【速報】お止め組が実況 腐った2ちゃん運営の実態★5

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1 チドリソウ(兵庫県)

〜スレ立て依頼所〜
http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/news/1244602848/494

494 名前: チドリソウ(東京都)[] 投稿日:2009/06/13(土) 00:24:40.27 ID:32cNxekE
お止め組が実況


けいおん!紅茶267杯目
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/anime/1244738651/184
184 名前:雑用@お止め組。 ★[sage] 投稿日:2009/06/12(金) 02:28:34 ID:???
京アニま〜た学祭エンドか?


スレスト野郎がけいおんスレで実況。腐ってやがる


まえ
【速報】お止め組が実況 腐った2ちゃん運営の実態
http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/news/1244820471/

【速報】お止め組が実況 腐った2ちゃん運営の実態★2
http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/news/1244820864/

【速報】お止め組が実況 腐った2ちゃん運営の実態★3
http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/news/1244820961/

なんとお止め組が実況 腐った2ちゃん運営の実態
http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/news/1244821010/
2 ライラック(兵庫県):2009/06/13(土) 00:43:09.77 ID:5UYc4eVD
3 アマナ(宮城県):2009/06/13(土) 00:43:13.86 ID:4TwwwMWW
はええよww
4 チドリソウ(神奈川県):2009/06/13(土) 00:43:13.88 ID:8vVoP2rg
スクリプトガンガレ!
5 菜の花(神奈川県):2009/06/13(土) 00:43:15.94 ID:H/FGXEd0
いっけえええええ
6 カラスノエンドウ(茨城県):2009/06/13(土) 00:43:16.87 ID:mF6CAZsi
何ナノあのすさまじい投稿はw
7 タツナミソウ(関西・北陸):2009/06/13(土) 00:43:19.25 ID:IMYOBxne
また規制か
8 カタクリ(東京都):2009/06/13(土) 00:43:19.37 ID:gzQaihvC
おつ
9 オキナグサ(岐阜県):2009/06/13(土) 00:43:19.74 ID:8vY3dRBJ
フハハハハ
10 チドリソウ(宮崎県):2009/06/13(土) 00:43:25.06 ID:l9h45Ue5
スクリプトつえー
11 チドリソウ(宮城県):2009/06/13(土) 00:43:27.89 ID:aKqXo9Ef
運営いい加減にしろw
12 アカシデ(関西地方):2009/06/13(土) 00:43:30.68 ID:JXwK/cCw
きたあああああああ
13 ボタン(東日本):2009/06/13(土) 00:43:31.56 ID:p+LjO8A1
水月のスクリプト荒らしかよwww
14 スノーフレーク(長屋):2009/06/13(土) 00:43:32.92 ID:mTnuejVr
スクリプトわろた
ガンガンいけ
15 プリムラ・マラコイデス(栃木県):2009/06/13(土) 00:43:34.61 ID:83FhOqoI
↓スクリプト
16 フデリンドウ(チリ):2009/06/13(土) 00:43:36.68 ID:z5lV6Ele
なんとか滑り込めたぜ
17 ヤブツバキ(兵庫県):2009/06/13(土) 00:43:39.97 ID:mr/PQAoP
↓スクリプト乙
18 ペチュニア(愛知県):2009/06/13(土) 00:43:39.99 ID:ScvySnL3
はえぇwwwwwwww
19 マツバウンラン(千葉県):2009/06/13(土) 00:43:40.92 ID:lUYevigy
おっさんなのに乙女組ww
20 ビオラ(神奈川県):2009/06/13(土) 00:43:41.36 ID:969SMwR9
あのスクリプト何なの
21 ダイアンサス ピンディコラ(山陽):2009/06/13(土) 00:43:41.62 ID:3z/URig1
ニュー速久しぶりに見たけど荒らしとかいんのかよ
22 クサノオウ(アラバマ州):2009/06/13(土) 00:43:41.96 ID:WGsxGeYN
っしゃあスクリプトこいやあああああ
23 ダイアンサステルスター(東京都):2009/06/13(土) 00:43:43.86 ID:FYHpD9UA
来いや!
24 オキザリス(大阪府):2009/06/13(土) 00:43:44.76 ID:60thbEq+
読み込んだ瞬間終わってた
25 カラスビシャク(アラバマ州):2009/06/13(土) 00:43:45.72 ID:u3dObeCP
スクリプトマジ半端ねーっす
26 イモガタバミ(東京都):2009/06/13(土) 00:43:46.94 ID:3hi+5fXV BE:225990353-PLT(12121)
akoが来るぞーーーーーーーーーーーーーーーーー
27 ねこやなぎ(東京都):2009/06/13(土) 00:43:51.05 ID:efLvaK7Z
おせえよwwwwwwwwwww
28 ヘラオオバコ(広島県):2009/06/13(土) 00:43:51.83 ID:m12F3WRD
このままパートスレのばして記録更新しようぜ
29 キバナスミレ(大分県):2009/06/13(土) 00:43:53.50 ID:q+FKfQdM
おらっしゃあああああああああああああああ
30 サンダーソニア(愛知県):2009/06/13(土) 00:43:54.11 ID:IOJe62i+
>>3
すげえw
31 クワガタソウ(埼玉県):2009/06/13(土) 00:43:54.54 ID:kB68/NNp
勢い950000で発言回数990回クソワロタwww
32 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:55.39 ID:o0GvgovY
 構え、引き始めるまでは、すんなりと体が動く。
33 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:55.42 ID:o0GvgovY
 今まで、見たことがない態度だ…どうしたんだろう?
34 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:55.55 ID:o0GvgovY
「あの、花梨さんからお電話なんですけれども…」
35 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:55.56 ID:o0GvgovY
「ありがとうございました。そろそろ参りましょうか」
36 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:55.43 ID:o0GvgovY
 中の湿り気も、少しずつ増して来たように思う。
37 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:55.44 ID:o0GvgovY
「はい…雪、もうすぐですから、一緒に」
38 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:55.45 ID:o0GvgovY
 固くなっていた空気に、笑いの入る余地が生まれた。
39 アマリリス(千葉県):2009/06/13(土) 00:43:55.36 ID:vmT9JUwv
>>1
よくやった
40 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:55.85 ID:o0GvgovY
(結果…)
41 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:55.89 ID:o0GvgovY
「…不思議だね」
42 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:55.91 ID:o0GvgovY
 ひょっとしたら、僕の夢や幻かもしれない。
43 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:55.91 ID:o0GvgovY
「ううん、すごく楽しかったよ」
44 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:55.93 ID:o0GvgovY
「ねー、和泉ぃ、ここに置いてある短冊ってあんたのじゃない?」
45 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.04 ID:o0GvgovY
 うれしいんだけど…
46 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.09 ID:o0GvgovY
 僕は腰を動かす速度を速めた。
47 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.11 ID:o0GvgovY
「あやしいですね。ちょっと失礼します」
48 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.17 ID:o0GvgovY
「…そうだね。ごめんなさい」
49 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.20 ID:o0GvgovY
「はうっ」
50 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.21 ID:o0GvgovY
 少女の陰鬱な横顔は、何も答えてくれないまま…
51 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.23 ID:o0GvgovY
「っぁ…はぁ…」
52 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.25 ID:o0GvgovY
 人を区別するものってたくさんあって、もちろんそれは、時として大事なんだろうけど…
53 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.28 ID:o0GvgovY
 や、やりづらいなぁ。
54 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.31 ID:o0GvgovY
「透矢がそんなこと言うかぁ!」
55 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.32 ID:o0GvgovY
「そうか…確かに、幸せだったのかもしれないね」
56 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.37 ID:o0GvgovY
「まあ、そうなんだけど」
57 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.40 ID:o0GvgovY
「…ママじゃ、駄目なの?」
58 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.43 ID:o0GvgovY
「知性ねぇ…」
59 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.46 ID:o0GvgovY
「ですから…那波が死ぬ可能性というのはごく近くに存在していますの」
60 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.48 ID:o0GvgovY
 目覚めたあの日。
61 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.50 ID:o0GvgovY
 だけど、恐怖の余韻に、僕の体はガタガタと震え、ロクに言葉をつなぐこともできなかった。
62 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.52 ID:o0GvgovY
 僕は、ほとんど衝動的に、雪さんのほうに手を伸ばしていた。
63 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.55 ID:o0GvgovY
 僕は、花梨のお尻に叩きつけるように腰を振って、より強い快楽を求めた。
64 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.52 ID:o0GvgovY
 ――牧野さんのところへ。
65 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.56 ID:o0GvgovY
「あ、お姉ちゃん、ひどいよ! 透矢さんと知り合いなら、どうして、そう教えてくれなかったの?」
66 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.56 ID:o0GvgovY
「はは、そんな事はないでしょう? 喜んでくれたのはうれしいけど、欲しい物の一つや二つ…」
67 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.60 ID:o0GvgovY
「うん…あそこ」
68 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.64 ID:o0GvgovY
 重ね合わせた手は、震えていた。
69 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.67 ID:o0GvgovY
「焦ることはありませんよ。ゆっくりいきましょう」
70 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.68 ID:o0GvgovY
「んー、まあ、そういうことなら」
71 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.70 ID:o0GvgovY
 八つ当たりしていることくらい、自分でわかっている。
72 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.52 ID:o0GvgovY
「良くしてくれているようだし、嫌いということはないね?」
73 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.82 ID:o0GvgovY
「ふーん。それじゃあ、毎朝これで起こそうかなぁ。効果ありそうだし」
74 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.82 ID:o0GvgovY
「だから…今まで、ありがとう」
75 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.84 ID:o0GvgovY
「他にも、いろいろ載っていたんですけど試してみますか?」
76 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.84 ID:o0GvgovY
「今度は、舐めてあげる、っていうわけにいかないからなぁ…」
77 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.82 ID:o0GvgovY
「そうだよ。だからさ、仲直りを…」
78 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.89 ID:o0GvgovY
 それは時計だった。
79 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.89 ID:o0GvgovY
「雪は、そちらのほうがいいです。着る時と脱ぐ時は、手伝ってくださいね?」
80 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.89 ID:o0GvgovY
「私だけ、緊張してるみたい」
81 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.93 ID:o0GvgovY
 一瞬だけ強ばった顔にすぐまた笑みを浮かべて、看護婦さんは出て行った。
82 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.89 ID:o0GvgovY
 あのとき、彼女は僕に何かを言おうとしていた、なんて考えすぎだろうか。
83 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.95 ID:o0GvgovY
「透矢さんが向こう側に行くには…こうしますの」
84 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.03 ID:o0GvgovY
「あのぅ?」
85 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:56.98 ID:o0GvgovY
「なんとなく庄一らしいなぁ。牧野さんのほうは…やっぱり体調が?」
86 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.10 ID:o0GvgovY
 ばたつくアリスを、マリアちゃんは強引に引きずって行ってしまった。
87 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.01 ID:o0GvgovY
 アリスは、なんとか僕の手を押さえ込もうと必死になっている。
88 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.15 ID:o0GvgovY
 思わず息を飲んだ。
89 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.17 ID:o0GvgovY
「それは勘」
90 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.15 ID:o0GvgovY
「無駄よ。キツネ憑きには、キツネ憑きの治し方があるの…っと、そうそう」
91 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.17 ID:o0GvgovY
 彼の放った矢は、見事、的のど真ん中につき刺さっていた。
92 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.35 ID:o0GvgovY
「そういう、ことだよね。うん…そういうことなのかもしれないよ」
93 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.35 ID:o0GvgovY
「簡単に言うけど、相手は牧野さんだってことを忘れないでね」
94 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.31 ID:o0GvgovY
 あれは、その時の記憶だったってことなのか?
95 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.34 ID:o0GvgovY
「僕ぅ?」
96 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.35 ID:o0GvgovY
 建売住宅というやつだろう。
97 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.33 ID:o0GvgovY
「っ、ぅ! 透矢、私も…痛いけど、痛いけどぉ…」
98 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.38 ID:o0GvgovY
「どうされたんです?」
99 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.53 ID:o0GvgovY
 無性に雪さんの顔が見たかった。
100 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.77 ID:o0GvgovY
 そう言った雪さんの目には、涙が浮かんでいた。
101 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.65 ID:o0GvgovY
 他に、何か侵略価値があったっていうことだろうか?
102 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.78 ID:o0GvgovY
「そんなに怒らなくてもいいじゃない」
103 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.99 ID:o0GvgovY
『夢ですからね、何も恥ずかしい事なんかありませんよ?』
104 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.64 ID:o0GvgovY
「せっかちだね。で、結果は?」
105 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.91 ID:o0GvgovY
 那波の父親が、じっと僕らのほうを見つめていた。
106 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.87 ID:o0GvgovY
「気持ち悪い?」
107 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:57.93 ID:o0GvgovY
「ばーか、勘違いしないの。キミに教えてもらう時間、好きだったよ」
108 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.05 ID:o0GvgovY
 と、顔をしかめつつ、アリスは僕のものをくわえこむ。
109 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.12 ID:o0GvgovY
 舌が触れるたび、くすぐったそうに唇が動く。
110 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.12 ID:o0GvgovY
「え、えぇ?」
111 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.19 ID:o0GvgovY
“ガラガラガラ…”
112 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.23 ID:o0GvgovY
「大丈夫ですよ」
113 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.31 ID:o0GvgovY
 こうして見ると、そこまで度が強いわけじゃないようだけど?
114 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.13 ID:o0GvgovY
 一生懸命に恋をして、僕に告白だってしてくれた。
115 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.31 ID:o0GvgovY
 ずっと無言で歩いてきて、別れるまぎわに、ようやく出たセリフがそれ。
116 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.25 ID:o0GvgovY
 岩の、向こう側か…
117 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.28 ID:o0GvgovY
「透矢さん! 花の穴がのびてますがいいんですからってば?」
118 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.28 ID:o0GvgovY
「嫌でしたか?」
119 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.22 ID:o0GvgovY
「馬鹿なこと言わないでよ、もう」
120 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.31 ID:o0GvgovY
 命に別状があるとか、そういうものではないらしいし…なんにせよ、ひと安心だ。
121 カラスノエンドウ(茨城県):2009/06/13(土) 00:43:58.29 ID:mF6CAZsi
1分もかからずに埋めちゃっただろw
122 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.43 ID:o0GvgovY
 これで二度目…たぶん、僕の知らないところでは、もっと。
123 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.53 ID:o0GvgovY
「だんな…っひゃ…ぁ…んぁぁっ…」
124 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.56 ID:o0GvgovY
「そっか。アリスは信頼されてるんだね」
125 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.56 ID:o0GvgovY
「まるで、モンタギューとキャピュレットですね」
126 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.74 ID:o0GvgovY
「っぁ、ぁふ…」
127 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.82 ID:o0GvgovY
 波打ち際に立つ少女。
128 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.90 ID:o0GvgovY
 彼女は、ただ悲しそうな顔をするばかりで、何も答えない。
129 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.92 ID:o0GvgovY
「むぉっ!」
130 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:58.93 ID:o0GvgovY
「欲情って言わないでよ」
131 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.01 ID:o0GvgovY
 当然、和泉ちゃんじゃなかった。
132 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.06 ID:o0GvgovY
 前に雪さんから聞いた話だと、涙石は川や海、水辺でよく見つかると言っていた。
133 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.08 ID:o0GvgovY
「ママがいなくなっちゃって、おねえちゃんともケンカしちゃって…」
134 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.11 ID:o0GvgovY
「期末テスト…期末テストかぁ」
135 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.11 ID:o0GvgovY
 花梨に至っては、
136 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.19 ID:o0GvgovY
「あの、取り込み中に悪いんだけど…」
137 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.15 ID:o0GvgovY
(…ちょっと、ショックだ)
138 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.23 ID:o0GvgovY
 お尻をかかえあげるようにしながら、腰を打ちつける。
139 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.30 ID:o0GvgovY
「ジロジロ見ないでよぉぉぉ」
140 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.24 ID:o0GvgovY
「そうかもしれないけど、本人に心当たりがあれば、やめるきっかけになるかもしれないじゃない」
141 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.30 ID:o0GvgovY
 にしても――
142 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.30 ID:o0GvgovY
 ママ――
143 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.30 ID:o0GvgovY
「雪さん、僕…」
144 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.33 ID:o0GvgovY
 外からの学生たちが集まってくると、射場に、奇妙な熱気が充満した。
145 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.31 ID:o0GvgovY
 あの日、大切なもの――ゆき――を手放したという喪失感が、僕にそうさせているんじゃないか?
146 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.31 ID:o0GvgovY
 とりわけ、山を神とした上で、自らもまた山の一部であると考える、原始宗教的な色が。
147 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.47 ID:o0GvgovY
 一歩間違えば、失禁くらいしていたかもしれない。
148 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.50 ID:o0GvgovY
 なにより、僕が、ひとときとはいえ、マリアちゃんに避けられた。
149 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.58 ID:o0GvgovY
 鼻をつく匂いに、頭の中がクラクラするのを感じた。
150 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.59 ID:o0GvgovY
「嘘…」
151 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.67 ID:o0GvgovY
 私が日常を過ごす村、那波村は、貴重な研究対象でもあったのだ。
152 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.66 ID:o0GvgovY
「…これ、抜いてもいい?」
153 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.61 ID:o0GvgovY
「旦那さまにも、見えましたの?」
154 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.72 ID:o0GvgovY
 今まで、考えもしなかった、可能性。
155 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.72 ID:o0GvgovY
「べ、別に、喜んではいないんだから」
156 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.75 ID:o0GvgovY
 心当たりがあった。
157 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.86 ID:o0GvgovY
(僕にどうしろと…)
158 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.82 ID:o0GvgovY
「はや? はややゃゃゃ…」
159 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.92 ID:o0GvgovY
 でも、いいんだ。
160 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.95 ID:o0GvgovY
「はぁ、わかったよ、僕の負け」
161 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.95 ID:o0GvgovY
 だとしたら、ここで無理に彼女を送ろうとするのは、僕の自己満足、なのか?
162 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.79 ID:o0GvgovY
 あと数日で彼女に会える、それまでの我慢だ。
163 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.06 ID:o0GvgovY
 ここまで派手にやられたあとに『牧野さんの電話番号』を教えて、っていうのは、ちょっと気が引ける。
164 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.11 ID:o0GvgovY
「牧野さん、どういうこと?」
165 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.15 ID:o0GvgovY
「牧野さん…体調、悪いの?」
166 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.14 ID:o0GvgovY
「はいはい。私はどうでもいいから、マリアの話を聞いてやってちょうだい」
167 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.24 ID:o0GvgovY
 いや、もっとも正しい形容は、そう――
168 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.25 ID:o0GvgovY
「ぁ…ぅ…」
169 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.27 ID:o0GvgovY
「この先です」
170 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.41 ID:o0GvgovY
 雪さんは、その言葉を待っていたとばかりにいそいそと行為を再開した。
171 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:43:59.54 ID:o0GvgovY
「僕だって、たまたまだよ。技術だけで百発百中ってわけにはいかないのが弓道なんだから」
172 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.38 ID:o0GvgovY
「なんなの、あなた」
173 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.30 ID:o0GvgovY
 僕の顔をつかむように、ほっぺたへ両手をあてがい、雪さんが顔を近づけてくる。
174 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.41 ID:o0GvgovY
「どこに行くの?」
175 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.41 ID:o0GvgovY
「だって、こんなことやってるヒマなんてないでしょう?」
176 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.50 ID:o0GvgovY
 和泉ちゃんを傷つけたのは、僕だって一緒だし、なんとかしてあげたいと思う。
177 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.51 ID:o0GvgovY
 だけど間違いない、僕の夢に現れた場所だ。
178 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.50 ID:o0GvgovY
「きれいだったし、いいよ」
179 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.52 ID:o0GvgovY
「でもね、今は大丈夫。透矢くんが助けてくれたから」
180 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.57 ID:o0GvgovY
 問題は、この寒気だ。
181 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.60 ID:o0GvgovY
 僕と仲直りできたことを喜んでくれているみたいで、なんだかうれしい。
182 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.68 ID:o0GvgovY
 手分けをして、マリアちゃんを探した。
183 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.78 ID:o0GvgovY
「ここではない、どこか。今ではない、いつか」
184 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.78 ID:o0GvgovY
「はい。仮にですわ、光があると触ってしまう猿がいるとして…死ぬまで触れ続けたりするでしょうか?」
185 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.78 ID:o0GvgovY
「わかんないじゃないか、今は引けないんだし」
186 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.78 ID:o0GvgovY
 牧野さんが病んでいるなら、僕はそんな牧野さんを。
187 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.78 ID:o0GvgovY
「そんなことないよ。で、何?」
188 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.90 ID:o0GvgovY
 お姉ちゃんとしているせいか、本人のせいなのかは、わからないけど。
189 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.83 ID:o0GvgovY
「僕は、いったい…」
190 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.96 ID:o0GvgovY
「私は、授業で教わったことをそのまま伝えているだけだよ。教え方がうまいのは私じゃなくて先生」
191 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.98 ID:o0GvgovY
「僕に当てはまることは、花梨にも…」
192 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.90 ID:o0GvgovY
「あ、途中まで一緒に行きませんか」
193 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.04 ID:o0GvgovY
 と、再び口をつけようとすると、割れ目の上端に小さな突起が姿を現しているのが見えた。
194 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.04 ID:o0GvgovY
「うん。幼なじみだし…恋人、なんだからちゃんとフォローして」
195 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:00.96 ID:o0GvgovY
(可能性は低いような気がするけど)
196 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.05 ID:o0GvgovY
 誰に向けたのか、自分でもよくわからなかった。
197 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.32 ID:o0GvgovY
「今は、駄目?」
198 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.32 ID:o0GvgovY
「じゃあ、してみます?」
199 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.44 ID:o0GvgovY
「花梨か。いや、ついさっき、和泉ちゃんから間違い電話があったんで」
200 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.52 ID:o0GvgovY
「実はですね、今日は、お休みをいただきたいんです。夕食前には戻ると思いますから…」
201 クチベニシラン(新潟県):2009/06/13(土) 00:44:01.56 ID:F9wduXbL
↑E/dqDF9x↓
202 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.44 ID:o0GvgovY
「わかった。僕もちゃんと聞いて、ちゃんと答えるよ」
203 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.44 ID:o0GvgovY
「あのとき、僕と同じ夢を見るって言ってたけど、最近、変わった夢とか見る?」
204 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.56 ID:o0GvgovY
「神社? でも、もう暗くなっちゃいますよ」
205 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.44 ID:o0GvgovY
「あんたねぇ、透矢みたいに素直な解釈はできないわけ?」
206 ムシトリナデシコ(三重県):2009/06/13(土) 00:44:01.59 ID:zSHD+J+L
1000
207 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.61 ID:o0GvgovY
「余裕できたら、顔出してよね…」
208 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.66 ID:o0GvgovY
「大会で優勝したときに付けてたとか?」
209 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.67 ID:o0GvgovY
 話を聞いていると――どうして僕はいつも当事者なのに、いつも何もできないんだろう、と思わされる。
210 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.66 ID:o0GvgovY
「んー、まあねぇ。確かに最近ちょっと疲れっぽいかも」
211 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.66 ID:o0GvgovY
 誰?
212 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.66 ID:o0GvgovY
「…弓を、引いてくださいな」
213 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.67 ID:o0GvgovY
 よいしょ――と、花梨は僕の背中を背もたれにして座り込んだ。
214 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.65 ID:o0GvgovY
「じゃ、そういうことで」
215 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.66 ID:o0GvgovY
 僕の記憶喪失から何かが狂い始めているのは、間違いないだろうから。
216 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.62 ID:o0GvgovY
「僕だって雪さんのためなら、これくらい苦じゃないよ」
217 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.64 ID:o0GvgovY
「それで、雪、気持ち良くなると我慢が効かなくて、こんなふうに…」
218 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.67 ID:o0GvgovY
「駄目って言ったら駄目だよ、雪さん」
219 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.66 ID:o0GvgovY
「駄目です!」
220 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.86 ID:o0GvgovY
 だったけど…やっぱり、和泉ちゃんのことが好きだっていう自信だけは持てなかった。
221 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:01.85 ID:o0GvgovY
「一生だよ。雪さんは僕の専属だから」
222 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.04 ID:o0GvgovY
「アリス…ちょっ…」
223 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.14 ID:o0GvgovY
「へ? あ、ちょっ、や、ぁ…」
224 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.20 ID:o0GvgovY
「死ぬ気でな。雪さんの水着姿のためだ」
225 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.23 ID:o0GvgovY
 僕にとっては、町を案内されたときに、いちどおとずれたきりの場所だ。
226 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.34 ID:o0GvgovY
 庄一も、同じようにして、くちゃくちゃし始めた。
227 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.34 ID:o0GvgovY
「どっちかっていうと、せっかく来てくれたんだから、他の人より、雪さんを優先したいんだけど…」
228 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.40 ID:o0GvgovY
“ぱたぱた…”
229 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.40 ID:o0GvgovY
「……うん」
230 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.42 ID:o0GvgovY
 いましめを解く。
231 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.50 ID:o0GvgovY
「ええ。そして…こうしていただきます」
232 オキナグサ(岐阜県):2009/06/13(土) 00:44:02.48 ID:8vY3dRBJ
スクリプトさんまじパネェッスwwwwwwwwww
233 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.43 ID:o0GvgovY
 でも、夢に影響を与えることくらいは、あるかもしれない。
234 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.46 ID:o0GvgovY
「ふゃ…」
235 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.45 ID:o0GvgovY
 僕もよくよく要領が悪い。
236 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.54 ID:o0GvgovY
 休みも明け、テスト期間に入った。
237 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.54 ID:o0GvgovY
 男勝りで意地っ張り、自分の優しさを表に出すのが恥ずかしくて、ついつい茶化してしまう。
238 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.54 ID:o0GvgovY
「へ、変なこと言わないでよ…その…すごく嬉しいから」
239 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.55 ID:o0GvgovY
 夢では、こういう道のりで小川に出たはずだ。
240 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.27 ID:o0GvgovY
 僕の声がちゃんと届いているのかいないのか、和泉ちゃんはとりあえず僕の名前だけを呼び返した。
241 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.56 ID:o0GvgovY
 そうして不意に抱き合ってしまう、こんな日常。
242 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.59 ID:o0GvgovY
「はい。楽しみにしています」
243 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.61 ID:o0GvgovY
「あの子、私を守ってくれていたんです。他の悪い霊に憑かれないように」
244 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.61 ID:o0GvgovY
「あっ、は、はい?」
245 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.61 ID:o0GvgovY
「俺よりバカなおまえに言われたくない」
246 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.61 ID:o0GvgovY
「でも、女の子は、慣れると男よりも気持ちいいとか言わない?」
247 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.60 ID:o0GvgovY
「…まあね」
248 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.61 ID:o0GvgovY
 いい友人に囲まれた事が大きいんだろうと思う。
249 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.64 ID:o0GvgovY
 この際だから、夢のことまで聞いてしまいたいところだけど…
250 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.64 ID:o0GvgovY
「そうかもしれないけど…」
251 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.64 ID:o0GvgovY
 でも、僕には、雪さんやみんながいてくれる。
252 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.62 ID:o0GvgovY
「で、僕はどうしたら?」
253 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.67 ID:o0GvgovY
 ぐいっとコーラを一気飲み。
254 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.70 ID:o0GvgovY
 僕にはもう、彼女にかけてあげる言葉が残っていなかった…
255 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.70 ID:o0GvgovY
「、透矢く〜………ぶふっ!」
256 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.67 ID:o0GvgovY
「えっ? またって、僕はまだ何も思い出してなんか」
257 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.68 ID:o0GvgovY
「和泉も走れば石につまずくってね。それでもケガしないのが、あんたのすごいところだけど」
258 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.70 ID:o0GvgovY
 花梨の言葉に、僕は苦笑してしまった。
259 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.69 ID:o0GvgovY
『写真があるんだから、少なくとも人間が 行ける場所なんでしょう? どうにかな るんじゃない』
260 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.67 ID:o0GvgovY
「僕は、和泉ちゃんの家の事情を、ぜんぶ知ってるわけじゃないけど、それだけは違うと思う」
261 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.67 ID:o0GvgovY
「えへーえへー」
262 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.68 ID:o0GvgovY
「あ、こっちこそよろしく」
263 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.76 ID:o0GvgovY
「私は構わないわよ。でも、マリアに捕まると、また面倒だろうし…早く行ったほうがいいんじゃない?」
264 モクレン(北海道):2009/06/13(土) 00:44:02.69 ID:8OTokx3I
スクリプトおもしれwwwwwwwwwww
265 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.76 ID:o0GvgovY
「…心臓の音、聞こえる」
266 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.82 ID:o0GvgovY
「駄目だよ。遊び相手にはなるから、今日くらい休んでおこう。退院したばっかりなんだから」
267 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.76 ID:o0GvgovY
「私は、ママとお姉ちゃんがいてくれますし、それに、えっと…」
268 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.83 ID:o0GvgovY
「そんなに痛い? なんなら保健室に…」
269 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.79 ID:o0GvgovY
「まあまあ…庄一さん。いいじゃありませんか、今日はお祭りなんですし」
270 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.76 ID:o0GvgovY
「きゃふ…っ…くすぐったいですわ」
271 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.76 ID:o0GvgovY
 と、アリスは自分の胸を見下ろした。
272 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.76 ID:o0GvgovY
 実際、ここ数日、何度も同じようなことをしているけど、このキツネ、僕にだけなつく様子がない。
273 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.76 ID:o0GvgovY
「だって、部活とかお祭りとか、これで意外と忙しいんだもん」
274 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.97 ID:o0GvgovY
「庄ちゃんの部屋みたいに、エロ本あるかなー、と思って」
275 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.98 ID:o0GvgovY
 と、アリスが訪ねてきた。
276 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:02.97 ID:o0GvgovY
「僕こそ、言い方が悪かったと思う」
277 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.01 ID:o0GvgovY
 さっそく、背中を占領されてしまった。
278 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.01 ID:o0GvgovY
 こうして家を回ってみると、廃村というより、廃墟だ。
279 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.03 ID:o0GvgovY
「ですけど、うれしいですわ。とりあえず上がってくださいな」
280 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.04 ID:o0GvgovY
「石を力いっぱい握って、ナナミさまナナミさま…ってお願いするの」
281 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.05 ID:o0GvgovY
「あは…透矢さんの、いっぱい…」
282 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.06 ID:o0GvgovY
「確かに、こんなバカの相手しても時間の無駄か」
283 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.06 ID:o0GvgovY
「雪さん…子供ができたら、雫っていう名前にしない?」
284 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.08 ID:o0GvgovY
「ぁー」
285 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.09 ID:o0GvgovY
 暴れるアリスをなだめながら、廃校舎へ向かうことになった。
286 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.11 ID:o0GvgovY
「実際のところ、どうなんだろ。雪さんは覚えてない?」
287 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.11 ID:o0GvgovY
 ずいぶん長い間、雨風にさらされてきたんだろう、もうボロボロだ。
288 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.12 ID:o0GvgovY
 そういって、水面をひと吹き。
289 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.14 ID:o0GvgovY
 そういうこと、なのか?
290 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.14 ID:o0GvgovY
 翌朝、僕は落ち着いた――まあ、多少ぐずってはいたけど――マリアちゃんを家に帰すことにした。
291 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.16 ID:o0GvgovY
「な、なるほど」
292 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.16 ID:o0GvgovY
 僕が通ってきたはずの洞窟は、きれいに無くなっていた。
293 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.17 ID:o0GvgovY
「どうして私だけが、透矢くんのそばに生まれなかったのかな…って」
294 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.19 ID:o0GvgovY
「透矢がいなかったら、泣きわめいて山の中に探しに行くとか言い出しそうな雰囲気だったけど…」
295 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.20 ID:o0GvgovY
 しばらく見とれていると、視線に気づいたか、牧野さんはゆっくりした動作で、こちらに顔を向けた。
296 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.21 ID:o0GvgovY
 誰の期待にも応えられなかった、なんにもできなかった意気地なしだけど、
297 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.22 ID:o0GvgovY
「透矢、嘘ついただろ」
298 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.25 ID:o0GvgovY
「でも…ママは、ずっと…」
299 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.27 ID:o0GvgovY
 何か考え事でもしているのか、難しい顔をしてうつむいている。
300 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.35 ID:o0GvgovY
「思いっきりでいいってば。僕しか見てないんだから」
301 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.37 ID:o0GvgovY
「いいから、放っておきなよ」
302 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.38 ID:o0GvgovY
「こういう場所が、ですわ」
303 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.39 ID:o0GvgovY
「ごめんなさい…人間のせいで、苦しい思いをさせて、ごめんなさい」
304 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.41 ID:o0GvgovY
「そうですね。雪、透矢さんがいつ目覚めてもいいように、頑張り…」
305 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.43 ID:o0GvgovY
「自分がどうしてここにいるのか、わかりますか?」
306 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.44 ID:o0GvgovY
「あら…旦那さまですの?」
307 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.44 ID:o0GvgovY
 アリスは辛そうな顔で首を横に振り、僕の言葉をさえぎった。
308 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.46 ID:o0GvgovY
「一緒に海に行く約束があるでしょう? そうですよね、透矢さん」
309 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.47 ID:o0GvgovY
「…ごめん、最後のおせっかい。嫌なら捨てて」
310 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.49 ID:o0GvgovY
「マリアちゃんのお尻」
311 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.50 ID:o0GvgovY
「ね? 消えたりしませんよ。透矢さんは雪が守ってさしあげます」
312 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.50 ID:o0GvgovY
 神社っていう場所のせいなのか…それとも、僕の、眠った記憶のせいなのか。
313 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.51 ID:o0GvgovY
 夢を見るんだ。
314 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.52 ID:o0GvgovY
 七波という名は、彼らにとってはその地を治める者の名前であった。
315 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.53 ID:o0GvgovY
「本当に…っぁ…好き?」
316 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.55 ID:o0GvgovY
「本当ですね」
317 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.57 ID:o0GvgovY
 なんでまた?――聞く前に飛び乗られてしまった。
318 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.61 ID:o0GvgovY
「庄ちゃん、ボクはー?」
319 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.63 ID:o0GvgovY
「二人ともケンカは駄目。めずらしくこんなにいい天気なのに、もったいないじゃない」
320 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.63 ID:o0GvgovY
「…和泉ちゃん?」
321 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.64 ID:o0GvgovY
 病気で苦しそうだからっていうのもあるけど、雪さんが喜んでくれるのを想像するのは楽しい。
322 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.66 ID:o0GvgovY
「二人ともケンカは駄目。めずらしくこんなにいい天気なのに、もったいないじゃない」
323 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.64 ID:o0GvgovY
 食事をしていると、庄一がすり寄ってきた。
324 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.61 ID:o0GvgovY
「知っているっていうことはね、もう、それを可能性として認めているって事」
325 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.59 ID:o0GvgovY
 照りつける日射しは、確かに夏のものなのに、はらはら、はらはら…
326 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.70 ID:o0GvgovY
「…でしたら、最後のお願いです。雪のこと、たくさん気持ち良くしてください」
327 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.68 ID:o0GvgovY
 別に、珍しくもない。
328 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.68 ID:o0GvgovY
「くぅ、っん!」
329 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.69 ID:o0GvgovY
 中には小銭がいくらかと千円札が五枚、それから、
330 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.70 ID:o0GvgovY
「いずみ」
331 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.73 ID:o0GvgovY
「わざわざこんな話をしたのは、なんていうかさ…私たち、幼なじみなんだから遠慮するな!」
332 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.74 ID:o0GvgovY
 アリスは口を挟む隙も与えない、という態度で、さっさと歩き出してしまった。
333 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.74 ID:o0GvgovY
 那波は、にこーっと笑って、バンザイのポーズを取った。
334 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.76 ID:o0GvgovY
 庄一に目配せすると『おまえが行け』とアゴをしゃくられた。
335 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.77 ID:o0GvgovY
 シーツごと持ち上げてしまいそうな状態を隠すため、僕はむやみに体を動かした。
336 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.90 ID:o0GvgovY
 構えの美しさでは部内一だろう。
337 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.90 ID:o0GvgovY
「…そうですね。でしたら、雪は食堂でお待ちしていますから」
338 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.91 ID:o0GvgovY
「…純粋だから?」
339 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.92 ID:o0GvgovY
 構えの美しさでは部内一だろう。
340 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.94 ID:o0GvgovY
「雪さん、魔法って、何?」
341 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.95 ID:o0GvgovY
 波間を漂う光の帯のように、すっ、と僕の中に入り込んできた、あったかいもの。
342 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.97 ID:o0GvgovY
「そうだよね、ごめんなさい」
343 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.98 ID:o0GvgovY
 戦だ――それも、近いうちに起こる。
344 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:03.99 ID:o0GvgovY
 早くこの手を離さなきゃ、僕は…
345 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.01 ID:o0GvgovY
 花梨に会わなきゃ。
346 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.01 ID:o0GvgovY
「いや、リアリストなんでね。神様のことなんて知りはしないよ」
347 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.14 ID:o0GvgovY
「大丈夫です。おうちに戻ってから休みますよ。ご心配なさらずに」
348 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.16 ID:o0GvgovY
 彼女はびくっと身をすくませたものの抵抗はせず、それどころか、自分から舌を動かし始めた。
349 キンケイギク(東京都):2009/06/13(土) 00:44:03.46 ID:AVnlJ7B5
エクリプスかっけえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
350 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.16 ID:o0GvgovY
『雪さん、今度は絶対に忘れないから』
351 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.18 ID:o0GvgovY
「まき…ナナミ、さん」
352 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.19 ID:o0GvgovY
 そんなことを、雪さんの匂いがする布団の中で考えてみた。
353 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.20 ID:o0GvgovY
『っんう…』
354 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.22 ID:o0GvgovY
「最初から、そう言ってたじゃないか」
355 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.22 ID:o0GvgovY
「女の子にあんな恥ずかしい思いをさせたんだから、その罰ですー」
356 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.24 ID:o0GvgovY
「雪さん…おしっこ、我慢してた?」
357 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.24 ID:o0GvgovY
「透矢さんが、そう言うなら」
358 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.26 ID:o0GvgovY
 焦点の合わない目、だらしなく開かれた口。
359 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.27 ID:o0GvgovY
「昔からこれで教えられてきたから、よくわかんない。どうなの、和泉?」
360 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.28 ID:o0GvgovY
 僕の意図が伝わらなかったらしく、雪さんは不思議そうな顔で問い返してきた。
361 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.30 ID:o0GvgovY
 と、鈴蘭ちゃんのほっぺたを引っ張る。
362 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.31 ID:o0GvgovY
「存在を定義できないもの――アリスの言う怪って、そういうものだよね?」
363 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.32 ID:o0GvgovY
 何だか、妙な風向きになってしまった。
364 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.33 ID:o0GvgovY
 ――牧野さんのところへ。
365 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.35 ID:o0GvgovY
「ボクも可愛いって言ったじゃーん」
366 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.35 ID:o0GvgovY
「まあ、そんなに気にしなくていいと思うぜ。わざと呼んでないってわけじゃないし」
367 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.35 ID:o0GvgovY
 笑顔で言われて、抵抗できなかった。
368 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.38 ID:o0GvgovY
「あの…アリス…いったい何を?」
369 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.39 ID:o0GvgovY
「今まで通りじゃ、いられなくなってきたのかなぁ、なんて」
370 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.40 ID:o0GvgovY
 できるわけがないだろう。
371 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.41 ID:o0GvgovY
 いつも助けてもらうばっかりで、ごめんね。
372 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.44 ID:o0GvgovY
 昨日の夢の話を聞かせると、庄一はいかにもうさんくさそうな顔をして見せた。
373 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.47 ID:o0GvgovY
「不安だなぁ。また、ナナミさまにでもお願いしておかないと」
374 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.48 ID:o0GvgovY
「ひとりだと怖いでしょう?」
375 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.51 ID:o0GvgovY
「ごめん。部活は休みだって聞いたから、テスト明けでいいのかと思ってた」
376 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.52 ID:o0GvgovY
 そして解放されたマリアちゃんは、アリスが怖いのか、そそくさと、僕の背後に隠れてしまった。
377 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.55 ID:o0GvgovY
「っぃ…はぃ……はい!」
378 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.57 ID:o0GvgovY
「おまえ、いったい何を根拠に、さっきので俺が喜ぶと思ったんだよ」
379 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.59 ID:o0GvgovY
 彼女の中は、思った以上に窮屈だった。
380 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.60 ID:o0GvgovY
 アリスちゃんと僕を交互に見比べている時点で、なんとなく見当はついた。
381 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.61 ID:o0GvgovY
 誰かを好きになることで、他の誰かとの関係を壊してしまう。
382 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.63 ID:o0GvgovY
 想いが、口をついて出る。
383 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.61 ID:o0GvgovY
「ふーん。まあいいけどね…いつも練習を見てもらってるし」
384 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.64 ID:o0GvgovY
 理由は、わからないけど。
385 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.64 ID:o0GvgovY
「やめてくれ、俺が負け犬みたいだ」
386 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.67 ID:o0GvgovY
 …しかし、仮に見てほしくなかったなら彼の狙いは外れたと言える。
387 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.67 ID:o0GvgovY
「透矢さん。書斎にいらっしゃるなんて珍しいですね」
388 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.69 ID:o0GvgovY
「いいもん。そうしたら、パパにあげるから。ね、透矢さん?」
389 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.70 ID:o0GvgovY
「私だって…」
390 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.72 ID:o0GvgovY
「帰るぞ」
391 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.72 ID:o0GvgovY
「そのための、エスコートですわ」
392 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.73 ID:o0GvgovY
「あー、悪い悪い」
393 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.79 ID:o0GvgovY
「でも、僕が好きなのは花梨だ」
394 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.80 ID:o0GvgovY
「ええっと」
395 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.81 ID:o0GvgovY
 とにかく、無言で本を読み続けている。
396 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.82 ID:o0GvgovY
「それでもさ。頼む」
397 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.84 ID:o0GvgovY
 僕はさらに、空いたほうの手を彼女の胸に伸ばした。
398 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.86 ID:o0GvgovY
「なるほど…」
399 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.87 ID:o0GvgovY
「花梨の口ぶりからして、構わないと思うよ。話は僕のほうからしておくから。だけど、どうするの…?」
400 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.89 ID:o0GvgovY
「やっぱり、町が管理してたんだね」
401 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.90 ID:o0GvgovY
「流れでね、そうなっちゃった」
402 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.90 ID:o0GvgovY
 ざわざわと揺れる草木の音。
403 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.92 ID:o0GvgovY
「しちゃって、いいの?」
404 ミミナグサ(愛知県):2009/06/13(土) 00:44:04.70 ID:fE9YhlqI
1000
405 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.93 ID:o0GvgovY
 波のようにくり返される日々に入りこんだそれも、いつしか波間に消えて、
406 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.94 ID:o0GvgovY
 これは、何も和泉ちゃんのお父さんのことに限った話じゃない。
407 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.96 ID:o0GvgovY
「当たり前でしょー」
408 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.97 ID:o0GvgovY
 夢は、いつか見た過去に変わって、過去はいつか見た夢に変わる。
409 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.98 ID:o0GvgovY
「牧野さんの? こちらこそ…っっ」
410 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:04.99 ID:o0GvgovY
 親切な友人に恵まれていたこと、記憶は失ったけど怪我一つしなかったこと、
411 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.01 ID:o0GvgovY
 しゅん、となってしまったマリアちゃんの頭を、アリスが優しく抱き寄せた。
412 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.10 ID:o0GvgovY
 とはいえ、妹とも恋人ともつかない…微妙だ。
413 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.13 ID:o0GvgovY
「それでも、僕は…雪さんと離れたくないんだ」
414 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.10 ID:o0GvgovY
「そういえば、作者の苗字、あなたと一緒ね。もしかして親戚筋とか?」
415 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.14 ID:o0GvgovY
「私は…幸せ」
416 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.10 ID:o0GvgovY
 柔らかそうなほっぺたをつかんで、ぐりんぐりんと引っ張り回し始めた。
417 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.16 ID:o0GvgovY
 改めて、潜望鏡よろしく、左から右へと首を旋回させてみる。
418 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.16 ID:o0GvgovY
「透矢の、お母さんだよ」
419 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.27 ID:o0GvgovY
「どれどれ…」
420 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.27 ID:o0GvgovY
 今のは、ドジとかそういう問題か?
421 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.27 ID:o0GvgovY
「馬鹿だな…雪さんはずっと僕の側にいてくれていいんだよ。いてくれなきゃ、困る」
422 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.27 ID:o0GvgovY
 引き抜かれる寸前まで引き上げて、一気に根本まで――ぐちゃり。
423 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.27 ID:o0GvgovY
「…ちょっと、ひどいかも」
424 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.27 ID:o0GvgovY
「僕だって本番前だよ。花梨は?」
425 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.27 ID:o0GvgovY
 そんな具合で、面会時間中、呼びかけていたけど、彼女が目覚める気配は一向になかった。
426 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.27 ID:o0GvgovY
出るかな〜出るかな〜ぅ
427 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.34 ID:o0GvgovY
 雪さんが、いなくなったほうがいいだなんて、とんでもない。
428 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.34 ID:o0GvgovY
 目の前にあるものを現実として受け入れるしかないだろう。
429 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.27 ID:o0GvgovY
「いや…何も用事がなければつき合うと思うけど」
430 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.60 ID:o0GvgovY
 同じ夢の中にいるのかもしれない。
431 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.60 ID:o0GvgovY
「ですから、そんなものなんだと思いますよ、常識なんて」
432 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.60 ID:o0GvgovY
(…帰ろう)
433 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.60 ID:o0GvgovY
 が、その手にじゃれつくキツネ――ドロ沼だ。
434 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.53 ID:o0GvgovY
「本当にすみませんでした。せっかく、透矢さんに買っていただいたものを」
435 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.53 ID:o0GvgovY
 マリアちゃんは、泣きじゃくるアリスの体を抱きしめ…その頭を、優しく撫でた。
436 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.61 ID:o0GvgovY
『勘というか…あの子、あいつに怯えて逃げたんだと思うわよ』
437 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.52 ID:o0GvgovY
 恥ずかしいし、汚いことも考えてしまうけど、今は、彼女を想って優しい気持ちになることができた。
438 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.61 ID:o0GvgovY
(これは…)
439 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.61 ID:o0GvgovY
 夜――『案の定』の孤独。
440 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.61 ID:o0GvgovY
「そ、それって…」
441 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.61 ID:o0GvgovY
 なのに、どうして彼女は、悲しそうな顔をするんだろう。
442 モリシマアカシア(アラバマ州):2009/06/13(土) 00:44:05.61 ID:+LKf5eC7
f「
443 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.61 ID:o0GvgovY
 家に帰ると、雪さんがあわてて駆け寄ってきた。
444 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.66 ID:o0GvgovY
「…そうだね。和泉ちゃんは、どうして」
445 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.68 ID:o0GvgovY
「でも初対面なんでしょう?」
446 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.68 ID:o0GvgovY
 和泉ちゃんがすっかり元気になったことで、僕らの足取りはずいぶんと軽くなっていた。
447 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.71 ID:o0GvgovY
「それは、言われなくても…」
448 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.73 ID:o0GvgovY
「大勢でなにかするのは、あまり好きじゃない?」
449 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.74 ID:o0GvgovY
「いくよ?」
450 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.77 ID:o0GvgovY
 おどろき…最後のひと突きをした直後に僕のものはすっぽ抜けてしまい、
451 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.77 ID:o0GvgovY
 雪さんが、手を取った。
452 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.78 ID:o0GvgovY
「ええ。ですが、こんなことになるなら、少しくらい撮っておけば良かったかもしれません」
453 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.53 ID:o0GvgovY
「マリア、夕食の時間、早く戻りなさい」
454 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.70 ID:o0GvgovY
「和泉ちゃんの教え方が上手いんだよ」
455 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.71 ID:o0GvgovY
「あ…答えづらいなら、いいんだけど」
456 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.73 ID:o0GvgovY
「冗談はさておき、もうちょっとだけ練習に集中しようね」
457 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:05.92 ID:o0GvgovY
 波音に、彼女の姿が、世界がゆらいだ。
458 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.00 ID:o0GvgovY
「庄一に、妹?」
459 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.02 ID:o0GvgovY
「それで、ついでだから、勉強しようっていう話になったんでしょう?」
460 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.04 ID:o0GvgovY
「わたくしを、射抜きなさいな」
461 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.05 ID:o0GvgovY
「ばいばーい、透矢ちゃーん!」
462 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.04 ID:o0GvgovY
「な、泣くことないじゃないか。様子を見て大丈夫そうなら、明日にでもつき合うからさ。ねっ?」
463 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.06 ID:o0GvgovY
 なんの説明にもなっていない。
464 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.08 ID:o0GvgovY
「そうなのかな。自分でもよくわからないや。牧野さんは、もう書けたの?」
465 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.09 ID:o0GvgovY
「和泉ちゃんの間違い電話なら、いいよ」
466 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.10 ID:o0GvgovY
「頼られるばっかりで、雪さんには迷惑かもしれないけどね」
467 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.11 ID:o0GvgovY
「さあ…とにかく、山に帰ったわけじゃなさそうだよ」
468 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.12 ID:o0GvgovY
 ともあれ、いつまでも腕を上げさせておくのも可哀想なので脱がせてしまうことにした。
469 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.14 ID:o0GvgovY
(だ、大丈夫か?)
470 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.14 ID:o0GvgovY
「ママに、あいさつしてくれたじゃないですか」
471 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.17 ID:o0GvgovY
「花梨、僕のこと、待っててくれたの?」
472 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.17 ID:o0GvgovY
「…透矢、自分で言ったことには責任を持ちなさいよね」
473 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.18 ID:o0GvgovY
「何か、お手伝いできないかなって、思ったんだけど」
474 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.20 ID:o0GvgovY
「現実を月とするなら、夢は水月っていうところかな?」
475 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.22 ID:o0GvgovY
 僕の声は、滑り込んできた低い、うなるような音にかき消された。
476 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.23 ID:o0GvgovY
「透矢、あなた…何者?」
477 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.23 ID:o0GvgovY
「ナナミちゃんねー、ここで髪飾りを無くして困ってるんだって」
478 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.26 ID:o0GvgovY
「言っちゃだめー! これとこれ、引くんでしょー?」
479 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.27 ID:o0GvgovY
「い、和泉ちゃん…これは、あの…」
480 チドリソウ(宮崎県):2009/06/13(土) 00:44:06.28 ID:l9h45Ue5
                                  ______
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481 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.29 ID:o0GvgovY
 都合のいい事を言ってしまった。
482 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.30 ID:o0GvgovY
 僕には、記憶がない。
483 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.31 ID:o0GvgovY
 花梨は嫌味たっぷりに言った。
484 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.33 ID:o0GvgovY
「あー、はいはい…っと」
485 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.35 ID:o0GvgovY
「胸、痛かったの?」
486 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.35 ID:o0GvgovY
「…そう、でしたか?」
487 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.36 ID:o0GvgovY
「うん…」
488 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.37 ID:o0GvgovY
「っぁ…入っていますのね…透矢さんのものが、那波の中に」
489 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.38 ID:o0GvgovY
 気づいてやれなかった自分を、殴りたくなった。
490 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.39 ID:o0GvgovY
 そう言った牧野さんは、でも、やっぱりいつもより寂しげで、
491 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.39 ID:o0GvgovY
「まあまあ、そう気を落とさないでよ」
492 ジュウニヒトエ(北海道):2009/06/13(土) 00:44:05.91 ID:yRRGwiDB
勢い250kとかすげーな
493 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.42 ID:o0GvgovY
 忘れる程度のものだった…それなら、それでいい。
494 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.43 ID:o0GvgovY
「なに言ってんの。キミ、悪いことなんてひとつもしてないじゃない」
495 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.44 ID:o0GvgovY
 聞き覚えのある、くぐもった声。
496 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.46 ID:o0GvgovY
「んぐ…っ、んむぅ…」
497 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.47 ID:o0GvgovY
「和泉ちゃん…塾で、何か嫌なことでもあるの?」
498 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.49 ID:o0GvgovY
「良かった。洗濯物だって、たたんであげたでしょう?」
499 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.49 ID:o0GvgovY
「ホント! 良かった…」
500 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.51 ID:o0GvgovY
「いいことだと思うんですけど、ちょっとだけ寂しいです。ひとりになることが多くなってしまって」
501 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.53 ID:o0GvgovY
「ママは、天国に行けたんでしょうか?」
502 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.53 ID:o0GvgovY
「大丈夫だって言ったでしょう? 早くしたいなら、早く脱がせて」
503 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.56 ID:o0GvgovY
「やっぱり、庄一は、和泉ちゃんのこと、好きだったの?」
504 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.57 ID:o0GvgovY
 小川だった。
505 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.59 ID:o0GvgovY
 くちゃくちゃ、くちゃくちゃ――
506 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.61 ID:o0GvgovY
 限界まで腰を引いて、力任せに根本まで叩きつける。
507 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.62 ID:o0GvgovY
 にっこり笑う。
508 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.62 ID:o0GvgovY
「…和泉より、私のことが好き? 牧野さんより?」
509 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.65 ID:o0GvgovY
 もっとも、それを確かめる手段がないから、けっきょくは手当たり次第に探すしかない。
510 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.67 ID:o0GvgovY
 駄目だ、やっぱり怒ってる。
511 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.68 ID:o0GvgovY
「うん、やっぱり、駄目だった」
512 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.69 ID:o0GvgovY
「覚えてない。夢中だったから、手あたり次第だった」
513 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.69 ID:o0GvgovY
「舞の練習は大丈夫なの?」
514 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.70 ID:o0GvgovY
 他の子が相手なら、照れちゃってなんにもできなくなるところなのに、この子が相手だと、なんだか…
515 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.72 ID:o0GvgovY
「あーあ、惜しかったねー。次は牧野さんだっけ」
516 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.73 ID:o0GvgovY
「ふーん…まあ、何か考えがあるみたいだし、任せてみるよ」
517 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.73 ID:o0GvgovY
 楽しんでいたらしい…
518 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.74 ID:o0GvgovY
 きっと、これで…
519 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.75 ID:o0GvgovY
 雪さんがあわてて僕の手を引いた。
520 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.77 ID:o0GvgovY
「えっ、ぁぁ…僕?」
521 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.79 ID:o0GvgovY
 このままいたって、ただケンカが続くだけだ。
522 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.79 ID:o0GvgovY
「あの、透矢さん…」
523 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.80 ID:o0GvgovY
「…ま、無理すんなよ」
524 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.82 ID:o0GvgovY
 僕のことなんてわすれたように、ふたりは手を取り合い、大はしゃぎで、屋台のほうに駆けだした。
525 イベリス・ウンベラタ(福岡県):2009/06/13(土) 00:44:06.82 ID:iGYqlw8Z
くこか
526 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.83 ID:o0GvgovY
「私たちは霊感が強い。それがどういうことかっていうと、自我が薄いってことなのよ」
527 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.85 ID:o0GvgovY
「なるほど」
528 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.86 ID:o0GvgovY
「そう…ですか。あの、それって、ほめていただいているんですよね?」
529 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.87 ID:o0GvgovY
「う…ん……?」
530 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.89 ID:o0GvgovY
「ぁ…ぅぅ…透矢さぁん」
531 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.90 ID:o0GvgovY
 これは、違う。
532 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.91 ID:o0GvgovY
「花梨っ…いく、よ?」
533 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.93 ID:o0GvgovY
 と、差しだしたのは、動物図鑑?
534 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.94 ID:o0GvgovY
 でも、腰を出すにも引くにも、吸いつき抵抗してくる、感触としてはややキツイくらいだ。
535 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.95 ID:o0GvgovY
 僕が生まれ、母さんが死に、みんなと出会って、みんなのことを忘れ、
536 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.98 ID:o0GvgovY
 ちょっとだけ――と自分に言い聞かせ、僕たちは防空壕の中に入った。
537 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.98 ID:o0GvgovY
「はっ、ぁ…っぁ、ぅぁ…」
538 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:06.99 ID:o0GvgovY
 うつむき、スカートに手をかけたまま、つぶやいた。
539 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.01 ID:o0GvgovY
「それは」
540 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.01 ID:o0GvgovY
 それでも、一日が流れ出した。
541 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.03 ID:o0GvgovY
 僕が、花梨のこと嫌いになるはずなんてないのに。
542 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.06 ID:o0GvgovY
「届くといいですわね、願いが」
543 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.06 ID:o0GvgovY
「ひどい事故だったんだ」
544 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.07 ID:o0GvgovY
「和泉、安心して。補習中、透矢の面倒は私が見るから」
545 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.09 ID:o0GvgovY
「その馬鹿なことをしたのは花梨だよ」
546 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.10 ID:o0GvgovY
「別に、僕は何も…」
547 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.12 ID:o0GvgovY
「そんな言い方、ずるいです…。わかりました、ご一緒してください」
548 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.14 ID:o0GvgovY
 また、雪さんの手に力がこもる。
549 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.15 ID:o0GvgovY
「いろいろ、あって」
550 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.15 ID:o0GvgovY
「してないって…。うん、でもごめんね。タイミングが悪くて…」
551 ハハコグサ(福岡県):2009/06/13(土) 00:44:06.92 ID:8lW6kpxQ
 
552 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.17 ID:o0GvgovY
「透矢ちゃん、続きしてしてー」
553 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.18 ID:o0GvgovY
「そ、そう? でも、急に帰っちゃうから心配で」
554 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.20 ID:o0GvgovY
「うん。とにかく、きれいになって良かったと思うよ。さ、埋めてあげよう」
555 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.20 ID:o0GvgovY
 と、今度は、竿を手でしごきながら、袋の部分を口にふくみ、器用に舌で転がし始めた。
556 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.22 ID:o0GvgovY
「どういうこと?」
557 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.23 ID:o0GvgovY
 でも、この人は、ちょっと変わった僕の同級生で、名前は牧野那波さんで…
558 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.25 ID:o0GvgovY
「僕がお願いしなくても、しちゃったりしない?」
559 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.26 ID:o0GvgovY
「くっ…ぁ…」
560 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.26 ID:o0GvgovY
 夢だったのか。
561 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.29 ID:o0GvgovY
「緑の、匂い…」
562 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.29 ID:o0GvgovY
「マリア、ふたりの部屋なんだから、勝手に…」
563 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.31 ID:o0GvgovY
「いけませんの?」
564 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.31 ID:o0GvgovY
 それでも続けたいから、何も言わなかったのかもしれない。
565 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.32 ID:o0GvgovY
 和泉ちゃんは、僕から目をそらしたまま車の後部座席に乗り込んでしまった。
566 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.34 ID:o0GvgovY
 誰かが許さなくても、僕が許そう。
567 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.35 ID:o0GvgovY
「やっ…はぁ…」
568 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.37 ID:o0GvgovY
「ぁん…」
569 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.38 ID:o0GvgovY
「ううん。でも、急にどうしたの?」
570 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.38 ID:o0GvgovY
 暗闇の向こうから現れたのは、
571 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.41 ID:o0GvgovY
 重い足どりで坂道を上り、どうにか教会の前まで戻った。
572 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.42 ID:o0GvgovY
「まったくだな」
573 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.44 ID:o0GvgovY
 …マリアちゃんに、こんなことを諭されるなんて思わなかった。
574 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.44 ID:o0GvgovY
「でも、そう考えると、悲しいお話のようにもとれるんです」
575 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.46 ID:o0GvgovY
「化け物って容姿じゃないけど、人間離れしているところはあるね」
576 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.46 ID:o0GvgovY
『夢ですからね、何も恥ずかしい事なんかありませんよ?』
577 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.49 ID:o0GvgovY
 意識して、固くなったものをすりつけると、彼女は恥ずかしそうに身をよじる。
578 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.49 ID:o0GvgovY
 夢の中で、触れた感触まで覚えてるっていうのも、よく考えたらすごいことだ。
579 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.50 ID:o0GvgovY
「自分がどうしてここにいるのか、わかりますか?」
580 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.51 ID:o0GvgovY
「はい。あのぅ、ご迷惑でしたか?」
581 カンガルーポー(dion軍):2009/06/13(土) 00:44:06.87 ID:mtTAXWPa
よっしゃーこい
582 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.54 ID:o0GvgovY
「お寝坊さんには、目が覚めるおまじないを、してしまいますよ?」
583 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.56 ID:o0GvgovY
 二人は嫌がるでもなく、僕のもの、お互いの顔を舐め始めた。
584 チドリソウ(東京都):2009/06/13(土) 00:44:07.37 ID:6yR4yfFd
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
585 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.57 ID:o0GvgovY
 それは、あまりにあっけなくて――
586 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.58 ID:o0GvgovY
「牧野さんと、川で…?」
587 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.58 ID:o0GvgovY
「本当に嫌な時は、言って」
588 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.59 ID:o0GvgovY
「う、うーん。言われてみるとそうか」
589 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.62 ID:o0GvgovY
「ぁ…起こしてしまいましたか。申しわけありません」
590 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.62 ID:o0GvgovY
「はっ…ひ…ぃ…ぃぃ…」
591 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.64 ID:o0GvgovY
「浴衣を着て、好きな男の子とふたりっきりで花火。すごく、デートっぽい」
592 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.65 ID:o0GvgovY
 なんだか可愛い。
593 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.66 ID:o0GvgovY
「もう、集まりませんの?」
594 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.69 ID:o0GvgovY
「和泉さんのことは残念でしたけど」
595 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.71 ID:o0GvgovY
 そして僕は、恐らく、この夢の中で、一年前に見た夢とは、違う内容をたどっている。
596 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.72 ID:o0GvgovY
 だけど、朝になったところで何が待っているだろう。
597 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.74 ID:o0GvgovY
「いちばん忙しい人に合わせるのは当然でしょう。で、明日、来られない人とかいないの?」
598 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.75 ID:o0GvgovY
 波音の向こうに、消えていく。
599 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.77 ID:o0GvgovY
 ほほえんで、
600 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.79 ID:o0GvgovY
「わ、わかったよ」
601 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.81 ID:o0GvgovY
 神社での出来事からアルバムのことを思い出す、
602 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.81 ID:o0GvgovY
「っくふ…透矢ちゃんぁぁぁん…」
603 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.82 ID:o0GvgovY
「続けるよ」
604 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.84 ID:o0GvgovY
「はは…って、なに?」
605 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.85 ID:o0GvgovY
「…ぅ」
606 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.87 ID:o0GvgovY
「雪のパパとママ。ね…私は、こんなにも幸せですから。安心して下さい」
607 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.87 ID:o0GvgovY
「…庄一。あとのこと、任せていい?」
608 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.89 ID:o0GvgovY
「お願い」
609 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.89 ID:o0GvgovY
「…ばーか」
610 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.90 ID:o0GvgovY
 ずるずると、吸いつくような感覚に、思わず射精しそうになるのをどうにかこらえた。
611 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.92 ID:o0GvgovY
「意外と明るいんだ」
612 チドリソウ(宮城県):2009/06/13(土) 00:44:07.92 ID:aKqXo9Ef
↓スクリプト
613 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.91 ID:o0GvgovY
 ふと振り返ると、庄一は、まだヒザを折り、うずくまっていた。
614 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.93 ID:o0GvgovY
「鈴蘭ちゃんは、いいのかな…また、ずるいとか言われるんじゃない?」
615 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.94 ID:o0GvgovY
 と、色素が薄いのかと思えば、髪は夜の闇を飲み込むほどの、長く艶やかな黒をたたえていた。
616 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.96 ID:o0GvgovY
「ど、どうされたんですか?」
617 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.96 ID:o0GvgovY
「…もう、帰ってきませんの?」
618 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.97 ID:o0GvgovY
 身振り手振りをまじえながら話すマリアちゃんの肩口には、きれいな水着の跡が見えた。
619 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:07.98 ID:o0GvgovY
「あら、メイドがちょっと指を切っただけで、血相を変えて手当なさったのは、どこのどなたでしたか?」
620 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.00 ID:o0GvgovY
「まだ整理してるんだね」
621 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.01 ID:o0GvgovY
「大丈夫ですよ。何も心配しなくて、大丈夫です」
622 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.02 ID:o0GvgovY
「決まり。って、どうしたもんかな。和泉とはどこに行ったの?」
623 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.04 ID:o0GvgovY
 僕は、はげしくむせる少女の体を横にして背中をさすった。
624 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.04 ID:o0GvgovY
「っぁん…」
625 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.06 ID:o0GvgovY
「うん。あなたなら、まあ任せてもいいかなって思うし」
626 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.06 ID:o0GvgovY
「嘘。そんなことないよ。でも、透矢が変態さんの役をやってくれないと、私が困るんだよね」
627 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.08 ID:o0GvgovY
「牧野さん、どうして? 僕たちは、ただの友達だって…」
628 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.13 ID:o0GvgovY
 だけど背の低かった僕にはわかった。
629 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.15 ID:o0GvgovY
 だけど、ホント、なんで僕ばっかり…。
630 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.15 ID:o0GvgovY
 だけど、真剣な顔――しかも涙目――の雪さんに見つめられると、どうにも弱い。
631 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.18 ID:o0GvgovY
 だけど、そこに、彼女の姿はない。
632 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.19 ID:o0GvgovY
 流しに血を吐き出して、うがい。
633 チドリソウ(兵庫県):2009/06/13(土) 00:44:07.83 ID:PTVKfBK5
きたぁ
634 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.23 ID:o0GvgovY
「だといいけど」
635 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.23 ID:o0GvgovY
「…仕方がありませんの。夢の中の那波はそのための存在ですから」
636 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.24 ID:o0GvgovY
 ほほに触れられるそのたび、彼女から離れようなんて気持ちは消え失せてしまい、
637 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.25 ID:o0GvgovY
「ぅ、ぅぅー」
638 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.26 ID:o0GvgovY
「いいわよ、別に」
639 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.28 ID:o0GvgovY
 花梨はあれから、今、別れる瞬間まで、終始無言で通した。
640 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.30 ID:o0GvgovY
 安心したのもつかの間、和泉ちゃんは首を横に振った。
641 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.31 ID:o0GvgovY
「へえ…じゃあ、わたあめとか、食べたことない?」
642 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.31 ID:o0GvgovY
「あり得ますわ」
643 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.33 ID:o0GvgovY
「自主トレ。それでさぁ…ええっと…」
644 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.33 ID:o0GvgovY
 波打ちぎわの少女が流した、あの涙だったのかもしれない。
645 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.35 ID:o0GvgovY
「これで、いいですか?」
646 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.35 ID:o0GvgovY
「でも、他に言いようがないから…」
647 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.37 ID:o0GvgovY
 和泉ちゃんにも意地があるのか、引いてくれる様子はない。
648 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.37 ID:o0GvgovY
 状況も忘れてしばし見入る。
649 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.39 ID:o0GvgovY
“ドサドサ!”
650 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.41 ID:o0GvgovY
「事故? なるほど、それで僕は…」
651 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.41 ID:o0GvgovY
 雪さんの話では、ここからさらに、坂を下って海沿いの道まで出るのだという。
652 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.43 ID:o0GvgovY
「だんな…ひゃまぁ…」
653 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.44 ID:o0GvgovY
「うるさいなー。あんたが思ってるようなのとは違うんだから、いいの」
654 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.44 ID:o0GvgovY
「…行こうか」
655 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.47 ID:o0GvgovY
「僕は、今のままでも、和泉ちゃんは可愛いと思うし、大好きだよ。それだけじゃ駄目なの?」
656 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.47 ID:o0GvgovY
「…なるほど、アメとムチね」
657 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.50 ID:o0GvgovY
「…あの、そんなにがっついてた?」
658 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.51 ID:o0GvgovY
「和泉ちゃん、僕のお客さんなんだから、あまりいじめないでよ」
659 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.52 ID:o0GvgovY
「あは。透矢さん、私にも…」
660 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.53 ID:o0GvgovY
「それも…わかってる」
661 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.56 ID:o0GvgovY
「ホントだよ。和泉ちゃんには悪いけど、僕が好きなのは花梨だけだから」
662 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.56 ID:o0GvgovY
 夢で見た風景――
663 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.60 ID:o0GvgovY
「ひゃっ! お、おねーちゃん…」
664 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.61 ID:o0GvgovY
「まだですよね?」
665 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.61 ID:o0GvgovY
 さて、正直、楽しく遊ぼうっていう気分ではないんだけど…
666 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.63 ID:o0GvgovY
「明日の夜」
667 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.63 ID:o0GvgovY
「…ばか」
668 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.66 ID:o0GvgovY
「っふ…いけませんわ、お一人…っぁ…だけだなんてぇ…」
669 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.66 ID:o0GvgovY
 腰を上げたところで、こちらに向かう、ふたりと、牧野さんの姿が目に入った。
670 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.68 ID:o0GvgovY
「そうだね。牧野さん、あれくらい気楽にしてくれても構わないんだよ?」
671 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.70 ID:o0GvgovY
 どうにも、一時間ちょっと前に自分がいた場所と、目の前の場所とが地続きとは思えなかった。
672 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.72 ID:o0GvgovY
 波音に誘われるように、目を開く。
673 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.73 ID:o0GvgovY
「それも僕がはっきりしなかったからだ」
674 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.74 ID:o0GvgovY
「そうですね。お父様のお手伝いをしていましたし、興味はありますよ」
675 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.74 ID:o0GvgovY
「原理はまったく同じでした。あとは、点の並びが若干違ったくらいですわね」
676 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.75 ID:o0GvgovY
「…あのさ、朝練やって補習受けて、午後から練習するって、どういうこと?」
677 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.77 ID:o0GvgovY
「違うよ…魔法は本当にあるの。だからママだって、ずっと側にいてくれたんだもん」
678 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.78 ID:o0GvgovY
「そっか。じゃあ、休んだほうがいいよ。また次の機会に。今度はちゃんと、声をかけてね」
679 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.78 ID:o0GvgovY
「えー、いろっぽいよー、とか」
680 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.81 ID:o0GvgovY
「民俗学者って言うと?」
681 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.82 ID:o0GvgovY
「元気になってくれたんならいいよ。アリスは…それ返しに行くの?」
682 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.83 ID:o0GvgovY
「だから、あのですね、とっても図々しいんですけど、そのぉ…ぅぅ」
683 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.84 ID:o0GvgovY
「べ、別に、焦ってないよ…」
684 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.85 ID:o0GvgovY
「…雪さんのせいだよ」
685 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.85 ID:o0GvgovY
「だって、さっきから、友達の相手もしないで、私たちの相手ばっかり」
686 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.87 ID:o0GvgovY
 時が止まったかのように、セミの声がやんだ。
687 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.88 ID:o0GvgovY
「っふ、ぁぁ…」
688 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.90 ID:o0GvgovY
 どうして、無理に出てきてまで、こんな嫌な思いをしなくちゃいけないんだろう。
689 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.91 ID:o0GvgovY
「じゃじゃーん」
690 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.92 ID:o0GvgovY
「ヒザまくらのお返しってことで」
691 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.93 ID:o0GvgovY
「雪さん、ごめん。ずっとはっきりしなくて、ごめんね」
692 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.96 ID:o0GvgovY
 小さい。
693 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:08.97 ID:o0GvgovY
 お互いが、お互いと、いつでも結ばれているようにと。
694 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.00 ID:o0GvgovY
「透矢さんは、何をお読みに?」
695 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.01 ID:o0GvgovY
「ご主人様が、メイドさんを好きになるのは、いけない?」
696 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.02 ID:o0GvgovY
 決まった時間に起きて、適当に課題を済ませ、雪さんとお茶を飲み、寝る――そんな平和な日常。
697 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.04 ID:o0GvgovY
 普段、雪さんが家にいる時だって、特別に何かをしているわけじゃない。
698 菜の花(愛知県):2009/06/13(土) 00:44:08.81 ID:MH9bbGg2
ニヤリじゃねーよ
699 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.08 ID:o0GvgovY
「いっ!?」
700 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.09 ID:o0GvgovY
 絡み合う舌が、ぴちゃぴちゃと、粘りけのある音を奏でた。
701 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.10 ID:o0GvgovY
 勢いを得て、僕は腰の動きを止めて、それを続けた。
702 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.12 ID:o0GvgovY
 痛いくらいのしめつけと、吸い上げられるような快感。
703 ジロボウエンゴサク(三重県):2009/06/13(土) 00:44:08.65 ID:ao9Qx10c BE:511283-PLT(12000)

ムギちゃん!ムギちゃん!ムギちゃん!ムギちゃん!ムギちゃん!ムギちゃん!ムギちゃん!

2期待ってるよ!!!!!⊂( ´∀`)⊃
704 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.13 ID:o0GvgovY
「あのねぇ、せっかく朝ご飯作ってあげたんだから…あったかいうちに食べてよ」
705 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.14 ID:o0GvgovY
「物理学の最先端、量子力学による…」
706 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.14 ID:o0GvgovY
「早く、始めて」
707 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.15 ID:o0GvgovY
 彼女の誕生日、今日という日のこと、
708 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.16 ID:o0GvgovY
「ええと、そういえば、お塩が少なくなっていましたから…」
709 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.18 ID:o0GvgovY
 後に続こうとすると、
710 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.18 ID:o0GvgovY
「いたたたた…雪さん、怒らないでよ」
711 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.21 ID:o0GvgovY
「んー、心配してくれる人がいればね…庄一くらいか」
712 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.21 ID:o0GvgovY
 ふたりが、おどろいたように顔を見合わせた。
713 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.22 ID:o0GvgovY
 黙りこんだきりの花梨を見やる。
714 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.22 ID:o0GvgovY
 思いたくないというより、思えないことが多すぎる。
715 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.24 ID:o0GvgovY
「嘘つき? 僕がアリスに嘘をつかれたことなんてないじゃないか」
716 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.25 ID:o0GvgovY
「ちょっとぉ…いい加減に……ぃっ!」
717 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.27 ID:o0GvgovY
「スキンシップでも、嫌な時は言ったほうがいいよ」
718 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.27 ID:o0GvgovY
 でも、事実は違う――そして、僕には牧野さんみたいな演技をする自信がない。
719 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.29 ID:o0GvgovY
 今、そのすべてが、温かい。
720 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.30 ID:o0GvgovY
 そして僕は、あなたと手を取り現実に生きよう。
721 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.30 ID:o0GvgovY
 抱きしめる腕に力を込める。
722 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.33 ID:o0GvgovY
「でも、ちょっといい雰囲気ですよね。私も、こういうところでお勉強したかったなぁ」
723 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.34 ID:o0GvgovY
 唇にはばまれて、言えなかった。
724 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.35 ID:o0GvgovY
「やっぱり、見たんですのね」
725 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.36 ID:o0GvgovY
 正直まだ、どこか信じられないような気持ちもあったけど、僕は雪さんに習い、頭を下げた。
726 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.37 ID:o0GvgovY
 波が、波紋を飲み込む。
727 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.39 ID:o0GvgovY
「夢を見ていますわ」
728 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.40 ID:o0GvgovY
「じゃあな。ま、俺の分も頑張って勉強してくれ」
729 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.42 ID:o0GvgovY
「マーリーアー!」
730 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.45 ID:o0GvgovY
 いくつも転がった可能性の、いちばん、どうしようもないところに僕はいるのかもしれない。
731 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.46 ID:o0GvgovY
「んぅー、っ、っぐ…」
732 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.47 ID:o0GvgovY
「優しそうだなぁって…」
733 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.48 ID:o0GvgovY
 扉が閉まると同時に、庄一がうめいた。
734 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.50 ID:o0GvgovY
 雪さん――世界中でただひとり、僕の中にだけ存在しているようだ。
735 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.52 ID:o0GvgovY
 しかし、改めて見ると、どの本にしてもパッと見からして、売れなさそうだな…。
736 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.55 ID:o0GvgovY
「あ、そっか。じゃあ、そっちのほうがいいや」
737 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.56 ID:o0GvgovY
 僕は誘われるがまま、その秘密の通路から手を差しこんでいた。
738 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.57 ID:o0GvgovY
「おはよー、って、えっ、えっ?」
739 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.58 ID:o0GvgovY
 花梨の言う『家のこと』っていうのは大和神社のことだろう。
740 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.58 ID:o0GvgovY
「透矢くん、花梨ちゃん、おはよう」
741 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.60 ID:o0GvgovY
「えへー、じゃないの。駄目じゃないか」
742 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.62 ID:o0GvgovY
 それでも、頑張ればこんな笑顔が見られるから、やめられない。
743 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.62 ID:o0GvgovY
「あのね、那波ちゃんは、夢を見るのが好きなんだよ。だからすぐに保健室に行っちゃうの」
744 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.63 ID:o0GvgovY
「ぅ、ぁ…いや、なんでもないですよ…」
745 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.64 ID:o0GvgovY
「だって、僕の知らないところで、ぜんぶ決まってる…」
746 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.66 ID:o0GvgovY
「ここは、気持ち良くないんだ?」
747 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.66 ID:o0GvgovY
「たぶん、覚えてるけど、今さら読んで面白いものかなぁと」
748 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.69 ID:o0GvgovY
「はあ…」
749 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.70 ID:o0GvgovY
「きっと、待っていても、駄目だから」
750 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.71 ID:o0GvgovY
「ふーん。まあいいけど。もうちょい早ければ、舞を見せてあげられたのになぁ」
751 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.73 ID:o0GvgovY
「んー、本当に個人的なことなんだ。夢の謎がちょっとだけ解けたかも」
752 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.72 ID:o0GvgovY
「違うよー。透矢さんは、いつまでも優しいだけ。そうですよね?」
753 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.74 ID:o0GvgovY
「勘というか…あの子、あいつに怯えて逃げたんだと思うわよ」
754 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.75 ID:o0GvgovY
「はいはい、お友達ね、お友達」
755 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.77 ID:o0GvgovY
「迷惑だなんて、思ってないから」
756 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.78 ID:o0GvgovY
 三人とも押し黙ってしまった。
757 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.79 ID:o0GvgovY
「…じゃあ」
758 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.80 ID:o0GvgovY
「透矢さん、夕食、お食べにならないんですか?」
759 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.81 ID:o0GvgovY
 僕は、赤く染まった彼女のほほに顔をうずめ、余韻にゆれる乳房へ手を伸ばした。
760 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.82 ID:o0GvgovY
「ふふ、無邪気でいいじゃありませんか」
761 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.83 ID:o0GvgovY
「…駄目だよ。口で説明したって、わかるわけないもん」
762 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.85 ID:o0GvgovY
「本当ですか? それでしたら、すぐに他の記憶も戻るかもしれませんね」
763 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.87 ID:o0GvgovY
 ショーツを、脱いでもらうことにした。
764 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.88 ID:o0GvgovY
「ひゃっ…ぁ…」
765 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.88 ID:o0GvgovY
「胸?」
766 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.90 ID:o0GvgovY
 冷たい――まるで、死人のように。
767 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.92 ID:o0GvgovY
 マリアちゃんの目を覚まさせるのに必要なものがあるからと、一日がかりで出かけてしまった。
768 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.93 ID:o0GvgovY
「まさか。天才は、何をやらせても才能があるの…よっ!」
769 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.94 ID:o0GvgovY
 僕の夢は、ただの夢なんかじゃない。
770 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.96 ID:o0GvgovY
「ちょっとは手加減しようよ」
771 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.98 ID:o0GvgovY
「牧野さんと、前世で約束でもしたんじゃないですかねぇ?」
772 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:09.98 ID:o0GvgovY
「いいよ。花梨ちゃんと上手くいってるみたいだし」
773 チドリソウ(福岡県):2009/06/13(土) 00:44:09.76 ID:gZ6Gar8n
774 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.00 ID:o0GvgovY
「マリア…?」
775 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.02 ID:o0GvgovY
「まきの、ななみ」
776 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.05 ID:o0GvgovY
 どうしてだろう――
777 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.05 ID:o0GvgovY
「透矢ー、この前ってなんの話だよ」
778 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.07 ID:o0GvgovY
「お、出てきた出てきた」
779 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.07 ID:o0GvgovY
 全身がベタベタして気持ち悪い。
780 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.09 ID:o0GvgovY
 すると、徐々に道が狭まり、悪路が目立つようになった。
781 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.11 ID:o0GvgovY
「それはいいんだよ。でも、大丈夫?」
782 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.11 ID:o0GvgovY
 けっきょく、アルバムから大した収穫は得られず、部屋へ戻った。
783 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.11 ID:o0GvgovY
「自分から振ったくせに」
784 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.14 ID:o0GvgovY
「おつかれさん」
785 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.14 ID:o0GvgovY
「いいっていいって。私だって風邪ひけば部活は休むし、それとおんなじ…にしたら失礼?」
786 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.15 ID:o0GvgovY
「しょうがないじゃないか、こういうものなんだから」
787 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.16 ID:o0GvgovY
「年下趣味はわかるけど、行き過ぎると犯罪だと思うのよねぇ」
788 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.18 ID:o0GvgovY
 マリアちゃんはあくまで真剣だ。
789 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.19 ID:o0GvgovY
 庄一、静かになったと思ったら、動かなくなっていた…。
790 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.20 ID:o0GvgovY
「だって、めんどーい」
791 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.21 ID:o0GvgovY
 承知はしていても、その感覚の鋭さにはおどろかされるしかない。
792 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.23 ID:o0GvgovY
「くっ!」
793 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.24 ID:o0GvgovY
 そんな時、口に塩辛いものが広がって、
794 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.25 ID:o0GvgovY
「残念ながらね。それより大丈夫?」
795 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.26 ID:o0GvgovY
「花梨! わざわざ誤解をまねくように言わないでよ」
796 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.28 ID:o0GvgovY
 僕は、一夜をここで明かした。
797 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.28 ID:o0GvgovY
「なつかしい…?」
798 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.30 ID:o0GvgovY
「ぁ…おねーちゃん?」
799 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.31 ID:o0GvgovY
 背中越しに声がかかった。
800 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.33 ID:o0GvgovY
「そうだねぇ」
801 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.35 ID:o0GvgovY
 そうやって父さんの本を漁り、
802 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.35 ID:o0GvgovY
「でしたら、念のため湿布を貼っておきましょう。ね?」
803 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.37 ID:o0GvgovY
「あ…はい、どうぞ」
804 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.39 ID:o0GvgovY
 だから…泣けなかった。
805 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.39 ID:o0GvgovY
「はうっ」
806 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.40 ID:o0GvgovY
「どーにか間に合いそうだね」
807 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.42 ID:o0GvgovY
「あ…うん」
808 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.44 ID:o0GvgovY
「家よ、家。あの子には他に行くところが無いんだから」
809 福寿草(三重県):2009/06/13(土) 00:44:10.21 ID:O2MdJmxi
またかw
810 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.47 ID:o0GvgovY
「ふふ、夢のお話ですもの、わからなくていいと思いますわ。それより何か、音が聞こえませんか?」
811 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.48 ID:o0GvgovY
「放課後に、また」
812 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.49 ID:o0GvgovY
「うん…あ、いや、どうなんだろう」
813 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.50 ID:o0GvgovY
 変わらない雪さん、でも、変わらなければならなかった雪さん。
814 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.52 ID:o0GvgovY
「時間?」
815 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.52 ID:o0GvgovY
「うん…いくよ?」
816 チドリソウ(神奈川県):2009/06/13(土) 00:44:10.51 ID:8vVoP2rg
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
817 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.51 ID:o0GvgovY
「まあ、牧野さんの体調が良くなんないと話にならないけど。…そろそろ、図書館のほう、行こうか?」
818 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.56 ID:o0GvgovY
『違ったら困るの。あの子には早いとこ、いなくなってもらわないとね――』
819 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.57 ID:o0GvgovY
「それにしても、同じ町に二つも神社があるって、どうなんだろう?」
820 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.58 ID:o0GvgovY
「透矢、私、あっちで待ってるね」
821 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.59 ID:o0GvgovY
 アリスには悪いけど…明日あたり、またひょっこりキツネが顔を出すならそれでいい。
822 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.61 ID:o0GvgovY
「もう、今回だけなんですからね?」
823 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.64 ID:o0GvgovY
「いや…何も用事がなければつき合うと思うけど」
824 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.62 ID:o0GvgovY
「それもありますし、安心したから、気分が良くて、眠ってしまったんだと思いますわ…」
825 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.64 ID:o0GvgovY
 三人は行ってしまった。
826 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.65 ID:o0GvgovY
 その代わりに、出来すぎたメイドさんがいて、僕を支えてくれる。
827 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.66 ID:o0GvgovY
「ふーん。ま、なんか悪い夢だったみたいだし、見ないのに越したことないよね。夢は夢だし」
828 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.67 ID:o0GvgovY
 庄一は、こんなにも純粋な気持ちで、和泉ちゃんに恋をしている。
829 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.69 ID:o0GvgovY
 ごていねいに、ため息を交えながらぼやく花梨。
830 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.69 ID:o0GvgovY
「んっ…んっ…」
831 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.71 ID:o0GvgovY
「大丈夫だよ、大丈夫…ね?」
832 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.73 ID:o0GvgovY
「…二回?」
833 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.74 ID:o0GvgovY
「私より、和泉が」
834 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.75 ID:o0GvgovY
 明日の朝には、この悪夢も、終わっているんだろうか。
835 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.75 ID:o0GvgovY
 突拍子もない言葉に首をかしげているとアリスが続けた。
836 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.77 ID:o0GvgovY
「ちょっ…あああぁぁぁー…」
837 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.78 ID:o0GvgovY
 なんだか不思議な組み合わせだ。
838 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.79 ID:o0GvgovY
「だ、めぇ…お願いです、もう少しだけ、待ってください」
839 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.81 ID:o0GvgovY
「ぁ…え…ぅ…」
840 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.82 ID:o0GvgovY
「あ、ああ…大丈夫だから、戻ってきてくれないかな?」
841 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.84 ID:o0GvgovY
 口から抜け出そうになったところで、今度は一気に飲み込む。
842 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.86 ID:o0GvgovY
「旦那さま…声が、漏れてしまいます…」
843 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.86 ID:o0GvgovY
 ただ、普通にできていたなら…こんなに友達を傷つけずに済んだんだろう。
844 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.87 ID:o0GvgovY
(うわぁ…)
845 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.89 ID:o0GvgovY
「帰るぞ」
846 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.91 ID:o0GvgovY
「う…まあ…」
847 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.92 ID:o0GvgovY
「何か変わったことは?」
848 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.93 ID:o0GvgovY
「年下趣味はわかるけど、行き過ぎると犯罪だと思うのよねぇ」
849 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.95 ID:o0GvgovY
 だいたい、当初の行動指針に、これまでと同じようにする、というのがあったはずだ。
850 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.97 ID:o0GvgovY
 当然、首を縦に振った。
851 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.99 ID:o0GvgovY
 ママ――
852 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:10.99 ID:o0GvgovY
 内容は、ほとんど予想通りだった。
853 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.01 ID:o0GvgovY
「でも、花梨ちゃんに呼びかければいいっていう事なんでしょう?」
854 ビオラ(catv?):2009/06/13(土) 00:44:10.80 ID:JzhmJY7P
うんち
855 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.02 ID:o0GvgovY
「鈴蘭ちゃん、なめるって、なんのことを言ってるわけ?」
856 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.04 ID:o0GvgovY
 彼女がうなずくのを確認して、僕は、胸の谷間に顔をうずめた。
857 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.04 ID:o0GvgovY
 マリアちゃんは、すすっ、と僕の背後に隠れてしまった。
858 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.06 ID:o0GvgovY
「っ…んぁ…っ…ぁ」
859 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.06 ID:o0GvgovY
「うん、ありがと」
860 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.08 ID:o0GvgovY
「透矢くんの好きにさせると、シワシワになりそう…ブラ、外すよ」
861 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.10 ID:o0GvgovY
 僕は、胸への愛撫を行いながら、腰を動かした。
862 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.11 ID:o0GvgovY
「いいよ…それが普通なんだもん。待ち合わせがあるのに、ごめんね」
863 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.12 ID:o0GvgovY
 びくっと、和泉ちゃんがのけぞった。
864 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.12 ID:o0GvgovY
「和泉ちゃんは、いつも笑顔だったじゃないか」
865 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.15 ID:o0GvgovY
「待ち合わせの時間とか決めてたの?」
866 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.16 ID:o0GvgovY
「本当に? 記憶のこととか…」
867 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.17 ID:o0GvgovY
「牧野、それ、みんなですることじゃないから…」
868 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.18 ID:o0GvgovY
「風船ウサギが餅つきをするって、想像するとすごい絵だなぁ」
869 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.19 ID:o0GvgovY
 それにしても、きれいだ。
870 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.21 ID:o0GvgovY
「うん。何かいいことあった?」
871 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.23 ID:o0GvgovY
 僕もつられて頭を下げる。
872 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.24 ID:o0GvgovY
「そういえば、今回は同じ夢を見なかったんだね」
873 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.26 ID:o0GvgovY
「手を…」
874 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.28 ID:o0GvgovY
「寝言ですよ…恥ずかしいことなんて、ありませんから」
875 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.28 ID:o0GvgovY
「あ、いえ。ええと…」
876 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.29 ID:o0GvgovY
「からかっていますの? いつも通り、ナナミと呼んでくださいな」
877 水芭蕉(catv?):2009/06/13(土) 00:44:10.95 ID:QElSGuUl
ワロス
878 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.31 ID:o0GvgovY
「約束だから。牧野さんこそ、今日はもう休みだと思ってたよ」
879 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.32 ID:o0GvgovY
「迷子になると、いけませんでしょう?」
880 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.32 ID:o0GvgovY
「お買い得って…。うん…アリスのことは好きだけど」
881 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.35 ID:o0GvgovY
 どの家も損壊がひどく、人が住んでいる気配はない――まあ、当たり前だ。
882 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.35 ID:o0GvgovY
「どうして?」
883 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.36 ID:o0GvgovY
 今も、これから先も、ただ優柔不断なだけで…
884 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.37 ID:o0GvgovY
「そんな、催促をしたわけでは…」
885 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.38 ID:o0GvgovY
「あ、ああ、そうだね。四人とも、それから雪さんも、いい人ばっかりだ」
886 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.39 ID:o0GvgovY
「透矢さんは、おねえちゃんのこと、理解してくれているんですね」
887 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.41 ID:o0GvgovY
 本当に同じ地球の上なんだろうか?
888 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.43 ID:o0GvgovY
「っっ。か、花梨、つま先で蹴らなくてもいいのに」
889 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.44 ID:o0GvgovY
 なんにしたって、笑顔で楽しくってわけにはいかないらしい。
890 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.46 ID:o0GvgovY
「大事な、話なの?」
891 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.46 ID:o0GvgovY
「…マリア、来てない?」
892 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.47 ID:o0GvgovY
 ママ――
893 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.49 ID:o0GvgovY
「そんなんじゃないよ」
894 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.50 ID:o0GvgovY
「お邪魔します」
895 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.53 ID:o0GvgovY
「馬鹿ね。この男にはこの男の都合があるのよ。家で待ってる人間だっているんだろうし…」
896 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.54 ID:o0GvgovY
「可愛かったよ。雪さんには悪いけど、最後のは、あったかくて気持ち良かった」
897 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.55 ID:o0GvgovY
 雪さんが得意げに胸を張る。
898 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.57 ID:o0GvgovY
『私たち、魔女なの』
899 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.58 ID:o0GvgovY
 はっきり言って、こんなことをする花梨はバカだ。
900 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.60 ID:o0GvgovY
「はは…花梨、そろそろ、こっちも」
901 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.60 ID:o0GvgovY
 川のせせらぎ、虫の声、耳を澄ませば、世界にはこんなにも音があふれている。
902 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.62 ID:o0GvgovY
 庄一の手がそれを制した。
903 モリシマアカシア(アラバマ州):2009/06/13(土) 00:44:11.62 ID:+LKf5eC7
904 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.64 ID:o0GvgovY
「もう一回、する?」
905 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.65 ID:o0GvgovY
 …雪さんのために死んだって、解釈したのか。
906 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.67 ID:o0GvgovY
「透矢さん、こちらですよ」
907 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.67 ID:o0GvgovY
「どっかの誰かみたいに、衣装だけカッコイイのよりマシじゃない」
908 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.70 ID:o0GvgovY
「でも、おかげで、いろいろはげまされたから」
909 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.71 ID:o0GvgovY
 差しだした写真を素早く奪い取り、
910 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.72 ID:o0GvgovY
 雪さんの手は、出会ったあの日から変わらず、冷たく優しい。
911 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.72 ID:o0GvgovY
「透矢くん、お待たせー」
912 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.74 ID:o0GvgovY
 二人は四つんばいになると、僕の手についたお互いの愛液を、ペロペロ、舐め取り始めた。
913 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.75 ID:o0GvgovY
「…どうして、そういうこと言うの?」
914 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.75 ID:o0GvgovY
「じゃあ、してみます?」
915 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.77 ID:o0GvgovY
 どうも最近、遅刻と縁がある。
916 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.78 ID:o0GvgovY
「ゆ、雪…?」
917 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.80 ID:o0GvgovY
 めずらしく、雪さんがうろたえている。
918 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.81 ID:o0GvgovY
「まさか、事故に遭って、神様でも信じる気になった?」
919 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.82 ID:o0GvgovY
 動物の本能は、真実を伝える。
920 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.84 ID:o0GvgovY
「もらわないと、なんですの?」
921 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.85 ID:o0GvgovY
 庄一や花梨らしき子供と一緒に写っている写真が多い。
922 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.86 ID:o0GvgovY
「それでも、駄目か?」
923 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.87 ID:o0GvgovY
「はわ!?」
924 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.89 ID:o0GvgovY
「そっか…良かったね…」
925 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.90 ID:o0GvgovY
「…自分でも忘れてたの?」
926 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.91 ID:o0GvgovY
「困りました」
927 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.93 ID:o0GvgovY
 そーっと、そーっと…
928 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.94 ID:o0GvgovY
 頭をひと撫でし、僕は早速、マリアちゃんと同じように、ワンピースをまくりあげてしまうことにした。
929 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.95 ID:o0GvgovY
 この子が天国に行けますように。
930 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.96 ID:o0GvgovY
 重ね合わせた手は、震えていた。
931 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.97 ID:o0GvgovY
「何座かわかると、どうなりますの?」
932 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:11.99 ID:o0GvgovY
「どうして…あんなひどいことするの?」
933 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.00 ID:o0GvgovY
「ぁ…ぅ、うん」
934 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.01 ID:o0GvgovY
「だとしたら、どうして僕に見えるの?」
935 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.02 ID:o0GvgovY
「ここね、なんにもしなくていいんだ。夢の中だから。ただ寝てるの…たまに透矢の声が聞こえて…」
936 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.05 ID:o0GvgovY
「残念ながら、そういうことをする人たちじゃないよ」
937 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.07 ID:o0GvgovY
 つづら、ツボ、本はいいとして、
938 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.07 ID:o0GvgovY
「ぁっ、ぁっ…なに、これ…?」
939 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.09 ID:o0GvgovY
「道祖神、だよね。外から疫病とかが入るのを防いでくれるっていう」
940 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.11 ID:o0GvgovY
「まあ、那波の夢を?」
941 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.10 ID:o0GvgovY
「やだな。別に、透矢が謝る必要なんてないでしょ。事故なんだから」
942 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.12 ID:o0GvgovY
「実際のところ、どうなんだろ。雪さんは覚えてない?」
943 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.13 ID:o0GvgovY
「もちろん、お父様には感謝しています。ですけど、雪は…」
944 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.15 ID:o0GvgovY
「…どんな感じ?」
945 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.15 ID:o0GvgovY
「…ふたりそろって」
946 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.18 ID:o0GvgovY
「じゃあ、行くよ」
947 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.19 ID:o0GvgovY
 鈴蘭ちゃんが八重歯をぎらつかせる。
948 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.20 ID:o0GvgovY
 一瞬、泣きたいような気持ちになったのは、わずかでも信じてしまっている証拠なのかもしれない。
949 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.20 ID:o0GvgovY
「なんだ、まだ気にしてたのか。兄妹の俺が大丈夫だって言ってんだ。信用してくれよ」
950 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.22 ID:o0GvgovY
「ただやる分には、慣れたからいいけど」
951 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.23 ID:o0GvgovY
「それを可能にするのが、この指輪なの。これは、確かに現実よ」
952 キキョウソウ(長屋):2009/06/13(土) 00:44:12.00 ID:5Hz6CeeL
自分の立場もわきまえずに実況してる阿呆は剥奪しちまえよ
953 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.25 ID:o0GvgovY
「…僕から話すよ」
954 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.27 ID:o0GvgovY
 だけど、雪さんは、確かに泣いていた。
955 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.28 ID:o0GvgovY
「んー、そうなんだよねぇ、人の話とか聞いてると」
956 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.29 ID:o0GvgovY
「もっと……」
957 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.29 ID:o0GvgovY
「嘘つくのヘタね。私もマリアも、勘がいいのはわかってるでしょ」
958 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.31 ID:o0GvgovY
「ぁ…ぅぅ、そうですか」
959 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.31 ID:o0GvgovY
 ばいばい、花梨。
960 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.32 ID:o0GvgovY
「んーんー」
961 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.34 ID:o0GvgovY
「も、もう、まぎらわしいなぁ。男なんだから、いちいち情けない声あげないの」
962 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.35 ID:o0GvgovY
「…な」
963 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.37 ID:o0GvgovY
 花梨がバカにした顔で言った。
964 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.39 ID:o0GvgovY
 真夏の日射しを受け白く輝くその姿に僕は、そう――
965 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.40 ID:o0GvgovY
 なんだかんだで、構え方やら道具の使い方やらは体が覚えている。
966 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.44 ID:o0GvgovY
 胸もお腹も、この子の体は柔らかく、すべすべしている。
967 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.44 ID:o0GvgovY
 この素敵な人たちへの想いが、未来へ、つながっていきますように。
968 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.45 ID:o0GvgovY
「さすがだな。よく分析してんぜ…悪いけど、そうだよ。ただ…」
969 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.46 ID:o0GvgovY
「…和泉さん自身が決めたことですよ。一生会えないわけでもないでしょうし、元気を出してください」
970 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.49 ID:o0GvgovY
「こんな時期のこと、仮に思い出したって役に立たないじゃないか」
971 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.49 ID:o0GvgovY
「くす、本当に初めてなんだ?」
972 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.51 ID:o0GvgovY
「和泉のことなんだけどさ」
973 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.52 ID:o0GvgovY
 混乱して、良くわからない返事になってしまった。
974 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.53 ID:o0GvgovY
 新たにあふれ出た精液を、ちゅっ、と吸い上げた雪さんは、
975 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.55 ID:o0GvgovY
「夢を見たんだ。それが記憶なのかどうかはわからないけど、タイミングが良かったから…」
976 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.55 ID:o0GvgovY
「物知りだとは思っていたけど…それとも魔女は人の気持ちを読むこともできるのかな?」
977 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.58 ID:o0GvgovY
「私に心配かけた分! ホントは、そんなもんじゃ済まないんだから」
978 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.59 ID:o0GvgovY
 今いる場所から見たら、すべての場所がそうだ。
979 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.60 ID:o0GvgovY
 ずっと、昔から今まで――これから先もたぶん、僕らが僕らであるかぎり。
980 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.62 ID:o0GvgovY
 花梨の言葉が思い出された。
981 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.64 ID:o0GvgovY
 夢を見ていた。
982 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.63 ID:o0GvgovY
「ここからさ。山ノ民が、この国の先住民だって話があるんだよ」
983 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.64 ID:o0GvgovY
「そういえば、けっこう長く話してしまいましたわね…」
984 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.67 ID:o0GvgovY
 互いの口内に、くぐもった叫び声をあげて、二つの体が、震えた。
985 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.67 ID:o0GvgovY
『だから、怒らないであげて下さい』
986 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.68 ID:o0GvgovY
「あ、あのぅ、それで結局?」
987 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.70 ID:o0GvgovY
「…はは。僕のためにそんなに悩んでくれて、ありがとう」
988 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.71 ID:o0GvgovY
「牧野さん、優しいからさ、現実だろうが夢だろうが、友達が苦しんでたら助けてあげたくなるよね?」
989 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.73 ID:o0GvgovY
「ごめん」
990 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.75 ID:o0GvgovY
 波打ち際にたたずんでいた。
991 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.76 ID:o0GvgovY
「いいから、透矢はマリアを…」
992 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.76 ID:o0GvgovY
「あら、早かったんですね?」
993 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.78 ID:o0GvgovY
 なにせ、和泉ちゃんと僕が原因になっているわけだし。
994 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.79 ID:o0GvgovY
 神隠しの話なんかされたせいか、さっきから漠然とした不安のようなものが消えない。
995 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.80 ID:o0GvgovY
「お、は、よ、う」
996 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.82 ID:o0GvgovY
 憑き物は思いこみによるところが大きいとアリスは言っていた。
997 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.82 ID:o0GvgovY
 と、自分を納得させつつ、僕は行為を続けた。
998 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.83 ID:o0GvgovY
「うんうん、わかればよろしい。その心がけを忘れないように」
999 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.86 ID:o0GvgovY
「夕食って、もうこんな時間かぁ」
1000 ◆aLICeotiAI :2009/06/13(土) 00:44:12.87 ID:o0GvgovY
“どくん、どくん――”
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