なんとお止め組が実況　腐った２ちゃん運営の実態

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1 ： ヘラオオバコ(広島県)：

494 名前： チドリソウ(東京都)[] 投稿日：2009/06/13(土) 00:24:40.27 ID:32cNxekE
お止め組が実況


けいおん！紅茶267杯目
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/anime/1244738651/184
184 名前：雑用＠お止め組。 ★[sage] 投稿日：2009/06/12(金) 02:28:34 ID:???
京アニま〜た学祭エンドか？


スレスト野郎がけいおんスレで実況。腐ってやがる


まえ
【速報】お止め組が実況　腐った２ちゃん運営の実態
http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/news/1244820471/
2 ： ウイキョウ(大阪府)：2009/06/13(土) 00:38:11.14 ID:1m/HdQtY
この速さなら言えるｗｗ













今日私の誕生日ｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ

誰も祝ってくれなくて私涙目ｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ

ニュー速民のみんなｗｗｗ祝ってくれｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ

寂しすぐる　　　ｳｯ（´；ω；｀三´；ω；｀）ｳｯ
3 ： チドリソウ(アラバマ州)：2009/06/13(土) 00:38:28.33 ID:yVIfSync BE:802432883-PLT(15556)

skoここも
埋め立てんな
http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/news/1244801911/
4 ： ワスレナグサ(愛知県)：2009/06/13(土) 00:40:29.33 ID:Mw0tNN1V
おせーよ
5 ： ノボロギク(北海道)：2009/06/13(土) 00:41:45.17 ID:XRIe/v8G
きやがった
6 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:41:59.83 ID:VChupBhV
「あの、泣かないで？」
7 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:41:59.71 ID:VChupBhV
（どういう部屋なんだ、これは？）
8 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:41:59.84 ID:VChupBhV
　いきなり訪ねるのもどうかとは思ったけど、いくら電話をしても話し中なんだからしょうがない。
9 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:41:59.94 ID:VChupBhV
　彼のこんな顔は、初めてみる。
10 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:41:59.96 ID:VChupBhV
　なんか、一気に現実に引き戻された。
11 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:41:59.97 ID:VChupBhV
　でも、だからこそ僕たちは今、肩を並べて勉強することができる。
12 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.01 ID:VChupBhV
　というよりも、七夕に固執する子が、めずらしいだけだろうか？――なんにしたって変わっている。
13 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.03 ID:VChupBhV
「うん…っ…透矢くぅ…ん」
14 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.06 ID:VChupBhV
　でも、僕には何を言うことも、してあげることも、できなかった。
15 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.08 ID:VChupBhV
「…好きな人、いるんじゃないか」
16 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.06 ID:VChupBhV
「うーん、どうなんだろう」
17 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.14 ID:VChupBhV
「どうしたのってねぇ、あんたはあんたで何を想像してるわけ」
18 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.15 ID:VChupBhV
「言い訳しないの。ほら、そろそろお昼にするから、ふたりとも上がんなよ」
19 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.19 ID:VChupBhV
『…もし生まれ変わるのでしたら、あんなふうに生きてみたい気もしますわ。透矢さんの恋人として』
20 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.21 ID:VChupBhV
「あーんして…わけてあげるから…」
21 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.25 ID:VChupBhV
「中で、いいから…思いっきり、動いて」
22 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.30 ID:VChupBhV
　ふふん、と鼻を鳴らして、勝ち誇った顔をするアリス。
23 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.32 ID:VChupBhV
「それも、なんかムカツクわね」
24 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.33 ID:VChupBhV
「あなたとのことが、ぜんぶ夢だったことになるの？」
25 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.43 ID:VChupBhV
「そ、それって…」
26 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.41 ID:VChupBhV
　非常に困った。
27 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.44 ID:VChupBhV
「…冗談よ。じゃあね、透矢」
28 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.57 ID:VChupBhV
　一緒にいたのは、父さんだろうか。
29 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.57 ID:VChupBhV
　記憶喪失――そんな言葉が、頭をよぎった。
30 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.57 ID:VChupBhV
『出会いがあれば別れがあるの』
31 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:01.08 ID:VChupBhV
　ずいぶん、不安になっているようだ。
32 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.57 ID:VChupBhV
「えー、花梨ちゃん、いつもボクのこと叩くんだから、てんばつー」
33 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:01.08 ID:VChupBhV
「ご苦労だったね」
34 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:01.08 ID:VChupBhV
　なのに、僕の涙はどうしても止まらなくて…
35 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:01.07 ID:VChupBhV
「え…ゃっ、ぁ」
36 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:00.57 ID:VChupBhV
「…あんたね、今ここで言うことじゃないよ。まったく悪趣味なんだから」
37 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.56 ID:VChupBhV
　さっきから視界の向こうをちらつく少女に導かれてでもいるように、淀みなく、力強く。
38 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.57 ID:VChupBhV
「私には、それが、当たり前に思えない時期があったから」
39 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.59 ID:VChupBhV
　元だとか自称だとか、ろくな言葉が続かない。
40 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.63 ID:VChupBhV
「いいじゃん、大会終わって、もう忙しくないんだから」
41 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.60 ID:VChupBhV
　とても、いい匂いがした…。
42 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.64 ID:VChupBhV
「仕方ないのかもしれないけど、いちおう様子くらい見ておきたいから」
43 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.63 ID:VChupBhV
　牧野さんにひざまくらをされた鈴蘭ちゃんが、大声をあげた。
44 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.65 ID:VChupBhV
「ごきげんよう」
45 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.65 ID:VChupBhV
「ええ、きっと、そうですわ」
46 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.72 ID:VChupBhV
「いいな…お姉ちゃん、髪、長いし、きれいだし」
47 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.74 ID:VChupBhV
　牧野さんだって、こうなることは予測していただろうし…
48 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.78 ID:VChupBhV
　ただ、私は、あの少女の家で一夜を明かしたのだと思う。
49 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.76 ID:VChupBhV
　吐き出された息が痛みを主張する。
50 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.71 ID:VChupBhV
「言ってはいないが、何しろ勘がいい。気づいているかもしれんな」
51 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.80 ID:VChupBhV
　海岸沿いにまで出れば、海からの風があるのかもしれないけど、僕らは山寄りに住んでいる。
52 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.86 ID:VChupBhV
「なんか、不思議な雰囲気だね」
53 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.85 ID:VChupBhV
「うーん、そうかもしれないね」
54 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.02 ID:VChupBhV
「ぁー、なんかわかったわ。馬鹿だから。仲間の匂いがしたのよ、きっと」
55 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.02 ID:VChupBhV
『雪と……じゃ…』
56 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:02.87 ID:VChupBhV
「マリアちゃん…本当に、いいね？」
57 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.12 ID:VChupBhV
「人の記憶は、完全じゃないって言うからね。都合の悪いことを忘れたりとか」
58 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.13 ID:VChupBhV
　まさか、さっきの内緒は、和泉ちゃんに対しての――
59 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.18 ID:VChupBhV
　こう視線が集まったんじゃ、集中も何もない。
60 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.19 ID:VChupBhV
　眠っている時に見る、不思議なもの。
61 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.24 ID:VChupBhV
　人の想いで何かを動かすことができると彼女は言っていた。
62 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.25 ID:VChupBhV
「可愛い巫女、って言葉から、すぐに花梨を連想できるあたり、想像力が豊かだよな」
63 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.26 ID:VChupBhV
「おまえには透矢がいるだろ。俺の愛まで勝ち取ろうなんて、ぜいたくだぜ」
64 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.36 ID:VChupBhV
「ほれ、彼女は頑張ってるぞ」
65 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.37 ID:VChupBhV
　駄々っ子みたいに首を振る。
66 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.38 ID:VChupBhV
「どうか、那波と呼んでくださいな」
67 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.44 ID:VChupBhV
「大丈夫ですわ。大丈夫…」
68 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.46 ID:VChupBhV
　花梨はまた、僕のものを口にふくんで、さっきよりはげしく顔を上下させた。
69 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.47 ID:VChupBhV
　僕は、怖かったんだ。
70 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.48 ID:VChupBhV
　止まっていた時が、動き始めた。
71 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.49 ID:VChupBhV
「理屈を説明しても、仕方がありません。今は、彼女を助けることだけを考えてくださいな」
72 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.51 ID:VChupBhV
　知ってるのに…僕は、何も言わなくて、いいんだろうか。
73 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.52 ID:VChupBhV
　見つめ合い、重なり合う。
74 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.53 ID:VChupBhV
「遅い！」
75 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.64 ID:VChupBhV
「もう、お上手なんですから…本当は、遠回しに雪の事をいじめていたりしませんか？」
76 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.66 ID:VChupBhV
　胸の感触や、彼女の体内の温もりまで、すべてリアルに思い出すことができる。
77 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.68 ID:VChupBhV
「ごめんなさい！」
78 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.68 ID:VChupBhV
　どれくらいそうしていただろう。
79 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.68 ID:VChupBhV
「…嫌じゃ、ないけど」
80 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.71 ID:VChupBhV
「んー、なんかさ、ここに掘ってある模様を、前にどっかで見た気がするんだ。透矢も見てよ」
81 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.71 ID:VChupBhV
　にぱっ、といつもの笑顔を浮かべて、鈴蘭ちゃんはためらいなく、シャツをまくりあげた。
82 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.73 ID:VChupBhV
　牧野さんのお父さん。
83 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.74 ID:VChupBhV
　僕たちは、何度もこんなことをして…
84 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.75 ID:VChupBhV
　胸の感触や、彼女の体内の温もりまで、すべてリアルに思い出すことができる。
85 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.75 ID:VChupBhV
「海が好きか？」
86 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.76 ID:VChupBhV
『ナ、ナ、ミ…』
87 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.78 ID:VChupBhV
「…仕方がありませんの。夢の中の那波はそのための存在ですから」
88 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.79 ID:VChupBhV
「…マンガだよ、そこまでいくと」
89 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.83 ID:VChupBhV
　結果は、その通りだった。
90 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.85 ID:VChupBhV
　僕は、飽きることなく、撫でたりもんだりを繰り返した。
91 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.85 ID:VChupBhV
　彼女は、聞くまでもない。
92 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.86 ID:VChupBhV
　僕は、いっぺんにそれを引き抜いた。
93 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.92 ID:VChupBhV
「雪さ…」
94 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.93 ID:VChupBhV
「あ…ううん。私こそ…調子が悪いからって八つ当たりしちゃった。そっちはどうだったの？」
95 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.94 ID:VChupBhV
「ん？　わあっ！」
96 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.96 ID:VChupBhV
　もう少し汚い想像をするなら、彼女の中で僕が果ててしまうこと、それ自体を望んでいた。
97 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.97 ID:VChupBhV
（きのう見た写真って、こんな雰囲気だっ　たっけ？）
98 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.98 ID:VChupBhV
　要するに、目の前にある世界を信じるしかないってことだ。
99 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:03.99 ID:VChupBhV
　でも…けっきょく、なんなんだろうな、あの場所は。
100 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.00 ID:VChupBhV
　やっぱり花梨は花梨だった。
101 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.02 ID:VChupBhV
　鈴蘭ちゃん相手だと、マリアちゃんも、お姉さんになるんだなぁ、と当たり前の事に感心。
102 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.02 ID:VChupBhV
「寝ぼけてる？」
103 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.03 ID:VChupBhV
「恥ずかしいこと言うね。でも、うれしいからサービスしてあげよっかな」
104 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.05 ID:VChupBhV
「そっちは居間で、そこは食堂と台所だよね？」
105 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.06 ID:VChupBhV
「あ、いえ…そういうわけじゃないんですけど」
106 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.04 ID:VChupBhV
「ふふ、かぐや姫の伝説は、確かにマヨイガとこの世界との物語かもしれませんわね」
107 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.08 ID:VChupBhV
　同じ世界を垣間見ながら、彼女はいったい何を感じ、何を想い生きているのか、僕にはわからなかった。
108 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.09 ID:VChupBhV
　軽く肩を叩かれた。
109 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.11 ID:VChupBhV
「私？　私は何も…今日の話は那波ちゃんが気づいたことばっかりだし」
110 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.12 ID:VChupBhV
　割り切ったせいか、今までのような混乱はなかった。
111 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.13 ID:VChupBhV
「自分でも、そうだと思う。ごめん…和泉なんて慣れてないから、ぎこちなかったよね」
112 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.14 ID:VChupBhV
　庄一、花梨、和泉ちゃん、雪さんと、すでに四人が脱落していた。
113 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.16 ID:VChupBhV
「あとで和泉ちゃんが怒られたりしなきゃいいんだけど…」
114 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.18 ID:VChupBhV
「そんな理由で叩かないでよ」
115 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.24 ID:VChupBhV
“ざっ、ざっ”
116 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.25 ID:VChupBhV
「雪さん、相談してくれなきゃ」
117 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.26 ID:VChupBhV
　僕のそれを、きゅうくつな場所から解放してくれた。
118 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.28 ID:VChupBhV
「だって、放っておいたら僕の前からいなくなっちゃうんでしょう？」
119 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.29 ID:VChupBhV
　どれだけの勇気を振り絞って、この手紙を書いてくれたんだろう。
120 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.31 ID:VChupBhV
　だけど、何も言わないよりはマシだと思い、話してしまうことにした。
121 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.32 ID:VChupBhV
「花梨…大丈夫なの？」
122 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.33 ID:VChupBhV
　二回、三回――ノドを鳴らす。
123 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.34 ID:VChupBhV
「終わったー！」
124 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.35 ID:VChupBhV
　ちょっと反応が極端なところもある気がしたけど、悲しい顔をされるよりは、よほどいい。
125 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.36 ID:VChupBhV
　足にしがみつかれた。
126 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.37 ID:VChupBhV
　割り切ったせいか、今までのような混乱はなかった。
127 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.38 ID:VChupBhV
「！　ぁ…ゃっ…ごめっ…ごめんなさ…」
128 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.40 ID:VChupBhV
「あの、なんていうか、やっぱりごめん。私のやることって、裏目に出てばっかりだ」
129 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.41 ID:VChupBhV
「大丈夫ですか？　なんでしたら、明日、こちらから伺うでも…」
130 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.42 ID:VChupBhV
「選ばれた者にしか見えない、異世界」
131 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.43 ID:VChupBhV
「以上、キミのお母さんの受け売りでございましたとさ。あのときはこれで泣きやんでくれたけど」
132 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.44 ID:VChupBhV
「すけてる感じで、なんか…」
133 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.45 ID:VChupBhV
　しばらく感触を楽しんで、僕は手を下に移動させた。
134 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.46 ID:VChupBhV
　察しがいい。
135 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.49 ID:VChupBhV
「ううん。透矢くんがいなかったら、私は今ごろ…」
136 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.49 ID:VChupBhV
「ついさっきだよ。もう休憩？」
137 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.50 ID:VChupBhV
「マリアちゃん…？」
138 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.52 ID:VChupBhV
「可愛い巫女、って言葉から、すぐに花梨を連想できるあたり、想像力が豊かだよな」
139 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.54 ID:VChupBhV
　ただの縦すじだった箇所も、今はうっすらと開かれ、上下する指に吸いつくよう、脈打っていた。
140 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.56 ID:VChupBhV
（ちょっと、確認しておこうか）
141 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.62 ID:VChupBhV
「ふーん、あっそ。だってさ、マリア。行きましょう」
142 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.63 ID:VChupBhV
　そして、そのまま振り返ることもなく、坂の上に消えていった。
143 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.64 ID:VChupBhV
「花梨ちゃんに言いたいことがあるの。いいかな？」
144 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.65 ID:VChupBhV
「手だよ。起きてから、ずっと手をさすってるじゃない。夢を見たって言う時はいつもそう」
145 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.66 ID:VChupBhV
「ぅぅ、退屈な思いをさせちゃって、すみません…こんなつもりじゃ…」
146 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.67 ID:VChupBhV
　笑われたのを、根に持っているのかもしれない。
147 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.69 ID:VChupBhV
　今日だってそうだ、あんなに元気な病人がいるもんか…。
148 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.69 ID:VChupBhV
　でも、さすがに今回は雪さんに注意されるまでもなく、身を引くことができた。
149 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.70 ID:VChupBhV
　花梨の動きが急に鈍くなったと思うと、立ち止まってしまった。
150 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.71 ID:VChupBhV
「鈴蘭ちゃんは、わかりやすいねぇ」
151 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.72 ID:VChupBhV
「なんだ、いいタイミングだな」
152 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.74 ID:VChupBhV
「あの、スクール水着、嫌い？」
153 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.74 ID:VChupBhV
「あの、お腹の調子でも悪…っぐ！」
154 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.76 ID:VChupBhV
　可愛い子が自分を好いてくれている状況に、うかれている気持ちだってある。
155 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.78 ID:VChupBhV
　マリアちゃんは口元に笑みを浮かべ、でも照れくさいのか、うつむいた。
156 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.79 ID:VChupBhV
　ところどころ、光っているように見えるけど…
157 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.80 ID:VChupBhV
　振り向くと、いつの間にやら着替えを終えた女の子たちが集まっていた。
158 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.81 ID:VChupBhV
「どーも、透矢との間にある間が気になるんだよね…」
159 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.83 ID:VChupBhV
　きれいにその姿を見せた彼女の局部から愛液が、まるで、先ほどの放尿の時のように吹き出した。
160 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.84 ID:VChupBhV
「消える…？」
161 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.88 ID:VChupBhV
「ですから、透矢さんが、那波の旦那様になられている夢ですわ」
162 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.89 ID:VChupBhV
「消えるって…どういうこと？」
163 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.90 ID:VChupBhV
　冷たい手、白い肌、赤い瞳…
164 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.92 ID:VChupBhV
「じゃあ、もう一回させて」
165 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.93 ID:VChupBhV
　顔を出すっていう、アリスとの約束。
166 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.96 ID:VChupBhV
　僕は、きっと、忘れないだろう。
167 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.97 ID:VChupBhV
「ごめんごめん。行こうか」
168 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:04.98 ID:VChupBhV
　文字通りの、夢みたいな話だ。
169 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.00 ID:VChupBhV
　文字通りの、夢みたいな話だ。
170 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.01 ID:VChupBhV
　あの言葉がちらついて、離れない。
171 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.02 ID:VChupBhV
「っんう…」
172 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.04 ID:VChupBhV
「あ…いや、とりあえず、牧野さんの話が終わってからだね」
173 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.04 ID:VChupBhV
「そんなことでおどろくのなんて、マリアだけ」
174 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.11 ID:VChupBhV
「庄一くん、ジュースおごり決定だね」
175 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.13 ID:VChupBhV
「あやしいですね。ちょっと失礼します」
176 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.15 ID:VChupBhV
「ああ。そっちに、あれが厄介になっていないかと思ってね？」
177 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.16 ID:VChupBhV
「透矢…くん」
178 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.17 ID:VChupBhV
「他に何かあった？」
179 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.18 ID:VChupBhV
　彼女はにっこり笑い、ご主人様の言うことも聞かず、せっせと手を動かし続ける。
180 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.19 ID:VChupBhV
「…いえ、こっちの話ですから」
181 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.20 ID:VChupBhV
「だって、いつもそうじゃない」
182 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.21 ID:VChupBhV
「魔法が、解けちゃう」
183 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.22 ID:VChupBhV
「…ま、マリアちゃん」
184 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.22 ID:VChupBhV
「今でも、そう思う？」
185 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.23 ID:VChupBhV
　確かなものは、ただひとつ、抱きしめた自分の体の温もりと、抱え込んだ恐怖。
186 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.24 ID:VChupBhV
「花梨さんって、とても、素敵な方ですよね」
187 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.25 ID:VChupBhV
「ふふ、雪がいないと怖いですか？」
188 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.27 ID:VChupBhV
「するな！」
189 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.29 ID:VChupBhV
「っ…ちょっ、お腹は、いいってばぁ」
190 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.29 ID:VChupBhV
「うん、悪いけどお願い」
191 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.31 ID:VChupBhV
「呼び捨てでいいの？」
192 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.32 ID:VChupBhV
　マッサージみたいなものだ、マッサージだから気持ち良くても不思議じゃない。
193 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.32 ID:VChupBhV
「ひどいこと言ったね…ごめん…」
194 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.34 ID:VChupBhV
「はい…頼りにしていますわ」
195 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.35 ID:VChupBhV
　彼女が自分の父親を、おそらく殺してしまったっていうことだ。
196 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.36 ID:VChupBhV
「謝るつもりだよ。僕だって、花梨のことは好きだから」
197 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.37 ID:VChupBhV
　また、ひとつの夢が終わる。
198 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.40 ID:VChupBhV
　愛液だ。
199 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.42 ID:VChupBhV
「おまえもな」
200 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.43 ID:VChupBhV
　何か、引っかかった。
201 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.44 ID:VChupBhV
「いや、そう言われてもね」
202 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.48 ID:VChupBhV
　自分はいったいどんな人間で、彼女が存在するとしたらどんな関係なんだろう？
203 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.49 ID:VChupBhV
「おまえもな」
204 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.51 ID:VChupBhV
「要するに、これから遊びに行くから、あなたもつき合いなさいって事よ」
205 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.52 ID:VChupBhV
「夢に出てきたことを調べていけば、何か発見が…」
206 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.53 ID:VChupBhV
　でも、そうされると具合がいいのか、彼女の奥からは、どんどん温かいものがあふれてくる。
207 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.54 ID:VChupBhV
「ん、んぅっ…」
208 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.55 ID:VChupBhV
「和泉の手紙に、ごめんなさいって、あったのね」
209 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.57 ID:VChupBhV
　僕が作った、都合のいい設定なんかであるはずが、ない…
210 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.60 ID:VChupBhV
　ところが、気持ち良さそうにはしたものの、服の裾を引くのはやめなかった。
211 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.67 ID:VChupBhV
　といって、あのふたりは大抵、二人一組で行動しているから、アリスだけに伝えるのも難しそうだ。
212 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.71 ID:VChupBhV
　みんなが、花梨を目覚めさせるために力を貸してくれたんだ。
213 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.72 ID:VChupBhV
　吸いつくような感触に、背筋に生じた寒気が、腰を伝い、管を伝い、彼女の口内にあふれ出す。
214 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.73 ID:VChupBhV
「透矢くん、席、こっちだよ」
215 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.75 ID:VChupBhV
　これを言葉で表そうとするなら、言葉では表すことができないもの、ということになる。
216 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.76 ID:VChupBhV
「透矢さん、お姉ちゃんは、照れ屋さんなんです。だから、少しずつ慣らしてあげて下さい」
217 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.77 ID:VChupBhV
「マリアー！　いいってさ」
218 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.78 ID:VChupBhV
「悪かったわね…」
219 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.79 ID:VChupBhV
「わっ…」
220 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.80 ID:VChupBhV
　軽くうなずき、ひと呼吸。
221 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.81 ID:VChupBhV
「さきほど、花梨さんのお父様から連絡がありまして…」
222 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.82 ID:VChupBhV
（そうだ。本を読んでいて、それで…）
223 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.83 ID:VChupBhV
　二人の反応は、あいかわらず両極端だ。
224 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.84 ID:VChupBhV
“ざざーん、ざざーん”
225 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.85 ID:VChupBhV
「朝の、あれのせい？」
226 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.86 ID:VChupBhV
「それも僕がはっきりしなかったからだ」
227 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.87 ID:VChupBhV
　僕には雪さんがいる。
228 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.88 ID:VChupBhV
「つながっているとは、思うけど…」
229 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.90 ID:VChupBhV
「他の子にどう思われたって、花梨とできるんだから、それでいいよ」
230 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.91 ID:VChupBhV
　あの生々しさ――僕は、誰かとああいう行為に及んだことがあるとしか思えない。
231 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.92 ID:VChupBhV
　とにかく、普通じゃない場所にたどりついたのは確かなようだ。
232 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.93 ID:VChupBhV
　だけど、僕が言えたのは、そのひとことだけだった。
233 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:05.94 ID:VChupBhV
「花梨ちゃん、透矢くんと那波ちゃんがどうかしたの？」
234 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.01 ID:VChupBhV
「面識もないんだ？」
235 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.02 ID:VChupBhV
　逃げなきゃ…？
236 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.04 ID:VChupBhV
　ちょっと気になったので、水を向けてみることにした。
237 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.05 ID:VChupBhV
　あの生々しさ――僕は、誰かとああいう行為に及んだことがあるとしか思えない。
238 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.06 ID:VChupBhV
「雪さん、あのさ」
239 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.08 ID:VChupBhV
　先のほうに何かがまとわりついたような感触があって、それで、おしまいだった。
240 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.09 ID:VChupBhV
　そうつぶやくと、雪さんはいつもにも増して優しげな顔をした。
241 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.10 ID:VChupBhV
　しばらくして、マリアちゃんが落ちついてきたところでアリスが口を開いた。
242 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.11 ID:VChupBhV
「目覚めた日に見た写真ですよ」
243 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.13 ID:VChupBhV
　部屋に、入りたい。
244 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.14 ID:VChupBhV
　それ以前に…僕は、雪さんと互いにキスをしてしまった。
245 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.15 ID:VChupBhV
　絹みたいにつややかな髪が、夏服のそでから露出した僕の二の腕をくすぐる。
246 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.16 ID:VChupBhV
「無理に手伝わされていたとか、そんなことはない？」
247 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.17 ID:VChupBhV
　僕はさらに、彼女の言う変なところをいじらせてもらうことにした。
248 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.21 ID:VChupBhV
「僕が忘れて…それであなたは？」
249 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.22 ID:VChupBhV
　あの時点では蔵を調べるなんて話もしてなかったはずだし、虫の知らせってやつだろうか。
250 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.23 ID:VChupBhV
　翌日、翌々日と、花梨は体調が悪いのを理由に、僕らの誘いを断った。
251 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.24 ID:VChupBhV
「本？」
252 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.26 ID:VChupBhV
「…いいわよ、これくらいで。それなりに気持ちいいし」
253 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.27 ID:VChupBhV
　はぐっ、はぐっ――ひとり鈴蘭ちゃんだけが、流し込むみたいに勢い良く、かき氷を消化していく。
254 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.28 ID:VChupBhV
　でも、僕には言えなかった。
255 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.29 ID:VChupBhV
「あの…和泉ちゃん…」
256 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.32 ID:VChupBhV
「うちを調べる。おもしろい話が転がってるかもしれない」
257 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.34 ID:VChupBhV
　白い肌、黒い髪、そして赤い瞳。
258 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.34 ID:VChupBhV
　優しいお姉ちゃんと甘えん坊の妹、二人のやりとりには、そんな優しい雰囲気があふれている。
259 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.35 ID:VChupBhV
　ものすごく怒ってるじゃないか。
260 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.37 ID:VChupBhV
　覚えているんだ。
261 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.38 ID:VChupBhV
「嘘は良くないと思うな」
262 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.38 ID:VChupBhV
（そうだ…牧野さん…）
263 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.39 ID:VChupBhV
「試合、頑張ってね」
264 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.42 ID:VChupBhV
　一気に険悪なムードになった。
265 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.43 ID:VChupBhV
　きっ、と表情が引き締まる。
266 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.54 ID:VChupBhV
「申しわけありません。そこは、雪にも、よくわからなかったんです」
267 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.55 ID:VChupBhV
「はは…でも、真面目な話、大丈夫？」
268 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.56 ID:VChupBhV
「一緒にすんなよ、っと」
269 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.57 ID:VChupBhV
「旦那さまのところへ」
270 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.58 ID:VChupBhV
「…子供じゃないんだから」
271 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.60 ID:VChupBhV
「止めることは、できませんか？」
272 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.60 ID:VChupBhV
「透矢、透矢ったら！」
273 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.62 ID:VChupBhV
「ええと、新城ともうしますけど…」
274 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.63 ID:VChupBhV
「試合、頑張ってね」
275 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.63 ID:VChupBhV
「那波は…幸せで…」
276 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.64 ID:VChupBhV
「いいよ、約束する」
277 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.66 ID:VChupBhV
　後には、一連の運動と、わずかな震えだけが残った。
278 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.68 ID:VChupBhV
「いいって言うまで、手は離さないで。あとは、とりあえず私の動かす通りに」
279 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.68 ID:VChupBhV
　草木も眠る、っていう時間だ。
280 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.69 ID:VChupBhV
「そういう事でいいんだと思うよ」
281 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.70 ID:VChupBhV
「食べて食べてー」
282 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.71 ID:VChupBhV
「大丈夫ですよ。もう、ほとんど治ってしまいましたから」
283 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.73 ID:VChupBhV
「花梨さぁ」
284 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.81 ID:VChupBhV
「和泉の家、すぐそこじゃない」
285 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.83 ID:VChupBhV
「そうそう。それに、雪って写真とか嫌いじゃない。思い出せなくても仕方ないと思うよ」
286 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.84 ID:VChupBhV
　ぼんやり差し込む月明かりを受けた雫の輝きは、あの、不思議な石の輝きにどこか似ている気がして、
287 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.86 ID:VChupBhV
「本当なんですよ。この子たちには…」
288 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.87 ID:VChupBhV
　観念したのか、花梨は素直に答えた。
289 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.88 ID:VChupBhV
「牧野さ…っ！」
290 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.89 ID:VChupBhV
「いいから、透矢はマリアを…」
291 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.90 ID:VChupBhV
「…同じ問題に決まってるんじゃない？」
292 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.91 ID:VChupBhV
「…どうでもいいことかもしれないんだけどね」
293 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.92 ID:VChupBhV
「じゃあ…今日はこの辺で」
294 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.93 ID:VChupBhV
　僕は、その手を離さなかった。
295 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.94 ID:VChupBhV
　この人のくれた穏やかな時間が、僕に、そんなことを気づかせてくれたのかもしれない。
296 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.95 ID:VChupBhV
「それじゃあ、もうちょっとさぁ…」
297 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.97 ID:VChupBhV
「花梨、ショーツ…下ろすよ」
298 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.97 ID:VChupBhV
　今、確かに存在するあなた。
299 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:06.99 ID:VChupBhV
「私はマリアにつき合わされたの」
300 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.00 ID:VChupBhV
　それに取って代わるように、不確かだった何かが点となり線となり、次第に像を結んでいく。
301 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.01 ID:VChupBhV
　…小学校の先生にでもなった気分だな。
302 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.02 ID:VChupBhV
「高級品だもん。だけど、私は普通じゃないから、ふっちゃうんだ」
303 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.03 ID:VChupBhV
「柔らかいんだ」
304 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.04 ID:VChupBhV
　そんな都合のいい事、現実に、あるわけないじゃないか。
305 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.05 ID:VChupBhV
「んー、でもほら、どうせ、いたって役に立たないわけだし」
306 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.06 ID:VChupBhV
「何も、してくださらないんですの？」
307 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.07 ID:VChupBhV
「……すみません、雪なんかのために、気をつかわせてしまって」
308 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.08 ID:VChupBhV
　観念したのか、花梨は素直に答えた。
309 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.10 ID:VChupBhV
「雨か。じゃあ、早めに切り上げたほうがいいな」
310 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.11 ID:VChupBhV
「言っておくけど、冗談だよ」
311 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.12 ID:VChupBhV
　砂利を巻き込む轟音、黒い塊。
312 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.12 ID:VChupBhV
「本当に、暑くなってきましたね」
313 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.14 ID:VChupBhV
　と、和泉ちゃんが手をさし出す。
314 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.20 ID:VChupBhV
「ほら。お姉ちゃん、いつもならもっと時間がかかるのに」
315 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.21 ID:VChupBhV
　朝になったら、誰もいなくなっているのかもしれない。
316 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.22 ID:VChupBhV
　記憶をなくす前の僕は、どんな気持ちでこの世界を見つめていたんだろう。
317 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.24 ID:VChupBhV
　ただ、普通にできていたなら…こんなに友達を傷つけずに済んだんだろう。
318 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.29 ID:VChupBhV
「透矢ー、この前ってなんの話だよ」
319 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.30 ID:VChupBhV
「ぁ…ぁっ…も、もうっ！　また人の胸を枕か何かだと思って」
320 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.31 ID:VChupBhV
　終わりのない、自問自答をくり返しながら。
321 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.32 ID:VChupBhV
　ガタガタと歯を打ち鳴らし始めたアリスに、ただならぬものを感じ、急いで引き上げることにした。
322 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.33 ID:VChupBhV
　目の前で見るそれは、不思議な形をしていて、まるで、生き物のようだった。
323 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.34 ID:VChupBhV
　違う、僕はそんなに立派な人間じゃないんだ。
324 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.35 ID:VChupBhV
　ふと、そんなことを考えた。
325 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.36 ID:VChupBhV
「っっんぁ！」
326 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.38 ID:VChupBhV
「えー、いろっぽいよー、とか」
327 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.39 ID:VChupBhV
「続けるよ？」
328 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.40 ID:VChupBhV
「伝わりませんでしたか、雪の気持ち」
329 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.41 ID:VChupBhV
「わーったわーった。透矢たちと相談だけはしてやるから、黙ってくれ」
330 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.42 ID:VChupBhV
　首を振る調子が寂しそうなものに変わった。
331 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.43 ID:VChupBhV
「どうしたのさ、にこにこして」
332 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.44 ID:VChupBhV
「言っているそばから、本当に申しわけありません。雪、気が抜けていました」
333 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.46 ID:VChupBhV
「…ごめん、我慢できない」
334 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.47 ID:VChupBhV
　ほとんどの写真に写っている、女の子のような頼りない顔をした子供が、たぶん僕なんだろう。
335 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.48 ID:VChupBhV
「ああ、調子どう？」
336 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.49 ID:VChupBhV
　花梨は不安げに、でもじっと、僕の行動を待っている。
337 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.50 ID:VChupBhV
「庄一…」
338 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.51 ID:VChupBhV
「透矢さんは、何をお読みに？」
339 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.53 ID:VChupBhV
　彼女が、一人でしていた日のことを思い出す。
340 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.53 ID:VChupBhV
　この暑さだというのに、人の姿はまったく見られない。
341 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.54 ID:VChupBhV
「あ、ごめんなさい。私、つまらない話で引き留めちゃって。お友達が待っているんでしたよね」
342 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.56 ID:VChupBhV
「透矢さん、何を読んでいますの？」
343 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.57 ID:VChupBhV
「ぁ…ぁっ…も、もうっ！　また人の胸を枕か何かだと思って」
344 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.61 ID:VChupBhV
「みっともない真似をやめるか。さて、マリアちゃんはどっちがお好み？」
345 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.62 ID:VChupBhV
　ひんやりと、しめった空気が充満している。
346 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.63 ID:VChupBhV
　だから、なるべくしてああなったのかもしれない――
347 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.64 ID:VChupBhV
「うん…私も、こわかった…優しい人だったんだよ？」
348 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.65 ID:VChupBhV
「こういう場所が、ですわ」
349 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.67 ID:VChupBhV
　僕の言葉に納得してくれたのか、気をつかってくれたのか、彼女は、ほほえみを返してくれた。
350 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.69 ID:VChupBhV
　僕は鈴蘭ちゃんの言葉を信じ、彼女の示した方向に進んでみることにした。
351 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.71 ID:VChupBhV
「私がおだやかな事なんて、ほとんどないじゃない」
352 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.72 ID:VChupBhV
「でも、連絡先とか知らないんですよ」
353 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.74 ID:VChupBhV
「雪は、その…はしたない姿をお見せしてしまうと思うんですけど…嫌いにならないでほしいんです」
354 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.75 ID:VChupBhV
　和泉ちゃんのことが好きだ、彼女の気持ちは裏切れない。
355 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.76 ID:VChupBhV
「胸、きゅうくつになってきちゃった」
356 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.77 ID:VChupBhV
　ウロウロしているうちに、雪さんの部屋の前にたどり着いてしまった。
357 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.78 ID:VChupBhV
「そうか…そうかもしれないな」
358 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.79 ID:VChupBhV
「でしたら、明日でよろしいですか？」
359 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.79 ID:VChupBhV
「そうか…」
360 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.80 ID:VChupBhV
　花梨の動きが急に鈍くなったと思うと、立ち止まってしまった。
361 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.81 ID:VChupBhV
　手紙の内容を考えると、わかっていながら無視してしまうのは、気が引けた。
362 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.82 ID:VChupBhV
　聞きたくないけど、聞いた。
363 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.85 ID:VChupBhV
　だけど、彼女にまで見放されてしまったような絶望感は消えない。
364 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.86 ID:VChupBhV
「ママがしてくれたおまじない、する？」
365 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.87 ID:VChupBhV
　なんだか、本気で迷惑がっているように見える。
366 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.88 ID:VChupBhV
「雪は、透矢さん専属ですからね」
367 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.89 ID:VChupBhV
「本当に、ごめんね…」
368 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.90 ID:VChupBhV
「じゃあ、僕もいる」
369 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.91 ID:VChupBhV
「うん。手がかりが…やっと…」
370 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.92 ID:VChupBhV
「っっっ……っ、はぁぁぁ…」
371 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.94 ID:VChupBhV
『あなたはきっと舞に失敗します』
372 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.95 ID:VChupBhV
「い、和泉ちゃん、大丈夫？」
373 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.96 ID:VChupBhV
　だけど、逃げ出しそうになる僕を助けてくれたのが、この花梨だったはずじゃないか。
374 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.97 ID:VChupBhV
「えー、せっかくこんなとこ来たのに」
375 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:07.98 ID:VChupBhV
　文字通りの、夢みたいな話だ。
376 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.00 ID:VChupBhV
　花梨は涙石を両手で包み込み、祈るようなポーズを取った。
377 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.03 ID:VChupBhV
　山ノ民は、どうやら平地ノ民をさらい、子をなす、食すなどといった事を行っていたようである。
378 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.05 ID:VChupBhV
　同じ夢を見ていたとしたら、彼女は、どうなったんだ？
379 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.06 ID:VChupBhV
　文字通りの、夢みたいな話だ。
380 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.08 ID:VChupBhV
「でも、連絡先とか知らないんですよ」
381 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.09 ID:VChupBhV
「だって…試合終わったし、休み…」
382 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.10 ID:VChupBhV
「新鮮ですよ。受ける印象も、ずいぶん違いますし」
383 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.11 ID:VChupBhV
「また、来るから」
384 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.13 ID:VChupBhV
（頑張れ…）
385 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.14 ID:VChupBhV
「だから、帰りたくない」
386 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.16 ID:VChupBhV
　僕は、彼女の輪郭を形作るなだらかな曲線の上を、今までより、はげしい動きで愛撫した。
387 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.17 ID:VChupBhV
　彼女はにっこり笑い、ご主人様の言うことも聞かず、せっせと手を動かし続ける。
388 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.19 ID:VChupBhV
　親切な友人に恵まれていたこと、記憶は失ったけど怪我一つしなかったこと、
389 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.19 ID:VChupBhV
　なでなでなで…
390 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.21 ID:VChupBhV
「…やっぱり、なんかむかつく」
391 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.22 ID:VChupBhV
「そう言われても、なかなか」
392 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.23 ID:VChupBhV
「この町の人間なら誰でも知ってるよ」
393 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.24 ID:VChupBhV
「んぅ…」
394 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.25 ID:VChupBhV
「僕だと、両手なの？」
395 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.27 ID:VChupBhV
「さっき、居場所がわからないって言ったでしょう？　でも、自分の居たい場所は見つけられたの」
396 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.28 ID:VChupBhV
「…そうね。ママも見ているから」
397 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.29 ID:VChupBhV
「目覚めた日に見た写真ですよ」
398 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.30 ID:VChupBhV
「他に何かあった？」
399 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.31 ID:VChupBhV
「パパは、変な研究ばっかりだし…知ってるんだ…夜になると出かけてる」
400 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.32 ID:VChupBhV
「あとで和泉ちゃんが怒られたりしなきゃいいんだけど…」
401 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.33 ID:VChupBhV
「いや、そう言われてもね」
402 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.34 ID:VChupBhV
「僕って、そんな奴に見える？」
403 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.36 ID:VChupBhV
　笑いながら、雪さんが閉じ気味になっていた足を、ぐっと開いた。
404 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.37 ID:VChupBhV
「ちょっと、透矢くんに話があって。部活は終わったんでしょ？」
405 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.39 ID:VChupBhV
　そんなことを考えつつ、今日も今日とていつも通りに集まってみると、今度は牧野さんの姿がなかった。
406 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.40 ID:VChupBhV
「おまえもな」
407 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.41 ID:VChupBhV
　そんな花梨を見て、和泉ちゃんが顔を逸らす。
408 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.43 ID:VChupBhV
　ひいては、山ノ民というものが、ここに存在していたという事実の抹消――
409 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.44 ID:VChupBhV
　ぺたんと、やわらかそうな音を立てて、すべすべのお腹が合わさる。
410 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.45 ID:VChupBhV
「おまえもな」
411 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.47 ID:VChupBhV
　さっきは少し動かしただけで痛んだはずの体が、今度は痛まなかった。
412 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.49 ID:VChupBhV
（頑張れ…）
413 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.51 ID:VChupBhV
「私も、透矢さんがいい…」
414 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.52 ID:VChupBhV
　彼女はこぼれた雫を指先でそっとぬぐうと、今度は、本当に幸せそうな顔で笑ってくれた。
415 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.54 ID:VChupBhV
　本当に喜んでくれたんだな、とうれしい反面、今度は、気軽にやめるとまずいような気持ちになる。
416 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.55 ID:VChupBhV
「優しくしてくだされば、大丈夫ですわ」
417 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.56 ID:VChupBhV
　言われるまま、足下に置かれたラジカセを操作した。
418 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.57 ID:VChupBhV
　これを言葉で表そうとするなら、言葉では表すことができないもの、ということになる。
419 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.59 ID:VChupBhV
「雪ったら、アルバムを見つけておいたのにすっかり忘れていました。すぐに持ってきますね」
420 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.60 ID:VChupBhV
「あはは、それだけです。じゃーね」
421 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.62 ID:VChupBhV
　…いかにもマンガ的で都合がいい。
422 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.63 ID:VChupBhV
「っ…はは」
423 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.64 ID:VChupBhV
　アルバムを見るために。
424 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.65 ID:VChupBhV
「鈴が気にしてんのはキミの顔。なんか、おっかない顔してたよ、大丈夫？」
425 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.67 ID:VChupBhV
「そうだね。悪いけど部活は休むよ」
426 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.67 ID:VChupBhV
　そして、僕はいつも、約束の石を持ち歩いていた。
427 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.69 ID:VChupBhV
　だいたい、ここに来て雪さんに会える根拠自体、かなり薄弱なんだから仕方のないことだ。
428 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.70 ID:VChupBhV
「ぁ…ぅん……して」
429 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.71 ID:VChupBhV
　今は、早く、彼女の中に。
430 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.72 ID:VChupBhV
「っぁ…はぁ…お姉ちゃんも…」
431 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.73 ID:VChupBhV
　僕は、この人に対して、いったい何をしてあげられるんだろう…
432 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.75 ID:VChupBhV
「優しく、してくださいますか？」
433 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.76 ID:VChupBhV
　僕がかけようとしていた手を払いのけ、アリスが脱兎のごとく駆けだした。
434 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.77 ID:VChupBhV
「当たり前でしょ。ほら」
435 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.78 ID:VChupBhV
　彼女の体を抱え上げるようにして、僕は半ば無理矢理、彼女の中に自分のものを挿入してしまった。
436 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.80 ID:VChupBhV
「…だって」
437 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.81 ID:VChupBhV
「ちょっと、なに笑ってるわけ。キミにも責任はあるんだからね」
438 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.83 ID:VChupBhV
　あの生々しさ――僕は、誰かとああいう行為に及んだことがあるとしか思えない。
439 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.84 ID:VChupBhV
　七夕の夜の庄一の言葉。
440 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.85 ID:VChupBhV
　僕は、無理矢理、二つの乳首を口にふくみ、舌で転がした。
441 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.87 ID:VChupBhV
　あの生々しさ――僕は、誰かとああいう行為に及んだことがあるとしか思えない。
442 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.88 ID:VChupBhV
　文字通りの、夢みたいな話だ。
443 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.89 ID:VChupBhV
「ああ、僕の家の前で会ってから…どうして？」
444 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.90 ID:VChupBhV
「そうだね…なんで、そんなこと知ってるの？」
445 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.92 ID:VChupBhV
「当然ですよ」
446 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.93 ID:VChupBhV
　本当に喜んでくれたんだな、とうれしい反面、今度は、気軽にやめるとまずいような気持ちになる。
447 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.95 ID:VChupBhV
「元、医者？」
448 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.96 ID:VChupBhV
「一日に何発ってペースで叩かれてると、さすがに」
449 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.97 ID:VChupBhV
「ゃ、はっ…ぁっ…ぅぁぁぁ…」
450 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:08.99 ID:VChupBhV
「エロってあんた、いっちょまえに嫉妬ですか。そういうことみたいだから、キミも少し気をつけなよ」
451 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.00 ID:VChupBhV
　振り返った先に、牧野さんと、彼女の父親の姿があった。
452 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.01 ID:VChupBhV
　それ以前に…僕は、雪さんと互いにキスをしてしまった。
453 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.02 ID:VChupBhV
　二人とも、僕の目を見つめて離さない。
454 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.04 ID:VChupBhV
「邪魔って、なんの…？」
455 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.05 ID:VChupBhV
「マリア…」
456 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.06 ID:VChupBhV
「すみま…せっ…」
457 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.07 ID:VChupBhV
「…他のみんなは」
458 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.09 ID:VChupBhV
　梓弓、涙石、そしてマヨイガ。
459 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.10 ID:VChupBhV
「願いをかなえてくれる、とか言ってたよね」
460 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.11 ID:VChupBhV
　納得し、首を横に振った。
461 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.13 ID:VChupBhV
「おかしいよね、いちいちこんな、理屈っぽい」
462 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.14 ID:VChupBhV
「気にしなくていいから」
463 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.16 ID:VChupBhV
「んっ、おいしい」
464 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.17 ID:VChupBhV
　だいたい、夢に意識だけが閉じこめられるなんて、あり得ない話なんだから…
465 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.18 ID:VChupBhV
　甘えるように言い、すり寄ってくる。
466 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.19 ID:VChupBhV
　足のケガのせいか、花梨の体は、簡単にバランスを失い、倒れこんでしまった。
467 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.20 ID:VChupBhV
　家には誰もいないみたいで、応対には、牧野さん本人が出た。
468 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.22 ID:VChupBhV
　ひと段落したところで声をかける。
469 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.23 ID:VChupBhV
　眠っているわりには、正確に、従順に、僕は彼女の言葉に従っていた。
470 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.24 ID:VChupBhV
「お急ぎくださいね。あまり、時間がありませんから」
471 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.25 ID:VChupBhV
「普段お世話になってるんだし、僕がおごるよ」
472 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.27 ID:VChupBhV
　新たに浮き出た汗を拭いながら、やわらかいほっぺたを撫でた。
473 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.28 ID:VChupBhV
「試合、頑張ってね」
474 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.29 ID:VChupBhV
　そんな時に、彼女の口から和泉ちゃんの名前が出てきたんだ、慌てもする。
475 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.31 ID:VChupBhV
「試合、頑張ってね」
476 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.31 ID:VChupBhV
「ええとですね…変なこと言ってもいいですか？」
477 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.33 ID:VChupBhV
「良かったら、また、つき合わせてね」
478 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.34 ID:VChupBhV
「おまえもな」
479 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.36 ID:VChupBhV
　だいたい、夢で言われました、信じてくださいっていうほうが、どうかしてるんだから。
480 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.38 ID:VChupBhV
「っ…はぁ…」
481 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.39 ID:VChupBhV
「あの…花梨、なんだけど」
482 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.40 ID:VChupBhV
「エロってあんた、いっちょまえに嫉妬ですか。そういうことみたいだから、キミも少し気をつけなよ」
483 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.41 ID:VChupBhV
「い、いいってば。動物が相手じゃ仕方ないよ。また次の機会に見せてよ。楽しみにしてるから」
484 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.43 ID:VChupBhV
　だいたい、僕と接点のある人間なら、事故のことだって知っているはずだ。
485 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.44 ID:VChupBhV
　今後、あのキツネが顔を出してくれないならば…今の話を信じていればいい。
486 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.46 ID:VChupBhV
　中途ハンパな気持ちで彼女を抱いて、それで、手放した。
487 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.47 ID:VChupBhV
「う、うーん…任せるよ」
488 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.48 ID:VChupBhV
　後には、一連の運動と、わずかな震えだけが残った。
489 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.50 ID:VChupBhV
　そして、思い切り腰を前に出しながら、彼女の局部の突起をつまんだ。
490 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.51 ID:VChupBhV
　僕たちは、和泉ちゃんに何もしてあげられなかった。
491 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.53 ID:VChupBhV
　狭くて幼さの残る、彼女への入り口。
492 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.54 ID:VChupBhV
「いや、いるけど、僕に用事があるんじゃなかったの？」
493 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.55 ID:VChupBhV
「痛いけど、大丈夫だと思う…」
494 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.56 ID:VChupBhV
　とはいえ、記憶喪失のほうは、未だ回復のきざしが見えない。
495 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.58 ID:VChupBhV
　抱いた抱かないだけで、判断できるものじゃないのかもしれない。
496 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.59 ID:VChupBhV
「那波」
497 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.60 ID:VChupBhV
　しばらく考えてみたものの、けっきょく僕は、なんのお願い事も思いつくことができなかった。
498 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.62 ID:VChupBhV
　他の夢はともかく、これは、やっぱり僕なんじゃないか？
499 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.63 ID:VChupBhV
　僕は、異様な夢の恐怖から逃れるため、動き出していた。
500 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.64 ID:VChupBhV
「あ、ああ」
501 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.65 ID:VChupBhV
「ぷぁ…おねー…ちゃん」
502 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.66 ID:VChupBhV
「防空壕…ああ、そういうことか」
503 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.67 ID:VChupBhV
（そもそもなぁ…）
504 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.69 ID:VChupBhV
「無理しないほうがいいよ。それで…きのうのアレ、何かわかりそう？」
505 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.71 ID:VChupBhV
　僕に優しくしてくれる人たちが――僕の寂しさが作りだした幻像だったら、夢だったら？
506 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.71 ID:VChupBhV
　だから、雪さん…
507 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.73 ID:VChupBhV
（なんだ…）
508 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.74 ID:VChupBhV
「あはっ、良かった…。ありがとうございます、透矢さん」
509 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.75 ID:VChupBhV
　観念したのか、花梨は素直に答えた。
510 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.77 ID:VChupBhV
　観念したのか、花梨は素直に答えた。
511 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.78 ID:VChupBhV
　どうしても、雪さんの顔を、まともに見ることができない。
512 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.79 ID:VChupBhV
「庄一、いったいどうやって？」
513 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.80 ID:VChupBhV
「もうひと口ぃ〜」
514 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.81 ID:VChupBhV
「いや、別に僕のおかげじゃ…」
515 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.83 ID:VChupBhV
　さしこむ日射しを跳ね返すように、鋭い軌跡を描き、次々に矢が放たれる。
516 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.84 ID:VChupBhV
　あの生々しさ――僕は、誰かとああいう行為に及んだことがあるとしか思えない。
517 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.86 ID:VChupBhV
「それじゃあ、また…明日はあそこにいると思うから暇があったら来て。あ、本は返しといてねー」
518 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.87 ID:VChupBhV
　むせかえるようだけど、どこか、懐かしいような気持ちにもさせてくれる。
519 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.88 ID:VChupBhV
　だいたい、僕と接点のある人間なら、事故のことだって知っているはずだ。
520 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.90 ID:VChupBhV
「ぅ…だ、だから、アレはアレ！」
521 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.91 ID:VChupBhV
「…こういうの」
522 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.92 ID:VChupBhV
「…キスはした。でも、他のことはしてないし、されてない」
523 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.93 ID:VChupBhV
「すごいね、透矢の心臓の音」
524 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.95 ID:VChupBhV
　嫌な絵が浮かんだ…マリアちゃんに見せるべきじゃない。
525 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.97 ID:VChupBhV
　はるか彼方から聞こえる波の音に、白日夢を見ているような気分になる。
526 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.98 ID:VChupBhV
　と、和泉ちゃんが手をさし出す。
527 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:09.99 ID:VChupBhV
「花梨とは正反対だね」
528 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.01 ID:VChupBhV
「庄一さんは、そのことについて何かご存じなんですか？」
529 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.02 ID:VChupBhV
　押し付けるようにして、指を上下させると、細いすじの存在を確認することができた。
530 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.03 ID:VChupBhV
「アリス、嫌なこと言わないでくれる…」
531 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.04 ID:VChupBhV
「…どっちかっていうと気持ち悪かった」
532 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.06 ID:VChupBhV
　牧野さん、大丈夫なのか…
533 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.07 ID:VChupBhV
「よっぽど痛かったんだね」
534 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.08 ID:VChupBhV
（雪さんの匂い…）
535 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.09 ID:VChupBhV
　まあ、明日にでも聞けばいいか。
536 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.11 ID:VChupBhV
　それも、元より覚えているか怪しかった母さんの事。
537 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.12 ID:VChupBhV
「いや。でも、それって気をつけないと、花梨とかに…」
538 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.13 ID:VChupBhV
　拳をにぎって、僕は立ち上がった。
539 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.15 ID:VChupBhV
「馬鹿…」
540 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.16 ID:VChupBhV
「町を、出ようと思うの」
541 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.17 ID:VChupBhV
「二人で布団を敷いて――なんて、ムードないよね」
542 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.18 ID:VChupBhV
「那波の誕生日は、七月七日ですの」
543 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.20 ID:VChupBhV
　夢の中にいた。
544 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.21 ID:VChupBhV
　アリスが足を閉じようとすると、マリアちゃんは、あわてて腰を下ろした。
545 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.22 ID:VChupBhV
　僕が、離れたかったのかもしれない。
546 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.23 ID:VChupBhV
「和泉ちゃん、牧野はなんともなかったのか？」
547 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.25 ID:VChupBhV
「そんなこと…」
548 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.26 ID:VChupBhV
　と言いつつ、また歩き出す。
549 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.28 ID:VChupBhV
「はいっ。透矢さんには、次の機会に見せる約束ですし…その、楽しみにしてくれてるみたいだったから」
550 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.29 ID:VChupBhV
「ぁ…ぁっ…も、もうっ！　また人の胸を枕か何かだと思って」
551 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.30 ID:VChupBhV
　彼女の、言う通りになった。
552 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.31 ID:VChupBhV
「あれは、透矢のためだから…私のことは関係ないわよ」
553 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.33 ID:VChupBhV
「ただ、その後すぐに、お父様が起きてしまわれて…一瞬のことでしたから、雪の勘違いかもしれません」
554 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.34 ID:VChupBhV
「いいけど、何？」
555 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.35 ID:VChupBhV
「試合、頑張ってね」
556 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.36 ID:VChupBhV
「おねーちゃんっ！」
557 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.38 ID:VChupBhV
「そんな気がしますよ。あんな危ない運転をするんですもの」
558 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.39 ID:VChupBhV
「…キミは、あれのことが好きか？」
559 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.41 ID:VChupBhV
「大丈夫ですよ。ただ、ちょっと、ぼうっとしてしまって」
560 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.42 ID:VChupBhV
「だからですね、えっと、また明日にでも一緒に遊んでくれませんか？」
561 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.43 ID:VChupBhV
「ちょっ…マリア…」
562 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.45 ID:VChupBhV
　離れたくないな、と思った。
563 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.46 ID:VChupBhV
「仕方がないですね。花梨さん、このことは他言無用でお願いします」
564 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.47 ID:VChupBhV
「…そうかな」
565 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.48 ID:VChupBhV
「漫画じゃあるまいし。学者の端くれなんだろう？　嘘やいんちきは、いい加減にやめてくれよ、父さん」
566 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.51 ID:VChupBhV
　心配なんだろうか？――自分でも、よくわからない。
567 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.52 ID:VChupBhV
「気にはするけど…ごめんね、力にはなれないや。私じゃなきゃ嫌、って言うなら考えてもいいけど」
568 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.53 ID:VChupBhV
「へえ。でも、それじゃあ、僕がいると邪魔にならない？」
569 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.54 ID:VChupBhV
「俺がひとっぱしり行って来ようか？」
570 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.55 ID:VChupBhV
「ねえ、和泉ちゃん。どうして僕は僕だって？」
571 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.56 ID:VChupBhV
　宮代という言葉に、和泉ちゃんの表情がわずかに強ばった。
572 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.59 ID:VChupBhV
　言葉をつなぎあぐねる僕に、彼はおもむろに右手をさし出してきた。
573 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.60 ID:VChupBhV
　離れたくないな、と思った。
574 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.61 ID:VChupBhV
　つらぬくような冷たい感触。
575 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.63 ID:VChupBhV
「僕も、よくわからないんだよね」
576 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.64 ID:VChupBhV
　小さな子供のように、わんわん、わんわんと。
577 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.65 ID:VChupBhV
「悪かったな、いろいろ面倒かけて」
578 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.66 ID:VChupBhV
「二人ともありがとう。口はもういいよ…今度は僕がしてあげる番」
579 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.68 ID:VChupBhV
「うん…だから、もう想像しないでね？」
580 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.69 ID:VChupBhV
「恥ずかしい思いをさせたから、仕返し。だから…」
581 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.70 ID:VChupBhV
「服が汚れるから嫌だな…。透矢、よろしくね」
582 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.71 ID:VChupBhV
「一緒に寝てください」
583 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.73 ID:VChupBhV
「あらあら、眠そうなお顔をされていますね」
584 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.74 ID:VChupBhV
「でも、連絡先とか知らないんですよ」
585 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.75 ID:VChupBhV
「無理だよ。僕と事故に遭って、まだ意識が戻っていないんだ」
586 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.77 ID:VChupBhV
　左右から波紋が生まれ、間でぶつかり合う。
587 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.78 ID:VChupBhV
　辛いこともたくさんあるけど、そうやって、生きていこう。
588 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.79 ID:VChupBhV
「なんで、あんなことしたの？」
589 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.80 ID:VChupBhV
　観念したのか、花梨は素直に答えた。
590 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.81 ID:VChupBhV
　僕は牧野さんのお見舞いにだって行っていない。
591 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.82 ID:VChupBhV
「お、おねえちゃん、それって、関係ないんじゃ…」
592 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.84 ID:VChupBhV
　人を殺したり女の子を抱いたりする夢なんて、いちいち真に受けてられないよな…
593 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.84 ID:VChupBhV
「マリアと同じ…平和な人なんだ。ホントに、良く似た親子よ」
594 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.85 ID:VChupBhV
「じゃあ、なんにしても内輪もめか…」
595 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.87 ID:VChupBhV
　雪さんはにっこり笑って頭を下げた。
596 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.88 ID:VChupBhV
「痛くない？」
597 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.89 ID:VChupBhV
　アリス、こういう時は異様に恥ずかしがりだ。
598 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.90 ID:VChupBhV
「僕はお互い様だから」
599 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.92 ID:VChupBhV
「それは、いつ？」
600 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.93 ID:VChupBhV
「あぅ…ご、ごめんなさい」
601 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.95 ID:VChupBhV
　もう、駄目っていうことなのか？
602 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.96 ID:VChupBhV
「わかりますわ。だって、透矢さんをあそこに連れて行くのは那波の役目なんですもの」
603 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:10.98 ID:VChupBhV
　和泉ちゃんが、きのうと同じ顔をした。
604 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.00 ID:VChupBhV
「そうですね。お父様が、あまり好きではないんですよ。雪も苦手ですし」
605 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.02 ID:VChupBhV
　ごしごしごし。
606 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.02 ID:VChupBhV
「…うん。じゃあ、そろそろ？」
607 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.04 ID:VChupBhV
「力抜いて。余計なことも考えない。私を信じて。治るってイメージして」
608 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.06 ID:VChupBhV
「まあ、和泉ちゃんちの土地みたいなもんだからな…彼女がいいって言うんだし、いいんじゃないか」
609 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.07 ID:VChupBhV
　僕は、彼女と目を合わせ笑った。
610 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.08 ID:VChupBhV
「それは、いつ？」
611 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.10 ID:VChupBhV
　でも――僕を見上げては伏せられる落ちつきのない瞳が、彼女の言葉に続きがあることを物語っていた。
612 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.11 ID:VChupBhV
「ゆ、雪さん、これはちょっと…」
613 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.13 ID:VChupBhV
　ぜんぶ、僕の夢だったんだ。
614 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.13 ID:VChupBhV
「花梨、ちょっと待ってくれないかな」
615 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.15 ID:VChupBhV
「那波…那波…！」
616 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.17 ID:VChupBhV
　もともと、ギリギリのところで保っていたものが、わずかながら、溢れ出てしまった。
617 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.18 ID:VChupBhV
「大したおもてなしは、できないけどね。ただし、今日だけだよ？」
618 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.19 ID:VChupBhV
「憑き物だって？　彼女は人間だ、雪って名前がある。いちいちわけの分からない言葉を使わないでくれ」
619 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.20 ID:VChupBhV
（頑張れ…）
620 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.22 ID:VChupBhV
「ですが、おもしろい夢ですわね。言い伝えと違っていますわ」
621 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.24 ID:VChupBhV
「っぐ！　っぅ、ぅぁ、ぁぁぁ」
622 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.23 ID:VChupBhV
　彼女に組み敷かれた、あの夜。
623 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.24 ID:VChupBhV
「ぷぁ…おねー…ちゃん」
624 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.26 ID:VChupBhV
「ぁ…ぁっ…も、もうっ！　また人の胸を枕か何かだと思って」
625 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.27 ID:VChupBhV
「うぅ、また機会があったら、よろしくお願いしますね」
626 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.28 ID:VChupBhV
「う、うん、わかった」
627 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.29 ID:VChupBhV
　僕は、怖かったんだ。
628 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.30 ID:VChupBhV
　急ぎ足で坂道を下っていくと、アリスの息が上がってきた。
629 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.31 ID:VChupBhV
　雪さんが、僕に向かって、語りかける。
630 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.32 ID:VChupBhV
「んー、やっぱりそうか」
631 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.34 ID:VChupBhV
「ああ、大和家秘伝の読唇術だ。特別に伝授してやろうか？」
632 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.36 ID:VChupBhV
「あれ…ひとり？」
633 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.37 ID:VChupBhV
「しないってば。そんなふうに見えた？」
634 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.38 ID:VChupBhV
「ええと、たぶん…」
635 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.41 ID:VChupBhV
「いいけどさ。なんか引っかかるってことは、キミの記憶喪失が治ってきてるってことなんだろうし」
636 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.42 ID:VChupBhV
　敷地の中を覗いてみるも、人の気配はない。
637 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.43 ID:VChupBhV
　改めて見ると、こんなに綺麗な子を、どうして意識しなかったのかと、不思議にすら思える。
638 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.46 ID:VChupBhV
　拝殿の裏側は思ったよりも広い。
639 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.47 ID:VChupBhV
「だから…あまり、私には手をかけてくれなかったんでしょう、私には」
640 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.48 ID:VChupBhV
「本当なんですよ。この子たちには…」
641 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.49 ID:VChupBhV
「は、裸…？」
642 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.50 ID:VChupBhV
　なのに、雪さんは、そういう写真を一枚も残していない。
643 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.52 ID:VChupBhV
「あれ…ひとり？」
644 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.53 ID:VChupBhV
「まあ、牧野さんの体調が良くなんないと話にならないけど。…そろそろ、図書館のほう、行こうか？」
645 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.56 ID:VChupBhV
「最低なこと、したよ」
646 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.56 ID:VChupBhV
　アリスは、おねえちゃんの顔で僕を見つめて言った。
647 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.57 ID:VChupBhV
　いろいろな絵が、浮かんでは消えた。
648 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.59 ID:VChupBhV
「んーっ、遊んだ遊んだ。キミたち、楽しめた？」
649 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.59 ID:VChupBhV
　きついしめつけに、吸い上げるような感触。
650 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.60 ID:VChupBhV
　と誤魔化すように笑って立ち去ろうとする花梨。
651 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.62 ID:VChupBhV
　ともすれば、それは夢の再現だった。
652 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.63 ID:VChupBhV
「でも、連絡先とか知らないんですよ」
653 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.66 ID:VChupBhV
「えへー。透矢ちゃーん、ご褒美」
654 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.67 ID:VChupBhV
　胸への愛撫を続けた。
655 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.68 ID:VChupBhV
　本当に喜んでくれたんだな、とうれしい反面、今度は、気軽にやめるとまずいような気持ちになる。
656 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.69 ID:VChupBhV
　だから、僕はその手を離した。
657 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.70 ID:VChupBhV
「花梨ちゃん…」
658 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.71 ID:VChupBhV
「それは構わないけど、何を？」
659 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.72 ID:VChupBhV
　…かなわない。
660 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.73 ID:VChupBhV
「冗談ですよ。経過も良好ということでしたし…記憶が戻らないのは透矢さんのせいではありませんもの」
661 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.74 ID:VChupBhV
　彼女たちは、いったい…？
662 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.75 ID:VChupBhV
「そうでもないよ」
663 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.76 ID:VChupBhV
「退屈しなくていいんじゃない？」
664 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.78 ID:VChupBhV
　もっともっと、優しくしてあげるつもりだったけど、駄目だ。
665 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.79 ID:VChupBhV
　不意に現れたその人は、じっと、僕の顔を見つめて――
666 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.81 ID:VChupBhV
「そうだね。悪いけど部活は休むよ」
667 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.82 ID:VChupBhV
　アリス、こういう時は異様に恥ずかしがりだ。
668 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.83 ID:VChupBhV
「居眠りくらいで何？　そんなの、私だって毎日やってるじゃない」
669 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.85 ID:VChupBhV
　僕はマヨイガに首をつっこんでしまったということだろうか…？
670 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.86 ID:VChupBhV
　今は、ただ姉妹ケンカの仲裁に入っているのと変わらない。
671 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.87 ID:VChupBhV
　そして今日も、書斎には雪さんがいた。
672 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.90 ID:VChupBhV
「念のためだよ。雪さんは大げさだから」
673 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.91 ID:VChupBhV
　むっとした空気が、背中から染みこんでくる。
674 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.92 ID:VChupBhV
　手慣れた動作でポケットから鍵を取り出す雪さん。
675 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.94 ID:VChupBhV
「ありがとう。じゃあ…いいかな？」
676 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.95 ID:VChupBhV
「遠慮します。でも、アリスって意外と寝起き悪いんだね」
677 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.96 ID:VChupBhV
　不意に現れたその人は、じっと、僕の顔を見つめて――
678 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.98 ID:VChupBhV
「まあまあ。ふたりは何してるの？　この辺りって何もないと思うんだけど」
679 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:11.99 ID:VChupBhV
「庄一の、家？」
680 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.00 ID:VChupBhV
「信用してるんだね、花梨ちゃんのこと」
681 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.02 ID:VChupBhV
「花梨に？　なんだろう…」
682 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.03 ID:VChupBhV
　今のところ、予想していたのと、かなり違う状態だ。
683 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.04 ID:VChupBhV
「バイクでとなり町か…ホントにがんばるね。何か欲しいものとかあるの？」
684 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.06 ID:VChupBhV
「私たちのお母さん、とうの昔に死んでるのよ――って言ったら、納得できる？」
685 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.07 ID:VChupBhV
（頑張れ…）
686 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.07 ID:VChupBhV
「でも、途中までは…」
687 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.09 ID:VChupBhV
　女の子のショーツを脱がすなんて初めてだ。
688 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.10 ID:VChupBhV
「エロってあんた、いっちょまえに嫉妬ですか。そういうことみたいだから、キミも少し気をつけなよ」
689 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.12 ID:VChupBhV
　と、馬鹿なことを考えつつ、撫でるようにしながら揉んだ。
690 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.12 ID:VChupBhV
（筋は、通るよな…）
691 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.13 ID:VChupBhV
　無我夢中でそれを続けた。
692 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.14 ID:VChupBhV
　スイカの手前から、僕の今いる方へ、子連れのカニが歩いてくる。
693 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.16 ID:VChupBhV
「なーんて、思ったことない？」
694 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.18 ID:VChupBhV
「和泉ちゃんって、そんな子か？」
695 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.19 ID:VChupBhV
「雪、駄目ですね。ご迷惑ばかりおかけして」
696 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.20 ID:VChupBhV
「ぁ…っ…ぁぁ…」
697 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.21 ID:VChupBhV
「何それ？　ひょっとして、気でもつかってくれてるの？」
698 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.23 ID:VChupBhV
　きのうの今日である。
699 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.24 ID:VChupBhV
　ほっぺたに触れる。
700 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.25 ID:VChupBhV
　花梨の相手が嫌とかじゃなくて、どうも和泉ちゃんの花梨に対する気持ちがわからないから。
701 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.27 ID:VChupBhV
「本当にすみませんでした。せっかく、透矢さんに買っていただいたものを」
702 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.30 ID:VChupBhV
「透矢さん、お腹…好きなんですか？」
703 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.32 ID:VChupBhV
　その体は異常なほどに軽く、少女の衰弱が、かなりひどいものであることを予感させた。
704 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.32 ID:VChupBhV
　目を細めて、雪さんは、僕の望む通りの動きをしてくれた。
705 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.34 ID:VChupBhV
「また、からかおうとして…図書館は逃げないよ。体調が大丈夫そうなら、本当に明日つき合うからさ」
706 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.36 ID:VChupBhV
「ごめん…本当にごめん」
707 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.35 ID:VChupBhV
　和泉ちゃんはとつぜん、すっとんきょうな声をあげると、花梨と僕の顔を、何度も見比べた。
708 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.37 ID:VChupBhV
　無縁墓地のことにしても、父さんは『すまん』の一点張りだったという。
709 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.38 ID:VChupBhV
　彼女の期待を裏切るそのひとことが、どうしても言えなかった。
710 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.40 ID:VChupBhV
　果たして、そこへは何も考えずに来ることができた。
711 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.41 ID:VChupBhV
　ほっぺたに触れる。
712 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.42 ID:VChupBhV
「僕が行って、なにかできることある？」
713 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.44 ID:VChupBhV
　引けないのは、わかっている。
714 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.45 ID:VChupBhV
　和泉ちゃんが、ぽんと手を打った。
715 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.46 ID:VChupBhV
「そういうことか。でも、花梨…」
716 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.47 ID:VChupBhV
「だって…涙、止まらないんですもの」
717 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.49 ID:VChupBhV
　本当に喜んでくれたんだな、とうれしい反面、今度は、気軽にやめるとまずいような気持ちになる。
718 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.50 ID:VChupBhV
「ぁ…そっか、そうだよね。親がいるはずだもんね」
719 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.51 ID:VChupBhV
「…えっ？」
720 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.52 ID:VChupBhV
　だいたい、僕と接点のある人間なら、事故のことだって知っているはずだ。
721 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.53 ID:VChupBhV
　でも、彼女がひとりで花梨にそんな話をした日には、それこそ最悪の事態になりかねないだろう。
722 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.55 ID:VChupBhV
　たくさんのことを吐き出していた。
723 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.57 ID:VChupBhV
「道場主？」
724 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.58 ID:VChupBhV
　さっそく、翌日から日記帳の捜索を開始した。
725 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.59 ID:VChupBhV
「そうだね…探してみる」
726 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.60 ID:VChupBhV
「重要なのは、自分とっての現在が、どういう世界かってことでしょう？」
727 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.61 ID:VChupBhV
「そんな顔しないで、怒ってるわけじゃないから」
728 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.62 ID:VChupBhV
「ホントだよ。髪をほどくと、大人っぽくなっちゃうんだね。今まで気づかなかった」
729 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.64 ID:VChupBhV
　アリスとは逆に、マリアちゃんは拍子抜けしたような調子で言った。
730 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.65 ID:VChupBhV
　きのうの夜と同じ――違うのは、目の前に彼女がいるっていうこと。
731 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.66 ID:VChupBhV
　そうだな…。
732 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.68 ID:VChupBhV
「座って良しって言ったのに、立ってるんだもの」
733 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.70 ID:VChupBhV
「そっか…大丈夫、いい匂いしかしなかったよ」
734 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.72 ID:VChupBhV
「花梨！　わざわざ誤解をまねくように言わないでよ」
735 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.73 ID:VChupBhV
「はい、おしまいです。少しは楽になりましたか？」
736 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.74 ID:VChupBhV
　マリアちゃんが、アリスの下腹部に手をはわせ始めた。
737 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.75 ID:VChupBhV
「まあ、金庫ってわけでもないし、その辺にありそうだよね」
738 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.76 ID:VChupBhV
「怖がってるよ。やめない？」
739 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.78 ID:VChupBhV
「…キミは、あれのことが好きか？」
740 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.79 ID:VChupBhV
「透矢が来るまでの間、ずっとやってたんだから…」
741 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.81 ID:VChupBhV
「謝らなくていいよ。気にしてないから」
742 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.83 ID:VChupBhV
「じゃあ…花梨…？」
743 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.84 ID:VChupBhV
　そう言って、雪さんはもういちど握った手を離し、そこを撫で始めた。
744 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.85 ID:VChupBhV
　しかも、この炎天下の中、外で半日以上も遊ぶとなると、体力の消耗が激しい。
745 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.86 ID:VChupBhV
「七月七日七時、宮代神社に集合なんだけど、宮代神社の場所、わかる？」
746 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.88 ID:VChupBhV
　いない。
747 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.88 ID:VChupBhV
「座って良しって言ったのに、立ってるんだもの」
748 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.89 ID:VChupBhV
　ここ、どこだ？
749 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.91 ID:VChupBhV
　雪さんをベッドまで運んで、小一時間が経過した。
750 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.92 ID:VChupBhV
　自分を笑ってみたものの、僕は、この子供じみた体に興奮していた。
751 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.93 ID:VChupBhV
「あーん」
752 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.94 ID:VChupBhV
「エロってあんた、いっちょまえに嫉妬ですか。そういうことみたいだから、キミも少し気をつけなよ」
753 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.96 ID:VChupBhV
「…キミは、あれのことが好きか？」
754 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.98 ID:VChupBhV
　夢のイメージも相まって、なんだか地獄への通路を連想させる――うす気味悪い。
755 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:12.99 ID:VChupBhV
　見た目にはぺったんこだけど…触ってみると弾力がある。
756 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.00 ID:VChupBhV
「負け惜しみ？」
757 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.01 ID:VChupBhV
「この前、ナナミちゃんが言ってたんだ。赤ちゃんを作るのは、すごく痛いんだって」
758 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.02 ID:VChupBhV
　できることなら触れないで済ませたかったけど、きのうの事に触れないと、どうも話にならないようだ。
759 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.03 ID:VChupBhV
「どうしてなの？　マリアのためにやってるのに…どうして？」
760 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.04 ID:VChupBhV
「聞いてくださいな。だとしたら、わたくしは、もう帰らなければなりませんの」
761 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.06 ID:VChupBhV
「母は、美しかった、ちょうどこれのように。そして優しかった」
762 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.07 ID:VChupBhV
　はじめて、三人がお見舞いに来てくれた日、
763 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.08 ID:VChupBhV
「今の僕が首を突っ込むことじゃないと思うんだ。冷たいかな」
764 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.11 ID:VChupBhV
「…わかった」
765 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.12 ID:VChupBhV
「ぁ…ぁっ…も、もうっ！　また人の胸を枕か何かだと思って」
766 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.14 ID:VChupBhV
　そして僕は、この子の笑顔を守っていこう。
767 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.15 ID:VChupBhV
「知らないよ、馬鹿っ」
768 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.16 ID:VChupBhV
　夢のこと、七夕のこと、彼女には不可解な部分が多すぎる。
769 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.18 ID:VChupBhV
「ぁ…えと…」
770 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.19 ID:VChupBhV
「北極星なんでしょう？」
771 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.21 ID:VChupBhV
「また？」
772 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.21 ID:VChupBhV
「っ、ぁ」
773 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.23 ID:VChupBhV
　ワンピース越しの彼女の胸に、ほとんどふくらみは感じられなかった。
774 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.25 ID:VChupBhV
「いいから！　なんのために来たのよ」
775 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.27 ID:VChupBhV
「あぅ…ご、ごめんなさい」
776 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.27 ID:VChupBhV
　風船じゃなくて、僕に。
777 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.28 ID:VChupBhV
「ふーん。それじゃあ、毎朝これで起こそうかなぁ。効果ありそうだし」
778 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.29 ID:VChupBhV
　僕は、少しだけ彼女との距離をつめ、手を引いた。
779 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.35 ID:VChupBhV
　何をもって終わりにするのか…僕が、彼女の中で達すればいいんだろうか？
780 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.34 ID:VChupBhV
　胸さわぎを感じ、乱暴に封を切った。
781 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.33 ID:VChupBhV
「っ〜〜〜！」
782 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.37 ID:VChupBhV
「透矢さん、お腹…好きなんですか？」
783 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.38 ID:VChupBhV
「おねえちゃんが、この場所を嫌がるのはあそこのせいじゃない？」
784 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.31 ID:VChupBhV
　しばらくの間、ふたりで手をつなぎ、立ちつくしていた。
785 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.39 ID:VChupBhV
「失礼しました。雪は食堂のほうでお待ちしていますから、着替えが終わったらいらしてください」
786 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.32 ID:VChupBhV
「ねえ、花梨、しっかりしてよ」
787 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.40 ID:VChupBhV
「知らないよ、馬鹿っ」
788 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.41 ID:VChupBhV
「目覚めるだけですわ。本来あるべき所に帰りますの」
789 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.42 ID:VChupBhV
「ふーん、勉強会ねぇ」
790 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.43 ID:VChupBhV
　あのとき背中に感じた花梨のぬくもり、ずっと一緒にいてほしいという言葉。
791 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.44 ID:VChupBhV
　だいたい、僕と接点のある人間なら、事故のことだって知っているはずだ。
792 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.45 ID:VChupBhV
　雪さんは惜しかったけど、僕の声につられすぎてスイカを通りこしてしまい…
793 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.47 ID:VChupBhV
　子供たちの声を聞きながら、僕は、手近なベンチに腰を下ろした。
794 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.48 ID:VChupBhV
「それが冗談にならないのが、あの子なのよ。でも、もうひとつのほうに行ったみたいだから…いいわ」
795 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.50 ID:VChupBhV
「ほら、大丈夫」
796 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.50 ID:VChupBhV
　それにしても…いくつかのキーワードに引っかかるものがあった…まるで、僕の夢みたいな。
797 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.51 ID:VChupBhV
「ほーらー、私たちも適当に休もう」
798 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.53 ID:VChupBhV
「…もう、決めたことなの」
799 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.55 ID:VChupBhV
「だけど、私にできることなんて、もうないよ。あとは、さっき教えた通りに引くだけなんだもん…」
800 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.56 ID:VChupBhV
「マリアちゃんが？」
801 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.57 ID:VChupBhV
「ひぅ…っ、くぅ…」
802 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.58 ID:VChupBhV
「楽しみですね。男の子かな？　女の子かな？」
803 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.59 ID:VChupBhV
「裏山への通路があるくらいだけど…」
804 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.61 ID:VChupBhV
「俺にしろ花梨にしろ、おまえとは弓道だけのつき合いってわけじゃないんだぜ」
805 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.63 ID:VChupBhV
「でも、連絡先とか知らないんですよ」
806 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.65 ID:VChupBhV
「おだてないでくださいよ。それに、あくまで応急処置ですからね、無理はされないでください」
807 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.66 ID:VChupBhV
　そう考えて、僕は、手紙を引き出しの奥へほうり込んだ。
808 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.67 ID:VChupBhV
　と、一冊の本を投げてよこす。
809 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.68 ID:VChupBhV
「遠慮します。でも、アリスって意外と寝起き悪いんだね」
810 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.69 ID:VChupBhV
　じゃあ、この血の主は、どこだ？
811 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.71 ID:VChupBhV
　アリスのほうが落ちついているのは、その力の差のせいなのか、単なる性格の問題からなのか。
812 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.72 ID:VChupBhV
「で？」
813 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.73 ID:VChupBhV
　あの時、牧野さんは僕と同じ夢を見ると言っていた。
814 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.75 ID:VChupBhV
　おどろき…最後のひと突きをした直後に僕のものはすっぽ抜けてしまい、
815 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.75 ID:VChupBhV
　当然のように言う花梨が、今日は妙に腹立たしかった。
816 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.77 ID:VChupBhV
「はは…でも、僕はそういうお姉さんで良かったと思う」
817 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.79 ID:VChupBhV
「夢で見たんだ。ここは…僕と那波が…」
818 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.80 ID:VChupBhV
　病院で目覚め、一ヶ月以上が過ぎ、検査の帰りに牧野さんと出会って、図書館に来て――
819 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.82 ID:VChupBhV
「別に…こっちの話よ。大した保険じゃないし、都合悪いなら別にいいわ」
820 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.85 ID:VChupBhV
「いや、僕も楽しかったから」
821 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.86 ID:VChupBhV
　よほど感じたらしい。
822 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.89 ID:VChupBhV
「痛いんでしょう？」
823 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.88 ID:VChupBhV
　それでも、彼女は真剣だし、ぜんぶ理解した上で行為を続けている。
824 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.89 ID:VChupBhV
「…きのうも褒めたんだから、何度も言わせないでよ」
825 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.92 ID:VChupBhV
「ええ。ときどき、こういう事がありますの。透矢さんの夢もそうですし…」
826 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.94 ID:VChupBhV
「ニヤニヤしないのぉ。誰のために、こーんな暑い思いしてると思ってるわけ？」
827 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.95 ID:VChupBhV
　車道はやはり坂道になっていて、正面、坂を下った先には、
828 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.01 ID:VChupBhV
「…キミは、あれのことが好きか？」
829 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.03 ID:VChupBhV
「試合の時は大将の役目なんだよ。おまえがやれ」
830 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.09 ID:VChupBhV
「あん…っ…や…」
831 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.04 ID:VChupBhV
　そう考えて、僕は、手紙を引き出しの奥へほうり込んだ。
832 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.03 ID:VChupBhV
　葭植えて　葭植えて…
833 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.06 ID:VChupBhV
　抱きしめてみて、わかること。
834 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.19 ID:VChupBhV
「あは。おねえちゃん、お風呂でいっぱい洗いっこしたからだよ、きっと」
835 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.15 ID:VChupBhV
（頑張れ…）
836 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.03 ID:VChupBhV
　本当に、そうだ。
837 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.09 ID:VChupBhV
「花梨…おまえ、それは言い過…」
838 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.12 ID:VChupBhV
「どうして？　こんなふうに一本だけ木が立っていたら、目立つと思うんだけど」
839 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.09 ID:VChupBhV
「自分から振ったくせに」
840 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.09 ID:VChupBhV
「ごめんなさい。花梨ちゃんと、今まで通りにはできないと思う。どうしても意識はしちゃうから」
841 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.09 ID:VChupBhV
「っぁ…っ…大丈夫？」
842 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.19 ID:VChupBhV
　和泉ちゃんの後ろで、庄一がニヤニヤと笑った。
843 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.09 ID:VChupBhV
「…って、透矢の頭だったら、日本史の勉強したほうが早いか」
844 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.20 ID:VChupBhV
「よく、覚えていてくださいましたね」
845 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.20 ID:VChupBhV
「わかった。ごほうびは、あんまり高いものじゃなければ。それでいい？」
846 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:13.90 ID:VChupBhV
「僕が憑かれそうだよ」
847 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.20 ID:VChupBhV
　再びだらっとなりかけた気分を、凛とした声――と背中への強烈な平手打ち――が吹き飛ばしてくれた。
848 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.31 ID:VChupBhV
「ゴム弓…」
849 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.31 ID:VChupBhV
「あのね、僕はここの学生なんだから」
850 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.33 ID:VChupBhV
　そして同時に、とても不思議な感じがした。
851 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.37 ID:VChupBhV
　でも、どうやら嫌がってはいない。
852 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.52 ID:VChupBhV
「それより、レポートとか、けっきょくどうするの？」
853 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.64 ID:VChupBhV
「雪のことも、忘れてしまいましたか？」
854 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.82 ID:VChupBhV
　僕は、痛くしないように気をつけながらそっとマリアちゃんの胸を撫でた。
855 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.83 ID:VChupBhV
　僕は、最後に向けて、強く腰を揺さぶった。
856 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.92 ID:VChupBhV
　雪さんに手を握られて、いっぺんに、元気になる。
857 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.87 ID:VChupBhV
「僕の考えてることくらい、お見通し？」
858 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.95 ID:VChupBhV
　蔵書は、すべてコンピュータで管理されていて、女の子がカタカタとキーボードを叩いたと思うと、
859 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.96 ID:VChupBhV
「いちおう聞きますけど、那波さんは知っているんですか？」
860 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.95 ID:VChupBhV
　当然のように言う花梨が、今日は妙に腹立たしかった。
861 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.95 ID:VChupBhV
「…あまり往生際が悪いと、もっと怖い思いするのよ？」
862 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.02 ID:VChupBhV
「はいはい、服が乱れるから、しがみつくんじゃないの」
863 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.04 ID:VChupBhV
「はは…ちょっとドジしちゃって」
864 ： ビオラ(東京都)：2009/06/13(土) 00:42:15.06 ID:vJwr4VHQ
スクリプトで火に油
ざまあああああああｗｗｗｗｗ
865 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:14.97 ID:VChupBhV
「わかった。それじゃあ、アリス」
866 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.03 ID:VChupBhV
「やっぱり、じかに触ると違うね」
867 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.03 ID:VChupBhV
「駄目だよ、そんなこと言ったら」
868 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.22 ID:VChupBhV
「あぅ…ご、ごめんなさい」
869 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.24 ID:VChupBhV
「…わからない」
870 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.34 ID:VChupBhV
　日付が変わるまで、僕は那波を抱き続けるつもりだった。
871 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.42 ID:VChupBhV
「僕は…ふたりのこと可愛いと思うし…好きだから…うれしいけど」
872 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.51 ID:VChupBhV
「わかった。もうしないから、そんな顔しないで？」
873 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.50 ID:VChupBhV
「あ、ああ、瀬能透矢だよ」
874 ： ヘラオオバコ(広島県)：2009/06/13(土) 00:42:15.11 ID:m12F3WRD BE:1825260285-PLT(12000)

勢いワロタ
875 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.65 ID:VChupBhV
　岩の裏には、洞窟がある。
876 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.72 ID:VChupBhV
　意味深長な言い方をする。
877 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.71 ID:VChupBhV
「僕への、言づけだって？」
878 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.72 ID:VChupBhV
　いちども僕を振り返ることなく、当たり前の顔で車に乗り込んでしまった和泉ちゃん。
879 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.75 ID:VChupBhV
　なんの話だ…？
880 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.95 ID:VChupBhV
「どうって言われても」
881 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.95 ID:VChupBhV
「はい…透矢さんの…雪の中で…すごいんですもの…」
882 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.95 ID:VChupBhV
　本当に喜んでくれたんだな、とうれしい反面、今度は、気軽にやめるとまずいような気持ちになる。
883 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.95 ID:VChupBhV
　どこかぎこちない態度の雪さんに手を引かれ、坂を下っていくと…
884 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.95 ID:VChupBhV
　かき氷を消化したかったわけじゃなくて僕に食べさせる事、が重要だったらしい。
885 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.95 ID:VChupBhV
「図書館で勉強の約束が…」
886 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.95 ID:VChupBhV
　本当なら、僕も同じように弓を取り、真剣に練習していたんだろうな…
887 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.95 ID:VChupBhV
「どうしてさ？　庄一、なんか、花梨に冷たくない？」
888 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.22 ID:VChupBhV
「雪のことも、忘れてしまいましたか？」
889 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.22 ID:VChupBhV
「だから、遅刻しないためにも、もう行くよ。包帯はいちおう持っていくから」
890 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.17 ID:VChupBhV
　ぷうっとほっぺたをふくらませる。
891 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.23 ID:VChupBhV
「大丈夫。夢は、夢だよ」
892 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:15.53 ID:VChupBhV
「日本史のおまけ問題の話だよ…花梨ちゃん、聞いてなかったの？」
893 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.40 ID:VChupBhV
「っ！　ぃぁ、っぁぁ…」
894 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.41 ID:VChupBhV
　同業者、とか？
895 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.52 ID:VChupBhV
「戻って来られたようですね」
896 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.53 ID:VChupBhV
「あの日…」
897 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.54 ID:VChupBhV
「ふーん。まあ誘ってはみるよ」
898 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.66 ID:VChupBhV
「…ええ。ですけど、最初は雪にさせていただきたいんです」
899 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.66 ID:VChupBhV
　アリス、一流の調教師だな、やっぱり。
900 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.67 ID:VChupBhV
「マリアちゃん、どうしたの？」
901 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.75 ID:VChupBhV
　まるで吸い付いてくるようだ。
902 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.76 ID:VChupBhV
「男ふたりで連れだって祭りってのも華がねえよなぁ…雪さん、駄目なのか？」
903 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.79 ID:VChupBhV
「そういえば、透矢」
904 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.83 ID:VChupBhV
　言われるまま、足下に置かれたラジカセを操作した。
905 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.83 ID:VChupBhV
　もういちど、唇をつける。
906 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.83 ID:VChupBhV
「よく、覚えていてくださいましたね」
907 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.94 ID:VChupBhV
「完璧…それより花梨だろ」
908 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.95 ID:VChupBhV
「ありがとう。でも…」
909 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:17.08 ID:VChupBhV
「うん…私も、こわかった…優しい人だったんだよ？」
910 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:16.98 ID:VChupBhV
「自我が、薄い？」
911 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:17.09 ID:VChupBhV
「ええ」
912 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:17.19 ID:VChupBhV
　なんだか知らないけど、花梨はさっきから不機嫌だ。
913 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:17.14 ID:VChupBhV
「あぅ…ご、ごめんなさい」
914 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:17.29 ID:VChupBhV
　当然のように言う花梨が、今日は妙に腹立たしかった。
915 ： ライラック(兵庫県)：2009/06/13(土) 00:42:17.41 ID:5UYc4eVD
916 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:17.46 ID:VChupBhV
「お母さまですよ」
917 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:17.58 ID:VChupBhV
「いいも悪いも…マリアちゃん、無理してるんじゃ…」
918 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:17.62 ID:VChupBhV
「消えてしまいましたね」
919 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:17.58 ID:VChupBhV
　けっきょく、お茶を終えるまでの間、雪さんはにこにこしっぱなしだった。
920 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:17.79 ID:VChupBhV
　やっぱり怖いらしい――僕は、彼女の手をにぎり返してあげた。
921 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:17.73 ID:VChupBhV
　ホントに同い年の学生か、この三人？
922 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:17.79 ID:VChupBhV
「おねーちゃんっ、透矢さんに失礼なこと言わないで！」
923 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:17.68 ID:VChupBhV
　僕はそれを確認しながらも、下腹部を伝う温もりがあまりに心地よくて、腰を引こうにも引けずにいた。
924 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:17.79 ID:VChupBhV
「いっ…っぁ…透矢っ…すご…っ…」
925 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.05 ID:VChupBhV
「大丈夫？」
926 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.11 ID:VChupBhV
　僕は、胸への愛撫を行いながら、腰を動かした。
927 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.12 ID:VChupBhV
　なんだったんだ、いったい？
928 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.12 ID:VChupBhV
「うん…ぅ…」
929 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.22 ID:VChupBhV
　柄のところに、波打つような、奇妙な模様が彫り込まれている。
930 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.15 ID:VChupBhV
「エロってあんた、いっちょまえに嫉妬ですか。そういうことみたいだから、キミも少し気をつけなよ」
931 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.20 ID:VChupBhV
『なんか、感じ悪いのよね』
932 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.17 ID:VChupBhV
　ただ、儀式の色合いが強く、特に何があるというものでもない。
933 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.18 ID:VChupBhV
「こんにちは。お帰りですか？」
934 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.35 ID:VChupBhV
　彼女が幽霊とか、そんなオチでもつかない限りは、だけど。
935 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.40 ID:VChupBhV
「まあまあ。大丈夫、鈴蘭ちゃん」
936 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.41 ID:VChupBhV
　いま考えたら、どうして雪さんの指を舐めるなんてことができたのか。
937 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.41 ID:VChupBhV
　今度は、はっきり和泉ちゃんの匂いがした。
938 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.40 ID:VChupBhV
「牧野さん、からかってるの？」
939 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.41 ID:VChupBhV
　庄一は、ちらっと和泉ちゃんを振り返ると、気まずそうな顔をしてうずくまってしまった。
940 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.41 ID:VChupBhV
「…どっちも」
941 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.41 ID:VChupBhV
「ううん。やっぱり、私たち、気が合うみたい」
942 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.41 ID:VChupBhV
「…さっきの津波は、それじゃあ」
943 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.41 ID:VChupBhV
　お互いに顔を伏せていると、庄一が笑い出した。
944 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.53 ID:VChupBhV
　それとも、アリスは何か別の意味で『あやかし』と言ったんだろうか？
945 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.53 ID:VChupBhV
　独特の張りつめた空気。
946 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.56 ID:VChupBhV
　それ以前に、夢が終わりはしないか。
947 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.40 ID:VChupBhV
　にしても――
948 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.77 ID:VChupBhV
「だから、遅刻しないためにも、もう行くよ。包帯はいちおう持っていくから」
949 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.74 ID:VChupBhV
　お互いに、わかっているから返事もしなかった。
950 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.80 ID:VChupBhV
　僕らより、ひと足もふた足も先に到着した和泉ちゃんは、今も、ひとりだけ平然とした表情のままだ。
951 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.78 ID:VChupBhV
「ひどくないよ。ありがとう、花梨」
952 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:18.97 ID:VChupBhV
「鈴蘭ちゃんなら、那波ちゃんと遊ぶって言って戻ったよ」
953 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.16 ID:VChupBhV
「…透矢、自分で言ったことには責任を持ちなさいよね」
954 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.27 ID:VChupBhV
「わかった。もうしないから、そんな顔しないで？」
955 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.27 ID:VChupBhV
「そうだね」
956 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.27 ID:VChupBhV
「先生も言ってたよ。その調子で弓道を続けるといい、って」
957 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.24 ID:VChupBhV
「そうね。おかげでラクチンだったわ」
958 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.27 ID:VChupBhV
　ちょっとしたことで、どの子も可愛く見える。
959 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.27 ID:VChupBhV
「いえ。あのぅ…」
960 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.36 ID:VChupBhV
「はは…敵わないな、庄一には」
961 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.37 ID:VChupBhV
　やがて、“ぽんっ”とはじき出された先には…
962 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.43 ID:VChupBhV
「恋愛っていう意味では、そうだね」
963 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.51 ID:VChupBhV
　と、アリスは自分の胸を見下ろした。
964 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.62 ID:VChupBhV
「んーーーーっ」
965 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.69 ID:VChupBhV
「うん…じゃあ、また明日」
966 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.69 ID:VChupBhV
「雪のことも、忘れてしまいましたか？」
967 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.69 ID:VChupBhV
　彼女に相談したら、また認識がどうとかいう話になりそうだ…やめておこう。
968 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.69 ID:VChupBhV
　体も、まったく動かなかった。
969 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.51 ID:VChupBhV
　何か、因縁めいていて、気味が悪くもあるけど…
970 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.74 ID:VChupBhV
　しかし、そこに至るまでに、容易ではない道のりがあったのは、まず間違いない。
971 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.85 ID:VChupBhV
　そのため、戦争中に価値ある資料の多くが失われたのは、ほぼ疑いようのない事実と言っていいだろう。
972 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.85 ID:VChupBhV
「だって…これで『わーい』って喜んだ所におねえちゃんが出てきて、怒ったりしませんか？」
973 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.85 ID:VChupBhV
　愛液と血のまじりあった液体が、ぐちゃりと、みだらな音をかなでた。
974 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.85 ID:VChupBhV
「み、水着、似合って良かったなぁ…って思っただけぇ…」
975 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.85 ID:VChupBhV
「食べて食べてー」
976 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.85 ID:VChupBhV
　当然のように言う花梨が、今日は妙に腹立たしかった。
977 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.81 ID:VChupBhV
　そう…
978 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.69 ID:VChupBhV
　眠い。
979 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.85 ID:VChupBhV
　とはいえ、いちど意識し出すと、やっぱり照れる。
980 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.51 ID:VChupBhV
　和泉ちゃんがいなくなって、花梨があんなことになってしまって、
981 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.85 ID:VChupBhV
「ホントに長い髪だね」
982 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.07 ID:VChupBhV
　てけてけ、がしっ、よじよじ…
983 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.07 ID:VChupBhV
　僕の父さんはその阻止派に属していて、中心人物的な扱いをされているという。
984 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.06 ID:VChupBhV
「また、そろそろ甘えられる側になるのもいいかなぁ、なんて思ってる」
985 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.06 ID:VChupBhV
「んっ…ぅぅ…」
986 ： ビオラ(catv?)：2009/06/13(土) 00:42:20.07 ID:JzhmJY7P
あ
987 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.07 ID:VChupBhV
「うーん。まあ、考えてもわかんないものはわかんないよね。仕方ない…荒療治する？」
988 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.07 ID:VChupBhV
「ねえ、さすがにもういいよ」
989 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.07 ID:VChupBhV
　だいたい、僕と接点のある人間なら、事故のことだって知っているはずだ。
990 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.07 ID:VChupBhV
「うーん、やっぱり自然に戻ってくれるのが、いちばんっていうことかな」
991 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.07 ID:VChupBhV
「まあ、いいけど…お願いだから、危ない所とかには行かないでね」
992 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.30 ID:VChupBhV
「ひぁ！　か、花梨ちゃぁぁん…」
993 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:19.98 ID:VChupBhV
「透矢さん、雪なら、大丈夫ですよ」
994 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.31 ID:VChupBhV
　ピンク色のきれいなひだの中にある、小さな穴。
995 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.30 ID:VChupBhV
「もともと、私と透矢くんとは、ただの友達だったんだもん。泥棒猫なんて思わないけど…」
996 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.30 ID:VChupBhV
「家よ、家。あの子には他に行くところが無いんだから」
997 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.30 ID:VChupBhV
「ぼんやりしていて…『あれ？』と思った時にはいなかったんです。見ませんでしたか？」
998 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.30 ID:VChupBhV
「ホントですか？」
999 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.34 ID:VChupBhV
「その手さ、俺が握ってもいいか？　透矢の代わりにはならんだろうけど、なんていうか、その…」
1000 ： ◆aLICeotiAI ：2009/06/13(土) 00:42:20.33 ID:VChupBhV
「それにしても、なかなか、うまくいかないものですね…」
1001 ：１００１：
このスレッドは１０００を超えました。
もう書けないので、新しい職を探して下さい。。。

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