほい
8561 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/20(土) 09:38:59.66 ID:oSlE0VRRP
おはよう!
明日は久しぶりの幼女と一緒のまるっとお休み!
今日の夜は起きてがんばる!
とりあえずバイトまでー!
8571 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/20(土) 09:45:17.38 ID:oSlE0VRRP
魔王「城に居ろと言ったのはお前だろう側近」
側近「まあ、そうだけど……」
魔王「行くぞ……ああ、これも持ってくれ」ドサ
側近「ねえ……ちょっとは労って、マジで」

……
………
…………

魔王「良し……まあ、これだけあれば当分はいけるか」
側近「何なの、お絵かきでもする気なのお前」
魔王「残念ながら私に絵心なんて物は無い」
側近「……威張って言う事かよ」

カチャ

ジジィ「お待たせしましたな……今茶も運ばせましょうぞ」
側近「姫はどうだ」
ジジィ「目は覚ましておられますが……起き上がるのは辛そうですな」
ジジィ「少女の大地の魔石と癒やしの魔石で楽にはなったと言っておられるが」
ジジィ「……早急に、何かしらの対処はせねばなるまいて」
魔王「そうか……数の問題では無いのだろうかな」
側近「あるに越したことはネェだろ……だが」
魔王「港街から輸入するにも、過激派が居るとな」
8581 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/20(土) 10:01:12.11 ID:oSlE0VRRP
側近「ああ、それな……船長には話したのか?」
魔王「既に伝えてある。依頼も含めてな」
ジジィ「何の話ですかの?」
魔王「この大陸には人間側からの物資等殆ど届かないだろう?」
魔王「だからそれを解消する為にな、まあ……船便を頼んだのさ」
側近「で、その窓口になれって言うんだよ、魔王様は。多忙な俺に!」
魔王「信用して言ってるんだ。喜べ」
側近「……いやそりゃ嬉しいんだけどね。光栄なんだけどね!」
側近「素直に喜べねぇ……」
魔王「何言ってるんだ。商売に関する本、持って行ったのお前だろう」
側近(ぎく)
魔王「話した時随分ノリノリだったじゃないか」
側近「……いや、意外と面白いなぁと」
魔王「なら素直に喜べ」
側近「わー……い」
魔王「……不満なのか?」
側近「問題山積みだからね! ……解消すりゃ、大手上げて喜ぶさ、そりゃ」
ジジィ「ふむ……狼将軍ですがの」
魔王「ああ……何だったんだ?」
ジジィ「何、探りに来たに過ぎませぬ。魔導将軍の死に関わる紫の隻眼の男」
ジジィ「心当たりは無いかとな」
側近「心当たりも何も……態とらしいナァ」
ジジィ「どうでしょうかな。あの女の脳みそは大した事ないじゃろうて」
859 忍法帖【Lv=10,xxxPT】(2+0:8) :2013/04/20(土) 10:02:51.88 ID:0gpZksfG0
きたか
スコBBA
8601 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/20(土) 10:10:25.35 ID:oSlE0VRRP
魔王「しかし……紫の瞳は私しか居ないのだろう?」
側近「知ってる限りでは、だ」
ジジィ「そうですのう……前魔王様は、違いましたからな」
魔王「……ああ、そういえば」
側近「隻眼ってとこに不思議がっても、まぁ……疑惑は余りあるわな」
ジジィ「皆魔王様の顔は知っておるからの」
魔王「ふむ……それで?」
ジジィ「狼将軍は、魔導将軍を殺した男の討伐を自分に命じろ、と」
側近「……そりゃ、魔王様だろうと思って言ってるんかね」
ジジィ「如何でしょうかな……そこまでは」
魔王「血の気の多い女だからな、そもそも」
ジジィ「奴も過激派の一人でしょうからな……まあ、いきなりここに攻めて来なかっただけ」
ジジィ「少しは頭が働いた、のでしょうな」
側近「他者の……だろ?」
魔王「ん?」
側近「あの女を止めた奴がいるって事さ。誰かと繋がってるとみて良いだろう」
側近「眷属の狼共は数こそ多いが……力はそれほどな」
側近「だが、数があるから厄介だろ?城に放たれてみろよ」
魔王「私ならば……」
側近「そりゃ駆除は出来るさ……だが、使い魔共もいるんだぜ?」
魔王「ふむ」
ジジィ「全て守りきるのは困難でしょうな。それに今は……」
魔王「少女も、姫も居る……か。ならば」
魔王「まさに向こうから見れば狙い時だろうに」
861 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/20(土) 10:10:39.19 ID:XL/e14Mm0
スコ姉さん来たー!
8621 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/20(土) 10:23:55.35 ID:oSlE0VRRP
側近「だから、さ……知ってるか否かは別として」
側近「何故命令の懇願だけに来たのかって事さ」
魔王「……ふむ」
ジジィ「偵察と挑発とみて良いでしょうな」
ジジィ「『魔族以外の美味しそうな匂いがする』だとか吐き捨てていきよったでな」
側近「思いっきりばれてんじゃねぇか!」
魔王「宣戦布告のつもりか……」
ジジィ「しかし、裏で誰と繋がっているのだかはっきりさせないといけませんの」
側近「……厄介なのとくっついてなけりゃ良いがな」
魔王「ふむ……良し、側近とジジィはそっちを調べてくれ」
魔王「後、少女の目が覚めたら私の部屋へ」
側近「解った……無理はさせるなよ」
魔王「勿論だ」
8631 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/20(土) 10:26:34.19 ID:oSlE0VRRP
バイト!
今日の夜は頑張るぜ!
864 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(2+0:8) :2013/04/20(土) 10:26:56.14 ID:XL/e14Mm0
おつー!
865 忍法帖【Lv=10,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/20(土) 10:39:17.54 ID:0gpZksfG0
スレ立てから見てるよ
頑張れ1
866名も無き被検体774号+:2013/04/20(土) 10:40:06.67 ID:SSvRIgT80
寿命が削られるってのは前作と被ってんのかどうか知らんけどさ
妊婦が意識失って立ち上がれなくなるようなとこに居続けさせるってどうなん?
盗賊の島でええんちゃうの
867名も無き被検体774号+:2013/04/20(土) 11:21:05.50 ID:/ZnUIbf+0
>>866
本人の意志だし、そこまでひどいとは思ってなかったんだろうな。
とりあえず様子見ようや
868名も無き被検体774号+:2013/04/20(土) 13:11:27.30 ID:KzL94SjY0
まだかなまだかな
869名も無き被検体774号+:2013/04/20(土) 13:59:49.71 ID:ulw47Zo8O
♪ようじょたんの〜 びーびーえーまだかな〜
870名も無き被検体774号+:2013/04/20(土) 14:38:23.41 ID:KgNzHySU0
狼女って何気にイイよね・・・
871名も無き被検体774号+:2013/04/20(土) 19:07:15.20 ID:KzL94SjY0
狼女ってホロ思い出すな
8721 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/20(土) 20:42:04.00 ID:oSlE0VRRP
とりあえず幼女寝かして来るー
873名も無き被検体774号+:2013/04/20(土) 21:05:12.09 ID:Ke6YqR1e0
待ってるよー!
874名も無き被検体774号+:2013/04/20(土) 21:44:08.53 ID:XCpwXUdc0
1さんみたいに立派にお母さんできるようになりたいスコーン
875名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 00:05:59.51 ID:l/JLc/Upi
がんばれスコ姉
876名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 00:10:58.54 ID:vyUc9ZAnO
幼女と一緒に寝ちゃった感じだな…

こんな働いてるんだから、休める時休まないと身体もたないよ
877名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 01:33:25.35 ID:Du/HPI4s0
待ってるー
878 忍法帖【Lv=10,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/21(日) 03:07:19.20 ID:n73kheKM0
待ってる…
8791 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 09:29:26.12 ID:qZX6Sf0IP
おはようー!
寝ちゃいましたorz

BBAが無茶するとガタ来るなぁ……
8801 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 09:38:47.45 ID:qZX6Sf0IP
ジジィ「ふむ……では鴉も呼びましょうか」
側近「あいつ何処にいんの」
魔王「城を出て長いな……」
ジジィ「部下の鳥共に探させましょうぞ。何匹かは庭でくつろいでいますとな」
ジジィ「焼き菓子目当てに寄ってきおるのでの」
魔王「……それだけ聞けば長閑な風景なんだがな」
側近「古参の魔族とその眷属ってのをを無視すればな」
ジジィ「まあ、任せておきなされ」
側近「俺も別方向から探る……じゃあな」スタスタ
ジジィ「少女が起きたらこちらへ来る様に使い魔に伝えておきましょう……ではの」スタスタ

パタン

魔王「さて……」
魔王(問題は、姫だ。いくら望んだ事とは言え……)
魔王(身体に良いはずがない。早急にどうにかしないと)
魔王(しかし……)

コンコン、カチャ

少女「魔王様、失礼致します」
8811 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 10:04:54.52 ID:qZX6Sf0IP
魔王「おう……大丈夫なのか?」
少女「はい……食事も頂きましたし、休ませて頂きましたから」
少女「それに……急いだ方が良いでしょう」
魔王「……すまん」
少女「何か、良い本はありましたか?」
魔王「魔力の増幅に関する本はあったが……」ポン
少女「……」ペラ
魔王「しかし……何するつもりだ?」
魔王「お前は、まだ人間だろうに……」
少女「ジジィさんにお聞きしたんです。人が、魔になるとはどういう事なのか」
魔王「……ほう」
少女「魔王様が貸して下さった本も読みました……で」
少女「私なりに考えてみたんです」
魔王「……」
882名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 10:12:11.44 ID:4/AUh8Lp0
ジジィさんxwww
883名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 10:12:51.28 ID:sKUYsmmN0
ジジィさんw
無理しないでスコーン
8841 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 10:20:32.78 ID:qZX6Sf0IP
少女「本には、魔族が人間の命を奪い」
少女「……そこに、自分の魔力を注ぐのだと書いてありました」
魔王「命を、奪う?」
少女「はい」
魔王「器に魔力を与える事で魔に変化させると言う事か。しかし……」
少女「……魔と変えられた者は、意思や記憶を失い」
少女「作り主に従順な傀儡になると」
魔王「……」
少女「でもその方法では……側近様のケースと違いすぎます」
魔王「そうだな。どこをどう斜めから見ても」
魔王「アレが傀儡には見えん」
少女「ジジィさんは……前魔王様は、側近様を生かした侭」
少女「その身に魔力を注いだのだと仰ってました」
魔王「……そんな事出来るのか?」
少女「器が持たなければ……死んでしまうでしょうね」
魔王「……」
少女「前魔王様は、側近様の命を吸い上げると同時に、魔力を注いだ」
少女「それから……意思の力」
魔王「意思の力?」
少女「推測ですが……魔族になりたいと願う、力では無いでしょうか」
少女「……願えば、叶う」
魔王「ふむ……で、それを私にやれと言う訳だな」
少女「はい」
8851 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 10:40:54.53 ID:qZX6Sf0IP
魔王「……しかし、な」
少女「解っています……姫様の事がありますから、すぐにとは」
魔王「いや……そうじゃ無くてな」
少女「?」
魔王「……知人の話は前にしたな?」
少女「始まりの大陸、でしたか。お墓があると……」
魔王「そうだ……息苦しく感じる程の光に溢れる場所」
魔王「……港街から帰る途中、側近もその目で見てきた様だ」
少女「エルフの加護……と言っていましたね、姫様」
魔王「あの力を……借りることが出来れば」
魔王「……姫を苦しめずに済むかもしれん」
少女「どうやって……ですか」
魔王「……無茶を言う。許せ」
少女「……?」
魔王「お前は大地の加護を受けているのだろう」
魔王「魔石もすぐに作り方を覚えた……非情に優秀だと思う」
少女「……光栄です」
魔王「吸い上げる事は、できんだろうか。あの……エルフの加護の力」
少女「……」
魔王「……」
8861 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 11:06:25.34 ID:qZX6Sf0IP
魔王「……すまん。無理を言ったな」
少女「エルフの力を、身の内に留める事は、多分……出来ません」
少女「確かに、人は魔に……闇を選び取り、魔に変じる事はできる」
少女「だけど……」
魔王「……そうか」
少女「私の……身体を。大地の加護を媒介に、何かにその力を移す事は」
少女「……不可能では無いと思います。ですが」
魔王「お前の身が持たん、か」
少女「はい……推測、です。ですが……」
魔王「否、解った。無茶を言って済まなかった」
魔王「別の方法を探そう。姫をあの島へと移す方が……」
少女「待ってください、魔王様」
魔王「ん?」
少女「狼将軍の話や……他の魔族の、過激派の方の問題もあるでしょう」
少女「姫様だけをあそこに移すわけには……今は、無理です」
魔王「……しかし」
少女「確かに、お腹の子供の事も考えると……ここに、長く置かれる事は反対です」
少女「一刻も早く、姫様はこの城から出るべきです。ですが……」
少女「そうすると、確実に……狙われます」
魔王「……」
少女「姫様のお腹の子の事は、まだ誰も……知らないとは思います。が……」
魔王「……しかし、な」
8871 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 11:14:43.77 ID:qZX6Sf0IP
少女「私は、構いません……魔王様のお役に立つのなら」
魔王「駄目だ!」
少女「……魔王様」
魔王「お前を犠牲にして姫が喜ぶ筈が無い」
少女「違います、魔王様……聞いて下さい」
魔王「……?」
少女「エルフの力を何かに移せば、多分……私の身は持たない」
少女「ですから……そのタイミングで、私を魔へと変じてください」
魔王「!」
少女「そうすれば……全て丸く収まります」
魔王「……可能なのか?」
少女「可能にするのです。私にしか出来ず、魔王様にしかできません」
魔王「願えば叶う?」
少女「はい……そう教えてくれたのは貴方です。魔王様」
魔王「……ちょっと待ってろ」

魔王『側近!すぐに来い!』
側近『は!?』
魔王『私の部屋だ。急げ』
側近『え、や、お前ちょっと……』
魔王『早く!』

少女「魔王様……?」
魔王「側近を呼んだ……奴が来ればすぐに行く」
魔王「……覚悟は良いのだろう」
少女「……はい」
8881 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 11:22:09.03 ID:qZX6Sf0IP
カチャ

側近「何なのもう!」
魔王「少女と知人の墓へ行く」
側近「は!?」
魔王「エルフの加護の力を吸い上げ、少女を魔へと変じさせる」
魔王「……詳しい話は後だ」
側近「……止めても聞かんだろうな」
魔王「当然だ。姫を……救い、ここに置かねば」
魔王「余所へ移せば、何れ命を狙われるだろう」
側近「……少女は良いのか?」
少女「自分で決めた事です」
側近「違う。ジジィから聞いただろう?」
側近「器が持たなければ、自我を失い死ぬだけだ」
魔王「……」
少女「解っています……自分で、何とかします」
側近「魔族の……魔王様の魔力は凄まじい」
側近「暴走に耐える自信はあるのか?」
魔王「暴走?」
側近「……身体が、自分の全てが劇的な変化をするんだ」
側近「血の一滴。細胞の一つ……全てが、人から魔へと変じる」
少女「そして魔王様の凄まじい力を与えられて、魔となった私の全ては」
少女「……歓喜する」
魔王「歓喜?」
側近「そうだ……押さえきればければ、暴走する」
8891 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 11:28:33.59 ID:qZX6Sf0IP
側近「……俺は前魔王様に襲いかかったそうだ。覚えてネェが」
魔王「え」
側近「吹っ飛ばされたが、その衝撃と恐怖で正気に戻った」
側近「両手両足、ばっきばきに折れたけどね」
魔王「……それだけで済んで良かったな」
側近「同じ事言われたよ。笑いながら俺をぶん殴った張本人にな」
少女「……」
魔王「止めてやる。必死で願え、祈れ」
魔王「……覚悟が、あるのならな」
少女「はい。骨折ぐらい、耐えます」
側近「……俺が治してやるよ」
魔王「お前はどうしたんだ?」
側近「自力」
魔王「……すまん」
側近「哀れんだ目で見るな!」
少女「では行きましょう、魔王様」
少女「……姫様をこれ以上衰弱させる訳にはいきません」
魔王「ああ……側近、頼んだぞ」
側近「解った……狼将軍も今なら大丈夫だろう」
魔王「攻めてきたら食い止めろ」
側近「……俺が?」
魔王「ジジィにも手伝わせろ」
側近「……死んだら悲しんでね」
魔王「阿呆。許さん」
側近「ですよねー……本当、さらっと無茶言うんだから」
8901 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 11:39:24.29 ID:qZX6Sf0IP
魔王「……すぐに戻る」
側近「頼むよ……ああ、そうだ魔王様!」
魔王「ん?」
側近「魔に変じたら、名を与えてやれ」
魔王「名?」
側近「そうだ。新しい命に、新しい名。作り主が与える事に意味がある」
側近「……ま、気分的なモンかもしれんが」
魔王「解った……行くぞ、掴まれ」
少女「はい……!」

シュゥン……ッ

側近「……頑張れよ、少女」

コンコン

側近「誰だ」
ジジィ「儂じゃ……」カチャ
側近「ジジィか。どうした?」
ジジィ「窓の外を見ろ、側近」
側近「ん? ……なんだありゃ」
ジジィ「狼共じゃ」
側近「……まじで!?」
891名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 11:46:42.41 ID:9KbkdWFu0
狼早っ!
少女がんばれー
8921 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 11:51:13.71 ID:qZX6Sf0IP
ジジィ「む?魔王様は?」
側近「少女と始まりの大陸に行ったよ!糞、まじか……!」
ジジィ「お主はここに居れ……儂が行く」
側近「おいおいおいおい、死ぬ気かジジィ」
ジジィ「侮るで無いわ若造が……大丈夫じゃ。鴉にも連絡がついておる」
側近「……鴉か。あれもババァじゃネェか」
ジジィ「儂と違って、部下の鳥共も居る」
側近「戦争じゃネェか、これじゃ……」
ジジィ「故に完全制圧せねばの」
側近「……お前の部下は」
ジジィ「元、な……将軍の座を魔導将軍に譲ってからは」
ジジィ「全てあいつについて行かせたからのう」
ジジィ「しかも……死によったからの。儂の言う事を聞く者等」
側近「この状態じゃ、無理か……」
ジジィ「儂一人でも大丈夫じゃ。老いたとは言え」
ジジィ「……元魔導部隊将軍の名は伊達で無いと思い知らせてやろうぞ?」
側近「解った……鴉の部下の鳥共の残りを率いて合流しろ」
側近「……古参二人か。死ぬなよ……ますます魔王様の俺のパシリ頻度があがる」
ジジィ「心配するな……力は衰えても、戦争時代を生き抜いた儂と鴉じゃ」
ジジィ「経験の差はおいそれと埋まらん……ではの」
側近「……また後で、な」
ジジィ「うむ……また後で、じゃ」
8931 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 11:58:42.38 ID:qZX6Sf0IP
側近「狼将軍め……ここを出てすぐに準備を整えたか!」
側近(否……すでに用意が終わってた、か)
側近(……間に合えよ、魔王様)
側近(姫の妊娠がばれてないのは幸いか……否、一緒か)
側近(婚姻の為に連れ帰ったとみられていれば、世継ぎの件は)
側近(時間の問題……狼将軍が急ぐのも解る。が……)
側近(残りの過激派も動いているとみて良い……魔王様対過激派の)
側近(問題が明るみに出れば……もう、止められん)
側近(……黒幕は誰だ!?)
側近「……城の中に入られる迄は……まだ……掛かるだろうが」
側近(糞……ッ食い止めてやるよ!)

……
………
…………

シュゥン……ッ

魔王「……ふぅ」
少女「大丈夫……ですか」
魔王「私の事は気にするな……頼む、少女」
少女「はい」キョロ
少女(……素晴らしい景色。私にも感じられる、大地の……力)
少女(お願い。少しで良い……私に、力を貸して)
少女(エルフの、お姫様の為に……!)
8941 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 12:05:38.25 ID:qZX6Sf0IP
魔王「少女、これを」チャラン
少女「……はい、これは……ペンダント?」
魔王「魔導の街で買った物だ……姫に似合いそうだと思ってな」
魔王「これならば、身につけていられるだろうし」
少女「はい……お借りします」グッ
少女(……命を。エルフの加護を、貴方の命を……知人さん)
少女(姫様の為に……お願い)シュゥウウ……
魔王「……」
魔王(気の流れ、力の流れ……か)
魔王(ペンダントに流れ込んで行く……ん、少女の、身体が……ッ)
魔王「無理はするな、少女……ッ お前の身が持たん!」
少女「大丈夫、で……ッ す、 ぅう……ッ」
魔王「……ッ」
魔王(瞳が、曇って……行く。命が削られているのか……ッ)
魔王「……ッ少女!」ガシ
魔王(消えてしまう、ギリギリを……待て……ッ 今……ッ)
魔王(魔力を……注ぐ……!)シュウシュウ……!
少女「あ、 ……ぁ、あ……ッ」ガク……ッ
魔王「……耐えろ、少女!」
魔王(願えば、叶うんだろう……ッ 願え……!)
少女「ああああああああああああああああああああああッ!」
8951 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 12:13:01.12 ID:qZX6Sf0IP
チャリン……

魔王「……うッ」
魔王(ペンダントが緑に……光ってる……ッ)
魔王(少女の足下か……今は、近づけん……ッ)
少女「ああああああああああ! ……あ、ァ……ッ」ガクガクガク
魔王「少女、耐えろ!  ……まずい……ッ」
魔王(暴走、か……!)
少女「うわああああああああああッ」
魔王「少女!」ガシ!ギュウ!
少女「ああ、ァ、ああ ……あ、アアアアア!」シュゥン……シュウゥ!

ザクザクザク!

魔王「ぐ、 ……ッ 風、の魔法か……ッ」ギュウ
少女「ああ、アアアアアアアアアアア、うわああああああああ!」シュゥン!
魔王「大丈夫だ……大丈夫だから! ……痛ゥ……ッ」スバスバッ
少女「ふ、ぅ………あ、ァ……ッ」
魔王「……良し、良し」ナデナデ
少女「ま…… まお、う ……様」
魔王「うん……怪我は、無いな?」
少女「……! 血が……こ、これ、私が……!?」
少女「申し訳ありません、こんな……ッ!」
魔王「気にしなくて良い。大丈夫だ……それより、ペンダントを」
少女「あ、あれ……ッ!?」
8961 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 12:17:49.85 ID:qZX6Sf0IP
魔王「落ち着け、足下だ……私は触れん」
少女「あ……、あった、あ ……ァ」ギュ
魔王「……良く、やってくれた。少女……否」
魔王「……名をつけろと簡単に言われてもな」
少女「何でも良いです……私はこれからも、魔王様の側用人として」
少女「ずっと、仕えて行くだけです。呼ばれ方など……」
魔王「ふむ……では、これからの役目も踏まえて」
魔王「……使用人、で良いか?」
使用人「はい。ありがとうございます……魔王様から」
使用人「貰った名……大事に、します」
魔王「……休ませてやれずスマンが」
使用人「いえ……不思議と力が、漲ってきます」
使用人「すぐに戻りましょう」
魔王「ああ……!」

シュゥン……ッ

……
………
…………

シュン……スタ!

魔王「ん、側近が……居ない?」
使用人「では、魔王様。私はこれを姫様に」
魔王「ああ、頼む……」

カチャ

使い魔「あ……魔王様!戻られましたか!」
使用人「きゃ……ッ」
使い魔「あ……少女さん、申し訳ありません!」
8971 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 12:23:13.56 ID:qZX6Sf0IP
魔王「ああ、それは……」
使用人「説明は任せました、魔王様。私は行きます」スタスタ
魔王「……ちょっと側近に似てる気がする」
使い魔「魔王様!外を!」
魔王「外?それより側近は……」チラ
魔王「……なんだ、アレは」
使い魔「……狼将軍の部隊と、ジジィ様と鴉様の部隊が交戦中です」
魔王「何……?」
使い魔「側近様も先ほど……」
魔王「……私が行こう」
使い魔「駄目です!魔王様が出られたら皆殺しですよ!」
魔王「しかし!」

カチャ

側近「大丈夫だ、ジジィ共に任せとけ」
魔王「側近!」
使い魔「……側近様、確かに伝えましたので、私はこれで」
側近「ああ、ご苦労」
魔王「側近!!」
側近「落ち着け……少女の方は、うまくいったんだな?」
魔王「使用人、だ」
側近「オーケー……後は、姫か」
魔王「……ジジィと鴉は!」
側近「大丈夫だ……てか何お前その怪我」
魔王「ああ、忘れてた。治してくれ」
8981 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 12:30:06.97 ID:qZX6Sf0IP
側近「……要求の多い奴」パァ
魔王「任せとけと言ってもだな。狼将軍の部隊は数が……」
側近「俺たちは他を潰すんだ」
魔王「……他?」
側近「黒幕が解ったって事さ。て言っても消去法での推測に過ぎんが」
魔王「誰だ」
側近「……インキュバスだよ。魔導の街にも出入りしてたみたいだ」
魔王「……」
側近「お前達、見張られてたんだろう?」
魔王「魔導将軍の手の者では……」
側近「繋がってないと考えるのは不自然だろ」
魔王「……今は、何処に?」
側近「鴉の鳥に寄ると、鍛冶師達の村だ」
魔王「……あの山岳にある村か」
側近「船長があそこに寄っている。もう船を出した様だがな」
魔王「離れたのか、なら……」
側近「教会があってだな」
魔王「?」
側近「教会に一人、女が居るそうだ」
魔王「……娼婦、か!?」
8991 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 12:31:24.60 ID:qZX6Sf0IP
お昼ご飯、とお買い物にー

どれぐらいで次スレ立てればいいんだろ??
900名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 12:33:12.02 ID:ylyVc/Pr0
950とかでいんじゃね?
901名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 12:48:59.72 ID:FPXMe6aNO
ワク♪o(´∇`*o)ワク♪
902名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 12:58:39.68 ID:9fluhrRz0
いいところで!
いてらー
いてらベクトルロリコンもやしスコーンBBA(バカで、ビックリするから、安心できない)
904名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 13:28:23.06 ID:GVu+Pd940
スコーン楽しみにしておくよー(`・ω・´)
905名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 14:34:49.13 ID:sKUYsmmN0
いってらスコーン!待ってるよ!
9061 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 14:52:54.76 ID:qZX6Sf0IP
ただいま!
9071 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 15:24:31.41 ID:qZX6Sf0IP
側近「片腕の薄幸そうな祈り女……決まりだろ?」
魔王「……今、どうしているんだ」
側近「そこまでは、な……だから、確かめなきゃならんだろ」
魔王「ふう……次から次と」
側近「解ってた事だろうが」
魔王「で……私が行く、と言っても聞かないだろう」
側近「それも解ってる事だろう……随分良い子ちゃんじゃネェか」
魔王「今この状況で城を離れる訳にいかん事ぐらい、いくら何でも解る」
側近「成長したねぇ」
魔王「……お前な」
側近「数は減るだろうが……狼将軍は確実に城まで来るさ」
魔王「だろうな」
側近「いくらジジィと鴉のババァとは言えな」
側近「……老い、てのは辛いもんだ」
魔王「……」
側近「睨むな。何故行かせたと聞きたいんだろうが」
魔王「いや……そうじゃない。あの時は仕方なかっただろう」
魔王「お前までここを離れる訳にはな」
側近「姫が居たからな」
魔王「……すまん」
側近「謝る事じゃ無い……王の決定だ」
側近「姫と正式に夫婦になるつもりだったんだろ?」
魔王「……姫が良いと言えば、な」
9081 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 15:41:29.60 ID:qZX6Sf0IP
側近「なら、椅子に座って……堂々としていろ」
魔王「……部下に攻め込まれる魔王っていう時点で堂々、て言うのもな」
側近「今更だ……良し」
魔王「行くのか」
側近「お前に貰った転移石がまだ残ってるからな」
魔王「……頼む」
側近「取りあえず様子を見てくる……娼婦は、俺の顔は知らないよな?」
魔王「ああ」
側近「良し……こっちは、頼んだ」シュゥン……オェ
魔王「……おぇ?」

バタバタ……バタァン!

使い魔「魔王様、城門の所に狼将軍と、配下の狼たちが……!」
魔王「使用人に姫を守れと伝え……お前達も避難しろ」
使い魔「……使用人?」
魔王「ああ……少女の事だ」
使い魔「は、はい……!」
魔王「……私も行く」
使い魔「ど、何処へ?」
魔王「玉座の間に決まっておろう? ……アレは、私の椅子だ」
9091 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 15:49:15.52 ID:qZX6Sf0IP
……
………
…………

姫「……ん」パチ
使用人「姫様……どうです、ご気分は」
姫「少女……? ここは、魔王の城……よね?」
使用人「はい」
姫「……苦しくない。どころか……とても、良い気分だわ」
使用人「それは、良かった……」ホッ
姫「……あ、貴女……! ……?」チャリン
姫「これは……」
使用人「……エルフの加護、です」
姫「ど、どうやって……!?」

コンコン

使用人「はい」
使い魔「使用人様、姫様と共に安全な場所へ」
姫「安全な場所……?」
使用人「狼将軍が、攻めてきたのですね」
姫「!?」
使用人「魔王様は?」
使い魔「……避難する様にと仰られ、玉座の間に」
使用人「そうですか。ならば私と姫様はここに」
使い魔「し、しかし……!」
9101 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 15:54:50.49 ID:qZX6Sf0IP
使用人「魔王様は迎え撃たれるおつもりでしょう」
使用人「ならばその奥に当たるここが一番安全です」
姫「……ちょ、ちょっと、どういうこと!?」
使用人「姫様には後でご説明いたします」
使い魔「ですが、突破されたら……!」
使用人「貴方は、自分の主を信じないのですか」
使い魔「……」
使用人「貴方もここに居れば良い……どこに逃げるよりも安全です」
使用人「姫様、構いませんよね?」
姫「え、ええ……それは、勿論」
使い魔「……失礼します。皆にも、避難を促さなければ行けません」
使用人「……そうですか」
使い魔「戻れたら、戻らせて頂きます」

パタン

姫「……行かせて、良いの」
使用人「自分で決めた事ならば仕方ありません」
使用人「姫様だって。魔の気……ここまでとは思ってなかったかも知れませんが」
使用人「体調を崩される事は予想できたのでは?」
姫「……少し、気分が悪くなる程度だと思ったわ」
姫「まさか、こんなに……なるとは」
使用人「それでも、ご自身の意思でこうしてここに来る事を選んだのでしょう」
使用人「……魔王様が、拒否なさらないのも解っていらしたでしょう」
9111 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 16:06:14.01 ID:qZX6Sf0IP
姫「……戻って、来るのかしら」
使用人「さっきの使い魔ですか……どうでしょうね」
使用人「避難を促しに来た、と言う事は……城に到達したのでしょうね」
姫「狼将軍、とやら?」
使用人「はい」
姫「……戦ってるの、魔王は」
使用人「魔王様の所まで来るのは……いえ、時間の問題でしょうね」
姫「……少女、貴女……魔族になれたのね」
使用人「今は、使用人と言う名を頂きました」
姫「……まさか、この……ペンダントを作るために?」
使用人「正解ですが……ちょっと違います」
姫「……」
使用人「それは、魔王様が魔導の街で貴女に、と買われた物だとか」
使用人「……私は、大地の加護を受けているので」
使用人「あの、知人の墓の大地の力……エルフの加護を」
使用人「そのペンダントに移したに過ぎません」
姫「エルフの力を体内に!?そんな事……!」
使用人「はい……私の、少女の頃の人の器では」
使用人「……耐えられませんでした」
姫「……ッ」
9121 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 16:14:55.42 ID:qZX6Sf0IP
使用人「丁度良かったんです。どうせ、私は魔になりたかった」
姫「……」
使用人「貴女が責任を感じる必要はありません、姫様」
使用人「人間の侭では、私の力にも限りがある」
使用人「……緑の魔石を作るにも、限界がありました」
姫「……あの、癒やしの石は……側近さんが持ってきてくれたんですってね」
使用人「そうです……盗賊も心配していたでしょうね」
姫「貴女は……魔王が好きなのね?」
使用人「我が王ですから、当然です」
姫「……私が憎くは無いの。こんな、こんな事態を……!」
使用人「勘違いなさいません様……狼将軍の件は貴女の責任じゃありませんよ」
姫「……魔導将軍だって!」
使用人「姫様」
姫「……」
使用人「時期は早まった……のかもしれません。ですが」
使用人「貴女を助けろと言ったのは魔王様です」
使用人「主様の命令でしたら、喜んで従います。怨むなど……」
姫「……」
使用人「あの方は、王です」
使用人「私が従うべき、王です」
姫「だけど……!」
9131 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 16:21:28.33 ID:qZX6Sf0IP
使用人「貴女は、魔王様を信じているのでしょう?」
姫「え……?」
使用人「大丈夫です。信じましょう」
姫「……魔王は、過激派を全て……殺すつもりなのかしら」
使用人「戦争状態と変わりありませんからね」
使用人「先に手を出したのは……あちらです」
使用人「狼将軍は主である筈の魔王様に反旗を翻した」
使用人「……許されませんよ」
姫「……」

ドォオンッ

姫「きゃ……ッ」
使用人(爆発音……!)
姫「魔王……!」
使用人「……ッ 大丈夫です、姫様」
姫「……で、でも……!」
使用人「私達に出来る事は、ありません……今は」
使用人「ここで、待っている事だけです」
姫「……」
使用人「魔王様は何があっても貴女を守ろうとしたんです」
使用人「今出て行って戦いに巻き込まれでもしたら」
使用人「それこそ、無駄になるでしょう!」
姫「!」
使用人「……何かあっても私が守ります」
姫「少女、貴女……」
使用人「使用人、です……主様の命令は絶対です」
使用人「……我が、王ですから」
914名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 16:30:27.97 ID:qmy/duBn0
使用人かっけー
そしてなんだか羨ましいぞ
9151 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 16:38:44.39 ID:qZX6Sf0IP
……
………
…………

ドォオン……バターン!

狼将軍「サァて……そこ、退いてくれるね魔王様?」
魔王「相変わらずせっかちな女だな、お前は」
狼将軍「ここまで派手にやっておいて、しおらしくする方が不自然だろ?」
狼将軍「魔導将軍をやったの、アンタが連れ込んだエルフの女なんだろ?」
魔王「……」
狼将軍「女の尻追っかけ回して、その後ろに隠れてる魔王だなんてお笑いだ」
狼将軍「そんな奴がその椅子に座って、アタシ達の上司だなんてね!」
魔王「で……それが王である私の城に攻め入った理由と言いたいのか」
狼将軍「いくら王の女か知らないが、先に手を出したのはその女だろう!」
魔王「……それで?」
狼将軍「弔い合戦さ? ……大義名分万歳、ッてね!」ダダ……ヒュウン!
魔王「! ……ッ」ザシュッ
狼将軍「さあ、これ以上痛い目にあいたくないなら大人しくそこを譲りな」スタッ
狼将軍「アタシの爪は痛いだろ? ……知っての通り、アタシは気も短いんでね」
魔王「断る。これは私の椅子だからな……炎よ」ゴォォ……ッ
狼将軍「そうかい。なら力尽く……ッ !?」
魔王「行け、炎の蛇……飲み込め!」ガアアアアアア!
狼将軍「な、早……ッ うあああ……ッ!?」
魔王「どうした。力尽くで退かすのだろう」
狼将軍「く……ッ 揃いも揃って口は達者だね!」
魔王「……誰の事だ」
9161 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 16:50:25.03 ID:qZX6Sf0IP
狼将軍「サァね……今頃、アタシの狼共に食われてるかナァ?」
狼将軍「悪食とは言っても、すかすかの老骨だ……食い応えは無いだろうが」
狼将軍「……綺麗さっぱり、全部平らげりゃ腹の足しにはなるだろ!」ダダダットン……ッ
狼将軍「死ね、魔王……!その喉、切り裂いてやる!」ザシュ……!

ガシ……バキン!

狼将軍「……! な、あ、 ……アタシの、爪が……ッ」
魔王「ふむ……柔い爪だな。私は素手だぞ?」
魔王「お前狼じゃ無くて、犬の間違いじゃ無いのか」グイッギリギリ……ッ
狼将軍「……ッ ぐ、ァ」
魔王「ほう、腕は柔らかいな……ふさふさして撫で心地は良さそうだが」グググ……バキン!
狼将軍「い、あァアあ……ッ! は、離……ッ ギャアアアアアアアアアアアアアア!」
魔王「私はすべすべの方が好みだな……」
狼将軍「あ、あああああ ッ 腕、う……あ、あッ」
魔王「腕の一本、どうという事あるまい? ……あの悪食狼共は」
魔王「ジジィと鴉の腹でも食い破ったのだろう……こんな風に……炎よ!」ゴォゥ…ッ
狼将軍「……ッ !!」
魔王「蛇となりて、獣の腹を食い破れ……!」
狼将軍「ぅ、あ ……熱い……ッ 」ゴォ……ブチ、ブチブチ……ッ
狼将軍「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!」
魔王「喰らえ……骨も残さず焼き尽くせ」
狼将軍「いやあああああああ!熱い、熱い……ッ」
魔王「お前が言ったんだろう。弔い合戦だとな」
9171 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 16:57:45.42 ID:qZX6Sf0IP
魔王「……お前が死ねば、眷属の狼共も自然に変える」
魔王「主を失った獣は自我も失い……何れ共食いによって淘汰されるのだろう」
魔王「……始まりの街の時の様に、な」
狼将軍「……」
魔王「もう聞こえて居らぬか。フン……口だけはどっちだ」
魔王「……すまん。ジジィ……鴉」
魔王「古参の者は……全て逝った、か」
魔王(こんな形での……世代交代など)
魔王「……使い魔?」

シ……ィン

魔王(犠牲になって居らねば、良い……が)

……
………
…………

シュゥン……オェエエ バタッ

側近「……この間立てたのはまぐれか奇跡か」ムクッ
側近(これは……教会か。入口は表か)スタスタ

キィ……

娼婦「どちらさま、です?」
側近「……ああ、えっと」
側近(片腕の祈り女……間違いない。娼婦、かな)
娼婦「旅の方ですか?」
側近「あ、うん、はい、そう……そうです」
918名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 17:00:13.01 ID:qmy/duBn0
じーさん…(´;ω;`)
逝くの早すぎだよ
9191 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 17:03:30.93 ID:qZX6Sf0IP
娼婦「ようこそ、教会へ……どうぞ、ごゆっくりなさってください」
側近「ありがとうございます……ん?」
娼婦「何か?」
側近「あの……石は?」
側近(特にこれといっておかしな様子は無いが……)
側近(こんなに……痩せてたか?この娘……)
娼婦「あれは、魔除けの魔石です」
側近「……魔除けの魔石?」
娼婦「はい。徳を積んだ神父様がお作りになられる、神聖な物です」
娼婦「……お一つ、如何です?」
側近「へえ……見せて貰っても?」
娼婦「ええ、どうぞ……少々値は張りますが」
娼婦「旅の安全の為に……」
側近(……魔除け石、ね……しかし)
側近(神聖……?わからん)
側近(……魔王様か姫に見せてみるか)
側近「値が張る……って言っても、これで魔物が寄ってこないなら」
側近「助かりますね」
娼婦「そうですね。あまりに強い魔には効き目がないかもしれませんが」
側近「貴女が作られた物もあるんですか?」
娼婦「私はまだ、修行中ですので」
9201 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 17:11:56.03 ID:qZX6Sf0IP
側近「そうですか……その、神父様は?」
娼婦「……裏の山に、薬草を採りにいっておられます」
側近「へぇ……ああ、あの籠に入っている物、ですか?」
娼婦「ええ、そうです。怪我をされた方々に、無料でお配りするので」
側近「成る程……」
側近「……魔除け石、ね」
娼婦「ええ……売上金は、この教会の修繕や、寄付に回させて頂きます」
側近「では、一つ頂きます」
娼婦「ありがとうございます……どうぞ」
側近「……では、旅の無事を祈らせて頂いても?」
娼婦「勿論です……どうぞ」
側近「では、失礼します……」ス……

側近『魔王様、そっちは片付いたか?』
魔王『側近か……ああ』
側近『……元気ネェな』
魔王『ジジィと鴉がな……』
側近『……そうか』
魔王『狼将軍は片付けた。獣共は……放っておいて良いだろう』
魔王『お前は何処に居る』
側近『教会だ……見えるか?』
魔王『……お前、目閉じてないか』
側近『あ』
魔王『……阿呆。後で見る』
側近『い、祈ってるんだ!仕方ないだろ!』
9211 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 17:18:04.74 ID:qZX6Sf0IP
側近『インキュバスの野郎は居なかった。それから……』
側近『魔除けの石とやらを買わされたぞ?』
魔王『魔除けの石?』
側近『まあ、持って帰る……目を開けるから見ろ』
魔王『……早めに戻ってくれ』
魔王『これからの事も……相談したい』
側近『ああ……後は、インキュバスだけだ』
魔王『……娼婦の様子は……ああ、良い……見よう』

側近「……ありがとうございました」
娼婦「いいえ……どうぞ、私も、貴女の旅の無事をお祈り致します」
魔王『……娼婦!?随分と痩せているな』
側近『急に話しかけるなよ!』
側近「ありがとうございます。それじゃ……」
魔王『インキュバスが関わっているとなると……精気を吸われて……』
娼婦「はい……また、機会があればお尋ねください」
魔王『……ッ 娼婦……操られている、のか……』
側近「あ、はい、えっと……」
側近『ちょっと待てって!もう!』
娼婦「私はシスターと申します」
側近「シスター?」
魔王『シスター?』
側近『ちょっと黙ってろって!もう!』
娼婦「はい……では、行ってらっしゃいませ」
側近「……」ペコ。スタスタ
9221 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 17:19:30.03 ID:qZX6Sf0IP
お風呂とご飯!
923名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 17:23:09.42 ID:SULqlJmx0
やーと追いついた
面白いよー
さて酒の支度だ
924名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 17:23:42.21 ID:gRKu0rQf0
>>922
てらー
925 【Dnews4viptasu1364819756276061】 :2013/04/21(日) 17:45:45.80 ID:ud1JJdm10
926名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 18:13:00.66 ID:4/AUh8Lp0
面白いな
927名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 18:27:44.81 ID:CF7p7ePG0
ジジイ…
親父達みたいな死んで行った穏健派の爺さん達の思いを継いでくれ、魔王様
http://ladio.net/src/eqUH

音切れハゲシイ
929名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 20:57:22.83 ID:oDuzX3UM0
C
9301 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/21(日) 22:42:29.22 ID:qZX6Sf0IP
眠気が限界…orz
明日朝早いし、今日は無理せず寝る…ごめん
931名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 23:28:17.29 ID:sKUYsmmN0
おやすみー!
932名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 23:29:17.39 ID:sKUYsmmN0
…あ、スコーン
933名も無き被検体774号+:2013/04/21(日) 23:40:50.62 ID:4/AUh8Lp0
おやすみー
934名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 00:16:51.39 ID:3Wrjj8QXO
おやすみ

ジジイは実は死んでないと信じてる
935名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 00:38:29.95 ID:sX9ifZ3r0
追い付いたおやすみー

重い展開でも序盤と変わらんノリの側近に笑ってしまう
なんかかわいく思えて来た ……ハッ!?
936名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 00:45:35.89 ID:HrUujgb30
こんだけ魔王として力を振るってたら勇者として過激派を牽制する目的からは遠ざかってるよなw
まあ魔王に救われた連中から「我々にとっての勇者さま」と呼ばれることにはなるんだろうが
9371 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 09:16:49.73 ID:HUmPmEEcP
おはよう!
今日からやっとお弁当ー!
バイト行くまで!
9381 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 09:25:10.38 ID:HUmPmEEcP
側近『……どうだ?』
魔王『こうしてみるだけでは変わりない様に見えるが……随分痩せた』
側近『裏に居るのがインキュバスじゃな』
魔王『……本人は居なかったんだろう?』
側近『その……神父様、てのが奴かどうかの保証も無いな』
魔王『ふむ……』
側近『少し街の様子を見て帰る……大丈夫か?』
魔王『もう片付いてはいるが……使用人だけでは少々手が足りん』
側近『使い魔共がいるだろ?雑用ならそいつらに任せれば……』
魔王『ある程度使用人に確認させたが』
魔王『……』
側近『……食われたか』
魔王『か、逃げ出したか、だな』
側近『そうか……』
魔王『使用人が戻れば、少し出る』
側近『お、おいおい、何処行くんだよ』
魔王『周辺の見回りだ、心配するな』
側近『狼共は放置で大丈夫だろう?』
魔王『……そうじゃない』
側近『ジジィと……鴉か』
魔王『骨も残って居ない……だろうが』
側近『……あの狼が相手じゃな』
魔王『確認ぐらい……させてくれ』
側近『……反対する理由も無いだろ』
魔王『残って居る使い魔が居れば助けてやらんとな』
9391 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 09:47:26.46 ID:HUmPmEEcP
側近(……随分参ってるな)
側近(無理も無い……か。お……酒場か)

キィ

店主「いらっしゃい……空いてる席にどうぞ」
側近「昼間っから盛況だね」
店主「こんな辺境の村じゃ娯楽はこいつぐらいしか無いって」チャプン
側近「酒か……」
店主「兄ちゃん、何にする?」
側近「……ホットミルク」
店主「え」
側近「俺酒飲めネェの」
店主「……あいよ」クック
側近(笑うなよ、糞……悪かったな)
側近「さっき、教会に行ってきたんだけどさ」
店主「ああ、べっぴんさんがいただろ?……はいよ、ミルク」
側近「ああ……片腕のな。 ……どうも」
店主「何でも魔物に襲われたらしくてなぁ」
側近「……へぇ」ゴクゴク
店主「魔王が世界征服企んでるんだろ?」
側近「……ッ」ブゥ! ……ゲホゲホッ
店主「わッ……、ちょ、兄ちゃん勘弁してくれよ……」オシボリ、ポイ
側近「す、すまん……」フキフキ
店主「驚く気持ちは分かるけどさ……」
9401 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 10:03:23.77 ID:HUmPmEEcP
側近「悪い……世界征服?魔王……が?」
店主「シスター曰く……そうらしいぜ?」
側近「……シスターが?」
店主「ああ、兄ちゃん、路銀に余裕があるなら」
店主「魔除けの石買っておいた方が良いと思うぜ?」
側近「これか……」コロン
店主「お、もう買ってくれたのか」
側近「買ってくれた?」
店主「いやなに、あのシスターは売り上げの一部を寄付してくれるからさ」
店主「この街も潤うのさ」
側近「……成る程な」
店主「それに旅人達も安全になるだろ?」
店主「ここら辺は山岳地帯だからさ。元々魔物の数も多かったんだが……」
店主「最近特に狼が増えてな」
側近「狼?」
店主「ああ……それがまた凶暴な奴らでさぁ」
側近(狼将軍の……眷属か?しかし……)
側近(魔王様がもう……)
店主「シスターがここの教会に来てくれて、助かるって訳だ」
側近「……ふぅん」
店主「しかもべっぴんだしな。目の保養にもなるしさ」
941名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 10:21:02.66 ID:axfOw4bw0
ホットミルクwww
942 [―{}@{}@{}-] 名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 10:27:21.22 ID:vbexGB1kP
側近は魔王のことを思いながらホットミルクを店主にぶちまけたのか
9431 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 10:28:17.77 ID:HUmPmEEcP
側近(狼共の様子で……インキュバスには狼将軍の死は伝わってる……と)
側近(見て良いだろう、な……)
側近「神父様、てのは?」
店主「神父様もつい最近っちゃ最近だな。この村に来たのは」
側近「へぇ」
店主「いやぁ……あのシスター、どうにも神父様を追いかけて」
店主「来たんじゃ無いかって噂だ」
側近「追いかけて?別々にこの村に来たんだろ?」
店主「だから、さ!兄ちゃん鈍いなぁ」
側近「あん?」
店主「シスターと神父様が並んで歩いてるの見ると……こう、な」ニヤニヤ
側近「……なんだよ」
店主「いや、見れば解るって……まあ、神に仕えるとは言え」
店主「年頃の女なんだなぁと、な」
側近「その神父様ってのは男前なのか」
店主「そうだなぁ。一見冷たそうな感じに見えるが」
店主「ありゃ、確かに女が放っておかねぇよ」
側近「……」
店主「うちの嫁さん曰くさ」
側近「ん?」
店主「紅い目に銀の髪でさ、こう……ちょっと怪しげな感じなのに」
店主「神に仕える敬虔な姿と相反してたまらん!」
店主「……だとさ」
側近(……間違い無いな。インキュバスの野郎だ)
9441 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 10:39:37.43 ID:HUmPmEEcP
側近「そりゃ俺も見てみたいね」
店主「自信無くすぜ?」
側近「悪かったな!」
店主「……しかしまあ、真面目な方だよ。仕事熱心だしな」
店主「普段は山の方に薬草を採りに行っていらっしゃるんだ」
側近「それもシスターが?確かに……俺もそんな事聞いたけど」
店主「ああ。それで教会の仕事はシスターがしてるらしい」
店主「神父様は山の静かな場所で、魔石生成もしていらっしゃるしな」
側近「……成る程な」
側近(であれば……これは)コロン
側近(神聖な物なんかであるはずが無い……!)
側近「……うっすら紅いな」
店主「見る分にも綺麗だよな?」
側近「そうだな……ミルク、お変わり」
店主「もう吹かないでくれよ?」コトン
側近「悪かったって……あ、なあ」
店主「うん?」
側近「じゃあ……日中は神父様には会えないのか?」
店主「そうだなぁ。大体日が暮れる頃に降りて来るな」
側近「日暮れ……そろそろか」
店主「もうちょっと後じゃ無いか? ……そんなに会いたいなら」
店主「時間つぶしてけよ……旅の話も聞かせて欲しいしな」
側近「うん……」
側近(今……会うのはちとまずいか?)
9451 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 10:48:47.55 ID:HUmPmEEcP
店主「こんな商売やってると、それも楽しみの一つでさ」
側近「まあ……そうだろうな」
店主「新しく街もできたらしいしなぁ。この街に良く立ち寄ってた」
店主「海賊船の一つも、商船に鞍替えしてさ」
側近(船長の事……か?)
店長「神父様の魔石も、色んな街に運んで貰ってるんだ」
側近「……今、なんて?」
店長「商売だよ、商売!やっとこの村の未来も明るくなるってもんだ」
側近「この……魔石をか?」
店長「そうだぜ?魔除けの魔石が市場にでりゃ、旅も安全になるし」
店長「俺たちも潤う! ……まあ、魔王が世界をどうこうってのが本当なら」
店長「俺たちも、自衛の手段を持っておくのも悪くはないだろ?」
側近「……そりゃ、まあ」
店長「港街、だっけか?新しい街でも魔石の技術を持ってるらしくてな」
側近「……!」
店長「吃驚だろ? ……絶対安心とは言わネェけどさ」
店長「こうやって、俺らも動かないとな」
側近「そう、だな……」
側近(……そうだ。盗賊達も……否。そもそも、魔石化の技術は)
側近(魔王様が教えた物だ……シスターから方法を聞き出したんだろうが)
側近(神聖な筈の魔石が、そうで無かったとしたら……)
側近(何れ、盗賊達の魔石まで……敬遠される様になるかもしれん)
9461 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 10:55:10.86 ID:HUmPmEEcP
側近(インキュバスがそこまで考えていたかは解らん、が)
側近(……どちらにしても、港街の経済状況が立ちゆかなくなると)
側近(援助と言う名目の……魔導の街の押さえも聞かなくなるとまずい)
側近「……なあ、魔導の街の話は何か無いか?」
店主「魔導の街? ……ああ、何でも前領主が殺されたって奴なら」
側近「ああ……」
店主「それも魔物の仕業じゃネェかって話だな」
側近「……ほう」
側近(まあ、それは仕方ない……よな)
側近(実際、魔導将軍と前領主をぶち殺した訳だし……)
店長「でも、相当堪えたのか、今の領主が良い奴なのか」
店主「奴隷制が無くなったって聞いたな」
側近「……奴隷」
店主「俺も詳しくは知らないんだけどな」
側近「そうか……ありがとう」
店主「魔族の仕業だったとしても……ま、自業自得だわな」
側近「ん?」
店主「私設軍隊作るとか言う噂もあったしな。元々きな臭い街だよ」
側近「……でも、さ。もし本当に魔王が……ってなら」
側近「力強くネェのか?」
店主「奴隷制敷いてた様な街だぜ?そりゃ兄ちゃんの意見も一理あるが」
店主「結局、あの街の金持ちだか権力者の為だけの物なら」
店主「こんな辺境の街の俺たちにゃあ、関係ねぇよ」
側近(成る程ね……)
9471 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 11:03:19.66 ID:HUmPmEEcP
店主「この街も鍛冶師達が居るけど」
側近「ん、おお……」
側近(まだ続くのかよ! ……インキュバスと鉢合わせなきゃ良いが)
店主「魔法の力の強い奴らは、あの街に行きたがってたな」
側近「魔導の街にか?」
店主「ああ。魔法剣だか、何だか……そういう、不思議な剣があるんだとさ」
側近「……俺も聞いた事はあるが。ありゃ御伽噺の類だろ?」
側近(魔法剣なんて、魔王様のあの禍々しい剣ぐらいしか知らネェぞ)
店主「俺は詳しくネェからナァ……でも」
店主「扱いが難しいとか何とかで、滅多に鍛えられる奴が居ないんだと」
側近「魔法の知識や力が無いと……か」
店主「御伽であれ、この村の鍛冶師にとっちゃ憧れなのさ」
側近「へぇ……本当にあるなら、見てみたいね」
店主「そうだなぁ……後、エルフ達の使う奴とかな」
側近「エルフぅ?」
店長「この世界のどこかに居るらしいぜ?」
店長「力の弱いエルフでも、簡単にしかも強い!……とか」
側近「へぇ……しかしそれこそ……御伽噺、だろ」
店長「ま、な……しかし憧れるんだろうよ」
側近「奥が深いね……」ガタ
店長「何だ、もう行くのか?」
側近(今を逃すと帰れる気がしない!)
側近「ああ……この山を越えたいんでな」
9481 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 11:07:47.37 ID:HUmPmEEcP
店主「北の街にでも行くのか?」
側近「……まあ、腕試しかな」
店主「やめとけやめとけ!ここより小さな集落しかないぜ?」
店主「不気味な塔の下じゃ、狼共も群れを作ってるって言うし」
店主「明日になれば船も来る。宿にでも泊まれよ!」
側近「……不気味な塔、ねぇ」
側近「まあ、大丈夫さ。魔除けの石とやらも買ったしな」
店主「どうしてもってなら止めないけどよ……命は一つしか無いんだぜ?」
側近「これでも腕に覚えはあるさ……ま、怖くなったら」
側近「戻ってくるよ」
店主「おう……また土産話持ってきてくれよ?」
側近(ほっとんどお前が喋ってたろ!)
側近(……まあ、良い。本当に出よう……ああ、ケツ痛ェ)

キィ……パタン

側近(北の街……北に街なんかあったんだな。それに……塔?)
側近(狼……狼将軍の眷属か、野生のか解らんが……)
側近(一度確かめに行く必要があるだろうが……)
側近(今は……まあ、良いだろ。取りあえず、戻らないとな)
9491 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 11:12:53.90 ID:HUmPmEEcP
側近(教会の裏手……はまずいな。インキュバスに会うのは避けたい)
側近(街を出て山の方へ入るか……)スタスタ

インキュバス「そちらは危険ですよ、旅の方?」
側近「!」ソロソロ……クル
側近(アウトー!)
娼婦「あら、先ほどの……」
側近「……シスター。と……噂の神父様、ですかね」
インキュバス「……こんな日暮れに山の方へ入られるのは自殺行為ですよ?」
側近(娼婦が一緒で助かったのか否か……)
側近「腕試し兼ねて、ですので……大丈夫です」
側近「先ほど、シスターから魔除けの石も買わせていただきましたし?」
インキュバス「魔除け……ふふ、そうですか。ですが……」
インキュバス「良ければ教会で休まれては?宿もこれからでしたら」
インキュバス「取るのも難しいでしょう」
側近「いえ、そんな……ご迷惑になりますし」
娼婦「そうですよ……いくら魔除け石があると言え」
娼婦「近頃は、狼も増えていますし」
インキュバス「……主が死にましたからね」
側近「主?」
側近(……狼将軍の事か)
インキュバス「ええ。彼らの……主が。ですから……とても凶暴になっています」
9501 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 11:21:09.44 ID:HUmPmEEcP
側近(狼書軍の眷属……支配から逃れれば、その力は衰えるはずだ)
側近(とは言え……元々凶暴で悪食奴らだからな)
側近(それでも、さらに凶暴化する事は無いはずだが……?)
側近(自我を失って理性を無くした状態、と言いたいのか……)
側近「それは……まあ、でも。大丈夫です」
インキュバス「私も……良からぬ事にならぬようにと」
インキュバス「先ほど、山道等にこの、魔除け石を置いてきたところですよ」ニコ
側近(それ確実に余計凶暴にさせてるよね!)
側近(……て言うか、それが原因じゃネェか、こいつ!)
側近「成る程。流石神父様ですね」ニコ
側近(解ってやってやがるな……くそったれ!)
インキュバス「何処まで力が及ぶか解りませんがね」
側近「でも何故、狼達の主が死んだと?」
インキュバス「感じるのですよ……命の嘆きを、ね」
側近「……流石」
側近(笑ってる……が、殺気はひしひし伝わってくるな)
側近(しかし……こいつの考える事は良く解らんし)
側近(舌戦、頭脳戦で勝てる気はせん……悔しいが)
娼婦「はい……流石神父様です」
側近(うっとり見上げちゃってまぁ……)
側近「まあ、ご心配なさらずとも大丈夫ですよ」
インキュバス「……見過ごすわけには参りませんよ」
インキュバス「人を救うのも我々の勤めですから」
側近「……」
側近(逃がさないつもりか?)
側近(しかし……山に入っても転移しずらいな)
側近(……転移なんて悟られるのも、まずい)
9511 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 11:25:22.22 ID:HUmPmEEcP
インキュバス「ですから。ね?遠慮なさらずとも良いのですよ」
娼婦「そうですよ。すぐに支度いたしますから」
側近「……では、一度宿を見て参ります。それで、駄目なら……」
側近「お世話になりますよ」
インキュバス「……ええ。それがよろしいでしょう」
娼婦「遠慮なさらず、いらしてくださいね。お待ちしております」
娼婦「行きましょう、神父様」
インキュバス「では、後ほど」スタスタ
側近(……どうする。魔王様はなるべく早く戻れと言ってたが……)
側近『魔王様?』
魔王『見てる』
側近『そっちは……落ち着いたか?』
魔王『……側近』
側近『何だ』
魔王『構わん。殺せ』
側近『……魔王様?』
魔王『お前は私の目も持っている。力は強くなっているはずだ』
側近『魔王様!』
魔王『何だ』
側近『……落ち着け』
魔王『……』
側近『今ここでインキュバスを殺せば、本当に魔族の仕業だ何だと言われるぞ』
魔王『間違いではあるまい?』
9521 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 11:31:06.47 ID:HUmPmEEcP
側近『勇者の振りして旅しろなんてのは反故で良い、良いが……』
側近『見ていたなら解るだろう?今……魔族が動いている事を』
側近『人間側に悟られるのはまずいだろ?』
魔王『……共存は面倒だ。不干渉で良い』
側近『だろ?……その為に、俺たちは、過激派の芽を……』
魔王『後はインキュバスだけだろう』
側近『……お前、まじで落ち着けって』
側近『何があったか知らんが、とにかく俺が帰るまで大人しくしてろ!』
側近『良いな!?』
魔王『……』
側近『お返事!』
魔王『……ああ』
側近『しっかりしろよ、魔王様』
魔王『大丈夫だ』
側近(そうは思えないんだが……何があった?)
9531 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 11:41:04.24 ID:HUmPmEEcP
そろそろ次スレ行こうかと思います
おわらんかった……orz
ごめん……
954名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 11:50:42.67 ID:zLLkGceKO
あんがとねm(^-^)m
9551 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 11:55:55.47 ID:HUmPmEEcP
9561 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 11:57:52.63 ID:HUmPmEEcP
sage忘れorz
957名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 12:02:26.62 ID:I33ehZqL0
乙!
958名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 12:04:26.98 ID:qHr9rv310
側近がネラー口調でわろた
959名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 12:46:59.34 ID:3Wrjj8QXO
埋め
960名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 12:49:07.68 ID:3Wrjj8QXO
埋め
961名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 12:50:18.39 ID:Sd8rQzks0
962名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 12:51:49.85 ID:qsoBZKiT0
963名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 15:04:32.63 ID:sjmduvi20
964名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 16:15:54.77 ID:ojkD4jrx0
埋め
965名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 16:44:16.56 ID:c4XQxX+z0
966名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 16:50:40.25 ID:3Wrjj8QXO
Ume
967名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 17:39:41.78 ID:aWTL+kES0
>>1の書く話が好きすぎる

埋め
968名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 17:46:35.40 ID:3Wrjj8QXO
うめ
969名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 18:52:42.83 ID:aWTL+kES0
うめ!
970名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 18:53:34.93 ID:Aqqy7wn60
干し
971 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/22(月) 18:59:11.56 ID:X539Mal/0
972名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 19:00:58.10 ID:F9yiw1FJi
小梅
973名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 19:24:46.37 ID:qsoBZKiT0
974名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 19:33:16.61 ID:v8b589xX0
スコーン
975 [―{}@{}@{}-] 名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 19:49:51.70 ID:vbexGB1kP
スコーン コイケヤ
976名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:06:04.34 ID:3Wrjj8QXO
うめ
977名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:12:27.27 ID:3Wrjj8QXO
上げてしまった…
ごめんなさい
978 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/22(月) 20:13:20.14 ID:X539Mal/0
生め
979名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:21:22.52 ID:3Wrjj8QXO
うめ
980名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:23:16.81 ID:eZKA3vWs0
おし協力
981名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:23:34.70 ID:3Wrjj8QXO
うめ
982名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:25:19.49 ID:3Wrjj8QXO
うめ
983 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/22(月) 20:26:10.71 ID:X539Mal/0
984名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:29:19.24 ID:3Wrjj8QXO
うめ
985名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:32:58.33 ID:3Wrjj8QXO
うめ
986名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:36:25.61 ID:3Wrjj8QXO
うめ
987名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:37:30.17 ID:3Wrjj8QXO
>>980 ありがとう!
ちょっと心がおれかけてた
988名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:40:08.78 ID:3Wrjj8QXO
うめ
989名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:41:03.79 ID:L729rv5/0
990名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:42:23.58 ID:qsoBZKiT0
インフルエンザが流行ってるんだって
991名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:42:59.03 ID:3Wrjj8QXO
うめ
992名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:44:55.47 ID:3Wrjj8QXO
うめ
993名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:45:19.98 ID:nQ54XGSb0
もうちょい!
994名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:48:31.37 ID:txMfarVT0
産め
995名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:49:24.15 ID:eC+sCqmx0
うめ
996名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:49:58.32 ID:OtVlnMek0
生まれたーヽ(^0^)ノ
997名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:51:24.97 ID:Aqqy7wn60
おめー
998名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:52:09.79 ID:qsoBZKiT0
1000やったらずっとこの話が続きますように!
999名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:55:49.74 ID:3Wrjj8QXO
うめ
1000名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:56:31.97 ID:WHT/DGON0
1000ならおれの病気なおる!
10011001
 *     +    巛 ヽ
            〒 !   +    。     +    。     *     。
      +    。  |  |
   *     +   / /   イヤッッホォォォオオォオウ!
       ∧_∧ / /
      (´∀` / / +    。     +    。   *     。
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 ガタン ||| j  / |  | |||
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ま、これをVIPタスが落とすのは無理やね(^_^;)