狂牛病 〜千葉県で恐怖の拡大再生産〜

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822名無しさん
読売・千葉版に「波紋狂牛病」という特集があります。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/kikaku/014/main.htm
特に(1)と(5)は重要な事実を伝えています。
これらをまとめてみます。
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<今回千葉県白井市で見つかった1頭の牛は、狂牛病と診断できるに足る臨床症状は呈していなかった>
7/19、「牛が滑ったらしく、腰が立たないので診療してほしい」という連絡を白井市の酪農家から受けて獣医が診察に向かうと、この牛は牛舎から出ており、しっかりと立ってエサを食べていた。獣医師は一通りの診察を済ませ、「異常なし」と診断した。
8/5、再び白井市の酪農家から「今朝、また転んでしまった」との電話があった。獣医師が再び駆けつけると、その牛は後ろ足を開いて地面に座り込んでいた。
体を揺すったりたたいたりすると、牛は懸命に腰を持ち上げようとするが、ふらついて立ち上がることができなかった。しかしながら、獣医師はくまなく診察したところ「病気の症状は確認できなかった」という。
折しも猛暑が続いていたこの日、酪農家はこの牛の処分を決めた。獣医師は「牛舎で滑って起立不能になったと思われる」と診断書に記した。
8/6、県内の食肉処理場で処分される前に「と畜場法」に基づいて、と畜検査員(獣医師)が生体検査をした。
起立不能・体温が通常よりやや高めだった以外は、聴診や触診ではこれといった異常は見当たらなかった。
 その後処理室で解体したこの牛の内臓や各部位を調べた結果、内臓全体が委縮しており、リンパ節が腫れて出血が確認された。
臓器が何らかの菌に汚染されていることは明らかだったので検査員は「敗血症。狂牛病(牛海綿状脳症)の疑いはない」と診断し、
頭部以外は茨城県内の飼料原料製造工場へと運ばれ、肉骨粉に加工された。
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ここまでが臨床症状の経過です。
では、狂牛病を疑われていなかったのになぜ、狂牛病の精密検査がなされたのでしょうか。
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延髄を狂牛病検査のために動物衛生研究所(茨城県つくば市)へ送ったのは、農水省が「日本でも一応狂牛病対策として、
延髄の検査をやっていますよ。だから日本の牛は安全ですよ」ということを国際的にアピールするために行っている、
『狂牛病サーベイランス(監視)事業』に協力するためだった。(千葉県衛生指導課)
農水省は狂牛病の疑いがあろうがなかろうが全国で年間300頭の牛の延髄の検査を行うことを決めたが、検体の集まりが
思わしくなかったため、同省は今年5月、改めて各都道府県に協力を要請した。これを受けて千葉県は、
「狂牛病の疑いがない場合でも、検査の対象になる」と関係者に伝え、協力を求めていた。
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こういう事情のようです。
つまり、今回は「狂牛病は疑っていなかったが、検体を出す順番になっていたので検査に出してみたら、陽性だった」のです。
823名無しさん:01/10/01 16:30 ID:LHkotKn6
>>822のつづき
特集
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/kikaku/014/main.htm
の2には、今回発症した牛を育てた白井市の酪農家のこんな言葉も載っています。
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乳牛の一頭が急にふらつき、うまく立てなくなった。だが、酪農家にとって、驚くことではなかった。
「死にそうな牛がふらついた状態になるのは、どの牛も同じこと」だったからだ。
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・狂牛病を発症した牛は、ふらついたり立てなかったり、という症状を呈する。
・ふらついたり立てなかったり、という症状を呈する牛がすべて狂牛病というわけではない。
この当たり前の事実を重く受け止めるべきだと思います。
今後食肉処理される牛は、すべて延髄の検査が行われるようになる方針のようですから、狂牛病と診断できずに「他の疾患の牛」
として処理される危険性はかなり小さくなるとは思いますが、これまで処理されてきた牛の中に、狂牛病でありながら狂牛病と
診断されなかった牛が含まれている可能性は十分あるわけです。これは極めて重大ですね。

となりますと、今回の牛以外の牛が、すでに狂牛病にかかっていたのにそうとは診断できずに肉骨粉処理されていた可能性が
あります。
また、「病気の牛」の肉は、一般には食肉としては流通しないようになっているはずですが、症状の出方によっては、
「健康な牛」として処理されていた可能性も出てきてしまうわけです。

もしこの推測(今回の牛以外の牛が、すでに狂牛病にかかっていたのにそうとは診断できずに肉骨粉処理されていた)が
当たってしまっているとすると、狂牛病はすでに日本国内で一巡している(狂牛病→肉骨粉→狂牛病)ということになるわけです。

ここで、千葉県・白井市で確認された狂牛病の感染源がまだ確定していないことを思い出してください。
感染源が確定していない理由として、

・北海道、千葉県の酪農家のどちらかが虚偽の報告をしている/記憶違いをしている
・肉骨粉は入っていないと思いこんでいた飼料の中に、肉骨粉が何らかの過程で紛れ込んでいた
この2つの可能性があると思います。
824名無しさん:01/10/01 16:31 ID:LHkotKn6
>>823のつづき
・北海道、千葉県の酪農家のどちらかが虚偽の報告をしている/記憶違いをしている
・肉骨粉は入っていないと思いこんでいた飼料の中に、肉骨粉が何らかの過程で紛れ込んでいた

前者は確かめようがありませんが、後者は十分可能性があると思います。
英国、フランスなどでは、肉骨粉を牛の飼料だけではなく、豚や鶏用の飼料としても禁止していますよね。
その理由は、肉骨粉を含む飼料を食べた豚や鶏に異常プリオンが蓄積するという懸念以上に、製造・流通過程において、
「豚・鶏用」として使用していた肉骨粉が、牛用の飼料に混入してしまう危険性が高い(実際、英国ではそのようにして狂牛病が蔓延しました)からです。
これと全く同じ理由で、今回発症した牛が食べていた「牛用飼料」を製造する過程(あるいはそれが流通する過程)で、
異常プリオンを含んだ肉骨粉が紛れ込んだ、と考えることは、それほど突飛な推測ではないと思います。
ただしお気づきと思いますが、この推測が成立するためには、「日本国内で、狂牛病の発生が一巡以上している」という前提が
必要になります。
つまり、
---英国から1990年代に輸入されていた肉骨粉を含む飼料を食べた牛の何頭かは、実は狂牛病を発病していたのだが、
酪農家あるいは食肉処理場において、チェックすることができず(あるいは症状が出ない状態だったので)、
通常の牛と同じように処理された。この場合、病気の牛だということまでは分かっていたとしても、肉骨粉の製造はなされてしまった。
その結果、異常プリオンを含んだ肉骨粉が、飼料製造ラインに乗ることになった。---という前提です。
もし豚・鶏用飼料としての製造ラインに乗ったのだとしても、牛用飼料に混入する可能性はあります。
他トピにも書いたのですが、牛用ラインと豚用ライン・鶏用ラインを、厳密に分けることは、実際問題として難しいからです。
飼料メーカーらが製造ラインにおける混入(contamination:コンタミ)防止に本気で取り組み始めたのは、今年の6月に農水省より
「肉骨粉飼料用使用ガイドライン」が出てからのようですから。

「飼料通信」に掲載されている次の文章を読むと、コンタミ防止対策がこれまでおざなりであったことがうかがい知れます。
http://www.e-chikusan.com/shiryotsushin/indextsushin0106.htm#0608

もしこの推測が間違いではなかったら、日本国内で狂牛病に感染している牛は、すでに処理されたものも含めて当な数に上ることになってしまいます。
少なくとも、現在臨床症状を呈している牛が、初めの1頭をのぞいていない、ということが救いではあったのですが、
東京・沖縄で狂牛病を疑わせる症状の牛が出た、という記事
http://www.yomiuri.co.jp/00/20011001i406.htm
がとうとう出ましたね・・・