(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!」〜助け屋GU〜のようです
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
四月です。
まとめは、面白蛇屋さん、ブーンがまとめブログを武器にさん、そしてくるくるくーるさん。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/10(土) 20:19:26.80 ID:tfz/H7qeO
日本語でおk
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/10(土) 20:20:48.70 ID:591XE3Nn0
まーた職人気取りの糞野郎か
構ってほしいだけか?
それとも自分のSS(笑)が見てほしいのか?創作板でやってくれよ。 頼むから。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/10(土) 20:21:32.08 ID:XFBs4MW60
【本日出てきそうな主な一行人物紹介】
(,,゚Д゚) …助け屋。
(#゚;;-゚) …猫又。
( ^Д^) …陰陽術師。
川д川 …幽霊。
( ^ω^) …ジン。
从*゚ーノリ …占い師の弟子。
ミ*-∀-彡 …第三階位。
【本日のその他】
ξ゚听)ξ …“enigma”。
ノハ^竸) …“自殺志願”。
【今宵のテーマ】
特になし。
【あまったスペース、本日の一言】
時間に潰されない為の暇潰し。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/10(土) 20:23:45.51 ID:tfz/H7qeO
フヒヒ
何で創作板でやらないんですか?
――人間は自由なものとして生まれたが、いたるところで鎖につながれている。
自分が誰か他人の主人であると思っているような人間も、実はそれ以上の奴隷である。
(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!!」〜助け屋グロウアップ〜のようです
十二日目 午後
『相容れず、合間見えず ――鳴かず飛ばずの死なず朽ちず―― 』
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/10(土) 20:25:27.12 ID:2QZaugoyO
2+1は好きだったんだけどなぁ
質問に答えてほしいです
――どこかの世界のいつかの時間だった。
それがいつだったかは双方共に覚えていないが、少なくとも「助け屋」社長と津出諷が初めて顔を合わせた時よりも前。
そして、場所は淳中等教育学校の母体となった高校――旧校舎の端。屋上へ至る階段部分だった。
ミ*-∀-彡「不幸って言うのは、さ――」
かつ、かつ、と。
長く続いた立ち入り禁止が解かれたところの屋上から降りてきたのは、後に学園の管理者となる男。
津出諷。人混みに入れば、あっさり紛れてしまうであろう普通の中学生。
イ从 -)
その数段下。
見下ろされるような形になっているのは、血の凍るような美少年だ。
ふーは、彼に向けているのか、それともただの独白なのか判然としない――適当な調子で語る。
ミ*゚∀゚彡「適当に分けちゃうと、二種類だけだよね」
「偶然的不幸」か「必然的不幸」だよね――と。
今日の夜九時からのドラマの内容でも話すかのごとき軽さで、続ける。
ミ*-∀-彡「『偶然的不幸』ってのは、なんか三叉路で道を選んで穴に落ちたみたいな感じ」
イ从 -)「………」
ミ*゚∀゚彡「んで、『必然的不幸』ってのは――単純。“一方通行の道を歩んでいて穴に落ちた”ってこと」
――言いたいことは。
ふーが言いたいことは、より単純だ。
「世の中にはどうにもならない問題がある」ということ。
選択者の意思で完全な解決とは行かずとも改善されうる問題が“普通の問題”。
対照的に、最初から選択などなく改善などされようもない問題が――“異常な問題”だと。そう告げている。
収穫逓増。
持たざる者は持たざるまま。不幸な者は不幸なまま。終わる。
“ただ”
この因果応報の真逆を行く理論を元にするなら――、
ミ*-∀-彡「“選択できたけどしたくなかった”は、一体どちらなんだろうねー?」
イ从#゚ -゚)「ッ!!」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/10(土) 20:32:13.24 ID:591XE3Nn0
質問に答えてもらえませんか? 何でVIPでやるんですか?
――その日。
ふーは久々に喧嘩をした。
逆上した葵が殴りかかってきて――そのまま。
結果は惜敗とは言い難いものだった。惨敗ではないが、負けは負けだ。
では、その結果である全治二週間の入院生活はどちらの不幸に属するものなのだろう?
「八重垣八雲」の神経を逆撫でしたのは――、
数ある選択肢の中から選び取ったものか、
最初から一つの選択肢しかなかったのか、
あるいは――“他の選択肢など選びたくなかった”のか。
ミ/%-∀-彡「…いてて」
ベッドの上で、包帯を巻き直しながら考えた。
珍しく他人事してではなく、自分自身の問題として、でも適当に考えた。
どうやっても選択ができないのならば、悩むことも考えることも無駄だと知っていたから。
図星だよね?やる意味ないよね?所詮かまってちゃんだよね? じゃあね死ね
お前は一生SSでも書いて死ね
……………
ミ*-∀-彡「『助け屋』さん。あなたは誠実についてどう思いますか?」
(,,゚Д゚)「誠実?」
ミ*゚∀゚彡「そう。“誠”の“事実”で誠実の、誠実」
――結局ふーは座ることはなく、少し離れた位置、窓の外を見るようにして立っている。
でぃは黙ったまま。ルカは茶菓子をまじまじと眺めていた。
ミ*-∀-彡「僕は“忍”という中々面白い家系の人間を数人知っているんですが、――まぁ」
アレって人殺しの家業ですよね。
軽蔑するでもなく、勿論畏敬するでもなく言う。
ミ*゚∀゚彡「この国の忍の大家、西岳・窮北・南澗・東郊と。全て合わせて『東西南北の人』と覚えやすい」
(#゚;;-゚)「…………」
ミ*-∀-彡「そう言えば昔は東郊の抜け忍がこの学校にもいたらしいです。……話がズレました。元に戻しましょう」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/10(土) 20:37:11.00 ID:TuFFaCGwO
いつこれスレタイ変わったの?
ミ*゚∀゚彡「別に忍じゃなくてもいいんですが……たまに、高校ぐらいで引退する人がいるんですよ」
迷うルカに気づいたのか「どうぞ召し上がってください」と軽く勧める。
ぱあっと少女の(ギコも)顔色が明るくなり、二人は手を伸ばす。
――唯一食べようとしないでぃが思うのはちょっとした疑惑。当然の警戒だ。
(#゚;;-゚)「(もしかすると何か入っているのでは……。それとなく自分は食べてないですし……)」
ミ*-∀-彡「甘い物は駄目な方で。それで躊躇っていたのなら申し訳ないです」
(;#゚;;-゚)「………」
やはり、偶然にしては出来過ぎている。
彼女の警戒や動揺を読み取ったかのように――言葉を入れてくる。
ミ*゚∀゚彡「――それで、僕は不実だと思うんですよね」
(,,゚Д゚)「え?」
ミ*-∀-彡「自身に対して不実だと、思ってるんですよね……」
ギコは――意味が分からなかった。
“もう一人の自分”から言われて、初めて気がついた。
――つまり。ふーはこう言っているのだ。
「忍の技能を捨てた忍の家系の者に一体何が残っているのか」と。
ミ*-∀-彡「その家系に生まれた以上、その身体は全部が全部『名』と『血』から出。それを捨ててんだから――」
(;゚Д゚)「(……この人)」
ミ*^∀^彡「自身の、“自ら”の“身体”と書いて自身に、不実と思いませんか?」
以前――もっともギコは知らないのだが――プギャーは『ファーストナンバー』都村トソンに訊ねた。
「お前は自分の子供が敵に回った時、殺すことができるのか」
彼女は事も無げに――“事も無げな様子を事も無げに偽り”答えた。
(-、-トソン『――できますよ』
それは人として、決して答えてはならなかった問いだった。
(゚、゚トソン『私は「都村トソン」ですから』
…終わっていると言うのなら、これ以上ないほどに“終わっている”。
選択肢などない一方通行。何処にも行けない閉じた環だ。
何がそこまで彼女を割り切れさせたのか――誰も、少なくともプギャーは知らなかった。
――ギコが妙な雰囲気を感じ取った瞬間。
青年はいきなり、口調を会った時のような適当さに戻した。
ミ*-∀-彡「……でもまぁ、それはアレですよ。時代の変遷も絡んでくるんで」
(#゚;;-゚)「忍など必要ない時代なら不実ではなく当然、というわけですか? 当たり前なのです」
ミ*^∀^彡「ですよね。やっぱ僕の考え、古いですよね」
けらけらと笑う生徒会長は――見た目的には普通の高校生だ。
ギコとでぃに向かい合って座る少女のように。
さて、その少女は、と言えば、
从*^ーノリ「これ美味しいですねーっ!」
ミ*゚∀゚彡「それは良かった」
…これぞ普通、と言わんばかりに茶菓子を堪能していた。緊張感など欠片もない。
話を聞いていたのかどうかも怪しいところである。
ミ*゚∀゚彡「そして。…不実にはもう一つパターンがあります」
――それは一瞬だった。
区切り直した話。始めようとした、まさにその時。
ギコの声が――音源が、ブレた。
(,, Д)『……“自身”じゃなくて“自分”に対して不実』
冷たい声音だった。
ひどく冷淡。そんなことは幽閉されている間に考え切った。声高に主張するような、苛立ちを含んだもの。
ただし、
(,,^Д^)「――って、ことですか?」
そのまた次の瞬間には、元に戻っていたのだが。
気づいたのは長く隣にいる猫又のみか。あるいは――。
ミ*゚∀゚彡「そうです。“自ら”の“分”と書いて自分に、これ以上ないほど不実なことがあるんですよ」
今までの話は前振りだったようだ。
やっと、向かい合うギコ達の斜め前、入り口から見て正面の会長の席に腰を下ろした。
少しだけ豪華な椅子に、浅く、腰掛ける。そして、何の感慨も無さ気に同時にさも当たり前のようにどうしようもないほど虚無的に、言う。
ミ*゚∀゚彡「僕は昔から疑問だったんです。今日の約束を明日破るのは駄目なのに、十年前の約束を今日破るのは――暗黙に許されているのが」
――愛し合う男女がいるとしよう。
男が「君を一生愛す」と契った次の日に浮気をした場合――誰でも彼を不実と言う。
しかし、別れて十年後に別の女性と結婚しても……誰も、それこそ約束を破られた彼女でさえも何も言わないだろう。
二つはどう違うのか?
約束した事実は変わらない。変わらないのに、何故――許されよう?
時がどれほど流れたとか。状況がどうだとか。
それで手打ちにして良いものか。
自覚して――“自ら”に“覚悟”して、結んだ想いを。誓った決意を。託した言葉を。
ミ*-∀-彡「裏切り翻し変えるのは……不実、ですよね」
(;# ;;-)「………っ」
ああ、間違いない。
この人は、“私を殺す為だけに”話題を振ってきている。
私が当主様に抱いていた恋心も、忠誠心も、劣情も、全て見透かして――。
…でぃがそう思ったのは至極真っ当かつ当然のことだ。彼女が自意識過剰な訳では決して、ない。
ふーは明確な殺意を持って、殺意で以て、何ら暴力的な手段に頼らず言葉により、「朝比奈でぃ」なる者を抹殺しようとしているのだ。
蔑むような劈くような憐れむような弄ぶような訝しむような穿つような甚振るような嘲るような蝕むような侮るような貫くような惑わすような、
――利剣。長々とした戯言は以下の文に集約される。
――――お前はお前の存在を許すのか?
:(# ;;-):「あ……ぅ……」
手足が小刻みに震える――声が出ない―――
頭が回らず、平衡感覚すら怪しい――――動悸が激しく、眩暈が酷い―――――おかしい。
未だにニーイチさん粘着してる奴居たんだな
創作板行けとかお門違いってレベルじゃねえぞ
:(# ;;-):「(分からない分かる訳がない?……違う“分かりたくない”だけで“分かろうとしない”だけ)」
声高に「忠義」を掲げながら、あまりにもあっさりと自分は逃げている。
家から逃げた主人から逃げた恋から逃げた。どれも一つの結論も出さずに。周囲に流されるままに。
“許してもらった”からといって“許された”わけではないのに。それはあの人の変わることのないいつもの手段なのに。
:(# ;;-):「(寂しい気持ちは私が一番分かるのに。一度許してもらったぐらいで――あっさり)」
「どうか幸せになってね」
…その幸せは他でもない彼の不幸せの上に成り立っている。
自分では足りない――当たり前だ。差し出がましい。でも、それでも一人よりは遥かに良いはずだったのに。
:(# ;;-):「(当主様に会わないと。会って何度でも謝らないと。償わないと。あの人に会わないと、私は――)」
――終わらせたはずだった。
けれど、少しも終わってなかったのだ。
何処にでもいそうな普通の青年の言葉で、そう――“錯覚してしまった”。
定めを定められ定め切られた。
…もはや、誰の言葉も彼女には届かない。
……………
( ^Д^) イライラ
川;д川「………あのー」
(^Д^ ) イライラ
( ^ω^)「プギャー。貞ちゃんが困ってるお。イライラ全開で部屋の中歩き回るのは止めろお」
右回りで三百二十四。左回りで四百七十ちょうど。
周回ではないパターン多数。
…貞子カウント。
狭い部屋の中を回りに回りまくっていた着流しの八咫烏――プギャーは気持ちやら何やらを落ち着け。
窓のサッシに座り、
( ^Д^)「………悪い。動いてるのに、気づいてなかった」
(;^ω^)「心ここにあらず過ぎだお」
目が回らなかったのは凄いの一言。
( ^Д^)「だって“津出”に“淳”だろ? 多少気が立つのは仕方ない」
川;д川「だって、と言われてもー……」
( ^Д^)「分からない、か。――そうか、分からないのが奴等だもんなぁ…」
魔術であったり、武術であったり。
他にもやたらと多くの技術を有している彼であるが……それでも、一番秀でているのが「生き残る技術」である。
知識さえあれば対策が練れる。彼の彼流の処世術。
…八咫烏は、このレベルの技術を持つ存在としては珍しくあの『大戦』にほとんど関わらなかった彼は、少し迷った。
説明すべきか否か。知っているに越したことはないのだが、知っているだけで身が危険に曝されることもあるにはあるからだ。
しかしまぁ、ここまで意味深に呟いて説明しないわけにもいくまい。
( ^Д^)「特務機関『FOX』と対になり存在する機関。――秘匿機関『運営』」
( ^ω^)「『運営』?」
( ^Д^)「“淳”という苗字は財閥家系の一つで、『運営』の中核を担うもの」
言ってしまえばパトロンだ。
国の機関に庇護者も何もあったものではないが、喩えである。
( ^Д^)「そして“津出”は『運営』の第一階位、つまりは最高権力者の名だな」
――秘匿機関『運営』。
武力的に白眉、下手をすれば軍隊よりも強力な『FOX』の派手さの影に隠れた組織。
そもそも一般人にはまず知ることのない機関であり、知られていないことがアドバンテージな集団でもある。
直接的な攻撃力は……ないとは言わないが、ごく一部に限られた話。
彼等が「最低最悪のインテリジェンス・コミュニティー」とまで呼ばれる所以は――、
( ^Д^)「見た目では分からない強さを持っている。そういう言い方が、しっくりくるかな……」
策は講ずる前に潰され。退路は気づいた時には既にない。
味方は内側から崩壊し同盟は決裂。情報が錯綜。一瞬で戦況はひっくり返る。
“総力戦にはさせず、あらゆる思惑を未然に破り壊す”。群雄割拠のこの国で最も敵に回すのを忌避され味方にするのを躊躇われる軍団。
それが――秘匿機関たる『運営』の遣り口。
正面切っての裏切り者。正々堂々の騙し討つ卑怯者。
( ^Д^)「……ガラにもないけど、ちょっと心配だ」
――そう呟いたのは、ちょうど猫又の心が蹂躙されつくした時。
彼の心配は的中していた。過保護は過保護でもなく、ただ妥当だったのだ。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/10(土) 21:06:48.57 ID:UXLT3p4A0
つっまんね
誰かスレストしろ
……………
――その、はずだった。
(,,゚Д゚)「……そんなこと、ないんじゃないですか?」
見透かされ、揺さ振られ、蹂躙された少女。
何処にでもいそうな高校生のそれとない最悪により殺されかけた“自分”。
氷点下の世界にでもいるかのように震えていた身体が――不思議と、
恐ろしくて怖くて仕方がなく凍えていた心が――ありえないほどにあっさり、
(,,-Д-)「難しいことは分かんないけど……でも、なんか違うと思います」
(# ;;-)「………ぁ」
震えが――止まっていた。
何だか分からない暖かいものがでぃの身体の中に溢れ――じわりと沁み込み浸透していく。
いつもなら頼りないだけの声が、信じられないぐらいに安心させてくれる。深く、柔らかに心の奥底まで。
ミ*-∀-彡「……くくっ。非、論理的ですね」
(,,゚Д゚)「非論理的ですよ。生きてるんだから、そんなの、当たり前じゃないですか」
(# ;;-)「(――ああ、そっか……)」
片方の手が握られていた。握り締められていた。
相手の血潮さえ感じられるように強く。隣に座っているギコによって、ぎゅっと、強く。
きっと意識などしていないのだ。無意識的に、理屈じゃなく。痛くて苦しいぐらいに、――繋がっている。
(,,゚Д゚)「頭じゃ分かってても身体が勝手に動いたり。気持ちとかどうしようもなく曖昧で、自分でも全然分からない」
(# ;;-)「(この人は――)」
(,,-Д-)「悩むのも考えるのも、勿論後悔しちゃったりするのも、普通なんですよ。間違えるのだって普通です」
――間違えないんじゃない。そもそも“答えを出さない”んだ。
誠実とか不実とか、常識とか非常識とか、普通とか異常とか――最初からどうでも良くて。
拘らずに縛られない。思ったままに動いてて、それがどうしようもなく正しい。
(# ;;-)「なんて……」
なんて、馬鹿なんだろう――。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/10(土) 21:14:25.11 ID:BhPnZQXO0
支援
(,,゚Д゚)「だから……」
从*^ーノリ「もういいですよ。もう、いいんです」
言葉を遮ったのは意外にも――普通の少女である、ルカだった。
どうやら聞いていないのはただのポーズだったらしい。将来が有望な賢しい女だ。
彼女は机の向こう側から身を乗り出し、自らの人差し指をギコの唇に当てるようにし、もう一度。
从*゚ーノリ「もう――いいんです。……ですよね?」
ミ*-∀-彡「うん、もういいもういい。すっごく、よく分かったよ。嘘じゃないんだね」
(#゚;;-゚)「……???」
ミ* ∀彡「そっか、『助け屋』はそういう“答え”を……そっかぁ――」
先ほどまでとは違う、些か砕けた感じのする口調と声音で、笑いを堪えるように。
口元を押さえ苦笑する姿は――少しだけ普通ではなく、きっとそれが彼の素の姿なのだと、でぃは思った。
ミ*^∀^彡「ごめんなさい。なーんか、嫌がらせみたいなことしちゃいまして。本当に失礼なことをしちゃいました」
年上に対するには軽過ぎるんじゃないかと思えるぐらいだが、自然だ。
憎まれない才能。そういった類のものを有しているのだろう。
从*゚ーノリ「会長さんは、私とおんなじなんですよ」
ポカンとするギコやでぃに説明をする。
自分で言っておきながら「おなじ、ではないかな?」と首を傾げる姿は、やはり普通。
从*゚ーノリ「私は超能力ですけど、会長さんは……えっと、」
ミ*-∀-彡「『過度激動』だよ。Over-Excitabilities ってさ」
从*^ーノリ「そう!それです!つまりは、相手の気持ちを読み取れるぐらい繊細で極端な感覚を持ってるんです!」
――悲劇的な贈り物、と。諸外国などでは言うらしい。
超能力とは分類されない程度の先天的な素質だ。知能指数の高い英才などに見られることがある。
概念としては「サヴァン症候群」に近しい。物事の認識の仕方が根本的に隔絶的に絶対的に――違う故に生じる副産物。
(;#゚;;-゚)「ああ、だから……」
別に心を読んでいたのではない。話はもっと一般的だ。
会話中に生まれた“不安”や“苛立ち”などの感情から逆算。相手の経歴や思考パターンで大体の見当をつけてしまう、読心術のようなものだ。
言ってしまえば単なる感情移入や共感に過ぎず、――けれども普通に喋るだけでは太刀打ちできない。
嘘や誤魔化し、虚勢は全く通じない。ふーに正面切って嘘をつける人間など、手練の詐欺師ぐらいのものらしい。
ミ*^∀^彡「僕、グダグダ理屈並べる人間が嫌いで。天真爛漫過ぎる姉がいたもので」
(;゚Д゚)「は、はぁ……」
ミ*゚∀゚彡「それで、かの『助け屋』がどんな“答え”を持っているか気になりまして」
何が「それで」なのかは分からないが、本当に“気になっただけ”だった。
時間無駄の無駄と言えばそれまでだ。
しかし、
無駄ではなかった、とでぃは思う。
心の底から――そう思う。
ミ*-∀-彡「他人の恋の手助けをするのも仕事ですし」
(;#゚;;-゚)「ううっ…!」
从*゚ーノリ「忘れてるかもしれませんけど、私も一応“視える”んですよ? ぽわぽわなピンク色」
(#// -/)「うぅぅぅ……」
二連続ヒット。先ほどの精神攻撃ほどではないが、これもまた辛い。
というか恥ずかしい。
从*^ーノリ「それで、いつまで手、繋いでるんですか?」
(;゚Д゚)「え……――うぁぁあ!!気がつかなかった!なんで手繋いでるの!?」
(;#゚;;-゚)「本当に気がついてなかったのですか!!?」
焦りに焦り、急いで手を離す。
……猫又少女的にはちょっと残念。
(;゚Д゚)「違うからね!これは、その……無意識だからっ!セクハラとかじゃないからっ!!」
(;#゚;;-゚)「分かってます!分かっているのです!」
(;-Д-)「うぅ……でも無意識的に女の子と、手……。無意識的にエロエロ……」
(;#゚;;-゚)「い、いやっ、大丈夫です!むしろ大歓迎なのです!!」
ミ*-∀-彡「(……あ、本音出た)」
从*゚ーノリ「(ですねぇ。うわ、視てるこっちが恥ずかしい)」
――数分後。
朱に染まった顔も、落ち着いてきた頃。
ミ*-∀-彡「本当は『死線』や雑多のことを依頼しようと思ってたんですけど……もう、いいです」
(;゚Д゚)「え、それって失望したってコト……」
ミ*゚∀゚彡「違いますよ。むしろ、期待したんです」
そう言い、諷は立ち上がる。
身長の高さ故に少しばかり威圧感があるが、柔らかな言葉遣いがそれを緩和していた。
つかつかと窓際により外を眺める。視界の中の生徒には“彼”はいなかった。
ミ*-∀-彡「……助け屋さん。『生きる』って、なんだと思います?」
(,,゚Д゚)「生きる?」
ミ*゚∀゚彡「そうです。僕はその問いに『暇潰し』と答えた人間を二人、知っています」
そのうち、一人は人を絶望させることを趣味とした反吐。
あとの一人は誰から見ても文句のない、どうしようもない『善人』だった。
ミ*゚∀゚彡「……それが間違いだとは言いません。けど、僕は『生きる』とは『悩むこと』だと教えられました」
――“答え”が出ることが必ずしも良いことだとは限らない。
人生に限っては。
人の生きる道に関しては。
確固たる『答え』が存在するということは――迷わないということ。
答えが出てしまった人間は迷わない。ただ、進むのみ。その選択肢が本当に正しいかどうかなど――関係ないのだ。
それは数ある選択肢の中から選び取ったものか、
最初から一つの選択肢しかなかったのか、
あるいは――“他の選択肢など選びたくなかった”のか。
…どれでもいい。
はっきりしていることは、間違った“答え”を持ってしまった人間が間違いに気がつくのは、最後の時。
全てが終わり、後戻りができなくなった後だと言うこと。
ミ*-∀-彡「そんなのって、どれであろうと悲劇ですよね……」
――誠実であるが故に。
あまりにも、誰にも真似できないほど正し過ぎたが故に――間違った。
――それは、たとえば。
『兵器』として調整され教育され存在するかつての少女であったり。
種族を守る為に親友を殺した英雄であったり。仲間の復讐の為親友の妹を手にかけた悪魔であったり。
ミ*-∀-彡「…そこに飾ってある写真の中の人達だったり、ね」
彼の座る席から見て、後方の壁の上。見下ろすように額縁に入った写真がある。
ざっと十年も前。今でも最も優秀と謳われる生徒会。それぞれが、それぞれに、“答え”を見つけていた人達。
それが正しいかとか間違っているとかは、諷には分からない。きっと誰にも分からない。
けれど、
ミ*-∀-彡「全てを投げ出してしまいたくなるほど残酷で、身を裂かれるほどに辛い“答え”だったんだと思います……」
(,,-Д-)「…………」
ミ ∀彡「だから、助け屋さん」
――あなたは“答え”を決めないで。
そう、諷は誰かに同情したかのような、今にも泣き出しそうな声で、依頼したのだった。
………………
〈:メ゚−゚〉「――私は時折、主様のことが分からなくなります」
――ギコ達の帰った後の生徒会室。茶菓子が置かれていた長机には書類が散乱している。
窓の外から、するりと音もなく入ってきた少女は傅き言った。
茶色っぽい髪を黒いリボンで束ねた幼さの残る顔立ち。眠たげな眼差しをした、諷と同年代の少女だった。
ミ*-∀-彡「なんか誰かが飛ばした式紙が盗聴してたみたい。急いで話題を感動系有耶無耶に――」
〈:メ゚−゚〉「嘘ですね。主様は助言をしたんでしょう。これから敵になるかもしれない人達に。だから、私は分からない」
口元まで覆う黒いマフラーの所為で声がくぐもっている。普通の制服姿に特徴的な防寒具。今は三月、寒くて耐えられないほどでは勿論ない。
それよりは、まず頬にある刺青のようなものをどうにかして欲しいと「生徒会長」である彼は思う。
いや、同じ場所にある傷が良いカモフラージュになっているのだが。
ミ*-∀-彡「…固い。そんなのだから『石』なんて呼ばれるんだよ」
〈:メ゚−゚〉「私は主様の刃。刃が堅牢ではなく、どうしますか」
ミ*^∀^彡「固いなぁ、もう。津出さんがつけた名前を忘れないでよね」
膝をつく彼女の名は「窮北相仕」と言う。苗字はともかくとして、字は後につけられたものだ。言葉通りの存在になるようにと意味を込めて。
…どうにも大仰な立ち振る舞いの傅き人に、些か投げやりにも見える感じで問いかける。
ミ*-∀-彡「……ん、君にとっての『生きる』って?」
〈:メ゚−゚〉「主様と共にあること。主様の役に立ち続けること。行く行くは、主様の為に死ぬること」
ミ*-∀-彡「固い上に重いし。命は義に縁りて軽し、って感じかな。今度スパムにも訊いてみよっと」
そして研ぎ終わったばかりの鉈を持ち上げる。いやに慣れた手付きは熟練さを強調していた。
もはや、そこには『普通』など微塵も存在せず、埋没させることの叶わぬ『異常』が顕著に現れていた。
――さて、と諷は立ち上がる。
「生徒会長」としての“自分”は終わりと言うかのように。
ミ*゚∀゚彡「帝国大統領直下秘匿機関『運営』、管理者第三階位早河諷」
どこかの八咫烏の懸念は――やはり、大袈裟などではなかった。むしろ軽過ぎたと言っていい。
そう『助け屋』が気づくのは、まだ少し先のことになる。しかし、それは確かな決定事項にして既定事項だ。
ミ*-∀-彡「――さて、定め見定め定め切ろうかな」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/10(土) 21:41:36.75 ID:oquK481W0
ほ
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/10(土) 21:42:36.28 ID:J/TN4GYlO
応援してる
十二日目 午後 終
――月日は戻って冬。「助け屋」社長が入院していた頃。
彼が無事では済まなかったようにお相手の方も無傷ではなかった。色々と。
何一つ普通なところがない少女と、そのご学友や愉快な仲間達との形容し難い……日常?
…それはまた、次のお話であるのだが。
それほど大事でもないおまけ
十二日目 かつて
「……ふぅ。人を殺したことは、あるかしら?」
彼女は。
やはり何の感慨も無さ気に同時にさも当たり前のようにどうしようもないほど虚無的だった。
そんな風に、その日も、言った。後ろを向いているので顔色は伺えない。
ミ*゚∀゚彡「ないです」
「………そう。良い子ちゃんね」
仕草の一つ一つから、大人の色香が漂う女性。
艶やかな金のツインテールや柔らかそうな紅い唇。西洋人形のような整った顔立ちに、――絞め殺したくなる白い首筋。
ミ*-∀-彡「(僕は多分――この人が、好きなんだ)」
もっとも、それがどういう類の感情なのかは分からないが。
恋と呼ぶには楽過ぎて、尊敬とするには近過ぎる。流れ出る言葉のように曖昧な――。
「――ふぅ。貴方は、他人を利用はしても、他人を信頼はしない人でしょ?」
ミ*-∀-彡「はい」
「周りには沢山の人がいたでしょう。でも、結局貴方はずっと一人だったのね」
――彼女は。
いつも、このような感じだった。
疑問は元より疑問ではない。口に出した時には既に答えが出ている。
躊躇なく、迷いなく、ほんの微塵のためらいもなく、それでいて自然に――心の中の真実を抉る。
純粋に言葉だけで人を殺し得る存在。
彼女は“何気なく”最悪なのだ。呼吸するように心を射抜く。
「実は『友達』と呼べる存在もいない。何か不味い事態に陥った時の対処法がない。だから、誰よりも臆病な貴方は安全を選ぶ」
ミ*-∀-彡「(思考を踏み躙られる感覚。それでいて――)」
案外、悪くなかったりする。
悪くないどころか――心地良い。気持ち良い。
「それは、ある意味――あの子と同じでしょう?」
…彼女が指差した先には一人の少女がいた。
真赤な長い髪を後ろ手に束ねている。着ているシャツの背には「善人」と大きく書いてあった。
ノハ;φ听)っ「あーれー? なんだ? ううん……」
眼帯(厳密に言えば望遠鏡、赤外線暗視ゴーグル等の機能を備えた眼帯状の機器)をつけて右往左往している少女、ヒート。
生きる目的に関する問いに「暇潰し」と――正しくは、「時間に潰されない為の暇潰し」と答えた少女は。
どうしようもなく善人かつ救いようもなく善人で変わりようなく善人だ。
――言葉で人を殺す彼女とは違う。
ただひらすらに、“善いだけ”の自殺志願。
「あなたも、あの子も。『第一原理』を持っていないのね。だから私に管理されているのが心地良い。きっと、それだけよ」
別に否定する気はなかったし――その通りだと思った。
“答え”は僕に必要ない。目的も、意味も、結果も。全てを――彼女が決めてくれるから。
悩まなくてもいい。迷わなくてもいい。考えなくてもいい。
――僕は今、幸せだから。
十二日目 かつて 終
ご支援ありがとうございました。
なんか、色々出てきましたがまぁ、大丈夫です。
バトル展開はないです。戦闘書きたいわけじゃないので。自分は不幸な奴を書きたいんです。
【物語の余談】
「登場人物の言葉は別に作者の言葉ではない」という話。
同じく、「登場人物の思想は作者の持論ではない」のも然りであるはず。
色々な『答え』を見つけた人を書きましたが、どれが正解と決めるのもおかしな話。
ヌーヴォーロマンなのですから。お好きな解答をどうぞ答えに。
別の選択肢を強調する為に似た境遇のキャラクターを沢山出したわけですので。
>>8 評判が何故か悪いですが、自分も大好きです。
プロローグにもならない独り言小説であり、“答え”を間違った人々が唯一悩んでいた青春時代の話ですから。
誰も彼もどうしようもないぐらいに不実で曖昧。手に入らないはずのない幸せを求めていた時の話ですから。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/10(土) 22:21:56.98 ID:AEgbfTJf0
乙
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
ほ