>>202に続いて、漏れも妄想ネタ思いついたんで貼ります。
長いので覚悟せよ。
ゆんゆん送信するゼ〜!!!
イコ後日譚
お城を無事に抜け出したイコは、自分の生まれた村に帰ろうと思いました。角も折
れて無くなってしまいましたので、他の村の人たちと同じよう生きてもきっと構わ
ないに違いありません。また、ヨルダも、もう帰るところがありませんでしたの
で、イコの村に来て暮らすことにしました。村の人たちと話し合って、森のはずれ
の小屋に、二人で暮らすことになりました。イコとヨルダは、森のはずれのその小
屋で、姉弟のように仲良く、平穏な日々をおくりました。
二人で毎日平和に暮らしていると、あのお城での出来事が、まるで夢の中でのこと
のように思えるときもありました。ヨルダは、少し夢みがちな普通の少女のように
見えましたし、イコも、もうこれからずっと、いけにえのことを考えずに生きてゆ
くことができるのです。二人の幸せな日々を邪魔するものはまったく何も無いよう
でした。
つづく
でも、二人には、ただ一つだけ気がかりなことがありました。その気がかりなこと
とは、ヨルダが毎晩みる悪夢のことでした。ヨルダがイコに話してくれたことによ
ると(ヨルダはこのときには、もうずいぶんイコ達の言葉をおぼえていたので、夢の
内容を教えてくれることができたのです、) 夢の中でヨルダは、まだあの城の中に
居て、大広間の冷たい玉座に座り、陰鬱な城の中で影たちだけを相手にいつ終わる
とも知れない孤独な時間を過ごしているのだと言います。ヨルダは毎晩のように、
その悪夢にうなされて目を覚ましました。また、そうこうするうちに、悪夢からく
る暗い気持ちのせいで、ヨルダはついには病気になってしまいました。
イコは最初のうちは、そんな病気はヨルダの気持ちだけの問題だと思っていました
ので、今までのことは忘れて元気を出すように、ヨルダをはげましていましたが、
そのうちに、もしかするとお城の不思議なちからのせいで、ヨルダが苦しめられて
いるのではないかと思うようになりました。もちろんイコは、あの城は崩れてし
まってもうないのだとヨルダに聞かされていましたが、ひょっとすると何か手がか
りがあるかもしれないと思い、一人で城跡に行ってみることにしました。
つづく
イコは次の日、朝早くに家を出て、城跡の様子を見たらその日のうちに帰ってくる
つもりでした。ところが城に行く途中の道は思った以上に歩きにくく、森を出て、
海に突き出た断崖についたころには、すっかり夕方になってしまっていました。イ
コは、海にそってお城のあった辺りを探してみましたが、ヨルダに聞いた通り、お
城はあとかたもなくなっていました。
結局なにも見つけられず、イコなんだか肩透かしをくらったような気がしました
が、とにかくもうこれから帰ることもできませんので、橋詰のあとの辺りで夜を明
かすことにしました。今夜は幸い満月の月夜でしたので、暗闇を恐れることもなく
夜を過ごすことが出来ました。いつの間にかイコは、うとうとと眠り込んでしまい
ました。
つづく
夜中に、誰かに呼ばれたような気がして、イコはふと目を覚ましました。満月はも
うずいぶん高くなっていて、夜中にもかかわらず辺りの様子をはっきりと見ること
が出来ました。声は海の方、つまり以前はお城があった方から聞こえたような気が
しましたので、イコは海のほうに様子を見にいきました。すると、とても不思議な
ことに、昼間には影も形もなかったお城が、煌々と降り注ぐ月光に照らされて、今
ははっきりと見ることができました。イコは夜になって急にあらわれたお城を不思
議に思い、また恐ろしくも感じましたが、ヨルダを苦しめるちからの源がきっと関
わっているに違いないと思いましたので、城まで行ってみることにしました。
イコのいた橋詰からお城までは、まっすぐに橋がかかっていましたので、イコは正
門まで簡単に行くことができました。そして、前に来たときはあれほど苦労して開
けた正門が、今はイコを迎えるかのように大きく開かれていました。
つづく