『読みました』報告・国内編(書斎厳禁)Part.6

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20読みませんでしたw:2010/01/10(日) 03:07:11 ID:B2Arh47G
 > 635 名前:奥さまは名無しさん 投稿日:2009/12/19(土) 16:39:17 ID:???
  > 最後にひとつ。
  > >第3位の「厭魅の如き憑くもの」(三津田信三)、第10位の
  > >「仮面幻双曲」は60位までににも入っていない。
  > >(第8位の「福家」は23位に入っている)
  > 
  > しかし、これでビビッて、「ご祝儀」 なんて理由付けで
  > 主張を後退させたアティ住のチキンさに大笑いしたよwww
  > 
  > さ、終了。

必死の検証も軽々と一蹴されてしまいましたとさw
21読みませんでしたw:2010/01/10(日) 03:07:54 ID:B2Arh47G
結局
「このランキングは信用できるんだ
だからそれを楯にしてベスト10外の作品をいくらこき下ろしても問題ないのだ!」
とほざくようなバカは救いようがないということですね。


                                  おしまい
22名無しのオプ:2010/01/10(日) 07:14:36 ID:R3fDCYIL
それはミス住の話しであって書斎は関係ない。他板の事情を持ち出すなアホ。
23名無しのオプ:2010/01/10(日) 08:14:51 ID:c3XLhBCQ
>それはミス住の話しであって書斎は関係ない。
まあ、それでもいいけどw 林博士には変わりないから。
24名無しのオプ:2010/01/10(日) 09:47:32 ID:kVSSld1b
そんな架空の人物の話しをしてもしょうがないだろ。
ここは最悪板でもしたらば板でもないんだよ。
25名無しのオプ:2010/01/10(日) 11:15:26 ID:eY/VMVun
ID:B2Arh47G は書斎専用スレからのコピペですね。
書斎の最低な言動を広めるのもけっこうですけどここは国内ミステリ作品の感想スレですから。

未読の本をランキングだけで価値判断するバカについての話は書斎専用の

『読みました』報告スレッド
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1262702713/l50

でやりましょう。
26名無しのオプ:2010/01/10(日) 11:20:41 ID:kVSSld1b
いや、逆ですよ。
重複スレとして削除がほぼ決定しているこのスレに書き込むのは無意味です。
スレタイにコテハン名入れたのも致命的ですしね。

消える運命にあるスレは落とすか流すかするしかありません。
27名無しのオプ:2010/01/10(日) 11:42:51 ID:c3XLhBCQ
まあ無視していきましょう。
28名無しのオプ:2010/01/10(日) 11:55:19 ID:kVSSld1b
他板のレスをコピペするような連中の口車に乗ってはだめですよ。
ここは冷静に対処しましょう。
29名無しのオプ:2010/01/10(日) 12:02:49 ID:eY/VMVun
>>27
同意。
他板のレスのコピペをコピペするような連中の口車に乗ってはだめですからね。
30名無しのオプ:2010/01/10(日) 19:13:10 ID:R3fDCYIL
やはりここは落とす以外にないね。
31名無しのオプ:2010/01/10(日) 19:33:17 ID:c3XLhBCQ
>>30
書斎さん、削除依頼を出すがよろしい。
32名無しのオプ:2010/01/10(日) 20:08:11 ID:Yx+TZ9Gt
>>30
保守乙w
33名無しのオプ:2010/01/11(月) 22:12:42 ID:M/S6tchf
西尾維新「難民探偵」

謎解きに関しては短編で十分なボリューム。
これはキャラクター小説ってか、ラノベだね。
……ラノベの話を持ち出すと荒れるかもしれんけど

34名無しのオプ:2010/01/12(火) 09:22:29 ID:Qv0XEUS1
[762]書斎魔神◆AhysOwpt/w 1/11(月)21:59 Am/sDOYq(2) AAS
栗原裕一郎「<盗作>の文学史 市場・メディア・著作権」を読んだ。
文中で筆者も類書が見当たらないと述べているとおり、
現在のところ文学における盗作に関する唯一の体系書であり、
基本テクスト足り得る力作である。
本書を読むと、基本的な法的知識や文学に関する見識も無くして、
荒らし目的のためにいたずらに「剽窃」云々を騒ぎ立てる連中に、
「甘ったれるな!!」という感をあらためて強く抱いた次第である。
欲を言えば、もう少し事例を整理するなりしてボリュームをコンパクト
たらしめても良かったかも。
ミステリ関係の盗作ネタも相当数紹介されているが、
文壇、ジャーナリズムにおけるその注目度は昔から低かったようだ。
ミスオタが地団太踏んで悔しがっても、「所詮、たかがミステリなのである」。
この点は、本書で紹介されている倉橋由美子「暗い旅」における
ミシェル・ビュートル「心変わり」の2人称スタイルパクリ疑惑事件に端的に
顕れていると言い得る。
倉橋嬢の半年程前にあのミッチーこと都筑道夫がビュートル作品に倣うと
公言(文筆上の犯行宣言?(w )の上、「やぶにらみの時計」を著している
にもかかわらず、糾弾もその後の論争における参照も無かった(66頁参照)
のである。ネット用語で言う完全スルーやね(w
本書第三章では大藪春彦、三好徹両氏絡みの盗作事件の詳細が引用や報道記事にもとづき検証されている。
本書の引用で見る限り、大藪氏の盗作問題(2件)はフランク・ケーンには
成程感があるが、ロスマクの方は自家薬籠中のものしていると言うても良いのではないか?
35名無しのオプ:2010/01/12(火) 09:23:37 ID:Qv0XEUS1
[763]書斎魔神◆AhysOwpt/w 1/11(月)22:00 Am/sDOYq(2) AAS
三好氏の方は黒澤映画「天国と地獄」に絡むものである。
他に本書中にミステリ作家関連では、
あの悪名高き2ちゃん、しかもわがミステリ板が発信源となった飛鳥部勝則
「誰のための綾織」の件が、第七章で頁数を割いて紹介されているが、
この件は一般どころか、ミステリ板住人でも知らなかった者も多いのでは?
更には、第8章その他の事件では、清張先生が「深層海流」で著作権侵害
で告訴された件(いずれ清張スレで紹介したい)、
有馬頼義氏が「カストリ雑誌前期」の盗作の件で示談金を取られた件等が
紹介されている。
著作権問題としてリーガル・サスペンスを読むかのような逆転の
面白さがあるのは、第六章で取り上げられているNHK大河ドラマ「春の波涛」
の件、複数の原本が存在する等で展開そのものがミステリアスな「黒い雨」の件等、いずれもミステリ関連でないのが面白い。
盗作史(?)という文学史の断面をひとつ見ても、ミステリというジャンルの存在感の無さが実感できるものあり。
本書では漫画絡みの件(第六章の「川べりの道」)も取り上げられているが、
この活字文化衰退の昨今、ミステリはこのままでは漫画よりも影が薄いもの
となってまうぞ(w
36名無しのオプ:2010/01/12(火) 09:24:46 ID:Qv0XEUS1
8 名前:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 投稿日:2010/01/06(水) 21:11:23 ID:k9pkCSSo
今後は国内作品に関する論考はここに掲載するね。
各人、心して読め!!

8 名前:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 投稿日:2010/01/06(水) 21:11:23 ID:k9pkCSSo
今後は国内作品に関する論考はここに掲載するね。
各人、心して読め!!

8 名前:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 投稿日:2010/01/06(水) 21:11:23 ID:k9pkCSSo
今後は国内作品に関する論考はここに掲載するね。
各人、心して読め!!
37名無しのオプ:2010/01/16(土) 20:57:16 ID:GG1fMLXj
ダ・ヴィンチ特別編集の「金田一耕助The Complete」(メディアファクトリー刊)を
久々に取り出して読んだけど、そういえばこれ、袋とじページがあったんだな。
当時、あまり綺麗に切れなかったので保存用にもう一冊を…と思ってAmazonを覗いたら、
版元品切れか絶版なのか、取り扱い不可になっていた(マケプレは安いけどさ)。
38名無しのオプ:2010/01/23(土) 20:59:18 ID:JjJKhVYo
ここは削除対象になっています。書き込みは控えてください。
39名無しのオプ:2010/01/23(土) 21:08:08 ID:mmbtn7nx
ID:JjJKhVYo

38 名前: 名無しのオプ [sage] 投稿日: 2010/01/23(土) 20:59:18 ID:JjJKhVYo
ここは削除対象になっています。書き込みは控えてください。

744 名前: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 投稿日: 2010/01/23(土) 16:22:14 ID:SxkmiDuu
新刊「夜の冒険」(早川)は「夜はわが友」(創元)の姉妹編なんだな。
あとがきによれば、奇しくも本国でも同様に別な出版社から刊行された
とのこと。
読み終えたら、おなじみ収録作品全話講評をレスする予定。

745 名前: 名無しのオプ 投稿日: 2010/01/23(土) 17:05:04 ID:JjJKhVYo
ミス板名物だね。
これでホックも売れて版元もホクホクだろう。
40名無しのオプ:2010/01/24(日) 17:41:01 ID:wNMiEuQ3
削除依頼すら出されていない以上
このスレが国内感想スレとして認められたとみていいようですね。
41名無しのオプ:2010/01/26(火) 21:19:00 ID:i1ZOsI/c
「聖灰の暗号」  帚木蓬生著

ミステリーとしてはもう一捻り欲しかった。
ただ、昔の手稿の所は滅茶苦茶面白い。
42名無しのオプ:2010/01/26(火) 21:39:05 ID:l7mTRza7
感想は書き込まないで下さい。
重複スレです。
43名無しのオプ:2010/01/26(火) 21:58:19 ID:ZRaLryEZ
42 名前: 名無しのオプ 投稿日: 2010/01/26(火) 21:39:05 ID:l7mTRza7
感想は書き込まないで下さい。
重複スレです。

818 名前: 名無しのオプ 投稿日: 2010/01/26(火) 21:40:13 ID:l7mTRza7
書斎シンパはサイレント・マジョリティだけど、書斎アンチはラウド・マイノリティなんだよね。
だからスレを荒らすのは書斎アンチだということになる。
44読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/01/28(木) 01:13:20 ID:POSE1w0/
「密室殺人ゲーム2.0」歌野晶午(講談社)

自前のトリックを駆使して密室殺人を繰り返すキ○ガイどもを描いた
連作短編集の続編。
どう続けんのかいなと思っていたらなるほど。

小説としてはさして面白くないが、各トリックの質は前作以上だと思う。

しかし、彼らが身元がバレることをあまり気にしてない風なのは?

「密室の如き籠るもの」三津田信三(講談社)

刀城シリーズ初短編集。
どれも一定のレベルを保っていると思う。
ベストは表題作。まあ明らかに分量が違うし力が入っているよ。
やや盛りすぎの観はあるものの、クリスティばりのミスリードが光る。
見取図もあるし(あまり意味ないけど)。
「迷家の如き動くもの」の奇々怪々の辻褄合わせも良い。
45読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/01/28(木) 01:16:51 ID:POSE1w0/
「Another」綾辻行人(角川書店)

母の故郷の中学校に転校してきた病弱な少年恒一。
この中学校には何やら多くの秘密があるらしく、恒一はOGの叔母から
心構えを伝授される。
クラスメート達は優しく接してくれたが、恒一がある不思議な雰囲気の
少女に声をかけた時から事態は動き出す。
3年3組を襲う悲劇とは――?

およそ670ページの大作である。
綾辻復活と聞いて読む。
確かに、面白かった。
「堕天使拷問刑」を連想した。
ホラーを基調にしてミステリーの種を蒔いた感じ。
これを仮にミステリー部分のみで評価するなら、「長すぎ!」
となるだろう。

しかし、そうならないのは、本作が学園(敢えてホラーは入れない)もの
としても読める代物だからである。
この分厚さがちっとも気にならず、スラスラ読ませる作者の腕は確かだ
(なので、厚さに躊躇するのは杞憂である)。
そうやってストーリーに乗れるからこそ、ミステリー的なオチや
それに至る伏線が効いてくるのだ。

連休などにお薦めの一冊。
46名無しのオプ:2010/01/28(木) 01:50:15 ID:p7g6QY0S
「占星術殺人事件」

面白かったー

トリックはかすってたというか凄く微妙な勘違いをしてた
だから犯人はわかったんだけど、あれ、なんか違うと
47名無しのオプ:2010/01/28(木) 17:07:33 ID:RecWC5bE
>>45
それ、買おうか迷ってたんだが、割とグイグイ読み進められるような内容かい?
48読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/01/28(木) 23:01:59 ID:POSE1w0/
「臨床真理」柚月裕子(宝島社)

新米の臨床心理士美帆が担当することになった青年司は
親しかった少女の死のせいで心を閉ざしていた。
やがて、美帆の懸命なアプローチが功を奏し司は思いを語り始める。
自殺扱いされた少女が実は他殺だということ、それは自分が持つ
特殊能力で判ったということ。
司の熱意にほだされた美帆は半信半疑のまま
2人がいた施設のことを調べ始めるのだが……。

エロいと聞いて読んだ。確かにエロかった。禁断のエロスだね。
必然性もある。

プロットは極めて単純で真相の見当も容易くつく。
評価したいのは、エロも含めた作者の思い切りならぬ描き切りの良さ。
障害者の描写や記述をオブラートに包んだりせずシビアに描いている。
真実に近いかどうかは別だが、小説作法としては好感が持てた。
ヒロインのエピソードにもうるると来た。
ただ、調査方法がちょっとファンタジー。

>>47
ウイ。
49読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/01/31(日) 16:08:14 ID:wp11cULR
「武家屋敷の殺人」小島正樹(講談社)

なんでも屋の弁護士川路は、孤児院育ちの女性から実家を突き止めて欲しい
と頼まれる。リバーカヤック仲間の邦彦も加わり調査に乗り出すが、
それによって彼らはとある旧家を巡る奇々怪々な出来事の数々に
巻き込まれることになる……。

前作も面白かったけど、本作も良い!
島荘の後継者たる地位を確固たるものにしたのでは。

最初に出てくる謎は案外するすると解けていくもんだから、
おいおいいいのかと思いながらも、そのせいで勿体ぶらかされる
苛立ちも感じることなく作品にのめり込める。
そして謎は後から後から泉の如く湧き出てきてストーリーを牽引しくいく。
この辺の駆け引きというか塩梅というか、巧いね。その他の新本格連中とは
違う洗練が窺われる。
そしてラストに至るまでサプライズの手を緩めない徹底ぶりにも拍手。
気になるのは主人公の「〜す」ぐらい。

他の連中が「ここは掘り尽した」とばかりに辺境目指して
あっちへ行ったりこっちへ行ったり躍起になって開拓しようしている中、
ど真ん中にデンと座って「俺はここで勝負出来ますけど?」
とうそぶいている様が見えるようだ。
もう出ている次作も絶対読むぞ。
50名無しのオプ:2010/01/31(日) 18:28:13 ID:0R654WW7
このスレ削除依頼出しますから。
51名無しのオプ:2010/02/06(土) 22:23:51 ID:mZnehnq6
福田和代「TOKYO BLACK OUT」

犯人の動機と手段に乖離がありすぎ。
リアリティの欠如。
それを埋めるだけの面白さも無し。
52読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/03/02(火) 21:13:23 ID:cG45YDvi
「水魑の如き沈むもの」三津田信三(原書房)

先輩の阿武隈川から頼まれて
53読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/03/02(火) 21:49:07 ID:cG45YDvi
担当編集者偲と奈良県の山村を訪れた刀城言耶は、奇妙な雨乞いの儀式に
立ち会うが、その最中、湖に棲むという水魑様に捧げる供物の樽を沈める
役目の「神男」が密室状態の舟の中で謎の死を遂げる。
早速真相を探ろうとする言耶だったが、権力者の宮司の妨害に遭い
調査は難航する。
そして更なる事件が……。

お馴染みシリーズ5作目。
だがイマイチ。
一番マイナスなのは細かな謎が放置されてる件。
個人的にはメインの謎よりむしろこういう傍流の方に目が向くから、
前作は○だったが本作は×。
特殊な状況下での推理という設定も悪くはないんだけど……何だかなぁ。

他気になったところ。
・(メル欄)はビビらんやろ
・515ページの笑みが不自然
54読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/03/02(火) 21:56:23 ID:cG45YDvi
「山田風太郎ミステリー傑作選A十三角関係〈名探偵篇〉」山田風太郎(光文社)
飲み屋でとある売春宿への道を尋ねた美少女を案内することになった
場末の闇医者荊木歓喜。
しかし、着いた先で2人は残虐な殺人事件に遭遇する。
ネオンに彩られた外壁の巨大な風車にマダムのバラバラ死体が
吊り下げられていたのだ! 他8編。

歓喜先生を探偵役に据えた連作。
先に言っておくと、本格としての完成度は必ずしも高いとは言えない。
それはフェアプレーに徹しきれていないから、
そして奇想を論理の先に置いてしまっている場合があるからである。
思うに、前者は分量の問題であり後者は作者の哲学によるのではないか。
後者は別の評価軸でみた場合、長所になるし、余談を余談と感じさせない
渾然一体とした雰囲気を紡ぎ出す物語力には脱帽する。

それでも、表題作や中編『帰去来殺人事件』などは紙幅に余裕が
あったためか、フェアに書かれていると思う。
表題作の真相は本格としては美しくないが、ミステリーとしては
発端とともに妖しい異形の魅力に溢れている。
そしてそこに至るまでの伏線の数々には唸らされた。
『帰去来殺人事件』の方はサスペンスフルな展開と驚くべき
トリックが鮮烈だった。
他の短編も一発大トリックや巧妙な伏線など部分的には面白いかった。
具体的には『チンプン館の殺人』のトリック、『西条家の通り魔』の
トリックと手掛り(後出しなのが悔やまれる)、『お女郎村』の真相
などが印象的だった。
それから歓喜先生は名セリフが多いね。
109、416〜417のセリフには喝采した。

この叢書まだまだ読みたい。
55読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/04/09(金) 00:18:33 ID:tWN9eqnC
「都筑道夫コレクション 血のスープ《怪談篇》」(光文社)
ハワイにいる娘の元へ出掛けた慶吉は映画館で知り合った
ゲイボーイのケイと一夜を共にする。
その後帰国した慶吉はケイからのテレパシーを受けた。
どうやら日本へやってくるつもりらしい。
彼に命じられるがまま慶吉は若い女の肉体を探し求める……。
他怪奇短編集。

筑摩の「恐怖短編集成」(お薦め)の解説で薦められていたので。
しかし表題長編はイマサン。
プロットもディテールも雑で終始ふわふわ感が付いて回った。
このネタでは精々中編止まり。パプコーンは気に入ったけど(笑)。

だが、短編集は良い!
筑摩の雰囲気そのままに入り込めた。
ベストは「風見鶏」。奇妙な味の傑作。
次点は小粋なツイストの「夢見術」。
宮部推薦「はだか川心中」はもう一歩踏み込んで欲しかった。
後雪崩ものは想像と違った。

この人はとにかくアイデアが渾々と湧き出てきてそれを片端から
書いていくというイメージがあるな。
それがある時は世界観を奥深くして傑作を産み、
ある時はとっちらかってまとまりが悪くなる。
「かくれんぼ」何かは後者だと思う。
56読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/04/09(金) 00:20:47 ID:tWN9eqnC
「扼殺のロンド」小島正樹(原書房)

廃工場に突っ込んだスポーツカーから発見された男女の死体。
その死因は衝突によるものではなく、一人は首を絞められた上
腹から内蔵を取り出されており、もう一人は高山病であった。
目撃者によると事故の寸前まで2人は生きていたという。
静岡県警の小沢と笠木のコンビは笠木の友人海老原の力を借りて
捜査を進めるが……。

3冊目。相変わらずクオリティは高いと思う。
発端の事故から幽霊、密室、死体出現等々奇想の釣瓶打ち。
それらの謎を、師匠みたくスカスカだったり偶然の連鎖を
起こさせたりせずにきっちりと捌く。
ちなみに伏線は前作より判りやすかったかな。

ただ、一つ「ための奇想」ぽいものが混じってたのが残念。
矛盾した記述があった。
57名無しのオプ:2010/05/04(火) 08:44:11 ID:lZa1/2Sk
たった一人のコテハンによる占有スレと化したね。
これは立派な削除対象だ。
58名無しのオプ:2010/05/04(火) 10:45:05 ID:7Ul8rzDJ
書斎以外のコテハンは出ていくべきだね。
59読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/06/02(水) 21:25:05 ID:c3/J+l0Q
「叫びと祈り」梓崎優(東京創元社)
短編集。
ある消息筋からの絶賛を受けて読んでみた。
世界を飛び回るトラベルライター斉木が行く先々で出会う
怪事件の数々を収めた連作だが、読み終わってまず思ったのは
「地に足がついている」ということ。
ネタとしてはチェスタトンに例えられるほど逆説的なものなのだが、
それをストーリーに仕立てる段階でとても明快でしっかりとした
本格ミステリにしていると思ったのだ。

そしてもう一つ思ったのは、あるトリックの必然性について。
単体なら気にならなくても組み合わされると気になってくる。
これ以上は言わない。

一番は「砂漠を走る船の道」。少数のキャラバンで起きる連続殺人。
一見自殺行為に思えるのだが果たして――。
ウホッこれは良いホワイダニット。こけおどさないのも○。
しかし次点となると迷う。「白い巨人」はネタがしょぼいし、
「凍れるルーシー」は加害者と被害者の言動が共に不可解だし崩しすぎ。
「祈り」はノーコメント。消去法的に「叫び」かな。
60読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/06/02(水) 21:26:45 ID:c3/J+l0Q
「赤い帆船」西村京太郎(角川書店)
猛スピードで金網に激突したスピードカー。運転者は毒を盛られていた。
被害者内田洋一はヨットで単独無寄港世界一周を成功させたということで
世の寵児であった。
やがて第2、第3の殺人事件が発生し、十津川は動機から
容疑者を1人に絞るが、その男には、事件発生当時ヨットレースに参加して
太平洋上にいたという鉄壁のアリバイがあった……。

某スレからのセレクト。
これは所謂ご当地トラミスと違った趣で比較的読み応えがあった。
まず先を越され恋人を寝取られた怨みというストーリーあり、
英雄を利用しようとする大企業同士の闘いという社会派な側面ありで
まあまあ引き込まれる。
そして謎に関しても時刻表パズルではなく解りやすいアリバイを
メインに据えておいて更にそれぞれの殺人に置いて
メインを補強するサブアリバイ略してサブバイもあるという周到さ。

解いたと思ったら反証が持ち上がってきて十津川もかなり苦戦する。
ミス・ディレクションもありプロットは練られていると思うが、
フェアな訳ではないのが残念。ただ、メインのアリバイは崩せそう。
61読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/06/03(木) 23:33:59 ID:uqP+GUp2
「眠れ、わが愛よ」(徳間書店)

遠く沖縄で起きた飛行機事故の被害者の中に、都内で働いているはずの妻がいた!?
村雨は訳も判らぬまま悪友日下部と共に現地へ飛んだ。
妻に一体何が?
そして彼女の死を皮切りにその周りの男女が次々に死んでいく……。

某スレからのセレクトかな。
笹沢さんは西京と違ってノンシリーズが多いから、
それぞれにメインのストーリーがちゃんとあって、そこに事件が溶け込んでいて、
すんなり通俗サスペンスの世界に入っていけるね。

本作の場合、私はかなり早い段階である種の見当をつけたのだが、
そこから事件はどんどん広がっていき、謎も深まっていく。
この辺りの転がし方は流石笹沢、「伊達に量産してないぜ!」てな感じ。
そしてラストに明かされる真相の全貌には結構驚き。
フェアではないもののホワイダニットをきっちり引き受けている。

笹沢さんは量産作家でさえなけりゃ、後世の評価は数段階アップしてたろうなあ。
62読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/06/03(木) 23:37:05 ID:uqP+GUp2
「高砂コンビニ奮闘記 悪衣悪食を恥じず」森雅裕(成甲書房)

落魄した某乱歩賞作家が流れ着いたのはコンビニであった。
親子ほども年齢の違う上司や同僚との友情と軋轢、そして悪質なクレーマーとの闘い。
そんな「第二の青春」の果てに彼は何を見たのか――。

面白かった。だって(少なくとも大部分は)真実だから。
森作品における主人公の皮肉屋ぶりにうんざりしていても、
これには素直に感情移入して喝采を贈れる。
スクーター涙目のおっさんやキティN沢くん、カンチガO津くんなど
嘲笑うべきキャラクターが盛り沢山で楽しめた。
付近在住だったり土地勘があったりしたらもっと楽しめただろうなあ。

それにしても尋深にはもう会えぬのか……。
63読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/06/05(土) 03:32:38 ID:YRODZQJd
「雪冤」大門剛明(角川書店)
前途洋々たる大学生八木沼慎一は、2人の男女を惨殺したとされ逮捕された。
そして事件から15年。無実を訴える主張も空しく慎一は死刑判決を受け、
息子を信じる父悦史は必死に真犯人を探し続けていた。
そんな中、突如彼の元にかかってきた見知らぬ男からの電話。
男は自分こそ真犯人だと告げてきた。悦史は一縷の望みをかけて
男の正体を突き止めようとする。

横溝賞受賞作。ドンデンが凄いと聞いて読む。確かに凄い。
冤罪を晴らす社会派なノリで来つつ、スリル、ショック、サスペンスも盛り込み、
終盤にはドンデン絨毯爆撃で攻めてくる。それがやり過ぎとの評もあるが、
デビュー作にはそのくらいのサービス精神が必要だよ。
デビュー作ですらそれが出来ない奴こそダメ。
フェアかどうかは微妙な点もあるけど、ここは結構より熱意を買う。
とにかくどんでん返しを心行くまで味わいたい人はお薦め。

それから作中では死刑についての考察が延々と綴られるんだけど、
死刑廃止派をもちゃんと批判してるのが良い(勿論存置派も批判してるけど)。
おまけに昔流行った某J―POPを皮肉るセリフもあったりしてGJ!
あれは私も常々おかしいと思っていたので(箇所は違うが)、
マイクル・Z・リューインが下がった。

最後に文句。
・(メル欄)を言わない理由が曖昧
・チーシンチャウは選考作業に向いてないと思われ。
64読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/06/05(土) 03:36:30 ID:YRODZQJd
「名探偵は千秋楽に謎を解く」戸松淳矩(東京創元社)

浅草の相撲部屋に大砲が撃ち込まれた!?
事件を予見する連載小説!?
身代金を使い切れと命じる誘拐犯!?
下町の仲良し3人組が巻き込まれた奇妙奇天烈な事件の数々を若手力士が解き明かす。

紙では初。
奇想がてんこ盛りでウヒョ繰り。
伝法文体も好印象。
これゃラノベじゃなくて普通に本格してるじゃん、と思い出し……。
だがしかぁし! ラストでラノベにお帰りなさい朝青龍。
広げるだけ広げて強引かつ安易に畳んじゃったねェ。
おまけに後付けとなりゃあ目も当てられねえ。
残念。
65読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/06/11(金) 23:57:52 ID:BNajFqr0
「北溟の鷹」関口甫四郎(青樹社)

探検家間宮林蔵は敬愛する最上徳内の密命帯びて蝦夷地を訪れた。
沈没船の謎に関わるという知床半島の洞窟探検に赴いた間宮一行だったが、
その矢先、従者の一人が二重の密室内で無惨に殺された。
更に分け入った洞窟で別の従者も何者かに銃殺され、間宮自身も度々危機に陥る。
果たして一連の事件の裏に潜むものとは……。

「猿丸幻視行」「占星術のマジック」と乱歩賞を争った作品であり、
紛う方なき歴史ミステリーである。
大体日本人が書く歴史or時代ミステリーはミステリーの部分が
疎かにされがちな印象があるが、本作は全くそれがない。

蝦夷地での事件だけでも謎が盛り沢山な上、後半舞台は江戸に移り
更なる怪事件が待っているという密度の濃さには感心した。
密室トリック、アリバイトリックのみならずいくつもの仮説を
立てては壊しのプロセスも本格魂があってよろしい。
真相に至るやその余りのダイナミックさに些か風呂敷を広げ過ぎでは
ないかと思いつつもニヤリとさせられた。

ただし、文章が良くない。
やたらとこむつかしい言い回しを多用している。
猿臂やら跋渉やら繙閲やら(他変換不能多数)……。
雰囲気を出そうとしているのかも知れないが読みにくいだけなので×。
以前も敢えて旧字体の漢字を使ってる仮想戦記があったけど
そういう小手先の小細工は要らんち。
66読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/07/21(水) 20:59:35 ID:N6rk9Qec
「望郷の道」北方謙三(幻冬舎)

遠賀川で船頭をしていた小添正太は巡り合わせによって
佐賀で賭場を経営する極道藤家に婿入りすることになった。
女将である瑠偉の信頼を得て賭場の改革を行う正太だったが、商売敵の妨害に遭い
諍いが生じた結果九州を出ることになる。
身一つで台湾に渡った正太は、日本化が進む現地で再起を図るのだった――。

作者の曾祖父をモデルにした大河小説。
「楊家将」は早々に挫折したので本作が初北方ということか。
最初の佐賀編は正直言ってやや退屈。
展開が予定調和的だしキャラクターにもいまいち魅力が感じられない。

ところが中盤舞台が台湾に移ってから段々面白くなってきた。
佐賀と同じく新参者であることに加え植民地という特殊な場所での悪戦苦闘ぶりが読ませる。

主役カップルが人間としての欠点・弱さを持ち合わせており、
それがストーリーを成立させていることも趣深い。
惜しむらくはヒロインの魅力が今一つ伝わってこなかったことかな。
67読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/07/21(水) 21:00:47 ID:N6rk9Qec
「黒い画集」松本清張(新潮社)

某スレからのセレクト。短編集。
まっつんは短編2つくらい読んでたかなァ。
本書には現代社会の病巣を抉ったり組織の暗部にメスを入れたりはせず、
ミステリーとしての結構にこだわった作品が収録されている。

トリックあり、どんでん返しありで本格として読めるものも多い。
ベストは「紐」。
単純なアリバイ崩しと見せかけて二転三転、ラストに至るまで捻りが効いた秀作。
次点は「天城越え」かな。
サプライズもあるけど序盤からの舞台設定が何とも言えず印象深い。
ドラマ観とくんだった。

他にも、暗いながらもどこか胸の透く復讐譚「寒流」や、
ありがちなメロドラマが後半ガラリと本格に姿を変える「坂道の家」等
佳作が揃っていた。
68読後感 ◆VkkhTVc0Ug :2010/08/19(木) 23:19:24 ID:3dcoQjLX
「山田風太郎ミステリー傑作選G 怪談部屋<怪奇篇>」山田風太郎(光文社)

怪奇篇ということで期待したのであるが、読み終えた今がっかりしている。
何故なら怖くないから。
作者一流の奇想は溢れているのだが、それが恐怖感として向かってこないのだ。

理由として思うのは2つあって、1つは往々にして理に落ちること。
本人があとがきで自戒しているはずなのになぁ……残念。
もう1つはワンパターンなこと。困った時の××頼みというか……
もうそれっきゃ出てこない。これは1つ目のことに絡んでるんだろうねぇ。

まあ敢えてベストを選ぶなら「万太郎の耳」かな。
ラストで今まで感じていたことがガラリと変わってしまうのは恐怖と言えなくもない。
次点は「双頭の人」。
怪奇の引っ張り方から落ちに至るまですっきりとしていて○。
あと「笑う道化師」はホラーとしては前2編より直截であるが、
何となく既視感があるので3番手に。
他に「まぼろし令嬢」や「雪女」もミステリーとしては良いけども……。

それから「畸形国」は、怖いというより明るい気持ちになった。
こういうイベントが日本のどこか、いや世界のどこかで行われていたら……と考えてみたり。
でもこれ今書いたら大変だな。
最後に名のみ有名な「うんこ殺人」は想像してたのと大分違ってショボーン。

追伸 キスの音がパンと表現されるのが面白かった。勢い良く離す時の音かな。
69読後感 ◆VkkhTVc0Ug
「とむらい機関車」大阪圭吉(東京創元社)

短編集。名作集2で3編読んだきりだったので、今回はどっぷりと浸かれた。
トリック&ロジック&プロットの饗宴を見よ!
ベストは「気狂い機関車」。
機械的な殺人トリック&盲点を突いた消失トリック+緻密なロジック+意外な動機
という大阪作品の良さが集約した作品だと思う。
恥ずかしながら初読時は結末がピンと来ず、読み返して「あっ」と。

次点は「デパートの絞刑吏」。フーダニット&トリックの奇抜さに拍手。
その他、「あやつり裁判」の奇妙な味を含む捻ったプロットや
「白鮫号の殺人事件」のロジックが印象に残った。
ただ代表作と目される「抗鬼」は期待以上ではなかった。不自然な箇所で見当つくしね。
表題作及び「石塀幽霊」は既読の為除外。

戦前にこういう人がいて、それなりに人気を博していたらしいのには驚きだなあ。
他にはいないのかしら。あ、大庭さんとか、酒井さんとかか。