◇◆◇◆有閑倶楽部を妄想で語ろう25◇◆◇◆

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1名無し草
ここは一条ゆかり先生の「有閑倶楽部」が好きな人のためのスレッドです。
 前スレ ◇◆◇◆有閑倶楽部を妄想で語ろう24◇◆◇◆ (dat落ち)
     http://aa5.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/1113916800/

お約束
 ■sage推奨 〜メール欄に半角文字で「sage」と入力〜
 ■妄想意欲に水を差すような発言は控えましょう
*作品への感想は大歓迎です。作家さんたちの原動力になり、スレも華やぎます。

関連サイト、お約束詳細などは>>2-6の辺りにありますので、ご覧ください。
特に初心者さんは熟読のこと!
2名無し草:2006/02/09(木) 02:35:31
◆関連スレ・関連サイト

「有閑倶楽部 妄想同好会」 http://houka5.com/yuukan/
 ここで出た話が、ネタ別にまとまっているところ。過去スレのログもあり。
 *本スレで「嵐さんのところ」などと言う時はココを指す(管理人が嵐さん)

「妄想同好会BBS」 http://jbbs.livedoor.jp/movie/1322/
 上記サイトの専用BBS。本スレに作品をUPしにくい時のUP用のスレあり。
 *本スレで「したらば」と言う時はココを指す

「有閑倶楽部アンケート スレッド」
 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/1322/1077556851/
 上記BBS内のスレッド。ゲストブック代わりにドゾー。
3名無し草:2006/02/09(木) 02:36:14
◆作品UPについてのお約束詳細(よく読んだ上で参加のこと!)

<原作者及び出版元とは全く関係ありません>

・初めから判っている場合は、初回UP時に長編/短編の区分を書いてください。

・名前欄には「題名」「通しNo.」「カップリング(ネタばれになる場合を除く)」を。

・性的内容を含むものは「18禁」又は「R」と明記してください。

・連載物は、2回目以降、最初のレスに「>○○(全て半角文字)」という形で
 前作へのリンクを貼ってください。

・リレー小説で次の人に連載をバトンタッチしたい場合は、その旨明記を。

・作品UPする時は、直前に更新ボタンを押して、他の作品がUP中でないか
 確かめましょう。重なってしまった場合は、先の書き込みを優先で。

・作品の大量UPは大歓迎です!
4名無し草:2006/02/09(木) 02:37:19
◆その他のお約束詳細

・萌えないカップリング話やキャラ話であっても、 妄想意欲に水を差す発言は
 控えましょう。議論もNG(必要な議論なら、早めに別スレへ誘導)。

・作家さんが他の作品の感想を書く時は、名無しの人たちも参加しやすいように、
 なるべく名無し(作家であることが分からないような書き方)でお願いします。

・あとは常識的マナーの範囲で、萌え話・小ネタ発表・雑談など自由です。

・950を踏んだ人は新スレを立ててください。
 ただし、その前に容量が500KBを越えると投稿できなくなるため、
 この場合は450KBを越えたあたりから準備をし、485KB位で新スレを。
 他スレの迷惑にならないよう、新スレの1は10行以内でお願いします。
5名無し草:2006/02/09(木) 02:39:01
◆初心者さんへ

○2ちゃんねるには独特のルール・用語があるので、予習してください。
 「2ちゃんねる用語解説」http://www.skipup.com/~niwatori/yougo/

○もっと詳しく知りたい時
 「2典Plus」http://www.media-k.co.jp/jiten/
 「2ちゃんねるガイド」http://www.2ch.net/guide/faq.html

○荒らし・煽りについて
・「レスせずスルー」が鉄則です。指差し確認(*)も無しでお願いします。
 *「△△はアオラーだからスルーしましょう」などの確認レスをつけること

・荒らし・アオラーは常に誰かの反応を待っています。
 反撃は最も喜びますので、やらないようにしてください。
 また、放置されると、煽りや自作自演でレスを誘い出す可能性があります。
 これらに乗せられてレスしたら、「その時点であなたの負け」です。

○誘い受けについて
・有閑スレでは、同情をひくことを期待しているように見えるレスのことを
 誘い受けレスとして嫌う傾向にありますので、ご注意を。
6名無し草:2006/02/09(木) 02:39:46
◆「SSスレッドのガイドライン」の有閑スレバージョン

<作家さんと読者の良い関係を築く為の、読者サイドの鉄則>
・作家さんが現れたら、まずはとりあえず誉める。どこが良かったとかの
 感想も付け加えてみよう。
・上手くいけば作家さんは次回も気分良くウプ、住人も作品が読めて双方ハッピー。
・それを見て自分も、と思う新米作家さんが現れたら、スレ繁栄の良循環。
・投稿がしばらく途絶えた時は、妄想雑談などをして気長に保守。
・住民同士の争いは作家さんの意欲を減退させるので、マターリを大切に。

<これから作家(職人)になろうと思う人達へ>
・まずは過去ログをチェック、現行スレを一通り読んでおくのは基本中の基本。
・最低限、スレ冒頭の「作品UPについてのお約束詳細」は押さえておこう。
・下手に慣れ合いを求めず、ある程度のネタを用意してからウプしてみよう。
・感想レスが無いと継続意欲が沸かないかもしれないが、宣伝や構って臭を
 嫌う人も多いのであくまでも控え目に。
・作家なら作品で勝負。言い訳や言い逃れを書く暇があれば、自分の腕を磨こう。
・扇りはあまり気にしない。ただし自分の振る舞いに無頓着になるのは厳禁。
 レスする時は一語一句まで気を配ろう。
・あくまでも謙虚に。叩かれ難いし、叩かれた時の擁護も多くなる。
・煽られても、興奮してレスしたり自演したりwする前に、お茶でも飲んで頭を
 冷やしてスレを読み返してみよう。
 扇りだと思っていたのが、実は粗く書かれた感想だったりするかもしれない。
・そして自分の過ちだと思ったら、素直に謝ろう。それで何を損する事がある?
 目指すのは神職人・神スレであって、議論厨・糞スレでは無いのだろう?
7名無し草:2006/02/09(木) 02:43:00
dat落ちしていたので新スレを立ててみました。
テンプレは以上です。

即死防止とスレの繁栄を兼ねて、久し振りに競作祭りはどうでしょう?
8名無し草:2006/02/09(木) 07:48:13
>1乙!久々だね。
競作祭りに賛成。なにかお題を決めないとね。
9名無し草:2006/02/09(木) 08:31:28
>>1
乙! ありがとう。ほんとにひさしぶりだ。
競作賛成です。
10名無し草:2006/02/09(木) 08:36:58
 
11名無し草:2006/02/09(木) 20:54:08
スレ立て乙です。

競作いいね。復活祭だ!
12名無し草:2006/02/10(金) 02:04:13
お題かぁ。参考までに、20万ヒット記念の時のお題投票をまとめてみた。

「色」5票→採用  「初めての・・・」3票  「穴」「果物」各2票  「下着」1票
「R」「傷痕」「音楽」「水」「ゼリー」「星」「花」「ジュエリー」「飲み物(紅茶、
珈琲、茶etc.)」 「現在・過去・未来〜♪」 各0票

個人的には「初めての・・・」に惹かれてるけど、前回とは別の新しいお題
候補も見てみたいな。
13名無し草:2006/02/10(金) 16:29:14
祝!復活。スレ立て乙です。
ストップしている連載陣が戻ってくれることを祈りつつ、
競作で地味〜に盛り上がりたいですね。
14名無し草:2006/02/10(金) 20:15:08
季節で行けば春とか、桜とか、卒業あたりかな?>お題
個人的には「飲み物」か「現在・過去・未来」に一票かな。
15名無し草:2006/02/10(金) 22:43:37
スレ立てサンクス。
あたしは以前のお題と>>14さんの意見から、「花」に一票<春・桜つながりで

新しいお題は、音楽のバリエーションとして「歌」なんてど?
以前、世代や個人の趣味がどうこうって意見も出たけど、逆にだからこそ
色々な解釈・世界が楽しめるかもしれない。
16名無し草:2006/02/11(土) 04:37:03
個人てきには「歌」なら「うた」の方が良いなと言ってみる。
「詩」とか「唱」とかにも解釈できて、題材の幅が広がりそうだから。
17名無し草:2006/02/11(土) 09:14:20
「うた」いいね。いろんな解釈ができそう。

ところで住人さんはそこそこ戻ってきてるだろうか。
18名無し草:2006/02/11(土) 17:57:09
季節的に花に飢えてるwので「花」は魅力的だな。
実在する花だけでなく、観念としての描写も出来そうだし。
「うた」もいいね。題材の幅がかなり広くなるから、
作品ごとの違いを堪能出来そう。

住人はどうだろうね?嵐さんのところで知らせてくれた
から、おいおい戻って来るとは思うけど。
19名無し草:2006/02/11(土) 18:36:27
なら、ゆっくり競作のお題でも決めながらマターリ待ちますか。
「卒業」でもいいかなと思っている。学校だけじゃないし。
20名無し草:2006/02/11(土) 19:02:27
前スレdat落ちしたのが9/27だから、4ヶ月半も本スレ無し
だったんだね。諦めて来なくなった人も居るだろうし、復活が
知れ渡るには時間がかかりそう。

競作のお題は、幅広く捉えられるものが面白いと思う。
21名無し草:2006/02/11(土) 21:13:14
再開記念として「再会」は?
22名無し草:2006/02/11(土) 21:38:36
良さそうなお題が沢山あるね。どれも読んでみたい。
いっその事、30万のときみたいにお題を日ごとに分けて
数日続けてみるのはどうかな?

……書き手さんがどのくらい参加してくれるのかは分らないけど
23名無し草:2006/02/11(土) 22:19:30
>>22
いろいろと読んでみたい気持ちは同じ。
でも、スレが盛んな頃と違って今回はやっと再建されたのだし、
作家さんが何人戻って来てくれるかも未知数。
無理をせず、1つに絞った方がいいのでは。
24名無し草:2006/02/12(日) 05:53:19
1つに絞るなら自分は「うた」かな。
「再会」も惹かれるけど、内容が限られちゃうそうだから
25名無し草:2006/02/13(月) 10:50:12
今までの教訓で、
あまり広がりのない、制約のあるお題の方がいいかも。
その方が解釈の違い、カラーの違いを楽しめるから。
レス数制限もきつめが希望。
26名無し草:2006/02/13(月) 14:53:35
自分も「うた」に一票。

競作のレス数制限きつめには同意。
あとは、フカツ一発目の競作なんだし募集期間は長めがいいな。
その間に戻って来てくれる作家さんがいるかもしれない。
27名無し草:2006/02/13(月) 22:01:26
私は「花」に一票。
28名無し草:2006/02/13(月) 23:39:45
意味が幅広く取れるものは、逆に避けた方がいいかも。
色よりも酒の方が面白かった。
29名無し草:2006/02/14(火) 00:27:33
ここまでのまとめ。参考にドゾー

○競作のお題(前回の候補)
「初めての・・・」 >12 「飲み物」か「現在・過去・未来」 >14

○競作のお題(新しい候補)
「春」「桜」 >14 「卒業」 >14 >19 「花」 >15 >18 >27
「うた」「歌」 >15-18 >24 >26 「再会」 >21

○お題を日ごとに分けるかどうか? >22-23

○広がりのない、制約のあるお題の方がいいか? >25 >28

○レス数制限きつめが良い >25-26

○募集期間は長めが良い >26
30名無し草:2006/02/14(火) 01:42:25
レス制限きつめは前に結構意見出てたよね。
今思い返しても「酒」はベストなお題だった。
しっとりあり、ギャクもあり、ホラーもありで。
ああいうお題ってないかな。

「うた」は私もいいなーと思う。
31名無し草:2006/02/14(火) 19:01:27
レス制限きつめ、広がりなしのお題に賛成だな。
工夫をこらした面白いものが読めそう。

お題、Rはどうでしょうかw ソフトからハードまで色々読みたかったりするww
32名無し草:2006/02/14(火) 19:54:57
復活オメ!
お題、レス数制限あるとしたらどのくらいですか?
33名無し草:2006/02/14(火) 21:08:12
>しっとりあり、ギャクもあり、ホラーもありで。
これは作家さん次第だろうと思う。「色」の時も全部あったし。

「酒」の時の評判がいいのは、主にこの2つの理由では。
1.初めての競作だったため、読者の印象が強いから
2.告知から締め切りまでの時間が、とても短かったため、
 書き慣れている人でないと参加出来なかったから

逆に言えば「色」の時は、新人さんや久し振りの作家さんが多く
参加してくれたのでしょう。作品数は今までで一番多かったし。
34名無し草:2006/02/14(火) 21:26:39
>32
6レス程度がいいと思うんだけど、どうでしょう?
35名無し草:2006/02/14(火) 22:01:10
過去の競作の募集期間、レス数制限、参加作品数はこんなかんじ。
下に書いた期間は、話し合い後の正式な告知日からの日数。

「酒」1週間、6レス内、14本
「手紙」1週間、10レス内、6本+絵1枚
「色」1週間、10レス内、23本+絵3枚
「キャラ祭り」1週間(キャラ別に日替り)、10レス内、13本+絵3枚
36名無し草:2006/02/14(火) 22:32:22
>>35
ウプされた数で言うとこっちかな。後から削除されてるのがあるから。
ついでに、話し合いや告知後の日数も入れておいた。

「酒」話し合い3日、すぐスタートして募集1週間、6レス内、作品15本
「手紙」話し合い延べ3日、すぐスタートして募集1週間、
 10レス内、作品7本+絵1枚
「色」話し合い7日、告知12日後にスタートして募集は1週間、
 10レス内、作品24本+絵3枚
「キャラ祭り」話し合い20日、告知14日後にスタートして募集は1週間
 (キャラ別に日替り)、10レス内、作品13本+絵3枚
37名無し草:2006/02/14(火) 22:38:13
あ、競作の話ばかりになってしまってるけど、作品ウプしたい
人が居たら、気にせずウプして欲しいです。
38名無し草:2006/02/14(火) 23:44:41
通常の作品や連載の続きをUPしたいと思ってる作家さんは様子見かも。
競作まで間があけば連載の続きをあげようかな〜とか。
まだスレが立って1週間たたないけど、
だいたい何時ごろ競作を始めるか、決めてもいいんじゃない?
39名無し草:2006/02/15(水) 03:02:35
思いつくままに書き出してみる。

1.今週一杯相談して、来週から始める。
2.嵐さんのところが40万になったら始める。3/1頃?
3.このスレが立って2週間後の2/23から始める。

2が一番スリリングで面白いんだけど、ちょっと間が
空き過ぎるかな。あと2000位だから、1日150として
2週間弱かかる。
40名無し草:2006/02/15(水) 17:12:36
レス制限は6と10の間をとって8までとか。

>39
3あたりが現実的かな。
ところでどれぐらいの人がここにいるんだろう。
41名無し草:2006/02/15(水) 18:40:05
まだ復活が知れ渡ってないようだと、競作やってもさびしいから、
点呼でもとってみますか?
ここに一人ノシ
42名無し草:2006/02/15(水) 20:16:40
個人的には、日頃お世話になってる嵐さんへの感謝をこめて
40万Hit記念と本スレ復活競作を一緒にやりたいけどな。。。

39さんの案2を発展させて、こんなのどう?
今度の日曜まで、お題、レス数制限、期間もろもろの話し合い。
来週頭に集計&告知、その後は40万Hitまでドキドキ待つべし。
43名無し草:2006/02/15(水) 20:20:29
忘れてた、点呼。一人いるよ。
44名無し草:2006/02/15(水) 21:38:53
ほい、ノシ  3人目……かな?
45名無し草:2006/02/15(水) 23:22:15
>>42
発展案いいね。前にカウントダウンした時、楽しかったから
今度も出来るといいな。人が増えてくればカウンターの
回りも速くなるだろうし、2月下旬スタートになるかも。

ノシ 4人目。
46名無し草 :2006/02/16(木) 01:28:35
>>42
40万Hit待ちいいね
ノシ 5人目。
47名無し草:2006/02/16(木) 12:25:04
ノシ 6人目。

以前のカウントダウンは確かに楽しかった。
まだみんな戻ってないようだし40万hitまで待ってみますか?
楽しみで待ちきれないから早く始めたい気もあるんだけど。
>42さんの意見に一票。
48名無し草:2006/02/16(木) 15:06:32
ノシ 7人目
私も>42さんに同意
49名無し草:2006/02/16(木) 19:30:03
ノシ 8人目
私も>42さんの案に賛成です。日程的にも告知時間が十分にとれてよいのでは。

レス制限はあくまで上限だから個人的には10レスのままでいいと思うけど、
もし短くするなら>40さんの8レスに一票。6レスはツライです。
50名無し草:2006/02/16(木) 23:42:11
今までの競作を見ても、決めた何日か後にスタートする方が、
作品数が多いもんね。まして今回は、何ヶ月かぶりに本スレが
復活したのだから、人が戻るのには時間がかかるだろうし。

で、今後決めることは、この3つかな。

1.お題
今まで1票以上あった候補
「初めての・・・」「飲み物」「現在・過去・未来」 「春」「桜」「卒業」「花」
「うた」「再会」1

2.募集期間
スタートは40万Hit?
期間は1週間?

3.レス数制限
8レス? 10レス?

17日いっぱい意見募集して、18-19日で投票したらどうだろう?
でも土日の投票だと、来れない人もいるかな。
51名無し草:2006/02/16(木) 23:46:24
書き忘れた。50は点呼済みです。
52名無し草:2006/02/17(金) 08:15:58
>52
ポイントをまとめてくれてありがとう。
自分は土日留守にするので月曜日含めた3日間の投票だと嬉しいかな。

ちなみに自分も点呼済みです。
53名無し草:2006/02/17(金) 18:59:03
>50
>31です。
お題、「R」も入れて…(´・ω・`)ショボーン
5450:2006/02/18(土) 00:32:22
>53
スマソ、投票候補には入れる。


今まで1人以上が推奨した案をまとめ直してみた。

1.お題
「初めての・・・」「飲み物」「現在・過去・未来」「春」「桜」「卒業」
「花」「うた」「再会」「R」

2.募集開始時
A案:妄想同好会が40万Hitになった時から
B案:このスレが立って2週間後の23日(木)から

3.募集期間
1週間でいいか?

4.レス数制限
C案:6レス以下   D案:8レス以下   E案:10レス以下

このルールで投票したらどうかな?
・1人当たり、各項目1票ずつで投票
・多重投票防止のため、なるべくコメント付きで
・締め切りは21日(火) 0:00(土日だけだと来れない人もいるため)
55名無し草:2006/02/18(土) 16:36:46
>54
まとめTHANKS。
わかりやすくて良いとオモ。

ではさっそく投票させて頂きますノシ 点呼9

1. 花
2. A案
3. 10日間ではどうだろう。住人の数も見えないし、この時期
   年度末で忙しい人も多いだろうから、もう少し長くてもよいかも?
4. D案(8レス以下)

という事でおねがいします。
56名無し草:2006/02/19(日) 00:05:06
点呼は済んでいるので投票だけ。

1.お題 「うた」
色々なパターンに使えそうなので、競作ならではの
面白さを堪能出来そう。

2.募集開始時 A案
カウントダウンが楽しみ。

3.募集期間 10日間
55さんの意見を読んで、なるほどなーと思ったので。
マターリやるのもいいかも。

4.レス数制限 D案
6レスでは厳しいので、間をとって8レスに。
57名無し草:2006/02/19(日) 00:44:04
早速、投票。点呼済みです。

1.お題 「うた」
広い意味にも狭い意味にもとれて妄想が広がりそう。

2.募集開始時 A案
40万Hitカウントダウン+競作開始は、より祭り気分が盛り上がりそう。

3.募集期間 10日間
同じく55さんの意見を読んで、今回は10日間がいいと思った。
過去競作は1週間がデフォだったから、
10日間やってみるのも今後の比較参考になりそう。

4.レス数制限 C案
作家さんには厳しい6レス以下にあえて挑戦してホスィ
58名無し草:2006/02/19(日) 00:44:54
>54乙!点呼済みです。

1. お題 「花」 
2. 開始時 A案
3. 募集期間 復活間もないことだし、私も10日くらいを希望します。
4. レス制限 D案

以上です。参加者がどれくらいいるか、期待と不安。
59名無し草:2006/02/19(日) 12:38:10
ここは一条ゆかり先生の「有閑倶楽部」が好きな人のためのスレッドです。
 前スレ ◇◆◇◆有閑倶楽部を妄想で語ろう24◇◆◇◆ (dat落ち)
     http://aa5.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/1113916800/

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特に初心者さんは熟読のこと!
60名無し草:2006/02/20(月) 01:39:25
点呼10

1. うた
2. A案
3. 祭りは後を惜しむぐらいに短い方がちょうどいいということで、1週間。
   中だるみも防止したいし。
4. C案(6レス以下)

という事でおねがいします。
61名無し草:2006/02/20(月) 09:03:00
点呼済みです。

1. 「うた」

2. A案

3. 1週間
 告知からスタートの時間(=準備期間)が長ければ十分かな、と。
 募集期間があまり長いとダレてしまいそう。

4. E 10レス以下
 ある程度の長さが必要な話もあるだろうし、制約が少ない方がいろんな話が読めそう。

お祭り盛り上がるといいな。
62名無し草:2006/02/20(月) 11:36:50
点呼済みです。

1. お題 「再会」
「忘れ去られたゲストキャラ復活祭」を期待して選んでみました。

2. 開始時 A案
いつ始まるかドキドキするのもまた楽しいので。

3. 募集期間  5日間 
できれば一気に読みたいし、締め切りが早い方が勢いで書けそう。
推敲は大事だけどまだ日にちがあると思うと逆に筆が進まなくなるときもあるし

4. レス制限 D案 8レス
6レスだとちょっとつらいかも・・・

スレがしばらくなくて寂しかっただけに、お祭り楽しみです。
63名無し草:2006/02/20(月) 12:42:49
点呼済。

1.お題
「R」w Rそのものを描かなくてもいいと思う。

2.募集開始
A案で。

3.10日間は長いかな、と。土日はさんで三日くらいでもいいと思うが、
 まあ1週間で。

4.レス数制限
D案8レスでよろ。
64名無し草:2006/02/20(月) 17:12:19
点呼11

1.花

2.A案

3.10日間

4.10レス

よろしく
65名無し草:2006/02/22(水) 19:10:55
有閑倶楽部のスケジュール&家計簿ソフト使われてる方、感想お願いできませんか?
6650:2006/02/22(水) 20:40:23
やっと書けるようになった。
遅くなったけど投票結果です。

1.お題 「うた」4票(>56-57 >60-61)
 「花」3票(>55 >58 >64) 「再会」1票(>62) 「R」1票(>63)
 「初めての・・・」「飲み物」「現在・過去・未来」「春」「桜」「卒業」各0票

2.募集開始時 A案:妄想同好会が40万Hitになった時から 9票(>55-58 >60-64)
 B案:このスレが立って2週間後の23日(木)から 0票

3.募集期間 10日間 5票(>55-58 >64)
 1週間 3票(>60-61 >63) 5日間 1票(>62)

4.レス数制限 D案:8レス以下 5票(>55-56 >58 >62-63)
 C案:6レス以下 2票(>57 >60)  E案:10レス以下 2票(>61 >64)
6750:2006/02/22(水) 20:42:09
前のテンプレを直してみた。これで大丈夫?


***  40万ヒット記念・競作祭り 〜短編&イラスト〜  ***

☆お題「うた」に関係したもので、好きな内容の短編かイラストをウプしてください。

☆期限は妄想同好会が40万Hitになった時から10日間です。
(例)2月28日になったら、3月11日の0:00まで(10日から11日に日付が変わるまで)

☆ウプの時は、名前欄に「40万hit競作・<作品のタイトル>」 と入れてください。

☆短編
・8レス以下でお願いします。
・本スレへのウプを推奨、どうしても気が引ける…という人は「妄想同好会BBS」の
 「短編UP専用スレッド」へのウプも可です。
・18禁の短編もOKですが、タイトル欄に「R」と明記してください。

☆イラスト
・次のいずれかをすれば、嵐さんがHPにウプしてくれるそうです。
 ア.嵐さん宛にメールして添付する。
 イ.どこかのウプローダーにウプして、嵐さんにURLを知らせる。
 ウ.自分のサイトに一時的にウプして、嵐さんにURLを知らせる。
・18禁の場合、「局部がかかれていない(見えない)物であり、出版物として商業市場
 (同人ではありません)に出せる程度の物」でお願いします。

=== 作家も自称作家も初心者もROMちゃんも・・・燃えてみませんか? ===
68名無し草:2006/02/22(水) 23:15:37
>>67
了解しました。ありがとー!楽しみですね。
69名無し草:2006/02/23(木) 02:08:37
有閑倶楽部のスケジュール&家計簿ソフト使われてる方,これは無料でできるんですか?
(ずーーと)無料
それだったらパスワードがいるみたいなんですが、わかる方教えてもらえませんか?
70名無し草:2006/02/23(木) 22:54:38
>>67さん
遅くなりましたが有難うございました。
もうすぐですね。楽しみにしてます。
71名無し草:2006/02/24(金) 23:06:00
67さん、まとめ乙!

ちょっと告知文のテンプレで気になるところがあります。
嵐さんがイラストをウプしてくれる云々のところ、今回は嵐さんから同意をいただいていませんよね?
大丈夫でしょうか?
72名無し草:2006/02/25(土) 01:30:20
>>71
少しの間、様子見ていても問題ないと思われ。
もしかしたら>>67か誰かが既に
問い合せのメールしてるかもしれないし。
7350:2006/02/26(日) 22:07:03
>>71-72
そうだよね、先に嵐さんの同意をもらうべきだよね。OTZ

嵐さん、ごめんなさい。ここ見てたら67のでいいか教えてください。
74嵐 ◆F/MOUSOU1Q :2006/02/27(月) 21:01:34
>73
まとめお疲れさまでした。
レスが遅れて申し訳ありません。暫くネット環境に居なかったもの
ですから。

イラストはメールや連絡スレッドなど、ご都合のいいルートから
連絡いただければサイトにUPしますので、大丈夫ですよ。
>67のテンプレを、アドレス入りにしてみますね。

☆イラスト
・次のいずれかをすれば、嵐さんがHPにウプしてくれるそうです。
 ア.嵐さん宛にメールして添付する。
  arashi2121@yahoo.co.jp ←「@」を半角に変えてください
 イ.ウプローダーか自分のサイトに一時的にウプし、メール又は連絡スレッドで
  嵐さんにURLを知らせる。
  メール 同上
  連絡スレッド http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/1322/1028085248/
・18禁の場合、「局部がかかれていない(見えない)物であり、出版物として商業市場
 (同人ではありません)に出せる程度の物」でお願いします。

>25日にメールをくださった方
上記のようなやり方でお願いします。楽しみに待っていますね。
7550:2006/02/28(火) 21:16:31
>>74
ありがとうございました。

今見てきたら、あと50! 気が早いけど一足先に告知しておこう。

***  40万ヒット記念・競作祭り 〜短編&イラスト〜  ***

☆お題「うた」に関係したもので、好きな内容の短編かイラストをウプしてください。

☆期限は妄想同好会が40万Hitになった時から、3月11日の0:00までです。
(10日から11日に日付が変わるまで)

☆ウプの時は、名前欄に「40万hit競作・<作品のタイトル>」 と入れてください。

☆短編
・8レス以下でお願いします。
・本スレへのウプを推奨、どうしても気が引ける…という人は「妄想同好会BBS」の
 「短編UP専用スレッド」へのウプも可です。
・18禁の短編もOKですが、タイトル欄に「R」と明記してください。

☆イラスト
・次のいずれかをすれば、嵐さんがHPにウプしてくれるそうです。
 ア.嵐さん宛にメールして添付する。
  arashi2121@yahoo.co.jp ←「@」を半角に変えてください
 イ.ウプローダーか自分のサイトに一時的にウプし、メール又は連絡スレッドで
  嵐さんにURLを知らせる。
  メール 同上
  連絡スレッド http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/1322/1028085248/
・18禁の場合、「局部がかかれていない(見えない)物であり、出版物として商業市場
 (同人ではありません)に出せる程度の物」でお願いします。
76名無し草:2006/02/28(火) 22:28:12
乙です。あと30だ
77名無し草:2006/02/28(火) 22:59:36
>>74-75さん
ありがとうございます。新しい月の始まりとお祭りが一緒になりそうだ。
楽しみ。
78名無し草:2006/02/28(火) 23:08:10
あと21。今日中に行くかな。
日付が変わってからの40万hitだったら、締め切りが12日に
なるんだよね?ドキドキしてきたw
79名無し草:2006/02/28(火) 23:42:59
残り5、もう一息
80名無し草:2006/02/28(火) 23:48:16
399999だったorz
81名無し草:2006/02/28(火) 23:56:05
400000get!!
82名無し草:2006/03/01(水) 00:11:14
おめでとう!!!
祭りだ〜〜・・・って、もう日付け変わったけど28日スタートになるのかな?
83名無し草:2006/03/01(水) 00:17:49
でいいの?微妙だなぁ。
84名無し草:2006/03/01(水) 00:19:24
祭り始動! 楽しみですね。
ところで今更質問なんだけど、歌の歌詞をイメージして話書いた場合でも、競作として認められるのかな?
その場合もちろん歌詞は載せるつもりだけど…
85名無し草:2006/03/01(水) 00:25:37
40万Hitおめでとう!

>>82-83
到達したのは28日中だったのだから、28日スタートでいいのでは?

>>84
「うた」に当て嵌まるからいいと思
86名無し草:2006/03/01(水) 00:27:40
>84
歌詞を全部のせるとまずいのでは。著作権とか、なんとか。
一部の抜粋かあらすじ(?)なら大丈夫かな?
87名無し草:2006/03/01(水) 00:34:34
そういえばあったよーな<著作権の関係
歌詞関連の話は、したらばの裏話スレッドに載せてもいいかも。
タイトル・歌手名などの情報と大まかな内容ならいいんじゃない?
88嵐 ◆F/MOUSOU1Q :2006/03/01(水) 00:44:15
ついに40万ですね。ありがとうございます。
久しぶりのお祭りも、とても楽しみです。

>>87
テンプレへの追加で何か忘れているような・・・?と思っていたら、
裏話スレッドのことでした。orz
ということで、良かったら活用ください。>作家さん
サイトにUPする時に、作品の後ろにつけますので。

裏話スレッド
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/1322/1027901602/
89名無し草:2006/03/01(水) 01:15:57
84です。

嵐さん、そのほかの皆さん、ありがとうございます!
著作権に引っかからない程度にがんばろうと思います。
90名無し草:2006/03/01(水) 02:22:40
お題が難しすぎるよママン
91名無し草:2006/03/01(水) 09:10:22
がんばって書くのよ、ベイビー
92名無し草:2006/03/02(木) 02:04:44
すいません、一発目いかせていただきます。本編5レス、補足2レスの7レスいただきます。
清×野のありがちなものですが、苦手な方はスルーお願いします。

9340万hit競作・<戀歌>1:2006/03/02(木) 02:05:59
「世の中純愛ブームよねー。あーあ、私も素敵な恋がしたい。」
そのことばに、僕はお茶を噴出した。
「純愛って・・・玉の輿狙ってる奴が突然どうしたんだよ。」
魅録の言葉に他の面々も大きくうなずく。
「なによ!私が純愛しちゃいけないって言うの!?」
ムッとした様に可憐は言った。
「いけなくは無いけどさ、なんとなく想像できないって言うか・・・」
「想像できないのは美童も同じですけどね。」
僕の突っ込みに、美童は嫣然と言い返した。
「恋は全てが美しいんだから、いいんだよ。」
・・・さすがの僕も二の句がつけない。
「そもそも、純愛って何だ?」
饅頭をくわえた悠理の言葉に、可憐は大きくため息をつく。
「全く、このメンツでこんな話をした私が馬鹿だったわ。
友達と遊んでいた方が楽しい奴に究極のプレイボーイ、食欲魔人に知識馬鹿。
あーあ、もう。」
可憐の嘆きに僕を含めた男性陣は苦笑する。

9440万hit競作・<戀歌>2:2006/03/02(木) 02:06:54
「おい可憐、野梨子忘れてるぞ。」
「いいのよ、野梨子だって悠理と同じレベルなんだから。」
「まぁ、私だって純愛くらいはわかりますわ。」
野梨子の言葉に思わず皆で目を向ける。
「野梨子、見栄を張るのはよくないですよ。」
僕は皆を代表するつもりで言ったのだが、野梨子は僕を睨みつけ、言い返した。
「見栄なんて張っておりませんわ。」
そう言って、一つのうたを詠んだ。



――磯城島の 日本(やまと)の国に人ふたり ありとし思はば 何か嘆かむ



不覚にも僕は手を滑らし、大きな音を立ててしまったが皆は気にしていないようだ。
「・・・・何よそれ。」
思わずつぶやいた可憐に対し、してやったりといった様子で野梨子はにっこりと返した。
「可憐、純愛もいいですけれど万葉集のお勉強もしてみてはいかが?」
この勝負、野梨子に軍配は上がったようだ。

9540万hit競作・<戀歌>3:2006/03/02(木) 02:07:33
「今日は正直驚きましたよ。」
帰る道すがら、僕は言った。
「野梨子が恋歌に興味があるとは思いませんでした。」
拗ねたように見上げ、野梨子が睨んでくる。
「恋歌だろうと何だろうと、たしなみ程度には存じてますわ。」
この幼馴染はきっと気づいてないだろう。自分がどれだけあのうたに動揺したか。
「野梨子は、しょっちゅう心配させてくれますよね。」
あまりにも唐突な言葉に、今度は訝しげな眼差しを向けてくる。
「何ですの?突然。」
「古いものならルビー騒動、最近だったら空港騒ぎ。」
ふぅ、とため息をつき、足を止めて言ってみる。
「事件が終わるたびに、あのうたを思い出しますよ。」
一瞬きょとんとした野梨子は、言葉の意味に気づいて見る見る赤くなる。
「なっ・・・!」
遠くから、夕方をつげるのんきな音楽が聞こえてくる。
「さ、帰りましょうか。」
そう言って、僕は歩き出した。
9640万hit競作・<戀歌>4:2006/03/02(木) 02:09:37
「せ、清四郎っ!」
さっさと角を曲がろうとした僕を野梨子は呼び止めるた。
そして、またうたを詠んだ。



――後れ居て 恋ひつつあらずは 追ひ及かむ 道の隈廻に 標結へ我が背



思わず、僕は振り返る。
「・・・・・・置いていかれるのは嫌いですの。」
むすっとした顔で僕の横を通り過ぎる野梨子の顔は赤く、追いつきつつも僕は思わず笑ってしまった。
そしてもう少し、意地悪することを決めた。
9740万hit競作・<戀歌>5:2006/03/02(木) 02:11:22
「何がおかしいんですの!?」
予想通りの言葉をぶつけてくる。意地悪のしやすい想い人とで助かった、と言ったら怒るだろうか。
「いえ、嬉しいだけです。」
怒られるのもつまらないので本音は隠すことにし、さらに赤くになった幼馴染に僕は止めを刺した。


――思えども しるしも無しと知るものを 何かここだく あが恋いわたる


「清四郎!」
たまらず野梨子が声を上げる。僕はニッコリと言ってやる。
「諦めなくてよかったです。」


終わりです。ありがとうございました。


9840万hit競作・<戀歌>6:2006/03/02(木) 02:13:15
すいません、補足(歌の意味)を忘れていました。


野梨子1首目 
「磯城島の 日本(やまと)の国に人ふたり ありとし思はば 何か嘆かむ」
広いこの国に、あなたがもうひとりいると思えたら、どうしてこんなに苦しむことがあるでしょうか。恋する人はあなただけ。この世にひとりあなただけ。だから、こんなにも苦しいのです。

野梨子2首目
「後れ居て 恋ひつつあらずは 追ひ及かむ 道の隈廻に 標結へ(しめゆへ)我が背」
あとに一人残されて、あなたのことを想っている?そんなのは嫌です。追いついていきたい。わたしはあなたを追いかけて行きます。だから、道のかどかどに印(しるし)をつけてください、あなた。
9940万hit競作・<戀歌>6:2006/03/02(木) 02:16:00
すいません、補足(歌の意味)を忘れていました。


野梨子1首目 
「磯城島の 日本(やまと)の国に人ふたり ありとし思はば 何か嘆かむ」
広いこの国に、あなたがもうひとりいると思えたら、どうしてこんなに苦しむことがあるでしょうか。
恋する人はあなただけ。
この世にひとりあなただけ。
だから、こんなにも苦しいのです。

野梨子2首目
「後れ居て 恋ひつつあらずは 追ひ及かむ 道の隈廻に 標結へ(しめゆへ)我が背」
あとに一人残されて、あなたのことを想っている?
そんなのは嫌です。
追いついていきたい。わたしはあなたを追いかけて行きます。
だから、道のかどかどに印(しるし)をつけてください、あなた。
10040万hit競作・<戀歌>7:2006/03/02(木) 02:16:32
すいません、補足(歌の意味)を忘れていました。


野梨子1首目 
「磯城島の 日本(やまと)の国に人ふたり ありとし思はば 何か嘆かむ」
広いこの国に、あなたがもうひとりいると思えたら、どうしてこんなに苦しむことがあるでしょうか。
恋する人はあなただけ。
この世にひとりあなただけ。
だから、こんなにも苦しいのです。

野梨子2首目
「後れ居て 恋ひつつあらずは 追ひ及かむ 道の隈廻に 標結へ(しめゆへ)我が背」
あとに一人残されて、あなたのことを想っている?
そんなのは嫌です。
追いついていきたい。わたしはあなたを追いかけて行きます。
だから、道のかどかどに印(しるし)をつけてください、あなた。
101名無し草:2006/03/02(木) 02:19:19
戀歌作者です。
すいません。>>99>>100がかぶってしまいました。
せっかくの祭りにしょっぱなから泥を塗ってしまい、申し訳ありません。

他の作者様の作品楽しみにしています。

102名無し草:2006/03/02(木) 02:34:33
ここに書き込むのも久しぶりで、なんだかうれしいです。

>>戀歌
競作第一作目乙です!
「うた」難しいと思ったものの、清×野にぴったりでしたね。
歌の風情が二人の様子によく似合っていて、
いい気もちになれました。
103名無し草:2006/03/02(木) 11:58:04
>「戀歌」作者様

一作目投稿おつかれさまです!
清野らしいお話ですね〜。
読んでてとてもほんわかしました。
「うた」という難しいお題の中で、素敵ストーリーを投稿してくれた
作者さんアッパレです。おもしろかったです!
104名無し草:2006/03/02(木) 23:53:36
競作、うpします。魅→可でハッピーエンドではありませんので、苦手な方はスルーお願いします。
2レスいただきます。
10540万hit競作・<戀歌1>:2006/03/02(木) 23:54:37
「世の中純愛ブームよねー。あーあ、私も素敵な恋がしたい。」
そのことばに、僕はお茶を噴出した。
「純愛って・・・玉の輿狙ってる奴が突然どうしたんだよ。」
魅録の言葉に他の面々も大きくうなずく。
「なによ!私が純愛しちゃいけないって言うの!?」
ムッとした様に可憐は言った。
「いけなくは無いけどさ、なんとなく想像できないって言うか・・・」
「想像できないのは美童も同じですけどね。」
僕の突っ込みに、美童は嫣然と言い返した。
「恋は全てが美しいんだから、いいんだよ。」
・・・さすがの僕も二の句がつけない。
「そもそも、純愛って何だ?」
饅頭をくわえた悠理の言葉に、可憐は大きくため息をつく。
「全く、このメンツでこんな話をした私が馬鹿だったわ。
友達と遊んでいた方が楽しい奴に究極のプレイボーイ、食欲魔人に知識馬鹿。
あーあ、もう。」
可憐の嘆きに僕を含めた男性陣は苦笑する。




10640万hit競作・<歌姫1>:2006/03/02(木) 23:55:10
彼女は独りで待っていた。
 部屋の片隅で、ひんやりとした丸椅子に腰掛けて、彼の帰りを待っていた。
 彼のことを想うと、自然とやさしい微笑みがこぼれる。
 ぴんと跳ねた後ろ髪や、陽だまりのような眼差し。よく日に焼けた肌に対照的な、白い歯を思い浮かべて。
 部屋は彼の匂いがする。
 香水でもデオドラントとも違うその匂いは、あたたかな真昼の陽気と相まって、彼女をまどろませた。
 誘われた夢の中で、彼女は森や町へ行く。
 たくさんの人がいる。樹木が茂る。見知らぬ生き物がいる。
 そして、その中に彼がぽつんと、いる。
 それが彼女の夢。
 想像による創造の中、彼女はよく記憶の中からいくつかの欠片を取り上げ、日に透かす。宝石箱からアクセサリーを取り出すように、無造作に。
 セピアや若草色をした、冷たくてやわらかいレンズ。
 レンズ越しに見えるのは、彼と初めて会った日。
 彼女は彼を見ていた。窓越しに見つけたその時から。
 彼も彼女を見た。彼が一目惚れした。
 他の誰でもなく、彼女を選んだ。そして…
10740万hit競作・<歌姫2>:2006/03/02(木) 23:57:00
 ガチャリ
 ドアノブが彼の帰宅を告げる。彼女は目を覚ました。
 案の定、彼は辛そうな顔をしていた。
髪にのって光る雨粒。その一粒一粒は、夕日にビーズのように輝き、彼女にはとてもいとしく思える。
 彼はベッドに倒れた。ボスンと音がして、スプリングが悲鳴を上げた。そして、呻くでもなく、ただ苦しげな呼吸が聞こえる。
 不器用な人なのだと彼女は知っていた。
 「プレゼントなので包装してください」と言えぬ人。舞い上がって今日のような大切な日にプレゼントを忘れていく人。
 そんな彼が愛しくて、彼女は歌い始めた。静かなワルツを。
 1 2 3   1 2 3   1 2 3   1 2 3
 忘れてしまえばいい、私がいるわ、と。
 窓辺の歌姫――彼の想い人に似たオルゴールは、彼を見つめ、優雅に微笑んだ。

108名無し草:2006/03/02(木) 23:57:38
すいません。私の不手際で1レス余計なものが入ってしまいました。
本当に申し訳ありません。

読んでくださって方、ありがとうございました。
逝ってきます。
109名無し草:2006/03/03(金) 07:51:00
>歌姫
間違いは誰にでもありますよ、乙です!
私は頭が悪いので最初なかなか理解できませんでしたが
視点が可憐にプレゼントされるはずだったオルゴールだと
わかってから読み直すと、とってもステキなお話でした。
個人的にとっても好きなタイプのお話かも
ありがとうございました!
110名無し草:2006/03/03(金) 08:39:43
>>歌姫
乙です〜。そうかオルゴール視点なんですね、なるほど考えましたね〜。
面白かったです!
111名無し草:2006/03/03(金) 19:50:23
ちょっと確認。

期限って、
3月11日の0:00まで(10日から11日に日付が変わるまで)
でいいんだよね?
112名無し草:2006/03/03(金) 20:59:56
>>111
そうだね。こことしたらば両方に告知されてるけれど
訂正ないから大丈夫だと面

>>戀歌
トップバッター乙でした!
清×野に似合う「うた」ですね。
短い中、倶楽部のメンバーも「らしい」登場をしていて面白かったです。

>>歌姫
視点の斬新さにびっくり。
可愛らしく、切ないお話ですね。
詩的でキレイなな表現も「彼女」に合っていて素敵でした。

有難うございました。
113110:2006/03/03(金) 21:43:32
>111
サンクスv
114名無し草:2006/03/03(金) 21:44:29
>112 サンクス。
でした。すんません・・・
115名無し草:2006/03/04(土) 04:35:34
40万HIT、おめでとうございます。
嵐さんのサイトとこのスレの、今後の益々の発展を願って。

+++++++++++++++

競作UPします。
魅+悠の恋バナとはいえない妄想です。
苦手と思われた方はスルーお願いします。
もしも8レス内に収まらなかったらすみません。
11640万HIT競作・<雨の街を/1>:2006/03/04(土) 04:37:51

――東京には星が無い。

丁度彼が生まれた頃に、そう歌われる程の復興と高度成長を成し遂げた国の象徴といえる街は、
この日も色鮮やかなネオンと喧騒に満ちていた。
夜――とはいえ未明過ぎた時間帯にも関わらず、ゲームセンター等が並ぶ「盛り場」では、奇抜な
髪やファッションの少年少女たちが群れをなし、インベーダーゲームなどに興じている。
そんな、時折不穏な世界を覗かせる賑やかさの中、一人彼は居た。
派手なライトが交錯し、ノリのいい音楽が響くディスコ。彼が特に人目を惹くとすれば、その年齢と様子だろうか。
濃いめの桃色の髪とロック少年風の服装、鋭い顔立ちはともかく、10代――しかも中学生となれば様々な意味で
目をつけられかねない筈だが、彼はごく自然にその場に馴染んでいる。
――警視総監である彼の父親が見れば、頭を抱え嘆く光景であろうが。

薄暗い店内の片隅にある席で、退屈そうに座る彼に気付いたのか。
どう見ても彼より年上の、何処か堅気とは言い難い凄みと雰囲気を持った人物が、親しげに声をかけてきた。

「よお、魅録。今日は一人か?」
「ああ、さっきまでならみんな居たんだけどさ。」
彼もまた、臆することも警戒することもなく、笑顔で答える。
「オレはもうちょい、か? ……といっても、未成年にゆっくりしてけよとは大っぴらに勧められねえし。困ったもんだ」
男は苦笑を浮かべながら煙草を取り出そうとしたが、彼の視線に気付き、再び上着の内ポケットに戻す。
「……っと。これも大っぴらには駄目か。勿論お前にもだが」
「何だよ、親父じゃあるまいし。仮にもヤーさんだろ。」
「らしくねえか。だよな」
11740万HIT競作・<雨の街を/2>:2006/03/04(土) 04:40:11

二人は顔を見合わせ、声を立てて笑う。しかし、男はすぐに厳しい眼つきに戻り、言葉を続けた。

「いや。冗談抜きでさ。最近、ウチのシマで雲海組絡みのガキ達が色々やらかしてるんだが」
「へえ、ここんとこ何か騒がしいと思ったら――それだったのか。」
まぁ、お前ならさほど心配いらねえだろうけど、と呟きながら、男は彼の座るソファに腰掛ける。
「奴等に関してはいい話聞かねえし、お前も目付けられてる可能性があっから――無茶すんなよ。」
「オレ? 北中の魅録は目障りだ、のしちまえばこの辺で暴れやすくなるからとか言うんじゃ――」
「そんなところだ。後は日頃の意趣返しも兼ねた――心当りあるんだろう。」
「まあおれ自身、ないとは言わないけどさ」
そこで彼はうんざりしたように眉を顰めた。脳裏に幾つかの「心当り」が浮かぶ。
以前、親しい暴走族の先輩達とツーリングに行った際に、別の組系のグループと乱闘寸前になった時。
別の日、学校の近くで他校の不良にからまれていた下級生を助けた時。
また別の日、この近くで遊びまわっていたところ、些細なことで因縁をつけてきたヤクザの三下数人と
一揉めした時の相手が確か、雲海組関係であった気がする。
そこまで考えが至った途端、彼はふっと気がかりそうな目をした。
「まさかあいつら、出くわしたりしてないよな」

あいつらというのは、つい先刻まで彼と一緒に居た、中学の友人である。
世間の「良識的な人々」には眉を顰められるであろう――所謂不良と呼ばれる面々であり、彼はその中で「番をはっている」形だ。
しかし所謂強請りたかり、理不尽な暴力のような、真の意味で「人の道に反する行為」はしていない。
彼としては別段、正義感や自分なりの矜持と意識していた訳でもないが、自然とそういった行動に出ていたのは生来の気性と育ち故か。
周りに集まる仲間も彼同様(ある部分では)気持の真直ぐな人物が多く、その意味では気のおけない付き合いとなっているが――。
11840万HIT競作・<雨の街を/3>:2006/03/04(土) 04:41:48
「……そういやそいつらがこの辺で強請りだの喧嘩だのとやらかすと、こてんぱんにのして歩いてる奴がいるって聞いたが、まさか……」
彼の表情と言葉をどう解釈したのか、男がそう訊ねてきた。
「はあ? ……オレじゃないと思うけど」
困惑した声音で彼は返した。少なくとも最近は、衝突した覚えは無い。
「……だろうな。俺の聞いた限りでも見た目や何やらどうも違うようだし。お前じゃないなら――」

不意に間近で、グラスの割れる音が響いた。

「この野郎! 何しやがる!」
殺気立った男の怒声。
チークタイムに変わり、ムーディーな雰囲気に包まれていた店内が、緊迫した空気で凍り付いた。
思わず彼は、その方向に視線を走らせる。

騒音の元は斜め後ろの席からだった。
派手な柄のシャツを着たチンピラ風の若者二人が、ソファに座った客と口論している様子だ。
「ふざけんな! 先に手ぇ出してきたのはそっちだろ!」
相手もひるむことなく叫び返す。照明の薄暗さと目深に被った帽子のせいもあり、顔などはよくわからないが、
少なくとも自分の知った相手ではないと判断する。
まだ幼い声と、ジーンズの上下で身を包んだ少年めいた姿形から判断する限り、自分と然程変わらぬ年頃――下手すれば中学生だろう。
――随分と、度胸と威勢のいい奴だな。半ば感嘆しつつ眺めていた彼は、傍らの二人に目を移し、気付いた。
「もしかしてあいつら――」
「ああ、さっきからウロウロしてたんだが……面倒な事になりそうだ。」
煙草に火を点け、咥えようとしていた男の眼光が底知れぬ鋭さを帯びる。
つい今しがたまで話題にしていた当の相手、雲海組関連の人間らしい。

「うるせえ! 聞いたところじゃえらくウチの奴らを痛めつけてくれたそうじゃねえか。現にコイツだって――」
「何がだよ。こっちはお前なんか見たこともないっての……はぁ?」
帽子を上げ、子分らしい少年をまじまじと見つめた相手は、思い当たったように手を叩いた。

「あー思い出した。おまえあん時の奴かぁ。おとといそこの路地裏でカツアゲしようとしてた。
あたしが一発蹴りいれたらあっさり逃げてった。偉そうなこといってたわりには、口ほどにもなかったな。」
ケラケラ笑いながら言い放った言葉に、彼は思わず目を見張った。
11940万HIT競作・<雨の街を/4>:2006/03/04(土) 04:42:39
「!? あたしって、あいつ……女か!?」
傍らの男も小さく口笛を吹き、驚きと好奇心を隠せない様子で彼等のやり取りを見つめている。
あからさまに嘲弄された少年は、全身を真っ赤に染めているのではないかと思われる程、屈辱に震えていたが、
「だ、黙れ! このガキっ」
不意に相手の腕を掴んで立ち上がらせ、右腕を振り上げる仕草を見せた。
遠巻きに眺めていた客たちの中から悲鳴があがる。
堪りかねた彼は、反射的に叫んでいた。
「おい、いい加減にしろ!」
「魅録!!」
制止の声、振り下ろされる拳、そして――鈍い音と共に少年がその場に崩折れた。

ジーンズのキャップが宙を舞い、少年めいた端整な顔立ちが淡い照明に映し出された。
薄茶色の涼しげな眼と同色の柔らかい髪。その唇には会心の笑みが浮かんでいる。

殴られた左頬を押さえながら少年が喚いた。
「あ、アニキ! やっぱりこいつです! このガキがオレや他のヤツラをっ!」
「てめえっ!! 女じゃあるまいし、ふざけた口きくのもいい加減に――」
アニキと呼ばれた若者が、罵声を浴びせた次の瞬間。

「ざけんな! あたしは女だ!!」
空気を震わせる程の怒鳴り声――
彼女の華奢な足からは想像も出来ないような力と速さで繰り出された一撃が、チンピラの腹部に深々と入った。

++++++++++++++++++++

店内は、一気に収拾のつかぬ混乱と狂騒に陥った。
「た……助けてぇええ!!! 殺される!」
「この野郎っ! 自分からケンカ売っといて逃げる気かよ!」
「誰か……誰かあぁぁ!! 誰か110番してえっ!」
12040万HIT競作・<雨の街を/5>:2006/03/04(土) 04:44:16
「警察!? まずい、魅録。逃げろ」
半ば茫然自失していた彼の背を叩き、男が言う。
「え?」
「いくら何でもこの状況で見つかったらヤバいだろう、ほら」
見回すと例のチンピラ二人は見事に叩きのめされていたが、騒動の原因となった少女の姿は見えない。
自分の仕業ではないと証明されようと、中学生が夜遅くこのような場所に居ること自体、補導の対象としては充分過ぎる。
「す、すまない! じゃあ」
なぜ自分が謝るのか解らないまま彼はそう叫ぶと、出口の方へと走り出した。

++++++++++++++++++++++

盛り場のネオンが遠くなり、周囲の風景は、人影も明かりも少ない閑静な通りへと変わって行く。
もう大丈夫だろう、と判断した彼は足を止め、乱れた息を整えた。ここまで全速で走ったのは久々かもしれない。
混乱していた頭と気持を落ち着けると、彼は一つ息をつき、呟いた。
「……何でオレまで、こんな……逃げなきゃいけないんだ?」

少年といった方が正しい位の言動、小生意気な笑みを浮かべた少女の姿が頭をよぎる。
元をただせばあいつがあそこまで盛大に暴れなきゃ――。
そう思ったが然し不思議と腹は立たず、むしろ爽快なくらいだった。
彼は再び大きく息を吐き、天を仰いだ。

暗く沈んだ空には、星も月も無い。
最もそれは、当時言われ始めた大気の汚染だけではなく、絶好とは言えない天候のせいもある。
空を隠す曇同様、纏わりつくような湿った空気が雨の気配を感じさせる。
降り出さない内に帰ろうと考え、歩き始めて暫く経った頃――水滴が彼の頬を打った。
12140万HIT競作・<雨の街を/6>:2006/03/04(土) 04:45:13

小一時間後。
近くの公園内には、簡単な屋根が設置されたベンチに腰掛け、自動販売機のコーヒーを飲む彼の姿があった。
雨は穏やかながらも止むことは無く、夜明け間近の街を濡らしている。
若干濡れて冷えた身体が温まり、人心地ついたところで、何の気なしに辺りを見回す。
雨で全体が薄白く霞んだ風景の中で人影を見つけたように思い、視線を止めた。
彼は着ていた黒いジャンパーを被り、入り口の方へと向かう。


「――おい。どうしたんだよ。」
振り向いたのは、やはり先刻の少女だった。
「見ればわかるだろ。雨宿り。」
「そりゃ、まあな。」
おそらく自分と同じ状況なのは解っていたが、そうならばなおのこと放っておく訳にはいくまい。
とはいえ、少女にしてみれば全く知らない人間である自分が、何をどう切り出したものか。
この状況や自分の外見を思えば、さっきの輩と同じ類の目的と思われても仕方がない。
誤解を受けるのはさておき、すぐ手の出る性質らしいこの少女がどう出るかが気になる。
次の言葉を思いつかず、悩む彼の心中をよそに、少女は屈託のない口調で言った。
「ミロク」
「!?」
いきなり自分の名を呼ばれ、仰天した。
「『ミロク』って、おまえの名前?」
「……え? ああ。そうだけど……」
「やっぱな。おまえ、さっきあのディスコに居た奴だろ。あたしの近くに座ってた。」
あの状況下にも関わらず、しっかり気付いていたらしい。やはり動物並の視力と耳だ、と密かに感嘆する。
「そのピンクの頭と顔でわかった。あん時はありがとな。」
怪訝そうな顔をする彼に向かって、少女は明るい笑顔で続ける。
「あたしがあいつらとケンカしてた時、加勢しようとしただろ。サンキュ」

――取り敢えず蹴飛ばされる心配は無くなったようだと判り、彼は安堵した。
12240万HIT競作・<雨の街を/7>:2006/03/04(土) 04:46:00

「お前、これからどうするんだ?」
ベンチへ戻ると、彼は自分よりずぶ濡れになっていた少女に自分のジャンパーを被せ、訊ねた。
「そっちこそどうなんだよ。」
「オレはもう少し雨が止んだらウチに寝に帰るけど……お前んち、近くなのか?」
「ううん。迎えに来てもらおーかと思ったんだけどさぁ……」
そこで少女は、困ったように頭をかく。
「何だよ」
「そこの電話、かけようとしたら10円がなくって、どうしよっかなーと……」
少女が指差す先には、小さな煙草屋があった。公衆電話のことだろう。携帯電話などまだない時代のことである。
彼は苦笑し、少女と同じようにある場所を指で差し示した。  
「札は持ってるか? あれでくずせばいいだろ。」
「うーん。それも考えたけどできなかった。」
あっけらかんと答える少女と対照的に、彼は脱力する。どうやら一文無しらしい。
やはり声をかけて正解だったようだ。財布から数枚の10円玉を取り出すと、少女の掌に置いた。
「ほら。これでかけてこいよ。」
彼女の顔が輝く。
「いいのか?」
「ああ。」
「悪い! ならこれで両替しといて!」
少女は上着のポケットから無造作に数枚のお札を掴み、そのうち1枚を押し付け、雨の中へ飛び出して行く。
数瞬、呆然としていた彼は、手にしたものを見つめて呟いた。
「…………これって……そりゃ自販機じゃくずせないだろうよ。」
その肖像は、どうみても聖徳太子――1万円札――である。
「あいつ……何者なんだ?」
12340万HIT競作・<雨の街を/8>:2006/03/04(土) 04:55:36
「よかったー。名輪居たよ。すぐ迎えに来てくれるって。」
「そっか。ほら、さっきの残り」
彼は自分の手持ちから、先ほど渡した10円数枚以外のお札と小銭を少女に渡す。
「あ、そうだった。サンキュー。」
いかにも自然に受け取る姿を見て、再び彼は不思議な感覚に襲われた。
経済的にもそこそこ恵まれた家に育った彼でも、一般家庭の中学生に1万円の両替など難しいというのは想像がつく。
「……どういたしまして。ん? ……めいりん?」
「ああ、ウチの運転手。」
「へえ。変わった苗字だな。……ま、オレも人のこと言えないけど。」そこでようやく気付いた。
「なあ、お前は名前何ていうんだよ。」
「悠理。剣菱悠理。」
「ユウリか。へえ。お前には結構合ってるかも……え?」
剣菱。彼が聞き覚えのある姓だと思ったのは、それが日本有数の財閥と同じだからというだけではない。
戦中派である父親が、ラバウルでの話をする時に出てくる相手の名前が――。

「お嬢様!!」
突然、別の人物の声が彼の思考を断ち切った。黒い傘を差した、忠実そうな男が駆け寄ってくる。
「あ、名輪。」
「こんな時間まで、しかも雨の中どうしていらしたんですか。旦那様や奥様が知ったらどんなに心配なさるか……」
「平気だよ。どうせ父ちゃんも母ちゃんもいないし。兄ちゃんにはバレてないよね?」
ひとしきり内輪の会話を交わした後、少女は普通の調子で、運転手に彼を紹介した。
「あ、こいつミロクっていうんだ。電話代出してくれたり、一緒に待っててくれた奴。」
「そうでしたか。お嬢様を助けていただき、本当に有難うございました。」
運転手は深々と頭を下げる。
言動からは想像がつかないが、やはり金持ちのお嬢様らしい。目の前の現実を見て、どうにか彼は納得する。
「よかったら送ってくよ。乗ってく?」
少女が指差した先を見て、彼は何度目かの驚愕を飲み込んだ。世界でも数台しかないような高級車が、「お嬢様」を待っていたからである。

++++++++++++++++++++

――有閑倶楽部結成以前の、彼と彼女が出会った時。
その後も「あちこちのケンカ場ではち合わせ」し、すっかり意気投合することになろうとは、互いに想像すらしていなかった――かもしれない。
124名無し草:2006/03/04(土) 04:56:48
これで終わりです。有難うございました。
エラー出まくりの為、UPに時間がかかってすみません。
125124:2006/03/04(土) 15:07:03

少し遅れましたが、裏話や元ネタというよりは言い訳(汗)を、したらばの方にUPしました。
せっかくのお祭りに水をさす形となってしまい、申し訳ありませんでした。
126名無し草:2006/03/05(日) 13:11:44
40万ヒット&新スレおめでとうございます。
競作参加します。といってもコネタに毛がはえたようなもんです。
7レスです。よろしくお願いします。
12740万hit競作<趣味の短歌1>:2006/03/05(日) 13:13:01
「おはようございます。『趣味の短歌』、司会の小野寺君子です。本日の選者は歌人の
大山五百子先生です。先生、よろしくお願いいたします。そしてゲストにはイギリスの大学教授
ピーター・グレンフィディックさんをお迎えしました。どうぞよろしくお願い致します」
「よろしくお願いしますです」
「ピーターさんは日本美術にお詳しいそうですね。日本画のコレクターでもいらっしゃるとか?」
「はい、イギリスの大学では日本語を教えてましたね。日本の絵画、日本の伝統美、
大好きです。僕の恋人も日本人です。今イギリスで一緒に暮らしてますね」
「そうなんですか。きっと可愛らしい方なんでしょうねぇ」
「可愛いというよりカッコいいです」
「……カッコいい?」
「はい。背が高くてメガネが似合ってとてもステキな男性です」
「だん…?」
「日本で知り合いました。キッカケは詐欺事件でしたね。僕が被害者で彼が犯に…」
「それでは本日の入選歌、北から順に紹介して参ります」
「あ、小野寺さん…?」
「一首目。東京都、菊正宗清四郎さんの作品です」

 『 おも暗き なぎの夜のやみ もみ何処(いずこ) 松葉の憂い いささ月なし 』

「大山先生、これは去っていった恋人を思う歌ですね?」
「はい。真っ暗な夜に愛しい人のもみを探す。"もみ"は漢字で紅の絹と書きますが、きっと肌着か
腰巻か…それを探してみるがみつからない、私を残してあなたはどこへ行ってしまったのでしょう、と
言うたいへん味わい深いお歌でございます」
「この"松葉の憂い"と言うのは?」
「松は常緑樹で年中色が変わらないんでございます。そういったところから変わらないものの形容と
して用いられるんですけれども、このお歌ではいつまでたっても薄れてくれない憂いを松葉の憂いと
言い表しているんでございますね」
「なるほど。そしてまた結句もいいですねぇ」
「愛しい人のもみを探そうにも月明かりがなくて探せない、月がないから憂いも一向に晴れることは
ない……作者は弱冠十九才の青年なんでございますけれども、趣のある大人の別離をとても
美しく歌い上げていらっしゃると、あたくしたいへん感心いたしました」
12840万hit競作<趣味の短歌2>:2006/03/05(日) 13:13:44
「ありがとうございました。では二首目。東京都、白鹿野梨子さんの投稿歌です」

 『 割れ珊瑚 透かしつ眺め 待ちわびん りんの唐猫(からねこ) 無常と笑う 』

「先生、これはまた切ない乙女心ですね~」
「恋人からもらった珊瑚が割れてしまった、それをかざして眺めながら恋人を待つ、その様子を
鈴をつけた猫が横で見て笑っている。割れ珊瑚というところからも連想されますけれども、
お二人の仲はもう終わってしまったのでしょう。それでも贈り物の珊瑚を後生大事に、ときどき
取り出して眺めてはもう来ぬ人をいつまでも待っている、と」
「切ないですねえ…」
「猫に無常を説かせることで、未練がましくなりやすい題目をとてもきれいに仕上げてらっしゃると
思いました。大変よろしゅうございますね」
「ところでこの"りんの唐猫"と言うのは?」
「唐猫は猫の美称でございます。そしてりん、つまり"鈴の"と申しますのもまた美称のひとつ
なんでございますが、それではふたつ重なってしまいますので、この場合はそのまま"鈴をつけた"と
解釈するのがようございます」
「ありがとうございました。それでは三首目。こちらも東京都の松竹梅魅録さんの作品です」

 『 油溝 起動不具合 螺子(らし)はどこ 目を皿にしつ 漏脱(ろうだつ)さがし 』

「先生、これはとても青年らしい一首ですね」
「はい、作者の方は機械弄りがお好きなのでしょう。”目を皿に”というところに、細かい作業を
懸命につづけている若い作者の様子がよく見て取れると思いました。また、ネジを”らし”と読ま
せるところなど、こだわりが感じられてたいへんよろしゅうございますね」
12940万hit競作<趣味の短歌3>:2006/03/05(日) 13:14:45
「では続きまして四首目。こちらもまた東京都、美童グランマニエさんの作品です」

 『 コアラ見ん 列に並ぶ女(め) 大儀賃 いつまで待てど 塀の埋草(うめくさ) 』

「先生、これはまたユーモラスな一首ですね」
「そうでございましょう? コアラを見ようと長蛇の列に並ぶのだけれど、順番はなかなか回って
こない。まるで塀の埋め草になってしまったかのような乙女たちに骨折り料をあげましょうという
お歌です。女性たちに対する愛情と、そこはかとない滑稽味が感じられて大変楽しゅうございます」
「先生、作者の方は外国生まれだそうですよ」
「そういった背景をお持ちの方が、大儀賃や埋草という古風な言葉を自在に詠い込んで
らっしゃるところが又素晴らしゅうございますね。確かこの方も十九。さぞやご立派な大学で
学問されているのではと推察さ…」
「いえ高校生だそうです」
「……高校?…十九で?……こうこう……りゅ」
「五首目に参ります。東京都、黄桜可憐さんからの投稿歌です」

 『 虫跨ぎ ズデンと転ぶ カフェテリア 知らん顔しつつ 急いでギャロップ 』

「これ、私も経験があります。その時のことを思い出すと今でも顔から火がでそうになります」
「ホホホ…。これからの時期、屋外のカフェーが多ございましょ?こちらはそこでの一場面を詠んだ
お歌でございますね。甘い香りに誘われて蝶々がヒラヒラと飛んでくる。足もとにちょんととまった
可愛い蝶々を踏まないよう、跨いだ拍子に転んでしまった。お年頃の女性にとってはとんでもなく
恥ずかしい場面なのですけれども、しかしこの作者の方は対応が素晴らしい。素知らぬ顔で
ギャロップすることで、この窮地をうまくかわしておられます。結句を"ギャロップ"としめくくることに
よって歌全体に軽やかな印象を与え、同時に乙女の心意気のようなものがつよく感じられる
お歌に仕上がっております。さぞかしステキなお嬢さんなのだろうなぁとあたくし思いました」
13040万hit競作<趣味の短歌4>:2006/03/05(日) 13:15:37
「それでは本日最後の作品、こちらもまた東京都の剣菱悠理さんからの投稿歌です」

 『 つつがなく らっきょ食いなん カレーに添へ 竜田揚げには レモンが合うな 』

「これはなんと申しましょうか…先生、こちらを六首のひとつに選ばれたのはどういった…?」
「スポンサーの意こ…ではございませんで、えーこちらはですね、欲と申しましょうか、煩悩を
ストレートに詠んだところが大変気に入りました。とかくきれいにまとめてしまう歌が多い中、
この作品に関しましてはそういった気遣いは一切ございません。清々しいまでの俗っぷりが
返って人の心を打つんでございます」
「なるほど。上の句でカレーを、それもラッキョと一緒につつがなく食べ、下七七では竜田揚げ
にレモンをしぼっていただく。今まさに成長期、といったところでしょうか」
「その通り。新旧仮名遣いを自在に織り交ぜたところにも斬新さが感じられて、食に対する
飽くなき探究心が余すところなく表現されているとあたくし思いました。大変よろしゅうござい
ますね」
「はい。それでは大山先生、本日の一席を発表ねがいます」
「えー本日の一席は……こちら、菊正宗清四郎さんの作品、
『 おも暗き なぎの夜のやみ もみ何処 松葉の憂い いささ月なし 』を選ばせていただき
ました。十九の若さでこれだけしっとりと男女の別離をうたうなどなかなか出来る事ではございま
せん。末が楽しみということでこの作品を一席といたします」
「ありがとうございました。本日の一席は菊正宗清四郎さんの作品でした。
それでは『趣味の短歌』、また来週お目にか…」
「あっ、あの、小野寺さん…」
「あっ、ピーターさん………申し訳ありません、感想をいただくのをすっかり忘れておりました」
「いえ、いいんです。えっとそんなことより、僕気付いたことがありますね」
「なんでしょう?」
「本日の一席、菊正宗さんの作品なんですが、これ隠し言葉になっているみたいです」
「はい?」
「隠し言葉です。まず各句の最後の文字を順に読んで、それから最初の文字を今度は
うしろから読んでみると…ほら、『 き み こ い し い ま も な お 』となるんですね」
13140万hit競作<趣味の短歌5>:2006/03/05(日) 13:17:09
「あらーっほんと!それは気が付きませんでした〜。ねぇ先生?」
「……………き、気付いておりました」
「えぇっ…」
「…あ、あたくし初めから気付いておりました、ええ。ですからこのお歌を一席に選んだんで
ございます。皆さんにいつお知らせしようかと考えているうちに、こちらのピーターさんが…」
「……出すぎたマネをしてすみませんです」
「改めて解説させていただきますと、この作品は去って行った恋人を思う歌で、隠し言葉
でもお相手に対する深い想い入れを重ねて表現している、とても奥の深いお歌なんです。
当然のことながらあたくし、初めから気付いておりました、ええ。ですからこうして一席に…」
「…でも先生は先ほど何も仰らずに、そのまま番組を終わろうと…」
「気付いておりましたっ!」
「し失礼いたしました。えー隠し言葉も判明しましたところで、趣味の短歌、またら…」
「あっ小野寺さん!」
「なんですか? ピーターさん…」
「あの、二首目の白鹿さんの作品も隠し言葉になっている気が…」
「えっ!」
「さっきと同じように文字を読んでみると、『 ご め ん こ う む り ま す わ 』となりますね」
「あら、ほんと!」
「たとえばこれを…」
「これを…?」
「一席の菊正宗さんに対する返歌と読んでみると、また面白い味わいになるんじゃないかと…」
「『 君恋し、今もなお 』に対して『 ご免こうむりますわ 』と……先生、これは…」
「……菊正宗さん、撃沈でございます」
「それからですね、三首目の松竹梅さんの作品にも同じような趣向が……」
「ええっ!どれどれ…あらーっ、『し つ こ い ぞ あ き ら め ろ』と読めますよ、先生!」
「ですから気付いておりました!今言おうと思っておりましたのに、またしてもこちらのピーターさんがっ」
「はぁ、ごめんなさいです」
13240万hit競作<趣味の短歌6>:2006/03/05(日) 13:22:25
「ええと先生、これも菊正宗さんに対する返しと読んでもよろしいんでしょうか?」
「そう読んでみると大変おもしろうございますね」
「『 君恋し、今もなお 』に対して『 ご免被りますわ 』と『 しつこいぞ、諦めろ 』、
菊正宗さん、まさに踏んだり蹴ったりですね~」
「あの先生?僕は敢えて直接的な返歌と読んでみたいなぁと思いました。たとえばですけど、
菊正宗さんが思いを寄せているのは実は松竹梅さんで、でも松竹梅さんの方にはその気が
全然なくて、自分の事は諦めてくれとメッセージを発信していると言う……こういう状況、
僕よお~くわかりますね。実は今の恋人と出会う前に好きになった男性はノーマr…」
「ピーター、ハウス!」
「こうなってまいりますと残りの作品にもメッセージが隠されている可能性が…
まずグランマニエさんの作品を見てみましょう…えーっと一文字ずつ読むんでしたよね、
そうすると……『 こ れ た い へ ん め ん ど 草 』、あっ言葉になってますね!」
「隠し言葉を入れるのが大変で面倒臭いってことですね。そうだろうな~」
「そりゃそんな小細工するのは大変でございましょうよ。だいたいおかしいと思いましたわ、
今どき並んでまでコアラを見たい人がどこにあるんです! それにコアラは夜行性なんですのよ、ご存知?
昼間は寝てばっかり。あんなもの見たって何がおもし……」
「続きまして黄桜さんの作品いってみましょう。ええっと…『 む ズ カ し い ぎ ぶ ア つ プ 』……
ああっ、『 難しい、ギブアップ 』ですね! 言葉をおり込むのが難しい、もうイヤだ、勘弁してくれ、
ギブアップだ!という作者の心の叫びですね?」
「そう、その通り!何度も申しますがあたくしは初めから気付いておりました。だいたいカフェーで転んで
ギャロップ始める女性などいるわけないじゃあありませんか! スキップならまだしもギャロップってあなた、
馬ですか? お馬さんですかっ!?」
「先生、さきほどギャロップは素晴らしいと…」
13340万hit競作<趣味の短歌7>:2006/03/05(日) 13:24:14
「句末に『ぷ』が欲しいばっかりにギャロップだなんて、なんと姑息な……ほかにもいろいろ考えたんで
しょうよ、急いでシロップだとか、急いでイソップだとか、急いで別府だとか、急いでノサップ岬だとか…」
「先生、最後のは『ぷ』になりませんね。それにものすごい字余りですね」
「では気を取り直しまして最後の作品。剣菱さんの投稿歌です。えーっと……
……『 つ ら カ た レ な は へ ん く 』……ん~ざんねん、これは言葉になっていませんね」
「当然でございましょ? 公評でも申しましたように、この方は煩悩に忠実な方、つまらない小細工など
眼中にございませんの」
「そうですか…こうなると最後まで隠し言葉があってくれた方がまとまりが良かったような気もするのですが…」
「そうそう都合よくやられてはたまったもんじゃございませんよ、まったく」
「あ、待ってください。これは文字を入れ替えてやればいいのじゃないかと僕は思うのです」
「先生、いかがですか?」
「……その可能性にはずいぶん前から気付いておりました」
「……そうお答えになると私も前から気付いておりました。で先生、隠されたその言葉とは?」
「えっ? それをあたくしにお聞きになる? ちょっとあなた、小野寺さんとやら、ずいぶんとまぁ偉く
おなりになりましたのね~ぇ?」
「もう結構です。ピーターさん、いかがですか?」
「僕さっきから考えていてやっとわかりましたね。先生、いいですか?」
「い、いいですかと仰られても……まぁここでお止めしてあたくしが申し上げることもやぶさかでは
ございませんけれども……それはそれでおとなげないような気もいたしますし……かと言って
あたくしの立場といたしましては……」
「ピーターさん、言っちゃってくださいっ!」
「ハイ。これは、『 は ら へ つ た な ん か く れ 』だと思いますね」
13440万hit競作<趣味の短歌8>:2006/03/05(日) 13:25:32
「『 腹減った、なんかくれ 』?」
「はい」
「ですかるああぁぁっっ!」
「うわ先生、なにも立ち上がってまでそんな…っ! お、御髪がみだ……」
「あたくしッ何度も申しましたじゃございませんのっ、この方は食がすべてですのよっ!カレーを
食べ、竜田揚げを喰らい、それでも足りずになんかくれと催促をする、とにかく食べることだけに
一生懸命なんですっ、この見事な徹底ぶりっ、煩悩に乾杯ッ!ビバ食欲!本日の一席は
剣菱さんに変更いたしますっ!」
「Oh! 剣菱さんおめでとうございます、これこそ無欲の勝利ですね?……ぁっ」
「だかるあぁぁ、作者は欲の塊だと何度言ったらっ…!?」
「あっ……先生ッ……やめっ……!……ぅ……」
「ピッ、ピーターさんっ!?……あっ……ぁ…………ぁ〜ぁ…



…………それでは『趣味の短歌』、またいつかお目にかかりましょう。さようなら」
135名無し草:2006/03/05(日) 13:26:16
おーすみません、8レスになってしまいました。
136名無し草:2006/03/05(日) 22:30:48
>趣味の短歌

作品Upサンクス!
「うた」の着想の良さとストーリー作り&文章運びの巧みさ、
全てがが巧くかみ合っていて、最高に面白かったですv
違和感なくすんなり読めて、しかも爆笑させて頂きましたw
おそらくとても知識と教養と筆力のある方なのだろうな、と感嘆致しました。
素敵な作品、ありがとうございます。
137名無し草:2006/03/05(日) 22:55:44
>趣味の短歌

とても楽しめました!個人的に大好きです。gj!
138名無し草:2006/03/05(日) 22:59:39
40万ヒット&スレ復活おめでとうございます。

悠×野の百合・R・微鬼畜です。
6レスになります。
苦手な方はスルーしてください。
 転寝をしている清四郎の前髪に、小さな白いリボンが揺れていた。
 可憐か美童の悪戯か――野梨子は眉を顰めたが、一瞬のまやかしであった。
 リボンだと思われたもの。それは、紋白蝶であった。
 清四郎の髪間が快適なのだろう。とても居心地良さそうに、白い羽をそよめかせていた。
 一体、何処から迷い込んできたのか。
 野梨子はお盆を手に、生徒会室をゆるりと見渡した。
 すると、生徒会長席の後ろにある窓が、細く開いていた。
 ああ、あそこからか。
 野梨子は得心し、笑いを噛み殺した。
 清四郎は机に突っ伏して眠っていた。そよそよと揺れる髪飾りなど、厭う気配すらない。
 ここ一月程、学園行事が立て込み、目の回るような忙しさであった。流石の生徒会長も、疲労困憊していたのだろう。眠気覚ましに濃い目の緑茶を淹れてきたのだが、少々遅かったようだ。
 野梨子は清四郎の顔の傍に湯飲み茶碗を置いた。淹れたて緑茶の蒸気が、その広い額を掠った。僅かに垂らされていた前髪が、もやを纏ったようにけぶった。
 清四郎は微動もしない。瞼は固く閉ざされたままだ。余程くたびれているのか。
 だが、立ち上る蒸気に釣られて、紋白蝶がふうわりと舞い上がった。
 それは、瞬くように身を躍らせながら、野梨子の脇を通り過ぎた。野梨子は導かれるようにして振り返った。
 その時ちょうど戸が開き、剣菱悠理が入ってきた。紋白蝶は悠理の鼻先で旋回し、彼女の後頭部に回った。
 そのまま生徒会室から逃げて行くと思ったが、悠理の周りを纏わり付くように飛び続けた。
 悠理は棒付きアイスキャンディーを舐めていた。その赤い色からして、イチゴ味であろう。その香りが気になるのか、紋白蝶は悠理から離れようとしない。
 悠理はシャクシャクとアイスを咀嚼し、棒切れだけにすると、その側面を眼前へ翳した。それから口をへの字に曲げ、「ちえ、ハズレか」とぼやいた。その棒の先に、紋白蝶がちょこんと止まった。
 野梨子はその光景が可笑しくて、思わず笑い声を零した。しかし、まもなく凍りつく。
 悠理はアイスの棒を真っ二つに割った。――紋白蝶を、道連れにして。
 泡沫と化した蝶の欠片が、はらりはらりと舞い散った。悠理の黒い革靴に、斑な雪を降らせた。
 悠理はそれを煩げに蹴り上げると、ぺろりと唇を舐めた。アイスキャンディーのべとつきが気になったのであろう。
 悠理は手の甲で唇を拭うと、大股で野梨子に近付いてきた。その唇がキラキラと光っていた。可憐の爪に乗る、マニキュアのラメのようだ。紋白蝶の鱗粉だろう。
「悠理、何て可哀想なことを!」
 野梨子は柳眉を逆立てた。だが、悠理は悪怯れた様子もない。机で眠る清四郎を冷ややかに見下ろすと、更なる悪事を告白した。
「野梨子が耳元で喚いてるってのに、良く寝てんな、清四郎。さっき飲ませた睡眠薬が、相当効いてるみたいだ。こりゃあ、明日までグースカピーだな」
 野梨子はぎょっとした。
「何故、そんな……ッ!?」
「決まってんだろ。鍵も閉めたし、ヤることは一つだ」
 悠理は鱗粉の煌く唇を窄め、野梨子へと頬を寄せた。だが、野梨子の唇に触れる寸前で、人差し指で待ったをされた。
「口付けは嫌ですわ。いつも言っているでしょう? ファースト・キスは清四郎だと決めていますの」
 訴えた野梨子に、悠理は一瞬だけ暗い瞳をした。
 だが、すぐに「あーいあい、お姫様」と肩を竦めておどけた。野梨子は、スカートの黄シミに派手な当て布をするようなその変化に気付いたが、そ知らぬ振りをした。
 悠理はソファにぼすんと腰をかけた。その隣り――空いた一人分の空間をツンツンと指し示した。
 野梨子が横に座ると、悠理は上半身を捻り、野梨子の肩に触れた。そうして、ゆったりと押し倒した。普段の粗暴な悠理は、見る影もない。艶めいた黒髪が、ソファの肘掛にはらりと散った。
「ん……っ」
 野梨子が甘く鳴くと、悠理は満足そうに口角を上げた。片手で野梨子の乳房を弄りながら、もう一方の手で野梨子のスカートをたくし上げた。清楚な白いショーツを太腿の半分辺りにまで引き下ろすと、柔毛に守られた秘所が露になった。
「で、最初はどうする。なでる? つねる? 舐める?」
「舐めてくださいな」
「好きだね。舐められんの」
 悠理は言いながら野梨子の茂みを掻き分け、桜色の秘所にちゅっと音を立てて口付けた。
「くう……ん」
 野梨子は華奢な肢体を波打たせた。
 悠理の舌が秘裂をすうっと縦断し、味わうように何度か往復してから、小さな突起を捕らえた。
「あ、ああ、いやぁ……!」
 野梨子は悠理の髪に指を埋め、滅茶苦茶にかき回しながら、高い嬌声を上げた。
 舌先で表皮をこそげ落とされ、無防備な粒身が空気に晒される様子が、鮮明に感じ取れた。
 膣口の辺りに、舌でも指でもない、固い何かを感じた。恐らく悠理の鼻だ。ツンツンと当たっている。小さく上下に動いているようだ。
 匂いを嗅いでいるのか。私の知らない、私の香り。それを知るのは、悠理だけだ。ああ、恥ずかしい。どうにかなりそうだ。
 ぴちゃぴちゃとした水音が上がり始めた。悠理の唾液か。私の体液か。あるいはその両方か。やがて、ぽちゃんと発砲音が上がった。
「すげえ溢れてきた。ビショビショだ。お漏らししてんじゃねえのか」
 悠理は呆れ声で言うと、その源泉を啜り上げた。
「あ、あん、ああッ! イ、イク……!」
「ダーメ!」
 突然頬を叩かれ、野梨子はアクメから引き摺り下ろされた。
 打たれた頬は、火照りを感じるほど痛かった。
 野梨子が睨み付けると、上に乗る悠理がにやりと笑った。
「野梨子はオモテでしか、イったことないよな。ナカでイくと、もっといいんだよ」
 悠理は野梨子の膣口に手の先を添えた。
「教えてやる」
 言うやいなや、未開の花園へ中指を沈ませた。
「あうっ」
 充分に潤っていたそこは、異物の侵入を易々と許す。悠理はそれを感じ取ると、指を足した。二本、三本――次々と野梨子の胎内に飲み込まれてゆく。
 それぞれの指の第一関節まで入れた所で、悠理はそれらをランダムに蠢かせた。
「はん、あ、ああ……ッ!」
 意図せずして、野梨子の背が弓なりに撓った。踵がソファをバウンドし、スプリングがぎしりと鳴った
 知らない。これは何だ。叩きつけるような快感。
 ふ、と息を吐いて視線を流すと、目の隅に清四郎の寝顔が映った。ぞくりとした。ふつふつとした笑いが込み上げ、唇が細かく震え出した。何という背徳感。
「ん、はぁん、あああッ!」
 ぬるりと蜜が溶け出し、子宮がビクビクと収縮する。甘美な絶頂の証が、悠理の指をきつく締め付ける。
「野梨子、行くぞ」
 いえ、もう私はイって――そう言おうとした所で、焼け付くような激痛が走った。
「ひいいいいいいいッ!」
 宴の終焉は、残酷であった。
 野梨子は数秒気を失っていたようだ。うっすらと目を開けると、血まみれの指を舐める悠理が見えた。
 私の血か? ――私の破瓜の血か!?
 野梨子はソファから飛び起き、悠理を怒鳴りつけた。
「酷い、酷い、酷い、悠理! 私、綺麗なまま嫁ぎたかったのに!」
「今も綺麗だよ。野梨子は白雪姫みたいだ。でも、あいつにとっては、どうだろうなあ」
 悠理は斜め後方を振り返った。そこには机で眠る清四郎がいるはずであった。だが、清四郎の目は見開かれていた。冷然とした眼差しで、こちらを見据えていた。
「野梨子」
 清四郎が言った。寝起きの声とは思えない、はっきりとした口調であった。
「まさか、ずっと起きていましたの?」
「僕が、悠理なんかに薬盛らる訳ないでしょう」
「ひっでえ言い草だな」
 悠理が不機嫌そうにぼやいた。
「酷いのはどっちですか。”面白い物を見せてやるから、眠ってる振りをしろ”、だなんて。タチの悪いAVでも見せられたような気分ですよ」
 野梨子は真っ青になり、清四郎へ駆け寄ろうとした。だが、足が縺れて、ソファの前でよろりと膝を付いた。傍にいた悠理が手を差し伸べた。だが、野梨子は駄々っ子のようにそれを払い、這い蹲るようにして床を進んだ。清四郎の革靴に取り縋り、悲痛な叫び声を上げた。
「清四郎、違う! 悠理とは何でもありませんわ! 私、ただ、どんな事か知りたくて! あなたになら、分かるでしょう!?」
「ああ、そうですね。野梨子は知的好奇心旺盛な女性だ。それに気も利いている。僕の好きな玉露ですな。有難う」
 清四郎は湯飲みを手に取ると、穏やかに微笑んだ。
 分かってもらえたのか。野梨子はほっと息をついたが、眼前に緑色の液体が零れ出し、次の言葉を失った。
 野梨子の膝先に、緑茶の水溜りができた。それでも、野梨子自身がそれを被らなかったのは、ぎりぎりの優しさか、それとも、清四郎なりのプライドか。
 清四郎は空になった湯飲みを机に置いた。
「さようなら、野梨子」
 疑わしげな瞳で、野梨子は閉じられたドアを見詰め続けた。
「無駄だよ、野梨子。あのドアは、二度と開かない」
 悠理が楽しげに言い、野梨子の隣りに腰を落とした。
「お姫様のあんな醜態を見せられちゃって、あの高潔な生徒会長殿は、おまえじゃあ、一生、勃たないだろうな」
「悠理、私に何の恨みがあるんですの!?」
「ふん。バター犬にだって、感情があるって事さ」
 悠理の指が、野梨子の唇をすいとなぞった。
 この仕打ちは、口付けを拒み続けた報いだろうか。野梨子はぼんやりと思考した。
「あいしてる。野梨子、おまえを誰よりも」
 まるで吟ずるような、悠理の告白。
 悠理の顔が近付いてくる。避ける気概がまるで起こらない。
 悠理の唇は、甘ったるくて、どこか鉄臭かった。アイスキャンディーと破瓜の血か。
 悠理と私の味だ――野梨子は思い、浅慮な自分を呪った。
 唇を解いた瞬間、心にごうと風が吹き荒れた。ぽっかりと穴が開いたようだ。
 それを埋めて欲しいと思うのは、私の我侭だろうか。私は傲慢な女だろうか。
「悠理、もう一度言ってくださる?」
 野梨子は愛を乞うた。
145名無し草:2006/03/05(日) 23:16:10
終わりです。
途中、エラーが出てしまって時間がかかり
申し訳ありませんでした。
146名無し草:2006/03/06(月) 00:52:09
競作作品、upします。プレ学のとある男子生徒の物語で、魅録と悠理が出てきますが恋愛要素ゼロです。
2レスいただきますが、お嫌いな方スルーお願いします。
寒い日、でも吹いていた風は、優しかった。
今日は、3月6日、月曜日。
言霊を風に乗せ、周りにいる人たちに届けていく。
惹きつける魅力を持った言葉の数々、フォークギターとハーモニカから発せられるメロディ。
心を鷲掴みにして放さない魔力を持つ言霊、不思議と悪い気はしない。
忙しい今があるのにも関わらず、足は止まり、自然と足はある方向へ向かう。
駅前の路上ライブ。
聞いた人たちは、立ち止まり、歌に耳を傾ける。

誰もが、中心にいる二人組を見つめていた。二人組を囲むようにして、人だかりは円を作っている。
3月とはいえ夜はまだ寒く、立ち止まることは普通であれば苦痛に感じるはずである。
だが、僕は寒い中で耐えながら突っ立ていることを苦痛に感じなかった。
速足で家に帰る昨日までの日常を、忘れていた。どうでも良かった。
今は、この時を感じていたい。それだけだった。
むしろ、暖かかったのだ。胸を強く打つ魔力が、僕を熱くさせていた。涙が、零れ落ちるほどに。
やがて時間は、終わりを告げる。曲が途絶えたのだ。
「聞いてくださって、ありがとうございました」松竹梅君が、観衆に終了の挨拶をし、軽く頭を下げた。
「ありがとうございました」剣菱さんも、それに倣って後から頭を下げる。
だが、周りの観衆は、円を解こうとはしなかった。一人も動かなかった。
「…アンコール!」誰かが、そう言うと、それを合図に一人二人とアンコールの声が力強く大きなものへと変わっていく。
僕も知らないうちに叫んでいた。無我夢中といった感じで。
二人は唖然としていた。予想外の展開だったのだろうか。
が、すぐにギターの演奏が始まった。二人組を歓声が包み込む。
街角の電気屋のショーウインド越しから、テレビから流れる音楽番組を見ながら、思い出していた。
昨日のことのように頭の中をフラッシュバックするあの記憶。
彼らは今頃どうしているのだろうか、と思いながら。
立ち止まって脱線しているのを止めて、再び帰宅の道へ戻った。
あれから何度もあの場所に足を運んでみても、お二人の姿は見当たらなかった。探せなかった。
明日は卒業式。僕は大学部にエスカレーターで進学するが、有閑倶楽部の方達は留年するらしい。
いったい何をなさったのだろう。
「…寒」
寒いわけだ。季節はずれの雪が降ってきたのだから。冷たい風が、僕に訪れてくる。
風に乗って聞こえてくる。
あの曲、あの歌が。
聞こえてくる方へ足を向け、一日早い卒業祝いだと勝手に思うことにした。

『ほら、空をみてみろよ。
俺たちの目指したライン照らす、太陽を。
けど寒さから守ってくれる太陽は、本当に遠いのか?
優しい光が、手のひらでゆっくりと勇気をくれる。』

・・・まあ、真実は卒業祝いどころか卒業できないことへの憂さ晴らしLIVEなのでしょうが。
149名無し草:2006/03/06(月) 00:55:21
終わりです。
読んでくださった方、スルーしてくださった方、ありがとうございました。
150名無し草:2006/03/06(月) 08:58:06
たくさん来てますね、皆さん乙です。

>>雨の街を
裏話を読んで合点が行きました。
たしかに「うた」は本文中に出てきませんねw
でも丁寧に書かれていて面白かったですよ、乙です。

>>趣味の短歌
ツボにはまりました!
短歌を読み上げるだけと思ったら、さらにそこに隠し文字が。
最後ピーターはどうなったんでしょう…w

>>好奇心は猫を殺す
中々深いっすね…w
ここで「僕も仲間に入れて!」とならないのが
清四郎が清四郎たる所以なのか。
愛する人を目の端に入れながら…てシチュは好きでした。

>>ある春間近な街角で
彼女たちはどんな歌を歌っていたのか、私も聞いてみたいです。
ところで時間軸がわからないところがあったんですが、
魅悠のライブがあったのは卒業式間近ってことでいいんですか?
となると昨日のようにフラッシュバックする記憶ってあったんで
過去を振り返ってるかと思ったんですが…。
151名無し草:2006/03/06(月) 13:28:39
40万ヒット&スレ復活おめでとうございます。
競作作品うPします。
清四郎→悠理で清四郎がちょっといっちゃってるので
苦手な方はスルーしてください。
15240万hit競作・<愛の歌>1:2006/03/06(月) 13:29:54

僕ら以外誰もいないスケート場に悠理のすべる音だけが響く。
シャッシャッと。
軽快に、だがどこか物悲しく。

僕は知っている。
それが彼女の謝罪の言葉なのだと。
不器用でうまく気もちを伝えられない彼女なりの「ごめんね」の歌なのだ。

  「ねぇ野梨子ぉ。清四郎、なに遠い目をしてんのかしら」
  「ほんとですわね、可憐。でも無理もありませんわ。明日の卒業式で在校生代表として
  答辞を読まなければいけませんもの。ひそかに屈辱を感じているのだと思いますわ」
  「あぁ、そうねえ」

野梨子と可憐が僕のほうを見ながら何やら囁きあっている。
君たちには聞こえないんですかね、あの悠理の心の叫びが。
ごめんね、留年させてごめんね、と泣きながら歌う彼女の歌が。

ほら、聞こえる。
シャッシャッ、シャッシャッと。

悠理。僕には聞こえますよ、悠理、悠理、悠理!

(あたしは淋しかったんだ、シャッシャッ。)
(一人じゃ淋しかったんだ、シャッシャッ。)
(だからシャッシャッ。)
(汚い手を使って〜〜〜〜〜〜♪)

  「イナバウワーですわ!」
15340万hit競作・<愛の歌>2:2006/03/06(月) 13:30:53
美しい。
ブラボーだ。悠理。
僕には聞こえる、君の歌が。
君の淋しさが、いや君の愛が。

悠理。
君は淋しがり屋だ。そして恥ずかしがりやだ。

そんなに「僕」にいっしょにいてほしいなら、口で言えばいいのに。
ヘロイン入り歯磨き粉をコーヒーに入れるなんてまだるっこしいことをしなくても。
おかげでいい夢見させてもらいましたけどね。

実のところ、その、前々からあなたの気もちには気づいていた、というか。
照れますね。
僕に相談してくれたら、仲良く二人だけで留年、という手もあったんですよ。
君は馬鹿だ、悠理。

  「ちょっと野梨子、見て。清四郎涙ぐんでない?」
  「まあ! 本当ですわ。やっぱりショックだったんですのね、留年が……」

ああ。
当時を思い返してまた感動が。
いけない、涙が出てきてしまった。
悠理、感動をありがとう。
悠理、悠理、悠理。


(あたしは淋しかったんだ、シャッシャッ。)
(めちゃくちゃ淋しくてシャッシャッ。)
(だからおまえを道連れ〜♪)

  「またイナバウワーよ」
15440万hit競作・<愛の歌>3:2006/03/06(月) 13:31:42
いいんだ、旅は道連れ世は情け。
二人で新たなる高校四年生を切り開こうじゃないか。

  「あ、三回転ジャンプする!」

(大好きだ、清四郎!)

ジャンプの先に悠理の僕への叫びが光る。
僕もですよ、悠理!

  「さっきの四回転?」
  「四回転ですわね。……またですわ!」

(ほんと、清四郎?)

もちろんです、悠理。

  「清四郎の悠理を見る目つきが怖いわぁ、野梨子」
  「同感ですわ、可憐。変なこと考えてなきゃいいんですけど」
  「そもそも悠理があんな事件起こさなきゃ、睡眠不足で試験中に寝ることもなかったもんねえ。
   留年の恨みは怖いわねえ」

留年ブラボー! 留年ハラショー!
僕と悠理の一年リフレイン!
さあ勇気を出すんだ、恥ずかしがりやめ。
その口で、言葉で僕に愛を伝えてくれ。
来ないなら、こっちから行くぞ。
15540万hit競作・<愛の歌>4:2006/03/06(月) 13:32:19
  「ところで悠理はまだスケートやめないの? もう飽きちゃった」
  「ねえ? 魅録には負けられないって息巻いてるんですのよ」
  「魅録も練習してるわけ、スケートを」
  「ええ、美童と別の場所で。今度は何をかけたのやら」
  「二人ともこんなことでしか思いを伝えられないのかしら」
  「見てて呆れますわよね」
  「あ、見て清四郎がリンクに」
  「滑りますのかしら」


さあ、悠理。
僕も一緒に歌おう、その歌を。


  「「きゃあ、清四郎危ない!」」
  「どけ! 邪魔なんだよ、清四郎!!」


ああ、氷って冷たいなあ。

悠理はまだ歌っている。
シャッシャッ、シャッシャッと。

ふっ、邪魔だ、だなんて。
淋しがり屋のくせに。
強がってばかりで、君は馬鹿だ、悠理。
僕と共に歌おう、愛の歌を。
15640万hit競作・<愛の歌>5:2006/03/06(月) 13:32:52
  「大丈夫ですかしら、清四郎」
  「大丈夫じゃない、悠理にぶつかりそうでリンクに入れないわ」
  「またやるんじゃない、あれ?」
  「やりますわ、ほら」


  「イ ナ ゴ ウ ア ー ! ! 」


君は馬鹿だ、悠理。


共に歌おう。愛の歌を。


FIN
157名無し草:2006/03/06(月) 22:41:15
面白かったアゲ
158名無し草:2006/03/06(月) 23:39:12
数日ぶりにのぞいたら、盛り上がってて嬉しい。
作家さん方乙です!(多いので、個別レスは控えさせていただきますが)
最新作にのみ・・・

>愛の歌
タイムリーなネタで、テンポもよく面白かった。
魅録がフィギュアってどうよ(美童にステップ踏まされてるのか?)、と思いつつも。
自分的には清四郎→悠理。しかもただの妄想、報われないってとこが激ツボv
勘違い甚だしい清四郎が愛しいです。
159名無し草:2006/03/06(月) 23:45:32
>>趣味の短歌
面白かったです。上手い!
隠し言葉にもなってるとは。
かなり好きでした。
160名無し草:2006/03/06(月) 23:52:19
たくさんの話を読むことができて嬉しいです。

>好奇心は猫を殺す
「好奇心、猫を殺す」。まさにこの言葉の意味と怖さを思い出させる
ような話でした。それぞれの重くて暗い感情と、凄みのある文章に
引き込まれるように、最後まで読んでました。

>ある春間近な街中で
そういえばこの二人はロック同好会でしたね。
留年のウサ晴らしライブ…悠理と魅録でも微妙?に思いは違ったんだろうなあ(笑)

>愛の歌
そういえばこういう「歌」もあるよねーと納得。
清四郎の考えてる内容とテンションが伝わってくる文章に
思わず笑ってしまいました。ネタもタイムリーでナイスですね。
161名無し草:2006/03/07(火) 02:28:49
まーみんな知ってっかもだけど
ここで面白い感想が読めるよ^ー^
http://science4.2ch.net/test/read.cgi/material/1012741877/
クスクス
カス共が
162名無し草:2006/03/07(火) 02:35:03
ツマンネ >>161
163名無し草:2006/03/07(火) 02:58:33
あーちなみにロムってるだけの人もお気に入り登録しておいた方がいいよ
こいつらいくら荒らしても懲りない暇人ババアどもばかりだからね
164名無し草:2006/03/07(火) 03:20:38
あら確か一度しかお会いしたことのないあなた。元気?
165名無し草:2006/03/07(火) 03:23:23
逃げたってかんたんに見つけられるよ^ー^
166名無し草:2006/03/07(火) 03:27:11
あっそ。じゃね
167名無し草:2006/03/08(水) 02:30:26
>好奇心は猫を殺す
裏話の方を見に行ったのですが、「うた」という文字があんなにたくさん
入っていたのに気がつきませんでした。すごいです。
悠里がアイスを折る所は、この先の清四郎と野梨子を予言してたんでしょうか。
自分的に読み応えがあるお話でした。
168167:2006/03/08(水) 02:34:39
と、悠理の理が間違ってました、すみません。
169名無し草:2006/03/09(木) 20:22:10
本スレ復活、40万ヒット達成おめでとうございます。
競作に参加します。
主役は杏樹。ベースは美×野ですが、のっけから美童が他界する設定です。
設定などを受け入れられない方はスルーして下さるようお願いします。
公式設定が不明なため、年齢差は5歳にしています。
7レスの予定です。

ちょうど20歳で、兄貴がこの世を去った。吐き出す息さえ凍るほど、寒い日のことだった。
今でも脳裏に焼き付いている。
色を失った世界で、凛として佇んでいた、彼の美しい恋人。
古い映画のラストシーンのように、遠ざかる後ろ姿を、僕はただ見つめるしかなかった。

泣き崩れるパパとママの隣で、僕だけがぼんやりと座っていた。
号泣する友人達の中、唇を噛み締めた幼馴染みに付き添われ、祭壇の前に進んだ彼女は、僕と視線が
合うと、ゆっくりと会釈をした。
漆黒の瞳は空ろで、涙さえ浮かんでいなかった。
あまりに突然のことに、まだ現実を受け容れられずにいたのかもしれない。僕と、同じように。


ー耳に残るは君の歌声ー


その日、兄貴は郊外の別荘にいる野梨子さんに会いに行くはずだった。
それなのに、永遠に叶わなくなってしまった。
小雪のちらつく中、飛び出してきた対向車を避けようとして、凍結した道路でスリップしたのだ。
あまり、運転は上手じゃなかったから。

僕はまだ中学生だったから、事故現場には連れて行ってもらえなかったけれど、1年を迎えようとする頃、
パパから漸くその場所を聞き出した。
命日に花を買い、駅からの遠い道程を、思いを巡らせながら一人ゆっくりと歩いた。
自慢の顔にはかすり傷さえないまま、兄貴は天に召された。
森の中で、滅多に人通りもないはずなのに。なぜ、あの日に限って?
不運と言ってしまえば、それが運命なのだと言ってしまえば、それまでなのだけれど。

そろそろだろうか。
パパから貰った手描きの地図から目を上げた時、ふと小さな黒い影が動くのが見えた。
間違えようもない。野梨子さんの後ろ姿だった。
1年前と同じように、彼女はきちんと自分の足で立っていた。
声をかけるのも躊躇われ、近くの木に隠れてそっと様子を窺う。
花束を置いてしゃがみ込んだ彼女は、聞き取れぬほどの声音で、自分を置き去りにした恋人に優しく
語りかけていた。
出て行くタイミングを完全に失い、僕は息を殺していた。
体がすっかり冷えきった頃、ふと彼女が何かを口ずさんでいることに気付いた。

僕の知らない、優しい調べ。
きっと二人だけの、大切な思い出の曲なのだろう。
胸が、締め付けられるように痛んだ。

兄貴がいなくなってからも、何度となくうちを訪ねて、ママ達のことを気にかけてくれる野梨子さんに、
「まだ若いんだから、早く新しい恋を見つけて欲しい」と両親が話しているのを、何度も耳にした。
だけど、野梨子さんは「ええ」と寂しそうに微笑むだけだった。

「じゃあ、また来月来ますわね。美童」

カサ、と音がして、枯れた花を抱えた彼女が立ち上がった。
その後ろ姿を見送ることさえできず、瞳を閉じた僕の耳に、優しい歌声だけが残った。


毎月、毎月、同じ日に、僕はその場所を訪れるようになった。
それは兄貴のためなのか、それともそうではなかったのか。自分でも、曖昧な感情を持て余しながら。

彼女はいつも事故の起きた時刻に合わせてやって来た。
僕は、少し離れた木に身を隠し、じっとその様子を見守るだけだ。
恋人に語りかける柔らかな声を、寂しげな歌声を、ただ黙って聞いていた。


                                                            * * *


一歩を踏み出した瞬間、足元で砂利が音を立てた。
振り返った野梨子さんは、こぼれ落ちそうなほどに目を見開いた。
美童、と言いかけてから、「……杏樹…?」と唇が動く。
「こんにちは」
頭を下げると、彼女の表情がやっと和らいだ。

あの悲劇から5年。
20歳になった僕は、兄貴と同じ身長になっていた。
真似ようと思ったわけでもないが、なんとなく切りそびれた髪は肩にかかり、ママは永遠に失った長男と
僕の面影が重なることを嫌がった。運転免許を取ることさえ、なかなか許してはくれなかった。
鏡を見る度に、兄貴のことを考えずにはいられなかった。
その度に、僕は自問した。
僕らは、いつまで立ち止まっているんだろう。そして、これから僕はどうしたいのだろう、と。


「やっぱり、あなたでしたのね」
気付いていたと彼女は言った。毎月、自分以外の誰かがその場所を訪れていたことに。
「兄思いの弟を持って、美童は幸せですわね…」
微笑もうとする彼女に、僕は残酷な問いを突き付けた。
「…野梨子さん。いつまで、そうやって思い出と一緒に生きていくの?」
「え………?」
彼女の仲間達は、それぞれカップルになり、幸せな家庭生活を送っている。
パートナーを失ったまま、一人でいるのは野梨子さんだけだと聞いた。
どんな縁談も、頑なに断り続けて。

きょとん、と見上げる瞳に、僕の想いが溢れ出した。
「兄貴のこと、恨んでないの?誰より大切なあなたを置いて、一人で逝ってしまったヤツのことを…なぜ
そんなに愛し続けることができるの?もう二度と、抱きしめてもらうこともできないのに」
「杏樹…」
彼女は、小さく頭を振った。
「恨んでますわ、本当は。悔しくて、寂しくて…」
寂しい、という言葉が引き金になったのか、ぎこちない笑みが彼女の顔から消えた。
「でも…思い切ることができないだけ。思い出が、多すぎて」
瞳を伏せた瞬間、ぽた、ぽた、と雫が落ち、凍てついた地面に吸い込まれていった。

僕の見守ってきた彼女は、いつも未亡人のように黒づくめの衣装だった。
誰より愛した人が突然去ったあの日から、モノクロームのフィルムに閉じ込められたように。
ただ、きつく噛み締められた唇だけが、血のように赤かった。


両手で顔を覆った彼女を、僕は思わず抱き寄せていた。
嗚咽しながら、義姉になるかもしれなかったその人は、僕の胸を拳で叩いた。
美童の馬鹿、馬鹿。どうして、と。聞き取れたのはそんな言葉だけだった。
溢れる涙に、氷のようだった白い肌が赤味を帯びる。
あまりに華奢なその肩をそっと抱いた時、僕の頬にも熱いものが伝っていることに気付いた。
誰にもぶつけることが出来なかった想いを、僕達は漸く吐き出すことができたのだ。

「…ありがとう。やっと、泣けましたわ」
ずっと凍り付いていた心が、溶けたような気がする。そう言って照れくさそうに涙を拭く彼女に、僕は
おどけてお辞儀をして見せた。「どういたしまして、姫」
泣き腫らした瞳で僕を見つめると「そういうところ、美童にそっくりですわね」と呟き、それでも野梨子さん
は、ちょっと可笑しそうに笑った。
「野梨子」
思い切って名前を呼び捨てると、また驚いた表情をして、笑う。
「あら。なあに、杏樹」
「僕、あなたのことをずっと見てた。でも、もう見てるだけじゃ嫌なんだ」
急な告白に戸惑う彼女に、僕は肩を竦めて見せる。
そして、留学を決めたことを伝えた。
「2年経ったら戻ってくるから…ここで、また会える?……もし、まだあなたが、一人だったら」
僕は微笑み、立ち尽くす彼女に背を向けた。


2年ぶりの日本は、懐かしい匂いがした。
約束の場所に、彼女の姿はなかったけれど、色褪せた花束があり、まだ時折彼女がここを訪れていること
だけはわかった。
新しい恋人はできていないのだろうか。それとも…

はあ、と吐き出す息が冷気に白く染まる。
彼女は、来ないかもしれない。
元々、約束をしたわけでさえないのだ。まだまだ子供だった僕は、返事を聞くことが恐くて、逃げるように
背を向けてしまった。
そして髪を切り、英国に渡った。
勉強に打ち込むだけの2年間。いつ、どこにいても、黒い瞳が離れなかった。
気付くと、あの歌を口ずさむようになっていた。
彼女と兄貴にとっての思い出が、いつしか僕にとっても、かけがえのないものになっていた。

ーー兄貴、許してくれる?
すっかり覚えてしまった歌を唇にのせながら、彼の愛したカサブランカを一輪置こうとした時。
後ろから、メロディーが重なった。

はっ、と息を呑んだ。
その声は立ち竦んでいる僕に近付き、歩みを止めることなくやがて隣へと並んだ。僕には言葉をかける
ことなく、彼女はそっとしゃがむと、色鮮やかな花束を置いた。
怒っているのだろうか、と思った。
彼女達の思い出に、僕が勝手に割り込んだことを。


身動きできずにいた僕の前で、歌い終えた彼女は呟いた。
「…ずっと、私のことを見守ってくれていたんですのね。…ありがとう、杏樹」
ゆっくりと立ち上がり、僕の前へと立つ。
ずっとずっと恋い焦がれた人は、黒髪を結い上げ、真っ白なコートをまとっていた。
その頬は、初めて会った少女の頃のように、薔薇色に染まっていた。
伏せられていた睫毛が、すっと上がり、彼女はじっと僕を見上げた。
「よく見ると、あまり美童には似てませんわね。髪が短い方が、素敵」

それから、お帰りなさいと言った。
「…ただいま、野梨子」
僕は、泣きそうな顔をしていたのかもしれない。
聖母のように優しく、彼女は微笑んだ。
「もう、どこへも行かないと約束して下さる?ずっと、私の傍に…?」

両腕を広げると、彼女は躊躇うことなく飛び込んできた。


ー完ー
177名無し草:2006/03/09(木) 20:38:55
>耳に残るは君の歌声
おー。死にネタは苦手なんですが、読みふけってしまいました。
美童の思い出を胸に生きる野梨子いいですね。
杏樹とむすばれるのはちょっと美童かわいそうかなあ、と
思っちゃいましたけど、面白かったです。乙!
178名無し草:2006/03/11(土) 02:50:30
お祭りも終わりですね。ちょっと寂しいけど、このお祭りが
作家さんへの呼び水になりますように・・・
179名無し草:2006/03/11(土) 13:23:02
age
180名無し草:2006/03/12(日) 18:05:57
sage
181名無し草:2006/03/13(月) 06:22:55
季節物(ホワイトデー話)をうpします。
清×野メインで、魅×悠、美×可前提の表記が出てきます。
記憶喪失が出てきますが、専門家ではないため不自然な流れになっています。
苦手な方はスルーをお願いします。全10レス程度の予定で、今回は3レスいただきます。
目が覚めると、私は見知らぬ部屋の中にいた。見覚えのない室内――
柔らかな真っ白な天井をぐるりと見渡して、ベットの上に起き上がった私は、ゆっくりと周囲に目を凝らした。
右側のチェストの上には、小さなぬいぐるみが置かれている。その横には、漆に金箔をあしらった鏡。
左側のチェスとの上には何冊かの小説が乗せられており、すぐ傍らでは、わずかに開いた窓から緩やかな風が入り込んでいる。
どこかから、歌が聞こえる。
(・・・ここは、どこかしら)
レースのカーテンが翻えるのをぼんやりと眺めつつ、あいまいな記憶を手繰り寄せる。しかし、何も思い出せない。
ずきずきと痛む額を押さえ、私は再びベットに横になった。シーツを引き寄せ、ダルマのように丸くなる。
しばらくすると、部屋の外からとんとんと軽やかに近づく足音が聞こえてきた。と思ったら、ノックもなくドアが開けられた。
「!」
思わず顔を向けると、男の人と目があった。
ドアノブに手を掛けたまま、驚愕に目を開いてこちらを見つめている。まるで異星人にでも遭遇したかのように、
信じられないという顔で凝視した彼は、次の瞬間、周り中に響き渡るような声を出して私に近づいてきた。
「野梨子!」
ほっとしたような、安堵の表情を浮かべた彼が、泣きそうな瞳を揺らして私の頬に触れてくる。
「目が覚めたんですか・・・」
ああそうだ、私の名前は野梨子でしたわね。でも誰かしら、この人。
全然知らない人のような気もしますけど・・・。
妙に冷静になった頭で考える。よく考えるとこの匂い、これは病院特有の香りだ。という事は、この人はお医者様だろうか。
だがしかし、医者が患者の名前を呼び捨てにするとは考えにくい。とすると、自分にとって身近な誰かだろうか?
私は不安気に首を傾げつつ、彼に尋ねてみた。
「あの・・・お兄さま、ですかしら?」
驚きに頬が強張り、動揺に色を失くした視線が震えながら私を射抜いてくる。頬に触れていた大きな手のひらは、
ぴくりと止まって空中をさまよっていた。その時の、彼の表情は一生忘れないだろう。
「全く、信じられませんね。よりにもよって20年近く隣に住んでる僕のことを忘れるなんて。」
学校に行く途中、清四郎は何度もそう言って、私を睨みつけてきた。あの後すぐに思い出したのだが、彼は隣に住む幼なじみだった。
よほど恨みに思っているのか、困惑する私を置いてけぼりにして、すたすたと足早に市街地を抜けていく。
「だから、申し訳ありませんでしたと申してますでしょう?記憶が混乱していたのですもの。自分が誰で、どこにいて、
今が何月何日かも分かりませんでしたのよ?」
「それにしてもですね・・・・・・あれだけ必死に看病した見返りがあれですよ?」
と、彼はやはり不服そうに眉を寄せている。
先月、下校途中に交通事故に遭った私は、どうやら1ヵ月以上も昏睡状態のまま、眠り続けていたらしい。
交差点の真ん中でバイクにはねられた記憶はおぼろげに残っているのだが、その後どうなったのか、何一つ覚えていない。
(まぁ、いくらなんでもひどかったとは思いますけど。しばらくは言われますわね・・・)
何かと頭の回る幼馴染に弱みを握られたかと思うと、少々憂鬱にならなくも無い。
「最悪かもしれませんわ・・・。」
小さな呟きが、まるで独り言のように唇からもれる。とその時、私の言葉にぴたりと足を止めた清四郎が、
くるりと正面に向き直って、いきなり私の口の中に何かをぽいっと放り込んだ。
「!」
固い、まるくて平たい、小さなもの……。
それがチョコビーンズの一つだと気づき、私はきょとんと彼を見上げた。
「どうですか?」
清四郎が顔を強ばらせて尋ねてくる。
「どう、と申されましても・・・何がですの?」
「なにか思い出しませんか?」
「え?」
口の中で溶けて柔らかくなったそれをごくんと飲み込むと、清四郎はほんの少し不機嫌そうな顔をしたあと、くるりときびすを返した。
すたすたと歩き出した彼を追いかけるように、慌てて私も走り出す。清四郎はまったく歩を緩めてはくれない。
「せ、清四郎・・・?」
なぜだかは分からないが、彼はとっても怒っているように見えた――
生徒会室に入ると、皆が私を出迎えてくれた。
「野梨子!」
いきなりがばっと抱きつかれ、思わずしりもちをつきそうになるが、清四郎が後ろで支えてくれた。
「悠理ったら、相変わらずですわね。」
長い昏睡状態だったにもかかわらず、自分の記憶が確かに残っていることに、安堵した。
覚えてる――。悠理も、可憐も、魅録も美童も皆知っているとおりだ。
「・・・結局、忘れてたのは僕だけですか。」
「何?忘れてたって。」
可憐の問いかけに、清四郎は私がいかに非道な仕打ちをしたかを皆に話した。
一通り皆と笑いあった後、ふと美童の足元に小さな包みの詰まった紙袋があるのに気づいて私は首を傾げた。
「美童、その袋は何ですの?」
「やだなぁ、野梨子。今日はホワイトデーだよ?女の子達へのお返しに決まってるじゃないか。」 
「まぁ、美童ったら相変わらずですわね。可憐に怒られますわよ?」
「いいのよ。そのかわり私もたーーーっぷりお返しもらうんだから。」
にっこりと可憐は笑った。引きつった笑いを浮かべつつ、美童は魅録にも話をふる。
「オレ?オレはそもそもバレンタインは何ももらわなかったし。」
「あげたじゃん、チョコまん。うまかったろ?」
「ああそういえば・・・って、おまえの食いかけ一口もらっただけじゃねーか!」
相変わらずな友人達に、再び私は笑う。悪乗りして聞いてみた。
「清四郎はどうですの?私の寝ている間にそんな相手ができまして?」
次の瞬間、なんともいえない空気が生徒会室に漂った。同時に、予鈴も鳴り響く。
「で、できるわけねーよな。そんな野梨子が大変だったときに・・・」
「そ、そうだよ。何言ってんだよ野梨子。あ、僕今日日直だった。そろそろ行くね。」
皆それぞれに生徒会室を出て行く。最後に鍵をかける清四郎を待っていると、にっこりと笑って彼は言った。
「野梨子も行っていいですよ。復帰早々遅刻は嫌でしょう?」
とても嘘くさい笑顔だった。

続きます。
以前にも話題に出ましたが、一行あたりの文字数は何文字程度が読みやすいのでしょうか?
自分のパソで読みやすい字数を目安にしているのですが、もしかして長いかなとも思いました。
見にくい方、申し訳ありませんでした。
逝ってきます。
186名無し草:2006/03/13(月) 08:36:52
>彼のバレンタイン
おー。久々の連載ですな。楽しみです。
文字数は私はこのままでもOKですよ。
187名無し草:2006/03/13(月) 12:22:26
>バレンタイン
久々の連載乙です。
季節ネタですね〜。
5人の中で清四郎だけ忘れられてて、ちょっとかわいそう(w
悠理が魅録のバレンタインにあげた、チョコまん食いかけ一口の所で笑いました。
野梨子の記憶は果たして戻るのか、続きが楽しみです。
字数は、同じくこのままでもokです。
188名無し草:2006/03/16(木) 18:32:27
続きまだ〜?
((o(^∇^)o))
189名無し草:2006/03/17(金) 00:06:08
期待あげ
190名無し草:2006/03/17(金) 18:41:45
あげ
ホワイトデーはとっくに過ぎましたが、続きうpします。

清×野メインで、魅×悠、美×可前提の表記が出てきます。
記憶喪失もので医学的に不自然な流れになっているかもしれません。
苦手な方スルーお願いします。
今回も3レスいただきます。
授業と授業の合間に、可憐が教室にやってきた。
「ねぇ、野梨子。ちょっと聞きたいことあるんだけどいい?」
「ええ。何ですの可憐。」
「あんた、事故にあった日のこと覚えてる?」
「それがなんだかあまり覚えていませんの。どこかに行った帰りに事故にあったようだとは思うのですけれど・・・。」
「それじゃ、事故にあう前のことは?」
何故だか可憐は真剣だ。
「特には思いつきませんけれど、何かありましたの?」
ふぅ・・・と可憐はため息をつき、こめかみを押さえた。
「あんたって子は・・・さすがの私も、清四郎が不憫に思えてきたわ。」
「え?」
可憐はどこかに行ってしまった。

「覚えてない〜!!?」
昼休み、野梨子のいない生徒会室に悲鳴があがった。
「まぁ、そんな気はしてましたけどね。」
清四郎は一人淡々としてる。
「そんな気って・・・おまえ、いいのかよ」
悠理はお手上げといった表情で、清四郎を見た。
「いいも悪いも、覚えてないものはしかたないでしょう。」
「しかたないって、おまえなぁ」
悠理は助けを求めるように、周りを見る。
「で?どうすんだよ。」
魅録は真剣な顔で清四郎に言った。
「おまえが何とかしたいって言うなら、俺達なんでもするぜ?」
「・・・そうですね。」
しばらく考えた後、清四郎は言った。
「全く同じ状況を、作ってみましょうか。」

放課後、帰り支度をしていると清四郎が教室にやってきた。
「野梨子」
「まぁ清四郎。お待たせしました?」
「いえ、すいません。今日はちょっと野暮用がありまして・・・。一緒に帰れませんけど、野梨子、ひとりで家に帰れますか?」
「ええ、平気ですわ。」
即答するが、清四郎は疑い深そうに目を細めた。また事故に遭って救急車で運ばれるんじゃないかと心配しているのだろう。
私はにっこりと笑って見せた。清四郎は小さくため息をつくと、大きな手で私の頭をなでつつ言った。
「帰り道、ちゃんと分かりますね?間違っても途中で迷子になんかならないで下さいよ?それから、車道に出る時は
くれぐれも気をつけて下さい。」
「大丈夫ですわよ。子供じゃありませんもの、考えすぎですわ。」
頭におかれた手を払いつつ清四郎を睨みつけると、清四郎は苦笑しながら優しい視線を落としてきた。
ふと、たしか前にもこんなことがあったような気がした。
本当ならまっすぐ帰るべきなのだろうが、久しぶりに目覚めた身としては、なんだかもう少しあちこち見て回りたい気分だった。
ひとり商店街の方へと歩き出すと、街の装飾は、ホワイトデー一色に染まっている。白やブルーの雪のデコレートが屋根の上から
吊り下げられ、それを見上げながらゲートの下をくぐった私は、ふとウィンドゥに白い天使が飾られたとある店が目に付き、
中へと入っていった。一番手前にはギフトコーナーがある。
(なんだか、前にもこのお店に来た気がしますわ。)
そんなことを思いつつ店内を見て回ると、明らかにバレンタインの売れ残りと思われるチョコレートが目に付いた。
そういえば、一月前にもこのお店にチョコレートを求めてやってきたのだ。
(でも私、なんでチョコレートなんか買いに来たのかしら。)
いまいち思い出せないものの、もろもろのお詫びも込めて清四郎に買っていこうかと思い至る。しかし今や店内はホワイトデーの
‘お返しスペース’に早変わりしていて、目当てのものはなかなか見つからない。かといって売れ残りのワゴンチョコもどうかと思う。
いろいろ悩んだ挙句、結局はチョコレートクッキーで手を打つことにし、店員にラッピングをお願いした。
「包装紙は、白とブルー、どちらがよろしいですか」
にこやかな店員に尋ねられ、白の雪の結晶模様を選んだ。ふと時計を見ると、意外と時間は過ぎていた。少し急いで店の外に
出た瞬間、不可思議な感覚にとらわれた。
(あぁ。やっぱり以前にもこんなことがあった気がしますわ。)
あの時は、もっと急いでいた。そして、慌てて買った品物は、とてもプレゼントと呼べるような代物ではなくて。
そして・・・?
理解不能なデ・ジャ・ヴに捕らわれつつ、私は急ぎ足で家路へと走りだした。
とにかく、清四郎に会おう。
彼に会えば何かがわかる。まるで何かに急かされるような、早くしないと世界が終わってしまうような、そんな焦りにも
似た感情に戸惑いながら、私は足早に商店街の脇を通り過ぎた。商店街の歩道を突き抜け、往来する人込みの中をかき分けながら、
一秒でも早く帰ろうとチカチカと点滅する青信号を捕まえるように、三叉路に飛び出した――
「野梨子っ……!」
悲鳴のような、清四郎の声が聞こえる。と思った刹那、傍らで轟くようなクラクションが辺りに鳴り響いた。
赤い車が、迫ってくる。
「!」
「・・・・・っ・・・!」
清四郎が何かを叫んでいたが、それよりも、映画のコマ撮りのようにゆっくりと近づいてくる自動車に釘付けになった私は、
体が硬直したまま動かせないでいた。
ひかれる――! 
直後、ぐいっと強く引っ張られたかと思うと、私の体はどすんと尻餅をついて歩道の脇に倒れ込んでいた。
「……!」
車道を通り過ぎていく車の運転手が、開けっぱなしの窓から大声をわめき散らして走り去っていく。呆然としていた私は、
その声をまるで他人が言われているような気持ちで聞きながら、冷や汗をかいた。ふと我に返ったのは、誰かに体を抱かれている
と気づいたからだ。
「・・・清四郎・・・?」
私のみぞおちに両手を絡ませぐいっと引き寄せた清四郎は、背後から私を包むように抱きしめて地面にへたり込んでいる。
ふいに、肩に清四郎の額が乗った。
「・・・清四郎?」
小刻みに体を震わせ、肩で大きく息をして脱力している。そんな清四郎を肩越しに振り返ると、彼は小さく呻きながら両手に
力を入れた。
「・・・もう、・・・もう、勘弁して下さい、野梨子。頼むからっ・・・本当に・・・!」
「――」
また、間に合わないかと思った――と、苦しげに震えたその声を聞きながら、私はいまだ回って無い頭で不謹慎なことを
考えていた。
(・・・せっかく買ったチョコ、またどこかに飛んでってしまいましたわね。・・・・「また」?)
あぁ、そうでしたわね。
私は、バレンタインデー当日に、清四郎に告白されたのだ。

つづきます
文字数に関してご意見いただいた方、ありがとうございました。
そしてお詫びです。すいません。前レス載せ忘れました。
>>184 のつづきです。
そしてしょっぱな4が長すぎて2つに分けたため4レスいただいてしまいました。
5も短いのにレスを消費してしまい申し訳ありません。
逝ってきます。
197名無し草:2006/03/18(土) 09:18:04
>彼のバレンタイン
おお、続きだー! 野梨子が原作っぽい雰囲気でいいですね。
可愛いです。続きお待ちしておりまーすw
198名無し草:2006/03/18(土) 13:54:53
やっと続きが読めたー!!
また早い段階でのupを期待。
199名無し草:2006/03/18(土) 18:12:04
>> 彼のバレンタイン・私のホワイトデー
続き待ってました!
野梨子の行動が危なっかしくも、可愛ゆいです!
次回も期待してまーす。

つづきうpします。今回で終わりです。5レスの予定ですがもしかしたら延びるかもしれません。
清×野、記憶喪失モノです。苦手な方スルーお願いします。
>>195 の続きです。
その日は、朝から清四郎の様子がおかしかった。いや、よく考えてみれば、数日前からおかしかったのだ。どうしてそういうことに
なったのか私は知らない。けれど、とにかく彼は昼休みの生徒会室で言ったのだ。私からのチョコが欲しいと。私は次の瞬間、
生徒会室から飛び出した。
放課後になると、野暮用のために一緒に帰れないことを清四郎は律儀に告げに来た。当然、私は彼を待たずに学校を出た。
なんとなく帰る気がしなくてフラフラと商店街に寄り道し、薄い文庫本を買って喫茶店でお茶を飲んで時間をつぶした。
ひどい話だった。どうしようもなく好きになった女性から、ようやく愛の証をもらえるときになって、実は妹であることがわかるのだ。
「愛するあなたが妹ではなく、妹のように思っていたあなたを愛したならよかったのに」そんなことを言って主人公は自殺する。
もしかしたら翻訳者が悪かったのかもしれないが、それにしても何の救いもない話だ。
紅茶のおかわりを頼み、ふと清四郎のことを思い、笑みをこぼした。チョコを欲した清四郎の真剣な眼差しが、なんとなく
面白く思えたのだ。彼は、私を妹のように思っていたのではなかったのか。2杯目の紅茶の入ったカップを両手で包み込むように
持ち、つぶやいた。
「兄に恋したのではなくて、よかったのかもしれませんわね。」
紅茶を飲んで店を出ると、すでに商店街はしまりかけ、あわてて今日と同じ店に飛び込んで何かを買い、急いで帰ろうとしたところを、
私はバイクに跳ねられたのだ。
清四郎は、何も言わなかった。私の右手を繋ぎ、強引に引っ張りながら近所の公園に連れて行く間中、ずっと無言のままであった。
恐ろしいほどの沈黙が漂っている中で、私はビクビクしながら清四郎の手を握り締めているしかない。
「清四郎・・・」
沈黙に耐えかねて声をかけるが、返事は無い。
「清四郎、迷惑をかけてごめんなさい。ケガ・・・しませんでした?ごめんなさい。本当にごめんなさい。」
わずかに片足を引きずるように歩く彼の背後で、私は何も答えてくれない背中に向かって許しを乞うように俯いた。
冷たい風が吹き抜ける。
誰もいない、けれど私たちにとっては馴染みのある懐かしい公園で、枯れた葉を巻き上げる風にあおられて、足元を冷気が
通り過ぎていく。てっきりここで話すのかと思ったら、さっさと素通りしてしまった。
「お帰りなさい、清四郎さん。あら野梨子ちゃんも・・・」
「お、お邪魔します、おばさま。」
挨拶もそこそこに、私は清四郎の部屋に引きずりこまれる。鞄をベットに投げ出し、ガチャリと部屋の鍵を閉めた清四郎が、
くるりと振り向いて私を見下ろした。怒りを伴うその表情に顔を強ばらせていると、彼は眉をつり上げて、突然怒声を響かせた。
「バカ!」
20年近く隣に住んでいて、清四郎に馬鹿と言われたのは初めてだった。しかも隣(つまりは私の家だが)まで響き渡るほどの
大声で。いや、こんなに怒らせたこと自体、初めてかもしれない。
「清四郎さん!?」
「あんた何やってるのよ!?」
和子さんやおばさんがあわててやってくる。
「うるさいっあなたたちには関係ありません!!」
きっと私を睨み、再び清四郎は声を張り上げた。
「・・・・いったい何を考えてるんですか!あれだけ気をつけろと言ったのに、僕の目の前で死なれるなんて冗談じゃないですからね!」
「ご、ごめんなさい。でも、大丈夫ですわ。私が死んでも清四郎が殺人犯になるわけではありませんし・・・・。」
あまりの剣幕におもわず壁際に後ずさりつつ、よくわからない返事をしてしまう。なおさら清四郎の怒りを買ってしまった。
「そういう問題じゃないでしょう!!?」
ばんっと、両側の壁に手をつかれ、追い詰められる。
「おいっ、清四郎やめんかっ」
ついにおじ様までいらしたようだが、清四郎の耳には届いていないようだ。苦痛に顔をゆがめ、彼は叫んだ。
「目の前で野梨子に、好きな女性に死なれる俺の恐怖があなたにはわからないんですか!?」
叫んだ後、少しばつの悪そうな顔をした。
憑き物が落ちたかのようにフラフラと私の元を離れベットに腰掛けた。組んだ両手に額を押さえつけるようにして小さく首を振り、
肩を落とし、つぶやいた。
「・・・僕は、怖かった。」
ああ、本気で、この人は怖かったのだ。私は呆けたように、そんなことを思った。口には出さなかったけれど。少し考えてから、
私は清四郎に近づいて、その俯いた顔を覗き込んだ。
「・・・心配して下さいましたのね。なんて、陳腐な表現でごめんなさい。でも、本当にありがとう。ありがとう、清四郎」
そっと、組まれた両手をつつむ。ひどく冷たい手だった。
「・・・ねぇ、清四郎。私、あなたがとても大切ですの。だから、あなたの前で死んだりしませんわ。それに、清四郎は
助けられるときはいつだって私を助けて下さいますでしょう?もちろんあなただって万能ではありませんわ。でも、万が一
私に何かあっても、絶対清四郎のせいではありませんわ。」
清四郎の目を見て、私は言った。
「大丈夫。絶対に、私はあなたを一人残したりはしません。」
「・・・縁起でもないこと言わないで下さい。僕達まだ十代ですよ?」
にっこりと清四郎は微笑み、また唐突に私の口に何かを放り込んだ。
「・・・・・・チョコビーンズ?」
「そう。いい加減、思い出しませんか?」
「――」
ああ、そうだ。閉まりかけたお店で慌てて買ったチョコレートは、キャラクターの絵柄の入ったかなり滑稽な代物だった
覚えがある。とはいえ、かなり急いでたため、中身まで気にする余裕がなかったのだ。
「あの交通事故の後、野梨子のコートの中でぐしゃぐしゃになっているコレを見つけたんですよ。どうしようかと思ったんですけどね。
・・・・もしかしたらって自惚れて、頂いてしまいました。」 
手にした小箱を、顔の横でカサカサと振っている。けれど・・・
「それ、やっぱり返して下さいますかしら?」
つい先日のように、再び清四郎の顔が硬直する。けれど今度はすぐにその硬直を解いてあげることにする。くすっと笑い、私は言った。
「だって、あまりにも縁起が悪いと思いません?」
からかわれたことに気づいた清四郎は少々むっとした顔をしたが、次の瞬間とても嬉しそうな‘危険な’顔をした。
「・・・では、代わりにいただいてもいいですか?」
え?っと思う間もなかった。気づくと私のファーストキスは清四郎にかすめ掠め取られていた。
「よかった・・・。」
何がよかったんだか、清四郎は私を腕に閉じ込め、髪に顔をうずめている。あんまり力が強いものだから、体が痛い。
「清四郎、痛いですわ・・・。」
だが、彼は無視して一層腕の力を強めた。そして、言った。
「本当に、良かった。野梨子が生きていてくれて。あのまま目を覚まさなかったら、目の前で轢かれていたら、きっと僕の方が
発狂して死んでしまいましたよ。」
そんな大げさな、なんて言える状況ではなかった。今頃になって先ほど車にひかれそうになった時の恐怖を思いだし、私は身を竦ませた。
「・・・野梨子?」
震えに気づいたのか、清四郎は腕を緩めた。だが、反対に私は手を伸ばしてぎゅっと彼の体を抱き返した。
「絶対に、助けてくださいませね。」
きっと、清四郎は微笑んだだろう。もちろんです、とつぶやく声が聞こえた気がした。
瞳を閉じて体温を感じていると、清四郎が今まで抱えていた不安や焦燥までが一度に伝わってくるようで、私はその温かさを
真摯に感じていた。
でも、私は少し悔しかった。
だから、言ったみた。


「・・・ホワイトデーのお返し、期待してますわよ?」

明日になったら、清四郎は美童や魅録に相談しているかもしれない。


終わりです。ありがとうございました。
206名無し草:2006/03/18(土) 23:34:53
お疲れ様でした。初々しい恋人たちがよかったです。
それにしても野梨子のファーストキスを掠めとる清四郎やるなw
207名無し草:2006/03/19(日) 09:14:14
gj
208名無し草:2006/03/19(日) 13:04:36
楽しませてもらいました!
初々しい二人がかわいかった。
209名無し草:2006/03/19(日) 13:16:17
新しい話をうpします。
メインは清×野ですが、スクランブルになる予定です。
苦手な方はスルーお願いします。
210華と散る 清×野(1):2006/03/19(日) 13:18:03
厳しい寒さもやわらぎ、暖かい風に皆がほっと一息つく頃、
清四郎はわけのわからない胸騒ぎに悩まされていた。
どうにもこうにも落ち着かない気分だ。
頬杖をつき、ため息をついている自分に驚くことも一度や二度ではない。
一体これはどうしたことか、生暖かい季節のせいか、それとも何かの予兆なのだろうか。

「なにもぞもぞしてるんだよ、魅録」
悠理の声に顔を上げると、目の前で魅録が首を左右に振りながら身をよじっている。
「かゆいんだよ、背中が」
顔をしかめながら椅子に背中をこすりつける魅録に可憐が噴出す。
手を叩きながら受けまくっている。
「やだぁ、寛平ちゃんみたい〜。ねぇ清四郎?」
大笑いしながら清四郎に話をふった可憐は彼の様子に気づいたようだ。
「どうしたのぉ、ぼんやりしちゃって」

ハッとした清四郎は苦笑いしながら体勢を直す。
「そういう可憐こそどうしたんですか?
 妙にハイじゃないですか。なにか今日いいことでもあるんですか?」
ほんの戯言のつもりだったのに、一瞬可憐が真顔になった。
「そお? いつもといっしょでしょ」
美童がニヤニヤしながら言った。
野梨子がコトリと湯のみを置く。
その音に何気なく全員の視線が野梨子に集まった。
211華と散る 清×野(2):2006/03/19(日) 13:18:32
自分に視線が集まったのに気づいた野梨子はあわてて手を振った。
「あ、え? 私? 違いますわ、なんでもありませんわよ」
悠理が妙にあせって同調する。
「そうそう、なんでもないよ、な」
魅録が茶化した。
「なんだよ、そんな言い方すると何かあるように聞こえるぜ、悠理」
悠理が目を白黒させ、野梨子がため息をついた。
わざとらしく微笑むと席を立つ。
「私、お先に失礼しますわ」

彼女が部屋を出て行くと、微妙な空気が漂った。
妙な雰囲気を感じて清四郎が悠理の顔を見ると、彼女はパッと視線をそらした。
その隣で魅録が呻き、上着をめくって背中を出すと美童に差し出した。
「かぃー。美童かいてくれよ」
「男の背中かくなんて色気ないなぁ」
ぶちぶち文句言いながら美童はせっせと背中をかいてやっている。

清四郎の視界に可憐が入ってきた。
「清四郎、今日はなにか用があるの? 聖文堂の下に新しくできたカフェに行かない?」
魅録の背中をかきながら美童も声をかける。
「僕も後から行くよ。魅録は?」
「俺は用があるからパス」
どうしようかと迷っていると、清四郎はまだ目を白黒させている悠理と再び目が合う。
「悠理はどうするんですか?」
彼の問いかけに答えず、悠理は可憐のほうを向いてこんなことを言った。
212華と散る 清×野(3):2006/03/19(日) 13:19:04
「あっ、あの可憐さぁ、今日って用事ないの?」
首をかしげて可憐は不思議そうな顔をする。
「暇よぉ、だから誘ってるんじゃない。悠理も行くでしょ?」
「あっ、いやあたしはその……用事があって、じゃあね」
急に悠理は立ち上がると、バタバタと出ていった。

彼女のおかしな様子に首をひねっていると、可憐が「清四郎はどうする?」と聞いてくる。
少し考えてから、今日は図書館に寄るのだと清四郎がいうと、可憐が残念そうな顔をした。

万年筆を忘れた清四郎が生徒会室に戻ると、もう誰もいなかった。
足にうっかりゴミ箱をひっかけ倒すと、中からゴミが転がり出た。
その中に見覚えのある薄紫の用紙が丸めて捨ててあるのを見つけて、清四郎は眉をひそめる。
薄紫の用紙は有閑倶楽部で、やばいこと、主に裏帳簿関係のメモに使われることに決まっている。
かならずシュレッダーにかけろと言っているのに、と清四郎は拾ってメモを開いた。

「 五時に さくらの下で 」

印刷された文字が並んでいた。
待ち合わせのメモか。
清四郎は再び丸めなおそうとして、ふとこれはデートの約束かな、と思う。
手紙の主はだれなのか。
パソコンで文字を打っているから、魅録かと思うが、最近はやっと他のものも生徒会室のパソコンの
使い方を覚え、簡単な文書を打って印刷くらいはできるようになった。
とすれば、魅録、美童、悠理、可憐、野梨子、その誰とでも考えられる。
213華と散る 清×野(4):2006/03/19(日) 13:19:40
果たしてこのメモは渡されたのか、それとも渡す前に本人が捨てたのか。
この仲間内の中でそんな他人行儀なことをするとは、秘密の話に違いない。
なんとなく興味がひかれた清四郎が時計を見上げると四時四十分だった。

校庭で一際目立つ桜の木を目指すと、だれかが木の裏側にいるらしいのがわかった。
無粋なことをしたもんですね、と自嘲しながら、清四郎は近づいていった。
それもこれも、このふわりふわり、くるくるとする気もちのせいだ。

だが、ごく近くまで近づいてそれが誰だかわかったとき、
清四郎は急に胸にチクリと刺さるものを感じて、足を止める。
引き返そうとしたが、人の気配を感じたのか木の裏からおかっぱ頭の人物が出てきた。
清四郎の姿を認めると、黒い瞳が大きく見開かれる。

「清四郎……。どうしてここに?」
「野梨子……」

微笑もうとした口の端が奇妙に歪むのを清四郎は感じた。
そのとき、後ろから快活な声がする。

「やあ、野梨子。待った?」

振り向くと麗しの金髪をさらりと流した美童がニコニコして立っている。
清四郎の後ろで野梨子が不審な声を出した。

「美童?」
214華と散る 清×野(5):2006/03/19(日) 13:20:10
一瞬にして状況を理解した清四郎は苦笑いを浮かべながら釈明した。
「どうもお邪魔したようですね。すみません、ちょっと見かけたもんだから」
彼の言葉に野梨子は清四郎の顔を見つめると、パッと顔を赤くした。
「違いますわ。変な誤解しないでくださいな」
「ごめんごめん、僕が時間に遅れたんだよ。ね、野梨子?」
そういって肩を抱き寄せようとする美童から、野梨子は驚いて身を離す。
あぜんとする清四郎に野梨子はなにか言いたそうな、とまどった顔を見せ、それからふと
泣きそうな顔になると、急に駆け出していった。

彼女の後姿を見送った美童は、清四郎に意味ありげに微笑みかけると
「じゃね」
と野梨子の後を追って走り出した。

二人の姿は校庭の向こうに小さくなっていった。
呆然と立ちつくす清四郎に桜の花がヒラヒラと降りかかる。
突風が校庭に砂埃を巻き起こした。

清四郎の中で春の嵐が始まろうとしていた。


つづく
215名無し草:2006/03/19(日) 16:12:15
upが増えてて嬉しい!

>彼のバレンタイン
二日連続upされてて驚き。乙でした!
ホワイトデーらしい、可愛いお話で楽しみました。

>華と散る
新連載だー!題名がキレイ。
これからの展開がとても楽しみです。
upガンガッテ下さい。
216名無し草:2006/03/20(月) 02:42:42
「華と散る」続きをうpします。清×野×悠×可です。
217華と散る 清×野(6):2006/03/20(月) 02:43:15
校舎の入り口でやっと美童は野梨子を捕まえる。
「待ってよ、野梨子。どうして逃げるのさ」
大きく肩を上下させている野梨子はしばらく口がきけないでいる。
ようやく上げた顔には困惑の表情が宿っていた。

「どうして、美童ですの? 私、可憐に手紙を渡したんですのに」
「代理だよ」
あっさりとこう言って美童はペロッと舌を出した。

「自分の代わりに野梨子の気もちを聞いてきてくれって可憐が」
「私の気もち?」
戸惑う野梨子の鼻先を美童がちょこんと指で押した。

「とぼけるなよ。もちろん清四郎のこと」
「清四郎の……」
「可憐は彼が気になるみたいだよ。気づいてたでしょ。
 彼女バレバレだからね、態度が。
 そこへ幼なじみさんのお呼び出し。これは、とあわてて僕に
 泣きついたってわけさ」
野梨子は赤くなって否定した。
「嫌ですわ、可憐ったら。とんだ誤解ですわ」
「誤解?」
不思議そうな美童に野梨子はため息をついて釈明した。
「私も悠理の代理ですのよ」
218華と散る 清×野(7):2006/03/20(月) 02:44:54
どのくらい生徒会室で考え事をしていたのだろう。
いつの間にかとっぷりと日が暮れている。
清四郎は自分の隣に悠理が座っていることに気がついた。
悠理はじっと清四郎の顔を見つめている。
「どうしたんだよ、元気ないじゃん」
「悠理には関係ありませんよ」
清四郎が物憂げに立ち上がると、悠理が袖をつかんだ。

「あたしでよかったら相談に乗るけど」
結構です、と言いかけた清四郎は、悠理の瞳の真剣さに言葉を飲み込んだ。
微笑んで椅子に座りなおす。
なにか話そうとしたがなにも出てこない。
思わず額を押さえてため息をついた。
悠理が心配そうに目を細める。
「清四郎」
「……野梨子が桜の木の下にいたんですよ。そこへ美童が来て、二人で
 行ってしまいましてね」
「うん。それで?」
「それだけなんですけどね」

しばらく沈黙が続いた。
悠理が口を開く。
「あのさ、ひょっとして清四郎は傷ついてるの?」
「傷……」
陳腐な表現に笑おうとしたが、胸にぐさりと来るものがあった。
清四郎は頭を抱えた。
「まいったな」
219華と散る 清×野(8):2006/03/20(月) 02:46:21
暗闇に野梨子の姿が浮かび上がる。

「まいりましたよ、僕はどうやら野梨子を……」
言葉にならなかったんだ。
頭を抱えたままつぶやく。
「もう遅いんでしょうね、きっと。悠理、このことはないしょにしてくださいね」

悠理の息を飲む音が聞こえる。
近くで彼女の声がした。
「あのさ、だったらこういうのは?」
頭を抱え込んでいる清四郎の手を悠理がはずしにかかっている。
悠理の手が清四郎の頭をそっと上げさせた。
清四郎が目を開くと、目の前に薄茶の髪があり、
唇になにか触れた。

「悠理……」
驚く清四郎に悠理は真直ぐな視線をなげかけた。
「あたしじゃだめかな」

キィと小さな音がした。
生徒会室の扉が開き、可憐がうつむいて立っていた。

つづく
220名無し草:2006/03/20(月) 11:09:04
お、新作ですね。
魅録や美童もスクランブルにかかわって来るのかな?
今後のストーリーに期待。
221名無し草:2006/03/20(月) 18:35:00
静かな雰囲気の作品ですね>華
今後の展開楽しみです。派手にもつれそう。
222名無し草:2006/03/21(火) 00:23:54
>華
今の展開は嵐の前の静けさという感じなんですかね?
続きが楽しみです。
223名無し草:2006/03/21(火) 15:35:26
「華と散る」うpします。清×野×悠×可です。
224華と散る 清×野(9):2006/03/21(火) 15:36:09
「可憐」
突然の登場に悠理は動揺しているようだった。
腕を組んで、身じろぎもせず立っていた可憐はやがて顔を上げた。
作ったような笑顔で悠理と清四郎の顔を交互に見る。

「ごめんね、美童来なかったかなと思って。カフェで待ってたのに
 なかなか連絡がなくて。……来てないみたいね。じゃあ」
そのままくるりと背を向けて可憐は部屋を出て行く。
パタンと戸が閉まるとはじかれたように悠理も部屋を飛び出して行った。

あとに残された清四郎はそっと自らの唇に触れ、
悠理の言葉の意味を考えていた。

足早に歩く可憐の腕を悠理は走って行ってつかまえる。
「待って、待ってよ可憐」
懇願するように悠理は言った。
「話があるんだ」
可憐の足が止まる。
ゆっくりと自分を見つめる可憐の瞳に涙がたまっているのに気づき
悠理はきゅっと唇を結ぶ。

「あたしは、話が、ないわよ、悠理」
途切れ途切れに可憐がつぶやくと、頬に涙が流れた。
悠理はうつむいた。
「ごめん。あたしは可憐が清四郎のことが好きだって知ってて……」
白い手の甲で可憐は涙をぬぐった。
225華と散る 清×野(10):2006/03/21(火) 15:36:39
「いいのよ。あんたも清四郎が好きだったのね。ごめんね、あたしこそ
 全然気づかなくって。でも、だったら……言ってほしかったなあ」
そう言い残すと、可憐は悠理の顔を見ずにスタスタ歩き出した。
唇を噛み締めていた悠理は可憐の背中に向かって叫ぶ。
「ごめんな、可憐! でもあたし、好きなんだ」
可憐は振り返らない。
「あたし、あいつが好きなんだ!」

廊下の突き当たりを曲がって可憐の姿は見えなくなった。

先週オープンしたばかりのレトロなクラブに入ると、すぐに目当ての男たちが
見つかった。
「おーい、可憐。こっちだぞ」
手を振る魅録と美童に手をあげて微笑んだ可憐は、美童の隣に野梨子が
いるのに気づいた。
野梨子は可憐に苦笑いして話しかける。
「今日は誤解をときに来ましたのよ」

「……そういうわけだったの。野梨子が悠理の代理とはね」
可憐がため息をつくと、美童が笑った。
「僕も代わりに行くことなかったね。かえって話がややこしくなっちゃった」
「ごめんなさい」
野梨子がしゅんとすると、可憐が野梨子の背中を叩いた。
「野梨子のせいじゃないわよぉ。もーみんな、あいつが悪い!
 私に言う勇気がないですってぇ。どの口が言うのよぉ」
226華と散る 清×野(11):2006/03/21(火) 15:37:48
「なんの話?」
話が見えてない魅録はキョトンとしている。
美童が苦笑いした。
「まあ、いろいろあるんだよ」
「はー。でももう駄目だわ。あたし見ちゃったもん」
キールロワイヤルをあおる可憐に魅録がニヤニヤする。
「なにってなにを見たんだよ」
「いいんだよ、魅録は。関係ないんだって」
たしなめる美童を可憐が制した。
「いいのよ、もう知られたって。だって二人はラブラブなんだもん」
野梨子が不思議そうな顔をして、美童と顔を見合わせた。
「ラブラブ?」
「見ちゃったのー。生徒会室で悠理とー、清四郎がー、二人っきりで
 キスしてるところを!」

一瞬の間ののち、魅録が言った。
「ほんとに?」
テーブルの上でリングをはめた魅録の手が強く握り締められている。
美童がその手の上に自分の手を置いた。
「魅録」
「ほんとよぉ。見たの! 可憐さんは、この目で、しかと見ました!
 二人があつーいキスをかわしているところを!!」
227華と散る 清×野(12):2006/03/21(火) 15:38:44
野梨子は魅録が立ち上がってどこかへ行き、美童があわてて後を
追うのをぼんやりと見送っていた。
隣では可憐がグラスを見つめて、ぽろりと涙をこぼしている。
野梨子は息苦しさを感じて胸を押さえた。

悠理が。

キスを。



清四郎と。


つづく
228名無し草:2006/03/21(火) 23:05:34
せ・・切ない・・。
みんな(美童のぞく)切なすぎる・・。
一体、どうなっちゃうんでしょう・・?
面白くなってきそうですね〜。
229名無し草:2006/03/22(水) 11:56:47
>華
みんな悩んでますね。
青春のど真ん中って感じ。
でもこういう話って、ついつい読んでしまう。
230名無し草:2006/03/22(水) 16:28:27
華と散るうpします。魅×美を連想させる表現があります。
苦手な方はスルーお願いします。
231華と散る 清×野(13):2006/03/22(水) 16:29:00
「どうしたのさ、こんな朝っぱらから。僕これから着替えるんだけど、いい?」
早朝自室に押しかけてきた魅録に、そう迷惑そうな顔もせず美童は着替えだした。
魅録は学生カバンをソファに放り出すと、自らも腰をかけた。
白い絹のパジャマを肩からはずしながら、美童はちらりと魅録を見る。
「なにさ。なにか僕に言いたいことがあるんだろ?」

魅録はふぅーっと息をついてソファによりかかった。
「お前なんだってな」
半裸になった美童はパジャマを丁寧にたたむとベッドの上に置く。
「なにが?」
指先を口元に持っていくと魅録はタバコを吸うジェスチャーをしてみせる。
美童は肌をさらしたまま、デスクの上の灰皿を魅録に差し出した。
「――悠理をけしかけただろ、清四郎に告白しろって」
「ああ」
くるりと背を向けると美童は答える。
「言ったよ」
チェストを開けて下着のシャツを出す。
「まずかった?」
232華と散る 清×野(14):2006/03/22(水) 16:30:00
白い煙が漂ってきた。
「変だなと思ったんだよ。悠理はそういうこと考えつくタイプじゃないもんな」
美童はシャツを身に着けたあと、パジャマのズボンをぬぎ、これも丁寧に畳む。
「なんでだよ」
魅録のぶっきらぼうな問いかけに美童は苦笑する。
「なんでって。僕は後押ししてあげただけだよ、彼女の気もちの。
 ふふっ。さっきから魅録の言うこと聞いていると、まるでいけないことを
 したように聞こえるね」
皮肉っぽい言い方をすると、魅録の隣に座り靴下を履きだす。

魅録は黙ったまま煙を吐いていた。
やがて立ち上がると窓際まで歩いていく。
「魅録」
「そうだな、いや、美童はなにもいけないことなんかしてねえ。
 ただ俺がぼやぼやしてただけなんだ」

美童は魅録の背中をじっと見つめた。
「魅録は……ひょっとして……」
「いいよ。言わないでくれ。今言っても惨めなだけだから」
233華と散る 清×野(15):2006/03/22(水) 16:31:51
立ち上がった美童が魅録の側まで歩いてくる。
そっと肩に手を置く。
「魅録」
魅録の肩を大きく上下した。
ふりむいた彼の顔は照れ笑いしている。
「よかったのかもな、これで。相手が清四郎なら俺もきっぱりあきらめられるしな」
「ほんとに?」
ひゅっと美童の顔が近づいて魅録の顔をのぞきこみ、彼はたじろぐ。
「ああ」

美童はニッと笑うと突然魅録を抱きしめて羽交い絞めにした。
「えらい!」
あわてて暴れる魅録をぎゅうぎゅう抱きしめる。
「それでこそ魅録だよ」
「いてててて。わかったわかったから離してくれ」

やっと美童は腕をゆるめたが、その前に一瞬魅録の左耳に美童の唇が押しつけられた。
(い?)
ぎょっとする魅録からするりと離れると美童は上機嫌で制服のズボンを手に取った。


つづく
234名無し草:2006/03/22(水) 18:10:22
作者さん、うp乙です!
今、「華」を読むのすごく楽しみだったりします。
悠理に告白しろと言ったのは、美童だったのかー。
で、最後の展開にむちゃ驚いてしまったw
び…美童?w
235名無し草:2006/03/22(水) 23:36:54
早く続きが読めて嬉しいなぁ。
236名無し草:2006/03/24(金) 14:05:58
続きを期待。>華

しかし他の投稿が少ないですね。うーむ。
237名無し草:2006/03/24(金) 22:18:14
華と散る うpさせてください。清×野です。
238華と散る 清×野(16):2006/03/24(金) 22:18:44
よく晴れた朝、清四郎が家を出るとちょうど野梨子が菊正宗家の前を
通り過ぎようとしているところだった。
清四郎はハッとしたが、つとめて明るい声であいさつをした。
「おはよう、野梨子」
野梨子はぎくっとしたようだが、堅い笑みであいさつを返してくる。
「おはようございます、清四郎」

そのままスタスタと歩いていく幼なじみを清四郎は黙って見送っていたが、
やがて足早に歩き出すと、たちまち野梨子に追いついた。
「野梨子」
「なんですの」
清四郎の呼びかけに、歩くスピードを落とさずに野梨子は答えた。
「昨日はすみませんでした」
「なんの話ですの」
「邪魔をしてしまいましたね」

ぴたりと足を止めると野梨子は冷ややかな声を出す。
「勘違いも甚だしいですわ」
清四郎の顔を見据える。
「ご自分がそうだからって他の人まで浮かれてるなんて考えないで
 いただきたいですわ」
「僕……が、ですか?」
清四郎は一瞬なんのことかわからなかったが、次の瞬間顔を赤らめた。
「野梨子、可憐から聞いて……」
「私、知りません」
ぷいっと顔をそむけると野梨子は走り出す。
239華と散る 清×野(17):2006/03/24(金) 22:19:50
「違う……ちょっと待ってくださいよ、野梨子!」
あわてて後を追いかけた清四郎は腹を立てたように野梨子に声をかける。
「少し話を聞いたらどうなんですか」
「別に私にいいわけする必要ないじゃありませんか」
野梨子は取り付くしまもない。
思わず清四郎は彼女の腕をつかんだ。

野梨子は急に腕をとられて、よろめき、思わず清四郎が支える。
自分の腕をつかむ清四郎の手に野梨子は赤面した。
「……離してくださいな」
「話を聞かなきゃ嫌です」
清四郎は断固として腕を離さない。
野梨子はムッとしてため息をついた。

「誤解なんです。その、彼女とは……」
「キスしたんでしょう?」
やはり、野梨子は知っているらしい。
「しました。でも」
「変ないいわけなさらないで。悠理がかわいそうですわ」
キッと清四郎を睨んだ野梨子は清四郎の瞳に気づいて動揺した。

「……そんなに見ないでくださいな、清四郎。どうしたんですの。
 もう手を離してください」
その言葉を聞いた途端、清四郎の手に力が入り、野梨子は驚く。
恐怖を感じて身をふりほどこうとした瞬間、彼女は清四郎に抱きすくめられた。

240華と散る 清×野(18):2006/03/24(金) 22:20:31
「あっ……」
緊張で硬くなった野梨子の耳に清四郎の声が聞こえる。
「野梨子……僕は……あなたが……」
ふいに彼は顔を近づけてきて、野梨子の唇に己の唇を重ねた。
思いもかけない出来事に野梨子は動くことができない。
ただ自分の唇を押しつけてくる清四郎に抗うことすら忘れていた。

ふいにプアンとクラクションの音がして、ハッとして二人は身を離した。
清四郎は息を切らし、その顔は紅潮していた。
我を取り戻した野梨子は思い切りその頬を張った。
ぱあんという音と共に彼の顔が左に揺れ、野梨子の右手が痛んだ。

清四郎になにか罵声を浴びせたかったが、何も言葉が出てこなかったので、
野梨子は涙をこらえながら足早にそこを去った。

つづく
241名無し草:2006/03/25(土) 00:40:58
ドキドキ感がたまりません。
ういういしい2人ですね。
嫉妬してる野梨子が、妙にかわいく感じました。

242名無し草:2006/03/25(土) 03:09:25
少しずつ、みんなの関係がこじれて来てますね。
丁寧な文章なので、映像が自然と浮かんでくるようです。
おもしろいです!
243名無し草:2006/03/25(土) 15:17:36
最高です!
野梨子の気高い平手打ちは、かなりツボ。
244名無し草:2006/03/25(土) 16:01:00
続きキタワァ.:*・゜(n‘∀‘)η゜・.:*
赤くなってる2人がカワエエ
245名無し草:2006/03/27(月) 10:19:06
新スレおめでとうございます。
これいただくわのつづきupします。
ttp://houka5.com/yuukan/long/l-52-3.html
246これ、いただくわ 56:2006/03/27(月) 10:19:37
「……坊ちゃま、今なんと?」
「だからヘリウムスリーだよ」
五代もとうとう耳が遠くなったかと失敬なことを思いつつ、
「D-3He核融合はエネルギーの変換効率が抜群によくてね。そのうえ中性子を
 ほとんど出さないんだ。つまり放射能の心配がない。それで理想のエネルギー
源と言われているんだよ」
親切に説明をほどこす豊作だが、しかし相手はただの年寄りではない。
世界に冠たる剣菱財閥。万作がその大黒柱だとすれば、さしずめ五代は筋交
だ。とてつもない重さの屋台骨を幾十年と支え続けた年輪は、豊作ごとき青二
才の及ぶところではない。―――のだが豊作にはそれがわからない。
驚愕の表情をただ理解できずに呆けているととった豊作は、コホンと咳払いを
みせてから、なおも釈迦に説法をつづけてみせる。
「でも天然に存在する量はごくわずかでね。だから普通はリチウム6に中性子を
 当てて三重水素をつくって、これがβ崩壊すると安定核種の…」
「そのような事はどうでもようございますッ」
講釈はすっぱり断ち切られた。
「お聞きしたいのは本当にマイタイにそれがあるのかという事でございますよッ」
ああそっちの話か、と首をふりふり豊作は再びくちを開く。
「太陽の核融合でできた3Heがレゴリスに吸着されたように、なんらかの原因で
 大気を突き抜けたヘリウム3が蓄積されたのか、それとも地球誕生時に大量
 にかたまったのか、その辺りはわからないんだけどね。とにかくその貴重な
 元素が豊富に存在する可能性は否定できないんだ―――というより、確実と
 言っていいだろうね。鉱床の位置はまだ解読の途中なんだけど、国土の…」
「ちょおっと待ったあぁッ!」
今度は万作に妨害される。
「かいどく? いま解読と言うただか? まさかおめ、マイタイの古文書を?」
つくづく年寄りは気が短い、などと思いながらも得意分野に話が向いてきたのに
気をよくした豊作はおもむろに向き直った。
247これ、いただくわ 57:2006/03/27(月) 10:20:31
「いいえ、マイタイで発見された文書ではありません。サングリア文書と言って、
 二十年ほど前にサングリア諸島の洞窟から発見されたものです。
 それを解読したところによると、文書が記された紀元前一千年の当時、南太 

 平洋には広大な陸地が存在し、そこでは独自の高度文明が発達していた…
 ―――その文明を支えた原動力こそ、3Heの生み出すエネルギーだったとい
 うわけなんです」
自信満々の豊作であるが、間髪入れずに五代が反駁する。
「お言葉ですが坊ちゃま。太陽光のスペクトル分析でヘリウムの存在が予見さ
 れたのでさえ高々140年ほど前のことですぞ? 現代科学をもってそれなの
 でございますから、そのご解釈はいくらなんでも…」
さすがは万作の懐刀、五代の知識量は侮れない。
けれども一撃でKOされた筈の豊作は、奇妙な余裕を漂わせてフンフンと頷いて
いる。
「うん、その通り。中性子の発見に至っては1930年代のことだしね。だから最
 初は僕も半信半疑だったんだ。でもね五代、聞くところによると―――」
と、そこで妙な間をあけた豊作。ぐるりと面々を見回してから、おもむろに続きを
口にした。
「南太平洋には超高度文明を発達させた幻の大陸、つまりムーたいり…」
「もうええ。おめは部屋で休め」
戯言をほざきだした息子に対する最大限の労わりである。
「もー父さん、まじめに聞いてくださいよっ!」
あまりに突飛な論説に、日ごろ豊作の味方である五代でさえ扱いあぐねたような
顰めっ面で視線のやり場を床に求めた。
だが豊作はへこたれない。呆れ顔の万作を正面に見据え、躍起になって捲くし
立てた。
「僕は悠理から聞いた話で確信したんですッ!
 思い出してください、イアウカ島の神殿を。あそこはダイキリさんの戴冠以来、
 ずっと放っておかれたんですよ。王室の人たちでさえ場所を知らなかったぐら
 いですから、当然メンテナンスは入ってない。それ以前にも保守作業などは
 一切おこなわれなかったでしょうね。何故ならあの場所を知っていたのは、
 代々神官の長だけだったんですから。
248これ、いただくわ 58:2006/03/27(月) 10:21:36
 それなのに悠理たちが行ったときにも各種の仕掛けは滞りなく機能した。
 レバーを引く、メダルをはめる、たったそれだけで巨石を動かすほどの大装 

 置ですよ? 定期的な保守もなしに何百年も動き続けるわけがないじゃありま
 せんか。でもあの神殿はそれを可能にしている。そうなんです、あのイアウカ
 の神殿こそが幻の超高度文明――そのレリックなんですよッ!」
「お説ご尤もっ」
と、すかさず五代。
本当に納得したのか、それとも賛同を得んがために奮闘する豊作を憐れんで
の発言であったのか、ともかくその一言で豊作の興奮もいくらか鎮まった。
漫然と聞いていた万作も呆れ顔をひっこめて目を閉じる。
確かに――イアウカ島での話をよくよく思い起こしてみれば、なにやら高度文明
の名残が匂わないでもない。たとえば洞窟の入り口に立つ巨大な石像、あれも
巨石文明と言って言えないことはないだろう。王冠が乗せられた台座などは、積
載量の加減を感知して矢が飛び出る仕組みになっていたとも聞く。
もしかしたら、と心が動かないでもないが、しかし決め手に欠ける印象も拭いき
れずに万作はううんと唸った。
「…それでその動力源が3Heだとお前はゆうだな?」
「はい」
即答だ。
「所謂ロストテクノロジーですね。文書にはエネルギー変換装置の設計図も記さ
 れていましたし。各装置には神々の名が冠せられていましたが、現代で言うと
 ころのD-3Heトカマク炉…あっ、またそんな顔して。いい加減信じてくださいよ」
「…一万歩ゆずってその解釈が合っているにしても、なんで3He鉱床がマイタイ
 にあると言えるだがや? あん辺りに天然ガス鉱床はごまんとあるだぞ?」
「そうでございますよ。大体にしてサングリアで見つかったのならば、サングリア
 の文書と見るのが筋でしょうに。なぜ唐突にマイタイが出てくるのでございます
 か。文明の名残でしたら、それこそ太平洋全域に散らばってございますぞ?」
249これ、いただくわ 59:2006/03/27(月) 10:22:56
口を揃えて反論する二人に、豊作は諦めたような溜息をひとつ吐き、それじゃあ
仕方ないですねと前置きしてから、まるで秘密ごとでも打ち明けるような調子で
こう言った。
「マイタイのシンボルに画かれる島のうち、実に6島までがそのままの名称で
 登場しているんですよぉ…」
「ぅへっ!?」
なぜ先にそれを言わないのだ、と万作は胸倉を掴みたい衝動に駆られたが、
どうにか我慢をする。そんな万作を尻目に、豊作は得意満面で島名をあげてみ
せた。
「イアウカ、イカロモ、ウハイニ、エウラオホカ…」
まるで呪文だ。
その呪文に悪酔いしたのか、ダイキリは半ば目を閉じ、赤黒い顔をゆらゆらと
揺らしている。昏倒するのも時間の問題かもしれない。
「―――ときに豊作。そん文書の内容、だれかに言うただか?」
「いいえ、誰にも。これは完成してからチチにプレゼントしようと思っていたので、
 それまでは秘密にし…アッ」
ドンッと床を鳴らして立ち上がった三人に囲まれ、豊作は思わず仰けぞった。
「しゃべっただかッ!?」
「…ひとりだけ」
「誰に言うただ?」
「ずいぶん前のことですが、サングリア文書に興味があるという男性が訪ねて
 きたことがあって、その人とちょっと話を…」
「そん男の名は?」
「たしか…クラモリとかいう、メガネをかけた男で…」
蔵守正造、五代の報告書に載っていたあの男だ。
「所属は東西古文書研究所、兼六が脱税目的で運営する組織でございますな」
「…ケンロク?」
事の成り行きに耳を済ませていたダイキリが、はたと膝を叩いて語りだした。
「あれは昨年の今ごろだったか。我が国の採掘権を買いたいと…」
王室に申請があったのだ。
250これ、いただくわ 60:2006/03/27(月) 10:24:09
「たしか、ケンロク鉱業とかいう…」
マイタイにおいて採掘は国営事業。外資は一切参入できないということは、採掘
業界ではよく知られた話だ。にもかかわらずしつこく食い下がり、ピンガが顔を
顰めていたことを思い出したのだ。
そしてその直後のことだった。王の側近が消え、ジュニアから第一の脅迫があっ
たのは。
ピンと弦を張ったような緊張が走る――とその時、バタンと大きな音を響かせて
扉が左右に開け放たれた。
「旦那さまあっ!」
興奮の面持ちで駆け込んできたのは名輪だ。
「チ、チチ様を連れ去った車の行方がわかりましたあっ!」
「なにっ!?」
あれから名輪は関東一円の運転手仲間と連絡をとり、情報収集に奔走していた
のだ。そしてついに最終目的地と思われる場所を探り当てたのである。
「車は一般道を東京方面へ南下、一旦神奈川へ入り環状線を迂回しつつ、再び
 都内へ。最後の目撃情報は東京都○区東町8番地、兼六データセンターへの
 ゲート内ですッ」
―――チチと古文書はセットだ。
蔵守と名乗る男を通して内容を知った兼六が文書を強奪。しかし一向に採掘許
可を出さない王室に業を煮やし、マイタイの反乱分子と結託して全国土的採掘
権を手に入れようとしたのだ。
「でかしたッ! 五代、悠理はッ」
「は、嬢ちゃま方は予定通り、例の件でお出掛けになっておられますッ」
「よし、すぐに連絡をとるだがや!」
がぜん意気の揚がってきた万作に、豊作もようやく笑顔を取り戻した。
「ああ父さん、やっと信用してくれたんですね。力説した甲斐がありま…」
「アホッ!」
と万作は一喝する。
251これ、いただくわ 61:2006/03/27(月) 10:25:07
「そんなもん誰が信じるだがやッ。いま問題なんは、その与太話を真に受けた
 阿呆がおめ以外にもおるっちゅうことだがやッ!」
がっくりきた豊作であったが、考えてみればその通りだ。文書の真偽は別にして
も、それが契機となってチチが攫われてしまったのは事実らしい。
又ぞろ不安がぶり返して、オロオロと縋るような目を向けた豊作。その脇では
五代がせかせかと携帯電話を操作しながら、ダイキリと豊作に向けて古文書奪
還作戦を手短に説明した。
「ぼくのために悠理が…」
「そうでございますよ。嬢ちゃまはお優しい方でございますから。さ、坊ちゃま」
促がされるまま携帯電話を耳にあてると、目の前で父が頷いていた。せめて
事態を告げる役目くらい果たせと言うことらしい。
萎えそうになる気力を振り絞って呼び出し音に耳を済ませていると、ダイキリが
ぼそっと囁いた言葉がザックリ胸につき刺さった。
「またミロクが…ミロクがチチを助けてくれる」
見る見る萎んでいく豊作。五代は堪らず目を伏せた。
252これ、いただくわ 62:2006/03/27(月) 10:26:10
ほっぽり出された地下道に有刺鉄線。この説明から穴蔵のようなものを想像し
ていた美童と野梨子は、きちんと舗装されたそれにホッと安堵した。
「ふつうの地下道ですわね」
入り口には有刺鉄線もなく、なだらかなスロープが地中へと潜っていくだけだ。
これならば蛇やコウモリに出くわす心配もないだろう――否、コウモリはいるか
もしれない、この暗さならば。使われていないだけあって、照明のたぐいは皆無
なのである。
「い、行きますわよ」
「うん…」
にわかに高まる緊張におのずと口数も減るが、しかしここで引き返すわけにも
いかず、一歩、また一歩。まるで地雷原にでも踏み込んだかのような足どりで
地中の道を進んでいく。
いくらも進まぬうちに外光が届かなくなったのは、道がうねっているせいだ。
あたりは鼻をつままれてもわからぬほどの真っ暗闇。平衡感覚さえあやしくさせ
る高密度の闇が手に足にまとわりついてくる。
その上どこからかポタリ、ポタリと聞こえてくる水の滴りがうす気味の悪さに拍車
をかけて、先を歩く野梨子は思わず唇を震わせた。
「美童、あまり離れないでくださいな…」
さっきまでのツンケンした態度とは打って変わり、その声音は随分としおらしい。
闇への恐怖、それに敵地へと忍び込んだ緊張がより合わさってそんな調子にな
るのだろう。
美童にしても不安の海を泳いでいるようなものなのだが、眼の前でいかにも頼り
なげな声を出されてはそうも言っていられない。
「大丈夫、僕ここにいるから」
囁き声でこたえてやると、安堵の吐息が小さく聞こえた。
253これ、いただくわ 63:2006/03/27(月) 10:27:23
美童は苦笑する。
自分がついていたところで、なにが大丈夫なものか。腕力の無さは言わずもが
な。度胸という点においても野梨子のほうが数段上だろう。
そんなことは互いに百も承知のはずなのに、このような会話が成立するのだか
ら男女の性差は奥深い。
「足もと、気をつけて」
「ええ」
「寒くない?」
「大丈夫ですわ」
「お腹、空いてない?」
「こんな時に…私は悠理ではありませんわよ」
表面的な労わりの言葉が美童の不安をみるみるほぐし、平常心を取り戻すまで
にさほどの時間はかからなかった。
(お化け屋敷みたいだなあ)
そんな暢気な考えが浮かぶようになった頃、ふと思い出したのが何時であったか
可憐が何気なく口にした一言だった。
『ねぇこのごろ野梨子へんだと思わない? 何かあったのかしら』
この時は適当な相槌で流してしまったのだが、改めて思い起こしてみると確かに
様子が違っていたように思う。
考えてみれば、機械音痴の野梨子が魅録の手伝いにあそこまでの情熱を示した
のもおかしな話だ。一体なにが野梨子を駆り立てていたのだろうか。
(清四郎とケンカでもしたのかな? でもイヤミの応酬ぐらいならいつもやってる
 し。それ以上のことって言うと…)
言うと?
(…無理やり何かされちゃった、とか?)
まわりを取り囲む非日常が、一足飛びにそちらの路線へと思考を導く。
254これ、いただくわ 64:2006/03/27(月) 10:28:55
瞬時にして想像の及ぶ限りのあんな事やこんな事を頭の中に列挙した美童は
う〜んと唸ってライトの光をすこしだけ上げてみた。
暗闇に浮かび上がる華奢な後ろ姿。
厚さわずかにコンマ7mm、被膜のような羽衣によってあらわになった曲線は
痛々しいまでの清らかさを発散している。
可憐の放つ物理攻撃さながらの色香とは違い、野梨子の場合、慈しみ守って
やりたいという庇護心を十二分に刺激しながら、同時にそれを凌駕する勢いで
苛虐心を煽りたてる類のそれなのだ。
恥じらったり、怒ったり、怯えたり。そういった負の感情があらわになればなる程
ますます怪しげな香が匂い立つ。サディストの素質を存分に具えた清四郎の嗅
覚がそれを見逃すはずはない。
彼の鉄壁の自制心だとて、野梨子の無自覚な色香の前には砂上の楼閣、脆くも
崩れさるのは時間の問題であったろう。辛抱に辛抱を重ねたあげく、ついに劣情
を爆発させてしまったとしても、誰が清四郎を責められようか。
(なるほどねェ…)
そう結論した美童は、今回のパートナーが自分であったことにホッと胸を撫で下
ろした。
「僕でよかったね、野梨子」
「なにがですの?」
「なんでもないよん」
勝手に清四郎を悪役に仕立てた美童は、
(安心して。僕はへんなことしないから)
と口中に軽くつぶやき、再び前方を照らしてみる。
淡い光が野梨子をつつんだ灰色の被膜を嘗め、まるでそれ自体が発光してい
るかのような幻想的な空気を醸し出す。手を出すつもりはサラサラないが、
清四郎の妄挙も致し方なしと思える光景である。
255これ、いただくわ 65:2006/03/27(月) 10:30:59
「だいじょうぶ、野梨子? 僕ここにいるからね」
ついフラフラと近づき、寄り添うようにしてもう一声かけてやると、闇よりもなお
黒い髪がサラリと流れて人形のように整った横顔が見えた。
けれどもその瞳は刃のように鋭くて。
「ライトは下へ。今度こちらへ向けたら、本気で怒りますわよ?」
―――これもまた彼女の魅力のひとつ。迂闊に近寄れば眼差しひとつで殺さ
れる。
「…はい。ごめんなさい」
愚にも付かないことを考えている内に、もう半ばは過ぎただろう。
「これなら私たちでも…」
「なんとかできそうだね」
束の間たち止まって向かい合い、任務達成を確信したその矢先であった。
突然。
「――ッ!?」
背後から放たれた強烈な閃光がふたりを包み込んだ。
驚愕に目を見開く野梨子たちに向かい、猛烈なスピードで接近してくるのは
一台の四輪駆動車だった。

       (つづきます)
256名無し草:2006/03/27(月) 11:23:50
>これ、いただくわ
キターッ! 大好きなんです作者さんアリガトウ
言葉の使い方が妙にツボです。
五代=筋交とか。
続きお待ちしております〜
257名無し草:2006/03/27(月) 19:38:01
>>これいただくわ
楽しみに読んでたから戻ってきてくれてウレシイ。

とことんヘタレな豊作がなぜか可愛くて可愛くて……ww
ヘタレ豊作が誘惑されるストーリー読みたいなぁ。
258名無し草:2006/03/27(月) 22:43:09
連載読めるのうれしいです(しかも大量up!)、乙です。
これからの展開を大いに期待してます。
259名無し草:2006/03/30(木) 10:32:32
「華と散る」うpします。清×野です。
260華と散る 清×野(19):2006/03/30(木) 10:33:25
>>240

「なんで清四郎を避けてるの? なにかあった?」

ほんとに美童は油断ならない。
野梨子の変化は一日で見破られてしまった。
怒った顔で視線をそらせ顔を赤らめていると、まるでイエスと言ってるようだと
「なにもありませんわ」
やっと言ってみたものの、あっさりと
「ふーん、なにかあったんだぁ」
とまるで透視されているようだ。

彼女が反論するより早く、美童の言葉が野梨子を打った。
「清四郎もひどいよね。悠理にあんなことしといてさ」

思わず美童の顔を見る野梨子に、美童は苦笑した。
「清四郎も男だったってことかな」

野梨子の顔はこわばった。
そうだ、清四郎は悠理にキスを……。
そして私にも。

「野梨子は清四郎のことを何とも思ってないんだと思ってた」
煩悶する野梨子は美童の声に我に返る。
ズキズキする胸を押さえて笑顔を作った。
「え……そうですわ、なんとも……」
261華と散る 清×野(20):2006/03/30(木) 10:34:58
「だよね。野梨子は悠理を応援してるんだもんね」
「……ええ」
「僕も悠理にはがんばってほしいと思ってるんだ、可憐には悪いけど。
 清四郎と悠理ってけっこうお似合いじゃない?」
「そう……ですわね」

美童は静かに微笑んだ。

彼が去った後、野梨子は静かに涙をこぼす。
そっと唇に指で触れた。


『野梨子……僕は……あなたが……』


上ずった清四郎の声。熱っぽい彼の瞳。
もしかしたら、と思ったのは錯覚だったのか。

真っ赤になってうつむいた悠理の姿を思い出す。
「あたし、清四郎が好きなんだ」
262華と散る 清×野(21):2006/03/30(木) 10:35:28
あのとき、どうして本当のことを言えなかったのだろう。
私も、と。
私もずっと好きでした、と。
ずっとずっと彼ばかり見てきて、彼の声を聞くことだけを楽しみにしてました、と。
彼に叩かれた肩が熱くなったり、ノートを貸したときにわずかに触れる指先が愛おしくて。

でも自分から告げる勇気は無くて。
このままどうもならなくていい。
このままずっと側にいてくれたら、ずっとずっと彼だけを見て。
ずっとずっと彼のことを、清四郎のことだけを見ていられたらと勝手な願い。

ごめんなさい、悠理。

私も、清四郎が好きなんです。

この気もち、どうしたらいいの。

野梨子は静かに涙を流し続けた。


つづく
263名無し草:2006/03/30(木) 17:26:09
>華
野梨子の気持ちに、胸がギュっと締め付けられた・・・。
美童は、野梨子の気持ちに気がついてないのかな?
野梨子の変化をすぐ見破るくらい鋭いのに。

それにしても清四郎モテモテですな。
264名無し草:2006/03/30(木) 21:45:18
この話の野梨子って可愛いですね。
表では素直じゃないのに、実は健気に清四郎を想う様とか。
こういう娘って、私的にストライクですw
265名無し草:2006/03/31(金) 19:03:24
>華と散る
ストーリーで、今の所美童が気になる。
何を考えてるのか一番読めないなぁ。
266名無し草:2006/03/31(金) 20:35:00
華と散る、うpさせてください。清×野ですが、今夜は魅×悠です。
267華と散る 清×野(22):2006/03/31(金) 20:35:37
魅録は苦い思いで可憐の言葉を思い返しているところだった。

「私、悠理はてっきり魅録のことが好きなんだと思ってたわ」

  俺もそう思ってたんだ。

振向くと、白い花が目に入った。
雪山のような花の群れが妙に胸に痛かった。


「こんなところにいたんだ、魅録。なに、話って」

剣菱家の広大な庭園。
庭で待つという魅録を悠理がやっとのことで探し当てたとき、
彼は二本目のタバコに火をつけたところだった。

見事な雪柳が群生している。
白く小さな花がしだれている様は滝のようであった。

待ち人が来たのにもかかわらず、魅録はちらっと悠理を見ると
雪柳のしげみの裏へ回っていく。
訝しく思いながらも悠理は彼について歩いて行った。
268華と散る 清×野(23):2006/03/31(金) 20:36:06
そこは白い花の群れに囲まれて、あたかも一つの部屋のようであった。
悠理は思わず声をあげる。
「おえー、すごいな。全然知らなかった、うちにこんなところがあるの」
うれしくってくるくる回ってみる。
その様子を魅録は白い煙を吐きながらじっと見ている。

「すげー。きれーい」
くるくる回る悠理の視界を真っ白な花が埋め尽くす。
と、回り続ける彼女を背後から魅録がつかまえた。

「なに、くるくる回ってるんだよ。あぶねえよ」

回りすぎたせいで、視界が揺れる。
「あ、うん」
悠理は笑って振り向こうとしたが、魅録の手ががっちりと肩に食い込んでいた。
「? どうした、魅録?」

肩をつかんだがっしりとした手がするりと滑り出す。
その腕は悠理の胸の前で交差し、しっかりと彼女の体を捕捉した。

悠理の頭に魅録の頬が当たっている。
魅録は彼女の髪に頬ずりしているようだった。
戸惑いながら、悠理は魅録の顔を見ようとする。

「えと、なに? どうしたの、魅録」

悠理の耳に押し殺したような魅録のつぶやきが聞こえた。

「好きだ、悠理」
269華と散る 清×野(24):2006/03/31(金) 20:36:54
その言葉を理解するや否や、悠理は魅録の腕から脱出しようとした。
「……ごめん、魅録、はなして……」
「悠理……!」
魅録は全力で彼女を抱え込んだ。
悠理の声は悲鳴に近くなる。
「はなせよ、魅録」
「いやだ」
「やめろ……やだ!」
「悠理!!」

二人はもつれ合って、白い花の中へ倒れ込んだ。
押さえつけようとする魅録を蹴りつけて、悠理が逃げ出そうとする。
その足首をつかんで引き倒すと、魅録はすかさず彼女の上に回りこみ、どうにか彼女の動きを封じた。
しばらく二人は息を荒げて睨み合っている。
ふいに魅録が顔を近づけてきた。

体の動きを封じられていた悠理は咄嗟に避けることもできない。
悠理の赤い唇に魅録の唇が重なった。深く。深く。
荒々しくからめてくる魅録の舌に悠理は息が止まりそうな思いをする。
「……み」
彼女の髪を愛撫しながら、魅録は口吻をやめようとはしない。
何度も、何回も、繰り返す。
まるで自分でもその行為を止められないかのように。

「悠理……悠理……」

270華と散る 清×野(25):2006/03/31(金) 20:37:26
「悠理……悠理……」

うわごとのように呼ぶ愛しい名前。
気づくと悠理は腕の中で静かになっていた。
唇が妙に赤くて痛々しい。
しっかりとつぶっていた目を魅録が名前を呼ぶとうっすらと目をあける。
小さくつぶやいた。

「もう、終わったの?」

魅録は我に返って、彼女を解放した。
起き上がった彼女の頬に小さな泥汚れがついている。
その泥を涙が洗い流していった。

激しい後悔の念が魅録を襲った。
涙をこぼしながら立ち上がる悠理の姿がぼやける。

「ゆ、悠理……俺……」

悠理はゆっくりと雪柳の向こうに消えた。

「バイバイ魅録」


つづく
271名無し草:2006/03/31(金) 23:36:31
>華
み、魅録ー!! _| ̄|○
魅録好きなんで辛い展開だ
いつか魅録に幸あれ〜
272名無し草:2006/03/32(土) 15:18:53
おおー魅×悠きてる〜。
花に囲まれながら、くるくる回る悠理が可愛い〜。
そして、魅録の行動にまさかこのままR展開になってしまうのか?と
ドキドキ(少し期待)してしまった(w
皆せつない思いをしていますね。
話が少しずつ動くのを楽しみにしてます。
273名無し草:2006/03/32(土) 17:56:42
日付がなんで3月32日なんだ……
274名無し草:2006/03/32(土) 20:35:00
エイプリルフールだから?
275名無し草:2006/03/32(土) 20:48:28
魅録頑張れ
魅悠だと高校生っぽくて例えRになっても
なんだか初々しくて清々しいわ
276名無し草:2006/03/32(土) 22:16:16
>>274
そっかそっか。教えてくれてありがとう。
他の板でも騙されてやんのと言われてる人がいた……Orz
277名無し草:2006/04/02(日) 20:41:09
勇敢クラブ
278名無し草:2006/04/04(火) 11:06:42
由香理あげ
279名無し草:2006/04/05(水) 03:27:26
成分分析なるものを有閑倶楽部でやってみた

●有閑倶楽部の成分解析結果 :
有閑倶楽部の67%は運で出来ています。
有閑倶楽部の31%はやましさで出来ています。
有閑倶楽部の2%は苦労で出来ています。

●菊正宗清四郎の成分解析結果 :
菊正宗清四郎の46%は知識で出来ています。
菊正宗清四郎の29%は理論で出来ています。
菊正宗清四郎の14%は根性で出来ています。
菊正宗清四郎の9%は努力で出来ています。
菊正宗清四郎の1%は世の無常さで出来ています。
菊正宗清四郎の1%は睡眠薬で出来ています。

●白鹿野梨子の成分解析結果 :
白鹿野梨子の58%は乙女心で出来ています。
白鹿野梨子の33%は優雅さで出来ています。
白鹿野梨子の5%は覚悟で出来ています。
白鹿野梨子の3%は知識で出来ています。
白鹿野梨子の1%は誇りで出来ています。
280名無し草:2006/04/05(水) 03:27:59
●松竹梅魅録の成分解析結果 :
松竹梅魅録の42%は犠牲で出来ています。
松竹梅魅録の21%は電力で出来ています。
松竹梅魅録の17%は機械で出来ています。
松竹梅魅録の16%はマイナスイオンで出来ています。
松竹梅魅録の4%は華麗さで出来ています。

●剣菱悠理の成分解析結果 :

剣菱悠理の38%は宇宙の意思で出来ています。
剣菱悠理の36%は体力で出来ています。
剣菱悠理の14%はお菓子で出来ています。
剣菱悠理の12%は金で出来ています。

●美童グランマニエの成分解析結果 :
美童グランマニエの80%は女で出来ています。
美童グランマニエの12%は欲望で出来ています。
美童グランマニエの8%は気品で出来ています。

●黄桜可憐の成分解析結果 :
黄桜可憐の69%は玉の輿で出来ています。
黄桜可憐の20%は希望で出来ています。
黄桜可憐の7%はやさしさで出来ています。
黄桜可憐の4%は宝石で出来ています。

感想募集。
281名無し草:2006/04/05(水) 08:26:26
>279-280
成分解析、私もダウンロードしたよ。
おもしろいね。
ところで私の持ってるのと>279-280が微妙に結果が違うのだが、バージョン違うのかな。

ちなみに
☆菊正宗清四郎の成分解析結果 :

菊正宗清四郎の46%は希望で出来ています。
菊正宗清四郎の29%は努力で出来ています。
菊正宗清四郎の14%は根性で出来ています。
菊正宗清四郎の9%は世の無常さで出来ています。
菊正宗清四郎の1%は理論で出来ています。
菊正宗清四郎の1%は睡眠薬で出来ています。


☆剣菱悠理の成分解析結果 :

剣菱悠理の58%はお菓子で出来ています。
剣菱悠理の36%は知識で出来ています。
剣菱悠理の4%は柳の樹皮で出来ています。
剣菱悠理の1%は理論で出来ています。
剣菱悠理の1%はアルコールで出来ています。

どっちにしろ間違いなく清四郎には睡眠薬が含まれているが、
悠理のお菓子含有率は上がっているw
282名無し草:2006/04/05(水) 11:09:41
>289
わたしもこれ少し前にダウンロードしたよ。
279の見て、何でこんなに当たってるんだと思ったけど、
私がやったのと違ったぜ。
でもおもしろかったよ。
でも本当の答えかい、これ。本当だったらすごいw

>281
私も281と同じだ。多分一番新しいヴァージョン。
でも、2人だけじゃかわいそうだぜ。
残りのメンバーの載せてみる。

白鹿野梨子の成分解析結果 :
白鹿野梨子の58%は夢で出来ています。
白鹿野梨子の33%は優雅さで出来ています。
白鹿野梨子の5%は欲望で出来ています。
白鹿野梨子の3%はハッタリで出来ています。
白鹿野梨子の1%は電波で出来ています。

松竹梅魅録の成分解析結果 :
松竹梅魅録の42%は犠牲で出来ています。
松竹梅魅録の21%は海水で出来ています。
松竹梅魅録の17%はカテキンで出来ています。
松竹梅魅録の16%はマイナスイオンで出来ています。
松竹梅魅録の4%は華麗さで出来ています。
283名無し草:2006/04/05(水) 11:11:34
美童グランマニエの成分解析結果 :
美童グランマニエの80%は花崗岩で出来ています。
美童グランマニエの7%はツンデレで出来ています。
美童グランマニエの5%は祝福で出来ています。
美童グランマニエの2%は蛇の抜け殻で出来ています。
美童グランマニエの2%は運で出来ています。
美童グランマニエの1%はやさしさで出来ています。
美童グランマニエの1%は株で出来ています。
美童グランマニエの1%は信念で出来ています。
美童グランマニエの1%は夢で出来ています。

黄桜可憐の成分解析結果 :
黄桜可憐の80%は小麦粉で出来ています。
黄桜可憐の8%は電力で出来ています。
黄桜可憐の8%は度胸で出来ています。
黄桜可憐の4%は下心で出来ています。

あまりそれっぽくないのも多い。
可憐の80%は小麦粉て。
美童のツンデレと野梨子の欲望は、逆の方がいいような気がするし、
でも美童のツンデレはぜひ見てみたいw
それにしても美童の項目が多いな。
284名無し草:2006/04/05(水) 13:05:04
魅録の半分が犠牲でできているのが泣ける。
285名無し草:2006/04/05(水) 16:09:10
>279 280
スマソ 家族に聞いたら私のは今年初めにダウンロードした古いやつらしいです。
今のやつもダウンロードしてみたら281と同じになりました。
逝ってきます
286名無し草:2006/04/05(水) 17:22:53
>285
GJ!
新しい方より古い方の解析的中率すごw
美童や可憐なんてほぼそのままだ。清四郎や野梨子もかなり。
魅録の犠牲や悠理の宇宙の意思はよく分からないけど、他の部分はなかなか。
古い方の解析見れておもしろかった。
287名無し草:2006/04/05(水) 19:17:21
>286
私は逆に悠理の宇宙の意志と魅録の犠牲に妙に納得したよ。
悠理のわけのワカラン器の大きさと、それゆえの尻拭い役である魅録、みたいな。
清四郎の1%の世の無常と同じく1%の睡眠薬も同じく偉大なる悠理様の所業によるものかとw
288名無し草:2006/04/05(水) 20:06:04
ヘロインがまだ体内に残っているのかw
289名無し草
彼らは今だったらどんな事件を起こしてくれるだろうかw