（　＾ω＾）ブーンの荷物のようです

ちいさいブーンがかかえる、山ほどの荷物。

だけれど、ちっとも、重くない。
ふわふわ、もふもふ、荷物はまるで、マシュマロのよう。

『アップルパイが食べたいお』　『早く大きくなりたいお』
『褒められたいお』　『飛行機になりたいお』
『もっと遊びたいお』　『夜更かししてみたいお』

『ξﾟ�听)ξに会いたいお』

山ほどの荷物をかかえて、今日もブーンは走りまわります。


（　＾ω＾）

('A`)


（　＾ω＾）…

('A`)　…


（　＾ω＾）だれだお？

('A`)ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ
　

　







　　　　　（　＾ω＾）
　　　　　 (っ'´´ ﾞ;ｃ　　('A`)
　　　　 　 し｀ ''Ｊ　　　 u_u_)~


（　＾ω＾）ブーンの荷物のようです





　

('A`)ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

（　＾ω＾）？


ξﾟ�听)ξブーン！あそぼー

（　＾ω＾）あそぶおー！

ξﾟ�听)ξじゃあクトゥルフ神話ごっこねー

（；＾ω＾）く、くとぅ……？


そんな感じで、小さいブーンは、平和な毎日をすごします。

荷物は、どんどん、増えていきます。

大事に、大事に、かかえて、せおった、荷物。

だけれど、いつまでも、そのままじゃいられない、荷物もあります。


（　＾ω＾）もしかして……

（　＾ω＾）ぶーんは、どんなにがんばっても、飛行機になれないんじゃ……

その荷物を見つめて、ブーンはとほうにくれてしまいました。

('A`)ﾁｮｲﾁｮｲ

(　´ω`)なんだお

('A`)ｼﾞｰ

(　´ω`)この荷物かお？

('A`)ﾓｸﾞﾓｸﾞ

（　ﾟωﾟ）そ　ブーンの荷物食べたおー！

('A`)ｹﾞﾌｯ

(　´ω`)ブーンの荷物……

(　´ω`)だけど、ちょっぴり、助かったお

(　´ω`)だって、ブーンは、がんばっても、飛行機になれないんだお

(　´ω`)あんな荷物、持ってても、仕方なかったんだお……

('A`)

それからたまに、持っていると、ちょっとさみしくなってしまうような荷物は、
荷物を食べる、ふしぎないきものに、食べさしてしまうようになりました。

頑張れ〜

『大きいおもちゃが欲しいお』
『おうちの屋根にのってみたいお』
『羽をはやして、お空に飛んでいきたいお』

荷物を、食べさしてしまったあとは、かなしいような、ほっとしたような、
ふしぎなもやもやが、ブーンのむねのなかに、生まれるのでした。


ある日、ちいさいブーンに、大変なできごとがおきました。
いちばんだいすきなお友だちであったツンちゃんが、遠くへ行ってしまうというのです。


(　´ω`)もう、あえないのかお？

ξﾟ�听)ξわかんない。今から行くところ、すっごく遠いんだって。
　　　　　ふねで何日もかかるって

(　´ω`)おーん……

ξﾟ�听)ξでも、ブーンは飛行機がすきでしょう？

(　´ω`)すきだお

ξﾟ�听)ξじゃあ、おっきくなったら、飛行機にのって会いにきて。
　　　　　飛行機は、ふねよりとってもはやいから、
　　　　　きっと、すぐについちゃうよ

（　＾ω＾）おー……

ID安定してないね
支援しとこう

ξﾟ�听)ξやくそく、ね？

（　＾ω＾）わかったおー！やくそくだおー！

そうしてつんちゃんは、ふねで何日もかかるような遠くへと、行ってしまいました。
ブーンは、やくそくをきれいにつつんで、あたらしい荷物にして、いとおしそうに胸にかかえこみます。


（　＾ω＾）はやくおっきくなるおー！

何日も。

（　＾ω＾）つんー！まってるおー！

何日も。

（　＾ω＾）……

何日も。

（　；ω；）なかなかおっきくなれないおー……

ブーンはだんだん、きれいにつつんだその荷物を持っているのが、かなしくなってきました。

だって、つんちゃんに、会いたいのに、会えないんです。

（　；ω；）これあげるおー

('A`)ﾌﾟｲｯ

（　；ω；）なんでだおー

('A`)ﾌﾙﾌﾙ

（　；ω；）おーん！

どうしてだか、ほかのどんな荷物も、もぐもぐと食べてくれたそのふしぎな生き物は、
そのやくそくの荷物を、食べてはくれませんでした。

＊

いつしか、ちょっとだけ大きくなったブーンは、学校へ、かよいはじめました。
たくさんできたお友だちと、荷物をみせあいっこもします。


（　＾ω＾）『ブーンは飛行機のそうじゅうしになるんだおー』

(´･ω･`)　『いつかりっぱな兵隊さんになるんだ』

（　´∀｀）　『あおいバナナをおなかいっぱい食べたい』

(´･ω･`)　きいろいバナナじゃだめなの？

（　´∀｀）だめなの

（　＾ω＾）いちごでも？

（　´∀｀）だめなの

たくさん、たくさん、お友だちと、笑いあいます。
荷物は、また、どんどん、どんどん、増えていきます。

『かけっこで、一等賞になりたい』

それは、ふわふわ、もふもふした、マシュマロみたいに、かわいい荷物じゃなくて、
さわると、ちょっとごつごつしてて、そうして、ずっしりとした、荷物でした。

('A`)ﾁｮｰﾀﾞｲ

（　＾ω＾）だめだお！

('A`)ｼｮﾎﾞﾝ

（　＾ω＾）ブーン、はしるお！

ブーンは、かけ出しました。
ほうかごや、朝はやく、教会へ行く日だって、
かけっこで、一等賞になるために、いっしょうけんめい走りました。

荷物のために、こんなにたくさんがんばったのは、初めてのことでした。



それから、ちょっとずつ、ブーンが成長して、こどもから少年と呼ばれるようになると、
荷物は、ひとつひとつが、おもく、かたくなって、たくさんもつのが、ちょっとだけしんどくなってきました。

それに、大人の人は、ブーンたちに、どんどん荷物をもたせます。
「せんそう」というものが、はじまったからだと言います。

(,,ﾟДﾟ)愛する祖国のために、われわれは、つよく、かしこくならねばなりません。
　　　　立派な兵隊さんになりましょう。

『あいするそこくのために、つよくかしこくなりたい』

（　＾ω＾）？？

周りを見ると、お友達は、みんなこの荷物を、まじめな顔をして、かかえています。
ブーンは本当は、「あいするそこく」がどんなものか、よくわからないし、
兵隊さんになりたい、なんて荷物を、持とうとおもったこともありません。

しょうじきになると、飛行機のほうが、ずっと好きでしたが、
この荷物をもっていないと、なかまはずれになってしまう気がしました。

それで、仕方なく、ブーンもまじめな顔をして、
その荷物に手を伸ばしました。

おもしろいなｗｗｗｗｗ
だけどこっちのスレもおもしろいぞｗｗ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1282971664/l50

（　＾ω＾）「お」

(´･ω･`)「うん」

（　´∀｀）「モナ」

そうして、お友だち同士と、同じ大きさの、同じ荷物を持っている事を確かめあうと、
誇らしいような、くすぐったいような、ちょっと大人になったような、
そんな、おかしな気持ちになるのでした。

それと、その荷物を見せると、大人の人にとってもたくさん褒められました。
それでなんだか、自分がたいそうな人間になった気がして、仕方なく手に取ったはずの荷物を、ぎゅうと強く抱え込みました。
そうすると、まるで元々ブーンが好きで抱えた荷物であるような気すらしてきます。

ひどく、心地よい、重みになりました。


さぁ、ブーンは、どんどん大人に近づいていきます。
可愛かった、まるまるとした体は、すんなりとたくましく伸びて、しっかりと地面をふみしめて、走ります。
細くて青空によくひびいた小鳥みたいな声も、お父さんによくにた、低くておちつきのある、すてきなテナーになりました。

（　＾ω＾）立派な飛行機乗りになって、祖国の役に立つんだお

ブーンの一番大きな荷物は、もはや、ブーンの一部になって、ブーンの心臓と一緒に、どくんどくんと波打っています。
何しろ大きな荷物なので、ほかの荷物がじゃまになることも、よくありました。

『もっと遊びたい』『もっと美味しいものを食べたい』『もっと映画を見たい』
『もっと本を読みたい』『もっと楽しいことをしたい！！！』


('A`)……

（　＾ω＾）食べちゃっていいお

('A`)ﾑｼｬﾑｼｬ

（　＾ω＾）……りっぱな飛行機乗りになるんだお

ブーンがまだ可愛い小さなブーンだったころ、
きれいにつつんで、大事にしていたあのやくそくの荷物のことも、
すっかり忘れてしまったようでした。

＊

ブーンは、そうやって、頑張って頑張って、ついに、飛行機乗りになるための学校に、入ることになりました。
大変なテストを何度も何度もうけて、たくさんの少年の中から、ほんのすこしの少年だけが、
やっと入るのを許されるような学校でしたので、ブーンは大変なよろこびようでした。

せんせいがたも、よくがんばった、よくやったと、そろってブーンを褒めて下さいました。

学校は、ブーンのおうちから、ふねで何日もかかるような遠くにありましたので、
家族ともしばらくお別れをしなくてはなりません。


（　＾ω＾）いってきますお。必ず、りっぱな飛行機乗りになって、帰ってきますお


お父さんは、しっかりやってこい、と言って、ブーンの肩を二回、たたきました。
お母さんは、心配そうな顔で、からだに気をつけてね、と言いました。

そうやって、ブーンは、ひとりぼっちで、ふねにのって、遠くの学校を目指しました。
ゆらり、ゆらり、ふねは、昼の海と、夜の海を、しずかにすすんでいきます。
ふねのうえで、ブーンは、お母さんとお父さんのこと。いっしょに笑いあったお友だちのこと。たくさんのことを考えます。

『お母さんの、アップルパイが、食べたい』
『むじゃきだった、小さいころに戻って、お友だちと笑いあいたい』

（　＾ω＾）

('A`)ｼﾞｰ

（　＾ω＾）ブーンには、必要のない荷物だお

('A`)


('A`)ﾑｼｬﾑｼｬ

ひらがな多いな

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期待

学校へ入ると、ブーンの毎日は、とってもいそがしくなりました。
たくさんの勉強と、たくさんの飛行機乗りの訓練、それから、そうじやせんたくも、自分でしなくてはなりません。

お友だちもできました。
だけど、お友だちも、ブーンも、同じ大きな荷物をかかえるのにせいいっぱいで、
昔みたいに、こころのそこから声をあげて笑ったり、どうでもいいことをほんきで楽しんだりは、できませんでした。

ブーンはときおりに、おうちに帰りたくなったり、あるいはうまれそだったまちがなつかしくなって、
ベッドから、ちいさい四角いまどをみあげて、ほんのちょっぴり泣いたりするのです。

『ふるさとが、こいしい』

（　＾ω＾）この荷物は、必要ないお

('A`)ﾑｼｬﾑｼｬ

（　＾ω＾）あしたも、がんばるんだお！

でもそのたび、ふしぎないきものは、ブーンの荷物を、だまってむしゃむしゃとほおばるのでした。

ある日のことです。
ブーンは、学校がお休みの日、必要なものを買いに、まちにおりてきていました。

（　＾ω＾）　あとは、鉛筆と、石鹸と……。
　　　　　　　おやつのリンゴも買うお！
　　　　　　　Heyおっちゃん！リンゴを４つばかり！

ξﾟ�听)ξ　おじさーん！リンゴくださーい！

（　＾ω＾）　お？

ξﾟ�听)ξ　あら？

（　＾ω＾）お先にどーぞですお

ξﾟ�听)ξ　ありがとう

（　＾ω＾）いえいえ

ξﾟ�听)ξ　おじさーん、ここにあるリンゴ全部下さーい！

（；＾ω＾）ぜんぶ！？

ξﾟ�听)ξ　え？

(　´ω`)　おーん……。ブーンのリンゴ……

ξﾟ�听)ξ そういえば、私が全部買っちゃったら、君、リンゴ買えないね

(　´ω`)　４つだけ、残して欲しいお……

ξﾟ�听)ξ　仕方ない…か……

（　＾ω＾）お、いいのかお！

ξﾟ�听)ξ　はい、おわびにこれあげるから、あきらめてね

（　＾ω＾）なんですお、これ。

ξﾟ�听)ξ　キャラメル

（　＾ω＾）　キャラメル……

ξﾟ�听)ξ　おいしいよ

（　）＾ω＾）ﾓｸﾞﾓｸﾞ　おいしいお

ξﾟ�听)ξ　よかった　じゃあね

（　＾ω＾）ありがとうだお！

ξﾟ�听)ξ　いえいえ

ブーンは、しかたないなあと思って、ほかの買いものに行こうとしました。

なんだか素敵な予感がする

しかし、ふとふり返ると、さっきの女の子が、
まっかなリンゴがぎっしりつまったおおきなふくろを、
いっしょうけんめいに、はこぼうとしているのですが、
なにせ、りょうほうのうでを使っても、かかえきれないようなおおきなふくろです。
たいへんに、苦労しているようでした。

ほうっておけなくて、思わず声をかけました。

（；＾ω＾）てつだいますお

ξﾟ�听)ξ　えっいいの！？

女の子が、うれしそうに、ブーンをみつめます。

（　＾ω＾）　女の子ひとりじゃ、むりですお

ξ*ﾟーﾟ）ξ　ありがとう

そんなわけで、ぶーんは、リンゴを、女の子のおうちまで、はこんであげました。
リンゴはとっても重かったけれど、ブーンはまいにち、たくさん訓練をしていたので、へいちゃらです。

ξﾟ�听)ξ　わざわざありがとう。わたしのなまえはつん。あなたのなまえは？

（　＾ω＾）ぼくのなまえはブーンですおー


ξﾟ�听)ξ　えっ

（　＾ω＾）えっ

女の子も、ブーンも、めをまん丸にしました。

ξﾟ�听)ξ　わたしね。昔、とっても昔よ。ブーンてなまえのお友だちがいたの

（　＾ω＾）ぼくも、ちいさいころ、つんちゃんっていう、なかよしの女の子がいましたお

ふたりは、じっと、おたがいを見つめあいました。

ξﾟ�听)ξ　もしかして、ブーン…？

（　＾ω＾）　つん…？

それから、花がひらくように、ふたりでぱっと笑いあいました。

ξ*ﾟーﾟ)ξ　ぜんぜん気がつかなかった。おおきくなったね。こんなに、たくましくなって

（；＾ω＾）つんも……なんていうか、よくみると、かみのけのくるくるぐあいとか、つんだお…

ブーンは、ほんとうは、かわいくなったつんに、おどろいていたのですが、
ついつい、はずかしくなってしまって、言えませんでした。

ξ*ﾟーﾟ)ξ　なにそれ

その日、ふたりは、ブーンが学校のりょうに帰るじかんになるまで、
昔いっしょにあそんだこと、それから、遠くはなれてたじかんのこと、
そうして、いま、まいにちをどんな風にすごしているか、とにかく、いっしょうけんめいに、お話しました。

かえりぎわのことです。

(　´ω`)　ところで、ブーンはつんに、あやまらなきゃいけないことがあるんだお

ξﾟーﾟ)ξ　あやまらなきゃいけないこと？


ブーンは、たくさんの荷物のいちばん奥で、ひっそりとねむっていた、あの日のやくそくの荷物をとりだしました。
このよでいちばん大好きで、このよでいちばん壊れやすいものをあつかうような、こわごわとした手つきで。

つんは、なつかしそうに、目を細めます。
このやくそくを荷物にしてから、何しろずいぶん長いこと、じかんがたっていますから、あたりまえです。


(　´ω`)　飛行機じゃなく、ふねで、きたんだお……


しょんぼりと、ブーンが言いました。
つんは、しょんぼりとしたブーンをみて、なんだかおかしくなって、くすくす笑いました。

ξ*ﾟーﾟ)ξ　いいの。そんなこと。だって、いまここで、会えたんだもの

（　＾ω＾）　お……

ξ*ﾟーﾟ)ξ　ねえ、ほんとうに、あえてよかった。ブーン

あまりに、つんがまっすぐにブーンを見るものですから、
ブーンはなんだか、いごこちのわるいような、うれしいような、へんなきもちになって、
顔をまっかにさせながら、ただ、くびをたてにふることしかできませんでした。

そうして、また、つんに会いにくることをやくそくして、ブーンは学校にもどりました。


あたらしいそのやくそくを、ブーンは昔のように、きれいにつつんで、荷物にして胸にかかえこみました
その荷物は、ほかのどんな荷物よりも、ブーンを、うれしいきもちにさせるのです。



次の日からまた、ぶーんはいっしょうけんめい、飛行機乗りになるための勉強や訓練を、がんばりました。



(´・_ゝ・｀)　ブーン、このごろ、えらいはりきってるじゃないか

ブーンが、しょくどうでシチューを食べていると、
となりに座っていた、お友だちが、いいました。

しょくどうは、高いてんじょうの下に、長いテーブルと、長いいすが、ならんでいて、
飛行機乗りのたまごたちが、いつもいちどに食事をするので、たいへんなにぎわいようです。

（　＾ω＾）　お、そうかお？

ごろりとおおきいジャガイモを口にはこびながら、ブーンはこたえます。

(´・_ゝ・｀)　なにか、いいことでもあった？

（　*＾ω＾）　おー。じつは……

ブーンは、うまれたまちの、古い友だちと、たまたま出会ったこと、
そうして、また会うやくそくをしたことを、お友だちにおしえました。

(´・_ゝ・｀)　お友だちって、もしかしたら女の子？

（　＾ω＾）　そうだお。とってもかわいいんだお！

(´・_ゝ・｀)　じゃあ、それは恋だな！

（　＾ω＾）　えっ

恋。その言葉に、ブーンはとってもびっくりしてしまいました。
ブーンは今まで、それを、自分にはかんけいのない言葉だと思っていたからです。

（；＾ω＾）ち、ちがうお！そんなんじゃないお！

思わず大きな声が出てしまいます。

その声に、まわりの他のお友だちもおどろいて、ブーンのほうに顔をむけました。

　



なになに？ブーンが恋をしたんだってさ！えっほんとう？あいては？どんなこ？とってもかわいいんだって！ぶーんやるなあ！
ねえねえもうキスはした？うるさいなあしずかにたべろよ。おまえはだまってろって！それでそれで？
いいなあ。おれなんて、学校に入ってから女の子とはなしたことなんていちどもないのに！いちども！
かみのいろはなにいろ？女の子って、なんであんなにきらきらしてるんだろう。まるで、クリスマスのケーキみたい！




馬鹿。恋なんてしてちゃ、立派な飛行機乗りになれないよ。




きょうみしんしんに、ブーンから話を聞きだそうとしていたみんなが、誰かの言ったその言葉で、しんと静まり返りました。
それから、ばつがわるそうに、スプーンをシチューのなかにつっこんで、ぐるぐるとかき回します。

（；＾ω＾）………。

透明なみずうみになげこんだ石みたいに、ブーンのこころにも、その言葉はしずんでいきました。

だけれど、つんとのあたらしいやくそくの荷物は、
ブーンのたくさんの荷物の中で、変わらずにきらきらとしているのでした。

てっぺんに改行置く人には好感を抱く

支援っ

＊

ξ*ﾟーﾟ)ξ　ブーン！

（　＾ω＾）つん！

次の休みの日、ブーンとつんは、まちでいちばんおおきい教会のまえで待ち合わせました。
十字のかげが、ふたりのなかにすっぽりとおちて、ふしぎなもようを作りだしています。

ふたりは買いものをしたり、まちをみおろす丘の上まで歩いていったり、楽しいじかんをすごしました。
だけれどブーンは、こころにしずんだあの言葉をおもいだすと、わるいことをしているような気がしてくるのです。

（；＾ω＾）　お……

ξﾟ�听)ξ　どうしたの？

（；＾ω＾）なんでもないお

ξﾟ�听)ξ　ブーン？

（；＾ω＾）なんだお？

つんは、ちょっとせのびをして、ブーンの頭をおもいきり、はたきました。

（；＾ω＾）　あたっ

ξﾟ�听)ξ　うそつき。昔から、うそ、下手なんだから

(　´ω`)　おー

なんかくすぐったい

文章が読みやすくていい

ブーンは、どうすればいいかわからなくなってしまって、口をひらいたりとじたりするばかりです。
つんは、ブーンが何か言いだすのを、じっとまっています。

（；＾ω＾）　……ブーンは、つんに、恋、してるのかお？

ξﾟ�听)ξ　は？

（　＾ω＾）　えっ

ふたりとも、ほっぺが、ゆうぐれいろにそまりました。
よるをはこぶつめたいかぜが、丘の上にふきぬけると、つんのくるくるがみが、空へと流れていきます。

ξﾟ�听)ξ　………。

（；＾ω＾）　ち、ちがうんだお。友だちが、恋をしてちゃ飛行機乗りになれないって、だから……

ξﾟ�听)ξ　だから、何？

（；＾ω＾）　だから……

ξﾟ�听)ξ　………。

(　´ω`)　おーん……

ξﾟ�听)ξ　ブーン

(　´ω`)　ごめん、だおー……

ξﾟ�听)ξ　好き

(　´ω`)　ブーンも好きだおー……

（　ﾟωﾟ)　ふおっ！？


ξ*ﾟーﾟ)ξ　


あたりは、うみのそこみたいに、しんとしずまりかえっています。
ブーンは、つんが言った、たったひとことに、じぶんがたくさんの荷物をかかえていることすら、忘れてしまいそうでした。

そうして思いました。


（ *＾ω＾）


ξ*ﾟーﾟ)ξ

もし、これが恋なら、なんてふしぎで、そうして素敵なんだろう。と。

＊

それから、つんとブーンは、たびたび会って、同じじかんをすごしました。
つんといっしょだと、なにもかもが、素敵なものになって、ぶーんのせかいを、なないろにてらしだします。
　
それに、まいにちの勉強も、訓練も、まえよりも、ずっとがんばれる気がしました。

りっぱな飛行機乗りになれば、なにがあってもつんを守れると思ったからです。


いっぽう、戦争は、だんだんとはげしくなっていきます。
ブーンたちは、まいにち、戦場からとどく、「空のえいゆう」の話をきいては、かたりあいます。
じぶんたちの、みらいの、戦場でのかつやくを思いえがいては、訓練にはげむのです。


はやく戦争にいきたい！戦争にいって、えいゆうになるんだ！
ああ、はやく祖国のために、りっぱな飛行機乗りになりたい！


（；＾ω＾）あれ？



『りっぱな飛行機乗りになって、つんを守りたい』

ブーンは、お友だちに見えないように、そっとこの荷物を他の荷物の中にかくしました。

　
とうとう、本当の飛行機に乗って訓練する日がやってきました。
ブーンは、何日も前から、この日をわくわくしてまっていました。
ぴかぴかの飛行機を前にして、目をきらきらさせます。

（　･∀･）よおーし！のりかたはわかるな！できるだけすばやくのりこめ！

教官のかけごえをきいて、ブーンははりきって飛行機にのりこみました。

（　･∀･）おや

あとから飛行機にのりこんできた教官が、ブーンを見て言いました。

（　･∀･）君、そんなんじゃ飛べないよ

（；＾ω＾）えっなんでですかお

（　･∀･）なにしろ、荷物がおおすぎる

（；＾ω＾）？

（　･∀･）これを、持っていかなきゃならんのだから




『ころしたい』


（；＾ω＾）

　
飛行機の中は、とってもせまくて、荷物なんていくらものらないし、
飛行機には、あいての飛行機をうちころすための銃がついていました。

（；＾ω＾）………。

飛行機にのるまえの、わくわくした気持ちは、いつのまにかどこかにいってしまいました。

ブーンは、「りっぱな飛行機乗り」が、どういったものなのか、はじめてわかったような気がしました。


（　･∀･）まあ、今日は訓練だし、とりあえず飛ぼうか


ブーンは、操縦桿をぐっとにぎりしめました。
なんども頭の中でれんしゅうしたように、りりくのじゅんびをします。

ブーンは、まいにち、たくさんの勉強をして、たくさんの訓練をしたのです。
りっぱな飛行機乗りに、ならなくてはなりません。


ほそうされたじめんの上をかけぬけて、ブーンは操縦桿をぐっと力いっぱいひきよせました。
飛行機は、じめんからはなれて、空をめざします。


（　･∀･）そうそう。上手い上手い


はじめての空は、どこまでも遠く青く、みあげるよりも、ずっとずっときれいでした。

＊

('A`)

（　＾ω＾）　たのむお

『つんと話したい』『つんと笑いあいたい』『つんのことをお友だちにじまんしたい』

('A`)ﾑｼｬﾑｼｬ

『つんの声をききたい』

('A`)ﾑｼｬﾑｼｬ

『つんと手をつなぎたい』

('A`)ﾑｼｬﾑｼｬ

『つんに会いたい』

('A`)ﾑｼｬﾑｼｬ



（　＾ω＾）うん。大丈夫。大丈夫。

もっと頑張れ〜

　





（　 ω ）これだけ、あれば、いいお。





『つんを、守りたい』





　




　

悲しい。しえん

おもしろい

それから、ブーンは、つんに会いに、まちにおりていくのをやめにしました。
勉強も、訓練も、ますますたいへんになりましたし、
祖国のために、しなくてはならないことが、たくさんありました。

戦争も、おわりません。
なので、飛行機乗りは、もっともっと必要です。

それから、ブーンは、つんに会いに、まちにおりていくのをやめにしました。
勉強も、訓練も、ますますたいへんになりましたし、
祖国のために、しなくてはならないことが、たくさんありました。

戦争も、おわりません。
なので、飛行機乗りは、もっともっと必要です。


そつぎょうまで、あとすこしとなった、ある日。
ブーンたちは、大講堂にあつめられて、言われました。

（　´_ゝ`）さっこんの戦況は、おのおのりかいするところにあると思う。
　　　　　そこで、戦力不足をだかいすべく、きみらをくうぐんぶたいとして、ただちにかくちにはいぞくすることとなった。

（´<_｀　）そつぎょうまでまだじゃっかんのきかんがのこっているはずだったのは、じゅうじゅうしょうちのうえだ。
　　　　　しかし、われわれは、きみたちがりっぱな飛行機乗りとして、
　　　　　じゅうぶんにやっていけるようみちびいてきたと、かくしんをもって言える。
　　　　　じゅんじ、指令をだしていくので、こころして、ききたまえ。

みんな、ちょくりつふどうで、敬礼をしたまま、それを聞いていました。


（　＾ω＾）ゝ


『戦争にいくまえに、もういちどつんに会いたい』








('A`)ﾑｼｬﾑｼｬ

なんか悲しい…

おおう・・

＊

ブーンは、祖国からずーっとはなれた、みなみのしまに行くことになりました。

あれだけまいにち、「空のえいゆう」のじょうほうが、祖国にはもたらされていたのに、
じっさいの戦場では、りくでも、空でも、苦しい戦いが、つづいているようでした。



『祖国のために』『戦争に勝ちたい』『空のえいゆうに』『ころしたい』


『ころさねば』



（　＾ω＾）ゝ　いってまいります！


ブーンは、たいへんにゆうしゅうな飛行機乗りでした。
いつも、いちばん多くの飛行機をおとして、きちにかえってきました。

なかまたちはみんな、ブーンを、りっぱな飛行機乗りだと、ほめたたえました。

（　 ω ）　………。


だけれど、ブーンは、ちっともうれしそうではありません。
戦場でやせ、ぎらついた目で、空をじっとみすえることが、おおくなりました。

ドクオナニ食ってるんだ？

　
('A`)　………

（　 ω ）どっか行くお。お前に食わせられるような荷物は、もうないお

('A`)　………

しかし、ブーンがいくらがんばったところで、戦況は、きびしくなるばかりです。
ついに、空の中で、ブーンはたった一人、たくさんの敵国の飛行機にかこまれました。


（　 ω ）……っ！


ブーンの飛行機にむかって、たくさんの弾丸がうちこまれます。
ブーンは、右や左、上や下、北や南、東や西に、にげまわります。

もう、ブーンの飛行機には、弾丸がいくらも、のこっていませんでした。

『しんでもいいから、ころしたい』

ブーンのうった弾丸が、敵の飛行機にすいこまれます。
一機、二機、ほそながいけむりをあげながら、飛行機はおちていきます。

しかし、ついにブーンがさいごの弾丸をうちだしたとき。
ブーンは、じぶんの飛行機に、てつのかたまりがうちこまれる音を、聞きました。

さいごにうった弾丸は、ちゃんとあの飛行機をつらぬいたろうか。

ブーンは、はげしい痛みとごう音の中で、それだけを考えていました。

マダガスカル

空のしたは、海でした。

ブーンは、それから、ゆめをみました。

飛行機は、海にたたきつけられて、ばらばらになります。
ブーンは、うみの中に、ほうりだされました。

うみの中、ちょっとみどりがかった、きれいなあお。
空の、つきぬけるようなあおではなくて、つつみこむような、あお。

ブーンは、どんどんしずんでいきます。
ひかりのとどかない、うみのそこへ、ゆっくりと、おちていきます。

それも、そのはずです。

からだじゅうに、からみつく、荷物がおもいのです。

『祖国のために』
『戦争に勝ちたい』
『空のえいゆうに』
『ころしたい』
『ころさねば』


ああ、それで、しぬんだな、と思いました。
こんなしにかたも、わるくないな、と思いました。

荷物が、はなれていかないように、ぎゅうと胸におしつけました。


('A`)ｱﾌﾞｱﾌﾞ


だけれど、その荷物に、ぴったりとくっついている、ちいさい変ないきものがいました。

ブーン、あたし待ってる

　
('A`)ﾑｼｬﾑｼｬ


そうしてうみの中で、むしゃむしゃと、その荷物を食べはじめたのです。


（ ；-ω-）　（や、め……）

今まで、何よりもたいせつにしてきた、だいじな荷物です。
ブーンは、これ以上食べられないように、荷物をじぶんのうでで、つつみこもうとしましたが、
荷物は、とてもとてもおおきくて、ブーンのうでではつつみきれません。

('A`)ﾑｼｬﾑｼｬ

('A`)ﾑｼｬﾑｼｬ

('A`)ﾑｼｬﾑｼｬ

あわをぶくぶく吐きながら、いきものはブーンが大事にかかえた荷物をどんどん食べていきます。


『祖　　　　　に
『　　　　勝　　たい
　空のえ　　　　』
　　　　　い
『こ　　　　　』


ブーンのうでのなかは、すかすかになっていきます。

　
荷物は、ほとんどブーンそのものと言ってもよいくらいでしたので、
ブーンは、じぶんじしんが食べられているみたいに、おそろしくなりました。

それで、じぶんがなくなってしまうみたいで、
おおごえをだしてさけびたくなって、
口をおおきくあけました。


うみのなかなのを、わすれたまま。


（　 ω ） ……………！！



じぶんのはきだしたあわで、めのまえがまっしろになりました。

そのとき。

ブーンは、マシュマロみたいな荷物をかかえて、はしりまわっていた、ちいさいころをおもいだしました。

好きです

…………

……

…


（　＾ω＾）ぶーんぶーん！飛行機だおー！

ξﾟ�听)ξぶーんだよ？

（　＾ω＾）ぶーんは飛行機だおー

ξﾟ�听)ξぶーんだよね？

（ ；＾ω＾）ぶーん……



もう、ブーンのからだは、すっかり、かるくなっています。

うみのなかで、ゆらゆら、ふわふら、くらげのように、ただよいます。




（　 ω ）お……

　
そうして、ブーンのからだは、空をめざして、ゆっくりとうかびあがりはじめました。

おもい荷物は、みんなふしぎないきものが食べてしまいました。
いま、ブーンは、とってもみがるです。

だけど。
ブーンのうでのなかは、ほとんどからっぽですが、
ただひとつのこった、きらきらひかる、荷物がありました。




『つんを、守りたい』




ブーンは、空にむかって、とびはじめました。

（　 ω ） (しんじゃ、だめだお。いきるんだお。
　　　　　　ブーンには、やることがあるんだお）

ひかりあふれるほうをめざして、ブーンはぐんぐんすすんでいきます。


('A`)　ｱﾌﾞｱﾌﾞ

ふしぎないきものも、いっしょです。
　

＊

つぎに、ブーンが気がついたとき。
ブーンは、ばらばらになった飛行機のつばさに、ひっしに、しがみついていました。

うみのみずはつめたくて、からだは、ぶるぶるとふるえています。
おまけに、どこがいたいのかわからないほど、からだじゅう、ずきずきといたむのです。

それでも、ブーンはいきていました。


（　； ω ）　げほっげほっ！

のみこんだみずを、せきといっしょにはきだしてから、ブーンは空をみあげました。



そこには、空いがい、なにもありませんでした。


てきの飛行機も。　みかたの飛行機も。



ただ、空があるだけでした。

　
（　　ω　）　ああ……


まず、てきの飛行機がいなくて、よかったとおもいました。
こんなときに見つかったら、ひとたまりもありません。

そして、みかたの飛行機がいなくて、ざんねんにおもいました。
きっと、このままでは、じぶんは長くいきていられないだろうと、ブーンは思いました。




ひろい、うみのまんなかで、たよるものは飛行機のつばさだけでした。




ブーンは、しばらく、ふるえたまま、みかたの飛行機をまちましたが、
空は、だまっているばかりです。



（　 ω ） 大丈夫…大、丈夫……


('A`)

猿で困ることは無さそうだけど一応

　
やがて、ブーンは、荷物を、そっと飛行機のつばさにのせました。


あんなに、おおきかったふるえは、もう、とまっていて、
しんぞうのおとといっしょに、ずきずきと、いたんだからだは、
いまは、ずいぶんとしずかです。


ああそれで、しぬんだなあと、おもいました。
こんなしにかたは、いやだなあと、おもいました。



（　　ω　）　…つ……ん



つんに、あいたいなあ、と、おもいました。



('A`)　………。



そうして、ブーンは、うみのなかに、しずんでいきました。

支援です

　





うみのうえには、荷物と、ふしぎないきものがのった、ばらばらの飛行機のつばさだけがのこりました。





ふしぎないきものは、しばらく、うみと、そらを、ながめていましたが、
やがて、ちいさいからだで立ちあがると、うたをうたいはじめました。



('A`) わたしの名前は無力。きみと共にいたもの。
　　　　わたしの名前は諦め。何よりもきみを知るもの。
　　　　わたしの名前は覚悟。きみに道をあたえたもの。
　　　　わたしの名前は忍耐。きみをただおもうもの。



そうして、くびをふりふりして、 そのまま、風にとけて、きえてなくなりました。

ブーン・・

ブーン……

＊

その風は、かもめの羽をすりぬけ、うみをどこまでもわたっていって、
はるかとおくで、ブーンのぶじをいのっていた、つんのくるくるかみをひとふさ、空へと流しました。


ξﾟ�听)ξ　………あら？



つんは、それでふと、「空のえいゆう」として、すっかりゆうめいになってしまったブーンの、
ちいさい、可愛いころを、おもいだして、ふふ、と笑います。





（　＾ω＾）　ぶーん、飛行機になるんだおー





つんは、ブーンに、あいたいなあ、と、おもいました。
　

　









それから、たったなん日か、あとのことです。

戦争が、おわりました。

あの、ブーンが、ひっしにしがみついていた、ばらばらになった飛行機のつばさは、
ほんの少しのひとたちがくらす、ちいさなしまのすなはまに、うちあげられました。

しまのひとびとは、戦争がはじまっていらい、
そうやって流されてくるたくさんのものに、ほんとうに、うんざりしていました。

だから、やれやれと、その飛行機のつばさをかたづけはじめたとき、
どうしてだか、だいじなひとが、おもいうかんできて、
ほんとうに、戦争がおわって、よかったなあと、おもったのです。

badend

………

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有難う御座いました。
三国志に出す予定でしたが、出来が悪かったのでやめました。
三国志頑張って下さい。

ｗｋｗｋ

夏の終わりにこんなもんだしやがって・・・


乙。泣いた

なんか好き
乙でした！！

おっつーん

絵本読んでるみたいでよかった

乙
こう言う話好きだ

出来が悪いと自分で言うなら、乙を言うのはやめておく

面白かったよ

乙


まさか義母さん？

せつねぇ…せつな過ぎる……乙

乙！

ケータイ小説みたいだな

出来が悪いと作者自身でいうのなら乙ではなく帰れといわせてもらう

>>76
興ざめとはまさにこのこと

乙

読んだ　乙

切ない
こういうの好きだけれども>>1が出来が悪いっていうから乙とはいわない

おとぅ

ほほほ

よむほ