【地獄の道化師】 江戸川乱歩 第十三夜

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607名無しのオプ
「大江戸怪物団」のことかな。これはリレー小説の冒頭部分を乱歩が
担当したもので、春陽文庫の合作小説シリーズに全編が収録された。
乱歩の担当分だけなら各種乱歩全集によく入っている。

乱歩は捕物作家クラブの発起人の一人だし、探偵小説が発表できなく
なった戦時中には、大仏開眼をテーマにした時代小説を書こうとして
資料を集めていたことが、最近の研究で判っている。

捕物作家クラブの重鎮による合作長篇「修羅桜」にも参加しているが
これはアイデアのみの提供で実際の執筆担当は陣出達郎だったらしい。
後に陣出の単著「わんぱく東海道」として春陽文庫に収録されている。
608書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2009/03/30(月) 22:17:19 ID:jH1JKUtr
>>607は肝心要なことを書いていない。
「大江戸怪物団」が収録されているのは、
春陽文庫合作探偵小説シリーズ「女妖 付・大江戸怪物団」。
大乱歩の担当部分は、全5回中の第1回「箱根山中の妖怪」(このタイトルからして大乱歩的)
以下は、共にミステリ作家ではあるが、
若さま侍シリーズでおなじみ城昌幸、伝奇時代小説の手練な角田喜久雄、
時代小説のスペシャリスト土師清二、陣出達朗が担当。
なんと時代小説では実績ゼロなミステリのマエストロを先発(初回担当)させてしまうという
トンデモな企画だったのである。
「江川蘭子」「畸形の天女」等のリレー小説でも初回を担当し、その持ち味を如何無く発揮した
大乱歩ではあるが、さすがにこの先発は厳しいものがあった。
薩摩の大名行列が箱根山中で文字どおりの怪物団に襲撃されるという展開だが、
「化け物、覚悟っ」て、何じゃこれはという感が強い。
第2回(「八百八町荒し」)以降は、時代小説に十分実績がある作家ばかりゆえ安心して読める感
あり。