ディクスン・カー(カーター・ディクスン)Part13

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952名無しのオプ:2013/02/16(土) 09:39:00.36 ID:CmExk1+Q
「夜歩く」も入れてください、処女作で王道的作品ですがカーの趣味もよく出ていて好きです。
953名無しのオプ:2013/02/16(土) 13:19:08.74 ID:HE46ViiT
みんなもう知ってるかな?
カーの孫娘、シェリ・ディクスン・カーがミステリを書いたよ
タイトルは Ripped
19世紀のロンドンにタイムスリップした現代っ娘が、切り裂きジャックに挑むお話
ソースは戸川安宣さんのブログだからマジだよ
どこでもいいから訳してくれ!
954名無しのオプ:2013/02/16(土) 14:33:30.95 ID:/gkLys44
「一角獣の殺人」読了
田中潤司氏訳で読みやすかったのになんか疲れた・・・
以前>>847さんが指摘されていたが、確かに大ご馳走
で、自分は物語のペースが掴めず途中おなか一杯になりかけた

しかしケンが窮地に陥ってからは俄然面白くなった
アレン警部(予定)との問答の盛り上がりは最高
「我々フランス人はイギリス人に、
フェア・プレイとは如何なるものかを見せてやるのさ」
この台詞、かっこよすぎだろ・・・

最後のHMの種明かしも良いのだけれど、
全体的にみるとクオリティは高いのにもったいない印象
ところどころ名シーンはあるのになぁ・・・
955名無しのオプ:2013/02/16(土) 17:33:26.57 ID:L/U/0wqe
>>954
私の読後感もでは、ゴチャゴチャ感がありもったいないなぁという感大でした。
ファースが強すぎると、カーの場合こうなっちゃうんだよな。
「九人と死人で」とか「魔女が笑う夜」も微妙にバランスが、崩れて惜しい作品
956名無しのオプ:2013/02/16(土) 20:17:24.71 ID:b6+1zrNe
「帽子収集狂事件」や「連続殺人事件」なども昔、カーの定番みたいに
言われてた事もあった気がしたけど、このあたりはいかがかな?
957書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2013/02/17(日) 00:20:07.44 ID:WH/rT+Gb
虚言と断定されても仕方ないような完全なミスジャッジがあるので、
指摘しておきましょう。
>いわゆるアクが強くない作品が、カーを初めて読む人にはおすすめかな。
>・「貴婦人として死す」
>・「緑のカプセルの謎」
>・「魔女の隠れ家」
貴婦人やみどカプと並列にして、
ギディオンデビュー作にしてコテコテな怪奇探偵小説である魔女隠れを
「アクが強くない作」などと書く神経がわからぬ。
アンリシリーズにあったオカルティズム色を継承のうえ、
キャラ変更に伴うユーモアをまぶした、むしろ初期ジョンらしいアクの強さが
が発揮された作である。
俺としては、ゆえに初学者に推すけんどね。
958名無しのオプ:2013/02/17(日) 00:26:15.24 ID:k7ZkSOla
>>954確かに一角獣はゴチャゴチャして読んでて疲れる作品
もっと解決編がスマートだったら評価も違ってたかも
959名無しのオプ:2013/02/17(日) 00:48:03.62 ID:CsWwxDx6
>>953
では静山社が松岡佑子の訳で
960名無しのオプ:2013/02/17(日) 03:17:41.73 ID:k7ZkSOla
>>959おったまげー
961名無しのオプ:2013/02/17(日) 03:19:40.43 ID:k7ZkSOla
個人的に初心者には「囁く影」とかみたいなストーリー中心の作品もいいんじゃないだろうか
カーが書いた物語の中では「囁く影」が一番好きだ
962954:2013/02/17(日) 08:05:28.74 ID:4QXTiPqG
>>955
>>958
プロットを考えると、序盤の城に辿りつくまで、
中盤の誰がガスケかフラマンドか、
これらの場面が必要不可欠なのはわかるのだけどね
ちょっとゴチャゴチャ感が強くなってしまって、
種明かしの衝撃がぼやけたというのはある
963名無しのオプ:2013/02/17(日) 08:53:10.84 ID:Ek7GkLQt
>>961
「囁く影」はいいなぁ。本格とロマンスのバランスが絶妙。
確かに、カー入門には最適かも。
>>962
人物か書き分けがこなれていないかなと。
翻訳ものは、登場人物が把握できないとちょっと苦しい。
964名無しのオプ:2013/02/17(日) 14:44:42.87 ID:EdPdC2UT
書斎のチョイスはいいね。
965名無しのオプ:2013/02/17(日) 14:57:21.26 ID:CsZLoYFH
「囁く影」は、カーの怪奇&ロマンの理想的な融合ですね。
入門書として申し分ありませんし、さらに真相を知って読み返すと、技術面
の見事さに脱帽させられます。
塔上の不可能殺人のエピソードを、リゴー教授とフェイ・シートン、二人に
別々に語らせていることのミステリ的意味が再読してわかったときの・・・あの
興奮が忘れられません。
966940:2013/02/17(日) 21:12:35.96 ID:2xm5ZCx9
>>946
カーの新たなブームが勃興してきた頃に発表された、芦辺拓・二階堂黎人両氏の
対談で語られていたことで面白かった事が色々あったのですが、その中で芦辺氏が
都筑道夫の言う
「モダン・ディテクティブ・ストーリーの先駆け」
としてカーを評価していた部分が個人的にツボでした。つまり

@ 「犯人の計画的犯行が予定通りに実施されて事件になり、探偵が犯人の
   意図を暴くという型」だけに収まっていないような事件の構造
A 「記述者の故意」という単純な形ではない、作者が仕掛ける叙述トリック

が既にカー作品には多数満ちている、という指摘ですね。

@は個人的にカー世界最大の魅力として認識していたものでした。なにせ
カー作品の場合、「作品世界で一番何も考えてないのは犯人だった」なんて
作品がゴロゴロしていますからね。犯人よりも主人公や探偵・被害者たちの
方がよっぽどとんでもない奴らだったという作品世界が当たり前という。

そして個人的には新本格を読むのが遅かったもので、へえと納得させられたのが
Aでした。日本の作家の使うような叙述トリックというのは、思えばカー作品でも
すでに十分愉しませてもらっていた領域だったのですね。
967940:2013/02/17(日) 21:13:18.62 ID:2xm5ZCx9
カーで叙述トリックを仕掛けてある作品というのはたぶん二桁を数えるはずですが、
それらが際立って印象に残らないくらい、自然に作品の諸要素の中に盛り込まれて
いますね。カーにとっては
「叙述で読者を騙す作品!」
と大上段に振りかぶるのではなく、「謎と論理のミステリ」というエンタメ分野で、読者を
楽しませるテクニックの一つとして駆使していたというだけのことなのでしょう。

これは叙述トリックというのは違うのでしょうけれど、個人的に悪い印象を持てない
「雷鳴の中でも」なども、メインの毒殺トリックは何回読んでも、読んでしばらくすると
「あれ?どうやったんだっけ?」と忘れてしまうものなのですが(笑)、作品全体として
「ああ、こういう事をもうやっていたのか!」という意図というか「企み」にはなかなか
感心させられた口でした。(僭越ながら、「バトラー弁護に立つ」について、>>946
賞賛していただいている「話芸」も、よい翻訳でよりハッキリすると思えます。)
968名無しのオプ:2013/02/17(日) 21:15:01.60 ID:2xm5ZCx9
長々すみません。もうしばらく続きます。

芦辺・二階堂対談でうんうんと頷いてしまった事の一つに、カーが不評だった背景として

@ 乱歩や正史が絶賛したことで「乱歩のような怪奇の味」「横溝作品のような日本的な
  伝奇と論理の結合」という勝手な先入観を抱いた読者が、「イメージと違う」と失望した

A 当時カーは、特に歴史ミステリなどの後期作品が訳されておらず、物語作家としての
  全体像を把握してもらえなかった

B そもそも当時の日本人は、カーの志向した洋風の冒険活劇の世界というものに
  馴染みがない(三銃士や巌窟王程度しか知らない!)ので、カーがやろうとしていた
  世界が理解できなかった

ということがあったのではないか、という意見ですね。
私流に付け加えると、当時はクイーンやヴァン・ダインのような型にはまったコチコチの
作品だけが「本格ミステリ」だと思われていて、カーも「それをベースにした上で、そこに
オカルトやユーモアやらがトッピングされたもの」というかなり斜めな見方をされたのでは、
ということだと思っています。
サッカーが野球に何かをトッピングしたものではないように、カーもクイーンに怪奇味を
ただ上塗りしたものではなかったはずなのですけれどね。
969名無しのオプ:2013/02/17(日) 21:16:49.27 ID:2xm5ZCx9
むかし小林信彦を小野二郎さんが評した際に、小林信彦はミステリという単独の
ジャンルに耽溺したのではなく、
「黄金時代のイギリス文学は、読者を楽しませるためには何でもアリだった」
ということの一事実としてミステリも習得していたのだ、と分析して当の小林氏を
愕然とさせたということですが、カーも同じようなものだったのではないかと。

カーにとっての謎の殺人、姿の見えぬ犯人、奇怪な伝説、仕掛けられたトリック、
若者たちのロマンス、悪漢との戦い、ハッピーエンド、そして叙述トリック等々も、
すべては「面白いエンタメ」を構成するための、極めて正統的でトラディショナルな
「使って当然の素材」であって、決して奇をてらってミステリに乗っけたものなのでは
なかったのじゃないかというのは、無理な意見とは思えないのですね。
それが、今では海外でクイーンやヴァン・ダインは忘れられているのに、カーや
セイヤーズ、マーシュが普通に読まれていることの根幹だとも思えますし。

例えば対談ではタイムスリップミステリを「A Connecticut Yankee in King Arthur's Court 」
を手本にしたのでは、なんていう話が出ていましたけれど、もともと映画やラジオの世界にも
深入りしていたカーが、多くの歴史ミステリを書いていた1950年代という時代は、同時に
「月世界征服」「宇宙戦争」「タイム・マシン」「海底二万哩」「遊星よりの物体X」「ゴジラ」などの、
SF映画の黄金時代でもあったのです。カーが影響を受けていないはずはありません。 
「恐怖は同じ」「火よ燃えろ!」と同じ年の映画が「禁断の惑星」「空の大怪獣ラドン」「地球防衛軍」
というのは、ちょっと日本人のミステリ好きにはピンとこない部分もあるのじゃないかと思います。
970名無しのオプ:2013/02/17(日) 21:21:24.59 ID:2xm5ZCx9
で、現代の若者はラノベなどで、「この世と異なる常識を持った異世界で」「若い男女の
主人公が」「健全な色恋沙汰をからめつつ」「この世ならぬものがもたらす怪異を」
「知恵と工夫で切り抜けながら」「隠されていた秘密や世界観を解き明かし」「最後は
肉弾戦を駆使して戦いつつ」「ついに勝利を勝ち取る波乱万丈の物語」…というものに
子供のころからもう慣れ親しんでいます。
異世界を舞台にしたラノベミステリも、とっくに当たり前のジャンルになっていて、今や
逆に作中の登場人物たちが恋愛を進展させるのをめんどくさがるという(笑)、ある種
クイーン時代への回帰現象みたいな小説世界が定着しつつある有様です。

だからこそ、今の読者がカーを読んだときに「推理小説としてはオカルト色が濃いなあ」
という60年代的な見方はすっ飛ばして、いつも読んでる恋あり活劇ありの異世界物として
スッと読むことができる素地ができているのじゃないかと思えるのですね。
「蝋人形館の殺人」なんて、クイーンなどよりラノベ好きの若い子たちがふだん読んでいる
作品世界に近いとさえ思えますし。日本がやっとカーに追いついたというと過言でしょうか。

前にも書きましたが、近年は歴史もの・異世界物・戦国ものなどでも、現代とはまったく
異なる荒ぶる世界で派手な活劇が行われるというファンタジーではなく、その時代の
中で生きる人がどんなふうに食事や就寝をしているかを細かく描写し、彼らが自分の
生きる環境をどう工夫して毎日を過ごしているか、というリアリスティックな視点で地に
足のついた描写で描くものが当たり前になっています。
そういう目で見た時、カーの世界は少しも突飛なものではなく、ハラハラドキドキさせて
笑わせ面白がらせる普通のエンタメ小説なのじゃないかと思っています。

駄文長々(本当に…)失礼しました。
971書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2013/02/17(日) 21:38:09.81 ID:9pr5sJBq
>>961
ひとつの考え方として悪くないかモナー、
囁くはコンパクトだし、初期を思わせる怪奇性もあるし。
でも、あの爺、タフ過ぎ(w
まあ、ジョンらしいトンデモ展開のひとつではあろうが。
972名無しのオプ:2013/02/17(日) 21:59:57.86 ID:Ek7GkLQt
>>966
よく、カーの事掘り下げていらっしゃる。
> @ 「犯人の計画的犯行が予定通りに実施されて事件になり、探偵が犯人の
>    意図を暴くという型」だけに収まっていないような事件の構造
そうそう、これがカーを読むにあたっての楽しみの一つ。
「仮面荘」や「帽子収集狂」、「三つの棺」もそうかな。
芦辺と二階堂の対談は今は、「名探偵の肖像」で読めるよね。
973名無しのオプ:2013/02/17(日) 22:06:11.08 ID:Nq2FVJ/Y
長いよ! もっと短くまとめろ!

と思ったけど書いてあることには概ね同意だな
974名無しのオプ:2013/02/17(日) 22:55:20.50 ID:d9iriv2M
カーの好きな面はロマンティックなところ!
騎士道とか好きですよね。
後はミステリに対する愛情の深さ、常に挑戦的なところなんかも魅力に感じる。
もっと読者が増えてほしいなと心から思う作家です。
975名無しのオプ:2013/02/17(日) 23:02:00.87 ID:4QXTiPqG
>>966-970
なかなか興味深いですね
既存のジャンルを解体し自分の好みに再構築する手法は、
昨今の日本の若手作家などでは当たり前のように行なわれている
(例えば乙一、舞城王太郎、西尾維新などなど)
カーもそこまであからさまに意識はしなかったにしても、
ただ一点「読者を驚かせ楽しませる」ことを一番の目的に、
感性のまま多彩なジャンルを自己に取り込んだ気がしてならない
976名無しのオプ:2013/02/17(日) 23:48:53.03 ID:Pj5qwIiL
>>968
不評以前に、@の先入観のせいで手に取りすらしない読者も少なくないだろうね。
同時に、ミステリに怪奇趣味必須と考えている「古い」ミステリ通にもてはやされている、
という先入観も生むし。
977名無しのオプ:2013/02/18(月) 00:59:10.53 ID:2jBILG/j
>>968>>976
@Aの傍証と言ったらなんですが、何度か引用した乱歩「カー覚書」から乱歩の紹介しているカーの20作です。(乱歩の表記のまま)
なんとなく、その後の日本のカー読者のイメージを表してるような気がします。

「帽子蒐集狂事件」「To Wake the the Dead.」「プレィグコート殺人事件」「夜歩く」「ユダの窓」
「准偶院の殺人」「讀者欺かるゝ勿れ」「三つの棺」「レッド・ウイドウ殺人事件」「弓絃城殺人事件」
「死の時計」「孔雀殺人事件」「一角獣殺人事件」「パンチ・ジュディ殺人事件」「青銅ランプの呪」
「剣の第八」「ポイズン・インジエスト」「盲目の理髪師」「蝋人形館の死體」「警視庁怪奇事件課」
978名無しのオプ:2013/02/18(月) 01:05:17.21 ID:2jBILG/j
乱歩が上記でカーを紹介した頃は「ビロードの悪魔」等はまだ発表されてません。
乱歩の紹介の仕方はまずトリック(特に密室)、ついでに怪奇趣味とファース。
相当読者のカーイメージの固定化に寄与しただろうことは想像がつきます。
979名無しのオプ:2013/02/18(月) 02:09:53.48 ID:BONfbePs
カーはほんと自由でパターンが豊富だよなあ
キャラクターに関してはワンパターンだと思う事が多々あるけど
980名無しのオプ:2013/02/18(月) 18:28:51.00 ID:7Cl4TlxK
>>971
構って貰おうと必死なんだなw
981名無しのオプ:2013/02/18(月) 22:29:38.07 ID:vWMyi3jA
>>972-978
いつも過分なお言葉ありがとうございます。

カーの怪奇趣味っていうのはある時期までとんでもない扱われ方を
していたもので、各務三郎さんの入門書には見開きで吸血鬼やら
狼男やらが乱舞している冗談みたいなイラストが「カーの世界」として
掲げられていたものでした。
そりゃガチ本格志向の人は尻込みさせられますよね(笑)。

個人的な話で恐縮ですが、私の場合、横溝も大人向けの乱歩もまだ
知らないうちにカーに接して、それも創元文庫で、皇帝、帽子、連続、
僧院、カプセル、爬虫類館といった俗に言う「オカルト色」のない形で
カーを楽しめたのが大きかったと今にして思います。

子供心に「皇帝」で殺人現場のすぐ隣で締め出されたイブの運命には
心底ドキドキさせられましたし、どうなることかと息をのまされた男女の
愁嘆場にぬっと現われるキンロス博士にはしびれました。
ビットン嬢のおしゃべりに引き込まれ、取材能力のない記者や謎の女の
怪しい行動に唖然とし、「オカルト色」などなくてもカーの世界はどれも
とてつもない魅力に満ちていました。それは他の大家の作品を読んだ時に
逆に「カーにしかない魅力」として印象付けられたものでもありました。
982名無しのオプ:2013/02/18(月) 22:30:30.47 ID:vWMyi3jA
後に「読者よ欺かるるなかれ」「青銅ランプの謎」における「オカルト」の
扱いを読んだりしてしまうと、「火刑法廷」「三つの棺」「赤後家」などの色も
あくまで素材と方向性が選んだいち作品としての独自カラーであり、カーの
豊富な「面白がらせ方」のバリエーションを示すものではあっても、これが
カーの魅力の根幹だ!というものには感じられなくなってしまったのですね。

たとえば「黒死荘」はいま読んでも、事件から一夜明けた途端にスカッと
空気が変わってしまうあの感じは、「曲った蝶番」の怖さとは全然質の異なる
ものとしか思えませんし、同じように過去の因縁話が怖いはずの「魔女の
隠れ家」のあのぬけぬけとしたウフフアハハな雰囲気(←まさしく「ラノベカー」
の典型とすら思えます)は、「黒死荘」前半とは別ジャンルとすら感じられるし
「囁く影」に浮き上がってくる人間の怖さとも全く違う種類のものでしょう。

個人的に「囁く影」は、もっともっと堂々と吸血鬼伝説を押し出してしまって
良かったと思うのですけれどね。過去の農村における伝聞やらの真相は
そうした方がもっと驚けたと思うし、魔物ならぬ人の怖さ哀しさが染みわたる
作品の味わいも、決してそれで軽くなってしまうことはなかったと思います。
(さらに個人的に言えば、特に第二の事件のトリックなどについて、もっと
露骨な伏線を張っても良かったんじゃないかとか、いつものような感想が
湧くのですがそれは機会を改めて…)

とにかくカーの懐の広さはすごいものです。
ヘンな締めですみません。
983書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2013/02/18(月) 23:26:32.86 ID:4hgrNSd+
オタおおいに語るは2ちゃんらしくて良いとは思うが(w
新刊書店ではジョン歴史ミステリは遂に壊滅、
文庫は近年も創元が頑張ってくれてはいるが(昔もそうだけんど)、
早川で現役はバーニング(新訳)、剣八、死が二人を、3作のみという
厳しい現実。
書店チェックをすればわかるが、中小規模になるとバーニングのみ在庫なら
良しとしなければならないのが実状と言い得る。
70〜80年代にあれだけジョン作品をキープし続けた早川は何処へ・・・
という感あり。当時は書棚にジョン単独の区分さえ存在したのである。
日曜に都心の某大型書店のHM文庫コーナー前に呆然と立ち竦んでいた
顔色が悪い貧相な椰子、どう見ても、このスレのカーマニアと思われだ(w
984名無しのオプ:2013/02/18(月) 23:42:42.83 ID:8JS70Mma
>>982
>「面白がらせ方」
この一言がカーに対するイメージだなぁ
いかに読者を楽しませるか、ニヤニヤしながら執筆しているようなw
985名無しのオプ:2013/02/19(火) 00:14:02.42 ID:eAArSKvG
火刑法廷が割りと目立つ所に平積みされてたが何があった
986名無しのオプ:2013/02/19(火) 01:22:43.89 ID:hwJejLuX
「囁く影」は第二次大戦後の荒廃化したイギリスでの雰囲気がなんともいえなくて良い
対して同じ第二次大戦後のイギリスでもクリスティの作品はだいぶノンビリしてるよなw
987946:2013/02/19(火) 10:46:46.08 ID:c3M1O56s
>>966-970
密度の濃い考察を堪能しました。
このスレは、終了後いつも通り保存しますが、上記のレス番は、そこだけ
おりにふれ参照したく、プリントアウトさせていただきました。

私は、どちらかというと本格ミステリを技法で分析しがちの読者なので、
あなたのような、カーの物語性に真正面から対峙した“読み”には、逆に
教えられることが多いです。
以下はマジな提言です。

もしお考えを、掲示板ではなく、なんらかの形で発表される機会(なり、場)
があるのであれば、「カー問答」スタイルの、問答形式の評論を試されてみては
いかがでしょう。古いタイプのカー読者とあなたの、あるいはラノベ世代の
ミステリ初心者とあなたの、架空対談です。
僭越ながら、あなたの論は、もっと多くの人の目に触れるようトライアルされる
価値があるものですよ。

もし、カーのスレが続くようであれば、そこでまたやり取りさせていただけることを楽しみ
にしております。
988名無しのオプ:2013/02/19(火) 19:23:07.92 ID:65pOBtdc
>>982
おっと遂に「青銅ランプの呪」がでましたか。
これのオカルトの扱いってミスダイレクションになっていたっけ。
最後のタネ明かしで、さすがにこれは。。。と脱力してしまったなぁ。
「絞首台の謎」もそうだった気が。。
989書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2013/02/19(火) 22:32:29.22 ID:Z1mhDLG6
>>985
あれは喪前だったのか(w
文春のベスト100に便乗して在庫している作品を前面に出して売りに出てる書店もあるみたいな。
バーニングに限らず、この例は他店でも見た。

>ミスダイレクション
これは笑いました。
990名無しのオプ:2013/02/19(火) 22:48:54.02 ID:RZK45l6G
>>987
有難すぎてなんとお返事してよいか茫然としてしまうお言葉をいただき、望外の光栄です。
勝手なことを書き散らしてスレの流れの邪魔をしてしまっているという思いがあって、
浮かれてはいけないと自分を戒めつつも、素直に涙が出る思いです。
ありがとうございます。

とはいえ、お褒めいただいているような物語作家としてのカーの姿勢に「真正面から
対峙」している立派な読み方が自分に出来ているとはとても思えません。
それこそ「ミステリ全般を把握した上でのトリックや技法の分類」といった立派な仕事が
読書量の不足でできないと自覚しているために、抽象的すぎる一般論に逃げている、
と言われても仕方ない「弱者の論法」だと思っています。
小野二郎さんの言葉を借りればイギリス文学の伝統である「未分化の豊饒さ」が、カーの
作品にいかなる形で生きているか、具体的に指摘できるストックも私にはありません。

例えばカーの歴史ミステリの時代である1950年代を「SF映画の黄金時代」と規定したのも
あくまで一つの切り口を提示してみたということでしかなく、きちんとカーの系譜をフォロー
できている方なら、40年代終わりから60年代にかけてのカーが、どんなジャンルに関心を
持ち、どのような作品を愛好していたか、具体的にきちんと追跡されていると思います。
(SF小説一つとっても、タイムトラベルものやヒロイック・ファンタジーは20世紀初頭から
膾炙していましたし、カーの全盛期である30〜40年代には、歴史イフものや架空戦記物の
小説が大衆雑誌を中心に流行していました。映画以外にもカーに影響を与えたものは多々
あったでしょうし、ラジオの仕事はじめそうした面を研究している方はいると思います。)
991名無しのオプ:2013/02/19(火) 22:50:14.57 ID:RZK45l6G
しかしそんな私のような素人でも、カーの読み物としての面白さは印象づけられました。

たとえばカーの作品によくある、解決編以前に少しずつ少しずつ謎を明かしていく展開、
個人的にカー二作目だった「帽子収集狂事件」において、帽子泥棒の正体を途中で
割ってしまったり、「赤後家の殺人」で密室の謎を部分的に明らかにしつつ、ますます
スリリングな読書に引き込んでいくあの手管というものが、そもそも「読み始めたら
やめられないエンタメ読書の楽しみ」というものだったと今にして思います。

そうした先人からのプレゼントを、少しでも自分なりにその美点をかみ砕いて伝える形で
若い世代の方たちに訴えられたらこんな嬉しいことはないと思っています。
怠け者でブログやHPも立てたがらず、ミクシィやピクシブに批評を上げるのも恥ずかしい、
という人間ですが、お言葉を力に、何らかの場を作ってみようと思います。

変則「カー問答」スタイル、素敵ですね! ラノベ世代の素直なツッコミなんて考えるだけで
楽しくなります。旧世代の方の設定は、乱歩や中島河太郎氏、松田道弘氏など、海外情報の
乏しい中で多大な貢献を成して下さったた方たちに失礼のないものにできたらいいですね。
いつかチャレンジしてみたいと思います。
貴重な提言、心より感謝致します。

カースレが続くようであれば、こちらこそよろしくお願い致します。
重ねて、ありがとうございました。
992名無しのオプ:2013/02/19(火) 23:00:56.61 ID:RZK45l6G
>>988
あたたたた、「青銅ランプの謎」なんて書いていました。すみません。

>>950の方も体系の話をされていたので、ちょっと創元のスタート時のカーを
振り返ってみました。

■1959年 カー作品集全十二巻刊行

夜歩く             井上一夫訳    [1959-08-05] 再刊
絞首台の謎         井上一夫訳    [1959-05-05]
黒死荘            長谷川修二訳   [1959-03-05] 再刊
修道院の殺人        宮西豊逸訳    [1959-09-05] 再刊
一角獣の怪         長谷川修二訳   [1958-09-25]
曲った蝶番          中村能三訳    [1959-04-05] 再刊
足跡のない殺人      長谷川修二訳   [1959-01-15]
緑のカプセル        宇野利泰訳    [1958-12-05]
連続殺人事件        井上一夫訳    [1959-06-30]
皇帝のかぎ煙草入れ    井上一夫訳    [1958-11-05] 再刊
彼が蛇を殺すはずはない 中村能三訳    [1958-08-15] 再刊
青銅ランプの呪       長谷川修二訳  [1958-07-25]

■1959年 創元推理文庫刊行
   
1959年 07月 髑髏城
1960年 01月 赤後家の殺人    03月 毒殺魔
      09月 帽子収集狂事件  10月 爬虫類館の殺人 
1961年 03月 緑のカプセルの謎 06月 アラビアンナイトの殺人
      07月 連続殺人事件    08月 皇帝のかぎ煙草入れ
1962年 03月 盲目の理髪師
1966年 04月 曲った蝶番  
993名無しのオプ:2013/02/19(火) 23:07:40.59 ID:RZK45l6G
90年代末、「エドマンド・ゴドフリー卿殺害事件」を皮切りにしたカー新評価・
新刊ラッシュを経て、現在の文庫新装ラッシュになるわけですが、昨年の
年4冊というのは戸川さん執念の80年代を越える歴史的ハイペースで
あったのですね。 今年もより一層のカーラッシュを期待したいところです。

■創元推理文庫追加ラインナップ

1972年 05月 死者はよみがえる
1975年 08月 死の館の謎
1976年 07月 夜歩く        11月 絞首台の謎
1977年 10月 白い僧院の殺人
1979年 04月 魔女の隠れ家

1980年 07月 血に飢えた悪鬼  12月 孔雀の羽根 
1981年 04月 猫と鼠の殺人    08月 仮面荘の怪事件
1982年 04月 テニスコートの謎  12月 死時計
1983年 01月 亡霊たちの真昼  12月 青銅ランプの呪

■現在の文庫新装ラインナップ

2009年 12月 一角獣の殺人   
2010年 05月 51番目の密室(ポケミス) 
2011年 03月 帽子収集狂事件  08月 火刑法廷
2012年 03月 蝋人形館の殺人  05月 皇帝のかぎ煙草入れ
      07月 黒死荘の殺人   12月 曲がった蝶番
2013年 04月以降? 夜歩く
994名無しのオプ:2013/02/19(火) 23:10:19.36 ID:RZK45l6G
このスレでの私の書き込みも多分これで終わりかと思いますが、
新スレ立て、テンプレなどどなたかお願いできればと思います。

皆さんのご意見書き込み、とても楽しく読ませていただきました。
ありがとうございました。
995名無しのオプ:2013/02/19(火) 23:13:50.64 ID:u9GJ9LUN
良かったらいったんこちらに移動しませんか?
ディクスン・カー(カーター・ディクスン)【避難所】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/8993/1243148912/
(ネタバレ荒らしが来れない、荒らされてもすぐ削除されるスレ)

後半興味深い流れになりましたが
ネタバレがそのままで過去スレ化しそうなことだけが心残りです。
996名無しのオプ:2013/02/20(水) 03:56:46.97 ID:6HUEqg+C
今はそんなに荒れてないからここでいいんじゃない?
荒れてから避難所の方使えばいいと思う
997名無しのオプ:2013/02/20(水) 06:51:59.15 ID:Csj5PFnN
誘導荒らしウザイ。
998名無しのオプ:2013/02/20(水) 09:04:01.77 ID:dO3+ZCT4
>>995
嫌気がさして、向こうに行ったかたがたの気持はよくわかる。
ただ、まがりなりにもカーの名を冠した本スレが、「隔離戦線」と化すのは
忍びないのよ。
だからときどき覗きに来て、軌道修正できるものならそうしたいと思うし、
結果、ファン同士で思わぬ意見交換ができると、まだまだ捨てたもんじゃない
と希望をつなげる。

そちらは、そういう意味では安定しているぶん、わざわざお邪魔しなくても大丈夫、
とつい思ってしまうのが本当のところ。
でも、住人(とりあえずね)の一人として、ご好意にはお礼申し上げる。
999名無しのオプ:2013/02/20(水) 09:07:48.67 ID:2mOu52Hq
立てたんなら連絡してほしかったな。

ディクスン・カー(カーター・ディクスン)Part14
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1361307621/l50
1000名無しのオプ:2013/02/20(水) 09:09:21.45 ID:2mOu52Hq
では終了。
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このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。