『読みました』報告・海外篇

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1解体屋
「図書館の美女」
「図書館の親子」
「図書館長の休暇」
ジェフ・アボット

あ〜、いいところで終わってからに〜!!!
コージーは好きです。次作は出てるのかなあ。
(ブックオフにて購入なのでわからない)
2名無しのオプ:2001/03/14(水) 18:50
コージー富田?
3名無しのオプ:2001/04/11(水) 17:31
「国名シリーズの大家 エラリー・クイーン」
http://mentai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=mystery&key=980748028&ls=50
4名無しのオプ:2001/04/11(水) 17:33
5名無しのオプ:2001/04/11(水) 17:57
6名無しのオプ:2001/05/27(日) 11:18
これもあげる
7名無しのオプ:2001/05/27(日) 12:36
今更ながら「時の娘」
8ねつてつ:2001/05/27(日) 16:30
そういや図書館シリーズ、新作出ないな。
『休暇』のあのラストで続きが出ないのは、気になってしょうがない。
早く出せー
9名無しのオプ:2001/05/29(火) 13:24
あれで終わってイイよー。
主人公キライになった。
10名無しのオプ:2001/06/03(日) 03:14
図書館シリーズ、最初からアカンかった…
あの人のドコがッ…!!“心優しき図書館長”なんですかッ…!!
11名無しのオプ:2001/06/13(水) 15:27
あげる
12ねつてつ:2001/06/13(水) 17:24
図書館シリーズ、ダメな人もいるようだね^^;
一般的なコージーとはかなり趣が異なる雰囲気なのは、作者が
男性だからというのと、意識してソープオペラっぽいストーリー
展開をさせているらしいことがあるからかなあ…

毛色の変わったコージーとして、割に好きなのですが。

それで思い出したのが、集英社でかなり前に出していたジョン・リッグ
ス。
「最後に笑う者」「名車を眠らせた男」
の2冊が出ていましたが、多分今は絶版でしょう。
これ、結構面白い試みをしているのです。

コージー風の舞台設定なのに、主人公(男性)だけがミョーにハードボ
イルド風^^

どこかで見かける機会があれば、一度お試しを^^
13名無しのオプ:2001/06/13(水) 22:28
ねつてつ氏がコージー好きとはちょっと以外だった。

ところで、ハンターのスワガーシリーズ4作目
『狩りのとき』を読了した。フィクションとはいえ
ベトナム戦争を活写していて興味深かったです。
現代に戻って、スワガーが家族を守るために奮闘
するところもgood・・
クランシーの『愛国者のゲーム』より数十倍よかった。
ただ、ミステリ仕立てのラストは、やり過ぎという感じ・・

今は『フェイモア先生〜』を読んでるけどこの感想は新刊
の方だね
14名無しのオプ:2001/06/14(木) 01:33
キャロル・オコンネル『クリスマスに少女は還る』読了。

『氷の天使』を読まなかったら、『クリスマス〜』を知らなかったろう・・・・。
訳もイイ。
おれ様殿堂本棚入り。
15ねつてつ:2001/06/14(木) 09:52
>13
今までも結構、それ系の話題とかにカキコしてましたけどね^^
あと、ハードボイルドや警察小説も好きだったりします。
実は節操ナシ^^;
16名無しのオプ:2001/06/14(木) 23:02
>>15
『図書館の死体』はさしたるトリックもなかったし、主人公にも
感情移入できなかったし、犯人もちっとも意外じゃなかった。
うーん、このシリーズは二度と手にとるまいと思ったねえ・・
179 (♀):2001/06/15(金) 15:44
主人公、男のイヤなとこ出まくりなのよねえ。
特に最後の「親子」。
18名無しのオプ:2001/06/25(月) 13:09
あげとく
19名無しのオプ:2001/07/07(土) 23:30
「黒後家蜘蛛の会」1巻読んだけど、つまんなかったです。
1,2話は楽しめるんだけどねぇ。オチが下らないつーか、ありきたりつーか。
2〜5巻を読もうかどうか迷うんですが、どなたかアドヴァイスを下さいませんか?
20あびぃ〜む:2001/07/08(日) 01:06
>>19
「黒後家蜘蛛の会」シリーズは短篇という制限から、どうしても物語の展開に
ワンパターンであるところは否めませんね、確かに。

例えば、「あのワンパターンがいいんだ」という場合は楽しめるかもしれませんが、
正直言って、だんだん飽きてきます(自分的には、です)。
もちろん、オチの出来不出来によっても楽しめ方は変わってくると思うのですけど……。
21名無しのオプ:2001/07/08(日) 01:44
>>14
亀レスですが、
「クリスマスに少女は還る」いいですよね、号泣ものでした。
しかも再読した方が感動度が高い。まさに名作だと思いました。
「氷の天使」はこれから読みます。
22名無しのオプ:2001/07/08(日) 01:56
あ、久々にあがっている。
この間読んだ本。「フェイモア先生〜」★×3
「猟犬クラブ」★×3「デッド・リミット」★×4.5

今、読んでいるのは「氷の天使」
23名無しのオプ:2001/07/08(日) 02:05
>>19
「黒後家」は、ミステリーとしてのプロットを楽しむというよりは、ウンチク
おじさんアシモフ翁の語りを拝聴する、という感覚に近いと思います。

ストーリー的には大して関係ない、料理の内容だの、ゲストの職業などに
関するこまごましたエピソードだの、メンバーのモデルになったアシモフの
友人の言動だの。
そーゆーのを全部含めて成り立ってるのが「黒後家」だと思いますんで、
『謎解きの本筋』以外は無駄なエピソードだと思われるなら、まあそれはそれで。

でも確かに、1、2巻に比べると、それ以降はどんどんウスくなってはいる
んですけどね。
24タコ:2001/07/14(土) 00:28
デイヴィッド・グターソンの「殺人容疑」。
読んで初めて知ったが、映画「ヒマラヤ杉に降る雪」の原作だったのね。
原題も映画と同じところをみると、恐らくミステリーファンに買わせようと
こんな邦題にしたんだろうけど・・・

タイトルから期待する内容と、実際の内容が一致しないで損してる。
この本を本当に読むべき人は、このタイトルじゃ読まないよ。
そして、私のようなのが読んでがっかりする。
25ボネたん♪:2001/07/14(土) 12:53
フェイ・ケラーマンのデッカーシリーズはどうでしょう?
26名無しのオプ:2001/07/14(土) 22:07
『氷の天使』読了。傑作『クリ少』に比べたらもちろん及ばないものの
その面影?は十分あったよ。顔に傷があるイカレタ女のサイドストーリー
が何となく良かった。結末はあっけない。
『アマンダの影』は読んでもいいような気がするな
27独者:2001/07/20(金) 23:52
ザングウィル『ビッグ・ボウの殺人』などを読んでみた。
Web上の書評サイトなんかでは結構評判いいみたいだけど、
私は少々物足りない気がしました。古い作品だからかな?
『黄色い部屋』なんかは、面白いと思える私なんですがね。
28あぼーん:あぼーん
あぼーん
29考える名無しさん:2001/07/21(土) 01:01
>>27
私にとっては熱愛の書です。『ビッグ・ボウ』
ドーヴァー版からコピー製本したのを普段読みにしています。
30名無しのオプ:2001/07/26(木) 02:15
サラ・デュナント『最上の地』
女性が主人公のハードボイルド(というほどでもないが)ってどうも好きになれない。
今度こそ面白いかも、といつも読んではみるけど。
31名無しのオプ:2001/07/26(木) 02:39
くまのパディントンの作家が書いたミステリというので
脇目も振らずに買ったのだけど、いまいち…
ドタバタすぎというか、各エピソードがうまく絡んで
立体的に見えてこないというか、単に性に合わないというか。
訳者も解説者も一丸となって盛り上げようとしてるのは
わかるし、決して水準以下でもないと思うんだけど〜〜
ミルンの「赤い館」は生涯ベストテンにもうランクインしてる
ほど性に合ったんですが…他に読まれた方、如何でしたか?
32名無しのオプ:2001/07/26(木) 02:54
有栖川の密室大図鑑に載っていたC・エアードの
「そして死の鐘が鳴る」読んだ。
確かにこの密室は(・∀・)イイ!
密室の動機付けもよかったし。
たまたま古本屋にあってよかったよ。
3319:2001/07/28(土) 00:43
>>20 >>23
亀レスですが、ありがとう。
結局「黒後家〜」の2巻を図書館で借りてはみたものの読まずに返してしまいました。
メンバーは結構好きなので、またいずれ読みたくなった時に…

今は「負け犬」を読み中。ああでも、人物表の中にパウダー警部補の名が…
がーん!(この人苦手なのに)
34名無しのオプ :2001/07/28(土) 14:40
>>31
「赤い館」プー好きなので読んだけど…素朴な時代だったのねっつーか
35名無しのオプ:2001/08/01(水) 02:02
>>31
グレープフルーツ氏とフライドポテト犬のアレですね。
私も「パディントン」シリーズ愛読してたんで、ちょっと期待したんですが…。

おフランス調なのが合わないのかなあ。なんかこお全体的に空回りっちゅうか、
「前後の状況から考えて、ココは笑うところなんだろうな、でも笑えねえ」って
感じでした。
料理が出てくる話とか、動物がパートナーになる話とか、わりと好きでよく読むほう
なんですけどね。
あ、主人公の自意識過剰ぶりがヤなのかも知れない。実際には、ほとんど事件の解決に
役立つようなことはしてないわけだし。
36 :2001/08/04(土) 15:05
『バッキンガム宮殿の殺人』C・C・ベニスン
もっと女王陛下が活躍するのかと主って期待しちゃった。
その方が面白いのに。
37名無しのオプ:2001/08/04(土) 22:29
>>36
さりげな〜くしか活躍できないのが陛下のツライとこ。
でも、殿下は大活躍するぞ!
キミもラヴゼイの殿下シリーズにGO!
38名無しのオプ:2001/08/08(水) 01:01
「犬橇レースの殺人」スー・ヘンリー
古本屋で50円になってたので、時間つぶしに購入。
思わぬ拾いもんって感じだった。
展開にスピード感があって、読んでて楽しかった。
39名無しのオプ:2001/08/10(金) 05:26
「朗読者」読了。とてもよかった。
最初は軽い恋愛ものだと思ったけど、途中からとてもヘビーに。
40名無しのオプ:2001/08/12(日) 09:59
『モスクワ、2015年』読了。うまく様々に輻輳した
ストーリーをうまく処理しているのと、「何事も立ち向かわない」
と決めている主人公があれよあれよというまに巻きこまれていく
ところが面白かったよ。モスクワの近未来って、日本の終戦直後
みたい。ただ、ラストがご都合主義かな?

続編の『凶運を語る女』にも期待
41名無しのオプ :2001/08/13(月) 13:58
バリンジャー『消された時間』を読みました。
…消化不良…
読まれた方の感想をうかがいたい。
42執事バンター:2001/08/13(月) 14:07
>>41ただひたすら騙すだけの一発芸ではないでしょうか。
あの手のトリックの身上である爽快感がなく、がっかりしました。
あと訳文がぎこちなくて読みにくかったです。
43名無しのオプ:2001/08/13(月) 14:16
>>42
レス、ありがとうございます。
もう一展開ほしかったですよね。
てゆか、なんで気付かなかったんだ!
44Enigma:2001/08/18(土) 20:11
 ステーマンの『マネキン人形殺害事件』を読んだ。
 何も語りたくない……。
45密室博士:2001/08/18(土) 20:23
「マネキン人形」、訳文がウルトラヘタクソで読むのが苦痛…
いまだに冒頭の10Pくらいでストップしてる。
ステーマンは「6死人」や「21番地」を読んだ印象でいうと「軽本格」
って感じだね。日本でいうと赤川次郎あたりか。
46名無しのオプ:2001/08/24(金) 23:24
報告、相変わらず少ない・・・
47いまさらだが:01/08/28 16:35 ID:GEkidDnQ
「ナイルに死す」

10年ぶりの再読です
サブ者の正体やらは覚えてたが、主要トリックはすっかり忘れていました。ゆえ犯人しぼれんかった。
にも関わらず、解答に衝撃がなし。(メール欄)てのは別解も考え得そうで好きでない
とはいうものの、ロマンスとしてはお見事。
48あびぃ〜む:01/08/29 02:30 ID:K/9Sl8ew
ブルース『三人の名探偵のための事件』
自分的には『チョコレート殺人事件』の方がきれいで好きだ。

……ちゅうか、ブルースの方は読む端からどんな内容だったのか
忘れてしまっている。
49名無しのオプ:01/09/03 08:22 ID:MgWWR0ng
ここのスレを見て、「マネキン人形」をまだ読んでないことを思い出し、
不評にもかかわらず読んでみる。

帯に、鮎川哲也の評が書いてある。
「いままで読んだ海外ミステリーの中で、五指に入る文句なしの傑作です。
あぁ、私の耳に、読了した時のあなたのため息が聞こえてくるようだ。」

確かにため息はついた。鮎川氏の期待したものとは違うため息が。
訳もヒドイ。
現在品切れだから、この本を探して読もうと思っている人へ。
ブクオフで100円なら、買ってみるのも良い。
ステーマンのコレクターなら500円でも良いだろう。
人のいうことは聞くもんだなぁ。つくづく。

「密室殺人コレクション」(二階堂・森編)もひどかった。
最後の「飛んできた死」は評価できるけど。
50名無しのオプ:01/09/03 15:40 ID:c42OIqfI
「クリスティー記念祭の殺人」キャロリン・G・ハート
長っ!
とくに事件までのゴタクが長すぎ。
クリスティ好きでも飽きたぞ。
51名無しのオプ :01/09/03 16:30 ID:7LxXmb5Q
アニーとマックスシリーズはゴタクが書きたくて
始められたものと思われ
52名無しさん@1周年:01/09/03 18:11 ID:N0QPvT02
なんでこのスレの国内版がないの?
あるんだろうけど下がってるのかな。みんなミステリー読んでる?
ってこのスレに書いたらだめだな。スマソ。
53名無しのオプ:01/09/03 20:04 ID:0rvFPxsg
ほれ>52
『読みました』報告・国内篇
http://mentai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=mystery&key=984575251&ls=50
時々書き込んでないと、倉庫落ちしちゃうよ。
54名無しのオプ:01/09/07 13:21
マロリーシリーズを読み始めました。
まだ後ろに2冊控えているのがウレシイ。
マロリーちゃんあげ。
55あぼーん:あぼーん
あぼーん
56名無しのオプ:01/09/17 06:43
ハーレクィンから、MIRA文庫という、ロマンチック・サスペンスの
シリーズが出てたけど、買った人いる?

どれが面白いか分からないし、出版社が出版社なので(重版はしないだろう)、
全部買ってみたが、あまりの量に…。

しかし、個別に見ていくと、ページ数の割にお値段は安めですね。
57あぼーん:あぼーん
あぼーん
58名無しのオプ:01/10/11 00:03
「警視の秘密」デボラ・クロンビー
可もなく不可もなく。
登場人物が少ないので、犯人がわかりやすいのが難。
それと綾辻などを読んで刺激に慣れすぎたこの体には
(メール欄)は物足りない・・・・
59名無しのオプ:01/10/11 15:19
いまさらながら、クリスティー「ABC殺人事件」読了
アクロイドとかオリエントよりずっと面白いし、びっくりした。
こんどABCテーマのアンソロジー(「Y」の悲劇の続編ね)も出るし、
楽しみ楽しみ。
6058:01/10/11 22:04
「警視の死角」デボラ・クロンビー
今日は同じシリーズのこちらを読んだ。
警視の秘密よりこっちの方が面白かったが、
展開が読めてしまったところは・・・
それと、裏表紙のあらすじ書きすぎ。
あそこまで書かないでほしかった。
61名無しのオプ:01/10/20 09:37
『マルヴェッツィ館の殺人』(上・下)ケイト・ロス読了。
うぉーーーーんっ
おもしろかったよーーーんっ
上巻の話の流れがトロかったんで、こんな分厚いのを読み始めてと後悔しかけてたら、
意外な真相が最後に次々明らかに!
昨夜は一睡もせずに結局読んでしまい、それでも飽きたらず読み直してしまった。
だって真相を知ったらどうしてももう一度読みたくなったんだもん。
それにしても返す返すも残念。
ケイト・ローーースッ!
早く死にすぎーーーーっ!もっと読みたかったよーーーーーっ!

あ、私はわりとミステリ初心者なんで真相は意外だったけど、
ここのマニアなみなさんなら、そんなこともないのかも・・・
62名無しのオプ:01/10/22 06:44
>>61 前作、前々作読んだ?面白かったよ。
早すぎたよね、ケイト・ロス。
僕ももっと読みたかったです。
63名無しのオプ:01/10/24 11:40
うへ〜!下がってるので「マロリーの神託」と「氷の天使」の
読み比べをした。訳でキャラが変わってたりするんだねってことで
age
64名無しのオプ:01/10/24 13:11
ラヴゼイの殿下シリーズ、癖になりそう
『伝家と七つの死体』、良質の紋切り型が楽しめました
65名無しのオプ:01/10/24 22:49
>>64さ〜ん
でんかチガイですって!伝家→殿下っす。
6664:01/10/25 11:10
>65
あっ!!なさけないなあ。
ところで本屋に行ったら「氷の天使」はなくて「マロリーの神託」だけ置いてました。
読む順番って大事ですか?
日本語の本が高く、また入手しづらい環境にいるため、
昨日はえらく迷ってしまって買えませんでした。
文庫の新刊2000円なり。とほほ。。
67解体屋:01/10/25 11:56
「捜査官ケイト 夜勤」 ローリー・キング 集英社文庫 読了。

いやー、やっぱりローリ・キングはいいです。
今回はちょっと長めのストーリーでした。
来年か再来年くらいには、ホームズの愛弟子シリーズの方も出るみたい。
ほくほく。
68名無しのオプ:01/10/25 21:57
>>64さん
日本語訳でしたら、私は「氷の天使」の方をオススメしたいです。
登場人物の性格描写など、こちらの訳の方が良かったと思います。
どなたか他に、読み比べした方いらっしゃいませんか?
「マロリーの神託」は日本だと入手しにくい状況みたいなので、
なんだか皮肉ですね(笑)
読む順番は、う〜ん・・・。私は発売の順番通りに読んでしまったので、
どうかなぁ。ストーリーを読むぶんには問題ないと思いますが、
登場人物のカラミなどで楽しみたいのならば、やはり順番通りかな?

でも、文庫で¥2000!大富豪にでもならなきゃ(?)気軽に
本が読めないなんて、キッツイです〜。頑張れ!←意味不明
ミステリー版のヒトたちで、各自読み終わった本を回し合う?
でも「壁に投げつけた本」ばっかりだったら、悲しいよね(笑)
69名無しのオプ:01/10/29 00:14
「女刑事の死」ロイ・トーマス(ハヤカワ文庫 ミステリアス・プレス)
最後まで退屈せずに読めたが、コージー派や本格の好きな私には、
読後のカタルシスが得られなかった。
ハードボイルド好きの人には、この雰囲気のラストがいいのかも?
70名無しのオプ:01/10/29 00:42
「エンプティ・チェア」ジェフリー・ディーヴァー読みました。
前作「コフィン・ダンサー」イマイチの印象でしたが、
今回はなかなか楽しめました。
71名無しのオプ:01/10/29 09:38
「そして誰もいなくなった」クリスティ
久々に有名ものを読むか、と思って読んだら
昔は面白かったはずなのに、ちっとも面白くなかった。
72名無しのオプ:01/10/31 13:52
「マルクスの末裔」バリー・メイトランド
おおむね満足。
ストーリーは面白かったけど、登場人物の性格描写が物足りなかった。
特に女主人公の感情が伝わりにくくて、感情移入しにくかった。
当初、主人公を男性刑事にするつもりだったとあとがきにあったが、
この作家さんは特に女性の感情描写がヘタなので、
男性のままにしておいた方が良かったのでは。
73名無しのオプ:01/10/31 18:51
>>67
捜査官ケイト新刊出たの?!買わなくちゃ。

「ファーザーランド」R.ハリス
ヒトラーが死ななかった世界を描いている小説。
内容はなかなかハードだし、最後も悲しいのだが
何度読んでも好きだ。
74名無しのオプ:01/10/31 21:36
「難事件鑑定人」著:サリー・ライト/訳:長島水際/出版:ハヤカワミス文庫

登場人物が多いけど(52人紹介されてる)慣れたら大丈夫。
性格描写もうまく書かれているので、楽しめました。
続編があるみたいなので、早く読みたいなぁ。
75名無しのオプ:01/11/04 14:36
「海の警部」ミシェル・グリゾリア ハヤカワ・ミステリ文庫

大変な苦痛だった。最後まで読み通すのが。
フィルム・ノワールとかゴダールとか、そういうのが好きな人には楽しい本なんだろうか。
フランス・ミステリ批評家大賞受賞という煽り文句に惹かれて読んだが、
もともと暗くてつまらないという偏見のあったフランスミステリをまた一段と嫌いになった。
チャンドラーとか好きな人でこれを読んだ人がいたら、ぜひ感想を聞きたいものだ。
76名無しのオプ:01/11/04 14:36
77名無しのオプ:01/11/07 11:08
「秘密の友人」アンドリュー・クラヴァン 角川文庫

面白かった。
裏表紙のあらすじに「サイコ・サスペンス」と書いてあったので
ちょっと躊躇したけど(サイコ・サスペンスがあまり好きじゃないので)
普通の推理小説として読んでも十分謎解きの面白さがあった。
不満があるとしたら表紙のイラスト。
私のエリザベスのイメージはあんな顔じゃないんだよなあ。
78名無しのオプ:01/11/07 11:40
今さらながらカドフェルシリーズを読んで見た。
そこそこ面白いが、ミステリとしての面白さはいまいち。
時代ものとして読んだほうが吉というかんじだった。
79名無しのオプ:01/11/08 16:24
「殺したいほど愛してる」R.G.ベルスキー(高山祥子/訳) 講談社文庫

どんでん返しに継ぐどんでん返しはいいんだけど…。
映画じゃなくて本だったのが災いして、事件が解決したかに見えても、
残りのページの厚さを考えると、まだひと波乱あるなと身構えちゃう。
それと、男性の作者がキャリア女性を主人公にした場合、
私はたいてい共感できないけど、この作品はすごく共感できた。
全体的に満足しました。
80名無しのオプ:01/11/12 21:12
P・D・ジェイムズの「不自然な死体」を10年ぶりに再読。
P・D・ジェイムズじたいここ数年読んでなかったんだけど、
昔の印象よりずっと読みやすかった。
この10年の間にイギリスに数年住んだせいか、サフォークの田舎の光景とかが
より鮮明にイメージできたことが大きかったかも。
海外ミステリが読みにくいのスレに、風俗や習慣になじみがないからと
書いてた人がいたけど、そうかもと納得した。
81名無しのオプ:01/11/12 23:08
このスレッドには著者本人が紛れ込んでいます
82名無しのオプ:01/11/13 00:02
>>81
外人が日本語で書き込みしてんの?
83名無しのオプ:01/11/13 00:28
>>82
うん
84SURPRISE PARTY:01/11/13 00:57
This is a really wonderful novel.
Imitation of other novels, such as how to heap up fear,
is not allowed.
And the shock of an end and all the things that were
just being read until now are reversed.
Probably this novel will surely become the Bible of a
detective story
community from now on.
I am sure so.
85名無しのオプ:01/11/13 22:48
>>84
どこを縦に読むの?
86nanasinoopu:01/11/17 01:03
Get outta here. This place is not a place to ask questions about somebody else's post. They won't answer anyway. And if you keep on talking in that language, you won't do anything. Come back when you can properly use the language spoken in 2ch.
87  :01/11/17 16:26
わ〜い!なんだかゼンゼンわかんな〜い!
88名無しのオプ:01/11/21 20:15
デミルの「王者のゲーム」読んだ人いますか?
版元変わったし、今までと違うイメージの作品っぽかったので
買おうか躊躇しているのですが
89ねつてつ:01/11/22 11:04
ローレンス・ブロックのアンソロジー、「巨匠の選択(ポケミス)」を読んだよ。
ブロックの作品のアンソロジーではなく、ブロックが編んだアンソロジーです。
現役のミステリ作家達に「今まで書いた中で、もっとも誇りに思う短編」と、「他
人の作品で、最も気に入ってるもの」を選ばせて、並べるという面白い試み^^
トニイ・ヒラーマンやビル・プロンジーニの短編を久々に読んだ^^
ジョーン・へスも入っているのがちょっとくすくす。巨匠は巨匠でも、「下町の巨
匠」っぽいけどなー。この人はやっぱ短編のほうがピリリとして好みだ。
来年には2冊目が出るらしい。エド・ホックは入ってるかな?
90  :01/11/22 18:09
>>88
新刊紹介にコメントがあったと思うよ〜。
見てみてちょーだい。
91名無しのオプ:01/11/22 18:47
『殺人海岸』ミシェル・グリゾリア ハヤカワ・ミステリ文庫

>>75
チャンドラー好きだが、これはやはり苦痛だった。
描写過多でつきあいきれん、という感じ。
原書はみてないけど、訳文がミスマッチなのでは?
という印象もある。単にテイストが合わないだけかもしれないけど。
『海の警部』は読んでない。

>68
レスありがとう。
12月に一時帰国して即買いします。
二軒ある日本書店のうち、ひいきにしてる一軒は創元置いてないので。
ひいきといってもたかが知れてるけどね。
9275:01/11/24 02:31
>>91
おお、まさかレスがあるとは。
描写過多・・わかるわ。
あと、話があっちこっちへ脈絡無く飛んでいくのにまいったです。
チャンドラーをお好きな方でも読みにくいんですね。
殺人海岸は今後も読むことはないでしょう(笑
9391:01/11/24 02:59
>92
ここはペット板なみに人が少ないとこらしいですから(笑。
海外ミスでも肩身が狭い(?)のに、
フレンチものを読む方がいるなんて、こちらも驚いてます。
チャンドラー好きだけど、マイク・ハマーにも惚れてるので、
あまり参考にならないかもしれない。

>話があっちこっちへ脈絡無く飛んでいくのにまいったです。
元雑誌記者の文学コムプレックスみたいなものすら感じましたね。
とにかく描写が長くて読みにくければ偉い、みたいな。

>もともと暗くてつまらないという偏見のあったフランスミステリ
最近はいいのに当たらず鬱ぎみですが、
ジャン・ヴォートランの『パパはビリー・ザ・キックを捕まえられない』や
セルジュ・ブリュソロ『真夜中の犬』(角川文庫)
あたりは、ふつうに楽しめましたよ。
一応フォローまで。
94名無しのオプ:01/11/24 03:00
さげまちがえてしまって・・・(涙。
95  68:01/11/24 15:48
>>91

>92さん同様レスあってビックリ!です。
マロリーシリーズの4作目が帰国中に出版されると良いですね。
ちなみに、発売の予定は発表されてないみたいです。
9691:01/11/24 17:23
『殺人海岸』と『ハリー・ポッター』の口直しに、
アシモフ三部作『鋼鉄都市』『はだかの太陽』『夜明けのロボット』再読。
ほぼノン・ストップで一気読みしました。傑作です。
まだ頭がぼおっとしてますが、気持ちがいいです。
一応SFミステリとあるので、今回はミステリのつもりで読み直しましたが
板違いでしたらご容赦くださいな。
9792=75:01/12/01 01:56
>>96
私はちょうどホーガンの「星を継ぐもの」を再読したところです。
91さんとは微妙に気が合いますね。
ケコーンするほどではないのでコニャクあたりで(笑

「星を継ぐもの」はSFミステリの傑作だと思ってます。
人物造形が見事で、最後にはあっとおどろく結末。
後味も文句無しによい。大好きな作品です。
9891=96:01/12/01 02:11
>97
あ、またお会いしましたね(笑)。
今日は、というか数日かけて『薔薇の名前』再読中です。
脳細胞が泡立ちそうだ。

「星を継ぐもの」はわたしも好きです。
99名無しのオプ:01/12/02 20:00
『薔薇の名前』のあいまに、エルロイ『秘密捜査』(HM 98-1) 読了。
ラストが破綻寸前なまでに(メール欄)なのが、
逆に快感を呼んだりもする。
小泉喜美子の訳文は淡々として上手い。
女性キャラが「わたくし〜なのよ」を連発しても、違和感がない。
冒頭部で、「ああ、よしよし」と言いながら犬を触るシーンが、
なぜか頭を離れません。
心地よい夢が悪夢に変わっていき、そして最後には夢は夢にすぎなかった
と教えてくれるような佳作。(☆☆☆)
100名無しのオプ:01/12/03 00:51
ロバ−ト・ゴダ−ド好きな人いませんか?
ちょっと話の展開に無理あるけど『リオノ−ラの肖像』はつくづく泣けてくる。
名作だと思うのですが…
101名無しのオプ:01/12/03 14:54
>100
出たら読みますけど、後味の悪い作品が多くて好きとまでは…
102パーカー信者:01/12/04 01:19
>100
「リオノーラ」は読んでいて、その舞台(ウェルズという街の、「僧院の庭」
ってとこ)に行ったことがある!と気づいてびっくりした記憶が。
ゴダードは主人公ともども、読んでる方も騙されるので鬱になる…
そんでも「リオノーラ」はきれいに終わってる方だと思う。
「千尋の闇」とかは苦手。
103名無しのオプ:01/12/04 01:52
そうか−。
あの暗い世界観が何とも好きなのだけど>ゴダ−ド
104名無しのオプ:01/12/04 01:56
105名無しのオプ:01/12/06 11:22
リチャード・ローゼン「ディフェンスをすり抜けろ」
前作の「ストライク・スリーで殺される」がすごく面白かったので期待したけど…
犯人が割れるのがはやすぎ。
作者は、最後に別の部分でのどんでん返しをしたつもりかもしれないけど
あの人物が最初に登場したときから真相はバレバレだったので意外でも何とも。
それなりに楽しく読ませてはもらったけどね。
106名無しのオプ:01/12/13 18:36
エリック・ライト「神々がほほえむ夜」早川ミステリ文庫

カナダのミステリという物珍しさで読んだけど、
ミステリとしては面白くなかった。訳も悪いし。
でもカナダのフランス系とイギリス系の確執とか、
階級のこととか、カナダ社会のディテールがすごく面白かった。
107名無しのオプ :01/12/15 21:45
「ソロモン王の絨毯」レンデルのヴァイン名義
おもしろかったー。
ただ買った時は本当に絨毯がでてくるもんだと
思ってて、途中までずっとこの古い屋敷の
どこかから骨董モノの絨毯がでてきてみんなで
取り合いをするにちがいないと…。
108執事バンター:01/12/17 10:15
バークリーの「試行錯誤」と「ジャンピングジェニー」を読みました。
すごくおもしろかったです。バークリーファンになりました。
ふたつとも仕組みというか、発想がそっくりですね。

あとスコットという人の「人魚とビスケット」も読みました。
すごくおもしろかったですが、オチの意味がよくわかりませんでした。
109名無しのオプ:01/12/17 11:00
>>108
「人魚とビスケット」、「オチが謎」スレでも同じこと言ってた
人がいたけど、そんなにわかりにくいオチだったっけ?
私が読んだのは旧訳でしかもだいぶ前だから曖昧になってきてるけど、
心にやましいところのあった奴が死者の影に(mail欄1)、
(mail欄2)の謎が解かれたって、それだけじゃなかった?
110執事バンター:01/12/17 12:03
うーん、文庫の解説を読むと、それ以上を期待させる何かがあったんですよw
あと、ブルドッグが(メール欄)だったというのもオチかなあ。
111名無しのオプ:01/12/19 00:37
ジョンソールの「魔性の殺意」おもしろかったな。
意外性とスリルがたまらない。
112名無しのオプ:01/12/19 00:42
アントニー・バークリーの未翻訳の『Who found murdered?』読んだ人いる?
113名無しのオプ :01/12/19 14:15
図書館でやっと借りられて「薔薇の名前」読了。
京極の「鉄鼠」から知ったのだけど、
この話がなければ「鉄鼠」は作られなかっただろうね・・・・
「鉄鼠」の妙な設定(死体の格好等)が「薔薇」から採られているのが「なるほど」だった。
「薔薇」自体も勿論面白かった。
114名無しのオプ:01/12/20 18:18
P.M.カールスンの「真夏日の殺人」を読了。
密室もののトリックとしてこれってどうよ?有り?
(メール欄)なんてさ。
クライマックスシーンもちょっとくどかった。
115名無しのオプ:01/12/20 21:41
クリスチアナ・ブランド「緑は危険」(ハヤカワミステリ)
さすが本格派とあって、トリックは小味だが構成はうまい。
しかし訳文が読みづらい、文庫版だと如何なのだろうか。
116名無しのオプ:01/12/24 01:04
積ん読になってた
スティーブン・ハンター『ブラック・ライト』を読み終わった。
いっしょに買ったはずの『狩りのとき』がどこにあるかわからない、欝。
117名無しのオプ:01/12/24 02:55
>>116
ご同輩…。
おれもわからない。当たりをつけたとこを明日掘るつもり。
年末の大掃除は……また来年。
118名無しのオプ:01/12/24 23:49
実に遅ればせながら、今年はバークリーの当たり年だったかも。
「最上階の殺人」もおもしろかったし・・・
セイヤーズみたいに、残った長編をどんどん出して欲しいな。
極めて重要な存在なんだから。
119名無しのオプ:01/12/30 19:47
ねつてつ さあ? 生活習慣病かい???
ねつてつは こっ端だからさ ねつてつは こっ端だからさ
121名無しのオプ:02/01/14 06:44
浮上します
122Noir:02/01/14 11:11
 デニス・レヘイン「愛しきものはすべて去りゆく」をやっとこさ読んだりして。
まあまあ面白かったです。裏表紙に書いてあるほど悲惨な印象はそうなかった。
ただよー、「ひでえドキュソな親」の対極として提示されている「いい家庭」の
イメージが、自分だったらとっとと逃げ出したくなるくらい旧態依然とした、
仮面家族に見えてしまったのはわしの性格悪いせいか。
123名無しのオプ:02/01/19 01:23
レジナルド・ヒル「秘められた感情」
こんな動機でこんなにたくさん殺しちゃうか〜
でもヒルはやっぱうまい。
1ページ目からすぐに引き込まれて最後までたるまずに読めた。
ダルジールの出番が少ないのは個人的に残念。
124名無しのオプ:02/02/03 01:26
>61
あなたのレスを読んでどうしても読みたくなって読んだ。
ケイト・ロス・・・。死ぬの早すぎだよう(泣
ジュリアンが一番好きになりそうな探偵になりそうで怖い。もう読めないのに。
125羊バンター:02/02/12 14:16
ジル・チャーチル「ゴミと罰」を読みました。
最初は子供たちの活躍がかわいい「スイートホーム殺人事件」を期待したんですが、
こっちは完全にお母さんが主人公なんですね。
楽しかったのでシリーズを続けて読んでいこうと思いますが、
人が死んでいるのにえらく緊張感のないミステリーだったなあ(笑)
126名無しのオプ:02/02/12 23:23
マーガレット・ミラーの『眼の壁』を読みました。

“...かれにはこれまで自分に注意を向けたり、自分を見上げたり
見下したりするような妻も、子供も、友だちもなかった。いわば真空の
中で生きていたので、自分が捕らえる奇妙な人々を理解し、大目に見、
そして好きになることができたのだ”というサンズ警部が出てきます。
127名無しのオプ:02/02/13 00:25
「闇にとけこめ」クレイグ・トーマス
トーマス作品はスリルとやりきれなさが好きでほとんど揃えてるんだけど、だんだん力量が落ちてきてる気がする。
今回のは最後の方以外あんまり危機感がなかった。
特に田村源○の訳のときは要注意。言葉の使い方が頭悪そうで萎える。
タムラさんにはもっとたくさん文学作品を読んで日本語を勉強してほしい。
「狼殺し」「ファイアフォックス」「〜ダウン」「闇の奥へ」あたりは凄く良かったのになぁ。
初期の頃のパワーを取り戻してホスィ・・・
128羊バンター:02/02/13 09:42
デュ・モーリア短編集「鳥」(ソウゲン推理文庫)を読みました。
意外な謎解き風のものもありましたが、むしろ
直球のサスペンスやサイコスリラーに凄みがありました。
特に感動したのは冒頭の「恋人」(Kiss me again, strangerという素晴らしい原題!)、
全盛期アイリッシュのような苦さと悲しさに満ちあふれた愛のミステリーでした。
解説の千街さんのいうように、ミステリー好きにとって埋もれてはならない作家だと思いました。
129名無しのオプ:02/02/13 22:46
>>128
その本探して読んでみようと思います。
130羊バンター:02/02/15 14:26
>129さん! レスしてくださり、うれしいです。
新訳といってるだけあって読みやすくもありました。
表題作「鳥」、映画と全然違って、僕はこっちが好きです。
スティーヴン・キング(「霧」とか)ばりのサスペンス設定なのに、
主人公の語りとガンバリにとても味があるんです。
131名無しのオプ:02/02/19 01:49
>>125
私もこの間読んだところです。
あの軽さが、深刻にならずに読めるいいところですよ。
仕事でくら〜くなってたので、息抜きにちょうど良かったです。
13261:02/02/19 01:57
>>124
本当に惜しい人を亡くしましたよね。
私も一番好きな探偵です。もう新作ないのに。
脂の乗りきったところでの死去で、本当に残念です〜(涙)。
133羊バンター:02/02/21 21:33
>131さん
僕はトッドちゃんがかわいかったのと、
長男のともだちのすごいかっこいいとされる友達が気になりました。
シリーズがすすむと活躍するのかなあ。
あと、オレンジジュースとみかんジュースって
アメリカではそんなにちがうんでしょうか。

楽しいミステリーを読んで、元気を出してくださいね!
134羊バンター:02/02/21 21:47
雑談所で紹介してもらった
マイケル・フレイン「墜落のある風景」(草原推理文庫)を読みました。

16世紀のフランドルの画家ブリューゲルの新発見作品をめぐって
哲学者と美術史家の夫婦(作品の解釈で対立ぎみ)と、
作品の所有者の夫婦とがだましあいをするという感じのマッタリしたものでした。
解説によればカート・ヴォネガットがほめていたというジョークは
おもしろさがあまりよくわかりませんでした。とほほー。
あと、僕は美術史を専攻しているくせによくわかってない劣等生ですが、
図像解釈というものについて、少し身近に感じられるようになりました。
フレインありがとう。
135名無しのオプ:02/02/24 00:23
このスレッドの各書き込み、週刊誌や他所の書評よりも
面白いです。
これから、ちょくちょくチェックしますので、よろしく
お願いします。
136名無しのオプ:02/02/26 16:31
アーロン・エルキンス「古い骨」 早川ミステリ・エクスプレス

再読だけど、エルキンスではこれが一番好き。
「ジョリはここですよ」って言いながら入ってくるフランスの警視さんとか、
一目惚れ同士の初初カップルとか、変な格言を連発するヤンキー小父さんとか、
登場人物が書き分けられていて、面白いです。
137名無しのオプ:02/02/26 23:26
>136
エルキンズはどれも好きですが、「古い骨」はなかでも傑作ですよね。
私も折に触れ再読してます。
エルキンズは日本でいうところの「トラベル・ミステリ」の作家ですよね。
どの作品も旅行好きの欲求も満たしてくれて、それでいてミステリとしての
一定の質も保ってあって感心します。
138名無しのオプ:02/02/27 02:12
ブリジット・オペール「雪の死神」を
ヒロインの設定のユニークさとタイトルにひかれて買った。
こういうのが好きな人にはたまらんのだろうが
自分的には金返せ。
139名無しのオプ:02/03/03 09:06
ロアルド・ダールの「飛行士たちの話」を再読。
あれ、映画「プライベート・ライアン」のあのネタ、この本からとったんだと
思ったのだが。読みふけり。

戦闘機パイロットの天国、フォーサイスの「シェパード」と似てる。
パイロットは、みんなあそこへいくんでしょうかね。
140名無しのオプ:02/03/03 16:10
フレッド・カサック『殺人交差点』(創元推理文庫)

「フランス・ミステリ批評家賞受賞作。驚愕のサプライズ・エンディング」
と帯にはある。
エンディングが唐突で面白かったのはもうひとつの短編
「連鎖反応」のほう。
ただし面白いと思えたのはラスト5行の投げやりな唐突さだけだな。
表題作はあくまで色恋ネタに終始する展開が、いかにも(差別的な意味で)
フランス的で、好きになれなかった。

機内で読むのにわざわざ手荷物に入れた本なのだけど、
金返せというよりは謙虚に自分を責めたい。
これだけじゃ12時間のフライトに耐えきれまいと
鞄に入れたSF二冊が面白く、何とか救われた感じ(板違いで…)

141Noir:02/03/03 19:53
 アンドリュー・クラヴァン「アマンダ」読了。スティーブン・キングの某作品を
ちょいとばかし思い出したりして。しかしヒロイン(アマンダでわない)に恋々とする
サックス奏者ルーニーの描写が切なくてなかなかよかった。
142パーカー信者:02/03/03 22:13
>141
いいよね「アマンダ」。とにかく切ない。
オイラ空港の売店で買って読みはじめて青くなったけど。
143名無しのオプ:02/03/03 22:19
>>140
ほぼ同感。
フランスミステリは基本的に嫌いなのに、フランス・ミステリ批評家賞受賞という
煽り文句に釣られてこれまで何度も失敗を繰り返しました。
○○賞受賞という言葉に弱い、ミーハーな自分が憎い・・・・
144名無しのオプ:02/03/04 02:42
アーロン・エルキンズの「画商の罠」を読みました。
学芸員ノーグラン・シリーズは「一瞬の光」を前に読んだことがありましたが
こちらの方が面白かったです。
美大を卒業しているので、ある程度知ってる世界が舞台になっていますが、
エルキンズは門外漢とは思えないくらい、この世界のことをよく調べており
とても面白く読めました。
また、スケルトン探偵シリーズと同じくトラベル・ミステリーの要素も濃く、
パリに行ったことのある人やこれから行く予定の人は、
そっちの面でも楽しめると思います。
145名無しのオプ:02/03/04 20:05
ここって、なにげにアーロン・エルキンズが好きな人が多いね。
146名無しのオプ:02/03/04 20:45
>138
前作「森の死神」は良かったと思うのでそちらをどうぞ。
147名無しのオプ:02/03/05 00:07
>>145
私もエルキンズ好き。でもスレを立てて熱く語るほどでもない。
立ててもすぐに倉庫にいきそう(笑
コージーっぽい気安さがあるものの、コージースレで語るのも場違いっぽい。
ここで時々語るくらいがちょうどいい作家なのかも。
148パーカー信者:02/03/11 22:03
「M・R・ジェイムズ怪談全集 2」創元推理文庫を読んだ。

「むせび泣く泉」 がほとんど怪異の由来の説明なしで
気持ち悪くて良かったが、「人名救助」って萎える誤植は
やめてくれ〜! 名前を救ってどうするよ(;´Д`)
しかも2回も間違えとるし。
149名無しのオプ:02/03/15 11:31
シャスティン・エークマン「白い沈黙」講談社文庫
684ページという分厚さをなんとか読み切った。
疲れたー…そのわりに実りが少ないというか。
推理小説を読み終わったときのカタルシスがないというか。
アウグスト賞とか北欧理事会文学賞とかスウェーデン犯罪学会最優秀作品賞など
受賞してる賞が文学よりなので不安はあったけど、
作者が”北欧のルース・レンデル”と呼ばれてるということなので思い切って読んでみた。
でもやっぱりミステリとは言い難かった。
北欧の生活や民族的確執、環境問題とか珍しい風俗文化には触れられたので
そういうのを目的に読めば面白かったんだろうな、とは思う。
150名無しのオプ:02/03/20 21:30
>148
(((;゚Д゚)))
151羊バンター ◆eBpzLOVE :02/03/21 09:43
マイクル・イネス「ある詩人への挽歌」(現代教養文庫)を読みました。
スコットランドの奇行で知られる地主が落下して死亡、
残された人たちが順番にその顛末を話していきます。
読みにくいけど、登場人物がどれもいい感じなので楽しかったです!
メイントリックも、バークリーやセイヤーズなんかに近いひねくれ度でびっくりしました。
この人のは初めて読みましたが、殊能さんがイイ!というのがわかります。

マイケル・イネス「アップルビィ警部の事件簿」(勉誠社)
こっちはなんか変な本でした。
訳した森一という人の解説がすごいいばりっぷりで嫌でした。
原文では「牧師」「教授」とだけあるのを、
勝手に「ブラウン」だの「ジョージ」だの名前を付けていると書いてましたが、
そういうのは駄目なのでは・・・
そのへんの事情をお尻の方、おしえてください。
152羊バンター ◆eBpzLOVE :02/03/21 09:44
あ、ついでにトリップの実験してしまいました、すみません。
153名無しのオプ:02/03/22 09:10
「7人の叔母」パット・マガー 

戦争前後の話なんだよね、これ。豊かな生活してるよね、アメリカって。
ナンシー・ドルー シリーズを読んだときにも同じ事を思ったけど。
あの頃の日本の軍人さんにアメリカの推理小説を読ましたら、
戦争しようとなんか思わなかったかもしれないな・・・
154名無しのオプ:02/03/23 01:25
「郵政捜査官」(ショーン・マグレディー)

主人公の職業が郵政捜査官という聞き慣れないものだったので、真保裕一みたいなのを期待して読んだが…
期待はずれでした。
まず、翻訳が良くない。すごく読みにくかった。
それと主人公のだらしなさに魅力を感じられない。
同じだらしなさでも、ダルジール警部などは魅力的なのに。
さらに、事件の核心に迫っていく行き方がとろとろしてて退屈する。
クライマックスシーンと後味だけは良かった。
155羊バンター:02/03/28 17:56
クリスティアナ・ブランド「ゆがんだ光輪」(早川ミステリー)を読みました。

シリーズ探偵コックリル警部の妹おばさんと、従姉の女の子が
カリブ?の島の聖女について取材に行き、いろいろ暴れます。
特に事件も起こりませんし、現地の言葉をおばさん自身もあまり理解してなかったり、読みにくいです。
聖女の話はおもしろく、おばさんたちのキャラもいいのですが、ちょっと辛かったです。
156名無しのオプ:02/03/30 12:08
ローラ・リップマンの「スタンド・アローン」(早川ミステリ文庫)を読了しました。

主人公の女探偵の家族描写がうるさいので適当に読み飛ばしてたら読み返す羽目に。
最初から家族のシーンもちゃんと読んどいた方がいいです。

全般的にかなり面白く読めました。
特に読後感が良かったです。暖かい気持ちになれました。
アガサ賞とアンソニー賞のダブル受賞だけど、さほどコージー色は強くないのもよかったです。

出版社に注文をつけさせてもらえるなら、表紙には
主人公を連想させるイラストは採用しないでほしいです。
読む前に主人公の容姿のイメージを決められてしまいたくないです。
157名無しのオプ:02/04/01 00:32
デイビット・ハンドラーのシリーズはさらっと読めて面白かったです
158羊バンター:02/04/02 20:42
昨夜、ステーマン「殺人者は21番地に住む」(創元推理文庫)を読みました。

切り裂きジャック風の殺人者がロンドンで大暴れしますが、
ある目撃証言で、犯人が21番地の下宿屋に住んでいるのがわかります。
下宿人の誰が犯人なんだろう!?
警察は怪しい奴をかたっぱしから逮捕しますが、殺人はやみません。
いったいなぜだ!!
という話なんですが、パターン的ですが楽しいキャラ、速いテンポで読みやすいです。
あと、下宿屋のおかみさん(たぶんすごく若いんだと思います)がおもしろい性格でした。

トリックはコンパクトで、ピーター・ラヴゼイなどが短編で書いてそうな感じ(?)です。
途中で挑戦状が2回もあるのですが、
クリスティやクイーンを読み慣れた人はすぐわかっちゃうかもしれませんね。
159名無しのオプ:02/04/03 12:09
ジョン・シャーロン『上海の紅い死』(ハヤカワ文庫)を読みました。

上海公安局の警部が、全国模範労働者にも選ばれた美女の
死の真相を追うお話です。
うーん・・90年の上海を中国人自身が語るとどうなるかって点では
興味深かったけど、ミステリとして読むと消化不良気味かも。
でも、詩人にして将来有望な理想主義者の独身警部、って言うのは
結構魅力的なキャラクターでした。
あと、さりげなくあちこちに出てくる食べ物が美味しそうだった。
シリーズ化すると言うことなので、次作が楽しみです。

でも、こう言っては何だけど、次作も同じ方が翻訳に当たるなら
もちっと誤訳をなくして欲しい…
上海のガイドブックを広げるだけで防げたミスがいくつもあったよ・・・。
160名無しのオプ:02/04/29 19:54
落ちすぎ。ageまっしゅ
161名無しのオプ:02/05/05 01:03
スティーヴン・ハンターの「さらば、カタロニア戦線」(扶桑社ミステリー)を読了。
彼の作品にしてはあまり評判が聞こえてこないので期待は低かったが、
読んでみると意外に面白かった。今のところハンター作品にハズレはない。
スペインを舞台に繰り広げられる友情と謀略と闘争の冒険スパイ小説。
キャラの各々に個性があって読んでて楽しかった。

それはそれとして、誤植がチラホラと。
「ロシア後」→「ロシア語」、「内蔵」→「内臓」など。
「貪欲」が「貧欲」になっていたのはちょっと笑った。

って、「貧欲」で検索したらかなりのヒットが・・・。
162名無しのオプ:02/05/05 04:21
▽『老人たちの生活と推理』コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫 読了。

ユーモアミステリ。併読としてサラサラッと読むぶんには面白いかな。
軽妙な語り口とは裏腹に結構重い結末だけど、登場人物の明るさに多少救われる。


163名無しのオプ:02/05/07 01:43
ピーター・ラヴィゼイ 「バースへの帰還」 ハヤカワミステリ文庫
名作の誉れが高かったですが、読まないままになっていたので読んでみました。
前評判をいろいろ耳に入れていたために期待しすぎて失敗したかなという感じ。
それなりに十分面白いが、結末や警察内部の部分の展開には納得がいかなかったり。
クライマックスもハラハラドキドキというよりもイライラしながら読んでしまいました。
164名無しのオプ:02/05/07 01:44
「ラヴゼイ」をタイプミスしますた。
165名無しのオプ:02/05/07 12:26
先日、ブラウン神父の最後の一冊を読み終わった……。
「読んでみよう」と思い立ったのは十年前。
やっと全部読めて嬉しい…で…す。
166名無しのオプ:02/05/10 02:00
誰か、ジョン・コラピント「著者略歴」早川書房 読んだ方いないっすか?
結構な話題作だと一部で評判らしいのですが。
167名無しのオプ:02/05/26 01:59
「クリスマスのフロスト」R・D・ウィングフィールド(創元推理文庫)

面白かった。
複数の事件が同時進行で捜査されるものだから「混乱するー」と思っていたけど、
漫然と読み進めていくだけでも大丈夫だったので一安心。後半の雪崩式に解決し
ていく様が爽快。
それにしても主役のフロストがいい。
自分がダメな人間であるがゆえに、他の人間にもダメなところがあると知ってい
るというか。
続編も買ってこよ。
168名無しのオプ:02/05/26 10:13
>>167
167が羨ましい。
これから「フロスト日和」の面白さを堪能できるのだから。
169167:02/05/30 20:05
「フロスト日和」R・D・ウィングフィールド(創元推理文庫)

面白い。あまりにも面白い。
濫発する事件の混沌とした状況にフロストが登場してくると、
読んでるこちら側はさらに混乱していって……、それがまた面白く感じてしまうw
どの事件がどう繋がってどこに手がかりが現れてどういう順番で解決していくのかが読めない楽しさ。
随所に見出されるフロストの魅力。
ラストの爽快感。
ひさびさに「読めて幸せ」の一冊。夢中になりました。
170168:02/05/30 20:22
あなたは可哀相。
もう、この面白さを味わえないから。
俺もおんなじだけど。
171名無しのオプ:02/06/14 23:31
今更ながら、パット・マガー著 「七人のおば」 

題材的にいえば横溝正史みたいなどろどろなのに、
読後感はからっとしてるなぁ。

あと、ナンシー・ドルー シリーズの作者が亡くなったそうで。
ご冥福をお祈りします。小学校の時好きでした。
今から考えると、W.W.1〜W.W.2の時代設定なのに、
「ロードスターを乗り回す16歳の少女」という主人公。凄すぎる。
最近、新しく新書版で出ていたけど、ミニスカをはいたイラストは
止めて欲しかったです。
172ミステリ初心者:02/06/23 20:18
「Yの悲劇」エラリー・クイーン/宇野利泰 訳/ハヤカワ・ミステリ文庫

明日「Zの悲劇」買ってきます。
173名無しのオプ:02/06/24 00:13
エドマンド・クリスピン「愛は血を流して横たわる」よんでみますた。
クリスピン初体験ですが結構ユーモアがあってよかったです。
トリックも無理無理な所もありましたが、よみやすいしプロットがすっきり
しているので久々に端正な本格をよんだという感じでした。
けどこのタイトル、訳者の駄洒落だったのね…
174名無しのオプ:02/06/24 00:24
>>173
ガイシュツかもしれないけど、love lies breedingってのはちゃんとした植物の名前なんだな、これが…。

http://www.j-aoki.gr.jp/chap2-9.html
↑こことか。
175名無しのオプ:02/06/24 18:14
>>174
へえー!そうだったのですか、ヒゲモイトウというのですね。
情報ありがとうございます、ためになりますた。
176羊バンター:02/06/24 23:41
エドワード・D・ホック「長方形の部屋」
(「サム・ホーソーンの事件簿2」創元推理文庫)を読みました。
すごい!
有名な作品なのでなんとなく落ちが推測でされてしまいましたが、納得しました。
ホーソーン先生モノも、こういうぶっとんだネタが多いといいんですが、いまいち退屈です
177名無しのオプ:02/06/25 00:55
ブロンジーニ&マルツバーグ「嘲笑う闇夜」読了。
いかにも折原一が好みそうな筋とキャラクターでした。
なんか皆微妙に狂ってる所とか。
超絶フーダニットというけど皆怪しすぎて逆に意外性を感じなかったような…
とにかく読みやすかったし、サスペンスがよかったので面白かったです。
ただ、どこが伏線なのか読解力不足で解らなかったです・…
178パーカー信者:02/06/25 19:01
>177
新刊紹介スレの方でも、読んだ人は皆伏線がわからんと
口を揃えて言ってたなあ〜
気になって、つい読んでみたくなる…ヽ(´ー`)ノ
179名無しのオプ:02/06/26 00:46
>>178
そうなのですか。
最初は(メル欄1)と(2)が(3)ので同じかなと思っていたのですが
結局ちがかったので解らなくなりました。
180卵立て:02/06/29 00:03
「どこより冷たいところ」S.J.ローザン
やっとこでたリディア・チンシリーズの4作目。
事件に意外性はないけど、キャラが丹念に書き込んであって、いい感じ。
181羊バンター:02/07/09 23:59
ミッシェル・ルブラン「殺人四重奏」を読みました。
ある女優の死に、「オレが殺した」「私が殺した」「いや俺だ」「あたしです」
など、何人も自白しだすという変な本。
海外版「羅生門」?

結末はあっけないものでしたが
ミステリーを読み始めたころにこれを読んでたらびっくりしたかな?
解説の法月氏、あいかわらずいい仕事してます。
フランスミステリーに詳しくなったような錯覚を覚えます(笑
182名無しのオプ:02/07/13 08:46
「検事長ゲイツの犯罪」シェルドン・シーゲル
前作「ドリームチーム弁護団」は面白かったけど、これはちょとねえ。
まるで、コーンウェルの「審問」並みの結末。
結末までがイイだけに萎えた。
183名無しのオプ:02/07/14 03:50
アーロン・エルキンズ「略奪」

物語中盤までは冗長で退屈した。
ところどころ物語の展開に無理を感じたりと、エルキンズの作品としては標準以下かも。
もちろんエルキンズなので、それなりにじゅうぶん面白いんですが。

それにしても何のためにエルキンズが別のシリーズにしたのかわからない。
主人公の設定や事件の背景など、これまでの美術シリーズとほとんど変わらないのに。
解説にわざわざ探偵を別にした理由が書いてあったけど、全然説得力を感じなかった。
184名無しのオプ:02/07/17 14:19
「殺人四重奏」は、法月綸太郎がどっかでミステリ文庫ベスト100に入れてたから
探して読んだけどいまいちだった。いくつもの自白のうち、確か(メール欄)
だったのががっかりだったし。
ミッシェル・ルブランは「贋作/モンタージュ写真」や「まちがえた番号」などの
方がずっと面白い。
185羊バンター:02/08/06 12:59
宮部みゆきさんの推薦文に惹かれて
ネヴィル・シュート「パイド・パイパー」(創元推理文庫)を読みました。

「気骨あるおじいちゃんと健気で可愛い子供たちの大冒険。たまりません」
宮部みゆき

これだけでいいですよね?
186羊バンター:02/08/06 13:00
>184さん
それらのルブラン作品を探してみます。示唆ありがとうございますた。
187名無しのオプ:02/08/06 22:46
>>185
漏れは杉田比呂美さんの表紙絵に惹かれて読んだ口。
188名無しのオプ:02/08/06 22:59
飛蝗の農場 いいよ
189名無しのオプ:02/08/06 23:13
>>184
でも一夜で終わっちゃうってところがいいよ
190名無しのオプ:02/08/08 02:11
「源にふれろ」"Tapping the source"
ケム・ナン著 大久保寛訳
読了しました 一気に読んでしまった ブクオフで100円にて手に入れた
淡々と書かれた文体がイヤミでなかったので、定食やで飯が出てくるまでの暇つぶし本
として買ったのだけど、予想以上に面白かった
まだ夏真っ盛り 「サーフィン」「バイク」がマイ・ブームとなってしまった
191名無しのオプ:02/08/09 10:42
「燃える天使」ジェイムズ・リー・バーク、角川文庫。

バークの作品を読んだのはこれがはじめてだが、変な作家・芸風だね。
ミステリーとしての「謎とその合理的な解決」は、ほとんどなし。
犯罪と、魅力的な登場人物描写には秀でている。

びっくりしたのは、その情景描写。こんなのには出会ったことがなかった。
過去の翻訳作品を掘り返して読んでみるか。
192名無しのオプ:02/08/13 22:35
ここで紹介されていて読んで「あたり!」と思ったものも書いていこう。
俺は>>128(バンターさんだな)の「デュ・モーリア短編集が面白かった。
エキセントリック一歩手前の耽美。
たとえると変だが、女子高で、下級生のパトリシア・ハイスミスから熱烈に慕われる先輩、
という感じだった。
193The Rock.:02/08/14 01:51
>>192
そのたとえ、なんとなく分かる。
194B37 ◆lPJpzlnU :02/08/14 01:55
>>190
ああ・・・懐かしいな。あれはイイ本だったよ。
195名無しのオプ:02/08/22 10:02
P.D.ジェイムス「皮膚の下の頭蓋骨」
異様に面白かった。
なんとなく戦後の横溝の世界を思い出したりしたよ。
正直、「女には向かない職業」よりもよかった。
196さく・え/ななし:02/08/22 22:36
「悲しみの40語」シルバーダガー賞のやつ(ハヤカワミステリ文庫)

初めて「検死官」が世に出たときくらいは面白いと思った。

ただし、翻訳が最悪です。翻訳のせいで前半イライラしっぱなしになるので魅力半減。
197名無しのオプ:02/08/25 23:10
ローラ・リーズはここで語っても大丈夫?
ミステリーだけど、エロ描写も大胆。でも登場人物の心理もよく書けている。『Mの日記』は読みごたえあります。
ただいろんなテーマを取り入れ過ぎてはいたかな…
198名無しのオプ:02/08/25 23:26
ロス・トーマス「神が忘れた町」「女刑事の死」「五百万jの迷宮」ブックオフで購入後一気読み。
いわゆるクールって奴でんな。
199イワサキの近所:02/08/26 00:04
やっと『薔薇の名前』終わりました。
3ヶ月かかった……。その間、何度ビデオ借りちゃおうかと思ったことか……。
上に2ヶ月半かかったけど、下に入ると、途端に進んで早かったです。
やっとビデオ借りて来れます。
200名無しのオプ:02/09/10 01:52
『合衆国復活の日』B・デュボイズ 扶桑社ミステリー
読んだかたいませんか?
感想聞きたいです。
201名無しのオプ:02/09/10 11:41
ココ見てたら、読みたい本が増えてしまった。
それにしてもこの板、ほんとに海外モノ少ないですね。

『死人主催晩餐会』ジェリリン・ファーマー
あそこまで引っ張ったのだから、いっそ犯人にしてしまったほうが面白かったのでは?
人物関係の複線が張られているので続きが気になる、といったところ。
202名無しのオプ:02/09/19 11:10
↑禿同あげ!
遅くてごめんよー『死人…』読んでる途中だったんだよん。
ほんとに、いっそ犯…(以下略

このスレってオススメでもいいの?他にそういうスレありましたっけ?
『リオノーラの肖像』 ロバート・ゴダードって読んだことある人います?
ミステリーのギリギリ範疇って感じだけど。
あたしは好きで長年愛読してるんだけど、読んだ人に巡り合ったことがありません。
暗いから?女向きだから?
203パーカー信者:02/09/20 01:27
>202
母親がどっかの庭歩きながら娘に延々と過去話するのって
リオノーラだっけ?

ゴダードは千尋の闇とそれしか読んでない…と思ったけど
違う本だったらごめん。
204名無しのオプ:02/09/20 09:55
そうなんです。自分の母親と父親の話、悪意のカタマリの継祖母の話などなど。
くらーい話です。でも好きなんです。
あんまり誰も知らないから、私の脳内本かと思って。んなわけないって。
ゴダードの他の本は読んだことないです。今度読んでみます。
205?ae?1/2?ae?1/2:02/09/21 16:57
『ホワイト・ジャズ』ジェイムス・エルロイ 文春文庫(板違いですか)
を、帯の推薦文にひかれて読みはじめたら、何が何だか分からなかった。まさか
つづきものだったとは…。やはり情報収集してシリーズなのかチェックしないと
だめですね。
でも、とりあえず最後まで読み切ってみました。
主人公といっしょに疲れたり自暴自棄になったりして、ジェットコースタームービー
にどっぷり浸かった気分でした。
分からないなりにエルロイ好きになりました。買ってよかった。
206名無しのオプ:02/09/24 09:11
LAコンフィデンシャルの人ですね。読んだ事ないけど。
LAシリーズの3作目か4作目だったと思う。
かなり難解だとの噂あり。もっと感想聞かせて。
ここってageていいんだよね…
207よたよた:02/09/24 14:06
『ビッグ・ノーウェア』ジェイムス・エルロイ 文春文庫(上下)
と、『LAコンフィデンシャル』のビデオをかりて、文庫の方から
読みました。
やっとホワイト・ジャズの意味が分かった。これまた素晴しい。
プロットが緻密に作られていて、それをベースにつづられる
キャラクター達の野心と愛憎。ずっとドキドキしながら読めました。
悪党しか出てきません(拡大解釈)が、どの悪党も魅力的です。
映画も面白かったけど、ここでは省略しますね。
次はLAコンフィデンシャルの原作だー。楽しみ。どっぷり浸かってきます。
208名無しのオプ:02/09/24 14:19
今ごろですが
「ハンニバル」読了。

なんつーか。スッキリしない結末。
209名無しのオプ:02/09/25 08:54
羊…はなんとか読めたけど、ハンニバルは15P位で挫折。
あなたは偉い。
210名無しのオプ:02/09/30 02:05
アシモフ「黒後家蜘蛛の会」1

何故か一番最後に1巻を読んでしまったんだけど、
や前評判どおり、「会心の笑み」が良かったです。
211読後感:02/09/30 14:15
「グリーン家殺人事件」・・・初めてのヴァン・ダインもの。読んでみてまず思ったのは、この作品はよく「Yの悲劇」と比較さ
                  れるけども、これはもう似てるというレベルではなく、パクリなのではないかということ。おおま  
                  かな舞台設定だけでなく、開かずの書斎、先人の手法の踏襲、暖炉の穴、反目しあっている家族達
                  等ほとんどまんまじゃん。後はね、なんかファイロ・ヴァンスって皮肉屋ってイメージあったんだ
                  けど、今回初めて読んで、確かにそうだったんだけれども、それ以上に周囲の人たちがやたらヴァ
                  ンスを蔑んでる印象を受けたな。それとなんていうか、ちょっと読みにくいかも。これも読む前に
                  そういう評価を聞いてたせいかもしれないけどね。
    「隅の老人」・・・これはねー、驚いたね。単なる短編集だと思ったら。しかし、このジジイは・・・ABCショップから引きず
             りだしてボコりたいね(笑
212読後感:02/09/30 14:16
 「Yの悲劇」・・・まあ、驚いたよ、犯人には。正直盲点だった。ずっとルイザが犯人だって思ってたもん。自分から嫌疑を外す
             ために2度も未遂を偽装したと思ったんだけど・・・よく考えたら何もしなくても疑わないか(笑 でも騙さ
             れたなぁ。アイツが犯人なんて全く・・・そう最後のあのシーンでも気づかなかった(笑 最初の未遂だって
             誰かがアイツをそそのかしてやらせたと思ってたし。本当に盲点だった。年齢をもうちょっと強調してくれた
             らなぁ・・・なんて負け惜しみを言ってみたりする(笑 でもっ、最後の最後、あのことだけは許せん!つー
             かあんなことした奴に何で今後も捜査の手伝い頼むんだろ?サムもブルーノも。それと、これは「X」読んで
             も思ったがブルーノの人格がイマイチ掴めない・・・。
    「樽」・・・よかったな。今までに無い感じで。地道だけど綿密な調査の元に推理をくみ上げていく展開に萌え。小説というより
          事件調書だけどそれもまたよし!(笑
    「デュパン3作」・・・いや、アナタが頭いいのはわかったからさ。イチイチ難解な理屈捏ね回して説明するのヤメレ!と思った
               よ(笑 あれだけのこと説明するのに何であんな説明なげーんだよ。ページ稼ぎだろゴルァ!
213読後感:02/09/30 14:16
「メグレ、罠を張る」・・・読んだあと え? って思った。これ何?何のヒネリもねーじゃん。推理小説か?コレ。つーかハヤ
                 カワよ、他にもいい作品あんだろ。何故にこれを選んだんだ?マジ問いたい問いたい小一時間問い詰 
                 めたい。マジヤオイ。しかし唯一つ、何故か読みやすい(笑 一日で読んだよ。
    「そして誰もいなくなった」・・・んー、今となってはね、どうしても翳っちゃうな(苦笑 名作という点では勿論賛成だけれど
                    も、絶対誰かが生きててやってるというのは思うもん。誰かはわからなくても。それに、犯人
                    をさ、ずっとあそこに放置しといたのかな?動かそうとして抱えあげたら即バレだと思うがな
                    ・・・。
    
・・・・以上ちょっと偉そうに書いてみました。もしも、読みこぼしとかあったらここぞとばかりに指摘して下さい!!
214名無しのオプ:02/09/30 14:17
改行がずたずたで読みにくい。
215名無しのオプ:02/09/30 14:25
グリーン家のほうがYの悲劇より前だからな。
216読後感:02/09/30 14:26
>>215
勿論、Yの方がパクリなんじゃないかってことです。
紛らわしくてすいません。
217羊バンター:02/09/30 14:35
パクリ、というよりは敬意ある「競争emulation」ととらえるべきなんじゃないでしょうか?
とくに初期のクイーンは犯人と探偵、作者と読者、そして"作家と作家"の間の
フェアプレイを重んじだわけですし・・・
218名無しのオプ:02/10/01 17:02
ナンシー・ピカードのジェニー・ケインシリーズを
何年かぶりで読み返しています。
あと、平行してディック・フランシスの「証拠」も。
この人の小説は、主人公の心の葛藤がたまらない!
ただ、題名と内容がごちゃごちゃになりがちなんだけど・・・。
219名無しのオプ:02/10/06 09:55
ウィル・ハリスの『アンティークな殺人』(HM)
さっき読み終わりました。
有名な『殺人詩編』のほうがテンションはずっと高いかな。
では、これから寝ます(笑
220名無しのオプ:02/10/13 01:10
『フィラデルフィアで殺されて』 ギリアン・ロバーツ(ハヤカワ文庫)

良くも悪くも標準作。アンソニー賞受賞だけあって退屈せずに最後まで読めるが
犯人も解決までの展開もコージー派小説の典型的な展開でほとんど期待を裏切らない。
それでも読後の一定の(それ以上ではない)の満足感を得られるのは
主人公の人物描写が一定水準に達してるかも。
良くも悪くも標準作。
221読後感:02/10/24 15:52
「月長石」・・・これ以前から読みたくてね。やっと読めたんだが・・・正直微妙ですね。アイデアは悪くない
            と思うけども長すぎですな(^^;)。半分で事足りるね。恋愛の要素がなかったら挫折したかも
            (笑。しかしレイチェルは態度悪過ぎだろ!!ドキュソ過ぎ!それに引き換えクラック嬢やロザ
            ンナが哀れで哀れで(;;)。でもあのワガママ娘を征服できるフランクリンはうらやましいな。
            Sの俺としては憧れちゃう(笑)。それと・・・カッフに推理のさえがないって哲田良雄が言
            ってたけど、ああも家族が非協力的じゃしょうがなかんべと思いました。あと語り手が次々に
            変わる手法は萌え。ベタレッジとクラック嬢のギャップがいいね。
    「赤毛のレドメイン家」・・・乱歩が激賞した言うから期待しとったのに・・・。これのどこが万華鏡なの?美
                  しい重層的な謎って・・・なに?謎は一個だけだろ。しかもその謎も極めてアマ
                  い。だってこの頃はもう「アレ」発明されてるだろ。あの現在はどの家庭にもあ
                  る文明の利器がさ。その存在を見事に無視してるてのはいただけないな。それと
                  舞台が変化するのがいいとか長谷部が言ってたけどそんなら「マギル卿最後の旅
                  」はどうなるんだって感じ(笑。あとブレンドンがこれまたヒドイ!お前はホン
                  トにスコットランドヤードの刑事かと小一時間(以下略)。中盤まで篭絡されて
                  たのはまだ許せるがガンスの見解を聞いたあとでも全く態度が変わってないのは
                  どういうことだこの素人童貞野郎!あの件読みながら腸が煮えくり返りそうだっ
                  たよ。
222読後感:02/10/24 15:52
「マギル卿最後の旅」・・・樽に続きクロフツ2食目です。この主人公の凡人ぶり(流石に全くの凡人じゃない
                 けど)は新鮮でいいね。この人の作品は同時代の作家の作品に比べて時代のギャッ
                 プをさほど感じないからいい。小説としては(苦笑)だけど(笑。アリバイ崩しに
                 重点が置かれてるから犯人探しのワクワク感は今ひとつだけど、読み応えはある。
                 今思ったんだがこの人の場合「樽」みたいに容疑者を少数にしぼって追い続けて行
                 く方が逆に犯人探しにワクワクすると思う。時々すごく横柄になるフレンチに萌え
                (笑。あとベルファストってなんかカッコイイ響き!
    「Zの悲劇」・・・固ゆで卵に失敗しましたね、コックさん(笑)。海外を飛び回っていろんな人と接してるだ
             ろうにやけにウブなペイシェンスに萌え(笑)。あれだったら強引にいきゃなんとかなりそ
             うじゃね?つか、何でジェレミーに好感情持つのかわからん。最初にやったことはあのスケ
             ベ医師と変わんないじゃん。いやまだしもアイツのほうが慎重に事を運んでたぞ。結局ルッ
             クスなんですね(笑)。
223読後感:02/10/24 15:53
「火刑法廷」・・・いいじゃんコレ!重層的な謎ってのはこういうのをいうんだよ!えらい伏線撒き散らしてた
             からちょっと心配だったけどちゃんと回収してるし、すげーよ。神がかってる。ただ読みに
             くいな。初めてのカー作品だけど。結末はリドルっていうけど、論理的に言えば犯人は後の
             方だよな。密室トリックとかはあの人でいいけど。
    「ハサミ男」・・・チキショウ!悔しい!あなたを愛してしまった(笑 これ2ちゃんでやたら話題になってる
             から絶対こきおろしてやろうと思って読んだんだけど・・・ぶっ飛びました(爆 アイツの
             名前が出てきたとき「わかった」と思って思わずニンマリしちゃったんだけど・・・甘かっ
             た。まさかああくるとは・・・。犯人もわからなかったし・・・。オレは「もうひとりの」
             が犯人だって思ってたからなぁ・・・そんな単純じゃないか(苦笑 でもオレが一番感心し
             たのは「叙述トリック」でも「ミスディレクション」でも「レッドへリング」でももうひと
             つのトリックでもなく、最初の殺人現場で「あの存在」をさりげなく書いてるところです。

・・・・以上ちょっと偉そうに書いてみました。もしも、読みこぼしとかあったらここぞとばかりに指摘して下さい!!
224名無しのオプ:02/10/24 15:56
読後感おもしろいが、空白がうざい。
ずれてぐしゃぐしゃになるのでいたって読みにくい。

「月長石」
これ以前から読みたくてね

と、改行するだけでいい。
225名無しのオプ:02/10/24 15:56
さらにいうとハサミ男は国内だ。
226読後感:02/10/24 16:17
すいません・・・メモ帳に書いといたのをネットカフェで急いで貼り付けて
るのでこうなってしまいました。以後気をつけます。
227名無しのオプ:02/10/24 17:49
>>226
マメな人で(・∀・)イイ!

>>224-5もそんなに突っかかるなよw
228名無しのオプ:02/10/27 02:28
マイケル・スレイド「髑髏島の惨劇」…もう今年のバカミスNO,1は決定したようなもんですた…
229名無しのオプ:02/10/30 04:17
ジャン・ヴォートラン「グルーム」
かなりウケてしまった…(≧∇≦)
230名無しのオプ:02/10/31 12:42
『夢の棘』ピーター・ロビンスン
バンクス警部シリーズの4作目。
このシリーズ好きなのにこれはつまんなかった。
バンクス警部がトロントに調査に行くんだけど、
「おまえ観光してる場合かよ」と言いたくなるくらい観光してばっかり。
事件の伏線かと思いきや関係ないし。
読後感もあんまりよくなかったし、話のキーを握る女性の性格がいらつくし、
彼女のモノローグもウザイし、展開もダルかったしいいこと無しだった。
231読後感:02/11/07 13:46
「陸橋殺人事件」
 この作者ってさ、十戒とか言って偉そうにルール決めた人なんでしょ?その
 割に大したことなかったな。坪内逍遥が小説真髄出したようなもんか?中盤
 まではなかなかだと思ったんだが、ラストは「何だよ!」って感じ。二重の
 どんでん返しが悪いとは言わないが、それには犯人のキャラクターをもっと
 立たせなきゃ駄目だよ。あれでは読者は失望するだけ。
「怪盗レトン」
 よかったな。もっとも最初の出会いが最悪だったせいかもしれんが(笑)。
 しかし作中にはっきりとした謎はなかったよな。読者にわからないことはあ
 っても。割かし複雑な構成ではあったけど。そう思ってたらあとがきで「シ
 ムノンの好きな人は<推理>より<小説>が好きで、シムノンの嫌いな人は<小
 説>より<推理>が好きなのだ」とあった。さらに「『怪盗レトン』はシムノ
 ンとしては比較的複雑な構成をもった作品である」とも。こりゃどうにもな
 らんな(苦笑)。まあ、この先この人の作品は「男の首」しか読むことも無
 いだろう。でもあとがき書いてる郷原宏氏には好感が持てた。
232読後感:02/11/07 13:47
「トレント最後の事件」
 なんつーか、偶然が積み重なった犯罪てのはやっぱがっくりくるよな。小説
 なんだからさー、一から十まで犯人の計画通りってんじゃないと面白くない
 。それをしないのは作者の力量不足と言われても仕方が無いんじゃないかな
 ?計画を進行していく過程でちょっと不手際がってんならわかるけどさ。あ
 とマーチ刑事の出番が・・・(笑)。ライバルじゃないんかい!でも恋を成
 就させたのには拍手。どこらへんで愛が育まれたかは謎だが・・・。ま、さ
 すがにトレントはブレンドンとは違うな(笑)。
「クロイドン発12時30分」
 クロフツ三食目。マギル卿より面白かった。追い込まれていく犯人の焦りぶ
 りがヨカッタ!「殺意」と「伯母殺人事件」も読む価値あるな、うん。ただ
 最後のフレンチの推測は多少無理があるが・・・。関係ないがユーナ逝って
 よし!アイツ結局あのナントカっつう阿呆と結婚するんか?なんか納得いか
 ねーな(笑)せめて破滅の前に一発ぐらいやらせてやってもよかったんでは
 ないかな?クロフツ君。
233名無しのオプ:02/11/07 16:35
またメモ帳か?なめやがって・・・
234読後感:02/11/16 13:20
「ドルリイ・レーン最後の事件」
 ついに来たな、四部作完結!例によってネタバレされてたけど、それなりに
 楽しめた。ずっと死人が出なかったから、「ふむふむ」と思ってたんだけど
 終盤で死にやがった!ショック〜 やっぱさぁ、人間的じゃないやつ、とい
 か一般人とかけ離れた生活・人生を送ってる奴に探偵させちゃ駄目よ(江藤
 風)。んで、ペイシェンスたんは結局コイツとゴールインか?そりゃジェレ
 ミー・クレーが可哀想だぜ!早く出てきたばっかりに・・・大体一生結婚し
 ないんじゃねーのかよ!!コイツ精神障害か?(笑)あと、これに出てきた
 スコットランドヤードのトレンチ警部ってモデルもろわかりですな(w最後
 に言ってやろう。犯人は「悪」である、と。
235読後感:02/11/25 14:06
「狼男卿の秘密」
 これ後半に差し掛かるまでクソ詰まらなくてね。ハァ?て感じだったよ。「ダ
 −トムアノヴェルス描いてんじゃねーぞゴルァ!」と叫びたくなった。第一
 あの錆付いた(当時はナウだったんだろーが/笑)展開ったらないぜ、正味な
 話。ウィリアムとアーマはただの幼馴染でロマンチックな関係じゃないだと?
 そう言ってプロポーズするまで何ページだったか言ってやろうか?あ?コラ!
 まぁ後半3章で大分失点は取り戻したがね。それでモナー。「赤毛」が駄作だ
 ったからコレに期待したんだがなぁ。これじゃ必死こいて手に入れた「密室の
 守銭奴」と「誰が駒鳥を殺したか?」も金の損てなことになりかねなさそうで
 怖いっす・・・。
236名無しのオプ:02/11/25 14:44
読後感もっと書いて。
237名無しのオプ:02/11/26 16:33
読後感いらない。
238名無しのオプ:02/11/27 18:56
「Mr.クイン」のシェイマス・スミスは「わが名はレッド」っていうの出してたんだね。知らなかった。
誰か読んだ人いない?
239名無しのオプ:02/11/30 01:03
>238
「Mr.クイン」しか読んでないんですが、他にも出てたんですね!
知らなかった〜。
明日(あ、今日か)本屋に行って来ます。

240名無しのオプ:02/11/30 01:58
>>231
「陸橋殺人事件」についてですが、
十戒はルールというよりミステリにおけるお約束を皮肉ったというのが定説ですが。
その視点で再読することをお勧め致します。
241名無しのオプ:02/11/30 02:16
>「わが名はレッド」
思ったより注目されていなかったんだな・・・。

内容に対しての分量が少ない気はしたが、
サラッと読めてすぐ楽しめる軽快な文章&ストーリーは良。
ただ、ねちっこさのない、乾いた「悪」なので、
コテコテのノワールが好きな人にはススメにくい。
242名無しのオプ:02/11/30 08:48
ゴダード好きですよ。
とくに「闇に浮かぶ絵」「リオノーラの肖像」
「千尋の闇」。
243読後感:02/12/02 09:43
「ルルージュ事件」
世界初の長編。読みました。しかも50年前の(泣 旧字体のオンパレードには参
った。んで、読んだ感想はですねぇ、前半は本格っぽくて後半はそうでもないかな
?ってな感じ。犯人も途中でわかったし。やっぱまだまだ未完成なんですね。それ
にしてもダブロン可哀想・・・。好きあってたのにねぇ・・・。あの女もいくら申
し込まれてたからって好きだったんなら変更しろよ!マジ腹立つ。でまかせ言った
んじゃねーのか?古典の女ってのはドキュソが多いね。まあ一番ヒドイのはレイチェル
だが(笑 それに引き換え、ノオマンとジュリエッタの愛は何とすばらしいことか!
244読後感:02/12/02 09:45
>>240
でもアンソロジーの序文でルールっぽく説明してたよ。
245名無しのオプ:02/12/02 17:01
読後感はノックスがどういう意図で陸橋殺人事件を書いたのか、
本当にわかってるんだろうか?
246名無しのオプ:02/12/03 12:01
>>245
わかってたらあんな「読後感」になるわけないじゃんw
彼はバークリーもきっと理解できないと思う。
247読後感:02/12/03 16:10
>>245
>>246
当時の推理小説を皮肉ったぐらいなら知ってるけど?
だからってつまらんものはつまらん。
248名無しのオプ:02/12/03 16:15
読後感は良くも悪くも「外」から眺めている気がする。
249名無しのオプ:02/12/03 19:01
>>248
ですね。
250名無しのオプ:02/12/03 21:45
なにをいまさらながら、オコンネル『クリスマスに少女は還る』読みまつた。

いやぁ、よかったでつ。
実は『氷の天使』が出たときに即効で読んで、ピンとこなくて、第二作以降は
読んでなかったんだけど、旧に読みたくなってきた。

どの作品で作家に出会うのかも重要と、改めて思った冬でつた。
251  :02/12/04 18:22
「夜のフロスト」読みました。面白い。
このシリーズは外れがないな。
252名無しのオプ:02/12/04 18:29
つまらないつまらないと叫ぶ読後感はなにをしたいのか。
253名無しのオプ:02/12/04 19:59
P.D.ジェイムズの「皮膚の下の頭蓋骨」を読みました。
読み応えあって満足致しましたです。
ラストの主人公にはもうメロメロになりますた。
どなたかも書いていたけれど「女には向かない職業」より良いかも。
254読後感:02/12/06 13:52
「赤い館の秘密」
これ読んでるとき「赤毛」に似てるな〜と思ってたんだが、何と出版年が一緒でし
た!いやぁ危なかったね(w どっちとも。でもこっちのほうが捻りも効いてるし
ぜんぜん面白かったと思うのだが。何で向こうが1位でこっちが8位なんだか。
あと、主人公が特殊能力者ってのはどうなんだろうね(笑 賛否が分かれそうじゃ
ない?オレは抵抗なかったけどさ。ま、でも実際にやろうとしたら最初の段階で発
覚するのは必至ですな。
255名無しのオプ:02/12/06 21:10
なんとなく暑苦しい
256名無しのオプ:02/12/07 00:33
アネット・ルーム「私のちいさな賭け」ハヤカワ文庫

がーーーっ
つまんなかった。主人公が馬鹿すぎ。あらゆる意味で。
前作の「私のはじめての事件」がなかなか面白かったので期待しすぎたか?!
前作で専業主婦から新聞記者に転身したときは
世間知らずがだんだん自立していく過程もおもしろかったのに
二作目ではさっぱり成長しない。後退してるんじゃないかってくらい。
シリーズものは主人公の成長も楽しみのひとつなんだよぉ。

シリーズものは3作目くらいまで面白ければ、あとは惰性で読んじゃうんだが。
257名無しのオプ:02/12/07 03:59
徐々に糞になってきた
258名無しのオプ:02/12/07 08:33
読後感=書斎魔神
259名無しのオプ:02/12/07 13:47
ジル・マゴーン『騙し絵の檻』(創元推理文庫)読了。
速読してしまったせいか、それほど面白く感じられなかった。
パズラーとしてのロジックはしっかりしてるんだろうけど、
期待したような大トリックが無くて残念。
解説の法月綸太郎氏が『ホッグ連続殺人』以来のマスターピースと
激賞しているが、個人的には『ホッグ』のほうがはるかに面白かった。
260名無しのオプ:02/12/08 00:17
>>259
ああ、漏れと同じ感想だ(w
読み終わった後、やっぱ「ホッグ」はよかったなと思った。

漏れも速読したので、それがいかんかったと思うんだが。
いずれ、ゆっくり再読する予定。
261読後感:02/12/09 17:27
「帽子収集狂事件」
 乱歩7位の本作なので期待して読み始めました。でも、前回の「赤い館」より読み
 にくかったよ。内容はナカナカよかったんだけどね。全く重要でもなんでもなさ
 そうに見える珍事件が思いもやらない事態を引き起こしてしまうってゆー。ただ
 そのトリックについては・・うーん。オレはもうちょっとロンドン塔自体に絡ん
 だものかと思ってたんだけどなぁ・・・。でも実際はちょっとクロフツって感じ
 か(?)。あとさー、巨勢・・・じゃなかったフェル博士がちょっと人智超えて
 たような・・・(笑)。あの時点でサイドポケット調べたりだとか、電話の内容
 を予測するっていうのはできすぎてる気がする。そして、ラストは・・・来た!
 オレの嫌いな偽善的解決(笑)。まぁ、博士の気持ちもわからんでもないが。こ
 の機会逃したらアイツ一生○○ぽいもんな(笑)。
262名無しのオプ:02/12/09 20:02
>>261
限りなくネタバレ
263名無しのオプ:02/12/10 02:32
よかった。
私も騙し絵の檻、つまんなかった。
本格ファンは、クライマックスで主人公が謎解きするからいいと思うのだろうか。
刑務所から出てきた男の複雑な心理とか、全然感じられない翻訳だし。
264260:02/12/10 09:38
>>263
別につまらなかったとは思ってないよ。
265名無しのオプ:02/12/10 17:10
>>262
そういう時はさりげなく流して、後から総括的に注意したほうがいいと思われ。
266名無しのオプ:02/12/11 01:41
>>265
いや、262さんが警告してくれてるのが目に入ったので、
261を読まずに助かった。262さん、ありがとう。
267名無しのオプ:02/12/11 01:51
まあ261程度じゃネタバレとまでは言えんと思うがな。
「帽子」のラストはオレも違和感があったよ。
ごめんですめば警察いらんつーの。
268名無しのオプ:02/12/11 02:11
騙し絵はヒロインの気持ちが理解できない
出てきたばかりの主人公に惚れただけで命かけるし、普通なにか裏がある展開になるはずなのにほんとそれだけ
話がくさい
本格ってのは人間描写どうでもいいらしいが……こんなんでいいのか
269名無しのオプ:02/12/11 04:14
>>267
あそこまで書けば犯人おおよそ見当がつくと思うが。
どちらかと言えばトリックよりプロットでペテンにかけるタイプのミステリだと思うしね。
270名無しのオプ:02/12/11 08:36
バッタの農場がこのミス・講談社インポケットの両方で1位なのにはびっくりした。
確かにつまらなくはなかったけどな〜。

どなたか感想ありますか。
271パーカー信者:02/12/12 22:34
飛蝗、オチが気になってガンガン読めたけど、ラストが
謎だった…

去年人気だった騙し絵も、自分としてはつまらなくはない、
くらいな感想だったんで、見る目がないんかなー
272読後感:02/12/13 09:06
「ビッグ・ボウの殺人」
 ストーリーは糞です。しかしトリックが素晴らしい。作中には2つのトリック
 使われているんですが(密室と・・・)、どちらもこの当時ではかなり画期的
 なものだったと思われます。この密室トリックについては乱歩の言っているこ
 とが正しいな。「『モルグ街の殺人』より遥かに優れ、ディクスン・カーのど
 作品よりもその独創性において勝っている」その通り。ただ、「『黄色い部屋
 の謎』ほどではない」というのには意義あり。(メル欄)という点でこっちの
 方が勝ってると思うのだが。「黄色い部屋」は密室としてはややアンフェアな
 気もするし。ま、それもいいんだけどこれと比べるとね。
273名無しのオプ:02/12/13 10:05
基本的にあたりまえすぎる感想である。
274260:02/12/13 10:27
>>273
スルーした方がいいんじゃないの?
275名無しのオプ:02/12/13 10:52
コテハン付けて下さってるのだから
読み飛ばしやすいしね。
276名無しのオプ:02/12/13 10:56
>>274-275
はい。了解しました。
277読後感:02/12/13 13:46
260は何で私に悪意を持ってるのか知りたい。
278名無しのオプ:02/12/13 23:01
>>270
あの主人公が、船で人を殺すのだけは少し納得がいかなかった。
279名無しのオプ:02/12/14 14:39
>>277
まぁ、気にするな。ここは2ちゃんだ。そんなことざらにある。
お前を叩いてる連中だって本心はコテハンで堂々とカキコしてるお前に嫉妬してる
のかもしれないじゃないか。そう考えると気が楽だろ?
何にせよ、このぐらいでへこたれてちゃ2ちゃんにカキコする資格はないってこと。
280名無しのオプ:02/12/14 14:47
というか、その前に、普通であたりまえすぎる感想じゃいかんのか?
ワザと奇をてらって書けとでも?同じ作品の感想が似かよるのは当然じゃないか?
281名無しのオプ:02/12/14 16:33
漏れは別に当たり前な感想で良いと思うけど。
ネタバレしちゃうのは勘弁してほしいけどさ。
読後感の感想読んでるとその作品読んでなかったりしてもイラッときたりムカッとする事があるので
飛ばしてる。多分考え方が合わないとかそういう事だと思うけど。
とりあえずむかついても一々叩かずに( ´_ゝ`)フーンで流せばいいんじゃ?
荒れるのはいやずら〜。
282名無しのオプ:02/12/14 21:08
>>読後感
コテハンは叩かれて強くなるw
もしくは去るのみ
名指しで批判されるようになったのを認められたと誇りに思えないならコテハンやめるのを勧めます
283名無しのオプ:02/12/14 22:58
飛蝗の農場読了。
あの分厚さで「主な登場人物」がたった三人だったから
どんな濃密な描写をしてるのかと期待したら
あんな方法で登場人物の水増しをしてるとは思わなかった。ちょとガカーリ。
主人公の人生の描写が興味深いことは確かだけど。

動機や心理描写に関しては、言うほど新鮮ではなかったかな?
クライマックスは某サウンドノベルかと思った。

とはいえラストはさっぱりわからない。
とくに(メール欄)。なにがどうなったんだか・・・。
284名無しのオプ:02/12/16 03:16
開かれた瞳孔、終わりました。
なんかイマイチ愛着の持てない3人の主要人物達。
これからもシリーズ化していく様だから、変化に期待する。
愛着は持てないけど今回の事件がどう影響したのか知りたい人物が一名いる。

派手な殺人方法で引っ張った割には犯人発覚〜犯人と対峙、あたりが
さらっとしすぎ、な感じだけど、それは単に私の好みじゃなかっただけかも。
短期間の出来事なので追いつ追われつ、は無理か・・・

あ〜、そんな事より違う訳者だったらもう少し面白く読めたかも。
285名無しのオプ:02/12/16 16:42
「薔薇荘にて」
 これ凄い!マジ名作!黄金時代の開幕ベル相応しい秀作です。夥しい数の伏線を
 見事に回収している。読んでる途中もワクワクしてたまらんかった。読み終わっ
 た後即座にベスト5に入れたよ(といってもまだ30弱しか読んどらんが)。「
 幻の女」を読んだ後の乱歩の気分♪ 何で今まで完訳がでなかったのか・・・。
 謎です。この分じゃ「矢の家」も期待が持てそう。しかしあとがきのオッサンの
 言い草がちょっと気になったな。「トレント最後の事件」には劣る、だと?んな
 こたぁない!アレは確かに2転3転の結末だけれども、細かい謎が少ないし、読
 んでて油断してしまう。まぁ指紋採取の方法はウマイと思ったが。それに引き換
 え本作は読んでて少しも油断ができない!ミステリのお手本ともいうべき一冊!
 ぜひご一読くださいませ。
286名無しのオプ:02/12/16 17:12
>>245
ちょっと聞くが、「作者が何を意図したか」が、「作品の評価」に直結するのか?
もしアナタのいう意図とやらが「シニカルな視点」ということなら、それだけで一
つの作品を評価するのは土台無理な話だと思うが。その前に一個のミステリとして
面白くなければダメだと思う。オレは「陸橋」はダメだった。アレは作者が力点の
位置を誤った代表例だと思う。他の作品に期待している。
>>246
アナタがノックスとバークリーを同列に置いている理由が上に挙げたものであるな
らば、聊か読みが浅いと思うのだが。
287名無しのオプ:02/12/16 17:42
要するに読後感の内容ではなく文体が嫌がられたのだが
それが内容への批判に摩り替えられたということですね。
288読後感:02/12/16 17:49
コテハン入れ忘れた(汗 >>285は私です。
289パーカー信者:02/12/16 19:31
>283
同志ハケーン
自分も某サウンドノベル思い出しますた
290名無しのオプ:02/12/16 20:27
>>286
都合に合わせてコテハン使ったり使わなかったりするからこそ嫌われるのですが。
自作自演するくらいならコテ使うなって。
ノックスの十戒をルールだと思うとか言う人間に読みが浅いとか言う資格は無いと思うよ。
291名無しのオプ:02/12/16 20:39
>>231での読後感の発言
>この作者ってさ、十戒とか言って偉そうにルール決めた人なんでしょ?その
割に大したことなかったな

これは批判されて当然かと。
バークリーとノックスが当事のミステリを違う視点で見ていたのは周知。
そういう背景がわかる人の発言とは思えない。
内容批判を人格批判と摩り替えている方がむしろ問題。
292286:02/12/16 20:40
はぁ?
オレは>>245->>246の書き込みに疑問を感じたからカキコしたんだけど。
あなたは>>245>>246なの?
何でそう思ったのか納得のいく理由を提示してくれ。
まさか主張が似てるからなんてことはないよな?
こんな無礼なレスもらったのは久しぶりだ。

293名無しのオプ:02/12/16 20:40
読後感叩き再燃かw
294286:02/12/16 20:41
↑は>>290へのレスね。
295286:02/12/16 20:50
>>291
オレが言いたいのは背景云々で評価が変わるなんてことはないよなってこと。
どういう視点で見ようがそれが作品本来の面白さに直結はしないでしょ?
作者のスタンスは作品を評価する上で特に留意する必要はないと思う。
面白ければ自ずと浮き彫りになってくると思うから。
296286:02/12/16 20:54
つーか290マジでムカつく!!
一方的に決め付けられた上にあの言い草・・・
今日寝れないっす・・・・
297名無しのオプ:02/12/16 21:07
>>286
まあまあ落ち着け
2chではよくあることだし

俺も相当ひどい扱いされた事あるしね
298291:02/12/16 21:20
>>295

僕が言いたいのはノックスを十戒という偉そうなルールを作った奴と間違った認識をした上で作品を叩いている事に対する疑問。
その後で間違った認識を指摘されたら開き直っている態度もどうかと思うしね。

あの作品評価は明らかにノックスを貶したいという意図が見え見えなのが好ましくないと思う。
また面白いかどうかは主観の問題なので一概には言えないと思うよ。

>>246の意図はバークリーとノックスを同列にくくると言う事ではなくパロディを理解出来ない読後感に対する皮肉と思う。
違うかも知れないが(苦笑
299291:02/12/16 21:23
誤解される可能性があるけど>>298は読後感に対しての僕の考えを>>295に説明しているって事なので(汗
決して>>295に対して批判しているわけではありません。
乱文乱筆失礼致しました。

逝ってまいります。
300名無しのオプ:02/12/16 21:28
作者の意図が信頼しがたいものであるのは事実だ。
それに支配されて、自分の判断力・読解を隠蔽するのはたしかにおかしい。
しかし、作品が発表された文脈を理解しなければ
そのおもしろみを充分に味わえないものが、
とくに出自国も時代も違う作品の場合にはしばしばある。
ノックスやバークリーのように、
同時代の潮流に対する批評的な視点を持っていた作家の作品では
なおさら歴史的文脈を理解することが「おもしろく読む」ための鍵となる。
そのための手がかりの1つとして理解された「作者の意図」は
もし正当に把握されたならば、なんら無益なことではないし、むしろ望ましい。

作者の意図なんかどうでもいい、という立場もあるだろうし、素晴らしいと思う。
読後感くんには、そういった王様は裸だ的なおもしろい感想文を期待したい。
いまのところ、権威を否定することに酔いしれていて、
自分の読解を提示せずに不平だけ挙げているような印象が少しあるので。
301名無しのオプ:02/12/16 22:43
>いまのところ、権威を否定することに酔いしれていて、
>自分の読解を提示せずに不平だけ挙げているような印象が少しあるので。

反感を抱かれてしまう理由の、これが一番的確な指摘だと思う。
漏れも同感。
302名無しのオプ:02/12/16 22:51
>>300-301
禿同
しかしある意味これだけ非難される「読後感」はすごいと思う。
303名無しのオプ:02/12/17 08:13
最初の方を見る限り読後感の文体はシャレだと思うが。
文体に不快感を覚えた人もいるようなので念のため。
304名無しのオプ:02/12/17 09:11
十戒がルールじゃないって言ってる人は原典読んだことがあるのだろうか。
それともソレ自体がネタだったとでも?
それを基準にしてアンソロジー編んだのもおフザケだったと?
それならルール的側面がゼロだというソースを挙げてくださいませんか?
煽りとかじゃなく本当に気になってるんです。お願いします。
>>298さん
問題のレス読みましたが、そのことと、叩いてる内容はリンクしてないように思える
のですが・・・こういうこと書いたらまた自演って言われちゃうかな・・・。でも、
気になったんで。
305名無しのオプ:02/12/17 09:47
>>304
十戒って、そもそも出た時からネタだったような気がするんだが。
「中国人を犯人にしてはいけない」なんて、どう考えてもギャグだろう。
306304:02/12/17 09:49
>>305
私は当時はそういう偏見もあったんだろうなぁって思ってたんですけど。
本人ももっともらしく説明してたし・・・。
307名無しのオプ:02/12/17 10:00
>>306
今だと「三国人を犯人にしてはいけない」みたいな感じでしょうか。
それだとギャグと思ってくれない人がいるから
「女性を犯人にしてはいけない」みたいな感じ?
308名無しのオプ:02/12/17 10:09
>>305
ならヴァン・ダインの二十則もネタか?
「恋愛要素を盛り込んではいけない」なんて、どう考えてもギャグだろう。
309読んでません:02/12/17 10:10
中国人はタオやインヤンをつかう魔術士だからだめ!じゃなかった?
でも、ノックス以前って、本当に南米産の知られざる毒物とか、
へんてこりんなアイテムが多かったから、本人はまじめだったかも。
ミステリーを純粋なロジックたらしめるためにはやむなく…と。
310名無しのオプ:02/12/17 10:38
昔の小説の中の世界観って、今理解するのは難しいよな。
SFだが、キャプテン・フューチャーって、エドモンド・ハミルトンは
ギャグのつもりで書いていたらしい。
(火星人や木星人がいるとは、当時ですら思われていなかった)

それが今の評価は「当時の人間はのどかで無知だったんですね〜」
だったりして。
311名無しのオプ:02/12/17 10:49
現在の時点で、誰かが「安易に北朝鮮による拉致・陰謀がオチの小説を
書くなかれ」と提唱するようなもんだね。後世になると、時代背景を
抜きには、なんのことだか理解しにくい。
312羊バンター:02/12/17 10:50
むしろ戒律に違反した作品を読んでみたいとか思いません?
冒頭からあからさまに怪しい中国人が出てるものとか、
最後になって名前も挙がってなかった召使が犯人だったり、
ひょっとしてミステリーの歴史が隠してきた珍品があるのでは。
313304:02/12/17 10:53
>>312
作者は忘れましたが「ノックス師に捧げる10の犯罪」という本があり、そ
の中で十戒を一つずつ破っているそうです。未読ですが。
314名無しのオプ:02/12/17 11:14
>>300
>読後感くんには、そういった王様は裸だ的なおもしろい感想文を期待したい。
いまのところ、権威を否定することに酔いしれていて、
自分の読解を提示せずに不平だけ挙げているような印象が少しあるので。

なかなか難しい注文だな(w
こういうのは個人の受け取りようでカナリ違ってくるからなぁ。ま、万人受けなど
不可能だが。
315名無しのオプ:02/12/17 12:43
ノックス師に捧げる10の犯罪 Sins for Father Knox (1973) 
  宮脇孝雄、宮脇裕子訳 早川書房/46判/ミステリアス・プレス
  シュクヴォレツキー、ヨゼフ Skvorecky, Josef (Volcav)
                    [チェコ 1924− ]
  東ボヘミアのナーホト生れ。カレル大卒。作家、ジャズ評論家、
  米文学の翻訳紹介者として著名だった。1960年代末にカナダに亡命。
  ミステリーにも造詣が深く、ノックスの十戒をひとつづつやぶっていく
  連作短篇『ノックス師に捧げる10の犯罪』(1973) を著した。
316読後感:02/12/17 15:40
「怪物」
 50年近く前のポケミスだがさほど違和感なかった。流石は宇野氏と言うべきか。
 読んでて最初は「少女が消えた小道」にちょい似てるかなーと思ってたら、殺人
 起きて、「赤毛じゃん!」(笑) (メル欄)というのは古典のパターンなのか
 も知れない。「赤毛」しかり。「赤い館」しかり。「薔薇荘にて」しかり。
 んで、話はどんどん進んでいくんだが中盤に差し掛かってオレはふと思ったわけ
 ですよ、「あれ?謎はあったかなって(笑)・・・・・ゲッツ!」
 読み終わってみれば後付けの香り漂う作品なわけで。まぁでも、今度は恋愛うま
 くいったからそこだけは満足かな?
 でもあの場面は脱力したっす。○○なよ〜〜って感じで。「赤毛」もそうだが、
 このジイサン(作者ね)残酷だなぁ。。。

317読後感:02/12/17 15:59
あの、何か私の書いた文章が元で皆様にご迷惑をかけてしまったようで、申し訳あ
りませんでした。
何分、今年の夏からミステリにはまったという超初心者なので、理解不足、知識不足
など、多々あると思ってますし、間違を皆様に正していただくことに吝かではありま
せんが、ただ、これだけは信じてください。私は本を読んで感じた正直な「読後感」
を書いているのであって、決して偏見や思い込みを書いているのではありません(フ
ザケて書いているのは確かですが)。>>298さんが仰ったようにノックスを貶めるよ
うな気も全くありません。前述したように「陸橋殺人事件」は中盤までは面白く読め
たし、登場人物の名前も気に入っていたのですが(笑)、でもラストは決定力不足だ
と思いました。これは、仮に私の十戒の捉え方が異なっていたとしても変わらなかっ
たと思います。同じように「赤毛のレドメイン家」だって私は物足りない気がしたし
そのことは乱歩がこの作品をベスト1にしたことと何の関係もありません。例え端に
も棒にも掛からぬと一蹴していたとしても、私は同じことを書いたでしょう。私は自
分では自然体に構えているつもりなんですが、>>298さん、>>300さん、その他の方に
それが伝わらなかったのは全く私の不徳の致すところであり、そのことにつきまして
も謝罪いたします。これからも、適当な感じでパッと見していただけると幸いです。
長文失礼しました。
318名無しのオプ:02/12/17 16:43
「ノックスの十戒」は

当事英国はミステリブームで粗製濫造の安直なミステリが横行していた。
それをアンソロジーの序文で一見ルールのように見える十戒を提示して
「いまどきこんな時代遅れのミステリ書いてもうけませんよ(笑)このアンソロジーに入ってるミステリを参考にしてね(笑)」と皮肉ったもの。
英国風のユーモアだと思う。

これをジョークのわからない米国人のヴァン・ダインがルールと理解(誤解)して作ったのが二十則。
その二十則と十戒を同列に並べるのもおかしい話。

要は同じく英国風ユーモアの理解出来ない日本人が同列として紹介したのが誤解を招いたと思う。

以上。
319名無しのオプ:02/12/17 17:43
正直、漏れも
「赤毛のレドメイン家」「陸橋殺人事件」は全く面白いと思わなかった。
320羊バンター:02/12/17 17:52
>313さん、>315さん
その本おもしろそう!
図書館には所蔵されているようなので借りて読んでみます。
ありがとうございました。
321名無しのオプ:02/12/17 17:57
古典叩きスレに移行しつつあるね
322bloom:02/12/17 18:07
323名無しのオプ:02/12/17 18:08
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324名無しのオプ:02/12/17 18:08
>>321
その一元的な捉え方が荒れる原因ではないかと思うのだが・・・。
325名無しのオプ:02/12/17 18:16
>>318
それだとルールだと思うんだが・・・。
逆に「何でこういうつまらない制約に縛られてるの」って意味で提示したんなら
ユーモアだが。
326名無しのオプ:02/12/17 19:03
>>325
それをルールとして取るか洒落として取るかがその人のセンスなんだろうね
327名無しのオプ:02/12/17 19:31
人それぞれって事でいいよ、もう。終了。
328名無しのオプ:02/12/17 19:43
>>327
自分の考えを述べるのは勝手だが人に押し付けるのは止めれということですな。
説得するんならまだしも。
329名無しのオプ:02/12/17 20:52
ぶっちゃけ陸橋を面白く感じられないのがセンスの欠如と言うのならセンス無くていい気がするが(笑
330独者 ◆7lIkUklBz. :02/12/17 21:26
私も『陸橋殺人事件』自体は面白かったという記憶がないです。
読んだのはまだ中学生時分だったはずなので、
よく理解できていなかった可能性もありますが。
331名無しのオプ:02/12/17 22:37
>>330
メタ・ミステリーとしては面白かった記憶があるんだけどな。
ある程度ミステリー読んで来ないとこの脱力感は楽しめないかもです。

同じような本に「フーコーの振り子」(エーコ)がありましたです。
「薔薇の名前」はまっとうなのによぉぉぉ。
332独者 ◆7lIkUklBz. :02/12/17 22:43
>>331
メタ・ミステリーでしたか。私、内容をあまり憶えてなくて。

再読したくなったなあ。入手できたらだけど。
333名無しのオプ:02/12/17 23:17
「陸橋」の良さは>>331が全て語ってると思う。
登場人物が勝手に大事件にしたかっただけだしね、あれって。
変に肩肘張って読むとがっくり、もしくは「はあ?」って感想が出るのはしょうがない気がしないでもない。
ノックスの狙いも本格だと思わせて最後に「なんだよ、これ(笑)」だったのでは無いかな?
334名無しのオプ:02/12/18 01:44
「囁く谺」 ミネット・ウォルターズ 創元推理文庫
あちこちの書評サイトをみてると、この作者のものとしてはあまり期待できなさそうだったけど、
なんのなんの、読み出したらとまらなくって、私的にはすごく面白かった。
南アの謎の女性の正体が最後までわからないと書評に書いてた人もいたけど
あれも当然この人でしょう、と思えたし。
なによりウォルターズの作品にしては珍しく男性が魅力的。
探偵役?の4人の男性がどれも個性的で、読んでて楽しかった。
ぜひシリーズ化してほしいところだけど、この作者じゃやんないんだろうね。
ちょっと残念。
335名無しのオプ:02/12/18 03:11
『大いなる救い』(エリザベス・ジョージ)
なんでこのシリーズこんなに人気あるのでしょうね。
アメリカ人の描くイギリス社会という匂いがプンプンして好きになれません。
第一作目でマクビティ賞やらいろいろ賞を受けてるようなので期待したけどはずされました。
ミステリーとしても新味を感じませんでした。
このシリーズが好きだという人にその魅力を語ってもらいたいと思いました。
336パーカー信者:02/12/18 18:30
>335
自分はサイモン萌え…
主人公が人格的に完璧ではないとこがいいかな。(嫌いだが)
自分はミステリーというよりキャラゲーならぬキャラ小説?
として読んでます。

これBBCでも単発でドラマ化されていて、それなりに
英国でも人気あるらしい…

「アメリカ人の描くイギリス社会」っていうとパブシリーズとかも
そっち系?
337名無しのオプ:02/12/19 00:29
>>334
『囁く谺』、買ったっきりで読んでなかった。
さっそく読んでみます。感謝。
338名無しのオプ:02/12/19 10:58
>>329がいいこと言った!
おれもはげどう(w
339名無しのオプ:02/12/19 11:47
「陸橋」の結末は「意外ではあるが、小説的ではない」と思われ。
340名無しのオプ:02/12/19 15:31
ついでに書くなら、「赤い館の秘密」も面白くなかった。
もっと書くなら、「完全殺人事件」もいただけなかった。
341名無しのオプ:02/12/20 06:39
>>340
「完全殺人事件」は未読なんでなんとも言えんが、
「赤い館」は中盤がスカスカだね。
342名無しのオプ:02/12/20 06:41
>>341
「完全」は完全に駄作。
ひたすら読みにくい。
翻訳の問題もあるとは思うが構成もひどい。
343名無しのオプ:02/12/20 06:43
「陸橋」
「赤い館」
「赤毛」
「完全」
は駄作・・・・と。
344読後感:02/12/23 15:31
「螺旋階段」
 主役級の探偵がいないというのが痛かったかな?結局犯人の自白で解決して
 るしね。つーか、ババアがあんなに頑張れるのかな(w 即効殺されると思
 うんだが・・・。この作品、井上良夫が名作だと、乱歩が今ひとつだと言っ
 てたがオレは乱歩を応援するね。確かにこれはちょっと・・・。
 婆さんに好感が持てるのは確かだけど。ああ、何かどうでもいい感想・・。
 
345名無しのオプ:02/12/23 17:23
螺旋階段って誰の作品だったか完全に忘れていた。
346名無しのオプ:02/12/24 18:07
「中国迷路殺人事件」ロバート・ファン・フーリック著 ちくま文庫
以前、三省堂から出ていたものも2作くらい読んだのですが面白く感じなかった。
最近「真珠の首飾り」がポケミスで出たときも
その時の記憶で別に読まなくてもいいか・・・と判断。
今回、偶然古本屋で見つけ、安かったのと、
最近ミステリを読んでいなかったのとで手にとって見ることに。

話は、古い実話から、または実話をベースにして作ってあるので、
当然驚愕のトリックやら、意外すぎる犯人、予想外の展開というのはありません。
その辺に限界を感じました。しかし、それがこのシリーズの特徴でもあるので、
そこをこそ評価して読むべきなのかもしれません。
このシリーズは、3つの事件が同時進行するらしく それ故に、
閉鎖的な昔の中国の村でに事件ですから、先の展開が読め、
犯人も意外ではありません。歴史ミステリとしても、
昔の生活描写が多くないので、そこでも物足りなさを感じます。
しかし、その点は細かい事を書かなかったために読みやすくなっているという
長所と取る事も出来ます。
むしろ、このシリーズの特徴としてあげたいのが、
犯人が処刑される描写が出てくることだと思います。
それでも全25章の内、第23章あたりからのサスペンスはかなり強烈で、
それまでが淡々と進んできたので、より一層興奮してしまいました。
他の「真珠の首飾り」「四季屏風殺人事件」も探してみようと思います。

でも次に読む予定のは、
「殺人者はまだ来ない」イザベル・B・マイヤーズ著 光文社文庫 なんです。
347名無しのオプ:03/01/10 08:19
「殺人者はまだ来ない」イザベル・B・マイヤーズ著 光文社文庫
読みますた

この本の売り文句は
コンテストでクイーンの「ローマ帽子」を抜いて
1位になったと言うものなんですが、
確かにあの作品よりも内容はぎっしり。
しかし、無駄なぎっしりで
犯人は最初の20ページほどの最初の事件がおきた所で分かってしまう。
よって全450ページもあるので、その後がつらいつらい。
いろいろ趣向を凝らしてるつもりなんだろうけど、全部からぶり。
1位を取ったとは言え、その後に再販されなかった理由はわかるというもの。

次は「ディー判事 四季屏風殺人事件」を読みます
348名無しのオプ:03/01/13 20:58
報告者がんばれ。
反応なくてアレだろうが、漏れはこのスレ楽しみに巡回してるぞ。
349読後感:03/01/14 18:12
「ゼロ時間へ」
 これって、クリスティのやりたかったこと(或いは単に裏表紙のあらすじ)とスト
 −リーが一致してない気がする。動機のところから始まって最後に殺人が起きる、
 というような半倒叙ものを予想してたんだけど・・・金田一ノベルみたいに所々に
 犯人の一人称入れてーみたいな。で、最後に殺人が起き、読者にはその段階で犯人
 が誰だかわかる、といった流れを・・・。
 時間的経過は他のと何も変わってないじゃん。単に(メル欄)ってだけ。珍しくも
 なんともない。ちょっとハッタリかましたな、クリスティ。
350名無しのオプ:03/01/15 12:32
>>349
・・・
351名無しのオプ:03/01/17 16:09
「ABC殺人事件」読みました。
普通に面白かった。
352読後感:03/01/20 15:24
「スタイルズ荘の怪事件」
 いやぁ、面白かったね。伏線の回収も見事。ま、いくつ不審に思える点もなきに
 しもあらずだけども・・・ま、それは80年も昔の話だから不問に付しましょう
 (笑。この作品は乱歩とヴァン・ダインという嗜好の異なった2人が珍しく評価
 の一致をみている作品だから期待してたんだけど、そのとおりだったよ。恋愛を
 ちょびっとからめてるのもいいね。
353名無しのオプ:03/01/20 17:51
「わが名はレッド」シェイマス・スミス読みました。
レビュワーの解説がひどいとおもいました。
本編はおもったよりさっくり読めてびっくり。
アイルランドに新しいイメージを抱きました。
ところでシェイマス・スミスは単独スレはないのでしょうか?
354名無しのオプ:03/01/20 18:48


発売前の楽曲、日本未公開の映画、
懐かしのアニメ各話をタダで観たい!聴きたい!

http://purety.jp/kantan

355名無しのオプ:03/01/21 16:16
「笑う警官」読了。
北欧ミステリ初体験でした。
飲酒者に対する社会的対応が、北欧は独特だと聞いていたんですが、
その辺が反映されていて、そういった部分も面白く読めました。
356名無しのオプ:03/01/21 16:57
ABC殺人事件読みました。
普通に退屈だった。(>>351にあわせているが、ネタではない)
どうもこの人は、シリーズ物より単作のほうが面白いような。
そして誰もいなくなったとか良かったし。
357山崎渉:03/01/23 18:19
(^^)
358名無しのオプ:03/01/24 13:26
ディー判事 四季屏風殺人事件  ロバート・ファン・フーリック 読みますた

ディー判事シリーズ第7作 
中国××と付く5作品以降のを新シリーズと呼ぶらしい。
新シリーズの方はページ数が少なくなっている。250ページ。
中国迷路のような質・量共にボリューム満点とは行かないが、
それほど質は落ちていず、相変わらず3つの事件が起きるので、
テンポが速く、錯綜している。むしろ作者の手並みの良さを感じた。
中国迷路には密室・迷路・掛け軸の謎と魅力があったが、
この作品では事件そのものの魅力は少ない。
それに中国迷路にあった死刑の描写もない。
しかし、作者の技量は増したようで、エピソードの絡め方、
登場人物の魅力等の描き方がかなり上手くなっていると思う。
中国の生活様式、描写などもそれまでの作品で出尽くしたのか、
かなり細かい事を書かざるを得ないようだ。
しかし、これが逆に興味深さを増す好結果になっている。
ページ数は中国迷路よりも少なくなっていてボリュームは無いが、
読み応えは十分あると思う。
たった3年前に出た本が既に手に入りづらいとは・・・
ちくまには、かつて三省堂から出た他の作品も出してもらいたい。

続けて、「真珠の首飾り」に行きたいところだが、
「穢れなき殺人者」ブリス・ペルマン著を先に読んでみようと思う。
359名無しのオプ:03/01/27 23:44
ここ久しぶりにきたが結構荒れてたんだね。
それにしても読後感叩いてたヤシラって形勢悪くなるとパッタリ姿見せなくなってるな。
ちょとワラタ。
360名無しのオプ:03/01/28 00:45
いつもの雰囲気に戻ったのに煽らないでよ(つД`)
361名無しのオプ:03/01/28 03:07
「ナイン・テイラーズ」昨日一気に読み終えました。
犯人(?)には途中で気付くけど、暗号解きとか圧巻です。
しかし訳者も大変だなあ…

ところで表紙の絵(創元の文庫)はかなり内容と違う気が…
362名無しのオプ:03/01/28 16:58
訳者(の中の人)も大変だなあ…
363名無しのオプ:03/01/28 20:12
>>359
形勢悪くなったっけ?
364名無しのオプ:03/01/28 20:27
クリスチアナ・ブランド短編集「煙草屋の密室」

「秘密の恋人」にはしびれた。
女って怖い・・・。
365名無しのオプ:03/01/29 05:59
>>364
え? ブランド?
366名無しのオプ:03/01/29 08:55
ラヴゼイだよね?  読めたなんてうらやましい・・・復刊してないよね?
367名無しのオプ:03/01/29 12:36
「穢れなき殺人者」ブリス・ペルマン 読みますた

朝起きたら母親が死んでいた! 
このままだと、父親も亡くしている僕たちは寄宿学校に入れられちゃう!
幼い双子はさも母親が生きているものとして振舞おうとするが・・・
一方、女を殺した男はなぜニュースに出ないのか?
子供たちが平気で生活しているのはなぜなんだ?と不安に苛まれていく。

ページ数も少なく、会話も多くしてテンポよく進む。
途中調子良すぎる所もあるが、こういう軽めのサスペンスなら致し方ないか・・・
普段は口うるさく母親に叱られていた子供たちが、
いざ母親が居ないとなるとしっかり何でも出来るという所は悲しくも可笑しい所。
もうちょっと緊迫する所も欲しいと感じた。
ま、フランスの軽めのサスペンスはこんなもんでしょう。
心理描写ももうちょっと徹底して上手くして欲しかった。
これがボアロー&ナルスジャックの手に掛かれば、
物凄く怖く、緊迫感のあるものになっていたであろうに。
結局子供を「怖い子供たち」というより
「健気な可愛い子供たち」として描いた所が評価の分かれ目でしょう。

久しぶりに「悪い種子」を見てみようか、それとも
ボアロー&ナルスジャックの本を読み返してみようか。
とりあえず、同じ作者の「顔のない告発者」を読んでみまつ。
368名無しのオプ:03/01/29 19:24
>>365
>>366
おっしゃるとおりラヴゼイです。
同じ日に買ってきた「ジェゼベルの死」を目に入るところに置いていたので、
うっかり間違えてしまいました。お恥ずかしい・・・
369羊バンター:03/01/29 22:09
僕も「煙草屋の密室」欲しいなあ・・
370名無しのオプ:03/01/30 19:47
ジョン・フスコ『パラダイス・サルヴェージ』(角川文庫)読了。

廃車業を営んでいるイタリア移民一家の少年が、車のトランクに詰められた老人の死体を発見するが、父に告げる間もなくスクラップにかけられてしまう。
日頃の空想癖のため、両親にはまったく信じてもらえない。
少年は兄と一緒に、もと探偵だった車椅子の叔父を訪ね、事件の真相を探り始める。

イタリア移民文化の描写が多く興味深いが、ミステリとしては平均的。
「ミステリ的味付けの少年成長物語」というような紹介をされている、そのまんまの内容。
あらすじが興味深かったので期待したんですがね。
ただ、物語は悪くない。
作者は名の売れた脚本家らしいので、伏線の貼り方もうまいし、展開も意外で見所はある。
ただし600ページはさすがに長い気がする。
個人的な評価はC(ふつう)というところか。

海外ものほとんど無知だったので、いま集中的に読んでます。
このスレ落とさないためにも、読んだら必ず感想かくのでみなさんよろしく。
かなーり有名なやつコメントしても暖かい目で見守ってね
371一抹の不安:03/02/01 08:15
ダグラス・ケネディ「どんづまり」読了

300ページ足らずで1200円するということで
あちこちのサイトや雑誌で不評を買っているが
内容的には一気読み出来るテンポの良さで
Good!

漏れ的には、本の価格より中身だぜよと言いたい。
ちょうど「半落ち」を文庫落ちしないで買って読んで
文句を言わなかったのと同じように
「どんづまり」も買って読んだら文句は言わない
だろうと思う。
372マシューズ(=370):03/02/01 16:59
アイザック・アシモフ『鋼鉄都市』(ハヤカワ文庫)読了。

人間の職がロボットにおびやかされる未来社会。
刑事イライジャ・ベイリは、警視総監の要請で、前代未聞の「宇宙人殺人事件」を捜査することに。
パートナーは最新型のロボット、ダニール・オリヴォー。
だがベイリは徹底したロボット嫌いだった。

96でも触れられているSFミステリの名作。
あらすじだけ見ると「珍コンビもののコメティ」のように思えるが、ど真ん中直球の本格。
この作品の評価が高いのは、質の高さもさることながら、期待せずに読んだところ、よい意味で裏切られた、という人が多いせいではないか、とちょっと想像。

それにしても、ミステリらしい展開を見せるのは、中盤と最後のベイリの推理場面だけ。
現場を調べにもいかないで、靴屋の暴動しずめたり、高速道路ぴょんぴょん飛んだり、家族と気まずく食事したりしてて、全然捜査が進まないように見えるので、おいおい大丈夫か、と不安になりつつも、最後で鮮やかに決めてみせる。
いや、これは面白かったです。作品評価はA(傑作)。

370ですが、コテハンにしときます。
373読後感:03/02/02 14:43
「女ボディガード」「乾杯!女探偵」
 こういうのがあるって今まで知らなくてさぁ。ある本でエロイって言ってたから、
探してみたってワケ。でもなぁー思ったほどじゃなかった・・・。つまり、抜けな
かったっつーコトね。確かに、ハダカにされて両手足鎖に繋がれたりとか、ストリ
ップ強要されたあと鞭で打たれるシーンとかあるんだけど、イマイチ。ま、ハニー
シリーズの方に期待しますわ。
374名無しのオプ:03/02/02 14:54
海外物に苦手意識があるので
苦手克服の第一歩としてコージーから攻めてみようと
ジル・チャーチル「ゴミと罰」と
ちょっとコージーとは違うかな?エリザベス・フェラーズの
「その死者の名は」読んでみました。
面白かった。シリーズの続きも買ってきます。
375名無しのオプ:03/02/02 16:21
>>374さま
ジル・チャーチルとフェラーズは大好きなんです>自分
フェラーズは、『その死者の名は』から読み始められる
なんてうらやましいです、実はこの作品がシリーズの
1作目なんですよね、フェラーズは順序がごちゃごちゃに
翻訳されてるのでファンとしてはちょっと残念だった
のですが。でも面白いですよ。『猿来たりなば』が特に
好きです。
ご感想楽しみにしてます〜(^_^)
376名無しのオプ:03/02/02 16:28
∵.☆:* ・∵.゜.☆.・∴.,★ :*・∵.:☆.。.:*・:* ・∵.+:*・∵.゜ ">*・.:.。.:*・:*・

∵.☆:*・∵.゜.☆.・∴.,★ :*・∵.:☆.。.:*・:* ・∵.+:*・∵.゜ http://jsweb.muvc.net/index.html
★☆★幸福になりたーい!!★☆★
377マシューズ:03/02/02 22:43
ウィリアム・アイリッシュ『夜は千の目を持つ』(創元推理文庫)読了。

帰宅途中の青年刑事ショーンは、大富豪令嬢ジーンの自殺を阻止する。
彼女が川に身を投げようとしたのは、恋愛でも金銭でもなく、父親に下された謎の死の予言が原因だった。

ぶっちゃけ、ミステリーではないです。
次々あたる予言の謎は最後まで結局わかりません。
作者が描きたかったのは、与えられた死の予告を迎えるまでの緊張であって、合理的な解決ではないようです。
結末もほぼ予想通り。
「ある人物」の意外な正体が最後で明らかになります。
そこだけミステリの趣向はありますが・・・ぶっちゃけ、何の解決にもなっていないので必要ない部分です。

千の鈴、ならぬ千の目というのは、夜空に輝く星のことで、「千の目に見つめられているようだ」という登場人物の述懐から。
全編を貫くテーマとは、微妙にずれてる気がします。
不満点ばかり挙げてますが、サスペンスは秀逸です。
ここぞという場面で、時には秒単位の小刻みな描写でじらせるだけじらすところとか、上手いです。
洒脱な名言や描写に溢れて上品ですし。
ヒッチコック好きならおすすめかな。
アイリッシュ(=ウールリッチ)は『裏窓』の原作者ですし。
ただし、「合理的な解決を期待しない」ことが大前提となりますが。

この人、『幻の女』などの名作はありますが、基本的に短編作家らしいので、今度は短編集を見てみようかなと。
作品評価はC(ふつう)です。
378名無しのオプ:03/02/03 08:40
マシューズ氏はたった1日で読み終わってしまったのか・・・
379名無しのオプ:03/02/04 00:12
『フェニモア先生、墓を掘る』ロビン・ハサウェイ
3作目なので、最初すこしわかりづらかったですが、
コージー好きの人にはオススメ。
キャラが立っていて良い。
380マシューズ:03/02/04 02:27
ニコラス・ブレイク『死の殻』(創元推理文庫)

かつての空の英雄ファーガス・オブライエンに、生命を脅かす三通の脅迫状が届く。
探偵ナイジェルはパーティの客を装って潜入するが、まんまと犯人に出し抜かれ、オブライエンは死亡。
やがて第二、第三の殺人が・・・犯人は誰か?

英国の新本格派ブレイクの2作目、36年の作品。
本名の方で詩人として名高い作者だけに、文章、描写、人物造形の上手さには文句のつけようがありません。
ですが、ミステリ面で最後の詰めの甘い印象が。
この作品、派手なトリック、仕掛けはほとんどありません。
脅迫状、雪の上の足跡とか、細かい点をああでもないこうでもないといじっていきます。
パズラーとして、プロット自体はよく考えられているのです。
けれども、何がいま問題になっているのか整理する前に、次々事件が起こるので、窮屈な印象を受けます。
最後に披露される推理も、動機面の補足が主であって、「犯人はここでこうしてこうしてこうした」という事件を通したまとめがありません。
謎自体が最初から小粒な上に、物語途中で仮説が展開されては消えていくので、結局実際には何が起こっていたのか把握するのに疲れます。


その終盤での解決ですが、これは二つ披露されます。
ただし最初の推理はお粗末。
「メール欄」というのは、常識的に考えても無茶です。
これはその後の、容疑者が○○○で○○した時の緊迫感を大きく削ぎます。
最後の真相はミステリ的にそう意外ではありません。
私的には、犯人がそうせざるを得なかった切実感に乏しく、「悲劇的な復讐」として留めおくほど印象深いものではないと感じました。

優れた小説である一方、話に乗れなかったのは確かなので、個人評価をC(ふつう)とさせてもらいます。
最後に、この作品が随所で高い評価を得ていること、2001年度発行のベスト10に推す人も多かったことをつけ加えときます。

>>378
いま暇なもので・・・
381名無しのオプ:03/02/05 08:22
「顔のない告発者」 ブリス・ペルマン著   読みますた

「ドートリーヴ夫人の死は事故ではない。
   それだけ言えば分かるだろう。」
前夜、車ごと溝に突っ込んで死んだ女性の件への投書。
果たして、車には細工がしてあった。
細工をしたのは誰か?投書を送ったのは誰か?そして投書の目的は?

限られた登場人物、過去の自殺事件、警察側は担当の警部と部下だけ。
まさしくこれは火サス・土ワイの雰囲気だ。
200ページほどで、展開が速く、セリフも悪くない。
単純な謎ではあるが、最後まで引っぱっていけてる。
「穢れなき殺人者」ではその心理描写の甘さを指摘したが、
この作品では上達しているし、バランスも良くなっている。
特に気に入ったのは、警部と部下の設定と会話。
警部の方は他の作品でも見られるだろうが、
この部下の方がなかなか良い。
どちらかというと、風貌はこちらの方が警部という感じだし、
登場いきなり爪を砥いで、警部の話にもつまらなそうな顔をするし、
欠伸も平気でする。
しかし警部は、彼が仕事だけはしっかりする事を知っているし、
頼りにもなる事を知っている。この関係が面白い。
事件の方は最後にちょっと納得いかない部分もあるものの
これが火サスだと思えば許せる。

次は「悪を呼ぶ少年」トマス・トライオンを読んでみまつ
ホラーでも、サスペンスでもあるそうだから、
サスペンス色が強かったら報告します。
382読後感:03/02/05 16:51
「夜歩く」
 さて、カー3発目にして漸くカーらしい作品を読んだかもしれない(1発目は火刑
 法廷、2発目は帽子収集狂事件)。カーに初めてこの作品を見せられた編集者は、
 200ページまでに犯人を割り出してやると嘯いたというが、幸いにして私は丁度
 200ページ目にして犯人を特定することができた。フト、「もしかしてローラン
 は〜かもしれないぞ」と気づき、そこから犯人の見当をつけることができたのであ
 る。しかしその編集者は読み終わってもイマイチ理解してなかったというからあま
 り手放しでは喜べないかもしれないが。それとあらすじには人狼がどうのと書いて
 いたが本文にはそんな言葉は1回しか出てこなかったのも気になるところではある
 。「不思議の国のアリス」をいい大人が読むというのも腑に落ちないし。前にクイ
 −ンの短編で「ハックルベリーフィン」をクイーンが読もうとしていたがそれと合
 わせて疑問である。そして私は最後にいいたい。「アルコーヴってなに?」と。
383読後感:03/02/05 16:52
「騙し絵の檻」
 最初にいっとくと、僕は法月さんや森さんがいうように本作が黄金時代以後のベスト
 3に入るとは思っていません。確かに、陥れられた男が長い苦しみの後真犯人を捜し
 出すために故郷へと戻ってくるというモンテクリスト仕立ての復讐タンは日本人が最
 も好きなパターンの一つであるし、それは僕にも当てはまります。また、最後のどん
 でん返しも秀逸で鮮烈なものです。恋愛要素も加味しています。この3点だけでも読
 んだ人を後悔させないだけのパワーがあります。それは率直に認めます。ただ、ただ
 ですよ、もう一味、もう一味物足りない気がするのです。単に僕が天邪鬼精神旺盛だ
 からかもしれません。読解力が貧困だからかもしれません。しかし、僕は笑ってゴー
 サインは出せないのです。分かってください。それでは、言葉に出来る不満点をいく
 つか挙げたいと思います。まず、本文は冒頭で過去と現在が交互になっているのです
 が、その切り替えに不備があるように思えます。これは明らかに訳者のミスだと思い
 ます。次に、メイントリックについてなんですが、これはホワイダニットを含んだ心
 理トリックだと思われますが、独創性が少し乏しいかなと。なんというか、新しいと
 いう感じがしないんですよね。ずっと前にそれこそチェスタトンあたりが考えだして
 てもおかしくないような、そんな感じがしてしまうんです。今まで誰も考え付かなか
 ったというのは俄かには考えられないんです。だから僕には今ひとつ響かなかったん
 ですよね。悲しいことです。そしてもう一つ、これは僕が悪いんですけれども、フー
 ダニットに期待をかけ過ぎたというか、アクロイドばりの驚きを期待してしまったん
 ですね。だから、最後に素直に驚けなかったんだと思います(あの映画みたいになら
 なかったことは嬉しいですけど)。だからこれからこれを読む人はホワイダニットに
 注目されてはいかがでしょうか。僭越ながらご忠告させていただきます。
384名無しのオプ:03/02/05 16:54
うまいね、どうも(w
385読後感:03/02/05 16:55
「神は銃弾」
 とにかく綺麗な奴は一人もいない。皆汚れている。皆腐っている。皆死んでいる。そん
 な連中が泥まみれになってもがき苦しむ。そして、それぞれが妥当なエンディングを迎
 える。作者は一つの壁をぶち破ってしまった。オレは中盤までそれが気に入らなかった。
 ハッピーエンドにすることは簡単だが、そうしないことはもっと簡単だ。もし作者が主
 人公に罪を負わせたり陵辱させることで己の個性を主張しているのならこれほど悪質な
 オナニーはない、と。しかし、やはり中途で結論に急いだのは愚かなことだった。最後
 の一行を読み終わった時、前記のような考えは消えた。「傑作だ!」と賞賛するほどの
 エネルギーは沸いてこなかったが、「これもアリだ」とは思った。それまでムチャクチ
 ャな悪党だと思っていた奴を「コイツは叩かれるべきではないかも」とすら思えてきた
 。結局皆悪党で同時に被害者でもあるわけだ。リアリズムとエンターテイメントとの交
 錯をもっと整理するという課題はあると思うが、一個の作品ではあるかもしれない。も
 っともハリウッドは映画化したがらないかも知れないけど(笑)。するんなら訂正され
 るであろう箇所がいくつも思い浮かぶな。数限りない下ネタ(これは新記録ではないだ
 ろうか)、ヒロイン達の輪姦シーン、主人公が「殺人」を犯すシーン(アクション映画
 でやるような軽いノリではないのだ)など・・・。そしてオレは最後にいいたい。「ア
 ルコーヴってなに?」と。蛇足ながら、本作が受賞したCWA最優秀新人賞の名称は、
 ジョン・クリーシィ賞というんだってさ。純然たるミステリーとは程遠い本作にはうっ
 てつけだな(笑)。ま、オレだったらチェスタトン賞やバークリー賞(あるとすればだ
 が)の方が有難いが(笑)。
386マシューズ:03/02/05 19:14
ピーター・ラヴゼイ『偽のデュー警部』(ハヤカワ文庫)

時は1921年。歯科医ウォルターは、愛人と共謀して妻の殺害をはかる。
アメリカに向かう豪華客船の上から突き落とそうというのだ。
船に乗り込むときに使った偽名は、クリッペン事件を解決した同名の名警部ウォルター・デュー。
やがて死体が発見され、勘違いされたウォルターは捜査に狩りだされることに。
だが見つかったのは、妻とは違う女性の死体だった。

オールタイム・ベストクラスの名作。
文章は簡潔、ユーモア・タッチでかなり読みやすく、ぐいぐい進む。
確かに面白い。
けれども、せっかくの意外な真相も、いろんな書評で「1921年」「チャップリン」強調されてたため、変に肩透かしをくらった格好に。
あと真相がわかった時点で、ある登場人物(メール欄)のそれまでの言動が、別の意味をおびてくるわけですが、ところどころ腑に落ちない部分があります。
「うーん、それなら何でこの人は、ここでこういう行動をとってるの?」
という。

ラストが自分の中でバシッて決まらないと、ミステリ後味わるいですね。
何と言うか、湿ったマッチで火つけられてるかんじ。

自分的作品評価:B(佳作)

どうでもいいけど「ラブゼイ」って間違ってるサイト多すぎです
387マシューズ:03/02/05 19:44
追伸
クリッペン事件は、

牧逸馬『世界怪奇実話・血の三角形』(現代教養文庫)
週間マーダーケースブック16号

に詳しい。
前者の方がミス板的だけれど、やや扇情的過ぎる印象。
私は前知識ありましたが、あんまり必要ないです。
興味ある方はどうぞ。
388マシューズ:03/02/08 21:05
コリン・デクスター『ウッドストック行き最終バス』(ハヤカワ文庫)

場所はオックスフォード。
ウッドストック行きのバスが遅れたため、二人の若い娘はヒッチハイクに切り替える。
そのうちの一人が翌朝、惨殺死体で発見された。
もう一人の娘はどうしたのか?なぜ名乗り出ないのか?
現代パズラーの最高峰、モース警部シリーズ第一作。

うーん、こんなもんか、というのが正直な感想です。
中年のモース警部は酒好き女好きで、従来の名探偵像から大きく外れており、そのぶんキャラが掴みにくい。
天才型っていう感じはあんまりしない。単なるドタバタのようにも思え。
このシリーズは2、3作読んでみてから真価を決めましょう。

作品評価はC。保存あげ
389名無しのオプ:03/02/08 21:14
>383
騙し絵の檻って、イギリスじゃ全然評価低いらしいね。
390読後感:03/02/09 02:48
「三人の名探偵のための事件」
 この人って黄金時代の人なのね。オレリアルタイムの人かと思ってた。内容とかも
 ねー。オレは170ページぐらいでポアロもどきと同じトリックを思いついたんだ
 が、ま、当然ハズレ(笑)。ラストは人並みに驚いたよ。つーか裏を返せば結構あ
 りがちとも取れるプロットなんだがそれを気づかせない作者のストーリーテリング
 に拍手を贈ろう。あのレッドヘリングに探偵ともども囚われてしまいました・・・
 って、ん?ただアンフェアなだけかも(笑)。でもそうじゃないと成立しないしな
 。勘弁してやろう(笑)。もうするなよ。何?シリーズ化した?バカ!!じゃもう
 読まねーよ!!!つーかこれ主人公は誰だ?
391名無しのオプ:03/02/09 10:31
読後感さんへ
著者名と、できたら、出版社、刊行年、値段などのデータを
併記して下されば助かります。年期の入ったミステリ読み
ばかりではありませんので。
392名無しのオプ:03/02/09 14:03
読後感のスタイルが確立されてきたな。いろんな意味で。
393英知恵 ◆K.H./.IA8o :03/02/10 23:44
『裁くのは誰か?』ビル・プロンジーニ/創元推理文庫

オフで渡されただけに期待して読みました。結論から言うと……素晴らしい!
最初、クイーン『黄金の13』中の「名探偵、アメリカ合衆国大統領」クラスかと思いましたが、SFじゃありませんでした。
物語は任期終盤を迎えた大統領の周りに起こる連続殺人事件。殺人者は誰か?
読みやすい。登場人物は少ないし、各場面は短いし、複雑に絡み合ってないし、淡々としてるし。
殺害は殺人者の視点で書かれ、途中で活字が変わる場面があり、色々と想像しましたが、その斜め上を行きました。
(メール欄)究極のカタチか。解説が「乗り越えよ、思考の限界を!」というタイトルなんですが、おっしゃる通り。
安心してください。メール欄の部分を見ていても、この結末は決して予測できないでしょう。
見事に壮絶なラストでした。舞台ならスタンディングオペレーションも忘れ、茫然自失といったところ。

総合評価:本気でお薦め!一度は読むべき名作(但し二度と読まないだろう)
394名無しのオプ:03/02/11 00:17
>393
読みました報告、ありがとう。揚げ足取りじゃないけど、
言葉を勘違いして覚えているようなので、ちょっと説明。
×→スタンディング・オペレーション
○→スタンディング・オベイション<standing ovation>
ovationは、喝采という意味です。総立ちで大拍手のこと。
また読後報告して下さいね〜。
395英知恵@393:03/02/11 00:29
うわっ、新規にコテハンで頑張ろうと思った出鼻に!
でも聞かぬは一生の恥(?)。ご親切に有り難うございました。
今後も懲りずに書かせていただきます(w よろしくお願いします。
396名無しのオプ:03/02/11 00:46
standing operative

勃ってるオプ
397名無しのオプ:03/02/12 05:29
>>366
図書館がない場所に住んでるのか?
398名無しのオプ:03/02/12 10:13
「悪を呼ぶ少年」トマス・トライオン   読みますた

正直に書きます。
つまんないです。それも頭に「とても」が付くくらいに。
たしかに2、3箇所はどきどきする面白い所はありました。
しかし400ページ近くある話で
たったの2、3箇所あったくらいでそれがなんでしょう?
だらだらと長い。それも緊迫感とは無縁な文章が長く続く。
本当に苦痛だった。
しかし、オチが凄いというので最後まで読み通したが、
登場人物が出てきたときに薄々感ずく。結末は案の定…
これが1950年代までのクラシックなホラーなら許せる。
はっきり言ってオチも大した事無いですよ。
中古で100円で買えるなら、物は試しで読んでも良いかもしれませんが、
これを人に薦める気にはなれない。
映画化されてるらしいから、
もしかするとそっちの方がコンパクトにまとまっていて面白いのかも。

次は「雨を逃げる女」クリストフェール・ディアブルを読みまつ
399名無しのオプ:03/02/12 13:36
サイレント・ジョーを読みました。
まあまあというか、アメリカ人は父と息子ものが好きというのを再確認。
父親が二人出てきて、それが善と悪には分けられないということがわかっていくあたりがよかったです。
ただ翻訳が直訳調のところがわりと多くて、そういうのが出てくるたびに添削したくなるので困ります。
今のミステリの翻訳って、こういうのが多いのでしょうか。
400名無しのオプ :03/02/12 14:08
トニー・ケンリック「バニーよ銃をとれ」(角川文庫)すでに生産中止

10年前に古本屋で購入して読まず、本棚に眠っていたのですが
ちょうど気持ちが殺伐としてましたのでユーモアミステリーでも読んで落ち着こう
と思いまして手にとった次第。
たいへん面白かった!
401名無しのオプ:03/02/12 23:50
S・ジャプリゾ「シンデレラの罠」
トリックは今となってはよくあるパターン。
良くも悪くも古典ということですね。
402読後感:03/02/13 23:51
「殺人者はまだ来ない」イザベル・B・マイヤーズ(光文社)
 「あんなもん」が出てきたから似てるなとちょっち思っていたら、何と!メイントリック
 までモロ「メル欄」なわけですよ。もうね、アホかと。バカかと。五円玉かと。パクった
 というだけならね、アーサー・モリスンという先例もいるんですけど、しかし長編で、し
 かもずっと時代の下った黄金時代の只中にやってのけるとは・・・作者の厚顔ぶりには恐
 れ入ったよ。つーかそれを考慮に入れなくたってそれほどじゃないのに中盤はこれ一本で
 引っ張るわけです。参るよホント。お前は鳥山明かよ!と突っ込みたくなります(笑)。
 「ローマ帽子の謎」は未読だけど、少なくとも一位になれる代物ではない。少し細かい話
 をすると、@コーヒーの何がきっかけで閃いたのか?A犯人はなぜあの時死んだかどうか
 聞かなかったのか?B犯人はなぜ(メル欄A)を見てしまったのか?C(メル欄B)の必
 要性はあるのか?・・・という疑問が残ります。そしてラストですが、最後の数ページは
 ない方がよかった。あの人はやっぱ死んだ方がいいと思う。と、貶してばかりも能がない
 ので無理して誉めると(笑)、サスペンス性はそこそこあるかもね。以上。
403読後感:03/02/13 23:52
「歯と爪」B・S・バリンジャー(東京創元社)
 いきなりで悪いけど、最後の一ページの驚くべき大トリックって一体何なの?恥ずかしな
 がらわかりませんでした。あそこでもう一回転してるとは思えないし・・・。誰か分かる
 方情報求ム!!
 んで、内容だけど、これまた「騙し絵の檻」と同じ復讐タンなわけです。ただ折角なんだ
 からもうちょっと主人公の恨み辛みを強く描写したらよかったんじゃないかなーと。いく
 ら何でも「もう心の中から消えてしまっていた」なんて言わせちゃダメでしょ(笑)。ま、
 でも読みやすいっちゃ読みやすいです。丁度今テレ東で特集組んでるヒッチコック映画を
 見ていたせいかもしれませんが。しかし評価はそんなに高くないです(大トリックとやら
 次第ですけど)。袋とじのところで返本するのにそんなに思い切りはいらないと思いまし
404読後感:03/02/13 23:53
すいません>>402のメル欄入れ忘れてました(汗
405名無しのオプ:03/02/14 01:29
>>403
> 誰か分かる方情報求ム!!

本気でそう思っているんなら、
http://book.2ch.net/test/read.cgi/mystery/975257438/
で聞けば?
406名無しのオプ:03/02/14 19:53
騙したヤツが誰だったか最後まで分からなかった、っておち
ってことじゃないの?

それ以上の意味があるのか?
407マシューズ:03/02/14 19:57
J・P・ホーガン『星を継ぐもの』(創元SF文庫)

 月面で見つかった、真紅の宇宙服をまとった人間の死体。
 「チャーリー」と名づけられた「彼」は、5万年以上も前に死亡していた!
 地球最高の頭脳が結集して真相に迫る。
 彼らが最後に導き出した、人類誕生にまつわる秘密とは?

 SF史上オールタイム・ベスト級の名作にして、ミステリとしても親しまれる作品。
もちろん、ただ謎が解けるというだけでは、ミステリと呼べるわけがありませんね。
 死体、宇宙服、手帳(文字入り)の三品から、科学的検証を突き詰め、仮説を組み立てては壊していく過程は本当にスリリング。
 チャーリーの生物・文化的な謎は、物語が進むにつれて、自然に判っていく種類のもの。
 ただ、どうしても生じてしまう一つの矛盾が・・・。
 最後に行われる謎解きこそ、この作品の肝。鮮やかな結末は、まぎれもなくミステリの持つ快楽。
 まあ、SFというジャンルは「何でもあり」なので、真相を読者が推理する、という点ではアンフェアですが、それは些細なことです。
 欠点があるとしたら、科学用語の連発で読みにくいことかな。
 チャーリーが出てくる50ページまではひたすら辛抱です。
 
 作品評価はS(大傑作)。
408名無しのオプ:03/02/15 22:22
「ベンスン殺人事件」S・S・ヴァン・ダイン(東京創元社)
 アメリカ主導の黄金時代の開幕ベルの役目を果たした記念すべき作品である。私
 にとっては「グリーン家」についで2冊目だ。第一作であるからして、ヴァンス
 の持論に長々とページを割いているのも仕方が無いことであろう。が、読者とし
 ては偉そうにまくし立てる割には中々推理を披露してくれない名探偵に対し、聊
 かじれったい気持ちを覚える。しかもその持論もかなり極論であり、オイオイ、
 いきなりそんなこと断言していいのか?とこっちが不安になったが、案の定とい
 うか舌の根の乾かぬうちにアッサリと破ってしまっている。これでは単なる恥知
 らずだ(笑)。誇大漢という設定なら話は別だが(笑)。しかし、伏線の張り方
 ・回収の仕方はやはり抜群に上手い。バーナビー・ロスより上。ペダントリーや
 キザな物言い・洒落等もこの人ならではというか、ゴチャゴチャしてるがそんな
 に不快じゃない。
 それにしてもマーカムよ、いい加減切れろ!!2、3発殴れ!!お前我慢し過ぎ。
 身体に良くねえって。全く。これがサム警視だったら4、5回はつかみ掛かって
 るだろうな。でもそれも全てヴァンスのマーカムに対する友情の結果だったんだ
 から逆説的だよね。とても親友とは思えんが(笑)。
 ラストに関して言うと、「グリーン家」と同様の問題点があるように思える(あ
 れほど極端ではないけれど)。しかし前段との兼ね合いがあるのでしょうがない
 ことかもしれない。やはり習作レベルか。
409読後感:03/02/15 22:22
>>408は私です。念のため。
410名無しのオプ:03/02/15 22:24
レスのみで語ればよい。コテハン(゚听)イラネ
411名無しのオプ:03/02/16 01:18
>>410
どうでしょう。
自分の感想だ、というのを明らかにしておくのは無益ではないと思いますけど。
まあ書き手の自意識過剰を招く可能性はありますが、本人の心がけ次第と言うことで・・・
412名無しのオプ:03/02/16 19:46
>>411
>>まあ書き手の自意識過剰を招く
もう招いてる
コテのオナニー場だな
413名無しのオプ:03/02/16 22:31
>412、そんな言い方はや〜め〜て〜。
コテハンだろうが、名無しだろうが、感想を書いてくれるのは
とても嬉しいし、自分の読後感とくらべるのも楽しいものです。
414名無しのオプ:03/02/17 03:11
べつにコテハンでもかまわないと思うけどね……
まあ、ほどほどにってことかな。
コテハン嫌いな人もいるみたいだから。
415名無しのオプ:03/02/17 19:16
リチャード・ニーリィ『心ひき裂かれて』(角川文庫)

精神病のケイトと暮らす作家志望のハリー。
彼が婦女暴行を阻止したその夜、退院したばかりのケイトがレイプ魔に襲われてしまった。
ハリーは心の平穏を求めて、昔の恋人と密かによりを取り戻すが・・・
レイプ魔の正体は?サプライズ・エンディングの名作。

背負い投げに行きたいのがみえみえの相手と組み合って、くるだろうそのうちくるだろうと思っているところに、実際に背負い投げが来て、足を踏ん張ってたら、大外刈りで一本取られるような作品。
オチは確かにもの凄いんですけど・・・最後に到るまでが苦痛、退屈。これは人によるかな。
「レイプ+精神病」の暗さ、「燃え上がる中年愛」の寒さに、どれだけの耐性があるかで変わるでしょう。
役が微妙に古くてですね、例えば、女がしゃべる
「うーん、コーヒー貰っちゃおうかナ」
とかいうこの、文末のリトルNAのやりきれなさも敵。仇敵。
ああーでもオチだけでも読む価値はじゅうぶんあります。
個人評価はB(佳作)ですが、騙されるのが好きな人はそれ以上行くかな。

コテハンやめました。匿名でマッタリ行くことにします。
416名無しのオプ :03/02/17 20:10
W・カッツ「恐怖の誕生パーティー」(新潮文庫)

夫の誕生パーティーを企画した妻。幼なじみや旧友を呼ぼうとあちこちに連絡をするが
誰も夫のことを知らない。夫は何者なのか?

内容は古臭いところがある。「とうさん、今はビデオデッキというのがあって
昔のテレビが見れるんだよ」みたいな台詞がある。だから現在品切れ状態なのだが、
それでも驚愕の結末やジリジリくる恐怖は今読んでも凄い。
時差がトリックとして用いられてるのはアメリカならではのもの。
417名無しのオプ:03/02/19 17:09
「雨を逃げる女」クリストフェール・ディアブル 角川文庫  読みますた

古本屋で100円で買ったんですが、大満足です。

雨の中を傘も差さずにひとり歩く娘。
彼女を車に乗せたタクシー運転手コール。
(この主人公コールが50過ぎのおっさんという所が良い)
不審がっていたコールは見た、娘がピストルを持っているのを。
気になりつつも、男と娘は不思議に気があった。
翌日、果たして工事現場から不良少年のリーダーの射殺死体が見付かった。
殺したのはこの娘なのか? 娘の言っている事を信じていいのか?
被害者を尊敬していた少年。何かを隠しながらもコールの周辺を探る警察。
不良少年たちを陰で操っていた男。孫を残して事故死したコールの娘、その夫。
それらが一つに繋がろうとする時、再び悲劇は訪れる。

もともと作者は純文学の方では名の通った人だそうで、
さすがに文章、構成、展開には無理が無い。
それどころか、謎の引っ張り方が上手い。
登場してもすぐにその人物の素性やら格好・性格を書いたりしない。
徐々に分かるように差し挟んでくるのだが、この書き方が上手い!
意外な結末も用意されているが、登場人物が基本的に少ないので、
ここに期待されては正直困る。
これは火曜サスペンスなどで映像化するととても面白いと思う。
古本で見付けたら是非読んでみて欲しい1冊です。

次は「大統領を暗殺せよ!」マイケル・ブライアン を読みまつ
418名無しのオプ:03/02/19 18:51
「三十九階段」ジョン・バカン(東京創元社)
 いやん、バカン。ゴメン。どうしてもいいたかった。
 内容はね、ありがちぃな通俗サスペンスものです。でもこれが嚆矢なら充分評価できるね。
 いかにもヒッチが好みそうな感じ。一般人が頑張る、というのがいいのかもね。ま、とても
 一般人とは思えない手際のよさだけど(笑)。最後の犯人たちとの粘り勝負がよかったね。
419名無しのオプ:03/02/19 18:52
「鑢―名探偵ゲスリン登場」フィリップ・マクドナルド(東京創元社)
 知られざる黄金期の巨匠、とでも申しましょうか。フィリップ・マクドナルドの処女作です。
 冒頭マザーグースの歌詞が載っているので「お、童謡ものか?」と思いましたが、そうでは
 なく、単に被害者を駒鳥、犯人を雀と比喩しているだけでした。しかし、ヴァン・ダインは
 これにインスピレートされてもう一歩進めたのかも。主人公の探偵は型にはめたような完璧
 男。これも黄金期の名探偵の特徴でしょうかね。しかし、探偵小説を礼賛しているというの
 は珍しいです。ルコックが最高とか聊か血迷ったこと口走ってますが(笑)。ま、24年で
 すから。大目に見ましょう。んでね、この作品の最も評価すべき点はロマンスの要素がふん
 だんに盛り込まれてる点だと思うんです。色んな意見があるでしょうけど、私はミステリの
 構成要件は一に謎解き、二に謎解き、三がロマンス、四がサスペンス、五が軽量だと思って
 いるので。で、ロマンスのことですが、探偵とワトスン役の両方に春が来るんですが、私は
 ワトスン役(なんと名前はヘイスティングス)の告白シーンの方が好きですね。ありがちで
 (笑)。
 話は変わりますが、「物分りの悪い女」っていうパターンがあるじゃないですか、ホームズ
 の短編とかに良く出てくる。もうネタは上がってるってのに中々ゲロしない往生際が悪い女
 、いるでしょう?で、大抵探偵に脅されて渋々白状するわけです。ああいうのって見てると
 イライラしてくるんですよね。まあ吐かされるのをみるときのサディスティックな喜びも捨
 てがたいですが(笑)。この小説では2人の女に該当するシーンがあるんですが、前者は良
 く、後者は悪かったです。ま、蛇足ですけど。すいません長々と。
 で、気持ちよく終わるはずだったんだが、この小説、終盤でとんでもないことを仕出かして
 くれました。全てのミステリファンが忌避する許しがたい大罪。そう、ネタバレであります!
 しかもご丁寧に訳者が注釈までつけてR・A・フリーマン「赤い拇指紋」だって・・・。俺
 積読してたんだぞ!!どうしてくれる!!こうなったら俺もバラしちゃうんもんね。この話
 のメイントリックって(メル欄)と一緒なんだぜ!パクったのは向こうだけどさ。
420読後感:03/02/19 18:54
>>418
>>419私です。メル欄も入れ忘れてるし(汗
421名無しのオプ:03/02/19 20:51
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422名無しのオプ:03/02/20 00:12
去年の年末に出た文春文庫のオーストラリア・ミステリー、
『有り金をぶちこめ』『破滅の舞踏』『ブラッシュ・オフ』の三冊をまとめて読んだ。

有り金〜は連作形式で3話収録。ぬるめのクライム・ノベル。
WW2の少し後あたりの時代設定で、その頃の豪音楽界に
スポットが当てられたりするが、興味がなければあんまし面白くない。
全体的にだるかった。サプライズもあるにはあるけど、イマイチ。

破滅〜は女探偵が主人公のハードボイルド風サスペンス。
「風」であって、ハードボイルドとは言い切れない感じ。
謎に包まれたタンゴ・ダンサーの死の真相を追うわけだが、
特に魅力的な題材があるでもなく、文章も平凡。可もなく不可もなく。

ブラッシュは行政アドバイザーが主人公の軽ハードボイルド。
政治が絡んでくるが、事件の真相よりも自分のボスの保身を優先するノリが面白い。
序盤はだらだらしていて退屈を感じたが、半ばあたりから読み易くなってくる。
軽快でいて俗っぽい雰囲気は人を選ぶかもしれんが、三冊の中ではこれが一番楽しめた。
423名無しのオプ:03/02/21 01:02
モーリス・ルブラン『八点鐘』(新潮文庫)

探偵ルパンの連作短編。
『斧を持つ貴夫人』がいい、という話でちょっと期待したが・・・
女性を誘拐し、その8日後に斧で頭を割って殺す連続殺人魔「斧を持つ貴婦人」。
ラテーヌ公爵(正体ルパン)は、さらわれた恋人を助け出すため、その正体を割り出そうとする、という話。
がっかり。
被害者の法則性を見つけ出す過程はまあいいとして、その法則の奥に踏み込まずに
「貴婦人の正体は(メール欄)です!」
なんていわれてもなあ・・・それは推理放棄じゃないのか。

他のも似たり寄ったりで楽しめませんでした。
『ルパンの脱獄』『赤い絹のスカーフ』クラスを期待しちゃ駄目なのかね。
424読後感:03/02/21 08:58
「ゲスリン最後の事件(エイドリアン・メッセンジャーのリスト)」フィリップ・マクドナルド(東京創元社)
 本当はこの前に2作読むつもりだったんですけど諸事情により後回しになりました。
 処女作から実に35年。1959年の作品です。しかしまだルコックルコックほざいて
 ます(笑)。もうやけになってるのかな(笑)。ロマンス仕立てなところはやはりイイ
 ですね。ちょっとやっつけだけどさ(笑)。このスタイルは評価します。この作品はミ
 ッシングリンクとホワイダニットに力を入れており、フーダニットは存在しません。や
 はり、ハリウッドでの経験を経て作風もチェンジしたようです。
 疑問@何で犯人は「過去の事」で罰を受けなかったのか?
 疑問Aエイドリアンはなぜリストの人達の移転には興味を示さなかったのか?
 などの疑問が残ってます。
 ちなみに結末は最悪です。こいつら(探偵含めた数人)タチ悪すぎです。いくら自己中
 殺人鬼だからって何してもいいわけがありません。罪悪感がゼロな分、あのクイーンの
 長編より後味が悪いです。
 この作品ハリウッドで映画化され日本でも公開されたそうですが、ツタヤオンラインで
 は見つかりませんでした。
425名無しのオプ:03/02/23 10:12
ヘレン・マクロイ『暗い鏡の中に』(ハヤカワ文庫)

女教師フォスティナは突然解雇を言い渡された。
2年もの間、まったく同じ時間、別の場所に、もう一人のフォスティナが現れる現象が頻発していたのだ。
彼女の同僚が死体で発見されたとき、目撃者の生徒は
「フォスティナが殺した」と断言した。
しかし、彼女は遠く離れたニューヨークにいた・・・
彼女の生霊が犯人なのか?

えーと、カーの『火刑法廷』が好きな人なら大丈夫、大いに楽しめるでしょう。
私はそうじゃないんですがね、まあこれは相性の問題だろうなあ。
これは傑作という評価の割りに絶版なんですけど、読める機会があった場合、
『火刑法廷』を試しておくことをお勧めします。
426名無しのオプ:03/02/24 22:23
ウェイド・ミラー『罪ある傍観者』

珍しくサンディエゴを舞台にしたハードボイルド。
もと探偵のマックス・サーズデイが、元妻に依頼されて、誘拐された実の息子を探す。
妻の再婚相手は失踪、共同経営者は殺される。
どうも幾多の勢力が真珠の山を追いかけてるようだが・・・という内容。

謎の人物「セント・ポール」は何者か、という解決が、しっかりミステリしてる。
どんでん返しもあるし。プロットもよく出来てると思う。
なんか『ミステリ絶対名作200』でリストアップされてるの?
自分は北上次郎が絶賛してたから見たんだけど。
ハードボイルド好きの人には傑作クラス。
そうじゃなくても楽しめるが、正直、佳作以上の評価には多分ならない。
気が向いたひとはどうぞ。
427名無しのオプ:03/02/25 17:16
>>425
いいな〜 短編の「鏡もて見るごとく」と比べてどうでした?


「大統領を暗殺せよ!」マイケル・ブライアン   読みますた
感想を一言で言うなら 最 悪 !!!
と言うより、この言葉しか出ない。
登場人物には精彩が無いし、誰にも感情移入が出来ない。
暗殺物は暗殺する側に魅力が無ければならないのに全く無い!
それどころかバカばっか!
守る側も負けず劣らず魅力無し、それにバカばっか!
たしかに1956という古い作品であるので、
ハイテクな暗殺方法を期待はしていなかったがそれにしても酷い!
酷い箇所を書いていたら一冊本が出来るんじゃないかというくらい酷さ爆発!

本当に上質のサスペンスを読みたいので
次はハドリー・チェイスの「クッキーが崩れるとき」を読みまつ
428名無しのオプ:03/02/25 22:04
アガサ・クリスティ『終りなき夜に生まれつく』

大富豪の令嬢エリーと結婚した「ぼく」。
悪い噂の耐えないジプシーが丘を買い取り、大きな屋敷を建てて住むが・・・
という話。

興をそぐので裏側のあらすじは読まない方がいいです。
(物語が大半進んで起こる事件をばらしている)
ラスト30ページは本当にゾクゾクする展開。
ミステリともホラーとも読める作品ですけど、
クリスティは一言も「本当に呪いだったのかもしれない」とは書かず
それが逆に不気味さをかもし出している。
読みやすいし350ページと手ごろな長さでおすすめ。
429名無しのオプ:03/02/25 23:18
「毛糸よさらば」ジル・チャーチル読了。
いくらなんでもそんな偶然ネーヨ!と思いつつ
それ以外のところではすごく楽しいので許す。
4301002:03/02/26 08:41
>>427
創元のクソ旧刊に次々挑む貴方は、凄いチャレンジャーですね・・・
珍味系がもしお好きなら、
「ストレート」スティーヴン・ニックマイヤー(オプもの)
「きず」アンドニス・サマラキス(ギリシャ産サスペンス)
「暗号名はフクロウ」モーリス・ドニュジエール(どたばたスパイ)
あたりがお勧めです。
431427:03/02/26 09:44
>>430
参考にさせていただきます。
ありがとうございます。
432名無しのオプ:03/02/26 20:01
ディクスン・カー『妖魔の森の家』

ぐわーーーーーーーーーーーーーーーー
このネタ知ってる!
子どものときに推理クイズで見たことある!
今まですっかり忘れてたのに
よりによってメール欄が出てきた瞬間に
メイントリックの肝だけ思い出してしまった。
自爆とはいえネタばれされたような気分・・・
433432:03/02/26 20:02
関係ないけど「妖魔の森」って「ゴブリン・ウッズ」なんだね。
434名無しのオプ:03/03/07 13:25
「クッキーが崩れるとき」ハドリー・チェイス   読みますた

高級レストランで中毒死した女。
彼女のバッグには男を殺してきたとの遺書が入っていた。
果たして、記載されていた場所には男が拳銃で撃たれ殺されていた。
しかしこれはパラダイス・シティにある有名銀行の金庫にある金を狙う
より大きな犯罪の布石に過ぎなかった。
時間を掛けて練り上げた犯罪だったが意外な所から警察の捜査が始まった!

テンポも良く、会話も洒落ていて、なかなか面白い。
その程度の軽いサスペンスだと分かって読む分には十分な内容。
事件が発覚するきっかけになる出来事が
偶然過ぎるが面白い。ほう〜、こうつながるかと感心した。
警察が捜査を始める所からが俄然面白い。
パラダイス・シティ警察の面々のキャラが、87分署ほどではないが面白い。
捜査の上で重要なアイテムとなる「青い縁の眼鏡」も
かの「幻の女」のオレンジ色の帽子の様に色彩的に印象に残る。
ラストも落ち着いた雰囲気で、「そう来たか!」てな感じ。
少しこのパラダイス・シティ警察物は読んでみたくなった。

次は「技師は数字を愛しすぎた」ボワロー&ナルスジャックを読みまつ
435名無しのオプ:03/03/12 00:59
ドナルド・ウェストレイク『踊る黄金像』

悪党が南米の小国から持ち出した黄金像、
15個の偽物とごっちゃになって、慈善団体にばらまかれてしまった!
ドタバタミステリ。

「読む人間を選ぶ」なんて感想を書く人間は、たいてい選ばれなかった人間だが
漏れもそう。
苦痛で仕方がなかった。大して面白くもないし。
黄金像のありかも「はぁ、なんだかなあ」だし。
登場人物が多い多い。主要人物でも20人を越える。
たぶん人間の多さ自体が一種の冗談なんだろうが面白くないし。
一番いかんのは長さである。
こういう作風で500頁超は拷問に近い。
トマス・クック『緋色の記憶』以来の大外れだな。
そういえばどっちも「このミス」ベスト3だが。
436名無しのオプ:03/03/13 16:43
「読む人間を選ぶ」ってのは選ばれた方が言うんだと思うよ。
”私は知ってたけどこの元ネタ知ってる奴は少ねーだろーな”とか
”前もこんなのはうけてなかったしなあ”って思う人が
言うような。。。
選ばれてない方はただ単につまらんのか、何かの前提が
あれば面白いのかわからない訳だから。

ちなみに私は「黄金像」とても面白かった。ただ人にすすめる
気はおきない。
437名無しのオプ:03/03/14 13:45
「技師は数字を愛しすぎた」ボワロ&ナルスジャック  読みますた

白昼の原子力工場で悲鳴と一発の銃声。
慌てて駆けつけた男たちが見たのは同僚の死体と空けられていた金庫。
窓の外には警備員がいて、駆けつける最中に人影は見なかった。
金庫の中にあったのはパリの全人口を死滅させる事が出来るほどの
核燃料を入れていたチューブだった!
急を要する捜査と難解な不可能犯罪。
パリ司法警察のマルイユ警部は謎が解けるのか?
果たして、重要容疑者の男の消失、またもや起こる不可能状況での殺人。

これはボワロ&ナルスジャックが新機軸を狙った作品。
と言うより、ピエール・ボワロー寄りの作品。ボワローは不可能犯罪が大好き。
よって、合作の時の特徴である緻密な心理描写が空回りしていると思う。
それまでは被害者、狙われる者の心理を描いて、
読む者を見事なまでに引き込んでいたが、
ここでは捜査側の心理を事細かに描くことになる。
しかしこの警部が案外頼りない。
モース警部のように試行錯誤の末に一応推理をまとめるのに比べ、
マルイユはただ悩むだけ。そこがじれったいし、サスペンスとして鈍くなってる。
この新機軸は失敗だったと思う。
真相も最初の事件が起きた時点でそのトリック、犯人が見当がつく。
登場人物が少ない彼らのいつものやり方がここでも不利になってる。
設定も悪くないし、犯人も普通なら意外な人物だし、
サスペンスも十分盛り上げられる要素もあるのに、
全てが空回り。要はこの二人が書かなければそこそこの作品になったかも。

次は「3,1,2とノックせよ」フレドリック・ブラウン  読みまつ
438名無しのオプ:03/03/18 16:39
“Hard Frost” By R.D.Wingfield

おもしろいんだけど、前3作と比べると少し落ちる感じでした。
439名無しのオプ:03/03/18 19:54
アキフ・ピリンチ『猫たちの聖夜』(ハヤカワ文庫NV)

ドイツで推理協会賞受賞を受賞した猫ミステリ。
賢い雄猫フランシスが、謎の連続殺猫事件を解決するという話だが
テーマの重さはあらすじから受ける印象からは程遠い。
残虐で悲痛なシーンが多く出てくるので
「ニャンコ大好き♪」なノリで読み出すと後悔する。
そういう人は例のシャム猫とトラ猫のシリーズを楽しまれたし。

人間では考えられないような凄まじい動機と
訳文とは思えない滑らかな語り口調は一読の価値がある。
欠点は、猫の範疇を明らかに越えている不自然なキャラ造形か。
コンピュータを使う「パスカル」という猫はまあともかくとして、
一人称でニュージシャンや映画監督、聖書や哲学にまで言及するフランシスが
中学生でもわかる「ある偉人」を知らない、というのには違和感がある。
この辺りはプロット的な詰めの甘いところだろう。
440439:03/03/18 19:56
まちがい「ミュージシャン」ね。
441読後感:03/03/19 21:08
「シンデレラの罠」セバスチャン・ジャプリゾ(東京創元社)
 レズ物は初めてだったけどあんまりイケなかったな(w)。まあ冗談は
 さておいて、そうね、そんなに悪くなかったんじゃないかな。なんつっ
 ても初の試みなわけだし。都筑道夫が「捻りが足りない」みたいなこと
 言ってたが最初っから飛ばしても読者は混乱するだろうしさ。これは作
 者の優しさだと、そう考えればいいのさ。自分ひとりで刈り尽くすんじ
 ゃなく後の人が刈る分も取っといてくれたみたいな。と、思ってたら都
 筑タンのが先だったみたいね。驚き桃の木山椒の木(古)。んじゃ海外
 古典乱読が一段落したら「猫の舌」読んでみるかな。
「闇からの声」イーデン・フィルポッツ(東京創元社)
 動機が弱いよ。動機が。復讐タンは日本人好みだって前に書いたけど、
 それには前フリが必要不可欠なんだからさー。赤の他人が代行人にな
 るということが非現実的。それをあそこまで異常に追い詰めて、しか
 も結果的に殺してる・・・。こいつもフィルポッツの描く「悪人」の
 一人なんだな。ラストの落ちも強引だし・・・(苦笑)。あ、つーか
 ミステリじゃねえや!今気づいた。
442読後感:03/03/19 21:09
「伯母殺人事件」リチャード・ハル(東京創元社)
 面白かった!うん、本当に。「幻の女」読殺直後の乱歩の気分(幻は
 積読状態だけどさ/苦笑)。「嫌らしさ」がよくでてるよ。こういう確
 執って結構ありそうだもんなー(ここまでひどくは無いにしても)。た
 だ、最後はやっぱり可哀想・・・。この人は田舎とそこの人々を軽蔑す
 るあまり、無能だと勝手に思い込んじゃったんだよね。その気持ちは良
 く分かるが・・・結局未熟だったってことかぁ。世間知らずで。だから
 ってあの結末は・・・。伯母も「善人」じゃないしね。主観で語られて
 いたことを考慮しても伯母の遣り方は常軌を逸してると思うし。俺とし
 てはさらにあの後都会から探偵役が現れて・・・みたいな妄想を一人で
 してニヤつくしかありません(爆死)。
443読後感:03/03/19 21:10
「二つの密室」F・W・クロフツ(東京創元社)
 「あのクロフツが密室物を書いた」という知らせが私の許に舞い込んで
 来たのは夏も終わりの頃であった。教えてくれたのは三重の平井君であ
 ったろうか。それを聞いた当初私は「まさかそんなことはあるまい」と
 タカをくくっていたのだが、今考えるとそれには多分に感情的な要素が
 働いていたように思える。「畑違いのトリックに手を出した」という事
 に対する訝しさよりも、それまで先頭に立って西洋の作品を本邦に紹介
 してきたという自負が、「他人に遅れをとった」ということに強く反応
 してしまったのだろう。しかし、どうやら事実らしいということがその
 後明らかになり、私は悔しさに顔を滲ませながら注文したものであった。
 本が届くまでの間、私はあのクロフツがどんな密室トリックを思いつい
 たのだろうかと色々な想像を働かせた。やはりアリバイ崩しと(なお一
 層)密接な関わりがあるのだろうか。頭よりも足を使うのが得意なフレ
 ンチがどうやってその謎を解くのだろうか。など疑問は尽きなかった。
 本が届いたのは予測どおり、年が明けてからであった。気もそぞろに包
 装紙を破り表紙をめくった時のあの胸の高鳴りは今も鮮明に思いだすこ
 とができる。しかし、その時を絶頂として、胸の高鳴りは読み進むに連
 れ、収まっていった。作中に密室は2つ出てくるのだが、前者は余りに
 物質的に過ぎ、小説的ではないし、後者に至っては短編でも使用するの
 が憚られるような貧相極まりないもので、私はあからさまに落胆してし
 まった。もっと独創的で簡単なトリックはいくらもあると思うのだが。
 
444443の続き:03/03/19 21:10
どうもクロフツは単に「密室物を書いてみたい」というミーハーな考え
 でこれを書いたのではないかと思える。大人しく己の領分を守っていれ
 ばいいのに、畑違いの分野に手を出すものだからあたら名声に傷をつけ
 る結果になってしまった。ミルンやルルウもようにプロパーではない作
 家がミステリを書くと名作が出来るのに比べて、今回の場合はあくまで
 ミステリの範囲の中でのことなので完全にゼロから考えることが困難で
 あり、どうしても自分の領分を意識してしまうのだろう。殊にクロフツ
 のように作風が極端なほど統一されている作家は尚更である。第一の密
 室トリックのような「微に入り細を穿」っているものは、それが完璧な
 アリバイを作るという別の目的を遂げるための手段としての役割を担っ
 ているもの(つまりクロフツの元々の型)であれば良いが、それ自体が
 脚光を浴びることになるいわゆる「不可能犯罪」ものにおいては大いに
 分不相応といわざるを得ない。クロフツの作品が持つ魅力がそのまま短
 所に変貌してしまうのだ。また細かい点を挙げても、@病身の夫人がヒ
 ロインを信用した理由が逆説的であることや、Aフレンチが介入してく
 る経緯が不自然なことなどが引っ掛かる。ここに至って私は、「要する
 に私には目にする前からそれが良いか悪いかを判断する力が知らず備わ
 っていたのだろう」という結論に達したが、ゆめ人には言うまいと誓っ
 た。(追伸:有栖川君が少年時代に読んでヒロインに恋心を抱いたと言っ
 ていたらしいが私にはそのような感情は湧いてこなかった。これも老境
 に差し掛かってきた印であろうか・・・)
445読後感:03/03/19 21:12
「ナイン・テイラーズ」ドロシー・L・セイヤーズ(集英社)
 見て最初何でこの題?って思ったのね。だって原題をそのまま邦題にし
 ちゃうのってどっちかと言えばイマドキの傾向じゃない?だから。でも
 そんな疑問読んだら氷解しちゃったわ。二つの意味がこめられてるから
 なのよね。あれ?でもバークリーのあの作品(未読だけど)何でかしら
 ・・・?やっぱりわからないわ(w。それでね、読後感なんだけど、悪
 くなかったわ。ううん、すごくよかったの!「伯母殺人事件」以上にね。
 アタシ今までセイヤーズはどっちかというと敬遠していたのだけれど、
 それはどこかで「彼女の作品は文学色が濃い」って風に言ってたからな
 の。その頃のアタシってば初心者だった(今もだけどさ)もんだから、
 「ガチガチの本格以外は読まないっ」って決めてたの。そのせい。でも
 終に「乱歩の卓見」(from長谷部史親)を信じて読んでみる気になった
 ってワケ。確かに文学色は強かったけど、それって別にマイナスじゃな
 いし、謎解きが損なわれてるわけでもないから(溶け込んで目だたなく
 なってるって感じね)抵抗無く読めたわ。あのイガイな死因にもビック
 リ!でもね、アタシこれ読んで大いに考えさせられることになったの。
 
446445の続き:03/03/19 21:12
それというのも、例の文学色のせいなんだけど、第一章(楽章だったか
 しら)ってぶっちゃけ必要なのかなってコト。ラストの事件以上に不必
 要じゃないかしら?ミステリというカテゴリで見る場合。こういうコト
 に関する議論ってずっと昔からあるのよね?何て言ったかしら・・・ま
 あいいわ。とにかくアタシはそのコトがちょっと気になっちゃったのよ
 ね。でも今はもう深く考えないことにしてるわ。あーだこーだと理屈こ
 ねるよりも読んで蛇足に思ったかそうでないかっていうフィーリングが
 大事だって気づいたからよ!フフ。んで、後思ったことはぁー・・・え
 ーと、あ、そうそう、首飾りのコト。あれの弁償のせいであの家傾いち
 ゃったのよね。でもそれってちょっとおかしくない?だって持ち主のお
 ばさんとあの家って同レベルの階級なんでしょ?だったらあの首飾り弁
 償するぐらいで家が傾くって変じゃない?まあ、戦争も一因とは書いて
 あるけどさ。んー、あとはね・・・そう、作中で疑問点を表文化してあ
 るってコト。これはとても良い点よね。だってアタシみたいなお馬鹿な
 読者でも振り落とされずに済むよう配慮がなされてるってコトだもの。
 さて・・・もうないかな・・・・あっ!そうだ。前にどこかで「『ナイ
 ン・テイラーズ』は平井訳で読め!」って言ってた人がいたけど、あれ、
 あんまり良くないらしいわよ。というのも、あの訳は当時の「イギリス」
 的な味わいを出しているものではなく、単に表現が古いってだけらしい
 のよ。例えば、マフィンを「饅頭(ルビはマフィン)」と訳出したり、
 教会の敷地を表すのに「境内」という言葉を使ったりしてるらしいのよ。
 だから平井訳にこだわる必要メリットは大してないの!・・・でもね、
 これって実は他人の受け売りなの。アタシがだーい好きな若竹七海おね
 えさま(きゃうん☆)があとがきで言ってたことなの。うふふっ。
447読後感:03/03/19 21:13
「プレーグ・コートの殺人」カーター・ディクスン(早川書房)
 読みにくい。以上。


 としたいけどそうもいかない。でもね、プロットがいいだけに腹が立つ
 んですよ。訳文が悪いのか原文が悪いのかわざとかはわからないけども。
 最初に出てくる二つの事柄のつながりがしばらくしないと全然わからな
 いし(こう書けば普通の展開だと思われるかもしれんがとにかく不自然
 なのですよ)、植木鉢のトリックだって何だってあそこまで種明かしを
 引っ張るのか意味不明だし、手紙の中に書かれていた過去の出来事(荷
 役係やメイドの体験)の解明もなされていない。まだある。実験の時人
 形が暖炉に引っ張られたのは何故か?犯人の最後の殺人の意味は?もう
 ね、「あああーーーーーっ!!」って感じですよ。この怒りはハロース
 ーザン見ない限り収まりません(笑)。トリックはとてもいい。「二つ
 の密室」読んだ後だから特に(笑)。だから仁賀や二階堂がその点を評
 価して三大傑作に入れたんなら納得。あれ、でも仁賀は「他の作品に比
 べ破綻がない」って言ってたな・・・(爆死/←使っちゃいけないんだっ
 け?)。そして最後に軽い疑問。何でH・Mと表記するの?長ったらし
 いから?そうでもないような・・・なんでだろ〜う?
448名無しのオプ:03/03/19 22:38
>>446
なんでそんなカマ口調になってんのさw
449名無しのオプ:03/03/20 09:06
>読後感
「幻の女」を積読状態にしてるのはもったいないです。

それと「プレーグコート」、仁賀氏の訳は酷いので有名ですから勘弁してね。
450名無しのオプ:03/03/21 22:20
クリスチアナ・ブランド『自宅にて急逝』

ハヤカワポケミス。入手困難だが図書館で借りて読んだ。
ブランドは技巧主義の本格作家で、くせのありすぎる登場人物、二転三転する精密なプロツト構成が特徴。
ブランド作品は総じて、基本的に全員が怪しいキヤラで、誰が犯人になつてもおかしくない状況を設定するため、フーダニツトの意外性は薄いが、
捨て説となるひとりひとりの犯人仮説は、並のミステリならそのまんま解答に使えるほどレベルが高い。
この話も犯人は意外じやないけれど、ラストの凝つた演出は読み応えたつぷりである。
『招かれざる客たちのビユツフエ』以降、再評価の気運はあるのだが、供給されそうにないのが痛いな。
バークリーとマクロイのように新刊を出してほしいものだ。

で、何で上のような変な文章を書いたかというと、小文字が全部大文字になつていて、読みにくかつたせいだ。
個人的にはこの作家3冊目だが、
「ふんとに?」とか「〜でづ」とか、いちいち独自語が多い。
(まあ今回は訳者のせいだろうな・・・年寄りか?)
451名無しのオプ:03/03/24 00:24
>>450
いや、片仮名は普通に小文字は小文字だろ>ポケミス
452名無しのオプ:03/03/24 00:36
450 は ふんとに 読んだのだろうか?
453名無しのオプ:03/03/24 19:32
マーガレット・ミラー『狙った獣』

典型的なサイコサスペンスだなあ、と思いきや、55年に書かれていた事実に読後びっくり。
読んでるうちは全然気づかなかった。
454名無しのオプ:03/03/25 20:49
個人的意見
ハルの「他言は無用」を読んで、日本で伯母殺人事件は過大評価されてると思った。
メール欄じゃないのか?
455名無しのオプ:03/03/25 20:57
>>454
仮に(454メール欄)だとしても(折れはそう思わないけど)
「他言は無用」が評価されてないんだからいいんじゃない?
「伯母」が評価されてるのはそれなりの理由があるのだから。
456名無しのオプ:03/03/27 11:31
「3,1,2とノックせよ」 フレドリック・ブラウン 読みまつた

ある小都市において強姦殺人魔による被害が続いていた。
世間では犯人を「痴漢」と名づけて、警戒していた。
「痴漢」は次の生贄を求めて夜の街を徘徊するが、
警戒されているために今夜も達成できずにいた。
一方、妻とも喧嘩し、借金の急な取立てに苦労している
しがないセールスマン レイ・フレック。
レイと「痴漢」が出会った時、物語は一気に加速する。

「痴漢」の目線での話かと思ったら、延々とダメ男レイの話がつづく。
後半スリルある展開にはなるものの、やはりこの部分が長く感じた。
2時間ドラマへの映像化にはちょうど良い作品だとは思う。
最後は皮肉な結末が待つが、
ブラウンの短編に見られる意外な結末というほどではない。

次は、と言うかもう読んでるんですが、
「13の判決」(アンソロジー)でつ。
最初の作品パトリシア・ハイスミスの「猫の獲物」は読み終わったが、
事件の発端は良いと思うが後がつまらない。
この本は全ての作品が「裁判・判決・陪審」に関係ある内容になっているようだが、
そのためだけにこの作品では人数を増やした感じがする。
結末も意外でもなんでもない。
とは言っても、この作家はどれも結末に期待する作品ではないので、
こんなもんか、程度で片付けるべきか・・・
457名無しのオプ:03/03/27 17:42
>456
「312」はタイトルがイイだけに、前半が冗長なのは惜しいな。
458名無しのオプ:03/03/29 23:44
アーロン・エルキンズ『古い骨』

傑作と言われているが、ミステリの仕掛けは平均点なんだよね。
このトリックだけのために全体が存在してます!みたいな肩の張った感じじゃない。
突出した部分はゼロ。
そのかわり、骨の知識とか会話の楽しさなど、部分部分が平均点以上の高水準なのだな。
単純に面白い話として読める。
たぶん1年もしたら(あるいはしないうちに)筋書きなんか忘れてしまうだろう。
楽しかったことだけ覚えている、そんな小説。
459羊バンター:03/03/30 20:44
名ばかり知っていたルヴェルの「夜鳥」(創元推理文庫)を読みました。
どれもトリッキーで神経症的で、乱歩や久作などに相当影響しているのがわかりました。
たとえば冒頭の「ある精神異常者」では、乱歩があの某短編で書いていた逸話はこれだったのか!
という発見(たいしたことないですが)がありました。
とくに「麻酔剤」という短編が気になりました。
これの設定とか基本的プロットが泉鏡花の某作品の設定にとても似てるんですよ。
翻訳の初出は大正12年だそうで、泉作品より遅いので偶然でしょうけども・・・
ルヴェル作品も、泉には及ばないけど、けっこう悲哀があっていい作品だと思いました。
おもしろい本でした。

あと、新青年の人たちが「ビーストン的な作品に影響された」とよく聞きます。
ビーストンも私には未知の作家ですなあ
460読後感:03/03/31 16:30
「医者よ自分を癒せ」イーデン・フィルポッツ(早川書房)
 トリックはどこへ消えた?探偵はどこへ消えた?イカした動機はどこへ
 消えた?もうね、ヤダ!(笑)。乱歩が一位に選んだりするから惰性で
 もう4つも読んじゃったけど、その度に失望させられる。長編でやるよ
 うなことじゃねえよ。ハフー。ミステリーとして語ったらすぐ終わるの
 で、他の部分で気づいたことといえば・・・主人公がマイケル・J・フ
 ォックスていうことぐらいかな(w。金銭第一主義なんだけども、熱い
 ものも持ってるみたいな。「ドク・ハリウッド」みた後だったから特に
 そう思った(w。しかし中盤からガラリと変わって危険な面を浮き彫り
 にさせていく。心が弱い理屈屋なんだよね、この人。だから確たる証拠
 もなしに妄想を膨らませていき・・・。フィルポッツの小説ってどちら
 も悪なんだよね。後、どうでも作中にコモ湖を登場させないと気が済ま
 ないらしい。
461名無しのオプ:03/04/01 14:06
このスレ読んでケイト・ロス『ベルガード館の殺人』読みました。

パートナー(?)が元アノ職業なら、そりゃぁ便利だよなー
と思いながらも全体的に面白かったです。
派手なトリック無いけど犯人の動機も納得。
読後は大団円では無いけど収まる所に収まった、という安心感が。

マルヴェッツィ館の殺人も読みたいけど、近所のブクオフ
上巻が2冊あるくせに下巻がねぇぞー!
でも読みたい。
462名無しのオプ:03/04/03 20:50
ミネット・ウォルターズ『女彫刻家』読んだけど、いまひとつだった。
理屈はわかるけど、レストラン<ポーチャー>が本筋に絡んでくる部分が強引に感じた。
エピローグも余計だと思う。
463名無しのオプ:03/04/04 01:23
>>462
ひとが言うほどよくないよね、『女彫刻家』。
ひたすら『氷の家』好きの漏れだからなのかもしれんが。
464パーカー信者:03/04/04 14:42
>>463
自分も「女彫刻家」はいまいちでした。

「氷の家」はいいよね(*´д`*)ハァハァ
465名無しのオプ:03/04/06 00:38
>>459
ルヴェルの「夜鳥」、明日書店で探してみます。
デュ・モーリアの「鳥」(KISS ME AGAIN, STRANGER)読みましたよ。味わい深い一冊でした。
466名無しのオプ:03/04/06 02:49
ポーラ・ゴズリング『モンキー・パズル』

殺された大学教授は、舌を切り取られていた。
彼は何のために殺されたのか?やがて、耳を切り取られた死体が・・・
見ざるいわざる聞かざるの殺人、犯人は誰か?

これがなぜゴールド・ダガー賞に輝いたのか理解に苦しむ。

・表題とは裏腹に、パズル性はゼロである。謎があるとすれば「犯人はなぜそんな殺し方をするのか」だろうが、主人公の刑事は気にしないし、明かされる解答もいいかげん。
・三猿の見立てに関しては、作品中ですらほとんど問題にされない。
・容疑者をいきなり11人も同時に登場させるお粗末さ。章が終わるころには、誰が詩人で、誰が太ってて、誰が黒人だったか、忘れていることうけあい。はっきり言ってこのうちの半分は必要ない。
・ときどき挿入される警備員の独白のパートが、プロット上まったく生きていない。というか、こんな書き方をする必要はまるでない。
・一番の問題は、作品を特徴づける仕掛け(面白さの肝)みたいなのがないこと。

探偵役のストライカー刑事のキャラはちょっと面白い。部下との掛け合いもちょっと面白い。
ただそれだけ。
467読後感:03/04/06 23:09
「煙で描いた肖像画」ビル・S・バリンジャー(東京創元社)
 これはある一匹の化け物の話である。その化け物は生まれながら
 にして大きな欠損を持っていた。貧困に喘ぎ、教養の低さに嘆く
 その化け物には優れた容姿というたった一つの武器があった。化
 け物はその武器を最大限に利用して教養や技術を習得し、一方で
 は愚かな男達の金と愛情を吸い上げながら、着々と進化を遂げて
 いった。そして化け物の野心は果てしなく肥大していった・・・。
 とまぁ、私なら裏表紙にこう書くだろう。閑話休題。早速不満を
 呈させて頂くと、男が女を追いかける動機の弱い。童貞じゃない
 んだから(笑)。まぁフレンチばりの捜索は良かったけども。あ
 と、女の計画の杜撰さ。こんなに上手くいくわけないだろうとい
 う感じ。ラリーの時なんかはいくらジイサンに目こぼししてもら
 ったからって逃げられるとは思えない。重要参考人として呼び出
 しがくるだろう。それとグッドボディに詐欺の片棒担がせる場面。
 普通赤の他人のためにそこまでしない。そして読後最大の疑問だっ
 たのはバードがグッドボディに電話して女の身元を確認する場面。
 ここで信じられないほどのミスがなされている。女は、グッドボ
 ディの名前を「ジェラルディン・K・ヴァン・ドーレン」とバー
 ドに言ったはずなのに、バードは電話口に出たグッドボディに対
 し、「ミセス・ゴトロックはいるか」と尋ねている。これだけな
 らバードがかまをかけるためにわざと違う名前を言ったという解
 釈も成り立つ。しかし問題はこのあと。尋ねられたグッドボディ
 は何を思ったか「ミセス・ゴトロックならわたくしですが」と答
 えてしまうのだ!(この時点で女の計画は頓挫している)そして
 さらに驚くのはそれを聞いた当のバードがその答えを何ら不審に
 思っていないということだ!!これは一体どういうことなのか?
468467の続き:03/04/06 23:09
サッパリわからない。余りにも明白なことなので当初はてっきり
 伏線だと思っていたのだが、いつまでたっても回収が無く、そう
 こうしているうちに読み終わってしまった。その時初めて「ミス
 だ」と判断したわけである。バリンジャーはプロットの肉付けが
 苦手だったらしいから回収するのを忘れてしまったのかもしれな
 いとも思ったけど、文中には「電話を切ったあとも、クラッシー
 との口約束を撤回する理由は見つからないままだった」という記
 述がその可能性を否定している。となるとやはり作者の完全なる
 失策という結論にならざるを得ない。しかし、前述したようにあ
 まりにもあからさまな間違いなので私の読み落しかもしれないと
 いう疑念も捨てきれない。どなたか教えてくださらないだろうか。
 閑話休題。次に結末についてだが、「歯と爪」のときも思ったが
 、弱い!というか中途半端。ブレット・ハリデイは「これ(『歯
 と爪』)に比肩する作品として思い浮かぶものといったら、アガ
 サ・クリスティの『アクロイド殺害事件』があるくらいのものだ
 」などととんでもないたわごとを口走っているが、クリスティな
 らば本作にしても「歯と爪」にしても実際の「意外な結末」から
 最後の句点までの間に少なくとももう一回転はしてみせるだろう
 と思う。
469読後感:03/04/06 23:10
「赤い拇指紋」オースチン・フリーマン(東京創元社)
 ソーンダイクは短編集のTをこないだ読んですごく気に入ったん
 です。だから期待して読んだんですけど・・・うーん、イマイチ
 入り込めなかったな。やはり長編だとあの推理法は退屈に思えて
 いしまうようですね・・・。まあ「鑢」にネタバレかまされたこ
 とも考慮に入れなければならないでしょうけど。ただワトスン役
 のメロドラマはなかなかでした(笑)。
470あぼーん:03/04/06 23:12
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472佐々木健介:03/04/06 23:21
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473あぼーん:03/04/06 23:29
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474名無しのオプ:03/04/06 23:31
475金正日:03/04/06 23:37
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476名無しのオプ:03/04/06 23:46
読後感なりのスタイルを作りつつあるのはわかる。
しかし、作品を意図的に面白く読むというのもまた、ひとつの技術である。
今はびこっている自称評論家の一部はそれを忘れている。
それゆえ、彼らの文章は(たとえ本人は遊びを入れつつ、言葉を重ねて盛り上げているつもりでも)
他人には届かないのです。
読後感が揚げ足をとるのみならず、創造的な読みを提示してレスを読む人に伝わる時が
いずれくることをお祈り申し上げるしだいである。
477佐々木健介:03/04/06 23:47
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478名無しのオプ:03/04/06 23:48
読後感うざすぎ
479名無しのオプ:03/04/07 01:25
うーん。
476の真摯な態度は好感持てるけど、大抵の人は
読後感のレスは読み飛ばしているんじゃないかと。
480名無しのオプ:03/04/07 21:08
まあ、読後感は批判的な見方が好きみたいだし、好意的解釈は誰か他の方に期待しましょう。
僕はどのレスもちゃんと読みますよo(^-^)o ネタバレない限りは…
481名無しのオプ:03/04/07 23:10
>>480
同意です。
482名無しのオプ:03/04/08 16:35
え?読後感ちゃんと読んでる人いるの?
483名無しのオプ:03/04/08 17:04
つーか、読後感は自分が気にIRAなそうな本を選んで読んでるのか?(w
484名無しのオプ:03/04/08 21:51
>>482
ひょっとして479と同じ人かな?逆にきくけど、読後感のどういう所が気にいらないの?
そういうのをハッキリ言わないと単なる中傷で終わっちゃうよ。
485名無しのオプ:03/04/08 21:53
俺の場合、単に長いから読まない。

486479:03/04/09 01:26
>>484
申し訳ない。俺のレスは煽りっぽかった。
フィルポッツなりカーなり、俺が若い頃楽しんで読んだものを*いまさら*
ぐだぐだ書かれて腹がたって書き込んでしまった。
以後控えます。
あと、482は俺ではない。
一応、俺にはクエスチョンマークのあと、スペースを入れる程度の常識はあるので。
487名無しのオプ:03/04/09 04:37
>>479は大人だね。尊敬します。

あと、「?」のあとに全角あけを入れるのはそれほど
世間に認知されたやりかたではないと思う。
(というか、最近思った)
488名無しのオプ:03/04/09 10:00
最近はタイピングのルールなんてのは
しらない人が多いからなぁ。
489名無しのオプ:03/04/09 15:59
そんなルールがあったのか。しらなんだ。
490482:03/04/09 19:13
私は改行が変で読みづらい上に長文なので、すっ飛ばしてる。

>>486
>俺が若い頃楽しんで読んだものを*いまさら*
>ぐだぐだ書かれて腹がたって書き込んでしまった。

常識持ち出すわりには、すげえ理由だな。

491名無しのオプ:03/04/09 20:07
ラッセル・ブラッドン『ウィンブルドン』(新潮文庫)

テニス・サスペンスという珍しいスタイル。
サスペンスとしてもテニス小説としても面白いと思う。

親友の二人がウィンブルドンの決勝で対決する・・・。
ところが客席にテロリストが混ざっていて、自分の要求が認められなければ、試合終了後、チャンピオンになった方と、観戦中のエリザベス女王を射殺するという。
選手の一人は他人に屈するのが何より嫌いなたちで、真相を伝える危険はおかせない。
事態を知らされたのは18歳の天才少年だけ。
決して試合を終わらせてはいけない。故意に引き延ばしていることを犯人に悟られてもいけない。
彼は、ウィンブルドン史上最高の決勝となる、一世一代の勝負に出た。

後半過ぎてからテロリストが突然登場するので、全体の統一感に乏しいのが残念。
プロローグでテロリストのモノローグでも入れてればもっと判りやすかったろうに、と思う。

不満はそのくらい。
テニスに精通してなくても面白いが、さすがにルールくらいは知っておかないと辛いかも。
492名無しのオプ:03/04/10 04:45
>>490
同意。
常識が無いのは明らかに479の方だろう。
493名無しのオプ:03/04/10 17:48
読後感ウザ過ぎ
494名無しのオプ:03/04/10 17:56
なら単にスルーすればいいんだよ。
495名無しのオプ:03/04/10 18:17
最初からいなければスルーする必要もないけどな。
496名無しのオプ:03/04/10 21:03
ウザいウザいといくら吠えても書きたい奴が書きこむのは
一ユーザーには止められないんだから、あきらめて
NGワード設定すれば?

できないブラウザ使ってるならお気の毒。
497読後感:03/04/10 23:03
「被害者を捜せ」パット・マガー(東京創元社)
 アイデアは素晴らしいよね。最初に考案した功績は計り知れない
 と思う。ただし、捻りが足りない。あのオチはないだろ。という
 かオチがない。そのまんま。ああいう不特定探偵の推理ははずれ
 ると相場が決まっているのにドンピシャリだもんな。なんかクソ
 した後にケツ拭いてないような変な気持ちになっちゃった。半分
 以上回顧で推理も謎もほとんどない(ちょっとはあるが)し。「
 シンデレラの罠」について都筑道夫が「捻りが足りない」とか言
 ってたが、すごく独創的なアイデアを思いついてしまうと、つい
 爪が甘くなってしまうのかもしれない。
498読後感:03/04/10 23:04
「カナリヤ殺人事件」ヴァン・ダイン(東京創元社)
 さて、ヴァン・ダイン3発目です。実はこの密室(?)トリック
 法月さんにネタバレされちゃってたんですよね(この人はYの犯
 人もバラしてた)。だからちょっと楽しんで読める自身が無かっ
 たんだけど、杞憂でした。前回、前々回同様教科書の様で実に読
 み応えがありました。ヴァンスのペダントリーは聊か強引ですけ
 ど(笑)それも彼の自己顕示欲の強さの成せる業なのでしょうね。
 ポーカーを使った心理試験もよかったです。リアリティはともか
 くとしてその演出は評価できると思います。ラストの場面でも、
 他の探偵なら大失態になるようなところをヴァンスはまるで正反
 対に捉えている。これも興味深いですね。さて、ではそろそろ今
 週のなんでだろうに行きます(笑)。
 ・アリスに、証言したことは黙ってるって言ってたのにあからさ
  まにマニックスにほのめかしてるのはなんでだろう?
 ・クリーヴァーはまだカナリヤに未練があるみたいなのに彼女か
  ら過去の手紙を買ったのはなんでだろう?
 ・スキールはカナリヤの部屋の合鍵を持ってないはずなのに入れ
  たのなんでだろう?
499名無しのオプ:03/04/10 23:17
>>486
気持ちはよーく分かる
500名無しのオプ:03/04/10 23:46
>>478=>>493
読後感煽りに必死だな。
ちょっと話題がそれると引き戻そうと中傷するってか?
正直アンタのがうざいよ。
501名無しのオプ:03/04/10 23:50
つか、読後感に翻弄されすぎだぞお前ら。
何でそんなに過剰反応するんだ?「ふ〜ん」てな感じで読めばいいじゃ
ねーか。あるいは>>494のようにスルーすればいい。
消えろだのうざいだの自己中なレスは辞めれ。見るだけで不快。
502名無しのオプ:03/04/11 21:30
>>476ってコピペじゃねえか(w
503名無しのオプ:03/04/11 21:31
ほう、昨晩は夜釣りとシャレこんでたんですね、皆さん。
風流ですなあ。
504名無しのオプ:03/04/11 21:52
読書感さんにお願い

できれば一文で改行して下さい。読みにくいので。
505名無しのオプ:03/04/11 23:07
「被害者を捜せ」は傑作なので未読の人ぜひ読んでみてね。
506名無しのオプ:03/04/13 02:59
>>497
『被害者さがし』というアイデアはすでに1937年発表の
「死体のない事件」でレオ・ブルースが使っており、
彼女のオリジナルじゃありません(「被害者を捜せ」は46年発表)

まあ両者のテイストは異なるのですが、
「最初に考案した功績」となるとやはり違うので一言。
507名無しのオプ:03/04/13 04:02
思い出したので追加。
バークリーの「地下室の殺人」も中盤くらいまでは
『被害者は誰か』という謎でひっぱっている。
「地下室の殺人」は1932年発表。
508読後感:03/04/14 23:35
情報Thanks!
今後の読殺リストに加えておきます。
509名無しのオプ:03/04/15 12:00
「13の判決」英国推理作家協会編 よみまつた
ちょっと読み終わるのに時間がかかってしまった・・・

裁判・陪審をテーマにしたアンソロジーです。
1話目は>>456でふれた「猫の獲物」パトリシア・ハイスミス。
2話目 「ゴシップ」 H・R・F・キーティング。
 作者得意の舞台、インドでのお話。作品自体はコミカルな味付けだが、
 最後はまあまあという感じ。
3話目 「至上の幸福」 クリスチアナ・ブランド
 19世紀後半に実際におきた事件で疑いを受けた女性3人。
 彼女たちがあの世で出会い、過去の自分たちの事件について語り合う。
 ここで取り上げられた事件を偶然知っていたので楽しく読むことが出来た。
 オチもなかなか効いていると思う。女性作家らしい作品だね。
4話目 「ローパート二十一人の仲間」 ディック・フランシス
 当然のように競馬ものです。
 ローパーは絶対に儲かる方法を知っていた。
 彼は21人の仲間を使い、見事金を手に入れるが・・・
 これは面白い作品。途中、盲目の少年がどう話しに絡んでくるのか。
 ローパーの絶対勝つ事の出来る方法とは。
 最後まで読者を上手く引っ張り、オチも良い。
 ただテーマである「陪審」とはほとんど関係無いと思うが・・・
510名無しのオプ:03/04/15 12:58
つづき

5話目 「ロープの秘密」 グェンドリン・バトラー
 これは設定が面白い。
 愛犬訓練会に参加した人たちが30年前に殺された女性の話をし始める。
 証拠品のロープと犬の毛。特にロープに関する考察は凝っている。
 二転三転する展開と意外な犯人。
 この作家は初めて読んだと思うが、これは当りだった。
6話目 「大叔母さんと蝿取り紙」 P・D・ジェイムズ
 ご存知ダルグリッシュ警部もの。
 こちらも過去の事件で、それも67年前。
 大聖堂参事会員から、大叔母さんの過去についての調査を依頼される。
 この女性、かつて自分の夫を毒殺したという疑いを受けていた!
 過去を洗っていくうちにたどり着く意外な犯人。
 しかし、そこからまだ意外な展開を見せ・・・
 後味もいい感じ。これも当り。
7話目 「ペリーとカリス」 マイケル・イネス
 こちらはアプルビーもの。
 今まさに結審の時、陪審長が全員一致を告げようとしたが、
 陪審員のひとりが殺されているのが発見される。
 なぜこんなときに? どうやって? この裁判と関係があるのか?
 これも面白い作品。さすがだな、イネスって感じ。
511名無しのオプ:03/04/15 13:11
またつづき

8話目 「コテージの幽霊」 シーリア・フレムリン
 初めは青年のおのろけ話から始まるので、どうなるかと思っていると、
 段々とホラー色を見せ始め、最後は意外な展開が待っている良く出来た作品。
 これもフレムリンの筆の冴えを感じる。見事なサスペンス。
9話目 「三人の評決」 マイケル・ギルバート
 アルフレッド叔父さんが死んだ。政治的に過激発言をしていた彼のことで
 主人公は出頭を命じられる。
 そして主人公の過去の出来事が語られ・・・
 なかなか面白い展開を見せるのだが、いまいちと言う感じ。
 途中でオチも分かってしまう。
10話目 「ホッホウ」 ナイオ・マーシュ
 キャンプに来ていた家族とその友人達。
 豪雨のあった翌朝、うちのひとりが川で死んでいた。
 そこで現れる他のキャンパーたち。
 この他のキャンパーが出てきたあたりは展開を期待できたのだが、
 被害者が一人でしていたことが直接オチに結びついているので、
 最後がどうなるかは予想できる。犯人自体は意外ではあるが・・・
512名無しのオプ:03/04/15 13:32
またまたつづき

11話目 「学園殺人事件」 マイケル・アンダーウッド
 全寮制の小学校の上級クラスでいま、嫌われ者の先生を殺したしまおうという
 判決が出た。
 手作りの毒を何とか食事に混ぜて食べさせはしたが・・・
 これはとても面白いユーモア・ミステリー。
 サスペンスとしても良く出来てると思うし、 意外な結末も見事。
 残酷そうな話ぽいけど、ラストは結構良くなってる。
12話目 「猫殺しの下手人は?」 ピーター・ディキンスン
 これ、実はSFミステリ! それもとても面白い作品。
 この作家は特異な状況を作り上げる作風だけど、
 まさかSFとはね〜まだこの人のSF作品は読んだ事無かったので嬉しい発見。
 ただ突飛な状況と奔放なイメージのみの作品ではなく、
 それらが巧く伏線となっているのが最後まで読むと分かる。
 安く手に入れば他の作品も読んで見たいんだけどね・・・
13話目 「マグレガー氏を待ちながら」 ジュリアン・シモンズ
 昼下がりの公園、いきなり1台の乳母車に集まってきた怪しい人たち。
 彼らは何と動物の絵が書かれたマスクをそれぞれがしていたのだ。
 彼らはBPB。ベアトリクス・ポッター旅団。
 ベアトリクス・ポッターにはまった男がリーダーの影の組織。
 だが最近どうも失敗が続く。どうやら裏切者がいるらしい。
 ピーター・ラビットのキャラの名前で呼び合う彼らの中で裁判が始まった。
 なかなか面白い話なんだけど、
 やっぱりピーター・ラビットを読んでいた方が一層楽しめたのかな?
 と思うとちょっと残念ではある。
513名無しのオプ:03/04/15 13:35
この本、中古で200円だったんだけど大満足。
今なら800円くらいの定価になるだろうけど、
それでも満足できると思う。

といことで、今年に入って4ヶ月間ずっとミステリーを読んできたので、
そろそろ時代小説を読みたくなってきました。当分お休みしまつ。
ありがとうございました。
514名無しのオプ:03/04/15 18:46
乙です。
13の判決探してみようかな。
515山崎渉:03/04/17 15:22
(^^)
516山崎渉:03/04/20 03:17
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
517山崎渉:03/04/20 07:22
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
518読後感:03/04/20 16:32
「幻の女」ウィリアム・アイリッシュ(東京創元社)
 満を持して、といいますか、漸くこれに手につけました。何故今
 まで読まなかったかというと、私が本格厨(笑)であるのと、以
 前読んだこの作者の短編(「爪」)が今ひとつだったからなんで
 す。今回踏ん切りがついたのにはちょっとした私事が関係してい
 るのですが、関係ないことなので省きます。それで読後の感想な
 のですが、やられました。元々バカなのでフェアでもアンフェア
 でも関係ないんですけど(笑)、とにかく驚きました。あのミス
 ディレクションは上手いですね。ただ惜しむらくは「メル欄」を
 既読だったことです。からくりがとても似ていると思ったので。
 私はアイリッシュの著作はさっき言ったように短編一つしか読ん
 でませんけどここまで手の込んだプロットの作品は一つだけなん
 じゃないですか?どうしてこういうのを書こうと思ったんでしょ
 うね。気になります。さて、ではそろそろ細部に言及していきま
 す。まず気になったのは演出過多だという点でした。出だしから
 男が女と会い、時を過ごし、別れる。このあたりはとても丁寧で
 よかったんです。ところが、男が部屋に帰って刑事と会う。ここ
 でおかしくなってしまった。あんなに思わせぶりな態度をとる刑
 事はいませんよ。人一人死んでるんですよ?なのにあれはない。
 あそこまでいくと最早不謹慎です。小説的過ぎて不自然になって
 しまいましたね。さらに恋人が身体を張って調査するくだり。彼
 女が機械的過ぎます。素人なのにプロ以上の冷静さなんです。愛
 のためなら女は何にでもなれる、とでも言いたいのでしょうか?
 
519518の続き:03/04/20 16:34
しかしそれは無理があると思います。作者もそう思ったのか、2
 回目のときには恋人がともすれば崩れそうになるのを必死に堪え
 ているという風な心理描写を加えていました。この方がよほど愛
 を感じさせます(愛と言えばこの彼女が男を好きな理由。「あな
 たには私にしかわからない魅力あってそこが好き」・・・なんと
 も(作者にとって)虫のいい話というか、(男性にとって)うら
 やましい話というか/笑)。その次に気になったのは幻の女を追
 う動機です。この女を捕まえても男と会った時刻を覚えているか
 定かではないわけで、ここは何か「見つかれば無実になる」とい
 う確信を与えて欲しかったですね。それから女の正体に関する驚
 きもない。勿論、メインはそこではないんですけど、でも何かし
 ら用意していた方がメインが引き立つと思うんですよね。「こっ
 ちだったんかい!」より「まだあったんかい!」みたいなね。そ
 れと最後にこれはほんとにほんとに小さなことなんですけども、
 有閑婦人は本当はどういう情報をくれたんでしょうか?あ、くれ
 なかったのかな?
520読後感:03/04/20 16:34
「皇帝のかぎ煙草入れ」ジョン・ディクスン・カー(早川書房)
 これマンガで読んでたよ。消防の頃。でもそれを考慮に入れても
 ?だなー。トリックは簡単というか単なる(メル欄)じゃん!ま、
 それをあそこまで難解に見せかけた作者の手管というか、ミスデ
 ィレクションね。これがすごいんだな。クリスティが脱帽したの
 もその点だろう。ただ個人的にはレッドヘリング氏(笑)の行動
 がストーリー上都合が良かったな、と。でもこれは予期せぬハプ
 ニングなんかもあったから良かったと思う。ささいなトリックを
 飾り立てるだけではなく。ダールの「おとなしい兇器」もセイヤ
 ーズの「疑惑」も前回触れた「爪」もこの理由で好きではなかっ
 たんだけど、これは「ボーダー・ライン事件」のようにそれだけ
 ではなかったからよかったということ。
「迷路」フィリップ・マクドナルド(早川書房)
 ゲスリン物3発目。全編にわたって書簡・調書のみで構成されて
 いるというコリンズを彷彿とさせる作品。その構成故に他の探小
 よりも「読者とのゲーム」を忠実に体現していると言える。しか
 しまたその構成故にマクドナルド特有の王道ラブコメ(笑)を見
 れなかったのは多少残念な気がしないでもない。
521名無しのオプ:03/04/20 17:13
幻の女は本格とはいえない。おもしろいけど。
522名無しのオプ:03/04/20 17:15
今、リアルタイムで古典を読んで楽しめている人がうらやましいね。
523名無しのオプ:03/04/20 20:35
あまり楽しめてなさそうだが…
524名無しのオプ:03/04/20 22:22
504の意見がまったく無視されてるな・・・

やや板違いだが、クレイグ・トーマス『ファイアフォックス』。
(というのは冒険小説だからね・・・)
ソ連に忍び込んで、最新鋭の戦闘機を一機盗んでくる話。
クリント・イーストウッド主演で映画にもなった。
個人的には全然グッと来るものがなかったなぁ。
『狼殺し』もいまひとつだったし、どうも作者と相性が悪いみたい。
525名無しのオプ:03/04/20 22:42
パトリシア・モイーズ『雪と罪の季節』を読了。
俺は何でこの本を図書館から借りたんだろう?という感じなんですが、無作為に選んだわりには、作者中期の代表作らしい。

スキー客でにぎわうアルプス山麓の村が舞台。
スキー教師のロベール・ドリバが刺殺される事件が起こるが、記述者の女彫刻家、ジェーンの証言によって、妻のアンヌ・マリーが逮捕されてしまう。
半年後、事件はすっかり決着したかに見えたが・・・。
村を訪れたティベット警視夫妻が、事件の真相を丁寧に洗い上げていく。

裏表紙あらすじには「アリバイ崩し」とあるが、最初から鉄壁のアリバイがあるわけじゃないので、トラベルミステリーなどからすると、随分ゆるい印象を受ける。
事件そのものにトリッキーな要素があまりないので、地味な印象だが、人物と情景はしっかり書けている。
どうもこの作者は初期の方が本格らしいから、今度はそっちを読んでみよう。

最後にひとつ。
本作品で警視が、そのとき雨が降っていなかった理由を説明するくだりがあるが、これはなるほどと納得の理屈で、大いに感心した。
526名無しのオプ:03/04/20 23:37
>>524
ブラウザのフォントを等幅にして読めば、読後感氏のレスも少しだけ
読みやすくなるんだが……そんな設定の人は少ないわな。

本題。
名作だと誉れ高いので、いずれ読もうかと思っていた「ファイアフォックス」
なんでつが、やっぱり冒険小説にまったく興味ない人間(漏れだ、漏れ)あたりは
読む必要はないかな?
527名無しのオプ:03/04/21 14:26
仕事で読むんでもなきゃ「必要」なんてないだろ。
528524:03/04/21 21:13
>>526
自分なんかも、たとえばハードボイルドとか、好きでも何でもないけど、評判の高い作品は目を通したりしているので、その気持ちはわかるけれども。
というのは、ジャンルを越えたものすごい当たりにたまに出会うからだけどね。

『ファイアフォックス』に関しては、代替になるものがないので、何とも言えない。
(つまり「こっちを読んどけばあっちは読まなくていい」という理屈が立てられない)
まあ一冊しかないから、目を通すだけ通せばいいのでは?
自分は面白かったら続編読もうと思ってたけど、当然パス。
529動画直リン:03/04/21 21:26
530名無しのオプ:03/04/23 18:35
ガイ・バート『穴』(『体験のあと』改題)

エリザベス(リズ)たち高校生5人組は、学校にある、忘れられた地下室にひっそりと閉じこもる。
すべてはマーティンが考え出した、ささやかな冗談のはずだったのだが・・・。

ソーラ・バーチ主演で映画化された本作は、作者18歳のデビュー作。
これは面白い。
途中までは、素人っぽい語り口と、細部に至らない描写の甘さが気になっていたが、エピローグまで読めば、書かれなかった部分の余韻が強く迫ってくる。
正確なジャンルはホラーなのだろうが、この衝撃的なエンディングは、ミステリ・ファンなら一読の価値ありだ。
(今どき230ページ程度と薄めなのもポイント高し)
531530:03/04/25 18:09
ジョゼ・ジョバンニ『穴』(ハヤカワポケミス)読了。

40年代。フランス。サンテ監獄に収容されたマニュたち同室の5人組。地下に抜け道を掘って脱獄することを計画する。そういう話。それだけの話。
作者はもと囚人だそうだ。ジョゼ・ジョバンニ。半自伝、デビュー作だという。名匠、ジャック・ベッケルが、映画化した。ジョバンニは冒頭に登場して、言う。
「この作品は、フィクションではない」なるほどそうだろう。
物語自体は面白い。意外に思うかもしれない。穴。ただ、それを掘る。それだけの話。だが面白い。
計画が上手くいくか、いかないか。看守にばれないか。ちょっとしたことで驚く。希望を抱きつつ、不安になる。
描写は随所で脇道にそれるのだが、囚人の行き当たりばったりの心理を、うまく捉えている。
ただし、問題もある。文体。短くてぶつ切れる。日本人にも、いる。純文学の連中に、多い。
具体的にどんなのかというと、これだ。今つかっている、この文体。真似。人によりけりだ。
自分は、短編なら、いい。長編だと、ちょっといらいらする。
これが作者の、オリジナルの文体なら、仕方ないところ。
だが、訳者のあとがきを見ると、思う。案外そうでもないかもしれない。
訳も少々古い。誤植も少なくない。
新訳したらどうなるだろうか、と思わずにはいられない。
作品自体も、残念ながら品薄で、ほとんどの本屋でお目にかからない。
ポケミスという時点で、置いてある店を選ぶわけだが。

ちなみに映画は、原作に忠実に作られている。傑作。
うっとおしいと思う、この文体がないだけ、自分には好感が持てる。
白黒だが、観るに値する。
白黒だけにあまりないが、レンタル屋で見つけた人は幸運だ。

ところで、題名。穴つながりで来たわけだが、今度は、

ディック・フランシス『大穴』
牛次郎『ぶっ太い奴』

に進もうと思う。
532名無しのオプ:03/04/26 03:21
>>531
突っ込む方に転ずる前に、仁木悦子『穴』も読んでやれや。
533読後感:03/04/26 21:37
「Xに対する逮捕状」フィリップ・マクドナルド(国書刊行会)
 これは本格というより通俗サスペンスといった方がしっくり来る
 ね。フーダニットもホワイダニットもないし。もっとも作中にソ
 ーンダイクだのフレンチだのの名前が出てくる所を見ると作者は
 そうは思ってないみたいだが。確かに出だしはいい感じ。でもあ
 んまり推理を展開する場面はないように思える。ポツン、ポツン
 とって感じ。しかし「声の思い込み」はよかったね。簡単なこと
 なんだけどさ。ただ中途半端なヴァン・ダイン趣味はウザイ。わ
 ざとらしい脚注はヤメレ!それと作中に出てくる紙片の中の文字
 だけど、スペルおかしくない?あれじゃマッチじゃなくウオッチ
 だと思うのだが。書き出しが逆だと思う。エルがエイチに見える
 しさぁ。本場の奴が間違うわきゃないと思うけど、習ったのとは
 違う。そして待ってました!(w ロマンス!でも今回はちょっ
 と大人しい感じで消化不良気味でした。個人的にはもちょっと厨
 房臭いほうが(ww
「サティン入江のなぞ」フィリパ・ピアス(岩波書店)
 新保博久許すまじ!と思いつつ前半を読んでいたのだが、後半に
 入ってちょっとだけミステリーっぽくなってきた。過去の殺人は
 故意か過失か!?そして意外な犯人!そしてさらに驚くババアの
 見解!!!(笑)しっかしあんなもんリアル消防の頃読んでたら
 軽いトラウマになるんじゃないか?よく児童書として出版できた
 よな。
534名無しのオプ:03/04/29 05:11
ジョン・スラデック『見えないグリーン』(ハヤカワミステリ文庫)。

もと「素人探偵会」メンバーで、誇大妄想狂気味の老人が、自宅のトイレで死亡した。
犯人は、完全な密室殺人をどうやって遂行したのか?
老人の仲間たちも、殺人者の手に次々とかかっていく。
名探偵フィンが明らかにした、姿なきグリーン氏の正体とは?

77年の作品とは思えないほど古風な作り。
鮎川哲也も推薦する本格パズラーである。

第一の殺人で実行された、自宅のトイレでも出来る密室トリックが有名だが
(藤原宰太郎が喜んでクイズにしそうだ・・・もうしとるかもしれん)
解決は少しひねりを入れてあるぶん、スケールが矮小化した印象。
むしろ感心したのは第二、第三の解決のほう。
穴を指摘する鮎川氏の解説は実にもっともなのだが、複線の張り方の巧みさにうならされた。
少々残念なのは、ばらまくだけばらまいといて放置されたミスディレクション用の小ネタが少々目立つこと。
虹色の見立てもそうだし、もう少し徹底して欲しかった気がする。

【本作品をこれから読む人への注意】
・解説にネタばれがあるので、先に読まないこと
・ラティマー夫人とポートマン夫人(両方とも人物表に載ってない)を混同しないよう注意すること
535名無しのオプ:03/04/29 18:16
読後感氏へ。結局>>504は無視なんでしょか。
書く側にとって別に不便でもないと思うのだけど。
俺は504ではないけど、とにかく読みにくい。

読まれることを意識しない書き込みはない(と俺は思う)のに、
まず読みにくいのでは、内容以前の段階で回避されるよ。。
536ためしに改行してみた通りすがり:03/04/29 21:04
「幻の女」ウィリアム・アイリッシュ(東京創元社)

満を持して、といいますか、漸くこれに手につけました。
何故今 まで読まなかったかというと、私が本格厨(笑)であるのと、
以前読んだこの作者の短編(「爪」)が今ひとつだったからなんです。
今回踏ん切りがついたのにはちょっとした私事が関係しているのですが、
関係ないことなので省きます。

それで読後の感想なのですが、やられました。
元々バカなのでフェアでもアンフェアでも関係ないんですけど(笑)、
とにかく驚きました。
あのミスディレクションは上手いですね。
ただ惜しむらくは「メル欄」を既読だったことです。
からくりがとても似ていると思ったので。

私はアイリッシュの著作はさっき言ったように短編一つしか読んでませんけどここまで手の込んだプロットの作品は一つだけなんじゃないですか?
どうしてこういうのを書こうと思ったんでしょうね。
気になります。
さて、ではそろそろ細部に言及していきます。
(以下略)
537名無しのオプ:03/04/29 23:01
自己満足的な長文は放置しる
538名無しのオプ:03/04/29 23:16
『薔薇の名前』、十年来敬遠してるんだけどおもしろい?
539名無しのオプ:03/04/30 02:48
>>538
すげぇ面白い。
540名無しのオプ:03/04/30 08:19
>>538
凄く面白かったよ。
でも物凄いペダンティックの嵐だから、
映画版のように謎解きに終始するものだとおもって読むと、
かなり重く感じると思う。
541名無しのオプ:03/04/30 20:02
どうも
ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』と
チャールズ・バリサー『五輪の薔薇』が
ごっちゃになってしまう。

共通点:分厚くて手ごわそうなところ
542名無しのオプ:03/05/01 00:35
538

どうもご意見ありがとう。
連休中に読んでみようかな。>>薔薇の名前
543名無しのオプ:03/05/01 00:50
「幻の女」は昔、早川の方で読んだけど。
創元も出したのか?
544名無しのオプ:03/05/02 00:01
>>541
というより単にタイトルが(略
自分もよくごっちゃになります。
545名無しのオプ:03/05/03 20:21
「私が愛したリボルバー」ジャネット・イヴァノヴィッチ(扶桑社)
 意外でしょ?オレがこういうの読むなんて。へへ・・・。
 この板でスレ見つけたのがきっかけなんです。
 「バウンティーハンター、ステファニー・プラム登場!」
 なんて出てたもんだから「お、なんだなんだ?」となったわけ。
 そんでとりあえず1巻だけ読むことにしたんだけども、これが
 また読みにくいのなんのって! 普段本格ばっか読んでるから
 ライトクライムノベル(?)だと興味が持続しない。
 しかも↑の「サティン入江」と同時進行してたもんだから、
 その苦痛たるや推して知るべし! そうエロくもないしさ(w
 でもヒロインの年齢は気に入った!(w 如何に平凡な感じの女でも
 30ともなるとそれなりに色気が出てくるもの。それを良く分かってる。
 まさに絶妙な間合いです(謎)。頭ではダメよダメよと思っていてもモレリ
 のキスを拒めない(追突はするけど)ダメ女ぶりも隙があって良い。
 「んまあ」っていうやけに間の抜けた口癖もグッド!
 「力」もない(バカではないにしろ)「頭」もない「お色気」も(そんなに)ない
 彼女がこの先どうやって賞金稼ぎやっていくのか続きを見たい気はする。
546読後感:03/05/03 20:22
「二人の妻をもつ男」パトリック・クェンティン(東京創元社)
 「新古典」としてネットや法月の小説にも名前が見られる作品です。
 僕はこの作家さんの短編を二つ読んだことがありまして、
 最初に読んだのは「少年の意志」という話で、これ実は「銀の仮面」とほぼ同内容なんですよね。
 もっとも最後に捻りが加えられてはいますけども。
 だからこの作品は評価できないんですが、次に読んだ「ある殺人者の肖像」という話がとてもよかった。
 親子の悲しいすれ違いが生んだ悲劇というテーマが強く印象に残ったんです。
 ああいう人間性だからこそ出来たであろうトリックにも唸らされましたし。
 で、「この人はすごいかも」と思って本書に臨んだわけです。
 この作品、最初というか前半はひたすら退屈なメロドラマが続きます。
 そして100ページも行った頃、漸く人が死にます。
 そして物語は謎を孕んだまま後半へ、となるわけですが、本作は本格ではなく、
 サスペンスなので物質的な謎というものはなく、当然それに基づく演繹的推理もないわけです。
 なにより主人公が犯人を捕まえてやる、と思ってないんです。
 で、代わりに身内のアリバイ工作したり嫌疑をかけられている元妻を逃がしてやろう
 としたりするんですけど、はっきりいって単調です。ダレる、とまでは行かないんですけど。
 だから自然結末に期待がかかるわけです。そうして終盤に突入し犯人がわかるわけですけども、
 説得力が無いんですよね、どうも。もうちょっと伏線張っとけよ、と思えてしまうんですよね。
 それが残念でしたね。
 
547546の続き:03/05/03 20:23
登場人物についてですが、本作の主人公は優柔不断というか意気地なしというか、
 「なんで!どうしてよ!」と思うことをやってしまう男なんです。
 だから後半追い詰められるのはほとんど自業自得なんですけど、
 そこでやっと男らしさを取り戻すんですよね。しかし時既に遅し、という感じで終わってしまう。
 そこがちょっと気に食わないです。
 相手役の女(元妻の方)はこれも自己中な女なんですよね。手前勝手な理屈解釈で
 主人公を捨てるんです。挙句再会した主人公にたかったりして、そのクセ非難するんです。
 糞女です(w 上辺に囚われて物事の本質が見えてないんですね。
 もう一人の相手役(妻)はいい人です。はかなげで悲しげでいつも愛してくれと願ってる。
 僕もこういう女性と結婚したいですね(w
548読後感:03/05/03 20:26
>>535
これでいいでしょうか?
>>543
すいません。ミスです。
549名無しのオプ:03/05/04 16:50
読みやすくなったので(・∀・)イイ!
550名無しのオプ:03/05/05 00:52
>>548
適当に3〜6行くらいで段落分けをすると、さらにいいと思う。
(535じゃない。スマソ)
551_:03/05/05 00:53
552名無しのオプ:03/05/07 17:54
ジェイン・スタントン・ヒッチコック『目は嘘をつく』(ハヤカワミステリアスプレス)

騙し絵作家であるわたしのもとに、高名な収集家である大富豪の未亡人がやって来た。
邸内の舞踏室に壁画を書いてほしいという。
やがてわたしは、その家の娘が15年前に殺されていたことを知るのだが・・・

文章はうまいし、登場人物は洒脱だし、ストーリーもわかりやすい。面白い。
この作品は、語り口を楽しむべきものだと思う。
15年前の殺人が論理的に解決されること――本格ミステリとしての解決を期待していると、肩透かしを食らうだろう。
残念なのは、最後で明かされる真相に、迷宮の中に引きずり込むような求心力がないことかな。
ジョナサン・キャロルの方がずっと上手い。
ただし、いつか大傑作を残しそうな将来性は感じさせる。

とはいえ、ヒッチコックってこの処女作を含めて、これまで2冊しか訳されてないようなんだよね・・・
553読後感:03/05/10 03:11
「殺意」フランシス・アイルズ(東京創元社)
 面白かった!夜を徹して読みふけった。三大倒叙推理小説ではこれが白眉ですね。
 一番古く書かれたってのに既に意外性に乏しいという倒叙ものの弱点を克服してる。
 前半のメロドラマも前出の作品のように退屈ではないし、終盤の法廷劇もよかった。
 特にマドレインが撃退されるところは思わず「おおっ」と声が出てしまいました(w
 だってビッチなんだもん。しかしアイツ遺産ガポガポなんだよな。ちっ(w

 いや、勿論ビクリーこそ最大の悪党なんだけど、倒叙物の場合犯人って憎めないもんじゃない。
 彼中心にストーリーは展開されるわけだから愛着がわくし、どのみち破滅するんだろうなってわかるしさ。
 だから、オレの矛先は自然と次点に向かう。それがマドレインってわけ。
 対極なのがアイヴィ!ああアイヴィ!!愛すべきバカ女アイヴィ!
 嫌よ嫌よと言いながらいつのまにやらオープン ザ ゲート。
 愛人になるために生まれてきたような女だね(w

 ビクリーって小心者のくせに女遍歴は人並み以上なんだよな。うらやますぃー。
 それ以上に羨ましいのは彼が「水」という点。熱しやすく冷めやすい。便利だね。
 ラストのどんでん返しは説明が無いのが不満だけど、あまり長くなると鮮烈でなくなっちゃうからね。
 しようがないか。でもあれはあり得ないと思うんだけどなぁ。あ、皮肉な偶然ってことかな?
 それともこの機に乗じて彼女がやったのかな?謎だ・・・。
554読後感:03/05/10 03:12
「死者の靴」H・C・ベイリー(東京創元社)
 英国五大推理作家の一人、H・C・ベイリーの長編初邦訳!
 もっと話題になってもいいはずなのにトント聞かなかった・・・。
「なんでだろう?」と思いながら読み始めました。
 読み終わって一言。「無理もない・・・」
 
 まずね、推理の場面が少ない! しかも物証に基づく演繹的推理じゃないんですよ。
 (あんまり演繹的演繹的と呼ばわるのも○階堂みたいでイヤだが/笑) 
 それがどうも物足りないというかね・・・。中盤どっか行っちゃうし。真相もショボイ。
 しかもラストはオレの大嫌いなあの解決法・・・。
 はぁ・・・なぜだ?復讐だから?それとも(メル欄)だから?ふざけるな!!!(怒
 
 大体タイトルからしてお世辞にも適当とは言えない。道理でこのミスでシカトされるわけだよ。
 あとがきで訳者が「これを機会にさらに紹介が進むことを願ってやみません」なんつってるが、
 トドメを刺しこそすれ、↑のようなことにゃなるまいよ。セレクト悪すぎ。他のはもっとヒドイのかも知れんけど。
 
 でも恋愛に関してはまあまあと言ったところ。つっても分量の点でね。
 突っ込みどころは多い(最初の岬での彼女の思わせぶりな態度の意味とか結局誰が好きだったのかとか)し、
 最後まで書ききらなかったのは多いに不満が残る。
 ま、でもそれなりに深みもあったようだからトントンてことにしてやろう(w
555名無しのオプ:03/05/10 21:39
ロシェル・メジャー・クリッヒ『甘い女』
夫が愛人(住み込みのメイド)と共謀して殺されようとしているのに、主人公はなかなか気づかない、という完全犯罪もの。
あらすじから想像できる通りのサスペンス。
あんまり読まないけど、このジャンルでは出来がいいほうだと思うので、たまに読むにはいいかな。
556555:03/05/10 21:41
>>555
失礼。一文目を訂正。
「夫が愛人と共謀して、自分を殺そうとしているのに、主人公は気づかない」
ってことです。
あとさげ忘れすまそ
557名無しのオプ:03/05/11 15:16
マイケル・ディブディン『ダーティ・トリック』読み終わった。
貧乏な語学教師である「私」が、友人の妻を寝取り、もとの雇用主にも復讐して・・・という完全犯罪小説。
文章すごくイイ!主人公のキャラも強烈。うーん、それ以外は普通だ。
なんというか悪くないけど、アピールに欠ける。
このミス19位(94年度)なのはまあよし。
しかしこのあらすじで人は読むまい。
実際検索したけど書評はほとんどなし。人気なかったんだね(ノД`)

ところで、自分は『本格ミステリ・スタンダード』という本を参考にしたのだが・・・
今までこれに載ってた本の中で、これぞという当たりはないな・・・
まだ4,5冊だけど。
558557:03/05/11 15:57
『現代ミステリ・スタンダード』だった・・・
559名無しのオプ:03/05/11 22:12
>>546
漏れもこないだクェンティンの「わが子は殺人者」読んだけど、
文庫背表紙の「第一級の謎とき小説」という謡い文句ほどには、
メイントリックは平凡だなと、オモタよ。
探偵役も推理して論理で追い込むというより、詰めでは犯人の弱いところを突いた、というような印象。
「え、こんだけ?どんでん返し無いの?ハァ?」とポカーンとしてしまった。
小林信彦が絶賛してた書評を読んで、もっ期待して読んだだけに、しっくりこなくて。
登場人物達の懊悩ぶりとか、メロドラマ的な筋立て自体は、小説としては重みを加えてるとは思うけど、
「二人の妻〜」はこれの後で発表された作品だけど、クェンティンはコンビ解消してホイーラーの単独執筆になると、こんな調子なのかな?
いまの既刊状況だと合作時代の長編著作が読めなさそうだし、1作きりではこの作家の評価少し、決めかねるよ。
個人的にクェンティンがつまらないな、と思えてしまうのは、
謎解きミステリー、というものに対する見解の相違かもしれない。
自分は周到に張られた伏線が終盤で一気に推理という形態で収斂していく雪崩れ感が
無いと物足りなく思うタイプだから。主役たちがもがいたり悩んだり、錯綜する姿を味わうのは、
それはまた別の見方の評価。

ところでポケミスの短編集「金庫と老婆」は、クイーンの定員に選ばれてるほどだし、
面白いのでしょうか?短編作品も読んでみたいので、少々気になってます。
短編だと合作時代なのかな?
560名無しのオプ:03/05/12 02:17
『読んでる』スレに、抱負を、書いて
読んだら、その日に、『報告』だ

歌丸です。
561名無しのオプ:03/05/12 21:33
パトリシア・モイーズ『死人はスキーをしない』
何というか、うーん、読書中はわりと楽しいのだが、決め手には欠けるな、という印象。
562名無しのオプ:03/05/13 00:10
>>560
その心は「コージー」か?
563名無しのオプ:03/05/13 00:46
最近フィリップ・マーゴリン読んでるけど、好きな人いる?
564名無しのオプ:03/05/13 12:10
>>563
これから読む予定ではある。
565名無しのオプ:03/05/13 20:32
>>563
ハヤカワの文庫本は全部読みました。
まさに「はずれなし」と思います。
早く新作を読みたいですね。
566名無しのオプ:03/05/13 23:17
563
マーゴリン『炎の裁き』読了。一気読みでした。
567名無しのオプ:03/05/16 21:29
パトリシア・コーンウェル『検屍官』を読み終わった。

40歳の美人検屍官を主人公にした、いかにもアメリカらしい話。
映像的で容易に場面が浮かぶし、テンポがいいからどんどん読める。
わかりやすく言うとハリウッド・サスペンスなスタイル。
もっとも最近はみんな映画化をあてこんでそういうふうに作るらしいから、この作者ならではの特徴じゃないんだけどね。

この作品、面白いことは面白いが、あらすじから推測できるような展開から全然逸脱しない。
そういうわけで決め手にはかけるけれど、安心して読めるのは確かだね。
568名無しのオプ:03/05/16 23:01
>>567
もう少し読めば、安心どころか神経に障るようになるよん。
569おっ!!長者番付にこんな人が・・・:03/05/17 16:37
570名無しのオプ:03/05/17 18:26
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571エロ後感:03/05/17 19:20
「女闘牛士」カーター・ブラウン(早川書房)
 ハァハァ・・・来ました!悩殺ボディでお馬鹿な探偵メイヴィス・セドリッツのデビュー作!
 気合入れてハァハァするぞと思いきや、そんなにエロない(笑 さあ困った。どないしよう。
 でもスイスイ読めるんだよね。ステファニー・プラムと同じ方向に思えるのにこっちのが全然読みやすかった。
 余計な描写が一切ないからかもしんない。今やったら手抜きとか言われそうだけど、実際ウザかったりするもんね、情景描写とか。
 う・・・一発目だし思い切りヒワイに行く気だったのに〜・・・。ああ無念。
572エロ後感:03/05/17 19:21
「ハニー貸します」G・G・フィックリング(早川書房)
 ハァハァ・・・キターーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
 待ちに待ちに待ちに待ったハニー・ウェストシリーズ第一作!!!!
 いやぁ、長かった! 本当に。最寄の図書館でリクエストしてから何と1ヵ月半!!
 都立中央にあることは分かっているのにこの遅さは何よ!!!!
 ショボイぞ、○○区! ちなみに隣の区でリクエストした同シリーズの別本は10日足らずで来ました。
 この違いは何? ねぇ、何? ムッキー!!!!!
 
 閑話休題。とにかく期待に股間を膨らませて読んだわけです。すると・・・
 
 右の内腿にホクロ (´Д`;)ハァハァ ペ、ペロペロしてぇ〜
 バスト97センチ ウエスト56センチ ヒップ91センチ (´Д`;)ハァハァ フル活用してぇ〜
 プラスチック製の水着 (´Д`;)ハァハァ 透け乳首みてぇ〜
 ストリップポーカー (´Д`;)ハァハァ 超ヤリテーーーー!!
  
 等々、胸躍るワードがどんどん出てくるんです。
 だが!!
 これも左程エロくはないんだよなぁ・・・。結局見せないし(w
 なんか無駄に探小の体裁整えようとしてるのが邪魔。
 やたらと人間関係交錯させて皆の性格を悪くして動機を多産すればわかりにくいのは当たり前。
 まぁ、まるっきり伏線が無いわけじゃないけど、これ読む人はそんな醍醐味期待しちゃいないだろうから。
 期待するのは唯一つ!! それはハニーたんがあられもない姿で恥ずかしい目に遭うコト!!
 おっぱい揉まれるとか。ムチで打たれるとか。
 次回作以降はそういうのにページ割くように。
573紺野あさみ:03/05/17 19:23
574bloom:03/05/17 19:24
575名無しのオプ:03/05/17 20:54
>>571-572
読まなきゃ良かった。
576名無しのオプ:03/05/17 21:13
571-572はネタかと思ったが、確かにそういう題名の本があった。
内容はしらんけど。
577名無しのオプ:03/05/18 23:54
アガサ・クリスティ『エンド・ハウスの怪事件』(創元文庫)
(ハヤカワ版のタイトルは『邪悪の家』)

保養のためコーンウォールのホテルに宿泊中のポワロとヘイスティングズ。
彼らは近所の古屋敷「エンド・ハウス」の持ち主である、若い魅力的な女性、ニック・バックリーに出会う。
彼女が落とした帽子には拳銃の弾のあとがあった・・・。
何者がニックの命を狙っているのか?
眠っていた灰色の脳細胞が動き出す。

比較的初期に書かれたものの一つ(32年発表)で、本格の教科書のような作品。
「アクロイド殺し」から「オリエント急行」の中間期にあたり、秀作『晩餐会の13人(エッジウェア卿の死)』が翌年に発表されていることからも、作者が乗りに乗っていたことがわかる。
さすがクリスティ。翻訳ものにしては恐ろしいほど読みやすい。
彼女の作品の長所は、誰が何時にどこへいた、とかちまちました細かいことを覚えなくていいところだ。
ある一つのポイントに気づけば、真相は一気に浮かび上がるのだが、クリスティは巧みに読者を別の方向へ導いていく。

不満点は、けっこう重要な役回りのエンド・ハウスの描写がほとんどないことか。
降霊会のシーン(!)まであるのだから、カーくらいとは言わないまでも、もっと雰囲気を盛り上げてほしかった。

余談だが創元版には、フィルポッツとクリスティの師弟関係についての解説がある。
作者名を「クリスチィ」と表記してるのは、まあご愛嬌。
578名無しのオプ:03/05/19 00:14
「ブラウン神父の知恵」読了。
収録作全部面白かった。ハズレなし。特に気に入ったのが
「グラス氏の失踪」「銅鑼の神」「ジョン・ブルノワの珍犯罪」あたり。
579名無しのオプ:03/05/19 03:02
リチャード・ニーリイ『殺人症候群』(角川書店)を読んだ。
メイン・トリックの肝となる仕掛けについてはまあいいとして、やはりメール欄のシーン辺りは苦しい。
あとエピローグのオチが謎だ。
なぜ30年代の話にしなくてはいけないのか??
「なぜだか、読者はおわかりだろう」
って何のことだ。すっきりしない。
580名無しのオプ:03/05/19 08:07
カーター・ブラウンの作品は短いから2作品で一冊にして復刊して欲しいな。
創元のアルレーでやったように。
581名無しのオプ:03/05/20 01:00
マージョリー・ドナー「悪夢がしのびよる」

『ケープ・フィアー』かと思いきやメール欄だったという作品。
検索しても書評がひとつもない・・・地味ーな話だからか。
ちなみに101冊の徹夜本で紹介されていたらしい。
確かにいきなり路線が変わるから、知らなければ目は離せないだろうな。
読ませる作品だから損した!とは思わないはず。
評価は中の中、あるいはその上くらい。
582読後感:03/05/22 01:57
「第三の銃弾(完全版)」カーター・ディクスン(早川書房)
 よかったッス!これぞ本格ですね!不可能犯罪万歳!(実行も不可能だが/ニガワラ)
 怪奇趣味は少ししかなかったんで、カー臭は大分抑えられてますけど、王道ですね。
 ただ、10年眠ってたというのは伊達じゃなく(w 割かし穴があるようでそれが気になりました。
 
 あの通りだとすると、ペイジは被害者が犯人に撃たれたのに気づかないはずがない。
 何しろ(メル欄)わけだから。
 あと(メル欄2)。これはわからないものなんですかね?
 
 あと、最後の大佐のセリフね。ああいう風にやたら探小探小と呼ばわるのは如何なものか。
 今読むから萎えるのかもしれないけども。
583エロ後感:03/05/22 02:00
「明日は殺人」カーター・ブラウン(早川書房)
 ハァハァ・・・再びメイヴィスセドリッツ! 薄くてエロい♪ が売り(嘘
 前回に増してサービスシーンが用意されていますけど、その前に、テレビを使った連絡というアイディアはなかなか斬新でいいね。
 まぁ別に求めちゃいないが(w
 んで、本日の読み所はと言うとぉ・・・

 1、スケスケプードルパジャマ姿のメイヴィス(もちノーブラ☆)が銃をアソコに押し付けられるシーンとか

 ・・・ピストルの銃口が、グッとくいこむ。どこにって?そんなこと、女性のあたしにはいえない。
    あたしは、さけんだ。「い、い、いたい! マイク、そんな・・・」・・・(本文より抜粋)

 2、両手両足をベッドに縛り付けられたメイヴィスがパジャマを脱がされ、殺人マッサージを受けて失神するシーン

 ・・・「ほんとに、きれいだわ」アビゲイルは、ひくい声でつぶやいた。「ピンクがさした、まっ白なからだ・・・」
    (中略)こらえきれずに、あたしはのけぞった。つぎの瞬間、その痛みは、頭のなかではねかえり、爆発した。・・・(同上)

 なんかがあります。しかし、実は水兵仕込みの空手の使い手である彼女は、けしてやられっぱなしなわけではなく、
 この変態ババアアビゲイルなんかは後で顔の形が変わるほどボコボコにされます。
 でもそこもまた興奮するツボなの・・・(´Д`;)ハァハァ
584エロ後感:03/05/22 02:01
「ハニー、ナチスに挑戦」G・G・フィックリング(早川書房)
 ハァハァ・・・ハニー2冊目です。これが以前言った隣の区で予約した分です。ほんっとに1/4ぐらいの時間で届きました。
 ナチの残党を相手にハニー・ウェストが奮闘するという女007みたいな筋ですが、
 こないだのよりエロさが増してる! これ実際には何作目なのかはちょっと今わかんないですけど、
 やはり読者のニーズに答えたんでしょうね。あ、メイヴィスという強力なライバルが現れたせいかな? あ、こっちが後か。
 ま、ともかく、今回はまず、セックス(を示唆する箇所)―次のような―が2回、
 
 ・・・彼は両腕でわたしの肩を抱いてきた。彼の手が、まだ痛むわたしの乳房をしっかりと握った。
    それから彼の口が近づいてきて、そおっと、わたしの唇を触れあった。接触はあまりにやわらかく、
    わたしは身体の内部で何かがピクピクと動きまわるのを感じた。(中略)
    「ジョニー、おお、ジョニー、彼らを殺さないで!」彼の口がわたしの乳房までさがってきた。・・・(本文より)
 
 そして、最大の見せ場は何と言ってもナチによる拷問シーンです。
585584の続き:03/05/22 02:02
・・・指をしつこく喰いこませて、わたしの両乳房の間へ深く突っこんできた。(中略)
    好色な眼が、わたしの隆起した両の乳房を賛美している。(中略)ナチ隊長は乱暴にわたしの肩紐を押し下げた。
    わたしの二つの乳房が黒い繊維の下から滑ってはみだし、勢いよく上を向いて曲線を描いた。(中略)
    ナチ隊長はさらにブラジャーを押し下げ、乳房の下側の白いうねりを剥ぎださせた。
    彼の視線がまるで指でなでるように、私の胸部を撫でまわした。意地の悪い、卑猥な笑みを浮かべ、
    「あんた、知っていますか、トータス? 女の身体のなかでいちばん敏感なのは乳首なんですよ」(中略)
    火のついたマッチ棒をわたしの乳房のほうへ押しだしてきた。(中略)
    わたしは、両手をトータスの靴で踏みつけられ、エーリッヒに腹の上に坐られたまま、苦痛に身悶えした。
    (中略)「拳銃は、旅行しているあいだ、護身用に持っているんです! ほんとです―あたし、
    秘密警察ともFBIいっしょじゃありません、信じて下さい!」エーリッヒはカラカラと笑って、
    マッチの赤い炎をあげ、乳首から何分の一インチも離れないまでに近づけた。露わな肉を灼熱が焦がした。
    (中略)わたしは悲鳴をあげた。わたしの唇は、激しく叩きつけられて裂けたらしく、声も出せない感じである。
    だが、これがまだ拷問の序の口だとわたしは知っていた。(中略)厚い瞼の眼が、まるで催眠術にかかった人間
    の無意識状態のような放心と恍惚とで、くびれたピンク色の小輪を見詰めている。(中略)
    黒眼鏡の奥の眼が、わたしの胸の焼かれる部分へ釘づけになっている。(中略)
    灼熱のマッチ棒がわたしの乳首に埋まった。・・・(本文より)
586585の続き:03/05/22 02:02
 とまぁ大まかに言えばこんな感じでなぶられます。もうハァハァし通しです。
 こう書いていると、図書館に返したくなくなってきました(w
 それにしてもこの作者が夫婦の合作ペンネームというのだから驚きです。
 書く前に実践してたりするのかな・・・(´Д`;)ハァハァ
587名無しのオプ:03/05/22 12:53
pink鯖にでも行けば。
588名無しのオプ:03/05/23 13:09
エロ後感最悪。キモイ。
ご丁寧に本文まで書き込むなよ。
589名無しのオプ:03/05/23 23:20
 
590名無しのオプ:03/05/24 17:09
読後感=エロ語感なの?
まあどうでもいいけど。
591名無しのオプ:03/05/25 21:10
ローゼンバーグの「女性判事」読了。
堅物のキャリアウーマンが事件に巻き込まれ、仕事でもプライベートでも
ピンチになって、犯人は意外な人で、事件を通じて人間的に丸くなって、
素敵な恋人も出来てヨカッターという普通の話。

気のせいかもしれないけど、あの講談社文庫(青いやつ)のシリーズって
こんなパターンばっかりのような…

も一つ、気のせいかもしれないけど。
女主人公=ブルネット。高学歴の知的女性。自分では気付いていないが実は美人。
その妹(または姉)=金髪、グラマー。女主人公は姉妹にコンプレックスを抱いている。
小さい頃からちやほやされて育つが、頭カラッポで、人生負け組。
なんかこのパターンが多い気がしてうんざり。
海外の女性作家は金髪美女に何か恨みでもあるんだろうか…
592名無しのオプ:03/05/27 18:04
バークリー『ジャンピング・ジェニイ』読了。
もっとトリッキーかと思っていたら、びっくり系じゃなかったね。
探偵小説の常道みたいなの(例えば、数多くの可能性があるにもかかわらず、探偵の推理が常に正解)とかを微妙にはずしてあるのは面白かったよ。
バークリー初体験なのでヘタなことはいえんが、この作品はユーモアミステリだと思って当たった方がいいかもね。
593名無しのオプ:03/05/27 22:18
>>591
ちょっと違うけど、ジェニー=ケイン(だっけ?)のシリーズもそんな感じだよね。
妹は社長婦人だけど性格悪くて馬鹿っぽい美人に書かれてた。
才色兼備のヒロイン=作者の願望じゃないのか?
594山崎渉:03/05/28 11:53
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
595579:03/05/29 19:19
『殺人症候群』のオチの謎がわかった。
最近の角川文庫版の方が、実は一章多いのだ。
82年のハードカバー版では最終章が足りないのである。

だからハードカバー版だけを読むと、オチがよくわからないのだ。
多分そういうことだろう、という見当はつくが、最終章での暗示がないと確信がもてないのである。

これがハードカバー版でのカットなのか、作者の書き足しなのか、底本の違いなのかはよくわからないが・・・
596bloom:03/05/29 19:25
597名無しのオプ:03/05/30 14:49
「黒後家蜘蛛の会」1〜5 A.アシモフ
読了ー。
ヘンリー最強。もう続きはでないのかな?
598読後感:03/05/30 19:22
「リーヴェンワース事件」A・K・グリーン(東都書房)
 古典の傑作の登場です。ホームズ登場より数年も以前にアメリカで発表され、百万部を超えるベストセラーになったというスゴイ作品です。
 トリックや、演繹的推理はほとんど皆無と言っていいんですけれど、それでも読者をぐいぐい引っ張っていくストーリーテリングには感心します。
 「事件があった直後に行方不明になった者がいる」という黄金時代の作品によく見られるパターンが用いられているのも興味深いですね。
 
 私、最初とあるサイトでこれがアップされてあるのを見ましてね。
 それを印刷して読もうと思ったんですれど、いざプリントしてみるとこれが長い! 
 全部やってたら用紙代がかなりかかってしまうと思って、途中で止めたんです。あと素人の訳ということもありましたし。
 で、しばらくして、この本が図書館にあるということがわかって、漸く読むことが出来たという次第です。
 
 この時代のミステリーの特徴としてまず挙げられるのは何といっても「ロマンス」これです。
 「月長石」にしても、そして本作にしても、色恋沙汰が事件と密接に関わっているわけです。単に動機ということでは無く、ですよ。
 黄金時代以後の作品に見られる「ロマンス」があくまでも事件自体とは直接関係が無い装飾品であるのがほとんどだったのに対して、
 この頃の作品には事件を解明する上で「ロマンス」がキーポイントとなることが多いんです。
 ヴァン・ダインがあのような条項を設けたのは、余りにもその傾向に拍車が掛かっていることを危惧したためらしいです。
 
 そしてもう一つの特徴は、極端な女性尊崇主義です。
 細腕柔肌の見目麗しい貴婦人、というだけで他に何の根拠も無いのに無実だと盲信したり、
 そのような貴婦人に迷惑が掛かる恐れがある、というだけで事件の手がかりと思われる情報を隠匿したり、
 作中にはそんなことを平気でやる人達が出てくるんです。
 黄金時代以後、特に「ハードボイルド」なる作風が現れて以後はだいぶ鎮静化したようですけども、この頃はそれが横行していたようです。
 読んでてちょっと不愉快ですね。現代人からすれば。

 
599598の続き:03/05/30 19:22
最後に粗探しというか私が気になった点を二つ、挙げときます。
 1、エリナーはなぜ叔父の遺稿を出版することを聞いて驚き青ざめたのか?
 2、作中に出てくるいくつかの地名が伏せられているのはなぜか?
600エロ後感:03/05/30 19:23
「血とハニー」G・G・フィックリング(早川書房)
 ハァハァ・・・できねえじゃねーかボケェ!!!!
 やる気あんのかコラ! こりゃ一作目よかひでぇぞ。何があったんだ?
 もうやりつくした観があったとか? それにしてもひどい。ひどいっちゃひどい。
 もう語ることないよ。。。 あ、ひとつだけ。これはハニーが自分をモデルにした舞台を検分するっていう話だったけど、
 ハニーは映画化の話が進んでるみたいね。本来なら喜ばしいことなんだけど、主演が・・・
 リース・ウィザースプーン(うげ〜〜)らしいです。。。 何であんな鼻ぺちゃにやらせるのかねぇ・・・。
 映画には到底期待できそうに無いから、これを機に早川が復刊してくれることを望む。
 あと、チャーリーズエンジェルの前番組だったって言うドラマ版「ハニーにおまかせ!」のビデオ化(DVDオンリーは困る)も。
601読後感:03/05/30 19:23
「ビロードの悪魔」ジョン・ディクスン・カー(早川書房)
 カーの歴史ミステリーの中でも珠玉の出来と言われ、全作品中でもベストテンに入るほどの名作!
 ・・・らしいんですが、私にはイマイチでした。
 
 まずこれは明らかに冒険ロマンス小説であり、推理小説としての側面がほとんどないのです。
 松田道弘が「新カー問答」の中で、本作は痛快ロマンス小説としても面白いとかなんとか言ってましたけど、
 「としても」じゃなくて「です」よ、これは。
 
 それだけなら別につまらないとは感じないんですけど、ロマンスの部分が弱いんですよね。なんつーか、明らかに男優位って感じで。
 ロマンスっつーのは女優位かせめて同等じゃないと萌えないんですよ、私は(爆)。
(だから未読ですが「ニューゲイトの花嫁」には期待してるんです)
 それにあの女が死んでからもう一人の方に簡単に乗り換えているじゃないですか。あの辺はもうちょい丁寧にやるべきだったなと。
602名無しのオプ:03/05/30 19:30
読後感さんは本格が好きなんだね。
603ねつてつ:03/05/30 19:32
>601さん
ロマンス小説、というか、デュマの路線だと思いますよ。
クリスティーなんかと比べると、やっぱり当時の男性が書いたものは、ロマン
スとしてはどうかという物になりますね。
冒険物として考えてくださいませ^^;;
604名無しのオプ:03/06/01 01:08
ロマンスの意味が今と昔で違うんですよね。
今はロマンスはハーレクインとか、恋愛ものだけど、
昔は冒険活劇とか歴史ロマンとか。
605名無しのオプ:03/06/04 19:53
ロバート・J・ソウヤー『ゴールデン・フリース』

宇宙船のコンピュータによる倒叙もの。SFミステリ。
ミステリ的な仕掛けは薄いが、動機に呆然。
人によっては壁本かも。
606名無しのオプ:03/06/04 22:09
アガサ・クリスティー『ポケットにライ麦を』
たぶん初めて読むミス・マープルもの。
安楽椅子探偵のイメージがあったが、意外に行動的なばあさんでびっくり。
見立て殺人の代表作と言われるものの、見立てる必然性がいまいち見えてこなくて残念。
私的には『獄門島』くらいの見立て動機で十分なんだけどね・・・

あと、古本屋で買ったのだが、乾いた鼻汁がついてて、随所でページが貼り付いてて鬱。
607名無しのオプ:03/06/06 05:50
なぜクリスティって再読に耐えるのだろうか?
不思議。 ちなみに私はミス・マープルがお気に入り。
「動く指」が好きかな。

「猫は〜する」シリーズ最初は読みにくかったけど
食いしん坊だから、これも再読してるシリーズ。

あとフランシスの競馬シリーズもなんとなく再読してしまふ。
でも「横断」以降は作者の年齢もあってか、読んでる方も
かなり苦しかったけど。

今はフロスト刑事の新作を心よりまちのぞんでいます。

あとロバート・クレイスのエルヴィス・コールシリーズ
なぜでないのだろう…こんなに待ちわびてんのに。

あと スペンサーは私のフェバリットではあるのですが
忠実に年齢を重ねているとは思えないほど若すぎる!
(ホークもね、スーザンはもちろん)

長文すびません・・・
608607:03/06/06 06:06
ふと前文がスレ違いと気づいたので…

「破壊天使」上・下
ロバート・クレイス 

読みましたです、はい。
スピード感あってスイスイっと読めてしまう。
主人公の女警官もそんなにいらだたしくない感じ。
(スカ-ペッタやウォシャスキーは、なぜそんなに
イライラしてるの?と読んでるこっちがイライラ
してくる)
もともと作者が脚本家?なので、小説もまるで
ドラマを観てるような感じなのだ。

余談ではありますが、いわゆる女らしくおっとり
したまま事件を解決する女探偵っていたら教えて
欲しいです。
ミス・マープルくらいしか思いつかないのですが。
609名無しのオプ:03/06/06 20:09
ジェイムズ・ヤッフェのママとか・・・
610名無しのオプ:03/06/06 20:11
このサイトおすすめ♪
http://zoetakami.fc2web.com/
611名無しのオプ:03/06/06 20:56
>>609
あれはほら、シャーリイがいらいら役を引き受けているからw
612読後感:03/06/06 21:36
「毒を食らはば」ドロシー・L・セイヤーズ(東京創元社)
 ロマンスの要素があるというだけで読むことを決意した本作。
 しかしそんな不純な動機に天罰が下ったのか、期待はずれでした。
 まずヒロインがブサーだし。作者自身のコンプレックスの表れじゃないのか?
 テメエがブスだからってヒロインまで不細工にしてどうする。
 おまけに性格も悪いし頑固だし。
 あとロマンス(そう読んでよければ)も強引極まるし。
 いきなり「ケコーンしてください!」ってピーター卿、アンタそれじゃ変態だよ・・・。死者に対する敬意のなさも露骨だし。
 いくら元彼だからってもう死んでんだぜ? 料簡狭すぎ。
 
 それにさぁ、ミステリーとしても弱いよ。フーダニットもホワイダニットも捻りが無いし。
 唯一ハウダニットで引っ張るわけですよ。まぁ敢えてそれ一本に搾ったんだろうけど無理だっつの。
 短編でやれ短編で。・・・そういや「疑惑」っつーのも芸の無い話だったよなぁ・・・おっといかんいかん。
 閑話休題。
 それに加えてレッドヘリングもミスディレクションも物質的手がかりすらないもんだから400ページひたすら退屈。
 「死体をどうぞ」と「学寮祭の夜」もロマンスつながりで読もうと思ってたけどこりゃ止めたがよさそうだな。

 最後に間違いが多過ぎ。翻訳じゃないよ、原文が。失恋でもしたのかな(w 
 浅羽さんよくがんばった!感動した!ありがとう。
「黒檀の箱」ヘンリー・ウッド夫人(東都書房)
 「リーヴェンワース事件」のオマケとして読んだんだけど、中身もオマケレベル。
 つーか探小じゃないし。なんかねー、「疑わしきは罰せず」のプロパガンダ小説って感じがした。以上。
613名無しのオプ:03/06/06 21:43
原文もチェックしてるとは意外だ。読後感を見直した。
614名無しのオプ:03/06/07 13:06
>>613
初心者と言ってるわりにはセレクトが変すぎるのも個性だよね。
615名無しのオプ:03/06/07 13:14
ヘイク・タルボット「魔の淵」
う〜ん・・・・
616無料動画直リン:03/06/07 13:26
617預言者:03/06/07 18:56
618名無しのオプ:03/06/08 01:20
セイヤーズの間違いって、浅羽さんの訳者後書きに
書かれてるんじゃなかったか…
違ってたらごめん
619名無しのオプ:03/06/11 00:36
サラ・ウォーターズ「半身」
最後の1行の訳が間違いだと思う。
しかも、その間違った訳を元にして解説が書かれてるので、
この作品や作家の本質とずれてる。
最後の1行、次のように直せば、かなりいい本だと思うのだが。
「忘れないで」(中略)「あなたが誰の恋人か」

解説者は最後を支配ととったが、あれは支配欲でなくて独占欲。
いかにも女性らしい愛の姿。
それをあんなホラーの決めせりふにしてしまっては困ります。
620名無しのオプ:03/06/11 03:43
かどふぇるシリーズ

1巻の「聖女の遺骨求む」を皮切りに、つまんないかも…
と思いつつ 7巻の 「聖域の雀」まで読んでしまった。
ま、これはミステリというより歴史もんって感じよねぇ、
誰かも言ってたけど。
つまんないと言いつつずっと読みつづけるのかも。
621名無しのオプ:03/06/11 05:47
>>619
原文はどんななの?
622名無しのオプ:03/06/12 00:49
「ウィッチフォード連続殺人」ポーラ・ゴズリング ハヤカワ文庫
読みますた。
ほどよくロマンスですが、エロではないですよ(^^)
イギリス田舎物がお好きなかた、オススメです。
訳がいいのか、ものすごいピッチで読めるうえに面白かった。
ロマンスも、いい年した大人なのに初々しくてカワイイっす。
シリーズ化されてなさそうなのが残念なくらいキャラがよかったです。
623名無しのオプ:03/06/12 01:24
>>619
こんなところでネタバレするなよ!!(怒)
これから読もうと思っているのに・・・台無し

624名無しのオプ:03/06/12 09:51
セイヤーズの本で面白いと思ったものが無い・・・
625名無しのオプ:03/06/13 01:21
>>624
「ナイン・テーラーズ」を読み終えたときは自分の忍耐力に
乾杯しますた。
いや、他はキライじゃないんだけどねー。
626読後感:03/06/13 19:45
「復讐の時」リチャード・アレン(早川書房)
 復讐タンが読みたい、という衝動に駆られてその手の作品を図書館で探したんです。2ちゃんも使って。
 で、それで読んでみようと思ったのが白川道の「天国への階段」と本作だったわけです。
 あらすじは戦場で友と上司に陥れられ20年間牢獄で過ごした主人公が、獄中で知り合った老人から教育を受け、
 脱獄を果たした後、彼から遺産ともいうべき財宝を譲られ、それを使って仇に復讐しようとするというもの。
 しかも、かつての妻であった女性は裏切った友と結婚しているという、モンテクリストを現代に置き換えただけの作品。
 
 基本的なプロットはそういう感じでいいと思うんですけど、もうちょっと捻って欲しかった・・・。
 まぁ、「天国〜」みたいな陳腐な展開にならなかったことだけは評価できますけど。
 でもやっぱり気になる所は多いです。
 
 「20年」の重みが文章からあまり感じることが出来ませんし、痩せて髭生やしただけで見分けが付かないというのもおかしい。
 あと、彼の腹心が5日で盗聴術をマスターするっていう場面があるんですそれもかなり無理があります。
 そして全体的に駆け足だっていうことですね。これがストーリーに重厚さを欠いている要因だと思います。
 
 復讐物2作ともイマイチだったんですが、これに懲りずに理想の復讐タンを目指して僕は走り続けます!
 応援してね!
627読後感:03/06/13 19:45
「ある詩人への挽歌」マイクル・イネス(社会思想社)
 乱歩がベスト10に挙げた作品ですね。作者は黄金時代後期の代表的作家です。
 で、中身なんですけども、文体というか構成は、登場人物たちのうち何人かが交代に一人称で記述していくという、
 「月長石」スタイルですね。これをやるにはよほど鍛錬された筆力が要求されるそうですが、
 この作者は、コリンズには劣るとしても、成功していると言って言いかと思います。
 ただ最初の方はちょっと読みにくくて何度も読むのを中断しましたけど。これは原文に関係があるのかもしれません。
 全体の1/3はスコットランドの方言で書かれていて翻訳しにくかったそうですから。
 
 で、内容に移りますが、本作は明らかに「トレント最後の事件」の影響を受けていると言っていいでしょう。
 少なくとも2つの点で。
 しかしそれゆえにアンフェアにもなってしまっています。まあしょうがないことなのかも知れませんが・・・。
 細かい点で気になるのは探偵の推理の過程です。
 「なんでその時点でわかったの?(感づいたの?)」と思われることが2つあるんです。
 1つは被害者が冬のスポーツが得意かどうか聞きたいと言ったこと。
 2つは「医者の遺言」を読む前に、既にカラクリに気づいていたらしいこと。
 以上の点です。まあ他にも、
 リンゼイは悲鳴を聞いたはずなのになぜ戻らなかったかとか、
 探偵が自分で重要と考えていたことをなぜ考慮に入れなかったのかとか、突っ込みどころはあります。
 まあ、この程度の矛盾は古典読んでりゃ日常茶飯事なんで今更どうとも思いませんけど。

 最後に作者ってまだ生きてるのかな?93年当時には生きてたらしいけど・・・。
628名無しのオプ:03/06/17 11:03
レイモンド・チャンドラー「さらば愛しき女よ」
この作家昔「長いお別れ」読んでつまんなかったんで一旦見限った。
最近古書店百円コーナーでこれを発見。暇つぶしに読んだ。

面白すぎる・・・
ハードボイルドなのに小洒落た比喩を連発する装飾過剰なところといい
あまりギスギスしてない上品なところといい激しく気に入った。
もう一回「長いお別れ」も読み直さんと。
629名無しのオプ:03/06/19 02:20
ガイシュツとは思いますが、「クリスマスに少女は還る」
読みました。 読後は呆然。 サイコものにしては犯人像が
薄いんだけど、久々になんとも言えないエンディングでした。
本当いい!まだ読んでない人おすすめ。

630読後感:03/06/21 18:58
「死者の書」ジョナサン・キャロル(東京創元社)
 ちょいスレ違いかなとも思ったんですが、一応創元”推理”文庫なんでいいかなと。
 有栖の乱読にも載ってたし(w つーわけで今回は「死者の書」です。
 あらすじ見た限りでは、なんか静けさが伝わってくるというか、こう、幻想的な話なのかなと思ってたんですね。
 表紙は心暖まる感じだし。

 ところがどっこい馬の糞(←?)、実際読んでみるとね、これがつかみ所のない変な話なのよジッサイ。
 最初は「お、プチラブコメか!?」なんつー運びで、「きゃー、押しかけてカレー作るなんてダ・イ・タ・ン」
 てな感じで行ってたら、あれあれ、なんか不思議ワールド満開? みたいなことになって、しまいには、
 ドロドロしてきちゃって(w なんなんだよ、と。しかもこの主人公気が多くてね。おまけに妄想狂。
 献身的な雀斑(そばかす)彼女いるのに、36歳のセクシー美人に股間を熱くさせちゃってるんですよ。
 この人とベッドを共にしたらどんなんだろうとか、実は町の人から拷問にあってるんじゃないかなんて、
 挙句素っ裸に引ん剥かれて地下室で鞭打たれて喘いでる様子まで思い浮かべちゃってね。バカだよコイツ。
 
 ははーん、到底叶わぬ恋のパターンだなって思ってたらなんと悲願成就、ベッドインに成功するんです!
 しかもしかも、喘ぎ声だとか、「乳首を拇指で揉みしだいた」なんつー記述まであるんすよ、アニキ。
 もうね、「ええーっ?」って。
 そりゃエロ後感だったら喜んだだろうけど、今更モードチェンジできないし(でも映像化キボン/w)。
 
 そんなんだったから肝心の謎が解明されても、そっち(色恋沙汰)ばっかりが気になってね(w。
 まぁでも、なかなか幻想的でしたね、仕組みが分かると。ただそれが死を享受する理由になるのかな?
 なるとは思えないんだがなぁ。そして悲劇の結末。
 ハリウッド映画なら、この後主人公は復讐のコマンドーにでもなるんでしょうけど(w コイツはそうじゃない。
 コソコソあっちこっち飛び回って逃げる。逃げる。逃げる。とにかく逃げる。
 しかし全く棘を持ってないかというとそうじゃない。ラストであっと驚く反撃を見せてくれます。
 こっそりやってたんだな・・・とわかります。
631読後感:03/06/21 18:59
スターヴェルの悲劇」F・W・クロフツ(東京創元社)
 クロフツの隠れた名作、らしいです。かの中島河太郎氏がベスト3に挙げ、
 有栖川有栖も「密室大図鑑」でわざわざ言及しています。
 また、集英社版「樽」のあとがきでもクロフツの懐の広さを知る指標として本作が挙げられています。
 
 だからね、すんげぇ〜期待して読んだんだわ、ぶっちゃけ。ね。
 ところがどっこい馬の糞(←しつこい)、まあ聞いておくんなまこ。
 まず30ページぐらい読んだところでギブアップしました(笑)。
 やっぱヒサビにクロフツ読むとこうなるのね。「カン」を取り戻すまでは(笑)。
 
 んで、しばらく睡魔に身を任せて、1、2時間後に再開したんですよ。
 するとするとあ〜ら不思議! 楽しめるんです。のめりこんでね。
 クロフツのいい所は何といっても探偵役が親方日の丸(ユニオンジャックだけど)だっつうコト!
 だから強引な遣り方もOK! なんですよね☆ 
 最初は愛想よく聞き込みをして、丁寧に証言を頼む。しかぁし!
 一度聞き分けの悪い証人に出会えば、逮捕状をチラつかせて自白を迫る! ここがいい!
 オレこういうサディスティックな場面大好きなのよ(笑)、いやマジで。
 
 だから楽しんで読めてたんだけど、読み進んでいくうちに疑問が生じてきた。
 「これ他の作品とどう違うの?」ってね。
 アリバイ云々こそ出てこないものの、気の遠くなるような調査を地道に続けるのは一緒だし、
 別に真新しいものは目に付かなかったんです。
 「フーダニット」だっていうことは知ってたけど、そんな風にも見えないし・・・。
 演繹的な推理もないし。聞き込みで新たな情報をゲットするっていうだけ。それも悪くはないんだけど、
 それじゃ「知ってさえいたら」派と変わらなくなっちゃうし。
 でもまぁ、とにかく最後まで読んでみるか、と。
632631の続き:03/06/21 18:59
で、読殺して、「あ〜なるほど」とわかったんです。後天的なものだったんですね、それは。
 でもやっぱりそんなに面白く感じない。「二人の妻を持つ男」と同じ感じなんです。
 これならアリバイ崩し読んどきゃよかったよ(笑)。
 
 最後に蛇足極まる粗探しをば(笑)。
 1、ジジイはなぜ20ポンド紙幣にこだわったのか?
 2、「娘がフラワーショーに行きたがってた」ということが嘘なら陰謀だという推論は正しいが、
   では真実であればそうではないかというと、それはおかしいと思う。
   何故なら、容疑者は真実を知りうる立場にいたからである。
633名無しのオプ:03/06/30 18:24
バーバラ・ヴァイン『ソロモン王の絨毯』読了。

地下鉄マニアのジャーヴィスは、廃校を所有し、住人たちを募って共同生活をしている。
そこに集まってくる様々な男たち、女たち。
ソロモン王の絨毯=ロンドン地下鉄がつむぎ出す人間模様の行く先は?

すごいうまいんだが疲れる感じ。
ミステリっぽい印象が希薄に思えるのは、特定の事件を軸にして話が進まないからだろう。
むろん犯罪は起こるのだが、主役ではなく、群像劇の過程に浮かび上がるようになっている。
個々のキャラを順番に描写していくので話が進まない。
この書き込みがかなりしっかりしているので、一般文学好きの方に受けがよさそうだ。

私的には嫌いじゃないけど微妙。
うまいっていう以上ではないな。
634読後感:03/06/30 19:04
「妖女の隠れ家」ジョン・ディクスン・カー(早川書房)
 何で創元で読まなかったかというと、答えは簡単。タイトルがいいから(w
 ”魔女”というとどうしても幼稚な印象が拭えなくてね。
 そこへいくと”妖女”っつーのはなんかいい。オドロオドロしくて、妖怪人間ベムみたいで(w
 (邦題は概して早川のがいい。「赤い収穫」とかね)

 ただ内容はというと・・・残念ながら凡作なんですね。
 いわゆる不可能犯罪ものでもない。敢えて言うならアリバイ崩しかな。
 しかし、時計を使ったミスディレクションはよかった。あれはやられた。
 でも、実を言うと僕は傑作ミステリーを読みたくてこれを手に取ったわけじゃないんです。
 
 何が目的だったかというと・・・ロマンス!(w
 ああっ、ぶたないでっ。だって、今ラブに餓えてるんだも〜ん(キモ
 しかぁし、こっち方面もつまらなかった・・・。上手くいきすぎなんだもん。
 もうちょっとさぁ、好きなのに素直になれないみたいなのがいいのよね。
 つーわけで次カーい(w)は「連続殺人事件」に挑戦してみたいと思います。
635名無しのオプ:03/07/01 08:23
クイーンの話だけど、
国名シリーズはハヤカワの「〜の秘密」より創元の「〜の謎」の方が良いと思う。
636名無しのオプ:03/07/01 18:15
>>635
タイトルがかい?中身が?
637名無しのオプ:03/07/01 21:33
読後感は本格が好きなんだね。
638読後感:03/07/05 14:16
「黄金虫」リチャード・マーシュ(東京創元社)
 ポーじゃないよ。つーかさぁ、この作品の存在オレこないだ古本屋で見るまで全然知らなかったよ。
 有名作品と同名の作品て普通もっと知られてるだろう。
 だのにこれはトント知らなかったんだよ明智君。
 発表年は1897年と黎明期の作品なのにも関わらず、だよ(まあミステリーじゃないけど)。
 何でだろう?ま、いいか。
 
 で、さー、これって各章毎に語り手が変わるわけ。月長石スタイルね。
 あれが、成功したから真似たのかもね。これも成功例だとは思うよ。
 たださー、それ以前の設定にちょいダメ出ししたいわけよ。
 これはっきりした主人公はいないんだけど、でも大体キャラ立ち順にいうと、コイツかなっていうのがいるのね。
 で、ソイツは幼馴染の女性のこと好きなんだけど、彼女は別の男が好きなわけ。
 ね?萎えるでしょう?
 しかも、その女性がまた勝気な女でさぁ、ウーマンリブの走りみたいな感じの娘なの。
 そういや、月長石のレイチェルといい、リーヴェンワース事件の姉妹といい、
 強気なヒロインというのは、この頃の冒険・ミステリー小説の定番なのかな?
 それは考えすぎかな。まあ、ともかく。
 で、彼女はそんな幼馴染の求婚をけんもほろろに切り捨てるのね。
 しかもその直後に、自分と意中の人との恋愛が成就するように父親を説得してと彼に頼むわけ。
 まともじゃないでしょ?ね?
 当然断る。すると嘲笑するの(この辺順序が違うかもしれないが再読する気が沸かないのでご容赦)。
 もうね、自己チュ〜 って。
 まあ、彼は結構惚れっぽい性格だったから彼女も本気にしてなかったらしいんだけどね。
639638の続き:03/07/05 14:16
で、彼女は父親に交際を禁止されても知ったことかと泰然自若としてるわけ。
 もちっとしおらしくしてくれたらこっちだって憐憫を感じてやれるんだがねぇ・・・。
 でも、好きな相手には割と情熱的なの。
 それが、その極端なギャップが、彼女から人間味を取り去っている、と思うんだよね。個人的には。
 そしてその相手の性格設定も気に食わない。いつもかつも余裕綽々としていて弁も立つ、という。
 こういう完璧キャラはヤラレ役でしょ。巧く行かれたらこっちとしても面白くないのよね。
 
 後半になるとその娘がさらわれて、主人公格の彼が、自分の恋敵(というか勝ち目ゼロなんだけどね)
 と一緒に助けに行くんだけど、これがまた盛り上がらない。
 だって他人の彼女助けに行くんだぜ?のめりこめる訳が無い。
 
 んで、極め付けがラストの数ページ。
 強引に四方丸く収めてんの。
 曰く「主人公格の彼は一方的な片思いをされていた金持ちの令嬢を自らも深く愛し始め、結婚した」だって。
 ふざけんじゃないよ!
 黄金中の謎もほとんど解明されないままだし。
 振り返ってみれば極めて出来の悪いラブロマンスってとこか?ペッ(←唾を吐く音)
640名無しのオプ:03/07/05 14:46
わざわざメモをコピーするんだから
もっと文章まとめろよ。
だらだら書きゃいいってもんじゃないだろ。
641名無しのオプ:03/07/05 23:47
それが芸風らしいから生暖かく見守ってやって。
また荒れたらイヤ。
642名無しのオプ:03/07/07 11:53
漏れがこれから読もうと取って置いてある本をなぜか先に読後感が読んでしまう。
643読後感:03/07/07 19:13
「幽霊の2/3」ヘレン・マクロイ(東京創元新社)
 いやぁ、図書館でこれを手渡された時は感動もんでしたね。
 何しろ版元にも在庫が無いという幻の作品なわけですから。都内に住んでて良かった!
 装丁もカラフルで実にシャレてて、見ているだけで嬉しくなってしまってね。
 背表紙のマークは猫だったから、じゃあ本格ではないのかな?(何となく密室物じゃないかなんて勝手に思ってたもので)
 訳者の人は聞かない名前だなぁ・・・後ろの目録にも見慣れないタイトルがチラホラあるなぁ・・・
 などと思いを巡らせたものです(遠い目)。
 そうやってひとしきり前戯を楽しんだ後、ワクワクしながら本を開いて読み始めたわけです。

 最初はずっと退屈な人間模様の描写があって、いざ殺人が起きるのは100ページ過ぎてから。
 その前にタイトルのソースもわかるんですけど、その時はそれが物語にどう関わりがあるのかわからない。
 (実はそれともちょっと違う意味だったことが後で発覚するんですが)
 で、殺人のあと、偶然居合わせることとなった心理学者が探偵役となって解決に乗り出していくんですけども、
 この人心理学者だけあって演繹的推理など全くといっていいほどしないんです。
 まあ物質的手がかりがほとんどないからしょうがないけど・・・
644643の続き:03/07/07 19:13
その代わり心理的な手がかり―というか疑問―は相当あって、それらを寄せ集めて真相に迫っていくんですね。
 ここでちょっと変わってるなと思ったのは、手がかりの提示について作者がプチアンフェア(笑)な点です。
 手がかりや不審点を文中に登場させてはいるんですけど、それを「これはおかしい」とか「〜は不審に思った」とか、
 そういうこれが「手がかりですよ」と読者に示唆するような文章を敢えて入れてないんでよね。
 「貴方がたの常識に従って、手がかりを見つけてください」というわけなんです。そこからが勝負というわけです。
 いやぁ厳しいなぁ〜って(笑)。
 
 次に明らかにおかしいと思えた点をひとつ。本書の276ページの探偵役のセリフ。
 「私もついさっきまでは、そんなふうに考えていました。しかしミス・リントン
  と別れた直後に記憶をなくしていないとしたら、どうして突然彼女をおいてい
  ったのでしょう?もちろん別れたときのことは、彼女からしかきいていないわ
  けですが、あるいは彼女が彼を怒らせるようなことをいったか、しかたしかの
  かも知れません。あるいはいわないでおいた方がいいと思ったことをするか、
  いうかしていたのかも知れません。もしそうだとすれば、彼の記憶喪失症は頭
  の傷によって起ったという結論を下すべきではありませんな」
645644の続き:03/07/07 19:14
どうです?わかりますか。何かおかしいでしょう。
 まず、どうして根拠の無い仮定を、それも2つも重ねて、するのか?
 さらにそれによって導かれた結論も全く意味不明。「彼が彼女と別れた直後に事故にあった(頭に傷を負った)」
 という事実はこれ以前のどこにも書かれていないのですよ。
 つまり、探偵役は何の根拠もない仮定を3つも重ねているんです。これは実にけしからんことです。

 最後に本筋とは関係ないんですけど気になったことをひとつ。
 作者は、どうも、作中に登場する作家、評論家を通して当時の出版界、文芸界を皮肉っているようなんですね。
 それで文中に、多作家に対する批判めいた記述が見受けられるんです。
 ミッキー・スピレイン なんて実名まで出しちゃってたりして。読んだらムッとしただろうなぁと思うんですがね。
 でも実際はブレット・ハリデイに対する批判なんじゃないかなって思えちゃって。勝手な推測ですけど。
 もうこの頃は別れてたor倦怠期だったのかなーなんて(笑
 
 あ、内容は正直それほどじゃないです(毒入れるトリックも本家じゃないだろうし)。
 大枚叩く価値はないかと。
 ミーハーな人は別ですが。
646読後感:03/07/07 19:14
「鉄の門」マーガレット・ミラー(早川書房)
 ・動機・・・「乱歩が誉めていた」と某スレで聞いたから
 
 ・感想・・・「心理探偵小説」という触れ込みであったが、それは間違っていない。
       確かに「闇からの声」のようなただの心理小説ではない。だが面白く
       なかった。一つには訳が古いせいもあるだろうが、やはりそれだけで
       はない。「物的証拠に基づく演繹的推理」ではないということは、読
       み手側が推理の過程を掴みにくいということなのだ。だからいつの間
       にか話がどんどん進んでいくことに戸惑いを覚え、つまらないと感じ
       たのだ。さらに言えば、物的証拠がないので決め手に欠け、犯人とわ
       かっていながら逮捕することができないということになる。これも気
       に食わない。ああ、私は心理と名の付くものはてんでダメのようであ
       る。

 ・不満に思われた点・・・前出だが訳が古いということ。誤字も目立つ。
             もうひとつは、細かくなるが、サンズがグリ
             イレイとルシルのつながりがあるとどうやっ
             て閃いたかということである。
647羊バンター:03/07/08 20:46
ヴェンデリン・V・ドラーネンという作家の
『少女探偵サミー・キーズとホテル泥棒』集英社
を読みました。
エドガー・アラン・ポー賞児童部門(そんなのがあったんですね!)ということで惹かれました。
自然系おてんば中学一年生になったばかりのサマンサ(サミー)が
双眼鏡でホテルを覗いて遊んでたら、泥棒らしき人と目を合わせてしまいます。
サミーに迫る危機(?)と、学校でのサミーのがんばりとが並行的に進みます。
おばあちゃんや親友のマリッサとのやりとりもかわいらしいです。
ケストナーの『エミールと探偵たち』をちょっと思わせる秀作だと思いました。
そのあたりがお好きな方は、本屋で見かけたら見てみてください。
ハイカットのスニーカーをはいて走り回るサミーに萌えます。
日本版の挿絵や表紙も、ちょっと素敵です。
ミステリー的要素は・・・あまりないかな?(笑。

(本格直球勝負のものではないので、スレの流れを切ってしまったらスミマセン)
648名無しのオプ:03/07/09 02:34
>>647
少女探偵サミー・キーズ、読みたくなったぞ!
649名無しのオプ:03/07/11 04:51
>>647
エミール好きにそんなこと言うなんて・・・収入ないけど買ってしまいそうな予感
650_:03/07/11 04:55
651読後感:03/07/13 16:02
「テンプラー家の惨劇」ハリントン・へクスト(国書刊行会)
 「あなたはフィルポッツをお嫌いなようですから、一つお話を伺わせてください」
 「いいとも。前からフィルポッツの悪口を言いたくてうずうずしてたとこなんだよ」
 「じゃあ、まず本作を読もうと思った動機からお聞きしましょうか」
 「うん、それはね、『フィルポッツってやっぱりつまんねーじゃん!!』と声高に言いたかったからなんだ」
 「それはまたどうして?」
 「私は去年の夏からミステリにはまっているんだが、その頃読んだガイドブックなどには『赤毛』がものすご
  い名作だというように書かれていたんだよ。乱歩が第一位に挙げたと。それでどんなんだろうとワクワクし
  て読んだところが・・・見事に裏切られてしまったというわけさ」
 「そんなにつまりませんでしたか?」
 「つまらなかったね。あんなアホみたいなトリックで長編書くなんて作者の見識を疑ったよ」
 「これはまた強烈な・・・。私などは旅情感があってなかなか楽しめたんですが」
 「殊ミステリとして評価した場合のことを言ってるんだよ。ただ、あの作品の誉め言葉として、『恋愛がよく
  書けている』なんて事を言っている人が結構いるけれども私は大いに異議がある。あれは恋愛ではないよ。
  ついでに言えば『トレント最後の事件』も私は恋愛が上手く書けているとは思えない」
 「ふーん・・・ま、いいや。結局、どうして本作を読もうと思ったんですか?」
652続き:03/07/13 16:02
「だからね、『赤毛』がつまらなかったから、他の作品で口直しが出来るかも知れないと思って、『狼男卿の
  秘密』『怪物』『闇からの声』『医者よ自分を癒せ』と読んでみたんだよ。しかしまあどれも凡作・駄作の
  オンパレード。それで、今度本作を読んでつまらなかったら思いっきり叫んでやろうと思ったのさ」
 「性格暗いですね・・・。友達少ないでしょう」
 「失敬だぞ、君!」
 「あ、すいません。つい口が滑っちゃって。お気になさらずに。それで?読んでみてどうでした?」
 「ふむ、実は少々考えさせられてね。読む前はまず間違いなく叫ぶだろうと確信していたんだが、読み終わった今は
  そこまでひどくもないなと思っているんだよ」
 「ほう。そうすると、フィルポッツの評価も改める必要が出てきたというわけですか?」
 「いや、そんなことはない」
 「あらら、そうですか。じゃあ本作に対するあなたの評価をもうちょっと詳しくお聞きしましょうか」
 「私が本格ミステリをこよなく愛しているのは君も良く知っていると思うが・・・何、知らない?ふん、まあいい。
  とにかく、その私にとってフィルポッツの書くミステリというのはミステリと思えないものばかりなんだよ。トリ
  ックも演繹的推理もほとんどないんだ。『闇からの声』に至っては余りの冗長さに口から屁が出そうだったよ」
 「訳のわからない表現は控えてください。それと総論はもう聞き飽き・・・いえ、言い終わったんだじゃ無いんです
  か?」
653続き:03/07/13 16:03
「わかってるよ、うるさいな。黙って聞きたまえ。つまりね、フィルポッツの作品には本格味が乏しいんだよ。それ
  は本作も一緒なんだ。トリック・推理どころか、物質的手がかりもまるでないし、関係者のアリバイ調査さえ満足
  に行われた形跡が無いんだよ」
 「へえ、だってプロの刑事が探偵役なんでしょ?」
 「フィルポッツの小説に出てくる刑事は概して無能な者ばかりでね。中でも『赤毛』のマーク・ブレンドンのバカさ
  加減と来たらちょっと形容を絶するものがある・・・おっと閑話休題」
 「じゃあどうやって犯人を捕まえたんですか?」
 「おや、君読んでないのかい?いかんね、そんな横着をしては」
 「えへへ」
 「えへへじゃないよ、全く。ネタバレになるから詳しくは言えないが、演繹的推理によってではないとだけ言ってお
  こう」
 「へー・・・。で、あなたは本作のどこを気に入ったんですか?」
 「気に入ったとは言ってないよ。ただ思ったほどひどくはなかった、と言ったんだ」
 「というと?」
 「うん、だからね。さっきも言ったがフィルポッツは本格味が少ない。そしてそれはなぜなのか、と私は考えてみた
  んだよ。そして一応答えを見つけたわけだ」
 「ほほう、で?その心は?」
654続き:03/07/13 16:03
 「フィルポッツは60を超えてから急にミステリを書き始めたことは知っているね?」
 「ええ、まあ。でもそれは真田啓介さんが『フィルポッツ問答』の中で違うと―」
 「ともかく、量産し出したのは確かだろう?」
 「はあ、そうですね」
 「普通、年を取ると人間守りに入るものだ。しかしフィルポッツは老境に差し掛かって急に違う分野を開拓し始めた
  それまで田園小説の大家として充分に名を馳せていたのにも関わらずだ」
 「何ででしょうね。保険会社に務めてたんだから顧客の新規開拓はお手のものだと思った、とか」
 「何をバカな。君はもう黙っていたまえ。そんなことはどうだっていいんだよ。問題はその後だ。フィルポッツはミ
  ステリでも名を残そうと思い立った。しかし60過ぎた今から良質なミステリを書くことは並大抵のことではない。
  しかし自分にはもうあれこれ試行錯誤しながら日進月歩するような時間は残されてはいない。それで彼はどうした
  か?」
 「どうしたんですか?」
 「見たまんまだよ。『あれこれ試行錯誤しながら日進月歩』しなかったのさ。田園小説を書いていたそのままの頭で
  ミステリを書いたんだよ。『恋愛』を『犯罪』に置き換えてね」
 「ふーむ・・・」
 「だから彼の作品はほとんどがトリックも糞も無い心理小説なのさ。心理描写なんぞは田園小説の最も重要な要素だ」
  ろうからね」
 「フィルポッツの作品には本格味が乏しいということの、それが答えというわけですか?」
 「それが半分」
655続き:03/07/13 16:04
 「半分?」
 「今言った事だけではミステリの体裁は整えられても、名を残せるかは定かではない。そうだろう?」
 「それは、まあ、そうですね」
 「だから、その事でも彼は考えた末、解決策を導き出したというわけさ」
 「ほう、それは・・・?」
 「見たまんまだよ。その解決法とは自分の作品から本格味を取り去ることだったんだ」
 「何と!?」
 「つまりレベルの高い作品を作ることが出来なければ、せめて読者にそう思わせようというわけさ」
 「仰る意味がよくわかりませんが・・・」
 「要するにフィルポッツは読者に対して何ら手がかりを明記しないことでわかりにくい難解な印象を読者に植え付け
  ようとしたんだよ。読者は自分で推理できないわけだから小説の流れに身を任せるしかない。そうなったら作者の
  思うがままというわけだ」
 「な、なるほど・・・」
 「そしてさらに彼はもう一つの保険をかけた。それは登場人物―殊に探偵役―の知的レベルを引き下げることだった
  んだ。我々は『名探偵の視点』というものに案外頼っているものなんだよ」
 「ははあ」
656続き:03/07/13 16:04
「このやり方はとても姑息に思えるだろうが、ある面に於いては叙述トリックの一種だと捉えられないこともない。
  例えば、短編の『三死人』などがそうだ。この作品はフィルポッツで私が唯一評価しているものなんだが、この中
  で彼は『当然の成り行き』を巧妙に難解な事件に仕立て上げることに成功している。私もまんまとやられたよ。こ
  の作品では、フィルポッツの『誤魔化し』が『トリック』に昇華しているんだ」
 「へ〜、その作品は今も読めるんですか?」
 「うん、創元推理文庫の『世界短編傑作集 2』に収録されているよ」
 「今度読んでみます」
 「同じ短編でも『鉄のパイナップル』は大駄作でね。この作品でフィルポッツは最も安易な道に逃げ込んでしまった。
  真田氏のいう『一周遅れのトップ』というやつが顕著に表れている作品だと思うね。どっちにしろ私は好かない」
 「それも読んでみたくなったなぁ(笑)。あ、さっき本作を思ったほどひどくは無いと仰っていたのは『三死人』と
  同じことが言えるからということですか?」
 「うん、まあ。微かにだがね。だから、本作は『心理小説』から『フーダニット小説』に格上げしてやってもいいと
  私は思っている」
 「まだまだ道のりは長いわけですね(笑)。というと故人なんですが。さて、そろそろこの問答も終わりにしましょ
  うか」
 「ん?これはまた唐突にどうしたね。終電はまだだろう?」
 「いえ、マイカーなんでそれは心配ないんですが、私が心配なのはあなたですよ」
 「私が?どうして?」
 「こんなことカキコしてまたぞろ叩きが再燃するんではないかと・・・」
 「ハハハ、そんな心配をしていたのかね。その可能性もあるだろうが、そのときはそのときさ。もう腹をくくったよ」
 「潔いんだか、開き直ってるんだか・・・」
 「いちいちうるさいね」
657名無しのオプ:03/07/13 16:13
読後感に上智の面影を感じた。
658名無しのオプ:03/07/14 00:58
叩かれてんのは内容じゃなくてスタイルなんだけどね。
659名無しのオプ:03/07/14 08:21
なに?どうなってるの?

そろそろまた地味なミステリを読んで報告書こうかと思ってるんだけど、
ちょっと雰囲気が変わってきちゃってるな・・・
660名無しのオプ:03/07/14 13:59
>>読後感
ちょこまかと小分けにしないで、まとめて書いてほしい。
661名無しのオプ:03/07/15 00:23
>>659
頼む。書いてくれ。
662名無しのオプ:03/07/15 00:25
読後感の天麩羅家の感想は、国書版解説の
「フィルポッツ問答」のまんまネタかよ。
しかし、この形式で恣意的なフィルポッツ観だけ書かれても、
読んでない奴にはポカーン(゚Д゚以外の何者でもないな。

フィルポッツをトリック観点で評価が終始してるあたり、
読みどころ間違えてる気がする。まあネタの性質上
はっしょっただけなのかもしれんが。
663名無しのオプ:03/07/15 01:26
>>662
あいつ、本格厨だから
664名無しのオプ:03/07/15 02:50
>>659
んなこといちいちカキコしてないでとっとと感想かきゃいいだろ。
ちょっとプロパガンダ入ってるだろ?
665山崎 渉:03/07/15 09:58

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
666名無しのオプ:03/07/15 13:21
どこかのスレで紹介されていたので、カッツ「恐怖の誕生バーティー」を。
プロットが凄く単純で、ハリウッド映画っぽい作りかな、と思った。
つまらないわけではないよ。
667山崎 渉:03/07/15 13:55

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
668名無しのオプ:03/07/15 19:47
ジョージ・アレック・エフィンジャー『重力が衰えるとき』

ハヤカワSF文庫。
未来のアラブ世界を舞台にしたサイバーパンク・ハードボイルド。
謎の連続殺人を推理し解決するという時点で立派にミステリ。
「モジュール」っていう擬似人格ソフトが出てきて、頭の電極にはめこんで別の人間になれるんだが、
敵は「ジェイムズ・ボンド」マニア。
対抗して主人公が選んだのは「ネロ・ウルフ」。
ネロ・ウルフって日本人が思うより相当メジャーみたいね。
「ネロ・ウルフはホームズの血をひいてる」って論文も読んだことあるしな。
(ベアリング・グールドだったか?)
669名無しのオプ:03/07/15 23:21
ジョルジュ・ランジュラン『蠅』

早い話が映画『ザ・フライ』の原作。
『蠅男の恐怖』といったほうが通りのいい人もいるかも。
幻想ミステリとしてガイド本に推されてた短編集なのだが、ミステリかあこれ?
確かに、展開が表面的に刑事事件の様相を呈して、真相を探る話が多数だが。
基本的にサイエンスホラーで、ミステリらしい話は『安楽椅子探偵』一編くらいだぞ。

言いたいことは色々あるけどうざいだろうからやめとくよ。
読んでない人に細かいこと言ってもしょうがないのでね。
個人的な感想は、つまらないというほどじゃないが、感心するほど傑作でもなかったというところ。
670名無しのオプ:03/07/15 23:44
昔の「蝿男の恐怖」>クローネンバーグのリメイク>>>>>>>>原作

でいい?
671名無しのオプ:03/07/15 23:45
駄目。

「一寸法師vs蝿男」昔の「蝿男の恐怖」>クローネンバーグのリメイク>>>>>>>>原作
672名無しのオプ:03/07/16 00:39
673読後感:03/07/16 02:16
「飛蝗の農場」ジェレミー・ドロンフィールド(東京創元社)
 俺ね、カットバックって嫌いなんです。そんなことして複雑に見せたからってどうなのよ?っていう。
 以前B・S・バリンジャーの「歯と爪」「煙で描いた肖像画」読んで余りの芸の無さに唖然としたもん。
 これも終盤までえんえんカットバックの繰り返しで読むのがかったるかった。
 ラスト近くになって漸く別の手法が出てきたけど、それだってどっちにしろ意外性は乏しいし。
 そんであの結末。
 何でこんなんがこのミス一位なんだ?
 これのスレで「語り合いたいと思うほどじゃなかった」とか「こんなのを読まされると本格に回帰する人
 の気持ちが分かる」とかカキコされてたけど、一々ごもっとも。
 
 疑問は4つ。
 1、メル欄1の死因(最後の段落から判断して死んだのは確か)。
 2、メル欄2はあの状況でなぜ無傷(に近い状態)で済んだのか?
 3、メル欄2はメル欄1に大してなぜ不人情な振る舞いをしたのか?
 4、98ページで母屋の扉が開いていたのはなぜか?
674名無しのオプ:03/07/16 23:33
「半身」読んだ。
以前このスレで誤訳の指摘があったけれど、
むしろ解説のメル欄1をメル欄2に変えることのほうに違和感を感じる。
終始一貫して語られるのはメル欄1であるというのに。

とりあえず良書でした。オススメ。
675名無しのオプ:03/07/16 23:42
>>668
あれなんであんなタイトルなんだろうね?
重力が絡むシーンなんか一つもないのにね。
何かこのハードSFっぽい名前で、読者層を無駄に狭めている観があるなぁ。
SF小説だから構わんって言ってしまえばそれまでだがね。
676一抹の不安:03/07/17 01:45
いまさらながら、ジェフェリー・ディーバーの
「ボーンコレクター」「コフィンダンサー」を
立て続けに読む。なるほど、これが、有名な
ローラーコースター・サスペンスって奴か・・・
これほど面白ければ、宮部みゆき並みに馬鹿売れに売れても
良いはずなんだけど。今は、エンプティチェアに
挑戦中。四作目の石猿は、あまり売れてないな・・・
677名無しのオプ:03/07/19 02:52
あまり長々内容を書いてしまうと、これから読む人に悪いのでは?
678名無しのオプ:03/07/19 14:23
>>677
感想を読む人のことを考えるか考えないかで、
オナニーかどうかが決まるのだよ
679読後感:03/07/23 14:36
とんでもない恋人」カーター・ブラウン(早川書房)
 ブラウンの作品の2大主人公メイヴィスセドリッツとアル・ウィーラーの夢の共演作品なんですが・・・。
 正直内容はちょっと・・・。大してエロくもねえし。大体、クロスオーバーストーリーなら、
 2人をクロスオーバーさせろよ!あんなアバズレとやらせたりするなってんだ。
 これが酷かったからこの後メイヴィス・セドリッツものは訳されなくなったのかも・・・。
680読後感:03/07/23 14:36
「あの日を探して」リンダ・ハワード(二見書房)
 この作者をここで紹介するのはどうかなとも思ったんですが、
 一応背表紙にはミステリと表記してあったんでいいかなと思いカキコすることにしました。
 まあ実際ミステリ的要素がないこともないんですが、8割ラブストーリーちゅーか官能小説?(w
 これほど直接的な描写(心・体ともに)する人初めてです。だがそれがいい(w

 ストーリーが魅力的なんですよね。
 幼い頃は貧乏でオマケに町中から嫌われていた一家の末娘が、成功して故郷へ戻ってくる。
 しかしそこはかつて自分を追い出した男が支配している町。さらに、彼女は彼を愛していた・・・。

 まあ、ミステリー読むのに疲れたら骨休めに読んでくださいや。
「パーティーガール」リンダ・ハワード(二見書房)
 またやっちまいました(w
 いやぁ、俺ダメだな。もう(w 前回に味を占めてつい・・・でもコレも面白かったよ。
 前作と違って、「よく見れば美人」というハワード作品のオーソドックスなヒロインが主役です。
 
 全然タイプじゃない警察署長に付きまとわれウンザリする間もなく殺人事件に巻き込まれてしまうとゆー。

 ラブシーンが唐突なのはいかにもアメリカの話だなーと思わせられますが、まぁこのヒロインは男に飢えてる
 って設定だからいいかな?
 
 さあ、次こそガチガチの本格読むぞ〜!
681読後感:03/07/23 14:36
「フィラデルフィアで殺されて」ギリアン・ロバーツ(早川書房)
 あぁっ、ぶたないでっ、謝るからっ。
 だってさぁ、
 「このちょっぴり生意気な刑事の鼻を明かしてやろうと、アマンダはライザの身辺調査を開始した」
 なんて書いてるのよ?これはもー読むべしでしょ!(開直
 あああ・・・俺ってば本格厨からロマンス厨になってきてる・・・EQならぬHQデビューも近いか・・・。
 
 いやでもね、この作品アンソニー賞受賞してるからそこそこ出来はいいと思うよ。
 あくまでそこそこだけど。フェアとは言えないし。

 ロマンスもちょい強引な気もしないでもない・・・。
682読後感:03/07/23 14:38
「マフィアをはめろ!」スティーブン・キャネル(小学館)
 これを読もうと思い立った動機は、本格でもラブでもなく、復讐です。
 この作品は、従兄弟を殺され、自身半殺しの目に遭わされた詐欺師が仲間と共にマフィアに復讐する
 という「スティング」みたいな話です。詐欺の手口が詳細に書かれているのが興味深いです。
 
 でも都合がいいというか、いかにもハリウッド的というか、あとがきで訳者の真野明裕氏も言ってお
 られますが(余談ながらこの方は「ゲスリン最後の事件」や「ピカデリーの殺人」などを手がけてお
 られる古株の方です。何か嬉しいですね。若手に負けるなとばかり第一線で仕事してらっしゃるのを
 拝見するのは。他に同世代で活躍していらっしゃるのは・・・小倉多加志氏や大庭忠男氏などかな?)
 。声帯模写を簡単にやってしまったりとか。それにあの真珠詐欺は法に触れてないといいながら触れ
 てる気もするし。一つだけ大きな失態をするんですけど、それも取ってつけた観があり、リアリティ
 は引き出せてません。それが狙いだったかはわかりませんけど。

 もっと細かいこと言えばですね、ダコタの人格がイマイチようわからんし、冒頭の登場人物表も不備
 がある。あれ、半分は記す必要ない脇役だし、逆に記す必要がある人が書かれてなかったりしてる。
 誰が決めてるんだ?あれ。

 最後に、この作者って、「特攻野郎Aチーム」を手がけてた人だったのね!道理でテレビ的だと思った。
 しかもあとがきによると映画化も決定しているらしい(主演はジョン・トラボルタだって。微妙〜)。
 
 さて、次こそは本格を読むなりよ!
683名無しのオプ:03/07/23 21:58
読後感タンの解説を読んでもなぜかさっぱり読みたくならない(;´Д`)
684名無しのオプ:03/07/24 01:10
ほんとになんでだろうな・・・。
685名無しのオプ:03/07/24 02:04
誉めてないからだろ。
まあ、つまらん作品を無理に持ち上げられても困るが。
686名無しのオプ:03/07/24 02:15
これが読後感のスタイルと言えばそれまでなんだが・・・
687名無しのオプ:03/07/24 02:19
>>680
>この作者をここで紹介するのはどうかなとも思ったんですが、

だったら無理して紹介しないでほしい。頼むから。
688名無しのオプ:03/07/24 02:29
本を読んで感想を言っているというより
批評したいから本を読んでいるみたい。
689名無しのオプ:03/07/24 20:00
ここ以外に作品レビューとか載ってるスレってありますか?
作家単独スレじゃなくて、もっと総合的な感じで。
690名無しのオプ:03/07/25 01:01
『読みました』報告の国内とか新刊紹介スレッドの国内、海外とか。
691名無しのオプ:03/07/25 17:26
>690
ありがとうございます。
新刊紹介スレッド、お役立ちですね。もちろんこのスレも。
皆さんたくさん読んでてすごいやと感心しました。

コテハンだと、その人と傾向があえば、その人の
誉める本を読もうかなと思えるので便利ですね。
(その逆もまたいえますが)
692GET! DVD:03/07/25 17:35
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693読後感:03/07/25 19:41
「Gストリングのハニー」G・G・フィックリング(早川書房)
 さて、いい加減私の信頼度もゼロになったと思うが、一つだけ言い分けさせてもらえれば、
 この作品は3ヶ月も前から図書館にリクエストしていたものであったということだ。
 しかも国会図書館から取り寄せてもらった。これはもう読むしかないではないか。

 リクエストした動機は勿論題名に惹かれてである。
 しかし、国会図書館から取り寄せた本は館内貸し出ししか出来ないらしいので私は
 「エロい描写があったらコピればいっか♪」と考えていた(本当はそれも禁止なのだが)。
 
 ポケミスでそう厚くも無いので2時間ほどで読殺した。
 読み終えて(というか読んでるときから)思うのは、「普通によく出来てるじゃん!」ということだ。
 この作者は本格書こうと思えば書けるのではないだろうか。それほどプロットは良く出来ている。
 大火傷を隠すためマスクをかぶっている女ストリッパーに、容姿は瓜二つで名前も同じ双子の男という
 「演出」もそれらしい。
 ただ人格描写は一致していない気がするが、それもこういう類の小説では仕方が無いのかもしれない。
 つまり、「見せ場(=エロシーン)」を作るという理由で。
694読後感:03/07/25 19:41
「死の殻」ニコラス・ブレイク(東京創元社)
 いやぁ、久しぶりに本格読んだよ。それもこれぞ本格って言うぐらいスマートな一品!
 実は恋愛があるから読む気になったなんてことはサッパリ忘れちまいましたね。うん。
 さすがポスト黄金時代の旗手だけのことはあるね。
 
 特徴としては、俺がまず思ったのは「警部が優しい」ってこと。意味わかりますか?
 ほら、こういう素人探偵には警察って蔑んだ対応することが多いじゃないですか。
 レーン然り、ヴァンス然り(この人はそれ以外の登場人物にも蔑まれてる気がするが)。
 でもこの作品に出てくる刑事は皆、探偵の権利を認めてるんですよね。この点は珍しく感じました。
 しかも協力的だし。お互いに推理を披露しあったりしてるし。刑事も含めて「探偵役」と言っていいかも。
 もっとも真相に辿り着くのは探偵だけなんですけどね。
 後は、フーダニットとして優れているという点かな。伏線をきちんと張ってるし。
 
 ただ唯一の不満は、ヒロインが猿顔だってこと(爆
 セイヤーズもそうだけどヒロインのルックスを標準以下にすることの狙いって何なの?
 純愛を強調するため? だとしたら余計なお世話と言ってやりたい。
 探偵小説でそこまで求めてないっつーの。
 
 最後に3つばかり粗を。
 ・第一の殺人を他殺と断定した根拠が薄弱(ひょっとしたらこれも伏線なのかもしれないが)
 ・スターリングの悪事って何?
 ・あの(メル欄)は都合が良すぎやしないか
695読後感:03/07/25 19:42
「ビッグ・レッド・テキーラ」リック・リオーダン(小学館)
 読後甘酸っぱい感じを覚えた。映画「ストリートオブファイヤー」を観た後に感じたものと似ている。
 しかし、それよりも悲惨で、且つ後味がいい。不思議なことを言っていると思われるだろうが、
 私の正直な感想である。ただ無粋を承知で贅沢を言うならばもう一押し欲しかったが。

 この作品は本格ではないがミステリとして優れた出来であると言っていいし、また上で述べたよう
 に一種の青春ドラマでもある。そして結末は、大満足とは行かないまでも、きちんとケジメがつけ
 られているように思う。
 ただ、主人公の名誉のために言っておくと(まあ私が代弁するのもおかしな話だが)、「最初から
 そのつもり」だったわけではないだろう。12年ぶりに帰った故郷で体験した様々な出来事を経て
 最終的にああすることを決断したのだと思う。
 
 友情に厚い悪党の相棒の存在もこの作品に魅力的な彩りを加えていると思う。
 小悪党と共に上品な仮面を被っている巨悪を暴く。実に皮肉が効いているではないか。
 
 一読に値する小説ではある。
696名無しのオプ:03/07/25 20:05
乱暴な文体・・・
697名無しのオプ:03/07/26 01:24
単純にもっと多くの人が書き込んでくれたら状況は改善されるのではないか。
そういうわけで海外ミステリ小説を読みましょう。
読んだら感想をアップしましょう。

私はいまマーガレット・アトウッド『昏き目の暗殺者』途中だからちょっと待ってて
(長いんだこの本・・・)

698名無しのオプ:03/07/26 02:43
コテハンで長文の感想をやりたいならホームページ開いてやってよ・・・
699名無しのオプ:03/07/26 06:57
>689
今、読んでいるミステリ小説は?スレも
700名無しのオプ:03/07/26 13:44
>>698
うるせえ。気にいらねんなら覗くない。
701名無しのオプ:03/07/26 17:42
無記名で書くことこそ本来不自然な気もするが…
702名無しのオプ:03/07/26 19:40
「誰の死体?」ドロシー・L・セイヤーズ

つまんねえ。
703名無しのオプ:03/07/26 19:51
( ゚д゚)ポカーン
704名無しのオプ:03/07/26 22:25
ジョン・ブラックバーン『小人たちがこわいので』(創元推理文庫)

北ウェールズの山地<領土の丘>にまつわる不気味な伝説。
水質汚染事故・・・奇怪な音をたてる飛行機・・・これらには何か関係が?
やがて航空機会社の社長が、件の丘で死体となって発見される。

1972年の作品。
モダンホラーの源流と評価されていて、250頁しかないのに内容が濃い(今なら倍の長さだろう)。
とにかく最後の最後まで超常現象かそうでないのかがはっきりしないのがいい。
ただしタイトルほど「小人」は重要ではない。
「小人っていっても必ずしも身体が小さいわけじゃないんだよ」と作中でも言われている・・・
それは小人じゃないんでは?
705名無しのオプ:03/07/27 00:03
>697
あ、それは面白かった。長かったけど貪るように読んだ。
706名無しのオプ:03/07/27 23:01
>>704
あー、そうか。川原泉のエッセイ漫画のタイトルの元ねたはそれか。
やっと分かった。ものすごく個人的な話でごめん。
707名無しのオプ:03/07/28 00:49
ヒラリー・ウォー「事件当夜は雨」
これは久々にやられたと思いました、
ある種の叙述トリックでネタバレになるのでかけませんが・・・
あと後半のディスカッッションには唸らされます。
作者は警察小説作家とよく言われますが「失踪当時の服装は」
「冷え切った週末」等警察の足の捜査にプラスして、結構綿密な
ディスカッションもしているので本格としても十分読むに耐えます。
本書は瀬戸川猛資が推薦してますので個人的にポイント高し。
708697:03/07/28 01:03
>>705
やばいな・・・
やっと半分読んだけど誰にも感情移入できなくて苦痛だよ。
途中でやめるのはくやしいしフェアじゃないので何とか最後まで読むつもりではあるけど。
709読後感:03/07/28 19:57
「第四の扉」ポール・アルテ(早川書房)
 なんでイギリスやねん!愛国心の無い奴には5点減点。
 
 200ページ強だったんでサクサクっと読めました。
 しっかしまあ、ヘタクソな文章だなあ、おい。禿人がライバル視するのもわかるよw
 情景描写とか一切無くどんどん話を進めてっちゃう。
 人格描写は無いことも無いけど表面だけで底が浅いからどいつもこいつも機械仕掛けの人形みたい。
 それでいて怪奇趣味を取り入れるもんだから何ともちぐはぐな印象を受けるんだよね。
 (イキナリ降霊し出すのには笑った)
 
 でも、正直それは重要じゃないんです。こんだけ言っといてなんなんですけどw 
 パズラーに重要なのは「魅力的な謎」なのであって、ストーリーは二の次だと思ってますから。
 少なくともマイナスではないです。
 もちろん、気の利いたロマンスでもあればそれに越したことはないですけどw
 
 で、この作品に鏤められた数々の不可能トリックはネタが割れると何でもないことなんですが、よく考えてあります。
 あの密室トリックなんかも素晴らしいですね。やはり密室はまだ絶滅してないんだなぁ。
 楽屋落ちもまあまあでした。
 
 
710読後感:03/07/28 19:57
しかしいくら物語が無味乾燥と言っても腹立つキャラはいるもので。おまけに不可解。
 主に女性ね。
 好きな人と疎遠になってんのに気にも留めず別の人とデートしたり。
 かつて好きだった人が死んだと聞かされても通り一辺の驚きしか見せなかったり。
 心情の描写が一切無いの。マイナスではないと言ったけど、中途半端はよくないよね。
 さらに、妻が具合が悪いからと言って、夫までパーティキャンセルさせたり。
 極めつけはこの会話。ちょっと聞いてよ!
 
 「あなたはアリバイがないわ!」
 「おいおい、君だって無いじゃないか」
 「まあ、自分の妻を犯人扱いするの!!!」
 
 この女アルツハイマーか?
 等々思っていたら実はラストで意外なことが・・・なんか後付け臭いんですけどw
 しかし、まだあるんです。これは男性。
 
 「○○さん・・・いやむしろ××さんとお呼びするべきでしょうかね」
 「なぜそれを!?」
  
 認めるの早っ! ちったぁとぼけろよ、おっさん。
 もう、キャラクターがページ数意識してるからねw
711名無しのオプ:03/07/28 20:10
告白したいけど、自分に自信がない。それでも胸の奥が苦しくて・・・
そのような方、諦めないで。
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小売価格一万円以上の品が、半額以下の値段で取引されています。
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712名無しのオプ:03/07/28 23:03
読後感の感想嫌いなんだけど、
>>709
>しっかしまあ、ヘタクソな文章だなあ、おい。禿人がライバル視するのもわかるよw
には思わずうなずいてしまった。











なんか、悔しかったw
「第四の扉」はヘタレなのも含めて好きだけど。
713名無しのオプ:03/07/29 21:53
クリスチアナ・ブランド『はなれわざ』

休暇中のコックリル警部は、イタリア領サン・ホアン・エル・ピラータ島のツアーに参加していた。
メンバーは女流推理作家、ゲイのデザイナー、隻腕の元ピアニストなど、一癖も二癖もある連中ばかり。
やがてホテルで殺人が起こるが、容疑者は全員ビーチにて、コックリルの監視下にあったのだ・・・。
長く絶版だった作者の代表作がハヤカワ文庫で復活。

『ジェゼベルの死』『自宅にて急逝』と読んできたブランドだが、同傾向の作品の中では「比較的」ストレートだった。
トリックそのものよりも、「真相を目の前にあからさまに提示しておきながらそれに気づかせない」という技巧に唸る。
その意味ではまさしく「はなれわざ」だろう。
ただしトリック自体は、なるほどと頷きはするが、びっくりするようなものじゃないかな?
『ジェゼベルの死』に比べて、真相のばらし方の演出がいま一つのように感じた。
期待しすぎていたせいもあったのかも。
714名無しのオプ:03/07/30 23:48
ブライアン・フリーマントル『消されかけた男』

風采のあがらないチャーリー・マフィンは、実はスゴ腕の英国諜報部員だが、新体制への移行後、部内で疎んじられている。
彼の活躍でKGBスパイ部門の総責任者ベレコフが逮捕された。
続けて、ベレコフの親友カレーニン将軍が亡命を希望しているという情報が入り、諜報部とCIAが総力を挙げて接触を図る。
チャーリーは何か裏があると上司に警告するのだが・・・。

スパイ小説(エスピオナージュというらしい)だが、見事などんでん返しを含み、ミステリファンを十分に満足させる出来である。
これ以上よけいなことは言うまい。
715山崎 渉:03/08/02 01:59
(^^)
716名無しのオプ:03/08/02 15:19
『死者を起こせ』フレッド・ヴァルガス (創元推理文庫)

フレンチ・ミステリ。
けれん味期待したのでチョト食い足りなさがあったものの
whyはけっこう驚き…
メイン三人組のフリークっぷりと脇の退職刑事の渋さで
面白く読めた。ヒロインも好みだ。

続編も読みたいです。
717読後感:03/08/02 17:04
「Mr.パーフェクト」リンダ・ハワード(二見書房)
 驚いたよ。これ結構がんばってんのよ、マジで。
 ちゃんとしたフーダニットになってるのよ、奥さん。もち、セックスラブコメの側面もたっぷりあるけどw
 
 会社の仲良しOL4人組がちょっとした気晴らしで「完璧な男」リストを作るわけです。
 そうするとそれが社内に知れて、評判になり、なんとメディアにも取り上げられる。
 ここら辺カナリ無理があります。ナニのサイズがどーたらだの、前戯抜きで何分持たないといけないだの、
 そんなもんでテレビに出られるわけ無いじゃないですか。ちょっとアリー意識してんのかな。
 そしてその影響は本人達が及びもつかないほど大きくなり、「犯人」をいたく刺激してしまうわけです。
 そして、一人が残忍な遣り方でなぶり殺しにされ、ヒロインとその恋人(?)の刑事は犯人を突き止めようと奔走します。
 ところが、捜査は大した進展もみないまま二人目の犠牲者が・・・。

 犯人の意外性は申しぶんないかと思います。伏線も張ってないわけじゃないし、ね。
718読後感:03/08/02 17:05
「衣装戸棚の女」ピーター・アントニイ(東京創元社)
 これタイトルズレてません? そこはあんまり重要じゃないような・・・。
  
 ともあれ、密室トリックはなかなか秀逸だと思います。どっかでバカミスとか言われてたけど、
 そんなことはないです。立派なもんですよ。この遣り方は新しい選択肢ですね。
 ヒントはあちこちにあったでしょうけど。ヴァン・ダインの○番目の作品とか。
 カーはさぞ悔しかったろうと思いますよ。カーの所見も聞いてみたいなあ。何て言ったんだろう?
 
 あと、探偵役が直感で喋ってる件があったのがちょっと気になりました。
 あの人が二発目の銃弾を撃つ必然性もゼロだし。
 あ、ねえねえ、知ってます? これの挿絵描いた人って、なんとあのE・C・ベントリーの息子なんだって!!
 へぇ〜へぇ〜 でしょ? でしょ? あとがきに書いてるけどw
 しっかし、この作者、ブッシュが好きだなんて渋い趣味してるなぁ。
719読後感:03/08/02 17:05
「ガラスの独房」パトリシア・ハイスミス(扶桑社)
 またまた本格厨に似合わぬセレクトをしてしまいました。でも、もうこの人のは読まないと思います。
 図書館で気まぐれに手にとって裏のあらすじを読んだ途端、読みたくなっちゃって。
 
 「無実の罪で投獄された主人公。看守からは暴行を受け、他の囚人とトラブルを起こし、挙句モルヒネ
  にはまっていく・・・。さらに面会に来た男は主人公の妻が弁護士と不倫していると仄めかす。初め
  は妻を信じていた主人公だが、次第に疑念を募らせていく。6年後、やっとのことで出獄した主人公
  だったが、妻に馴れ馴れしく接してくる弁護士とそれを拒まない妻に内心の苛立ちを隠せない。そし
  てついに、主人公は2人の不倫の決定的な証拠を手に入れてしまう。その時、彼の中で何かが変わり
  始めていた。」
 
 みたいな。復讐・愛・嫉妬という三大要素が詰まってるわけですよ。俺の好きな。こりゃもう読むしかないと思って。
 で、今さっき読み終わったんですけど、これ、復讐がテーマじゃありませんでした。
 そんなことはもう、どうでもいいみたいで。とにかく妻の不貞が気になってしょうがないんですね。
 で、ついにその証拠を掴むんですけど、その後の妻の態度・・・想像つくでしょ? こう書けば。
 もうね、腹が立ってしょうがなかった。あんだけ尽くしてたのに・・・いや、だからこそ免罪符みたいに思ってたのかも。
 どっちにしても、表面上謝るのが普通じゃないかなあ。しかも反論がまた笑える。「あなたこそ、刑務所でやってたんじ
 ゃないの!」。
 でも、別れたいとは言わないんですよね。狡猾な女!子供もいるしってとこか?ケッ。
 
 こっちは読んでてもうジリジリしっぱなしですよ。鼓動が激しくなってね。何とも切なくてやりきれないんですけど、
 それがまた奇妙な快感を呼び起こすと言うか・・・ちょっとマゾヒスティックなんですけど。  
 
 そして主人公はついに一線を超えてしまうんですね。これは無理も無いことじゃないかなぁ。
 どうせなら妻を殺して欲しかったけど。
720読後感:03/08/03 14:18
「マラソン・マン」ウイリアム・ゴールドマン(早川書房)
 この人、「明日に向って撃て」の脚本書いた人だったのね。
 俺あの映画大嫌いなんだよね。あれぐらい糞としか言い様の無い映画はちょっとないですね。
 金と時間と労力の無駄。ああいう糞映画があるもんだから「昔の映画はつまらん」というイメージを持たれることになる。

 しかし、本作は少なくとも糞では無かったです。
 頭は良くて、女好きで、でも口下手で、マラソンが得意な主人公が復讐に立ち上がるお話。
 図書館で知り合いになった美女との関係も嘘みたいに進展していってもう言うことなし!
 って時に大好きだった頼れる兄貴が殺されるんです。そして美女も実は敵のスパイだったという。
 
 そんでナチの残党にひっどい拷問を受けます。読んでて痛くなりました。
 しかし、ずうっとやられっぱなしだった主人公は、終盤突如として脅威のジェノサイダーに変身を遂げます。
 これはページの都合ですかねw
 ま、でも痛快だったことは確かです。
 自分が思ってた結末とちょっと違いましたけど(「ためらう」シーンがあるもので)、まあこっちのがイイかも。
 
 細かい事いえば、悪ガキどもが安請け合いするとこはどうかと思ったけど。
721読後感:03/08/03 14:19
「告発者」ジョン・モーティマー(東京創元社)
 読んでる途中ずっと、「作者死ね」って思ってた。
 男のクセにこんな小説を書くなんて同姓に対する裏切り行為じゃないだろうかとすら思った。
 
 主人公を時に批判し、時に揶揄しながらもくっついて離れず、挙句の果てには彼から妻を奪い、
 彼の娘までも奪い、それでもなお、「最高の友達」と臆面も無く、本心から言ってのける男。
 
 「奥さんになって子供を産みたい」と自分からプロポーズして一緒になっておきながら、
 夫の友人と不倫関係を続け、それが発覚しても一切の謝罪をせず、「あなたと別れたくない」
 「あなたから何も奪いたくない」と言いながら、彼を捨て、不倫相手と一緒になった妻。

 父が何年もの間、心に抱えている傷の存在を知っていながら、面と向って平然と「いくじなし」
 といい、やがて実父と義父との間に揉め事が起こると、「しばらくは会いにこない」と言って、
 去っていった娘。

 それらの人全て、そして自分の心さえも満足に動かすことが出来なかった主人公。

 
722読後感@続き:03/08/03 14:19
全てが不快だった。
 あらすじを読んで借りてみようと思ったのは自分だ。だから今抱いているこの不快感も自業自得なのだ。
 そう、頭ではわかっていたが、だからといって、このやるせないほろ苦さをどうしようもなかった。
 こんなことを続けていたら深刻な女性不信になるかもしれない。いや、既になっているのかも・・・。
 自分は精神力が強い方ではないということは嫌というほど分かっていた。
 しかし、読む或いは観るのを止められなかった。麻薬、痛みを伴う麻薬なのだ。どうにもならない。
 読書中の私の胸は千々に張り裂けんばかりだった。だが、読まなければならない。これは辛いことだった。
 「戦争犯罪」という真のテーマにもちっとも目を向けることが出来なかった。
 作者は要所要所で主人公引いては私を苦しめ続けた。それも家族の情という人間の最も弱く柔らかい部分を
 執拗に苛むことによって。

 これで終わるはずだった。少なくとも、最終章を読むまではそのつもりだった。
 しかし、小さな、小さな救いが2つ現われた。
 主人公の良き理解者で、友人でもある、彼の会社の会長と、主人公に思いを寄せる若い女性の存在である。
 これら2つの救いはそれまで散々嬲られ、疲弊していた私の心に静かに、そして優しく響いた。
 最後の最後になって主人公は真の友人と真の伴侶を得たのだ。願わくば真の子供も手に入れてほしかったが、
 それもそう遠い先の話ではないはずだ。

 作者を許すつもりはないけれど、この最終章については、それまでがあったとはいえ、頗る気に入っている。
 言い忘れたが、この章で主人公は漸く仇に一矢報いることに成功している。いや、一矢どころではなく止めを
 刺したと言えるかもしれない。或る意味では。
723読後感:03/08/03 14:20
それにしても鬱になるようなのばっか読んでる・・・

やばいやばい・・・
724名無しのオプ:03/08/03 15:17
おもしろいけど、なんでそれが同性への裏切りになるのかわからん・・・
725名無しのオプ:03/08/03 23:13
エリック・ガルシア『さらば愛しき鉤爪』(ヴィレッジ・ブックス)
このミスやなんかで褒めてあったので買った。
3分の1で挫折。いまだに読めてない。
そういや「長いお別れ」とかも苦痛だったよ…

恐竜たんハァハァ(;´Д`)のヤシには面白いのか?
726名無しのオプ:03/08/04 02:53
>>719
ハイスミスをあぼーんするのは、短編集読んでからにしてほしい・・・・・。
読後感は基本的に良くないから、合わない人は合わないだろうけど。
727名無しのオプ:03/08/04 08:42
>>720
「マラソンマン」が及第点だったのなら「ブラザーズ」も読んでみてね。
他人が薦めた物はあまり読まない人だと思うけど・・・
728読後感:03/08/04 16:46
>>727
そんなことないですよ。
薦めていただいて有り難いです。
ただ積読が溜まっているので読むのは大分後になるかも知れません。
729名無しのオプ:03/08/04 22:47
流れこわしてスマソ。

「ミステリー・ウィーク」ヘザー・グレアム(MIRA文庫)
スコットランドの古城に一週間滞在し、
殺人劇の犯人当てをする<ミステリー・ウィーク>
…中略…真夜中の足音。地下室に眠る一族。蝋人形の囁き。
疑惑と幻想に彩られた恐怖の舞台の幕が開く!
このカバー裏あらすじに釣られて読んだよ。ツボすぎる。

で、内容はというと…
( ゚Д゚)ゴラァ!!金田一少年が超名作の仲間入りです、脳内エリア。
一瞬だけど。
やー、好きな話なんだけどね。お化け屋敷くさーなワクワク感が
たまりません!スピーディな場面展開でひっぱるひっぱる!
ラブ満載なので読後感タンにもおススメ。
730名無しのオプ:03/08/08 05:01
ミステリ初心者でつ。
Xの悲劇、Yの悲劇、アクロイドをどかどかと読了・・・。

どれも大変に楽しめました。

古典的名作だけにネタバレが多いそうだが、
私にとってはまったく初めて読むものでした。

もう25歳なのに、私の読書体験っていったい・・・。

・・・そうだ、金田一を読んでないのが悪いんだ。
夜が明けたらサソークブクオフへ急行しよう。
731名無しのオプ:03/08/08 17:28
マーロウ「フェイス!」
プエルトリコ東400マイルに発生したハリケーンは勢力を強めつつ、NYに上陸!
上下巻に分かれてるけどすらすら読めるテンポの良さ。
登場人物がやけに多いけど、読む上では問題ナッシング。
九州地方の人はより臨場感を感じつつ読めるかも。

ということで、こんどはモラン「南極代表原北上す」へ。

海抜0メートル地帯に住んでいるのがイヤになる・・・。
732名無しのオプ:03/08/08 18:43
脳から直接コンピューター操作が可能に?  

http://www16.brinkster.com/aliceandwebern/a.htm

733名無しのオプ:03/08/09 12:41
アンドリュー・ヴァクスの探偵バークシリーズの
新刊「グッド・パンジイ」読みました。

すげー、展開。今回は児童虐待者は倒さない。
734無料動画直リン:03/08/09 12:43
735名無しのオプ:03/08/09 16:39
>>730
気にするな。俺も30歳にしてようやく「Yの悲劇」を読んだクチだ。
ほかの有名古典はだいたい若い頃読んだんだが、なぜかYだけは手付かずだった。
736名無しのオプ:03/08/11 08:16
>>730
大いに楽しんで欲しい。
取っ掛かりの年齢なんてさしたる問題じゃないね。
そりゃ、もっと若い頃に読んでたら大分考え方が変わったろうな…
と思わせる名作があったり、10年前ならまだあの名作は手に入ったのか!
なんてことに今後直面するかもしれないけど。
名作群に浸りきり、楽しめる事こそ重要だと思う。出会えた事に感謝すらするよ。
737名無しのオプ:03/08/11 10:25
>>735
>>736

ありがとうございます。

結局ブクオフと金田一はやめにして(笑)、
オリエント急行とZの悲劇と月長石と鋼鉄都市を買ってきますた。

名作に浸りきります♪

・・・・・・・・・でも、とりあえず月長石は積んでおこう。
738ハゲヲ:03/08/13 01:52
デイヴィッド・E・フィッシャー「幻の標的」

 訪米するドイツの首相を暗殺する計画が発覚!
 モサドの情報部員が阻止しようと行動を起こす。

 登場人物が端役に至るまでよく書き込まれてる、
 なんていわれてますが、スティーヴン・キングの
 ファンであるこちらとしては
 いささか物足りなさをおぼえます。
 あ、でも緻密な展開はなかなか楽しめました。
739ハゲヲ:03/08/15 02:24
サンドラ・ブラウン「虜にされた夜」

 女性TVレポーターがコンビニで武装強盗の人質にされる…。

 どうせ女の書いた小説なんて…と思いながら読み始めたのだけど、
 スイマセン、面白かったです。
 登場人物がみな繊細に描かれ、尚且つ、くどくない。
 どのキャラにも見せ場がある。
 各章の終わりにフックがあったりしてどんどん引き込まれます。
 うーん、うまいなあ。後日談も、しっかりあるしね。
 彼女の他の作品も読んでみようと思いました。
740山崎 渉:03/08/15 14:41
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
741名無しのオプ:03/08/15 17:09
保守
742名無しのオプ:03/08/21 19:41
ジャック・フィニィ『完全脱獄』(ハヤカワ文庫)

 詐欺罪でサンクエンティン刑務所に送られたアーニー・ジャーヴィスは、気に入らない看守を殴り倒した。
 目撃者はいなかった筈なのだが、仮釈放になったある囚人が証言をしに戻ってくるという。
 死刑を避けるため、アーニーは脱獄を決意する。
 しかしこの厳重な刑務所からどうやって脱出を?
 猶予はわずか4,5日しかない。
 アーニーが弟ベンと恋人ルースの協力を得て導き出した方法とは・・・

 肝心の脱獄方法が多少遠回りな気もするが、兄弟のキャラクターの書き分けと、それが伏線になっている最後のどんでん返しは面白い。
 フィニィはSFやファンタジーなど、多くのジャンルで秀作・佳作を書くエンターテイメント作家。
 その実力が遺憾なく発揮されている。
 
743名無しのオプ:03/08/22 01:59
ハモンド・イネス『獅子の湖』(ヴィレッジブックス)

ハモンド・イネスは英国では今でも広く読み継がれている作家であるらしい。
(ネビル・シュート『パイド・パイパー』の解説にそう書いてあった)
イネスはまた、アリステア・マクリーン、デズモンド・バグリィらと並ぶ冒険小説の巨匠。
新本格派のマイケル・イネスと混同することなかれ。

冒険小説であるが、板違いを恐れなくてよいほど、しっかりとミステリーしている。
主人公ファーガスンの父は無線技師で、ある通信を傍受したのちショックで亡くなってしまう。
それはカナダのラブラドル地方、遭難した地質学調査隊長ブリフェからの通信だったが、その時間にはもう彼は死んでいる筈だった。
パイロットのラロウシュが、ブリフェともう一人の死を確認して脱出してきたからだ。
ファーガスンはこの話を炭鉱会社に伝えたが、まるで相手にして貰えない。
何しろ世界でそれを傍受したのは父だけだったし、通信が届くとはとても思えない貧弱な機械だったからだ。
唯一ファーガスンだけが、父の精神は錯乱していなかった、と確信し、ラブラドルへ飛ぶ。
父はなぜ、捜索が打ち切られた後の調査隊の周波数にわざわざ合わせていたのか?
そしてノートに書き付けていた「獅子の湖」という言葉の意味は?

ラストも意外性があって大変面白い。
説明されると全て納得の真相。
744名無しのオプ:03/08/22 02:19
エド・ゴーマン編『現代ミステリーの至宝1 自由への一撃』(扶桑社ミステリー)

「現代こそミステリーの黄金時代である」と言い切る編者が選んだベスト・アンソロジー。
各短編の扉の裏側に、編者による作者の解説がついている。
アンソロジーはこれを読むのが好き(ないタイプのもたまにあるけど)。

ただ、思ったほどバラエティ豊かではないし、「何じゃそりゃ」みたいな短編もいくつか含まれている。
表題作はローレンス・ブロックで、拳銃を携帯することで自信を回復していく男の話。
何の捻りもなく普通に終わるのでどうかと思うが、この辺は日米のセンスの違いなんだろうか。
ハードボイルド・タッチの作品が一定の割合で含まれるのもアメリカの特徴だ。
謎解きでは、「奪った札束をゴミに捨てて小銭だけを持って帰ったタクシー強盗」の話、
リンダ・バーンズの『ラッキー・ペニー』や、
獄中の友人が語った黄金を出所後に探しに行く、ロバート・ブロック『湖畔』、
隣に越してきた謎の一家の話、マーガレット・ミラーの『谷の向こうの家』などが面白い。
ブックオフにて¥100で購入した本のみを読み続けていこうと思います。

「殺人計画」 ジュリアン・シモンズ 新潮文庫

BMS社取締役会長であるロジャー・ライダーは
後妻であるアマンダの浮気を知った。
相手はロジャーの幼馴染であり、BMS社海外販売担当支配人の
ジェフリー・パラディンだった。
ロジャーは自分の家族とジェフリーの家族とでのスペイン旅行を計画する。
既にある計画が動き始めていた。そして同時にもう一つの恐るべき計画も。
招かれざる客たちの登場、ロジャーの失踪、自動車事故、身元不明の死体、
BMS社の横領事件、殺し屋の影・・・
ロジャーはどこへ行ったのか? 計画の全貌は明らかになるのか?
そも首謀者は誰なのか?

流石にベテラン作家の腕は見事だと思う。
一つの計画の影でもう一つの計画があったというありがちなテーマを
現代的な会社での横領事件や、スペイン政治下での警察とイギリスの警察の違い、
同性愛、サッカー、牛追い祭、ゼスチャーゲーム、アナスターシャの行方 
等々を盛り込み、上手くまとめてある。
しかし、弁当箱の中にはぎっしりおかずが入っているが、どれも味が薄い。
そんな感じを受けた。
上に列記した物の中には結末に繋がる重要な鍵となる物を含んでいる物もあるが、
あまりインパクトは無いと思う。どれも功をそうしているとは思えない。
少し物足りなさが残った。

そもそも、シモンズは犯罪小説の提唱者であった。
故にこの作品も「犯罪小説」と取るべきなのだろうが、
作者が意外な計画立案者を用意してしまったために
ミステリ要素を盛り込まなければならなくなっており、
それがどちらにとっても味の薄いものにしてしまっていると思う。
ラストの黒幕登場では文句を言う人もいるかもしれない。

翻訳の問題なのかもしれないが、現代的な問題を盛り込んでる割には
会話が古臭い、登場人物たちに個性があまり無い。
「あとがき」ではクリスティーの名前を挙げていたが、
漏れはむしろカーの作品を思い出した。
途中のドタバタ、若い二人が探偵役を演じながら惹かれていく、
クライマックスでの伝説の城と呼ばれる場所でのどんでん返し 等。

作品の流れ、畳み掛けるように謎が出てくる所等が良かっただけに
なおさら物足りなさ、甘さが目立つ作品だと思う。

注意! 「あとがき」から絶対に読んではいけません ネタバレしてます

久しぶりなので長文になってしまいました スマソ
747名無しのオプ:03/08/28 20:21
age
748名無しのオプ:03/08/28 23:02
「ポケットにライ麦を」ハヤカワミステリ文庫
事件は投資信託会社社長レックス・フォテスキュー氏のオフィスでの死から始まります。
死因は朝食に入れられた、イチイの実。そのポケットには何故かライ麦が入っていたのです。
彼の住む陰鬱な「イチイ荘」、そこに住む一族もまた陰鬱な人々でした。
被害者は過去様々な悪行を重ね成り上がり、いつ殺されてもおかしくない因業爺、年若く愛人を持つ後妻、
狡猾な長男、魔女のようなレックスの先妻の姉、そこに勘当されたはずが父親から密かに帰るよう手紙を貰った
と言う次男が現れて、遺産にからまる反目と憎悪のドラマの舞台道具が揃います。
そして事件は妻が蜂蜜を塗ったマフィンを食べかけたまま、青酸入りのお茶で毒殺され、小間使いまでもが絞殺
され、あろう事か洗濯ばさみで鼻をつままれた姿で発見されます。
そこで小間使いの元保護者であるミス・マープルが「六ペンスのうた」を引っさげての登場となるわけです。

「マザー・グース」を扱ったクリスティ中期の傑作、という看板に偽りなしの出来であります。
動機も機会もある容疑者達、彼ら一人一人にミス・マープルはお得意の観察力を使い、
隠れた人間性を暴いていきます。
この作品で重要な役割を持つのが「手紙」、犯人の姦計であったり、被害者の悲哀を表すものとして
強く印象に残る道具立てとなっているのです。
そしてクリスティは読者の皆さんに対して一寸した挑戦も忘れません。トリックとまでは行きませんが
叙述上の技巧を使っています。
さすがはクリスティ、読後の満腹感が格別でした。
749名無しのオプ:03/09/02 17:27
読書中・・・
750キャリーキャリーキャリー:03/09/03 03:18
ダグラス・ケネディの「どんづまり」を読了。

面白い!こんなにドキドキして読んだスリラーは
スティーヴン・キングの「ミザリー」以来かも。
アメリカ人旅行者がオーストラリアの奥地(陸の孤島だ!)で
体験する悪夢。映画版「ウープ・ウープ」の出来はどうなのだろう?
「霧の壁」 フレドリック・ブラウン 創元

広告代理店に勤めるロッド・ブリトンは受話器の向こうからの声に無反応だった。
頭を撃ち抜かれて死んでいる祖母の遺体を前に、
彼は警察に通報しようと電話をかけたが、
その瞬間記憶を失ってしまった!
彼自身のアリバイ、周囲の人たちの証言から容疑者にはされなかったが、
では誰が祖母を殺したのか?自分はなぜここに来たのか?

ブラウンの作品はこれまでにも数作読んでいたので、
これもテンポよく進むサスペンスだと思っていたが、
記憶喪失の主人公が謎を解いていくというサスペンスらしい主題はあるものの
むしろ本格推理に近いのではないかと思った。

段落ごとが結構長いのであまりテンポが良くない、
その分しっかりと書き込んでいて、推理する事に重点を置いているようです。
読み応えはありますが、無駄な部分もあると思いました。
あと20・30ページは削れるんではないでしょうか?
主人公が政治について語るあたりは不要だと思う。

近い人物への疑惑、記憶喪失ものの常道である自分への疑惑、
会話で少しずつ分かる当日の行動と、より深まる殺人の謎。
そして最後に甦る記憶と、真犯人。     ・・・だが
ここまで読ませておいて殺害の動機がすごく甘く感じた。
犯人が最後独白するのだが、それを鵜呑みにしてしまうのもどうなんだろう?
展開部分がとても面白のに、解明部分に驚きが少ない。

この作品、原題が WE ALL KILLED GRANDMA なんですが、
この題の謎は最後に明かされます  ・・・が、そこが共感出来ないのが残念。
毎度辛口ですが、及第点は十分取ってますから
もし見つけたら手にとって見てください。
753名無しのオプ:03/09/04 17:55
エド・ゴーマン編『現代ミステリーの至宝2 死の飛行』を続けて読む。
この本、日米のミステリーの相違に関して勉強になるかな、と思っていたが、編者の嗜好性が強く出ているようだから、あまり参考にはならないみたいだ。
それに、この板の嗜好の中心にある本格・新本格というジャンルは、日本ミステリにおいて無視できない分野だけれど、中心かというと違う気がする。
この本に一番近い印象を受けたのは、日本推理作家協会選のアンソロジーなのよね。
まあアンソロジーという共通点のせいだけかもしれないんだけど・・・
で、改めて、謎解き小説というものの特異性を感じたわけである。
外を見て中を知れってやつ。

内容だが、全体的に興味深いものはあるが、編者が思い入れるほどには感服しない。
印象に残ったのは、シャーロット・マクラウド『マーティンのように』、フェイ・ケラーマン『しつけのいい犬』。
両方ともコージーだし、さらにミステリかどうか微妙なところである。
後者は、世間を憎んでいる鼻つまみ者の老人が、自分だけに忠実な凶暴な犬を飼い、周囲を困らせるという話。
小品だが結末に洒落がきいててうまい。
754名無しのオプ:03/09/05 19:06
良スレあげ
755名無しのオプ:03/09/05 21:09
「カリブ諸島の手がかり」 T・Sストリブリング 国書刊行会
米国人心理学者のポジオリ教授が、独特な文化をもつカリブ海の島々で遭遇する事件の数々。
白人文化と価値観も生活様式も違う国々と人々の中で、戸惑いつつもある時はブードゥー司祭と
知恵比べを行い、金庫破りをホームズ探偵法で追い詰めるなど活躍していく。
そしてヒンドゥー寺院での幻想的な殺人でポジオリ教授は驚くべき推理へと到達する。

黒人文化を題材にした純文学を書いていた作者だけあって、作中に登場する現地民の考え方、
行動そして文明に対して、白人的な紋切り型でない巨視的な見方に好感が持てる。
彼ら現地民の思想が事件に関わっていて、それをシェリンガムじみたポジオリ教授が悩み
憤慨しながら解決していく様もテンポよく楽しめた。
そして最後の「ベナレスへの道」はぶっ飛んでしまった。
この話を四十ページ前後でやってしまうところが凄い、現代のミステリ作家なら人が殺せそうなほど
分厚い本にしてしまう所だ。しかしこの短さだからこそ袈裟懸けにばっさり切られるような衝撃を味わえたの
だともいえる。特に最終ページの視覚的な文字通りの暗転は上手い、の一言に尽きる。
756名無しのオプ:03/09/05 21:31
>>755
そうか?
俺は看守が余りにも淡々としているのが気になったが。

つーか、全体的に推理力乏しすぎだよポジオリ。
なにが「異彩を放つ超本格派」だよ。
下手なだけだっつの。続編も同じ。
757名無しのオプ:03/09/05 22:33
>>756
看守についてはあの素っ気無さが(メル欄)っぽくていいと思ったんだけどね。

本格としてどうかと言われると・・・同意せざるを得ないな。
確かに「亡命者たち」「アントゥンの指紋」なんかは論理的に穴もあるし、
何より論理不十分で面白くない。
けどこの作品の白眉は「カパイシアンの長官」や「ベナレスへの道」のような、
宗教や民俗の文明批評が物語に影響している作品で、要は非本格ものに
あると思う。だから異色作とは思うけど傑作とまではいえないね。

続編は読んでないけど解説読むと、言うとおり面白くなさそうだ(w
758読後感:03/09/10 21:04
「もみの木陰で待ち伏せて」ギリアン・ロバーツ(早川書房)
 とにかく、前回のショックが大きかったもんだから、こりゃいかんぞと思ってね。
 軽いラブサスペンス読めば一息吐けるかなって。
 
 そんなわけだったんで、評価は多少甘いかもしれないんですけど、俺このシリーズ結構好きかも。
 いやね、ストーリーは決して軽くは無いんですけどね。むしろ重い。
 英語教師やってるヒロインの生徒の家が火事になって父親が殺され、その生徒が疑われるんだから。
 でも、前のみたいに辛い目に遭うシーンが主観的にダラダラ描かれてるわけじゃないのでね。
 ヒロインと恋人の刑事との微妙な関係もなかなか興味深い。よく切れずに続くなと思うんだけどね。
 
 あと、訳者あとがきで主役2人のことを、「ブルームーン探偵社」の2人に似てるって言ってたけど、
 それはどうだろうね? アマンダはマギーよりも素直だし、C・Kもスティーブ(だっけ?忘れた)
 ほどニヒリスティックじゃないでしょ。
759読後感:03/09/10 21:05
「毒薬の小瓶」シャーロット・アームストロング(早川書房)
 これ、前から借りてなかったら読んでなかったな、きっと。
 裏表紙のあらすじで「不倫」の2文字が目に入ったんで借りたんです。例の「告発者」と一緒に。
 でも、先に読んだ「告発者」で手ひどい打撃を蒙ったもんだから読むのに二の足踏んじゃってたんです。
 でも、存在を知ってしまった以上、読まずに返すのもどうにも後味が悪いし、忘れられるわけもない。
 だったらいっそ読んじまって後悔すりゃいいや! てなもんで。読んだわけです。

 ところがどっこい、読んでビックリ玉手箱。
 悪くない、悪くないんだよ、君。
 いやね、確かにあらすじの最後に「心暖まる心理サスペンス」とあったんで、一抹の希望はあったんですがね。
 うん、これはよかった。
 交通事故でびっこを引くようになった主人公は、年の離れた妻が不倫をしているらしいと思い込むようになり、
 ついには自殺を図ろうと考えて知り合いの研究室から毒薬を盗み出す。
 そして家に帰って短い遺書でも書こうかと思ったとき、ふと毒の入った小瓶がどこにもないのに気づく。
 あわてた主人公は帰りのバスに置き忘れたと思い、警察に電話する。その時ちょうど帰ってきた妻にも事情を話し、
 一緒に小瓶の捜索を開始する。そしてバスの運転手なども巻き込んで物語はスピーディーに展開していく。
 乗客から乗客へと記憶を頼って捜索は続けられ、ついに小瓶は見つかる。

 とまあ外郭はこんな感じかな。いやぁ、いい小説だったよ。
 シャーロット・アームストロングっておっかない顔してるけどいい奴じゃないか。
 これで「告発者」読んでなかったらもっと素直に賞賛できただろうけども・・・。
 げに憎らしきはジョン・モーティマーなり。
 
760読後感:03/09/10 21:06
「ローマ帽子の秘密」エラリイ・クイーン(早川書房)
 さて、クイーンデビュー作である。クイーンを読むのはレーン4部作以来実に10ヶ月ぶりほどになる。
 
 読後、やっぱりクイーンだと感心し、またやはり「殺人者はまだ来ない」よりも上だと確認したのだが、
 と同時に私がクイーンを読む上での都合の悪い点を2つ発見してしまった。
 
 1つ目は、迅速に読むことが困難だと言うこと。
 何も読みにくいということではなく、これはクイーンはどこも見落としが出来ないぞと思い込んでいるせいだろう。
 
 2つ目、個人的にはこっちの方がずっと厳しいのだが、ロマンスがないという点。
 クイーンはどうもストーリーにロマンスを織り込むことを避けているように思える。
 上手く書く自信が無いのかもしれない。「Z」なんてひどかったし。やっぱ私は カー>クイーン なのかなw

 内容。いいね、ロジック。チケットもぎりの所なんかは感心した。
 ただ地に足がついてないんじゃないかと思える部分もあって、例えば、175ページのクイーン警視のセリフとか。
 何の根拠があって急にそんなことをっていう。「Y」でも似たような箇所がある。レーンの「毒物は致死量に達していましたか」
 っていうセリフ。あの時点でなぜ?(カーの「帽子収集狂事件」でもあったな。今思い出した)
 しかもクイーンて結構ハッタリ野郎な所があって、「必ず見つかります!」っていうから隠し場所分かったのかと思ったら、
 普通に捜してるしw
 
 他に気になったのは親子の会話。親父にあんな口の利き方したらひっぱたかれるだろうなw
 それと差別的な会話が普通になされてたのも驚いた。やっぱ29年だなっていう
761読後感:03/09/10 21:07
「死が招く」ポール・アルテ(早川書房)
 一作目があんなに評判良かったのに、本作は打って変わって低評価。
 何でだろうと思いながらも、たまたまあったので借りたんですが・・・。

 一読して納得。これじゃ無理もないなと。
 問題は話のメインである密室トリックです。こんなんだったら密室モノじゃない方がいいね。本末転倒。
 こういう微に入り細を穿つようなのでなら密室はまだまだ作れるだろうけど、
 それじゃ味気ない延命措置にしかならないと思うんです。
 
 しかも最後の犯人に対する処置が気に入りません。
 遺族による犯人の私刑を黙認どころか幇助したり、逆に犯人が哀れだからと言って勝手な裁量で放免したり、
 ホームズ以来海外ミステリの悪い所です。
 結局あっちの連中って目先のことに流されやすいんだな・・・。

 P.S.105ページの論理が?でした。
762●のテストカキコ中:03/09/10 21:08
http://ula2ch.muvc.net/ (このカキコは削除しても良いです)
763読後感:03/09/10 21:08
「ジェゼベルの死」クリスチアナ・ブランド(早川書房)
 有栖川だったかな?「まだこんな手があったのか」とかコメントしてたのは。
 あと、他スレでも「本当に驚かされたのは占星術殺人事件と本書だけ」とかカキコしてあって、
 もう期待に胸を膨らませて読み始めたわけです。

 ところが、冒頭の事件でいきなり心を奪われまして(笑
 オレこういうのホント弱いんだわ(笑 
 以降バカ女に腹立ちっぱなし。
 だって有り得なくねぇ? すごい好きだった恋人が自殺して、しかもその原因が、泥酔させられた自分が、
 他所の男とペッティングしてるのを見られたからなのよ?まあそれだけじゃ、彼女にはそう罪は無いだろうけど、
 ところがあろうことかその後7年間もずっとその男と半ば付き合ってるような関係でいるんだぜ?
 信じられん。何か、恋人のことをずっと悔やみ続けて、心が麻痺しただの書いてあったけど、
 麻痺する前の段階があるだろ!! そん時いくらでも離れられたはずじゃん!!
 死ぬかな?死ぬかな?って思ってたら、コイツが探偵役と旧知の間柄だっていう設定になってやがんの。
 あ〜あ、これじゃ死なねえよぉ〜 と鬱になりました。
 その後、ちょっと見直した時期もあったけど、160ページで改めてバカ女と再認識しました。

 あ、あと、ジェゼベルハァハア(´д`;)
 何故か、セクシー描写とかあってちょっとだけ興奮しましたw

 最後にトリックねw
 これ、まず内容以前に出し方が失敗だと思います。これじゃ驚けない。
 内容も、「ありえねぇ〜」って感じですね。一枚岩でもないし。

 まあ、正直それほどではなかったと。
764読後感:03/09/10 21:10
「リリアンと悪党ども」トニー・ケンリック(角川書店)
 またまたロマンスの虫が騒ぎ始めたわけですがw

 メインテーマは囮誘拐なんですけど、主人公のヒロインに対する悶々とした想いが全編に漂ってます。
 でも出会い方が最悪だったモンだから文字通り相手にされない。

 ところが共に艱難辛苦を乗り越えるうちにだんだんと・・・っていうありがちなパターン。
 しかも念願叶って彼女と結ばれる場面なんかもうアホ臭いほど定番というか・・・。
 しかし、それがいい!
 こういうのは懲りずにどんどん読んでいくつもりです。
「他言は無用」リチャード・ハル(東京創元社) 
 こんな駄作が発売されたことこそ他言は無用に願いたいもんだよ。
 おかげで読んじまったじゃねーか。
 ま、300ページぐらいだったからそこまで時間は無駄にならんかったけど。

 「伯母殺人事件」は確かに誉めましたけど、下らん劣化コピーを第二作にするようじゃ、見限るね。
 この人ガチの本格も書いてるとか森が言ってんだから、そっち邦訳すればよかったのに。
 
 あと、11章アンフェアだと思う。
765読後感:03/09/10 21:10
「相棒は女刑事」スーザン・ウルフ(早川書房)
 いつだったかミステリ・マガジンで、早川浩のエドガー賞のレポートが載ってて、そこにウルフ女史のことが出ていた。
 なんかとても気さくな人で向こうから声をかけてきたそうだ。メガネかけたちょい太目のおばさん。

 作者の人柄はどうあれ、作品自体は余り誉められたものではないと思う。
 弁護士の業務風景をダラダラと書かれて辟易した。肝心のはずの主人公の弁護士と女刑事のロマンスもほとんどない。
 こういうのって弁護士作家全般に言える欠点じゃないかな。
766読後感:03/09/10 21:11
「赤い右手」ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ(国書刊行会)
 来たね〜 国書中最大の怪作と言われ、このミスではクラシックとしては最高位の2位にランクイン!
 表見返しのあらすじには、探偵小説のコペルニクス的転回とまで書かれている。
 こりゃあ、いやがうえにも期待は高まるってもの。
 
 と・こ・ろ・が

 いきなりネタバレから入るけど、(メル欄)て・・・。
 黎明期or子供向けだったらわかるんだけど、45年時でこんなの使うなよ・・・。

 それと例の「熱に憑かれたような文体」ね。そうかなぁ?単に時制をゴチャゴチャにしてるだけの気がするが。
 バリンジャーの常套手段だね。「飛蝗の農場」でも使われてたが。

 それとあのわざとらしすぎるミスディレクションね。分解レッドヘリングと言い換えてもいいかな?
 あれは一体何のためなんだ?
 以前「グリーン家殺人事件」の中でこれの縮小版が使われてて、それについては内容に深みが出ると思ったんだが、
 ここまでやるともう・・・。
 異様な雰囲気を醸し出すっていう点では成功してるかもしれないけど・・・。

 と、まあ不満を並べたけど、秀逸な伏線があるのも確か。だからもうちょっと校正してほしかったな。
767読後感:03/09/10 21:12
「逃げるが勝ち」フィリップ・リード(早川書房)
 これは本格ではなく、例の「ロマンス」と「裏切り(というかそれによって当然起きるであろう復讐)」
 という2大キーワードでチョイスしたものです。地元にあったしね。口に出すのも恐ろしい「告発者」と
 同時に借りた品です。

 ま、でも実際恋人による裏切りが行われたわけではなく、ロマンス描写も今ひとつといった感じでした。
 ヒロインがレイプされちゃうっていうのにはちょっと驚きましたけど。
 ともかく、全体的な仕上がりはまあ無難な方だったので、続編出て・・・も読まないだろうなw
768●のテストカキコ中:03/09/10 21:12
http://ula2ch.muvc.net/ (このカキコは削除しても良いです)
769読後感:03/09/10 21:16
「矢の家」A・E・W・メースン(東京創元社)
 これもね、ずっと読もう読もうと思ってた作品なのよ。基本的に私黄金時代好きなので。
 この作者は以前「薔薇荘にて」読んですごく感心したから、今回も期待大でした。
 
 あらすじに「心理小説」とかってあったんで、ちょっと「闇からの声」の不吉な影(笑)が
 脳裏をよぎったんですが、どーしてどーして、立派な本格ミステリーでござんした。
 「探偵と犯人との心理闘争(fromあらすじ)」っていうのも、裏から見た場合のことであって、
 「闇からの声」みたいに直で遣り合ってるわけではないんですよね。ようわかっとんしゃあ。
 
 容疑者は2人しかいないと言っても過言じゃない状況なんですけど、それがちっともマイナスに感じない
 のは作者の力量でしょうね。「樽」もそうだけど、プロットがしっかりしていれば、そんなこと気にならないんですよ。
 
 まあ、敢えて苦言を呈するなら、これは「薔薇荘にて」にも言えますが、殺人が起こるタイミングが良すぎること
 (サスペンスがあるのは悪いことではないですけど)と、
 邸内の見取り図が欲しいと言うこと、そして(メル欄)というのが少しアンフェアっぽいかなと。

 まあ、でも全体的な完成度は高いと思うし、「薔薇荘にて」を上回る作品だと思いました。
770読後感:03/09/10 21:20
「サハラに舞う羽根」A・E・W・メースン(東京創元社)
 探偵小説書きで、冒険小説もものしている作家は数多い。
 まず探小の祖たるポオがいるし、それからドイル、ルブラン(これは逆かも知れないが)、オルツィ、
 そしてカー。また、マイクル・イネスも「海から来た男(未読)」などの冒険ものを書いているらしい。
 さらに言えばクリスティも、或いは、これに入るかもしれない。他にもまだまだいるだろう。
 
 本書の作者であるメースンもその一人である。といっても彼は元々プロパーではないのだけれども。
 しかしプロパー以上に良質なミステリを書いているのは皆さん周知の事実であろう。閑話休題。
 本書と「矢の家」を図書館で見つけたとき、隣に同じ作者の「四枚の羽根」というハードカバーの作品が並んでいて、
 何か題が似てるなと思いつつ、それも一緒に借りたのだが、いざどっちから読もうかと思って本を開いて見比べてみると、
 何のことはない、同じ作品だったのである(ちなみにハードカバーの方は小学館から出ていた)。
 さあではどちらを読もうかと思い、本書の扉のあらすじを見ていると、最後に「初の完訳」とあったのでこっちに決めたのだ。
 
 で、読殺したのだが・・・やってくれた。
 つい一ヶ月前までレイチェル・ヴェリンダー選手(月長石)がトップを独走中だったのだが、
 その直後ベス選手とナターシャ選手(告発者)の2人が彼女を抜いて同時に先頭に立っていた。
 ところが、ここに来て再び盤狂わせが起き、エスネ選手(本書)がぶっちぎりのトップに立ったのだ。
 
 
771770の続き:03/09/10 21:21
彼女はとにかくひどかった。
 臆病者の烙印を押された婚約者である主人公を慰めるどころか、激しく責め、ひどい仕打ちをして婚約を破棄した。
 彼女は大変にプライドが高い女性でありまた、世の若い女性が往々にしてそうであるように、「蛮勇に憧れていた」のだ。
 それは破局を迎える直前の彼女のセリフにも顕著に表れている。
 (彼女は「例え貴方が戦死しても構わない。来世で一緒だから」等と口走った)
 とにかく彼女は若かった。それゆえに彼の過ちをどうしても許すことが出来ず、冷淡で残酷な仕打ちをしてしまったのだが、
 後に、彼がこの恥を雪ごうとして、大変な苦難に立ち向かっていることを知るや、あっさりと変節し、自分も同類であった
 くせに、彼に臆病者の烙印を押した連中を激しく憎み、またその中の一人が既に戦死したと聞くと、無情にも嘲笑いさえしたのだ。
 何たる破廉恥!厚顔もここに極まれりというものである。しかし彼女の身勝手さはこれに留まらない。
 彼女はその知らせが届く前に、主人公の親友と婚約していたのだが、知らせを聞いてもその婚約を破棄しようとはしなかったのである。
 その理由は、その男は失明しており、最早彼女しか支えになるものがなく(と彼女は思っている)、
 婚約を破棄すれば、どうなるかわからないからだというのだ。
 彼女は既に主人公の人生をダメにしてしまっているから(これも彼女の思い込み)、
 これ以上他人の人生を破滅させたくないというのだ。
 
772771の続き:03/09/10 21:22
この考え方は何としても理解できない。主人公のことを愛しているのに(このことは作中でくどいぐらい書かれているから本当)、
 身障者の友達に同情してその人と生涯を共にするというのである。彼女はこのことを、幾多の艱難辛苦を乗り越え、ボロボロになって
 帰ってきた主人公に、6年ぶりに会ってそう経たないうちに、はっきりと言明してしまうのだ(ちなみに確たる謝罪は無し)。
 決定。死ね。
 この件を読んで私は強い訝りを禁じえなかった。同情>愛 なのか?
 主人公への贖罪はどうなる? それをほっぽいて(彼女に言わせるなら「来世で」ということらしいが、
 主人公、というか普通の人がそれで満足するはずがないだろう)、他の人の人生を案じているのだ。
 この女には幸せになる資格が無いし、また幸せが何かも全く理解できていない。私ははっきりとそう感じた。
 彼女こそ究極の「自己中」と言えるのではないだろうか。
 そういえば、「大いなる西部」で、キャロル・ベイカーが演じていた女性がこれに近い性格だった気がする。

 因みにこの作品は今までに通算7回映画化されているらしくて、最新作は去年英国で公開されたらしい。
 (映画と言えば「ヒアマイソング」っていうのが同じようなテーマだった気がする)
 日本でも近日公開されるらしいので、見てみたい。幾分かはまともなエスネに会えることを信じて。
773読後感:03/09/10 21:22
「さむけ」ロス・マクドナルド(早川書房)
 ハードボイルドの巨匠、ロスマク初挑戦です。
 ハードボイルド読むのは初めてかも。でも、この人のはガチガチの本格だと誰かが言っていたし、
 郷原宏が「読まずには死ねない」とまで言ってたし、
 他スレでも誰かが「あのラストにはびびった」とカキコしてたし、
 もう期待十分だったわけで。のりりんも影響かなり受けてるらしいし。

 先に言っとけば、ガチガチの本格なんて大嘘だね。少なくとも本書に関する限りは。
 まあ、チラッと推理というか、論理的な実地検証を行う件があったけど、それだけ。
 ただ、いくら私が本格厨とは言え、そのことだけで強引に作品自体を評価するほど、愚かではない(つもりだ)し、
 実際、面白かった。
 プロットも巧緻でよく出来ていたし、また愛さずにはいられないという男の性にも共感する所がある。
 それに私も「あのラストにはびびった」し。
 
 ズバズバと厳しい突っ込みを入れるアーチャーにも萌えた(これがハードボイルドの一番いいとこだね)。
 ただ、暴力的なシーンが少なかったのはハードボイルドらしくない感じがした(偏見か?)。別に無くてもいいけど。
 
 最後に蛇足を承知で言うと、
 1、アーチャーが「彼」に会う前から、「彼」のことを「車の男」だと決め付けていたこと
 2、そしてアーチャーが、「彼」が弁護側の証人になると言ったこと
 これらの根拠がわからなかった。
774読後感:03/09/10 21:23
「野獣死すべし」ニコラス・ブレイク(早川書房)
 「本格ミステリを語ろう!」の中で二階堂が「とてつもなく面白かった」と言ってたので、気になってたんです(笑
 法月も好きらしいし。乱歩のベストテンにも入ってたし。

 前半が日記になっているのは「頼子のために」と一緒ですよね。
 そしてその日記に真相究明の重大なカギが隠されている、という。
 しかし、それは物理的なものではなく――

 私は最初、「もしかしたらこの人が返り討ちにあってそれを探偵が――」とか思ったんですが、
 そういう倒叙ものじゃありませんでした。ま、当然か。
 「犯人はこいつかな」とか思いっきりミスディレに嵌ったりもしました。いやはやお恥ずかしい限り。
 
 でもやっぱりこの決着のつけ方には賛成できませんね。
 こういうラストの作品が意外と多いんですね、欧米にも。
 これって前にも書いたと思うけど、「日本人的」なものだと思ってたんだけどなぁ。
 だってよく外人が「ジャパニーズ・××××」とか言うじゃないですか、ね?
775読後感:03/09/10 21:24
「動く指」アガサ・クリスティ(早川書房)
 数あるクリスティ作品の中から何でこれを選んだかと言うと、賢明な読者諸君はもうお分かりですね(笑
 そう、ロマンスです。クリスティスレで聞いた所、これが一番だと言うので。
 
 舞台はイギリスの片田舎。
 療養のため越してきた若い軍人とその妹。しかし、そこには極めて陰湿な事件が巻き起こっていた。
 「ぶなの木館」の中でシャーロック・ホームズが
 「自分はこういう田舎の風景を見るとぞっとする。こういう官憲の目が都会ほど行き届かないような所では、
  都会では及びもつかないような犯罪が人知れず行われているに違いないだろうからだ」
 と言ってましたけど、クリスティもそのことはよく心得ていたんでしょうね。僕も同感です。
 田舎の人というのは、都会人のように周囲に無関心ではない。だからこそ他人に対して邪な感情も生まれやすい。
 
 ミステリーとしては凡作だと思いますけど(犯人当てられなかったけど/笑)、ロマンスは確かに良かった。
 美しくて、後味もいい。ただ私はもうちょっと泥臭いと言うか(笑)わざとらしい遣り取りが交わされるような
 のが好みなんですが(死
 
 話し変わりますけど、ミーガンの扱い酷くないですか? 馬だの犬だの。
 伏線と言えば伏線なんだろうけどさ。
 あと犯人は一本指で打ったって何で分かるんですかね?
 それと、重要な手がかりになったあの伝言。初出時に原語も添えてくんなきゃ推理できないじゃん!(僕はしないけどさ)
776読後感:03/09/10 21:36
「時の娘」ジョセフィン・テイ(早川書房)
 歴史ミステリーの代表作のように言われている作品。
 だが、自分はどうしても食指が動かなかった。多分タイトルのせいだと思う。
 今回やっと読んだけど、やっぱ微妙・・・。
 
 15世紀のことだから、どうしてもロジックに不備が出るし、しかも真相が作者の創意でも推測でもない。
 乱歩もそう思っていたらしく、訳者はその点作者を擁護してたけどやっぱりマイナスでしょう。
 試みはいいけど、生かしきれてない。
 
 糞したいからこの辺で。
 最後に、高木アキ光に影響与えたらしいけど、オレは安部龍太郎を思い起こしたなぁ。
777読後感:03/09/10 21:37
「ギリシャ棺の秘密」エラリイ・クイーン(早川書房)
 クイーンの最大長編らしいです。
 本来なら「エジプト十字架」の方に行こうかと思っていましたが、
 他スレでプロットをネタバレされてしまったのでこっちにしました。

 むぅ、やはり黄金の1932年作品ですなぁ。
 クイーンのお家芸である論理の妙を存分に楽しむことが出来ます。
 試行錯誤しながら犯人の仕掛けた2重3重の罠を掻い潜り真相に近づいていく若きエラリイ青年。
 天才型探偵の失敗を未熟者であるが故に可能にし、さらには「探偵小説のお約束」に対する理由付けに発展させている
 のは、上手いやり方ですね。
 ロマンスの要素を組み込んでいる所も評価できます(最小限に抑えてありますが)。

 ただ、ロジックの巨匠クイーンと言えどもやはり完全ではなく(当たり前ですが)、次の3点が気になりました。
 1、不審な行動を取ったとみられる以下の人たちに、即座にその理由を徹底的に追求しなかったこと
  →グリムショーを訪ねたはずの3人
  →チーニーの失踪について何か知っているはずのジョウン
  もしエラリイが警察と何の関係もなく、かつその場に警官がいない場合だったら納得できるのですが。
  「警視の息子」という設定は話を進めていくにあたって「単なる私立探偵」というものより
  はるかに都合が良い点が多いのですがこのように謎解きを先送りにしたい場合には不自然になってしまうのです。
 2、(メル欄1)て・・・。
 3、犯人が(メル欄2)を脅迫する際、約束手形の残り半分まで送ってしまったら、証拠がなくなってしまうのでは?
778名無しのオプ:03/09/11 08:56
読後感は読んだ本には必ず感想文を書いてるのかな?
でも書いてある文章は自分向けではないようだし
わざわざここに書くためにいちいちメモをとって読んでるのかな?

知ってる本についてだけ読んでるんだけど、
知らない人にとってはネタバレすれすれって感じだし、
この文を読んで読みたくなる人っているんだろうか?
779名無しのオプ:03/09/11 10:35
キャロル・オコンネル『クリスマスに少女は還る』読了。


……よかった。ほんと。軽くはないがさくさくいける。
ここ最近の一番。綺麗な涙を流させてもらった。
漏れもサディーを愛さずにはいられなくなった。
「不思議な国の殺人」 フレデリック・ブラウン 創元

23年間地方紙を発行してきたドック・ストージャーは
せめて一度で良いから街がひっくり返るような特種を
載せて見たいものだと思っていた。
果たしてその時がやって来た!そして奇想天外な殺人事件まで。
ドックはなんとその殺人の容疑者にされてしまった!?

精神病院から患者が脱走するわ、指名手配の殺人犯が町にやってくるわ、
その連中に主人公が連れまわされるわ、銀行荒らしの現場に遭遇するわ、
花火工場の主は消えるわ、友人が道路脇で倒れているのを発見されるわ、
新聞社売却の話が持ち上がるわ、容疑者として警察に追っかけ回されるわ
・・・で次々に事件がおきる。   ここは本当に面白い!
そして謎の男スミス氏が現れて、
主人公とルイス・キャロル論争を繰り広げるあたりもとても面白い。
最後に皮肉な結末が待ってるもブラウンらしい。

ただこの題名が良くないね。
原題は NIGHT OF THE JABBERWOCK なので
無理に「殺人」の文字を入れなくても良いんだよね。
「不思議な国の出来事」とか「不思議な国の一夜」で。
というのも、奇想天外で不思議な殺人事件は起こるけど
その解決が強引すぎるんです。そこだけがちょっと残念な所。

面白かったのが、この作品の舞台がカーメル市なんです。
クリント・イーストウッドが市長してた所だよね。
こんなちっぽけな所の市長だったのか・・・
781名無しのオプ:03/09/12 06:50
トマス・H・クック『熱い街で死んだ少女』(文春文庫)

1963年5月、アラバマ州バーミングハム。
マーティン・ルーサー・キング牧師に率いられた公民権運動デモで街は燃え上がっていた。
そんな中、スラムのベアマッチ街で黒人少女の死体が発見された。
部長刑事のベンは捜査をはじめるが、人種差別の壁に阻まれて難航する。

トマス・H・クックの単発作品で、人種差別問題を扱った力作。
警察小説でミステリ的な仕掛けは控えめ。
また後年の作品に見られるような、映像的なカットバックの手法も見られない。
作者はテーマを活かしてストレートに押してくる。
地味な事件の捜査で読ませるのと、偽善ぽくならないのはクックの力量だろう。
なお、「本部長」と知事は実名、デモの展開(放水作戦、爆破テロ)などはすべて史実である。
うまい。
782名無しのオプ:03/09/14 20:28
このスレって長文レスするのがルールなの?
783名無しのオプ:03/09/15 00:54
別に。好きに書けばいいじゃない。
784名無しのオプ:03/09/15 01:51
>>782
軽薄文体で悪口書くスレではないはずなんだが。
785名無しのオプ:03/09/15 02:08
あらすじ入れてプレゼンっぽく紹介するならある程度文章は必要だけど、
一、二行程度の簡単な感想でも全然いいんじゃないかな。
書き込みやすくなるしさ。
786名無しのオプ:03/09/15 05:55
批評=悪口か…

ガキだな…
787名無しのオプ:03/09/15 20:27
リタ・メイ・ブラウン&スニーキー・パイ・ブラウン
『町でいちばん賢い猫』

シャム猫ココと双璧をなす海外ネコミステリ、トラ猫ミセス・マーフィの第一作。
ミセス・マーフィはクロゼットの町の郵便局に飼われている猫で、親友のコーギー犬、ティー・タッカーと暮らしている。
三毛猫ホームズやココと違って、犬や猫同士で普通に会話するのが特徴。
また「作者の飼い猫のスニーキーがタイプで書いた」という設定になっているため名義は共著。
こういう擬人化は好き嫌いがわかれそう。

ところで肝心のミステリの方は少々いただけない。
町の人物はそれぞれ特徴的だが、妙に多いので覚えるのに苦労する。
動物の会話と人間の会話を表記上わけていないのでなお混乱・・・
手がかりの必然性、犯人の意外性にも乏しい。
素直に猫犬の活躍を楽しめばいいのだが、読んだ限りでは、ミセス・マーフィが名探偵ぶりを発揮しているようには見えない。
いっぽう離婚したもとの夫(オス猫)がいるという設定は面白い。
デブ猫ピュータもティー・タッカーもみんなメス同士だし、集まると井戸端会議のようになるので、女性が肩ひじ張らずに読むのに向いているだろう。
788名無しのオプ:03/09/16 17:34
読後感さんの熱いカキコ、読み捨てにするのは何だかもったいないので
保存させてもらってます。
789名無しのオプ:03/09/16 17:36
し、信じられん・・・。

そんな奇特な人がいるとは?!

>>788
読後感に代わって礼を言います(w

読後感もここ見たらちゃんと礼言えよ!
790名無しのオプ:03/09/16 17:41
どうせ書き込むなら貶すだけじゃなく
何割かは褒めてほしい。
791名無しのオプ:03/09/16 17:44
何割かは誉めてるよ。

「薔薇荘にて」とか、「火刑法廷」とか、「矢の家」も「薔薇荘」より上
って言ってるし。「ギリシャ棺」も堪能したって言ってる。

1から10まで誉め倒しってのは流石にないみたいだけど。
792名無しのオプ:03/09/16 21:15
>790
これ、ミステリ的な評価は低いと思うんだが
猫好きな人間には小ネタがたまらん

献辞を立ち読みして、速攻レジに向かった記憶がある

うちのデブ猫も腹を左右に揺らしながら走るのさ
793名無しのオプ:03/09/18 16:44
レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』
相変わらず台詞と文章がいい。

「ギムレットにはまだ早すぎる」

「警官にさよならを言う方法はいまだに発見されていない」

「もう質問はよしな。おれは気が短いんだ」
「腹を立てると何をするんだ――りすとタンゴを踊るのか」

「こんなとき、フランス語にはいい言葉がある。フランス人はどんなことにも
 うまい言葉を持っていて、その言葉はいつも正しかった。
 『さよならを言うのは、わずかの間死ぬことだ』」

「私はスイッチを切り替えて犯罪ドラマを見た。場面は衣装戸棚の中
 だけで、俳優達は気がのっていないし、いつも見飽きている連中だった。
 台詞はモノグラム(三流の映画会社)でも使いそうなほどくだらなかった。
 探偵は黒人の下男を三枚目に使っていた。そんな人間を使う必要はなかった。
 探偵自身が三枚目だった。そして、あいだにはさまれた広告は鉄条網と
 ビールびんの破片で育てた山羊でさえ病気になりそうなひどいものだった」
794名無しのオプ:03/09/18 22:26
エド・マクベイン『警官嫌い』(ハヤカワミステリ文庫)

警察小説の嚆矢、87分署シリーズの第一作。
アイソラ市の刑事が次々と射殺される事件が起こり、スティーブン・キャレラをはじめとする87分署の面々が犯人を追う。
プロット、ストーリーとも単純極まりないが、テンポがすごくいいので引き込まれる。
拳銃所持の男、愚連隊、電波婆あなど、何の伏線にもなっていない連中が現れては消えていくのが気持ちいい。
冷静に考えると、それは作者が勢いだけで書いてる証拠なのかもしれんがw面白いので問題ないだろう。
刑事ドラマを観る感覚で読むことをお勧め。

ところでエドマクの長編はこれが初。
87分署メンバーはキャレラしか知らなかった。
だからいかにもレギュラーっぽい刑事が撃たれて死んでいくのにはびっくりした。
勝手にミスディレクションにはまってしまった・・・。
795名無しのブックオフ100:03/09/19 16:04
「法廷外裁判」 ヘンリー・セシル ハヤカワ・ミステリ文庫

ロンズデイル・ウォルシは子供の時から嘘が大嫌い。
嘘を吐こうとすると体が拒否反応、嘘を吐かれるのはもっと嫌い。
そんな彼が嘘で塗り固められた裁判で有罪になり刑務所へ。
こんな事は許せない! ってんで脱獄を決行し、
関係者、判事、弁護士らを誘拐し監禁して、再び裁判をやり直させた。
果たして・・・

面白い! 面白い! とても面白いよ、これ。
こういう作品がいつでも本屋に並んでいないなんてもったいないし、
ハヤカワってだめぽ! 

テンポは物凄く良く、法廷物とは言っても堅苦しくなく、むしろ面白いくらい。
ただ茶化したコメディか?と思うとそうでもなく
軽い文章の中にしっかり裁判の矛盾やら皮肉が詰まってる。
法廷外での裁判の決着は大体想像つくでしょ?
でもね、それだけでは終らないんだな〜 巧いオチがついてるよ。

500円くらい出しても損しない本ですよ。お薦め!
796名無しのオプ:03/09/19 16:09
↑こういう書き込みだと何だか読んでみたくなる。
797名無しのオプ:03/09/19 18:13
メアリ・H・クラーク『子供たちはどこにいる』

大学教授の子供が二人、突然いなくなり、死体となって発見された。
世論は若妻の犯人説に傾くが、裁判はうやむやに終わり、彼女はケープ・コッドに身を隠す。
そして6年後、再婚した彼女の子供二人が再び失踪する・・・
「ナンシー、どうしたんだ?子供たちはどこにいる?」

「サスペンスの女王」メアリ・H・クラークの推理文壇デビュー作。
スピーディな展開でぐいぐい読ませる力はなかなかのものだが、人物描写が少々甘い。
特に年配の男性に顕著で、引退した弁護士、精神医学者、ギリシャ人の食堂経営者らの書き分けが今ひとつである。
後にMWA巨匠賞を受け、会長にも就任したクラークだが、これは経験が浅かったせいか?
とはいえそういうささやかな問題を除けば、よく出来たサスペンスである。
解説にはアメリカの性犯罪、異常犯罪が対岸の火事のように解説されているが、これは1980年に書かれた文章。
それから20年。
日本も来るところまで来てしまったわけだ。
798読後感:03/09/19 19:38
「じゃじゃ馬ならしに気をつけて」ギリアン・ロバーツ(早川書房)
 来ました!シリーズ3作目。
 今回は事件に加えて、C・Kの元カノも登場し、何とC・Kの家にお泊りしちゃうのです。
 無論、われらがアマンダ姐さんが尋常でいられるはずがありません。
 嫉妬の炎をたぎらせるのですが、そんな彼女にC・Kはどこ吹く風といった調子。
 どこまでも人を食った男です(w

 さて、今回の事件は、アマンダがバザーに出品する予定の古本を漁っていた所から始まります。
 その中の一冊に、「夫から殺される」という書き込みを見つけた彼女は、どうにかして彼女を
 見つけ出そうと必死に本の出所を辿ります。
 C・Kにも助力を願ったのですが「考えすぎ」とのつれない返事。
 元カノの件と相まって怒り心頭に達したアマンダは単独捜査を開始するのですが、
 それを察知した犯人から銃撃されてしまいます!

 アマンダは無事か?   
 そして犯人を捕まえることが出来るのか!?
 
 さらにC・Kの元カノとの連泊疑惑の真相は? 
 2人の仲はどうなってしまうのか!?

 乞うご期待!
799名無しのオプ:03/09/19 22:10
↑えっと、感想・批評部分はないのでつか。
まあ本来読んだ報告するだけのスレだから良いんだけど。
800読後感:03/09/19 22:26
「心うち砕かれて」ジュリー・ガーウッド(二見書房)
 二見書房のミステリーには2種類あって、
 刑事コロンボのようなまともな(笑)ミステリーと、ミステリーとは名ばかりのラブロマンスとがあります。

 本書は言うまでも無く(笑)後者であります。
 親友の妹を悪質なストーカーから守るために、彼女の婚約者に成りすました主人公。 
 隠しカメラがつけられていることが判明した寝室で、犯人を騙すために偽りの愛撫を行ったりと、
 なかなか念の入ったお芝居で犯人の出方を待ちます。
 そしてある夜ついに家に侵入した何者かを捕らえることに成功するのですが・・・。

 偽りのカップルが真実の愛に目覚めると言うラブロマンスの王道パターンですね。
 しかも、ヒロインは町一番のべっぴんさん。
 何とかモノにしようと虎視眈々と彼女を狙っている資産家の男性なんかも出てきてロマンス好きにはたまりません(笑)。
 
 人物描写が一部破綻しているように思われましたが、ロマンスだし、ま、いっか(笑)。
801読後感:03/09/19 22:27
星を継ぐもの」ジェームズ・P・ホーガン(東京創元社)
 SFでありながら本格ミステリーの魅力も充分に含んでいる、とかなり話題になった作品です。
 書店でも、「小野不由美氏推薦」だとか北村薫がどうだとかいうコメント評でフューチャーされてます。
 以前読んだミステリーの紹介本でも、意外な結末度第一位(著者調べ)と書かれており、
 これはもう是が非でも読まねばなるまいと気合充分で望みました(さあ次の展開はわかりますね)。

 しかし!!

 面白くない・・・。ホントすいません。面白くないです。
 まず、私自身SFは読みなれてないので、作中に使われている夥しいSF用語にやや戸惑いの表情を浮かべまして(w、
 しかも、謎があっても演繹的推理が展開されないし、かなり想像、仮定の話なんですよね。
 それがどうしていけないかというと、非論理的というよりも、いつ「閃いた」のか特定できないからなんです。
 それじゃ面白くない・・・個人的には、そう、思います(やや弱気)。
 細かい点に言及するなら、最初太陽系には地球以外に文明があると判明している星は無いといっておきながら、
 後になってミネルヴァのことを持ち出してくる点がおかしいですし、あの真相だとすると、とっくに科学者達は
 チャーリーの(メル欄)ということを気づかなくてはならないはずですし。
 
 というわけで、私はさほど(というか全然)名作だとは思えなかったです。
 唯一の見所といったらリン・ガーランドの「これ見よがしに盛り上がったヒップ」ぐらいです(w
802読後感:03/09/19 22:28
「連続殺人事件」ディクスン・カー(東京創元社)
 カーヲタの二階堂が誉めてたし、他スレでロマンスがいいというカキコを見かけたもので。

 ことロマンスに関して言うと、いやぁ、よかった!
 もうここまで来るとラブコメですね(w うん。
 冒頭、憎たらしいぐらいハマってます。
 個人的にカーのロマンスは当たり外れがありますけど、これは文句なしの合格点でした。
 惜しむらくはもうちょっと鞘当てに多くの時間を割いて欲しかったのですが、ま、それは贅沢というものでしょう(w
 
 そしてトリック。作中には二つの密室が出てきます。
 どっちも巧いですけど私は前者が好きですね。ちょびっと驚きました。
 そしてアルバムのミスディレクションね。 これには騙された!
 ついに犯人わかったと思ったのになぁ。
 犯人当てに成功する日はいつ来るのやら・・・。 真剣に考えてない自分が悪いんですが(w
803読後感:03/09/19 22:29
>>799
すいません。もう詳しく覚えてなかったもので(笑

でも面白かったですよ。ロマサス好きなら是非どうぞ。
804名無しのオプ:03/09/21 14:59
マーク・マクシェーン『雨の午後の降霊術』(イースト・プレス)

自身を本物の霊媒と信じるマクマラとその夫ビルは、誘拐事件を企む。
女の子をさらってきて、その居場所と身代金のありかを言い当ててみせ、霊能者として名を売ろうというのだ。
しかし数々の細かい手違いが計画を狂わせて・・・

旧『宝石』誌上で植草甚一氏が絶賛してから、長く邦訳が待たれていた61年の作品。
64年にはリチャード・アッテンボロー主演で映画化もされている。
幻想的なタイトルに惹かれたものの、中身がサスペンスだったので少し失望した。
まあこれはこれで面白いと思って読んでいたら、ラストに感心した。
なるほどタイトルに帰納するこの締めがなければ、ずいぶん印象が違っていただろう。
解説によると、植草氏がほめたのもこの部分のようだ。
やっぱり物語の締めは大切ですね。

登場人物が霊媒夫妻、誘拐された娘、その両親以外は完全にエキストラ扱いなので、海外ものが苦手という人でも大丈夫。
(ページ数も220しかない)
文庫で出てくれてたらもう少しお勧めしやすいんだけれども。
805803:03/09/21 15:27
訂正。
(誤)イースト・プレス→(正)トパーズ・プレス
806名無しのオプ:03/09/21 21:21
>>804
フーン、興味出たんで調べてみたら、日本の側でも
黒沢清の監督で「降霊」って題名で翻案映像化してるんだね。
99年に「降霊 ウ・シ・ロ・ヲ・ミ・ル・ナ」っていうTVスペシャルで
放送して、そのあと劇場映画化もしてる。
そういえば題名だけは、どことなく耳覚えがあるような。
全然見てなかったんだけど。
>>804がこの辺に触れてないのは、
翻訳初版が96年だから、その数年後の映像化の話は、
本からだと、当然関連事情は分からなかったのだろうと見るが?
807804:03/09/21 21:48
そのあたりの事情は、検索してから知りましたね。
しかしテイストが全然違うので、まさかあの映画がこれを原作にしているとは、という感じですな。
808名無しのオプ:03/09/21 22:15
ウォラス・ヒルディック『ブラックネルの殺人理論』(角川書店)

人を殺した人間は、心理的抑制から解き放たれて、プラスの化学変化を持つ筈だ。
その「実験」を日々実践するロン・ブラックネル。
だが妻のパットが彼の手記を読んでしまい・・・

ウォラス・ヒルディックと聞いて何人が「ああ、あの!」というか怪しいものだが、マガーク探偵団シリーズの作者である。
(これは解説にも載っていない。子供の本を40冊書いてる、とあるだけ)
この本は75年に上梓されたもので、夫の手記と、それを読んでしまった妻のノートが交互に提示されるかたちで進む。
近年の作品ならたちまち追跡型のサイコホラーになるところだろうが、意外にあっさりした結末でほほえましい(?)。
これは年代とスタイル、双方の限界だろう(だから面白い部分もあるのだが・・・)。
最後に妻のノートは(メール欄)だった、ということがさりげなく判明するのだが、この部分を活かして読者に「あれ?」と言わせることも可能だったのではないか。惜しい。
ロンの理論と実践などは面白く、なかなかの佳作なのだが、文庫落ちしていないのが残念だ。
809名無しのオプ:03/09/22 01:10
このスレを見て、
「読んだ」あるいは「読もうと思った」本ってあります?
810名無しのオプ:03/09/22 11:32
実のところ「もう読んでる」ばかり。
それはそれで他人の感想読めて良いんだが。
811名無しのオプ:03/09/22 23:52
「死との約束」クリスティ ハヤカワミステリ文庫
エルサレムに滞在中のエルキュール・ポアロは、ある夜奇妙な男女の囁きを耳にします。
「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」
なんとまあ、ポアロと言う人間は行く先々で犯罪を匂わす出来事に出くわす運命を背負っているのでしょうか。
同じくエルサレムの旅行者ボイントン夫人、そしてその継子たち。
ボイントン夫人の過激なまでの家父長的振る舞いを子供の頃から植えつけられた彼らは、社交というものを
殆ど心得ないまま大人になってしまい、長男は妻に言い寄る男がいても何も言えず、次男は一目ぼれした
同じ旅行客の女性とも口さえ利けない。夫人の実子の次女でさえついには精神に異常をきたす始末。
積年のたまりにたまった鬱憤も風にのって死海(とポアロの耳)に飛んでいくのも無理は無いというもの。
そして、夫人が異郷の地で潰える事となりました。

この作品、いろんなタイプの女性をクリスティがどう書いたかという点で面白かったです。
強権的な母親、自立的な女性、所謂女権拡張論者のオバハン、気の弱い老女、などなど。
逆に男が生彩なかったですね、というより余り掘り下げが足らないと言うか。
ミステリ部分は事件がどのように起こり、人々がどう関わっていくかという処に女史の手腕が
遺憾なく発揮されていました。犯人も意外です、力技ともいえますが。
おまけとして登場人物の一人が、過去のポアロの犯人に対するスタンスに非難めいた
ことを言います。そういうところもクリスティ読みにはにやりとさせられました。
812名無しのオプ:03/09/23 00:24
「水晶栓」モーリス・ルブラン 新潮文庫
部下の手筈で、ドーブレック代議士の屋敷に忍び込んだアルセーヌ・ルパン。
しかし宝を盗むも、部下のボーシュレーとジルベールがいざこざをおこし、
果てにはボーシュレーがドーブレックの下男を殺してしまいます。しかも警察はすぐ近くに。

実はドーブレック、ある疑獄事件に連なる名簿リストをえさに今の地位まで
上り詰めた恐喝王で、そのリストを部下は狙っていたのです。
そしてこのフランス版ミルヴァートン、執念ぶかくとある聡明な女性をものにせんと
リストを利用しようとしていたのです。
そこで義賊ルパンは女性の尊厳と、ジルベールを死刑から救うため、そして己の名誉のために
リストが隠された「水晶栓」を巡って、恐喝王と丁丁発止の対決を繰り広げるのです。

ルパンものはどうも敬遠していたのですが、これは面白い。
ドーブレックと騙し騙され駆け引きがスリル満点で、なかなかにハラハラさせてくれます。
そしてジルベールの死刑宣告までのタイムリミットが、否が応にもサスペンスを盛り上げてくれて、
その上水晶栓のありかが、ミステリ的なひねりのあるもので驚きます。
ただ堀口大學の訳がちと古いかな。ルパンが「わし」ですからね。
若しかしたら堀口氏は義賊ということで講談の五右衛門とかが頭にあったのかも。
けどそれはそれでよかったです。
813名無しのオプ:03/09/23 21:13
レジナルド・ヒル『秘められた感情』(ハヤカワミステリ文庫)

週末、学生時代の旧友たちと久しぶりに会うはずだったパスコー部長刑事。
目的地のコテージで見つけたのは、猟銃で撃たれた彼らの死体だった。
パスコーは(管轄外ながら)こっそり捜査を始めるのだが、一方彼が担当していた連続窃盗事件も、新しい展開を見せ始めていた。

英国ミステリの重鎮、レジナルド・ヒルのダルジール警視シリーズ三作目。
「太っちょ」ダルジールは人使いがあらい嫌われ者として書かれている。
きっと敏腕なのだろうが、この本に限っては、バックハウスという正反対のタイプの警視が銃殺事件を担当するので、名探偵としての影は薄い。

いくつか見どころがあるが、正直あまり面白くはなかった。
二つの事件の接点が最後に浮かび上がるのだが、因果関係がややこしく、理解しづらいのが主な理由である。
ヒルは初めて読むのだが、行間から察する限りでは、静かで落ち着いた展開と、文学的な含み(いずれも英国ミステリの伝統)に力を発揮するタイプのようだ。
こうした作者の長所が物語とがっちり組み合ったらとてつもない傑作になるだろう。
(逆に言うと、『秘められた感情』はそうではないということ)
「その子を殺すな」 ノエル・カレフ 創元

簡単に内容を書くと、爆弾を仕込んだフットボールを運んでいる最中に、
子どもの持っていたそっくりなフットボールと入れ替わってしまい・・・
という話。 1956年のだし、シナリオライター上がりの作者だから
凄くベタなんだけどね。大体ここだけ読んだだけで、先が分かるでしょ?

でも、その爆弾が気温が13度以下になると爆発する仕掛で
カウントダウンさせる方法は面白いし、最後もめでたしめでたしでは終らない。
あまりにもベタな内容だから、飽きちゃうかと思ったけど、
そういう事も無く、むしろすらすら読めたということは面白かったんだね。
これも500円出しても良い作品だと思う。
「思い込み」ってのは、良い方にも悪い方にも向くけど、
これは前者。フットボールがあちこち動くのか?
子供と大人がドタバタするのか?と思ってたけど、
サスペンス一辺倒というよりは、警察小説に近い。
だからちょっと戸惑ったけど、刑事たちが良く描かれてるのでよかった。
これ「黒の運び屋」という題名で映画化されてるらしい。
815名無しのオプ:03/09/26 13:21
ジェレマイア・ヒーリイ『つながれた山羊』(ポケミス)

私立探偵ジョン・カディのもとに、ベトナム時代の戦友アル・サックスから電話がかかってきた。
彼は待合場所に現れず、翌日、拷問された無残な死体となって発見される。
司法はゲイ同士のいさかいと見るが、死体の小指を調べて、カディは確信した。
「俺が謀殺されるときには、左手の小指を折っておく・・・そのときは、お前が落とし前をつけるんだ。
逆でも同じだ」

私立探偵クラブ賞最優秀長編賞を受賞した、ジョン・カディシリーズの2作目。
読むのは初めてだが、これはいい。
手法や設定など目新しい部分は何もないが、チョイ役にいたるまで登場人物が実に生き生きと描かれているのだ。
縦糸の謎自体は結構シンプルなのに、無駄な部分が多い、寄り道をしているという気にならないのは、作者の筆力が確かなことの証明だろう。
特に本筋とは何の関係もない放火事件が、メール欄というかたちで浮かび上がるのはお見事。
複数の事件を絡めるにはこういう手法もありか、と感心した。
で、とりあえず続きが気になるーー
ジョンとナンシーは一体これからどうなるのよ?

下がりすぎてるんで一回ageておきます。
816名無しのオプ:03/09/27 02:01
あっという間に下がってきた・・・
817読後感:03/09/28 22:35
「毒入りタルトを召し上がれ」ギリアン・ロバーツ(早川書房)
 シリーズ4作目だが、のっけから苦言を呈したい。
 なぜタイトルの語尾を統一せんのだ?
 作者各作品ごとに有名な文学作品や童謡をモチーフにしているらしいけど、
 それだって、語尾は一緒にできるだろ。「毒入りタルトを食わされて」とか(w
 
 さて、今回のアマンダは単純な好奇心や正義漢ではなく、母親が殺人容疑をかけられた
 ことから否応なしに事件解決へと奔走することになる。
 前回と違ってC・Kも協力的だし、2人の関係も順調に見える(それはそれでつまらんが/w)。

 だが、もう出会って1年近く経つというのに作者はまだ2人の関係を曖昧なものに止めておきたいらしく、
 アマンダの口を借りて、そう仄めかしている。だが、それは明らかに不自然だ。
 2人は幾度となくデートを繰り返して、当然やるべきこと(セックスねセックス)もやっているはずだ。
 それをアンタ・・・まあその方が都合が良いと考えているんだろうけど、それは浅慮だと思う。
 
 あと、2巻辺りから裏表紙のあらすじでアマンダを形容する際「美人」という語が使われているが、
 作品を読めば分かるように作者は美人のようには書いてない。本作でもC・K以外にはあまり注目されてないし。
 ま、「美人」の2文字があれば読んでみようと思うのかもしれないけどもさ。
818読後感:03/09/28 22:36
「復讐者の帰還」ジャック・ヒギンズ(二見書房)
 戦場で負傷し、記憶を失っていた主人公が7年ぶりに記憶を取り戻し、戦場で仲間を敵に売った男を突き止めるため、
 かつての戦友たちが住む街へとやってくる。
 その人物についてわかっているのは一緒に捕虜になった3人の内の1人ということだけ。
 おまけに主人公は脳内に銃弾が入っており、容態が悪化して残りわずかな命なのだった。

 やけにオーソドックスなプロットだと思っていたら、それもそのはず1962年発表の作品でした。
 でも私はそういうの気にならないし、復讐モノ好きなんで全然いいのよ〜(CM風に)
 作中には、戦傷で醜くなった資産家、黒白はっきりしない美女、胡散臭いクラブのオーナー、
 娼婦、短気なバーテンなどなど小道具もきっちり揃っていますし、主人公が3回ぐらい後頭部を殴られるなど
 ハードボイルドの定石を律儀に踏襲してくれます(w

 そして意外な犯人が登場して、最後には一応のハッピーエンドと相成ります。
 言い切りますけど私、ハッピーエンドが好きなんです。悲しくしたから何なの?って感じで。
 ま、今回はちょっと喉に小骨が刺さったような痛みが残りましたけど・・・。

 P.S 手術の成功率が1%ってどーよ? しかも手術前は最悪の状況だったのに・・・。
819読後感:03/09/28 22:36
「夜を忘れたい」リンダ・ハワード(二見書房)
 (あ〜きっつ。やっとここまで来たか・・・)
 さぁて!ロマンスの女王と謳われるリンダ・ハワードですが、二見から出る作品は全て殺人などが絡むラブサスペンスです。
 よって、相手役は刑事であることが多いです。
 本作のヒロインは、強い殺意を持つ者を察知して精神をシンクロさせるという特殊能力を持っており、
 そのせいで命の危険にさらされたこともあって、深いトラウマになっています。
 今また6年の時を経て甦った能力を使って、連続強姦殺人の捜査に協力することになるのですが、
 担当の刑事というのが傲岸不遜でお世辞にも美男子とは言えない相手。しかも会った瞬間からヒロインを共犯者扱い。
 かくして捜査は最悪のスタートを切るのですが・・・。

 何か仲良くなるの早くな〜い?とか思ってたら案の定もう一波乱ありました。
 「あの日を探して」「パーティーガール」「Mr.パーフェクト」の3作には及ばないものの、まあまあの佳作でした。
820読後感:03/09/28 22:37
「逃げるアヒル」ポーラ・ゴズリング(早川書房)
 たまたま殺し屋を目撃してしまったヒロインが命を狙われることになり、警察の保護を受けることになります。
 ところが警察内部に情報を流している者がいる疑いが濃厚となったので、ヒロインは警護していた刑事と2人夫婦を
 装って逃避行に出ます。しかし、敵の魔手は確実に2人を追いつめ、部下の刑事たちが1人また1人と凶弾に倒れて
 しまいます。果たして、2人に明日はあるのか!?

 言わずもがなだと思いますけど、一緒に逃げてる間にこいつら互いに好きになっちまうわけですよ。
 それが悪いわけじゃない、むしろ大歓迎ですよ。ただね、もうちょっと巧くやってくれと。
 ハーレクインに慣れてる奴だってこりゃ展開が早すぎると思いますよ、きっと。
 大体あんな理想的な恋人のプロポーズを断ったヒロインが、無愛想で仕事一筋って感じの男に惚れるかぁ?
 差し迫った状況下で、しかもヒロインが惚れっぽい性格だったとしても、早いと思います。

 それ以外は別に・・・。よくあるアクション小説です、はい。
 解説で、本書の映画化作品であるコブラを評して「クソまみれ」と酷評というか痛罵してますけど、
 そもそも原作が大したことないので、映画が名作になるわけもなく・・・。 
821名無しのオプ:03/09/29 00:47
C・ブランド「緑は危険」
飲んだ帰りの電車の中で、ちょうど読了したとこ。
なんつうか、プロットが入り組みすぎて、人物の動向を
追うのが面倒なくらい、序盤から読み辛さは感じた。
「はなれわざ」「ジェゼベル」に比べ、ハッとさせられる
伏線の妙や、理詰めの推理の快感があまり感じられない
真相なので感興的には、それほどでもなかった。
ブランド特有の、あの文脈からにじみ出るゾッとするような
情念の怖さを期待しすぎたら、ちょっと当てが外れた感じ。
むしろ真相のサプライズよりも、登場人物たちの猜疑心に
満ちた疑惑のせめぎあいのサスペンスを楽しむというか。
まあ思わせぶりな描写がふんだんに鏤めてあったり、
読者の判断を混迷させるような緻密なつくりは、
やっぱりガチガチの本格の味わいかなと、
客観的には好意的に評価しておきたい。
822名無しのオプ:03/09/29 01:13
ディーヴァーのライム物4作。
しかし、恋愛話が進行しすぎて
既にどうやって孕むかが問題になってる・・・
823名無しのオプ:03/09/29 15:51
ピーター・ラヴゼイの『最後の刑事』『単独捜査』読了。
ダイヤモンドものの1・2作目。そんなに評判が高くないんで
期待せず読んだがテンポよく読んだ。

2作目のラストは感動シーンなんだろうが、直前の大関アクションに
笑ってしまって・・・
824名無しのオプ:03/09/29 19:59
ヒラリイ・ウォー『事件当夜は雨』(ハヤカワ文庫)

「ロベンズには50ドル貸しがある」
豪雨の夜に訪ねてきた謎の男は、ダムダム弾で農場主を射殺し、逃亡した。
単純に見えた事件だが、捜査は思いがけず難航して・・・。

現在では創元から復刊されている警察小説の古典的名作。
警察小説なのに集団性は薄く、メインは署長とウィルクス部長刑事くらい。
その二人もあまり人間として掘り下げられていない。
なのに中身が手堅く面白いのは、事件の作り方がうまいからだろう。
手がかりの数々から様々な方向性の仮説が浮かび上がる。
容疑者もあからさまに怪しいのはいないが、疑えばいくらでも疑える、という微妙な位置をキープ。
これが一つ一つ可能性を当たって、正解にたどり着いたときの快感を増している。
ただこの物語にはひねりがあって、犯人が途中で割れても即解決には結びつかなくなっているのだ。
派手じゃなく驚愕もしないが、本格ミステリのリハビリに効く手堅い面白さを持っている。

ところで>>724で、87分署を「警察小説の嚆矢」といったのは誤りでした。
「代表作」に訂正しておきます。
825名無しのオプ:03/09/29 23:02
ジョン・スラデック「見えないグリーン」

怪作との噂を耳にして読んでみたんだが、意外にオーソドックスな
印象でちょっと拍子抜け・・・
丁寧な伏線作りは好感が持てる。
結構ハッとさせられる場面が多かった。
826名無しのオプ:03/09/30 01:41
ヘンリー・デンカー『復讐法廷』(文春文庫)

善良な一市民のデニス・リオーダンは、生涯ただ一度の殺人のために銃を買い求めた。
娘を強姦して殺した犯人が、法の奇妙な解釈により釈放されたからだ。
決行後、彼はすべてを自白し、法の矛盾を訴えるために裁判を要求する。
若き弁護士は、この一分の隙のない証拠をどうやって突き崩すのか?

83年度翻訳作品で、週間文春が年間ベストワンに選んだ作品。
法廷ミステリ史上屈指の傑作である。
「法と正義の齟齬」というテーマはありふれているが、弁護士の持ち出す、史上類例を見ない大胆な作戦に驚かされる。
もし法をこねくり回すだけの逃げ道なら、テーマを大きく阻害してしまうのだが、この飛躍はミステリ的な技巧と社会性の面で相乗効果を挙げているのだ。
法律家が見てもしっかりしているそうだから(←解説より)その凄さは折り紙つきである。
近年(といっても82年だが)には珍しいほど熱い小説で、200ページを過ぎた辺りからページをめくる手が止まらなくなるだろう。
弁護側の最終弁論には誰もが心を打たれるに違いない。

惜しいのはラストがやや慌しく、感動の余韻を十分に味わうことが出来ない点だ。
これは作者の成熟度が足りなかったせいだろうか??
827読後感:03/09/30 13:41
「虎よ、虎よ!」アルフレッド・ベスター(早川書房)
 設定はSFだけれども、中身は復讐ハードボイルドと言ってもいいのではないだろうかと思う。
 半壊した宇宙船の唯一の生存者であった主人公はあるとき、他の宇宙船が接近してくるのを見る。
 絶望しかけていた彼は狂喜して救命信号を上げるのだが、その宇宙船はなぜか行ってしまう。
 幸福から瞬時に絶望のどん底に落された主人公は激しい憎悪に身を焦がし、自分を見捨てた船に復讐を誓う。

 作者はモンテ・クリストのような復讐タンを書こうと思って入稿したらしいが、それにしちゃ爪が甘い。
 前半あんだけ冷酷非情だった主人公が最後に判明した仇敵に対して刃を向けられないと言うのは読んでて萎える。
 「あなたは謝罪を求めてるの!」←そうだよバカ
 ここはキッチリやっとくべきでしょう。人間に戻るのはそれから。
 大体時間移動出来るんなら作中でやったこと以外にも他に色々やれるだろう。そもそも船に乗らなかったことにするとか。
 最後の締めもなんかハァ? だし。オリヴィアの許に帰るんじゃないのか? だったら何で彼女を・・・。

 「ジョウント」を中心とした世界観の構築はなかなか巧みだと思えた(ジョウント自体は謎だが)。わかりやすいし。
 ジョウントが上流階級のたしなみに外れたことになるというのも面白かった。
828名無しのブックオフ100:03/09/30 16:48
「ミラクル・キッド」(「名も知れぬ牛の血」改題) ノエル・カレフ 創元

ヨーロッパ・チャンピオンになったボクサーのミラクル・キッド。
その夜、有名女優からの誘いに乗って彼女の家へ。
彼女との一夜を過ごそうとしていると彼女が射殺されてしまった!
一体誰が!? それよりも俺が犯人にされちまうよ!

前回の「その子を殺すな」同様先が簡単に読めます。
前回はそれでも「分かっちゃいるけど止められない」という感じに
サスペンスを盛上げていたのに、今作はそれも希薄。
最後にもう一つ捻りがあれば良いんだけどね。
映画のようにその場でストーリーがどんどん進むものならこの程度で良いんだろうけど、
時間をかけて読む本では、先が読めてるとちょっとね〜
むしろ改題前のタイトルの方が一つの謎になってて良いと思う。

一つだけ面白い所があってね。
スペインの諺が載っててね。
「子供と一緒に寝床に入るものは、濡れて目を覚ます。」っての。
829名無しのブックオフ100:03/09/30 16:51
ああそれと、いま「穢れなき殺人者」が復刊されてますね。
実は小生が>>367で感想を書いたんですが、
言っておきますが、これはいつもながら100円で買った物を読んだ上での感想ですから。
200ページにも満たない作品を今は640円の価格で売ってます。
この値段でなら残念ながら評価はもっと厳しくなると思います。
購入する方はそこをご注意ください。
830名無しのオプ:03/10/01 16:51
ピーター・ラヴゼイの『バースへの帰還』読了。
ダイヤモンドものの3作目。シリーズ最高傑作との
うわさに過剰な期待をして読んだが、「誘拐事件」と「過去の事件」との
なんとない不合理性に最後まで違和感があった。うまくいえないけど。
けれど十分おもしろかったっす。
831名無しのオプ:03/10/01 18:14
トレヴェニアン『夢果つる街』(角川文庫)

移民が数多く住むカナダの貧民街、ザ・メインで起こる刺殺事件を、ラポワント警部補が捜査する。
警察小説、ハードボイルド小説などと紹介されることがあるが、実際にはザ・メインに住む最下層の人々の暮らしを、写実的に描写することに力点が置かれている。
作中でラポワントが愛読するゾラの小説の如く。
(殺人事件そのものは添え物にしか過ぎないし、解決も経過もまったく他愛ない)
浮浪者「老兵」の穴ぐらに関するプライド、娼婦ヨーヨーの逸話など、よく書き込まれているし面白いが、個人的にはやや物足りない。
500を越えるページの中のバランス配分がうまくいっていない気がする。
832読後感:03/10/03 19:56
「緑のカプセルの謎」ディクスン・カー(東京創元社)
 カーの傑作の一つです。有栖川・笠井・北村の30選にも入っています。
 イギリスの片田舎で起きた無差別毒殺事件の捜査で現地に訪れたエリオット警部だったが、
 来て間もないうちに新たな毒殺事件が起き、この2つの事件にはどうやら関連がありそうだと睨んだ警察は
 関係者に聞き込みを行うのですが、一部始終を目撃したはずの3人の証言は何故か食い違っていて・・・。

 中島河太郎も言ってましたけど、後半のメイントリックがなかなか良いです。でも前半のは×。
 あと怪奇趣味やドタバタが無いこともちょっと寂しいのですが、何よりロマンスがダメ。
 ああいう型のは上手く感情移入できないので。それにあれじゃあ犯人の目星がついちゃう。

 追伸:マージョリイが「やめてやめて」と言ったことを認めなかったのはなんでだろう。
    「特技」を隠したかったから?
833名無しのオプ:03/10/05 02:32
ちかごろ順調にスレ伸びてますね。
いいことだと思います。
834名無しのオプ:03/10/07 17:58
カール・ハイアセン『大魚の一撃』(扶ミス)

私立探偵デッカーのもとに依頼があった。
有名なバス・フィッシング王者のいかさま疑惑を暴いてほしいというのだ。
前任者は謎の死をとげている。
そしてデッカーの友人、現地記者のピクニーも、調査中に何者かに殺されてしまうのだった。

バス・フィッシング業界の狂騒をユーモアたっぷりに書く、いかにもアメリカらしいエンタメ系のミステリ。
作者の社会問題に対する意識はずいぶん高そうなのに、説教臭くない。
それがいい。
キャラ設定が魅力的で、特に変人のスキンクが素晴らしい。
笑って楽しんで550ページを読み終えることが出来るだろう。
(ちょっと長いような気もするけど)

少々気になるのは、依頼人の妹レニーやデッカーの前妻キャサリンなど、女の人の造詣がいまいちピンと来ないこと。
特にキャサリンは再婚してるのに普通にデッカーとラブラブだし、何考えてるのかよく判りません。
読んだのこれだけなんで断定は出来ませんが・・・もしかして作者、女を書くのが下手なのかもしれん。
835読後感:03/10/07 21:48
「消されかけた男」フリーマントル(新潮社)  
 主人公は英国情報部のスパイで、戦時中には大活躍をしたんですけど、戦後ある程度社会情勢が落ち着いてくると、
 エリート第一主義が復活して、叩き上げの主人公は上司や同僚から疎まれてしまいます。
 先の任務では何も知らされずに生贄にさせられそうにまでなるなど主人公は少しずつ破滅の淵へと追いやられて行きます。 
 そんな時、あるソヴィエトの高官がイギリスへの亡命を希望しているらしいという情報が舞い込んできて・・・。
 
 何かの本で結末の驚き度第2位となってたんですね、コレ(ちなみに1位は『星を継ぐもの』)。
 なので大いに期待して読み始めました。
 主人公は中年のスパイで、過去の栄光はあるもののノンキャリだということで上司や同僚からひどく軽蔑され、
 嫌がらせを受けているわけです。
 それがまた嫌らしいったらない。タクシー代を経費として見とめなかったりとか(w
 それだけ惨めな思いをしてる主人公なんだけど、あんまり同情できない。
 なぜなら、奥さんが綺麗だし、若い愛人までいるから(w
 で、これがちょっと不自然だなぁと思ったんですよね。傍から見たら彼は明らかに負け組なわけで。
 何で惹かれるんだろうかと。あ、彼女資産家だったっけか。

 オチ自体は正直予想できたんですが、そのための伏線というか下準備には驚かされました。
 あれもそうだったのか、と。盲点でしたね。ああいうのってこういうのではありがちっぽい感じだから。
 続編も読む予定です。
836読後感:03/10/07 21:49
「二度殺せるなら」リンダ・ハワード(二見書房)
 今回のヒロインは看護婦。そして彼女の父親はCIAや政治家等が相手の雇われスナイパーだったのですが、
 突然殺されてしまいます。それにはどうやらある記録書が関係しており、父親からそれを受け取ったヒロインも、
 命を狙われるようになります。
 窮地に陥ったヒロインを助けるのは特殊工作員並のすご腕刑事という・・・。

 リンダにしては珍しく複雑なプロットを用いていますが、プロパーではないせいか活かしきれておらず、
 更にそのせいで肝心のロマンス部分が物足りません。
 失敗作ですね。
837読後感:03/10/07 21:49
「パンドラ抹殺指令」マイケル・バー=ゾウハー(早川書房)
 パンドラ、それはKGBにいるというアメリカ側のスパイ。しかしある事件がきっかけでその存在がソ連側に知られてしまいます。
 やっきになって裏切り者を探し出そうとするKGBの許にそれが誰かを示す手がかりとなる文書がイギリスにあるという情報が
 入ってきます。
 早速それを手にいれようとした彼らでしたが、ひょんなことから文書は何も知らないヒロインの手に渡ります。
 命を狙われたヒロインは危ないところを謎の男に助けられ、以後行動を共にすることになるのですが・・・。

 これは面白かった!驚愕の結末!!「消されかけた男」よかビックリしたよ。
 これぐらい捻りが聞いているのだったらロマンス無しでも構わないと思うね(w これはあるけど。
 爆笑ものの文書の内容も実は伏線だったのかな、と。

 ただね、「逃げるアヒル」でも言ったけど、序盤でヒロインの恋愛観というか性生活というか、それをああも赤裸々にリアルに
 描く必要があるのかな、と。
 これから思いっきりアンリアルな世界に突入しようとしているのだから、そういった描写はいらないでしょう。
 でないと、いざ主役二人が恋仲になったとき読者は容易に信じられなくなるじゃないですか。どうせストックホルムだろ、と。
 冷めた目で見てしまうわけです。

 それと、「悲劇は繰り返さない!」と言っていた主人公が次章でアッサリ翻意してるのには笑かしてもらいました。
838名無しのオプ:03/10/07 22:15
>>833
教師にでもなったつもりか?・・・・・・ ネット上で(w
839名無しのオプ:03/10/08 03:17
>>837
内容からすると、『パンドラ抹殺文書』の感想と考えてよろしいですか?
840読後感:03/10/08 10:51
>>839
あ、タイトル間違ってましたか(汗

訂正します。
「パンドラ抹殺文書」でした。
841名無しのオプ:03/10/08 19:02
エリザベス・フェラーズ『私が見たと蝿は言う』(ポケミス)

ロンドンの安下宿屋・十号館から出て行った筈のナオミ・スミスは、
顔じゅうを傷つけられた無残な死体となって発見された。
凶器の銃が十号館の部屋から見つかり、住人たちは互いを疑心暗鬼の目で見始める。

1945年の作品で、55年にポケミスで出版された本が92年に復刊となったもの。
(仮名遣いも解説も当時のままで、紹介が遅れていて作者についてはよく判らない、と書いてある)
正直犯人と真相にはあまり驚かないけれど、いいですよ。
白黒のクラシック映画の味わいというか。
実際、現在と過去のカットバックとか、
窓が開いてて街頭演説の描写が混ざりこんでくるとことか、
映画的な演出が随所に見られる。
人物描写も上手い。
現在自分と微妙な関係にある男と、別居中の夫がはち合わせるシーンなどは、地味だが感心してしまう。
うんざりして離れたが部分的にはまだ魅力を感じている男、なんて書くのは難しいと思うのに。
何かそんなとこばっかり注目してましたが、事件も面白いですよ。
842841:03/10/08 21:36
>>841
おー、忘れるところだった。
同じ作者の『自殺の殺人』未読の人は避けた方がよろしいでしょう。
「訳されてないがこういう真相のとんでもない作品がある」
ってことで解説でネタバレされてますから。
まあポケミスだし、滅多に見ないとは思いますが、念のためにってことで。
843名無しのオプ:03/10/08 22:23
>>842
明日図書館に行くので、>>841見て、借りてこようかと思ってた。
が、『自殺の殺人』いまだに積読。こっち読んでからにしよう。
thx.
844名無しのブックオフ100:03/10/09 12:32
「真夜中の汽笛」 J・F・コアトムール 角川文庫

元警官のジェフは、製靴会社社長の妹ファビエンヌから
夫エリックの浮気調査を頼まれる。
ジェフはエリックを尾行するため、ポルトガル人労働者のマノエラを雇う。
指定された日、マノエラをエリックの跡を追うが、駅で見失ってしまう。
しかし、エリックのスーツケースは汽車に残されたまま。
果たして数時間後、エリックが線路上で遺体となって見つかり、
自宅ではファビエンヌまでが殺されていた。 犯人は誰か?

読んだ後には忘れないように☆五つで評価し記録しているのですが、
この作品には文句無く☆五つです。 是非読んでもらいたい。復刊して欲しい。
本当に久しぶりに良い作品に出会いました。傑作だと思います。
サスペンスを読んで泣きそうになったのは本当に久しぶりです。

書かれたのは1976年ですが、設定は198×年。つまり近未来小説なんです。
そうしたのは、この作品には特殊な政治的背景が描かれ、
またそこを効果的に利用してます。フランスがファシズム政権下になっており、
政治運動も盛んで、それを抑えるための秘密警察も存在します。
それらに所属する人たちの思惑などが錯綜し、登場人物たちも個性的です。
古本屋で見つけたら、是非手にとって見てください。

845名無しのオプ:03/10/10 00:51
>>835
『101冊の徹夜本』ですな。
確か逆だったと思うよ。
1位『消されかけた男』2位『星を継ぐもの』じゃなかったかな。
846名無しのオプ:03/10/10 19:59
J.G.バラード『殺す』(東京創元社)

土曜の朝、ロンドン郊外の高級住宅地。
大人32人が殺され、子供13人が誘拐されるという前代未聞の惨劇が起こった。
捜査は行き詰まり、迷宮入りになりかけたが、失踪した少女の一人が心神喪失状態で発見される。
果たして事件の恐るべき真相とは・・・

果たしてこれを素直にミステリと呼んでいいものだろうか。
作者はSF作家としてより有名なJ.G.バラード。
60年代、SFニューウェーブ運動の先頭に立って、ジャンルSFの定型をどんどん崩してきた。
はっきり言って本人以外はどこがSFかさっぱりわからん作品を多く書いた、一筋縄ではいかない作家。
だから本人がミステリのつもりでこれを作ったかは疑問なんだけれど。
・・・バカミスかもしれんなぁ。
長編というにはためらわれる短さ(110ページ)なので、これ以上あらすじに何を加えてもネタばれになるのが苦しい。
やっぱり・・・バカミスかもしれんなぁ。
847名無しのオプ:03/10/11 18:20
スタンリー・ハイランド『国会議事堂の死体』(国書刊行会)

ビッグベンの改装工事中、英国国会議事堂の壁の中から一体のミイラが発見される。
100年前のものと思しき死体は後頭部を打ち砕かれていた。
若手議員ブライは委員会を設置し、それが誰の死体であるのかをつきとめようとするが・・・

単なる歴史推理と思いきや、中盤から後半にかけて
まさに本格ミステリ的な怒涛の展開がある。
死体が壁に塗りこめられる日を限定していく下りが一番面白い。
ただ英国の歴史や国会などにある程度免疫がないと、単語や描写がつらいかも・・・
848読後感:03/10/11 19:45
「スカラムーシュ」ラファエル・サバチニ(東京創元社)
 舞台は18世紀後半のフランス。革命の炎が今にも燃え上がろうとしていた時。
 弁護士であった主人公は親友を殺した侯爵に復讐を誓い、それがために革命に深く関わっていく。
 愛と復讐、そして剣戟の火花が飛び交う冒険活劇!
 
 こういうの好きなのよ。三銃士みたいなね。ただアレは長すぎるから読む気がしない。映画でいい。
 本書は一冊だから手軽で(500Pあるけど)いいんだよね。
 「ビロードの悪魔」よりずっと起伏があって面白かった。ロマンスもこっちのがいい。
 
 主人公は最初復讐心と嫉妬という至って個人的な感情から共和派に参加する。
 そして追われる身になってとある劇団に潜り込み脚本家・役者として成功を収める。
 その後そのまま一生を終えるかと思われるような状況になり、読者はオイオイと思うのだが、
 案の定思わぬ落とし穴が待ち受けており、彼は劇団を去る。
 幼馴染との予期せぬ再開によって改めて初志を固めた主人公は再び革命に身を投じ、今度は真に憂国の士となっていく。

 作者は主義思想身分よりも、人間の問題だと言っているんだよね。私はそう思う。
 主人公は貴族にも、平民にも裏切られ失望する。その先に残るのは各々個人の良識そして清潔さだけだった、と。
 主人公自身が身分の知れない孤児という設定になっているのもそれを浮き彫りにするためだと思う。

 ただ、あの驚くべき(そして読者としては大いに脱力すべき)真相はいらなかった・・・。
 まあ、主人公も最後の一線は守ったから、それについては満足してるんだけれども。
 
 しかし主人公はあの後どうなったんだろう。それが気になる。
849読後感:03/10/11 19:45
「蒼い瞳の狼」リンダ・ハワード(二見書房)
 CIAのスパイニエマは、5年ぶりに危険な任務につくことを余儀なくされた。
 しかも彼女のパートナーになった男は5年前彼女の夫が死ぬ原因となった命令を下した男だった・・・。

 これ一般書籍板のロマンススレでリアリティが無さ過ぎると散々叩かれてた作品です。
 パスワードを何度間違えてもデータが消去されない、とか。
 まあでも純粋にエスピオナージュ読みたくて本書を手にとった人はまずいないだろうから(笑)、
 別に構わないんじゃないかなと個人的には思います。
 
 今回はリンダ作品には珍しく、恋敵のような存在が登場します。
 しかし、2人とも心はほぼ定まっているので、私も不愉快になることなくほどよい緊張感を保って読むことが出来ました。
850読後感:03/10/11 19:46
「殺人は容易だ」アガサ・クリスティ(早川書房)
 こないだ読んだ「動く指」と同じく田舎で起こる殺人がテーマです。
 主人公がロンドンへ向う汽車の中で知り合った老婦人は、自分の町で連続殺人事件が起きていると語り、
 次に死ぬのは医者だ、そして自分には犯人の目星がついている、と語ります。
 果たしてその翌日主人公は新聞で老婦人が殺されたことを知り、さらに後日彼女が言っていた医者も死んだことを知ります。
 驚いた主人公は元警官ということもあって独自に捜査に乗り出そうとするのですが・・・。

 クリスティって軽本格なんだね。いわゆる代表作といったいくつかの作品を除いては。
 本書もその路線で、主人公は町中の人に事情を聞いてまわって、帰納的に犯人を突きとめようとする。
 だから読者はある程度斜め読みがきくし、ロマンス部分に注目できると。本当に娯楽なんですね。
 ただ、一つだけちょっと見過ごしがたい手抜きをやってますけども<(メル欄)

 なのでロマンスについて一言。
 この類は好きじゃありません。他には作者違うけどカーの「皇帝のかぎ煙草入れ」とか「緑のカプセルの謎」とか。
851読後感:03/10/11 19:47
クリスティは無理矢理ソフトタッチにしてたけど、不自然だし。

「学校の殺人」ジェームズ・ヒルトン(東京創元社)
 この作品は前から気になっていまして。というのも、いわゆるプロパーでは無い作家が書いたものとしては、
 唯一といっていいほど話題に上ってないからです(笑  そういうの逆に気になる。
 あらすじは、主人公の青年が、母校で起きた不可解な事故死について捜査を求められるわけです。
 その青年はかつてちょっとした盗難事件を解決したことがあったことから白羽の矢がたったわけですが、
 早速現地に到着した青年は校長の庇護の下で捜査を開始しますが、彼は何の手がかりも掴めぬまま、帰省してしまいます。
 ところが、しばらくして第二の事件が起きて・・・。

 まあ、余り言及されてないのも当然かなと。誰かが「類型を脱した傑作」とか言ってるようですが、別にそうとも思えないし。
 本格の出来っていうのは演繹的推理そして論理をいかに展開できるか、で決まると思うんですよね、極端な話。
 これにはそれが余り無いなと。
 それに本作は(メル欄)という許されざる行いをやっているわけですよ。二度も。
 そういう意味じゃ確かに類型を脱しちゃあいますけどね。
 しかもこの主人公がまた頼りない。独力で核心に迫っていながら、最後のツメで自分に都合のいい結論に飛びついてしまう。
 無意識かもしれませんけど、だったら尚更ダメですよ。乱歩のお気に入りの古典に出てくるバカ刑事と同類項ですよ。
 あれほどひどくはありませんけど。

 さて、次はいよいよあの古典本格の傑作に挑もうと思います!
852名無しのオプ:03/10/12 00:34
>>845
「100冊の徹夜本」です。
それと順位は確認しましたが私のであってました。
ちなみに3位は「悪夢の五日間」です。
853845:03/10/12 01:03
>>852
あれ?したら覚え違いやね。
貴方とは嗜好が違うけど、自分もあの本を参考に何冊か読んでる。
(534、581、714、797あたり)
お互い頑張りましょうや。
854名無しのオプ:03/10/12 13:15
「猫とねずみ」クリスチアナ・ブランド ハヤカワポケットミステリ
雑誌「乙女の友」の人気記者「ミス身上相談」ことカティンカ・ジョーンズ、彼女の担当する
身上相談に届いたある投稿はうぶなものでした。
「年上の男に求婚されたが、うけていいものだろうか」と言う内容。
以来投稿者アミスタは、編集部のお気に入りとなり、そしてアミスタは結婚しました。
後にカティンカは故郷むウェールズに休みを利用して旅行します。
そこにはあのアミスタも住んでいるからです。
手紙の通りにアミスタとその求婚者が暮らす館へうきうきと向ったのですが、帰ってきた返事は
「館にはアミスタなどという娘はいない」と言う驚くべきものだったのです。

北村薫が著書のなかで、「とてもこわい」と評した作品です。
言葉どおり謎めいた発端から、前半何とか真相を掴もうと館に乗り込むカティンカが体験する
不条理で奇怪な出来事の数々は、生半可なホラーより怖いです。
しかし後半はがらりと変わって、犯罪を主題としたサスペンスが繰り広げられ、読者を
興奮の渦に巻き込ませてくれます。
ブランド女史お得意の悪意ある展開、意外な真相という本格味、ホラー仕立てのスリラー、
そして甘いロマンス、と至れり尽せりであります。
855名無しのオプ:03/10/14 19:38
デイヴィッド・グターソン『死よ光よ』(講談社文庫)

個人的に講談社の海外文庫は、パトリシア・コーンウェルやグレッグ・アイルズみたいな
スピーディなエンタメ系がメインだという気がする。
その点『死よ光よ』の作風は正反対で、「求めるものと違った」という客もいたのではないか。
末期ガンの心臓外科医が、自然死にみせかけて自殺するため、2匹の犬を連れて狩猟の旅に出る。
しかし予期せぬ事故で死を免れ、旅先で様々な経験をするうち、生への思いを取り戻すという話。
淡々と細かい描写を重ねていく筆力には確かなものを感じる。
ただし主人公の再生の直接のきっかけが何だかよく判らない。
感動系の小説だが「クライマックスで涙だだ漏れ」系の派手な作品ではないので注意。
もちろん全然ミステリではない。
同文庫で出ているのは前作『殺人容疑』繋がりというだけの理由だろう。
856名無しのオプ:03/10/15 21:41
ナイオ・マーシュ『ヴァルカン劇場の夜』(ハヤカワポケミス)

ニュージーランドからイギリスへ出てきた女優志願者マーチンは
飛び込みで入ったヴァルカン劇場で衣装係の仕事を手に入れた。
病気で倒れた女優に代わり、初日に舞台を踏むことになったが、
舞台裏ではある惨劇が進行していた・・・。

アガサ・クリスティー、マージェリー・アリンガムと同時期に活躍した
英国女流作家ナイオ・マーシュの作品。
もともと演劇畑の作者だけあって劇場の舞台裏が生き生きと描かれており、
マーチンを中心に書かれる前半の愛憎劇がよい。
後半に捜査が始まって完全にテイストが変わってしまうのが逆に残念だ。
ミステリ的にはあまり見るものはないが、
「劇場で起こった5年前の事件」が別の短編で独立している趣向が面白い。
マーシュの作品群では、ある話に出てきた人物(チョイ役でも)が、
別の話に登場する「京極方式」が頻繁に行われているらしく、
シリーズもののお遊びに満ちているのだが、邦訳が少ないのが残念だ。
857名無しのオプ:03/10/17 20:07
ジョージ・C・チェスブロ『ボーン・マン』(文春文庫)

巨大な大腿骨を手にしていたため「ボーン」と呼ばれたホームレス。
彼は頭に衝撃を受けて記憶を失っていた。
その頃ニューヨークでは、浮浪者の首を切り落とす謎の連続殺人が横行していたが・・・
はたして自分が犯人なのだろうか?ボーンは真相を探り始める。

91年このミス10位、しかし絶版のうえ以後著作の紹介も途絶えたチェスブロ。
隠れた名作と聞いていたので読みました。
序盤からグイグイ来ます。面白い!実に面白い!
ボーンやズールーなどキャラクターが実に魅力的。
後半はニューヨークの地下に広がる巨大洞窟を舞台にした冒険小説となります。
解説によれば、都会の浮浪者問題に焦点をあて、残酷な現実を描写しているため、
「社会派」だとして敬遠されたそうですが
優れたエンターテイメントが社会性の高いテーマを持つことは別に珍しくないし、
またそれによってこの作品の質が落ちているわけでもありません。
むしろ現代の感覚からすると至極まっとうなバランスです。
(だから不運な作品なのか・・・)
858読後感:03/10/18 01:14
「僧正殺人事件」S・S・ヴァン・ダイン(集英社)
 (読前)
  さあ!さあ!さあ!ついにやって来ました!!これを読む時が!!
  「誰が駒鳥を殺したの?」「私よ。弓と矢で殺したの・・・」
  マザーグースの童謡に見立てて起きる連続殺人。
  緻密に練り上げられた完全犯罪に素人探偵ファイロ・ヴァンスが立ち向かう!
  天才的犯罪者とニヒルな名探偵とのハイレベルな頭脳戦!!
  ヴァン・ダイン12作の頂点にして、童謡殺人の白眉!!
  いやぁ、もうチンポビンビンおっ立ってます!! それでは特攻!!!
 
 (読後)
ふう!読み終わりました。第一声は「うむうむうむ」という所でしょうか。
  ああ、もう言っちゃいます。本格ミステリーの傑作とは思えませんでした。トリックもないし。
  いや、なくてもいいんだけど、何つーかこう・・・奇妙な手がかりとか、ダイイングメッセージとか、
  そういうのも(厳密な意味で)無いって言うのは辛いなぁと。
  でも細かな謎の散りばめ方はやっぱ魅力的だと思うんですよね。クイーンよりも読みやすいし。
  クイーンは一つの謎についてやたらと論理を展開していくじゃないですか。勿論それが悪いわけじゃないけども、
  サクサクっとは読み進めないんですよね。ヴァン・ダインはテンポ良く読める感じなんですよね。
  どうでもいいけど乃木大将の名前が出てきたのには驚いた。日露戦争って世界中が注目してたんですね〜。
  また本作はミステリー史上初の「童謡殺人」ということですけども、くくりがマザーグース全体ということで実に広い。
  だから犯行を予測するのはほぼ不可能に近いんですよね。この辺もちゃんと考えてるなぁと。

  “そして今回何よりの収穫だったのはヴァンスを好きになったこと!いい奴ですよ、彼。控えめだし。思いやりもあるし。
   魅力的な人です”
  と書くつもりだったんですよ、最終章を読むまでは。ところが・・・。
  やってくれちゃいました、ヴァンスさん。つんぼと同じこと。ふぅ・・・。ま、難しい問題です。

  
859前レスの続き:03/10/18 01:15
それでは最後に疑問点・不審点を何点か。
  1、第二の事件時の(メル欄)はグリーン家と同じく結局ただのミスリードだったのか?
  2、午後十一時の消印なんてあり得るのか?
  3、今まで周到に犯行を重ねてきた僧正がなぜ最後に限ってあんなにツメが甘かったのか?
  4、鑑賞で東野圭吾が自分のことを「本格作家だと思われてるが・・・」とか言ってましたけど、
    心配するな。誰もそんなことは思っちゃいない。つか、図に乗るな。
860読後感:03/10/18 01:19
「フレンチ警視最初の事件」F・W・クロフツ(東京創元社)
 いやはや、苦労しました。最初、都内のとある図書館に予約したんですけども、
 何ヶ月待っても返事が来ない。で、こないだ確認に行ったら「記録にございません」って政治家みたいなこと言われちゃって。
 こみ上げてくる怒りを抑えて(嘘)もう一度予約したら、今度は対応が早くて、10日ぐらいで届きました。
 国会からですけども。だから日曜に行って3時間半かけて読みました。

 話はヒロインの友達以上恋人未満の青年が退役して帰ってくるところから始まります。
 その男は美男子で仕事もできるんですが、どうにも手癖が悪く、以前の勤め先あるいは軍隊でも問題を起こしていて、
 今回ヒロインが世話した仕事でもまたぞろ悪い虫が出て、彼女も巻き込んで悪事に身を染めます。
 そして1年程経って彼はビッグになるためさらなる飛翔をするべくある大富豪の秘書になるのですが、
 そこで思わぬ事件が起こり・・・。

 さっきも言った通り一気読みを余儀なくされたんですけど、そこまで苦痛じゃありませんでした。なかなか面白いです。
 事件そのものはストーリーを構成する要素の一つに過ぎなくて、そこに様々な人間の思惑が絡んで
 実に濃厚な仕上がりになっています。
 ただ決着のつけ方がちょっとやっつけな気がするんですけども。
 クロフツってどこか突き放して書いてますよね。
 登場人物の心理描写にしてもそれがその人の本音なのか建前なのか判然としない部分が多々ありますし。
 (ひょっとすると天然なのかも知れないけど)
 それがラストの手抜きっぽいそっけなさにも表れてるなぁと。
861前レスの続き:03/10/18 01:20
で、今回のアリバイトリックですけども、よく出来ていたと思います。
 ただ、フレンチがそれを発見する瞬間が気に入らない。イキナリ閃くんですよ、彼。
 許しがたいことです。凡人探偵の風上にも置けません(笑)。
 で、それから裏付け捜査をして、証拠を見つけるんですが、これは明らかに逆の方が自然でしょう。
 
(追伸)以前読んだ子供向けの紹介本でフレンチのことを「事件に行き詰まったときは妻に助言を求める愛妻家」
    だというふうに書いてあったけど、今まで読んだ作品ではそんなシーン一度も出てきてない・・・。
    つーか奥さんの存在すら定かではない。本当にそんなシーンあるのか!?
862名無しのオプ:03/10/18 01:21
>>859
君の疑問点のうち、少なくともふたつは山田正紀の「僧正の積木唄」を
読めば解消すると思うよ
863読後感:03/10/18 01:22
「ミステリー・ウィーク」ヘザー・グレアム(ハーレクイン)
 妻の怪死から3年。男はふたたび「あの時」のメンバーを招待する。
 かくしてスコットランドの古城を舞台に売れっ子ミステリー作家達による推理ゲーム“ミステリー・ウィーク”が幕を開けた。
 しかしその背後に潜む悪意に気づいたものは誰もいなかった・・・。

 本書はロマサス(ロマンティック・サスペンスの略)ばかりを集めたMIRA文庫所収の作品で、
 >>729氏から推薦していただいていましたが漸く読むことが出来ました。
 映画「シーラ号の謎」やアイリッシュの「晩餐後の物語」を彷彿とさせる裏表紙のあらすじには本格ミステリーの風味が滲み出ており、
 大いに読書欲をそそられます。がしかし!
 >>729氏も言っておられる通り、見事に肩透かしを食わされました。
 やっぱハーレクイン(=サスペンスは単なるツール)なんだなと痛いほど実感しました。
 
 言いたいことは多々あれど、まず事件がなかなか起きない!
 思わせぶりな描写はこれでもかってほど繰り返すくせに全部尻切れ蜻蛉で終わらせてる。
 んで、後半になってやっと1人死んだかと思いきや、
 こんだけミステリー作家が集まってるのに誰一人事件を論理的に分析しようとしない。
 それどころかみんなで笑いながら雪合戦なんかやってやがるわけですよ。もうね、アフォかと。バカかと。
 そしてまたなんの捻りもないダイイングメッセージが萎える。
 第一、それによって伝えようとした情報の内容がおかしいよ。
 犯人の名前とかでしょ、普通。それを死体の場所だなんて・・・。
 ヒロインの電話を聴いてたのは誰かも解明されないままだし。
 (メル欄)って時点で犯人わかるし。もう穴だらけ。というか大きな穴の中の離れ小島みたいな感じ。
864前レスの続き:03/10/18 01:22
ロマンス部分について言うと、ヒロインはアホかと。お前昔の男が気になって招待を受けたんだったら、
 そいつの前でこれ見よがしに元旦那とイチャつくなよ!
 しかも別に駆け引きとかじゃなくて天然でやってるわけですよ。だから始末が悪い。ガキじゃないんだから。

 追伸:>>727氏から薦めていただいた「ブラザーズ」もちゃんと読む予定ですので。
    忘れているわけではありませんよ(笑)。
865読後感:03/10/18 01:23
「ライノクス殺人事件」フィリップ・マクドナルド(六興出版)
 ライノクス(無限責任会社)の社長が自宅の書斎でピストルに頭を撃ち抜かれているのが発見された。
 その夜は執事も家政婦もメイドもみな出払っており、家にいたのは彼と、
 銃声を聞いた警官が踏み込んだ時には既に消えていた謎の客人だけだった・・・。

 最初にエピローグが来て、最後に事件の発端が明かされるという作りになっている作品。
 まあ、最後に発端(≒真相)が明らかになるのは当たり前ですが。
 読むまでずっと、メメントみたいな感じなのかなぁ、だったら嫌だなぁ、とか思ってたんですが
 別にそう凝った作りでもなく、最初に来るのもあくまでエピローグであって「結末」ではありません。
 前にも散々言ってますけど私は時制をいじくってる話があまり好きじゃないので、却ってよかったです。

 主人公とヒロインが協力して脅迫者を出し抜く件が爽快でした。
 事件のトリックもよかったですけど、(メル欄)でバレるんじゃないかな。 
866読後感:03/10/18 01:23
「禁じられた黄金」エリザベス・ローウェル(ソニー・マガジンズ) 
 ラスヴェガス一の巨大カジノを経営している主人公は、来る展覧会のため、
 黄金担当学芸員に目玉となるべき工芸品を探させていた。
 しかし、商売敵の妨害もあって思うようにものが集まらない。
 焦る主人公たちの前にある日、思わぬ「お宝」が転がり込むのだが・・・。

 なかなか読み応えがあった。作者はちゃんと準備して書いてると思った。
 ロマンティック・サスペンスなんだけど、今まで読んだリンダ・ハワードのどの作品より完成度が高い。
 ちゃんとロマとサスが融合できてる。見事。
 呪われた黄金。それで大儲けしようとする小悪党ども。それを手に入れようとする主人公。
 主人公を罠にはめて一気に追い落とそうと企む商売敵の面々。
 登場人物たちの愛憎渦巻く関係と思惑が絡み合い、立派な娯楽小説に仕上がっていると思った。
 
 だから、事件の直後ジョーイの店の近くでサイレンが聞えてたはずなのに、パトカーが来たのは何時間も後だった、
 なんて些細なことは全く気にならない(笑
867名無しのオプ:03/10/18 08:17
「火炙り」ジョン・ラッツ(早川書房)

大御所ジョン・ラッツの最新作。マンハッタンに突如出現した連続人間放火魔を
追うNY市警の刑事たちの活躍を描いた物語。

テロの後のNYが舞台で、高層ビルが燃えまくるという、ちょっと罰当たりな展開です。
しかも、人がガソリンにひたされ燃やされる過程がじっくりと描写されていて、鳥肌
ものでした。非常に怖い。私はホラー・サスペンスは苦手ですが、好きな人にはたまら
ないもかも。

あと、主人公の女刑事リカはさばさばしていて、非常に好感が持てます。下ネタも平気
で飛ばす大人の女です。いらいらしている真面目な男の相棒に「フェラチオしてあげたら
すっきりするかしら?」などとのたまう、ナイス・キャラでした。



868名無しのオプ:03/10/20 00:33
ジェリー・ユルスマン『エリアンダーMの犯罪』(文春文庫)

『ボーン・マン』に続けて絶版文春文庫を読んだがこれがまた面白い!!
ヒロインのレスリーが急死した父の遺品を受け取る。
その中には、架空の描写とはとても思えない迫真のドキュメントが・・・
本当はストーリーの概略を知らずに読んだ方がいっそう楽しめるのですが
このタイトルだけで手に取って読むことはまずないでしょう。
実のところこの仕掛けが本作の売りであるので
その架空の歴史本のタイトルをメール欄に書いときます。
(アイデアが割れても構成が上手いので
良さが損なわれることはほぼないのですが、まあ念のために)
いやーそれにしても面白かった!一気読みでした。
こういう経験は年に何冊もないのでありがたいですねー。

それにしても、濡れ場が妙に多いのは何故だろう。
12歳の双子娼婦とか、露出狂の醍醐味を描写したシーンまであるし。
作者の趣味か??

一回ageておきます。
869一抹の不安:03/10/20 05:19
ダグラス・ケネディ「仕事くれ!」(新潮文庫)
仕事くれと言うくらいだから、失業者の話だと
思って読んで言ったら・・・・
色々な事件に巻き込まれて大変だね〜ってことに
なってゆく・・・
途中、郊外で年収20万ドルの仕事にありつくチャンスが
来るが、何故主人公がこの誘いを蹴るのかイマイチ解らん。
まあ、はちゃめちゃに転落してゆくのだが、
戸梶よりは、ストーリーテリングが上回って
いることは確か。
次は評価の高かったデビュー作「ビッグピクチャー」でも
読むとするか・・・
870読後感:03/10/20 15:39
「ただ一度の挑戦」パトリック・ルエル(早川書房)
 誘拐事件発生!! 不安でたまらない未亡人の母親から事情聴取したシセロ警部は早速捜査を開始するのだが、
 そこから判った事柄は母親の証言と微妙に食い違っていた。警部が訝しく思い始めた矢先、
 彼の許に母親が失踪したとの知らせが届く。果たして彼女は事件にどう関わっているのか? 
 彼の前に徐々に浮かび上がって来た事件の構図は、彼の古傷をふたたび疼かせるものだった・・・。

 あらすじを見た限りでは、「逃げるアヒル」っぽい話だという印象だったんですが、どっこいそう簡単ではない。
 読み応えありましたよ、こっちの方がずっとね。
 まず主人公とヒロインがべったり行動を共にするというわけではないということ。
 それぞれが別個に行動して、そして間接的にお互いのことを知っていく。
 そしてやがて一緒に敵に立ち向かうという風に、出来る限りリアリズムを出しているんです。
 勿論、事件も単純な誘拐事件ではなく、様々な思惑が交錯しているわけです。
 作者(レジナルド・ヒルの別名義だそうですが)はしっかりと書いているなと感じました。
 要所要所で主人公が引用する「伯父さんの格言」がいい味出してます。僕もあんな親戚が欲しいなぁ(笑。

 ただ、僕の極めて矮小な倫理観に照らし合わせると、ヒロインの人格はギリギリセーフ「かな」といったところでした。
 これは偏に僕が経験不足の若輩者だからでしょうけれど。
871読後感:03/10/20 15:40
「悪夢の五日間」フレドリック・ブラウン(東京創元社)
 誘拐事件発生!! ある夜主人公が帰宅すると、喧嘩別れしたままになっている妻が消え、代わりに脅迫状が残されていた。
 驚愕した主人公は犯人の要求に粗漏無く応えるべく必死の金策を開始します。期限は五日間。
 主人公は警察に知られないように最低限の人たちにわけを話し、何とか身代金を揃える見通しがついたのですが・・・。

 既述の「100冊の徹夜本」からのチョイスです。「結末の驚き度」第3位の作品だそうです。
 それを見なかったら読もうとは思わなかったかも。少なくとも今の時点では。
 でも、それを見てしまったせいで最初っからあれこれ疑ってかかっちゃって。
 勝手に結末を決め付けて鬱に入ったりしてました。何しろブラウンの長編は初めてだったので作風もようわからんし。
 とにかくああはなるなああはなるな(=メル欄)と思って読んだんですけど、作者のが一枚上手でした。こう来るとは。
 ラストには満足してます。はい。

 でも、どうして犯人はあんなに早く真相をばらしたりしたんだろう? 黙ってりゃ時間稼げるのに。
872名無しのオプ:03/10/20 20:29
アントニイ・ギルバート『薪小屋の秘密』(国書刊行会)

「年配の女性との交際求む」という三行広告に手紙を書いたアガサは
若きエドマンドと念願の結婚を遂げるが、
幽霊が出るというその家の薪小屋にて、夫の知られざる秘密を目の当たりにする。

いわゆる「青髭」ものの物語。
サスペンスフルな前半が、あっと驚くひねりの後でリドル・ストーリーへと転回する。
筆運びは非常に上手いのだが、前半でハッキリ描写している部分が、後半の展開にそぐわないところがある。
ラストも小粒で物足りない。面白いだけに残念。

個人的にさらにびっくりしたのは、

・作者が実は女であること(道理で女の嫉妬を書くのが上手い)
・「たきぎごやのひみつ」ではなく「まきごやのひみつ」であること

後者は奥付に到達してから気づいた。
本編読了後にそんなオチがつかんでも。
873名無しのオプ:03/10/22 18:25
スティーヴン・グリーンリーフ「匿名原稿」
ベストセラー間違いなしの投稿小説は、どうやら実際の冤罪事件を描いているらしい?
ということで、知性派探偵ジョン・タナーが作者を追い求める。
解説ではプロットの妙が強調されているが、意外な真相が腑におちない。
なぜ作者はわざわざそんなことをしなければならなかったのか?
自分はそれよりも文体の魅力で読ませる作品だと感じた。
ロス・マクドナルドの亜流と言われているらしいが
似ているといえば似ているかなという程度の印象。
タナーはアーチャーの重厚さを欠く代わりに愛嬌とユーモアのセンスを持っていると思う。
文学とハードボイルドが好きならおすすめ。
このミス93年度第3位。
874読後感:03/10/23 22:46
「悪魔とベン・フランクリン」シオドア・マシスン(早川書房)
 新聞記者のベンジャミン・フランクリンは、地元の有力者の傲慢な態度を批判する内容の社説を書いた。
 それを知った有力者は激怒し、ベンに悪魔の呪いが降りかかると不気味な予言を口にした。
 そして今まで彼に呪われた者はことごとく謎の死を遂げていたのだ!
 果たしてベンの周りでも奇怪な殺人事件や失踪事件が相次ぎ、仲間たちも彼から去っていく。
 このまま呪いに潰されてしまうのかと思いきや、事件は意外な展開を見せる・・・。

 作者は「名探偵群像」の人ですね。歴史上の人物を主人公にするのが好きみたい。
 本書は最近ハヤカワから復刊されまして、評判もそう悪くは無いようです。
 私も、次々に変転していくストーリーに引き込まれて、なかなか楽しめました。
 市長や地主、その他民衆の判断がどうしても片手落ちに感じられましたが、これは展開上しょうがないでしょうね。
 終盤仲間たちがそれぞれしこりを抱えながらも続々と集ってくる件は胸のすく思いがしました。
 ただ、ミステリーとして見た場合致命的に評価を下げざるを得ない点があります。
 それは(メル欄)という点です。これはやっちゃダメでしょう。
 ちなみにカーの「プレーグ・コートの殺人」も同じ禁忌を犯しています。
 
 それを除けば後は、
 1、ジョサイアの部屋にいた女のことが不鮮明なまま
 2、犯行後1週間も兇器に匂いが残っているのか
 3、(メル欄2)・(メル欄3)はちょっと・・・。アンフェアとは言えないけどなんかなぁ
875読後感:03/10/23 22:46
「ダーブレイの秘密」オースティン・フリーマン(早川書房)
 「私」が研究のため、森の中をを歩いていると、何かを探している様子の若い女に出会った。
 その類まれな美しさに目を引かれつつ通り過ぎた「私」は、それからほどなくして沼地に沈んだ死体を発見する・・・。

 フリーマンの長編を読むのは「赤い拇指紋」に続いて2作目です。
 1926年の作品だそうで、既に黄金期の只中なんですね。
 フリーマンはこの後も30年代後半まで執筆を続けるわけですから、
 黎明期から黄金期にかけて活躍した希少な作家ということになります。
 この作品も決して出来が悪いわけではないのですが、新時代への脱皮が出来ていないなという印象を受けました。
 特にフーダニットの点で。それにソーンダイクの持ち味であった顕微鏡を使った調査も行われませんし。
 総じて弱いですね。ただ、後ろが見えるメガネは面白いなと思いました。
 またフリーマンはロマンスも大事にしている人なんですよね。
 「赤い拇指紋」や「落ちぶれた紳士のロマンス」などからわかるように(特に前者はベストテン級に気に入ってます)。
 今回は仄めかすぐらいで止めてますけどそれもまた良きかな。
876実はメ欄も似ている:03/10/24 23:35
デイヴ・ペノー『全署緊急手配』(ハヤカワミステリ文庫)

郡検事局特別捜査官ホイット・ピンチョンシリーズ第一弾。
あらすじで「新警察小説」と紹介してあるがこれは意味深で
作者は87分署シリーズ第一作『警官嫌い』を念頭に置いていただろう。
『警官嫌い』は刑事が立て続けに殺されていくが
この作品で付けねらわれるのは警官の妻たち。
作中で「ピンチョンが「警官嫌い」じゃなければな」というセリフもあり。
(原書で"Cop Hater"になってるかは判らんけど)

ただし作品自体は、コーンウェル『検屍官』系列のB級サイコサスペンスで
残念ながらエド・マクベインの貫禄には遠く及ばない。
描写は無駄に残虐。キャラづけは大味。プロットは勢いまかせ。
とりあえずページをどんどんめくらせていくだけの力はあるので
過度の期待をかけなければそこそこ楽しい。
877名無しのオプ:03/10/25 01:45
>>876
へー。あれってそういう話なんですか。郷原宏訳に不安を感じてw
日和って読む気なくしていたんだけど。
時間つぶし必要なときに読んでみようかな。
感想、ありがと。
878名無しのオプ:03/10/25 12:14
>>439
私も昨日読みました。

アキフ・ピリンチ『猫たちの聖夜』(ハヤカワ文庫NV)

ナチスや昨今の民族紛争を思い起こす寓話的作品と感じました。
表紙や設定からすっかりコージーものと思い込んで読み始めたもので
最初はとまどいましたが、とても読み応えがあり、私は面白かったです。
前回読んだコアトムールの「真夜中の汽笛」の良さに浸りつつ、
同作家の「引き裂かれた夜」を読む。

ロージェルが別れた妻のもとに子供を渡したあと、二人が殺されてしまった。
妻が生きていた時に彼に出して欲しいと頼んだ一通の手紙。
妻が新聞紙上で担当していた人生相談と、その手紙の宛名キャロルが結びついた時
重要な手掛りとなる人物が一人、また一人・・・

男一人が地道に捜査をし、権力に向かわなければならなくなっていく様は
ハードボイルド・タッチと言って良いと思います。
読み応えはありますが、犯人が分かり易いために少し長すぎるかとも思います。
前回よりも感動する点は少ないです。
前回のが☆五つでしたので、同じように評価すると、☆3つくらいですね。

この作者にはもう一つ邦訳が出ています。「血塗られた夜」。
J・F・コアトムール 「血塗られた夜」 角川文庫

単刀直入に感想を書きますと、これは面白くありませんでした。
慣れてきた作家がうだうだと無駄な事まで書き足して
サスペンス色が希薄になり、文学に近づこうとする
悪い流れがここにあると思います。

冒頭に事件は起きますが、後々まで引っ張れるほどの事件ではありません。
結局この作家の目はサスペンスの盛上げに向いているのではなく、
一市民が権力に押しつぶされていく様を描きたいのでしょう。
つまらない展開の上に、この作品が一番長いときてます。
読み終わるのはちょっと辛かったです。残念ながら☆1つです。

ということで、少し軽い物を読みたかったので、
ロバート・L・フィッシュ 「密輸人ケックの華麗の手口」 ハヤカワ

短編集で、200ページ程度の中に7本が入っています。
どれもケック・ハウゲンスが密輸品を持って如何に税関を通り抜けるか
が主題で、最後にはちょっとしたひねりというかオチをつけてあります。
それほど吃驚するような運びの手口は出てきませんので、
(書かれた時代が少し古いので、その点も関係ある)
むしろ、オチの方を楽しめました。軽い物を読みたい方にはお薦めできます。
881エロ語感:03/10/30 20:02
「ハニー誘拐事件を追う」G・G・フィックリング
 (´Д`;)ハァハァ・・・久しぶりの登場でのっけからイキそう・・・。
 今回ハニーは生まれたての赤ん坊の誘拐事件に巻き込まれるんですけども、
 物語の開始早々、部屋に押し入られて、服を脱げ! と命令されます(w
 しかしいいなりになるハニーではなく、のらりくらりと交わそうと試みるのですが・・・やっぱり脱がされます(w
 このアトもシャワー中に侵入されて素っ裸で暴漢に立ち向かうなど(裏山・・・)、
 魅せてくれます(ドラマじゃ映像化されてるのだろうか?)。以下、俺的ツボより抜粋(w

 「おねえちゃん、なに飲む?」
 さがり鼻にそばかすのほうは、わたしの背筋の下のほうに手ひとつの位置にあり、いけないことをはじめようとしている。
 「売ってる毒ならなんでも」おしよせる波をくいとめながら、わたしはこたえた。だが、手は多すぎて、
 とてもはらえきれない。「マーティーニにしようかしら」
 「おいでなすった!」
 おいでなすったのはそれだけではなかった。一本の手がわたしの脇腹をはいおり、《約束の地》をもとめはじめた。

 ・・・(´Д`;)ハァハァ  ハニータンの、や、約束の地!!!!!!
    激しく見たい嗅ぎたい触りたい!!!舐(ry)

 
882続き:03/10/30 20:02
わたしはいちかばちかを決めることにした。そばかすにしがみつくなり、その幅の広い口にわたしの唇をおしあてた。
 相手は腰かけからころげ落ちそうになってから、はたらきのにぶくなったその頭に、やっと驚きがつたわった。
 男の手がわたしの顔にのびると、わたしは右手で相手の頭をかきいだき、保安官補のほうからなにも見えないように
 かくした。そして、この策略に全身全霊をそそいだ。
 ところが、そそぎすぎたらしく、おわるとカウンターのまわりの客が、割れるような拍手をあびせた。
 (中略)さいわいわたしの愛の表現は、そばかすとその連れに、このまま分かれるには未練をおこさせた。
 クルーカットが保安官補にくってかかりかけたが、わたしの口紅をつけ、脳みそより手のほうが多いわたしの恋人
 にわきへおしやられた。

 ・・・(´Д`;)ハァハァ  畜生!!そばかすはうらやましすぎる!!!! 官憲の目をくぐりぬけるためとはいえ、
    われらがハニータンに唇を奪われるなんて男冥利に尽きるぞ!!俺なら死んでもいい!!!
    そそぎすぎたって一体どれだけエロいキスだったんだろう・・・
    だからハニータン!オイラにもそそぎすぎて〜!!!お願い!! ハァハァ ハァハァ ハァハァ

 この他にもペッティングシーンがあります。ハァハァ。

 閑話休題。ここでちょっと普通に戻りますけど、相変わらずプロットは考えられてるなという印象。
 しかし、やたらと複雑にしてやろうという狙いがミエミエでやや読みにくい。
 誘拐事件とハニーとの結びつけ方が強引。
883読後感:03/10/30 20:03
「ヴァチカンからの暗殺者」A・J・クィネル
 法王の訪韓を控えたヴァチカンに不穏な情報が伝わってくる。KGBが法王の暗殺を計画しているというのだ。
 先だって起こった暗殺未遂事件もKGBの差し金だったことがわかり、法王の側近たちは何とか防護策を講じようと
 法王に無断で密会する。そして出た結論――それは、書記長アンドロポフの暗殺だった。
 アンドロポフに私怨を持つ亡命者の若者に白羽の矢が立てられ、彼は妻を装った美人修道女と長く辛い旅へ出ることになる・・・。

 面白かったです。なんか最近誉めてばっかだな(w でもしょうがない、本当のことだから。
 本当にあるのか知らないけどテロリストの養成キャンプとかも面白かった。そこでは主義思想は関係ない、という。
 偽装夫婦二人のギクシャクした関係も良い。殊にベッドでの小競り合いには笑わせてもらった。
 そして当然のごとく惹かれあうのだが、この時ヒロインはなんだかんだと誤魔化していたが、
 やっぱり経験ゼロ&ストックホルムなんだろうな(w ま、いいけど。
 思わぬエロ描写なんかもあったのには意外だった。
 あと、口臭医師がなんとも哀れだった。
 
 あ、もちろん冒険小説なので(w タルいラブサスペンスというわけじゃないよ。
884読後感:03/10/30 20:03
「死体と一緒にヴァケーション」ギリアン・ロバーツ
 シリーズ5作目。待ちに待った夏休みに友達のサシャとともに海辺のホテルにやってきたアマンダ。
 色々な悩みを忘れて楽しい旅行になるはずが、ちょっと別行動した隙にサシャが殺人の容疑で逮捕されてしまいます!
 義に厚いわれらがアマンダ姐さんのことですから当然一肌脱がずにはいられません。
 別件で当地に来ていたマッケンジーとともに行動を開始するのですが・・・。

 相変わらず好きです、このシリーズ。質を落とさずに書きつづけている作者に感服します。
 今回はメインの事件のほかに深刻な社会問題なども絡んで考えさせられる作りになっています。
 また作者特有の毒の混じった言い回しも随所に見られて失笑を誘います(笑 
 また作中にはアーチー・グッドウィンやネロ・ウルフ、更にはハリエット・ヴェインなんて名前も出てきて思わずニヤリ
 とさせられました。

 そして本シリーズを通しての見所である、二人の関係ですが、今回その煮え切らない関係にちょっとした転機が訪れます。
 いい加減限界に来ているアマンダが暴発し、それにC・Kが思わぬ反応を・・・。

 といってもこの作者のことだから次作じゃあっさりリセットされてそうな気もしますが(笑
885名無しのオプ:03/11/02 17:28
ねえ、洋モノ好きな人同士でオフ会てかしない?
自分東京なんだけど。
886名無しのオプ:03/11/02 21:47
>>855
ここだとスレ違いだし、
けどオフ会スレだと嗜好がずれるだろうし。
サイトか掲示板を借りて貰って、
ここで感想ついでに(←重要)簡単に宣伝し
気長に参加表明者を待たれてみるのがいいのでは。
そういう私は福岡市在住ですが。
887読後感:03/11/04 17:51
「疑惑の海」ジョージ・フォイ
 主人公は元銀行員。娘を事故で亡くしてからはドロップアウトして船長をしている。
 妻とは娘のことがあって以来別居中。鬱積した悩みを押し殺しながら日々を送っている。
 そんなある日、彼の船が事故を起こして沈没してしまう。乗組員1名を喪った彼は、
 速やかに保険会社に連絡するが、保険金の支払いを拒否されてしまう。
 このことには何か裏があるに違いない。そう睨んだ主人公は知り合いの記者に調査を頼むが・・・。
 
 600ページ以上もあって、普段なら「もうちょいまとめろやゴルァ!」となるところだが、
 これは中々読みやすく、あまり長さを感じなかった。事実1日で読殺した。
 あらすじから想像するに、もうちょっとドロドロしてるかなと思ったのだが、
 意外にも乾いた感じでよかった。ただ、気になった点もまさにここで、主人公と奥さんの関係が“?”。
 マンネリにならないように変化をつけたのかもしれないが、これでは矛盾していると思う。
 それを除けば、保険会社の悪巧みや、ウォール街を揺るがしかねない裏情報、そして巧妙な伏線など、
 まあまあ楽しめた(※こういう場合は全て相対評価ですので)。
888名無しのオプ:03/11/07 09:34
889名無しのオプ:03/11/08 10:21
マイク・レズニック『第二の接触』(ハヤカワSF文庫)

船の中で突然部下の二人を射殺した宇宙軍艦長。
ベッカー少佐は法廷で彼の弁護を担当することになったが、
艦長は精神錯乱ではなく、無罪を主張する。
「実は彼らは異星人だったから殺人ではない」という理由で。
ベッカーは半信半疑で調査を始めるのだが・・・

「精神錯乱で無罪」路線で協議をはかるものの、
肝心の被告がそうではないと主張してやまない。
裁判に勝つには「彼らが宇宙人だった」と証明するしかない。
序盤の印象では裁判劇のようだが、内容は謀略スリラー小説の態で、
理由もわからずベッカーは黒人女性ハッカーと逃げ回る羽目になる。
その点、『イリーガル・エイリアン』を連想していると肩透かしを食らう。
一方で(実は)SF色も薄い。
設定の根本に宇宙時代(2062年)を必要としているにもかかわらず、
未来世界の描写には乏しく、現代と余り変わらないと言っていい。
これは、主人公が逃げ回るサスペンスを殺さないための配慮と思われる。
作者はひたすらエンターテイメントに徹して
強力な謎でリードしたまま読者をラストまで引っ張っていく。
なぜベッカーは追われなければならないのか、
なぜタイトルが「セカンド・コンタクト」なのか、
その理由はすっきりと明かされる。
密度の濃い名作を読んだような満足感はないけれど
スピーディでテンポのいいエンターテイメントを読みたい人には
お勧めできる作品。
890名無しのオプ:03/11/08 10:53
ジョン・ボール『夜の熱気の中で』(ハヤカワミステリ文庫)

南部の田舎町ウェルズにて、訪問中のクラシック指揮者が路上で撲殺されるという事件が起こった。
たまたま同地を訪れていたカリフォルニアの名刑事ヴァージル・ティッブスは、
市の有力者に要請されて、特別に捜査を担当することになる。
だが彼は黒人で、周囲の反応は冷たかった・・・。

子供向けの名探偵紹介本で知った名刑事ヴァージル・ティッブス。
「差別に負けない激しい気性の持ち主」のような書かれ方をしていたのだが
極めて理性的な人物で、実に魅力的だ。
本作は警察小説でありながら、同時に古典的な探偵小説でもある。
読者は彼の出した結論や、捜査過程を先に知らされて
ヴァージルの推理の根拠は後述されるようになっている。
その点ヴァージルを「黒いホームズ」と表現しているのは何の誇張でもない。
そういう捜査劇のしっかりした骨子に、一人の黒人が、
人柄と実力で周囲の尊敬を勝ち取っていく様子が描かれ
すばらしいラストシーンに繋がる。
しかも本編はわずか250ページにも満たないのである。
この作品はMWA最優秀新人賞、CWA賞を受賞し
『夜の大走査線』というタイトルで映画化(原題は同じ)、
アカデミー5部門を受賞して高い評価を得た。
ヴァージルを演じたのは名優シドニー・ポワチエ。
前述の名探偵本によれば、
警察署(原作の通りならパサディナ署?)には
「ヴァージル・ティッブス」という名札が実際にかかっているという。

「お前は白人じゃないが、腕は立つらしいな」
「教えてくれた人のおかげですよ。タカハシという名前ですが、彼も白人じゃありません」
(本書175P)
891890:03/11/08 11:02
すいません。訂正です。
『夜の大走査線』→『夜の大捜査線』
892名無しのオプ:03/11/08 15:00
どうせ誰も読んでないから訂正しなくていいよ。
もっと短くまとめや。
893名無しのオプ:03/11/09 02:50
>>892
そんなこと言うなよ…
894名無しのオプ:03/11/09 12:56
『ガストン・ルルーの恐怖夜話』

作者の怪奇短編集。
ジャンル的にはホラーでしょうけど、
ミステリーとしてたまに名前が出る
『胸像たちの晩餐』が入っているので。
障害者差別で今じゃ絶対かけない話ですねーこれは。
この作品に限らず、こちらの予期するオチからさらに半ひねりくらいしてるのは
やっぱりミステリ作家だなって感じです。
それにしても、会席で一人が怪奇体験を話すという枠組みの作品ばかりで
立て続けに読むと変化に乏しくて飽きてきちゃいます。
300ページもない薄い本なんですけれど。
895読後感:03/11/09 18:38
「まだ死んでいる」ロナルド・ノックス(早川書房)
 おい、ロニー! ホントに大丈夫なんだろうな? 
 こないだお前の書いた「陸橋殺人事件」とかいうの読んだけどこれ以上ないクソ探小だったぞ。
 なに? 今度は自信あるって? んーイマイチ信用できないんだよなぁ。
 おい、よせ! わかった! わかったからドビーみたいな顔近づけるな!
 ・・・よしじゃあ読むけど、これでつまんなかったらお前プロテスタントに改宗させるからな!

 とある田舎町で起こった奇妙な事件。なんと道端に転がっていた死体が消えたというのである。
 発見者が知らせに行っている間に忽然と消えうせたというのだ! 
 初めは誰も発見者の言うことを信じなかったが、二日後、同じ場所に死体が現われた・・・。

 ほうほう。ナカナカいいつかみじゃねーか。羊頭狗肉じゃないことを祈るよ。
 で、読殺と。・・・お前ホントこういうの好きだな。いや、慌てるなよ。悪いとは言ってない。
 実際「陸橋」よかずっとマシだったよ、うん。ただ、なんつーか、読みにくい、というわけじゃないんだけど、
 続かないんだよなぁ、集中力イコール読書意欲が。オレこれ読殺するまでに3冊併読しちゃったもん。
 訳が古いせいかな? うーん・・・。
 お前はロジックだとかユーモアとやらに走りすぎてエンタメ性を軽視してるきらいがあるな。
 いや、だから生気の無い顔近づけるなって! 怖いから! 
 確かにプロットは手が込んでて良いと思うよ、ホント。ホントだって! ただ、楽しくないんだよな、悪いけど。
 ・・・ちょ、ちょっと! 泣くなよ、おい! 泣くなって!
 いやだってさぁ、(メル欄)はオレ基本的に好きじゃないんだよ。受け手側が勝手に勘違いする分には構わないんだけど、
 故意となるとね・・・。指紋取るためにちょっとやるぐらいならいいんだが。
 あと(メル欄2)があんなことやる理由も不可解だし。
 お前がフェアにやってるのは認めるけどさ。もうちょいこう、ロマンスを絡めるとか。バケモンの存在を匂わすとか。
 そういうの頼むよ。 
896読後感:03/11/09 18:40
「裁くのは誰か?」ビル・プロンジーニ&バリー・N・マルツバーグ
 アメリカ合衆国大統領オーガスティンは選挙を間近に控え、党の信任を得られないという大ピンチを迎えていた。
 彼の側近達もほとんどが諦めモードに入っており、彼を陰に日向に支援してくれた愛妻クレアまでもが、
 彼に引退を勧める。孤立無援の中で、真に彼の味方と言えるのはシークレットサービスのジャスティスと、
 〜担当の×××(忘れた)だけだった。

 何やらすごいトリックが使ってあるそうで、例によってわくわくして読んだんですが、
 最初の殺人の時の会話で「まさか・・・」と思い、次に(メル欄)を見て「間ぁ違いない!」
 と確信しました。
 しかしその後で、「あ、でも(メル欄2)」と思い、当確マークを取り消しました。
 ん〜もうちょっと突っ込んでたら・・・でもわからんかったろうな。
 結末読んで呆然。こりゃアンフェアにもほどがある!!
 わかるわきゃねえ!! 特に(メル欄3)なんて酷すぎる!! 
 つーことは手がかりとして全幅の信頼を置けないじゃないか!! プンスカ!!
 と思ったら今書いてて気づいた。(メル欄4)なんだ! でもアンフェア・・・。
 「赤い右手」レベルの噴飯モノだよ全く。 
897読後感:03/11/09 18:41
「ささやく水」ジェイン・アン・クレンツ(二見書房)
 若干29歳にしてデパート会社の社長として第一線で活躍していたチャリティ。
 しかし彼女はそんな生活に絶えられなくなり、合併相手の社長との婚約も一方的に破棄して、
 逃亡してしまう。
 そして避難した海辺の町で小さな書店を開いた彼女だったが、ある時そこへ1人の男がやってくる。
 彼もまた事情を抱えて一線から身を退いのだった。
 親交を深めていく2人だったが、町に留まっていたカルト教団の女教祖が殺されるという事件が持ち上がり
 2人はその渦中へと巻き込まれていく・・・。

 この人「エメラルドグリーンの誘惑」書いた人だっけ? 
 あれはよかったんだけど、これはどうもイマイチだな〜。なんかすぐくっついて面白くない。
 別に三角関係作れとか言ってるわけじゃないよ。それはそれでウザイし。
 ただ、もうちょっと意地の張り合いを見せてくれ、と(w 
 殺人も起きるけど犯人はすぐ見当つくし・・・。
 でも、作中に頻繁に出てくる水を使った例えや格言はちょっと面白かった。 
898名無しのオプ:03/11/10 00:34
読んでるよう、『夜の大捜査線』。
>>892とか言われるとなあ。いい話だよ。おすすめだよ。
899898:03/11/10 00:36
禿しくボケ。タイトルコピペミス。
『夜の大捜査線』じゃなくて、『夜の熱気の中で』。スマソ。
900名無しのオプ:03/11/10 19:47
ジョン・ハットン『偶然の犯罪』

ヒッチハイクの娘が何者かに殺されるという事件があった。
主人公の教師コンラッドは、娘を車に乗せたが、自分になびかないので山中に置き去りにした。
どうやらその後で殺されたらしい。
コンラッドはトラブルを避けようとして警察に嘘をつくが、どんどん深みにはまっていき・・・
という話。
小市民で臆病、プライドが高く打算的、自己中心的な主人公。
コンラッドが嫌なやつ、というのは『ミステリ・ベスト201』で紹介されている通り。
そして、その嫌な主人公と自分に多くの共通点があり、
うんざりさせられるというのも『ミステリ・ベスト201』の通り。
ゲーーー!
1984年ゴールド・ダガー賞受賞作。
901読後感:03/11/16 20:44
「美の秘密」ジョセフィン・テイ(早川書房)
 イギリスのとある地方に一人のアメリカ人青年がやってくる。
 彼はすこぶる美男子で非の打ち所のない男であったが、彼の登場はその土地の人々に微妙な影響を及ぼし始めた。
 そしてある夜、彼は酒場からキャンプ地の川辺に歩いて帰っていき、そのまま失踪してしまう。
 果たしてこの事件の裏には何があるのか?
  
 前半は田園ロマンスが前面に出ている感じです。
 アメリカ人と急接近していき婚約者が気が気でない男との三角関係などが表出しています。
 そして失踪事件。
 シリーズ探偵グラント警部は「けして男と女の関係には発展しないであろう友人」の女優マータの協力を受け、
 捜査をすすめていきます(前回読んだ「時の娘」で唯一面白かったのがこの2人の遣り取りでした)。
 そして謎解き。うん、このトリックはちょっと驚いた。多分前例はあるだろうけど、自分は初めて読んだ。
 ロマンスの行方も僕好みの決着でよかった。

 ただ、これはミラーの「鉄の門」もそうだったんですけど、
 裏 表 紙 に は あ ら す じ を か け よ 、と。
 著者略歴なんざ、解説で触れればいいんだよ。
 通常本を選ぶ時に重要なのは(名前買いするバカはともかく)中身だろ!
 あらすじを書きなさいあらすじを。しかも解説でも著者略歴だけで本作のことなんか全然書かれてない。
 解説じゃないじゃん。
902読後感:03/11/16 20:45
「ブラザーズ」ウィリアム・ゴールドマン(早川書房)
 ナチの残党に殺されたはずのシラが生きていた!
 奇跡的に助かり、顔を変えて無人島で鍛錬しながら生活をしていたシラは上司から呼び出され、
 人間社会へ復帰する。
 果たして彼は20年近いの空白を埋め再び一流の殺し屋として返り咲けるのか?
 
 >>727氏に薦めていただいた作品ですが、漸く読むことが出来ました。遅くなってごめんなさい。
 前作「マラソン・マン」は傑作とまでは行かないもののなかなか読みやすい話だったのですが、
 本書も普通に面白いです。読ませます。
 流石はハリウッド映画を何本もものしている実力派だけのことはあります。
 冒頭のシラのシーンから、何が起きているかサッパリわからない第一部に突入して、
 ここで読者の関心を一気に掴みます。(私もあれ欲しいです/笑) 
 そしてシラの暗躍。流石、腕は全く錆付いていません。次々と標的を血祭りに挙げていきます。
 カコイイ!!
 
 それはいいんですが、私が気になったのは彼が所属している組織の腐れっぷりです。
 こんなに内部粛清繰り返してどうするの!? 誰もいなくなっちゃうよ!
 どんな組織だって内側にはある程度の信頼関係がないと立ち行きませんよ。これじゃあなぁ・・・。
 しかも理由が無茶過ぎる。喋るかもしれないから だって。それは採用する段階で考慮しろよ!
 
 また本作には前作の主人公ベーブのことも書かれています。
 彼と前作にちらっと出ていた美しい妻との生活風景は、シラのシビアな世界とは対照的で面白いです。
 特に、偶然街で妻を見かけたベーブがついつい黙って尾行してしまい、
 それに気づいた妻に懲らしめられるシーンは思わずニヤリとしてしまいました。
 喧嘩したり危険に遭ったりしてもす〜ぐ仲直り&hearts:

 そして驚愕のラスト! っておい!! なんじゃこら。
 なんでこんなことするんだよ! つか、××の安否は? 
 死んだってことなの? なんでそんなことすんの? 
 「のび太の恐竜」に出てくる密猟ハンターみたいな顔しやがって! ばか〜 
903読後感:03/11/16 20:46
「猿来たりなば」エリザベス・フェラーズ(東京創元社)
 誘拐事件の依頼を受けて田舎にやって来た犯罪ジャーナリストの「わたし」とその助手の2人は、
 現地に到着した後で、誘拐されたのがチンパンジーだったと知って憤慨するが、
 とりあえずはと依頼人と共に彼らの住んでる館へと向う。
 ところがそこで見たものは・・・心臓にナイフを突き立てられて絶命しているチンパンジーだった!

 北村薫が本格ベスト30を選ぶ座談会で言ってたんです。今にしてこれほど
 の作品が読めるなんて、と。だから読んだんです。
 登場人物たちの様々な思惑や秘めたる過去。周到に撒かれた伏線。模範的な
 本格だと思います。
 トリックにも驚きましたしね。あ、なるほど! って。
 クリスティ、ブランド、セイヤーズの他にもまだこんな人がいたんですね〜。
 英国女流本格作家の層の厚さには今更ながら舌を巻く思いです。
 
 一つだけ。(メル欄)について、あの証言を聞かなくても、
 初登場時の段階で十分疑う余地はあると思うんですが。
904読後感:03/11/16 20:48
「復讐の山河」クリストファー・フランクリン(東京創元社)
 男はその時を待っていた。20年前のあの日からずっと。
 尊敬する祖父を始め母や兄弟を死なせた憎い敵に復讐する時を。そして今。
 まさにそれはやって来た。しかし、思わぬ邪魔が入った。
 無関係の人間が3人紛れ込んできたのだ。
 うち2人が奴らに殺され、残った女も追われている。
 男は歯噛みしながらも女に助けの手を差し伸べた・・・。

 私が本格以外のジャンルを読む場合、往々にして目的は「ロマンス」これです(笑。
 今回もそう。あらすじと解説チラ見して読むことに決めたんですが、
 それに関してはまあまあでした。
 それよりも主人公がこれでもかというくらい痛めつけられ
 ズタボロのグチョグチョになって闘うのが読んでて痛かった。 
 特に落下して鼻を折って、鼻孔に指を突っ込んで引っ張る所なんか・・・ガタガタ
 ちなみに作中では主人公の過去と現在がカットバックで展開されて行きます。
 私カットバックが嫌いって言いましたけど、
 それはあくまでも目くらましとして使うことが嫌いってことで、
 今回みたいにそんな姑息な狙いがない場合は別にOKです。
 
 個性的な敵役なんかが印象的でした。特に彼の死に様は皮肉が効いてました。
 でもあのエンディングはなんだろう、結局金次第ってことか・・・。
905読後感:03/11/16 20:50
「ワイルダー一家の失踪」ハーバート・ブリーン(早川書房)
 他の人はおたふく風邪や熱病や肺炎で死んでいく しかしワイルダー家の者は消えていく・・・
 ワイルダー一家に付きまとう不気味な因縁。代々の当主が5人も謎の失踪を遂げているのだ。
 一人は地下室で、一人は寝室で、一人は船上で、一人は砂浜で、そして一人は仕事場で。
 そして今度は何と、末娘が行方不明になり、死体となって発見された!
 たまたま取材で地方を訪れていた新聞記者は下宿先の一家の不吉な噂を聞き、調査に乗り出す。

 図書館で偶然見つけて以来気になってたんです。
 「夜明けの睡魔」「100冊の徹夜本」にも載ってましたしね。
 読みました。いやぁ、とにかく乱歩の解説にもある通り、取っ掛かりがスゴイ! 
 合わせて6件の人間消失+殺人という、
 カーも真っ青の不可能犯罪の過剰サービスぶりには舌を巻きます。
 これで竜頭蛇尾にならなきゃいいんですが・・・それはまぁ、無理です(w
 失踪のトリックもなかなか独創的でした。が、大いに不満があります。
 それは6件の失踪の内、ネタが割れてるのは4件だけ。残りは放置されてるんですね。
 これにはガックリ。
 回収する気が無いんなら最初から撒くな! いらん期待させやがって! 
 おまけにその4件の内、1つは十戒破りだし、また1つは絶対目撃されるだろうし、
 1つはまんまだし。最後の1つは、よかったです。盲点トリック。

 西田政治訳っつーのが激しく不安でしたが、まあ読めました。
 (大分違和感あったけど)

 (メル欄1)は嘘だと思ったんだがなぁ。
 あと(メル欄2)だとも。おばさんが言ったセリフね。見事にハズレました(w。
「空中楼閣を盗め!」 ドナルド・E・ウェストレイク  ハヤカワ

 ロンドンの大泥棒デンチは南米の小国イエルバドーロの女闘士リーダの
頼みと下心から、彼女の国の大統領リンチ氏が密輸しようとしている金銀財宝を
盗もうと様々な国の仲間に声をかける。
 しかし集まった仲間達は自国の言葉しか分からないし、話せなかった!
盗みは成功するのか?言葉の壁は越えられるのか? ドタバタ騒ぎの果ては?

 ドートマンダー・シリーズのワールド・ワイド版とでも言いますか。
言葉の壁が重要な要素になってはいますが、決して言葉遊びで笑わせる
わけではありません。しかしなぜか会話が面白い。不思議
 軽めの作品で、いかにも映画向きな内容です。
盗む側だけでも12人も居ますが上手く整理されていると思います。
ウェストレイクの手際の良さを味わえる作品だと思います。

で、ウェストレイクの妙味をさらに味わったのが次に読んだ
「ウェストレイクの犯罪学講座」でした。
907名無しのオプ:03/11/18 21:33
「ギデオンの一日」J・J・マリック ハヤカワミステリ文庫
ロンドン警視庁きっての辣腕、ギデオン警視の一日は、羅刹の如き憤怒の形相で登庁する
所から始まりました。なぜなら部下が麻薬の売人とつながっていることが発覚したからです。
いつもは温厚な彼も、部下の背信と麻薬犯罪に対しては我慢が出来ない性分。
きつく部下を追い詰めますが、思う所あって彼を泳がそうとします。
バックにいる中国人ごとしょっ引こうという目論見でした。
しかし部下はその後何者かの自動車によってひき殺され、事件は暗礁に乗り上げます。
事件はそれだけではなく、頻発する郵便自動車襲撃事件、幼女殺害事件、老女強盗殺傷事件
宝石泥棒、情報提供者への暴力団による刺客などロンドン警視庁とギデオンは休む暇も有りません。

マクベイン、ウォーに並ぶ警察小説の大家、マリックのギデオンシリーズ第一作。
事件が多発的に起こるモジュラー型の警察小説の嚆矢とも言える作品です。
戦後、ロンドンにおける現代的な顔の見えない犯罪や東洋人に対する考え方などが時代を感じさせ、
現代の似た作家、ウイングフィールドなどと比べれば、幾分マッタリとしていて起伏に欠けるトコがあります。
この作品の特徴に、「解決されない謎」があります。現実には山のような事件の中で消失してしまう事件
もある、探偵小説のように全ての謎が解けるわけではない、と言うものですが、そう云う主張はリアリティを
求める余りエンタテインメントとしてすわりがわるくなリ勝ちです、個人的にどうかなとは思いますが、
この作品においては重要な事件は解決されているので気にはなりませんでした。
「ウェストレイクの犯罪学講座」 ドナルド・E・ウェストレイク ハヤカワ

小鷹信光氏による日本独自の短編集のようです。
流石に選りすぐりなので全13編どれも面白いです。おすすめ
@銀行強盗決行日を一日ずらす事になった。一日違えば大違い!「最悪の日」
A押込み強盗に襲われた中年夫婦。夫は金を取って来いと命令され
 車で出かけるが・・・「未必の故意」
B悪ふざけを誤解して誤って妻を殺してしまった!
 という計画犯罪の果ては?「悪ふざけ」
Cサンセット77のパスティーシュ。意外に本格推理してる「巨象のブルース」
D懐かしい友から預かった手紙。
 何が起ころうと渡してはならないと言われ・・・「手紙」
E事故で沈み行く船の密閉された一室に閉じ込められた男二人。「死への船旅」
F深夜0時まで何事も起こらぬよう見守ってほしいという依頼。
 しかし、深夜0時を過ぎた後に殺されてしまった!「殺しの時」
 
G恐喝をする時は風をひいてはならない?「不運な恐喝者」
H不治の病の夫の看病をする妻の所に安楽死のセールスマンがやって来た「慈悲の殺人」
Iいま、向いの家の窓から人が落とされた!
 同じように邪魔な妻を殺そうと考えるが・・・「最高のお追従」
Jアパートの一室で死んでいた男。関係者への尋問を続けるが…「ろくでなしの死」
K浮気相手と一緒になるために邪魔な妻を殺そうと練られた完全犯罪だったが、
 邪魔が入って・・・「殺人の条件」
L若い男と浮気する妻の所にその秘密を知る男が!
 妻は嫉妬深い夫を使ってその男を殺そうとするが・・・「男はみんな・・・」

910読後感:03/11/20 00:57
「連城訣 全2巻」金庸(徳間書店)
 剣術の師匠と妹弟子と共に、師伯(師匠の兄弟弟子)の許に招待された主人公は、
 濡れ衣を着せられて投獄される。
 師匠も謎の失踪を遂げており、更には慕っていた妹弟子までもが彼を捨て結婚してしまう。
 絶望して自殺を図った主人公だったが、同房の囚人に止められ、不思議な技を伝授される・・・。

 序盤の展開は中華版モンテ・クリスト伯といった感じですが、そこは何と言っても中国。
 そんな型どおりに進むはずがない(w
 中盤から物語は別の展開に突入し、主人公はなすすべもなく運命のいたずらに翻弄され続けて行きます。
 そして様々な辛酸を嘗め強く成長した主人公は仇に報いるべく懐かしの故郷に戻るのです・・・。

 もうね、少年誌の格闘マンガみたいなノリなのよ、コレ。点穴がどうだの内気功だの刺突だの、
 わけわかんねえワードがごろごろ出てきます。丸っきりカンフー映画みたいです。
 武侠小説ってこんなんなのか〜。
 萬門八弟子、鈴剣双侠、南四奇・落花流水みたいな【グループ名】は出てくるわ、
 鉄鎖横江、陸地神龍、仁義陸大刀みたいな【異名】は出てくるわ、
 他にもバカ強い悪党ジジイ(でも一番のオキニ)なんかも出てきてもうすごいことになってます。

 上下2巻と読みやすいのでお薦めと言ってもいいのですが、そのせいかやや雑な印象を受けます。
 時間の経過がやたら遅いときがあったりね(w
 特にラストなんざかなり強引で、明らかに原稿上の都合って感じ。方向は良いんだけどね。
 
 
911続き:03/11/20 00:57
あと特筆すべきは主人公の悲惨さです。
 これでもかってくらいヒドイ目に遭いまくり、誤解されまくります。
 終いにゃ憐憫を通り越して笑えてきます、ホント。
 途中から主人公自身も諦めモードだしね(w
 そしてこの人がまた善人なんですよね。つーか未練がましい。
 読みながら、いい加減鬼に徹しろよと思うことが多々ありました。

 そしてヒロインね(w
 これ系の小説を読むと概してヒロインに悪感情を抱くことが多いんですが、今回も然り。
 でもそれ相応の理由はあると思うんですよね、客観的に観ても。
 だってね、夫が主人公を嵌めたとわかっても、「それほどまでに私を愛していたのね」
 とか思ってやがるわけですよ、このバカ女は。しかも、その後、
 「兄さんのことは不運な定め。この人は何年かの間私に優しくしてくれた。私は一生この人と添い遂げなくちゃいけないわ」 
 なんて、我が目を疑うようなセリフを吐きやがるんですよ、この糞ビッチってば(これは作者にも文句言いたい)。
 でもここで終わるんならまだ十人並み。モノホンの売女はここからがスゴイ。
 その後で夫と岳父が実は(メル欄)と知るや、あっさりと変節し、主人公を呼んでやっつけてもらおう!
 なんて臆面もなく思ってのけるんです。参った、降参!もうエスネなんて目じゃねーよ。
 アンタが大将です、戚芳姐さん。
 主人公のことをずっと愛していたとか書いてるけど1回しか面会に来なかったし嘘ってバレバレ。
 丁典を想う凌霜華の凄絶なまでの純真ぶりとは月とスッポンいや月とプロキシマです。

 だから、ラストの方向は間違ってないと思うんです、ただ余りにも雑なので・・・それが残念です。
912名無しのオプ:03/11/21 20:00
エド・マクベイン『白雪と赤バラ』(ハヤカワミステリ文庫)

弁護士マシュー・ホープシリーズの一冊。
母と医者の共謀で精神病院に閉じ込められた、と訴える女性がホープを雇う。
依頼人サラの狂気に関しては何人もの精神科医が太鼓判を押しているのだが、
母の言う「自殺をはかった」さいの手首の傷が見当たらないなど、不審な点もある。
いったいどっちの言い分が正しいのか。
警察は一方で、身元不明の水死体の捜査を始めていた。
マシューの一人称のパートと、警察の三人称のパート、
分かれているのは別にいいのだけれど
たまに三人称のパートに、「わたし」が顔を出す場面が気になる。
物語は、依頼人サラが強い印象を残して、なかなか面白い。
特に13章の展開が意外で興味深かった。
913読後感:03/11/23 19:35
「道化者の死」アラン・グリーン(早川書房)
 ドタバタ喜劇トリオの主将格の男が滞在先のホテルの密室で死んでいるのが発見された!
 雪で外界から遮断されたホテルでは支配人が犯人を探そうと捜査を始めるが、
 その矢先第二の殺人が・・・。

 ユーモア・ミステリの書き手として知られている作者の第二作です。前作「くたばれ健康法!」
 は未読なので、私には始めてのユーモア・ミステリだったのですが、正直よくわかりませんでした。
 何がユーモアなのか。まさか被害者が喜劇役者ってことじゃないだろうし、うーん・・・。
 「くたばれ健康法!」や「盲目の理髪師」読めばわかるかな?

 この作品の特徴は「テレビ的」だという点です。
 神の視点から読者をナビゲートするようにして、状況の説明をしたり、時間を戻したりといった手法を使ってます。
 一種の開き直りですかね。
 そして一番の欠点は「密室の必然性」です。これがきっちりしてるのは中々無いね。
 勘違いトリックや麻薬の隠し場所なんかはよかったですけど。
914名無しのオプ:03/11/25 10:49
『囁く谺』ミネット・ウォルターズ 読了。
あの南アの女性はメール欄でいいの?
色々なレビューサイト見たけどわからなかったので…
915読後感:03/11/25 16:11
「SAS/伯爵夫人の舞踏会」ジェラール・ド・ヴィリエ(東京創元社)
 SAS(大公殿下)マルコ・リンゲの今回の任務は居城に重要な客を迎えることだった。
 その客とは、亡命してきたソ連の大物とそのブローカーである。
 マルコはアメリカからの迎えが来るまで彼らの接待役を命じられたのだが、
 その夜思いもよらなかった事件が起こり、亡命者はマルコのフィアンセを誘拐したまま姿を消してしまう。
 命を賭けてフィアンセ救出に乗り出すマルコであったが、可能性は絶望的だった・・・。

 オーストリア貴族出身のCIAスパイが活躍するシリーズの1篇。
 20年ほど前創元から鬼のように出まくっていたシリーズです。今は軒並み絶版ですが。
 その中で何故これを選んだかと言えば、そう“ロマンス”です。
 以前「ジャンル別恋愛小説ベスト」とかいう文庫本を読みまして、それのミステリー部門に本書が載っていたんです。
 ちなみに「ヴァチカンからの暗殺者」もその本で知ったんです。閑話休題。
 
 主人公が敵にさらわれた恋人を取り戻すという王道パターンです。
 で、このヒロインがまた病的なほど嫉妬深い女でして・・・主人公は毎度ウンザリさせられてます。
 でも、強く出れないという(w
 しかしさらわれた後は一変して、主人公は切々と彼女への想いを募らせます。女は抱きますが(w
 一方さらわれたヒロインは、脅えながらも、自分に紳士的な態度を崩さない誘拐犯を憎むことが出来ません。 
 そしてこうなったのは全て主人公のせいだと思い込んでしまいます(あながち間違いではないですが)。
 更に誘拐犯の懊悩を知るに至ってあろうことか少しずつ心を開いていってしまうのです。ムキーー!(w
 さてさてどうなることやら?
916続き:03/11/25 16:12
この他にも、主人公に忠誠を誓う元殺し屋の執事とか、雪辱に滾る冷酷な女ブローカーとかも出てきて、
 スパイものとしてはまあまあの出来になってます。
 ただ、やはり貴族出身のスパイという設定がかなり無理がありますね。そこまで人材不足じゃないでしょうに。
 まあだからこそ、恋人救出に東側へ乗り込むなんつー割りに合わないことをやるわけですが。
 しかし一番気に食わないことがあります。ネタバレになるから言いませんけど、全体を通して言えることです。

 蛇足ですがこないだこのシリーズの映画化作品らしきものを観まして(本作ではないです)、
 それではフィアンセはシビル・ダニングが演じていたようでした。
 仕事の電話をかけようとする主人公に銃を突きつけて電話線を引っこ抜くシーンは圧巻でした(w
917名無しのオプ:03/11/25 17:45
エリス・ピーターズ「氷の中の処女」
よもやカドフェルにこんな幸運が訪れようとは!
嗚呼、このシリーズ死ぬほど面白い。
918名無しのオプ:03/11/25 21:23
このスレ、独特の雰囲気で面白いな。
919名無しのオプ:03/11/25 22:32
「秘密の友人」(アンドリュー・クラヴァン 羽田歌津子訳 角川文庫) 読了

 MWA候補にもなり「このミス」にも取り上げられ、ネット書評をみても
概ね好意的なので期待して読み始めたんだが・・・

 うん。確かにみんながいうクライマックスは手に汗握る。ラストも感動的。
でも・・・それに辿り付くまでがえらく退屈。
 話が少し進むと視点人物が変わり、場所が変わり、その細かい情景描写がつづられ
その人物の過去が語られ・・・と興が削がれる転換が何度もあってうんざりしてくる。
 それらは全てが無駄というわけではなくて、後に語られる1シーンの感動のために
必要だったりするのだがそれにしても饒舌。犯人にも被害者にも刑事にも描写を割きすぎているので
誰に感情移入していいのやらわからなくなってくるし、互いの手の内が明かされてしまうので
スリルに欠けてしまう。

 さらに翻訳が?だった。「いわゆる翻訳文体」なのにもいらついたが、一番の「おい!」は述懐シーン。
精神科医の主人公に事件のカギを握るある女性患者が過去を語るシーンがいくつかある。
 それらが口語体と文語体の混合なんだよ。丁度一人称の小説みたいな。自分のこと語っているのに
「建物は荒れ果てていた。窓には割れた窓ガラスがはまっている。枝枝のすきまから窓がこちらを
うかがっているように感じられた」なんて引いた言葉で話すかよ!

 最初は述懐が長くて作者共々あえてそういう手法をとったと思ったさ。
でもこの会話はテープにとられていて、後にそれを再生することで主人公に手がかりを与えるんだ。
つまりやはり女はあんな口調で延々話していたということになるんだよ。信じられるかよ!
 他の会話シーンでは別にそんな機械みたいな話し方はしないし、どっちかというと感情的なキャラクター
なんだぜ?翻訳者がバカとしか思えないだろ?

 ひょっとして翻訳者がちがえがもっと楽しめたかもしれない。そういう本でした・・・
920読後感:03/11/29 14:01
「帽子から飛び出した死」クレイトン・ロースン(早川書房)
 怪しげな魔術に取り憑かれていた男を襲った不可解な死。
 完全な密室の中で息絶えている男を発見した「私」は警察呼び、そして知り合いの奇術師グレート・マーリニ
 に助力を求めた。おりしも現場に居合わせたのはみな奇術師及びその愛好者ばかりだった。
 そして取調べの後、目撃者の一人が失踪し、数時間後には死体となって発見された。現場はまたも密室だった・・・。

 カーと並ぶ不可能犯罪の大家ロースン初見参です。
 二つの密室殺人とそれを結ぶ露骨な物証の数々そして一癖も二癖もありそうな関係者たち。
 夥しい小謎がこれでもかと出てくるあたり流石本格という感じです。
 ただポケミスにして300ページは長い! 何度も言いましたが文庫本で400弱というのが私の理想です。
 ちょっとイライラしてしまいました(w
 第一の密室に対する理由付けが弱いですが、第二の方はなかなか見事です。カーの「第三の銃弾」にも
 これとよく似た手法が出てきます。(メル欄)という。
 また奇術師探偵ということで作中にも手品がたくさん出てきます。が、種明かしがされてないのは許せない(w
 だったらやるなと。リアルなら厳禁だろうけど、ミステリーではやらないほうが厳禁です!
 たまたま解説で都筑さんがいくらか種明かししてくれてるからよかったけどさ(十角館にもあるんだよなぁ)。
 
 それと裏表紙の記述、間違ってます。というか、むしろ書かない方がいいことなのにしかも間違っているという(w
 それと作中に出てくる図形のクイズ。これ乱歩がパクってました(w 全く、ミステリーを読めば読むほどあのオッサンが
 大したことない人だと思えてくるね。
 最後にワトラスの失踪。これに対する説明がないです。
921名無しのオプ:03/11/29 22:27
ハモンド・イネス『銀塊の海』(ハヤカワミステリ文庫)

冒険小説の巨匠イネスの代表作にも挙げられる作品。
戦時中、銀塊を積んだ軍船トリッカラ号が沈没した。
そのさいバーディー伍長は、船長に不審を抱いて命令を無視、
反逆罪でダートムーア監獄に収容されてしまう。
だが獄中で銀塊引き上げの報を聞き、沈没は仕組まれたものだと確信、
復讐の念に燃えて相棒バートと脱獄する。
全体が300ページしかなく、脱獄までで半分を費やしてしまうので
個々の場面のボリュームが足りない印象を受ける。
『獅子の湖』の方がずっと出来がいい感じ。
期待しすぎたのだろうか?

最後に一言、脱獄犯なのにこのラストはいかんと思う。
922名無しのオプ:03/12/02 03:49
クリストフェール・ディアブル『雨を逃げる女』(角川文庫)

フランス推理小説大賞受賞作。作者の正体は純文学系の中堅作家。
(あらすじは>>417氏の紹介文を参照されたし)
「サスペンス溢れる傑作」という謳い文句だが、
途中まではあまり魅力を感じなかった。
「数人の登場人物を軸にした小さなサスペンスの流れが、最後に一つになる」
という理由で、訳者は「サスペンスが途切れることがない」と評している。
しかしこの小さな流れが弱い。
射殺死体の発見された現場から逃げる、ピストルを持った女。
それは拾ったともいうし家から持ってきたのだともいう。
女は虚言癖を持っているという書かれ方をされるし、主人公コールもそう思っている。
だから「本当に女が殺したのか」という謎が、単体として成立してない。
サスペンスの肝として牽引するには
ミステリにすれた読者のうがった見方に頼り過ぎている感がある。
では何故コールがそんな彼女に世話を焼くのかも、いまいち釈然とせず
前半の展開には不満が残る。

ただし、サスペンスがひとつの流れに収束してからは実に素晴らしい。
前半の甘さも後半の素晴らしさで許せてしまうので
全体的にはよい作品だった、と満足している。
923読後感:03/12/06 21:59
「ハニーよ銃をとれ」G・G・フィックリング(早川書房)
 知り合いの映画監督からパーティに招待されたハニー。
 しかしこれはとんでもない乱交パーティーだった。映画監督の若い妻は半ば公然と他の男との情事にふけり、
 夫は見て見ぬふり。そしてハニーにも男の手が伸びる。
 抱きすくめられ唇に猛烈な接吻を受けながら、ハニーの頭に事件のことが浮かんだ。
 折りしもこの町では接吻殺人なる奇妙な事件が起きていたのだ。
 そしてパーティーも終わりに近づいた頃、小道具の棺桶の中から若妻の死体が発見された・・・。

 今回はハァハァする気が起きないので普通にやります。
 なんかねー、接吻殺人なんてちょっと狙いすぎで逆に引くよ(w 犯人も途中でわかったし(これは快挙ですよ!)。
 でも今回のハニーは今までと違って(というかこれが2作目らしいけど)惚れっぽいと言うか素直ですね。
 ラストでマークとキスしちゃうし。あと出鱈目な強さを見せ付ける場面がなかったのもマル(w
 それにしても実写で観たいなあ・・・映画化に合わせてビデオ化してくれんじゃろか。じゃなかったらテレ東辺りで
 再放送とか・・・MXTVやスパチャンでも良いぞ。
 流石に映画のリース・ウィザースプーンのハニーじゃ萌えんだろうし(w
924読後感:03/12/06 21:59
「判事への花束」マージョリー・アリンガム(早川書房)
1911年5月のある日、男が1人白昼堂々忽然と姿を消した。
目撃者によると、道を歩いていて煙のように消えたというのである。
この信じがたい事件から20年。
今度は消えた男の甥の1人が自邸の地下室で死んでいるのが発見された。
時を経て起こったこの2つの事件には何らかのつながりがあるのだろうか?

アリンガムは短編の「ボーダー・ライン事件」を読んでいたく感心した覚えがあるんです。
ちょっとした事で全てが反対になってしまうというのが何とも皮肉で面白かったんですよ。
でも少し前にミステリ・マガジンに載った中編はひどい駄作でして。
それでまだ評価が定まってなかったんですね。で、本書は乱歩がベストテンに加えたものであるし、
これを読んで評価を決めるかと思ったわけです。
過去と現在の事件。こういう系統の作品の場合、ポイントは過去の事件をきちんと解明しているかです。
本書はその点合格でした。トリックはトンデモぽいですけど。
ただ肝心の現在の事件の方がどうもパッとしないw 探偵役も大して役に立ってないし。
しかも最後は私の大嫌いな結末なんですね。しかもそれすら↑は人に頼ってる。こりゃダメですわ。

それと略奪愛的なロマンスね。女流作家にはこれ系多いようですが個人的にはNGですなぁ。

あと1点。死体を見てないはずのマイクが地下室から帰ってきたとき青ざめていたのはなぜか?
ミスディレなら別解を用意しましょうね、マージョリーさん。
925読後感:03/12/06 22:00
「飛ばなかった男」マーゴット・ベネット(東京創元社)
飛行機事故発生!! 乗客は全員死亡。調査を開始した警察は奇妙な事実に行き当たった。
乗客は4人いたはずなのに現場には3人分の死体しかなかったのだ。
土壇場で乗らなかった男がいたのか? それは誰? そして何故?
死体はどれも損傷が激しく身元は割り出せない。
警察は当日の空港や酒場で彼らを見たという人の証言を聞き、彼らが滞在していたという町へ行き、
そこでの調査を元に乗らなかった乗客は誰かを推理しようと試みるが・・・。

レオ・ブルースの「死の扉」等と並んで幻の名作と呼ばれているものです(多分)。
これらの作品は何で文庫落ちしなかったんでしょうね? 創元の考えることはわかりません。
本書は4人の人物の中から飛行機に乗らなかった人を探すという、
パット・マガーを彷彿とさせる筋立てになってます。
探偵役の刑事たちが関係者の証言を元に推理を組み立てていくわけです。
それはいいんですが、気になったことが1つありまして。
何もああ長々と下宿先の娘の証言を聞かなくても、酒場での目撃談に関する疑問点だけを
ちょちょっと聞けばよかったんじゃないかと思うんですよね・・・。
勿論こっちの方がリアルではあるけど、推理小説としてどうなのかなっていう。無駄が多いというか。
「出来事の順序」で必然性を付けてましたけどそれでモナーw

マクドナルドの「迷路」なんかも全編書簡&調書という「いかにも」ってスタイルだった割に
犯人を指し示す矛盾点は1つだけだったじゃないですか。しかもそこだけ独立してる1点。
これじゃ真面目に推理に取り組んでる読者はがっくり来ちゃいますよね。
伏線は全編を通じてなるべく均一にばら撒かれるべきである。そう思います。

それと本書はどうもロマンスに偏り過ぎているきらいがあります。
二十歳になってまで夢見る夢子ちゃんなヒロインが目を覚ますまでを描いてるんですが、
ヒロインの無分別には散々ページを割いているくせに↑↑↑場面が非常に雑です。
大体ラストで自分で言っている通りなのかも怪しいものです。
926読後感:03/12/06 22:01
「解決はベッドの中で」ジャック・T・ストーリィ(文藝春秋)
 警官殺しで逮捕された青年のカウンセリングを担当した精神科医は彼の無実を確信し、
 愛人の弁護士と共に奔走するがその甲斐も無く青年は死刑を宣告されてしまう。
 諦めきれない精神科医は青年の友達にも協力を呼びかけて再度調査を行うのだが・・・。

 タイトルがすごいね。ハーレクインみたいw
 ヒロインが愛人を抱きこむときにセックスを盾に脅迫したからこのタイトルがつけられたのかな?w
 作者は「ハリーの災難」の人だそうです。未見ですが。そういえばこの青年の名前もハリーw
 何か恨みでもあるのかな?
 ヒロインは警察や、事件と関わりのある会社などに出かけていって調書の矛盾点を突いたりするんだけど、
 なかなか本気にしてくれないのね。で、青年の仲間に協力を頼む。
 その内訳は冷淡で自己愛が強い青年の恋人や密かに青年を想っている娘、セックスしか頭に無いようなバカ男など様々。
 で、色んなことがありながらヒロインたちは目撃者を見つけ出し、青年の無実を証明し、愛人とも結婚し、
 とハッピーエンドまっしぐら。まあ、かなり偶然に頼っているし、前捜査の段階で発見できるような事実もあったけど
 気にするのはよそう。
 
 ただ184ページのヒロインのセリフ。これはいただけませんね。これじゃアンタがやってること全てぶち壊しだよ。
 
 追伸:青年の恋人の余りにも馬鹿馬鹿しくて呆気ない最期には笑わせてもらいました。
927読後感:03/12/06 22:05
「ハニーと連続殺人」G・G・フィックリング(早川書房)
 ミスコンの候補者が謎の水死体となって発見された。お腹の傷跡などから本人に間違いないと思われたのだが、
 ミスコンの主催者は断固としてそれを認めない。挙句ハニーに本物を捜して欲しいと白々しい依頼をしてくる。
 眉唾ながら依頼を受けたハニー。しかし、本物と称する女性が名乗り出て来て・・・。

 とにかくこの作者は複雑なプロットとそれに付随するフーダニットに命賭けてます。
 お色気一本で何故いけないのかと私は思うのですが。
 本書もまたわかりにくい筋立てでして。犯人も最後の一行までわからなかった。でも仕方ないよ(ボソ
 つーかこっちとしてはエロを期待してるんだからさ。そこんとこ忘れんように頼むよ。
 今回のエロポイントは、拉致られて催淫剤打たれるとこぐらい。
 本来ならかなり興奮するところなんだろうけど、信じられないぐらい軽く流しちゃってる(怒
 意味の無いことスルナ!
928読後感:03/12/06 22:06
「ジョン・ランプリエールの辞書」ローレンス・ノーフォーク(東京創元社)
 子爵家の令嬢の水浴姿を覗き見てしまった主人公とその父親。
 その直後父親は猟犬にズタズタに噛み殺されてしまう。まるでギリシャ神話のように・・・。
 そして遺産相続のためにロンドンを訪れた主人公は生前父親が何をしていたのかに疑問を持ち、
 その秘密を探ろうとする。そうして少しずつ表れてきたのは驚くべき大陰謀の構図であった・・・。

 惹句によると「エーコ+ピンチョン+ディケンズ+007」らしい。
 どれも未読だが何となく言いたいことはわかる気がする。それはまあさておき。
 長い! 硬い! 重い!
 寝っ転がって読むのが基本の自分には大変な重労働でした! 腕が疲れるんだよ!!
 大体刊行後3年経ってんだぞ。普通なら文庫落ちのお年頃じゃないのかよ!!!
 全くどうしようもないなぁ・・・。
 
 これは要するに歴史冒険小説なんだね。それに神話や伝承に関するペダントリーをぶち込んで
 こんだけ重くしてると。
 他の人はどうか知らないけど、自分はこういうペダントリーって邪魔にしか思えなくて。
 ヴァン・ダインみたいに会話の中の遊びみたいな軽い奴なら気にならんのだけど、
 ここまでページ使われるとねぇ・・・。つくづく自分は高尚な人間じゃないんだなとわかります。
 
 
929続き:03/12/06 22:06
疑問点も目白押し。
 1、いつの間にか「東インド会社=カバラ」みたいになってたけど、最初は別々の組織だったような気が・・・
 2、ジュリエットをパリへやった意味は何だったのか?
 3、シアボールドはカバラの一味だったのか?
 4、劇場の屋上で主人公を助けたのは誰だったのか?
 5、セプティマスが火を怖がるのはなぜか?
 6、エビンがセント・へリアで見たというセプティマスそっくりの人物とは誰か?
 7、セプティマスがサー・ジョンに主人公の潔白を証明してやったのは単に友情に目覚めたからなのか?
   (だとしたら外で待っていた馬車の存在が腑に落ちない)
 あと、金塊タンマリ積んだ船を一隻で航行させるってのもおかしいでしょう。
 長い話ってのは決まって回収されない謎が残るね。結べないんだったらハナっから風呂敷広げるなと言いたい。
 
 追伸:ヒロインが(メル欄)だったってのはいいねw 公平で(謎
930名無しのオプ:03/12/08 23:35
マーサ・グライムズ『「禍いの荷を負う男」亭の殺人』

英国の片田舎が舞台のコージーミステリ(ただし作者は生粋のアメリカ人)。
表題の「禍い」亭を初めとする、ロング・ピッドのパブで起こる連続殺人を
ロンドン警視庁のリチャード・ジュリー警部が捜査する、シリーズ第一作。
イギリス好きが高じて書かれた処女作らしく、それが悪い方に出て
気負って事件をつめこみすぎ、消化不良を起こしている。
主役級の若い貴族と、彼の迷惑な叔母のキャラがよく書けているので
筆がこなれてくるだろうシリーズ後半の方が、期待が持てそう。

まあ、イギリス好きな人には、外国人が書いているだけに
かえって英国らしさが強調されていていいかもしれないが
「米国人が書いた英国ミステリを日本人が読んでどうする?」
というのが正直な感想。
931名無しのオプ:03/12/11 19:24
>>924
マージョリーじゃなくて、マージェリーっしょ。
932名無しのオプ:03/12/13 02:20
>>930
俺は叔母さんのキャラが駄目でしたねー。で、以降、このシリーズ読んでないんだけど。
確か、都筑道夫氏が、このシリーズ好きだって書いていた気がする。
と、ちょいとオフトピックなレスをしてみる。
933読後感:03/12/13 23:01
「脅える暗殺者」ジョー・ゴアズ(扶桑社)
 女弁護士の銃殺事件に端を発した連続殺人。マフィアの大物やそれと癒着していた人物が次々と殺される。
 謎の暗殺者“ラプター”の影を必死に追い続ける警部補ダンテ。
 果たして止めることが出来るのか?

 これまた冒頭から糞女が出てきましたよ(w ま、すぐ死ぬからいいけど。
 でもどうせならもう少し苦しんでから逝って欲しかった。え? ひどいって? とーんでもない!
 何しろこの女、旦那が出張中は男をとっかえひっかえセックスに大忙しで、フェラしてるとこを帰って来た旦那に
 見られた時なんか「お帰りなさい、あなた」つってまた咥えなおしたのよ? 死すら生温いわ!
 訳者あとがきでも「大方の同情を誘うような人物ではない」とはっきり言ってるぐらいなんだから。うん。
 
 閑話休題。この作品、読みやすくてなかなかでした。事件を追う主人公の側と、マフィア達の側を併行して描き、
 その合間合間に犯人の独白を入れるという構成になっています。
 本格ではありませんが、ミッシング・リングとフーダニットの要素も盛り込んでおり、本格ファンにもおすすめです。
 この犯人がわかるかどうかはある一点に疑いを持つかどうかで決まると思います。
 それを見過ごしたらまず犯人はわからないかと。それが足枷になってしまうのでね。
 
 追伸:(メル欄)と言っていたが、それはどういう意味何だろうな。
934読後感:03/12/13 23:01
「絶体絶命」フレデリック・ダール(三笠書房)
 男は気づいてしまった・・・妻の裏切りに。
 怒りに燃える男は入念に復讐の計画を立てそれを実行に移す。
 そして計画が最終段階に入ったとき、思わぬ自体が男を襲った・・・。

 「100冊の徹夜本」からのセレクト。寝取られ亭主が報復するというありがちな筋です。
 ただここで着目すべきは、夫の憎悪が妻に集中しているという点です。間男ではなく。
 どっちによりベクトルが働くかというのは個人によって違うでしょうけど、
 私は妻に働く派なのであっさりと主人公に感情移入できてよかったです。
 これいきなり刑務所から始まるんです。そして獄中の主人公の回想で物語進行していくんです。
 つまりこの時点で読者は主人公が自首したか失敗したかのどちらかであるとわかるわけですね。
 ところが計画は実に順調に行きます。夫は残酷な喜びで満たされ、妻は誰の物とも知れぬ悪意に恐れ戦きます。
 そして・・・ここからは自分で読んで確かめてみてください。ただし、大昔に絶版になってますのであしからず。
935読後感:03/12/13 23:01
「リプレイ」ケン・グリムウッド(新潮社)
 1988年10月18日午後1時8分。ジェフは確かに死んだ。
 ところが気づいてみるとジェフは1963年にいた。大学生だった頃に戻ったのだ。
 初めは何が起こったのか信じられなかったジェフだが、やがて現実を受け止め、二度目の人生を謳歌し始める。
 結果のわかっている競馬やワールドシリーズに大金をつぎ込み瞬く間に大金持ちになったジェフだったが、
 再び前回と同じ日同じ時刻に死んでしまう。そして、また・・・。

 「100冊の徹夜本」からのセレクト。折原一の海外モノベスト100にも選出されてました。
 ミステリーというよりもSFですけどね。
 同じ時間を何度も繰り返すというのは最早珍しくも何とも無いパターンですが、
 これほど長い時間帯を繰り返すというのは初めて読みました。こういう同じパターンを何度も繰り返す構成の小説の場合、
 最終的にどう決着をつけるかどこに着地するかでほとんど評価が決まってしまいます。
 だから途中は面白いんだけど、ラストがイマイチだと駄作になっちゃうんです(「黒衣の花嫁」はどうなんだろう?)。
 でも、本書はその点モウマンタイです。希望の持てるラストになっています。
 納得のいくような解決でないであろうことは最初からわかってますよね? “何故”は禁物ですよ(w
936読後感:03/12/13 23:03
「気弱な芸能記者」ケヴィン・オールマン(早川書房)
 主人公は貧乏な芸能記者。アパートの家賃はずっと滞納して今にも追い出されそうだし、
 5年前からつかず離れずの腐れ縁になっている恋人との関係もどうなるかわからない。
 そんな時、たまたまある女性プロデューサーの死体の第一発見者になってしまった!
 何かきな臭いものを感じた主人公は久々の大スクープ記事を狙わんと取材を開始するのだが・・・。

 図書館でパッと目に付いたから借りたの。MWAの最優秀処女長編賞ノミネートだってさ。
 まあ、主人公があっちこっち駆けずり回って関係者から話聞いて推理するっていう、
 典型的な現代の英米ミステリーだね。そこに主人公の恋愛も絡んでくると。
 僕ロマンス好きだけど、他ジャンルであんまり大きな顔をしてると腹が立つんだよね。
 これはちょっと出すぎかな。しかもなんか、こう、主人公が駆け込み寺化してる感じもするし。
 しかもヒロインが先天的バイセクシャル(あ、バイセクシャルなの)じゃないことまで匂わせてるし。
 つまり主人公のセクースじゃ不満だったつうコト・・・。つーか生がよかったらしいとか何とか。
 それも問いたださないままっつーのも何か寝覚めが悪いなー。これ続編訳してくれるのかな?
 ハヤカワの信義に期待するしかない(w 
937読後感:03/12/13 23:06
「証拠が問題」ジェームズ・アンダースン(東京創元社)
 出張中の夫が顔面蒼白になって突如帰宅した。訝る妻に夫は予定が早まったと言う。
 そしてその直後に2人の警官が訪ねて来る。
 彼らはなんと夫が殺人事件の重要参考人であると言うのだ!
 そんな馬鹿な! 夫の無実を確信する妻は疑いを晴らそうと決意するのだが・・・。

 「100冊の徹夜本」からのセレクト。この人は「ジェシカおばさんの事件簿」のノベライズ書いた人らしい。
 これ読み始めてしばらくすると、どっちかな、と思い始めました。
 即ち(メル欄1)か(メル欄2)か。それ以外はまあないだろうと。
 で、当初は前者かなと思ったんです。だって余りに不自然だと思ったから。
 でも、たまたま305ページを読んでるとき「ハッ」として読み返してみて、後者だと確信しました。
 犯人の意外性という点では先駆があるしそう評価するわけにはいかないのですが、
 「徹夜本」でも言っていたように、大胆な伏線は評価すべきでしょうね。
 
 私的には彼と奥さんが・・・てなことになったらどうしよう! の危惧が杞憂に終わったので嬉しかったですw
938読後感:03/12/13 23:17
「別れを告げに来た男」ブライアン・フリーマントル(新潮社)
 ソ連の大物科学者が相次いで亡命してきた!
 この裏には何かある、と疑いを抱いた事情聴取官は、それを上司に伝えるが、信じてもらえない。
 援護を期待していた上司にも見放され、孤独な状況に追い込まれた主人公は、
 悲痛な覚悟で取調べを続けるが・・・。

 フリーマントルのデビュー作だそうです。何で読んだかって? それは勿論、
 「奥さんが浮気しているから」これですw
 本編の主人公エィドリアンは痩せぎすで若禿の風采が上がらない男。
 しかも奥さんには家出され、手紙が来て会いに行ってみれば、愛人と同棲中。しかも同姓と。
 「消されかけた男」の主人公チャーリーは職場では軽蔑されていたとはいえ、美人で金持ちの妻がいました。
 それに比べてこのエィドリアンと来たら・・・哀れで泣けてきます。事実、作中で号泣します。
 無理も無いよ、仕事も家庭も最悪の状況なんだからねー。
 
 奥さんがまたヒドイ女。自分が浮気したのに、
 「もし離婚の理由作りに困るようだったら、あなた娼婦でも買ってね」
 なんて臆面もなく言ってのけるビッチぶりには呆れてモノも言えません。しかしエィドリアンはめげない!
 孤独な戦いに身を投じていくのです。ここら辺は背水の陣を布いた者の強みということでしょう。
 もう失うものは何も無い! こうなりゃ人間しぶといですからね。

 真相の切れ味は「消されかけた男」に比べると数段劣ります。が、これは仕方ないでしょう。
 十分意外ではあったし。ページ数も200前半なので短くてお薦めです。

 追伸:結局奥さんがどうしたのか気になる・・・。これ一作きりなのかな?
939読後感:03/12/13 23:19
「脅迫状つきサマースクール」ギリアン・ロバーツ(早川書房)
 フィラデルフィアも暑い夏へと突入。でもアマンダはサマーバカンスを楽しむ余裕はありません。
 経済的な理由からサマースクールで教えることにしたからです。
 ウンザリの毎日での救いと言えば、療養中のC・Kが家事をしてくれることと、一人の熱心な女生徒の存在だけ。
 ところが、ある日学校の近くで少年が射殺され、その翌日、例の女生徒も姿を消した。
 2人は同じベトナム系。これには何かつながりがあるのか? 
 かくして毎度おなじみアマンダの捜査が始まるのでした――。

 シリーズ最新作。前回C・Kとの距離が微妙に縮まったアマンダは、リハビリ中の彼と今まで以上に時間を
 共有していましたが、仕事が出来ない反動で彼はちょっといらつき気味。
 オマケに、アマンダの同僚の二枚目教師に嫉妬の炎を燃やしたりして・・・。こういうC・Kは貴重かもw
 
 そして巻き起こる殺人事件、失踪事件。背後には何か大掛かりな組織の影がちらついている様子。
 しかもアマンダの同僚の黒人教師も嫌がらせを受けるし、アマンダは母親のお節介からダサ男に
 付きまとわれるし、うるさ型で差別思想を持った同僚はいるし・・・。
 こんだけゴタゴタが起きるのは初めてかも。何度も危険な目に遭うし。
 
 毎回何らかの文学作品がモチーフに使われていますが、今回は「ロミオとジュリエット」です。
 詩に仕立てた暗号なんかも出てきてミステリーっぽいなぁと思いきや、犯人は普通でチョトガカーリ。
 まぁでも何だかんだで2人がやっとこさ同棲までこぎつけたってコトで良しとしましょうw
 この恋愛決して一筋縄ではいかないんだけど、ドロドロでは決してないから安心して読めるんですよね。

 追伸:これっきり6年も新刊が出てない・・・。ひょっとしてもう訳さないのかな、ハヤカワ・・・。
    むぅ〜コージーの供給源を失っちゃうのは寂しい。次の宿木を探さなきゃ。
    イヴァノヴィッチかアボットかピカードか・・・。
    MIRA文庫あたりで続き訳してくれないかなw
940名無しのオプ:03/12/13 23:21

毎回、書いてくれるのはありがたいんだけどさ、
小説じゃないんだからそんなに読めないだろ。
941名無しのオプ:03/12/13 23:23
もちっと簡潔にまとめてほしいもんだ。
素性の知れない人(って当たり前だけどさ)の文章で
こんな長文読む気にならんのよ。
942読後感:03/12/13 23:33
>>940
??私がそんなに読めるわけがないと疑っているということですか?
943読後感:03/12/13 23:37
あ、長いということですね(汗

でも、これ以上縮めるのは私の力量では無理っぽいです・・・。
すみません・・・。
944名無しのオプ:03/12/13 23:38
自分でサイトを開いたらいかがでしょうか。
正直言って、荒らしかと思うほどの大量投下でこっちはアップアップになるぞ。
945読後感:03/12/13 23:40
>>944
家にネット繋いでないのでつい書き溜めたのを貼り付けるという風になって
しまいまして・・・申し訳ありません。

サイトを開きたいのは山々なのですが、なにぶん超がつく機械音痴でして・・・。
カキコするぐらいが精一杯なのです・・・。
946名無しのオプ:03/12/14 16:17
上でも挙がってるけど、
海外モノ好きな人でオフ会しませんか?

読後感氏も招いて、皆でダメ出しするとか(笑
どうでしょう?
私は東京在住なんですが。
947名無しのオプ:03/12/14 17:45
>>946
連続殺人犯が混じってて最初で最後のオフ会になるかもしれないから、やめとけ。
948名無しのオプ:03/12/14 18:53
>>947
でもオフ会行ったことありますけど普通に楽しかったですよ。
949名無しのオプ:03/12/14 19:00
>>948
まじで?
オフ会って何するの?
950名無しのオプ:03/12/14 19:53
ミステリーについて語ったり、本の交換じゃんけんとかするんですよ。
951名無しのオプ:03/12/14 20:57
>>950
何人くらい来た?
盛り上がるの?
952名無しのオプ:03/12/14 22:06
オフ会スレ行ったらわかるけど、東京は毎回盛況15人以上来る。
ただ、国内読みがほとんどなので海外読みオフしたいなと思って。
やりません?
953名無しのオプ:03/12/14 22:08
まあなんやかんや言われてるが読後感がんがれ。
954名無しのオプ:03/12/14 23:15
>>952
う〜ん。私もどちらかと言うと国内読み(8:2)の方が多いんだよね。
955名無しのオプ:03/12/15 00:11
>>954
いやいや、それでも十分ですよ。
本オフは全然読んでない人がザラだったんで…
956名無しのオプ:03/12/15 02:00
え〜い!埒があかんので企画だけ強引に立てちまえ!!
今度の週末東京で
海外モノ読みオフ開催します!!!
夜だと予約とかめんどいんで昼にやります!!
集合場所は…新宿か渋谷か或いは馬場でも。
参加者募集!!
読後感氏も生け贄いやゲストとして参加を乞います!!!

…言っちゃった(^_^)v
957名無しのオプ:03/12/15 02:07
>>956
幹事はメルアド晒さないとダメですよ!
確かに本オフでは海外派は少数民族……。
958名無しのオプ:03/12/15 02:36
しかしスレが終わりかけている。
興味はあるが地方都市だから私は無理・・・と思う。

ロム人数は知らないけれど、書き込んでいるのは少数だ。
読後感氏以外に何人か。せいぜい1、2人。
もう少し書き込みが欲しい。
959956:03/12/15 03:34
メアド晒さなきゃダメですか?
ここかオフスレで出欠取ればいいかなと思ったんですが…
とりあえずあっちにも告知しとこうかな。
960ジブ ◆COtp.o2Z0E :03/12/15 08:59
ども。>>956です。
とりあえずメアド作ってみました。
来てもいいという方もしいらっしゃればメールください。
その際には土日どっちがいいのかも教えてください。
こういうの初めてなもので緊張するなぁ…
ドキドキ
961名無しのオプ:03/12/15 09:12
>>952
 東京オフは確かにかなり偏りがありますね。
海外物読んでる方いないのかと思ってました。
海外物の話が出来るならオフ行きたいなぁ。
出来れば渋谷希望だけど。
962ジブ ◆COtp.o2Z0E :03/12/15 09:41
>>961
お、脈ありと見ていいですか?(笑
私は渋谷はあまり詳しくないので
もしもの時は昼に長話ができる
店を教えてくださいね(汗
963961:03/12/15 09:58
>>962
探せば幾らでもあると思います。あと予算が判れば。
最悪カラオケルームでも良いのでは?
人数によりますが、早めの予約なら10人くらいなら
軽く入れますよ。平日土曜なら年末でもOKじゃないでしょうか。
日曜だとどうかな?(平日ではないんですよね?)
でも皆さんどんな海外物読んでらっしゃるのかなぁ。
964ジブ ◆COtp.o2Z0E :03/12/15 15:39
小人数ならルノワールとかの喫茶店でもいいですよね?
よし、じゃあとりあえず暫定的な日程として
20日の土曜日渋谷に・・・午後一時ということにしときましょうか。
必要があれば随時変更するということで。
皆様、よろしくお願いしますm(__)

オフスレと新刊紹介スレにも告知しとこうと思います。
965読後感:03/12/15 22:43
オフ会か…。

ちょっと行ってみたいかも…。
966名無しのオプ:03/12/15 22:58
行きたいと思ったら即、行くと決める。これが鉄則です。
967ジブ ◆COtp.o2Z0E :03/12/16 00:08
おお!
力強いお言葉!
ぜひオフ会に参加を!
968名無しのオプ:03/12/16 00:12
>>967
メル発射しますた。
969名無しのオプ:03/12/16 01:18
>>968
有り難うございます!明日メール送りますね。
やっぱり立ち上げてみるもんだなぁo(^-^)o
まだまだ募集してます〜
970名無しのブックオフ100:03/12/17 08:31
「アトレイデスの血」 ピエール・マニャン 創元推理文庫

南仏プロヴァンス地方の静かな町ディーニュで
青年が殺された。誰が?なぜ?どうやって?
進展しない捜査を尻目に第二の殺人が起きる。
またしても青年。致命傷と思われる打撲傷の謎。
果たして第三の殺人が・・・

普通です。ちょっとまだこなれてない感じ。
これが処女作らしいので致し方なし。
殺害方法が判明するとちょっと面白くなってきた。
そしてその方法から犯人像を警察が表明すると、
それに対して市民たちが批難する所とかも面白かった。
全く関係無いような事件が最後に繋がるけど、
ここはちょっと弱い。
犯人像からの捻りも無い。
犯人の最後の独白も無駄に長い。
犯人逮捕への捜査過程もほとんど無い。
話自体は悪くないと思うんだけどね。

100円なら60点くらいでしょうか。
注:題名を深く考察せずに読んでください。
971名無しのブックオフ100:03/12/17 13:32
「気ままなプリマドンナ」  バーバラ・ポール  扶桑社ミステリ

1915年のアメリカ NYメトロポリタン歌劇場を舞台に
実在した歌手や指揮者を絡ませたミステリ。
ヨーロッパから戦火を逃れアメリカに来たフランスのバリトン歌手。
名歌手ではあったが独裁的で嫌われ者だった。
果たして、彼の使う喉薬にアンモニアが入れられ、喉を壊し、降板してしまう。
二度と歌えないことを知り自殺してしまう。
嫌われていたとは言え、歌手の命である喉を壊すなどという
卑劣な行為をしたのは誰か!?
実在した名ソプラノ ジェラルディン・ファーラーが推理する。

クラシックが好きな人なら、出てくる歌手や指揮者、
取り上げられるオペラなどのエピソードでそこそこ楽しめると思う。
その辺をストーリーに絡ませるやり方は上手いと思う。
しかしミステリとしては、お粗末。
ミステリの質すらも1915年ごろの物に下げたのなら納得できるが・・・
登場人物のほとんどが実在の人物なので、自ずと犯人が分かり易い。
歴史を無視したり、大技で歴史の隙間を利用して、
実在の人物を犯人にして、意外な犯人を想像してくれていたら
もう少し評価できたのだが・・・

今年は今読んでる「ジャックは絞首台に!」と後もう一冊くらい読めるかな?
972名無しのオプ:03/12/20 01:47
痴呆なので行けませんが、海外スレオフを応援します。
973名無しのオプ:03/12/20 03:12
>>972
これが火点け役になって地方にも海外オフの話が出ると良いですね。
974名無しのオプ:03/12/20 13:32
>>973
何か勘違いしてるようだが、
東京は本オフが人大杉になるくらい集まるから
専門オフができるわけなんだが?
地方は本オフも集められないのに制限できるかよ。
975名無しのオプ:03/12/20 18:55
やなヤツだな
976ジブ ◆COtp.o2Z0E :03/12/20 19:23
いよいよ明日海外オフを決行します。
このスレから生まれた(というか無理やり立てたんですが/笑)企画なので、
住人の皆様、何卒成功を祈ってやってくださいませ。
977名無しのオプ:03/12/20 21:54
>976
参加したかったのですが、
当方地方在住のため、今回は都合がつかずあきらめました
遠方より盛会をお祈りもうしsage
978ジブ ◆COtp.o2Z0E :03/12/21 23:01
海外オフ、無事に終了しました。

色々なお話が出きてよかったです。
ちなみに私は「殺意の団欒」と「衣装戸棚の女」を持っていって、
代わりに「妖術師の島」をいただきました。
979972:03/12/22 02:20
>>978
いいなー。
980名無しのオプ:03/12/24 20:20
クリスチアナ・ブランド『暗闇の薔薇』(創元推理文庫)

嵐の晩、自分の主演映画を観て帰る途中、
女優サリー・モーンは、落雷で倒れた大木に行く手をふさがれてしまう。
急がないと追っ手においつかれてしまう!
同じく向こう側で立ち往生している車があったが、奇しくも同種同型だったため
サリーは男と車を交換して家に帰った。
しかし翌朝、座席から死体が発見される。
昨日は乗っていなかったはずなのに?
しかも車は何故か、とりかえた筈のサリー自身の車だった。

メインとなる謎はすごく魅力的だが
一般的には『ジェゼベルの死』や『はなれわざ』と比べて
一段落ちるとされているらしい。
読んでみてなるほどと思った。
謎の不可能性が高く、意地の悪いブランドの作品は
真相がメール欄であるのが似つかわしいし、
そうでないとどうも強引さが目立つような気がする。
それも真相が一発どんでん返し系ではなく、錯綜しているのが原因。
細かいパズラー好きの人向けかも。
981980:03/12/24 20:31
新スレ立てました。
982名無しのオプ:03/12/25 00:27
>>981
立てましたじゃなくてURL晒せよ
983名無しのオプ:03/12/25 02:37
984名無しのオプ:03/12/25 18:37
スレ埋めついでに、今年読んだ海外ミステリのベストを挙げるのはどうでしょう。

マーガレット・ミラー「これよりさき怪物領域」(ポケミス)
行方不明の農場主を探すという地味な話だけど、絶品。
無理のない展開にも関わらず、ラストは意外。
そして、ぞっとする。
985名無しのオプ
「真夜中の汽笛」コアトムール
「四季屏風殺人事件」ファン・フーリック
「13の判決」英国推理作家協会
「ウェストレイクの犯罪学講座」ウェストレイク

これが今年特に良かったと思う作品です。
どれも古本で100円。
新作も読んでるけど、印象に残ったのは無かった。
ハードカバーものは積読状態・・・