1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 21:13:21.35 ID:lZiEnFSd0
流ロクですか
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 21:14:14.97 ID:3UezARYo0
/⌒ヽ
___( ( ^ω^)___
>>1ありがとうだお
/ \  ̄ ̄ ̄__\
.<\※ \____|\____ヽ
ヽ\ ※ ※ ※| |====B=|
\`ー──-.|\|___l__◎..|ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄| .| ̄ ̄ ̄ ̄|
\| |〜
_________
/ ブーン系小説 /
/紅白年末短編合戦 /
/ 2011参加作品 / バタンッ!
/_________/
/ \ ※ ※__\
.<\※ \_____※___|\____ヽ
ヽ\ ※ ※ ※| |====B=|<はじまるよ!
\`ー──-.|\|___l__◎..|ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄| .| ̄ ̄ ̄ ̄|
\| |〜
4 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:16:31.81 ID:3UezARYo0
┌───────────────────────────
│ o 。 o
│ ;;', 。 。 † 。 。 o
│ ,;,;;;「i o i"'i 。 。
│ ;;;),,;;\ _ 。 l l 。 o l
│ ヾ,,)ヾ)\|:::::| ,,-"l ,;\ io | 。 /";;;--,,_
│ ,,;;ゞ::;;;)┴\,|'-_ | ヘ,: l:::::| 。 ,ヘ /ヽ i ∠;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
│ ヾ);"ヾ),;"┴\;;;;,ヘ-,,| l,l|: l:::::| 。|,,l'";,,日::ヽ/\`l;, 田 田:::
│ );;;ヾ)ヾ")┬┴\::::::::''、ソ-、:::::|, /,,-'',,:. ::\/:日_ゝ ::. .. :;
│ ;;))ヾ",__,,;;┬┴\/;ヽ,-ヽ.∧二\l,,ム\、,,--'',,,,_;;'| 田 田 ::
│ ;;ヾ::::,,////ヽ;;,,;.:┬|/|:::ヽ:::::lΠl,,(;;;, / ",, |::::::/ノノ、ノ""''''--,,,,_
│ ヾ);;)/////ヾ\ ┴|/|'、:::lγヽ(ヾ(;;,,ゞ ,,, |:::/ノノ、入入入入入/::
│ |Vvvwi,iir、;^;;|┴┬|/|ii|:::l |:::::|;;,,(ヾ,,::) ;;,,) |/ノ、ノ、入入入入/┴::
│ r'i"i,,i-i,ii| |==|┬┴|/|ii|:::l |:::::|(ヾ;;;ヾ),;ヾ:;;ヾ)"''-,,_ノ、入入/┴┬::
│ r'i"i,,i-i,ii|_|==|┴┬|/""''''''---;;;;;;lトli (ヾ;;(::) ;;,, "''-_/┴┬┴::
│ r'i"i,,i-i/i,==|;;;,,-''" ,,、 ⌒ヽl;;:; ;;::. ";;. ,|┴┬┴┬::
│ r'i"i-i'l:::::i';;;;;/ ノヘヽ γ"'; . . : |┬┴┬┴::
│ /iツ"i:::::l/ "⌒"'"⌒ ,, ~ ヽ l | 、 ,;;|┴┬┴┬::
│ : : l/./ ⌒" ヽl |:. ...|┬┴┬┴::
│ ::::::/,;ゝ ''"'' ,, ヽ |;,.; ,|┴┬┴┬::
│ /ヽ' "'' '''""'' ヽl .: |┬┴┬┴::
│ ,,,_ \ ,:|┴┬┴┬::
│ ⌒⌒ ''""'' ⌒
└───────────────────────────
5 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:18:47.89 ID:3UezARYo0
この日は雪が降りしきっていた。
冬の白に包まれた町、住人達は各々の家で暖をとっているようだ。
そんな中、レンガ造りの家が建ち並ぶ道を歩く影が、一つだけ。
( ´∀`)「ふぅ…」
防寒着で身を固めているものの、やはり寒さは苦手らしく、
身を丸めながら歩いている。
旅人であるモナーは、既に40を越している初老の男だ。
( ´∀`)(この旅をどれだけ続けたら、寒さに慣れるモナ?)
しばらく歩くと、「宿屋・雪空の流星」と書かれた看板が目に入った。
( ´∀`)「!」
助かった。
寝床が見つかった事に安堵しながら、モナーは扉を開く。
6 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:21:53.02 ID:3UezARYo0
(*゚ー゚)「いらっしゃいませー」
開くなり、受付台から女性の挨拶。若々しい声と外見をしている。
受付らしい。
(*゚ー゚)「お名前は?」
( ´∀`)「モナーだモナ」
(*゚ー゚)「何泊されます?」
( ´∀`)「一泊でお願いするモナ」
言い、硬貨を受付台に置く。
(*゚ー゚)「ありがとうございましたー。
部屋の準備をするので、あちらの椅子へお掛けになって下さーい」
見ると、暖炉の前に丸いテーブル、三つの椅子が置いてある。
7 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:24:10.15 ID:3UezARYo0
( ´∀`)「分かったモナ」
モナーがその内の一つに座ると椅子から軋む音、随分と古いようだ。
火をくべられた暖炉から温もりが伝わり、頬が緩む。
ロビーを見回す。
入口から正面の白い壁には、大きな絵が掛けられていた。
大きな常緑樹が描かれており、茶色の額縁は綺麗に磨かれている。
( ´∀`)「ほー」
柔らかいタッチと繊細な色使いに、モナーは思わず目を引き寄せられた。
ミ,,゚Д゚彡「こんにちわ」
( ´∀`)「こんにちわモナ」
8 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:26:10.90 ID:3UezARYo0
歳はモナーと同程度だろうか。
顎に髭を蓄えた男が、モナーの隣に座る。
ミ,,゚Д゚彡「宿屋の主、ギコといいます。宜しく」
( ´∀`)「モナ」
力強い握手。ギコは逞しい腕をしていた。
ミ,,゚Д゚彡「旅の方ですか?」
( ´∀`)「そうモナ」
ミ,,゚Д゚彡「寒かったでしょう。どうぞ」
テーブルにことん、とコップが置かれる。
湯気が立ちのぼっている、温かそうなミルクだ。
( ´∀`)「頂きますモナ」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 21:27:04.61 ID:7VG6OgfvO
俺は流星の絆かと
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 21:27:55.65 ID:yBu8o4H9O
( ^ω^)しえん
11 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:28:15.54 ID:3UezARYo0
口を付けてごくりと飲み込と、
モナーの凍えていた体が芯まで温められるようだった。
(*´∀`)「ふー」
ミ,,゚Д゚彡「…そうだ、この町の外れに丘があるのを知ってますか?」
( ´∀`)「知らないモナ」
ミ,,゚Д゚彡「『星の丘』という名前でしてね。それにまつわる不思議な話があるんですよ」
( ´∀`)「聞かせてもらっても良いモナ?」
ミ,,゚Д゚彡「いいですよ」
モナーは各地を旅して回ってきた。
土地にまつわる伝説やその類の話になると、つい好奇心が湧き上がってくるのだ。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 21:28:34.16 ID:l44OCfBXO
支援
13 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:30:24.31 ID:3UezARYo0
ミ,,゚Д゚彡「これは、私がまだまだ若かった頃の話で―――」
突風が窓を打ちつけた。雪はまだ止まないだろう。
再びコップに口を付けながら、モナーは耳を傾ける。
流星の
/⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃
| /
( ヽノ
ノ>ノ ブーンのようです
三 レレ
14 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:32:31.54 ID:3UezARYo0
――15年前――
その日は珍しく雪が降らなかった。
柔らかな日差しが照らす昼下がり、レンガ造りの建物が建ち並ぶ雪道に子供が1人。
( ・∀・)「ふっ、ふっ」
赤いマフラーと白いコートを見につけ、顔に笑みを浮かべた少年。
モララーが、小走りに駆けている。
その様子は健康そのもので、「元気な子供」のお手本と言っても良いくらいだ。
( ・∀・)「こんにちわー!」
「ちょっと待っててー」
子供の声。
「宿屋・雪空」と書かれた看板の傍で、モララーはそわそわしながら待つ。
15 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:34:36.06 ID:3UezARYo0
ξ゚听)ξ「おまたせー」
扉から、亜麻色の髪をした少女が飛び出す。
モララーの幼馴染、ツン。
顔を合わせ、二人は顔を綻ばせる。
( ・∀・)「絵はもうできたの?」
ξ゚听)ξ「ううん、まだ。でも、出発するまでには出来そう」
( ・∀・)「本当!?」
ξ゚听)ξ「うん。朝までにはね」
( ・∀・)「朝になったらもう、引っ越しちゃうんだ…」
ξ゚听)ξ「うん」
モララーは少しだけ寂しげな顔をする。
本当は離れたくないのだが、仕方のないことだった。
16 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:36:39.58 ID:3UezARYo0
予定通りなら既に引っ越しているのだが、
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
ξ゚听)ξ「えー明後日出発するの?」
ζ(゚ー゚*ζ「そうよ、あまりあちらを待たせる訳にもいかないからね」
ξ゚听)ξ「まだしたい事あるのに」
ζ(゚ー゚*ζ「何をしたいの?」
ξ゚听)ξ「この街の絵を描きたいの」
ζ(゚ー゚*ζ「言ったでしょ、あまり待たせる訳にもいかないの。ここはきちんと…」
ξ#゚听)ξ「やだー!」
ζ(゚ー゚*ζ「ちょっとツンちゃん」
ヾξ#><)ξノシ「やだー!いつ帰ってこれるか分からないじゃない!」
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
17 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:38:47.39 ID:3UezARYo0
ツンが必死に懇願した為、なんとか両親に引き延ばしてもらっている。
( ・∀・)「凄い画家さんなんだっけ」
ξ゚听)ξ「そ」
その画家に弟子入りし、絵の腕を上達させる為。
昔から絵を描くことが好きだったツンには、「将来は凄い画家になる」という夢がある。
( ・∀・)「いつ頃、帰ってくるの?」
ξ゚听)ξ「わかんない…」
向こう数年は帰ってこない、という事は分かっていた。
( ・∀・)「…そっか。でも楽しみにしてるよ」
ξ゚ー゚)ξ「ありがとう」
礼を言ったツンが白い歯をこぼした瞬間、
青い空を何かが駆け抜けた。
18 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:40:50.72 ID:3UezARYo0
ξ゚听)ξ「なにあれ?」
白い何かが、矢のように丘の方へ向かっていく。
その光景を見ていたのは、ツンただ一人。
( ・∀・)「うん?」
ξ゚听)ξ「今、何か飛んでった」
( ・∀・)「どこに?」
ξ゚听)ξ「丘の方に」
( ・∀・)「ほんと?行ってみる!」
ξ;゚听)ξ「ちょっと!」
モララーが好奇心を抑えきれず一目散に走り出し、
ツンも後に続いた。
19 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:42:57.62 ID:3UezARYo0
―丘―
町の外れにある小高い丘には、ツンの家から小走り10分程度でたどり着く。
( ・∀・)「ふー」
モララーは白い息を吐き、足を止めた。
目の前には大木が一つ。
常緑樹。
冬であるにも関わらず緑をたたえたその姿は、
強い生命力の象徴とも言われている。
( ・∀・)(…)
背丈の五倍はあるだろう。
見上げ、感嘆の息を漏らす。
( ・∀・)「そうだ!あれは…」
20 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:44:59.96 ID:3UezARYo0
辺りを見回すが、妙なものは何もない。
雪に覆われた草原、そびえる大木。
丘の様子は、いつもと全く変わっていない。
それもそうだ。
「何か」は丘の方に向かったものの、落ちた音は全くしなかった。
ξ;゚听)ξ「はぁ、はぁ」
息を切らしたツンが、遅れて到着した。
同じく、防寒着に身を包んでいる。
( ・∀・)「うん?」
モララーが、何かを見つけた。
何かが。人間の形をした何かが、両手を広げて走っている。
21 :
忍法帖【Lv=4,xxxP】 :2011/12/28(水) 21:46:15.86 ID:3BknId690
支援
22 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:46:58.29 ID:3UezARYo0
/⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃
| / ブーン
( ヽノ
ノ>ノ
三 レレ
( ・∀・)
ξ゚听)ξ
背丈はモララー達とほぼ同じ。
真っ白な体に、ニヤけたような顔。
落書きを具現化したような生物が、雪原の上を走り回っていた。
ξ;゚听)ξ(なにあれ?)
⊂二二二( ^ω^)二⊃「ぶーん!」
動揺している所へ、白い生物が迫る。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 21:47:48.24 ID:TteoM/TA0
流星のロックマンじゃないのか
24 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:48:58.22 ID:3UezARYo0
(;・∀・)「わっ!」
突然の動きに身動きが取れないでいたが、白い生物は目の前で止まった。
( ^ω^)「君達は誰だお?」
(;・∀・)「えーと、僕はモララー」
ξ;゚听)ξ「…ツン」
( ^ω^)「おっおっwww僕はブーンだお!人に会うなんて久し振りだおwww」
ブーンは人に会うのが余程嬉しいのか、ひとしきり笑う。
笑い方も喋り方も、まるで人間のようだ。
( ・∀・)「それで、ブーンは何なの?」
( ^ω^)「おっ…精霊みたいなもんだおwwwこの時期になると遊びに来るんだおwww」
( ・∀・)「へー。いつもは何してるの?」
25 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:51:10.58 ID:3UezARYo0
( ^ω^)「空の上にいるお」
ξ;゚听)ξ「え、本当?」
( ^ω^)「本当だお!何でこの時期、ここに来るのかは秘密だお」
( ・∀・)「教えてよー」
( ^ω^)「無理だお」
ξ゚听)ξ「教えて!」
( ^ω^)「無理だお」
―数分後―
( ・∀・)「お願いだから教えて!」
( ´ω`)「お母さんかお父さんに聞いてくれお…」
( ・∀・)「分かった!そうする!」
26 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:53:52.28 ID:3UezARYo0
延々と続く二人の質問攻めに、ブーンは疲れたようだ。
ξ゚听)ξ「ブーンはどれくらい前からいるの?」
( ^ω^)「君達が生まれる、ずーーーっと前からだお」
( ・∀・)「そうなんだ。寂しくないの?」
一人は、寂しい。
モララーは自分の経験から、ずっとそう思っていた。
( ^ω^)「…寂しくないお。遠くから見てるだけで、いいんだお」
( ・∀・)「ふうん」
ξ゚听)ξ「モララー君、そろそろ帰ろうよ」
( ・∀・)「あ、そうだね。じゃあ、また来るよ」
( ^ω^)ノシ「ばいぶー」
もうすぐ「おやつの時間」だ、と言いながら、二人は丘を駆け降りた。
27 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:56:08.36 ID:3UezARYo0
―その日の夜―
(,,゚Д゚)「今日も寒かったなゴルァ!」
(*゚ー゚)「そうだねー」
( ・∀・)「うん」
暖炉の火で温まりながら、テーブルを囲んでの談話。
(,,゚Д゚)(それにしても、あれから…)
3年前。ギコ、しぃという若い夫婦がこの街に来た時、捨て子だったモララーを見つけ、
養子として招くことにした。
血は繋がっていなくとも、今はすっかり懐いている。
本当の親子のようだ。
( ・∀・)「そうだ!今日、『星の丘』で精霊さんに会ったんだ」
28 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 21:58:08.15 ID:3UezARYo0
(*゚ー゚)「こんな事言ってるのよ。どう思う?」
(,,゚Д゚)「…分からんな。
この時期はいつも大雪になるから、殆ど外に出た事無かったんだよ。
今年みたいなのは珍しい」
( ・∀・)「そーなの?」
(,,゚Д゚)「ああ。もしかしたらその精霊、言い伝えと関係があったりしてな」
(*゚ー゚)「言い伝えと?」
しぃが困惑を顔に浮かべる。
(,,゚Д゚)「当てずっぽうだがな。星の丘にまつわる話を聞いた事があるか?」
( ・∀・)「年末の日に星の丘で流れ星を見ると、願いが叶うってやつだっけ?」
(,,゚Д゚)「そう。正確には大晦日一週間前までの、真夜中だ」
いつから語り継がれているのか分からない言い伝え。
29 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:00:24.19 ID:3UezARYo0
確かにこの時期は流れ星を見る事が出来るが、
雪という天候のお陰で、「丘の上で流れ星を見る」ということは無理に等しい。
( ・∀・)「年末」
(*゚ー゚)「あと3日で新年ねー」
( ・∀・)「でも、年末は星なんて見えないよね」
(,,゚Д゚)「大雪になるからな。
今まで、言い伝えを間に受けて丘に行った奴は殆どいないらしい」
(*゚ー゚)「じゃあ何で、そんな言い伝えが生まれたのかしらね」
(,,゚Д゚)「さあな。前は、雪が降らなかったんじゃないか?」
( ・∀・)(あ…そうだ)
明日、ブーンに聞いてみよう。そうしよう。
モララーは何度も頷き、明日を楽しみにして毛布にくるまった。
30 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:02:37.40 ID:3UezARYo0
―翌日の朝―
今日の天気も珍しく快晴で、
昨日と同じく、澄み渡った青空が広がっている。
( ・∀・)「おはようございまーす!」
黒い門扉の前で叫ぶ。
すぐさま、向う側から威勢の良い声が発せられた。
「ちょっと待っててくれー」
( ・∀・)「はーい!」
モララーはおつかいを頼まれていた。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
(*゚ー゚)「じゃがいもを買って、すぐに戻ってきてねー」
( ・∀・)「はーい」
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
31 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:04:43.30 ID:3UezARYo0
しばらく待つと、がちゃん、と扉が開いた。
向こう側で気の優しそうな青年が、
『食料品店デミタス』と書かれた看板を用意している。
(´・_ゝ・`)「おはよう」
( ・∀・)「おはようございまーす」
(´・_ゝ・`)「今日は何を?」
( ・∀・)「じゃがいもありますか?」
(´・_ゝ・`)「今日は沢山あるな」
看板の通り、この店はデミタスという青年が一人で切り盛りしている。
( ・∀・)「おー」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 22:05:35.68 ID:BhTChZz80
支援
33 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:06:49.12 ID:3UezARYo0
品物―――主に野菜の入った木箱がずらりと並んでいる。
あるものは床に、あるものは棚の上に。
目当ての箱には、ジャガイモが溢れそうなほど積まれていた。
( ・∀・)「これでお願いしまーす」
じゃがいもを6つ程と、硬貨を差し出した。
(´・_ゝ・`)「まいど」
( ・∀・)「ありがとうございまーす!」
店を飛び出す。
帰路に就こうとしたモララーだったが、ある事を思い出し立ち止まる。
34 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:08:41.42 ID:3UezARYo0
( ・∀・)「ブーンに聞かないと」
『星の丘』の言い伝え。
ブーンなら、いろいろと知っているかも知れない。
よし、と呟くとモララーは走り出した。
―星の丘―
一面が銀世界。
丘を覆っている雪が溶け出す気配は、一向に無い。
足跡をつけながら、ざくざくと丘を登る。
( ・∀・)「ふー」
頂上。
大木に寄り掛かると、両手を広げて走ってくるブーンが見えた。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 22:09:49.67 ID:WdK9Q6Q70
36 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:10:22.32 ID:3UezARYo0
⊂二二二( ^ω^)二⊃「ぶーん!」
( ・∀・)「ブーン!」
昨日と同じように、目の前でブーンは立ち止まる。
( ^ω^)「おっ。どうしたお?」
( ・∀・)「ちょっと聞きたい事があるんだけど、良い?」
( ^ω^)「良いお!何だお?」
( ・∀・)「『星の丘』の言い伝えで、何か知ってる事はない?」
しばしの沈黙。
ひゅう、と風が吹いて雪が舞い、ブーンは言葉を返す。
( ^ω^)「…知ってるお。でも、そういう言い伝えがあることしか僕は知らないお」
( ・∀・)「そっかー…残念」
37 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:12:11.07 ID:3UezARYo0
( ^ω^)「何かして遊ぶお!雪だるま作るお!」
間髪入れず、ブーンが声を上げる。
( ・∀・)「分かった」
モララーの返事を皮切りに、二人はせっせと雪をかき集め始めた。
―十分後―
(;・∀・)「ふー…」
( ^ω^)「出来たお!」
/⌒ヽ
\.(´・ω・`)'/
Y Y
i i
ヽ、___ノ
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 22:12:52.70 ID:HKdLeEL40
>>2 俺もウォーロックが出てくるものかと思った……
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 22:13:06.33 ID:BhTChZz80
/⌒ヽ
\.(^o^)'/人生オワタ
Y Y
i i
ヽ、___ノ
40 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:14:11.21 ID:3UezARYo0
モララー達より一回り小さい雪だるま。
顔や手は、落ちていた木の枝でこしらえてある。
( ・∀・)「何だかしょんぼりとしてる気がするのは気のせいかな」
( ^ω^)「気のせいだお!喜んでるお!」
/⌒ヽ
\.(´・ω・`)'/
( ・∀・)「じゃ、これも」
モララーは首に巻いていた赤いマフラーを、雪だるまに巻く。
あとはバケツがあれば完璧だ、と思った二人だったが、生憎それは無かった。
( ^ω^)「寒くないのかお?」
( ・∀・)「平気平気!…あっ」
41 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:15:55.97 ID:3UezARYo0
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
「すぐに戻ってきてねー」
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
ヾ(・∀・ )「おっと、ごめん。今日はもう帰るよ!じゃーね!」
母の言葉を思い出すと、モララーは丘を駆け降りた。
( ^ω^)ノシ「ばいぶー!…あっ」
何も持たずに。
( ・∀・)(早く家に帰らないと…そうだ!)
( ・∀・)(ツンちゃんの家にも寄っておこうっと)
42 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:20:03.17 ID:3UezARYo0
ツンとはもうすぐ会えなくなる。
今の内に少しでも、話したり遊んだりしておきたかった。
( ・∀・)「ふっ、ふっ」
スピードを上げて雪道を走り続ける。
走り、所々で止まり、空を見上げると、
東の方に雲が漂っているのが見えた。
モララーは雪が降ってくるのか心配になったが、宿屋はもうすぐだ。
急ぐ。
(;・∀・)「おわっ!」
滑った。
つるっと滑った。
前のめりに倒れ、雪に顔が埋もれる。
( )「冷たっ…」
そんなモララーの頭の先、がちゃりと扉が開く。
43 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:21:39.44 ID:3UezARYo0
ζ(゚ー゚*ζ「誰?」
ツンと同じ亜麻色の髪をした女性が扉から顔を覗かせ、
その声を聞いた途端、モララーが飛び起きた。
( ・∀・)「こんにちはー!」
ζ(゚ー゚*ζ「あら、モララー君。どうしたの?」
ツンの母親であるデレが、笑顔で問いかける。
( ・∀・)「ツンちゃんいます?」
ζ(゚- ゚*ζ「ごめんね。ツン、風邪を引いちゃって、今は出られないの。
昨日無理したみたいで…」
デレが、不安げな顔になった。
娘の事が心配なのだろう。
(;・∀・)「そんな…じゃあ、絵は?」
sien
45 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:23:07.72 ID:3UezARYo0
ζ(゚- ゚*ζ「多分、出来ないと思うわ…夜から雪も降って、寒くなるみたいだから。
残念だけど」
(;・∀・)「そんな…」
モララーは焦った。
自分が絵を見る事が出来ない、という事はどうでも良かった。
ツンが絵を完成させる事が出来ない、という現実が、深く胸に突き刺さる。
(;・∀・)(どうしたら…)
「モララァーーーーーーーーーーーッ!!」
46 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:24:56.32 ID:3UezARYo0
悩んでいる所に突然、怒号が聞こえ、モララーは一瞬だけ身を震わせる。
母親の声だった。
(;・∀・)「えっと、あっと、じゃあ、さようなら!」
ζ(゚ー゚*ζ「またねー」
焦りにまみれながらモララーは走り出すが、
雪道を滑らずに全力疾走するのは骨が折れる。
何度も立ち止まりながら、脇目も振らず家へ急いだ。
(;・∀・)「ただいまー…」
(*゚ー゚)「…」
(;・∀・)「…」
(#゚ー゚)「どこ行ってたの?」
47 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:26:36.53 ID:3UezARYo0
母親からの、明らかな怒気が込められた声。
口は笑っていても目が笑っていない。
その様子に、モララーはすっかり委縮してしまう。
(;・∀・)「ツンちゃんの家…と…星の丘に…」
(#゚ー゚)「で、お つ か い は ?」
(;・∀・)「もちろん行って…あっ」
気付いてしまった。
星の丘に、じゃがいもの入った袋を忘れてしまった事を。
まずい、まずい。どうしよう。
心の中に不安が巡る。
下手に嘘をついてもすぐにバレてしまう事は、モララーも分かっていた。
(;・∀・)「丘に忘れt(#゚ー゚)「取りに行ってきなさい!!」
48 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:28:19.73 ID:3UezARYo0
―夜―
(,,゚Д゚)「それは運が悪かったなゴルァ!」
(*゚ー゚)「甘い。運の問題じゃ済まされないよ」
( ・∀・)「ごめんなさーい…」
じゃがいものスープで温まりながら、テーブルを囲んでの談話。
しかし、モララーは浮かない顔をしている。
おつかいの件で怒られている事と、ツンが絵を描けなくなった事。
二つの事実が、気持ちを落ち込ませていた。
(*゚ー゚)「そうだ、宿屋の引き継ぎは終わったの?」
ツンの両親が経営している宿屋「雪空」。
引っ越しに伴い、
家族ぐるみの付き合いをしてきたギコ達が引き継ぐことになっていた。
49 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:30:02.57 ID:3UezARYo0
(,,゚Д゚)「ああ、終わった。引き継ぎはな」
(*゚ー゚)「他に何かあるの?」
(,,゚Д゚)「この期に、宿屋の名前を変えようと思ってな。
宿屋なのに「雪空」ってのは、どうも良くないと思うんだよ」
宿屋は、人が温まり、安息を得られる場所。
その名称から寒さを感じれば入り辛くなってしまうだろう、とギコは感じていた。
(*゚ー゚)「確かにそうねー。何か無いかなあ」
(,,゚Д゚)「明後日には宿屋を開く。それまでに、何か考えてくれないか。
もちろん俺も考える」
50 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:31:40.51 ID:3UezARYo0
二人の会話を尻目に、モララーは考えていた。
どうするべきか。
(;-∀-)(言い伝え…)
星の丘で、流れ星を見る事が出来れば。
言い伝えが、本当ならば。
願いを叶えられるかもしれない。
( -∀-)(いや…)
かも知れない、じゃない。
願いを叶えないといけない。
そうしなければ、モララーにとって、あまりにもツンが可哀想だから。
shen
52 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:33:20.84 ID:3UezARYo0
( ・∀・)(もし流れ星が見られなかったら、その時は…)
(,,゚Д゚)「もう時間だな。寝るぞゴルァ!」
( ・∀・)「はい」
外ではもう雪が降っている。
これから、風も強くなるだろう。
( ・∀・)(大丈夫。大丈夫)
願いを叶える為だ。
絶対にやってやる。
無意識に呟き、モララーは毛布の中に潜る。
53 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:35:15.28 ID:3UezARYo0
―真夜中―
暖炉の火はとうに消えている。
モララーは毛布から這い出ると、身を切るような寒さに包み込まれた。
( ・∀・)(さむい…マフラーは)
そこで思い出す。
マフラーは雪だるまに巻いたままだ。
( ・∀・)(仕方ないか)
音を立てないように忍び足で歩く。
入口に掛けたままの白いコートを羽織り、ドアを開けて外へ。
( ・∀・)(うわ)
外は吹雪。
風と雪が荒れ狂い、寒さも一段と増している。
54 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:36:18.00 ID:3UezARYo0
手袋はしているがいつものマフラーはない。
星の丘まで辿り着けるかは、分からない。
( ・∀・)(やってやる)
大丈夫だ。そう言い聞かせて、自分を奮い立たせた。
55 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:38:09.77 ID:3UezARYo0
―十数分後―
ざくざくと、一歩一歩踏みしめながら歩く。
強い熱意を心に抱えて。
(iil・∀・)「うぅ」
しかし、いくら自分を鼓舞した所で寒さを凌げるわけではない。
絶え間なく吹き荒れる雪と寒気は、否応なくモララーの体温を奪う。
(iil・∀・)(もう少し、もう少し)
もう丘の麓まで来ている。
大木のある頂上まで、あともう少しだ。
もう少し。そう、思った所で。
⊂二二二( ^ω^)二⊃「ぶーん!」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 22:38:29.68 ID:HKdLeEL40
おとぎ話的な
57 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:39:45.62 ID:3UezARYo0
白い妖精、ブーンが現れた。
吹きすさぶ雪をものともせず、雪原を走り回っている。
(iil・∀・)「おーい!ブーン!」
モララーが必死で声を絞り出す。
どうやらそれは届いたようで、一直線にブーンが向かってきた。
⊂二二二(;^ω^)二⊃「どうしたんだお?大丈夫かお?」
表情はよく読み取れないが、心配そうな顔だ。
(iil・∀・)「願い事を」
(;^ω^)「!!…そうまでして、何を願うんだお?」
(iil・∀・)「ツンに」
(;^ω^)「ツン?」
(iil・∀・)「幼馴染。…絵を、描かせて、あげたくて」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 22:40:35.32 ID:BhTChZz80
( ;∀;) イイハナシダナー
59 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:41:23.79 ID:3UezARYo0
(;^ω^)「なんでそこまで…?」
(iil・∀・)「風邪引いてて」
ツンが明日、この町から引っ越してしまう事。
風邪を引いてしまって、絵が描けない事。
明日の朝出発するまでに、この町の絵を完成させてあげたい事。
幼い頃からの仲で、本当は離れたくない事。
震えた声で、それでも強い意志を持って、理由を並べた。
(;^ω^)「でもこのままじゃ」
このままではモララーの体が持たない恐れがある。
(iil・∀・)「分かってる。でも見ないといけないんだ、流れ星」
良作のヨカーン
61 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:42:52.31 ID:3UezARYo0
(;^ω^)「…」
ブーンは悩む。
どうするべきか。
モララーが流れ星を見れば、願いを叶えられるかも知れない。
しかし、例え叶ったとしても、丘から帰還できるかは分からない。
この寒さだ、既に体力は残り少ないだろう。
吹雪の中、ここまで来てくれたモララーの思いを、
無駄にする訳にはいかない。
でも。
繰り返して欲しくない。
( ^ω^)「ごめんお。少しだけ待っててくれお」
言葉を発した直後、ブーンの体はそこから消えていた。
62 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:44:36.85 ID:3UezARYo0
(;*゚ー゚)「ギコ起きて!モララーがいないの!」
しぃが、あたふたして揺さぶる。
声を聞いたギコはすぐさま飛び起きた。
(,,゚Д゚)「なにぃ!?」
(;*゚ー゚)「最初は気のせいかと思って寝たんだけど、後で起きたら」
(,,゚Д゚)「まさか」
ギコはピンときた。
星の丘。それしかない。
(;,,゚Д゚)「くそっ、何でこんな雪の中」
窓の外は未だ強く吹雪いているが、そんな事は気にしていられない。
息子が無事でいるかどうかは、分からないからだ。
ドアの方へ駆け寄り、足を踏み出そうとした瞬間
その瞬間・・・!
64 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:46:05.24 ID:3UezARYo0
――こん。こん。
(,,゚Д゚)「モララーか!?」
ノックが聞こえ、慌ててドアを開ける。
しかし誰もいなかった。
「人」は。
..::::::::::::.
..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
::::::::::::::::;
:::::::::::::;
.::::::::;
::::::;
小さな影が、家から離れていったのだ。
それは真っすぐに、丘の方へ向かっていく。
まるで二人を呼ぶように。
65 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:47:45.53 ID:3UezARYo0
(;,,゚Д゚)「…行くぞ!」
(;*゚ー゚)「うん!」
いくら雪が吹きつけようが、関係ない。
二人は必死で、一筋の希望を追いかけた。
(;,,゚Д゚)(どうかモララーを…)
(;*゚ー゚)(どうか…)
(iil・∀・)(…どうか、ツンに…)
吹雪の中、三人が願っていた。
一致せずとも、思いの強さは変わらない。
あとは―――
66 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:49:53.79 ID:3UezARYo0
( ^ω^)(やってやるお)
自分が願いを叶えるだけだ。
「二人」の願いを。
( ^ω^)「モララー。少しだけ話をしても良いかお?」
(iil・∀・)「良いよ…なに?」
( ^ω^)「僕も…前に、誰かの願いを叶えたくて、遠い所からここまで来たお。
でも、いくら待っても流れ星なんて見えなかったお」
( ^ω^)「その内眠たくなって、目が覚めたらこんな姿になってたお。
目が覚めた時、僕は、人の願いを叶えられるようになった事に気が付いたんだお」
(iil・∀・)「…」
( ^ω^)「『君の為』に、僕は願いを叶えるお。だから」
67 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:51:50.49 ID:3UezARYo0
( ^ω^)「ごめんだお。君の願いは叶えられないお」
(iil;∀;)「そんな…」
予想だにしなかったブーンの返答に、モララーは涙した。
ツンの願いを叶えてあげたかった。ただ、それだけだった。
ここまでやったことが全て無駄になったような気がして、
とめどなく涙がこぼれた。
( ^ω^)「願い事は一つしか叶えられないお」
(iil;∀;)
( ^ω^)「だから、今から願いを『叶えに行く』お」
(iil;∀;)「どこ、に?」
^ω^)「決まってるお」
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 22:51:55.07 ID:BhTChZz80
支援
消えとる
70 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:53:29.16 ID:3UezARYo0
(iil;∀;)「あ―――」
ブーンの姿が消える。
同時に、モララーの瞼が重くなっていく。
瞼を閉じる直前、曇った世界の片隅。
流星が眩い光を放ちながら、雪空を流れていった。
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 22:54:41.82 ID:Q20ToD2G0
流れ星ブーンだお
72 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:54:49.47 ID:3UezARYo0
――現在――
―宿屋「雪空の流星」―
( ´∀`)「…」
ミ,,゚Д゚彡「これで終わりです。…おや、もうすぐ夜ですね」
( ´∀`)「…モララー君はその後、どうなったんだモナ?」
恐る恐る、モナーは問う。
ミ,,゚Д゚彡「今、ここにはいないですね」
ギコの返答は随分とさっぱりしており、悲しんでいる様子もない。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 22:55:40.72 ID:BhTChZz80
( ゚д゚)
74 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:56:17.11 ID:3UezARYo0
(;´∀`)「そうモナか・・・」
ミ,,゚Д゚彡「あの日まで、あと二週間です。もうすぐ帰ってきますよ」
(;´∀`)「・・・」
その言葉に、モナーはいたたまれなくなる。
(;´∀`)「ちょっと席を外すモナ」
ミ,,゚Д゚彡「お腹がすいたのならば、じゃがいものスープでもお作りしますよ」
(;´∀`)「違うモナ。ちょっとトイレに…」
重苦しい沈黙を感じたモナーが立ち上がる、そこで。
入口のドアが勢いよく開けられた。
75 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:58:37.06 ID:3UezARYo0
( ・∀・)ノ「ただいまー!」
ミ,,゚Д゚彡「遅いぞゴルァ!モララー!」
(;´∀`)「!?」
76 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 22:59:39.22 ID:3UezARYo0
(;´∀`)「えーっと?」
突然現れた青年と呼ばれた名前に対して、モナーは面食らう。
額に手を当てながら、話の内容を思い出し始めた。
( ・∀・)「こんにちわー…って、大丈夫ですか?」
モララーが気遣いの声をかける。
(;´∀`)「えっと、失礼するモナ…生きておられるモナ?」
( ・∀・)「うん?」
質問に困惑するモララー。
( ・∀・)「父さん、また僕の昔話して、また誤解を招くような言い方した?」
「また」を強調して言う。
ミ,,゚Д゚彡「あー…すまんかった」
時は経って・・・
78 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:01:24.20 ID:3UezARYo0
(;・∀・)「何やってるんだよ、まったく」
溜息を吐きながら立ち尽くし、首に巻かれた赤いマフラーを外す。
サイズの合っていない、まるで子供用のマフラー。
( ´∀`)「びっくりしたモナ…うーん、じゃあ…
この宿屋の名前はモララー君が考えたモナ?」
( ・∀・)「そうなんですよー。良いと思いません?流星って。
子供の頃、雪が降ってるのに流れ星が見えた事がありましてね、
そこから考えました」
ミ,,゚Д゚彡「私には見えませんでしたがね」
( ・∀・)「僕には見えましたけどね!」
ミ,,゚Д゚彡「モララーがこう言うのなら、そうなんでしょうね」
79 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:03:02.91 ID:3UezARYo0
モララーがギコの隣に座った。
手に持っていたミルクを飲み干し、息を吐く。
( ・∀・)「そうだ。今日の真夜中、星の丘に行きませんか?
ちょっと、やりたいことがありましてね」
( ´∀`)「…いいモナか?」
せっかくの「星の丘」なのだから一人で行きたいだろう、
と思っていたモナーは、あえて控えめに言う。
( ・∀・)「構いませんよ。
せっかくの言い伝えの日ですから、ここに来た記念にでもなれば」
( ´∀`)「ありがとうだモナ」
どうやら今日は良い夜になりそうだ。
はやる気持ちをしまい込み、モナーは談笑を続けた。
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 23:03:50.59 ID:BhTChZz80
支援
81 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:04:49.32 ID:3UezARYo0
―夜―
満月が照らす真夜中、薄く雪が積もった道を歩く男が二人。
( ・∀・)「もうすぐ着きますよ」
白いコートと、やけに小さな赤いマフラーを首に巻いた青年。
( ´∀`)「そうみたいだモナ」
紺色の防寒着を何枚も重ねた、穏やかな表情を崩さない初老の男。
足取りは軽い。天候も穏やかだ。
( ・∀・)(あの日とは全く違うな)
モララーは感傷にふけりながら、歩みを進める。
( ´∀`)「頂上についたモナ」
82 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:06:17.27 ID:3UezARYo0
丘の頂上。
相変わらず大きな常緑樹が、一本だけ立っている。
( ・∀・)(変わらないなぁ)
大木ではあるが強い存在感を放つことはなく、自然と周りの風景に溶け込んでいた。
( ・∀・)「じゃあモナーさん」
( ´∀`)「モナ?」
( ・∀・)「雪だるまでも作りましょうか」
83 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:08:08.72 ID:3UezARYo0
―星の丘―
丘には、雪だるまを作るには十分すぎるほどの雪が積もっている。
( ・∀・)「少し前、ちょっと考えてたことがあるんですけど」
( ´∀`)「何だモナ?」
手を止めず二人は話す。
( ・∀・)「人は死んだら星になれるのか、という事です」
( ´∀`)「…」
モララーの言葉に、モナーは考え込む。
( ・∀・)「子供の頃、ここで待っていた時。
流れ星が見られなかったら、僕が星になってやろうかなと思ってました」
84 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:10:13.84 ID:3UezARYo0
僅かに遠まわしだが言っている事は十分伝わった。
( ´∀`)「君も随分と無茶をしたもんだモナ」
( ・∀・)「自分でもそう思います」
( ´∀`)「子供の頃はみんな無茶するもんだモナ」
雪玉を雪の上で転がし、更に大きな塊を作っていく。
( ´∀`)「人の死と星は、大きな繋がりがあるモナね。各地にそういう話があるモナ.
全く手が届かない、という意味では死んだ人と星も、大差無いかも知れないモナ」
( ・∀・)「やっぱりそうなんですね」
( ´∀`)「でももしかしたら、今生きてるこの瞬間が『星』なのかも知れないモナね」
( ・∀・)「…」
85 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:12:10.39 ID:3UezARYo0
モララーは手を止め、夜空を仰ぎ見た。
満天の星空。
見事に輝いている星もあれば、鈍く小さな輝きを放つ星もある。
様々な星たちが、ぽつぽつと浮かんでいる。
( ・∀・)(…)
星空を見つめ続けたまま、話しかける。
( ・∀・)「今日、幼馴染に会って来たよ。
子供の頃に描けなかった絵が、完成してたんだ」
( ´∀`)「ほー。それは良かったモナね」
( ・∀・)「…あ、はい。良い絵でしたよ。宿屋に飾ってあるあの絵も、幼馴染が描いたんです」
( ´∀`)「そうだったかモナ。あの絵はいいモナね。自然と目が惹きつけられたモナ」
( ・∀・)「でしょう?」
星になりたい
87 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:14:15.23 ID:3UezARYo0
言って、にこやかに笑う。
雪玉はもう手頃な大きさになっていた。
( ´∀`)「じゃあ、上に乗せるモナ」
よいしょ、とモナーが雪玉を抱え、乗せる。
( ・∀・)「これと…」
モララーが持ってきておいた木の枝で手を作り、赤いマフラーを巻く。
( ・∀・)「これも」
黒い布片をポケットから取り出し、上の雪玉に埋め込んだ。
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 23:14:24.85 ID:BhTChZz80
星になった少年って映画なかったっけ
89 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:16:46.74 ID:3UezARYo0
/⌒ヽ
\.(´・ω・`)'/
Y Y
i i
ヽ、___ノ
( ・∀・)「よし」
( ´∀`)「これで出来たモナ?」
( ・∀・)「うーん・・・」
唸りながら雪玉を見据え、眉に当たる部分を動かす。
90 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:17:54.41 ID:3UezARYo0
/⌒ヽ
\.(`・ω・´)'/
Y Y
i i
ヽ、___ノ
( ・∀・)「よし、完成」
( ´∀`)「モナ」
モララーが子供の頃に作った顔とは違うが、今はこうしたい気分だった。
( ・∀・)「じゃ、帰りましょうか」
( ´∀`)「モナ?」
( ・∀・)「彼はまだ来ないようですしね」
( ´∀`)「そうモナか」
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 23:18:43.71 ID:Q20ToD2G0
syakieeeen
92 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:20:23.04 ID:3UezARYo0
ブーンが来るのは、もう少し先の話。
彼らが15年振りに再会するのも、もう少し先の話だ。
( ・∀・)(また来るよ)
心の中で呟く。
「ありがとうだお」と聞こえた気がしてモララーは振り返ったが、後ろには誰もいなかった。
足を早める。
思いを馳せながら、再会の言葉を考えながら、夜の雪原を下っていく。
どんな話を聞かせてあげようかな。
あれからいろいろあったんだ。
幼馴染はまだ帰ってこないけど、見違えるほどに絵が上手くなってたよ。
そうだ、星の丘の事を調べてみたよ。
その昔、あの丘で願いを叶えた少年がいたらしくてね、……………
93 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:22:35.40 ID:3UezARYo0
―星の丘―
誰も居なくなり、静けさを取り戻した地。
白雪に覆われた丘、綿帽子をかぶった大木に、小さな雪だるま。
星が瞬く夜空を渡る、いくつもの流星。
流星群。
殆どは、夜空に溶けた満月の光に阻まれてしまう。
しかしその中。
一つだけ、はっきりと光を放つ流星があった。
94 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:25:17.35 ID:3UezARYo0
その流星は、誰にも見られることはない。
それでも。
それでも、確かに存在している。
いつかは消えていく運命だと知りながら、
しかしそれを嘆く事はせず、目を背ける事もせず。
満月の光にも負けず、
どこまでも、どこまでも駆け抜けていった。
95 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:28:04.78 ID:3UezARYo0
―その体に、強かな輝きをたたえて。
流星の
/⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃
| /
( ヽノ
ノ>ノ ブーンのようです
三 レレ
おわり
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 23:29:18.81 ID:BhTChZz80
( ;∀;) イイハナシダナー
97 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:30:06.07 ID:3UezARYo0
┌───────────────────────────
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│ ,,;;ゞ::;;;)┴\,|'-_:::::::| ヘ,: l:::::|::::。:::::::::::,ヘ:::/ヽ::::::::i:::∠;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
│ ヾ);"ヾ),;"┴\;;;;,ヘ-,,| l,l|: l:::::|:::::::::::::::。|,,l'";,,日::ヽ/\`l;, 田 田:::
│ );;;ヾ)ヾ")┬┴\::::::::''、ソ-、:::::|,:::::::::::::/,,-'',,:. ::\/:日_ゝ ::. .. :;
│ ;;))ヾ",__,,;;┬┴\/;ヽ,-ヽ.∧二\l,,ム\、,,--'',,,,_;;'| 田 田 ::
│ ;;ヾ::::,,////ヽ;;,,;.:┬|/|:::ヽ:::::lΠl,,(;;;, / ",, |::::::/ノノ、ノ""''''--,,,,_
│ ヾ);;)/////ヾ\ ┴|/|'、:::lγヽ(ヾ(;;,,ゞ ,,, |:::/ノノ、入入入入入/::
│ |Vvvwi,iir、;^;;|┴┬|/|ii|:::l |:::::|;;,,(ヾ,,::) ;;,,) |/ノ、ノ、入入入入/┴::
│ r'i"i,,i-i,ii| |==|┬┴|/|ii|:::l |:::::|(ヾ;;;ヾ),;ヾ:;;ヾ)"''-,,_ノ、入入/┴┬::
│ r'i"i,,i-i,ii|_|==|┴┬|/""''''''---;;;;;;lトli (ヾ;;(::) ;;,, "''-_/┴┬┴::
│ r'i"i,,i-i/i,==|;;;,,-''" ,,、 ⌒ヽl;;:; ;;::. ";;. ,|┴┬┴┬::
│ r'i"i-i'l:::::i';;;;;/ ノヘヽ γ"'; . . : |┬┴┬┴::
│ /iツ"i:::::l/ "⌒"'"⌒ ,, ~ ヽ l | 、 ,;;|┴┬┴┬::
│ : : l/./ ⌒" ヽl |:. ...|┬┴┬┴::
│ ::::::/,;ゝ ''"'' ,, ヽ |;,.; ,|┴┬┴┬::
│ /ヽ' "'' '''""'' ヽl .: |┬┴┬┴::
│ ,,,_ \ ,:|┴┬┴┬::
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98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 23:32:25.30 ID:90lGIHux0
綺麗なモララーを久しぶりに見た気がする
おつんつん
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 23:32:53.79 ID:U072XxYqI
乙!
( ;∀;) イイハナシダナー
100 :
◆KWpAi6kSvdmH :2011/12/28(水) 23:33:43.40 ID:3UezARYo0
/⌒ヽ
___( (#)^ω^)___
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.<\※ \____|\____ヽ
ヽ\ ※ ※ ※| |====B=|<おわりだよ!
\`ー──-.|\|___l__◎..|ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄| .| ̄ ̄ ̄ ̄|
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お題:【編み物】【大木】【幻影】
わすれてほしいものもありますけど ぼくはげんきです
元々あったアイデアにお題を無理やりぶち込んだ。
どうもありがとう。あと二日、お楽しみになってくらさい。ぬくぬく。
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
乙
なぜブーンは負傷してるんだ