◇◆★邦楽バトルロワイヤル★◆◇

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301248,291
1へ
がんばってくれ、いい配役で・・・
302色物 ◆H10GgaWo :01/12/26 10:50 ID:6rNoB4iM
aikoの死に方よかったよ、1さん。
303名無しさんは見た!:01/12/26 23:58 ID:29Av7hxm
椎名林檎は?
304( ノ゚Å゚)ノにゃが ◆NYAGAAvs :01/12/26 23:58 ID:8ZRD3TnW
ゴメン、一回ageる。
続ききぼん
305         :01/12/27 11:59 ID:Ph8jw7XG
福山雅治はまだでないのかな?
306ななし:01/12/27 14:38 ID:AdkGHWsQ
松岡はスギゾウだよー
307名無しのエリー:01/12/27 17:56 ID:Cpd1j169
英喜はでないの?
308名無しのエリー:01/12/27 23:44 ID:yaDi6bu6
木村健悟はでるよね
309:01/12/28 06:21 ID:5/MDHbAH
フジキとかチョイ役で出るんだ・・・
310色物 ◆colorz3k :01/12/28 07:29 ID:x5Qhdne9
ゆずも出してほすぃー(゚д゚)
311ナナシ:01/12/28 16:31 ID:YQhSZoGp
俺も続き見たいからageる。
312名無しで行こう:01/12/28 20:10 ID:lz9h6b+h
消えちゃイヤソage
313名無しのエリー:01/12/28 23:17 ID:Mgpknq6e
一気に読んじまった。
314Nanasi:01/12/29 01:43 ID:rFzEvx3m
続き期待age
315名無しのえりぃ:01/12/29 02:39 ID:/MXJpboo
さっきテレビに松岡が映ってた。
PVだったんだけどさ…なんか爽やかでさ…
あぁ、あんなに殺しまくってたのに…(ワラ
316名無し:01/12/29 02:53 ID:/MXJpboo
>>315
君、もしかして福島県民か?
317名無しのエリー:01/12/29 02:55 ID:t6FFoMLN
じさーく自演?
318名無しのエリー:01/12/29 13:31 ID:9d/XU6b2
これっていつから再開するの?
319名無しのエリー:01/12/29 13:37 ID:9d/XU6b2
これっていつから再開するの?
320名無しのえりぃ:01/12/29 13:39 ID:lnIOGoSt
>>316
あはは、当たり(ワラ 姉が見てたから一緒に見てた。
でも自作ジエーンじゃないよ。
321名無しのエリー:01/12/29 14:33 ID:L4e06sN1
自作自演だろ
322名無しのエリー:01/12/29 18:53 ID:sF2wQZzG
小室哲也を殺して欲しい
323名無し:01/12/29 23:45 ID:h6Ooor8x
宮本の復讐で石くんを・・・。
324名無しのエリー:01/12/30 00:46 ID:q1dvdLau
めちゃ池に松岡が出てた。
あぁ、あんなに殺しまくってたのに…(ワラ
325キョウ:01/12/30 14:15 ID:4ihvpwc5
はやく来年になって、1さんが続きを書いてくれないかな・・・
326nana:01/12/30 21:36 ID:ozQyYqPt
さがるし・・・・
327ナ無し:01/12/31 10:40 ID:786mC4uG
あげておこう
328キョウ:01/12/31 22:34 ID:RLn6JPdE
来年に向けて今のうちにage
329【二日目・午前1時30分】バー:02/01/01 00:17 ID:kXuTyAi5
このゲームは、いつ終わるのだろう?
「これは悪夢だ」
ゆずの北川悠二はそう思いながら、グラスの酒を飲み干した。もう何倍飲んだだろう・・?もう少し飲んだら眠くなってしまいそうだ。
眠ってしまい、目が覚めた時には、こんな馬鹿げたゲームでなく、いつもの生活が待っていると思っていた。
そんな時だった。
ギィー・・・
静寂を破る音を立てたドアの向こうには同じゆずの岩沢が立っていた。
「北川・・」
「い、岩沢・・」
二人の間に、暫くの沈黙があった。

何故かこの二人の間には、パートナーであるにもかかわらず敵味方の感情は一切ない。
ただこんな非常時に限っては仕事のパートナーであろうと信頼しきれないのも無理はないのかもしれない。
この状況で出会った二人は、お互いにどう振舞えばいいのか皆目見当がつかなかった。
今に至っては味方とも敵とも言えない、微妙な関係であった。

緊張が二人の間に走った。岩沢は銃を身構えると同時に、北川は手榴弾を手にした。その時だった。
「これで3人揃ったな。」
もう一人の男が岩沢のすぐ後ろから現れた。西川貴教だった。
「やっと信頼出来そうな仲間と会えた。」
西川貴教の口から出た言葉で、岩沢と北川は身構えていた銃や手榴弾を降ろした。
330【二日目・午前1時30分】バー:02/01/01 00:17 ID:kXuTyAi5
「なあ、ゆずのお二人さん・・俺と組まないか?」
「西川さん・・信用していい仲間・・になるんですね。」
ずっと孤独だった北川にとっては、このゲームは自分しか頼れず、信用出来る誰かを求め続けていた。
「西川さん・・仲間と思っていいんですね。」
岩沢は思わず叫んでいた。岩沢も北川と気持ちは同じだった。
今まで、仲間という言葉は関係ないものと思っていたが、この時は、西川の言うことが信用出来るような気がした。

「当たり前だ、そして仲間のために死ねるのも仲間だ。」
西川は北川に向かい、銃を乱射した。
「!・・・」
岩沢はその場の光景が信じられなかった。
「そんなに驚くなよ・・と言っても、驚いてる時間もないけどな・・」
西川がそう言うと同時に、岩沢の身体に何発もの弾丸が打ち込まれた。

「なんで撃ったかって?まあ俺も親友に裏切られた後じゃあ誰も信用する気にはなれねえしな。
 どうせ『すぐ殺されちゃうリスト』筆頭にいた君らにしたら楽に死ねた方だったろう?礼はいらないぜ…。」
二人の遺体を前にして、西川は誓った。
西川の眼は、悲しみ・・怒り・・ そして狂気に満ちていた。
福山雅治は震えていた。
暗い自動車整備工場の片隅でひとり息を潜めていた。

早いものであれからもう1日が経過した。
水や食料を殆ど補給せず、且つ一睡もしていない彼の体は
既に限界にきていた。それでも彼は動かない。
餓死する事より他人に蹂躙・撲殺される恐怖が遥かに上回っていた

彼は立ち上がるそぶりさえ見せない。
武器が『目潰しスプレー』という事実も、確実に戦意を削ぎ落としていた。
福山雅治は、動かない。

ガラガラガラ…深夜のガレージにシャッターの開く音がする。
福山は息を殺し身を潜める。隠れる術は覚えた、既に3回目だ…
大方、武器を探しにきたのだろう。めぼしいものは軍が全て没収済だが。

ところが4人目の来訪者は気色が違った。彼は暫く回りを見渡すと
福山とは逆の方向に向かって歩を進めだしたのだ。
…マズイ、居座るつもりか!? どうする、逃げるか戦うか、とどまるか?
様々な思案は福山の頭を混乱させる。動揺はそのまま反応に直結する。
無意味に揺れた福山の体はダンボールに触れ、雪崩減少を発生させた。
「誰だ!?」 引き裂くような絶叫が倉庫内にこだまする。
でも福山は不思議な事にその声を聞いて安心した。何だ、安心できる優しい奴だ…
自分の不運を嘆いていたが、少しは風向きが変わってきたのか?
意を決して福山は語りかけた。
「俺だよ!! 清春ちゃん、福山だよ!!」

「…福山…?」訝しげな声が闇から漏れる。
ただその後、清春の口から出た言葉は意外だった。心外、と言ってもよい。
「やめろ、撃つな、撃たないでくれー!!!」

「清春ちゃん、何言ってんだよ!! そんな事する訳ないだろう!!」
「嘘だ!! 皆、そう言って仲間を殺していくんだ!!」
…仲間、いい響きだ。自分が孤独じゃないってわかる。皆怖かったんだ…
「嘘じゃない! 本当だ! 俺は誰も殺してない! そんな事出来る訳がないだろっ!!」
問返しても返事がない。そのうち早いリズムの足音が出口方向へ流れ出した。
…見捨てるのか、清春!? 俺を見捨てるのか!?
「行くな! 行かないでくれ、清春ちゃん! 俺をひとりにしないでくれー!!」

足音が止む。清春が怪訝そうに聞き返す。
「本当か? 本当に撃たないか? 信じていいのか、福山!?」
「本当だ!! 俺はずっと隠れてたんだ!! それに銃なんて持ってやしない!!」

長い間の静寂が場内を支配する。おもむろに清春が口を開く。
「…ずっと? あれからずっとひとりでここに?」
「恐いんだ… 殺されるのも殺すのも… 俺はそんな為にミュージシャンになったんじゃない!!」
暫くすると物陰から、小さい嗚咽が福山の耳に聞こえてきた。
「…清春ちゃん? どうした?」
「恐かった… 俺もずっと逃げ回ってた。一日中、山をうろついてたんだ…
 もう嫌だ!! 何で俺達がこんな目に!! 」
福山は安心と同時に怒りを覚えた。 清春の言う通りだ、なぜ俺達が!!?
「清春ちゃん、一緒に動こう!! 二人の方が安全だ。そして皆を助けよう!!
俺達はこんな事をする為に音楽活動してきた訳じゃないんだ!!」
「…信じていいのか、福山? お前を頼っていいのか!?」
「仲間だろ!! 清春、俺を信じてくれ!! 一緒に戦おう!!」

「…ふくやまぁ…」涙声と共に、足音が聞え始めた。先程とは違い近づいてくる音だ。
福山はふと興奮から冷めた。急に恐くなった。目潰しスプレーを握り直した。
「清春っ!! 止れ!! こないでくれ!!」「…なんだよ、信用しろって言ったじゃないか!?」
「…いや、スマン。正直、足音が聞こえたらなぜか急に…」
清春の返答がない。怒らせたか?それとも逃げたのか?

「清春ちゃん? 清春ちゃん!?」「…見ぃ-つけた、っと」
えっ?と思って後ろを振り返る途中だったろうか?
破裂音と共に福山の視界・嗅覚・聴覚・思考、その全てが消し飛んだ。
「…ようやく夜目に慣れたんで、ね」
先刻の涙声はいま何処? 清春は冷たい声で遺体に語りかける。
「ごめんなー、騙しちゃったみたいで。でもほら、俺、一応アクター憧れてたりするから(笑)」

「…やっぱり飛び道具があると便利だよな。警棒、支給されたってさぁ…
 でもこれ、チャゲさんには勿体無い武器だよねぇ?」
清春は茶飲み話をしているかの様に、そして福山雅治の魂が横に
あるかの様に語り続けている。
「今と同じアプローチしたんだよ。立場は全く正反対だったけどね。
 チャゲが中々心開いてくれないで苦労したよ…
 ただ最後は泣きながら『清春くーん』って抱き着いてくれたよ。
 人間、夜になると緊張が薄れるんだね。」

クスクス忍び笑いながら、福山のそばまで来た。「スイカ割だな、まるで」
呟きながら彼は血の海に浸かっている細長い缶を取り上げた。
瞬間、清春の嘲笑が静まった場内に響き渡る。
「なんだよ、目潰しスプレーって(笑) お前、武器までダメダメだな(笑)
 まぁ西川貴教もそうだったけど。吹き矢だぜ、吹き矢!! どう戦うんだよ、一体!?
 貴教、最後までボヤいてたなぁ… いい味出してたよなぁ」
そこまで言うと、清春はフッと息をつき、福山の横に腰をしゃがめた。

「一言、言っておく。 俺とお前は仲間でも友達でもない。
 お前にちゃんづけされる筋合いは一切ない。今まで一度もないよな、そんな会話」
彼は立ち上がり裾をポンポンと払う。虚空を見上げ、言葉をつなぐ。
「アゴも誰もかも、大方桜井とかhydeとかに生き残って欲しいんだろうけどさ
 でもそこで、敢えて俺が残るっていうのも…」
再度、清春は視線を下に落す。 異臭の漂う中、彼は遺体に優しく微笑んだ。
「結構、小説としてはイケてるんじゃないかなぁ?」
335:02/01/01 00:21 ID:kXuTyAi5
ガンターンうp!
336Nana:02/01/01 00:39 ID:uEg5FhLK
元旦上げ。
ご苦労様です。
337名無し:02/01/01 00:42 ID:88tf/eGR
サッ○ー「もしもし>>1?マミーだけど。あんたなんでこんな駄スレ立てたの?」
   >>1「うん…」
サッ○ー「うんじゃないわよ。それから騙りは来たの?」
   >>1「来たよ」
サッ○ー「何て言ったの?」
   >>1「逝ってよしって」
サッ○ー「なんで?こちらは糞スレは立ててない事になってるんだから!」
   >>1「でも立てちゃったから。2ちゃんねらー相手にごまかせないよ」
サッ○ー「だから立ててないって事になってるんだから。裏で色々手を打ってるから大丈夫よ」
   >>1「でも逝ってよしって言っちゃったからごまかせないよ」
サッ○ー「僕はドキュソなんで日本語がよく分からなかったって言っておけばいいのよ」
   >>1「うん…」
サッ○ー「あんたこの文誰かに見られてる?」
   >>1「見られてないよ」
サッ○ー「これはファミリーの問題なんだから。あんたが駄スレ立てたのがばれるとこっちも騙られるのよ」
338Nana:02/01/01 00:52 ID:uEg5FhLK
>337
それ、他のスレでも見た。サカー板だけど…
339名無しのエリー:02/01/01 02:12 ID:ohGW2wHX
野上・・・・・・・もとい清春登場!!!!
340元旦のななし:02/01/01 02:23 ID:sq+PXl+n
ウヒャッホイ!!更新おつかれっす!
341色物 ◆colorz3k :02/01/01 02:38 ID:JPJNBDuX
をを!!ゆずがでてきた!でもすぐ死んじゃったけど(−_−)
1さん元旦upおつかれー
342名無しのエリー:02/01/01 02:40 ID:eXqLZE9d
あけおめ!おつかれ様です。>1
新年そうそう更新なんて、なんて律儀な人なんだ…。
西川と清春…予想以上にちゃんと絡んでくれて嬉しいけど…
けーどー…(泣笑
チャゲを殺したのって清春だったんですね。
343名無し@:02/01/01 17:26 ID:/JRiIFBs
1さん、みなさん明けましておめでとう!!
今年もこのスレを楽しみに邦楽板に来ます。
あ〜一体どうなって終わるのか楽しみです★
1さんがんばってね〜。

つーことでageときます。
344名無しのエリー:02/01/01 23:39 ID:ZrB2OFwz
ワショーイ!!続きできてるジャソ!
今年も殺人松岡で萌えさせてください。
応援してます!
プログラム開始以来、IZAMは考え続けていた。

この災厄は今迄の実績に拘らず、平等に皆の上に降り掛かった。
それでも運と実力が今後の展開を大きく左右するという事を----。

開始直後、支給されたデイパックを抱え、この現実にどう対処すれば良いのか判らないまま
武道館が見える位置に身を潜めたまま動けなかった。
次々に武道館を後にする同僚達。用心深く周囲を気にする者もいれば、何かに
----それは恐怖という名が尤も相応しいのだが----追われるように一目散に駆け抜けて行く者もいた。
特に誰かを待っていた訳ではない…只、厳しい日々の鍛練の場であると同時に、
同僚達との思い出の詰まった場所を離れ難かった。甘い考えだというのは判ってる。
既に、矢沢永吉の死体とテルが死ぬ瞬間を目の当りにしているのだ。
それでも、静まり返った武道館を見ている限り、まだこれが現実ではないのだと…信じられそうな気がして----離れ難かった。
しかし、それは静寂を破った銃声によって断ち切られた。
ビクリと大きく身体が震え、抱えていたデイパックを落とした瞬間、
「----IZAM」
背後から名を呼ばれ、心臓を鷲掴みにされた。
武器の確認を怠っていた事を悔やみつつ、振り向きもせずに声とは別の方向へ駆け出す。
「IZAM! 待て! 俺だって!」
あの時、道武道館ら爆音が聞こえなければ、そのまま走り去っていただろう。
爆音に驚いて思わず振り返った先に居たのは----YOSHIKIだった。
YOSHIKIは敵意のない事を示すように一度ゆっくりと両手を挙げてからデイパックを拾い上げ、投げ返してくれた。
「YOSHIKIさん…」
胸にしっかりとデイパックを受け取りながらも、視線は相手から外さない。
「そうピリピリすんなって。俺に殺る気はねぇよ」
再度、丸腰であることをアピールするYOSHIKIに、漸く警戒心を緩めた。
安堵と同時に膝の力が抜けそうになったが
「早く移動しないと、ここはヤバいだろ。…一緒に来てくれるか?」
YOSHIKIの問掛けに応えるべく、足を----生存へ向けての一歩を踏み出した。
そうして、このプログラムから生還する為の道を模索し始めた。
hydeとGacktも加わり、先ずは各々の武器を確認し合う。
YOSHIKIのニューナンブM58は偽物だが、威嚇としては充分機能した。
hydeのマイクロウ−ジーは「取っ替え弾システム」とやらでやはり威嚇のみ。
Gacktのベレッタ92FS。これには運良くhydeの持っていたマガジンが一致したので実用可能だ。
そして自分には----ブローニング・ハイパワー9ミリ。装弾数13+1で、換えのマガジンが三つ。
接近戦になれば肉体的な力関係にどうしても左右されてしまうが、銃器なら不用意に相手に近付かなくて済む。
武器どころか防具すらならない「ハズレ」を引いた者の心境を考えると
素直に喜ぶ事は出来なかったが、自分の身を守る分には有り難かった。
----他人の心配…してる場合じゃなんだけどな。
恐ろしく簡略化された使用説明書を何度も読み返し、使用方法を頭に叩き込む。
実際に使う事があるのかという点に関しては…やはり、考え続けるしかなかったのだが。
そんな自分を叱咤するようにYOSHIKIに背中をポンと叩かれ、苦笑を返す。
思い悩んでいられる時間は余りに少ない。とにかく現在は現状を出来るだけ正確に把握するのが
先決だ。各々が出し合っても、情報は余りにも少ない。目新しいのはGacktの目撃した男----
開始時には居なかった田代まさしが死んでいた…正確には死にかけていたという話だけ。
「----見間違いじゃないのか?」という自分の問いに自信なさげに応えるGackt。
その声を遮ったのは聞き慣れた音楽が告げる…第四放送の始まりだった。

放送の内容に、皆、呆然とするしかなかった。
合流出来れば大きな戦力になったであろう人々の名が次々と告げられ、
隠れ家である倉庫を重苦しい沈黙が支配した。
誰も口を開かなかった。…再起は不可能な程に打ちのめされた…ように思えた。
しかし中心となるYOSHIKIの前向きな姿勢は変わらず、情報収集と人探し、
そしてYOSHIKIが切り札にしている「爆弾製作」の材料集めが夜の明けぬうちから始められた。
午前五時前、空がうっすら明るくなってきている。
hydeとIZAMはデパートに来ていた。二人とも12時の放送の衝撃を引きずっていたが、
YOSHIKIの指示によりある物の材料集めに来たのだ。そのある物とは…爆弾である。
「しかし、こんなんで爆弾なんて作れるんかね?」
IZAMに問い掛けるhydeの持つ袋には紙粘土や卵、花火などが入っている。
「それより俺は、なんでYOSHIKIさんが爆弾の作り方なんて知ってんのかの方が気になるけどな。
 それより急ごう。もうすぐここも立ち入り禁止区域だぞ。」
「えぇ、あと画用紙だけなんだよ。…あっちの方かな?あったあった。」
その時、IZAMは画用紙を手に取るhydeの後頭部に何の前触れも無く銃を突きつけた。
「え?な、なな何の冗談だよ、IZAMさん…」
「俺が冗談でこんな事するかどうか君にはわかるだろ?」
IZAMは冷たく答え、言葉を続けた。
「君もYOSHIKIさんもあんまり人を信用しない方がいい。
 まぁあっさりトップになれたラルクの君にはわからんか。」
皮肉を込めて言い放つとIZAMは引き金に力を加えた。
hydeはショックで身動きすらとれぬまま時を待たざるを得なかった。自らの最期の時を。
hydeがIZAMの裏切りを受ける30分ほど前、
YOSHIKIとGacktは材料を探す為に入った自動車整備工場で福山雅治の死体を見つけていた。
「うわぁぁあぁああぁーーーーーっ!!!」
Gacktが周りを気にせず悲鳴をあげる。YOSHIKIはとりあえずGacktの口を抑えた。
「バカ、Gackt!静かにしろって!誰かに気付かれたらどうすんだ!!」
数分後、落ち着いたのかGacktは声を上げず福山を眺めている。そんなGacktを、YOSHIKIは心配していた。
以前Gacktは、YOSHIKIにだけ『実はキャラ的に福山さんを一番尊敬してるんです。』と漏らした事があったからだ。
(バカな事考えてなきゃいいが…)
そんなYOSHIKIの気遣いを裏切るようにGacktは呟きだした。
「もういやだ、もうたくさんだ、もういやだ…」
「Gackt…」
近づこうとしたYOSHIKIに背を向け、Gacktは工場の出口へ向かう。
「おい!どこに…」
「もう嫌だ!もう嫌なんだ!もうこんな馬鹿げた事は沢山なんだ!!ほっといてくれ!!」
近づこうとするYOSHIKIに向けGacktは銃を向けた。今、Gacktの銃には弾が入っている。
hydeの持っていた弾がGacktのベレッタのものだったからだ。
それでも駆け寄ろうとするYOSHIKIにGacktは発砲した。弾はYOSHIKIの足元を跳ねた。
Gacktは涙を流しながら申し訳無さそうに笑って言った。
「YOSHIKIさん、誘ってくれてありがとう。ごめんなさい。」
工場から出て行くGacktを、YOSHIKIは追いかけることが出来なかった。

その後、6時の放送でGacktの死が告げられた。
「がっ!……」
hydeの後ろで声が聞こえた。突き付けられていた銃の感触ももう無い。
振り返ったhydeの目に、腹に矢をつき立てたIZAMの姿が映った。更にもう一本、腹に矢が突き刺さる。
IZAMは見当違いの方向に反撃の発砲をして倒れた。
IZAMの睨んでいた方向には負傷した吉井和哉が立っていた。
続けて吉井はhydeにボウガンを向ける。hydeは咄嗟にIZAMの手から銃を取り応戦した。
hydeの銃撃を避け損ね、右腕に銃弾を受けた吉井は忌わしげに舌打ちしながらデパートを出て行った。
「IZAMさん!大丈夫ですか!?」
吉井の逃走を見届けてIZAMが自分の命を奪おうとした事も忘れてhydeはIZAMに駆け寄った。
「…馬鹿だな……誰の心配してんの…?」
「でも…だってIZAMさん…」
「俺は……君が…羨ましかった…さっきも言ったっけな……」
「もう喋っちゃ駄目だ!血が…血がこんなに…」
既にIZAMは腹に刺さった矢を抜いてしまっていた。そのせいで腹部から血が止め処も無く噴き出している。
「…でも俺には…撃てなかったな……吉井が…俺を撃ったのも…そのせい……」
もう何も言えずhydeは悲しげにIZAMを見ていた。
「……せめてもう一度…表舞台……出た……かっ……………」
IZAMの言葉が途切れ、hydeは泣き叫んだ。
350:02/01/02 05:00 ID:wbjvsW6b
皆さん明けましておめでとうございますです。
とりあえず今まで貼ってきた量と同じぐらいの分は今まで通りの速さでうpできますんでご安心を。
ガクト編はちゃんと用意されてるんでそれもご安心を。
はあ、二日目長いんだよなあ。朝の放送までも長いし、午前中も長いし(w
351名無しさん ◆rt4oNELA :02/01/02 11:22 ID:RWL/BPUB
>>1
明けましておめでとございます。
今年も楽しませて下さい。よろしくです。
352名無しのエリー:02/01/02 17:30 ID:j4Ks5ROJ
>>1
一気に読みました。すごく面白い!!
続きを期待しています。
ヲタじゃないけど充&hydeに期待。
353名無しのエリ−:02/01/02 18:50 ID:XFGTze30
hydeがイイ奴すぎて、涙出て来るよ・・・。
イザムの死にさえ泣いてくれるなんて
354ひよこ:02/01/02 23:10 ID:1y89X+aK
頑張ってください、1さんage
スピッツ草野マサムネ出演熱望です・・
355【二日目・午前5時】商業地区:02/01/03 09:22 ID:v6HxOEpA
震えながらGacktは自分の好きな言葉を思い出していた。
『エロキャラをモロに出した男でもモテることができる』
それを体現していた福山雅治はGacktにとって理想とも言うべき人物だった。
その福山が自動車整備工場で死体になっているのを見たときGacktは心の底から恐怖した。
エロキャラを淘汰するのがこのプログラムの目的なのか?
だったら次に狙われるのは…。
福山の例から安全な隠れ場所などないことはわかっていた。
こうなったら誰でもいい、近づいた奴を一人でも多く道連れにしてやる!
そう思いGacktは銃を構え、茂みに隠れていた。
何時間経ったのだろうか?
二時間?三五時間?
だが実際には茂みに隠れて五分と経っていないことをGacktは知らなかった。
その時一つの大きな影が視界に入った。
誰だ?…誰でも構うもんか!
Gacktは容赦なく引き金を引いた。
しかし弾はわずかに標的をそれた。
すかさず第二射に移ろうとしたその時!
「誰だ!アムロか?KEIKOか?」
356【二日目・午前5時】商業地区:02/01/03 09:22 ID:v6HxOEpA
「なんだ?お前誰だ?ゲームの参加者なんか?」
突然聞いてきたその男はなんと小室哲也!
直接の面識はないが、この業界にいる者なら誰でも耳にしている。
その全てが悪評だと言うことを。
trfに途中から愛想を尽いてプロデュースしなくなった。
華原朋美を弄んで適当に見切った。
数え上げればきりがない。
その小室がなぜ?
「hitomi連れて来い、hitomi。hitomiに話しあって来たんだ」
撃たなければ!だが体が動かない。これが恐怖か!
そしてこの男はなぜ撃たれたのに平気でこちらに向かってこれるのだ?
これが小室か…
「返事しろ!返事!挨拶もろくにできないのか!最近の若者は!」
その言葉が届くか否かの間にGacktの体は吹き飛ばされた。
Gacktが顎に強烈な平手を食らったことに気づくのには数秒かかった。
圧倒されて動けないあいだに小室が接近していたのだ!
なにか言わなきゃ!Gacktは慌てて口を開いた、だがGacktの口からでた言葉は
「おがごげ…!」
顎の骨が砕けている!
357【二日目・午前5時】商業地区:02/01/03 09:23 ID:v6HxOEpA
「ちゃんと喋れよ!何て言ってるかわからないだろ!」
小室が前蹴りを叩き込む、Gacktは咄嗟に両腕で受け止めたがまたも吹き飛ばされた。
何とかして敵意が無いことを示さなくては!
そうだ!喋れないなら、両手を上げて降参の意思表示をしよう!
それは束の間の夢に過ぎなかった。
Gacktが上げようとした両腕はぴくりともしない。
先ほどの一撃で折れていたのだ。
どうすればいい?
小室がゆっくりと近づいてくるのが見える。
Gacktはなけなしの勇気を振り絞って踵を返した。
逃げ切れるか?
そのときだった。
ぴちっ!
聞きなれない音がした。
それが自分のアキレス腱が切れた音だとはGacktにはわからなかった。
いや…もうどうでもよかったのかもしれない。
喋れない、手足も動かない。
自分が単なる肉隗に過ぎないことを悟ったGacktは…考えることをやめた。
「何寝てるんだよ!早くhitomi連れて来い!」
もはや呼吸すら止まった単なる肉隗を、小室は容赦なく踏みつけ続けた。
…信じられないものを見た。
桜井和寿は目前の光景が信じられなかった。
隙だらけのGacktを見つけたときには今度はどうやって殺すか?
そのことに天才的センスを張り巡らしていたときにあの男は現れた。
Gacktを撲殺したその理不尽ぶりは、昔と変わっていなかった。
あの男…小室哲也。
…あまりにも意外な人物の登場にさすがの桜井も対応が遅れた。
小室が振り返ったのだ。
「おう桜井!お前なにやってんだ?」
しまった。
不意討ちで行くか?
だが正面から撃てば、Gacktの二の舞になるかもしれない。
何やらだいぶ荒れている。何かに怒っているように垣間見られた。ただ酒が入ってるのかもしれない。
「ああ小室さん。いつ以来ですかねえ、どしたの?」
とりあえず普段通りの口調で油断させよう。
「なんだ、東京都23区使ってサバイバルゲームでもやってんのか?
 銃持った兵隊みたいなのが有刺鉄線の前でうろちょろしてやがったから素手で始末してここまで来たんだよ。」
小室は参加者でないため状況を飲み込めていないようだ。
だがゲームと関係なかろうが、目前の光景を見せられては、
生かしておくわけにはいかない。
背中にまわした銃の撃鉄を起こしながら考えた。
もう少し時間を稼いで、隙を見つけて殺すか?
「そうなんすよ。この銃で…」
銃を見せるふりをして撃つ。
充分接近してからだ。
「おう!それだったら、いいこと思いついたわ」
小室がGacktの銃を拾い上げる…嫌な予感がする。
「じゃんけんで勝ったほうが、負けたほうを撃つっていうのはどうだ?」
…今すぐ殺そう。
小室哲也を殺す。
ゆっくりと周囲を見回した。
周囲の状況を応用するのは自分の最も得意とするところだからだ。
そのとき、小室の背後に光るものが見えた。
銃口だ!間違いない。だが暗くて誰かはわからない。
明らかに小室を狙っている。
これだ!
「小室さあん。うしろ、なんかいるよ」
桜井のくだけた口調につられて小室は振り返ってしまった。
桜井が小室の背中に銃口を向けたその時、
パン、パン、パン、パン、パン、パン。
桜井が引き金を引くより早く、小室の身体を六発の銃弾が貫いた。
ゆっくりと小室の巨体が倒れこむ。

巻き添えを食ってはまずい。
桜井は小室から離れながら、小室を撃った男を確認した。
いや、男ではない!
hitomi!
小室をつけねらっていたのはhitomiだったのか。
しかしなぜ?…
「来るなあ!来ないでえ!」
最初にその声が聞こえてきたときにhitomiは心臓が止まったかと思った。
明らかに自分を探している。
今一番会いたくない人間。
一番自分に殺意を抱いているはずの人間。
いい思い出なんかなかった。
自分を殴ってる姿か、無理矢理強姦してる姿しか記憶に無い。
自分は今とても充実している。
ここ数年はエイベックスの保守本流といわんばかりに小室とは距離をとっていた。
24、5にもなるのにいまだに使い減りしたイメージにとられていない。
そして去年はマラソンの高橋尚子絡みの話題もあり、デビュー6年目にしてメジャー級にブレイクできた。
だから小室さん!来ないでくれ!
今の私の楽園を壊さないでくれ!
小室の声が聞こえたとき、逆に小室を殺すしかないと決めた。
それでも巨大な背中を確認したときには、まだ撃つ勇気がなかった。
突然、振り返った小室と目が合った瞬間、恐怖が勇気をくれた。

小室がかすかに動いた!
「!」
とどめを刺さなくては。
銃を構えたそのとき、小室の発した言葉がhitomiを壊した。
「すまん、かった、な、ヒロミ」
「え?」
hitomiは信じられない言葉を聞いた気がした。
「いっつも、殴って、ばっかりだったな…もう殴る力ないけどな」
「小室さん?」
「俺な、お前、に、言いたいことがあったんだ」
小室ファミリーからの自然離脱への怒りだろうか?この男は人生の最後の最後のときまで怒るのだろうか?
「このあいだの『is it you』だったっけ?あ…あれ、お前の歌声に合ってて…すごい……よかったよ」
「!」
「だから、お前の、選択は、間違いじゃない思う」
「…」
「ごちゃごちゃ、言う奴、いたら、俺が…パチキかましてやるから、安心しろよ」
そんなことのために?
わざわざそんなことを言うためにこんなところまで?
力無くゆっくりと微笑む小室の姿はhitomiには痛々しかった。
…そうだ!いつだってそうだ!
この人はいつもくだらないことでムキになって、
周囲から見たら理不尽な行動をとって、みんなから誤解されて
気がついたら一人ぼっちになっていた。
自分は知っていたのではなかったのか?
この人のそんなところを!
一番近くにいたわけじゃないけれど…!

こんな状況じゃなかったら、
次々と身近な人が死に、身近な人が身近な人を殺す、
こんな状況じゃなかったら話し合えたんじゃないのか。
いい思い出なんかなかった。
そのはずなのに涙が溢れてくる。
涙と、自分を責める思いと、運命を呪う気持ちが交互にhitomiの中を駆け巡る。
「小室さん…私、私、小室さんに感謝してます!」
「チャリティーCDにも参加させてください!」
「だから、だから世界のT・Kは絶対に復活しますよ!」
「お、う、あ、」
小室の言葉にならない声がhitomiに突き刺さる。
「ひゅ、ごぼっごぼっ」
それは声なのだろうか?ただ気管から空気が漏れる音なのだろうか?
「見えますか小室さん?」
己の罪を償うかのようにhitomiは泣き叫ぶ。
「満員の横浜アリーナの光景が!」
「…」
いつの間にか小室は目を閉じていた。
hitomiは気付かない振りをしたのだろうか、
小室の手を強く握り締め、なおも一心不乱に叫び続けている。
「エイベックスにはアムロちゃんも、KEIKOさんも、マークさんもいます」
「D.A.Iさんも、m−floさんも、島谷ひとみちゃんも」
「dreamも、folder5も、shelaも」
「エイベックスは、私たちのエイベックスは永遠に不滅です!」
「ELTも、moveも、Misiaさんも、」
「これから、みんなをプロデュースして…」

パン!

…乾いた銃声に人生を中断されたとき、
hitomiは自分の言葉が戯言に過ぎないことを悟った。
小室の手を強く握りしめたまま…。

「なにごちゃごちゃ大声出してるんだ」
最後の最後に一つになることができた師弟の死体の背後から、
ベレッタM1934コマーシャルを構えたアキヒトが呟く。
「…場違いだな。エイベックス?なんだそれは?」
気づかれないように距離をとって小室とhitomiを観察していた桜井は、
目前の光景に躊躇していた。
hitomiを思う小室の気持ち…それは殺され間際にも関わらず自分を思ってくれた氷室や布袋と同質のものだ。
だがもう過去の自分は断ち切らなければならない。
そう考え銃口をhitomiに向けたはずだが、先を越されてしまった。
銃声に向かい銃を構えると、
同じように自分に銃を向けたアキヒトの姿があった。
「…」
「…」
このゲームが始まってから初めての遭遇だったが
もちろん再会を祝すつもりは二人にはない。
アキヒトの接近に気付かなかったのはミステイクだが、
アキヒトもたった今、桜井の存在に気付いたようだ。
…こいつは殺し慣れている。
アキヒトの手際を見た桜井の感想であったが、
同時に桜井の目を見たアキヒトの感想でもあった。
危険な相手だ…少なくとも無傷では勝てない。
それはどちらの心の呟きだったのか。
「…」
「…」
数瞬の沈黙の後、二人は全く同じ行動をとった。
それはいずれ互いが最後の対決の相手になるかもしれないという 直感だったのだろうか?
同時に銃をおろした二人は、互いに背を向け…ゆっくりと歩き去った。
胸中に再戦を約して。
364 :02/01/03 12:02 ID:ZeLLjUTD
更新おめでとう!
365名無しのエリー:02/01/03 12:10 ID:tnibMMcl
1さん、更新時間がどんどんズレてますね。
ちゃんと寝てますか?(藁

それはそれとして、小室さん…コワイ。
撲殺って。
思わずマッチョな小室さんを想像して汗かいてしまった。
ガクトとか福山とかかっこいい系の男が激しく情けないのも
面白いです。
頑張って下さいねー。
366Nana:02/01/03 17:22 ID:w4cc/Kly
小室哲也って・・・哲哉ね。巨体ってのにワラタよ
しゃべりまくるGacktとか、想像できなくて微妙〜。
367名無しのエリー:02/01/04 00:29 ID:r4Pza5QD
面白いです、頑張って続けてください。
B'zの仇を討つべくSURFACE椎名出演キボンヌ・・・・・無理?(藁)
368名無しのエリー:02/01/04 05:34 ID:B06oJqW1
松岡充、黒澤優と結婚記念あげ
369【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:32 ID:f4O+jxb0
夏の朝が明けるのは早い。
但し早朝は照り返す直射日光もなく、そよ風がそよぎ、過し易い事この上ない。
こういう時間は大切にしたい。自分の好きな事を心行くまで楽しみたい。
ところで俺が今一番やりたい事ってなんだろう?
ゴルフ?そう言えば最近廻ってないなぁ… 今度、誰か誘おうかな…
佐野元春は薄れ行く意識の中で、そんな他愛もない夢の中にいた。
彼の頭の中ではちょうど今『モリスンは朝、空港で』が流れている頃なのだろう。

この殺戮遊戯が開始された日、道場内に阿鼻叫喚が飛び交う中、佐野はひとり冷静だった。
矢沢の死体を見た瞬間はさすがに驚いたが、それでも以前から『この日』が来る事を予想 していた自分にも気付いていた。
佐野は決して陽水に近い人間ではない。だからこそ誰よりも佐野は陽水を理解していた・・・
井上陽水とは『自己顕示欲と支配欲の権化』であると!!

このプログラムが発動された際、彼の心の九分九厘は諦めが締めていた。
他人を殺してまで生き残るのは自分の柄ではないし、それを達成する程の執着心は昔から皆無に近い。
どうにか外部と接触を図り、最後に家族の声が聞ければ十分だ…そこまで達観できていた。
ただ、ほんのわずか乍ら自分の心に巣食った疑問だけがどうしても払拭できていない。
それは後悔とも呼べる感情らしかった。『どうして俺は、そこまでわかっていながら、今まで…』

元来、他人の為にどうこう動く様な性格ではない。ある意味、究極の個人主義者でもある。
しかし今だけは、その仮面を一度だけ外してみようと思う。慣れない真似をしてみようと思う。
あの悪魔ひとりを道連れにしてもこのゲームが終るとは考えていない。
でも『それ』を成功させる事だけが、これから若い命を散らしていく後輩達へのせめてものの
償いと餞になる様な気がする。
「…やってみるか」佐野は自分自身に語りかけた。
370【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:33 ID:f4O+jxb0
「…でも、やはり無謀すぎたか」 苦笑いしたくなる様な苦々しい気持ちを抱え、ひとり呟く。
佐野は立入禁止令の出る中、ひたすら道場の回りを徘徊し、根気強くチャンスの到来を待った。
たが彼の予想を遥かに越える程の警戒体制には非常に閉口した。
それはそうであろう、国家の命で動いているプロジェクトが反乱分子による混乱を招いては、彼等の面子が立たない。
佐野にとっては二重の不幸であったが、通常のPJを遥かに凌駕する陽水の横暴で卑劣な行為は
政府から見ても参加者達の反発を買う事は容易く想像できた。
徹底的な弾圧と殺戮促進の為、対象を絞る事なく乱射された銃弾は、不運にも叢に潜む彼の
右足を貫いた。今までに味わった事もない激痛に身をよじりながらも、彼は必死に呻き声を抑え、
ペットボトルの水で血を洗い流しながら、公園の奥にある小山の陰に逃げ込んだ。
佐野の密かな決意は、欠片程の成果すら残せず、無残な失敗に終った。

強烈な激痛と睡魔が交互に襲う極限状態の中で、佐野は無用の長物となった短刀を見る。
よくよく考えれば滑稽な話だ。例え進入できても、拳銃ならともかくこの刃物ひとつで何が
出来ただろう? しかし彼は、およそ似つかわしくない行動に出た自分が満更嫌いでもなかった。
恐らく自分はこのまま事切れるだろう。死が恐くないと言えば嘘になる。
しかし今更慌てふためき、生き恥をさらす真似だけはしたくなかった。
せめてこの無念を伝えたい。21年間やってきたミュージシャンとして、後を託せる人間と出会いたい。
そう強く願う事だけが、今の佐野の消えかかった生命を支えていた。

疲れからまどろんだ様だった。佐野は自分の名前を連呼する声で現実に呼び戻された。
「・・・佐野さん・・・しっかりして下さい、佐野さん!!」
うっすらと瞼を開くと、そこには髭が伸び、顔中が泥だらけになったスガシカオの顔が見えた。
「ほう、こいつか・・・」佐野は正気に戻るや否や、奥歯を噛み締め、
全力でシカオを払いのけると、その鋭利な刃を鞘から抜き出した。
「・・・佐野さん?」 「甘えるな!! スガ、武器を取れ!!」
371【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:34 ID:f4O+jxb0
重苦しい沈黙が続いた。体内の血液が逆流するのがはっきりと認識できる。
呼吸は乱れ、目が血走る…これが殺し合いというものなのだろう。
「…佐野さん。無理です、その体じゃ。やめましょう、こんな無意味な…」
「黙れ、若造!!お前に同情される程、落ちぶれてはいない。来い!!」

佐野元春は再び内心で苦笑した。『俺は挑発のセンスがないなぁ…今に始まった事じゃないが』
佐野は元々こんな乱暴な言葉使いはしない紳士のような男だ。だが今敢えてそうしているのだった。
その反面、焦れてもいた。対峙するスガシカオは防御の姿勢を取りつつも、一向に攻撃の気配を見せない。
『このまま無駄に時間が経ち、他の奴が介入するのはウマくない…』
深い親交こそなかったが、佐野はシカオに対し一種の行為を抱いていた。
その生真面目で丁寧な作曲は何処か自分に似通ったものを感じていたし、落ち着いた性格も自分に似ていると感じていた。
時々、意味不明な長演説をする事には閉口していたが…
眠りこけた自分を起こしているのがスガシカオだと気付いた時、佐野は何かに感謝したい気分であった。
『…こいつなら、いい。こいつになら、思いを託せる』

佐野は自分を踏み台にする事で、シカオに強くなって欲しかった。
そう強がる事で、自分のダンディズムを守りたかった。譲り渡したかった。
しかし当の後継者は、その思いを知ってか知らずか、相変わらず戦闘意欲の欠片も見せない。
佐野はまたしても苦手な挑発行為を取らざるを得ない。
「来い、来いよ!! どうした、この臆病者が!! 私がそんなに恐いか!?」

ようやく観念したのか、スガシカオはデイバックを肩から外し、憂鬱げに武器を取り出した。
ジャラジャラと金属の重なる音がする。長いチェーンの先には鋭利な刃物が光っていた。
佐野元春は驚くと同時に、思わず吹き出しそうになる自分がいる事に気付いた。
『鎖鎌とは…あいつと絶妙な取り合せだな…』
だがシカオがその後とった行動は再び佐野を不機嫌にさせる。
シカオはその尖った砥先だけではなく、鎖ごと佐野に向い放り投げた。
372【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:35 ID:f4O+jxb0
「どういう意味だ・・・私を侮辱するのか、スガ!!」 さすがに憤怒の表情で佐野が怒鳴る。
「戦う前に諦めるのか? 情けないぞ!! お前は信念の強い男じゃないのか!!」
「…これが自分の武器です。ただ、あとひとつあるのですが…」
シカオは冷静に返答する。佐野はさすがにその言葉を聞き、固く身構える。
「…でもこれは自分のお守りです。これだけは手放す訳にはいかないので…」
そう言ってシカオはポケットから、拳銃の形をしたビニール製の玩具を取り出した。
「…水鉄砲?」「…形見です、中居の…」
その瞬間、シカオから一筋の涙がこぼれた。彼は堰を切った様に語り始める。

「あれから一日半、ずっとこの水鉄砲を見てました。死にたくない、中居の敵を獲りたい…
 でも自分には、自分にはどうしても仲間を殺して生き残る事が真の勇者とは思えない!!
 そんな事をしても矢沢さんや中居…テル…誰も喜んでくれやしない!!浮ばれる訳がない!!」
「…奇麗事だ。戦わずして生き残れやしない。お前が死ぬ事が、彼等の意思に報いる事か!?」
「戦います!! 戦いますよ!! でもそれは参加者に対してではない!!
 こんな馬鹿げた事をして喜ぶ井上陽水!! そしてその裏側に隠れる国家権力に対してです!!」

佐野は思わず言葉を失う。無茶だ…現実逃避か? それとも気が触れたのか?
「スガ、目を覚ませ!! お前の気持ちは痛い程わかる。でも、それは無謀…」
「佐野さんは、強くなりたくないんですか?」 「何!!」
「俺は強くなりたい!! 人として、男としてもっと強くなりたい!!
 だから戦います、この現実を引っくり返す為に…」 「スガ…」
「俺は人を殺める強さなんていらない!! 殺されない強さが欲しい!!
 奇麗事ですよ、わかってます。幼稚な夢かもしれない…
 でもミュージシャンが夢と希望を失って、どうやって歌うんですか!!」
「……」 「俺は守ります。自分の命を、誇りを、音楽を!!」
373【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:36 ID:f4O+jxb0
それから暫くの間、再度の沈黙が訪れる。
静寂を打ち破ったのは、饒舌な男の方ではなく、寡黙な男の方だった。
「…前から変な奴だとは思っていたが、ここまで変人だったとはな」「……」
「もういい。話すだけ無駄だ。早くいなくなってくれ…」「……」
「…餞別だ」佐野はそう呟くと、短刀をシカオへ向い放り投げた。「…佐野さん?」

「無駄な事はわかっている。もっと有効に使ってくれる奴に渡したいよ、本当は。
 でも私はお前に掛けてみるよ。お前の大甘な戯言に…」
「…しかし!!」口を開いたシカオを遮る様に、佐野は語り続ける。
「ただ一つだけ条件がある。死ぬな。どんな事があっても生き続けろ。
 そして何時の日か、お前の手で音楽界を再興してくれ。
 それが矢沢さんや中居、拓郎への義務だ…」
シカオは血が出る程、唇を噛み締めながら強く、そして何度も頷いた。
それを見た佐野は、今まで見せた事のない優しい笑顔を見せると力なくしゃがみこんだ。

「佐野さん、大丈夫…」「大丈夫な訳、ないだろ。怪我人を長時間、立たせやがって…」
苦笑しながら佐野は言葉を繋げた。
「もういい。俺にしては十分すぎる程しゃべった。疲れた。さぁ、早く行ってくれ」
「…いや」シカオはそう言うと同時に佐野の手を強く掴んだ。「ここに、忘れ物があります」
「余計な気使いだ。今の私には足手まといにしかならない。お前、生き残るって言ったろ?」
「勿論です。でも自分達には佐野さんが必要なんです。不安や焦りの中、
 佐野さんがいてくれたらどれだけ安心するか…」
「…買被りだ」「佐野さん!もう一度!もう一度だけ共に戦って下さい!」
374【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:36 ID:f4O+jxb0
佐野は不思議だった。過去一度も先輩らしい事をしてやった覚えもないのに、この若者は
自分を必要としてくれている。
『人間は人間関係によって、人間として存在できる』という言葉がある。
人間はただ一個で存在する場合、単なる畜類に過ぎない。
その人と人とが接し、関係する『縁』の中にあるからこそ、人間でいられるという意味らしい。
佐野はその『縁』を目の前の細面の男に感じていた。というより、彼がそれを気付かせてくれた。
「…スガ、もうひとつ条件を付けるぞ。もう駄目だと思ったら、迷わず俺を捨ててくれ。それさえ約束してくれるなら…」
「約束します。俺は絶対に生き残ります。佐野さんの命を、俺に預けて下さい。」

「よし、わかった」佐野は無表情に、それでいてどことなく満足げな表情で頷いた。
「…じゃぁ、行くか」「…はい!!」シカオは佐野の肩を抱えて立ち上がり、歩き始めた。

「…スガ」歩き出したと同時に、佐野は聞き取れない位小さな声で呼びかけた。
「…人の気配がする」「えっ!?」「馬鹿、大きい声を出すな」
わずかだが草木が靡く音に混じって、荒い吐息が聞こえる。間違いない…
しかし、佐野は腑に落ちなかった。あれだけ長時間、無防備な体制が続く中、何故仕掛けない?
味方か?ならば声を掛けてくるはずだ。

「…佐野さん…」「大丈夫だ、どうやら敵は殺し慣れてない小心者らしい。それ以外考えられない」
「どうします?」「俺が声を上げる。間違いなく奴は反応する筈だ。それと同時にお前は逃げろ」
「佐野さん!!」「生き残るんだろ、お前は?」…シカオは小さく、そして強い目をして頷いた。
「…よし、やろうか」佐野は腹立たしかった。さっきまでの会話を聞いてたんだろ?
それなのに何故、シカオを狙おうとする!?『…この男は、殺させない…』
普段も低くて良い声だが、そこに決意と怒りが加わり、凛として聞き惚れる様な声になった。
「誰だっ!!」

佐野の予想は当たっていた。相手は迷いの中にいたらしい。
不意をつかれて頭髪を茂みから覗かせた。
ただ惜しむらくは、椎名林檎が現われた場所がスガシカオの目の前だった事だが…
375【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:37 ID:f4O+jxb0
その刹那、佐野は最後の力を振り絞りシカオの体を突き飛ばした。
と同時に腹部に強い衝撃が走る。体温が急上昇したかと思うと、次の瞬間には全ての力が
抜けていった。佐野元春は崩れ落ちた。

「佐野さんっ!?」シカオは自分の安否も省みず、佐野の元に駆け寄った。「しっかり!!しっかりして下さい!!」
…息はある。が、今にも消え入りそうにか細い。目は堅く閉じれれ、勿論返答はない。
何とも描写のしようがない程、重苦しい時間が過ぎた。何の音も聞こえない。
興奮した椎名林檎の荒い吐息を除いては…

シカオの体が激しく揺れる。彼は加害者の方を一瞥だにせず、佐野の体を抱えたまま絶叫した。
「…しいなーー!!!!」
その声は地の底から沸き起こったかの様に激しく、強く、何より哀しい声色だった。
「…あなたに、あなたに何がわかる!!」林檎は泣きながらシカオに怒鳴り返す。
「…家に、自分の生まれた家に捨てられた私の気持ちの何がわかるってんだよ、あんたに!!」
林檎はショットガンの引き金を連続して引いた。
しかしそれはシカオに対してではなく、晴れ渡った夏空に向かい空しく発射されていた。
シカオが後ろを振り向いた時、そこに林檎の姿は既に存在していなかった。
376【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:38 ID:f4O+jxb0
あれからどれ位の時間が経過したろうか。
もはや佐野の体からは何の音も動きも発せられていない。
しかし、死ぬ間際まで見事なまでに整備されていたヘアスタイルは
シカオの涙と鼻水で濡れていた。
「…どうして…なんで…なんで、こんなことに…」

佐野元春は薄れ行く意識の中で夢を見ている。
『…あぁ、そうか。私はあの頃に戻りたかったんだ…』
佐野は今、初めて自分の居場所を見つけた気がした。
そして生前、最後に言葉を交わした青年に心の中で静かに語りかけた。

『…佐野、俺、お前に頼みたかった事がもうひとつあったんだ…』
『…今度、コンサートやる時は、俺にも一声掛けてくれよ、な…』
時刻は朝6時を示そうとしていた。新たな戦いがまた始まろうとしている。
377:02/01/04 06:42 ID:f4O+jxb0
>>365
ふふふ、ここ二、三日不規則な感じですね。もう大体直りましたけど。

佐野元春は自分の趣味で出した感じがありますね。
378名盤さん:02/01/04 08:49 ID:obQgC9md
ガソバレサザソヨタノ1
379名無しのジョニー:02/01/04 12:01 ID:uQzEeApS
はじめから見てます〜。
ガソバレ
380名無しのエリー:02/01/04 16:46 ID:X0HoeMXR
桑田とシカオがヨウスイ倒すのきぼーん
381名無しのエリー:02/01/04 21:24 ID:tRaAIDAr
山崎まさよしはでないの?
382名無しのエリー:02/01/04 22:50 ID:5fVhtZEi
山崎きぼーん
383名無し:02/01/04 23:55 ID:0KEOYxqx
泉谷しげる出演キボーン
384名無しのエリー:02/01/05 10:55 ID:9whC3rkB
age
二日目の、朝が来た。

蝉の鳴き声が姦しい。心地良いそよ風は鳴りを潜め、代りにはまとわりつく様な湿気のお出ましだ。
何処か遠くから再び銃声が聞こえ出した。その直後『少年時代』がオーケストラバージョンで流れ出す。
「さて、今日で何人殺せばハッピーエンドになるのかな」
このゲームの主役とも呼べる松岡充は、飽き飽きした口調で不機嫌そうに身を起す。

『…静かにしろっ、テメーラ!!』 何時になく不機嫌な声が、スピーカーを通して響き渡る。
『人が話す時は黙って聞け!親に教わらなかったか!この常識知らずどもがー!』
銃声はピタリと止み、当り一面に不穏な静寂が戻って来た。
「…棚に上げすぎだろう、自分の事を」 大先輩達をも殺した桜井和寿は苦笑しつつ、意味もなく銃を磨く。

『えー、大きい声を出して申し訳ないっ!おはよう、お元気ですかぁ!! 元気があれば、友さえ騙せる。
 そんな君達の頑張りに、詩を贈ります。サンタモニカの朝に、という詩です。
 不安だらけの人生だから、ちょっと足を止めて自然に語りかけてみる…』
「…そういうのを便所の落書きって言うんだよ、バーカ」 殺人マニアと化した宇多田ヒカルは、罵る様な口調で吐き捨てる。

『 …しかし、相変らずいいペースだ。少し、驚いています。
 お前等っ!! 結構、非道な奴らだったんだな!! 俺は先輩として哀しいぞ!! ンムフフフフ…』
「…もう聞き飽きたよ、あんたの煽りは」 疲れ切った表情を垣間見せる桑田佳祐。
「能書きはいらねぇ!とっとと教えろ!清春は未だ、生きてんだろうなぁ!! アイツは必ず俺が殺るんだ!!」
復讐の鬼と化した西川貴教は、声の出ている方角に向かいガナリ立てている。

『えー、それでは発表しますっ!元気に行きましょう!
この6時間での脱落者は全部で9名!…ゆずの二人!aiko!福山雅治!
稲垣吾郎!IZAM!Gackt!hitomi!佐野元春!…惜しい、あと一人で大台じゃねぇか!!』
「…オイオイオイ、冗談じゃねぇよ。もう1/3も残ってねぇのかよ…」
爆弾を製作しているhydeは、普段の面影は何処へやら、唖然とした表情で虚ろに呟く。
「…やべ、やっぱ貴教、死んでねぇよ。しつこいなぁ… それだけが取柄だもんなぁ」
今回の殺戮大会で意外な役者振りを発揮した清春が、愉快そうに忍び笑う。

『しかしっ!!』 スピーカーの向うにいる饒舌な悪魔は、一向にその独演会を止める気配が無い。
『しかしだ!! 俺はある意味、モーレツに怒っている!フザケンナコノヤローッ!!』

『…えー、それでは怒りの理由を説明します』 怒鳴ったかと思えば、急に丁寧口調に戻る。
まさに精神のメリー・ゴーラウンド状態だ。
『一生懸命、人殺しをしている奴らがいる!その反面!ずーっと逃げ回ってる奴らもいる!
お前達はそれでも男か!ミュージャンか!俺は久々に本気で怒っている!
お前がこんなにヘタレに育ちゃぁ、お前らの御両親に対して俺の面目が立たねぇじゃねぇかコノヤローッ!』

「……」 やってられんとばかり首を何度も横に振るアキヒト。
この男を一度でも人生の道標にし、崇め奉っていた自分がたまらなく恥ずかしい…

『そこでだ!今から罰ゲームっ!! 民生っ!』スピーカーからは次いで、厭味なまでに冷静な声が流れ出す。
『奥田です。おはようございます。これから追加ルールの説明をします』
その事務的な口調が、生存者達の憎悪を益々掻き立てる。
『えー、皆さんの行動は特殊モニターと体内発信機で全て管理されています。
よって誰がプログラムの主旨を理解できていないかは把握済です。敢えて名前は公表しませんが…』
「殺せるわけないだろっ!自分の友人を、先輩を!」 悔しげに咆哮するスガシカオ。
『再指令です。未だ殺人行為を達成していない人は、どんな形でも結構ですので、必ずひとりは殺して下さい
納期はちょうど当プログラムの折返し地点に当る、本日昼12:00までとします。
心配はしてませんが、万が一、この指令に対し無視や反故をする方がいた場合は…』

ここで奥田民生はわざとらしく、一旦その言葉を切る。
100年に一度の天才と呼ばれ、多くの若者をこの業界に導いた功労者は、自分の栄光の歴史に
泥を塗るかの如く、さも楽しそうに後輩達へ脅しをかけた。
『皆さん、脳内に小型爆弾が仕込まれてる事、忘れてませんよね。アハハハハ!』

『よーし、見せしめ行くぞー、見せしめっ!』陽水のはしゃぐ声が遠くに聞こえる。
『参加者で武道館が見渡せる場所にいる方は、後学の為、是非御覧下さい。』 性懲りも無く挑発を続ける民生。

スガシカオは、既に冷たくなった佐野元春の遺体を木の麓に静かに立て掛けると、自らは木陰に身を隠し
ながら、すっかり遠くなってしまった武道館の方向を凝視する。
武道館のドアが開く。一人の細身の男性が、兵士に両脇を抱えられながら出てくるのが見えた。
シカオは目を凝らし続けた結果、ようやくその男の存在を認識し、愕然とした。
「…堂本くん…」
双眼鏡が無く肉眼でしか見れていなかったシカオだが、もし近くでまじまじと眺める事が出来たとすれば、
彼は驚嘆の声を上げる前に、嘔吐していた可能性が高い。
分厚い黒布で目隠しをされていた堂本光一には、既に両の耳がなかった。
掌は何かで圧縮された痕跡があり、逃亡防止の為か、太腿には2本のナイフが鋭角に刺さっている。
スーツに縫い付けられた小型マイクからは、隙間風の様な光一の呼吸音だけを厳かに伝える。
恐らくは、あの自慢の声帯さえも奪われてしまったのであろう…。

『戦う前から、負ける事を考えるバカが何処にいる!この腰抜けが!』スピーカーから更に怒声が加わる。
『光一くんは今朝投降してきました。勿論、未だ誰も処分できてないそうです。弱りましたね…
 出来る事ならば助けたいんですが。しかしこれは国家の命…』 民生の解説を遮り、悪魔が叫ぶ。
『よーし、離れろーっ!』同行した兵士は光一の両脇から手を放し、脱兎の如く武道館に向かい走る。
糸の切れた人形の様に、堂本光一は地面に崩れ落ちる。
芋虫みたいにはえずり回る彼は、口をパクパクしながら声にならない悲鳴を上げ続ける。

『誰だって、こんな事はしたくないんです。でも理解してくれない人はこう対処せざるを得ない…』
したくないと言う割には歓喜を抑え切れない声で、民生は参加者達に語り掛ける。
『それでは開始します……15秒前…10、9…』

「…やめろ、やめてくれよ」 スガシカオはその地獄図を遠方から見ながら、懇願する様に呟き続ける。
『…8、7…』 「…やめろってば、いい奴じゃないか…」 シカオは光一が好きだった。
先輩とも分け隔たり無く接する慣れなれしくも優しい人柄、悪気の無いムダなつっこみを入れるところ…
『…6、5、4…』光一は決して気が強い人ではない。しかし強くなければ、ここでは生きる事さえ許されないのか?
人を殺せなければこんな無慈悲な扱いを受けても良い、と誰に言える権利がある?
強いって、何だ? 生きるって何だ!? 数秒の間に様々な問い掛けがシカオの頭で交錯する。

『…3、2、…いくぞ!! イナズマッ!!』 テルの時とは比較にならない程の大音響が響き渡る。
爆発と同時に、シカオは目を閉じ、顔を横にそむける。
彼が再び現場に目を戻した時には、光一の体は自らが流した大量の血の海の中で浮んでいた。

『処刑完了です。因みに爆発力は本部である程度、変更可能です。驚きました?
まぁ爆発が大きかろうと小さかろうと、結局死ぬ事には変りありませんが…。では陽水さん…』

『堂本光一っ!!このバカヤローがっ!!』 スピーカーから再度怒声が届く。『…えー、どなったらすっきりしました』
『まだ6時間もある!頼む、戦え、戦ってくれー!! ミュージシャンの名に賭けて、熱い殺し合いを見せてくれ!!
 光一の様な卑怯者をこれ以上見たくないっ!諸君の一層の奮戦を期待します!
 それでは行きますか!幸せ気分でコモエスタ!! ダ----ッ!!!!!』
この世で考え得る最も不快な進捗発表会は、ようやく終りを告げた。
「…Gackt…ガクトォ…」 hydeは僚友の予想もしなかった死に対し、嘆き悲しむ手段しか残っていない。
「…馬鹿野郎、はえぇよ… 何で俺を置いてちゃうんだよぉ… 嘘だと言ってくれよ!ガクト!!!」
「うるせぇよ!! 少し静かにしてくれって!」元XジャパンのYOSHIKIは不機嫌極まりない声でhydeを叱責する。

YOSHIKIの心中は憤怒で燃え盛っていた。悔しさで半狂乱状態だった。
Gacktの死に加え堂本光一という一人の男が見せしめのため犬ころの様に惨殺された。
いや、犬猫以下と言って間違いではない。何処の世の中に、犬一匹殺すのに、あれだけ手の込んだ真似をする奴等が!?

しかし、それだけの怒りを抱えるYOSHIKIに腰を上げさせない原因は、先刻突如追加された新ルールの存在だった。
現実は余りにも惨い。あと6時間の間に他人の命を奪わない限り、自分の頭が吹き飛ばされるのだ…
それに何と運の良い事か!自分が行動を共にしているパートナーも未だ殺人に関しては生娘らしい。
おまけに彼には銃がある。自分にも銃はある。しかし双方とも弾が出ない…

『そういう意味では安心か?いや、そうとも限らねえ』YOSHIKIは心中で呟きながら、悲嘆に暮れるhydeの丸まった背中を冷ややかに眺める。
『…コイツ、いざとなったら俺を殺すんだろうなぁ…』
別に今更ジタバタする気はない。hydeがそうしたいんだったら、そうすりゃいい…
でも矢沢を始め、自分の掛替えの無い仲間を虐殺していった張本人達には何とか一矢を報いたい!
しかし何も具体策は思い浮かばない。YOSHIKIは冷たいコンクリートの上に体を横たえる。

その動作に気付いたhydeは、顔を涙で濡らしながら先輩に問い掛ける。
「…どうしたんすか、YOSHIKIさん…?」
「…暫く、独りにさせてくれって。その間、お前が撃ちたきゃ撃てばいい。逃げたければ逃げるがいい…」
「YOSHIKIさん!なに言ってんすか!」hydeが怒声を上げると同時に、一旦中断されていた銃弾オーケストラが
遠くで再度開演を告げた。

「ふざけるな!お前等、何時になったら気付くんだ!そんなに撃ちたければ、俺を撃てよ!」
hydeは怒っているかの様な、泣いているかの様な判別のし難い表情で、銃声の方向に向かい怒鳴っている。
「…チッ、馬鹿野郎が…」不貞寝をしながらYOSHIKIは、苦虫を噛み潰した様な表情を見せた。
392現在(二日目・午前6時)の状況:02/01/05 12:07 ID:MB0JLrmK
首謀者:井上陽水 側近:奥田民生


生存中参加者:
[非暴力派]スガシカオ hyde 桑田佳祐 トータス松本 YOSHIKI(X-JAPAN)
[武闘派]アキヒト(ポルノグラフィティー) 桜井和寿 松岡充 宇多田ヒカル 吉井和哉 西川貴教 清春(SADS)
[どっち派?]堂本剛 椎名林檎

死亡確認済出演者:
矢沢永吉 テル 宮本浩次 中居正広 吉田拓郎 平井堅 氷川きよし 矢井田瞳
浜崎あゆみ 国分太一(非参加) 真矢 三木道三 河村隆一 B’z CHAGE&ASKA CHEMISTRY
氷室京介 布袋寅泰 つんく 田代まさし 稲垣吾郎 aiko ゆず 福山雅治
IZAM Gackt 小室哲哉(非参加) hitomi 佐野元春 堂本光一

現在の総出演者:50名 死亡確認済出演者:34名
途中追加されるのはあと二人です
393名無し:02/01/05 14:21 ID:1r1fTkOK
1さんお疲れです。

あと2人・・一体誰でしょう?
394名無しのエリー:02/01/05 16:19 ID:voestktS
西川のちびに清春やらせておくれや
劣等感だらけの奴が憧れてる奴を自ら殺す下克上パターンきぼーん
395名無しのエリー:02/01/06 00:40 ID:41mBSPEx
1さん今日はお昼なんですね(藁
ところで西川って武器吹き矢だったのに銃持ってますね。
どこで出に入れたんだろう…そこらへんもフォローしてくれると嬉しいなあ。
1さんお願いします。
>394
確かに、普通に考えたら清春の方を残すだろうけどそれじゃ面白くないかも。
ちなみに実際の二人は「清春君」「西川君」と呼び合う感じです。
お互いを呼び捨ての二人が珍しくて面白い。

頑張って下さい。
396         :02/01/06 18:29 ID:/Fb5cokE
桜井、宇多田、アキヒトは武闘派の中でも最後のほうまで残りそうだな…
モーニング娘ははいらねぇんだな。ラストのほうはスガ、桑田、hyde、桜井、宇多田、アキヒトで決まりかな…
397名無し:02/01/06 18:41 ID:2qAXzURv
すごくおもしろいこのスレ…
398 :02/01/06 20:20 ID:d+O7OnIU
スガとドイハ、死ぬ方は相当無様な死に方晒しそうだな。
399シュビルチンボン ◆KngD7GMA :02/01/06 20:22 ID:eGdaz7g8
優勝は松井常松
400名無し        :02/01/06 22:49 ID:KevJNKmw
他に出てないのねぇ。スピッツ、ドリカム、ELT…うーん、女性ヴォーカルや全盛期過ぎたの
含めるとまだまだいるな…誰が出るんだ???