1 :
調理師見習い(三重県):
ここは素直クールに萌えるスレです。
「素直クール」とは
・冷静沈着で感情的になることはまずない
・完全自立型
・表情が薄いあるいは無表情
・ガチで愛してくれている一途
・愛情表現がストレート
・照れが少ないあるいはない
・「素直」と「クール」の矛盾したアンバランス感が最高にいい
▼投下時ルール
・多くレスを使う投下は、投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れるのが好ましい。または「何レス目/総レス」を名前欄に
・投下許可を求めない。ダメなんていう人はいません
・作品投下が終わった後の自虐は、読み手が不快に感じるので書かない
・投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為必ずリロードしよう。
・コテは投下時にだけ付ける
・性描写(エロ)は空気を読んで程々に。 過激なSSについてはtxtうpを推奨
・Wikiに保管してほしくない人、それから批評がほしい人は投下と一緒に要望を伝えてください。 批評は避難所の批評スレで聞けます
▼2ちゃんねるのおやくそくについては
http://info.2ch.net/before.html *特に荒らしは徹底スルー
2 :
調理師見習い(三重県):2007/04/20(金) 22:11:19.70 ID:heYIJN240
3 :
運び屋(樺太):2007/04/20(金) 22:12:35.40 ID:v/GIG7LvO
4 :
右大臣(広島県):2007/04/20(金) 22:21:07.54 ID:ohdkPI660
5 :
社会科教諭(京都府):2007/04/20(金) 22:25:03.43 ID:P5mwfHgP0
VIPでは久しぶりだな
6 :
天の声(コネチカット州):2007/04/20(金) 22:28:12.13 ID:6+fXPeu7O
クー「
>>1乙」
男 「乙?」
クー「感謝の気持ちを表現する言葉だ」
男 「そうなんだ……そうだ、お昼の弁当をどうぞ」
クー「……乙」
男 「後ろから覆い被さって何を」
クー「字のようにしてみた」
男 「……」
クー「……はい、あーん」
男 「……」
クー「口をあけて欲しい」
男 「あむ……モグモグ」
クー「……私も」
男 「……はい」
クー「モグモグ……やはり上手だな」
男 「どうも」
クー「お礼に今晩私を食べt」
男 「エッチなのはいけないと思います」
友 「いちゃつくのもいけないと思います……あれ? 目から汗が」
7 :
運び屋(樺太):2007/04/20(金) 22:54:02.65 ID:8ATxLUw7O
8 :
カエルの歌が♪(コネチカット州):2007/04/20(金) 22:59:37.70 ID:6+fXPeu7O
考えたけどいまいちまとまらなかったので
お題にして置いておきます
つ【手紙で告白】
つ【部室で二人きり】
9 :
調理師見習い(三重県):2007/04/20(金) 23:29:10.86 ID:heYIJN240
救助……
10 :
天の声(コネチカット州):2007/04/20(金) 23:50:06.57 ID:6+fXPeu7O
【文芸部の二人/手紙】
――文芸部部室
クー「先輩、これを読んで下さい」
男 「手紙?」
クー「ラブレターです」
男 「へぇーラブr……!」
クー「心を込めて書きました、お返事下さいね」
男 「……どうしよう」
友 「どうしたんだよ?」
男 「……いや」
友 「そういやさっき廊下でクーちゃんに会ったけど、機嫌良さそうだったな。何かしたのか?」
――翌日屋上
クー「……先輩来てくれたんですね、ありがとうございます」
男 「……それはいいんだけどさ」
クー「はい」
男 「ギャラリー多くない?」
ザワザワ
クー「別に隠したりしませんでしたから。むしろ積極的に」
男 「そうなんだ……というか前にOKしたよね?」
クー「そうですけど、照れた先輩の顔をもう一度見たかったんです」
男 「いや、それってどうよ?」
クー「でも私だけを見て下されば他の事は気になりませんよ。天井のシミと同じです」
男 「……用法が激しく違うよ、文芸部員としてそれはどうかと」
クー「先輩が言うべき台詞でしたね、ごめんなさい」
友 「えー、投擲用の菓子パンいかがっスかー」
11 :
電話番(ネブラスカ州):2007/04/21(土) 00:10:11.69 ID:+V9+x2LEO
こっちにもパン一つくれ
いや、二つ、いやいや、三つ
12 :
天の声(コネチカット州):2007/04/21(土) 00:43:07.79 ID:Z4Mv+4jUO
ほ
13 :
ツアーコンダクター(樺太):2007/04/21(土) 01:14:38.90 ID:5utTbZfqO
ほ
【ある春の日の夜】
寝息をたてる彼の枕元にそっと近付くと、鼻を摘んでみた。
「……ん、んー」
口をもぐもぐと動かして寝返りをうった。
「ん……すーすー」
可愛らしい寝顔だと思う。
「せっかくの機会だし一緒に寝てみようかしら」
そう呟いて彼の布団に潜り込んだ。
「ふぁ……ん?」
「すーすー」
「ここで寝てるよ……確か隣の部屋で寝てたはずなのに。寝相悪いのかな?」
「……ん、おはよう」
「どうして僕の布団で寝てたの?」
「……寒かったから」
「暖房壊れてた?」
「……いいえ」
「ならどうして?」
「隣の部屋に最高の暖房があるのに、独りで寝るのはもったいないもの」
それだけ話すと、私は彼を抱き枕にして再び眠りについた。
15 :
チャイドル(コネチカット州):2007/04/21(土) 01:42:53.02 ID:F7GLfFS7O
あげ
16 :
都会っ子(チリ):2007/04/21(土) 02:55:45.37 ID:R6+x3L/H0
保守
17 :
留学生(樺太):2007/04/21(土) 05:10:26.04 ID:duK2rgctO
18 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 05:22:16.15 ID:ZtpSZjZf0
ちょっと長いけど投下します。
9か10レスぐらい。
百合ネタだけど、需要はどれくらいあるのかな。
19 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 05:23:01.75 ID:ZtpSZjZf0
【空と美波と告白と】
空の朝は遅い。
「空ー、起きなよー、朝だよー」
「まだ眠い。あと5分だけ」
そう言って、彼女はもそもそと日光を嫌うもぐらみたいに布団の中へもぐりこむ。
いつものことながら、空を起こすのは大変だ。仕方ないなあ、もう。
炊き立てごはん。ほうれん草の和風サラダと塩鮭の切り身、出し巻き卵にあさりのお味噌汁。
手早く朝食の準備を済ませてから、再度空の起床にチャレンジだ。
「く−ちゃん、朝だよ、起きなよ、ごはん食べよっ」
声をかけてから、うりゃっ、と布団をひきはがす。
「うー」
空は抱きついたままの布団に釣り上げられ、ぼんやりと起き出した。でも、両目ともほとんど閉じられたまま。糸目だ。
なんとか目を開こうとがんばってはいるけれど、どうにも努力は実らない。
「おはよう、みーちゃん」
目をこすりこすり空が言う。とりあえず口だけは動かしてみたらしい。
「く−ちゃんおはよ。さ、ごはん食べて。学校いくよ」
あたしの名は神田美波。みーちゃん、ってのはあたしのことだ。
この子、相原空(そら)とは就学前からずっと一緒の親友で、今は高校の女子寮で同居している。ちなみに二人部屋。
くーっていうのは空のあだ名で、彼女とは子供の頃からくーちゃん、みーちゃんと呼びあってきた仲だ。まあ、最近は名前で呼ぶことのほうが多いかな。
20 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 05:23:59.00 ID:ZtpSZjZf0
空は半分ほどまぶたを開けて、ようやく朝ごはんを頬張りだした。
しっかりした目覚めはまだ遠く、時折舟をこいでははっと気がついてあたりを見回す、の繰り返し。子供じみた仕草がかわいいけれど、これじゃきっと味なんてわからないんだろな。
「美味しいよ」
「へっ!?」
「美味しいよ、食べないのか?」
「あ、うん、食べるよ食べる。いただきまーす」
心を読まれたみたいで、ちょっとびっくりした。空ってば、時折むやみに鋭いんだもの。
朝食後、あたしはいつものように空の身支度をする。
シャワーの後の、下着姿の空をぺたんと座らせて。登校用の服を着せ、ブラウスのボタンをはめて。タイをして、濡れた長い髪を乾かし、ブラシをかけて。
空はまだ半分くらい夢の中で、頭をゆらゆらと揺らしている。
朝の準備をするこの時間が、あたしは何よりも好きだ。
ミルクプリンみたいになめらかな空の肌に触れるのは気持ちがいいし。
長くてつややかな空の髪をいじりたおすのは嬉しいし、学校一の美少女を誇る空を好き勝手に着替えさせるのは楽しすぎて目が回りそう。
更に、あたしと空は二人ともも身長 150cm半ば、体型もほぼ同じ、と、衣類の共用にはおあつらえむき。私服の取替えっこなどをすれば楽しさ倍増なのだ。ふっふっふっ。
いつも登校時間に追われるのだけが残念なところ。
空の寝起きさえもっと早ければこの着せ替えタイムを存分に満喫できるのになあ、と思うこともあるけれど、
でももし空の目覚めがよかったら、空はそもそもあたしに着替えを任せてはくれないのだろう。世の中って、なかなか難しくできてるよね。
「はい、できたー。目は覚めた? 学校いくよー」
「うん、大丈夫だ。いつもありがとう、みなみ。助かるよ」
もう時間にあまり余裕はない。空とあたしは早足で学校に向かった。
21 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 05:25:27.31 ID:ZtpSZjZf0
◆◇◆
ねぼすけ空を見ているとなんとも信じにくいことなんだけれど、
彼女は学校では『頭脳明晰才色兼備、なんでもテキパキこなすクール・ビューティ』で通っている。
実際、校内での空はすごく格好いいんだよ、知的で、クールで、凛として。
寮でかなりの甘えんぼさんなのは、その反動のあらわれに違いない。あたしが甘えるよう仕向けているってのも否定はしないけど。
「空会長、おはようございます」
「空さんおはよう」
「おはよう皆さん」
空は一年生ながら生徒会長を務めていて、そのためか見知らぬ生徒から次々と声をかけられる。なかなかの有名人っぷりだ。
中には空の後を金魚のフンよろしくぞろぞろと付きまとう人たちもいる。まああちらにしてみればあたしの方こそ金魚のフンなんだろうけれど。
「キミたち、もうじき朝のHRが始まる時間だよ。教室に向かったほうがいい」
玄関にて、上履きに履き替えようというところで、空が彼らに声をかける。
「は、はいっ」
その途端。空の科白が聞こえるやいなや、彼らは皆あっというまにいなくなる。
蜘蛛の子を散らす、という形容の教本に使えそうな見事な消えっぷり。気をつけて、校舎は走っちゃいけないんだよ。
以前から、ひとつ心配してることがある。
空の発言は、いつもかなりの影響力を持ってる。空の言葉はどんなささいなものでも、周囲にはとても重く伝わる。皆が真剣に耳を傾ける。
カリスマ、というものだろう。すごいことだと思う。
だけど、空自身はそのことをどう思ってるのだろう。
空は、自分のささいな言葉で皆が動いてしまうことが重荷じゃないのかな。自分の感情を表に出すことが、怖くなってはいないかな。
だからいつもあんなにクールに振舞っているんじゃないのかな。
杞憂だといい。思い過ごしであって欲しい。だって、そんな気持ちは寂しすぎるもの。
「みなみ、私たちも早く行かないと。急ごう」
「あ、うん、そだね、行こ行こ」
22 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 05:26:23.29 ID:ZtpSZjZf0
空はいつもと変わらない。
気のせいってことにして、このもやもやとした不安は心の奥にしまっておく。
教室に入り、あたしたちは席についた。
席は出席番号順で、空は窓際の一番前、あたしはそのすぐ後ろ。時間はぎりぎりセーフってとこ。
春の日差しとぽかぽか陽気で、窓辺はかなり気持ちがいい。授業なんて聞いていたらすぐにでも眠ってしまいそう。空の髪でもいじって暇をつぶすことにしようかな。
と、あたしの机の中に手紙が差し込まれていることに気がついた。裏を返すと、クラスメイトの男の子の名前。
実にベタな展開だけど、これはひょっとしてラブレターってやつですか?
「みなみ」
「うあっ」
空が振り向きざま声をかけてくる。
「なっななななっ、なに?」
あたしは後ろ手で手紙を隠した。隠す理由は自分でもよくわからないけれど、なぜだかこれは空に見せちゃいけないような気がして。
「いや、宿題をやってきていないなら見せてあげようか、と。……どうかしたの?」
「な、なんでもないよなんでもない。宿題なら大丈夫だよ、ありがと」
「そうか」
空はいぶかしげにちらりとあたしを見たけれど、特に何も言ってはこなかった。
◆◇◆
――昼休み、屋上に来てください。
手紙の内容はただ一行、それきりだった。
ほんのすこしどきどきしながら、空の目を盗み屋上へと向かう。
階段を上りつつ考えてしまう。これってやっぱり、告られイベントなのかな。
23 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 05:27:01.25 ID:ZtpSZjZf0
あたしは恋愛が不得意だ。
恋する気持ちって、どんなだろう。答えを出すことがあたしにはできなかった。
男の子を好きになったことはある。でもそれが、お母さんやお父さんや空を好きな気持ちと何が違うのか。謎だった。
この恋愛音痴の原因は、あたしの隣にいつも空がいたせいじゃないだろうか。あんな美形と始終付き合ってるんだもの、あたしの恋愛評価軸がねじ曲がっちゃっても仕方が無いよ。
容姿だけじゃない。空の凛としているところは誰よりも格好いいし、ちょっと人とずれたところは誰よりも可愛い。
女の子同士だし、空に対する自分の気持ちが恋だなんて思わない。だけど、あたしにとって空は世界で一番大切な人だった。どんな男の子も、空の前ではまるで霞んで見えた。
……やっぱり、あたしには恋愛は向いてない。
屋上では予想通り告白イベントが発生したけれど、詳細は省略するね。
サッカー部ホープの竹本くん。明るくてクラスでも人気の男の子だったけれど、そういう気持ちにはなれないとお断りしちゃった。ごめんね。本当にごめん。
予鈴が鳴ったので、竹本くんと二人、並んで屋上の階段を下りる。
……しまった、これは気まずい、なんとも気まずいよ。でも目的地は同じだし、わざとらしく寄り道するのもさらに気まずくなりそうだし。
お互い隣を気にしつつも、真っ直ぐ教室に向かい扉を開ける。
「みなみっ!!」
そこにはなぜか仁王立ちの空が待ち構えていた。凍りつくような冷たい目であたしたちの方を睨みつけている。……何かあったの?
空は先の手紙が入っていた封筒をあたしに突きつける。
「そいつにもらったのか。何が書いてあった!?」
えっえっ何!? どうして空がそれを持ってるの? 空、何を怒ってるの? 訳がわからない。
クラスメートみんなが空の様子を呆然と見守っている。竹本くんの手前、手紙の内容なんて言えるわけないよ。どうしたらいいんだろう。
24 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 05:28:03.36 ID:ZtpSZjZf0
「待ってよ会長。オレが一方的に神田さんに告白したんだ。振られたけどな」
おろおろしているあたしを見かねたのか、触れたくない話題だろうに竹本くんが助け舟を出してくれた。うう、いい人だ。でも。
「キミには聞いていない、黙っていてくれ。みなみっ」
空はばっさりと彼の言葉を切って捨てる。あんまりだ。竹本くんは苦笑しつつ、顔の前に右手を立ててごめんと謝る仕草。いや、キミは悪くないよ。こちらこそ、重ね重ね五面ね。
「ちょ、ちょっと空、いまのはひどいよ。どうしちゃったの? あたしが竹本くんから告白されて、申し訳なかったけど断った、それだけのことだよ? どうしてそんな」
「隠してた」
「は?」
「みーちゃんは隠してた。手紙をもらったことを隠してた。やましいことが無いならどうして隠すんだ。どうして?」
空はぽろぽろと珠のような涙を零し始める。
言いたいことはさっぱりだったけれど、空がつらそうにしていることだけはよくわかって、そんな空を見ているだけで、胸が痛くてたまらなくなる。
気がつくと、あたしは空を腕の中に抱きしめていた。そんなことしかできない自分がもどかしかった。
「くーちゃん。どうして泣いてるの、ちっともわからないよ。お願い、訳を言ってよ。あたし、くーちゃんのためならどんなことでもするよ」
「嫌なんだ。我慢ができない」
「わからないよ。何が嫌なの? 何が」
空はこちらの言葉を遮り、おもむろにあたしの唇にキスを落とした。
……息が止まる。
深くて甘い、恋人同士のための口付け。胸のドキドキが激しく、まわりのみんなに聞こえそうなくらいに高まってる。
あたしは今、驚いているのかな、喜んでいるのかな。自分で自分の感情がわからなくて。
ひざががくがくと震えて砕けそうになって、あたしは空にもたれかかった。自然と空の胸の中に頬をうずめてしまう。
25 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 05:29:02.24 ID:ZtpSZjZf0
あたしは、ズルい。
空にキスされただけで、全身が甘く痺れて、歓喜で打ち震えて。泣いている空を顧みることもしない、そんな自分がたまらなく嫌だった。
いつもクールな空が、今、あたしに対してだけは胸中をさらけ出している。それがとても嬉しくて。嬉しさを抑えられない自分が更に嫌になる。
何よりも空を大切にしたいのに。
あたしは、最低だ。
「くーちゃん。ごめんね、くーちゃん」
「みなみ?」
いつのまにかあたしも泣き出していた。涙が溢れ出して止まらない。鼻の奥がつんとして、なんだか、もう、ぐずぐずだよ。
「くーちゃんがこんなに悲しんでいるのに、あたし、今、くーちゃんにキスされてすごく喜んでた。ずっとキスし続けてくれればいいとさえ思った」
空は大きく目を見開いてあたしを見つめる。
「くーちゃんを苦しめたい訳じゃないの。全然違うの。でも、くーちゃんが苦しんでるのに、あたしは自分が嬉しいからってそのままでいるのを望んだの。
ひどいよね。ごめんね、ごめんね。……こんな、も、やだよ……」
あたしは空の胸の中でわんわん泣いた。自分でも何を喋っているのか訳がわからなかった。
空はやさしくあたしの頭を撫でてくれる。
あたしが涙を流す空を慰めていたはずなのに、いつのまにか、泣き止んだ空があたしを慰めてくれていた。
「ねえ、みなみ」
空は優しく問い掛ける。
26 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 05:30:54.29 ID:ZtpSZjZf0
「私がどうして泣いていたか、みなみは本当にわからないの?」
あたしはふるふると首を横に振る。わかるわけない。だから聞いていたのに。
「ふふ。そうだね。みなみは昔からそういう娘だよね」
空はくすくすと嬉しそうに笑う。何が嬉しいんだろう。
「どう、いう、こと?」
「すまない、みなみ。……泣かせてしまったね」
涙で濡れたあたしのまぶたをそっと指で拭いながら、空は呟く。
「私は嫉妬していたんだ。みなみに恋人ができたらと思うと気が気じゃなかった。みなみの隣に私以外の人がいるなんて許せなかったんだよ。
みなみ、私は君が好きだ。友人としてではなく、恋愛対象として、好きだ。恋人になって欲しいんだ」
クラスメイトのどよめきが聞こえたようだったけれど、今のあたしはそんなことは気にならなかった。
ただ、空の声しか耳に入らなかった。
「で、でも、あたしたち女の子同士、だよ」
「私は気にしないよ。みなみ、君はどう? 私のキスは、受け入れてくれるんだよね?」
空は答えを待たず、再びあたしの唇にそっとキスをする。先ほどと違って、今度はやさしく触れあうだけの、それでも確かに甘いキス。
泣き疲れていたせいかもしれない。優しい口付けの中、あたしはいつのまにか眠ってしまっていた。
あたしも空が大好き、と、それだけはすぐに伝えたかったんだけど、言えなかったな。
◆◇◆
目が覚めると、そこは空の背中だった。
「お、起きたかね、眠り姫」
空はにやにやしながら、ずいぶんと恥ずかしい科白であたしの目覚めを迎える。ばかばか、姫はないでしょ、姫は。
夕焼けの中、寮への帰り道。
空は細身で小柄なのに、あたしを軽々と背負っていた。
「ずいぶん良く寝てたね。よだれ、たれていたよ」
「えっ、うそっ!?」
「大丈夫。みなみはよだれも可愛い」
「やーやだやだっ、なにそれー」
27 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 05:31:37.38 ID:ZtpSZjZf0
空が降りろと言わないので、あたしは空に背負われたままでいた。重くて悪いかな、と思いつつも、甘えたい気分のほうが強すぎた。
空の背中にそっと頬をすりよせる。なんだかすごく落ち着く。
夕焼け色に塗りつぶされた街並みが見える。見慣れたはずの景色なのに、なぜかとても綺麗に見えて、ずっとこのままでいたかった。寮、もっと遠ければよかったのに。
「……泣いちゃった」
「それは私もだ、気にするな」
「気にするよっ。クラスみんなが見てたんだよ。恥ずかしいよ。くーちゃんは平気なの?」
「気にしない。私が気になるのは、みなみの気持ちだけ」
空はいつだって唐突だ。空の言葉はどこから飛んでくるかわからない弓矢みたいだ。
あたしはその言葉が嬉しくてたまらなくて、空の背中をぎゅっと抱きしめる。
「あのね、くーちゃん」
「うん?」
「あたし、恋とか愛とかは苦手なの。だから、恋人になれといわれてもどうしていいかわからないの。でもね」
「うん」
「あたしは世界で一番くーちゃんが好き。あたしの隣にくーちゃんがいてくれるなら、他の人を恋人になんて絶対にしない。……さっきの答え、これじゃ、だめかな」
「それってつまり『お友達からはじめましょう』っていうやつかい? 私とみーちゃんの間なのにいまさら?」
「あはは、そっか。いまさらだよね。もう15年も一緒なのにね」
あたしと空はくすくす笑いあう。
「ま、いいさ。私の魅力を見せ付けて、みーちゃんに恋愛がどういうものかを教えればいいんだろう? とりあえずはその回答で納得しておくよ」
空の魅力にはもうすでにめろめろなんだけどな。それより、空には女の子同士、ってところに引っかかりはないのかな。まあ、空がいいならそれでいいや。
「ふふ、恋愛を教える、か。それじゃあ今晩から頑張ろうかな」
「へ。くーちゃん、何を頑張るの?」
「決まってるじゃないか、みなみ。恋人同士が夜に頑張ることは一つだけ」
「えっ、えっ、えーっ」
あはは、と、空が声を出して笑う。あたし、からかわれてる?
「もー、ばかばかばかー」
空がこんな大声を上げて楽しそうに笑うのはほんとうに久しぶりで、嬉しくて。少しくらいならからかわれてもいいかな、なんて、空の頭をぽかぽか叩きながら、ちょっとだけ思った。
28 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 05:32:58.38 ID:ZtpSZjZf0
以上でした。
何かあればツッコミよろしくです。
29 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 05:58:31.54 ID:ZtpSZjZf0
ちょいと訂正、申し訳ない
>>24 ×重ね重ね五面ね
×重ね重ねごめんね
30 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 06:01:17.31 ID:ZtpSZjZf0
>>29 さらに意味わかんない……どっちも×ってなんだよ自分。
×重ね重ね五面ね
○重ね重ねごめんね
もう寝ます。おやすみ。
31 :
ツアーコンダクター(樺太):2007/04/21(土) 06:02:59.47 ID:iRmANiLHO
32 :
ツアーコンダクター(樺太):2007/04/21(土) 07:19:58.51 ID:iRmANiLHO
久しぶりに見たこのスレをおとしたくはない
33 :
ツアーコンダクター(樺太):2007/04/21(土) 08:18:26.77 ID:iRmANiLHO
それでもっ守りたいスレがあるんだー
34 :
オカマ(長屋):2007/04/21(土) 08:21:41.36 ID:ZHQLtwWQ0
>>30 GJ!
百合書く人ほんとに少ないから、うれしいです。
35 :
留学生(樺太):2007/04/21(土) 09:04:51.51 ID:99U61kq6O
(´・ω・`)うほっ!
作者GJ!!!
36 :
デスラー(樺太):2007/04/21(土) 10:07:35.98 ID:/POOQN0EO
【格好悪いのに素直でクール】
保守代わりにお題置いとくよ
37 :
留学生(樺太):2007/04/21(土) 10:17:33.27 ID:99U61kq6O
保守
38 :
電話番(ネブラスカ州):2007/04/21(土) 10:34:16.27 ID:+V9+x2LEO
今週は勢いないな……
まぁ投下しない奴の台詞じゃないが
39 :
ツアーコンダクター(樺太):2007/04/21(土) 10:38:51.96 ID:5utTbZfqO
ほ
40 :
チャイドル(コネチカット州):2007/04/21(土) 11:21:32.00 ID:XhDpHq9DO
し
41 :
留学生(樺太):2007/04/21(土) 11:26:43.86 ID:99U61kq6O
の
42 :
40歳無職(樺太):2007/04/21(土) 11:31:40.24 ID:YjBpwJc6O
あ
守
44 :
天の声(コネチカット州):2007/04/21(土) 12:57:33.01 ID:Z4Mv+4jUO
き
45 :
土木施工”管理”技師(三重県):2007/04/21(土) 13:42:53.17 ID:7Y7ZPM/z0
ho
46 :
チャイドル(コネチカット州):2007/04/21(土) 14:10:49.88 ID:XhDpHq9DO
syu
47 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 14:35:27.04 ID:ZtpSZjZf0
お題消化してみますね。
>>8 【手紙で告白】
と、
前スレの
【季節はずれの大雪】
3レスくらい借ります。
48 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 14:36:04.64 ID:ZtpSZjZf0
【季節はずれの大雪】
「おお、寒み」
アパートに帰ったぼくは、すぐさまコタツを引っ張り出して火を入れる。
4月だというのに、季節はずれの大雪だった。JRは軒並みストップ、運行再開の見込みは全く立っていない。
「今日のライブも中止、なのかなあ」
ぼくはテレビのスイッチを入れながら独りごちた。
空(そら)先輩のことをぼんやりと想う。
今日は、この春卒業した空先輩のファーストライブが生中継される日だった。番組はもうあと 15分ほどで始まるはずだ。
三ヶ月ほど前。ぼくは空先輩に告白された。
君が好きだ、恋人になって欲しい、と、ほとんど初対面のはずのぼくに空先輩は告げた。いきなりだ。
告白場所がクラスメート皆が見守る教室だったからたまらない。先輩の言葉でクラス中大騒ぎだ。ぼくは先輩をつれて中庭へと逃げ出し、回答は翌日まで待って欲しい、と、そう伝えた。
――翌日、先輩は学校に来なかった。
その日は、空先輩のプロデビューが決まった日だったんだ。それ以降、一度も登校することなく先輩は卒業を迎えた。もちろんぼくが会えるはずもなく。
後から人づてに聞いた話では、空先輩は以前からぼくをずっと見ていたらしい。
あの先輩がぼくに片思いしていた、というのはなんとも信じがたいのだけれど、
そういうことなのだろう。
49 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 14:37:23.47 ID:ZtpSZjZf0
実のところ、ぼくも以前から空先輩にあこがれていた。人づての話が本当なら、お互い見知らぬ仲じゃなかったことになる。
先輩が在学中、学校に無断で演っていたゲリラライブは欠かさず見に行っていた。誰が作ったのか判然としないブートCDもおそらくすべて持っている。
告白の答えだってもちろん決まっていた――んだけどな。あのとき、翌日といわずなぜすぐ答えなかったのか、自分で自分が恨めしい。
それにしても、神様ってヤツも意地悪だよ。なにも告白の翌日を先輩がデビューする日に設定しなくてもいいだろうに。
ちょっとせっかち気味じゃないかな。神様なら余裕を持って生きて欲しいね。
今日のライブももちろん行くつもりだったのだけれど、なにせこの大雪だ。こんな田舎町からではとても会場までたどり着けそうにない。
仕方がない。ぼくはスクラップノートをコタツの上にばらまき、手近なものを一冊ぺらぺらとめくった。中継ライブを観ながら、CM中にでも眺めるつもりでいた。
ノートには空先輩の切り抜き記事が挟み込んである。どんな些細な記事も網羅したはず。――出せなかった手紙と一緒に。
手紙は何通もあった。いずれも宛先は空先輩で、書き出しも全て同じく「ぼくも先輩が好きです」。
会うことができないのならせめて手紙でも、と思ったのだけれど、自宅、事務所、どちら宛てにしても検閲されそうで出すのをためらったのだ。
何通もあるところにぼくのあきらめの悪さが伺えるよな。
時報が鳴る。テレビからはアナウンサーの謝罪のコメント。
ああ、やはり今日のライブは中止だったんだな、と、思ったところで、ピンポン、とドアチャイムが鳴った。
「やあ」
扉を開けて驚く。空先輩がそこに立っていたんだ。
長い髪には雪が降り積もっている。みぞれまじりの雪で、ぽたぽたと水滴がたれるほどだ。どうしてここに、と尋ねる暇もない。
「うわ、びしょ濡れじゃないですか。とにかく中へ。すぐタオルをお持ちしますね」
ぼくはあわてて新品のバスタオルを探し、先輩に手渡す。
50 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 14:38:05.70 ID:ZtpSZjZf0
「狭いところですみません。こたつにでもあたってください。それしか暖房器具は無いんで」
「ありがとう。いや、卒業証書受け取りがてら自宅に帰っていたんだけれど、この大雪だろう? 街に戻るに戻れなくてね。急にオフになったんだよ」
先輩は、殺風景な部屋の中をものめずらしそうに見渡しながらコタツに入る。
「なるほど。何かお飲みになります? 暖かいものがいいですよね。コーヒーでいいですか」
「ああ、ありがとう。ブラックでお願いしたいな。……へえ、私の記事ばかりじゃないか。集めていてくれたのか」
あっ。
「すみません散らかしっぱなしで。すぐ片付けますから」
「いや、構わないよ。見ていてくれて嬉しいな、こんな細かい記事まで。それに、おや」
そう、そこには出しそびれていた手紙が。
空先輩は、スクラップノートをパタンと閉じた。
「ふふ、なるほどな。いつぞやの返事を聞きにきたんだけれど、ね」
にっこりと笑う先輩の手には、ノートから取り出した手紙の束。
テレビからは、中継代わりに先輩の歌うビデオ・クリップが流れてくる。
「どうだろう、聞かせてくれないだろうか、君の返事を今すぐ」
手紙をもてあそびながら先輩は問いかけてきた。いつもクールな空先輩にしては珍しく、満面の笑みを浮かべながら。
ぼくの答えはもちろん決まってる。すべての手紙の冒頭と同じ科白を、ぼくは口にした。
「ぼくも先輩が――」
季節はずれの、記録的な大雪。
こんな大雪を降らせてまで先輩に会わせてくれるとは、神様も存外いいやつかもな。ぼくは神様ってヤツに感謝した。
51 :
修験者(アラバマ州):2007/04/21(土) 14:38:31.86 ID:ZtpSZjZf0
以上でした。
52 :
土木施工”管理”技師(三重県):2007/04/21(土) 14:51:06.72 ID:7Y7ZPM/z0
なんというGJ
神様策士wwwwwww
53 :
(dion軍):2007/04/21(土) 15:50:20.85 ID:Gce1xsS40
ho
54 :
留学生(樺太):2007/04/21(土) 16:07:46.19 ID:99U61kq6O
MO
55 :
ツアーコンダクター(樺太):2007/04/21(土) 16:08:22.89 ID:5utTbZfqO
56 :
通訳(福島県):2007/04/21(土) 16:50:30.22 ID:RwVAdBOd0
57 :
天の声(コネチカット州):2007/04/21(土) 17:19:14.51 ID:QkesYEsPO
保っ守ん
58 :
外資系会社勤務(コネチカット州):2007/04/21(土) 17:41:51.81 ID:F7GLfFS7O
59 :
新宿在住(コネチカット州):2007/04/21(土) 17:48:45.75 ID:G7N2ZSzwO
久しぶり来たほしゅ
60 :
チーマー(コネチカット州):2007/04/21(土) 17:57:02.96 ID:G7N2ZSzwO
前に投下しそびれた短いのをほしゅがわりに。
【桜の名所にて】
男「遅いな…」
クー「男さん、遅くなりました」
男「…着物だ」
クー「せっかくの桜見物ですから、今日は着物にしてみました。いかがでしょうか」
男「すごく良く似合うよ!…俺ちょっと照れ臭い」
クー「ありがとうございます。可愛らしい男さんの照れた顔を見れて本望です」
男「何言ってんだよ」
クー「この顔が見たくて母に着付けを頼んだのです。
愛する男さんの紅潮した顔を見たいと言ったら、やってくれました」
男「ちょ、お母さんにまで何言ってんのさ…」
クー「本当に、真っ赤でなんとも愛しい。触ってみても良いですか?」
男「それは、やめて。い、行こう」
クー「はい。手を繋いでも?」
男「もちろん……あ、雨だ。こっち屋根あるぞ。行こうクー」
クー「はい」
男「…なんてこった…」
クー「本降りですね。花も終わりでしょうか」
男「かな。せっかく休みだったのに」
クー「裾も花もあせてしまいます」
男「大丈夫、クーはあせない」
クー「つまらないことを」
男「へっ。クーを真似ただけだよ」
クー「ふふ。男さんのために、あせないようにお手入れしておきます」
男「う、嬉しいから精々やってくれよ」
クー「では、今夜も存分に手をお貸しください、男さん」
男「…はい」
61 :
ツアーコンダクター(樺太):2007/04/21(土) 18:43:55.84 ID:iRmANiLHO
62 :
プロスキーヤー(岡山県):2007/04/21(土) 19:24:38.06 ID:OQGcCKPy0
ほ
63 :
調理師見習い(樺太):2007/04/21(土) 20:03:44.49 ID:PSM8g1nHO
ほ
64 :
土木施工”管理”技師(三重県):
どうも今週は間に合いそうもないな……