1 :
◆hCHNY2GnWQ :
立つんだジョー!
支援
3 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:01:58.12 ID:MAIlnydQ0
誕生日祝いに、と友達がとらドラを買ってくれた。涙が出そうになった
まとめサイト ブーン文丸新聞様
URLは後ほど
最終話でござるよ
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:02:58.37 ID:vpxBezo9O
しぇーん!!!
5 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:02:58.49 ID:MAIlnydQ0
(゚、゚トソン「…。」
トソンは明け方に目が覚めた。
慣れない他人のベッド――と言っても自宅のベッドなんてものが想像できないのだが――のせいだろう。
ゆっくりと身体を起こそうとしたが、鋭い痛みの走る右足によりその行動は停止された。
そういえば、足は骨折していたらしい。
今は応急処置のおかげで骨折はほぼ治っているらしいのだが…まだ痛みは治まってくれない。
これは動かないほうがいいな、と思いトソンは起き上がるのを断念する。
途中まで浮かせた身体をベッドに任せて、知らない天井を仰ぐ。
(゚、゚トソン(……私は…誰なんでしょうか…。)
どれだけ記憶を探ってみても、何も得られない。
覚えているのは自分の名前と、目的不明な使命感。
ラウンジ大陸の人間である自分が何故VIP大陸に来たのか。
まずはそこを思い出さなければいけない。
ふと喉の渇きに気づきトソンはベッド脇にあるテーブルに置かれた木のコップに手を伸ばす。
中はモララーが用意してくれていた水で満たされていた。
(゚、゚;トソン「あ!」
身体が思ったよりも衰えていた。
寝起きということもあって筋肉が弛緩しているのも原因だろう。
コップはするりと手に間を抜けて床へ落下してしまった。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:04:34.66 ID:A1MjABKkO
7 :
×手に間 ○手の間 ですorz ◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:04:51.40 ID:MAIlnydQ0
(゚、゚;トソン「…。」
覆水は床の木々の間を縫うように伝い、触れた水分は木面を色濃く染めて吸収されていく。
けが人である前に自分はこの家に厄介になっている身だ。
家主の人にこれ以上迷惑はかけられない、とトソンは無理やり半身を起こす。
テーブルやベッドに体重をかけつつ、右足をかばって立ち上がる。
(゚、゚;トソン「わ!?」
左足に体重をかけて歩こうとしたその時
まだ活動開始を認めていない身体が勤労怠惰をした。
ガクンと膝が折れ、床に向かって一直線。
(; -∀-)=3「ふー…。」
木目すら見えるほど顔面が床に近づいたところで、身体が制止した。
それも、本当にそのままの体勢でだ。
身体が地面に対して30度くらいの角度を作ったまま浮いているのだ。
(゚、゚;トソン「あ、あの…?」
(; ・∀・)「あ、ごめん。」
モララーは慌てて魔法を唱えた。
今さっきは、停止の魔法をかけてトソンの落下を止めていたのだ。
それを解いてから姿勢維持の魔法をかけてゆっくりとトソンを立ち上がらせる
と思いきや、そのまま浮かせてベッドへ座らせた。
8 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:06:50.34 ID:MAIlnydQ0
(゚、゚;トソン「ありがとうございます。」
ペコッと頭を下げて申し訳なさそうにトソンは礼を言った。
( ・∀・)「や、お気になさらず。
物音がしたから、起きたのかなって思って入ってみたんです。
怪我はないかn…じゃないですね。怪我の調子はどうですか?」
(゚、゚トソン「えぇ。随分痛みは引きました。でもまだ動かすと痛いですね。」
( ・∀・)「そうですか…。ちょっと失礼。」
モララーは跪き、貸したズボンを捲り包帯と添え木で固定された足の様子を見てみた。
骨の方は治っている。だが、まだ治りかけなのでやはり動かさないほうがいいみたいだ。
( ・∀・)「もうしばらく安静にしていてください。
本当は街の病院にでも送るべきなんですが…
ラウンジ大陸の人とバレた場合の危険が大きい。
故郷に送るにしても…記憶がないと少し厳しいかもしれません。
ここでしばらく療養するのが一番でしょうね。」
(゚、゚トソン「…はい。すみません、本当に。」
( ・∀・)「いえいえ。困ってる人を助けるのは当然ですから。
あ、お水持ってきますね。」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:07:34.99 ID:o7t9jie9O
まとめが文丸じゃなくてまともなとこならもっと人気でただろうに
他にもまとめついてほしい支援
10 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:09:38.02 ID:MAIlnydQ0
モララーはそう言って外へ出た。
綺麗な井戸水を汲んで別のコップに移し、トソンの元へ。
(゚、゚トソン「ありがとうございます。」
深々と頭を下げるトソン。
義理と礼儀を尊ぶ文化のラウンジ大陸の人らしい仕草である。
(゚、゚トソン「…あの。」
( ・∀・)「はい?」
水を飲み終わり机においてからトソンは切り出した。
(゚、゚トソン「今更ですが、お名前をちゃんと聞いてませんでした。
フルネームは何と言うんですか?」
( ・∀・)「……僕は…。」
モララーは躊躇した。
ラウンジ大陸の人で、きっとモララー=レンデセイバーの名を知らない人は居ない。
多くの兵を殺し、ラウンジ王に脅迫まがいの投降を言い放った人間なのだ。
憎悪の対象である彼の名を聞いたら…もしかしたら記憶を取り戻すかもしれない。
でも、いくらなんでも刺激が強すぎると思いモララーは
11 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:11:36.76 ID:MAIlnydQ0
( ・∀・)「それよりもご飯は食べましたか?
昨日はまともな食事を作ってなかったんで、今日はちゃんとしたものを用意しますけど…。」
と別の話題をふることにした。
(゚、゚*トソン「あ、そういえば…。」
モララーが話をすり替えたと同時にトソンのお腹が小さく鳴った。
昨日は結局すぐに眠り込んでしまったので、記憶のある限りではほぼ半日食事をしていないことになる。
音を聞いてモララーはクスリと笑い階下へ降りてキッチンに立った。
料理の邪魔をしてはいけないと思い、トソンは考え事をすることにした。
彼の名前はモララーというのはわかる。昨日、子供達が彼をそう呼んでいたから。
多分、名の方だろうが…性はなんというのだろう。
失われた記憶では、考えても情報が全く無い。
でも、なんだろう。
何だか…モララーと言う名前に
違和感というか…不思議な感じを覚える。
これは記憶を失う前の自分が何かを教えようとしているのだろうか。
何かが掴めそうだ。
自分がここに居るのは決して偶然ではない予感がする。
あくまで予感に過ぎないが…そんな気がするんだ。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:13:26.94 ID:7ChSYG6CO
お兄ちゃんの馬鹿ああぁぁ!!
スレ立て宣言したのにいぃぃ!!
この絶倫早漏ー!!
でも好きっ////しえんしちゃう////ビクンビクンw
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:14:06.27 ID:25+uWEnjO
>>9 別に纏めが何処だろうが読む人は読むだろ
あんまりそういうのは言わず心にしまっとけ
支援
14 :
>>12ごめんねごめんね。 ◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:14:15.38 ID:MAIlnydQ0
( ・∀・)「出来ましたよー。」
その思考は明るい声により停止させられる。
調理された野菜と香辛料のいい香りが一層トソンのお腹の音を大きくしたからであった。
その日は起きて食事をして、寝ておしまいだった。
昨日、来ていた子供達は一人も来ないかったし変化があったとすれば日の光と足の包帯くらいだ。
クレスト草(というらしい)の染み込んだガーゼを貼り直された以外はベッドでゴロゴロ。
モララーさん曰く、これで一日じっとしていればゆっくり歩く程度なら可能だろう、とのことだ。
だから次の朝はリハビリから始まることになった。
(゚、゚;トソン「わとと…。」
( ・∀・)「ゆっくりでいいですよ。焦らなくても時間はありますから。」
初めて見た外の世界は、見渡す限りの草原だった。
気温や日差しからして夏のようだが、やけに涼しい。
それを問うと、ここはかなりの山奥で人里までは歩いて4時間ほどもかかるらしい。
(゚、゚トソン「なんでこんな所で暮らしてるんです?」
リハビリ用の杖を置いてトソンは草の大地へと腰を下ろしていた。
すばやく治療されたので筋肉の衰えはないが、ずっと寝ていたせいで血流が悪くなっている。
ならばゆっくりとでも良いので運動をした方がいい、とモララーはトソンに言っていた。
15 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:16:38.36 ID:MAIlnydQ0
(; ・∀・)「…なんででしょうね。」
同じようにして隣にモララーは座っていた。
畑仕事がひと段落つき、休憩に入ったのでトソンの様子を見に来ていたのだ。
いくら涼しくても動けば汗が出る。
頬を滴る汗を首にかけたタオルで拭いながらモララーはトソンと会話をする。
(; ・∀・)「自分でもわからないです。
ただ、できる事をしたい。そう思った時は既にここへ居たような気がします。」
(゚、゚;トソン「……はぁ…よくわかんないです。」
(; ・∀・)「僕もわかんないんですから当然ですよ。」
モララーは優しく笑う。
トソンはその笑顔に少しだけ見とれていることに気づいた。
なんでだろう。
初めて会った人のはずだ。
記憶がないから当然なのだが…それでも初めて会った人だと身体が認識している気がする。
でも、なんでだろう。
『会った』のは初めてだけど
『見た』のは初めてではないような気がする。
( ・∀・)「さて、続きをやってくるかな。」
(゚、゚トソン「あ、頑張ってくださいね。」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:17:10.45 ID:7ChSYG6CO
しえーん
17 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:18:15.78 ID:MAIlnydQ0
あの丘の向こうで彼は野菜を栽培しているらしい。
今の足だとかなり疲れるので坂道はイヤだが、いつか慣れたら見に行ってみたいと思う。
( ・∀・)「トソンさんも、頑張ってくださいね。」
(゚、゚トソン「はい。努力します。」
小さく拳を握って意志を表明したトソンを見てモララーは頬を綻ばせる。
ラウンジの人だってVIPの人だって
悪い人もいれば良い人も居る。
特にこの人は記憶を失ってそういう境界を自ら持たないのだ。
だからVIPで療養しているという事実になんの疑問も持たない。
早く治って欲しい気もする。
でも、もしも治ったとして
記憶の戻った彼女は自分を拒絶したりしないだろうか。
今はまだただのVIP民。
そこへ更にレンデセイバーの性を持つ自分を知った場合
彼女はどういった行動をとるのだろう。
きっと…今のような感じで会話を交わすのは…できないのだろうな…。
なんというか…
それは、凄く寂しいな。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:19:08.15 ID:7ChSYG6CO
支援
19 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:19:16.50 ID:MAIlnydQ0
( ^ω^)「こーんにちは! ですお!」
ξ゚听)ξ「こんにちは、トソンさん…でいいんですよね?」
(*゚∀゚)「お? これが例の記憶喪失の美女、都村トソンさんかい?」
しばらくしたある日。
杖を使って歩いていると、3人の子供達がやってきた。
二人は知っている。
たしか、小太りの男の子がブーン君。巻き髪の女の子がツンちゃん。
あともう一人は知らない子だ。
(*゚∀゚)「ツー=チェイルってんだ! よろしくな!」
(゚、゚トソン「あ、うん。よろしくね。」
伸ばされた手を握ってしっかりと握手する。
( ^ω^)「モララーさんはお仕事ですかお?」
(゚、゚トソン「えぇ、あっちに居ますよ。」
指をさしてモララーの居る所を教えると彼らは一斉に走り出した。
モララーは随分と子供に慕われているみたいだ。
見ず知らずの他大陸の人間を治療して尚且つ泊めてくれるような人なのだから当然ではあるかもしれない。
あれだけ優しい人は…初めて見たかも。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:19:36.50 ID:T+LHt2b3O
________
|VIPでやるな |
|適切な板に池 |
|
>>1 |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
\(^p^)/
( )
/ \
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:20:35.79 ID:7ChSYG6CO
紫煙
22 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:21:59.65 ID:MAIlnydQ0
(゚、゚トソン「記憶がないのに何を思ってるんだか。」
コツンと頭を小突き再びトソンは歩き出す。
丘から帰って来た子供達が嬉しそうに桃を抱えているのをみて、トソンは小さく笑った。
( ^ω^)「具合はいかがですかお?」
(゚、゚トソン「うん。ずっと良いですよ。痛みも引いたし、怪我自体は治りました。
後はこのなまった身体を治すだけです。」
ξ゚听)ξ「良かったぁ。足なんて、骨まで見えてたから、どうしようかと焦ったんですよ。」
(゚、゚;トソン「あ、そうなんですか?」
( ´ω`)「もうべローンと…。あれはトラウマになりそうだったお…。」
桃を食べるためにモララーの家に戻っていった子供達に連れられてトソンも一緒に来ていた。
小さく切り分けられた桃を一つ取りながら彼女らは話を続ける。
(*゚∀゚)「へー。しかし骨折なんてよく治せたな。」
( ^ω^)「ぼくも知らなかったお。回復魔法ってのがあるらしいんだお。」
(*゚∀゚)「回復魔法?」
ξ゚听)ξ「近衛魔術師クラスしか使えない上級魔法のことよ。
身体に少し負担がかかるから、あんまり多様しちゃいけないんだけどね。」
(゚、゚トソン「へぇ…。」
次は遅くなるっていったじゃないかー!!
この絶倫!!
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:22:37.65 ID:7ChSYG6CO
試演
25 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:23:18.99 ID:MAIlnydQ0
とここで気づく。
モララーは魔術師なのはわかる。
何度か魔法を使っているから。
でも、上級魔法までも使いこなせる魔術師なのは知らなかった。
もしかして、名の有る人なんでは?
(゚、゚トソン「あの、モララーさんって実は凄い人なんですか?」
(*゚∀゚)「ん? ねーちゃん知らないのかよ。」
机を叩くようにしてツーが立ち上がり腕を組んで誇らしげに言った。
(*-∀-)「聞いて驚け見て驚け!
あの畑仕事に人生をかけているように見える優男兄ちゃんこそ!
かの有名な英雄、モララー=レンデセイバーなんだぜ!!!」
腕組をしてえっへん! と付け加えてからツーは座る。
( ^ω^)「お? でもトソンさんはラウンジ大陸の人だから…」
ξ゚听)ξ「英雄ではないわね。むしろ仇敵なんじゃ?」
(*゚∀゚)「あ、そっか。」
彼女らは普通に話している。
今さっきの自慢のような台詞だって、子供の普通の言葉
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:23:55.10 ID:7ChSYG6CO
紫炎
27 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:25:29.11 ID:MAIlnydQ0
でもなんで?
モララー=レンデセイバー
レンデセイバー
その言葉を聴いた途端に
まるで頭が割れるようにして痛んだ。
思わず頭を抱えて机に肘をついてしまう。
冷や汗が頬を伝う。
掴めそうなんだ。
失われた記憶が…
レンデセイバー
その言葉で。
( ^ω^)「トソンさん?」
ξ゚听)ξ「どうしました?」
(*゚∀゚)「どったのねーちゃん?」
急に黙ってしまったトソンへ子供達が心配の声をかける。
だが彼女の耳には届かない。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:26:54.54 ID:7ChSYG6CO
C円
支援!
30 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:27:30.48 ID:MAIlnydQ0
届いたのは先ほどの『モララー=レンデセイバー』
その言葉だけ。
( 、 ;トソン「……。」
あと少し
モララー=レンデセイバー
もうちょっとで…何かが…!!
( ・∀・)「おや、どうしたの?」
ちょうど仕事を終えたモララーが家に入ってきた
その顔をトソンが見た瞬間
(゚、゚;トソン「!!」
モララー=レンデセイバー
を
殺せ!!
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:28:35.65 ID:7ChSYG6CO
酒宴
支援
33 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:30:23.75 ID:MAIlnydQ0
(゚、゚;トソン「あ……!」
まるで電撃でもはしったかのように
一気に記憶の波が頭の中を駆け巡った。
時間は一秒にも満たないはず。
でも、記憶は完全に頭の中で再生された。
( 、 ;トソン「あぁ…!!」
(; ・∀・)「!?」
(; ^ω^)「お!?」
ξ;゚听)ξ「トソンさん!?」
(;゚∀゚)「ねーちゃん!!」
フラリと立ち上がったトソンはそのまま倒れこんでしまった。
――――。
ラウンジ大陸で、私に与えられた任務は一つ。
未だ生存しているであろう、モララー=レンデセイバーを殺すことだった。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:31:53.94 ID:+YgCnTGUO
最近またAAのスレが増えてきたな。良い事だ
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:31:58.20 ID:7ChSYG6CO
深淵
36 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:32:50.46 ID:MAIlnydQ0
戦争後、様々な条約を結び付けられたラウンジ大陸。
負けた側の大陸ということで、かなり不利なものばかりであった。
時間も経ち、かなり緩和されたのが…まだ根強く恨んでいる人も少なくは無い。
特にラウンジ王は、再び戦争を起こすことをも考えていた。
それほど負けたことが屈辱であったのだろう。
だが、たとえもう一度戦争を起こしたとして
相手の大陸には有能な兵の誰もが敵わなかった最強の魔術師がいる。
『黒風』モララー=レンデセイバー
戦争時の齢は15。現在でも生きている可能性は十二分にありえる。
魔術師は集中力と魔力さえあれば、老兵になれど現役と同じくらい活躍する。
つまり、少なくとも5、60年はVIP大陸には勝てないという計算が出る。
そんなに待てるわけがない。
年を重ね、栄光を重ねた自分が
たった一人の魔術師によって負かされるなんて…!!
だからラウンジ王は、彼の暗殺を企てた。
まともに正面からやりあっても、たとえ一個師団仕向けたって敵わない。
正攻法がダメなら蛇の道を使えばいいのだ。
そんな理由により集った暗殺者の中の一人が…都村トソンだった。
VIP国に居るスパイ達によると、モララーの消息は不明となっている。
かといって、生きてる可能性は0ではない。
故に隅々まで探す必要があった。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:34:31.04 ID:7ChSYG6CO
水園
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:34:54.92 ID:xYqn3tmNO
支援
39 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:35:25.48 ID:MAIlnydQ0
偶々派遣された地域の、偶々入った山の中
トソンは一つの家を見つけた。
川の上流から遠視魔法のかかった小さなガラスを使い、やっとの思いでモララーを見つけたのだ。
だが運が悪かった。
川の上流で監視している最中、急に足場が崩れて川へと転落。
騎士の出であったトソンはなす術もなく川の狂ったような流れに巻き込まれてしまったのだ。
( 、 トソン(…そして、私は彼に助けられた)
( ・∀・)「あ、目覚めましたか?」
随分慣れてしまった憎き敵のベッドで半身を起こしてトソンは片手で顔を覆っていた。
( ・∀・)「ビックリしましたよ、急に倒れるんですから。」
( 、 ;トソン「すみません、心配かけて。」
汗の染みたシャツを見ながらトソンは言う。
なんて自分はドジなのだろう。
殺すべき相手の懐にいつの間にか飛び込んでしまっているだなんて…。
( ・∀・)「顔色があまりよくないですね。貧血でしょうか…?」
なんにせよ、とモララーはコップに溜められたクレスト草の薬茶を渡した。
拒否をしては怪しまれると思ってトソンはそれを口にする。
( ・∀・)「すっかり夜が更けちゃいましたね。」
40 :
◆microbe.12 :2009/03/20(金) 23:36:18.18 ID:E4fhlXVv0
しえーん
しえーんはPCです
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:37:18.23 ID:7ChSYG6CO
睡蓮
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:37:21.19 ID:GGMto+y20
>>9 言いたいことはわkるがやめておけ荒れる素だ
43 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:37:54.28 ID:MAIlnydQ0
壁に身体を預けてモララーが天窓を見ながら言う。
子供達は家に帰し、今は二人だけのようだ。
( ・∀・)「また何かあれば、家の裏にある馬小屋に居ますから呼んでください。」
( 、 トソン「…はい。ありがとうございます。」
それだけ言い残してからモララーは家を出て行った。
( 、 トソン(何をしてるんだ私は…。)
ベッドに腰をかけた状態にし、膝に手を付いて深く考え込む。
ここ数日、彼と…仇敵と過ごした。
今思うと…あの笑顔も行為も
全てが全て…憎い。
あんな顔をしておきながら…腹の下では蔑んでいたのかもしれない。
負け犬大陸の民族めが! そう思っていたのかもしれない。
自分の記憶が戻った途端に、イラつきが収まらなくなった。
それは自分がミスをしたことに対してでもあったし
モララーへの憎悪でもあった
だが
なによりも
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:39:01.59 ID:7ChSYG6CO
詩園
45 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:39:54.22 ID:MAIlnydQ0
( 、 トソン(惹かれつつある自分が…一番イラつく。)
自大陸の兵士を何人も殺し、苦渋を舐める原因となった人間なのだ。
でも…自分をラウンジの人間と知っても助けてくれたこと
屈託のない笑顔。子供達と楽しそうに話す姿
何かあればすぐ飛んできて自分を心配してくれる。
そんな、善意の塊のみたいな人
ここ数日で自分が得た、彼の情報はそれだけだった。
( 、 トソン(甘いぞトソン…。忘れるなッ!)
良い人だろうと何だろうと
彼が居る限り、ラウンジ大陸の発展は得られない。
今ここであいつを殺し、再び戦争を起こして今度こそ勝利を得る。
準備は一日たりとも怠っていないラウンジ大陸だ。勝算は十分にあるはず。
(゚、゚トソン(私の行動で、ラウンジ大陸の人が救われるんだ。)
自分のこの手で、数多の自大陸民を救える。
甘ったるい情など捨てろ。
トソンはゆっくりと立ち上がり、階下へ向かった。
そしてキッチンにおいてあった新品同様に砥がれた包丁を手に取る。
それを布で包みそっと懐へと忍び込ませた。
彼は馬小屋に居る。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:41:23.51 ID:7ChSYG6CO
しえーん
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:41:43.85 ID:PUlBawSYO
支援なのである
48 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:41:49.14 ID:MAIlnydQ0
何でもない会話をしている最中…いや、寝ている隙でも良い。
とにかく…警戒心を薄れさせたら後は一思いに殺してやろう。
( 、 ;トソン「……。」
懐にある確かな重量を感じながらトソンはゆっくり歩く。
普通に歩く程度なら足は回復した。
腕の方は問題ない。急所を一刺しでジ・エンドだ。
何度も何度もトソンは反芻した。
殺すんだ殺すんだ殺すんだ。
一応、何度か実戦にも出たことの有る彼女。
それなりの称号もあるし、こんなことくらいでは緊張なんてしないはずだ。
なのに、何故こんなに冷や汗が出る? 呼吸が浅い?
…本当の理由はわかってる。
でも、それは押し殺さねばならない感情。
だから彼女は何度も何度も、その思考を感情を消すために反芻しているのだ。
殺すんだ殺すんだ殺すんだ!!
( ・∀・)「おや、どうしました?」
藁の上で寝転がる彼を見つけた。
小さな馬小屋には、おとなしそうに尻尾を振る馬が1頭だけ。
どきどき
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:44:16.38 ID:7ChSYG6CO
支援
51 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:44:53.15 ID:MAIlnydQ0
邪魔するものは誰も居ない。
チャンスなんだ。
(゚、゚トソン「ちょっと眠れなくて…。」
( ・∀・)「そうですか…。まぁ、慣れない環境ですから仕方ないでしょうね。」
ラウンジ大陸はベッドを使わずに布団を敷いて寝ると聞きましたしね。
とモララーは青年らしい笑顔をトソンに向ける。
(゚、゚;トソン「…。」
( ・∀・)「睡眠促進作用のあるお茶なら作れますけど…どうします?」
(゚、゚トソン「いえ、いいです。夜が深くなれば寝れるとは思うんで。」
( ・∀・)「そうですか。」
(゚、゚;トソン「だから…その…それまで、何かお話ししませんか?」
( ・∀・)「え?」
(゚、゚;トソン「ダメでしょうか…?」
( ・∀・)「……いえ、いいですよ。」
よし。普段どおりだ。
怪しまれている様子も無い。
トソンはゆっくりと歩きモララーの隣へ腰を下ろす。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:45:50.30 ID:7ChSYG6CO
紫煙
53 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:46:12.35 ID:MAIlnydQ0
(゚、゚;トソン「…。」
( ・∀・)「どんな話しましょうか?」
急に顔を向けてきたのでトソンは顔をそらそうとする。
だがそれではあまりにも怪しいのでは、と気づきギリギリで目線だけを逸らことに成功した。
元々暗がりの中なので、意味のないことではあるが…。
(゚、゚;トソン「そうですね…。あ、昔話とか聞いてみたいです。」
( ・∀・)「…童話とかですか?」
(゚、゚;トソン「いえ、えっと…あ! モララーさんの昔話とかがいいです!」
首を縦に振ればそれでいいはずなのに…
なんだか子供扱いされたような気がして思わず否定してしまった。
( ・∀・)「僕の…ですか?」
(゚、゚;トソン「え、えぇ! 何だか気になっちゃって…どうしてここに暮らすことになったのかとか…そういうのを…。」
( ・∀・)「……。」
(゚、゚;トソン(しまった…流石にタブーだっただろうか…。)
いや、でも彼はまだ自分に記憶がないものだと思っている。
今まではラウンジとかVIPとか関係ない人間として接してきたんだ。
多分…それほど重く考えないで言ってくれるんじゃないだろうか。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:46:36.23 ID:sMbU0t2r0
実は未だ一話すら読んでないけど非常に面白そうなので支援
まとめて読むよー
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:47:57.26 ID:7ChSYG6CO
試演
56 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:48:24.30 ID:MAIlnydQ0
( ・∀・)「…僕の話は…聞いてて気持ちがいいもんじゃないですよ。
特にあなたは記憶がないとはいえ、ラウンジ大陸の人間です。
忌み嫌っている大陸の人の話なんて聞いても…。」
(゚、゚;トソン「い、いいですよ! お世話になってる人のことを嫌いになったりするもんですか!」
もう破れかぶれだ!
とにかく話すことに集中させて、その隙にこの包丁で…!!
( -∀-)「……わかりました。もしかしたら、記憶に関係するかもしれません。
荒療治になるかもしれませんが、いいですか?」
(゚、゚;トソン「はい!」
ため息をついてからモララーは話を始めた。
よし、とにかく話させることには成功したぞ。
( ・∀・)「僕が生まれたのはVIP大陸の田舎町。
親は既に居なかったから、親戚の人に預けられていました。」
( ・∀・)「小さい頃はどこにでもいる普通の子だった。
でも、ある日…気づいたんだ。いや、教えられた。
自分には魔術師の才能があることに。」
(゚、゚;トソン「…。」
( ・∀・)「それから学校に入り、本格的に魔法の訓練を始めてから…僕の世界は変わった。
教科書に書かれている魔法を先生の手ほどき無しで発動させたり
魔力を応用して自分にしか出来ない魔法を編み出したり…」
支援
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:49:54.42 ID:7ChSYG6CO
紫炎
59 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:51:09.95 ID:MAIlnydQ0
( ・∀・)「けど、首席になった頃には僕の周りに友達は居なかった。
みんなが僕を恐れていたんだこともあるし……たぶん、嫌われていたと思う。
出る杭は打たれる精神が残ってる時代だったからね…突出した人間ってのは好かれなかったんだ。」
( -∀-)「悪魔の子とも呼ばれるほどの僕を心から必要としてくれたのは…
多分、VIP国の王だけだろうね。」
(゚、゚トソン「…。」
いつの間にか敬語をやめてモララーは話に没頭していた。
彼女に話してるのではなく、自分自身の人生を振り返るような口ぶりだった。
そんなモララーを見てトソンは好機とばかりに懐の包丁の柄を握った。
だが…手は動かない。
彼女自身もまた、いつの間にか話を聞くことに没頭してしまっていたのだ。
( ・∀・)「軍隊に入れば自分と同じくらいの怪物は居ないこともない。
年齢が離れているとはいえ、僕はそこで初めて『友達』というものを知ったんだと思う。
肩を並べて歩けるってのは凄く嬉しかった。」
(゚、゚トソン「…。」
( ・∀・)「軍隊に配属された後、すぐに戦場へ僕は駆り出された。
できることをやってこい。と王の命令一言で。」
( ・∀・)「もてる限りの魔力を解放し、風の龍を火の魔神を水の精霊を操り
僕は数え切れないほどの人間を殺した。」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:54:16.02 ID:7ChSYG6CO
>恐れていたんだこともあるし
恐れていたということもあるし
でおk?
61 :
>>60 はいorz ◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:54:34.55 ID:MAIlnydQ0
( ・∀・)「そしてたどり着いたラウンジ城。
王座を守る兵をも殺し、僕は王へ告げた。
『投降しろ』と。」
( ・∀・)「戦争はそこで終わり、僕の役目も終わった。
後はこの通り、ひっそりと田舎で暮らすことにしたのさ。」
(゚、゚トソン「……どうしてですか?」
( ・∀・)「え?」
(゚、゚トソン「一番の功労者であるあなたは…どうしてその栄誉を受けなかったんです?
一生遊んでくらせるほどのお金だって、それだけのことをした人には与えられるはずです。
王以外は、いえ下手したら王をも顎で使えるほどの人間のはずでしょう。」
(゚、゚トソン「どうしてなんですか?」
( -∀-)「……。」
モララーは拳をグッと握り、そのまま額に押し当てた。
( ・∀・)「償いたかったんだ」
(゚、゚トソン「償い…?」
( ・∀・)「一人一人の人生を終わらせたことは確かなんだ。
それを美化しようとする人たちが僕は許せなかった…。」
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:56:11.64 ID:7ChSYG6CO
お兄ちゃんwどどんまいw
63 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/20(金) 23:57:21.21 ID:MAIlnydQ0
( ・∀・)「だから、僕自身が殺してしまった彼らに出来る償いは何かを考えた。
出した結論は、彼らのことを一生忘れずにこの世界の平穏を守っていくこと、だ。
お金はなくても、称号なんてなくてもより良い世界は作っていける。
それを証明したかった。」
(゚、゚トソン「……そういえば、この前私に言ってましたね。
『罪滅ぼしをさせてほしい』って。」
( ・∀・)「…うん。あなたは僕が傷つけたラウンジ大陸の人だ。
以前は傷を負わせる側だったけど…今は戦争をしていない。
ならば、今度は違う視点から」
( ・∀・)「ラウンジの人を…あなたを助けるという行為をしたかったんだ。
僕の考える償いの一つとして……ね。」
(゚、゚トソン「……正直な話をすれば……かなりの偽善者ですね。」
( ・∀・)「…そうですね。あなた以上に苦しんでいる人がラウンジ大陸の居るのは確実。
なのに僕は目の前に居る、手の届く人間しか助けようとしない。
そのくせ、平和を守っていくなんて大それたこと言う。」
( ・∀・)「甘っちょろい理想を掲げる……ただの偽善者です。」
(゚、゚トソン「……ひとつ、聞いていいですか?」
( ・∀・)「どうぞ。」
(゚、゚トソン「あなたはラウンジの人を殺したことを…後悔してるんですか?
やらなければよかった、と思ったことは…?」
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/20(金) 23:59:39.29 ID:7ChSYG6CO
C円
65 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/21(土) 00:00:12.04 ID:pBkNT1NZ0
( ・∀・)「……初めは後悔してました。
いえ、むしろ最近まで後悔を続けていました。
でも、ある日僕は教えられたんです。」
(゚、゚トソン「何を…?」
( ・∀・)「僕はたくさんの人を殺した。
けど、それ以上にこれから誕生する命を…
未来を救ったんだ、と。」
(゚、゚トソン「未来…。」
( ・∀・)「前線に出て、一人殺すたびに僕の心は押しつぶされそうになっていた。
なぜ同じ人間なのに殺しあわねばならないのか。
なぜ同じ人間なのに仲良くできないのか。
他人の人生を一つ終わらせるたびに僕は涙してましたよ。」
( ・∀・)「でも、その言葉を聞いた時…なんだか肩の荷が降りた気がしたんです。
あぁ、僕のやったことは決して間違いではなかったんだ、って。」
(゚、゚トソン「…そうですか。」
(; -∀-)=3「……ふぅ…こんな話を他人にしたのは初めてですよ。」
モララーは拳を解いて藁束に身を預けていた。
何でこんな話をしたんだろう。
話を終えたモララーはそう思っていた。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:01:26.04 ID:966EDTYFO
詩園
67 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/21(土) 00:02:09.75 ID:pBkNT1NZ0
彼女がラウンジの人だから?
彼女の記憶がないから?
ううん。
多分それだけではないだろう。
もっと別な……。
(゚、゚トソン「…。」
トソンは無防備になっているモララーを見据えた。
今なら殺せるだろう。彼は完全にリラックス状態だから。
そっと近づきこの胸に隠した白刃で一突き。
それで全て終わるんだ。
ラウンジが救われるんだ…!
でも…柄を握る手に力が…入らない。
( ・∀・)「あ、そうだ。」
(゚、゚;トソン「!?」
モララーは急に身体を起こしてトソンの瞳を見つめた。
瞬間的に反射行動を起こすが隠した刃は見えていないはず。
( ・∀・)「自己紹介、ちゃんとしてませんでした。
さっきの話を統括する感じでやりますね。」
モララーはスッと立ち上がり、頭を下げながら静かに言った。
しえn
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:04:14.37 ID:966EDTYFO
しえーん
70 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/21(土) 00:04:40.98 ID:pBkNT1NZ0
( ・∀・)「僕の名前はモララー=レンデセイバー。
あなたの故郷、ラウンジ大陸を敗戦に導いた人物です。」
(゚、゚;トソン「!」
( -∀-)「もしも何かを思い出し、僕に恨みの一つでもあれば…抵抗はしません。
あなたの好きなようにしてください。」
トソンはゴクリと生唾を飲んだ。
どうして?
どうしてこの人は…こんなにも自分を犠牲にできるんだ…?
楽しい学生生活を諦め
辛い最前線での戦闘を行い
語りたくない過去を自分に話してくれた
その上で、彼は自分に殺されても構わないと言っている。
( 、 ;トソン「どうして…そこまで…?」
トソンはなんとか搾り出した声で彼に問うた。
( -∀-)「なんででしょうね…」
( ・∀・)「僕にもよくわかんないです。」
ニコリと顔を上げたモララーを直視した時
トソンは包丁の柄を離してしまった。
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:06:17.58 ID:966EDTYFO
支援
72 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/21(土) 00:06:46.18 ID:pBkNT1NZ0
(;、;トソン「うっ…。」
それは嗚咽を抑えるためだ。
溢れてくる涙を隠さねばならないと思ったからだ。
(; ・∀・)「あれ!?」
モララーは焦る。
そんなに泣ける話でもないはずだし、変なことしたつもりもない。
なのにどうしてこの人は泣き出したんだ?
(;、;トソン「す、みま…せん…。」
おろおろするモララーに手のひらを向けて大丈夫だと促し、子供みたいにトソンは泣きじゃくった。
ダメだ。
殺せない。
自分にこの人は殺せないよ。
いくら祖国のためだといっても
いくら心から憎んだ仇敵だといっても
彼の心の内を、行動を見ると…とても殺す気になんかなれない。
遂に心が折れてしまったトソンは涙を抑えきれなくなってしまったのだ。
自己を犠牲にし、掴み取った平和。
誰よりも辛い人生を歩んだのに、誰も恨んでいない。
むしろ自分自身を呪っていたくらいなんだ。
彼の悲しみや辛さは…きっと負けたラウンジの人間以上のものだろう。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:08:23.29 ID:966EDTYFO
紫煙
74 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/21(土) 00:08:40.15 ID:pBkNT1NZ0
…冷静になってみろ。
戦後10年、二大陸の関係は少しずつ良好になっている。
VIP国だって、不利な条約を次々に破棄し友好的になろうとしている。
今更戦争を起こし、多くの血を流すのはベストではない。
むしろ、モララーのような人がもっともっと多く必要なんだ。
彼がいることでラウンジは手を出さない。
逆にラウンジにもそういう人が居ればVIPも手を出さない。
お互いがお互い、戦う気を無くすことが…そして、手を取り合うことが一番大切なんじゃないだろうか。
(; ・∀・)「あの、何か思い出したとかですか?」
(;、;トソン「…グスッ…ヒック…。」
トソンは首を振る。
もう思い出さなくていい。
自分の記憶は回復しないことにしよう。
そうすれば自分はVIPとラウンジ、どちらの人間でもないことになる。
そうすれば…彼と一緒に居られるんではないだろうか。
涙と共に素直な気持ちが流れてくる。
数日過ごした彼女が抱いた、押し殺したはずのささやかな希望だった。
結局トソンは泣いた理由をあしらい
いつの間にか泣きつかれ、モララーの自宅のベッドで寝かされていた。
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:10:23.97 ID:966EDTYFO
トソン……
76 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/21(土) 00:12:07.20 ID:pBkNT1NZ0
( ・∀・)「大丈夫ですか?」
(゚、゚トソン「すみません、昨日は。」
次の日、トソンは深々と頭を下げて謝った。
ちなみに包丁はモララーが家に来る前に戻しておいた。
ベッドに連れて行かれる最中に気づかれたかもしれない。
でも…もう自分には微塵もの殺意や憎悪はない。
(゚、゚トソン「さて、じゃあ今日もリハビリ頑張りますね。」
( ・∀・)「えぇ、僕も畑仕事を頑張りますね。」
徐に二人は立ち上がって活動を始める。
昼下がりには子供達がやってきた。
( ^ω^)「もう大丈夫なんですかお?」
ξ゚听)ξ「無理はしないでくださいね。」
(*゚∀゚)「でも、見た感じ元気そうでなによりだぜ!!」
それぞれ心配の言葉をかけてから遊びに行った。
青々と茂った草葉を走り、楽しげな子供独特の高い声ではしゃいでいる。
見ているだけでこちらも元気になっってきた。
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:13:01.11 ID:q/QPmN9l0
あああああああああっ!!
こんな感動のシーンで
(;、;トソン「…グスッ…ヒック…。」
これが
(;、;トソン「…セックス…。」
に見えたあああああああああああぁっ!!
みんなごめんねえええええええええ!!11
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:13:23.56 ID:966EDTYFO
試演
79 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/21(土) 00:14:45.26 ID:pBkNT1NZ0
(゚、゚トソン(今日こそは。)
ゆっくりと歩きながら丘を進む。
何度か休憩をし、汗を拭い、息を整えて
やっとの思いで丘を越えた。
先に見えるは茶色の大地。
所々に木々や蔓が見えていいコントラストになっている。
その中で一つだけ動く人間。
モララー=レンデセイバーがこちらに気づき手を振ってきた。
( ・∀・)「随分回復しましたね。」
(゚、゚トソン「えぇ、モララーさん達のおかげです。」
休憩がてら二人は丘の上で話していた。
視界に移るのは自宅を覆う大樹とその木陰で何かをして遊んでいる3人の子供達だ。
青い空と大きな入道雲も季節を感じさせる。
(゚、゚トソン「…モララーさん。」
( ・∀・)「なんでしょうか。」
(゚、゚トソン「これから…この世界はどうなっていくんでしょうか?」
彼の守った未来はどうなっていくのか。
モララーの意見を聞きたくてトソンは聞いた。
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:14:54.94 ID:tZ0epa86O
>>77 なんでいちいち報告するの?
構ってちゃんは黙ってろ
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:15:57.03 ID:966EDTYFO
紫炎
82 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/21(土) 00:17:14.51 ID:pBkNT1NZ0
( ・∀・)「…。」
目線をモララーは下に降ろした。
ブーンとツーが何かを勝負していて、ツンがその仲裁役として何かを喚いている。
( ・∀・)「ブーン君のように、しっかりとした信念の子が居れば戦争は起こらないでしょう。」
( ・∀・)「ツンちゃんはそのサポート役として頑張ってくれるだろうし」
( ・∀・)「ツーちゃんは、僕の野菜を売ってくれている。いずれは魔法に頼る人間も減ってくるでしょう。」
( ・∀・)「多分、僕達が思っているよりも安泰でしょうね。」
昨日と同じ屈託の無い笑顔をトソンへ投げかける。
トソンはその顔を見て、目を弓上にし口元を吊り上げて返事をした。
(゚ー゚トソン「そうですか…。」
( ・∀・)「えぇ、そうです。そうなると信じましょう。」
(゚、゚トソン「…モララーさん。」
( ・∀・)「はい。」
( 、 ;トソン「その…私の記憶はまだ戻ってません。」
(゚、゚トソン「ですから、良かったらでいいんです。
記憶が戻るまでは、あなたの傍に居てもいいですか?」
83 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/21(土) 00:19:51.26 ID:pBkNT1NZ0
( ・∀・)「……。」
モララーは驚いた顔をしてトソンを見返した。
少しだけ考える素振りを見せてから…その優しくて純粋な瞳を見つめて、モララーは笑う。
( ・∀・)「えぇ、良いですよ。」
(゚、゚トソン「…では、不束者ですが今後ともよろしくお願いします。」
( ・∀・)「……こちらこそ。」
二人は同時に礼をして、同時に顔を上げて、同時に笑った。
モララーは知っていた。
彼女の記憶が戻ったこと。
彼女が自分を殺すために昨日の夜来たこと。
……でも
そんなこと、もうどうでもいいじゃないか。
自分の望んだ世界が、こうして手に入ったことを今は素直に喜ぼう。
モララーは空を仰ぐ。
夏の強い日差しが照りつける。
目下では楽しげに子供たちが遊び、草原を駆け抜けていく。
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:20:06.71 ID:8QX4ywJ2O
>>80 2chに書き込むヤツなんて皆かまってちゃんなんだから
むしろかまってやれよ
そして支援
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:20:09.92 ID:966EDTYFO
(^ー^トソンC円
86 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/21(土) 00:21:28.97 ID:pBkNT1NZ0
今日も世界は平和な時間が流れている。
辛いこともあったし悲しいこともあった
でも、それを乗り越えて手に入れた平和はそれを忘れ去るほど素晴らしい。
願わくば、ずっとずっと
この身が果てるまで
平穏な時間が続きますように…。
おわり
87 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/21(土) 00:23:33.20 ID:pBkNT1NZ0
一週間も空けちゃったよ。
つーわけで、とりあえずおしまいです。
引き伸ばし引き伸ばしでやってきたからネタ切れがめっさ速いのです。
こんな時間まで付き合ってくれてありがとうございます。
まとめサイトのブーン文丸新聞様にも感謝感謝です。
4月に入ったら間違いなく忙殺される日々が始まるので、しばらくは作品かけないかもしんねーです。
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:24:46.84 ID:966EDTYFO
……これも好きだから終わってほしくなかった……でも終わりなんだよね……
乙〜
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:25:43.94 ID:8QX4ywJ2O
>>87 モララー結婚するまで続くと信じてたのに!
乙でした!!
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:26:44.55 ID:966EDTYFO
お兄ちゃんの絶倫早漏っぷりが見れなくなるのは寂しいなw
91 :
◆hCHNY2GnWQ :2009/03/21(土) 00:27:31.78 ID:pBkNT1NZ0
>>88 >>89の言うとおりに、正直見直してみると伸び白のありまくりな世界観なんですよね
とりあえず、これで一旦切りますが何かふと思いついた展開とかあったら番外編?みたいなの書くかもしれません
とりあえず次回作のプロット練るのが今は楽しくて仕方ないです
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 00:35:26.51 ID:966EDTYFO
>>91 番外編に遭遇出来たら嬉しいなw
次回作はラブコメなんだっけか?w
パパ、前回「ごめんね、お兄ちゃん早くてごめんね」って言われてから性転換して若返ってみたけど、キャラ崩壊しそうwwwっうえwwwっうえwww
妹キャラ難いwww
>>92 ラブコメもいいけど、久しぶりにシャナ読んだらこんなのでもいいかなぁ…と
なんか色々書きたいことがたくさんあるんですね
プロットが固まってる(というか昔書いた奴)のをブーン系に再構築する方がラブコメなんで
多分、そっちになるんじゃないかと思います。
再構築は時間がかからないので、下手したら明日にでも投下あるかもしれません。
トリップはもう代えるの一々面倒になってきたんで、マシーナリーの時に使ってたジョン酉に戻しますね
乙!
>>93 再構築なら大丈夫かな。
たまに自作品をブーン系に焼き直しした作品を見かけたことがあるんだけど、キャラの名前が直しきれてなくて全然関係無いのが入ってると萎えるんだよね
これが発生しないように気をつけてw
>下手したら明日にでも投下あるかもしれません。
もぅwお兄ちゃんったらw絶倫早(ry ////
ジョン酉になるんだw
じゃあ、見かけたらジョンお兄ちゃんって呼ぶかもwww
てか、ジョンお兄ちゃん、最近忘れ物してるよ?
>>95 あくまでブーン系に直すので、一旦話自体は崩しますからその心配はないです。
忘れ物? えっと…?
>>96 それなら安心w
お兄ちゃん最近、あたし以外の支援してくれた人達へのお礼忘れてるよ?
>>97 うわぁあああ
一番忘れちゃいけないことだったwww
今更ですが支援してくれた方々本当にありがとうございました!
>>98 wwwwwお兄ちゃんwwwww最終話なのにwwwこれだもんwwwww
絶倫早漏でうっかりさん……
本番時にゴム忘れるor着けそびれるタイプとみたw
(-_☆)
あ!100Get♪w
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 01:41:44.33 ID:DrnvKauRO
966EDTYFOが気持ち悪すぎる…。
それはどうでもいいとして
作者さん乙でした!
次回作も期待して待ってますw
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/21(土) 02:19:58.86 ID:IJV5L9y7O
よむほ
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
よむほ