1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
しんで
部屋に戻ると、カエデはベッドの上に座って備え付けのテレビを眺めていた。
「―――第二十七回ポケモンリーグにおける――の最有力候補はやはり―――」
「――やはり――が――妥当なところでしょうな―――」
「―――いやいや――先日の公式試合でAランクに昇格した――も捨てがたい――」
「――ランクだけが全てではありませんよ――私は――が今期のダークホースと睨んでいますがね――」
「――ご冗談を――彼女はランク外の新人だ――過大評価が過ぎますよ――」
ここのところ、来年の春に控えたポケモンリーグに向けた番組が増えてきている。
ピカチュウが奪われて以来、あたしは極力、ポケモンリーグの存在を意識しないようにしてきた。
第一に優先すべきはピカチュウの救出なのだと、自分に言い聞かせてきた。
でも、今こうしてポケモン評論家の議論を耳にしていると、不意にその意志が挫けそうになった。
……お父さんに会いたい。
頭の中で、封じ込めていた感情が疼き始める。
あたしはハンガーに掛けていたジャケットを手にとって、袖を通した。
「出かけてくる。夜までには戻るから」
行き先は昨日と同じ場所。
「待って」
カエデは苦しそうに声を絞り出した。
セキチクの手前で口論をして以来、
他の人がいる前ではそれまで通りに振る舞いながらも、
あたしとカエデの間にはやはり目に見えない溝が存在していた。
それは日を追う毎に、あたしが焦りを増す毎に深くなっていって、
二人きりの時はほとんど会話が続かなくなっていた。
でも……それも今日でお仕舞い。
悪いのは全て、ゲンガーに正面から向き合おうとせず、
ピカチュウを探す手立てがなくなったという現実を受け入れられなかった、弱いあたし。
「あのさ、ヒナタ――」
言いかけたカエデを遮って、
「分かってる。分かってるから、何にも言わないで。
あたし、踏ん切りを付けたいの。その上で、カエデに色々話したいことがあるの。
だから……今だけは放っておいて」
ktkr
作者おかえり!
ほ
市街に背を向けて、行く人もまばらな小径を選んだ。
木枯らしは昨日のそれよりも冷たくて、あたしは首を襟に埋めた。
「はぁっ……」
吐く息は僅かに白く、秋の終わりが近いことを教えてくれる。
刻一刻と指が悴んでいくのを知りながら、歩調は緩めたままで。
お父さんのことを考える。
ピカチュウを拉致されて以来、極力意識しないようにしてきた感情が、
ここ最近、ふとした拍子に疼くようになっていた。
リュウジとタケシさんの触れ合いや、
涙目のアンズちゃんが語ったキョウさんへの思い――。
そういうのを間近で見たり聞いたりする度に、
あたしの中で凋んでいたお父さんへの感情が、再び膨らんでいった。
切欠はやっぱり、初めてリュウジ親子と出会ったあの日、
シチューをご馳走になった後で、
こっそりタケシさんに若い頃のお父さんのお話を聞かせてもらったことだろうな、と思う。
聞いたら箍が外れてしまうかもしれない。
折角固めた気が変わってしまうかもしれない。
そう分かっていたのに、聞かずにはいられなかった。
『教えて下さい。お願いします』
『そうは言ってもな。かなりうろ覚えだから、期待に添えないと思うんだが』
『いいんです。お父さんのことなら、何でも……』
仕方ない――渋々といった感じで口を開いたタケシさんは、
最初の態度もどこへやら、饒舌に過去のことを語ってくれた。
かなりうろ覚えだから、期待に添えないと思うんだが ×
かなりうろ覚えで、期待に添えないと思うぞ ○
支援
お父さんが、駆け出しの頃は馬鹿ばっかりやっていたこと。
お母さんとは性格の不一致でしょっちゅう口論していたこと。
ライバルのシゲルおじさんとポケモントレーナーの腕を競い合っていたこと。
ロケット団の下っ端三人組と因縁の仲だったこと。
次々にバッジを手に入れていったこと。
伝説のポケモンと出会ったこと。
数え切れないほどの冒険を経験したこと。
誰よりもポケモンを大切に育てていたこと。
誰よりもポケモンの機微を理解するのに長けていたこと。
誰よりもポケモンバトルが下手だったこと。
誰よりもポケモンバトルが上手になったこと。
そして、史上最年少でポケモンリーグの頂点に君臨したこと――。
でも、お父さんが失踪した辺りになると、
タケシさんは急に険しい顔になって口を噤んだ。
溜息をついて、元々細い目をさらに細めた。
それはなんだか、怒るのを我慢しているように見えた。
すっかりタケシさんの話に聞き入っていたあたしは、
失礼のないように続きを急かしたけど、
タケシさんはそれ以上、「これで終わりだよ」と言って話してくれなかった。
次の日も、その次の日も、
あたしはウツギ博士を待つ間に何度かタケシさんに昔話を聞かせてもらおうとした。
でもタケシさんがわざとあたしと二人きりになることを避けているみたいに、
あたしはその機会を持つことができなかった。
丘に中腹あたりで振り返ると、
丁度真っ赤に燃えた太陽が、サファリパークを囲うように連なる山の端に触れるところだった。
目の前の光景は相変わらず綺麗だけど、
夕陽の光を遮るように厚く雲が張っていて、昨日の夕焼けに比べると見劣りする。
透き通った橙色も、鈍色の雲を反射した途端にくすんだ色になってしまう。
もちろん、それに照らされたサファリパークも。
丈の低いススキを掻き分けて、昨日、アンズちゃんと一緒に腰を下ろした位置を探す。
サファリパークの草原を一望できる、とても見晴らしのいい場所だ。
見つけるのに少し時間がかかってしまって、
腰を下ろす頃には夕陽は半分沈んでいた。
隣を見る。アンズちゃんはいない。
当然よね……。アンズちゃんはあの年で既に、立派なセキチクシティジムリーダーなんだから。
あたしよりずっと年下のアンズちゃんでさえ、
遠く離れたお父さんに会えないことを理解した上で、
今自分に出来ることを実践してる。
ジム戦に負けて一旦は落ち込んだリュウジだって、
タケシさんの保護下から抜け出して、一人で修行に打ち込むことを決心した。
何も決めてないのはあたしだけ。
現実から目を逸らして。
カエデの助言も突っぱねて……。
お父さん探しを旅の目標に据え直せない理由は、
ピカチュウに対する罪悪感、ただそれだけだった。
でも、たったそれだけのことが、どうしても振り切れなかった。
今頃ピカチュウはあたしの助けを待っているのかもしれない。
お父さんを探すことに時間制限はないけど、ピカチュウ救出の手がかりは刻一刻と失われていく。
ここであたしが諦めたら、ピカチュウは二度とあの組織から逃げ出すことが出来なくなるかもしれない。
それを解った上で、ピカチュウのことを忘れて、ポケモンリーグに臨むことなんて、あたしには出来ない。
そんな思考がぐずぐず居座って、あたしの決心を邪魔していた。
でも、もういい加減決めなきゃ。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 21:52:16.65 ID:BBB+M1FgO
ピカチュウは喋らない。バカだから
利口じゃない
腰のベルトに視線を合わせる。
二つのモンスターボールと一つのハイパーボール、そして、あの夏の日から空いたままのアタッチメント。
カエデは道を示してくれていた。
がむしゃらにピカチュウを探しても時間の無駄になるだけ。
とりあえず今はポケモンリーグを目指して、副次的にあの子の手がかりとなる情報を集める。
それが最善策よ。
自分を正当化するわけじゃないけど、ピカチュウだってきっとこの決心を誉めてくれる。
きっと、あたしを咎めたりしない。
きっと、あたしのことを恨んだりしない。
きっと、きっと………、
「ごめん……、ひくっ……、ごめんね……、あたしを許して……、ピカチュウ」
例えピカチュウが許さなくても俺は許すよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!11111
だから泣かないでヒナタ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
失神する前の記憶を取り戻した僕は、酷く消耗していたらしい。
サカキは僕から情報を引き出すのを延期して、
半ば看護婦さんに怒られるようにして退室してしまった。
「薬剤性健忘症を勝手に治療しようとするのはやめてください」
「私は待つのが嫌いなのだ」
「この短期間で意識を取り戻しただけでも奇跡なんですからね」
「私は待つのが嫌いなのだ」
「ピカチュウの見当識が回復するまで我慢して下さい」
「私は待つのが――」
「駄目です」
甲斐甲斐しく僕の世話を焼いてくれる彼女は、
ポケモンセンターのジョーイさんによく似た格好をしていて、
自然とリラックスすることが出来た。
人語を扱えたなら僕は真っ先に
"ここは何処だ"
"君もサカキの配下なのか"
"僕があの施設を脱出して何日が経つ"
と聞いていたところなのだが、生憎僕に許されているのは人語を理解するのみで、
彼女とのコミュニケーションには翻訳役が必要不可欠になる、
ああ、どこかに人語とポケモン語を操るシャム猫ポケモンでもいないだろうかと嘆いていたところに絶妙な闖入者が現れた。
人語を理解するのみ ×
人語を理解することのみ ○
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 22:24:22.76 ID:p64PewpW0
サカキかわゆす
sage忘れちった
きてた!
支援
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 22:27:34.87 ID:0WSUFLdtO
初めに軽快な跳躍で窓を飛び越えたペルシアンが現れ、
「どうかニャ、元気にしてるかニャー」
次によっこらしょっとコジロウが窓枠に身を乗り出し、
「ピカチュウ、目は覚めたのか」
最後にムサシがコジロウの尻を蹴飛ばしつつ、病室の床に降り立った。
「喜びなさーい、お見舞いにきてやったわよー」
「ちょ、ちょっとあなたたち――!!」
がしゃがしゃと医療器具を漁り、
その中から注射器を見つけて、彼らに構える看護婦さん。
「こ、来ないで下さいっ、刺しますよっ」
ムサシは迷いなく彼女に近寄り、
「ハイハイ、こんな物騒なモンは仕舞いましょうねー」
赤子の手を捻るが如く、一瞬で注射器を分解した。
なんかこいつらが出る度にニヤニヤが止まらなくなるんだけどいいぞもっとやれ
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 22:47:06.91 ID:ZHzuB4Ep0
「あわ、あわわ……」
「ちょっとムサシ、手荒な真似はよせって。
あの、俺たち全然怪しいものじゃないんで」
僕は苦笑する。
コジロウ、君の自己紹介はいささか信頼性に欠けているぞ。
看護婦さんは僕に覆い被さるようになって叫んだ。
「このピカチュウは渡しませんっ。
サカキ様から何があってもお守りするよう言い付かっているんです!」
「あーらあら、大した忠誠心だこと」
ムサシが弄り甲斐のある獲物を見つけたように舌なめずりする。
「どこまでその言い付けを守れるか見物だわぁ」
しかし元ニャースのペルシアンが寸劇に幕を下ろした。
「ピカチュウも罪なポケモンだニャー。
ボスへの忠誠心だけではそこまで出来ないニャ。
それは即ち、君がピカチュウへの庇護欲に取り憑かれていることを意味するニャ」
「え、今ボスって、」
「コジロウ、身分を証明するもの出すニャ」
「えっと、ちょっとだけ待ってくれ」
「早くするニャ!」
ぺシッ、と艶やかな尾が床を叩く。
「そんなに怒るなよぉ……、はいコレ」
「こ、これは――」
ロケット団二人+一匹は良いキャラだよなぁ…本当
ニャース・・・イイモノが見られたかもしれないというのに・・・
看護婦さんは目を丸くして、
「しっ、失礼しました」
「解れば良いニャ」
ペルシアンが偉そうに言う。
「でも、どうして窓なんかから、」
「細かいことは気にしナーイ。
んでもって、あたしたちはピカチュウと話があるから、
あんたにはしばらくこの部屋から出てってて欲しいの」
分かった? とムサシが凄みの効いた声で言い聞かせる。
看護婦さんはコクコクと頷き、心配そうに僕を一瞥して部屋を出て行った。
彼女に代わって僕は尋ねた。
「チュウ?」
君たちはどうして窓から入って来たんだ?
侵入にドアを用いないポリシーでも持っているのか?
キテタ
ついに幹部に昇進か…
「失礼ニャ!
ニャーたちにも常識はあるニャ。
ただ今回は少し特殊なケースなんだニャ」
「徹底された面会謝絶に情報封鎖……」
ようやっとあんたの療養場所がボスのお屋敷と解ったときには、
こりゃもう侵入するしかないと思ったのよ」
「ボスの許可が下りるの待ってたら一ヶ月はピカチュウに会えなかっただろうし」
「ま、ミャーはこんな苦労しなくてもピカチュウに会えたに違いないけどニャ」
「そりゃニャースは特別だけどよー」
「あたしとコジロウが会えないんじゃ意味ないでしょうが」
憤慨するムサシとコジロウに、ペルシアンを通して訊いてみる。
「ピカ、ピーカ?」
君たちはどうしてニャースの呼び方をペルシアンに変えないんだ?
「どうしてって……こっちの方がシックリくるだろ?」
「今更ペルシアンって呼ぶのもね。なんか腹立つし」
「そんなことないニャ。
むしろいい加減、ミャーのことは畏敬の念とともにペルシアン様と呼ぶニャ」
「ふざけんな馬鹿ニャース!」
「誰がそんな呼び方するもんですか!」
些細な切欠で口論し始めるところも、昔と変わっていない。
「……ピ、ピカチュ」
ま、まあ落ち着いて。
そういえば、ニャースがペルシアンに進化した経緯も聞いていなかったな。
ついにニャースの秘密が!!1
途端、三人が一斉に静まりかえる。
やがてニャースがポツリと言った。
「それはまた時間のある時にでも話すニャ」
禁句、だったのだろうか。
それにしてはムサシもコジロウも、進化した張本人であるペルシアンも、
温かみに満ちた、気恥ずかしいような表情を浮かべている。
その空気を破るように、ムサシがぱんぱんと手を打って、
「あーもー、そんなことはどうでもいいのよ。
あたしたちがやってきた理由はこっち。
ピカチュウ、あんた調子はどうなのよ?」
僕の顔を覗き込んできた。
「生きてるか死んでるか、三人で賭けてたんだぜ」
コジロウがへらへら笑いながらその横に立つ。
そしてペルシアンが右の前足を寝台にかけて、
「三人とも生きてる方に賭けて、賭けにならなかったけどニャ」
左の前足を僕の手に置いた。
近くで見た三人の顔は、一目で分かるほどに老けていた。
ムサシの目元には誤魔化しきれない皺があって、
コジロウは一丁前に細い髭をこしらえていて、
ペルシアンの左目には、斜めに鋭い古傷の痕が入っていた。
支援
wktk!wktk!
ニャース……まさか脱童貞……?
ニャースは雄なのか…?
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 23:49:44.24 ID:ZHzuB4Ep0
ロケット団が壊滅してから今までの15年間に、彼らにも色々あったのだろう。
少なくとも現役からは退いて久しいはずだ。
でも、彼らは僕を助けてくれた。
若かりし頃とは勝手の違う身体に鞭打って、駆けつけてくれた。
彼らにはどんなに感謝しても足りない。
僕は精一杯の笑顔を浮かべて言った。
「ピッカァ!」
君たちのおかげで僕は生きているんだよ、と。
ペルシアンが僕の言葉を翻訳する。
すると、何を思ったのかムサシとコジロウは抱き合って、滂沱の如く涙を流し始めた。
寝台の下を見るとペルシアンも目をぐしぐしと擦っている。
「……よかったニャ。ホントに生きててよかったニャ」
彼らが泣き止むのを待ちながら、僕は密かにホッとしていた。
世の中には変わるものもあれば、決して変わらないものもあるのだ。
それは例えば、そう、彼らの涙もろい性格とか。
終わり
明日は出来たら夕方から
おっつー
おつかれさま
乙!
おっちゅ
乙
ほろっときたw
乙ぱい博士
なんだかんだでコジロウが一番ポケモン大切にしてたよな
乙!
ニャースの古傷が気になる
乙です!明日も楽しみだ
乙
次回が楽しみだ
乙でニャース
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 00:38:17.32 ID:nKOSG6J+O
ほ
ポッポ
作者乙!
マジで涙出たぞ…
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 02:14:41.17 ID:IdlsmxMW0
乙!
一日の投下でこんなに乙と言われるssも珍しい
ほす
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 03:35:11.39 ID:KptkinUx0
ニャースすげぇなつかしい
☆彡
こいつらのことだからコラッタ相手に猫に小判使いまくって小遣い稼ぎしてるうちに
ペルシアンになってしまったとかがありそうで困る
ほ
ほ
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 07:50:25.91 ID:B6pAdBRA0
どかす
保守
ほしゅ
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 09:34:42.34 ID:ztVPg3pp0
ほ
保守でガース
ほ
ほ
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 12:16:30.08 ID:nKOSG6J+O
ageほ
マタドガスは俺の相棒
やっぱコイキングは塩焼きッスね
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 14:29:19.04 ID:B6pAdBRA0
どかす
コイキングは骨と皮しかないんだぞ…
保守
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 16:14:16.97 ID:B6pAdBRA0
どかす
ほす
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 17:14:51.15 ID:GuWp9Ct5O
たまにはほさかも思い出してやれよ
ぴ
78 :
らいちゅう ◆Raichu.1WY :2008/12/28(日) 18:25:22.86 ID:ayyvkndRO
か
ち
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 18:53:59.36 ID:P8SN9HhFO
ゅ
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 18:55:54.06 ID:GuWp9Ct5O
ほさか
保守だシャーボ
やはり年末は厳しいな
帰宅したてで書けるのは21:00くらいからになりそうだ
頑張れ
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 19:56:42.93 ID:fVJ3lAop0
ほ
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 20:31:49.08 ID:IdlsmxMW0
保守
ほ
―――――――
―――――
―――
ほとおりが冷めた彼らは、口々に先日の救出作戦の経緯について語ってくれた。
要約すると以下の通りになる。
数日前、突然サカキから連絡があった。
『オレンジ諸島最北端の孤島に存在する、
セキュリティ・レベルA、地下15mの研究施設に侵入、
拉致監禁中のピカチュウを奪取せよ。
計画立案、資金増強、人員補填等々の全権は貴様らに一任する』
何故僕の救出作戦に、元ロケット団の三人組が抜擢されたのか。
その理由は単純に、彼らが老練した(こう言うとムサシに怒られそうだが)ポケモン遣いだからだけでなく、
僕専門の強奪のエキスパートだったからではないか、と思う。
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 20:59:34.78 ID:fVJ3lAop0
キター
作者無理はするなよ
支援
×ほとおり ○ほとぼり かな? 違ってたらごめん
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 21:02:06.06 ID:6m/y3dWCO
作者キター
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 21:03:30.35 ID:IdlsmxMW0
すでに始まっていた!
再開ktkr
ポケモンカードで復刻ピカチュウ当たって俺歓喜
オレンジ諸島だったのか
>>91 両方とも使えるよ
彼らは早速作戦会議を開き、大論争の末に実に彼ららしい突飛な案を編み出した。
全権が一任されている→どんなポケモンを使ってもいい→そうだボスのポケモンお借りしようそうしよう
彼らの申し出にサカキは嫌な顔一つせずに応じてくれたらしい。
かくして『地上の混乱に紛れてピカチュウゲットでチュウ大作戦』は実行に移された。
手始めにペルシアンが、地上から地下研究施設へと潜入する。
それから時間差でサカキのポケモン、バンギラスが、超長距離からの破壊光線で、
ほぼ外張り状態の地上建築物を計算通りに爆破する。
ヘリから眺めたその光景に、ムサシとコジロウは腰が抜けそうになったらしい。
突然の襲撃に研究施設内部は、落成以来初めての大混乱に見舞われる。
その隙にペルシアンが深部、即ち僕が囚われている場所に到達し、
当初予定していた脱出口から脱出する手筈だったのだが……。
時既に遅し、僕は最終被験体と凌ぎを削った末に、無我夢中で逃げ惑っている最中だった。
ペルシアンは冷静に僕を探索した。
そして殺気を放ちながら駆けている僕を発見した。
しかし脱出口への道は既に封鎖されていた。
彼はムサシとコジロウに連絡しながら、僕を巧妙に新たな脱出地点へと誘導した。
その後の話は、僕の記憶があるので改めて語るまでもないだろう。
超長距離のはかいこうせんとか人死ぬってレベルじゃねーぞ
>>96 あれ?もしかしてバンギラス希望したの採用してくれた?
だったらうれしいな
>>96採用させてもらいました また登場するよ
「あの時のピカチュウはメチャクチャ怖かったニャ。
ちょっとでも話しかけたら一瞬で感電死させられそうだったニャ」
ペルシアンが髭を撫でながら言う。
「ピカ、ピーカ?」
僕が君を感電死させるだって? まさか。
「それほどの極限状態にあったってことニャ
あの時のピカチュウにはもう二度と御目にかかりたくないニャ〜」
「それ見てみた……くはないわね」
ムサシが渋い顔になり、
「うんうん」
コジロウが共鳴する。
僕は耳を欹て、ドアの近くで止まった複数の足音を聞きながら彼らに尋ねた。
なるべく口元に笑みを浮かべないよう努力しながら。
「チュ、ピカ、ピーカ、チュウ?」
そういえば君たちは、ロケット団の解散後はどうしていたんだ?
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 21:41:52.32 ID:ULo+lGzl0
まさかの安価ミス
>>96採用させてもらいました また登場するよ ×
>>98採用させてもらいました また登場するよ ○
>>100 ありがとう
サカキの手持ちで登場とかめちゃくちゃうれしいわwwwww
本文以外も丁寧に訂正するんだなwwww
それが作者クオリティ
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 21:52:11.12 ID:Ldkhl1rf0
リアルタイム初だわwktk
ロケット団大好きだ
最初から見ている事を誇りに思う
いつかアリアドスが出ると信じて
「先にピカチュウから話すニャ」
「あ、それあたしも知りたーい」
「聞かせてくれよー」
ぐっと詰め寄ってくるロケット団三人組。
「ピカチュ」
おっほん。
僕は咳払いしてストーリーテラーの雰囲気を醸しつつ、事細かに語って聞かせてあげた。
冒頭にカスミとマサラタウンで暮らし始めた経緯を簡単に説明した後は、
幼いヒナタが可愛すぎるあまりにカスミに嫉妬したこと、
幼稚園に入園したヒナタが僕を一緒に連れて行くと言い出して困ったこと、
感受性豊かに育った小学生のヒナタと遊ぶ度に色々な発見をしたこと、
「お家のポケモン」という作文課題で僕を取り上げてくれたこと、
中学生に進級しても相変わらず僕の姿が見えないと心配していたこと、
14歳の時にやっと僕を抱き枕にするのをやめたこと、
高校に入学してからはポケモンマスターを目指すことによる僕との別れを意識し始めて、
より一層僕を大切に扱ってくれたことを話し、
まあ、実際はカスミに監督役として、ヒナタの旅に同行することになったわけだけどね――と締めくくった。
目を開ける。彼らは一様に幻滅の表情を浮かべていた。
「堕ちたニャ」
「堕ちたな」
「堕ちたわね」
三人揃って、深い溜息。
やれやれ。サトシから離れた僕にいったいどんな冒険譚を期待していたのやら。
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 22:14:14.04 ID:P6+Qa09bO
>>109 あぁ映画の話か
ゲームで使ってるのかと思た
ありがとさん
さて次は君たちの番だぞ。
誰から話す、と顔を見合わせる三人組。
やがてペルシアンが肉球を掲げて、
「ミャーから話すニャ。
……聞いて驚くでニャーでニャースよ?」
「勿体ぶらないで早く言っちまえよ」
「後ろつっかえてんだからねー」
「こういうのは間が大切なんだニャ。
まったく、おミャーらにはミャーの役者魂が理解できないのかニャ?」
「ピカ」
手短に頼む。
「ピカチュウがそういうなら仕方ないニャ。
実は、ミャーは今、ボスに仕えているニャ」
「ピカー!?」
薄々予感はしていたが、まさか本当にサカキ直属のポケモンになっていたとは。
ペルシアンが勿体ぶる気持ちも理解できる。
大出世じゃないか。
「ミャーの通訳としての能力が買われたのニャ。
ボスは能力の有無で人事ならぬポケモン事を行うお方ニャ」
ペルシアンは僕の反応を見て誇らしげだ。
先程ペルシアンは、自分はそう苦労せずとも僕に面会することが叶うと言っていた。
今なら解る。サカキが僕と話す際に通訳を用いる。それがペルシアンだったのだ。
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 22:17:10.80 ID:ULo+lGzl0
今なら解る。サカキが僕と話す際に通訳を用いる。それがペルシアンだったのだ。 ×
今なら解る。サカキは僕と話す際に通訳を必要とする。それがこのペルシアンだったのだ。 ○
ニャースよかったなあボスに仕えられて
長い道のりだったじゃないか
そういえばアニメにそんな描写あったな
ニャースがサカキに飼われたいみたいな描写
支援
支援
「そんじゃあ次は俺たちの番かな」
「ニャースに比べるとつまんないかもしんないけどね」
ムサシとコジロウが、顔を見合わせて穏やかに笑う。
「ピカピィ?」
てっきり、君たち二人もペルシアンと同じく出世街道を歩んだとばかり思っていたのだが?
コジロウが取り出した身分証明書に看護婦さんは目を丸くしていたしね。
「まあ、幹部に昇進する話はあったにはあったんだけど……」
「それが決定される直前に、あんたの元飼い主がロケット団を潰しちゃって……」
ムサシは遠い眼をして言った。
「白紙になった上に焼却処分された、って感じよね」
「ピ………」
……それは悪いことをしたな。
僕が過去にしたことは社会的にとても評価されていることなのに、
こうして元ロケット団員の、それも馴染み深い相手の声を聞くと妙な背徳感に襲われる。
支援
その後は?――そう尋ねようとした時、ペルシアンが一口に言った。
「その後、婚期を逃した二人は相棒の関係をちょっとだけ進展させて、
養子を貰ってその子を育てつつ、その他にも新たな人材育成に貢献しましたとニャ。
めでたしめでたし……ニャアァッ」
ボコ、と嫌な音がペルシアンの頭上で響く。
「ちょっと、勝手に終わらせてんじゃないわよ!」
「ピ、ピカピ……?」
け、結婚していたのか? それに養子って……。
ペルシアンが涙声で通訳すると、コジロウは照れくさそうに鼻の頭を掻きつつ、
「いや、籍は入れてないんだ。
俺とムサシは相棒のままでいいんじゃないか、って二人で相談して決めたんだよ」
「ほんと不器用だニャ。素直に結婚すれば良かったのにニャー」
「お前は黙ってろっ」
ボコ、と再び嫌な音が響きペルシアンが沈黙する。
ムサシは目頭を押さえながら言った。
順序立てて説明するつもりが、ペルシアンに邪魔されて混乱しているのだろう。
「養子って言っても、孤児を引き取って育ててあげただけよ。
15の時には自立して、今はボスの下で立派に働いてるわ」
「といっても、育ての親には連絡の一つもよこさない馬鹿息子さ。
タマムシで元気にやってるって昔の仲間に聞いて、安心するくらいだよ」
といっても、育ての親には連絡の一つもよこさない馬鹿息子さ。 ×
育ての親には連絡の一つもよこさない馬鹿息子さ。 ○
今日は訂正が多くてすまない
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 22:54:18.28 ID:ULo+lGzl0
終わり
明日は来られたら20:00くらいに
年末は明日で最後になると思う
乙
>>121 乙
タマムシ…ロケット団…どこかで……
乙ー
乙乙
あの2人が育てた子供はやっぱり穴掘り名人なんだろうな
乙。
あの気球はまだあるんだろうか。
乙
なんかしみじみするな…