「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :
2010/10/07(木) 12:53:21.04 ID:nYR1SH3R0
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 12:54:03.48 ID:nYR1SH3R0
よくある質問
Q
このスレってジャンプの某読みきりと関係あるの?
A
始めにこのスレを立てた
>>1 が何を考えて、スレを立てたのか
今となっては、その真相はわからない
ただ、ここに集まった者たちは、各自思い思いに妄想をぶちまけていき、今のこのスレの形となっていった
まぁ、結果としては関係あるかどうかとか、どうでもよくね?
ぶっちゃけ、ほぼ関係ない内容だし
3 :
委員長の憂鬱 ◇nBXmJajMvU (転載) :2010/10/07(木) 12:55:05.75 ID:nYR1SH3R0
ふと、気付けば、彼を目で追うようになっていた 何故、惹かれるようになったのか ……理由は、覚えていない 高校生になって、親の仕事で学校町にやってきて この高校に通うようになって……気付けば、クラスメイトである彼を気にするようになっていた 『ほら、獄門寺君、授業中は寝ないの』 『………眠い』 『あぁ、もう、また…』 『あぁ、いい、起こさなくとも。留年するような点数は取ってないからな』 『もう、先生……』 日々の、そのやり取りが …彼との、やり取りが ほんの単純なことでも 些細な事でも ただただ、幸せで けれど 同時に、恐ろしい 何が、恐ろしいのか 具体的には、よくわからない ただ、時折、無性に恐ろしさを感じてしまう瞬間がある それは、彼が時折、あの長い前髪の下で、鋭い視線を放っている事に気付いた瞬間 それは、彼の周りに、いつからかおかっぱ頭で、白いブラウスに真っ赤な吊りスカートの女の子の姿があると気付いた時 それは、彼に、学校のクラスメイトとは違う、どんな繋がりがあるのかすら、よくわからない知り合いがいると知った時
4 :
委員長の憂鬱 ◇nBXmJajMvU (転載) :2010/10/07(木) 12:55:50.36 ID:nYR1SH3R0
そのような時、無性に恐怖に襲われる それでも、彼に惹かれずにはいられない でも、それを言い出すことはできない それを、伝えてしまったならば もう、今の、クラスメイトの一人として接してもらっている、この状態には 決して、戻れないのではないか、と その恐怖に、私はいつも、囚われる 「………委員長?どうした?」 「え……あ、うぅん、何でもない」 獄門寺に声をかけられ、彼女は思考の海から、意識を引き上げる 彼女の言葉に、獄門寺はそうか、とすぐに、彼女から意識を放す …その行動に、覚える寂しさ 心配してもらえたのは嬉しいけれど ……しかし、それ以上先に、進める訳でも、ない 獄門寺にとって 自分は、他のクラスメイト達と、何も変わらない存在でしかない ……その事実を、痛い程確認してしまう 暗い考えを振り払うように、時間を確認した …もうそろそろ、クラスの模擬店に戻ったほうがよさそうだ 「獄門寺君、そろそろ戻りましょう?」
5 :
委員長の憂鬱 ◇nBXmJajMvU (転載) :2010/10/07(木) 12:56:50.56 ID:nYR1SH3R0
「…そうだな………そこで、宮定に何か余計な事言って首締められてる真樹、行くぞ」 「冷静に突っ込んでる暇あったら助けギブギブギブギブ折れるっ!?」 「折れる程は力入れてないわよ」 ぎりぎりぎりぎりぎり ……割と本気のアームロックが決まっていたように見たが、手加減はしていたらしい 解放された花房が、ぜぇぜぇと酸素を吸い込んでいる 自分達のクラスに戻ろうと、歩き出す …メイドや執事の格好のまま、あちこち歩き回ったのだ だいぶ、宣伝効果は出た事だろう ……カメラを向けられたりしてちょっと恥ずかしかったけれど、クラスの売上に貢献するなら、まぁ、仕方ない メイドや執事の格好のまま歩き回っているのは、自分達だけではないのだし …………クラスの9割がノリノリでやっているという事実はさておき 「…そう言えば、獄門寺だっけ?委員長の事は、名前じゃなくて委員長、って呼んでるのね」 「………え?」 …ふと 何気なく、宮定が口にした言葉に あれ?と、彼女は首をかしげた …そう言えば 獄門寺は、基本、クラスメイトの事などは、苗字で呼んでいる 友人である花房の事は「真樹」と名前で呼んでいるが……それ以外は、大体、苗字で呼んでいる ……休憩時間に入る前、模擬店にやってきた、獄門寺の知り合いらしい、チャラチャラとした格好の青年を、獄門寺は「翼さん」と呼んでいた 「翼」という苗字は考えられない、名前で呼んでいたのだろう 親しそうだった様子から見ても……獄門寺は、自覚の有無はともかくとして、親しさの度合いで、苗字で呼ぶか名前で呼ぶかが決まっているようだ
6 :
委員長の憂鬱 ◇nBXmJajMvU (転載) :2010/10/07(木) 12:57:57.84 ID:nYR1SH3R0
ならば 苗字でもなく、名前でもなく ……「委員長」と呼ばれている自分は……どう、思われているのだろうか? 「あぁ、そう言やそうだけど。委員長の事はみんな委員長って呼んでるしなぁ」 「言われてみれば、そうね」 花房の言葉に苦笑する彼女 言われてみれば、クラスメイト達からも、「委員長」と呼ばれている身だ 苗字や名前で呼ばれる事の方が、珍しいかもしれない それを、考えれば……獄門寺に「委員長」と呼ばれる事も、特別な事ではないのだろうか? その事実に ほっとしたような、寂しいような 複雑な感情が、走る 「………?」 彼女らの話を、聞いていなかったらしい 獄門寺が、小さく首をかしげる その拍子に前髪が揺れて、その下に隠れていた目が、一瞬、見える 高校生にしては、やや、鋭すぎる眼差し それに、彼女はぞくりとした悪寒を覚えた
7 :
委員長の憂鬱 ◇nBXmJajMvU (転載) :2010/10/07(木) 12:58:50.24 ID:nYR1SH3R0
何故だろう 昔…小さな頃に よく似た眼差しを、見た事があるような気がして しかし、思い出せない 思い出そうとすると、頭の中が真っ赤になったような錯覚を覚えて 痛みすら覚え、思い出す事が出来ないのだ 教室に、近づいてきて …目の前から駆けて来る、いつもと違い、メイド服をまとったおかっぱ頭の少女の姿を見つけて その子の姿に、花房が気付いていない、事実に………花房だけではない、周囲の人間の大半が、そんな少女の存在になど、気付いてすらいない事実に そうだと言うのに、自分だけが気付いている、事実に 彼女は、戦慄を覚えずには、いられないのだ みーみーみー まとわりついてくる花子さんの頭を、俺は周囲に気付かれないように撫でておいた 前方に、天倉の姿が見えて……メイド服を着ていない様子から見て、俺のクラスにいる方ではなく、その双子の姉だと判断する …その天倉の傍に、黒い犬の姿が見えて、俺はやや警戒した 「み、大丈夫なの。わんちゃん、悪い子じゃないの」 花子さんのその言葉で、警戒を解いた ……彼女も、契約者という事か クラスメイトの方の天倉は気付いているのだろうか? 考え出すと、やや、頭が痛くなったのだった to be … ?
8 :
圭一 ◆nvitZrA8hA :2010/10/07(木) 12:59:40.39 ID:RhdootyC0
俺の能力はポケットやカバンのイヤホンのコードを絡ませる能力ね 準主役級でヨロ
9 :
夢幻泡影 † 今更BW発売記念 ◇7aVqGFchwM (代理) :2010/10/07(木) 12:59:52.47 ID:nYR1SH3R0
ある日、裂邪は己の部屋でDSをしていた。 ソフトは「ポケットモンスタープラチナ」。 世間で「ブラック・ホワイト」が流行る中で、旧作になりつつあるその作品を黙々とプレイしていた。 (ミナワ>・・・そういえばご主人様、ポケモンの最新作が発売されたそうですけど・・・ (裂邪>「黒白」か。 俺は買わんぞ。 正義と親父が買ったからな。 (ウィル>親父さんもやってるんで!? (裂邪>つぅか、我が家にポケモン旋風を巻き起こしたのは親父だ。 (リム>意外に子供っぽいところもあるバクね、主の父親・・・ (シェイド>シカシ分カランナ・・・家族ト被ルノガソンナニ嫌カ? (裂邪>被る・被らないは問題じゃない。 俺が狙ってるのは「3作目」だ。 ・・・一同、きょとんとしている。 裂邪は深く溜息をつき、 (裂邪>初代ポケモンである「赤緑」の場合の「青」や「ピカチュウ」、 2代目「金銀」においては「クリスタル」、 3代目「ルビサファ」だったら「エメラルド」・・・ こういう風に、ある世代に1本だけ、最初の2ヴァージョンとは異なる「3作目」が存在している。 俺が今やってる「プラチナ」もその1つだ。 俺は「金銀」時代からこの家において「3作目プレイヤー」というレッテルが貼られてるのさ。 (ミナワ>・・・つまり今回もその「3作目」を待つということですか? (リム>発売するかどうかも分からないのに気楽な奴だバクねぇ (裂邪>発売するに決まってんだろ! 「クリスタル」が存在していたお陰で「エメラルド」も「プラチナ」も予測は簡単だったんだぞ!? てか俺は「エメラルド」と「プラチナ」に至っては、 クラスでタイトルとパッケージのポケモン予想流布して神扱いされたんだぜ!? (ウィル>予言したでやすか!? 凄いぜ旦那ァ! (シェイド>イヤ、「クリスタル」後ナラ予想ハ容易ダカラナ (裂邪>つぅわけで、来年にはキュレムがパッケージの「グレー」が出ると信じて、 誰か俺と対戦しろっていう話をしたかったところだ
10 :
夢幻泡影 † 今更BW発売記念 ◇7aVqGFchwM (代理) :2010/10/07(木) 13:00:30.66 ID:nYR1SH3R0
(リム>長い前振りバクね (裂邪>ほっとけ。 さぁ全員DS起動しろ。夢幻泡影四天王VS俺様で殿堂入り目指す。 (シェイド>オイ、一番手誰ダ? (ウィル>あっしが行きやしょうか? (裂邪>誰でもいい、命を懸けてかかってこい! (ミナワ>ウィルさん頑張って! (ウィル>がってんでい! 行きなせえキュウコン! (裂邪>ヒハハハハ! 往けルギア! 数分後... (裂邪>チーン… (ウィル>・・・だ、旦那? (ミナワ>ご、ご主人様、お気を落とさずに・・・ (リム>あっさり・・・だったバクね? (裂邪>オニビレンパツトカアタシキイテナーイ (シェイド>「鬼火」ダカラ読メルダロウ; (リム>そういえば四天王って勝ち抜きだったバクね。主が負けたからこれで終わりバクか? (裂邪>ふざけんなぁ! もう関係無しでやるぞ! (リム>はいはい・・・じゃあオイラがやるバク。 (裂邪>っしゃぁ来い! 現在怒り状態の俺に勝てると思うなよぉ!? その後彼は敗北し、続けてミナワとシェイドにも負けてしまったのだった (裂邪>もう立ち直れんorz ...END ?
11 :
鈍感もとい馬鹿 ◇YdAUTYI0AY (代理) :2010/10/07(木) 13:02:49.05 ID:nYR1SH3R0
気まずい 非常に気まずい どれ位気まずいかと言うと禿がオーストラリアを真っ二つにしたのをテレビで見ていた時位気まずい 「「あ、あの・・・」」 被った 「さ、先にどうぞ」 「い、いえ、そちらこそ・・・」 「いえいえ、そちらが・・・」 しまった進まん 「で、では、ですね う、訴えますよそして勝ちますよ・・・」 涙目でこっちを睨んでくる美緒さん・・・そりゃそうだろう 訴えられても文句言えない しかし、今訴えられると組織に洒落にならない迷惑がかかりそうな気がする 「わかりました」 かくなる上は・・・ 「責任を取ります」 「ふぇえ!?」 美緒さんが驚く 何を驚いてるんだろう?
12 :
鈍感もとい馬鹿 ◇YdAUTYI0AY (代理) :2010/10/07(木) 13:05:56.16 ID:nYR1SH3R0
「この腹掻っ捌いて」 常に携行している刀に手をかける まさか、これをこんな使い方する事になるとは・・・ 「まままままま待ってください!!」 ん? 「あ、そうですね・・・スミマセン 気が動転していて」 「そ、そうです 落ち着いてください」 「ここじゃ部屋が汚れてしまいますね」 「ちょっとぉ!?」 彼女は警察なのだ そんな人の部屋で切腹とか確実に迷惑じゃないか 「では、一寸死んできます お世話になりました」 「影守さん!?」 そして、俺は・・・窓から夜の街へ飛び出した 死に場所求めて 続く?
13 :
夢幻泡影 † そして逃亡する者達 ◇7aVqGFchwM (代理) :2010/10/07(木) 13:08:18.32 ID:nYR1SH3R0
(裂邪>・・・落ち着いたか? (ミナワ>ぁ・・・はい、なんとか・・・申し訳ございません (裂邪>気にするな、厄介事に巻き込んだのは俺だし・・・そんなことより、これってそんなにやばい奴なのか? (シェイド>明ラカニ危険シカ察知デキンダロウ!? (裂邪>できねぇよ!俺飲まれかけてるとはいえ仮にも人間だから!お前等みたいに気配に敏感じゃないから! (シェイド>鍛エレ良カロウ!? 己ノ弟ヲ見習エ! (裂邪>否定できない自分が大ッ嫌い!! かつん、と足音が響く。 そして話し声が聞こえた。 (裂邪>(くっ、瑠璃さんか・・・もう一人は誰だ?今まで俺達を追ってた都市伝説か?) [とりあえずシェイド、お前は下がれ!] (シェイド>[了解シタ] 裂邪の指示を聞き、影に引っ込んだシェイド。 その直後 (裂邪>うわっ!? (ミナワ>きゃっ!? トイレの個室いっぱいに赤が広がったかと思うと、 突然赤いマントを羽織った男性と、これまた赤いはんてんを着た幼女が現れた。 (幼女>あぅあぅあぅ!?転移先に人がいた上に、また男女でラブきゃっきゃとかどんなデジャヴですか!? (男性>むぅ、まったくだ。そして、あの時ほどではないが明らかに容量オーバーだな、この個室に (裂邪>(ウヒッ♪ かわいいロリっ子!って)うぎゃっ! 扉が開き、狭い個室から4人がどさどさ、と流れ出る。
14 :
鈍感もとい馬鹿 ◇YdAUTYI0AY (代理) :2010/10/07(木) 13:10:57.69 ID:nYR1SH3R0
(ミナワ>あ痛たたた・・・ (幼女>む、何かよくわからないけど、あんまり関わりたくない雰囲気がするのです、赤マント、ここはとっととずらかるのですよ。 そして、花子さんの契約者がやってる執事とメイドの店に行くのです! (男性>はっはっは、相変わらず自分勝手だな、君は。 まぁ、関わりたくない気配に関しては同感なので、ロリの気配を前にいささか名残惜しいが退散しようか 男性はマントをひらりと翻し、その後2人の姿は忽然と消えてしまった。 (ミナワ>・・・な、なんだったんでしょうか・・・? (裂邪>俺が聞きたいよ・・・ (あぁ、ロリっ子がぁ・・・しかしあのおっちゃん、同じ匂いがしたのは気の所為か?) (瑠璃>とりあえず、見つけたわよ 見上げると、そこには裂邪の先輩・獄門寺瑠璃が立っていた。 ヤバイ、色んな意味でヤバイ。 彼は心の中でそう思った。 (瑠璃>………女子トイレに逃げ込むなんて、変態? (裂邪>変態じゃないよ!?ちょっとちっちゃな女の子が好きなだけな紳士だよ!? (瑠璃>それはロリコンという名称の変態でしょ………それは、さておき。あの箱、渡しなさい。本当に危険なんだから 瑠璃が裂邪に迫る。 かなり真剣な表情だ。 (裂邪>(どうする・・・逃げ場は0に近いし、影の中には入れてくれないし・・・ 仕方ない、潔く諦めるとしよう。 ミナワも心配してるしな) (瑠璃>…って、あら?あんた、箱は? (裂邪>(そうだ、まずは箱を探さなけれbって)え? 彼はふと気づく。 個室から押し出された時には既に持っていなかった。 てことは・・・
15 :
鈍感もとい馬鹿 ◇YdAUTYI0AY (代理) :2010/10/07(木) 13:13:20.31 ID:nYR1SH3R0
(ミナワ>あ、ご、ご主人様、あれ…… ミナワがある方向を指差す。 その指を辿ってみると・・・ l^丶 | '゙''"'''゙ y-―, ミ ´ ∀ ` ,:' ;:' ハ,_,ハ ミ ヤター、ダッシュツセイコー ; ⊃;´∀` ;(ヽ, '; ; " ; ,;:' ' ミ `:;,, "'''''" ,,,:' "゙'''~"^''゙"" (裂邪>蓋開いちゃった!?出てきちゃった!? (瑠璃>っちょ………父さんと母さんが始末した奴と、何か違う!?あんなもっさりしてた覚えはないわよ!? どうやら箱の蓋が開いていたらしく、もさもさした謎の生物が飛び出していた。
16 :
鈍感もとい馬鹿 ◇YdAUTYI0AY (代理) :2010/10/07(木) 13:16:08.52 ID:nYR1SH3R0
そして・・・ l^丶 | '゙"'゙ y-―, ア、ソレニゲロヤニゲロ ミ ´ ∀ ` ,:' (丶 (丶 ミ ニゲロ! ニゲロ!! (( ミ ;': ハ,_,ハ ハ,_,ハ ;: ミ ';´∀`'; ';´∀`';, , `:; ,:' c c.ミ' c c.ミ U"゙'''~"^'丶) u''゙"J u''゙"J と、早々に彼等の目の前から姿を消したのだった。 唖然とする裂邪。 (裂邪>・・・・・・か・・・ ようやく、口を開くと・・・ (裂+ミ>かわいい・・・ (瑠璃>言ってる場合かっ!? ...END
女の子が、一人で歩いている 夕暮れの道を、一人でてくてく、てくてくと しばらく歩いていると、前方からも、誰かが歩いてきた 女の子は、対して気にすることなく、てくてくと歩いていく 大人の人だろうか その人は、どんどん、女の子に近づいてきて (………あれ?) 女の子は気付いた それが、大人の人ではなかった事に それが、女の子と、同じくらいの年頃の、女の子である事に そして それが 女の子と、まったく同じ姿をしている事に 顔立ち背丈髪型だけでなく 着ている服まで、まったく、同じ 女の子は、きょとん、と立ち止まり、その女の子が近づいてくるのを、ただ見ていた 女の子は近づいてきて、女の子ににっこりと笑いかける 「こんにちは、あなたはだぁれ?」 「こんにちわ。私は………ハナちゃん。あなたは?」 「私もハナちゃんだよ」 にこにこと、女の子は笑っている まるで、鏡に映った姿のように
支援
19 :
女の子と女の子 (代理) :2010/10/07(木) 13:21:56.04 ID:nYR1SH3R0
二人の姿は、瓜二つ 声も、まったく同じだった 「…おんなじ?」 「そうだね、おんなじだね」 まるで、双子のようにそっくりな姿 同じ、「ハナちゃん」と言う愛称 ……偶然にしては、あまりに奇妙 そして、どこか、不自然な現実に しかし、女の子は、その不自然さに気付かずに その偶然を無邪気に喜んでしまった その奇妙な女の子と、女の子が友達同士になることに、そう時間はかからなかった そして、その日以降 女の子は、毎日のように、帰り道、その女の子と会うようになっていた 「ハナちゃんは、私以外にお友達はいるの?」 「ん〜ん、私にはハナちゃんしか友達はいないよ。ハナちゃんは?」 「一杯いるよ。レナちゃんにリカちゃんに、サトコちゃんにミオンちゃんにシオンちゃん、ケーちゃんにサトちゃん………それに、リューちゃん」 たくさん、友達の名前を口にする女の子 女の子は、気付かない 女の子が口にした名前に、女の子が、かすかに反応した事に 「そうなんだ。ハナちゃんが、一番仲良しなのはだぁれ?」 「リューちゃんだよ」
20 :
女の子と女の子 (代理) :2010/10/07(木) 13:24:37.38 ID:nYR1SH3R0
そう、一番仲がいいのはその子 …そして、それだけじゃあない その子の事が、女の子は、ほんのちょっぴり、好きだった それは、言い表すならば、初恋 幼い少女が、生まれて初めて抱いた、大切な感情 「ふーん……ねぇ、ハナちゃん、そのリューちゃん、って、もしかして、こういう名前?」 女の子が、ぽそぽそと、女の子の耳元で伝えると 女の子は、びっくりしたように女の子を見つめた 「どうして、知ってるの?」 「やっぱり」 にっこり笑う女の子 その笑みの裏に、邪悪な意志が動いた事に、女の子は気付かない 「私も、リューちゃんに会ってみたいな」 「ハナちゃんも、リューちゃんと友達になりたいの?」 「……………うん、そうだよ」 にっこりと女の子は笑みを深めた 邪悪も深まった事に、女の子は気付かない 「それじゃあ。紹介してあげようか?」 「ん〜、それもいいけど……こんなの、どう?」 笑って、とある悪戯を提案してきた女の子 女の子は、それを聞いて面白そうだ、と思った
支援
22 :
女の子と女の子 (代理) :2010/10/07(木) 13:26:48.23 ID:nYR1SH3R0
これは、自分達にしかできない悪戯だ きっと、「リューちゃん」もびっくりするだろう このところ、「リューちゃん」は元気がない 前から、クラスメイトに苛められていたらしく、元気がない事が多かった 隣のクラスに所属している女の子は、いつも、「リューちゃん」を助けられず、苦い思いをしていたものだ そのいじめは、最近なくなったらしい けれど、なぜか、「リューちゃん」はさらに元気がなくなってしまったのだ 元気付けたい びっくりさせたい 女の子はそう考えた だから 女の子の悪戯の提案に、乗ってしまったのだ 女の子は気付かない 己の運命の歯車は、既に狂い始めている事に 女の子は気付かない 己の未来に、払いようのない闇が、影が、挿し込み始めている事実に 「………………見つけたぞ……………………………め、父上の仇…………………へし折ってやる」 to be … ?
23 :
そう簡単には死なせない ◇nBXmJajMvU (転載) :2010/10/07(木) 13:29:03.77 ID:nYR1SH3R0
窓から、夜の街へと飛び出した影守 が 「ダウトー」 そんな声と、共に 「うわっ!?」 黒い何かに、絡めとられた 「…っ!?兄さん!?」 「お前さん、ここ何階だと思ってんだよ。さすがに死ぬぞ」 影守を捕らえたのは、髪 ……黒服H、広瀬 宏也の、髪の毛だった しゅるり、と その髪を、どこに巻きつけて体を支えているのだろうか 宙ぶらりん体勢の宏也が、飛び出した影守を、がっちりと髪で捕らえたのだ ぺい、と、部屋の中に影守を戻してくる 「なんで、あんたがそこに……と、言うか、人が責任とろうとしたのに、邪魔を」 「違うだろ?こう言う場での責任の取り方、ってのは」 にやにやと笑っている宏也 そんな宏也の言葉に、は?と、影守は首をかしげ ……ぷるぷると 美緒が、震えている事に、気付く
しえんー
25 :
そう簡単には死なせない ◇nBXmJajMvU (転載) :2010/10/07(木) 13:31:52.01 ID:nYR1SH3R0
「…影守さんに伝えるべき事もありますが……それよりも、兄さん」 「ん?」 「……いつから……見ていたのですか?」 俯き、宏也にそう尋ねる美緒 ………そうだ 窓の外に居て 飛び出した影守を、即、捕らえた宏也 いつから、そこにいた? そして いつから、見ていた? 「美緒が風呂上がる少し前から」 『嘘つけ、お前、妹がこいつを拾った辺りから見てただろうが』 不意に、頭に響いた声 よくよく目を凝らして見れば……宏也の肩に、小さな蜘蛛の姿が、見えた 何らかの都市伝説だろうか 「あ、こら、バラすんじゃねぇよ、イクトミ」 『たまにはいいだろうが、お前だって、妹が心配だったんだろ?まぁ、ついでにデバガメしていた訳だけどよ。俺はそれに付き合わされて色々ラッキーのつもりだったのに、全裸の瞬間、俺の視界塞ぎやがって』 「…………兄さん?」 俯いたままの美緒 ぷるぷると、震え続けている わかる この、震えは
26 :
そう簡単には死なせない ◇nBXmJajMvU (転載) :2010/10/07(木) 13:34:06.36 ID:nYR1SH3R0
………怒りから、くる、震えだ 「よーし、落ち着け、美緒」 「……私は、落ち着いていますが?」 「さっきまでテンパってた奴が何を言う………とりあえず、あれだ。お前さんはもうちょい、素直になっとけ。こいつ、どうやら相当な鈍い奴みたいだから」 「な!?」 っば!と、顔をあげた美緒 耳まで赤くなってしまっている 「んじゃ、イクトミ。またこいつが自殺考えないよう、出入り口をがっちり塞ぐぞ。お前の糸で完全に塞げば、出られないだろ」 『っち、仕方ねぇなぁ』 「っちょ!?」 っぽん!と 宏也の肩に乗っていた蜘蛛が、人の姿へと変化した ネイティブアメリカンのような印象を感じさせるその男は、糸で体を空中に固定し……影守と美緒のいる部屋の、窓を その蜘蛛の糸で、完全に、覆った 「あ、玄関の方も、こんな感じで塞いでおくからな。蜘蛛がいればどこにでも現れるこいつに隙はない」 「そんな事したら美緒さんが困るだろうが!?何、妹に迷惑かけてるんだ、あんたは!?」 「なぁに、兄として妹の手助けをしてやるだけさ」 「何の手助けだ!?」 影守のその突っ込みに、宏也は答える事はなく 「………」 「えーと…」 この、気まずい状況の中……二人は、マンションの美緒の部屋に、完全に閉じ込められたのだった 続くかどうかわからない
27 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/07(木) 13:37:23.01 ID:nYR1SH3R0
さて、どうするか……と、考える。 まさか、このような接触の仕方をしてくるとは思いもしなかった目の前の相手。 彼? 彼女? まあ、兎に角、この私の前に立ちはだかる者を見据え、考える。 さて、どうするか……、と。 「どうしました、何故黙っているのです?」 A-No.0が問いかけてくる、無表情で無感情な、だが有無を言わせぬそんな声。 しかし、其れを敢えて無視して、考えに没頭する。 A-No.0、オール・アクロイド。 彼?の目的は何か? 最後の忠告、のようなあの言葉は、まぁついでなのだろう。 つまり本題は、それ以外。 先程の彼?の台詞を思い出す。 『あなたは、私にはB-No.0を処分する事は不可能だと言いました、それは、どう言う意味ですか?』 『貴方は、私が貴方方の事を何もわかっていない、と言いました。それは、どう言う意味ですか?』 『貴方は、私が選択を誤ったと言いました……何故、かつて私が首領に選んだ男を手放した事が過ちなのですか?』 そして最後に。 『ダレン・ディーフェンベーカーを暗殺した者を……知っていますか?』 これを私に聞き出す事こそが、彼?の最重要目標。 ならば早々に質問に答え、早々にお引き取り願えば良い、其れが今、私に出来る一番の解決方法……なのだが。
28 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/07(木) 13:40:12.73 ID:nYR1SH3R0
「気に入りません……ね」 ボソリ、と小さく呟く、A-No.0、「組織」の頂点に位置する、強大な力を持った黒服。 私などの力では到底及びもしないだろう相手、だがそんな彼?のことが心底に気に入らなかった。 それは、現在の身体に転生してより持て余している感情の波によるものだ。 安っぽい反骨心からくる嫌悪感、全ては子供の身体に引きずられた幼い感情によるもの。 だが、現在の私の中で、この上もなく優先される指針であった。 「何か?」 私の小さな呟きに反応したA-No.0が問いかける、だが私はただ頭を振ると関係の無い事を口にする。 「いえ、こっちの話です、そんな事よりも、この場所は、この世界から一時的に断絶している、そう言いましたね?」 「はい、ですから残念ながら逃げ場は有りません」 「そうですか」 「ですが、私の質問に答えれば、直ぐにでも元の世界に貴方を「これは参りましたね、イッちゃんが泣いていなければ良いのですが……」……イッちゃんとは?」 A-No.0の台詞に被せるように言葉を紡ぐ、心底困ったというように額に手を当てる私に、どうやら彼?は食いついてきたようだ。 やはり、私が考えていたように、彼?は少しでも疑問に思った事は確認しなければ気が済まない、それが仮に何でも無いことであろうとも。 「組織」の障害になる可能性が0.000001%でもあるならば見逃すことが出来ない、そんな性格なのだろう。 「ああ、私の……まあ、家族ですね、連絡が急に取れなくなれば、心配するだろうと」 「家族……あなたにも心配をする家族が?」 無表情に首を傾げる目の前の人物に、さらに少し敵意が膨れた気がした、ほんの少しであるが。
しーえん
30 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/07(木) 13:42:57.73 ID:nYR1SH3R0
「ふむ、私のような人間には心配する者など居ないと思っていましたか?」 「そうですね少し意外であった事は否めません、貴方は冷酷で冷淡で無情な黒服である、そう報告を受けていましたから」 「なるほど、正直あなたにだけは言われたくない所ですが……」 「しかし「イッちゃん」……ですか、それは私の手元にある情報では「貴方」が同僚のB-No.005から使われていた呼び名だった筈ですが?」 「どこまで知っているんですか、黒服にプライバシーは……ああ、求聞でしたね」 「いいえ、その認識は間違いです、組織の中にあって構成員のプライバシーは守られています、貴方のそれを私が知っているのはソレだけの理由が存在するのです」 「不穏分子……という事ですか」 その私の言葉にA-No.0が軽く頷く、当然のことだとでも言うように。 「はい、それで、貴方の言うイッちゃんとは? まさか私が何も知らぬと、虚言を弄したのではないでしょうね」 「違いますよ、イッちゃんとは先程貴方も言ったB-No.005です、005だから五つでイッちゃん、因みにイッちゃんは私の事をNo.001から取ってイッちゃんと今でも呼んでいます」 「成程、そういうことですか、しかし何故に其の様な呼び合い方をするのでしょう? 本名を使わなければ時に混乱が生じるでしょうに」 「まぁ……あれです、ただの親愛の現れですよ、それ以上でも以下でもありません」 多分……と、内心付け加える、実際のところ、本人ではないのだから、彼女の本心が私に分かるわけではないのだ。 「ふむ、理解しがたい事ですが納得はしました、そして貴方のことを心配する理由も、同じ元Bナンバーの同僚ならば確かにそれも有り得ます」 「それはどうも……」
「それで、本題に入りますが、先程の質問に答えてください」 「ちっ……覚えていましたか……」 舌打ちと共に、小声で毒突く。 どうでも良い戯言話をして、質問をウヤムヤにするという作戦は残念ながら失敗したようである、おのれ流石は組織のトップということか……。 「なにか?」 「いえ、こっちの話です、それで、どの様な質問でしたっけ?」 そんな恍けるような私の言葉に、今度は微塵の揺らぎも見せず無感情に台本を読むような声色が返ってくる。 もちろん、その彼?の問いかけに返す言葉は既に私の中では決まっていた、つまり―― 「先ず一つ目、あなたは、私にはB-No.0を処分する事は不可能だと言いました、それは、どう言う意味ですか?」 「答えたくありません」 「……次に二つ目、貴方は、私が貴方方の事を何もわかっていない、と言いました。それは、どう言う意味ですか?」 「答えたくありません」 「…………三つ目、貴方は、私が選択を誤ったと言いました…何故、かつて私が首領に選んだ男を手放した事が、過ちなのですか?」 「答えたくありません」 「………………最後に、貴方はダレン・ディーフェンベーカーを暗殺した者を知っていますか?」 「答えたくありません」
しえ〜ん
「…………」 「…………」 「……何故、答えたくないのですか?」 「私は貴方の事が嫌いだからです」 つまり、そういう事である、私はA-No.0が気に入らない、だから嫌いな相手の質問なんかに答えない。 子供の理屈? その通り私は現在、子供なのだ、子供の理屈を言って何が悪いのか。 しかし、そんな私の言葉に首を傾げる目の前の人物、その表情からは感情が何一つ見えてこないが……多分、困惑しているのだろう。 「……貴方が私を嫌うことと、質問に答えない事に何の関係が?」 「嫌いな相手の問いに何の見返りもなく答えたいと思う人間は居ませんよ」 「何か見返りがあれば貴方は答えると?」 「もちろん答えません」 「……埒があきません、話を変えましょう、何故貴方は私を嫌うのですか?」 「むしろ、あの様な接触の仕方で本気で私から不快に思われないと?」 「?……貴方が何を言いたいのか分かりませんが……良いですか? これは個だけの問題ではないのです、ひいては組織の今後に関わる――」 「知った事ではないですね、現在「組織」に所属していない私に取っては全て私個人の問題です」
「……子供ですか貴方は」 「ええ、その通り見たままの子供です、何なら歳相応の子供らしく言ってあげましょうか「アーちゃんなんか嫌いだよーだ、絶対に話なんて聞いてやるもんかー、ばーかばーか、お前のカーチャンでべそー」と」 「私は馬鹿ではありません……しかし、そうですか、分かりました、では私も貴方のことをイッちゃんと呼ぶことにしましょう、それで良いですね?」 「…………?」 「…………?」 一瞬、何か話が突然、異次元に飛んだ気がして頭が真っ白になる。 人間あまりに理解不能な出来事に遭遇すると思考が停止するというのはどうやら本当のようだった。 というか、何だ、何が起こった、A-No.0は一体何を言っているんだ? 理解不能理解不能理解不能。 あぁ、そうか、なるほど、これが俗に言うポルナレフ状態というモノなのか、初めて体験したが案の定、良い気分ではない―― ではなくて。 「いやいやいやいや待ちなさい、何故そうなるっ!?」 「貴方が私のことをアーちゃんと呼ぶのなら私もまた貴方のことをイッちゃんと呼ぶのが妥当でしょう?」 「いや、今のは例えの台詞で……」 「それに、アダ名で呼び合うのは親愛の証だと言いましたね? つまりコレで貴方は私に嫌悪ではなく親愛を感じるようになり私の質問にも……」 「答えるわけがないでしょうっ!! 何ですかその有り得ない論理の飛躍はっ! というか貴方は馬鹿ですか!? それとも馬鹿なんですか!? もしくは馬鹿なんですか!?」 「それともも、もしくはも、全て同じではないですか、それと先程も言いましたが私は馬鹿ではありません……ところで貴方は何を怒っているのです?」
ーしえん
36 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/07(木) 13:50:21.51 ID:nYR1SH3R0
「あああぁぁぁぁ……もう、いっその事、問答無用で斬りかかっても許されるんじゃないだろうかこれは……」 「何です?」 「何でもありませんっ!」 あぁ、斬りかかりたい本気で斬りかかってしまいたい! しかし其れをやっては負けだ、なにに負けるかは置いておいて、兎に角負けなのだ。 落ち着けイッちゃん、負けるなイッちゃん、ファイトだイッちゃん。 スーハースーハと、大きく深呼吸をしながら熱暴走しそうな思考を落ち着かせる。 あぁ、嘗ての冷静沈着冷酷無情な黒服時代の私に戻りたい……あの頃はこんな風に自分の感情に振り回されるような事は無かったのに。 兎に角、冷静に。 今、A-No.0と敵対すれば、私に勝ち目はない。 電脳空間を外界から遮断し凍結させる能力、どの様な力が加われば其の様な事を起こせるかは分からないが、力の差は歴然。 先程のPKの時と違い、完全に想定外のことで何も用意はしていないのだ、下手をすればその場で殲滅される可能性がある。 ちらり、と横目でみると、沈黙する私を見ながら首を傾げた状態で立ち尽くすA-No.0の姿が見え、何故か無性にイラッとした。 しかし珍しく空気を読んだのか、ただ私の爪先が地面を叩く音以外聞こえない、ただ長く気まずい沈黙が続く。 もちろんA-No.0自身は気まずくなる、などという人間らしい感情を微塵も感じては居ないのだろうが……とここで、長々と話を長引かせ何とか打開策をと考えていた私は天啓を得たかのような、起死回生の案を思いついた。 このまま、質問をはぐらかし続け険悪な状態のまま別れることになれば、最悪「組織」の総力による粛清もあり得る。 だからといって、ただA-No.0に質問に素直に答えるのは今更癪である。 だが、この方法ならばっ! そう思い至った瞬間、まるで計ったかのようにA-No.0が口を開く。 「私が嫌いだから駄目、ならばとアダ名で呼び合う仲になっても駄目、では一体、どうすれば貴方は私の質問に答えるのです」 「そうですね……まぁ、貴方がどうしても、というならば考えても良いですが……」 調度良い、A-No.0の問いかけに、私は少し折れたかの様な微妙な答えを私は返すことにする。
「どうしてもです、ですので質問に答えてください」 そのA-No.0の言葉にニヤリと内心で笑みを浮かべる。 私は確信したのだ、そう獲物が、罠にかかった、と。 ふっ……伊達に私が前作でラスボスを張っていなかった事を知らしめてやるとしましょうか……。 そんなメタな思考と共に、暗い感情の赴くまま先程思いついた作戦を私は決行する。 「わかりました、しかし……今の貴方には答えることは出来ません」 「どういうことです、話が違います」 「おっと、話は最後まで聞いていただきたいですね、A-No.0」 「A-No.0?……私のことはアーちゃんと呼ぶのではなかったのですか?」 「いや……だからそれは例えの……いえ、もういいです、それでアーちゃん、続けて良いですか?」 項垂れ盛大に溜息を吐く私に、ただA-No.0は無表情に頷く。 「私は貴方の事が嫌いだ、その理由は分かりますか?」 「いえ、皆目見当が突きません」 「まぁ、そうでしょうね……では、それは何故か、私には貴方が嘗ての「私」の様に見えるからです」 その言葉を口にした瞬間、目の前の人物から、極々僅かながら感情の揺らぎのようなものが感じられ、一瞬気押される。 「貴方の様な暗部の者と一緒にしないで欲しいのですが」
その言葉には、微かに嫌悪の感情のような揺れが存在するように見える、だが私は極力それを無視するように努め、言葉の続きを紡ぐ。 「そうですか? しかし傍から見れば同じように、冷静、冷淡、冷徹、無表情で感情のない、まるで人形のように見える」 「つまり、何が言いたいのです?」 「ええ、つまり、そう……嘗ての私のような、人間らしさが感じられない貴方は「信用」出来ない、そういう事です」 「…………」 「信用できない相手を誰が好きになりますか? 貴方の周りにいる者たち、例えばS-No.0なんかは貴方を信頼しているのでしょうが……接点の薄い私には貴方の事を信用することができません」 「ではどうすれば」 「そんな事は簡単ですよ、ただ――貴方が傍目から見ても分かるほどの人間らしさを身につければ良い」 「人間らしさ……」 「そうです、そうなれば私も、A-No.0、貴方のことを」 「アーちゃん」 「……失礼、アーちゃんの事を嫌うことは止めましょう」 「そして、そうなれば自然とイッちゃんは私の質問にも答えると」 「そういう事です、しかし人間らしい感情と一言で言っても色々ありますからね、全てを、とまでは言いません、たった一つの感情さえ身につければ信用することにしましょう」 「たった一つ、ですか」
「ええ、そう、そして、その感情とは人間が持つ最も尊い感情、すなわち――」 言いながら息を吸い込み溜める、先程思いついた案。 相手の質問を完全には拒絶しない、しかし代わりに条件を付ける。 その条件は、無理難題であればあるほど望ましい。 人間らしい感情の発露、それはA-No.0には明らかに不可能であるだろうモノ、その中でも特に有り得ない無縁であろう感情を条件とする、すなわち―― 「アーちゃん! 貴方には恋情という感情を身に付けてもらいましょうぼあぁーーーっ!?」 起死回生の作戦を宣言した瞬間。 しかし何故か、突如この閉鎖世界に発生した強烈な無音の衝撃によって 私は、訳もわからずさしたる抵抗も出来ぬまま、錐揉み状に吹き飛ばされ。 「まさか、私が切り離したこの世界に干渉する? 一体何者が……」 ただ冷静なA-No.0の言葉だけを耳にしながら、私のHPは0となったのであった。
……えー 化死窪喪血、と思われるもっさりしてほのかにピンク色のオーラを放つナマモノには逃亡されてしまい やや気まずい雰囲気が流れたものの……とりあえず、男が女子トイレにいつまでもいるというのは問題なので、場所を移す事にした 学園祭という人が多い環境、何か話していても、そうそう、周囲に気づかれる事はない 「…あぁ言うのを見て平気、って事は。黄昏、あなたも契約者なの?」 「え?……って事は、瑠璃さんも?」 あぁ、やっぱりなのか、と瑠璃は小さく頭を抱えた …兄が以前言っていた事が、ほんの少しだけ、わかった気がする 「えぇ、そうよ鏡のおばーちゃんと契約してるわ」 『ほっほ。正確には、「鏡の中の四次元婆」だけどねぇ』 そっと、裂邪とミナワに、小さな手鏡を見せる瑠璃 そこには、白い着物を纏った老婆の姿が映し出されていた 「追いかけてきてた気配は、その婆ちゃんか」 『ほっほっほ。鏡さえあれば、どこでも覗けるからねぇ』 つまるところ、鏡が存在する学校のトイレに逃げ込んだ時点で、裂邪達は瑠璃からは逃げられなかったノアd シェイドのシャドーダイブで、トイレの個室から移動していれば、また別だったのだが 「それで?あんたは、何と契約してるの?」 「俺は……このミナワと、他に三つ」 「御主人様と契約しています、ミナワです」 ぺこり、瑠璃に頭を下げるミナワ そう、と瑠璃はミナワに小さく笑いかけ
41 :
ツンデレとロリコン ◇nBXmJajMvU (転載) :2010/10/07(木) 13:56:03.68 ID:nYR1SH3R0
…ふと、何かに気づいたように、怪訝な表情を浮かべる 「……他に三つ?多重契約じゃない。それって、危ないんじゃないの?」 「まぁ、そうだけど…」 「大丈夫です!ご主人様のことは、私達が護りますから!」 裂邪が、都市伝説に飲み込まれるような状況には、陥らせないと そうとでも言うように、断言するミナワ そんなミナワの発言に、裂邪はメロメロである …いい都市伝説と契約したものだ 瑠璃はどこか、微笑ましいものを覚える 「そう。でも、気をつけなさいよ?この街、やたらめったら都市伝説が多いんだから。契約者だと、特に遭遇しやすいわよ」 「あぁ…さっきの、赤いマントのおっさんと、赤いはんてんのロリ幼女のように?」 「そうね、ちょうど、さっきのって言うか、あそこにいるような…」 ……… ………… 瑠璃達の、前方に 先ほどの騒ぎで、一瞬姿を見せた、真っ赤なマントと、赤いはんてんが……見えた その色合いのせいか、人ゴミの中でも普通に目立つ いくら、都市伝説と契約者はひきつけあうと言っても、遭遇しすぎだろう どう言葉を続けたらいいものか、瑠璃も裂邪達もちょっと困るのだった 続くかどうかわからない
42 :
夢幻泡影 † もさもさが逃げた後 ◇7aVqGFchwM (代理) :2010/10/07(木) 13:57:08.62 ID:nYR1SH3R0
謎のオーラを放つもさもさした生き物が逃亡した後、裂邪達はとりあえず場所を移すことにした。 ・・・男が女子トイレに長居するのも問題であるし。 (瑠璃>…あぁ言うのを見て平気、って事は。黄昏、あなたも契約者なの? 最初に口を開いたのは瑠璃だった。 あまり一般人には知られたくない話題ではあるが、この喧騒の中なら誰にも聞かれないだろう (裂邪>え?……って事は、瑠璃さんも? (瑠璃>えぇ、そうよ。鏡のおばーちゃんと契約してるわ (老婆>『ほっほ。正確には、「鏡の中の四次元婆」だけどねぇ』 瑠璃の取り出した手鏡に、白い着物の老婆の姿が映っていた。 (裂邪>追いかけてきてた気配は、その婆ちゃんか (老婆>『ほっほっほ。鏡さえあれば、どこでも覗けるからねぇ』 (裂邪>(なるほどねぇ・・・トイレの中に逃げたのは失敗だったわけだ;) (瑠璃>それで?あんたは、何と契約してるの? (裂邪>俺は……このミナワと、他に三つ (ミナワ>御主人様と契約しています、ミナワと申します 軽く頭を下げるミナワ。 瑠璃はそっと笑いかけるが、すぐに表情が変わり、 (瑠璃>……他に三つ?多重契約じゃない。それって、危ないんじゃないの? 素朴だが、大きな疑問。 ―――そういえば、シェイドも去年戦った赤マントも同じ事を言ってたっけ。 少し疲れはするけど、ヤバげなデメリットが現れた事は、今のところないような・・・
43 :
夢幻泡影 † もさもさが逃げた後 ◇7aVqGFchwM (代理) :2010/10/07(木) 13:58:06.29 ID:nYR1SH3R0
(裂邪>まぁ、そうだけど… (ミナワ>大丈夫です!ご主人様のことは、私達が護りますから! ピクリ、と裂邪の腕が一瞬、痙攣する。 いや、正確にはミナワを抱き寄せようと思ったが、人前なので自重しただけなのだが。 (瑠璃>そう。でも、気をつけなさいよ?この街、やたらめったら都市伝説が多いんだから。 契約者だと、特に遭遇しやすいわよ (裂邪>あぁ…さっきの、赤いマントのおっさんと、赤いはんてんのロリ幼女のように? (瑠璃>そうね、ちょうど、さっきのって言うか、あそこにいるような… ・・・前方に、赤すぎる2人組。 つい先程トイレの中に現れた、赤いマントの男と赤いはんてんの少女が、そこにいた。 (裂邪>(ヒャッホォォォォォォォ!! ロリっ子いたぁぁぁぁぁぁぁ!!! これは是非! お友達になって貰わねば!! そしてあのおっさん・・・同じ赤マントでもあの時の赤マントとは雰囲気が違う。 俺と同じ匂いがする事が何よりの証拠。あの人もいい友人になれそう。ウヒヒヒヒ・・・) 裂邪は何故か、ニヤニヤが止まらないのであった。 ...END
44 :
舞い降りた大王―セイギの死 ◇dj8.X64csA (代理) :2010/10/07(木) 13:59:08.69 ID:nYR1SH3R0
???「もうすぐだ、もうすぐその時が来る。」 ある時、ある場所で、ある男はそう呟いた。 ???「『あれ』が完成し、情報さえ揃えば、世界征服は目の前だ。」 世界征服のため、活動してきた男がいた。 ???「嬉しいでしょう?『大王様』。」 そう、彼の名は――― 手下「「[黄昏マサヨシ]将軍!」」「「我等が黄昏将軍!」」「「この世界の救世主!」」 黄昏「貴方には、もうこれだけの手下がいるんですよ。大王様。」 城のような建物の窓から群衆を見ながら、マサヨシはそう微笑んだ。ふと扉からノックが聞こえる。 心星「将軍。お話があります。」 黄昏「心星か。入れ。」 “ガチャリ”と、マサヨシの部屋に心星が入ってくる。 黄昏「『あれ』についてか。」 心星「はい。もうすぐ完成します。あなたの求めた最強兵器『封印槍』が。」 その言葉を聞き、マサヨシは高らかに笑い出した。 黄昏「遂にだ。遂に大王様が世界を支配する時が来る!」 心星「それについてなんですが・・・。」
45 :
舞い降りた大王―セイギの死 ◇dj8.X64csA (代理) :2010/10/07(木) 14:00:16.55 ID:nYR1SH3R0
自信に溢れているマサヨシに、心星が疑問を挙げる。 心星「『封印槍』はどうやら1本の生産ペースが長いようなのです。 それにとてもあんなもので強敵を倒せるとは思えないのですが。」 黄昏「・・・あぁ、まだ説明していなかったか。いいだろう。そろそろ話してやる。」 マサヨシは王座のような椅子に座り、『封印槍』について語りだした。 黄昏「そもそもあの槍にどのような力が秘められているか知っているか?」 心星「いいえ。詳しくは存じません。」 黄昏「そこからだな。あの槍には『都市伝説の能力を封印する』力がある。」 心星「都市伝説の能力を?!・・・失礼しました。」 黄昏「無理もない。都市伝説に頼ってきた人間が、それを封じられては赤子同然だからな。」 心星「しかし、どうやって?」 マサヨシが少し考えてから、逆に心星に質問する。 黄昏「都市伝説が何でできているか知っているか?」 心星「は?さ、さぁ・・・。」 黄昏「都市伝説は人々の幻想だ。欲望・怨念・恐怖・・・それらの塊だ。コロすと消滅するところからもそれは分かるだろ?」 心星「はい。」 黄昏「つまりこの幻想をデータ化し、メモリの中に閉じ込めれば、都市伝説を封印した事になる。そうだろ?」 心星「そうかもしれませんが、データ化なんて、あ!」 ふと、心星はある事に気が付く。それを見て、マサヨシは不敵な笑みを浮かべる。 黄昏「そう、日向の都市伝説、【電脳世界=自然界論】だ。 やつの能力なら、肉体まで封印できないが能力などなら可能らしい。 そのために情報や他の都市伝説が必要だった。だが全て掻き集めた。この日のために!」 心星「し、しかし、そのためには数が必要です。それに、万が一避けられたとしたら・・・。」
しぇんー
47 :
舞い降りた大王―セイギの死 ◇dj8.X64csA (代理) :2010/10/07(木) 14:03:06.90 ID:nYR1SH3R0
不意にマサヨシが立ち上がり、心星に歩み寄る。 黄昏「そのために、俺と・・・お前がいる。」 マサヨシが笑みを浮かべたまま心星の肩を掴む。 心星「え・・・?」 黄昏「『封印槍』は1本で充分だ。俺には、大王様の能力がある。」 心星「あ、そ、そうでしたね。取り乱して申し訳ないです。」 黄昏「なぁに、それだけ俺の事を心配してくれているんだと思っておいてやる。」 心星「ぁ、ありがとうございます。しかし数の問題は解決しましたが、命中率は・・・。」 その質問に、マサヨシは呆れたように返す。 黄昏「そこは、お前の仕事だ。」 心星「はい?ですが、私には・・・。」 黄昏「お前には、全ての槍を確実に命中させる術がある。」 そういうと、マサヨシがポケットから十円玉を取り出し、心星にトスする。 心星「ぉっと、・・・なるほど。そういう事ですか。」 黄昏「槍には【コックリさん】を共有する能力も付加されている。 『封印槍』のコピーを大王様の能力で生成し、コインの能力で敵に必中させれば。」 心星「確実にこの町の都市伝説を狩れる。」 黄昏「夢の世界征服、となる訳だ。」 急に部屋の扉が開き、隊長らしき人物が入ってくる。 隊長「将軍!また【組織】の人間が動いたようです!今、我が隊は苦戦中で、死傷者も出ています!」 黄昏「・・・そうか。」
48 :
舞い降りた大王―セイギの死 ◇dj8.X64csA (代理) :2010/10/07(木) 14:06:07.35 ID:nYR1SH3R0
隊長の頭上に黒雲が広がる。同時に、何故か隊長は金縛りにあったかのように動かなくなった。 隊長「しょ、将軍、何を・・・?」 黄昏「1つ、死傷者を出すような隊の長は要らない。2つ、自分だけノコノコと帰ってくる精神が気に入らない。」 マサヨシはゆっくりと隊長に歩み寄る。 黄昏「3つ、この扉をノックせずに開けた事が許せない。」 隊長「将軍、待」ガゴン! マサヨシは隊長に向かって謎のリモコンのスイッチを押すと、突然巨大な鉄板が現れ、隊長とその頭上の雲を囲う。 黄昏「大王様の言葉だ。『お前は隊長から、地獄の労働者に格下げだ』とな。」 心星「・・・良かったのですか?今は人手が必要な時期では?」 黄昏「だからこそ、あんな人材は必要ない。今すぐ他の隊を送れ。」 心星「はっ。あの、私も向かいましょうか?」 黄昏「・・・死ぬなよ。」 心星「・・・はい!」 心星は敬礼をして、駆け足でこの部屋を離れた。 黄昏「死なれては困るからな。『今は』。」 マサヨシがそういうと、コンテナ状になった鉄板を1枚剥がす。 そこには居るはずの隊長の姿は無く、代わりに剥がした鉄板に、彼の影が写されていた。 黄昏「また1枚、『私に逆らった愚か者の最期』が増えたな。いい見せしめだ。」 マサヨシがそこから離れると同時に、鉄板はどこかに消えていった。
しーぇん
50 :
舞い降りた大王―セイギの死 ◇dj8.X64csA (代理) :2010/10/07(木) 14:08:53.04 ID:nYR1SH3R0
黄昏「あいつはいざという時に俺の身代わりになってもらう。そんな人材を今捨てる訳には行かんからな。 やがて全てが揃う。そして俺の世界征服が完成する!」 何故か、マサヨシの足が止まる。 黄昏「なんだ、これは・・・?」 同時に、今まで感じたことが無い『恐怖』を覚えた。すぐにそれによって動く事ができなくなったと悟る。 それはいつ来るか分からない。それは何処から来るか分からない。 だが貴方達は、いつもそれと隣り合わせになっている。 だから貴方達は、いつもそれから逃げるために走り続ける。 しかし貴方達は、いつまでもそれから逃れる事ができない。 ―――そう、我こそが【Θανατοσ(死)】だ――― 黄昏「貴様、都市伝説、か?」 タナトス「さぁ『Αμαρτωλοσ(アマルトロス)』よ。今日、お前は終わる。」 黄昏「まさか、貴様が、死の神、【タナトス】なのか?」 タナトス「そうだ。だからお前をアヤメに来た。」 黄昏「何故だ、どういう、事だ・・・!?」
51 :
舞い降りた大王―セイギの死 ◇dj8.X64csA (代理) :2010/10/07(木) 14:11:39.57 ID:nYR1SH3R0
マサヨシの首に鎌をかけたまま、後ろに立つ【タナトス】は話し始めた。 タナトス「私は人をアヤメ、不幸にする者を狩るために生きている。例えばお前のような、な。」 黄昏「な、なら俺もそのために、世界、征服を」 タナトス「そのために多くの犠牲を生んだ。多くの人を苦しめた。そんな『正義』は必要ない。」 黄昏「く、ちゃ、チャンスをくれ!もう1度生まれ変わるチャンスを」 タナトス「『Ευκαιρια(エプケリア)』なら与えた。いつか良くなると信じていたが・・・。」 【タナトス】は鎌をゆっくりと黄昏から離していく。 今なら逃げられる?いいや、彼の前ではそれはできない。彼の恐怖がそれをさせない。 タナトス「残念だ。」 黄昏「く、チクショォォオーーーーー!」 ――――――完―
52 :
舞い降りた大王―もう1つの世界 ◇dj8.X64csA (代理) :2010/10/07(木) 14:14:08.12 ID:nYR1SH3R0
正義「・・・。」 剣裁「―――その後はあえて見ていない。だが結果は見えているだろ?」 ―――夢の中。剣裁はもう1つの世界で起こった出来事を語っていた。 正義「別の世界ではそんな事になっていたなんて・・・。」 剣裁「分岐点は、『ある少年との出会い』。この出会いのせいでお前の人生は大きく変わる。」 剣裁の発言と同時に、剣裁の傍に見た事もない少年が映し出される。どうやら学校町の人間らしい。 剣裁「正義、今すぐ学校町から逃げろ。そうすれば似た運命を辿る可能性はなくなる。」 そう、剣裁はそう忠告するためだけにここに来たのだ。 正義「ありがとう、剣裁。でもボクはここに残るよ。」 剣裁「なッ、なんでだ?!」 正義「たしかにここは危険な町かもしれない。ボクもその危険な存在になってしまうかもしれない。」 それを無視してでも、正義はここに居たい理由があった。 正義「でもこの町での出会いが、きっといつか役に立つと思うんだ。 この町の、良い人悪い人、多くの人の考えに触れる事で、ボクは強くなれると思うんだ。」 ただそれだけの理由だった。ただ守りたいものを守るための力を求めていた。 そのためには、多くの人の知恵や人生観・正義感も必要となる。それ故にこの町での経験は重要だと考えたのだ。 剣裁「・・・そうか。なら良い。それがお前の選択なんだな。」 正義「ありがとう剣裁。でもこれだけ聞かせて。」 剣裁「ん?なんだ?」 正義「【タナトス】についてなんだけど・・・。」
しぇーん
54 :
舞い降りた大王―もう1つの世界 ◇dj8.X64csA (代理) :2010/10/07(木) 14:17:00.46 ID:nYR1SH3R0
意外な質問に、剣裁は戸惑った。 剣裁「待て、あいつと戦う事になる可能性はないと思うぞ。今のお前のままなら、だが。」 正義「もしもの事もあるし。それに・・・。」 正義は何かを隠している。剣裁はそう思ったのか、ふと呟く。 剣裁「奴の力の源は【死】だ。」 正義「え?」 剣裁「奴は自分の中に【死】のイメージや恐怖を取り込む事で本来以上の力を得た。」 正義「と、都市伝説ってそんな事もできるの?」 剣裁「【死】を神格化したあいつだからできたんだ。そしてあいつはその力と恐怖を手にした。」 正義「・・・。」 剣裁は振り返り後ろへと歩いていく。 正義「え、待って!まだ答えを聞いていないよ!」 剣裁「そんなの自分で考えろ!オレの話を聞いたなら分かるはずだ!『どうすれば【死】に打ち勝てるか』・・・。」 ゆっくりと剣裁が歩いていると、剣裁を線が包み、線が下にスクロールすると剣裁はいなくなっていた。 正義「・・・【死】に打ち勝つ方法・・・。」 ボクは忘れない。『【死】に打ち勝つ方法』と―――別の世界の自分の存在を――― 番外「もう1つの世界」―完―
「ドクター達、大丈夫でしょうか…」 「何となく、大丈夫そうな予感はするでありますが」 「相手は殺しまではしないんだし、大丈夫じゃないかー?」 ドクターとパスカルが流されていって、それをヘンリーが追いかけていった様子を見ながら、エニグマ姉妹と沙々耶は心配したり対して心配して居なかったりしていた 何というか……何となくだが、大丈夫そうな気がするのだ 主に、命の危険はないような気がする ポロリの危険はあるかもしれないが とまれ、三人が、プールから少し離れた位置で、事の成り行きを見守っていると 「ちょっとすいませーん」 「うー!」 「ちゅー」 不意に、声をかけられた そちらを見ると、肩に白いハツカネズミを乗せたどこか眠たそうな表情の少女と、小学校低学年くらいの少年が、彼女らに近づいてきていた …ネズミは、どっかで見た事あるような… 「……あ、お姉の水着を持って着てくれたネズミ…」 「ちゅっちゅー」 デリアの言葉に、また会ったね、とでも言うように、ネズミがぴっと前足を上げた …何か、ものすごく、ハツカネズミを超越した存在のような 「こっちに、浮き輪流れてきませんでしたかー?」 「うー、おねーちゃんの浮き輪、来てないー?」 てとととと 三人に近づいてきながら、尋ねてくる少女と少年
56 :
少年と少女 ◇nBXmJajMvU (転載) :2010/10/07(木) 14:21:52.87 ID:nYR1SH3R0
……浮き輪? 「来ていませんよね、お姉」 「見覚えはないでありますな。まぁ、こちらも色々とパニックに巻き込まれておりました故、気付かなかった可能性も捨てきれないでありますが…」 エニグマ姉妹の言葉に、こっちにもないかー、と困った様子の少女 うー?と少年が首をかしげる 「浮き輪、こっちにもないー?」 「そうみたいだねー……んー、都合よく流れてきたりしないかなぁ」 「ちゅちゅー」 んー、と、プールを眺める少女とネズミ 今、あまりプールに近づかないほうがいい、と デリアが忠告しようとした……その時 「…………そう………哀れだね。親の仇に利用されて…………………でも、その事実にすら気付かずに。味方も自分も不幸にして、死ぬ運命なんて、さ」 「………え?」 聞こえてきた、その言葉に きょとん、と、デリアは、その言葉を発した主である……少年を、見つめた じ、と 少年も、また……デリアを、じっと、見つめてきている 先ほどまでの、歳相応の可愛らしい子供の表情では、なく 冷め切っているような、哀れんでいるような、蔑んでいるような、同情しているかのような ……そんな、表情を浮かべて
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 14:23:13.73 ID:1AiaMeli0
しぇん〜
58 :
少年と少女 ◇nBXmJajMvU (転載) :2010/10/07(木) 14:24:02.33 ID:nYR1SH3R0
「…どう言う……意味、ですか?」 デリアが そう、尋ねると 「……???うー?」 きょとん、と 少年は、元の子供っぽい表情になって、首をかしげた まるで、先ほど発した言葉の内容すら、まったく覚えていないかのように 「うーん、やっぱり来ないねぇ、浮き輪」 「…うー?おねーちゃんの浮き輪来ないー?」 「探し方、変えた方がいいのかなぁ」 むむー、とプールを眺め続ける少女の傍らで、首をかしげる少年 先ほどの豹変など、まるで、一時の幻であったかのように その面影は、カケラも残っていないのだった 「……どう言う意味?さっきの?」 ぽそり、と 少女…葉は、少年…幸太に、小さくそう尋ねた −−−すぅ、と表情が、また一変し…幸太は、答える 「…………言ったままの意味だよ……あのお姉ちゃんは、本人も気付かないうちに操られていて…でも、それに誰も気付けないで。それをどうにかできる存在は傍にいなくて………あのままじゃ、自分や周りを巻き込んで、死ぬよ」
しえん
60 :
少年と少女 ◇nBXmJajMvU (代理) :2010/10/07(木) 14:34:17.85 ID:1AiaMeli0
まるで、慈悲なき予言のように 冷たく、突き放したように、幸太は言い切った 葉は、小さく眉をひそめる 「それはまた、物騒だね…どうにかならないの?」 「さぁ?…………まぁ……おねーちゃんなら、もしかしたら、どうにかできるかもしれないけど、ね」 きひひっ、と そう、小さく笑った幸太 …が 次の瞬間には 「…うー!浮き輪、見えたー!」 と また、元に、戻ってしまった 「あー、いいところで…って、浮き輪?」 「ちゅちゅちゅー!」 キターーー!! 浮き輪が、ぷかぷかと流れてきた! 回収すべく、葉はプールへと近づいていって その、葉の後姿を、幸太はじっと見つめて 「………ここで、それを知った事で…………さぁ、どう未来は変わるかな………?」 と、小さくきひひ、と笑っていたのだった to be … ?
61 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/07(木) 14:38:21.83 ID:1AiaMeli0
封鎖されていた筈の空間に、無音の衝撃が駆け巡る。 暴風が吹き荒れ、世界に亀裂が走る。 突如、宙空に現れた罅は、硝子が割れるようにピシリ、ピシリとその大きさを増大させて行く。 「何かが、出てきますね……」 小さく呟かれたA-No.0の言葉に、私の身体は反応することもなく、ただ焦燥に駆られるように 固定された視線の先を見据えていた。 「来ます」 そんなA-No.0の声が私の耳へと届く直前、突如吹き荒れる衝撃が止み、空間に大きな穴が開く。 黒々とした漆黒の闇の向こう側、虚空に出現した世界の亀裂から現れたのは―― 「天使……?」 『アレは……ザバーニーヤ、か?』 「……今の声はイッちゃん? しかし、今の耳元で直接囁かれた様な感覚は……」 『wisです、今の私はHPが0の為に動くどころか普通に話す事も出来ないので』 「ふむ、なるほど、しかし……ザバーニーヤ? 確か、イスラームのコーランに登場する天使の名前でしたか」 『ええ、厳密に言えば、それが元ネタのモンスターです、かなり高レベルで、特定イベントでしか出現しない筈のレアモンスターのはずなのですが……』 などと話をしている間にも、どんどん亀裂から沸き出してくる天使達。 その数は、既に100を超え、さらにまだ数を増してゆく。
62 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/07(木) 14:42:53.26 ID:1AiaMeli0
「しかし、私の封鎖空間を破壊し、侵入して来ている、ただのゲームのモンスターとは思えませんが……」 『確かに、何らかの都市伝説が関わりがあるのか? ……まぁ、しかし、アーちゃん、貴方ならばどうとでもなるのでしょう?』 「なりません」 『では、ちゃっちゃと、終わらせてくださ……何ですと?』 「ですから、今の私ではどうにもなりません」 『何故です!? 貴方の力があればこの程度の相手は軽く蹴散らせるのではないのですか? 腐っても組織のトップでしょう!』 「私は別に腐っていませんが……そもそも私は元々直接戦闘は得意ではないのです、そして現在は封鎖空間を介して何者かから受けている妨害行為により能力をマトモに行使出来ない状態にあり、復帰まで最低でも14分21秒かかります」 『では、どうするのです? ゲーム世界とはいえ都市伝説が絡んでいるのです、あのモンスターに殺されれば無事で住むとは思えませんが』 その私の言葉に、ただ無言でこちらに視線を向けてくるA-No.0。 『まさか……』 「イッちゃん、貴方がどうにかしなさい」 『この状態で出来るわけがないでしょうがああぁぁーーーーうぼぁーっ!!?』 理不尽なA-No.0の台詞に堪忍袋の緒が切れた瞬間またもや、突然、私の至近の空間が炸裂し、強烈な衝撃が巻き起こる。 既にHP0となり、この忌々しい封鎖空間の所為でホームタウンに戻ることも出来ない私のPCは身動き取れないままに吹き飛ばされる。 まるで、風に翻弄される木の葉のように空中を舞う私の身体。 数秒の強制空中遊泳を楽しんだあと、ビターンという間の抜けた音と共に仰向けに地面へと叩きつけられる。 あまりの、激しい視界の転換に耐えきれず3D酔いの様な感覚に見舞われながらも、視界に映る光景を何とか意識する。
63 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/07(木) 14:49:39.59 ID:1AiaMeli0
そこには突如、私の身体を吹き飛ばしながら現れ、至近まで迫ってきていた天使の軍勢を瞬く間に蹴散らせた存在が居た。 それは八ツ手の様な形状の団扇を持ち、背には一対の黒い翼、一本歯下駄を履いた、修験者の様な服装をした男。 「あなたは、神野悪五郎……首領の契約都市伝説である貴方が何故ここに?」 A-No.0の言葉を聞き、理解する……これが、この存在が、B-No.005やB-No.003が言っていた強大な力を持つ「首領」の都市伝説か。 「ふん、貴様になど用など無い、儂が用のある相手はそこの童よ」 『……私に?』 問い返す私を無視するかのように、舌打ちを一つする悪五郎。 背後に迫る、数十の天使を振り向きもせずに団扇を一振りし、刹那に細切れにすると、こちらに何かを放り投げてくる。 まるで、フロッピーディスクのような外装をしたアイテムが私の身体に触れた瞬間、強制的に小さなウィンドウが開き、理解不能なマシン語が走りだす。 『これは……カスタムプログラム?』 「いえ、この感覚……これは――」 「"永遠の十字路に立つ者"からの進物だ、今の貴様には必要なものだろう」 ウィンドウを走る言語の動きが止まり、次の瞬間、強烈な青い光が私のPCの腕から漏れる。 この光景は、まるで―― 「神野悪五郎、イッちゃんに何をしたのです」 「黙れ下郎……見ていれば分かる」
64 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/07(木) 14:55:41.25 ID:1AiaMeli0
腕から肩へ、肩から胸へと伝わり、全身を青い光が満たしてゆく。 あぁ……この感覚、覚えがある、嘗て、私が黒服になる前に一度体験した事象。 世界の動きが止まり、景色が白黒になる、体全体を包む冷たく熱い感覚。 ただ、脳裏に浮かぶのは、一つの言葉。 ――都市伝説"地獄の門"―― これが、今から、私が契約する都市伝説の名。 『契約書』により、私が契を交わす、新しき力の名。 "汝等こゝに入るもの一切の望みを棄てよ" 頭に響く何者かの言葉。 何処からともなく大地が鳴動するかの様な音が周囲に鳴り響く。 『 Per me si va ne la citta` dolente, per me si va ne l'etterno dolore, per me si va tra la perduta gente, Giustizia mosse il mio alto fattore, fecemi la divina podestate, la somma sapi"enza e 'l primo amore, Dinanzi a me non fuor cose create se non etterne, e io etterno duro, Lasciate ogne speranza, voi ch'intrate' 』
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 15:01:24.71 ID:nYR1SH3R0
サル解除された支援
66 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/07(木) 15:01:42.03 ID:1AiaMeli0
地獄に通じる門の頂に記されていると言われる銘文群が、揺れ踊る鉄鎖の如く私の掌から現れる。 赤黒く脈動するエフェクトを発する言葉の羅列が、私の身体に纏わり巻き付くように接触し。 その刹那、強烈な光の大瀑布が辺り一面に巻き起こる。 「開け地獄門、我が名はB-No.001、何者にも束縛されず、ただ家族を守るゆえに牙を剥く咎狗なり」 口を開くと同時、宙空に出現した我が半身、エペタムの白刃が煌き、天使を屠る。 刹那の瞬き、数千の剣閃を撒き散らし、全ての天使が地に堕ちる。 この身に返り血は一切なく、その屍体に血痕は一滴も無し。 ただただ、脈動する刀身に呑まれた血潮は、我が罪へと還り咲く―― こうして「プログラム化された契約書」の力により、地獄の門と契約した私は。 ゲームデータではなく、生身の存在としてCOAの地へ降り立ったのであった。
67 :
神でも獣でも無い者のこと ◇DkTJZY1IGo (代理) :2010/10/07(木) 15:06:47.44 ID:1AiaMeli0
COAメインサーバー・量子コンピューター「万物の進行表」内部―― 0と1が重ねあわされるプログラムの海の中で 一人の少女がCOAの世界を眺めていた。 少女には白と黒の縞がはいった猫耳と猫尻尾が生えている。 「退屈で退屈で死にそうやった。 ……けどおもしろい事になってきたね 愛や恋がいっぺん開けると閉める事が出来ん 開けてはいけにゃー扉のようなもんやという事を 果たしてオールは理解してるのかにゃ?」 にふふふ、と頬を笑みの形に創る 彼女の名はユービクィティ・ウルティマ。 一応組織の幹部という事になる。 同組織のエーテルは彼女の事をこう評価した。 「なんと言うか……理屈や理論よりは感情や勢いや直感で行動するタイプだな。 好奇心旺盛でプライドが高めで気まぐれ。 猫っぽいし基本的に脳筋っぽいところがあるな」 エーテルの見解には一つだけ誤りがあった。 恋愛事に関しては恐ろしく鋭いし頭が回る。 ただしそれ以外は……
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 15:07:39.51 ID:nYR1SH3R0
ネタ書きつつ支援
69 :
神でも獣でも無い者のこと ◇DkTJZY1IGo (代理) :2010/10/07(木) 15:11:26.81 ID:1AiaMeli0
「それにしてもうちは何時まで此処に居ればいいんやろう」 彼女は知らない。 COAが組織過激派によって創られたという事を。 今はゲームのサーバーとしてしか使用されていないが その気になればユティの力が加わった量子コンピューターは 地上に存在するあらゆるコンピューターの性能を凌駕し 暗号などは無意味になる。 現在のコンピューターに使われる暗号が成り立っているのは 性能限界上解読に数千年掛かるから成り立っているわけで。 適切に量子コンピューターがユティの能力を補助できれば「勘」で当てられる。 彼女の契約都市伝説「シュレディンガーの猫」はそれだけの力を持っている。 そして、COAはある超巨大な異界系都市伝説を制御するために 都市伝説と相性がいいように設計されている。 デザインやプログラムそのものに呪文やルーン文字などが埋設されているのだ。 「生と死の曖昧な重ね合わせだとかコンピューター技術の躍進とかあらゆるものの真ん中を抑えるとか ややこしいことを散々言われたけどさっぱり分かれへんなー とりあえず、この異界系都市伝説とのリンクを維持する事がうちの仕事やけど 部下からの連絡もなくなりよったし」
70 :
神でも獣でも無い者のこと ◇DkTJZY1IGo (代理) :2010/10/07(木) 15:16:25.20 ID:1AiaMeli0
生と死の中間。 【あらゆるものの真ん中】 ありとあらゆる言葉で語られ ありとあらゆる民族に共通する、超巨大な異界系都市伝説…… 死者の魂がとどまる場所。 すなわち「冥界」 これを支配する事で都市伝説を量子コンピューターによるネットワークの掌握により現実世界を それぞれ支配しようとしていた事などユティは知らない。 また、それを計画していたもの達が粛清された事も。 to be……
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 15:18:30.42 ID:nYR1SH3R0
代理投下乙でしたー よーし、おにーちゃんもうちょっとで、イっちゃん(♂)にめっさ迷惑かけるネタ投下しちゃうぞー
72 :
感情なきはずの者 ◆nBXmJajMvU :2010/10/07(木) 15:29:29.87 ID:nYR1SH3R0
全ての天使達が、一瞬で屠られた様子を そして、B-No.001が、返り血にまみれている、その姿を A-No.0は、ただ、無表情に見つめていた …そして その視線が、神野悪五郎へと向けられる 「……プログラム化された、都市伝説の契約書……地獄門…………あなたは、イっちゃんに、多重契約をさせたのですか」 「黙れ、下郎。貴様となど、言葉を交わしたくもない」 感情のこめられていないA-No.0の言葉に、神野悪五郎はそう答えた しかし、A-No.0は、構わず続ける 「多重契約のリスクを、イっちゃんに背負わせたのですか?そして、何故、イっちゃんを生身でこちらの世界に侵入させたのです。 通常ログインと違い、生身での進入は、この世界を形成している存在に目をつけられる意味で、危険です。何故あなたはイっちゃんに、そんなリスクを背負わせたのですか」 「黙れといっている……」 …A-No.0は、神野悪五郎の言葉を、意に介した様子はない ただただ、いつも通り、今まで通り 無感情な言葉を続ける 「…都市伝説の契約書の、プログラム化。そんな事を可能にできるのは…私が把握している限りでは、B-No.0しか存在しません……あなたは、あなたと契約している存在は。B-No.0と接触を持っているというのですか?」 「…下郎が。言葉が通じぬか」 ……… 駄目だ、会話になっていない 二人の会話を半ば他人事のように聞きながら、B-No.001は軽い頭痛のようなものを感じた …と A-No.0の視線が、B-No.001に、向けられた
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 15:32:27.08 ID:1AiaMeli0
しえんー
74 :
感情なきはずの者 ◆nBXmJajMvU :2010/10/07(木) 15:32:29.56 ID:nYR1SH3R0
「イっちゃん。何故、彼は私の質問に答えてくれないのでしょうか?」 「…本気でわかっていないのですか?アーちゃん」 「理解できないので、尋ねています」 淡々とした言葉に、B-No.001はため息をついた やや嫌味をこめて、答える 「彼も、あなたの事が嫌いだからではないですか?」 「………?何故、彼が、私を嫌うのですか?」 「そりゃあ、あなたは、彼の契約者を「組織」に勧誘しておきながら、一方的に切り捨てるなんてしたんですからね。嫌われて当然なんじゃないですか?」 冷たく、そう言い放ってみせるB-No.001 A-No.0は、不思議そうに首をかしげて… ………つぅ、と 「……え?」 「……?」 静かに、静かに A-No.0の頬を、涙が伝う (…なみ、だ?) そう ………涙だ 静かに、静かに
75 :
感情なきはずの者 ◆nBXmJajMvU :2010/10/07(木) 15:35:27.05 ID:nYR1SH3R0
A-No.0が……涙を、流している 「…?これは…?」 自分が、涙を流している事を A-No.0は、ようやく自覚したようだった ただただ、不思議そうに…ただし、無表情のまま…首をかしげる 「え?ア、アーちゃん、どうして、涙を流しているんです?」 「……?何故、なのでしょうか?」 B-No.001の言葉にも、A-No.0は首を傾げるばかりだ …自分で、何故、涙を流しているのか、理解できていない…? いや、それよりも …涙を、流す? それは、まさか 感情など持ちえていない存在のはずの、A-No.0だが …感情を、持ち合わせていたとでも、言うのか? B-No.001が、そんな疑問を抱いていると 『やーいやーい、いじめっこー』 と 非常に、非常に、この場の空気にそぐわない、緊張感の伴わない声が、頭に響いた B-No.001も聞き覚えのある、できればあんまり聞きたくなかった、声で
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 15:37:48.41 ID:1AiaMeli0
しえんしえん
77 :
感情なきはずの者 ◆nBXmJajMvU :2010/10/07(木) 15:38:08.26 ID:nYR1SH3R0
「っちょ!?何です、突然の言いがかりは!?」 『状況的に、エーちゃん泣かしたのはお前らだろうがよ』 B-No.001の言葉に、声は続き 直後、A-No.0の前に、イクトミが姿を現した 恐らくは、小さな蜘蛛の姿で接近してきていたのだろう 己を護るように姿を現したイクトミに、A-No.0は小さく首をかしげた 「イクトミ?あちらはどうにかなったのですか?」 「あぁ。ついでに、ちいとばかし面倒なことが起きたが…まぁ、いい。それは後で報告する」 「わかりました」 A-No.0の前に立つイクトミは、ゆらゆらと軽く手を揺らしながら、B-No.001と神野悪五郎を見つめてくる いつでも、戦闘行為に入れるよう、警戒している様子だ …特に、神野悪五郎、相手に 「……ところで、イクトミ。イっちゃんと神野悪五郎がいじめっこ、と言うのは、どう言う事ですか?それは、私が涙を流している事と、何か関わりがあるのですか?」 「どう考えても、お前はあいつらの言葉を聞いて涙を流しただろうが。関わりがないとでも思ったのか」 「……?よく、わかりません。そもそも、何故、私は涙を流しているのですか?これには、私の思考に波が起きている事が、関係しているのですか?」 相変わらずの、無感情な声での、一方的な質問 B-No.001とは違い、それに嫌な顔一つせず、イクトミは答える 「ん〜?そうだな……エーちゃん、その思考の波ってのは、前に感じた事はあるか?あるとしたら、それはどう言う時だった?」 「……以前にも、この波を自覚した事はあります………ダレン・ディーフェンベーカーが暗殺されたと、聞いた時。その瞬間に……よく、似ています」 一瞬 声に、感情のゆれのようなものが、混ざる まただ、とB-No.001は怪訝に思った
78 :
感情なきはずの者 ◆nBXmJajMvU :2010/10/07(木) 15:41:06.77 ID:nYR1SH3R0
今まで、A-No.0と会話していて、何度か感じられた感情のゆれ …ダレン・ディーフェンベーカー、D-No.0の話題になった時、それが多いように思えたのだ 「そうか。それじゃあ、それは「悲しい」って感情だ。お前は、こいつらに嫌われた事を「悲しい」って感じた。だから、涙が流れたんだよ」 「…悲しい…?…………これが、「悲しい」という、感情なのですか?」 己の頬を伝う涙に、不思議そうに触れながら、A-No.0が呟く それは、まるで映画などでよくある、感情を持たないはずのロボットやアンドロイドに、感情が芽生えたシーンに、よく似ていた 「…アーちゃん、あなたには……感情が、あるのですか?」 「……本来、「組織」として生まれた私には、感情など存在しませんでした………しかし、いつからか、それに似た思考の波が、私の中で生まれ始めています」 B-No.001の質問に、A-No.0は無感情な声で答えた その間も、涙は止まっていない 恐らくは、A-No.0が、生まれて初めて流した、涙 それは、静かに流れ続けている 「…イっちゃん。あなたは、アダ名で呼び合うのは親愛の証だと言いました。ならば、私を「エーちゃん」とアダ名で呼んでくるイクトミは、私に親愛を感じているのでしょうか?」 「それは、俺に聞いてくれよな、エーちゃん」 A-No.0の言葉に、イクトミが小さく苦笑した …それは、まるで、大人が子供の言動にするような、苦笑 B-No.001が、初めて見たイクトミの表情だった 「…あぁ、そうでしたね。イクトミ、あなたは、私に親愛を感じてくれているのですか?」 「当たり前だろ。俺は、嫌いな奴の下になんざつかねぇよ」 「そうですか」 イクトミの言葉に、A-No.0はやはり、無感情な声で答えた …再び、A-No.0の視線が、B-No.001に、戻される
79 :
感情なきはずの者 ◆nBXmJajMvU :2010/10/07(木) 15:44:36.87 ID:nYR1SH3R0
「………私には、オール・アクロイドと言う名前が存在します。しかし、私は皆から、A-No.0と呼ばれます…………誰も、私を、名前で呼んではくれません 少なくとも A-No.0が把握している限り…「組織」において、A-No.0を「オール・アクロイド」という名前で呼んでくる者は、いない いや、A-No.0の前でなければ、そう呼ぶ者はいるかもしれない しかし、A-No.0との会話中、その名前で呼んでくる者など、ほとんどいないのだ それは、A-No.0が、事実上の「組織」のトップである立場であるが故、自然と、そうなってしまっているのだが… 「…私を、名前で呼ぶ相手は…………ただ、一人。ダレン・ディーフェンベーカーしか、私は把握していません」 …声に、感情のゆれが混じる ダレン・ディーフェンベーカーと その名前を、口に出した、瞬間に 「…ダレン・ディーフェンベーカーに名前を呼ばれると。必ず、私の思考に波がおきます。しかし、それは、「アメリカ政府の陰謀論」相手に起きる思考の波とは違い、決して、不快なものではありません…そして、それは、「悲しみ」とも、また違います」 −−−それは むしろ、心地よさすら感じる感覚 A-No.0はそれを自覚して以来、その正体が何なのか、ただ、悩み続けていた その正体に悩むと同時に 自分が、そのような思考の揺れに囚われて良いのかとも、悩んだ 「組織」そのものである自分 概念でしかなかったはずの自分 ただ、「組織」を保つ為だけの存在するはずの、自分が それ以外の思考に囚われても良いのか、と ……その、答えが 特に、前者の悩みの答えが ゆっくりと、導き出されようとしていた
80 :
感情なきはずの者 ◆nBXmJajMvU :2010/10/07(木) 15:47:02.45 ID:nYR1SH3R0
「………イっちゃん。私が、ダレン・ディーフェンベーカー相手に感じる思考の波は…これも、何かの感情なのでしょうか?感情なのだとしたら……これは、どのような、感情なのでしょうか?」 まさか ありえない、とB-No.001は、頭を抱えたい気分になった 無理難題を押し付けたつもりだった それで、A-No.0の質問から逃げ出すつもりだった だと、言うのに (−−−−ありえない……!) …A-No.0が、ダレン・ディーフェンベーカー相手に感じるのだという、その思考の波は 感情は …「恋慕」と言うそれで、説明が可能なものだったのだ to be … ?
乙でsって何ィィィィィィィィィィィ!? 俺のアーちゃんが・・・ダレンに恋・・・だと・・・ 勝てるわけが無いorz
ギザ十の人に、熱した剣山に向かって紐なしバンジー焼き土下座ぁああああああああ!!!!!orz 神野悪五郎さん途中からテラ空気 そして、ごめんね、イっちゃん(♂)に答えにくいこと聞いちゃって御免ね でも、恋慕について言ってきたのはイっちゃんだから、こう聞くしかないのよ 最後のセリフに関しては、地味にイクトミが一番驚いてるとか激しくどうでもいい事実
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 16:00:28.40 ID:nYR1SH3R0
さて、そろそろサル解除されたはず
>>82 コメント代理感謝ですー
>>81 避難所でも書いたが、いつA-No.0が貴殿のものになったかwwwwwwwww
84 :
おつかれさま :2010/10/07(木) 16:03:27.24 ID:1AiaMeli0
―――――真夜中の路地裏 ―――――――人気の無いその空間に ――――血塗れの、男の姿と ――――――――それを見て、にたりと笑う、黒いスーツの少女が1人 (男>くっ来るなァ! 来ないでくれぇ!! 男は傷だらけだった。 顔、腕、足・・・至る所に生々しい引っかいた痕。 しかし、彼の手の爪は、赤黒く染まっていた。 ・・・そう、自分で自分の体を、血塗れになるまでに己の体を掻き続けていたのだ。 (少女>ふふふふ・・・なんとも見苦しい。でもいつ見ても飽きないなぁ、この光景は 少女は腕を組みながら、横たわりもがき続ける男に歩み寄る。 コツ、コツ・・・ハイヒールの音が響く度、銀色の髪と、組んだ腕に乗せられた胸が揺れ、 情の欠片も見られぬ灰色の眼が、男を冷たく、鋭く見据えていた。 もがき苦しむ男は、彼女の足首を掴み、 (男>た・・・助けてくれ・・・! たったすけtt―――――
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 16:04:07.92 ID:nYR1SH3R0
しえーん
86 :
おつかれさま :2010/10/07(木) 16:04:08.95 ID:1AiaMeli0
―――――――――――ガッ! 懇願する男の顔を、少女はハイヒールで踏みつける。 響く鈍い音。 どうやら顎が砕けたらしい (少女>穢れた手で私に触れるな。貴様の血がついたらどうする? ギギギ、と踏みつける力を強める。 静かな、しかし凄まじい怒りと憎悪が、彼女から感じられる。 (少女>しかし不運だったなぁ? 私に出会わなければこうならずに済んだものを・・・ 悪く思うなよ、仕方ないのだ。 貴様は―――― ちら、と少女は視線を別の方向に向ける。 (少女>――――――――――見てしまったのだから 視線の先には、男と同じく血塗れになった、赤いマントを着た男性―――赤マントである。 元々が赤いのだが、血の所為で赤黒いマントに変色してしまっている。 既に息絶えており、その手にはしっかりと・・・血に濡れたナイフが、握られていた。 数秒後、それは光の粒子となって虚空に消えてしまった (少女>仕事柄、あぁいうものを一般人に見られてはまずいのでな・・・ 記憶を消す手段もあるが、残念ながら私の場合もっと都合の良い方法があるのでね 胸の谷間に手を入れる少女。 そこから取り出したのは、水の入った小瓶。 ぽん、と蓋を開け、ぶつぶつと何やら御経のようなものを唱える。
87 :
おつかれさま :2010/10/07(木) 16:05:42.05 ID:1AiaMeli0
(男>っっっっ!!!っっっっっっ!!!! その呪文を聞いた瞬間、男の表情が一気にひきつった。 声が出せない故、やめてくれと願わんばかりに手を伸ばす。 涙が血に混じって流れる。 (少女>ふふふふふ・・・良い表情だ。だからやめられんのだよ、この仕事は 彼女は男の顔を踏みにじっていた足を退けると、 小瓶に入った水を、彼の開いたままの口に注ぎ込んだ。 その瞬間、彼の口の中から、禍々しいオーラを放つ、幾つかの霊魂のようなものが飛び出す。 それらは既に男を纏っていた霊魂達と共に1つになり、巨大なガス状の髑髏のような様となる (男>っっっっっっっっっっっっ!!!!!!! (少女>・・・「お憑かれ様」。 バクッ!! 霊魂の集合体は、動けぬ男を一口に飲み込む。 その後それらは、パッとその場に散る。 男の姿は、そこにはなかった。 あるのは血と涙の跡。 それと、新たな霊魂が、1つ。
88 :
おつかれさま :2010/10/07(木) 16:06:42.47 ID:1AiaMeli0
(少女>……Dies ira, dies illa――― 歌。彼女は歌を口ずさむ。 「レクイエム」―――霊を鎮めるミサの歌。 その一部の「怒りの日」。 すぅ、と霊魂達はそれぞれ散り散りになり、その一帯から離れていった。 くるり、その場に背を向け、小瓶を胸にしまってスタスタと歩き出す少女。 (少女>・・・しかし解せない。この方が好都合である筈なのに何故“あいつ”はそれを理解しない? そもそも考え方が気に食わない・・・なんだあのだらけ様は。 トップに立つ者の自覚があるのだろうか? ぴたり 彼女は立ち止まり、憎悪を込めて呟く。 (少女>やはり・・・・・R-No.0は・・・・私こそ相応しい。 ...END
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 16:08:10.41 ID:nYR1SH3R0
乙なのでしたー おぉっと、RNoの悪い子ちゃんか
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 16:10:08.58 ID:1AiaMeli0
勢いで書いた・・・後悔は今からしますorz ロリ外道を書くつもりが、大して外道にならなかった事が悔やまれる 一応、彼女はR-No.4の予定。 避難所ではもっと別なキャラにする予定だったんだけど、こっちの方が「4」に相応しいかなぁと 契約都市伝説は・・・「お憑かれ様」で検索して出るかなぁ?
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 16:13:45.04 ID:nYR1SH3R0
4=「死」って意味合いも出てきますしね いい感じかも お憑かれ様かぁ グーグル先生に聞いてくるんだぜー
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 16:30:07.01 ID:nYR1SH3R0
みー
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 16:53:29.32 ID:nYR1SH3R0
みーみー
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 17:03:10.85 ID:nYR1SH3R0
夕食終わってもスレ残ってますように!
95 :
メリーさんの物語 :2010/10/07(木) 17:16:37.22 ID:9MHTx7ogO
真野は悩んでいた。 「ちゃんと返事貰ってない……」 紫鏡の時、好きだと言った。が、その後、月見里の方から何の反応も貰っていない気がするのだ。 「わ、私が……調べる?」 「ん、いや。こういうのは自分でなんとかしないと駄目だから。」 真野はこっくりさんの申し出を断る。 このこっくりさん、極度の恥ずかしがり屋らしく、滅多に姿を見せない。契約後しばらく、真野が契約している事に気付かなかったのも、そのせいだ。 「…………よしっ」 返事を直接聞く為に、真野は月見里の家に行く事にした。 § § 「こんにちは、先輩。」 「よお、真野。一緒にどうだ?」 月見里の家に行くと、月見里とメリーさんは何故か二人でババ抜きをしていた。しかもすでに何回戦目かで、メリーさんは一度も勝てていないらしい。 「いえ、遠慮しておきます。」 さて、と真野は考える。ちゃんと返事を貰うにはどうしたら良いか。単純に考えれば、もう一度、好きだと言えば良い。 「先輩。」 「んー?」 「好っすすすすすっす、す、きっ、すス、スキーに行きませんか?」 いざとなると予想以上に恥ずかしかった。
96 :
メリーさんの物語 :2010/10/07(木) 17:17:39.32 ID:9MHTx7ogO
「スキー?これから?」 「すみません。忘れて下さい。」 「そうか。お、あがり。」 「また負けた……」 どうやら、二人ババ抜きはまたメリーさんが負けたようだ。 「月見里さん強いですね。」 メリーさんが弱いのではないだろうかと真野は思ったが、言わない事にした。 そんな事より、再チャレンジだ。 「せっ、先輩!」 「どした。」 「私とつき、つつ、つきっつつつ、き、おつ、お月見しませんか?」 「別に良いが、今夜新月だと思うぞ?」 「すみません。忘れて下さい。」 「そうか?」 「先輩、私もトランプします。」 その後、真野はこっくりさんの能力を使って連勝した。 § § 「さーて、そろそろ終わるか。」 「一度も勝てなかった……」 「えと、ごめんなさい。」 「ごめ、なさ……」 「はぇ?なんで真野さんとこっくりさんが謝るのですか?」 メリーさんは最後まで能力の使用に気がついていなかったらしい。
97 :
メリーさんの物語 :2010/10/07(木) 17:18:35.33 ID:9MHTx7ogO
「そろそろ、晩飯作るけど真野も食ってくか?」 「あ、はい。お願いします。」 「了解。あ、そだ…………真野、ちょっとこっち来てくれ。」 「はい?なんでしょうkんっ!?」 突然、真野の視界が月見里だけになる。唇に触れる柔らかい感触。一瞬、何が起きたのか理解できない。 「好きだ。付き合ってくれ。」 そして理解すると、顔に血が上り、真っ赤になるのが分かった。そして、頭がボーッとして何も考えられなくなる。 「ふぇ、え。はい。え?」 「いや、真野から好きだって言われたけど、俺から何も言って無かったからさ。 ……もしかして、嫌だったか?」 「そんな事無いです!」 真野は大慌てで首を横に振った。 「ただ、その……もぅ少し、ムードとか、私にも、心の準備が……ぁの、嫌では、決して……ですけど……あの」 「あー、ムードか。次は頑張って考えるよ。」 「つ、次……」 真野の顔は林檎のように赤くなっていた。 「なんだか部屋があついですねぇ、こっくりさん。」 「うぅぅぅぅぅぅぅぅ…………」 終
代理とか投下とか乙でした 告白の話 ただ、二人の話が書きたかっただけ もっと上手く甘く濃厚に恋人らしく書きたかったけど 文才と経験の無さと書いていると背中が痒くなるという現象に見舞われたため断念 あと冷静になって読み返すと何だこれって言うね、うん メリーさんの物語三大忘れられていそうな事 やたらと都市伝説に暴力的な月見里 メリーさんの移動能力は初めから持っていた物で、契約によって得た能力は別にあるという設定 真野の本名
メリーさんの人乙です〜
真野ちゃんよかったね恋が成就してよかったね
しかし月見里もげろぉぉぉぉぉぉぉwwwwww
>>98 >文才と経験の無さと書いていると背中が痒くなるという現象に見舞われたため断念
>あと冷静になって読み返すと何だこれって言うね、うん
書きまくってるとその内楽しくなりますぜー
と、経験ないのにもげろ話を大量に書いてしまった俺が言ってみる
ほ
しゅー
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 19:27:30.14 ID:FSyJ7MhM0
ごちそうさまでした^ メリーさんの人乙なんだぜー! 告白は良いものだ
>>99 >書きまくってるとその内楽しくなりますぜー
こんなん書きまくってたら楽しくなる前に恥ずかしさで死ぬ
絶対
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 19:43:49.11 ID:FSyJ7MhM0
>>103 HAHAHAHA、なぁに、そのうち気持ちよくなるさ
…と、過去別場所で書いてたネタとか、リアル原稿ではそう言うネタが多い俺が(ry
105 :
99 :2010/10/07(木) 19:52:56.86 ID:1AiaMeli0
>>103 俺も裂邪にミナワを抱かせた(性的じゃないよ、抱擁だよ)シーン書いた時は恥ずかしさで死にそうでしたよ;
でも何度か似たようなシーン書いてたら次第に慣れちゃったよ!(
今では裂邪=もげろと言っても過言では無いかt(影に飲まれました
(裂邪>十分言い過ぎだよバーカ!
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 20:00:05.06 ID:FSyJ7MhM0
>>105 安心しろ、裂邪
このスレには、もげろといわれるにふさわしいバカップルは他にも一杯いるからwwwww
>>106 >このスレには、もげろといわれるにふさわしいバカップルは他にも一杯いるからwwwww
(裂邪>ありがてぇ・・・皆のお陰で俺への嫉妬が薄れるといいな・・・
(シェイド>誰ガ貴様ナド羨マシガルノダ
諸々乙です 月見里さんは真野を好いていましたか よかよか なかなか言い出せない真野を初心さもまたべネ! 恥ずかしいと思う事をそのまんま書けばいいものになるとばっちゃが言ってたよ!
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 20:10:25.17 ID:FSyJ7MhM0
ちなみに、元祖もげろな立場は赤マントかな? 赤マント「はっはっは!私は別に赤いはんてんとカップルではないのだがな!」 赤いはんてん「あぅあぅ、世の中、ロリと一緒なだけでもそう言われる事があるのですよ」 まぁ、赤マントの場合 はんてん+さらし+スパッツのみと言う格好の赤いはんてんとトイレの個室で二人きりだったり 膝の上に赤いはんてんを座らせたり 寝る時は一緒の布団で(と、言うか赤いはんてんが勝手にもぐりこんでくる)だったり しかも、赤いはんてんは寝てる時ははんてん一枚だけだったり もげろといわれるにふさわしい条件はクリアしてるけどね!!
>>109 >ちなみに、元祖もげろな立場は赤マントかな?
(裂邪>さすがロリコン四天王の1人!そこに痺れる憧れるぅ!!
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 20:29:52.25 ID:FSyJ7MhM0
>>110 四天王って、他の三人誰だよwwwwwwwwwww
>>111 俺の中のロリコン四天王は、
ジブリル 赤マント エーテル 上田
です(
他に「この方こそが!」というキャラがいらっしゃったら大歓迎!(
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 20:43:01.05 ID:FSyJ7MhM0
>>112 あぁ、そこら辺になるのかなぁ、有名どころのロリコン連中となるとwww
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 21:01:35.81 ID:FSyJ7MhM0
みー
>>113 ちなみに、wiki内で「ロリコン」で検索して出てきた方々↓
ロロト
任天 堂寺
「ファンキーな口裂けさん」の男
黄昏 裂邪
「正義の鉄槌」の主人公(?)
「ロリコンシステム」の男
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 21:06:01.15 ID:FSyJ7MhM0
>>115 本当、このスレはロリコンが多いなwwwwwwwwwwww
バックベアード様に怒られるwwwwwwwwwwww
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 21:09:05.57 ID:BUdYfTec0
>>115 《隙間男》とその契約者も、そうかもね。
単なる変態なだけかも知れんけどwwwww。
>>116 (裂邪>バックベアード? あぁあの存在すら危ういデカブツね
俺達ロリコンが力を合わせれば勝てる!!
何言ってんだこいつは・・・
>>117 いやあいつもロリコンでいいかもwww
そしてふと思う、「うわさの産物」の店長って・・・どうなんでしょう?(
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 21:32:41.02 ID:FSyJ7MhM0
>>118 >そしてふと思う、「うわさの産物」の店長って・・・どうなんでしょう?(
あれはロリに惚れたというより、彼女自身に惚れたんだから別じゃないかな?
>>119 よかった; ありがとうございます〜
む、なら「正義の鉄槌」の主人公も除外かしら
(裂邪>俺は!? ねぇ俺は!?
諦めろ、お前は紛れも無く清流の如く穢れの無いピュアッピュアの純粋ロリコンだ
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 21:52:20.86 ID:FSyJ7MhM0
>>120 ピュアッピュアのロリコンってどんなんだよwwwwwwwww
>>121 >ピュアッピュアのロリコンってどんなんだよwwwwwwwww
(裂邪>こんなロリコンです(キリッ
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 22:11:42.54 ID:rasU9ehN0
>>118 > 俺達ロリコンが力を合わせれば勝てる!!
ロリコンネタだとあの目玉はロリコン殺しビーム撃つだろ
一撃で全滅するぞw
>>123 >一撃で全滅するぞw
(裂邪>ならば奴をロリコンに変えればいい(
奴にロリの素晴らしさを皆で叩き込むのさ!
そして皆で叫ぶんだ
俺が、俺達が、ロリコンだ!!!
裂邪が病気タイム、まだまだ続くよ☆
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 22:26:21.79 ID:FSyJ7MhM0
>>124 まぁ、あの方が笑顔で「たまにはロリコンもいいよね!」って言ってるAAも存在するけどwwwwwwww
126 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理) :2010/10/07(木) 22:36:18.36 ID:FSyJ7MhM0
【電磁人の韻律詩33〜ある正義の味方の死・前半〜】 その訃報は突然だった。 明日真が学校から帰ると、突然彼の携帯電話が鳴った。 「あ、太宰さん。」 「大変だ明日君、父が事故に遭って……、死んだ。 君にも葬式やら通夜に出て欲しいんだが、良いかな?」 「……龍之介さんが?」 「ああ、夜の病院を歩いていたら偶然建物が崩れてそれに巻き込まれたらしい。 正直言って訳がわからないね、そもそも父が夜の病院を歩き回ってた理由も私は知らないんだ。」 「…………ああ、でもこの前夜の病院歩いてましたよね。」 「そういえばそうか、患者の様子を見回るにしてもあの時間は変だよなあ……。 まあ良い、葬式は一週間後の水曜日になるはずだ。 人が集まってゴチャゴチャするけど君には是非来て欲しい。 君への手紙も残っていたからそこで渡したいんだ。」 「はい、わかりました。」 「思ったより冷静で安心したよ、私への手紙にも君のことを書いていたんでね。 何か有ったら相談してくれ。」 通話状態を終わらせると隣で彼の電話を盗み聞いていた恋路が口を開いた。 「私もついて行くかい?」 「…………ああ、頼む。」 それだけ言うと明日真は力なくその場に崩れ落ちた。 太宰紫の前では冷静を装っていたが 恋路は黙って彼の頭を撫でた。
127 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理) :2010/10/07(木) 22:42:58.61 ID:FSyJ7MhM0
一週間後 太宰龍之介の葬式はしめやかに営まれた。 明日と恋路は沢山の人々が集まる斎場の隅で静かに座っていた。 だが太宰紫に誘われて彼等も遺族の席の近くに座ることになった。 「君はなんといっても父の志を継ぐ人間だからね。」 少し笑ってみせる太宰紫の表情が痛々しい。 明日達は一応「組織」に所属している。 戦闘に関わる生活を送っている以上、 人の命が簡単に失われていく場面だって見たことない訳ではない。 だが、これは、これはあまりにも悲惨だ。 老若男女、様々なところから来た人々が集まって泣いている。 彼等は今まで太宰龍之介が生きる世界を生きてきたのだ。 これから先の人生で彼等を太宰龍之介が救うことはない。 彼等の世界の一部が崩れ落ちたのだ。 太宰龍之介の思い出が彼等を救っても、太宰龍之介自身はもう彼等を救えないのだ。 彼等の正義の味方は死んだのだ。 「正義の味方だったっけか、君がそうなってくれれば父は死なないよ。 君の中で生き続けるだろうさ。 さーて、遺族代表の挨拶に行ってくるよ。」 明らかに無理していると解るのに、太宰紫をいたわる言葉の一つも明日は言えなかった。 彼は自らがショックを受けていることにも気付いていない。 そしてそんな明日真に恋路は黙って寄り添い続ける。
128 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理) :2010/10/07(木) 22:45:53.47 ID:FSyJ7MhM0
明日達が案内された席の隣には身長2mほどの大男が座っていた。 大の男がグスグスと鼻をすすりながら泣いている。 それもまあ異様な光景ではあるのだが、明日達の眼を引いたのはその男の顔だった。 「……ねぇアスマ。」 「いや、別人だろ、似てるけど別人だろ。」 「念のために聞いてみても良いんじゃないかな?」 「いやいやいやいや、だってこの人どうみても善良な……。」 「どうしたそこの子供達? さっきからヒソヒソと……、もうちょい静かな声で話さないと周りに聞こえるぜ?」 「あ、すいませ……。」 明日がそう言って恋路との話を止めようとした瞬間だった。 「あの、すいませんけどもしかして上田明也って人のことを……。」 「おりょ、あの放蕩息子の知り合いかい?」 ああ、余計なことを言いやがって……と明日真は恋路を少し恨んだ。 しかも本当にこの大男は上田明也の関係者らしい。 明日真はどんどん憂鬱になっていった。 「いや、前に一度ちょっとだけ……」 「彼の探偵事務所を手伝っていたんです!もしかして彼のお父様ですか?」 べらべら喋る恋路を見て明日は平和にこの葬式から帰ることを諦めた。
129 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理) :2010/10/07(木) 22:48:11.05 ID:FSyJ7MhM0
「ああ、そうだよ。俺は上田明久、あいつの親父で太宰龍之介の親友だ。」 「やっぱり、そっくりですよね。」 「まあな、……お嬢ちゃん都市伝説だね?」 「え、そうですが……。」 「じゃあもしかしてそこの少年は明日真かい?」 「確かに俺の名前はそうです。」 「じゃあ二人とも、紫さんと一緒にこの葬式が終わったら俺の話を聞いてくれ。 ああ、あとお嬢ちゃん、彼氏の顔色はもうちょっとうかがってやれ。」 「え?」 「お嬢ちゃんはそうでもないが、俺の息子の名前を聞いた時に真君の表情がこわばっていた。 探偵事務所で手伝っていたというのも嘘ではないのだろうが、 君達とあいつの関係は決して良好ではないだろう? 誰かの仲介があって今は矛を収めている状態だ。 違うか?」 「それは……。」 「そんな状態で俺の息子の話をすれば真君だって気分が…… おっと、もう坊主の説教が始まる。 一旦話はやめにしようぜ。」 明日は確信した。 悪魔じみた洞察力と他人の話を聞かないマイペース加減、 間違いなくこの男は上田明也の父親である。 明日はまだ話したりなさそうな恋路を抑えながら正座する足のしびれとの戦いを始めることにした。
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 22:52:20.05 ID:BUdYfTec0
しえん
131 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理) :2010/10/07(木) 22:53:05.61 ID:FSyJ7MhM0
葬式が終わるとすぐに太宰紫が明日達と明久の所にやってきた。 三人が親しげに話しているところを見てそれほど驚いていないのは、 やっぱりこうなると予想していたからなのだろう。 太宰は明久に一礼をしてから明日真に白い箱を渡した。 「とりあえずこれを持っていてくれだってさ。 手紙も中に入っているから後で読んでくれ。」 「はい、解りました。」 「いいや、今開けておいた方が良いぜ。 これから俺がする話の都合上、その中身は紫ちゃんも見ておいてほしい。」 「……どういうことですか?」 「いんや、その中にはマスクが入っている筈なんだよ。 で、そのマスクがちょっと曰く付きの品物でねえ……。 あいつが病院やり始める前、俺とつるんでいた頃にも関わるっていうか……。 ぶっちゃけるとそのマスクの中に『死神』の契約書が仕込まれている筈だ。」 「へ?父は契約者だったんですか?」 「ああ、しょうけらと契約しているって話は俺聞きましたよ。」 「なんと、私は何も聞いてなかったよ。」 「そうだな、じゃあまずはその話からしようか。 そう、アレは数十年前のアメリカで始まった物語だ。 始めたのは『組織』のF-0の黒服『サンジェルマン伯爵』。 あいつは人間の進化について研究を行っていた。 俺と太宰、そしてもう一人の俺の友人がそいつの実験に付き合わされていた。 まあ進んでつきあってたんだけどな。 そいつは人間を進化させる為の方法論を研究していた。」
132 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理) :2010/10/07(木) 22:54:59.71 ID:FSyJ7MhM0
「人間の進化?」 「ああ、都市伝説との契約が人間の進化の形態であるとか言っていたな。 まあそんなことしなくても強い奴は最初から強い。 猫は虎になれないし、虎も猫になれない。 皆違って皆良い、そんな当たり前のことからあいつは目を背けていた。 あいつからの誘いが有った時、俺も太宰も喜んだよ。 俺は自らの研鑽の機会、奴は自らの正義の執行の為の力、もう一人は地位と金と名声。 奴の実験の為に今思えば色々とんでもないことをしたもんだ。」 「とんでもないこと……ですか?」 「そうだよ恋路ちゃん、とんでもないことだ。 たとえば聖杯と呼ばれる都市伝説の捜索の為に戦地のど真ん中を歩き回ったりしたっけか。 その中で太宰はゆっくりと歪んで……」 「そこまでです、明久さん。」 「はっ、良いじゃねえか、老人の昔話ぐらい邪魔するな。サンジェルマン。 どうせなら部下でも連れて偉そうに登場しろよ。」 「貴方は老いても私の研究は続くのです。あと私に吐いてくる部下はいません。 共に歩む仲間ならおおいですけどね。……なんて。」 澄んだ声が響く。 喪服に身を包んだ碧眼金髪の紳士。 彼の名前はサンジェルマン伯爵。 悠久の時を生きる不死身のマッドサイエンティスト。
133 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理) :2010/10/07(木) 22:56:47.60 ID:FSyJ7MhM0
「しかし聖杯の話は駄目ですよ、其処の彼も『組織』の人間なんですから。」 「え、組織の人間なのかこの少年。」 「そうですよ、Hjヌ理下の契約者だ。」 「あれ、あの変態集団の?」 「もう彼等の内ほとんどが死にましたよ、巫山戯た話だ。 組織の人間共は彼等の研究がどれほど価値があったか解らないのか? ああ思い出すだけで腹が立つ。」 「えっ、そりゃあ良かった。俺はあいつら嫌いだったもんねー。」 「あの、お二人さん、Hbフ黒服さんは集団ではないけど変態ですよ?」 「なあ恋路、思っててもいっちゃいけないことがあるってば。」 なんとなく話が脱線していく気配を感じたのか太宰紫が口を開いた。 「ところでサンジェルマンとやら、父の過去について貴方も話していっては貰えないか。」 「私が……ですか。 いや、私が彼について話すことは色々有りますが……。 彼は善人でした、真面目で、優しくて、だからこそ人一倍この世の悪を憎んだ。 憎んで…………。」 そこでサンジェルマンは口ごもる。
134 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理) :2010/10/07(木) 22:57:51.12 ID:FSyJ7MhM0
「…………まあそこは俺が言う気だったしな。俺が言ってやらあ。 今日お前らに伝えるように頼まれていたこともそれだ。 太宰龍之介は都市伝説の力で悪人を暗殺してまわっていたんだよ。 命が大切?医者は命を守る仕事? あいつに限ってはその言葉も虚しいだけだよ。 俺の前では『悪人は生きる価値もない』と豪語してたくらいだ。」 「……え?」 「どういうことですか、明久さん!」 太宰紫はいきなりの明久からの言葉にただ動揺している。 明日真は上田明久の言葉に驚いて彼に詰め寄る。 「明日真、お前のことは太宰から聞いている。 あいつはお前にこそこの話を聞いて欲しいと願っていたんだ。 で、自分みたいにはなるな、とも言っていた。 だから頼む、落ち着いてゆっくりと話を聞いてくれ。」 「あの、太宰さん、明久さん、その話の前に私からも話したいことが……。」 「どうしたサンジェルマン?」 「太宰龍之介の死の真相についてです。」 「どういうことです、父は事故死したのではないのですか?」 「いいえ、立場が対立したので私が殺しました。」 次の瞬間、上田明久の拳がサンジェルマンの顔面に文字通りめり込んだ。 それから遅れてメキリという音が聞こえてサンジェルマンの身体が宙を舞う。 お前が落ち着けと上田明久に突っ込むか、どういうことだとサンジェルマンに詰め寄るか 明日真はわりと真剣に迷った。 【電磁人の韻律詩33〜ある正義の味方の死・前半〜fin】
乙でした 太宰の明日名に残した台詞的に彼は自分の執行する正義に迷いを抱いていたりしたんだろうか? 明日名が絡んでサンジェルマンも出て来てさて上田はどうなるんだろと期待!
代理乙です〜
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/07(木) 23:20:49.70 ID:FSyJ7MhM0
にゅう
にゃう
139 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理) :2010/10/07(木) 23:49:56.09 ID:FSyJ7MhM0
【上田明也の探偵倶楽部38〜遠い日の記憶〜】 「先生、私あとどれくらい保ちますかね?」 「長くてあと十年、短ければ一年内でしょうね。 上田さんがこの先成長すればするほど、貴方の性能は引き出されます。 『赤い部屋』の枠を越えるレベルまで。 そしてその先に待っているのは貴方の消滅です。」 「あはは、ですよねー。 そもそも私みたいな普通の都市伝説が、明也さんの傍に居ること自体が無理なんですよ。」 「彼が最初から契約している都市伝説も本来中々格の高い都市伝説なのですが、 彼の成長する容量と都市伝説への適正の高さでむしろ飲み込まれかけています。 最初の頃こそ彼の方が自我を奪われ欠けて人を殺すことを楽しむようになってましたけど。 契約する都市伝説に生き方を歪められることこそ有れど、 契約する都市伝説の在り方を歪めるほどの強烈な自我なんて、 都市伝説を飲み込むなんて現象、 彼を除いて今まで二人しか見たことがない。」 真っ赤な部屋の中。 サンジェルマンは部屋の主である『茜』と呼ばれる都市伝説の身体を診察していた。 彼女は赤い部屋という都市伝説である。 彼の契約者と友人であるサンジェルマンは時々彼女の健康を調査していた。
140 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理) :2010/10/07(木) 23:51:08.29 ID:FSyJ7MhM0
「先生、私ね。」 「どうしたんです?」 「明也さんに『面白いもの見せてやるからついてこい』って言われたんですよ。 それで彼と一緒に色々してみることを決めました。 彼を通してみる外の世界は素敵でした。 彼は私に黙って好き勝手していますけど、それでも私を愛しています。 不器用で、駄目な人で、自分勝手で、子供みたいだけど、何故か自信満々で。 格好良く決めるところは決めていったりもしちゃって。 でも格好付けようとするとどこか滑っていて。 それを自分でもあんまり解ってなかったりして。 …………好きなんですよねえ、そんな彼のこと。 少しでも一緒に居たい反面、彼が成長していくのも期待してて。」 「契約を解除すれば長生きできますよ?」 「あはっ、契約で押し上げられているだけで彼と契約しなきゃ私なんて三流都市伝説ですよ? 何の役にも立たないじゃないですか。 それならあの人の役に立って死にたいです。」 その言葉を聞いてサンジェルマンは何かを思い出したらしい。 彼は深くため息を吐いてからぽつぽつと昔の話を喋り始めた。
141 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理) :2010/10/07(木) 23:53:19.56 ID:FSyJ7MhM0
「そうは言いますけどね、好きな女が死ぬのって辛いんですよ? 私なんて人間だった頃はとある超古代文明で科学者やってたんですけどね。 その頃の恋人が私の実験の失敗のせいで死んでしまいましてね。 ……ていうか、私の故郷が滅びましてね。 いまじゃあ海の底だ。 都市伝説化した私は死ねない身体と彼女の思い出だけを引きずって今も生きている。 彼女が居ればと思わなかった時はないですよ。 今も彼女とまた出会う為だけに生き続けている。 彼女は上田さんのような特異体質の持ち主でしてね。 そのせいで周囲の人間から避けられていました。 私も最初は医者と患者という立場で接していたのですが……。」 サンジェルマンが目頭を押さえてうつむき始める。 どうやら泣いているようだった。 「申し訳ありません。 少し昔のことを思い出してしまいました。 彼女がね、言うんですよ。 私みたいな人でも幸せになれる世界にして欲しいって。 普通の人も普通じゃない人も皆幸せになれる世界にして欲しいって。 その為なら私は悪魔に魂を売っても良かった。 でも私が魂を売るには悪魔はあまりに無能すぎた! 悪魔如きにできることなど、私の科学力でどうとでもできる。」
支援
143 :
笛 ◇rpv9CinJLM (代理) :2010/10/07(木) 23:54:44.08 ID:FSyJ7MhM0
「先生も色々苦労なさっているようですね……。」 「ああすいません、妙な話を聞かせてしまって。 でもこれだけは解っていて欲しい。 本当に好きなら傍に居てくれるだけで幸せなんですよ。 あの頃の私は彼女一人の為に世界でも敵に回せる気がして、毎日が幸せだった。 役に立たないからなんだって言うんです? 彼の傍に居る、それだけで意味がある。 彼がこれ以上曲がらぬように歪まぬように傍に居て支える誰か。 何も出来なくてもその誰かで居ることは出来る。 私にはそんな人もう居ない。」 「は、はぁ……。」 「だから、彼に力を貸せなくても生きてください。 絶対に生きて彼の傍に居てください。 彼を受け入れて、彼を許して、彼を愛し続けてください。 そうしないと彼は不幸になる。」 それならば それならばもう傍にそんな人はいないと言うこのサンジェルマン伯爵は どこまで曲がって歪んでしまったのだろうか どれだけ不幸になって成り果てようとしているのだろうか 赤い部屋、茜と呼ばれた彼女は素直に疑問だった。 【上田明也の探偵倶楽部38〜遠い日の記憶〜fin】
代理投下お疲れ様でした〜!!
145 :
蜘蛛神と不死身の貴人 ◆nBXmJajMvU :2010/10/08(金) 00:06:03.95 ID:DwuOsDin0
…それは、ある日ある時、ある場所で… 「なぁ、サンジェルマン」 「何です?」 酒を酌み交わす男が二人 その片割れ、イクトミは、目の前で酒を飲んでいる男、サンジェルマンに………普段とは違う、どこか、真面目な様子で口を開く 「お前にゃ、美味い酒飲ませてもらってるからな…一つ、警告しておく事がある」 「警告ですか?言っておきますが、研究を止めるつもりはありませんよ?」 「…何だ、わかってんじゃねぇか」 おどけたように笑うイクトミ だが、続けられる言葉は、真面目そのもの 「…やめときな、「組織」から切り捨てられる云々の問題じゃねぇよ。お前は、手を出しちゃいけねぇ領域に手を出そうとしている」 「……神の領域、とでも言うつもりですか?…これは、「組織」のS-No.0としての警告ではなく、スー族に語られた神・イクトミとしての警告だ、と」 「………さぁねぇ?」 イクトミの本心を真に理解するのは、困難だ 何せ、イクトミは神 それも、トリックスターとして語られる神である ころころとおどけた口調で本心を隠し、物事の本質を奥底に秘めて、なかなか表に出さない だが、そんなイクトミにしては 今回は…やや、わかりやすい 「危なっかしいんだよ、お前。それも、お前一人の命ですめばいいところ、何もかも巻き込みやがる」 「おやおや、私の身を心配するのですか?」 「いや、主に巻き込まれる連中の心配」
146 :
蜘蛛神と不死身の貴人 ◆nBXmJajMvU :2010/10/08(金) 00:10:23.12 ID:buBD9MKG0
「…アキナリさん達、ですか?」 「さぁねぇ?まぁ、俺はアキナリの事はどーでもいいかねぇ?むしろ、あいつと契約してる…茜だっけ?あのねーちゃん辺りは心配だなぁ?」 「はっはっはっはっはっは、このエロ蜘蛛神め」 笑いあう二人 深刻な話をしているはずなのだが、どうにも、緊迫感がない 「……本気の本気で。やめないんだな?」 「本気の本気ですとも。私は、こんなところで立ち止まる訳にはいかないんですよ」 「………そうか」 あーぁ、と イクトミは酷く残念そうに、まだ未開封の酒瓶に手を伸ばした それを弄びながら……サンジェルマンに、視線を向ける −−−−−−刹那 場の空気が、一変する サンジェルマンを見つめる、イクトミの表情は…サンジェルマンが、はじめてみた表情だった 「残念だよ」 透き通るような声 それでいて、響き渡るような…不思議な声音 目の前の存在は、神だ トリックスターとして語られ、しかし、同時に、破滅の予言をもたらしたメッセンジャーとしての、神 人が、神と交渉するなど、不可能だ
147 :
蜘蛛神と不死身の貴人 ◆nBXmJajMvU :2010/10/08(金) 00:12:23.30 ID:buBD9MKG0
人が、神と同じ立場に立つなど、不可能だ 今、サンジェルマンの、目の前で イクトミは、神としての顔を、露にしていた 「もう、お前と美味い酒が飲めなくなる」 どこか、冷たく、そう言い放って …イクトミの姿は、消えうせた 代わりに、そこにいたのは、小さな蜘蛛 それは、かさかさと動いて…すぐに、サンジェルマンの視界から、いなくなってしまった 「……うわ、よりによって、一番高い酒を持っていきましたか…」 苦笑するサンジェルマン …先ほどの、イクトミの警告が 彼が自分に見せた慈悲であると、理解はしている 神が、人に見せた慈悲 だが、それを理解しても…止まる事はできない どんな未来が待ち受けていようとも 己の選ぶ選択肢から、逃げる事などもはやできないのだ to be … ?
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 00:17:08.52 ID:buBD9MKG0
笛の人に焼き土下座orz 御免ね、笛の人が起きている最中に間に合わなくて御免ね そして、おやすみー 明日もスレが残っていますように
乙でした〜 警告しちゃいましたか・・・ そういや、このスレを知った当時は仲良く語り合ってた話が書かれてたなぁとしみじみ やっぱり惜しいよサンジェルマン・・・
ほー
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 02:33:05.50 ID:UdARJlI90
ほ
寝るー
ほ
ほ
蛍
来い
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 09:39:06.35 ID:I9N6PCGX0
おはよほ
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 10:11:19.09 ID:I9N6PCGX0
ほ
ほし
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 13:12:53.41 ID:2Ap1OP6Q0
ごちそうさまほ
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 13:36:45.88 ID:2Ap1OP6Q0
あ
PRRRR ピッ リカ『私リカちゃん、今ゴミ捨て場にいるの』 メリー「私メリーさん、番号間違えてますよ」 ガチャン ツー ツー メリー(こんな時代が私にもあったなぁ) メリー「続かない」
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 13:54:58.53 ID:2Ap1OP6Q0
っちょ、メリーさんwwwwwwwwwww
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 14:17:01.51 ID:2Ap1OP6Q0
みー
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 14:38:51.91 ID:2Ap1OP6Q0
みーみー
美人が多いなんて都市伝説ですよ
メリー「仕事がないと暇でしかたがないことに気付きました」ゴロゴロ 隙間女「埃舞うからゴロゴロやめて」 メリー「退屈すぎてカビが生えるかも……」 隙間女「闇子ちゃんのところに行けば?」 メリー「ハッ。そうだ!!」ピキーン メリー「第1回メリーのすべらない話」 契約者(どうして)女騎士 闇子(こうなった)狼男 花子「わくわく」 メリー「続く?」 闇子「続かないでー!」
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 14:53:49.87 ID:2Ap1OP6Q0
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 15:02:08.97 ID:iLkZk0By0
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 15:20:45.91 ID:2Ap1OP6Q0
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 15:39:18.88 ID:2Ap1OP6Q0
ネタ書きつつほ
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 15:58:42.53 ID:2Ap1OP6Q0
みー
174 :
昔の話 ◆nBXmJajMvU :2010/10/08(金) 16:16:38.24 ID:2Ap1OP6Q0
ゆっくりと、意識が闇に引きずり込まれていく 冷たい雨にうたれながら、ぼんやりと、自分の命の灯火が消えていこうとしている事を自覚する …もっと早く、こうなっているべきだった いや、そもそも、生まれてくるべきではなかった 自分のような存在が生まれたから、生まれてしまったから、あんなにもたくさんの人間を苦しめて、不幸にして、殺してしまった −−−−−生まれてきて、御免なさい 口の中で小さく呟かれた言葉は、どこにも届かない ただ 意識を失う、その、刹那 誰かが、自分に手を伸ばしてきたような気がして それは、そのまま静かに、意識を闇へと深く沈めた …そこは、とある異界の中 現実とまったく同じようでいながら、しかし、誰も居ない世界 そのはずの世界に、人影が存在した どこかの、病院の一室と思われる場所 そこに、人影達は集まっていた 「…大丈夫、かな?目を、覚ますかな…」
175 :
昔の話 ◆nBXmJajMvU :2010/10/08(金) 16:20:11.03 ID:2Ap1OP6Q0
その一人、ダレンは、寝台に横たわっている青年を、酷く心配そうに見つめていた 寝台には、褐色肌に黒い肌の青年が横たわり、静かに寝息を立てている ……その体は、つい数時間前まで、あちこち傷だらけでボロボロだった 生きている事が不思議な程の大怪我を負って、倒れていた青年 それを、ダレンが見つけ、保護したのだ 恐らく、手当てしなければ……あのまま、命を落としていただろう 「どうだろうな。まぁ、人外の生命力なら、どうにかなるだろうが」 この異界を形成している存在であるジブリルが、ダレンの呟きにそう答えた …恩人であるダレンの事を気遣うがあまり…彼は、ダレンに真に味方をする者以外に対して、酷く強い警戒心を抱く 今も、この正体不明の青年に対し…ダレンのように同情を覚えるのではなく、ただ、強い警戒を抱いていた 「うん…目を、覚ますといいんだけれど………それにしても、この子、どう言う存在だろう…?」 頭から生えた角や、少しとがった耳 それに、蝙蝠のような翼 ダレンはピンと来ていないようだったが…ジブリルやディーデリヒ、それに、ザンは、この存在に覚えがあった 恐らくは、悪魔の一種 …だからこそ、よけいに、ザンもディーデリヒも警戒しているのだ ダレンは、酷く慈悲深く、そしてお人好しだ 悪魔的な存在に騙されそうになった事も、一度や二度ではない ……今回も この青年が、邪悪な存在であったならば …………その時は、自分達が ダレンに気づかれる事なく、ジブリル達が覚悟を決めていた、その時 「………ぅ、ん」
176 :
昔の話 ◆nBXmJajMvU :2010/10/08(金) 16:25:25.28 ID:2Ap1OP6Q0
ぴくり、と 小さく、青年の体が跳ねた …ゆっくりと、瞼が開く 「あ……良かった、目を覚ましたんだね」 「…………?」 真っ赤な…まるで、血のような瞳を、開いて 青年は、ぼんやりと、周囲を見回す 己が置かれている状況を、把握するのに、時間がかかっているようだ 「大丈夫?まだ、どこか痛い…?」 そっと ダレンは、青年を気遣うように…青年に、手を伸ばした その、瞬間 「−−−−−−−−っ!!」 さぁ、と 青年の顔に……恐怖が、浮かんだ ダレンが差し出した手を振り払い、逃げ出すように後ずさり、寝台から転げ落ちる 「え?」 「ッダレン!」 青年の行動に、ジブリルがさらに警戒を強め、行動にでようとする
177 :
昔の話 ◆nBXmJajMvU :2010/10/08(金) 16:28:57.97 ID:2Ap1OP6Q0
…青年に、悪気が無かったと、しても……ダレンに対し、何らかの害を及ぼしてしまう可能性がある それを、危惧してのことだ しかし その行動は、途中で止まる 「……ぃ」 ガタガタと、震えながら 青年は、自分の体を抱え込むように縮こまり、呟き続ける 「い、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…………言う事、聞きますから………も、ぶたないで………っ殴らないで………!」 カタカタと、震え続ける青年 その表情は、声は……暴力の恐怖に屈している様子で 今も、その暴力に晒されるのではないか、と、ただただ、震え続けている 「御免なさい……もう、逆らいませんから………言う事、何でも聞きます…………っあなた方の、不都合になることは、何もしません。だから、殴らないで、蹴らないで………斬らないで、首を絞めないで………っ」 ボロボロと、青年は涙を流し続けている 強い、強い、恐怖 それに囚われ………完全に、支配されてしまっている …ジブリルは思い出す ダレンが、この青年を見つけたのが…「教会」の影響下が強い場所であった事を ダレンが保護した時、青年の体中についていた、無数の傷を、傷跡を 「こいつ……「教会」に、虐待されてたのか……っ」 恐らく…それだけでは、ない
178 :
昔の話 ◆nBXmJajMvU :2010/10/08(金) 16:32:42.09 ID:2Ap1OP6Q0
「教会」に、何らかの目的で、いいように使い潰されていたのだろう …「教会」内部には、悪魔を否定しながらも、その悪魔を利用し、敵対勢力を陥れるような事をしている一派が存在する事を、彼らは把握していた この、青年は……恐らくは、それによって利用されていて……しかし、同時に、利用される局面ではない時には…不定な存在だからと、虐待を受け続けたのだろう 虐待の暴力による恐怖が完全に染み付いてしまっていて…ダレン達の事も、自分を虐待してきた者にしか、見えないのだろう 震え続ける青年 …そんな彼に、ダレンはそっと、近づく 「………っひ!?」 「ダレン!」 「…大丈夫」 ディーデリヒの静止も、聞かず ダレンは怯える青年に近づくと…その傍らに、跪いて そっと…その頭を、撫でた ぴくりと、青年は怯えたように体を跳ねらせて ……しかし、いつまでも与えられない暴力に、やがて、不思議そうな表情を浮かべた 「ぁ……?」 「大丈夫…僕らは、君の敵じゃない。君に、酷い事なんてしないよ」 「…ぇ……ぁ……」 ダレンから与えられた、優しい言葉に…青年は、酷く困惑している様子だった 戸惑ったように…信じられない、という表情で、ダレンを見つめる 「……っで、でも……僕は、淫魔、で…………ッ不浄な、存在で………生きている、価値なんて………どこにも……っ」 「そんな事、ないよ」 未だ、怯え続ける青年に
179 :
昔の話 ◆nBXmJajMvU :2010/10/08(金) 16:40:04.22 ID:2Ap1OP6Q0
ゆっくり、優しく…ダレンは続ける 「生きている価値のない存在なんて、この世にはいないんだよ。誰もが誰かに求められていて、誰もが誰かの為に生まれて、生きている。どんな命であろうとも、生まれ出てきた事に、必ず、意味があるんだ」 「…い、み…?」 「僕は、君に生きていて欲しいと思う。君が、自分には生きている価値がないというのなら。僕が、君に生きていて欲しいと願う」 死に行く命を、救う事ができるのならば ダレンは、迷わずその命を救い上げる そして、それを、絶対に見捨てることなどしない ダレンが、この哀れな淫魔を保護した段階で この哀れな淫魔は、ダレンにとって、必ず救い上げるべき価値ある存在へと成っていたのだ 淫魔は、生まれて初めて向けられたのであろう善意に…酷く、困惑し続けていた 「僕は…生きていて、いいの…?」 「当たり前だよ。ね、みんな」 ダレンが、部屋に居た全員に、同意を求める 成り行きを見守っていたザンは、小さく苦笑した 「まぁな。大体の事情を察した後じゃあ、見捨てるのも目覚めが悪いしな」 「…お前がそいつを救うというのなら、俺達はその手伝いをするまでだ」 「ダレンに害を与えないなら、問題ない」 ザンの言葉に、ジブリルとディーデリヒも続いて ダレンはにっこり笑って、淫魔に手を差し伸べる 「さぁ、一緒に生きよう?もう、怖がらなくて、いいんだよ」 「………」
180 :
昔の話 ◆nBXmJajMvU :2010/10/08(金) 16:44:13.67 ID:2Ap1OP6Q0
差し伸べられた、その手を …淫魔は、恐る恐る、とった ダレンはしっかりと、その手を掴む 「僕は、ダレン。ダレン・ディーフェンベーカー…君の名前も、教えてくれる?」 「……僕、は……」 しっかりと握られた手 それを、どこか弱々しく握り返しながら、淫魔は答える 「僕は…ディラン……ディラン・ドランスフィールド…です……」 …これが、彼らの出会い この日より、蔑まれ続けた淫魔は生まれて初めて、味方を、仲間を、友を得た しかし かつての恐怖の記憶は、未だ彼を縛り続け 彼の運命を、静かに縛り続けるのだ to be … ?
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 16:45:03.73 ID:2Ap1OP6Q0
ディランの昔の話 他に書くべきネタがあったはずなのに、電波がおりてきたので書いた 正直反省している さて、夜にもスレが残っていれば幸せだ!!
>>175 >>寝台には、褐色肌に黒い肌の青年が横たわり、静かに寝息を立てている
>>褐色肌に黒い肌の青年
わかったぞ、ブラックジャックの顔みたいなあれだな
不細工な口裂け女……ああ、元から残念だtt
乙です〜 改めてダレン良い奴だなぁ・・・オールたんが惚れる訳だ ちくせう、俺のオールたん・・・
悪夢・吉夢募集中( 貴方が見た幸せな夢、悪い夢、意味不明な夢を教えてください 「夢幻泡影」本編で理夢が見せる夢としてありがたく使用させていただきますorz という謎な宣伝を思いついたorz というわけで保守
ケーキ買って貰ったら目が覚めた
>>186 せ、せつない・・・
子供に見せたら面白そうだ、ありがとうございます〜
飯行ってきます〜
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 19:19:18.32 ID:kosc45No0
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 19:24:29.79 ID:kosc45No0
>>184 >ちくせう、俺のオールたん・・・
だから、いつ貴殿のものになったんだwwwwwwwwww
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 19:41:01.64 ID:kosc45No0
保守代わりに
>>185 へ、幼い頃に見て未だに覚えている悪夢のネタをいくつか
・タンスからグレムリンが出てきて襲いかかられる。噛みつかれそうになって必死に手で相手を押さえつけていて目がさめた
・お婆ちゃんが笑顔でフォークでこちらを突き刺そうとしてくる
・ナイフで刺されそうになって、手でナイフの刃を掴んで何とか耐えようとする。手のひらに刃が食い込む痛みをなぜか感じる恐怖
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 19:59:07.88 ID:kosc45No0
明日の予定決定しつつほ
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 20:08:42.68 ID:kosc45No0
ひ
>>191 >・タンスからグレムリンが出てきて襲いかかられる。噛みつかれそうになって必死に手で相手を押さえつけていて目がさめた
>・お婆ちゃんが笑顔でフォークでこちらを突き刺そうとしてくる
>・ナイフで刺されそうになって、手でナイフの刃を掴んで何とか耐えようとする。手のひらに刃が食い込む痛みをなぜか感じる恐怖
どれも怖ぇ・・・ありがたくいただきますorz
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 20:19:41.31 ID:kosc45No0
>>194 ・性犯罪者に襲われそうになってトイレに立てこもるも、ドアノブを破壊され扉が開いたところで目を覚ます
も、ゆっくり追加していってね!
聞いてるだけなのもどうかと思ひて、ついでに私も書きにけり( 今日見た理解不能な夢 しかも駄文長文すまんorz まず、住んだことのないマンションの廊下(?)に家族全員で歩いてた ふと空を見ると、怪しげな黒雲が向こうの空からゆっくりとやってくる 稲妻が青く光り、落雷で山が燃える 「やばいなぁ」とか思って見てたら・・・黒雲から、でかい足が見えた なんだあれ?そう思ってたら、黒雲からそれが落ちてきた ミクラスだった(ウルトラセブンのカプセル怪獣 そしてそれを追うように何故かアギラ(セブンにて登場回数最低のカプセル怪獣)が現れて、ミクラスを攻撃しだした 俺はその様子を暢気に携帯に収めていた そして仲介者が現れたんだが、セブンじゃなくて何故エースなのか? しかもこのエース、射撃が下手。 「お前町壊しに来たろ」っていうくらい光弾外しまくり おまけに一瞬俺がマンションで逃げ遅れてるの確認して何を思ったのか、俺のいる方向へメタリウム光線! そこで目が覚めた・・・
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 20:27:49.44 ID:kosc45No0
>>196 テラカオスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
>>195 >・性犯罪者に襲われそうになってトイレに立てこもるも、ドアノブを破壊され扉が開いたところで目を覚ます
これも怖ぇwwwww
>>196 カオスな夢は何度か見たが、俺の見た夢ではこの夢が1番カオスだと思うwwwwwwwww
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 20:40:11.22 ID:kosc45No0
>>198 夢って、怖い夢に限って覚えてるよね
楽しかったはずの夢は、なぜか覚えていないんだぜ
>>199 >楽しかったはずの夢は、なぜか覚えていないんだぜ
(リム>楽しい夢はおいしいから、根こそぎ食われるんだバクー
お前等の所為か・・・
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 20:58:22.40 ID:kosc45No0
>>200 そんなリムには悪夢ばっかり食わせた後にむぎゅむぎゅ抱きしめて抱き枕の刑だwww
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 21:12:56.76 ID:kosc45No0
>>202 はぁう……っ
リムかぁいいよぅお持ち帰りぃ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
…うん、ネタ執筆が不調なあげく、テンションおかしいみたいだwwwwww
怖い夢というか嫌な夢というか その1(小学生時代) 家族でドライブ中、目的地に到着 車から降りたら、自分を残して車が走り去っていった 起きたら泣いていた その2(その1の数日後) 家族のドライブから帰宅 前の夢を覚えていたので、家族に先に降りるようお願いする 自分以外全員が降りたところで、車が勝手に走り出した 起きたら泣いていた その3(ついこの間) 兄貴に掘られた 起きたら泣いていた
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 21:21:24.67 ID:kosc45No0
>>204 最後wwwwwwwww
いや、笑っちゃ悪いのはわかってるけど笑ってしまった
>>203 >リムかぁいいよぅお持ち帰りぃ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
(裂邪>またのご利用をお待ちしておりまーすwwww
>…うん、ネタ執筆が不調なあげく、テンションおかしいみたいだwwwwww
俺も同じですorz
ちくせう、ローゼ目線でほぼ同じ内容書かにゃならんのに・・・orz
>>204 最後やべぇ・・・・・・おかしいな、俺も心当たりがあるような気がしてきたぞ?(
>>205 >いや、笑っちゃ悪いのはわかってるけど笑ってしまった
まぁ実際にやられたわけじゃないですし、今では笑いのネタですよ
でもまた同じ夢見たら多分泣く!
>>206 >最後やべぇ・・・・・・おかしいな、俺も心当たりがあるような気がしてきたぞ?(
覚えてないってことは、きっとリムが食べてくれたんですよ
……まさかあの夢は、貴方が見た夢をリムが運んできて…?
>>207 >……まさかあの夢は、貴方が見た夢をリムが運んできて…?
(裂邪>あららら・・・でもそのリムは今
>>203 に粛清されてるからそれで我慢してね!
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 21:32:32.22 ID:kosc45No0
>>207 >でもまた同じ夢見たら多分泣く!
また同じ夢を見たら、俺の持ちキャラがいい子いい子してやろう
夢を操作できたらなぁ、とたまに思う 明晰夢の練習は三日で飽きたけど
211 :
CP確定 ◇vQFK74H.x2 (代理) :2010/10/08(金) 22:00:46.02 ID:q4WdIqZ50
生徒会室で予備の釣り銭を貰い、教室に戻ってきた紗奈。 教室では、一時的に会計を代わってもらっていた獄門寺が、同人誌のモデルの青年(先ほどの会話を聞きとった限りでは、翼という名前らしい。機会があったら改めて聞いておこう)と何やら話しこんでいるらしかった。 「あ、おかえりなさーい」 「ただいまー。はい、予備貰ってきたよ」 釣り銭をもう一人の会計担当の女生徒に渡す。ふと教室の壁時計が目に止まり、そういえば、もうすぐ獄門寺の休憩時間だった事に気づいて声をかけようとして―― 「そうか……でも、気負いすぎて、無理すんなよ?」 「はい…それに、実際のところ、俺は翼さんを護れる程、強い訳でもないですから」 このやり取りと、翼が獄門寺の頭を撫でてB組を後にするのを目撃した。 「(獄翼キター!!やばい…頭撫でるとか萌え死ぬかも……ってそうじゃなくて!!)」 妄想の世界に旅立ちかけた意識を慌てて現実に引き戻し、獄門寺に声をかける。 「獄門寺君、そろそろ休憩時間じゃない?」 「ん?……あぁ、そうだな」
212 :
CP確定 ◇vQFK74H.x2 (代理) :2010/10/08(金) 22:02:37.38 ID:q4WdIqZ50
「ねぇ、さっきの男の人、ずいぶん親しいみたいだったけど…知り合い?」 「ん?…………あぁ、そうだが。どうした?」 「いや、獄門寺君の知り合い、ってイメージの人じゃなかったから」 獄門寺は普段、クラスでは極力目立たないように振舞っている。 そんな獄門寺と、派手な格好をしたあの青年は、一体どこで知り合ったのだろう…? 「……家の関係で少し、な」 あまり詳しく聞かれたくないことだったらしく、短く説明した後改めて休憩室に向かう獄門寺。 「(家の関係…家族ぐるみで付き合いがあるとかかな?)あ、おかえりなさいませ、ご主人様」 彼が隣のクラスから手伝いに来てくれていた宮定 繰に話しかけられているのを視界の端に捉えながら、接客に戻って行った。
>>210 >夢を操作できたらなぁ、とたまに思う
あぁ〜、俺もよく思う
操作っていうか、夢の中でほっぺたをつねった事はあるよ
マジで痛くないのねあれ すぐ目覚めたけどorz
214 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/08(金) 22:12:15.28 ID:q4WdIqZ50
頭が痛い。 まさか、質問をはぐらかす為に吐いた無理難題の筈が このような結果になってしまうとは、完全に薮蛇だ……。 頭を抱えながら、私は途方にくれていた。 人形だと思っていたA-No.0が、実は感情を持っている? しかも、最も有り得ないと考えていた恋慕の情ですら、既にその身の内に隠していた? 有り得ない……絶対に有り得ない事だ……だが、有り得てしまった。 未だ、自らの感情の正体を把握出来ていないのだろう。 どうする? 本人に自覚は無いのだ、素知らぬ顔で「その感情は恋情ではないので質問には答えられない」とでも言って呆けるか? いや駄目だ、今、この場には、S-No.0……イクトミが居る。 この、今にも顎が外れそうな程に驚愕している、彼が気づいていない筈がなく。 嘘を吐いて、やり過ごせるような状況ではない……それに―― 先程からジッと、澄んだ眼でこちらを見据えてきている、A-No.0を見る。 その顔は、未だ拭うこともされていない為に、流した涙で濡れていた。 あぁ……まったく……。 「頭を抱えたくなってきますね」 「それは俺の台詞だがな〜」 未だ、驚愕から立ち直れていないイクトミが、こちらの台詞に小さく返すのが聞こえる。 ――大きな溜息一つ。
215 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/08(金) 22:15:04.35 ID:q4WdIqZ50
「……イッちゃん、先程からどうしました? 体調が優れないのですか? まさか多重契約による副作用が」 「違いますよ、そもそもBナンバーは元々多重契約を想定した調整を受けているので多重契約によるリスクは極低までに抑えられています」 「そうですか、しかしその割には、先程から顔色が悪いようですが?」 貴方のせいですよ、と言うのは内心でだけに留めておく。 心配そうにしているA-No.0に……いや、表情は今まで通りの無表情なので、そう感じるのはコチラの心象の変化のせいか……。 兎に角、私は目の前の、未だ自分の恋心にすら気が付くことの出来ない無垢な「子供」に向かって口を開いた。 「ダレン・ディーフェンベーカーを暗殺しようとした者が誰であるか私は知りません、が少なくともBナンバーは一切、関わっていないでしょう」 「…………?」 私の言葉に首を傾げた状態で固まるA-No.0。 しかし、そんなA-No.0の姿を避けるように私は視線を明後日の方へ向けると話を続けることにする。 「B-No.0は嘗て、ダレン・ディーフェンベーカーに対して我々Bナンバーに不干渉を言い渡しました、そして彼自身も不承不承な面持ちながら手は出さないと言っていた、何でも……首領の命令だったとか」 「……イッちゃん?」 「B-No.0は首領に心酔しています、いや、アレはもはや信仰と言っても良いレベルですね、自身も神の身でありながら彼は首領を自らの神と崇めていた、そんな相手の命令だ、B-No.0がそれを破るはずがない」
216 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/08(金) 22:18:07.55 ID:q4WdIqZ50
「……もしかして、私の事を好きになったのですか?」 「何故そうなりますか、そんな訳がないでしょうアホですか貴方は」 「…………私は、アホではありません……グスッ」 「あー、まーた泣かせた、イッちゃんのいじめっこー」 「ち、違っ……って、横からうるさいですよS-No.0、蜘蛛なら蜘蛛らしく狸の置物の様に黙っていてください!」 「いや、意味わかんねーよ」 「ええぃ、話が進まんではないですか! それにA-No.0もいつまで泣いているんです!」 「……アーちゃん」 「はい、そうでしたねアーちゃん、すいませんでした! で、何故泣く」 「私は泣いてなど居ません、ただ目から勝手に涙が煽れて来ているだけです……」 「それを泣いていると……いや、それはもう良いです……そんな事よりも何故私がよりにもよって貴方のことを好きにならなければ?」 「先程、私の質問に答えないのは、イッちゃんが私の事を嫌いだから、と」 「ええ、そうですね」 「しかし、今、イッちゃんは私の質問に答えようとしています、つまり、私の事を好きになったから答えてくれるようになったのだと……違うのですか?」 「違います」
217 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/08(金) 22:21:04.75 ID:q4WdIqZ50
「…………そうですか」 そう呟くと、ハラハラと無表情のまま、また涙を流し始めるA-No.0。 いい加減、頭痛が限界に達した私は、イクトミへと視線で助けを求めることにした。 (どうにかしてください) (だが断る) (そこをなんとか) (悪いな〜、今の俺、狸の置物だから) (貴方は神様でしょう何とかしてくださいよ) (神とは得てして、何にもしないもんだぜ?) (薄情者!) (ふっふっふ、何とでも言うがいい!) 神は死んだ、いや、違う、神を殺したい。 あぁ、何故、神というモノは、このように腹の立つ輩ばかりなのだろうか。 いつか、まとめて首斬り殺す事を誓い、未だ涙を流すA-No.0へと向き直る。 「…………」 「…………」
218 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/08(金) 22:24:39.98 ID:q4WdIqZ50
「あ、アーちゃん」 「はい、何でしょうか……」 「す、好きではありませんが、嫌いでもないですじょ?」 噛んだ。 「ですが先ほど貴方は……」 あぁ、後ろで肩を震わせながら笑いを噛み殺そうとして失敗し、ブヒュッとか間抜けな音を吹き出してる馬鹿蜘蛛を括り殺したい。 しかし、今はA-No.0と話をするのが先決である、平常心平常心と心の中で繰り返しながら、口を動かす。 「私は人形のように感情のない貴方が嫌いだったのです、だがそれは私の勘違いだった、今の貴方は感情が有り、そして私の求めるものを貴方は持っていた」 「……ダレン・ディーフェンベーカーに対する、この感情……の事でしょうか? これは一体?」 「あ、その辺は後で、そこでニヤけてる蜘蛛にでも聞いてください、至極丁寧にかつ詳しく教えてくれるでしょう」 後ろから、ちょ、おまっ、うぉい何勝手言ってんだー!? とかなんとか聞こえてくる気がするが気にしない。 ええ、気にしませんとも、ただ無言で頷いたA-No.0の姿に、小さくガッツポーズをしつつ話を続けることにする。 「さて、話を元に戻してよいでしょうか?」 コクリと頷くA-No.0、その瞳は潤んでいるが、既に涙は止まったようである。 その事を確認した私は、先程の話の続きを話し始める。
219 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/08(金) 22:28:35.70 ID:q4WdIqZ50
「さて、まぁ、先程言ったように、B-No.0は首領に心酔している……それが私が首領を追放した事が過ちだと言った理由です、首領は、彼はその「強さ」も去る事ながら、B-No.0の安全弁でもあったのですよ」 「しかし、B-No.0程度……」 「B-No.0程度?、では貴方はB-No.0のもつ都市伝説が何であるか知っているのですか?」 「…………いえ、知りません……いや、待ちなさい、B-No.0の、組織の構成員の能力を私が知らない? そんな筈は」 「ふむ、そうでしょうね……やはり……では、知らないのなら教えましょう、B-No.0の正体を」 「…………」 「彼は生と死の狭間の仲介者にて」 「この世に生きてきた全ての人間の知識を持つ賢者」 「黄泉路の境の十字路にて佇むその者の名は――」 「――バロン・サムディ(土曜男爵)」 それが、その名こそが―― 「B-No.0、嘗ての私の上司の真名です」
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 22:47:18.41 ID:q4WdIqZ50
ひ
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 23:06:33.52 ID:q4WdIqZ50
よ
222 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/08(金) 23:19:30.05 ID:q4WdIqZ50
い 明日もスレが残っていますように
の
とあるスーパーマーケット――― (ミナワ>・・・ほ、ほんとに買って下さるんですか? (裂邪>もちろんだよ。 嫌いだったか? (ミナワ>とっとんでもないです!憧れてましたけど・・・やっぱり恥ずかしい/// (裂邪>お前なぁ・・・女の子なんだから一生に一度はスカートくらい履いてみるもんだぜ? (ミナワ>わかってますよ、わかってますけど・・・無防備じゃないですk (裂邪>ヒッハッハ、なんだ不安な点ってそこかよwお前可愛すぎるなチクショウw (ミナワ>わ、笑わないで下さいよぉ/// (裂邪>ウヒヒヒ、悪ぃ悪ぃw ・・・ファッションコーナーにて、いつものもげろカップルの姿があった。 どうやらミナワの為にスカートを買いに来たらしく、 2人は水色赤色レモン色、ロングスカートにミニスカート・・・何枚ものスカートを持っていた。 (裂邪>どれが似合うかな〜? 俺としてはミニがいいんだけど (ミナワ>ここここんなに短いのははは履いて歩けません!/// (裂邪>恐ーれるなー! 誇りをー捨てるなー! I get the Power of Love!!! (ミナワ>何でしたっけそれ? (裂邪>ジャムプロの「GONG!」だよ (ミナワ>お好きなんですねJAM Project (裂邪>名歌「シャボン玉」には勝てないけどな (ミナワ>もぉ〜/// うんもげろ
そして彼らは試着室の前で足を止めた。 (ミナワ>じ、じゃあ・・・し、試着してきます (裂邪>試着まで緊張しなくてもいいだろw 履いたら呼んでくれよ? 待ってるからさ (ミナワ>は、はいご主人様♪ シャッ、とカーテンを閉め・・・ようとした手がぴたりと止まる。 (裂邪>・・・どうした? (ミナワ>・・・・・・・・・・・・・覗いちゃダメですよ? (裂邪>早く履け!/// (ミナワ>ごめんなさい!/// カーテンは完全に閉められた。 (裂邪>全く、日を増すごとに可愛くなるな大好きミナワ (シェイド>貴様・・・少シハ自重シロ! (裂邪>自重って何ですかー食べられるんですかーおいしいですねー (シェイド>後デ影ノ中ニ葬ッテヤルカラ覚悟シテオケ (裂邪>やるかジジイ! 言っておくが俺の攻撃力は、 生存扱いになっている100歳以上の老人の数×1000ポイントだぜ!? (シェイド>私ハ1ターンニ1度ダケ、私ヨリ攻撃力ノ高イモンスターヲゲームカラ除外デキルノダガ? (裂邪>か・・・勝てない・・・orz (シェイド>私ノ言ウ事ヲ聞クカ? (裂邪>へぃへぃ、とりあえずお前の説教は帰ってからたっぷり――――――ッ!? ぞくり、何かを感じ取る2人。
(シェイド>・・・都市伝説ダガ・・・スグニ消エタ (裂邪>ミナワ!!?? 勢いよくカーテンを開ける裂邪。 そこにあったのは、鏡に映る自分と、数枚のスカートだけだった (裂邪>ミ・・・・・ナワ・・・・・? (シェイド>試着室・・・マズイゾ裂邪、コノ都市伝説は・・・ 「試着室の落とし穴」―――そんな話をご存知だろうか 「試着室の向こうには隠し扉があり、拉致されて人身売買の組織に売り渡される」・・・ 「試着室」が殆ど密室であるという「落とし穴」を突いた都市伝説。 主に海外で行われると噂される都市伝説だが、ここは学校町、様々な都市伝説が集まる町 舞台が日本だろうが海外だろうが関係ない 裂邪は怒りに任せてバンッ!と鏡を叩く。 (裂邪>・・・扉なんて・・・ねぇじゃねぇか!? (シェイド>恐ラク我々ト同ジ異空間系ノ都市伝説・・・瞬時ニ気配ガ消エタノモソノ所為カ・・・ (裂邪>だったら『シャドーダイブ』だ! 影の中から追えるだろ!? (シェイド>無理ダ・・・我々ノ形成スル異空間ト同ジトハ限ラナイ (裂邪>リムとウィルを呼べ! 今すぐこの学校町全部を隈なく探させろ!! (シェイド>落チ着ケ! 怒リハ自分ヲ見失ワセルゾ!? (裂邪>こんな時に落ち着けるかぁ!? ミナワが連れて行かれたんだぞ!? 俺の家族が! かけがえの無い家族が! 今、ここでッ・・・・・・ どさ、と力無く崩れ落ちる
(裂邪>助けられなかった・・・こんなに近くにいたのに・・・救えなかった・・・ 俺の事を愛してくれてた人を、守れなかったんだ・・・! 何が「ご主人」だよ・・・何が「世界征服」だよ・・・ たった1人守れないで俺は・・・・俺は・・・・! 床に己の拳を叩きつける。 行き場の無い怒りを込めた、弱々しい拳 ――――――――かつん 背後から靴の音。 涙を拭い、振り返る。 (裂邪>あ・・・ 場面は変わって、古びた倉庫のような場所。 全く人気がなく、隔離されているように閑散としている・・・ そう、ここは異空間。 「試着室の落とし穴」の能力で形成された現世とは別の世界である。 そこに、手を後ろで縛られた青い髪の少女が、二十代くらいの若い男に連れられて入ってきた。 (ミナワ>は、離してください! (若人>静かにしろ! クッソ、まさか都市伝説だとは・・・眠り薬がすぐに解けちまった。 おい! 連れてきたぞ!! 男が叫ぶと、倉庫の奥からアジア系の、初老の男性が現れる。 その右手には、薄っすらと血のついた刃の長いのこぎりが握られていた。 そして何より・・・ (ミナワ>ッ!都市伝説・・・! (初老>ほぅ・・・なかなかいい娘じゃないか
アジア系の初老男性はミナワに歩み寄り、顎をくっと掴む。 (ミナワ>・・・・ッ! (初老>いい目つきだ、これなら高く売れそうだ。早速・・・ 初老男性はのこぎりの刃を、ミナワの目の前に持ってくる (初老>してやろうかぁ、「ダルマ女」に・・・くっくっく (ミナワ>ダルマ・・・女・・・? (若人>早い話が、手足をたたっ斬るんだよ! 都市伝説は簡単にゃ死なねぇからな、テメェは一生、見世物として余生を過ごすんだ! (ミナワ>そんな・・・! でも大丈夫です、ご主人様がきっと来てくださいますから・・・! (初老>「ご主人」? 契約者の事か? (若人>ハッハー!無駄無駄ァ! ここは「試着室の落とし穴」の能力で作った異空間! 誰も俺達を見つけられねぇし、邪魔もできねぇ! (ミナワ>ご主人様にできないことなんてありません! ご主人様は・・・私のご主人様は・・・世界征服を目指してるんですから!! はっきりと、彼女は言い放つ 男達は笑うでもなく、肩をすくめて呆れている (初老>まぁ、仕事は早く済ませた方がいいのには違いない (若人>んじゃ、そういうことで 若い男性も、腰にぶら下げていたナイフを手に取る けたけた、けたけたと、楽しそうに邪悪に笑う男達 ミナワの目には涙が溜まっているが、彼女はそれを流そうとはしなかった 助けが来る事を、信じていたから (ミナワ>(ご主人様・・・・・・!)
(初老>さぁ、覚悟はできたk―――― (少年>何の覚悟だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?? ガシャァン!! 倉庫の窓ガラスが破られ、黒衣の少年と、黒いスーツの赤い髪の少女が現れる。 (若人>なっ!? 誰だテメェ等!? 何故ここにいる!? (ミナワ>ご主人様!! (裂邪>よくも俺の大切な家族に手ぇ出してくれたな・・・・・・この罪は重いぞ? (赤毛>間に合ってよかったですわ・・・貴方達を、「組織」の名において拘束します (初老>くっ、「組織」まで動き出すとは・・・! (裂邪>え? お嬢さん「組織」だったの? (赤毛>あら、申し遅れましたわ〜 「組織」のR-No.0、ローゼ・ラインハルトですわ (裂邪>ローゼちゃんか、俺は黄昏裂邪・・・ってそんなこと言ってる場合じゃない! ジジイ!俺のミナワを返せ!! (初老>小僧が・・・返せと言われて返す馬鹿がいるものか、という言葉を聞いた事があるか? 初老男性は、ミナワの首筋にのこぎりを押し当てる つぅ・・・と、彼女の首に血が流れる (裂邪>ッ・・・貴様ァ!! (ローゼ>はぁっ! ・・・刹那、ローゼの姿が消えた・・・と思うと、ミナワの姿も消える そして男達の遥か後ろに、ミナワを抱えたローゼの姿があった。 (若人>は、早い!? (裂邪>ヒュー・・・流石だなローゼちゃん・・・ さて、人質はいなくなった。 もう思いっきりやっても良いよなぁ?
彼が言い終わると同時に、彼の影から無数の黒い手が伸び、彼の体を掴む。 (初老>何をする気だ・・・? (裂邪>シャドーズ・・・・・アスガルドォ! 黒い手が、彼の体を一気に包み込む。 シェイドの群体の一部が、裂邪と半融合状態となる能力・・・『シャドーズ・アスガルド』。 (若人>何だありゃ!? あんなのありか!? (裂邪>ゴチャゴチャうるせぇ!! 彼は瞬時に飛び掛り、若い男性に怒りを込めた蹴りを喰らわせる。 蹴り飛ばされた男は、遥か先の壁へと叩きつけられた。 (若人>グハ・・・ァ・・・ (裂邪>(・・・軽い・・・妙だな、以前よりも調子が良い・・・?) (シェイド>[当然ダロウナ。当時私トミナワト理夢シカ契約シテイナカッタガ、 今ノオ前ハウィルトモ契約シテイル。ソノ為カ、10分程度ナラコノ姿ヲ保テルヨウニナッタゾ] (裂邪>[なるほど。良いニュースやら悪いニュースやら・・・] (シェイド>[因ミニ前回ハ同調率72%ダッタガ、今回ハ97.4%マデ上昇シテイル] (裂邪>[わかりやすい表現ありがとう] (初老>目の前で契約者が痛めつけられて黙っているわけが無いだろう? 初老男性がのこぎりを振りかざし、裂邪の背後から襲い掛かる ―――――が、それは赤い光を放つ刃によって防がれた (初老>くっ、また邪魔をするか! (ローゼ>貴方の相手はワタクシです! 裂邪さん、契約者の方はお任せしますわ! (裂邪>・・・ということだそうだ、仲良くしようや兄ちゃんよぉ!
裂邪は再び契約者の男に襲いかかる。 男は寸でのところで避けたが、数秒前まで彼が倒れていた場所は、既に原型が無かった (若人>ば・・・バケモンが・・・! (裂邪>どっちがだ? 人の家族誘拐する奴の方がバケモン染みてっだろぉ!! 黒く鋭い爪、爪、爪・・・ 男はナイフで応戦するが、所詮は人間・・・ 都市伝説に半分飲まれている状態である今の裂邪に敵う筈も無く、ナイフは高々と弾き飛ばされた そして、爪の色が、紅く染まる (裂邪>あっけねぇ・・・俺のはらわたを煮えくり返らせなきゃ、こうはならなかったのになぁ? (若人>ガ・・・・・・ァ・・・・・・・・オ゙エッ! 腕を大きく振るい、爪に突き刺さったそれを投げ飛ばす 偶然そこにあった木箱に男がぶつかり、木箱が大破する ・・・・・・・ごろん、と何かが転がってくる (裂邪>な・・・・・こ、これは・・・・ 凄惨な光景だった 両腕と両足のない全裸の女性・・・「ダルマ女」が、木箱の中から溢れ出す。 うぅ、うぅ、という呻き声が響く。 まだ、生きている・・・ (若人>ッハハハハ・・・ゲフッ・・・・ガキには刺激が強すぎたかぁ? ・・・そうさ、全部俺達でやったんだ・・・こんだけ集めんのは苦労したぜ・・・? 血を吐きながらも、にたりと笑う男。
(若人>・・・なんてなぁ、試着室に入ってきた女を掻っ攫うだけだから簡単簡単 あとは手足斬って完成yウゲェッ・・・ゲホッ、ゴホッ ・・・あ゙ぁ、楽しかったぜぇ? 泣きながら「助けて」って懇願してくんのよ! ダルマ女の中には、まだ幼い少女の姿もあった (裂邪>・・・・・・・・・・・・・か? (若人>あ? (裂邪>貴様・・・・・それでも人間かぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 渦巻く裂邪の影から、さらに無数の・・・否、今までの「無数」とは桁外れの量の腕が、裂邪の黒い体にまとわりつく。 (シェイド>[待テ裂邪! コレ以上ハ危険ダz] (裂邪>黙れぇ!! いい加減はらわたどころじゃ済まなくなった!! こうなったら見せてやる・・・・・【黄昏(ラグナロク)】をぉ!!!! どお!と彼の影から何百体ものシャドーマンが現れ、裂邪の体を包んでゆく。 幾重にも幾重にも影が重なり、それはこの倉庫に収まりきらぬほどの、文字通り「化け物」となった シャドーズ・ラグナロク 影の黄昏 (若人>ァ・・・・・・・・・・ァァ・・・・・・・・・ (裂邪>【ヒハハハハハハハハハハ!!さぁどういうラグナロクを迎えたい? やっぱ貴様が今までやってきたように、ダルマ女にしてやろうかぁ? ・・・・あぁ、ダルマ男だな。ヒハハハハハハハ!!】 狂ったような笑い声が響く。 直後、彼の体中より触手のようなものが男の元へ伸びる。 先端が、男の肌や衣服をさっと掠める。 すぐに切り傷が創り出された。
(若人>ヒッ・・・・た・・・たすけ・・・ (裂邪>【ふざけんなぁ!!!】 触手の内の数本が、男の肩や脚を貫通する。 (若人>ッ!! (裂邪>【貴様みたいなカスを助けるだぁ?笑えんわ!! 今まで散々人の命を弄んできたんだろ?だったら俺にも楽しませろ! 次は何処がいい?首か?頭か?心臓か?安心しろ一気に殺しはしねぇからよぉ!】 (若人>イ・・・・・イヤ・・・・・・・ダ・・・・・・・シニタク・・・・・・・ 声にならないような声で訴えかける男。 彼の目には、既に生気がなかった (裂邪>【・・・・・あ〜ぁ、つまんねぇなぁ・・・・ まぁいいや、シャッテン・シュライデェ!】 (ローゼ>お止めなさい!! ぴたり 男を刺し殺そうとした幾本もの触手は、少女の一声で止まった どうやら初老の男性とは決着がついていたらしい (裂邪>【何故止める!? こいつは俺の家族に手を出したんだぞ!? それだけじゃない!この人達を見ろ! こんな事をする奴を殺さないでおけるのか!? こいつこそ殺すべきじゃないのか!!??】 (ローゼ>確かに、その男は許されざる行為を行なってきましたわ・・・ でもだからといって、殺していい理由にはなりません! (裂邪>【ッ!?】
寝る前にスレ更新したら寝れなくなったじゃないか支援
しえーん
む、まだ途中っぽいけど寝落ちだろうか…? すまないが寝させてもらうぜー
(ローゼ>殺人は麻薬ですわ! 1度人を殺してしまえば、歯止めが利かなくなって人を変えてしまう・・・ ワタクシは、そんな人を見ているから・・・・ 貴方はそうなるべきではありません! なって欲しくありません! 貴方はまだ子供だから! それに、貴方には・・・大切な人が、いるのだから・・・ はっと、何かに気づいたように、彼は辺りを見渡す。 そして彼は、大切な人の姿を見つけ出した。 心配そうに、こちらを見つめている、守るべき存在が・・・ (裂邪>【ミ・・・ナ・・・ワ・・・・・・】 ゆっくりと、裂邪を包む黒い塊が、縮んでいく それらが全て裂邪の影の中に戻ると、彼はその場に倒れこんでしまった そして舞台は再びスーパーマーケットへ――――― (ミナワ>あ、あの・・・助けてくださってありがとうございました! (裂邪>いやぁ、また世話になっちゃったなローゼちゃん (ローゼ>いえいえ、こちらこそご協力感謝しますわ〜 (裂邪>今度はもうちょっと別な機会でお会いしたいな・・・もっと平和な時間に (ローゼ>・・・ワタクシも、そんな時に出会える事を願っておりますわ では、ワタクシはこれで。ごきげんよう・・・
少し頭を下げて、彼女は裂邪達と別れた (ミナワ>・・・優しい方ですね (裂邪>あぁ・・・ 軽く返事をし、俯く裂邪 (ミナワ>・・・ご主人、様? (裂邪>ごめんな・・・俺がついていながら、こんな目に合わせてしまって・・・ やっぱり、ご主人に向いてないのかな・・・ (ミナワ>・・・・・・・ご主人様。 ん?と顔を上げた束の間、重なる唇と唇 (裂邪>・・・・・・・・んにゃ!? ミ、ミナワ? (ミナワ>もし本当にご主人様に向いてなかったら・・・私を助けになんて来ませんよ? 彼女はにっこりと、笑顔で励ました 込み上げる感情を抑えながら、少し俯き気味で、ミナワの手を引いてレジに急ぐ裂邪であった。 (裂邪>・・・・・あ、試着まだしてないな (ミナワ>あ、そういえば。 今からしてきますね (裂邪>待て、俺も試着室に入る (ミナワ>へ!?/// (裂邪>もうお前を1人にはできん!! これからはずっっっっっっっっと俺と一緒にいてもらうぞ!! (ミナワ>えぇぇぇぇぇぇ!?・・・・・・・・・・・・・・・はい♪ ...END
遅れて申し訳ない、支援ありがとうございました! さぁて色々反省点が多すぎるぞ今日はorz ビックリマークを多用しすぎて稚拙になってしまったり タイトルにもなった新必殺技の描写がしょぼかったり そしてこの話を別な視点からもう1話書かねばならんとか PSPじゃ書ききれんorz 途中からミナワが空気になっちゃったけど、 赤い幼星の方で活躍するはずなので呆れながら待っててくださいorz
240 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/09(土) 02:03:40.16 ID:82uGan/A0
乙、ほ
241 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/09(土) 03:23:45.13 ID:82uGan/A0
ほ
乙ほ
ほ
投下乙です 1レス目で裂邪もげろネタかと思ってごめんなさい
模試行ってきますー
>>244 ふふふ、狙い通り(キリッ
246 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/09(土) 09:05:41.24 ID:wbA1dUd4O
おはようほ
にょん
248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/09(土) 10:20:23.97 ID:21hH8suY0
おっはよ、シャドーマンの人超乙だぜ〜!!
249 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/09(土) 10:28:09.13 ID:21hH8suY0
鼻面に感じた強烈な衝撃に、B-No.003は一瞬、意識が飛ぶ。 気がつけば錐揉み状に落下をしている我が身。 慌てたように、翼を動かし、何とか落下を食い止めようとするが、ふと何かに気が付いたように辺り見渡した。 数秒後、僅か数メートル先、そこにB-No.003を攻撃した少女の姿を見つける。 「アワワワ……しまったデス! 悪魔を倒した後のことを全然考えてませんでした!?」 あたふたと、空中で手足をばたつかせる少女。 このままでは、幾許かの少ない猶予の後に地面に叩きつけられ、直下に存在する一般人をも巻き込み、潰れたトマトのようになるのが目に見えている。 本来ならば、敵対する相手を助ける事はしないのだが……しかし、とB-No.003は考える。 (主は、あまり表沙汰になるような事は極力控えるようにと言っていた、野良都市伝説程度なら良い、だが「組織」及びその他の機関に所属する契約者や都市伝説には関わるなと、ではこの童女はどうか……、 吾輩にダメージを与える程だ、この巨大な十字架は何らかの都市伝説なのだろう、だとすれば契約者なのは間違いない、仮に何らかの組織に所属していたとして、このまま見殺しにした際の吾輩の情報が漏れる確率は? 分からない、だがもしもこの童女が攻撃前に仲間に報告をしていたら……その者達の我々へ対しての心象は最悪になるだろう) しかたがない―― 溜息を吐くと同時に、未だ喚き声を上げ落下する少女の身体の下に潜り込む。 緩やかに翼を羽ばたき、落下による相対速度を調節しつつ少女の身体に負担がかからないように自らの背に受け止めた。 「あぁ、神様ごめんなさい、私は主命を全うしないままに、あなたの御下へと逝くことになりそうデス」 ハラハラと涙を流す少女、何時まで経っても、自分が助かった事に気がつかない彼女に、業を煮やしたB-No.003は竜言語による精神感応での会話を試みる。 今まで家族とも呼べ、Bナンバーの黒服達にしか使わなかった筈の力、それをたった今出会った、しかも敵対する相手に使うことを憎々しげに思いながらも。 《おい童女よ、まだお前は死んでは居ないぞ、眼を覚ませ馬鹿者》 「む、私は馬鹿者では無いデス! 誰ですかそんな酷いことを言う人は!」 《私だ》
250 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/09(土) 10:32:07.76 ID:21hH8suY0
「???? 誰ですか? 何処に居るデスかー?」 キョロキョロと、眼に見えない相手を探すように周囲を見渡す少女。 《よく見ろ、お前の下だ》 「はへ? ……ホアアーッ!? ド、ドドドドド、ドラゴンデス! 悪魔デス! 何故生きてるですかーーー!?」 《死んでいないからだ》 「なるほどー、確かに死んでいないなら生きているのも道理デス!」 ピカーンと、頭上で電球でも点いたかのような晴れ晴れとした笑顔を向けてくる少女に、B-No.003は口元をヒクつかせる。 《何やら変わった童女のようだな……》 「よく言われるデス」 《……それで、何故、我輩を攻撃してきたのだ? お前の他にも仲間が居るのか?》 「攻撃をした理由はドラゴンは悪魔だからデス! 仲間は居ません、悪魔なんか私一人で十分デス!」 どうやら仲間は居ないらしい、何らかの組織に所属していたとしても、今は単独行動をしているのだろう。 敵対する相手の言葉をそのまま信じるのはどうかと思うが、この相手は嘘を吐いているようには見えない、というよりも嘘を吐けるとは欠片も思えないので、その点は安心できそうである。 《……吾輩は悪魔なのか?》 「そうです、そして悪魔は神の敵デス、だから私の敵でもあるのデス!」
251 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/09(土) 10:35:11.86 ID:21hH8suY0
《そうか、ならば仕方がないな……》 「はい、仕方がありません!」 B-No.003の問いかけに少女は、当然とばかりにその薄い胸を張り返してくる。 そんな少女の姿に、ため息ひとつ、ふたつ、みっつ。 「……そんなに、溜息ばかり付いていると幸せが逃げるデスよ?」 《安心するといい、既に今の吾輩は不幸だ》 その言葉に、そうデスかー世知辛い世の中デスからねー などと、一人納得するように腕を組々頷く少女。 《……で?》 「…………?」 《吾輩は敵なのだろう? もう攻撃はしないのか?》 その言葉に、はっ!?としたように慌てて手元の十字架を振り上げようとする、が―― 《突然立ち上がると、バランスを崩して落ちるぞ……いや、もう落ちたか……》 ぴぎゃーなどと、少女の出す声とは思えぬ叫びを上げながら落下していく少女、それを回収するために翼を羽ばたくと、今日何度目になるか分からぬ溜息をB-No.003は吐くのだった。 「ひ、ひどい目に会いました、落ちるのは怖いです……ガクガクブルブル」
252 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/09(土) 10:38:28.48 ID:21hH8suY0
《自業自得だ》 などと返しながら、半眼でビル群の合間を飛んでいく。 見れば既に日は落ち始め、茜色だった空は薄暗いダークブルーへと変わりつつあった。 「えっとー……因みに、今、もし、ここでドラゴンさんを倒したらどうなりマスか?」 《もちろん、お前も一緒に落ちるぞ?》 「デスよねー」 先程の墜落を思い出したのかカタカタと震え始める少女であった。 「きょ、今日のところは見逃してやるデス! だから、とっとと地面に降ろしてください!」 へっぴり腰の状態で、何故か無駄に威勢のよい台詞と共に頭を下げるのは何なのか……というか、悪魔相手に頭を下げても良いのか? 色々と突っ込みどころが多い相手ではあるが、いちいち気にしていても疲れるだけだと割り切り。 ため息ひとつ緩やかに旋回すると、いつも寝床にしている学校町の郊外にある森林公園へと向かう。 そして数分後、鈍い振動と共に降り立ったB-No.003の背の上から、転がるように降りる少女。 「次は、こうは行かないデスよ! 頭を洗って待っているデス!」 安定感のある地面に降り立ち安心したのか、空の上での微妙に弱々しい態度とは違い。 仁王立ちで、元気よくビシリと指をコチラに向けてくる、が。 《頭ではなく、洗うのは首ではないのか?》 というB-No.003の台詞に、ハワワッと奇妙な鳴き声を上げると
253 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/09(土) 10:41:28.09 ID:21hH8suY0
「く、首を洗って待ってるデス! 絶対絶対次はメッしてやるデスよー!」 という、捨て台詞と共に、街の方角へと向かって走りだすのだった。 と思ったら、すぐに戻ってきて。 「忘れてました! 私の名前はニーナ・サプスフォードといいマス、どうぞ宜しくデス!」 ぺこり、とお辞儀を一つ残し、笑顔で何故か手をこちらに振りながら。 少女、ニーナ・サプスフォードは、猛然とした速度で町へと消えていくのであった。 《何とも……嵐のような童女だったな……》 独りになり、B-No.003は木々の間に寝そべり、嘆息の息を吐く。 ふ、と気がつけば星々の瞬きが夜空に煌き、月明かりが周囲を照らしている。 いつのまに、これだけの時間が経ったのか…ニーナと言った、あの奇妙な少女に時を盗まれでもしたのだろうか。 (ふっ……なにを馬鹿な) 埒のない思考を追い出すように、首を振る、しかし。 『首を洗って待ってるデス!』 先程の少女の言葉を思い出す…… もしや、本当に「次」があるとでも言うのではあるまいな? ……そう考えると、今から辟易とした気分になる、が―― (まぁ仮に次が有ったとして、その時は精々暇つぶしの相手をしてやれば良いか……例え敵対しようとも、あの程度ならどうとでもなるだろう……) 微睡みの中、そんな事を考えながら、B-No.003は意識をゆっくりと手放していった。
254 :
人喰刀と蟲少女と愉快で奇怪な家族達 ◇JkwAtujAz6 (代理) :2010/10/09(土) 10:44:02.87 ID:21hH8suY0
そして煌々と輝く月が見守る下、眠りに堕ちた黒塗りの巨竜は誰の眼からも消え失せて―― まるで、世界から拒絶されるように、ただ「彼」の意識が途切れる瞬間、その姿は、その存在は虚実の海へと還ってゆく―― こうして黒竜と十字架の少女の、奇妙で微妙な初邂逅は、夜の帳と共に幕を閉じたのである。
255 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/09(土) 11:03:00.47 ID:21hH8suY0
ど
256 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/09(土) 11:22:50.35 ID:21hH8suY0
よ
257 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/09(土) 11:45:40.13 ID:21hH8suY0
う
258 :
頭があったかい子 ◆nBXmJajMvU :2010/10/09(土) 12:00:24.95 ID:21hH8suY0
ガッコーチョーに来て、一週間が経とうとしていマス これまでに、目標とは違う悪魔を数体見つけ、抹消してきました この街には、悪魔が多すぎマス このような環境で、ガッコーチョーの人たちは、心穏やかに暮らしていけているのでしょうか? ここは、私が神の使途として、その悪魔達を抹殺していかなければなりません これもまた、神の使途の勤めなのデス そうしていけば、きっと、神のお導きで、目標とする、あの忌々しき淫魔も見つかるでしょう ……それにしても、おなかがすきました 一日、必要最低限の食事はとっているはずだというのに、何故、おなかは悲鳴をあげるのでしょうか? これではいけません 暴食は、大罪デス 食欲に負けてはいけないのデス こらえるようにしなければ ………ぐきゅるるるるるる …とにかく 本日は、あの巨大な黒き悪魔に逃げられてしまいました 再び遭遇した時、今度こそ、あの悪魔をしとめる為にも 本日の分の食事をとる事にしましょう 「…神よ。あなたから与えられたこの尊き恵みに、今日も感謝します」 神へ、祈りをささげて 私は、今日も、食事をいただきマス コンビニ、と言うお店で買った、小さなチョコレートと、よくわかりませんが、「美味しい」と言う意味の日本語が名前でつけられているお菓子デス それを、一個と一本
259 :
頭があったかい子 ◆nBXmJajMvU :2010/10/09(土) 12:06:19.25 ID:21hH8suY0
どちらも様々な種類の味があり、何日食べ続けても飽きません …いえ、そもそも、神からの恵みである食事に飽きると言う自体が罪でした 神よ、どうか、お許しを 私は、まだまだ、修行が足りないようデス ………とりあえず 今日一日の食事は、これが全てデス もっと性格に言うと、残りの食事は水です 日本は、水がタダの国なので、公園でいくらでも水が飲めるのデス それも、イングランドの水よりちょっと美味しくて、飲みやすいデス 水がタダの国なんてありえないと考えていた時期もありましたが、ここ日本は、本当にそのような天国のような国だったようデス 水さえ飲めれば、ある程度空腹を誤魔化す事も可能デス おなかがすいたならば水を飲んで、耐えるのデス これも、神の試練デス もくもくと 学校街郊外の空き地に張ったテントの中で、ニーナはもきゅもきゅ、チロルチョコとうまい棒を食べていく …彼女が本国から持ってきたお金は、必要最低限 しかも、本人の性格的に、募金箱を見ると募金せずにはいられない そんな訳で、彼女本人の食事は、質素を通り越して貧相どころか、体を維持するにも難しいレベルに達していて こんな食事を続けて一週間 どう考えても、餓死ルート一直線なのだが どこまでも頭があったかいニーナは、そんな事実にすら気付かずに、今日もまた、神の試練だと耐え続けるのだった ニーナが餓死しなければ続くかもしれない
260 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/09(土) 12:09:20.12 ID:21hH8suY0
ミっちゃんと別れた後の頭のあったかい子の様子でした …うん、その……あれだ 生き延びられるといいよね!!
261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/09(土) 12:28:29.62 ID:21hH8suY0
にゅ
262 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/09(土) 12:44:49.28 ID:21hH8suY0
夜、俺が帰ってきたときに、スレがまだ残っていますように それだけが、望みです …さぁ、ちょいと打ち合わせという名前の戦場に行ってくるわ
263 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/09(土) 13:49:15.93 ID:HqrJdCa/O
ほし
初めから、にぃに嫌われるような事をしていたわけじゃ無い。自分の気持ちに気づいた時はにぃに好かれるよう努力していた。 でも、にぃが南浦と楽しげに話す姿を見て、分かってしまった。にぃが私の事を一番好きだって言ってくれても、それは兄妹としてでしかないのだと。 にぃは、私の事を兄妹としか見てはくれない。兄妹では結婚できない。兄妹同士の恋人など、誰も祝福してはくれない。 私はにぃの中で一番にはなれない。 祝福されなくたって良い。歓迎されなくたって良い。変な目で見られたって構わない。どんな犠牲をはらっても構わない。にぃの「一番」になりたい。 でも、「一番」好きが無理なら、せめて、にぃの「一番」嫌いな人に。 § § 「こんばんは、にぃ。」 「愛理。何の用だ。」 真野を家に送る為に夜道を歩いていた月見里と真野は、愛理と出合った。 「ふふっ、怒ってるね♪今日はね〜、挨拶にきたの。」 「挨拶?」 「うん♪真野さんっ♪」 「えっ、あ、はい。何ですか?」 予想外に話し掛けられ、真野は驚きながらも返事をする。 愛理はにこやかに、口を開き、言った。 「さよなら♪」
「しゃがんで!」 突然の声に真野は身を屈める。動いてから、それがこっくりさんの声である事に気がつく。 「あ〜あ、避けちゃった。」 ふと、見上げれば、夜の闇に溶け込みそうな、漆黒の腕。立っていれば心臓があったであろう位置に、「悪魔」の腕があった。 「愛理……てめぇ!!」 事態に気がついた月見里が愛理に叫ぶ。そして、何処からか取り出したカッターナイフを「悪魔」の腕に振り下ろす。 しかし、「悪魔」はすでにそこにはおらず。愛理の横に立っていた。 「スマナい、失敗シた。」 「いいよ。何度でもヤれば良いんだし。」 楽しげに唄うような喋る。その眼はジッと月見里を見つめたまま動かない。 「愛理は俺が止める。真野は逃げろ。こっくりさんの能力なら今みたいに攻撃を避け続ける事ぐらいできる。 メリー、作戦C」 月見里の指示を聞き、真野とメリーさんが走りだす。月見里はカッターを愛理に向け、睨む。 「お前は、また、殺すのか。」 「だって真野さん、にぃと仲良さそうなんだもん。殺したら、にぃ怒るよね?うふふっ、楽しみだなぁ♪」 「このキチ○イめ……」 「うふっ、怒ってる怒ってる。もっと、怒って憎んで、殺してね。にぃ。」 愛理が口を閉じた瞬間、「悪魔」が真野の逃げた方へと跳ぶ。
「行かせるか!」 動きだした「悪魔」に月見里はカッターの刃を向け、体当たりした。 「悪魔」は衝撃でよろめき、動きを止めた。しかし、カッターの刃は刺さっておらず、ダメージはほとんど無いようだった。 「オ前ヲ傷ツケル事は、シタクナイn」 「『わたしメリーさん、今「夜中に口笛を吹くと悪魔がやって来る」の上にいるの』!」 「……ん?」 「悪魔」が上を見ると、そこは黒。夜の闇ではない、何か、黒い、塊。それが自分の上に落ちてきた事に気がつく。そして、 「マジかよ……」 右手を上げた「悪魔」。その先には大きくへこんだ。黒塗りのワゴン車。 「悪魔」は落下してきた車を片手で受け止めていた。 「仕方ナい。足ヲ一本折ラセテモラオう。良イな、愛理。」 「ん〜?良いよ♪にぃ怒りそうだし。」 「デは」 あっという間に「悪魔」は月見里との距離を詰める。慌てて振ったカッターを掴む。気がつけば月見里の頭は地面にぶつかっていた。 そして、先程片手で持っていた車が、投げ捨てられた車がようやく地面に落ちる。 「月見里さん!?」 慌ててメリーさんが叫ぶ。 「く……」 月見里が痛みに呻く。 「悪魔」の腕が月見里の脚へと伸び、 そして 誰かが口笛を吹いた。
「む……」 「悪魔」が月見里を離れ、口笛のする方へふらふらと移動する。 その口笛の主は 「大丈夫ですか?先輩。」 真野だった。 そして、別の場所から口笛の音が鳴ると、真野へと向かっていた「悪魔」が、そちらへ向かって移動を始めた。その音の主は、こっくりさん。 「あれ〜、真野さん逃げたんじゃないんですか?」 不思議そうに愛理が尋ねる。 「先輩を置いて逃げたりしません。こっくりさんで弱点を調べていただけです。」 「そっかぁ、弱点、見つかったのかぁ。」 愛理の契約都市伝説は「夜中に口笛を吹くと悪魔が来る」である。故に、彼女の「悪魔」は口笛を吹かれると、そちらへ向かわなければならない。 真野が口笛を吹く。こっくりさんが口笛を吹く。真野が口笛を吹く。二人の間を「悪魔」はふらふらと行き来する。 「逃げろって言っただろうに。」 「あ、にぃ♪」 いつの間にか、愛理の近くに移動していた月見里が口を開く。 「愛理、もう止めろ。」 意味は無いと知りながらカッターを愛理の首筋に近づけた。
「にぃは真野さんの事、好き?」 「好きだ。」 「世界で一番?」 「そうだな。」 首筋の刃を全く気にせず、愛理は月見里に尋ねる。 「じゃあ、一番嫌いな人は?」 「今はお前だ。」 「そっか……っ危ない!!」 「なっ!?」 血が、溢れ出す。首に大きく食い込んだ、鋭い牙。巨大な犬のような生物の口。月見里を狙ったそれは今、愛理の首に噛み付いていた。 「愛理!」 そして、紫色のアクセサリーをつけた、狼男の胸に「悪魔」の腕が突き刺さる。 力なく倒れる狼男。そして、血を流し続ける愛理。 「愛理、お前……」 「あはは……にぃ、感謝したら、嫌だよ?せっかく、今にぃの中で『一番』なんだか、ら。 ハァ、目の前で、人が死ぬ姿なんか、忘れられないよね?ふふっ、これから、ずうっと、にぃの、心の中で一緒に……ゲホガハッ ふ、ふっ、にぃ、ゼェハァ……だぁい好き♪ガ、ゲホッゲホッ…………ハァハァ」 話しながら、咳込み、血を吐く。見えているのかも分からない目を瞼が塞ぐ。喉から洩れるヒュウヒュウという空気の音が、だんだん小さくなる。 実の妹が、今まで嫌っていた相手が、好きだった人の仇が、好きな人を殺そうとした奴が、自分を一人の男として好いていた女が、 自分を庇い死んで逝く。 そんな相手にかける言葉が、月見里には見つからなかった。
「死ンダノか、愛理。」 心臓を貫かれ、既に死んでいる狼男を、さらに八つ裂きにしていた「悪魔」が、愛理を覗き込む。 契約者が死んだからだろうか、その身体は足元から徐々に光となり消えてゆく。 無表情なその顔からは、何を考えているのかは読み取れない。 「……悪魔、お前に一度聞きたかった。」 「何だ?」 「どうして、お前は愛理の言う事を聞いていた?アイツの精神状態は普通じゃなかった。 そんなアイツと何故契約して、何故命令を聞いた? 何故、俺の妹を、殺人犯にした……」 「………………カワイソウダッタカら。」 その言葉の意味は、誰にも分からぬまま「悪魔」は、消えた。 「月見里さん!?」「先輩……」 メリーさんが飛んで、こっくりさんをおんぶした真野が歩いてくる。 月見里は三人の方に向き歩きだす。 そして、 「コンバンハ、ヤマナシクン」 狼男のアクセサリーから、いや、月見里を取り囲む様に、あちらこちら不愉快な声が響いた。 終
月見里の話 愛理死亡のお知らせ 次回、ラスボス・紫鏡戦 唐突に出現した狼男は、前にも出てきた事がある奴 覚えてる人がいるか知らんけど 頭があったかい、だと頭の中がアレな感じだけど 頭が寒いだと、頭頂部の見た目がアレな感じだな、とかどうでもいい事を思った キリストだってパン食うのに、その食事(?)はあまりにも……