中国の高速旅客鉄道網計画で、時速300キロ級の車両40〜60編成(1編成=8両)を
川崎重工業などの日本企業連合が受注する見通しとなった。
これとは別に、ドイツ・シーメンスによる60編成受注も正式に決まった。
先進技術の導入をめざす中国政府は日独企業に限って、現地企業と組むよう要請。
日中間の政治的な溝を超え、日本勢も受注することになった。
南車四方機車車両(山東省青島市)を提携相手とする日本勢は、JR東日本の東北新幹線「はやて」の
改良車両で準備を進める。契約額は1千億円前後の見通し。今回の受注分は、時速300キロ級だけでなく、
同200キロ級が一部含まれる可能性がある。北車唐山機車車両(河北省唐山市)と共同受注した
シーメンスの発表によると、60編成のうち3編成と重要部品だけをドイツから輸出し、残りは中国で製造する。
7割以上の現地調達率が課せられ、08年以降は現地生産できるような技術の移転を求められている。
将来の国産化と輸出をめざす中国政府は、日本勢に対しても同様の対応や列車事故の発生時の補償を強く求めている。
小泉首相の靖国神社参拝問題を受け、インターネット上を中心に日本の新幹線受注に反対する意見が広がり、
中国政府も慎重な発言が目立った。だが、各国を競わせて、優れた技術を安く導入したい中国は今春の
「反日デモ」以降、「日本排除」の姿勢を修正。長年の技術協力関係がある日本の排除は得策ではない、と判断した。
中国政府は2020年までに総延長1万2000キロの高速旅客鉄道網を新設する方針。
都市間の移動を円滑化するとともに、急増する貨物と旅客の輸送を分離する狙いがある。
早期着工分のうち、北京―天津はドイツ系の走行が決まっており、「はやて」は武漢(湖北省)―広州などの
路線が有力視されている。中国の高速鉄道商戦では今後、信号や運行システムなどの受注が「主戦場」となる。
日本、ドイツ、フランス、カナダ、韓国などの企業が引き続き競いあう。
ソース 朝日新聞
http://www.asahi.com/business/update/1121/118.html