【速報】お止め組が実況 腐った2ちゃん運営の実態★5
1 :
チドリソウ(兵庫県):
3 :
アマナ(宮城県):2009/06/13(土) 00:43:13.86 ID:4TwwwMWW
はええよww
スクリプトガンガレ!
5 :
菜の花(神奈川県):2009/06/13(土) 00:43:15.94 ID:H/FGXEd0
いっけえええええ
6 :
カラスノエンドウ(茨城県):2009/06/13(土) 00:43:16.87 ID:mF6CAZsi
何ナノあのすさまじい投稿はw
また規制か
8 :
カタクリ(東京都):2009/06/13(土) 00:43:19.37 ID:gzQaihvC
おつ
フハハハハ
スクリプトつえー
11 :
チドリソウ(宮城県):2009/06/13(土) 00:43:27.89 ID:aKqXo9Ef
運営いい加減にしろw
12 :
アカシデ(関西地方):2009/06/13(土) 00:43:30.68 ID:JXwK/cCw
きたあああああああ
13 :
ボタン(東日本):2009/06/13(土) 00:43:31.56 ID:p+LjO8A1
水月のスクリプト荒らしかよwww
14 :
スノーフレーク(長屋):2009/06/13(土) 00:43:32.92 ID:mTnuejVr
スクリプトわろた
ガンガンいけ
↓スクリプト
なんとか滑り込めたぜ
17 :
ヤブツバキ(兵庫県):2009/06/13(土) 00:43:39.97 ID:mr/PQAoP
↓スクリプト乙
はえぇwwwwwwww
19 :
マツバウンラン(千葉県):2009/06/13(土) 00:43:40.92 ID:lUYevigy
おっさんなのに乙女組ww
20 :
ビオラ(神奈川県):2009/06/13(土) 00:43:41.36 ID:969SMwR9
あのスクリプト何なの
21 :
ダイアンサス ピンディコラ(山陽):2009/06/13(土) 00:43:41.62 ID:3z/URig1
ニュー速久しぶりに見たけど荒らしとかいんのかよ
っしゃあスクリプトこいやあああああ
23 :
ダイアンサステルスター(東京都):2009/06/13(土) 00:43:43.86 ID:FYHpD9UA
来いや!
24 :
オキザリス(大阪府):2009/06/13(土) 00:43:44.76 ID:60thbEq+
読み込んだ瞬間終わってた
25 :
カラスビシャク(アラバマ州):2009/06/13(土) 00:43:45.72 ID:u3dObeCP
スクリプトマジ半端ねーっす
26 :
イモガタバミ(東京都):2009/06/13(土) 00:43:46.94 ID:3hi+5fXV BE:225990353-PLT(12121)
akoが来るぞーーーーーーーーーーーーーーーーー
27 :
ねこやなぎ(東京都):2009/06/13(土) 00:43:51.05 ID:efLvaK7Z
おせえよwwwwwwwwwww
28 :
ヘラオオバコ(広島県):2009/06/13(土) 00:43:51.83 ID:m12F3WRD
このままパートスレのばして記録更新しようぜ
29 :
キバナスミレ(大分県):2009/06/13(土) 00:43:53.50 ID:q+FKfQdM
おらっしゃあああああああああああああああ
30 :
サンダーソニア(愛知県):2009/06/13(土) 00:43:54.11 ID:IOJe62i+
勢い950000で発言回数990回クソワロタwww
構え、引き始めるまでは、すんなりと体が動く。
今まで、見たことがない態度だ…どうしたんだろう?
「あの、花梨さんからお電話なんですけれども…」
「ありがとうございました。そろそろ参りましょうか」
中の湿り気も、少しずつ増して来たように思う。
「はい…雪、もうすぐですから、一緒に」
固くなっていた空気に、笑いの入る余地が生まれた。
39 :
アマリリス(千葉県):2009/06/13(土) 00:43:55.36 ID:vmT9JUwv
(結果…)
「…不思議だね」
ひょっとしたら、僕の夢や幻かもしれない。
「ううん、すごく楽しかったよ」
「ねー、和泉ぃ、ここに置いてある短冊ってあんたのじゃない?」
うれしいんだけど…
僕は腰を動かす速度を速めた。
「あやしいですね。ちょっと失礼します」
「…そうだね。ごめんなさい」
「はうっ」
少女の陰鬱な横顔は、何も答えてくれないまま…
「っぁ…はぁ…」
人を区別するものってたくさんあって、もちろんそれは、時として大事なんだろうけど…
や、やりづらいなぁ。
「透矢がそんなこと言うかぁ!」
「そうか…確かに、幸せだったのかもしれないね」
「まあ、そうなんだけど」
「…ママじゃ、駄目なの?」
「知性ねぇ…」
「ですから…那波が死ぬ可能性というのはごく近くに存在していますの」
目覚めたあの日。
だけど、恐怖の余韻に、僕の体はガタガタと震え、ロクに言葉をつなぐこともできなかった。
僕は、ほとんど衝動的に、雪さんのほうに手を伸ばしていた。
僕は、花梨のお尻に叩きつけるように腰を振って、より強い快楽を求めた。
――牧野さんのところへ。
「あ、お姉ちゃん、ひどいよ! 透矢さんと知り合いなら、どうして、そう教えてくれなかったの?」
「はは、そんな事はないでしょう? 喜んでくれたのはうれしいけど、欲しい物の一つや二つ…」
「うん…あそこ」
重ね合わせた手は、震えていた。
「焦ることはありませんよ。ゆっくりいきましょう」
「んー、まあ、そういうことなら」
八つ当たりしていることくらい、自分でわかっている。
「良くしてくれているようだし、嫌いということはないね?」
「ふーん。それじゃあ、毎朝これで起こそうかなぁ。効果ありそうだし」
「だから…今まで、ありがとう」
「他にも、いろいろ載っていたんですけど試してみますか?」
「今度は、舐めてあげる、っていうわけにいかないからなぁ…」
「そうだよ。だからさ、仲直りを…」
それは時計だった。
「雪は、そちらのほうがいいです。着る時と脱ぐ時は、手伝ってくださいね?」
「私だけ、緊張してるみたい」
一瞬だけ強ばった顔にすぐまた笑みを浮かべて、看護婦さんは出て行った。
あのとき、彼女は僕に何かを言おうとしていた、なんて考えすぎだろうか。
「透矢さんが向こう側に行くには…こうしますの」
「あのぅ?」
「なんとなく庄一らしいなぁ。牧野さんのほうは…やっぱり体調が?」
ばたつくアリスを、マリアちゃんは強引に引きずって行ってしまった。
アリスは、なんとか僕の手を押さえ込もうと必死になっている。
思わず息を飲んだ。
「それは勘」
「無駄よ。キツネ憑きには、キツネ憑きの治し方があるの…っと、そうそう」
彼の放った矢は、見事、的のど真ん中につき刺さっていた。
「そういう、ことだよね。うん…そういうことなのかもしれないよ」
「簡単に言うけど、相手は牧野さんだってことを忘れないでね」
あれは、その時の記憶だったってことなのか?
「僕ぅ?」
建売住宅というやつだろう。
「っ、ぅ! 透矢、私も…痛いけど、痛いけどぉ…」
「どうされたんです?」
無性に雪さんの顔が見たかった。
そう言った雪さんの目には、涙が浮かんでいた。
他に、何か侵略価値があったっていうことだろうか?
「そんなに怒らなくてもいいじゃない」
『夢ですからね、何も恥ずかしい事なんかありませんよ?』
「せっかちだね。で、結果は?」
那波の父親が、じっと僕らのほうを見つめていた。
「気持ち悪い?」
「ばーか、勘違いしないの。キミに教えてもらう時間、好きだったよ」
と、顔をしかめつつ、アリスは僕のものをくわえこむ。
舌が触れるたび、くすぐったそうに唇が動く。
「え、えぇ?」
“ガラガラガラ…”
「大丈夫ですよ」
こうして見ると、そこまで度が強いわけじゃないようだけど?
一生懸命に恋をして、僕に告白だってしてくれた。
ずっと無言で歩いてきて、別れるまぎわに、ようやく出たセリフがそれ。
岩の、向こう側か…
「透矢さん! 花の穴がのびてますがいいんですからってば?」
「嫌でしたか?」
「馬鹿なこと言わないでよ、もう」
命に別状があるとか、そういうものではないらしいし…なんにせよ、ひと安心だ。
121 :
カラスノエンドウ(茨城県):2009/06/13(土) 00:43:58.29 ID:mF6CAZsi
1分もかからずに埋めちゃっただろw
これで二度目…たぶん、僕の知らないところでは、もっと。
「だんな…っひゃ…ぁ…んぁぁっ…」
「そっか。アリスは信頼されてるんだね」
「まるで、モンタギューとキャピュレットですね」
「っぁ、ぁふ…」
波打ち際に立つ少女。
彼女は、ただ悲しそうな顔をするばかりで、何も答えない。
「むぉっ!」
「欲情って言わないでよ」
当然、和泉ちゃんじゃなかった。
前に雪さんから聞いた話だと、涙石は川や海、水辺でよく見つかると言っていた。
「ママがいなくなっちゃって、おねえちゃんともケンカしちゃって…」
「期末テスト…期末テストかぁ」
花梨に至っては、
「あの、取り込み中に悪いんだけど…」
(…ちょっと、ショックだ)
お尻をかかえあげるようにしながら、腰を打ちつける。
「ジロジロ見ないでよぉぉぉ」
「そうかもしれないけど、本人に心当たりがあれば、やめるきっかけになるかもしれないじゃない」
にしても――
ママ――
「雪さん、僕…」
外からの学生たちが集まってくると、射場に、奇妙な熱気が充満した。
あの日、大切なもの――ゆき――を手放したという喪失感が、僕にそうさせているんじゃないか?
とりわけ、山を神とした上で、自らもまた山の一部であると考える、原始宗教的な色が。
一歩間違えば、失禁くらいしていたかもしれない。
なにより、僕が、ひとときとはいえ、マリアちゃんに避けられた。
鼻をつく匂いに、頭の中がクラクラするのを感じた。
「嘘…」
私が日常を過ごす村、那波村は、貴重な研究対象でもあったのだ。
「…これ、抜いてもいい?」
「旦那さまにも、見えましたの?」
今まで、考えもしなかった、可能性。
「べ、別に、喜んではいないんだから」
心当たりがあった。
(僕にどうしろと…)
「はや? はややゃゃゃ…」
でも、いいんだ。
「はぁ、わかったよ、僕の負け」
だとしたら、ここで無理に彼女を送ろうとするのは、僕の自己満足、なのか?
あと数日で彼女に会える、それまでの我慢だ。
ここまで派手にやられたあとに『牧野さんの電話番号』を教えて、っていうのは、ちょっと気が引ける。
「牧野さん、どういうこと?」
「牧野さん…体調、悪いの?」
「はいはい。私はどうでもいいから、マリアの話を聞いてやってちょうだい」
いや、もっとも正しい形容は、そう――
「ぁ…ぅ…」
「この先です」
雪さんは、その言葉を待っていたとばかりにいそいそと行為を再開した。
「僕だって、たまたまだよ。技術だけで百発百中ってわけにはいかないのが弓道なんだから」
「なんなの、あなた」
僕の顔をつかむように、ほっぺたへ両手をあてがい、雪さんが顔を近づけてくる。
「どこに行くの?」
「だって、こんなことやってるヒマなんてないでしょう?」
和泉ちゃんを傷つけたのは、僕だって一緒だし、なんとかしてあげたいと思う。
だけど間違いない、僕の夢に現れた場所だ。
「きれいだったし、いいよ」
「でもね、今は大丈夫。透矢くんが助けてくれたから」
問題は、この寒気だ。
僕と仲直りできたことを喜んでくれているみたいで、なんだかうれしい。
手分けをして、マリアちゃんを探した。
「ここではない、どこか。今ではない、いつか」
「はい。仮にですわ、光があると触ってしまう猿がいるとして…死ぬまで触れ続けたりするでしょうか?」
「わかんないじゃないか、今は引けないんだし」
牧野さんが病んでいるなら、僕はそんな牧野さんを。
「そんなことないよ。で、何?」
お姉ちゃんとしているせいか、本人のせいなのかは、わからないけど。
「僕は、いったい…」
「私は、授業で教わったことをそのまま伝えているだけだよ。教え方がうまいのは私じゃなくて先生」
「僕に当てはまることは、花梨にも…」
「あ、途中まで一緒に行きませんか」
と、再び口をつけようとすると、割れ目の上端に小さな突起が姿を現しているのが見えた。
「うん。幼なじみだし…恋人、なんだからちゃんとフォローして」
(可能性は低いような気がするけど)
誰に向けたのか、自分でもよくわからなかった。
「今は、駄目?」
「じゃあ、してみます?」
「花梨か。いや、ついさっき、和泉ちゃんから間違い電話があったんで」
「実はですね、今日は、お休みをいただきたいんです。夕食前には戻ると思いますから…」
↑E/dqDF9x↓
「わかった。僕もちゃんと聞いて、ちゃんと答えるよ」
「あのとき、僕と同じ夢を見るって言ってたけど、最近、変わった夢とか見る?」
「神社? でも、もう暗くなっちゃいますよ」
「あんたねぇ、透矢みたいに素直な解釈はできないわけ?」
1000
「余裕できたら、顔出してよね…」
「大会で優勝したときに付けてたとか?」
話を聞いていると――どうして僕はいつも当事者なのに、いつも何もできないんだろう、と思わされる。
「んー、まあねぇ。確かに最近ちょっと疲れっぽいかも」
誰?
「…弓を、引いてくださいな」
よいしょ――と、花梨は僕の背中を背もたれにして座り込んだ。
「じゃ、そういうことで」
僕の記憶喪失から何かが狂い始めているのは、間違いないだろうから。
「僕だって雪さんのためなら、これくらい苦じゃないよ」
「それで、雪、気持ち良くなると我慢が効かなくて、こんなふうに…」
「駄目って言ったら駄目だよ、雪さん」
「駄目です!」
だったけど…やっぱり、和泉ちゃんのことが好きだっていう自信だけは持てなかった。
「一生だよ。雪さんは僕の専属だから」
「アリス…ちょっ…」
「へ? あ、ちょっ、や、ぁ…」
「死ぬ気でな。雪さんの水着姿のためだ」
僕にとっては、町を案内されたときに、いちどおとずれたきりの場所だ。
庄一も、同じようにして、くちゃくちゃし始めた。
「どっちかっていうと、せっかく来てくれたんだから、他の人より、雪さんを優先したいんだけど…」
“ぱたぱた…”
「……うん」
いましめを解く。
「ええ。そして…こうしていただきます」
スクリプトさんまじパネェッスwwwwwwwwww
でも、夢に影響を与えることくらいは、あるかもしれない。
「ふゃ…」
僕もよくよく要領が悪い。
休みも明け、テスト期間に入った。
男勝りで意地っ張り、自分の優しさを表に出すのが恥ずかしくて、ついつい茶化してしまう。
「へ、変なこと言わないでよ…その…すごく嬉しいから」
夢では、こういう道のりで小川に出たはずだ。
僕の声がちゃんと届いているのかいないのか、和泉ちゃんはとりあえず僕の名前だけを呼び返した。
そうして不意に抱き合ってしまう、こんな日常。
「はい。楽しみにしています」
「あの子、私を守ってくれていたんです。他の悪い霊に憑かれないように」
「あっ、は、はい?」
「俺よりバカなおまえに言われたくない」
「でも、女の子は、慣れると男よりも気持ちいいとか言わない?」
「…まあね」
いい友人に囲まれた事が大きいんだろうと思う。
この際だから、夢のことまで聞いてしまいたいところだけど…
「そうかもしれないけど…」
でも、僕には、雪さんやみんながいてくれる。
「で、僕はどうしたら?」
ぐいっとコーラを一気飲み。
僕にはもう、彼女にかけてあげる言葉が残っていなかった…
「、透矢く〜………ぶふっ!」
「えっ? またって、僕はまだ何も思い出してなんか」
「和泉も走れば石につまずくってね。それでもケガしないのが、あんたのすごいところだけど」
花梨の言葉に、僕は苦笑してしまった。
『写真があるんだから、少なくとも人間が 行ける場所なんでしょう? どうにかな るんじゃない』
「僕は、和泉ちゃんの家の事情を、ぜんぶ知ってるわけじゃないけど、それだけは違うと思う」
「えへーえへー」
「あ、こっちこそよろしく」
「私は構わないわよ。でも、マリアに捕まると、また面倒だろうし…早く行ったほうがいいんじゃない?」
264 :
モクレン(北海道):2009/06/13(土) 00:44:02.69 ID:8OTokx3I
スクリプトおもしれwwwwwwwwwww
「…心臓の音、聞こえる」
「駄目だよ。遊び相手にはなるから、今日くらい休んでおこう。退院したばっかりなんだから」
「私は、ママとお姉ちゃんがいてくれますし、それに、えっと…」
「そんなに痛い? なんなら保健室に…」
「まあまあ…庄一さん。いいじゃありませんか、今日はお祭りなんですし」
「きゃふ…っ…くすぐったいですわ」
と、アリスは自分の胸を見下ろした。
実際、ここ数日、何度も同じようなことをしているけど、このキツネ、僕にだけなつく様子がない。
「だって、部活とかお祭りとか、これで意外と忙しいんだもん」
「庄ちゃんの部屋みたいに、エロ本あるかなー、と思って」
と、アリスが訪ねてきた。
「僕こそ、言い方が悪かったと思う」
さっそく、背中を占領されてしまった。
こうして家を回ってみると、廃村というより、廃墟だ。
「ですけど、うれしいですわ。とりあえず上がってくださいな」
「石を力いっぱい握って、ナナミさまナナミさま…ってお願いするの」
「あは…透矢さんの、いっぱい…」
「確かに、こんなバカの相手しても時間の無駄か」
「雪さん…子供ができたら、雫っていう名前にしない?」
「ぁー」
暴れるアリスをなだめながら、廃校舎へ向かうことになった。
「実際のところ、どうなんだろ。雪さんは覚えてない?」
ずいぶん長い間、雨風にさらされてきたんだろう、もうボロボロだ。
そういって、水面をひと吹き。
そういうこと、なのか?
翌朝、僕は落ち着いた――まあ、多少ぐずってはいたけど――マリアちゃんを家に帰すことにした。
「な、なるほど」
僕が通ってきたはずの洞窟は、きれいに無くなっていた。
「どうして私だけが、透矢くんのそばに生まれなかったのかな…って」
「透矢がいなかったら、泣きわめいて山の中に探しに行くとか言い出しそうな雰囲気だったけど…」
しばらく見とれていると、視線に気づいたか、牧野さんはゆっくりした動作で、こちらに顔を向けた。
誰の期待にも応えられなかった、なんにもできなかった意気地なしだけど、
「透矢、嘘ついただろ」
「でも…ママは、ずっと…」
何か考え事でもしているのか、難しい顔をしてうつむいている。
「思いっきりでいいってば。僕しか見てないんだから」
「いいから、放っておきなよ」
「こういう場所が、ですわ」
「ごめんなさい…人間のせいで、苦しい思いをさせて、ごめんなさい」
「そうですね。雪、透矢さんがいつ目覚めてもいいように、頑張り…」
「自分がどうしてここにいるのか、わかりますか?」
「あら…旦那さまですの?」
アリスは辛そうな顔で首を横に振り、僕の言葉をさえぎった。
「一緒に海に行く約束があるでしょう? そうですよね、透矢さん」
「…ごめん、最後のおせっかい。嫌なら捨てて」
「マリアちゃんのお尻」
「ね? 消えたりしませんよ。透矢さんは雪が守ってさしあげます」
神社っていう場所のせいなのか…それとも、僕の、眠った記憶のせいなのか。
夢を見るんだ。
七波という名は、彼らにとってはその地を治める者の名前であった。
「本当に…っぁ…好き?」
「本当ですね」
なんでまた?――聞く前に飛び乗られてしまった。
「庄ちゃん、ボクはー?」
「二人ともケンカは駄目。めずらしくこんなにいい天気なのに、もったいないじゃない」
「…和泉ちゃん?」
病気で苦しそうだからっていうのもあるけど、雪さんが喜んでくれるのを想像するのは楽しい。
「二人ともケンカは駄目。めずらしくこんなにいい天気なのに、もったいないじゃない」
食事をしていると、庄一がすり寄ってきた。
「知っているっていうことはね、もう、それを可能性として認めているって事」
照りつける日射しは、確かに夏のものなのに、はらはら、はらはら…
「…でしたら、最後のお願いです。雪のこと、たくさん気持ち良くしてください」
別に、珍しくもない。
「くぅ、っん!」
中には小銭がいくらかと千円札が五枚、それから、
「いずみ」
「わざわざこんな話をしたのは、なんていうかさ…私たち、幼なじみなんだから遠慮するな!」
アリスは口を挟む隙も与えない、という態度で、さっさと歩き出してしまった。
那波は、にこーっと笑って、バンザイのポーズを取った。
庄一に目配せすると『おまえが行け』とアゴをしゃくられた。
シーツごと持ち上げてしまいそうな状態を隠すため、僕はむやみに体を動かした。
構えの美しさでは部内一だろう。
「…そうですね。でしたら、雪は食堂でお待ちしていますから」
「…純粋だから?」
構えの美しさでは部内一だろう。
「雪さん、魔法って、何?」
波間を漂う光の帯のように、すっ、と僕の中に入り込んできた、あったかいもの。
「そうだよね、ごめんなさい」
戦だ――それも、近いうちに起こる。
早くこの手を離さなきゃ、僕は…
花梨に会わなきゃ。
「いや、リアリストなんでね。神様のことなんて知りはしないよ」
「大丈夫です。おうちに戻ってから休みますよ。ご心配なさらずに」
彼女はびくっと身をすくませたものの抵抗はせず、それどころか、自分から舌を動かし始めた。
349 :
キンケイギク(東京都):2009/06/13(土) 00:44:03.46 ID:AVnlJ7B5
エクリプスかっけえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
『雪さん、今度は絶対に忘れないから』
「まき…ナナミ、さん」
そんなことを、雪さんの匂いがする布団の中で考えてみた。
『っんう…』
「最初から、そう言ってたじゃないか」
「女の子にあんな恥ずかしい思いをさせたんだから、その罰ですー」
「雪さん…おしっこ、我慢してた?」
「透矢さんが、そう言うなら」
焦点の合わない目、だらしなく開かれた口。
「昔からこれで教えられてきたから、よくわかんない。どうなの、和泉?」
僕の意図が伝わらなかったらしく、雪さんは不思議そうな顔で問い返してきた。
と、鈴蘭ちゃんのほっぺたを引っ張る。
「存在を定義できないもの――アリスの言う怪って、そういうものだよね?」
何だか、妙な風向きになってしまった。
――牧野さんのところへ。
「ボクも可愛いって言ったじゃーん」
「まあ、そんなに気にしなくていいと思うぜ。わざと呼んでないってわけじゃないし」
笑顔で言われて、抵抗できなかった。
「あの…アリス…いったい何を?」
「今まで通りじゃ、いられなくなってきたのかなぁ、なんて」
できるわけがないだろう。
いつも助けてもらうばっかりで、ごめんね。
昨日の夢の話を聞かせると、庄一はいかにもうさんくさそうな顔をして見せた。
「不安だなぁ。また、ナナミさまにでもお願いしておかないと」
「ひとりだと怖いでしょう?」
「ごめん。部活は休みだって聞いたから、テスト明けでいいのかと思ってた」
そして解放されたマリアちゃんは、アリスが怖いのか、そそくさと、僕の背後に隠れてしまった。
「っぃ…はぃ……はい!」
「おまえ、いったい何を根拠に、さっきので俺が喜ぶと思ったんだよ」
彼女の中は、思った以上に窮屈だった。
アリスちゃんと僕を交互に見比べている時点で、なんとなく見当はついた。
誰かを好きになることで、他の誰かとの関係を壊してしまう。
想いが、口をついて出る。
「ふーん。まあいいけどね…いつも練習を見てもらってるし」
理由は、わからないけど。
「やめてくれ、俺が負け犬みたいだ」
…しかし、仮に見てほしくなかったなら彼の狙いは外れたと言える。
「透矢さん。書斎にいらっしゃるなんて珍しいですね」
「いいもん。そうしたら、パパにあげるから。ね、透矢さん?」
「私だって…」
「帰るぞ」
「そのための、エスコートですわ」
「あー、悪い悪い」
「でも、僕が好きなのは花梨だ」
「ええっと」
とにかく、無言で本を読み続けている。
「それでもさ。頼む」
僕はさらに、空いたほうの手を彼女の胸に伸ばした。
「なるほど…」
「花梨の口ぶりからして、構わないと思うよ。話は僕のほうからしておくから。だけど、どうするの…?」
「やっぱり、町が管理してたんだね」
「流れでね、そうなっちゃった」
ざわざわと揺れる草木の音。
「しちゃって、いいの?」
1000
波のようにくり返される日々に入りこんだそれも、いつしか波間に消えて、
これは、何も和泉ちゃんのお父さんのことに限った話じゃない。
「当たり前でしょー」
夢は、いつか見た過去に変わって、過去はいつか見た夢に変わる。
「牧野さんの? こちらこそ…っっ」
親切な友人に恵まれていたこと、記憶は失ったけど怪我一つしなかったこと、
しゅん、となってしまったマリアちゃんの頭を、アリスが優しく抱き寄せた。
とはいえ、妹とも恋人ともつかない…微妙だ。
「それでも、僕は…雪さんと離れたくないんだ」
「そういえば、作者の苗字、あなたと一緒ね。もしかして親戚筋とか?」
「私は…幸せ」
柔らかそうなほっぺたをつかんで、ぐりんぐりんと引っ張り回し始めた。
改めて、潜望鏡よろしく、左から右へと首を旋回させてみる。
「透矢の、お母さんだよ」
「どれどれ…」
今のは、ドジとかそういう問題か?
「馬鹿だな…雪さんはずっと僕の側にいてくれていいんだよ。いてくれなきゃ、困る」
引き抜かれる寸前まで引き上げて、一気に根本まで――ぐちゃり。
「…ちょっと、ひどいかも」
「僕だって本番前だよ。花梨は?」
そんな具合で、面会時間中、呼びかけていたけど、彼女が目覚める気配は一向になかった。
出るかな〜出るかな〜ぅ
雪さんが、いなくなったほうがいいだなんて、とんでもない。
目の前にあるものを現実として受け入れるしかないだろう。
「いや…何も用事がなければつき合うと思うけど」
同じ夢の中にいるのかもしれない。
「ですから、そんなものなんだと思いますよ、常識なんて」
(…帰ろう)
が、その手にじゃれつくキツネ――ドロ沼だ。
「本当にすみませんでした。せっかく、透矢さんに買っていただいたものを」
マリアちゃんは、泣きじゃくるアリスの体を抱きしめ…その頭を、優しく撫でた。
『勘というか…あの子、あいつに怯えて逃げたんだと思うわよ』
恥ずかしいし、汚いことも考えてしまうけど、今は、彼女を想って優しい気持ちになることができた。
(これは…)
夜――『案の定』の孤独。
「そ、それって…」
なのに、どうして彼女は、悲しそうな顔をするんだろう。
442 :
モリシマアカシア(アラバマ州):2009/06/13(土) 00:44:05.61 ID:+LKf5eC7
f「
家に帰ると、雪さんがあわてて駆け寄ってきた。
「…そうだね。和泉ちゃんは、どうして」
「でも初対面なんでしょう?」
和泉ちゃんがすっかり元気になったことで、僕らの足取りはずいぶんと軽くなっていた。
「それは、言われなくても…」
「大勢でなにかするのは、あまり好きじゃない?」
「いくよ?」
おどろき…最後のひと突きをした直後に僕のものはすっぽ抜けてしまい、
雪さんが、手を取った。
「ええ。ですが、こんなことになるなら、少しくらい撮っておけば良かったかもしれません」
「マリア、夕食の時間、早く戻りなさい」
「和泉ちゃんの教え方が上手いんだよ」
「あ…答えづらいなら、いいんだけど」
「冗談はさておき、もうちょっとだけ練習に集中しようね」
波音に、彼女の姿が、世界がゆらいだ。
「庄一に、妹?」
「それで、ついでだから、勉強しようっていう話になったんでしょう?」
「わたくしを、射抜きなさいな」
「ばいばーい、透矢ちゃーん!」
「な、泣くことないじゃないか。様子を見て大丈夫そうなら、明日にでもつき合うからさ。ねっ?」
なんの説明にもなっていない。
「そうなのかな。自分でもよくわからないや。牧野さんは、もう書けたの?」
「和泉ちゃんの間違い電話なら、いいよ」
「頼られるばっかりで、雪さんには迷惑かもしれないけどね」
「さあ…とにかく、山に帰ったわけじゃなさそうだよ」
ともあれ、いつまでも腕を上げさせておくのも可哀想なので脱がせてしまうことにした。
(だ、大丈夫か?)
「ママに、あいさつしてくれたじゃないですか」
「花梨、僕のこと、待っててくれたの?」
「…透矢、自分で言ったことには責任を持ちなさいよね」
「何か、お手伝いできないかなって、思ったんだけど」
「現実を月とするなら、夢は水月っていうところかな?」
僕の声は、滑り込んできた低い、うなるような音にかき消された。
「透矢、あなた…何者?」
「ナナミちゃんねー、ここで髪飾りを無くして困ってるんだって」
「言っちゃだめー! これとこれ、引くんでしょー?」
「い、和泉ちゃん…これは、あの…」
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都合のいい事を言ってしまった。
僕には、記憶がない。
花梨は嫌味たっぷりに言った。
「あー、はいはい…っと」
「胸、痛かったの?」
「…そう、でしたか?」
「うん…」
「っぁ…入っていますのね…透矢さんのものが、那波の中に」
気づいてやれなかった自分を、殴りたくなった。
そう言った牧野さんは、でも、やっぱりいつもより寂しげで、
「まあまあ、そう気を落とさないでよ」
492 :
ジュウニヒトエ(北海道):2009/06/13(土) 00:44:05.91 ID:yRRGwiDB
勢い250kとかすげーな
忘れる程度のものだった…それなら、それでいい。
「なに言ってんの。キミ、悪いことなんてひとつもしてないじゃない」
聞き覚えのある、くぐもった声。
「んぐ…っ、んむぅ…」
「和泉ちゃん…塾で、何か嫌なことでもあるの?」
「良かった。洗濯物だって、たたんであげたでしょう?」
「ホント! 良かった…」
「いいことだと思うんですけど、ちょっとだけ寂しいです。ひとりになることが多くなってしまって」
「ママは、天国に行けたんでしょうか?」
「大丈夫だって言ったでしょう? 早くしたいなら、早く脱がせて」
「やっぱり、庄一は、和泉ちゃんのこと、好きだったの?」
小川だった。
くちゃくちゃ、くちゃくちゃ――
限界まで腰を引いて、力任せに根本まで叩きつける。
にっこり笑う。
「…和泉より、私のことが好き? 牧野さんより?」
もっとも、それを確かめる手段がないから、けっきょくは手当たり次第に探すしかない。
駄目だ、やっぱり怒ってる。
「うん、やっぱり、駄目だった」
「覚えてない。夢中だったから、手あたり次第だった」
「舞の練習は大丈夫なの?」
他の子が相手なら、照れちゃってなんにもできなくなるところなのに、この子が相手だと、なんだか…
「あーあ、惜しかったねー。次は牧野さんだっけ」
「ふーん…まあ、何か考えがあるみたいだし、任せてみるよ」
楽しんでいたらしい…
きっと、これで…
雪さんがあわてて僕の手を引いた。
「えっ、ぁぁ…僕?」
このままいたって、ただケンカが続くだけだ。
「あの、透矢さん…」
「…ま、無理すんなよ」
僕のことなんてわすれたように、ふたりは手を取り合い、大はしゃぎで、屋台のほうに駆けだした。
525 :
イベリス・ウンベラタ(福岡県):2009/06/13(土) 00:44:06.82 ID:iGYqlw8Z
くこか
「私たちは霊感が強い。それがどういうことかっていうと、自我が薄いってことなのよ」
「なるほど」
「そう…ですか。あの、それって、ほめていただいているんですよね?」
「う…ん……?」
「ぁ…ぅぅ…透矢さぁん」
これは、違う。
「花梨っ…いく、よ?」
と、差しだしたのは、動物図鑑?
でも、腰を出すにも引くにも、吸いつき抵抗してくる、感触としてはややキツイくらいだ。
僕が生まれ、母さんが死に、みんなと出会って、みんなのことを忘れ、
ちょっとだけ――と自分に言い聞かせ、僕たちは防空壕の中に入った。
「はっ、ぁ…っぁ、ぅぁ…」
うつむき、スカートに手をかけたまま、つぶやいた。
「それは」
それでも、一日が流れ出した。
僕が、花梨のこと嫌いになるはずなんてないのに。
「届くといいですわね、願いが」
「ひどい事故だったんだ」
「和泉、安心して。補習中、透矢の面倒は私が見るから」
「その馬鹿なことをしたのは花梨だよ」
「別に、僕は何も…」
「そんな言い方、ずるいです…。わかりました、ご一緒してください」
また、雪さんの手に力がこもる。
「いろいろ、あって」
「してないって…。うん、でもごめんね。タイミングが悪くて…」
551 :
ハハコグサ(福岡県):2009/06/13(土) 00:44:06.92 ID:8lW6kpxQ
「透矢ちゃん、続きしてしてー」
「そ、そう? でも、急に帰っちゃうから心配で」
「うん。とにかく、きれいになって良かったと思うよ。さ、埋めてあげよう」
と、今度は、竿を手でしごきながら、袋の部分を口にふくみ、器用に舌で転がし始めた。
「どういうこと?」
でも、この人は、ちょっと変わった僕の同級生で、名前は牧野那波さんで…
「僕がお願いしなくても、しちゃったりしない?」
「くっ…ぁ…」
夢だったのか。
「緑の、匂い…」
「マリア、ふたりの部屋なんだから、勝手に…」
「いけませんの?」
それでも続けたいから、何も言わなかったのかもしれない。
和泉ちゃんは、僕から目をそらしたまま車の後部座席に乗り込んでしまった。
誰かが許さなくても、僕が許そう。
「やっ…はぁ…」
「ぁん…」
「ううん。でも、急にどうしたの?」
暗闇の向こうから現れたのは、
重い足どりで坂道を上り、どうにか教会の前まで戻った。
「まったくだな」
…マリアちゃんに、こんなことを諭されるなんて思わなかった。
「でも、そう考えると、悲しいお話のようにもとれるんです」
「化け物って容姿じゃないけど、人間離れしているところはあるね」
『夢ですからね、何も恥ずかしい事なんかありませんよ?』
意識して、固くなったものをすりつけると、彼女は恥ずかしそうに身をよじる。
夢の中で、触れた感触まで覚えてるっていうのも、よく考えたらすごいことだ。
「自分がどうしてここにいるのか、わかりますか?」
「はい。あのぅ、ご迷惑でしたか?」
よっしゃーこい
「お寝坊さんには、目が覚めるおまじないを、してしまいますよ?」
二人は嫌がるでもなく、僕のもの、お互いの顔を舐め始めた。
584 :
チドリソウ(東京都):2009/06/13(土) 00:44:07.37 ID:6yR4yfFd
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
それは、あまりにあっけなくて――
「牧野さんと、川で…?」
「本当に嫌な時は、言って」
「う、うーん。言われてみるとそうか」
「ぁ…起こしてしまいましたか。申しわけありません」
「はっ…ひ…ぃ…ぃぃ…」
「浴衣を着て、好きな男の子とふたりっきりで花火。すごく、デートっぽい」
なんだか可愛い。
「もう、集まりませんの?」
「和泉さんのことは残念でしたけど」
そして僕は、恐らく、この夢の中で、一年前に見た夢とは、違う内容をたどっている。
だけど、朝になったところで何が待っているだろう。
「いちばん忙しい人に合わせるのは当然でしょう。で、明日、来られない人とかいないの?」
波音の向こうに、消えていく。
ほほえんで、
「わ、わかったよ」
神社での出来事からアルバムのことを思い出す、
「っくふ…透矢ちゃんぁぁぁん…」
「続けるよ」
「はは…って、なに?」
「…ぅ」
「雪のパパとママ。ね…私は、こんなにも幸せですから。安心して下さい」
「…庄一。あとのこと、任せていい?」
「お願い」
「…ばーか」
ずるずると、吸いつくような感覚に、思わず射精しそうになるのをどうにかこらえた。
「意外と明るいんだ」
612 :
チドリソウ(宮城県):2009/06/13(土) 00:44:07.92 ID:aKqXo9Ef
↓スクリプト
ふと振り返ると、庄一は、まだヒザを折り、うずくまっていた。
「鈴蘭ちゃんは、いいのかな…また、ずるいとか言われるんじゃない?」
と、色素が薄いのかと思えば、髪は夜の闇を飲み込むほどの、長く艶やかな黒をたたえていた。
「ど、どうされたんですか?」
「…もう、帰ってきませんの?」
身振り手振りをまじえながら話すマリアちゃんの肩口には、きれいな水着の跡が見えた。
「あら、メイドがちょっと指を切っただけで、血相を変えて手当なさったのは、どこのどなたでしたか?」
「まだ整理してるんだね」
「大丈夫ですよ。何も心配しなくて、大丈夫です」
「決まり。って、どうしたもんかな。和泉とはどこに行ったの?」
僕は、はげしくむせる少女の体を横にして背中をさすった。
「っぁん…」
「うん。あなたなら、まあ任せてもいいかなって思うし」
「嘘。そんなことないよ。でも、透矢が変態さんの役をやってくれないと、私が困るんだよね」
「牧野さん、どうして? 僕たちは、ただの友達だって…」
だけど背の低かった僕にはわかった。
だけど、ホント、なんで僕ばっかり…。
だけど、真剣な顔――しかも涙目――の雪さんに見つめられると、どうにも弱い。
だけど、そこに、彼女の姿はない。
流しに血を吐き出して、うがい。
きたぁ
「だといいけど」
「…仕方がありませんの。夢の中の那波はそのための存在ですから」
ほほに触れられるそのたび、彼女から離れようなんて気持ちは消え失せてしまい、
「ぅ、ぅぅー」
「いいわよ、別に」
花梨はあれから、今、別れる瞬間まで、終始無言で通した。
安心したのもつかの間、和泉ちゃんは首を横に振った。
「へえ…じゃあ、わたあめとか、食べたことない?」
「あり得ますわ」
「自主トレ。それでさぁ…ええっと…」
波打ちぎわの少女が流した、あの涙だったのかもしれない。
「これで、いいですか?」
「でも、他に言いようがないから…」
和泉ちゃんにも意地があるのか、引いてくれる様子はない。
状況も忘れてしばし見入る。
“ドサドサ!”
「事故? なるほど、それで僕は…」
雪さんの話では、ここからさらに、坂を下って海沿いの道まで出るのだという。
「だんな…ひゃまぁ…」
「うるさいなー。あんたが思ってるようなのとは違うんだから、いいの」
「…行こうか」
「僕は、今のままでも、和泉ちゃんは可愛いと思うし、大好きだよ。それだけじゃ駄目なの?」
「…なるほど、アメとムチね」
「…あの、そんなにがっついてた?」
「和泉ちゃん、僕のお客さんなんだから、あまりいじめないでよ」
「あは。透矢さん、私にも…」
「それも…わかってる」
「ホントだよ。和泉ちゃんには悪いけど、僕が好きなのは花梨だけだから」
夢で見た風景――
「ひゃっ! お、おねーちゃん…」
「まだですよね?」
さて、正直、楽しく遊ぼうっていう気分ではないんだけど…
「明日の夜」
「…ばか」
「っふ…いけませんわ、お一人…っぁ…だけだなんてぇ…」
腰を上げたところで、こちらに向かう、ふたりと、牧野さんの姿が目に入った。
「そうだね。牧野さん、あれくらい気楽にしてくれても構わないんだよ?」
どうにも、一時間ちょっと前に自分がいた場所と、目の前の場所とが地続きとは思えなかった。
波音に誘われるように、目を開く。
「それも僕がはっきりしなかったからだ」
「そうですね。お父様のお手伝いをしていましたし、興味はありますよ」
「原理はまったく同じでした。あとは、点の並びが若干違ったくらいですわね」
「…あのさ、朝練やって補習受けて、午後から練習するって、どういうこと?」
「違うよ…魔法は本当にあるの。だからママだって、ずっと側にいてくれたんだもん」
「そっか。じゃあ、休んだほうがいいよ。また次の機会に。今度はちゃんと、声をかけてね」
「えー、いろっぽいよー、とか」
「民俗学者って言うと?」
「元気になってくれたんならいいよ。アリスは…それ返しに行くの?」
「だから、あのですね、とっても図々しいんですけど、そのぉ…ぅぅ」
「べ、別に、焦ってないよ…」
「…雪さんのせいだよ」
「だって、さっきから、友達の相手もしないで、私たちの相手ばっかり」
時が止まったかのように、セミの声がやんだ。
「っふ、ぁぁ…」
どうして、無理に出てきてまで、こんな嫌な思いをしなくちゃいけないんだろう。
「じゃじゃーん」
「ヒザまくらのお返しってことで」
「雪さん、ごめん。ずっとはっきりしなくて、ごめんね」
小さい。
お互いが、お互いと、いつでも結ばれているようにと。
「透矢さんは、何をお読みに?」
「ご主人様が、メイドさんを好きになるのは、いけない?」
決まった時間に起きて、適当に課題を済ませ、雪さんとお茶を飲み、寝る――そんな平和な日常。
普段、雪さんが家にいる時だって、特別に何かをしているわけじゃない。
698 :
菜の花(愛知県):2009/06/13(土) 00:44:08.81 ID:MH9bbGg2
ニヤリじゃねーよ
「いっ!?」
絡み合う舌が、ぴちゃぴちゃと、粘りけのある音を奏でた。
勢いを得て、僕は腰の動きを止めて、それを続けた。
痛いくらいのしめつけと、吸い上げられるような快感。
703 :
ジロボウエンゴサク(三重県):2009/06/13(土) 00:44:08.65 ID:ao9Qx10c BE:511283-PLT(12000)
ムギちゃん!ムギちゃん!ムギちゃん!ムギちゃん!ムギちゃん!ムギちゃん!ムギちゃん!
2期待ってるよ!!!!!⊂( ´∀`)⊃
「あのねぇ、せっかく朝ご飯作ってあげたんだから…あったかいうちに食べてよ」
「物理学の最先端、量子力学による…」
「早く、始めて」
彼女の誕生日、今日という日のこと、
「ええと、そういえば、お塩が少なくなっていましたから…」
後に続こうとすると、
「いたたたた…雪さん、怒らないでよ」
「んー、心配してくれる人がいればね…庄一くらいか」
ふたりが、おどろいたように顔を見合わせた。
黙りこんだきりの花梨を見やる。
思いたくないというより、思えないことが多すぎる。
「嘘つき? 僕がアリスに嘘をつかれたことなんてないじゃないか」
「ちょっとぉ…いい加減に……ぃっ!」
「スキンシップでも、嫌な時は言ったほうがいいよ」
でも、事実は違う――そして、僕には牧野さんみたいな演技をする自信がない。
今、そのすべてが、温かい。
そして僕は、あなたと手を取り現実に生きよう。
抱きしめる腕に力を込める。
「でも、ちょっといい雰囲気ですよね。私も、こういうところでお勉強したかったなぁ」
唇にはばまれて、言えなかった。
「やっぱり、見たんですのね」
正直まだ、どこか信じられないような気持ちもあったけど、僕は雪さんに習い、頭を下げた。
波が、波紋を飲み込む。
「夢を見ていますわ」
「じゃあな。ま、俺の分も頑張って勉強してくれ」
「マーリーアー!」
いくつも転がった可能性の、いちばん、どうしようもないところに僕はいるのかもしれない。
「んぅー、っ、っぐ…」
「優しそうだなぁって…」
扉が閉まると同時に、庄一がうめいた。
雪さん――世界中でただひとり、僕の中にだけ存在しているようだ。
しかし、改めて見ると、どの本にしてもパッと見からして、売れなさそうだな…。
「あ、そっか。じゃあ、そっちのほうがいいや」
僕は誘われるがまま、その秘密の通路から手を差しこんでいた。
「おはよー、って、えっ、えっ?」
花梨の言う『家のこと』っていうのは大和神社のことだろう。
「透矢くん、花梨ちゃん、おはよう」
「えへー、じゃないの。駄目じゃないか」
それでも、頑張ればこんな笑顔が見られるから、やめられない。
「あのね、那波ちゃんは、夢を見るのが好きなんだよ。だからすぐに保健室に行っちゃうの」
「ぅ、ぁ…いや、なんでもないですよ…」
「だって、僕の知らないところで、ぜんぶ決まってる…」
「ここは、気持ち良くないんだ?」
「たぶん、覚えてるけど、今さら読んで面白いものかなぁと」
「はあ…」
「きっと、待っていても、駄目だから」
「ふーん。まあいいけど。もうちょい早ければ、舞を見せてあげられたのになぁ」
「んー、本当に個人的なことなんだ。夢の謎がちょっとだけ解けたかも」
「違うよー。透矢さんは、いつまでも優しいだけ。そうですよね?」
「勘というか…あの子、あいつに怯えて逃げたんだと思うわよ」
「はいはい、お友達ね、お友達」
「迷惑だなんて、思ってないから」
三人とも押し黙ってしまった。
「…じゃあ」
「透矢さん、夕食、お食べにならないんですか?」
僕は、赤く染まった彼女のほほに顔をうずめ、余韻にゆれる乳房へ手を伸ばした。
「ふふ、無邪気でいいじゃありませんか」
「…駄目だよ。口で説明したって、わかるわけないもん」
「本当ですか? それでしたら、すぐに他の記憶も戻るかもしれませんね」
ショーツを、脱いでもらうことにした。
「ひゃっ…ぁ…」
「胸?」
冷たい――まるで、死人のように。
マリアちゃんの目を覚まさせるのに必要なものがあるからと、一日がかりで出かけてしまった。
「まさか。天才は、何をやらせても才能があるの…よっ!」
僕の夢は、ただの夢なんかじゃない。
「ちょっとは手加減しようよ」
「牧野さんと、前世で約束でもしたんじゃないですかねぇ?」
「いいよ。花梨ちゃんと上手くいってるみたいだし」
773 :
チドリソウ(福岡県):2009/06/13(土) 00:44:09.76 ID:gZ6Gar8n
あ
「マリア…?」
「まきの、ななみ」
どうしてだろう――
「透矢ー、この前ってなんの話だよ」
「お、出てきた出てきた」
全身がベタベタして気持ち悪い。
すると、徐々に道が狭まり、悪路が目立つようになった。
「それはいいんだよ。でも、大丈夫?」
けっきょく、アルバムから大した収穫は得られず、部屋へ戻った。
「自分から振ったくせに」
「おつかれさん」
「いいっていいって。私だって風邪ひけば部活は休むし、それとおんなじ…にしたら失礼?」
「しょうがないじゃないか、こういうものなんだから」
「年下趣味はわかるけど、行き過ぎると犯罪だと思うのよねぇ」
マリアちゃんはあくまで真剣だ。
庄一、静かになったと思ったら、動かなくなっていた…。
「だって、めんどーい」
承知はしていても、その感覚の鋭さにはおどろかされるしかない。
「くっ!」
そんな時、口に塩辛いものが広がって、
「残念ながらね。それより大丈夫?」
「花梨! わざわざ誤解をまねくように言わないでよ」
僕は、一夜をここで明かした。
「なつかしい…?」
「ぁ…おねーちゃん?」
背中越しに声がかかった。
「そうだねぇ」
そうやって父さんの本を漁り、
「でしたら、念のため湿布を貼っておきましょう。ね?」
「あ…はい、どうぞ」
だから…泣けなかった。
「はうっ」
「どーにか間に合いそうだね」
「あ…うん」
「家よ、家。あの子には他に行くところが無いんだから」
またかw
「ふふ、夢のお話ですもの、わからなくていいと思いますわ。それより何か、音が聞こえませんか?」
「放課後に、また」
「うん…あ、いや、どうなんだろう」
変わらない雪さん、でも、変わらなければならなかった雪さん。
「時間?」
「うん…いくよ?」
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
「まあ、牧野さんの体調が良くなんないと話にならないけど。…そろそろ、図書館のほう、行こうか?」
『違ったら困るの。あの子には早いとこ、いなくなってもらわないとね――』
「それにしても、同じ町に二つも神社があるって、どうなんだろう?」
「透矢、私、あっちで待ってるね」
アリスには悪いけど…明日あたり、またひょっこりキツネが顔を出すならそれでいい。
「もう、今回だけなんですからね?」
「いや…何も用事がなければつき合うと思うけど」
「それもありますし、安心したから、気分が良くて、眠ってしまったんだと思いますわ…」
三人は行ってしまった。
その代わりに、出来すぎたメイドさんがいて、僕を支えてくれる。
「ふーん。ま、なんか悪い夢だったみたいだし、見ないのに越したことないよね。夢は夢だし」
庄一は、こんなにも純粋な気持ちで、和泉ちゃんに恋をしている。
ごていねいに、ため息を交えながらぼやく花梨。
「んっ…んっ…」
「大丈夫だよ、大丈夫…ね?」
「…二回?」
「私より、和泉が」
明日の朝には、この悪夢も、終わっているんだろうか。
突拍子もない言葉に首をかしげているとアリスが続けた。
「ちょっ…あああぁぁぁー…」
なんだか不思議な組み合わせだ。
「だ、めぇ…お願いです、もう少しだけ、待ってください」
「ぁ…え…ぅ…」
「あ、ああ…大丈夫だから、戻ってきてくれないかな?」
口から抜け出そうになったところで、今度は一気に飲み込む。
「旦那さま…声が、漏れてしまいます…」
ただ、普通にできていたなら…こんなに友達を傷つけずに済んだんだろう。
(うわぁ…)
「帰るぞ」
「う…まあ…」
「何か変わったことは?」
「年下趣味はわかるけど、行き過ぎると犯罪だと思うのよねぇ」
だいたい、当初の行動指針に、これまでと同じようにする、というのがあったはずだ。
当然、首を縦に振った。
ママ――
内容は、ほとんど予想通りだった。
「でも、花梨ちゃんに呼びかければいいっていう事なんでしょう?」
854 :
ビオラ(catv?):2009/06/13(土) 00:44:10.80 ID:JzhmJY7P
うんち
「鈴蘭ちゃん、なめるって、なんのことを言ってるわけ?」
彼女がうなずくのを確認して、僕は、胸の谷間に顔をうずめた。
マリアちゃんは、すすっ、と僕の背後に隠れてしまった。
「っ…んぁ…っ…ぁ」
「うん、ありがと」
「透矢くんの好きにさせると、シワシワになりそう…ブラ、外すよ」
僕は、胸への愛撫を行いながら、腰を動かした。
「いいよ…それが普通なんだもん。待ち合わせがあるのに、ごめんね」
びくっと、和泉ちゃんがのけぞった。
「和泉ちゃんは、いつも笑顔だったじゃないか」
「待ち合わせの時間とか決めてたの?」
「本当に? 記憶のこととか…」
「牧野、それ、みんなですることじゃないから…」
「風船ウサギが餅つきをするって、想像するとすごい絵だなぁ」
それにしても、きれいだ。
「うん。何かいいことあった?」
僕もつられて頭を下げる。
「そういえば、今回は同じ夢を見なかったんだね」
「手を…」
「寝言ですよ…恥ずかしいことなんて、ありませんから」
「あ、いえ。ええと…」
「からかっていますの? いつも通り、ナナミと呼んでくださいな」
877 :
水芭蕉(catv?):2009/06/13(土) 00:44:10.95 ID:QElSGuUl
ワロス
「約束だから。牧野さんこそ、今日はもう休みだと思ってたよ」
「迷子になると、いけませんでしょう?」
「お買い得って…。うん…アリスのことは好きだけど」
どの家も損壊がひどく、人が住んでいる気配はない――まあ、当たり前だ。
「どうして?」
今も、これから先も、ただ優柔不断なだけで…
「そんな、催促をしたわけでは…」
「あ、ああ、そうだね。四人とも、それから雪さんも、いい人ばっかりだ」
「透矢さんは、おねえちゃんのこと、理解してくれているんですね」
本当に同じ地球の上なんだろうか?
「っっ。か、花梨、つま先で蹴らなくてもいいのに」
なんにしたって、笑顔で楽しくってわけにはいかないらしい。
「大事な、話なの?」
「…マリア、来てない?」
ママ――
「そんなんじゃないよ」
「お邪魔します」
「馬鹿ね。この男にはこの男の都合があるのよ。家で待ってる人間だっているんだろうし…」
「可愛かったよ。雪さんには悪いけど、最後のは、あったかくて気持ち良かった」
雪さんが得意げに胸を張る。
『私たち、魔女なの』
はっきり言って、こんなことをする花梨はバカだ。
「はは…花梨、そろそろ、こっちも」
川のせせらぎ、虫の声、耳を澄ませば、世界にはこんなにも音があふれている。
庄一の手がそれを制した。
903 :
モリシマアカシア(アラバマ州):2009/06/13(土) 00:44:11.62 ID:+LKf5eC7
h
「もう一回、する?」
…雪さんのために死んだって、解釈したのか。
「透矢さん、こちらですよ」
「どっかの誰かみたいに、衣装だけカッコイイのよりマシじゃない」
「でも、おかげで、いろいろはげまされたから」
差しだした写真を素早く奪い取り、
雪さんの手は、出会ったあの日から変わらず、冷たく優しい。
「透矢くん、お待たせー」
二人は四つんばいになると、僕の手についたお互いの愛液を、ペロペロ、舐め取り始めた。
「…どうして、そういうこと言うの?」
「じゃあ、してみます?」
どうも最近、遅刻と縁がある。
「ゆ、雪…?」
めずらしく、雪さんがうろたえている。
「まさか、事故に遭って、神様でも信じる気になった?」
動物の本能は、真実を伝える。
「もらわないと、なんですの?」
庄一や花梨らしき子供と一緒に写っている写真が多い。
「それでも、駄目か?」
「はわ!?」
「そっか…良かったね…」
「…自分でも忘れてたの?」
「困りました」
そーっと、そーっと…
頭をひと撫でし、僕は早速、マリアちゃんと同じように、ワンピースをまくりあげてしまうことにした。
この子が天国に行けますように。
重ね合わせた手は、震えていた。
「何座かわかると、どうなりますの?」
「どうして…あんなひどいことするの?」
「ぁ…ぅ、うん」
「だとしたら、どうして僕に見えるの?」
「ここね、なんにもしなくていいんだ。夢の中だから。ただ寝てるの…たまに透矢の声が聞こえて…」
「残念ながら、そういうことをする人たちじゃないよ」
つづら、ツボ、本はいいとして、
「ぁっ、ぁっ…なに、これ…?」
「道祖神、だよね。外から疫病とかが入るのを防いでくれるっていう」
「まあ、那波の夢を?」
「やだな。別に、透矢が謝る必要なんてないでしょ。事故なんだから」
「実際のところ、どうなんだろ。雪さんは覚えてない?」
「もちろん、お父様には感謝しています。ですけど、雪は…」
「…どんな感じ?」
「…ふたりそろって」
「じゃあ、行くよ」
鈴蘭ちゃんが八重歯をぎらつかせる。
一瞬、泣きたいような気持ちになったのは、わずかでも信じてしまっている証拠なのかもしれない。
「なんだ、まだ気にしてたのか。兄妹の俺が大丈夫だって言ってんだ。信用してくれよ」
「ただやる分には、慣れたからいいけど」
「それを可能にするのが、この指輪なの。これは、確かに現実よ」
自分の立場もわきまえずに実況してる阿呆は剥奪しちまえよ
「…僕から話すよ」
だけど、雪さんは、確かに泣いていた。
「んー、そうなんだよねぇ、人の話とか聞いてると」
「もっと……」
「嘘つくのヘタね。私もマリアも、勘がいいのはわかってるでしょ」
「ぁ…ぅぅ、そうですか」
ばいばい、花梨。
「んーんー」
「も、もう、まぎらわしいなぁ。男なんだから、いちいち情けない声あげないの」
「…な」
花梨がバカにした顔で言った。
真夏の日射しを受け白く輝くその姿に僕は、そう――
なんだかんだで、構え方やら道具の使い方やらは体が覚えている。
胸もお腹も、この子の体は柔らかく、すべすべしている。
この素敵な人たちへの想いが、未来へ、つながっていきますように。
「さすがだな。よく分析してんぜ…悪いけど、そうだよ。ただ…」
「…和泉さん自身が決めたことですよ。一生会えないわけでもないでしょうし、元気を出してください」
「こんな時期のこと、仮に思い出したって役に立たないじゃないか」
「くす、本当に初めてなんだ?」
「和泉のことなんだけどさ」
混乱して、良くわからない返事になってしまった。
新たにあふれ出た精液を、ちゅっ、と吸い上げた雪さんは、
「夢を見たんだ。それが記憶なのかどうかはわからないけど、タイミングが良かったから…」
「物知りだとは思っていたけど…それとも魔女は人の気持ちを読むこともできるのかな?」
「私に心配かけた分! ホントは、そんなもんじゃ済まないんだから」
今いる場所から見たら、すべての場所がそうだ。
ずっと、昔から今まで――これから先もたぶん、僕らが僕らであるかぎり。
花梨の言葉が思い出された。
夢を見ていた。
「ここからさ。山ノ民が、この国の先住民だって話があるんだよ」
「そういえば、けっこう長く話してしまいましたわね…」
互いの口内に、くぐもった叫び声をあげて、二つの体が、震えた。
『だから、怒らないであげて下さい』
「あ、あのぅ、それで結局?」
「…はは。僕のためにそんなに悩んでくれて、ありがとう」
「牧野さん、優しいからさ、現実だろうが夢だろうが、友達が苦しんでたら助けてあげたくなるよね?」
「ごめん」
波打ち際にたたずんでいた。
「いいから、透矢はマリアを…」
「あら、早かったんですね?」
なにせ、和泉ちゃんと僕が原因になっているわけだし。
神隠しの話なんかされたせいか、さっきから漠然とした不安のようなものが消えない。
「お、は、よ、う」
憑き物は思いこみによるところが大きいとアリスは言っていた。
と、自分を納得させつつ、僕は行為を続けた。
「うんうん、わかればよろしい。その心がけを忘れないように」
「夕食って、もうこんな時間かぁ」
“どくん、どくん――”
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