★【音楽の政治学】2曲の震災応援歌 中国
(写真)6月1日、香港では俳優や歌手が集まりチャリティーコンサートを開いた。ジャッキー・チェン(左)の姿も(AP)
ttp://sankei.jp.msn.com/photos/world/china/080705/chn0807051508005-n1.jpg 今年5月に起きた四川大地震の被災者たちを励まそうと、中国内外の多くのミュージシャンが震災応援歌を作り、
チャリティーコンサートを開くなどエールを送った。その中でも有名なのが、香港の俳優、劉徳華(アンディ・ラウ)
氏、張学友氏ら約200人の歌手、俳優らが一緒に歌った「承諾」という曲だ。
1985年に米国で発売されたアフリカ支援のチャリティーソング「ウイ・アー・ザ・ワールド」を意識し、香港の有名
芸能人を一堂に集め、1人1フレーズを歌うスタイルをとった。5月20日の発表以後、そのビデオが中国国内の
各テレビ局で繰り返し流されている。
♪未来への道がどんなに険しくとも、あなたとともに歩いてゆこう。誰もが暗闇を恐れているが、あなたのためなら、
私は絶対に逃げ出さない。
作詞は劉徳華氏。愛と助け合いをテーマとし、多くの若者の心をつかんでいるようだ。被災地で活躍する
ボランティアたちは、この曲を愛唱していると中国メディアは報じている。
しかし、高齢者の間ではあまり評判は芳しくないようだ。ある60代の知識人は「感傷的すぎる。天災に打ち勝とう
という気迫がない」と手厳しい。確かに、大躍進や文化大革命の時代に、勇ましい革命歌を歌って青春時代を
過ごした人々にとっては、この曲はいささか物足りないかもしれない。
32年前の1976年、河北省で発生し24万人の犠牲者を出した唐山大地震の際にも、震災応援歌があった。
「人民のために天災と戦おう」だ。
♪地震と戦う人民戦争を始めよう。天が崩れても私たちが持ち上げ、大地がへこんでも私たちが平らにしょう。
共産党は私たちの骨となり、人民はみんな英雄だ。
この曲について若者たちは「時代が変わったので、恥ずかしくてとても歌えない」と口をそろえる。
唐山大地震の研究家、張建平氏によると、唐山大地震当時の災害救援の最大のテーマは、被災者の生活再建
ではなく、鉄鋼や石炭の生産をいかに早く回復するかだったという。
2つの大きな地震。街が壊滅的な打撃を受け、多くの犠牲者を出したことは共通しているが、社会の価値観も
人々の受け止め方も変わった。2つの震災応援歌は、中国の大きな変化を象徴しているようだ。(北京 矢板明夫)
(MSN産経 2008.7.5 15:07)
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080705/chn0807051508005-n1.htm (関連動画:Youtube)
★四川大地震賑災主題曲 ~ 承諾MV
http://jp.youtube.com/watch?v=p20UTpLdWhE