1 :
名無し草 :
2007/02/15(木) 23:07:19
2 :
名無し草 :2007/02/15(木) 23:25:05
乙です。一段落したら続き投下します。
3 :
名無し草 :2007/02/15(木) 23:26:04
4 :
名無し草 :2007/02/15(木) 23:29:17
書き手用ローカルルール ・投下する前に過去ログ、まとめwiki(特に必読項目)に目を通す ・投下時に明記すること どのレスの続きか(>>前回のレス番号) 文中で芸人が死亡、同盟を組む、他、重要な出来事があった場合 所持品、行動方針、現在位置、日付、時間帯、投下番号 ・トリップ強制 付け方は名前欄に『#好きな言葉』 ・書き手は一つの話に一人だが、以下の場合は引き継ぎ可 書き手自身が執筆中止を告げた場合 最終投下から3ヶ月以上経過した場合 ・書いた話に不都合があった場合、番外編としても投下可 ・2002年ver.の話を投下する場合は文章の最初でその旨明記する ・他、詳しくはまとめwiki参照 読み手用ローカルルール ・書き手に過度な期待、無理な注文をしないようにする ・コメント、感想、要望などはアンカーがついているといいかもしれません ・本スレで言いにくいことはしたらばのチラシで
5 :
名無し草 :2007/02/15(木) 23:30:41
6 :
名無し草 :2007/02/15(木) 23:37:01
7 :
名無し草 :2007/02/15(木) 23:38:54
8 :
名無し草 :2007/02/16(金) 00:08:07
>>1乙。
早速投下。 即死回避になればいい。ラー、エレキ、アンガいきます。 崖の下の海は深く重くゆれている。 ゆっくりと、片桐はそこに吸込まれていく。風を受けてもじゃもじゃの髪がなびく。 手をこちらに差し出し、まるで別れを告げているかのようだ。と山根は思った。 大きな水柱を立った。それきり片桐はこの地上から姿を消した。 片桐を投げ落とした小林の目に、やはり表情はない。この状況で揺らがないところに、今立は小林のゆがみを感じる。 「アッシャ家の崩壊」 無意識に今立は呟いていた。 「これからどうしましょうか」 空を映して静かな海を見つめて、山根は呟く。 「ほかに人もいないし、しばらくここにいてもいいんじゃない?」 そう言って今立は草むらに寝転ぶ。 「俺はもう疲れたよ」 確かに、今までいろいろなことがありすぎた。悪夢のような現実が、容赦なく彼らを襲った。 もしもこれが夢ならば、どれだけ幸せだったろうか。 山根は思う。もし眼が覚めたらいつもの自分の部屋で、スタッフに挨拶しながら楽屋へ行き、 楽屋で相方と会話し、バラエティー番組の雛壇に上がり、トークライブをし…。 この日常はどこへおいてきてしまったのだろうか。 理不尽に大きな力が彼らの日常をゆがめている。 その力に抗うには、彼らはあまりにも小さすぎた。 「とりあえず、座って何か食べましょうか」 山根に促され、小林ものろのろと座る。おのおのデイバッグから食料を出し、不思議な朝食を取ろうとする。 が、小林は一瞬顔をしかめると食料をデイバッグにしまおうとした。 「小林、とりあえず食っとけ。動けなくなるぞ」 「でも…」 「いいから、な?」 「…」 仕方なさそうに、小林は食料を口に運ぶ。が、一口食べた後、突然口を押さえて崖に駆け出した。
「小林!」 「小林さん!」 一瞬最悪の予想が2人の頭をよぎる。その小林は崖の上にうずくまり、茶色い胃液を吐き出していた。 「おい、どうしたんだよ、大丈夫か!?」 何か毒でも入っていたのかと、今立の顔色が悪くなるが、小林は青い顔で彼を制し、 「ただの、再発だから、大丈夫」 と咳き込みながら言った。 「再発?」 山根から水を受け取りながら、小林は言う。 「ああ。小学生の時に一回、拒食症をやったことがあってね。そのときは養命酒で回復したんだけど…」 今は養命酒がないからなぁと、こともなげに呟いて、水を飲み、汚れた手を洗った。 「いいんですか?そんなに水つかっちゃって」 「…いいんだ」 小林は大きくため息をついた。 時間はひどくゆっくりと流れていった。何日もこの場所にいたかのように、3人は落ち着いていた。 この島のどこかで人が絶えず殺しあっているとは、信じられないくらいに穏やかな時間だった。 たまに誰かが自分の話をした。小林が昔のことをポツリと話すと今立が少し笑い、今立が話すと小林が微かにうなづいた。 それは10年間で堆積した彼らの歴史の重みなのだと、山根はなんとなく考える。 片桐や谷井の話も出た。谷井が片桐を殺すことになるとは、昔話の中の朗らかな2人からは考えられない。 運命と言うにはあまりにも残酷すぎる。大きな入道雲が、彼らの上に陰を作った。 「…あのころは、何にも考えなくてよかったんだよな」 今立が遠い眼で呟く。 「コント書いて、学校行って、バイトして…それだけでよかったんだよな」 誰も何も答えなかった。彼らはきっとこう言いたかったのだ。 『なぜこんなことに?』 答えの出ない問いをいくら考えたところで、ただ悪戯に頭を痛めるだけだ。 何も考えずにいるのが一番幸せだと言って、3人で静かな海を眺める。 海は穏やかに沈黙しているように見えた。だが、その水面の下では魚たちが食物連鎖の大きな輪の中で食い、食われを繰り返している。 静かな時間が長く続くなんてことは、ありえないのだ。 遠くから聞こえる歌声に、今立の顔がこわばる。 「あーかーあかあかあかるいよっ!」
【エレキコミック 今立進 所持品:スタンガン 第一行動方針:穏やかに過ごしたい 基本行動方針:危険があったら逃げる。人は傷つけない。 最終行動方針:ゲームの終了 現在位置:崖】 【アンガールズ 山根良顕 所持品:救急セット 第一行動方針:今立の手伝い 基本行動方針:怪我をした人を助ける 最終行動方針:死は覚悟している 現在位置:崖】 【ラーメンズ 小林賢太郎 所持品:フェンシングの剣 第一行動方針: 基本行動方針: 最終行動方針: 現在位置:崖】 【8/16 07:00頃】 【投下番号:183】
12 :
名無し草 :2007/02/16(金) 00:41:22
スレ立ったんですね。よかった。 ラーメンズ・エレキまってました! やついさんが来るーーー!?小林は今後どうする!? 次の展開が楽しみです。
13 :
名無し草 :2007/02/16(金) 01:05:10
中田偏楽しみにしてます!
ロザン編に繋げるキングコング編いきます。 「とりあえず、出来る限りやってから死にたいわー」 名前が呼ばれ始めて再びざわめく教室の中、何故か冷静に話しているコンビがいた。 何か強い意志を秘めた目の黒髪と絶望のせいか虚ろな目の茶髪は、周りからほんの少し浮いている。 「でもこんなん有り得へんやろ、せやから俺仲間集めてどうにかしたい」 「そんなん言われても、仲間って誰がおるん?」 「いくらでもおるって、板さんたちに伊藤ちゃんたちに……」 脱出を考える黒髪――西野の目が輝く。 それに反発する茶髪――梶原の目には微かに呆れが見えた。 「もう1人死んどるんやで、普段同じ番組やってるから仲間とか甘いんとちゃう?」 「誰も信じなくても何も出来ひんやろ?」 「でも……」 その時、よく知っている先輩の名が呼ばれた。 西野は思わず顔を上げ、梶原は相変わらず俯いたままでドアが閉まる音を聞く。 「まあ、力になってくれそうな人の1人か2人必要やと思うけど」 無言が続いた中で梶原がぽつりと溢した言葉に、西野の目が再び輝いた。 梶原はやれやれといった感じの表情で西野の方に向き直る。相変わらず虚ろな目のままで。 「なら誰に声かける?」
「体力は俺たちでなんとかなる思うから、とりあえず頭ええ人やろ」 「もう決まったようなもんやな」 「で、どうする?」 「もうすぐおまえ呼ばれてまうし、待ち伏せるとか?」 「でも相手は菅さんやで? 本当に何処行くか分からへん人やん」 仲の良い2人はこんな状況でも合流を計るだろう、と西野は確信していた。 ならばどうするべきか。 気まぐれな片方を待ち伏せるには無理がある、でも追い掛けるには時間が離れている。 西野は考え込んでいた。 「追い掛ける?」 そんな西野に痺れを切らしたのか、ようやく梶原は意志のある目で西野を見つめた。 「なんでそんな事」 「その方がすぐ見つかりそうやし」 いやそれは違うやろ、と反論しようとした所で西野は動きを止めた。 『52番――』 「もうすぐ、やな」 「……」 「ええやろ?」 「……わかった」 説得しようにも時間がない。西野は仕方なく賛成した。 この2人の目的はこの残酷なゲームからの脱出。
絶対に元の生活を取り戻す、という確かな意志が少なくとも西野にはあった。 今の時点ではそれは遠い夢物語、現実に出来るかどうかは誰も知らない。 2人に残された安息の時は、残り僅かである。 【キングコング 西野亮廣】 所持品:なし 状態:正常 第一行動方針:菅の捜索 第二行動方針:相方との合流 基本行動方針:生存優先 最終行動方針:ゲームの脱出 【キングコング 梶原雄太】 所持品:なし 状態:正常 第一行動方針:宇治原の捜索 第二行動方針:相方との合流 基本行動方針:生存優先 最終行動方針:ゲームの脱出 【現在位置:教室内】 【8/15 12:53】 【投下番号:184】
17 :
名無し草 :2007/02/16(金) 01:59:59
ラーメンズ編乙です。 小林が切ないです。歌声の主が気になりますね。 また続きも楽しみにしてます。
18 :
名無し草 :2007/02/16(金) 02:00:51
キンコン編乙です。 ついに出てきたかー、という感じです。 今後の展開に期待してます。
19 :
名無し草 :2007/02/16(金) 02:13:56
即落ち対策で保守
20 :
名無し草 :2007/02/16(金) 02:19:54
あかるいよ保守
21 :
名無し草 :2007/02/16(金) 02:27:03
保守
22 :
名無し草 :2007/02/16(金) 06:33:53
ラー編待ってました!!乙です! 小林の今後が気になりますね。 あと、土田編の続きも楽しみに待ってます!
23 :
名無し草 :2007/02/16(金) 15:52:12
ラーメンズ編の書き手さんもキンコン編の書き手さんも乙です!! 小林はこれからどうするのか…!
24 :
名無し草 :2007/02/17(土) 00:35:31
ほす 次が楽しみだ
ソラシド水口・NONSTYLE石田編です。 ”足音” 「水口!なぁ、水口て!!」 水口はハッと目を覚ました。 切れかけの蛍光灯の鬱陶しい瞬きが、目に微かな痛みを生じさせた。 「もう、人が真剣にネタ書いてんのに寝るとかふざけんとってよ〜。」 相方の本坊が口を尖らせて拗ねた。だが一言水口がごめん、と謝れば本坊はすぐに許す。 いつもの光景。隅が黒ずんだ古いホワイトボードやパイプの欠けた机があるいつもの部屋。 ああ、自分の居場所だ。ここがいい。ここにいたい。 バトルロワイアルに巻き込まれたなんて悪い夢だったのだと、水口は思った。 「でなー、単独の最後にやるネタなんやけどぉ。僕好き勝手に動くから適当につっこんでよ。」 相方はいつも唐突にネタを考えて、適当に進める。 「適当てなんやねん!あとまた暴れまくって怒られたりすんなや?」 「なんでそんな怒んのよ・・・・」 本坊はふて腐れてシャーペンを動かした。 不規則に文字を書く音は途切れない。本坊は机上から目を離さなかった。 「・・・・で、ここのオチは散々暴れた僕がいじめられっ子やったってオチやねんけど。」 「俺はちょっと申し訳なさそうな感じ?」 「うん、僕はこんな筈じゃなかった・・・・って感じ。」 「ああ、俺にも覚えあるわぁそんなん。」 「・・・・・僕は最近あったよ、ほんまについ最近。」 本坊の声のトーンが少し低くなった。 「え・・・・・いつ?」 「水口はいつだって正しいやんな。だからついてってんや。」 本坊はルーズリーフに忙しくペンを走らせていた。長い前髪が垂れ下がっていて、顔を隠している。 「な、何やねんな・・・・」
「いつだって正しいし、いつだってやさしい。死んだ人にかてやさしかった。」 「だから僕はみんなに呼びかけた。わかってもらえる思たからね。」 「僕はまともなつもりやったけど、そうは思ってもらえへんかったみたい。」 「まぁ、結果蜂の巣にされた訳やけどさ。」 「・・・・・・・・・・・・っ!!」 夢だった筈だ。あんな事はあってはならない。 自分はここがいい。ここにいたい。ここにいるべきなのだ。 水口は両手で耳を塞いで目を閉じた。だが、耳を強く塞げば塞ぐほど、声は響いてくる。 「痛かったげ。いや、今でも痛いんよ。喋れるくらいマシにはなったけど。」 「この痛さ、水口にもわけたげたいんよね。」 コトッ、とシャーペンの落ちる音がした。 「あーあ・・・・、水口、拾てくれへん?」 自分で拾えや、と思いつつ水口はシャーペンへ目を向けた。その時水口は本坊を見てしまった。 「手がこんなんやからさぁ、拾おうにも拾えへんわけよ。」 本坊の右手は原型を留めていなかった。指であったものの欠片、爪や骨がぐちゃぐちゃになって固まっている。 左手はというと、もうそのものがない。体中赤黒く、中のものは好き勝手にあちこちへ飛び出している。 それでいて顔は綺麗なまま残っているのが、より不気味に映し出された。 水口は吐き気をもよおすのも忘れてただ絶句した。 「僕、ひとりになんの嫌なん知ってるやろ?水口は、一緒に来てくれるやんな?」 それを聞いた瞬間、水口は本坊に背を向けて逃げ出した。 本坊は血相を変えて追ってくるだろうと思ったが、そうはならなかった。 しかし、じっとりとした嫌な気配が背後に迫って来て水口は徐々に身動きが取れなくなっていった。 ”水口は、後を追ってくれるやんな?”
「水口さんっ!!」 その声に水口は目を開いた。さっきも同じ様に目を開いた筈だったが、感覚に決定的な違いがあった。 「石田・・・・・・?」 石田はよかった、と言って安堵した。彼の折れそうな細い体のラインは、本坊によく似ている。 そういえば、本坊は?・・・・・・・自分の相方は? 「石田・・・・・本坊は?」 石田は目を伏せて言葉を詰まらせた。ただ、驚きを見せなかった所から、予期していた質問だったのだろう。 認めたくなかった事実は決定的なものになった。さっきの悪夢は、事実に基づいたものだったのだ。 「本坊さんが死んだのは水口さんのせいじゃありませんっ!!!」 水口の思考を吹き飛ばす程の大声で、石田が唐突に叫ぶ。 「でも・・・・・・・・」 「そうやって自分のせいにしはるでしょ!?僕言うたじゃないですか、自己満足なんかやないって!! 水口さんのしてることはいいことなんです、正しいことなんですよ!死んだ人かてきっと・・・・・ きっといいことやって言わはります!!水口さんは悪くないんです!」 目を伏せたまま、石田はまくしたてた。息を乱しているのは、泣いているからだ。 「・・・・・・だいたい本坊さんが悪いんですよ!」 予想外の石田の言葉に、水口は戸惑う。 「石田、そんなこと・・・・」 「あの人はいっつもああなんですよ!!」 水口の制止も聞かず、石田は感情をぶちまける。 「いつも・・・・いっつもわけわからん!!自分で書いたネタのくせに舞台でふきだして笑うし、 人がへこんでる時に一方的に自殺について5時間語りだすし、テンション上がるとすぐ暴力ふるうし!! 次何するか全っ然わからへん!さっきかて・・・・一言いうてくれはったら何か出来たんです! 今みたいな時にわけわからんこと言うて空気めちゃめちゃにするから・・・・あんなことに、なるんすよ・・・・ アホなんですよ、本坊さん・・・・・あの人、ほんまアホや・・・・・・」
言い疲れた石田は地面に拳を叩き付けて、涙を滴らせた。 石田の震える肩に、水口はそっと手を置いた。 石田が自分の目を見てくれた後、水口は口を開いた。 「・・・・ありがとう。 」 言い慣れた、ありふれた言葉だったが、それが1番適した言葉と水口は思った。 石田は堰を切った様に泣きじゃくり、顔をくしゃくしゃにした。 しばらくして気分が落ち着くと、2人は木にもたれかかって座ったまま一言も話さなかった。 これからどうしようか、と水口が頭の中での何十回目の質問を繰り返していた時、横の石田が立ち上がった。 「俺、ちょっと小便行ってきますわ。」 「あぁ、気ぃつけてな。」 そういって見送った後、突然水口を不快感が襲った。 この不快感には覚えがある。さっき見た悪夢の、じっとりした嫌な気配だ。 ド サッ !! 音のした方を見てみると、石田が倒れている。 銃で撃たれたとか、矢がささったとかではなく、ただ倒れているのだ。 しかし、息があるはずなのに起き上がる様子がない。 「石田・・・・・・・っ!?」 嫌な気配が、取り囲むように濃くなっていくのを水口は感じた。 この気配が死の足音だと気付くのは、そう遠い事ではない。
【ソラシド 水口 靖一郎
所持品:スコップ、ガム
基本行動方針:遺体を発見時、埋葬し弔う。
第一行動方針:より多くの遺体を埋葬
最終行動方針:未定
【NONSTYLE 石田 明
所持品:オフェンスキープ
基本行動方針:とりあえず病気にならない
第一行動方針:骨とか折らない
最終行動方針:健康でいたい
【現在位置:G-5】
【8/16 17:18】
【投下番号:185】
>>9-11 小林が確実に崩壊しているのが、申し訳ないと思いつつwktkしてしまう・・・・
片桐がちゃんと海に行けてよかった。片っ端から埋めてる者としては複雑だったのですが。
>>14-16 キンコン編キター!!
ネガティブ梶原とポジティブ西野の対比が面白い。
先が気になる2人ですね。
30 :
名無し草 :2007/02/17(土) 13:10:50
何このスレw つかキターってwキモ杉
31 :
名無し草 :2007/02/17(土) 13:42:29
書き手さん乙! 後藤徳井が楽しみ。
32 :
名無し草 :2007/02/17(土) 14:55:53
新作乙です。 って石田―――――!!! いったいどうしたんだ―――!!
33 :
名無し草 :2007/02/17(土) 16:14:22
ソラシド編乙です! ソラシド編読むとテンション上がるwww
34 :
名無し草 :2007/02/17(土) 21:10:11
ソラシド編乙ですっ! 最近みなさん投下早いですねー。本当に頭が下がります!
35 :
名無し草 :2007/02/17(土) 22:13:18
ソラシド編乙です! 今回すごく良かったです。特に石田の台詞がジンと来ました。 文句言ってるのに、その裏の本音がちゃんと伝わってきます。 死の足音が迫ってきているのが気になります…どうなってしまうんだろう…!
゛お前がおらんかったら今の俺はない゛とか…そうゆう類の言葉 前はそんなもの 現実のこの世界に存在するはずないと思ってた けど、今の俺なら言えて…それは間違いなくお前のおかげやと思てる。 C h a n g e O v e r 「川島ァ、飲み行こやー」 「ええですけど…兄さんまだ彼女できてへんのですか? ゲームばっかしとるから後輩みんな心配してんですよ? 笑」 「やからー なんでお前らはゲームのよさが分かれへんのかなあ… 笑」 「なんや 井上、また言うてんのか? 川島も分かったふりでもしとったらええねん、コィツァホやねんから 笑」 「陣さん、聞こえますて…;笑」 「ええわええわ あ、川島、ほんならメシ食い行こや」 「ほんなら井上さんも行きますよね?」 「もち!」 こんな風に先輩たちと普通にしゃべれるんなんて、前の俺から考えたらエライことや 俺も変わったんやな…。 ++++++++
ぁゅと初めて会おたんは、baseのラィブの後 相方とは違て俺は、まわりの芸人さんらと打ち上げやらはしゃげんくて、客も帰ったあとのロビーでタバコ吸っとった。 漫才でこそ、ボケ担当でアホやってるけど 人との付き合いとかワイワイやんのが苦手やった俺は、あのころ1人おんのが、何より楽で好きやった。 そして、たばこも無くなってしもたし、ネタでも書こかと楽屋に戻ろうと角を曲がったとたん、女の子が飛び出してきて俺にぶつかった。 俺の胸までもないちっさい女の子。俺は反射的に手を伸ばして女の子を受け止めた。 その拍子に手に持っとった台本やらたばこやらが落ちる。 「ッ、すみません! ごめんなさい…」 その子は俺に抱きとめられたまま、謝り倒し それが妙におかして笑てしもた 「……?」 俺の笑い声に顔をあげたその子は、次の瞬間俺から体を離した。 「…川島さん…?!」 そん頃は まだ俺ら"麒麟"なんて全然知られてへんくてラィブでしか活動してへんくらいやった せやから『別に俺おらんくても別にさみしがるャツとかおれへんのやろな…』とか暗いことも考えとった それが人と付き合うんが苦手な原因やってん。けど 「あのッ、麒麟の川島さんですよね??」 俺を知っとってくれる子がおる… 「あたしめちゃめちゃファンなんです!!!今日も、川島さん見たくてわざわざ名古屋から来たんですよ」 俺を必要としとってくれる子…おんねや… 「あの、」 「楽屋けーへん??」 「ぇ…?」 「楽屋でしゃべれへん??」 「………」 あ ひいてしもたかな… 「……いいんですか? 」 「……、ええよええよ、ほな行こ」 「はぃっ」 「あ、名前なんてゆーん?」 「ぁゅです」 「あんな…、」
++++++++ それから俺らは楽屋でいろんなことを話した てゆーても俺が人としゃべるん苦手やったから、ぁゅはたくさん話題を提供してしゃべっては 時々口を開く俺の話をめちゃめちゃ嬉しそうに聞いてくれた。 せやから俺もその間だけはいつもの暗いことを考えんくてよかった そして俺は別れ際に 自分のケータイ番号とアドレスを書いた小さなメモを渡した。 また俺が暗闇に押しつぶされそぅになった時、 ぁゅのあの笑顔と静かな声を聞きたいと思った。 その後も何回か、 ぁゅと会ぉた。 いつでも笑顔で俺の話を聞いてくれるはいつしか俺の中で特別な存在になっとった。 初めて会ぉた日から3ヶ月たった日の楽屋で… 俺はぁゅに想いを告げた。 俺は自分で何て言うたか…よう覚えてへんけど ただ… が俺の大好きなあの笑顔で静かにうなづいてくれたんを覚えとる。 そして…俺はぁゅを抱きしめながらささやいた 「なぁ …、」 ++++++++
「川島、何ニヤニヤしてんねん、気持ち悪い 笑」 「してました? 笑 いや、俺も変わったなて…」 「ホンマゃんなー、お前昔ホンマ暗かってんもんなあ 笑」 「…井上さんに言われたなぃです 笑」 「ほんで、だんだん明るなってったよな?何があってん?」 「会ぉたんですよ、ァィツに」 「ァィツて ちゃん?」 「聞きたいですか? 笑」 ++++++++ 「なぁ 、お前に会ぉてへんかったら、こんな風に変わられへんかったわ。 ………ありがとうな」 fin.
40 :
名無し草 :2007/02/18(日) 10:22:22
41 :
名無し草 :2007/02/18(日) 12:46:12
42 :
名無し草 :2007/02/18(日) 12:52:49
誤爆かと思ったけど、違うの?
43 :
名無し草 :2007/02/18(日) 13:33:21
いや、誤爆ってか自作自演だろ…
44 :
名無し草 :2007/02/18(日) 13:43:51
決め付けイクナイ
45 :
名無し草 :2007/02/18(日) 14:52:54
46 :
名無し草 :2007/02/18(日) 19:18:22
途中に「笑」とか挟んであるのが痛々しい
47 :
名無し草 :2007/02/18(日) 20:00:17
えっ、本編…じゃないよな?バトロワでも無いし・・。
48 :
名無し草 :2007/02/18(日) 22:36:45
さまぁ〜ず編挿入で江頭編いきます。長めです。 まだ昼間の熱が残る8月15日午後6時32分。元町の川岸にある、古い民家の中に江頭はいた。 古風な平屋で三間取りのその民家の、板戸の勝手口を入った土間にバシャバシャと音が響く。 土間の端には竃と米を炊く大釜があり、釜の蓋の上には江頭の黒タイツと下着、靴が置かれていた。 彼の頭を深く悩ませたあの金だらいは今や水浴の道具に変身し、江頭の身体に涼を運んでいる。 自分がさかのぼってきた川から汲んだ冷たい水を使って汗を流しながら、彼は深い溜息をついた。 未だに彼の頭には例の金だらい問答が巣食っている。さすがにもうこの問いの不毛さには気づいていた。 かといって、突然考えることをやめるには、少しばかり江頭は真面目すぎるのだ。 昔懐かしい地面むき出しの土間で水音をたてながら、彼は悩ましい気持ちでいっぱいだった。 …もう諦めよう。いくら考えても正解なんて出るわけがない。 あれから幾度となくそんな風に思っては、結局“諦めることを諦める”結果に繋がっている。 いつまでたっても例の問答は彼を解放してくれず、その懊悩が江頭の頭皮に悪影響を与えていた。 ついバリバリと掻きむしってしまう頭部から、貴重な残り髪が抜けていく。指に絡む黒い毛が虚しい。 水浴のついでに髪を洗ったせいで金だらいに溜まった、抜け落ちた毛髪を見てまたも江頭は溜息をつく。 これが続けば、頭部に深刻な損害を受けることは必至だった。にもかかわらず悩みは深まるばかり。 しかも、今や彼の抱える問題はこれ一つではないのだ。江頭の脳裏をさらなる疑問がかすめていった。 …俺はこれからどうすればいい? 何をするのが正しいんだ? 江頭は教室で殺された芸人の顔をぼんやり思い描く。山田が死んだのはちょうど正午ごろのことだ。 一人めの犠牲者が出たとき、空の天辺にあった太陽はもう、西の果てに沈んでいる。 今から四分の一日ばかり前のあの瞬間、よくできた人形が爆破されたのだと彼は自分を偽った。 これはテレビ番組の企画で、何かドッキリの類で、刺激が強い演出をしているだけなのだ、と。
…まさかこんなことが本当に起こるはずはないし、あんな風に簡単に人が殺されるはずなんてない。 それはあの場にいた多くの芸人が始めに思ったであろうことで、江頭もその例にもれなかった。 しかしそれは実際に起きたことで、あのとき流れた赤い血は決して血糊ではなく、本物なのだ。 江頭は心の底から“全て嘘だ”と信じていたわけではなかった。だが、そう信じたかったのだ。 何かに縋りたかった。だからこそ自らを騙して、真実に気づかぬ振りをしてここまで過ごした。 それでも3半時間ほど前、ついに彼が自分についた嘘が破綻を迎えるときが来てしまったのだ。 爆発したのは人形ではなく人間。それを理解するのに、彼はたっぷり6時間を必要としたわけだ。 …確かにこの島の中では、人が死んでいる。誰かが誰かを殺して、誰かが誰かに殺されている。 水浴を続けながら江頭は、この殺伐とした血みどろの状況を反芻する。自然に眉間に皺が寄った。 今や彼は事実をしっかりと捉えている。無情で荒涼とした世界に自分は身を置いているのだ、と。 …こうして自分が水浴びする間にも、きっと誰かが死んでいる。 そう思ったとき、江頭の脳裏に浮かび上がってきたのは、ある一つの死体だ。血にまみれた女の死体。 4時間前に彼が目にしたその死体は、30分前に彼を混乱に陥れ、悟りに至らせ、開き直らせている。 彼は川をさかのぼる途中、午後2時半すぎに、草木に包まれて永遠に眠る一人の女を見ていた。 緑の下草の上に広がる、傷んで赤茶けた長い髪。多量の血液が、へその下あたりから流れ出していた。 女の衣服は固まりかけた赤黒いそれで汚れている。あおむけで目を見開いたまま、彼女は息絶えていた。 女が誰かに殺されたのか、それとも何か事故にまきこまれたのか、はたまた自殺したのかはわからない。 その死体を見てもなお、江頭の状況把握力は復活しなかった。ただ見ただけではまだ足りなかったのだ。 見た時点で、それはただの死体でしかなかった。そして死体は現実味のないただの物体にすぎなかった。
事が起きたのは午後6時だ。江頭は汗だくの身体を洗うために、金だらいで川の水を汲んでいた。 水の入った金だらいを持った彼が、足で戸を開けて踏み入った民家の土間で耳にした、第一回目の放送。 慌てて土間に置いた金だらいの水は、小さな波をたくさん作ってタプンタプンと音を立てる。 けたたましい音楽とともに突然始まったそれは、あのビートたけしの声で様々な情報を告げていった。 始まってしばらくして、読み上げられ始めた死者の名前。その中のある一人の名を聞いたときのことだ。 『2番、草間夕子…芸名は“赤いプルトニウム”だとよ』 その名前を聴覚がとらえた瞬間、森の中で見た女の死体が凄まじい勢いで記憶の海から引き上げられた。 …そうだ、あの子は確か、そんな名前だった…! あの死体は生前、確かそんな名前の女芸人だった、と気づいたとき、彼は背筋が冷たくなるのを感じた。 名も知らぬ女の死が突如、名前を持った一人の人間の死として理解されたのだ。江頭の身体は震える。 それと同時に、急激に襲ってきた恐怖と不安でパニックを起こし、彼は土間にがくりと膝をついた。 …本当に死んでる、人が死んでる! 江頭の視界はまるで酩酊時のようにぐらぐらと揺れる。背中からブワッと冷や汗が吹き出した。 本当に人が死んだ。それはつまり彼も殺されるかもしれないし、死ぬかもしれないということだ。 江頭は青ざめた。土間の土を指先で引っ掻き、頭を掻きむしる。指についた土がぱらりと頭から落ちた。 まるで正座でもするようにぺたりと座り込んだ彼は、心もとなさに何かつかもうと手を伸ばす。 だが、闇雲に伸ばした手に触れたのは水のたゆたう金だらいで、つかめるのはせいぜいが縁だけだった。 金だらいの縁を握りしめた指先は、たらいの中の水に触れて濡れる。夏のさなかにも冷たい水だった。 その指先に視線をやり、その拍子に金だらい全体を視界に収めてしまって、江頭は唐突に思い出す。 …あのとき、袋から金だらいが出てきたとき、俺はどうしたらよかったんだ? 未だに答えの出ていないあの命題が、江頭の脳に刃をさし込んだ。その刃は彼の混乱を静かに切り裂く。 その瞬間、江頭はあることを悟った。それはのちに、彼の生き方の少しばかりの指針となっていく。
…自分は、きっともう芸人以外の何者としても生きられない。 生死の狭間に立つような恐るべきゲームに身を置いて、その恐ろしさに気づいてなお、彼は芸人だった。 死の恐怖に戦きながら、思い出すのがあの金だらい問答である彼は、確かに芸人以外ではありえない。 それをついに自覚するに至り、江頭の身体を襲った震えは次第におさまっていった。 …そうだ、何を恐れることがある。俺の人生なんてもともと『死んだも同然』だったじゃないか。 いつしか彼の心情は悟りから開き直りへと移行していった。彼は顔を上げ、背筋を伸ばして唇を噛む。 江頭は指を金だらいの縁から離すと、中の水を両手ですくいあげてバシャバシャと顔を洗った。 そのうち、はねた水しぶきで身体も濡れてきたので、着衣と靴を脱いで近くにあった釜の蓋の上に置く。 彼はたらいの中に足をつっこむと膝を抱えて座り込み、そのまま水浴を始めた。そして話は冒頭に戻る。 午後6時32分、江頭は芸人として正しいこれからの行動を考えながら抜け毛を気にしていた。 …このままだと頭の掻きすぎで髪が抜けるし、頭を守らないといけないから、何かかぶるものを探そう。 もともとこの民家のある元町まで来た江頭の目的は、身体を守るために着るものを探すことだった。 その目的にさらに頭部を守るものを探すことを追加して、彼はようやく水浴を切り上げる。 しかし、水浴の始まりからしてそれほど細かく考えていなかったので、身体を拭くものもない。 しかたなく江頭はブルブルと身体を振ってみる。全裸の身体から飛ぶ水滴がピチピチと土間にはねた。 土間より床の高い板の間に続く、腐りかけた木戸の前にある、すり減った上がり段に腰かける。 が、尻の下に水が染みてどうも気持ち悪かった。江頭はすぐに段を踏みつけると乱暴に戸を開ける。
押し開いた木戸のむこうに広がったのは、簡素な囲炉裏を切った板ばりの横に広い座敷だった。 どうやら雨漏りでもするのか、床板はところどころ水を含んで腐ってぼこりと窪んでいる。 そこを器用に避けつつ江頭は進んでいき、まずは左の奥にある木製の帳場箪笥の引き出しを調査した。 素っ裸であばら屋の小さな箪笥をあさる痩せた中年男は端から見れば変態以外の何者でもない。 だがもちろん、当の本人はそんなことには気づかず、せっせと引き出しの出し入れを続けている。 やっと一番最後の引き出しまで来たところで、彼は中から深緑の唐草模様の風呂敷を一枚見つけた。 ほこりをかぶったそれにバタバタと空気をはらませると、ふわりと塵が宙に舞う。江頭は咳き込んだ。 …これで身体が拭けるだろうか。 まじまじと風呂敷を見つめて江頭は思う。だが、すでに室内を抜ける風で彼の皮膚は乾き始めていた。 まだ湿り気を帯びている、体毛の生えた部分だけをその風呂敷で拭うと、またバタバタはためかせる。 それをまた箪笥にしまおうとしたとき、一応これも身につけられるものであることに彼は気づいた。 風呂敷の端を両手で握り、首の前で結んでマント代わりにする。残念ながら空は飛べそうになかった。 全裸に風呂敷一枚という怪しい姿で江頭は部屋を見回す。他に落ちているのは綿の出た座布団のみだ。 箪笥以外に何かめぼしいものが隠れていそうな家具はなく、彼は右奥の破れた障子戸に手をかけた。 障子戸はギシギシいいながら開き、江頭を迎える。座敷の半分ほどの広さの畳の間がそこにあった。 この畳も水を含んでぶよぶよと浮いており、踏み込んだ彼の足の裏に奇妙な感触を伝える。 ざっと見渡した室内手前の右隅には、ブラウン管にヒビの入った時代物のテレビが放置されていた。 部屋の奥の左隅にはこれだけ洋風のクロゼットが倒れ、その脚部にある畳が重みで深く沈んでいる。 …今度こそ、何か着るものが入っているに違いない。
倒れたクロゼットの扉をパカリと開けてみれば、上部に渡されたハンガー掛けの金属棒が虚しく光る。 空っぽのスペースに本日数度めの溜息を吐いて、彼は下部に一つだけついた引き出しに手を出した。 沈んだ畳に引き出しの角がひっかかる。ようやく開いたその中には古びたウエストポーチが一つ。 今時どこにも売っていないような、どぎつい蛍光イエローのポーチは薄汚れてみすぼらしい。 江頭はそれを手にとって少し考え込んだのち、使えると判断したのか、埃をはたいて腰に巻き付けた。 唐草模様の風呂敷をマントのごとく首に巻き、ウエストポーチを裸の腰にした姿はもはや意味不明だ。 とはいえ、いまだ本人は自らの姿を客観的に見ておらず、ただ心の赴くままに家捜しを続けている。 続いて彼が手をかけたのは、かつて障子戸だった古い木枠だった。その枠越しに隣の部屋が見える。 畳の間と次の間を仕切っている木枠をぐいと押しやると、敷居溝からズリ、と外れてむこうに倒れた。 その木枠に手を伸べて引き寄せながら、江頭は次の間に目をやった。こちらは座敷と同じ板ばりだ。 この板の間も隣の畳の間とほぼ同じ大きさで、湿って腐った床板はところどころ穴が開いている。 視線を移動して部屋全体を視界に収めてみたものの、板間には何もなく、ただ暗い空間があるのみだ。 何かがありそうな箪笥や物入れも見当たらず、江頭は家捜しをそこまでで終えることにした。 畳の間と座敷を注意深く歩いて土間へと戻り、竃に置いた下着と黒タイツ、靴を身につける。 ついでに釜の蓋を持ち上げてみると、中にぼこぼこの真鍮の鍋とおたまが転がっていた。
江頭は釜に乗り上げながらそれを拾い上げる。そして一瞬たりとも躊躇せずに、鍋を頭にかぶった。 彼の頭に丁度いいサイズだった鍋は、底がまるで金槌か何かで打ちつけたように凸凹と膨らんでいる。 そのせいで彼の頭頂部に底の凹凸があたるのか、時折、鍋がずるりと動いて視界を邪魔した。 鍋を押さえつつ彼は、手にしたままだったもう一つの物を注視する。それは何の変哲もないおたまだ。 江頭はおたまを見つめて考えこんだあと、まるで帯刀するように、ポーチの腰紐にそれを挟んでみた。 さらに竃の付近を探って、最後に彼が手に入れたのは、なぜか竃の口の中に落ちていた手ぬぐいだ。 彼がそれを見つけたとき、たまたま頭の鍋が地面に滑り落ちたことで、手ぬぐいの役割は決まった。 江頭は手ぬぐいから灰を落として二つに裂くと、それを鍋の両の取っ手に結わいて、顎の下で結ぶ。 鍋と手ぬぐいのヘルメット、風呂敷のマント、ウエストポーチの腰帯、それに挟んだおたまの剣。 自分の模索する“芸人として正しい行動”を無意識にとったとしか思えない、隙のない出立ちだった。 それはある意味で完璧な武装だったが、実際の攻撃に対し、どれだけの効力を持つかは未知数だ。 一時代前のヒーローごっこに興じる子供のような出立ちで、江頭は竃の前から離れた。 …結局、上着はなかったな…。 当初の目的だった上着が結局見つからなかったことに気づき、少し残念そうに江頭は眉根を寄せる。 それから彼は、たらいに残ったままの水を土間に捨てた。ジャバジャバと流れ落ちる水の音。 土間のむき出しの土に広がった水は、人が歩いたせいですり減って窪んだ部分にのろのろと溜まる。 黒褐色の土間で、鍋の渋い金に風呂敷の緑と白、ポーチの蛍光の黄色という配色は目をひいた。 金だらいの底に残った抜け毛の束を、彼は指先でつまみ上げると、ポトリと土間に捨てる。 両手でたらいを持ち上げて振り、水を切ったあと、マントにした風呂敷の端でたらいを適当に拭いた。 江頭は勝手口付近に置きっぱなしだったデイパックに目をやり、たらいを引きずってそちらへ向かう。 デイパックの中に金だらいを押し込み、肩に背負ったところで、彼は勝手口の外の空に視線を向けた。
…すごい、星だ。 腕時計の針の指す時刻は、午後8時01分。彼が家捜しを始めてからすでに1時間半が経過していた。 夏の強い太陽は、もはやその姿を隠していた。江頭の目には、紺碧の空に輝く無数の星が映っている。 この島の中で起こっている残酷な出来事を、冷たく瞬きながらただ見下ろすだけの、美しい星たちが。 【赤いプルトニウム(草間夕子)死亡】 【江頭2:50(江頭秀晴)】 所持品:金だらい(大) 真鍮の鍋と古手ぬぐいのヘルメット・唐草模様の風呂敷のマント 蛍光イエローのウエストポーチの腰帯・おたまの剣 第一行動方針:芸人として正しい行動を模索する 第二行動方針:デイパックから金だらいが出てきたときの正しいリアクションを思いつく 第三行動方針:上着を探す 基本行動方針:この民家で今晩すごすつもり 最終行動方針:芸人として正しい行動をとりたい 現在位置:元町の民家内(E5) 【8/15 20:01】 【投下番号:186】
57 :
名無し草 :2007/02/19(月) 07:16:13
>>48 そんな事言ったら、ここにある話も全部キモい妄想小説だろw
58 :
名無し草 :2007/02/19(月) 10:35:38
新作乙です。 江頭ワロスwwwww 赤いプルトニウムは誰が殺したんだろう・・・
59 :
名無し草 :2007/02/19(月) 11:21:56
キモイ妄想小説とか言うな
ロザン菅編いきます。 「疲れたぁ……」 菅は歩き続けていた。 早く相方と合流したかったのだが、時間差82分はやはり大きい。そろそろ体力の限界が近付いてきていた。 休めそうな木の根元に寄りかかり、再び空を見上げてみる。 あまりに綺麗で、思わず菅は自分が立たされている状況を忘れかけた。 「宇治原…大丈夫、やろ?」 こんな状況に立たされていても、やはり考えるのは相方の事。 「あいつを誘った、俺のせい」 「誘わなきゃ、こんなんならんかったはず」 「みんな、俺が悪いんや」 自らを責める後悔の言葉が次々と溢れる。 大丈夫、菅ちゃんは悪ないから――なんて言ってくれる相方は隣にいない。 恐怖を感じている訳ではなかった。生き残れるのは一人だけ、という事を理解した上で菅は動いていた。 生きるつもりはなかった。ただ相方には生きていて欲しかった。 ずっと相方を探していたのも相方の生存を最も近くで確認しながら行動したかったからである。 「無事、やろ? あいつが、死ぬなんて有り得へん」 どうにか自分を落ち着かせる。しかし、菅は今までに何度も銃声を聞いた。 ――あれは誰が誰を撃ったんやろ。もし誰かがあいつを狙っとったらどうしよ?
「あ、俺の武器何やろ」 過剰な心配からくる不吉な思考は中断された。 背負っていたデイパックを開き、中を確認する。その途端、菅は笑みを浮かべた。 その手に握られているのはバタフライナイフ。銃には劣るが、武器としては充分当たりの類に入る。 「こんなんも入ってるんやぁ…もっと良いナイフあるやろ?」 まあええか、と付け足して辺りを見回し、菅は再び休憩に入った。 ――そんな菅を見つめる、2つの影があった。 菅から結構距離を置いた斜め前方の茂みと後方の木陰、北陽伊藤とビッキーズ須知である。 伊藤は息を潜めていた。支給武器のコルトガバメントを握りしめる右手は恐怖で震えている。 虻川を探そうとしていたが何処に行ったのかまるでわからず、歩き疲れたところでずっと隠れていた。 須知は伊藤よりも落ち着いていた。学校前の死体を見て暫く固まってはいたが、歩き出してすぐに菅を見つけ安心したのだ。 話し掛けようとしたのだが、自分の世界に入り込んでる感漂う菅を見てタイミングを見失い、結局話し掛ける事が出来ないまま菅の後をつけていた。 伊藤のコルトの銃口は、先程からずっと菅に向けられている。
菅が現れた事で、伊藤は軽いパニックに陥っていた。 不安と恐怖のせいで、伊藤が引き金を引くのは容易い事であり、凄く難しい事でもあった。 しかし、ナイフ片手に笑顔を浮かべる人間に恐怖を感じない訳もなくて。 ――森に乾いた銃声が響く。 【ロザン 菅広文】 所持品:バタフライナイフ、他未確認 状態:正常 第一行動方針:相方の捜索 基本行動方針:生存優先 最終行動方針:生き残るつもりはない 【北陽 伊藤さおり】 所持品:コルトガバメント(8/9)、替え弾倉×2 状態:軽いパニック 第一行動方針:不明 基本行動方針:不明 最終行動方針:不明 【ビッキーズ 須知裕雅】 所持品:未確認 状態:正常 第一行動方針:不明 基本行動方針:不明 最終行動方針:不明 【現在位置:F4・森の北西】 【8/15 15:26】 【投下番号:187】
63 :
名無し草 :2007/02/19(月) 17:22:34
そういえば2ちゃんって閉鎖しないの?
64 :
名無し草 :2007/02/19(月) 18:07:44
乙っ
65 :
名無し草 :2007/02/19(月) 18:51:18
66 :
名無し草 :2007/02/19(月) 18:52:23
ネプ原田と爆笑太田の因縁って何?
67 :
名無し草 :2007/02/19(月) 19:34:38
メ欄キモイ
68 :
名無し草 :2007/02/19(月) 20:24:01
遅ばせながら乙です
69 :
名無し草 :2007/02/19(月) 21:45:57
ロザン編乙です。 北陽伊藤出てきましたか…続き気になります。
>>25-29 の続き。長いです。
”死生学”
石田は発熱していた。
「石田っ!石田ぁ!!どうしたんや!?」
水口が必死に叫ぶが、石田は苦しげに呼吸するだけだった。
「平気っすよ・・・・ぜんぜん・・・平気・・・・・・」
傍にいながら何故こんな状態になるまで気付かなかったのかと水口は後悔したが、
後悔したところで状況がよくなるわけはない。
水口は石田をおぶって、右手に2人分のデイパックを担いだ。
普通なら耐えられない重量であったが、今の水口には背負える重みだった。
といっても、流石に遅い。進まない体に反比例して、気持ちばかりが焦る。
背中の石田の熱さは変わらず、呼吸は不規則で荒い。自分の煩い心臓音が聞こえない程、石田の体は異常だ。
移動している間、滴る汗が止まる事はなかった。それは石田のものでもあり、水口のものでもある。
休憩時は水を飲ませ、タオルで汗を拭った。
石田は微笑を返すが、意識が朦朧としているのか発している言葉は聞き取れない程小さい。
食事は水で乾パンをふやけさせ半ば無理矢理押し込んでも2枚半が限界だった。
そんな体であっても水口が自分の顔を見ると笑顔をつくる石田が、水口の焦燥感に拍車をかけた。
『 どんなことがあっても、絶対に死なせない 』
疲労に体が悲鳴をあげていても、その言葉を自分に言い聞かせれば足が動いた。
その祈りが通じたのか、とっくに夜になり相当な回り道をしたが病院に辿り着く事が出来た。
「待っときや、石田。・・・・絶対死なさへんから」
石田は呼吸はあるがぐったりと眠ったままだった。
両手の塞がった水口は、頭と膝を突き出して扉を開けた。
中は既に誰かが入った形跡があった。水口は適当な病室に入った。
「止まってください。」 ドアを半分開けた時、その声が聞こえた。よく通る声だ。その人物の顔が、月明かりに照らされた。 会った事はないが、知っている顔だった。アリtoキリギリスの石井正則である。 水口が数日前に見た「古畑任三郎」の再放送の時と変わらずその表情は冷静で、 よく見れば手に武器は握られていないのに銃口を向けられたような威圧感があった。 「びょ、病人がいるんです!貴方に危害を加えるつもりはありませんから・・・・」 水口はしどろもどろに答えると、入り口に1番近いベッドに石田を寝かせ、デイパックを床に下ろした。 乱暴に置いたファスナーが空きっぱなしのデイパックから、スコップがゴトンと零れ落ちた。 土だらけのスコップを見た石井は、しばらくして心配そうに石田を見やる水口に質問した。 「まさか・・・・・・来る途中にあったお墓は貴方達が?」 水口はハッとして石井の顔を見た。訝しげな表情をしている。 「そ、・・・・そうですけど。」 「その具合の悪い連れの方も一緒に?」 「ええ・・・・・」 「ちゃんと手袋はつけましたか?」 「手袋?」 思いもよらない質問に、水口はただ気になったフレーズを鸚鵡返しに返すしか出来なかった。 「遺体に素手で触れるのは危険でしょう?・・・・まさか傷だらけの手で遺体に触ったりはしてませんよね?」 そう言った後、石井の視線は水口から石田の”傷だらけの”手に移った。 「まさか・・・・・石田は・・・・?」 「傷口からの感染症、ですか。」 哀れと思って石井は目を細めたが、口調は淡々としたままだった。 冷静な石井とは対照的に、水口は今にも死にそうな顔になった。 「そんな・・・・・石田、いしだぁ・・・・・・」 ぐったりとしたままの石田の手を水口は力いっぱい握った。石田はその手を握り返すが、あまりに弱々しい。 その石田の右手を自分の額に押し付け、水口はポロポロと涙を流した。 「・・・・左奥の棚に、病衣と清拭布が入ってます。」 「え?」 「汗を拭いたら、すぐにそれに着替えさせなさい。薬もないので出来る事はそれ位ですが・・・ 何もしないよりはマシでしょう?さぁ早く!」 命令口調ではあったが、初対面である石田を助けようとしている石井の優しさが水口は嬉しかった。 それに応える為に、水口はすぐさま病衣と清拭布を取り出し献身的に看病をした。
数時間が経過した。 必死の看病も空しく、石田は衰弱していく。言葉は発するが、かなりに近くに寄らないと聞こえない。 「水口さ、ん・・・・今ごろ、baseは・・・どう、なってるん・・・でしょうね・・・・?」 「そうやな・・・・今頃はもうすぐ単独近い奴らが必死こいてネタ合わせしてる頃やろな」 「あぁ、俺らも、もうすぐ・・・・ガンガンでした、ね・・・・何のネタするか、まだ、決めてない・・・っすわ・・・」 「ネタは・・・・井上に会ったら相談せえ。そうや、お前らMCやったからトークの内容も決めとかな・・・」 「トーク、か・・・無限大の、トークは、どう・・・しましょうかねぇ・・・・」 「それも井上に会って決めようや。・・・・だから早よ体治して、井上探そ、な?」 「ええ・・・・はよネタ合わせ、したいです・・・・水口さんも、いてくれますか・・・・?」 「当たり前やろ!やから、やから・・・・・・死ぬなや、死なんといてや・・・・・」 水口が感極まって涙を流す。石田はまた意識を飛ばし、眠りについた。 「死ぬな・・・・・死なさへん・・・・・・死なせへんから・・・・・・・」 そんな2人を、石井は複雑な表情で見つめていた。 石田が眠ってしばらく経つと、石井は水口に問い掛けた。 「貴方が埋葬した人間の中に、私の相方の石塚はいましたか?」 「いいえ・・・・・おられなかったですけど。」 ズッと鼻水をすすりながら、水口は答えた。 「・・・・差し支えなければ、今まで誰を埋葬なさったのか教えていただけないでしょうか?」 水口は今まで埋葬した9人の名前を言った。知った名もあったのだろう、表情に影がさした。 「その全員を彼と?」 「いいえ、あいつと会う前に3人・・・あいつは6人の人を、あと・・・」 「あと?」 「あと、もう1人・・・・僕の相方がいたんです。」 「いた?・・・・貴方、お名前とコンビ名は?」 「水口です。ソラシドの水口 靖一郎といいます。」 「ソラシド・・・・? !・・・記憶違いでなければ、今日の朝の放送の・・・・」 「ええ、そうです!僕の相方の本坊元児・・・・あいつはもう死んだんです!殺されたんです!! 俺の・・・・俺のせいなんです・・・・だから、だから石田まで死なせるわけにはいかないんです!!!」 水口の悲痛な叫びに、石井は言葉を詰まらせる。5分ほど経って、石井はまた水口に質問を投げかけた。
「”死生学”というのをご存知ですか?」 「死生学?・・・・いいえ。」 聞き慣れない単語に水口は首を傾げる。 「死と向き合う事で、死までの生き方を考えようという学問です。」 何故そんな小難しい事を今?という水口の疑問をよそに、石井は続ける。 「死を認識していく事で、死への恐怖は薄れていくという考えです。 人は遺体に対面し、埋葬し、墓標を立てる事で悲しみが癒されるんだそうです。 ・・・・・・貴方がそうしたようにね。」 石井の質問の意図を水口は理解した。 「僕は・・・・・・ただ、芸人のみんなが腐っていくのが嫌やったから、そうしただけです。 死生学がどうとか、認識がどうとか難しい事は考えてませんよ・・・・」 「理由はどうあれ、貴方のなさっている事は有意義な事ですよ。 現に私は貴方達の作った墓標を見て、殺意を持つ事が馬鹿らしく思えました。 あの墓が、参加者の憎しみを和らげる事も出来るのかもしれないのです。」 言い終わるとすぐ、石井は横に積んであった本を取り出した。 「・・・・この本は死生学の入門書です。暇つぶしに読もうとした本でしたが、中々興味深い。 考えて見れば、今の状況にこれ程適した学問書はない。読み進めて、色々な事がわかりました。 最近では遺族に生前の姿を保ったまま対面させる事の出来るエンバーミングという技術が・・・・・」 「何が言いたいんですか?」 石井の弁舌を水口は唐突に止めた。石井の少し綻ばせた口元は、すぐに真っ直ぐになった。 「・・・・・では、回りくどい言い方はやめましょう。彼を置いて、すぐにここを出なさい。 残念ですが、彼はもう助からない。」 「そんなことっ・・・・!石田は死にませんよ!!俺が死なせません!」 「彼は私が思ったよりも衰弱している。医師どころか処方薬もない今、助かる可能性は低い。 さっきも殆ど食べ物を受け付けなかったでしょう?」 「俺が!俺が絶対に・・・・死なせません!!」 「医療の知識も無い貴方が、いや、我々がどうにか出来るとでも?」
「! それは・・・・・・」 「このままでは貴方も共倒れになります。貴方もまだ死にたくはないでしょう? 幸いここにゴム手袋なんかはありますから、それを着用すれば感染の危険性も下がる。 彼が持っているのも中々当たりの武器の様ですし・・・・あれも持っていけば」 「石田の荷物もパクって見捨てろ言うんですか!!」 あまりに理不尽な石井の言い分に、水口は思わず声を荒げて掴みかかる。 それでも石井は怯まず、取り乱す事はない。しばしの沈黙。 荒い呼吸音と、その中の微かな声が、それを破った。 「・・・・・・さ・・・ん・・・」 「石田っ!!」 「・・・・・さん・・・俺・・・・」 「石田!俺やったらここにいる、ここにいるから!!」 水口は石田に駆け寄り、両手で石田の右手を覆う。だが、石田が呼んでいるのは水口ではなく。 「本・・・・坊・・さん、俺・・・、ね・・・・・」 自分ではなく、もうここにはいない相方の名前だった。 「本坊って・・・・なんで・・・・・」 石田は水口を見ず、天井を見て語りかけるように話す。 「本坊さん、は・・・・みんなで・・・いっしょに、死のうって、言わはったけど・・・・俺、ちがうんですよ。 俺、ちっちゃい時から、体弱くて・・・ずっと保育器入ってて・・・・・そのせいでおかん過保護で、 4人兄弟の・・・末やったから、兄弟も可愛がってくれて・・・・・高校の時も、チビやったから、 みんなのマスコットで・・・・今のbaseやと、いっぱい・・・・お客さんが入って笑ろてくれはって・・・・」 「石田・・・・何言うてんねや?」 「生きてる間、いろんな・・・人が、俺らにやさしく・・・・してくれはったでしょ? 生まれてくるとき、生きてるとき、みんなにかこまれてきたんやから・・・・・・ やったら、死ぬ時は、ひとりでええんちゃうかな、って・・・・」 「何言うてんねん!生きるんやろ!?・・・・死なへんやろっ!!?」 その叫びに反応し、石田は涙でぐしゃぐしゃの水口の顔を見た。 「水口さん・・・・俺、今・・・死ぬの怖くないんですよ・・・・・だって、向こうには、本坊さんや隅田さん・・・ 西田さんや、他の先輩も、後輩も・・・・・いるんやから・・・・今の俺には、わかります・・・・ 死んだ人の、こと・・・好きやったら、死ぬのは、こわくないって。」
「嫌や・・・・そんなんいややっ!!」 「・・・・そうしないと、水口さんが死ぬでしょ?」 そう言うとすぐ、どこにそんなに力が残っていたのだろうか、 石田は床のオフェンスキープを取るべく手を伸ばし、床に転げ落ちた。 ”自殺” その最悪の選択を防ぐべく、水口は石田からオフェンスキープを取り上げる。 石田は鞘を、水口は柄を取り合い刀身がキンと高い音を立てて抜けた。 やった、刀の部分がなければ自殺なんて出来ない。 そう水口が安心した瞬間、石田は鞘の先を自分の胸に押し当てた。 オフェンスキープの説明書にはこうあった。 「鞘(シース)には麻酔銃とスタンガン内臓! ちなみにスタンガンはモード選択可能です。」 ”スタンガンはモード選択可能”モードは全部で4つ。・・・・・・気絶から死亡まで。 その説明文を水口が思い出した時に、スタンガンの電流が走った。 「井上・・・・・・ごめん、な・・・・・・・・・」 それが、石田の最期の言葉だった。
【NONSTYLE 石田 明 死亡(自殺)】
【ソラシド 水口 靖一郎
所持品:スコップ、ガム
基本行動方針:遺体を発見時、埋葬し弔う。
第一行動方針:より多くの遺体を埋葬
最終行動方針:未定
【アリtoキリギリス 石井 正則
所持品:割り箸鉄砲 その他不明
第一行動方針:相方を探す
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明】
【現在位置:病院(D5)】
【8/17 00:31】
【投下番号:188】
>>49-56 乙です。光浦の時もそうだったけど、貴方の書く独白はリアルでいて面白い。
髪の毛の抜け具合が生々しくて笑ってしまった・・・
>>60-62 菅の相方大好きエピを知ってるから、宇治原を気遣う菅が出てくるのは何か嬉しい。
銃声で閉じられる話はやはり続きが気になるなと思う。
77 :
名無し草 :2007/02/21(水) 03:20:10
投下乙です。 石井が実にいい味出してますね。彼の言葉で空気が変わります。 死を選ぶ石田が切なかったです。水口の心中を考えると胸が痛みます。 また続きも楽しみに待っております。
78 :
名無し草 :2007/02/21(水) 11:59:48
乙です。 良い意味で鳥肌が立ちました。もう本当に石田自殺の部分は凄すぎる。 特にオフェンスキープと及びその説明の出し所、素晴らしいと思います。 石井の使い方も面白いですね。次回も楽しみにしています。 しかし、石田が自殺とは……。
79 :
名無し草 :2007/02/21(水) 12:26:35
ソラシド水口&ノンスタ石田編 死んだ芸人を埋葬してきたことが石田の死を早める結果になってしまったというのが切なかったです。 アリキリ石井の一人称は「私」より「僕」のほうがしっくり来るかな。個人的な意見ですが。 石井ってまだこの話とキンコメ高橋話の2つにしか登場していないのに凄い存在感。 今後の使われ方が楽しみです。
80 :
名無し草 :2007/02/21(水) 12:32:55
乙です。 石田……。・゚・(ノД`)・゚・。 石井は狂気の殺人者役も似合うとは思いますが やっぱりこういう役の方が嬉しいですね。
81 :
名無し草 :2007/02/21(水) 14:48:21
乙です。 水口独りぼっちに…!石井がこの状況でどう出るかも気になりますね。
>>49-56 の続きで江頭編です。長いです。
8月16日、午前6時17分。外はすでに朝日が昇り、広がるのは昨日よりも幾分雲の多い空。
元町のある民家の中、6時の放送で目覚めた江頭は、かりかりと乾パンをかじっていた。
支給されたそれはそう不味いものでもないが、そう旨いものでもない。
とはいえ彼はそれほど食にうるさいほうでもないので、特に文句など言うつもりはなかった。
量からして二日分程度の食料をできるだけ保たせるために、ゆっくりと咀嚼していくだけだ。
それに彼には、今口にしている食事の味云々よりも、はるかに気にかかることがあった。
それは目の前に座っている、ある男の心中だ。無言で手のひらにのせた乾パンをつついている男。
男は昨晩遅くに江頭のいるこの民家の扉を開けた。それは本当に偶然の出来事だったのだ。
時は8月15日、午後9時07分に戻る。この1時間ほど前に江頭は一旦家捜しを終えていた。
このとき彼は、夕食の乾パンを水で流し込みながら地図を見ようとして、民家内の暗さに気づく。
屋根の穴から星や月の明かりが僅かに入るだけの状態に閉口し、江頭は勝手口を開け放した。
勝手口に近い竃のあたりが星と月に照らされて浮かび上がる。これならば目も利きそうだった。
そこで江頭は再び、手指を灰だらけにしながら、竃の付近をしらみつぶしに捜索し始める。
18分後、手のひら大の半透明の石と、木切れに金属を挟んだものが落ちているのを発見した。
それを拾い上げて木切れの方をよく見てみると、「火打鎌」という焼き印が押してある。
石のほうに火打鎌を打ちつけてみると、見事に火花が出た。火打石と火打鎌のセットだったのだ。
江頭は戸外に出て小さな木切れを拾い、顎で結んでいた手ぬぐいを一旦片方はずして細く裂いた。
最初は手こずったが、何度かやっているうちに手ぬぐいに火花がうまく散り、火が繊維に移る。
これを木切れに巻きつけて無理矢理火を移し、小さな松明をつくって座敷の床板の穴に挿した。
そんな簡易照明器具を前に、江頭が胡座をかいてから2時間弱。午後11時17分のことだ。 眠気が襲ってきたためにあくびをしながら、彼はぼんやりと民家の座敷に座り込んでいた。 江頭は胸毛をむしり、痛みで覚醒を促す。まだ今は、睡魔に負けるわけにいかない理由があった。 次の午前0時の放送を聞いてからでなければ、目をつむるわけにはいかないのだ。 一人でいる以上、与えられる情報を聞き漏らすのは得策でない。そのあたりは彼も心得ている。 だが江頭は、わざわざ狙って下さいと言わんばかりの自分の位置どりには気づいていない。 彼がいる座敷は本来、閉め切られていたのだが、家捜しのときに木戸を一枚開けてしまった。 ちょうどこの木戸の開いた、外部からの攻撃を防ぐ方法のない空間に江頭は腰を落ちつけている。 玄関から見て右前方、座敷の隅にいる彼は、室内に顔を向けているので左半身が丸見えだ。 しかも灯りがあるおかげで、闇の中に江頭の姿は浮かび上がっており、格好の的になるだろう。 銃の類で狙われればひとたまりもないそんな場所に腰をおろして、彼は生あくびをしていた。 勝手口と玄関は閉められていたが、戸板の穴から座敷の松明の橙の光が外に少しこぼれている。 誰かがこの光に気づいて、銃を携えつつ玄関から入り込もうものなら、一巻の終わりだ。 江頭にはまだ、血みどろのゲームを生き抜くための危機感と、用心が足りない。 そして、その危機感の足りない彼を心底驚かす出会いが、それから3分後に用意されていた。
8月15日、午後11時20分。江頭のいる古びた民家の玄関の木戸に、一人の男が手をかける。 その指先は繊細に動き、ほとんど音も立てずに木戸を引いて、数センチの隙間を作り出した。 男はその隙間に銃口をさし込み、内部をのぞき込む。座敷にある人影に気づき、目をこらした。 火に照らされた人影が江頭だと知った男は、微笑んで銃をしまう。そして再び戸に手をかけた。 またも静かに、細心の注意を払って開かれ、閉じられた木戸。江頭の耳に木戸の軋みは届かない。 抜き足、差し足、忍び足。男は座敷にいる江頭の元へ、できる限りそうっと近づいていった。 江頭の視界に入らないようわざと大回りして、松明の光の届かない暗い土間の隅を歩く。 無防備な横顔を晒している江頭の斜め後ろ、座敷への上がり段の前にたどり着いた。 深呼吸を一つすると、ニヤニヤと笑いながら男は、少しばかり大きな声で江頭に呼びかけた。 「エーガーちゃん!」 「…ひぃあああああああ!」 突然名前を呼ばれた江頭は、素っ頓狂な声をあげてふりむき、おかしな格好で後ずさった。 そのはずみで床板に開いていた、松明を挿したものとは別の穴に臀部がズボリとはまる。 尻だけ腐った床の穴にはめこんだまま、ブリッジを始める前のような体勢で江頭は固まった。 が、声をかけてきた相手が自分のよく知る人物であることに気づくと、ほっと息を吐く。 「た、玉ちゃん…」 「おいおいエガちゃん、ちょっと油断しすぎじゃあねぇか?」
江頭を思いっきりうろたえさせた男、浅草キッドの玉袋筋太郎はそう言ってけたけたと笑った。 行儀は気にせず靴のまま上がり段を踏みつけて座敷に上がると、玉袋は江頭に手を貸す。 それにつかまって起き上がった江頭は、もう一度床の腐っていない部分に座りなおした。 玉袋も座敷の床板を探ったあと腰をおろして、二人は床板に挿した松明を挟んで向き合う。 「…にしてもエガちゃん、どうしたよその格好?」 肩からおろしたデイパックを横に置きながら、座敷の木戸を閉めた玉袋が江頭に問いかける。 これで座敷は再び閉め切り状態になった。玄関からでは人の有無を確認することができない。 江頭はまだ少しおどおどしたようすだったが、玉袋の質問に素直に答えを述べた。 「身体、守ろうと思ったんだよぉ」 「…鍋と風呂敷で?」 「ウエストポーチもあるんだ、あとほら、おたま」 言いながら江頭は、腰に下げていた剣代わりのおたまをひょいと持ち上げて玉袋に見せる。 「…エガちゃん、何つーかやっぱ、イイなぁ」 決して馬鹿にする口調ではなく、心からの思いを吐露するといった風情で玉袋は呟いた。 この状況で、鍋をかぶり風呂敷をマントにしてウエストポーチを巻き、おたまを持っている江頭。 そのある意味で恐ろしいほどに芸人らしい姿を、玉袋は少しばかり眩しそうに見つめる。 それから二人はたわいもない話や、これまでの道中についての話をぽつぽつと続けた。 普段なら仕事のことが会話のネタだが、今日は互いが避けている。次第に話の種も尽き始めた。 二人が同時に口をつぐんだ絶妙のタイミングで、妙に明るいメロディが大音量で響く。 びくり、と二人の肩が震え、これまた同時に、各々のデイパックへと手が伸びた。 鉛筆と名簿、地図をとり出して放送を聞く。耳障りなノイズ。どうも音割れしているようだ。
『芸人諸君、頑張って殺し合ってるか?』 第二回目の放送は、またその言葉から始まる。たけしは淡々と、今回の死者の名を告げ始めた。 『115番、水道橋博士…アイツぁ“神様”とやらに天から落っことされた』 その言葉を聞いた瞬間、稲妻が身を貫くような強烈な衝撃を感じ、江頭はうめき声を上げる。 自分の耳に入った情報が現実のものとはとても信じられず、江頭の視線は宙をさまよった。 水道橋の相方である、自分の前にいる男の胸の内を慮った江頭は、玉袋の表情をうかがう。 たけしの声で告げられた相方の名前は、心臓を握りつぶす残酷さで玉袋の耳に滑り込んでいた。 名簿の死者名に横線を引いていた玉袋の手は、水道橋博士の名を聞いた瞬間、ぴたりと止まる。 絶望という言葉で呼ぶのすら憚られるほどの、圧倒的な虚無が玉袋を襲い、食いつくした。 十数秒間、完全な空白に落とし込まれた玉袋を次に苛んだのは、深くやるせない怒りだ。 玉袋の身体は、目の前に座っている江頭が胸を痛めるほどに、ぶるぶると激しく震えていた。 右手に握った鉛筆は、名簿の水道橋の名前の数ミリ上をいびつな円を描きながらさまよっている。 それから数十秒ののち、玉袋の手の中の鉛筆が、ボキリと音を立てて真二つに折れた。 江頭は、まるでその破壊音を合図にしたかのように、玉袋から視線をはずす。 今まさに玉袋の感情の爆発が起こらんとしているのだと、鋭敏に悟った江頭の優しさだった。 そこには意味のある言葉も、嗚咽もなかった。およそ、唇からこぼれる類の音は何もない。 ただ、座敷の黒い床板にかたく握りしめた左拳を叩き付ける音だけが、真夜中の廃屋に響いた。 何度も、何度もその音は夜を裂き、流れるたけしの声と混じりあって呪詛のように地に落ちる。 いつしか床板がベキリと音を立てて叩き割られ、尖った板の先が玉袋の左拳に突き刺さった。 それでも床に向かって拳をふり下ろそうとした玉袋を、江頭が手首を無理につかんで止める。 言葉もなく見上げた玉袋の目が、あまりにも暗く悲愴な色を浮かべていて、江頭は絶句した。 玉袋は、その絶句した江頭の、松明の橙の光の中でも蒼白な顔を見て、小さく唇を震わせる。
「…え、がちゃ、ん」 おかしなところで区切られた自分の名前を聞き、江頭は握ったままだった玉袋の左手首を放した。 支えを失った玉袋の左手は一瞬ぐらりと揺れ、ボーダーのシャツの胸元に引き寄せられる。 白と茶色の太い横縞が、手のひらの中にたぐり寄せられ、くしゃくしゃと放射状の皺を作った。 玉袋の左手の甲には割れた床板が刺さったままで、そこから赤い血が溢れ出している。 滴った血液が、胡座をかいた玉袋の前に置かれた名簿の、『水道橋博士』の文字の上に落ちた。 「…あー、怪我、しちまった…」 玉袋が小さくごちた、そのタイミングで第二回の放送は終わりを告げる。廃屋に再び訪れる静寂。 無言のまま、玉袋は右の手のひらを開く。中で折れていた鉛筆が、ころころと床に転げた。 その右手を自分のデイパックに伸ばし、中を探って出したのは、ガーゼ、包帯、傷薬、消毒薬。 江頭は、自分の持ち合わせない医療品をデイパックからとり出した玉袋に驚いて、目を見開く。 その様子に気づいたのか、玉袋は少しだけ唇の端を持ち上げて、江頭の疑問を解いてやった。 「ここ来る前にさぁ、病院寄ったのよ、何か使えるモンあるかもしんねぇと思って」 「ああ、病院…」 「まぁ医者なんてのは居やしねぇんだけど、薬とか包帯とかは結構あった」 「そ、か」 「…っ、と、染みるなぁ」 言いながら自分の傷を治療する玉袋を、江頭はただ見つめることしかできなかった。 平静を装う玉袋の指先は、まだ小刻みに震えている。それを知っていても江頭は、口に出さない。 ただ静かに時だけが流れ、時折パチパチとはぜる松明の火の音が二人の鼓膜を振動させた。
「エガちゃん」 「うん?」 「ごめんなぁ、放送、最後まで聞けなかっただろ」 「…い、いいよ、いいよ、そんなの」 「もうさ、寝とけよ、夜中だし…明日また朝の6時に流れんだろ、あの放送」 「でも、玉ちゃんは」 「俺はさぁ、今日ちょっと…多分、寝られねぇからさ」 「玉ちゃん…」 「…心配すんなよ、襲ったりしねぇからさぁ」 そうおどけて言った玉袋に、江頭は眉根を寄せたまま笑った。コクコクと首を小さく縦に振る。 組んだ足をぎこちない仕草でほどいて立ち上がると、松明に手を伸ばしながら江頭は言った。 「座布団、あったから…とってくる」 その言葉に玉袋は頷いて、包帯の巻かれた手を軽く挙げる。その白が、暗い中に浮かびあがった。 松明をかかげた江頭は、腐った床板に注意を払いながら、座敷の逆の隅の方へと向かっていく。 そこには綿の出たボロボロの座布団が三枚、置き去りにされていた。江頭はそれを脇に抱えて戻る。 持ち歩いた松明を先ほどと同じ穴にまた挿すと、柔らかな灯りが二人の顔を照らし出した。 「玉ちゃん、これ、使って」 「ああ…ありがとな」 座布団を受けとると、玉袋はそれを尻の下に敷く。それから静かに身体の向きを変えた。 江頭は玉袋の背中を見ながら、座布団を二枚並べて置き、金だらい入りのデイパックを枕にする。 長身の江頭にとっては少しばかり不十分な寝床だったが、特に気にはならなかった。
「お、おやすみ、玉ちゃん」 「…おう、おやすみ」 玉袋は背中を向けたまま答えを返し、江頭はそれを聞いて身体の力を抜き、すぐに眠りについた。 そのあと、朝が来るまで玉袋がどうやって過ごしたのか、熟睡していた江頭は知らない。 午前6時少し前に揺すり起こされたとき、松明とは違う、朝の白っぽい光に江頭は目をこすった。 松明は消されていたが、玉袋の手で座敷の逆端の木戸が数枚開け放され、勝手口の戸も開いている。 おかげで採光はできていた。しかも二人がいる場所から勝手口は見えるが、勝手口側からは死角だ。 それはおそらく玉袋なりの自衛心が生んだ工夫で、江頭に比べればはるかに慎重な行為だと言える。 そんな気の利いた行動のおかげで、さし込む朝の光に玉袋の目の下の隈がくっきり浮かび上がった。 その青黒い隈に江頭は、眉間にまた少し皺を寄せる。そして、小さな溜息を吐いたのだった。 江頭の溜息は、毎度毎度タイミングのいい放送の、始まりの音楽にかき消され、玉袋には届かない。 放送中の異常な出来事に一瞬、顔を見合わせはしたものの、最後まで二人は口を閉じたままだった。 そうして話は冒頭に戻る。8月16日、午前6時17分、江頭はじっと玉袋の出方をうかがっていた。 自分の歯が乾パンを噛み砕く、くぐもった音を聞きながら、玉袋の額あたりを見る。 目は合わせられなかった。合わせてしまえば、何か余計なことを口にしてしまいそうだったから。 だが、あえて視線をはずしていた江頭に対して、玉袋が故意に目を合わせ、言葉を発した。 「…エガちゃん」 「…う、ん?」 「あのさぁ、『ビートたけしのオールナイトニッポン』さ、エガちゃんも知ってんだろ?」 「…知ってる」 その内容は非常に唐突で、江頭は瞬間面食らったが、それでも普通に言葉を返す。 そんな江頭の顔を確かめるように見て、玉袋は一度目を伏せてから、視線を天井の梁へ移した。
「…毎週、俺、新宿から通ったんだ、有楽町…そんで弟子にしてもらってさ、芸人になった」 「俺も、毎週、聞いてた」 「いろいろあったけどさ、後悔なんてひとっつもしちゃいねぇのよ、芸人になったこと」 「…うん」 「アイツも…、博士、も多分、そうだと思うよ」 静かな声で、玉袋は相方の名を呟く。瞬間、その身体は震えたが、それでも言葉は切らなかった。 「…でも、何でアイツさぁ、死ななきゃなんなかったんだろうな」 わずかに揺れ、滲んだ声が空気に溶けていく。熱い風が、二人の頬を乱暴に撫でていった。 玉袋は天井を見上げたまま、一筋の涙を流す。そんな玉袋にかける言葉を、江頭は持たない。 自分の知るどんな言葉も今、無意味な響きしか持たないように思われた。江頭の心は沈む。 …目の前で涙を流す友にかけるべき、たった一言すら知らないなんて。俺は、なんて無力なんだ。 それでも江頭は、そこで諦めなかった。何も言わずに、何もせずに終わろうとはしなかった。 それは江頭の意地だった。玉袋の友人としての、そして一人の芸人としての意地だった。 …俺は芸人としてしか生きられない。 …いや、俺は芸人としてしか“生きない”。 このとき、このプログラムに身を置いてから初めて、江頭は自分の進む道を自分の意志で選んだ。 選んだ道は、険しい茨の道。それでも、その道を行くと決めた江頭は、拳を強く、強く握った。 その場の空気の恐るべき重さと、悲鳴をあげそうにドクドクと鳴る心臓の痛みに耐えて口を開く。
「…玉ちゃん」 「ん?」 「お、俺ね、オールナイトニッポン聞いて、たけし軍団入りたくて上京したんだ」 「…うん」 「俺、すごい憧れたよ、…今だってそうだよ」 「…うん」 「でもね、俺、このプログラム、は…」 そこで言葉を切って江頭は素早く立ち上がる。その体は小さく震え、頭の鍋がペコ、と鳴った。 体中に力がみなぎってゆく。一瞬ののち、江頭の身体が凄まじい速さと滑らかさで動いた。 左足を右足の前に出して交差させ、左腕を曲げたままもちあげて頭の後ろへやり、脇を見せる。 右手で脇毛をブチリとむしり、前へ投げ捨てながら江頭は、玉袋の目を見つめて全力で叫んだ。 「がっぺ、むかつく!」 瞬間、世界の音がすべて消え去ったかのような真っ白な静寂がその場に横たわった。 ふわふわと脇毛が舞い落ちてゆく。その数秒が江頭には、何時間にも、何十時間にも感じられた。 “すべった”のか、と言うなら否だ。もはやそんなレベルを越えた重さの時間がそこにあった。 脇丸出し、右手を前に突き出した姿のまま立ちつくす江頭の前に、呆気にとられた様子の玉袋。 地面に座り込んだ彼は、目と口をぽっかりとあけたまま江頭を見上げ、微動だにしない。 渾身のギャグは完全に失敗したかに思われた。が、江頭が諦めて謝ろうかと思ったそのとき。 「…は、はは、あははははは、エガちゃ、エガちゃん…!」
突然震えた玉袋の唇から、笑い声がこぼれた。急激にツボに入ったらしく、息継ぎがおかしい。 喉をつまらせながら、江頭の名を呼んで玉袋は笑う。それでも自信なさそうに、江頭は呟いた。 「う、ウケた…?」 「え、エガちゃ、すげぇ! ほんと、も、すげぇよ!」 少ししゃがんで玉袋の様子をうかがおうとする江頭の、黒タイツの足を玉袋がバシバシ叩く。 玉袋は顔をくしゃくしゃにして笑った。溢れる涙はもはや、悲しみだけをたたえてはいない。 破顔した玉袋を見て、江頭まで嬉しくなって笑いだす。廃屋に大きな笑い声が響いた。 「…エガちゃん、ありがとな」 ひとしきり笑いあったあと、玉袋は涙を拭いて言う。その言葉の響きは深く、あたたかい。 江頭のギャグが、自分を笑わせるための捨て身のそれであったことを、玉袋は理解していた。 芸人・江頭2:50の、最高の誠意。それを玉袋は感じ、受け止めた。自らも芸人であるゆえに。 玉袋の感謝の言葉を受けて、江頭は照れたように頭を掻き、身体をくねらせて小さく笑った。
【玉袋筋太郎(浅草キッド)】 所持品:拳銃、ガーゼ、包帯、傷薬、消毒薬、他不明 第一行動方針:不明 基本行動方針:不明 最終行動方針:不明 現在位置:元町の民家内(E5) 【江頭2:50(江頭秀晴)】 所持品:金だらい(大) 真鍮の鍋と古手ぬぐいのヘルメット・唐草模様の風呂敷のマント 蛍光イエローのウエストポーチの腰帯・おたまの剣 火打鎌と火打石のセット 第一行動方針:芸人としてすべきことをする 基本行動方針:芸人としてすべきことをする 最終行動方針:芸人としてのみ生きる 現在位置:元町の民家内(E5) 【8/16 06:24】 【投下番号:189】
94 :
名無し草 :2007/02/21(水) 19:52:30
おつです! エガちゃんかっこいいなあ 泣きそうになってしまいました
95 :
名無し草 :2007/02/21(水) 20:07:33
新作乙です。 江頭かっこいいぜ!! 玉ちゃんも博士の分までイキロ!
96 :
名無し草 :2007/02/21(水) 23:19:36
何だ、このスレ ガクブル
97 :
名無し草 :2007/02/22(木) 00:00:14
乙です!! 表現ウマすぎですっ。もう最後らへん感動して泣きそうになりましたよ。
98 :
名無し草 :2007/02/22(木) 04:54:00
最近話題のザ・ちゃらんぽらん(元ライセンス)の 藤原、井本をまた出してもらえませんか?お願いします!
99 :
名無し草 :2007/02/22(木) 07:32:51
土肥ポン太もお願いしますm(__)mあと犬井ヒロシも
ザ・ちゃらんぽらんって何?
不謹慎かもしれないけれど、 江頭&玉袋編にちょっとほっこりしてしまった。
>>100 元ライセンス
改名後 ザ・ちゃらんぽらん
第3世代や爆問も登場キボン
104 :
名無し草 :2007/02/22(木) 17:22:43
アクセルホッパーもお願いしま〜す
何この流れww天麩羅よく読めw えがちゃんよかった!書き手さん乙
新作乙! >俺は、なんて無力なんだ。 名言きたぁぁぁ
108 :
名無し草 :2007/02/22(木) 19:41:02
ですよを出してほしいです!!
109 :
名無し草 :2007/02/22(木) 23:05:54
2007年バージョンのスレ立ててもいい? 全然完結する気配ないし、早く違う人使って話書きたいし。
それって、またスタートからってこと? だったら同じことじゃん…これ完結させようよ
>>109 >早く違う人使って話を書きたい
なんて理由で立てられたスレがまともに機能するとは思えないけどね。
すぐに「自分の使いたい人が死んだから別のスレを立てたい」って人が出てきそうだ。
フット後藤編の挿入でピース又吉編、投下します。 目覚めの直前の感覚ほど心地よいものはない。 どこかで目覚めようと意識はあるのだがその心地よい感触にしがみついていたいと思う。 だが、それもいつも通り仕掛けられた目覚ましの音によって終焉を迎える。 耳をつんざくような音が瞬く間に現実へと引き戻すのだ。 だが、今朝の意識を覚醒させた音は時計のベルの音ではなく 冷たく響いた銃声だった。 「今の…」 はっと目覚めた又吉の視界に急に刺さってきたのは蛍光灯の様な人工的な光ではなく 自然のものである太陽の光。 辺りは昇りかけた朝日に照らされてはじめていた。 眠る前と変わらない森の中。罠に捕まり動けないでいる家城の姿。 目が覚めればバトルロワイアルに巻き込まれるという悪い夢だったというオチではなく これが現実なんだと、朝日と共に突き刺さってくる。 いつもの日常は昨日で終わりを告げたことを改めて痛感した。 「又吉っ無事?」 まだ完全に覚醒しきっていない中で問いかけてきた家城の声に又吉はとりあえずうなずく。 今のところ自分に異常はないが聞こえてきたのは紛れもなく銃声 近くに誰かいるのかと体を伏せて周りを見回してみるが家城以外に気配は感じられない。 「一体何があったんですか…さっきの音」 「そんなの俺だって知りたいよ。けどさっきの音は…」 とまどう二人の会話に割って入るように突然クラシックの音が辺りに響き始めた。
やがて、その銃声がスピーカーから聞こえてきたものだと知るがそれと同時に残酷な現実を知ることとなる。 ビートたけしの声で告げられた人物の名前は参加者名簿に掲載されている人物の名前で その人物が今響いている銃声の犠牲になったという事を それを知ったところで二人に何ができるわけではない。 ただ呆然とその事実を受け止める事しかできなかった。 「なぁ…命って、こんなにあっさり奪われてもいいのかよ!」 叫びながらも家城の声は震えている。 又吉もどうしようもないやるせなさを感じてはいたが家城と同じように震えが止まらず 唇をかみ締める事しかできなかった。 どのくらい時間が経ったのかわからないが長く続いていた痛い沈黙を破ったのは家城だった。 「又吉。知りたくないけど、さっきの放送で呼ばれた奴の名前教えてくれない?」 広げられた参加者名簿 放送で名前を呼ばれる事。それはバトルロワイアルの脱落者、つまりその人物の死を意味する。 その放送がいかに重要な意味を成しているかはわかっていた。 だが、家城に問われた又吉の返答は歯切れの悪いものだった。 「家城さんは…放送聞いてたんやないんですか?」 「俺?俺さっきまで寝てたよ。目覚めたのは銃声が響いてから」 「あの…俺も、なんですけど」 「へっ?」 「俺もさっきまで寝とって…多分、家城さんと全く同じタイミングで…起きて」 固まる家城 苦笑いを浮かべる又吉 もはやお馴染みになりそうな妙な空気 「えーと、今バトルロワイアル真っ只中だよね」 「そうですね」 「いつ殺されてもおかしくない状況だよね」 「危険極まりない状況ですね」 「え?二人して寝てたの?完全無防備で?」 「完全無防備の上、野ざらしでしたけどよく無事でしたね、お互いに」
「ごめん。ちょっといい」 突然家城は後ろを向き深呼吸をはじめた。 「家城さん?」 「あーっ!マジで?どんな奇跡?うぅわ今俺すっごい心臓バクバクしてる!」 おそらく緊張の糸が切れたのであろう家城は声を荒げ大げさに肩で息をしだした。 「家城さん声大きいです」 「あー、ゴメンゴメン。何かテンション上がっちゃった。でもある意味この状況で二人して無事ってミラクルじゃない?」 「ミラクルかどうか知らないですけど、無事なんは喜ばしい事やと思いますよ」 「まぁ、もし見つかってたとしても気味悪い死体が転がってるとか思われたんじゃねーの?」 片や眉毛がなくのっぺりとした色白の男と片や顔色が悪く日頃から生気がないといわれている男が森の中で二人して倒れて、 この場合は寝ていたのだがそんな不気味極まりない状況に遭遇したのであればおそらく8割方の人は何も見なかったとして 関わり合いを避けようとする。むしろそれが正しい判断であろう。 「十分ありうる可能性ですね…不名誉ですけど」 「でも、それは芸人としては…おいしいよね」 「問題点そこですか?」 「でも。普通どっちかが見張りでどっちかが休むとか、そんな交代制度にならない?」 「家城さん最初寝てはりましたよね?やから順番的に考えて俺が先に寝てもえぇんかなと思ったんですけど」 「俺は寝てる間に又吉が何とかしてくれてるって思ってたから、速攻で寝たけど…」 「それ、どこのおとぎ話の小人ですか?」 「できるでしょ、又吉なら」 「色々と不可能ですって。」 「すっげぇ期待はずれ…」 「変な期待せんとって下さいよ。第一放送聞き逃したのは互いに自業自得ですよ」 相方を探して昨日は一日中島内を歩き回ったせいか思った以上に疲労が溜まったのだろう。 家城と合流して一時間もしない内に自然と眠ってしまった。 夜中の放送を聞いた記憶もない。 つまり2度も放送を聞き逃している。 その間に自分達のいるエリアが禁止区域にならなかったのが幸いといえるだろう。
「痛恨のミスだよねぇ…林が生きてんのかわからないし。どうするの?」 「どうするって…どうにかなるもんやないとも思うんですけど…」 「え?もしかして再放送とかあったりする?」 「家城さん…再放送してほしいですか?」 もし、その願いが叶ったとしても再びあの人の命を奪った銃声を耳にするかもしれないと思うと 却下したい願いであった。 だが、今の二人には互いの相方の生死を確かめたくともそれができない 亡くなった芸人として二度流れた放送の中で彼が名前を連ね呼ばれていたとしたら・・・・ どうする事もできず再び沈黙が支配しようとした中それを破ったのは再び家城だった。 「はーやーしー!死んでたら返事しろー!」 「ちょっ!家城さんっ声」 突然あげられた声と、叫んだ内容の矛盾さに驚き又吉は焦った。 だが当の家城は満足そうに挙句の果ては拳を握り締めている。 「よし、返事なかった。」 「当たり前やないですか、死んでたら返事なんてできませんよ」 「返事がない、つまり林は死んでない、絶対に生きてる。そういう事だよ」 「家城さん…?」 「死んでるかもしれない、でも生きているかもしれない…どっちかわからないけど どうせなら生きてるって信じたいじゃない。だから俺は信じるよ」 「…家城さんは信じてるんですね。林さんが生きてるって」 「まぁね、だって俺失踪したアイツの事信じて一年待った事もあるし。 たった一日くらいどうって事ないって。」 元よりネガティブな思考ゆえにインクの染みのように焦りと不安が広がっていく自分に対して、 こんな不確かな状況で、ただ相方を信じる事ができる。 それは簡単な事ではないはずなのにあっさりと、だが力強く言い切れる家城が又吉は羨ましかった。 「又吉は信じてないの?綾部の事」 「俺も信じ…たいです。でも…」 「歯切れ悪いなー。だから吉村とかに根暗って言われんだよ。」 「余計なお世話です。」
生きていると信じたい、だが生きていたからといって無事だという確証もない。 生きていたとしても次の瞬間には死んでいるかもしれない。 もしくは、もうとっくに死んでしまっているのかもしれない。 (・・・・っ・・祐ちゃん) 生きているのか、死んでいるのかわからない。まるでそれは… 「シュレーディンガーの猫…」 又吉の呟きは残りわずかの生を謳歌する蝉の鳴き声にかき消されていった。 【ピース 又吉直樹】 所持品:コルトSAAアーティラリー(24/24)、文庫本 状態:良好 第一行動方針:家城の救出 基本行動方針:相方を探す 最終行動方針:不明 【カリカ 家城啓之】 所持品:靴べら(破損) 状態: 左足を負傷 第一行動方針:罠からの脱出 基本行動方針:相方を信じる 最終行動方針:不明 【現在位置:D6・森】 【8/16 7:14】 【投下番号:190】
投下乙です。 二人揃って寝ていたとはっ…!相方をとことん信じる家城カッコヨス。
投下ペース早くて読むのも大変… 皆さん乙です!
乙です。 何とはなしにスローペースな二人ですね。 家城いいなあ。
江頭編といい家城編といい、バトロワ中にほっこりする話が多いなVv 各書き手さんGJ!
書き手さんGJ 読むのが大変なのはとてもうれしいことだ
122 :
優香 :2007/02/24(土) 13:50:32
初めましてェ(^O^)優香と言ぃマス!J歳の小Dデス。私もここの掲示板の仲間に入れて下さぁぃ(^3^)/ココにぁる話、全部面白ぃデス(*^_^*)もっと色んな話書ぃて下さぁぃ☆私もこれくらぃ上手に文章書きたぃナァ。。。
>>122 荒らさない程度に仲間入りしてくれ。後、メール欄に「sage」って書いてね。
hosyu
ほっしゅ
保守
保守
ほしゅ
☆
ほっしんぐ
ほっしゃん。
みなさん素敵です! GJ!
以下に、ザ・ちゃらんぽらん(ライセンス) の話を書きます(藤原視点)
・・・はぁ・・・ 学校を飛び出して、震える足で闇雲に走り続けて・・・ 森の中に迷いこみ、辺りに人がいないのを確認して、ようやく立ち止まることができた。 切り株に腰をかけて、大きく息を吐く。 「・・・なんやねん・・・」 まだ頭が混乱して、事態をのみこめへん・・・。 一体・・何が起きたっつうんや・・・・。 殺し合い こんな、俺に似つかわしくない言葉が、あるやろうか・・・。 人見知りの激しい俺やったけど、でも基本的には平和主義で、揉め事を起こすことが嫌いな性格やねん、俺は・・・。 だから・・・ いきなり「殺しあいせぇ」て言われても・・・んなもん、できる訳ないやんか・・・。
>>134 元ライセンス藤原
その場にしばらく座りこんで、どんくらい時間が経ったんやろうか・・。
でも、きっとたいした時間は経ってないやろう。
でも、一人でそんな森ん中におって、ずいぶんと長い時間に感じた。いつまでも・・こんなとこに一人で座っとったって、何も解決はせえへん。
それはわかっとったけど・・でもどうしたらええかわからんかった・・・。
「・・・あ、そうや・・」
武器・・・
袋ん中に武器が入っとる、って言われたんやった。武器なんて物騒なもん・・持ちたなかったけど・・
でもしゃあないよな・・ちゃんと確かめて持っとかな・・誰かに見つかって一方的に殺されるわけにはいかんし・・。
ガサゴソと袋をあさる。水や食料、地図と一緒に入っとったんは・・・
「・・・な、に・・コレ・・・?」
手に当たったんは・・・ただ一本のロープそれだけやった・・・。
・・・なんやねん、こんなん・・・・;
ロープなんて・・武器にも何にもならんやんか・・・っ・・
白い太いロープ・・・ こんな、どうにもならんもん持って・・・ ほんまどうしたらええんや、て、一人落ち込んで・・・ しばらくそこに座ったままやったけど・・・。 「・・・・井本・・・」 そうや・・・俺の相方、井本・・・ あいつのことを思い出して・・・、泣きそうになった・・。 あいつは俺よりももっと早い時間に教室を出ていた。あいつは無事なんやろうか・・・。 こんなところに一人ではいられない。でも・・信頼できるやつとしか一緒にいたない・・。 信頼できるやつ・・・それは・・俺の中では、相方の井本しかおらんかった。 ヤクザだのなんだの悪くいわれているが、ほんまはあいつ、俺に優しいねん。 喘息で死に掛けてたときも助けにきてくれたんはアイツやった。 井本にあいたい・・早く二人で話したい・・・。 そう思った俺は、目的を「殺し合い」やなくて「井本と合うこと」にした。 井本・・どこや・・・・。 井本を求めて、地図を握り締め、俺はふらふらと森を歩き出した・・・。 【ザ・ちゃらんぽらん(ライセンス) 藤原一裕 所持品:ロープ 第一行動方針:相方と合流 基本行動方針:相方と話す 最終行動方針:相方と決める】 【現在位置:森の中】 【8/15 18:00】
137 :
名無し草 :2007/02/26(月) 17:25:25
ちゃらんぽらんって書くな馬鹿
>>137 なんで?
改名したじゃん。別にいいじゃん。意味わからんね。
馬鹿、て書くお前が馬鹿だ。キモっ
藤原編の書き手さんGJ!
つづき期待してます!
別にちゃらんぽらんて書いても全然OKですからね!!
>>137 ageんなアホが!
二度とここくんなや。
2006年の時点ではライセンスだったからじゃないのか? 別にどうでもいいけど
私もザ・ちゃらんぽらんって書かないで欲しい ライセンスはライセンスでいい
名前なんてどうでもいい。 とりあえずモチツケ。
どっちでもいいが 作品中に名前出すなら「ライセンス」でいいんじゃないか
色々と揉めている様だが、とりあえず書き手さん乙です!
書き手さん、お願いしますライセンスって書いて下さい。 ザ・ちゃらんぽらんなんて名前見たくもないので
でも変わってしまったからしょうがないよね。 エンジョイライブで藤原の強い希望で改名した ということが明らかになったし。 藤原の希望で井本もまあ納得してるみたいだったから・・ 表記してもいいんじゃないかな?
そうそう。 ライセンスの改名って、しんすけの横暴と 思って反対してる人いるみたいだけど、 エンジョイ行った人は、藤原の強い希望で 変わった、って知ってるから。 別にザ・ちゃらんぽらんでも全然いい。 無理やり変えさせられたわけじゃないよ。
>>137 みたいなsageもできんアホに馬鹿よばわり
される筋合いないよね、書き手さんも。
書き手さん乙!続き待ってます!
>>148 みたいにsageれば良いと思ってるアホって多いよね
エレキラーメンアンガ山根編を読んでいて今更気づいたんだが 最後の「あーかーあかあかあかるいよっ!」ってなんか聞いたことあるなあと思ったら あれってエレキが歌ってる曲か。 たまに夜更かししたときラジオで聞くことがある。 明るくて楽しそうな曲だったなあ。
>>149 お前ほんまのアホだな。
sageしときゃいいんだよ、馬鹿。
お前みたいのがいるから荒れるんだ。氏ね。
>>150 エンジョイで、藤原が売れるために改名したくてした、と言っていた。
井本はどうかと最初思ったらしいが、まあ藤原がそこまで言うなら、
という感じになってた。「これでまあやってみよ」って感じで。
ライセンス、という名前はなかなか覚えてもらえにくいので
こっちの方がいいと思ったみたい。
なので、別に無理やり変えられたわけじゃないそうです。
>>152 お前ほんまのアホだな。
sageてもageてもどっちでもいいよ、馬鹿。
お前みたいのがいるから荒れるんだ。氏ね。
>>154 こういうのがいるから・・・。
ほんとしょうがないね。
アホは皆さんほっときましょう。
ageていいわけないよね。馬鹿みたい。
>>156 こういうのがいるから・・・。
ほんとしょうがないね。
アホは皆さんほっときましょう。
別にageてもいいよね。馬鹿みたい。
>>155 エンジョイは、ルミネでやってるライセンスのライブ
では。
157って気持ち悪い・・
ほんとだね。マネしかできない気持ち悪い馬鹿がいる・・・。 早くきえてほしいね、マネ馬鹿は。 藤原編の書き手さん、続き待っています! こんな雰囲気じゃ書きこみづらいでしょうが・・・ 待ってますんで!
見た瞬間笑ってしまった。 マネするって、どういう意味なんだろうね。 キモイ・・・
真似はキモイけど、別に上げようが下げようが、どっちだっていい気がする そんなこだわる事か?
どっちもどっち。 マタリ汁。 擁護もここまでしつこいと、 新しい書き手さんに迷惑かけるだけだぞ。
新しい書き手さんに迷惑かけないように しましょうね! 最初に「馬鹿」、とか失礼なことを書いた137みたいにならないように、皆さん気をつけてください。
ある種の運営システムを管理する人間・ 組織がいるシステム内の、ユーザーによるある行為に対し、俺様ルールその他第三者的によく分からないルールでそのシステムに「違反している」という判断をくだし(しばしば「うざい」という判断だけの場合もある)、管理・運営システムを妨害する人間(厨房)。 だって。
ライセンスの話は却下になりました
>>167 書き手さんに失礼じゃないですか?
私は続き、読みたいです。
書き手さん、頑張って!
>>168 940 名前:名無しさん 投稿日: 2007/02/26(月) 21:16:45
規制で書き込めないのでここで。
ライセンスは予約が入ってたんじゃなかったっけ?
941 名前:名無しさん 投稿日: 2007/02/26(月) 21:33:46
>>940 ライセンスの予約は22日に入ってるね。
本スレ投下と書き手登録は26日か…投下前に予約スレ見なかったのかな?
942 名前:名無しさん 投稿日: 2007/02/26(月) 22:10:04
しかも2006年8月開催って設定も分かってないみたいだね。
予約スレさえちゃんと読んでないし問題ありすぎでは。
vol.4スレ
>>472-476 の続き
赤岡も大滝も、身長はほぼ同じ。
大滝の方ががっちりとした体格をしているけれど、若いのは赤岡の方。
手にした武器もスコップにマイクスタンドと、銃や刃物と言った決定的なモノでないだけに
どちらが倒れるにせよ、決着が付くまで時間が掛かる事は間違いないだろう。
「どいてくれ。俺はあいつを殺さなきゃいけない。」
「僕は…まぁ、あいつを守らなきゃならないし…だから、どけない。」
一歩間合いを詰めつつ呼びかけてくる大滝に赤岡は応じながら、ゆっくりと薙刀を構えるかのように
軽く腰を落とし、マイクスタンドを大滝の方へと向ける。
そのままス、と赤岡が相手の眼を見やろうとした時、そのつり上がった目に刺さったのは
大滝の憤怒に満ちた目線ではなく、彼のヘルメットで輝くライトの光だった。
「……くっ。」
白い人工の輝きは、今まで暗闇に適応させていた赤岡の眼を狂わせ、それまで見えていた筈の大滝の姿を闇に隠す。
思わず眉間にしわを寄せる赤岡のリアクションに、大滝は鼻で笑うようにハ、と呼気を吐きだした。
「…あいつが何をしたかわかっているのか?」
もう一歩間合いを詰め、大滝はそう口にするなりスコップを真っ直ぐ赤岡の胸へ突き込んでくる。
大滝の動きが目で捉えきれないまま、スコップの先端は赤岡の胸部にめりこんで衝撃が肋骨中に響く。
背後によろける赤岡に追い打ちを掛けるように踏み込みながらスコップを振り上げ、顔面を狙う
大滝の続いての一撃は何とか赤岡も反応し、足で地面に踏ん張りながらマイクスタンドの土台部分で受け止めた。
「菊地を……殺したんだぞ! あいつは!」
「………なっ!?」
自然と発生する互いに己の武器で相手の武器を押し返そうとする、鍔迫り合いめいた力勝負の最中。
怒鳴りつけるように大滝が発した一言に、赤岡の腕の力がぴたっと途絶えた。
その瞬間五分五分だったパワーバランスは崩れ、赤岡の身体は背後の樹木に叩きつけられる。
右の肩口に走る鈍い痛み。けれども樹がそこにあったお陰で転ばされずに済んだと思えば、まだ運は良い。
「そんな事…ある筈が。」 息つく間もなく全力でスコップを突き込んでくる大滝の一撃を右に飛び退いて避け、そのままとんとんと ステップを踏むように間合いを取りながら。赤岡は大滝に言い返す。 「あるんだよ! あいつが菊地を殺した! 包丁で、刺し殺した!」 「………嘘だっ!」 気を抜けば呑まれてしまいそうな大滝の怒りの裂帛に、こちらも赤岡にしては珍しい大声を上げて。 傷つく事への恐怖を凌駕する怒りのままに、スコップを先端に自身が矢になったかのように突っ込んでくる 大滝を狙い、コンパクトにマイクスタンドを横薙ぎに振るった。 ガツ、とマイクスタンド越しに命中した手応えは伝わってくるけれど、ほぼ同時に大滝のスコップが 回避しきれなかった赤岡の右肩を突き、痺れるような痛みと共に赤岡はマイクスタンドを取り落とす。 「悪いけど…嘘じゃない。」 慌てて拾い直そうとする赤岡を牽制するようにその目前にスコップを突きつけ、大滝は告げた。 その彼が見た光景は、腹を刺された菊地を島田が抱きかかえていた…ただそれだけで、第三者に刺された菊地を 島田が介抱している所に出くわしただけかも知れないという推測もやりようはあったのだけれども。 状況的にこれは島田が菊地を刺したに違いない…そう判断してしまって以降、大滝の中でその判断は れっきとした事実に変わってしまっていた事に、彼はまだ気付いてはいない。 「だから、俺が菊地の仇を取る。」 「……あいつに人が殺せる筈がない。俺が知っているあいつは、人を殺す奴じゃない。」 スコップを突きつけられながら、痛みで崩れるポーカーフェイスを真正面からライトで照らされながら。 それでも赤岡は荒く呼吸をつきつつ真っ直ぐ大滝を見返し、低い声でゆっくりとそう告げた。 ――だって、そうじゃないか。 あいつは…島田はあんなにも人を傷つける事を忌諱し、こちらにも強要しようとしていたじゃないか。 それは、数時間前に遡る。 元町の外れの民家で6時の放送を聴き、早くも殺された芸人の数にそれぞれ愕然とした後の事。 これからの夜に備えてライターやマッチ、ロウソク的なモノを集めるべく再び島田が家探しをはじめ、 部屋に残された赤岡は、古びたシーツを目の前の床に広げていた。
島田が見つけてきた薬箱には、風邪薬や絆創膏、包帯やガーゼや消毒液と言った標準的な品々が 雑多かつ無造作に詰め込まれており、どれも古くて使いかけというのが気になるところではあったが 軽い傷なら何とかフォローできそうだったけれど。 バトルロワイアルというこの環境で少しでも長く生き延びるには、少し包帯の量が足りないように思え、 赤岡はシーツを細く切って代用品をこしらえようと考えたのだ。 しかし、いざシーツを用意したところで一つ問題点が浮かんできて、赤岡はうぅむと小さく唸った。 シーツを切るためのハサミがないのだ。 いや、薬箱の中に包帯を切る為用か、鼻毛も切れそうな小さなハサミがあった事はあったけども、 微妙に錆びていたし、そもそもそんな小さなモノでちまちまとやる作業でも無かろう。 とはいえ、シーツぐらいなら手で裂こうと思えば裂けなくもないだろうが、それでは包帯の代わりには使えない。 意外な盲点、と畳にあぐらをかいたまま赤岡はじっとシーツを見やる。 やがてそれにも飽きたのか、一度シーツの端を掴んで持ち上げ、床に落として。赤岡ははぁと息をついた。 「……………。」 どこかに洋裁のハサミでも眠っていないだろうか。 先に一通り家を見て回った島田はそういった刃物類は見なかったと言っていたけども。 それは島田の探し方が悪いせいで、実はちゃんとどこかに収まっているのではないだろうか。 そんな考えがふと赤岡の脳裏に浮かぶと、そうであって欲しいという願望と、動き回ればハサミが無くとも 何とか出来るアイデアが浮かぶかも知れないという期待から、赤岡はこれ以上シーツと向かい合うのを止めて よっこらしょと立ち上がって部屋を後にした。 とはいえ、自分の家でもない他人の家で目的の品を捜すのはなかなか難しいモノで。 自分ならここにしまうだろう…という箇所をことごとく外していけば、途中からはイライラすら募ってくる。 もっとも、そういったわかりやすい箇所に収められていた刃物は既に島田が隠した後なのだから、 当然と言えば当然の結果ではあったけども。 空き巣狙いって結構大変なんだなぁ、そりゃ部屋中ひっくり返されたようにもなるよなぁ、などという 的はずれな感想に至ったりしつつ、赤岡が手ぶらのまま元の部屋に戻ってきたのは7時を僅かに過ぎた頃。
気は乗らないが、薬箱にあった小さなハサミでシーツを切ろうか。それとも。 そんな事を考えながら額をぶつけないよう欄間をくぐり、部屋に入った赤岡が見た光景は。 部屋にあった仏壇をずらし、壁との間に出来た隙間を覗き込んでいる島田の姿だった。 「……何、やってるんだ?」 「ぁ…あー、いや。」 不意に背後から声を掛けられ、島田はビクリと肩を震わせて。 それからゆっくりと赤岡の方を振り向き、はにかむような笑みを浮かべてみせる。 「……………。」 その笑みのどことないぎこちなさに思わず赤岡は眉を寄せるも、それよりもやらなければならない事があると 思考を切り替えてシーツの側へと向かう。 そして畳の上に置かれた薬箱の隣に元のように腰を下ろしかけた所でちょっとした変化に気付き、赤岡の動きは止まった。 部屋を出る前、薬箱の上に置き残していった小さなハサミ。それが今は、ないのだ。 「なぁ…ここにあったハサミ、使ったりしたか?」 この家にいる人間は赤岡と島田の二人きり。 もしかしたら二人に隠れて身を潜めている第三者がいる…可能性もない訳ではないが、まず普通に考えたなら 島田がハサミの場所を動かしたと考えて良いだろう。 故に、赤岡は近くにいるだろう島田へと問いかけるけれど。 「……うん、危ない物だから…僕らには要らない物だから、捨てた。」 ぼそりと島田はそう答え、薄く笑みを浮かべたまま数歩廊下の方へと後ずさるかのように移動した。 「……捨て…た? 何でだ? 要らない物のはずないだろ、あれが。」 一瞬島田の発した言葉の内容が理解できず、僅かな間をおいて。赤岡は島田の方を向く。 「要らない。あれは人を傷つける。」 「傷つけるも何もあれは……ちょっと待て、お前、マイクスタンドをどこにやった?」 頑として言い返してくる島田に反論しようとしたところで、赤岡は更に気付いた。 壁の側にデイパックと一緒に転がしておいたはずのマイクスタンドが、見あたらないのだ。 「…島田!」 「……っぱり………なんだ。」 状況が全く理解できず、自然とキツい口調になりながらも重ねて問いかけた赤岡の耳に、微かに島田の声が聞こえた。
「どうしたんだよ。変だぞ…お前。」 島田の怯えきった声の響きにさすがに厭な予感を覚え、赤岡は僅かに口調を和らげようと試みてみるけども。 「やっぱりお前、ゲームに乗るつもりなんだ…みんなも僕も全部殺してまわるつもりなんだ! そうなんだろ?」 時すでに遅く、島田は爆発した感情を滑舌の悪いくぐもった声に乗せ、赤岡に叩きつけていた。 「…だから刃物が欲しいんだろ? もっと人を殺せる武器が欲しいんだろ? 暴力じゃ何も解決しないのに…全部お前の為を思ってやった事なのに……もう良いよ、勝手にしなよ!」 いつもよりも更に滑舌の悪い喋り…それでもこれまでの付き合いの長さが為か、赤岡には割と普通に 内容を把握できてしまうのだが…で島田はそう言い放つと、ずんずんと荒い足取りで部屋を横切り 家探しによって手に入れたデイパック代わりの水色のリュックを拾い上げると、そのまま縁側から庭へ出ようとする。 「何でそうなるんだ。俺は……」 「お前なんか…お前なんて…知らない奴に背中から切られて、苦しんだ末に死んじゃえばいい!」 俺は好き好んで人を殺すつもりなんかない。 そう弁明しようとする赤岡を遮って島田は詞を発し、そしてそのまま暗がりの中へと駆けだしていったのだ。 その後、島田が覗き込んでいた仏壇の隙間からマイクスタンドを発見し。 もしやと他の部屋を見て回れば、包丁やらハサミやらが戸棚の奥に転がっているのが次々と見つかった。 粘れば何とか幾つかは回収できそうではあったけども、それよりもそんな行動に至るまでに平静を失っていた 島田に気付けなかった事や説得できなかった事への反省、そしてそんな彼を放ってはおけないという思いから 赤岡は手短に荷物をまとめて島田を追いかける事にして、今に至る訳で。 「この期に及んでも暴力を振るうな、人を傷つけるな…そんな甘い事を言う奴に、人が殺せる筈ないだろう。」 ハ、と一つ呆れたように呼気を吐き、赤岡は大滝を見やってそう言葉を続ける。 とはいえ、お互いの立場が絶対的に違う以上はこの平行線が変化する事もなく、何を言っても無意味に違いない。
それよりも。 マイクスタンドをはたき落とされ、スコップを突きつけられた今の状況を打破するべく、 一つ二つ傷を貰うのは承知の上で、赤岡は意を決して大滝のスコップの間合いの内側に入ろうと 足を踏み出そうとした…瞬間。革靴の底はずるりと滑り、赤岡の体躯はバランスを崩してガクッと沈み込んだ。 それは当然互いにとって予想外の結果だろう。 「……つっ!」 相手の動きに応じて突き出された大滝のスコップは空を切り、赤岡は思わず地面に突いた両手で己の身体を 支え、跳ねあげ、さらに全身を前へと押し進める。 何とか今度は地面と噛み合った二歩目と共に赤岡は大滝の足元に飛び込むと、そのまま目の前の大滝の両足にしがみついた。 無我夢中な赤岡のタックルに、大滝は堪えきれずに背中から転倒させられる。 ヘルメットのお陰で頭へのダメージは押さえ込めたものの、倒れた拍子にスコップの柄は手放してしまっており なおかつ視界の急速な変化から大滝がハッと我に返った時には、既に赤岡にマウントポジションを奪われていた。 「……………。」 しまった、と大滝の表情が強張るその一方で。 マウントを取った赤岡は赤岡で、やばっ、とそんな言葉を内心で漏らす。 これが総合格闘技なら、そのまま拳を固めて相手の顔面をタコ殴って失神させてしまえばいいのだろう。 しかし最初に島田を安心させる意図とはいえ、暴力は振るわないと宣言してしまっている。 そもそもそんな宣言をしていなくとも、元来喧嘩慣れしていない赤岡にとって拳で他人を本気で殴るという行動は マイクスタンドを振り回していた時とは異なる何とも言えない躊躇を感じてしまう物だった。 どうすれば良いんだろう。殴っても良いのだろうか。 そんな赤岡の逡巡は大滝にも容易に伝わったのだろう、中途半端に振り上げられていた両の拳は それぞれ大滝が伸ばした手によって掴まれ、すぐさま動きを止められてしまった。
「稔の…糸か。」 視界に入る、赤岡の左腕に巻かれた三味線の糸にちらっと目をやって、忌々しげに大滝は呟く。 「あいつがお前なんか助けなければ…菊地は死なずにすんだ物を。」 「……………。」 間近から発されるライトの明かりに思わず目を細めながら、赤岡は大滝の手をふりほどく事も出来ぬまま じっと相手を見やる。 もしも今日の昼、磯山に腕を傷つけられた後。学校の近くで貧血でぼーっとしたままだったなら。 追いかけてきた磯山にトドメを刺されていたかも知れない。他の誰かに狙われたかも知れない。 例え殺されなかったとしても、猜疑や恐怖に苛まれ、落ち着いて様々な状況に臨む事は出来なかっただろう。 それにより佐田に襲われた島田の運命も変わっていただろうし、菊地の運命にも作用したに違いない。 それほどまでに今泉と出会った事は赤岡にとって大きい出来事だった…ように今では思える。 「全く皮肉だな……『鈴木』の連中がまとまって死んだのは知ってるよな…あれ、お前らが仕留め損なった ヤンキーの奴が殺したんだぞ。」 「……な…っ!」 マウントを取られながらも、相手にそれを有効活用する意志はない…そう見越して発される ぼそぼそとした大滝の言葉。 一瞬赤岡の両手に動揺が走ったのを逃さず大滝がその両腕、そして腹筋に力を込めて起きあがれば 赤岡の身長の割に軽い体躯は簡単に大滝の上から追い落とされる。 「お前らが甘い対応せずに上手い事あれを殺してれば、『鈴木』の連中は死なずに済んだのにな。」 スコップに手を伸ばし、立ち上がりながら告げる大滝の顔には軽蔑の色を帯びた厭らしい笑みが浮かんでいた。
ライセンスの話つまんね
>>179 それはライファンじゃないからでは?
ライの話続き読みたいです・・・・。
ライセンスヲタうざい
【号泣 赤岡 典明 所持品:MP3プレイヤー マイクスタンド 状態:左腕に裂傷・右頬に軽い火傷・胸部に強い打撲・右肩に打撲・疲労・混乱 基本行動方針:生存優先・襲われたなら反撃もやむなし 第一行動方針:島田達を逃がす 最終行動方針:悔いのないように行く】 【18KIN 大滝 裕一 所持品:ライト付き工事用ヘルメット スコップ 状態:やや疲労・憤怒 基本行動方針:生存優先 第一行動方針:赤岡の排除・島田への報復 最終行動方針:不明】 【C8・ハイキングコース】 【15日 23:16】 【投下番号:192?】 なんか議論中の所に投下してしまい済みません。 一応上のレスにもありますが、この話は2006年8月15日スタートという設定ですので、 諸々の設定は2006年8月頃準拠にするのがベターかなーと思いますよ。
>>◆8eDEaGnM6s リアルタイムキター! いつも乙です!!
見当たらないので作ってみた ( `ー´)§□∀□ § だーれだ?
>>186 ラーメンズ?
( `Å´)§・∀・ §
エレキだとこうかな
>>183 乙です!
動向きになっていましたので嬉しいです
島田さんの今後も気になるところですね
楽しみにしてます
>>183 新作乙です。
皮肉な真実を知って赤岡は何を思うのだろうか・・・
そして勝負はどう決着がつくのだろうか・・・
・・・←これやめた方いいよ
・・・使ってレス書いてんの、全部同一人物だったりしてww 本当にそうだったら近年稀に見る酷い自演だなww
・・・
・・・ ・・・
195 :
名無し草 :2007/02/27(火) 17:35:26
…
196 :
名無し草 :2007/02/27(火) 17:42:58
自演じゃないよ・・・
さんてん、と入れて変換してみて。 そしたら…でるから。
199 :
名無し草 :2007/02/27(火) 18:32:40
点々
三点
点々?
202 :
190 :2007/02/27(火) 20:04:23
>>191 ごめん、感想で使うくらいなら別にいいだろうと思って…
感想のときは気まぐれで・・・と…を使い分けてた
たかが三点リーダ程度でなんでみんなここまで食いつくんだよ…
感想にまで高クオリティの文章を求められても困るよ
「・・・」か「…」かじゃなくて、語尾が「…」だったのが にちゃんの空気にそぐわなくて駄目だってんだろ
>>203 何を根拠に?
いや、純粋に気になったものだからさ
>>205 そうかな…他の板でも普通に語尾が「…」となってるの見かけるんだが
このスレにいる時点で皆、腐女子でFA
ってか煽ってんのただの荒らしだろ 腐女子決めつけ厨にはもう飽きた 意味わからんし
腐くさいスレですね^^
昨日は変なやつが来てたな 意味不明な指摘や決めつけがいかに気持ち悪いかを改めて思い知った
↑禿同
まぁ、とりあえず皆マターリしましょうぜ
自治厨うぜ
◆8eDEaGnM6sが1番うざい
いかにも自分の書き込みのように見せかけて、
したらばから絡みレスをコピペしてる嵐がいるな。
>>214 とか。
本スレの雰囲気を悪くさせようとしてるのか?
書き手さんの妨げになるような煽りレスは同じ奴の仕業だろうから、スルーしていこうぜ。
>スルーしていこうぜ >スルーしていこうぜ >スルーしていこうぜ >スルーしていこうぜ >スルーしていこうぜ >スルーしていこうぜ
投下ラッシュ止まっちゃったみたいね…。
藤森編の続きが読みたい
読み手は黙って待ってりゃいいんだよクズが
とりあえずおとなしく保守
うんそうだね 自分もおとなしく保守しとく
(´∀`)
ほしゅ
ホシュ
233 :
名無し草 :2007/03/04(日) 22:50:43
保守
おまえら、まとめ行って来い
どこへ行けと
今後の運営について 突然で申しわけありません。 今後の運営について連絡させていただきます。 前提として、以前から問題視されていた検索避けタグの問題について記述します。 問題が出ていたため、様々なレンタルwikiの情報を調べたのですが、検索避けタグを入れられるwikiを見つけられませんでした。 PHPやPerlを使えるスペースを利用して、独自にwikiを設置する方法も考えたのですが、条件に適合するフリースペースが見つからなかったのと、管理人の知識不足により設置することが出来ませんでした。 また、まとめサイトに入れているアクセス解析ツールでは、検索エンジンからの観覧が多くあることが分かっています。 このような状況でまとめサイトを運営し続けるのは適切ではないと判断しました。 ですので、すでに存在が広く知られているまとめサイト、そのまとめサイトからリンクを貼っているしたらば掲示板・お絵かき掲示板を一旦閉鎖することにしました。 上記三点の閉鎖に関しては変更するつもりはありません。 wikiという形式にこだわらなければ、フリースペースを利用した上で、htmlの直接編集によりサイト運営を続けることが出来ます。 ですが、管理人の私生活がこれから多忙になるため、個人で運営するのは不可能と判断しました。 なので、まとめサイトを引き継いでくださる方を募集します。 サイト自体の形式は新しい管理人の方に全てお任せします。 現在のサイトは引き継ぎが終わり次第閉鎖するつもりです。 至らない管理人で申しわけありません。 現在の運営方式のままで続けていくことが非常に心苦しかったため、このような形を取らせていただきました。 運営してくださる方、意見などがある方はしたらばのまとめサイト要望スレッドにて連絡をしていただければと思います。 以上です。
>>238 ー239
このやりとり、レッドカーペット以来ちょくちょく見掛けるなww
この先どうなるんでしょうかねーこのスレ。
ほしゅ
ほしゅ。
ほす
ほしゅ
ほしゅですん
保守
hosyu
保守
ほしゅん
254 :
名無し草 :2007/03/10(土) 09:01:59
(・´ω`・)
ほっしんぐ
( ̄▽ ̄;)
捕手!(`・∀・)
ほす
補す
・。゚・*.。保守
ホシュ
ほしゅう
ほっしゅ
ぽしゅ
もしゅ
ほしゅ
267 :
名無し草 :2007/03/13(火) 16:36:26
ほすage
保守
☆ゅ
ほすん
ほっす
HOSYU
ほしゅうん
ほーーしゅ
>>275 うおおおすげえ
小沢さんはやっぱりグッとくるものがあるなあ…
GJでしたそしてほしゅ
278 :
名無し草 :2007/03/16(金) 11:36:20
どうやら携帯では見れない様だ…。
>>275 ホントにグッときた。全部読んでるけど個人的に
中田、ラーメンズの話が好きだからそこでかなりキた。
あと小沢な…。書き手さんと275に感謝。
>>172-178 の続き
「……………。」
スコップを拾い上げる大滝の動きを目で追いながら、赤岡もまた立ち上がりながらマイクスタンドへと手を伸ばす。
久々のゴールデン帯の番組への出演という事で、張り切って着込んだスーツはすっかり泥だらけになってしまった。
けれどもこの、夏場にしては少々厚手のスーツによって大滝から受けたダメージは幾らか軽減されていて。
TVだと安物はすぐに安物だってバレるから…そう言ってなるべく立派な仕立ての物を着るよう勧めてくれた
紳士服店の店員に感謝したい。
あの時は、別に安くても良いじゃんかよぉこっちは金ねーんだし、と心底思ったのはここだけの話だが。
「だから、何だって言うんですか。」
しかしいくらダメージが軽減されていても、身体の各所に負った傷はズキズキと痛む。
同時に心臓が動揺から不規則に脈動し、脳裏に浮かぶ言葉を拾い集めて声に発するのに何とも手間取って。
なるべくそういった内面の情報を表情に出さないようにしつつ、赤岡は吐き捨てるように大滝に告げた。
「あの佐田…でしたっけ? 僕らはその後のあいつの行動にまで逐次責任を負うつもりはない。」
それに。
短く言葉を付け足し、赤岡はマイクスタンドを緩やかに構える。
「そこまで知っているって事は、大滝さんも近くにいたんでしょう? 止めもせずにそれを見ていたんでしょう?
だったら…あなたにそんな事を言う資格はない…っ!」
言葉を発すると同時に一歩踏み込み、赤岡はマイクスタンドを横凪ぎに振るった。
「………ちっ」
思ったほど動揺しなかったか。残念。
トンと一歩後方に飛び退いてマイクスタンドの間合いから離れ、大滝は面白くなさそうに舌打ちした。
確かに赤岡の言う通り。
見失った菊地を探し、山田の遺体のある学校からあっさり遠くには移動しないだろうという予測から、
何度も念入りに、そして慎重に学校の周辺の林の中を歩き回っていた時に。
島田と佐田と赤岡とがやりあったその一部始終を遠目からではあったけれど、目撃する羽目になっていた。
「…幾ら襲われてるのが知り合いだとしても、拳銃持ってる奴相手にほぼ丸腰で飛び込む奴がいるか?」
もしいるとしたらな、そいつはただの死にたがりの馬鹿ってんだよ。
「じゃあ僕はただの馬鹿という事になりますかね。」 マイクスタンドを振るって体勢が崩れた所をスコップで狙われ、また一つ打撲傷をこしらえて。 赤岡は痛みに眉を眉をひそめ、ぼそりと呟きを漏らす。 「人殺しを必死に守ろうとするとんでもない馬鹿だ。」 「それでも……」 あいつを殺させる訳にはいかないんです。 赤岡と大滝の思考と主張は相変わらず平行線を辿っていて、互いに妥協し交わろうとする兆しは見えない。 代わりに幾度も交わるのはスコップとマイクスタンド。 互いに致命傷を与える事もできないまま時間だけはずるずると流れ、このまま持久戦へとなだれ込むのかと 二人がどことなく覚悟を固めはじめていた、その時。 不意に彼らのいる山の北西…その一角の空が赤く染まったのが互いの視界に映り込んだ。 「何…だっ?」 スコップを振り上げようとしていた手が自然と止まり、大滝の口から呆然とした声が漏れる。 「……火?」 同じく、こちらはマイクスタンドを防御の形に構えたその姿のままで、赤岡も言葉を発した。 二人の目に映っているのは、遠くで何かが炎を上げて萌えている様子。 山道をぐるぐる歩き回り、なおかつ小競り合いをしていたお陰で方向感覚はすっかり無くなっていたけれど。 素早く見上げた空に見つけた北極星とおぼしい綺羅星を頼りに方角を調べれば、昼間に眺めた地図によると 炎が上がっているのはレジャーランドがあると思われる方向である。 「く…はは、ははははははは………」 何があったのだ、と。本来ならするべきではない思考に走りかかる赤岡を現実に引き戻したのは 目の前の大滝が発したけたたましい笑い声だった。 「大滝…さん?」 「可笑しいと思わねーか? 片やヘルメットだのマイクスタンドだの配られてる芸人がいて、 やむなくちまちまちまちま削りあってるその一方で、拳銃とか配られてる芸人がいてさ! 何だよついには爆弾かよ! 何だよこの理不尽! 笑うしかねーじゃんか!」 どうやら大滝は遠くに見える炎の原因を爆弾の爆発による物と推測したらしい。 そう考えると、殺傷には向かない武器…いや、道具で延々やり合っていた自分達が、 例えどんなにそれぞれの大義があったとしても馬鹿馬鹿しく思えてしまっても仕方がないだろう。
「ますますもって許せねぇな、こんな糞な事考えやがった連中…まとめてぶっ潰してやりてぇ。」 はぁ、と一つ深く息を吐き、跳ね上がったテンションを落ち着かせて。 それでも大粒のギョロ目に浮かぶギラギラとした光は消さぬまま大滝は吐き捨てるように呟く。 「それに関しては僕も……」 同意見ですね。そう大滝に告げようとする赤岡の言葉は途中で遮られた。 「だからその手始めに、お前らを……っ!」 「………っ!」 大滝の感情の緩急が作った一瞬の油断。 スコップ自体は辛うじてマイクスタンドで防ぐけれど、その感にも大滝は赤岡との間合いを詰めていて。 強引にスコップを振り抜けば、長身の割には軽量である赤岡の身体はその場から弾き飛ばされた。 「わ……っ?」 それまで何度も振り回された時のように、今度も何とか体勢を整えよるべく足をばたつかせて 赤岡は踏ん張ろうと試みるけれど。 大地を踏みしめるべきその足が。 空を切った。 友人と喋りながら階段を上っていて、一段余計に上へ踏み出そうとした時に感じるような空振り感に 何が起こったのだと赤岡が思わず目を見開く。 その視界に映る景色が、大滝のヘルメットが発する白い光が、上の方へと流れていく。 違う。 赤岡の身体が下へと落ちているのだ。 ハイキングコースは、景観を楽しんで貰うためにも山の外周を巡るようにコース取りされている。 つまり、コースから足を踏み外せばそれは即、山の斜面を滑り落ちる事に繋がる訳で。 闇夜でハイキングコースの幅を正確に把握していなかった事、もみ合っている内に自分の立ち位置の把握が 曖昧になっていた事、そして大滝の一撃が予想以上に強力だった事。 そんな小さな要因が重なって、今、赤岡の黒いスーツ姿は重力に引かれて闇の向こうへと消えていく。
「………―――ぁぁっ!」 悲鳴とも絶叫とも違う、赤岡の声が微かに木霊して聞こえたような気もしたけれど。 赤岡の体勢が崩れた所に渾身の力で追撃を掛け、完全に撲殺する心づもりでいた大滝とすれば、 予想外のオチにそれを為した当人にも関わらず、あっけにとられたようにしばらくの間その場に佇んでいた。 その頃。 赤岡が言い残した指示に従ってハイキングコースを下っていた島田と野村…正確には、元から精神的に フラフラになっている所に受けた額の傷の失血により、一人では歩けなくなっていた島田とそれに肩を貸し、 半ば引きずるような形で歩を進めていた野村もまた、遠くに見える炎に気付いてしばしその足を止めていた。 別に誰が関わっているかすらわからない以上はどうでも良い炎の筈なのに、何故か紅蓮の輝きは意識に引っかかる。 「……………。」 これほどにまで大きく燃え上がる炎を熾した芸人に対する無意識の畏れか、あるいは火を厭う動物の本能の囁きか。 服を掴んでくる島田の指の力が強くなったような気がして、野村は僅かに目を伏せた。 「磯山……。」 溜息混じりに漏れるのは、だいぶ前に別れたままの相方の名。 どうか、あいつがあの炎を熾した張本人でありませんように。あの炎に巻き込まれてなどいませんように。 自然と紡がれるのは、もし何事もない日常の中でなら彼自身が率先してキモいと笑って捨てるような切なる祈り。 それでも、そんなモノにすら縋りたくなってしまうまでに、厭だったから。 夕方6時の放送で死者の名が告げられた時の全身が冷たくなる感じ、そして続いて襲い来る空虚感が。 赤岡に同行する事で、何か逃避できる目的を得る事で一旦強引に忘れ、今は何とかなっているけれど。 まもなくの放送で、また思い出してしまうのだろう。かつて彼らと一緒に騒いだ事、遊んだ事を思い出して ボロボロと泣いてしまうのだろう。 小沢さん達のような仲の良い連中のそれですら、堪えたのだ。……もしもその中に磯山の名前があったなら。
「……………。」 そんな事は考えたくない、と急に首を激しく振りだした野村に、島田は驚いたように…しかし緩慢に目を見開く。 「あ…いや、大丈夫。うん、大丈夫。」 ネガティブな思考は良くねぇな、と考えを切り替え、野村は島田の不安を除いてやろうと微笑んでみせた。 「俺が弱気になってどーすんだって、な。それじゃ…急ぐよ」 そのまま野村は言葉を続け、島田の返事を待たずに今も尚燃えさかる炎に背を向けて歩き出そうとした、けれど。 カサカサ……ガサガサガサガサ……… 頭上の方から草がかき分けられる音が降ってきて、野村は足を踏み出そうとした形のまま固まった。 ……野生の獣か? あるいは芸人? 芸人なら…誰? まさか大滝さん? 瞬時に思考が巡り、答えが出ないまま野村は傍らの島田をかばうように背後へと押しやろうとする。 「のむら、くん……」 「ン…ま、大丈夫だって。」 武器になりそうな道具はない。それでも、島田を己に託し、一人足止めに残った赤岡の期待に応えるためにも 島田を置いて一人で逃げる訳にはいかない。 …こうなったら出たとこ勝負しかないだろう? 不安げな島田を安心させるべく囁きかけながらも、そう無理矢理己を鼓舞する野村だったけれど。 山頂の方から斜面を転がり落ちてきて、野村達の前の路上でようやく止まった物体は、土や落ち葉で汚れた 黒いスーツを纏った仰向けに横たわる黒い髪の長身の男と、それに付き従うように転がってきたマイクスタンドで。 「……なぁ、俺、まだ生きてるの?」 「……………!」 途中で身体の各所を木々にぶつけたのだろう。闇の中で翻弄され目も回っていたかも知れない。 故に、普段の何倍もの時間を掛けて状況を把握し、それから首だけで野村達の方を向いて問うてくる そのか細い声に、何とか笑ってみせようとするその見慣れた顔に。 島田は己が歩ける状態じゃないのを忘れ、野村の腕を振り払うと幼馴染みの元へと駆け寄っていた。
【18KIN 大滝 裕一 所持品:ライト付き工事用ヘルメット スコップ 状態:軽い打撲・疲労 ( ゚д゚ ) 基本行動方針:生存優先 第一行動方針:島田への報復 最終行動方針:ゲームの破壊もしくは主催の打倒】 【C8・ハイキングコース・山頂寄り】 【号泣 赤岡 典明 所持品:MP3プレイヤー マイクスタンド 状態:左腕に裂傷・右頬に軽い火傷・全身に強い打撲・疲労・朦朧 基本行動方針:生存優先・襲われたなら反撃もやむなし 第一行動方針:休む 最終行動方針:悔いのないように行く】 【号泣 島田 秀平 所持品:犬笛 (以下、水色のリュック内) 缶詰2個 シャツ 状態:恐慌状態・額に裂傷 基本行動方針:生存優先・理由はどうあれ暴力イクナイ 第一行動方針:安全確保 最終行動方針:不明】 【江戸むらさき 野村 浩二 所持品:浦安の夢の国の土産物詰め合わせ 缶詰2個 薬箱 状態:ややバテ気味 基本行動方針:生存優先 第一行動方針:安全確保 第二行動方針:磯山と合流したい 最終行動方針:不明】 【C8・ハイキングコース・ふもと寄り】 【15日 23:42】 【投下番号:193】
前回の投下の時は色々と差し出がましい真似をしてしまい スレの流れを乱してしまった事を、心からお詫びします。 大変申し訳ありませんでした。
空気嫁バカが
書き手さん投下GJ! 相変わらず緊迫感の伝わってくる文で良かったです。 赤岡大丈夫なのか・・・
何で今投下してんの?ほんと空気よんでほしい
293 :
名無し草 :2007/03/17(土) 16:08:37
冷静に考えたら、まとめ問題が片付くまで投下しちゃ駄目なら 保守せずにスレ落としとけばせばいいんじゃね?
その通り 早く落とそう
書き手さん乙です! これから彼らがどうなるのか気になって仕方ない…
私もずっと、保守しかしないなら1回スレ落とした方いいと思ってた
ヘタに保守してるから、投下待ちなんだって勘違いされるんだよ 今後投下して欲しくなけりゃ書き込みすんな。おk?
投下してもいいんじゃないか?
投下番号さえ間違いなくつけていれば新しいまとめが出来たときに混乱する事もないだろ。
書き手さんの創作意欲がある時にどんどん投下して欲しいよ。
とりあえず
>>287 乙です。
どんどん投下してー じゃないと進むものも進まないと思う このスレ落としたら、たぶんそのまま物語も終わるし まとめも自然消滅すると思うよ
投下するのは、まとめの問題が解決してからの方がいいと思います
そんなこと言ってたらいつまでたっても話進まないだろ。 まとめの件だって新管理人が出てくるまで進めようもないし、いつ終わるかわからん。 書き手さんには自分の書いた話を個人で管理してもらって いままで通り投下していったほうがいい。
書き手さんの意欲があるうちに 投下してもらったほうがいいんじゃない
つか新しい管理人決まらないキガス
禿同
288:◆8eDEaGnM6s :2007/03/17(土) 03:07:43 [sage] 前回の投下の時は色々と差し出がましい真似をしてしまい スレの流れを乱してしまった事を、心からお詫びします。 大変申し訳ありませんでした。 297:◆8eDEaGnM6s :2007/03/17(土) 19:41:35 [sage] ヘタに保守してるから、投下待ちなんだって勘違いされるんだよ 今後投下して欲しくなけりゃ書き込みすんな。おk?
とりあえず保守
>>297 気にすんな。
お前の書き方が少し悪かっただけだ。
投下するのはいいが口を慎め。
◆8eDEaGnM6s氏ね^^
ほしゅ
ほしゅー
ぽすん
結局ほしゅ?
保守いらないって ずっと保守してるくらいなら1回落とした方いい で、管理人決まったら新しいスレ立てようよ
このまま過疎りそう せっかく話もいいところだったのに残念だ 今後についてはしたらばで語るべきかと
いや、四月頭くらいに次期管理人さんがまとめ移行するって言ってるし、 このまま保守ればいいと思う。
>>321 毎回実況に参加してる者だけど、今回日程あわねええええええorz
すげー落ち込む。無念すぎ。
>>321 ちょw ヨギータw
参加予定です。楽しみにしてます
>>321 参加予定の書き手がここに1人。
それまでにはひとつ投下したい・・・
>>321 ちょ、ヨギータw
全然暇だし参加したいんだけど…な書き手がここに一人。
何はともあれ楽しみにしてます。
…年末までPC買い換えの目処が立たないってどうなんだよ俺orz
>>321 ヨギータ乙w
自分は仕事で恐らく参加出来ないが、
参加するヤツ楽しんで来いよ。
ヨギータの名前、間違ってるよ
>>327 ( ゚д゚)
( ゚д゚ )
( ゚д゚)
( ゚д゚ )
329 :
名無し草 :2007/03/23(金) 00:02:18
ほす
>>321 参加しますので楽しみにしてます。
私も投下したいなあ…
>>328 こっち見んなw
正しくは、ヨギータ・ラガシャマナン・ジャワディカーね
麒麟田村、ヘッドライト町田編です。 ”純粋のベクトル” 慣れない森の中を彷徨う男が2人。 1人は一生懸命手元を見ながら時々木に肩をぶつけ、 1人は辺りを見回しながら乱暴に蚊に刺された腕を掻き毟っていた。 「田村、川島には近づいてんのか?」 左肘に爪を立てながら町田が尋ねる。 「ん〜・・・あんま変わらんわ。遠くもなってへんけど、近づいてもいいひん。」 困った顔でレーダーを見つめているのは田村が、また木に肩をぶつけた。 「いったぁ・・・」 「またか?貸してみぃ。俺がレーダー持つし。」 レーダーは田村の手から町田の手に移った。 田村の言うとおり、付かず離れずといった感じで自分達と川島の距離は縮まっていない。 森を歩く事に慣れていない事もあるが、レーダーを見ながら慎重に進んでいるとどうしても足が鈍ってしまう。 町田が顔をしかめていると、横の田村が落ちていた木の枝に躓いて転んだ。 「田村、大丈夫か!?・・・おかしいで、さっきから。」 「ごめん、痛いけど平気やから。早よ行こ。」 「ええよ。・・・ちょっと休憩しようや。疲れたし。」 「休んでられへんよ!そんなんしてる間に川島は・・・」 「ええからちょっと頭冷やせ!さっきからぶつかったりこけたり落ち着かへん。 何あるかわからへんのやから冷静にならんとあかんやろ!!」 「うん・・・・ごめん・・・・・」 「いや、俺もキツい言い方してしもた。ごめんな。」 とりあえず30分休憩という事になり、2人は大木の下に腰をおろした。 町田がレーダーを見ながらペットボトルの水をあおる。 ふと横を見ると、体育座りした田村は両腕の間に顔を埋めていた。昨夜の川島と同じ様に。 昨夜の川島の様子を思い出した町田はゾクッとした。だが、田村は川島とは違う人間だ。 田村は泣いていた。顔を埋めているのは、泣き顔を見られたくないからである。 「町田」と、くぐもった声で田村は呼びかけた。
「・・・・・何?」 「朝のあれでな、本坊・・・撃たれたやんか?」 「・・・そうらしいな」 「死んだんよな?」 「そうやと思う」 「痛かったやろな」 「・・・そうやと思う」 「・・・町田は知ってた?あん時、本坊と一緒に水口もおってんで」 「あと、石田も一緒やってんな」 「放送の時、川島がレーダー持っとってや、俺隣におったから見えたんや。 ちょっとずつ離れてったんやけど、多分すぐそばにおった筈やわ。」 「・・・・・・・・・」 「水口と石田な、見たかもしれへんねん。本坊が死ぬとこ。」 それは町田にとっては考えるのをやめてしまった光景だった。 その光景が町田の脳裏に映り、思考が一瞬停止した。そんな町田をよそに、田村は続ける。 「俺な、放送で本坊撃たれた時、めっちゃ悲しかってん。」 「・・・俺かて悲しかったよ、一緒や。」 「悲しかってんけどな、その後めちゃめちゃ怖なってんや。」 「誰かて怖かったよ、あんな事あったら。」 「でもな、放送やで!?水口と石田はあれを目の前で見たんやろ? 俺放送で聞いただけやのに、怖くてしばらく動けへんかってんで! 情けないわぁ、ほんま情けないわ・・・・・・正義感強いつもりやったのになぁ・・・」 ・・・・純粋やなぁ。 町田は田村を見てそう思った。 落ち着き無く小さい怪我を重ねてしまう所。 知人の死を知って人前であるにも関わらず泣いてしまう所。 そのくせ他人の痛みに敏感で気遣ってしまう所。 でも結局何の解決策も無くて、ただ泣くしか出来ない所。 どれをとっても、田村のデメリットにしかならない。
今までの感情を殺し、他の芸人を少しでも減らしたいと考える者にとっては 田村を愚かしい人間だと思うのであろうが、田村のそういう所を町田は嫌いではなかった。 武器を支給されて殺し合いという気が狂いそうな状況でも、自分らしさを貫ける事は羨ましい。 田村の様な純粋な人間だからこそ、それは出来るのかもしれない。 ああ、死んだ本坊も同じ様に純粋な人間だったのだと町田はふと思った。 ” だから、みなさん。みんなで一緒に、楽に死にましょう。 ” 唐突に本坊の声が頭に響いた。彼も自分らしさを貫き通そうとしたのだ。 だが、田村のそれと本坊のそれは全く違う。 田村の正義感が戦隊もののヒーローを見ているようなわかりやすくて心地いいものに対し、 本坊の意志は善意なのだとわかっていても、後ろに得体の知れない恐怖を感じてしまう。 一緒に舞台に立っている時、飲みに行った時などでもそれは垣間見えた。 それが今の状況でも変わっていない事を放送で知った時、町田は恐怖に震えた。 だから本坊が死んだと伝えられた時、町田は心の片隅で安堵したのだ。 もちろん、すぐ思い直したし自分を責めもした。だがその安堵はまだ町田の中を燻っている。 ・・・この事を言ったら、きっと田村は俺を軽蔑するやろうな。 町田は少し自虐的になってみせて、深く考えるのをやめた。 「相方が目の前で死んで・・・水口辛かったやろな・・・」 「そやな・・・俺も和田が死んだて聞いた時は辛かったから、その何倍も辛いやろな」 「あっ・・・ごめん!!町田も辛いのに・・・・ごめん、俺・・・」 「気にしてへんよ。・・・お前は相方に会うんやで」 それはノブにも言った言葉だ。自分は無意識にコンビを引き離したくないと考えていると、言った後で気付いた。 「川島は・・・川島はどうしてるんやろ?本坊とあいつ、親友やもんな・・・」 飛び出したままの川島の事は、町田にとっても気がかりだった。 昨夜の川島の感情の激発は、町田にとっては触れたくないものだった。 しかし本坊への恐怖は全く理解出来ないというものではない。 あの激発を目にした時、川島がもし発狂してしまう様な事態になれば、すぐに自分が引導を渡そうとまで 考えた町田だったが、放送の後、心境に変化が訪れた。
本坊の”みんなで一緒に、楽に死にましょう”という言葉を聞いた時、町田は自分の精神が 根こそぎ引っこ抜かれて、ブチブチと引き裂かれた様な衝撃を感じた。 銃声の音で自分は意識を取り戻したが、川島は戻れなかったのだろう。 自分と川島の考えがある箇所では一致しているという事に気付いたのは、つい1時間程前だ。 だがそれがわかっても、今川島が何を考えどこに向かおうとしているのか、町田にはわからなかった。 考えた所で無駄かもしれない。人の心の中の事など完全にわかる筈はないし、 ましてや疑心暗鬼に陥りやすい現在ならば、尚の事だ。 もう狂ってしまっているのかもしれない。いや、もしかしたら駆け出した時すでに・・・ ・・・もし自分達に襲い掛かってくるような事があれば、その時は・・・ 「町田、怖い顔してどうしたん?」 「あ、いや別に何も・・・そろそろ行こか。30分過ぎたし。」 (最悪の場合、川島を殺そうと思ってた)なんて、口が裂けても言えない事だ。 町田はレーダーのスイッチを押し、自分達の位置を確認する。田村も画面を覗き込んだ。 そして自分達の番号から、川島の番号64番を探す。 その64番の丸印を発見した2人は慄然とした。 「216番・・・・!?」 64番、川島の番号の隣にいる人物の番号。その人物は、 「本坊・・・・、やんな?」 見間違う筈が無い。今朝の死亡者の中で1番耳にこびりついて離れない番号だからだ。 だが、他に発表された死亡者の番号は赤で表示されているのに対し、 216番は自分達と同じく”生存者側”の番号として表示されている。 「どういう事や・・・?誤作動・・・にしても、これは・・・」 ガサッ、シャシャシャ・・・・ 困惑する2人に誰かが近づく音がした。 「えっ、周りには誰もおらへん筈やろ・・・?」 「ってことは人間とはちゃうやろ!?」 「でも、この音のデカさ・・・まさか!!」
ガ サッ !! 「「 クマか!! 」」 何本かの木の枝を折って、それが姿を現した。 「だっ、誰がクマやねん・・・」 クマの様なむっくりした体型だが、それは確かに人間だった。 「ば、馬場ちゃん!!?」 その正体はアジアンの馬場園梓。余程走ってきたのか、足元は土だらけで衣服がはだけて 右肩のブラジャーの紐が見えていた。だからといって2人は全く下心を抱かなかったが、それはどうでもいい。 「よ、よかった・・・知ってる人で・・・」 疲労は相当のものだが、幸い大した怪我もなく無事の様だ。 「馬場ちゃん・・・良かったぁ・・・あれ、でもレーダーにはなんにも」 田村に言われて町田はレーダーを見た。 「今はあるわ・・・」 「何やこれ、バグってんの?」 先程までなかった筈の馬場園の番号184番は自分達の番号のすぐ傍に表示されている。 だが、その表示は不規則な点滅を繰り返しており、画面を見渡すと他の番号も同じ点滅をし、 欠けたり色が変わったり安定しない。投げつけられたり落としたりした事で不具合が生じているのだ。 「じゃあさっきのアレも・・・?」 「バグ、やろな。・・・・・・驚かしよって」 落ち着きを取り戻した2人の横で、馬場園は肩を上下させていた。
【ヘッドライト町田、麒麟 田村、アジアン馬場園 合流 】 【麒麟 田村 裕 所持品:ライター、煙草、簡易レーダー、鉄パイプ、煙幕×4、爪切り 基本行動方針:首輪の外し方を探す。攻撃してくる相手には反撃する 第一行動方針:相方捜索 第二行動方針:仲間を探す 最終行動方針:ゲームの中止】 【ヘッドライト 町田 所持品:デザートイーグル、サザエさん 1,7,24,38,45巻 基本行動方針:自分の身は自分で守る 第一行動方針:川島捜索 第二行動方針: 最終行動方針:不明】 【アジアン 馬場園 梓 所持品:お菓子の詰め合わせ、生理用品(私物)、虫除けスプレー(私物) 基本行動方針:生存最優先 第一行動方針:しんどいから後で考える 第二行動方針:不明 最終行動方針:不明】 【現在位置:F-6 】 【8/16 11:10】 【投下番号:194】
訂正。 【現在位置:G-5 】 で。
空気嫁
おつです!! どんどん投下待ってます!
新管理人、早くまとめサイトどうにかしろよ
エレラーアンいきます。 要するにコンビとはバランスなのだ。 世の中の個性という個性を全て集めたような片桐と、身長と頭の中身以外はおよそ平均的な小林がコンビを組み、 成功していることがひとつの証である。 今立は、良くも悪くも普通の男だ。ふわふわの髪の毛もなければ、がちゃがちゃの出っ歯もない。 だからこそ谷井と組んだ時、谷井の特異性が目立つ。 いわば引き立て役なのだろうとは何年も前から今立自身思っていた。 だからこそ、今立は何回も考えた。 (谷井がいなければ、俺は芸人としてやっていけないだろう。ならば逆はどうなるんだ?) 歌声は、彼らの元にまっすぐ響いてきた。何かを引きずるような音と共に。 調子外れの声は明るく、真夏の空へ突き抜けていくようだった。 「あーかーあかあか赤ジャケット」 野外ライブというには、この島は残酷すぎる。 狂人の明るさで歌いつづける谷井の声に耳を貸すのは、崖の三人だけだった。 「ビューティフルなお嬢さん、ワンダフルなお姉さん」 谷井はまっすぐ彼らの元へ歩いてくる。 手には血に染められた金棒が握られているが、彼の手も服も、奇妙なほど清潔だった。 山根は立ち尽くしていた。彼は、まだこの島でこのような人間を見ていなかった。 人間の末路―――そんな言葉が彼の脳裏を掠めた。 その時、予期せぬ出来事が起きた。今まで二人と同じように硬直していた今立が、谷井の方へ確実に歩いていくのだ。 山根が、今立の手に握られているものが拳銃であることに気づくまでそう長くはかからなかった。 「谷井」 「金魚売の…なんだ、今立じゃん」 谷井は歌うのを辞めて立ち止まった。その顔には無邪気な笑顔があふれている。今立は毅然とした様子で彼の前に立っていた。 「その武器はどうしたんだ?」 「向こうで死んでいた奴から取った。ラッキーだったよ」 言って、谷井は金棒を一振りする。 「結構使いやすそうだよ、これ」 彼らの目は谷井に吸い寄せられていた。だから、誰一人小林の微妙な表情の変化に気づくことが出来なかった。
「何に使うんだ?」 今立に聞かれた谷井は、何を聞いているのかわからないという顔をして、 「人殺し」 とだけ答えた。そうか、と答えた今立の心はもう決まっていた。 (俺が谷井を殺さなければ) 今、今立の目には谷井が鬼のように見えていた。否、今立の中で谷井は鬼だった。 今ここで殺さなければ―――だが、彼の心をひとつの心配が縛り上げる。 (谷井を失った自分はどうなるのだろうか) これは単なる生活の心配ではない。もっと観念的で、哲学的な問題だった。 谷井という人格を消滅させることは、今立自身を消滅させることになりえるのではないか?彼はそう考えていた。 実際にそんなことはありえないのだが、この思いが今立の中から消えることはない。 エレキコミックは正反対の二人の織り成すコンビである。 だが正反対であるということはすなわち、常に背中合わせで行き続けているということでもある。 谷井は今立の影であり、今立は谷井の影だった。 今立が仲間を探している頃、谷井は孤独だった。 今立は殺さぬことを選び、谷井は殺すことを選んだ。 もしかしたら目の前で金棒を持って立っていたのは自分かもしれない。 谷井は自分を消滅させようとしている。自分を消滅させることで、自立しようとしている。 今立は、谷井が始めにもっとも親しい者たちを攻撃してきた理由がわかった。谷井は補助輪をはずそうとしている。 谷井は笑った。 「バイバイ、今立」 いきなり今立に向かって金棒をめいっぱい振り下ろす。今立は避けきれずに、即頭部に一撃を食らう。 思わず銃を取り落とし、その場に崩れ落ちる。 流れる血で視界が滑った。谷井はまた金棒を振り上げようとしている。ふわふわの髪の毛が、日に透けて茶色くなる。 (俺はあれを持っていないんだよな) ガタガタの歯、ふわふわの髪の毛。そんな、谷井の特異性を引き立てるためにいる自分。 何も持たない自分がここで簡単に消されてしまっていいのだろうか。 そう考えた時、今立の手はとっさに谷井の首に伸ばされていた。 怪我人とは思えない力で、谷井の首に全体重をかけて締め付け続ける。銃がそばにあることも忘れていた。 谷井はうめき声を上げて暴れるが、今立の力は弱まらない。今立が我に返った時、谷井はすでに事切れていた。
「あれ・・・?」 谷井の死体を前に、今立は呆然と座り込む。 目の前に転がっている死体は紛れもなく谷井であったし、今立はやはり今立のままであった。 誰も何も言うことができなかった。その場は静寂と、波の音に支配された。 谷井は大の字になり、眼を見開いて死んでいる。 「何で・・・俺・・・」 谷井を殺したからといって、手に入るものなど何もない。ただ、長年連れ添った相方を失ってしまっただけ。 谷井は鬼などではなかった。10年以上の時間を共にした、ただの人間だった。 容赦のない現実が、今立の脳をかき回す。なんて愚かなことを考えていたのだ! 今立は声を上げて泣きそうになった。しかし、彼の頭から流れる血はその行為すら許さなかった。 両手を眼に当てたまま、今立はゆっくりと前のめりに倒れた。 (ああ、そうか) 何か言いながらこちらへ駆け寄ってくる山根と、棒のように立ち尽くす小林の姿が今立の血に濡れた目に映る。 消えていく意識の中、今立は最後の言葉を発する。 「2人でエレキコミック…だもんな」 【エレキコミック 今立進 谷井一郎 死亡】 【アンガールズ 山根良顕 所持品:救急セット 第一行動方針:今立の手伝い 基本行動方針:怪我をした人を助ける 最終行動方針:死は覚悟している 現在位置:崖】 【ラーメンズ 小林賢太郎 所持品:フェンシングの剣 第一行動方針: 基本行動方針: 最終行動方針: 現在位置:崖】 【8/16 07:30頃】
【投下番号:195】
乙! なんとも切ない。
乙です。待ってました。 エレキ二人とも・・・切ないなぁ
乙です! なんとも切ない最期だ……
乙!! 小林かわいそうだなぁ
うわああ乙! 小林、かなりの人見知りなのに大丈夫かな…
>>332-337 続き。麒麟川島・ソラシド本坊編です。
”ヤマアラシのジレンマ”
「で、目ぇ覚めたらめっちゃトイレ行きたなってな。
たけしさんに頼んで兵隊さんに連れてってもろたんよ。そしたらたけしさんも行きたい言うてね、」
「・・・その状態でよく小便行きたいとかいう発想出て来るな。」
「しゃあないやん生理現象やもん。で、隣同士で小便してな。あ、たけしさんのやっぱデカかったよ!」
「・・・お前死んだ思て悲しんだ俺の悲しみ返してくれ。」
「ほんまか、お疲れさん。いいやん、こうして無事やったんやし。」
「・・・・・・・(会話が噛み合わへん)。」
本坊のいつも通りの能天気さと、そんな本坊の為に我を忘れるまで走ってきた自分の馬鹿さ加減に
川島は軽い頭痛を覚えた。だが自分も自分で取り乱してしまっていたので、あまりきつくは言えない。
「あー、水口と石田どこら辺なんかなぁ。レーダーあったらよかったのに。」
「レーダーやったら・・・」
「あんの?やったぁ!!」
「いや、あったけど投げ捨てて来た。」
「え、何で!?」
「いや、急いどったし・・・そのノリで。」
「もう〜何なん、使えへんわぁ!!」
「・・・・・・・・・」
「あ、マジで怒ってるんやったらごめん!!」
本坊の発言にイラっときたが、内心何でレーダーを捨ててきたのかという自責の念も確かにある。
しかし自分の手元にないという事は、田村・町田・ノブの所にはあるのだ。
考えようによっては1人が持ってるより3人が持っていた方が安全であるのだから、
結果的には今の方がいいのかもしれない。田村の事だから、きっと自分を探しに来てくれるだろう。
水口と石田の所へ行くのはそれからでも遅くは無い。それまで本坊と一緒にじっとしていればいい。
誰かが襲ってきても、自分は銃を持っている。大丈夫、大丈夫だ。
「本坊、あんまウロウロせんとじっとしとき。しばらくしたら田村とか迎えに来る思うし。」
「田村来てくれんの!?凄いな、そっちも合流出来たんや!」
「多分町田とノブも一緒やで。」
「うわすごいわまたbase芸人!baseすげぇ!!」 「落ち着け、そしてじっとしろ。」 テンションが上がって、ガッツポーズをしながらジャンプした本坊の襟首を川島が掴んだ。 「あはは、川島はいっつも冷静やなぁ。そういうとこ、うらやましかってん。」 「お前がはしゃぎすぎなだけやろ。」 「昔っからそやってん。最近もラジオでそんなノリやったし。」 「ほんまに昔からそうや。会うた時からなんも変わってへん。」 「・・・僕はずっと川島みたいになりたかってん」 「・・・・・・・・・?」 「麒麟のネタもな、あんなネタ作りたいな思てたんよ。」 ・・・・・・・・・何や、この違和感? 「今思うと、楽しい事ばっかりやったよね。」 ・・・・・・・・・何で、何でこいつは。 「ああ、じっとしてたら水口達に会うのが遅れるかもやね。」 「・・・なあ」 「石田は凄い武器持ってたけど、あいつ頼んないしなぁ。」 「なあ」 「あんな重たい武器、水口にも使いこなせると思えへんし。」 「なあ!!」 「うわ何!?びっくりした・・・」 「今何て言うた?」 「いや、石田が持ってる武器が水口には使いこなせへ・・・」 「違う、その前言うてた事や!!」 「その前って?」 「俺みたいになりたかったとか、楽しい事ばっかやったとか、何で過去形ばっかやねんな?」 「あー僕過去形なってた?やっぱ無意識のうちにそうなんのやろか。」 「無意識?」
「どうせ近いうちにみんな死ぬと思ってね。」 「!?・・・・・・・何言って・・・・」 さらっと絶望を口にする本坊に、川島は絶句する。 「あ、川島も田村に言いたい事あるんやったら今のうちに考えといたら?」 「なに普通に言うてんねん!」 「え?だって普通に進んだら1人残して全部死ぬ訳やろ?」 「生き残ろうとか考えへんのか!?」 「出来ればそうしたかったんけど、もうええねん。」 「何がええねん!俺らには・・・俺らには待っててくれる人がいるやろ!?家族も友達もファンの人らも!!」 「・・・・・・・・・意外。」 「あぁ!!?」 「川島はどっちかていうと現実的な人やから。あ、田村の影響か。あいつそういう事言いそうやもん。」 「そうかもしれんけど・・・俺はお前みたいに諦めたりせぇへん。まだ諦めたくないんや。」 「僕は諦めてるつもりはないよ。」 「死にたがってる奴のどこが諦めてへんねや!」 「僕はただ死んだ人がかわいそうなだけやもん。その人達を置いて生き残りたいなんて思わへん。」 「かわいそうやからって、そんな・・・」 「その人らにも家族も友達もファンもいたやろね。中には奥さんと子供がいてはる人もいはったやろし。」 「やからって・・・死ぬ必要なんてないやろ!?」 「それって田村の言葉やろ?」 「「今の自分はどうなん?」」 本坊の声と、あの不快な声の1番最初の言葉が重なる。 「俺は・・・俺は・・・・・・・っ」 「「今のお前はどうなんや? 可哀想?ほんまにそんな事思うとるん? 偽善者ぶるのもええ加減にしたらどうなん? 折角のチャンスなんやで? おまえが気に入らへん奴等をみいんな消せるんやで?」」
「うるさい」 「「お前は、殺す側の人間や。」」 「うるさい!」 「「殺す側の人間や。」」 「「偽善者。」」 「「殺す側の人間や。」」 「「偽善者。」」 「「殺す側の人間や。」」 「「偽善者。」」 「うるさい!うるさいうるさいうるさい!!!!」 川島にはもう本坊の声は届いていなかった。 「俺は違う!!俺はお前の言いなりになんかならへん!!!」 「川島・・・・”そっちの方の”川島?」 ぼそっと呟いた本坊の言葉を、川島は聞き取ったのか本坊を睨みつけながら激昂した。 「俺は違う!俺はこいつの言いなりにはならへん!!こいつなんか・・・」 「・・・川島自身なんやで、その人も。」 「・・・・・・・っ!!」 川島の自我は、熱いナイフがバターを切り取る様に寸断されていく。 「違う、こんな奴が俺な訳ない!!!」 「違わへんよ。その人も、俺が来る前にいた俺も、全部川島の作ったもんやろ?」 「違う・・・・ちがうちがうちがう!違うから・・・」 本坊は自分が川島の自我を崩壊させている事に罪悪感を覚えた。だが、それでも伝えたい事があった。 「川島、早く水口のところに行こう。そしたら大丈夫やから。」 「水口・・・水口に会ってどうなんねん?」 「水口は生きてる人にも、死んだ人にもやさしいから・・・川島もきっと楽になれるよ。」
「楽になれる・・・?鬱陶しいこいつも消えるんか?」 「うん、早く探さなね。みんなで楽になれる方法を。」 「みんなで・・・?」 「放送で言うた事や。・・・・”みんなで一緒に、楽に死にましょう。”」 その言葉がスイッチだった。 川島の記憶が飛び、数秒後には馬乗りになって本坊の首を絞め上げていた。 「かぁ・・・・し、まっ・・・・」 本坊の声は押し潰されて、明確な発音が出来なかった。 か細い首の喉仏は苦しげに上下し、頚動脈も警告の様に脈打っていた。 だが川島は躊躇い無く両手にありったけの殺意を込めた。 「何で・・・お前は、いっつも、いつも!!」 勢いよく飛び散る唾が本坊の目にかかった。 「いつも、人の中を踏み荒らして・・・俺の中に入ってくんな!!腹立つねん!」 まるで子供だ。理論よりもまず暴力が先に来て、その理由も覚束ない。 ここまで川島が取り乱すのは、心の中を見透かされてしまった恥辱がさせる事なのだ。 本坊が言うように、不快なあの声も、本坊の幻も、全て川島が己の精神を安定する為に作り出したものなのだ。 不快な声は必要悪であり、それを憎む事で自分を正義側に位置づける。 本坊の幻は現実逃避であり、それを信じる事で自分は悲しまないでいられる。 前者は相方の田村が後押ししてくれたし、後者は1人のままだったら誰にも邪魔されなかった。 しかし、その心地いい花畑をすべて本坊が焼き払ってしまった。 「お前は危険なんや!放っといたらみんなを殺す・・・消えればええんや・・・!この声も一緒に!!!」 「かわし・・・まはっ・・・、こわい、の?」 「こわい・・・?」 川島のこの激昂は、恥辱だけではない。恐怖もともにある。 必要悪の感情は、学生時代の川島の心の闇だ。芸人となった今、それは遠い過去だった。 その過去が呼び起こされて暗部が剥き出しになってしまう事が、川島は何よりも怖かった。 それが今自我の殻を破ってドロドロと醜悪な液を出している。
「ああ・・・そうや、怖いよ?お前もそうやろ?もうすぐ死ぬかもしれへんねんで?」 「その、はずや、けど・・・っ、実は、あんまり、こわな・・・い、ねん」 「なんで・・・・?」 「僕に・・も、わからへん・・・・。みず、ぐちにも、会わな・・・あかんのに、ね。 でも、ここで、かぁし・・・まに、殺さ、れても・・・ええんちゃう、かなっ・・・て、思う・・・」 「水口に会いたいんやろ?それまで死ねないとは思わへんのか?」 絞殺しようとしている張本人が言う事ではないが、そんな余裕は川島にはなかった。 本坊は飲み込めない唾液を唇の両側からダラダラと垂れ流しながら答える。 「死ね、へん・・・のやけどね。はは・・・・・やっぱ、わからん。」 「なんやねん・・・・おかしいねんお前。 俺はお前を殺そうとしてんのに、こわないとか訳わからへん・・・」 「だって・・・・かぁ・・しま、やもん。・・・・親友、やもんな。」 「・・・ぅうっ!!」 川島の喉に急に吐き気が込み上げて、本坊から両手を離すとすぐ後ろの木の根元に吐き出した。 自我の殻を破ったドロドロの液体・・・・それが体内から排出されていく、そう思った。 「・・・だいじょうぶ?」 本坊はそう言った後、激しく咳き込んだ。親友だからといって、今自分の首を絞め上げた人間を気遣えるものなのか。 親友である。 誰よりも1人を嫌がる故に、みんなで死にたがっている。 そしてそれを、いい事だと信じて疑わない。 わがままで強固な自我。殺意を目いっぱい受けてもそれは変わらない。 危険極まりない。正当な正義に反する。望む死者の数はほぼ全員。 そして、何よりも死を恐れていない。 それが本坊という人間。 自分は、 「本坊」 「俺は・・・お前みたいになりたいんかもしれへん」 自分はそんな本坊がうらやましかったのだ。
ソラシド 本坊 元児 所持品:コンビニコスメセット 基本行動方針:水口を守る 第一行動方針:水口を捜す 最終行動方針:水口以外の参加者(自分含め)全員を1度に死亡させ、水口を優勝させる】 【麒麟 川島 明 所持品:ライター 煙草(開封済) 眼鏡 ベレッタM92F 予備マガジン×1 基本行動方針:自分の精神を保つ 第一行動方針:田村達と合流 第二行動方針: 最終行動方針: 】 【現在位置:G-6】 【8/16 10:04】 【投下番号:196】
>>360 訂正
「本坊」
「何?」
「俺は・・・お前みたいになりたいんかもしれへん」
ラスト前で間違えた・・・
>>287 戦闘シーンが鬼気迫る迫力です。
「……なぁ、俺、まだ生きてるの?」って言った時凄い安心した。
>>348 マーダー谷井の動向が気になってたらこんな結末・・・!!
片桐の最期といい、切ない展開が上手いなぁと。
完結は、いつになりそう?
野暮なことをお聞きなさんな
>>355-362 おつです!本坊はアレだし、川島もかなり精神的にきつい状態ですね。
しかしなんというか、本坊と川島には、そういう状況でも友情みたいなものが
なりたっているというか、なんというか…不思議な感じです。
川島と本坊の関係ってそんなに詳しくないんですが、何となく関係を感じとれました。
続きも期待してます。
乙です! 自分、あなたのファンなんです。 川島のどろどろした感情が切実ですね。 速い投下、素晴らしいですね。 大変でしょうけれども応援しています。
>自分、あなたのファンなんです。 >自分、あなたのファンなんです。 >自分、あなたのファンなんです。 >自分、あなたのファンなんです。 >自分、あなたのファンなんです。 >自分、あなたのファンなんです。
グロ画貼るなよ
きっと猫アレルギーで、見るのも嫌なんだよ
ねこかわゆす
保守
もす
ばーがー
保守
やっつんバーガー
マチコ藤平編 藤平は歩いていた。 ただただ歩いていた。 学校を出てもまだ眠りの中にいるかのように足取りは浮き、どこへ行くわけでもなく歩き続けていた。 この異常な世界に対して特に感想も浮かばず、音も景色も、感じるはずの潮風の匂いも何もかも五感が捉えない。 わかるのは支給品のバッグが重いことぐらいだ。 ようやく視覚が動き始めた。 気づくと目の前にホテルがあり、辺りは暗くなりはじめていた。 藤平は眠るために階段を踏む。それ以外には何も思わないし感じない。例えば誰かいるんじゃないかとか、静かに階段を登ろうとか、微塵も。自分の生き死にすら今の藤平の脳裏にはない。まだ夢の内に彼はいる。 朧気な視界に、鮮やかな青色の靴跡が飛び込んでくる。 階段を下る軌跡の元を辿るようにコツリコツリと鼓膜を打つのは自分の足音だ。 目の前で鈍く光るドアノブの冷たさ。 薄く匂う鉄の香り。 急激に、しかも嫌に感覚が冴えてくるのを感じて藤平は身震いした。 夢が覚めようとしているのか。 本物の夢さながらに自分の体は言うことを聞かない。
藤平はドアを押し開けた。 ホテルの二階。青い足跡の始まる部屋だった。 目覚めを拒否するように瞼を閉じようとしたが、もはや見開かれた眼球に飛び入った光景は網膜に反射した後で、藤平は息を止めた。 青く染まった相方。鼻を突く濁った匂い。触れた乾きかけのペンキはぬるりと滑り、聞こえてくる足音。 足音。 藤平はドアの真横へと滑るように歩き、壁に背を寄せる。 奇しくも相方の命を奪った男と同じ企みだった。 そして同じようにドアが開き、藤平もまた、手にしたバッグで側頭部を殴りつけた。バッグの重さはわかっていた。中身は知らないが。そうだ。中身。 散らばった思考を繋いでいく藤平の横で男が頭を抱えて唸っている。藤平は支給された武器を手にして男へと向き直った。 藤平は、倒れたまま痛みにもがいているホンジャマカ恵の頭を、電子アイロンで殴りつけた。 無言で制裁は続いた。 頭蓋をなぶる音がだんだんと鈍く、重くなっていく。 しかし数回振り下ろしただけで細腕もまた重くなってきて、藤平はアイロンのコードを恵の首に巻きつけた。作業の間、恵は反撃も抵抗もしなかった。もう彼の全てが止まっていたからだが、藤平は無表情で交差させた両腕を引く。
「その席をどけ」 今日始めて出た藤平の声は掠れていた。 「もう空席が無いから」 笑いを志し、共に喜び悩み、歩んだ相方。 世界中の人々を笑わせることなく死んだ相方。 そんな相方と俺の遥か上で、俺たちよりも世界に近づいている芸人たち。 必死に梯子を登る俺たちに、天から矢を放つ芸人たち。 その一人が今、テグスの切れた糸繰人形のように崩れた。 「無いなら作るから」 藤平は相方に誓った。 排水溝は詰まっている。水はもうタンクいっぱいに溢れているのに。 ゴミを取り除かなければ、新しい水は流れない。 眠りから覚め、また新たな夢の中へと誘われた藤平は、そう言えば味覚がまだだったと指を舐める。ものすごく不味い、鉄の味がした。 妙にリアルな感覚のある、しかし現実味の無い、夢の中。 【ホンジャマカ 恵 俊彰 死亡】 【マチコ 藤平益人】 所持品:電気アイロン 第一行動方針:名の知れた芸人を探す 基本行動方針:レギュラー番組を持つ芸人の殲滅 最終行動方針:若手だけで生き残る 【現在位置:ホテルオーシャンビュー2F】 【08/15 18:40分頃】 【投下番号:197】
投下乙です! 朧気な視界に〜言う事を聞かないのくだりが好き。 行動方針が特殊だ。今後の展開に期待。
なんだかなぁ
383 :
名無し草 :2007/04/07(土) 21:54:28
あげ
相方もエレキの2人も失った小林が心配だ。 このままサラリと身を投げちゃうじゃないかとか、 自分で静かにいきそうなイメージが湧いてしまう…。 それとも逆に壊れていってしまうのか、今後も楽しみだ。
くりぃむ&ロンブー編の続きです 漆黒の闇の中で蝋燭の小さな明かりが気だるげに揺れている。 そのオレンジ色の光をぼんやりと眺めながら、上田は淳の言葉を待っていた。 淳は上田から手渡されたスケッチブックの内容に、興味か不審か歓喜か―あるいは恐怖か。 こんな時でもなければしないような顔で、白い画用紙に書かれた文字と絵を睨み付けている。 小一時間ほどかけて上田がスケッチブックに書き込んだのは、首輪の内部構造図だった。 首輪の前面にゴムで防水加工された盗聴用のマイクがあり、首輪の背面―ちょうど首の 後ろの部分にバッテリーと無線機、そして小型のGPS装置がパズルのように組み込まれている。 爆薬はご丁寧にも咽と頚動脈を的確に吹き飛ばせるように、マイクの横と両耳の真下の三箇所に設置されていた。 マイクと爆薬の配線にはフィルム状の触覚センサーが巻かれており、無理やり首輪を壊そうとすると、 僅かな破片にもセンサーが反応して首輪が爆発する仕組みのようだ。 既に半日以上つけているせいか、気をつけなければ首輪の存在を忘れそうになる。 それほど軽量で細身の首輪に、よくここまでの物を詰め込んだなと淳は妙な感心をしかけたが、 機能だけを見てみれば最近の携帯電話のほうがよほど高性能だろう。 この首輪は強引に言ってしまえば、通話機能しかない携帯電話に爆薬がついている程度のものでしかない。 これなら何とかできるかもしれない。 僅かな手応えを感じた淳は、スケッチブックを畳の上に広げた。
「眠そうですね。」 言いながら、淳は畳に広げたスケッチブックを捲り、白紙のページを破り取る。 ぼんやりと蝋燭の炎を眺めていた上田は、突然の淳の呼びかけに少し驚いたようだった。 「そりゃ眠いよ。」 目を擦りながら上田が淳の方に向き直ると、破り取られた画用紙が目の端に留まる。 上田が書き込んだ図面は中央に、2人の前には破り取られた白い画用紙が1枚置かれていた。 会議をするなら筆談で…とは思っていたものの、蝋燭の明かりだけでは眠気を誘うばかりで はたしてどれ程の進展が見込めるのか疑問だ。しかし、それを理由に眠ってしまう訳にもいかない。 「今何時だ?―ああ、もう9時過ぎてんのか…いつもならこんな時間に眠くなんかならねぇのに。」 上田が独り言のように呟きながら紙の上にペンを走らせると、マジックのシンナーの臭いが鼻腔を掠めた。 その人工的な臭いに、昨日までの生活に思いを馳せてしまいそうになった淳だが すぐに書き終えられた紙が目の前に差し出される。 『どう外す?力技じゃ爆発するみたいだ。』 画用紙の文字を目で追った淳は、一瞬考えてマジックの蓋を外す。 「今日は山の中を歩き詰めでしたからね…半日でこれだと明日はもっと大変ですよ。 でも、一番の原因は年じゃないですか?」 マジック特有の書き音をごまかすように、わざとゆっくり話しながら手早く文章を書き込む。 上田が図面を描き込んでいる時に、やたらと意味のない事を話しかけてきたのを不審に思ったのだが これだけ静かな場所だとマジックの音は意外なほど大きく響く。
『センサーまで仕込んであるのは厳しいですね。フィルムに触れないで配線を切るか、 起爆装置のスイッチが入らないようにしなきゃいけない。』 淳が文字を書きながらちらりと上田を見ると、途切れそうな会話の隙間を埋めるように上田が話し始める。 「お前だって人のこと言えんのかよ。ずっと亮に荷物持って貰ってたくせに。 年だって俺らとそう大して変わらないだろ?」 「亮くん、体力だけはありますから。」 『優勝者の首輪は爆発することなく外せるわけですから、方法はあると思うんですよ。 その辺は何か知っていませんか?』 「体力だけって。他に取り柄がないみたいに聞こえるぞ。」 差し出された紙に書かれていた文字を目にした上田は少し困惑しているようだった。 困惑しながらもマジックで何かを書き付け、淳に渡す。 『首輪の解除コードが本部にあるって話だ。』 「…マジっすか。」 「マジだよ。…まぁ、天然が取り柄に入るんなら別だけどさ。」 思わず口をついて出た淳の声が不自然にならないよう上田が言葉を被せるが 淳は上手く言葉を返せずに考え込む。 解除コード。 それさえ手に入れられれば、首輪を外すことも島から脱出することも容易だろう。 問題は、首輪をしている限り本部に気付かれずに潜入する事がほぼ不可能という所だ。 どの程度の精度なのかは不明だが、首輪には芸人の位置を知らせるGPSが仕込まれている。 学校に近付けばすぐに見つかるだろう。
そして、GPSの存在から浮上した問題がもうひとつ。 ロンドンブーツとくりぃむしちゅー。この二組が行動を共にしている事は、当然本部にモニターされているはずだ。 まだゲームがスタートしたばかりなので、生き残っている多くの芸人達の中に紛れて気に留められていない 可能性もあるが、そう楽観的に考えるほどの余裕はない。 特に仲が良いとか、事務所が同じとか、番組を一緒にやっていたという事もない。 なりゆきで同行しているにしては名簿の順番が離れすぎているし、何と言っても頭の切れる二組だ。 意図的に合流したのは明らかで、本部がその事に気付いてしまったら厄介な事になる。 勘のいい人間なら、この二組が何か企んでいると簡単に察してしまうだろう。 もし自分が運営側だったら、と、淳は思う。 ゲームの進行を第一に考えるなら、始末するだろう。そのための首輪だ。 しかし、ちょっとしたハプニングを楽しみたいと考えるなら、しばらく様子を見るかもしれない。 淳は教室の様子を思い出す。担任役はたけしだった。 あの人なら、おそらく進行第一という事はないだろう。 しかし、出来れば本部の人間に何か勘付かれる前に行動しておきたい。 目を付けられているのとそうでない場合はその後の行動に大きな差が出る。 「何だよ、黙るなよ。ショック受けすぎだろ。」 すっかり黙り込んでしまった淳に、呆れたような、どこか面白がっているような様子の上田が声を掛ける。 色々と考え込んだせいで、直前まで何を話していたか忘れてしまった淳がペンを走らせながらぞんざいに答えた。 「そりゃあショックですよ。」 「おい、相方ならフォローくらいしてやれよ。ひどい奴だな。」 楽しそうに笑う上田の声を不審に思った淳が何となく目を向けると、上田は立てた片膝に顎を乗せてうとうととしていた。
淳にとっては首輪の構造も、解除コードの話も初耳だった。 いくつも思い浮かぶ脱出の方法に興奮して眠気も吹き飛んでしまっていたが、上田にとって真新しい情報は皆無に近い。 眠くなるのも分かるが、寝入られても困る。 「ちょっと、まだ寝ないで下さいよ。」 淳は慌てて紙を上田に渡す。しかし上田は受け取った紙を見るなり、あー無理無理、とぼやいた。 『本部に乗り込むんですか』 そう書かれた紙を床に置き、上田はペンの尻でスケッチブックの「GPS」の文字をトントンと叩く。 GPSが作動している限り、気付かれずに校舎に忍び込むのは無理だと言いたいのだろう。 淳はもどかしそうに頭を掻いた。 「そりゃ、キツイのは分かりますけど。」 「キツイっていうか、これだけは無理だな。」 「諦めるのが早いですよ。そんな弱気でこの先どうするんですか。」 「この先なぁ…。そういえばこれって50回記念だっけ?O.Aとかあるのかね。」 「さぁ。でも普通は優勝者のインタビューが少し流れる程度ですからね。そもそも放送コードにひっかかるでしょう。」 「じゃあ流れてもインタビューだけか。誰が優勝すんのか知らねぇけど、そこは笑いを取りに行って欲しいよな。 こんだけいる芸人の代表なんだから。」 だらだらと話しながら、本当に眠そうな様子で文字を書く上田の手元をじっと見る。 『大きな建物の中には監視カメラもある。外は知らん。』 首輪の盗聴器とGPS、とくれば監視カメラがあったとしても不思議ではない。 淳は特に驚いた様子は見せなかったが、今この場面を見られてしまっていては筆談の意味がない。 警戒するように辺りを見回す淳に、いつになくぼんやりとした上田の声が届く。
「有田は自分が出てる番組とか見るの好きだからいいけど、俺は苦手だからなぁ。」 上田はそう言いながら、横を向いてしまった淳の頭を画用紙を筒状に軽く巻いてつつく。 すると迷惑そうに顔を歪めた淳が、上田の手から乱暴に画用紙を毟り取った。 『ここは多分カメラはないよ。入り口の鍵の錆び方と、埃の積もり具合で分かる。』 新しく書かれた文章にほっとする淳をよそに、上田は寝言のように1人で話している。 「あれだ、インタビューは有田に任すか。すべってもフォローできねぇけど。」 「…完全に寝ぼけてませんか、上田さん。」 「起きてるよ。」 「寝ぼけてる人は皆そう言うんですよ。」 「確かにな。」 ふふ、と小さく肩を揺らして上田が笑う。 淳はため息をついて時計を見た。交替まではあと十分ちょっとしかない。 時間をかけて考えれば、首輪を外すのに安全かつ確実な方法を思いつけるかもしれない。 しかし時間が経てば経つほど、本部に目を付けられる可能性も高くなる。 淳は、本部に乗り込む以外の方法をひとつだけ思いついていた。 危険極まりない方法の上にいくつかの材料も必要だったが、このまま悩んでいてもどの道時間に殺されるだろう。 淳は紙を上田の目の前に差し出した。 『首輪は多分壊せます。かなり危険な方法ですけど、それでもいいですか?』 上田は差し出された紙を受け取らずに頭を少し上げただけの格好で読んでいる。 内容を確認しているのかしばらくじっと紙を見つめていた上田が、感心するような眼差しで淳を見た後、にやりと笑う。 それを肯定と捉えた淳が笑みを返して言った。
「そろそろ交替の時間ですね。有田さんを起こしたら寝ていいですよ。」 「お前は?」 「亮くんには明日も荷物持ちをして貰わないといけないんで、12時までは僕が起きてますよ。」 「そっか。…じゃあ後はお前と有田に任すわ。」 「12時になったらちゃんと起きてくださいよ。」 だるそうに立ち上がって有田を起こしに行く上田の背中に念を押す。 上田はそれにひらひらと手を振って答えた。 蝋燭の光があまり届かない闇の中から、上田が有田を起こそうとしている声が聞こえる。 淳はそれを聞きながら、首輪の構造図や今までの文章でのやりとりに改めて目を通していた。 盗聴器、爆薬、触覚センサーにGPS。そして監視カメラ。 本部側からしてみれば正に万全の構えだろう。しかし、どんなに完璧に見える計画にも穴は存在する。 そして、淳は僅かな隙間を見つけた。 その隙間を穴に出来ればこちらの勝ちは確定だろう。 淳はスケッチブックの白いページをまた一枚破り取り、自分の考えを纏めながら構想を書き出していく。 有田が中々起きないのか、上田の少し苛ついた声のおかげで独り言を口にする必要はなかった。
【くりぃむしちゅー 上田 晋也 状態:首に痣 所持品:サバイバルナイフ・ライター 第一行動方針:有田と見張りの交替。 基本行動方針:首輪を外す方法を考える。 最終行動方針:島からの脱出 】 【ロンドンブーツ 田村 淳 状態:異常なし 所持品: 拳銃(コルト45)・携帯電話 第一行動方針:首輪を外す方法を考える。 基本行動方針:本部の裏を斯いて島から脱出する。 最終行動方針:生存 】 【現在位置:元町の外れの農家】 【8/15 21:55】 【投下番号:198】
>>392 乙です!
二人が筆談するというだけの内容なのに不思議とドキドキしてしまいます。
これからの動向も楽しみにしています。
乙です。 これからどうなるかwktkしてます!
新作乙です! 淳は一体何を思いついたんだろう… wktkするなあ…
某芸人が、このスレをブクマしていた件
ほす
保守
400 :
名無し草 :2007/04/18(水) 00:34:59
⊂ ⌒⊃。Д。)⊃
保守
保守
動きがないな…
いま尋常じゃなく忙しいからちょっと待ってやってくれ…
>>404 そうか、急かすようなこといって悪かったな。
体壊すなよ
過度な馴れ合いやめれ
つまんねぇ話、早く投下しろよカス共w
409 :
名無し草 :2007/04/22(日) 19:43:59
ほしゅあげ
保守
412 :
名無し草 :2007/04/25(水) 21:47:03
したらばにも質問スレがないんですが 書き手の質問はどこにすればいいですか?
ageてスミマセン。
何度もすみません、したらばにありましたね…。
415 :
名無し草 :2007/04/28(土) 16:21:24
保守あげ
>>82-93 の続き。江頭&玉袋編です。
8月16日、午前7時16分。民家の外に江頭と玉袋は立っていた。
すでに朝の陽があたりを照らし、白っぽい光があたりに満ちている。
少し眩しそうに目を細めながら、玉袋は頭をぽりぽりと掻いて、ゆっくりと口を開いた。
「エガちゃん、いろいろありがとな」
「俺、別に、そんな…」
「エガちゃんのおかげでさ、ちょっと元気出たよ、俺はさ」
「そ、か…」
「そうだよ、鍋かぶってても、風呂敷巻いててもさ…エガちゃんカッコいいぜ!」
「そ、そ…かな?」
「おう、もうあれだな、俺のヒーローだな、エガちゃんは」
「…ヒーロー?」
「そう、笑いで世界を救うヒーロー…エガちゃんマンだ!」
「エガちゃん、マン…!」
江頭は玉袋の言葉に、全身を電流が走り抜けたかのような激しい衝撃を受けた。
笑いで世界を救うヒーロー、エガちゃんマン。その名は江頭にとって、最高の指針となる。
あの偉大なビートたけしが演じたタケちゃんマンをもじって名づけられた、笑いのヒーロー。
それはごく軽い響きで授けられたにも関わらず、言外に含まれる意味がずしりと重い称号だ。
相方の死に涙する玉袋を前に、“芸人としてしか生きない”と誓った江頭は瞬間、はっきりと悟った。
…理不尽で、気違い沙汰で、悲愴で、馬鹿げたこの世界。ここで自分がすべきことは何なのか。
その問いの刻まれた重い扉は今、玉袋に与えられた二つ名を鍵にゆっくり開き、江頭を招き入れる。
頭の中に屹立する、その扉のむこうにひらけた明るい世界で彼が見つけたのは、あの有名な科白だ。
『1クールのレギュラーより、1回の伝説』 ある番組で自ら口にしたその科白は、いつしか彼のキャッチフレーズにすらなっていた。 江頭2:50の信念を端的に表す、これ以上ない完成度をもった、美しいフレーズ。 彼は常に、芸人としての道をその言葉にふさわしく歩んできた。それは今、この場でも変わらない。 江頭の脳裏に燦然と輝くその言葉は、雨にも風にも揺るがぬ強い背骨を彼に与えた。 …誰かが悲しんでいるなら。誰かが死にかけているなら。誰かが自分を殺そうとするなら。 そのときに自分がすべきことは何なのか、さまざまな仮定のもとに、江頭は答えをさぐる。 だが、どんな仮定のもとに考えても、芸人としての江頭が出す答えは、たったひとつしかなかった。 江頭は口の端に、フ、と限りなく自嘲に近い笑みを浮かべ、それから玉袋に声をかける。 「…玉ちゃん」 「うん?」 「俺さ、ほんとにさ、“エガちゃんマン”、なるよ」 「…おう」 「俺ね、みんなを、笑わせたい」 「…」 「泣いてる奴も、死にそうな奴も…、俺殺そうとする奴もね、みんな、笑わせたいんだよぉ、俺」 そう言って、江頭は玉袋の目を見つめ、くしゃりと顔を崩して笑った。ハの字に眉を歪めながら。 それは何か、ひどく不器用な感のある笑顔だった。だが、その笑顔に玉袋もつられて口角を上げる。 玉袋は包帯の白が鮮やかな左手で江頭の右肩を軽くつかみ、視線を合わせると口を開いた。
「…エガちゃん、ずっとさ、そのままでいてくれよな」 「玉、ちゃん」 「ずっと、そういうエガちゃんで…、エガちゃんマンでいてくれよ」 一度たりともぶれることのない真摯な目で、玉袋は江頭に言う。江頭も、視線を外しはしなかった。 玉袋の言葉を受けとめて、江頭は目を合わせたまま、こくりと頷く。それが了承の合図だった。 江頭の無言の返答に玉袋は破顔する。そしておもむろに、背負っていたデイパックを地面におろした。 しゃがんでその中をさぐり、目当てのものを見つけるとすぐ、顔をくるりと江頭のほうにむける。 「エガちゃん、コレやるよ」 そう言って玉袋が差し出したのは、彼が病院からくすねてきた医療品の数々だった。 昨晩、玉袋が使用したガーゼや包帯、傷薬、消毒薬の他、なぜかメスとピンセットも一つずつある。 「え、でも玉ちゃん、これ」 「いいんだよ、たくさん持ってきたし」 「…ありがとう」 礼を言って江頭は、玉袋の手から医療品を受けとり、腰に巻いたウエストポーチの中にしまう。 自分のほうからは何も渡せるようなもののないことに気づき、江頭は少し困った顔をした。 それを見た玉袋は江頭の心中を察して、ポン、と江頭の肩を軽くひとつ叩く。 「気にすんなよ、俺はもうエガちゃんにもらってる」 「え」 「エガちゃんが気づいてなくてもさ、たくさんもらってるよ、気持ち」 「玉ちゃん…」 「…俺はそんなもんしかやれねぇけど、勘弁してくれよな」 そういって少しだけ皮肉な笑みを浮かべた玉袋に、江頭は慌てて言った。
「…ちがう、玉ちゃん、俺も…俺ももらった、“エガちゃんマン”って名前!」 「へっ…」 「俺、おかげでやっと…やっとわかったんだよぉ、俺のやること」 「…エガちゃん」 「俺、ずっと“エガちゃんマン”でいるから、絶対…さいご、まで」 『さいご』という言葉を口にしながら、江頭は少しだけ迷う。…最後、か、最期、か。 …たぶん『最期』だ、そう江頭は思う。それは予想でも、想像でもなく、確信だった。 …きっと俺は、人を笑わせるために命をかけて生きていく。 彼はそれでも構わなかった。むしろ、それが芸人・江頭の本望であるとすら言えた。 自分の命ひとつ、それで誰かが笑ってくれるなら、きっと今の彼は喜んで差し出すだろう。 この島の中で、泣いたり、傷ついたり、悲しんだりしているたくさんの人を笑わせるためならば。 志だけなら、彼は今、確かにヒーローだった。無私の、けがれのない心をもつ、英雄だった。 その英雄の姿に、玉袋は胸を痛める。自らの言葉で江頭に、茨の道を選ばせたと悟ったからだ。 だが、江頭の決意の前に彼が紡いだのは、制止の言葉ではなかった。彼もまた、芸人なのだ。 「…俺も、ちゃんと…、芸人で終わりてぇって、思ってるよ」 口にしながら、玉袋はもうこの世にいない相方のことを思う。脳裏に浮かぶ顔は、笑っていた。 また少し泣けてきそうになって、彼は慌てて上を向く。空は青く、雲は白く、木々は緑だ。 誰がいなくなっても、世界は勝手に動いていく。玉袋はそんなことくらい、昔から知っていた。 …わかっていても、自分だけとり残された気になる。生きている者ばかりが足掻くのだ。
夏の熱い風が彼の目の潤みを乾かしていく。涙が彼の頬をつたうことはなかった。 ふたたび玉袋は視線を江頭に戻し、軽く息をすいこむと、口を開く。 「…エガちゃん、俺ぁ行くとこあるから、ここでさよならだ」 そう玉袋が告げると、江頭は少し驚いたように目を見開いたあと、寂しそうに頷いた。 江頭の首の小さな動きを目にして、玉袋は地面においたままだったデイパックを持ち上げる。 「じゃあ、元気でな」 「…玉ちゃんも、元気で」 そうして二人は互いの無事を祈りながら別れ、各々の道を進んでいくことになる。 特にあてもなく次の民家を目指す江頭は、歩き出してすぐ、玉袋のほうを一度だけふり返った。 そのとき江頭に見えたのは、ひなびた景色に浮かび上がる白と茶のボーダーのみ。 それが遠ざかっていくのを確認すると、江頭はただ、前だけを見てまっすぐに進んでいった。 別の方向へと歩き出した玉袋は、しばらくして足を止めると、江頭の去ったほうに身体を向ける。 「…俺もさぁ、芸人で終わりてぇなって、ホントそう思ったよ…エガちゃん」 江頭の後ろ姿を見送りながら、玉袋は呟いた。唐草模様の風呂敷は、次第に小さくなってゆく。 ぽつねんと立つ玉袋の左手に握られていたのは、支給品のボイスレコーダーだった。 そう、玉袋の持つ拳銃は本来、彼のものではない。ある犠牲者の横にあったものを拾ったのだ。 無論、江頭は玉袋の拳銃のことなど知らない。玉袋の武器はレコーダーだと思っているだろう。 そのレコーダーの存在すら、今朝、放送後に玉袋が荷物からとり出すまで江頭は知らなかった。 意図的に隠したつもりではない玉袋だったが、銃を江頭の目に触れさせたくなかったのは事実だ。 玉袋は、引き金を引けば簡単に人を殺せてしまうこの武器を、江頭に見せたいと思わなかった。
あの民家にたどり着くまで、彼は何体かの死体を目にし、時にはその所持品をあらためてもいる。 それはこのプログラムの内容を賢く悟ったゆえの行動だったが、玉袋の良心は摩耗していった。 最初の死体には形ばかり手をあわせたものだったが、二つめ、三つめになれば何も感じない。 死体の横に転がっていた拳銃を拾い、その説明書をデイパックからとり出すことも厭わなかった。 おかげでそれが護身用の拳銃…といっても女性用に開発された一品であることを彼は知っている。 S&W、M36レディ・スミス。それが、彼のジーンズの右ポケットにひっそりと眠る拳銃の名だ。 ポケットに手をつっこんで、銃のグリップを握りながら玉袋は自らの行為を思い出していた。 死者の荷物あさり。それは感覚として、ほとんど墓荒らしに近い。思い出すほど彼の胸は痛んだ。 何をもって正しい人間の行為とするべきかなど、今も昔も玉袋の知るところではない。 だが、「お前の行為は人として正しかったか」と問われれば、彼は“否”と言うしかなかった。 江頭に会い、相方の死に直面して、今更のように頭をもたげてきた良心の呵責に玉袋は苛まれる。 …あのとき、中にいたのが、江頭でなかったら。 暗い民家の中佇んでいたのが江頭でなければ、引き金を引いていたかもしれないと彼は思う。 それくらい、玉袋の精神は蝕まれていたのだ。自身も気づかぬうちに、とても深く、暗く。 そんな彼を癒したのは、松明の灯りの中に浮かぶ、鍋をかぶり風呂敷を首元で巻いた、友の姿。 あまりにも江頭の格好がおかしくて、玉袋はこの島に来る以前の自分を瞬間、とりもどしたのだ。 だから、せめて江頭だけはこの殺し合いの場に染まらないで欲しい、そう玉袋は願った。 拳銃を江頭の目から遠ざけたのはそのためだ。生々しい人殺しの道具など見せたくなかった。 それはひどく勝手な願いだったが、玉袋の真摯さゆえか、天に聞き届けられることになる。 江頭は、おそろしく険しいが、一点の曇りもない光の道を選んで去っていった。
この場で人を笑わせるということが、いかに苦しく、困難であるか、玉袋は理解している。 その道を選ばせたのが、自分の思いつきで言った言葉だったことにもまた、玉袋は胸を痛めた。 けれども彼は、胸を痛めながら同時に、言いようのない喜びもまた覚えている。 彼の望みどおり、江頭は最後まで、最期まで、染まらないと誓って去っていったのだから。 複雑きわまりない感情を抱えて、玉袋は溜息をこぼし、左手のボイスレコーダーに目を落とす。 …これから自分のすることは、江頭には知られたくない。あの優しい男をきっと悲しませるから。 …どうか早く遠くへ行ってしまってくれ。俺の声が聞こえなくなるくらい、遠くへ。 一歩一歩、地面の感触を確かめるようにゆっくりと踏みしめながら、玉袋は進んでいった。 それから小一時間ほど。その間、玉袋の足は止まることなく、北東へ向かっていた。 元町の、踏み固められた、民家の間を曲がりくねる道はいつしか、暗い森へとさしかかる。 この森の中を少しだけ北東へ進んだところにある、ひとつの場所を、玉袋は目指していた。 昨日彼がそこで見たのは、悲惨な死体。そしてそこには、あるものが残されていたはずだ。 それを回収するために、玉袋は歩いていた。ひとり、森の葉ずれの音と蝉の声を聞きながら。 森の下草を踏みしめれば、木の枝から飛び立った蝙蝠が、玉袋の前を横切ってゆく。 彼はおののいて立ちどまり、その行く先を目で追った。まだ朝だというのに、ここは薄暗い。 玉袋は太陽を確かめるように上を向いたが、うっそうとした木々で空の色も見えなかった。 地味な色をした二匹の蝶が、ひらりひらりと飛んでいく。それを見てまた、胸は鬱いだ。
「…俺さぁ、芸人だけど…漫才師、なんだよ」 その言葉は、少し皮肉に笑った玉袋の口から発せられ、空間へと滲んで、とけて消える。 「…漫才はさぁ、ひとりじゃできねぇよなぁ、博士」 スニーカーのつま先にふれた小さな灰色の石ころを蹴飛ばして、玉袋はもう一度呟く。 その言葉は暗い翳りをもって、まるで黒い鴉のように地面に降り立った。 【玉袋筋太郎(浅草キッド)】 所持品:ボイスレコーダー、S&W M36LS(4)、ガーゼ、包帯、傷薬、消毒薬、メス、ピンセット(数不明) 第一行動方針:D6の森の中にむかい、あるものを回収する 基本行動方針:不明 最終行動方針:不明 現在位置:元町のはずれ、森付近(D6) 【江頭2:50(江頭秀晴)】 所持品:金だらい(大) 真鍮の鍋と古手ぬぐいのヘルメット・唐草模様の風呂敷のマント 蛍光イエローのウエストポーチの腰帯・おたまの剣 ポーチの中に火打鎌と火打石のセット、ガーゼ、包帯、傷薬、消毒薬、メス、ピンセット(各1) 第一行動方針:笑いで世界を救うヒーロー、エガちゃんマンになる 基本行動方針:笑いで世界を救うヒーロー、エガちゃんマンになる 最終行動方針:笑いで世界を救うヒーロー、エガちゃんマンになる 現在位置:元町(E5) 【8/16 08:17】 【投下番号:199】
おつです エガちゃんマン滅茶苦茶カッコイイ
ハ_ハ_ ∩゚∀゚)ノ 江頭となら死ねるよ! ) / (_ノ_ノ 彡 . _,,..-―'"⌒"~ ̄"~⌒゙゙"'''ョ ゙~,,,....-=-‐√"゙゙T"~ ̄Y"゙=ミ
おお、いつの間にか新作来てた! 乙です! エガちゃん最高だぜ! 玉ちゃんがどうするのかが気になる……
エガちゃんマンに頑張って欲しいな 玉袋の動向に期待
>>vol.4 506- 「そんだけ頭が回るんやったら大丈夫やろ」 騙されて損した、というように大袈裟なほど溜息を吐くと灘儀は友近の前に座り、ブラウスのボタンを外していく。 二人にとっては今更空気が変わるまでもない日常の所作、ただそこに大量の出血だけが異なった存在を主張していた。 コンクリートの壁は日の光から隔絶されて茹る外気の中で清涼感を醸し出しているが、汗が掌に滲み、凝固した血を少し溶かしていく。 纏わりつく赤は、肌から剥がれ落ちるのを拒否するかのように粘りついていた。 「大丈夫、やんなあ」 無意識のうちにその言葉を反復している。根拠のない自信を捻り出そうとするように。 その思いに応えようとしているのか、友近もブラウスが肌から剥がされて傷口が開こうとも笑顔を保とうとしていた。 灘儀は、胸騒ぎと渇きを覚えながら消毒を始めようとアルコールを染みこませたガーゼを患部に当てる。 途端に刺す様な痛みを覚えた友近の身体が一瞬跳ねる。 「だい『大丈夫』」 咄嗟に掛けられた声を友近は遮った。目を大きく見開いた灘儀に、もう一度安心させるように同じ言葉を繰り返す。 「大丈夫、それよりちゃんと消毒して下さいよ」 ああ、と応える灘儀の声はか細い。それでも丁寧に血を拭き取り、患部には薬を塗って、清潔なガーゼを当てる。 包帯を手に取り、幾重にも巻いて縛ると、今更やけど、と言いながらも痛み止めを口に含ませて、頭に手を添えながら水を飲ませた。 最後に友近が手に持っていた簪を髪に飾り付ける。 簪から垂れ下がる硝子細工が揺れてキラキラと光を放ち、ちらちらと光の粒が灘儀の顔の上を泳ぐ様を見て友近は微笑んだ。 茹だるほどの熱はコンクリートに吸収され、涼やかな風が二人の素肌を擽る。 笑顔に安心したように、友近の前髪を掻き上げると灘儀は額に軽く口付けた。 唇を通して感じる熱は空白を感じさせるほど低く、存在が虚ろにさえ感じる。 友近の顔を胸に引き寄せ腕で強く抱きしめると、灘儀のTシャツの胸の部分が冷たく湿り気を帯びていった。
「灘儀さんは、まだやり残したことあるんですか?」 言葉に小さく嗚咽が混じる。遣り切れない思いを抱えながらも優しく肩を撫でながら静かに応えた。 「今久馬が書いとる台本、あいつらとやらななぁ」 それは一筋の縋りつく蜘蛛の糸と言っても良い。 だが顔を見上げた友近が事情が飲み込めないという表情をしたのに気付き 、灘儀は簡潔に経緯を説明する。 「見たかったな…」 力なく項垂れながら顎だけは高く上げて 空を見る視線の先には現実ではない世界が広がっているのだろうか、 遠くを見遣る友近を呼び戻すように灘儀は笑いかけた。 「見れるて。歓迎や。ギブソン連れ戻して来んとあかんけどな」 心の底から自分の言葉を信じきっていると言ったら嘘になった。 もう友近に未来を引き寄せる余力がないのは見て取れる。 諦めを促す声が心の奥底から訴えるような感覚を覚え、 その心に巣食った虚ろが、友近の表情に一瞬だけ現れた微妙な変化を見逃させてしまった。 涙が一瞬で止まるほどの、小さくも重大な綻びを見つけてしまった歓喜。
「見れないんですよ、もう絶対に」 やけにきっぱりとした口調に灘儀は不審がって友近の顔を覗き見ようとすると友近は顔を背ける。 「…何を…」 知っているのか、と誰何する灘儀に話を逸らすのは無理だと悟るように 友近は目の端に涙を浮かべながら向き直った。 「ギブソンさん見たんです」 「何処で!」 間髪入れずに応じた灘儀の声には、完全に焦りが混じっている。 「こっからちょっと行ったところです。ギブソンさんは私に気付いてなくて… 雰囲気にちょっと違和感を感じたので話し掛けなかったんです」 今物凄い後悔してますけど、と続けた友近の声が聞こえているかいないのか、 灘儀はその言葉をただ無表情で受け止めている。 「次に見掛けた時は、木にもたれて亡くなってました。 不意を突かれたのか抵抗した形跡もなく撃たれていて…」 友近の語る語尾が小さくなっていく。灘儀は見開いた目が受けた衝撃の大きさを物語っていた。 このとき。 灘儀に疑うという選択肢があったのかどうかは定かではない。 しかし本来ならば死を促すような発言は 誰もが他人の死を願うこの状況下では疑ってかかるべきであったといえよう。 しかも、具体的な著述は一切ない。 だが、友近は灘儀にとっては大事な恋人であった。始まりは決して強く望んだものではなかったとはいえ。 そして他人を信用することによる死までを覚悟していた訳ではないが、 他人を信頼することはむしろ灘儀の望みであったといえる。 だからこそ、この友近の嘘にあっさりと捕まってしまった。
悟られぬように自然と口の端が上がりそうになるのを理性で抑えながら灘儀を見上げる。 灘儀にとってプラン9というユニットが大きな支えになっていたのは紛れもない事実で、 そしてその支えを圧し折ることに成功したことは友近自身一番良くわかっていた。 ならば最後にこの言葉を問い掛けるだけで。 ーもう、プラン9は存在出来ないんです。だから。 「…一緒に死にませんか?」 もう悲しまなくて済むように。 そう語り掛けるかのように訴える友近を、しかし灘儀は退けていた。 「いや、浩志達にそれ伝えんと。その前に久馬に言うべきなんかな」 柳谷が死んだのであれば、それを皆に伝えて状況を立て直さねばならないと。 気持ちを切り替えたというよりは、その事実から目を背けようとする死への根本的な嫌悪感だろう、 友近の誘いに全く耳を貸そうとはしなかった。 立ち上がって、一先ず容態の落ち着いた友近をここに置いて 今にも飛び出していこうとする灘儀を友近は絶望の入り混じった瞳で射抜く。 「プランは…」 「昔に戻るだけや」 灘儀の行為の無意味さを訴えかけようとする友近を灘儀は間を置くことなく制した。 ただ、ザ・プラン9の発足した当初の形さえ残っていれば。 久馬と鈴木と浅越さえ生きていれば成立するのだという理屈が存在することは友近には分かっている。 しかし。 「全員は一緒に生き残れないんですよ…!」 長くても数日の夢だと。それは全く間違いではなかった。 「それでも、最後までやりきりたいやんか」 大きな予想違い。そしてその事実に自らの死を一つの事象としてやり過ごされることに友近は恐怖した。 死を独りで迎えなくてはならないかもしれないという恐怖。 その恐怖は友近を絡めとって自らの意思とは関係なく体を動かしていた。
満身創痍の体でいきなり暴れ出した友近を、灘儀は一瞬で止めに入る。 傷が開く、とその体調を心配して駆け寄った灘儀の、差し伸べられた手を友近は見ていなかった。 視線の先にはたった一つ。 覆い被さるように止めに入る灘儀を見据えながら、 友近は右手を出来る限り伸ばして腰に刺さった短刀を手に取った。 抜き取られたことに気付いて取り押さえられるよりも早く。 友近は渾身の力を込めて灘儀の腹部に切っ先を突き入れる。 刹那。 狙いを定め灘儀の左の脇腹に一息に刺し入れられた刃は筋繊維を通り抜け、内臓を貫いた。 刃を伝わり落ちる血の雫が段々と奔流になる。 膝に力が入らなくなり、友近の体に重なるように倒れこんでいた。 体内の鉄の重さと体の奥から揺り動かされるような温度と、 それまで脳内を支配していた思考を全て掻き乱すような焦燥感。 灘儀の目前に浅越や久馬、皆の心配そうな顔が乱れながら映し出された。 そして忍び寄る死の気配。 全てが走馬灯のように横切り、残されたのは霞がかった視界に入る、 灘儀の命を確実に奪おうと必死に刃を握り締める友近の顔。 その顔に酷く滑稽さを感じた。 もう死は逃れられないのに、そんなに必死になって。
「しゃーないな」 そして灘儀の口から零れ落ちたのは、ただ優しいだけの言葉だった。 「断ったはずやったけどな。しゃーないわ、昔から押し強かったやんなあ」 その顔は、笑っていた。友近には笑っている顔を作っているだけであったことは分かったけれど。 でもその優しさが、酷く友近の胸を掻き毟る。 気付けば、友近は刀を投げ捨て灘儀の体を抱き寄せていた。 「独りで死にたくなくて…私にとってはこの時間は最後で、どうしようもなくて…」 握り締め、重なる手。 二人の小指を結ぶように一筋流れた血は運命を表す糸のように赤く皮肉げだった。 灘儀はその弁明を遠くに聞いていた。 横暴な恋人は結局自らの願いを譲ることなく灘儀を死の淵へと追いやった訳で。 悲しませたくなくて、口では耳触りの良い言葉を紡いだ。 視界が段々と狭まるのを感じながら、恋人の真意を最後まで掴めなかった自分を嘲笑う。 それほどまでに自らに執着する恋人に愛しさを感じない訳でもなかったが。 だがそんな灘儀の真意は漏れ出さない。 触れた手の体温から本当の心情など伝わるはずがない。 暗くなった視界を灘儀の人生を彩った人と出来事が目の前を横切る。通り過ぎていく顔の羅列。 するとふっと体が浮いて、その中に吸い込まれるような圧力を背中に受けると、 次の瞬間には真っ黒な世界を飛んでいた。 血流が滞った脳では、もはや何が可笑しいかも考えられないが、 ただ見下ろせばには灘儀の人生に最も大きく関係した二人の"ヒロシ"が立っていて、 一人は必死に呼び戻そうと声を荒げ、片方は呆けたように灘儀を見上げているのははっきり見えている。 「俺が居らんでも平気やろ!」 灘儀の言葉にますます浩志の動きは速さを増した。 意味がないことは分かっていても止められないのだろう。その必死さに胸が熱くなる。 「自分を大事にせぇや!」 笑顔で発した言葉に、浅越は逆に涙を溢す寸前の有様だった。 こんな歳になって泣くな、と言おうとして自分が原因であることに気付き、 目を伏せると次の瞬間現実に戻っていた。
微かに残る意識は、死ぬ時死ぬ場所は同じでも同じところに逝けそうにない、 そんな予感が支配していた。 魂まで寄り添って逝くことなど、夢の夢であるかのような。 梅田の橋を鵲の橋と契りていつまでも 我とそなたは婦夫星 遠くから見れば寄り添うように見える星も、近付いてみれば驚くほど遠い。 それを知ってか知らずでか、共に星になることを願った女は、 恋人の血潮を浴びながら嬉しそうに笑っていた。 【ザ・プラン9 なだぎ武 死亡】 【友近 死亡】 【現在位置:建設途中のホテル(C4)】 【8/16 11:59】
【投下番号:200】
投下乙です! なだぎ・・・!!生き残ると思ってたので意外でしたが、 友近は幸せになれたのかな・・・ちょっとディラン&キャサリン見てくる。
友近のキャラに違和感があるが、これはこれでありか? 投下乙
小林と山根編いきます。 【小林】 夏の日差しと海からの照り返しで僕の視界はつねにぼやけている。視界はぼやけているが僕ははっきりしている。 僕はこの地にしっかりと立っている。僕は動けない。僕はいつから動けないのかしら。何千もの年輪を重ねた大きな木 のように、しかし僕はそのように生きられはしない。だけれども僕は動けないでいる。僕はいつから動けなくなったのかしら。つ いさっきまで、どこまでもどこまでも飛び続けられる鳥でいたような気がしてきた。雲雀はどうしてあんなにまっすぐ飛 んでいくのだろうか。燃え尽きた魂はどこへ行くのでしょうか。僕の魂は燃え尽きてしまった。でも、僕は足の下に踏み つけた草のにおいを知っている。僕は生きている。 ついさっきまで動いていた親友が目の前で死んでいる。二人折り重なって、大きな舞台を終えたかのように疲れた体を弛 緩させて。横で呆然と立っているこの男は何者だ。この男は僕の人生に唐突に入ってきて、同じ大地を踏みしめている。 どうしてこの男は揺らいでいるのかしら。この男の魂は未だに燃えつききれていない。乾ききれていない。僕はいつから 乾いているのかしら。キリストは死ぬ直前に「乾く」と言った。僕も今乾いている。僕は神ではない。けれども僕は乾い ている。ひからびた胎児の奇怪な幻想。奇怪、奇怪とはなんだ。ここは異常すぎて異常なものが何もない。 乾いた僕を生かしているものは、一滴の水。僕を遠くで思う妻の声が僕を生かす。
【妻の声】 あなたが家を出たあの日から、あなたの夢を見ない日はありません。あなたが死んだ夢は不思議なくらいに現実味を帯び て、朝の私を狂わせます。夢の中の私は大きな声で泣いていました。街を行く仲の良い男女を見て、あなたを思って泣い ていました。テレビでバトルロワイアルの死者の情報を見るたびに、あなたの名前がないことに安堵しています。しかし 、あなた以外の死者たちの家族のことを思うと吐き気がします。しかし嘔吐はしません。嘔吐したら私は発狂してしまう ように思います。 離れ離れになっていることを辛いと思ったのは、あなたと付き合っていたとき以来です。留学中はあわただしい日々でし たが、あなたのことを毎日思っていました。日本であなたがどのように暮らしているのか、神経の細いあなたの悩む姿を 思い描いては胸を痛めました。今、あなたが正気でいられるとはとても思えません。ポッキリ折れてしまっているのでし ょう。あなたは、根元から断絶しているのでしょう。 片桐さんが亡くなったのですね。あなたはどれだけ悲しかったでしょう。私がここで泣いたのは、片桐さんの死を思って ではなく、あなたを襲ったであろう悲しみのためでした。そして、死んだのがあなたでなく片桐さんでよかったと、心の 底から思いました。片桐さんの奥さんのことや、太朗君のことはまるで念頭になかったのです。あなたはこんな私を軽蔑 するかもしれません。しかし、これが正直な気持ちです。ごめんなさいね。 ごめんなさいね。妻の声が僕の頭の中でぐるぐると、ぐるぐるとまわる。ごめんなさいねごめんなさいね。やわらかいそ の声の外側から、嘆きが聞こえてくる。
【片桐の妻の声】 とうとうこの日が来てしまったかと思いました。私は小さな太朗を抱いて、テレビの画面を眺めていました。太朗は何も 知らないのです。彼は理解することができないのです。彼を見ていると悲しくはありませんでした。夫が死んでも太朗は 生きているのですから。私は笑って太朗を抱き上げて言いました。 「お父さん死んじゃったね」 太朗は私の腕の中で笑います。狂っています。私の家族は、今日から狂っていきます。健康な内臓をもぎ取られた人間は 死んでしまいます。私の家族は死んでしまいました。死んで腐っていく家族の中、私も死んでいきます。悲しいといって はおかしいですし、苦しいといっても嘘になるでしょう。死んだ人はもう何も言いません。ただ、無声の嘆きを連ねるだ けです。慟哭しているのに声はなく、泣いているのに顔は笑っています。涙なんてもう出ません。太朗ももう泣きません。 狂っています。この日から私達はゆっくりとひからびていくのです。 始めは私があの人を恋しました。思えば、あの人を思いだした瞬間、私の心は死んでいたのです。愛しているとか好きだ とかキスとかセックスとか。あらゆる行為が私を殺していきました。片桐仁という新しい臓器が私の中に入って、それを 無理矢理もがれることを、生まれたときから私は予感していたようにも思います。私は死ぬためにあの人に恋をしました。 今でも恋をしています。私の内蔵は腐った血を流し、私は緩やかに死んでいくのです。さようなら。さようなら。
さようなら。ごめんなさいね。さようなら。ごめんなさいね。僕の頭の中で二つの声がこだまする。僕にはなにがある。 僕はさようならごめんなさいね。僕には何もない。静かに狂っていく妻達の幻覚。あれは僕のイメージか。しかし僕には 何がある。僕には幻覚しかない。幻覚には何もない。僕にはなにもない。 あらゆる透明な悲しさを映すものはなんだ。僕は何も見ない。僕はかさかさにひからびて、からからと空風にとばされて 、僕は幻を見続ける。さようならごめんなさいねさようならごめんなさいね。あらゆる悲劇を僕は見た。だから僕はもう 何も見ない。この悲劇を映した喜劇などはない。この悲劇の裏に美はない。僕は醜い。 【アンガールズ 山根良顕 所持品:救急セット 第一行動方針:今立の手伝い 基本行動方針:怪我をした人を助ける 最終行動方針:死は覚悟している 現在位置:崖】 【ラーメンズ 小林賢太郎 所持品:フェンシングの剣 第一行動方針: 基本行動方針: 最終行動方針: 現在位置:崖】 【8/16 07:40頃】 【投下番号201】
投下乙です!! 相変わらずの台詞回し。思わず声に出して読んでしまった・・・ 片桐の奥さんの文がもう・・・切なくて押し潰されそうになる。
うああああ すげえの来ちゃった!すげえの来ちゃったよ! 投下乙です。見事です。美事です。
演劇でも観ているような作品乙! この投下がどう今後に繋がるのか…気になる。
うおお、一気に一日二作も投下来てた… 二人とも新作乙です!! プラン勢ではなだぎが最初に逝ったか… 11:59って放送直前か…放送聴いた他のプラン勢がどう動くかが気になるな… 小林編の台詞回しもすげえ… 新妻から託されたコントも含めてどう転ぶかがすごく気になる
プランの話嫌いじゃないんだけど、ヲタ臭強すぎ
乙! もう小林の頭に「オチの無いコント」はないのか… 新妻の為にも完成させて欲しかったが片桐がいなくちゃそんな気持ちにもなれないよな
>>447 ちょ、そんな簡単に決め付けちゃ新妻が浮かばれないってw
まだ分からんでしょうが
>>448 そうだよな、スマソ。
トップリードのネタみたことないのに、新妻を思うとコントの行方が気掛かりで先走ってしまった。
続き楽しみにしてる。
小林のっていつもの人? なんか雰囲気違う感じした
初投稿です。生存中の松竹芸人を中心に描いて参ります。どうぞ宜しくお願い致します。 プロローグ オジンオズボーン篠宮・上木総合研究所谷本 明々と照らす太陽の下、恥ずかしげもなくその男は形どられる。生き血を吸うヴァンパイアならばまだ 微かな希望の光を見出す事が出来ただろうか。何を隠そう男は紛れもなく人間であり、皆と同じ時を生 きる芸人である。端整な顔立ちに漲る若さ、それに似つかわしくないそこそこの芸歴が余計に男を妖し く映す。季節外れのライダースジャケットが漆黒の光を生み出し、敢え無く対面した者を絶望の淵へと 誘う。 しかしその者らにも選択の余地はある。 闇に命を捧げるか、光を夢見て命乞いするか、それとも争うか。 ただ男について知識不足であるのはバトルロワイアルの地に立つ人々の重大な過失とも言うべきだろう。 空間を彩る光が解く男の姿見など何の助けにもならないのは分かりきったイコールであり、同時に悟ら ねばならないこの世との決別。プログラムに参加している殆どの者達は、男を諭す術を知らない。 いくら過去に笑いを追及しあった同士であろうと、例外など存在しなかった。 「あ…あああ…。」 ほんの僅かな甘い期待は当然の如く一瞬で消滅する。恐らく草木の隙間に佇むシルエットを見つけた瞬 間は、押しつぶされそうな恐怖心を一斉に拭い去ってくれたばすだ。在り来たりな言葉を使うならばよ く見知った人物との偶然の対面。ちょっと前の出来事を懐かしみ語り合える仲間だなんて思ったのが間 違いであるのに、裏切りに似た感情を抱かずにはいられない。とはいえ二人はまだ言葉を交わしていな かった。無意味であるからだ。ただ空間の震える鼓動がその身に只ならぬ危険を知らせた。男の手には 確かに、真っ赤に血塗られたカッターが強く握り締められていたのだから。
気のせいではなく刃を伝う血液は真新しい。殺人に時間の経過も何もないのだが、大地に零れた鮮血が 妙にリアルで不気味さを増す。それでもお互いこの緊迫感を表情に出す事はない。これもまた、無意味 であるから。次第に二人の距離は詰められる。 「し、篠宮…さん…」 搾り出した声に、相手は反応しない。その代わりと言っては恐ろしく非情であるが、物言わぬ凶器が躊 躇う素振りも見せず華麗に宙を舞った。プログラムに乗っている、明確な合図だ。 いくら身体が硬直して動けなかったとはいえ、手元は正確だった。一撃で確実に喉元を掻き切っている のは、殺人に対する慣れからか。吹き出た血液にも動じない所を見ると既にこういった状況を味わって きたのだろう。一体誰をどんな風に。そんな事はまだこちらの知るところではない。 地に伏せてもがく身体。生温い液体が首元を伝って大地を染める様が先程見ていた景色とリンクする。 叫び出したいほどの痛烈な苦しみであるはずなのに、その口元は堅く閉じられていた。 もう一度、新しい獲物の味を確かめるかのように振り翳される。うつ伏せて無防備になった項。冷静に 的の中心を分析していた。次の、その次の行動まで…計算は緻密だ。 「ぐっ…!」 鋭い刃が項にめり込む。体重をかけ深く突き刺し、勢いよく抜き取られた。脳天を突き抜ける痛みに背 中は仰け反りその拍子に仰向けになる。堅く閉じた瞳でも解るほど、太陽は傾き光は弱まっていた。そ んな虚しさに浸る余裕もなく、今度は胸が圧迫された。
「ぁぁああああっ!」 左胸を一突きされ遂に声を張り上げた。頼りないカッターの刃も薄っぺらいTシャツが相手なら何の妨 げにもならない。中途半端に刺し込まれた胸部の傷口は凶器が無理矢理ねじ込まれることによって広が りをみせる。刃先が飽きた表情を浮かべる頃には、全身の血が溢れ出る感覚に近い未来の希望とやらを 見失った。 反撃の余地はなく、ひたすら痛みに堪えるだけ。話したい事は山ほどあった。これまで何度となく顔を 合わせてきた仲なのだから。しかし何せ無口で不器用な性分。最期に一言だけ喋る機会を設けられても 上手く振る舞える気がしない。 「痛いか?」 ふいに降ってきたセリフめいた言葉。こんな状況下にあっても人から話しかけられるのは嬉しいもので、 遠退きそうだった意識は瞬時に手元へ辿りついた。 「苦しいか?」 ただ悲しい事にもう声を出す余力はなく、傷付けてきた相手の一語一句を聞き逃さないのに精一杯だっ た。それなのに次に続くセリフは一向に届かず、流れてきたのは何かが動く摩擦音。最初の一撃をくら った際地面に落ちていったデイパック。被害者の死を看取ることなく、その中身を漁っているのだ。 ――なんて無情な仕打ち―― 恨んでいるのではなく、嘆いている。愛されなかった自分に、大事に思われなかった自分に。薄っすら と瞳を開き最後の力を振り絞る。 「……い、たい…」 振り向いて欲しかった。 「く…るし……」 必要とされたかった。 芸人として?いや、人として。
一本の鉛筆。 片手にカッターナイフ、片手に鉛筆。 その姿は、少し滑稽に思える。 互いに目が合い最期の別れを告げる時がきた。 返り血を浴びた季節外れのジャケットすらお洒落に感じてしまうのは、朦朧とした意識のせいか。 デイパックから抜き取った鉛筆を握ったまま、歩み寄る。 ――何の儀式だ。 軽く突っ込んでみたくなった。 しかし今はもう目の前で立ち止まる足元すら視界に入らない。 自分が呼吸しているかすらも定かではない。 ちょっと年下なのにずっと先輩の篠宮暁。 何故こんな事になってしまったのか。 そんな野暮な事は聞かないでおこう。 そのかわり最後の望みを聞いてくれるか? 人と、会話がしたい。 「痛いか?」 痛くない。 「苦しいか?」 苦しくない。 「その身体で感じろ。生きる事の愚かさを。」 だってもう、死んでいるから。
明々と照らす太陽の下、恥ずかしげもなくその男は形どられる。生き血を吸うヴァンパイアならばまだ 微かな希望の光を見出す事が出来ただろうか。ただ男について知識不足であった事だけが上木総合研究 所・ベイビー谷本の過失であるとは言い切れない。同じ時代を駆け抜けた共演者を相手にしても、男は 躊躇しなかった。そして別れを惜しむ事もなくあっさりと立ち去ってしまうのだから。 非情な加害者を罵るのか。 無様な被害者を哀れむのか。 他人の目は、どんな環境に在っても不公平だ。 谷本は知らない。 ほんの数キロ先に、相方上木の死体が転がっている事を。 谷本は知らない。 ほんの一時間程前に、相方が後頭部を射殺された事実を。 谷本は知らない。 バトルロワイアルが生み出す、数々の惨劇を。 【上木総合研究所 谷本 智之(ベイビー谷本)死亡】 【オジンオズボーン 篠宮暁】 所持品:工具用カッター 鉛筆 その他不明 第一行動方針:不明 基本行動方針:不明 最終行動方針:不明 【現在位置:F-4】 【8/15 17:55】 【投下番号:202】
見づらい改行失礼しました; 今後注意致します。
ソラシド水口&アリキリ石井編です。 ”エンバーミング” 3種類の衝撃音が響いた。古びた病院の床に埃が舞い上がり、石井は反射的に咳払いをした。 落下したのはオフェンスキープの鞘、刀身、そして石田の・・・・遺体。 石井は初めて見る人の絶命の瞬間に言葉を失い、ただ背中を伝う嫌な汗を感じていた。 水口の背後にいた石井からは、水口の表情はわからなかった。 目を背ける程現実から逃げたしたい訳ではなく、顔を覗き見ようと思う程悪趣味でもない。 それが絶望的である事は考えるまでもなくわかっているのだから。 「・・・・・・・ゃんか?」 マネキンの如く微動だにしなかった水口は、肩を震わせぶつぶつと何か喋りだした。 言葉の内容が気になった石井は水口に徐々に近づいていった。 「・・・・・・・言ってた事と、全然違うやんか」 「何が、違うんですか?」 石田の遺体を見つめ呟く水口に、石井は無意識に問い掛けていた。この男は自分を責めているのだろうか。 「おかん言うてたやん・・・いいことしたらその分自分に返ってくるって、そう言うてたやん?」 「おかん?」 「いいことしてる人は、やさしくしてる人はみんな信じてくれるから・・・ だからいいことをしなさいって・・・親も先生もそう言うてたはずやのに?何?何なん、これ?」 舞い上がった埃を唇の端に付けたまま、水口の声はだんだんと大きくなっていった。 「本坊も、石田も・・・・俺がしてるのはいいことやって言うてくれたのに、2人とも死んだ。 なんで・・・・何でなん?俺が、悪いことしてるから?」 言いながら、水口は石田の遺体に手を伸ばした。 「起きろ、起きてや。石田。」 水口は石田の襟首を掴んで軽く揺さぶった。当然反応はない。 「起きろや。俺は井上やないねんから、つっこまへんで。もうええやろ。」 淡々とした口調ではあったが、石田を揺さぶる手は段々乱暴になっていき、ついには顔をはたきだした。 「!・・・何やってるんですか!?」
「何って・・・寝てるから起こしてるんですよ。いつものこいつのネタなんですから。」 言いながら水口は石田の頬に平手打ちを繰り返している。 「もう・・・彼は死んでいるんですよ?」 「っ・・・・そんな訳ないやないですか。」 一瞬口篭った後、困惑した表情で水口は否定する。 「何でそう思うんですか?」 「石田も言うてくれたんですよ、俺がしてるのはいいことやって。 だから・・・こいつの言う通りやったらこいつが死ぬはずないんです。 だって、いいことしてるんやったらこんな嫌なことばっかり起こるはずないでしょ?だから、大丈夫です。」 言い終わってまた水口は石田の顔に右手を振り下ろした。 が、その右手は石井によって握り締められ、自由を失った。 「いい加減にしなさい。死者に鞭打つなどという事は今までの貴方の行動をも否定する事になりますよ。」 「俺の行動を考えてやってるんですよ。俺がしてきたのがいいことやっていうんなら、 こんな罰があたる訳ないやないですか。石井さんかて有意義やって・・・・」 ガ ンッ !! 水口の頬に石井の鉄拳が飛んだ。 「いい加減にしろって言ってるでしょう!」 舌に歯が食い込んだ痛みが水口の口内を満たしている。だが水口の殆どの感覚は石井のギラギラとした眼に囚われていた。 「いい事とか悪い事とかなんなんですさっきから!子供じゃあるまいし、それにその事と 今君が後輩痛めつけてるのは関係ないでしょうが!!」 「善人は恵まれて、悪人に天罰が下って、それでめでたしめでたしなんていうのは、所詮子供に言う綺麗事。 現実は違うに決まってる、そんな事いい年してわからないんですか!?」 「そう、綺麗事どおりに事が進むなら、そもそもこんな馬鹿げた事なんて怒る訳がないんだ。 悪い奴から先に死ぬっていうんなら、水道橋さん達が死ぬ筈がない・・・」 「いつだってそうだ。いい人が先に死んで、狡賢い奴ばかりが生き残る。 先輩の事を想って、潔く彼は自分で幕を引きました。しかし、今どうです? その彼を武器を奪って見捨てろと言った卑小な僕は、何の外傷もなく、誰からも責められず、 それどころか傷ついてる君に手加減せずに殴りかかった!許される訳ないですよね、本当なら。」
舞台でやるような大袈裟な動きで、石井は自分の顔を右手で隠した。 そしてその右手が不自然に閉じたり開いたりした後、床のオフェンスキープの刀身を拾い上げた。 刃が妖しく煌めき、水口の心臓は一気に高鳴った。 しかし、石井はハサミを人に渡す時と同じ要領で柄を水口に差し出す。 「・・・・え?」 「自分の言う事が正しいと思うなら、このまま僕を刺し殺せばいい。」 オフェンスキープの刃は真っ直ぐ、石井の心臓に向いている。 「そう、君の言ってる通りなら、1番最初に死んでいるのは僕なんだから・・・・」 当然、水口が石井の言う事を聞ける筈もない。石井の迫力に押され、水口はすっかり意気消沈していた。 「俺は、俺は・・・・・・一体どうしたらいいんですか?」 水口が問い掛けている相手は石井なのだが、目は石田の顔を一点に見つめていた。 もう動かない石田の顔は、とても満足そうに見えた。 「・・・・・・あなたのせいじゃない。」 質問の答えになっていないのは承知の上だが、それ以外かける言葉が見つからなかった。 水口は石田を抱きかかえ、嗚咽を漏らしながら、ひたすら石田の名前を呼び続けた。 2人を背を向け、石井は静かにオフェンスキープを鞘に収めた。 石井と水口が再び会話したのは、その30分後である。先に口を開いたのは石井だった。 「井上、って・・・」 「はい?」 「彼が最期に言った”井上”というのは・・・彼の相方ですか?」 「そうです。NONSTYLE、NONSTYLE井上・・・」 井上はどうしているだろう。何日か前に楽屋でとりとめのない話をしていたのに、今はもうよく思い出せない。 「さっきの質問の答えですけどね、どうです?まずその井上君に会う事を目的としては?」 井上に会う。妥当な選択である。でも、 「井上は許してくれるでしょうか?」 その質問は石井にとって厳しい。 「それは・・・会ってみないとわからないでしょうね。彼が生存しているかどうかもわかりませんし。」 ”君なら大丈夫。きっと許してくれる”と、優しい言葉をかけるのがいいとは思ったが、 石井にはそれがどうも無責任過ぎて気に入らなかった。とはいえ、今の発言はあんまりではないのか。
「そう、そうですよね・・・」 「彼に会ってから、その後どうするか決めるといい。埋葬の事も・・・辛くとも続けろと言う権利は私にはありません。」 「・・・・埋葬は、俺、ここで死ぬまで続けようと思うんです。」 「君はそれでいいんですか?」 予想とは逆の決意をした水口に、石井は間髪入れず確認した。 「ええ、これはみんながすすめてくれた事やから・・・石井さんと、この石田と・・・」 「君の、相方?」 「はい・・・・俺の相方の本坊と」 石井は、昨日の朝の放送で銃声に遮られた青年の声を思い出していた。 参加者全員を死へ誘おうとした内容と真逆の、少し訛りのある舌ったらずの声。 自分は酷な事をさせてしまうのかもしれない。相方を失った彼に、後輩の相方の死を伝えろというのだから。 「石井さん。俺も質問いいですか?」 「どうぞ」 「石田が死ぬ前に言うてはった”死生学”の・・・ご遺族に生きてる時の姿保ったまま・・・」 「エンバーミング、ですか?」 「ええ、それってどういうもんなんですか?」 「和訳は”遺体衛生保全”。遺体の中を消毒液で満たして、防腐・殺菌し修復して 化粧を施したり生前着ていた服を着せて、故人との別れを美しく、大切な思い出にする為のものです。」 「防腐とかそういうのはさっぱりですけど、服綺麗に着せる位は俺にもできますよね?」 「石田君を・・・?」 「はい。俺が石田に出来る事はもうそれ位しかないですから・・・」 そして、エンバーミングは始まった。 ナースステーション隣の洗濯室には業務用の漂白剤があった。アルコールは廊下の至る所にあったし、 シャワー室の片隅には誰かの忘れ物の櫛があった。 石田の服を洗うのも、石田の身体を拭き取るのも、全て水口ひとりでやった。 石井も手伝いましょうか、とは言ったのだが水口は固辞した。 「弔うのは続けていきます。でも、2人も死なせておいてまだ他の人を巻き込むなんて俺はもう嫌なんです。 善意でそうしてくれているなら尚更・・・その人を死なせるわけにはいきません。」 だから石井は手伝わなかった。そして2人から目を背けた。 痛々しくて見ていられないとかそういうものではなくて、単に2人の別れの邪魔をしたくないと思ったからそうした。 2人をよく知らない自分が別れの場にいるのは、どうにも相応しくないと思ったのだ。
死後硬直の始まった身体にシャツを着せるのは、素人の水口には難しかった。 石田の目はもう開く事はない。身体はもう固まって動かない。その事を確かめながら、エンバーミングは続く。 最後の仕上げに泥を洗い流した真っ白なネクタイを締めた。 ネクタイを締める手つきは慣れたものだった。何故なら、身だしなみに無頓着な本坊のネクタイを締めるのは 水口の役目だったから。本坊の首元が細すぎるのか、きつく締めないとすぐに緩んでしまう。 不器用な本坊はそれが上手く出来ず、水口が締め直す時は恥ずかしいからと嫌がっていた。 そんな日常の光景は、もう2度と戻ってこない事を水口は知っていた。 水口の手が止まった。しばらく考えた後、水口はネクタイを素早くほどいてオフェンスキープの柄に結んだ。 水口は立ち上がって石田を抱えると外に向かって歩き出した。 「・・・・ここの庭に埋めます。」 石井に一言断ると、水口はスコップを空いている左手で掴んだ。 「彼のネクタイはどうするんですか?」 「井上に渡します・・・石田の、遺品として。」 庭は長い間人の手が入ってない事もあって荒れ放題だった。時刻は午前2時近く。真っ暗闇の状態で埋葬は始まった。 徐々に目は慣れていったが、視界はかなり悪い。しかし水口はそんな事は気にならないようだった。 むしろ、昼間の方があらゆる方向に狙われているのではないかなどと疑心暗鬼になるので、 かえって視覚が閉ざされている今の方が余計な事を考えずに済んで好都合な位に考えていた。 土をひたすら掘って深い穴を掘る。もう何回目の埋葬だったろうか。 今までで1番深い穴を掘った。別れを惜しんでいるのだ。 真っ白なシャツを汚さないように、触れる直前にアルコールで手を拭き取る。 抱えた石田の身体は紛れもなく死者のものになっていた。 現実は感傷を置き去りにして進んでいく。あらゆる概念を無視して。後ろの石井が教えてくれた事だ。 自分の立てた墓は、亡くなった人を忘れない為の証である事を水口は再認識した。 それは必要な事ではあるが、とても辛い事だ。だから、こんな想いをするのは自分だけでいい。
・・・・巻き込んでしもてごめんな、石田。 本坊が最初、お前で最後にするから。もうこんな事繰り返さへんから。 もう誰も、俺のせいで死なせたくないから。だからごめんな。 今から井上んとこ行ってくるわ。・・・・じゃあ、また後でな。 埋葬は終わり、水口は石井の側まで寄ってきた。一瞬涙の跡が光ったのを、石井は見た。 「水口く・・・」 『ジーーーーーッ、ビビ、ビッ・・・・・』 石井の声を遮り、ノイズ音が木霊した。 「っ・・・・何ですか?」 「放送?いや、そんな筈は・・・・」 辺りは真っ暗。放送時間の6時ならもう夜は明けている。時計を見たら案の定、まだ3時だ。 『あー・・・・ブツッ、あー、あー…えー、本日は晴天なりィー…』 所々ノイズが混じり、ボリュームも安定しない。 『おぅ、聞こえてっかぁ? 浅草キッドの玉ちゃんこと玉袋筋太郎がお送りしてっからよー、 そのへんのおヒマな皆さん、耳の穴かっぽじって聞いといてやってくれよなぁ!』 「浅草キッド?こんなのどっから・・・」 不愉快なノイズに石井は耳鳴りを感じていた。 石井は過去行ったコントの役と同じく耳を引き千切りたい衝動に駆られたが、我慢してノイズの中の声を聞いた。 『…で、俺が探してんのはさ、“神”ってやつなんだ…それもただの神じゃねぇぜ、俺の相方を…』 『…俺の相方の、浅草キッド、水道橋博士を天から落っことした、神とかいうやつを探してる』 「神って・・・何なんすか?」 (玉袋さん。貴方も感傷に囚われているのですか?) 石井は唇を噛み締め、耳鳴りに耐えていた。 『勝手にうちの相方裁いてくれちまったみてぇだし、“神”サンよ、お前のことぁ俺が裁いてやらぁ… そうじゃねぇとあいつも浮かばれねぇだろ?まぁ…それにちゃんと供養して、 手のひとつもあわせてやりてぇからよ…』 「供養・・・・・・」 今立てた墓を、水口は見やった。気付くと石井も同じものを見ていた。
『…この島のどっかに隠れてやがんだろ? 死んじまってる可能性もあっけどよ、生きてんなら出てこいよ、 俺ぁ展望台だ…展望台からこうやって叫んでる』 『いいか? 今日の6時だ、つまり次の殿の放送まで、俺ぁここで“神”を待つ… それから移動すっとこは決めてねぇけど、またこうやってどっかから叫ぶぜ…〜ガッ、ビ・・・−−−ッ』 そう言って呼びかけはノイズに埋もれてしまった。 普段なら相まみえる事のない者の声をスピーカー越しに聞いて、水口は戸惑った。 「思い出しますね・・・昨日の君達の事を。」 何か既視感を感じたのはこのせいかと水口は思った。 「水道橋さんの事ですが、どこに埋葬なさったんですか?」 「あっ、えっと・・・遊園地の、展望タワーの近くの茂みに。」 いきなりの質問に、水口は思わずどもってしまった。 「水道橋さんは展望タワーで、玉袋さんは展望台か・・・」 (コンビというのは何かしら共通点があるものだが、こんな所で繋がるとはね。) ふっと笑みを漏らす石井に、水口は不思議そうに尋ねた。 「どうしたんですか?」 「いえ、僕の方も目的が出来たみたいですね。今から展望台に向かおうと思います。」 「玉袋さんの所へ?でも・・・」 昨日の事を思い出して不安げな表情の水口に、石井は強く言った。 「水道橋さんを供養したいと玉袋さんが仰った以上、墓標の場所を伝えなければなりません。」 「そう、そうですよね・・・」 「・・・お互いそれぞれの目的地まで向かいましょうか。同時に歩みだして。」 「それなら・・・少し待っててもらえますか?忘れ物したんで。」 水口は駆け足でナースステーションへ向かった。だが、おかしい。 デイパックは亡くなった石田の分も合わせてちゃんと3つある。スコップもあるし、 オフェンスキープは石田のデイパックの中だ。病院から何か持ち帰るつもりなのか。 「すいません、お待たせしました。」 戻ってきた水口の右手には、石井が全く予想のしなかったものが握られていた。 てっきり医療用具の類だと思っていたのだが。 「そんな物・・・・どうなさるんですか?」 「もしもの時、にね。使おうと思いまして、ちょっと重たいですけどね・・・」 「そうですか・・・・私は必要ないものだと思いますが。」
会話が途切れ、しばらく静寂が訪れた。 「・・・・・では、私はもう行きます。6時までには辿り着きたいので。」 「はい、石井さんもお気をつけて・・・」 「水口君もお元気で。お互い目的を達成するまでは生きていたいものですね。」 「展望台に着いて、玉袋さんに会っても・・・俺達の時みたいにはならないで下さい。」 「わかっています。・・・君には1人で辛い役目を押し付けてしまいました。」 「いえ、俺が選んだ事です。気にしないで下さい。」 「そうですか・・・お互い、また生きて会えるといいですね。」 それは石井の精一杯の希望の言葉だった。 2人は互いに背を向け、違う目的の為に歩き始めた。 最後に発した石井の希望が実現するのかどうか、今は誰にもわからない。 【ソラシド 水口 靖一郎 所持品:スコップ、ガム、?(詳細不明) 基本行動方針:遺体を発見時、埋葬し弔う。 第一行動方針:より多くの遺体を埋葬 最終行動方針:未定 【アリtoキリギリス 石井 正則 所持品:割り箸鉄砲 その他不明 第一行動方針:展望台へ向かう 基本行動方針:不明 最終行動方針:不明】 【現在位置:病院(D5)】 【8/17 03:12】 【投下番号:203】
二作品投下乙です。 オジンオズボーン編 また新たなマーダーがキタよ! 篠宮がマーダーになった経緯が知りたい。 松竹の芸人達の活躍を期待 ソラシド編 石田…本当に死んじゃったんだなぁ……。・゚・(ノД`)・゚・。 水口が病院から何を持っていったか気になるんだが しっかり井上にも会って信念を貫き通してほしいよ。
おぉ、深夜の投下乙です! 新作10カラメンバーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!! ベイビー純粋さにグッときたよ… ソラシド編石井カッコヨス! 水口苦しいだろうな… 報われて欲しいよ、水口には。
二人とも投下乙です! 松竹編 ついに期待の新人キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!! 篠宮の鬼畜っぷりが怖すぎる…… コンビであっさり脱落の上木総合研究所が切ない。 ソラシド編 石井カッコいいぜ……これからの活躍が期待できる。 てか玉ちゃんwwいきなり死亡フラグwww 果たして石井が来るまでマーダーから逃げ切ることが出来るのだろうかw
なんかすげぇのキターwww 松竹編 篠宮マーダー化したか・・・ 10カラ好きとしてはたまらない展開だ ソラシド編 相変わらず読めない独特なストーリーだな 石井の正義感とは違う男らしさがいい 投下増えて読み手としては嬉しい限りだ
フットボールアワー後藤編投下します。 「ふざけとんの?」 それが、突然の徳井からの申し出についての後藤の率直な感想だった。 一種の心理作戦かとも思ったが徳井からは殺気はおろか敵意さえ感じない。 だがこんな特殊な状況下で自分の事をマーダーと認識している人間が果たして 血のりで切れ味が落ちているとはいえ、刃物を手にしながらも無防備でいられるだろうか。 疑問に思いながらもその態度と先ほどの申し出の真意を探るべく 敢えて後藤は武器を手放し徳井と向かい合った。 「ま、いきなりこんなん言われても当然戸惑うわな」 「当たり前じゃボケ。何考えてんねん。ヘタな命乞いなんぞ聞かんぞ」 半日前に自分が殺した後輩は泣き叫びながら似たようなことを叫んでいた事を唐突に思い出した。 だが目の前の男はその後輩の取り乱した態度とは違い、むしろ顔には笑顔を浮かべている。 「命乞いちゃうよ。取引、ちゃんと互いの利益になる協定を結ぼうっていう事や」 「は?」 「要するに俺はお前を手伝うけど、お前も俺を手伝えって事や」 提案されている意見は後藤の混乱を助長するがある程度、予想はしていた。 先ほどから徳井が浮かべている笑みに潜んでいるモノが自分と同じものならば その提案される意見は少なくともまともな物ではないと。
「さっきから手伝うとか言うてるけどな、俺の何を手伝うっちゅーねん。 第一、互いの利益言うたな?俺が一体何をしたらお前の利益になんのや」 「マーダーの手助け言うたら人殺しに決まってるやん。 生き残りたいんやろ?優勝するんやったら誰彼かまわず殺していかなあかんやん。 でも一人やったらそれなりのリスクは伴う…そのリスクを半分背負ったるって言うてんねん」 「人殺しの手伝い?」 後藤の口からは苦笑いがこぼれる。 「随分簡単に言うんやなぁ…そんで?お前がその手伝いをする代わりに 俺はお前に何をしてやったらえぇねん?」 「お?話乗ってくれるんか?」 「話を聞くだけや、誰が同意する言うてん」 「他のマーダーやったら話聞く前に殺しに飛び掛ってくると思うんやけどな… お前、まだまだ甘いなぁ」 「やかましい!さっさと何がしたいんか話せや!聞いたる言うてるやろ」 「まぁブラマヨ吉田の言葉を借りるなら…『狩り』の手伝いやな」 「はい?」 一瞬、何の事かわからなかったが記憶を辿っていくと特徴的な顔(というか肌)の 一期上の先輩であるその人物が意気揚々とその言葉を口にして 大阪では有名な某橋へ向かっている姿を思い出し嫌な汗が背中を流れる。 「・・・・・・・・・・・・・おい、それってまさか・・・」 「そう、ナ・ン・パ」 極上の笑みと形容してもいいほどの表情と共に返ってきた返事に思わず 後藤は目眩をおぼえる。 「アホちゃうかお前!わざわざ語間を空けていう必要ないやろ!何考えてんねん!」 「もうな、誰でもえぇねん、とりあえず女を見つけてくれ。そんで俺に腹上死させてくれ!」 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」 ある意味、想像を絶した徳井の返事に後藤の怒気を孕んだ呆れ声が深夜の森に響き渡った。
「状況が状況や!北新地の高級キャバ嬢とか 十三や西中島南方のマニアックな女王様とかそんな贅沢言わへん。」 「コイツ…最悪や」 片手で顔を覆い、もはやため息しか後藤は出てこなかった。 「あ、ちゃんと相手には誠心誠意頼み込むで。 こう土下座しながら…頼む!やらせてくれっ!て感じで」 「何コンパと同じ盛り上がりをここで見せようとしてんねん!」 「場所がどこであれ男がいて、女がおる。他に何かいるか?」 「アホかボケぇぇぇぇぇっ!」 おそらく今まで抱いた以上の殺意を抱き後藤は叫ぶ。 苛立ちが抑えられず思わず勢いまかせに先ほど手放した鎖鎌を再び構え徳井に向かって投げつけた。 当然の事だが使い勝手がわからず鎌の切っ先は徳井からはだいぶ離れた手前に突き刺さる。 「うぅわ!危なっ!てか、使いこなされへんもん無理に使おうとすんなや」 「やかましい!今は即でお前の息の根止めるためやったら何でも使ったるわ!」 「冷静な心と状況判断力持たな自分、自滅するで」 「状況判断力はお前のほうが持ってへんやろ! なんでこんな所で、性欲に走ろうとすんねん!」 「やって俺は、エゲツナーイ性欲ヤデー」 「ここでそのキャラもってくんなぁぁぁぁぁぁっ!!」 「ええやん、性欲は人類としての本能、すなわちエロスや!」 「気持ちよく言い切るな!もぉ死ね!容赦なく殺したるからさっさと死ね」 そう叫んでいる後藤の言葉に若干の疲労が滲んでいた。 絶叫という思わぬ体力消耗の為か後藤の肩は大きく上下している。 「話聞けって!だから死んだるって言うてるやんけ、さっきからぁぁぁ!」 そんな中で思わぬ逆ギレという名の徳井の反撃に今度は軽く後藤が怯む。 「ただそれが今やなくて、ちゃんと俺の目的終えてからさっさと殺してくれたらいいだけの話や!」 「殺してくれってお前それは、つまり…」 徳井が何を言わんとしていたのか理解したのか後藤の声が次第に言葉尻を失っていく。
この場で徳井が後藤に望む事、それは 「自殺…幇助?」 「正解」 ぱちぱちぱちと、たった一人の拍手が鳴り響く。 その拍手の送り手はとても死を覚悟した人間には見えなかった。 「いけるやろ?マーダーやったらちゃんと俺を殺してくれるやろ?」 「覚悟、決めてんのか?てっきりお前の事やから 恐怖で取り乱してるかと思ってたんやけど…何や達観しとるやん」 「アホけ、しっかり取り乱してたわ…とても人様にお見せできへんくらいに」 「それはさぞかし不様やったろな…見てみたかったわ」 人の事は言えないが徳井もかなりの小心者である事を知っていた後藤にとっては むしろ今のような余裕のある態度をとっている事に違和感を感じてならなかった。 「それでもな…元の生活に戻れるんちゃうかとかどっかで甘い事思っててん。 いくら何でも皆殺しとかそんなんはありえへんと思っとった。」 それは徳井だけではなくこの島内にいる芸人のほとんどに言えることであろう。 実際後藤も最初は怯えながらも心のどこかでそんな甘い事を考えていた。 それも今になっては遥か昔の様に感じる。 「やけど、たーちんが、な…死んでもーたって聞いて…」 どこかうわ言のように徳井が口にした男の名前、ランディーズ中川貴志は無情にもつい先ほど 死亡者の一人として読み上げられていたのを後藤は思い出す。 「中川…か。そういやお前と中川と須知とで3人いつもおったよな」 「まぁあの3人での活動はある意味ライフワークやったんで」 「オイ待てこら、職業お笑い芸人」 「純粋に楽しかったんやって。あいつらとおって、いい年しとんのにバカ騒ぎして ほんまにおもろかったんや…それやのに、たーちんが死んだって聞いて… もうこの先、元の生活には戻られへんって頭ん中で認識した瞬間指先から、 脳髄まで蝕まれていく感覚湧いてきて…多分それがホンマの恐怖やったんやろうな。」
それは時間にして長かったのか短かったのかわからない。 だが確実に徳井のなかで死という恐怖が生存という希望を覆いつくしていった。 そして出された一つの結論。 「結局俺らの末路はこの島で朽ち果てることしかできへんて、そん時わかってん たった一人を除いて…そのたった一人にお前はなるんやろ?」 徳井の問いかけにゆっくりと後藤はうなずいた。 「それやったら俺の死は確定されたもんや。 でも、どーせ死ぬんやったらせめて好きな死に方選んでもええやろ?」 「待ってたっていうんは、そういう意味か…」 ようやく徳井の言動に合点がいったのか後藤は深くため息をついた。 「自分で死ぬのしんどいやん、特に俺の武器はこんなんやし」 徳井は足元に転がったビー玉を一つ拾い上げる。 ガラスの球体は何も映さず何の危険性も持たず、ただそこにあるだけだった。 「確かにな、それで死ね言われても無理あるわな」 「やろ?そやから待ってたんよ…確実に俺を殺してくれる奴を。 やる事やってほんまに昇天させてくれるマーダーは俺にとって恩人になんねん。」 「それに対する恩返しが人殺しの手伝いって、とんでもないなそれ」 「えぇやん。もう他に何人か殺してるんやったら俺一人殺すのに何のためらいもないやろ? 現にさっきもそうやったし…深く考えんなや、俺は極力お前を手伝っていく。 そん中で殺す相手が女やったら殺さんとって欲しいねん。 ほんで、ここって所で俺を殺してくれるだけでえぇから」 手にしたコンバットナイフで首を掻き切る仕草をしながらも笑っている徳井。 しばらく後藤は何の返事も返せなかった。
そんな中、ふと右手に軽く引きつった感覚を覚え後藤はその手を空に掲げた。 月明かりの中でも掌の皺の奥一つ一つこびりついた赤黒く乾ききった他人の血がはっきりと見える。 その掌越しに大阪や東京の都心では見えなくなった星空が後藤の視界にうつった。 「同じ…やったんやな俺ら」 「同じ?」 本来なら聞き逃しそうな程の声、先ほど中川の名前を口にした徳井よりも小さい声だったのだが街の中と違い 雑音がほぼないといっていい森の中での後藤の呟きは徳井の耳に届き反射的に問い返す。 ゆっくりと空へと向けられていた後藤の視線が改めて徳井の方へと向けられる。 その表情には自嘲的な笑みが浮かんでいる。 「俺も…途中まではお前と同じやったわ…怖くて、訳わからんくって、ただ怯えとった…あの時までは…」 あの時――忘れがたいあの瞬間。 後藤にとってそれは相方の死であり徳井にとっては親友の死。 その時まではまったく二人は同じ状況にいたのだ。 「でも俺はお前とは逆の道を…生きる事を選んだ。他の奴ら殺して最後の一人になるんを」 文字通り血に染まった手をして、隣に立っているはずの相方も亡くして、それでも… 「生き残りたいんは復讐の為か?」 「ちゃうよ…」 徳井の問いに被りをふる後藤 「そんな復讐とかいう美徳観念なんかやないよ。俺が人殺していってんのは。 しかも殺した奴のその内一人は岩尾やで」 そう告げた事実に徳井が驚愕の表情を浮かべるのを見て、 病院で殺した先輩と同じことを思っているのだろうと後藤は感じた。
「お前が…岩尾を?」 「そうや…俺、が。アイツを殺した…やから…っ」 凝固した血に濡れた手を握りしめ 宵の闇を切り裂くように告げる言葉は、あの瞬間後藤が心に誓った事。 「俺は一生、俺自身を絶対に許さへん!」 「何が、あってん…お前」 もはや徳井からは最初の余裕は失せていた。 それほどまでに衝撃的だったのだろう。 後藤が岩尾を殺したという告白が 「聞きたいか?ほんまに、笑い話にもならん事やけどな」 再び後藤は天を仰いだ。 たった十数時間前まではこんな状況で こんな風に空を見上げることになるとは思ってもいなかった。 耳の奥いまだに残る、あの時自分に恐怖をもたらした銃声 それは相方の命を奪った弾が放たれた音。 脳裏に蘇る、変わり果てた姿となった相方の姿 それは自分の過ち故にもたらされた逃れられない現実。 何もかも、全てはあの瞬間に ―――それは、或る哀れで愚かな男の話である。
【フットボールアワー 後藤輝基】 所持品:鎖鎌、煙草、ライター 、眼球 、塩酸(瓶入り、残り3分の1) 第一行動方針:不明 基本行動方針:相手を油断させて殺し武器を奪う 最終行動方針:何が何でも生き残る(優勝を狙う) 【チュートリアル 徳井義実】 所持品:コンバットナイフ、ビー玉(44/50)、煙草、ライター 第一行動方針:後藤の手伝い(場合によっては殺人も可) 基本行動方針:己が本能に従う 最終行動方針:腹上死 【現在位置:D5(森)】 【8/16 01:01】 【投下番号 204】
…徳井すげえw ある意味誰よりも間違っているがある意味誰よりも正しいw
うおお! リアルで投下したての作品が読めた!嬉しい! 書き手さん、いつもありがとう!
ちょw徳井wwww 何考えてるのかと思ったらそれかよwww てか中川死んじゃったのか……
待ってたよ後藤編! 徳井の最終行動方針ワロスw 後藤の突っ込みがこんな早くみられるとは思わなかったw
投下乙です! ここまで応援しかねるプレイヤーも珍しいwww
ちょwwwww徳井の最終目的に度肝を抜かれたよwwwwwww
正直江頭の次に好感がもてたwwwwwwww
発想がすごいよ。 どう生き延びようか、どう戦おうか、何をすべきか、って生死に関して みんな真剣に考えている中で、その行動方針だもんなw (いや、徳井も真剣に考えた結果だろうが・・・) 次が楽しみだよ。
ある意味絶望の裏返しというか爽快ささえ感じる。 徳井らしいかもしれないw 原作でも確か和志が貴子と最後にあわよくば…と性欲に走ってたな。
ほす
このスレきっかけでトップリードを好きになりそうな自分…; ほし
ほす
490 :
名無し草 :2007/05/12(土) 12:29:39
捕手
きも
保守
木部ちゃんのスレここ?
そうみたいだね。 木部ちゃんの単独行く人いる??
え、木部ちゃんのスレ本当にここ?
うん。 木部ちゃんにチケ買ってって言われたから買っちゃった。
客少なすぎじゃなかった?
そんなに少なかったの?
499 :
名無し草 :2007/05/14(月) 14:01:22
話の続きが早く見たいです。
佐久間は?
本スレのあれどうしよう… 一言言うべきか放置すべきか
斬新な荒れ方をしてるね。 保守する手間が省けて便利w
2002版の9を読む方法ってある?
>>451-455 松竹本編第一話
大罪 ますだおかだ岡田
例えば芸人はこうあるべきだとか、お笑いとは何たるかとか、そんな信念とも言えるご立派な武器を
振り翳しているのではない。ただ朝起きたら歯を磨くように、雨が降れば傘を差すように、日常の延
長線上を歩いているだけだ。確固たるものなど何もなく、むしろ利口に生きる策を練る事すら考えて
はいない。最善だなどと思うまでもなく長年染み付いた感覚だけに身を任せている。それが本当に正
しいのかと問われた時恐らく即答は出来ないが、信念や哲学といった類のものに何の魅力も見出せな
いのだからこれは自らにとって適当な選択であると考える。その事自体が所謂信念や哲学に当て嵌ま
るというならばそれでもいい。何事もその気になればこじつけるくらい他愛でもない。
多くの芸人達はここで何を求めるのだろう。血を求め明日を求め、更にそれ以上のものを求めるのか。
スタートした芸人達のほとんどが第一に探すもの。それは武器でもなければ身を隠す小屋でもない。
この先どう生きていくのか、むしろ生きるのか死ぬのか、俗に言う行動方針だ。今後の行動方針とい
うものが、芸人達の生きる意味延いては人生の答えともいえるかもしれない。それほどまでに重要で
ある近い未来の設計は、重さは違えど誰でも自然と行っている。当然、この男も例外ではなかった。
ますだおかだ岡田圭右がスタートしたのは12時47分。行動方針は考えるまでも無く単純明解。
何も求めない。
それが彼の答えだった。
ジリジリと燃え盛る太陽の光が、揺れる葉の間から零れる。幸い森の中は直射日光に照らされる事が 無く、都会で味わうような身体を突き刺すほどの暑さは避ける事が出来た。とはいえほぼ無風に近い 真夏の気候は日影であっても過ごしにくい。ジワリと滲む汗は小さな粒になって額を伝った。 この長いコンパスを持ってしても日頃の運動不足には勝てず、歩くペースはかなり遅い。次いでなる べく足元の安定した場所を選んで歩いているのも周囲に対する警戒心の無さが原因だ。生命の危機よ りも不快な気温と目に映る変わらない景色に意識は集中していた。 しかし過ごしにくい気候の中での集中力が長続きすることはなく、気持ちが他へと移るのにさほど時 間はかからなかった。心の先には妙に軽いデイパック。何が入っているのかと突如好奇心が沸く。 普通なら真っ先に気にかける事なのだろうが岡田は興味の無いものには驚くほど疎く、バトルロワイ アルに関しても正直許容範囲外だ。このプログラムに関する唯一の情報源は相方の増田が何かとして いたBR法批判であるため悪い印象しかない。バトルロワイアルがどれほど無意味な事か、BR法がいか に性悪か、聞くのはそんな話ばかりで実際鞄の中身が何なのか、何てことは皆目見当がつかない。 肩からデイパックをずらし、早速その中身を確認する。 「何が出るかな、何が出るかな、フフフフンフン、フフフフン」 歩くペースを更に緩め無防備に鼻唄。これは何もバトルロワイアルの恐怖を知らないが故のお気楽さ ではない。ただ単にこういう男なのだ。 デイパックを漁り一番に手が触れたものを引っ張り出す。ガサガサッと乾いた音をたて登場したのは 幅50cm程度の真っ白なブラインドだった。眩しい太陽の光を見事にシャットアウト!…してくれるよ うな気がする。 「こんなんゆうたろう向けの小道具やん。…ん?」 木々の合間にキラッと何かが反射した。その存在を岡田が見逃しはしない。
瞬間、辺りを緊張が包んだ。空気の変化に敏感なのは、それなりの年月芸人を職業にしてきたから。 すぐさま立ち止まり、鋭い瞳で何かが光った方向へ向き直る。 間違いない。 光の原因を確認し、高鳴る鼓動を必死に抑える。それからいそいそと手にしているブラインドを小さ く畳んで宙にかざした。 ―――バトルロワイアルがどんなもんじゃい――― 心なしか岡田の目が嬉しそうに笑っている。喜びにも似た歓喜の表情はこの状況下では不釣合い。 しかし一度高揚してしまったこの気持ちを止める事などそう簡単に出来るはずが無い。 毒された。 そんな在り来たりな言葉で片付けられるほど岡田の心は単純ではなかった。いくらテレビでふざけて いようとも、口では面倒臭がりだと公言していようとも、『欲』というのは誰しも内に秘め存在する 訳で。 欲する事を許されるとして、岡田が選ぶ道は恐らくただ一つ。 ニッと口元をニヤつかせ一気に音を立てブラインドを降ろすと同時にこう叫ぶ。 「閉店ガラガラ!」 静まり返る森。これは滑り芸人にとってこの上ない快感。 「なるほどな、これは使えるわ。」 一仕事終えた充実感なのか綻んだ顔でブラインドを見つめる。シャッターに見立てたブラインドは思 いのほかその手にフィットした。当然支給武器の正しい在り方をレクチャーしてくれる者などここに はいない。 ちなみに先程反射したものの正体は…
「ここに来てカメラ見んの三台目やなぁ、何台あんねん。…アカン、そんな引き出しないて。同じギャグ何回も使うたら怒られるやろか?」 島全体に設置されている監視カメラ。本部が参加者の様子を監視するための小型監視カメラ。決して ギャグをやるために設置されているわけではないという事を教えてくれる者も、当然ここにはいない。 「次カメラ見つけたらどないしよ〜。鉄板ギャグ使うか?でも後々ネタ切れなるんも辛いしなぁ。…モノマネ…いや、そらやめとこ。」 急に活き活きとしだした岡田は、お気に入りになってしまった武器(そもそも武器という認識が本人 にはないのだが)を小脇に抱えデイパックの中身に一通り目を通すと、落ち着ける場所を探すため再 び歩みを進める。 大好きなカメラを意識しながら。 「夏の風物詩、岡田のギャグにご用心!提供するのは勿論この方岡田サマー!(決まった!)」 念の為もう一度言っておく。 これは何も、バトルロワイアルの恐怖を知らないが故のお気楽さではない。 岡田圭右とはただ単にこういう男なのだ。
【ますだおかだ 岡田圭右】 所持品:ブラインド 第一行動方針:居心地の良い場所を探す 基本行動方針:カメラに向かって一発ギャグ 最終行動方針:何も求めない 【現在位置:森H-5】 【8/15 13:49】 【投下番号:205】
岡田… (゚Д゚ ) GJ!!
新作乙です。 岡田……また妙な奴が一人増えたなww
512 :
名無し草 :2007/05/15(火) 07:13:27
きも
岡田wwwwwww 岡田の鉄板ってせやなか?ww
岡田バロスwww せやなは前フリないと使えなくね?
土肥ポン太使って話書きたいんですけど、いいですかね?
今から参加させたら駄目ですか?
最初に参加芸人が全部決まってるから、それに外れた以上は無理。 残念だが諦めろ。
誰が参加芸人を決めたんですか?
開始当初の住人によって決められた。 なので諦めよう。
土肥ポン太は諦めます。 ザブングルか平成ノブシコブシは大丈夫でしょうか?
>>523 まとめサイトの参加者名簿みたら、誰が参加してるかわかる
ちゃんと見てね
何処ですか?
なんだ釣りですか。
釣りじゃないです。本気です。
何でそんなに何回も読まなきゃ駄目なんですか?
華麗にスルー
華麗にスルー
読みましたが。
>>516 したらばで質問した者です
ありがとうございます!
いつまで続くんだ
誰か
ボスけて
ボスッ
誰か
546 :
名無し草 :2007/05/17(木) 22:27:53
まとめサイトってどうなったんですか??
したらばって何?
かにかま
食べたい
保守
誰か
保守
保守
保守
保 守
557 :
名無し草 :2007/05/26(土) 15:07:12
早く新まとめサイト載せろよー
もう少し待とう 頑張れ新管理人
559 :
名無し草 :2007/05/26(土) 22:32:29
逃げたんだろ
がんばれ管理人! 負けるな管理人! いつになるの管理人!
561 :
名無し草 :2007/05/27(日) 13:16:19
この小説結構好きやから 頑張ってくれ管理人!!
562 :
名無し草 :2007/05/27(日) 20:00:13
逃げて正解だな
もうだめだな、ここも
もう少し待とうぜ
江頭はまだか
何分不慣れなので、BASIC認証の導入に手間取って、 まとめの公開が遅くなってしまっております。 htaccessのパスワードがどうもうまく通らないのです。 まとまった時間がとれたらいろいろと調べてみます。 逃げたわけではないのでどうかもうしばらく待ってやってください。 …っていうか1年分の鯖代払って何もしないで逃げるって 無駄以外の何ものでもないので、絶対逃げたりはしませんから、 そのあたりはご心配なく。
>>566 乙です。
気長に待っていますんで頑張ってください。
>>566 待ってますとも。楽しみにしてるんで頑張って!
570 :
名無し草 :
2007/05/30(水) 18:40:11 気長に待ちますんで 焦らず頑張ってください!!