<今までの経緯>
☆キャラネタ板→難民板と流れてきました。理由は主にこの2つです。
・キャラネタ板はキャラになりきって交流するスレのため、スレ違いを指摘されたこと
・住人の中から、作品への感想をなりきりで書くのは辛い、という声が挙がってきたこと
移転先としていくつか候補があった中から、マターリできそうなところということで、
ここ難民板を選びました。難民板の皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
<お約束>
・sage推奨でお願いします(メール欄に半角文字で「sage」を入れる)。
・ここは社交場ですので特に形式は決めません。質問・雑談・作品発表ご自由に。
・作品がほのぼの系なので、あまり殺伐とした雰囲気はご勘弁を。
・作品の好みは人それぞれ。気にいらないならスルー、煽りや荒らしは完全放置。
あとは常識的マナーの範囲で。
<作品掲載について>
・非公式ファン交流広場なので、原作者及び出版元とは一切関係ありません。
・王家を愛する作家さんたちの創作も大歓迎です。ジャンルは問いませんが、
極端なエロや中傷など確信犯的な作品はご遠慮くださいね。
・作家さんは名前欄に作品のタイトルをお願いします。
連載の場合は巻頭に通しb書き、「>○○」という形で前作へのリンクを
貼ってもらえると助かります。
・18禁作品にはタイトルにΨ(`▼´)Ψを記入して下さい。
>1さん・・・
|∧∧
|・ω・`) そ〜〜・・・
|o乙o
|―u'
| ∧∧
|(´・ω・`)
|o ヾ
|―u' 乙 <コトッ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ミ ピャッ!
| 乙
わお、新スレたってる!1様、乙〜
4
「キャロル! 何をしている?!」
熱い湯気のたちこめる湯殿のなか、介添え役の侍女として王の側に侍っていたキャロルは、凛とした声に物思いを破られ、はっとして顔をあげた。
「い、いいえ・・・なんでもないの、いえ、ありません・・・」
慌ててそう答えると、手にした薄布を王に向けて差しあげる。
だがメンフィスは、それを目線だけで払いのけると、そばに置かれた葡萄酒の杯を無言のうちに所望した。
「何を考えていた?」
「・・・いいえ、何も・・・」
「私に隠し事はゆるさぬぞ」
黄金の杯を口元に運びながら黒曜石の瞳を光らせるメンフィスに、キャロルは白い頬を赤く染めてうつむいた。
白く視界を霞ませる湯気に揺れる王の肢体。
よく引き締まったなめらかな褐色の肌の上を、透明な水滴が幾筋もこぼれ落ちていく。
砂漠の工事現場からキャロルを連れ帰った後、意外にもメンフィスはキャロルとの約束を守り、傷ついたセフォラとセチに十分な手当てを施してくれた。
無論その代償として、キャロルを己の側に置くことは忘れなかったが、強引な激しさのなかに、時折り思いもかけない優しさをのぞかせるメンフィスに、キャロルはいつしか無意識のうちにも心ひかれるようになっていた。
5
若く美しい砂漠の王。
昼は侍女としてその傍らに侍り、夜は寵姫としてその腕に抱かれて過ごす豪奢な宮殿での生活は、決してキャロルが心から望んだものではないにせよ、必要以上に彼女を苦しめるものではすでになくなっていた。
「そなたは私のものなのだ。・・・この身も、心も、美しい金の髪の一筋までも全て・・・・わかっていよう?」
「あっ、メンフィス・・・」
不意に、メンフィスは顔をあげると、戸惑うキャロルに向けて透明な滴に濡れた腕を伸ばした。
力に満ちた言葉とともに、ゆっくりとメンフィスの指先が腰にかかり、あっと思う間もなく、キャロルの身体は湯船のなかに引き摺りこまれる。
思いのほか小さな水音が上がり、身にまとっていた上等の衣が花弁のように水の面に浮かび上る。
濡れた衣はたちまちのうちに透き通り、ぴたりと身体にはりついて、なやましい曲線を、恥ずかしいほどあらわに男の目の前にさらしていく。
「あっ、メンフィス・・・いやっ・・・」
「拒むことは許さぬと申したはずだ。それに・・・そなたは嫌がってなどおらぬ・・・」
「ああっ・・・だって、こんな所で・・・誰かに見られたら・・・」
「人払いをしてある。誰も私の許し無しにここへ近づくことはできぬ」
「でもっ・・・!」
続きが書けたのでうPしてみました。
Ψ(`▼´)Ψな話ですので、嫌いな方はどうかスルーしてください。
わあ、いいですねぇ!続きが何とも楽しみですわ♪
Ψ(`▼´)Ψが嫌いなんて、そんな、作家タマ。スルーしたりできる訳がありませんわ(w
ハァハァし過ぎて過換気になったら(w
ミノスPART2になってしまうわん。
作家様うpありがトンーー。
,-ー,
/ |
∧∧ / | 新作イパーイ ツレルトイイナ♪
(*゚ー゚)/. | マターリ マツベシ
| つ'@ | 作家サマ、ウpアリガトン
〜_`)`). |
 ̄ ̄ ̄しU |
| |
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
かわいいゾーーー。
1
繁栄するエジプトの神殿の中、私は祈る。
エジプトを守る神々に、空に大地に、聖なる恵みを与えるナイルに感謝捧げながら。
祈りを捧げることで私の人生は終わるだろう。
でも後悔はない。
黄金の髪を持つ少女が、人を信じきれない私に教えてくれた人温かな感情を、
今の私は信じる事ができ、もっと真心を込めて祈ることができる。
そして私はあなた為にも祈ろう、王妃キャロル・・・・・。
私には声なき声が聴こえる。
それはどう話せばよいのか、私にはわからない。
草花や動物の声を、風が感じ取り、それを私に囁くとでも言うのだろうか?
遠く離れた場所での出来事も、風がそっと運んでくるように私に教える。
だから、黄金の髪の娘がナイルに現れたことも、若く美しいファラオがその娘を酷く気に入り、
怪我した女奴隷を助けるのと引き換えに侍女となったことも、神殿にいながら知っていたのだ。
でも私には何の関係もないだろうと思っていた。
神殿の内庭でその姿を見るまで。
1.
「ナイルの娘・・・・・そなたに聞きたいことがある。
そなたなら知っておろう。妹のミタムンがどうなったか。その最後の様を聞きたい」
ヒッタイトへ向かって航海するガレー船の奥深くに閉じ込められたキャロルは、イズミル王子の冷たい視線の前で震え上がった。
「知りません・・・」
「ならば。拷問しても喋らせるぞ。そなたの身体に聞こう!」
イズミルは力強い腕でキャロルの両腕を掴むと、傍にあった荒縄で船室の柱に縛りあげ、手にしたムチでキャロルに見せしめるように床を叩く。ビシィィィと空気を裂く恐ろしい音。キャロルはとても目を開けていられなかった。
「拷問!ですって・・・!いやよ、やめて!何もしらないのよ」
「膚は裂け、血が流れるぞ。それでも話さぬか」
「知らないって・・・」
強情にしらを切るキャロルにしびれを切らしたイズミルは、ムチを高く上げてキャロルを打とうとするが、突然思いとどまりふと手を止めた。両手を縛りあげられて身動きできずに、怯えて震えるキャロルを無言で見下ろした。
ムチを床に放り投げ、キャロルを縛りつけた柱の元へ近づいてくる。
2.
「ふっ、女の口を割らすにこのような無粋な道具はいらぬ」
「なっ何をするの!」
「このような美しい白い膚を傷つけるのは男として好まぬ。もっと良い方法があろうものよ」
薄茶色の瞳に好色な光がにじんでキャロルをいっそう怯えさせる。ムチで打たれるより、もっと恐ろしい目に遭わされるのではないかとキャロルの顔が引きつった。
しかしイズミルは、優しくキャロルの顔を両手で包みこんで頬を撫でた。
「恐怖に震える顔が何とも艶めかしい・・・」
唇や耳たぶの上をゆっくりと指が這う。
「とても生きているとは思えぬような白い膚だ。金色の髪も青い瞳も美しい。そなたの身体はどのようであろうな」
「・・・・・・なに・・・を・・・・・やめて・・・」
ガタガタと小刻みに震えるキャロルの声は、イズミルをいたずらに刺激するばかり。大きな逞しい指が、キャロルの衣装の胸元を広げ、一気に腰まで引き裂いた。キャロルの悲鳴と衣の裂ける音が同調した。
3.
暗い船室の闇に浮かび上がる白い胸。底冷えする冷気に晒されてひとりでに立ち上がる小さな蕾。
イズミルは意地の悪い笑みを口元に刻んで、柔らかに揺れる双丘を手の内で揉みこんだ。両の膨らみを優しく揉みしだいて、甘く辛い責め苦を与える。
「痛みを与えるだけが拷問にあらず。泣き叫ぶほどの快楽を与えて口を割らすのも、また一興。
私にとっては、そなたが簡単に口を割らぬほうが楽しめるというものだが・・・さあ、どこまで耐えられるかな?」
キャロルの身体は太い縄と、強靭な男の身体によって拘束されて、抵抗のすべを奪われていた。それを良いことに、イズミルはキャロルの形の良い胸を好きなように弄ぶ。小さな頂の淡い色味と、すぐに反応をかえす感度の良さがイズミルの気をひいた。
「何と・・・美しい色合いであろう。それに肌触りの滑らかなことよ」
ピンク色の蕾の先端をこねる様にいじられると身体が熱く燃え立つようで、キャロルは堪らなくなり、思わず小さな声を上げてしまった。
「よしよし・・・随分と甘い声でさえずるではないか。いたく気に入った・・・もっと鳴いてみせるがよい」
ぴりぴりと敏感になった胸の先端を、男の唇が今にも啄ばもうとしているのを見て、キャロルは身をよじり、涙を流して懇願する。
「いやあ、お願い・・・もう許して・・・許して下さい」
しかしイズミルは容赦なく小さな蕾を吸いたてた。
「あっ・・・ああ、やめて・・・何も・・・知らないんです・・・お願い、お願い・・・」
キャロルが哀願すればするほど、男はキャロルの身体を残酷なまでに巧みに責め立てる。
4.
さんざんキャロルの胸乳を弄び、キャロルに切ない掠れた声をあげさせ、すっかり上気して薔薇色に染まったキャロルの悩ましい裸の上半身を惚れ惚れとイズミルは見つめていた。
「ほう、口が固いのだな・・・。しかしいつまでその強情が続くものかな・・・」
イズミルはキャロルの腰を覆っている薄布の衣装にも手を掛ける。残酷な笑みを浮かべた男の手は、優しく優しくキャロルの脚の間をまさぐり始める。
「いや、それだけはいや・・・お願い・・・」
キャロルは何とかして男の指から逃げようと、太股を固く閉じ腰を捻ろうとするが、がっしりと逞しい腕がキャロルの腰を抱いていて、すべての抵抗は徒労に終わった。
しなやかな指が黄金のくさむらを優しく撫で、そして掻き分ける。
妖しい指の動きは、キャロルの未だ知らない痺れるような甘い感覚を身体の奥から呼び起こす。キャロルの息ははぁはぁと浅く乱れるばかりで、もう抵抗と哀願の言葉を漏らすことすら出来なくなっていた。
つづく
2
人気のない神殿の内庭は、私が一人で過ごすお気に入りの場所だった。
そこに美しく着飾らされた黄金の髪の娘がいた。
風が教えてくれたようにナイルのように青い瞳、透けるような白い肌、
まだ子供っぽいけれど人目を引く可愛らしい顔立ち。
でも頬には涙の跡。
風が囁く、この娘はファラオに逆らい、ナフテラ様にも叱られたのだと。
「泣かないで」
自分でも驚いたことに、私は持っていた布を差し出し、黄金の髪の娘に声をかけたのだ。
「あ・・・ありがとう。」
その娘は布を受け取り、涙がおさまるまで一頻目をこすっていたけど、最後に大きく息を吐くとにっこり笑ってみせた。
「ごめんなさい、どこか一人で泣ける場所を探してたら、ここに入り込んじゃったの。
ここは何の場所?あなたの邪魔をしたのならごめんなさい。」
素直で何の邪気もない優しい声音に、私も何故だか体の力が抜けたのだわかった。
「ここは小さな神殿なの、あまり人は来ないところ。私は巫女という扱いなので、ここにいるの。」
「じゃあ、驚かせちゃったかしら?」
「いいえ、あなたがここに来るのは知ってたの、ファラオは炎のようなご気性の持ち主、
あまり逆らわないほうがいいわ」
いつもなら、私の言葉に人々は気味悪く思い去っていく。なのに、この娘は逃げなかった。
私の言葉に黄金の髪の娘はきまりが悪そうだった。
「だってあんまりメンフィスが横暴なんですもの、私、間違った事は言っていないわ。」
ファラオを名で呼び、自分正しいと主張する、思わぬ気の強さ。
本当に風から聴いたとおりだったので、私の口から思わず笑い声が落ちた。
「変かしら?」首をかしげるその様子は幼い子のように愛らしかった。
その時、風が囁いた、ファラオのご帰還を知らせたので、立ち去るように教える私に
彼女は慌てて小走りになりながら叫んだ。
「私はキャロルよ!またここに来てもいい?」
「いつでもどうぞ。」
キャロルの姿が見えなくなってから、私は自分が笑ってるのに気がついたのだ。
王子の調教にヒントを得て書いてみました。相手はキャロルです。
お目汚し、先に謝っておきます。
侍女キャロル作家様 少年時代のメンヒス素敵です。続きが楽しみです
祈り作家様 主人公は誰なのでしょう?気になります。
キ(_- )キ!(- )キッ!( )キタ(. ゚)キタ!( ゚∀)キタ!!Ψ(`▼´)Ψキタ━━━━━━━!!
↑ 上は、Ψ(`▼´)Ψ も含めて、沢山の新作ラッシュに喜んでいると言う意味です、
作家様、ありがとうございます。みなさまのうpを毎日何回もリロードして
楽しみにしております。ワーイ。
Ψ(`▼´)Ψも大歓迎だよ〜〜〜嬉しや〜〜〜
新作ラッシュに嬉し涙でつ
うわっ王子キター(w
たまにこーいうの読みたいとき、やっぱキャラは王子だな!!
メンヒスは調教とかお仕置きって感じがあまりしない。
いうこときかせようとしたらフツーに暴力使ってそーで。
でもでも、メンヒスで拘束または道具テイスト書ける人いたら、禿しくきぼーん。
■ ■■■ ■ ○ ■ ■ ○ ■ ■ ■
■■■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
■ ■ ■ ■■■■■ ■ ■■■■ ■ ■■■■■ ■ ■
.■■■■ ■ ■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
■ ■ ■ ■ ■ ■
■ ■ ■ ■ ■ ● ●
メンフィスはお仕置きと言いながらキャロルをベタに可愛がってしまいそう(藁
作家様のみなタンありがトン!
男の人、愛する女の人に対する扱い方いろいろあるよね。
優しく壊れ物風だったりつい虐めたり。
んぎゃーーーっっ。
【祝 作家様ご一行復活&出血大光臨オンパレード!!】
ノボリ立てたいぐらい嬉やーー。・゚・(ノД`)・゚・。
>祈り作家様
おお!冒頭からかなり好みです〜。続きが楽しみ〜。
みんな!感想は優しく控えめにね!また荒しネタになると困るから〜
をををを!!
つづくの文字が〜ティッシュを準備せねば(w>Ψ(`▼´)Ψ王子作家様
あー!どの作品も味が違っていいですねー。
清純派から大人の時間まで、メンヒスに王子に色々楽しめて嬉しいよー。
リク受付中の作家様はいらっしゃらないでしょうか?
義妹ミタムンを猫かわいがりする王子を見たいのです。オニあり・なしいずれでもー
王族乙女のみなさん、
ダイジェストサイトに管理人さんが
作品についてあれこれお話できるスレを立ててくださいました!
こちら吐けない思いの丈を、あちらで思う存分語りましょう!
管理人さん、ありがとうございます!
>>34 業務連絡乙〜!
管理人さん、いつも細かなお気遣いありがd。
ついでに作家同士の語り合いスレ等はどうでしょう?
いや、昨夜の作家様達の創作中の色々な実話が面白くて・・・
リクとかお願いもできるかなーなんて。
ダメかしら?
是非、作家養成講座スレを〜〜!
リクスレいいなぁ。ネタ投下スレってのは如何ですか。
6
ゆらゆらと水面に浮かぶ衣を手早く外し、何度見ても溜息が出るほど美しい白絹の肌を指先と唇であらためていく。
手馴れた愛撫が肌をすべり、柔らかな二つのふくらみを押し包むようにもみしだくと、キャロルは思わずといったように身を捩り、紅く染まった唇から甘い嬌声を迸らせた。
「やっ・・・はぁっ・・・あぁんっ・・・・・・!!」
そここに幼さを残した少女の顔が、男の愛撫で妖艶な女の貌に変化する。
白魚のような腕が水をかいて跳ね上がり、男の指先の動きにあわせるように、輝く肢体をしならせる。
そんなキャロルの様子を満足そうに観察しながら、メンフィスはいっそう熱をこめて柔らかな肌をまさぐり、つんと誘うように立ち上がったキャロルの乳嘴を吸い上げた。
「あああっ!」
疼くような快感が背筋を走り、キャロルはたまらず長く乱れるメンフィスの黒髪を抱え込んだ。
追い討ちをかけるようにしなやかな指先が背筋を撫で上げ、キャロルの反応する箇所を見つけては、これでもかとばかりに官能の炎を煽り立てる。
「嫌・・・いやぁ・・・メンフィスぅ・・・・・・」
「嫌ではなかろう。そら、もうこんなに・・・・・・」
「あ、ああっ、嫌、いやぁっ・・・!」
ともすれば湯船に沈みそうになるキャロルの身体をメンフィスは両腕に抱え上げ、あらわに揺れる肢体が自身の目の前にくるよう湯船の縁に腰掛けさせた。
「まだ触れてもおらぬに、こんなに蜜を滴らせて・・・欲しいのだろう・・・?」
「嫌、イヤッ・・そんな、違う・・違うわ、私は・・・っ」
「何が違うと申すのだ?」
今にも泣き出しそうなキャロルの顔が、ますますメンフィスの内に潜む獣の性を燃え上がらせる。
細い足の片方を肩に担ぐようにして、キャロルのそこを大きく押し開くと、メンフィスは銀色の蜜の中であえぐ花弁を好色な視線で眺め回した。
7
「はぁっ・・・んっ・・あぁっ・・・」
そのままあえて秘所には触れぬまま、濡れた水滴を纏わらせる大腿を円を描くように撫で回し、誘うような吐息を繰り返す紅い唇を啄むように口付ける。
ふっくらとした下唇を甘噛みし、ちろりとのぞく舌先に己のそれを絡めると、キャロルは反射的にメンフィスの首に腕を回し、扇情的な口付けにこたえてきた。
「あぁ、メンフィス・・・メンフィスぅ・・・」
耳元でこぼれる、ねだるようなキャロルの声。
白い腰が無意識のうちに動いて、男の愛撫を誘っている。
それを十分に意識しながら、メンフィスはもどかしいほどゆっくりと指先を滑らせ、震える花弁を避けるように、ほっそりとくびれた腰やそこから続く曲線を楽しむように撫で回した。
「あ、ああんっ、メンフィスぅっ!」
火照った身体を焦らすように、近づいては離れる指先の動きに、キャロルはたまりかねたように首をふり、痺れるような熱に疼く腰を無意識のうちに突き出した。
いまだ一指も触れられていないそこは、すでに恥ずかしいほど濡れそぼり、薄紅色の花弁から立ち上がった小さな真珠が快楽を求めて喘いでいる。
「ふふ、よい顔だ・・・キャロル、どうして欲しい・・・?」
「いやッ・・・意地悪・・そんなこと・・・・!」
「そなたが嫌なら・・・ここで止めてもよいのだぞ?」
美しい黒曜石の瞳に、甘く残酷な光がきらめいている。
ここで止めることなどできようはずはない。熱く火照った身体は高ぶりきって、メンフィス自身に宥めてもらわなければ、どうにもならないところまで追いつめられている。
それをようく分かっていながらそんなことを言うメンフィスに、キャロルは涙を零して真っ赤に染まった頬をうつむけた。
8
「泣くな。これではまるで、私がそなたを苛めているようではないか」
「・・・苛められて、いるもの・・・」
「馬鹿なことを。これほどに愛しんでいるというに、なにが不満だ?」
そう言いながら指先を伸ばし、紅く凝った固い蕾をメンフィスが摘み上げると、キャロルは濡れたような悲鳴をあげてしなやかな背中を仰け反らせた。
「うっ・・ん・・・ふあぁぁっ」
「そなたはここがよいのだな・・・こうして弄ってやるだけで、艶やかな声で身を捩る。・・・これはどうだ?」
「あっ、ああっ、あぁんっっ・・・・」
こりこりとした感触の乳嘴を、親指と人差し指で捻るようにさらに擦りあげると、その動きにあわせるようにキャロルの紅い唇から甘い悲鳴が漏れ落ちた。
指先一本の愛撫でも、すでに煽りに煽られた身体は、驚くほど敏感に反応してしまう。
「んっ、ああぁ・・・メンフィス、私もう・・・!」
「もう・・・?」
「ぁ、ああっ、お願い、焦らさないで・・・もっと、もっとちゃんと私に触れて・・・っ!!」
「・・・こうか?」
「あっ、あぁっ、あああぁぁぁっーーーーっ!!!」
指先の愛撫にかわって唇に乳嘴の先を含み、胸元を離れた指先を下肢の間にくぐらせ、濡れた花芯を撫であげる。
歓びの真珠にメンフィスの指先が触れた瞬間、キャロルは激しく身体を痙攣させ、高らかな嬌声を上げてのぼりつめた。
9
「ふふ、なんと他愛もない・・・まだ、これからが本番だと申すに・・・」
息も絶え絶えに、あえぐような呼吸を繰り返すキャロルのやわらかな肢体をメンフィスは両腕に抱きかかえ、湯船からあがると一隅に設えられた寝椅子の上に横たえさせた。
すっかり脱力した身体にまつわる透明な滴を薄い布でふき取り、あらためて上気した頬をのぞきこむ。
「可愛いキャロル。そなたは私の最高の寵姫だ。そなた以上の女は後にも先にも現れぬ」
「あ・・・メンフィス・・・」
熱い口付けがキャロルをおおい、やがて再び熱を帯びて、甘く熟したキャロルの身体に、メンフィスはゆっくりと己自身を埋没させた。
性急な男の動作が、身も世もあらぬほどの快楽をキャロルの身体に呼び起こし、やがて少女の若い身体は、我を忘れて官能の海に溺れていく。
「ああっ、メンフィス、メンフィス、もっとしっかり私を抱いて。離さないで・・・もっと強く・・・!!」
「・・・キャロルッ・・・!」
薄れゆく意識の中。キャロルは目の前で揺らぐメンフィスの身体に縋りつき、その行為の最後に、言葉にならない思いを甘い悲鳴と共に迸らせた。
(ああ・・メンフィス、私は・・・・)
あなたが好き。
侍女としてではなく、寵姫としてでもなく、一人の女として私はあなたを愛してしまった。
こんなに粗野で乱暴なあなたを。
私を珍しい玩具のようにしか扱わないあなたを。
けれど誰よりも頼もしく、あらがいがたい熱と力で私を包んでくれたあなたを、私は本気で愛してしまった。
どこまでも私を寵姫としてしか扱ってくれないあなたを、私は愚かにも本心から・・・・・・。
10
「・・・キャロル?」
熱い身体を夢と現の狭間にたゆたせながら、澄んだ透明な滴を一筋こぼれさせたキャロルの頬を、メンフィスが不思議そうにそっと指先で撫であげた。
キャロルは眠ったように目を閉じたまま、何の答えも返さない。
静かに横たわるキャロルの瞼に、メンフィスはひとつ口付けを落とすと、そのままキャロルを残して一人湯殿を出て行った。
表の宮殿から聞こえる華やかな声。
ルクソールの神殿に、祈願を捧げにでていた女王アイシスが、宮殿に戻ってきたのだろう。
メンフィスの姉であるアイシスは、同時に王の婚約者でもあり、二人の婚儀は日取りもすでに決定している。
(メンフィス・・・・・・・)
宮殿の侍女として王に仕えるキャロルは、未来の王妃を出迎える女たちの列に加わらねばならない。
メンフィスは、侍女の役目など辞して後宮に入れと言ってくるが、どうしてもその申し出だけは受け入れる気になれなかった。
実質、王の寵姫とかわらぬ暮らしをしているのだとしても、自分は侍女なのだと思いこまねば、今のこの苦しい物思いには耐えられない。
のろのろと身体を起こし、身支度を整えたキャロルの上を、艶やかな女たちの笑い声を乗せた風が吹き過ぎていく。
晴れやかな女王の喜びも、想いに沈む少女の心の葛藤もまるで知らぬげに、白い雲が真っ青な天の高くを音もなくただ流れていった・・・。
終
>侍女キャロル
ェェエエ(*゚Д゚)
そんないい所でおわりでつか!!
でもキャロルが切なくてイイ!
この時点ではアイシスも、ただの侍女とは戯れ程度の意識しかないだろうし
気持ち的にはとても安泰なんだろうなぁ。
メンヒスはこのまま侍女として侍らすつもりなんだろうか。
是非続きを〜〜〜!
侍女キャロル・・・哀愁ただようラストいいねぇ。
たまにはこんなキャロルもいいさね。
メンフィスは王だから気が付かない所って本当にあると思う。
私も後引くラストって好きなんだ。
うpありがトン。
メンヒスの拘束お仕置きバージョン、、、私もきヴぉんでございまつ。
どなたか書いてくださいませぬか〜?
前スレの907タンは続き書いてくれないのかな〜?
色々なメンヒスを見てみたい。
>>45 前スレの907です。覚えてもらっていて光栄です(^_^;)
週末のうpが少ないから週末限定でここに書かせてもらおうと思って
いま書いてるところです。
でも今日・明日はちょっと無理みたいで・・・来週末からよろしく〜m(__)m
わぁ、907さん!週末作家様の登場嬉しいス。
しかし侍女キャロルってなかなかツボなネタですね。
ヒッタイト版の侍女キャロルもいいかも♪
1
「メンフィス、だと?この大エジプト帝国のファラオである私の名を、侍女のお前に呼び捨てする自由など許さぬ!メンフィス様、だ。よいなっ!」
キャロルは驚きと、もっと深い失望にふらふらと跪く。
「メ、メンフィス様・・・」
「もうよい、下がれ!ミヌーエはおらぬかーっ」
艶やかな黒髪をひるがえして足早に去るメンフィスの姿が、キャロルの涙で溢れた瞳の中で輪郭がぼやけていく・・・
―メンフィス・・・様・・・あなたと私の距離はどんどん開いていってしまう・・・
金色の髪と青い目が珍しいからと私を侍女にしてくれた時、不安で恐ろしくて泣く私に「一生私
のそばに侍れ」って言ってくれたじゃない。私、どんなに嬉しかったか・・・
ああ、メンフィス、あなたを愛しているの・・・愛しているわ。侍女ではなく、一人の女性としてあな
たのそばにいたい・・・
胸が軋むような痛みに、大声で泣くことも出来ない。
顔を覆った手のひらに涙がつたわり、その感触にキャロルはあの日を思い出していた。
「ふうっ・・・冷たくて気持ちいいわ」
ようやく一人になった気の緩みに思わずひとりごちる。
ゴセン村のそばに流れる大いなるナイル。
丈高い葦やパピルスが生い茂るその河岸の目立たない一角で、他の奴隷や監督官達の目をごまかすために塗っていた泥をキャロルはナイルに浸って洗い流していた。
(これからどうしたらいいの・・・現代に帰るすべなんてわからない。
かと言って、ここにいたって誰も私を必要としないわ。このまま奴隷として一生を終えるの?
私、一人でなんて生きていけない。そんなに強くない・・・)
「そんなのイヤよ!ライアン兄さん、ママーっ、帰りたい!」
思わず大声で叫んでしまったキャロルの声を聞きつけた兵士は、噂を聞いてこの辺りまで捜索に来ていたメンフィスの元へ全力で駆けた。
「メンフィスさまーっ!噂の娘がおりました!どうぞこちらへっ。」
「おう、いたか!よし、案内いたせ!」
見事な駿馬を巧みに御し、兵士を抜かんばかりの勢いで「獲物」の元へ向かうメンフィスは
(ふふん、金色の髪に青い目だと?そのような人間など想像がつかぬわ。
どのように奇怪な姿をしておるのか、各国の客人に晒すのも一興。なんとしても捕らえねば)
こんな意地の悪い思いに捕らわれながら馬を駆っていた。
「ファラオ、あの茂み辺りでございます!」
兵士がわずかに先に見える、こんもりと葦が茂った所を指差した。
「よし、ここから先は私ひとりで行く」
「えっ、ですがファラオ、素性のわからぬ娘ゆえ・・・」
「かまわぬわ、ここで待っておれ!」
身のこなしも鮮やかに馬から飛び降り、メンフィスは茂みへと歩いていった。
涙の日=前スレ907です。
来週末になるといいながら、ちょっとだけうpしてみました。
興味のない方はどうぞスルーなさってくださいませm(__)m
おおおお〜涙の日作家様デビューおめでとうございます(初めて書かれて
いるんでしたよね?)
タイトルが意味深でこれからの展開が楽しみです。
作家様デビューおめでトン!
何か嬉しいです、どんどん作家様が増えてくれるといいな。
ちなみに私もたまに小作品をうpしてますが、書く時にとても便利なツールが
あるので紹介させて下さい。日本語の類語辞典のサイトです(無料)
ttp://www.gengokk.co.jp/thesaurus/ 書いていて「あ〜、この言葉他に言いまわしないんかなー」という時なんかに
引いてもらうと、類語や関連語が出てくるので便利ですよ。
では、皆様がんばって下さいね。私もそのうち・・・。
ご無沙汰をしています。
もっと早くコメントを出すべきだったのかも知れないんですけれども、
どうコメントしたらいいか迷っていたら、どんどん書きづらくなってしまって・・・。
前のスレみたいなムードに戻ったら、出て行こうと思っていたんです。申し訳ありません。
お話の更新を止めていたのは、仕事が立て込んでいたこともあったのですけど
レイプに近いようなエピソードが盛り込まれていたことで、読者さんに不快感を与えたなら
更新を続けていいのかどうか考えてしまったからです。
多数の方に読んでもらえる場なので、もっと扱う題材には気をつかうべきと反省しました。
今後は気をつけていきます。
前にも書いたんですが、一人でも読んで下さる方がいる限り続けて書きたいと思っていました。
お話も既に完成しているので順次うpして行こうかなと思ってはいるんですが、それが結構な長編なのです。
もし、内容や長さが鬱陶しく感じられたらいつでもレスで言ってください。
ダイジェストさんの方へメールさせて頂くとか、色々方法を考えてみます。
新しい作家様が来られたり、作家様どうしの交流があったり、とても良いムードで嬉しいです。
いつも楽しませてくださる他作家様、読んで下さる読者様、本当にありがとうございます。
では、少し様子をみながらうpさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします。
あああああ 記憶の恋人作家様、
毎日楽しみに待っておりました。是非うpお願いします。
もし、あれ(?)でしたら、メーリングリストなんて、手もありますよね。
私そうしたら、すぐに登録してしまいます。
楽しみにしておりますので、よろしくお願いします。
>>前スレ505
その夜、イズミルの一隊は砂漠に陣をとり幕舎を張った。
初夜を過ごすにはあまりにも殺風景な天幕の中の寝台ではあったが、そんな事は気にも留まらぬほどに、お互いを求めイズミルもキャロルも昂ぶっていた。
震えるキャロルを宥めながら、イズミルは優しくその白い体を愛撫する。
キャロルは甘い吐息を漏らしながら、柔らかな体を熱く燃え立たせ甘美な吐息でイズミルを求める。
イズミルが花びらと真珠を指で弄ればたちまちに達してしまう程、彼女は敏感になっていた。
艶めかしいキャロルの姿に深い悦びを覚えながら、イズミルは執拗に唇や舌までもを使ってキャロルを責め立てる。何度も昇りつめるキャロル。
堪らずイズミルが彼女の中に自身を埋めた時、彼女は苦痛に悲鳴を上げて泣き叫んだ。
慌ててイズミルは彼女と繋がっている部分に目をやって、思わず目を見張った。
赤い鮮血が寝台を濡らしていた。
「そなた・・・初めてだったのか!」
イズミルは痛みに咽び泣くキャロルの体を愛しげに抱きしめ、いまだ感じた事のないような歓喜の波に胸が鼓動するのを感じていた。
メンフィス王の熱愛ぶりを重々に目の当たりにしていたイズミルは、とっくにキャロルはメンフィスの愛を受けているものだとばかりに思っていた。
――しかし、彼女はこの時まで乙女であった!
それは、いかにメンフィスが彼女を大切に扱っていたかが、ありありと伝わってくるようにも思えた。
しかし・・・
行為を終えた後、イズミルの胸の中でまどろむキャロルの頬には一筋の涙が零れていた。
それは、イズミルと結ばれた喜びの涙と取るには、あまりに切なく哀しさを湛えた涙であった。
「どうして涙が溢れるのかわからない」キャロルはそう言った。
しかしイズミルだけがその涙の意味を知っていた。
妖かされた心の底で、キャロルは涙を流しているのだと。
メンフィスではなく・・・イズミルに抱かれ女になった自分を責めて嘆いているのだと。
イズミルは涙を流すキャロルに、そして神に誓った。
「そなたを・・・この私の生涯をかけて幸せに致す!
おお・・・決して離しはせぬ。何があろうと・・・命かけてそなたを愛しぬくぞ」
それからの数日間は、まさにイズミルにとって最も幸せな時であった。
完全に我が物になったキャロルを誰に遠慮もなく、心ゆくまで愛しむ事ができたからだ。
またキャロルも、イズミルの激しいほどの求愛に恥らいながらも悦んで応えてくる。
愛しい男の昂りに息も出来ぬ程に煽られ、それで体を慰め鎮められる悦び・・・キャロルは生まれて初めて知った恋人同士の甘い快楽に夢中になっていった。
夜毎キャロルを抱いても更に欲望は増すばかりで、イズミルは己の貪欲さに我ながら呆れ果て苦笑を漏らした。
日を追うごとに狂おしいまでに愛しさが募ってくる。
もう何があっても手放す事などできない・・・
そんな時、ヒッタイトの野営地が突然に奇襲された。
エジプト軍であった。
イズミルは剣を取り、先頭を切って指揮にあたった。
しかしそれはイズミルの予想を裏切り、メンフィスの軍ではなく、アイシスと側近ナクト将軍の率いる大軍であった。
アイシスは明らかにキャロルに狙いを定め、それを攻防するうちにイズミルとキャロルは次第にヒッタイト兵から孤立していった。
そして、数で勝るエジプト兵はイズミルとキャロルを執拗に追い立てる。
激しい豪雨の降りしきる中、追い詰められたイズミルは自分が囮となり追手をかわそうと試みたが、それは結果としてキャロルを見失う事となってしまった。
苦戦の末エジプト兵を撒いて何とか逃げ切ったイズミルは必死でキャロルを探した。
そして、崖下で横たわる彼女を見つけたのだった―――
今のイズミルにとって唯一の心の救い、それは崖下に転落し一切の記憶を失ったキャロルが彼を愛するようになったという事実――それだけだった。
秘薬の力でなく、何を仕組んだ訳でもなく、彼女はただ純粋にイズミルを愛するようになったのだ。
イズミルは甘やかな日々の想い出を大切に胸に仕舞いながら、鋭い顔つきで前方を見据えた。
「こうしてはおれぬ!
メンフィスの許からそなたを奪い返すぞ・・・この命に代えても!!」
イズミルは縛り上げられた両手首を何とか外そうと必死でもがいた。
矢傷と胸一面に広がる鞭の傷からの流血に構いもせず、イズミルは髪の中に仕込んだ鉄刀を手に取ろうと身を捩った。
何としてもキャロルを再びメンフィスの手から奪い、ヒッタイトへ連れて行くのだ。
ヒッタイトへ帰国すればすぐに戴冠の儀をすませ、国王としてキャロルを正妃に迎え婚儀を上げるのだ。
イズミルの監禁されている天幕の外には数多のエジプト兵が守りについている。
単身抜け出す事など不可能であるが、イズミルはかねてよりエジプト軍に送り込んでいた間諜がこの場所に気付きさえすれば、何とかできると算段を踏んでいた。
今キャロルがメンフィスの胸にいるのだと思うと、居ても立ってもいられない。
(おお・・・何としても・・・そなたのもとへ行くぞ・・・!
例えこの身が滅びようとも、そなたを再びこの腕に取り戻す!)
すみません。とりあえず、4話ほど今日はうpさせて頂きました。
正直な反応をもらえるのが2ちゃんの一番いい所だと思っていますので
批判も意見も頂けるものはほんとに何でも有り難いです。
では、おやすみなさい。
わあ、嬉しいよぅ。
もう読めないのかと寂しい思いをしてますた。
やっぱり作品は最後までよみた〜い。うpありがd!
この調子でどんどん作家様達カムバーック!( ^ー゜)b
新作もイパーイ!新作家様も登場!
loveと時のナイルの続きもどうかお願い。
遠い約束様の新作も期待しております。
記憶の恋人作家様、おかえりなさい!さっそくの4連発嬉しい〜!
ここ何日かのモヤモヤが晴れていくよう。。。
新作家様方も新しいシチュエーションのおはなしで感激です。
創作が初めての方もいらっしゃるそうだけど、とてもそんな風には思えないです。
すごく文章も綺麗で読みやすくて、物語の情景が目に浮かびます。
明日も楽しみ♪
>>52,53
おお、どちらも為になるサイトですねー
わたしも使わせてもらいまっす。
わたしも調教編やってみていいですか?
メンヒスで、キャロルは侍女じゃなくって、まだ奴隷娘ってコトで。
Ψ(`▼´)Ψなので、嫌な方はスルーしてねん。
「あっ…ううっ、イヤ…こんなの…できない…」
ファラオの寝室の帳の奥から、切れ切れに少女の声が漏れてくる。
「腰を使えと、教えなかったか?!」
それを追って、叱り付けるようなファラオの声。
帳の外には、ファラオ付きの見目も麗しい4人の侍女たちが嫉妬を押し殺した表情で侍っている。
女達は無表情を装ってはいるものの、横目に映る、薄い帳に影を落とすファラオと娘が交わる姿をしきりに追っている。
仰向けになった全裸のメンフィスの股間には反り返らんばかりの隆々とした男のモノが起立している。
「何をぐずぐずしている…!この前、教えたであろうが。教えたとおりに致せ」
男は苛々した様子で、恥らいに全身を染めるキャロルの腰を掴むと、自分の上へ跨らせた。
少女の花の部分を、熱い自身がずぶりと貫いた。
「ひっ…あぁ…」
「腰を使えと申すに!もっと私を喜ばせよ」
しかしキャロルは男の熱さと圧倒的な大きさに震えるばかりで、腰の上で身動きができない。
「…こうだ!」
メンフィスは耐えかねて、キャロルの細腰を大きな両手で脇から掴み上げ、自分の腰の上に押し付けるように繋がったそこを大きく前後させた。
悩ましく揺れる胸乳のふくらみや、快楽に耐える苦しげなキャロルの顔を、メンフィスは下から見上げながら満足そうに笑みを浮かべた。
少女の腰を揺するだけでは飽き足らず、メンフィスも自ら腰を突き上げる。
「あ…んんっ…あーっ…!!」
少し突き上げて、狭い泉の中を掻き回しただけで、キャロルは呆気なく昇りつめてしまい、メンフィスの胸板の上に力なく倒れこんだ。
「もういったのか?…仕方のない奴め」
メンフィスはまだ荒々しい自身をキャロルの泉から一旦引き抜くと、少女を寝台の上に押し倒し、強引に脚を開かせ今貫いたばかりの花弁を寛げた。
「お前の此処は…何度見ても美しい…何度味わっても飽きぬ」
指でそこを左右に広げ、飛び出た悦びの源である真珠を舌で舐め回す。
どこよりも恥ずかしい部分を広げられ、弄られる事に耐えられず、キャロルは体をよじらせて抵抗した。
その2
「あっ…嫌あ…そんなところ…いやぁぁーー!」
「暴れるな!この私が女などに、このような事をしてやるのは、唯一お前だけぞ!
もっと悦べ!悦んでよがれ!甘えた声で私を喜ばせよ!」
メンフィスは舌をくまなく使い、女の快楽を容赦なく引きずり出していく。
長い指を狭い泉の中に差し入れながら、
真珠をきつく吸いあげると、キャロルはたちまち甘い叫び声をあげて果てた。
「ふふん、なんともそそる体よ。日ごとに艶めかしくなるではないか!
私もそろそろ辛くなってきた…さあ、私を再び与えてやる。接吻で私に礼を致せ!」
ファラオの絶対的な命令に逆らえないキャロルは、メンフィスの引き締まった唇に接吻を捧げながら、蜜に濡れそぼった花を再び大きな熱い塊で穿たれた。
「うっ・・んん…はぁぁっ」
メンフィスはキャロルの足首を持ち左右に大きく開かせて、
少女の美しい花が赤銅色の男を呑み込んでいく様子を愉しみながら、腰を躍動させる。
激しい男の動作を繰り返しながら、なお少女の唇と舌を貪るように吸いたてた。
帳の外には激しく肌と肌のぶつかる音と男女の乱れた息しか聞こえてこない。
立ったまま閨の外で侍する侍女達も、かすかに息を乱している。
どうも奴隷娘に奉仕をさせて仕えさせているというよりは、
ファラオの方が色事に不慣れなこの娘に悦びを与えては愉しんでいるように見える。
ファラオは女との接吻をあまり好まない。
ファラオが女の秘所に愛撫を施すことなんか、これまでたったの一度もなかった。
なのに、この金髪の白い奴隷娘だけには違うらしい。
ファラオ自らが娘の唇を奪い、接吻されることを要求し、白い体のすみずみまで愛撫する。
この娘はたかが奴隷で、侍女にも上がれない身の上なのに。
ただ体を捧げ、ただ一方的にファラオへ奉仕するだけに終始してきた侍女達は、
長く仕えてきた自分達の扱いとの格段の差に、激しい嫉妬をキャロルに向けた。
その3
一段と高い少女の嬌声があがった後、帳の中は急に静かになった。
しばらくすると、ファラオが一人姿を現した。
侍女達は行為を終えたばかりの汗ばんだ逞しい体を拭き清め、
ずっしりとした黄金の衣装を着せ付ける。
激しい行為が終わったあとだというのに、ファラオの息の乱れはもう収まっている。
すっきりとした、涼やかな顔で、ファラオは侍女達に命じた。
「疲れて果てて動けぬはずだ。しばらくゆっくり寝かせてやれ。
しかし私が夕刻に戻るまでには湯浴みをさせ、また閨の中へ入れておけ。
キャロルを閨の外へは出すな!わかったな?」
「…かしこまりました」
侍女達は丁重に申し答えた。
だがそれぞれの侍女の胸の内は煮えくりかえっていた。
(なぜ私達が、奴隷女に仕えて、世話をせねばならないのでしょう!)
(あの奴隷娘が来てから、メンフィス様は私達をちっともお召しにならない!)
(いったい何時になれば、ファラオは私を閨にお呼び下さるの?)
(憎たらしい奴隷娘。少しばかり、美しい髪と肌を持っているからと言って…!)
女達の嫉妬と欲望が渦巻く中を、メンフィスは平然と荒々しい足取で去っていった。
少し開いた帳の隙間を、侍女達は覗き込んだ。
まだ痺れる体を動かすこともできずに、
寝台の上で横たわるキャロルの白い体の至るところにファラオの接吻の紅い跡が残っていた。
快楽に果てたキャロルの色づいた顔と、
白い腿を伝うファラオの寵を受けた名残が、女達の憎悪をかきたてる。
キャロルは女達の視線に気付きもせずに、激しい行為の後の気だるさでうとうと眠りはじめていた。
日曜日だというのにうpが〜
新作ラッシュの嵐が嬉しいですわ
続きはあるのでしょうか?
前スレもう落ちてる、早ッ!!
作家様きぼん者です。
いくつか書いてみたけど、いつも最後まで書けません。
最初の設定とか出だしばかり浮かんでその後が〜〜
アドバイスを下さい
Ψ(`▼´)Ψメンフィス@奴隷キャロルΨ(`▼´)Ψ 様〜
すばらしーです〜( ´Д⊂ヽ
>71
何か書いてみたいシーンやセリフなどはありませんか?
それをクライマックスにもってくるかそうでないかとか
いろいろ膨らますこともできますです。
私は王子好きなんだけど、メンフィスのお話も凄く面白くて
ドキドキしながら読んでます。
立場が弱くて、相手の愛にすがるしか生きていくすべが無いキャロル。。萌えです!
うん、私も王子派だけど侍女&奴隷キャロルの設定萌え〜
メンフィスの方が立場が強いのが何とも新鮮。
But,祈り作家様系のほんわかストーリーも好きです。
皆様頑張ってくださいね!
記憶の恋人作家様、復帰おめでとうございます!
急にお話が中断してしまったので、雰囲気の悪さに隠棲されてしまったのか、
それとも何か他の理由が・・・?誰かのせいか?とずいぶん姦しかったのはご承知の通りです。
でも本当に復帰されて嬉しいです!どうかがんばってください!
>>71さん
私の場合は書きたいシーンの部分部分を思いつくままにタイプして行って
それを後で繋ぎ合わせています。
なので最初の方に考えていたシーンが後の方にきたり、つぎはぎだらけ(笑)
参考になるといいのですが、がんばって下さいね。
作品を楽しみにしています!
>73
>77
わたし71じゃないけど、お話作るときのコツを聞けるなんて
すごく興味深いです。ありがとうございます。そうやって書くんだ〜
(・∀・)つ〃∩ ヘェ-ヘェ-ヘェ-ヘェ-ヘェ-
ほんま興味深いですな。
私も71じゃなく只の読者だけど、作品のできる過程にも興味アリでつ。
それぞれなのですねーー。
お話が出来るまでの過程って・・・成る程!
>>77 ここの作家ではありませんが、私も同じです。<繋ぎ合わせる
何かネタを思いついた時や、セリフ・描写などが閃いた時は、
とにかくそれをタイプしておく(外出中だったら、手帳にメモ)。
ネタ全般用・○○用・△△用・□□用というように、ファイルを
複数作ってあるんです。
○○用・△△用・□□用というのは、ここのスレで言ったら
「王子×キャロル@純愛モノ」「メンフィス×キャロル@愛憎モノ」
みたいな感じ。
それで、閃いたセリフや描写がどの作品に当てはまりそうか
考えて、そこにタイプしておく。
ロマンチック系のセリフや描写の場合は、「王子×キャロル@
純愛モノ」に入れておこうかな、というように。
それが段々溜まって来たら、つぎはぎ作業+間を埋める作業を
して完成!(w
(・∀・)つ〃∩ ヘェ-ヘェ-ヘェ-ヘェ-ヘェ- (←79タン、お借りしました)
小説の書き方、聞いてて楽しい!
前スレの作家様本音トークもとても面白かったです。
81様、ぜひここでも書いてください。
どんな作品に仕上げられるのでしょう。気になるぅ。
わー、作家様のみなさん、ありがとうございます。
なるほどー。ネタ帳ですか。
とても参考になりました〜
小ねたを書いてみようと思っているんですが
それもなかなかまとめるのは難しいです。
長編書かれてる作家様とか、どんな頭の中身なんだろ。
いつも感心してしまって。
いちど覗いてみたいです。
いつかうpを夢みて頑張ります〜
>>59 メンフィスはキャロルの天幕へと戻って来た。
丸一日昏々と眠り続けるキャロルの口許に、水を含ませてやる。
メンフィスは寝台の脇に腰を下ろしたまま、形状のつけがたい複雑な表情でキャロルを見つめていた。
キャロルの瞳がうっすらと開き、ゆっくりとメンフィスの顔を見る。
メンフィスはそっと手を伸ばし、キャロルの頬を撫でた。キャロルの体に一瞬の緊張が走る。
「私を恐れるか・・・?」
キャロルは首を横に振った。
昨夜のメンフィスは恐ろしかった。
あれは、メンフィスではない誰か他の男だとしか思えなかった。
でも、それでも。彼を愛しいと思う気持ちが変わるはずがない。変えられるはずがない。
メンフィスは何も言わず、ただキャロルを胸に抱きしめた。
胸の中にひしめく苦渋の想いが、端整な男の顔を痛ましい程に歪めていた。
こんな風に何かに酷く苦しむメンフィスを、キャロルは今だかつて一度も見たことが無い。
メンフィスの心の傷のほうが深いに違いないと、どうすればメンフィスに償う事ができるのだろうと、キャロルはそればかりを考えていた。
メンフィスはキャロルを腕に抱きしめたまま、キャロルはメンフィスの胸に抱かれたまま、お互いの体温だけを感じる静かな時が流れてゆく。
永遠に続くかのように思われた沈黙を破ったのは、苦しげに切り出されたメンフィスの問いであった。
「キャロル・・・正直に答えよ。
誰を・・・愛している?私か・・・イズミルか」
キャロルは辛い問いに思わず目を閉じる。
今のキャロルには、その答えを見つける事ができなかった。
「何故なにも答えぬ・・・?
では、質問を変える。私を愛しているかどうか・・・!」
苦悶を押し殺すように問うメンフィス。
キャロルは涙を湛えた瞳を大きく見開いて、迷う事なく即答した。
「愛してるわ!」
それだけは今なお、自信を持って断言できる。
今も昔も変わらず、何があろうとメンフィスを愛している!
「ならば・・・キャロル、今を限りに奴の事は忘れるのだ!!
良いか!私も全てを忘れる!!・・・そなたも忘れろ・・・決して思い出すな!!」
「メンフィス・・・」
しかしそれでもキャロルの胸の中によぎるイズミルの姿を消す事はできない。
メンフィスへの愛を変えられないと同様に、王子への愛も変える事はできないのだ。
それを鋭く察したメンフィスは、他の男の姿など胸に浮かばせまいと、キャロルを更に強く抱き寄せる。
「キャロル・・!
忘れさせてやる・・・そなたは私を愛してさえいればよい!
・・・私に任せろ!全て忘れさせてやる!
おお、二度とこの胸に他の男の姿など思わせはせぬ!!」
大きな手がキャロルの両頬を捉え、唇を奪う。そして、また強く体を抱きしめる。
メンフィスの苦渋に満ちた心の叫びが、彼の熱い肌を通して伝わってくるような気がした。
キャロルの心の中は激しい葛藤が嵐のように吹き荒れる。
キャロルはメンフィスの広く逞しい胸に身を寄せて、考える。
メンフィスへの愛情とイズミルへの愛情は、決して共存を許されぬ存在。
しかし―――どちらをも愛している―――
キャロルの為とあらば、命の危険もかえりみず炎の中へも身を投じる男達。
彼らはキャロルを深く愛し、キャロルも心から彼らを愛した。偽りのない心で。
メンフィスへの愛も、真実。そしてまたイズミルへの愛も、真実なのだ。
どちらかを選ぶ事なんてできない。
どちらかを選び、どちらかを捨てる事など、どうしてできようか。
キャロルは目を閉じて、メンフィスの心音に耳を傾けた。
規則正しく力強いその鼓動は、何とも言えぬ安らぎを与えてくれる。
愛しい人の鼓動と自分の鼓動がゆっくりと同調し重なり合う時。
それはささやかで、しかし何よりも幸せな一瞬。
いつだったか、王子の胸にこうして抱かれた時もやはり同じ事を感じたものだ。
この身を二つに割ることができたなら。
二人のどちらをも愛する事が許されたなら。
――しかし、それは叶うはずもない、虚しく愚かな願いであった。
それならば・・・・・・一人で生きよう。
どちらをも愛するが故に、どちらからとも離れて一人で生きよう。
二人の王者の輝かしい生涯を影ながら見守る歴史の傍観者として、一人古代に残る。
そして、この身が滅び、いつしか土に還るその日まで、二人の王者を愛し続けよう――
キャロルは心を定めると、深く呼吸を吸い込んだ。
まず、何をおいても、王子を助けなければならない。
彼が今、生きているのかどうかもキャロルには分からない。
矢傷に倒れ、その後どうなったのか。もはやメンフィスの手によって殺害されたのかも知れない。
それでもキャロルはかつてイズミルがそうしてくれたように、体を張ってイズミルを助けなければと思った。
例えメンフィスの怒りを買う事になっても、この命と引き換えにしても、彼の命だけは助けたいと思った。
そして、もうひとつのキャロルの願い。
それは――メンフィスと真に結ばれる事。
メンフィスとの思い出の最後に、彼との至福の時が欲しかった。
メンフィスのこの胸に抱かれる日をどれほど夢見てきた事か。
あの神殿の炎の中で死を覚悟した時、メンフィスと結ばれずに死ぬ事がどれほど悔やまれた事か。
メンフィスの熱い胸の中、キャロルは閉じていた瞼をゆっくりと開き、その青い透き通った瞳で縋るように男を見上げ懇願する。
瞳の中には強く光る揺らぎのない何かがあった。
「メンフィス・・・私をあなたのものに・・・して。
前にも言ったわ・・・。宮殿の奥庭で・・・あの時は叶わなかったけど・・・
今、あなたのものにしてください・・・!」
わずかに震える唇から、途切れ途切れに漏れる小さな声。
「キャロル・・・?」
「メンフィス・・・お願い・・・今・・・今・・・」
メンフィスは戸惑った。
昨夜、怒りと嫉妬に狂い逆上のあまり、酷い抱き方をした。
何より愛しい娘を、よりによって我が手で傷つけてしまった事は、彼にとっても相当な痛手であった。
今こうしてキャロルに触れる事さえ躊躇われるというのに・・・。
「しかし・・・。そなた・・・まだ体が痛むであろう?」
キャロルはメンフィスの首に縋りついて、ただ首を横に振った。
あなたが欲しいのだと、キャロルの全身は切なる叫びをあげていた――
「キャロル・・・キャロル・・・!おお・・・!!」
キャロルたっての哀願に抗えるはずもなく、メンフィスはキャロルに深い口づけを施しながら、寝台の上に彼女の体をそっと横たえた。
白い体の隅々に舌を這わせると、キャロルは敏感に反応し始める。
甘い声、切ない吐息。その一つ一つに、彼女の体が、心が、痛いほどに切なくメンフィスを求めてくるのが伝わってくる。
メンフィスを何よりも歓喜させる、女の悦びを表すその仕草。
しかし。
以前は反応を見せなかった箇所にさえ、キャロルは切なく体を震わせて啜り泣くような声を漏らす。
それは、キャロルの体の上にイズミルの色濃い影を見るようで、メンフィスの胸を激しい怒りと嫉妬で埋め尽くす。
(イズミル・・・許さぬ・・・決して許さぬ!!)
もっと読みたいでつーー記憶の恋人作家様〜〜
焼け付くような嫉妬と怒りを呑みこむように抑えながら、メンフィスはキャロルにそっと触れる。
昨夜のあまりに酷い抱き方を償うかのように肌に優しく唇を滑らせて、目には見えぬ傷を癒そうとする。
メンフィスの指と唇がキャロルの全身を這う。
それに呼応するようにキャロルの白い手も、メンフィスの肌をなぞる。
愛しい男の顔、肩、胸・・・そのすべてを心に刻み付け、決して忘れる事のないように。
二人は、長い間この時を待っていたのだと、心の中で何度もそう叫びながら、お互いを強く求め合った。
メンフィスがキャロルの花芯に甘やかな口づけを授ければ、白い体はしなやかに撓ってそり返る。
感きわまった悦びの啜り泣きが、薔薇の唇から途絶えることなく漏れる。
蜜で濡れそぼる二枚の花びらを押し分けて、メンフィスの昂ぶりがそこを貫いた時、キャロルは気が遠くなるような強い悦びを感じて、思わず彼の背中に爪が食い込むほど強くしがみついた。
男の熱い体で、熱く潤むそこを慰められても、鎮まるどころか更に熱を増すばかりであった。
狂おしい快楽の中に果てるまで、メンフィスはキャロルを愛した。
キャロルも彼を求めた。
二人の体は一つになる。これ以上は溶け合えないという所まで―――
レスを下さった皆さま、温かくスルーして下さる皆様、ありがとうございます。
5話づつうpすればあと5日ほどで終了できるかと思います。
どうぞよろしくお願い致します・・・<m(__)m>
>>記憶の恋人さま
いいです、キャロルだったら一人で生きて行こうとしそうだよね。
でも、あと5日で終わるとは、ちょっと残念です。
でも、楽しみにしています。
>> 週末(お休み)だから、他の作家様のうpないのかしら?
さびしいでつ。
もうすぐ完結してしまうんですか。
(´ヘ`;)ハァ 淋しい〜。
最後は誰とくっつくのかな〜〜。
楽しみにしてますね。
>記憶の恋人様
切ないよぅ(´・ω・`)
わたしもキャロルだったら、悩むだろな。
今日も新作を拝めるかしら?
祈り様、Ψ(`▼´)Ψ作家様たちの更新も楽しみ。
涙の日様、週末うp待ってまつ。
>「記憶の恋人」作家様
ラスト一行の言葉が超ステキ!このフレーズにノックアウトです。
>二人の体は一つになる。これ以上は溶け合えないという所まで―――
>21
3
日が昇る。暗い夜空が万物を照らす光に消し去られ、新しい一日が始まる。
いつものように運び込まれた供物や花、香油や聖水を神々に捧げ、香を焚いて祈る。
祈る事は私の役目であり、苦しみであり、喜びでもある。
ただ風の囁きを聴くことしかできないのに、それは私に様々な枷を負わせてきた。
全ての空を、大地を駆け巡る風に知らぬ事はない、起こった出来事を全て知っている。
どんなに離れた場所の事でも、人には知られたくない事であっても、それが国と国と勝敗を決める事であっても。
幼い頃それを口に出したが為に、私は実の両親ですら気味悪がられ捨てられた。
私に近寄る人は、私を利用し利益を得ようとする人ばかりだった。
そうでなければ遠巻きに気味悪がるかのどちらかだったので、私は人とは相容れない存在なのだと幼くしてわかったのだ。
ただ運良く捨てられた私を見つけたのが、宮殿で女官長を勤めておられるナフテラ様だったので、
神殿に預けられこうして巫女扱いされて今に至っている。
ナフテラ様以外、私に何の隔てもなく接する人はいなかった。
でも初めて同じ年頃の少女が、私を奇異に思わず、邪気のない笑顔を向けた。
それは嬉しいこともであったけれど、随分と私を当惑させた。
神々の祝福を受けたような黄金の髪の少女が・・・・。
4
「こんにちは」
明るく邪気のない声音。
朗らかな表情でキャロルはこの神殿に姿を見せた。
ファラオはオベリスクの工事現場へ視察へとお出かけになられた隙に、キャロルはここにきたのだと、風は告げた。
「ここは神殿なのでしょう?昨日もお邪魔してごめんなさい」
「いいの、ここは人が来ないの、大きな神殿はあちらにあるでしょう?もともとここは捨て置かれてたところを私がお世話してるだけなの。」
「そうよかったわ、でもあなたは巫女なんでしょう?カプター大神官のところやアイシスのところじゃなくていいの?」
キャロルの問に、どう答えていいものかと私は返事に詰まってしまった。
・・・・・風は全てを知っている、カプター大神官がどれほど黄金に執着しているか、どれほど野心を抱いているか知っている。
昔ナフテラ様に引き会わされた時、私にはカプター大神官の周りに纏いつくどす黒い黒い風を見てその場に倒れてしまったのだ。
アイシス様の時にも、体に絡みつく紅蓮の炎のような風を見て、やはり私は倒れてしまった。
「私は一人の方がいいの、キャロルだって私の事、気味悪く感じないの?」
私の問にキャロルの方こそが驚いたらしい。
「どうして?私あなたと仲良くなりたいわ、あなたさえよかったら」
キャロルの手が私の手を取る、温かで皇かな手。何にもましてキャロルからは温かな日の光のようなものを感じてしまう。
「あなただけよ、私が泣いても責めないで親切にしてくれたのは。ナフテラだって、
メンフィスの言うとおりなさいって言うだけなんだもの。」
キャロルの様子が私の警戒心を溶かしてしまう、勿論風もキャロルは怖がらなくていいと教えてくれてる。
「あなたの名も聞いてなかったわね、なんていうの?」
いいのだろうか?私の決まった日常が変化していく・・・・・。
でも私もそれを望んでいるのかもしれない。
「私の名はハプト・・・・。でも皆はただ巫女と呼んでいるわ。」
続きカモーン
>>祈り作家様
メンフィスの登場が待ち遠しいです。わくわく
他作家様&新人作家様もご降臨おまちしてます♪
毎日何か読めて幸せ〜〜〜つくづくありがトンです
連載中の作品は勿論のこと、何か新作があるかもしれないという予測不能な
状態の状態はワクワクしますね。
作家様達〜楽しみですーー。
>96
5
キャロルは時折この神殿にやってきて、私と取りとめのない話をしていった。
ファラオが横暴で威張ってばかりだと、私に膨れっ面を見せたかと思えば、
神殿にある神々の像や壁画について尋ねたり、その表情は豊かで見ているのは楽しかった。
キャロルの朗らかで明るい声は、私の中にもこんな感情があったのかと驚くほどに
我慢しきれないで笑い声が口から飛び出した。
「待って、キャロル、ナフテラ様がお見えだわ」
キャロルの話を遮って私は神殿の入り口へ向かい、ナフテラ様がお見えになるのを待った。
じきナフテラ様が果物を載せた皿を持ち現れた。
「息災ですか?ハプト」
穏やかな表情は昔私を拾われた頃とお変わりがない。威厳があって慈愛に満ちたお顔立ち。
「はい、ありがとうございます、ナフテラ様」
「ちゃんと食事していますか?無理はしてはいけませんよ、これはそなたに」と
果物を渡された。
お優しいお心遣いを示してくださるのはこの方だけだ、といつも感謝している。
「まあ、キャロル、こんな所にいたのですね、ウナスが探していましたよ!」
キャロルの姿を見つけてほんの少し声音が厳しいものになった。
「でもナフテラ、今はメンフィスはいないじゃない、少しくらい私だって自由に過ごしたいわ。」
キャロルが私の方を助けてくれと言わんばかりの目で見るので、私は口を挟んだ。
「ここなら誰も参りません、キャロルも息抜きに来てるだけのようですし、どうかおとがめなさいますな。
それよりも何か私に御用ではありませんか?」
その言葉に仕方ないとでも言うように溜め息を一つ吐かれたナフテラ様は、私に向き直り問われた。
「そうそう、ミヌーエは何時ごろ戻るかと思うて。」
風がすうっと頬を撫でる、私の脳裏にミヌーエ将軍が馬に跨ってる姿が見えた。
「先ほどお発ちになりました、日が暮れるまでにはお戻りでしょう。」
ナフテラ様はキャロルを連れて宮殿に戻ろうとしたけれど、キャロルが嫌がるので、じき戻るように言い含めるとお帰りになった。
「ねえ、ハプト、あなたの力は一体なあに?」
二人きりになるとキャロルは話を切り出した。
それは私達が今まで触れずにいたことだった。
6
「・・・・風はこの世の出来事を全て知っているわ、それにとってもおしゃべりなの・・・・。」
私は自分のことをキャロルに語った。
キャロルは吸い込まれそうな青い瞳で私を見つめ、真剣な表情で聞いていた。
「ハプト、私の事も話していい?私怖いわ、この世界に来てから、私は自分が知ってる歴史の知識の所為で、
神の娘だと言われてるのよ、全然そうじゃないのに。私はただの学生なのよ、
なのに、みんなを騙しているみたいで、とても辛いわ。」
悲痛な声音だった。キャロルはとても罪悪感に苦しんでいるようだった。
「汚水を清水に変えたとか、メンフィスをコブラの毒から救ったのだって、たまたま薬を持っていただけなのに。
そのせいでみんなを騙してる、メンフィスだって私に侍女になれって・・・。
ただこの髪と目のせいで珍しがってるだけ。誰も私を分かろうとはしない。」
私にはどうしてよいかわからなかった。これから先の未来が分かるわけでもない、
人の心が読めるわけでもなく、癒してあげられるわけでもない。
本当に何の力もないのだ、改めて思い直した。
「・・・私には何の力もないわ、でもファラオがただ物珍しいだけで、あなたを側に置いてるわけではないと、風が話してる。
あなたが優しくて思いやり深いからよ。私もあなたが好きよ。風もあなたが好きみたい。
辛い事も在るかもしれないけど、あなたのその心がある限り、いい風が吹くわ。」
私の声とともにふわっと暖かく抱かれるように良い香りのする風が私達を包んだ。
「ほらね」
風が優しくキャロルの金色の髪を弄ぶ姿に、私の口元も綻んだ。
「・・・・・ありがとう、ありがとう、ハプト!私もあなたが好きよ。」
先ほどまで泣きそうな表情は何処へいったのか、キャロルは嬉しそうな笑顔を浮かべ、
風と戯れるように手を振りかざしていた。
幼い子が遊ぶようなその姿は私まで楽しい気持ちにさせてくれた。
けれでもほんの少しだけ、私は体がだるくなったのを感じて、壁にもたれかかったのだ。
そんな事は初めてだったが、キャロルの笑顔がそれを忘れさせてしまった。
皆さま〜!
ダイジェストサイトさんが更新してますわよ〜!
管理人様、ありがとうございます!
>102
報告ありがd!さっそく行って来たよん。
>LOVE作家様
完結させて頂いてたんですね。最後まで読めて嬉しいです。
ダイジェストの更新記録に「LOVE完結」の文字を見たときはもう・・・。
お疲れ様です、また是非新作も楽しみにしていますね。
>祈り作家様
大量うpありがdです。
今後の展開が楽しみです。
>>89 翌朝。
激しい雨音と体に響く雷鳴にキャロルは気だるい眠りから目覚め、うっすらと瞼を開けた。
睫毛の先に、自分を見つめる黒い瞳を見つけた彼女は、柔らかな微笑を返す。
「ひどい雷雨ぞ・・・稲光で目を覚ましたか?」
目の前にある美しい男の顔も、ゆっくりと彼女に微笑みかける。
愛しげに頬を撫でる大きく優しい手。
「そなたを・・・やっと私のものにした。
どれ程に・・・そなたを求めてきた事か」
メンフィスは自分の胸にかかる黄金のホスルの胸飾りを外すと、それをキャロルの首にかけてやった。
ずっしりと重い、ファラオの印。
王家の紋章が中央に刻印されたそれを、キャロルは手に取ってまじまじと見詰めた。
「それをそなたに与える。
そなたは・・・もはや私の妃となったのだ。今後は私の妃の証として、それを身につけよ」
メンフィスはキャロルの唇を啄ばみながら、黄金の柔らかい巻き毛に指を差し入れ、指先に絡めて弄ぶ。
口づけだけでも息を甘く弾ませるキャロルに、メンフィスの体は早くも反応を示し始めた。
メンフィスは軽く舌打ちし、キャロルから唇を離した。
「・・・まだ・・・まだ足りぬ・・・!
しかし・・・そなたの体を慈しんでやらねばならぬ。あまり私を惑わせるな・・・」
メンフィスはキャロルから体を離し寝台から抜け出すと、昂ぶる自身を何とか宥めながら、衣装を身につけた。
キャロルは寝台に横たわったまま、均整の取れたメンフィスの後姿を眺めた。
流れるような艶やかな黒髪に覆われた、筋肉質の背中。引き締まった腰。
そして短い衣装の裾から真っ直ぐに伸びるしなやかな長い脚。
メンフィスの何もかもが愛しい。
何もかもが心を捉えて離さない。
キャロルは自分がどれ程メンフィスを愛していたのかを改めて自覚する。
部屋を出て行こうとするメンフィスを見て、キャロルは思わず起き上がろうとしたが、体が重く力が入らない。
メンフィスの手が優しくキャロルを制した。
「おお・・・無理を致すな。そなたは、今日は一日寝ておれ。
私は今から出かけるが、夕刻までには戻る。
それまで大人しくしておれ・・・良いな」
メンフィスはキャロルの頭を抱き寄せて、再び唇を重ねた。
これが最後の口づけかも知れない。
キャロルは胸の中で彼の名を呼んだ。
瞼の裏を熱く濡らす涙を見せぬように、メンフィスの背中を強く抱いて、その愛しい名前を心で呼び続けた。
なかなか唇を離そうとしないキャロルに、メンフィスは嬉しくも困惑し、優しく諌めた。
「キャロル・・・離せ。もう、行かねばならぬ」
縋りつくような青い瞳の真意を知らぬメンフィスは、そんなキャロルをただ愛しいと思う。
だから、情熱の冷めやらぬ熱い瞳で彼女を見つめずにはいられない。
まだ熱さの残る体を抑えて、優しくキャロルの肩を抱く。
「十分に体を休めよ・・・。
今宵もまた・・・そなたが欲しい・・・!」
キャロルは目を閉じて、静かに頷くしかなかった。
愛しい娘の姿を瞳の淵に映しながら、メンフィスは翳りのない笑顔を残して天幕を出て行った。
その逞しく雄々しい男の背姿は、今のキャロルにはただ眩しかった。
涙で目の前が滲むほどに・・・眩しかった。
―――さようなら・・・メンフィス―――
>LOVE作家様
夢中で読みました。幸せな王子に私までもが幸せな気持ちになりました。
完結してくださって本当にありがとう!
最後まで新鮮で斬新な設定にわくわくしました。
本編でもこんな結末ならどんないいいか・・・!(ありえないですね)
王子信者の夢をかなえてくださったかのようでした。
次の作品もお待ちしております・・・
メンフィスは降りしきる雨の中、王子を監禁している天幕へと足を向ける。
(キャロルは私の胸へ戻った!!私の妃となった!!
――もはやイズミルに用はない。
後はあの忌々しい男の息の根を止めるだけぞ。
ええい!何度思い返してもはらわたの煮えくり返る・・・どうして殺してくれようか!)
キャロルは涙を拭いて、重たい体を起こし衣装を纏った。
鉛のような不安が胸に渦巻いてのしかかる。
(王子・・・どうか、生きていて!
あなたの命だけは何としても助けるわ・・・!)
しかし、どれほどに王子を助けたいと願っても、彼の居場所も、生死すらも彼女には知る術がない。
それでも、行かねばなるまい。
これだけは、やり遂げなければならない使命なのだと、キャロルは自分に言い聞かす。
イズミルを探して救い出し、無事を見届けさえすれば・・・その後は姿を消すだけ――――
キャロルがベールで顔を覆った時、外に轟くような馬蹄の音と兵士達の雄叫びがこだました。
叩きつけるような雷雨の音に入り混じり、外の様相は混乱を極めていた。
「なっ・・・何が起こっているの?!」
キャロルが天幕の外へ飛び出そうとした時、数人の兵士が雨と共になだれ込んで来た。
「きゃぁぁぁっ!!」
「姫君・・・お助けに参りました!」
エジプト兵の甲冑を身に纏ったルカは、そう言いながらキャロルに微笑んだ。
「あ・・・あなたは・・・」
「さあ、早く!
王子のご指示で、奇襲をかけました。
もともとエジプト陣営には我らの兵士を潜ませておったのです。
ぐずぐすしてはいられません!
エジプト軍の大軍には、今の我が軍の兵数では敵いません。
王子はご無事です。後はあなたを救出すれば、我々はすぐに撤退して引上げます!」
「あ・・・あの・・・待って!待って!!」
キャロルの狼狽を物ともせず、ルカは強引に彼女の手を引き、エジプト兵に変装した数名のヒッタイト兵で護るようにしながら天幕の外、降りしきる雨の中へと連れ出した。
「ヒッタイトの奇襲ぞ―――!!
何をしておるかっ!エジプト兵に扮装しておるが、数は少ない!
紛らわしい奴らめ、早く取り押さえろ!
衛兵、持ち場を固めて死守せよ――っ!!
奴らの狙いはイズミルとキャロルぞ、守備を固めよ!」
メンフィスは響き渡る怒声で兵士達に指揮を送りながら、息を切らしてでキャロルの天幕へと全力で走る。
「キャロル・・・キャロル――!!くっそうっ!!」
しかし、メンフィスが駆けつけた時、キャロルの天幕を守る衛兵は倒れ伏し、もぬけの殻であった。
「くっ・・・ヒッタイトの奴らめ・・・只では・・・只ではおかぬ――!!」
メンフィスは体を怒りに燃え立たせ、ウナスを振り返り叫んだ。
「ミヌーエ!ウナス!キャロルを探せ!!
決してヒッタイトに渡してはならぬ!!何があってもだっ!」
>>LOVE作家様
お疲れ様&ありがとうございました。最後まで読めて嬉涙です〜!!
とても面白い展開ですよね、楽しませて戴きました。
また次作を楽しみにしております。
>>記憶の恋人作家様
キャロルが離れていくと知らないメンヒスが切ないぃぃぃ。
このまま王子に奪われるのを黙ってるメンヒじゃないと思うけどね!
ラブ作家様〜。
本当にお疲れ様&ありがトンです。
一気に読めて幸せでつ〜〜。
記憶の恋人作家様〜。
本編のウナス達はへタレているので、ビシバシッと行動する脇キャラも
楽しみにしていますよ。
祈り作家様〜。
何だか優しい雰囲気のお話ですねーー。ホノボノしますー。
愛し合ってるのに別れるなんて。・゚・(ノД`)・゚・。
両方から愛されたらホント辛いと思ふ(そんな経験ないが)
最後はどっちと幸せになるのか楽しみにしてまつ。
どんな展開になるかわかりませんね。
今、ダイジェスト版で最初からまた読み直してきました。
真珠夫人よりメロドラマでいいですわ。(意味なし)
全ての作家様、毎日うp楽しみにしています。
自分ではネタも、作品もうpできない私ですが、どうかよろしくお願いします。
よく考えると王家の紋章てホント「大河メロドラマ」だよね。
大河ドラマもハーレクインも大好きだけど
やっぱし王家が一番好きなのは両方が一度に楽しめるからかも知れん。。。
一人で納得しますた。
どの作品も素晴らしいよ。
このスレにハマって抜けられません、作家様達ありがとう。。。
おや、祈り作家さまは今日はご光臨なさらずでつか〜?
あと・・・時のナイル作家さまも是非カムバック下さいませ。
このスレでもダイジェストでも、ご光臨ください〜
ぜひに〜〜〜心からお待ちしてまつ
>113 私もこのスレ中毒。
あううう〜 ぴったりはまる言葉が見つかりませぬ〜・゚・(ノД`)
・・・駆け出し作家の叫びでした(私事、お許しを)
>115
がんばれ〜!
作品うp待ってますよ〜!
>>115タン
私もたった一言がみつからず、止まってしまうことが良くあります。
そういう時は漢和辞典使うとスッキリするかも。
みんな悩みは一緒だね(^_^;)
LOVEの作家様、
最後まで読めないで終わってしまうのかな〜とがっかりしていたので、
うpありがとうございました。
思いがけない展開でとても楽しめました。このシチュエーションは王子ならでは
ですよね。これがメンフィスなら、ブチキレですね。
ありがとうございました。
今日はもううpないのですか?
>>108 キャロルはずぶ濡れになりながら、ルカとヒッタイト兵に引き連れられて山道を進む。
山道の中腹に留まる駱駝と兵士の一軍の先陣に、大柄で逞しい男の姿があった。
キャロルが身を案じ続けた、愛しいイズミルの姿が。
雨に濡れた亜麻色の髪が振り返る。
「姫・・・!!おお・・・姫・・・姫・・・!!」
男はキャロルの姿を見つけるなり、ぬかるんだ道を駆け出した。
両腕を広げ、キャロルの小さな体をがっしりとした胸の中に抱きしめる。
「姫・・・!どれほど・・・どれほどにそなたの身を案じたか・・・!
何も言うまい・・・愛しいそなたが私の許へ戻ってきたのだ」
「王子・・・無事だったのね!」
しかし、キャロルを抱き寄せるイズミルの衣装の胸の辺りには真っ赤な鮮血が滲み出していた。
「王子・・・ひどい怪我を!」
「構うな。この程度の傷ではこたえぬ。
そなたを・・・二度とメンフィス王の胸には返さぬ・・・!
そなたは私の・・・この私のものぞ!」
姫・・・そなたを今からヒッタイトへ連れて行く・・・もう二度と離さぬ!!」
容赦なく降り注ぐ雨は冷たく肌を濡らしても、彼の胸の中は暖かく心地良かった。
この胸とこの腕は、いつもキャロルをこうして暖めてくれた。
いつまでも、この胸に身を寄せていられたら・・・
しかし、キャロルは哀しく首を横に振った。
「―――いいえ、王子」
みるみる内に青い瞳に溢れる涙を、雨が洗い流してゆく。
「王子・・・ごめんなさい・・・。私はヒッタイトへは行けません・・・。
わたしは・・・今もあなたを愛しく思ってる。今も変わらず愛しています!
でも・・・それでも・・・やっぱりメンフィスも・・・同じくらい愛しているの!
誰かを選ぶなんてできない。
誰を選んでも、私は悔やむわ。きっと・・・きっと、悔やむわ!
だから・・・!
私は・・・私は・・・誰をも選ばず、一人で生きます!!」
キャロルの瞳も、唇も、声も震えていた。
しかし震えてはいても、強い意志を秘めて凛と響く声。
イズミルは断腸の思いで、キャロルを力任せに抱きしめた。
「おおお・・・・!!聞かぬ・・・そのような言葉は聞き入れぬ!聞きたくない!
私を愛しておるなら、私と共に参れば良い!
逆らっても無駄な事など、分かっておろうが!力ずくでもそなたを連れてゆくぞ!!
そなたを必ず幸せにしてやる・・・メンフィス王の事など忘れさせてやる!」
しかし、キャロルはイズミルの抱擁を腕で押さえて、彼の瞳をまっすぐに見つめて問う。
「王子、わたしエジプトでの事を全て思い出したの。
メンフィスを愛していた事・・・メンフィスを失くしたと思って・・・自殺しようとした事も・・・!
なのに、その後が思い出せない・・・!思い出せないの!
ねぇ、教えて・・・王子。
わたしは・・・どうやってメンフィスへの思いを断ち切って・・・どういう風にあなたを愛し始めたの?
あなたを愛した過程を・・・どうしてもわたしは思い出せないの」
イズミルは真摯に問うキャロルの瞳から、思わず目線を逸らした。
それは、何よりも触れられたくない傷であった。
「王子・・・わたし、あなたを愛していたのよね?崖から落ちて記憶を失う前も・・・
あなたの妃になると約束して・・・あなたのものに・・・なったわ。
メンフィスを愛してた事をまるで忘れてしまったみたいに・・・あなたを愛して・・・」
イズミルは雨に打たれながら、堅く目を閉じて眉根を寄せたまま何をも答えない。
それらの問いの前に、呼吸すら止めたかのように動かぬイズミル。
「王子・・・?」
「ほほほ・・・イズミル、焦らすのも程ほどにして教えてやってはどうじゃ?あの秘薬の事を!」
その声にイズミルとキャロルは同時に振り返る。
山道の上方から近づく駱駝の一軍の先頭には、黒いベールを纏い、剣を手にしたアイシスがいた。
イズミルは憎々しげにアイシスを睨み据える。
「ほほ・・・イズミル王子、何ゆえにそのような目でわたくしを睨むのです?
わたくしは、そなたの恋を叶えたはず・・・感謝こそされ憎まれる覚えはありませぬ!」
キャロルは王子の胸に抱かれたまま、アイシスを見上げた。
「あの秘薬って・・・何の事?」
「――教えてやりましょう、哀れなキャロルよ。
わたくしはイズミル王子に恋の秘薬を与えたのじゃ。
そなたに飲ませれば、メンフィスへの思いをすべて忘れさせる事ができる・・・
王子は最初拒んだものの・・・結局は秘薬をそなたに飲ませた様じゃな!
そして、キャロル!そなたは王子の謀にまんまと落ちてメンフィスを、ひいてはエジプトを裏切った!
・・・そうであろう?」
「だまれ!アイシス女王!!」
アイシスに向かって怒鳴った後、王子は再びキャロルに向き直り、哀しげな瞳で見つめた。
「姫。そなたに何と責められても構わぬ。
そなたがメンフィス王の後を追って自害するのだけは止めたかった!
私は卑怯者に成り下がろうと、そなたの心を欺こうと、そなたを失いたくはなかったのだ!
そなたを失うなど・・・私には耐えられぬ・・・
――私を怨むか?」
その真摯な語り口からは痛いほどにイズミルの想いの丈が伝わってくる。
その激しくも暖かな愛情は、いつの日もキャロルを守り、包み、癒してくれたものであった。
キャロルはイズミルを責める気にはさらさらなれなかった。
「王子・・・。
わたしは、あなたの側にいたら・・・いつかあなたを心から頼ってしまいそうで恐かった。
私は、それが恐くて・・・あなたに心を許す前に死のうと思ったの。
薬なんかなくても、わたしはきっと・・・あなたを愛するようになっていた・・・。
だって、わたし・・・全ての記憶を失くした後・・・すぐにあなたに恋をしたわ」
イズミルにとってそれは、何よりも嬉しく、胸を熱く鼓動させる言葉だった。
アイシスの声がそれを遮った。
「もう十分に別れは惜しんだであろう?
いや、そもそも別れなど惜しむ必要などあろうものか・・・
イズミル王子、そなたはキャロルと共にここで永遠に眠るのです!
ナクト将軍、イズミルとキャロルを殺せ!そして、ヒッタイト軍を全滅させよ!」
しかしその時、稲光が山間の空に走り、凄まじい雷鳴が響いた。
更に激しく叩きつけるような豪雨の中に、もう一人の男の声が轟く。
「姉上、イズミル――!!
貴様等・・・許さぬ・・・!!
私を・・・キャロルをたばかりおって!!・・・許さぬぞ!!」
山道の下方からはメンフィスのエジプト軍が上がって来ていた。
イズミル率いるヒッタイト軍を、上方をアイシスの軍が、下方をメンフィスの軍が包囲する。
メンフィスは威勢よく馬上から飛び降りると、剣を抜いてイズミルの前に立ちはだかった。
「私か貴様か・・・どちらかが死なぬ限りこの戦いは終わらぬ!
キャロルが欲しくば、私の腕から力で奪ってみよ!
さあ、イズミル、剣を持て!
今日こそ貴様にとどめを刺してくれるわ!!」
イズミルの瞳に青白い炎が灯る。片頬には笑みさえ浮かべて。
「ふっ・・・望むところだ!」
イズミルはキャロルを後ろに下がらせ、腰の剣をスラリと抜き取った。
「やめて・・・王子、この怪我なのに・・・!」
剣を持つ腕を必死で制しようとするキャロルを、イズミルはそっとたしなめるように押さえた。
ゆるく束ねた後ろ髪から鉄刀を取り出し、キャロルの手にそれを渡す。
キャロルは両手の中で鈍く光る短刀を見つめた。
その柄の中央に刻印されるヒッタイト王家の紋章―――
「姫、これは私の護身刀だ。私がいつも肌身離さず身につけているものだ。
――今、そなたに預ける!!
メンフィス王を倒し、私は再びそなたの元に必ず戻る。それまで、預かっていて欲しい」
イズミルはそれだけを言うと、剣を構えてメンフィスの方へ向き直った。
「メンフィス王、そなたを殺し、姫を我が手に入れてみせよう!」
「メンフィス!愚かな事はお止めなさい!
何故にそなたがキャロルの為に一騎打ちなど!!そなたはエジプトのファラオなのです!」
「だまれ!姉上!」
メンフィスはエジプト軍を振り返り、大きな声で命じた。
「一切手を出すな!
手出しする者あらば、その場で弓で射よ!
例え姉上であれ、邪魔立てする者は何者も容赦なく撃ち捨てい!よいな!!」
メンフィスと王子は向かい合い、豪雨に打たれながら激しく睨みあう。
二本の剣は凄まじい力で交差したまま、動かない。
「やめて――っ!!メンフィス!・・・王子!
もう・・・もうやめて・・・お願い・・・」
「おおお・・・メンフィス・・・・おお、アリ、誰か・・・何とか致せ・・・誰か、止めるのじゃ・・・!」
しかしキャロルとアイシスの叫びも、もはや二人の男には届かない。
もはや誰も止める事はできない。
メンフィスが斬りこんだのを皮切りに、壮絶な打ちあいが始まった。
金属と金属のぶつかる重く鈍い音が、雨音の中に響く。
じわりじわりと、メンフィスが王子を追い詰める。
矢傷を受けたイズミルの左肩が痛み出した。動く度に激痛が走り、息が上がる。
(くっ・・・こんな傷さえなくば・・・負けはせぬに!!)
アイシスは降りしきる雨の中、身じろぎもせずメンフィスの一挙一動を見守っていた。
(おお・・・何という事!
イズミルが勝っても、メンフィスが勝っても・・・
――いずれにしてもわたくしはメンフィスを失う!!
メンフィスが勝てば・・・キャロルは晴れてメンフィスのもの・・・!もはや誰にも止められぬ!)
読ませるねぇ・・・
それぞれの気持ちがわかるんだよねぇ・・
明日も楽しみ〜。
待っているよ〜。
雨の音を聞きながら(うちの方は雨なのよ)読むのは醍醐味だわねぇ・・
記憶の恋人作家様
息詰まる展開ですね!どっちが勝ってもあるいはキャロルが身を引いても
悲しいことになりそう・・・
明日が待ちきれない!
どなたかが以前書いてたけど、このお話をH先生の絵で読みたいなあ。
う〜ん、のめり込みますた。
ある意味ハァハァでつ。
ああ、メンヒスも王子もイイよー。ああーでもなんか哀しい。
>101
7
「・・・それでね、ハプト、メンフィスったらね、やっぱり痛いのを我慢してたのよ、
私がお薬をつけた布を当てた時の顔ったら!おかしかったのよ。」
キャロルのおしゃべりの対象はファラオになる事が多い。
無論お側に侍っているのだから、興味の対象となるのは避けられない事だろう。
「でもね、その後私がやっと笑ったって嬉しそうな顔するんですもの、もっと私の前で笑えって・・・。」
頬を紅く染めて恥かしそうに話す様子は、私にはよくわからないが、恋に落ちた娘のようだ。
「お、おかしいわよね、メンフィスって・・・。」
自分の金髪を弄ぶ姿は私には照れ隠しのようにしか見えなかったが、それを指摘するのはやめておいた。
可愛いキャロル、キャロルの心がファラオに傾いていっているのがよくわかる。
それでも自分を侍女として侍らせていることへの反感、そしてキャロルの言う事を信じるならば、
自分の世界ではない人間を愛する事などはしない、と戒めているのにも関らず、
それでも人の心は止められぬものでもあるのだと、返ってファラオへの恋心を募らせている・・・・。
それを止めたいと思う心と、それを許さぬ理性の間で、キャロルは人知れず苦しんでいるようだった。
「キャロル、ウナス様がお探ししているわ、何か約束があったのではなくて?」
風が囁いた事を告げると、キャロルは大急ぎで身仕舞を正した。
「これから市場を見せてもらう約束なのよ!帰ってきたらまたくるわね。」
私に手を振りながらキャロルは入り口へと向かった。
「気をつけていってらっしゃい、他国からの客人も多いから」
「わかったわ、じゃあ、いってくるわね!」
足取りも軽く裾を翻してキャロルは駆けていった。
キャロルを見送りながら、不安を胸が過ぎっていくのを感じないわけにはいかなかった。
でも、キャロルの周りにいらっしゃるナフテラ様もウナス様も、そしてメンフィス様もきっと同じように感じていらっしゃるだろうと想像すると、
まるでやんちゃな子を持った母親のような立場に思わず一人クスクスと笑えてしまった。
8
「キャロル!行ってはだめ!」
キャロルが何者かに連れ去られる場面が脳裏に浮かんで、私は驚いて寝台の上に起き上がった。
なんと言う事!キャロルを連れ去った男はヒッタイトの王子だったのだ!
風が囁く、キャロルは船に乗せられ、ヒッタイトへと連れ去られようとしている!
ああ、どうしたらいいのだろう?
キャロルは茶化して笑っていたけれど、ファラオがキャロルを手放す気がないのは周知の事実だ。
憎からず思って、いや、王妃にしようとさえ思っているのだと皆が噂してるのも知っている。
あの炎のようなファラオなら相手が誰であろうと、キャロルを取り返すに違いない。
大群を引き連れヒッタイトに攻め込むのも躊躇しないはず。
戦が起こるわ、キャロルの為に。一体私に何ができるだろう・・・・。
どうしていいかわからないで途方にくれていた時、風がいつもより荒々しく告げた。
この神殿に人が向かっている、ナフテラ様が大急ぎで向かわれている。
寝台を降りて入り口に向かわなければ。
「ハプト!ハプト!キャロルはどこです!?夕方から姿が見えないのです!
あなたのところならよいのですが・・・・。キャロルのいた部屋の周りで衛兵が殺されてるのです!
キャロルはどこです!?」
ナフテラ様が矢継ぎ早に問い掛けられる、キャロルを心配されて、お顔の色までなくされている。
どう答えようかと戸惑っている私の顔を見て悟られたのだろう、ナフテラ様の表情が凍りついた。
「・・・いないのですね?おおっ、一体どこへ・・・・。無事ならば・・・・。ハプト、そなたなら分かるはず!
キャロルはどうしたのですか?」
どうしよう・・・。私の言葉一つで戦になってしまうかもしれない。でも事実を告げないわけにもいかない。
「・・・・ナフテラ様、キャロルが・・・・ヒッタイトへ連れ去られました・・・・。」
すみません、129にタイトル入れ忘れました。
>131
ドンマイ。。。
ハプトの目線からのストーリーが新鮮ですね!
キャロルの心はどうなってしまうんだろう?わくわく・・・
>祈り作家さま
ハプトとメンヒス様の活躍が楽しみ。
メンヒスものだとオモテましたが、もしかすると王子がかっさらうんでしょうか?
>記憶の恋人作家さま
4人の思いが複雑にからみ合っていて続きが気になる〜
情景と心の動きの描写が、なんともいえないムードを出してるよぅ。
>涙の日作家さま
週末の楽しみができたわん!
今週末も、うp待ってますね〜。
新作も楽しみにしておりますぞ〜!
>>124 アイシスは剣を手にしたまま、目の前のキャロルの後姿を食い入る様に見詰めた。
胸の前に両手を合わせ、祈るような仕草で二人の男の戦いを見守るキャロル。
(そうじゃ・・・お前が・・・お前が死ねば良いのじゃ、キャロル!
お前に奪われるくらいなら、むしろメンフィスに憎まれた方が良い!!
嫉妬の炎で悶え死ぬならば・・・いっそメンフィスの怒りで焼かれたい・・・!!)
アイシスは剣の柄を握りしめ、鞘から刀身を抜き取った。
エジプト、ヒッタイト両軍の見守るなか、メンフィスとイズミルの戦いはますます熾烈さを増していく。
勢いづいて豪胆な剣の使い手であるメンフィスとは対照的に、イズミルは冷静かつ技も巧みに剣を振るう。
両者ともに、並びなき武芸の達人と呼ばれた男達。
一瞬の気の緩みが命取りになる。
瞬きひとつ許されぬ、命を賭けた勝負であった。
しかし、メンフィスの力強い一刀を払う度に、イズミルの肩は疼きだす。
メンフィスはイズミルをじりじりと壁際に追い込み、ついに鉄製の剣を薙ぎ飛ばした。
剣はイズミルの手を離れ、固い音を立ててどしゃ降りの地面に落ちた。
メンフィスの黒い瞳に勝利を確信した残酷な笑みが浮かぶ。
「イズミル!覚悟――!!」
しかしその時。
イズミルの喉許に剣を突き下ろそうとしたメンフィスの目の端に、アイシスの姿が映る。
「姉上――!よせ―――っ!!」
アイシスが狙いを定めてゆっくりと振り下ろした剣の切っ先を止めたのは、他ならぬメンフィスの体であった。
渾身の一刀は、キャロルの背ではなく、メンフィスの心臓を貫いていた―――
キャロル、アイシス、エジプト兵士の叫びが喧騒となり、幾重にも重なり合う。
「メンフィス・・・メンフィス・・・メンフィス・・・・・・・」
キャロルの腕の中で、メンフィスは彼女の顔を見上げた。
何度も自分の名を呼びかける、愛しい娘の顔を。
黒曜石の瞳は、最期の瞬間までキャロルを見つめて愛しげに輝いていた。
唇は何かを呟こうとしていたが、それはついぞキャロルには届かなかった。
しかし、その口許は最期に儚い笑みを浮かべた。
それは、愛する者を護った男の誇りに満ちた笑みだったのか。
それとも愛する者を残して逝かねばならぬ、無念と諦めの笑みだったのか。
震える手でキャロルの白い頬をそっと撫でたあと、メンフィスのその手は力なく地面に落ちた―――
「メンフィス―――!!」
キャロルの絹を裂くような叫びと同時に、一際大きな雷鳴が響き渡り、大地を揺らした。
上方を見上げていたルカが王子に向かって叫ぶ。
「いけません!王子!山が崩れ始めました・・・土砂崩れが起きます!」
王子は機敏に身を起こし、メンフィスの体を抱いたまま放心するキャロルを引き離すと、その腕の中に抱きしめた。
しかし、すでに土石流は山上から大きな波のように、アイシスの軍を飲み込み始めていた。
「アイシス様・・・アイシス様―――!!」
メンフィスの遺体の前に呆然と立ち尽くすアイシスを、アリは渾身の力で揺すった。
何もかもが黄土色の土砂に飲み込まれ、雷鳴と豪雨の中に消えて行く。
混沌とした濁流は谷間を流れる支流を下り、長い流れを経て、滔々たるナイルの本流へと流れ込む。
渦巻く水流の中でイズミルは、キャロルを抱く腕を決して放すまいと必死で戦った。
しかし、激しくうねる土色の濁流は自然の驚異であり、その前においては人間の抵抗など取るに足りない虚しいものであった。
荒れ狂う激流はイズミルの手からキャロルを掠めるように奪い、増水したナイルの流れに呑まれて彼女の体は小さく消えていった。
イズミルの手の中に残ったものは・・・彼女の髪を留めていた小さな黄金の髪飾り。
ただ、それだけであった―――
――――7年後――――
「キャロル、応接室へおいで。
アンカラからオスディミール博士が来られたんだよ」
ライアンに連れ立って、キャロルはリード邸の応接室へと足を運ぶ。
応接室のソファには、初老の老人が。トルコ考古学界の権威と言われるその老人は立ち上がり、優しくキャロルに向って微笑みを見せた。
「やあ、キャロル嬢。あなたのお話はブラウン教授からよく聞かされたものだ。一番弟子だってね。
いや、何。私が昨年発掘したヒッタイト遺跡の埋蔵品の展示会をリード・コンツェルンの主催でこのカイロで催そうかという話の運びになっいてね。
最近になって分かった事なんだが、以前にブラウン教授と君達が王家の谷で発掘した墓の主はメンフィス王というんだ。
ブラウン教授のその後の熱心な研究で、彼にまつわる色々な事が解明したよ。
なんとね、奇遇な事に、メンフィス王と私が発掘したイズミル王はまさしく同じ時代を生きた王達なんだよ」
(メンフィス・・・イズミル・・・)
キャロルはそれらの名前を胸の中で反芻した。
「とても面白いんだ。両者の埋蔵品や宝物を合わせて見てみると『ナイルの娘』という乙女の存在が浮かび上がってくるんだよ。
彼女にまつわるものがメンフィス王の方にも、イズミル王の方にも数多く残されている。
メンフィス王もイズミル王もその『ナイルの娘』に恋し、奪い合ったという史実が見えてくる。
――しかしどちらの王も、結局は『ナイルの娘』を手に入れられなかった。
『ナイルの娘』をかけての戦いの最中でメンフィス王は亡くなった。
ではその後、イズミル王が彼女を手に入れたか・・・と言うとそうではないんだ。
彼女は消えてしまった。
彼女は突然エジプトに現れ、そして突然消えた。誰も彼女の生まれも死も知らない。
そして、その乙女は、黄金の髪、白い肌、ナイルのような青い瞳・・・だったそうだ。
不思議だね。あの時代のエジプトにそのような乙女がいたなんて。
・・・まるで、君みたいじゃないか。キャロル君?」
温厚に笑う闊達な学者の語る史実に、キャロルは何故か不思議な懐かしさで胸が騒ぐのを感じた。
(メンフィス・・・イズミル・・・ナイルの娘・・・)
そこで、ライアンが口をはさんだ。
「まあ、そんな訳でだ。一人の乙女を奪い合った二人の王というのをテーマに、エジプト展とヒッタイト展を一同に開催しようと思っているのさ。
キャロル、お前も考古学には造詣が深かったのだから、オスディミール博士とブラウン教授を手伝ってくれないか?
この催しは必ず成功し、わが社の強大なPRになるはずだ。世界的な反響を巻き起こしてやるぞ!」
「キャロル君、我々はこの研究を深くつき進めてゆく。
君が考古学を止めてしまってブラウン博士はとても残念がっていたんだよ。
もう一度、考古学をやってみないかい?
是非、今回の展示会だけと言わず、今後も助手として我々のプロジェクトに参加してくれたまえ」
キャロルは深い物思いから顔をあげて、明るく微笑んだ。
もう、長い間、キャロルは考古学には携わっていなかった。何故か、かつてあれ程入れ込んでいた古代の歴史に触れる気になれずにいた。
だが、今回のプロジェクトはキャロルの激しい興味を引き立てる。
「・・・はい、わかりました。喜んで!」
キャロルの明るい返事に、博士もライアンも満足そうに頷いた。
「では、キャロル君。早速だけど、この書類に目を通しておいてくれないか?
発掘された埋蔵品、それと二人の王と『ナイルの娘』に関するレポートだよ。
まだ学会にも発表していない極秘情報も含まれてるが、君は我らの助手だから特別さ」
片目だけを瞑り、皺の多い顔を悪戯っぽく崩して老人は笑ってみせた。
キャロルがその書類を手にとった時、二人の少年達が取っ組み合いをしながら応接室に転がり込んできた。
同じ年頃の二人の少年をキャロルは叱り付ける。
「やめなさい、二人とも!お客様の前でしょ!」
キャロルは立ち上がり、喧嘩をする二人の子供の間に割って入った。
「おお、これはこれは。威勢のよい坊ちゃん達だね。キャロル君の息子さん達かい?」
「ええ、そうです」
キャロルは少年達をそれぞれ腕で抱き寄せながら誇らしげに答える。
母親としての幸せに満ちた輝かしい笑顔であった。
「こら、やんちゃ坊主達。また怒られたな!
こちらはオスデミィール博士だよ。トルコの考古学博士だ。偉い博士なんだよ。ちゃんとご挨拶しなさい」
伯父らしい態度でライアンは二人の少年を促した。
―――なんと美しい子供達だろう!
博士の目は一瞬、驚きで見開いたままになっていた。
「この子がメイス・・・そしてこちらがイミルと言います。」
キャロルの紹介が終わるやいなや、見るからに威勢のよさそうな黒髪の少年が凛々しい黒曜石の瞳を煌かせて博士の前に飛び出す。
続いて、少しウェーブのかかった亜麻色の前髪を靡かせて、涼しげな琥珀の瞳の少年が礼儀正しく挨拶をする。
博士は少年達に大きな手を差し出し、握手を求めて穏かに微笑む。
「こんにちは。おや、どっちがお兄さんなんだい?」
彼らは声を揃えて答える。
「僕らは双子なんだ」
「・・・この子達は双子なんです。二卵性の。だから、全然似ていないでしょう・・・?」
そう答えるキャロルの腰にまとわりついて甘える少年達。
確かに双子とは思えない。肌の色も、顔立ちすら共通するものは何も無い。
どの民族の血を引いているのだろう・・・?
メイスは褐色の肌。イミルはもっと明るいオリーブ色の肌をしている。
しかし、博士は少年達がそれぞれ手にしているものを見て、思わず大きな声をあげてしまった。
「こ、これは・・・?!」
黒髪のメイスの手には黄金のホルスの胸飾りが、琥珀の瞳のイミルの腰には鉄製の短刀が。
「ちょっと見せてくれないか!・・・これは、本物ではないか。この造りは最近のものでは無いな。
調べてみなければ何とも言えないが・・・いや、この紋章は・・・古代王家の・・・!
キャロル君、これをしばらく預からしてもらえないか?」
「だめだよ!これは僕達の宝物だ!!」
声を揃えて言う二人の少年達。
それぞれの宝物を手の中に握り締め、決して渡すまいとする。
「すみません、博士。この子達、これらを絶対手放そうとしないんです。
この子達の父親の形見なのかも知れないんです・・・」
キャロルは丁寧に博士に断りを申し出た後、一緒に外で遊んでくれとせがむ子供達の手を引いて庭へ連れだした。
部屋に残ったライアンは煙草の紫煙を薄く吐き出しながら、博士に向かって静かに語りだした。
「―――妹は、不思議な運命に生きる娘なんです。
私達がメンフィス王の墓を発掘して以来、キャロルは度々姿をくらました。
世間では王家の呪いと噂され・・・
長く行方不明だったキャロルが7年前にナイルの下流で見つかった時にはすでに、あの子達を宿していたのです。
姿をくらましていた時の記憶は何も覚えておらず、子供達の父親もわからない。
手がかりといえば、その時キャロルが身につけていた衣装・・・それと・・・さっき子供達が手にしていたあの黄金のホルスと短刀だけでした。
まるで―――古代の姫君のようないでたちでしたよ」
ライアンは一旦言葉を切った。
煙草を灰皿に押し付けて火を消しながら、また話を続ける。
「僕達の反対を押し切って、キャロルは父親の知れない子供を生みました。
・・・あの二人の子供達はキャロルにはあまり似ていない。
おそらく父方の血を色濃く受け継いだのでしょう。
しかし、不思議なことにメイスとイミルは顔立ちも・・・髪や肌の色も・・・性質や気性さえも全く異なるのですよ」
博士はゆっくりと頷きながら、話を聞いていた。
「どちらの息子さんも利発で、素晴らしく美しい子供達だね。いや、・・・何と言うんだろう。
まだ小さい子供だというのに、生まれながらの威厳のようなものを感じさせるよ。
キャロル君が誇らしく思うのも無理も無い・・・どんな青年になるんだろうね、将来が楽しみだ。
・・・今のキャロル君はとても幸せそうだ。
とても、そんな数奇な辛い過去があったなんて思えない」
ライアンは目を伏せて穏かに微笑んだ。
「そう。僕はキャロルはとても辛い目にあったんだろうと・・・ずっと、そう思っていたんです。長いことね。
キャロルはあのホルスと短剣を見る度に、訳もなく涙を流していたから。
キャロルと愛し合った男が誰なのか、どこにいるのか。
生きているのか、死んでいるのか。
それすら分からない。
けれど・・・幸せだったのかも知れない。
今のキャロルを見ているとそう思います。
失くした記憶の中の男を、子供達の父親を、今でも深く愛しているんだろうと思うんですよ。
きっと、幸せだったに違いないと・・・思ってやりたいんです」
「―――幸せだったんじゃないかね・・・?
子供達を見るキャロル君の目は、とても穏かで優しい。
子供達と彼らの父親への愛に溢れているように見えるよ」
「ええ、そうですね・・・」
ライアンは目を伏せたままゆっくりと頷き、そこで二人の会話は途切れた。
午後の陽射しがふりそそぐ応接室の大きな窓からは、庭の芝生の上を駆け回る二人の少年と、それを見守るキャロルの姿が見える。
博士とライアンは言葉を忘れたかのように黙ったまま、彼らの姿を目で追っていた。
帰り支度を整えた博士は、見送るライアンと共にリード邸の正面玄関のポーチに降り立った。
庭から二人の子供達と手を振り見送るキャロルの姿に、なぜか『ナイルの娘』のイメージを重ねてしまう自分に、博士は思わず苦笑した。
その夜。
暖炉の前で博士から手渡された分厚いレポートを読みふけるキャロル。
オスディミール博士とブラウン教授の研究と分析による偉大な功労の賜物。
そこには、単なる歴史の解説ではなく、激動の時代に生きた男と女の物語が垣間見える。
ナイルの娘は突如エジプトに姿を現し、メンフィス王の寵を得る
メンフィス王とナイルの娘の婚儀にあたり建立された神殿、大火により消失す
当時ヒッタイトの王子であったイズミル王、ナイルの娘を奪取
ナイルの娘を奪回すべくメンフィス王、挙兵
その戦の渦中にメンフィス王、死去
戦の混乱の中、ナイルの娘、その姿を消す
戦の後、イズミル王、正式にヒッタイト王国の国王として即位
ナイルの娘を捜索する軍を度々に渡りエジプトに派遣す
数年の後、ミラ妃を正妃として冊立
アナトリアの名君として名を残すも、アッシリアやエジプトとの度々に渡る戦乱の中、戦死
アイシス女王、バビロニアのラガシュ王と政略による婚姻をなす
しかし、政権をめぐる陰謀で何者かの手により毒殺される
ナイルの娘が再びエジプトに姿を現す事は無く――――
頭の中にどこかで聞いた喧騒とざわめきが遠く響いて、キャロルは思わず頭を両手で押さえた。
レポートの文章の行間に、何かの光景が見えるような気がして目を瞑る。しかし何も見えてはこない。
部屋の中で遊んでいたメイスと本を読んでいたイミルは、そんなキャロルの様子を心配し、すぐに膝元に駆け寄ってきた。
小さな息子達は、いつも母親の様子を気遣い守ろうとする。
まるで、姿の知れぬ父親にかわって、キャロルを全ての物から守ろうとするかのように。
キャロルは心配そうに顔を覗き込む子供達を胸に抱き寄せて、それぞれの頬に口づけを与えた。
黒く強い光を瞳に湛えるメイス。激しい炎のようなメイス。その激情は止まることを知らない。
琥珀色の涼しげな瞳のイミル。穏かで優しく怜悧でありながら、メイスにも負けぬ激しさを併せ持つイミル。
二人の息子達。
(愛しているわ・・・かけがえのないメイス・・・イミル・・・あなた達を)
今宵は一段と、我が子が愛しく思えてならない。
キャロルはレポートがバサバサと足許に落ちて散らばってゆくのも構わずに、二人の子供達を強く両腕に抱きしめていた。小さな彼らの体温と鼓動をいつまでも感じていた・・・
「いやあ、お疲れさんじゃった。何とかこれで落ち着けるな」
「いやいや、大変なのは明日からですよ。ブラウン教授。」
「その通りですね。明日は世界各国からの報道陣と見物客の応対に追われるでしょうからね。
ツタンカーメン以来のセンセーションですよ、どちらの王の墳墓も一切の盗掘を免れて完璧な状態で残っていたのですからね!」
煙草に火を灯し、ライアンは細く長い煙を吐きだした。
「しかし、キャロル君の貢献度は高かったよ。
君の洞察と推測は素晴らしい・・・我々の研究にはもはや無くてはならない貴重な人材だよ。
僕はね・・・笑わないで聞いてくれ給え・・・何故かいつも君の姿に『ナイルの娘』を重ねてしまうんだよ。」
オスディミール博士は少し照れたようにキャロルに微笑みかける。
「まったくじゃ!わしと博士があと20年も若けりゃ、メンフィス王とイズミル王のように奪い合ったかもしれんのう」
ブラウン教授のいつもの調子に皆が笑った。
「いくら何でもこんな老いぼれ二人じゃ、キャロル君に悪いよ。
この小さな『二人の王』に怒られてしまうよ!」
博士はそう言いながら、厚みのある大きな手でメイスとイミルの頭を撫でた。
皆は一瞬の間、笑いを止めて彼らの凛々しい双眸に見入った。
小さな二人の王―――
そう、小さな彼らにはそう呼ばれるに相応しい、何人にも犯し難い不思議な気高さがあるのだ。
「本当に・・・小さな王者じゃな!わしの負けじゃ」
おどけるブラウン教授に、博士もキャロルもまた笑った。ライアンも煙草を口端に咥えたまま、クスクスと笑う。二人の子供達も無邪気な笑顔を見せていた。
すべての準備を整え終わった、オスディミール博士、ブラウン教授、ライアン、そしてキャロルと子供達は、改めてゆっくりと会場内の展示品を見て回った。
『エジプト・ヒッタイト展―ナイルの娘と二人の王―』という題目で、いよいよ明日から世界へ向けての公開となる。
エジプト・ヒッタイト両王朝の繁栄をありありと物語る贅をつくした宝物、生活様式を偲ばせる調度品が磨きこまれたガラスケースの中にひっそりと佇んでいる。
三千年の歴史を越えて、明日、再び日の目を浴びるのだ。
会場内はどこか厳粛な空気と静寂に満ちていた。
中央にはメンフィス王の黄金のマスクとイズミル王の胸像と甲冑が、互いに向き合うような形で並べられている。
古代に名を馳せ、若くして散った勇猛な二人の王。
一人の娘を愛し、戦った二人の男。
睨みあうように向かい合った二人の像の間に立ち、遥かな歴史に思いを馳せれば、今なお男達の熱い眼差しと息吹が感じられるようだった。
会場の一角にはナイルの娘に関する埋蔵品が一同に並べて展示されている。
いずれの王の妃になり得なかった彼女に関する遺品が、王の屍と共に手厚く埋葬され、この様に後世に残ったのは奇跡的であると言える。
家臣達からの信望の厚さ、そしてそれぞれの王の寵の深さの賜物であろうか。
メンフィス王がナイルの娘に贈ったとされる、黄金の装飾品や宝玉の数々。
婚儀に向けて描かれたという未完の壁画には、仲睦まじく寄り添うファラオと娘の姿。
そして、ナイルの娘の姿が消えた後も忘れる事ができず、生涯にわたり捜索を続けたイズミル王が、彼女をしのんで作らせたと言われる陶板やレリーフ。
そこには、在りし日のキャロルの姿が生き生きと描かれていた――――
それらを前にして、キャロルは何故か静かに溢れる涙を止める事ができない。
不思議な感傷であった。哀しいような、切ないような・・・それでいて幸せであるような。
宮廷の華やかな喧騒。
燃え立つ炎の轟音。
激しく叩きつける雷雨。
男達の熱い肌。
突風のように駆け抜けては、一瞬にして深い記憶の底へと沈みゆくそれら。
遠い歴史の果てから、記憶の中の恋人達が呼ぶ声がする。
目の前に、白い砂漠と青い空の融合する遥かな地平線が広がるような気がする。
地平線の彼方から風に流れて聞こえた砂漠の民の唄は、こんなだっただろうか。
―――だれにこそ告げん・・・・・
わがケメトに ソティス星 現われし時
黄金に輝ける乙女 イテルの岸に立つ
そは イテルの女神 ハピの産みし娘なり―――
ライアンがキャロルの頭を抱いて、そっと胸に寄せた。
母親に寄り添い、その様子をじっと見守るように見上げるメイスとイミル。
キャロルは愛しい子供達の小さな手を握りしめ、ライアンの胸の中で、声も立てずに泣いた。
失った空白の日々のなか、誰かを愛した。
たしかに、たしかに誰かを心から愛したのだ。
二人の王の像がキャロルの後姿をそっと見守っていた。
会場の照明を受けて、少年達の手の中で黄金のホルスと白銀の短刀が鮮やかな光を放っていた。
それは、遥かな時を超えて今なお変わることなく――――
―終―
出張などの都合で、残りをすべて今日うpさせて頂きました。
大量になってしまいすみません。
150話近い長いお話にお付き合い下さいまして有難うございました。
そして、再開後も暖かく見守って下さった方、寛大にスルーして下さった方、感謝を申しあげます。
ハッピーエンドと言えるのかどうか分かりませんが、二人を子供という形で同時に愛する事ができるキャロルは幸せなハズと言う事で完結です。
ですが、実は番外編でエジプト家臣達とイズミル王子のその後のお話が15話ほどあるのです。
本当に長くてすみません。それをもって、完全に終了いたします。
何とか最後までうpする事ができたのは、皆様のお陰と、やはり遠い約束作家様が最後まで完結されたことが大きいです。
もし遠い約束作家様まで途中で終わるようなことがあったら、私は間違いなく再開できずにそのまま終わっていただろうと思います。
最後まで書く勇気を与えて下さいました。
LOVE作家様も完結されて良かったです。私も楽しませて頂きました。
新しく連載中の作家様たちも頑張って下さい。いつも楽しみにしております。
では、本当にありがとうございました。
記憶の恋人作家様お疲れ様でした〜。
| >516
|∧∧ お茶ドゾ。
|,,゚Д゚)
⊂ノ ∬
| 旦
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
番外編も楽しみにしております。
すっごいです! 感動しました。こんな結末だとは予想もできませんでした。
本当に本当に楽しめました。
番外編も楽しみにしています。 また次回作もよろしくお願いします。
ああ、今日は何となく良い日です。
>記憶の恋人作家様
完結してくださってありがとうございました。
番外編も是非読ませてください。
本当に、本当に読めてよかった!
2回読み直して2回ともうるうるしてしまいました。
どっちも選べなかったけど、二人との子供という形で幸せは残ったのですね。
予想外の結末で驚きと感動でいっぱいです。
素敵な小説をありがとうございました。
番外編も楽しみです。(成長した子供たちのお話も読みたいなあ・・・←欲張り)
壮大なお話、ホントにありがd&乙かれ様です!!!
特に現代に帰ってきてからのお話はもう…泣けました。
未完成の壁画とか二人のカタミとか…(泣)
メンヒスと王子も最後までカッコ良かった〜
哀しいけど幸せな読後感にひたっていまつ。
番外編是非よろしくです〜王子のその後、すっごく気になる〜〜
ああ、挿絵入りで本にしてもらいたいよ。
でも、悲しい結末だな〜、二人共愛してしまったら仕方ないんだろうね。
ただでこんなすごいの読ませてもらってしまって、いいのかしらんって感じ。
もう、本家を超えていますね。
ここでは、どの作家様のお話もすごく上手くて、本当にのめり込めますよね。
また、ダイジェスト版を更新して下さっている管理者様にも厚く御礼申し上げます。
幸せだ。
切なくって悲しくって。でも二人の子供たちの明るい未来に幸せを感じます。
読めて私も幸せでした。
本家でもこんな気分を味わってたことがかつてあったのを
思い出しました。
いまはパワーの落ちてしまった本家ですが、すばらしいキャラを生み出して
くれたおかげでこんな素敵な物語を読めるんですから、やっぱり感謝ですね。
次の作品をお待ちしております・・・
ダイジェスト版の管理者様。もう更新されているのですね、
いつもありがとうございます。感謝感激雨あられでつ。
今、見てきました。が、131〜140がうp忘れ去られているようです。
忙しいのに、ごめんなさい。
しかし・・・メイスとイミルは間違いなくマザコンの道を進むのだろうな・・
と無粋な想像をしてみたり (^^ゞ
メイスとイミル、萌え〜
「記憶の恋人」作家さま、素晴らしい作品をありがとうございました。
長編連載でお疲れだと思いますが、番外編も楽しみに待っております。
出張、がんがれ〜
ダイジェストで一気読みしてきました。
記憶の恋人とは、二人のことだったんですね。
よく練られた完成度の高いお話と、巧みな語り口に感心しました。
悲しい結末は苦手な方ですが、子供達が大きな救いになっててイイです。
ほんと絶対マザコンになりそう。しかもライアンはシスコンだ(w
でも超美形家族に恵まれて羨ましい〜。
心に残る作品でした。
ありがとうございました>作家様・管理人様
時のナイル作家様もぜひ続きを読ませて下さいー、待ってまぁす!
時のナイル様、そう、私も気になって仕方がありません。
必ず読ませていただけると信じて待ってます。いつまでも。
作家様方、お忙しい毎日でしょうに、いつもありがとうございます。
私も待って待つ〜時のナイル様!
医師キャロルの活躍が楽しみなも。
いつまでも待つわ〜♪待つわ〜待つわ〜♪
「姫・・・?」
新婚二日目のイズミル王子はベッドの垂れ幕の向こうに誰も居なかったので一寸驚いた。
(先に湯浴みをさせて寝室で待たせておいたはずなのに?)
さして広くもない寝室を見まわすと窓枠に隠れるようにしてキャロルが居た。
「そんなところで何をしている?冷えるではないか。さぁ、おいで」
「え・・・・っと・・・・でも・・・」
キャロルをベッドに横たわらせ、あせる心を落ち着けながら寝巻きの腰紐を探れば結び目は固くこま結びにしてあった。
「な、何だ、これは?どうした、こんなに固く結んで。解けぬではないか」
王子は少し怒ったように言った。
「だって」(昨日みたいにイタイのはもうイヤ。今日はただ抱き合って眠るだけで良いわ)
「だってではない。どうしてこのような意地の悪い真似をして私を焦らす?」
「・・・・」
「・・・・分かった。昨日、私がそなたを痛くしたことを恨んでいるのだな?違うか?」
「う・・・・・だって王子は痛くないって言ったのに、あんなに痛くて。それに王子はなかなかやめて呉れなくて」
イズミル王子は新妻の幼さに苦笑した。
「私が可愛がってやったらあんなに悦んでその瞳からも・・・・下の口からも随喜の涙を零していたくせに」
言いざま、王子は髪の毛の中から短剣を引き抜くとキャロルの腰紐を切った。
キャロルの白い身体を素早く押し開いて王子は痛がる場所を検診し、舌で慰めてやった。
ほどなくキャロルは身体の疼きに負けて王子に貫いて欲しいと自分から腰を突き出した。王子はすぐにその望みを叶えてやった。
「まだ少し血が出るな」
「だって王子のは・・・だから。それにあんなに動かれたら痛い」
「じきに良くなる。早く慣れねばな」
王子はそう言ってまた花嫁の脚を大きく割り開いた。
二日目の夜ですか・・・
初日の夜も気になります。
わたくしは、「だって王子のは・・・だから」の
・・・ の部分が気になります。
逝ってきまつ。
私はこま結びというのが気になります。
うちの方では、だんご結びといいまつ。
私も逝ってきまつ。
週末ですね。週末のお楽しみができてうれすぃ。
涙の日作家様のご登場を楽しみにしております!
そして祈り作家様の今後の展開が気になります。
メンピ×キャロルなのか、イズミル×キャロルなのか、どちらでもないのか?
続き楽しみに待っております!
いろいろ読めて幸せだ〜〜
週末作家様が増えてくれると嬉しいなぁ。
>130
9
「今、なんと申した!もう一度申さぬか!」
荒々しく物音を立てて近づいてくるのは若く美しい猛々しいファラオだった。
先ほどからこの神殿の周りに大勢の気配がしていたのは、
ファラオがこちらに向かった為だったのだ。
流石に小さくとも神殿なので、ファラオの他にはミヌーエ将軍や護衛隊長のウナス様、
カプター大神官、イムホテップ宰相、そして女王アイシスが居並ぶだけに留まった。
御付きの者は入り口付近で待機をしている。
キャロルが連れ去られた怒りに、ファラオの周りに赤と黄金の混じったような凄まじく威圧感のある風が取り巻いて見える。
そしてそれは無言で私の体を締め付けるような息苦しさを私に与えるばかり。
「巫女とやら、キャロルはどうしているのだ!ヒッタイトだと!?
一体誰が手引きしたと言うのだ!申さぬか!」
まさに吼えるといった表現が合うファラオ激しい憤りに、ナフテラ様が私の前に立ちふさがる。
「お待ちくださいませ、メンフィス様!ハプトは御前に出る事に慣れておりませぬ」
「だが、巫女とやらは、どのような遠方でのことも分かるというではないか!そうであろう、ミヌーエ!」
ファラオがミヌーエ将軍に振り返ると、ミヌーエ将軍はナフテラ様の方をちらりと見てから答えた。
「確かに、この小さな神殿に”遠見の巫女”と二つ名のついた者がおり、信頼に足りるのは聞いております。」
「では申せ!キャロルはどうした!」
こんなに威圧感のある方々のお側で、私は自分の力が抜けていくような、目の前がくらくらするような気持ちを味わっていて、
立っているのがやっとの状態だったが、なんとか口を開いた。
「・・・・キャロルは商人に扮したイズミル王子に段され、連れ去られました。今、船がヒッタイトへ向かっております。
お早く船をお出しになれば、間髪おかず到着できます。」
「なんと、イズミルめがキャロルを浚っただと!許さぬ!ミヌーエ出陣だ!我らもすぐ後を追うぞ!」
ファラオは続ける、女王アイシスが顔色を変えたことすら気に止めないで。
「キャロルはファラオたる私のものだ!ゆくゆくは寵姫に、いや、王妃にするつもりでおったに!」
10
「なりませぬ!あのような小娘のために、戦をするというのですか?メンフィス!」
女王アイシスは私を睨みつけた。取り巻く風が赤黒くどす黒く、私から力を奪っていきそうだ。
「こんな巫女の戯言など信ずるなどとは、あなたらしくありませぬ。放って置けばよいではありませんか。」
女王アイシスも下エジプトを司る神官、私のことなど眼中にも入らないだろう。
お美しいお顔が憎しみに歪む、そう、アイシス様はキャロルを憎んでいらっしゃるのだ。
「決めたのだ!キャロルは我が妃にすると!ならば即刻奪還せねばならぬ!
巫女とやら、我とともに来い、ヒッタイトの様子を私に知らせよ!」
なんということ!この私が戦に同行するなんて!私は祈る事しかできない、風の囁きを聴くだけで精一杯。
あんな大勢の中では私は人の出す気配に押されて倒れてしまう!
「おやめください!ハプトには無理でございます!神々に仕える巫女を戦に連れだそうなどと!」
ナフテラ様が必死に庇ってくださる。
今ですらカプター大神官や女王アイシスを取り巻く風で気を抜くと倒れそうだ。
「しかし船を出しても風向きがどうか、確認しておりません、すぐ追いつけるか否か・・・。」
ミヌーエ将軍の言葉になんとか私は面を上げ声を出した。
「いいえ、必ずや風はエジプト軍に力を貸すことでしょう、私が祈ります。ですが、私は戦に荷担はできませぬ。
せいぜいわかるのはキャロルが捕らわれている場所くらいです。それならお教えできます。」
何か、私の印が必要だ、風に乗せた私の声が届く為の印・・・・。こんな事初めてだからわからない。
私はミヌーエ将軍から剣を借り、指先を切り滲み出した血をミヌーエ将軍の両耳に少しつけた。
「お側にいなくても私の声が届きます、キャロルの居場所をお教えします、どうかキャロルをお助けください。」
「ではキャロルを取り戻す!戦の準備を致せ!」
ファラオの声に皆が慌ただしく動き出す。もう止められない。戦の用意をする人、祈りを捧げる人に分かれて。
「祈ります、私、祈ります、キャロルが無事にエジプトへ戻って来れるように・・・・。」
そう、祈る事は私の全てなのだ。祈りこそ風との対話なのだ、どうか願いを聞いて・・・・。
わぁ、週末うp嬉しいな。
ほんわか系でなごみます〜
ありがd>祈り作家様
祈り作家様
30で感想を書いた者です。
お話すすむにつれて、ますます好み〜
ハプトの言葉で書かれてて新鮮です。つづき楽しみにしています!
>>祈り作家様 いつも楽しみにしています。これからどうなるかハラハラドキドキです。
今、バレーボールで、エジプトのチームが出ているのだけど、
みんなずんぐりで、テティみたいなのが集まってる。
これに比べれば、白人、金髪のキャロルはさぞかしきれいに見えただろうと
納得。
1
覇者としての夢は果てなく、その先にある栄華を王子としての私は渇望している。
我が民には繁栄を、我が神イシュタルには永久の光を。
しかし、この身には・・・
夢の中で私はひたすらに駆ける。
森の中の道なき道。倒れた巨木を越え、橋なき川を渾身の力で渡る。
森の木々の隙間にはメディタレイニアンの紺碧を映した空が目に沁み、
風を切るように羽ばたく大鷲の姿が我が憧れを誘う。
そしてまた何かに追われるごとく駆ける、駆ける、駆ける。
何処へを目指すのでもなく・・・
「おお、王子!お気づきそばしたか!」
「しっかりなさってくださいませ!」
「ご気分は?」「王子が目を覚まされたぞーっ」
その声はルカか。共にムーラもいるのか・・・
すまぬ。
いましばし私に休息をくれぬか。
心の痛みも悲しみも、己のすべてを眠りの中で解き放ちたいのだ。
この私が弱気なことをというか?
おお、そうだ。私はこの世の覇者としての夢を追い求め、
猛き剣と言葉の剣を用いて一歩一歩道を進んできた。
英邁なる王子よと称えられ、その姿にふさわしくあるべく私は進み続けてきたのだ。
しかし、この身にからまった重い鎖。
目に見えぬ鎖に気付く者が一体どこにいよう。
我が神、イシュタルよ。あの姫、一人をのぞいて・・・
2
「王子!いけませぬ、目を開けてくださいませ!」
そのように悲しげな声で言うな。
眠りこそ今の私には必要な薬。甘美な薬とも、毒薬とも知れぬがな・・・
たとえ毒であっても良いではないか。
いずれ朽ちていくこの身、毒も鎖もふさわしい。
ああ、また夢へ堕ちる。
腕も足も沼の底へからめとられるように夢へと沈んでいく。
やがて我が体も嵌りこんでいく。
すべてが堕ちる前の一瞬、いつも瞼に映る閃光は何であろう。
黄金に燃え立つ炎のような輝き。巨大なうねりのようにねじれ、様々に形を変えて瞳を焦がす。
いつか、この炎に焼かれてみたいものだ。
ふふっ、我ながら戯けたことを考えるものだな。
しかし良いではないか。 時には我が身を二つに分かつ心と向き合ってみるのも。
今まで眠らせていたこの片割れの心こそ私の真の姿やもしれぬのだから。
今度はあの空だ。
遮るものもなく、おお、なんと気持ちが晴れ晴れとすることか。
我が意のままに動く翼・・・ここでは、鎖を感じぬな。
羽ばたく我が身を青が包む。やわらかな、慈しみさえ感じさせる青。
ふと、懐かしくなるのはなにゆえなのか。
青い光に包まれて、やはり何処を目指すでもなく翔び続ける。
幼き者のように、私は鳥になりたいとふと思うことがあった。
ルカへと文を運ぶ小さき鳩を羨望の目で見送っていた私がいた。
なにゆえ羨ましいか?そんな問いが浮かんでこようとも、自身が答えを探すわけがあろうか。
答えてはならぬ問い、知ってはならぬ考えだったからだ。
王子であるには盲目でなければならぬこともあるから。
だが、今、私は眠りの中で目を開こう。
自由・・・縛られた翼を思いのたけひろげてて羽ばたく自由。
そうすれば見えてくるだろう?私が目指す何処か。
栄華でも繁栄でもなく、たった一つの微笑みの安らぎの地が。
>>眠りの森作家様
おー 新しいテイストの作品ですね。
続きはあるのでせうか?
ほんとうに新鮮なテイストですね。王子の語りだわ〜♪
わたしも176タソと同じで続きがあるのか激しく気になってます。
ありますでしょうか?眠りの森作家様、教えテン。
眠りの森作家さま
また新作登場ですね。嬉しいよー。
176タンが書いてらっしゃる通り新しいテイストで私好み!!
王子の独白、これからどんな気持ちが明かされるんでしょ。楽しみでつ。
強い王子もぐるぐるな王子も大好きだけど、哀愁ある王子もステキ。
最近の本家の王子だけが(ノД`)
それにしても色々読ませてもらえてとっても贅沢な気分。
作家様がた、本当にありがとうです。
エジプト テーベ―――
「そちらの宝玉類はこの衣装箱の中へ仕舞うのです!
調度品はそちらへ・・・。早く、早く!もう時間がありませぬ」
女官長ナフテラの荒立った声が王宮の回廊に響いていた。
彼女らしくもない厳しい表情で、キャロル付きであった侍女達に指示を出しながら、ナフテラは深いため息をひとつついた。
何と言う事であろう。
キャロル様を連れ去ったイズミル王子の後を追って兵を挙げられたメンフィス様は、戦の最中、キャロル様をその御体でもって庇い、ご崩御なさったのだと言う。
しかも、その御命を奪ったのは、アイシス様の振るった剣・・・。
そして、キャロル様は混乱のなか、激流にさらわれ消息を絶たれたのだと・・・。
息子であるミヌーエからそれを知らせる書簡を受けた時、ナフテラはあまりの驚愕、失望、そして哀しみで意識が遠のく思いであった。
その場に泣き崩れそうになるのを何とかこうして立っていられるのは、乳母として幼き頃から成長を見つめて来たファラオとその寵姫に対する忠誠心、そして女官長たる自身への重責の所以である。
アイシス女王がファラオの遺体と共に軍を率いて王宮へ戻るのは、もう間もなくであろう。
メンフィス王亡き後、当然の事ながら上下エジプトを司り、絶対的権力を持つのはファラオの唯一の姉であるアイシス女王である。
ナフテラを始めとする女官達は、キャロルの行方の知れぬ今、せめて彼女の思い出が残る品々を女王の手から守ろうとしていた。
他の家臣達も密かに動き始めていた。
その命よりもナイルの娘を殊更に愛した主君の墓に、彼女を偲ぶ品々を共に供えようと、水面下で万事に手を配していたのである。
死して永久の命を得るファラオが、その永遠の時を愛する姫君と共に過ごせるように。
無念の中に散った若く勇猛なファラオの魂を弔わんが為に―――
王宮の正面にアイシスの姿が現れると同時に、新たに国の頂に立つ女王となる彼女を数多の兵士や家臣が総勢で迎え出る。
しかし、それぞれの家臣の胸の内には、様々な思いが流れていた。
アイシス女王の君臨を首を長くして待ちかねていた者、忠誠を捧げたメンフィス王とキャロルへの哀惜に暮れる者、煮えきらぬ複雑な思いを胸に巡らす者・・・。
ミヌーエ、ウナスら近衛武官が見守るなか、メンフィスの遺体を載せた棺が運び込まれる。
哀悼の重い空気が煌びやかな宮殿をしめやかに満たしていった。
「キャロルはもはやこの世にはおらぬ・・・キャロルに纏わるものを全て廃棄いたせ!」
それは帰国後、開口一番にアイシスが女王として女官長ならび侍女達に下した命である。
女官長であるナフテラは女王には絶対服従、その命のとおりキャロルの遺品すべてを処分せねばならない。
しかしキャロルが愛用した品の主だったものは、この時すでに家臣達の手によって、女王の目の届かぬ処へ隠し立てされていたのである。
70日の期間をかけてファラオの遺体はミイラとなり、その後、王族の眠る谷へ埋葬される。
喪に服すこれらの日々を、アイシスは神殿に篭り亡きメンフィスへの哀悼と祈りにすべてを捧げていた。
愛するただ一人の弟を失った女王の悲しみは、言葉に尽くせぬものがあった。
ナフテラは思う。
女王もまた、愛に生きる人なのだと。
愛に囚われて生きる、哀しい人なのだと。
やがて70日が経ち―――
メンフィス王を埋葬する墳墓が完成し、ファラオの魂を永遠に宿すミイラは、生前の姿を模った黄金の人型棺の中に収められ、葬祭殿へと運び込まれた。
カプター大神官の采配をもってして、執り行われるファラオの葬の儀。
高位神官達の唱える厳粛な祈祷が、葬祭殿の澄み切った冷ややかな空気の中に流れてゆく。
そして、ファラオの棺は地下深くの玄室へと納められる。
ファラオの棺と共に埋葬される神像や家財道具、宝物等、数々の副葬品の中に、キャロルの遺品を集めて収めた厨子や衣装箱も、アイシス女王の目を巧みに逃れ納められていた。
そして、玄室の壁を覆う壁画の一部は二重に細工され、表の壁画の後ろには、メンフィスとキャロルの婚儀に向けて描かれた壁画が隠されていた。
結局は、献上される事なく、未完のまま王墓の壁の中に納められた壁画。
それはまるで、愛し合いながらもついぞ添い遂げる事叶わなかった二人の運命を物語っているかのようであった。
最後まで棺の上で泣き崩れ、離れようとしないアイシス女王に、ナフテラは優しく語りかける。
「アイシス様・・・どうか、この花束をメンフィス様に・・・
王宮の庭に咲いた・・・蓮の花でございます。
メンフィス様が幼少の頃から親しまれ・・・メンフィス様と共に育った花でございます。
さぞ、懐かしんで下さる事でしょう・・・」
ナフテラの腕の中には、たおやかに咲く蓮の花束があった。
涙に曇るアイシスの瞳には、もはや暗い業火は影をひそめ、ただ痛ましいまでの哀しみに揺れていた。
「おお・・・ナフテラ・・・柩の中へ入れてやっておくれ・・・」
「はい・・・・・・」
ナフテラは花束をメンフィスの人型棺の脇へ捧げた。
神官がパピルスに記された葬送文を読み上げる。
王の眠りを永久に守る護符が人型棺の胸の上に置かれた。
アイシスの後ろに控えて、黙して祈りを捧げるのはメンフィス王へ忠誠を尽くした高官や家臣達。
イムホテップ、ミヌーエ、ウナスの顔ぶれもそこにあった。
ナフテラは列の端に立ち、メンフィスへの祈りを心の中で唱えた。
(メンフィス様・・・あの蓮の花はキャロル様が丹誠されて愛でられた奥庭のものでございます。
せめて、キャロル様の代わりにと・・・お傍にお供え致しました・・・。
どうか、安らかにお眠り下さいませ。
行方の知れぬキャロル様をお守り下さいませ。
エジプトへ再びお戻し下さいませ・・・どうか!)
そして、王墓と外界を隔たる重い石の扉は、永遠の決別を意味する軋んだ音を立てて閉じられた。
『王の眠りを妨ぐるものに
死の翼ふれるべし』
今ここに封印される―――
砂漠の果てに沈み行く雄大な落陽を見詰めながら、ウナス、ミヌーエの二人はナイル河岸に立ち尽くす。
「あのメンフィス様が亡くなられたなど・・・今も信じられませぬ!
メンフィス様は・・・ヒッタイト奇襲の直前に私に言われました。
キャロル様を・・・やっと・・・やっと、妃にしたのだと・・・・・・
とても嬉しそうに・・・輝かしい笑顔で、そう言われたのです!
私は・・・あの時のメンフィス様のお顔が忘れられませぬ!
―――眩しい程に輝いていたメンフィス様のお顔が!!」
ウナスはそう言って男泣きした。
「ならば、キャロル様が御懐妊されている可能性もある・・・!
何としてもお探しして、お戻り頂かねば。
わが母なるエジプトへ・・・再び!!
我らの忠心は永久にあのお二人にあるのだ!」
ミヌーエは強い語調で語った。
メンフィスとキャロルの忠実なる臣下達は、ファラオ亡き後もキャロルの行方を捜し、彼女の帰りを待った。
アイシス女王の政権下に従事しながらも、女王がバビロニアのラガシュ王を夫に迎えた後も、その帰りを待った。
来る日も来る日も・・・ただ待ち続けたのだ――――
ヒッタイト ハットウシャ―――
戴冠の儀を済ませ、名実ともにヒッタイトの国王となったイズミル。
亜麻色の長い髪に戴く、燦然と輝ける王の冠。
しかし、彼の琥珀の瞳には悔やんでも悔やみきれぬ自責の念が暗い影を落としていた。
(何故、あの時・・・姫を抱く腕を緩めてしまったのか―――!)
彼の手の平の上に転がる、黄金の髪飾り。
今となっては、小さなそれだけが彼に残されたキャロルの唯一の名残であった。
イズミルは絵師を呼びつけては、陶板やレリーフに胸に残る愛しい娘の姿を描かせた。
それを見ては深い物思いに耽り、溜息をつく。
思い出の中にしか喜びを見出せない・・・そんな日々であった。
エジプトへ続く遥かな空を見上げ、イズミルは物思う。
アイシス女王よ――
そなたもメンフィス王に秘薬を飲ませたと申したな。
されど、秘薬を用いてまでも愛する者の心を欲した我々は、結局はそれらを失う事となったのだ。
愚かな事ぞ・・・
所詮、妖しなどで人の心は手に入れられぬのだ。
それでもなおキャロルへの深い思慕を断ち切れぬイズミルは、度々エジプトへ自から軍を引き連れてはナイル川流域を一帯捜索させた。
しかしキャロルの姿どころか、彼女の消息さえ何も掴めぬまま、時だけが過ぎてゆく―――
イズミルは以前から皇太后の推薦であったミラを正妃として娶る事となる。
もはやイズミルにとって、婚儀など政の一部でしかなかった。
国を司る者の責務として、次の世をになう世継を残さねばなるまい。ただ、それだけだ。
大人しく従順で美しく、王妃としての資質にも申し分のないミラ。
ひとえにイズミルを愛し、キャロルを失った彼の深い傷を癒そうと心の限りを尽くす彼女を、イズミルは健気で、そして愛しいとさえ思う。
しかし・・・それが愛なのかと問われれば、イズミルには答えようがなかった。
ただ、あの炎のように身を焦がす狂おしいまでの情熱が、そこには存在しない事だけが明らかであった。
二人は穏かで平和な夫婦であった。
程なくして世継の王子が誕生する。
イズミルに良く似た、利発そうな琥珀の瞳の王子。
世継の王子である彼はジェスール王子と名づけられた。
翌年にはもう一人の王子が産まれ、第二王子はアジス王子と名を受けた。
ヒッタイトは戦渦の真っ只中にあった。
同盟を破り、前国王を殺害に至らしめたアッシリアとの度々に渡り繰り返される激しい攻防。
更にその頃、バビロニアとエジプトの両国はラガシュ王とアイシス女王の政略婚による事実上の同盟を結んでいた。
野心に燃えるラガシュ王はエジプトという富める大国を得て、ますますその勢力を伸ばそうとしていた。
そして、軍事強国であるヒッタイトをもその手中に収めんと、狙いを定めていたのだ。
イズミルはまさに戦いの中に生きていた。
日々の緊迫した状況は、むしろ彼にとっては救いだったのかも知れない。
ともすればかの姫を想い悔恨に駆られる彼を、哀しむ暇も無いほど多忙にさせ、そして敵国への怒りは沈みがちな彼の血を熱く沸き立たせた。
しかし、そんなイズミルに本当の意味での救いが現れたのは、彼がキャロルを失ってより十年が過ぎようかという頃であった―――
イズミルとミラは三人目の子を授かったのだ。
三番目の和子は王女であった。
面差しはイズミルに・・・というより叔母にあたるミタムンに似て、愛くるしく美しい子であった。
そして、何よりイズミルを喜ばせたのは、陽射しを受けると黄金に見える彼女の淡い茶色の巻き毛。
長く笑う事を忘れ、憂いと翳りに満ちてていたイズミルの顔に温かな笑顔が戻った。
何故か・・・イズミルは彼女の琥珀色の瞳の中に、キャロルと同じ『何か』を見るのであった。
それは何なのだろう、とイズミルは考える。
しかし、答えは見つからない。
その愛らしい王女はジャナと名づけられた。
ジャナ王女誕生から更に4年の時が過ぎる―――
三人の子供を可愛がる子煩悩な良き父イズミルであったが、殊更このジャナ王女に関しては、まさに目の中に入れても痛くは無いという有様であった。
忙しい戦の合間を縫って、暇を見つけては城に戻り、まわりの者を呆れさせる程に可愛がった。
ある日の夕暮れ、ジャナを連れて馬で草原へ繰り出したイズミルは、木の根に足を取られて動けない子ウサギを見つけた。
助けてやって欲しいと哀願するジャナに、イズミルは優しく微笑み、子ウサギを助けてやった。
イズミルは傷ついた子ウサギを腕に抱き、ジャナに見せてやった。
ジャナは恐る恐る小さな手を伸ばす。
「・・・こわい・・・かみつかない?おとうさま」
「大丈夫だ。・・・そなたが恐れれば、これも落ち着かぬぞ。大丈夫だ。噛み付いたりはせぬ」
「わぁ・・・かわいい」
「・・・・!・・・・」
イズミルは我が子の顔を食い入るように見つめた。
子ウサギの頭を撫でながら可憐な笑顔を見せるジャナと、キャロルの笑顔が鮮やかに重なったからだ。
エジプト王宮の庭で子猫の頭を撫でながら・・・かつてキャロルも同じように微笑んで見せたではないか!
(そうだ・・・この笑顔が似ているのだ!
この穢れのない澄み切った瞳が・・・似ているのだ!!)
キャロルの面影が怒涛のように胸に押し寄せる。
イズミルはどうしようも無い程胸が熱くなるのを止められず、思わずジャナの小さな体を抱きしめた。
「おとうさま・・・?どうしたの?ウサギが逃げちゃう・・・」
しかし、イズミルはジャナを抱いたまま身動きもしない。
ジャナは無邪気な瞳で、彼女のそれと同じ色の父親の瞳をじっと見つめる。
きつく閉じられたイズミルの瞳の淵には透明の雫が滲んでいた。
「おとうさま・・・泣いているの・・・?」
「・・・・・・・・・」
幼い娘の背を抱く、イズミルの大きな手は細かに震えていた。
「おとうさま・・・泣かないで・・・どうしたの・・・?」
イズミルは娘の柔らかな頬に自分の濡れた頬をすり寄せ、小さな背中を愛しげに撫で下ろす。
「そなたは幸せに生きよ・・・!!
いつかそなたを愛し、そなたも愛しいと思える男に出会うであろう・・・。
その時は、愛するが故の哀しみを背負うことなく・・・幸せに生きるのだ!
私の分も・・・姫の分も・・・そなたの母の分も、そなたは幸せに愛の中に生きよ!
必ず・・・必ず、幸せになるのだ!
そなたはヒッタイトの王女として生を受けた。
しかし、その運命に流されてはならぬ・・・翻弄されてはならぬ!
決して国の政などに利用される事なく、自ら愛する男を探すのだ!
そして互いを心から愛せ・・・!
幸せはそなたが求めるのだ・・・良いか?・・・己の手で幸せを掴むのだ!!」
幼いジャナにその真意が伝わるはずもなかったが、魂の叫びにも似たイズミルの言葉は彼女の心に深く響いて染みこんだ。
彼女は父の眦に浮かぶ哀しげな涙を、小さな指先で拭おうとする。
イズミルは娘のいじらしい仕草に柔らかな微笑みを浮かべ、懐から黄金の髪飾りを出した。
そして、それを娘の手のひらにそっと落とす。
夕日の光を浴びて、鮮やかな金色に光るそれを、ジャナは嬉しそうに眺める。
「わぁ・・・きれい。これ、なぁに?」
「それを、そなたに・・・やろう。・・・決して失くしてはならぬ。大切に懐に仕舞っておくのだ。
そなたの幸せを、かの姫も見守ってくれるであろう・・・」
「おとうさまの宝物なの?」
「・・・そうだ」
イズミルはジャナを片腕で抱き上げて、再び馬上に跨った。
アナトリアの広大な草原に橙色の夕陽はゆっくりと傾き、音もなく沈んでゆく。
夕暮れの色は不思議と人の心に物悲しさと、遠い時の果てに忘れた懐かしさを思わせる。
馬を駆るイズミルの亜麻色の髪も、ジャナの頬も、鮮やかな夕陽の色に染まっていた。
腕の中でまどろみ始める我が子の黄金に見える髪に顔を寄せれば、暖かい日なたの匂いがした。
愛して守ってやらねばならぬ者。小さく頼りないその存在。
イズミルは幸せであった。
胸が熱くなる程に、幸せであったのだ。
(愛しい子達の未来に幸福あらんと願う事こそ・・・今の私の・・・只ひとつの夢ぞ)
番外編をうpさせて頂きました。
15話くらいかと思っていましたが、20話くらいになりそうです。
残り半分は明日にでもうpできればと思っております。
家にいれる日があまりないのでまとめて大量うpになってしまい、すみません。
本当に読んで下さる皆様ありがとうございます。
では、失礼いたします。
記憶の恋人作家様
番外編、泣けました〜・゚・(ノД`)・゚・。
素晴らしすぎてもう・・・・。
残りのうpも楽しみにしていまつ。
記憶の恋人は、私にとって、ちょっと悲しい物語なので、
読み直すのがちょっとためらわれます。(勿論大変好きです)
番外編で、是非みんな幸せになってほしいなぁ。
個人的には、ほとぼりが醒めた頃にキャロルにも古代に戻ってほしいくらい。
(物語にそこまでのめり込むのもどうかと思うけど)
続々新しい話がうpされていて、本当にうれしいです。
パパイズミルが娘に語る所、胸が痛い〜。
ミタムンとキャロルに似た娘って・・・、イズミンじゃなくても泣くよ〜。
ああ、ほんと幸せになってほしいね!
>>192タン、ワカルよ〜(つД`)
もう一つの記憶の恋人として
キャロルが古代に残ったら
メンフィスが死ななかったら
どうなったのかが気になる〜
勿論いまのも好きですが。。
アナザーストーリー、書いて下さらぬか作家様〜〜!
をを、うpありがdです!新作イパーイ嬉しいぃぃぃー
私もわかるー。
悲恋ものって後ひくんだわね。
あの時あーだったら、こーだったら?考えちゃう。
ベルバラのオスカルとアンドレだって、今だに引きずってるわ。悲しすぎー
今週末は、いっぱいうpあって、嬉しかったです。
作家様の皆様、愛してまーす( ̄ε ̄*)チュッ
「涙の日」作家様〜
来週末までお預けでつか〜?(涙)
待ってまつ♪
どなたか作家様
ライアン兄さんのリクエストを
受け付けて下さいませんか。
久々にライアン×キャロルが読みたい。。。
そうだよね。最後悲しいのイヤダ。
中途悲しくて、最後ハッピーエンドがいいなぁ。
イズミルとメンフィスの子供が最後に残るって、記憶も無いのに
逆に悲しいよう。私の中では、ライアンがメンフィスの生まれかわりで、
そのままキャロルと結婚してほしいっす。
愛〜それは甘くぅぅ♪ベルバラ世代の同士タン発見!
私は中世のブルマ履いた王子をキボーン。
三銃士みたいなの・・・ダメぽ?
>>176-178 出来れば続きもうpさせていただきたいなぁと、続きを書いているところです。
皆さんが感じて下さっているようにちょっと変ったテイストですので、
きっと合わない方もいらっしゃることと思います。
申し訳ないのですがスルーしていただくなど、どうぞお許しください。
>>198 んーまぁたまには切ない系があってもいいと思うけどね。
物語として面白ければなんでもアリなタイプなのでそう思うのかもしれないけど。
うん、勿論、悲しいのもあっていいよ。
作家様達にイヤンと言っているわけではなくて、私自身が、そういうの
イヤンって思っているだけなの。だって、ずーっとあと引くもん。
(つーか、入れ込み過ぎだろ>>自分)
悲しいのも、ハッピーエンドも、いろんな作品をキボンです。
>>眠りの森作家さま。 うp楽しみにしています。
悲しくてイヤンと思うのは、そんだけのめり込ませる
話だつーことだもんね
作家様ありがd
私も色んなお話きぼんぬ〜
ハッピーエンド大好きだけど、どっぷり悲しみに浸るのも結構好きだなぁ。
日常生活が平凡だから、現実逃避か?
>>ベルばら 私も泣いた、、、しばらく放心状態だった。
砂の城なんかも←悲しすぎるけど感動。
>>眠りの森&祈り作家様
新しいテイストのお話も面白いです〜
記憶の恋人番外編のつづき待ちきれない〜
でもでも、つぎのうpで終了は淋しいでつ
>>189 その一年の後―――
獰猛さを増すアルゴン王を撃沈すべく、イズミル率いるヒッタイト軍はアッシリアへと旅立とうとしていた。
城の外に集結した王と数万の兵、出兵を見送る臣下の者達、そしてその妻と子供達。
出陣のこの時、ミラはいつも泣き出しそうになるのを抑え、無理に微笑みで夫を戦地に送り出そうとする。
いじらしい妻のその笑顔を見て、イズミルはその時かすかな確信を得たのだ。
狂おしい情熱こそなくとも、これも愛なのかも知れぬ。
長き間、かつて愛した娘に心奪われたままのイズミルを、国王として、夫として、子供達の父として、そして何よりも一人の男として、哀しい顔のひとつも見せずに愛し続けたミラ。
何の代償も求めず、イズミルと彼の子供達に惜しみない愛を注ぎ続けた妻。
イズミルは、ミラの耳元にそっと囁いた。
そなたを妻にして良かった、と―――
ミラの瞳に抑えきれぬ涙が浮かぶ。
イズミルは唇で、ほろ苦い塩味のする雫を優しく吸い取り、妻の唇に接吻を与えた。
(私達は・・・本当の夫婦になれるだろうか?
十数年の時が過ぎた・・・それでも、今なお私はかの姫を求めている。
・・・もっと・・・もっと時が必要なのかも知れぬ。
しかし、私はいつかそなたと本当の夫婦になりたい・・・今、心からそう思うのだ)
イズミルは口には出さなかった。
しかしミラは、彼の琥珀の瞳が言外に語りかける何かを受け止めていた。
イズミルはジェスール王子、アジス王子、そしてジャナ王女に抱擁と頬への接吻を与えた。
「父上・・・必ず御無事で!」
「おとうさま・・・ごぶじで」
イズミルは無言のままに、子供達に向って力強く頷いた。
これまでの何度にもわたる出陣の度、この父は同じように強く帰還を約束し、それを裏切る事など一度としてなく、勇ましい姿で再び王城へ帰ってきたものだ。
イズミルは春の柔らかな風に亜麻色の髪を靡かせて、颯爽とマントの裾を翻し馬に跨った。
「いざ、アッシリアへ向けて出陣――――!!」
雄々しいイズミルの号令を受け、数万の兵は一斉に始動する。
季節は春。色とりどりの花々が咲き乱れ、新緑は燃え立つように美しい。
列なす民が見送る街道の中央を、馬蹄の響きも鮮やかに威風堂々進み行くヒッタイト軍。
その先陣を行く、重い甲冑を纏ったイズミルの逞しい背中。
馬上からイズミルは今一度振り返り、青空にそびえる王城を仰ぎ見た。
―――そして、それは彼の最後の雄姿となった。
シリア砂漠―――
砂漠の白い砂の上でイズミルは、頭上で煌々と輝く白銀の月を見ていた。
仰向けに横たわった彼の全身から流出する血潮を、砂が吸ってゆく。
イズミルの体は徐々にその温かさを失いつつあった。
見渡せば、砂漠一面には傷ついて倒れ伏すヒッタイト兵士達。
イズミルを守ろうと、戦い抜き、命尽きた兵士達。
アッシリアを落城しアルゴン王の首を討ち取り、本国ヒッタイトへ凱旋すべく道のりのシリア砂漠の最西で、ヒッタイト軍は居合わせたガルズ将軍率いるバビロニア軍に包囲された。
そして、ラガシュ王の右腕と呼ばれるこの名高い武将との死闘の果てに、両軍は相討ちとなったのだ。
イズミルの全身を暖かな倦怠感が襲い、抗えぬ睡魔が彼を襲っていた。
不思議なほどに、それは心地よく、体が天に向って浮遊するような感覚であった。
遠のく意識の中で、イズミルは己の半生に思いを馳せる。
―――幸せだったと思う。
一人の女を強く愛した。己の命よりも深く。炎をも恐れぬほど激しく。
そして、彼女も彼を心から愛した。
これ以上の幸福が何処にあるというのか。
胸に浮かぶのは、愛しき者達の姿。
ミラ。
赦して欲しい。妻としての幸せを与えてやれぬまま逝く事を。
しかし、愛していた。
長い月日に育まれたこの穏かな感情も、やはり愛なのだ。
今になってはっきりと分かるこの思いを、伝えてやれなかった事が悔やまれる。
たったの一度たりとも「愛している」とは言ってやれなかった。
許されるものならば、今、その言葉を伝えたい。
ジェスール王子、アジス王子。
今年で御年15と14になる二人の王子は、諸国に怜悧で英明なるとの誉れも高い。
若き日のイズミルを生きて写したような彼らならば、立派に父の遺志を継いでくれるに違いない。
誇るべき息子達に案ずる事など何も無い。
ジャナ王女。
果たせなかった夢を継ぐ、愛しい娘。
まだ幼い彼女を残して逝くのは辛い。
しかし彼女は幸せを手にすると信じている。
必ず、きっと、幸せになれる。いや、幸せになるのだ!その小さな手で幸せを掴むのだ・・・!
そして・・・キャロル。
メンフィスを失い嘆き哀しんだ彼女の姿は、後の己の姿となった。
愛する者を失くす事は、底の知れぬ深い哀しみ。
しかし、その後の彼を支えたのは他ならぬキャロルとの思い出であったように思う。
ただキャロルとの儚い思い出に縋るように生きてきた。
なのにあの時イズミルは、キャロルが全霊をあげて愛した男の思い出のすべてを残酷にも奪おうとしたのだ。
(姫・・・赦せよ、今私はそなたの許へ逝く。
命尽きても・・・私はそなたに乞うであろう―――赦しと・・・愛を)
死ぬ事は恐ろしくは無かった。
心残りが無いと言えば嘘になる。
それでも死を恐れぬのは、死の先にはかすかな幸せがあるように思えるからだ。
イズミルは目を閉じた。ゆっくりと、静かに眠るように・・・
夜風は紺碧の空に砂塵を舞い上げて、横たわるイズミルの体の上に白い砂を降らせていた――――
ヒッタイト ハットウシャ――――
壮絶な最期を遂げたというイズミルの死顔は、思いの他に安らかであった。
死しても尚美しいその骸を、言葉なく見守るミラ妃、ジェスール王子、アジス王子、ジャナ王女。
後ろに黙して侍るムーラ、そしてルカ。
最愛の国王、夫、父、主君を失った者達の瞳には、痛々しい程の哀しみと憔悴の色。
祖国ヒッタイトを守り、国民の為に命を賭して戦った偉大なる王。
獰猛なるアルゴン王を討ち、バビロニアの猛将ガルズを倒し、そして自らも帰らぬ人となった。
棺の前に立ち尽くし哀しみに暮れるミラに、ムーラとルカは二人して跪き頭を下げる。
「王妃様、・・・恐れながら・・・
お手討も覚悟の上で申し上げまする!」
「何でしょう、ムーラ・・・ルカ?
そなた達が揃ってその様に・・・一体どうしたというのです・・・」
「はい・・・。
王妃様のご心痛、重々承知の上でのお願いでございます。
どうか・・・!陛下と御一緒に、これらの品を埋葬頂く事をお許し下さいませ!」
ムーラが手にしていたもの。
それは、イズミルがかつて絵師達に作らせた陶板やレリーフであった。
それらには、彼の心を生涯捉えて離さなかった美しい乙女の姿が描かれている。
「・・・これは、かの・・・ナイルの姫君・・・なのですね?」
「・・・さようでございます。
ミラ様にお願い申し上げるのはどうかと・・・
こんな事を申し上げるべきではないと・・・散々迷った末の進言でございます。
ですが、陛下の・・・陛下のせめてもの、お慰めに・・・
陛下が生前・・・大切にされていた物でございます・・・どうか、王妃様!
このムーラたってのお願いでございます!!」
「王妃様、私からも・・・お願い致します!
どうか・・・これらをイズミル様とご一緒に・・・!」
ムーラもルカも、頭を床に擦り付けるように伏して懇願する。
しばらくの間、陶板に描かれたキャロルの姿を無言で眺めていたミラは、顔を上げると静かに、しかしきっぱりと言い切った。
「――――嫌でございます」
「私は・・・知っていました。
ずっと陛下のお心の中には、かの姫君がお住まいだった事・・・。
でも・・・それでも良かったのです。
陛下の目はいつも遠くを、エジプトに続く空の彼方を見つめておられたけれど、私を、子供達を・・・とても大切にして下さった・・・。
だから、それで良かった。
私には充分に幸せだったのです・・・・・・」
静かに穏やかに語るミラ。
しかし、その瞳に涙が溢れ出した時、彼女は抑えていた感情をも一気に溢れさせた。
「けれど・・・!!
こうして陛下が亡くなった今、陛下とあの方をご一緒にして差し上げるのは、嫌です!
陛下はお亡くなりになって・・・やっと私の許へ・・・家族の許へ戻ってこられたと思いたいのです!
生前だけでなく・・・亡くなられた後も、あの方に陛下をお渡しするなんて・・・!
それだけは嫌・・・嫌です・・・嫌なのです!!
陛下の墳墓に・・・かの姫君を思わせる品を供えるなど・・・絶対に許しませぬ!!」
いかなる時も決して声を荒げる事などなく、いつも柔らかな微笑みを絶やさぬ王妃が、初めて見せた厳しくも激しい貌。
ムーラとルカはもうそれ以上、言葉を続ける事ができなかった。
穏かに優しく、愛という名の見返りさえも求めずに、ただ一心に夫を愛し続けたこの王妃の、これは最後の意地なのだ。
誰もが言葉を失ったように、亡き国王の威厳に満ちた死を見守るなか、幼いジャナ王女がおぼつかぬ足取りで棺に歩み寄った。
「おとうさま・・・おとうさまに宝物をかえしてあげるわね。
ジャナが宝物をとってしまったら・・・おとうさまは寂しいでしょ・・・?」
まだ幼い故に、死の意味を正しくは理解できかねるジャナ王女。
しかし、あの頼もしい父は、もはや彼女を抱きしめず、優しい言葉をも語らぬ事を彼女は知っている。
イズミルが遠き路を一人旅立たねばならぬ事も―――
その手の中に、かつて父から譲り受けた黄金の宝物を握りしめ、棺の前でつま先だって手を伸ばすが、父の骸にはわずかに届かない。
「ジャナ・・・それは・・・?」
ミラ妃の問いかけにジャナは振り返り、小さな手のひらの上の黄金細工の髪飾りを見せた。
「おとうさまが下さったの。
・・・そなたは幸せにならねばならぬ・・・って。
これを持っていれば・・・姫がそなたを見守ってくれる・・・って。
おとうさまの分も・・・姫の分も・・・おかあさまの分も・・・幸せに生きよ・・・って。
おとうさまはそう言って・・・泣いていたの・・・・・・。
どうしてか分からないけど・・・とてもかなしそうに泣いていたの・・・」
穢れの無い琥珀の瞳に、透き通った涙の粒が浮かんだ。
「あいする人を自分でさがして・・・幸せに・・・なれ・・・って」
ミラは泣きじゃくり出した娘を胸に抱き上げて、その涙を優しく指先で拭ってやる。
そして、その小さな手の中にある黄金の髪飾りを手に取り、じっと見つめた。
「これは・・・この黄金細工は・・・エジプトのものですね・・・?」
ルカはそれに見覚えがあった。
あの豪雨の日にナイルの姫君をエジプトの野営地から攫った時、彼女の黄金の髪に煌いていたものだ。
「はい・・・」
ミラは、娘の小さな手のひらにそれを戻し、上から両手でそっと包み込んだ。
「―――これは、あなたがお持ちなさい・・・ジャナ。
生涯・・・大切にするのです・・・。
お父様が・・・あなたの幸せを願って下さったのでしょう・・・?」
目尻を手の甲で拭いながら、頷くジャナ。
ミラは棺の脇でひざまずいて、冷たくなったイズミルの手を取り、そっと自分の頬にあてた。
そして深く息を吸いこみ、祈るように目を閉じる。
やがて、ひと筋の涙が頬に緩やかな線を描いて落ちた。
「ムーラ、先ほどの品を・・・」
「・・・はい?」
思わず聞き返すムーラの瞳に映るのは、優しげに微笑む王妃の穏かな顔。
涙に濡れた王妃の瞳・・・そこには夫への強く一途な愛だけがあった。
「先ほどの品々を陛下の棺の中へ収めて差し上げて下さいな。
―――陛下のために」
「ミラ様!!」
「王妃様・・・!あ、有り難く存じます・・・」
彼の骸の周囲には溢れかえるような花で埋められ、その傍らにはキャロルの姿を描いた陶板やレリーフが収められた。
その安らかなイズミルの死顔は、まるで微笑んでいるようにさえ見えた―――
度重なる諸外国の攻撃から祖国を守り抜き、軍事や政のみならず、教育や福祉、芸術にまで及ぶ広い分野において、その優れた手腕でヒッタイトを支え続けた名君イズミル王の葬儀は荘厳かつ盛大であった。
国のそこかしこで、英雄の死を悼み、功績を讃え、涙する民の祈りが聞こえる。
偉大なる国王の心に安らぎあれ
その魂よ、安らかに眠れ――――
イズミル王の没後、第一王子であるジェスール王子が即位
その後もエジプト・バビロニアとヒッタイトは、度重なる抗争を繰り返す
アイシス女王が毒盃に倒れた後も、抗争は熾烈さを増した
しかし、この数十年にわたる長く激しい戦乱に幕を引いたのは
ラガシュ王とアイシス女王の嫡出の王子であるメンフィスU世と
イズミル王の第一王女であるジャナ王女の婚姻であった
王族の婚姻は、政略によるものが殆んどであったこの時代
それは、珍しくも互いに強く望み望まれての婚姻であった
前王にも勝る賢帝として、その名を後世に残したジェスール王のヒッタイト
メンフィスU世とジャナ王妃の統治下となったエジプト・バビロニア
それらの国々は、長きにわたる彼らの治世において平和であったと言う
かくて――――
その家臣や親族により手厚く葬られた二人の王の墓とナイルの娘の遺品は、遥か三千年の時を経て、オスディミール博士・ブラウン教授らの手により発掘されるまで、一切の盗掘や天災から免れ、奇跡的に全形をとどめたのである。
イズミル王の墳墓からは、彼が子供達へ宛てて記したと見られる石版も出土している。
繊細かつ力強い彼の筆致は、こう語っている。
―――夢を継ぎ、夢を紡ぐ者
希望の岸辺に立ちて、哀なる魂を救わんとす
何れの日にか、その愛を以て世を成さしめよ―――
―終―
これで、完了となります。
子供達の世代で幸せを得るんですが、本キャラ達はハッピーとは言えませんよね。
悲しい気分にさせてしまったらゴメンなさい・・・。
どうか他の作家様のラブラブなお話でお口直しを・・・!!
そして、メンフィスや王子まで死なせてしまって、ファンの皆様本当にすみません・・・m(__)m
記憶の〜ハッピーエンドは、残念ながらいいネタが思い浮かびません。
あの後、ライアンが兄ではなく恋人として見守っていく、とか?!となると義兄ですね。
次は、ハッピーな物を書きたいです。
レスを下さった皆様、本当に励みになりました。
スルーして下さった皆様も、有難うございました。
新作がどんどん発表されて、毎日楽しみです。
最後にもう一度、心からお礼を申し上げて失礼致します。
記憶の恋人作家様
もう泣けて泣けてハナがぐしゅぐしゅです〜
大河ドラマのごとく、壮大で心震えるお話を読ませていただき
本当に幸せでした。
こんな精緻な描写力でひとを感動させるお話が私にも創れたらどんなにいいか・・・!
長い連載、お疲れ様でした。明日からが寂しい気がしますが、
またのお越しを楽しみにお待ちしております。
あうー、涙腺直撃。泣きが入りますた。
王子が死ぬのは悲しいんだけど、威厳のある死って感じで・・・・。あああ。
にしても、ミラタンがイイ。
王子が戦死しなかったら、きっといい夫婦になれたんだろうなぁ(泣)
それとメンヒス二世ってのがすごく気になるー。メンヒスそっくりなんかなぁ。
アイシスの子なら似てそう。
また次回作を楽しみにしています。ありがとうございました。
。・゚・(ノД`)・゚・。。・゚・(ノД`)・゚・。。・゚・(ノД`)・゚・。
うpありがd
でも、やっぱり悲しぃぃぃぃぃよぉぉ〜〜
いいお話だけに悲すぃ〜
しばらく引きずりそうです。
イズミルの子供達のシアワセ番外編も書いて下さいませ。
>記憶の恋人作家様
史実ではヒッタイトとエジプトは和平を結んだ時代もあったんでしたよね。なんか重ねちゃうなぁ。。。
奥深い素晴らしい物語をありがとうございました。
みな様、業務連絡ですぞ〜♪
ダイジェスト管理人様、更新ありがとうございまする。
こまめな更新いつも感謝感激。
作家様たちと管理人様いつもお疲れ様です。
業務連絡乙です!
早速行かねばといいつつ、もうすぐ昼休み終りだよん。
帰宅したら、ゆっくり堪能しようーっと。
管理人タマ〜ありがトントローー。
今日も連載作品読めるかなー。ワクワク。どれも大好きでつ。
1
「何故にそのような憂わしげな顔をしているのだ?」
イズミル王子はキャロルの眉間を指先で撫でながら問うた。
キャロルは無言でぷいと顔をそむけ、王子を押しのけようとした。
「何故だ?何故、微笑むことをしない?不満があるなら申せ、望みがあるなら申せ。足りぬもの、欲しいものがあるのか?私は女の望みとやらを斟酌してやるのは不得手だ」
下エジプトで攫うようにして連れて来た娘は、家族を恋しがるばかりで少しもイズミル王子になつこうとしない。
そんな怯えて怒りっぽくなっている野生の小動物のような娘の心を解そうと、王子は美しく贅沢な身の回りの品々をこまごまと揃えてやったのだが返ってくるのは涙混じりの拒絶の表情。
「姫」
「・・・返してください」
「何?」
「あなたが捨てた私のロケット!あれは私が母からもらった大切な品だったの!返してください、私が欲しいのはあれだけ、他のものなんていらないっ!私の思い出の詰まったあれ・・・っ!」
「ロケット…?ああ、あの首飾り…」
キャロルがその小さな胸の中に抱きしめるようにして守ろうとした銀細工の小さな装身具。繊細な浮き彫りとはめ込まれた小さな宝石の見事な細工から一目で高価なものと知れた。
見たこともない意匠の品だった。母女神の国のものだったろうか?
エジプトの衣装を脱がされたときも、メンフィス王が与えたという指輪を外された時も黙って屈辱に耐えていた娘が、その首飾りをとられた時は泣いて抗った。それだけは私のものですと。
2
イズミルはその瞬間に男の幻影を見て、自らの手でロケットを炉の中に放り込んだ。銀の飾りは小さな音を残して弾けて燃えた。
キャロルは王子が聞いたことのない悲痛な声をあげてそれを凝視していた。
それからキャロルは王子の目を見ることをしなくなった。伏せた目を無理やりに上げさせれば、そこにあるのは悲しみと怒りの深い淵。
「私が…そなたの飾りを捨てたのを怒っているのか」
王子は呟くように言った。闇雲で発作的な嫉妬に己を失って、飾りを焼き捨てたときは快感すら覚えたが。
(ではあの品はまこと、姫の母が娘に贈ったものであったのか…)
王子は苦い後悔を覚えて立ち尽くした。愛しい娘を悲しませるのはもとより本意ではない。大切なものを理不尽に奪われる痛みは王子にも充分理解できた。
(私のせい、か。昔のことなど全て忘れさせ、ただ私だけを見て欲しいなどと埒もない夢を見てこれだ。
…私のせい、か。こんなことを望んだのではないのに)
だが誇り高く、それ以上に愛情表現に不器用な青年の口から出たのは冷たい言葉だけだった。
「昔のことなど忘れよ。家族のことなど想うな。そなたのこれからの居場所はここだ。替わりの品は欲しいだけ与える!」
王子の口から出た冷たい言葉は刃となって王子の胸を刺し貫いた。その傷を、キャロルの涙と冷たい悲しみに満ちた視線がさらにえぐる。
(どうして泣かせてしまうのだろう?どうして怖がられ嫌われていくのだろう?私は・・・)
3
「姫様、お茶をどうぞ。お好きなお菓子もありますよ?」
ムーラが優しくキャロルに声をかけにきた。
(この人はいつも優しくしてくれる。王子が私を泣かせたその後は。
そして言うんだ、お母さんのような優しい顔と声で。泣かないでください、王子のお心を汲んでさしあげてくださいませって。でもそれは全部王子のための言葉。
あんな冷たい嫌な人でも、愛してくれる人はあるのに私は一人だわ・・・)
固い表情で新たな涙を堪えているらしいキャロルを哀れにも,育て子の真心を踏みにじる冷血の姫よとも思いながらムーラはキャロルの世話を焼く。
「王子は今日は早くにお戻りだそうでございますよ?予定されておりました謁見が一日延びました。
王子がお戻りになりましたら、王子のお小さいころのお話などおねだりになってはいかが?たまにはそのような他愛ない話もよろしゅうございましょう」
とわずがたりに王子の小さいころの話を始めるムーラ。
「・・・王子はお優しいお方でございます。厳しく、怜悧に恐ろしいほどに御立派にお育ちあそばしましたが、ごくたまにお小さいころそのままの表情ですとか仕草を拝見すると何やら涙が出てまいります」
一通りムーラが話し終えると、キャロルは一人で屋上に出ていった。
4
薄青の空を眺めながらキャロルの心ははるか家族の許にあった。
(帰りたい…。メンフィスのこともイズミル王子のことも皆、いやな夢で明日の朝になれば私のベッドの上であったらどんなにいいかしら?)
物思いは王子の悲鳴のような怒声に破られた。
「姫っ!何をしている?身投げでもいたす気かっ!」
あっと思う間もなくキャロルは枷のような王子の腕に捕らえられていた。
怒りと喪失の予感に震えおののく琥珀色の瞳にキャロルが映る。
「そなたを失うようなことあれば・・・」
(震えている…?)
キャロルは驚いた。それは彼女が初めて見る、怯えて、心弱りうろたえを隠そうともしない一人の青年の姿だった。
(何か言わなくては、この人の心を鎮めるために。可哀想にこんなに震えて)
だがキャロルが何か言うより早く、王子は彼女を抱き上げて部屋の中に戻っていった。
「ムーラっ!これよりは姫を一人で部屋の外に出すことはまかりならぬ!
姫は一人で屋上にいたぞ。何か間違いがあってからでは遅いのだ!」
ひれ伏すムーラ達を下がらせると、戸惑い身を固くするキャロルの膝に王子はぽん、と小さい包みを投げた。
「何…?」
目顔で促されるままキャロルが包みを開けると中には小さい銀の首飾りが入っていた。キャロルが無くした20世紀の形見によく似たそれ。
「これは…」
「思い出せる限り、そなたのものに似せたつもりだ」
ぶっきらぼうに王子が言った。いつもいつもキャロルに話しかけるときはまっすぐにその瞳を覗き込む様にする人が、あらぬ方を見やりながら。
「…女の喜ばせ方など知らない」
そう言うと王子は大股に出ていった。キャロルは初めて味わう感情を胸に黙って立ち尽くしていた。
おおお〜!
新作だよ!
今度はどんな展開なんざんしょ。
楽しみです。
>170
11
ファラオの命が下された後、私の意識は夢か現か定かではない。
この身は確かに神殿の祭壇の前で祈りを捧げていたけれども、
私の脳裏には戦に携わるファラオや多くの兵の様子、海上を船で進む様子が浮んでは消え、
耳には怒号や喧騒が木霊して、私自身が風になり、様々なところを掠めていくのと変わらなかった。
覚えているのは戦の最中、キャロルがファラオに無事救出され、その腕に抱かれて感じた大きな喜びと安堵が、
私がキャロルに摩り替わったかと思えるくらい、胸に広がったこと。
そしてイズミル王子の放った短剣がキャロルの右肩に突き刺さった時のキャロル自身の衝撃と、ファラオの激しい怒りと
キャロルを心配する悲痛な叫びが私を揺さぶったこと。
なんてことなんだろう、ファラオが奪い返しに行ったのに、キャロルが瀕死の重傷だなんて。
誰もそんなことを望んでなどいないのに。
どうか神々よ、空よ大地よ、キャロルをエジプトに無事に戻して!
私に出来ることならなんでも致します、だから、どうかお願いです・・・・・・。
そう祈っていたはずなのに、私はいつしか闇の中にいた。
戦はどうなったの?キャロルはどうしたの?風の囁きが聴こえない・・・・・・。
遠くから誰かの声がする、誰?
「・・・・・プト、ハプト!しっかり致せ!ハプト!目を覚まさぬか、巫女よ!」
12
聞きなれない男の人の声。
ここに足を踏み入れる人は皆無だ。
戦の前にファラオやミヌーエ将軍方が見えたのは晴天の霹靂とも言える状況だった。
キャロルの身を案じたばかりのファラオとて、そうでなければここにはお見えにならない。
それにここは神殿、位の高いお方でなければ容易には入れないはずだ。
手足が酷く重い、手足だけじゃない、体中が床に打ち付けられたように動かない。
その重い体に誰かの腕が回され、抱き起こそうとする、確かな力強い温かさ。
瞼までこんなに重いなんて、今までなかった。誰か、誰かが私を覗き込んでる。
「おお、気づいたか、ハプト、そなたの声、確かに届いたぞ、キャロル様の捕らわれていたところと、
帰国の船上でメンフィス様にもっと船足を急がせるよう命じられた折に。
そなたの、心配するな、追い風になるとの一言で、我らがどれほど安堵したことか。」
目の前にあったのは、ミヌーエ将軍のお顔だった、幾分お窶れになったようだ。
「・・・・・ご無事で・・・・ようございました・・・。」
目を開けるのも一苦労だった、すぐに重い瞼が閉じようとする。
「そなたも無理をしたのであろう、今母は手が離せぬが、女官をこちらに寄越す、そなたも医師に診て貰え。」
その時やっとのことで、頬を撫でる風の囁きを聴き取れた。
「・・・・・・ナフテラ様が、キャロルに付かれたままなのですね・・・・。未だに、キャロルが目覚めていない・・・・・。」
無言で頷かれるミヌーエ将軍の耳に、まだ私がつけた血の印が見て取れた。
「私、キャロルを目覚めさせることができます、どうか、私を、キャロルのもとへ、お連れ下さいませ・・・・。」
多分、それが私に課せられし役目なのだろう、どうするのか定かではないけれど、
はっきりしているのは私はキャロルのもとへ行かなければならないということ。
「・・・・ファラオがお待ちです、早くしないと・・・・キャロルが・・・・。」
私が閉じようとする瞼と戦いながら呟いた言葉に、体に廻された腕に力が入り、体が持ち上げられる。
薄暗い神殿の中から明るい内庭へとミヌーエ将軍の足は進んでいく。
「・・・巫女よ、今はそなただけが頼り、頼んだぞ。」
耳に届いた低い声にはなんだか辛そうな響きが漂っていた。
新作キタ━━(゚∀゚)━━( ゚∀)━━( ゚)━━( )━━(゚ )━━(∀゚ )━━(゚∀゚)━━!!!
>>絆の生まれる時さま
センチメンタルな王子も素敵でいいですね〜
メンフィスはどっから見ても直情一直線型だけど、
王子は激しい面やナイーブな面やら色々あって
作家様によって脚色が異なって、とっても面白いですわ。
>>祈りさま
おっ、キャロルエジプトに帰ってきましたか!
どうやらヒーローはメンフィスのようですね
ハプトタソがキャロルを救うのでしょうか、先の展開が楽しみです。
ほのぼのな優しいムードが好きです。
>>夢を継ぐ者さま
いやー深い話でした。
家臣と夫婦と親子の絆にウルっと来ました
2人の子持ちの身としては、父になった王子に感情移入してしまう。
親は自分のコトより、子供が良けりゃそんで幸せなんだよね
子供達が立派に育ってきっと、
天国で王子は幸せだと信じてまつ。(王子が悲しいと辛いので)
自分もライアン×キャロルか王女×メンピーのラブ×2な続編をきぼんです、是非〜
他連載作品もスゴク楽しみにしておりま〜すv
>作家の皆様
どの作品も素晴らしいの一言です。ふわー、尊敬。
二次創作って王家の以外読んだことないけど、
他漫画の二次創作もこんなにレベル高いんだろか?
ここの作家様で、もしも他漫画の二次創作されてるのなら
追っかけて読みに行きたいくらいだよ〜!!
3
私は戦を恐れぬ。
だが、そこが安住の地でありえるようか。
兵士達はよく言っていたものだ。「戦の中の王子は鬼神のように見えます」と。
剣をふりかざし、昂ぶる馬を操って他国の者達の息の根を止めてゆく姿は
いつも怜悧で表情一つ変えない。
その落ち着きがかえって鬼神を想わせるのだと。
ふふっ、王子としては喜んでも良いのだろうな。
我が身にある闇の心・・・それは戦を欲している。
敵兵を倒すたびに刻一刻と征服へと近づいている高揚。
周りをとりかこむ兵の動きを一瞬で察知し、次の動きを読みきる快感。
そして打ち下ろす剣、手に腕に伝わる命の消えていく感覚。
どこかで楽しむ私がいるのだ。
いつも闇に満たされていた我が心。それが闇だとさえ気付かなかった。
あの言葉を聞くまでは。
ぐぐぐっ!ここで続くは辛い!!
お、王子〜〜!(じゃなかった!)眠りの森作家様〜〜!語って〜
>>234 私もそれ気になる〜
ここの作家様、他スレでも書いてらっしゃるのかな?
もしそうだったら、知ってるマンガのだったら読んでみたいわぁ。
王家の設定じゃなかっても楽しめそうな作品が多いよね。
お話自体が面白いというか。。。
他スレで活躍中の作家様、ぜひ教えて〜!スレ名だけでも。。。
4
「だめーっ。殺してはいけない!人の命は尊いのよ!」
「尊い?」
「そうよ、命はみんなみんな尊いの。兵士だって奴隷だって神様から与えられた
たった一つの命なの。」
「おもしろいことを言う。ではこの男を殺さねばそなたが逆に殺されるとしたら如何にする?
それでも同じことを申すというのか?」
青い瞳にすぐさま強い光に満ちる。
「私が誰かの命を奪うくらいなら・・・誰かが死ぬぐらいなら、自分が死んだほうがましだわ。
その人を殺すことも私を殺すことも同じなのよ!」
私の目をしっかりと見返してそう言い切った・・・気高き姫よ。
頼りなげな体の何処にそのような強さを秘めているのか。
あの言葉が今も私の耳から離れぬ・・・そなたの言うことは正しいのだ。
見知らぬ男とそなたの命の秤を目の前に突きつけられ、私はそれを知った。
知ってしまった、というべきかもしれぬ。
闇の心もて敵に振り下ろしていた剣は、同時に我が身も降りかかる。
一つの命を奪うたびに、そなたの言葉が胸に響く。
この兵士の明日。この兵士の夢。この兵士の愛する女・・・
私に剣を捨てよと申すのか?姫よ。
そなたの言葉もまた剣なのだ。
>>236 時間が空いてしまってごめんなさい。
なぜかエラーが出て書き込めなかったんです。
読んでくださって嬉しいです。ありがとうございますm(__)m
キャーー!眠りの森作家様!!!ありがd
>>眠りの森作家さま
詩的ですね〜
王子の独白でいったいどんな物語が始まるのかな?わくわく
ほんとこのスレ、楽しみがいっぱいじゃ〜。ありがトン、作家様達!
なんか王子の孤独みたいなのが伝わってきて切ないっす・・>眠りの森
242タン、わかる〜。
メンヒスだったら感じないようなことでも
王子だったら感じちゃって辛いこといっぱいありそう。
そういうのって切ないよねぇ。。。
>絆の生まれるとき作家様
不器用な愛情表現しかできない王子がツボです。
愛してるのに伝わらないの・・・も切ないね。
新作嬉しいな〜♪
性格は不器用でもΨ(`▼´)Ψは器用な王子・・・
底なし流砂に飲まれて逝ってきまつ。
昨日は3作品も掲載されてて幸せでした〜
急かしちゃいけないと思いつつも、今日もソワソワしながら待っております〜
作家様、ありがd。
5
剣は捨てられぬ。
それは出来ぬ・・・出来ぬのだ。
奪わなければ奪われる。そうして生きてきた。
父王は常に領土の拡大を画策し戦を仕掛ける。
自ら戦場に出陣し、殺戮と略奪の限りを尽くすことが無常の喜びであり誇りなのだ。
幼き頃の私は何かが違うと感じていた。
城には母上やミタムンがいて、いつも父上の無事を願っている。
母上は父上が城にいる時には美々しく着飾り、贅を尽くした食物を用意させて
父上が心地良く過ごせるよう心を配っている。
寂しがりやでいつも私の後ろにくっついているミタムンも、
この時ばかりは父上のそばから離れようとしない。
なのに、なぜここを離れて戦を繰り返すのだろう。
出陣の後の母上の涙と祈りを知らないの?
父上を想う家族と一緒にいて、この国の内政に力を入れることも大切なのに。
ならば私はそのための力を身につけよう。
無駄な殺生はこれ以上必要ないのだもの・・・
そして事件が起こった。
次代のヒッタイトを担う王子の位、私の命を奪おうとした叔母と従兄弟。
奪わなければ奪われる。
暗く冷たい水の中で、恐怖と引き換えに得た真実。
この身を守るには剣をとらねばならないのだ。
私が剣をとらなければ、私を倒した者が血塗られた手で王位を得るだろう。
そのような者に我がヒッタイトを渡すわけにはいかない。
父上、私も戦います。
6
やがて父の命を受けて各国への旅がはじまる。
道中には私から仕掛けなくともいくらでも争いはある。
倒しても倒しても切りかかる敵。いかに私の命を狙う者が多いことか。
幼き頃の理想を封じ、心閉ざして戦い続ける・・・
いや、正直に告白しよう。
封じ込めた思いは、いつしか闇に消えていたのだ。
私の中にも流れていた父王の血。
傷ついた魂は王国の名のもとに征服を肯定し、
戦の殺生に身震いのする快楽さえ感じていた。
そして確かな手応えで私へ突き刺さった姫の言葉。
幼き私からいかに遠くへ来てしまったことか。
姫のような瑕なき瞳を、私も持っていたはずなのに。
おお、痛む。魂が痛んでならぬ。
剣を持ち続ける私は、あの日以来そなたの声に責め続けられている。
だがそれで良いのだ。
痛みを感じるたび、責め続けられるたびに私は姫に繋がっていられる。
正しき王者への道を探していける。
もっともっと私を責めよ。導いてくれ、姫よ。
この闇より抜け出す道標こそ、そなたの瑕なき魂。
今はこの手を離れぬ剣を、その白い手で鞘におさめてくれ。
父上の誇りが戦ならば、
私の誇りはそなたへの愛だ。
7
―その頃、エジプト、テーベの都の王宮
「おお、ゼネク来たか。早くキャロルを見てくれ!」
苛立ったメンフィスの言葉に侍医ゼネクは慌ててキャロルの診察にとりかかる。
寝台に横たわったキャロルの透きとおるような白い肌には仄かな薔薇色を浮かび、
渦巻く黄金の髪に縁どられて見とれるほどに美しい。
脈をとっても正常、熱もなく、穏やかな呼吸を繰り返して眠っているようにしか見えない。
「ファラオ、ナイルの姫様はまったく眠っておられるようにしか見えませぬが・・・」
「そうなのだ。だがいくら私が名を呼んでも目覚めぬ。これはどうしたことか」
メンフィスは心配気にキャロルの顔を覗きこみながら、目覚めぬものかとその髪を撫でる。
「ゼネクどの、申し上げまする。」
やはり不安でたまらない顔で控えていたナフテラが続ける。
「昨日メンフィス様は銅山に査察へお出かけであられましたゆえ、
キャロル様は私が寝支度を整えてさしあげた後すぐにお休みになられたのでございます。
そして今朝、メンフィス様が戻られますゆえお支度にまいったのですが、
何度声をおかけしてもいっこうに目覚められず・・・」
すでに時は真夜中。ナイルの水音のみが静かに夜を満たしている。
「ではナイルの姫様は丸一日以上もひたすらに眠られていると?」
突然、メンフィスは寝台の横に飾られていた美しい彩色の壺を床に投げつけた。
その大きな音にゼネクとナフテラは驚いて息を飲む。
「い、いかがなされました、ファラオ」
ますますメンフィスは苛立ち、黒い瞳に怒りを込めてゼネクを睨みつけた。
「見よ、ゼネク!これだけの音を耳元でたてても目覚めぬ。おかしいとは思わぬのかっ。」
見ればキャロルは変わらず静かな呼吸を繰り返し、穏やかに眠り続けている。
「ええい、目覚めよキャロル!私が戻ったのに何故起きぬ!」
細いキャロルの肩をがくがくと揺すぶり続ける。
「そのような手荒なことをなされては・・・」
「うるさい!キャロル、キャロル!目覚めよーっ、」
メンフィスの叫びにも力強い手にも目覚めず、昏々とキャロルは眠り続ける・・・
王子の語りで続くのかと思ってたら(モチロンそれでもうれしい)キャロルもメンフィスも登場ではないですか。
眠りの森作家様〜、ワクワクでございます。
今夜もうpがあって幸せ♪
>>眠りの森作家様
>私の誇りはそなたへの愛だ。
この言葉にズキーンときまつた。
王子に言われてみたいー
>祈り作家様、絆の生まれるとき作家様、眠りの森作家さま
いつも楽しみに読ませていただいてます。
頑張ってくださいませ。
他の作家様がたも新作どんどん期待しておりまする。
ところで最近カキコが少ないような気がするのは私だけ?
みんな、元気ー?
見てるけどさ。。。今の話はどれもつまらん。
感想書く気にならない。
私も楽しみにしておりまーす。
このスレで、カラーの違う作品を少しずつ同時に読めるのは、雑誌読んでるみたいで楽しい。
まとめて単行本みたいにイッキ読みしたい時はダイジェスト。
どちらも美味しいでつ。
作家様と管理人様に感謝の毎日でつ。
>>253 ウッソー!そんな事ないよ〜!どれも面白いよ!!
出だしが好みじゃなくても、最後まで読んでみないとわからないよ?
やっといい雰囲気になって作家様達も戻ってきてくれたのに
そういう事言うのやめましょうよ。
>255
番外王家乙女はマタ〜リとスルーするでつよ(・∀・)
>253
好みは人それぞれだから、そういう時もあるよね。
スルーやロムって気長に待てば、253タン好みの作品に
いつしか巡りあうでありましょう。
逆に私は今の小説どれもかなり好みでつ。ウハウハでつ。
まあ好みそれぞれだからね・・・。
キャラの好みもあるだろうし、Ψ(`▼´)Ψの有る無しとか色々。
激しい展開のものも、ほのぼの系のものも好みの別れるところなんだろけど
私はどれも捨てがたいし、好きだな〜。
何の作品もうpされない日はさみしくてね〜。
ROMって待ってるだけより、
ネタフリorネタ投下で
好みの作品を誘導してみるのも
ひとつの手じゃないでしょうか?
最近メンヒスものが増えてウレシイ。
雄々しいメンヒス様、きヴぉんぬです
もちろん凛々しい王子も好きよん♪
作家様どうぞ宜しく。
>>255 自分が言ってる事理解してる?
やっといい雰囲気になって作家様達も戻ってきてくれたのに
そういう事言うのやめましょうよ。
ね、
個人の感想として、おもしろいものをおもしろい、つまらないものをつまらないと言って何が悪い?
>>253の言いかたもたしかにぶっきらぼうだが、べつに中傷レスでもないじゃないの。
自分の感想・意見のおしつけは(・A・)イクナイ!
自分も逝きます。
空気汚してすいません!
天然嵐タンに認定されますよ、255タン。
単独カキコだとまちがってないのにナ。
っうっせーんだよ
ほらねpp
釣られてはなりませぬ〜
そりより、そりより、お話うpキボンヌ。
おあずけ食らわされた犬みたいでつ。
まあまあ、253も255も悪気なさそうですよ。
わたしもお話の続きを読みたいぞーー。
今の3作とも大好きさっ!
新作もどんどんウェルカムヽ(^o^)丿
カムバーックねえちゃん?? uze〜
>>229 5
その日の夕食は王子がキャロルの部屋で摂った。食が細いのかそれとも意地を張っているのか、あまりに食べないキャロルに業を煮やしたムーラが王子に告げたのだった。
「もう食べぬのか」
王子は手持ち無沙汰に杯の中の水を舐めているキャロルを見て不機嫌に言った。キャロルの前には料理人が、王子のお気に入りの佳人のために用意した食事が置いてあるのに殆ど減っていない。
王子自身は食べることとは武術の鍛錬や日々の公務で酷使する体と頭脳を維持する手段に過ぎぬことと考え、あまり関心は払わなかった。
しかしキャロルのこととなると何をどれだけ、どのように食べたのかがひどく気にかかった。
「ほとんど食べておらぬ。いつもムーラを困らせているそうではないか」
告げ口をしたことを非難するような不機嫌な表情でムーラを見やったキャロルにさらに王子の小言が飛んだ。
「そのような顔をしてムーラを睨むな!そなたのような子供が逆恨みとは笑止だな」
「逆恨みなんかしていません。あまり欲しくないんです」
小さな身体を精一杯反らして、震えて裏返りそうになる声を必死に抑えて口答えする子供の虚勢に、王子は微笑ましさと憎らしさを同時に感じた。何故、この子供は素直に愛らしく振舞えないのだろう?
「口答えは許さぬ。そなたのためにと召使達が心をこめて用意した食事だ。
そなたが食べねば下々の者達に余計な心遣いと心配を強いることになる。それは人の上に立つ者のすることではない。わがままは許さぬ」
そういうと王子は有無を言わさずキャロルの口に食事を押しつけた。恥ずかしさと悔しさ、そして怒りで真っ赤になりながらもキャロルは王子に従わざるをえない。
(あの飾りのお礼を言おうと思ったのにこれでは…)
屈辱の涙で曇る瞳を必死にしばたきながら、キャロルは胸元に隠すようにかけた首飾りのことを考えていた。
6
夕食が終わった後も王子は部屋に居座った。持ってきた書類や粘土板を脇に置き悠々と政務をこなす。
キャロルは困ったように大柄な青年を盗み見た。
(困ったわ。いつまで居るつもりなのかしら…?)
そんなキャロルの居心地の悪さや面白そうに二人を眺める召使の視線など、王子は露ほども気にならないらしい。
キャロルはこの時、初めてまじまじと王子を観察する機会に恵まれたことになる。
美しいと言っても良いほどに整った顔立ちには冷徹傲慢と紙一重の威厳、知性と強い意思の色が宿り、近寄りがたい雰囲気を醸している。
長い睫に半ば覆われた猛禽類の金茶色の瞳、まっすぐで高い鼻梁、意思的でありながら何やら艶めかしさすら感じさせる唇。
だが同時に穏やかで、どこか優しげにさえ見える顔立ちである。
(眉目秀麗っていうのはこういう人をさして言う言葉ね。でもこれは血の通わない冷たい人の顔。感情なんてない、人間らしさのかけらもない意地悪い人の顔)
「・…どうした?そのように私の顔をじろじろと」
王子の言葉にキャロルは我に返った。
「な、何でもありません。ただ王子はいつまでここに居るのかと」
無礼な物言いをムーラが窘めるより先に王子が皮肉っぽく答えた。
「いつまでとは?」
「こ、ここは私の部屋です。そろそろ休みたいのです。だからどうか王子はご自分のお部屋にお帰りください」
「ふふん」
王子は読みかけていた巻物を脇に置いた。
「ここもまた私の部屋だ。私の宮殿の中の一室をそなたに貸し与えているだけの話でな。私としてはキリの良いところまで仕事を片付けてしまいたい。
そなたが休みたいのであれば…ムーラ、姫の寝支度を整えてやれ」
「なっ…!何ですって?私は休みたいのです、一人で!私…人が居ては眠れません!」
7
可愛げの欠片も無いその言葉を聞いて、王子は本気でこの子供に腹を立てた。
「ムーラ、姫は人が居ては落ち着かぬそうだ。そなたら下がっておれ。
寝支度くらいは自分ででも出来ようよ。私はもう少し片付けねばならぬ書類があるゆえ、ここに居よう」
そう言うと王子はまた目を書類の上に落とした。もう周囲の雑音に煩わされたくないという無言の圧力に負けてムーラ達は下がって行った。
後に残されたキャロルは呆然と王子を見つめた。
(こんな人と二人きりだなんて嫌!何て、何て意地の悪い人なの!私が嫌がるのを楽しんでいるんだわ。何が政務よっ、馬鹿にして!)
キャロルは精一杯の威厳を保って部屋を出て行こうとした。
「どこに行く?」
「ここでなければどこでも!あなたは好きに書類を読んだり書き物をしたりすればいいのだわ!」
「何を言っている?ここはそなたの部屋だろう?こんな夜更けにどこに行くというのだ。眠いのだろう?そのようにいたせ」
仕事を中断された王子は不機嫌に寝台のほうを指し示した。
「馬鹿っ!」
キャロルは力任せにクッションを王子に投げつけた。よけ損じた王子は最初、呆然としていたが驚きはすぐに怒りに変わった。
王子は立ちあがるとキャロルを乱暴に抱き上げ、寝台に投げ落とした。
「眠る前のぐずりにしては度が過ぎる!」
もともと政務の邪魔をされるのは嫌いだった。眠りたければ勝手に眠れと言ってあるのに、それをこの子供は。
王子が乱暴にキャロルの身体を揺さぶった拍子に胸元が少しはだけ、王子が贈った首飾りが転がり出た。
(姫はこの飾りを身につけていてくれた…!)
王子の怒りと腹立ちは一瞬にして消えうせた。自分でもよく分からぬうちに王子はキャロルをしっかりと抱きしめていた。
>絆の生まれるとき作家様
きゃ〜、神よ〜!
おはなし面白いよぅ。絆が生まれる瞬間が今から楽しみ〜♪
こうゆう淀んだ雰囲気のときのupがどれほどありがたいか!
荒れレスをスルーし続ける力も沸くってもんです!作家さま、愛してるん。
これだけお話がたくさん出てきてるのに、まだ違う風味で書ける
作家様を尊敬&創作の泉に乾杯。
絆の生まれるときの王子ってキャロルと寝室に二人きりなのに
全くその気になってないの?
朴念仁な天然王子もイイ!
んだね。「眠けりゃ、さっさと寝ろ」って感じで、キャロルのことより、
仕事に目がいってる感じだね。新しいタイプの王子だ。
こんな朴念仁メンフィスもちょびっと見てみたくなるなぁ。
>祈り作家様
うpされる度に楽しみに読んでおります。
ハプト×ミヌーエが微妙にいい雰囲気な気が。
もう、続きが気になっちゃって。
>>祈り作家さま
ハプトというオリキャラから見た視点が新しくていいです。
キャロルもメンヒスも何となく新鮮に見える〜
>>眠りの森作家様
王子ものかと思ってたら、メンヒスが…。
キャロルを眠りから覚ますのは、果たしてどちらなんでしょうね?!
>>絆の生まれるとき作家様
やはり王子といえば拉致監禁。
囚われの姫を手なずけてゆく過程が色々と面白いのですよね…。
週末の涙の日作家様もうpお待ちしておりますわ。
週末限定と言わず、いつでも降臨下さいませ。
>>273 これからなんではないでしょうか?
あまりにキャロルが拗ねて子供っぽいから、その気にならないのかも。
でも、これから、きっと。(l|l´∀`)フフフ
本当にいろんなお話が読めて、なんて幸せなスレでしょう。わくわく
>>275 え?「祈り」のハプトはミヌーエといい仲なの?
だけど巫女に恋はご法度だよね。
どうなるんだろうね、私もうpを期待してる読者です。
また更新よろしくお願い致しますね。
眠りの森作家さま。
キャロルはなぜ眠っているのでしょう?
きっと王子と関係してますよね?その謎が知りたーい。
続きがんばって下さい。
>「ええい、目覚めよキャロル!私が戻ったのに何故起きぬ!」
このセリフがなんかメンフィスらしくて、ちょと笑っちゃいました。
>232
13
小娘を抱きかかえて宮殿内を闊歩するミヌーエ将軍のお姿は注目を集めた。
女官や兵の表情があっけに取られたと言わんばかりの驚愕の表情なのが、
ミヌーエ将軍の腕の中ですら見てとれた。
私は小さな声で「ファラオがご政務で戻らぬうちに、キャロルのところへ急ぎお連れ下さい。」とお願いした。
ミヌーエ将軍の怪訝な顔に、私は話をするのは酷く辛かったが、
ファラオの放つ力が強すぎて今の私には耐えられないのだと説明した。
「まあ、ミヌーエ!一体何事です!それにハプト!酷く衰弱しているようなのに・・・・。」
キャロルの寝室は女官で溢れかえり、その中で唯一とも言える男の方であるミヌーエ将軍は浮きあがっていたに違いない。
私はキャロルの眠る寝台の横へ降ろしてもらい、キャロルの姿に目を止めた。
白い顔は更に血の気が引いて真っ白となり、口許からは苦しそうな息使いが漏れる。
いつも茶目っ毛のある輝きを漂わせていた青い瞳は閉じられて、今は長い睫毛がその影を見せている。
「・・・・・もう3日もこの状態なのです、医師ゼネクがこのまま昏睡が続くようなら危険だと・・・・。」
ナフテラ様の言葉に女官達も表情が曇る。
投げ出された白い手はひんやりとして、触れても何の反応も示さなかったが、私は両の手でしっかりと握った。
その途端に流れ込むキャロルの美しいまでに交じり気のない澄んだファラオへの想いを感じた。
苦しい息の下で、自分が引き金となって戦を起こさせてしまった激しい後悔や、その半面に自分でも自覚してしまったファラオへの恋心が、
弱々しく脈動する体の内にあって、その想いは私の胸の中にも溢れんばかりだった。
そして、生きたいと願う本能にも、私ができることなら何でもしたいと思ったのだ。
神よ、空も大地も風も、どうか私に力を貸して、と祈りながら握った手に力をこめた。
私ならどうなっても構いません、あの澄んだ結晶のようなキャロルの心を無くしたくはないのです。
私はこんなに美しい心を初めて知りました、だからお願いです・・・・・。
14
「ハプト!しっかり致せ!」
「ハプト!そなたも医師に診て貰わねば!」
私の体は床に崩れ落ちる寸前に誰かがしっかりと抱きとめた。
「・・・・・・ここ・・は?メンフィ・・・・・。」
耳に届いたのはかすかなかすかな声音。部屋中の皆が寝台を凝視した。
「おお、キャロル様!目覚められたのですね!」
ナフテラ様が目に涙を浮かべて寝台に駆け寄られた、よかった、キャロルは助かったのだ。
でもその喜びの反面、私の体は先ほどまでよりも比べ物にならぬくらい重く感じられ、指一本動かすこともままならなかった。
「ハプト、よくやったぞ。」
頭の上から響くのはミヌーエ将軍の声だった。
「そなたも医師に診て貰わねば。メンフィス様もさぞお喜びだろう。」
風が呼んでる、早く早く神殿に戻れと、私はこんなに人の多いところではもっと衰弱するだろうと・・・。
そう、こんなに人の多いところでは、私は人の言動に翻弄されて疲れきってしまう。
だからこそひっそりと神殿の中で過ごしていたのに、いくらキャロルを助けたい一心だとしても、
やはりそれは自分の命を絶つような行為と言えるだろう。
「・・・・神殿に。神殿に戻らないと・・・・・。お願い・・・。」
ああ、もう唇すら動かせない。風が・・・・聴こえない。
闇に捕らわれる前に聞いたのは、ナフテラ様の驚愕の声だった。
「・・・エ!何処へ・・・・。ハプ・・・。」
なんと!せつない展開になってしまったよー
仕事終って、満員電車に乗って帰ってきて、ご飯作って(?)、
食べて、お風呂入って、そしてこのスレに来る。
寝るまでのひとときに作家様から幸せをもらう。なんて有難いんだろう。
王家は私がいくつになっても夢をくれるんだなぁ。
なんてことをしみじみ思う。今日はそんな夜だったりする(照
乙華麗〜〜。
作家さんと
>>283タン達に
ヽ( ^∀^)ノq□ コーフィードゾー
(つ▽;)うっ、うめぇ、うるる
みなさま、作家様に頂いたエネルギーで明日も元気にがんばりましょう〜〜!
(寝る前に来てよかった〜。284タンありがとう。)
巫女ハプトたん、どうなるの?
>>249 8
ここはどこ?
なんて美しい空が見えるのかしら。
これはエジプトの空ではないわ。
エジプトでは灼熱の太陽に空が白んで見えるほどだもの。
この空は深い深い青。なんだか吸い込まれてしまいそう。
それに、どうしてこんなに清々しい気持ちなのかしら。
いつもエジプトから離れると不安で仕方なかったのに・・・
―姫よ
えっ、誰?誰なの?
どこで私を呼んでいるの?
―姫よ・・・
あなたの声、聞いたことがあるわ・・・
誰だったかしら。
静かだけど、でも何かの思いを隠しているような深い声色・・・
感情を抑えていて、それがかえって声の中に溢れていて・・・
―姫よ・・・
どうして私を呼ぶの?
なぜそんな切ない声で呼ぶの?
そんな声色を聞くと胸が痛くなってしまう。
―姫よ、そなたに会いたい・・・
私もよ、私もあなたに会いたい。会ってみたい。
でも、ここには私一人だわ。
見えるのは空と森だけ。
どうすればいいの・・・?
9
ああ、また私を呼んでるわ。一体どこで呼んでいるのかしら。
行かなければ、どうしても会わなくてはいけない気がするもの。
仕方がないわね、自分で探しましょ。
きゃあ!体が、体が浮くわ!私、飛んでるの?
まあっ、うふふ。気持ちいいわね。これなら何処にでも自由に行けるわ。
―ここでは、鎖を感じぬな
あなたなの?私、今あなたを探してるのよ。
ええ、そうね・・・、いままで知らなかったわ。
私も鎖につながれていたみたい。だって今はこんなに心も体も軽いもの。
王宮での暮らしは慣れないことばかりで、誰もが私を神の娘と崇めている。
メンフィスだってそうよ。いくら話しても私がナイルの女神の娘と信じて、
もう説明さえ聞いてくれなくなってしまった。
せめてメンフィスだけにはわかってもらいたいのに・・・
20世紀に生まれて、ずっと古代エジプトを愛してきたわ。
その全てを、古代の人々の暮らしや小さな息吹を知りたいと思って一生懸命学んできた。
だけど・・・学ぶことと生きていくことは・・・違うわ。
私がエジプトに生きているのはメンフィスへの愛があるからこそ。
でも・・・メンフィス・・・メンフィス・・・
―目に見えぬ鎖に気付く者が一体どこにいよう
・・・いつか、そんな話をしたことがあった気がするわ。
「だって、…は鎖に繋がれているように見えるもの」
ほんの少し目を見開いて、驚いたような表情を見せた人・・・
「そなたには見えるというか」
「…はいつも冷静で静かに見えるけど、なんだか苦しそうに見えるわ」
「ふふっ、それはそなたへの恋心ゆえであろう」
「な、何を言うのよっ」
そこで話は終ってしまったけれど、私にはあなたがとても辛そうに見えたの。
メンフィスにはない、きっとメンフィスは気付かない心の痛み。
それがあなたを鎖で縛っているよう感じられていたのだわ。
ああ、あなたは誰だったかしら・・・
わあ、今度は眠るキャロルの独白だぁ!
>眠りの森作家様
あんまりマンセーすると荒れそうで控えてましたが、この物語大好きです。
王子もキャロルもどっちも眠っちゃって一緒の夢を見てるんでしょうか?
どんな独白が聞けるのか楽しみです♪
>>291 >あんまりマンセーすると
そうだね〜。なんかそんな雰囲気もあるもんね。
実は私も控えてたりしまつ(>_<)
好きなものを好き、良いものを良いって言いたいよね。
(いずれにしろうがった見方をする人はごくごく一部だろうけど)
書かなくても、いつも作家の皆様のうpを心待ちにしてます。
そんでもってひととき夢を見させてもらってます。
愛してるわ〜、作家の皆様(はぁと)!
>「ふふっ、それはそなたへの恋心ゆえであろう」
>「な、何を言うのよっ」
> そこで話は終ってしまったけれど
そのあと何があったのせう・・・逝ってきまつ。
私も〜!あんまりレス書けないなと遠慮してしまふ。
心おきなくレスれるのって最終回の時くらいだ。
レスつけようと思っても、すでにたくさん付いてたりすると
私の感想と似たのもあったりで書けずに終わったりしてる。
すごく感動した作品には読書感想文を書いて送りたい。
作家様個人あてに思いのたけをメールしたいくらいだよー。
気持ちだけでも伝わって欲しいなー。
作家様にはいつもアリガトウの気持ちでいっぱいです。
絆の生まれるとき作家サマ〜〜〜、
もう週末なのですが、うpはありませぬか!?
寝台に投げ落とされたキャロル
気になりすぎます。。。
寸止めは辛ろうございます〜〜〜嗚呼
みんな〜Ψ(`▼´)Ψに期待しすぎ(w
お一人でも読んで下さる方がいらっしゃれば幸せの極みです……
@
むかしむかしのお話でございます。ヒッタイト国の王子様はとても不思議な魔法のハトをもっておりました。
魔法のハトは王子が望むままに世界のどこにいる誰にでも手紙を届け、そしてたとえ王子が
世界のどこにいようとも、かならず王子のもとへ帰ってくる大変かしこい鳥でした。
今日も王子は魔法のハトに手紙をたくします。
「さあ、この手紙をエジプトの王宮にいるルカに届けるのだ」
「クルクルックークルクルックー(いってまいります。王子様)」
がんばり屋の魔法のハトは休むことなく元気に飛び続けようとしました。
しかし途中で激しい嵐にあってしまい、いつものようには飛べません。
千里をゆうゆうと越える自慢の羽も、一日中嵐と戦ったあとにはくたくたに疲れてしまっていました。
それでも魔法のハトはエジプトを目指すことをやめようとはしません。
なによりも王子の役に立つことに誇りを持っていたのです。
「クルクルックークルクルックー(やったぞ!エジプトの王宮が見えてきたぞ!)」
魔法のハトは最後の力をふりしぼって飛びましたが、とうとう無理がたたって気を失い、そのまま王宮の庭へおっこちてしまいました。
そんな彼を見つけたのは美しいナイル姫でした。
「まあ、こんなところにハトが!とても疲れているみたい」
ナイル姫は魔法のハトをそっと助けあげると、自分のベッドに眠らせてあげました。
そして目覚めると、おいしい食べ物をたくさん用意して食べさせてあげました。
「あら、これはなんでしょう?ハトの足に何かが巻きつけてあるわ」
ナイル姫はハトの足から小さなパピルスを取ると、それを開きました。
「何か書いてある」
それはたいへん美しい文字の短い手紙でした。
------これよりシリア砂漠に入る------
A
「まあ、これだけ。これでは誰がこの手紙を書いて、誰に届けようとしていたのか分からないわ」
ナイル姫は返事の手紙を書いて、すっかり元気になった魔法のハトの足にくくりつけました。
「あなたのご主人様に届けてね」
「クルクルックークルクルックー(助けてくれて、ありがとう。やさしいナイル姫。さようなら)」
彼は翼をひろげて空高く飛び立っていきました。
帰ってきた魔法のハトの姿を見つけると、王子は人さし指を差しだして迎えました。
魔法のハトは王子の指にちょこんと座ると、「クルクルックークルクルックー(ただいまもどりました)」と言いました。
王子はとても優しい笑顔で「よし、よく来たな」と彼の背中をなでました。
「クルクルックークルクルックー(お返事です、お返事です)」
「うむ」
さっそく手紙の返事を読んだ王子が、とてもびっくりしたのは言うまでもありません。
------あなたはだあれ?わたしはナイル姫と申します------
ルカからの返事だとばかり思っていたものが、実は自分が愛している姫からの手紙だと知り、
王子はたいへん驚きましたが、それ以上に心がはずむ思いを味わっていました。
王子はいたずら心をおこし、ナイル姫に返事を書いてみることにしました。
もちろん真実どおりエジプトの敵国ヒッタイトの王子だと名乗るわけにはいきません。
どうせ嘘をつくのなら、自分とまったくかけ離れた人間になりすまそうと思いました。
「さあ、これをナイルの姫のもとへ届けよ」
「クルクルックークルクルックー(いってまいります。王子様)」
B
「あら、またあのハトが!」
ナイルの姫は窓辺に魔法のハトがとまって鳴いていることに気がつくと、
うれしそうに駆けよりました。そしてわくわくしながら彼の足から手紙をはずしました。
返事にはこう書いてありました。
-----私は旅の吟遊詩人です-----
「まあ、この人は砂漠をゆく吟遊詩人なのね!」
ナイル姫はさっそく返事を書いて、また魔法のハトにたくしました。
------あなたの名は?-----
-----イミルサール-----
-----旅の様子を教えて-----
-----ラクダを友に遥かなオアシスを目指しております-----
C
こうして二人の手紙のやりとりが始まりました。
魔法のハトはどちらに手紙を運んでも、二人からとても喜ばれるので、
この仕事をするのが楽しくて仕方がありませんでした。
ある日、また魔法のハトが手紙を運んできました。
王子はいつものように人さし指を差しだして彼を迎えます。
「クルクルックークルクルックー(お返事です、お返事です。ナイル姫からお返事です)」
王子はその手紙を見て言葉をなくしました。
------あなたの詩を聞かせて------
さすがの王子もこれには頭を抱えました。
「クルクルックークルクルックー(お返事を!お返事を!ナイル姫へお返事を)」
しかし魔法のハトがあまりに一生懸命に返事をねだるので、
王子は苦笑いをしながらも詩を書くことにしました。
D
数日後のこと。
「まあ、お返事がきたわ」
王宮の窓辺で、今日もナイル姫は嬉しそうに魔法のハトを迎えました。手紙にはこんな詩がつづってありました。
------ 太陽はまだ海の中 遠き月の触れゆく夜
閨の砂音が詠いしは かの微笑の幻か ------
「ロマンチックな吟遊詩人さんね。彼はきっと誰かに恋しているんだわ」
ナイル姫は少しいたずらっぽく微笑むと返事を書きました。
------あなたの愛している人はだあれ?------
ナイル姫の手紙を読んだ王子は黙りこみました。
「クルクルックークルクルックー(お返事を!お返事を!ナイル姫へお返事を)」
いつものように返事をうながす魔法のハトに向かって王子は少し淋しそうに言いました。
「もう終わりだ。ゆっくり休むがよいぞ」
それでも魔法のハトは「クルクルックークルクルックー(お返事を!お返事を!)」と繰り返しながら、王子のそばをくるくると飛びました。
王子は静かな声で彼を叱りました。
「私を困らせるな」
王子は今度ばかりは真実を語ることも、嘘をつくこともできなかったのです。
魔法のハトはしぶしぶあきらめたように、空高く飛び立っていきました。
「クルクルックークルクルックー(ナイル姫は王子の言葉を待っているのに…)」と鳴きながら。★おしまい★
カワイイお話ですねー。
週末うpありがトン。
ドゥエ〜〜〜〜〜ン。泣いてしまいましたクルックー。
王族乙女のみなさま〜、
業務連絡です!
ダイジェストサイトさんが更新されています。
いっそう見やすくなってます。
管理人様、ありがとうございます〜!
@童話作家様、クルックークルクルックー(upありがトン)
涙の日作家様の御登場を、お待ちしておりますぜ。
いつか機会があれば私も書いてみたいなぁと思っていて、
つたないながら「ホルスの翼」というタイトルで書き始めてみました。
なにしろ初めて書くのでどうなるのか自分でもわかりませんが(長くなるような気も^^;)、
少しずつうpさせていただこうと思っています。
一人の方にでも読んでいただければ幸せです。
どうぞこれからよろしくお願いしますm(__)m
1
テーベの都、絢爛を誇る王宮の奥まった一角にある王妃の部屋。
時は真夜中。しかし、普段は静かに守られているこの部屋には驚愕の声が響きわたっていた。
「おお、何と言うことだ!」
「まさか、このような・・・」
「これは・・・我がエジプトの運命をも左右する出来事ぞ」
王家の慣習として王妃の出産に立ち会っていたネフェルマアト王、宰相イムホテップ、大神官ラバルドは
王妃メディナの寝台を取り囲み、この事態を収めるべく知恵を絞る。
戦に明け暮れ重税で国民を苦しめた前王亡き後、ネフェルマアト王は即位し、新しく宰相となったイムホテップと共に新しい国造りを進めていた。
ナイルの恵みでエジプトの地は十分に潤い、農作物は近年豊作が続いている。国民の評判は芳しくなかったが
前王の侵略政策により属国も多くあり、毎年欠かさず献上される多大な貢物でエジプトはかつてないほど潤っていた。
今しばらくは領土を増やす必要はない。これがネフェルマアトとイムホテップとの一致した考えである。
それよりは戦で荒んだ国民の心と生活を豊かにし、エジプトと王家を愛する忠誠心を育てて内からも強国にする。
この考えの元に巧みに内政を進め、見事その政策は成功していた。いまや国民の王家に対する信頼は絶大で、
神殿には王家の繁栄を願って国民が連日祈りを捧げに訪れるほどである。
2
その王家の人気の一旦を担うのが王妃メディナの存在でもあった。
古くから続くエジプト貴族の娘で、王妃になる以前からその美しさはつとに評判になっていた。
漆黒の黒髪はさざなみのように腰の辺りまで伸び、冴えたオリーブ色の肌はなめらかで艶やかな輝きを帯びている。
しかし何といっても人の目を引きつけずにおかないのは瞳であった。
まるで鏡のように辺りの光を映し込み、そして放つ黒い黒い瞳。
ネフェルマアト王も一目でこの瞳に捕らわれ、近隣国の王女との縁談を断りメディナを王妃に据えたのだった。
「黒曜石の瞳の王妃」というのがエジプト国民の好む王妃の呼び名となっている。
「この様な例はこのエジプト王家の歴史には起きたことがありませぬ」
その卓越した知識、博学によって広く世界に名を轟かすイムホテップが絞り出すように言う。
(まこと、このようなことは例がない・・・如何にするべきか)
「イムホテップ、そなたでさえ知らぬというか」
ネフェルマアト王は疲れきった王妃の顔を苦渋に満ちた顔で見つめ、
(メディナよ、本来ならばそなたを心から称えねばならぬを・・・許せ)
言葉にならない思いを目に込めて王妃と視線を交わすしかない。
人々の敬愛がやまない黒曜石の瞳も、いまは涙に潤んで弱々しげな光が揺らいでいるだけである。
3
「ラバルドよ、急ぎ星を読め。吉凶いずれかの印は出ておらぬか。この赤子の運命は読めぬか」
さすがの知恵を持ってしても妙案が浮かばないイムホテップが問う。もはや天に頼るしかない。
その権力ゆえに私利私欲に走りがちな歴代の大神官の中にあって、ラバルドは心から国を思い、
神官としての偉大な神秘の力を持って国民の信奉を得ていた。
大神官の祈りは太陽神ラーをはじめエジプトを守る神々にあまねく届くと信じられ、
実際病に倒れ侍医の手にも負えなかった王妃をその祈りで助けたこともあった。
もちろんネフェルマアト王の信頼もこの上なく篤く、
待ちわびられていた王子の誕生の祈祷も叶ったのだった・・・
ネフェルマアト王は内政に力を入れ国を豊かにしたということで内外の評判が高かったが、
実際はメディナをすぐに王妃にしたことでもわかるように早計で愛情に流されるところもあり、
イムホテップの知恵とラバルドの神力がなくては今のエジプトはなかったと言えた。
ラバルドならば何か救う道を星から読み取ってくれるかも知れぬ。
その場にいる全ての人々は祈るようにラバルドの姿を見つめた。
4
「・・・星が流れておりまする」
中庭に面した露台から夜空を見上げてラバルドが告げる。
「おおお、して、この赤子の運命は!?」
不安におののいて震える王妃の手を、出産の手伝いをしていた女官長ナフテラと女官次長マイアが
しっかりと握り締める。
「ここのままで国が乱れましょう。争いが起き、ようやく得た国民の信頼も消えるやもしれませぬ」
絶望にもにた溜息がその場を満たす。
「ならば、やはり決断せねばならぬか・・・」
イムホテップの呟きにネフェルマアトは全てを悟って後ろを向き肩を震わせ、
それを見た王妃がたまりかねて叫んだ。
「この子を・・・この子をどうしようというのです!陛下、何とかおっしゃってくださいませ!
あああああっ・・・」
「王妃様、そのように嘆かれましてはお体に触ります。どうぞ、どうぞ泣きやまれませ」
疲れ果てた体を折り曲げて号泣する王妃をマイアは懸命になだめながら、
(なんと、なんと非常な運命でございましょう。私も二ヶ月前に我が子を産んだばかり。
王妃様のお気持ちが痛いほどにわかりまする・・・)
どうにもならない運命の悪戯に涙を流すしかなかった。
5
「女官次長マイア」
しばらく涙に咽んでいたマイアは、ラバルドから突然に名を呼ばれて顔を上げた。
見れば先ほどまでの驚愕や迷いは消えて、いつもの大神官らしい表情で自分をしっかりと見据えている。
「おまえは最近赤子を生んだと聞いたが」
「は、はい。二ヶ月前に男子を産みましてございます。生まれる前に事故で父親を亡くしましたが、
幸い王宮に連れてまいりますと多くの女官達が可愛がってくれますので・・・」
「名は?」
「アリフと名付けました」
この大事に大神官どのはなにゆえ私の子のことなど聞くのだろう。マイアは訳もわからず問われたまま答え続ける。
「乳の出はどうか」
「それはもう、十分に足りておりますが・・・」
「確かおまえはナスルの町の出身であったな」
「はい。テーベの都よりラクダで7日ほどの距離にございます、ナイル河畔の町の出身にございます。
とは申しましても地方貴族でございました両親はすでに亡くなり、身寄りとてございませぬ」
「実家はまだ残っているのか」
「私にとりましては思い出の家でありますれば、町の者に管理を頼んでおります。
なにぶん、偏屈だった父の好みで町の外れに建っており、管理せねばすぐに荒れ果ててしまいますので・・・」
一瞬、ラバルドの顔が輝く。町の外れ、なんと好都合であろう。
「貴族の家といえば外壁に囲まれているのが常だが、いくら町外れとはいえお前の家も囲んでおろうな」
「それはもう。先程も申し上げましたように父が町の人々と交流を好まない偏屈者でございましたから、
並みの貴族の家の外壁よりずっと高くなっております」
ますます好都合である。この命を救うには、他に方法はあるまい。
国民が騒ぎ始めよう。もう時間がない…
「ファラオ、王妃様、お聞きください」
ラバルドはネフェルマアト王と臥せるメディナ王妃に向かって話はじめた。
週末なのに新作うpが
キタ━―━―━―(゚∀゚)━―━―━―!!
ホルスの翼作家様すごい!感謝です!
おお〜、とても初めての方とは思えない、スケールの大きさでつ。
メンヒスの誕生秘話でしょうか?
今後の展開が期待大ですね!頑張って下さい。
ところで、前は穴場的だったメンヒス物が最近人気になってきましたね。
スレの流れも色々と変遷があるもんですねぇ。面白い。
>魔法のハト@童話作家さま
クルックーなハトがなんだか泣かせます〜。
健気な動物モノに弱いでつ・゚・(ノД`)
ほっこりした気持ちになりました。このハトが活躍する続きが読みたいです。
>ホルスの翼作家さま
ほんと、とても初めて書く方とは思えませんよ。
実は私も何度か作品をうpさせてもらったことがありますが、
一番最初に書いたものなんて箇条書きみたいなもんで恥ずかしくて読めませぬ(恥)
どんどん話が広がっていきそうなはじまりで面白いです。頑張って!
>王族乙女の皆さま
時々作品をうpさせてもらう者からちょっとだけ書かせて下さい。
作品を読んでの感想って良くても悪くてもとっても励みになるもんなんです。
というか、勝手な話だけど何もないとうpする気力がなくなったり。。。
大切なこの場が荒れてしまう心配は私も一緒ですが、
作品をうpする場である以上は作家様を盛り立てていくことも
心配すること以上に大切なことだと思います。
感想を書いてなどと強制してるわけじゃ絶対にありませんが、
最近の流れを見ていて書かずにはいられませんでした。失礼しました。
314たん、同意でございまする。
わたしも同じく作家の端くれだけど、「読みました」の一言でも嬉しいんだよねぇ。
その気持ちがわかるだけにわたしも出来るかぎりカキコするようにしてるし。
6
全ての話が終わり、誰もがラバルドの言葉に賛成した。
確かにこれ以上の方法は見当たらず、別の策を練るにはもはや時間がなかった。
「さあ、マイア、早く出立の用意を!」
イムホテップに急かされて立ち上がったマイアの胸に、柔らかく温かなものが託される。
この世に生を受けたばかりの、目も開かぬ小さな命。
硬く握り締められた手にどんな運命を握っているのだろう・・・
「マイア、ここへ」
寄り添うネフェルマアト王とメディナ王妃がマイアを呼ぶ。
これが最後の別れになると予感しながら。
「これしか方法がないのだ。我が愛しき子よ・・・許せ」
すやすやと眠る赤子の額に手をあて、父親として精一杯の愛情を流し込む王。
「可哀想な私の子・・・どうか許して。母は一生をかけてあなたの幸せを祈っているわ・・・
どうか…どうか幸せに…」
メディナは黒曜石と謳われる瞳からぽろぽろと涙をこばし、それが赤子の頬伝ってマイアの手に流れ落ちる。
(王妃様の涙・・・なんと熱いことでしょう・・・。このマイア、生涯をかけてお守りいたします)
決意を込めて王妃の目を見つめたマイアに、王妃はやはり目で伝え返す。
頼みますよ、と。両親のいないこの子を守ってやってと。
一国の王妃とそれに仕える使用人としてではなく、一人の女と女として交わされた生涯の約束。
それは神に仕える者とて入り込むことの出来ない聖なる瞬間だった。
7
「これを…」
そう言ってメディナは肌身離さず身につけていた黄金の首飾りをはずす。
「これは陛下…ネフェルマアト王から賜ったものです。親のいないこの子に、
これが親の形見だと伝えてやって」
見事な輝きを放つ首飾りを赤子の首にかけながら、
「ホルス神の強さとハトホル女神の愛があなたのうえにありますように・・・」と呟いた。
「マイア、早く!もうすぐ祝福の客たちがなだれこんでくる。その前に!」
イムホテップの声に耳をすませば、確かにざわざわと大勢の人々の声が聞こえはじめている。
「では、ファラオ、王妃様、失礼いたします!」
王夫妻を振り返る間もなく、赤子を胸に抱いてマイアは駆け出した・・・
暗闇にまぎれるように中庭を抜けた頃、奥の宮殿からは祝福の声が上がった。
「ファラオ、おめでとうございます!」
「黒曜石の瞳の王妃に心からの祝福を!」
「王子メンフィス様のご誕生、おめでとうございます!」
どんどん宮殿から離れていくマイアの耳にもはっきりと聞こえる、王子メンフィス誕生を祝う声。
城を抜けると王子誕生の布告が出されたばかりのテーベの都も沸き立っていた。
「これでエジプトも安泰だ」「いやー、めでたいのなんのって」
「メンフィス様、ばんざーい!!」「未来のファラオ、おめでとうございます!」
(これほどに民達が王子の誕生に沸き立っているというのに…。
いいえ、いいえ、この命は私が守ってみせる。健やかに、強く、誰よりも愛をそそいで)
マイアは立ち止まり、しっかりと胸にかき抱いた赤子の柔らかな頬に口づけた。
これだけの激しい振動にも動じず寝息を立てる赤子にほんの少し微笑みをもらし、
暗闇をぬって再び走りはじめた・・・
8
−ナイル河畔、ナスル−
「おい、アリフ、遠乗りに行くぞ!」
笑いをふくんだ清々しい声が家に響く。
「冗談はよしてくれよ。俺は仕事して帰ってきたばかりなんだぜ」
やはりアリフも笑いながら答えるが、言葉に反して遠乗りの準備を始めていた。
「仕方ないではないか。私は夜しか外出が許されていないんだからな」
責めるとも諦めるともつかぬ口調に、
「レイアス様・・・」とマイアは悲しげに声をかける。
「すまぬ、マイア。冗談だ」
輝くような微笑を作ってマイアの肩を抱いたレイアスだったが、心はいつもの疑問にとらわれていた。
思えば幼い頃から外出することは許されず、時々家に来る物売りの応対をすることさえ出来なかった。
アリフが書記になるための学校に通い始めても自分は家にいたまま。
外に出られなくてもいい、せめて学ばせてくれと懇願すると、町の小さな神殿に住む
ラバルド老親官が教師として家を訪ねてくるようになったのだった。
アリフが書記官として町の監督官舎で仕事を始めた今になっても、
レイアスは家の中でラバルドから学ぶ日々が続いている。
もちろん、博学のラバルドから学ぶ知識は興味深く、広範囲にわたるものだ。
神々の系譜、エジプトの歴史、王宮や神殿などの建築方法、異国の歴史とエジプトとの関係、
夜空の星を読む方法・・・ こんな片田舎に住む神官がどうしてこれほどの知識をと思うほどだ。
ラバルドが舌を巻くほどの速さでこれらの知識を吸収しながらも、
心の片隅にある空虚さは如何かんともし難い。
自身の中にみなぎる力に焦がされるような気さえする。
9
「ほら、レイアス、何考えこんでるんだ。用意が出来だぞ」
物思いから覚めるとアリフが2頭の馬をひいて戸口で待っている。
この馬も疑問のひとつだった。首都テーベならいざしらず、遠く離れた片田舎の町でなぜこんな駿馬が手に入ったのか。
15になったばかりの3年前のある日、ラバルドに習った歴代のファラオの雄々しき姿。
その中にあった馬を駆って敵を攻めるという戦術に興味を引かれた。
「ラバルド神官、都では普通に人々が馬に乗っているのですか?」
「そうですな…昔に比べると交易が進み、また貢物としてエジプトへも多くの馬が入ってきました。
兵士たちは乗ることもありますが一般の民にはまだまだ・・・」
ラバルドは何か遠くを見るように目を細めて語る。
「レイアス様は馬に興味がおありかな」
「ああ、乗ってみたい。太陽神ラーが空を軍行されている間は体がなまってならないんだ。
夜にでも馬に乗って駆ければ気持ちよいだろうな」
それから数日後、家にはこの馬たちが届けられた・・・
レイアスたちの住む家は元から町の外れに位置するとはいえ、
夜中に馬が駆ける蹄の音が響いては大騒ぎになってしまう。
そこで遠乗りする時には、必ず町から離れたナイル河畔の道まで馬をひいて歩いていくのだった。
10
「よし、ここまでくれば大丈夫だろう」
そういい終わらない内にひらりと身軽く馬に飛び乗ったレイアスを見て、アリフは笑いを隠せない。
「レイアス、おまえ相当力が余ってるな」
笑いながらも目はレイアスに釘付けになっている。
すらりと伸びた長い足。長い黒髪は風になびいてしなやかな体にまといつき、影のようにも見える。
日中外に出ないため自分の褐色の肌とは違うオリーブ色の肌が気品を感じさせた。
そして目だ。こんな夜でも月や星の幽かな光をとらえて輝く漆黒の瞳。その目が自分を見て答える。
「当たり前だ。早くしないと置いていくぞ!」
「おいおい、待ってくれよ」
(仕方ないよな。昼間ずっと家の中に居ろだなんて息がつまってしまうだろうに。いったい母さんも
ラバルド神官様もなぜそんな約束をさせてるんだか)
町に出ればさぞかし人気を集めるだろうレイアスの能力と容姿…もったいない気がしてならない。
「レイアス、準備できだぞ。あの先のシュルムのオアシスまで競走しようか」
「待て」
「今度は何なんだ。急げと言ったり待てと言ったり・・・」
「アリフ、あの茂みに何かいないか?」
馬の背に跨ったレイアスはアリフの準備が整うあいだに何気なくナイルの岸辺を眺めていた。
ナイルの流れに月光が反射して輝くさまは美しく心奪われるものだったが、
どうにもその輝きとは違う光が茂みにあるのに気付いたのだった。
「本当だ…。人じゃないか?」
「行くぞ!」
「おい、待てよ。盗賊だったらどうするんだ…って、聞きゃあしないな」
ぶつぶつ言いながらアリフはレイアスの後に続いて茂みに向かった。
申し訳ありません、316は「ホルスの翼」の6です。
他の掲示板に書きこんだまま変えるのを忘れてしまってお恥ずかしいです。
また、316は311につながっています。度重なるミス、お許しくださいm(__)m
頑張ってというお言葉とってもうれしいです。
これからもよろしくお願いします。
>>321 ホルスの翼作家様、どんまい(^o^)
私も同じミスやっちゃったことあるよ〜。気にしないでガンガレ!
物語は予想外の展開で続きが楽しみでつ。
>>ホルスの翼作家様
私もうpミスしましたよ・・・。
うpの時ってエラー出たりなかなか送信できなかったり、結構緊張しますよね?え、しませんか?
ドンマイ、ドンマイです。
続きを楽しみにしております、頑張って下さいね。
どんなメンフィスなんでしょう、楽しみにしております!
>ホルスの翼作家様
本当にこれが初めての作品なんですか!ウマー!
>一国の王妃とそれに仕える使用人としてではなく、一人の女と女として交わされた生涯の約束。
このシーンが特にツボでした。続きが楽しみです。がんがって下さい〜
>323
ああ、やはり先輩作家さんでも緊張しながらUPするんですね。私だけじゃなかった!
特に私の場合、書きあげてみても、こんなの誰にも読んでもらえないって思えて
送信する勇気がなかなか出ないんですよー
一ヶ月も二ヶ月もウジウジ迷ってから送信するような小心者なので、
送信時はマジでガクガクプルプル…(笑
そんな時に送信エラーまで出ると頭真っ白で焦りまくります〜
ここの住人さん達はホント優しい人が多いね。
レスを読んでるだけでも和みますわ♪
それにしても、読者の中の作家さん率高いのねー(驚き!イチヲ私もだ)
>>324 やっぱり書き上げてから送信される方が多いのかな?
偉いっすね。
私のバヤイだと自力では書き上げられなくて、出だしをうpするコトによって
ノルマを感じて何とか最後までたどり着けると言う、情けなーい状況。
ラストも決めずに書き始めてしまう時も多々。
こんなんに付き合せてスマソと思う。ごめんよ。
涙の日もホスルの翼もとても処女作とは思えない。他作家様も皆、素晴らしい。
私の処女作はおこがましくダイジェストにも掲載して頂いてるんだが
あまりに情けないので削除依頼出すべきかと、真剣に悩んだことあるぐらい。
皆様の才能に乾杯ですな \( ^^) U_U(^^ )/カンパーイ
私も書きながらうpするので
自分でもどういう展開になるのか瞑想しながら
なんとか終わるってかんじなんです。
そんなのでも、レス下さる方がいるので
それが励みになって、なんとか完結です。
最近新作が多くて、とっても楽しみです。
作家様、がんばってください!
いつでも作品うp待ってます。
324です。
>325
書き上げてから送るところが偉いなんて言われると恥ずかしい〜!
わたしの場合は単に短品なんで1度のUPですんじゃうという、ただそれだけなんです。
そうですよね。UPしながら書いていく方が多いみたいですね。
でもそれって、本当にすっごいことだと思う。うらやましいなぁ。
ホルスの翼、謎めいた話で気になります。
メンフィス=レイアス、ではないよね?・・・双子でしょうか?
ちょっとΨ(`▼´)Ψ路線で行ってみます。
途中からエチーになってゆくかと思われます・・・
1
イズミル王子とキャロルが婚儀から、はや二月が過ぎようという頃………。
長い恋慕の末、国をあげての盛大な華燭の婚儀を挙げ、国民や臣下達が祝賀の狂喜に舞い踊るなか、初夜の床でイズミルは愛しい娘をついに女にした。
エジプトから連れてきたこの幼い姫に恋を教え、妻と娶るまでにどれ程の苦労をした事か。
なので、初夜のイズミルの喜びはひとしおであった。
初心で清らかな姫に、夜毎、イズミルは夫として妻を愛する行為を優しく手ほどきする。
一度その悦びを知れば、二人の愛情は更に深まるばかりで、時の許す限り互いを求めて愛し合った。
まだキャロルにとって愛の秘め事は、とても恥ずかく、どこか後ろめたい事であったが、それでも愛しいイズミルに抱かれ、彼に少しずつ体が慣れていくのは嬉しい。
彼を受け入れても、もう最初の時のように痛みを覚える事もなくなった。
イズミルに満たされると、体も心も彼に捧げたのだと、深い満足感と幸福感に満たされる。
夜の閨のなか、薄い衣を一枚づつ剥がされながら、逞しい彼の胸に抱かれるのは心臓がドキドキして苦しいけれど、それは息をもできぬ程のときめき。
キャロルの肌に触れながら、口づけを求めるイズミルの貌はこの上なく色っぽくて……。
恥ずかしいと頬を染めて涙しながらも、実は彼が触れてくれるのを心待ちにする日々だった。
しかし。その後のイズミルは病に臥せる父王に代わり、何かと政務や視察などに追われ忙殺されていった。
特にこの月は多忙を極めており、数日間留守にする事も多かったし、王宮内で政務に就く日であってもキャロルが床に就くより先にイズミルが戻った試しはないし、キャロルの起床を待たずに早々と出かけてしまう。
共に床に就いているとはいえ、キャロルは寂しい夜を過ごしていた。
新婚直後の、彼の甘い睦言に浸った夜、彼の激しい愛に抱かれた夜の思い出が、却って胸に切ない。
愛する夫への恋しさは募るばかり………。
2
夜毎、帰りの遅いイズミルを何とか起きて待とうとするキャロルであるが、瞼を重くする睡魔には勝てず、どうしても気がつくと先に寝てしまっているのだ。
そしてキャロルが目覚める時、王子の姿はもう見当たらず、キャロルの隣には彼の寝跡と甘やかな温かみがシーツに残るだけ。
キャロルは枕や寝具の中に残る彼の体温と肌の匂いを抱きしめては、恋しさに涙する……。
(寂しい……寂しい……王子。傍にいて……)
「ムーラ王子はまだお帰りにならないの?」
キャロルは寂しさと心細さに溢れた青い瞳で、ムーラを見やった。
「はい。王子は早朝より視察へ出られ、その後政務がおありです。
今宵のお戻りは夜半過ぎになると仰っておられました。
姫君は先に床に着かれるようにとの……お言付けでございます」
「………!!」
キャロルの瞳に不意に涙が滲む。
(もう、20日も王子の顔をろくに見ていない気がするわ……!
眠ってる時しか一緒にいられないなんて……、王子が忙しいのは分かってるけど…
我がまま言っちゃいけないのは…わかってるけど………それでも、寂しい。)
「ムーラ、どうして起してくれないの?
王子が帰ってくる前に寝ちゃったら、起こして欲しいっていつもお願いしてるのに……!」
「いいえ、姫君。姫君は先に休まれるようにと、王子は厳しく仰せでございます。
王子は何よりも姫君のお体を案じておられるのですよ。
まだ姫君には慣れぬことばかりですから、無理をさせたくないと思っておいでなのです。
御心配なさらなくとも、王子はいつも優しく添い伏して下さるではないですか」
子供のように首を横に振って哀しい顔を見せるキャロルに、ムーラは肩をすくめた。
(まったく、姫君ときたら。
お年の頃よりずっと大人かと思えば、このように王子の事となると幼子のようになられる!
王子がどんなにお戻りになった後、どれ程あなた様の寝顔を愛しげに見つめていらっしゃるか…。
そして、どれ程あなた様を気遣っておられるか……!)
3
「でも…でも…。今日こそは起きて王子を待つわ!
そうだわ!寝室に入るから寝てしまうのよ。
私、今日からはこの長椅子に掛けて王子を待ってます」
しかし、ムーラにあっさりと諌められてしまう。
「なりませぬ!姫君をこのような場所がお休みになるなんて、王子のお叱りが目に見えるようでございます!
風邪でも召されたら、それこそ王子へお詫びのしようがございませぬ」
「じゃ……お願い、ムーラ。
また寝てしまったら、起してくれるように王子に伝えて。ね?お願いよ」
「……かしこまりました。
では、姫君がそのように仰っておられたと王子へお伝えいたします」
「絶対よ、絶対伝えてね!・・・ね!」
何度も念を押しながら、キャロルはムーラに促され帳の奥の寝台に上がる。
書物を読んで時間をつぶそうと、キャロルは寝台に横になり、王子がくれた巻物を広げてみる。
しかし寝具からかすかに漂うイズミルの男らしい香りが、胸を切なくときめかせて、どうも書物には熱中できないのだ。
キャロルは書物を脇に退けると、イズミルの枕をぎゅっと抱きしめた。
今日も会えないかも知れないと思うと、我知らず涙が目尻に浮かんでしまう。
何だかとても、夫であるイズミルの存在が遠く感じられてしまう。
「王子……早く帰って来て。
また…眠くなって来ちゃう……早く、早く……」
眠らない…寝てはいけない…と自分自身に言い聞かせるのだが、悲しいかな夜に弱いキャロルはすぐ睡魔に引き込まれてしまう。
4
そして、夜半過ぎ。
イズミルは長い政務を終えて、やっとキャロルの待つ部屋へと戻って来た。
厳しく表情を崩さぬイズミルの冷たい美貌が、優しげなそれに変わる瞬間である。
「お帰りなさいませ、王子」
「おお、ムーラ。姫はどうであった?変わりはないか?寂しくしておったのではないか?」
「……それは、もう。大変な寂しがり様でいらっしゃいました。
王子のお帰りを寝ずにお待ちになるのだと言い張っておられて……」
イズミルはクスクスと押さえ切れぬ笑いを漏らす。
「……しかし、また待ちきれずに寝入ってしまったのであろう?」
「はい。……でも、王子がお帰りになったら必ず起して欲しいと……」
「そうか……わかった。さぞ寂しがっている事だろうとは思っていたが…。
あまりに愛らしい顔で寝入っているので、起してやるのが可哀想になるのだ」
イズミルはキャロルの寝顔を思い出し、思わずという風に目を細めて微笑んだ。
「ああ、それと。明日の朝はゆっくりと休みたい……そのようにしてくれ。
今宵はもう下がってよいぞ、ムーラ」
そう言うと、イズミルはキャロルの眠る寝台の帳の中へと消えていった。
燭台のほのかな明かりに照らし出されたキャロルの寝姿をしばし見つめるイズミル。
キャロルは穏かな寝息を立てながら、イズミルの使う枕をぎゅっと腕に抱きしめて眠っている。
長い睫毛の淵には少しばかり涙の跡が残っていた。
「姫……、すまぬ。可哀想なことをしたな。よほど寂しかったのであろうな……?
そなたを起してやった方が良かったのか…?」
王子はキャロルの白く滑らかな頬を愛しげに撫でながら、涙の跡をそっと舐め取った。
上掛けをそっと剥がして、寝台の中に大きな体を滑り込ませる。
キャロルの腕からそっと枕を取り上げて、彼女の小柄な体を胸の中に抱きしめた。
柔らかくて暖かい。そして愛しい。
「姫……私だ……」
キャロルの薄い耳たぶを甘噛みしながら、低い声で囁いてみる。
「起きよ……、私を待っていたのであろう……?」
しかし、キャロルは愛しい男の呼びかけに、心地よさそうな寝息で応えるばかり。
こ、この後の展開は・・・ドキドキ
ゆっくり起こす(・∀・)イイ!
夜通しΨ(`▼´)Ψの予感にワクワクだいっ!
キ…(-_-)キ(_- )キ!(- )キッ!( )キタ( ゜)キタ!( ゜∀)キタ!!( ゜∀゜ )キタ━━━!!
イヤン、Ψ(`▼´)Ψな王子待ってました!
幼な妻キャロル×アダルトな王子が私の永遠のツボよ〜
>明日の朝はゆっくりと休みたい
王子のヤル気モード全開宣言?
>>320 11
先に茂みに着いたレイアスが馬を降りて近づいてみると、確かに人らしき影が倒れている。
旅の途中で行き倒れた老人だろうかと駆け寄って抱き起こすと、黄金の髪がふわりと手にかかった。
「これは・・・」息を飲むアリフ。
「髪が黄金・・・黄金だ。アリフ、町にはこのような髪をした人がいるのか?」
「いや、見たことも聞いたこともない…」
顔を見ると年の頃は16、7の少女で目も唇も固く閉じ、顔色は月光のせいか妙に白い。
軽く揺すっても目を開ける気配はなく、ぐったりとレイアスの胸にもたれかかっている。
「生きているのか?」
「ああ、体は温かい。それにしてもなぜこんな所に少女が・・・。放ってはおけぬ、連れて帰るぞ」
少女を抱き上げてレイアスがすっくと立ち上がる。
「レイアス!」
「おまえはこのまま捨てておけるのか。朝には盗賊か獣の餌食だ」
「ぐっ」
「急ぎ家へ戻るぞ!」
いつもレイアスの振る舞いは正しく、物事を決めた時の人を圧するような空気に
アリフは逆らえない。
馬をアリフに託し、レイアスは少女を抱き上げて家へと向かう。
少女へ目を向けると真っ先に自分の目を引いた黄金の髪は月光を浴びてますます輝き、
ふんわりと手にかかるその感触がかつて知らぬ感情で心をくすぐる。
目は固く閉じられたままだったが、唇は軽く開いてその柔らかさで誘うようにも見えた。
(マイアやアリフ、ラバルド神官とはまるで違う。こっそりと遠くに垣間見る町の人々との姿とも、
パピルスに見る絵姿ともまったく違う・・・。美しい・・・)
生まれて初めて触れる少女の柔らかさ、そして想像だにしなかった美しさ。
いつまでもこのまま抱いていたいような誘惑に、レイアスはかられるのだった。
12
「一体この少女はどうされたのです!」
あまりに早い帰りに驚いて出迎えたマイアは、レイアスの胸に抱かれた少女を見てなおさら驚いた。
「それに黄金の髪に白い肌…このような娘は見たことがありませぬ」
(白い肌?おお、なんと白い肌なのだ。月光の下では血の気がないのかと思っていたが、
手燭の炎で見れば透き通るように白い)
「ナイルの岸辺の茂みの中に倒れていたのだ。見れば若い娘、放ってはおけぬ」
「それはそうですが…ですが、このような身元も知れぬ娘にお姿を見られるようなことでもあれば」
「あればどうだと言うのだ。マイアのその言葉は聞き飽きた!」
たちまちマイアの目の中に悲しみと苦しみの色が浮かぶ。
「レイアス様、何ということを…何ということを申されます」
レイアスはいつも自分の中にある苛立ちをマイアに問うて後悔する。
もっと幼い頃、声にならない涙に咽んでいたマイア・・・・
「すまなかった。だが手当てをしてやってはくれぬか。せっかく助けた命だ」
助けた命、という言葉にマイアはびくっとした。助けた命…
「…わかりました。とりあえず水を飲ませてみましょう。アリフ、水を」
「へいへい」
「アリフ、私に貸せ」
レイアスは水の入った素焼きの杯を受け取り、少女の背中に手を回してわずかに上半身を起こす。
唇に水をあてると、コクッと小さな音が漏れた。
「飲んだぞ」少女の顔から目を離さず声を上げる。
「レイアス様、もう少し飲ませてみてはいかがでしょう」
「そうだな。さあ、娘、もう少し飲んでみるんだ」
再び唇に水をあてると少女はコクリと飲み込み、うっすらと目を開いた。
13
「ようやく気付いたか。そなた・・・」
レイアスはそう言い始めたものの言葉が続かない。
マイアもアリフも同じく目を見開いて少女の姿を見つめている。
「・・・ここは・・・ここはどこ?」
少女の声に我に返ったレイアスだが、その瞳から目を離せない。
「ここはナスルの町外れにある家だ」
「ナスル?ナスルなんて聞いたことがないわ・・・それにあなた達の服装・・・」
「ナスルはテーベの都から下エジプトに向かってかなり離れた場所だ。
もしテーベへ旅をしているのならば女の足では何日かかるかわからぬぞ」
少女の小さな白い顔、そして3人の目を吸い込んでいた青い瞳が驚愕が歪む。
「なんですって!テーベってどういうこと、メンフィスという地名じゃないの!?」
「まあまあ、そのように興奮してはなりませぬ」
少女の青い瞳を見た驚きから覚めたマイアは、2人の子供を育てた母親らしい優しさで
レイアスに代わって少女の肩を抱いて続ける。
「メンフィスは即位されたばかりの若きファラオの御名ですわ。この服装もエジプトでは
ごく普通のもの。あなたの服装こそ異国のものに見えます」
みるみるうちに少女の瞳に涙が溢れ、
「あああ、どうしよう!私はアメリカ人よ、20世紀の人間なの!ここにいるべき人間じゃないわ!」
両手で顔を覆って泣き叫ぶ。
14
「ア・メ・リ・カ?そんな国は聞いたことがないぞ。20セイキっていうのも意味がわからないな」
アリフの呟きが3人の気持ちを代弁していた。
まるで少女の話が理解出来ず途方に暮れていた3人だったが、
とりあえずは嘆き悲しむこの少女の体を休ませてやらねば…
レイアスは台所へ向かい、棚から美しく彩色された瓶を取ってその中身を少し杯に移した。
「娘よ、これを飲んで落ち着け」
少女は手で顔を覆ったまま泣き続けてマイアの慰めも受け付けず、
レイアスの言葉を聞こうともしない。
「これはマイア手製の葡萄酒だ。悲しみには…落ち着きたい時にはよく効く」
マイアもアリフもその言葉に胸を打たれる。レイアスの孤独と悲しみはもしかしたら自分達の
想像を越えた痛みをもたらしているのかもしれない。
事情を知らないアリフは横目で母親の顔を見やり、すべてを知るマイアは固く手を握り締める。
(ラバルド大神官様に一度ご相談しなくては・・・)
「そんなに嘆くと体に障る。そなたは道端に倒れていたのだ」
いくら言い募っても泣きやまない少女にレイアスは優しく語りかける。
自分がいる場所がわからない、少女はそう言った。その気持ちがわかるのだ。
なにゆえ自分はここにいるのか。
それさえわからぬ自分と同じ不安をこの少女もまた感じているに違いない。
「仕方あるまい。マイア、もう1度場所を代われ。私が飲ませよう」
レイアスは少女の肩を抱いていたマイアと入れ代わり、その傍に腰掛けた。
優しいレスをありがとうございました。
本当に嬉しくって、何度も何度も読み返しています。
私も考えながら書き進めているところで、皆さんの言葉を励みに頑張ります!
読んでいただけて、本当に嬉しい。ありがとうございます。
>>270 8
「初めて私が贈った品をその身につけたな」
王子はキャロルの耳朶に囁きかけた。仕事を中断させられた苛立ちは消えうせ、自分でも驚くほど暖かな感情が湧き上がってきた。
(そなたを深く愛しているのであろう家族との思い出の品を、腹立ち紛れに叩き壊した私を許してくれるか?)
王子がキャロルにすぐさまロケットの替わりの品を贈ったのは不器用な詫びの行為。
(泣かないでくれ、私を嫌いにならないでくれ、私から離れようとなどするな。そなたは私のものだ)
だが王子の素直な言葉は決してキャロルに聞こえることはない。
「やっ・・・嫌だっ・・・・!変なことしないでっ!大嫌いっ!」
「痛っ!」
王子は引っかかれて血の滲む頬を押さえながらキャロルから離れた。急速に初恋にのぼせ上がる頭が冷えて、目の前で泣きながら怯えている少女の顔が見えてくる。
(また・・・泣かせた・・・・か)
王子は小さく吐息をつくとわざとそっけない口調で言った。
「・・・すまぬ。驚かせたか。・・・・・・小さい子供のあしらいには慣れておらぬのだ。とにかく眠いのならば早く眠れ。私は仕事があるゆえ・・・」
優しく頭を撫でる大きな手を乱暴に振り払ってキャロルは叫んだ。
「優しくなんてしないでっ!腹が立って惨めだわ!怒ればいいじゃないの?
牢屋に入れればいいじゃないの。あなたに怪我をさせたんですもの。あなたの邪魔をしたんですもの。あなたの・・・」
「姫・・・!もう休め。そなたは疲れているのだ。ほら手が暖かい」
「眠くないのっ!王子がいるなら私も眠らないっ!」
王子は大きく溜息をついた。愛らしく憎たらしい駄々っ子!
「好きにいたせ。だが邪魔をするではないぞ。そなたの我侭で国の政務が滞っては大事だ」
そういうと王子はまた書類に戻っていった。だが集中するのは苦痛でしかなく目の端は常にキャロルを注視していた。
9
どれくらいの時間が過ぎただろう。
キャロルは書見する王子を横目に泣きもせず、眠りもせず、ただ座った自分の指先を見つめていた。
現代に居るときと同じようにきれいで滑らかな手。しなやかな指と薔薇色の爪。それは王子が快適で贅沢な生活を与えてくれるからだ。
(王子は私をどうしたいのかしら?私をどういうふうに利用するつもりなの?分からないのは嫌。怖い)
だがそう考える先から何気ない、あるいは不器用な王子の気遣いが思い出された。
無神経な視線や噂から守るように気遣ってくれる若者。たまに外出するときはいつも一緒だ。
彼女付きの召使達はしつけも行き届き、キャロルに気まずい思いをさせることなどない。望むものはすぐに届けられる。
そして何よりも。
(王子は私が本当に嫌がることは何もしない。・・・そう、おもちゃのように抱くこともしない。指一本触れない)
これまで古代世界でキャロルが出会った男達は皆、彼女を無理やりに抱こうとした。そのおぞましい感触の記憶は今でもキャロルを苦しめる。だが王子は違った。
これまで会った誰よりも恐ろしく油断ならないと思うけれど、どこか彼は違った。
(私はこれからどうなるの?)
「ナイルの姫?何を考えている?退屈なのか?」
キャロルが答えるより先に、彼女の膝に巻物が抛ってよこされた。
「諸国の風土などが書いてある。まぁ、そなたには面白かろう。眠れぬならそれを読んでおれ」
(また・・・私のほうを見もしないで・・・)
キャロルは恐る恐る巻物に触れた。そして王子の様子を窺う様にしながら読み出したが、じきに読み物に引き込まれまわりのことなど忘れてしまった。
〜絆の生まれるとき〜
いいっす!
すぐにメロメロにならない王子も、マジ子供なキャロルもどう育つのか・・
大人な男〜の王子がタイプなので、楽しみな一作☆
>また・・・私のほうを見もしないで・・・
不器用なオトナ王子が萌えっす
サミシイ夜には作家様は今晩、ご光臨されるのだろうか?
リロしまくりで待ってます〜〜。
>281
15
私はずっと薄暗い穴倉のなかで眠っていたように思える。
そこは心地よく酷く消耗した私の体を癒してくれていたのだと思う。
でも遠くの方から誰かが呼ぶ声がしたようで、ふっと目を開けると
そこは見慣れた神殿の中の私の寝室の天井で、横にはミヌーエ将軍が今にも立ち去ろうとしていた様子なのに、
私が気付いた様子を見て口許を緩めた。
「・・・やっと目覚めたな、巫女よ、10日も昏昏と眠っていたぞ。」
体は軽かった、あの指一本さえ動かせなかったのが信じられないほどに、さっさと寝台を降りる事もできた。
「母上と交代でそなたの様子を見に参っていた、ファラオがそなたが回復次第何でも望みのものを申せとの仰せだ。」
ミヌーエ将軍の声とともに、風がたくさんの知らせを私に告げる。
キャロルはあれから回復してきていて、寝台から離れるのもじきであろうことや、
私が眠っている間、ナフテラ様やミヌーエ様が、お忙しい合間に私の様子を何度も確かめに来てくださったこと、
戦は無事に勝ち、キャロルは正式にファラオを婚儀を挙げる事に決まったこと・・・・。
「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません、私はもうご心配には及びませぬ。
・・・では、ファラオにお伝えくださいませ、どうか私が死ぬまでこの神殿で神々に仕える事をお許しください、と。」
何も欲しいとは思えなかった、食べるものも水とわずかの果物があれば十分だったし、衣も宝石も何もかも、
神に仕える私には必要がなかった。
「・・・よかろう、そう申し上げよう、欲のない事だ。だが大げさではないか?死ぬまでなどとは。
まだ10をいくつか過ぎたようにしか見えぬがな。」
優しげな表情は、母上であられるナフテラ様によく似ておいでだと思う。
「祈りを捧げてるうちにじき年もとりましょう。」
「年に似合わず悟った事を申すものだ。」私の言葉に目を細めて笑っていらしゃるよう。
「キャロル様もそなたの身を案じていた、そのうちお見えになるやもしれぬな。
寝台ですっかり退屈しているらしい。」
私が目覚めた事で陽は終わったで、ミヌーエ将軍は立ち去られた。
残ったのはいつもの静寂だった。
>ホルスの翼様
お、キャロルの登場ですね!
>祈り様
ハプトが無事で安心しました!
>>333 5
「姫…」
腕の中で安心しきった様子で眠るキャロルの黄金の髪を指で梳きすかしてやりながら、イズミルはさも愛しげに彼女の寝顔を見つめている。
これ程までに眠りが深いのは、おそらく無理をして遅くまで起きていたに違いない。
そんないじらしい、子供っぽいとも言える努力が殊更可愛く思えて、イズミルの口元は自然と柔らかな緩みを見せていた。
キャロルの白く小さな手を、武具を扱い馴れた彼の逞しい大きな手の上に載せてみれば、それは何とも頼りなく儚げに見える。
イズミルはキャロルの手を優しく握り締め、ほんのり桜色に染まる可憐な指先の一本一本に口づけを与えた。
「ふっ……愛しいことぞ。
この体の一つ一つが…そなたのなす事のすべてが愛しい……我が妃…私の姫よ」
やがて見つめているだけではあき足りなくなったイズミルは、静かな吐息の漏れる唇に、己の唇を重ね合わせてみる。
少し開いた唇をそっと吸いながら舌を挿し伸ばし、キャロルの舌先を捉えて絡め取る。
唇は触れれば蕩けそうなほど柔らかで、甘やかな舌先は媚薬のように男を酔わせ熱くする。
どんな美姫を抱いてもさほど感動を覚えないイズミルであったのに、キャロルに至っては、接吻のひとつだけで胸の中に何やら妖しい欲望が萌して、心乱される。
キャロルが愛しいくて堪らない。溺愛している。
認めるのは癪であるが、素直にそう思う。
だが、どれだけ可愛がって大切に愛しんでみても、渇望を宥める事ができない。
イズミルのような男の夜伽を務めるには、キャロルはまだ幼く無知すぎてもどかしい。
しかし、そのもどかしさすら、イズミルを夢中にさせる要因のひとつなのだから、もはや手の施しようがないと言える。
そっと啄ばむように始まった接吻は、次第に深く激しいものへと変わっていくのに、キャロルは少し息苦しそうな顔して彼から逃れようとするだけ。
唇を離すと、イズミルはキャロルの頬を優しく二三度叩いた。
「姫……姫……起きよと申すに」
「うん……」
6
一向に起きる気配を見せないキャロルに悪戯心を起したイズミル。
それならば…と、夜着の合わせ目から、そろりと手を忍び込ませた。
男の手が薄い生地の下で蠢き、まろやかに膨らんだ少女の乳房を撫で回す。
柔らかに眠る先端の蕾をイズミルの指が戯れに弄れば、それはすぐに反応し彼の指の中で固く起立する。
それを更に指先で捻るようにして、感触と女体の敏感さを愉しむ。
かすかに甘い吐息を漏らし始めた腕の中のキャロルを見やって、イズミルは耳元に囁く。
「まだ…起きぬのか?」
キャロルのしっとりとした肌に触れるうち、イズミルの体の奥に熱い炎が灯り始めた。
愛しい娘の体でしか鎮める事のできぬ炎が。
もどかしげにキャロルの夜着を腰まで脱がせて、露わになった乳房を両手でまさぐりながらその先端を口に含み、音を立てながら優しく吸いあげる。
「んっ……んん……」
キャロルの体は明らかに愛撫への反応を見せるというのに、キャロル自身は相変わらず心地よさそうに寝入ったまま。
「まったく!姫……そなたを起すは、まこと難儀ぞ……」
そう愚痴をこぼしながらも、深い眠り故にまったくの抵抗を見せぬキャロルの美しい乳房を思うままに愛撫するイズミルは満悦の至りであった。
いつものように恥ずかしさに涙を浮かべるキャロルを宥めながら可愛がってやるのも良いが、たまにはこんな風に好きな様にキャロルの肌を楽しむのも悪くはない。
そして、眠りながらも甘美な官能の悦びに眉根を寄せ、色づいた吐息を漏らすキャロルの艶めかしさときたら……。
眠りに耽るキャロルの裸の上半身に思うまま唇を這わせ、至る所に接吻の跡を残していった。
7
しかし、そうこうしている内にすっかり昂ぶってしまったイズミル。
もはやこうなってはキャロルを起さずにはいられない。
肩を揺すり、耳元で名を呼んでみる。
「姫…!姫……、起きぬか!」
「う…ん……王子……?」
「おお、私だ。目覚めたか?」
「……ん………すき…よ……王子……んん……」
それは他愛のない寝言。
キャロルは無意識にイズミルの腕の中に深くもぐり込んで、子猫のように鼻先を胸に擦り付けた。
愛らしいキャロルの寝姿と甘えた仕草に、イズミルはいよいよ高まってキャロルが欲しくなる。
そうでなくとも、この20日間は忙しいばかりで、この愛しい新妻に触れる時間も機会もろくに持てなかったのだ。
キャロル以上に辛い思いを押さえ込んでいたのは、実はイズミルの方である。
我が妻を愛しく大切だと思えばこそ、無理に寝込みを襲ったりせず、この20日もの間、ただ抱き寄せて添い寝だけに終わる実に耐え難い夜を過ごしてきた。
「くそっ…このままでは…おさまらぬ……姫…姫…!!」
す・・・すみませぬ。
6にΨ(`▼´)Ψマークを付け忘れ・・・逝ってきまつ・・・。
寂しい夜には作家様、い、逝かないでー!
逝ってしまったんでつね・・・・_| ̄|○
待ってました〜〜。
おさまらないのは私もだ(w !!
久しぶりの悶々イズミルタンハァハァですぅぅぅ。
イズミルタソはいつ逝けるんでつか?
あうー、20日ぶりのセクースでつか?
そりゃ萌え萌えでしょーな>王子
私も萌えーー。
ホルスの翼作家様
レイアスはメンフィスと双子なんでしょうか・・・?
新しい設定にドキドキもんです。
二人してキャロちゃんをとりあったりして・・・
にしても、きっと麗しい双子なんでしょうね〜
某ネバとは大違いで・・(いかん、久しぶりに思い出してしまった)
続き楽しみにしています。
昨日は沢山うPがあったんですね。
ありがd。作家さま達〜〜。
>>祈り作家さま、改行いれてくれると読み易いんだけど。
>>341 15
レイアスの優しい声音に少しは不安が和らいだのか、少女の悲しみの表情はいまだ濃いものの
涙はおさまりつつある。
「さあ、気持ちがラクになるぞ。一口飲んでみよ」
強情にも下を向いたまま首を横に振る少女の髪がきらきらと光を反射する。
(なんと強情な。これが私だったらマイアに叱りとばされているぞ、いや、泣かれているな)
顔を上げない少女を下から覗き込むようにして見ると、少女は驚いて顔を上に向けた。
レイアスはそのタイミングを捉えて青い瞳をしっかりと見つめ、いつもマイア達を丸め込む
微笑を投げかける。
少女は青年の微笑のあまりの美しさに、一瞬自分の置かれた立場を忘れて見とれてしまう。
(女の人?いいえ、違うわ。だけど・・・なんて美しい人・・・)
少女が自分を見ていること気付いたレイアスは、もう1度軽く微笑んで言った。
「そなたのためだ。許せ」
手に持っていた杯の中の葡萄酒を口に含み、少女の顔の上にかがみこんで柔らかそうな唇に口づける。
(なんと柔らかい…女の唇とはこのように甘いものなのか)
葡萄酒の効果も手伝ってかあまりのその甘さにレイアスは陶然とし、
わずかに開いている少女の唇に沿って自分の唇を少し動かす。
まとわりつくようなその柔らかさを感じながら、ようやく少女の口の中に葡萄酒を流し込んだ。
離れがたい思いで少女から唇を上げると、青い瞳を大きく開いて自分を見ている。
「怒ったか。しかし仕方なかったのだ、そなたが聞き入れぬものだから・・・」
(私、怒らなくちゃいけないのに怒れない。それどころか胸が熱くなったわ・・・なぜ?)
少女は正直に自分の気持ちを伝えようとするが、途端に瞼が重くのしかかって青年の輪郭がぼやけていく。
「わたし・・・お酒・・・飲めないの」
それだけをようやく言うと、眠りの底に沈んでいった。
16
少女が目を覚ますと家の中はまだ暗かったが、窓から差し込む月の光はとても明るく
室内の物陰をはっきりと浮かび上がらせていた。
自分は寝台に寝かされており、ずっと横についてくれていたのであろうマイアと
呼ばれていた女性が同じ部屋の隅で椅子に座ったまま眠っている。
(それでは夢じゃなかったのね。眠って…目覚めてもここは古代エジプト。
いくら泣いてもどうすることも出来ないんだわ・・・)
にわかには信じられない現実に耐え切れるかどうか自信はなく、
胸には重い痛みがのしかかる。
それでもこの古代で、見知らぬ自分を心配してそばについていてくれる人がいることに
安らぎと救いを覚えた。
(それに、さっきの美しい男の人…)
思い出した途端に頬が赤くなるのが自分でもわかる。
(私ったらなんてことを考えたのかしら。
初めて会う、それも古代の人に口づけされて胸が熱くなるなんて)
先ほどの口づけの感触はいまだ生々しく、考えまいと思っても頬に感じた男の息さえ思い出してしまう。
涙で目が霞みはっきりとは見えなかったが、差し込む光のようだった微笑。
艶やかな眼差しがしっかりと心に焼きついている。
肩を抱いてくれた手の力強さ、口づけする時に頬に添えられたなめらかな指・・・
その瞬間、それまでのどうしようもない悲しみがすっと抜けたのを感じた。
代わりに胸に流れ込んできた、苦しいほどの熱さ。
(いけないわ、今はこんなこと考えている場合じゃない。何とかして現代に戻る方法を見つけなくちゃ)
火照った頭を夜の外気で冷やそうと、こっそりと寝台を抜けて扉の方へ歩いていった。
17
その頃、レイアスもまた家の敷地内の庭にある石造りの長椅子に腰掛けて明けていく夜空を仰いでいた。
レイアスはこの時間を愛している。夜しか外に出ることが許されない身には、
外の空気を吸い一人で物思いに耽ることの出来る貴重な時間なのだ。
いつもならラバルドから学んだ方法で夜空の星を読んだり、自分の生まれやこの先の人生など
考えても答えの出ない疑問に身を焦がす。
しかし今夜は違った。
ナイルの岸辺で見つけたあの少女。誰も見たことがないという黄金の髪、白い肌、青い瞳。
そして今なお唇のうえにまとわりつく、かの少女の柔らかく甘い唇の感触・・・
(もっとも、少女が眠ったあとにアリフにさんざんからかわれたがな)
レイアスは苦笑を漏らす。
確かに我ながら大胆な行為だった。少女に引っ叩かれても仕方なかったかもしれない。
(だが、あの悲しみを見捨てておけなかったのだ。
それに・・・そう、あの唇に引き寄せられ、触れてみたかった)
ほんのわずかな時間だった口づけを思い出すと、まだ体が熱くなる。こんな思いは初めてだった。
―ギーッ
扉の開く音にレイアスはさっと体を固くする。
(こんな時間に扉を開けるなんて誰だ?もしや夜盗か?)
身を低くしてそっと扉の方へ近づくと、小さな白い影が辺りをうかがうように顔を出している。
辺りに誰もいないのを見極めたのか、自分のいる庭のほうへ足を向けてきた。
(あの少女ではないか。目覚めたのだな…。)
レイアスはゆっくりと立ち上がって少女を見つめた。
ホルスの翼作家様
だいたいこんな時間にうpかな〜と思って待ってました。
いや〜ん もうキスしちゃったのねん。
それにしても
>ネ、ネバメン・・・>┼○ バタッ
ワロタ(w
>>344 10
キリのいい所まで仕事を終えた王子は目を上げてキャロルのほうを見た。キャロルは王子が与えた巻物を夢中になって読みふけっている。
王子が自分のほうを見つめているのも気づかないようだ。長い睫で縁取られた瞳、よく分からない語でもあったのか声はないものの、確かめて読むように小さく動かされる唇。無意識に掻き揚げる柔らかな金髪。
(退屈して眠ってしまうかと思っていたがな。姫は書物が好きなのか?)
ようやく思い人の好むものを探り当てた王子は満足の笑みを浮かべた。
きまじめな表情を浮かべて、小柄すぎる身体には少し大きくも見える巻物を大切に扱う少女は、王子が今まで知らなかった新鮮な一面を見せていた。
(愛らしい…な)
王子はなおもキャロルを驚かせぬように気遣いながら、観察していた。こみ上げてくる幸せな気持ち。
(女を見てこのような気持ちにさせられるとはな。いや。まだ女にすらなってはおらぬ私に靡こうともしない子供だというに。
…私はもうこの子供を手放せぬ。この私が!あのような小さな姫を!)
自分の心の変化に嬉しい驚きと戸惑いを感じながら、王子は小さくあくびをした。心の温かみというのは全身に回るものなのだろうか?
やがて。
王子は長椅子に凭れかかって眠ってしまった……。
(王子?)
ふと気がつけば室内はあまりに静かだった。諸国風土記に読みふけっている間にどれくらいの時間が経ったのだろう?
ふと長椅子に目をやれば、そこには一人の青年が安らかに憩っていた。
(やだ、私ったら!王子は…眠っているの…?)
キャロルは恐る恐るイズミル王子の傍に寄った。造詣の神の寵児は静かに安心しきった表情で眠っていた。
(まぁ・…。こんなふうに眠るなんて…)
11
はじめてみる王子の寝顔は思いのほか穏やかで美しく、思わずキャロルも見蕩れるほどだった。
(きれい…。まるで神々の彫刻か何かつくりもののよう。
王子のことを何も知らなかったらきっとハンサムだって思うでしょうね。本当は恐ろしい冷たい意地悪な人なのに)
キャロルは罪人のように足音を忍ばせて美しい眠り人の傍になおも近づいた。
(まるで気がつかないのね。ぐっすり眠って。
そりゃあ、疲れるでしょうね。こんなに沢山の書類に目を通すんですもの。ライアン兄さんも忙しい人で、よく書斎で眠ってしまっていたっけ…)
イズミルの寝顔に不意に懐かしい兄の顔が重なる。
「…王子…?あの…?起きていますか?部屋に戻って眠ったほうが…」
だが返ってくるのは深い吐息のような寝息。
「こんなところで寝てしまっては…冷えますよ…?ねえ……?」
だめだった。キャロルはしばらく困って立ち尽くしていたが、やがて自分の寝台から毛布を引きずってきた。
(仕方ないじゃないの、図々しくも私の部屋で眠ってしまったんだから。
風邪でも引かせたら寝覚めが悪いじゃない。仕方ないわよ。好きで親切にするわけじゃないわ。いくら王子でも放っておくわけにはいかないわ)
キャロルは必死に自分に言い聞かせながら王子に毛布を掛けようとしたが…。
「う…ん…?」
王子は薄く目を開けると自分で毛布を受けとって包まってしまった。
(きっとムーラがよくこういうことをするから私のこともムーラだとおもっているのかしら?)
思いのほか幼い王子の仕草にキャロルが益体も無いことを考えていると…。
「?!きゃっ!」
王子はキャロルを抱き寄せて毛布に一緒に包み込んでしまった。
「やだっ!王子、何するの?」
「…寒い。一緒に寝よう……」
「えっ!!!」
「………ムーラ・・・・・・・・・」
くぐもった声でそう言うと王子はまたすうすうと寝入ってしまった。
(やだ、王子ったら寝ぼけてる!)
キャロルは全身から緊張と恐ろしさが抜けていくのを覚えた。恐ろしいとばかり忌み嫌っていた男性の初めて見る一面。
(…意外と可愛いところもあるんだわ…)
キャロルはそっと王子の前髪を掻き揚げて囁いた。
「…困った王子様ですねぇ。今日だけは仕方ないことにしておいてあげます」
( ゚∀゚)ノ ツボニハマリマクリ
>「…寒い。一緒に寝よう……」
>「えっ!!!」
>「………ムーラ・・・・・・・・・」
キターーーーー(AA略)
王子かばええ!!!!!(滝涙)
作家様のうpがいっぱいでうれしいよぉぉぉぉーー
にしても王家乙女のカキコ少なし…サビシイじょ。
みんなで盛り上げよー!!
関係無い話でスマソ。
369さんの「かばええ」ってどういう意味でつか?
>371
「かわいい」だと思いますよ?て、そーですよね〜?369さま?
ほんと、少年を髣髴とさせる王子ですね。
ムーラ、いい役どころだ・・・
>371タソ
カワイイって意味じゃないの?
(私369じゃないけど)
372タソとケコーンだわ〜!
早くうp来ないかなぁ〜。待ち遠しいよ〜ぅ
371タソ、私もそう思った・・・
もしや「かわいい」のこと?(違ったらスマソ)
>ホルス様
思慮深げなレイアスがイイ!
>絆様
眠る王子がおいしそう。グフフ
>>352 8
イズミルは半ば呆れた顔で、眠り続けるキャロルを見つめていたが、ニヤリと好色な微笑を片頬に浮かべて、片手で彼女の細くくびれた腰を抱き寄せる。
キャロルの腰元を覆う夜着の裾から、もう一方の手を差し入れて彼女の脚の間の秘密の谷を探る。
谷間に咲く花びらの間に指を忍ばせると、すでにそこは蕩けたように熱っぽく、ぬめった蜜に溢れかえっていた。
「む……眠っておるくせに……こんなに潤ませて……そなたは…!」
イズミルは焼けるような激情に流され、キャロルの甘やかな寝息を封じるように唇を覆った。
キャロルと激しい口づけを交わしながらも、己の指で女の蜜をたっぷりと秘芯全体に塗り広げ、濡れた指先で敏感な真珠を捉えてなぶり始める。
花弁の奥に眠る小さな真珠は、男の与える刺激にすぐさま応えて震えだし、指先を押し返すように強く張り詰めて固くなった。
「う……っ……うん………あっ……」
そこを執拗に愛撫してやれば、指の動きに合わせるように薔薇色の唇から漏れ出でる、いとも甘い声。
指先で触れるだけではいたたまれなくなったイズミルは、キャロルの夜着の裾をやや乱暴に腰の上までたくし上げると、眠りこけて正体の無いキャロルの脚を大きく割り開かせた。
目の前に、馥郁たる香りを漂わす女の花園を寛げる。
――思わず、感嘆の溜息を漏らすイズミル。
髪と同じ金色の草むらは、ごく薄く淡く上部に佇むだけで、可憐な女の器官を隠すに至らない。
すべすべとした色淡いそれ。いまだ処女(おとめ)そのものに見える。
「……美しい……な…」
イズミルは真っ白な内腿を優しく撫で上げ、彼女の潤んだはざまにそっと息を吹きかけた。
じかに触れずとも、キュッと花自身が収縮し、妖しく蠢く様が何とも悩ましい……。
9
すでに何度もキャロルの体を改め、その甘美さを味わったイズミルではあったが、極度な恥ずかしがりやのこの幼な妻は、秘所を彼の目の前に晒すことに、今だに耐えられない。
無理に脚を開かせようものなら、本気で泣き出してしまう始末なのだ。
泣きじゃくるキャロルを宥めすかし、小さく開かせた脚の隙間から舌を差し伸ばしてそこを愛してやるのがやっとであった。
だからこのように脚を大きく割り開かせて、キャロルのすべてを心ゆくまで観賞するのは、これが初めてであった。
イズミルの指先で散々弄ばれた薄紅色の真珠は、すでにぷっくりと膨らみ、すっかり蜜にまみれて濡れている。
薄く小さな可憐な花びらは、蜜の湧き出す神秘の泉の入り口を護るように重ね合わさっていた。
キャロルの秘唇全体をしとどに濡らす女の蜜が、甘く濃厚な香りを漂わせ、イズミルの口づけを誘う。
「おお…姫よ……なんと愛らしい…」
イズミルは吸い寄せられるように接吻し、舌を伸ばしてそこに滴る甘美な蜜をすくい取る。
愛しい娘のそこは、イズミルの口中で蕩けるように柔らかで、舌で弄れば弄るほど透明の甘い蜜をいくらでも湧き出させ、彼を喜ばせる。
両手でキャロルの細い腰を浮かすように掲げながら、イズミルは愛らしい花を啜るように味わった。
「んん……っ……あ……っあ…………ん……ああっ……んっ…」
イズミルの舌遣いが早まり激しくなるにつれて、キャロルの甘い声も切なげに高まってゆく。
追い討ちをかけるように、弾力のある小粒な真珠をイズミルは舌先で巧みに転がしてやった。
そして、それを歯の先で優しく甘くしごいた時……。
「ん……あ―――っ!!」
キャロルの体は強く弾むように震え、ついに彼女は眠りから覚めた。
10
「はぁ……はぁ……はぁっ………、お……王子………?」
「ふ……やっと、目覚めたか?…そなたを起すのに苦労したぞ」
イズミルは大きく開かせたキャロルの脚の間に顔を埋めたまま、何食わぬ涼しい顔でそう言って、ひきつづき彼女の秘所を舌先で愛でる。
快楽の中で目覚めたばかりのキャロルは、全身を真っ赤に染めて、羞恥に身を捩る。
こんな恥ずかしい格好で…こんな恥ずかしい事を…!
「あ……イヤ……、王子………どうして?…あの……いや…っ…恥ずかしい……!」
必死で脚を閉じようとするが、両膝を大きく押し広げる男の手の力強さにはとても敵わない。
「…ふ……今更何を……そなたとて寝ながらに悦んでいたではないか………」
「いや……やめて…こんなの……やぁっ…!」
「……止めぬ!」
キャロルは思わず涙声を上げる。
それは羞恥のためか、それとも快楽に咽び泣く声か…。
「今宵はいかにそなたが泣いても…止めてはやらぬぞ」
情け容赦なく舌先は秘所をこねるように蠢き、イズミルの長い指はキャロルの泉の中を優しく愛撫する。
ねっとりと熱い舌で秘芯の中心をなぞるように舐めあげられて、キャロルは堪らず背を大きく反らせた。
「やっ………あ……あんっ………!」
再び大きな熱い波が来るのを感じてキャロルは観念するように目を瞑り、白い手はあてもなくシーツの上をさまよった。
その指をイズミルの手が捉え、しっかりと指を絡め合わせる。
キャロルは彼の大きく逞しい手を強く握り締めながら、激しい絶頂に身を震わせた。
すみませぬ・・・もう少し王子を暴走させる事をお許し下さい m(__)m ペコリ
続きが気になるよ〜〜!
もう少しってコトは続きのうp、あるのでしょうか〜?
ラストまで送るつもりでしたが
長い文だと画面が固まって駄目です・・・(なんで?)
また明日送らせて下さい。
ををを。
作家タンうpありがトントロ。
今夜、王子が本懐遂げるかと楽しみにしてたんだけど。
楽しみは後に残しておく私は一人っ子気質なのですぞ!!
萌え〜〜。
>>381 やっぱりそうですよね!(いや、私はただの読者ですが)
なんかバグっちゃってこのスレ最後まで表示出来なかったりヘン〜
残念でつ〜、暴走イズミル見たかった。。。
うpありがトン!
こんな起し方する王子が悪いのか、起きないキャロルが悪いのかw)
嬉し恥ずかし赤面モンだわ〜、キャッ!!
でも王子ってマジ床上手ぽいよね。素敵〜
どの作品もイイわぁ、毎日いっぱい読めてほんと幸せでつ。
ほんと、どの作品もいいよねぇ。私も幸せでつ
文章力がないからうまく感想さえ書けないの。。。作家様ごめんよ〜
>385タソ
私も感想を書くのも難しいなと思うよ。
それに感想が書きやすい作品とそうじゃない作品もあるような気がする。
作品が面白いから書ける、好みじゃないから書けない、というわけじゃなくて
作品のタイプによるというか・・・
ううう〜うまく説明できない(つД`)
こういうふうに感じてるのって私だけかな。みんなは違う?
>>384 そりゃ、起きないキャロルが悪いです!
家の旦那なら、すぐあきらめて寝ますね。
求められてるっていいな♪
>>386 ワカルー。
突っ込み易さというか、何なんでしょう。
ここ読んでる人の数減ったのかな?
私今までどおりにレスしてるんだけどなあ。
>ここ読んでる人の数減ったのかな?
私も心配してたでつ。
一時に比べると、明らかにレスが少ないんだもん。
作家様達が萎えてしまわないか心配。。。
カキコできないようなプロバイダ規制がかかってる?
読者であって作家様が多そうだから
ネタバレ気にして感想控えるって事はあるような気がするんだけど。
レス少ない少ない言い過ぎるのも、逆効果のような・・・。
「レスしましょう」って言われると、かえって書きたくなくなるヒトもいてそう。
何つっても此処、2チャンだからさ。
作品をうpしたい人は自由にうpして、レスしたい人はするっていう気楽な空気が好きだな。
>>363 18
「きゃあっ」
突如浮き上がった長い人影に少女は声をあげる。
「驚かなくてもいい、私だ」
そう言いながら安心させるように微笑んで優しい眼差しを投げかけ、
「目覚めたのか?気分はどうだ?」
と、立ちすくんでいる少女のもとへと歩み寄る。
(この人はさっきの…!)
目覚めてから自分を火照らせていた原因の張本人に出会ってしまい、上手く言葉が出ない。
「あ、あの…」
(そうだわ、お礼言わなくちゃ)
「あ、ありがとうございましたっ!」
それまでの戸惑った態度から一転、大きな声で礼を言って深いお辞儀をする少女を見て
レイアスは笑い出した。
「ふっ、ははははは」
「うふふふふ」
少女もつられて笑い出し、2人はしばし顔を見合わせて笑う。
一気に打ち解けた雰囲気を互いに感じ、レイアスの
「ここに座って少し話さぬか」
の誘いに素直に応じて2人は石造りの長椅子に並んで座った。
「そう言えばまだ名も聞いていなかったな。私はレイアスだ。そなたは?」
「キャロル。キャロル・リードといいます」
「キャロルか、珍しい響きの名だ」
作品の少なかった前は、作家さんにどんどん書いてほしくて、レスしましたが、
今は、沢山あって、読むだけで幸せだったので、何となくレス少なくなって
しまいました。
ああ、今日も幸せ。
19
力強く清々しさを含んだレイアスの声に自分の名を呼ばれて、
キャロルはさっきまでの熱さがまた甦ってくるような気がする。
どうしても隣に座るレイアスを盗み見ずにはいられず、
伏せ気味だった瞼を上げてその姿をそっとうかがった。
斜め上から仄かに照らす月に浮かびあがった秀でた額、引き締まった頬は精悍な線を描き、
首と筋肉質だがなめらかな肩へと続く。
口元は形良く結ばれ、あの口づけを思い出させ…慌ててキャロルは他に目を向けた。
額から流れて肩に軽くもたれ、そのまま座った腰の辺りまで真っ直ぐに伸びた黒髪。
すらっと伸びた腕も長い足も、鍛えられているのかうっすらと筋肉の形がわかった。
胸には夜でも豪奢な光を放つ黄金の首飾りがきらめいている
そして…1度見ただけで焼きついたレイアスの瞳。もう1度あの眼差しを受けたい。
「レイアス…」
ためらいがちに呼びかけた声に、レイアスは痛いほどまっすぐな視線を向ける。
(こんな美しい瞳をみたことがないわ。宝石のよう・・・)
鮮やかなその眼差しを受けて、キャロルの心は一瞬甘く揺れる・・・
「アメリカと言ったな」
キャロルははっとして現実、それもいまだ信じられぬ現実を思い出す。
「ええ、私はアメリカ人よ。そこで生まれてそこで育ったの」
どうしたらわかってもらえるだろうと、次に続ける言葉を考えながら答える。
「20セイキの人間だとも言っていたが」
「20世紀は、きっとこの場所から数千年先の世界だわ」
数千年…その時間の想像もつかない開きにキャロルは気が遠くなる思いがし、
レイアスは考えたこともなかったはるか未来に圧倒される気がした。
20
「数千年の先・・・」
ナイルの増水が始まる日と次に始まる日の間を1年とした古代エジプトにあって、
それが数千回も起こった後のこと、いや、はたしてこの先数千回も起こるのかどうかさえ
容易に想像できるものではない。
わずか先の自分の未来さえ見通しのつかない、明日一日をどうして生きるかと
自らに問うていたレイアスにとっては尚更である。
「信じられないと思うけど…だって、私だってまだ信じられないことだけど、
今わかっていることをすべて話すわ。聞いて」
キャロルは懸命になって説明した。
今のエジプトでは知られていない遥か遠くの地にあるアメリカ。その間に横たわる遥かな時間。
20世紀ではすでに遺跡となったエジプトが知りたくて、その勉強をしていたこと。
父親が進めていた調査でファラオの墓が発見され、王家の呪いが噂されたこと…
「その呪いで私は古代に連れ込まれたんだわ。そうとしか考えられない…」
言葉にしたことでますます自分の身に起こった不可思議な出来事がのしかかる。
(泣いてはいけない。泣いたってどうにもならないのよ)
唇を噛みしめて我慢してみても、その震えは隠しようもない。
(現代に戻る方法といっても、どこから探したらいいのか見当がつかない。
これからどうしたらいいの?きっと誰もわかってくれないわ)
>>367 12
(この人の寝顔って初めて見たわ。いえ、兄さん以外の男の人の寝顔なんて初めて。…意外と幼い寝顔。こんなふうな顔もできるのね。お昼間は意地悪で私の嫌がることしかしないのに。
…ふふっ、‘ムーラ、一緒に寝よう’ですって!何だか可愛い)
キャロルの頬にいたずらっぽい微笑が浮かんだ。
いつもいつも澄ましかえって近寄りがたく思っていた男性が、今は小さな子供のようにも思えてキャロルは赤の他人の男性と同衾しているという事実も忘れ果てていた。
じっと見つめるキャロルの視線がくすぐったいとでもいうふうに王子の鼻に小さな皺が寄った。
「…王子…?」
王子は相変わらず眠っている。
「不思議な人ね…」
キャロルは呟いた。
「私を苛める嫌な人かと思えば、優しくもしてくれる。
いつも子供扱いして馬鹿にしたような扱いしかしないかと思えば、私を寝ぼけて乳母と間違える。
私をおもちゃか何かのように気まぐれに放り出して知らん顔をしているくせに、いつも側に置いておこうとする。…分からないわ、今まで私をこんなふうに扱った人は居なかった。
………分からないのは嫌。分からないことは何も考えられないことだわ。何も決められないことだわ…」
最後のほうはもう半ば以上眠りに引き込まれてか吐息のようなささやき声にしかならなかった。
眠りに引き込まれて?
そう、キャロルはイズミル王子の傍らで眠り込んでしまったのだ。警戒心を急速に捨てた疲れた心身は伝わってくる体温に縋るように眠りの淵に沈んでいった。
13
(眠ったか・・・)
身体を丸めるようにして寝入ってしまった子供の深い寝息を長いこと窺っていた王子はそっと目を開けて傍らのキャロルを見た。
(幼い寝顔だ。思っていたよりもはるかに幼い頑是無い様子をして眠る)
王子は苦笑した。
キャロルを眺めながら書見をしていていつのまにか寝入ってしまったのは本当だ。毛布を持ってきてくれた相手をムーラだと勘違いしたのは不覚にも沈みこんでしまった夢の中で幼い日に戻っていたからだった。
だがその後は。
毛布をかぶった瞬間に、もう王子は完全に目覚めていた。もともと暗殺者や不意の出来事に素早く対応できるよう熟睡してしまうことなどできない体にしてあった。それが…!
自分の‘失態’に驚き呆れながらも素早く王子は考えを巡らせた。すぐ側で自分を窺っている小さい、でも光り輝くように暖かい存在を素早く抱き寄せると耳元に囁いた。
「寒いから一緒に寝よう」と。びくっと震えた少女を安心させるためにそのあとに乳母の名前を加えたのは我ながらうまいやり方だった。
少女は初めて自分の前で安心しきった様子で、王子には思いもかけない「本音」を吐露すると…眠ってしまった…!
(そなたが私の側でこれほどに安心しきった様子で居るのは初めてだな)
王子はキャロルを起こさぬように細心の注意を払いながらその寝顔を飽かず眺めた。胸の中では先ほどのキャロルの独白が絶え間無く響いている。
(私はそなたに嫌われ抜いているのかと情けなくも思っていたが、少なくとも私のことを‘優しい’と感じてくれるときもあるのだな。私の贈った品を身につけてもくれる…。
姫よ、私はそなたをどう扱って良いか分からぬ。いや、どう扱って良いか、どのように反応するか分からぬ人間など私には初めてなのだ。私とて‘分からない’のだぞ?
だが寸時も離れがたく思うほどに愛しく大切なのだ。きっとそなたにそれを分からせてみせよう)
14
王子は長い間キャロルの寝顔を眺めていた。いつも女と同衾しているときに感じる闇雲な欲情や、妙にしらけた気分は毛筋ほども感じず、ただ温かく切ないような幸せな気分しか感じなかった。
こんな気分は初めてだった。
やがて。
王子はそっと身を起こすとキャロルを残して部屋を出ていった。
(なろうことならばこのまま、そなたが目覚めるまで側についていてやりたいが、それも叶うまい。
今はそなたを怯えさせたくない。嫌な思いをさせたくない。初めて私の側で眠ってくれたそなたゆえ。そなたが申したこと…忘れぬぞ)
部屋の外で控えていたムーラは、夜明けにはまだしばしあるこの時間に王子がキャロルの部屋から出てきたことにたいそう驚いた様子だった。
そんなムーラを手で軽く制すると王子はことさらに素っ気無い口調で言った。
「つい寝過ごしてしまった。意地っ張りの子供はまだ眠っているからそのままにしておいてやるように。
ああ…男女のことは何もなかったぞ、ムーラ。何も、だ。
互いにいつとはなしに寝入ってしまっただけのことだ。いや、寝入ったのは私が先だ。あの子は私に毛布を掛けに来てそのままつられて眠ったらしい。
其処のところをよく考えて、あの潔癖な子が萎縮したり癇癪を起こしたりするような扱いはくれぐれもせぬよう申しおく。良いな」
「は…はい。心得ましてございます!」
ムーラの最敬礼に見送られて王子は悠々と自分の部屋に戻っていった。ろくに眠っていないはずなのに心は妙に弾んで疲れは少しも感じなかった。
射しこむ朝の光でキャロルは目覚めた。広い寝台の端、寝返りを打てば落ちそうな場所に横たわっている自分。冷えないように毛布を掛けられて。
すぐ側には人が眠っていた跡がある。その人の匂いも。
(・・・・・・・・・?・・・・・・・・・・王子っ!そうだわ、私、昨日、王子が眠ってしまったから毛布をかけてそれから・・・・・っ!)
ばたばたと寝室から駆け出してきたキャロルはいつもと少しも変わらぬしとやかな召使達に迎えられた。
キャロルはしばらくはそ知らぬ顔で召使達が世話を焼くままにさせておいたがやがて我慢しきれずに言った。
「あ・・・あの・・・王子は・・・?昨夜はずいぶん遅くまで起きておいででしたけれど。私・・・あの・・・・・・・」
ムーラはあまりに子供っぽい佳人のうぶなうろたえ様におかしみを感じた。
「王子はお戻りになりました。書見のまま寝入ってしまわれてはお二人ともお風邪を召しますよ。全く!」
キャロルがもう少しまわりの空気を読む余裕があれば、ここヒッタイトに来て初めて見るムーラの好意的な微笑に気づいただろう。
ムーラは初めてキャロルが王子に心遣いを見せたことにしみじみとした嬉しさを感じていた。
ホルス&絆作家タソ うpありがトン。
ほぼ毎日の更新ありがたや〜
>ホルスの翼様
メンヒスとは違って温厚そうな人物ですね、レイアスって。
そのうちメンピーも登場なるかしら?楽しみ。
>絆の生まれるとき様
おとぼけ天然風味のある王子オモロイ。
今までにない新しいイメージの王子だね。
他作家様たちも、日々の更新お疲れ様ですー。
( ( ) )
____
i´-======-`i
} . .. ..::;:;;;;;彡{
i . .. (,,゚Д゚);;;| ∬
} (ノ .::;:;;;;彡{つ旦 < 作家様たち、お茶でもドゾー
!, .. .:.::;:;;;彡j
ヽ、.. ....::::;;;ジ
└∪゙∪┘
AAカワイイぞぉ〜
職人タン。乙〜。
夕食を仕込んで(今日はおでんだ)ここで夢見る幸せ〜♪
作家様ほんとーに愛してます〜
>ホルスの翼さま
とっても文章の流れがキレイで情景が目に浮かびます
>絆の生まれるときさま
わたしも王子にだまされた〜(←でも嬉しい)
>>378 11
続けざまに二度も登りつめて、すっかり力が抜け切ったキャロルの顔を、イズミルはからかいの色を含んだ表情で見つめる。
「久しぶりだな…姫。そなたにこうして触れるのは…」
顔をそむけようとするキャロルの頬を左手で強引に自分の方へ向き合わせた。
そうしながらも右手はキャロルの乳房に添えて、なおも甘い愛撫を与え続ける。
これは自分のものなのだとでも言いたげに、馴れ馴れしく手の中の膨らみを揉みしだく男の手。
目の淵に涙を溜めて少し怒ったように睨むキャロルを、イズミルは精悍な頬に甘い微笑を湛えながら、からかう様に問いかける。
「……どうした?何故そのような恨みがましい目で私を見る?
もっと、私に甘えてはくれぬのか?」
「だって…だって…」
(やっと王子と会えたのに…恥ずかしくて…顔が見られないもの…ひどいわ)
クスクスと笑いながら、イズミルは言う。
「眠っている間にひどい事をされたと思っているのか?
あんなに可愛がってやったのに…」
「…い…いや………」
「ふん……、嫌ならあんな声が出るものか……こんな風にはならぬ……」
乳房に戯れていたイズミルの指が、ゆっくりと下降して、キャロルの脚の間の蜜を優しくくすぐる。
濡れた淫靡な水音が、キャロルの頬をいっそう紅潮させた。
イズミルはキャロルの鼻先や頬に口づけの雨を降らせながら、甘く掠れた声で機嫌を取ってやる。
「……それに、起せと言ったのはそなたの方ではないか?
耳元で呼んでも、揺すっても、口づけしても起きぬそなたを……私は起してやっただけぞ」
「………」
気恥ずかしさを紛らわす為にそっぽを向いて拗ねるキャロルを、イズミルは手馴れた仕草で宥める。
12
わざと悲しげな声色で、耳元に悩ましげな吐息を吹きかけながら囁く男の巧妙さ。
「ふふ…嫌われてしまったかな。そなたはもう、私の事など嫌いになったか…?
清らかなそなたを…辱めて…恥らわせ…このように泣かす男など…嫌か?」
その問いかけに、キャロルはビクリと身を震わせ、彼の胸に縋って首を横に振った。
「そんな!…嫌いになんてならない……!王子のこと……嫌いになんて!」
キャロルは涙目のままイズミルを見上げ、真摯な表情でそう訴える。
(おお…なんと可愛いことぞ。私が本気で申したとでも思うのか?)
イズミルは愛しくて堪らぬとばかりに、キャロルを抱き寄せると愛の言葉を強引に求める。
「ならば…私を愛していると申してみよ。この唇で」
「……あ…愛して……います……王子。…ほ、本当よ……!」
キャロルにその言葉を言わせる度に、無上の幸福感に満たされ、同時に狂おしい欲望に駆り立てられる。
しかしその喜びを胸に納めて、彼は冷静な顔を取り繕った。
イズミルは、いともさり気無い仕草で自分の衣の前をはだけて見せる。
「そなたがすぐに起きぬから……、見よ。そなたのせいぞ」
「あっ……」
思わずキャロルは両手で口元を押さえ、思わず喉を鳴らしてしまう。
驚くほどに熱くて大きなそれで慰められる時、心も体も幸せと悦び一杯に満たされるのを思い出して。
イズミルは身に纏う衣を大胆にすべて脱ぎ去ると、バサリと床に落とした。
キャロルの目の前にあるのは、見事に鍛え上げられた逞しくも美しい男の裸体。
そして、彼は卑猥なまでの色香に満ちた悩ましい琥珀の瞳でキャロルを見つめる。
見つめられるだけで、ゾクリと肌に痺れが走るような妖しく熱い視線。
「姫……この20日ほどは、そなたを抱いてやる事すら叶わなかった。
さぞ寂しかったであろう…?
すまなかったな…今宵は…そなたに償いを致そう。
まだ新婚の身であるそなたを…一人寂しい思いをさせた償いだ。
どこまでも…可愛がってやろうぞ。さあ…来い」
しかしキャロルは猛々しいイズミルの自身を前に、慄いて身動きすらできなくなっている。
13
仕方が無いな、という風に満足げな笑みを浮かべながらイズミルはキャロルの体を軽々引き寄せた。
寝台の上に向き合って座らせ、キャロルの脚を彼の腰の前に開かせる。
キャロルが恥らっても逃げられぬように、片手で腰をしっかりと抱き寄せた。
そして、引き締まった腹部に張り付きそうになる程に昂ぶったそれに手を沿え、すっかり濡れた花弁にあてがった。
しかしそこに押し入るのはもっと後だ。
充分にキャロルを愛して、満たしてやった後だ。
先端をキャロルの蜜でたっぷり濡らすと、自身でもって愛らしい真珠を擦り立ててやる。
男の動きに合わせて、キャロルも腰を悩ましげに捩らせる。
「あ……お…王子……」
まるで、助けを求めるかのように、キャロルは縋る瞳でイズミルを見上げる。
彼の最も男らしい熱い部分で愛撫されていると思うだけで、もう体は柔らかに蕩け始めていた。
「あっ…………!」
あまりの快感に声すら立てられず息を止めたまま、またも達しそうになるキャロル。
だが達する直前に、イズミルは意地悪にもその動きを止めてしまう。
「まだだ……もう少し…我慢をいたせ」
「王子……王子……いや……ぁっ……」
すぐそこまで来ている快楽のもどかしさに、ヒクヒクと引き攣り震える女の器官を満足げに見つめながら、イズミルは手を止めたままキャロルを焦らす。
青い宝玉の瞳に涙が浮かぶ。あまりに切なくて…。
(この貌が美しいのだ…私を切に求めて涙を流す……)
「どうして欲しい……?」
「いやっ……いや……わかってるくせに……意地悪……意地悪…」
そしてキャロルの瞳から懇願の涙がぽろぽろと溢れ出すと、愛しい妻の願い通りに、再び自身の先端で真珠を愛してやった。
キャロルは感極まって泣き叫びながら、イズミルの逞しく鍛え上げられた肩にしがみついて必死に快楽に耐える。
イズミルとてキャロルの熱く潤んだ花園で敏感な部分を刺激されているのだから、そう長くこうしていられない。
時折、彼の引き締まった唇からも、悦びに耐えるくぐもった声が漏れる。
それでもイズミルは何度もキャロルを焦らして散々泣かせ、ついに彼女が絶頂の叫びを上げた瞬間に、荒々しく寝台に押し倒し、熱く怒張した自身を雫の滴る花びらの間に深く突き立てた。
14
男の体は女に、女の体は男に無上の悦びを与える。
目くるめく快楽にイズミルもキャロルも我を忘れて、互いの体がもたらす悦楽を貪るように求めあった。
「あ…ああ……王子……王子……寂…しかっ…たの…!
お願…い……王子……好き……好きよ……傍に…いて……ねぇ……」
激しく腰を抱かれ、男に愛されながらもキャロルの唇から絶え絶えに漏れる言葉。
その言葉に煽られて、際限なく女を深く求めてしまうイズミル。
艶めかしい腰の動きでキャロルを攻めながら、彼もまた掠れた声で囁く。
「おお……愛している……もう…寂しい思いなど…させぬ…!」
啜り泣くようなキャロルの嗚咽に混じって、低く押し殺したイズミルの声が響く。
女の泣き声が高まるにつれて、男の動きはいっそうに激しさを増す。
それらは、湿りを帯びた閨の濃密な空気に混じって溶けてゆく。
二人の長い夜はまだまだ終わらない………。
―END―
以上でお終いでございます。
王子の長〜い前戯のお話、Ψ(`▼´)Ψでスマソです。
Ψ(`▼´)Ψ系の短編なら、ちょこちょこ書いてみたいけど既にネタ切れ・・・
「こんなの・・・」というのがあれば、ネタを下さいませ。
・・・・萌え〜〜〜。
やはり王子のテクは(・∀・)イイ!
前戯は・・・長いのが王子らしいのでございますぅ。
うpありがトン。
王子すごーっ!さ、さすがだわっ!萌え萌えですわ。
久々に鼻血ふいて倒れそうになりました〜(嬉泣)
次は是非メンヒス×キャロルも読ませて欲しいです。
それにしてもウチのプロバ昨日の晩からずーっとアク禁、うっとおしい。
仕事場のプロバではアク禁になった事一度もないのにさ。
プロバによるんだね、ほんとうっと〜し〜!
でわ、仕事に戻ります。
作家タマありがd〜。
>410タソ
ウチも一昨日からアク禁で、会社からコソーリ見てまつ。
そういう人、けっこう多いんじゃないかなぁ。
しかし人目を盗んで見るっていうのも萌えだ(w
おお〜同士が二人も〜!<410、411タソ
我が家もアク禁くらってるみたいです(´・ω・`)
だから出勤して落ち着いたらすぐにココへゴー!
<<410-412
私ん所はやっと今朝になってアク禁解除になったよ。
>寂しい夜作家様
楽しませて頂きました♪
そうそう、男のヒトのアレで・・ってすんごい気持ちイイのよね〜〜。
(もしや作家様も経験者?)←聞くなって?
昔のカレとのHを思い出して悶々してしまった腐女子です。恥。
他作品もうp楽しみにしています。
カキコできない時もあるけど、アク禁中もROMしておりますので♪
今日も作家様のうpあるかな。ワクワク
う・・・ 作家様も413たんもみなぴゃんたら・・・・・・
ハナヂ どぴゅ・・・
ハナヂ どぴゅ・・・って、あーーたっ!
鼻水でちゃったじゃないの〜(藁
>>394 21
キャロルの青い瞳に吸い込まれそうになりながらも、レイアスは彼女の話を理解しようと
ラバルド神官をも驚かす知力をもって聞いていた。
何もかも俄かには理解しがたい話ばかりだったが、キャロルの言葉から感じられる
真剣な響きは全面的に信じさせるだけの力を持っていた。
見ればキャロルは唇を噛みしめ、小さく震えている。
たった一人ここに来たことにとてつもない不安を感じて、
必死にその恐怖と戦っているのだろう。
(信じるということを伝えてやらねば。おそらくそれが救いにもなるのだ)
天性ともいえる、人の心を掴んでやまない繊細な感性がそう告げる。
そして、同時に自分の身の上とも重ね合わせる。
自分がここにいる理由。ここで課せられた生活。
少女の言葉で目の前に茫洋とあらわれた悠久の時の流れ・・・。
「そなたの話、すべて信じよう」
真剣なレイアスの声がキャロルを驚かす。
「こんなことを信じてくれるの?理解してくれたの?」
縋りつくようなキャロルの瞳に、ますますレイアスの声と表情は真剣さを増した。
「完全に理解したとは…残念ながら言えない」
正直なレイアスの答えにキャロルの顔にわずかな落胆の色が浮かぶ。
「だが理解できなくともよいのではないか」
キャロルにとって思いがけない言葉が続いた。
22
「この世には理解できぬことが他にも多くある。
問うても問うても、手に出来ぬ答えもある。
だが、その事実を受け止めて生きていくことも一つの道なのではないか…
大切なのは今を生きることだ。
自分が確かに生きている場所で精一杯の力を尽くすことが、
運命に流されずに、いや運命をも乗り越えて行く力を得る唯一の方法なのだ。
そのためにも、わからぬことならわかるまで共に考えよう。
それでも得られぬ答えなら、代わりにここで生きていく力を得ればいい。
キャロル、私はそなたを信じよう」
そう、わからぬことは多くある。
しかし、マイア、ラバルド、アリフから注がれている愛情は疑うべくもない。
彼らが考えて決めたことならば、今は敬意をもってその言葉に従うことが正しいに違いない。
そして、いつか時が来るだろう。
死後の世界で魂は甦っても、この世での命は永遠ではない。
キャロルの言うように、時は未来へ向かって流れている。
時が来れば真実が私を自由にし、自分が何者なのかを告げるのだ。
長い内省を経て辿り着いた晴れ晴れとした結論。
レイアスはようやく自らの道の上にしっかりと立った思いがするのだった。
23
(自分自身でさえ信じられないのに、私を信じると言ってくれる人がいる!)
キャロルは思わずレイアスの手を握り締めた。
「ありがとう!ありがとう・・・嬉しいわ・・・」
それまでの不安と緊張がレイアスの言葉に溶かされて、我慢していた涙が再び溢れ出る。
(私もこの人を信じよう。共に考えると、生きよと言ってくれたレイアスを信じるわ。
たとえ現代に帰る方法が見つからないとしても…私には生きる勇気があるもの!)
話した時間はまだわずかだが、その言葉のひとつひとつの重みに
彼は心から信じられる人なのだとキャロルは確信できた。
「私も…あなたを信じるわ。どうしたらいいのかわからなくて混乱してしまったけど、
ちゃんと現実を受け入れてみます。本当にありがとう」
青い瞳を覆っていた不安な光が消えて、今や全幅の信頼を込めてレイアスを見つめるキャロル。
(そんな目で見られては、もう口づけ出来ぬではないか)
ふと心に浮かんだ思いにレイアスは苦笑した。
(これが物語に読む恋という感情なのか…?
いや、キャロルはマイア以外に初めて接した女性だからこのような気持ちにもなるのだろう。
たとえ恋だったとして、時が来るまでは想いを伝えられぬ身の上ではないか)
未来から来たという少女。その存在で、自分を長い内省から目覚めさせてくれたキャロル…
24
「昨夜は混乱して迷惑をかけてしまったけど、朝になったらマイアとアリフにも
ちゃんとお礼を言わなくてはね」
キャロルの言葉にレイアスは物思いから覚めて空を見上げる。
(東の空が濃い紫に変わり始めている。そろそろ時間だ)
「もう間もなく夜が明ける。朝まで少しでも眠った方がいい。
様々なことがあって…疲れているだろう?」
「ええ、ありがとう。私の寝台の傍にね、マイアがついてくれているの。
眠っていたからこっそり外に出てきてしまったけど、気づかれないうちに戻らなくちゃ」
生来の茶目っ気をのぞかせて、キャロルは悪戯っぽく笑う。
「レイアス、あなたも眠らなくていいの?こんな夜中まで起きていて大丈夫?」
「私もそろそろ家へ入る。それに今日はラバルドが来る日だし・・・」
(そうだ、ラバルド神官なら何か手立てを知っているかもしれぬ)
「ラバルドって?」
「ラバルドは私に勉学を始め様々なことを教えてくれる博識の神官だ。
今日はちょうど家へ来る日なのだ。そなたのことをラバルドに相談してみよう」
ぱっとキャロルの顔が輝く。
「本当?神官なら何か教えてくれるかも知れないわね。絶対会わせて、お願い、レイアス!」
「約束しよう。さあ、家へ入ろう」
希望を見つけ明るい表情になったキャロルを見て、レイアスは小さな痛みを感じる自分に戸惑う。
(アメリカという世界に戻ることができれば、二度と会うことはないのだろうか・・・)
そんな気持ちを振り切るように言葉をかける。
「よく眠れ、キャロル」
再び自分に向けられた鮮やかな眼差しに囚われて、キャロルも戸惑う。
(この美しい眼差しを忘れることが出来るかしら・・・)
「おやすみなさい、レイアス」
>>ホルスの翼作家様
いつも定期うpありがトン。
愛読してます。
この二人は初々しいカップルになりそうですね〜♪♪
>>413 そ・そ・そんなにイイんですか?
貴女のカキコが気になって気になって・・・ああ
妄想爆発・・・もうダメぽ\(◎o◎)/
>>408 リク受け付けて下さるという事ですか?
ライアン×キャロルでラブラブハァハァきぼんぬです。
キャロルに弱いライアン兄ぃがツボなんです。
ひとつ宜しくお願いいたします。
>>祈り作家様、眠りの森作家様も続きを楽しみにしてますね♪
>348
16
祈りを捧げることを繰返す落ち着いた日常に私は戻った。
ただ、私が倒れたことを心配なさったナフテラ様が取り計らい、特別にテティ様とおっしゃる女官を
ご自分の代わりにこちらへ寄越されるようになった。
テティ様は私には過分だと思える食料を携え、朗らかに私に話し掛けられる。
キャロルと違った生き生きとした明るさを神殿にもたらしていかれる。
「ハプト、ナフテラ様もご心配になられていらっしゃるわ、ちゃんと食事していますかってお尋ねになれれたもの。
ほら、パンやお肉も持ってきたのよ。」
内庭でテティ様がいらっしゃるのを待っていた私に、籠一杯にお持ちになった食べ物を示される。
でも私は、人の手が携わった食べ物、焼いた肉やパンもビールも食べられない。
無理に食せば血を吐き倒れてしまうことを、私は経験から知っていた。
「そのようにたくさんは食べられませんわ、よければテティ様、お召し上がりくださいな。」
「あら、いいの?」テティさまも私の横に腰を降ろされる。
「ええ、どうぞ」
「丁度少しおなかすいてたのよ!ありがとう」
楽しそうにさも美味しそうに召し上がる様子は、若い娘らしく生命力に溢れた姿だと思う。
テティ様も私を気味悪がられるのかと思っていたが、私の予想に反して、
テティ様が気さくに私に接してくださるのは意外にも思えた。
私も果実の皮を少し剥いてご相伴に預かりながら、テティ様のお話に耳を傾ける。
「あのね、最近、この神殿の周りに近づこうとする人が多いのよ、大丈夫なの?ハプト」
17
おっしゃることは知っていた。
私がキャロルを目覚めさせたこと、戦の折にキャロルの居場所をこの神殿に居ながら、
ミヌーエ将軍にお教えした事が尾ひれをつけて広まってしまったらしい。
それまではいるのかいないのかさえはっきりしなかった巫女の存在が、
「遠見の巫女」という名のもとに、それにすがりたい人が私に様々な事を尋ねようとしていることも、
風が教えてくれていた。
ただ神殿という場所なので、おろそかに近づけない事で私は守られていたに過ぎなかった。
「ナイルの娘であるキャロル様を目覚めさせた巫女は、どんな遠くの事でも見通せるって噂が駆け巡ってるの。
それにねえ、姫様もあなたに会いたいって何度も仰ったりするから、
変にあなたの格が上がるっていうのかしら?神の娘がそんなに頼りにする巫女ならばって信用度が高まってるみたい。」
キャロルはまだ傷が癒えていない事を理由に、あまり宮殿の部屋から出してもらっていないようで、
私も自分が倒れた時以来、まだ顔を合わしていなかった。
ファラオがキャロルを気遣い、自分の目に届くところにキャロルを留めたがっているのを、
私は風から聴いていたので、驚くには当たらない。
最近神殿の周りに人が多く徘徊するのも知ってはいたが、私に何ができるだろうかと思っていたので、
左程深刻に考えもしなかったのだ。
食事を終えるとテティ様が「迂闊に神殿の入り口に姿を見せちゃだめよ。」と注意をして
ご自分はまた宮殿の方へと足を向けられた。
その時風が囁いたのを私は聞き逃さなかった。慌てて小走りになって叫んだ。
「待って!お待ちになって!テティ様!」
18
既に神殿の入り口の周りには人だかりになっていた。
テティ様が一目で侍女と分かる衣を身につけておられるから、私と間違われることはないであろうが、
私に取り次ぐよう押し問答になっているのは離れたところからでも充分に聴き取れた。
「・・・からだめだって言ってるでしょう!巫女はお忙しいのよ!お帰りなさいよ!」
「リビアへ行った息子の消息を聞きたいって言ってるだけじゃないか!」
「浚われた娘の消息を知りたいのよ!なんでも知ってるらしいじゃないの!」
「巫女はなんでも知ってるわけないじゃないの!邪魔じゃない!早く帰りなさいよ!」
「巫女だ!巫女が居たぞ!」
「お願いだ!息子の消息を!」
「私の話も聞いておくれ!」
テティ様をお引止めしようと入り口近くに駆け寄ってしまった私の姿に、
人々が口々に叫ぶ。
腕をつかまれ引き寄せようとする。体が強張る、恐ろしさで足が竦む。
「ハプト!ハプト!放しなさいってば!ハプト!」
テティ様の声は聞こえるのに、人が押し寄せてそのお姿が見えない。
恐ろしいものが私の前に立ちふさがっているような気がして、私にはどうしていいやらわからなかった。
「何事ぞ、この騒ぎは!」
そのお声はたったの一言でこの場を支配した。
いとも簡単に私を抱き上げ、神殿の方に向かわれながら、「巫女は体が弱いのだ、なんでも知っているわけはないぞ。」と
振り返ることなくミヌーエ将軍は人々に告げられ、喧騒は治まっていった。
「すまなかったな、警備を配するようファラオに申し上げよう」
何故この方は私が困っていると救いの手を差し伸べてくださるのか?
ただ今は有り難く、礼を述べるのがやっとだった。
>>413 あなたのカキコで鼻血大爆発でちゅ。
>>ホルスの翼作家様
この先どうなるか、わくわくです〜。
うp待ってまつ。
>>祈り作家様
うわー。読みやすくなってますー。
あの後、うp無くて責任感じちゃったりして(´・ω・`)
ハプトの活躍楽しみにしてるよ〜
413です。まじイイです。カレや旦那様におねだりしてみそ〜〜w)
>彼の最も男らしい熱い部分で愛撫されていると思うだけで、もう体は柔らかに蕩け始め
↑
ほんとそんな感じだよ〜。ここ萌えた
(妙に気持ちが高まるつーかね)
>祈り作家様
久しぶりのご降臨で嬉すぃです。
読みやすくなって、きれいな文章が引き立った感じ。イイです!
やっぱりミヌーエといい仲になるのかなあ?
>413 君のせいで鼻血貧血になったよぅ
>ホルスの翼様 斬新なキャラ達の活躍が楽しみです
>祈り作家様 いつも和ませてくれてありがとうございます
>絆の生まれる時・眠りの森作家様 更新お待ちしてますね
>>398 15
「あ・・・・・」
次の夕方も王子はキャロルの部屋を訪れた。その手にはまた沢山の書類や巻物を携えて。
だがキャロルはもう昨日までのように怯えたり、露骨に嫌な顔をしなくなっていた。不意に現れた王子を眺める青の瞳には困惑と・・・でもどこか柔らかな光が宿っていて。
「昨日は・・・あの…」
「ふん、夕餉は摂ったのか?まだならば運ばせよ。
私はまた少しここで片付けたい仕事があるのでな。そなたには・・・これを貸してやろう」
王子はキャロルに巻物を渡した。細密画が入った高価そうな巻物だった。
「興味があるようだから。
・・・・・・・そうそう、昨夜は手間をかけたな。つい寝入ってしまった。あー、困らせたであろう。許せよ」
思いもかけない男の言葉にキャロルは我知らず頬を染めた。
「べ、別にいいの…です」
なおも面白そうに自分を見つめる男。
「眠ってしまったのは私も一緒だし」
王子はくすりと笑うとキャロルの頭をくしゃくしゃと撫でた。
その日も王子はキャロルの部屋で書見をし、キャロルは王子が与えた巻物を読んでいた。諸外国の伝説や説話を集めたものだった。だいたいは読めるが、それでも古代での読み書きにあやふやなところのあるキャロルには難しいところも多い。
「どこか分からぬところでもあるか?教えてやろう」
王子が声をかけ、キャロルが答える間もなく側に座り込んで即席の教師となった。
「あ、ありがとう」
「何。分からぬところは遠慮なく聞くのだな。分からぬことをそのままにしておくのは良くないことだ。さて、他に分からぬことは?」
からかうような王子の笑みにキャロルはかちんと来た。王子にもの知らずだと思われるのは癪で恥ずかしかったし、それに意味ありげな皮肉っぽい笑みに自分は昨夜何か寝言でも言ったのだろうかという嫌な予感もした。
16
「とりあえずは・・・。いいえ、分からないことはあるわ!とても気になっているの。でも王子は教えて呉れられるかしら?」
「ふふ。申してみよ。私などには分からぬであろうと決めてかかっているとはしゃらくさい」
「では・・・では、あのね。どうして王子は私をこんなふうに扱うの?捕虜でもないし、人質でもない。やらしい、あ・・・愛人・・・とかでもないわよね。
私をどうしたいの?私に何をさせたいの?ほらっ!あなたはいつも私を馬鹿にしたような嫌な笑い方をするだけ!」
「そなたはずいぶんと色々な言葉を知っているのだな」
王子は余裕のある笑みを浮かべて生意気なキャロルを見おろした。可愛らしくてたまらぬとでもいうように小さな少女を眺める王子に居合わせた人々は驚いた。
「捕虜、人質、愛人、か。そなたはそのどれでもない。だが、さて、では何かと問われれば私も返答に詰まる。
教えてやってもいいがそなたには理解できまいし、理解できぬことを教えて、しつこく解説を求められるもの厄介だ」
むっとした表情になるキャロル。素早く考えをめぐらせているのが王子には手に取るように分かった。
「じゃあ無理にとは言わないわ。あなたは私を馬鹿にしているし、それに・・・きっと私にきちんと教える自信がないからわざとそんなことを言うのよ。
実際には教えられないんでしょう?違う?」
おきゃんな言葉に王子は心底面白そうに笑った。
「そなたのように礼儀知らずの子供は初めてだ。よいか、女が男にものを頼むときには・・・」
王子はいきなりキャロルの顎に手を掛け、顔を上に向かせるとその薔薇色の唇を奪った。
「これがお前の知りたがっていた答えだ」
そして王子は朗らかな笑い声を響かせながら出ていった。
作家様、うpありがとうです!
>これがお前の知りたがっていた答えだ」
ここの王子カコイイー!!
いや〜ん、そこで出て行っちゃったら、どうするべ。
うpが毎日の様にあってうれしいです。もうこのページをスタートページに
しちゃおうかな。 えへ。
>432
キャロルタン?
えへと言いながら頭を小突き舌を出すキャロルタンが浮かぶ(w
>>433 3頭身のキャロルちんを想像しました。
毎日うpで大満足、作家様達ありが頓!
Ψ(`▼´)Ψ系もっと来て欲しいよぉ。
Ψ(`▼´)Ψ系が好みな人って、やっぱり多いのかな〜。
実は私は苦手で、自分が作品書く時は入れられなくって申し訳ない。。。
入れないと読んでもらえない割合が高いのかな。。。
>435タン
読んでもらえないなんて事ないと思うよ〜!
和み系・シリアス系どれも楽しいもの。
まぁ、Ψ(`▼´)Ψが好きな乙女は多いだろうけど、
逆にそれが苦手な乙女もいるでしょうし、結局は十人十色では?
ちなみに私はどちらも好きよ。
ホノボノするもよし、ハァハァするもよし、どちらも楽しみたい。
>>435 そんな事ないよ!! Ψ(`▼´)Ψ系も好きだけど、無くても
とても楽しめるので、気にしないで書いてください。
Ψ(`▼´)Ψ系が苦手な読者もいるだろうし、その場合はスルーするのかな?
私は両刀使いなので、どっちも歓迎だ。
わたしは逆にΨ(`▼´)Ψ無しのお話のほうが好きですよん。
Ψ(`▼´)Ψ苦手だから、マーク付けてもらえて助かります。
こんな読者もいますよ〜。435様、執筆がんがって下さいませ。
>>435 Ψ(`▼´)Ψは大好きだけど、勿論Ψ(`▼´)Ψ無しも楽しんでまつよ。
Ψ(`▼´)Ψが無いから読まない、有るから読まないってコトはないなぁ。
うpされた作品は全部、有り難く読ませてもらってます。
王家自体が「清純派乙女チック」であり「エロス」でもあるので、両方あってよいんじゃな〜い?
私もどっちも好きだよ。
でも、Ψ(`▼´)Ψ苦手な人ってそこだけ読み飛ばすの?
短編のΨ(`▼´)Ψならスルー出来るけども。連載はどうするのかなーと
ちと思ってしまったわ。
スマソ
確かにΨ(`▼´)Ψ系だとレスが一気ににぎやかになるから
Ψ(`▼´)Ψ無しだとウケが悪いんじゃないかと錯覚しちゃうかもね。
そんなことないのに〜
>>440 438タソとは別人のΨ(`▼´)Ψちょっぴり苦手派でつ。
連載の途中でも申しわけないけどそこだけスルーさせてもらったり…
でもΨ(`▼´)Ψがあったということはわかるから大丈夫なんだよん。
Ψ(`▼´)Ψ有る無しに関わらず、面白かったらイイ。
オニが無くても萌え萌えのもあるし、私はあんまり有る無し関係ないけどな。
ただΨ(`▼´)Ψ作品が少ない時、ちょっと寂しく感じることはあるかも。。。
連載が一杯あって、両方色々楽しめるのが一番うれしい。
そういえばΨ(`▼´)Ψが使われだしたのっていつからでしたっけ。
っていうかそもそもpink鯖以外でエロものやっていいのかねぇ?<今更だが・・・
初期の佐渡王子風味で、Ψ(`▼´)Ψ読みたい。
快楽と痛み8:2〜7:3の。
愛アリ前提で拘束&道具アリ。
寂しい夜には作家様にリクエスd。
メンピーでも可、だめでつか。
逝ってよしでせうか。
>>444様 暇なんで拾ってきたよ
87 名前: 名無し草 投稿日: 02/03/04 01:58
昔からの難民板住人です。
18禁話についてですが、ここではそういうの書いても大丈夫ですよ。
スレの小説が18禁ばかりということだとさすがに・・・ですが、
一部にそういうものがあるぐらいで、難民板住人は動じません。
「難民板総合案内所」スレにも、
>難民板は流浪の民が集う板です。どのスレッドも前の板で
>荒らされたり、板違いだと言われたりした経緯を持っています。
>難民板で「出て行け」は禁句。荒らし・煽りについては完全無視。
>一緒にマターリしましょう。
と明記されているぐらいですから、スレの一部に18禁話を書いた位で
「他へ行け」と言い出すのは、荒らし以外の何者でもありません。
書かれた時は、スルーしてしまうのが一番です。
ただ、18禁話の場合、そういうのが苦手な人もいるでしょうから、
最初の方に「18禁」などという表示をした方がいいでしょうね。
そうしてもらえば、苦手な人は読み飛ばせますし。
>447
なるほど。
難民板は住み心地がいい板だにゃ。
435です。
何気なく書いてしまったことに、こんなにレスがついてびっくり。
ここの住人のみなさんがいかに温かく見守ってくださっているか感じたよ〜。
Ψ(`▼´)Ψがなくても読んでもらえる面白い話にするように、
これからがんばります。ありがd
本当に人口増えてたんだ・・・。
何か実感した。
作家タンがんがれ。
>449
今連載中の作家様かしら?頑張ってください。どれも好きです。
Ψ(`▼´)Ψ無くても過去には名作もイパーイありますもの。
個人的には「ムーラの独白」「踊り子の呟き」「記憶の恋人番外編」などなど
Ψ(`▼´)Ψ一切無いけど、Ψ(`▼´)Ψ以上に引き込まれるものがあります。
テーマと訴えてくるものがある作品良いわ〜。
それでもΨ(`▼´)Ψも、やっぱり好きですわ(ポッ)
だって王家ではぜーったい拝めない光景なんですもの。
>446
サド風味の王子、そそるな〜。私も読みたいかも。
>>420 25
ラバルド神官は数日おきにナスルの神殿からマイアの家へ通っていた。
(早いものだ…。あれからもう18年。ついにメンフィス様の治世が訪れたとは)
共にエジプトの一時代を過ごしたネフェルマアト王は、
宰相イムホテップと共に内政に力を注ぎ続けた。
その甲斐あってこの18年で更にエジプトは富み、今や名実共に世界一の強国となっている。
卑劣な暗殺者の手に堕ち毒酒に倒れたと聞いた時には大きな悲しみを感じたものだが、
星々はファラオが満足して永遠の旅出をしたことを告げていた。
メンフィスという嫡出の王子を得て、思い残すことはなかったのだろう。
ただ一つのことを除いて…
つい先日、そのメンフィス王の盛大な即位式が華々しく執り行われた。
テーベから離れたこの小さな村でもその祝賀の興奮は十分に届き、
老いも若きも新しいファラオの即位を祝っている。
神官として人々の願いを聞き入れ、小さな神殿で新しい治世の繁栄を祈りながら
ラバルドはどうしてもあの日を思い出さずにはいられなかった。
自らが分けた2人の運命。今も忘れられぬ自らの言葉。
―このままでは国が乱れましょう。ファラオよ、王妃よ、ご決断を・・・
受け入れられたその決断は、ラバルド本人の運命をも変えた。
我が子を手放さなければならない衝撃に耐えていたファラオと王妃に告げることは出来なかったが、
その直後にもう1つの大きな星が流れたのをラバルドは見逃さなかったのだ。
かつて見たことのない大きさの星に、必ずや何事かが起こるとの予感が走る。
26
いつ、どのような事が降りかかるのかまでは大神官の力を持ってしてもわからなかった。
この赤子の命に関わる事なのか、それともエジプトの運命にも関わる事なのか・・・
事が起こるときには再び星は流れるであろう。
しかし、流れてから駆けつけてみても遅い。間に合わぬ。
それならば・・・傍で見守っていこうではないか。
使命感と共に自らが運命を告げた赤子への呵責もあったのかもしれない。
大神官の職を辞してナスルへ行きたいとファラオに願い出た時、
形ばかりの反対がなされたもののすぐに許しがあった。
それどころか手厚い年金やナスルの古びて荒れていた神殿をすぐさま整え、
「私の力が必要になった時に開けよ」と見事に彩色の施された箱をも下賜された。
あの赤子は初めから存在亡き者との約束ゆえ何も言葉はなかったが、
出立の挨拶に行った時のファラオの安堵されたような顔…
この決断は間違ってはいなかったのだと、ラバルドは安心してナスルへ来ることができたのだった。
その日以来、マイアと共に赤子を…レイアスを見守りながら、ラバルドは星が流れるのを待っていた。
恐れながら、半ばなにかを期待しながら・・・
そして、昨夜ついに星が流れた!
(何かが起こる、このエジプトで!)
ホルス作家様、うp多謝!
王家では双子は忌み嫌われたんだよね。
最近は休日でもうpしてくださる作家様が多くなって嬉しい♪
眠りの森作家様や涙の日作家様は、最近どうされたのかな〜?
そうだよねー、休日うpって一時ほとんどなくてさみしかったからありがたいっす。
>ホルスの翼作家様
緩急のある文章がステキです。頑張って下さいませ〜(アリポーズ)
三連休だしなぁ、うp無いよなぁと思って来てみたら、、、
アッタ━━━(゚∀゚)━━━!!
作家様ありがd
♪ オチャッチャッチャッ ♪
∧,,_∧ ∧,,_∧ ∧,,_∧
ζ (・ω・ ) ζ (・ω・ ) ζ (・ω・ )
旦⊂⊂ ヽノ 旦⊂⊂ ヽノ 旦⊂⊂ ヽノ
ヽ と _) ヽ と _) ヽ と _)
∪ ∪ ∪
作家さま方〜、お茶ドゾ♪
>>454 私も更新止まってる作家様達が気になる〜
>>457 カワイイぞっ!
作家様じゃないけど、お茶いただいちゃえ!
トリオダンスが可愛いよん。
連休は嬉しいけどね・・・・。
楽すぎて、ダルイよーー。
今日も、うPあるかな〜?
>>453 27
「ラバルド、待っていたぞ」
レイアスは戸口までラバルドを迎え出て、急かすように部屋へと案内する。
「そのように急がれて何かありましたかな」
普段のレイアスには見られない性急さにラバルドの胸は激しく騒ぐ。
「ああ、大ありなんだ。知りたいこと、相談したいことが山ほどある」
「実は昨晩の遠乗りの途中で一人の少女を助けたのだ」
「レイアス様!まさか顔をお見せになったのではありますまいな」
「私が助けたのだ、もちろん見せたとも」
ラバルドの狼狽をよそにレイアスは平然と言う。
「何ということを!あれほど固く・・・」
「説教なら後で聞こう。それに彼女はエジプト人ではない。それどころか…まあ、会えばわかる」
いつもの勉強部屋に2人が入ると、そこにはキャロルが緊張した面持ちで座っていた。
「この方は…」
大神官という立場柄、テーベ時代には多くのエジプト人、そして外国からの賓客に会っているラバルドだが、
黄金の髪に白い肌、青い瞳…このような姿の人を見たことはなかった。
(これが、この娘が星を流したのであろうか?)
「キャロルという者だ。キャロル、こちらが昨夜話したラバルド神官だ」
キャロルは立ち上がって優雅に一礼をし、緊張しながらも微笑を見せる。
「はじめてお目にかかります、ラバルド神官様。キャロル・リードと申します」
28
キャロルを凝視するラバルドを見て、レイアスはさもあらんと思う。
自分もまた明るい朝の光でキャロルを見て再び驚いたのだった。
太陽の光を浴びて黄金の髪は命あるもののように輝き、
白い肌も青い瞳もその光の中に溶けてしまうように眩しい。
(これほどに美しいとは…)
触れなければ消えていきそうなその姿に、昨夜の戸惑いが再び胸に疼く。
「まずはキャロルの話を聞いてやってくれ。その後ですべてについての判断を仰ぎたい」
レイアスの言葉にラバルドは深く頷き、キャロルの正面に腰掛けた。
「わかりました。私で力になれることならお聞きしましょう。キャロル様、どうぞ」
(さて、どのような話が飛び出すか・・・)
ラバルドの落ち着いた態度、深く刻まれたしわの奥に見える理知の潜んだ目に
安心したキャロルは、昨夜レイアスに話したことを繰り返し伝えた。
「信じていただけないかも知れませんが、本当に私の身の上に起こったことなんです」
祈るように胸の前で両手を組み合わせて話すキャロル。
(ああ、どうしてラバルド神官様は何も言ってくださらないのかしら。
やっぱり作り話だと笑われてしまうのかしら)
黙して話を聞いていたラバルドは、なにもキャロルの話が信じられないわけではなかった。
レイアスと同様、言葉に潜む真剣な響きにそれが事実であることを感じていた。
それに少女がここへ来た理由として推測した王家の呪い。
呪いによって何が起きても不思議ではない・・・
ここにラバルドがキャロルの話を信じるだけの根拠があった。
457タソ、お茶をありがとう〜。
それからいつも読んで下さる方、スルーして下さる方もありがとうございます。
連休に読んで下さる方がいるのかなと思いつつコソ〜リうpしてみました。
私には連休など関係ない…・゚・(ノД`)
ホルス作家タソ、ありがとうございます。
連休中でも気になって見にきたら、うpされててうれしい限りです。
>ホルスの翼作家さま
毎日楽しみに読ませていただいてます。私も連休がない仕事なんですけど、帰宅してここに
来てみたらうpがあってしやわせ♪ストーリーも面白いです。頑張ってくださいね。
上野でやってる大英博物館展に行ってきまつた。
久々に古代エジプトの像やらミイラやら見て世界に浸ってしまったわ〜。
しかし入場まで2時間待ち。疲れました。
ホルス作家様、休日うpありがたや〜。
ラバルド神官は某カプとはぜんぜん違うんですね。
あのエロジジイが大神官やってるエジプト、それでいいのかと小一時間(ry
>>435作家タン、がんがれ〜
もしかして435さんは、ホルス作家様かな?
何となくそんな気がして・・・
このスレを読んでる読者は多いはずだよ、心配しないで頑張ってね。
うん、うん。
読んで欲しいって一生懸命な気持ちが伝わってくる。
435様のおかげで大分レスが活性化しますた。
良いことだヽ(^o^)丿
>466
ほぼ同意ですが、名無しさんでの書き込みを詮索するのは
野暮ではないかと。
新人作家様を温かく見守るレスは和みます〜
「涙の日」作家さまも、是非続きを読ませて下さい。
メリハリのある綺麗な文章が素敵だなぁと思っていました。
メンフィスとキャロルがどんな関係になっていくのか、楽しみです♪
(メンフィスとキャロルの御対面の直前で止まったままなので、続きがすごく気になるの〜〜)
新人作家さん達、頑張ってくださいね♪応援しています。
>眠りの森作家さま
こちらも続きがきになります〜
>>430 17
「で…姫はどうしている、ムーラ?」
「だいたいはお察しでございましょう、王子」
珍しく表宮殿の執務室に乳母を召し出したイズミル王子の殊更のんびりとした口調に、ムーラは少々疲れたように答えた。
「あの方にしては珍しく声を放って大泣きされました。口惜しい、許さないとそれはもう…。
一通り泣かれた後は、だんまり一筋でございます。何をお考えなのやら…。
王子、あの方は確かに得がたい女神の愛娘であられましょうけれど世の中にはもっと素直で女らしい姫君もおありでございましょう。恐れながら…」
「ムーラ!」
王子の声音にびくっとムーラは身を震わせた。
「お、お許しあそばせ。僭越でございました。でも、あの姫君は王子のお心を少しも汲んではくださらぬ頑ななお方。いえ、お心映え自体は良いのですが・・・ただ…」
「ふん、まだ子供なのだ。女にもなってはおらぬわ」
王子はさばさばと言った。
(やれやれ、癇癪を起こしたか、辛抱強いムーラを呆れさせるほどに!
安心したぞ。あの潔癖な子供が自棄を起こして暴走でもしたらと気が気ではなかった。ふふっ、つい誘われて性急なことをしたが・・・)
生き生きとした表情で囀る小鳥の愛らしさに負けて、つい接吻をしてしまった興奮が冷めると、王子の胸中には自分の行為でキャロルの心がますます離れていくのでは・・・という不安に満たされた。
「王子・・・?いかがあそばしました?」
「何でもない。すまぬが姫の世話を頼む。今宵は少し早めに顔を見せよう」
(舌を差し入れたときの物慣れぬ、でも強くは拒まなかったうぶな反応。
やはり思った通り、あの姫は子供だ。まだ人を真実、好きになったことなどない幼さ。
あの白い胸に私の面影を焼き付けるのはさぞ楽しかろう・・・!)
ムーラは恭しく頭を下げて出ていった。
(まぁ、王子が女人にここまでなさることはなかった!あの姫君を王子はまこと愛しく可愛らしく思っておいでなのだわ。
無礼な振る舞いをするような者はすぐさま追われたというのに、あの姫君のことは‘子供だから待つ’ということだろうか・・・!)
18
「何をしにきたのっ!」
泣きはらした目をしたキャロルは、図々しくも部屋を訪れた王子を激しく睨み据えた。
「ご挨拶だな」
王子はくすりと笑った。萎れきって身も世もなく嘆き哀しませているかもしれない、と心配していた少女は初めて見せる強い生気を放って輝いて見える。
「せっかくそなたが知りたがっていたことを教えてやったのに」
「知りたがっていたことですって!あんないやらしいこと、いきなり!
わ、私はっ・・・私は・・・初めてだった・・・のにっ・・・!あなたなんかと!」
いきり立ったキャロルの言葉が王子を喜ばせた。その喜びの微笑がキャロルを余計に苛立たせたらしい。キャロルはいきなり手をあげて王子を打とうとした。
声にならない悲鳴を上げる侍女たちを尻目に、王子はあっさりとキャロルの手を避けた。
「そなたが自分は何なのだと聞いたから教えてやっただけではないか。
女神の国では好きあった男女が唇を重ねるようなことはせぬのか?ふふん、私はそなたを愛しいと思っている。側に置いてうっとおしいとも退屈だとも思わぬ相手は初めででな。
ナイルの女神の娘であるそなたは捕虜でも人質でも愛人でもない。ま、順当にいけば私の妻になるというわけだ」
キャロルは真っ赤になった。鼓動が頭の中で五月蝿いほどに響く。
(何、この人・・・。こんな・・・こんなこと言われたの初めて)
キャロルはがくがくと震え出した。
首飾りを贈られたのも、いきなり唇を重ねられたのも意外であったが─しかも心の底から嫌、というわけではなかった。メンフィスやカプター大神官に触れられたときのように─ここまで驚かされ、心乱されることはなかった。
「順当に事を進ませるために私なりに努力はしているが・・・相手が子供では何一つ予定通りに進まぬ」
19
キャロルは大きく息を吐いた。
「私、私、からかわれるの嫌い。馬鹿にされるのも嫌い。王子は意地悪だわ。私の嫌がることばかり、する。王子なんて大嫌い」
でも、キャロル自身が驚いたことに自分の声は少し甘えているかのように震え、おぼつかなげだった。
どう聞いても嫌な相手を完膚なきまでに凹ませ、退却させる声と態度ではない。むしろ泣き出しそうな情けない声ではないか。
キャロルは喉許にこみ上げてくる熱い塊を必死に飲み下しながらもう一度、言った。
「大嫌い、よ。意地悪。何が・・・妻・・・」
「大嫌い、か」
王子は余裕綽々だった。昨日まで接吻すらしたことはなかったと告白した少女の不器用にもがく態度が嬉しかった。
「私はそなたが愛しいと思っているのにな。
まぁ、人を好きになるということを知らぬ子供の言うことだ、大目に見てやろう」
そして王子は人目も憚らず、またキャロルの唇を奪った。
昨日の、軽く触れるような接吻ではなくて、舌先で震える唇を解し相手の口中をあまねく愛するような、味わうような深い接吻。
それは男女の深い行為を連想させるような接吻だった。キャロルはそれを拒むことも出来ず、気がつけば王子が促すままに舌を相手に絡めていた。
「そなたは私を愛するようになる。いや、もう愛していてくれているやもな」
「・・・」
「そんな目で睨むな。・・・さて、と。私は書見をせねばならぬ。邪魔をするでないぞ。ムーラ、何か飲み物を!」
王子は息を乱し、頬を紅潮させてうっすらと涙ぐんでいるキャロルを脇にどかすと、何事も無かったかのように書類に目を通しだしたのである。
ワーイ!休日うp嬉しいよ〜ん。ありがトン!
王子、イッキにキャロルをせめ落とすのだっ!!!
王子のお手並み拝見させていただきますわ〜
>味わうような深い接吻。
王子らしいなー。
焦らすんだイズミル
へタレた本誌との違いをみせてやるんだ(`・ω・´) シャキーン
>>470 わたしも涙の日&眠りの森の続き読みた〜い
気になるじょ〜
王家スレ、「〜でせうか」とか「〜なのれす♪」みたいな
語尾がどうしても住人の実年齢を想像させて萎える…。
そのうち「ルンルン気分」とか言い出しそうだ。
なんとも、微笑ましい・・ほほほ
>>477 年齢層はかなりバラつきがあるかと思われ。
ビミョーな語尾がまた面白いんだけどなールンルン♪
幅広い年齢層が示してるところこそ
王家の真髄だったりしてね。
ちなみに我が家は娘と親子読者だけど
このスレだけは見せないように死守しておりまする〜!
そうか〜、母娘2代でも十分読めるほど長い連載だもんね。
ちなみにここに来てる皆さんはどのくらいの年齢層なんだろう。
私は30歳でつ・・・
王家を読みはじめたのが中学校1年生だったかな〜。
人生の半分以上を王家と共にしている・・・
私なんて、王家の最初を知ってるよ。で、高校の時にうちの母親が
いつの間にか、王家のファンになっていて単行本を買ってたよ。
もう、母は無くなったけど、生きていれば70歳だからね。
最近うp多くて楽しみです。
>>480 私は夫婦・親子読者です。
娘や夫にはここは見せられません(笑)
このスレは私一人の秘密のお楽しみコーナーです。
王子とキャロルのラブラブが見れるのは、ほんとに幸せです。
>>461 29
瞑想していたかのように見えたラバルドがようやく口を開く。
「よくわかりました。あなたの話、私も信じましょう」
思いがけなかった言葉にレイアスとキャロルは顔を見合せる。
「本当に信じていただけるのですか!」
喜びを含んだキャロルを諌めるように、ラバルドはわずかに手を上げて制した。
「信じましょう。なぜなら王家の呪い、それは確かにあるからなのです」
ラバルドは静かに続ける。
「王家…特にファラオの墓を封印する時、時の大神官は死者の眠りを妨げる者がないようにと
必ず祈祷をします。同時に神力のほとんどをかけて呪詛をするのです。
この眠りを妨げし者に報いを、と。
それがどのような形で現れるのかはわかりませんが、
おそらく…未来においてファラオの墓を発見したというあなた方の上に
その呪いが降りかかったに違いありません」
予期していたとはいえ神官の口から改めて聞かされた呪いの事実に、キャロルは声も出ない。
(呪い・・・本当にあったんだわ・・・なんて罪深いことをしてしまったのかしら。
古代に連れ込まれてしまったのも、この罪の当然の報い・・・)
顔色を失い、言葉もないキャロル。
俯いた横顔は今にも泣きそうにも見える。
その姿があまりに痛々しく、レイアスは黙っていられずに言葉を挟んだ。
「なんとかその呪いを解く方法はないのか?」
「呪いを解く方法ですか・・・」
30
呪いを解く方法はあった。
ファラオの墓にかける呪詛は代々大神官のみに口述で伝えられ、
その呪詛を解く方法もまた大神官だけに口述で伝えられていた。
ただ、神力のほとんどをかけて行う呪詛の力は強大で、
解くためにはそれ以上の神力が必要とされる。
ラバルドはネフェルマアト王の死に立ち会っていないため解けるだけの力はまだ残っていたが、
それを使ってしまえばもう星のお告げを知ることが出来なくなってしまう。
星が流れた今、神力を失うのはあまりにも危険だった。
それにしても、一体どのファラオの墓をあばいたのか
興味をひかれてラバルドはキャロルに問う。
「ファラオの墓をあばいたと言われましたな。何という名のファラオなのか知っていますか」
キャロルは俯いたまま、か細い声で答える。
「はい。確か…メンフィス王とカルトゥーシュにありました。まだ18歳ほどの若いファラオで、
暗殺か毒殺によって命を落としたのではないかと言われていました…」
メンフィス王!
その言葉にラバルドは確信する。流れた星はやはりこの娘、キャロルを示していたのだ。
メンフィス王の墓をあばいて彼の治世へと迷い込み、
そして誰よりも縁の深いレイアスの手によって助けられた・・・間違いはない。
(それではこの娘がレイアス様の、ひいてはメンフィス様の運命も左右するというのか)
事の始まりを肌で感じて、ラバルドは膝の上で拳に力を込めずにはいられなかった。
31
「メンフィス王といえば、つい即位したばかりの現ファラオの名ではないか。
確か私と同じ年齢…18歳の若きファラオ」
レイアスの言葉に、キャロルは昨夜マイアが自分を宥めるために説明してくれたことを思い出し、
改めてその罪の重さに苛まれる。
「そう言えばマイアが言っていたわね。取り乱してしまっていたから忘れていたけど…
じゃあ、あばいてしまったお墓の本人の時代に来てしまったのね。
なにか…どうにか罪を償う方法はないかしら」
罪を償う。キャロルの発した言葉に、ラバルドの頭に新しい考えがひらめく。
(罪を償う…おお、そうか。大神官がすべてをかけて念じる呪詛の力は、
もしかすると墓をあばいた者の力を借りて、現世において降りかかる凶事を
避けるよう償わせることなのでは?)
それは今まで考えもしなかった小さな希望であったが、未来から来たという娘の数奇な運命で
何かが変えられるかしれぬという閃き。そして昨夜の星の流れ・・・
娘の言葉によると、いずれにしろこのままではメンフィス王の命は短い。
ラバルドは小さく芽生えた可能性に、レイアスとメンフィスの未来を託してみようと思った。
そのためには、この娘にいてもらわねばならぬ。
「残念ながら私には呪いを解く方法はわかりませぬ」
「・・・そうですか」
落胆の表情を浮かべるキャロルを見て、ラバルドは続ける。
「ですが、これから文献などあたって呪詛を解く方法を探してみましょう。
きっと…何か見つかるでしょう」
(呪詛ならば私が解くことが出来る。しかし、それはいつでも出来ることだ。
何かが起こるまで…そして事の終わりを見定めることが出来れば、そう、その時には
私の神力を使い果たしてもよい。それまで時を稼ごう)
>>473 20
「まだ休まぬのか?」
だいぶ時間がたってから王子はキャロルに問うた。すっかり忘れていたがキャロルや侍女たちは息を潜めて王子の仕事を見守っていたのだ。
「つい失念した。姫は疲れておろう。ムーラ、姫を寝かしてやってくれ」
「お、王子はどうするの?」
キャロルは言った。その声音は少し無愛想ではあったが昨日までの尖った攻撃的な調子は息を潜めていた。
(王子がいては眠れないもの。また寝入るようなことがあっては嫌だわ。
あの人は私をからかって面白がっているのよ。そうに決まっている!
ちょっと自分が王子様だと思って誰でも靡くと思っているのよ。妻にする、なんて見え透いた台詞!)
自分に言い聞かせながらもキャロルは頬が火照ってくるのを何ともすることが出来ない。
「ご自分のお部屋でお仕事をなさったほうがいいんじゃないかしら?
仕事をしている人の側で眠り込めるほど私、神経が太くはありませんもの!」
キャロル以上に彼女の内面の変化を読むに聡い王子は、キャロルを怒らせるあの微笑を浮かべて言う。
「私は気にせぬよ。せっかく乗ってきた仕事の波を寒い廊下の移動で途切れさせたくは無いな。
それとも・・・一人で寝るのは寂しいか?添い寝が必要なのかな、そなたのような小さな子供は?」
結局、その日キャロルは王子が仕事を終えて部屋を出て行くまで起きていたのだった。腹立ちと何か甘いような感情を抱えて。
21
真夜中すぎに眠ったキャロルが目覚めたのは太陽が高く上ってからのことだった。
「お目覚めでございますか、姫君」
キャロルの意地っ張りに付き合わされて遅くまで起きていたはずのムーラや他の侍女たちはいつもどおりで、キャロルは自分の寝坊を恥じた。
「昨夜は遅くまで起きておいででしたからお疲れになったのでしょう。王子も心配しておいででした」
「心配! 私が眠れなかったのは王子のせいよ、ムーラ。
いいえ、ムーラ。こればかりは言わせて。家族でもない男の人がいる部屋で眠れると思う?国のために遅くまで働いている人を尻目に眠れると思う?
ねえ、ムーラ。王子はひどいわ。私をからかって面白がっているのよ。
それに私、私が眠れないせいであなた達にも迷惑をかけているかと思うと心苦しいわ」
「分かりました、姫君。高貴の方がそのように唾を飛ばさんばかりの勢いでお話になるものではございませんよ。
王子にはそれとなくお話をいたしましょう。確かにご結婚もまだの姫君は殿方と同じ部屋でお休みにはなりにくいでしょう」
キャロルは初めて自分の要求が通ったのに嬉しい驚きを感じた。
「ですが姫君。いつも申し上げていることですが王子のお心もおくみくださいますよう。
王子があなた様をお妃にとお考えなのは、戯れでもなんでもございませんよ。王子のお心に逆らうことはお許しできませぬ」
22
ムーラが王子に何と告げたのか、その日から王子はキャロルの許を訪れなくなった。おかげでキャロルは夜もぐっすり眠れる。
王子の顔が見えなければ落ち着いて脱出計画を練ったりできるはずだった。だが、おかしなことにキャロルの心は何やら張りを失ったようになり思考は空転するばかりだった。
(おかしいわ、私。王子なんて大嫌いで顔も見たくないはずだったのに・・・顔が見えなければ見えないで、大嫌いな相手のことに考えが行ってしまう)
キャロルの頭の中に王子の言葉が繰り返し響く。王子が来なくなってもう何日になるだろう?
─私はそなたを愛しいと思っている。
─順当にいけば私の妻になる。
─そなたは私を愛するようになる。
「ば、馬鹿ねっ!何を考えているの!」
キャロルは頭を振った。身体を動かした拍子に王子に贈られた首飾りが衣装の中で揺れた。
(そういえば私、この首飾りのお礼をまだ言ってないわ・・・)
キャロルは吐息をついた。
傲慢冷血な最低の男だと思っていた相手からの思いもかけない心遣い。女の喜ばせ方など知らない、と素っ気無く言って。
とうとうキャロルはムーラに聞いた。王子はどうしているのかと。
「別に・・・特に気になるというわけではないけれど・・・。でも私、王子にこの首飾りのお礼を言っていなかったから・・・。
お礼も言えない礼儀知らずとは思われたくないのよ」
ムーラは嬉々として育て子であり主君でもあるイズミルの許に参じた。
ぬおおおおお!2作品連続うp!
憂鬱な週初めにこのうえなくありがたいうpでございまする〜
ホルス様も絆様もこまめにうpしてくださって嬉しい限り。
つづきが気になって毎日心待ちにしてます。
関係ないけど、ずっと「ホスル神」だと思ってた(爆)
「ホルス神」が正しいのね〜。最初に「ホルスの翼」を見たときに超あせりまつた。
>>424 19
「ハプト!ハプト!」
黄金の髪を靡かせてキャロルが内庭へと走ってくる。
傷も癒えて元気そうな姿、こぼれる笑顔、無邪気で素直な性質そのままに。
「ずっとあなたにお礼を言いたかったのよ!ありがとう、ハプト!
私、肩の傷が痛んで闇の中に居た時、あなたが手招きしてくれたの、そちらへいったら、
目が覚めて助かったのよ!あのまま目覚めなかったら死んでたって、ナフテラやお医者様が教えてくれたの!
ありがとう!本当にありがとう!」
私の手を握るキャロルの白い手は温かく感じられた。
私も嬉しかった、キャロルの元気そうな姿をまた見ることが出来て。
でももうキャロルは王妃になる。以前のように会えなくなるだろう。
私もキャロル様とお呼びしなければならない。
「そんなの、気にしないで!あなたは友達だわ!今までどおり、キャロルと呼んで頂戴ね。」
私の懸念は吹き飛ばされ、キャロルは輝く笑顔で話す。
私が友達?そんなの初めてで、私の方が戸惑ってしまう。
風が教えてくれたように、ファラオとキャロルの婚儀は正式に7日後に行われることに話を傾けると、
白い頬は紅潮し、幸福そうに青い瞳は煌いて見えた。
お祝いを述べると、キャロルは私にも宮殿に来て一緒に祝って欲しいと話してくれたけれど、
この場を離れるのはできないので、この神殿であなたの幸福を祈ると答えると、寂しそうな笑顔をした。
「ウナス様がお待ちだわ、キャロル」
私の言葉にキャロルは手を振り、また来ると言い残して入り口へと走っていった。
何処をとっても幸福そうで美しいキャロル。
でも私は誰かがキャロルを苦々しく思っていることを知っている。
折角の婚儀にそんなことを話してもいいのかしら?
何事も起きなければ良いのに、と心の底から思う。
20
「キャロル様がこちらに参られたそうだな」
祈っている私の背後からよく通る低い声がした。
ミヌーエ将軍がこちらに向かっているのは知っていたが、私はずっと祈ったままでいた。
私の忠告など必要とされるのであろうか?
それ以前に、そのような言いがかりをつけるなと殺されてしまうのが先だろうか?
迂闊に口に出していいものでもないのはよく知っている。
どうすればいいのだろうか?
「婚儀が終われば落ち着かれましょう。」
「ならばよいがな、警護官のウナスが、キャロル様が動きたがるので困っておるわ。」
少し笑いを含んだお声。お顔の表情も、厳しいものではない。
このお方も人気のないこの場所で、肩の荷を下ろしていかれてるのかもしれない。
「今、母は婚儀の仕度で忙しくしておるが、そなたが息災にしておるか気にしておったぞ。
代わりの女官を寄越しているとは聞いておるが、そのせいか?顔色も良いようだな。」
「テティ様が山のように食べ物を持ってきてくださるのですわ。よくして頂いて、お礼の申し上げようもございません。」
「うむ、息災ならばよい、無理をするな。」
お優しいお言葉が、今は私の胸に突き刺さる。
言いたくない、でも言わないままでいいのだろうか?
不意に顎に触れた指で、私の顔が持ち上げられ、黒い瞳が私を見つめていた。
「気に病むことでもあるのか?巫女よ」
巫女、と呼ばれたことで、私は気がついた、言わなければならない、それが私の役目。
「ミヌーエ様、どうか、キャロルをお守りくださいませ、キャロルを殺そうと企む者がおります。
お願いでございます、どうか、キャロルをお守りくださいませ!」
おっ、なんかミヌーエがいい雰囲気出してますね。
久々のうp、ありがトン!
後でゆっくり読ませてもらう。
作家タマ達、うpありがd。。。。。
祈り作家様。わたしのつぼですわん。
今日もこんなにイパーイうpがあって幸せでつ〜。
>ホルスの翼作家様
これからどうなっていくのかドキドキしながら読んでます。
オリキャラのレイアスもラバルドも魅力的で楽しみです♪
>絆の生まれるとき作家様
大人な王子と子供なキャロルの対比がいい感じです。
キャロルをいろんな意味で大人にしてやってください(w
>祈り作家様
ハプトの透明感がすごく伝わってきます。
性格も存在も透明で、最後はどうなっちゃうんだろと心配になるほどです。
>>486 32
小さな顔に悲しげな表情を浮かべるキャロルを心底哀れに思いながら、
レイアスはラバルドの答えに安堵している自分を知った。
キャロルの不安は誰よりもよくわかる。
だが・・・もっとキャロルと話してみたい。もっとキャロルのことが知りたい
説明のつかない想いが、自分の思考を支配してしまう。
「キャロル…残念だったな」
キャロルは慌てて笑顔をつくって、横に座っていたレイアスを見上げる。
「ううん、覚悟していたことだもの。罪の報いだわ」
「だが、ラバルドも呪いを解く方法を探すと言ってくれているし、私がついている。
昨夜言っただろう?共に考えようと」
いたわりの込められたレイアスの言葉、そして瞳がキャロルの痛んだ心に優しい光を投げかける。
力づけるように肩に置かれた大きな手の熱さ…
「ありがとう。私・・・」
(私・・・。その後に何と続けるつもりだったの?)
思わず口をついて出そうになった思いにキャロルは息を飲む。
「ところでラバルド、方法がわかるまでキャロルをこの家に置いておきたい。いいだろう?」
そう言ってレイアスはキャロルを安心させるように言葉をかける。
「ここでその日を待とう。いいな?」
「そうですな。もうレイアス様の顔を見られてしまったわけですし、
キャロル様、あなたの姿もこのエジプトでは目立って仕方がない。幸いこの家は町外れにあります。
レイアス様と同じ生活を送っていれば安全でしょう。私も賛成しますよ」
2人の言葉にようやくキャロルの顔に本物の笑顔が浮かんだ。
ゆっくりと口の端から笑みが広がり、花が開くように満開となる笑顔。
「本当にこの家においてくださるの!ここを追い出されてしまったら私どうしようかと思って…
レイアス、ラバルド神官様、ありがとうございます!」
33
ラバルドは2人の姿を、そうとは悟られないように注意深く観察していた。
花咲くようなゆっくりとした笑顔を見せるキャロル、そしてその顔がまるで眩しいもののように見ているレイアス。
(これは…もしやレイアス様はこの娘を?)
レイアスが好意を持っているのはその態度からも明らかに感じられたが、
キャロルが見せた物事を冷静に説明する明晰さや、自分を迎え入れた時の優雅な物腰、
物怖じしない態度にラバルドも好意をもった。
「マイアには私から話しておきましょう」
「ああ、よろしく頼む。私が話したのでは納得してくれそうにないからな」
(納得してくれないって…やっぱり私がいることは迷惑なのかしら)
レイアスの言葉にキャロルは一瞬小さな不安を感じたが、
「ではレイアス様、今日の勉強を始めましょうか」
とのラバルドの言葉に、我を忘れて叫ぶ。
(古代エジプトの神官の知識!私も聞きたい!)
「あのっ、私にも教えて下さい!すごいわ、すごいわ、神官様のお話なんて貴重だわ!」
今までの態度から一変、子供のように目を輝かして興奮するキャロルに、
レイアスもラバルドも思わず笑い声をあげた。
「急にどうしたんだ」
笑いながら話しかけるレイアスに、キャロルは頬を赤く染める。
「ご、ごめんなさい。私、20世紀では古代エジプトのことが大好きで勉強していたから、
どんなことでも知りたくて夢中になってしまって…」
頬を赤らめるキャロルは愛らしく、新しく見せたあけっぴろげで素直な態度も
レイアスをさらに魅きつけるものだった。
(なんと愛らしい。光に透けてしまいそうかと思えば、このように生き生きとした表情を見せて)
34
一方、ラバルドもこれは好機だと喜んでいた。
キャロルがもたらすかも知れない運命の力を思えば、少しでも話を聞いておく価値がある。
「かまいませんとも。レイアス様と一緒にここでお教えしましょう」
恥らって俯いていたキャロルは再び興奮して
「本当ですか?ありがとうございます、神官様!」
またもや子供のように他愛無く喜ぶ。
その様子を見てラバルドは探るように続ける。
「…そうそう、代わりといっては何ですが、未来で学んだというエジプトの歴史を
ご教授願えないものですかな」
「エジプトの歴史…」
ラバルドの言葉に、キャロルは古代に迷い込んできた時からの漠然とした恐れを
再び強く感じずにはいられなかった。
(私がここにいるだけで古代の歴史に何らかの変化が起きてしまうのではないかしら。
その上に歴史などを話してしまっては…なんだか怖い)
「ラバルド神官様、私はここへ来てから一つの恐れを抱いています」
キャロルは意を決して話し始めた。
「未来の人間である私が、ここにいることはエジプトの歴史を変えてしまうことにはならないでしょうか?
私は古代エジプトの歴史や文化を素晴らしいと思い、何よりも大切に感じて勉強を続けてきました。
だから…怖いのです。私のせいでもし歴史の流れを変えるようなことがあったら…」
(ほお、この娘はなかなかに思慮深い。歴史を変えるか…)
キャロルのその言葉にラバルドは自分が密かに望んできたことを突きつけられた気がした。
星の流れる時を恐れ、同時に期待しながら待っていたのだ。
自分が大神官の名の下に動かした歴史の流れを、再び変えてくれる何かを。
35
「変えて…くれないか」
その時、静かで、それでいて思いつめたようなレイアスの声が響いた。
ラバルドは自分の思いを見透かされたかと思い、息を詰めてレイアスを見る。
(なぜレイアス様が…いや、レイアス様には何もお教えしていない。
なぜこのようなことをおっしゃられるのか)
キャロルもまた、今まで優しさを響かせていた声の変化に驚いていた。
2人のその表情に気付いたレイアスは、はっと我に返って笑顔を作った。
「いや、なんでもない。ふとそんな気がしただけだ。気にしないでくれ」
人を捉えて放さない、そのしみいるような美しい微笑みに2人はほっとする。
(どうした、レイアス。時を待つと決めたんじゃなかったのか。
なのに思わず口をついて出てしまった。変えてくれ、変えたいと)
自分の中にまだ潜んでいる葛藤が苦しかった。
「心配するな、キャロル。そなたの存在で変わるほどの歴史なら、元々変わるべきものだったのだ」
気を取り直すようなレイアスの言葉に力を得たラバルドが先を続ける。
「私もそう感じます。呪いの力であなたがここへ来たのだとしたら、
それはファラオが呼び寄せたも同じこと。どうぞ、運命のままに」
キャロルは戸惑い、しばし考えた後に頷いた。
古代エジプトを愛し、ファラオに導かれた運命…そのままに。
>>493 21
怒りなのか驚愕なのか、力のある黒い瞳が私を見据える。
結ばれた口許。先ほどまでとは違う、闘われる表情だと思った。
「・・・そなたは真実しか申さぬ、誰がキャロル様を殺そうとしておるのだ?」
私は首を振ってミヌーエ将軍の指先から離れ、そこがまるで私を守ってくれるかのように、
そっと祭壇の方へと寄った。
それから背の高いミヌーエ将軍を下から見上げて一息に告げた。
「・・・婚儀までの間、どうかキャロルから目をお放しなさいますな、キャロルを一人にしてはなりませぬ。
例えキャロルが嫌がろうとも、必ず武官を側にお付けくださいませ。
私には未来は読めませぬ、分かっているのは、ただ、キャロルを亡き者とするよう、命が下されたことだけです。」
私にはここまでしか言えない。
何の力もない、人の心も、未来も何も分からない。これで精一杯なのだ。
本当はもう一つ分かっていることもあるけれど、それは言ってはならないことだと思っていた。
「・・・分かった、キャロル様の警護を厳重にし、決してお一人にはすまい。
私はそなたの口から出る言葉を信頼している。今までも、そなたに救われたのだから。
だが・・・そなたは、まだ私に隔しておろう、キャロル様へのその命を下した者の名を!
そなたには分かっているはずだ、申してみよ!」
その言葉に私は思わず目を閉じた。言われるであろうとは思っていた。
風はなんでも知っている、なんでも私に囁いて、知りたくないのに知らされてしまう。
でも、それは簡単に口に出していいものではないのだ。
特に愛情の絡むものなどは!
21
「ハプト、私はそなたを信じておる、そなたは真実しか口にせぬ、その身を挺して、
キャロル様や我がエジプトに尽くしてきたではないか。
キャロル様は王妃になられる尊い方、そのお方を守られずして将軍として側におるは、武人としての名折れなのだ。
ハプト、分かってあるのならば、今一度力を貸してくれ。」
怒鳴るわけでなく、深く諭されるように優しく響くお声は、私に一度決意したことを覆させるような気にさせる、不思議な力を持っていた。
でも、私はもう一度言わないと決めたことを思い出し、一つ息を吐いてから、左右に首を振った。
「・・・・私には全て分かるわけではありませぬ、あなた様も以前そう仰せになられたはずです。」
「ハプト、そなたがその者の名を知っているのは分かっておる。
ただそなたが聡明にもその胸に一人仕舞いこんでおるのであろう?
警備上、その者の名を知れば、格段に警備はし易くなるのだ、頼む、ハプト。」
私の両肩に大きな手が食い込む。私が顔を上げると驚くほどにお近くにミヌーエ将軍のお顔があり、
その表情は真摯で私の決意をくじきそうにさせた。
でも、私が告げた名を聞いて、このお方は私を恨まれるだろう。
誰が愛しく思う人が人を殺す算段をしたと聞きたいなんて思うだろう?
このお方は私に優しくして下さった、感謝もしている。
ナフテラ様ともに、どれほどの感謝をしても足りないほどに。
その御恩に報いることなどできず、苦しめる事ばかり告げる私は、なんていやな存在なのだろうか。
もう、この方とお会いすることもあるまい、と私は心を決め、唇を開いた。
「アイシス様です、あなた様が恋焦がれるアイシス様が、キャロルを殺す命を下されました。」
>>ホルス作家サマ、祈り作家サマ
更新ありがトンでつ。いつも楽しみに読んでます。
どちらも文章の流れが清らかでキレイですよね〜。
どちらもほのぼの和み系で、いい感じです。
もちろん清純派ストーリー大大大好きなんだけど
バラエティ豊かに、大人の時間も楽しみたい気分もちょっとアリ。
Ψ(`▼´)Ψ作家様がたは、最近いかがお過ごしでつか?
1
ヒッタイトの王子イズミルは花嫁となるキャロルを伴って帰国の途にあった。
本当なら一国の世継ぎが花嫁を連れかえるのだから威風堂々、華やかな大行列を組みたいところだが、二人は商人の夫婦を装って旅を続けていた。供の兵士は囮として別の道を行く。
一度はエジプトのファラオの妃に擬せられた娘をメンフィスその人が略奪することを恐れて。
ファラオの心を奪った憎い娘を、嫉妬に狂ったアイシス女王の手のものが暗殺しに来ることを恐れて。
キャロルはメンフィスの熱い思いをあっさりと蹴って、イズミル王子を選んだのである。
生まれて初めて人を愛することがどんなことかを知った若者は、掌中の玉よと慈しむ娘が奪われぬよう、傷つかぬよう細心の注意を払って旅路を急いでいたというわけ。
だが当のキャロルは王子の苦労など知らず、初めて愛した人との旅に心弾み、見るもの聞くもの全てが珍しく晴れやかな表情を浮かべていた。
「好奇心もいい加減にいたせ。全くそなたは目が離せぬ。よいか、ハットウシャの私の宮殿に着くまでは大人しくしておれ。
旅路に危険は付き物、油断は禁物だと賢いそなたが知らぬはずがなかろう」
「ごめんなさい。つい嬉しくて・・・じっとしているのが難しいの。話に聞いたり、本で読んだりしかしていないものが次々目の前に現れるものだから」
言いかけてキャロルは、王子の不機嫌極まりないしかめ面に気づいた。
「ご、ごめんなさい。自分の置かれている立場を忘れているわけじゃないの。
気をつけるわ、王子・・・いえ、イミル」
「約束ぞ・・・キャロル」
王子は微笑んでベールでぴっちり覆われた娘の頭を愛しげに撫でた。
2
一行はようやく地中海に出た。ここからは船でヒッタイトを目指す。
港町は人も多く、活気に溢れている。
船に乗ってしまえば、これまでのように追跡の目も少しは緩む。だが王子の思惑を無視するように風はなく、乗るはずの商船は岸に繋がれたままであった。
王子とキャロルは宿屋に部屋を取り他の人々と風を待った。
ある日、王子は所用で出かけることになった。
「よいか、ひ・・・いやキャロル。私がおらぬ間は大人しく目立たぬように待っておれ。すぐに戻るから」
「はい、イミル。あなたこそ・・・気をつけてね」
王子はキャロルの頬にくちづけると商船の持ち主との交渉事のために出かけていった。
(! 何だ、あれはっ!)
午後も遅くなってから宿屋へと戻ってきた王子はそこでとんでもない光景を目にした。
王子が五月蝿く言い聞かせている通り、ベールですっぽりと身体を隠したキャロルが一人の青年と話をしている。背の高い青年は逞しい体つきに眉の濃い男らしい容貌。いかにも面白そうにキャロルと話して笑っている。
「何をしている!留守番を言いつけたではないかっ!」
怒り狂ってキャロルの細い手首を引っ張った王子に青年が大急ぎで説明した。
「ああ、すみません。妹さんは悪くないんです。俺のおふくろが貧血で座り込んでいたら宿屋の中から飛び出して介抱してくれて・・・」
日陰でキャロルたちを見守っていたらしい老婆が出てきた。
「すみません。おかげですっかり良くなりました。妹さん・・・お嬢さんがとてもよくしてくださって。
もう少し日が傾いてから帰ろうと思っていたんです。その間にうちの息子が・・・息子は漁師をしているもんですから海の話だとか魚の話だとかをして・・・」
「妹さんは何かあったら心配だから側にいると言って。実際、男の俺よりもよく気がついてくれて感謝しています。怒らないでやってください、お兄さん」
「・・・私達は兄妹ではない。そろそろ日差しも翳ってきた。もう帰れるだろう!」
イズミル王子は冷たくそう言うとキャロルの手を力任せに引っ張って後も見ずに歩いていった。
3
「違うわ、王子!私達が兄妹っていうのは向こうが勝手に勘違いしたのよ。
それに困っているお婆さんをほうっておけなかったの。言い付けを破ることになってしまったのは謝ります。でも・・・・」
恐ろしいしかめ面で自分を睨みつける王子にキャロルは必死に弁明した。
「本当に何も疚しいことなんてないわ!」
王子はぐい、とキャロルを引き寄せた。キャロルはバランスを崩して王子の胸の中に倒れこんでしまう。
いきさつはどうあれ、自分がいない間にキャロルが自分以外の男と楽しげに話していた、というのが王子には許せなかった。面白い話なら自分がいくらでもしてやるし、知りたいことは出来る限り教えてやっているのに!
生まれて初めて知る嫉妬はいとも簡単に王子の日頃の冷静さを壊した。
「世間知らずのそなたに何が分かる!あれが奴隷商人ではないと誰が言いきれる?女衒と遣り手婆の1組であったかもしれぬのだぞ!
そなたは攫われ船に乗せられて、売られて・・・二度と私の手許に戻ってこられなかったかもしれぬのだ・・・!」
初めて見る王子の激しい怒りにキャロルは震えあがりながらも気丈に言った。
「それは・・・大丈夫よ。私だって気をつけていたわ。それにあの人達、悪い人じゃなかったわ・・・・・・・・・きゃっ!」
王子はいきなり生意気な唇を自分の唇で塞いだ。
「あのいやらしい男がそなたにこのようなことをしたかもしれぬのだ」
驚いたキャロルの唇が緊張を失った一瞬を狙って王子の舌が侵入した。王子はキャロルの口を乱暴に犯した。
驚いて声も出ないキャロルの身体を万力のような腕で締め上げて王子の手はあらゆる場所をまさぐる。
「このように・・・そなたに触り、無垢なそなたを恐れさせたかもしれぬのだ」
4
柔らかな身体をまさぐるうちに王子の体に妖しい炎を燈った。
王子の手つきはいつのまにか真剣に男の欲望を映し出したものに変わっていく。
未熟で小ぶりながら形の良い乳房は王子の手の中で熱く弾んだ。その先端が固くなっていく様子も逐一、王子の手に伝わる。
王子はさらに大胆になって、自分の脚をキャロルの膝の間に割り込ませると彼女の脚の付け根を探った。
「やっ・・・・・・・!」
「見も知らぬ男に・・・このようにされたかも知れぬのだ!私のそなたが。私だけのそなたが・・・っ!頼む、これ以上、私を苛立たせてくれるな」
耳朶に王子の熱い吐息がかかる。恐ろしいはずなのに何故かキャロルの身体も熱く熱を帯びていくのだった。
荒々しく乱暴な王子の仕草の中に隠しようもなく溢れている強引で熱烈な、それでいてどこか縋るような請うような愛がキャロルに伝わってくるのだった。
「ごめんなさい・・・王子・・・」
「私のことは・・・イミルと呼ぶように」
王子は秘所をまさぐる指先に伝わる熱く潤んだ戦きに嬉しい驚きを感じながら囁いた。独占欲と征服欲の強い男は年下の娘の反応に少々倒錯した喜びを感じたのだった。
「私を苛立たせるな。男ならば誰でも・・・そなたを欲しくなる。未熟でまだ何色にも染まっておらぬ無垢で初々しいそなたを」
王子は指先に絡みつく蜜を舐めながら言った。キャロルは間もなく達してしまった。
「ごめんなさ・・・い。イミル・・・・・・」
「まだだ。まだ許してやれぬ。私をこんなにしたそなたを!」
王子は弛緩しきったキャロルの口元に自身を突き出した。
キャロルは催眠術にでもかかったように巨大な熱の塊を口に含んだ。甘美な罰をキャロルは不思議な喜びと共に受け入れたのだった・・・。
いやん、ウレシイ。
ちょっと乱暴な王子もいいわねぇーモエ
続きはあるのかしら???
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
王子ったら・・・いきなりお口でご奉仕?
き・・・巨大な熱の塊って・・・アウアウ
もっと書いてェ〜〜
絆の生まれるときのつづきマダかな。。
>>掌編作家タマったら「女衒」「やり手婆」に笑ってたらば
いきなりの萌え〜〜。
なに・・ここ・・きも・
>>513 おいおい・・
ここって、Ψ(`▼´)Ψで盛り上がるとイチャモンつける人がいるよね。
昨日はいつもの連載陣プラスΨ(`▼´)Ψ作品、色々とうpがあったのですね!
大量うp&どっちも楽しめて、嬉しい限り。
Ψ(`▼´)Ψ作品は一般作品に比べて「苦手」「スルーしてます」とか
あからさまに敬遠されちゃったりする事もあるけど、需要は高いと思うのでめげずに頑張って下さい。
侍女キャロル・二日目の夜・寂しい夜には・掌編作家さま、ぜひ新作書いて欲しいです。
絆の生まれる時・祈り・ホルス・眠りの森作家様、連載ありがd!
いつも更新楽しみにしてますよ〜
>>501 36
「アメリカへ帰る方法がわからなかったのは残念だが…
この家にいられることになってよかった」
マイアへの説明を終えてナスルの神殿へ戻るラバルド後姿を見送りながら、
レイアスが話しかける。
「ええ、本当に。あなたには感謝してもしきれないわ。あの・・・私のこと気味が悪くない?」
キャロルはさっきのレイアスの言葉を思い出していた。
マイアが納得してくれない…それほどに自分は厭わしい存在なのだろうかと。
「なぜそんなこと言う?」
「だって、ラバルド神官様もおっしゃっていたでしょう。
私にはファラオの呪いがかかっているのよ」
レイアスは少し瞼を伏せ、端正な唇を開いた。
「人はその背に何かしら負って生きているものだ。そなたの場合、それが呪詛であっただけのこと」
そう言って日差しを受けて鮮やかに輝く黒曜石の瞳をキャロルに向ける。
「いつか、荷を降ろす時がくる。それまで共に頑張ろう」
レイアスの瞳と言葉にキャロルは自分の心のすべてが絡め取られそうになり、
心臓が激しく鼓動するのを止められない。
(どうしてこんなにドキドキするの。変に思われてしまうわ)
それでもまだ注がれているレイアスの視線を感じて、息苦しくなってくる。
「ありがとう・・・そ、そう言えば、どうして神官様はこの家までわざわざお越しになるの?」
動揺が声に出ないように平静を装いながら話題を変える。
「もうお年だもの、神殿まで教えていただきに行く方がいいんじゃないかしらと思って…」
レイアスの瞳にほんの少しの翳りが差す。
「それが私の背負っているものなのだ。マイアの耳に入ると悲しませる。夜…庭で話そう」
キャロルは自分の問いに後悔した。それほどに寂しい声だった。
37
その夜、マイア達が眠った頃を見計らってキャロルが庭へ出て行くと、
すでにレイアスは月を見上げながら立っていた。
ほぼ満月に近い明るい月光は、レイアスのしなやかで逞しい体の線をくっきりと浮かび上がらせている。
端正な横顔の中に夜の世界にたった一人だけで生きているような孤高さがあって、
キャロルは胸が締めつけられるような気がした。
この人は寂しいのだろうか・・・そう思わせるほどに一人きりの姿だった。
「レイアス…遅くなってごめんなさい」
その静寂を破るのが怖いような気がして小さな声でおずおずと声をかけると、
神の手で作られた彫像が命を吹き込まれたようにゆっくりと振り向く。
「いや、大丈夫だ。私は夜…空が白む頃まで外で過ごすから」
「夜を外で?」
不思議そうに言葉を返すキャロルを見て、レイアスはすべてを話さねばならならいことを
改めて感じる。
未だ自分にも説明のつかない不可解な約束を、どう話すことが出来るのか。
だが、ここで一緒に暮らす限りは知っておいてもらわなければならないことだった。
「それを話すために来てもらったのだ。聞いてくれるか」
昼間と同じ寂しげな声音が再びレイアスの口から漏れる。
キャロルは頷きながらレイアスに近寄り、優しくその腕に触れて石のベンチに座るように勧めた。
「ええ。私でよければ・・・あなたのことを聞かせて」
何から話そうかと考えているのか、レイアスは黙したまま高い外壁を見ている。
キャロルもまた口をつぐみ、砂漠を渡る風の音だけがしばらく二人を包んでいた。
38
「私には血を分けた家族がいない」
ようやく切り出された言葉に、キャロルは驚いてレイアスの端正な横顔を見上げる。
「えっ…じゃあ…マイアやアリフは?」
そう言いながら、キャロルはマイアの言葉遣いを思い出した。
(レイアス様…そう、レイアス様って呼んでいたわ)
「マイアは乳母なのだ。アリフはその息子、私にとっては乳兄弟にあたる。
ここはマイアの実家なのだそうだ。
私の両親という人達はテーベにいた貴族で、マイアは侍女として仕えていた。
そして私が生まれたばかりの頃に両親は亡くなり、
ちょうどアリフを産んで間もなかったマイアが引き取って育ててくれたのだと聞いている」
淡々と語るレイアスの表情も声も寂し気ではあるが、渦巻くような感情の波は感じられず、
これまでにいかに深く考えてきたかを思わせる。
痛ましい事実にはもちろん、この静かさにこそキャロルは胸を打たれた。
自分には遠い数千年先の未来とはいえ、このうえなく愛してくれる家族がいる。
たとえもう会えないとしても、家族の顔やこれまでの思い出は決して消えることなく、
また忘れることもない大切なもの。
けれど、レイアスにはそんな記憶さえないのだ。
親の顔を知らないとは、なんて寂しいことだろう…
この静かで美しい横顔の下にある悲しみを思って、キャロルは心にしみいるような痛みを感じた。
「私はマイアから十分に愛情を注いでもらった。物心ついた頃にはこの事実を話されたが、
アリフと何ら区別のない母親の愛で育ててくれたのだ。
マイアにもアリフにも心から感謝している」
しかしここでレイアスは言いよどみ、鮮やかな瞳に影が落ちる。
「ただ…不可思議な約束を固く守らされている。
私は人に顔を見られるなと言われて育ったのだ」
全然関係ない話だけど
「掌編」の意味がわからず、ふと辞書で調べてみた。
掌編(しょうへん)=極めて短い作品、短編、コントの意味なのね。
ほほー、ひとつ勉強になりますた。
「てのひらへん」などと読んで、何で手のひら?なんて思ってた私、アホすぎ。
>>489 23
イズミルはムーラの報告に頬を緩めはしたものの、すぐさまキャロルの、そして自分自身の望みを叶えるわけにはいかなかった。
辺境の地での太守の不正、長く幽閉の身であった反逆者ジタンダッシュの反乱未遂と処刑・・そして常の政務。王子は鉄人的な意志の力で政務をこなしていった。
キャロルの伝言をムーラが言付かってから1ヶ月以上も経とうとしていた。
(王子はどうしているのかしら?)
キャロルはすっかり恋人に恋焦がれる娘の風情で表宮殿のほうを眺めていた。
憎たらしい、そして度し難い年上の男性はキャロルのことなどすっかり興味を失ったようだった。何の音沙汰もない。
いや、一度だけ反故の粘土板の裏側に走り書きした伝言が届いた。
─何事もそなたの望むとおりに振舞うが良い。欲しいものがあれば遠慮なく言え。ただし仕えてくれる者達への心遣いだけは忘れぬように。
(何、これ?)
受け取ったキャロルは強張った顔で王子の筆跡に見入った。
(まるで我侭な子供に宛てたような手紙。いいえ、どうでもいいと思っている厄介者の子供にやる手紙だわ。ひどい、私を何だと思っているの!)
あれほど付きまとい、甘い口説を繰り返して自分を翻弄した男の打って変わった素っ気無いそぶりがキャロルの誇りを傷つけた。
いいや、傷つけられたのは誇りではない。傷つけられたのは心。
縋る人とてないこの古代で、初めてキャロルに手を差し伸べて不器用な、あるいは強引で無神経な遣り方で彼女を守り気遣ってくれた人。
大嫌いであったのに、大嫌いであろうとした相手なのに、いつのまにかキャロルはイズミルに惹かれていた。欲望の捌け口などではなく一人の人間として彼女を扱ってくれた男性に。
24
(私にはもう飽きてしまったけれど、今更捨てるわけにもいかないから飼い殺しにでもするつもりかしら? 何て無神経なひどい人!今になってこんな・・・!
・・・・・・ううん。私があの人に腹を立てる権利なんてないのかもしれない。だって私はあの人のこと、嫌いだって言ったんですもの。離れて行かれたからって未練がましく追いすがるなんて情けない真似ができるはずもないものを。
でも・・・・・でも・・・・・・・・)
そんなキャロルの様子を見守るのはムーラだった。
ムーラは王子の殺人的な多忙振りを良く知っていたから、その気になればキャロルの憂鬱と不安を取り除いてやれるはずだったのだけれど。
そうはしなかったのは、やはりいくら言っても彼女の大切な育て子を信じようとはしなかったキャロルを罰してやりたいという姑根性のせいか。
王子の多忙の日々がようやく一段落したのはジタンダッシュの処刑が終了したあたりからだった。
「さすがに・・・疲れました、父上」
「さもあろうな。同じ血を分けた身内を葬らねばならなかったのだ。少し政務を人に任せ、ゆっくりと休むが良い。許すゆえ」
「は・・・」
そしてようやく王子はキャロルの居室を訪れる。ここしばらくの激務で王子は面やつれして、秀麗な容貌には翳りと凄みのようなものが加わった。
しばらく寛ぐ間もなかったので微笑や軽口を忘れた顔が引きつって強張ってしまったようだ。
(さて・・・・・長く放っておいてしまうことになったが姫はどうしているかな)
♪ \\ 作家様〜 いつもいつもうpありがとぉ〜 ♪ //
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>>503 22
ミヌーエ将軍のお顔の表情は硬く強張っていた。
肩を掴んだ手から力が抜けていくのを感じながら、私はさらに続けた。
「アイシス様が如何にキャロルの存在を苦々しく思っていらっしゃるか、
ファラオのお側にいらっしゃるあなた様はよくご存知でしょう。
ましてやあのお方は、幼き頃よりファラオの妃となることをどれほど切望されていたことか、
キャロルさえ現れなければ、当然妃として婚儀を挙げられたことでしょう。
あのお方には、ファラオ以外の殿方など存在せぬと同じです。
・・・・・・今まででも、キャロルが無事だったのは、ファラオが配した警備が厳重だったことと、運がよかっただけに過ぎませぬ。
でも、今度こそは仕損じることはお許しになりませぬ、そうお命じになれらました。
あなた様がアイシス様を熱愛されてるのも、それを拒まれたのも知りながら、
このようなことを申し上げる私には、さぞご立腹でございましょう。
でも、あなた様にしかおすがりするしかないのです。」
「・・・あのお方は、確かにそうされるであろうと、想像はしておったが、
やはりそなたの口から聞くのは堪える・・・・・。
確かに私はあの誇り高い方を娶れるならば、と願ってもいた。
その方を、この私に捕らえよと申すか?」
己を嘲笑うような声音は、いつも私に語りかけらえるものとは全く違う。
なんて残酷なことを私は告げるのだろう。
隠していらしたはずの恋心まで、気味の悪い小娘が知っておりながらも、人を殺める企みをしたと、
愛しい女人の名を告げるのだ。
「あなた様を必要とされる方々が、この神殿の外に沢山いらっしゃいます。
ここを出て職務を遂行なさいませ。
もうこの気味の悪い小娘の事などお忘れになって下さいませ。この神殿には参られますな。」
すっと風が吹いてきて、ミヌーエ将軍の体を入り口の方へと押しやる。
「巫女よ、ハプト!」遠ざかるミヌーエ様のお声が響く。
「どうかキャロルをお守りくださいませ。」 私は祭壇に向かって目を閉じた。 人気のない静寂が戻ってきた。
23
「とっても豪華な衣装なのよ、素晴らしい婚儀になるわよ、ハプト!」
お忙しい合間を縫ってテティ様がこちらへお寄りになる。
婚儀の準備にお忙しい宮殿の様子を話して下さる。
「ほら、あなたもしっかり食べないと!私なんてすぐお腹すいちゃって大変なのよ!」
お持ちになったお肉を食べながらテティ様がお話になるのに私は頷く。
「あと二日よね、楽しみだわ、そうそう、ミヌーエ様が私にあなたのこと尋ねてらしたわよ。
眉間に皺寄せちゃって、お難しいお顔でね。
あなた、ミヌーエ様を怒らせたの?そんなことないわよね、ここによくお見えだし。」
やはり御立腹なのだろう、当然だと思う。なのに、何故、私の事を気にかけていらっしゃるの?
「・・・・もう、お見えにはならないでしょう、ここへは参られますなって申し上げましたから・・。」
「ええっ?!ハプト、あなたがそれを言ったの?ミヌーエ様に?どうして?」
テティ様が矢継ぎ早に私に詰問されるのに、私はただ首を左右に振るだけだ。
生意気で気味の悪い小娘など、誰が好き好んで相手にしたがるだろう。
それに触れてはならないことにすら、私は触れてしまったのだ。
あの方が神殿に参られる前の生活に戻るだけのこと。
私はやはり人とは相容れない存在なのだろう、笑いかけてくださっただけでも有り難い事だったのだ。
「随分とあなたのことを気に入っていらっしゃったようなのにね。」
テティ様の一言が何故か胸に突き刺さる。
「テティ様、近隣諸国からもお客様がおみえなのでしょう?お話を伺いたいですわ。」
私は無理に話をそらせた。
テティ様の朗らかなお声を聞きながら、胸の奥に穴があいたような気持ちがしたのを忘れようと思った。
それが何なのかは知りたくなかった。
祈り作家様
ミヌーエファンの私のひそかな楽しみになってます。
んにしてもテティ食い意地はってるな。
連載が終ってからダイジェストサイトでまとめて読ませてもらってるんだけど、
長編が多いから(もちろん物凄く嬉しい!)ガマンするのが大変。
妙なこだわりは捨てて素直に毎日読ませてもらおうかと悩み中。
>>519 調べるあたりエライよ。
私なんか単純に「掌」をツカウカラダト オモッテタ。
私もやり手婆、ウケました。
あと、ムーラの姑根性・・・ワロタ。
作家タマ達、さりげない一言がおもろすぎじゃ〜!
掌編作家様続きはありでつか〜
続きを書いてくれ〜<掌編
Ψ(`▼´)Ψ系作家様、登場をお待ちしとりますよん。
願いや道中記の作家様、また長編Ψ(`▼´)Ψを書いてくんないかなぁ。
眠りの森作家さんは最近どうしちゃったんだろね?
>>521 25
「元気でいたか?夕餉がまだならば運ばせよ。私の相伴をいたせ」
男はまるで毎日訪れていたかのようなさりげなさでそう言うと、キャロルの部屋に置かれた一番良い長椅子にどっかりと腰を下ろした。
以前ならば傍らに巻物や粘土板が置かれたはずなのに、今日のイズミル王子は手ぶらだった。
「どうした、姫? 疲れて帰って来たというのに挨拶もしてくれぬのか?」
王子は久しぶりに頬を緩めて微笑した。
だが長い間、笑うことを忘れていた顔の筋肉は強張って、その表情は恋人に向けるそれというよりも気安いけんか仲間に向ける、親しみのようなものがこもった挑発的な微笑となった。
王子のしれっとした態度と、不敵にも見える微笑がキャロルの負けん気に火をつけた。
「・・・・・・お久しぶりでございます、イズミル王子。お元気そうで何よりです。
挨拶も出来ないような礼儀知らずとは思われたくありませんけれど、顔も忘れるくらい長く離れていた相手をどう迎えていいやら分かりませんの!」
少し口を尖らせるようにして、白い頬を赤く染め、怒りのせいか少し瞳を潤ませてそう言うキャロルは何とも愛らしく見えた。
キャロル以外の人間には、意地っ張りの子供の台詞は長く顔を見せなかった男への恨み言にしか聞こえなかった。
─あなたがいなくて寂しかったのです。こんなに長い間放っておくなんてひどいじゃありませんか、と。
自分を睨みつける子供の愛らしさに、王子は疲れ果て強張って冷え切った自分の心が急速に生き返っていくのを感じた。
「・・・・・・知らぬことをすぐに質問するのは良いことだ。そうだな、遠来の客を出迎えるときは・・・たとえば・・こうするのだな」
6
王子は立ち上がってキャロルの側に大股で近づくと、素早く抱きしめて接吻した。
「ほら、このようにして長い無沙汰の溝を一気に埋めて・・・」
イズミル王子は侍女達の目も憚らずに優しくキャロルの髪を撫で、久しく思い出しもしなかった愛しい相手の感触や匂いを満喫した。
(いくら忙しかったとはいえ・・・よくもこう長い間離れていられたものだ。
これほど愛しい相手を少しも思い出さぬほど政務に忙殺されていたということか。いかんな、青二才じみたそのような余裕の無さは)
王子はキャロルが無抵抗なのをいいことに、さらにぎゅっと自分の体に白い小さな子供の身体を押し付けた。
「意地を張らずに寂しかったのと会いたかったのと恨み言を言って・・・そして最後には笑ってお帰りなさいと申すのだ。世間の大人の男女は、な」
そなたはどうかな、と続けようとした王子は胸の中の娘に思いきり突き飛ばされた。
「どうしてあなたという人は・・・っ!」
不覚にもキャロルは泣いていた。
こんなにも長く人を放っておいて。飽きたから捨てるのだというのと同義の書きつけだけをよこして。
いったいどこまで人を馬鹿にしたら気が済むというのだろう。
最低の男。こんな男に一時とはいえ惹かれていた自分が今となっては恥ずかしい。
意地の悪い男。人前で自分を嬲るようにからかって喜んでいる悪趣味の男。ムーラは一体どういう躾方をしたのだろう?
「私、私、からかわれるの嫌い。馬鹿にされるのも嫌い。王子は意地悪だわ。私の嫌がることばかり、する。王子なんて大嫌い」
いつかと同じ事をキャロルは言った。その声は涙に震えて引きつるような調子を帯びている。
「姫・・・?これは困った。すっかり怒らせてしまったか。許せよ」
キャロルはいきなり拳を固めて王子のみぞおちを一撃した。それが意地っ張りの子供から、誠実なのだけれど不器用な男への返事だった。
>>524 24
「そろそろ戻らないと。また来るわね、ハプト」
テティ様がそう言って腰を上げた時だった。
急に荒々しい風が押し寄せてきた。それは禍禍しい知らせを持っていた。
「ああっ!、キャロル、キャロル、危ない!」
脳裏に浮ぶ恐ろしい光景、奥庭の池の中、水かさの増した回廊の上で、キャロルがワニに襲われている!
しかも、それだけではない。キャロルを狙う兵士がいる!
「ハプト?ハプト、どうしたの?」
テティ様が心配そうなお声を出していらっしゃるが、私にはそのお顔を見る余裕がなかった。
脳裏に浮ぶ恐ろしい様、キャロルがなんとか池から逃げ出し、逃げ遅れた侍女が何人かがワニの犠牲になっている。
そこへファラオやミヌーエ将軍が現れたが、兵士がキャロルのみならず、ファラオにまで刃を向けた様が、
まるで目の前で起こっているように浮ぶのだ。
「ミヌーエ様!ミヌーエ様が!」
ファラオを庇った時にミヌーエ様の左腕に食い込む剣が浮んだ時、私の口からは悲鳴が飛び出し、目を思わず瞑った。
それでも次々に脳裏に浮ぶ光景に、私は気を失いそうになる。
「しっかりして!ハプト!」
足に力が入らず、崩れ落ちた私の肩を揺さぶるテティ様のお手が、なんとか私をこの神殿の内庭へと意識を取り戻させる。
心配そうに覗き込まれるお顔。
「姫様に何かあったのね?ミヌーエ様にも」
答えようと頷こうとした私に、キャロルの声が届く。
『だめよ、殺さないで!メンフィス!いくら罪人でも、命の尊さは同じなの!お願い!』
殺されそうになったというのに、キャロルはファラオに命乞いをしているのだ。
その言葉にまるで私の胸のあった蟠りが解けていくよう。目に映るものが急に色鮮やかになったようにすら思える。
何?これは?あの澄んだ結晶のようなキャロルの心を思い出したからか?
『ならぬ!そなたの命を狙い、この私に刃を向けた挙句、ミヌーエをこのような目に遭わせた者を!
おお、ミヌーエ!しっかり致せ!』
ファラオが怒っていらっしゃる、そして刃向かったものを殺そうと剣を振り上げたのに、
キャロルの懇願を、全身を駆け巡る怒りを無理に押し殺して、剣を投げ捨て、反逆者を捕らえる命を下された。
私はそれをこの神殿で全てを見届けたのだ。
25
「テティ様、ミヌーエ様がお怪我を・・・・・。」
多分私の状態はテティ様から見れば、錯乱状態にしか見えないだろう。
幼い頃も、そしてこの神殿に来てからも、それに立ち会ってしまった人は皆私を気味悪がった。
「ミヌーエ様がどうなさったの?ハプト」
私を立ち上がらせようとするテティ様には、不思議なことにとても真面目な表情だった。
「左腕を切りつけられてしまって、このままでは、切り落とさなければならないのかもしれません。
あまりにも傷が深すぎて・・・・・。どうしたらいいのでしょう、私はあの方の御恩に何も報いていないというのに・・・・。何も出来ないのです。」
そうだ、私は何のご恩にも報いていなかった、あのお方に幾度も助けられ、お優しくしていただいたというのに。
この神殿であのお方とお話するのは嫌いじゃなかった。
「私、あなたが姫様を目覚めさせたのを見たの、あなたには不思議な力がある。
何ができるかわからないけど、行きましょうよ、ミヌーエ様のところへ!さあ、早く!」
そういってテティ様は私の手を掴むと神殿の入り口に向かって駆け出し、私も駆けた。
たくさんの人がいるところへいくのはいつも恐ろしかったけれど、この時ばかりは怖くなかった。
それはテティ様が手を握って下さったせいなのかは分からない。
風が私達の味方をするように、背中を押し出していてくれたのを私は嬉しく思った。
26
「お待ちください!巫女をお連れしました!」
何処をどう駆けたのかはわからない、でも私達はミヌーエ将軍が左腕を切り落とす寸前に間に合ったのだ。
テティ様がその場にいた沢山の人と話してる隙に、私は痛みに耐え、苦しまれるミヌーエ将軍のお側へと行った。
お側にはファラオがいた。
「巫女よ!ミヌーエを救ってやってくれ!ミヌーエはこの私を庇ったのだ、そなたの望むものならば何でも叶えようぞ。
だからミヌーエを救ってやってくれ!」
ファラオの放つ力はやはり私には強すぎる、全身がぴりぴりとするような気がする。
「私に何ができるかは存じませぬ、ですが全力を尽くします。」
そのお答えをしてミヌーエ様のご様子を見た。
冷や汗をかいて苦痛に耐えながら、ミヌーエ将軍はうっすらと目を開いた。
「・・・・そなたか、巫女よ、何故に来た?」
「私にもわかりませぬ、ですが、私に出来る事をしに参ったのです。」
私は私にもわからない衝動に突き動かされてミヌーエ将軍の上に屈み、苦痛に耐え食いしばる口に唇を寄せて息を吹き込んだ。
今日はホルス様のうpはないのかな(´・ω・`)
>祈り作家様
や〜〜〜ん!ミヌーエとの初キスですね!!!
この二人はどうなるのかわかんないよねぇ。透明感のある文章イイ。
>絆作家様
王子とキャロルのキャラが標準から微妙なズレ具合がおもろいです。
ムーラもちょっと意地悪で笑える。
>>518 39
レイアスにかける言葉が見出せず、その横顔をひたすら見つめながら聞いていた
キャロルだったが、思わず問い返さずにはいられなくなる。
「顔を見られてはいけないなんて…そんなこと出来ないわ!無理よ」
レイアスは立ち上がり、すぐ前にそそり立つ外壁を確かめるように叩いた。
「そうだな・・・それゆえ日中、太陽のある間は外出を禁じられている。
家の外へ出られるのは夜だけ、顔を見せても許されるのはマイアとアリフ、ラバルド神官の3人。
夜に遠乗りをするのも、庭に夜出ているのも…つまりそういうことだ。
生まれてから18年、それが私の生活のすべてなのだ」
「そんな…」
先刻の胸を締め付けた寂しげな立ち姿が脳裏に浮かぶ。
レイアスの生い立ちと束縛された生活に怒りにも似た感情がキャロルの胸に突き上げ、
ぽろぽろとこぼれ落ちる涙を止めようがない。
「どうして、どうしてなの?」
外壁にもたれるように立っているレイアスの元へと駆け寄って、その逞しい腕を揺すぶる。
「理由は何なの?あなたはそれに納得して生活しているの?」
レイアスはキャロルの心を安めるように、腕を掴んでいる白い手を優しく自分の手で包んだ。
「理由は何度も聞いたさ…。だが私の問いは皆を苦しめてしまうのだ」
かつて、レイアスはマイアを厳しく問いつめたことがあった。
外出できないことへの不満はもとより、自分が何者であるのかを知りたくて仕方なかった。
しかし、マイアは押し黙ったままでレイアスの顔を見ようとはしない。
今日こそは何が何でも問いただそうと更に追及を続けると、
ついには声を殺して咽び泣き始めてしまったのだった。
40
アリフと同様に、いやそれ以上に心を砕き愛情を注いでくれたマイア。
元は貴族仕えの侍女の身であったのに、いまや水汲みなど下女がするような仕事までして
育ててくれている彼女が初めて見せた涙・・・
それを見た時、レイアスは激しい自己嫌悪にかられて自分の幼さを強く後悔し、
もう二度とこのことについて聞くまいと心に決めたのだった。
「自分が何者なのか、何故外出さえできないのか・・・納得のいく答えは見つかっていない。
深く悩んだこともあるし、焦りを感じてもいた。
だが、ようやく気がついたのだ。
覚えているか?昨夜私が言ったことを」
そう問われて、キャロルは昨夜同じ場所で聞いたレイアスの言葉を思い返した。
「・・・理解できないこと、得られない答え・・・でも、その事実を受け止めて、
精一杯生きていくこと・・・」
不安に脅えていた自分を救った言葉をキャロルは呟く。
「そうだ。それが私の見つけた答えなのだ。そして、キャロル」
レイアスはキャロルの手に重ねた自らの手の力を強める。
「教えてくれたのはそなただ」
思いがけない言葉に驚いて、キャロルはいかにも信じられないといった風に
青い目を見開いて首を振る。
「私は何も・・・」
「そなたは数千年先から来たと言った。
私はそのあまり時の流れの大きさに圧倒されて・・・そして気付いたのだ」
41
力強く、凛としたレイアスの言葉が響く。
「時は未来に向かって流れ続けていることを。
私が焦ろうが悩もうが関係なく確実に流れていく。
だからこそ、時は決して私を見捨てはしないと信じられた。
いつか必ず、自分が何者なのかを知る時が来る。
時が来れば…私は自分に与えられた運命を掴み取りたい。
命を与えられた自分の責任を果たすために。
運命の中に戻って、そこで自分にどれほどのことが出来るか試してみたい。
今はその日のために力を蓄えるべき時なのだと知ったのだ」
決意をこめた黒い瞳が鮮やかに煌めくのをキャロルは見ていた・・・目が離せなかった。
ひと目でキャロルを魅了したレイアスの美しさは、姿形だけではなかったことに気付いたのだった。
深い内省の中で厳しいまでに自分を律していた強さ、
その中から生まれた包容力、自らの運命を掴もうとする姿勢・・・
レイアスの魂が命じる生き方こそが美しいのだ。
そして今も煌めいている黒曜石のような瞳。
それは光を受けて輝いているだけではなく、凛としたレイアスの心が映し出されているからこその輝き。
キャロルは感動し、憧れ、そして小さく芽生えたばかりだった恋を燃え上がらせた。
(ああ、私はレイアスが好き。あなたが好き!)
数千年の時の隔たりも、アメリカへ帰りたいという願いも一気に断ち切るほどの想い。
目眩のような激しい恋に支配されて、このままレイアスに縋りついてしまいそうだった。
手はレイアスの大きな手に包まれたままである。
そこから伝わる温もりがたまらなく愛しい・・・
1
ひと気もない雪深い林道に、キュッキュッという馬の蹄が新雪を踏みしめる音だけが響いていた。
真っ白な雪は、行く手の道も木立を総てをしめやかに覆い尽くし、二人の目の前には森閑とした空気と一面の銀世界が広がっている。
風のない緩やかな空から、はらはらと雪の結晶が二人の上に降りそそぐように舞い落ちる。
揺れる馬上で逞しい夫の腕に抱かれながら、キャロルはあまりの寒さに彼の胸から伝わる温かみに身をすり寄せる。
イズミルは手綱を捌きながら、彼の自慢でもある、妻の流れるような金糸の髪に降り積もりゆく雪を時折優しく指先で払い落としてやる。
その度に、見詰め合っては口づけを交わす二人。
供の者も連れずに、二人だけの道中。
キャロルの耳元に唇を寄せてくすぐる様に、イズミルは甘い睦言を囁く……。
イズミルは娶ってまだ日の浅い幼い妻と連れ立って、王宮から馬で半日程の距離にある離宮へと向っていた。
王宮での煩雑さから逃れて、この愛しい新妻とたった数日間の余暇を過ごすために……。
2
「寒い…」
木立の間からひゅっと吹き抜けた冷気が、キャロルをぶるっと震えさせた。
「おお……風が出てきたな」
イズミルはその大柄な体躯を覆う丈の長いマントを脱ぐと、細かに震えるキャロルの体を、それで優しく包んでやった。
「これで少しは暖かくなろう」
イズミルの体温と彼の香りを含んだ厚手の布地が、キャロルを頭からすっぽりと包み込む。
キャロルはその暖かな心地よさに一瞬ほっと安堵の吐息を漏らしたが
「だ…だめよ!これじゃ王子が寒くなってしまうわ…王子が…」
この雪空の中、薄着になってしまった夫の顔を見上げて首を横に振った。
しかし、彼はいつもの頼もしい笑顔をその精悍な美貌に浮かべて、なおも優しく彼女を抱きしめる。
「かまわぬ。私はそなたのようにか弱くはないぞ……案ずるな。
これからそなたとの余暇を楽しもうと申すに、風邪などひかれては……な」
「だけど……だけど…王子だって寒いはずだわ」
「ふふ…ならば、そなたが暖めれば良いではないか?」
「…えっ…?」
「……私の体を抱いてくれ」
「……こ、こう…?」
キャロルはマントの長い裾を手繰り寄せながら彼の広い胸周りに腕を回し、大きな体躯をぎゅっと抱きしめた。
こうすれば、イズミルの背中をマントで覆う事ができる。
薄着になった彼の筋肉質の胸にぴったりと身を寄せると、互いの体温が溶け合うようで何とも心地よい。
3
「ああ、それで良い」
満足そうな声音で答えながら、イズミルはキャロルの顎を人差し指ですくい上げる。
「…そして…こうだ…」
言いながら、上を向かせたキャロルの薔薇色の唇に己のそれを重ね合わせる。
手綱を片手で引きながら、もう一方の手はキャロルの背に回し、彼女の後頭部を支えるようにして深い口づけを交わす。
揺れる馬の鞍上であるというのに、イズミルは本格的な接吻をキャロルに仕掛けた。
キャロルの薄い舌先は、彼の熱く濡れた舌に捉えられ、弄ぶように舐め取られる。
「ン……」
キャロルは夫の唇がもたらす甘い痺れに耐えるべく、イズミルの背を抱く腕にぎゅっと力を込める。
底冷えする寒気がいかにイズミルの肌を冷やそうと、彼の体の芯から熱い血が噴き出して、燃え盛るように体内に巡っていった。
イズミルの巧みな口づけに煽られてキャロルの体温も徐々に上昇し、胸に押し付けられる柔らかな胸の膨らみが、彼女の戦慄きと熱い鼓動を伝えてくる。
これで男の体が熱くならぬ訳がないのだ。
イズミルは離宮に到着するまでの道程を、妻の蕩けそうな唇の感触を存分に味わい楽しみながら、これから過ごす数日間の愉しみを思い馳せては、興に耽るのであった。
(何に煩わされる事無く……そなたを思うままに……!
そなたに新しい悦びを教えてやろう……そなたの想像など及ばぬほどの……
おお、愛しいそなたを我が胸で身も世もなく乱し…咲かせてみせようぞ……)
4
そして、陽もすっかり暮れようかという頃、二人は数日間の蜜月を過ごす楽園へと到着した。
なだらかな丘陵の麓にひっそりと建てられ、規模こそ小さけれど存分に贅を尽くした豪奢な宮殿であることが外観からも見て取れる。
白く煙る雪景色に溶け込むようにそびえる白壁の宮殿は、篝火の橙色の明かりに照らし出され、遠い夢の中にいるような不思議な心地を揺り起こす。
キャロルは紺色に染まる夜の空気に白い息を吐きながら、うっとりと感嘆を漏らしていた。
「きれいね……」
「小さな宮殿ではあるが、なかなかに洒落た造りをしておる。
中へ入れば、もっとそなたは喜ぶと思うぞ。
さあ、馬から降ろしてやろう」
雪の冠を頂いた小宮殿の幻想的な美しさにぼうっと見惚れるままのキャロルを促すように、先に降り立ったイズミルは彼女へ腕を差し伸ばす。
馬の鞍から彼の腕の中に飛びついてくるキャロルを、しっかりと抱きとめるイズミル。
しかし出迎えにあがった馬丁が馬を引いて去った後も、彼は依然としてキャロルを地に降ろそうとはしない。
さも大切そうに腕に抱き上げたまま、離宮の門戸を開こうとする。
「あ…あの、王子……もう降ろして、恥かしい……」
イズミルは口元に柔らかな微笑を浮かべながら、妻を諌めるような口調で言った。
「そなたは私の妻……。
妻が夫の腕に抱かれて、何が恥かしい?
良いか、姫…。ここにはほんの数名の衛兵と仕えの者しかおらぬ。
仕えの者が我々の前に姿を現す事も、めったにない。
ここでは私と二人きりだと思え……要らぬ恥じらいや気遣いは捨てよ……わかったな?」
「王子と…二人きり……?」
キャロルは胸が鳴るのを押さえられずに、確かめるように問いかけながら彼の瞳を見上げた。
長い睫毛が影を落とす深い琥珀の瞳が、篝火の灯りを受けてきらめく。
その眼差しは熱く、妖しいほどに男の色香を漂わせていた。
「そうだ……誰にも邪魔はさせぬ」
>>446様の「愛のある佐渡王子風味」で逝ってみます。
多分風味にも満たない程度にしか、雰囲気出せないと思うけど・・・。
421様、ライアン×キャロルの詳細ネタを頂ければ、頑張ります。
次回あたりからΨ(`▼´)Ψになりますので、苦手なかたスマソですがスルーして下さい。
>ホルスの翼さま
おおっ!
ついにキャロルが恋にめざめましたね!
爽やかカップルにワクワク
続きを楽しみにしています。
>蜜月さま
いいですね〜ふたりのハネムーン?サド王子?
わたしもサドッ気の王子スキだよ〜。
王子のばあい、可愛さ余ってサドになっるって感じだよね。
+ 。 o + o 。
。 _ _。_ _ 。 o
〆⌒ ⌒ ⌒ '' 、. 。
。 / , -ー───- ,, ヽ. o 作家タマの皆様、うpありがトン!
o / / \ .丶 新作も嬉しい。。。
/ / ∩∩ ∬ ゝ ` o
。i / ( ゚ヮ゚) 旦 i i 。 寝る前にココ読んで
。 | .. | / / ̄ ̄ ̄ ̄\ | | 。 今夜もいい夢が見れそうでつ。。。
。| |( / ※~※~※( ・e・) .│ |
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
>ホルス作家様
レイアスってメンフィスの容姿をしていて王子の性格を持ってるというイメージでしょうか?
それもそれで萌えだわ〜。恋の行方が楽しみです♪
>蜜月作家様
大人の時間キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
もう、メチャクチャにキャロルをかわいがって(いたぶって?)やってくださいまし〜
548タソ、カワイイ!こういうAAは心がほっこりしていいでつ。
新作キタ━━━(゚∀゚)( ゚∀)( ゚)( )(゚ )(∀゚ )━━━!
先の展開に萌え〜〜〜
始まり方がロマンチックで良いですわん。
すっごい優しいくせにメチャ意地悪なのが私の理想イズミンでつ〜
続きが楽しみだぁ。
今日もてぐすね引いて作家様達のご降臨を御待ちしておりまするm(._.)m
>>536 27
唇が触れ合った時、ミヌーエ将軍の黒い目が驚いたように大きく見開かれたけど、
その直後に何故だか楽になったように目がゆっくりと閉じられたのは見えた。
息を吹き込む度、私の体の力が抜けていくのが分かったけれど、やめてはならない、という声がしたよう名気がして
幾度も私は同じ事を繰り返した。
「おおっ、奇跡じゃ!」
「腕が見る間に元通りに・・・・・。」
人々のざわめきが耳に入ったけれど、私は徐々に重くなっていく体をなんとか自分の足で支えるのが精一杯。
吹き込もうとする息も、私が苦しくなってしまって、短い息を最後にやっと吹き込むとその途端に足が萎えて、
こともあろうに横になっていらっしゃるミヌーエ将軍の上にずるずると覆い被さるようにもたれこんでしまった。
「・・・・そなたのおかげだ、礼を申そう、ハプト。」
床にずり落ちそうになった私の体はがっちりとした腕に抱きとめられた。
目の前が揺れて見える、柱が歪んで見える。瞼を開けるのも辛い。
「ハプト!すごいわ!あなたはミヌーエ将軍を助けたのよ!ありがとう、ハプト!」
キャロルの声がして、誰かがが私の手を握った。
「巫女よ!なんでも望みを申すが良い!よくぞ助けたぞ!」
ファラオの声もしたのに、私にはもうそのお姿も目に入らない。
「ハプト!しっかりして!ハプト!誰か、早くお医者様を!」
キャロルの声も遠くなる。お願い、誰か私を神殿に帰して・・・。
誰か、私を、帰して・・・・。
| |
| |∧_,,∧
|_|´・ω・`) そ〜〜
|キ|o旦~o
| ̄|―u'
""""""""""
| |
| |∧,,_∧
|_| ・ω・`) 誰もいないの・・・・
|ャ |o旦~o.
| ̄|―u'
""""""""""
| |
| | ∧_,,∧
|_| (´・ω・`) お茶だけ置いていくね・・・・
|ロ|o ヾ
| ̄|―u' 旦~
"""""""""""""""""""""""""""""""
| |
|_| ピャッ!
|ル| ミ
| ̄| 旦~
"""""""""""""""""""""""""""""""
( ゚д゚)、ペッ!!
旦~
お茶ご馳走さま〜。
キャロルの柱だから、メクメクだったのね・・気が付かんかったよ。
脳内もADSLにせねば・・・。
_| ̄|○i||i
作家様、ありがトン。
>>554タン
お茶ありがトン。
誰もいないのサミシイね。
お茶のお礼に
∩∩
(´ヮ` ) コーフィーどぞ
□p⊂
蜜月作家タマ、採用してもらえてうれし泣き。
出だしから好みの王子、頬緩みます。
ひれ伏してトンクス。
>>541 42
恋の想いを青い瞳に湛えてキャロルはレイアスを見上げる。
(どうしよう…このままもう伝えてしまいたい・・・)
こみ上げる想いに耐えかねて愛の言葉が溢れ出そうとした瞬間、
影のような不安が脳裏を掠めてキャロルを迷わせた。
助けたばかりの、得体の知れない私の想いを聞いても困るだけではないだろうか。
それだけではない。もし嫌われてしまったら、迷惑に思われたら、
彼の傍にさえいられなくなったら・・・?そんなことには耐えられない。
レイアスもまた、キャロルの瞳に浮かんだ色に囚われていた。
青が深みを増して甘やかに輝いたかと思えば、瞬く間に曇ってしまったその瞳。
かつて見たことのないその甘さが我知らず胸の鼓動を早まらせ、
それが何なのか確かめる間もなく消えてしまった。
あれは一体何であったのか・・・不思議な疼きが体に残る。
真っ直ぐに向けられるレイアスの視線に心のすべてが見透かされそうで、
キャロルは懸命に心を押さえ込む。
(私の目を見られてはいけない。レイアスへの思慕が映っているに違いないもの)
「キャロル?」
優しく、けれどもこの沈黙に当惑したようなレイアスの声がする。
キャロルは重ねられていた手を夢中で引っ込めた。
「どうした?」
あまりに荒々しく手を振り払われたレイアスは驚いてキャロル見るが、
横を向いてしまったその表情を読み取ることが出来ない。
「なんでも…なんでもないの。今日は少し疲れたみたい。おやすみなさい」
キャロルはようやくそれだけ言って、小走りに家へと入っていった。
43
次の日からレイアスとキャロルは、ラバルドの指導の下で共に勉強をはじめた。
ラバルドが部屋に入ると、二人は子供のように仲良く並んで座って待っている。
眉目秀麗な青年と陽に透けるように美しい娘の組み合わせを「子供のよう」と感じた
自分の考えをラバルドは可笑しく思ったが、二人には未だそんな清冽さが漂う。
しかし、当人達の心には複雑な糸が絡まっていた。
ラバルドから事情を聞いたマイアはキャロルのためにエジプトの衣装を用意した。
白く薄い上質の亜麻布はキャロルがかつてカイロ博物館で見た貴族の衣装そのもので、
1度着てみたいと憧れを持っていたものだった。
胸のすぐ下で絞られたデザインは細腰から脚へと柔らかい曲線を描いてまつわり、
女らしい魅力を際立たせている。
キャロルは古代エジプトの衣装を纏えたことに喜びを感じながら改めて自分の体を見回してみると、
薄い生地を通して仄かに胸のふくらみや太ももの曲線が透けて見えた。
恥ずかしさにこの衣装を着て人前に…しかもレイアスの前に出ることを躊躇ったものの、
同時に見て欲しいような誘惑にかられる。
(この姿を見たら・・・少しは女として意識してくれるかしら)
昨夜、キャロルはなかなか寝つけなかった。
燃え上がった恋の切なさが胸を焦がし、レイアスの面影ばかりが浮かんでくる。
目を閉じれば閉じたで手の熱さや腕の逞しさ、そしてわずかに触れた唇のぬくもりを思い出して
ますます体が火照って眠れない。
あの手に…唇に…もう1度触れることが出来たらどんな幸せだろう。
レイアスにも自分と同じ切なさを味わって欲しい。私に触れたいと思ってくれるなら…
キャロルは思わず自分で自分を抱き締め、夜を過ごしたのだった。
>>533 27
「姫君っ!」
ムーラが訓練された動きでキャロルの手首をねじり上げた。奥宮殿にも美しい刺客は時として出現するもの。しかし今、彼女が捕らえている‘刺客’は。
キャロルは口までもは封じられていないのを幸い、驚きと不快感でやつれ険しくなった顔を一層顰めている王子に言った。
「私はあなたのおもちゃじゃないわ!心も誇りもある、あなたと同じ人間です!どうして私をこんなふうに扱うの?私を侮辱するつもりっ?」
「侮辱だと?」
王子はじわじわと効いてくる鳩尾への一撃をやり過ごそうとでもいうように手でその部分をさすりながら問い返した。
「私がいつ、そなたを侮辱したというのだ?私はいつもいつもそなたを重んじて大切に扱ったつもりだ。
私の妃にと思い定めた姫が余人から軽んじられぬよう、侮られぬよう、そなたに・・・」
指一本触れなかったではないか、という王子の言葉はキャロルに遮られた。
「私を急に飽きたおもちゃみたいに放り出して!あ、あんな書付を受けとって私がどう感じると思ったの?」
「忙しかったのだ。そなたが要らぬ心配をしては可哀想だと思ったゆえ・・・」
「心配をしては可哀想だと思った、ですって!」
キャロルは思わず声を上ずらせた。そしていつのまにか力の抜けてしまったムーラの腕を逃れると、ずいと王子に近寄り、小さな拳で逞しい胸板を打った。
「何て人!五月蝿いまでに来てくれてあれこれ構って優しくして・・・突然会えなくなったと思ったら、お前はお前で好きにやれなんて書きつけだけ!
私がどんな気持ちがしたか分からないの?」
28
王子はぽかんと口をあけ、また顔を顰めた。
困りきったような苦りきったような、それでいてどこかキャロルの‘暴言’を愉しんでいるような複雑な表情。
王子はキャロルの拳を自分の大きな手で包み込むようにして、ゆっくりと言った。
「そんなつもりは全くなかったのだ。私はただ文字通りのことをそなたに伝えたかったのだ」
「そんなつもりはなかっただなんて・・・」
キャロルは乱暴に高価な衣装の袖口で涙をぬぐった。強くこすったせいか白い顔が薄紅色に染まる。
王子はその薄紅色の部分をそっと自分の唇でなぞった。
「私に見捨てられたと思ったのか?」
キャロルは真っ赤になり・・・いつものような強情な喧嘩腰で王子の言葉に闇雲に逆らおうとしたが・・・。
身体は少しも言うことを聞かず、誇りも意地も全ては涙と一緒に流れ出てしまい、今はただ・・・。
「ん・・・・・・」
キャロルはぎこちなく頷いた。そう実際、捨てられた犬のような惨めな気分を味わったのだ。
「私はそなたのことなど何とも思っていないと、そう考えたのか」
キャロルはもう一度頷いた。
「ば、馬鹿みたいと思ったわ。私、あなたが意地悪の冷血漢の最低の人間だと思ったもの。それなのに・・・私は負けたのよっ!自分に!あなたに会えなくて塞ぎこむなんて!」
王子は笑わなかった。真剣な慈しむような視線でキャロルを絡めとり、黙らせてしまう。
「全ては私の責任だな。そなたがそんなふうに思うとは夢にも思わなかった」
王子は初めての恋に戸惑う初心な意地っ張りの子供を抱きしめると、驚き呆れるムーラ達を手で追い払った。
>>553 28
ふっと優しく頬を撫でる風の気配に私は目を開いた。
見慣れた神殿の天井、私の寝台。
そして横にはキャロルがいた。
キャロルは先ほどこの神殿に私の具合を尋ねてきたのだ、と、寝台に軽く腰を降ろしながら話した。
「昨日はありがとう、あなたがミヌーエ将軍に私を厳重に警護するように忠告してくれたのを、
彼から聞いたのよ。それにあなたはミヌーエ将軍の腕の傷もすっかり直してくれたわ。
彼はメンフィスの片腕と言われるほど、信頼を寄せている人。メンフィスもどれほど感謝していることか。
本当にありがとう、ハプト。」
体は酷くだるかった、けれでもそれをキャロルに悟らせないように私は半身を起こしながら、
礼には及ばない、と答えた。
私の方こそキャロルに礼を述べたかった。
キャロルに出会うまで、私は生きていく事に何の望みも感じなかった。
風の囁きがあまりにも人の醜い部分を私に教えてしまうので、人を信じる事も出来ず、
早く言えば生きていく事に絶望していたのだ。
祈ることだけが私の救いでもあり、苦しみでもあったけど、その一方で自分が何の力もない事の無力さを知り、
起こる事だけをただ淡々と受け止めてきたに過ぎない。
自らで何かに抗ったり、全力で成し遂げようなどと考えた事はなかった。
でも、キャロルの美しく澄んだ結晶のような心を知り、その滋味溢れる優しさを知り、
私にも何かできることがあったのだとわかったのだ。
それが分かった今、体の疲労は激しいけれども、それを心地よく受け止められる自分が、
ほんの少しでも嬉しいと思ったのだ。
それからキャロルと取りとめのない、邪気のない会話を交わし、しばらく前の私達のようになっていた。
でももうキャロルは明日には婚儀を挙げ、王妃となり、この神殿にはそうそう足を運べなくなるだろう。
私達に残された時間は短いのだと、私は胸の中で思いながら、キャロルの笑顔を見た。
29
「さあ、早く戻らないと、ウナス様がお待ちだわ、キャロル。」
私の言葉にキャロルは少しがっかりしたような表情を見せた。
「あなたはよい王妃になるわ、いつもあなたの為に祈るわ、キャロル。おめでとう。
婚儀の後、アメン祭もあるから、国中で大賑わいね。」
「そうね、もう、今から胸がどきどきするわ。婚儀が終わったらまた来るわ、ハプト。」
嬉しそうに幸福そうに微笑んで手を振るキャロルに私も微笑んで別れを告げた。
黄金に輝く見事な髪、ナイルを映したような澄んだ美しい瞳、白く透けるような肌、
神々の祝福をその身に受けたようなキャロル・・・・・。
もう会う事はないだろう、でも私はあなたの為に祈ろう。
何に対しても希望のなかった私に、無気力だった私に、役目を果たさせてくれたはあなたなのだから。
重い体をゆっくりと祭壇の前に運び、神々に祈ろうとする。
でも風の囁きがたくさんの出来事を告げるので、私の心は落ち着かない。
結局キャロルが襲われた件の首謀者ははっきりしないまま、ただ、アイシス様に疑惑がかかってしまった事や、
そのアイシス様にはバビロニアの王が目下求婚しており、それを承諾したことなど。
そして思いもかけない客が入り口に向かってきていることを風は告げた。
私はその客の為に神殿の中庭を通り、入り口の近くに立った。
護衛官をやり過ごし、カプター大神官は内庭まで入って来られた。
「此度はよくやったぞ、巫女よ。」
あまり近くに寄れないほどのどす黒い風がカプター大神官を被っている。
重い体でカプター大神官のお側にいるのは酷く苦痛だった。
30
カプター大神官は婚儀の前の忙しい合い間にわざわざここへ訪れたのを私は知っている。
昨日私がしたこと、ミヌーエ様をお助けしたことを聞きつけたカプター大神官は、
このような小さな神殿で務めず、自分の下で神々に仕えよ、と言い渡しに参られたのだ。
「・・・・そもそもこの神殿は先々代の王であったアイ王様の妃がお忍びで祈る為のものであったのだ。
このような小さな神殿では先々不便もあろう、どうじゃ、我が下で、もっと立派な神殿に仕えぬか?」
奇跡を起こした私を手駒にしようとの企みなのは分かっていた。
私がカプター大神官に仕える事で、自分の名声が益々轟くことを予想して。
私にはとても使える事などできない、以前だってこの方の目の前で倒れたくらいなのに。
今ですらお側にいるのは酷く辛い。
「せっかくのお申し出、感謝いたします。ですが、私めはファラオより終生この神殿において神々に仕えるお許しを頂きました。
まさかファラオの命に違う事など出来かねます。どうぞお許しを。」
ファラオの御名が出るなどとは予想していなかったようだけれども、それでも「自分が口を聞けばファラオもお許しになろう」と
あくまで諦めるつもりはない様子は私にもよくわかった。
「・・・・山ほどの黄金の像が見えますわ、まあ、あれはプントの国の商人なのでしょうか?
便宜を図るように見事な黄金の箱が・・・・。」
風が囁くままについ口に出してしまった言葉に、見つかってはならぬことが分かってしまったようなようなお顔のカプター大神官。
「な、何の話じゃ!」憤慨された声音。
「黄金ばかりを集めたお部屋が・・・・。まあ、ファラオはご存知では・・・・。」
ああ、こちらに向かわれた気配がする、お元気そうな足の運び。
「何やら聞き捨てならぬような話だが、神殿の中には相応しくないと見受けるが。」
「ミヌーエ将軍!」
そこには逞しい武人そのままのお姿のミヌーエ様がいらした。
カプター大神官は、用事があると、すぐに去られてしまった。
ミヌーエ様の黒い目が楽しそうに細められ、二人で同時にくすくす笑ってしまったのだ。
うpありがd。
ミヌーエも幸せになって欲しいな〜。
せめてお話の中だけでもカプターを痛めつけて欲しいなどと・・・言ってみる。
・・・・。
3作連続うpキターーーーーーーーーーーー!!寂しい週末がウソのようだ。
こんなに読めて幸せでつ。ホルス様・絆様・祈り様ありがd!
>>557タソ
コーフィーありがと。和むわ〜。
∧∧
(=^ヮ^)
〜(_uu)c図~
>>545 5
宮殿の中へ足を踏み入れたキャロルとイズミルを出迎えるのは、わずか数名の侍女達。
しかし彼女らは王宮の侍女達とは違い、二人に必要な身の回りをつつがなく整え終わると深々と一礼し、早々に下がるのであった。
宮殿の中はしん…と静まりかえり、二人の話す声と足音が遠く響くばかり。
キャロルはこの小宮殿の中を、イズミルに手を引かれて案内された。
中央の広間は品の良い調度品で飾り立てられ、暖炉が居心地の良い暖かな空間を醸し出す。
広間を抜けた廊下の脇には、幾つかの居室が並び、広すぎない館内がかえって落ち着きをもたらしていた。
そして宮殿の裏手の渡り廊下を抜けると、そこには小さな庭園。
濡れたように光る月の明かりを浴びて舞い落ちる雪が、ひっそりと寂の有る風情を見せる。
「今は雪に覆われているが、春ならば花が咲き乱れて美しいぞ。
また、その頃になれば連れて参ろう…」
「……素敵。ありがとう王子」
繋いだイズミルの手を両手で握り締め、子猫のように男の腕にじゃれて甘えながらキャロルは素直に礼を述べる。
甘やかに微笑みかける罪の無い可憐な笑顔は、イズミルには極上の媚態に思え、男の獰猛な獣欲に火を付ける。
キャロル自身が気付いておらぬ故に、それは例えようもなく罪深い。
無心のままに男を誘っては、その無垢さで男をどこまでも焦らすのだ。
それに囚われた哀れな男なのだ、とイズミルは自嘲し、キャロルの躯でもって彼女の罪を償わせようとする。
そんな彼女の腰を片腕でぐっと引き寄せ、イズミルは壁際の柱に押し付けるようにして唇を重ねる。
先ほどまでの口づけとは異なり、それは彼が本気で求めてくる時のものだ。
息もさせぬほど激しく貪ろうとするイズミルの唇の下で、キャロルは息苦しさに喘いだ。
キャロルを息苦しくさせるのは、彼の接吻だけではない。
いつにも増して熱さを漲らせる彼の男の部分がキャロルの腹部に押し当てられ、強い脈動を伝えていた。
6
「……う……ん…っ……王子…王子…今日は…どう…したの…?」
「何がだ……?」
答えながらも、唇を離そうとはしない。なおも深く舌を探っては吸い立てる。
「だ…だって……、さっきから……っん……っ」
口づけを遮るキャロルの言葉にイズミル苛立ちを覚え、苦々しげに睨みつけた。
「あ…あの……」
あまりに近い距離で、イズミルの強い視線に当てられたキャロルは思わず口篭ってしまう。
さっきから…いや、馬上にある時からずっと接吻責めにされて……もう立っているのも辛い。
それが本音だった。
しかしキャロルの言葉を封じ込めるように、イズミルは深く差し入れた舌で彼女の舌先を操り、なおも翻弄する。
そして官能的な激しい接吻にキャロルの膝が震えだしたのを知りながらも、イズミルは素知らぬ顔で意地悪く問うのだ。
「どうした……今何か言おうとしたのでは……?」
そう問うておきながらも、熱い接吻でキャロルの唇を塞いでしまう。
もう少しでキャロルは、限界に達するはずだ。キャロルの様子を薄目で確かめながら、容赦なく舌を絡めて責め立てる。
「…んっ……ふ…ぅ……」
キャロルの脚から力が抜けて石畳の上に崩れ落ちそうになる寸前に、逞しい腕が抱きとめる。
「ふふ……何とも頼りないことぞ……姫よ。
まだ口づけだけだと言うに、随分と辛そうではないか。
……眠るには少々早いが…寝室に連れて参ろうか……?」
イズミルの含みを持たせた色めく言葉に、キャロルはどう返答して良いのかわからずうつむいて、頬を染めあげ彼の腕の中でただ小さく震えるのだった。
7
イズミルは有無を言わさずキャロルを横抱きに抱えあげると、寝室へ続く廊下を渡った。
突き当たりの居室の扉を開ける。
贅沢な調度品で纏められた居心地のよさそうな居間の奥の続き間が寝室になっているらしい。
薄布の帳を幾重にも張り巡らせた広く大きな寝台の端に、そっとキャロルの体を降ろして座らせる。
キャロルは艶めかしい雰囲気を醸しだす豪華な寝台を見回し、恥かしさに思わずうつむいた。
これからの連夜…ここで抱かれるのだ、と思うと頬が焼けるように火照ってしまう。
キャロルは震える指で、イズミルの袖を握り締める。
ふと、イズミルが愛しい妻の顔を覗き込めば、その青い瞳にはうっすらと涙が滲んでいるではないか。
「…うん?どうしたと言うのだ……怯えているように見えるぞ」
「……だって…」
……二人きりなのだと、彼は言った。
人気の無いこの豪奢な館に、たった二人きりで過ごせばどうなってしまうのか……。
夢見心地のあまり、くらくらと目の前が霞むようで、心が震えてしまう。
嬉しさやときめきを通り越し、それは少し恐い事のような気さえする。
イズミルは自分も寝台に腰を降ろし膝の間にキャロルを抱え込んで、不安げに震える幼い妻の美貌を見つめて心の中でほくそ笑んだ。
(ふん……いつまでたっても物慣れぬことだな。
何度抱いても、まるで初夜を迎える乙女のようではないか……!)
幼子を宥めるように背中をさすって落ち着かせてやる。そして黄金の髪に唇を優しく這わせる。
「よしよし……そんなに怯えてくれるな。
性急すぎて恐がらせてしまったか?
まったく……いつになったら私に慣れてくれるのだろうな……私はそなたの夫ぞ?
私がそなたを取って喰うとでも思っておるのか……?」
柔らかな頬を愛しげに撫でながら、イズミルは声を立てて可笑しそうに笑う。
キャロルもイズミルの朗らかな声に同調するように、涙目のまま口元をほころばせた。
イズミルは誰よりも優しくて身も心も任せられる頼りになる男に違いないのに、その匂いたつような妖艶な色香の前でキャロルは何故か怯えてしまうのだ。
激しく求められると、何やらイズミルが恐くなってしまう。
8
イズミルはそんな無垢なキャロルを見るにつけ、痛いほどの愛しさが込み上げ、もっともっと大切に扱ってやりたいと思う反面、己の欲望のままに穢してやりたいという獣じみた残忍な劣情を感じるのだ。
そんな衝動を今は内に押さえ込み、イズミルはキャロルの手を取って、まだ冷たさの残る指先に唇を押し当てる。
「随分冷えてしまったな……まずはゆっくりと湯に浸かって旅の疲れを癒すと良い。
今から湯を浴びるか?」
優しく気遣うイズミルに、キャロルはこくんと素直に頷いた。
「では……私がそなたの介添えをしてやろう」
「えっ……待って…そんな…私ひとりでできる……」
しかしキャロルの返答などお構いなしに軽々腕に抱き上げると、寝室から遠からず設えられた湯殿へと足を向ける。
キャロルの抗いの言葉は彼の唇に吸い取られ、男らしく美しい手が馴れた仕草で、衣装の結び目をスルリと解いてゆく。
すべすべとした白い肩や胸が剥きだしにされる。
湯殿へ続く廊下に、キャロルの衣が次々と落とされていった……。
湯殿は暖かな湯気で満たされ、芳醇な花の香りが立ち上る湯がなみなみと張られている。
花びらの浮かぶ湯船の中に全裸のキャロルをそっと浸からせると、イズミルは己の衣を一気に脱ぎ捨てた。
白い湯煙に浮かび上がる、オリーブ色の弾力ある瑞々しい肌に覆われた見事な肢体を、キャロルは湯の中から見つめていた。目を逸らす事さえもできずに。
彼はそんな妻の様子を面白そうに伺いながら、恥らう様子もなくその裸身のすべてを彼女の前にさらけ出す。
鍛え上げた筋肉が隆々たる盛り上がりを見せる逞しい胸、それに続いて悩ましくも美しい線を描く腰、固く引き締まった腹部、そして……。
キャロルは思わず彼に背を向けて長い睫毛を伏せるのだった。
その部分だけは、今もまともに目を当てられない。
何度も彼女自身の体で受け入れ、それが押入る時の感触も逞しさもよく知っているはずなのに……。
9
やがてイズミルが湯に体を沈めると、湯船の淵から大量の湯が勢いよく音を立てて溢れだす。
湯の中でしなやかな長い腕を泳がせて、彼はキャロルの白い体を引き寄せる。
キャロルが伏せていた目をそっと開けると、湯船の中で脚を組んだイズミルの膝の中で向き合う形で抱かれていた。
濡れた前髪を男らしい仕草で掻き揚げながらも、琥珀の瞳はキャロルの息を止めんばかりに強く射竦める。
唇も睫毛も触れそうな位の距離で見つめられて、キャロルは戸惑った。
湯が滴り、少し上気し始めたイズミルの貌は何気に悩ましく、いつにも増してなまめかしさを漂わせているように見える。
気まずくて何か話そうと思うのに、舌の根元がもつれるようで言葉に詰る。息苦しい。
言葉ない二人の間を、薄茶色の長い髪と、黄金の長い髪が水面で交わりながらゆらゆらと流れていく。
イズミルは湯に濡れて桜色に染まるキャロルの肌理こまかな肌を愛でるように見つめていたが、やがて大きな両手がキャロルの肌をゆっくりと撫でるように這い回る。
「この湯はそなたの肌を美しくする効能がある……こうやって、擦り込むと良いのだぞ」
トロリとして何ともいえぬ芳香を漂わす湯を、イズミルは手のひらで救いキャロルの背中から首筋、細い腕、ふくよかな丸みを帯びた乳房にかけて、優しく擦り込んでゆく。
熱い湯がじわじわと肌を外側から温め、彼の愛撫が体の内部を熱く蕩けさせる。
両の乳房を下から持ち上げるように丹念に撫で回され、キャロルは早くも息を弾ませ始めた。
「……あっ……っ…んっ……」
先端を彩る小さな蕾はひとりでに固さを増していたが、イズミルはそこには敢えて触れず、乳房全体を蕩けるほど柔らかに揉み解す。
眉根を寄せて苦しげに喘ぐキャロルをさも満足げに見下ろしながら、イズミルは彼女の臀部にも手を伸ばし揉みたてた後、尻の双丘を割り広げるようにしてその谷間を指先で何度もなぞった。
恥かしい場所を探られて、キャロルはイヤイヤをするように首を振った。
彼の長い指先がいたずらに秘密の花びらや真珠までもを掠めるものだから、キャロルはもう堪らない……。
きゃ〜、ゆっくりじっくり攻める王子イイ・・
王子今回もさりげな〜く拉致監禁してるよねぇ。
* * *
* *
* *
* ∩∩ *
(´ヮ` ) いつもうpありがd!作家のみな様
□p⊂ О゙ コーフィーどぞ
私も…タマラナイよ。
うぐぐ・・・Ψ(`▼´)Ψキタ!!
なんか王子って、絶対メンフィスよりエッチな気がする〜
全然関係ない素朴な質問です。
ここの作家様や読者様はやっぱり女性ばっかりなのでしょうか?
男性でここ読んでるとか書いてる人っているもんでしょか。
フと思ったので。。。
メンヒスは健全ですわね。
・・・・。
メンフィスは健全というか、技はふつうぽいよね。激しそうだけどw)
王子は器用そう。
どっちも好きだけどサ。
掌編作家様・・・続きないでつか?
すごく続き気になるんだけど、書いて下さいませんか?
アリポーズでお願い・・・
>>562 29
「何から説明したら良いのかな。私は子供の扱いには慣れておらぬというのに。そなたのような相手は初めてだ」
呆れたような言葉とはうらはらに、キャロルを胸の中に抱きしめて寝台に座るイズミル王子は上機嫌だった。
「子供を相手にしていても仕方ないと思い、大人の女になるのを気長に待つつもりであったけれど、この娘は誰かが手を掛けてやらねば女になれぬらしいよ」
むっとしたように口を尖らせるキャロルの唇と、皺の寄った眉間を優しく指先で撫でながら王子は言った。
「そのような顔をするな。
さぁ、意地っ張りの子供よ。今一度私の問いに答えよ。そなたは私に会えなくて寂しかったのであろうか?大嫌いであったはずの私を恋しく思ってくれたのか?」
キャロルはきまり悪そうに赤くなり、王子の腕の中で身じろぎした。でも王子の問いへの答えはない。
王子は答えを促すようにその薔薇色の唇に接吻した。
「では私から先に申そうか。私は・・・私はそなたが私を嫌いぬいて泣いてばかりであったのがたいそう心苦しかったぞ。
そなたが過去を忘れて私のほうを見てくれるのは何時かと、いつも思っていた」
「・・・・・・うそ・・・・・。だって王子はいつだって・・・」
王子はキャロルの唇から自分の唇を離さないままに続ける。
「やれやれ。大の男にこのようなことを言わせるのだからそなたも大したものだな。私はずっとそなたを愛しいと思っていた。
ははは。そなたの口からこの一言を言わせたくて様々にしてきたが結局、私のほうが先に言う羽目になったか」
30
「さぁ、今度はそなたが申せ」
キャロルは真っ赤になり、少し怒ったような顔をして・・・それから表情をふっと緩めて泣きそうな、恥ずかしそうな、困ったような世にも愛らしい可憐な表情になって言った。
「私は・・・・・・寂しかったわ。自分でも不思議で腹立たしかったけれど・・・私はあなたに会いたかったの」
王子はさらに先を、とでもいうように唇と指先でキャロルを促した。
「・・・・・・・・・・どうしてこんな気持ちになったのかは分からないの。でも・・・・王子に会えなくて寂しくて心細かった。見捨てられたのかと思った」
「うんうん」
王子の指先はいつのまにか愛撫と言うより他にない動きを始めていた。
「それから?」
「・・・・・王子っ・・・変な触り方やめて・・・・・・っ!」
「では・・・・・早く申せ」
王子は打って変わって強気だった。
「大嫌いなはずだったのに、そうじゃなくなっていたの」
半泣きになったキャロルの子供っぽい愛らしさが王子を喜ばせる。
「よしよし・・・そろそろ許してやろう。また苛められたの何のと臍を曲げられては困る」
王子はキャロルのうなじから耳朶へと唇を這わせていき、最後にはまた接吻した。
「では、そなたは私をもう嫌いではないのだな。もう少しだけ気長に待てば・・・私がそなたに申したと同じ言葉を返してくれるな?」
キャロルはがくがくと震えながら・・・・・頷いたのだった。
。 *
・ ’ : ☆
* 。 旦
・ ・ 旦 旦★
* : ドキドキ 旦 旦 旦 ・・・このツリーみて作家様来るかな?
。 ∧__,,∧ 旦 ● 旦 旦 来てくれたらお茶を出してあげるんだ♪
・ ( ´・ω・) 旦 旦 旦 旦 旦
・ ( つ O ) |;;;;| Ω
。 と_)_) |::;:|
"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""
蜜月作家様のうp待ちでも
お茶もらってよかですか?
>>583タン
ツリーカワイイよぅ・・・
私も単なるうp待ちROMラーだけど、お茶くだちぃ。
蜜月作家タソ、きてない〜(´・ω・`)チェッ
風呂場エッチの続きが気になり杉・・・
>>絆作家タソ
生意気娘キャロルも、ついに恋に気付いたのねん。ヤッタ!
早く王子に食べられてしまって下さいな。楽しみでつ。
ハプトとレイアスの活躍も楽しみにしてますぞ〜
私もお茶くださいな。
今日はホルス様と祈り様のうpがなくてショボーン(´・ω・`)
>>565 31
ミヌーエ将軍は以前とお変わりなく、私の前に堂々と立っていらっしゃる。
表情も厳しいものでなく、むしろ茶目っ気のあるような、朗らかなものだった。
「ありがとうございます、ミヌーエ様。」
「私がそなたに礼を申さぬ非礼はあっても、そなたが私に礼を申す必要はないぞ。
そなたは私を奇跡を起こして救ったというに、どのような礼をすればよいか見当もつかぬ。」
黒く精悍でありながらも優しい光を宿す瞳は私を見つめている。
その目に見つめられていると、この方が助かってよかったと、今更ながらに喜びがこみ上げてくる。
「・・・・・もう、ここへは参るなと申すからに、さぞかし私は嫌がられていたのだと思っていたのだが・・・・・・。」
その言葉で私の方こそ驚いてしまった。
私がこのお方を嫌がるなんて!どうしてそんな事できようか?
「とんでもありませぬ!あなた様を嫌がっていたわけではありませぬ!
・・・・・ただ・・・このように気味の悪い小娘のことなど、お腹立ちの元となるだけございます。
ですから、もうお見えにならない方がよろしいかと・・・・・。」
頬に大きな手が触れ、ミヌーエ将軍は私の顔を覗き込むように微笑まれた。
「気味の悪い小娘など何処にいる?可憐で自らを挺して人を救おうとする立派な志の少女はおるがな。」
私はただただ驚いて目の前の整ったお顔立ちのミヌーエ様を見つめるばかりだった。
「・・・それにそなたは人と触れ合わぬ生活ゆえ、自分の美しさも知らぬと見える。
人がそなたを遠巻きに見るのは、そなたの不思議な力とその顔立ちゆえのことであろう。」
私の心の中は混乱していた。
私の顔立ちのことなんて、人が嫌がるのだから、さぞ醜いものだと思っていた。
なのに、ナフテラ様もミヌーエ様もテティ様も、それにキャロルだって、私が醜い事に触れず、お優しくしてくださるのはなんて有り難い事だと思っていたのだ。
「・・・そなたは自分の事を分かっておらぬのだな、おかしなものだ。」
太く温かな指が頬を撫でるのは決して嫌なものでなく、何故だか胸が熱くなった。
32
初めて人に認められたような、不思議な喜びが私の胸を満たす。
でも風がまた囁くのだ、こちらに人が向かっているのだと。
それは私にとっては災いを呼ぶ知らせなのだと。
「ミヌーエ様、どなたかここに参られますわ、お願いでございます、柱の陰にでもお隠れください。
早くなさって下さいまし。」
「巫女?何事ぞ。」
「お急ぎくださいませ!」
納得しかねるように私の言葉にミヌーエ将軍が従った時、3人の殿方が神殿に参られた。
服装は神官に仕える者の衣を纏っているが、神官の位を持つほどでもないよう。
「何の御用でございましょう?」分かっていても尋ねて確認しなければならない。
「巫女とやら、カプター大神官のお召しである。今宵から明日の婚儀の為の手助けをするようとの仰せである。
即刻大神殿までお連れするよう言い付かった。」
「否の答弁は不要。とり急ぐようとのお言葉だ。」
そう簡単に諦めるとは思っていなかった。
先ほどはミヌーエ将軍がいらしたから引き下がっただけ。
何と言っても明日はファラオとキャロルの婚儀なのだ、奇跡を起こした巫女が、
カプター大神官の司祭の手助けをするだけでさらに名声が轟くとの計算済みなのだろう。
33
「私はこの神殿にお仕えする者でございます、ファラオのお許しも頂いております。
どうぞお帰りくださいませ。」
私の答えは一つだけ。あのお方の下で神々にお仕えなど出来る筈もない。
「否の返答は不要と申した、嫌がっても力ずくでとの仰せだ。」
一人が私の腕を掴もうと手を伸ばしてきた。
なんということ!そうまでして私を手駒にしたいのか!
そう思った時、突然神殿の中に風が勢いよく吹き、三人の使者は正面から風の呷りを受け後ろへとよろめいた。
風の勢いは凄まじく私との間に距離が広がっていく。
「なんだ!この風は!」
「何故神殿の中に風が!」
「巫女よ!そなたのせいか!」
口々に叫んでいるけれど、徐々に入り口の方へと追いやられている。
風が怒っているの?私に力を貸してくれているようだ。
「お帰りくださいませ、私はこの神殿に仕える者です。カプター様にお仕えは出来ませぬ。」
3人の使者はあっという間に入り口に追いやられてじき姿は見えなくなった。
それに安堵した途端、私の体はもっとずっしりと重くなり、足は萎え、床に倒れそうになったが、
それをさせないように、逞しい腕が体に廻された。
>583さん
お茶、ありがとうございまする。
ありがたくいただきまつ。
そろそろ例のお方の出没時間だわね。
フー、ヤレヤレ…
. ∧_∧
(´・ω・`) ー3
/J J
し―-J
作家様達〜うPありがトン。
>>591 >フー、ヤレヤレ…
って、迷惑なの?荒らし?
ってかダレの出没時間なわけよ?
そこんとこからワカラン
この時間帯にうpされる作家様は数人いるから、その内の誰かを指してるのかな?
その割にはうpありがトンとか書いてるし。私も理解不能。
幼稚な話&文に辟易してる人も多いんじゃない
例の方・・・って???
ほんと訳わからんね。
読者のレスに対して言ってるんでもなさそうだしね。
それより、祈り作家様うpありがd!
>>595 幼稚な話&文ってどう?
なにが言いたいのかな?
辟易してるのが特定の作品、作家様にってなら
自分の意見を十人分にして話すような、オババ根性に
こっちが辟易するよ
>>595 >幼稚な話&文
誰の作品を指してるのか、さっぱりわからないよ。
皆さん文章上手だし、どれも幼稚なんて思わないけどなぁ。
>579
無言のレスとか、関連スレにもこの時間になると荒れたレス付ける
人に対してだったのだが・・・。
自分が嵐になってしまったのね。
スマン!
>579みたいなだった。
逝ってくる。連続スマン。
>>560 44
思い切って勉強部屋に入ると、すでにレイアスは石版を読みながら待っていた。
差し込む朝日が後光のように降りかかって端麗なその容姿を浮かび上がらせ、
キャロルの胸にますます愛しさを呼び起こす。
「レイアス、おはよう」
「おはよう」
ゆっくりとレイアスは顔を上げ、黒曜石の瞳がキャロルの姿を映す。
花開くような笑顔で戸口に立っているキャロルを見て、レイアスは安堵の息を漏らした。
(急に手を振り払われた時には嫌われたかと思ったが…そうではなかったか。
女性には気軽に手を触れてはならないものなのかもしれない)
キャロルが昨夜寝付けなかったのと同様、レイアスもキャロルの行動に戸惑っていたのだった。
「この衣装をマイアが用意してくれたの。どう?似合っているかしら」
そう言いながらキャロルはレイアスのすぐ横まで近づき、まるで抱きしめるかのように両腕を広げてねだるような視線を投げる。
その途端キャロルの体から仄かに甘い女の香りが漂い、レイアスは一瞬目を固く閉じた。
(何だ…この痛みは…?)
キャロルに出会って以来、時おり自分を襲う身の置き所がないような痛み。
それは不快さで彼を苛むのではなく、例えようのない甘美さで全身に広がっていく。
ようやくキャロルを見ると、白く薄いリネンを纏った姿はさながらナイルに咲く蓮の花のようにたおやかで美しい。
「ああ…似合う」
(これ以上私に何が言える…)
これ以上口を開けば、酔わすほどに甘美な痛みの理由を探ってしまいそうだった。
(似合うって…ろくに私を見もしないで)
キャロルは小さな溜息をついてレイアスの横に座り、気を取り直して一緒に石版を眺めた。
そこにラバルドが訪れ、お互いに安堵を感じて勉強を始めたのだった。
45
ラバルドとレイアスの知識の深さは素晴らしいものだった。
エジプト国内のことのみならず近隣国の情勢や文化・宗教にまで幅広く精通しており、
2人から溢れ出る知識の泉をキャロルは存分に味わう幸せを得た。
特にレイアスの慧眼は時にラバルドの言葉を詰まらせるほどで、
得たばかりの知識を更に深く掘り進めてしっかりと我が物にする才覚は秀抜だった。
一方キャロルも静かに聞いていられるはずもなく、2人に向けて次々に質問を投げかける。
初めこそ遠慮がちに2人の意見を求めていたものの、やがて熱心な勉学意欲とエジプトを中心とする
オリエント世界全体への興味が解き放たれ、レイアスとは別の観点から意見を述べるようになった。
絶対王政とは対照的ともいえる20世紀のアメリカで生きてきたキャロルの自由な考えは、
レイアスとラバルドに新しい刺激と興奮を与え3人の論議は白熱する。
過去の様々な経験から語るラバルド、外出もままならないながらラバルドやアリフから聞く
現情勢を的確に見極め洞察を深めるレイアス、遥か未来に解明された様々な教養と柔軟な発想を持つキャロル。
それぞれの特性が論議を比類なく充実したものとし、ラバルドさえ年柄もなく興奮した時間を日々過ごしていた。
(これはこれは…キャロル様を見極めようと思っていたが大したものだ。未来の知識に鋭い観察力、
それにご自身の意見をしっかり持っておられる。これほどに聡く貴重な娘だったとは)
キャロルの言動から星のお告げの手がかりを探ろうという意図を持っていたラバルドだったが、
いまや2人の口から出る言葉に感嘆するばかりである。
そして叡智とも呼べるキャロルの知識に、かすかな希望の徴が大きく膨らんでいくのを感じていた。
(メンフィス様の若くしての非業の死、そしてレイアス様のこの境遇…やはりこの娘こそが
王家の流れに逆らってでも変え得ることが出来るかもしれぬ)
ラバルドは久方ぶりに宰相イムホテップへと書状をしたためた。
星が再び流れたこと、ある美しい娘の出現、それによって何かが変わろうとする胎動が感じられること…
レイアスの名前こそ出さないものの心しておいて欲しいと付け加えて早馬に託し、
毎日神殿で祈りを捧げるのだった。
46
ラバルドが家に来ることが出来ない日には、レイアスが師となってキャロルに基礎的な知識を教えていた。
キャロルは何にでも興味を示し、ヒエログリフの書き方、外交語であるアッカド語などの語学、
果てはピラミッド建築の計算式や、巨大神殿の建築方法にまで範囲は広がる。
砂に水がしみ込むように覚えていくキャロルはいつも頬を薔薇色に染め、
青い瞳を輝かせて熱心に学ぶこの上なく愛らしい生徒だった。
夜は大抵レイアスとアリフが連れ立って遠乗りへと出かけ、月が明るい日には剣の稽古をして
快い疲労感と共に夜半帰ってくることが多かった。
キャロルとマイアはささやかな夜食を用意して2人の帰りを待ち、揃って1日の出来事など楽しく語り合う。
「まったく、俺はこれでも町で1番の剣士なんだぜ」
アリフはがっしりとした腕を大げさに広げて、ほとほと参ったというように言う。
「知ってるか、キャロル?俺はナスルの剣術大会でここ数年優勝してるんだ。
なにしろ俺が通っていた学校にはテーベ随一の武術学校で教師をしていたって人がいて、
鍛えに鍛えられたんだぜ。この辺りの町や村で俺に敵う奴はまずいない。
町一番の剣士にして書記官であるアリフ様がその技術と知識を持って」
ここで腕をゆったりと組んでからかうような笑みを浮かべたレイアスに目をやりながら、
「手取り足取りレイアスに教えてやったのはいいが、その恩も忘れてこのザマだ」
うっすらと血の滲んだ刀傷を見せる。
「出来の良い生徒をもったことを喜べよ、せ・んせ・い」
そうレイアスも大げさに応じて、皆で笑いに興じるのだった。
また悪い癖が出たよ。まったくさ、学習能力無い作家だこと。
>604
マターリ逝きましょうよ。
はい、お茶でも飲んで(´・ω・`) _旦~~
>ホルス作家さん
うぷ乙です。キャロルとレイアスのときめきシーンが楽しみっす。
この二人にメンフィスがどう絡むのかも楽しみっす。
>皆さん
荒らしは放置
作家様の仰せのままに(プ
「祈り」と「絆の生まれる時」はどしたんだろ?
いつも3作連続うpだったのにね。
∧_∧ ____ミ
( `・ω・) / / ○\ミ =≡旦~−=≡旦~−=≡旦~ 旦
( ⊃ ( × (○ ○) −=≡旦~−=≡旦~−=≡旦
∪ ∪ |\ \ ○/ =≡旦~−=≡旦~−=≡旦~
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ドドドドド
旦旦旦旦旦旦旦旦旦
旦 /⌒ヽ 旦
旦 / ´_ゝ`)旦 何か気が付いたらお茶だらけです。
旦 | / 旦 お茶、どかしてくれませんか?
旦 | /| | 旦
旦 // | | 旦
旦 ∪ ∪ 旦
旦旦旦旦旦旦旦旦旦
現在連載されている「祈り」「絆の生まれると」「ホルスの翼」「蜜月」
どの作品もそれぞれの個性があって大好きです。
たくさんの王家乙女がうpを楽しみにしていると思うので、荒らしは気にせず放置して
これからも楽しませて下さい。作家様達、みんなガンガって〜!
>609タソ
お茶ありがd 1杯だけもらったよ(w
ひゃぁぁぁ、ごめんなさい
「絆の生まれるとき」でした。(アリポースで)お許しを〜
610たん、ドンマイ!
それにしても定期的に出てくるねぇ。書き方から見ても恐らく同一人物。
かわいそうな人だ・・・。
>604 >607
うっせーんだよ
☆☆全ての苛立ちはオウムが一掃するです☆☆
,、 ,、
γ⌒/^^/^-_
,ゝ`/~ /~ /~ /⌒ / ̄\
_〈(_)| |~ |~ |~ |~ /^ \_
(丿 /~ /~ /~ /~ /~ /~ /~ /^\
()/()/~ /~ |~ |~ |~ .|~ |~ |~ /⌒\
へ^〈,|,,、,,|,,、,~|、、、|~,,,,,,,,|~,,,,、〈~,, 〈~ 〈~ |~ | /⌒|_________
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★★マターリ行くでつよ★★
つか、あなた達も反応しないでくれ・・・。
嵐に一番有効なのはスルーでつよ。
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ マターリ
(\(\_/) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
. 〜 (\ヽ( ゚Д゚)′< 換気致しましょうね〜
. ∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ 〜 (\ (ナフテラ)つ .\__________
(____) .∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ ∪∪
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ マターリ
>613で謎が解けた、なるほどね
スルー放置をいいことに
好き放題やってんじゃん。
わぁ、オウムのAAはじめて見ました。
ちょっとうれしい。
素で聞いていい?
「オウム」って何?一掃?
教えてちゃん、許されよ〜〜。
>>589 34
「無茶をする、何故私に追い払わせなかったのだ?」
身体を支える逞しい腕の安心感に、私は安堵して体を預ける事ができるその心地よさが嬉しかった。
瞼を開けるのも辛いと感じたけれど、今は私を気遣うこのお顔を見ていたくて懸命に目を開いた。
「・・・カプター様は執念深いお方です、あなた様が私を庇えば、この後どのような差障りがあるやもしれませぬ。
私ならばその心配は必要ありませぬ。」
そうだ、私はもう何も恐れるものはないのだ、どうしてこんな事を思うのかもわからない。
でも心の底からそう思えたのだ、自分でも不思議なほどそれは当然であって、今は何の恐ろしさも不安も感じなかった。
それよりもこのお方が無事であられる事のほうがずっと大切で、なんとしてもお守りしたいと思う心の方が強かった。
「何故に私を守る?私はそれに値するほどの礼を知らぬ。どうすればよい?」
大きなお手が私の額に触れ髪を撫でつける、黒い瞳には目を逸らせない何かあった。
「あなた様は沢山の人に必要とされる大事なお方です、礼なんて、私の方こそしなければなりませぬ。
あなた様のご親切にいつも感謝しております。」
「・・・だがそなたはいつも倒れるほどに無理をする、誰か守る者が必要だと思うが。
では、そなたが巫女を辞する時には、私の下へ参るが良い、妻として大切に扱おうぞ。」
思いもよらない言葉に私は驚いてミヌーエ様を見返した。
私を妻に?この私を?親にも見捨てられたこの私を?
驚く一方で嬉しく思う、けれどもそれを冷たく見つめるもう一人の私がいる。
私は努めて静かに答えを返した。
「・・・いかに世辞に疎い巫女でもお戯れは分かりますわ、ミヌーエ様」
>>620 風の谷のナウシカに出てくるのじゃないかな?
オウムだったかオームだったか忘れたけど。。。
35
「私は真面目に申したつもりなのだが・・・。
そなたには命を救われ、この腕も切り落とさずに済んだのだ。
幸い私は妻帯しておらぬ、命の恩人を娶るのはおかしくはなかろう。」
そう仰るお顔は柔らかな微笑みで、そのお言葉が真実なのかどうかは判断しかねた。
「・・・ではお礼を申し上げなければなりませぬ、そのお申し出は嬉しゅうございますわ。
でも私は神々に仕える巫女で、誰のものでもなく、そうなってはならないのです。
・・・嬉しゅうございますわ、本当に。」
なんて魅惑的に響く言葉なのだろう!
巫女である自分を捨ててこのお方の妻になるなんて!
禁忌を犯す誘いはどれほど残酷なまでに魅惑的なのだろうか。
でも私は気味の悪い小娘であって、誰もが遠巻きに見るだけの者。
そして人々から離れていなければ暮らしていかれない定めなのだ。
「・・・断わるとは思うておった、だが、覚えておくがよい、いつか巫女を辞する時には必ず私に申すように。」
ほんの少し落胆されたような笑みが私の胸に何かを呼び起こす。
私は起こしてくださる腕を頼りに何とか半身を起こした。
「もう、お体の具合はよろしいのですか?腕は痛まれませぬか?」
私の問に面食らったような表情をミヌーエ様はされたけれども、穏やかな笑みでお答えになった。
「心配はいらぬ、まだ左腕が少々痺れるようだがじき治る。」
ではこれが最初で最後の私の望みだ、このお方に私が持てる力を差し上げよう・・・・・。
両手を伸ばしてミヌーエ様の頬を包むようにしてから、私は唇を重ねて息を吹き込んだ。
重い体が一息ごとに更に重く感じる、手の力が抜けて私の両腕はだらりと垂れ下がった。
もう息が吹き込めない、と瞼も重くなり唇を離そうとした。
でも唇は離れなかった、いつの間にか後頭部に大きな手が当てられ支えており、
もう片方の腕はしっかりと背中に廻され抱き寄せられていた。
あ、祈りがうpされてる!
連日うpありがたや〜。
ミヌーエ巫女に求婚とは、隅におけないわねっ!
ミヌーエがメインで出てくる作品てあまりないから、嬉しいよ。
ハプトってどんな子なんだろ、あまり容姿について触れられてなくて
ちょっと想像がつかないんだけど。
ところで皆さん・・・
AAにはレスあるのに、作品への感想レスをお忘れではないかい?
レス済みだからじゃないの?
私はそうyo。
___
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ノ.ノ::::::::::::::!_`'ー-、、_/;/_/:::::::::::::::::::::l;;_:::::::::::::/;;; /:::::::::::::::::\―――――
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l_l::::::::::::::::::::::::::l;;;;;;;;;;''''┴‐―‐―‐―‐┘'''''''''''  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
o < うpを追い求めていたら、エジプトまで来ちまった。
_!iヽ_ ,rュ 作家タマ、うpよろしく頼む・・・砂漠の果てで待ってるぜ
/ `i__.ソ
__....,,,,.__ /l ̄/l byハサン
 ̄  ̄ ̄ ̄ ̄`''ー――---
絆と蜜月のつづきはマダ??
気になって寝付かれないよぅ。。
>>622 ありがd。
オウム=ショウコウかと?
ハサン可愛いよ〜。
作家様達うpありがd。
祈り作家様は、次はΨ(`▼´)Ψかな(ムフフ)
わたしも・・
もう今日は来ないのかな。ワァァァァ(;´Д`)ァァァァァン
>>628 実は私もオウム=ショコかと思って、一瞬ひいてしまったw)
今日は荒れたから作家様来にくくなっちゃったのかなぁ、
はぁ、もうあきらめて寝よっと。オヤスミィ・・・・
祈りは作風や雰囲気からいってあんまりエチーなのは
やだな。清純派キボンヌ。
>>631 私も祈りは清純路線でほのぼのして欲しいな〜
エチーなのはΨ(`▼´)Ψ系作家様達に思いっきりやって欲しいっ!
清純派もΨ(`▼´)Ψも、どっちもスキダ
>>582 31
それからは毎日、王子がキャロルの許を訪れるようになった。
「いつになったら私が待ちわびているあの言葉を贈ってもらえるのだろう?」
特に焦っているわけでもないのに、キャロルが恥ずかしがって戸惑う様を見たくて王子はわざと悩ましい吐息を桜貝の耳朶に吹きかけながら問う。
「意地を張っているのか、恥ずかしいのか、それとも一人前に駆け引きをしているつもりなのか」
王子はキャロルを抱き寄せて、加減しながら接吻を贈る。キャロルは泣きそうな顔になる。
「嫌いじゃない。王子のこと嫌いじゃないわ。でも、こんな・・・いやらしい触られ方、嫌」
この頃はムーラ達も何かと王子とキャロルを二人きりにしたがる。
「いやらしい・・・か!」
王子は苦笑いした。腕の中の娘にとっては想う男からの愛撫もまだ恥ずかしく厭わしいもののようだ。
(とはいえ、一人前に女の貌もほの見せて。早く女にしたやりたいものだ)
剣術の稽古を終えた王子は、ひどい汗をかいたこととて中庭でもろ肌脱ぎになって体を拭いていた。そこに迷い込んできたのはキャロル。
「きゃっ・・・・!ごめんなさいっ、覗くつもりはなかったのっ!」
彫刻のような王子の体に見蕩れる数瞬が過ぎると、キャロルは真っ赤になってうろたえて走り去ろうとした。
「待て、姫。夫となる私の介添えをしようとは思ってはくれぬか。汗を拭くように」
窘めるように、有無を言わせぬ命令口調で王子は言うと布をキャロルの手に押しつけた。キャロルは抗うことも出来ず機械的に手を王子の肌に滑らせた。
二人はお互いに黙ったままだった。
途中でほんのはずみで王子の腰布がずれて、王子の一番男性らしい部分がキャロルの目に入ったが・・・王子は何事も無かったように身だしなみを整え、キャロルも何が何やらわからぬ心地のままに部屋に駆け戻った。
32
(馬鹿みたい、私ったらうろたえて!古代の衣装なんて体に布を巻きつけているだけなのとたいして変わらないんだから当然ああいうこともありえるわよ。
王子は男の人なんだから、私と身体の作りが違うのも当然よ。馬鹿なキャロル!昔、兄さんやパパとお風呂にはいったじゃないの・・・・!)
そう考えただけなのにキャロルは茹でられたように真っ赤になり、ムーラが部屋に入ってきたときはまるでこの恥ずかしい思考を大声で喚いているのを聞きつけられたかのように驚いて飛び上がったのである。
「まぁ、姫君。いかがあそばしましたの?お顔が真っ赤でございますよ」
キャロルの驚き振りにムーラも驚いたようだった。
「な、何でもないの。何でもないのよ。あのぅ・・・・・・しばらく一人になりたいのだけれど」
「は・・・・?ああ、お疲れなのかもしれませぬね。よろしゅうございます。今日は念のためお昼寝をあそばしませ。ご休息をお取りになればお身体も治りましょう」
ムーラは妙にそそくさと嬉しそうな様子でキャロルを寝かしつけた。とにかく一人になりたいキャロルはそれに全く逆らわなかった。
横になってもキャロルは落ち着かなかった。脳裏に浮かぶのは先ほどの・・・・・光景ばかり。彫刻のように美しい逞しく鍛え上げられた王子の裸身。剥き出しになった王子自身。
(男の人のって・・・・あんなふうだったかしら?)
キャロルの身体は我知らず熱くざわめいてくるのだった。
一方、ムーラはキャロルを寝かしつけた後、侍女達を指示して忙しく働いていた。彼女はつい先ほど主君たる王子から言われたのだ。
今宵、私は姫の寝所に参る、と。
ぞくぞくとΨ(`▼´)Ψな予感だわ。
ムーラに寝かしつけられるキャロルタン・・・。
ムーラは、苦労するキャラね。
うむ。
Ψ(`▼´)Ψの予感じゃ!
>>508 5
「そう…そうだ…。口の奥深くまでしっとりと包み込むように含んで……舌を這わせる・・・・。先を舐めるときは固く尖らせて突付くように。根元を味わうときはねっとりと絡めるように、だ。……っおぅ…!」
物慣れぬ初めての少年のような声を出した自分に驚きながらも、王子は臆面もなく破廉恥な授業を続けていく。キャロルは王子の命じるままだ。
王子はキャロルの片方の手を自分の臀部に持っていった。緊張に強張ったキャロルの小さな手がそこに縋るかのように強く掴む快感に王子は酔った。不覚にも暴走しそうな刺激だった。
「ふ…ぅ・・・・・・。それからもう片方の手は、下に触って。包み込むようにやわやわと揉みしだくようなかんじで、だ。おっと爪は立ててはならぬ。指先と掌を使うのだ。
・・・・・・・・・ほら・・・・・口が留守になっているぞ」
陶然とした王子の口調。いつのまにか王子の肌の匂いに何とも蟲惑的な麝香の匂いが加わった。
「ん……ふうっ……」
王子の大きな手に頭を掴まれ、熱いもので喉の奥深くまで衝かれてキャロルは苦しそうに喘いだ。その喘ぎは何とも魅力的な吐息となって王子を刺激した。
「そう・・・そうだ、姫。覚えが良いな、そなたは・・・・・」
王子の腰の動きはだんだん早くなっていってキャロルを翻弄した。キャロルはあまりの苦しさに涙を浮かべながらも、麝香の匂いに魅入られた様になって王子の甘やかな罰から逃れることが出来ないのだった。
やがてキャロルの口の中で王子は激しく痙攣し、熱く濃いものを迸らせた。
「うっ・・・・・・・・・!」
わけもわからないまま、半ば以上を飲み込んでしまったキャロルの口元に王子は優しく布を当ててやった。
「すまぬ・・・。よくしてくれた、な。さぁ、ここに含んだものを吐き出せ」
6
「は・・・・い・・・」
素直に王子に従うキャロルの口元から、つぅっと白い液体が零れた。薔薇色の唇から溢れるその小さな雫がこの上なく愛しく思えて、王子は口移しで漱ぎの水をキャロルに与えた。
「さ、口を漱げ。大丈夫か?
すまぬな。そなたのことが心配で愛しくて・・・そなたのことを思いやる暇も無かった。・・・・・・許せよ。男は・・・男は如何に女を愛しく大切に思おうとも・・・このようなことをしてしまうこともあるのだ。
私のことなど…嫌いになった…か?」
いつもなら女の奉仕を受けることを何とも思わぬ王子が、気恥ずかしげに頬を染めて言った。キャロルもまた頬を染めて首を振った。
「いいの・・・」
不思議なことに厭わしさは殆ど感じなかった。それよりも自分のぎこちない行為で王子が初めて彼女が聞く悩ましい声をあげたということが嬉しかった。
(私が・・・王子をあんなふうにさせた・・・)
不思議な、倒錯した征服感がキャロルを満たした。
「いいの・・・。王子…好き」
自分に縋るキャロルを王子はしっかり抱きしめた。
「何と可愛いことを言ってくれる。そなたは…まこと、そなたほど私を夢中にさせる女はおらぬ。おかしくば笑え。そなたに溺れる私を」
王子はキャロルを優しく押し倒し、キャロルが愛した自分の場所と同じ所を、同じように、いやそれ以上に愛した。
キャロルは痙攣するように震え、あっという間に達してしまった。
7
「何とあっけない」
王子は蝋細工のような妖しくぬめるような光沢を宿したキャロルの器官を愛しげに愛でた。
濃く色を変え、女性の身体にしかない花びらも花芯も瑞々しく大きく固く変化したそこ。ねっとりとした蜜はキャロルの羞恥と戸惑いをよそに、男を誘うように湧き出し続ける。
「乙女の身体でありながら・・・何とイヤらしい眺めであるか。乙女の封印がありながらこのように・・・」
恥ずかしい言葉でキャロルを煽りながら王子は乙女特有の膜を指先で弄んだ。
声にならない悲鳴を上げて王子の暴力から逃れようとするキャロル。
「すまぬ。痛がらせてしまったか」
王子は慰めるようにキャロルのそこを舐めた。甘い蜜が痙攣する蜜壷から溢れだしキャロルの恥じらいをあざ笑うように白い腿を濡らした。
「だが封印を破るのは・・・まだだ。だから・・・・・」
王子は再び腹部に張りつかんばかりに滾った自身をキャロルの亀裂にこすりつけた。
男の熱い器官で敏感過ぎる自分の器官を擦られる快感にキャロルは仰け反り、噛み締めていた唇の間から初めて女の悦びの声を漏らしてイズミルを喜ばせた。
やがて王子自身は再び痙攣してキャロルの白い顔に滾りを浴びせた。
「ああぁ・・・」
どこかうっとりしたような切なげな声をあげるキャロル。王子は濡らした布で優しく自分の陵辱の跡を拭い去ってやるのだった。
「そなたは・・・私だけのものだ。そなたを私なしでは生きていけぬようにするのが・・・・・・・楽しみだ。それはまた、そなたの願いでもある。そうであろう?」
キャロルは黙って頷くのだった。
キタΨ(`▼´)ΨキタΨ(`▼´)ΨキタΨ(`▼´)ΨキタΨ(`▼´)ΨキタΨ(`▼´)Ψキタ━━━━!!
お待ちしておりましたわ、掌編作家様。
が、癌社とは・・・王子やるなァ。
大人の時間をありがトントントン!!!
イズミルタソ、処女相手に暴走しすぎよ〜〜w)
作家様のみなさま、いつもうpありがd
どの作品も素晴らしすぎです。。。
このスレの色んなお話を元にイラストを描いてみたいのですが、
うpするのに何か良い方法ってありますか?
Hシーン含む絵なんかだとヤバいですか?
お願いします。<(_ _)>
是非、是非お願いします。
凄く楽しみです。
>642
どっかで鯖を借りてウプするか、ウプローダーを使うのが良いと思われ。
18禁イラはOKな所と駄目な所があるから、気を付ける必要あり。
楽しみにしてるよ〜
みなさんに触発されて自分でも文章かいてみてフトおもた。
メンヒスと王子の口調ってなんか違いありますかね。
自分が書いたらほとんど同じになってしまったよ。
また「愛いやつ」はメンヒスの専売特許にしときたいんですが、
これにあたる王子のきめ台詞みたいの、なんかないかなあ。
「参る」とか「申す」という言葉を二人に喋らせるのも、ちと違和感です。
王族なのに謙譲語(=謙遜語)かと。文脈によってはイケるけども。
でも「行く」とか「言う」じゃあ、軽すぎるしねえ・・・
画家の方の参入大歓迎!! でもうぷのことはよくわからないです・・・
>645タソ
「参る」も「申す」も確かに謙譲語としての認識が一般的なのだけど、
その一方で尊大語としての使い方も認められています。
尊大語というのは身分上位の人が身分下位の人の行為(行く、言う)を低めて言うこと。
現代日本語ではあまり使われない言葉だから(使っても芝居とか狂言・歌舞伎の世界)
違和感があるかもしれないけど、国語辞書なんかにも載ってますよん。
だから安心して?使って下さいませ〜(スレ違いすいません)
うん、時代劇なんて見てると(暴れん坊将軍)「参るぞ」って言ってるよね、
作家様、うpありがトン。
>645
メンヒスの「愛いやつ」にかわる王子の専売特許は「愛しい姫」あたりでは?
姫って呼ぶのはやっぱり王子だよね。
掌編作家様、またひとつ頼みまするー。
昼間から萌えてしまったよぅ。
絆の生まれるときのΨ(`▼´)Ψまだかな〜?
>>623 36
熱く柔らかな唇が押し付けられ、軽く啄ばむような動きに私は驚愕した。
このようなつもりじゃなかったのに!
でもその唇の動きは驚きはしたけれども、私を怖がらせまいとするような優しさもあって、
私に恐怖心を抱かせなかった。
でもこれ以上はいけない、と脳裏に響く言葉におやめになるよう言葉を出そうとすると、柔らかな唇は頬に押し当てられ、ミヌーエ様の頬に私の頬を擦り合わせるかのごとく、
きつく抱きしめられた。
「・・・そなたの身体からはいつも花の香りがする、そなたの口付けはいつも芳しく、口付けの度に、私の体内に芳しい息が私の力を駆り立てるようだ。
なんと不思議な口付けだろう、ハプト。」
感嘆したようなミヌーエ様の口調に、私は腕の痺れがとれたことを知り、よかったと思った。
鍛えられた見事な大きな身体のうちに抱きしめられたのは初めてで、それは巫女にあるまじき行為だと分かっていた。
それでも肌の熱さが私を怖がらせる事はなく、この上ない安堵感と嬉しさの交じり合った感情が私を支配した。
「だがな、ハプト、このようなことは恋人や夫婦でするものなのだ。ましてやそなたから誘うような真似は今後してはならぬ。」
私の顔を見下ろしながら、微笑まれ私をからかうような、また諭すような物言いに、私もなんとか言葉を返そうとした。
「・・・そのようなつもりで、したわけではありませぬ。ただ・・・あなた様の腕を楽にして差し上げたかったのです。」
私の言葉にただミヌーエ様は困ったように微笑まれただけだった。
「では私以外の者とはしてはならぬ、よいな、ハプト。」
そのお言葉の意味は図りかねた、けれでも私はもう他の誰とも口付けする事はないと分かっていた。
巫女としてではない、ただの女人としての口付けは、先ほどのただ一度であろうと・・・・・。
だから私は頷いたのだ。「はい。」と。
37
私は渾身の力を振り絞って、常と変わらないように立った。
なんとかミヌーエ様がこの神殿を出られるまでは、これ以上無様な真似は見せたくなかった。
風が囁いて、日が暮れる事を告げた。
別れの時が来たのだと、心のどこかで声がしたように思えた。
「もうじき日が暮れますわ、お戻りにならなければ。」
「ああ、そうだな、まだ明日の婚儀の用がある。」
「ファラオもお待ちでいらっしゃいますわ、ミヌーエ様」
その言葉にミヌーエ様は頷かれ、そっと私の頬に手を伸ばして触れた。
私を見下ろされたお顔はとても武人とは思えないほど、柔らかな優しさを持っていた。
「・・・また参る、そなたに会いに。」
「はい、お待ちしております、ミヌーエ様」
それは私が初めてつく嘘だと思う。最初で最後の嘘。
もうお会いできない、と私の胸の中に叫ぶ声がする。それは胸が苦しくなるほど辛い響きを持っていた。
でも目の前の穏やかな笑みを壊したくなかった。だから申し上げたのだ。
「今宵から祈りに入りますわ、ファラオのために、キャロルのために、ナフテラ様のために、テティ様のためにも、このエジプトのために・・・・・。
そして、あなた様の御武運のために。」
「・・・無理をするな、婚儀を終えられたらまた参る。」
温かな指が離れ、しっかりした足取りでミヌーエ様は宮殿にお戻りになられた。
もう見る事のないお姿を、私は最後まで目で追い、倒れないように耐えた。
どうぞ、お許し下さい、嘘をついたことを、ミヌーエ様・・・・・。
>>574 10
股間に走る甘い痺れにつられツンと上を向いて痛いほどに勃ちあがる乳房の頂は、湯に濡れて艶やかに潤んでいる。
イズミルに向かって、愛して欲しいと言わんばかりに震えているのだ。
あまりに色めいて男を誘うその風情に負けて、イズミルは思わず薔薇色の先端を口に含んでしまう。
舌のざらついた部分で色づいた輪郭を舐め、固い頂を交互に吸い立ててやる。
キャロルは啜り泣きを唇で押し殺し、むず痒く痺れる下腹をイズミルの腹部に押し付けたが、それは昂ぶったイズミルの自身で脚の間をイヤというほど撫で回される結果を招じてしまった。
時折、その先端が女の奥深い処を優しく突いて侵入しそうになると、その度にキャロルはビクリと腰を震わせる。
しかしそんなキャロルをからかうように、イズミルはそこを何度も突付いて刺激を与えては、最後には腰を引いてしまうのだ。
半開きになった赫い唇からは甘い苦痛に耐える涙声が途切れることなく零れ、濡れた小さな舌先はしどけなく口づけを求め、男の目には何とも淫らに映る。
その妖艶な様子をイズミルは口端に薄笑いを浮かべて眺めていた。
好きな様に愛しい娘の体を弄びながら。
11
「あ……熱い、王子……もう……のぼせそう…」
「うむ。少し湯から出してやろう…」
全身に朱をさしたように艶めかしいキャロルの裸身を湯からすくいあげて、湯船の淵に座らせる。
イズミルは細い足首の一方を捉えると、湯の滴る桜貝のような爪先を愛しげに口づけで覆ってゆく。
ほっそりとした足指の一本一本を唇に含み、指の間をねっとりとした舌で捏ね回す。
もう片足は湯船に浸かったままで、わずかに開いた白い腿の奥には愛らしい神秘の谷間が見え隠れする。
やがてキャロルの片足はイズミルの肩の上に高く抱え上げられ、彼の舌はすべらかなふくらはぎ、膝裏をくぐり太腿の内側へ……ゆっくりゆっくりと最奥をめざし滑ってゆく。
ぴっちりと閉じあわされた慎ましやかな谷間を左右に開いてやれば、ためらいがちに姿を見せる露に濡れた小さな花びら。
薄い花びらに指を伸ばし、イズミルはその2枚の花弁の縁を優美な指先でそっと解いた。
と、花弁の内側で溢れかえっていた蜜がぽとりと垂れて、湯船に落ちた。
(ふっ……待ちわびていたと言う訳か?)
イズミルを欲して反応する、その愛らしい身体の様子が男の胸と下腹を堪らぬほど熱く疼かせる。
(おお……愛してやろうぞ……私の姫よ)
ぷっくりと薔薇色に膨れた真珠の鞘を痛まぬように優しく剥いて、見るからに敏感そうなそれの先端を指先で撫でこする。
「ひっ………」
キャロルは鋭い快感に息を飲んだ。内腿がひとりでにわなわなと切なく震え始める。
イズミルの指がぬるぬると溢れる蜜を剥きだしの真珠にたっぷり塗りつけるて、指の腹で円を描くように擦りあげる。
そうされると、死んでしまいそうな程心地が良くて……。
あまりの心地よさに感涙が流れるほどだ。深い恍惚の中でキャロルの意識はかすれ始めていた。
唇から漏れ出でる他愛のないうわ言。男に甘える鼻にかかった悩ましい声。
「いっ…イヤ…やっ……あぁ……」
「何がイヤだ?……そんな貌では嘘にしか聞こえぬぞ…」
頭も体もすっかりのぼせたようで、指先にも爪先にも力が入らない。
彼のなすがままにされてしまう。
12
イズミルはキャロルの花芯の縁に手を添えて、花びらをめいっぱいに開かせると、そこをしとどに濡らす蜜を一滴も漏らすまいと吸い立てた。
そしてイズミルの長い指は蜜壷に侵入し、柔らかに指を締め付ける肉襞を優しく蹂躙する。
自分の股間に埋められたイズミルの端整な美貌とチロチロと踊る彼の舌先をぼんやりと眺めながら、キャロルはあまりの恥かしさと快楽に声を上げる事もできない。
イズミルの巧みな舌使いと指先は、キャロルの幼い身体を確実に官能の高みへといざなう。
(あ……熱い……いや……)
自分の激しい鼓動と、引き攣ったように乱れる呼吸。
湯殿にやたらと反響する秘所を啜り上げる淫靡な音。
咽かえるような熱い湯気と、秘所から込みあげる妖しい快感。
イズミルの灼熱の舌の動きに煽り立てられて、背筋から脳天へと何かが突き抜けてゆく。
熱くて……息苦しくて……心地よくて……熱い…熱い……。
キャロルが達する瞬間に、イズミルは強く吸い立てながら真珠に歯を立てる。
「い、痛っ……やっ……!!」
快楽と痛みが同時に重なり合い、キャロルは一瞬のうちにかつてない程の高みに昇りつめる。
激しい快楽の中、キャロルの意識は白い熱気の中に溶けて消えていった。
(⌒∨⌒)/::"\
(⌒\:::::::::/⌒(⌒∨⌒)
( ̄>::( ゚∀゚)<(⌒\:::::::/⌒)
( ̄/:::::::: (_>::( ゚∀゚)::< >祈り作家様、蜜月作家様うpありがトン!
/((⌒∨⌒(_/U::U\__) お花をプレゼントだいっ!!
/ (⌒\::::::::/ (_∧_)`∨⌒) 、@,
<(__>::( ゚∀゚)::<__し//J\::::::/⌒;@@^
|ヽ(_/::::::::\_)(_>::( ゚∀゚).つ|/`
| ヽ. (_∧_) // (_(ノ:::::::\_)
| \し|.|J ////(_∧_)
l `.:7 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ し"J
ヽ / .:::/
/ ̄ ̄ヽ(,,´∀`)~ ̄ヽ
ヾニニ=/./ハゞ\=ニン <うpがあると、うれし〜よぅ
/ / /| |ヽ \ ホルス・絆様も続きよろしくです。
(__ ̄l/__U"U V`"
ハプト×ミヌーエは悲恋になりそうで、ドキドキしています。
出番の少ないミヌーエを幸せにしてあげて〜!
キャロル×王子は一番好きなカップリングでヨダレが・・・(*゚∀゚)=3ムハァ
王子のテクに降参しそうでつ。
昨日の掌編様と連夜で、こんな濃い〜のが読めるなんてしやわせ。
画家様の御光臨も楽しみ!
キタΨ(`▼´)ΨキタΨ(`▼´)ΨキタΨ(`▼´)ΨキタΨ(`▼´)ΨキタΨ(`▼´)Ψキタ━━━━!!
ほんと王子ったら、昨日も今日も忙しいわねw)
キャロルって幸せ者だ。浦山しぃ・・・
>656 職人さん乙。お花のAAカワイイー
もう続きないの?>掌編
>祈り作家様
いつも楽しませてもらってまつ。儚げなハプト、どうなっちゃうの〜?
ひー!朝から鼻血ぐはぁっ!
きしょ・・欲求不満?
鼻血ならまだ(・∀・)イイ!よ。
私なんか鼻から脳髄出たよ〜〜。
んーー萌え〜〜。
作家タン達ありがd。
662たん、
>私なんか鼻から脳髄出たよ〜〜。
それは・・・ミイラでつ(w
お待たせしました。
○ ちょっと早いけど作家様達へクリスマスプレゼント。
| \
[二二二] ( )) ( ))
γ⌒ヽ(.. ´・ω・`) ( ) ( )
/ ∩3\,,,,/[]つ 旦 旦
| Y__:_)  ̄ ̄ ̄ ̄
\_〔__)__)
>>652 38
重くだるい体を引きずるようにして、私は祈りのための準備を始めた。
婚儀の為の祈りだ。
祭壇に聖水や供物を捧げ、香を焚く。
息を切らしながら用意を終える頃には、じき夜が明けると風が教えてくれた頃だった。
こうして祭壇の前で祈っていても、ファラオが狩の儀式に向かわれたのがわかる。
今日は新しい王妃の誕生なのだ、黄金の髪とナイルのような青い瞳の美しい王妃が。
なんと喜ばしい日なのだろう。
キャロル、あなたがファラオとこのエジプトに君臨する限り、我がエジプトは繁栄するでしょう。
ファラオの卓越した統治力とあなたの優しい心と英知が我がエジプトを守るでしょう。
キャロル、あなたに出会えた事が私の運命を変えたのか、
それとも会う運命だったのかはわからない。
でも私は出会えた事を心から嬉しく思う。
あなたに出会うまで、私の生活は何の望みもなく、嬉しさや喜びなどという感情とも無縁だと思っていた。
ただ目の前にあるものを冷めた目で見ていたに過ぎない、与えられるものに満足を見出して、
それ以上には何も望んではならないのだと思っていた。
だから微笑んだり笑ったりすることもなかったの。
でもあなたと会えて私の中にもそんな感情があると分かった事も嬉しい事だった。
あなたと出会えた事で私の生活が急に色鮮やかに感じられたの。
それまでは生き生きと茂る木々を見ても、そう思った事はなかったのに。
39
ああ、婚儀が始まる。
風よ、風よ、もし願いを聞き届けてくれるなら、ファラオとキャロルに花弁を降り注いでおくれ・・・・・。
何の礼も言えなかったキャロルへの最後の礼なの、お願い・・・・・。
風が囁く、婚儀の様子を、黄金の煌く衣装のお二方、どれほど見事な婚儀だったかを。
民が歓声を上げて祝うところへ、風が花弁を降り注ぐその美しい様子が、私の脳裏に映る。
なんてきれいな光景なんだろう!
風よ、ありがとう、もう何も思い残す事はない。
私の体はいつの間にか祭壇の前に倒れていた、ひんやりした床が肌に心地よかった。
このエジプトでは死した後もいつか魂が戻って蘇る為に、死んだ身体はミイラにする。
でも私にはこの身体は間違って生まれてきたように思うのだ。
本当の私は風で大地や空を駆け巡っていたのに、間違えて身体を持って生まれてしまったように、
この身体はいつも重かったように思える。
だからもうこの身体を脱ぎ捨てる時が来て、私は生まれる前に還るような、奇妙な懐かしさを感じている。
そう、還る、この言葉が一番しっくりするのだと思う。
風に還るのか、生まれる前に還るのか、どちらかに違いない。
40
この世での生は短かったけれど、還る前になんて美しいところにいたのだろうと分かってよかった。
草木も山々も豊富な水を立てるナイルも、何処もかしこもみな美しいと思う。
このように思えるのもキャロル、あなたと出会えたからだわ。
ナフテラ様、テティ様、ご親切にして下さってありがとうございます。
ミヌーエ様、巫女として私は失格なのでしょう、
あなた様のご無事を、ご武運を祈ってしまう私は、誰の者でもないはずの巫女としてはならないのですから。
私は自分が幸福と思ったことはありませんでしたけど、あなた様が私を妻にと望んでくださったあの時、
私をその腕に抱きしめてくださった時、確かに私は幸福だったと思えるのです。
それが巫女にあるまじき行為だったとしても。
お待ちしていると嘘を申し上げてしまったこと、どうぞお許しくださいませ。
これからもあなた様のご武運を祈りますわ・・・・・。
ああ、もう還る時が来たのだ、と風が囁いている・・・・・。
私は嬉しい、この世界がこんなにも美しいものだとわかって・・・。
さあ、還ろう、風が導く先へ・・・・・。
41
夜半、祝賀の宴の手伝いを終えたテティが神殿で既に事切れた巫女の姿を見つけ、
ひっそりとミヌーエ将軍に知らせた。
薄暗い神殿の中、巫女と呼ばれた少女ハプトの顔は穏やかな笑みを浮かべたまま床に横たわっていた。
テティはミヌーエ将軍が自分の目を憚らず巫女の身体を抱きしめて悲痛にその名を呼ぶのを見た。
そしてミヌーエ将軍が巫女に口付けた途端、巫女の身体は塵となって散っていたのを
その目で見たのだ。
腕に残る衣を抱きしめた男と、それを見る女官は人知れず死んでいった少女を思い涙にくれたのである。
若く猛々しいファラオと黄金の髪と青い瞳を持つ優美な王妃を戴くエジプトは繁栄した。
ファラオの傍らに立つ、雨風を味方につけたような戦略を行う「不敗の将軍」と呼ばれた男と共に。
終り
これで「祈り」は終了です。
読んで下さった方、レス下さった方、ありがとうございました。
最後まで書くことができたのは、
レスを下さった方がいらっしゃるからです。
つまらない話を読んでくださって
心から感謝しています。
連載されてらっしゃる作家様、
いつも楽しみにしています。
今後のご活躍、楽しみにしております。
>祈り
心に残る素晴らしいお話を、ありがとうございました。
読み終えたばかりなので感動してしまって
うまく言葉が綴れないのですが、哀しい結末にも
関わらずどこか安らげる、不思議な余韻を残す
お話だったと思います。
ミヌーエの傷心が思い遣られますが、最後の一行で
救われた想いがしました。
お疲れさまでした。
祈り、最終回なんですね。最初から最後まで大好きでした。
作家様ありがとうございます。ミヌーエって魅力ありますよね。
>祈り作家様
まずはお疲れ様でした!
ハプトの儚さや清らかさに私まで心洗われるような気持ちで読ませていただいていました。
最後もハプトらしい終わり方だったと寂しい反面、清々しい気持ちもします。
素敵なお話をありがとうございました。
他の作家様達のご降臨も心からお待ちしてます〜!
良いではないか。
良いではないか〜〜。
恥かしげなキャロルタンがいいわ(もちイズミーも)
鼻斜線なしのイズミー久しぶりだわ。
Ψ(`▼´)Ψも密かに楽しみにしてますーーーーーーーー。
画像見れねぇー!
イズミル1ってどこにあんの?消されたッ?
消されちゃったみたいだね・・・
このうpロダ共通パスワードを使って、
誰でも簡単にデリートできるみたいだよ。
他のロダお探ししましょうか?
私もΨ(`▼´)Ψ画像も楽しみ!
祈り作家様
一番スキな話でした。
できましたら、いつかハプトの生まれ変わりとミヌーエ将軍の話を
書いてください。
.☆
ノゝ
ノo;ゝ
ノ;;;; ゝ
ノ´・ω・`)、 ♪ジングルベ〜ルジングルベ〜ル
.ノ&; ◎ ゝ お茶ド〜ゾ〜♪
ノ::::::.., ,.......ゝ
ヘニニニニ7
∪~∪
今日はどの作家様のうぷもないのでしょうか。
特にこのごろホルス作家様、眠りの森作家様のうぷが止まっているので気になります・・・・
続きが気になるよー(´・ω・`)
>>681 わたしも気になってまつ〜。ぜひぜひご降臨を〜(アリポーズ)
また裏スレで変な疑惑&作家の分析などなど論議されていて
連載中の作家さんは、書くのが嫌になってしまったのでは・・?ちょっと心配でつ。
なんだか作家さんのやる気を削ぐ様な事ばっか・・
>683
そういう余計な書き込みも十分やる気を削ぐと思うけどね。
感想はどんどん書けばいいけど、作家さんのご機嫌伺い的な媚びレスはウザい。
>>684 あなたはウザいと思うかもしれないが、媚びじゃなくて純粋に願ってる読者だっている。
どうしてそういうこと
>683ではないけど、>683も別室を持ち出す必要も無いんじゃないの?
別室での話も、作家さんが特定された訳じゃなかったし
私には特定出来る技量がないけど(w
作家さま〜明日のうp楽しみにしてますよ。
>>634 33
その夕方、キャロルはいつもより入念に入浴させられ寝室に入れられた。
部屋には美しく花などが飾られ、キャロルもおろしたての夜着である。
「一体どうしたの・・・?」
漠然とした予感─それは本能的な恐れと甘い期待が入り混じったもの─に身を感じながらキャロルは問う。
ムーラはキャロルの髪を梳ったり、香油を刷り込んだりしていた手を止めて口調を改めて告げた。
「もう半ばは大人と申してもよいお年頃の方なのですから、薄々はお気づきでございましょう。
・・・・・・・今宵は王子がこちらでお過ごしあそばします。お分かりですね?
ああ、この期に及んでの我侭勝手はお許しできませぬよ」
キャロルは身震いした。
(ああ、では今夜、私は王子と・・・・)
頬が火照り、脳裏に昼間見た王子の体が浮かぶ。慎み深い人間ならば、ムーラの無礼を厳しく糾弾し、早々に部屋を出て行くべきだ、と頭では分かっているのに身体は言うことをきかない。
早鐘のように心臓は高鳴り、頬の火照りは全身に広がり、キャロルは・・・・キャロルは・・・喜びを感じていた。
「・・・・・恥ずかしい。こんなやり方は・・・」
ムーラは優しくキャロルの真っ赤な頬に触れた。
「望まれてお嫁ぎになられる姫君はお幸せな方。私の大事な王子に末永くお仕えあそばす姫君のお世話をする私も幸せ者でございます。
どうかどうか・・・意地を張って御身のお幸せを見誤ることだけはなさらないでくださいませね・・・・」
「恥ずかしいわ。こんなの。皆が知っている中で、王子と過ごすなんて」
ひそやかに愛しい人と結ばれたいと願っていたキャロルはなおも言った。
「お妃になられる姫君を、こっそり引き入れた慰み者のようにお扱いするわけには参りません。お支度を整えて王子のお妃におなりあそばし、明日には神殿と国王様ご夫妻にご報告・・・」
うきうきとムーラが話しているところに王子がやってきた。キャロルは王子と二人きりにされてしまった。
34
緊張に顔を強張らせてそっぽを向いてしまったキャロルを、イズミル王子はさも愛しげに眺めた。
細い顎に手をかけて上を向かせると王子は意地の悪い笑みを浮かべて問うた。
「姫よ、何故こちらを見ぬ?何故、いつものように憎まれ口を叩いたりせぬ?
あまりにしおらしくては私は何もできぬではないか?」
(では、何もしないで)
キャロルは心の中で憎まれ口を返すと、ついっと王子から顔を背けてしまった。恥ずかしくて、そして性急な王子のやり方が腹立たしくて素直になれない。
王子はしばらく居心地悪そうに沈黙を続けるキャロルを面白そうに見ていた。
「どうした?私の姫は口が利けなくなったのかな?私がいつか返して欲しいと命じておいたあの一言をいわぬままに?
さぁ・・・・何を考えているのだ?めでたい婚礼の夜に?」
王子は馴れ馴れしくキャロルを抱きしめた。
「可哀想に、冷や汗をかいているではないか。冷えては大変だ。汗に濡れた衣は・・・・・脱がせてやろう」
「やっ!」
キャロルは飛びのいた。
「大丈夫だから・・・大丈夫だからそんな意地悪しないでよ。ムーラは変なことを言うし、王子は意地悪だし・・・。私の都合なんて誰も聞かずにどんどん進めちゃうのよ?結婚式・・・なのに」
キャロルは最後のはかない抵抗を試みた。しかし身体はますます火照り、瞳は甘い予感になまめかしく潤んでいる。
ああーん・・・いやっ・・・ダメっ(w
いよいよ初エチーのヨカーン!
絆の生まれるとき作家様うpありがトン!
蜜月作家様、首をながくしてお待ちしておりまする〜〜〜
>>689!!
ひとりで何を悶えとんじゃいっ!(笑
作家様達の作品更新、お待ちしておりまする〜
壁画を残して逝くべ
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を!
秀作だ!うp待ってますよん。
今日はなにも
キテ(´・ω・`)━━(´・ω・)━━(´・ω)━━( )━━(ω・`)━━(・ω・`)━━(´・ω・`)ナイヨ━━!!!
ショボボボン・・・
>>688 35
「口になど出さずとも」
王子は視線でキャロルを縛り、優雅な動きで彼女の夜着を緩めていく。
「可愛いそなたは饒舌だ。私を追う視線で、私に対するさりげない仕草で、そなたは私に告げたではないか。私の妻になっても良い、と」
「そんな・・・」
なおも言い募ろうとするキャロルを軽々と王子は抱き上げて寝台に一緒に横になった。
「そなたが欲しいな。そなたも私を欲しておろう。私がいない間に何を考えていた?」
王子は唇を耳朶から頬、そしてキャロルの唇に這わせながらなおも問う。もとよりキャロルに答えられるはずなどないのだが・・・・・。
「きっとそなたは私のことばかり考えていてくれたはずだ。そう、私のことばかり。そなたが初めて見た私の…体のことばかり」
キャロルは恥ずかしさのあまり、顔をそむけ必死に目を瞑る。そうすれば外の世界のことは何も自分の中に入ってこないとばかりに。
でも閉じた瞼の裏側には王子が、王子自身が渦巻くように浮かび上がってくる。逞しい王子自身が・・…。
「何も答えぬか…?何も言わぬか?私を愛するとも、私が欲しいとも?」
「あ、愛しているわ。王子。でも恥ずかしいのは嫌。どうしてこんな恥ずかしいことするの?」
あっさりと夜衣を取り去り、拷問でも施すようにキャロルの敏感な場所を指で探ったり、摘み上げて揉みしだいたりしていた王子は笑った。
「男女のこととはこういうことだ。ああ、つれない姫よ。その心も身体と同じように素直でしおらしくば、どれほどよいであろう?」
これ以上はないというほど固く熱く膨らんだ真珠と、その下で肉厚の花に守られて湧き出す蜜の泉が王子をいざなった。
36
「姫、姫。私はそなたの心が欲しい。このように身体を誑かすようにして我が物とするのは不本意だ。だから申せ、私が待ちわびた一言を!」
キャロルの潤んだ瞳はなおも反抗的な色を宿していたけれど、促すような王子の接吻と蕩かすような巧みな指先の誘いは抗いがたかった。
「私…は…」
指先が亀裂の奥ふかくに入り込み、濡れそぼった場所をなで上げる。そこを濡らすのは蜜なのか涙なのか、それとも涎でもあるのだろうか?
「あ…私は…」
「どうして欲しい?姫よ?私を愛する姫よ。意地を張らずに早く女に…なれい。私はもう待てぬ」
キャロルはうわごとのように言った。
「愛している…いつも優しく私を見守っていてくれた王子を…ああぁっ!!」
王子自身がキャロルの狭隘な入り口に宛がわれた。その熱さと窮屈さにキャロルは悲鳴を上げた。
王子はその頑なさと苦痛に愛らしい顔をゆがめるキャロルに男の喜びを感じた。そしてわざとゆっくりゆっくり巨大な自分を押し進めていった。
(これは…さぞや苦しいであろう。この身体はまだほんの子供ではないか。
こちらまで痛くなるような狭さきつさだ。たまらぬな・・・」
王子は指をひくつく真珠にあて、やわやわとした愛撫を与えてキャロルを仰け反らせた。
痛みと快感に溺れるキャロルはますます王子を締め上げ、自身の意思ではどうにもならぬ身体の動きから来る苦痛に涙するのだった。
ようやく奥ふかくまで達したと言うのにろくに動くこともままならぬ場所で、王子は激しく爆発しキャロルを妃としたのだった。
Ψ(`▼´)Ψキター!Ψ(`▼´)Ψキター!Ψ(`▼´)Ψキター!
願わくば、寝起きのエチーや次の夜のエチーも書いて下さいまし。
王家のΨ(`▼´)Ψ好きだー!
>>655 13
唇に注ぎ込まれる冷たい水の感触にキャロルが目覚めた時、そこはもう湯殿ではなく、寝室の続きの間である居間であった。
暖炉の前に敷かれた分厚い毛皮の上、イズミルは腰に薄手の布を巻きつけただけの姿で片膝を立てて座っている。そして、その膝に頭を預けるようにしてキャロルは横たわっていた。
キャロルはイズミルが着せたのであろう、柔らかな薄生地の夜着を纏っていた。
イズミルはキャロルを覗き込むようにして、冷水の入った杯を彼女の紅潮する頬に押し当てた。
「きゃっ…冷たい!………けど、気持ちいい…」
杯のひんやりとした感触が火照った頬に心地よくて、キャロルは目を閉じる。
イズミルの鍛えあげた脚を枕に、彼に髪を撫でられながら横たわれば、まるで楽園にいるような幸せなやすらぎに包まれる。
キャロルは何となく嬉しくなって、彼の膝に頬をすり寄せて甘えた。
「大丈夫か……?愛してやっている最中に気を失ったぞ。
湯にあたったか……それとも……?」
イズミルはククッと喉の奥を鳴らして笑いながら、妖艶な流し目をキャロルに当てた。
瞬間キャロルの頬が更にパァッと、赤く染まった。
クスクスと抑えきれぬ笑いを漏らしながら、イズミルは再びキャロルの熱い頬に冷たい杯を当てて冷してやったが、その動作と裏腹に、口をつく言葉はなおもキャロルを恥らわす。
「くくっ……それほどに心地良かったか?のぅ…姫よ?」
「……やっ!言わないでっ!」
「ふ……また後で、嫌というほど可愛がってやろうぞ。
しかし、今度は失神などしてはならぬ。
そなたはすぐに達してしまう……呆気ないほどにな。
少し快楽に耐えることを教えてやらねば……」
耳たぶまで真っ赤に染めて膝の上から逃げようとするキャロルを、愛しくて堪らぬ様子で抱きすくめる。
14
そっぽを向こうとするキャロルの顔を無理矢理自分に向き合わせ、涙の滲む瞳の渕を唇で拭ってやる。
「いやっ……王子なんて…き、嫌い……」
「わかった、わかった……あまり、そなたを苛めるのは良くないな……。
許せ…そなたが憎いのではないぞ……男は…愛しすぎると、つい苛めてみたくなるものだ。
可愛がるだけでは…物足りなく思うものなのだ。さあ、機嫌を直せ……」
「イヤ…」
イズミルの脚に両脇を阻まれて身動きできぬまま駄々をこねるキャロルを、彼は愉しそうに宥める。
その時、キャロルの腹部が空腹を訴える音を立てた。
「きゃっ…いやだ!」
「ちょうど良い。夕餉の支度も相整っておる」
床の上の台座には、数々の料理皿、果物、葡萄酒が並べられている。
イズミルは果物を唇に挟み、口移しで膝の中に座らせたキャロルに与える。
果肉をかじれば甘い果汁が滲み出て、キャロルの唇の端からトロリと流れ出す。
「おっと…」
イズミルの舌と唇が、それを優しく吸いとってキャロルの胸元に零れ落ちるのを防いだ。
そしてキャロルが果物を飲みこむと、彼は再び果実の甘さの残る唇を求める。
イズミルは同様にして、まるで幼子にするように膝の中に抱きこんでキャロルの口元に食事を運んでやる。
こんな風にされると、まるで何もできない子供のようで何とも面はゆい。
腕の中で、与えた食事を慎ましやかに食するキャロルの様子を目を、細め極めて愛しげに見つめるイズミル。
しかしキャロルは彼の視線や、彼の逞しい身体の感触で胸がつかえるようで、上手く料理を飲み込めない。
「もう、いらない…お腹いっぱい……」
「存分に食せねば持たぬぞ……今宵は長い」
またもや淫靡な含みを持たせた彼の言葉と微笑みに、キャロルは恥らった。
15
夕餉をとり終わると、イズミルは片肘ついて床に敷かれた毛皮の上に寝そべりながら、おもむろに遊戯盤と駒を取り出してキャロルの前に広げた。
盤の桝目にそって駒を進めて陣を取り合うゲームのようなもので、二人は王宮の居室でも時折熱中して興じることがままあった。
「久しぶりに私の相手をいたせ。
……とは言っても、ただ打つだけでは面白みに欠ける。
そうだな…もし私が負ければ、そなたの望みを何でも聞いてやろう」
「……何でも?」
イズミルは長い指先で駒を並べながら、愉快そうにキャロルの顔を見やった。
「おお、宝玉でも絹の衣装でも……何なりと私にねだれ。
しかしそなたが負ければ、同様に私の望みを満たしてもらうぞ」
琥珀色の瞳が、何かを期待して煌めいている。
「そんな……私不利だわ!王子ったら、とても強いんだもの……」
「何を。そなたも近頃腕を上げたぞ、侮っておれば私とて負けてしまう。
案ずるな。可愛いそなたを困らすような無理難題は押し付けぬ。
さあ、そなたが先手を取れ」
キャロルの白い指先が駒を動かせば、イズミルは余裕綽々といった様子で彼女の策をいとも簡単に封じてしまう。
勝っても負けてもこの上なく愉しい勝負ではないか。
イズミルは引き締まった口端を上げて、ニヤリと笑った。
(ふっ…悪いな、姫。まずは私が勝たせてもらおうぞ)
手にした駒を握りしめて真剣に考え込むキャロルの姿は愛らしかったが、イズミルは涼しい顔を崩さずに最後の駒を打った。
16
「私の勝ちだ。姫、約束は覚えておるな?……こちらへ参れ」
「不公平よ……ずるいわ、王子!私じゃ王子に勝てっこないもの……あんっ…」
イズミルはクスクスと笑いながらキャロルの腕を引き寄せる。
不服そうに頬を膨らませる彼女を膝の上に載せて座らせた。
(次は勝たせてやるではないか!)
そして、彼女の腕を取り自分の首に巻きつけるようにさせると、色気を帯びた眼差しでじっと見つめた。
「さて……と」
キャロルの頬を指で優しく愛撫しながら、何を言いつけてやろうかと楽しげに思いを巡らせる。
「そうだな……そなたから口づけいたせ。まだ、たったの一度もそなたからの口づけを貰っておらぬ」
「…私から…?」
「ああ、そうだ。子供にするようなものでは許してやれぬぞ。さあ、早く」
「も…もう!意地が悪いんだから……」
キャロルは困惑と陶酔の色の混じりあった表情で、おずおずと唇を重ね合わせる。
いつもと勝手の違いに戸惑いながら、チュッと音を立てて彼の唇を軽く吸ってみたが、イズミルがその程度で満足するはずもなく、催促するようにキャロルの細腰をグッと抱き寄せられる。
舌先をツッと伸ばして、彼の唇にそっと触れる。
すると彼の唇はおのずと開いてその先を促すように、キャロルを内部へ誘い込むのだ。
胸の鼓動が痛いほど高まるのを感じながら、彼の口腔に舌を差し伸ばし、たどたどしく舌を絡めあわせる。
「ん…っ……」
甘い吐息を漏らしながら、稚拙な接吻を施すキャロルにイズミルは燃え上がる。
息苦しい接吻を続けるうちに舌根が疲れてしまい、キャロルは恨めしそうに上目遣いで彼を見上げた。
「……王子……もう…いい?」
イズミルはクスリと笑うとキャロルの頭を引き寄せ、最後に熱烈な口付けを与えてから唇を解放してやった。
>>絆の生まれる時
作家様〜「早く女になれ・・・」ここ萌え〜〜
>>蜜月
久しぶりの仕置き王子のヨカーンです。私も接吻施されたい〜〜
このラヴラヴぶりを本編王子に読ませてあげたいよ。。。
祈り、すごくよかったです。
でもでも、ミヌーエ様、あなたはおいくつなのでしょう?
「10をいくつか過ぎたようにしか見えぬ」少女に向かって、
そんなに何度も“嫁に来い”だなんて。
このごろ王子のΨ(`▼´)Ψが多くて嬉し泣き〜
作家タマ達ありがトン!
うp待ってますー!
思えばオニ系は808さんが元祖なんだよね。
今はどうされてるのかな?
もし今もここにおられたら書いてほしいな。
うわっーー。
えらい懐かしいお名前だよー。
初代スレの元になってくれた作家タンだったよね?
あの時のドキドキ感が忘れられず今に至る・・・。
作家様達〜いつも愛をありがd。トン。トン。
蜜月作家様〜つづきが待ちきれませぬ〜〜〜〜〜
眠りの森作家さま。心待ちしております。
>>706 私も初めて王家の妄想小説読んだ時の感動が忘れられないよぉ。
身悶えたのを覚えてますわ。
自分もΨ(`▼´)Ψ書いてみたいんだけど、難しくて挫折。
シチュエーションが限られくるから、同じ言葉の繰り返しになっちゃうんだよね。
想像力なさ杉。それか経験が足らないのかも(-_-;)
私も待ってるよ〜>ALL作家様、更新よろ
>710様
そんなことをおっしゃらず、何か書いて下さいませ。
是非お願い申し上げます。
作家様キテナーイ(´・З・`)
/ヽ /ヽ
/ ヽ / ヽ
______ / ヽ__/ ヽ
| ____ / :::::::::::::::\
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| | .| :::::::::::::| 待ってるーー
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ふぅ=3、週末ですなぁ
作家様ウプよろしゅう(-人-;)ナムナム
>>697 37
(もう・・・朝?)
物憂く目を開いたキャロルは寝台に一人きりだった。傍らには王子の眠った跡がある。
(私・・・・・・私…王子と!)
夢かとも思える昨夜の出来事。でもそうではない証拠に寝台の覆い布には朱色のしみと何かが滴った跡があり、下半身には強い違和感がある。
疲れ果て、痛んでだるい身体を優しく抱きしめて幾度も愛しい、と繰り返してくれた男性は居ない。のろのろと起きあがったキャロルは枕許に置かれた小さな粘土板に気づいた。
─先に起きる。そなたはゆっくりと身体を休ませるように。とにかく意地をはったり恥ずかしがったりせずによくムーラに世話をさせるように─
ただそれだけ。
(あの人らしい)
今は腹も立たなかった。居てくれないのが寂しくも思えたけれど、粘土板の素っ気無い言葉の向こうにキャロルを気遣う不器用な王子の優しさが透けて見えた。
キャロルの気配に気づいたのかムーラが声をかけてきた。
「お目覚めでございますか、姫君。王子からあなた様のお世話を申し付かっております。さぁ、まずは湯浴みなどなされませ」
ムーラは充分にキャロルを気遣いながら湯浴みをさせ、軽い食事をとらせた。
「さぁ、午前中は横になって静かに過ごすよう、王子よりのご命令でございますよ」
寝台はすでにきれいに整えられ、汚れ物は見えなくなっていた。
「あ、あのっ・・・ムーラ…」
ムーラは優しく微笑むと、全て分かっておりますと言うように頷いてキャロルを安心させた。
うわわぁ〜、一見そっけない粘土板に激しく萌えー!!!
置手紙か、いいな〜。
王子タン居なくなったのも気づかなかった程・・・(妄想中)
作家タンありがトン。
>>603 47
こうしたレイアスの姿にマイアも喜びを感じていた。
これまでのレイアスの表情にはどこか翳りがあり、メディナ王妃そっくりの涼しげな黒曜石の瞳に
焦れたような影があるのをマイアは悲しく感じずにはいられなかった。
何度、真実を告げようと思ったことだろう。
これほどに聡明で、美しい容貌にも恵まれ、神からの愛を一身に受けたかと思われるほどのレイアス。
世に出る機会さえあれば必ずや何事かを立派に成し遂げるであろう彼を、
このまま塀に囲まれた小さな家で埋もれさせてしまうことが堪らなかった。
レイアスになら真実を告げても、それを乗り越えていくだけの力がある。
そう思って幾度ラバルド神官と相談しても行き着く答えは同じであり、他に道はありそうになかった。
しかしキャロルがこの家に来てから翳りの表情は消え、マイアを不安にさせていた焦れたような影も見られなくなった。
瞳には思い出の中の王妃よりも力強い光が宿るようになり、立ち居振る舞いも毅然として自信に満ちているようにさえ感じられる。
(キャロルの存在がレイアス様を変えたのでしょう)
マイアはレイアスがキャロルを見る時の瞳にも気が付いていた。
愛しさと切なさが綯い交ぜになったようなその視線…マイアにはその訳がわかるような気がした。
キャロルは初めてこの家に来た日とは別人のように生き生きとし、もう悲しげな顔を見せることもなく
毎日を味わい尽くすがごとく楽しんでいるようだった。
珍しい美しさを持った容姿とは別に、生命力に溢れた息吹ともいうようなものが全身から感じられ
マイアから見てさえ眩しいほどに輝いている。
ここに来るまでは良い生活をしていたのか料理や炊事といった仕事には慣れていなかったが、
自ら教えを請うては精一杯手伝って娘のいないマイアを喜ばせた。
いつまでもこの幸せが続くよう、マイアも願わずにはいられなかった。
48
この間にもキャロルはレイアスへの恋を深めていった。
日毎に現れる新しい魅力…それはレイアスの言葉であったり、表情や仕草であったりするのだが、
どんな小さなことでもキャロルの心を掻き乱して切なくさせる。
もう目に溢れているだろう思慕を隠すことも出来ず、レイアスに魅かれていく自分をどうしようもない…
(愛している、そう言ってしまいたい。レイアスがいるから私はここでこんなにも幸せなんだわ。
一緒にいられるなら20世紀も家族も忘れられる。いいえ、それよりもあなたの方が大切なの…)
だが、どうしても想いを告げることが出来ない理由があった。
ラバルド神官が訪れる度に、レイアスは必ず呪いを解く方法が見つかったかどうか尋ねるのだった。
それが自分のことを慮っての事とはわかっていても、つまりはキャロルが20世紀に帰ってもいいと
レイアスが考えているということに他ならない気がする。
時々レイアスの鮮やかな視線の中に甘やかな光を感じるような気がすることがあるものの、
体の線も露なエジプトの衣装を身につけても興味を持つような様子もない態度から、
自分が彼を想うゆえの幻だったと胸に恋を押さえ込む。
想いを告げてレイアスに拒まれるだけならばまだいい。
友人として傍にさえいられなくなったら…
何よりもレイアスの傍にいたいという願いがキャロルの恋を臆病にしていた。
その恋心を勉強に於いての情熱に代えて熱心に学び、覚えている限りの20世紀の歴史学を
レイアスとラバルドに話すことはキャロルの救いでもあった。
この時ばかりはレイアス、最初は一線を引いていたかのようだったラバルド神官と打ち解けて
対等に語り合えるのが嬉しく誇らしかった。
もちろんレイアスと2人で勉強をする時には燃え上がる想いに胸が詰まる時もある。
だが間近にあるレイアスの端正な顔…手にした粘土板を見ているその瞳に長い睫が影を落とし、
没頭している彼をその間は存分に見ていられた。
キャロルは想いを押し隠しても、生徒として傍にいられる事を幸せに感じるほど
レイアスを愛するようになっていたのだった。
49
ある日、レイアスとキャロルはエジプトの外交政策について論じ合っていた。
レイアスがヒッタイトやバビロニアといった大国との関係を重要視するのに対して、
キャロルは後に力をつけてくるアッシリアやエーゲ海の国々と友好を育てていくことを推奨する。
2人は決して互いの持論を否定することはなく、様々な観点から引き合わせて最も利になりそうな接点を見つけ出す。
まるで国家の一大事を解決するかのように没頭し、結論が出た頃には顔を見合わせて笑うのだった。
「それにしてもキャロル、そなたは猛烈な勉強家だな」
レイアスは椅子から立ち上がって、逞しくすらりとした腕を伸ばしながら話しかける。
キャロルにとってこの時間が貴重なものであると同じく、レイアスにとってもかけがえのないものとなっていた。
いつも自分を焦がすようだった物思いは取り払われたように消え、清々しい気持ちさえする。
こんな心境に辿り着けたのも、目の前で微笑んでいるキャロルの力なのだと十分にわかっていた。
薄い衣装の中から浮かび上がるか細く、けれども丸みをおびた肩、柔らかくふくらんだ胸、
いかにも女らしい腰から脚への流れるような線…
最初にその姿を見た時には息が詰まるような気がして、ろくに言葉をかけることも出来なかった。
日が過ぎて見慣れつつある今も、陽に透けるキャロルを見ると体の中に沸き立つものを感じる。
それ以上にレイアスを捉えたのが、生命力に溢れ、周囲を鮮やかに彩るような彼女の内から湧き出す美しさだった。
あまりに生き生きとした輝きは眩しいほどで、時にレイアスの心さえも照らし出す。
キャロルが20世紀に帰る時が来たら。そう考えると胸に軋むような痛みが襲う。
だが酔わすような甘美さにも、軋む痛みにもレイアスはあえて名を与えずにいた。
ただキャロルが大切でならず、共にいたかった。
50
「だって興味が尽きることはないんですもの」
名残惜しそうに一瞥を投げてからキャロルは地図を片付ける。
「知りたかったこと、知っていたけど事実とは違っていたことがどんどん明かされるのよ。
学ばずにはいられないわ!」
「アメリカでもそれほどに根を詰めて勉強していたのか?」
邪気のない笑みを見せるキャロルから目を離せずにレイアスが問うと、
その当時を思い出したのかくすくすと悪戯っぽい笑いへと表情が変わる。
「そうなの。夢中になると時間を忘れてしまって、よくライアン兄さんに叱られたわ。
女の子がそんなに勉強ばっかりするなんて可愛くないって」
「兄がいるのか。さぞかし会いたいことだろうな…」
レイアスの言葉にキャロルははっとする。
(いけない、家族のことは言わないようにしていたのに)
「ええ…会いたいわ…」
でも。その先に続く言葉をキャロルは噛み締める。
兄さんに会うよりも、ずっとあなたの傍にいたい。素直にそう言えたらどんなにいいだろう。
本当の気持ちは言葉にならず、取り戻せない言葉が後悔となって押し寄せた。
しかしレイアスの表情にかつて漂っていた寂しさは感じられず、キャロルには温かな眼差しが注がれている。
「私にもたった一つだけ両親の思い出があるのだ」
そう言って、レイアスは胸に煌く黄金の首飾りを手にする。
キャロルが初めて彼に出会った時から片時も離さず身につけられているもので、
あまりに見事な細工に何度も目を奪われたものだった。
♪ ♪ ∧_∧∀
♪ ∧∧∀ ( ´∀`∩ ♪
♪ ヽ(゚∀゚)ノ ⊂ (⌒) ♪ ♪
(へ ) | ,'__,,ノ
> (__)
週末なのにありがトン。
一波乱ありそう?
↑ニガワラ
あ〜あ〜やはり
>>723 誤爆?
本編スレの「ドカベン」誤爆はワロタ。
>ホルスの翼作家様
ひさびさのうp嬉しいです〜!ずっと待ってました。
キャロルとレイアスのさわやかカポーの今後に期待してます。メンヒスも出てくるといいな。
723は誤爆とゆーより
王家本編スレに出没してる
意味不明レスの香具師?
O家別室の会談で清純派とΨ(`▼´)Ψ派に分裂してしまいまいした。
【清純派物語を書きたい・読みたい方】はこちらでどうぞ。
(今後Ψ(`▼´)Ψを含む作品は御法度だそうです。こちらでΨ(`▼´)Ψ作品・レスを書くと叩かれる可能性有?)
【Ψ(`▼´)Ψ作品・なりきり・伯爵令嬢ネタを書きたい・読みたい方】は
>>727のリンク先へどうぞ。
こちらは特に制限・規約がなく、自由に作品発表・発言ができます。
自由なレスが認められておりますので、お気軽にレスして下さい。
お互いにスレを荒し合うようなことはやめてマターリいきましょう。
(゚д゚)ハァ?なに勝手に仕切ってんの>728
>>728 間違ってるよぅ!!
どちらにうpするかは、作家様の判断にお任せでつ。
話しの途中でのスレ乗り換えは混乱を招きます、お控え下さい。
スレ勝手に立てたのも728か?
会談で決まったというよりも、勢いで新スレ立てたって感じだね。
分裂するのは寂しいよぉ・・・
>>728 【訂正】
どちらにうpするかは、作家様の判断にお任せ致します。
話しの途中でのスレ乗り換えは混乱を招きます、お控え下さいませ。
スレ立てたのは私ではありません。別の住人様です。
>>732 そうだよ〜。反対意見も多かったのに、勝手に押し切る形でいきなり新スレ。
こんなのじゃ作家様も戸惑うだろうし、もうちょっと話し合ってからでもよかったのに。
728たん、気持ちは先走ってルールを決めすぎ。
こちらでΨ(`▼´)Ψ作品・レスを書くのも自由です。
>>735 作家様の選択は自由という前提で
一応、こっち=清純派 あっち=Ψ(`▼´)Ψ
にしておかないと、スレを分けた意味がなくなる様な気が致します。
じゃあ今ここで連載中の作品はどうするの?Ψ(`▼´)Ψだってあるのに・・・
大まかには、ね。
で同意。
最終回までここでいいんでない?<連載中の作品
次からは選択自由で
そんな別スレもあったんだ、知らんかった
どうして別室で勝手に決めて本スレに押し付けるの?
まずここの意見を聞いてから決めるのが筋、というか当然でしょう。
そんなわけのわからないスレ使いたくないよ。
第一分けるほど作品のうp多くないでしょ?
そう受け取った貴女はこちらに残るべし。
「貴女」とか使う人っておじさんくさいよね
>まずここの意見を聞いてから決めるのが筋、というか当然でしょう。
意見がまとまった事ってありましたか?
後は作家タンが、うp先を決めるでしょう。
今連載中のΨ(`▼´)Ψ含む作品は、行き場を無くしそうだよね。
O家で書いた方が歓迎されるかもしんないけど、スレが途中で変わるのはたしかに読みづらい(;´Д`)
>>741 ルール貼ったのはイクナイね。
本スレの皆様を無理に呼込むつもりはありませんよ。
>742,744,746
741は勝手に決めて押し付ける事自体がおかしいと言ってるんでしょう。
頭悪いなあ。
だから押し付けてないって。
728がかってにやっただけ。
頭悪いなあ。
>>741 いや、あなたに「わけのわからんスレ」で書いて欲しいと頼んでいるワケじゃないと思われ
あなたはこちらで執筆して下さい
じゃ728が悪いっていう事にしておいて、マターリ分裂しとこうよ。
わたしは闇鍋すごい楽しみなんだけど♪
不謹慎で悪いけど、自由に意見カキコできてるね
よろしww
悪いのは
性急で中途半端なスレたて、次いで728の暴走。
そんだけよ。
結果的には闇鍋楽しみ。
他作家様への牽制なんだろう。
立ってしまったものは・・・・・・使わにゃソンソン♪♪
エロゲー呼ばわりされず、これで心置きなく書けるわぁ!
私も不謹慎で悪いが、ここ最近で一番スッキリした。
闇鍋スレができて良かったとオモタ。
結果よければすべて良し。
闇ができても、本スレも読み続けるから、作家様うpよろしく!
私も書くわよーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
>>755 イイワァ*・゜゚・*:.。..(n`∀`)η゚・*:.。. *待ってます!!
親切な住人さんがティッシュも置いてってくれて、読者の準備は万端でっせw)
>>754 > 他作家様への牽制なんだろう。
他作家様への牽制とは?
何だそりゃ
頼むから闇鍋スレで相談してくれ。これ以上ここを汚さないで。
撤収〜
>>755&757作家様
か、書いて下されーー!
今まであんましレスできんかった分、まとめて発散させてもらうよーー!
私も書けるもんならかーきーたーいー!でも悲しいRーOーMーらーー!
アワワ〜
すんません、撤収しま〜つ ごめんなさ〜い
えーっ、なんでこんなことになっちゃったの???ひどいよー・゚・(ノД`)
>>764 ・゚・(ノД`)ヽ(゚Д゚ )ヨチヨチ
両方のスレを楽しんだらよろしおす。
今、こっちで連載されている作家様達がうpしにくくなりそうだねぇ・・・
>>766 今連載されてる作品なんてどれもくだらないから
別にうpが止まったところでどうでもいいや。
つーか、もう読みたくない話ばっかり。
新しい作品に期待。
 ̄ ̄ ̄ ̄-----________ \ | / -- ̄
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>>767 _______----------- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧ ∧ / / | \ イ
( ) / ./ | \ /
_ / )/ / | /|
ぅ/ / // / | / .|
ノ ,/ /' / |│ /|
_____ ,./ // | / .─┼─ |
(_____二二二二) ノ ( (. | / ┼┐─┼─
^^^' ヽ, | | /. ││
だって本当じゃん。くだらないから闇鍋スレが出来たんだろーが。
展開も何もなってない幼稚な王子とキャロルの話に
オリキャラだかなんだか知らんがキャロル以外は訳のわからん奴ばかり出てくる
長ったらしい話だろ。Ψ(`▼´)Ψは闇鍋にいきゃあいいんだし。
妄想の方向や作品・作家に対するスタンスが違うから別スレができたんだろ。
自分にとっては(展開上のエロならまだしも)エロ書きたいだけのΨ(`▼´)Ψ作品と
メンヒスを貶めた王子×キャロル作品こそくだらない。
そういう作品連載時は
>>769のような気持ちになることもあるし、否定的感想を書くなとはいわん。
だがそれにしても「くだらない」とか「もう読みたくない」とか、
うぷ自体が止まりかねないカキコは論外だ。
お前にゃくだらなくとも、それを楽しみにしている人だっているだろう。
いまの場合、自分は少なくとも「ホルスの翼」は楽しみなんだから邪魔すんなや。
ていうかお前さんのような「自由な意見」はまさに「闇鍋」向け。あっちへ逝ったほうがいいよ。
>>770 オイオイ、闇鍋はゴミ溜めじゃねっつの!!
無闇勝手に放りこんでくれるな、勘違い甚だしいぞ!!!!!
>>770 ヲイヲイ・・・
>うぷ自体が止まりかねないカキコは論外だ。
>お前にゃくだらなくとも、それを楽しみにしている人だっているだろう。
これ自体は正論だと思うんだけど、言いながら君のカキコも充分に他作品を貶めてないか?
>>769みたいなのに躍起になって激論するのもどうかと。
これじゃあ、君も769と同等の同類だよ。もちっと、おちけつ!!
こっち派から見ても、770はおかしい。
「自由な意見」の意味取り違えてる。
闇鍋の意味も。
つか、何も分かってない。
頭悪いね。
なんで清純派VSΨ(`▼´)Ψ派って設定作ってんだよー。
728の最後の一行なんて、まるで本スレと闇鍋スレが敵対関係にあるみたいじゃん。
立てたいから立てた。ごひいきに!って言えばいいのに、
むりやり本スレ(清純派)に追い出されたみたいな言い方してて不思議だよー。
>770
藻前のようなヤツはこっちでも闇鍋でもイラネってさ。プ
>>774 清純派にも770みたいなバカがいるように、闇鍋派にも728みたいなバカがいるみたいダネ!
770の捨てゼリフ(プ
つまり、あっちのスレはつまらなければ罵倒OKって
ことでつね?
>>778 清純派はこっちで書いたほうがマンセーされるだろうし
Ψ(`▼´)Ψ系はあっちで書いたほうが喜ばれるだけの話。
罵倒する香具師はどっちのスレで書いても罵倒するだろ。
漏れ的には、清純派とΨ(`▼´)Ψが混在しているとレスもつけにくいが
さわやか恋愛の後にエロ、鬼畜エロの後に清純派が並んでいると
気分の入れ替えがややこしい、それぞれ別で楽しみたい。
スレが分岐してしまったのに愚痴っても仕方ないんだから、
作家様がうpしやすい雰囲気を作ってあげようよ。
盛り上げるのは、読者・住人の仕事だよ〜
何揉めてんだ?
王家で一つの板で充分じゃないの?
1話を読んで受け付けられなきゃ、続きは読まなきゃいいだけの話。
タイトルちゃんと書いてあんだから。
だいたい王家ファンだけの2ちゃんじゃないんだから、
むやみにスレ乱立するなよ。
他の板&2ちゃんねらに迷惑。
もっと大人になれ。
私は清純派とΨ(`▼´)Ψどっちもあってこそのスレかと思う。
私も以前Ψ(`▼´)Ψなしを書かせてもらったけど
書けないからこそ、一読者としては楽しみです。
混在してるからのよさもあると思うよ。
ん〜、779・780・781・782全部の気持ちがわかる。
私もその全部がまぜこぜになった気持ちだもん。
だけど780さんが書いてるようにもう分岐してしまったんだし、
ポジティヴにとらえていくしかないかな〜と思う。
ここの住人達が十人十色の不満をかかえながら今まで本スレを使ってたとして、
分岐したことでそういう不満も解消とはいえないまでも少しは解消されたんじゃないかと。
ここだけの住人と両スレにまたがる住人で新しい雰囲気を作ったり
楽しみを見つけていく作業もなかなかいいんではないでしょうか。
偉そうなこと言ってスマソ。でも大嵐の後にマターリ快晴になるといいなって思ってます。
闇スレの42読んで、その言い方は冷たくないかと思ったんだが・・・
>あちらは朝から何やら荒れている模様でございますぞ。
>どうも清純派の御方はいささか過敏でございますな。
>我々は新開地を開拓した自由の民にございまする。
いささか過敏でございますなって、そんな・・・
朝起きてお気に入りのスレで分裂が起こってたら、そりゃあ誰だって驚くよ(ノД`)
本スレに対してチクチク敵視した書き込みがあるね。漏れはそこが気になる。
そんなに本スレに喧嘩腰にならなくてもいいんじゃないかと。
たぶん両方のスレを行き来する読者がほとんどだろうし。
>>784 まぁまぁ・・・。
冷たいとかヒドイとか言うと、お互い様で泥の掛け合いになる。
スレが分離しても、不都合は別にないような気がするけど
(自分が清純もオニ好きだからかも知れないけど)
分裂して悪い点て何かあるのかな?
>>784 (ノД`)ヽ(゚Д゚ )ヨシヨシ
私も今見て衝撃を受けたひとり。
だってここより他に難民板に王家スレがあったことさえ知らなかったんだもん。
過敏もなにも誰だって驚くし、それについて何かは書くでしょ〜。
闇スレが何でもありの自由を手に入れたと喜ぶのは自由ですけど、
悪気はないにしろ、このスレと比較してさりげなく貶める言い方はやめて欲しいです。
もともとの原因は何なのよ?
>>784 荒れてるってのは
>>767,769,770辺りの発言に対してじゃないのかなー?
私も770の発言は過敏というより、激情してる?って感じで呆れたよ。
別室が900超えで、次どーするよ?
から始まったのさ。
別室スレは1000超えたから、多分まもなく見れなくなると思う。
そしたら、久しぶりに来た人はますます訳わかんなくなっちゃうね。
>>786タン
分裂が悪いというより、あくまで好感度の問題なんじゃない?
本スレに毒吐いて新スレ立てちゃったし、これからも吐き続ける勢いだから好感度が薄いって気がする。
「カラーこそ違えど、両スレともに仲良く盛り上がっていきましょう!」
って感じでスタートしてたら言うことナシだったんだけどなぁ。
好感度云々よりも、なぜ分裂させたのか話が見えないんですが…。
Ψ(`▼´)Ψにだけマンセーレスつけて騒ぎたいけど、こちらでは
やりにくいから分けちゃえ、ということなんですか?
読むだけだったらΨ(`▼´)Ψ以外をスルーすればいいことですよね?
>>788 別室の新スレどうしますか?
↓
感想レスはバランスよく書いて→作るんならオニと清純派分けたら?←オニ作品だけキャーキャー盛り上がりすぎ
↓
なんでもアリの闇鍋をつくろう!
↓
闇スレいつのまにかできてた
こんな感じの流れだったような?
>793タン
私はどっちも好き派だけど、どちらかというとΨ(`▼´)Ψをスルーできなかったのは、
清純派さんの方みたいに見えるけどナ。
Ψ(`▼´)Ψ作品自体はスルーできるけど、感想レスがイヤとの書き込みがあったような。
>Ψ(`▼´)Ψにだけマンセーレスつけて
え?だけって、そんな事ないと思うよ〜!
私実際にどの作品にもラブコール送ってますので。
Ψ(`▼´)Ψ系の時のレスみたく、弾けてなかったからそう思うのかなあ?
だったら気持ちが伝わってなかったのね、さみすぃ・・・
Ψ(`▼´)Ψの感想スレにいつも絡んでくるヤシがいたりして、
最近はどの作品にもレスを書く気が無くなりつつありました。
ともかくいい方向に進んで欲しいなあ。
なんにしろ一番戸惑ってらっしゃるのが作家様達でしょう。
私は元作家で現ロムラーですが、作家としてうpする難しさを知ってるだけに
こんな状態の中でどういう気持ちでいるのかなぁと(つД`)
スパッと割り切って作家様達がまたうpしやすい雰囲気にすることが肝要かと。
>なぜ分裂させたのか話が見えないんですが…。
>Ψ(`▼´)Ψにだけマンセーレスつけて騒ぎたいけど、こちらでは
>やりにくいから分けちゃえ、ということなんですか?
>読むだけだったらΨ(`▼´)Ψ以外をスルーすればいいことですよね?
このひと、頭わりぃね 的を得てねぇヤツだな
今ならまだO家初代スレ見れるから読んでこいよ
>Ψ(`▼´)Ψにだけマンセーレスつけて騒ぎたいけど、こちらではやりにくいから分けちゃえ
793じゃないけど漏れも分室読んで、そう受けとめたけど。。違うの?
>>Ψ(`▼´)Ψの感想スレにいつも絡んでくるヤシがいたりして、
最近はどの作品にもレスを書く気が無くなりつつありました。
まったく同意。
最後はイラストに対するレスにまで絡んでたね。
自分もお気に入りの作品にレスしたらいいのにーー。
人のレスに横槍入れたがるの、どーして?
>797
お約束なツッコミだが、的は得るものではなく射るもの。
頭がわりぃのはあなた。
Ψ(`▼´)Ψの感想レスに絡む人って、そんなにいたっけ?
漏れ、鈍感なのかあんまり分からなかった。
>>798 Ψ(`▼´)Ψだけマンセーというワケでもないのに、なぜそんなに騒ぐんですかね?
私も「的を得る」だとオモテたよ〜
射るだったんだね〜
清純派の祈りなどは絶賛されてたように思うんだが、
そんなにΨ(`▼´)Ψ以外レス少なかったっけ?
皆さんの多い少ないの基準がわからないよ。
Ψ(`▼´)Ψになると急に賑やかになって、Ψ(`▼´)Ψを書かないと読んでもらえないような印象すら与えてる。
実際にそう感じてしまった作家様もいるんだから、クレクレ言うばかりでなく作家様の気持ちをもっと考慮してあげて欲しい。
平等にとは言わないまでも、もう少し気を使っても良いと思う。
作品の多様化も、分裂の一因だったのでは?
本筋をはなれたΨ(`▼´)Ψ、パロディ、パラレル、オリキャラ作品は
人によって激しく好き嫌い分かれる作風だし。
気に入らなければスルーが基本だし、なんでもありの雰囲気も好きだったけど、
それに不満を感じる人が増えたのなら、
清純派(正統派?)とその他で住み分けするのも一つの方法かもね。
荒れてるなあ・・
私もΨ(`▼´)Ψレスの方が、量、勢いともに目立ってたと思う。
かなり自由にレス書いてるように見えたから、今日までそんなにΨ(`▼´)Ψレスが
書き辛かったとは思ってもみなかった。人の心とは聞いてみないと分からんものだなぁ
Ψ(`▼´)Ψが苦手な住人からすると、
あまりΨ(`▼´)Ψレスが多いと話題についていけない。
レス内容が露骨すぎると雰囲気が悪いと感じてしまう時もある。
Ψ(`▼´)Ψスレが独立するならエロパロ板がいいのでは?
確か前は、Ψ(`▼´)Ψばかりじゃないからという理由で
エロパロでなく難民に来たんじゃなかった?
闇鍋、Ψ(`▼´)Ψばかりじゃない
伯爵令嬢&なりきりもオケ
>>809 すごい我がままダネ。
話題についてくる必要ないと思うけどねw)
てか、いつからレスの量や勢いを比較するスレになったんだ?
もともとこちらのヲチスレ同然だったので、エロパロに行ったら
都合が悪いのかもね。
どうせやるなら完全に独立して、表面上だけでも相互不可侵に
なってくれれば良いんだけど。
>>809 私も一緒。読むのが苦痛なΨ(`▼´)Ψレスがあったよ。
でも、もちろん黙って見守ったよね。人の楽しみに水さしたくないもんね。
Ψ(`▼´)Ψ好きな人も嫌いな人もストレス感じて共存するより、
やっぱり分裂してよかったのかも。
解 決 ダ
うるさく口出すお局様が君臨しだしたの、最近だよね。
作家様が萎えるので感想書いて、とか以前なら絶対無かったよね。
Ψ(`▼´)Ψをドキドキマターリ見守ってた頃が懐かしいよ〜。
>>てか、いつからレスの量や勢いを比較するスレになったんだ?
ほんと。
そんなモン比べて文句つけるのはナンセンス。
読者の行動を縛りたがるのはなぜ?
>>お局様
レスを書けと言われたり、書くなと言われたり。
こっちは大変だよ。
でもさ、過去ログを読むと何やかんや言っても
いつもΨ(`▼´)Ψグルグルで盛り上がってたよね。
レスも際どい内容が多かったと思うけど面白かったですよ。
住人層が代わってきたのかな?
>サイズが496KBを超えています。512KBを超えると表示できなくなるよ。
一番上に、こんなん出てるね。
そろそろこっちもお引越し?
タイミング良いかも。
もしも今書かれている作家様で闇スレに行きたい方がいたら行きやすいしね。
闇スレへのリンクはどうしまつか?
貼らない方がいいんじゃないか?
知っている人だけが、好きな場所に行けばいいんだし
過去ログ読む人はわかるだろう(新規住人にも)
>>821 まさにグッドタイミング!
Ψ(`▼´)Ψ作家と読者を斬り捨てるいいチャンスだわw)
リンク貼る必要なしでしょ。
>822
そう、リンクとかその辺の相互性が気になる。
けっこう大切なポイントだと思うのは漏れだけか?
表面上だけでも相互不可侵って声もあるけど、それは寂しかないでつか。
漏れはそれぞれの個性を認め合えるスレになって欲しいよ〜
もともと一つ屋根の下に暮らしてたというのに、
このままギスギスした関係でいくの?リンクしあって仲良くやっていこ〜よ。
824=嵐か
w)
w)
w)
w)
w)目立つ
リンクしなくても、勝手にはってくると思われ。
なにこれ・・・。
荒れ放題って感じじゃないですか。びっくりしたぁ!!
今連載中の作品気の毒すぎる・゚・(ノД`)・゚・
こんなに感想レスで荒れるんなら
一回のうpに付けるレス数を決めた方が良いんじゃ・・・
3個以内とかさ。
>829
泣くな。大丈夫。
スレが分裂したから、レス数の偏り問題はとりあえず解決だ。
リンク貼ってほしいデス
分裂したという言葉をまんま受け止めないでほしいデス
「清純派」の中で、とびっきり面白い作品が掲載されて
人気を一手に集めたら、同じ事が繰り返し∞
別スレ住人ですら議論がまとまらんかったものを
本スレまでにに持ち込んだ>>728
こっちに告知した理由はなに?
お約定に”レスは平均的に偏りなく”って入れといた方が良くない?
829タンの”レス数を決めておく”も荒れ対策になるかも。
でも、とびっきり、なら人気を集めても皆が納得するんじゃない?
>834
そんなヤボな言葉入れたら作家様完全にヤル気無くすよ。
レス数の差でやる気なくすより良いと思う。
確かに頻繁に「感想カキコして」のレスが来るより
最初から書くものと決まってる方が居心地いい。
何でもかんでもお約束事として決めたがる人がいるねー。
それを「圧力」とか「変な空気」と受け取る人が別室でガス抜きしてたんだろ?
本スレはどんと構えていこうよ。
住み分けで問題も出てくるけど、解決することもあると思うよ。