1 :
名無し草:
2 :
名無し草:2005/03/26(土) 20:06:49
3 :
名無し草:2005/03/26(土) 20:07:31
4 :
名無し草:2005/03/26(土) 20:08:13
<お約束>
・sage推奨でお願いします(メール欄に半角文字で「sage」を入れる)。
・ここは社交場ですので特に形式は決めません。質問・雑談・作品発表ご自由に。
・作品にはΨ(`▼´)Ψ系もアリアリなので、気にいらないならスルー、煽りや荒らし・AAは完全放置。
・自作自演はご自由に。 わかる人にはわかります。 自演だと決め付けるカキコはただのあらしなので無視。
・特定の作家・作品への荒らしに対する反論・擁護も不要。 反応したあなたも荒らしになる。
・擁護するより作品への感想をカキコしよう。
・批評とあらしは違う。 批評はあくまでも冷静に、言葉を選んで愛情を込めて。 スレも荒れないしそれが作家の望むこと。
あとは常識的マナーの範囲で。
<作品掲載について>
・非公式ファン交流広場なので、原作者及び出版元とは一切関係ありません。
・王家を愛する作家さんたちの創作も大歓迎です。
・作家さんは名前欄に作品のタイトルをお願いします。
連載の場合は巻頭に通しb書き、「>○○」という形で前作へのリンクを
またアップが終了したら文末に「続く」と記入してもらえると助かります。
・18禁作品にはタイトルにΨ(`▼´)Ψを記入して下さい。
_,,..i'"':,
|\`、: i'、
.\\`_',..-i
.\|_,..-┘
5 :
名無し草:2005/03/26(土) 20:08:36
<創作読みの願い〜作家様へ>
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,__ | 投稿中断の際は 一言下さい、お願いします。
/ ./\ \__________________
/ ./( ・ ).\ o〇 ヾ!;;;::iii|//"
/_____/ .(´ー`) ,\ ∧∧ |;;;;::iii|/゙
 ̄|| || || ||. |っ¢..|| ̄ (,, ) ナモナモ |;;;;::iii|
|| || || ||./,,, |ゝ iii~ ⊂ ヾwwwjjrjww!;;;;::iii|jwjjrjww〃
| ̄ ̄ ̄|~~凸( ̄)凸 ( ,,)〜 wjwjjrj从jwwjwjjrj从jr
スレたて乙です!
お約束をちゃんとしてくれてありがとうございます。
このスレもマターリマターリいきましょー
7 :
名無し草:2005/03/26(土) 20:51:09
8 :
名無し草:2005/03/26(土) 21:10:59
祝いじゃ。受け取れ。
.,v─ーv_ 〕 〕 .| .il゙ 《 ._ .,,l(ノ^ノ
,i(厂 _,,,从vy .,i「 .》;ト-v,|l′ _,ノ゙|.ミ,.゙'=,/┴y/
l ,zll^゙″ ゙ミ .ノ .il|′アll! .>‐〕 \ _><
《 il|′ フーv,_ .,i″ ||}ーvrリ、 ¨'‐.` {
\《 ヽ .゙li ._¨''ーv,,_ .》′ ゙゙ミ| ,r′ }
\ ,゙r_ lア' .゙⌒>-vzト .ミノ′ 〕
.゙'=ミ:┐ .「 ./ .^〃 :、_ リ .}
゙\ア' .-- ,,ノ| 、 ゙ミ} :ト
゙^ー、,,,¨ - ''¨.─ :!., リ ノ
〔^ー-v、,,,_,: i゙「 } .,l゙
l! .´゙フ'ーv .,y ] '゙ミ
| ,/゙ .ミ;.´.‐ .] ミ,
| ノ′ ヽ 〔 ミ
} } ′ } {
.| .ミ .< 〔 〕
.{ \,_ _》、 .{ .}
9 :
名無し草:2005/03/26(土) 22:12:11
新スレ乙 乙〜〜〜〜
10 :
名無し草:2005/03/27(日) 12:50:18
おち おち おちんちん
そち そち そちんちんブラザーズ
11 :
名無し草:2005/03/27(日) 22:52:08
王家の紋章@2chダイジェスト暫定版いってきました。
改めて力作ぞろい、堪能させていただきました。
管理人さん乙です!
途中までしかない作品もいくつかあるんですけど
どなたかコピペとかして持ってないでしょうか〜
12 :
名無し草:2005/03/28(月) 00:58:00
13 :
名無し草:2005/03/28(月) 05:33:07
>>11 >>2を見れ。暫定版さんにない作品は、まとめサイト(仮)さんにある。
過去ログも。ここでなければ、中断か未完ということ。
14 :
名無し草:2005/03/28(月) 12:05:01
ダイジェストサイトの管理人さんがた
いつもお世話になってます!
「エジプトの王妃」って未完なのですか?
未完だとしたらかなり話も進んでいるのにもったいない・・・
15 :
名無し草:2005/03/28(月) 12:25:44
16 :
名無し草:2005/03/28(月) 14:52:36
王家の紋章 2chまとめサイト(仮)も充実〜♪
ありがとうございます。
17 :
名無し草:2005/03/28(月) 15:05:34
14です。
>>15 そうですね。すみませんでした。
マターリ作家さまを待ってマツ。
18 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:12:55
こっちはマターリしてるwww
>>前スレ700
48
「メンフィス…!メンフィスったら!」
二頭立ての馬車の激しい揺れに負けそうになりながらもキャロルは声を張り上げる。でも人々の歓呼と祝福の声に、キャロルの細い声はかき消されてしまう。
「メンフィス!さっきのあれは何?」
「婚儀だ!簡略になったのは仕方ない。私はもう待てぬゆえ!」
メンフィスは長身を折り曲げるようにしてキャロルの耳朶に答えた。
「もう喋るな!舌を噛むぞ!」
メンフィスは馬車を牽く馬達にさらに鞭をくれた。
「ファラオ、ナイルの王妃様!神殿での儀式も無事終わり、まことに重畳でございます。ファラオご夫妻が改めて結ばれました婚儀の絆の末永きことを我ら臣下一同、心よりお祈り申し上げます!」
大広間にイムホテップの声が響き渡る。
「ファラオご夫妻のお幸せの末永きことを!お二人の治世の幾久しいことを!」
臣下が唱和して、大広間は宴の場となった。
「そのように固い顔で居られては困るな」
メンフィスはキャロルに囁きかけた。混乱して泣き出しそうなキャロルにメンフィスは傲然と言い放った。
「そなたをどこにもやらぬと先から申し聞かせておろう。そなたをもう他所には行けぬ身にする。これは命令だ!そなたは私の妃なのだ、逆らうことは許さぬ!」
(メンフィスは本気だわ。私はメンフィスを…愛しても…愛してはいけないのに…!)
とうとう涙を零してしまったキャロルを、メンフィスは軽々と抱き上げた。
「王妃は疲れているようだ!今宵はもう下がらせてやろうと思う。
皆は私達の婚儀の祝宴を堪能して欲しい。我らの喜びを神々も嘉納せらるであろうゆえに!」
人々のいささか好色な祝福の声を後ろに聞きながら、メンフィスはキャロルを抱いたまま、松明に照らされた回廊を進んでいく…。
49
月が明るくナイルに面した回廊を照らす。全ては銀色の光を纏い、この世ならぬ美しさを湛えている。
「メンフィス…!嫌っ、離して、降ろしてったら!こんなやり方、ひどい!」
キャロルは必死にもがくが、彼女を縛めるように抱くメンフィスの腕は無情なまでに頑健だった。
「お願い、家族のところに帰して!こんなの嫌…ぁ」
泣き出したキャロルを、メンフィスは哀しさと怒りの入り混じった瞳で見つめた。
「…静かにいたせ。これ以上、私を…苛立たせるな…。私を…愛しているのであろう?」
不意にメンフィスが足を止めた。キャロルを抱く大柄な体がみるみる緊張し、殺気を放つ。
「メ、メンフィス…?」
メンフィスの視線を辿ったキャロルは小さく息を呑んだ。
「カーフラ…王女…!」
銀色の光を浴びて、不吉な亡霊のようにカーフラ王女が立っていた。あれほどの美しさを誇った驕慢な王女の面影は、もはや無い。
傷を受けた右腕は、ひねこびた枯れ木のようにやせ衰え、妙な角度に曲がったまま肩からぶら下がっている。おそらくは動くこともないのであろう。
豊満であった体の線も無残に崩れ、蓬髪の下の窶れ果てた顔の中でぎらつく眼だけが悪鬼めいて目立った。
「キャロル…」
メンフィスはキャロルを降ろして背後に庇い、軽く押した。
「広間まで一気に走れ…!」
「メンフィス様…。何故にそのような小娘を大切になさいますの…?私はあなた様のために全てを失いましたのに…っ!」
左手に隠し持っていた刃が月光を受けて不吉に光る。王女は信じられない速さでメンフィスに襲いかかった。
「口惜しや、メンフィス様…っ!」
21 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:19:43
引越しのはじまりですねw
50
ここで少し時間は戻る。
キャロルとメンフィスがちょうど神殿に詣でていたその時。
ここリビア王親子の滞在する宮殿の一室では血腥い事件が起こっていた。
怒りのあまり、顔を赤黒く染め、肩で息をするリビア王の足元には血まみれの死体が、転がっている。
「お、王よ…。これは一体…?」
事切れているカーフラ王女の乳母を見て、震える声で尋ねるムビリ大臣に、リビア王は憮然とした声で答えた。
「この馬鹿が…カーフラめが一人で外に出る手引きをしよったのじゃ!」
「王女が…お一人で…? あ…もしや、王女が怪我をなされたあの夜でございますかっ!」
「知れたことよ!」
王は血と脂で汚れた剣を投げ捨てた。
「…こやつがあの夜、カーフラがナイルの王妃の寝所に行くことを許して、あまつさえ手引きまでしたのだ!ふん、黙っていればまだ良いものを、怖気づきおってわしに告白などしおって!
カーフラは刺客に襲われたのではない!自分で…怪我をしにいったのじゃ!この宮殿の警備の兵に咎はないわ。王女はナイルの王妃の寝所で斬られたのじゃよ!」
リビア王はムビリ大臣をぐいと引き寄せた。
「帰国の準備を!あの馬鹿の巻き添えで国を滅ぼすのは真っ平じゃ!」
「お、王女はどうなされます?」
「…どうなろうと知るか!どのみちあの深手じゃ!王妃の寝所に行ったカーフラを斬れる者は一人しかおらぬっ!わしらは泳がされておったのよ!」
カーフラ王女は扉の陰から全てを見てしまっていた…。
51
(ばれていたのだわ、全て…!)
ぐらつく体を垂れ幕で支えて、カーフラ王女は荒い息を繰り返した。
自分をあれほど甘やかし、一緒になってエジプト王妃の地位を手に入れんとしてくれた父王は…今や自分の命と国を救うためにカーフラ王女を見捨てた。
(おお、乳母やが裏切るとは!お父様にばれるとは…!)
もう感覚のない傷ついた右腕が焼けるように熱くなった。
(私を斬ったのは…ナイルの姫の寝所に居ることのできる男…やはりメンフィス様…!もしやとは思ったけれど!おお、あの時、あの声!拷問まがいの手当てを受けた時も!
……メンフィス様は全てを知って、この私を…リビアの王女たる私を嬲って愚弄して…苦しめた!おお、あの憎いナイルの姫のために!)
「何故にナイルの姫ばかりが…ファラオのお心を占めるの!何故に私がこのような目に遭わねばならないの!こんな…こんな体になって!
おお、憎い!憎い、憎い、憎いっ!ナイルの姫も、ファラオも、お父様も!」
カーフラ王女の顔は憎しみと怒りで醜く歪んだ。変わり果てた体の中で憎しみの炎が一気に燃え上がり、魂を、理性を焼き尽くす。
「……無くなってしまえばいい、何もかも。ナイルの姫も、メンフィス様も、私も、何もかも!」
カーフラ王女の顔に初めて笑みが、凄絶な悪鬼の笑みが刻まれた。
そしてカーフラ王女は部屋を抜け出し、回廊で憎んでも憎み足らぬ二人にぶつかるようにして斬りかかった。
「死ぬがよいっ!」
王女の刃は、キャロルに気を取られ一瞬の隙を見せたメンフィスの左上腕を切り裂いた。
メンフィスは、はずみで思わず膝を付き、流れる血が重い音をたてて回廊に零れる。
24 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:21:35
25 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:21:38
キタタタタタタタタタ━(゚(゚ω(゚ω゚(☆ω☆)゚ω゚)ω゚)゚)タタタタタタタタタ━!!!!!
1様、スレ立てありがとうございました。
さっそく書かせていただきました。
27 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:22:24
待ってましたーーーっ!ヾ(≧∇≦)ノ
ゾクゾクする展開ですねーーーっ!
28 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:23:09
素晴らしいです・・・。
カーフラ哀れ、少し同情してしまうほどかわいそうな境遇ですね。
憎みきれない悪役ってのもいいです。
もうすぐメン様とキャロルの初夜かと期待してましたが
もう少しおあずけになりそうですね。
29 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:23:33
メンフィス4年後作者さん
ますます目が放せませんネ!!
メンフィスがカーフラに傷つけられてしまうとは・・・
キャロルもそろそろ自分の気持ちを素直に受け止めて欲しいです。
30 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:23:56
カーフラ、怖すぎです。
読んでいて絵を思い描いたら、ぞぞ〜っとしました。
2人には心から結ばれて欲しいけど、そうなったら連載終わっちゃう?
うう〜ん、唯一のメン様ストーリーだから終わらないで欲しいです。
31 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:25:34
メンフィス4年後作家様ぁ!!
続きが楽しみで眠れなくなりそうです。
32 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:25:58
こちらのスレ立てが2日早かったので、こちらを正規のものとして
重複に上がったメンフィス4年後様の作品を移動させていただきました。
>19〜>30は、重複スレにUPされた4年後作家様の作品と、それに対するレスの一部です。
感想された方、これも貼ってほしいというものがあったらあとはご自分でお願いします☆
33 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:28:49
>32
乙でした!
わかりやすいようあげとく
34 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:31:09
アホが向こう上げたから、またあげとく
35 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:31:43
乙です!!
ではこちらで作家様をお待ちしております。
36 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:41:48
とりあえず両スレともブクマしましたが
こちらを保守ということでいいですね。
>メンフィス4年後
早速新作ありがとうございます!
カーフラがこんな風に出てくるなんて思いもよりませんでした。
カーフラの描写、かなり怖いです。
原作ではコミカルなとこもあったけど凄絶ですねー。
続きも楽しみにしてます!
37 :
名無し草:2005/03/28(月) 19:51:40
>>32さま
ありがとうございました〜感謝感謝!
作家様たちお待ちしておりまする!
38 :
月影の詩:2005/03/28(月) 20:32:09
今日は作品の書き込みではなく、顔を出してすみません。
この場を借りまして、お礼とお詫びをいたします。
>>32様
スレの御誘導ありがとうございました。何のお力にもなれずにすみませんでした。
以後、こちらにて書き込みさせていただきます。
>>「抜けない棘」様
もう一つのスレに勝手にお名前を出して「抜けない棘様も困っていらっしゃるご様子
なので…」と書き込みして、ご迷惑をおかけいたしました。お許し下さい。
「抜けない棘」様の怜悧なまでの王子が王子ファンとしての私は大好きです。
次のうpお待ちしております!
本来、作家としてあまり表に出ない方がいいと以前ご指摘がありましたので、
再び潜伏いたしますが、今日ばかりはお許し下さい。
皆様、ありがとうございました(感涙!)
39 :
名無し草:2005/03/28(月) 21:26:38
作家の皆様、いつもありがd。
どうかこれからも楽しませて下さいませ。
ところで「怜悧な王子」って言葉かなり好き。ニンマリしちゃう。
メン様ファンだと「雄々しいファラオ」って言葉あたりが萌えるのかな。
40 :
名無し草:2005/03/28(月) 21:31:53
王子は怜悧だとはとても思えないけどね
頭悪そう
スレッドの重複に気づかず、もうひとつのほうに書きこんでしまい、ご迷惑をおかけしました。
こちらのスレッドにコピペしてくださった方、誘導をしてくださった方、本当にありがとうございました。
以後、こちらのほうに書きこみをさせてください。
42 :
名無し草:2005/03/28(月) 21:39:54
「雄々しいファラオ」萌えますね〜。
不遜で偉そうで、高飛車なファラオ・・・かなり好きです。
・・・ちょっとジャイアンだな、とか思ったりもするけど、
「女と見まごう美貌」だから、許しちゃう。細かいことはキニシナイ!
43 :
名無し草:2005/03/28(月) 21:41:59
>・・・ちょっとジャイアンだな
ワロタ
44 :
名無し草:2005/03/28(月) 21:47:05
45 :
名無し草:2005/03/28(月) 21:54:28
46 :
名無し草:2005/03/28(月) 22:15:30
マターリいこうや
47 :
名無し草:2005/03/28(月) 23:29:16
誘導age
48 :
名無し草:2005/03/28(月) 23:36:38
49 :
名無し草:2005/03/29(火) 01:19:17
メンフィス4年後 作家様、待ってました〜
今回も面白かったです〜
キャロル覚醒問題もあるし、しばらく連載続きますよね?
楽しみにしてるんで続けてください〜
50 :
名無し草:2005/03/29(火) 01:25:53
>>38 個人的には、
「作家としてあまり表に出ないほうがいい」
とは思ってないです。かえって親近感感じたり。
潜伏したほうが叩かれないかもしれないけど、
こんな意見もあるってことで。
51 :
名無し草:2005/03/29(火) 14:41:53
月影の詩さま、抜けない棘さま、いつもアリガトウです!!
私も個人的には50さんと同意見かな。
でも潜伏していた方が色々と無難でつね。
これからも期待してます!!(´∀`)
>>735 28
キャロルは部屋に閉じこもりがちになった。
イズミル王子はといえば、時間が許す限りはキャロルの傍にも居るが、
キャロルの目に触れない処で何らかの交渉をしているような気配をキャロルは感じてはいたが何も言わなかった。
部屋に閉じこもりながらメンフィスの最後を想った。
同じテーベの宮殿に居ながら、自分はもう自分の部屋はおろかメンフィスの部屋へも入れなくなってしまった。
せめてもう一度だけメンフィスの部屋に行きたい・・・。
あまりにも嘆き悲しむキャロルにルカも同情したのだろう、
こっそりとメンフィスの部屋へ導いてくれたのだ。
ナフテラが入れてくれた時にはまだ周りに側仕えの者もいて
部屋の主はいなくてもそこまで寂しい印象はなかったようにキャロルは思っていた。
なのに今こうしてルカと二人きり、メンフィスの閉ざされた部屋にいるとひしひしと孤独感が増していく。
使われない寝台、花の生けられない花器、
帳を下ろした薄暗く明るい日差しを遮った空間にはもう日常の息吹が感じられない。
以前この部屋へ入った時には今にもメンフィスが入ってきそうな雰囲気だったのに、
今はもう忘れ去られ人々の忘却の彼方へと流されていくよう。
こうしてメンフィスを忘れていくのか、キャロルはそう思うと悲しかった。
その時ルカがキャロルに静かにするように告げ、二人でキャロルの部屋に近い死角になる所へと隠れた。
ルカに尋ねようとしても、難しい表情をしてキャロルを我が身で隠すようにルカは身構えた。
29
扉の開閉する音に続き、衣擦れと足音が静かな部屋に響く。
締め切った空気の中に濃厚で高貴な女性が身につける香りが漂ってキャロルの鼻を擽った。
「・・・ここならば今は誰も近づかぬ、そなたも姿を見られてはおるまいな、ズアト。」
耳に届いたのは妖艶に響くアイシスの声だった。
「勿論でございますとも、アイシス様。この俺が今テーベに帰ってきたばかりで、誰も気づいてはいません。」
下卑た男の媚びた声が重なっていく。男は興が乗ったように話し続ける。
「アイシス様のおかげで、すんなりと宮殿に入ることもできました、誰も俺のことは疑っちゃいません。」
「・・・して首尾は?」
「抜かりはありませんや、俺の可愛いやつらに仕損じることはないです、
この数日のうちに追ってお待ちかねの知らせが届きます。」
何の会話だろうか、アイシスの声はどんな男も逆らえないような玉を転がすかのような笑い声が零れた。
「よくぞ妾(わらわ)の頼みを叶えてくれた、ズアト。これが褒美じゃ。
メンフィスに使えた様にこの妾にも仕えておくれ、そなたの可愛い子等と共にのぅ・・・。」
「勿論ですとも、アイシス様!」
重たい何かが入ったものを渡す音と、しきりにアイシスに感謝の言葉を吐いて男の気配が消える。
アイシスも出て行くものかと胸をなでおろしたキャロルに思いもよらなかった言葉が突き刺さった。
「・・・気配を消していてもわかっておる、出てくるがよい・・・。」
その言葉にキャロルはルカにしがみ付いた。ルカもキャロルを抱く腕に力が入る。
「もうだめ・・!」とキャロルが思い目を瞑った時。
誰かがすっとアイシスの前に現した。
「・・・将軍ともあろう者が盗み聞きかえ?ミヌーエ」
キャロルは驚愕で目を見開いた。
>>月影の詩様
いつも楽しみに拝読させていただいています。
私のことにまで気遣いしてくださり、ありがとうございました。
読んで下った方、レス下さった方へ。
勝手にぅpさせていただいてるのに、
レスしてもらえることがとても励みになります。
本当にありがとうございます。
なんとか完結までは書くつもりです。
お目汚しだとは思いますが
もうしばらくスペースを拝借したいと思います。
55 :
名無し草:2005/03/29(火) 18:57:19
別に完結まで書かなくていいのに・・・・
やめれば?
56 :
名無し草:2005/03/29(火) 19:06:54
抜けない棘作家様〜うpして下さってありがとうございます。
なにやらあやしいアイシスの動き…続きがめちゃめちゃ気になります!
色々な作家様の作品の中で、こちらの王子を嫌がるキャロルは、原作に近いと
思っています。だって、キャロルは本当はメンフィスを心から愛して
いるんですものね、当然です、きっとメンが死んだら、こうなるだろーなあ
と思って読んでいます。
完結まで、楽しみにしています。
57 :
名無し草:2005/03/29(火) 19:07:56
抜けない棘作家様、お待ちしてました!
いいところで続くになってる〜〜!
それにしてもキャロル、切ないです。最後は幸せにしてあげて欲しい・・・。
58 :
名無し草:2005/03/29(火) 19:51:49 ID:
>>55 だから、アンタはエロパロで新作発表しなって。
他の作家タンを妬むのはやめれ。
59 :
名無し草:2005/03/29(火) 19:54:44 ID:
抜けない棘作家様、新しい展開ですね。
今後に期待しております。
60 :
名無し草:2005/03/29(火) 20:02:00 ID:
61 :
名無し草:2005/03/29(火) 20:51:43
62 :
名無し草:2005/03/29(火) 21:47:37
>>60-61
それって・・・全然スルーできてないのでゎ?!
63 :
名無し草:2005/03/29(火) 21:51:44
はっ!そうか、ごめん!!
64 :
名無し草:2005/03/29(火) 22:12:34
ズアトなつかし〜
抜けない棘作家様、先の読めない展開にドキドキです。
続きを楽しみに待ってます。
65 :
名無し草:2005/03/29(火) 22:30:04
エロパロって一体なんなの?なんでいちいちエロパロの話が出てくるんだろう
66 :
名無し草:2005/03/29(火) 22:32:16
抜けない棘さま、
うpありがとうございます〜
話が複雑に広がってどんどん引き込まれてまつ。
67 :
名無し草:2005/03/29(火) 22:38:44
抜けない棘作家、いい加減自演やりすぎ
ウザ
68 :
名無し草:2005/03/29(火) 23:23:12
指摘されてぴたりと止まったwww
69 :
名無し草:2005/03/29(火) 23:38:25
私もズアトがでてくるとは予想外だった。
アイシスの冷たい雰囲気が逆にいい感じ。
70 :
名無し草:2005/03/29(火) 23:39:25
71 :
名無し草:2005/03/29(火) 23:47:58
これから、「自作自演」説を唱える厨が出たら、
「自作自演厨」と呼んであげて、無視しよ
厨=虫=無視に限る(禿藁
72 :
名無し草:2005/03/29(火) 23:52:52
>>71 ごめん、立場的には藻前と同じポジションなんだが
あまりにもそのダジャレ寒すぎる・・・・・・
73 :
名無し草:2005/03/29(火) 23:54:03
>>70 あのー、自演の確証がないのと同じく、自演でない確証もないのですが。
変に断言しないほうがいいと思われ。
2ちゃんなんだから、自演ありでも何でもいいと思うよ。
要は作品を書きたい&感想を聞きたいという書き手がいて、
それを読みたいという読み手がいる、ただそれだけだと思うの。
74 :
71:2005/03/29(火) 23:54:04
75 :
名無し草:2005/03/29(火) 23:55:31
76 :
名無し草:2005/03/29(火) 23:55:36
呼んであげること自体、構うことになるんじゃないか?
こいつ等はただ作家を追い出したくて、
荒らしたいんだろうから、
完璧無視のほうがいいんでないの?
でも確かにあまりにもうざすぎて、完璧に無視しきれないんだよなあ。
77 :
名無し草:2005/03/29(火) 23:55:36
>70
>あと、ここのレス読めば、作家さんたちへのレスが「自作自演」じゃないことがわかるw
え、真面目に全然わからないけど。
ID出ないんだもん、自演なんてし放題でしょ、ここ。
作家が1つや2つ自演でレスつけてもそれはご愛嬌ってのが、ID出ない板のスタンスでは?
78 :
70:2005/03/29(火) 23:57:20
微妙に>73と書いてることがかぶった
つまりね、自演がある、絶対にないという話し合いになってしまうと、
自演が絶対ないと立証してみろーとかいっていくらでも相手に噛み付かせる隙を与えると思うんだよね
自演があったからって、喜ぶ人もいるんだからそれでいいだろっていう。
自演上等くらいのスタンスで流してやった方がいいかなと思うってこと
79 :
名無し草:2005/03/29(火) 23:57:51
80 :
名無し草:2005/03/30(水) 00:01:36
>>78 つまり、「自演?それがどうかしまして?」みたいに?
それも一理あるのかな。
でもさ〜、あのしつこい荒らしはうんざりなんだよね。
81 :
名無し草:2005/03/30(水) 00:02:42
>>73&
>>78 だから、意味わからない、ここに書いている「メンフィス4年後」作家様や
「月影の詩」作家様や「蓮薔薇」作家様や「抜けない棘」作家様たちが
今までの経緯から考えて、みなさん、自作自演なさっているような感じは
私は一切受けない。
まあ、感じ方は人それぞれなんだろうけど・・・
「自演上等」ってどういう意味なんだろ・・・?ごめ、気を悪くしたらスルーして。
82 :
70:2005/03/30(水) 00:09:39
>80
そういうこと。
自演があったからってどうだっていうの?っていう感じ
>81
あなたが一切そういう感じを受けないのはあなただけの私感でしょ。
自分も作家さんたちが自演なんかはしないと思うけど(しても虚しいだけだろうから)
でも、100%って言い切れるわけじゃないでしょ。みんな他人同士なんだから。
今みたく、自演自演と騒ぐヤツが現実に存在する限り、「作家様が自演はなさらない」と
庇ったところで全く意味をなさない。
むしろ81みたいな人が、「作家様は絶対自演なさってない」と反論することによって
荒しが喜んで、スレが汚れ続けるってこと。
○○作家の自演ってレスがあっても、そうだね。とか、だから?くらいで流せば
相手も張り合いをなくすんじゃないかなと思って。
一番いいのはスルー。でもスルーできない人が、自分を含めて多い気がするから。
83 :
名無し草:2005/03/30(水) 00:12:44
>>81 自演って言われてんのは、エロパロ板の作家さんでしょ。
何とぼけてんの。
84 :
81:2005/03/30(水) 00:13:11
>>82 サンクス。なるほどね、そう考えると納得できる。
もう一度改めて、スレのお約束事読んで納得してみた・・・
「・自作自演はご自由に。 わかる人にはわかります。 自演だと決め付けるカキコはただのあらしなので無視。
・特定の作家・作品への荒らしに対する反論・擁護も不要。 反応したあなたも荒らしになる」
だね、うん、そう思うことにする、ありがと。
85 :
名無し草:2005/03/30(水) 00:14:15
とりあえず藻前らもちつこうや
荒しはスルーで。もうそれしかないんじゃない?
脳内で透明あぼーんする。これを徹底するしかないっしょ?
荒し的なレスに食いついた奴は、そいつも荒しとみなすということで。
86 :
名無し草:2005/03/30(水) 00:16:28
>82
禿げ同。
私は読み専だけども、作家が自分でレスするとは思えない。
それじゃせっかく書いて投下する意味無いでしょ。
でも荒らしは常に粘着している以上、そういう風に割り切って(?)
考えることが必要かもね。上手く言えないけど。
87 :
名無し草:2005/03/30(水) 00:24:29
自作自演があってもなくても結局は本人にしかわからないこと。
それより皆様、いちいち反応せずに華麗にスルーをきめましょうよ。
88 :
名無し草:2005/03/30(水) 00:27:42
89 :
名無し草:2005/03/30(水) 00:35:11
90 :
名無し草:2005/03/30(水) 00:41:16
どもども
皆さん、おげんこ〜?
.,v─ーv_ 〕 〕 .| .il゙ 《 ._ .,,l(ノ^ノ
,i(厂 _,,,从vy .,i「 .》;ト-v,|l′ _,ノ゙|.ミ,.゙'=,/┴y/
l ,zll^゙″ ゙ミ .ノ .il|′アll! .>‐〕 \ _><
《 il|′ フーv,_ .,i″ ||}ーvrリ、 ¨'‐.` {
\《 ヽ .゙li ._¨''ーv,,_ .》′ ゙゙ミ| ,r′ }
\ ,゙r_ lア' .゙⌒>-vzト .ミノ′ 〕
.゙'=ミ:┐ .「 ./ .^〃 :、_ リ .}
゙\ア' .-- ,,ノ| 、 ゙ミ} :ト
゙^ー、,,,¨ - ''¨.─ :!., リ ノ
〔^ー-v、,,,_,: i゙「 } .,l゙
l! .´゙フ'ーv .,y ] '゙ミ
| ,/゙ .ミ;.´.‐ .] ミ,
| ノ′ ヽ 〔 ミ
} } ′ } {
.| .ミ .< 〔 〕
.{ \,_ _》、 .{ .}
91 :
名無し草:2005/03/30(水) 00:47:32
うほっ
92 :
名無し草:2005/03/30(水) 00:53:33
同じチムポばっかりで飽きるな
他の探してこいよ
93 :
名無し草:2005/03/30(水) 01:12:56
禿ワラw
94 :
蓮と薔薇:2005/03/30(水) 12:32:41
>>前スレ864
80
「何もかもこんなにうまくいくとは思わなかったのう。
ナイルの姫、昼間の無礼は許せよ。あそこでモリオネーを叩きのめしておく必要があったのじゃ。
皆にそなたの懐妊の偽りの無いことを知らしめれば、そなたとそなたの和子の将来も安泰ゆえな」
その夜、ヒッタイト国王の私室。王は上機嫌でキャロルに詫びた。
「まこと父上のなさりようには驚かされます。我が妃の肌をあのような場所で露にされるとは」
イズミル王子は今も不機嫌だった。
「ほほ。王子、父上のなさりようは百万言を費やすよりもはるかに良い方法でした。姫や、国王様のこと、どうか許してくださいね。
居合わせた者は皆、エジプトの神の娘の肌を垣間見た罰が当たらぬかと懼れ、神殿で祈りを捧げておるそうな」
王妃の言葉にキャロルは控えめに頷く。
「さて、と。モリオネーはどうするか。自害をする気概もなさそうじゃが、生かしておいても厄介じゃ」
国王の言葉に、初めてキャロルが伏せていた目を上げた。
「国王様、どうかモリオネーをお許しください。王子、どうかあの人を助けてあげて!」
ヒッタイト国王は、呆れたように言った。
「何を申すか。あの女はヒッタイト、アテネの両国の民を愚弄したのだぞ。
あのような女は生かしておいては後々の禍となる。殺すのだ!」
95 :
蓮と薔薇:2005/03/30(水) 12:33:05
81
「いいえ、国王様!どうかモリオネーの命ばかりはお助けくださいませ!」
キャロルは言った。
彼女とてモリオネーが嫌いだった。憎しみをも感じていた。だが目の前でモリオネーが破滅していくのを見れば、今度はそんな感情を持っていた自分の罪深さが恐ろしくも思えた。
キャロルは知っていた。モリオネーもまた王子を深く愛して独占したかったのだと。そう、彼女と同じに。
「全く慈悲深い姫じゃの。モリオネーがそなたにしたことを忘れたか?そなた憎しと、どれだけ嬲ったか!」
「…忘れたわけではございません。でも…」
(私はモリオネーが本当は身篭ってなどいないことを誰よりも早く知って…そして破滅するときを固唾を飲んで待ち構えていたのです。彼女の破滅に快哉を叫んだ、もう一人の私がこの心の中に居るのです。
私はこんな自分の罪深さが恐ろしい。破滅したモリオネーの憎しみが、私自身の良心が私を激しく責めたてるのです…)
キャロルは王子を見た。自分の言うことなら何でも聞いてくれる男性を。
「王子、お願い。あの人は罪を犯しました。でも罰は充分に受けたわ」
だが、王子もまた度し難い妻の慈悲深さに片眉を上げただけで、黙殺を決め込むことを知らせたのである。
96 :
蓮と薔薇:2005/03/30(水) 12:33:34
82
それまで黙っていた王妃が口を開いた。
「国王様、王子。私からもモリオネーの助命をお願い致しまする。
かの者は罪人とは言え、侮りがたい力を持つアテネより来たる者。生かしておいてアテネに恩を売ってはいかがでしょう?モリオネーは未だ人質としての価値を失いきってはおりますまい」
賢い女性として名をはせる王妃の口から出た為政者としての言葉。その冷厳な美しい顔は気品に溢れている。
そして王妃は落ち着いた優しい視線をキャロルの腹部に向けた。
「…それに姫のお腹に居る和子のためにも血は流しとうありませぬ。姫は母となる身として血の穢れを恐れているのでありましょう…。
それに何といっても縁あって同じ男性を想いあった身…。様々に考えることもありましょう。私も覚えがありまする…」
やがて国王が沈黙を破った。
「王妃の申すことももっともじゃ!ナイルの姫の安産を願い、モリオネーは罪一等を減じる!あの女は殺さぬ!…自害は止めぬがの!」
後に…。
アテネのアンドロスは見事な冷静さで、罪を犯したモリオネーの扱いをヒッタイトに一任するという書簡を送ってよこした。それと黒海交易をめぐるいくつかの特権も譲ってきたのである。
アテネはスパルタとの緊張関係ゆえに、ヒッタイトと事を構える余力が無くなっていたのである。
97 :
名無し草:2005/03/30(水) 12:33:52
叩けボ〜ンゴ〜〜響けサ〜ンバ〜〜
98 :
蓮と薔薇:2005/03/30(水) 12:34:15
83
表宮殿の執政の間で、王族と臣下百官、諸外国の大使らの前でモリオネーは罪に対する判決を受けた。
ヒッタイトをアテネの属国にせんと様々に企み、王位欲しさに偽りの懐妊でヒッタイトの国と民を欺いた罪により、地位は剥奪され、生涯幽閉の身に落とすと。
居合わせた人々はかつてアテネの薔薇よと歌われた美貌の罪人の受けた慈悲に驚いた。死罪で無いとは!
イズミル王子の声が響く。
「そなたの罪一等を減じ、死罪を許したるは我が妃の希望である」
─おお、ナイルの姫君が…。何とお優しい。
─あの方は頭の良い御方じゃ。ご自分の感情よりも国益を優先させられたのじゃろう。
「お待ちくださいませっ!私は罪など犯しておりませぬ!確かにお腹の和子は流れましたが…私の出産を心待ちにしていてくださった王子様を思うと、とても本当のことは申せず…浅はかな真似を!
お許しくださいませ、王子!私は誰かを謀るつもりなどなかったのでございます!私は確かに身篭っていたのです」
「黙れ、モリオネー!この期に及んで恥を晒すか。そなたの懐妊自体が最初から偽りであったことはすでに明らかぞ!」
王子が合図すると、獄吏がぼろ布のようになった人間を引き出してきた。
「!…そなたは…っ!」
産婆の変わり果てた姿に絶句したモリオネーに、獄吏の冷たい声が浴びせられた。
「乳母のほうは天晴れな忠義者にて最後は舌を噛み自害いたしました。こちらの産婆が先ほどようやく告白いたしました…」
99 :
名無し草:2005/03/30(水) 13:13:33
蓮と薔薇作家様、うpありがとうございます。
いやぁホントに面白い!
登場人物でいちばん好きなのは、王妃さまですw
>>54 30
キャロルは息を殺してルカにぎゅっと身を寄せた。
先ほどのアイシスの言葉が耳に木霊しているような気さえする。
ミヌーエ将軍の低い声がキャロルの注意を引く。
「人払いしたファラオの部屋に何用かと足を向けただけに過ぎませぬ、
先ほどの男は、ファラオが内密にお目を掛けておられた蠍使いのズアトでありましょう?
何をズアトにお命じになったのです?」
ミヌーエ将軍の声にはありありとアイシスへの不信が感じられたが、アイシスはころころと笑って振り払う。
「メンフィスがキャロルと結婚するまで、妾はずっとメンフィスを見つめておったのじゃ、
メンフィスの事ならば知らぬことはないゆえのぅ、ほほほ。」
「・・・確かにあなた様はファラオの姉君で、王位継承権をお持ちだ、
だがこのエジプトはまだあなた様のものと決まったわけではありませぬ。
一体、何をお考えなのですか。」
ミヌーエ将軍の声の中に、キャロルは苦痛に耐えるかのような辛い響きがあるのを感じ取った。
そして自分もミヌーエ将軍と同じ疑問を抱いた。
「妾は常にこのエジプトのことを考えておる、そなたにはわかるまいが・・・。
のぅ、ミヌーエ、仮に妾に夫が居なければどうなったであろうな。
弟の名乗るネバメンとやらの、あの飢えた物欲しげな目つきを見たか?
カプター大神官の世辞を申す折のあの野心に満ちた目を知っておるかや?
今にも妾に噛みつかんばかり・・・。そなたには野心はないか?のぅ、ミヌーエ・・・。」
同じ女の身なのに、アイシスの声音は聞く者を逆らえなくする絶対的な魔力が備わっているように、
キャロルの耳にも響く。
31
衣擦れの音と共にアイシスがミヌーエ将軍に近寄る気配がする。
「そなたのメンフィスへの忠誠、それを妾に寄越せ、ミヌーエ。
メンフィスは死んだ、そなたの気持ち一つで、そなたは妾を抱く権利も得ることができる。
野心はないのかえ?このエジプトを治めたいという野心は。
そなたの決意一つで妾の夫となることも可能じゃ、以前と気持ちが変わっておらぬのなら・・・。
どうじゃ、ミヌーエ・・。」
男の苦しげな息遣いがする、「ミヌーエ・・・。」と妖艶な声が幾度も囁く。
「・・・アイシス様っ!」
アイシスの笑い声と共に、衣が擦れ合う音や身じろぐ音がする。
「手を貸せ、ミヌーエ、褒美はまた後ほどじゃ、そなたの望みのものを与えようぞ。
さあ、早くこの場去ね、今はまだそなたと共におるのを人に見られるのは早過ぎるゆえ。
ミヌ・・・!」
アイシスの言葉が途中で塞がれ、男女の濃密な口付けの音が静かな部屋中に響いた。
「・・・褒美は成し終えた後、たっぷりとな、ミヌーエ・・・。」
切なげな息使いの中のアシスの言葉の後、男らしい足音と共に扉の開閉する音がした。
ミヌーエ将軍が出て行った後、アイシスは一頻りさも面白そうに笑うと、やがて彼女も姿を消した。
キャロルは先ほどの出来事が信じられないまま、ルカの腕の中で強張っていた。
一体何が起こるのだろうか?
メンフィスに忠誠を誓っていたミヌーエ将軍が、今はアイシスの共犯者になるのだと、
キャロルに判ったのはそれだけだった。
蠍使いのズアトなんて私は知らない、ただ、これから恐ろしいことが起こる予感がキャロルの脳裏に渦巻く。
32
こっそりとメンフィスの部屋から抜け出したキャロルとルカは割り当てられた部屋へと戻る。
あまりにもキャロルの顔色が悪いのでルカが心配するのを遮るが、
キャロル自身自分でもショックがあったことは認めざるを得なかった。
「部屋までお抱きして参りましょう。」とルカが申し出てくれるのは有難いのだが、
人の目があるので目立つことは避けなければ、とキャロルは思い直した。
もうキャロルはエジプトの王妃ではないのだ、この宮殿の中にも自分を慕ってくれていたひともいるかもしれないが
今はそれ以上に敵もいるのだと改めて感じた。
「ありがとう、ルカ、手だけを貸してもらえるかしら?あまり目立つ真似はしたくないの。」
キャロルはルカに手を取られ付き添われながら部屋へと戻った。
寝台に伏したままキャロルは先ほどのことを思い返してみた。
キャロルはアイシスが鉄の意志を持っていることをよく知っていた。
何かが始まろうとしてる、それは自分にとってはあまり好ましいものではないだろう。
あんなにもメンフィスを熱愛していたアイシスですら「メンフィスは死んだ!」と言い放っていたではないか。
物事は動いているのだ、変わっていくのだ、と事実を突きつける。
そしてそれがメンフィスを更に恋しく思わせるのをキャロルは感じないわけにいかなかった。
33
「珍しく部屋から出たと聞いたが、これはどうしたことだ?」
イズミル王子が戻ってくるなりキャロルの顔色を見て怪訝な顔をする。
キャロルはおとなしく寝台で休んでいた。
「・・・気分転換に少し表を歩いてみただけです、疲れたんですわ。」
キャロルも投げやりに応え、背中を王子に向ける。
王子は勘の鋭い人だ、気をつけなければ、とキャロルの心がざわめく。
「疲れた?珍しいこともあるものだ。どれ。」
王子の手がキャロルの額に触れるとキャロルの全身が強張って硬くなる。
王子の手が慰めるようにキャロルの肌を滑り、乱れた金の髪を撫で付けていくうちに
キャロルの体からは少しずつこわばりが解けていく。
王子がキャロルを抱こうとする時、キャロルは身構えてしまう、
それは小さな抵抗ではあるのだけれど、自分の心は王子を受け入れていないという証のために。
なのにいつの間にか自分の体は王子に添うように凭れ掛かり王子の温もりに慣らされてしまっている。
まだメンフィスが恋しいと感じるのに、この矛盾はどうだろう?
それがまたキャロルの表情を曇らせる。
「口には出さずともそなたの体は雄弁だ、何かあったのだろう?申してみよ。」
「いいえ、何もありません、ただ・・・変わっていってしまうって思ったら、少し・・・。」
何も言わないと閨で尋ねられて断りきれず話すのも嫌なので、言葉少なくキャロルは答えた。
ふと王子の顔を見上げると、怜悧な目元に何かしら優しげなものをキャロルは感じた。
王子は小さく微笑むと黙ってキャロルの方や背を撫でた。
思いがけずもその優しい手つきはキャロルの辛い気持ちをなだめてくれた。
「明日、アイシスから午餐の招待があった、今宵は早く休め。」
王子の声がキャロルの耳に子守唄のように届く。
この時ばかりは何も恐ろしいものはないとキャロルは思い、心地よい睡魔に誘われていった。
抜けない棘のキャロルは本当にキモいなあ
いかにも欲求不満のババアが書いてる臭がたまんないよ
>自分の体は王子に添うように凭れ掛かり王子の温もりに慣らされてしまっている。
>まだメンフィスが恋しいと感じるのに、この矛盾はどうだろう?
ただ淫乱なだけじゃん
キャロルを貶めるのもいい加減にしてくれる?
抜けない棘の作家様、お待ちしておりました!
キャロルの心が痛々しくて、胸にじんときました。本当に繊細で素敵なキャロルだと思います。
荒しなど気になさらないで下さいね。
続きをお待ちしております…!
106 :
105:2005/03/30(水) 14:37:27
すいません、ここに書き込むのが初めてなので、作家様の名前を間違えて
名前欄に入れてしまいました。
まぎらわしい真似をしてしまい、申し訳ありません。
抜けない棘の作家様には大変ご迷惑をおかけしました。ごめんなさい…!
>>105みたいなつまらない事されますので
作家さんは鳥付きで投下されてはそうですか?
誤:投下されてはそうですか
正:投下されてはどうですか
自演お疲れ様www
>107-108
随分慌ててますね、作家様
いまごろパニック中ですか?
あまりにも酷いやり方でスルーできないよ!
>>105 そこまでして人を陥れて何が楽しいんだ。
最低の人間のやることだ。
抜けない棘作家様
物語は佳境に入ったのでしょうか?
なぜドキドキではなくイライラするのでしょう?
116 :
名無し草:2005/03/30(水) 15:17:24
王子・・・!!王子、や、やめて・・・・・。
イヤ-----------!!!メンフィス-----------------------------------------------
自演が入り乱れてワケワカラン
蓮と薔薇さま、抜けない棘さま、
うpありがとう。
今回も面白いです。
連日いろんな作品が読めてシアワセ.∴・*.゚・。+・¨゚.・∴..*.☆+
>蓮と薔薇
モリオ姐、もうひと暴れしそうですね。でも哀れな女だ・・・
私も王妃様は常にカッコよくて冷静で素敵だと思います。さすが王子の母君。
>抜けない棘
キャロルそんなに淫乱かしら? つーか淫乱上等(・∀・)!
アイシスに惑わされた?ミヌーエの動きが気になります。あとズアトも。
作家様方、続きを楽しみに待っておりますのでよろしくです。
淫乱っていうか、節操ナシというか、バカ丸出しって感じ<抜けない棘のキャロル
よくもこれだけ胸糞悪いキャラクターにできるものだと思う
ある意味才能だね
>122-123
自分でネタ振り&反論
自演ご苦労様
蓮薔薇作家様、抜けない棘様、続けてのUPありがとうございます!
蓮薔薇様>う〜ん、モリオネーが哀れ。アテネでは求婚者はよりどりみどり
だったんだろうに、王子に惚れたばっかりに…。面白い展開に次回も期待
しておりまする!
抜けない棘様>アイシスの陰謀にミヌーエまでもが荷担?キャロルと王子の
行く末よりこっちが興味が出てきました。次回まで待ちきれぬ…うぬ…
>>125 おいおい・・・・・
お願いだからそこまでわかりやすい自演はやめてくれorz
ちょっとは書き方を変えてくれ。頼むから。
それともわざとなのか?
127 :
125:2005/03/30(水) 17:14:17
わざとだよ〜ん!自演上等!(自演じゃないけどね、漏れは)
仮に自演したってどーだっていうんだ?自演上等ではありませぬか?
アホか
堂々と認めてどうする
自演天国♪
王子ファンなら、抜けない棘様のキャロルの気持ちは理解できるよ〜〜
敵国アマゾネスだって、「なんと美しい王子…」と呆然とした王子の美貌〜〜
端整な顔に宿る冷たさ、キャロルしか愛さない一途さ…
だから、王子が好きなのよ(はぁと
王子とキャロルの小説でメン様の扱いがあまり良くない作品は
荒らされてる気がする。
例えば、メンフィスがキャロル意外のどうでもいい脇役女とくっついていたり
何人も妻がいたりする設定の作品とか。
抜けない棘はメンフィス死んじゃってる設定だから許せないのかも。
王子ファンだからこそ理解できないよ〜〜〜
メン様好きは正統派。でも、王子も魅力的!
メン様と王子とどっちか選べって言われてもね〜自分だったら迷うな。
ちなみに皆さん、「必ずどちらか一人を選びなさい」って言われたら、無条件で
どっち選びますか?
王子。
外見が好みだから♪
抜けない棘は最悪。
自分からすると、王子をバカにしてんのかって感じ。身体だけかよみたいな。
惹かれてるなら素直に認めてそれで終わりでいいだろうに、いつまでもグダグダグダグダ
心にはメンフィスが・・・・
でも身体は王子に・・・・みたいな。どんなカマトトwだ!?って感じでムカつく
王子は人間バイブかよ
136 :
133:2005/03/30(水) 17:34:27
自分としては…
メン様の場合>「メンフィス4年後」作家様の「大人になったメンフィス」ならば
絶対メン様を選ぶ、迷わない、たぶん。
王子の場合>現時点では、王子のほうに「大人」を感じるので王子を選ぶ。
だな、うん。
青い瞳だっけか?
あの時もかなり荒れたよね。
あれも王子Xキャロルで、
しかもメン様が裏切った設定だったからね。
そういうのが嫌いなの?嵐さんは。
荒れるのはつまらないからだろ
>>135 人間バイブにワラタ
まあ、最初は身体だけでも徐々に心も惹かれていくのさ〜グダグダw
そっか…嵐さんは「真剣王子ファン」だったのね
きっと原作で、王子がキャロル求めて怪我で苦しんでいるシーンなんて
切なくなるんだろうねぇ、私も王子ファンだから、「王子、かわいそ!」
と胸が痛くなってます
でも、それとここでの荒しはやっぱり別物だよ、うん
メンフィス4年後はメンフィスがとっても素敵に書かれてるから
きっと荒らされないね。
4年後も充分荒らされてるんじゃない?
もう書くなとか言われてる気がするけど
誰にとっても満足できる作品なんてあるわけないんだし、作家様たちも
ここに集うファンもみんなわかっているよ、そんなこと
いいんだよ、いろんな意見があってさ、上等じゃんでいいじゃん
普通につまらないのに、いつまでも終わらせないから嫌われるんじゃない?<抜けない棘
嵐もつまらない作品もなんでも上等さっ
なるほどねー
自分はメンスキーだから、抜けない棘みたいなのは自分のようなメンスキーが
面白くなくて暴れてるのかと思ってたよ。
生粋の王子スキーが腹立ててる場合もあるのか。
キャロルが王子を好きで堪らなくて……というシチュだったら、違ったのかね。
棘の作家さんさ、あんまり焦らさないで王子とキャロルをラブラブにしてみたら?w
そういやメンの話はあまり荒らされない気がするね。
単に4年後作家が上手いからじゃないの
つうか、微妙に蓮薔薇が気の毒だったりするよ・・・・w
投下直後に抜けない棘が投下したため、例の如く荒れて、蓮薔薇へはほとんどコメントなしw
抜けない棘は前も、嵐が騒いでる直下に投下して
お前が投下したらただでも荒れるのに・・・っていって叩かれたことがあるよね。
空気嫁よ、少しは。
自分が投下したら荒れるってことくらい、そろそろわかってるっしょ?
せめて他の作家の話が一段落してからにすればいいものを。
蓮薔薇、いいよー!
お昼の連ドラを見てるようなワクワク感があってさ。
王妃様もかっこいい。
キャロルが自分の心の中の醜さを自覚してるのもいい。
棘作家様、避難所へどうぞw
・自作自演はご自由に。 わかる人にはわかります。 自演だと決め付けるカキコはただのあらしなので無視。
・特定の作家・作品への荒らしに対する反論・擁護も不要。 反応したあなたも荒らしになる。
・擁護するより作品への感想をカキコしよう。
みんな、これをもう一度よく読んでから書き込みしよう!!
プギャー
私は抜けない棘のキャロルはともかく王子はとてもイイと思います。
お話も面白いので、どんどん続けて欲しいです。
>154
>キャロルはともかく…
キャロルは原作自体、好き・嫌いが分かれるからねぇ・・・
抜けない棘のキャロルは原作のキャロルっぽいと思
だって、王子が衣を裂いて「この傷を見よ」なんて半裸で迫られた
ときも、「ドキッ」とかって赤くなって反応していたじゃない
「嫌い嫌いも好きの内」で、原作のキャロルも王子は恐れつつも惹かれて
いるんだと思
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
(\(\_/) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
. 〜 (\ヽ( ゚Д゚)′< ハイ、すこし換気しましょうね〜
. ∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ 〜 (\ (ナフテラ)つ .\__________
(____) .∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ ∪∪
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
>>135 ワラタ
しかしまだスイッチ入ってないだろ?
ものっすごい溜まってそうなバイブだよねww
サッカーが始まりますよ
点が入りませんね・・・
どうしてこう点が入らないんだろうな、いつも。
後半頑張れよ!
やったね!これでW杯が少し近くなった♪
>>155 そうそう、キャロルってアルゴンとラガシュに対しては露骨に嫌がっているのに、
王子に対してはちょと違う。実は王子のことが好きかもね。
54.
(ああ、ダメ、こんなことばかり考えていちゃ…もう…!)
キャサリンは想いを振り払うように、目の前のフランス語に集中しようとした。
しかし、切ない想いを綴った詩人の言葉はもう頭の中には入り込んでは来なかった。
『ディア・キャス、元気か?』
アメリカの兄、ライアンからの手Eメールはいつもこの出だしで始まる。
キャサリンは、静かな夜の一時、カフェオレを飲みながら、パソコンの前でくつろいでい
た。
「元気よ、ライアン…なんとかね…」
―――――キャサリンと父・スペンサー伯爵を乗せた小型ジェット機がエーゲ海上で謎の
墜落事故を起こした。スペンサー伯爵は、すぐに遺体として発見されたが、キャサリンは
遺体はおろか何も発見されないまま半年が過ぎ、その間に伯爵の遺言書が開けられ、アメ
リカのライアン・リードの元に初めてキャサリンの存在の秘密が明かされたのだった。キ
ャロルの双子の姉、キャサリンまでもが行方不明と聞き、ライアンは手を尽くし捜索を試
みた、そして半年後のある日、エーゲ海の孤島でやっとキャサリンを見つけたのだった。
地元の漁師の家で意識不明のまま横たわっていたキャサリンを。不思議なことに、漁師が
差し出したキャサリンが発見時身に纏っていたという衣は、行方不明のキャロルと同じく
とても現代のものとは思えない衣だった。その不思議をライアンは誰にも言わず、そして、
キャサリンを黙ってアメリカへと連れ帰ったのである。
アメリカで初めて会う実の兄たちと実母ミセス・リードとの暮らしは、1年におよんだ。優
しいライアンの保護や母の気遣いは、キャサリンの心を少しづつ癒してはくれたが、しか
し一方で、あらゆるところにキャロルの影が付き纏い、キャサリンには耐えられないもの
だった。
55.
――――キャロル、まだ見ぬ双子の妹…そして私が愛した人が心より恋焦がれた女性…
その事実が、キャサリンを苦しめた。
そして、逃げるようにして来たのが、ここスイスだった。最初、ライアンは反対したもの
の、大学は英国の大学に行きたいから、1年くらい早くヨーロッパに帰っても結果は一緒と
キャサリンは、しぶるライアンを口説き落としたのである。
.
『母さんは、キャス、お前がいなくて寂しがっているよ。イースターの頃にはぜひ一度帰
っておいで。専用のジェット機に迎えに行かせるよ。何か不自由はないか?いつでも連絡
を待っているから…
P.S. あまり、あれこれと考えすぎないように。未来のことだけを考えるんだよ』
短い文面だが、いつもさり気ない優しさにあふれていた。妹思いの兄…ライアンは、キャ
ロルに寄せていた愛情を今はめいっぱいキャサリンに向けて、この金髪の妹に気遣いを見
せてくれる。
(クリスマスに帰ってから、まだ3ヶ月しか経ってないのに。ライアン兄さんてば…子ど
も扱いして、私はもう18歳なのよ、立派な大人なのに。兄さんの頭の中にあるのは、幼い
少女のままのキャロルなのね…仕方ないかしら?私とキャロルは違うんだけどな…兄さん
が語るキャロルはあまりに少女のままで幼いってこと、気付いていないのね)
キャサリンは画面を前に独り微笑んでみた。
56.
『ミス・キャサリン・メアリー・スペンサー、9月には私の元にお出でになることをお待ち
しています。あなたが古代ヒッタイトの言語に堪能であるということは既にミスター・ラ
イアン・リードからお聞きしています。ぜひ、わが大学に通いながら、私の助手として研
究に参加してくれる日を待ち望んでおります。デビッド・ハワードより』
もう1本のメールは、今は亡き育ての父スペンサー伯の友人で英国考古学の権威でもある
オックスフォード大学のハワード教授からのものだった。教授は、今、古代ヒッタイトの
研究に勤しんでいた、そこでキャサリンが不思議にも古代ヒッタイト語に通じているとい
うことを知ったライアンの推挙もあり、キャサリンの願いが叶ったのだった。
.
―――古代ヒッタイト帝国…19世紀、初めてその存在が明らかになり、長いこと謎の国と
言われてきた。トルコの首都アンカラから車で約4時間、アナトリア台地にその首都ハッ
トゥシャの遺跡はある。1万枚にも及ぶ楔形文字で綴られた粘土板は、徐々に解読が進み、
3千年余の昔、この大地を支配していた民の謎が少しづつ明らかにされつつある。古代ヒッ
タイト語は、しばらくは解読されなかったが、20世紀初頭、初めて解読され、その言葉が
印欧語族系の民族のものであるということがわかった。早くから鉄の製法を知り、3人乗り
の戦車でアナトリア台地のみならずオリエントを駆け抜けた勇猛果敢な民族の国…
57.
キャサリンが何度も読み返したヒッタイト帝国に纏わる本にはそう記述があった。本をぱ
たんと閉じて、キャサリンは呟く。
「王子…教授の元でヒッタイトの研究をすれば、少しは気が紛れるかしら…?」
夜毎、キャサリンの想いは、遥か3000年の彼方へと飛ぶ。愛する人の生きた時代…遠きア
ナトリアの大地へと。
「あなたのことは、大切な思い出としてあきらめるつもりだった、王子…。どんなにあな
たが恋しくても、もう二度と会えないのだからそうするしかないの…。あれからもう2年
も経つし、私はこの21世紀で生きていかなくちゃいけない、勉強して、仕事をして、いつ
の日か再び恋をして、幸せな結婚をし暖かい家庭を築いていく…兄さんたちもお母様もそ
う望んでいる。帰って来ないキャロルのためにも、私がその分この時代で、私の時代で生
きていかなくちゃならない…。でも、でも、夜毎、夢の中にあなたは現れる…私にいつも
呼びかける、あなたのことが忘れられない…!あなたの琥珀色の瞳、薄茶色の長く豊かな
髪、私を抱き締める温かく逞しい躯、その胸の爽やかな香り…でも、でも、いくら恋焦が
れても、もう二度と会えないのよ、それなら、夢の中にも出てこないで!辛すぎるから…
王子!お願いよ…――――ああ、でも私は、あなたに会いたい…王子…抱き締めてほしい
…愛しているの…!」
3000年以上も昔に生きて死んでいったはずの人…その人に心奪われ生きていくことはでき
ない…もう二度と会えないのだから、ああ、でも…。
キャサリンは、瞳に涙を浮かべた。また、今夜も見るのであろうか、あの夢を。
月影を映し出す泉のほとりで佇む王子の姿を、そして王子はいつもキャサリンに問いかけ
る…
『キャサリン、何故にわが元へ戻らぬ?3000年の時になどキルケーの妖かしになど邪魔立
てなどさせぬ!おお、キャサリン、そなたはその身も心もこのイズミルのもの』
と。
(続く)
>>前スレ「王家の紋章 Ψ別室―その7」よりの続きです。
>月影の詩作者様
うpありがとうございます。
まったく新しい展開でドキドキします。
ライアンにも存在が知らされて…、現代にいながら古代の記憶があって…。
それに原作を壊さずに並行する物語っていう感じがイイです。
これからも楽しみにしています。
。・゚・(ノД`)・゚・。 せつなすぎる。。
早く再会してほすぃ
キャサリンがどうやって現代に帰ったのかが謎ですが、続きを楽しみに
しておりまする。
すごくいい。これからキャサリンは現代で王子の生まれ変わりかなんかと出会って
幸せになるのかしら。でも、それだと古代に一人残された王子は超可哀想だし・・。
ところでキャサリンはどういう経緯で現代に戻ってきたんだっけ?なんか
読み飛ばしちゃったかんじだな。
誰も不幸にならなそうなところが良いですね。>月影の詩
つづきが楽しみです。
>>171 私もオモタ<読み飛ばしたっけ?
もう少しそこの、帰る経緯や別れの決意をじっくり書いて欲しかったかも。
かといって今後別れの場面を書かれても、臨場感がなくてボケるだろうし
このままでいいのかな
>>171、173
私も思った。あれ?いつの間に現代に?って。
確認しようにも前スレは過去ログだし、まとめサイトにもまだ出ていないし。
>月影の詩
小説の技法としてうまいと思うよ。
いきなり夢から覚めたような場面を持ってくるのって。
会話も今は違和感ないし
ますます楽しみにしてます。
>蓮と薔薇
やったぜモリオネー失脚!と
とりあえず祝杯。
しかし、モリオネーの陰謀を知ってたキャロル、
何もしなかったんだろうか。
あの状況で何もしなかったら
モリオネーの陰謀が成功する確率も高かったろうに。
身代わりの子なんて見つけるのもそう難しいとは思えないのだが。
>抜けない棘
ズアトだ〜懐かしいよぅ。
アイシスと思いを遂げるのか、ミヌーエ。
彼はアイシスより実はしたたかかもと思い展開に目が離せないです〜
流されるしかない状況っていうのも
それなりの大人になればあるわけだけど
係累の何もないキャロルが古代で思うようにふるまえないのは
やはり王子に対して何らかの思いがあるからだと思う。
もっともキリスト教徒の彼女は自殺は論外だと思うよ。
エジプトの神様とか平気で信仰してるみたいだけど(笑)
自分も、月影にはあれ?あれ?って感じがしたよ。
作家は筋を考えてるから、本人の頭ではわかりやすいんだろうけど
読み手にいまいち伝わりにくかったかも。
技法としてはアリだけど、伝わりにくいってことはその技法の使い方に失敗してるということ。
最後に向けて、やや破綻気味なのが残念。
あまり力量のない人は突飛な真似をしようとせず、普通に時間を追って書いた方が
わかりやすいように思う。
…と書いたけど、結局書き手は素人なんだから、多少伝わりにくい部分があっても別にいいんだけどね。
しかし、もうすぐ月影は終わりそうな感じだねえ
ラストはハッピーエンドの予感。ハッピーエンドが好きなので期待。
>>177 自殺しなくたって、ナイルにたっぷんと浸かれば実家へ帰れるし、エジプトが
ヒッタイトに奪われる危険も回避できるのでは?
・・・あんた、いつまで古代にいるつもり?って感じる。
ちょっとずつアップするわけだから
読み手のほうが戸惑うのも無理はないかも。
まだ失敗とは決められないよ。
完結したものをまとめて読ませていただいたらまた違うんじゃないかな。
たぶん、これから別れのいきさつについて
触れられていくんじゃないかと思う。
ハッピーエンドの取り方も人それぞれだよね。
それぞれが自分の人生に納得していくんならそれもまたハッピーエンド。
古代に戻るも戻らぬも
ハッピーエンドもバッドエンドも
すべては作家さんの思いのままにドゾ。
覚悟してマツ。
>>178 私もハッピーエンドが好き!
キャサリンが再び王子と巡り合ってハッピーエンドを期待してます…!!
>180
随分必死に庇うね。月影本人?
>>180 こりゃまた、釣りかと思うくらいに臭いレスだね・・・・
他のスレなら、本人必死杉と書きたいところだw
>蓮と薔薇
いよいよキャロルは王子を独り占めできるのでしょうか。
―――蓮薔薇の文章が安定感がありますね。
続きを楽しみにしています。
**********************
本当は昨日のうp後に
ほぼリアルタイムで読めた感想を書きたかったんだけど
書き込む前にリロードしたら抜(ryが・・・
アンチではないけど、いくらなんでもアレはあんまりだと思ったよ。
>>179 それって、ぴったり今のアイシスの気持ちだとオモw
メンフィス亡き後、アイシスとキャロルの関係ってどうなるんだろう。
奪い合う対象がなくなるわけだから・・・
>>184 誰かも上の方に同じようなこと書いてる人がいたなー
蓮バラさんがちょっと気の毒だったよね。一時間後くらいに棘さんがUPして
大荒れで、まるでなかったことにw
棘さんはもれなく嵐を引き連れて参上されるから、誰かがUPしてたら
少し遠慮してもいいよね。せめて数時間置くとか。
私も「まだ一人しか感想を書いてないんだなー」と思ってるうちに
棘作家が投下してしまって正直びっくりした。
時間的には1時間以上は経ってるけど
流れ的にいったらもうちょっと蓮と薔薇の余韻(レス含む)を残してほしかった。
いい作品ならいつアップしたって感想カキコする。
荒れてるレスを読み飛ばすのもそんな難しいこととは思えないし。
嵐がおさまるのを待ってからなんて
悠長なことを言ってられるほど暇じゃないしね。
ってこんなことかいてる時点で結構暇じゃんと
自分でワラタ。
事故レススマソ。
キャサリンの身体はヒッタイトにもあって、目覚めないだけで
現代と両方で生きてるんだと思って読んでた。
(パソコンで起動ソフトがアクティブ/非アクティブみたいに)
>>190 それ面白い読み方だね。>アクティブ/非アクティブ
でも王子は3000年の時を隔てた泉のほとりで
>キャサリン、何故にわが元へ戻らぬ?
って言ってるらしいから体ごと現代へ戻ったんだとオモタ。
>>190 なるほろ。
それって「○○○○二年後」と同じ感じだね。
喩えが面白かったw
キャロルとの邂逅はないのかなー
しかしスレたって一週間しないうちに200いくってスゴイ。
作家様方うpありがと!
>>192 >キャロルとの邂逅はないのかなー
あったら面白そう。
>>193 話が意味なく冗長になりそうだから、それはいらないなあ
本編がダラダラ続いてるから、パロくらいは華麗にピリオドを打たれるのを
待ち焦がれてしまうw
豚切りですまん。
作家さんの都合のいい時間にうPしていいんじゃないの?
どんどん縛りがキックなると、うPが減るような気がする・・・・。
縛りってほどじゃなくない?普通の常識的判断程度のこと
>>167 58.
『―――――私はこの21世紀で生きていかなくちゃいけない、勉強して、仕事をして、い
つの日か再び恋をして、幸せな結婚をし暖かい家庭を築いていく…兄さんたちもお母様も
そう望んでいる――――夢の中にも出てこないで!辛すぎるから…王子!お願いよ…』
「キャサリン!」
名を呼んで起きてみれば、夜明けだった。東の空にイシュタルが輝く肌寒い早春の夜明け
…今や、王子にとって、この時は魔の刻となっていた。キャサリンが去ってからというも
の、時折に王子の夢の中にはキャサリンが現れては囁やき、王子はその名を呼び、空しく
目覚める。しかも夢の中のキャサリンの言葉は断片的にしか思い出せずにいた。
「―――――また夢か…キャサリン、なんと申した?…たしか、そなたの時代で生きて、
恋をして幸せな結婚をして…だと?許さぬ、かようなことは決して…!おお、なんという
こと、そなたが去って二年もの月日が経つ間に、そなたは私のことを忘れてしまったと申
すか?あれほどまでに私の腕の中で燃えたというに…!私は、周囲に迫られるも、正妃を
娶らずにいる…がもう待てぬ!すべてはそなたが戻ると思えばこそのこと。おお、イシュ
タルよ、我、如何にせん…?」
王子は、燃え立つような嫉妬に駆られた。震える両手を握り締め、瞼を閉じてたぎる想い
に耐えようとしていた。
「なぜ、何故にそなたは去らねばならなかった?そなたを放さぬと誓ったではないか?私
を置いていくなど…、しかも、他の男と恋に落ちて結ばれたいなどと血迷うたか?私をこ
のイズミルを裏切ると申すか?…キャサリン…私は、そなたを許さぬ…!愛しければ愛し
いほど増すこの憎々しさよ!」
独り寝の冷たき寝台で、王子は、その琥珀色の瞳を怒りと嫉妬に燃え立たせ、身を震わせ
ていた。
「あの朝、そなたは去った…おのれ…キルケーよ、まだその正体を現さぬか…」
そうあの朝…王子はその朝のことを思い起こした。
59.
(目覚めるがよいえ…愛らしきイリスの娘よ…美しき王子に愛されたか?ほ、ほ、ほ…羨
ましいこと…しかし、それも終わりぞえ…帰るがよい、そなたが元いた場所へと。そなた
はもうキルケーには必要ないぞえ…)
「う…うん、私を呼ぶのはだ…れ…?」
王子の腕に抱かれていたキャサリンは、妖しき呼び声に導かれるまま、フラフラと起き上
がった。その腕をほどき、起き上がったキャサリンに王子は気付かぬまま、やすらかな寝
息をたてている。
(そのまま、泉へと向かうのじゃ…イリスの娘よ…)
朦朧とした意識のままで、キャサリンは妖しき声に操られていた。朝まだき…部屋の外に
は誰もおらず、女官たちも眠りについていた。誰にも見られることなく、キャサリンは声
に導かれるまま、花咲き乱れる泉へとたどり着いた。
「よう来たぞえ、愛らしきイリスの娘よ。この泉にその身を投げよ…しからば、そなたは
元の場所へと戻れましょうぞえ…、そなたはこのキルケーにはもう必要ありませぬゆえな
あ…」
泉のほとりには、アイアイエ島の女王ペネロペーが立っていた。
「ペネロペー様…?いいえ、あなたは妖かしの魔女、キルケー…!」
泉に映し出される女王の姿は妖しき老婆だった。
「ほ、ほ、ほ、お気付きになられましたかえ…?わが姿を見破りしものをここに置く気は、
ありませぬゆえになあ…さあ、はよう帰るがよかろうぞえ…」
「い、嫌です、あなたの思い通りになど…きゃあぁぁぁ―――――!」
辺りにキャサリンの悲鳴が響いた――――しかし、その姿を呑み込んだ泉は何も無かった
かのごとく、静かな水面を朝の光に輝かせていたのだった…。
(さらばじゃ、イリスの娘よ。そなたはもう二度とこの場所には戻れませぬなあ…ほ、ほ、
ほ…)
水面に映った老婆は一人妖しく笑みをもらしていた。
60.
「――――キャサリン!」
遠くから響く悲鳴に、王子は腕の中にいるはずのキャサリンがいないことに気付き、目を
覚ました。
「ムーラ、ムーラはおらぬか?」
「は、はい、王子、こちらにおりまする」
「ムーラ、今の悲鳴は?それにキャサリンの姿が見当たらぬ!そなた見かけてはおらぬ
か?」
「…いいえ、見かけてはおりませぬが…まさか?」
「わからぬ、が、早急に探し出すのだ」
「はい、かしこまりました!」
王子、ムーラ、ルカ、その他女官たちなどで手分けして宮中の全てを手を尽くして探した
が、キャサリンの姿はどこにも見当たらなかった。ただ、キャサリンが身に纏っていたと
思われる薄衣だけが泉のそばに落ちていただけだった。
「おお、キャサリンよ、よもや再び泉に足を捕られて落ちたと申すか…?」
王子は、泉のほとりで舞う花びらが水面に散っているのを呆然と眺めていた。
「……泉に足を捕られて……そなた、妖かしが解けて、時を超えて戻ったのか?…
よもや、すべてはキルケーの仕業?
おのれ、キルケーよ、見つけたらただではおかぬ!忌々しき魔女めが!」
王子の怒りの矛先は、すべて妖かしの魔女キルケーに向かっていた。
<続く>
「―――――キャサリン…私は何があろうとそなたを呼び戻す!イシュタルに誓って。あ
の忌々しき魔女を必ず捕らえてみせようほどに!この令名高きイズミルを弄ぼうなど、愚
かなこと、ただごとでは済まさぬ!覚えておくがよい、キルケーよ!」
<続く>の位置を間違いました。すみません。
時間軸がどんどん移動して読みにくいなあ……
ていうか妙にとってつけた感が強いんだけど、ここで皆が「いつ去ったのかわかりにくい」と
書いたからエピソードを足したのかな
>時間軸がどんどん移動して読みにくいなあ……
少しづつUPしているので、読みにくくてすみません。実は物語はほぼ完結
しております。まとめて読んでいただいても、読みにくいかもしれませんが(笑)
もう少しお付き合い下さい<m(__)m>
いつもご感想ありがとうございます。
>204
いや、どうだろうね。まとめて読んだら違うと思うんだけどね……
こういう作りはネット連載にはあんまりむいてないかもしれんね。ケチばっかりでごめん
月影作家様、拝読しました!!
私はちゃんと理解できましたよ♪
もうほぼ完結してるのですか…そういわれると名残惜しいですね…!
気が早いかもしれませんし、どんな終わり方かはわかりませんが、終わったあとに
王子とキャサリンのラブラブ番外編なんかも読めたら嬉しいなあなんて思ったりして…!!
早く古代に戻って王子と幸せになってねキャサリン。
でも二人も失うリード家がちとかわいそうな気も・・・
あぁ、なんとかならないものかしら。
今後の展開が気になるぅ!!!!
月影作家様、
いつも素敵なお話ありがとうございます。
私はこの程度の時間軸なら
十分いいと思いますよ。
原作だって行ったり来たりしてるんだしね。
終わっちゃうのは寂しいですけど
最後まで読ませてもらいますね。
月影の詩作家様、
私は読み難さはかんじられませんでした。
むしろ今はどっちの時代なのかとワクワクしながら読んでます。
これからも期待しています!!
>>208 この程度の時間軸という言葉の意味がわからない・・・・
月影の王子は、偏執狂っぽいとこが本来の王子っぽくて良い
・自作自演はご自由に。 わかる人にはわかります。 自演だと決め付けるカキコはただのあらしなので無視。
m9(^Д^)プギャー
キャサリンが現代に帰った経緯は王子の回想として後に語られるのだろうと
予想していたし、時系列どおりに話が進まなくても違和感はないけどなー 私はね。
>>212 たしかにw >偏執狂
自分は違和感あったな。違和感っていうより、ゴチャゴチャしてんなーってかんじ。
モノローグが多くて、状況説明が少ないせいかもねえ
月影様のオ○ニーって感じw
お一人でイかれても困りますわよ!!アテクシ達もいっしょに気持ちよくして下さいまし!
ナーンテ
ツマンネ
>>217 ひどい!
ひどい!!
ひどぉおおおおおおおいい!!!
プンプン(・3・)
???
まず‥
・批評とあらしは違う。 批評はあくまでも冷静に、言葉を選んで愛情を込めて。 スレも荒れないしそれが作家の望むこと。
>>215 禿同
加えて、
場面をどんどん切り替えるのだってストーリーテリングの一手法。
時系列じゃないとだめだったら、世に出てる小説でもドラマでも成り立たない。
作品を投下しやすい環境を求ム〜
キャサリンが古代に戻ったら 王子とはラブラブになるんでしょうが、
メンフィスやキャロルの反応を早く読みたいですね。
ヒッタイト王家ととエジプト王家は親戚ねw
キャロルにふられてキャサリンにももう会えないじゃ、王子不幸すぎるもんね。
シアワセになってほすぃ。
>>220 >作品を投下しやすい環境求ム〜
って書いてることは投下する作家サイドの人なんだろうけど、ちょっと自分らに甘すぎない?
ファンコールだけしる!
ちょっとでも批判が来たら、必死で「それはアリなの!! 作品を投下しにくくなるからヤメロ!」って
子供じゃないんだからさあ・・・・・
マンセー意見しか欲しくないなら、投下すんなよ
>>222 ラムセス2世の元にヒッタイト王女が実際に嫁いでいるから、歴史上も
親戚です〜〜
随分必死に擁護してるし、月影本人なんでしょきっと。
斬新な手法!wと思って書いたのに不評で、悔しくてたまらないんじゃない?
自演作家ばっかりだね、ここ
>>224 ('д` ;)
これまた随分と極端で決め付け妄想気味な(ry
>>226 おまいは論外w
229 :
220:2005/03/31(木) 20:01:43
ただのロムラーです。
書き方悪かったらしく、あらぬ疑いをかけた作家さん達にはごめんなさい。
作品読みたいから書いただけ。
言いたかったのは
・批評はあくまでも冷静に、言葉を選んで愛情を込めて。
あとは、批判の内容が真っ当じゃない気がしたから反論してみた。
感情的な意見を引き出して雰囲気をさらに悪化させたことに反省・・・orz
>>229 言い訳にわざわざ来るところがまた・・・(ry
いい加減、「自演」厨にはみんなうんざりだねw
もう、おかしくって笑ってしまうw
その必死さに 必死になって「自演自演」叫べば叫ぶほど、作家様たちは
「自演」なんかしなくなるって事実に気付かない君は哀れだよw
>232
妙に必死だね……(プ
wの多用はバカに見えるから気をつけてね
おまえに対するレスなんざ、バカに見えるw多用で十分!(プ
235 :
220:2005/03/31(木) 20:14:44
>>232 むむむ、確かに。。座布団1枚とらせようぞ
236 :
232:2005/03/31(木) 20:16:34
>>235 かたじけない、が、記念にもらっておこうぞ、すまぬ。
ほんとにスルーできないバカばっかりだね
よくも毎日毎日飽きないよ
余程暇なババアばっかりなのか?
>>237 「自演厨」開き直り。スルーよろしこ
ちなみに、おまいが一番の「ヒマ人ババア」(プ
時系列どおりに話が進まなくて読みづらい?
こんなことでクレームつけるって何?
要するに頭悪いだけのことじゃないの。
もしくは、読みながら大なり小なりの違和感あっても
受け入れる柔軟さや寛容さに欠けてるんだね。
怖いw
馬鹿ばっか
>月影の詩
うpありがとうございます。
結ばれて一晩で消えてしまう恋人なんて
かわいそう過ぎる・・・
時間軸をずらす手法がわかりにくいと感じた方々は
もう一度、二度、わかるまで話を読み直すことをお勧めします。
一度読んだだけでわからないからといって作品の質を問うことは
どうかと思う。
わかりやすいものがいいものと限らないように
わかりにくいものを毛嫌いするのもいけないと思う。
わかりにくいならわかるまで読めばいいだけのこと。
作家さんの書き方が問題なのではなく
ひょっとしたら自分の読解力に問題があるのかもしれないでしょ?
わかりにくいとカキコした方々、荒らしでないのなら
よく考えてね。
エラソーでスマソ。
>>242 お約束だけど、言わせてもらいたい。
作 家 で も な い の に、何故そこまでの長文でくどくどと庇う?
月影さんがそんなこと書くとは思えないから、余計なお節介なのかもしれないけどさ・・・・
また「作家必死」って言われない?
それともそういわれたくて釣りしてんの?
>242
マジレスだから長くなってスマソ。
月影の話がわかりにくい、伝わりにくいと書いてたのは、ざっと見たところ
>171、>173、>174、>178、>180、>203、>216あたりだね。
それを総じて荒しとしてしまうのはどんなもんなの?変なのもあるけど、ほとんどがまともな感想じゃん。
多少の批評が出たら、即反論ってどうなの?
絶対に賞賛だけしか書いちゃいけないとこなのか?ここ。
大体さ、月影さん自体が>204で出てきて、読みにくいって書いた人と会話してるでしょ。
月影さんはその反応を荒しと感じたんじゃなく、一個の意見として受け止めたからこそ
ああやって返答したんじゃないの?
本人が一意見として受け入れてるのに、外野がギャーギャーいって却って話をデカくしてるじゃん。
むしろそっちに、猛反省しろと言いたくなるね。
もう、おだまり!
>>244 同意
まあ、反論してる振りして、わざと荒らしてるんだとは思うけどね
つーか、何で荒らすのか。
何か辛いことやいやなことがあったの?
荒れすぎツマンネ
これくらいで荒れてると感じるとは、まだまだだね
荒れてるっていうか、「擁護派」の意見にまた反論がついて…その繰り返し
>>226あたりは、いつもの「自演」唱える人だけど
あんまり続くと擁護も嵐に見えてくる
それより最近4年後さんが投下してくれないね。
さすがにこの荒れやすい状況じゃ、しばらく書くのもイヤって感じかな……
王子モノばっかりで、久しぶりにカコイイメン様が読みたいんだけどねえ
ねえ、なんて年数のところが「皇紀」ってなっているの?
バカ
どこの掲示板でもみんな「皇紀2665」に突然なっている。
エイプリルフールだからか?
昔の訳分からん流れに比べると最近はだいぶ落ち着いてきたよね
ただどうしてもスルーを覚えられない人が多いのが王家関連スレの特徴なんだお
257 :
名無し草:皇紀2665/04/01(金) 00:40:34
あー、はいはい
しょうでしゅねえ
いつだった過去のスレで話題になってた
刑部真芯の漫画読んでみたよ。
絵柄とかあんまり好みじゃなかったんだけど
(王家より斜線使いすぎだしw)
源氏物語をHなとこだけ取り出したかんじ?
大人な王子に育成されるキャロル、通じるもの無きにしも非ず・・・
今気づいたけど
>名無し草:皇紀2665/04/01(金)
この日付って・・・なに?
王家だけ?
>>258 王子とキャロルじゃ、まず最初の段階でどことも通じなくないか?
>259
お前は少し前の数レスも読めないの?
ひょっとしてエイプリルフール?
いやん芸が細かいー!
リロせずカキコしたよ・・・逝ってくる・・・
ほんとに、どうしてこうも馬鹿と粘着ばかりが集まるざんしょ
ある意味相性のいい組み合わせだよね<バカと粘着
荒れ続けることが可能です。
266 :
名無し草:皇紀2665/04/01(金) 01:30:12
みんながここまで思うツボで荒れてくれて煉獄作家は高笑いしてるよ
屑のことも忘れたらいけないんだお
>266
ヘタクソ
あー、はいはい
270 :
名無し草:皇紀2665/04/01(金) 04:07:09
ギャハハ
また荒れてるのね。
いつもです
ふつーじゃん
あー、はいはい
>>23 52
自身も勢い余って少しよろめいたカーフラ王女は獣じみた素早さで立ち直ると、とどめを刺さんと刃を振り上げた。
「だめーっ!」
さらに一撃を加えんとするカーフラ王女とメンフィスの間に、キャロルは割り込み、その小さな身体でメンフィスに覆い被さるようにした。
「おのれ、死ねーっ!」
カーフラ王女の短剣がキャロルの肩に突き刺さり、肩甲骨にぶつかってか刃先の折れる鈍い音がした。
溢れ出る暖かい血潮の匂いが、月の照らす静謐な世界に広がる…。
「キャロルーっ!」
メンフィスは力が抜けて人形のようになったキャロルの身体を抱きかかえたまま、裂帛の気合と共に狂った王女の手から短剣を叩き落した。
「あ…ひぃ…っ」
腕を押さえてのた打ち回るカーフラ王女に、メンフィスはファラオの短剣で激しく斬りつけた。自分を庇うように丸くなった王女の背中から血が吹き出る。
「おのれ、貴様…っ!よくも、よくもキャロルを!」
「ファラオ!いかがなされました!…あっ!」
ミヌーエ将軍達がただならぬ気配に驚いて駆けつけなければ、メンフィスはカーフラ王女を叩き斬って殺してしまっていただろう。
「メンフィス様、落ち着かれませ!相手は一国の王女でございます!」
「黙れ、ミヌーエ!この女がキャロルを…!我らを襲ったのだ!」
左腕を血に染めて激昂するファラオ、背中から血を流して目を瞑ったままの王妃の姿に人々は驚愕する。
「とにかく犯人を殺しては後の裁きに差し障りまする。それよりも今はご自身と王妃様のお手当てを!
医師を召し出せ!お手当ての用意を!下手人は厳重に捕らえ、余人に会わせることはならぬぞ!」
イムホテップがてきぱきと命令を出していく。カーフラ王女は兵卒に引き立てられていった…。
53
「キャロル、キャロルっ!しっかりいたせ!目を開けよっ!」
白い包帯で体を包んだメンフィスが叫ぶ。
「血がまだ滲んで…止まらぬのか?医師、何をしているっ?何とかいたせ!」
「ファラオ、落ち着かれませ!ご自身も傷ついておられるのですぞ」
ミヌーエ将軍達が必死にメンフィスを押しとどめた。
「ええい、うるさいっ!よいか、キャロルに…王妃に、もしものことがあってみよ、そなたとて無事には済むまいぞっ!」
「は…。ファラオ。最善を尽くしておりまするが…」
いつまでもじわじわと溢れて止まらない血に、さすがの宮廷医師も困惑と狼狽の色を隠しきれない。
「分かっておるわ!だが…だが…何としても王妃を助けよ…」
メンフィスはキャロルの臥す寝台の脇にがくりと膝をついた。
「キャロル…!」
「メンフィス様…。どうか少しお休みくださいませ。ご自身も傷ついておいででございます。メンフィス様の御身に何かございましては姫君がお嘆きでございましょう…」
気遣わしげなナフテラに一瞥を呉れるとメンフィスは不安と焦燥にかすれた声で言った。
「よい…。私のことは構うな。私はキャロルについていてやりたいのだ」
蒼白な顔をして浅い弱い呼吸を繰り返すキャロルを見るメンフィスの目に光るものがあるのに気づいて、医師や侍女達は思わず顔を伏せた。
(私は…私はまた、そなたを…)
最悪の予感を振り払うようにメンフィスは冷たいキャロルの手を握り締めた。
「キャロル、目を開けよ!目を…。私だ、私だ。お願いだ…目を…。」
しかし蒼白な顔をしたキャロルは睫ひとつ揺らさず、死の翼の影に半ば覆われていた。
54
「姫君のお身体がどんどん冷えていきまする、医師殿」
曙の光が室内を暖かく染めているというのに、キャロルの肌は蒼白で呼吸も浅くなるばかりだった。
「血が…多く失われました。血は熱と活力を司りますれば…。女官長殿、湯を満たした革袋を王妃様のお肌に触れるように。それに暖かい掛け布を!」
医師は薬湯を染み込ませた布で白いキャロルの唇を湿らせながら指示を出す。
「…暖めればよいのかっ?そうすればキャロルは…ここに、私の側に居られるのだなっ?」
昨夜遅く、カーフラ王女の幽閉と脱走したリビア王の追討を命じて以来、厳しい顔のまま口を開かなかったメンフィスが、医師の言葉に弾かれたように立ちあがった。
医師はキャロルをしっかりと包みこませた。
メンフィスはキャロルの寝台の脇に跪くと、掛布の中からそっと白い小さな手を引き出した。
その冷たさが、その頼りなく力の抜けた様子が、メンフィスの心を掻き毟る。
(お願いだ、お願いだ、キャロル!目覚めてくれ、私を見てくれ!
もう一度そなたを失うことなど耐えられぬ!一人にしないでくれ!
そなたの居ない虚ろさ…恐ろしいのだ、恐ろしくて耐えられぬのだ、そなたを失うことが!この私が…世に恐れるもの無きこの私が…そなたを失うことはできぬっ)
「神よ…」
メンフィスは唇を動かさぬまま、古くから伝わる祈りの言葉を繰り返す。
55
事件を聞きつけたテーベの民は気遣わしげに王宮を見上げ、そこここで神への祈りを捧げた。
我らの護り神ナイルの王妃をその御許に呼び戻したもうな、ファラオの手許からその最愛の王妃を奪いたもうな、と。
─カーフラ王女がファラオと姫様を殺そうとしたんだと。恐ろしい女だよ。
─姫様はファラオを庇ってお怪我を…。折角の祝祭の夜に何て忌まわしい。
─リビア王は王女を捨てて逃げたんだって。見たろう?夜中に大勢の追討隊が駆けて行ったのをさぁ。
時だけがのろのろと過ぎていく。
メンフィスはキャロルにひたと寄り添い、抱きしめるその腕を決して緩めようとはしなかった。少しでも緩めれば、愛しい人の命と魂が天駆けて逝ってしまいそうで…。
暗い淵の中をキャロルは漂っていた。深みに吸いこまれていくような浮遊感。
─ここはどこ?
何か大切なことを忘れているような気がしたけれど、もう何もかもどうでも良いような気もした。自分の務めは終わったのだと一種醒めたような満足感が全身を支配する。
深いほうへ、薄暗いほうへとキャロルは流されていく。
─あら…誰か泣いている?
キャロルはゆっくりと頭を巡らせた。
─私を置いて逝かないでくれ。そなたが居なくなるのはもう嫌だ。独りになるのは恐ろしいのだ…。孤独には…耐えられぬ、もう。
怪訝そうに辺りを見まわすキャロルの心をかき乱す声。どうしてこんなに心に突き刺さるように響くのだろう?
気がつけば悲痛な慟哭にキャロルは母のように穏やかに応えていた。
─泣かないで。あなたに泣かれては私は辛い。大丈夫、あなたを独りにはしないわ。私が側に居るでしょう?
(続く)
メンフィス4年後作家様、
うpありがとうございます〜
ずっと目の離せない展開が続いて面白いです。
はぁ 絵をつけて見てみたいもの‥(はあと
つД`)・゚・。・゚゚・*:.。 キャロル死なないで・・・
楽しませていただきました!
キャロル、助かったみたいでよかったですー
カーフラ王女はいっそ止めを刺されていたほうが幸せだったのかもしれないね。
彼女がこれからどうするのかもちょっと気になる。
助かってよかったぁ!!!
284 :
名無し草:皇紀2665/04/01(金) 15:22:34
>>280 私も同じ意見です。
絵を付けてみたら、ステキだと思います。
いつも続きが楽しみで、毎日除いています。
キャロルが助かって本当に良かったです。
ババアのクソ絵なんかつけて欲しくないんですけど
( ´艸`)ムププ
相変わらずのバカの巣窟
メンフィス4年後様、お待ちしておりました!
死なないでよかった、本当に。メンフィスの涙が切ないです・・・
290 :
名無し草:皇紀2665/04/01(金) 16:54:19
メンフィス4年後作家様
ジ〜ンと来ました。
メンフイスの切ない思いが伝わり、読んでいて心がキューンと
しました。
続きが楽しみです。
>>290 うはwwwwwww頭悪い感想wwwwwwwwwww
ジ〜ンにキューンだってwwwwwwww
>>291 もういい加減に荒しやめなよ。あんた一人でこのスレ荒しているってことは
わかってる。一体このスレになんの恨みがあるの?
>292
マジレスキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
凍る河の作家だよね、この嵐って
295 :
名無し草:皇紀2665/04/01(金) 18:12:18
【皇紀ウイルスに注意!】
年月日の表記が「皇紀〜」になってる人は、皇紀ウイルスに感染しています。
・弊害
kouki.exeをメーラーに登録されているアドレス先に無差別に送信
HDD内の画像を無差別に2ch上にUP
・感染ルート
2ちゃんねる
・駆除方法
名前欄に「fusianasan」と半角で書いて「書き込む」
(ウイルスチェッカー有)
物凄い勢いで拡がっています。これを見た人は他のスレにも貼ってあげて下さい。
皇紀〜表示になってない人も、念のため同様のウイルスチェックをおすすめします
もういい加減にしたらwww
>>295 いまどきフシアナさんに引っ掛かるバカがいるかよwwwwwww
ほんとこのスレってバカwwwwwばっかりwwwwwwwwwwうえwwwwwwwwww
このスレを次に新しくする時には、やはりID表示した方がいいかもね
エロパロ板みたいに・・・少しは連続嵐書き込みはなくなると思うね
>>298 ID表示した方がって、難民じゃムリだけど?
>292
スルーの出来ないバカ。
粘着を覚醒させるバカ。
さんざん言われてるけど、お前みたいなのが一番スレを荒らしてる。
301 :
名無し草:皇紀2665/04/01(金) 18:23:02
難民板に立てなきゃいいんじゃないの?>ID表示
>300
オマエモナー・・・
ゆかいゆかい
作家さんたちが作品書き込む度に嵐・・・もういい加減いやになる・・・
>307
どうせ、ここの虹小説もみんなHOTなラブシーンを期待している、それなしには
虹は楽しめなくなっているから、「エロパロ&文章創作板」にもう一つ作れば
いいんでない?
マジレスです。
私の所だけ「皇紀2665」ているのかな?
皆の所は?
>>310 出てないけど……?
ウィルスじゃない?
>307
同人@2ch掲示板なんかどうだろ?IDきっちり出るよ
同人誌や作家の板だけど
IDがどうでも嵐は来るって。
>>310 エイプリルフールの2ch特別仕様だってば。気にしないでね。
>>313 はあああ?同人板で創作パロやるの?
出て行けって一蹴されるよ。
バカが多いと嵐に言われても言い返せないこの住人の有様
orz・・・
嵐はおさまったのかな?
いっそのこと、もうエロパロ板一本にして、「王家の紋章虹小説パロスレ」
は元通り一本化にしたら?今、あっちに掲載されている「凍る河」だって
エロ描写ないし…そもそも王家の虹小説パロスレが2つあること自体が
おかしいと思うが…
向こうにもスレあるのにあえてこっちでSS書き込んでる人達がいるから
一本化は当分無理なんだろうね。
その気があるなら書き手はみんなどっちかにまとまるはずだしね。
まあ好きなところで書いてもらえばいいんじゃないの?
読み手も専ブラでSS以外の発言消すなり、スレ追いかけるの止めて
ダイジェストサイト見るだけにするなり、不快なレス見るのを避ける方法は
いくらでもある、と。
スルーできない(あえてしない?)住人がいるかぎりは
IDがでようがでまいが同じ事だと思うな。
多少の抑止力にはなるかもしれんが、
荒らす奴はどこまでも荒らしに来るよ、きっと。
ここの荒らし、恐ろしく執拗だしな。
マジなお話、つまんないわ
最近の荒れかたは特にひどすぎると思う。
そのうち作家さんが誰もいなくなるんじゃないかと思った。
嵐に負けた作家さん達は逃げ出してしまったけど
いま書いている作家さん達は良い意味で強い。がんがれー
>>321 そっか、作家さんは書く板を選べるんだったね。それなら納得。
どうしても荒されたくない作家さんは、あっちにお引越しするって
手もあったか…うんうん、それでもあえてこちらの板を選んでいるって
ことは、作家さんたちの意思なんだね。
作家さんたち、負けるな〜!ですね。
実際の話,話とそれに対する感想だけでいいじゃん。
あたしゃ、感想もいらんわ
月曜日までうpないかな?
いいか、みんな
(゚д゚ )
(| y |)
しつけという言葉をどんなに丁寧にしようとしても
お ( ゚д゚) しつけ
\/| y |\/
当人にすれば他人からおしつけられることにかわりはない
( ゚д゚) おしつけ
(\/\/
愛のあるしつけをしようね
( ゚д゚)
(| y |)
>>308 >どうせ、ここの虹小説もみんなHOTなラブシーンを期待している、それなしには
虹は楽しめなくなっている
そうでもないよー
たとえば「○い瞳」はエロなかったけど私は好きだ。
(作品の名指しはなるべく避けたいけど例を挙げたかっただけ)
ただエロパロ版でエロまったくなしってのはまずいよね。
だからこっちのスレも大事にしよ。
| \
|Д`) ダレモイナイ・・オドルナラ イマノウチ
|⊂
|
♪ Å
♪ / \ ランタ タン
ヽ(´Д`;)ノ ランタ タン
( へ) ランタ ランタ
く タン
♪ Å
♪ / \ ランタ ランタ
ヽ(;´Д`)ノ ランタ タン
(へ ) ランタ タンタ
> タン
うpがないと寂しいね…
>>201 61.
ハットゥシャの早春はまだ寒い…
夜明け、一人で目覚める空しさはもういらぬ、王子はキャサリンが去った朝を思い出すことを、
そのようなもの想いを、振り払おうとした。
(ふ…、このような想いに浸るほど女々しくはないはず…、キャサリン、私はそなたを取り戻
す、そう、イシュタルに誓って!必ずや。そなたの口から他の男の名など決して呼ばせはせぬ!)
王子は、東の空に輝くイシュタルに再び誓うのだった。
(ほ、ほ、ほ…美しき王子、独り寝には飽きましたかえ?嫉妬に狂う心こそ、このキルケーが
好きな心でございますえ…さぁて、そろそろこのキルケーの出番にござりましょうか?)
妖かしの魔女キルケーは、独り水鏡を覗いて王子の様子を眺めていた。
同じ部屋の寝台には、ヒッタイト王が高いびきで眠っている。
「寝ても目覚めても見苦しき殿御でございますなあ…、このキルケーにふさわしき殿御ではご
ざりませぬゆえ、あなたさまにはそろそろ消えて貰わねばいけませぬなあ…このヒッタイトも
美しき王子もこのキルケーの手中に納めますゆえに…!」
アイアイエ島のペネロペーはいまやすっかりヒッタイト王のお気に入りの愛妾となり、このヒ
ッタイトを手中に納めんとその機会を虎視眈々と狙っているのだった。
キルケーの操る妖かしの水鏡には、寝所で独りまどろむ王子の姿が映っていた。
「何度見ても美しき王子よ…そなたは我が者となるべき運命。お待ちなさるがよいえ…」
不気味な微笑がその顔に浮かんだ。
62.
―――――王子の寝室に、むせ返る様な花のような妖しき香りが満ち満ちた。
(う…この香りは…?)
朦朧とした意識で王子は半分目覚めていた。
「王子…王子…私はここよ…」
遠くで、聞き慣れた懐かしい声が聞こえる。
「その声は……?」
「―――――私よ、私…忘れたの?」
声とともに、ぼうっとした春霞のような中から、金色の髪が輝く。
「―――――キャサリン…?い…やそんなはずは…。では、そなたは姫…?ナイルの姫…?」
王子の半分眠りともつかぬ霞んだ視野の中に、その姿は現れた。
「私よ、あなたが求めているのは私でしょ?だからやって来たのよ、こうして…」
再び声はやさしく王子の耳元で囁いた。
「誰だ…?そなたは…?」
(体が動かぬ…!)
王子は、寝台に括り付けられたかのように、体の自由が利かなかった。
「王子…私よ…あなたが求めている女性…、さあ、私を抱いて…」
輝く金色の髪、青い瞳…その姿は、王子がその腕に今ひとたび腕に抱き締めたいと思っていた
少女の姿をしている。
「キャサリン…?姫…?そなたは…そなたは…何…者…?くっ…体が動かぬ…!」
王子の問いかけに、その人影は答えようとはせず、自らの衣をハラハラと王子の目前で落とし
ていく。やがて、一糸纏わぬ白く華奢な体を王子の側に横たえた。
「王子…あなたが求めているのは、この私のはず…さあ、その切なる想いを遂げて…、お願い、
王子…」
声の主は、甘く囁いた。
63.
「キャサリン?そなたは…キャサリン?いや…そんなはずはな…い。そなたは、3000年の時の
彼方にいるはず…では、姫…?……それも在り得ぬ。姫がメンフィス王の元を去り、この私の
元へ自ら赴くなど…、一体…」
動かぬ自分の躯にその声の主は甘く絡みついてきた。
「難しいことを考えないで…王子…私よ、私…会いたかったわ…お願い、抱いて…この私をあ
なたのものにして…」
「―――――キャサリンなのか…?」
王子は、募る想いを抑えることができず、瞬間自由になった両手をその華奢な白い体に廻した。
頭では、疑問が渦を巻いていた…しかし、体はそれ自体が意思を持っているかのようにその人
影を抱き締めた。
「そうよ、私…。王子…お願い…」
(そなたは、わが夢が作り出しし幻…?)
王子は、操られるかのようにその白い首筋に顔を埋めた。
―――――香り…この香りは…違う!キャサリンの香りではない…!
王子は、はたと顔を上げた。薄靄の中に金色の髪が輝く…そしてその顔は…キャサリンともナ
イルの姫とも見えたが、どこかが違う。
「そなたは…何者?」
「私は、あなたが望む者よ…」
「私が望む…?―――――私が望む女は、ここにはおらぬ!」
そう言うなり、王子はその白い首筋に深く歯形をつけた。王子の口の中に血の味が沁み込む。
「な、何を〜〜〜!」
幻は呻き声を上げながら、王子の躯から離れた。
「待て!忌まわしき幻…!」
64.
口の中の血の味に正気に戻った王子は、その幻の手首を鋭く?んだ。
「おのれ!」
瞬間、王子の周りに立ち込めていた薄霞ともつかぬ煙のような気配は無くなり、女が一人蹲っ
ていた。
「もはや、逃れられぬ、妖かしの女子よ!このイズミルを惑わさんなどとよくも謀ったな!そ
の正体を現すがよい!」
王子は後手に女の両手を押さえ込み、その上体に馬乗りになった形で妖しき女を押さえ込んで
いた。女の頭は亜麻色の髪で覆われていた。
「ふん、顔を見ずともそなたはペネロペー、わかっておる、が、しかしその姿が本当の姿では
あるまい?妖かしの魔女キルケーよ、元の姿に戻るがよい!」
「ほ、ほ、ほ…見破られましたかえ?賢き王子よ…、このキルケーの命運もこれまでと見受け
られまするなあ…」
ペネロペーは、いや、妖かしの魔女キルケーは王子に押さえ込まれたまま高笑いを上げた。
「さすがは、魔女!この期に及んで高笑いとは、余裕。しかし、このイズミルを舐めるでない、
笑っていられるのも今のうち…!」
王子は、その口元に冷たい微笑を浮かべた。
「ルカ、ルカはおらぬか?」
王子は、声高にルカを呼びつけた。
「は…王子…お呼びでございまするか?――――こ、これは!」
王子の寝所に駆けつけたルカは、ペネロペーを押さえ付けている王子の姿に目を見張った。
「ルカ、この者がこのヒッタイトを手中に納めんとした妖かしの魔女、キルケーだ。縄にて両
手両足を縛り、口と目に覆いをかけて鉄の錠前をかけた箱に閉じ込めよ!」
「はっ…!早速にご用意いたしまする!して、王子、口元から血が滲んでおりまするが、お怪
我のほどは?」
「この魔女めの血だ、口が穢れたな…、心配はいらぬ。では、ルカ、頼むぞ!」
「うぅぅ…イズミル王子よ…この代償高くつきましょうぞ…覚えておくがよいえ…!」
二人の屈強なるヒッタイト兵によって押さえ込まれたキルケーは、両手両足を縛られた上に目
隠しと猿轡をかまされて箱詰めにされた。
<続く>
64の一行目>
「口の中の血の味に正気に戻った王子は、その幻の手首を鋭く?んだ。」→間違い
「 口の中の血の味に正気に戻った王子は、その幻の手首を鋭くつかんだ。」に訂正です。
すみません。
リアルタイムで読めて幸せですた〜
うぉーーー緊迫!!!
(((;;;:: ;: ;; ;; ;:;::)) ::)
( ::: (;; ∧_,∧ );:;;;)) )::: :; :))
((:: :;; (´・ω・)っ旦;;;; ; :))
((;;; (っ ,r どどどどど・・・・・
i_ノ┘
((;;;;゜;;:::(;;: ∧__,∧ '';:;;;):;:::))゜)) ::)))
(((; ;;:: ;:::;;⊂(´・ω・`) ;:;;;,,))...)))))) ::::)
((;;;:;;;:,,,." ヽ旦⊂ ) ;:;;))):...,),)):;:::::))))
("((;:;;; (⌒) |どどどどど・・・・・
三 `J
.∧__,,∧ ;。・
⊂(´・ω・`)⊃旦
☆ ノ 丿 キキーッ このスレのために大急ぎでお茶....
ヽ .ノ (⌒) 彡
と_丿=.⌒
∧_∧
( ´・ω・)あっ 旦
ノ つつ
⊂、 ノ
((( し
ショボーン
(´ `ヽ、 ミ __ ガシャ
⊂,_と(´・ω・`)⊃ (__()、;.o:。 ごめんなさい...
古代人は歯が命。
いざというときは武器になる!
箱詰め→海に流す→(記憶をなくしてる)王子に拾われる→原作へ
・・・んなわけないか(笑)
アップうれしいです!
さすがイズミル王子、炯眼ですね!
クライマックスが近くなってきたみたいで
緊張して待ってます。
簡単に捕まっちゃったのねぇキルケー。
油断してたんでしょう。
どーでもいいことなんですが、
>寝ても目覚めても見苦しき殿御でございますなあ…、
に禿ワロタ
>>338 65.
「父上、皆の者、しかと見届けるがよい、この者がわがヒッタイトを手中に納めんとしたイオ
ニアの魔女キルケーぞ!」
最高神嵐の神テシュプの神殿の大広間で、イズミル王子は重厚な箱の蓋を開けさせた。
中からは、見るも哀れな老婆が出てきた。
「おお!さすがはイズミル王子。魔女を捕らえたか!それにしてもなんと哀れな老婆…!」
周囲は、魔女キルケーの姿に騒然となった。
「よくやった、イズミルよ!これでこのヒッタイトも安泰じゃな。しかし、この醜き老婆があ
の麗しき女王とはのう…女は恐ろしき魔物ぞ」
キルケーの妖かしが解けたヒッタイト王も、ここぞとばかりにイズミル王子を褒め称える。
「父上、今後は女子にはお気をつけあそばせまするよう…どうか母上を大事になさって下さり
ませ」
「う…うぬ…」
王子の皮肉めいた口調に、ヒッタイト王は返す言葉もなかった。
――――――ほ、ほ、ほ…さすがは怜悧なるヒッタイトのイズミル王子にござりまするなあ…
その時、妖しき声が神殿の大広間に響いた。
「な、何事?」
大広間にいた者は、恐怖に慄いた。
「イ、イズミル…、キルケーの姿が…ひえぇぇぇ―――――――っ!」
ヒッタイト王の絶叫が響いた。
「父上っ!」
王子が父王を庇おうと鉄剣を構える。――――――その時、箱に両手両足を縛られ、猿轡を咬
まされていたはずのキルケーの姿が、煙に包まれ上空へと浮かんだ。
やがて、魔女の姿は老婆ではなくなり、見るも恐ろしき怪物へと様変わりした。
66.
髪の1本1本はすべて蛇、顔は女の顔だがその目は赤く輝き、口は耳まで裂けていた――――
そして、胴からは下は蛇――――その姿の余りの恐ろしさに、見るものは全てその場に凍りつ
いた。
――――――わらわこそ太陽神ヘリオスの娘、イオニアに名高き魔女キルケーじゃ。わらわを
捕らえて箱詰めにせんなど甘いこと、ほ、ほ、ほ…。戯れは終わりじゃ、わらわはもうこのヒ
ッタイトには飽いたゆえ!愚かなりしヒッタイト王よ、わが身を抱いた殿御はすべからく生き
たまま豚になるのが掟じゃ、今すぐ、豚になるがよいぞ!
「うぉぉぉおおおお―――――――っ!」
断末魔の叫びに近い呻きと共に、ヒッタイト王は見苦しき豚と様変わりした。
――――――ほ、ほ、ほ、見苦しきヒッタイト王よ、お似合いの姿ぞえ!して、麗しき令名高
き王子イズミルよ、そなたはわが呪われし血の味を味おうておる…その命、まもなく果てよう
ぞ!今に、体の先から徐々に痺れが襲って参るえ…やがてその痺れは全身に廻り、その息の根
を止めましょうぞ!ほ、ほ、ほ、面白きこと……百年ぶりの戯れじゃ……さてと…そろそろこ
の地にもおさらばじゃ……次なる百年の眠りの後には、イオニアの海にて戯れましょうぞ……
大きなる戦が起こるやもしれませぬなあ……ほ、ほ、ほ……
キルケーはそう言い残すと、妖かしの煙の中へとその姿を隠した。
<続く>
(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
キルケー怖いよぅ・・・
王子は死んじゃうの・・・?
どうなってしまうのか予想がつきません。
>月影作者さま
連日のうpありがとうございます。
意外な展開で、少しびっくり。
で、なんか違うような気が・・・・、少しだけする。
エロパロの作家=抜けない棘?
同じようなヘタさ。
王家スレってどこもすぐ荒れる。
こりゃやっぱり、細川さんの人徳のたまものだな。
類は友をy(ry
>>98 84
しんと冷え込む暗い一室でモリオネーは虚空を見据えていた。最前、獄吏に掴まれた腕がまだ痛んだ。
─そなたの罪一等を減じ、死罪を許したるは我が妃の希望である。
(あの女!ナイルの姫!何故?何故、あの女ばかりが華やかにもてはやされるの?あんな…あんな何も持たない貧相な乞食娘が!)
眉目秀麗、文武両道、地位身分も申し分無く、女であれば誰でも誇らしく思うであろう男性を夫とし、愛し愛され、栄華を極めるはずであったのに。
嫁いだ男は何事にも冷淡で淡白で、モリオネーがいくら愛しても求めても思い通りには出来なかった。いや、そもそも理解すら出来なかった。
それでもいいと思った。イズミル王子はモリオネーを大切に遇してくれてから。ヒッタイトの世継の、ただ一人の妃の身分は心地よかった。
それなのに。
キャロルが現れ、モリオネーの手の中から全てを奪ってしまった。モリオネーは愛する夫が自分以外の女を愛し、溺れていくのを見ているしかなかった。
そう。モリオネーはキャロルの出現とともに知ってしまったのだ。身も心も愛される、求められるとはどういうことかを。
(私は…愛されなかった。アテネの威勢を慮り、気遣われはしても…愛されることはなかったの!ああ、それに気づきもしなかったとは!)
その時、扉が開く音がした。松明の光が室内に射しこむ。そこに立っていたのはイズミル王子その人だった。
85
「王子…様!」
モリオネーは勢い良く立ちあがり、腕を差し伸べた。
モリオネーは思っていた。
背の高い彼女の‘夫’は妻である彼女を抱き、全ては誤解と冤罪である、と言ってくれるだろうと。許しを請い、彼女だけを愛すると言ってくれるだろうと。
「ああ…お待ちしておりました。きっと迎えに来てくださると!私はあなたの妃なのですもの!」
だが。
王子はモリオネーに抱擁を返そうとはせず、黙って見下ろすだけだった。
「アテネのモリオネー。そなたに会うのもこれが最後であろう」
王子はモリオネーの目の前に冷たく光る短剣を差し出した。
「そなたに贈ってやれる最後の品だ。そなたは明日、罪を犯した宮女を篭める館に移される。閉ざされた部屋にもはやいかなる平安も安逸も訪れまい。
そなたが誇ってやまなかった祖国アテネも…そなたを見捨てた」
自害を促す残酷な贈り物を、モリオネーは叩き落した。屈辱と絶望に我が身が焼けるように思えた。
「だっ、誰がその手に乗るものですかっ!死ぬなんて真っ平です!きっとあの女の差し金でしょう?あの売女は私を死なせてせいせいしたいのでしょうが、誰がそんなことをするものですか!」
86
「口を慎まぬか、モリオネー!」
イズミル王子は感情を押さえた危険な口調で命じたが、モリオネーの舌は止まることなく言葉を紡ぐ。
「あの女!あの嫌らしい乞食娘!王子様を誑し込むナイルの売笑婦めが!
皆、あの女に騙されているのですわ。清らかに澄ましかえった虫唾の走る偽善者が!あの女のせいで私は身を誤ったのです!あの女のせいで!私は陥れられたのですわ!」
「モリオネー!我が妃を侮辱することは許さぬ!」
モリオネーはぶたれた頬を押さえながら、なおも叫ぶ。
きっと外に控える獄吏や兵士にも自分の罵詈雑言は丸聞こえで、誇り高い王子はそのようなことに我慢できないだろうと計算しながら。
「王子様が愛しておられる娼婦めは今ごろ高笑いですわ。皆を見事騙しおおせたから。あの女の如何にも男好みの外見や振る舞いに騙された方こそお気の毒。あの女は腹黒い卑怯者、偽善者です!」
モリオネーは、短剣を拾い上げ、振り返ろうともせず去っていく大きな背中に叫んだ。
「…あなたが私をこんなにしたのですっ!冷血の化け物!人を地獄に落として!あなたが…私を愛してくれなかったから!あなたがあんな小娘に入れ揚げたから!
あなたが私を愛してくだされば…いいえ、私と同じようにあのナイルの姫も愛さずにいてくだされば…誰も愛さずにいてくだされば、いてくだされば…」
扉に鍵をかける音が無情に響いた。
(王子は…私を手にかけることすらなさらなかった…。私の最後の望み…最後の誇り…)
本当の意味で誰かを愛し、そして愛されることの無かった気位の高い女の慟哭は止むことが無かった…。
続く
どこまでも哀れなモリオネー
なんかちょっと可哀想になっちゃった
せめて自害しておくれ(´Д⊂)
361 :
名無し草:2005/04/04(月) 10:34:59
ドキドキして読みました!おもしろいです!
モリオネー、ここまでくるとちょっと
かわいそうな気もしてきますが。
でも冷酷な王子、かっこいい!
王子、キャロル以外には冷淡すぎる。
でも、そこが王子ファンのツボなんだろうな。
誰にでも優しい王子様なんて、まったく萌えないもん。
モリオネーに渡された短剣・・
( ゚д゚)ハッ!もしや・・
もしや?
>>362 うん。誰にでも優しいんじゃなくて、自分だけに
優しいのがいいよね。
モリオネーに共感〜!
もう一波乱起こすのよ!
ってお話が終わって欲しくないだけだったりする
>>348 67.
―――――おおっ!ヒッタイト王が豚になったぞ!
魔女の妖かしに、皆の目にはヒッタイト王が豚となって見えた。
「―――――父上…、まさか、本当に豚になぞなるわけがない…これは妖かし、騙されるでない!う…」
王子は、襲ってくる痺れに蹲った。
「王子!大丈夫にござりまするか?」
ルカが王子の側に駆け寄る。
「おのれ!キルケー…あの魔女めは、肌に痺れ薬か何かの毒薬を塗っていたに相違ない…しかし、その前に…」
王子は手に持っていた鉄の剣を支えに立ち上がると、恐怖に騒然としている広間に集う者たち
に向かって叫んだ。
「皆のもの、よく聞くがよい!かつて、我が師たる賢者は教え給うた、『人の眼には信ずるもの
しか映らぬ、見たいと思いしものしか見えぬ、ゆえに騙すのは容易』とな。あの醜き老婆が、
大蛇の化身たる怪物になぞいかに魔女であろうとなるはずもない、また、父なるわがヒッタイ
ト王が豚になどなるはずもない!落ち着くのだ!キルケーなる魔女は、『幻の妖かし』を操りし
者。見るがよい、そなたたちの妖かしはすぐに解けるぞ…!―――――ええぃっ、忌々しき
キルケーよ、そなたの正体をこのイズミルが判らぬとでも思ったか?」
王子はそう叫ぶなり、手にした鉄剣を空と見えるキルケーが閉じ込められし箱に向かって突き
刺した。
――――――ぎゃああぁぁぁ――――っ!
不気味な呻きが響いた――――そして、大広間に立ち込めていた妖かしの煙が掻き消えるよう
になくなった。
「お、おのれ〜〜〜っ、イズミルよ〜〜〜!」
剣を背に刺された魔女・キルケーは、血みどろになりながら箱の中からよろよろと立ち上がっ
た。
――――――おおっ!すべては幻だったのか!
大広間は、波を打ったように静かになる。先ほどまでは、豚と見えしヒッタイト王も元の姿に
戻っている。王は恐怖に身を引きつらせていた。
――――――さすがは、ヒッタイトの令名高き王子イズミル殿、魔女の妖かしをも見破られる
とは…。
居並ぶ諸国の使いたちは、口々に王子の名を語った。
68.
「このキルケーの力を侮っておるな〜〜〜憎きイズミルよ〜〜〜!」
血みどろのキルケーは両手を翳して、王子の方へよろよろと向かってきた。
「寄るな!妖かしの魔女!」
――――ぴし―――っ―――――ん!
鞭のしなる様な音が静寂の中に鳴り響いたかと思うと…
――――――ぎゃああぁぁぁ――――っ!
再び、耳を塞ぎたくなるような呻き声が響いた。
見れば、キルケーが両目から血を流し王子の前に蹲っていた。
「ルカ、将軍、この哀れなるイオニアの魔女を見せしめとしてあのミノアの怪物アトラス王子
のところに送りつけるがよかろう。この魔女めなら妖かしを遣いあのアトラスを手なづけるこ
とができるやもしれぬ!盲となっては、もう他の者に化ける力もなかろうほどに―――――再
び箱詰めにするがよい!」
端整な顔に浮かぶ王子の冷たい微笑が居並ぶ者たちに凍りつくような恐怖心を植えつけた。
「皆の者、安心するがよい。これでイオニアの魔女キルケーは二度と他のものに化ける妖かし
を使えぬ身となった。盲では、化けようにも化けられぬゆえ…。
―――――して、哀れなるキルケーよ、このイズミルを…そして、このヒッタイトを操らんと
せし罪、いかばかりか…本来なれば、その命奪われても文句は言えぬ!が、しかし、そなたは
哀れなる老女…生きて、己が罪を嘆くがよい!アトラスは恐ろしき怪物…あの燃ゆる島にてせ
いぜい己が命を長らえる手立てなぞ考えよ!」
キルケーには、すでに立ち上がる力も残ってはいなかった。王子の言葉にただただ恐怖をつの
らせ震える哀れな老女と成り果てていた…。
69.
「イズミルよ〜〜見事じゃ!さすがはわが王子!」
ヒッタイト王は王子の衣にすがりついた。
「父上…大事に至らなくて何より。しばらく、カルケミシュの神殿に母上と共に参られ、禊な
どを為され穢れを落とされた方がよろしいのではと思いまする…。その間の政は、このイズミ
ルが摂政となり執り行いますほどに、ご安心下さりませ」
ヒッタイト王は、うんうんと頷きながらその場を引き下がった。
(わが父ながら情けなきこと…この後はこのイズミルがヒッタイトを治めましょうぞ、せいぜい母上を大切になさるがよい…父上)
「王子、見事な魔女退治にござりました。これにて、諸国の大使たちもわがヒッタイトの力を
思い知ったことにござりましょう…国王陛下もご案心なされたご様子。して王子、痺れのほど
はいかに…?」
ルカが、王子の足元に跪いて、王子に感嘆の言葉を述べた。
「心配するな、ルカ、あれもただの妖かしの痺れ薬にすぎぬ。あの魔女めは、自分が逃げるた
めに私にも妖かしを用いたにすぎぬ…」
「しかし、王子、いかにしてあの妖かしをお見抜きになられたので?」
「ふ…、遣り過ぎというもの…キルケーは己が命を守らんとするため、必死になり過ぎたとし
か思えぬ。大蛇に豚だと…?在り得ぬ!」
王子は、笑いが抑えきれないとばかりに声を出した。
70.
――――――遠く夕暮れの中にハットゥシャの美しい街並みが浮かぶ。露台に軽く腰を掛けも
の想う王子の端整な横顔がルカの脳裏に焼きつく。
「―――――ルカ、思うに伝説というものはかようにして出来るのかもしれぬな…かつてナイ
ルの姫があの燃えたぎるアトラス王子の島で洩らしていた言葉を思い出す…姫は申していた…
『後々の世、ミノスの国には恐ろしき化け物が迷宮に潜み子らを喰らうと伝えられる』と。私
は、姫の独り言を聞いて訳がわからなかったのだが…今にしてその答えが見つかりし気がする
…何千年もの時を超え、我らもかように語られるのであろうか?」
「さあ…この私には想像もつかぬ話にて…」
王子の独り言のような言葉は続く。
「『いにしえ、ヒッタイトなる国に大蛇となりし魔女と戦いし王子あり』と…。人の語り継ぐ物
語とは、面白きもの…、わが師なる賢者の言葉どおり、私はこの世の果てまで見たいと思って
いた…しかし、遠き時の果てを見ることはできぬ。何千年もの時の流れ…それはどのような長
さなのであろうな…ルカ」
「さ、さあ…?」
王子の言葉にルカは答えに迷うばかりだった。
(そしてキャサリンよ、そなたは…―――三千年の時を経て後の、言い伝えとなりし私のこと
を思い出すのであろうか?キルケーを退治した今となっても、そなたを取り戻す術は見つからぬ…)
王子の琥珀色の瞳は、遠いハットゥシャの街並みを超え、彼方の虚空を彷徨っていた。
(私は、そなたにとっては伝説となり果てし男か…)
<続く>
王子カックイイ(☆゚∀゚)!
三千年の時の流れを理解しているところも良いです。
王子切ねぇ
キルケー死んじゃったらキャサリンは戻れるの?
あぁ、続きが気になって眠れないかも〜!!
キャサリンщ(゚Д゚щ)カムバーック!
尋常じゃなく王子がかっこいいー
悶々としてるだけじゃない
冷静で凛々しい王子全開でイイ!
こんな見せ場があったとは
改めて作者さんブラボー!
ブラボー!ブラボー!
>蓮と薔薇
なんかモリオネーが哀れになってきた・・・
何とか王子をつなぎとめたくて
必死だったんだろうなって思うと。
続きが真剣に気になる。
∠二`-=-'"~<.,,,,,_
,,=''"~ 森憎 =
,/ \、i, ,ノ \
___,,,,__ ___ lイ -=・=- -=・=- 'l,
`ヽ=, \/~ ,/ / `iヽ \ l,
,,,.-`l <,_ | ,, .,,人, ,_ ,_ l,
∠,,_. 木殺 \ レ/ ー'"'" `''' '- N
/ \、i, ,ノ ,l, ,/ |,
| ○ ○ V / | |
(_,,. -◇- ┌'"| lヾ
\_,i-,_,-i_,,/!' \i,_ ,, ,,, , ,/"
(/ \) (二二!`ヽ-'''"--'"!二二)
キャサリンの今後が気になります。
王子嫌いの私がこの作品を読むと、純粋に王子の幸せを
祈ってしまいます。
続きがとても気になります。
また、今後キャロルとキャサリンの再会があるのかな?
王子嫌いって……
続きのうpは18時過ぎくらい?
楽しみにしております。
月影さんって無職なのかな?毎日のようにUPしてるよね。
ありがたいことです。
友達もいないんだろうねえ
>>103 34
「このような折で宴などを開くわけにはいかぬが、心ばかりの気晴らしを」と
いかにもしっくりと身についた女主のアイシスは妖艶に微笑んだ。
顔触れはといえばイズミル王子とキャロル、それにメンフィスの弟だと名乗るネバメン、そしてアイシス。
気晴らしになるどころかキャロルには気の重くなる面子だと、紗のベール越しにキャロルは見ていた。
見るからに上機嫌なアイシスがあれこれと話題を呈するのだが、ネバメンが時媚びた返答をするのみで、
部屋の空気はぎこちない。
「ラガシシュ王はどうなされた?こちらへは参られぬのか?」
王子は静かに杯を手に取りアイシスに問う。
冷徹な視線と口元に薄らを笑みをたたえた端正で感情の読めない王子の顔。
「ラガシュ王は息災じゃ、今は国許で手が離せぬゆえ、妾だけが参った。
だがエジプトの件には、我が夫君であれ介入は許さぬつもりじゃ。
妾だけで事足りるでのぅ、ほほほ。」
玉を転がすような笑い声に王子もそれ以上は問うのを止めた。
キャロルはとても目の前に用意された食事に手をつけられない。 ただ黙って時間が過ぎるのを待つだけである。
イズミル王子は会話が途切れない程度に相槌を打つ程度で、アイシスの声だけが楽しげに響く。
「・・・そなたは幸運じゃ、キャロル・・・いや、ヒッタイトの王子妃よ。
メンフィス亡き後、こうして直に輿入れ先が決まるとは、ほんに幸運なことよ。
メンフィスはどう思ったのであろうな・・・。」
意地の悪い響きを持つアイシスの言葉にキャロルの全身が強張る。
結果的にはメンフィスを奪い合ったキャロルとアイシスである。
それを言外に臭わせる言葉はやはりキャロルの心を傷つける。
35
アイシスの含み笑いがキャロルの神経を逆なでする。
なんと応えればよいのか、メンフィスを愛していると答えればそれはイズミル王子の怒りを買い、
そうかといってメンフィスのことを忘れたとは言えないのだ。
考えあぐねるキャロルの横でイズミル王子が少し身じろぐと、王子の衣装の袖がキャロルの右手の腕にふんわりを被さった。
衣はキャロルの手を覆い隠してしまった。
そして突然王子の手がキャロルの手を力強く握り締めた。その感触にキャロルは思わず面を上げて横に座っている男を見た。
王子はそ知らぬ顔で杯を口に運んでいた、キャロルの動揺など気付かなかったように。
だが王子の手だけはぎゅっとキャロルの手を握り締めたまま。
その手の力強さはキャロルの心を落ち着かせ、その温もりは生来の負けん気を取り戻させ、メンフィスを称え自分が幸福であったと感謝し、
メンフィスのおかげで王子とも縁が出来たのだと当たり障りなく答えた。
王子の手は最後にキャロルの手をまるで褒めたように優しく撫でると離れていった。
「・・・女王アイシス、そなたもよく存じておろうが我が妃は心根の優しい女人ゆえ、未だメンフィス王の死を悼んでおるのだ、
あまり問い詰めないでやってほしい。」
王子がやんわりとアイシスを諌めると「まあ、仲睦ましいことよ、ほほほ」とアイシスは嘲笑ったが
それきりキャロルに話しかける事はなかった。
やがて王子が礼を述べ暇を告げてキャロルを伴い扉へと向かう。
背後からアイシスの声がキャロルにも届く。
「のぅ、ネバメン、これから・・・内密に視察へと・・・そなたも・・・。」
「喜んでお供させて頂きます、アイシス様・・。」
扉を閉めるとキャロルの口からため息が一つ零れた。
今日はここまで?
抜けない棘作者さま、うpお待ちしてましたー!
王子、何気に優しい(*´Д`*)ポッ
あ〜連日王子が読めてシアワセだ〜〜〜
>>388 36
メンフィスへの想いがなくなったわけではないけれど
先ほどの王子の握り締めたくれた手が自分を助けたのを認めないわけにはいかない。
悔しさと感謝の混ざり合った感情をキャロルは持て余した。
部屋へ戻ってからキャロルは一応王子に礼を述べた。
「あの、さっきはありがとう・・・。」
唐突な礼の言葉にイズミルル王子が怪訝な表情を見せる。「何の礼だ?」
キャロルは礼など言わなければよかったと後悔した。
王子が意にも留めないことで礼を言うだなんて、私馬鹿みたい・・・。
他の方法は思いつかず仕方なく顔を王子から背けたままキャロルは続けた。
「さっき、アイシスから庇ってくれたでしょう?それに・・・手を握っていてくれたから・・・。」
王子のおかげで自分が勇気付けられ落ち着きを取り戻した、と言葉に出すのは
何故かキャロルのプライドが邪魔をしたので口からは出てこなかった。
一瞬の間、奇妙な沈黙が支配したが、その後王子の堪りかねた笑い声がキャロルを驚かせた。
そこにいたのは常よりも若く見え朗らかに笑う青年の姿だった。
長い髪を揺らして王子らしく堂々として。
キャロルの知る王子はその端正な顔を崩すことなく、この世の全てを見通すかのごとく冷静な視線と
物事の道理を全て見極めきったかのような斜に構えた笑みを口元にたたえる、
年齢よりも落ち着き払った態度の王子だった。
なのに今のその姿はとても魅力があり、キャロルの視線は王子に釘着けになった。
「何の礼かと思えば、あの程度のことで・・・。そなたは我が妃ぞ、なんとまあ愛らしいことを申してくれるのだ。」
「わ、私おかしなことなんか言ってないわ!失礼だわ、そんな風に笑うだなんて・・・!」
キャロルは恥ずかしさのあまり頬にかっと血が上るのを感じた。
王子に馬鹿にされてると思ったキャロルは「もう知りません!」と踵を返そうとした。
「ああ、そう気分を害すな、夫婦の間の礼ならば口付け一つですむであろうに、
なぜそれを思いつかぬのだ、姫。」
逃げようとしたキャロルの腰に王子の手が回される、王子の息遣いが頬に触れる。
それがまたキャロルの頬を高潮させている。
37
「王子!急の知らせでございます!」
イズミル王子がキャロルを抱き寄せようとした時、割って入った声があった。
名残惜しげに離れていく王子の手を半ばほっとしたような心と寂しく思う二つの心で翻弄されたキャロルも、
身仕舞いを正し王子の方を見た。
使いの者が早口だが小声で王子に告げる。
「バビロニアのラガシュ王、急死の知らせでございまする!」
「なんだと?」「なんですって?」王子とキャロルはほぼ同時に驚きの声を上げた。
「詳しいことは不明ですが、政務を行っている最中突然悲鳴を上げ倒れたとのこと。
幾度か体を大きく振るわせた後事切れた、との知らせでございまする。
我々は馬を飛ばして駆けつけて参りましたが、そろそろエジプトにも知らせが届く頃でございましょう。」
「相わかった、良くぞ知らせてくれた、休んで参れ。」
一通りの報告が終わると王子は兵を労い、黙ってしまった。
その表情はキャロルがいつも見ている感情の読めない端正な顔だ。
キャロルは昨日のメンフィスの部屋でのアイシスの言葉を震えながら思い出した。
ラガシュ王の突然の死、ズアトという蠍使いに頼んだというのはこのことなのか。
そして先ほどの午餐の中でのアイシスの発言。
「我が夫君であれどエジプトのことに介入させぬ」と・・・。
いつになく上機嫌だったアイシスは、これを目論んでいたのか。
顔色の悪いキャロルはルカと共に部屋へ残され、王子は何やら将軍と話しこんでいる。
もうこれ以上悪いことは起きて欲しくない、とキャロルは目を閉じる。
こういう王子らしい優しさのあらわし方、いいな。
メンフィスとは違う愛しかたのような気がする。
キャロルも幸せになれるような気がしてきました。
しかし過去のいきさつを思うとアノ三人が一緒にいるって
かなり寒ーい状況だよねw
393です。
抜けない棘、36と37読まずにカキコしてしまったよ・・・
今のところアイシスに迫力負けしてるよね、キャロル。
どうなるのかとても楽しみです。
棘さあ、読者の発言でころころころころ展開変えすぎ。バーカ
ちょーっとずつラヴラヴになってゆく王子とキャロルの今後が楽しみです。
確かに、他の作家さんに比べると揺らいでる感が強いね
抜けない棘様のさり気ない優しさの王子が好き!
ラガシュ王の死の謎は…?今後のアイシスの動きも気になる。
>>397 に同感。楽しみです〜
「朗らかに笑う青年」の王子‥
クール・サド・寸止めだけじゃない王子が魅力的!
寸止めw
>>370 71.
―――――このヒッタイトの天と地すべからく治める偉大なる神テシュプに我は捧ぐ。偉大な
りしいにしえ人の紡ぐ物語を…。美の女神イシュタルにも愛されし美しきも凛々しき英雄の物語を…―――――
「ふぅ…たった3行訳すだけで半日…この何枚もの粘土板を訳すのに一体どれくらいかかるというの?」
キャサリンは、オックスフォードのハワード教授の研究室と比べれば『恵まれている』とは言
いがたい、トルコの片田舎のホテルの一室にて、何千年も前に記されたであろう粘土板と格闘していた。
スイスから昨年の9月に英国に帰国して半年、キャサリンは大学での勉強の傍ら、デビッド・
ハワード教授の助手として忙しい日々を過ごしていた。
そんなある日、教授の元にトルコのボアズキョイ遺跡にて珍しいタブレット(粘土板)が見つ
かったとの情報が入った。どうやら、物語を記したらしいその粘土板の解読のために、ハワー
ド教授とキャサリンに白羽の矢が当たったのである。早速、教授はキャサリンを連れて、かつ
てはハットゥシャと呼ばれた古代ヒッタイトの都の遺跡に訪れたのであった。
ボアズキョイ村に来て2ヶ月余り、最初は、粉々になった破片を張り合わせるだけの日々が過
ぎた、ここに来て、やっと一部の破片が解読可能となり、キャサリンと教授は日夜その粘土板
たちと格闘する日々が続いていた。
粘土板は、キャサリンにある一つの物語を語らんとしていた…
―――――わが令名なる凛々しき王子、イズミル殿の物語はかく在らん…。
「イズミル…?イズミルですって?まさか?王子と同じ名…この物語はもしかして―――?」
キャサリンは、急ぎ解読を進めていこうとした。
粘土板はさらに綴っていた…
―――――いずれの御世か、イズミルと謂う美しき王子在りけり。姿ばかりか武勇にすぐれし
王子なれば、あまたの人々彼の名を讃えん。或る日、遠き異国の地より、魔女現る、魔女の名をキルケーと申す……
「キルケーですって…!王子、イズミル王子の話だわ、これ…!」
キャサリンは、愕然として粘土板を眺めた。
72.
「キャサリン、解読の方はどうかね?大分進んでいるようだが…」
ハワード教授が、懸命に粘土板と戦っているキャサリンに声をかける。
「はい、教授、なんとか…。古い伝説を語っている物語らしいということまでは判りました。
イズミルという名の王子が、異国よりヒッタイトの国を乗っ取ろうとしに来た魔女・キルケー
の話らしいということも…」
「キルケー?はて、ギリシャのホメロス叙事詩にも出てくる魔女の名だな…何かつながりがあ
るのだろうか?当時、ヒッタイトはエーゲ海と交易もしていたし…?だとしたら、これは素晴
らしい発見だ。伝説の物語というのは、往々にして、真実をベースとしている場合が多い。あ
のトロイの木馬の話からトロイの都を見つけたシュリーマンの話はあまりにも有名。いまや、
ホメロス叙事詩の大部分は真実を基礎にしていると言われているし…。そのイズミルという王
子も実在の人物なのだろうな、きっと…」
「はい、実物の人物…いえ、たぶんきっとそうかもしれませんね…」
キャサリンは、慌てて言葉を言い直した。――――そう、イズミル王子は実際に生きていたの、
私が愛した人ですもの…!
粘土板の解読の合間合間に、キャサリンは息抜きに、遺跡を巡り歩いて王子の面影を追ってい
た。
――――――どこまでも広がるアナトリアの空の下、ハットゥシャの都は静かに眠っている。
時は、5月…すべてのものが息づいて、花々が咲き乱れる季節、眠れる街にまもなく遅い春が
巡り来ようとしていた。
(ついに来たわ…ハットゥシャに…、三千年の時を経て。――――でも、イズミル王子…あな
たはここにはいないのね…)
「王の門」と呼ばれる場所に立ち、キャサリンは眠れるハットゥシャの全景を眺める。かつて
王子が自分を腕に抱き締めながら、その美しく長い指先で指し示してくれた美しい街並み…キ
ャサリンは瞳を閉じて、廃墟となってしまった街ではなく、あの懐かしい街並みを想い描いて
いた。
―――――当時と変わらぬもの、それは野に咲く花々のみ…
「王子…!あなたに会いたい…、あなたはどこにいるの?どうすれば、会えるの?」
キャサリンの声は、草原をわたる柔らかな春風に掻き消されて流れた。
73.
遺跡を巡り歩くうちに、キャサリンは王宮の中庭の跡と言われる場所に立っていた。
(ここがかつては、あの花咲き乱れる美しい中庭だった場所ね…)
―――――ふと、気付くと一角に小さな泉が湧き出ていた。
「まあ、まだ泉が残っていたのね!昔は、きれいな泉だったのでしょうね…!!…まさか、まさか、ここは私が足を捕られて落ちた泉…?」
キャサリンは、恐る恐る今は小さい池ほどにしかならない透き通った水の湧き出る泉を覗いて
みた。
―――――泉の中には、薄紅の花びらが舞い散っていた。
「え…?花びら?一体どこから?この辺りには花咲く木の一本もないのに…?」
キャサリンは不思議に思いながら、辺りを見回した。
再び、泉を覗くと、やはり花びらで水面が埋め尽くされている……そしてやがてその水面にあ
る姿が浮かび上がった。
―――――その姿…明るい色をした長い髪の優雅な長身の姿……
「王子?イズミル王子なの?まさか…?」
『キャサリンよ、そなたにとって私はもはや伝説となり果てし身か?』
王子の端整な顔が、孤独を宿した琥珀色の瞳が泉に浮かび上がる……影はキャサリンにさらに
問いかけている……
『そなたをいかにすれば我が元へ取り戻せる?そなたの金色に輝く髪、瑠璃色に輝く瞳…私は
そなたに会いたい!そなたは私を忘れたか?キャサリンよ!』
「王子!私はここよ、ここにいるわ!」
キャサリンは、必死に水面に映る王子の影に手を伸ばした――――瞬間、水面の水は揺らめき、
王子の姿はかき消すように消え入った。
「いや!消えないで、王子!私はここよ、―――――王子っ!……あなたに会いたい…今すぐ
に会いにいきたいの!どうすればいいの?教えて……王子……!」
キャサリンは、一人泉のほとりで泣き崩れた。三千年の時の隔たり……今の二人にとって、そ
れは、あまりにも遠き隔たりだった。
<続く>
ああっ、せつないですぅ!!
月影作家様、続きを楽しみに待っております。
――――使いすぎで読みづらいです
ここにきて俄然盛り上がってきましたね!
時代を経て、空間がつながった今
二人の未来は?
待て、次号!って感じです。
実は最初ちょっと違和感ある話だと思ってたんですが
今は全然気にならない!
王子がすごいかっこいいと思います。
続きも楽しみに待ってます!
なんで感想の人は全部同じテンションなんだろうね?
〜〜です!!みたいな。
ジエンが多いのかね、やっぱり
音にならない文字の多用は確かになるべく控えたほうが。
作者の感情が先走った感じで
ちょっと馬鹿っぽい雰囲気になっちゃうんだよね。
内容がいいだけにそこだけは残念。
確か京極夏彦がHPでなるべく使わないようにしてるとか何とか
そんなこといってたな。
えー読みにくいよ。マンガやゲームじゃあるまいし。
一応小説って形を取ってるんだから、――――の濫用はお止しになって♪
同人板の字書きスレとかに持ってったら、もんのすごくチェック入りそうだよね…
自分は楽しく読めれば何でもいいやと思うけど。
>410
「……」
もダメな手法だよね。
嫌なら読むなよ。
自分で書け。
いや〜〜んw
キャサリン泉に飛び込め!
と思ったのは私だけではないだろう
>>416 んーな事したら、カイルのところに逝っちまう。
月影の詩、面白くなってきましたね。
いつも良い意味で期待を裏切ってくれます。
―――は私も王家虹の時にはよく使いますよ。
多分原作で多用されているからだと思うんですが。
メンフィス4年後の続き、まだかなぁ。楽しみにしております。
>>419 原作はマンガですから!!!!
残念!!!!!!!
あっちのスレもこっちのスレも連日作品が投下されて嬉しい!
マツリだ―――(☆゚∀゚☆)―――!!
ショボい祭w
読みづらいかな?
私的には凄く読みやすいけどな。
私は読み専だけど、3行くらいの区切りで書かれたものが一番読みやすい。
話は面白いけど、文字がビッチリ端っこまで書かれているものは
サイズ変更しながら読んでいるよ。
>>423 ――――の多用が読みづらいって書いてあるじゃん
お前バカ?
池波正太郎は───も ……もよく使ってるが全然気にならない
というかむしろ味になっている。
読みづらいのはしょっちゅう言葉の途中で改行してるからでは。
そしてやがてその水面にあ
る姿が浮かび上がった
でもイズミル王子…あな
たはここにいないわね…
とか。
きりのいいところで改行してくれると読みやすくなるような希ガス
>>410 京極夏彦はどのページで読み終えてもいいように、必ずページの最後は
文を完結させてるんだよね。
>>月影さんへ
>>426の指摘している、文の途中での改行についてですが、これは確かに読みづらいものです。
恐らく、何かのワープロソフトかエディタで文章を打たれてから、コピペでうpされていると思うのですが、【Enter】キーの使い方が間違っているために余分な改行が入っているのだと思いますよ。
文章が画面の右端に来たところで【Enter】を入れて改行していませんか?
パソコンやワープロを使い慣れていない方は、よく文章の右端で【Enter】を打ち込んでしまいます。
こうすると他のものにコピペした時、画面幅や用紙設定のサイズが変わってしまうので、おかしな所で改行が残ってしまうのです。
これを回避するには、基本的に1文が終わるまでは【Enter】で改行は打ち込まないことです。
文字を打つ時に、右端までいってもそのまま文章を打ち続けて下さい。
【Enter】を使わなくても、自動的に文章は折り返され、次の行に行くはずです。
そして最後の句読点【。】の後で、【Enter】を打ち込みます。
一度試して見て下さい。
おそらくご本人も、自分のワープロ画面ではちゃんと表示されている文章が
コピペした時に変な所で改行が入ってしまうのか不思議に思われているのではないでしょうか。
1レスを30〜35文字/行+32行以内にすると、ちょうど1024バイトの
制限内に収まる。
読んでいる時にあまりにも目を左右に動かさねばならないような長さの
文では、読み手も疲れてしまうのです。
ジエンはお決まりとはいえ
ここまでされるとちょっとな。w
作文教室じゃないんだぜ。
どう書こうか作家の勝手さ。
嫌ならスルーすりゃいいのに。
>>427 >京極夏彦
職人魂を感じるね。
>>429 わたしはまだROMだけど参考になりました。
ありがd
>>279 56
ゆっくりと目を開け、自分を見つめるキャロルにメンフィスは胸が痛くなるような驚喜を感じた。
喜びの声は、キャロルへの呼びかけは、神々への感謝の言葉は舌先で凍り付き、メンフィスはただひたすらにキャロルを見つめることしか出来なかった。
「おおっ、王妃様が!」
喜びと安堵に人々が沸き返る中、キャロルは口もきけぬまま自分を凝視するメンフィスを見つめ返した。
(私が聞いたのはこの人の声だったんだわ…)
「泣か…ないで。…側に…ずっと…」
うまく声が出ない。口を動かすたびに全身が痛む。
でも目の前に居る、決して人前で弱さを露に出来ない可哀想な‘子供’を早く安心させたかった。あんなに痛ましげに悲しそうに泣いていたメンフィスを。
「も…泣かないで…ね?」
メンフィスの頬がみるみる赤く染まり、瞳が潤んだ。
「ば、馬鹿なっ!何を申すか!私は泣いたりなどせぬっ!」
メンフィスはキャロルを抱き起こし、きつく抱きしめた。自分の命のぬくもりを分け与えようとでもいうように。
「そなたを…もうどこにもやらぬゆえ、そのつもりで居よ!」
キャロルは静かに頷いた。
(もう迷わないわ…。私は…思い出せなくても、もう一度メンフィスを選ぼう。私が一度は去ったこの世界にもう一度来たのは…ずっとメンフィスの側に居てこの人を守るため…愛するため…)
静かに抱き合うファラオとキャロルを見る人々の目もまた喜びの涙に濡れていた…。
57
「ふむ。傷はうまく塞がっている。医師、よくやってくれたな」
キャロルの寝台を守る垂れ幕の外に控える老医師は、恭しく頭を下げた。
メンフィスはナフテラの差し出す湿布をそっとキャロルの傷口の上にあてた。丁寧に縫合された傷に冷たい布が触れる感触にキャロルは身震いした。
「我慢いたせ。薬が染み込ませてあるのだから冷たいのは仕方ない」
メンフィスは湿布の上からそっと手を当て、体温に馴染むまで暖めてやる。
「…ありがとう。大丈夫…」
キャロルは手当てのため、上半身は一糸纏わぬ姿である。メンフィスの視線を感じるだけで白い肌は薄紅色に染まり、大きな手が優しく触れるだけで恥らいに身体が震える。
「さぁ、包帯を。少しこちらを向かぬか、キャロル。そのような前かがみの姿勢で居られてはやりにくい!」
キャロルはますます身体を縮こめた。
「あ、あのっ…。あとはナフテラにお願いしたいの!メンフィスは…ほら、もう政務の時間じゃないの?お願い、もういいの!本当にありがとうっ!」
メンフィスの顔に癇癪の影が走り、居合わせた人々は近づいてくる雷を避けようとでも言うように身を竦ませた。
「馬鹿なことを申すな!さぁ、早くこちらを向かぬか。そなたが素直でないゆえ時間がかかるのだ。私も早く政務に就きたいのだからな!」
メンフィスは心にもないことを言い、無理やりキャロルを自分のほうに向かせた。
「悲鳴を上げたり、暴れたりするでない!外に控えているものが何事かと覗きにくるぞ。黙って手当てをさせれば下品な想像をされることもないのが分からぬらしいゆえ、子供は困る」
58
メンフィスは包帯を巧みに巻き、手当ての間、外気に触れて少し冷えた肌が暖まるまで優しく撫でてやる。
白い清潔な包帯の下に隠された薄紅色のふくらみが、薄い肌から透けて見える細い骨が、メンフィスの心を騒がせる。
「急に黙り込まれては私がそなたを虐めたようではないか」
甘く危い沈黙に耐えられなくなるのはいつもメンフィスのほうだった。
「さぁ…少し腕を動かしてみよ」
細い二の腕にそっと手を添えて、腕や肩を上下左右に動かすキャロルの様子を注意深く見守る。
「痛まぬか?引き攣るような感じや、痺れたりするような違和感は無いか?」
「大丈夫…。もう一ヶ月近くたつのですもの」
包帯がずれて、肌が見えてしまうのではないかと心配しながらキャロルは答えた。
メンフィスの満足げな笑い声が、側に控える人々を驚かせた。
「そうであろう!大怪我をしたからとて、傷を庇って長く動かさずにおれば筋肉も皮膚も萎縮して動かなくなってしまう。
そなたは素直に私の言いつける練習に励んだゆえ、身体の機能も損なわれることなく快復してきているのだ。どうだ、私の…夫の言いつけは聞いてみるものであろうが。
これからは私の言うことは何でも聞くようにいたせ!回廊で私が走れと申したのを聞かぬゆえ、このような目にあったのだぞ?」
「本当にメンフィス様は明るくおなりになりましたわ!お仕えする私達も嬉しゅうございます」
テティは本当に嬉しそうだった。キャロルは恥ずかしそうに頷いた。
(でも本当はメンフィスではなく私が変わったのよ。メンフィスの側に居ることを迷わなくなったから。あの人を…愛したから)
59
メンフィスのいない間、キャロルは身体を動かす稽古に励んだ。
メンフィスはキャロルの身体が滑らかな自由を失うことを恐れ、早くからあれこれと指図して身体を動かすようにさせていた。
それが終われば、キャロルは軽く湯浴みし、ナフテラが香油を使って背中を丁寧に揉み解した。肌や筋肉が柔らかく解れ、縫い合わせた傷が醜く盛りあがってくることが無いように。
全て、メンフィスが宮廷医師や軍医の意見を聞いて取り決めたことだった。
そしてキャロルはメンフィスが置いていった書類に目を通す。量こそ減ったが、宿題も相変わらずメンフィスから与えられていた。
「今日も一日言い付けを守って、良い子でいたようだな。何よりだ」
夕食を終え、長椅子にゆったりと体を伸ばしてメンフィスは面白そうにキャロルを見ながら笑った。
「ひどいわ、子供扱いばかりして!私、周りの人を困らせるようなことはしないわ」
頬を染め、ぷいと横を向くキャロルの愛らしさ。その幼さや乙女独特の頑なさを味気なく、物足りなく思いながらも、愛しいと思う心をメンフィスは止められない。
「それは重畳だ。むきになって囀る子供よ」
「失礼ね!私、ちゃんとしているわ。だって…ほら、無茶をして心配をかけて、あなたをまた泣かせては申し訳ないもの」
「な、何をっ!誰が、いつ泣いたと申すのだ!私は泣くような女々しい真似はせぬわ。まこと口の減らぬ!腹の立つ!」
不意にメンフィスの逞しい腕がキャロルを引っ張り、気がつけばキャロルはメンフィスの体の下に居た。
「そら、そなたはまだ子供だ。私を見て怯えている…!」
メンフィスは昂ぶりをわざとキャロルに押しつけながら掠れる声で囁いた。
「今宵は…許してやろう。だが…私はそなたが女になるのが待ちきれぬ」
メンフィスはナフテラを呼ぶと、半泣きのキャロルを寝かしつけるよう命じて自室へ戻っていった。
続く
キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
メンフィス4年後 今回は甘〜い展開ですね。
次回はいよいよ?(*´Д`*)
いや〜〜んw
たまりません・・・メン様の色っぽさに思わずハァハァ
ちょっと色ぼけで頭悪そうなとこが、原作のメンフィスっぽいね
もう作家じゃないんだけどさ。でも前は書いてたから作家の気持ちもわかる。
いま話が出てるように、作家が他の作家に嫉妬することも
なかにはあるかもしれんが、そんなんばかりじゃないよ。
作家だからこそ、他の作家のつらい気持ちや苦労が伝わってくることも多々ある。
自分は荒れた雰囲気にほとほと嫌気がさして途中で連載切ったクチだから
言いたい放題に言われても耐えて書き続ける人の忍耐力には頭が下がるよ。
そんな作家さんに対しては応援したい気持ちしか起きないもんだよ。
>>192 だから、そういう人ばっかりじゃないっつーの。アホか
他人の感情をお前の尺度で全て測るなヴォケ。チンカス
>>192 作家にとって「読んでいないけど」とか「適当に読んだけど」とかレスされる
のが一番つらいんではないの?今、掲載中のレスの中にそんな失礼なレスが
あったな。あれこれ指摘してくれるのは、「読んでくれているから」って受け止める
だろうけど、「適当に読んだけど」とかのレスはひどいよね、失礼だと思った。
連載切ったとか、堂々とぬかすなボケッ!!
純粋な読み手にストレスふっかけやがって!!
>>208
失礼って……
なんか勘違いしてないか。
読み手が全ての作家の話を好きなわけでもないだろう。王子話しか読まない人も
メン話しか読まない人、
このシチュは苦手だからこの作家のは斜め読みって決めてる人もいるだろうし。それは個人の勝手でしょ
自分の話に興味があるから来てくれる個人サイトじゃなくて、何人もの人が書いて羅列してる
掲示板なんだからさ。
適当に読んだという言葉にそれほど失礼だとかいって反応するなら、個人サイト開け。
あ〜〜〜
「このスレは嵐様
>>195=
>>196専用スレでございます。
嵐様に文句が言いたいお方はこちらにどーぞ。
必ずレス下さいます」
なんて(禿藁
>>196 斜め読みとか読んでないならレスしない方がいいと思う
レスするから、君は「嵐様」になるw
禿藁って久しぶりに見たな
んじゃ、こっちがいい?
「(プ」
コレモヒサシブリ?
451 :
名無し草:2005/04/06(水) 16:17:21
メンフィス4年後作家様
いつも素敵なお話ありがとうございます。
大人のメン様に惚れ惚れします。
続きを楽しみにしています。
>>197 196は自分が書いたけど、195は書いてないよ。
ほんと王家スレって、何でもかんでも=で結びたがる(ジエンと言いたがる)人が多いんだよね
不思議だ。
おお!もうレスついた。読んでくれてありがd(これもお久?)
楽しいお遊びよ、あまりカタイこと言わないで
>>202 どうせ、削除されるスレじゃない
だから〜〜こっちで嵐様とお話していればよかったのにぃ!
>>202が余計なこと書くから、嵐様
>>205が怒っちゃったじゃないぃぃぃ!
>>442 嫌気がさしたってよりくじけちゃったのね。
待っている人も少なからずいたろうに。
457 :
ご注意:2005/04/06(水) 16:28:07
>>456 いきなり話しぶった切って、わけわからない書き込みを削除スレから持ってきた
のは嵐さん。レスしないよーに!
思うに、嵐はいつも作家さんへのレスがある一定数のところで起こる
それ以上レスさせないように、わざとしているんだろうね
そんなに作家さんが褒められるのが嫌なんだろうか
わざわざ、他スレからコピペして持ってくるほどまでに、その執念に驚きすらするw
嵐は叩かれた作家のなれの果てだ。
>>メンフィス4年後
うpありがとうございます。
キャロルを子供扱いするメンフィスが素敵・・・。
早く二人が結ばれるといいですね。
楽しみにしております。
>>458 今回のは単に、別スレで揉め始めたから厨が腹をたてて
こっちに貼り出しただけでしょ
叩かれてない作家なんていないよ。
せっかく「メンフィス4年後」さんの余韻に浸っていたのに、ある意味、
嵐が起きるとそれが中断する。自分みたいな書き込みもあるし(許してください、作家様)
それが狙いでもあるんだろうね。
みんな、やっぱり嵐は(自分も含めて)無視に限るね。
どーか、レス、続けて下さい。嵐に同調レスしてすまん。
王家スレ作家様への鉄則…(エロパロスレより)
567 :名無しさん@ピンキー:2005/04/04(月) 22:40:54 ID:rTzQsl2M
>>558 雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ・・・ソーユー作家サンヲワタシハノゾム・・・>宮沢賢治風に
強い作家さんになって下さい。私は応援しています。>王家のスレ作家さんへ捧ぐ
楽しみにしている読者さんも大勢いるのです、決してメゲズに最後まで書いて下さい!
頼みます!
いくら削除依頼出しても普通にレスし合ってるスレは削除されにくいと聞いたよ。
あそこに書き込んでる人はそれが目的なのかもしれないけどね。
自演している人に言ってあげたら?
○○間違えてるよって…
みんな意地悪なんだから〜
風にも雨にも嵐にも負けない
強い作家さん、強い読者になろう。
>メンフィス四年後
うpありがと。
待ってました!
ここまで年齢が開くと大人とコドモみたいなんだろうけど
対等でありたがるキャロルはかわいいと思う。
ないてないとがんばるメンフィスもなんかかわいいぞ。
>>467 泣いてない とか 頑張る くらい書いてから感想しようね!
こんなバカしか読み手がいないって知ったら、4年後さんもガッカリするよ☆
>>469 いい加減にしなさい!あんたは、他の作家さんだと作家たたきをするくせに
4年後さんだとレス叩きにまわっている嵐だとわかっている!
いずれにしても「叩く」のは一緒。馬鹿は自分だということに気付くように
嵐=メンフィスファンの王子嫌いだったのね、わかりやすい嵐だw=バカ
>>470 うわーネット上のことにマジで怒ってるwww
いい加減にしなさい!だって。何様?wwwww
プゲラ
>>470 おまえ、ニュー速VIPでも行って来な。
そこなら遊んでもらえるから。
>>472 図星指されて開きなおっている・・・
嵐=王子嫌いのメンファンってことはずっとわかっていた、叩き方から
みんな気づいていると思う・・・
だから、メンが死んじゃっていたり格好悪く書かれたりしたり無視されたり
する作品にはメチャメチャストーカーっぽいレスしたりするんだよね
いい加減、うんざりだ・・・こいつ
>470
スルーできないあんたも同罪。
しかもそんな感情的なレス、まるで嵐を怒らせようとわざとやってるみたいだ。
王家スレの大きな問題は、嵐が粘着に居つくせいじゃない。
住人が 全 く スルーできないところにあるよ。
蓮薔薇は比較的荒らされない。
>>476 何が言いたいの?そんな懐疑的なレスしない方がいい
>>475 同意。
まあこうやって反応してる時点で自分も同じだけど、
ここまでスルーできないスレもほんっとに珍しい。
リア厨が多そうなジャンルとかでも、華麗にスルーできるところは出来てるのに・・・
そりゃ荒しも面白がるだろうなと思うよ
>>477 ごめん、ヘンな意味じゃないよ。
蓮と薔薇があんまり荒らされない理由は何かなと思って。文上手い?
蓮薔薇が荒されないのは、王子があまり表に出てこないからでは?
王子の描写がある作品では必ず荒される、エロパロも一緒
王子嫌いなのか熱心な王子ファンなのかはわからないが、統一性はありそう
王子キモい
蓮薔薇が荒らされないのは、
蓮薔薇作家さん=4年後作家さんだからだと思われ。
>>404 74.
部屋の床一面に広げられた粘土板を眺めて、キャサリンは溜息をついた。
一つ一つの粘土板を繋げては訳し、さらにその訳した文のどことどこが繋がっていくのか、それはまるでジグソーパズルのようで、その作業を続けていくのは膨大な作業だった。
「教授、物語の最初の部分はもう見つかっているから、せめて、最後と思しき部分だけでも見つかってくれるといいですね。
ある程度、物語の流れがつかめるから…」
「う〜ん、そうだなあ…。私の経験から言わせてもらえば、損傷は比較的少ない方だとは思うがね、
破片はどれも解読できそうだし、それだけでも幸運だ。ロゼッタストーンとまではいかなくても」
経験あるハワード教授にとっては、これでも満足のいく結果らしかった。しかし、キャサリンは憂鬱な気分になった。
この長い物語の粘土板は一体何枚くらいあるのか?途方もつかない。この中から、物語の全容をつかみ出すまでには、
相当の時間がかかるであろうと思われた。仕方がないので、キャサリンは、比較的大きな破片部分を選び、解読作業を進めていことにした。
『キルケーは大蛇となった、居並ぶ人を驚愕させた。ヒッタイト王は豚と成り果てた』
『金色の髪の乙女』
『去った場所は、時のかなた』
「まさか、まさかこの話には…私の記述もある?」
いくつかの断片を読み進めていくうちに、キャサリンはある確信を持ち始めていた。
粘土板に書いてある物語、それは間違いなく、「イズミル王子とキルケーの物語」であり、そこには、あろうことかキャサリン自身も書き込まれて
いるのであった。
では、物語の最後はどうなるのだろう?『金色の髪の乙女』は、去ったまま戻らない、それはもうすでにわかっていること。
でも、キルケーは?キルケーと王子の戦いはどうなるの?その後の王子は?キャサリンは、知りたいと思うと同時に知りたくないとも思うのだった。
75.
「ふんふん、この物語は実に面白い」
数日が経ち、ハワード教授は、大まかながらこの物語のストーリーがわかると言い出した。
「メインの話は、イズミル王子と異国の魔女キルケーの戦いの話のようだ。ただ、合間合間に興味ある記述がある、キーワードは『金色の髪の乙女』。
どうやら、王子の想い人のようだが悲恋に終わっている、キルケーの呪いによって時のかなたに飛ばされたと書いてある。実にロマンチックな話だ。
ざっと考えても3000年前の話、ホメロス叙事詩より3〜400年近く古いから恋愛物語としても最古に近いものかもしれない、これはいい!」
教授は上機嫌だった。しかし、キャサリンはその話を聞いているうちに、どんどん憂鬱な気分に落ち込んだ。
「その恋は、悲恋なんですね。で、王子と魔女の戦いはどうなったのでしょう?」
「王子が魔女に勝ったらしい。記述によれば、『箱詰めされた』『島に運ばれた』と書いてある。肝心の島の名前の部分が欠落しているのが残念」
「それはどういうことなのでしょう?教授?その部分を見せていただけますか?」
キャサリンは、教授が指し示した粘土板のかけらを手にした。
『捕らえられし魔女は箱詰めに…(欠落)…島に運ばれ』
「そうなんですね、王子が勝って、魔女は再び箱詰めにされた、そしてきっとエーゲ海のどこかの島に戻されたのでしょうね」
キャサリンは、少しほっとした様子だった。
「しかし、それでこの物語が終わっているわけではないのだ、それが私は気になる」
ハワード教授は、さらに別の粘土板をキャサリンに示した。
「王子は、その後、その金色の髪の乙女を探しに旅に出たらしいのだ。しかも残念なことにその先の話は、ここにある粘土板の記述にはない」
教授は残念そうに、笑みを浮かべた。
「旅?金色の髪の乙女を探しに旅に出た?本当にそう書いてあるのですか?教授!」
『魔女去りしのち、王子は旅に…』
76.
「私が去ったあと、王子はキルケーと戦った、そして王子が勝った…物語はそこで終わってはいない、その後がある」
その夜、キャサリンは粘土板を手に一人考えを巡らしていた。
「王子は、私を探しに旅に出たというの?でも一体どこへ?」
その先の記述はない、物語はそこで行き止まりとなっていた。
「一体、あなたはどこへ旅立ったというの?王子、お願い教えて!」
キャサリンは、途方に暮れて粘土板を手にして、窓の外に広がるハットゥシャの遺跡を眺め渡した。
『キャサリン、キャサリン…、ハットゥシャの街を見よ、美しい街だと思わぬか?私は遠き異国にある時、
いつもこの露台からの街並みを思い出しては慰めとしている。
寒く長き冬の後に訪れる歓びの春、この街の外の荒野には様々な花が咲き乱れる、そして街には活気ある民の声が響く。
今度、そなたも市に連れて行ってやろうぞ』
キャサリンの耳元には、かつて王子の囁いた声が再び蘇った。
「王子…!」
瞳をつぶると、キャサリンの瞼に、王子の端整な横顔が浮かんだ。
「私は、まだあなたと一緒にハットゥシャの街の市にも行っていない、でも、あなたは私に約束してくれたわ、
『いつか連れて行ってくれる』と!そうよ、私はあきらめない、きっと、きっとあなたと巡り会える方法を見つけ出してみせるわ」
瑠璃色の瞳に涙が輝く。きっとあきらめない、キルケーはもう去ったのだから…キャサリンはそう心に誓った。
「きっと、きっとこの粘土板があなたの元へと通じる道を教えてくれるはず、私はきっと戻ってみせる、あなたの元へ!
そして、一度も言われていないあなたからの言葉が聞きたいの!あなたは私のことを愛してくれていたの?王子?聞きたい、その言葉が」
<続く>
>>428様
色々アドバイスありがとうございました。工夫はしてみましたが、まだ読みにくいかもしれません。
>>拙い私の文章をお読みくださっている皆様
いつもありがとうございます。
一度書き上げた物語ですが、ちょっとづつ手直ししてUPしてまいります。
できるだけ、早く完結させたいと思っています、もう少しお付き合い下さい<m(__)m>
読みやすくなりました、サンクスです。
頑張って下さい!
月影作家様、もうメロメロですw
月影の詩っていい意味で期待を裏切ってくれた。
キャロルそっくりさん登場で王子幸せ計画かと思ってたんですけど
それだけじゃなかった!
むしろ二人が別れてからのほうが
話に面白みっっていうかオリジナリティが出てきた気がする。
冷静に書かれた批評にちゃんと耳を傾けている姿勢もカコイイ。
どうぞご自分の納得いく作品を仕上げてください。
楽しみに待ってます。
>月影の詩
すごく読みやすくなったよ!
続きが楽しみです。
物語もいよいよ佳境ですね。
嬉しいやら、完結が近いと思うと淋しいやら。
連載が始まった時からずーっとファンです。頑張ってくださいね。
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
||@・婆は頻尿が一番負担。常におまるかパッドを持っています。 .||
||A・放置された婆は煽りや自作自演であなたのレスを誘います。 . ||
|| ノセられてレスしたらその時点であなたの負け。 ||
||B・反撃は婆の滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。 .||
|| 婆にエサを 与えないで下さい。 .。 ∧ ∧ ||
||C・枯死するまで孤独に暴れさせておいて \ (゚ー゚*) いいかな・・?
|| ゴミが溜まったら削除が一番です。 ⊂ ⊂ )旦~ ||
||___ ∧ ∧__∧ ∧__ ∧ ∧_____ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|_____||
( ∧ ∧__ ( ∧ ∧__( ∧ ∧  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
〜(_( ∧ ∧_ ( ∧ ∧_ ( ∧ ∧ は〜い、先生。
〜(_( ,,)〜(_( ,,)〜(_( ,,)
〜(___ノ 〜(___ノ 〜(___ノ
492 :
名無し草:2005/04/07(木) 09:41:15
メンフィス4年後様。続きありがとうございます〜。
今回は甘い展開で良いです。
でも・・・その後のカーフラ王女やリビア王がどうなったのか
少し気になります。
月影の詩作家さま
続きありがとうございます。
キャサリン・王子の気持ちが痛いほど私の胸に突き刺さってきます。
次回楽しみのしています。
最初っからこういう風に書けば良かったのに。
すごく良くなった<月影
マターリしてるね。
今夜はupあるかな
77.
夜中、ふと明るい光に目が覚めた、ホテルの簡素な窓の外には月が輝いている。王子の元を去ってまもなく3年…
王子が愛でた金色の髪は、切ることができないままでいたので腰に達する長さになっていて、その美しい髪は月の光に銀色に輝いていた、
「このままあなたに会うまで髪を切らずにいたら、一体どこまで伸びるかしら?」
キャサリンは、寂しげに一人月の影に話しかけてみる。その時、キャサリンはベッド脇の引き出しから何やら光が洩れているのに気付いた。
「え…?引き出しに何か光るものが入っている?なにかしら?」
少しびっくりして開けてみると、そこには、あのキルケーが化けたぺネロペーがくれた真珠の首飾りが入っていた。
『癒しの真珠』その首飾りにはそういう名があると聞いたので、お守り代わりに古代からずっと持ち歩いていたものだった、
たとえ魔女からの贈り物であろうとも、衣を除けばその真珠こそが自分と古代を繋ぐ唯一つの証であるので、手放せずにいたのだ。
なんとその真珠の首飾りが、月の光に呼応して妖しく輝いていたのだった。
「なんで?こんなことは初めてだわ!ずっと持ち歩いていたけれど、ネックレス自体が輝きだすなんてそんなことあるわけない!
蛍光塗料が塗ってあるわけでもないんですもの!」
窓をカーテンで遮っても、美しい真珠はキャサリンの手の中でそれ自体が光を放っているのだった。
「わからない、わからないけれど…きっとこのネックレスが私を古代に戻す手助けをしてくれるに違いないわ!」
魔女キルケーは、自分の意のままにしようとこの魔力を秘めた真珠をキャサリンに贈ったに違いない、しかし、
その魔女が力を失った今、その真珠の首飾りは本来の力を取り戻したのかもしれない、キャサリンはそんな気がしていた。
「私が王子、あなたの元にもどるための手立ての1つには、きっとこの真珠が鍵を握っているのよ、そう、たぶん…」
これで、一つ王子に近づいた、キャサリンは自分の直感を信じたいと切に願わずにはいられなかった。
「次は、あなたが旅に出た場所、それがどこかが判ればいいんだけど。粘土板が見つかる可能性は低いわ。一体あなたはどこへ旅に出たの?」
そこまで、考えたところで、キャサリンは夕べハワード教授に語った自分自身の言葉を思い出した。
78.
『王子が勝って、魔女は再び箱詰めにされた、そしてきっとエーゲ海のどこかの島に戻された』
「そうよ、そうだわ!」
キャサリンは、自分の言葉を呟きながら、ある一つの閃きが頭に浮かんだ。
「王子は、自らキルケーの詰められた箱をエーゲ海に運んだに違いない。その場所は、その場所は?」
またそこで考えが行き止まりになり、ふぅーっと溜息が洩れる。
「エーゲ海、島…うーん、一体それはどこ?キルケーとは直接関係ないかもしれないけれど、王子がエーゲ海に向かった可能性は高いわ」
キャサリンは、じっと自分の手の中で輝く不思議な真珠のネックレスを眺めては、考えを巡らせた。
粘土板、エーゲ海、真珠の首飾り、言葉だけがぐるぐると頭の中を駆け巡った。
その時、湧き出るように一つの言葉が浮かび上がってきた。
『汝、わが妻よ、このイリスの島で永遠にそなたをわが妻となす、ナイルの姫よ』
その言葉は、育ての父、スペンサー伯爵と飛行機の中で交わした最後の話題にした、クレタ島の近くで発見されたという粘土板に刻まれた言葉だった。
「イリスの島!そうよ、イリスの島だわ!」
キャサリンの考えは、ある一つの結論に至った。
「なぜ、今まで気付かなかったのかしら?あの発見された粘土板は…あれはきっと王子がキャロルに贈った粘土板、あの人のナイルの姫、いいえ、
キャロルとの辛い恋の日々、唯一、キャロルと過ごせた思い出のことを記した粘土板だったのよ!はっきりと誰も私には語らなかったけれど、
キャロルと王子はあのイリスの島で巡り会っていたんだわ、だからキルケーは私をあの島に呼び寄せた…これで話の辻褄は合う!」
キャサリンの青い瞳には、喜びの輝きが浮かんだ。
「イリスの島、そう、あそこへ行けば、私が古代へ行ったのも古代から戻ったのもあの島、間違いないわ!王子、あなたに会える、きっと!」
79.
「キャサリン、どうしても休暇が欲しいと?解読は途中なんだが…」
粘土板に埋め尽くされた部屋で、ハワード教授は残念そうな表情をした。
「すみません、教授、でも、とても大事なことを確かめに行かなくてはならないんです、私」
キャサリンも、教授の表情に済まなさそうに言葉を繋ぐ。
「お父様との事故にも繋がるある一つの事実を確かめに行かなくてはならないことがあるんです、それは、私にとって何よりも大事なことなんです!」
多少のごまかしはあったものの、亡き父スペンサー伯爵の名を出せば、教授も折れてくれるだろう、そんな計算も働いてそんな言葉が口から出た。
(ごめんなさい、教授。でも、それも嘘じゃないんです、お父様と事故に遭ったのはあの島の近くだから)
「そう、そんなに大事なことなら仕方ないね。君がいなくなると解読のスピードが遅れるが、全く出来ないというわけでもないし、
他のスタッフもいるからね。それより、なにより、君のそんなに懸命な姿は初めて見たよ、キャサリン。私の元に初めて訪れた頃から、
君の心はいつもここに在らず、遠いものを眺めているような、そんな寂しげな様子ばかり目にしていたからね、よっぽど大切なことなんだろうね」
優しい父のような教授の言葉に、キャサリンはほろりとなった。
「お許し下さい、教授。父亡き後、私にとって、父の親友のあなたは、父親も同然でした。
教授、あなたやアメリカの兄ライアンの支えがなかったら、わたしはここまできっとやって来られなかったかもしれません、
辛いことが多すぎたから。誰よりも感謝しています、ありがとう、教授!」
そう言うと、キャサリンは軽やかな風のようにその場を去っていった。
「私も、若かった頃、あんな風に想いを貫こうとしたことがあったような気がするな、たしか」
ハワード教授は白髪をさっと掻き揚げて、輝く髪を揺らしながら走り去っていくキャサリンの後姿を追った、そしてふっと笑うと再び粘土板の解読に没頭し始めた。
<続く>
月影作家サマ
キタ━━━━━━\(゚∀゚)/━━━━━━ !!!!!
お待ちしておりますた。
筆がすらすら、というか軽やかに書かれている感じがします。
とっても読みやすいし続きが気になる!
蓮と薔薇作家サマまだかなぁ・・・
待ち遠しいなぁ
あ、ごめんなさい。誤解されたらいけないので訂正を。
筆がすらすら、じゃなくて筆がのってると言いたかったので〜〜
生みの苦しみはそれぞれにあると思いますが各作家様頑張ってください。
いよいよ再会の時が近づいてると思うとドキドキです。
王子とキャサリンの幸せにな姿が早く見たいです。
頼りない感じだったキャサリンが
どんどんしっかりしてきてるね。
運命は自分でつかむもの選ぶものって感じで
なんかかっこいいよ。
畳み掛けるような筆の運びも見事です。
>>501 > 畳み掛けるような筆の運びも見事です。
プwwこの程度でww
小説読んだことないんじゃないの?
蓮と薔薇、といえば前回王子がモリオネーに渡した短剣
あれでヒト暴れするんじゃないかなぁ→こんな感じ?ヽ∬`▽´ ∬ノ
大暴れモリオネーキボンヌ
些細なことですが。
>キャサリンの後姿を追った、
このあとは「。」(句点)が適当のような気がします。
ほかにも何箇所か気になったのですが・・・
(僭越スミマセン)
話の内容は佳境に入ってきていて
ぐんぐん読めてしまいます。
>>501禿ドウ
続きを楽しみに待ってます!
ていうか、「畳み掛けるような筆」という言い回しは日本語としてどうかと思う
>>504 ああ、わかる。句点の代わりに読点をつけるのが月影さんはお好きみたいだけど
すごく気持ち悪い。
畳み掛けるような筆の運び、って
どこか変?
説明キボンヌ
月影さんは、時折読点が妙に多いのが気になる。
スムーズな急行じゃなく、各駅停車でガッタンガッタン止められる感じ。特に教授とキャサリンの会話のとこ。
これは煽りとかじゃなくて、年が行った人が話を書くと読点が多くなるんだって。
自分が話をする時に息継ぎをするリズムで読点を打ってしまうので。
若い人が書くと、わりと読点を少なめにしてざっと書くそうな。
なので読み物にするときは、必要と思う読点より1〜2コ減らすと読み易いらしい。
例えば
>それより、なにより、君のそんなに懸命な姿は初めて見たよ、キャサリン。
>私の元に初めて訪れた頃から、君の心はいつもここに在らず、遠いものを眺めているような、
>そんな寂しげな様子ばかり目にしていたからね、よっぽど大切なことなんだろうね」
これは↓に直すとより読み易い。句点も追加。
>それより何より、君のそんなに懸命な姿は初めて見たよ、キャサリン。
>私の元に初めて訪れた頃から君の心はいつもここに在らず、遠いものを眺めているような、
>そんな寂しげな様子ばかり目にしていたからね。よっぽど大切なことなんだろうね」
キャサリンのセリフ
>「お許し下さい、教授。父亡き後、私にとって、父の親友のあなたは、父親も同然でした。
これも↓の方が一般的には読み易い。
>「お許し下さい、教授。私にとって父亡き後、父の親友のあなたは父親も同然でした。
なるほど・・・読んでたけど速読するから気がつかなかった正直。
確かに句読点多いな〜
父父ダブるからこれでもOK?
「お許し下さい、教授。私にとって父亡き後、彼の親友であるあなたは父親も同然でした。
これ冗談?>「煽りとかじゃない」
>「年が行った人が話を書くと読点が多くなるんだって」
大学出たてとかで文書く練習できてない奴のレポートでも見るけど〜
書き方も一応大事だけど、やっぱ内容重視で。
誰かも書いてたけど、別れてからの二人、いいと思います。
流されてないキャサリンと少し頼もしくなった王子〜
次回も楽しみにしています。
>>508、510
読みやすい!
……でも私もあんま気付いてなかった。ざざっと読むからかなー
私は、人は興奮すると読点が多くなるって聞いたことがあるw
>>511 > 大学出たてとかで文書く練習できてない奴のレポートでも見るけど〜
おいおい・・・・(ニガワラ
庇ってるつもりで思いっきり貶めてるじゃねーかよ
月影作家は文書く練習が全く出来てないって言ってるようなもんだよw
515 :
511:2005/04/07(木) 23:36:52
しまった‥514の言うことは正しい‥orz
最近文章内容とも上手になってきたから、
もうやめよう!と勢いで書き込んで失敗。
逝きます。
>>515 明日にでも戻ってこいよ〜ノシ
月影はそろそろクライマックスだね。次回楽しみにしてます
なるほど読点の多さ、言われるまで気づかなかったよ。
普段はそういうのすごく気になる方なんだけどね。
それだけ内容が面白くて一気に読んじゃうからなんだろうな。
努力家な月影さんのこと、きっと次回はまたよくなると思う。
勿論お話の続きも楽しみです。
>>358 87
同じ頃。
ヒッタイト王妃は人払いした私室でキャロルと向かい合っていた。
「姫、お聞きなさい。春にそなたが無事に和子を産めば、それが王子であろうと王女であろうと、国王様はそなたをイズミルの正妃とする勅許を出されましょう。
国王様はアテネを牽制し、西地中海方面での交易を強化するためにエジプトとの関係を強めることを望んでおられます」
王妃の表情は穏やかであったけれど、その声音は為政者のそれだった。
「で、姫。正妃の地位に昇ることを、そなたは望みますか?
正妃となれば…そなたが思う市井の夫婦のような平凡な幸せは望めませぬ。様々な義務と責任、煩わしい務め、心ならずも我が手を汚し、他人を踏み台にせねばならぬことも多い…」
王妃は溜息混じりに言った。
「…嫌なものです。正妃こそ人が羨む地位よと浅はかに信じられたモリオネーの無邪気さよ…」
キャロルは静かに答えた。
「…覚悟はできております。私は王子の側で生きることを望みます」
さも愉快そうな笑い声を王妃は響かせた。
「天晴れ、よく申された!覚悟はできている、ですか。そなたの目は晴れがましい地位ごときでは曇らされぬと見ました。…そうですか!なれば安心です!
姫、私の娘や。そなたが選んだ道は楽なものではないけれど、私の息子が生涯かけてそなただけを守りましょう。安堵なさい!」
88
「まこと、そなたは蓮の花のよう。凛として美しい。私はそなたのような娘を持てたことを誇りに思いますよ」
王妃はそう言って微笑んだ。
キャロルは王妃の言葉の重さに、身が震える思いだった。
満月の光が美しい窓辺でキャロルは静かに先ほどの王妃との会話を思いかえしていた。
(王妃様は私を蓮の花のようだとまでおっしゃってくださった。美しい蓮の花だ、と。
モリオネーのことであんなに浅ましい罪深いことを思ったこの私を。王子を愛するだけで幸せと思っていたのに、いつのまにか醜く堕ちていった私を。)
キャロルの顔に寂しげな微笑が刻まれた。
(蓮の花…。水辺では清らかに涼しげに咲くけれど、その根は人の厭う泥土の中に深くあるわ。暗い泥の中から、力強く光求めて咲く、あの美しい祈りの花)
キャロルが選んだ生き方は清濁が交じり合う複雑なもので、彼女に単純で善良な生き方など許してはくれないだろう。
「それでも…たとえ泥の中に私の罪深い心はあっても、私は蓮のように咲いて見せるわ。私を信じて愛してくれる王子のために…生まれてくる赤ちゃんのために。神様に罪を祈りながら、償いながら…」
89
「姫…。冷えるではないか、このようなところで」
王子がそっとキャロルの肩に手を置いた。
「用は済んだ。少し…疲れたな」
王子の手をキャロルは頬に当てた。
「冷えているのは王子のほうよ。こんなに手が冷たい…。さぁ、中に…」
王子は素直にキャロルに手を引かれ、明るく暖かい居間に入っていった。
静かで暖かな寝所で。
王子とキャロルはお互いを労わるように抱き合っていた。馴染んだ肌の匂いと体温が心地よく、ささくれた心に染みわたる。
お互いに決して誰にも見せられぬ深く哀しい闇を胸に秘め、それでも愛する人のために、その心よ安かれと祈りの微笑を浮かべる。
モリオネーの言葉が王子を苛む。愛さなかったゆえに不幸に墜ちた女と、愛したがゆえに苦しめた女。
(冷血の化け物、か…。そうかもしれぬ。私はモリオネーを哀れに思うが、姫と同じに考えることなど出来ぬ。罪を犯した彼女を切り捨てることに躊躇も感じぬのだ)
「姫、そなたは私の正妃となることを承諾してくれたのだな…」
王子は小さな白い顔を上向かせ、碧い瞳を見つめた。
「では、その返礼に生涯そなたを守ろう。そなたが選んでくれたもののために失った全てを贖うために。そなたの未来を、そなたの全てを私が引き受けて護ろうぞ…!」
王子は後味の悪い記憶を、キャロルを愛し護る誓いの言葉で消し去った。
時に冥い影を宿す瞳の主の手に、キャロルはそっと口付けた。
「ずっと側にいさせて。私はあなたの側に居たいの。…愛しているわ」
二人を慰めるかのようにキャロルの胎内に宿る無垢の命が元気に動いた…。
90
「これ、アスラン王子や。大人しゅうしておいでなされ。ほら、母上が尊い冠を授かりますよ。母上の晴れの盛儀じゃ、ご覧なされ」
炎熱の夏も終わり、穏やかな恵みの秋の陽射しが神殿に射し込む。
イズミル王子の正妃冊立の儀式に臨むキャロルは優雅に美しく、人々が自ずと頭を垂れるような威厳をも持ち合わせている。
ヒッタイト王から冠を授かるキャロルを見るイズミル王子の瞳は誇らしげに輝いていた。
「アスラン王子、まぁ、そなたの母上の何とお綺麗なこと!」
戴冠の場から少し下がった場所で、赤ん坊を抱くヒッタイト王妃は上機嫌だった。イズミル王子によく似た色白の賢そうな乳児は彼女の喜びであり誇りであった。
アスランと名づけられた赤ん坊は、しかし祖母の言うことなど少しも頓着せずに上機嫌で声をあげ、珍しそうに辺りを眺めては祖母や、そのすぐ側に控えるムーラを見上げて笑っている。
「ほんにお可愛らしいこと。ぐずりもなさらずお利口であられますよ」
ムーラもにこにこと小さな男の子を覗き込んだ。上機嫌の赤ん坊の笑い声が祝福のように荘厳な神殿の中に響き、列席する人々の顔に自然と微笑みが浮かぶ…。
「疲れてはおりませぬか、姫?」
王妃は、アスラン王子の揺り篭にかがみ込むキャロルに優しく尋ねた。
「恐れ入ります、王妃様」
「…赤子というのは何と美しいのでしょう。この子の笑い顔の向こうに神を感じますよ。ほんに救いであり、恩寵です」
「姫や…。そなた、王子にモリオネーの恩赦を願ったそうですね」
キャロルは、はっと目を伏せた。願いは叶えられなかったのだ。叱責の言葉を待つキャロルに王妃は優しく、穏やかな声で言い聞かせた。
「モリオネーのことはもうお忘れなさい。かの者は我がヒッタイトをアテネに売り渡そうとしたのです。…少なくとも表宮殿ではそうに考えていますよ」
続く
アスラン・ザラ 出る!!!
素晴らしいです・・・
タイトルの蓮と物語が見事にリンクした所は、感動ものでした。
清いだけでなく、醜い部分を受け止めるキャロルの姿が素敵です。
原作のキャロルよりもずっとできた女性ですよね・・・。
馬ー!!
わてもいっちょう!( ゚Д゚)ウマー( ゚Д゚)ウマー!
荒れそうだから言えなかったけど私は蓮と薔薇作家さまが1番好きだなぁ・・・
文句のつけようのない文体に気品ある王妃の口調!宮殿モノって感じがします。
なのにちっとも気取りを感じさせないは場景描写が堅実だからかな。
場景まで派手になるとおなかいっぱいになるけど、その辺りのバランス感覚が最高。
もちろん他の作家様も好きです〜
メンフィス4年後作家様もそろそろうpキボンでございます〜
蓮薔薇は文句を付けられないからつまんないw
普通に上手い
アスランだけに、馬〜
そうだったのか.....orz
アスランといえばやっぱり、八頭身
さすがにこちらのスレの作家様は力量が違いますね。
エロパロ板は所詮二流作家の集まりだから。
蓮と薔薇、いつも楽しみにしてます!
>生涯そなたを守ろう
って王子は前にも何度か似たようなことを言ってるけど
結局キャロルを守ってたようには思えないなぁ。
(子供は与えたけど)
ここにきてまで同じ台詞はかれると
ちょっと白々しいような。
女同士の対決やつながりが見事だっただけに
王子の影は相対的に薄くなったのかな。
モリオネーの人生にも華麗な決着を期待して待ってます!
王子より頼もしくて存在感のある王妃様もえ
蓮と薔薇は、どっちかというと王子とのラブラブを楽しむお話ではなく
キャロルの成長、モリオネとの対決を楽しむお話だと思ったよん。
王子とのラブラブがもう少し充実してたら・・・と少々惜しい気もしますが
でも十分面白いお話ですよね。
話としてはそれほど面白くないんだけど・・・・
よくできてるとは思う
って、まだ完結はしてないんだよね?
最近のこちらのスレの作家さんは、どの作品も充実している!
皆さん、とても読ませる力を持っていると思います、好き嫌いはあるだろうけど。
他の作家さんのうpも期待しています。
桜満開、春爛漫!ってとこかな?
私が、このスレの作家様で思うことは、「王家」という特殊な漫画の世界の
限られた登場人物で、皆さん、それなりのオリジナリティを発揮することが
きちんとできて、どの作品も一つも内容がかぶっていないということ。
例えば、王子とキャロルの話、メンフィスとキャロルの組み合わせ、その他
色々ありながら、全部作家さんによって「視点」が違っているので、とても
面白く読める。
だからこのスレに来るのはやめられないんだよね〜〜いつも楽しみです。
作家はいいけど、>536や>537みたいなバカ丸出しの読者がイヤ
確かに。
>>537とか、パロとか同人とかに全然縁ない人なんだろうね。
二次創作ってのは、限られた登場人物でそれぞれのオリジナリティを発揮するということだし。
ましてはどの作品も内容が被らないのは当たり前(書き手が違うんだから)
視点が違うのも当たり前。
そんなパロなら当たり前のことを、何か特別のことであるかのように
嬉々として書いてる、その世間知らずぶりが見てて恥ずかしい。
とりあえず一度コミケにでも逝ってくるか、適当に流行りジャンルのパロサイト廻って来い
>>537とか、パロとか同人とかに全然縁ない人なんだろうね。
それは幸せなことではw
>>540 世間知らず過ぎるのは見てて恥ずかしい。
そう思うだけならまだしも、語っちゃうとこなんかが。
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
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. 〜 (\ヽ( ゚Д゚)′< ハイ、すこし換気しましょうね〜
. ∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ 〜 (\ (ナフテラ)つ .\__________
(____) .∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ ∪∪
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
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>そう思うだけならまだしも、語っちゃうとこなんかが。
ネットで語るのと思うだけにほとんど差はないとオモ。
外で語ったらアフォだと思うけどさ。
>>543 人が換気してんのに、殺すぞゴルァ!!!
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
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. 〜 (\ヽ( ゚Д゚)′< ハイ、すこし換気しましょうね〜
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婆が多いから、同人だのパロだのには全く縁のない人が多いのは当たり前。
こうやって二次パロを書くだけで、本気で神と崇めてそうww
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
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. 〜 (\ヽ( ゚Д゚)′< ハーイハーイ換気しましょうね〜
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同人とかパロとかって、世間ではそんなにメジャーな分野なんですか??
メジャーだったら原作者の立つ瀬がないだろう。
世間知らず、だってよ!自分こそ何偉そうに語ってんだかプゲラ〜
>>547 世間一般の認識は単なるおたくとしか見てないよ。
同人をえらそうに語るのやめれ。
知らない一般人だって数は多いんだから。
下手すりゃ「同人」ってだけでイメージ悪いこともある。
ここは2ちゃん、なんでもありだが
同人知らないだけでそんな書かれ方はよくないと思う。
>>547 少年マンガとかだったら、何千単位であると思う。
ていうか王家も、サイトでパロやってる人結構いるんじゃない?
ていうか、こんなとこにパロ書いて落としてる時点でオタクだし
読んでる時点でみんなオタクじゃないのw
とりあえず文句言われるのが嫌なら、作品投下しなきゃいいのにと思う。
いちいちいちいち揉めすぎ。
つうか、同人とかパロとかって、世間でそんなに認められるべき分野なんですか??
>>555 認めたくないなら、ここに来るなよ。
ここの作家さんたちがやってることは同人であり、パロだよ。
ヲタクの世界の掟に精通していないからって、世間知らずだの恥ずかしいだの
思わなくてもだいじょうぶですよ。ましてここは2ちゃんだし。
>>555 単なるヲタってだけで、
世間様でおおっぴらに言えるようなもんじゃないでしょう。
大体世間様に隠れてこそこそしてるからこその
面白みや醍醐味があるもんだ。
2ちゃんに来てる時点でみんな同じ穴の狢w
しかもこんな片隅の難民板に作品投下して、それをマンセーしてる時点で
きっちり同人やってる人よりレベル低いだろw
>558
んだ
こっそりの趣味だから楽しいんだよ
>>558 そうだよね〜。
みなさんはここに来てる事を周りの人に公表してるの?
自分は恥ずかしくて誰にも言えないよ。
そんなパロなら当たり前のことを、何か特別のことであるかのように
嬉々として書いてる、その世間知らずぶりが見てて恥ずかしい。
とりあえず一度コミケにでも逝ってくるか、適当に流行りジャンルのパロサイト廻って来い
何、マジ議論してるの〜?ここは同人でも何でもないよ
作家さんだってお遊びの延長だと思っているよ、きっと
楽しいのさ、書き手も読み手も
誰だかわからない作家さんがお遊びで作品投下して
それを誰だかわからない読み手さんがレスして
それで楽しんでいる 楽しい趣味のスレ
荒れること自体がどうかしてる
マジで議論すること自体どうかしてる って漏れは思うよ
コミケに行くことが普通の人は「恥ずかしい」
だからコソーリ2ちゃんで楽しんでいるw
>>537は世間一般的にいう「常識人」で
>>539あたりが世間一般でいう
「オタクな変人」なんですな
2ちゃんでは、立場が逆転しているけど、世間を知らないのは
>>539あたり
世間の一般人は同人なんて知らないのさ
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
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. 〜 (\ヽ( ゚Д゚)′< ハーイハーイ換気、喚起…コリナイネ、ココノジュウニンハ
. ∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ 〜 (\ (ナフテラ)つ .\__________
(____) .∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ ∪∪
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「カンキ」ノジヲマチガッタ・・・ソレデハモウイッカイ
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. 〜 (\ヽ( ゚Д゚)′< ハーイハーイ換気、換気中…
. ∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ 〜 (\ (ナフテラ)つ .\__________
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.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ ∪∪
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同人っていうとなんか怖いんだけど
ここでひっそりとパロを読ませていただくのがすごく楽しい。
無償で優れた作品を投下してくれる作家さんは神だと思う。
ありがたい。
仮にこの先王家王家パロを書くことはあっても
同人とかコミケとかって世界とかかわるとは思えないんだよね。
漏れみたいな中途半端な香具師結構ここにいると思う。
同人でもそうでなくても楽しいならイイじゃん。
>>567 563で書いたものだけど、全くの同感。ここのスレはHPの同人なんかと違って
ただ褒める一方のレスだけじゃないし、作家さんの作品を楽しんで読んで批評したり
してくれる親切な読み手もいたりしてお互い無償で楽しんでいる。
漏れもそんな一人だけど、その作家さんの作品も楽しんでいる読み手だよ。
人の楽しみ邪魔する奴はアスランに蹴られて逝ってしまえばイイ!
569 :
568:2005/04/08(金) 20:17:34
ごめ・・・なんか言ってることわけわかんなくなったけど、
要するに、
>>537みたいな読み手がいたっていいってこと。
純粋に作品楽しんでいるんだからさ、何がいけないっていうの?
って言いたい。
よかった〜 >539みたいなおっかない人はむしろ少数だと知って安心しますた!
ナフテラタンかわいそう・・・w
ナフテラかわいいんだけど、使われるタイミング間違ってる・・・
スレの空気を読んで投下しないと荒らしと思われるかも。
えー、自分なんか、何をもめてるのか
もめるような問題があるのかすら分かんないや。
個々のレス気にとめてないっていうか。
荒れても騒いでも、作品が読めるときは読める
読めなくっても自分が投下するんじゃないから
そういうものと、ボケ〜としてるんだ。
お気に入りが最後まで読めたらラッキーてぐらい。
あとは流れるままに。
アスランて天河のユーリの馬の名前だったっけ。
最初ナルニア国物語のライオンの名前かと思ったよ。
王子の名前ちょっと安易?
でも話が面白いから全然オケ!
>539みたいなおっかない人はむしろ少数だと知って安心しますた!
たしかに「おっかない」w
>573みたいなのがいいなあ 自分もぼけ〜としてよ
まあまあマターリと作品のうpを待ちましょうよ
なんでここの住人が「同人」という言葉にここまで禿しく反応するのか理解不能
どうでもいいことに一々反応する
実に王家スレらしいじゃんよ
「パロや同人を知らない=世間知らず」
という価値観が素直に新鮮だ〜(他意はない)
私の周りには虹とか2ちゃんに縁のない奴ばかり。
いろんな人がいるんだな。‥釣られてスマソ
>>582 パロや同人なんて言葉出てこないよ普通は。
ましてやコミケなんて何の事?って感じだと思うよ。私もコミケとか
行った事ないし、じぇんじぇん分かりませーん。
王家は好きだから、大人になった今でも唯一読み続けてる漫画だけど、
もう他の漫画はほとんど読まないなぁ。。。
だから同人なんて知らないよ。
自分の価値観=世界の価値観 という思い込みが面白いね。
二次創作は他にもいくつか読んでいるけど
私はサイトにうpされたものしか見たことないや。
まあまあ、あんまり「おっかない人」を刺激しないでw
またくだらないことで大騒ぎしてたんだね・・・・
なんでこんなにスルーできないんだか。
今は書き手がいるからいいけど、この雰囲気見てたら
新規の作家さんとか、二度と現れてくれなさそうだね
いや、同人とか怖い世界wの人ばかりじゃないと知って
かえって安心して投稿してくれるんじゃない?
別にくだらないこととは思わなかったけどな。
同人もそうでない人もいるってことで
とりあえずマターリいきたい。
え、同人が怖い世界なの?
こういうとこに書くこと自体が同人活動だと思うんだけど・・・・
はたからみれば怖いよ>同人
著作権グレイゾーンだからね。大っぴらにやるもんじゃない。
作家たちも、もう書かないでね☆
じゃあ、同人は怖いものだし、著作権グレイゾーンだから
やらない方がいいでFA?
同人的作業である、各作家たちの王家パロは著作権侵害に当たるものという
スレ住人の合意により
今日をもってこのスレは
〜〜〜〜〜〜〜 糸 冬 了 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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うわあ・・・
自分同人者なんだけど、こんなとこでこれほどに糾弾されるとは・・・
これはもう、ここでは書けないな・・・
>>597 そういうことを書くと「別に書かなくていいよ」と嵐に言われるだけですよ。気をつけて。
>597
別に書かなくていいよwwww
>>580 禿どう。同人発言されてから、たくさんレスが続いてて驚いたよ。
私もなんでか同人は怖い世界に感じる。
もし同人の人がたくさん住み着いているなら、スレがこんなに荒れるのも自然なことかも。
なんとなく自己陶酔型で空気読むのが苦手な人って感じするから。
601 :
600:2005/04/09(土) 11:48:03
あ、その対象に関してはという意味で言いました。
たぶん普段の生活では自己陶酔型じゃないだろうし、空気も読むと思う。たぶん。
>597
「これほどに糾弾されるとは・・・」だって?
法律踏み外してんのに自覚もないのか?
同人で人権主張するなんて馬鹿じゃないの?
原作者の権利を侵害してるくせに、同人は表現の自由とかいって
妄想オナニー書きまくり。マジおめでたいよ。
そういう批判を受ける覚悟もないアンタみたいな手合いは公の場で何も書くべきじゃない。
573みたく、一歩引いて見てるのが賢いね。
見ず知らずの人間が書いた内用など、真意不明。
反応するのがばからしいと気づいたよ。
604 :
名無し草:2005/04/09(土) 12:50:10
あっはっはっはっ
相変わらず愉快な人達だ!
2次創作のスレで見たり書いたりしてる時点でみんな同じ穴の狢だよ
くだらない事で煽りあっててもスレの空気悪くなるだけで誰も得しないと思うね
キャサリンは自分から逃げ出したのに
またなんで突然王子のもとに戻る気になったのかな?
王子が病気とかならわかるんだけど・・・
ちょっとそこらへんの心の動きがわかりにくかなぁ。
>>392 38
いつになく宮殿の中は落ち着かなかった。
エジプト側にもラガシュ王急逝の知らせが届いたからなのだろうか?
夫がいなくなったアイシス、これほどエジプトにとって好都合はないだろう。
夫となる者の候補は山ほどいるだろう。
兄弟ならばネバメンが、野心を隠さないカプター大神官も、そしてミヌーエ将軍も。
正直なところ、キャロルは少し安堵したのだ。
望まない結婚とはいえ、自分にはイズミル王子がいる、
その自分よりもエジプトはアイシスを結婚させる方を選ぶはずだと。
そして自分はエジプトを得るための駒からは外れるだろうと。
寝台を身に預け楽な姿勢をとっているキャロルにそばについているルカがふと話した。
表の方が騒がしい、何事か起こったのだろうか?
もうじき夜の帳が下りる頃だというのに、その騒ぎは切れ切れにキャロルの耳にも入るほどに。
誰かが怪我をした、いやアイシス様がお怪我をなさった、囚人達が暴挙に及んだ、など。
先ほどのラガシュ王の死を聞いたばかりなのに、また何事か起こったという不安に
キャロルは悲しい想いに捕らわれる。
「何があったのかしら?」
39
不安に駆られたキャロルの目の前に足早にイズミル王子が姿を現した。
「何かあったの?」
キャロルの問いに答えるように多少気分を害したかに見える表情の王子は、
寝台に荒っぽく腰を下ろし、ルカに目配せを送った。
ルカは黙ったまま礼をとると静かに部屋から出て行く。
王子の表情はいつになく難しいものにキャロルには見える。
「ネバメンが死んだのだそうだ、先ほど墓の視察をアイシスに誘われておったであろう?
覚えてはおらぬか?」
突然の予想もしなかった王子の話にキャロルの脳裏は真っ白になったように思った。
そういえば自分と王子が午餐から退出する時に、アイシスがネバメンを誘っていた、とキャロルは思い出した。
「内密の視察にネバメンと共にアイシスが出かけた矢先、労役の囚人がネバメンに声をかけたのだそうだ、
これが何を意味するかわかるであろう、賢いそなたならば。」
「囚人がネバメンを知っていた?まさかネバメンは罪人だったの?」
ネバメンはメンフィスの弟ではなかったの?キャロルの心に疑問が渦巻いていく。
王家の者がそんな扱いを受けるはずはない。
ましてメンフィスが誇りに思っていた父王ネフェルマアト王が我が子をそんな状況に置くわけがない。
ではネバメンは何者?
40
王子の話を要約すると、身分を隠したアイシスとネバメンは墓の視察に出かけたのだが、
そこで労役に就いている囚人の一人が気安くネバメンに声をかけたのが始まりだった。
ネバメンは知らぬ存ぜぬを押し通そうとするのだが、如何せん名が合っていることや、
以前地方からその囚人だけがこちらに移送されてきたことからカプター大神官がネバメンを見つけた場所とほぼ一致すること、
何より囚人である証の焼印のあった腕にひどい火傷を負っていることから、
アイシスや側に居た者も疑いが濃厚になってきたことで、再度囚人を召しだして詮議を、としようとした矢先。
ネバメンがその囚人を殺そうとしたことから騒ぎとなり、ネバメンとその囚人は側にいた衛兵の剣を奪い互いに刺し違えてしまった。
王子の手の者が内密に調べ急ぎ報告したのだ、と王子は締めくくった。
ラガシュ王に引き続き、今度はネバメンが死んだ。
アイシスがエジプトの王座を握ろうとするのに邪魔になる者が消えたのだ、とキャロルは思った。
いずれも死因は違うけれど、これほどアイシスにとって好都合なことはないだろう。
目まぐるしく変わっていく情勢。
メンフィスが死んだことで見せ付けられる王座の争いをずっと見なくてはならないのだろうか?
私にも責任の一端があるのだろうかと、胸に刺さったままの棘が疼くようでキャロルは思わず手で顔を覆った。
「すまぬ、いずれはそなたの耳に入るであろうから、私が教えた方が良いだろうと思ったのだ。
そなたのように優しい心根の者に酷な事をした・・・。」
いつにない王子の優しく響く声音にもキャロルの心は癒されなかった。
これ以上人が死ぬのは嫌、そう思うキャロルの頬に静かに涙が伝っていき、
それを王子の指がぬぐっていく。
抜けない棘様、久々のうpお待ちしておりました!
ラガシュ王に続いて今度はネバメンの死かあ〜アイシスの怖さが明るみに
出てきましたね。サスペンスの様相を呈してきましたね!
続きを楽しみにしています。王子とキャロルのラブラブも読みたいかも?
>>606 キャサリンは自分から戻ったのではなくて、キルケーの呪いで泉に足を滑らせて
無理やり戻されたんだと思ったのですが。よく読んでみてくださいな〜
>>606さんへ
月影の詩
>>200読むとわかるよ、真相が
飛び飛びだから、まとめサイトでまとめて読むと全容がそのうちわかるかもね
でも、まとめサイト更新されてないね、ずっと。
まとめてくれてる管理人さんは、好意でやってくれてる事なんだから
忙しかったりすれば更新は滞ることだってあるさ〜。
気長に待っていようよ。
はい、気長に待ちます。
急がせるつもりではなかったけど、催促みたいですよね。
ごめんなさい。
抜けない棘作者さま、うpありがとうございます!
んー次はキャロルが狙われるんでしょうかね・・・
王子がんがれ。私も王子とキャロルのラブラブシーンが読みたいです。
ズアトきぼん!
>>497 80.
トルコの首都アンカラまで戻り、そこからアテネ経由でクレタ島へ。キャサリンは、クレタ島の中心都市イラクリオンのホテルにチェックインしたところで疲れ果てていた。
イラクリオンは、クレタ島でも大きな都市で近くには「迷宮」で有名なクノッソス宮殿もある。
イリスの島へは、翌日小船をチャーターして渡る手はずを整えた。観光客が訪れることもない貧しい漁師たちが住むだけの島に行きたいと言うので、
ホテルのフロント係は少し驚いていた様子だった。
部屋にチェックインしたキャサリンは、ホテルのバルコニーから広がるどこまでも青いエーゲ海を見つめては彼方に想いを馳せた。
「ついにここまでやって来たのね…。王子、あなたに会えるかどうかもわからないままだというのに。
でもイリスの島に行けば必ず何かわかるようなそんな気がするの。私は信じているわ、きっとあなたに会えるって」
本当に会えるのだろうか?たとえ会えないままでも後悔はしないわ、きっと次の方法を考えるだけ。キャサリンは心にそう決めていた。
3年前父と共にエーゲ海を訪れた時は、まだ無邪気な少女だったと思う。あれから3年…恋のもたらす甘さ切なさそして苦しみも理解できる
ようになった。
はるかな水平線を眺めていると、海風に長い髪をたなびかせて立つ優雅なイズミル王子の姿が浮かぶような気さえしてくる。
明るい茶色の髪に縁取られた端整な顔立ちに優美な体躯、そして時には冷たい輝きをも放つ美しい琥珀色の瞳。
王子の存在すべてが3千年の時を経てなお鮮やかにキャサリンの胸に蘇る。
この3年、時には魅力的と思える男性もいないではなかったが、王子に心奪われたままのキャサリンの心が他の異性に惹きつけられることは
なかった。
(このまま王子あなたに心奪われたまま生きていくのは辛いの、辛すぎる。あなたに会いたいの…どうしてももう一度会ってあなたの気持ちが
知りたいの。王子…あなたは3000年の時を隔ててどこにいて、何を想っているの?)
81.
「誰だ?誰かの声がしなかったか?ルカ?」
船の舳先に立っていた王子は遠く水平線の彼方へと目を配っていたが、ふいにルカの方向を見やった。
「いいえ、王子。私にはなにも聞こえませぬが」
「そうか…気のせいかもしれぬ。今、女の囁くような声が聞こえたのだが?
たしか『どこにいて、何を想っている』と囁いていたような」
「よもや海の魔女ではありますまいか?エーゲの海には様々な魔物が住み着いていると言う者も多くおりまする。
王子、お気をつけて」
ルカは心配気に辺りを見廻し、王子の身辺の安全に気を配らんとしていた。
「そなたは心配性過ぎる時があるとは思わぬか?まあ、その気配りが何度もこの私の役にも立っておるのだが。
たしかにいくら魔女キルケーを無事あのアトラス王子の島に封印することができたからといって安心はできぬ。
ハットゥシャを旅立ってまもなく一年。
摂政としてわがヒッタイト勢力下にある各地を視察して参ったが今のところ国は平和、しかし安心はできぬというのと同じだな。
いつ何時脅威が襲ってくるとも限らぬ。南のエジプト、西のミノア、アマゾンの国、バビロニアやアッシリアも油断はならぬ」
王子の琥珀色の瞳はもの思わし気に伏せられた。
「御意。しかし王子、そろそろハットゥシャへも戻らねばならないのではありませぬか?エーゲの海もとりあえずは平和の様子ですし
この度のミノア王国視察にても問題はなかった様子」
「たしかにもう戻らねば限界というもの。しかし帰る前にこのエーゲの海にて確かめたきことが一つあるのだ、ルカ」
「まだ訪れたき場所があると?」
ルカははて?そんな場所があるだろうかと首をかしげた。
82.
「イリスの島へ、あの島に寄って確かめたきことがある」
「イリスの島にでございまするか?あの島は姫とキャサリン様を結ぶ因縁多き島。よもやあの島にキャサリン様の足跡があるやもしれぬと
お考えにて?」
「左様。キャサリンが去って3年が経つ。このままハットゥシャに戻れば必ずや正妃を選ぶようにと周囲は私に勧めてくるであろう。
その前にキャサリンが戻らぬのであればそれを確かめるためにもあらゆる手を尽くして置きたいのだ」
王子は溜息をつくと、水平線の彼方に瞳を凝らした。
(そう、そなたはもう戻らぬ…この3年間というもの私は何度自分にそう言い聞かせたことか。この期に及んでまだ諦めきれぬとは。
キャサリンそなたは今頃3000年の時の彼方で私のことなど忘れているに違いないというのに)
83.
沖合いに船を残したまま、王子はルカを伴い小船にてイリスの島へと渡った。孤島の小さな入り江は、
ナイルの姫が眠っていた日そのままに浜辺に小さな波が寄せては返し、月の影がその波に揺らめいて細長くなってたなびいている。
(ナイルの姫よ、想えばあの時どれほどの歓びでこの島を訪れたことか…。
あれから何年経ったであろう?そなたに逢い叶わぬ恋に苦しんだ。
そしてめぐり逢ったキャサリン。初めは姫によく似たその姿に惹かれたものだが、やがてそなた自身への愛と変わっていくのに気付いた。
それも束の間…そなたは時の彼方へと去りそなたへの想いも再び成就することなく終わろうとしている。
すべてはこのイリスの島に始まりここにて終わろうとしている。わが身は愛する人を娶ることができぬ運命なのか?
ならば愛の女神イシュタルよ、わが心をこの虹の島に永遠に残して行こうぞ)
「ルカ、私が戻るまでここで待て。私はあの洞窟を抜けてイリスの野に行って参るゆえ」
王子の端整な横顔は、月の光を浴びてどこかもの悲しげな様子だった。
「かしこまりましてございまする」
かつて「姫君は眠りから覚めたその時に初めて見るお方を愛しまする」という妖かしのキルケーの言葉に高鳴る胸を抑えつつ辿った
細長く狭い洞窟の道、その道を再び辿ろうとしていた。
今度は花咲き乱れるであろう虹の野に愛する女性への想いを永遠に残していくために。
<続く>
>>620 84.
「あれがイリスの島と現地の人々が呼ぶ島ですよ、お嬢さん」
チャーター船の船長がたった一人の乗客であるキャサリンに遠くに見える島影を指差した。
「本当ね。この島に来るのは3年ぶりだわ」
「おや?以前もいらっしゃったことがあるんですね。珍しい。この島にはほとんど外国人の観光客は来ないんですがね」
「そうなんですか…」
キャサリンは半分上の空で答えた。その瞳はイリスの島に釘付けになって離れない。
(王子、あなたに会えるかしら?あなたは待っていてくれるかしら?
三千年の時を隔ててあなたがあの島にいると考えるなんて馬鹿げたことかもしれないわね。そんな奇跡みたいな事考えるなんて。
でも私はその奇跡に賭けてみたいの。だって私とあなたがめぐり逢えたことそれ自体が奇跡なんですもの!)
船はやがて静かな入り江へ碇を降ろした。辺りはすっかり日が暮れてすでに月が昇っていた。
「さあ、お嬢さん着きましたよ。私はここでお待ちしていましょう。すっかり日も暮れましたからあまり遅くなりませんように」
「ありがとうキャプテン。でももう戻っていただいて結構よ。私は今夜はこの島で過ごしますから。
知り合いの漁師さんの家に泊めていただけると思うの」
「おやおやお知り合いの方がいらっしゃったとは驚きだ。それではクレタ島に戻りますがお迎えの際にはまたぜひご連絡を下さいよ。
他の船をチャーターしないで私の船を覚えていて下さい。ではお気をつけて」
乗ってきた船影は早くも沖合いへと消えようとしていた。キャサリンは迷いもなく入り江の奥へと入っていく。
記憶に間違いがなければこの入り江には「虹の野」と島の人々が呼ぶ美しい花咲き乱れる野に通じる洞窟があるはずだ。
そしてあの粘土板はその洞窟で発見されている。
(私が王子の元から戻った時打ち上げられたのはこの浜辺。そしてキャロルとの恋を記した粘土板が見つかったのもこの浜辺近くの洞窟。
私があなたに再び逢えるとしたらここしかないわ!)
85.
イリスの島は虹の女神の島。そしてその虹の架け橋は私を王子へと導いてくれる…キャサリンはそんな想いを胸に抱いて洞窟へと向かって
歩みを進めた。その時だった。首にしていた『癒しの真珠』が月の光を宿して再びあの不思議な輝きを放ち出した。
その真珠を身に付けた者を守りその心を癒すという不思議な力のある真珠。
「真珠が輝き始めた!間違いないわ!この洞窟を辿っていけばきっときっと王子あなたに会える!」
キャサリンは首元にかかる真珠の首飾りを握り締め、洞窟への道を急ぐ。
洞窟の入り口は先ほど昇った月の光に照らされて神秘的な雰囲気を漂わせている。キャサリンはふと後ろを振り返った。
「もしかしたら私はもう二度とこの21世紀には戻らないかもしれない。ライアン兄さん、ロディ兄さん、お母様、そしてハワード教授
許して下さい。あなたたちのことは忘れません。ライアン兄さん無理かもしれないけれど、どうかどうか手紙にしたためた私の気持ちを
わかって下さい。キャロルのこともあなたにだけは真実を伝えたつもりよ。姉妹揃って三千年の時を超えてしまうということを
理解して…。きっと無理だとは思うけれどでもこれが私たちの幸せの形なの。今の時代では叶えられない幸福…。
そしてお父様、どうか私の夢を叶えて下さい…あの人に会えますように!」
キャサリンは月の光を宿して輝く真珠の光だけを頼りに暗く細い洞窟の中を進んだ。
その時、足元がぐらつき一瞬キャサリンはその場に座り込んでしまった。何?と思って辺りを見廻した時首元にかけていた真珠が
ぱらぱらと音を立てて辺りに飛び散った。
「真珠が飛び散るなんて一体どうしたのかしら?」
キャサリンは不思議に思い、真珠の一粒を手に取り上げた。すると真珠はもう宿していた輝きを失っている。
「これは、これはもうこの真珠が不思議な力失い役目を果たしたということ?もしかしてやはりこの洞窟の向こうには…」
キャサリンは出口へと向かって虹の野へと繋がる洞窟を進んだ。
86.
「キャサリンよ、おそらく私は国へ帰り正妃を娶らねばならぬ。かつて妃にと望んだ姫への想いはキャサリンそなたによって
癒され、姫をメンフィス王から奪うことが叶わぬ夢であることに気付かされた。が、そなたへの想いに替わるものはない」
王子は一面に咲き乱れる花々を眺めてその花の香りに愛したキャサリンの面影を重ねた。その面影に王子は語りかける。
「そなたは花の香りがしたな。このイリスの島はそなたにふさわしき島、美しきキャサリンよ。私はそなたを愛した、
がそれもこれにて終わりにせねばならぬ。
これからの愛なき日々を耐えるためにもそなたへの愛をこの花咲き乱れる島に永遠に封印して帰ろうぞ。
二度と私は女性を愛することはないであろう」
月の光が一面の花々を包んでいる。王子は虚空を仰いで深く息を吐き自らの感傷を嘲笑った。
(女々しきことよ、アナトリアの大地を支配するヒッタイトの世継ぎにて令名高きイズミルとも在ろうものが。
かような姿は誰にも見せられぬ。さてもう戻らねば…ルカが待っておる)
87.
やがて…洞窟は花咲き乱れる虹の野へと出る。キャサリンはじっと花咲く野の彼方を見やった。
すると、そこには長いこと求めて止まない姿が月の光に照らし出されていた。風にたなびく髪をした優雅な長身のその姿は
王子 その人だった。
「王子…イズミル王子?」
背後からかすかに自分の名を呼ぶ声に王子は振り向いた。
そこには月の光に銀色と煌く美しい髪 ―――王子が誰よりも愛でたその髪――― をしたキャサリンが佇んでいた。
「キャサリン…まさかそんなはずは!」
王子はためらいがちに両手をその人影にむけて差し出した。
「ええそうよ私です、王子!」
キャサリンの瑠璃色の瞳には涙が浮かぶ。と同時に花咲く野原を自分の方に差し出しだされたその腕に向かって一歩づつ踏み出した。
「王子…っ!」
王子も揺らめく幻が去っていくのではないか?と懼れつつやはり一歩づつ金色の髪をした愛する女性の元へと足を運ぶ。
長い間望んでも望んでも叶えられなかった夢。その夢が今やっと実を結ぼうとしていた。
やがて二人の間は、手を伸ばせば届くほどに近づいた。
「おお、キャサリン!これは夢か?」
王子の指が躊躇いがちにその煌く髪に触れる。
「キャサリン…!この美しい金色の髪は間違いなくそなたの髪。おお、キャサリン!」
王子の両腕が激しく抱き締めてくる。永遠に時が止まったかと思う一瞬。目も眩むような息をつくことも出来なくなるような歓びの一時。
二人は言葉を失ったままお互いの体の存在を確かめ合うようにただただ抱き合う。
<続く>
続けてのUPお許し下さい。もうしばらくお付き合い下さい>皆様へ
626 :
名無し草:2005/04/10(日) 12:32:13
月影の詩作家さま、UPありがとうございます。
このままハッピーエンドだと嬉しいです。
一気に読ませて頂きました。
とうとう再会*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(*´∀`)゚・*:.。..。.:*・゜゚・*
王子とキャサリン、幸せになってほしいです!
とうとう来ましたね!
今後キャサリンとキャロルの出会いがあるのか期待です。
>>436 60
一人寝の寝台で書類に目を通すメンフィスの許にミヌーエ将軍が目通りを願い出て来た。
「遅い時間に申し訳ございませぬ」
「よい…。とうとう、なのか?」
「は…。リビア王女カーフラがつい先ほど息を引き取りました。ファラオと王妃様を襲った罪は認めましたが…」
「認めはしても決して悪びれたりはせず、それどころか罪を誇るような素振りさえ見せて、といったところか」
いかに罪人とはいえ、一国の王女であった者を憚ったミヌーエ将軍の気持ちなど斟酌せずにメンフィスは平然と言い放った。
「最後は大層苦しんで、傷から来る熱と痛みでほとんど正気ではなかったようでございます」
「当然の報いだ。しかしよく持ったな。…ああ、死体はリビアに送りつけてやれ」
キャロルには決して見せない倣岸な酷薄さを剥き出しにして、メンフィスは吐き捨てるように言った。
「討伐隊からの報告は?」
「は。リビア王は王位を失ったようでございます。王の逃亡を聞き、病弱の皇太子を外戚や反カーフラ派が担ぎ上げ、王位を簒奪。我が討伐隊も手を貸しております。
新国王一派はエジプトとの友好のためならば、前王を引き渡してもよい、と。カーフラ王女が引き起こした不祥事に深く関わったであろう男など切り捨てたいといったところでございましょうか」
「ふ…ん。リビア新王との友好は望むところゆえ、イムホテップらに条約を起草させる。だが、前王のことは知らぬ!どのみち王位簒奪者どもは殺すつもりなのだろうしな」
メンフィスの冷酷な顔。それはキャロルを失っていた4年の間に彼の中に育っていった強大な支配者の貌であった。
「ひとつ、終わったな。…ミヌーエ、ご苦労であった」
61
カーフラ王女の凶行の夜から3度目の満月。
「…眠れないの?」
「キャロル!驚かせてくれるな。そなたこそ、どうした?夜風は障る。包帯が取れたからといって油断してはならぬぞ。全く、そなたの心配ばかりでは身が持たぬ」
キャロルは困ったように頬を染めて微笑んだ。
「あなたこそ、とても疲れているみたい…」
「…そなたも眠れぬのか。仕方ないな!来い、またゲームの相手でもしてやろう」
メンフィスは寝台の上にゲームの盤を広げた。静かな室内に駒が動くほのかな音だけがする。
そっと目を上げてキャロルを見れば、濃い睫を伏せて少し唇を尖らせるようにして考え込む姿の愛らしさ。駒を摘む指先まで薔薇色に染まっているのは恥じらいゆえか。
メンフィスは少し息苦しさを覚えて目をそらした。日毎、親しみ様々に語り合い笑みを交わし、心を通わせあうだけの睦みはもう窮屈で飽きてしまっている。
(キャロルは…私を選んでくれた。では、もう…その身を…)
「メンフィス?どうしたの?」
「ん?何でも…。ああ、また私の勝ちか!まことにそなたは弱すぎる。昔から少しも変わらぬ。ほら、そうやって拗ねるのも」
指先でそっと眉間の皺を伸ばすようにしてやってメンフィスは笑う。キャロルは怒るかと思ったのに、さっと顔を背けてしまった。隠しきれない涙がメンフィスを驚かせた。
「ど、どうしたのだ?何故、泣く?たかがゲームではないか?泣くな、からかったのが嫌だったのか?」
キャロルは首を振った。
「…違うの。あなたは私があなたと過ごした最初の二年間を覚えているのに、私は思い出せないの。知らないの。何だか、メンフィスが私の知らない誰かと一緒だったみたいで…」
62
「何を言って…?」
メンフィスはさっぱり訳がわからず、開いた口が塞がらなかった。だが、少しすると頬を染めて、さも愉快そうに笑い出した。
「そなた、もしや嫉妬しているのか?昔のそなた相手に?自分を相手に?何と…呆れた、面白い…!」
「笑わないで!」
キャロルはメンフィスを睨みつけた。
「何だか寂しくて、仲間外れになったみたいで…。
私の知らない私なんて他人と同じよ。なのに、あなたはさも懐かしそうに…その人の話をするわ…何度も…!」
「ああ、キャロル!」
メンフィスは怒って身をもぎ離そうとするキャロルをしっかりと抱きしめた。
「何と可愛らしいことを言ってくれるのだろうな、そなたは!そのように嫉妬するほどに私を…好きで居てくれるのだな、愛しているのだな!」
愛しているのに、キャロルの幼さ、潔癖さに何とはなしに自分に対する隔てを感じていたメンフィスは文字通り有頂天だった。
メンフィスは碧い瞳をしっかりと見つめた。
「よいか、キャロル。私はいつか申したな。初めて私達が出逢った時の姿で私の前に現れたそなたに記憶がないのは、神々の思し召しなのだろうと」
キャロルは泣き顔を恥じるように少し頷いた。
「まこと、そなたを愛し、大切に思うなら今度こそ、そなたに心安らかな平和と幸福の時を与えよ、と神々は私に命じられたのだ。私は喜んで従おう。
そなたが嫌ならば、もう昔の…初めの二年間の話はせぬ。私は思い出話にふける老人ではない。私もまた、そなたとの未来を生きる身ぞ!」
63
キャロルは初めて自分からメンフィスに抱きついた。
「本当に…?昔の私を愛してくれたように…今の私も…あ、愛して…くれる?
好きでいてくれる?思い出せなくても…薄情だなんて思わず…あっ?!」
ゲームの駒が床に落ちる音がした。
メンフィスはキャロルの細い手首を掴んで、寝台の重ねた枕の上に凭せ掛けるように小柄な身体を押さえつけた。
「そなた…私を試しているのか?子供が…恋の駆け引きの真似事など…っ!」
「メンフィス…あの…っ!」
「言い聞かせても分からぬ子供は…身体で覚えこませねばならぬ!」
メンフィスは暴れるキャロルの膝の間に巧みに体を割り込ませると、薔薇の唇を自分の唇で塞ぎ、荒々しい求愛の言葉を囁く。
「もうこれ以上は我慢できぬ!私を愛していると…嫉妬するほどに愛していると言ったそなたを我慢できぬ!そなたを我が物とするぞ!拒むことは許さぬ!」
キャロルは驚いて、反射的にメンフィスを突き放そうとした。
「素直になれい…。そなたとて私を…」
荒々しい貪るような接吻の甘美さにキャロルは震えた。
「そなたが居れば…私はもう一人では、ない…」
キャロルは黒曜石の瞳にそっと頷いた。キャロルはメンフィスを選んだのだから…。
「ええ…。私はあなたの側に…いつも…」
続く
待ってました!うpありがとうございます。
結婚前のメンフィスはやっぱりカッコいいですね〜。
原作メンフィスも、ずうーーーっと婚儀あげられないままだったら
あんなんならないでいてくれたんだろうか?
大人メンフィス素敵・・・。
キャロルを子ども扱いしてるところに萌えです。
原作のメン様は、どっちかっていうとキャロルにあしらわれてる感があるものね(苦笑)
次回はいよいよ初夜でしょうか、楽しみにしています。
オトナなメンフィスはほんと人気がありますね〜
>抜けない棘
アイシスの狡猾さとイズミル王子の抜け目なさの勝負って
かんじでしょうか。
キャロルVS王子がキャロル&王子VSアイシスの構造に変わったんですね。
まだまだ流され続けてるキャロルの今後がすごく気になります〜
>月影の詩
とうとう再会したんですね〜
運命に流されるだけじゃない二人でしたよね。
よくがんばった!
最後に向けてがんばってください!
>メンフィス4年後
この年齢差の二人、なんかイイです。
自分自身に嫉妬するキャロルカワイイかも。
あまり意地っ張りじゃないこういう素直なキャロル好きです。
一瞬ここで終わりかと思いましたが
まだ続くのですね。
うれしいです〜
作家様方うpありがとうございます!
月影さんってマメだね…なんとなく
愛する人と相思相愛の王子、気長で大人なメンフィス、どちらも
原作にはない、だけどファンが切望している姿だよね。萌え〜。
原作者の権利を侵害してるくせに、同人は表現の自由とかいって
妄想オナニー書きまくり。マジおめでたいよ。
>>642 かれいにスルースルーするめにヒラメ?
お魚は釣れないも〜んだ!>ばいばい (^^)/~~~
646 :
645:2005/04/11(月) 18:41:08
被った・・・スマソ
だからぁ〜〜もう一回♪
かれいにスルースルーするめにヒラメ?
お魚は釣れないも〜んだ!釣られちゃダメだよ
>>642に
>>647 加齢臭を出すのは頼むからやめて…
同じスレの住人として悲しくなる
>゜))))彡 <+ ))><< <゜)))彡 さかな?もうヤメヨ。
それより作家様へのラブコール!!
春爛漫、作家様の作品も爛漫!どの作品も続きを期待してます。
このスレの平均年齢って40歳くらいかな
>>650 君はいくつ?メンフィスやキャロルと同じくらいって言ったら殴るよぉぉぉ!
ノシ 中田久美と一緒
>>650 バレー選手でいいの?
調べてみたら、若いのねー・・・
こないだ孫ができました。。。(といっても60代とかじゃないのよ〜!!)
平均年齢上げてごめんなさいね。間違いなく長老だわ〜
でもでも、このスレには夢を見させて頂いてます♪作家様、いつもありがとう!
1965年生まれね。なら許す。
で、嵐はもう終わりにしよーね。って自分も嵐か・・・orz
メンフィス4年後様、続き期待しています!大人のメン様がステキだわ〜。
>>653 あらご謙遜。別の王家HPで知り合った方は50代でしたよ。
でも素敵な方です。いつまでも夢見る女性はステキですよ!
このスレも年齢問わずだと思うけど、王家は大好き。嵐に負けずみんな頑張って
下さい、作家様!
まぁどうでもいいジャン。
作者が最高齢なんだから、皆乙女さw
テレ東のエジプト特集番組、面白い。
アダルトメン様すごい萌え。
メンフィスの気性&ルックス大好きなんだけど、いかんせん少年ってのが
最近萌えられないと思ってたから。。。
激情なんだけど余裕があるのがイイ!
40-50代の婆様方って粘着厨率が高いのね
反面教師として気をつけなければな・・・
>>660 年代によって厨の頭数が増えていくんじゃなくて、年代が上の人間が厨だった場合、
個人個人の厨レベルが上がっていくから、高齢厨の基地外っぷりが際だつんだよ。
若い厨は厨歴が浅いので厨濃度も低いし薄いが
高齢厨は厨歴が長いので厨濃度も高いし濃い。
よって、高齢厨1匹=若い厨5匹くらいと予想されるので、高齢厨が一人いるだけでも際だつ。
オトナの余裕をみせるメンが素敵なのは言うに及ばずだけど、
>キャロルには決して見せない倣岸な酷薄さ
のくだりにも萌えです〜 なんか懐かし‥
>>663 私もそれ思った!
本編のメンヒスは完全にノロけっぱなしで、持ち前の残酷さを無くしてしまっているけど
(キバの抜けたライオンみたいですよね)
本来のメンヒスはやっぱりゴーマンで残酷じゃなくっちゃねぇ。
キャロルの前では見せないけど、ファラオとしての顔がちゃんとあるのが素敵。
あぁ、でも大人メンフィスという設定には参りました・・・。
今後も大人メンフィス×16歳キャロルという設定のお話が色んな作家様の手で
書かれたらいいなぁーなんて思ってます。
>>620 89.
「王子、王子あなたに会いたかった…会いたかったわ!ああどれほど会いたかったことか」
キャサリンは懐かしい王子の香りがする胸に顔を埋めて泣きじゃくる。
「…キャサリンそなたの顔が見たい」
やがて王子はそっとキャサリンの顔を自分の方に向けさせてその美しさを愛でる。月の光に輝く髪、夜の深い色合いに染まっている瑠璃色の瞳…
長い指でキャサリンの顔の一つ一つを確かめるように触れた後、最後にその指は唇に優しく触れた。
「そなた、私のことを忘れようとしたのではなかったのか?夢の中ではかように申しておったが」
王子の言葉はややキャサリンを責める様な言い方だった。
「忘れようと思った…何度も。もう会えないかと思った…あなたなしで生きていかなくてはならないかと。でも忘れることだけは出来なかったの。
あなたは何度も私の夢の中に出てきて語りかけて来たわ。その度に辛くて泣きたくなった…」
キャサリンの頬に流れる涙を王子は唇で吸い取った。
「私もだ。そして、そなたなしで生きていくためにこの島へとやって来たのだ。永遠にそなたへの想いを埋めてしまうために」
「王子…あなたは、あなたは私をずっと愛してくれていたの?」
キャサリンはずっと聞きたかったその言葉を王子に問いかけた。王子の琥珀色の瞳がやさしくけぶったような表情を見せた。
「私は一度もその言葉を口にしなかった。そなたはそれを責めておるのか?ならば言おう。愛している…誰よりもそなただけを!」
「嬉しいわ!私も愛しているわ、あなただけを!王子、ああ王子…!」
キャサリンの瞳に歓びの涙がとめどなく溢れ出る。王子はその涙の一粒一粒にやさしく口づけをしながら囁く。
「泣くでない、キャサリン。こうして会えたというにそなたはなぜに泣く?私は二度とそなたを離しはせぬ!この世に生ある限りそなたを愛す。
我が愛するただ一人の妃よ」
そして王子はキャサリンの美しい唇に自らの唇を重ねる。三千年の隔たりを掻き消さんとばかりに、甘い口づけは徐々に深い口づけへと変わっていった。何度抱き合っても飽き足りることはないとばかりに二人は月の光に照らされた花々の中、止まったような時を過ごしていた。
90.
「ルカを浜辺に待たせている。そろそろ戻らねばならぬ」
王子はそっと唇をはなすとキャサリンを抱き締めながら囁いた。
「ルカ?ルカも来ているのね?」
「ああ。そなたの姿を見たらさぞかし驚くことであろう。彼は私が最も信頼する部下だ。今や摂政たる私の右腕となっている」
「摂政?王子、あなたは今そんな地位にいるのね。国王陛下はどうなさったの?」
キャサリンはびっくりして、王子の胸から顔を上げた。
「その話はいずれゆっくりすることに…さあキャサリン船を待たせてある、共に戻ろうぞ」
王子はキャサリンを先ほど独りで抜けてきた浜辺へと繋がる洞窟へと導く。
「待って…王子。大丈夫よね?またこの洞窟を抜けたら離れ離れになるなんてことないわよね?」
「そなたも心配性とみえるな。ルカも心配性すぎて私は時に戸惑うことがあるのだが。―――ならばこうすればよい!」
洞窟の入り口で躊躇するキャサリンを王子はその両腕に軽々と抱き上げた。
「まあ!王子…」
そしてその額にやさしく唇を触れて嬉しそうに微笑む。
「これで私の腕から逃げることはできぬ。安心であろう?」
「ええ王子。放さないでね、絶対に…」
キャサリンも王子の首に両手を廻して微笑を返した。幸せな恋人たちはこうして少し前は独り辿った洞窟を二人で戻っていくのだった。
「おお、キャサリン様!」
浜辺で待っていたルカは、王子の腕に抱かれていたキャサリンを見つけて驚いている様子だった。
「王子、一体これはどうしたことで?キャサリン様は一体どこからいらっしゃったのでござりまするか?」
「この島がイリスの姫の島ゆえと申しておこう。が、それも話せば長くなる…いずれゆっくりと教えてやろうぞ。今はただわが妃との再会を共に喜んでほしい、ルカ」
「もちろんでござりまする!王子。さあ船に乗ってわがヒッタイトに戻りましょうぞ」
(わがイズミル王子、本当にようござりました。この3年の間恋焦がれていらっしゃったキャサリン様が戻られた…これでハットゥシャにお帰りに
なっても意に沿わぬご結婚をなさらなくて済みまする…!どうか誰よりもお幸せになられますように!)
<続く>
両想い王子うれしい・・・つД`)・゚・。・゚゚・*:.
(;´Д`)スバラスィ ...ハァハァ
>>メンフィス4年後さん
私も大人メンフィスに惚れ惚れ・・・。
原作のほうも、1〜15巻ぐらいまでは10代の少年でしたが
20巻以降はどうみても青年ですよね。実際青年王と呼ばれているし。
メンフィス4年後を読みながら、ルックスはそのあたりのメンフィスを想像しています。
35巻以降のメンフィスは馬顔になりすぎて嫌なんですが。
>>月影さん
ついに出会えてよかった、よかった!
ハッピーエンドを期待しております。
月影作家様、88は数字を飛ばしただけですよね?
王子とキャサリンの再会.。.:*・°
抱き上げて連れてってくれるのいいわぁ〜・・・ポワワァン
早く続きが読みたいです
もう、うーーーーーーーーーーんとラブラブでこれでもかってほどハッピィで、
読んでてアフォくさくなるくらいイチャイチャしてくれぃ! >王子&キャサリン
>>673 そうそう、もううーーんとイチャついて欲しい。もっと2人でいる時間を作って。
本編じゃこんな王子見れないから新鮮っすよ
>670
20巻ー30巻のメンヒスが一番良かったですよね>外見が
御大も絶好調だったんじゃないでしょうか。
ミノア編からダメになってきた気がします。
おぉ…呪われてあれ ミノア編!!
めんひすのあのブルマがね・・・。ダメージ大きかった・・・。
ブルマもそうだけど、王冠も形が変になっちゃったよね。
でこから触覚が生えたみたいな王冠があったよ。
触覚みたいな王冠つけて、ブルマはいてるメンヒスなんて見たくねーよ!
ブルマっていえばミノアのツインテールが強烈だったよね
ツインテールも強烈だったけど、ミノアのブルマといえば
もう1人イルカ男も忘れられない。
ミノア編、あんまり読み返してないのに印象強いのはブルマのせいか!?
そのとおりw
>>521 91
「モリオネーは王子を…」
「王子を愛したのではありませぬ。王子のただ一人の正妃の地位を愛したのです。そうお考えなさい、姫。
そなたは我が息子の側に並び立ち、共に国と民を治める責務を負った者。いつか申し聞かせたことが…これですよ」
諦観の笑みが王妃の顔に浮かぶ。
「時には他者を切り捨て、国と民の大義を取り…己の罪深さに慄き、祈る。
私と同じ道をそなたも…私の娘も歩まねばなりませぬ。でも姫、イズミルが私の心を照らしてくれたように、アスランがそなたを慰め励ましてくれるでしょう」
王妃は優しくキャロルを抱きしめ、労わるように小さな背中を撫でてやった。
「そなたは凛然と輝いて、他者の冥い想念など寄せ付けてはなりませぬ。それが王子やアスランのためです。幸福でいなさい。そう、せめて生きている間は…」
隣室で静かに女達の会話に耳を傾けていた王子の許に、音もなく兵士が走り寄り、何事かを耳打ちした。
「…まことか?」
無言で頷く兵士と共に、王子は部屋の外に走り出ていった。
「…おや?扉の音?王子が居たのでしょうか?立ち聞きとは無粋な…」
王妃は立ちあがり、まだ少し開いたままの扉の隙間から暗い廊下を見た。キャロルも後に続く。
暗い廊下は少し下り坂になっている。松明の灯りに照らされて浮かび上がる王子の上半身は、どことも知れぬ暗い所へ沈み込んでいくように、吸いこまれていくように見えた。
キャロルはぞくりと身を震わせた。その時、急にアスラン王子が泣き出した…。
92
「おやおや。外の空気で目が覚めてしまいましたか?怖い夢でも見たのですか?」
王妃はそそくさと孫息子の揺り篭に駆け寄った。幼い子供は火がついたように泣いている。
「おお…おお、よしよし。どうしました?大丈夫ですよ、母上はここにおわすし、父上もじきに戻られましょう」
「王子はどうしたのでしょう?」
キャロルの声は、自分でも妙だと思うくらい震えていた。窓の外、表宮殿のほうはしんと静まり返り、急の案件が入ったとも思えない。
(王子!)
キャロルは先ほど見た、沈み込むように夜の暗闇に消えていく王子の後姿に身震いするような胸騒ぎを禁じえなかった。
「王妃様、私、王子が気になるのです。どうか、しばらくアスランをお願いいたします!」
そう言うやキャロルは部屋の外に駆け出した。
王妃はぐずる赤ん坊を様々に揺さぶってあやしながら、怪訝そうにキャロルを見送った。
「王子はどちらに?」
夜更け、供も連れず急に現れた金髪の王子妃に警備の兵士は驚いたようだった。
「は、王子は宮女達の牢へと向かわれたようでございますが…」
(モリオネーの所だわ!)
「そこへ案内してください。早く!」
兵士は、そう言って先に駆け出したキャロルの後をあたふたと追っていった。
93
「王子様。やっとお目にかかれました」
モリオネーはどこか狂気を感じさせる静かな微笑で王子を迎え入れた。
「自害いたします前に、最後のお名残にお目にかかりたいと申しましたら獄吏が便宜を図ってくれました」
「死ぬ行く者の最後の望みを叶えてやるのは慣例だ」
殺風景で不潔な独房の饐えた空気の匂いの中、最低限に身を清めたモリオネーが王子を見つめる。その衣裳はみすぼらしくはなっているがアテネ風のそれ。
モリオネーの手には以前、王子が投げ捨てるように与えた銀の短剣─高貴の者が自害する折に用いる道具─が握られている。
「王子様、私は…」
嫋嫋たるモリオネーの声に、しかし王子は何の感興も覚えぬようだった。
「私が見届けてやる。最後にそなたの矜持と気概を見せよ、アテネのモリオネーよ」
松明のはぜる音だけが響く。
モリオネーはじっと手の中の短剣を見つめた。冷たく重い道具。全てを終わらせる道具。愛したけれど愛してはくれなかった男性からの最後の贈り物。
モリオネーは王子の足元に跪いた。
「王子様…」
縋るような囁きに返って来るのは、沈黙と猛禽を思わせる冷たい眼光。そこに僅かに含まれる哀れみがモリオネーを余計、惨めにした。
不意に女の顔に浮かんだ晴れやかな笑いに、場の空気が歪んだ。
「死ねーっ!」
モリオネーは振り上げた短剣を己の喉にではなく、王子の脇腹に突き立て、引きぬいた。
血が零れる重い嫌な音に、獄吏達の怒号と哀れな狂女の哄笑が重なっていく…。
94
罪人を俗世から隔離する、重い樫の扉の陰から漏れてくる混乱のざわめきと血の匂いにキャロルは地面が沈み込んでいくような感覚を覚えた。
(王子!どうか…!)
廊下を歩いていく王子の姿に感じた不吉な胸騒ぎの原因はこれだった。
「王子っ!」
目の前に広がるのは血の赤と夜の黒に染まった風景。
(遅かった…)
震える身体をやっと支えるキャロルの耳にモリオネーの罵声が突き刺さった。
「見るがいい、ナイルの売女め!お前が王子を殺したのよ!お前のせいで、お前が来なければ、お前が私を陥れなければ、王子は死なずにすんだのよっ!」
溢れて失われていく血の匂い。壁に染み込んだ罪人たちの嘆きと呪詛の匂い。
「私のアテネを愚弄した野蛮人は報いを受けたわ!いい気味だこと!
ナイルの姫、私が憎い?王子を殺した金髪の化け物、人を不幸にする地獄の売春婦め!
いい気味だわ、いい気味よ!お前の澄ましかえった顔が醜く歪んで本性を剥き出しにするっ!」
キャロルは腰に差した守り刀に手を伸ばした。絶望、後悔、憎しみ、怒り、悲嘆…諸々の冥い激しい感情が小柄な身体を圧倒した。
キャロルの気迫とモリオネーの狂気が、王子の血の匂いの中に居合わせた人々を縛って不吉な活人画を描き出す。
「私を殺すの?お前に出来るの?卑怯な臆病者の偽善者に?」
モリオネーは目を見開き、口を裂けんばかりに開いて哄笑した。血染めの短剣が不吉に光る。
(殺せ、私を殺すがいいわ、ナイルの姫!綺麗なその手を血に染めて私を殺すがいい!
そうすれば!私は王子の魂を抱いて黄泉の国に墜ちて行こう!王子と共に、もう永遠に離れないで…!)
95
「許さない…っ」
キャロルの震える手に握られた短剣がモリオネーの心臓を狙う。キャロルもまた狂気に囚われていた…。
その時、不意に。
「や…めよ…」
血を流し倒れ臥していた王子が体を引き起こし、二人の女を制止した。
途端に牢を支配していた狂気と殺気に満ちた空気が霧散していき、時間が流れ始める。
「やめよ、姫。剣を…捨てよ。こちらに…こちらに」
震える腕でようやく体を支える王子の呼びかけが、キャロルを正気に引き戻した。
「王子っ!」
キャロルは王子に駆けより、血で汚れるのも構わずしっかりとその大柄な体を支えた。
獄吏や兵士もようやく眠りから覚めたように、モリオネーを捕縛する。
「待てい…。その女、殺しては…なら、ぬ。死の平安を与えてはならぬ…」
荒い息を吐きながら王子は命じた。
「‘嘆きのはみ’を噛ませよ…。自害を許すな。生き長らえさせよ…死の安らぎを…奪え…」
王子の命令に、獄吏が細い馬具のような棒を持って来た。モリオネーを乱暴に引き起こし、その棒を猿轡のように口に噛ませ、細い鎖を乱暴に引っ張って頭部に固定する。
棒は丸くはなく、端を鈍い刃物のように加工してあるのだろう。はみを噛まされたモリオネーの口の両端から血が流れ、苦痛の呻き声が響き渡った。
「もう舌を噛むことも叶わんぞ」
獄吏は冷たく言った。
舌を噛むことは出来ないけれど、喋ることも難しいけれど、最低限の飲食物は取れる仕組みのその道具の本当の惨さを、モリオネーはまだ知らない。
「王子を部屋に!医師の手配を!急いでください!」
我に返ったキャロルの命令に、人々は争って従った。王子は気を失ったのか、モリオネーの涙に濡れた顔を見ることもなかった。
そして牢獄は再び闇に閉ざされる…。
続く
蓮と薔薇、今回も面白い〜!
そして面白いとこで終わってしまった〜つД`)
転んでもただでは起きないモリオネー、期待を裏切らずに
やってくれましたね。
ここへきて存在感が出てきた感のある王子‥
次回も期待してます!
こんなにドキドキしながら読んだのははじめてです。
あーどうなっちゃうんだろう! さらにドキドキだー!
>>688 初めてって・・・
普段小説を読まない人なんだね・・・
二二二二二二l | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| 引っ越し!粘着嵐!!消えろ!!!
| | ♪ _________ ♪ | ∧_∧ さっさと引っ越〜し!!しばくぞッッ!!!!
| | |◎□◎|. | <`Д´ >つ─◎
| | /´ ̄ ̄ ̄ ̄/⌒ヽ.| /´ ̄し' ̄し' \ ///.
 ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄| 、_人_ / 彡 ◎ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | _) ◎彡.| | バン
| | | | ´`Y´ .| | バン
t______t,,ノ t_______t,ノ
引っ越し♪引っ越し♪♪ さっさと引っ越〜し♪♪しばくぞッッ♪♪♪♪
>690-691
スルーできないバカの見本www
つーか「蓮と薔薇」を読んでこんなにドキドキしたのは初めて、ってことではないの?
普段小説読んでる割には読解力や想像力に乏しいのね♪
とスルーできないバカですた〜
>>693 本当にバカだねwwwwwwwwプゲラ
二二二二二二l | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| 引っ越し!
>>694!!消えろ!!!
| | ♪ _________ ♪ | ∧_∧ さっさと引っ越〜し!!しばくぞッッ!!!!
| | |◎□◎|. | <`Д´ >つ─◎
| | /´ ̄ ̄ ̄ ̄/⌒ヽ.| /´ ̄し' ̄し' \ ///.
 ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄| 、_人_ / 彡 ◎ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | _) ◎彡.| | バン
| | | | ´`Y´ .| | バン
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引っ越し♪引っ越し♪♪ さっさと引っ越〜し♪♪しばくぞッッ♪♪♪♪
>689-695
スレを荒そうと必死なヲバの自演。
放っておくと延々と一人ファイトを続けるので、スルー必須。
蓮と薔薇って聞くと、蓮コラを必ず思い出す
王子どうなってしまうの〜?そりゃもちろん助かるだろうけれど。
怪我して看病するキャロルとラブラブ?
月影やメンフィス4年後と一緒にみんなラブラブになってほしい〜
いや、もちろんモリオネーその後も気になるのだが・・・
二二二二二二l | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| 引っ越し!粘着嵐!!消えろ!!!
| | ♪ _________ ♪ | ∧_∧ さっさと引っ越〜し!!しばくぞッッ!!!!
| | |◎□◎|. | <`Д´ >つ─◎
| | /´ ̄ ̄ ̄ ̄/⌒ヽ.| /´ ̄し' ̄し' \ ///.
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| | | | _) ◎彡.| | バン
| | | | ´`Y´ .| | バン
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引っ越し♪引っ越し♪♪ さっさと引っ越〜し♪♪しばくぞッッ♪♪♪♪
>>696 1レスしかしてないのにジエンていわれちゃった…
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
||@・婆は頻尿が一番負担。常におまるかパッドを持っています。 .||
||A・放置された婆は煽りや自作自演であなたのレスを誘います。 . ||
|| ノセられてレスしたらその時点であなたの負け。 ||
||B・反撃は婆の滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。 .||
|| 婆にエサを 与えないで下さい。 .。 ∧ ∧ ||
||C・枯死するまで孤独に暴れさせておいて \ (゚ー゚*) いいかな・・?
|| ゴミが溜まったら削除が一番です。 ⊂ ⊂ )旦~ ||
||___ ∧ ∧__∧ ∧__ ∧ ∧_____ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|_____||
( ∧ ∧__ ( ∧ ∧__( ∧ ∧  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
〜(_( ∧ ∧_ ( ∧ ∧_ ( ∧ ∧ は〜い、先生。
〜(_( ,,)〜(_( ,,)〜(_( ,,)
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_人 _人 _人 _人 _人 _人 _人 _人 _人
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王家スレといえば!
ウンコー
かわいいウンコAAならけっこう好きなんだけどなあ
ごめん(´;ω;`)パケ代無意味にかかるから荒らすのも簡潔に頼む…
>>706 そこでiMonaの出番ですよ。
いいぞ、iMona。パケ代かなり節約できた。
AAの表示省略機能もあるから(・∀・)イイ!!
「88」の番号を間違って抜かしてしまいました。内容は飛ばしていません。一部番号が
重なりますがお許し下さい。
>>667 90.
船は月の光輝く穏やかなエーゲ海を滑るように渡っていく。王子はキャサリンを腕に抱きながら甲板に立ち、遠ざかって行く虹の島の島影を見送っていた。
「寒くはないか?キャサリン。話したきことは数多くあるが…しかし」
そこまで言うと王子は言葉を切ってそっとキャサリンを抱き締める。
「こうしてあなたの腕の中にいられるのならちっとも寒くはないわ、王子」
キャサリンは幸福そうに微笑んで王子の胸に顔を埋めそっと呟く。
「あなたの香り…乳香の。時のかなたの私がいた世界でもこの香りを好む人は多いのよ。独りで寂しく辛い時はいつもこの香りを側に置いてあなたを想っていたわ」
「かわいい事を言ってくれるな、キャサリン。私も花々の香りにそなたの面影を重ねていたものぞ。私の寝所によくムーラが花々を飾っては
慰めとしてくれていたが、そなたの代わりにはならぬ。…今宵はもう遅い。明日にはアルザワの首都ヒエロポリスに着くはず。
それまではゆっくり休むとしよう」
王子は船室に入るとキャサリンをその琥珀色の瞳でじっと見つめた。
「キャサリン、そなたは少し変ったであろうか?去った頃はまだ幼き少女のようであったが」
「少しは大人になったかしら?あなたに相応しくなっているといいのだけれど…王子」
「もう幼き少女ではないと申すか?わが妃よ。こちらに来るがよい」
王子は端整な顔に微笑を浮かべ、キャサリンに手を差し伸べると寝台へと導いた。
「朝までわが腕の中で共に眠ろうぞ。独り寝には飽きた。これからはいつもそなたを朝まで抱き締めて眠りに着きたい、キャサリンよ」
「王子…私も…」
キャサリンは頬を染めてそっとその胸に寄り添う。
「夜いつも一人きりで目が覚めてはあなたのことを思い出していたわ、王子。でももう寂しい想いはしなくていいのね?」
枕の上に美しい金色の髪を広げて王子はその髪をやさしく撫でる。
「そなたの髪…この美しい髪がわが枕の上に広がる夢を何度見たことか。今宵はこのままそなたをただ抱き締めていたい…」
そう言うと王子はキャサリンにそっと口づけをしながら瞳を閉じた。――――遠くからは船の舳先を波が洗う音だけが響いていた。
91.
アルザワの首都ヒエロポリスはエーゲ海に面した穏やかで美しい街だった。アルザワは元々ヒッタイトの同盟国で今は完全にその支配下にある。
「美しい街ね、王子。ここの人々もやさしく穏やかな人たちばかり。この国と象徴しているのね」
キャサリンはヒッタイトの美しい衣装を身に纏い、居室の寝椅子でくつろぐ王子を振り返りながら露台から広がるエーゲ海を眺めていた。
夕陽に煌く金色の長い髪、エーゲの海と空を混ぜ合わせたような深い青い瞳の美しいキャサリン…私の妃…!王子の胸に歓びが溢れ出る。
「海に面していないわがヒッタイトにはアルザワは重要な拠点なのだ、キャサリン。幸い現アルザワ王も温厚な人柄で助かっておる。
しかしそなたは疲れてはいないか?今日1日宮廷での歓迎に私の妃としての役割は慣れぬものであったであろう?」
「いいえ、王子。あなたの側にいられるのならば私はどんなことだって耐えられるわ。三千年もの時の隔たりを耐え抜くことに比べたら
そんなことは何でもないこと」
そう言いながら、キャサリンは王子の傍らに座りそっとその胸に寄り添う。すると王子の腕がやさしく廻され、キャサリンの心と体はやさしい想いで満たされる。
「キャサリン…」
王子はそっと名を呼び唇を重ねるとキャサリンを抱き上げ寝台へと運ぶ。そしてやさしく横たえると自らもその傍らに横になり口づけを深くしていった。
「王子…」
口づけの合間にキャサリンは抗議とも疑問とも取れるように囁くが、王子は黙ってやさしく唇を重ねながらその長い指先はキャサリンの衣を取り去っていく。
「愛している、わが妃よ」
その言葉にキャサリンは王子の腕の中でその想いのままの形になる蜜蝋のように溶けていった。
92.
王子の唇は薔薇のように美しいキャサリンの胸を彷徨う。そしてその優雅な長い指先は白い足をそっと開き花びらを弄ぶ。
「ああ…王子っ!」
キャサリンは瞳に涙を浮かべながら甘い愛撫に耐え切れぬように王子の逞しい躯にしがみついていた。
「ここには…誰か他の男が触れたことがあるのか?キャサリン?そなたと私は3年もの月日離れ離れだった。その間にそなたは美しく花開いた。
もし他の男がいたとしても不思議ではあるまいが…しかし、しかしそんなことは許さぬ!そなたは私だけのものでなくてはならぬ!」
王子の琥珀の瞳が嫉妬に燃え不敵な輝きを増して、キャサリンの瑠璃色の瞳を覗き込む。
「い…いいえ王子。あなた以外の男の人になど触れられたくはない…私はあなただけのもの…誰も触れたことなどないわ!」
「おお、キャサリン!」
キャサリンの素直な言葉に王子はキャサリンを激しく抱き締める。やがて、キャサリンの体をそっと開くと自らの躯を重ねその剣の矛先を美しい
鞘に収めた。
「あ…ぅ…っ王…子っ!」
3年ぶりに体を開かれた痛みにキャサリンは初めての時のように固くなる。
「痛むのか…?済まぬ。ずっと男を受け入れぬ体であったのに、先走ってしまったか?」
王子はキャサリンの痛みが引くまで口づけを繰り返しやさしく抱き締めながら囁く。
やがてそのたおやかな体がなじんでくると、少しづづきゃサリンの体を揺らし始めた。
「ああぁぁ…」
傾いた夕陽にキャサリンの白い体が美しく染まる。長かった年月を経て、愛する王子の腕に抱かれた切なさが甘い想いとなってキャサリンの歓びと替わっていった。
93.
「あぁ…んん…――――王子…」
王子の甘い責め苦にキャサリンはその煌く髪を枕の上に乱しながら歓びの声を洩らす。
「キャサリン…愛している。そなたは私だけのものぞ」
時折、口づけの合間に王子の口から洩れる甘い言葉も一体となってキャサリンの歓びを増していった。
やがて、もう少しで歓びの頂が見えそうなところでさっと王子がその身を引く。
「王子…?」
キャサリンは突然突き放されたような感覚に抗議の言葉を洩らした。――――がそれも一瞬、王子はそっとキャサリンの体をうつ伏せにさせると、
背後に廻り再びその身を深く沈めてきた。
「あぁぁ…」
一瞬でも焦らされたがゆえにいやがおうでも歓びは増していく。王子はキャサリンを深く愛しながら、後ろ側から両手で薔薇色の胸をそっと包み込むように愛撫をすると片方の指を下げて花芯にやさしく触れた。
その瞬間、キャサリンは長い歓びの声を上げ歓喜の頂へと押し上げられた。同時に王子も激しい想いを籠めてキャサリンの体奥深くに自らを解き放った。
<続く>
91.「美しい街ね、王子。ここの人々もやさしく穏やかな人たちばかり。この国と象徴しているのね」
→「―――この国 を 象徴しているのね」
の間違いです。すみません。
うーむ、折角のエロシーンが何故か萌えない・・・
二人の会話が多すぎるからかなあ?
引きずり込むようなドキドキするエッチを描けるっていうのも、一つの才能なんだろうなあ。
とりあえず乙でした
>>711 94.
エーゲの海を揺れる月影が輝いている。柔らかな風は海を渡り潮の香りを抱き合う恋人たちの元へと運んでくる。
キャサリンは、3年前に傷ついていた王子の肩の傷にそっと唇を触れながらその躯の存在を確かめていた。
「あなたの肩の傷跡がまだ残っている。ひどかったのね…まだ痛むことはあるの?」
王子はふっ…と笑みをこぼしながらキャサリンの額に唇を寄せる。
「もう痛むことはない。ルカがナイルの姫から傷を治す方法を聞きつけ腕のいい医者が『鉄の弾』を取り出したのだ。この傷は姫によれば、姫の兄が放った『銃』という武器のものだということだ」
「まあ!銃ですって?それに姫の兄?王子、あなたはライアン兄さんに撃たれたというの!」
キャサリンはびっくりして起き上がり、両手で心配そうに愛する王子の顔を包み込んだ。
「ライアン兄さん?そなた姫の兄を知っているのか?――――!まさかそなた…三千年の時の彼方で姫との関係の秘密がわかったのか?」
王子はキャサリンに問いかける。怜悧で賢きイズミル王子…「時を超える」という信じられない事実さえも理解するその賢さは噂に違わぬものであった。
「ええ、王子…。実はナイルの姫は、キャロルは私の双子の妹なの!生まれた時に別れ別れになったのだけれど…。魔女キルケーは未来の彼方をその妖かしを使って透視し私を呼び寄せたの。すべてはあなたを意のままにするために!」
95.
「姫とそなたが双子…?そうであろう、今更驚くこともありはせぬ。そなたたちを見れば誰もがかように思うであろう。さようであったか…」
王子は驚愕の事実にも慌てる風もなくさらりと受け流し、その琥珀色の瞳を遠く窓の外に見やった。
「いずれ時が満ちればこの事実をメンフィス王と姫の元に知らせることもできよう。そなたと姫が双子の姉妹ならば、私とメンフィス王は義理の
兄弟ぞ!在り得ぬ話に笑えるが…対立するヒッタイトとエジプトにも長き平和が訪れる日も近かろう。キャサリン、これでそなたをわが正妃に
する理由が見つかった。何もなくとも私はそなたを正妃にするつもりではあったが、そうと判れば誰も反対はせぬであろう。そなたはエジプトの
ファラオが正妃ナイルの姫の姉にして女神の娘ぞ!」
「キャサリン、明日はハットゥシャに向かって出立いたす。向こうに戻れば暫くは忙しくそなたと過ごす時間も少なくなろう。婚儀の前には数回に渡り禊を行わねばならぬ。大変だとは思うが我慢して欲しい」
王子はキャサリンの髪を撫でながら語りかける。
「寝物語としては少々固い話となったな。だが、何があろうとこれだけは変らぬ、そなたは生涯を通して私のたった一人の愛する妃ぞ」
「嬉しい…王子。愛しているわ、誰よりもあなただけを」
キャサリンの瞳からは涙が毀れ、王子はそんなキャサリンを掻き抱く。
(何があっても私はあなたに着いていくわ、王子。三千年の時はそのために超えてきたのだもの!)
三千年の時を超えて再び胸の中に戻った美しい花の女神。王子はかすかに漂う海の香りを深く吸いながら愛しい恋人を抱き締め、腕の中に咲く花を愛でていた。
96.
ハットゥシャの遅い春。花々は一斉に咲きこぼれ長かった冬が去り、春が廻り来た歓びに溢れかえっている。
そんな歓びの季節の訪れに街のそこかしこは賑やかな民の声で沸き返っていた。
「一年ぶりにお帰りの摂政殿下となられたイズミル王子様がご正妃を娶られたぞ!」
市の物売りは香辛料を買い求めに来た客に嬉しそうに報告をする。
「三年前に突然いなくなられた金色の髪のお姫様でしょ?美しい方なんでしょうねえ…」
「なんでもエジプト王妃の姉で女神の娘って言う噂じゃないか?」
隣のパン売りの亭主が口を挟む。
「イズミル殿下はずっとずっとその姫様に恋焦がれていたっていう話じゃなかったのかねぇ?」
パンを物色していた老婆が顔を上げた。
「イリスの姫様って言うらしいよ、何でも姉の姫様は。そうそう、でそのイリスの姫様はナイルの姫様と双子の姉でそっくり。そこでわが摂政殿下が見初められたという訳だと聞いたよ」
パン屋の主人は自慢げに話す。
「よかったよねぇ。なにせわが王子殿下はとびきりの美男ときてる。私がもし若かったら絶対に側室になりたかったねえ」
「奥さん、無理無理。イズミル殿下は姫様一筋という噂だよ。誰よりも金色の髪のお姫様を愛していらっしゃるのさ」
「いい話だねえ…。私もそんな恋がしてみたかったよ」
民たちは口々に国の自慢であるイズミル王子とその正妃であるイリスの姫君の噂話をして盛り上がっていた。
市のそこかしこに大地の実りが溢れ、賑やかな民の声が響く豊かなハットゥシャの春――――平和な時はゆったりと過ぎていくのであった。
97.
王子は露台に腰をかけて花々が運ぶ香りを吸い込む。
そこからは遠くハットゥシャの街が眺めることができる、王子が幼い頃より大好きな故郷の眺めであった。
「王子?またそこにいらしたのね?」
振り返ると春の陽ざしに髪を煌かせながらキャサリンが微笑んでいた。
「キャサリン…こちらへ」
王子は手をキャサリンの方へ差し伸べる。キャサリンはまっすぐ王子の腕の中に身を投げかけた。
「いつの日のことであったろう?そなたをこの同じ場所で抱きながらわがハットゥシャの街を眺めたのは?」
「憶えていて下さったのね?時の彼方にいて私はこの地を訪れた…何度あなたの元に戻りたいと願ったことか。でもこうして願いはやっと叶えられたのね、王子」
王子はキャサリンの金色の髪に頬を埋めながらその身をそっと抱き寄せた。その輝く髪には風が運んだ花びらが舞い落ちていた。
「そなたを二度と放しはせぬ、このハットゥシャで生涯共に生きようぞ。愛するわが妃、キャサリンよ…」
「ええ、王子。私もあなたの側を二度と離れないわ!誓って!」
指を絡め固く抱き合い甘い口づけを交わして誓う永遠の愛…。
遠くハットゥシャの街に飛び交う市の賑やかな声は二人の耳元まで届いたであろうか?
三千年の時を超え廻り来た春の歓び…やがてそれは舞い散る花びらと共に風に運ばれ遠き伝説となるのであった。
――――― 完 ―――――
<後記>
最後までお読みいただいて下さって本当にありがとうございました。
「桜の花が散るまでに」終わらせるのが最初の予定でしたので、まとめてのUPお許し下さい。
途中、読みにくい部分があったにもかかわらず、色々アドバイスくださった皆様、
稚拙で読みにくい文章にもめげずに、感想を下さった皆様には心から感謝をしております。
100章で完結とする目標で書き始めました。3章ほど残っておりますが、途中でご希望のあった
「キャロルとキャサリンの再会の後日談」とタイトル「月影の詩」をリンクさせて
そのうち時間があれば短編にてUPしたいと思っております。
皆様には、感謝の気持ちを込めてここで筆を休ませたいと思います。
ありがとうございました!
正直ほんとに稚拙だった
すみません、後記につけたしさせて下さい。
2ちゃんねるも含めて「ストーリーのある物語」を完結させたのほとんど初めての経験でした。
途中何度もくじけそうになりながらも、皆様の励ましのお言葉になんとかここまで持ってくる
ことができました。
最初は、一王子ファンとして王家のスレを普通に楽しんでおりましたが、ひょんなことから
「キャロルが双子だったら?」と思いつき、気がつけば話を書いていたという状態でした。
文章を書くのはど・素人の私ではありましたが、数々のご感想を下さった皆様、また目を通して
下さった方、本当に感謝しております。
ラブシーンは書くのが苦手で、かなり照れながら書くハメになりました。
何度読み返しても、「?」が多いのは、やはり二人のラブシーンです。
それでもなんとか乗り切って来られたのはひとえに皆様の応援やアドバイスが
あったからだと思っております。
気がつけばUPするのが一つの楽しみともなっていました。
楽しい一時をここで過ごせてよかったと思っています。
拙い部分、素人丸出しの部分はどうぞご容赦下さい。
引き続き、他の作家様たちの作品を一読み手に戻って楽しみにしております。
皆様、頑張って下さい、応援しております!
ものすごい自分語りだな・・・・
自分語りは嫌われるって知らないの?