◇◆★邦楽バトルロワイヤル★◆◇

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1[1日目午前0時スタート前後:武道館]
一瞬、慣れ親しんだ武道館ではないとスガシカオは錯覚した。
もちろん、そこは以前来た時と変わらない日本武道館であったのだけれど、
何かがおかしかった。何かが違っている。
すぐに、スガシカオはその原因に気づいた。窓の外はすでに日が暮れ、闇に包まれていた。
武道館内のスタンド席にもアリーナにも観客らしき人間は誰一人座ってなかった。
さっきまでリハーサル中であったはずなのに・・・
スガシカオは、辺りをそろそろと見回した。メディアでおなじみである歌手たちが、
先ほどまでのスガシカオと同じように床に伏して眠っている。
そのなかには、スガシカオの親友でもあるSMAPの中居正弘の姿もあった。
俺、どうしたんだろう? スガシカオがそう思ったとき、道場内に大きな音がした。
皆、眠りから覚めたばかりらしく、スガシカオと同様に周囲を見回している。
一体、何が起きたのだろう?何故俺達は、ここに居るのだろう?
誰もが困惑と不安を隠しきれずにいた。
「おい!エーー、シカオさん……何が、どうなってるだエー?俺、怖い……怖いよ……」
中居は、目に涙を溜めて不安を訴えた。
スガシカオは「大丈夫だよ」と言ってあげたかったが、出来なかった。
自分自身、現状が怖くてたまらなかった。
そう、嫌な予感がする。
何度もニュースで聞いた、『あれ』の状況によく似ている……
突然、施錠されていたアリーナの扉が、開いた。
そして、銃を携えた兵隊の様な連中が十数人、入って来る。
兵士達はステージの前に整列すると、銃を歌手達に向け、構えた。
いつでも発砲できる体勢だ。
まさか……
コツ、コツ、と、兵士達とは違う、軽い足音が聞こえた。
2[1日目午前0時スタート前後:武道館]:01/12/10 22:50 ID:DKcUYppD
教室に入って来たその足音の主は……井上陽水だ。
猪木は教壇に立つと、いつもと変わらぬ屈託のない笑顔で、話し始めた。
「元気ですかーーー!まさかお前らに集まってもらう事になるとは、この俺も想像できなかったぞー!」
のいつにも増した高慢な口調だ。
しかし、今日は普段にも増して、自信に満ちているようだ……スガシカオにはそう映った。
そして陽水は、アリーナ内をぐるりと見回すと、衝撃的な一言を言い放った。
「今日はこれより、諸君に殺し合いをしてもらう!」
会場内の全ての空気が止まった。
「お前らは、今回の『プログラム』に選ばれたのだよ!ダーーー!」
スガシカオの予感が、的中した。
中居は、ギュッとスガシカオの腕を掴んで、震えていた。
誰かが、うっ、とうめいた。
3 :01/12/10 22:50 ID:yV9CoFUZ
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4[1日目午前0時スタート前後:武道館]:01/12/10 22:50 ID:DKcUYppD
『プログラム』
それは、魔の法律。
正式名は『歌手助成特別法』という。
近年、邦楽ではパクリが激増の一途を辿っていた。
何故、こんなにも簡単にパクリをしてしまうのか?
何故、互いの理解を深めようとせず、安易なパクリに走ってしまうのか?
……そして制定されたのが、この法律だった。
真に「歌って表現する強さ」を持ち合わせた人間だけを選抜する法律。
メジャーのあらゆるミュージシャン、アーティスト、アイドルの中から無作為抽出され、最後の一人になるまで殺し合いが行われる。
しかし、このプログラムが実行に移されることはゼロに等しいと言われていただけに、ミュージシャンたちはすぐには信じられなかった。
「冗談なら、やめろ!糞ぶっ掛けるぞ!」
聞き取り辛い声が響いた。
邦楽一の権力者ともいえる、吉田拓郎だ。
「俺は天下の吉田拓郎だ!なんでこんなプログラムに参加しなくちゃいけないんだ!」
拓郎は嘲笑を込めて異議を唱えた。
そもそも、このプログラムの指揮権が井上陽水にある事に、理解が出来なかった。
普通なら、政府や国家委員会の担当者が赴いて、ここで説明するだろう。
ここに居る兵士達も、おそらく井上陽水私設軍やSPの面々。
驚かせておいて、実はパーティーでも開くのだろう……そう思っていた。
しかし、現実は残酷だった。
「拓郎!テメーはまだ信じられない様子だな。ならば、信じられる物を用意してやろう!」
陽水は表情を変えずにそう言うと、指をパチン、と鳴らした。
教室の扉が開き、『何か』を載せたベッドが運び込まれて来る。
ビニールシートの下の『何か』からは、少し生臭い匂いがした。
「見せてやれ」と陽水が言うと、側近の奥田民生がそのシートを外した。
一瞬の静寂。
そして次の瞬間、拓郎が絶叫した。
「……永チャーーーン!!」
5[1日目午前0時スタート前後:武道館]:01/12/10 22:51 ID:DKcUYppD
拓郎の叫びが、一瞬にして全員の悲鳴へと変わる。
そこに有ったのは、ロックンローラー矢沢永吉の『なれの果て』だった。
まるで操り人形を投げ捨てたかの様に関節は捻じ曲がり、
頭蓋骨は陥没し、両目も潰されていた。
「矢沢!永ちゃああああんっ!!」
拓郎は泣き叫びながら、矢沢の亡骸に近付こうとする。
しかし次の瞬間、兵士達が一斉に長州に向け、銃を構えた。
それに気付いたキンキキッズの二人が、慌てて長州を引き止める。
「拓郎さん、駄目だ!今行ったら、拓郎さんも殺されちゃうよ!」
「でも!永ちゃんが!」
拓郎はその場にヘナヘナと座り込むと、声をあげて泣いた。
泣くことしか、出来なかった。
そしてその光景は、ミュージシャン達に現実を認識させるのに、充分だった。
陽水が説明を続ける。
「矢沢は、このプログラムを反対しやがって!コノヤロウ!」
死臭が室内を満たしてゆく。
それはまさしく、絶望の臭いでもあった。
陽水は胸元から政府印の押された封書を取り出すと、その中の文書を事務的に読み始めた。
いわゆる『宣誓文書』だ。
「……本プログラムは、日本国政府の完全管理下のもと、Jポップミュージックの代表的存在である
 井上陽水によって執り行われるものとする旨を、ここに通達する……」
宣誓文書など、誰も聞いてはいなかった。
ただ、殺戮の海に放り込まれた事実を受け止める事しか、出来なかった。
自分達を庇ってくれた(であろう)矢沢永吉が、あっけなく殺された。
こんな理不尽な殺人さえ、合法だという。
いや、理不尽な殺人劇は、これから始まるのだ。自分達の手によって……
どうする?どうすればいい?ここから逃げ出す方法は無いのか?
誰もが、戦うことなく生き延びる方法を自問自答していた。
と、その時、陽水が宣誓文書を読むのをピタリと止めた。
「……どうやら、俺の話を聞いてくれない人が、いるようだなーコノヤロウ!」
6   :01/12/10 22:51 ID:ietENvyb
7[1日目午前0時スタート前後:武道館]:01/12/10 22:51 ID:DKcUYppD
……まさか、聞いていないのを悟られたのでは?
ミュージャン達は、恐る恐る陽水の視線の先を辿った。
陽水が見ていた先……そこには、グレイのテルとラルクのhydeの姿があった。
テルはまだ睡眠薬が効いているらしく、眠ったままだった。
それをhydeが必死になって起こそうとしている。
「……テルさん、起きろよ。寝てる場合じゃないんだってば……」
hydeは、陽水を刺激しないように、小声で呼び掛けながらテルの肩を揺すっていた。
その呼びかけに応じたのか、テルがようやく目を覚ます。
「……あれ?hydeくん。おはよう!どうしたんだよ?」
まだ現状を把握していない彼の一言が、会場中に響き渡った。
誰かの呟く声がした。
「……だめっ!」
次の瞬間、陽水は小さなリモコンの様な物を取り出すと、テルに向けてそれを「ピッ」と鳴らした。
ピピピピ、ピピピピ……
何処からともなく、アラーム警告音が聴こえる。
「何だよ、目覚まし時計をセットしてるのか?
 でもおかしいな。外はまだ、夜じゃねぇか!俺は眠いんだよ馬鹿やろう!」
まだ寝ぼけているのか、テルは緊迫した現状に気付いていなかった。
「なに言ってんだよ、テルさん!今はそれどころじゃ……テルさん?」
hydeは、異変に気付いた。
警告音の発信元が、異常に近いのだ。
しかもそれは、テルの体内――頭の中から聴こえている。
「まさか……陽水さん!テルに何をしたんだよ!?」
hydeの追及に、猪木は落ち着いた調子で答える。
「テルに限った事ではない。君達には、眠っている間に、『装置』を埋め込ませてもらった。
 なあに、最新技術を駆使したマイクロサイズの物だ。違和感は感じないだろう?
 それから、これには位置特定の為の発信機と、自爆装置がセットされている。
 指定の制限時間をオーバーしたり、プログラムの進行を著しく妨害した場合には……」 「場合、には……」
hydeは、唾をゴクリと呑んだ。まさか……まさか、そんなことって……
そして、一番聴きたくない言葉が、陽水の口から発せられた。 「爆発する」
8[1日目午前0時スタート前後:武道館]:01/12/10 22:52 ID:DKcUYppD
ピピピピピピピピ……
警告音の間隔が短くなってゆく。
悪魔のカウントダウンに、静かだった会場が再びざわつき始めた。
しかし、当のテル本人は、まだこの危機的状況に気付いていなかった。
「みんな起きているのかよ!うるせえよ時計……誰かとめろよな!GLAYが一番ロックなんだよ!」
hydeはパニック寸前だった。
親友の命が、あと数秒で消えてしまうかもしれない。
しかし、自分にはそれを止める術が無い。 「テル……テルさん……」
hydeは、とっさにテルの両手を強く握った。 涙がこぼれ落ちて、止まらない。
その涙が、テルの頬へと落ちて行く。「ずっと……ずっと、友達だよ……」
まだ通常の判断力が戻っていないテルには、何故hydeが泣いているのか、解らなかった。
しかし、「友達だよ」という言葉だけは、はっきりと聞こえた。
「おい、なに言ってんだ!俺とお前はずっと親友だぜ!」
テルは、いつものように微笑んだ。 その直後――
ぱんっ、という音とともに、テルの側頭部が弾けた。
hydeの顔が返り血を浴び、真っ赤に染まる。
瞬間、教室中が再び悲鳴に包まれた。
人の命が奪われた瞬間を目撃した以上、それは矢沢の時とは比較にならない状況だった。
「お前ら!静かにしないか!」
陽水の忠告も、もはや届かない。
ある者は泣き叫び、ある者は気を失い、ある者は何度も嘔吐を繰り返した。
そんな混沌とした中、hydeはテルの手を握ったまま、動かなかった。
いや、動けなかった。
呆然としたまま握っているテルの手には、まだ、温もりが残っていた。
「まだあったかいぜ、テルさん……」
9[1日目午前0時スタート前後:武道館]:01/12/10 22:52 ID:DKcUYppD
「威嚇射撃!」
陽水の号令が飛んだ。
それに合わせて、兵士達が一斉に床へ向けてマシンガンを発射する。
ただならぬ轟音とともに、床面のコンクリートが削られ、破片が宙に舞う。
圧倒的な『実弾』の恐怖。
その威力の前に、泣き叫んでいたミュージャン達の動きが一瞬にして止まった。
そして、数秒間の掃射が終わる直前――
床に跳ね返された弾の一発が、桑田佳祐の左膝をかすめた。
「痛ェ!」
桑田は傷口を押さえ、その場にうずくまった。
「――桑田さん!!」
その様子を見たトータス松本が、慌てて桑田のもとへと駆け寄る。
「大丈夫ですか!?桑田さん!」
トータスはそう言うと、ポケットからハンカチを取り出し、それを桑田の膝へと巻き付けた。
手際の良い応急処置だ。
「大丈夫だ。かすり傷だから……ありがとう」
桑田は苦痛に顔を歪めながらも、松本に礼を言った。
確かに、弾は膝をかすめただけだった。
あと数ミリずれていたら、確実に骨を砕き、歩く事さえ出来なかっただろう。
しかし、弾を受けた際の痺れと出血は、普段の『かすり傷』とは比較にならないものだった。
教室が『一応の』平静を取り戻した所で、再び陽水が話し始める。
「まったく、お前達は……これ以上、俺の手で参加者を減らしたくない。
 しかしまぁ、驚くのも無理はねえか。 」
10[1日目午前0時スタート前後:武道館]:01/12/10 22:54 ID:DKcUYppD
この時、スガシカオは状況を整理し、理解するのに必死だった。
自分は『プログラム』に選ばれた。
間違いなく、『真のミュージシャン』をめぐる戦いだ。
ここにいるミュージャン達と、命を賭けて。
テレビで見慣れた人や、親友……
今、隣で震えている中居正弘とも、戦うかもしれない。
そんな、そんなこと……わからない、どうすればいいんだ……
冷静な判断をする為に、現状を整理するつもりだった。
しかし、考えれば考える程、気持ちは混乱してゆく。
頼む、誰か、助けて……
だが、そんなスガの願いを無視するように、陽水の宣誓が響き渡った。
「ではこれより、プログラムを開始する!
 制限時間は三日間。日本武道館半径10キロ、都心全域が戦闘エリアとなる。
 勿論、市民の退避は完了している。
 お前達の両親にも既に連絡済だ。後悔の無い様、思う存分やりたまえ!」
11[1日目午前0時スタート前後:武道館]:01/12/10 22:55 ID:DKcUYppD
出発の順番はランダムだった。陽水がくじ引きで決めていた。
民生が用意した箱の中に陽水が手を入れ、1枚の紙を引く。
「それでは、最初に出発する者の名前を発表する……平井堅くん」
全員の視線が、彼に集中する。
「は、はいッ!」
平井堅は、上ずった声で返事をし、立ち上がった。
そして、顔を強張らせながら教室の出口へと進む。
「私物の持参は自由だが、くれぐれも『お荷物』にならないよう、注意しろ。
 それから、出口で支給するデイパックには、武器がランダムで入っている。
 有効に活用し、円滑にプログラムを進めて貰いたい。以上だ」
平井は出口でデイパックを受け取ると、会場内へ向き直り、深々と一礼をした。
そして、一目散に外へと駆けて行く。 次の参加者の出発は2分後だ。
皆一様に怖がっていたが、中には「やる気」になっているミュージャンがいるかもしれない。
教室では、2番目に出発するミュージャンの名が呼ばれた。
「それでは、次、……トータス松本くん!」
松本は「はいっ」と返事をして立ち上がったものの、一歩が踏み出せない。
「大切な人達」のことが気になって、傍に居たくて、仕方なかった。
拓郎は泣き止んでこそいたものの、ずっと俯いたままだ。
そして桑田は、傷を負った左足を、ずっと押さえている。
どうしよう……ふたりを放って行くなんて、出来ない……
迷う事が許されない状況の中、松本は出発すべきか迷っていた。
その時、なかなか動こうとしない松本に気付いた桑田が、微笑みながら声を掛けた。
「松本……俺なら、大丈夫だから……」
12[1日目午前0時スタート前後:武道館]:01/12/10 22:55 ID:DKcUYppD
「桑田さん……」 松本の瞳が、徐々に潤んでくる。
桑田とは離れたくない。でも、離れなければならない。
そして桑田の言葉は、別離への選択を迫る言葉。
わかってる。わかってるけど、その一歩がどうしても踏み出せない。
「松本、早くしろ!」 陽水は冷徹に、出発を促す。 「はい……」
松本は力無く答えた。しかし、まだ歩き出す事は出来ない。
その時――
桑田がスッと立ち上がると、突然、松本を力いっぱい抱きしめた。
「く、桑田さん……?」
松本は動揺を隠せなかった。「桑田さん、どうしたんですか?急に……」
そして桑田は、いつもにも増して、優しく語り掛ける。
「松本……諦めちゃ駄目だ。諦めたら、すべてがそこで終わってしまう……」
「桑田さん……」 松本の瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
桑田は抱きしめた両手をほどくと、じっと松本の顔を見つめる。
松本を見る桑田の表情は、普段と変わらない、優しい笑顔だ。
(どうして桑田さんは、そんな優しい笑顔を見せるんだ?
 三日後にはもう、二人共この世にいないかもしれないのに……)
桑田は言葉を続けた。
「よくわからないけど……必ず、何か方法があるはず。みんなが助かる方法が……
 だから、そんなに悲しい顔をするな。 」
今のトータス松本に、笑顔を作る事は不可能だった。
だが、桑田佳祐の言わんとすることは、しっかりと伝わっていた。
「わかりました……拓郎さんにも、一言、掛けてあげてください」
松本はそう言うと、出口へ向かって歩き始めた。
そしてデイパックを受け取り、それを確認すると、夜の闇へと走り去って行った。
13[1日目午前0時スタート前後:武道館]:01/12/10 22:56 ID:DKcUYppD
出発の点呼は続く。 次いで、hydeの名が呼ばれた。
しかし、hydeは何の反応も示さない。
あの時からずっと、テルの手を握ったままだ。
「ハイド、早くしろ!コノヤロウ!このままだと、プログラムの進行を阻害するものとして、
 お前を排除するぞ!コノヤロウ!」
陽水から最後通告が発せられた。
それに反応するように、ようやくhydeが動き出す。
hydeの手から、テルの手が離れた。
「テルさん……じゃあな、行って来る。待ってろよ……」
hydeは俯いたまま、返り血を拭う事もせず、ゆっくりと立ち上がる。
そして、会場の出口ではなく、猪木陽水の居るステージへと向かった。
数秒後―― パシッ、
hydeの平手打ちが、陽水のあごを捉えた。
兵士達が一斉にhydeに向け銃を構えるが、陽水がそれを制止する。
陽水は叩かれたあごを押さえつつ、じっとhydeを見た。
hydeの瞳は、さっきまでの無気力さが消え、怒りに満ちていた。
「絶対に……絶対に、許さねえぞ!」
hydeはそう言い放つと、足早に出口へと向かう。
意外なことに、陽水はhydeを咎める事もせず、ただじっとhydeの様子を見ていた。
出口へ向かう途中、再びシートが被せられた矢沢永吉の死体の前で、hydeは足を止める。
矢沢はhydeにとって尊敬する先輩であった。
この短い時間の間に、自分の好きな人が相次いで去って行く。
しかも、明らかに『見せしめ』として殺された……
具体的な策がある訳ではなかった。
しかし、hydeの心の中には、井上陽水に対する復讐心が沸々と湧き上がっていた。
「矢沢さん……拓郎さんを、守ってあげてくれ」
hydeはそう呟くと、デイパック受け取って教室を去って行った。
14[1日目午前0時スタート前後:武道館]:01/12/10 22:56 ID:DKcUYppD
その後の出発は順調だった。
順調といっても、”トータス松本やhydeと比べたら”というレベルではあったが。
目眩を起こして倒れていた河村隆一は、歩くことがやっとだった。
吉田拓郎も、桑田佳祐に促され、力無く教室を後にする。
その桑田も、左足を微妙に気にしながら、出発して行った。
一人、また一人と、教室から参加者が消えて行く。
そして、スガシカオの番がやって来た。
勿論、行きたくなんかない。
しかし、この場で抵抗しても無駄なのは判っている。
(行くしか、ないんだな……)
名前を呼ばれ、立ち上がろうとするスガ。
と、そのスガの右腕を、中居正弘が掴んだ。
「シカオさん……大丈夫だよな。みんな、人を殺したりなんか、しないよな……」
中居の顔は蒼ざめ、恐怖と不安に震えている。
「中居くん……大丈夫だよ」
スガは優しく語り掛けた。
怖がりな中居の心を、少しでも落ち着かせなければ……
「みんな大丈夫。そんな簡単に、人を殺すことなんて――」
スガがそう言い始めた瞬間だった。
15[1日目午前0時スタート前後:武道館]:01/12/10 22:57 ID:DKcUYppD
パンッ、パンッ、パンッ、
乾いた銃声が、外から聞こえてきた。
残っていた全員が、ビクッ、と肩を震わせる。
誰もが信じられなかった。
(まさか、本当に「やる気」になっている奴ががいるの!?)
「嫌だー……こんなの、嫌だーーー!!」
中居は耳を塞ぎ、激しく首を横に振る。
スガの言葉に、わずかでも希望を持とうとした矢先の銃声。
容赦ない現実が、中居の希望を一瞬にして打ち砕いていった。
「中居くん……正面ゲートで待ってるから!」
スガはそう言い残すと、デイパックを受け取り、会場を出た。
恐怖に震える中居を、このまま放っておくことなど出来ない。
だからといって、迂闊に外で待ち合わせるのは危険だ。
さっきの銃声は、入り口の辺りから聞こえてきた。
標的にされる可能性が高すぎる。
次に出発するのは、中居。
武道館入り口付近の控室辺りで待っていれば、安全かつ迅速に中居と合流出来る筈。
靴だけ取りに行って、裏口から出よう……
スガはそう考えた。
しかし、それが悲劇の始まりだとは、この時、スガシカオは知る由も無かった。
16名無しのエリー:01/12/10 23:50 ID:Cpm4rMvK
age
17・・・:01/12/11 02:47 ID:Ejgix6hA
おもろいあげ。
18名無しのエリー:01/12/11 02:51 ID:3eLp37D9
まともに読んでもいないのにオナニーと決めつける私は糞ですか?
19[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 12:39 ID:MtgH/6SB
正面ゲートに、人の気配は感じられなかった。
武道館の入り口までの十数メートルの間にも、動くものは見当たらない。
スガは慎重に周囲を警戒しつつ、入り口に一番近い自分と中居の控室へ向かった。
今自分たちが履いていた靴は、普通のものではなくてステージ専用であった。
まず中居の靴を回収し、次いで自分の靴を回収すべく、下駄箱へ。
だが、自分の靴に手を伸ばした時、スガはふと思った。
そうだ。
何故わざわざ、靴を取りにここへ来たのだろう。
今は非常時だ。
小学校の防災訓練の時だって、上履きのまま外へ出るのが当り前の筈。
悠長に靴を履き替えて逃げる人なんて、居やしない。
一刻を争うというのに、どうして、こんなことを……
20[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 12:39 ID:MtgH/6SB
危機感の欠如
それは、参加者の誰もが同じだった。
火事や地震と違い、殺し合いという状況に備えている人間などいない。
しかも、今まで出発した参加者には、主催者である井上陽水以外への殺意は、感じられなかった。
誰も人を殺すなんて、出来やしない。
とりあえず外へ出れば、何とかなるだろう。そう思っていた。
だが、そんな淡い期待は、さっきの銃声によって打ち消された。
信じたくは無いが、既に殺し合いは始まっている。
21[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 12:46 ID:MtgH/6SB
とにかく、ここまで来てしまった以上、早く靴を取って戻ろう――
スガは心の中でそう呟くと、控室内の下駄箱から自分の靴を取り出した。
その時だった。
カチッ、という金属音とともに、何かが引っ掛かる感触が伝わって来る。
靴や下駄箱の構造上、引っ掛かる物があるとは思えない。
嫌な予感がした。
暗がりの中、スガは下駄箱の中を覗き込む。
そこには、ガムテープで固定された丸い物体が、一つ。
そして靴には針金が巻かれ、その先にはピンを思わせる金属部品が結び付けられていた。
――手榴弾だ!
しかも、靴を取り出したことにより、ピンは外れている。
仕掛けた人物を詮索する時間など無い。
スガは全速力で、その場から立ち去るべく走り出した。
だが、運命は脱出を簡単に許してはくれない。
走り出したスガの眼前に、突然、人影が現れた。
22名無し:01/12/11 12:55 ID:SUwvDE31
23名無しのエリー:01/12/11 13:07 ID:8EK07luq
読みにくい文章・・・つまんないのでもうやめたら?
24[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 14:39 ID:ynv7eyWL
肩がぶつかった。
足がもつれ、スガは廊下へと倒れ込む。
バッグと靴が、勢い良く床を転がって行った。
……誰だ!?
スガは下駄箱の方向へと振り返る。
そこには、虚ろな目をした一人のミュージャンが、ぼんやりと立ち尽くしていた。
エレファントカシマシの宮本浩次
今の宮本には、普段の感じが微塵も感じられない。
当然だ。
今は殺人ゲームの真っ只中なのだから。
……だが、それ以上に、今の宮本の様子がおかしい。
彼は腹部を手で押さえている。
そしてその手は、赤黒い血液に濡れていた。
「シカオさん……俺、撃たれちゃったよ。どうしよう……」
宮本は、声を絞り出すようにして、語り掛ける。
その声は震え、息も荒い。
どんな素人が見ても、致命傷を負っている事は明白だった。
(どうしよう、って……)
スガは答えられなかった。答えられる筈もなかった。
手榴弾を発見し、そして傷付いた宮本と遭遇するまで、ほんの数秒間。
突然すぎる恐怖と衝撃の連続に、スガの思考回路はパニックに陥っていた。
25[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 14:40 ID:ynv7eyWL
「……逃げろっっ!!」
スガは咄嗟に叫んだ。
そう、手榴弾のピンを引いてしまっている。
もう時間が無いのだ。
一刻も早く、ここから離れなければ――
そう思い、スガは体を起こそうとした。
その瞬間だった。
大音響とともに、宮本の背後の下駄箱が吹き飛んだ。
強力な爆風とともに、埃や破片が彼ら達に降り注ぐ。
そして、その中でもひときわ大きな金属片が、宮本の後頭部に突き刺さった。
「ぐっ」と、宮本は小さなうめき声をあげる。
それが、彼の最期の言葉だった。
倒れ込み、動かなくなった宮本の体が、みるみる血だまりに沈んでゆく。
スガは震えながら、その血だまりが広がってゆくのをじっと見つめていた。
そうする事しか、出来なかった。
26[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 14:41 ID:ynv7eyWL
(俺の……せい?)
(俺が、不用意に靴を取りに来たから?)
(俺が、手榴弾のピンを抜いてしまったから?)
(だから……宮本は死んでしまったのか?)

スガの心の中に、自責の念が渦を巻く。
あの爆発以前に、既に宮本は致命傷を受けていた。
自分が何もしなくても、彼は助からなかっただろう。
しかし、直接の死因は、あの爆発にある。
防ぐ事が可能だった筈の、あの爆発。
人を殺した
人を殺した
人を殺した
同じ言葉が、何度も何度も西村の頭を駆け巡る。
「違う!あれは……あれは……」
スガは頭を抱えて、泣き叫んだ。
気が変になりそうだった。
「シカオさん、しっかりしろ!」
その時、中居の声がした。
27[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 14:42 ID:ynv7eyWL
ハッとして、顔を上げるスガ。
いつしか、スガの傍らには中居が寄り添っていた。
「中居くん……」
「シカオさん……落ち着こうよ。事故だったんだろ?宮本くんには悪いけど……運が、悪かったとしか……」
と、ここでスガは今の状況に気付いた。
自分は今、中居に慰めてもらっている。
武道館内の時とは、全く逆の立場になっているのだ。
(そうか……俺、強がっていただけなんだ……)
必要以上に張りつめていたものが、段々と緩くなってゆくのを感じた。
緊迫した状況に変わりは無いが、スガは少しずつ、冷静さを取り戻してゆく。
「中居くん……ありがとう」
スガは靴を天山に渡すと、自分も靴を履き替え、バッグを拾い上げた。
あと30分弱で、ここは立入禁止エリアになってしまう。
早くここから立ち去らなければ……
しかし、ここでまた新たな訪問者がやって来た。
「おいおい?何の騒ぎだ、これは……」
28[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 14:42 ID:ynv7eyWL
そこに現れたのは、プロデューサーとして名高いつんくだった。
つんくは何故か、バッグ以外の荷物を沢山抱えている。
「つんくさん……どうしたんです?その荷物」
スガは目を丸くした。
確かに、私物の持参は自由というルールだ。
しかし、会場を出た時のつんくは、バッグ以外の物は持っていなかった。
「ああ、これ?ちょっと自分の控え室へ寄って、取って来たんだよ」
倉庫から取って来た荷物――
その中には、ジュラルミンケースやブリキのチャンピオンベルトなど、持てる限りのガラクタが詰まっていた。
つんくは苦笑する。
「どうせなら、最後は自分の好きな事、やりたいしな……」
最後は――
とてつもなく、重い言葉だった。
つんくに戦う意思が無いのは明白だが、この言葉は、
彼が生き残る事を放棄するとも取れるものだった。
「つんくさん……あなた、生き残りたくないんですか?『真のミュージシャン』になりたいと、思わないんですか?」
スガが問いただす。
しかし、つんくの回答は実にあっさりしていた。
29[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 14:43 ID:ynv7eyWL
「まぁ、これに参加してる以上、気持ちが無い訳じゃない。
 でも、人殺しをしてまで、強くなってもな。後味悪いだろ。そんなとこさ。 」
「でもな……」
つんくはそう言うと、宮本の亡骸に近付き、その体からバッグを引き剥がした。
「やっぱり無駄死にはいやだな。それに……」
そしてカシンは、ポケットから拳銃を出し、構えた。
「むやみに人を信じたら、負けだぜ!」
30はぁウゼ:01/12/11 14:44 ID:AMCHLlJQ
そろそろ削除依頼だしていい?
31名無しのエリ−:01/12/11 14:45 ID:Xwh1MdXG
もー娘。バトルロワイヤル
http://www.interq.or.jp/yellow/hiuga/novel/battle.html
32[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 14:48 ID:ynv7eyWL
それは一瞬の出来事だった。
数発の銃弾が、中居の体を貫いてゆく。
中居は、痛みを感じるより早く、着弾の衝撃によって床へと倒れこんだ。
「――中居くん!!」
スガは信じられなかった。
少なくとも、話していた時のつんくの雰囲気からは、この状況は予測出来なかった。
だが、これは現実だ。
現に中居は、つんくの放った銃弾を受け、血にまみれている。
次いでつんくは、スガにも銃口を向けた。
手を伸ばせば届く程の至近距離だ。
外すことは有り得ない。
スガは咄嗟に、自分のバッグをつんくの手めがけて振り回した。
つんくの手からグロックが弾かれ、床を転がってゆく。
その隙に、スガは倒れた中居の手を引いて、物陰へと隠れた。
「中居くん!しっかりしろ!」
スガは、苦痛に喘ぐ中居に呼び掛けながら、バッグの中の武器を探す。
つんくは銃を拾い、再び攻撃して来る筈だ。
時間稼ぎで構わない。つんくを足止め出来る武器を……スガは祈った。
つんくは廊下の端まで転がった銃を拾い上げると、スガたちが隠れた物陰へと歩を進ませる。
33[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 14:49 ID:ynv7eyWL
そして銃撃が始まった。
控室の中で身構えているスガと、廊下の角から銃を打ち鳴らすつんく。
スガは銃撃の恐怖に震えながら、手にした武器を天井へと掲げた。

パンッ!パンッ!パンッ!

自分の物とは違う銃声に、つんくは素早く身を隠した。
5、6メートルほどの廊下の間を双方が対峙する。
つんくがスガの出方を警戒している一方、スガの心は更に不安を増していた。
どうにかつんくを牽制する事は出来たが、それとて一時的なもの。
どうすれば……どうすればいい?
スガの手中にあるパーティー用のクラッカーは、ほんの少しだけ、熱かった。
34[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 14:49 ID:ynv7eyWL
「つんくさん、どうして!?どうして中居くんを撃ったんだ!?人を殺したくないって言ったじゃないですか!」
スガはつんくに呼び掛ける。
時間稼ぎをしたいという思惑もあった。
だが、つんくの行動に、どうしても納得がいかなかった。
理由を聞きたかった。
「死にたくないから、やっただけだ。……宮本を殺したんだろ!?
 あいつを殺したお前達を、信用できるわけがないだろ!」
つんくは強い調子で言い返した。
誤解している。
「違う!宮本くんを撃ったのは俺達じゃない!それに、あの爆発も偶然……偶然だったんだよ。信じろ!」
だが、つんくはスガの弁明に耳を貸す事はしなかった。
「言い訳なんか聞きたくない。理由はそれで充分だろ……」
つんくが動き出した。
一歩ずつ、足音が近付いて来る。
35[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 14:52 ID:ynv7eyWL
スガは、急いで中居のバッグを探り始めた。
もうクラッカーでは誤魔化せない。
今度こそ、武器らしい物が入っていますように……スガは祈った。
だが、祈りは届かなかった。
スガが手にした武器――それは透明プラスチックで成型された水鉄砲だった。
勝負にならない。
段々とつんくの足音が近付くなか、スガは今度こそ死を覚悟した。
ここで中居と一緒に殺される。
嫌だ。嫌だけど……
スガは生き残る事を諦めかけてゆく。
しかしその時、意外な声が玄関に響き渡った。
「お前達!道場内での戦闘は止めろ!コノヤロウ!」
36[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 14:53 ID:ynv7eyWL
いつしか、玄関付近は井上陽水と兵士達によって包囲されていた。
「まったく、困った野郎どもだ……ここには大会本部が設置されている。
 これ以上戦闘を続けた場合、プログラムの進行を著しく妨害したものとして……」
そして猪木は、『あの』リモコンをポケットから取り出し、掲げる。
思わぬ水入りだった。
つんくは悔しそうに唇を噛む。
そしてスガは、ほっと胸を撫で下ろした。
とりあえず、差し迫っていた危機は回避出来た。
しかし、決してプログラムから解放されたわけではない。
撃たれた中居の状況も、予断を許さない。
――と、ここでスガは中居の異変に気付いた。
さっきまでの苦しそうな息遣いが聴こえない。
何事も無く、静かに眠っている様に見える。
いや、中居は寝息さえ立てていなかった。
「……中居くん?」
嫌な予感がした。
スガは慌てて中居の手を掴み、脈を測ろうとする。
……もう、中居の鼓動を感じることは出来なかった。
(うそ……嘘だろ?中居くん……)
37[1日目午前0時スタート直後:控室付近]:01/12/11 14:53 ID:ynv7eyWL
スガの胸に、悔しさと怒りがこみ上げてくる。
「こんな、こんなことって……法律だからって……こんなのおかしいぃ!理不尽だぁ!」
スガの嗚咽が玄関中に響き、やがて廊下や階段へと伝わって行く。
その声を聴きながら、つんくは荷物を抱え、出口へと歩き始めた。
そしてその途中、一人の男とすれ違う。
最後に出発した参加者、ポルノグラフィティーのアキヒトだ。
彼がちょうど階段を下りたその瞬間から、この銃撃戦は始まっていた。
そしてアキヒトはその一部始終を、身を隠しながら、じっと見ていた。
つんくがここでは攻撃しない(出来ない)事は判っていた。
だがそれでも、つんくが近付く度に、足が勝手に一歩、二歩と後ずさりを始めてしまう。
つんくはアキヒトとすれ違うと、ふと立ち止まり、振り返ってじっとアキヒトの顔を見た。
「フッまたな……」
つんくは寂しげな顔でそう呟くと、裏口へと駆け出して行く。
アキヒトは、ただじっとつんくを見送る事しか出来なかった。
哀しい泣き声が、いつまでも響いていた。
38[1日目午前1時:児童公園]:01/12/11 21:43 ID:niAIWz6r
「永ちゃん……俺、俺、……」
児童公園のベンチで、吉田拓郎は震えていた。
その震える手には、拳銃が握られている。

拓郎は出発した直後、武道館近くの茂みに身を隠していた。
立入禁止エリアになるギリギリの時間まで、矢沢の近くに居たかったのだ。
一人、また一人と、参加者が道場を出て行く。
この場に留まっていられる時間が、どんどん少なくなって行く。
拓郎は怖かった。
武道館より先の世界に出ることが、たまらなく怖かった。
(殺される。誰かに会ったら、殺される。だから守らなくちゃな。この銃で、自分を守らないと……)
支給された銃を握って、拓郎はこの言葉を何度も何度も繰り返す。
その時だった。
「あ、拓郎さんじゃないですか!どうしたんですか?」
拓郎は素早く反応する。
(見つかった!?)
拓郎は声のした方向へと向き直り、銃を構えると、引き金に力を込めた。
そこで初めて、声の主がエレカシの宮本浩次である事を知る。
しかし、宮本は拓郎に危害を加える素振りを見せなかった。
いつもの様に、むっつりしていた。
(――撃っちゃダメだ!)
拓郎は瞬時にそう思った。だが、引き金を引く指の動きは止まらなかった。
そして……
39[1日目午前1時:児童公園]:01/12/11 21:44 ID:niAIWz6r
拓郎は茂みから飛び出したあと、無我夢中で道路を走り回り、この公園へと辿り着いた。
だが、どんなに走り回って気持ちを紛らわせても、
宮本に発砲した時の映像が、頭の中で何度も何度もリフレインする。
「永ちゃん……俺、人を殺しちゃったよ……どうしよう……」
もはや拓郎は、俯くことしか出来なくなっていた。
と、その時――
誰かがやって来て、拓郎に声を掛けた。
「大丈夫!拓郎さん?」
40[1日目午前1時:児童公園]:01/12/11 21:56 ID:niAIWz6r
声を掛けたのは、ミスターチルドレン、桜井和寿だった。
「矢沢さんの事は、気の毒だったけど……まあ、元気、出しましょう」
桜井はそう言うと、拓郎の隣に腰を降ろした。
「桜井……」
拓郎は銃を構えなかった。構えられなかった。
宮本の二の舞いは避けたかったし、
優しく接してくれる人に、銃は向けられなかった。
拓郎はそっと、銃をバッグにしまい込んだ。
桜井はボサボサになっている頭をなでながら、拓郎に話し掛ける。
「ひとつ、聞いていいですか?拓郎さんも『真のミュージシャン』になれたらいいなって思っています?」
拓郎の答えは、一つしか無かった。
「そうだなぁ。。。やっぱり…出来ればそういうのになりたいな!」
拓郎は頬を赤らめる。
桜井は手を頭から外すと、今度は少し生え際が目立っている髭をいじりながら、つぶやいた。
「フッ!でも拓郎さんじゃいくら頑張っても自力でチャート一位にもなれないからね…」
(――え?)
意外な返答に拓郎は驚いた。
そして桜井は、拓郎と目を合わせる事無く、淡々と話し続ける。
「陽水さんが、民生さんと話しているのを、聞いたことがあります。
 ”拓郎ってほんとにどうしようもねいな”って、笑いながら話していましたよ」
あまりに痛烈な武藤の言葉に、拓郎は言葉を失った。
(うそ……桜井、何を言ってるんだ?嘘だろ!?)
41[1日目午前1時:児童公園]:01/12/11 21:57 ID:niAIWz6r
「拓郎さんは、ファンに”天才”って言って貰った事、ありますか?」
そう言うと、桜井は自分の膝をパンパン叩き出した。
「昔はいくらでも売れたんだ、俺、シングルで二百万枚でも軽く売ってた。
 音楽のクオリティーは以前にも増してるはずなのに世間は『昔の方が…』だなんてほざきやがる。
 でもやっぱり今でも俺の事”天才”って言ってくれるファンがいる……」
淡々と語る桜井の姿に、拓郎は絶望した。
慰めてくれると思っていたのに、どうして……
しかし、桜井の辛辣な言葉は止まらない。
「拓郎さん、あんたに期待しているファンなんていないんですよ。年だし!
 このプログラムに勝ち残る意味なんて、無いんですよ……」
決定的な一言だった。
「桜井……どうして、そんなひどいこと言うんだ!?」
拓郎は泣きながら訴えた。
だが、桜井はそれを軽く受け流す。
「事実だからですよ。」
桜井は拓郎の目をじっと見て、静かに微笑んだ。
口元が、すぅっ、と上にあがる。
「俺、決めたんですよ。俺のファンの為に生き残るって……」
その瞬間、拓郎は言い知れぬ恐怖感を覚えた。
体中の血の気が、一瞬にして引いて行くのを感じる。
「やめろぉおおおおおおおおーーーー!!」
吉田拓郎の絶叫が、夜の公園に響く。

ザシュッ!
42[1日目午前1時:児童公園]:01/12/11 21:57 ID:niAIWz6r
桜井が隠し持っていたサバイバルナイフが、拓郎の喉元を掻き切った。
血飛沫を上げながら、拓郎の体が地面へと崩れ落ちて行く。
桜井はナイフから滴り落ちる血を見つめながら、呟いた。
「拓郎さん、矢沢さんの所にいけたね…!」
43名盤さん:01/12/11 22:11 ID:niAIWz6r
age
44[1日目午前5時:町内]:01/12/11 22:13 ID:niAIWz6r
「シカオさん……ここで、別れよう……」
東の空が明るくなり始めた頃、ポルノのアキヒトが呟いた。
俯きながら力無く歩いていたスガシカオが、顔を上げる。

中居正弘が息を引き取った後、スガはその場を動こうとしなかった。
中居が死んだなんて、信じられなかった。
しかし、退去命令のタイムリミットは刻々と迫って来る。
アキヒトは、中居の傍を離れたがらないスガを何とか説き伏せ、道場外へと連れ出した。
無駄に死人が増えるのだけは、嫌だったから。
45[1日目午前5時:町内]:01/12/11 22:13 ID:niAIWz6r
「シカオさん……俺、分からないんです……」
アキヒトは目を伏せながら、話し始めた。
「シカオさんのこと、放っておけなくて、連れ出したけど……
 でも本当は、迷ってるんです。プログラムに乗るべきなのか、抵抗するべきなのか……」
アキヒトの唇が、微かに震えはじめる。
「勿論、人殺しなんてしたくない。でも、誰かに殺されるのも嫌だ……
 生き残る選択肢が一つしか無いのなら、それに乗るのも、仕方ないのかな、って……」
二人の周囲を、霧が覆いはじめた。
少し肌寒い空気の中、互いの目を見つめる二人。
沈黙の時間が、流れて行く。
「……スガシカオさんみたいな素晴らしい人が近くにいたら、俺、冷静に今を判断出来ないんです。
 答えを出せないまま、感情に流されるまま……あなたを殺してしまうかもしれない。だから……」
そしてアキヒトは、銃を構えた。
サイレンサーを装備したベレッタM1934コマーシャルが、スガの顔に向けられる。
「だから、ここで別れよう……俺の気が変わらないうちに、行ってください」
46[1日目午前5時:町内]:01/12/11 22:14 ID:niAIWz6r
「アキヒトくん……」
スガは動揺しつつも、アキヒトを諭そうと、言葉を続けようとした。
しかし次の瞬間、アキヒトの放った銃弾が、スガの頬の数センチ先をかすめて行く。
スガの髪が数本、空中に散った。
「お願いです、行ってくれ!俺は……中居くんの代わりには、なれないんだから……」
それを聞いて、スガは言葉を続けられなかった。
(そうだ。独りになるのが、怖かったんだ……)

スガの脳裏に、プログラム開始時からの記憶が蘇る。
プログラムが始まってから、ずっと傍には中居がいた。
そして中居の存在が消えた瞬間、独りになるのが不安で、何も出来ない自分がいた。
アキヒトに付いて行ったのも、タイムリミットが怖かったからじゃない
47[1日目午前5時:町内]:01/12/11 22:14 ID:niAIWz6r
無意識のうちにアキヒトに負担を掛けていた事に気付き、スガは自分の不甲斐無さを嘆いた。
「わかった……辛い思いをさせてしまって、ごめん……」
スガはそう言うと、スッ、と踵を返す。
「でも、出来るなら……」
アキヒトに背を向けながら、スガは語り掛けた。
「人は殺さないでくれ。そして……決して希望は捨てないでくれ。お願いだから……」
それはアキヒトに対してだけでなく、自分自身にも言い聞かせる為の言葉だった。
「……努力します」
アキヒトは消え入りそうな声で返事をする。
頭では解っていたが、それを実行出来る自信は、今の彼には無かった。
「それじゃ……元気でな」
その言葉を残し、スガは霧の中へと駆け出して行く。
そしてスガの姿が見えなくなると同時に、アキヒトはその場に座り込んだ。
「何やってるんだろう、俺……自分から立ち去れば、それで済んだのに……」
銃を持ったアキヒトの指先は、ずっと震えたままだった。
霧は益々、その深さを増して行った。
48soud:01/12/11 22:22 ID:I/46sEFe
ごめんもういいや。
49名無しのエリー:01/12/11 22:27 ID:XyLIRoXr
結局、桜井が大量殺人してシカオに殺されて終わりでいいじゃん。
50名無しのエリー:01/12/11 23:11 ID:7PFQ1YHi
ってか名前変えただけのコピペでしょ?
時折猪木とかカシンとか出てくるし。
51  :01/12/12 17:13 ID:FEAuud1C
SMAP代表が中居か…。
歌唱力は関係ないのね。
52[1日目午前6時前:公園]:01/12/13 13:39 ID:c0IHrm3a
朝霧の中、スポーツウェアに身を包み、平井堅は走っていた。
どんな非常時といえど、毎朝のジョギングを欠かす事は出来なかった。
いや、そうしなければ、落ち着かなかった。
誰かを殺すか、誰かに殺されるか……
嫌な選択肢しか残されていない現状を、忘れたかった。
平井は出来る限り、プログラムの事を忘れようと懸命だった。
しかし公園に入った時、平井は現実に引き戻される。
濃い霧の先に、誰かが立っている……
平井は走るのを止め、警戒しつつ、霧中の人物に声を掛けた。
「誰だ?そこに居るのは……返事をしろ!」
そして数秒後、聞き慣れた声で返事が帰って来る。
「いい朝だな・・・平井君!」
SOPHIAの松岡充の声だ。
53[1日目午前6時前:公園]:01/12/13 13:40 ID:c0IHrm3a
親しい知人の声に安心した平井は、警戒を解き、松岡に近付いて行く。
「無事だったんだ、松岡さん……怪我はしてないか?大丈夫?」
「まあな。一応、生き延びてる」
普段通りの明るい声で、松岡は答えた。
(良かった……元気そうだ)
平井は、心が許せる人と再会出来る喜びを噛み締めていた。
たった数時間しか離れていないのに、数週間振りに会うような感覚。
緊張していた心を、ようやく落ち着ける事が出来る……そう思っていた。
だが、松岡にあと2〜3メートルまで近付いたその時、平井は自分の目を疑った。
霧の中から現れた松岡は、平井に銃口を向けている。
「悪く思うなよ、平井」
そうつぶやく松岡の表情は、冷静だった。
「――どういうつもりだ!?松岡さん……」
平井は動揺を隠し切れない。
しかし、松岡はあくまで冷静に、言葉を続ける。
「動かないでくれ……弾が外れるから」
54[1日目午前6時前:公園]:01/12/13 13:41 ID:c0IHrm3a
「本気……なのか?」
平井は信じられなかった。
松岡が自分に銃を向けるなんて、嘘だ。こんなの嘘だ……
しかし、松岡は銃を下ろさない。
「ああ本気だ。友達だからこそ、俺はお前を撃つ……」
「どういう事だよ、それは――」
と、平井が言いかけた所で、何処からとも無く大音量で音楽が流れて来た。
井上陽水の『少年時代』だ。
そしてそれに続いて、井上陽水の声が聴こえて来る。
「元気ですかーー!朝6時になった。それではこれより、
 現在までに脱落した参加者の名前を発表しよう。よく聞いておくようにな」
それは、6時間毎に流される定例放送だった。
二人は動きを止めたまま、その放送に聞き入る。
「これまでに脱落したのは、GLAYのテル、エレカシの宮本。
 SMAPの中居正広。そして、吉田拓郎……以上4名だ。
 お前ら、頑張れ。また6時間後に会おう!ダーーーーー!」
『少年時代』が、フェードアウトしてゆく。
そして平井は、その放送内容に愕然とした。
「もう……もう4人も死んだっていうのか!?」
55[1日目午前6時前:公園]:01/12/13 13:41 ID:c0IHrm3a
「そうだな。もう殺し合いは避けられない。
 お前もいつ、誰に殺されるかわからない…。
 ……お前が他の誰かに無惨に殺されるのは、嫌なんだよ。
 だから、親友として、俺はお前を楽に死なせる義務がある……」
松岡の言葉に同意出来る筈はなかった。
しかし、銃口は自分に向けられている。
このまま死ぬのは嫌だ……平井はそう思った。
平井はフッ、と溜め息をつくと、挑戦的な目つきで松岡を見て、言った。
「……で、俺の都合はお構いなし、ってわけか?」
56[1日目午前6時前:公園]:01/12/13 13:42 ID:c0IHrm3a
「そりゃあSOPHIAの松岡充が殺してくれるなら、少しはドラマチックかもしれない。
 でもな……俺だって、死にたくないんだ。それに……」
平井はそう言うと、背中のバッグから日本刀を抜いた。
「どうせなら、正々堂々と勝負しようじゃないか。
 いきなり銃を構えて現れるなんて、ずるいぜ……」
平井の目に、迷いは無かった。
(ただ黙って殺されるくらいなら、俺は闘う事を選ぶ。
 たとえ相手が、松岡であろうとも……後悔はしない!)
松岡は、そんな平井の姿を見て、微笑んだ。
「……堅らしい答えだな。オーケー、じゃ、始めようか!」
平井は汗ばむ両手を気にしながら、刀を構え直す。
「やるからには、全力でいくからな……」
「もちろんだ。堅!行くぞ!・・・」

パンッ、パンッ、パンッ。
57[1日目午前6時前:公園]:01/12/13 13:42 ID:c0IHrm3a
銃声が、公園の鳩の群れを飛ばした。
桑田佳祐が、驚いて空を見上げる。
銃声は、断続的に鳴り響いていた。
「また、誰かが戦ってる……どうすればいいんだ?なあ、拓郎さん……」
桑田はそう呟きながら、吉田拓郎の遺体の血を拭っていた。
通りがかりに偶然見つけた拓郎の体を、そのまま放置しておく事が出来なかった。
地面からベンチへとその体を移し、丁寧に両手を組ませる。
首の傷口さえ見なければ、それは本当に眠っているようにも見えた。
桑田は、離れ離れになった親友の事を思う。
「松本……大丈夫かな?それに、桜井くんも……
 早く桜井くんと合流出来れば、良いんだけどな……」
拓郎殺しの張本人が桜井である事を、桑田は知る由もなかった。
58[1日目午前6時前:公園]:01/12/13 13:44 ID:c0IHrm3a
「やっぱり、無茶だったかな……」
木陰で、平井がつぶやいた。
戦闘開始の合図とともに、平井は並木道の方向へとダッシュした。
銃が相手では、日本刀といえど勝ち目は無い。
しかし、この濃霧を味方に付ければ、まだ勝算はある。
松岡の放つ銃弾を辛うじて避けながら、平井は街路樹の陰で機会を窺っていた。
霧の中から、松岡の影が近付いて来る。
こちらから打って出るには、弾切れの瞬間を待つしかない。
危険な賭けだ。
だが、それしか手段は思い浮かばない。
平井は意を決して、木陰から飛び出した。
「さあ、当ててみな!」
松岡が少しぼやけて見える位置で、平井は叫んだ。
多少距離があるとはいっても、充分射程距離内だ。
松岡は平井に向け、数発連射する。
しかし、霧で視界が悪いのに加え、平井はあっという間に別の木陰へと移動してしまう。
「堅!正々堂々と闘うんだろ?コソコソ隠れて鬼ごっこだなんて、お前らしくないぞ!」
少し不機嫌そうな口調で、松岡が呼び掛ける。
59[1日目午前6時前:公園]:01/12/13 13:45 ID:c0IHrm3a
しかし、平井は動じない。
「正面で一騎打ちをする事が、全てじゃないぜ。
 武器の性能差を考えた上で、ベストな戦法だと思うけどな……」
平井はそう言うと、松岡との距離を確認しつつ、もう一度、木陰から飛び出した。
(そろそろ弾が切れてもいい頃だ。チャンスは逃すな!)
自分にそう言い聞かせ、平井は数本先の並木へとダッシュする。
しかし、回避出来ると思っていた弾の一発が、平井の左肩を捉えた。
「くっ!!」
どうにか木陰には辿り着いたものの、かつて経験した事の無い痛みが、全身を襲う。
左手が流血で染まり、握力がみるみる落ちて行く。
平井は肩口をスポーツタオルでギュッと縛り、一応の止血を施した。
しかし、血は止まりそうに無い。
「そろそろ……勝負時かな……」
60[1日目午前6時前:公園]:01/12/13 13:45 ID:c0IHrm3a
松岡の足音が近付いて来る。
もはや、弾切れを待っている余裕など無い。
ほんの一瞬でいい。松岡の動きを封じる事さえ出来れば……平井は思考を巡らせる。
そして、平井は背中のバッグを下ろした。
陰からそっと顔を出し、つんくとの距離を見る。
(――届く!)
平井は心の中でそう叫ぶと、バッグを松岡の真正面へ向けて投げつけた。
松岡の目線に、突然、バッグが飛び込んで来る。
反射的に銃を構え、松岡はそのバッグに銃弾を撃ち込んでゆく。
空中でバッグが二度、三度と踊った。
そして、踊り疲れたバッグが引力に引かれ始めたその瞬間――
バッグが作った死角から、平井が一気に飛び込んで来る。
バッグに気を取られていた松岡は、予想外の進撃に反応出来ない。
平井は低位置から松岡の懐に入り込むと、刃を180度返し、
渾身の力を込めてそれを拳銃に叩き込んだ。
「とぉりゃあああああっ!!!」

ガキィィィン!!
61[1日目午前6時前:公園]:01/12/13 13:46 ID:c0IHrm3a
金属音と共に、松岡の拳銃が宙を舞い、繁みの中へと落ちて行く。
激痛に近い手の痺れに、松岡は思わず顔を歪めた。
(……銃を弾かれた……)
そんな自戒の言葉が、松岡の脳裏をかすめる。
だが、状況はそんな反省の時間も与えてはくれない。
平井は間髪を入れず、松岡に斬りかかって来る。
松岡は辛うじて、平井の斬撃を避け続けた。
しかし超速の刃は、松岡の頬や服を、何度も薄く切り裂いてゆく。
そして、路上の小石が松岡の足元をすくった。
(嘘だろ!?ここで、もう終わりなのか?……)
自分の体が宙を舞った瞬間、松岡は自分の周囲がスローモーションになってゆくのを感じた。
そして、尻餅をついて倒れた松岡の顔面に、鋭い切っ先が突き付けられる。
平井は、真剣な眼差しで呟いた。
「さあ、これで終わりだ」
62[1日目午前6時前:公園]:01/12/13 13:46 ID:c0IHrm3a
平井の勝ちは明白だった。
だが、平井はなかなかとどめを刺そうとしない。
「どうしたんだ……どうして殺さないんだ?」
松岡が尋ねる。
「どうしてかな……覚悟を決めた筈なのに、まだ、怖いのかもな……」
さっきまで冷徹だった平井の顔に、苦笑いが漏れる。
「……堅、ひとつ聞いていいか?」
「何だ?」
「あの時、どうして逆刃で銃を叩いたんだ?右手ごと切り落とした方が、簡単なのに……」
松岡は不満だった。
全力で闘うと言われながら、手を抜かれた……それが納得出来なかった。
「ああ、あれか……あくまでもSOPIAの松岡充の今後を考えたら、腕は切れないよ――」
松岡は、平井の言葉が理解出来ない。
(どうしてだ?もうすぐ死ぬ人間に、どうして今後の心配なんてするんだ、堅……)
「――だって、ギターが天国で出来なくなっちゃうだろ?だから……」

平井のその言葉が、松岡の胸を締め付ける。
「堅……お前は馬鹿だ。大馬鹿だよ……」
松岡の頬が、涙でぬれる。
「そんな……余計な心配しなければ……死なずにすんだのに!」
63[1日目午前6時前:公園]:01/12/13 13:47 ID:c0IHrm3a
松岡は左手で刀を払いのけると、右手でポケットから何かを取り出し、平井に押し当てた。
途端、平井の全身に凄まじい衝撃が走る。
刀が手から離れ、立っていられない程の脱力感が、全身を襲う。
「そうか、電気、か……」
意識が朦朧とする中、平井は松岡の右手に握られた武器を見た。
それはスタンガンだった。
松岡はもう一度、平井に電撃を仕掛ける。
64[1日目午前6時前:公園]:01/12/13 13:48 ID:c0IHrm3a
そして気付いた時、平井の眼前には、刀の切っ先と、それを構える松岡の姿があった。
「形勢逆転だな、堅……」
「ああ、そうみたいだな……」
平井は微笑んだ。そして次の瞬間、意外な言葉を口にした。
「なあ、松岡さん……このまま、とどめを刺してくれないか?」
松岡の手が、一瞬、震える。
「え?な、何言ってるんだよ。俺はそのつもりで、こうしているんじゃないか……今更、何を……」
「……そうだよな。殺し合い、だもんな」
「でも、どうしてだ……さっきは『俺だって、死にたくない』って言ってたくせに……」
松岡の問いに、平井は淡々と答える。
「……もうこれ以上、このキャラを続けたくないんだ」
「キャラ?」
「そう。俺は今まで『音楽界のテロリスト』とか『Jポップの核弾頭』とか、色々と言われ続けてきた。
 良い意味でも、悪い意味でも……露骨に嫌う人も、多かった。
 メディア上のキャラって言えば、それまでだけど……偏見に満ちた目で俺を見る人は、
 結構多かったんだ。 松岡さんは知っているよな……俺の本当の性格……
 もし万一、このプログラムで生き残ったとして……
 やっぱり、俺を『人殺し』って言う人は、他の歌手より多いと思う。そういうキャラだからね。
 ……これ以上、親に迷惑を掛けたくないんだ。だから……頼むよ」
65[1日目午前6時前:公園]:01/12/13 13:49 ID:c0IHrm3a
松岡は動揺していた。
平井を殺す事が、自分の役目だと信じていた。
そして平井本人も、それを希望している。
躊躇する理由など無い筈なのに、踏み出せない自分がそこに居る。
さっきは銃を撃つ事は出来たのに、どうして今は殺せないのか?……
「松岡さん……怖いんだね。きっとそれは、銃と刃物の違いだよ。
 銃は所詮、弾の反動しか手元に返ってこない。でも刃物は違う。
 相手の感触が直に伝わるから、命を奪う感覚が直に伝わるから……怖いんだ。それを解って欲しいんだ。
 唯一、俺にやさしく接してくれた松岡さんに生き残ってもらいたい、だから……」
平井はそう言うと、刀の切っ先を自分の喉元に当てた。
松岡は俯き、大粒の涙をこぼす。
「……じゃあな、堅……」
そして松岡は、刀を握る手に力を込めた。
さっきには感じなかった嫌な感覚が、掌に伝わって来る。
路上に拡がる血溜まりを見ながら、松岡は泣き崩れた。
66名無し:01/12/13 14:49 ID:44U7SdOf
>>60

>陰からそっと顔を出し、つんくとの距離を見る。
・・・つんく?
67名無しのエリー:01/12/13 22:19 ID:pRPD7H/F
応援してます
荒らされないようにsage
68名無しさん:01/12/13 23:55 ID:f+iLbs0H
ファンです
このまま消えてしまわぬようにage
69:01/12/14 10:37 ID:pQxAuFcX
すんません、もともとプロレス板からのパクリなんで。
>>66
途中で人物変えたからそこらへんのミスは見逃してくんさい。
70[1日目午前6時過ぎ:駅]:01/12/14 10:59 ID:pQxAuFcX
「なあ、テルさん……テルさんの仇を討つには、どうすればいいんだ?」
駅の待合室でバッグの中身を確認しながら、hydeが呟く。
あの惨劇から数時間……hydeは当ても無く市内を彷徨っていた。
「絶対に許さないぞ!」と啖呵を切って出発したものの、何をしたら良いのかが全く分からない。
ただ、確実に言えるのは『途中で死んだらダメ』という事だけ。
既に此処へ来るまでに、何人もの死体を見てきた。
(あいつらの様には、なりたくない。途中で死んでしまったら、テルさんの仇が討てない。
 絶対に……絶対に生き残って、井上陽水をこの手で殺すんだ――)
例えようの無い強力な復讐心が、hydeを動かしていた。
hydeはパンやミネラルウォーターといった食料を確認すると、バッグから武器を取り出した。
『当たり』と言っても良いだろう。小型のマシンガン、マイクロウージー9ミリだ。
「ラッキーだ。これなら何とか生き残れそうだな」
hydeの顔に、安堵の笑みが漏れた。
添付されている簡単な説明書を見ながら、hydeは操作手順を確認する。
そして、弾倉を差し込もうとしたその時――
形状が違う。
何度差し込もうとしても、はめ込みが上手くいかない。
hydeは慌てて予備の弾倉を取り出し、同様に差し込んでみる。
しかし、どれもマイクロウージーには一致しない。
「そんな……まさか、配給ミス!俺じゃ駄目なのか!?」
71[1日目午前6時過ぎ:駅]:01/12/14 11:00 ID:pQxAuFcX
さっきまでの安堵感が一瞬にして消え、hydeの心に焦りと不安が忍び寄る。
――その時、hydeは弾倉の一つに挟み込まれた紙を見つけた。
何かが書かれている。
hydeはその紙を取り、開いて読み始める。
その文面は、hydeを絶望の淵に叩き込むものだった。

☆とっかえだまシステム☆
このマシンガンの弾は、他の誰かが持っています。
そして、その誰かが持っている銃には、この弾が使われます。
その人を探し出して、弾を交換しましょうね。

「……ふざけんなよっ!!」
hydeは弾倉を床に投げつけた。
無用の長物となった弾倉は、くるくると回りながら、床の上を転がって行った。
72[1日目午前6時過ぎ:武道館]:01/12/14 11:02 ID:pQxAuFcX
一度目の放送直後、陽水の周りは非常な喧騒に包まれていた。
それは放送の一時間ほど前、陽水からの提案によるものだった。
「ヨシッ!参加者リストにない奴らを追加させよう!!」
「!?…今からですか?」
ずっと陽水の傍に侍っている奥田民生が聞き返した。
「あぁ。装備はすぐ用意出来るだろう?発信機は…そうだ、旧式の首輪あったろ?
 あれならすぐ付けられる。うん、我ながら名案だ!ハッハッハッハッハッ…」
この提案は国家プログラム実行委員会が提出した参加者メンバーを大きく逸脱させる。
しかし陽水には相当の無茶でも強引に実行出来るほどの権力が与えられていた。
「さっさと居場所の分かるヤツから適当に連れて来い!!」
「分かりました。では放送でその事をお伝えに?」
民生はわずかな動揺も見せず答えた。
「いや、少しこのまま知らせずにやってみよう。アイツらの驚く顔を考えてみろ!?めちゃくちゃ楽しみじゃないか!!」
いつもながらのこの陽水の自信に溢れた横暴は、民生を身震いさせた。
決して恐怖心などではない。最高の悦楽のためだ。
自称『世界一の井上陽水ファン』奥田民生は嬉しくて堪らないのだ。
(死ぬまで井上陽水の人生を間近で見続けられるオレは、なんて幸せなんだろう!!)
民生の顔からは抑えようも無い笑みがこぼれていた。
73名無しのエリー:01/12/14 11:10 ID:i28R+JFQ
うわ、気になる!
74名無しの歌が聞こえてくるよ♪:01/12/14 23:20 ID:44RX9Clu
盛り上がってきましたねー。
期待してますage。
75[1日目午後2時頃:住宅街]:01/12/14 23:38 ID:YyiTufSY
氷川きよしは走っていた。
この男はさっきまで隠れていた公園で平井堅と松岡充のやりとりを息を潜めて見ていた。
それまで氷川はまさかこんな馬鹿げたゲームに本当に乗っているミュージャンなんていない。いるはずがない。
そう思っていた。いや、・・・・そう思いたかった。
しかし、松岡充は平井堅の身体を撃ち抜いたと同時にこの男のこんな思いを一瞬にして撃ち砕いた・・・。
その瞬間、氷川の身体に衝撃が走った。
76[1日目午後2時頃:住宅街]:01/12/14 23:38 ID:YyiTufSY
「どれだけ自分がこのゲームを拒んでも、他の人間はやる気になっている!!少なくとも松岡充…この男は…。」
そう思った瞬間、次に頭に浮かんできたのは「ここにいてはいけない!!」ということだった。
「さっきまでの平井と松岡の闘いで他の「やる気」になっている人間が集まってくるかもしれない。
 そうでなくとも今、この松岡という男に見つかってしまえばおそらく自分も……。」
氷川はそっと立ち上がり紅く染まった平井の背中の方に向かって手を合わせた。
…たった今殺された人間を拝んだのは初めての瞬間だった…。
77[1日目午後2時頃:住宅街]:01/12/14 23:38 ID:YyiTufSY
短い合掌のあと、氷川は松岡がいる逆の方向、南出口へ向かって必死に走り出した。
その姿を松岡に見られたかどうかなどもう気にしていられない。
一刻も早く自分の隠れ家を見つけなければ、氷川はそう思っていた。
……「なんで、オレがこんな目に!!」「演歌歌手の、自分が!!」
走り出すと、今まで抑えていた怒りが一気に噴き出した。
特に、昨今のブレイクはこの業界に入ってやっと掴んだチャンスだったのだ。
78[1日目午後2時頃:住宅街]:01/12/14 23:39 ID:YyiTufSY
歌番組の打ち合わせ最中に陽水が部屋に入ってきて、突然、自分に何かを嗅がせたところまでは確実に意識はあった。
問題は…そこからだった。
「ゆっくり運べ!!この野郎!!」遠のく意識の中で陽水の声が聞こえてきた。
「この人は演歌歌手だから参加させなくてもいいんじゃないでしょうか?」奥田民生の声だ。
「ん?…まあ、捨て駒みたいなモンだな!!なんかの役に立ってくれたら儲けモンってなもんだ!!ダハハハハハ!!」
そう氷川は思い出した。自分がいつ意識がなくなったのか、Jポップではない自分が参加させられた理由も。
もともと氷川は自分のもつ便利屋のイメージのコンプレックスを抱いていた。
しかし、今回はそんな自分を嘲笑うかのように本当に必要とされていない、
おまけ程度の理由で参加させられてしまっている…。
そう思った瞬間、氷川は考えた。
「……井上陽水を殺そう……。」
79[1日目午後2時頃:住宅街]:01/12/14 23:39 ID:YyiTufSY
目標は決まった。
絶対に自分のこの手であの男に止めを刺そう。そのためには武器が必要だ。
氷川のディパックには武器として数珠が入っていた。
そんな自分を馬鹿にしたような偶然も氷川に怒りを増幅させる原因の一つになっていた。
そして、隠れ家を早く探しさなければ!!そう思った氷川の目の前に一軒のコンビ二が見えてきた。
「…ここを拠点にしよう…。食料にも当分困らないだろう…。」
流石に自動ドアは既に動いていなかったが、無理矢理こじ開ければ入ることができた。

店内はシーンと静まっていた。「どうやらこのゲームは本当のようだ……。」静けさが氷川に事実を教えた。
「少し落ち着くためにコーヒーでも飲むか…。」
そう思い、奥にあったインスタントのコーヒーを手にとろうとした瞬間、レジカウンターから一つの声が放たれた。
「いらっしゃいませ。」
驚いた氷川が振り向いたその先には………「あの」松岡充が銃を構えて立っていた…。

松岡充は見ていた。自分がいる逆の方向の出口を必死に走り出て行く氷川きよしの姿を。
しかし、松岡は追いかけなかった。いや、追いかける必要はなかったのだ。
氷川が走っていく方向には1軒のコンビニしかないことも。そして、氷川が自分以上に追い詰められていることも。
氷川があのコンビニに隠れることは容易に想像できた。
80[1日目午後2時頃:住宅街]:01/12/14 23:40 ID:YyiTufSY
「!!!」
氷川は瞬時に自分の置かれている状況を整理した。
すると、あの平井の姿が浮かんできた。氷川がこのプログラムが始まってから初めて感じた「死への恐怖」だった。
平井を殺した張本人である松岡充が目の前にいる。こっちに銃を構えている。…自分を殺そうとしている!!
「……!!!!!!」
氷川は手当たり次第の物を投げた。
昔から物を投げるような粗末なことはしなかったがこの時だけはそんなことは考えなかった。
缶コーヒーやコーラのボトルが松岡に向かって次々と飛んでいく。
しかし、こんなことはただの時間を稼ぐ方法の一つにしかならない。
「何か…!!武器になりそうな物は!!」
……あるはずがない。ここはコンビ二なのだから。
その瞬間、「パン」という冷たい音が店内に響いたと同時に氷川の足に表しようのない痛みが走った。
松岡が痺れを切らし、とうとう銃を撃ってきたのである。
松岡は、一呼吸置いて、氷川を見下すような目で、こう言った…。
「あんまり手ぇ、焼かせないでくださいよ…。」
81[1日目午後2時頃:住宅街]:01/12/14 23:40 ID:YyiTufSY
「何故、ここまでこのゲームに乗ることができるのか?」
氷川には理解できなかった。ここで理解できるていることは、殺らなければ殺られるということだけだった。
しかし、このゲームの主催者である井上陽水を殺す決意はあったが、
他の参加者を殺す決意はしていなかった。というより、できていなかった。
それに何といっても、この男は、「あの」松岡充である。説き伏せるなどということは不可能である。
方法は全て無くなった。
「ここまでか……。」
氷川が死を覚悟した、その瞬間、松岡でも、ましてや自分の声でもない、第三者の声が店内に響いた。
「あ〜、アチいなあ。」
その声の持ち主である桜井和寿が入り口に立っていた。松岡と同じように銃を構えて。
82[1日目午後2時頃:住宅街]:01/12/14 23:41 ID:YyiTufSY
「そりゃあ、フェアじゃねえよ。松岡君。」
桜井和寿が松岡に向かってこう言った。
「まいったな。桜井さんが来ちゃうとはなあ。」
一瞬にして、その場の雰囲気が変わった。変わったというより、桜井が変えてしまった。
こんな状況の雰囲気さえも変えてしまうのも桜井のスター性が成せる技なのだろう。
松岡と氷川の置かれている立場が変わった。
自分が何も武器を持っていないとはいえ、松岡もわざわざ無駄死をしたくはないだろう。
桜井が言った。
「行けよ、松岡。ここにいる誰一人死ぬのはイヤなんだよ。早く!!」
どうやら桜井も人は殺したくないように氷川には見えた。
「……、助かりましたね。氷川さん。」
松岡はそう言い残して、こちらに銃を向けながらこの場所を後にした。
83[1日目午後2時頃:住宅街]:01/12/14 23:41 ID:YyiTufSY
「いや、助かりました。桜井さん。」
氷川が命の恩人である桜井に話し掛けた。
「やっぱりやる気になってる人がいるんですね……。
 こんな、こんな馬鹿げたゲーム開いた陽水さん…許せませんよ!!俺、あの人を殺し…」
氷川は今までに自分の中に溜め込んだ陽水に対する怒りを桜井にぶつけるかのように話そうとした、その瞬間、
「!!!」
氷川は喉に火がついたような熱を感じた。
「わりいな。氷川君。オレ、ファンの為に生きなきゃいけないから。」
桜井は引き金を引いていた。氷川の喉に向かって、吉田拓郎から奪ったであろうと思われる銃で。
「何…で…。」
氷川が倒れこみながら、小さな声で桜井に問い掛けた。氷川が放った最期の言葉だった。
「う〜ん、お前の演歌、俺は好きだったよ。あっちに行ったら拓郎さんとデゥエットやってくれよな。」
事切れた氷川に桜井がこう囁き、そこからゆっくりと立ち去った。
84名無し:01/12/15 13:36 ID:OUBEqBiz
(・∀・)イイ
85名無しのエリー:01/12/15 23:12 ID:iVk2W0B6
あげ
86:01/12/15 23:43 ID:Pi2NmTYY
>>75-83
名前欄修正
×[1日目午後2時頃:住宅街]
○[1日目午前6時半:コンビニエンスストア]
87:01/12/15 23:46 ID:Pi2NmTYY
浜崎あゆみは今、ある女と行動を共にしている。宇多田ヒカルだ。
この組み合わせはアルバム対決で激しく対立した
過去の出来事を考えると少し意外かも知れない。
しかしそれ以後、会話などが繰り返される内に、二人の関係はそれ以前より遥かに近くなっていた。
そして今宇多田は浜崎にとって、こういう状況でも信頼するに足る人物となっていたのである。
そこで浜崎は武道館で傍にいた宇多田に合流地点を伝え、
とりあえず宇多田の提案により外部との通信手段を手分けして探すことになった。
しかし、浜崎は心配だった。宇多田の事が。
理由はまず宇多田の武器、これがよく分からないスイッチだった。爆弾かとも思ったが あまりに小さい。
小さいマッチ箱にボタンが付いたようなあまりに適当な代物で、しかも何の説明書も無かったらしい。
使い道すらわからない怪しい物だった。
そしてもっと心配だったのが宇多田の様子だった。武道館にいた頃からどうにもおかしい。
矢沢の死体を見た後も妙に無表情で、外で合流した後も何とも言えない違和感が絶えなかった。
浜崎はショックが大きすぎた所為だと思い手分けすることに反対したが、
いつもと変わらぬ宇多田の説得力のある理屈に、渋々ながらも了承したのだった。
(とりあえず今出来ることに集中しよう。)
雑念を振り切り、浜崎は袖のデリンジャーを確認してから通信手段を探した。
88[1日目午後2時頃:ビジネス街]:01/12/15 23:47 ID:Pi2NmTYY
宇多田はこのゲームに巻き込まれてからの自分の異変に気付いていた。
矢沢の死体を見た時、宇多田はただ驚いただけだった。その驚きも死体を見たからではなく、
ただ何の感情も湧かない自分に驚いただけのものだった。
そう異変とはある種の感情が欠けている事。
悲しみ、恐怖、哀れみ、そんな感情が宇多田からはすっぽりと抜け落ちていた。
原因はおそらく頭に埋め込まれた発信機だろう。
たまたま宇多田の発信機にだけ問題があったのか、
それとも他の参加者と違い、以前脳内出血と言う事故を味わったからなのかは分からないが、
発信機が宇多田の脳に作用したのは明白だった。
そして欠けた感情を補うように残りの感情が膨れ上がった。歓喜。
矢沢の亡骸を思い出すたびにぞくぞくする確かな悦楽が宇多田を包む。
そしてその暗く醜い快感を押し止める感情はもう無かった。
宇多田は堪らなかった。
元来の旺盛な知的好奇心がとりあえず人体を壊すことに向けられた。
もっともらしい理由を付け浜崎と一時的に別れたのも銃を持たない獲物を探す為だった。
そんな時、最早静かなケダモノとなった宇多田の目が獲物を捉える。
金属バットを構えた矢井田瞳だった。
89[1日目午後2時頃:ビジネス街]:01/12/15 23:48 ID:Pi2NmTYY
矢井田は同行者のaikoと落ち合う場所だけを決め、別行動をとっていた。
どこかにいるであろうゲームに乗る意思のない者達を見つけ
仲間に入るために、二手に分かれてしまったのである。
勇敢な事ではあったが、その勇敢さはどちらにとってもプラスに働きそうには無かった。
そして用心深く辺りを見回した時、宇多田を見つけてしまった。

先に矢井田に気付いていた宇多田は辺りを気に(するフリを)しながら無防備に近づく。
一見、気が逸っているとは言え思慮の足りない行為に見えた。だが勿論計算があっての事である。
すこし訝しげにバットを構えた矢井田に、両手を挙げながら困惑気味な顔を作って話し掛ける。
「おいおいカンベンしてよ、ヤイコさん。やっと人に逢えたってのに。」
宇多田は(前の)自分が多くの人間に信用されているのを知っている。
あとはそれを最大限に利用すれば良いのだ。
そう思いながらポケットに入っている『切り札』の存在を確認した。
「私はやらないって!ヤイコさんだって知ってるっしょ!?」
宇多田が少し懇願するような表情を見せれば矢井田はあっさりバットを下ろした。
「信用してくれてありがとね。」
宇多田はにっこり笑った。あまりに予定通りだったから。
90[1日目午後2時頃:ビジネス街]:01/12/15 23:48 ID:Pi2NmTYY
矢井田から事情を聞いていたが話に興味は無かった。早く壊してみたかった。
「!…あれ?ヤイコさん、あれ何?」
言葉を聞いて振り向いた矢井田の金属バットを素早く奪い取り後頭部にそれをブチ当てた。
倒れかかった矢井田にさらに三、四発お見舞いすると、糸の切れた操り人形のように崩れ落ちた。
「ふ〜ん、こんな感じか…なるほどねぇ。」
どうもいまいちお気に召さなかったようだ。宇多田は金属バットのへこんだ部分を見ながら呟いた。
(次は持つ方で殴ってみるか。感覚は違うだろうしな。)
そう思いながらバットを眺めていた時、背後に視線を感じた。
宇多田は片手をポケットに突っ込みながら振り向いた。そこには浜崎が立っていた。

浜崎は困惑していた。
(ヒッキー?何をしてるの?なんで人が死んでるの?あんたの目の前で?)
考えのまとまらない内に浜崎は宇多田に銃口を向けていた。
(殺したくない…) 銃口の先は震えていた。
冷静に浜崎の心情を読み取った宇多田は、後藤に投げかけた。
「まさか私を殺すの?」
電気に打たれたように浜崎の身体に衝撃が走った。体中から力が抜ける。
構えた銃すら落としてしまいそうになった。
そして沈黙が続く。銃が重い。小さなデリンジャーが今まで持ち上げたどんな物よりも重たかった。
沈黙、銃の重さ、宇多田の言葉、そして宇多田の視線に耐えられなくなった時、浜崎は逃げ出していた。
91[1日目午後2時頃:ビジネス街]:01/12/15 23:49 ID:Pi2NmTYY
しかし少し走り出したところでなんとか浜崎は踏み止まった。
(ダメなんだ、せめてここでヒッキーを止めないと!それがあゆの責任なんだ。)
向き直り再び銃を構えた。震える腕を押さえつけて。
「ヒッキイ――――っ!!!」
自分の身体に渇を入れるように大声をあげ、引き金を絞る。
次の瞬間、辺りに破裂音が響いた。

浜崎の前頭部が弾けた音だった。
そのまま浜崎の身体は後ろに倒れ、デリンジャーは数メートル後ろに投げ出された。
宇多田がそれを回収しようとした時、交差点の影から人が現れ銃を拾い上げる。
その男は宇多田の方を見ることなく全速力で逃げ出していった。浜崎を殺した武器を恐れたのだろう。
男は河村隆一だった。
宇多田は舌打ちこそしたが、殆ど悔しがる事も無く
ポケットからスイッチと紙切れを取り出すと適当に捨てて街に消えていった。
紙にはこう書かれていた。

[爆破スイッチ使用方法]
えーこれは諸君の頭に埋め込まれた発信機を爆発させるスイッチである。
スイッチを押すと、装置から2番目に近い発信機を自爆させることが出来る便利なシロモノだ。
つまり自分から少し離れた相手などに使うのが望ましい。
ちなみに使用回数は一回なのでよく考えて使うことをオススメする。
92名無しのエリー:01/12/16 00:06 ID:ZIVnoHgL
ぉもしろい
93.:01/12/16 14:18 ID:c/5nW3fs
なんで桜井は松岡殺さなかったの?
94名無しのエリー:01/12/16 15:08 ID:0gSaXJKw
>>93
松岡も銃持ってたし簡単に倒せる相手じゃないと思ったっつう解釈をしとる
95[1日目午後4時半:パチンコ屋]:01/12/16 15:11 ID:0gSaXJKw
aikoは行きつけのパチンコ屋のカウンターの隅で震えていた。
いつもは客を煽る店員の店内放送の声や玉の音、数十台のパチンコ台から流れる電子音で騒々しい店内は
台の液晶画面も消え真っ暗で、ただただ無音のだだっぴろい空間だった。
そこにaikoの歯がカチカチと震え合わさる音だけが小さく響く。
「みんなどうしてんやろ…もう何人か死んでるやなんて…うぅ…う…」
aikoは泣き顔で口をへの字にして必死に涙を堪えていた。
96[1日目午後4時半:パチンコ屋]:01/12/16 15:12 ID:0gSaXJKw
…私は小さい時からミュージャンになりたかったんや。
今でも覚えている…中学生の時、ホテルのロビーで井上陽水さんを待っていたら、
たまたま陽水さんがエレベーターから降りてきた。
私は警備員の制止も振り切って陽水さんの元へ駆け寄って、言った。
「ワタシ絶対、音楽業界に入ります!」
憧れの陽水さんを前に、私の心臓ははちきれそうやった。
そう言う私に陽水さんは「おぉそうか、待ってるから早く来いよ!」そう言った。
…あの時は本当に嬉しかった!
あの出来事が私の熱い気持ちを後押ししてくれたからこそ私はミュージャンになれた。
いわば陽水さんが私をミュージャンにしてくれたようにも思える。
…なのに今、陽水さんに私のミュージャン人生を狂わされている。
すべては「陽水の掌の上」ということやろか?
私の努力も、過去も、未来も、人生すべても…!
悔しい。やるせへん。

憎い。憎い。しかしaikoの怒りは悲しみと絶望感で萎えていた。
ただ両の拳を握り、「ぁあ…うぅぅ…」と声にならない声で咽ぶだけだった。
97[1日目午後4時半:パチンコ屋]:01/12/16 15:12 ID:0gSaXJKw
「…アイコー?」
突然入り口付近から聞こえてきた声にaikoはカウンターの中で身を固くした。
「…アイコー?…いないのか?」
(この声は!)
聞き覚えのある声に、aikoはカウンターから飛び上がるように身を出した。
「太一くん!!!」
aikoを呼ぶ声の主はaikoの恋人でもある、TOKIOの国分太一だった。
国分は「aikoのことだから、ここだと思ったよ!」と言いながら笑顔でカウンターまで駆け寄ってきた。
この店はよく二人で打ちに来ている行きつけの店だ。
「なんで、あんたここにいるねんよぉ?」
そう言いながらaikoの顔は意外な人物の登場に安堵感でくしゃくしゃだった。
「aikoがさ、腹減ってるといけないと思って、食べ物とかいろいろ持ってきた!」
そう言って背負っていたかばんを降ろし、中から次々と食料を出し、並べた。
aikoはわかっていた。国分は私を励まそうと思ってここまで来てくれたことを。
その恋人の優しさに感動してaikoは打ち震えた。
だが…aikoは恐ろしい事に気付いた。
98[1日目午後4時半:パチンコ屋]:01/12/16 15:13 ID:0gSaXJKw
…ちょっと待ちーな!
たしか太一くんはこのゲームには参加しておらず、この指定エリア内に立ち入ることを禁じられているはず!
無関係者がこのエリアに立ち入ったことが発見された場合、即射殺されるというルール…

「太一くん!!あんた、ここに居ちゃあかんやんか!」
「はは…!大丈夫だよ!ここに来るまで誰にも見つからなかったし」
「そういう問題やないやろ!?早く帰ってや!私はあんたまで巻添えにしたくないんや!」
さっきまで恋人に会えたこと、何よりその優しさに綻んでいた顔が強ばった。
「ダメや!帰れっちゅうに!太一くんの優しさは嬉しいて!そやけど、私はあんたが危険に晒されるのは嫌なんや!」
「aiko、お前、一人で耐えれるのか?口では強がったことばっかいつも言うけど、
 お前が誰より寂しがりで、誰より音楽を愛してるお前がこの状況に耐えれるのか!?」
aikoはあまりの図星に一瞬言葉を失った。が、しかし、これ以上大事な人間を失いたくはない。
「だめや!帰れ!帰れ!帰れ!帰ってくれやっ!」
aikoはこの優しさに甘えたい気持ちを吹っ飛ばすかのように首を横にぶんぶんと振り、かばんを国分の胸元に投げつけた。
「私は…もうこれ以上誰も私のそばからいなくなってほしくないねん…だから…」
そこまで言ってaikoはカウンターの下へ泣き崩れた。
「aiko。俺も一緒だ。俺もみんなが争うのは嫌なんだ。
 だから俺も一緒に解決策をとるための協力をしたいんだ。それに今さら帰ろうにも帰れないだろ?」
aikoはカウンターの下にうずくまったまま肩を震わせていた。
愛情は今、ここにある。私の音楽を愛する熱い気持ちはハートにある。
私はこんなところで立ち止まってるワケにはいかないんや!
私はまた熱いヤツと、熱い音楽をしたいんや!
そや!私は熱いやつらを集めてこの汚れたシステムを叩き潰さなきゃいけないんや!!
99[1日目午後4時半:パチンコ屋]:01/12/16 15:14 ID:0gSaXJKw
「ありがとう!!太一く……!!!」
『パンッ!パンッ!パンッ!』

…aikoがうずくまった姿勢から立ち上がろうとした瞬間だった。
その『パンッ』という音と共に、国分がゆっくりと倒れてきた。
カウンターから少し覗いたaikoの顔の前に、目を見開いた国分の顔が、ごちん、という音を立てカウンターに落ちてきた。
目が合っていた。実際には目が合ってるのかはわからないが、
目の前、ほんの10cm先ほどに恋人の最期の顔があり、何かを言いたげな表情で固まっていた。
100[1日目午後4時半:パチンコ屋]:01/12/16 15:14 ID:0gSaXJKw
「ぁあ…う…ぁぁ…」
aikoの顔がみるみる恐怖と悲しみと怒りでくしゃくしゃになってゆく。
眉を八の字にし、細めた目から大粒の涙が止めどなく溢れ、歪んだ唇からよだれが垂れる。
もう、aikoには今の状況も何もかもわからなくなっていた。
頭が真っ白で、恋人を目の前でなくしたショックに頭が混乱した。
「ぁああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!」
絶叫と共に立ち上がり、手当りしだいのものを、涙で前が見えないが国分を撃ったヤツがいる方向に思いっきり投げまくった。
まるで子供がだだをこねるような動作だったけれど…
aikoの投げた物の中に塩酸ビンが混じっていた。最初に支給されたものだった。
力任せに投げられたビンは銃を構えたアーミー服の男の顔面に命中した。

「ギャァ〜〜〜〜!!!」

…その悶絶する声にaikoはハッと我に返った。
兵士は顔面を手で覆い、のたうち回り、しゅう、しゅう…という音と異臭があたりに立ちこめる。
兵士の手のすき間から硝子の破片や溶けてただれ落ちる皮膚が見える。
101[1日目午後4時半:パチンコ屋]:01/12/16 15:16 ID:0gSaXJKw
「ゎ、ゎ…私がやったんかぁぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!???」
aikoは地団太を踏みながら自分のとった行動にショックを受けていた。
恋人を殺った奴に復讐した気持ちと、命ある一人の人間を傷つけてしまったショック感。
しかも兵士は見るも無残に皮膚がただれ落ち、のたうち回っていて、思わず目を背ける。
視線を落とした先に崩れ落ちた恋人の顔があった。
動かない恋人は、相変わらず何か言いたげな表情のままだ。
aikoは嗚咽を漏らし、カウンターの中に腰が抜けたようにしゃがみこんで泣き続けた。
102[1日目午後4時半:パチンコ屋]:01/12/16 15:16 ID:0gSaXJKw
…aikoが泣き終えて気分を落ち着かせるまでにかなりの時間を要した。
外はもう夕暮れで、赤い日差しがパチンコ屋の入り口から長く伸びている。
aikoがカウンターの中からゆっくり立ち上がり、動かない恋人に語り始めた。

「太一くん… 私たちで理不尽な奴らを晒し者にしたろ!
 私たちがすべてを正しくしたろ!私はぁ!私の職業は夢を売る天職なんやっ!」

赤い夕日がまるでスポットライトのように、顔を上げて拳を握ったaikoを照らしだしていた…
103名無し:01/12/16 15:31 ID:HvHO4t53
だいたい何人くらい参加してんの?
104名無し:01/12/16 15:47 ID:BqdLM+iv
おもろい☆
105色物 ◆H10GgaWo :01/12/16 15:54 ID:D0tBi3yV
aikoは殺さんといてくれ。たのむ。
106.:01/12/16 17:57 ID:c/5nW3fs
iine
107名無し:01/12/16 18:07 ID:1qyyi3DW
ミュージシャンは、薬物に関して危機意識が低いので
ぜひともジャンキー・薬物中毒者を出して欲しいな〜。
108名無しさん:01/12/16 18:08 ID:szFaHNw6
109 :01/12/16 18:37 ID:anpClzG1
Cocco出して。おもしろくなりそう。
110  :01/12/16 19:07 ID:p6bvzEar
バトロワに清春は欠かせないっしょ?
111名無しのエリちゃん:01/12/16 19:34 ID:9N2d9pqb
お願いだから、hydeを殺さんで下さい。
テルの仇、とって下さい。

・・・清春とhydeの対決みたい・・・
112 :01/12/16 19:34 ID:p3NFRyv/


      ,.-‐'" ̄ ̄ ̄ ̄"'‐-、
     .i´  ,.―――――――`、
     |  i´ ⊂ニつ  ⊂ニ⊃(
    .|  |   ――   ―― ヽ
    r⌒ヽ             i      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ヽ__ノ、         0  ノ     < やれやれ…このスレも例によって、
 ⊂|\/⌒  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄´⌒ヽ/|⊃  |   DAT落ちですなぁ
   \/~|            |~\/    \__________________
       |________|
       |____|ノ___|
         |_|    |_|
        <~_)   .(_~>
113Lucyさん:01/12/16 21:43 ID:jD9Dpfmx
つーか、一人で書いてんのか、これ(w

関連リンク。
読売巨人軍バトルロワイヤル
http://www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/5499/ygbr-contents.html
114名無し:01/12/16 22:22 ID:+P5rP82e
なんか密かに感動してまうね。
映画化したらおもろいのにー
115名無しのエリー:01/12/16 22:39 ID:3pWCBjX/
イエモン吉井も出して。
116名無し:01/12/16 22:45 ID:Qigf6Lc4
生徒名簿見たいです。
117名無しさん:01/12/16 22:48 ID:q+zRXppV
↑禿同
118117:01/12/16 23:15 ID:q+zRXppV
間違えた
115に胴衣
119nanasi:01/12/16 23:31 ID:NKw2rp1K
個人的に平井堅が好きなので何気なく読んでみたが結構面白かったのでage。
続き期待してます。
120名無し:01/12/16 23:42 ID:q6NFtPCw
TMR西川を出してくれ。
やつは知り合いが多いから、どう絡むのかが見てみたい。
121名無し:01/12/17 12:29 ID:yyg7MiLc
けっこうおもしろいage
122:01/12/17 12:39 ID:Cf2vRcDv
>>All
正直、出演者は途中から増える可能性大だから名簿はカンベンシテ
人数は30〜40人だと思います。

一人で書いてるかと?うむ。。。一人は一人ですけど『書いてる』というよりは『貼ってる』みたいな。。。

あとイエモン吉井と清春辺りは出そうかと思ってたんでそれぞれいい役を用意しときます。
Coccoのキャラを使うのはオモロイと思いやす。
西川貴教も出しても構わないですけど、そんなにいい役には持っていかないけどよろしいかな?
とりあえずちゃんと氏ぬシーンまでは持っていきますから(w
123名無しのエリー:01/12/17 13:00 ID:UiHw9ZXE
やった!イエモン吉井登場!期待してますよ。
124[1日目午後5時:図書館]:01/12/17 13:45 ID:u6uOXuHQ
時折鳴る銃声に脅えながらCHAGE&ASKAの飛鳥涼は使われなくなった図書館の一室に身を潜めていた。
この男はこれまでに途中立ち寄った公園で平井堅の、
食料を調達していた時に入ったコンビニで氷川きよしの遺体を見てしまっていた。
「まさか本当にやる気になってる人がいるなんて!!」
飛鳥は信じたくない事実と先程から聞こえる何発かの銃声に気持ちを押しつぶされまいと自己暗示にふけっていた。
「俺は死なない。大丈夫だ…。
 やる気になっている人たち同士が潰しあって、このゲームは終わるんだ。きっとそうだ…。」
まるで既に壊れてしまっているかのように何度も何度もそう自分を励ましつづけていた、その瞬間、
「ガタッ」
明らかに不自然な物音がこの部屋の後方の出入り口から放たれた。
125[1日目午後5時:図書館]:01/12/17 13:46 ID:u6uOXuHQ
「誰だ!!」
このような状況においては、相手がこの場所から立ち去るまで隠れている方が良策なのだろうが、
飛鳥の本来の気の強さからつい声をあげてしまった。
我に返った飛鳥は、わざわざ敵に自分の存在を教えてしまったこと自分の情けなさに対する怒りと同時に、
目の前に立っている男を見て安堵感が込み上げた。
「つんくくん……。」
そう、飛鳥の前に現れたのは、「あの」つんくだった。
126[1日目午後5時:図書館]:01/12/17 13:46 ID:u6uOXuHQ
「つんくくん!!大丈夫だったか!!」
飛鳥はつんくに会えたことにより、まだ固いながらもこのゲーム開始以来初めての笑顔で問い掛けた。
「はい、まあね。貴方も元気そうですね。それよりメシ食わしてくれませんか?ラーメンみたいなの。」
つんくの日常的な発言が今の飛鳥には何よりも嬉しいことだった。
「この男といればこのゲームも無事に切り抜けられる…。」
そんな期待が飛鳥の胸の中で膨らんでいた。
「みそラーメンと塩ラーメンどっちにする?」
「ん、スープの濃い方がいいスね。」
こんな他愛の無い会話でも今の飛鳥には一番幸せなことだった。
127[1日目午後5時:図書館]:01/12/17 13:46 ID:u6uOXuHQ
湯を注いだカップラーメン2つをつんくの座っている辺りの前に置き、自分は外を監視しながらつんくとの会話を続けた。
この男には背中を向けても安心だと飛鳥は思っていた。
それよりもこの幸せな時間が外部からの侵入者によって壊される事の方が怖かった。
「いやあ、参ったね。本当にやる気になってる人がいたなんて…。
 俺、今日平井くんと氷川くんの死んでるとこ見ちゃったんだよ…。」
「…そうですか。気の毒でしたね。」
そんなアッサリとした返事に飛鳥はなんの違和感も感じなかった。
むしろその変わらないつんくのタフさに喜びさえ感じていた。
「つんくくん…俺と組んで、このゲームから脱出しようよ!!
 つんくくんもこんな馬鹿げたゲームで死ぬなんてイヤだろう!?」
「ん?はい…まあね。」
「じゃあ、組もうよ。こんな、こんなゲーム馬鹿げてる!!
俺たちはこんなことをやるために歌手になったんじゃない!!畜生!!畜生!!…」
飛鳥は溜め込んでいた怒りを噴出すかのように話始めた。
128[1日目午後5時:図書館]:01/12/17 13:47 ID:u6uOXuHQ
「まあ、落ち着きましょうよ。冷静になってください。ラーメン食いましょう。そろそろ。」
飛鳥はつんくに促されるようにラーメンを食べ始めた。
食べながらも飛鳥はこんな状況下に置いても冷静でいられるつんくに尊敬の念を抱いていた。しかし、
「グッ!!!」
ちょうどスープを半分飲みほしたと同時に強い吐き気に襲われた。
「……!!」
汚物だけではなく、遂には血まで吐き出し始め、のた打ち回る飛鳥を見下すようにつんくはこう言った。
「状況が状況だから、あんま他人を信用し過ぎないほうがいいですよ。」
そう、飛鳥のカップラーメンの中にすり潰して混ぜたと思われるタバコを口に咥えて…。
129[1日目午後5時半:ライブハウス]:01/12/17 13:48 ID:u6uOXuHQ
夕方が近付いていた。
街中にある小さなライブハウスで、元ルナシーからの二人目の参加者、真矢は一人佇んでいる。
真矢は、床に無造作に放られたドラムのスティックに手を伸ばした。
そしてそれを使ってドラムを無心で叩き続けた。
昼12時の2回目の定期放送で、氷川きよしと平井堅が命を落としたことを知った。
本気でゲームに乗った奴がいる…。
いつ、自分の身にも危険が及ぶかわからない。
俺はこんな事をする為に音楽を続けてきた訳じゃない―――
真矢は何もかも忘れてしまいたくて、ドラムを鳴らし続けた。
体に染み付いた腕の動きは、流麗に乾いた音をを奏でて行く。
そして、ひとしきり叩き終わったその時――
パチパチパチ……
小さな拍手が聴こえた。
「誰だ!?」
真矢は慌てて拍手の先に目を凝らす。
いつの間にかライブハウスの最後列の席に、ポルノのアキヒトが一人、座っていた。
130[1日目午後5時半:ライブハウス]:01/12/17 13:50 ID:u6uOXuHQ
「あ、す、すんません……驚かせてしまったみたいで……」
真矢は、アキヒトに殺意が無いのを感じ取ると、ホッと一息ついて、警戒を解いた。
「いや、気にしないでくれ………君は……ドラム、好きか?」
意外な質問に、藤田は少し戸惑った。
「え?は、はい、自分は使いませんけど。……真矢さんは……好きじゃないんですか?」
真矢は、表情を曇らせる。
「まあ好きだけど…正直言ってな……辛い、って思う時のほうが多かった。
 変に周りに期待されちまって、それがプレッシャーになってた。
 『もっと伸び伸びと、自由にやりたい』って……いつも思ってた」
真矢は上に吊るされた赤いライトを見ながら、溜め息をつく。
アキヒトは、ただ黙って真矢の話を聞いていた。
重い時間が、二人の間を流れて行く。
131[1日目午後5時半:ライブハウス]:01/12/17 13:50 ID:u6uOXuHQ
「あの……良かったら、一緒に演奏しませんか?」
突然、アキヒトが提案した。
「……え?」
「色々と辛いのは解りますし、今は殺し合いの最中ですから、
 晴れ晴れとした気分という訳にはいかないと思いますけど……
 でも、さっきのドラム、なかなか様になってました。
 気休め程度にしかならないと思いますけど、一緒に、なんか演奏しませんか?」
「でも……」
「ほら、アンプもギターも置いてありますから、本格的にできますよ。それに……
 思い詰めたままじゃ、何も出来ません。気分転換も必要ですよ。……しませんか?」
アキヒトはそう言うと、階段を上り、ステージの中央に立った。
「気分転換、か……そうだな。やるか」
「じゃあ、ベタですけどレニー・クラヴィッツの『Are you gonna go my way』でいいですか?」
「ああ。練習だからな。それでいこう」
「わかりました。それじゃ……始めましょうか」
ステージが軋む音が、ジムを包み込む。
一緒に演奏することなどなかったのに、流れるような演奏が続く。
とても、殺し合いが行われている街の風景には思えなかった。
真矢の心に、束の間の充実感が満ちて行く。
132[1日目午後5時半:ライブハウス]:01/12/17 13:51 ID:u6uOXuHQ
そして5分が経ち、演奏が終わった。
真矢は、スッキリした表情でアキヒトに向き直る。
「ありがとう。ちょっとだけど、気持ちが楽になっ……」
その瞬間、真矢の胸に銃弾が撃ち込まれた。
サイレンサーを装備したベレッタから、何発も、何発も、弾が撃ち込まれる。
「アキヒト君、どうして……」
真矢はそのまま、床に倒れ込んだ。
倒れ込んだ衝撃で、リングが軋み、奇怪な音を発する。
アキヒトは銃を構えたまま、真矢に向けて呟いた。
「つんくさんが言ってました。無闇に人を信じたら負けだ、って……
 でも、真矢さんのドラムと一緒にギター弾けたのは楽しかったです。それじゃ……さようなら」
そう言うと、アキヒトは真矢の頭に銃口を押し当て、引き金を引いた。
スガシカオと別れた後、ずっと考えた末のアキヒトの決断だった。
赤い夕焼けのようなライトが、赤い血で染まった真矢の体を照らしていた。
133名無しのエリー:01/12/17 14:20 ID:DZua7mmg
こんな昼間に更新なんて、ペース早いですねお疲れさまです。
でも
>西川貴教も出しても構わないですけど、そんなにいい役には持っていかないけどよろしいかな?
>とりあえずちゃんと氏ぬシーンまでは持っていきますから(w
よろしくないです(藁。
でもどうしても出すんなら清春には会わせてあげて下さい。
ライブに飛び入り出演するぐらい仲いいんで。
134Lucyさん:01/12/18 00:06 ID:gxxm206O
あ、完璧にコピペなんか、これ。
135:01/12/18 00:48 ID:JwCeYzIC
>>133
待ってくんろ
とりあえず今の所吉井和哉以外の出演依頼は全く保障できないです。
136名無し:01/12/18 09:36 ID:/jxFXcSu
続き見たい〜!!!!
137名無しのエリー:01/12/18 10:15 ID:EIlOiHeZ
早く続きが見たいんだけど!
頑張ってくれ。
138[1日目午後6時前:とあるバー]:01/12/18 15:13 ID:gyXzpMm1
桑田佳祐は行きつけだったバーにいた。
人相は悪いが気のいいマスターが一人でやっている小さな店だった。
頻繁に通ったわけではないが独りで飲みたい時は決まってここに来て
夜通しマスターと話した。思えば迷ったときが多かっただろうか。
今回もそうだ。桑田は迷っていた。
ミュージャン達と殺し合うべきか助け合うべきか、そんな事ではない。
―――自ら命を絶とうか迷っていた。

まぶたの裏に焼き付いて離れないシーンがその思いを強くさせた。
吉田拓郎が宮本浩次を撃った場面だ。
あの時桑田は拓郎に声をかけようとしていた。協力して殺人ゲームを乗り切ろうとしていた。
だが一発の銃声でそんな考えは打ち砕かれた。
倒れた宮本を助けることも走り去る拓郎を追いかけることも出来ず
桑田はただがむしゃらにその場から逃げ出し、気付いたときにはバーの前にいた。
当然扉は閉まっていたため、道路に面した窓を割り中に入った。
誰もいない店内はひどく広く感じたが、なんとも言えない懐かしさに包まれた時
彼はデイパックから「毒薬」と書かれたラベルのついた瓶を取り出し手近の席についた。
陽水の直筆らしいそのラベルには小さく「自殺なんてするんじゃねぇぞ馬鹿野郎」とも書かれてあった。
「…どっちがバカヤロウだよ……」
そうつぶやきながら桑田の顔には少し笑みすら浮かんでいた。

ただ、その笑みは乾いていた。
139[1日目午後6時前:とあるバー]:01/12/18 15:14 ID:gyXzpMm1
桑田は父親のいない子供の寂しさを悲しみを良く知っている。
だがそれ以上に人を殺してまで生きるのが自分にとっても家族にとっても嫌だった。
例えそれがこのゲームを強制した陽水だとしても…
そんな思いが桑田にバーのマスターを求めさせたのだろう。
しかし目に見えないマスターは何の福音ももたらしてはくれなかった。

桑田は毒薬を適当に入れたグラスによく飲んでいたウィスキーを静かに注いだ。
瞬く間に毒薬が溶け出しアーモンドの香りがする。青酸系の毒のようだ。
そして意を決しグラスを口に近づけた瞬間、怒号のような大声が狭い店内に響き渡った。
「ヤイコ殺ったんのは己か!!!?」
怒号の主は今夏の主役の一人だった三木道三だった。
140[1日目午後6時前:とあるバー]:01/12/18 15:14 ID:gyXzpMm1
このゲームの性質を考えれば無意味に大声など立てるものではない。
自分の居場所を知らせることは何か目的の無い限り自殺行為にしか成り得ない。
しかし三木からはそんな配慮は微塵も感じられなかった。
今右手にモップの柄、左手には支給された物であろう機動隊の持つような
ジュラルミンの盾を持っているとは言え、桑田の前に仁王立ちで立ちはだかっている事からも
配慮の無さを感じさせた。三木らしいと言えば三木らしいのだが。
そして今、三木はすさまじい殺気を放ち半狂乱状態で桑田を睨みつけている。
「己がヤイコを殺ったのかっつってんねん!!!!」
言うのが早いか三木は躊躇無くモップの柄を振り下ろした。
咄嗟に飛び退いた椅子に柄の先のT字の金具がぶつかると、金具はぐにゃりと曲がった。

桑田は驚いていた。急に三木が現れた事よりも矢井田を殺したと思われている事に。
(冗談じゃない!被りたくない濡れ衣まで被せられては死ぬにも死ねない。)
「ま、待て…えっと…(なんて名前だったっけ?)…やったのはオレはじゃない!!」
「じゃあ誰が…やったってゆうねん!!!?」
聞く耳も殆ど持たない風に、三木は叫びながらモップの柄を横薙ぎに振り回した。
激しく壁に叩き付けられたT字の金具は柄から弾け飛び、
カウンターを飛び越え大きな音を立てて流しに飛び込んだ。
何とか三木を説得しようとするが言葉が思い浮かばない。視線を巡らせた桑田は苦し紛れに言った。
「見ろ!オレの武器はそこの毒薬だ。簡単に殺せるわけ無いだろう!」
あまりにも意味の通らない言い訳だった。
(ダメだ…)
桑田は半ば諦め気味に覚悟を決めた。このまま殺されようと。
(どうせ死ぬつもりだったしな…)
心の中で今静かに家族に別れを告げた。
141[1日目午後6時前:とあるバー]:01/12/18 15:15 ID:gyXzpMm1
しかし意外にも三木に反応があった。うつむき気味に何かブツブツとつぶやいているのだ。
「…そういやヤイコの頭はなんか武器で殴られたみたいになってたな……」
意図せぬことではあったが説得は成功したようだった。

桑田は内心ホッとしていた。
そして自殺しようとした、また殺される覚悟を決めた筈の
さっきの自分との心境のギャップになんとも言えず苦笑いを浮かべていた。
142[1日目午後6時前:とあるバー]:01/12/18 15:16 ID:gyXzpMm1
桑田は落ち着いた三木から矢井田の遺体の状態などについて聞いた。
カウンターの影に座り、酒をあおる三木の大きな身体は小刻みに震えていた。
そして三木は重くしっかりとした声で言った。
「オレ許さないっスよ…ヤイコ殺したヤツも、陽水さんも!」
三木の目に恐怖心は微塵も感じられなかった。その瞳には純然たる怒りの光だけが灯って見えた。
「桑田さん。一緒にやりましょう!こんなモンブッ潰しましょうよ!!」

その目を見た桑田に何か後ろめたいような気持ちが去来する。
がむしゃらに音楽活動に明け暮れていた、
前だけを見つめていたあの頃の自分に心の中を覗き見られた気分だった。
「い、いや…オレは人を殺すなんて……イヤ…なんだ…」
耐え切れず目線を逸らし、なんとかそれだけつぶやいた。
途端に三木は感情を昂ぶらせ桑田に掴み掛かった。
「何言ってんスか!?桑田さんだって家族いるんでしょう!!このまま死んでいいんスか!!?」
感情が真っ直ぐな分その台詞が深く心に突き刺さった。
そして桑田は決意した。もう少しだけ戦ってみようと。
人とではなく、この辛い状況から逃れるために家族すらも捨ててしまおうとした自分の弱さと。
殺したくは無い。そしてそう思っている者は多い筈だ。だからこそなんとか出来るかも知れない。
既に何人も死んでしまっている現状を鑑みればあまりに甘い考えだとわかっていたが、
そう考えることだけが現状を脱する唯一の望みだということもわかっていた。
143[1日目午後6時前:とあるバー]:01/12/18 15:16 ID:gyXzpMm1
もう一つ、桑田はこの三木道三という男に対してある種の共感を感じていた。
桑田はアマチュアの青学でのピストン桑田時代を経て、「勝手にシンドバッド」でデビューした。
しかし当時サザンは一発屋という扱いしかされていなかった。
そういう扱いに人一倍神経質な性格である桑田はそのプライドを激しく苛まれることになるのだった。
そうした桑田のフラストレーションが「ものすごいバラードを作って俺達の本当の力を認めさせてやる」
というエネルギーとなって注ぎ込まれた力作が「いとしのエリー」だった。
その曲によってサザンは世間の一発屋の見方という呪縛から開放されたのだ。
だから桑田は世間から一発屋と称されたミュージャン達に、約四半世紀前の自分の姿を映し出していた。
それは三木道三に対しても言えることであったのだ。
「この…(なんて名前だったっけ?)…この男と組んでこそ意味があるはずだ!」

表情の変化から桑田の決意を汲み取った三木は小さく頷いた。
その時三木の背後から二人のものではない声が響いた。
「へぇ、結構仲良かったんだ。」
そこにはイエモンの吉井和哉がいた。
カウンターから身を乗り出したボウガンと共に。
144[1日目午後6時前:とあるバー]:01/12/18 15:17 ID:gyXzpMm1
静寂が続いていた。
吉井が二人に声をかけてから何分経っただろう。
一言も喋らずただニヤニヤ笑みを浮かべながら二人にボウガンをちらつかせている。
まるで二人の生殺与奪権を自分が持っているという事を殊更に強調するかのように。
そして無言のまま二人を店の奥の壁際に追いやり、自分はカウンターを乗り越えて二人が元いた辺りに位置取っていた。

桑田は数分間の静寂の間ひたすらに自分の思慮の足りなさを反省していた。
どうして吉井の侵入に気付けなかったのか、どうして誤解の解けた三木とすぐにここを離れなかったのか、
どうして軽々しく自殺などしようとしたのか、どうして…
一度引退を考えだした年頃から癖になってしまったネガティヴな思考の所為だと自分では気付いていなかった。
そしてその癖が今この瞬間も自分の邪魔をしていることにも。

桑田が思考停止の状態に陥っている時、三木はこの上なく苛々していた。
吉井の態度は彼の神経を充分に逆撫でしていたが、それ以上に桑田の態度が不満だった。
顔は吉井の方を向いているが目の焦点は明らかに合っていない。
そのせいで桑田に意思を伝えることが出来ずにいたからだ。
(呆けてる場合じゃ無いやろっ!アンタが気付けば何とか出来るのに!!)
桑田と正反対に現状の打破のみを考えていた三木は吉井の弱点に気付いていた。
ボウガンは連射できない。
つまり二人同時にかかれば少なくとも一人、吉井が瞬時に標的を絞れなければ上手く行けば二人とも無事で済む。
そう考えると今の桑田に苛立つのも仕方なかった。

そして三木の苛立ちが頂点に達しようかという時、夕方6時を告げる忌々しい放送が流れ出した。
145[1日目午後6時前:とあるバー]:01/12/18 15:17 ID:gyXzpMm1
「元気ですかー!!!」
いつもの返事を必要としない呼びかけが街中に響き渡る。
「元気があれば何でも出来る。一番元気なヤツが生き残るんだぞーッ!!!
 ではこの6時間の脱落者を発表する。ルナシー真矢ーッ!矢井田瞳ーッ!浜崎あゆみーッ!
 えー以上3名です。みんななかなかルールを理解してくれているようで非常に嬉しい。
 では『真のミュージャン』を目指して皆頑張るように。ダーーーッ!!!!」

放送によって幾分冷静さを取り戻した桑田は三木と視線が合った。何かを訴えているようだった。
程無く三木が今にも吉井に襲い掛かろうと考えていることに気付いた。
(馬鹿な!一体どういうつもり…)
そこまで考えて三木と同じくボウガンの弱点を発見した。
が、どうにも釈然としないものがあった。
それが何なのかわからない内に三木は行動を起こそうとしていた
カラスの鳴き声が聞こえ吉井の目線がわずかに二人から離れた瞬間
三木が動き出した。桑田もそれに追従せざるを得ず吉井に飛び掛かった。

不意に聞こえた銃声にGacktは身をすくませた。
(遠くない場所で殺し合いが行われている…)
怖くなったGacktは隠れ場所に急いだ。
146[1日目午後6時前:とあるバー]:01/12/18 15:18 ID:gyXzpMm1
桑田の拳は確実に吉井の顔面を捉えた。
吹っ飛ばされた吉井はカウンターで後頭部を強かに打ちぐったりしている。
桑田の左腿にわずかに痛みが走った。
ボウガンで打たれた傷だが幸い少し肉をもっていかれた程度で済んだようだ。
そんなことより桑田には心配すべきことがあった。
桑田は素早く二つの凶器を適当にカウンターの向こうに放り投げ三木の元に駆け寄った。
三木は腹部から多量の血液を流していた。銃で撃たれたのだ。
三木を撃ったのは吉井が背広の袖に隠し持っていた小型の銃デリンジャーだった。

三木は腹に今まで味わった事の無い激痛を感じながらさっきからの違和感の正体について理解した。
(吉井の不自然な沈黙は焦れたオレ達に襲いかからせ同時に殺すためのものやったんやな…
 あの時距離を取ろうと後ずさった吉井が足元に落ちていたボールペンで
 バランスを崩さなければ、おそらく二人とも死んでいただろうな……)

三木の考えは当たっていた。
一応、事は吉井の予定通りに進んだが、ボールペン一本に
文字通り足元をすくわれてしまう結果となってしまった訳である。
147[1日目午後6時前:とあるバー]:01/12/18 15:19 ID:gyXzpMm1
桑田はとりあえずバー備え付けられていた救急箱で三木に応急処置を施した。
素人なのだから腹部を銃で撃たれた時の急所などわかる筈も無い。
とりあえず横っ腹のキズで銃弾が貫通していたのが桑田の気休めにはなった。
続けて三木の傷口を冷やそうと流しに向かった時、桑田の身体が凍りついた。
吉井が本来寝転んでいるべき場所にいないのだ。
煙のように消えたのでなければ、吉井が今いる場所はカウンターの向こうか外に逃げ出したかだ。
だが外に出たのならばドアからにせよ窓からにせよ気付かないと言うことはまずあるまい。
そして最悪なことに武器は二つともカウンターの外にある。
しかもどの方向に放り投げたのかも覚えていない。
吉井は次の瞬間にでもに襲ってくるであろう。
桑田が足音を立てぬよう姿勢を低くし摺り足で後ずさったその時、
カウンターからボウガンを構えた吉井が顔を出した。
この戦いで桑田はとても幸運だったと言えるのかも知れない。
まず床にボールペンが転がっていた事。
そして今吉井が桑田の真正面に現れた事。
何より勘違いして三木に襲い掛かった事!
桑田は吉井がボウガンを放つよりも早くフリスビーでも投げるかのように
さっき流しで拾ったモップの柄の先、金属でできたT字形の部分を全力で投げつけた。
柄の先は、桑田に殴り飛ばされ未だに意識が朦朧としていた吉井の顔面の芯を完全に捕らえた。

T字の片方の先端がが吉井の右眼にめり込んだ。
もう二度と右眼を使うことは出来ないだろう。
予想だにしなかった衝撃に吉井は自らの放ったボウガンの矢の行方を確認する事も出来ずに、
閉じられていたバーのドアの鍵を開け外へと飛び出した。
右手で目をおさえ左手にボウガンを持ったまま吉井は路地の奥へと消えて行った。
定まらない意識の中で呪詛の言葉をつぶやきながら…
桑田と三木はバーの近くの寂びれたビルのトイレの中にいた。
重症の三木を遠くまで連れて歩くわけにも行かず、誰かに狙われた時満足に戦う事も出来そうに無い。
そんな状況の中ではベストではなくともベターな選択だと桑田は思った。
お世辞にもキレイとは言えない所だったが水は幾らでもあるし
こんな状況でゆったりトイレに来る神経など真っ当な人間にはまず無いだろう。
同じ考えの者がいなければ。
頭に浮かんだこの言葉を桑田はかき消した。これ以上三木を連れ外に出ることは避けたかった。お互いのために。

水を飲み一息ついた頃三木が意識を取り戻した。
「…桑…田さん……すんません…」
「何言ってんだよ。そんなことより早く怪我治してくんないと。一緒に戦うんだから。」
にっこりと笑って桑田は答えた。
「…はい……!…あんさん……肩どうしたんスか…?」
吉井和哉が最後に放った矢は桑田の左肩を直撃していた。
かなり熱を持っていることからも骨折しているかも知れない。
「かすり傷だよ。それよりなんか食うモン取ってくるからちょっと待っててね。」
手酌で水を三木に与え桑田は立ち上がった。
「行ってくるから。」
右手にバーの隅で見つけたデリンジャーを持ち、静かにトイレのドアを閉めた。
念のため気配を殺し足音を立てずに階段を下りてビルを出た桑田は
辺りに誰もいない事をしっかり確認して食料の調達に向かった。
ただ、その姿を別のビルの窓から見ていた宇多田ヒカルに気付くことは出来なかった…
ふと三木が廊下の足音に気付いた時、足音の主がトイレに戻ってきた。
「なぁ桑田さん…無事に帰ったらオレの家に来てくださいよ……」
目を閉じ声は少し震えていたが、出来るだけはっきり聞こえるように言った。
「…じゃあちょっと……寝ますわ…」
言い終え、まどろむ意識の中で額に冷たい物が当てられた。
(…そこまで…してくれなくても……いいのに…)
感謝の言葉と共に意識が途切れる瞬間、頭部に軽い圧迫感を感じた後、三木の意識はブラックアウトしていった。
150[1日目午後6時半頃:寂びれた雑居ビル]:01/12/18 15:21 ID:gyXzpMm1
桑田は嘔吐していた。止まらなかった。
もう十分間近く経ったのではないだろうか。
しかし胃液すら出なくなっても止まらなかった。
その傍らにはスーツを布団代わりに三木道三が寝転んでいる。
ただ熟れたスイカを地面に落としたようなものが頭の代わりをしていたが。

桑田がビルのトイレに帰り着いた時、既に三木の生命には終止符が打たれていた。
明らかに他人の手によって。
わけがわからない。?????????何故?いつ?誰が?????????
やっと前向きになりかけた桑田の思考は停止した。

そして込み上げる嗚咽は一時間以上続いた……
151名無し:01/12/18 15:34 ID:/jxFXcSu
ヤイコと三木道三は付き合ってたのか!?
152名無し@:01/12/18 16:58 ID:ejmZaV3C
Gacktがやっぱり参加していたぞ。

つーことでage
153名無し:01/12/18 19:12 ID:/jxFXcSu
オザケンはいないのね…。
続きはいつかな?
154名無しのエリちゃん:01/12/18 20:22 ID:cNKk/K9R
うわあ・・・宇多田殺人鬼に成り果てたな。
このままガクトもやっちゃって下さい。

何で桑田はそんなにしぶといの??
155名盤さん:01/12/18 22:33 ID:2ocpIGlD
>>151
ヤイコのライブに三木道三が共演してた
156名無しのエリー:01/12/19 00:27 ID:RdO88N/O
名前の間違いを直して、あと「元気ですかー」を
「お元気ですか?」に変えてくれたら最高。
157登場人物リスト:01/12/19 03:49 ID:Hls3Fyps
首謀者:井上陽水 側近:奥田民生
登場済参加者:[非暴力派]スガシカオ hyde 桑田佳祐 トータス松本 aiko 飛鳥涼
[武闘派]つんく アキヒト(ポルノグラフィティー) 桜井和寿 松岡充 宇多田ヒカル 吉井和哉
[どっち派?]キンキキッズ 河村隆一 Gackt
死亡確認参加者:矢沢永吉 テル 宮本浩次 中居正広 吉田拓郎 平井堅 氷川きよし 矢井田瞳
        浜崎あゆみ 国分太一(非参加) 真矢 三木道三
登場予定参加者:B'z チャゲ CHEMISTRY 氷室京介 布袋寅泰 田代まさし YOSHIKI(X-JAPAN) IZAM
        西川貴教 清春(SADS) 佐野元春

こんな感じです。順番は基本的に登場順と死亡順ですんで。あと登場予定の人は追加されると思います。
158:01/12/19 03:51 ID:Hls3Fyps
>>156
じゃあ次からそうしときます
159:01/12/19 03:52 ID:Hls3Fyps
>>158
語尾に『(藁』を付ける
160ななし:01/12/19 04:36 ID:eZkbzIzY
おもろい。あげ。
161名無しのエリー:01/12/19 05:26 ID:qpk4Jjww
>>157
面白く読ませてもらってるんだけど
登場人物リストは出さないでほしかったな
これから誰が出てくるんだ?っていう楽しみが減るし・・・
162名無し:01/12/19 08:52 ID:Mq90uCUv
んーでもおもしろいから良しっ!
163名無し:01/12/19 09:30 ID:uC9dbY93
グレイタクローかヒサシ出して欲しいな…
反戦タクローならテルの後追い自殺、
首輪つけてMステ出たヒサシなら
仇討ち通り越してウタダ級の殺人鬼きぼん。
164名無しのエリ−:01/12/19 17:31 ID:K/yu0L7j
参考までに。hydeは少林寺拳法2段です。
・・・武器ないんだもん・・・
165[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:04 ID:uEpeh6wN
「…松本さん、落ちつきましたか?」
B’zの稲葉浩志は心配げな表情で、松本孝弘の顔を覗き込んだ。
「…ああ。武道館にいた時よりはな」
そう呟く松本の顔色は、ずっと前から青ざめたままだった。

無理もなかった。
ただでさえ顔見知りと殺し合うという理不尽な状況に放り出されているのに…
スタート前に、矢沢の無残な姿を見せられているのだ。
あの武道館で、声をあげて泣く吉田拓郎のその後ろで、松本もまた涙していた。
「俺の憧れの…矢沢さんが…こんな酷い姿に…」
ただ泣く事しか出来ずに、立ち尽くしていた。
そんな松本を見て、稲葉は心配でたまらなかった。
「とにかく…松本さんと離れないようにしなくては」
大事なパートナーを見捨てる事なんて出来ない。
武道館の出発順は、稲葉が先だった。
茫然自失の松本に、稲葉は素早く囁いた。
「松本さん、ホビーショップまで来て下さい。いいですね!俺、そこで待ってますから…」
ホビーショップは、松本がよくフィギュアを買いに行く店だ。
そこならば、松本も迷わず安全な道を通って来れるだろう。
「じゃ…後で!」
稲葉は出口でデイパックを受け取り、駆け出して行った。
166[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:05 ID:uEpeh6wN
「しっかし、この店っていろんな物ありますねぇ」
稲葉は店内をぐるりと見まわして呟いた。
松本が来る前に、何か使えるものはないかと物色をしていたのだ。
この店がフィギュアの他にモデルガンも扱っていたのは好都合だった。
稲葉の手元には、サブマシンガンのモデルガンがあった。
『片手のみで操作可能。最大で1分間に最高750発発射出来ます』
ショーケースの説明書きには、そう書いてあった。
動き回る事を考えると、これがベストの選択であろう。
殺傷能力はないにせよ、はったりをかますのには十分だ。
「できる事なら、人殺しはしたくない…みんな生きていてほしい」
「みんないい人ばかりなのに…何でこんな事に…」
稲葉が目に涙を浮かべたその時、夕方6時の、3度目の定期放送が聞こえてきた。
『…ではこの6時間の脱落者を発表する。ルナシー真矢ーッ!矢井田瞳ーッ!浜崎あゆみーッ! えー以上3名です』
「真矢さんと矢井田…浜崎…女まで参加させてるのか!?いったい何考えてるんだ…」
「…矢沢さん、テル、宮本、中居、拓郎さんに平井、氷川…全部で10人か」
松本が力なく呟いた。
松本は涙があふれぬよう、天井を仰ぎ見た。
「陽水さん…本当に最後の一人までやらせるつもりなんだろな…」
そう呟く稲葉の目から、止まる事なく涙があふれた。
そして…悲しくも現実を伝える放送は、二人に長い沈黙をもたらした。
167[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:06 ID:uEpeh6wN
「俺たち…生き残らなきゃな」
天井を見つめながら、松本が呟いた。
「俺たちが死んだら…日本のコピーバンド、終わっちまう」
「そうですね…逝った人達の分も、頑張らなきゃ。ただコピーバンドってのは余計ですけど」
そう言って稲葉は涙をぬぐい、再び使えそうな物を物色し始めた。
「あ…松本さん!いい物がありますよ!ほら!」
稲葉は大声で叫びながら、ショーケースを指差した。
ショーケースの中には「非売品」と書かれた札が付いた防弾チョッキがあった。
「防弾チョッキ!?ああ、そういやここのオヤジが趣味で集めてたっけ」
「これ、本物ですよね?使えますよ!」
そう言うやいなや稲葉はショーケースの硝子を叩き割り、防弾チョッキを取り出した。
「うわ、結構重たいな」
だいたい2kgぐらいだろうか?ズッシリとした重みがあった。
「まあ、防弾っつうぐらいだしな。重い方が守りもしっかりしてるだろ。とりあえず、とっとと着ちまおう」
――――その時だった。

パンッ、パンッ、パンッ!

店の外で、乾いた衝撃音が鳴り響いた。
「…銃声!?すぐそばで誰かが…」
「隠れるぞ、稲葉っ!見つかったら俺たちもやられる!」
二人は急いで防弾チョッキを抱え、デイパックとモデルガンを拾い上げて店の奥へと向かった。
168[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:06 ID:uEpeh6wN
その時店の外では、松岡充と河村隆一が対峙していた。
撃ったのは、松岡。河村の太ももとヒザを撃ちぬいていた。
河村はといえば、ホビーショップに向かおうとしていた所だった。
この店は、河村の行きつけでもあった。
B’zの二人がいるなんて、知る余地もない。
ただ、稲葉と同じ様に「モデルガンがあれば、はったりになるかもしれん」
そう考えて、店を物色しようと考えていたのだ。
そして店まで後少しという所を、後ろから松岡に狙われたのだった。
足に衝撃を感じ、よくわからぬまま地面に崩れ落ちた。
そして一瞬カァッと熱くなったかと思ったら、とんでもない激痛がヒザを襲ってきた。
「グアッ…クッ…だ、誰だっ」
「俺ですよ、隆一さん。ダメですやん、背中にも目ぇ付けとかなきゃ」
「松岡、貴様ぁ…っ」
河村は松岡を睨みつけるが、立ちあがる事が出来ない。
(クソッ、ここで殺られるのかっ…)
松岡がゆっくりと近づいてくる。でも河村は、逃げる事が出来ない。
(死ぬにしても…無駄死にだけはするもんか!)
河村は片手で自分のデイパックをまさぐり、支給された大ぶりのナイフの柄をグッと握り締めた。
169[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:06 ID:uEpeh6wN
「松岡、何で足を狙った!後ろからなら一発で俺を殺せただろうが!」
「やだなぁ。天下の河村隆一さんに秒殺なんて…失礼な事、出来ませんよ」
目の前で仁王立ちした松岡は、口元に笑みを浮かべながらイヤミっぽく話し続けた。
「闘いってのは、相手を仕留めるまでの過程を演出しないとねえ。強ければいいってもんじゃないでしょう?」
そういうと松岡は銃を河村の胸元に突き付けた。
「さあ、お喋りはこれくらいにして…隆一さん。最後に何か言い残す事はありますか?」
「殺れるもんなら殺ってみろ…お前に人を殺すことが出来るのかっ!」
もう殺される以外道がない状況で、最後の足掻きとばかりに河村は叫んだ。
「ああ。出来ますよ。今さら一人や二人増えたって変わらないですよ」
「一人や二人って、お前…」
アッサリと答える松岡の言葉に、河村は寒気を感じた。
「今朝公園で平井堅を殺ってきた」
そう語る松岡の脳裏に、平井を殺めた時の事が浮かんできた。
(堅…この手で堅を刺したんだ…)
あの瞬間の感触が手に蘇る――――忘れたくても忘れられない、あの感触。
その時、ピンと張りつめていた松岡の殺気が緩んだ。
その一瞬を河村は見逃さなかった。
デイパックからナイフを握り締めた手を引き抜き、もう既に感覚の消えつつある両足を踏ん張り
ありったけの力を込めて松岡の腹部めがけてナイフを振り上げた。
170[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:07 ID:uEpeh6wN
ガツッッッ!!

―――切っ先に固い感触を感じた。
その衝撃で、河村の手からナイフが弾け飛ぶようにして地面に落ちた。
「…何するんですか、まったく…無駄な抵抗ですね。ま、刺さなくて良かったですね。いいもんじゃないですよ、あの感触は」
「何で…何か仕込んでるのか!?」
「ああ、デイパックに殺った奴の武器をしまってたら入りきらなくなったんで、腰に巻いたんですよ」
そう言いながら、松岡はシャツをめくってみせた。
その腰には…レプリカのチャンピオンベルトが巻かれていた。
(そ…そんなモン巻いてるなぁ〜っ!)
河村にとって千載一遇のチャンスは、チャンピオンベルトによってあっけなく打ち砕かれた。
「あーあ。隆一さんのせいで傷が入っちゃいましたよ…でも、さすが俺のベルトやな。命拾いしたわ」
松岡はベルトを愛おしげに撫でながら呟いた。
171[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:07 ID:uEpeh6wN
「さあ、そろそろお別れですね…」
「松岡!…なぜお前は殺すんだ!?なぜ殺さない方法を考えない…」
全ての力を使い果たしてしまった河村が、息も絶え絶えに訴えた。
「…結局、殺らないと殺られるだけやないですか。俺は自分が一番かわいいですからね。死にたくないんです」
そう話しながら、松岡は銃を河村の左胸にピタリと当てた。
「じゃあ…さよなら、隆一さん」

パンッ!パンッ、パンッ、パンッ!

最初の一発で、河村は声も立てずに崩れ落ちた。
そこへ追い撃ちをかけるように、三発。
みるみるうちに、地面に血だまりが出来た。
松岡はナイフを拾い上げてデイパックにしまいこんだ。
「…さて。あの店に何かあるらしいな。ちょっと漁ってみるか」
松岡は、ホビーショップの方に向かって歩き出した…。
172[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:08 ID:uEpeh6wN
パンッ!パンッ、パンッ、パンッ!

…店の奥と言っても、元々広い店ではないので外の音が良く聞こえてくる。
河村の叫び声も、何を言ってるのかわかるぐらいに聞こえた。
それによって、河村が絶命した事や、銃で河村を撃ったのが松岡である事がわかった。
「松岡充…殺っちまったか…」
松本がため息混じりに呟いた。
「アイツにだけは会いたくないなぁ。アイツなら、何の躊躇いもなく殺りそうだし」
「でも、生きている限り絶対どこかで顔を合わせる羽目になりますよ。俺は…戦いたくないですけど」
「…襲ってきたら、最低でも一撃食らわさないとダメかもなぁ。話してわかるヤツじゃないだろ、アイツは…」
イザとなったら、殺らねばいけない…。自分を守る為にはそれしかない。
それでも、殺したくない。知り合いを殺るなんて出来ない。
でも松岡は、殺ってくるに違いない。
(どうすればいいんだ…どうすればこれ以上誰も死なずに済む!?)
稲葉は必死に考えを巡らせた。でも、何も浮かんで来なかった…。
「松本さん、とりあえず今はここから脱出しましょう!松岡と顔を合わせる前に…」
稲葉がそう言いかけた時、バンッ!と勢い良く店の入り口のドアが開く音がした。
「まさか…松岡!?」
「念の為、防弾チョッキ着ておくか。しかし…最悪だな」
二人は息を潜め、防弾チョッキを着込んだ。松岡に見つからない事を祈りつつ…。
173[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:08 ID:uEpeh6wN
「…ん?もう誰か来た後なんか?」
叩き割られたショーケースが、誰かが物色した後である事を物語っていた。
「使えそうな物は残ってないか…ん?」
松岡は足元に何かが落ちているのを見つけた。
「このタオル…B’zの松本さんか」
落ちていたのは「B’z」タオルだった。T・Mというイニシャルらしき英数字が記されていた。
ツアーのグッズが余っていたのを、自分たちで使っていたのが垣間見られる。
店の奥に逃げ込む時に落としたらしい。
「B’zの松本さんがこのタオルを落としたって事は、よっぽどアセっていたって事やな」
松岡はグルリと店内を見渡した。まだこの店の中にいるかもしれない。
松岡は右手に拳銃、左手に盾代わりのジェラルミンケースをかまえて、ジリジリと店の奥へ歩を進めた。

「…松岡、こっちに向かってきてるみたいですよ」
稲葉が声を潜めて言った。
「バレたのか!?何で人がいるってわかったんだ!?」
松本は自分のせいである事をまだ知らなかった。
「仕方ない…来たら先制攻撃するしかないな」
「武器は使っちゃ…そういや松本さん、武器、何でした?」
二人は動揺していたのと最初から殺し合いをする気がなかったせいもあって
支給された武器が何であるかを未だに確認していなかった。
二人は松岡に気づかれないようにソッとデイパックの中を改めた。
松本に支給されたのは、シリンダー式の拳銃だった。
「ま、手足を狙えば殺さずに済むか…稲葉、お前のは?」
「松本さん…これ、何でしょう?…」
174[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:09 ID:uEpeh6wN
稲葉のデイパックから出てきたのは、黒い小さな箱だった。
てっぺんに赤いボタンがついており「迷わず押せよ 押せばわかるさ」と書いてあった。
「押せばわかるって…押してみるか」
「あ、稲葉!押すな!それってたぶん…」
「え?」
カチッ。松本が言葉を言い終わる前に、稲葉はボタンを押してしまった。
すると箱の正面のパネルが動き出し、中からデジタルパネルが現れた。そして
『お元気ですかー』
…突然、井上陽水の雄たけびが箱から聞こえてきた。

「…ん?」
陽水の声に、松岡の動きが止まった。
陽水の声が聞こえてきたという事は、何か良くない知らせに違いない。
松本達も同じ考えだった。嫌な予感がする…。
そんな彼らの気持ちなどお構いなしに、陽水の声は流れつづけた。
『元気があれば殺し合いも出来る!…エー、この箱は時限爆弾です。
 今、ボタンを押した事により時限装置が作動しました!
 制限時間は5分!5分経ったら爆発するぞコノヤロウ!みんな頑張って5分以内に逃げたまえ。
 尚、このボックスに衝撃を与えたり分解しようとするとその場で爆発するから注意するように!
 では諸君の健闘を祈る…いくぞーっ!!』
…陽水の能天気な声が聞こえなくなったのと同時に、デジタルパネルが作動し始めた。
「4:59…58…57…」時間はどんどん過ぎていく。
175[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:09 ID:uEpeh6wN
「あーっ、やっぱり時限爆弾だったかぁ…くそっ!」
「すみません…俺がボタンを押したばっかりに…」
稲葉が涙目でうな垂れ、呟いた。
「もう動き始めたんだから、言い訳してもしゃあないやろ。何とかして、この場から脱出せんとなぁ・・・」
爆弾のタイマーを止める事も、壊す事も出来ない。
それに今の陽水の声で、隠れている場所を松岡に悟られたのは確実だ。
松本が必死に考えを巡らせる横で、稲葉は押し黙っていた。
(俺のせいだ…何とかしなきゃ…そうだ!)
「…松本さん、俺が囮になりますから松岡を撃ってください!」
「な…稲葉っ、バカな事言うな!お前、武器持ってないのにどうすんだ!?」
松本は驚き、稲葉を見た。稲葉の目はこの上ないほどに真剣だった。
「さっき見つけたサブマシンガンのモデルガンで松岡を打ちます。
 そこで松岡が怯んでいる隙に、松岡の動きを止めてください。
 防弾チョッキも着てるし、何発かは弾を受けても大丈夫だろうから…」
「稲葉…」
「それしかないです!早く逃げないと爆発しちゃいますよ!」
松本はフーッと深いため息をつき、軽くうなづいた。
「そうだな…でも稲葉、死ぬなよ…」
「こればかりは運を天に任せるしかないですけどね。
 松本さんも…死んじゃダメですからね。」
稲葉はニッコリと、しかし淋しさをたたえた笑みを浮かべた。
「ああ…死んでたまるか!俺は生きるぞ…」
二人は覚悟を決めた。誰も殺したくはなかったが、仕方ない。
松岡を倒さなければ爆死する。
たとえ松岡を撃ち殺さなくても、致命傷を負わせた時点で殺したも同然だ。
松岡だってここから逃げられなければ爆死してしまうのだから…。
176[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:11 ID:uEpeh6wN
陽水の声が聞こえなくなった時、松岡は呆気にとられていた。しかしすぐに我にかえり考えた。
突然の陽水の声。誰かがボタンを押し、時限爆弾を作動させた。
「…これで誰かいる事が確定したわけや」
相手は逃げようとするだろう。しかし、逃げ道には自分がいる。
自分はそのまま逃げられるかもしれない。でも、相手は自分を倒さないと逃げられない。
今ここで逃げようとして背中を向けたら殺られるだろう。
「松本さんだか誰だか知らんが、殺るしかないって事や…」
相手はおそらく正面にあるカウンターの中にいる。
さっきの陽水の声が聞こえてきたのも、カウンターの中だった。
松岡は再び拳銃を構えた。

稲葉の傍らに転がる時限爆弾のタイマーが、残り時間が3分強である事を示していた。
「俺が左から撃ち始めたら、松本さんはちょっと間を置いた後に右から撃ってください」
「…わかった」
作戦を確認した後、稲葉はモデルガンを構え、松本は拳銃の撃鉄を引いた。
「じゃ…行きます!」
稲葉は勢い良く立ち上がった。5mほど先に松岡の姿があった。

タタタタタタタタッ!

稲葉は一心不乱に、松岡に向けてサブマシンガンを撃ち込んだ。
松岡の気をそらせればいい。ほんの少しの間だけ…。
「しまった!二対一やったんか…!?」
松岡は、予想だにしなかった稲葉の登場に一瞬怯んだが
自分に当たった弾が本物でない事に気づくと、構えていた拳銃を発射した。

パンッ、パンッ、パンッ!
「ウグッ!」
177[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:12 ID:uEpeh6wN
ガーンッ!
「グアッッッ!」

…意外にもダメージを受けたのは、松本の方だった。
突然の激痛に松本の顔がゆがんだ。撃鉄を引き直す事も出来ないぐらいの痛みだった。
松本はTVドラマの刑事のように、片手で拳銃を撃った。
その瞬間ものすごい衝撃が右手を通じ、肩へと伝わった。
松本の右肩は春先に怪我をして以来、まだ完治していなかったのだ。
その肩にモロに衝撃を受けたのだった。
そして肝心の銃弾は……松岡を捕らえる事が出来なかった。
やはり衝撃で腕がブレて、的を外してしまったのだった…。
「松本さん、カッコつけて片手で撃つからですやん…アホが!」
そう言うと松岡は両手で拳銃を構え直し、松本の額に狙いを定めて引き金を引いた。
パンッ!と音がしたのと同時に、松本は額を撃ちぬかれて崩れ落ちた。
「松本さんっっっっっ!!」
稲葉が銃撃を止め、松本の方を向いた時、既に松本は事切れていた…。
「松本さんっ!松本さんっ!返事してください!松本さんっ!!」
稲葉は松本の両肩を持って揺さぶった。しかし、もう二度と松本が口を開く事はなかった。
「松本さん…」
うなだれる稲葉に松岡は素早く近づいていき、背後から腕めがけて拳銃を撃った。

パンッ、パンッ!
「ウガァッ!」

着弾の衝撃と痛みで、稲葉は松本に覆い被さるようにして倒れ込んだ。
「…防弾チョッキ着てても、頭や腕は剥き出しやからなあ」
松岡はニヤリと笑い、そう呟いた。
178[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:12 ID:uEpeh6wN
松岡はふと足元を見た。さっきの時限爆弾が転がっている。
拾い上げてタイマーを見ると、残り時間はあと2分を切っていた。
倒れ込んでいる稲葉に向かって、松岡が問い掛けた。
「さて、と。そろそろ逃げないとな。稲葉浩志さん、貴方はどうします?
 大人しく爆発を待つか、今俺に撃ち殺されるか…どっちがいいでっしゃろ?」
稲葉は激痛が走る腕を使い、松岡の方に向き直り、息も絶え絶えに言った。
「…ほっといて…くれ」
「爆死を選ぶか…痛いで〜、爆死は。俺に頭撃たれた方が楽に死ねるんちゃうん」
「いいんだ…死ぬ覚悟は出来るさ。ただ…これ以上、お前に人殺しになってほしくないだけだ…」
「これ以上って、この後も誰かに会ったら俺は殺りまっせ?」
「お前が殺した人数が一人でも減るなら…俺はその方がいい…」
「この期に及んで優しい気遣いしてるとはねぇ…大したもんやな!」
松岡は稲葉を嘲笑うように言った。
「じゃあ、気遣いついでにアンタの防弾チョッキを譲ってくれへんか?そんなの着てたら爆死は無理なんちゃう?」
「ああ…もう必要ないから…勝手にしてくれ…」
稲葉は吐き捨てるように呟いた。
179[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:13 ID:uEpeh6wN
松岡は稲葉が武器を持っていないことを確認すると、稲葉の上体を起こして防弾チョッキを剥ぎ取った。
「おおきに、すんません。ほんなら達者で!!」
松岡はそう言うと、稲葉の額に拳銃をあてがって撃った。

パンッ!

(な…何で…)
稲葉は意識が飛ぶ瞬間、そう思った。
「殺した人数が一人でも減るなら、か…余計なお世話や!」
松岡は無表情で、もう意識がない稲葉に向かってそう吐き捨てるように言った。
『…あと30秒で爆発するぞ、コノヤロー!』
時限爆弾から、陽水の声が響いた。
松岡はサッと荷物をまとめて脱出の準備を整えた。
「あ、そうそう。松本さん、忘れ物だよ」
そう言うと松本の屍に向かってB’zタオルを放り投げた。
『あと20秒で爆発するぞ、コノヤロー!』
その声を聞いて、松岡は荷物を抱え、ダッシュで店を後にした。
遠くへ…とにかく爆撃に巻き込まれないように、遠くへ…。
そして陽水の声が、最後のカウントダウンを始めた。
『あと10秒…それでは皆さん、ご唱和ください。いくぞーっ!サーン、ニーッ、イーチ、ゼロッ…』

ドンッ!ドカーンッ!ドドドドドッ…ガラガラガラ…

豪快な爆音と共にホビーショップは吹き飛んだ。松本と稲葉の屍と共に…。
180名無し:01/12/19 23:18 ID:IqTegJJW
ま、松岡さんが・・・怖い・・・
181名無し:01/12/19 23:24 ID:pt3YGg7D
コワイヨー(´Д`;)
182おいおい:01/12/19 23:26 ID:Dhtzdte1
何これ?

オチつけようないじゃん  スレね
183名無しのエリ−:01/12/20 09:27 ID:VHtRKTU7
松岡、ヤバいです。こいつ、誰に殺されるんだろう・・・。
びーず、敗北か・・・。
184名無しのエリー:01/12/20 19:10 ID:0Cz/kEAG
さすが松岡。
唯一、1位とれそうだったALIVEがBzのベストにしてやられたからなぁ
185:01/12/20 19:14 ID:8QOg2ofV
ぜひ遠藤ミチロウ辺りもいれてほしい
186名無しのエリー:01/12/20 19:41 ID:ZQU+01S2
桜井VS松岡 の予感。
布袋、氷室はどうなるんだろう・・
187名無しのエリー:01/12/20 21:43 ID:XWMkT3qt
早く続きが見たい(読みたい)〜
188名無しのエリー:01/12/20 22:27 ID:JDkmhtfB
松岡VS桜井・・・血みどろ合戦だろうか・・・。
松岡はhydeと仲がいいが、やっぱり非暴力派の彼にも
銃を向けるんだろうか。

松岡のイメージが何だか凄くなってきたよー怖いよー
飛鳥涼は生きていた。
不幸中の幸いというべきか、つんくがスープに混ぜたタバコの量は死に至る程のものではなかった。
さすがのつんくもタバコの致死量まではよく分からなかった。
あの男がこのゲームにおいて2度目の失敗だった。
ふらつく足元を気にしながら武器として支給された「他の参加者の位置を感知できるレーダー」を持って図書館の外に出た。
「このままあの部屋にいても、いずれは他の参加者に見つかっちまう…。」
幸い日は暮れて、辺りは暗くなっていた。
「これなら、他の参加者にも見つかりにくいはずだ…。今のうちに…。」
図書館の100メートル南に高校があった。飛鳥はそれを目標に重い足を引きずりながら必死に歩いた…。
…レーダーに反応はない。
「どうやら今日はついてるみたいだな…。めざましテレビの運勢…当たってるな…。これから毎日見よう…。」
一度死の淵まで追い詰められた飛鳥はこんな事を考えられるほど落ち着いていた。
あれから何分経っただろう…。いつもはランニングで20秒もかからない道がどんな地方の巡業先よりも遠く感じた。
学校の校門の壁を何とかの這い上がり、飛鳥は隠れることができそうな場所を探した。
校舎に忍び込み、2階の生物室らしい部屋の前に差し掛かった瞬間、レーダーが反応し始めた。
どうやらこの半径50メートル以内に誰かがいるらしかった。
廊下には人の気配は感じられない…。
飛鳥はゆっくりと生物室のドアに手をかけた。
「ガラガラ……。」
なにかが潜んでいるようには感じられない静寂が漂っていた。
しかし、レーダーの反応はよりいっそう強まった。
「誰か…いるのか…?」
先ほどのつんくとの「闘い」で飛鳥からは恐怖感は無くなっていた。
飛鳥は辺りを見回しながらゆっくりと歩いた。
レーダーの反応は強くなる一方だったが、飛鳥は怖くはなかった。
先ほどまで雲に隠れていた月がようやく顔を出し始め、この薄暗かった部屋を月明かりが照らし始めたその時、
飛鳥は見た。全身を紅く染めてやすらかに眠っているチャゲを……
「ちゃ…チャゲ…。」
飛鳥にとっておない年のチャゲは公私において兄弟のように慕っていた存在だった。
ある意味、自分が死に直面したとき以上の衝撃が身体を駆け巡った。
「チャゲェェーーー!!」
飛鳥はチャゲの身体を泣き叫びながら前後に揺らした。
もう二度とチャゲの目が覚めないことは飛鳥にも分かっていた。
今自分が殺人ゲームに放り込まれた身であることも忘れ、ひたすら泣き叫んだ。
「チャゲは敵じゃねえんだよぉぉ!!!」
飛鳥は自分の手に持っているレーダーにどうしようもない怒りを覚えた。
こういう目的の機械である以上、誰であろうと反応するのは仕方がない。
それは、飛鳥にも分かっていた。
飛鳥はほとんど残されていない力を振り絞り、レーダーを向かい側の棚にぶつけた。
飛鳥はそうせずにはいられなかった。
あれから何分経っただろう?
おそらくそれほど長い時間が過ぎたわけではなさそうだったが、
飛鳥は今までのありすぎた色んな事を頭の中で整理しながらチャゲに話し掛けた…。
今まで話していた時と同じように。
勿論、返事が返ってくることなどはありえなかったが飛鳥は話しつづけた。
「チャゲ、俺のノートパソコン調子…悪いみたいなんだ…。…家帰ったら…見てくれないか…。」
「俺、初めてコンサートやったとき…緊張しまくりだったんだよ…。ヘヘ…。
 でも、チャゲ…落ち着いてて…オレ凄いなあ…と思ったんだ。」
「楽しかったなあ…。チャゲと歌ったの…。ずっと頑張ろうって…約束したよな?」
飛鳥の頭にチャゲとの楽しかった思い出が次々と浮かんでくる。
元々、飛鳥は涙もろいわけではなかったが、この時は自然と涙が溢れて止まらなかった。
「約束…したよな?チャゲ……?」
飛鳥は静かに眠るチャゲを見つめた。
「約束…したじゃないっすか!!…お互い頑張ろうって!!チャゲ…言ったじゃねえか!!」
今まで抑えていた感情が一気に爆発した。
「眼ぇ、開けてくれよ!!もう一回二人して組んで歌いましょうよ!!
 ステージ一緒に立とうよ!!チャゲェェーーー!!眼ぇ開けてくれよぉぉぉ!!」
大声をあげて泣き叫ぶ飛鳥はもうこのゲームのことなんて忘れていた。
チャゲの死を自分の意識に受け入れることで精一杯だった。
「カチャ…」
チャゲに抱きついて泣き叫ぶ飛鳥の後頭部に冷たい感触が触れた…。
「タン」
あっけない音とともに飛鳥の意識は途絶えた。チャゲと同じように。
「…飛鳥さん、生きてたのか。失敗したな。やっぱりタバコ1本じゃ足りなかったか…。」
完璧主義者の男がボソボソと独り言で反省をした。
チャゲと飛鳥の向かい側の棚の下に転がったレーダーははっきりと反応を捕らえていた。
今までずっとこの校舎の屋上に身を潜めていたつんくの反応を。
CHEMISTRYの川畑要は、口答えした時に陽水に思い切り張られた頬をさすりながら
パートナーの堂珍嘉邦と行動を共にしていた。なんでも後発組へのサービスだそうだ。
(しかし二人一組っていきなり襲われたらどうしてくれるんだ…)
川畑は身震いしてそんな考えをかき消した。
それに人格者の堂珍と一緒と言うのは心強い面の方が遥かに大きい。しかし、
「ねぇ、堂珍?」
さっきから堂珍は殆ど喋ってくれない。ずっと何か考えているようだ。
きっと脱出の方法を考えているんだろうと邪魔しないようにしていた。
ちなみに武器は堂珍が和風の短い刃物、いわゆるドスと言うヤツだ。
自分は拳銃、確かロシア製のトカレフと言う銃だろう。
(まいったな…これ確か命中率悪いんだよな……ま、刃物よりマシか…)
そんな考えを巡らせていると、ふと堂珍がこちらを向いた。
「堂珍、今何か良い案浮かんだんだ…!!!?」
聞いた川畑に返ってきた堂珍の答えはドスの切っ先だった。
いきなりの事にドスを腹部に突き立てたまま、川畑は一言も発せず絶命した。

堂珍が川畑の手からトカレフを取ろうとしていた時、急に堂珍の意識は途絶えた。
堂珍の背後には今の一撃で血まみれになった金属バットを持った宇多田ヒカルが立っている。
宇多田はただにっこりと笑うともう一度堂珍にトドメを刺し二人の武器を回収して去って行った。
195[1日目午後6時過ぎ:体育館]:01/12/21 01:39 ID:6OiwwP7C
夕方6時の放送の後、氷室京介と布袋寅泰は体育館にいた。後発組のため勿論両者は首輪をしている。
「布袋さぁ…やっぱりやってるんだなぁ、殺し合い…」
氷室が寂しそうに呟いた。
「みたいだなぁ…氷室……」
答えた布袋はじっと体育館の天井を見つめていた。
布袋の武器は闘魂鎚となどと書かれたピコピコハンマー、
そして氷室は手錠だった。中身を知っていて渡したとしか思えない。
「なぁ、氷室。お前、ここで歌ってみないか?俺がギター持ってきてるし」
突然布袋が提案した。氷室は驚いたが布袋の表情から冗談ではないと理解し問い返した。
「……今からかい?」
「今しかできないだろ?」
そう言いながら立ち上がった布袋はちょっと照れくさそうな表情のまま私物として持参してきたギターを抱えた。
それを見た氷室は仕方なさげに立ち上がったが、その顔にはわずかに笑みが見られた。
二人は体育館の舞台に移動した。
向かい合いながら二人は言葉を交わす。
「もう12年だっけ?解散して。弾けんのかい?」
「この歳じゃ2年も12年も大差ないよ。お前もちゃんとミスらずに歌えよ。」
「そうか?じゃあいってみるか…」
二人にだけ聞こえるドラムが鳴りどちらからともなく曲が始まる。
BOOWYの代表曲が続く。
そして確かに二人の動きは若々しくなかった。
だが二人の目は最もパワフルだった時期の輝きを取り戻していた。
そこには後々のビジュアル系やビーイング系に多大な影響を与えた『BOOWY』が繰り広げられていた。
196[1日目午後6時過ぎ:体育館]:01/12/21 01:39 ID:6OiwwP7C
夕日が完全に沈もうかという頃、二人は息も絶え絶えにステージに寝転んでいた。
少しして先に布袋が呟いた。
「ハァハァ…おたが…お互い……歳喰ったな……」
「本当だ……なぁ…ハァハァ…」
氷室が答えた後しばらく呼吸だけが続く。
濃密過ぎる時間を過ごした二人は疲労困憊だった。だが堪らなく心地いい疲労だった。
そんな二人を祝福でもするかのような拍手が聞こえてくる。幻聴ではない。
拍手の主は窓の外で様子を窺っていた桜井和寿だった。
「いやすごくいい物見せてもらいましたよ。…でも何でここにいるんスか?」

事情を聞いた桜井はややオーバーな位のリアクションを見せた。
「はー、そりゃヒドい!いくらあのヒトらしいっつっても、ねえ!?つうことは後発組はお二人の他に…」
そこまで聞いた所でそれまで殆ど喋らなかった布袋が口を開く。
「情報収集はもうそれくらいでいいか?桜井。」
桜井は完全に図星を突かれた驚きに思わずかなりの動揺を表に出してしまった。
「はっ!?なっな、何言ってんですか!!」
「そんなに驚くな。大体仕草がオーバーになってるのは何か企んでる証拠だからな。それに別に俺達はお前をどうこうする気も無い。」
布袋の言葉に氷室が続けた。
「それと左耳に血がついてるぞ。お前からは見えんかったんだろうがな。」
既に桜井の顔から驚きの表情は消え、吉田拓郎と氷川きよしを殺したときの顔になっていた。
冷徹な殺人鬼の顔に。
197[1日目午後6時過ぎ:体育館]:01/12/21 01:40 ID:6OiwwP7C
桜井の眼光は先刻までと一変し、殺意が感情を塗り潰して行く様がありありと表れていた。
氷室に指摘された耳を触りながら、口元にだけわずかな笑みを浮かべ二人に話し掛ける。
「ったく、まいったなぁ。ま、そこまで分かってるって事は、オレがこれから何するかも分かってんでしょう?
 こんな冷静なヒト初めてですよ…氷川や拓郎さんだってビビりまくってたのになぁ。
 やっぱ解散して一つ吹っ切れた人間は死んだも同然って事なんですかね?」
二人は何も答えない。そして桜井は膝を少し気にしながら立ち上がり、
腰の拳銃を抜いてまず氷室に向けた。当然表情に躊躇(ためら)いの色は無い。
そして引き金にかけた指に力を込めた時、桜井が今までに見た以上に優しい顔で氷室は言った。
「生き残って、残りの人生大事に使えよ?」
桜井の目が大きく見開かれるのと銃声が響くのはほぼ同時だった。
続けて、かすかに震えながら桜井は布袋に銃口を向ける。
布袋も氷室の方を全く見ずにその大きな顔に負けない大きな笑みを桜井に向けた。
「色々言うヤツはいるかも知れんが、お前は音楽界の未来を担ってるんだからな。」
再び銃声が鳴り、体育館中に大きく反響した。

桜井は震えていた。二人への尊敬の念が、ゲームが始まった時捨てたと思っていた今までの多くの思いが
一気に頭の中に流れ込み、大粒の涙をこぼしていた。
膝がガクガクする。今にも地面に膝をついてしまいそうになる。しかし堪えた。
ここで膝をつくともう誰も殺せなくなる気がしたから。
数分後、シャツの胸をきつく握り締め息を落ち着かせた桜井は、
もう二人の姿を見ることもなく体育館の扉へ向かった。
二人の男たちの最後で最期の想いが残るこの場所に思い出を置き去り、桜井は戦場へと帰っていった。
198名無しのエリー:01/12/21 01:42 ID:6OiwwP7C
age
199名無しのエリー:01/12/21 01:57 ID:73mm6IMb
女性が少ないのがちょっと寂しいかなー。
プロレスからのコピペじゃ無理もないけど。
竹内まりや山下達郎夫妻とかいたらバリエーションあってよくない?
ユーミンと中島みゆきの対決とか…。
あくまで希望なんでよろしく。
楽しみにしてますよー。      
200名無し:01/12/21 09:18 ID:t1g8gFjK
死亡確認参加者:矢沢永吉 テル 宮本浩次 中居正広 吉田拓郎
           平井堅 氷川きよし 矢井田瞳
           浜崎あゆみ 国分太一(非参加) 真矢 三木道三
           河村隆一 稲葉浩志 松本孝弘 チャゲ 飛鳥涼
           川畑要 堂珍嘉邦 氷室京介 布袋寅泰

結構死んでるね〜
個人的には手負いの吉井が気になります。
201名無しのエリー:01/12/21 13:12 ID:JO4oQgt4
めざましテレビの運勢占い・・・
「ボン」
屋上から街を見渡していたつんくは少々驚いた。
「マジかよ。爆弾か…?こっちは銃だぜ。話にならねえよ。」
約1キロほど先に見えるホビーショップが一瞬にして松本孝弘と稲葉浩志の屍とともに消え去った。
「松岡充の奴はヤベえな。今、会っちゃあマズいな。」
つんくは見ていた。爆発する前の店から松岡が出てくるところを。
もともと要注意人物の中に挙げていた松岡だったが、まさか本当にやってしまっているとは…。
「ま、オレも人の事は言えないけどね…。」
つんくは先ほど飛鳥を撃った時の感触を思い出していた。
「あー、早くこんなトコ脱出して俺のオンナ共に会いてえなあ。」
つんくに罪悪感はなかった。出発の時点で割り切っていた。「殺しも仕方ない」と。
「それにしても誰も出歩いてないな。」
金網際からつんくは街を見渡した。
この日、ここからつんくが見た人間は先ほどの松岡と、自分自身で始末した飛鳥だけだった。
「ったく、もっと動いてもらわねえと早く終わんないじゃん。」
つんくは漁夫の利を狙っていた。
自分を除いた最後の2人が闘いあった後、残ったほうを殺って自分が優勝しようと考えていた。
「あ〜、ムラムラすんなあ。後藤か辻か呼び出してしゃぶらせようかなぁ。」
食欲はなんとか抑えられても、性欲を我慢することはできなかった。
また、自慰だけで満足ができるような男でもなかった。
「こっちから出向いて2・3人殺ってこようかな?」
このままこんな状況が何日も続いてはたまらん。そう思ったつんくがゆっくりと振り返ったその時。
いたのだ…そこに…あの男が。
そう、このゲームのA級戦犯とも言える松岡充が。
「マジかよ…。」
つんくは軽く舌打ちをした後、こう言い放った。
「久しぶりですね。つんくさん。」
ニヤリと笑う松岡がこわばった表情のつんくを楽しんでいるかのように話す。
「あなた、暑くないんすか?こんなとこにいて。」
絶対に心配などしてくれているわけがない。
(なにか隠してるのか?)
見た限りでは手に持っているのはジュースの缶だけだった。
(まさか爆弾じゃねえよな。)
先ほどの爆発のことでつんくは松岡の武器は爆弾なのでは?と考えていた。
「松岡だろ?さっきあのホビーショップやったの。」
つんくは既にやる気だった。
この男がただの話し合いだけで終わらせるはずがないことを分かっていたから。
「ん、バレてました?B’zの松本さんと稲葉さんですよ。良かったッスね。女の取り分増えたじゃないすか。」
松岡は淡々と話した。余裕の笑みを浮かべながら。
205 :01/12/21 13:45 ID:HVOOxhk0
布袋と氷室・・・カコイイ・・・
(やっぱり…。)
つんくは後ろに持っていた銃の引き金に手をかけた。
「実は、オレも今さっき飛鳥さんをやったばっかりなんだよ。」
 そんでその隣でチャゲさんが死んでたんだけどそれもやっぱりお前の仕業か?」
「……いえ……チャゲさんは俺じゃないッスよ。誰か他にやる気になってる人が犯人じゃないすか?」
「………ウソつくんじゃねえ……どうせあれもお前なんだろ!!!!」
つんくは松岡の胸を目掛けて3発、丁寧に銃弾を放った。
松岡の身体が衝撃に大きく揺れ、およそ3メートル後ろに吹き飛ばされた。
「案外あっけないモンだ…。ま、こいつも人間だからな。」
つんくが星が散りばめられた夜空にむかって大きく息をついた。
「おっと、武器貰っとかなきゃな。」
つんくが空からゆっくりと視線を下ろした瞬間、意識は途絶えた。
「甘いね。やっぱり賢くないわ、あんた。ま、射撃の腕だけは認めてあげますわ。」
松岡が頭を真紅に染め倒れたつんくの掌から銃をもぎ取り、こう囁いた。
「これ飲みいや。学校の水道水…マズいやろ?」
冷たい表情の松岡は再び歩き出した。
207[1日目午後10時過ぎ:路地裏]:01/12/21 13:48 ID:pABLrNO6
田代まさしは寝巻き姿で今にも泣き出しそうだった。
(何でこんな事に…留置所で寝てただけじゃないかよぉ…)

警察の車で移動した先はこのゲームの本部が置かれている日本武道館だった。
井上陽水はサングラスを光らせつつ、動揺する田代に向かってこういう感じで話しかける。

―――おい、俺には国家権力がついている!俺はお前を救ってやろうと考えてるんだが……。
   先日お前がしでかした行為を国家間の裏工作で全て無効にしてやろう!
   もちろんマスコミからも今回の逮捕は何もかも誤りだったと報道させてやる!
   安心しろ、地位も名誉も全てを取り戻させてやる!!たった一つだけの条件をのんでくれたらな…!

これに田代はどんな条件にでも応えますと答えた。すると放り出された先がこの戦場だったのだ。
最初から田代に選択権などなかったようだ。
もともとこの男を参加させたこと事態が井上陽水の気まぐれだったのだから。
208[1日目午後10時過ぎ:路地裏]:01/12/21 13:48 ID:pABLrNO6
同行者のハズの稲垣吾郎は「信用できねぇ」と何処かへ行ってしまった。なんて肝っ玉の小さいヤツだ!
手に持つ武器が只のダーツ(的付き)だったことが余計に田代を不安にさせた。
(相手は銃やナイフを持ってるかもしれないんだぞ?勝てるわけ無いじゃないか!!あのアゴ野郎…)
こんな状態も田代に陽水を批判させた。いささかヒネリは足りないが。

田代は誰にも会わないように路地裏で息を潜めていたが、睡眠不足と精神的疲労で眠ってしまった。
意外と神経は図太いのかも知れない。しかしそこから短い悪夢は始まった。
30分位経っただろうか、右腕のあまりの激痛に眠りの世界から引きずり起こされた。
右腕には矢が貫通していた。そしてその先5メートル程向こうに、右目が潰れ
鬼の形相をしたいかつい体格の背広を着た男が立っていた。ボウガンを構えて。
「!!……あ、あんた、えっと……吉井…吉井さんだっけ!?」
返事も返さず吉井和哉はもう一本矢をつがえ躊躇なく放つ。矢は田代の右腿に突き立った。
痛みに悶える田代の元に近づいてきた吉井はようやく口を開いた。
「こんな所で何してる?」
順序が滅茶苦茶である。しかし桑田との一戦で恨みに狂っている吉井は
正気と言える状態でなくなってしまっていた。そうとも知らず健気に必死で返事する田代。
「よ、陽水さんがいきなりっ…!」
「参加させられたワケか?」
「は、はいっはいっ…だから助けてっ!…」
田代は思い切り顔面を蹴り飛ばされ、今度は左足から矢が生えた。
「っ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
「クックックックッ…かわいそうになぁ…せめてたーっぷり苦しめてから
 殺してやるからな……恨むんなら陽水のアゴ野郎を恨めよ?」
吉井は笑いながら悪魔のような言葉を吐いた。
そして左腕に矢が通り、田代の悪夢はまだまだ続くことになる……
209:01/12/21 13:58 ID:pABLrNO6
とりあえず年末年始で色々あるし、読んでくれてる方々もオチオチ読むヒマがなかったりすると思うんで
今年レスる分は24日か25日までにしときます。
ご意見くれた人、どうもです。
その他にすぐ死んでもいいなら「こいつも出せYO!」ってな感じで追加者を提案してみてください。
期待に応えられるとは限らないですけど。。。
210名無しのエリー:01/12/21 14:53 ID:X63hiIgK
>>1
松岡が強いのってソフィアのファンなんすか?(ワラ
211名無しのエリー:01/12/21 14:56 ID:CVyCLnH/
チャゲ・・いつ死んでん(w
212名無しのエリー:01/12/21 15:20 ID:JO4oQgt4
>210
でも、つんくより松岡が生き残る方がおもろいし。
213名無し:01/12/21 15:57 ID:nQUG0c9x
>>212
禿同!私もそっちの方が良い!
つんくには早く逝って欲しかったから・・・。
214 たくろー:01/12/21 21:41 ID:Tb7h6RDc
/´⌒`v´ ̄ ̄`⌒\
      /;;;;;!!ijl|;;| ;!!ijl| ;;!!ijl|;;ヽ
      /;;;;;!!ijl|;;;;|;;; ;;;;;!!ijl|;;; ;;;;ヽ
     /;;!!ijl|;;;;;;;丿|;;;;;; !!ijl|;;;;;!!ijl;;ヽ
     /;;;;;!!ijl|;;;/  |;;;!!ijl|;;;;;;;!!ijl|;;!!ijlヽ
    /;;;;;!!ijl|;;/_ ヽ;;;;;!!ijl|;;;;;;;!!ijl|jl|;ヾ
    /;;;;;!!ijl|;;/'_ \ ヽ;;;;;!!ijl|;;;;;;;!!ijl|;;!!ゝ
   /;;;;;!!ijl|;;/<●>   Vヽ、;;;;;!!ijl|;;;;;;;!!iヽ>
  丿;;;;;!!ijl|;;|  ̄/ / |  \;!!ijl|;|;;;;ijl|;;~
  丿;;;;;!!ijl|;;l|  ̄  |  |     |;;;;!!ijl|;;ヽゝ      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 〜ノ( |!ijl|;|   / /  | \   |;;;;;!!ijl|;;!jl|;;ゞ     |
   ノノ;;;! |l    'ー、,‐`   /;;;;;!!ijl|;;;ijl|;ゝ    < うるせー馬鹿!!
     |;|;||   ー―^v^ー、_ |;;;;;!!ijl|;;/       |
     |l;jl|\  \ ̄ ̄丿 /;;;;;!!ijl|;;ゝ        \_________
     |;;!!ijl|;;\  `ー‐´ /;;;!!ijl|;;| ̄
    丿;;;!!ijl|;;jl|\     /;;;;;!!ijl|;;ゝ
     ̄丿;;;;;!!ijl|;;|\___/|;;;;;!!ijl|;;ゞ
      V))v((v;|     |))V))Vゞ
215:01/12/22 00:31 ID:geCXWktY
>>210
ちゃうッス。キャスティングしてたらそうなってもうたんです。
松岡の元ネタのキャラは実はもっと殺ってるんですけど
登場率とかのバランスを考えて、松岡の分を減らしたんです。これでも。
話全体の流れ的なつじつまを合わせるために元のより1割〜2割ぐらい操作してます。
216Nana:01/12/22 01:43 ID:VSHHTqJs
ソフィアファンだから楽しい
217名無しのエリー:01/12/22 03:21 ID:J96JT4Yz
チャゲアスファンだから悲しい
チャゲ殺した奴の回想シーンにカコヨク再出演きぼん!
218名無し募集中。。。:01/12/22 04:03 ID:9Z0EZOcC
CHAGE&ASKAは後日NOT AT ALLとして蘇る
219名無し:01/12/22 11:31 ID:NhX3gADq
age
220名無し@:01/12/22 11:34 ID:NhX3gADq
B'Zファンなので死んで哀しかったけど、
最後まで仲良しでよかった。

松岡VS西川をキボーン。
仲悪いんだよねこの2人。
221Nana:01/12/22 11:36 ID:xw89KVTu
松岡カコイイ!!
最後まで生き残って欲しいな〜
登場人物として、ゆずの二人きぼー!
222 :01/12/22 14:57 ID:tJJ2AvG6
ヒロトとか出してほしいけどキャラ設定が不可能だな・・・
平和主義でも殺人鬼でも違和感ありまくり。

YUKIとかはどうよ?
CHARAとの休戦協定、しかし二人とも心の中には秘めた殺意が。
果たして先に裏切るのはどちらか!?
ダンナも出してくれるとさらに良。
223名無しのエリー:01/12/22 14:59 ID:CTNGtUEV
てか、それよりも前に出て来た奴で
今消息が分からない者の安否が気になる・・・

はよ続き書いて。
Gacktは走っていた。恐怖のあまり目に涙を溜め、鼻水を垂らし、歯を食いしばりながら。
見てしまったのだ。彼が最も見たくなかったものを。
隠れ場所が立ち入り禁止区域に指定され、仕方なく入り込んだ路地裏にそれはあった。
月明かりに照らされたあまりに無残に変わり果てた田代まさしの姿だった。
両腕両足に各々10本程、アクセサリーと言うにはあまりにも無理のあるボウガンの矢が、
激しく自己主張するかのように突き立っていた。さらに前歯が何本も折られており口からも大量に出血している。
そして何よりこんな無残な姿にもかかわらず田代がまだ生きている事がGacktに大きな衝撃を与えた。
もう手遅れではあったが。
「…ころして……ころして…ころして……」
田代はその言葉だけを流す壊れたテープレコーダーのようになっていた。
銃声は聞こえても、放送で死亡者を挙げられても心の何処かで信じていたのに。人が人を殺す訳が無いと。
だがコメディアンでもある田代の身体は、皮肉にも自身の言葉以上の説得力でGacktに現実を見せつけた。
Gacktは逃げ出した。田代を助けることも周りも気にすることもせず一心不乱に。
早くそこから少しでも遠くへ行きたかった。
今、Gacktは不動産業者の事務所にいる。散々逃げ回り疲れきったせいで逆に多少冷静になり、
追跡者を恐れてここに逃げ込んだのだった。
Gacktは後悔していた。恐怖に我を忘れ走り回った事は自分にとって大きすぎるマイナスだった。
(せめて夜明けまで誰も来ないでくれ!!神様、お願いします!!!!)
そんなGacktを嘲笑うかのように事務所のドアがゆっくりと開かれる。
恐れおののくGacktには、それがさらにゆっくりに見えた。そしてドアが音を立てず閉じられた。
姿勢を低くして侵入してきたらしく、机の陰に隠れ誰が入って来たのか見ることも出来ない。
もうGacktの心臓は張り裂けそうだった。いっそのこと殺されてしまおうかなどと考えてしまう。
「おい、おいGackt!いるんだろ?」
突然かけられた声に驚き、Gacktは悲鳴を上げそうになってしまった。
「オレは敵じゃないって!」
いつもの口癖が聞こえた。声の主は元XJAPANのYOSHIKIだった。
YOSHIKIはGacktを追いかけていた。ある目的にGacktを誘うためだった。
いささか早計とも思えたが、さっき見かけたGacktの必死に走る様から少なくとも
積極的に殺し合いに参加しているようには見えなかった。だからこそ誘おうと思ったのだ。
(だが冷静な状況判断が出来る状態でも無さそうだ。)
そう考え、用心して姿勢を下げ、Gacktが入っていった事務所に踏み込んだ。
やはりGacktは見当たらない。仕方なく思い切って呼びかけた。
「おい、おいGackt!いるんだろ?…オレは敵じゃないって!」
奥の方から微かに物音が聞こえた。だが出てこない。
仕方なく、もしも事態の為に銃を懐から取り出した。
銃はニューナンブ、日本の警察官に配備される銃だが性能は良くない。
しかもこの銃には厄介な事情もあった。
銃を構えもう一度声をかける。
「Gackt、オレは何もしないって!出てきてくれよ!」
少し沈黙が続いた後震え上がった声が返ってきた。
「て、てて敵じゃないんなら出てってくれよ!…もういやなんだよぉ……」
「お前も死にたかないんだろ?だったら出て来いって!一緒に助かるんだよ!」
「い、嫌だ!信用できない!!どっかに行ってくれ!!」
(クソッ、埒(らち)があかない。)
YOSHIKIは仕方なくGacktと接触することにした。危険だが今までGacktが攻撃してこなかった事に賭けて。
さっきまで声が聞こえていた方に移動しようとした時、いきなり目の前にGacktがいた。
不意を突かれGacktに銃を向けた時、GacktもYOSHIKIに銃を向けていた。
「…ビビってたワリには随分やる気だな?まさかそっちから来るとは思わなかったよ。」
少しの沈黙の後、YOSHIKIは皮肉を込めて言った。
「ち、ちが違う!こ、こっちにいるなんて…」
セミオートのベレッタをYOSHIKIに向けながら、半泣きのGacktは必死で否定した。
さっきから、もう敬語を使うことも忘れている。
(失敗したな……じっとしてると思ったんだが…)
一見この状況は五分なのだが、YOSHIKIにとってはそうではなかった。
何故ならYOSHIKIの銃は『撃てない』からだ。
YOSHIKIはもう覚悟を決めていた。Gacktの様子からして、今にも緊張に耐え切れず発砲するだろう。
それ程Gacktは怯えきっていた。
(hyde、IZAM、スマン。Gacktも助けてやりたかったんだが…まさかこっちがやられるとはな……)
また沈黙が続いた。Gacktはずっと震えている。今なら銃を取り上げられそうな気さえする。
だが迂闊に動けばそれが発砲の引き金にもなりかねない。YOSHIKIは仕方なくもう一度説得を試みた。
「撃つんなら早く撃て。無理ならさっさと銃を下ろせ。オレは撃ちたくないんだって!」
YOSHIKIに強く言われ、目に溜まっていた涙をこぼしながら、Gacktは身体をよりいっそう震わせ叫んだ。
「もういいよ!撃つんなら撃てよ!!オレのは『何とかシステム』のせいで弾が無ぇんだよぉ!!!」
どうやらYOSHIKIを全く信じていないらしい。その台詞を聞いたYOSHIKIは思わず大笑いした。
そして呆気にとられているGacktに、手にしたニューナンブを放り投げて言った。
「引き金動かねぇだろ?オレも撃てねぇんだって。それニセモノだから。」
まださっきまでのショックを引きずっているGacktを連れて、
YOSHIKIは隠れ場所の運送業者の倉庫に戻って来た。そこにはhydeとIZAMがいた。
これでビジュアル系が4人揃ったわけだ。hydeが話し掛けてくる。
「あ、お帰りなさいYOSHIKIさん。Gackt見つけたんですか?」
「まぁ色々あったけどな、あっはっはっはっ。」
明るく答えるYOSHIKIを見てGacktは申し訳無さそうにうつむいた。
YOSHIKIはそれを見て元気付けるようにGacktの肩を叩いた。
「気にすんなって。あの状況じゃしょうがないって。それよりお前さっき何か見たんじゃないのか?」
外に気付かれないようカーテンに暗幕を貼り付け白熱灯に照らされた倉庫の中で、
3人はGacktの話を聞いた。聞き終わった後、まずIZAMが口を開いた。
「Gacktくん、本当に田代まさしだったのか?見間違いじゃないのか?」
「たぶん…ですけど自信は…」
Gacktの声を遮り、ゲームの参加者全員が聞き慣れた音楽が聞こえてきた。
『少年時代』だ。時間は深夜12時。どうやら定期放送のようだった。
陽水は事も無げに続けた。
『ともかく、えーもう多くのヤツが気付いてるとは思うが、
 今回は参加者リストにもれていた現役歌手、あと特別に世間に迷惑をかけた元歌手なんかにも
 何人か途中参加してもらった。が、あーもう殆ど死んじまってるな。え、なに?田代が今死んだ?
 いやーみんな良く頑張ってるぞ!参加人数が過去最大なんで正直ちょっと心配だったんだがな。
 今のペースを維持して是非!これからも頑張ってくれ。
 では恒例の脱落者の発表を行う、が多いな今回は。じゃあ、いくぞーっ!!、CHAGE&ASKAのふたりーッ、
 つんくーッ、三木道三ーッ、河村隆一ーッ…あー疲れた。民生、ちょっと代われ。』
陽水の態度はどこまでも参加者を馬鹿にしている。代わりに奥田民生が放送を続けた。
『えー続けて、松本孝弘、稲葉浩志のB’zの二人。そして今日一日の途中参加での脱落者。
 CHEMISTRYの二人、氷室京介、布袋寅泰、田代まさし。以上です。』そして再び声が陽水に変わった。
『さっきも言ったがみんな本当によく殺ってるな!このままなら3日目になる前に終りかねん位だ。
 出来れば最終日まで頑張って欲しいんだがな。まぁそこまで贅沢言わんから頑張ってくれ!!
 では2日目もみんなの活躍を祈ってるぞーーー!!!』
…今まででも最悪の放送が終わった。
沈黙。死亡した人物とその数の余りの多さに4人ともしばらく何もすることが出来なかった。
230名無しのエリー:01/12/22 18:02 ID:MP0Y58ds
チャゲを殺したのは結局誰なの?
231名無しのエリー:01/12/22 18:45 ID:wgfpanmX
>>230
俺。
232名無しのエリー:01/12/22 21:27 ID:wBlVEQoG
ミスチル&ソフィアヲタの折れとしてはこのスレおもしろすぎ。
ってか最初に靴箱に手榴弾仕掛けたの誰なんだ?
冴々とした月が、見慣れた筈のこの街を別世界の様に照らし出す。
人々の生活音を失った不自然な静寂の中、引き摺るような自分の足音だけが、誰も居ない路上で虚ろに響いている。

然して宛もなく彷徨っていた。
負傷した右眼が疼いて、じっとして居られないのもあったが、それよりも沸き上がる怒りの方が手に負えなかった。
―――何故、俺がこんな目に合わなければならないんだ?
最初はその疑問だけがグルグルと頭の中で渦巻いていた。
しかし、見慣れた連中の無惨な姿を見る度に、まだ始まったばかりのこの悪夢が確かに現実のもので、
自分の末路を否が応にも考えさせる内に…疑問は怒りに変わった。
自分が捨て駒の一つでしかない事は明白だ。それは現在までの会社からの扱いで知れている。
適当な位置で妥協してしまった自分も悪いのだが、相応の働きはしてきたつもりだ。
だが今回は生死が掛かっている。数年に一度、別人のような働き振りを見せると定評があったが、
現在こそ正にその時だと確信し、この殺人ゲームに乗る事を決めた。
決めたのはいいが…まだ、誰も完全には仕留めていない。

最初にバーで襲撃した二人組。一人には重傷を負わせる事に成功したが、もう一人に右眼を潰された。
激痛と激怒に苛まれながら次の獲物を探している時に見付けた、裏路地で無防備に眠り転ける男。
男は全くの無抵抗で、理不尽に嬲り続ける自分に向かって、ヒィヒィと泣き喚きながら
「助けてくれ、許してくれ」と懇願し続けたが10分もすると「殺してくれ」と言い始めたので、
そのまま留めも刺さずに放り出して来た。
昂る激情は鎮まる処か、逆に沸点を越えて精神すら蝕んでいく。

独特のアクセントを持つ言葉は、普段なら抑制出来た不満を呪詛の様に紡いでいた。
「どいつもこいつも人の事、馬鹿にしやがって…」
嘲笑と紙一重で皆に言われ続けた沢山の言葉を一つ一つ思い出す。
「俺には俺のペースがあるんだ…」
自分の事をとやかく言い続けた奴らの顏が浮かぶ。
「煙草止めろだのボイトレしろだの、存在自体が地味なんだからメイクとコスチューム位は派手にしろだの…」

特に宛も無かったので、誰か人を探してみる気になった。探し当てた処で、どうしたいのかは判らない。
鬱積した不満を打ち撒き、そいつを狩るのも悪く無い。
逆に利用するだけ利用して、最後に俺が美味しい所を持っていくのも良い。
理由はどうであれ、こんな状況でも誰かに逢いたいと思える自分が嬉しかった。
―――とにかく探してみよう。どうするかは逢ってから決めればいい。
ふと周囲を見渡せば、奴が行きつけだと言っていたホビーショップの近くだった。
いろんな物が調達できる。誰かショップに足を運んだ可能性は高い。
「…行ってみるか」
鉛の様に重かった足が、急に軽くなる。
念の為、手に持ったボウガンと残り少なくなった矢を点検し、道程を急ぎ始めた。
残された左眼に映る光景に、只、呆然と立ち尽くす。
完全に崩壊した建物。崩落した事に因って隣接家屋への延焼は最小限に留まっていたが
ホビーショップ…だった瓦礫の山は、所々燻り続けている。
しかし、視線を捉えているのは別の物だった。

月明かりの下、河村隆一の亡骸が路上に転がっている。
すっかり血の気の失せた顔。最後まで相手を睨み付けていたであろう瞳が、今は虚ろに月を見上げている。

撃ち抜かれた右膝と左大腿部。
先ず動きを封じるのが闘いの常套手段ではあるが、生死を掛けたこの闘いに於いては残酷以外の何物でもない。
更に胸・腹部に散らばる銃痕…恐らく近距離から左胸に撃ち込まれたであろう弾丸が、生命を奪った事は明白だ。
他の銃創が絶命前後どちらのものか素人目に判断は出来ないが、御丁寧な仕事振りである事に違いは無い。
「…一体、誰が……」
当然のように武器も奪われている。周囲にもデイパックの中にも、それらしき物は見当たらない。
次の獲物を仕留めにホビーショップに向かったのだろう。
爆風で飛散したショーウィンドウの破片が、亡骸の上にも降り注いでいる。
「……」
自分の他にもゲームに乗った奴がいるのは間違いない。
しかもそれは完璧に近い仕事をこなす、このゲームの大本命だろう。
対抗馬どころか大穴にすらなれないであろう自分とは根本から違う。
生命を脅かす新たな恐怖が、背筋を這い上がった。
悪夢のような現実…否、やはりこれは悪夢なのかもしれない。
夢ならば何時かは覚めるだろうし、覚めるまでは何でも有りだ。
夢は日頃の鬱積した欲求や願望を、無意識が表現するという。
ならば自分は欲望のままに突き進めば良いだけだ。

プログラム開始以降、我が身に降り掛かった厄災を嘆きつつも疑問を捨て去り、
理不尽な立場に追い込まれた怒りを原動力に変え、一日目を乗り切ろうとしていた。
しかし本来、無益な争いを好まない性質である。再び沸き上がった疑問と憤怒、耐え難い激痛に苛まれ、
更に再確認した新たな恐怖が加わることに因って、いよいよ追い詰められた精神がギリギリと限界まで引き絞られた挙句、
遂に悲鳴を上げる暇もなくブツリと切れた。

「寝てんじゃねーよ、アァ?!」
縺れた長髪を鷲掴んで頭を持ち上げ、 膝で小突きながら、声を荒げる。
「まだ始まったばっかだろ!」
死に体と見せ掛けて、油断させようとしているのかもしれない。
「今度は俺が、狩ってやっからよ!」
躍動を失った胸板を蹴り付ける。掴んでいた髪がブチブチと千切れる感触に、思わず手を放す。
「……」
指先に絡まった長い髪を振払い、夜空を見上げる。
夏だというのに寒気がした。きっと月の光が冷気に似ている所為だ。
身体が震えるのは、武者震いだろう。心が空虚なのは…所詮、夢だからだ。

眼前に転がるのは只の肉塊だ。胸を踏み付けると、口腔内からドロリと赤黒い液体が溢れた。
ククッ、と咽喉を鳴らすような笑いが込み上げる。
これは夢、何時かは目覚め、何時かは終わる時が来る。
遠慮はいらないだろう。起きたら何も憶えて無い…それが悪夢というものだ。

―――歪んだ微笑を張り付け、狂った心で獲物を求め、再び吉井和哉は彷徨い始めた。
238一日目終了!!:01/12/22 21:48 ID:1LFGMK9d
現在(一日目終了時)の状況

首謀者:井上陽水 側近:奥田民生
登場中参加者:[非暴力派]スガシカオ hyde 桑田佳祐 トータス松本 aiko Gackt YOSHIKI(X-JAPAN) IZAM
          [武闘派]アキヒト(ポルノグラフィティー) 桜井和寿 松岡充 宇多田ヒカル 吉井和哉
[どっち派?]キンキキッズ 稲垣吾郎
死亡確認参加者:矢沢永吉 テル 宮本浩次 中居正広 吉田拓郎 平井堅 氷川きよし 矢井田瞳
           浜崎あゆみ 国分太一(非参加) 真矢 三木道三 河村隆一 B’z CHAGE&ASKA CHEMISTRY
           氷室京介 布袋寅泰 つんく 田代まさし
239:01/12/22 21:50 ID:1LFGMK9d
>>230
誰かは後でわかります

>>232
それは元ネタの方でも謎のままなんです
240名無しのケリー:01/12/22 21:50 ID:kqcCc0OB
これって勝手に参加していいの?
241名無しのエリー:01/12/22 22:01 ID:FbQ09V5u
>240
さすがにやめたほうがいいと思うよ。混乱するし。
242:01/12/22 22:03 ID:1LFGMK9d
>>240

書いてる(貼ってる)のは僕だけですし、今後のメドがありますんでそれはカンベン
243名無しのケリー:01/12/22 22:05 ID:kqcCc0OB
>1分かりました。お騒がせしてすいません。
244名無しのマリー:01/12/22 23:04 ID:Ov+IbqNc
吉井を止める
イエモンメンバー
登場きぼん
245名無し:01/12/22 23:05 ID:oYV7DCCc
松岡さんの今後が知りたい・・・
246名無しのケリー:01/12/22 23:10 ID:xw89KVTu
hydeってどうなったの?
あとスガシカオは?
247名無しのエリー:01/12/22 23:24 ID:G8RDqRnd
桑田対長渕がみたい
248名無しのエリー:01/12/22 23:30 ID:H3CkG2IV
249名無しのジュリー:01/12/22 23:32 ID:RCl73ttR
小沢健二もキボン。
セルフカバー『今夜はブギーバック/あの大きな心』MXで流れてるが、
すっごくエロく、ムーディーな大人になって戻ってきてる。
是非ともクールな武闘派で。
250ななし:01/12/23 04:00 ID:iMzzTXH1
>1
氷室と布袋、カコイイ!
毎晩、メチャ楽しみにしてます。がんばって!
倉持夫妻の登場きぼーん。
251名無しのエリー:01/12/23 04:07 ID:ixCI2IvA
清春登場予定とのことなので、登場キャラと清春との相関図?を

<嫌いな人> 基本的に他の邦楽アーティスト
<特に嫌いな人> 松岡 IZAM
<昔は仲良しだった人> 吉井 hyde
<一応仲良しな人> 宇多田 TM西川 YOSHIKI

清春、松岡充とはキャラ(顔?)が被っている為かかなり嫌っております。
松岡もまんざらでもなさそうだし、もし会えば一触即発!?ぜひ対決を。
252名無しのエリー:01/12/23 09:34 ID:bFxE7Hyc
清春と松岡って仲いいんじゃないの?
嫌ってるの?
松岡は清春のこと好きみたいだよ?
253名無しのエリー:01/12/23 10:18 ID:BPc/5rrx
全部のアーティストのキャラクターと相関図を細かく把握だから
1人が全部を書くには限界があると思うし
細かい事突っ込んだりしたらキリなくない?
254名無しのエリー:01/12/23 10:30 ID:vEGM0Bjy
>251
清春とhydeは昔仲良しだったけど、一度縁切れたんだっけ?
でも仲直りしたんじゃないの?
だってライブに花来てたよ。
255[二日目午前0時過ぎ]:01/12/23 13:56 ID:fIJCU9md
稲垣吾郎は今高校に来ている。チャゲと飛鳥が眠るあの高校だった。
稲垣はその冷静に物事を判断しそうな雰囲気に似合わず、もう心底まで震え上がっていた。
だがそれも仕方が無いと言えるのかも知れない。何故なら彼の雰囲気は生来の小心さを
隠すために創り上げられた鎧と言える物だったからだ。
加えて彼には運が無かった。最初はこの「プログラム」の対象者では無かったにも拘わらず、
陽水の突発的な思い付きに巻き込まれた。そして組まされたのが田代まさしだった。
おまけに武器は銃だと喜んだがマガジンが付けられないではないか!
つまり魔の『とっかえだまシステム』にまで大当たりしてしまったのだ。
さらに宮本浩次に中居正広、そして街を歩けば平井堅、氷川きよし、真矢、河村隆一、浜崎あゆみ
トドメにここでチャゲ、飛鳥と最も多くの死体を見てしまっていた。
正直気も狂わんばかりであったが、生への執着がギリギリ神経を保たせていた。

その細りきった精神を振り絞って彼はこの高校に隠れることにしたのだった。
(死体を見れば普通こんなところにいたいと思わないだろう。)
しかし校舎内はもう嫌だった。そこで妥協案として高校の図書室を選んだ。鍵は開いていた。
[実は街にはわざと施錠されていない建物がいくつもある。ここの図書館もその一つだ。
ちなみにこれは陽水(と言うより民生)の提案であった。勿論、ゲームを盛り上げるために。]
稲垣は用心深くいくつかの扉を開け中に入って行き、内部に着くと図書館独特の空気の中で
安堵のため息をついた。しかし、銃声が二度図書館中に響くのはそれとほぼ同時だった。
撃ったのはカウンターに隠れていた宇多田ヒカル。
その後宇多田は稲垣の亡骸に一瞥もくれず、ある本に目を戻した。
その本を照らす光は、つんくが探し忘れていた飛鳥のレーダーの物だった。
レーダーは調べ物をする宇多田と何をする必要も無くなった稲垣の存在を無機質に知らせていた。
疲れ果てて重くなった身体を引き摺るように、住宅街を歩く。
さすがの松岡充とて、幾度もの戦いをくぐり抜けたせいでかなりの疲労が溜まっていた。
どこでもいい。とにかく誰にも見つからない場所で休息を取りたい…。
そんな事を思いつつフラフラさまよい歩いていると、一軒の家から何やら物音が聞こえてきた。
「…ゴゥンゴゥンゴゥン…チャパッ…ゴゥン…」
(……洗濯機!?この非常事態に呑気に洗濯かよ)
そう思うとただでさえ疲れているのに、さらに力が抜けた。
が、ふと気が付いた。
(……洗濯!?ま、まさか!)
いついかなる時でも洗濯をする女。
ライブ前のリハーサルが終わると、会場の洗濯機で嬉々として練習着を洗う女。
…その存在を思い出した松岡は、音のする方へ向かった。
そっと家の門を開き、音が聞こえてくる庭を覗いて見ると…いた!やっぱりそうだった。
「…aikoちゃん!?」
あまりにも予想通り過ぎて、呆気に取られて思わず声をかけてしまった。
そのaikoはと言えば、稼動する洗濯機の横の縁側に腰掛け、呑気にお茶をすすっていた。
「おう、松岡君やんかあ」
「…柳井ちゃん、こんな所で何やってんやな?」
「ん〜?洗濯やで」
aikoはのほほんとそう答えると、ズズッとお茶をすすった。
「いや、見りゃあ分かるけどさ…何もこんな時に…」
「だってさ〜、何か知らんけどいきなり連れ去られてさあ、こんな荷物持たされて
 『殺し合いして下さい』とか言われてなあ。最初はヤイコちゃんと一緒やったんやけど
 『こんなの理不尽や!ゲームに乗らない奴を集めよう』って事になってさ。
 落ち合う場所だけ決めてさ、とりあえず別行動取ったわけやねんよ。
 んで、いろいろ探し回ってみたんだけど誰にも会えなかってんか。
 公園の植え込みの中とか多摩川の土手とかウロウロしてたら、服が汚れてもうてさ。
 汗もかいたし気持ち悪くって。んで『住宅地なら洗濯機あるかな』って思ってさあ…」
…相変わらずのaikoに、松岡は呆れて何も言えなかった。
それに気付かないのか、aikoは言葉を続けた。
「そしたらさっきの放送でさあ、ヤイコさんの名前が読み上げられてんのよ…
 どないしょっかなあ、これから…って思ってたんよ。
 まあ、洗濯終わるまでまだ時間もあるし、幸いこの辺りには誰もいないみたいやから
 今夜はここに隠れて、朝になったらまた誰か探しに行こうかなって考えてたわけやねん」
「隠れてって…柳井ちゃん、洗濯機の音思いっきり道まで聞こえてたで」
「えっ!?まあ、誰もいないんやしえーんちゃうの?ハハハッ」
(おいおい、現に俺がここにいるし、俺じゃなかったらどうする気だったんだよ…)
呑気に笑うaikoを見て、呆れまくる松岡だった。
そう、今までと違って、松岡はaikoを攻撃をする気がまったくなかった。
二人はaikoのブレイク前から面識があった。
お互い同時期にFM−OSAKAのパーソナリティーを務めていたし、考え方も合うので話すこともしょっちゅうだった。
その時から松岡はaikoが全国的にブレイクできると確信していたのだ。
さすがに無防備すぎる親友には手をかけたくない…しかし、自分は生き残る為にゲームに乗ってしまっている。
対するaikoは、ゲームに乗らずに抵抗を試みようとしている。
どうしたらいいものか。松岡は戸惑っていた。
「まあ、そんな所に突っ立ってへんでこっち来て座りーや」
aikoはチョイチョイと手招きをした。
松岡は大人しくそれに従って、aikoの横に腰掛けた。
「…柳井ちゃん、本当に誰にも会わへんかったんか?」
「ん〜…あ、二回だけ遭遇したで。まあ一回目は……対した話やなかったんやけど…二回目、あれは多分西川貴教やな」
「やなって…姿は見てないんか?」
「ああ。後ろからこう、首に何か飛んできてさあ。チクって刺さったんやわ。
 『痛っ』って思ったら気が遠くなって…その時『あっ、同じ関西人!すまんっ!』って声がしたんやわ。
 その声、どう考えても西川貴教やったんやねんけど…」
そう言って、ほれココだよ、とaikoは松岡に「何か」が刺さった場所を見せた。
「…で、何で柳井ちゃん無事やってん?気が遠くなったんやろ?」
「いや〜、よくわかんないけどさあ、刺さった矢みたいなのに薬が塗ってあったみたいでさあ。
 どうやらそれって毒とかじゃなくて睡眠薬やったみたいなんよ。西川さん、気付いてへんかったんろうなあ。
 しばらくしたら、目が覚めてんか。や〜、命拾いしたわ〜。私ってツイてるよなあ。アハハッ」
おそらく、武器を用意した時に誰かが間違えて薬を入れたのだろう。
aikoは本当にツイていた。西川は逆にツイていなかったが…。
「笑ってる場合やないんやないか!?西川に襲われたんやろう?
 同業者に襲われて…ショックやないんか!?」
およそ松岡らしからぬ言葉が、松岡の口から吐き出された。
「ん〜…ま、仕方ないんちゃう?西川さんだって生き残りたいんやろうし。
 ゲームに乗るか、私みたいに仲間を探して…って、まだ誰にも会ってへんけどさ
 ゲームに乗らずに抵抗するか、どっちかしかないわけやしな」
aikoは何か達観したような顔つきでそう呟いた。
実際aikoは何かを達観していた、昼間に恋人の死を目撃するという形で。
誰も殺さず、誰からも殺されずにこのゲームをくぐり抜けることこそが、自分のとるべき唯一の対抗手段だと悟ったのだ。
「それに…あんたやってゲームに乗ったクチやろう?だったら西川さんの気持ちもわかるやろ?」
「え……」
図星を突かれた松岡は、言葉を失いうつむいた。
「見りゃわかるって。その格好…シャツに着いてるのは、誰かの血やろ?
 それに火薬みたいな臭いもするし。拳銃か何か使ったんやろ。
 穴があいてるのは…誰かに撃たれたんやろ?あんた、よく無事やったなあ」
相変わらずの呑気な口調でaikoはそう語りながら、松岡の胸の辺りをペシペシと叩いた。
「…あ、下に何か着てるんか〜。あんた、大したモンやで。スゴイなあ」
「……柳井ちゃん、俺を責めへんのか?」
松岡はうつむいたまま、振り絞るような、小さな声でaikoに問いかけた。
「だからさっきも言ったろ?仕方ないって」
aikoは松岡の方に向き直り、言葉を続けた。
「あんたは戦って生き残る方を選んだ。私は戦わずに生き残る方を選んだ。
 人それぞれやろ。それとあんた…私を殺る気、ないやろう?」
再び図星を付かれ驚いた松岡は、顔を上げてaikoの方を見た。
「何つーか、殺気がないねんなぁ…今のあんた。違うか?」
「…ああ、そうやで。俺には柳井ちゃんを殺るなんて…出来へんわ」
「何でや?今私を殺れば、一人減ってあんたも有利になるやろう?」
「いや…俺は…柳井ちゃんに恩義があるし。そんな人に手ぇかけるやなんて…。
 俺…仲の良かった人間に手ぇかけるのは…もうまっぴらやねん…」
そう言うと松岡は、自分の手に目を落とした。手をグッと握り締めると、あの時の感触がまた蘇ってきた。
「またって…誰の事や?良かったら話してみいや」
aikoにそう促されて、松岡は平井堅との事を話した。
この手で、親友を刺し殺した…その感触が未だに松岡を苦しめていた。
「そうなんか…私には平井さんの気持ち、わかるなあ」
「え…?」
「だってさぁ、どうせなら『すまへん』って思って殺される方がマシやと思うで〜。
 何も考えずになぶり殺しにされるくらいなら、その方がええて。
 私も、西川さんにやられた時…そう思ったで。『すまん』って西川さん、言ってたし。
 『ああ、西川さんなら…こんな人に殺られるなら本望だ』って、あの時思った」
松岡はただ呆然としてaikoの言葉を聞いていた。
「だから…私、あんたにやったら殺されてもええで。殺りたければ殺りーや。今、ここで。
 あんたに殺られて…あんたが生き残るなら、私は本望や」
aikoは松岡の目を見て、キッパリと言った。
「な…何言ってんの!?俺には出来へんて!それに…俺、生き残る価値なんて…」
松岡はaikoの言葉に驚き、声をあげた。
「いや、あんたは生き残らなあかん…それに、他の人に会ったらその人を殺るんやろう?」
「………そうや」
「そうか…じゃあ、ここでお別れや。早く行きーな」
aikoは厳しくも優しい口調で松岡に言った。
「私は誰も殺らへん。殺らないで済むならそうしたい。でも、あんたにも生き延びてほしい。
 あんたが私を殺ってあんたが生き残るなら、私はそれでも構わへん。
 そやけどあんたは私を殺れないって言うし…一緒にいても仕方ないっしょ。
 あんたはあんたの信じた道を行きーや…私は私の信じた道を行くわ。たとえ間違っていたとしても、な」
親友と仰いだ人の言葉が、松岡の胸に突き刺さる。
自分の信じた道…間違っていたとしても、引き返す事は出来ない。
「…わかったわ。そんなら柳井ちゃん…元気でな」
松岡はそう呟いて立ち上がった。
「おう!…この状況でお元気でってのもアレやけどな」
aikoはそう言って苦笑した。
「松岡君……死んだらあかんで。生き残って、また音楽やりいや。私もそのつもりやから」
「柳井ちゃん…」
こんな時に…優しい表情で語りかけるaikoの言葉が、少し辛かった。
「…ああ。必ずやで!柳井ちゃん、一緒に音楽やろうな!」
「うんっ!ライブでもゲストで出したるで!再会のお祝いにな」
そう言ってaikoはニヤリと笑った。
松岡もニヤリと笑いかけると、aikoに背を向けて歩き出した。
道へ出ても、振り向く事はなかった。
それが…aikoの命取りとなった。
松岡が家から離れたのを物陰から確認する人影が一つ…何やら荷物を抱えた宇多田ヒカルだった。
263:01/12/23 14:07 ID:fIJCU9md
とりあえず明日で終わっときます。
年末年始でこのスレ倉庫逝っちゃうかもしれないですけど
それでも全然構いませんから保全とかはしなくてもオッケーです。
その時の「2」が立つまでの間に何かいいたいことがあったら雑談スレに「バトルロワイヤル」
と書いて伝言しといてください。検索して読んどきます。
まあこのスレが倉庫逝きにならなければそのままでいいですけど。
264名無しのエリー:01/12/23 14:11 ID:d9gJYlBc
このスレ、スゲーな・・・。
265 :01/12/23 16:00 ID:UG4kH9lB
>1
今更だけど、バトルロワイ「ア」ルだよ…
266 :01/12/23 16:02 ID:n69THeQ5
hydeはやっぱりビジュアル系の括りなんだね(藁
267:01/12/23 16:50 ID:YB0dOkgU
Gacktはサバイバルゲームが趣味らしいので(パフィーの番組でやってた)、
やる気出したら強いかも

バトロワは原作も映画も見てるけどこれは大分オリジナル入ってて面白いです
268名無し:01/12/23 17:07 ID:HRn8v/TV
aikoさんと松岡さん仲良かったのは知ってたけど、まさか会うとは・・・
でも、殺さなくて良かった・・・。
・・・宇多田さん怖・・・
269名無し:01/12/23 18:36 ID:g3TiqLQN
「命取りになった」ってことは…aiko殺されちゃうの?
ああ……(´Д`;)
270 :01/12/23 19:54 ID:L86OCIqi
原作でいうと
桐山=宇多田
相馬=桜井&松岡って感じだな
271名無しの子:01/12/23 20:55 ID:9BMVAWz8
aiko殺さないで〜…。
って言うか、内部事情詳しすぎ…w
272名無しのエリー:01/12/23 23:30 ID:1Bu1dhyp
やっと西川が…出てきて嬉しいな(w
273[2日目午前1時頃:住宅街] :01/12/24 01:22 ID:SDqSwdAc
宇多田は他に人がいないのを確認すると、aikoのいる家の裏口へとまわった。
「まさかこんなに早く実験できるとはなあ」
宇多田は嬉々としてそう呟くと、音を立てないように勝手口のドアを開けた。
荷物をそっと下ろし、台所へ上がりこむ。
忍び足でaikoのいる縁側の方へと近付き、様子をうかがった。
その時aikoは、洗濯を終えた服を物干しに干している最中だった。
宇多田はそれを確認すると、音も立てずに素早くaikoに近付いた。
aikoの背後で一瞬両手を大きく広げ、ガッとaikoの首に巻きつけた。
「うがっ…だっ…誰や…」
宇多田のチョークスリーパーに絞め落とされながら、aikoは苦しげに言葉を吐いた。
しかし誰なのか確認する前に、あっという間にaikoは落ちてしまった。
腕の中でグッタリとしているaikoを担ぎ上げ、宇多田は家の中へと入っていった。
居間にaikoを放り出し、勝手口の荷物を持ってくる。
中から取り出したのは鎖と十数個の錠前。金物屋から失敬してきた物だった。
宇多田はaikoを柱にもたれるように座らせ、それを鎖でグルグル巻きにした。
そしてもがいて外れないようにと、丁寧に錠前で留めていく。
巻きつけた鎖をグッグッと数度引っ張って、外れないことを確認すると
宇多田は荷物を抱えて庭へ降り、正面の門を通って道路へと出た。
そして再び荷物を漁り、数本のビール瓶を取り出した。
瓶の中には液体が7割ほど入っていて、口からは布が数センチ伸びていた。
火炎瓶――――稲垣を殺ったあの図書室で、作り方を調べて用意したものだった。
274[2日目午前1時頃:住宅街]:01/12/24 01:23 ID:SDqSwdAc
「高校の図書室に、あんな物騒な本置いといていいのかねえ…
 私が教師だったら、絶対にあんな本入れさせねえのになあ」
その本があったおかげで火炎瓶が作れた事を棚に上げて、宇多田は呟いた。
そして瓶を軽く振って布に火を着け、垣根越しにaikoのいる家に向かって投げ込んだ。
ガチャン!ボンッッッ!
「おおっ、火ぃ着いたかあ…おもしろいなぁ。もっと投げてみようっと」
宇多田は次々に火の着いた瓶を投げ込んだ。
ガチャン!ガチャン!ガチャン!ボンッ…ボボボボボボ…
どうやら家自体にも火が着いたらしく、垣根越しにも伝わってくるほどに火の勢いは増していった。
「ふーん…やっぱり危険だな、火炎瓶は…」
宇多田はそう呟くと、メモを取り出して「火炎瓶・数本で居住物に着火可能…」などと書き込んだ。

松岡は、aikoに会う前よりも疲れていた。そして、動揺していた。
aikoがこのゲームに参加しているなんて思いもしなかったから、驚いた。
当のaikoは呑気に洗濯なんかして…いつもと変わらぬaikoだった。
自分の取った行動を否定もせず、しかも「殺りたければ殺り。今、ここで」などと自分に言ってきた。
わからない………己の命を差し出してまで、自分に生き残れと言う。
「あんたに殺られてあんたが生き残るなら、本望や」なんて…平井…aiko…二人とも「生き残れ」と自分に言った。
「………俺は、そんなに価値のある人間なんかじゃ…価値のあるミュージャンなんかじゃないのに」
松岡は、戸惑っていた。どうしていいのか、わからなくなっていた。
力なく、トボトボと身体を引き摺るようにうつむいて歩いていた。
すると、急に足元が明るくなり自分の影がハッキリと、昼間のように浮かび上がった。
「え…」
ふと振り返ると、一軒の家が燃えていた…さっきまでいた、aikoの潜む家だった。
「―――――柳井ちゃんっ!!!」
松岡は一目散に燃え上がる家へと駆け出していった。
275[2日目午前1時頃:住宅街]:01/12/24 01:23 ID:SDqSwdAc
松岡が家までたどり着いた時、宇多田は燃え盛る火をニヤつきながら見つめていた。
「宇多田…のヒカルちゃん?何やってんの、君?」
宇多田………がなぜここに?なぜ火を見て笑っている?
「ああ、松岡さん…戻ってきちゃったのかあ」
宇多田はニヤついたまま松岡を見て呟いた。
「戻ってきちゃったって…君、まさかこの火事…」
「ああ、実験だよ、実験。火炎瓶のね。
 ほら、来年ワールドカップがあるでしょ?フーリガンが火炎瓶使うかもしれないからさあ。
 どれぐらいの威力なのか確かめておかないと…私、大学でスポーツ関係にも携わってるから」
宇多田は事もなげにサラリと言った。
「…中にaikoちゃんがいるんやで!お前、まさか…」
「あー、ついでにね、人が燃えちゃうとどうなるのかなー?って、それも確かめようと思って。
 aikoさんには悪いけど、実験台になってもらった。今ごろ中でもがいてるんじゃないかな?」
表情一つ変えずに言ってのける宇多田に、松岡はこのゲーム始まって以来の、心の底からの殺意を覚えた。
「実験だとぉ…宇多田ぁっ!ふざけた事言いやがって!」
もうこんな奴は人間なんかじゃない!松岡は宇多田に向けて拳銃を構えた。
「おっと、私と戦ってる暇なんてないんじゃないの?
 早くしないと、aikoさん焼け死んじゃうぞ〜。いいのかな〜?」
ニヤニヤといやらしい下品な笑みを浮かべ、宇多田は言った。
「鎖でグルグル巻きにして繋いじゃったからなぁ。逃げられないんじゃない?」
「…くっそーっ!」
松岡は拳銃を下ろし宇多田を睨みつけ、すぐに踵を返してaikoのいる家へと飛び込んでいった。
「さ〜て、と…これで救助のデータも取れるかな?」
宇多田はそう言うと、再びメモを取り出した。
276[2日目午前1時頃:住宅街]:01/12/24 01:24 ID:SDqSwdAc
松岡はさっきいた庭先へと向かった。が、そこは既に火の海と化していた。
「くそっ…こっちはダメか」
ならばと玄関へ戻り、ドアを開けようとしたが…鍵がかかっていて開かなかった。
松岡は拳銃を取り出し、ドアノブに銃弾を撃ち込んで壊した。
そして何とかドアを開け、家の中へ飛び込み居間へと向かった。
「柳井ちゃん!」
aikoは柱に縛られたまま、意識を失っていた。火の手は縁側を燃やし尽くして、部屋の中まで広がり始めていた。
「柳井ちゃん!柳井ちゃん!」
松岡はaikoの肩を持って揺すった。すると、aikoは意識を取り戻した。
「柳井ちゃん、大丈夫かっ!」
「…ああ…誰かに後ろから絞め落とされて…あー?何で私、縛りつけられてるんや?
 あれ?松岡君〜、あんた何でここにいるんよ?早く行きっていったやろうが…」
「そんな事言ってる場合じゃないんやってば!火事なんや!
 絞め落としたのも、火を着けたのも宇多田の仕業なんや!今、鎖外すから待ってや!」
松岡はそう言うと、錠前に向かって拳銃を構えた。
玄関の鍵のように、一つずつ壊していくつもりだった。
「おいおいおい…いくつ鍵付いてんのよ」
aikoが松岡に尋ねた。
「さあ…20個はないと思うんやけど…」
松岡は拳銃を撃つ手を休めずに答えた。
「あーそう……松岡君…弾もったいないから、もうやめとき」
aikoは松岡にそう促した。
277[2日目午前1時頃:住宅街]:01/12/24 01:24 ID:SDqSwdAc
「は?…何言ってんねん!これ外さなかったら柳井ちゃん焼け死んじゃうんやで!?」
松岡はaikoの思いもよらぬ言葉に驚き、声を張り上げた。
「だって、支給された武器の弾は数に限りがあるんやろ?
 こんな所で20発も使っちゃったらあんた…後で困るやろうが」
「そんなん後で何とかすればええ!それより今は、柳井ちゃんを助ける方が先や!」
松岡はそう叫ぶと、再び拳銃を構えて撃とうとした。
「…じゃあ、弾一発で助かる方法があるんやけど…あんた、やってくれるか?」
「弾一発って……柳井ちゃん、まさか…」
「うん…私を撃ち。私を殺し。そうすればあんたは助かるし、私も無駄死にしないで済む」
aikoは松岡に諭すように、そう言った。
「何で…何で柳井ちゃんまで…そんな事言うんや…」
松岡はまた、平井と対峙した時の事を思い出していた。
「ええんやて。あんたはまだまだこれからやないの。だからあんたは生き残れ! 」
aikoは真っ直ぐに松岡を見つめ、きっぱりと言った。
aikoの言葉に、松岡は驚いた。死んでもしょうがないのは自分の方なのに…。
278[2日目午前1時頃:住宅街]:01/12/24 01:25 ID:SDqSwdAc
「俺…どうしたらええねん……どうしようもないやんけ……!」
松岡は必死に、aikoに向かって言った。
しかし、それを遮るようにaikoが言葉を投げかけた。
「じゃあ、最後のアドバイス、聞いてくれるやんな?松岡君……私を撃って。そして生き延びて」
「……っ!柳井ちゃんっ!」
松岡の目から涙があふれた。平井の時以来の涙が…。
そんな事をしている内に火はどんどん燃え広がり、縁側周辺の天井が崩れ始めていた。
「ほら、はよせんとあんたまで焼け死んじまうで。私も焼け死にたないしな。
 さっきも言ったやろ?なぶり殺しは嫌なんや。苦しむのも嫌なんや。
 あんたの手で………キレイに、楽にさせてーや」
aikoはそう言うと、笑みを浮かべた。
松岡はあふれる涙でaikoを直視出来なくなっていた。
「なあ、頼むわ。せめて死に方ぐらい…最後なんだから選ばせてえや」
その言葉に意を決したのか、松岡は拳銃をaikoの左胸にあてがった。
「そうやね…宇多田なんかに殺られるぐらいなら…俺が…俺が殺りますわ」
そう言いながら震える両腕に力を込め、グッと拳銃を握り締めた。
「柳井ちゃん…本当に…本当にありがとうございました」
「おうっ!私もアンタには感謝してる…ありがとうな。これからも頑張りや。
 あんたは…音楽界に必要なミュージャンやって事、忘れたらあかんで」
「はいっ…柳井ちゃん…そんなら…撃ちます!」
その言葉に、aikoはニヤリと笑って頷いた。
279[2日目午前1時頃:住宅街]:01/12/24 01:25 ID:SDqSwdAc
バンッッッ!
………一撃、本当にたったの一撃だった。
何人も撃ってきた松岡にしてみれば、造作もない事だった。
「無駄に弾を使うな」というaikoの言いつけも守れた。
「柳井ちゃん…ちゃんとやったで…」
涙が止まらない。問いかけても、もうaikoは返事を返してくれなかった。

ジリジリと背中に熱を感じて、松岡は我に返った。
居間の半分以上が炎に包まれている。早く逃げないと巻き込まれてしまう――――。
aikoを置いたまま脱出するのは心苦しかったが、逃げない事には約束が守れない。
「生き延びろ」…aikoの最後のアドバイス。
「柳井ちゃん…全てが終わったら、骨拾いに来るで…待っててくれや」
松岡はそう呟き、軽くaikoに手を合わせてその場を離れた。
玄関側は、もう既に火の海だった。だが幸いな事に勝手口側はまだ火の手が上がってなかった。
そこから脱出し、正面へとまわる。宇多田を…仕留める為に。
「宇多田ぁぁぁぁぁっ!!!」
松岡は叫びながら拳銃を構え、家の前へと飛び出した。
しかし、そこに宇多田の姿はなかった。
aikoを撃った拳銃の音を聞いて、その場を離れたらしい。
「…絶対に…絶対にゆるさねぇ…」
平井の時と違い、殺さなくても良かった親友を殺してしまった。
全ては宇多田のせい…宇多田がくだらない「実験」なんかしたせい…。
松岡に新しい目的が加わった。
生き残る事。そして…
「宇多田は、俺がこの手で殺ってやるっ!必ずだっ!」
燃え盛る炎を背に、松岡は誓った。
280:01/12/24 01:36 ID:SDqSwdAc
明日貼るっていってたけど落ち着かないのでもう貼っちゃいました。
この松岡aiko編は個人的に一番好きな部分の一つなんです。
あと一応言っときたいのは来年からはペースダウンさしてくださいっていう事なんです。
見入って読んでくれている方は今でも普通の速さだと思うけれど
ネタスレのスピードとして考えるとかなり速かったはず(?)
元々パクリなんで速くて当然なんですけど。
まあ二日に一回ぐらいの更新を考えているので、そこまで遅いとは感じないと思います。
そんじゃまた後日!

>>248
はい、それが元ネタです(藁
>>265
そうだったんですか。でも2ちゃん盤バトロワはどれも「ヤ」派ですよ。
281:01/12/24 01:42 ID:WFAtPAA7
追伸
追加者を提案してくれた中から今の所4人使わせてもらう気でいるんでお楽しみに
282名無し:01/12/24 02:17 ID:NhUvOFax
いいなぁ松岡aiko編。
思わず松岡ファンになりそうだわ(笑)
283名無しのエリー:01/12/24 03:57 ID:TKjkW5+B
おいおい。
今までさんざっぱら無慈悲に殺しといて今更復讐って
…そりゃないんちゃう(藁。
完全に松岡主役だなー。
まいいけどさ。

それはともかく楽しみにしてるんで続きおとなしく待ってますね。
よいお年を!
284Nana:01/12/24 13:41 ID:ozcnhCtX
ヴィジュ板にもバトルロワイヤル貼られてるけど、向こうだと宇多田がハイドだ(藁
桜井の役も清春で、ある意味そっちの方がハマってる気も。
そして真矢はどっちでも早々に死んでいる。哀れ(苦藁
285名無し:01/12/24 16:51 ID:Q9Lhzb4s
桜井の役はヴィジュ板ではジャンヌのヤスだよー。
清春はこっちでいう松岡の役じゃない?
同じのをコピーしてるってことは、
こっちの松岡vs宇多田は清春vsハイドになるのかー。おそろしげ(藁
286名無し:01/12/24 19:20 ID:ISZUTzCG
ビジュ板のが萌えレスが多いね(笑
板特性の違いを見た。
ビジュ好きってバトロワ好き多そうだもんなあ
287ナナ−シ:01/12/24 19:38 ID:Pl4f/UCA
松岡は歌多田さっさと撃ちぬいて助けに行けよと思ふこのごろ(短歌)
288名無しっ子:01/12/24 23:50 ID:mZJWrjIB
ヴィジュ板のほうが配役うまいと思う
289名無すぃ:01/12/25 00:08 ID:8TrKbsFa
>>288
でもヴィジュ板だとハイド関西弁喋ってないよな
そこら辺がちゃんとしてればもっと面白かったのに
290Nana:01/12/25 01:16 ID:5VsfH9tu
>>285
勘違いしてた。スマソ。

>>289
それ言ったら青さんだってオネエ言葉じゃなかったよ。残念。
「アンタなんかに殺られるもんですかッ!!
 アタシは達也に会うまで死なないわよッッ!!」
ぐらい言ってから死んで欲しかった。

ヴィジュ板にイザム出てきたけど、怖ぇー!
あのデカい図体のイザムに凄まじい形相でサバイバルナイフ振上げられれば
そりゃーダイシでなくとも「ひぃっ」と叫ぶよね…。ブルブル(怯
291名無しのエリー:01/12/25 08:15 ID:QoWjm2qI
248だが
闘魂三銃士の関係はどうするんだ?
個人的にはAKIRA役を清春で
292:01/12/25 09:28 ID:d2x+hRjV
>>291
途中の小川と橋本を桑田にしてたけど、2日目朝は蝶野を桑田にして石川雄規を長渕にする予定。
野上彰を清春にするのは君の大当たり!!
あとパチンコ屋の大谷をaikoにしてたけどaikoは逝ったからまた違う女性にする予定です。
最後に前田日明と成瀬の師弟関係もまた意外性を狙った人にします。
あかん、ネタばれする。。。
293名無し:01/12/25 12:29 ID:mE//XFbU
>>287
aikoさんニヤリと笑うのはどうかな・・・(汗
にこっとわらってほしかった・・・

1さんお疲れ。
良いクリスマス&年末を。
294293:01/12/25 12:51 ID:mE//XFbU
>>278だった・・・鬱だ詩嚢
295名無しのエリー:01/12/25 17:22 ID:1kqcCaE2
松岡aiko編・・・感動のあまり泣いてもた。
松岡ヲタの私としては最高に萌えるスレだわ。
頭の中で、映像を想像しながら読むとなお萌え〜。

今度からふつーに音楽番組見れなくなりそう・・・・
296名無し:01/12/25 17:43 ID:LFQWmQpf
スピッツの草野はでないの〜?
弱そうだけど以外と変わり者だと思うよ
297ななし:01/12/25 21:05 ID:zJJak5v8
私もマサムネキボン。
あの顔でメチャクチャ鬼畜になって欲しい・・・。
298名無しのエリー:01/12/25 23:55 ID:CK6W52HW
age
299名無しのエリー:01/12/26 09:01 ID:eRGU8BbR
いいなぁマサムネ
ぜひ出していただきたい
チバとかは?
300名無し:01/12/26 09:05 ID:7V6bVJSC
上でもちらっと出てたけど夫婦いいな。
YUKI/倉持とか、山下/竹内、桑田/原とか。
あとパヒー。
奥田が陽水の側近やってるだけにちょっと興味あり。
301248,291:01/12/26 09:14 ID:Rt1fmonF
1へ
がんばってくれ、いい配役で・・・
302色物 ◆H10GgaWo :01/12/26 10:50 ID:6rNoB4iM
aikoの死に方よかったよ、1さん。
303名無しさんは見た!:01/12/26 23:58 ID:29Av7hxm
椎名林檎は?
304( ノ゚Å゚)ノにゃが ◆NYAGAAvs :01/12/26 23:58 ID:8ZRD3TnW
ゴメン、一回ageる。
続ききぼん
305         :01/12/27 11:59 ID:Ph8jw7XG
福山雅治はまだでないのかな?
306ななし:01/12/27 14:38 ID:AdkGHWsQ
松岡はスギゾウだよー
307名無しのエリー:01/12/27 17:56 ID:Cpd1j169
英喜はでないの?
308名無しのエリー:01/12/27 23:44 ID:yaDi6bu6
木村健悟はでるよね
309:01/12/28 06:21 ID:5/MDHbAH
フジキとかチョイ役で出るんだ・・・
310色物 ◆colorz3k :01/12/28 07:29 ID:x5Qhdne9
ゆずも出してほすぃー(゚д゚)
311ナナシ:01/12/28 16:31 ID:YQhSZoGp
俺も続き見たいからageる。
312名無しで行こう:01/12/28 20:10 ID:lz9h6b+h
消えちゃイヤソage
313名無しのエリー:01/12/28 23:17 ID:Mgpknq6e
一気に読んじまった。
314Nanasi:01/12/29 01:43 ID:rFzEvx3m
続き期待age
315名無しのえりぃ:01/12/29 02:39 ID:/MXJpboo
さっきテレビに松岡が映ってた。
PVだったんだけどさ…なんか爽やかでさ…
あぁ、あんなに殺しまくってたのに…(ワラ
316名無し:01/12/29 02:53 ID:/MXJpboo
>>315
君、もしかして福島県民か?
317名無しのエリー:01/12/29 02:55 ID:t6FFoMLN
じさーく自演?
318名無しのエリー:01/12/29 13:31 ID:9d/XU6b2
これっていつから再開するの?
319名無しのエリー:01/12/29 13:37 ID:9d/XU6b2
これっていつから再開するの?
320名無しのえりぃ:01/12/29 13:39 ID:lnIOGoSt
>>316
あはは、当たり(ワラ 姉が見てたから一緒に見てた。
でも自作ジエーンじゃないよ。
321名無しのエリー:01/12/29 14:33 ID:L4e06sN1
自作自演だろ
322名無しのエリー:01/12/29 18:53 ID:sF2wQZzG
小室哲也を殺して欲しい
323名無し:01/12/29 23:45 ID:h6Ooor8x
宮本の復讐で石くんを・・・。
324名無しのエリー:01/12/30 00:46 ID:q1dvdLau
めちゃ池に松岡が出てた。
あぁ、あんなに殺しまくってたのに…(ワラ
325キョウ:01/12/30 14:15 ID:4ihvpwc5
はやく来年になって、1さんが続きを書いてくれないかな・・・
326nana:01/12/30 21:36 ID:ozQyYqPt
さがるし・・・・
327ナ無し:01/12/31 10:40 ID:786mC4uG
あげておこう
328キョウ:01/12/31 22:34 ID:RLn6JPdE
来年に向けて今のうちにage
329【二日目・午前1時30分】バー:02/01/01 00:17 ID:kXuTyAi5
このゲームは、いつ終わるのだろう?
「これは悪夢だ」
ゆずの北川悠二はそう思いながら、グラスの酒を飲み干した。もう何倍飲んだだろう・・?もう少し飲んだら眠くなってしまいそうだ。
眠ってしまい、目が覚めた時には、こんな馬鹿げたゲームでなく、いつもの生活が待っていると思っていた。
そんな時だった。
ギィー・・・
静寂を破る音を立てたドアの向こうには同じゆずの岩沢が立っていた。
「北川・・」
「い、岩沢・・」
二人の間に、暫くの沈黙があった。

何故かこの二人の間には、パートナーであるにもかかわらず敵味方の感情は一切ない。
ただこんな非常時に限っては仕事のパートナーであろうと信頼しきれないのも無理はないのかもしれない。
この状況で出会った二人は、お互いにどう振舞えばいいのか皆目見当がつかなかった。
今に至っては味方とも敵とも言えない、微妙な関係であった。

緊張が二人の間に走った。岩沢は銃を身構えると同時に、北川は手榴弾を手にした。その時だった。
「これで3人揃ったな。」
もう一人の男が岩沢のすぐ後ろから現れた。西川貴教だった。
「やっと信頼出来そうな仲間と会えた。」
西川貴教の口から出た言葉で、岩沢と北川は身構えていた銃や手榴弾を降ろした。
330【二日目・午前1時30分】バー:02/01/01 00:17 ID:kXuTyAi5
「なあ、ゆずのお二人さん・・俺と組まないか?」
「西川さん・・信用していい仲間・・になるんですね。」
ずっと孤独だった北川にとっては、このゲームは自分しか頼れず、信用出来る誰かを求め続けていた。
「西川さん・・仲間と思っていいんですね。」
岩沢は思わず叫んでいた。岩沢も北川と気持ちは同じだった。
今まで、仲間という言葉は関係ないものと思っていたが、この時は、西川の言うことが信用出来るような気がした。

「当たり前だ、そして仲間のために死ねるのも仲間だ。」
西川は北川に向かい、銃を乱射した。
「!・・・」
岩沢はその場の光景が信じられなかった。
「そんなに驚くなよ・・と言っても、驚いてる時間もないけどな・・」
西川がそう言うと同時に、岩沢の身体に何発もの弾丸が打ち込まれた。

「なんで撃ったかって?まあ俺も親友に裏切られた後じゃあ誰も信用する気にはなれねえしな。
 どうせ『すぐ殺されちゃうリスト』筆頭にいた君らにしたら楽に死ねた方だったろう?礼はいらないぜ…。」
二人の遺体を前にして、西川は誓った。
西川の眼は、悲しみ・・怒り・・ そして狂気に満ちていた。
福山雅治は震えていた。
暗い自動車整備工場の片隅でひとり息を潜めていた。

早いものであれからもう1日が経過した。
水や食料を殆ど補給せず、且つ一睡もしていない彼の体は
既に限界にきていた。それでも彼は動かない。
餓死する事より他人に蹂躙・撲殺される恐怖が遥かに上回っていた

彼は立ち上がるそぶりさえ見せない。
武器が『目潰しスプレー』という事実も、確実に戦意を削ぎ落としていた。
福山雅治は、動かない。

ガラガラガラ…深夜のガレージにシャッターの開く音がする。
福山は息を殺し身を潜める。隠れる術は覚えた、既に3回目だ…
大方、武器を探しにきたのだろう。めぼしいものは軍が全て没収済だが。

ところが4人目の来訪者は気色が違った。彼は暫く回りを見渡すと
福山とは逆の方向に向かって歩を進めだしたのだ。
…マズイ、居座るつもりか!? どうする、逃げるか戦うか、とどまるか?
様々な思案は福山の頭を混乱させる。動揺はそのまま反応に直結する。
無意味に揺れた福山の体はダンボールに触れ、雪崩減少を発生させた。
「誰だ!?」 引き裂くような絶叫が倉庫内にこだまする。
でも福山は不思議な事にその声を聞いて安心した。何だ、安心できる優しい奴だ…
自分の不運を嘆いていたが、少しは風向きが変わってきたのか?
意を決して福山は語りかけた。
「俺だよ!! 清春ちゃん、福山だよ!!」

「…福山…?」訝しげな声が闇から漏れる。
ただその後、清春の口から出た言葉は意外だった。心外、と言ってもよい。
「やめろ、撃つな、撃たないでくれー!!!」

「清春ちゃん、何言ってんだよ!! そんな事する訳ないだろう!!」
「嘘だ!! 皆、そう言って仲間を殺していくんだ!!」
…仲間、いい響きだ。自分が孤独じゃないってわかる。皆怖かったんだ…
「嘘じゃない! 本当だ! 俺は誰も殺してない! そんな事出来る訳がないだろっ!!」
問返しても返事がない。そのうち早いリズムの足音が出口方向へ流れ出した。
…見捨てるのか、清春!? 俺を見捨てるのか!?
「行くな! 行かないでくれ、清春ちゃん! 俺をひとりにしないでくれー!!」

足音が止む。清春が怪訝そうに聞き返す。
「本当か? 本当に撃たないか? 信じていいのか、福山!?」
「本当だ!! 俺はずっと隠れてたんだ!! それに銃なんて持ってやしない!!」

長い間の静寂が場内を支配する。おもむろに清春が口を開く。
「…ずっと? あれからずっとひとりでここに?」
「恐いんだ… 殺されるのも殺すのも… 俺はそんな為にミュージシャンになったんじゃない!!」
暫くすると物陰から、小さい嗚咽が福山の耳に聞こえてきた。
「…清春ちゃん? どうした?」
「恐かった… 俺もずっと逃げ回ってた。一日中、山をうろついてたんだ…
 もう嫌だ!! 何で俺達がこんな目に!! 」
福山は安心と同時に怒りを覚えた。 清春の言う通りだ、なぜ俺達が!!?
「清春ちゃん、一緒に動こう!! 二人の方が安全だ。そして皆を助けよう!!
俺達はこんな事をする為に音楽活動してきた訳じゃないんだ!!」
「…信じていいのか、福山? お前を頼っていいのか!?」
「仲間だろ!! 清春、俺を信じてくれ!! 一緒に戦おう!!」

「…ふくやまぁ…」涙声と共に、足音が聞え始めた。先程とは違い近づいてくる音だ。
福山はふと興奮から冷めた。急に恐くなった。目潰しスプレーを握り直した。
「清春っ!! 止れ!! こないでくれ!!」「…なんだよ、信用しろって言ったじゃないか!?」
「…いや、スマン。正直、足音が聞こえたらなぜか急に…」
清春の返答がない。怒らせたか?それとも逃げたのか?

「清春ちゃん? 清春ちゃん!?」「…見ぃ-つけた、っと」
えっ?と思って後ろを振り返る途中だったろうか?
破裂音と共に福山の視界・嗅覚・聴覚・思考、その全てが消し飛んだ。
「…ようやく夜目に慣れたんで、ね」
先刻の涙声はいま何処? 清春は冷たい声で遺体に語りかける。
「ごめんなー、騙しちゃったみたいで。でもほら、俺、一応アクター憧れてたりするから(笑)」

「…やっぱり飛び道具があると便利だよな。警棒、支給されたってさぁ…
 でもこれ、チャゲさんには勿体無い武器だよねぇ?」
清春は茶飲み話をしているかの様に、そして福山雅治の魂が横に
あるかの様に語り続けている。
「今と同じアプローチしたんだよ。立場は全く正反対だったけどね。
 チャゲが中々心開いてくれないで苦労したよ…
 ただ最後は泣きながら『清春くーん』って抱き着いてくれたよ。
 人間、夜になると緊張が薄れるんだね。」

クスクス忍び笑いながら、福山のそばまで来た。「スイカ割だな、まるで」
呟きながら彼は血の海に浸かっている細長い缶を取り上げた。
瞬間、清春の嘲笑が静まった場内に響き渡る。
「なんだよ、目潰しスプレーって(笑) お前、武器までダメダメだな(笑)
 まぁ西川貴教もそうだったけど。吹き矢だぜ、吹き矢!! どう戦うんだよ、一体!?
 貴教、最後までボヤいてたなぁ… いい味出してたよなぁ」
そこまで言うと、清春はフッと息をつき、福山の横に腰をしゃがめた。

「一言、言っておく。 俺とお前は仲間でも友達でもない。
 お前にちゃんづけされる筋合いは一切ない。今まで一度もないよな、そんな会話」
彼は立ち上がり裾をポンポンと払う。虚空を見上げ、言葉をつなぐ。
「アゴも誰もかも、大方桜井とかhydeとかに生き残って欲しいんだろうけどさ
 でもそこで、敢えて俺が残るっていうのも…」
再度、清春は視線を下に落す。 異臭の漂う中、彼は遺体に優しく微笑んだ。
「結構、小説としてはイケてるんじゃないかなぁ?」
335:02/01/01 00:21 ID:kXuTyAi5
ガンターンうp!
336Nana:02/01/01 00:39 ID:uEg5FhLK
元旦上げ。
ご苦労様です。
337名無し:02/01/01 00:42 ID:88tf/eGR
サッ○ー「もしもし>>1?マミーだけど。あんたなんでこんな駄スレ立てたの?」
   >>1「うん…」
サッ○ー「うんじゃないわよ。それから騙りは来たの?」
   >>1「来たよ」
サッ○ー「何て言ったの?」
   >>1「逝ってよしって」
サッ○ー「なんで?こちらは糞スレは立ててない事になってるんだから!」
   >>1「でも立てちゃったから。2ちゃんねらー相手にごまかせないよ」
サッ○ー「だから立ててないって事になってるんだから。裏で色々手を打ってるから大丈夫よ」
   >>1「でも逝ってよしって言っちゃったからごまかせないよ」
サッ○ー「僕はドキュソなんで日本語がよく分からなかったって言っておけばいいのよ」
   >>1「うん…」
サッ○ー「あんたこの文誰かに見られてる?」
   >>1「見られてないよ」
サッ○ー「これはファミリーの問題なんだから。あんたが駄スレ立てたのがばれるとこっちも騙られるのよ」
338Nana:02/01/01 00:52 ID:uEg5FhLK
>337
それ、他のスレでも見た。サカー板だけど…
339名無しのエリー:02/01/01 02:12 ID:ohGW2wHX
野上・・・・・・・もとい清春登場!!!!
340元旦のななし:02/01/01 02:23 ID:sq+PXl+n
ウヒャッホイ!!更新おつかれっす!
341色物 ◆colorz3k :02/01/01 02:38 ID:JPJNBDuX
をを!!ゆずがでてきた!でもすぐ死んじゃったけど(−_−)
1さん元旦upおつかれー
342名無しのエリー:02/01/01 02:40 ID:eXqLZE9d
あけおめ!おつかれ様です。>1
新年そうそう更新なんて、なんて律儀な人なんだ…。
西川と清春…予想以上にちゃんと絡んでくれて嬉しいけど…
けーどー…(泣笑
チャゲを殺したのって清春だったんですね。
343名無し@:02/01/01 17:26 ID:/JRiIFBs
1さん、みなさん明けましておめでとう!!
今年もこのスレを楽しみに邦楽板に来ます。
あ〜一体どうなって終わるのか楽しみです★
1さんがんばってね〜。

つーことでageときます。
344名無しのエリー:02/01/01 23:39 ID:ZrB2OFwz
ワショーイ!!続きできてるジャソ!
今年も殺人松岡で萌えさせてください。
応援してます!
プログラム開始以来、IZAMは考え続けていた。

この災厄は今迄の実績に拘らず、平等に皆の上に降り掛かった。
それでも運と実力が今後の展開を大きく左右するという事を----。

開始直後、支給されたデイパックを抱え、この現実にどう対処すれば良いのか判らないまま
武道館が見える位置に身を潜めたまま動けなかった。
次々に武道館を後にする同僚達。用心深く周囲を気にする者もいれば、何かに
----それは恐怖という名が尤も相応しいのだが----追われるように一目散に駆け抜けて行く者もいた。
特に誰かを待っていた訳ではない…只、厳しい日々の鍛練の場であると同時に、
同僚達との思い出の詰まった場所を離れ難かった。甘い考えだというのは判ってる。
既に、矢沢永吉の死体とテルが死ぬ瞬間を目の当りにしているのだ。
それでも、静まり返った武道館を見ている限り、まだこれが現実ではないのだと…信じられそうな気がして----離れ難かった。
しかし、それは静寂を破った銃声によって断ち切られた。
ビクリと大きく身体が震え、抱えていたデイパックを落とした瞬間、
「----IZAM」
背後から名を呼ばれ、心臓を鷲掴みにされた。
武器の確認を怠っていた事を悔やみつつ、振り向きもせずに声とは別の方向へ駆け出す。
「IZAM! 待て! 俺だって!」
あの時、道武道館ら爆音が聞こえなければ、そのまま走り去っていただろう。
爆音に驚いて思わず振り返った先に居たのは----YOSHIKIだった。
YOSHIKIは敵意のない事を示すように一度ゆっくりと両手を挙げてからデイパックを拾い上げ、投げ返してくれた。
「YOSHIKIさん…」
胸にしっかりとデイパックを受け取りながらも、視線は相手から外さない。
「そうピリピリすんなって。俺に殺る気はねぇよ」
再度、丸腰であることをアピールするYOSHIKIに、漸く警戒心を緩めた。
安堵と同時に膝の力が抜けそうになったが
「早く移動しないと、ここはヤバいだろ。…一緒に来てくれるか?」
YOSHIKIの問掛けに応えるべく、足を----生存へ向けての一歩を踏み出した。
そうして、このプログラムから生還する為の道を模索し始めた。
hydeとGacktも加わり、先ずは各々の武器を確認し合う。
YOSHIKIのニューナンブM58は偽物だが、威嚇としては充分機能した。
hydeのマイクロウ−ジーは「取っ替え弾システム」とやらでやはり威嚇のみ。
Gacktのベレッタ92FS。これには運良くhydeの持っていたマガジンが一致したので実用可能だ。
そして自分には----ブローニング・ハイパワー9ミリ。装弾数13+1で、換えのマガジンが三つ。
接近戦になれば肉体的な力関係にどうしても左右されてしまうが、銃器なら不用意に相手に近付かなくて済む。
武器どころか防具すらならない「ハズレ」を引いた者の心境を考えると
素直に喜ぶ事は出来なかったが、自分の身を守る分には有り難かった。
----他人の心配…してる場合じゃなんだけどな。
恐ろしく簡略化された使用説明書を何度も読み返し、使用方法を頭に叩き込む。
実際に使う事があるのかという点に関しては…やはり、考え続けるしかなかったのだが。
そんな自分を叱咤するようにYOSHIKIに背中をポンと叩かれ、苦笑を返す。
思い悩んでいられる時間は余りに少ない。とにかく現在は現状を出来るだけ正確に把握するのが
先決だ。各々が出し合っても、情報は余りにも少ない。目新しいのはGacktの目撃した男----
開始時には居なかった田代まさしが死んでいた…正確には死にかけていたという話だけ。
「----見間違いじゃないのか?」という自分の問いに自信なさげに応えるGackt。
その声を遮ったのは聞き慣れた音楽が告げる…第四放送の始まりだった。

放送の内容に、皆、呆然とするしかなかった。
合流出来れば大きな戦力になったであろう人々の名が次々と告げられ、
隠れ家である倉庫を重苦しい沈黙が支配した。
誰も口を開かなかった。…再起は不可能な程に打ちのめされた…ように思えた。
しかし中心となるYOSHIKIの前向きな姿勢は変わらず、情報収集と人探し、
そしてYOSHIKIが切り札にしている「爆弾製作」の材料集めが夜の明けぬうちから始められた。
午前五時前、空がうっすら明るくなってきている。
hydeとIZAMはデパートに来ていた。二人とも12時の放送の衝撃を引きずっていたが、
YOSHIKIの指示によりある物の材料集めに来たのだ。そのある物とは…爆弾である。
「しかし、こんなんで爆弾なんて作れるんかね?」
IZAMに問い掛けるhydeの持つ袋には紙粘土や卵、花火などが入っている。
「それより俺は、なんでYOSHIKIさんが爆弾の作り方なんて知ってんのかの方が気になるけどな。
 それより急ごう。もうすぐここも立ち入り禁止区域だぞ。」
「えぇ、あと画用紙だけなんだよ。…あっちの方かな?あったあった。」
その時、IZAMは画用紙を手に取るhydeの後頭部に何の前触れも無く銃を突きつけた。
「え?な、なな何の冗談だよ、IZAMさん…」
「俺が冗談でこんな事するかどうか君にはわかるだろ?」
IZAMは冷たく答え、言葉を続けた。
「君もYOSHIKIさんもあんまり人を信用しない方がいい。
 まぁあっさりトップになれたラルクの君にはわからんか。」
皮肉を込めて言い放つとIZAMは引き金に力を加えた。
hydeはショックで身動きすらとれぬまま時を待たざるを得なかった。自らの最期の時を。
hydeがIZAMの裏切りを受ける30分ほど前、
YOSHIKIとGacktは材料を探す為に入った自動車整備工場で福山雅治の死体を見つけていた。
「うわぁぁあぁああぁーーーーーっ!!!」
Gacktが周りを気にせず悲鳴をあげる。YOSHIKIはとりあえずGacktの口を抑えた。
「バカ、Gackt!静かにしろって!誰かに気付かれたらどうすんだ!!」
数分後、落ち着いたのかGacktは声を上げず福山を眺めている。そんなGacktを、YOSHIKIは心配していた。
以前Gacktは、YOSHIKIにだけ『実はキャラ的に福山さんを一番尊敬してるんです。』と漏らした事があったからだ。
(バカな事考えてなきゃいいが…)
そんなYOSHIKIの気遣いを裏切るようにGacktは呟きだした。
「もういやだ、もうたくさんだ、もういやだ…」
「Gackt…」
近づこうとしたYOSHIKIに背を向け、Gacktは工場の出口へ向かう。
「おい!どこに…」
「もう嫌だ!もう嫌なんだ!もうこんな馬鹿げた事は沢山なんだ!!ほっといてくれ!!」
近づこうとするYOSHIKIに向けGacktは銃を向けた。今、Gacktの銃には弾が入っている。
hydeの持っていた弾がGacktのベレッタのものだったからだ。
それでも駆け寄ろうとするYOSHIKIにGacktは発砲した。弾はYOSHIKIの足元を跳ねた。
Gacktは涙を流しながら申し訳無さそうに笑って言った。
「YOSHIKIさん、誘ってくれてありがとう。ごめんなさい。」
工場から出て行くGacktを、YOSHIKIは追いかけることが出来なかった。

その後、6時の放送でGacktの死が告げられた。
「がっ!……」
hydeの後ろで声が聞こえた。突き付けられていた銃の感触ももう無い。
振り返ったhydeの目に、腹に矢をつき立てたIZAMの姿が映った。更にもう一本、腹に矢が突き刺さる。
IZAMは見当違いの方向に反撃の発砲をして倒れた。
IZAMの睨んでいた方向には負傷した吉井和哉が立っていた。
続けて吉井はhydeにボウガンを向ける。hydeは咄嗟にIZAMの手から銃を取り応戦した。
hydeの銃撃を避け損ね、右腕に銃弾を受けた吉井は忌わしげに舌打ちしながらデパートを出て行った。
「IZAMさん!大丈夫ですか!?」
吉井の逃走を見届けてIZAMが自分の命を奪おうとした事も忘れてhydeはIZAMに駆け寄った。
「…馬鹿だな……誰の心配してんの…?」
「でも…だってIZAMさん…」
「俺は……君が…羨ましかった…さっきも言ったっけな……」
「もう喋っちゃ駄目だ!血が…血がこんなに…」
既にIZAMは腹に刺さった矢を抜いてしまっていた。そのせいで腹部から血が止め処も無く噴き出している。
「…でも俺には…撃てなかったな……吉井が…俺を撃ったのも…そのせい……」
もう何も言えずhydeは悲しげにIZAMを見ていた。
「……せめてもう一度…表舞台……出た……かっ……………」
IZAMの言葉が途切れ、hydeは泣き叫んだ。
350:02/01/02 05:00 ID:wbjvsW6b
皆さん明けましておめでとうございますです。
とりあえず今まで貼ってきた量と同じぐらいの分は今まで通りの速さでうpできますんでご安心を。
ガクト編はちゃんと用意されてるんでそれもご安心を。
はあ、二日目長いんだよなあ。朝の放送までも長いし、午前中も長いし(w
351名無しさん ◆rt4oNELA :02/01/02 11:22 ID:RWL/BPUB
>>1
明けましておめでとございます。
今年も楽しませて下さい。よろしくです。
352名無しのエリー:02/01/02 17:30 ID:j4Ks5ROJ
>>1
一気に読みました。すごく面白い!!
続きを期待しています。
ヲタじゃないけど充&hydeに期待。
353名無しのエリ−:02/01/02 18:50 ID:XFGTze30
hydeがイイ奴すぎて、涙出て来るよ・・・。
イザムの死にさえ泣いてくれるなんて
354ひよこ:02/01/02 23:10 ID:1y89X+aK
頑張ってください、1さんage
スピッツ草野マサムネ出演熱望です・・
355【二日目・午前5時】商業地区:02/01/03 09:22 ID:v6HxOEpA
震えながらGacktは自分の好きな言葉を思い出していた。
『エロキャラをモロに出した男でもモテることができる』
それを体現していた福山雅治はGacktにとって理想とも言うべき人物だった。
その福山が自動車整備工場で死体になっているのを見たときGacktは心の底から恐怖した。
エロキャラを淘汰するのがこのプログラムの目的なのか?
だったら次に狙われるのは…。
福山の例から安全な隠れ場所などないことはわかっていた。
こうなったら誰でもいい、近づいた奴を一人でも多く道連れにしてやる!
そう思いGacktは銃を構え、茂みに隠れていた。
何時間経ったのだろうか?
二時間?三五時間?
だが実際には茂みに隠れて五分と経っていないことをGacktは知らなかった。
その時一つの大きな影が視界に入った。
誰だ?…誰でも構うもんか!
Gacktは容赦なく引き金を引いた。
しかし弾はわずかに標的をそれた。
すかさず第二射に移ろうとしたその時!
「誰だ!アムロか?KEIKOか?」
356【二日目・午前5時】商業地区:02/01/03 09:22 ID:v6HxOEpA
「なんだ?お前誰だ?ゲームの参加者なんか?」
突然聞いてきたその男はなんと小室哲也!
直接の面識はないが、この業界にいる者なら誰でも耳にしている。
その全てが悪評だと言うことを。
trfに途中から愛想を尽いてプロデュースしなくなった。
華原朋美を弄んで適当に見切った。
数え上げればきりがない。
その小室がなぜ?
「hitomi連れて来い、hitomi。hitomiに話しあって来たんだ」
撃たなければ!だが体が動かない。これが恐怖か!
そしてこの男はなぜ撃たれたのに平気でこちらに向かってこれるのだ?
これが小室か…
「返事しろ!返事!挨拶もろくにできないのか!最近の若者は!」
その言葉が届くか否かの間にGacktの体は吹き飛ばされた。
Gacktが顎に強烈な平手を食らったことに気づくのには数秒かかった。
圧倒されて動けないあいだに小室が接近していたのだ!
なにか言わなきゃ!Gacktは慌てて口を開いた、だがGacktの口からでた言葉は
「おがごげ…!」
顎の骨が砕けている!
357【二日目・午前5時】商業地区:02/01/03 09:23 ID:v6HxOEpA
「ちゃんと喋れよ!何て言ってるかわからないだろ!」
小室が前蹴りを叩き込む、Gacktは咄嗟に両腕で受け止めたがまたも吹き飛ばされた。
何とかして敵意が無いことを示さなくては!
そうだ!喋れないなら、両手を上げて降参の意思表示をしよう!
それは束の間の夢に過ぎなかった。
Gacktが上げようとした両腕はぴくりともしない。
先ほどの一撃で折れていたのだ。
どうすればいい?
小室がゆっくりと近づいてくるのが見える。
Gacktはなけなしの勇気を振り絞って踵を返した。
逃げ切れるか?
そのときだった。
ぴちっ!
聞きなれない音がした。
それが自分のアキレス腱が切れた音だとはGacktにはわからなかった。
いや…もうどうでもよかったのかもしれない。
喋れない、手足も動かない。
自分が単なる肉隗に過ぎないことを悟ったGacktは…考えることをやめた。
「何寝てるんだよ!早くhitomi連れて来い!」
もはや呼吸すら止まった単なる肉隗を、小室は容赦なく踏みつけ続けた。
…信じられないものを見た。
桜井和寿は目前の光景が信じられなかった。
隙だらけのGacktを見つけたときには今度はどうやって殺すか?
そのことに天才的センスを張り巡らしていたときにあの男は現れた。
Gacktを撲殺したその理不尽ぶりは、昔と変わっていなかった。
あの男…小室哲也。
…あまりにも意外な人物の登場にさすがの桜井も対応が遅れた。
小室が振り返ったのだ。
「おう桜井!お前なにやってんだ?」
しまった。
不意討ちで行くか?
だが正面から撃てば、Gacktの二の舞になるかもしれない。
何やらだいぶ荒れている。何かに怒っているように垣間見られた。ただ酒が入ってるのかもしれない。
「ああ小室さん。いつ以来ですかねえ、どしたの?」
とりあえず普段通りの口調で油断させよう。
「なんだ、東京都23区使ってサバイバルゲームでもやってんのか?
 銃持った兵隊みたいなのが有刺鉄線の前でうろちょろしてやがったから素手で始末してここまで来たんだよ。」
小室は参加者でないため状況を飲み込めていないようだ。
だがゲームと関係なかろうが、目前の光景を見せられては、
生かしておくわけにはいかない。
背中にまわした銃の撃鉄を起こしながら考えた。
もう少し時間を稼いで、隙を見つけて殺すか?
「そうなんすよ。この銃で…」
銃を見せるふりをして撃つ。
充分接近してからだ。
「おう!それだったら、いいこと思いついたわ」
小室がGacktの銃を拾い上げる…嫌な予感がする。
「じゃんけんで勝ったほうが、負けたほうを撃つっていうのはどうだ?」
…今すぐ殺そう。
小室哲也を殺す。
ゆっくりと周囲を見回した。
周囲の状況を応用するのは自分の最も得意とするところだからだ。
そのとき、小室の背後に光るものが見えた。
銃口だ!間違いない。だが暗くて誰かはわからない。
明らかに小室を狙っている。
これだ!
「小室さあん。うしろ、なんかいるよ」
桜井のくだけた口調につられて小室は振り返ってしまった。
桜井が小室の背中に銃口を向けたその時、
パン、パン、パン、パン、パン、パン。
桜井が引き金を引くより早く、小室の身体を六発の銃弾が貫いた。
ゆっくりと小室の巨体が倒れこむ。

巻き添えを食ってはまずい。
桜井は小室から離れながら、小室を撃った男を確認した。
いや、男ではない!
hitomi!
小室をつけねらっていたのはhitomiだったのか。
しかしなぜ?…
「来るなあ!来ないでえ!」
最初にその声が聞こえてきたときにhitomiは心臓が止まったかと思った。
明らかに自分を探している。
今一番会いたくない人間。
一番自分に殺意を抱いているはずの人間。
いい思い出なんかなかった。
自分を殴ってる姿か、無理矢理強姦してる姿しか記憶に無い。
自分は今とても充実している。
ここ数年はエイベックスの保守本流といわんばかりに小室とは距離をとっていた。
24、5にもなるのにいまだに使い減りしたイメージにとられていない。
そして去年はマラソンの高橋尚子絡みの話題もあり、デビュー6年目にしてメジャー級にブレイクできた。
だから小室さん!来ないでくれ!
今の私の楽園を壊さないでくれ!
小室の声が聞こえたとき、逆に小室を殺すしかないと決めた。
それでも巨大な背中を確認したときには、まだ撃つ勇気がなかった。
突然、振り返った小室と目が合った瞬間、恐怖が勇気をくれた。

小室がかすかに動いた!
「!」
とどめを刺さなくては。
銃を構えたそのとき、小室の発した言葉がhitomiを壊した。
「すまん、かった、な、ヒロミ」
「え?」
hitomiは信じられない言葉を聞いた気がした。
「いっつも、殴って、ばっかりだったな…もう殴る力ないけどな」
「小室さん?」
「俺な、お前、に、言いたいことがあったんだ」
小室ファミリーからの自然離脱への怒りだろうか?この男は人生の最後の最後のときまで怒るのだろうか?
「このあいだの『is it you』だったっけ?あ…あれ、お前の歌声に合ってて…すごい……よかったよ」
「!」
「だから、お前の、選択は、間違いじゃない思う」
「…」
「ごちゃごちゃ、言う奴、いたら、俺が…パチキかましてやるから、安心しろよ」
そんなことのために?
わざわざそんなことを言うためにこんなところまで?
力無くゆっくりと微笑む小室の姿はhitomiには痛々しかった。
…そうだ!いつだってそうだ!
この人はいつもくだらないことでムキになって、
周囲から見たら理不尽な行動をとって、みんなから誤解されて
気がついたら一人ぼっちになっていた。
自分は知っていたのではなかったのか?
この人のそんなところを!
一番近くにいたわけじゃないけれど…!

こんな状況じゃなかったら、
次々と身近な人が死に、身近な人が身近な人を殺す、
こんな状況じゃなかったら話し合えたんじゃないのか。
いい思い出なんかなかった。
そのはずなのに涙が溢れてくる。
涙と、自分を責める思いと、運命を呪う気持ちが交互にhitomiの中を駆け巡る。
「小室さん…私、私、小室さんに感謝してます!」
「チャリティーCDにも参加させてください!」
「だから、だから世界のT・Kは絶対に復活しますよ!」
「お、う、あ、」
小室の言葉にならない声がhitomiに突き刺さる。
「ひゅ、ごぼっごぼっ」
それは声なのだろうか?ただ気管から空気が漏れる音なのだろうか?
「見えますか小室さん?」
己の罪を償うかのようにhitomiは泣き叫ぶ。
「満員の横浜アリーナの光景が!」
「…」
いつの間にか小室は目を閉じていた。
hitomiは気付かない振りをしたのだろうか、
小室の手を強く握り締め、なおも一心不乱に叫び続けている。
「エイベックスにはアムロちゃんも、KEIKOさんも、マークさんもいます」
「D.A.Iさんも、m−floさんも、島谷ひとみちゃんも」
「dreamも、folder5も、shelaも」
「エイベックスは、私たちのエイベックスは永遠に不滅です!」
「ELTも、moveも、Misiaさんも、」
「これから、みんなをプロデュースして…」

パン!

…乾いた銃声に人生を中断されたとき、
hitomiは自分の言葉が戯言に過ぎないことを悟った。
小室の手を強く握りしめたまま…。

「なにごちゃごちゃ大声出してるんだ」
最後の最後に一つになることができた師弟の死体の背後から、
ベレッタM1934コマーシャルを構えたアキヒトが呟く。
「…場違いだな。エイベックス?なんだそれは?」
気づかれないように距離をとって小室とhitomiを観察していた桜井は、
目前の光景に躊躇していた。
hitomiを思う小室の気持ち…それは殺され間際にも関わらず自分を思ってくれた氷室や布袋と同質のものだ。
だがもう過去の自分は断ち切らなければならない。
そう考え銃口をhitomiに向けたはずだが、先を越されてしまった。
銃声に向かい銃を構えると、
同じように自分に銃を向けたアキヒトの姿があった。
「…」
「…」
このゲームが始まってから初めての遭遇だったが
もちろん再会を祝すつもりは二人にはない。
アキヒトの接近に気付かなかったのはミステイクだが、
アキヒトもたった今、桜井の存在に気付いたようだ。
…こいつは殺し慣れている。
アキヒトの手際を見た桜井の感想であったが、
同時に桜井の目を見たアキヒトの感想でもあった。
危険な相手だ…少なくとも無傷では勝てない。
それはどちらの心の呟きだったのか。
「…」
「…」
数瞬の沈黙の後、二人は全く同じ行動をとった。
それはいずれ互いが最後の対決の相手になるかもしれないという 直感だったのだろうか?
同時に銃をおろした二人は、互いに背を向け…ゆっくりと歩き去った。
胸中に再戦を約して。
364 :02/01/03 12:02 ID:ZeLLjUTD
更新おめでとう!
365名無しのエリー:02/01/03 12:10 ID:tnibMMcl
1さん、更新時間がどんどんズレてますね。
ちゃんと寝てますか?(藁

それはそれとして、小室さん…コワイ。
撲殺って。
思わずマッチョな小室さんを想像して汗かいてしまった。
ガクトとか福山とかかっこいい系の男が激しく情けないのも
面白いです。
頑張って下さいねー。
366Nana:02/01/03 17:22 ID:w4cc/Kly
小室哲也って・・・哲哉ね。巨体ってのにワラタよ
しゃべりまくるGacktとか、想像できなくて微妙〜。
367名無しのエリー:02/01/04 00:29 ID:r4Pza5QD
面白いです、頑張って続けてください。
B'zの仇を討つべくSURFACE椎名出演キボンヌ・・・・・無理?(藁)
368名無しのエリー:02/01/04 05:34 ID:B06oJqW1
松岡充、黒澤優と結婚記念あげ
369【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:32 ID:f4O+jxb0
夏の朝が明けるのは早い。
但し早朝は照り返す直射日光もなく、そよ風がそよぎ、過し易い事この上ない。
こういう時間は大切にしたい。自分の好きな事を心行くまで楽しみたい。
ところで俺が今一番やりたい事ってなんだろう?
ゴルフ?そう言えば最近廻ってないなぁ… 今度、誰か誘おうかな…
佐野元春は薄れ行く意識の中で、そんな他愛もない夢の中にいた。
彼の頭の中ではちょうど今『モリスンは朝、空港で』が流れている頃なのだろう。

この殺戮遊戯が開始された日、道場内に阿鼻叫喚が飛び交う中、佐野はひとり冷静だった。
矢沢の死体を見た瞬間はさすがに驚いたが、それでも以前から『この日』が来る事を予想 していた自分にも気付いていた。
佐野は決して陽水に近い人間ではない。だからこそ誰よりも佐野は陽水を理解していた・・・
井上陽水とは『自己顕示欲と支配欲の権化』であると!!

このプログラムが発動された際、彼の心の九分九厘は諦めが締めていた。
他人を殺してまで生き残るのは自分の柄ではないし、それを達成する程の執着心は昔から皆無に近い。
どうにか外部と接触を図り、最後に家族の声が聞ければ十分だ…そこまで達観できていた。
ただ、ほんのわずか乍ら自分の心に巣食った疑問だけがどうしても払拭できていない。
それは後悔とも呼べる感情らしかった。『どうして俺は、そこまでわかっていながら、今まで…』

元来、他人の為にどうこう動く様な性格ではない。ある意味、究極の個人主義者でもある。
しかし今だけは、その仮面を一度だけ外してみようと思う。慣れない真似をしてみようと思う。
あの悪魔ひとりを道連れにしてもこのゲームが終るとは考えていない。
でも『それ』を成功させる事だけが、これから若い命を散らしていく後輩達へのせめてものの
償いと餞になる様な気がする。
「…やってみるか」佐野は自分自身に語りかけた。
370【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:33 ID:f4O+jxb0
「…でも、やはり無謀すぎたか」 苦笑いしたくなる様な苦々しい気持ちを抱え、ひとり呟く。
佐野は立入禁止令の出る中、ひたすら道場の回りを徘徊し、根気強くチャンスの到来を待った。
たが彼の予想を遥かに越える程の警戒体制には非常に閉口した。
それはそうであろう、国家の命で動いているプロジェクトが反乱分子による混乱を招いては、彼等の面子が立たない。
佐野にとっては二重の不幸であったが、通常のPJを遥かに凌駕する陽水の横暴で卑劣な行為は
政府から見ても参加者達の反発を買う事は容易く想像できた。
徹底的な弾圧と殺戮促進の為、対象を絞る事なく乱射された銃弾は、不運にも叢に潜む彼の
右足を貫いた。今までに味わった事もない激痛に身をよじりながらも、彼は必死に呻き声を抑え、
ペットボトルの水で血を洗い流しながら、公園の奥にある小山の陰に逃げ込んだ。
佐野の密かな決意は、欠片程の成果すら残せず、無残な失敗に終った。

強烈な激痛と睡魔が交互に襲う極限状態の中で、佐野は無用の長物となった短刀を見る。
よくよく考えれば滑稽な話だ。例え進入できても、拳銃ならともかくこの刃物ひとつで何が
出来ただろう? しかし彼は、およそ似つかわしくない行動に出た自分が満更嫌いでもなかった。
恐らく自分はこのまま事切れるだろう。死が恐くないと言えば嘘になる。
しかし今更慌てふためき、生き恥をさらす真似だけはしたくなかった。
せめてこの無念を伝えたい。21年間やってきたミュージシャンとして、後を託せる人間と出会いたい。
そう強く願う事だけが、今の佐野の消えかかった生命を支えていた。

疲れからまどろんだ様だった。佐野は自分の名前を連呼する声で現実に呼び戻された。
「・・・佐野さん・・・しっかりして下さい、佐野さん!!」
うっすらと瞼を開くと、そこには髭が伸び、顔中が泥だらけになったスガシカオの顔が見えた。
「ほう、こいつか・・・」佐野は正気に戻るや否や、奥歯を噛み締め、
全力でシカオを払いのけると、その鋭利な刃を鞘から抜き出した。
「・・・佐野さん?」 「甘えるな!! スガ、武器を取れ!!」
371【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:34 ID:f4O+jxb0
重苦しい沈黙が続いた。体内の血液が逆流するのがはっきりと認識できる。
呼吸は乱れ、目が血走る…これが殺し合いというものなのだろう。
「…佐野さん。無理です、その体じゃ。やめましょう、こんな無意味な…」
「黙れ、若造!!お前に同情される程、落ちぶれてはいない。来い!!」

佐野元春は再び内心で苦笑した。『俺は挑発のセンスがないなぁ…今に始まった事じゃないが』
佐野は元々こんな乱暴な言葉使いはしない紳士のような男だ。だが今敢えてそうしているのだった。
その反面、焦れてもいた。対峙するスガシカオは防御の姿勢を取りつつも、一向に攻撃の気配を見せない。
『このまま無駄に時間が経ち、他の奴が介入するのはウマくない…』
深い親交こそなかったが、佐野はシカオに対し一種の行為を抱いていた。
その生真面目で丁寧な作曲は何処か自分に似通ったものを感じていたし、落ち着いた性格も自分に似ていると感じていた。
時々、意味不明な長演説をする事には閉口していたが…
眠りこけた自分を起こしているのがスガシカオだと気付いた時、佐野は何かに感謝したい気分であった。
『…こいつなら、いい。こいつになら、思いを託せる』

佐野は自分を踏み台にする事で、シカオに強くなって欲しかった。
そう強がる事で、自分のダンディズムを守りたかった。譲り渡したかった。
しかし当の後継者は、その思いを知ってか知らずか、相変わらず戦闘意欲の欠片も見せない。
佐野はまたしても苦手な挑発行為を取らざるを得ない。
「来い、来いよ!! どうした、この臆病者が!! 私がそんなに恐いか!?」

ようやく観念したのか、スガシカオはデイバックを肩から外し、憂鬱げに武器を取り出した。
ジャラジャラと金属の重なる音がする。長いチェーンの先には鋭利な刃物が光っていた。
佐野元春は驚くと同時に、思わず吹き出しそうになる自分がいる事に気付いた。
『鎖鎌とは…あいつと絶妙な取り合せだな…』
だがシカオがその後とった行動は再び佐野を不機嫌にさせる。
シカオはその尖った砥先だけではなく、鎖ごと佐野に向い放り投げた。
372【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:35 ID:f4O+jxb0
「どういう意味だ・・・私を侮辱するのか、スガ!!」 さすがに憤怒の表情で佐野が怒鳴る。
「戦う前に諦めるのか? 情けないぞ!! お前は信念の強い男じゃないのか!!」
「…これが自分の武器です。ただ、あとひとつあるのですが…」
シカオは冷静に返答する。佐野はさすがにその言葉を聞き、固く身構える。
「…でもこれは自分のお守りです。これだけは手放す訳にはいかないので…」
そう言ってシカオはポケットから、拳銃の形をしたビニール製の玩具を取り出した。
「…水鉄砲?」「…形見です、中居の…」
その瞬間、シカオから一筋の涙がこぼれた。彼は堰を切った様に語り始める。

「あれから一日半、ずっとこの水鉄砲を見てました。死にたくない、中居の敵を獲りたい…
 でも自分には、自分にはどうしても仲間を殺して生き残る事が真の勇者とは思えない!!
 そんな事をしても矢沢さんや中居…テル…誰も喜んでくれやしない!!浮ばれる訳がない!!」
「…奇麗事だ。戦わずして生き残れやしない。お前が死ぬ事が、彼等の意思に報いる事か!?」
「戦います!! 戦いますよ!! でもそれは参加者に対してではない!!
 こんな馬鹿げた事をして喜ぶ井上陽水!! そしてその裏側に隠れる国家権力に対してです!!」

佐野は思わず言葉を失う。無茶だ…現実逃避か? それとも気が触れたのか?
「スガ、目を覚ませ!! お前の気持ちは痛い程わかる。でも、それは無謀…」
「佐野さんは、強くなりたくないんですか?」 「何!!」
「俺は強くなりたい!! 人として、男としてもっと強くなりたい!!
 だから戦います、この現実を引っくり返す為に…」 「スガ…」
「俺は人を殺める強さなんていらない!! 殺されない強さが欲しい!!
 奇麗事ですよ、わかってます。幼稚な夢かもしれない…
 でもミュージシャンが夢と希望を失って、どうやって歌うんですか!!」
「……」 「俺は守ります。自分の命を、誇りを、音楽を!!」
373【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:36 ID:f4O+jxb0
それから暫くの間、再度の沈黙が訪れる。
静寂を打ち破ったのは、饒舌な男の方ではなく、寡黙な男の方だった。
「…前から変な奴だとは思っていたが、ここまで変人だったとはな」「……」
「もういい。話すだけ無駄だ。早くいなくなってくれ…」「……」
「…餞別だ」佐野はそう呟くと、短刀をシカオへ向い放り投げた。「…佐野さん?」

「無駄な事はわかっている。もっと有効に使ってくれる奴に渡したいよ、本当は。
 でも私はお前に掛けてみるよ。お前の大甘な戯言に…」
「…しかし!!」口を開いたシカオを遮る様に、佐野は語り続ける。
「ただ一つだけ条件がある。死ぬな。どんな事があっても生き続けろ。
 そして何時の日か、お前の手で音楽界を再興してくれ。
 それが矢沢さんや中居、拓郎への義務だ…」
シカオは血が出る程、唇を噛み締めながら強く、そして何度も頷いた。
それを見た佐野は、今まで見せた事のない優しい笑顔を見せると力なくしゃがみこんだ。

「佐野さん、大丈夫…」「大丈夫な訳、ないだろ。怪我人を長時間、立たせやがって…」
苦笑しながら佐野は言葉を繋げた。
「もういい。俺にしては十分すぎる程しゃべった。疲れた。さぁ、早く行ってくれ」
「…いや」シカオはそう言うと同時に佐野の手を強く掴んだ。「ここに、忘れ物があります」
「余計な気使いだ。今の私には足手まといにしかならない。お前、生き残るって言ったろ?」
「勿論です。でも自分達には佐野さんが必要なんです。不安や焦りの中、
 佐野さんがいてくれたらどれだけ安心するか…」
「…買被りだ」「佐野さん!もう一度!もう一度だけ共に戦って下さい!」
374【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:36 ID:f4O+jxb0
佐野は不思議だった。過去一度も先輩らしい事をしてやった覚えもないのに、この若者は
自分を必要としてくれている。
『人間は人間関係によって、人間として存在できる』という言葉がある。
人間はただ一個で存在する場合、単なる畜類に過ぎない。
その人と人とが接し、関係する『縁』の中にあるからこそ、人間でいられるという意味らしい。
佐野はその『縁』を目の前の細面の男に感じていた。というより、彼がそれを気付かせてくれた。
「…スガ、もうひとつ条件を付けるぞ。もう駄目だと思ったら、迷わず俺を捨ててくれ。それさえ約束してくれるなら…」
「約束します。俺は絶対に生き残ります。佐野さんの命を、俺に預けて下さい。」

「よし、わかった」佐野は無表情に、それでいてどことなく満足げな表情で頷いた。
「…じゃぁ、行くか」「…はい!!」シカオは佐野の肩を抱えて立ち上がり、歩き始めた。

「…スガ」歩き出したと同時に、佐野は聞き取れない位小さな声で呼びかけた。
「…人の気配がする」「えっ!?」「馬鹿、大きい声を出すな」
わずかだが草木が靡く音に混じって、荒い吐息が聞こえる。間違いない…
しかし、佐野は腑に落ちなかった。あれだけ長時間、無防備な体制が続く中、何故仕掛けない?
味方か?ならば声を掛けてくるはずだ。

「…佐野さん…」「大丈夫だ、どうやら敵は殺し慣れてない小心者らしい。それ以外考えられない」
「どうします?」「俺が声を上げる。間違いなく奴は反応する筈だ。それと同時にお前は逃げろ」
「佐野さん!!」「生き残るんだろ、お前は?」…シカオは小さく、そして強い目をして頷いた。
「…よし、やろうか」佐野は腹立たしかった。さっきまでの会話を聞いてたんだろ?
それなのに何故、シカオを狙おうとする!?『…この男は、殺させない…』
普段も低くて良い声だが、そこに決意と怒りが加わり、凛として聞き惚れる様な声になった。
「誰だっ!!」

佐野の予想は当たっていた。相手は迷いの中にいたらしい。
不意をつかれて頭髪を茂みから覗かせた。
ただ惜しむらくは、椎名林檎が現われた場所がスガシカオの目の前だった事だが…
375【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:37 ID:f4O+jxb0
その刹那、佐野は最後の力を振り絞りシカオの体を突き飛ばした。
と同時に腹部に強い衝撃が走る。体温が急上昇したかと思うと、次の瞬間には全ての力が
抜けていった。佐野元春は崩れ落ちた。

「佐野さんっ!?」シカオは自分の安否も省みず、佐野の元に駆け寄った。「しっかり!!しっかりして下さい!!」
…息はある。が、今にも消え入りそうにか細い。目は堅く閉じれれ、勿論返答はない。
何とも描写のしようがない程、重苦しい時間が過ぎた。何の音も聞こえない。
興奮した椎名林檎の荒い吐息を除いては…

シカオの体が激しく揺れる。彼は加害者の方を一瞥だにせず、佐野の体を抱えたまま絶叫した。
「…しいなーー!!!!」
その声は地の底から沸き起こったかの様に激しく、強く、何より哀しい声色だった。
「…あなたに、あなたに何がわかる!!」林檎は泣きながらシカオに怒鳴り返す。
「…家に、自分の生まれた家に捨てられた私の気持ちの何がわかるってんだよ、あんたに!!」
林檎はショットガンの引き金を連続して引いた。
しかしそれはシカオに対してではなく、晴れ渡った夏空に向かい空しく発射されていた。
シカオが後ろを振り向いた時、そこに林檎の姿は既に存在していなかった。
376【二日目・午前5時30分】公園:02/01/04 06:38 ID:f4O+jxb0
あれからどれ位の時間が経過したろうか。
もはや佐野の体からは何の音も動きも発せられていない。
しかし、死ぬ間際まで見事なまでに整備されていたヘアスタイルは
シカオの涙と鼻水で濡れていた。
「…どうして…なんで…なんで、こんなことに…」

佐野元春は薄れ行く意識の中で夢を見ている。
『…あぁ、そうか。私はあの頃に戻りたかったんだ…』
佐野は今、初めて自分の居場所を見つけた気がした。
そして生前、最後に言葉を交わした青年に心の中で静かに語りかけた。

『…佐野、俺、お前に頼みたかった事がもうひとつあったんだ…』
『…今度、コンサートやる時は、俺にも一声掛けてくれよ、な…』
時刻は朝6時を示そうとしていた。新たな戦いがまた始まろうとしている。
377:02/01/04 06:42 ID:f4O+jxb0
>>365
ふふふ、ここ二、三日不規則な感じですね。もう大体直りましたけど。

佐野元春は自分の趣味で出した感じがありますね。
378名盤さん:02/01/04 08:49 ID:obQgC9md
ガソバレサザソヨタノ1
379名無しのジョニー:02/01/04 12:01 ID:uQzEeApS
はじめから見てます〜。
ガソバレ
380名無しのエリー:02/01/04 16:46 ID:X0HoeMXR
桑田とシカオがヨウスイ倒すのきぼーん
381名無しのエリー:02/01/04 21:24 ID:tRaAIDAr
山崎まさよしはでないの?
382名無しのエリー:02/01/04 22:50 ID:5fVhtZEi
山崎きぼーん
383名無し:02/01/04 23:55 ID:0KEOYxqx
泉谷しげる出演キボーン
384名無しのエリー:02/01/05 10:55 ID:9whC3rkB
age
二日目の、朝が来た。

蝉の鳴き声が姦しい。心地良いそよ風は鳴りを潜め、代りにはまとわりつく様な湿気のお出ましだ。
何処か遠くから再び銃声が聞こえ出した。その直後『少年時代』がオーケストラバージョンで流れ出す。
「さて、今日で何人殺せばハッピーエンドになるのかな」
このゲームの主役とも呼べる松岡充は、飽き飽きした口調で不機嫌そうに身を起す。

『…静かにしろっ、テメーラ!!』 何時になく不機嫌な声が、スピーカーを通して響き渡る。
『人が話す時は黙って聞け!親に教わらなかったか!この常識知らずどもがー!』
銃声はピタリと止み、当り一面に不穏な静寂が戻って来た。
「…棚に上げすぎだろう、自分の事を」 大先輩達をも殺した桜井和寿は苦笑しつつ、意味もなく銃を磨く。

『えー、大きい声を出して申し訳ないっ!おはよう、お元気ですかぁ!! 元気があれば、友さえ騙せる。
 そんな君達の頑張りに、詩を贈ります。サンタモニカの朝に、という詩です。
 不安だらけの人生だから、ちょっと足を止めて自然に語りかけてみる…』
「…そういうのを便所の落書きって言うんだよ、バーカ」 殺人マニアと化した宇多田ヒカルは、罵る様な口調で吐き捨てる。

『 …しかし、相変らずいいペースだ。少し、驚いています。
 お前等っ!! 結構、非道な奴らだったんだな!! 俺は先輩として哀しいぞ!! ンムフフフフ…』
「…もう聞き飽きたよ、あんたの煽りは」 疲れ切った表情を垣間見せる桑田佳祐。
「能書きはいらねぇ!とっとと教えろ!清春は未だ、生きてんだろうなぁ!! アイツは必ず俺が殺るんだ!!」
復讐の鬼と化した西川貴教は、声の出ている方角に向かいガナリ立てている。

『えー、それでは発表しますっ!元気に行きましょう!
この6時間での脱落者は全部で9名!…ゆずの二人!aiko!福山雅治!
稲垣吾郎!IZAM!Gackt!hitomi!佐野元春!…惜しい、あと一人で大台じゃねぇか!!』
「…オイオイオイ、冗談じゃねぇよ。もう1/3も残ってねぇのかよ…」
爆弾を製作しているhydeは、普段の面影は何処へやら、唖然とした表情で虚ろに呟く。
「…やべ、やっぱ貴教、死んでねぇよ。しつこいなぁ… それだけが取柄だもんなぁ」
今回の殺戮大会で意外な役者振りを発揮した清春が、愉快そうに忍び笑う。

『しかしっ!!』 スピーカーの向うにいる饒舌な悪魔は、一向にその独演会を止める気配が無い。
『しかしだ!! 俺はある意味、モーレツに怒っている!フザケンナコノヤローッ!!』

『…えー、それでは怒りの理由を説明します』 怒鳴ったかと思えば、急に丁寧口調に戻る。
まさに精神のメリー・ゴーラウンド状態だ。
『一生懸命、人殺しをしている奴らがいる!その反面!ずーっと逃げ回ってる奴らもいる!
お前達はそれでも男か!ミュージャンか!俺は久々に本気で怒っている!
お前がこんなにヘタレに育ちゃぁ、お前らの御両親に対して俺の面目が立たねぇじゃねぇかコノヤローッ!』

「……」 やってられんとばかり首を何度も横に振るアキヒト。
この男を一度でも人生の道標にし、崇め奉っていた自分がたまらなく恥ずかしい…

『そこでだ!今から罰ゲームっ!! 民生っ!』スピーカーからは次いで、厭味なまでに冷静な声が流れ出す。
『奥田です。おはようございます。これから追加ルールの説明をします』
その事務的な口調が、生存者達の憎悪を益々掻き立てる。
『えー、皆さんの行動は特殊モニターと体内発信機で全て管理されています。
よって誰がプログラムの主旨を理解できていないかは把握済です。敢えて名前は公表しませんが…』
「殺せるわけないだろっ!自分の友人を、先輩を!」 悔しげに咆哮するスガシカオ。
『再指令です。未だ殺人行為を達成していない人は、どんな形でも結構ですので、必ずひとりは殺して下さい
納期はちょうど当プログラムの折返し地点に当る、本日昼12:00までとします。
心配はしてませんが、万が一、この指令に対し無視や反故をする方がいた場合は…』

ここで奥田民生はわざとらしく、一旦その言葉を切る。
100年に一度の天才と呼ばれ、多くの若者をこの業界に導いた功労者は、自分の栄光の歴史に
泥を塗るかの如く、さも楽しそうに後輩達へ脅しをかけた。
『皆さん、脳内に小型爆弾が仕込まれてる事、忘れてませんよね。アハハハハ!』

『よーし、見せしめ行くぞー、見せしめっ!』陽水のはしゃぐ声が遠くに聞こえる。
『参加者で武道館が見渡せる場所にいる方は、後学の為、是非御覧下さい。』 性懲りも無く挑発を続ける民生。

スガシカオは、既に冷たくなった佐野元春の遺体を木の麓に静かに立て掛けると、自らは木陰に身を隠し
ながら、すっかり遠くなってしまった武道館の方向を凝視する。
武道館のドアが開く。一人の細身の男性が、兵士に両脇を抱えられながら出てくるのが見えた。
シカオは目を凝らし続けた結果、ようやくその男の存在を認識し、愕然とした。
「…堂本くん…」
双眼鏡が無く肉眼でしか見れていなかったシカオだが、もし近くでまじまじと眺める事が出来たとすれば、
彼は驚嘆の声を上げる前に、嘔吐していた可能性が高い。
分厚い黒布で目隠しをされていた堂本光一には、既に両の耳がなかった。
掌は何かで圧縮された痕跡があり、逃亡防止の為か、太腿には2本のナイフが鋭角に刺さっている。
スーツに縫い付けられた小型マイクからは、隙間風の様な光一の呼吸音だけを厳かに伝える。
恐らくは、あの自慢の声帯さえも奪われてしまったのであろう…。

『戦う前から、負ける事を考えるバカが何処にいる!この腰抜けが!』スピーカーから更に怒声が加わる。
『光一くんは今朝投降してきました。勿論、未だ誰も処分できてないそうです。弱りましたね…
 出来る事ならば助けたいんですが。しかしこれは国家の命…』 民生の解説を遮り、悪魔が叫ぶ。
『よーし、離れろーっ!』同行した兵士は光一の両脇から手を放し、脱兎の如く武道館に向かい走る。
糸の切れた人形の様に、堂本光一は地面に崩れ落ちる。
芋虫みたいにはえずり回る彼は、口をパクパクしながら声にならない悲鳴を上げ続ける。

『誰だって、こんな事はしたくないんです。でも理解してくれない人はこう対処せざるを得ない…』
したくないと言う割には歓喜を抑え切れない声で、民生は参加者達に語り掛ける。
『それでは開始します……15秒前…10、9…』

「…やめろ、やめてくれよ」 スガシカオはその地獄図を遠方から見ながら、懇願する様に呟き続ける。
『…8、7…』 「…やめろってば、いい奴じゃないか…」 シカオは光一が好きだった。
先輩とも分け隔たり無く接する慣れなれしくも優しい人柄、悪気の無いムダなつっこみを入れるところ…
『…6、5、4…』光一は決して気が強い人ではない。しかし強くなければ、ここでは生きる事さえ許されないのか?
人を殺せなければこんな無慈悲な扱いを受けても良い、と誰に言える権利がある?
強いって、何だ? 生きるって何だ!? 数秒の間に様々な問い掛けがシカオの頭で交錯する。

『…3、2、…いくぞ!! イナズマッ!!』 テルの時とは比較にならない程の大音響が響き渡る。
爆発と同時に、シカオは目を閉じ、顔を横にそむける。
彼が再び現場に目を戻した時には、光一の体は自らが流した大量の血の海の中で浮んでいた。

『処刑完了です。因みに爆発力は本部である程度、変更可能です。驚きました?
まぁ爆発が大きかろうと小さかろうと、結局死ぬ事には変りありませんが…。では陽水さん…』

『堂本光一っ!!このバカヤローがっ!!』 スピーカーから再度怒声が届く。『…えー、どなったらすっきりしました』
『まだ6時間もある!頼む、戦え、戦ってくれー!! ミュージシャンの名に賭けて、熱い殺し合いを見せてくれ!!
 光一の様な卑怯者をこれ以上見たくないっ!諸君の一層の奮戦を期待します!
 それでは行きますか!幸せ気分でコモエスタ!! ダ----ッ!!!!!』
この世で考え得る最も不快な進捗発表会は、ようやく終りを告げた。
「…Gackt…ガクトォ…」 hydeは僚友の予想もしなかった死に対し、嘆き悲しむ手段しか残っていない。
「…馬鹿野郎、はえぇよ… 何で俺を置いてちゃうんだよぉ… 嘘だと言ってくれよ!ガクト!!!」
「うるせぇよ!! 少し静かにしてくれって!」元XジャパンのYOSHIKIは不機嫌極まりない声でhydeを叱責する。

YOSHIKIの心中は憤怒で燃え盛っていた。悔しさで半狂乱状態だった。
Gacktの死に加え堂本光一という一人の男が見せしめのため犬ころの様に惨殺された。
いや、犬猫以下と言って間違いではない。何処の世の中に、犬一匹殺すのに、あれだけ手の込んだ真似をする奴等が!?

しかし、それだけの怒りを抱えるYOSHIKIに腰を上げさせない原因は、先刻突如追加された新ルールの存在だった。
現実は余りにも惨い。あと6時間の間に他人の命を奪わない限り、自分の頭が吹き飛ばされるのだ…
それに何と運の良い事か!自分が行動を共にしているパートナーも未だ殺人に関しては生娘らしい。
おまけに彼には銃がある。自分にも銃はある。しかし双方とも弾が出ない…

『そういう意味では安心か?いや、そうとも限らねえ』YOSHIKIは心中で呟きながら、悲嘆に暮れるhydeの丸まった背中を冷ややかに眺める。
『…コイツ、いざとなったら俺を殺すんだろうなぁ…』
別に今更ジタバタする気はない。hydeがそうしたいんだったら、そうすりゃいい…
でも矢沢を始め、自分の掛替えの無い仲間を虐殺していった張本人達には何とか一矢を報いたい!
しかし何も具体策は思い浮かばない。YOSHIKIは冷たいコンクリートの上に体を横たえる。

その動作に気付いたhydeは、顔を涙で濡らしながら先輩に問い掛ける。
「…どうしたんすか、YOSHIKIさん…?」
「…暫く、独りにさせてくれって。その間、お前が撃ちたきゃ撃てばいい。逃げたければ逃げるがいい…」
「YOSHIKIさん!なに言ってんすか!」hydeが怒声を上げると同時に、一旦中断されていた銃弾オーケストラが
遠くで再度開演を告げた。

「ふざけるな!お前等、何時になったら気付くんだ!そんなに撃ちたければ、俺を撃てよ!」
hydeは怒っているかの様な、泣いているかの様な判別のし難い表情で、銃声の方向に向かい怒鳴っている。
「…チッ、馬鹿野郎が…」不貞寝をしながらYOSHIKIは、苦虫を噛み潰した様な表情を見せた。
392現在(二日目・午前6時)の状況:02/01/05 12:07 ID:MB0JLrmK
首謀者:井上陽水 側近:奥田民生


生存中参加者:
[非暴力派]スガシカオ hyde 桑田佳祐 トータス松本 YOSHIKI(X-JAPAN)
[武闘派]アキヒト(ポルノグラフィティー) 桜井和寿 松岡充 宇多田ヒカル 吉井和哉 西川貴教 清春(SADS)
[どっち派?]堂本剛 椎名林檎

死亡確認済出演者:
矢沢永吉 テル 宮本浩次 中居正広 吉田拓郎 平井堅 氷川きよし 矢井田瞳
浜崎あゆみ 国分太一(非参加) 真矢 三木道三 河村隆一 B’z CHAGE&ASKA CHEMISTRY
氷室京介 布袋寅泰 つんく 田代まさし 稲垣吾郎 aiko ゆず 福山雅治
IZAM Gackt 小室哲哉(非参加) hitomi 佐野元春 堂本光一

現在の総出演者:50名 死亡確認済出演者:34名
途中追加されるのはあと二人です
393名無し:02/01/05 14:21 ID:1r1fTkOK
1さんお疲れです。

あと2人・・一体誰でしょう?
394名無しのエリー:02/01/05 16:19 ID:voestktS
西川のちびに清春やらせておくれや
劣等感だらけの奴が憧れてる奴を自ら殺す下克上パターンきぼーん
395名無しのエリー:02/01/06 00:40 ID:41mBSPEx
1さん今日はお昼なんですね(藁
ところで西川って武器吹き矢だったのに銃持ってますね。
どこで出に入れたんだろう…そこらへんもフォローしてくれると嬉しいなあ。
1さんお願いします。
>394
確かに、普通に考えたら清春の方を残すだろうけどそれじゃ面白くないかも。
ちなみに実際の二人は「清春君」「西川君」と呼び合う感じです。
お互いを呼び捨ての二人が珍しくて面白い。

頑張って下さい。
396         :02/01/06 18:29 ID:/Fb5cokE
桜井、宇多田、アキヒトは武闘派の中でも最後のほうまで残りそうだな…
モーニング娘ははいらねぇんだな。ラストのほうはスガ、桑田、hyde、桜井、宇多田、アキヒトで決まりかな…
397名無し:02/01/06 18:41 ID:2qAXzURv
すごくおもしろいこのスレ…
398 :02/01/06 20:20 ID:d+O7OnIU
スガとドイハ、死ぬ方は相当無様な死に方晒しそうだな。
399シュビルチンボン ◆KngD7GMA :02/01/06 20:22 ID:eGdaz7g8
優勝は松井常松
400名無し        :02/01/06 22:49 ID:KevJNKmw
他に出てないのねぇ。スピッツ、ドリカム、ELT…うーん、女性ヴォーカルや全盛期過ぎたの
含めるとまだまだいるな…誰が出るんだ???
401名無しのエリー:02/01/06 22:53 ID:oNkwPr1s
松岡とアキヒト、清春とTMの相打ちきぼ〜ん
402 :02/01/06 23:59 ID:rZ59323i
403 :02/01/07 00:01 ID:X5corVsJ
>>402
>>369-
どうした(藁
404名無し:02/01/07 03:03 ID:ZDlqLHjs
おもしろいなー。
別にケミ、好きじゃないが
あっけなさすぎ…。
ビジュアル的に堂珍氏が桐山に重なってしまう。
最初にスガシカオ氏が出てくるトコロに
渋さを感じました。結局、七原的存在って
スガ氏なんかな。
原作に重ねるのは、ナンセンスかな。

とにかく楽しみにしてます。頑張って!
405【二日目・午前7時】公園:02/01/07 04:42 ID:tAeR+j56
堂本光一の最期を見届けた後、シカオは佐野元春の亡骸と共に公園に来た。
遠くに誰かの死体が見える。シカオは目を背け公園の奥へと進んだ。
大きな池が見えた。佐野が暇を見つけてはやって来て、白鳥に餌をやっていた池だ。
シカオは、佐野をとりあえずここに眠らせてあげようと思い、危険を冒してまで連れてきたのだった。
(佐野さん、少しだけここで待ってて下さい。後で必ず…)
佐野の安らかな寝顔を一度だけ見ると、シカオは佐野に背を向け歩き出した。
「!」
シカオの視線の先に人影が見え、それが近付きながら話し掛けてくる。
「…おはようございます、シカオさん。」
「アキヒト…君……」
アキヒトはシカオを待っていたのだ。
406【二日目・午前7時】公園:02/01/07 04:42 ID:tAeR+j56
突然の再会に戸惑うシカオに向かい、アキヒトが口を開く。
「アレから色々考えました。その答えをどうしてもシカオさんに言っておきたかったんです。」
朝日を背にシカオは複雑な表情を浮かべながら答えを待つ。
アキヒトは張り詰めた表情のまま腰から銃を抜き、シカオに向けて二度引き金を引いた。
驚きながらもシカオはその場を飛び退き木の幹の陰に隠れた。程無く木の幹が銃弾でえぐられる。
「アキヒト君!どうして、どうしてなんだ!?」
戸惑いを隠せずシカオは問い掛けた。アキヒトは迷いの無い目でシカオの方を見ながら答える。
「このままで終わるのが嫌なんだ。これからなんだよ、オレは!」
アキヒトは回り込みながら撃ってくる。シカオは避けながら別の木の陰に隠れ、訴えた。
「その為なら何をしてもいいのか?例え人を殺しても!」
「生き残るんだよ!…その為には何だってやる。人だって殺す。」
アキヒトの言葉にシカオは仕方なく短刀を抜いた。佐野の血と想いが染み込んだ短刀を。
407【二日目・午前7時】公園:02/01/07 04:43 ID:tAeR+j56
(とりあえず弾を撃ち尽くさせるんだ。その隙を狙えれば何とか殺さずに済ませられる。)
断続的に続いていた銃声が途切れた。それにあわせて身を乗り出す。
「ぐぁっ!!!」
シカオの右耳の先が弾けた。アキヒトは銃にまだ弾を残していたのだ。
いきなりの痛みにシカオの体勢が崩れた。その隙に逆にアキヒトがシカオとの間合いを詰める。
(今からじゃ間合いを空けられない!こっちも詰めるんだ!)
自分に近付いてくるシカオにアキヒトは完全に意表を突かれた。舌打ちしながらシカオに銃を向ける。
(届く!)
シカオはアキヒトの銃に向けて、渾身の力で短刀を振り上げた。―――しかし短刀は虚しく空を切る。
激しく落胆するシカオの額に銃口が触れた。
408【二日目・午前7時】公園:02/01/07 04:43 ID:tAeR+j56
「…なぁアキヒト君、一つだけ聞かせてくれないか?」
「……いいですよ、一つだけなら。」
眉一つ動かさずアキヒトは答えた。それを聞き、表情に先程の落胆をおくびにも出さずシカオは言った。
「―――どうして逃げた?このゲームから。」
「!!?」
アキヒトの眼は予想だにしなかった問いに大きく見開かれる。アキヒトは必死で言い返した。
「オ、オレがいつ逃げた!?人も殺さず生き延びようとしてるあんただ!!負け惜しみなんだよ!! 」
「お前が選んだ道は自分にとって楽な方じゃないか。それを『逃げ』とは言わないのか!?」
自分の置かれた状況を省みないシカオの強気な態度に、アキヒトは苛立ちを隠せない。更にシカオは続ける。
「お前自身が誰よりその事を分かってるんだろう?その苛立ちが何よりの証拠じゃないか。
 自分の信念を曲げて楽な方を選んでいるだけなんだ。
 このゲームで人を殺さずに生き残る難しさから、今のお前は目を背けているだけなんだよ。」
聞き終えたアキヒトの顔からはいつの間にか苛立ちが消えていた。そしてどこを見ているのか見当がつかない呆然とした顔を見せる。
409【二日目・午前7時】公園:02/01/07 04:45 ID:tAeR+j56
「…あんたの言う通りだ。わかってた。このゲームに乗って、生き残ろうとする時点で人として死んでるも同然だってことは。」
「アキヒト君…」
アキヒトの腕が下がり出し、シカオの額から銃口がそれた。しかし、銃口は再び額へと向けられる。
「でも引き返せない。こんな所で死にたくないんだ…だからオレは真矢さんを殺した。
 hitomiさんも殺した。もう…引き返せないんだよ!」
「…ばかやろう…」
シカオは一言だけ呟き短刀を突き出した。撃たれる事は分かっていたが。


シカオの表情は驚愕に包まれていた。
手にした短刀からは血が垂れている。短刀の先は今、アキヒトの体内に収まっていた。
「…どうし…て……?」
シカオは困惑した。アキヒトの腹部に深く突き刺さった短刀を見ながら。
そんなシカオを見つめながらアキヒトは言った。
「あなたに…止めて欲しい……あなたの言葉で…そう…思った……」
シカオは無言で立ち尽くし、地面に倒れるアキヒトを見続けた。
「…これで…12時過ぎても……死なないでしょう?」
「!…そんな事…どうでも良いじゃないか……」
「…でも…やっぱりあなたは……殺しちゃダメだ……」
その言葉と共にアキヒトは銃を自らのこめかみに当てた。
「……この銃…持ってって…ください……あなたを…見届けたい…カラ……」
「やめろぉ!!!」
シカオの声と引き金が引かれるのはほぼ同時だった。

池の水面はこのゲームに不釣合いにキラキラと輝いている。
「佐野さんと一緒に待っててくれ。話合わなそうだけどな。」
苦笑しながらシカオはアキヒトを佐野の隣に寝かせた。
アキヒトの銃を腰に刺し二人にしばしの別れを告げ、シカオはこの血生臭いゲームを再開した。
YOSHIKIとhydeは焦っていた。焦りの原因は当然、陽水の決めた新しいルールだ。
その二人の内でもYOSHIKIは特に焦っていた。予め3日間の行動をある程度考えていたYOSHIKIにとっては
このルールは不都合極まりなかったからだ。
YOSHIKIは、この3日間である程度の協力者を集め『ある計画』を実行するつもりでいた。
それには2人では明らかにコマ不足である。にもかかわらずこのルール。
これの所為で今までやる気のなかった者ですら信用できなくなってしまう。
当然hydeが裏切らないとも限らないし、それ以前に自分はともかくhydeに誰かを殺せるかどうかも疑問だ。
そして一人でも殺している者は殆ど出歩かないだろうと言う事。
12時まで待つだけで勝手に敵が減ってくれると考えればこれも当然だ。
(殺人者の気紛れを祈るか協力者候補を殺すかしか無いのかって!)
YOSHIKIが苛立ちながら、二人の集めてきた材料で何種類かの爆弾を作る準備をしていると、
それを手伝っているhydeが話しかけてきた。
「ねぇYOSHIKIさん。なんでこんな物の作り方知ってるんですか?」
それを聞いたYOSHIKIは作業の手を止めず、hydeの方を見ないで話した。
「自分で勉強したんだよ。」
「べ、勉強って…なんでそんな事……まるでこういう事があるの知ってたみたいじゃないですか。」
「知ってたよ。」
「…えぇっ!!?」
予期せぬ答えにhydeは驚きを隠せない。
「知ってたって言うより聞いたんだけどな。HIDEに。」
「HIDEって……亡くなった元XジャパンのHIDEさんですか?」
「あぁ、あいつは実は昔試験的に行われた、一般人を使った『プログラム』の生き残りなんだ。
 一般人の中にHIDEを特別参加させてデータを集めようとしたわけさ。色々教えてくれたよ。
その後HIDEは『プログラム』阻止の為にある反政府組織の人間になって色々してたらしい。」
hydeはあまりの事に驚きながらも黙って聞いている。YOSHIKIの話はまだ続いた。
「オレが聞いたのは5年程前、『プログラム』の計画に陽水が加わったらしい事、
それと『プログラム』の大まかな概要だけだ。生き残ってからHIDEはずっと監視されてたらしい。
それにHIDEと同じ俺たちXのメンバーもよく誰かにつけられてたしな。」
「…じゃあもしかしてHIDEさんが亡くなったのは……」
「それはわからんが、数日前まで元気にしてた奴が遺書も残さずに首なんて吊ると思うか?普通。
 それにHIDEは矢沢さん辺りにも教えるつもりだって言ってたからな…
矢沢さんが真っ先に殺されたのは、『プログラム』について知ってたからかも知れんな。」
hydeはもう何も言えずにいた。作業の手を止め、そんなhydeを見て溜息をつきながらYOSHIKIは言う。
「でもな、今のオレ達はそんな事心配してる場合じゃ無いんだって!」
そう言ってYOSHIKIはさっきからの色々な心配事をhydeに言った。『ある計画』だけは伏せて。
「前にも言いましたけど、オレがYOSHIKIさんを殺せるワケないじゃないですか!」
「じゃあ他の誰かを殺せるのか?」
「う・・・・・・・・」
いつまでも答えの出せないhydeから目を離しYOSHIKIは爆弾作りを再開した。
412:02/01/07 05:01 ID:UbFYk2Bu
流れなら桜井と戦わせるのが順当だったんですけど、予想に反してアキヒト死んじゃいましたね…。

>>395
一応西川の銃はaikoの物なんですが、aikoの武器は>>100で塩酸ビンってことになっているし…。
武器を複数支給されていたっていう事で結構でしょうか?
あと西川&清春の一日目の動きは書かれていないのですが
敢えてそういう形でもいいんじゃないかと勝手に考えております。

また不規則に更新です(w
自らの不規則な生活をこんな形で晒してしまうとは(w
さぁ、週明けの今日からまた健全に生活しなければ!
413名無しのエリー:02/01/07 13:11 ID:QSmkKkoV
このペースだと元ネタに追いつくね(藁
そこからはオリジナル?
414名無し募集中。。。:02/01/07 13:53 ID:c9pvb5Qt
YUKIちゃん入れて。たぶん彼女は残るはず
415キョウ:02/01/08 07:27 ID:jNNVGr3y
椎名林檎出てきたage
416名無し。:02/01/08 13:30 ID:AE+W/i1Y
うう・・・このスレ本当に好きだよぉ・・・
でも、ケミファンの私としてはちょっと切ないかも。本当あっけなく逝っちゃって・・
松岡とaikoの所と、アキヒトとスガの所思わず泣いちゃったよ。
417名無し:02/01/08 14:07 ID:Hdgv8X0S
これはスガが生き残るな。多分。
418ななし:02/01/08 21:41 ID:J+omiPMv
アキヒトかっけぇ〜。でも新死んじった・・・(汁)
419ななし:02/01/08 21:50 ID:J+omiPMv
アキヒト死んだぁ・・・かっけぇ〜。スガいい子ちゃんすぎでウザッ。
420名無し:02/01/08 22:24 ID:s2P49ewR
佐野とシカオのやりとりがこっそり好きだ…。
421 :02/01/08 22:54 ID:S3i4p6yH
ひとまずこっそりではないな
422ななしんじゃ:02/01/09 15:08 ID:x4Hk2J7C
早く更新して欲しいyo!
age。
423【二日目・午前7時半】公園:02/01/09 16:30 ID:mZautFMS
椎名林檎は不思議だった。そして不愉快だった、自分自身に対して。
支給された兵器の中でも高性能な部類に数えられるであろう、自分のショットガンは全く標的を捉える事なく、
逆に敵の『手裏剣』というふざけた武器は確実に自分の体を捕らえている。
「何故だ!何故この椎名林檎が、あんなロートルに…」

幸い致命傷こそ負っていないものの、体中に無数の傷跡が発生している。時間の経過と痛みと焦りが比例する。
それに林檎は、先程生まれて初めて殺人を犯した。その罪悪感、不快感、自らに対する嫌悪感…
その負の感情に耐え切れなくなったが如く、彼女は大声を上げる 「椎名林檎を、なめるなーっ!!」

同時に頭上から無数の砂の塊が舞い降りる。林檎は慌てて身を捩る。するとその方向に今度は鉄の塊の来襲だ。
どうやら林檎の相手は相当の曲者らしい。とにかく先方が狡猾な事、極まりない。
林檎はほうほうの体で叢に身を隠すと、悔し紛れに発砲する。しかし敵を捕えた気配は全く感じられない。

「おいおい、少しは落ち着けよ、腐ったリンゴちゃん。」 馬鹿に仕切った様な低い嘲笑が林檎に降り注ぐ。
「うるさいっ、スマッシングパンプキンズか私は!!」 林檎は怒りに任せ引鉄を引く。しかし当たらない。完全に泥沼だ…。
林檎は再び苦し紛れに挑発する。「あんた、サンプラザ中野と間違えられるの怖いんだろー!このビリー・コーガン並のハゲ!!」
「おいおい、俺のどこがハゲなんだよ。的をえた言葉を吐いてみなって(笑)」「……こいつコロース!!」
林檎は逆上している。自分を見失っている。幾度も見た、負ける典型的なパターンだ。
椎名林檎は体力と兵器性能で圧倒的優位に立ちながらも、スピッツの草野マサムネのインサイドワークの術中に嵌り、もがいていた。
424【二日目・午前7時半】公園:02/01/09 16:31 ID:mZautFMS
一目散に斜面を下り降りようとする。しかし自らの左足が言う事を聞かない。鉄の塊の飛来により腱の一部が損傷している。
「…クソッ…」 椎名林檎は忌々しげに呟く。しかしその対象は何であるのか、思い通りにならない自らの手足か、
一向に留まる事を知らない照り返す太陽に対してか、敵である草野マサムネに対してか、それともこの運命に対してか…
その何れでもないかも知れないし、その全てに対してかも知れない。とにかく彼女は苛立っていた。
流れ出る血を塞ぐ内に赤くなった掌に彼女は問い掛ける。「この血は誰の血だよ!私か!佐野さんの血か!」

佐野元春殺害後、半狂乱の体で山道を駆け下りていた林檎はマサムネにその姿を発見され、全く希望しない第2ラウンドに突入した。
但し林檎の真の敵はマサムネではなく、自らの良心の呵責であった。マサムネの攻撃を受けながら、彼女の心は別の問い掛けで満たされる。
『…私は…汚れちまった…』 『…バカ言うな!殺さなきゃ殺されるんだよ!生きて他の連中、見返すんだろうが!』
二つの相反する本心が彼女の脳裏を駆け巡る。目前の『草野マサムネ』という相手が自分にとって何の思い入れもない対象である事も、
林檎の戦闘に対する集中力を削いでいた(生存の権利を得ようとするマサムネにとっては別だが)。

その矛盾に耐えられなくなった林檎が選択した手段は『逃亡』である。
それに別に乗り気がしない相手と無理矢理戦う必要はない。既に俺は生存条件をクリアしてるんだ…
そう言い聞かせると同時に佐野の倒れ行く瞬間が蘇る。「…ウルサイッ!」と自らを怒鳴りつけ彼女は戦場から脱出を図った。

木陰に身を隠し、乱暴な手当をしながら、林檎はふと街中の風景を見やる。
その遠方には粉々に破壊されたホビーショップの残骸がうっすら滲んでいる。
「クソッ!」 林檎は再び猛々しく吐き捨てる。「…誰も頼らない、頼らないって…頼らないよ!!」
林檎の今回の戦闘における悲惨な迷走はこんな所から始まっていた。
425【二日目・午前7時半】公園:02/01/09 16:31 ID:mZautFMS
プログラム開始後どうしようもなかった林檎は、薄暗い街中を一心不乱に徘徊していた。
彼女の心は疲労しきっていた。彼女の優し過ぎる心は殺人への割り切りを許さない。
林檎は誰かにすがりたかった。心の悲鳴を受け止めて欲しかった。赤子の様に泣きじゃくりながら、彼女はその誰かを探した。


その結果、林檎はこれ以上ない程の対象者を探し当てた。
『…いた…いてくれたよ、チキショー…この人だ、 この人となら一緒に戦える…』
静寂を切り裂くかの如く、大声が街頭を駆け抜ける。
「aikoさん!」 滑稽な事にその声は自分の声ではなかった。長髪の女がaikoへ子猫の様にまとわりつく。
遠目からでも、幾ら夜中であろうとも、aikoの無防備な笑顔が眩しい位に焼きつく。
aikoと、林檎にとっては「あの」矢井田瞳が仲睦まじくその場を駆け去る。

…ピエロだな、私って…とんだお笑い種だ… 林檎は膝から崩れ落ちながら、自虐的な感想を抱く。
彼女は心底思い知らされた。『もう私の居場所は、この業界にはない』という一番認めたくなかった現実を。
林檎は再び山道を駆け下りる。居た堪れない現実から必死で逃げるかの様に。

その道を細身の男が追いかける。
苦笑と嘲笑の混ざった表情で、草野マサムネは前方を凝視する。別に細心の注意なぞ払ってはいない。
御丁寧な事に血痕だけはたんまりと残してくれている。その痕跡をゆっくりと辿ってきただけの話だ。
「…可哀想に」 マサムネは本心から呟く。この注意力の欠如、ボルテージの上がり易い性格…どれをとってもこのゲームに不適格だ。
吐息をひとつ、トボトボと山道を降る。別に林檎が嫌いでしょうがない訳じゃない。しかし、あれ程仕留め易い獲物が他に誰がいる!?
マサムネは鼻歌混じりに林檎を背走する。この男は結果的においしいポジションを得る術を熟知している。マサムネは冷静そのものだった。
426【二日目・午前8時】病院:02/01/09 16:32 ID:mZautFMS
トータス松本は咳込みながら目を覚ました。いつの間に眠ってしまったのか、思い出せない。
確か病院の前辺りを移動中、12時の放送を聞いたところまでは覚えているのだが。
「おはよう、トータスくん。いつまで寝てんだよ。もう8時だぜ?」
思考を遮り誰かが声をかけてきた。
朝日の眩しさに逆らいながら目を開けると右眼の潰れた男が見下ろしている。
「!…貴方、吉井さんですか?その眼どないしたんですか!?…!!何やこれ!?」
松本の手はロープで縛られ、両腕の間を通したロープが柱にしっかりとくくり付けられている。
松本は辺りを見回した。病院の一室らしい。放送を聞きショックで呆然としてしまった隙を突かれ、
後ろからロープで首を絞められ気絶した。そのままここへ連れて来られたのだ。
「吉井、アンタ一体どういうつもりや?」
吉井は松本の顔面を蹴り上げた。
「何年先輩だと思ってんだ、あぁ?呼び捨てにしてんじゃねぇよ。」
「…なんでオレが寝てる時に殺さんかったんや?」
「何でって?オレのストレス解消に付き合ってもらうからさ。」
粘りつくような笑みを浮かべ吉井は答えた。そしておもむろに机から注射器を手に取る。
「なぁ、青酸カリって知ってるよな。あれ飲んだらすぐ死ぬけど、例えば注射器で
身体に入れたりしても死なねぇんだぜ。……死ぬほど痛いけどなぁ。」
言いながら、桑田佳祐とやりあったときに拾った桑田の毒薬を取り出し机の上の皿に入れた。
それを水らしき液体で溶かす。
「っつっても知識だけでなぁ、いっぺん試してみたかったんだよ。」
出来上がった液体を注射器に吸い上げ、この上ない恍惚の表情で浮かべた。
427【二日目・午前8時】病院:02/01/09 16:32 ID:mZautFMS
「しっかり踊ってくれよ?愉快なダンスをよぉ…!?」
吉井が松本の方を向いた瞬間、松本は体当たりを喰らわせた。しかし吉井は倒れない。
腕に通されたロープが短く、威力が殺されてしまったのだ。
そしてロープの反動で逆に松本がこけてしまう。松本は何とか立ち上がり
机の上に置かれている自分の武器、金槌を取ろうと手を伸ばした。
しかしそれは遮られた。ボウガンの矢によって。
「うっ…ぐぁっ」
右の腿に走る激痛に松本はうずくまった。
さらに吉井は松本に駆け寄り、足に刺さった矢を踏みつける。部屋中に松本の悲鳴が響いた。
「がぐぁぁあああぁつ!!!」
痛みにのた打ち回る松本を見下ろし、吉井は吐き捨てた。
「ったくよぉ、お前と言い桑田と言いハイドと言い鬱陶しいんだよ、このバカが!」
吉井は思い切り何度も何度も松本を踏みつける。
「カバー曲でしか売れねえんだもんなあ!聞いてんのかコラァ、ハイドォ!!?」
もはや吉井は気が昂ぶると人物の区別がつかないほどおかしくなっていた。
吉井和哉の罵倒と攻撃はトータス松本が二度と動かなくなるまで続けられた…
428:02/01/09 17:01 ID:c6vqnGYK
>>413
追いつきますねー。
オリジナルっていうのはいままでにちょっとだけ考えたことがありましたけど普通に無理でしょう(藁
あちらのスレの作者さん達が数ヶ月に渡ってやってきたことは非常に優れた事だと思うんで
ちょっとこちらがマネした所で足元にも及ばないのは明白です。
どっちにしろ僕が作者さん方を『せかして書かせる』資格はないので、黙って完結を待っときます。

新日→邦楽に変える作業で心残りになっているのが最初のつんくが中居を撃つシーンです。
あのシーンは序盤で重要な役割を担う所であるにもかかわらずつんくなんて捨て駒使っちゃいましたから。
だからって松岡にもしたくなかったんです(藁。今思うとあそこで清春を使うのが一番適してたはず。

あともう一つ、>>91で河村隆一ってなってたのも完全にミスですね。
あそこは吉井和哉が正解。
そうじゃないとあとの吉井がボウガンとデリンジャーの二つを所持してたのが不自然になります。
まあ『新日』の方でも大谷が複数の武器を支給されてるっていう不自然な点があるんですけど。

はぁ、マニアックなこと書いた〜。
429:02/01/09 17:03 ID:c6vqnGYK
ちなみに新日スレでの配給武器一覧は僕がうpしたんです。
あと348〜のストーリーの時間枠も。
430名無し:02/01/09 18:18 ID:DqR4Xmys
来た来た来たぁ〜!マサムネ、林檎を殺せ!
431名無しっす:02/01/09 20:02 ID:lJ8Djnek
1さんに感謝! 裏マサムネ(・∀・)イイ!
432名無し:02/01/09 22:23 ID:6ydGDnTf
腐った林檎の一言にスマッシングパンプキンズか!!って返す所が秀逸!!
1さんベストアルバムかったんですね(w
433名無しー:02/01/10 00:39 ID:Gz3TqUkS
マサムネと桜井の壮絶なバトルキボンヌ。
434名無し:02/01/10 05:30 ID:I+KVJARY
>1さん
西川がいつのまにか銃を持ってることはまぁいいにしても、
清春とのやりとりくらいは書いてくださいよ!
なんで清春に対して殺意むき出しなのかがわからん。
435名無しのエリー:02/01/10 14:51 ID:kxtcQ8bg
>>434
黙って見てろよ。ちゃんと回想シーンあるはずだから。
436ななし:02/01/10 18:15 ID:qSEOX/hw
ここってマサムネマンセー多いね
437名無し:02/01/10 21:35 ID:htGYTo2D
マサムネが林檎頃してそのあと速攻頃されるのキボン
438名無しのエリー:02/01/11 00:26 ID:hs0Gyy6f
age
439名無しのエリー:02/01/11 00:46 ID:nwMoV1g/
面白いね
原作好きだし

ELTとか・・・・まだ出てないね
あゆもう死んでるし・・・・
440名無しのエリー:02/01/11 01:18 ID:gug4qy3/
>>433
激しく同意!最後の方に壮絶なバトルを。
441 :02/01/11 03:39 ID:YqpPS0Ma
いろいろなBRスレを見てきましたが
ここはなかなかの良スレですね。
YGBRの次くらいにおもしろい。
ひとりでお書きになっているとは凄いです。
これからも頑張って下さい。
442Nana:02/01/11 06:12 ID:SjdIU/Lu
Gacktの死に方が…
小室の屈強さが怖いよぉ。。。
でも裕美子たん(椎名林檎)が好きだからすべてOK!
(あ、でも林檎たんはライブでスピッツの曲をカヴァーしてますよん。
それを知ってるだけにこの二人は萌え萌えなんだなぁ。)
頑張ってくださいネ!
443名無し:02/01/11 13:00 ID:DPd14ook
age
444:02/01/11 17:15 ID:pdrbMiPF
>>432
スマパソ兼コーガンヲタです(w
というか微妙に洋楽ヲタっ気もあるんですけどね。
>>434
僕は只のパクリのですし、そこは元ネタでも「あえて伏せとこう」みたいになってるんです。
だから申し訳ないんですけど、うpは無理です。ごめんなさい。。。
仮に自分で書いたとしたら明らかに文章全体のテンションが下がるでしょう。
少なくとも西川が銃を手に入れたのは、aikoから奪ったのをaikoが説明してる部分でわかりますし
清春に対して敵意剥き出しなのは、清春にハメられて殺されかけたからという事なんです。

ちなみに文章中の解釈をわかりやすくしたりや登場のバランスを考えて書き変えてる部分はあります。
さきほどのスマパソみたいな自らの自慰行為をさらけてる部分もあるんです(w
長文続きなのでおそらくそろそろスレッドの容量の限界が近づいるでしょう。
限界がきたら新スレに移動します。
図書館に銃声が響く。この図書館はつんくが飛鳥を殺そうとした市立の大きな図書館である。
その銃声が十数回続いた後わずかな静寂。そしてその静寂を引き裂く爆発音。
清春は図書館内を息を弾ませながら走り回っている。銃弾と爆発から逃げているのだ。
銃撃と爆撃の主は西川貴教。左手にゆずの岩沢から奪ったグロック34、
右手にaikoから奪ったオートマチックのワルサーPPK9ミリ、更にゆずの北川の手榴弾まで持っている。
もはや装備的には最強と言えた。
(おいおい、いつの間にあんなに武器手に入れたんだよ?吹き矢しか持ってなかった貴教が。)
本棚に身を隠しながら、清春が心の中で不平を訴えている間にも、近くに手榴弾が転がってくる。
なんとか爆発をかわし別の本棚に隠れるとまたそこに銃弾が撃ちこまれる。
とりあえず12時まで身を隠そうと入り込んだ図書館に、こんな厄介な先客がいるとは。
(…あの時ちゃんと殺しとくんだったなぁ。オレの手持ちの武器でどう戦えってんだ?)
清春の武器で今使えるのは、警棒、目潰しスプレー、そして吹き矢。戦力の違いは明らかである。
状況を愚痴っている間に、銃弾が棚を突き抜け清春の顔の近くを掠めた。銃声が近い。近付いて来ている。
追い立てられ壁際に移動した時、西川が清春の移動に気付かず投げた手榴弾は、本棚の側面に当たり
運悪く清春が移動した方向に転がってきた。
(うぉ、マジかよ!?やべぇ!!)
あたりに爆音が鳴り響く。爆風は本棚を薙ぎ倒し、本を吹き飛ばした。
「―――ったくツキがねぇなぁ。・・・・!」
咄嗟に給湯室に飛び込み爆発をやり過ごした清春は、ぼやきながらも何かを見つけた。
「清春ぅぅーー!!どこ行ったぁ!?」
西川の叫び声が図書館に響く。当然返事は無い。銃のマガジンを入れ替えながら辺りを見回す。
(本棚の下敷きにでもなりやがったか?)
考えていると、少し離れた2階への階段を上がる清春の姿が見えた。西川はほくそ笑む。
(ヤツはオレの手でブチ殺さねぇと…じわじわ追い詰めてな。)
西川は清春を追いかけた。一応用心しながら階段を上る。反撃は無いまま2階に着いた。
2階も多くの本棚が静かに立ち並んでいる。静けさに苛立ち西川は再び叫んだ。
「おい清春ぅ!ちったぁ反撃したらどうなんだ!?」
何の反応も無い。そして西川が行動を始めようとした時、『ガーー』と物音が聞こえて来た。
そして本棚の間から本を運ぶ台車が現れ、西川の目の前で壁にぶつかり止まる。
その台車の上には火のついた携帯用のガスコンロが乗っており、
ガスコンロには何かの缶がテープで固定されていた。スプレーの缶だ。
西川が状況を理解するかしないかの刹那、西川の眼前でスプレーは破裂音と共に爆発した。
「ぐぁあぁぃがぁぁあぁーっ!!」
辺りに刺激臭が立ち込め、声にならないような呻き声を上げ西川は転げ回る。
缶が破裂した時に飛び散った缶の中身をもろに全身で浴びたのだ。缶は勿論目潰しスプレーである。
「思ったより随分上手く行ったな。我ながら大したもんだ。そう思わねぇか?」
清春は自画自賛しながら投げ出された西川の銃を二つ拾い上げた。
そして土下座のような姿勢でうずくまる西川の後頭部を踏みにじる。
「なぁ何とか言ってみろよ。親友裏切った俺はそんなに卑怯か?」
余裕を見せつける清春の顔が固まった。西川の手に二つ手榴弾が握られていたからだ。
そのピンが今抜かれた。弾かれるように清春は階段の所に駆け込み、必死で下の踊り場へ飛び降りた。
直後に轟音が轟き、風と煙と塵が踊り場まで降り注ぐ。
「うひゃ〜、さすがに死んだな、こりゃ。」
降りかかる塵に顔をしかめながら西川は2階を見上げた。
その後、満足げに戦利品を確認して図書館を離れた。
YOSHIKIとhydeは不意に聞こえてきた音に足を止めた。hydeは雷かと思い窓から空を見た、だが空は快晴だ。
「……何の音ですかね…」
「どっかで誰かが爆弾でも使ったんだろ。それもわりと近くだな。やりあってるヤツがいるんだろうな。」
YOSHIKIは図書館の方向を見ながら言った。そしてhydeに問い掛けた。
「hyde…行くか?」
「?…行くって……まさか……今の爆発の所にですか?」
「もうこんなチャンスは二度と無いかも知れんぞ。12時に殺されるのがイヤなら行くしかないだろ?」
「・・・・・・・・・」
「俺は行くぞ。こんな所にじっとして陽水に殺されてやるつもりは無いからな。」
「・・・・・・・・・・・・」
黙って下を向いたままのhydeにYOSHIKIは少し苛立った。だが放って置く訳にはいかなかった。
計画の手伝いとしてでもあるが、それよりも仲間として。
「なぁ、もし最後に生き残るのが吉井和哉だったらどうする?お前はそれでいいのか?」
「・・・・・・・」
「吉井でなくても積極的に殺しをしてるヤツが何人かはいるハズだ。そんなヤツが勝者でいいのかって!」
語気を荒げるYOSHIKIに、それまで押し黙っていたhydeがやっと口を開いた。
「……だからって俺たちが誰かを殺したらそいつらと一緒じゃないですか…」
YOSHIKIはその言葉に軽く溜息をつき、間を空けてから答えた。
「わかってるって、そんな事は。
……だからオレはもし生き残れたら殺したヤツの家族に会いに行く。
もしそこで死んでくれって言われたら、喜んで、とは言わないが死ぬよ。そのくらいは覚悟してる。
このくらいで罪が償えるなんて思わないが、それがこの状況でのオレなりの責任の取り方だ。」
「…YOSHIKIさん……」
「ま、あれだって。陽水に拳の一発も食らわさないで終わるのはイヤだって事ですよ。」
わざと強調し、YOSHIKIはhydeの依然として暗い表情を吹き飛ばすようにニカッと笑った。
(あ〜あ、ったく、ホントにツキねぇな。…神様ってのがいるんならひでェブッカーだぜ。アゴ並だな。)
鬱陶しそうな顔をする清春の視線の先にYOSHIKIとhydeがいる。向こうも気付いているようだ。
hydeは右手に銃を持っている。YOSHIKIも右手に銃を持ち、左手には今飲んでいたのか
栄養ドリンクの瓶らしき物が握られている。二人との距離はおよそ15m。道は両側にブロック塀があり曲がり角が5mほど先にある。野上は思案を巡らせた。
(戦うってのはゴメンだな…となると逃げるか、いややっぱり近付いて裏切るのが一番かな。
hydeは明らかにビビってるしYOSHIKIはあんまり乱暴しそうな感じもしないし…)
そんな事を考えながら、清春は手に持っていた銃をズボンの両ポケットにしまい両手を挙げた。
この行為はかなり危険なのだが、清春は二人の態度から基本的に戦う意思が無いのを感じ取っていた。
「待って下さいよYOSHIKIさん!オレはやりあう気なんて無いんですよ!」
清春は二人に聞こえるように多少大きな声を出しながら近付いた。当然哀願するような表情は忘れない。
だが思惑に反してYOSHIKIは清春に銃を向けた。
「とりあえずそれ以上近付くな。さっきの爆発はお前か?銃も一つはお前のじゃないだろ。誰のだ?」
「ちょ、ちょっとYOSHIKIさん、いきなり銃向けなくてもいいじゃないですか!あんまりですよ!」
油断していただけに演技以上に驚く清春。更に戸惑うhydeを尻目にYOSHIKIは続けた。
「悪いがお前を信用出来ない。俺たちに気付く前のお前の笑顔を見ちまったんでな。
 この状況であんなに楽しそうな顔を出来るヤツを信用なんて出来ん。」
(何考えてんだこのオヤジ!?そんな事でオレに鉄砲向けてんじゃねぇよ!!)
毒づきながらも、最悪銃を下ろさせれば充分だと自分に言い聞かせ、清春は芝居を続けた。
「…ってそれタダの勘じゃないですか!そんなんで殺されたんじゃたまりませんよ!
 オレは貴教にいきなり襲わ…」
「清春ゥゥぅウぅーーッ!!!」
西川の芝居は突然の闖入者の無粋な叫び声によって打ち切られた。振り向いた清春は演技無しに驚く。
西川だ。左の手足は焼けただれ、鼓膜も破れているのか耳の辺りにも血が滲んでいる。
更に未使用だった目潰しスプレーの爆発をモロに浴び、目もろくに見えていないハズだというのに
西川は確実に清春のいる所へ手榴弾を投げてきた。
しかし清春は落ち着いてブロック塀の曲がり角に逃げ込み爆発をやり過ごす。そして西川の出現と
爆発に驚くYOSHIKI達に大声で話し掛けた。
「どうせまだ一人も殺ってないんだろ?あとは任せるから頑張ってくれよな。
 そいつマジでしぶといから気をつけた方がいいぜ?じゃあな!」
清春はいい加減疲れた身体に鞭打って走ってその場を離れた。
「西川!俺だ!YOSHIKIだって!」
YOSHIKIは明らかな敵意を持って近付いてくる西川を説得しようと声をかけた。
無駄だろうとは思いながらも。そしてやはり西川は止まらず、新しい手榴弾のピンに手をかけた。
「清春ぅぅぅ…お前らどっちが清春だぁ……」
「YOSHIKIさん、ど、どうしましょう?」
hydeが戸惑っている間に手榴弾が飛んでくる。それは見事に自分達の所へと向かって来た。
「とりあえず避けろ!」
二人は西川のいる方とは逆に飛んで地面に伏せた。さっき自分達のいた辺りで爆発音が聞こえ、
続けて石つぶてが爆風に乗って二人にぶつかった。
起き上がり西川の方を見ながら、YOSHIKIはまだ決心出来ずにいた。西川を殺すことを。
hydeには大見得を切ったが、いざ戦う段になると手が震えた。
今まで思い出しもしなかった何でもない出来事までがまるで見えない鎖のようにYOSHIKIに絡みついた。
考えている間も西川はゆっくりと近付きながら痛々しい左腕に提げたデイパックから手榴弾を
漁っている。だが手榴弾が残り少ないのか腕の感覚が弱まっているのか、なかなか見つからないようだ。
(今だって!何やってんだ!早く動けって!)
動けないYOSHIKIの視界に、ようやく手榴弾を手にした西川が映る。
西川はもう15m程の距離に来ていた。
「ぐ、西川ぁぁぁぁー!!!」
自分の心の束縛を解くためにYOSHIKIはあらんばかりの声で叫んだ。そしてライターを取り出す。
その時西川が投げた手榴弾はYOSHIKI達を大きく外れブロック塀の向こうの民家に飛び込んだ。
もう西川の身体に限界が来たのだろう。
それを悟ったYOSHIKIは、さっきの手榴弾の爆発によって飛んでくる破片を気にも止めず
左手に握り締めていた瓶の口から覗いている導火線に火を付けた。
そしてそれを西川に向かって投げた。
西川は痛みに転げ回っていたが20秒ほどで殆ど動かなくなった。
二人は自分達の目の前で荒い呼吸しかしていない西川をじっと見下ろしている。
YOSHIKIは未だに震える自分の手を見ながらこう言った。
「hyde……西川にトドメ…刺せ。」
「えっ?・・・・・・・」
hydeは自分の置かれた状況も忘れて驚いた。
「放送で言ってただろ?『どんな形でもいい』ってな。二人で一人を殺してもいいハズだ。」


スピーカーの前で一部始終を聞いていた男は、自らのトレードマークの顎を擦りながらニタリと笑った。
「まあ確かに問題は無いな。…ただあのへタレhydeにそれが出来るかどうかだな、クックックッ。」
 ん〜民生、コイツがどうするか賭けねぇか?」
「イヤですよ。陽水さん、負けたら絶対ごまかすでしょう?いつもみたいに。」
苦笑しながら民生が答える。こんな聞くに堪えない会話がしばらくの間続いた…。
「YOSHIKIさん!YOSHIKIさん!大丈夫ですか!?しっかりして下さい!」
YOSHIKIは虚ろな表情のまま、自分の身体を揺する人物を見た。シカオだ。
「……あぁ…シカオか……何してんだ?…こんな所で……」
「それはこっちのセリフですよ!身体は大丈夫なんですか?
 とりあえず誰か来る前にどこかに行きましょう。ここにいたら危ないですよ!」
シカオは力無くうなだれるYOSHIKIに肩を貸し、近くのコンビニに身を隠した。

「何があったんです?YOSHIKIさん。あそこにいたのは西川くんとhydeくんでしょう?…何か言って下さい!」
抑えながらも力を込めた声でシカオは何度も問い掛けていた。そしてようやくYOSHIKIは自嘲気味に呟きだした。
「…俺は三人も殺しちまった……Gacktも…hydeも……西川も……」
シカオはYOSHIKIがゆっくりと今まであった事を話すのを最後まで黙って聞いた。
そして聞き終えても無言のシカオにYOSHIKIは言った。
「なぁシカオ…おまえの銃、貸してくれないか……」
「……貸したらどうするんです?自殺でもする気ですか。」
厳しい表情でシカオは問い返す。そんなシカオを気にも止めず、疲れ切った顔でYOSHIKIは答えた。
「…もういいだろ?もう疲れたんだって……」
そんなYOSHIKIをシカオは無言で思い切り殴りつけた。そして力無く倒れこんだYOSHIKIの胸倉を掴み激昂した。
「あんたは何でhyde君やGackt君がそういう事をしたのか分からないのか!?
あんたに生き残って欲しいからじゃないか!!」
「!?」
その言葉に微かにYOSHIKIの表情が変わった。シカオは幾らか息を落ち着けて続けた。
「二人は戦うのを放棄した。でもその事で迷惑をかけたくないから貴方から離れたんじゃないんですか!」
「……それは…都合が良過ぎやしないか?……」
「確かに都合は良過ぎるかも知れません。でもそんな想いはあったんじゃないですか?
それにそう思ってあげないと、貴方まで死んでしまったら二人は無駄死にじゃないですか!」
YOSHIKIは少なからず動揺を見せる。だが顔を逸らしてシカオの言葉を拒んだ。
「…何がわかるんだ……お前に何がわかるんだって!」
「わかりますよ!僕だって…アキヒト君に命を貰ったんですから……」
シカオは苦しそうな表情を見せながらもアキヒトとの事を全てYOSHIKIに話した。
つんくに狙われた時、その後の別れ、アキヒトとの再会と戦い、そして結末まで。
話し終えたシカオの瞳は先程のYOSHIKIとは対称的に強い光を灯していた。そして真っ直ぐにYOSHIKIを見つめる。
「YOSHIKIさん、一緒に戦いましょうよ!井上陽水のケツにケリ喰らわすんでしょう?」
「・・・・・・・駄目だ。」
この返事にシカオは驚きと悲嘆を顔に出した。
だがYOSHIKIは続けて言った。
「ケツにケリ喰らわす?そんだけじゃあ済まさねえ!ケツの穴に銃弾撃ちこんでやるよ!」
一気にシカオの表情は晴れ、二人は無言でガッチリとお互いの手を握った。

…この時隣で倒れているhydeがまだ生きていることを二人は知らなかった…。
455:02/01/11 17:27 ID:aeZ7enaD
>>453
×【二日目・8時40分頃】自動車整備工場付近
○【二日目・9時過ぎ】自動車整備工場付近

時間が経過してます
456 :02/01/11 17:56 ID:WS/oPSoZ
450の15行目の「西川」は「清春」・・だよね?
細かいことだけど
457名無しのエリー:02/01/11 19:51 ID:+ai8FJbr
お、更新されてるぞ。
458名無しのエリー:02/01/11 20:11 ID:qPh7euyI
>456
447の13行目で、西川と清春を間違っていると思われ。
>降りかかる塵に顔をしかめながら西川は2階を見上げた
459名無しのエリー:02/01/11 21:33 ID:BSPjmwuM
最近松岡出てこないね・・・
もう人何人も殺してるから、12時まで休んでるのかな。
あと、452と453の間が何か抜けてるような気がするんですが。

松岡→aikoや平井を殺した以上、もう彼を止める者はいない。
桜井→好戦タイプながら、少し人を殺すことにためらいを持っているらしい。
吉井→片目を失ってますます暴走。
清春→吉井とキャラかぶるんですが・・・。吉井より冷静か?
宇多田→何気にほとんど無傷で、危なげもなく闘ってきてるような。
草野マサムネ→一応武闘派に入るのか・・・?
hyde→生きてるけど、まだ誰も殺してないからヤバイんちゃう?
スガシカオ→何か一番主人公っぽい。アキヒトの遺志を継ぎ?戦いを終える為の戦いに彼は走る。
YOSHIKI→IZAM、Gacktと次々とヴィジュアル仲間を失う。しかし新たな仲間、スガを見つけた。
桑田→最近何してるんだろう・・・。

ねぇまだ誰も殺してないのって誰?結局シカオはアキヒト殺さなかったから
逆にやばいんじゃ?
460 :02/01/11 22:45 ID:BSPjmwuM
age
461Nana:02/01/12 00:19 ID:DZV178fv
なんか矛盾だらけのような・・
いくらパクリでも、ちょっとは手直しして欲しい気もする
462:02/01/12 00:32 ID:D5HLblKQ
>>452
銃を構えるhydeの手が、唇がガタガタと音でも立てるかのように震えている。
西川の呼吸は目に見えて弱っていく。だがhydeは人差し指に力を込められないでいた。
「やれって!hyde、やれって!」
YOSHIKIの檄もhydeの耳には届かない。それから1分くらい経った時、hydeの震えは止まった。
hydeが覚悟を決めたのだとYOSHIKIは安心した。
そして震えの止まったhydeはYOSHIKIを何とも言えない複雑な顔で見る。
hydeはその表情を最近どこかで見た気がした。――――――――Gacktの表情だ。
hydeは確かに覚悟を決めた。 だがそれはYOSHIKIの望む物ではなかったのだ。
「おい、hyde・・・・・・。」
「YOSHIKIさん、やっぱり俺には出来ないよ。でも殺されるのも…イヤだ……。」
(おい、おいhyde…待ってくれよ……お前まで……)
声が出せない。やめて欲しいのに、いややめて欲しいからこそ声が出なかったのかも知れない。
銃口が下からhydeの顎に触れる。
「YOSHIKIさん、手伝えなくてごめんなさい。……励ましてくれてありがとう。」
言い終わると同時にhydeは崩れ落ちた。

YOSHIKIは地面にヒザをつき虚空を眺めている。
(何をしてるんだ、何をやってたんだ、何のためにおれは・・・・・・・)
大きすぎる無力感と悲しみに包まれ、YOSHIKIは涙すら流せなかった。
>>453
4631、逝ってきます!!:02/01/12 00:37 ID:D5HLblKQ
もう返す言葉もございません。完全なうpミスを犯しました。
ああ、鬱だ市脳。。。
ご指摘の通り>>447の下から二行目の西川も清春の間違いです。
一番したくない二種類のミス同時にしてしまった。
464:02/01/12 00:46 ID:D5HLblKQ
>>459
まだ殺ってなくて生存条件をクリアーしていないのは
hyde 桑田佳祐 トータス松本 草野マサムネ 堂本剛←藁
ですね。YOSHIKIは西川に爆弾を投げて一応殺してるのでクリアーです。
465テトラドトキシン:02/01/12 00:50 ID:Ft/I6Yh3
>>464
トータスって生きてんの?
てっきり吉井に頃されたかと・・・
466:02/01/12 00:53 ID:D5HLblKQ
>>459
あ、シカオもですか。
『あのシーンは殺した内に入ってるのかどうかの判定は!?』
というのは次に貼る文章を読んだらそこに書いてあります。
467 :02/01/12 07:56 ID:kKte6PeT
>>464
トータス、死んだんじゃないの?

あと、>>385の時点での脱退者は小室哲哉も含めて
ちょうど10人の大台だと思います。
468名無しのエリー:02/01/12 10:55 ID:/IIiWltf
松岡×平井には関係上無理が・・・
平井→SIAM英喜だと成立
469:02/01/12 15:02 ID:p5dIKnNb
>>467
小室は書いてある通り、非参加者なのに無理矢理エリア内に入って勝手に死んでるんです。

>>468
やっぱり…ねえ。あの二人が仲良いかどうかなんて考えてなかったんです。
最初はそういう現実の人間関係を反映させるつもりはありませんでしたから。

早めに貼ります!
時刻は、清春が西川貴教との因縁に終止符を打った瞬間より少し遡る。
作戦本部に設置された巨大モニターは数ある隠しカメラの内、静かな公園の風景を映し出す。
監視員が事務的な口調で確定事項の報告を告げた。
「8月×日午前8時△分、ポルノグラフィティーのアキヒトの死亡が確定致しました。殺害者はスガシカオです。」
「いやー驚いたなぁ、アキヒト君。僕の中では本命だったんだけどなぁ」呑気な声色で民生が呟く。
「……」不機嫌そうな顔色で陽水はモニターから目を離さない。
それに気を留める事もなく民生は悪戯っぽく問い掛ける。「で、どうします?今の判定…」

「…どうするって…何をだよ」 うざってぇという感情を露にしながら陽水は問い返す。
「いや、今のスガシカオ君ですよ。どう見たって不戦勝みたいなもんじゃないですか?
殺害の意思が無かった事は明白ですよー。アキヒト君の自殺という形にしません?それでシカオ君は…」
「いいんじゃねぇのか、シカオの勝ちで」 どうでもいいと言わんばかりに陽水が吐き捨てる。
「前にアイツは宮本の事、吹き飛ばしてるしな。合せ技、一本!てな感じで。それよりな…」
不機嫌な声色のまま、陽水は意外な感想を漏らす
「あっちで戦闘放棄するは、こっちで誰も殺せず逃げ回ってばかりだは…
 結局、プログラムの趣旨を把握してるのは松岡あたりだけじゃねぇか!」

「把握し過ぎですけどね、松岡君の場合は」苦笑しながら民生は相槌を打つ。
「で、その中でも一番のヘタレがコイツだ!」陽水は各人の発信機が映し出される別モニターを指す。
その指先には病院内で弱々しく点滅を繰り返すひとつのセンサーがあった。

「あぁトータス松本君ですか、確かに」 民生は軽蔑感を顔中に炙り出しながら、解説を加える。
「『ガッツだぜ!』というノリで生命力だけは凄いんですがねぇ。それが全く攻撃に生かされませんから」
「…育てるか」陽水は得体の知れない感想を吐く。民生は思わず眉を顰める。
『…育てる?何を?誰を?…まさか松本を改造しようとか言うんじゃないだろうな…』
陽水は民生の表情を覗き、彼が何を想像してるのかを一発で把握したらしい。
「考え過ぎだ、バカ」 自分のアイデアに酔い出したのか、陽水は再び御高説をのたまい出す。
「そういう強い心を持った歌手を、だよ。器だけ立派でも通用しねぇだろ。
要は歌手は心なんだよ、心!それに素手で人間殺せる機会なんて滅多にねぇしな。ンムフフフ…」
悪魔の様な笑みを浮かべて悪魔は語る。すっかり上機嫌に戻った陽水は大声で指令を出した。
「おーい! 待機してる奴を引っ張ってこーい!」

武道館近くの喫茶店で待機を命じられていた非参加者である長渕剛は、
急な召集命令に戸惑いを、それ以上に戦慄を隠せないでいる。
「…大丈夫だよな…陽水さんが俺を騙す事なんてないよな…」
長渕は不安気にしていた。彼は『後学の為』との名目で陽水に呼ばれていたのだ。
「…まあ、大丈夫だと思うけど。その気があればとっくに参加させられているからな…そうだよな」
「それにいざとなったら他の連中なんてブッ飛ばしゃいいわけだ。」
長渕は独り言を続けていた。

彼は回りの状況を考慮せず、極めて自分に都合の良い論理を持って、安心しようとする。
そんな長渕に認識の甘さと現実の厳しさを叩き込むかの様に、近くで銃声が唸りを上げた。
「…うゎッ…」と悲鳴を上げて長渕がその場にへたり込む。
「見逃せよ!なぁ、止めようぜ、こんな事!俺は関係ないんだよ!勘弁しろよ…」長渕は兵士に懇願する。

「……」無言で一人の自衛隊員は長渕にライフルを突き付け、一人は長渕の腕を問答無用に引き上げる。
しかし自分には関係ない事とは言え、ここ2日間で数多くのミュージャンが仲間を殺し合う修羅場を傍観してきた彼等には、
戦う前からひたすら逃げる事しか考えてない長渕剛の態度は許し難いものと映った。
無名の兵士の一人は極力感情を抑えながらも、長渕に対して吐き捨てる様な口調でその性根を罵った。
「…ビビってんじゃねぇよ、うるせえな…」
「お元気ですかぁ!!」入室を命じられた長渕に浴びせられたのは、例によって例の言葉である。
「よく来てくれた!御苦労!怪我はなかったか?」
その勧誘文句を聞いた途端、長渕の心からは不安や悲嘆が消え去り、恍惚とした表情を浮かべた。
「長渕、お前の助手として堂本剛を用意してある!堂本!入ってこい!」
そう言うと疲れきった表情の堂本剛が入室してきた。


今朝、堂本剛は光一と共に本部が置かれる武道館に投降してきた。
自分たちに人は殺せないからもう許してくださいという言い分だった。
すると陽水は光一を別の場所に連れて行き、剛に向かってこうつぶやいた。
「……お前はあいつと名前が同じ…。うん、ダブル剛だ!ダブル剛結成だ!!
 堂本剛!テメエを望み通りにゲームからリタイアさせてやる!!
 その代わり別の指令を出してやるからしばらく黙って待ってやがれ馬鹿が!!」
この後、光一の方は見せしめで殺されるのだが、剛の方は「俺が殺されないでいるんだから相方も無事だろう。」と考えて
とりあえず安心して長渕が到着するまでの数時間、素直に拘束されていた。だから相方の死はいまだ知らない。
陽水が堂本剛を生かしたのも「ダブル剛」というあまりにもどうでもいいグループ名を釘打ちたかっただけなのであろう。
「…で何か我々に指令でしょうか?」 堂本は遜った笑みを撒き散らし、必死で悪魔の御機嫌を伺う。
「ウン!元気な君達に、俺が見込んだ君達に素手で人間を殺してきてもらいたいっ!」

それから悪魔は時に怒り、時には笑い、時には泣きながら懇々と洗脳作業を続けた。
…自分が至らなかった為、満足に人も殺せない様な連中ばかりを集めてしまった。情けない…
  せめて君達には自分の意志を継いでもらいたい。君達だけが頼りなんだ…
  武器を持たずに素手で殺すことこそが格闘芸術なのだ。私はそれを垣間見したい…
…君達の身柄は保証する。状況通達用の専用レシーバーと、政府直轄部隊である事を示すワッペンを支給する。
  相手は死にかけてるトータス松本だ。君達には役不足な相手だろうが、あれでもメジャーな歌手だ。止めを指してやって欲しい…

『行きは良い良い、帰りは恐い』とはよくぞ言ったものだ。
武道館を出発する時の二人は連行時とはうって異なり、何かに憑り付かれたかの様な顔をしている。
長渕と堂本の「ダブル剛」は陽水のビンタの感触が残る左頬を愛しそうに摩りながら、トータス松本の待つ病院へと向った。

「…で、あいつら何で呼んだんだっけ?」 陽水はさも不思議そうな表情を垣間見せる。
「やっぱり忘れてましたね」 呆れた顔で民生が答える。「何かあった時のスペアだって仰ってたじゃないですか」
「だっけ?覚えてねぇや。で、あの長本と堂渕…」「違います、陽水さん」「ワザとだ、ンムフフフ…」

民生は心底軽蔑している。陽水に対して、ではない。揚々と騙された長渕と堂本に対して、だ。
結局、陽水という生物を何も理解していない。上辺だけしか見ていない。その本質を直視しようとしない…
あれだけの功績を残した矢沢や拓郎を虫けらの様に扱える男だぞ。特に堂本剛、お前なんて気に留める訳、ないだろう!!

民生の苦々しい述懐を遮るかの様に司令室のドアがノックされる。
「何だ」「官房長官がお呼びです。3日後の合同慰霊祭の件で…」「ン、わかった」
陽水は椅子から立つと同時に、レシーバー用の電源を落し、何事もなかったかの様な顔で部屋を退出した。
474名無しのエリ−:02/01/12 17:08 ID:qiY/2LwE
ハイドが何もしなくて、陽水に頭吹っ飛ばされるのはちょっと・・・。
顎に銃やっても、せっかく助かったんだし・・・。

はー、ドキドキするなあ。1さん、頑張れ。
475 :02/01/12 21:18 ID:p4tYvcer
俺もドキドキです。頑張って下さい。
476【二日目・午前8時40分】病院:02/01/12 23:55 ID:dHsBS0sn
手や足を動かそうとする度に激痛が走る。頭部からの出血のせいか、視界は右側しか使い物にならない。
吉井和哉に蹂躙されたトータス松本の身体には、最早呼吸を繰り返す機能しか残されていないに等しい。
それでもこの無類のお人好しは、事ここに及んでも、自身ではなく同僚達の行末を案じていた。

病室の冷たい床に横たわりながら、トータス松本の耳は近寄り来る来訪者の足音を捉えている。
『……何や、また吉井かいな?…しつこいのぉ』 体の自由がきかない松本には待つ事しか許されていない。
そして次の瞬間、彼の聴覚が捉えた声色は意外な事に余り聞き慣れないものであった。
「…ンー、こりゃ殆ど粗大ゴミですね、長渕さん」「…この音楽界の面汚しがぁ!!」

『…長渕さん?それに何や、堂本剛かいな?…一体、何しに来たんや…』
「ウワッ!半死体のくせに睨みつけてますよ!生意気ですねぇ、コーション!!」
「格好ばかりつけやがって…テメェみたいなのがJポップを堕落させたんだよ!」
長渕は革靴で松本の顔面を蹴り上げる。最も、松本には既に痛みを覚える感覚すら残っていないが。
松本は必死に言葉を搾り出す。「…長渕、何じゃお前…」

「一丁前の口叩くんじゃねぇよ、この腰抜けが!」 完全にテンパった目で長渕は暴行を加える。
長渕は泣いていた。自分に酔い易いタイプなのだろう。性懲りもなく大きなお世話を焼き続ける。
「…陽水さんは泣いていたよ。お前等が情けないと…。それでもアイツ等は俺の後輩だと…。
 お前等は陽水さんの苦しみや辛さ、痛みを少しでも考えた事があるのか!」

『…何言うとんねん、ボケがぁ』 心中毒づく松本の耳に今度は長渕コールが聞こえてきた。
どうやら堂本が長渕を調子に乗らそうと煽っているらしい。ワルノリした長渕は松本の体をうつぶせにすると、
彼の両足を折り畳み、その隙間に自分の軸足を差し入れる。リバース・インディアン・デスロックの完成だ。
長渕はニヤリと笑うと手を3回叩き、後方へ派手に倒れ込む。長渕の体重が先刻吉井が放った矢に圧し掛かる。
バリッバリッ、と松本の右足の骨が砕ける音が響いた。
477【二日目・午前8時40分】病院:02/01/12 23:56 ID:dHsBS0sn
「…ブオッ…」さすがの激痛に松本は声にならない声を上げる。
「ンー、いい泣き声出しますねぇ…ン?… コイツ、泣いてますよシャチョー!」
勿論、今更痛みで哭いた訳ではない。松本は自分の境遇が情けなかった。悔しさで喚き散らしたかった。
そして何より、自分に止めを指さないまま場を離れた吉井の詰めの甘さを恨んでいた。
『…せめて殺られるならば、もっとまともな奴等に……吉井和哉のアホがぁ…』

「長渕さん、もうそろそろ殺しちゃいましょ」「そうだな、こんな奴、生かしとく価値もねぇや!」
長渕は半失神している松本に唾を吐く。と同時に、自らの後頭部に冷たい何かが押し当てられた事に気付いた。
「…それはこっちのセリフだ…」背後の男は怒りを隠し切れない声で引鉄をゆっくり引く。
長渕は必死で横目で堂本の様子を確認する。奴の顔も恐怖で真っ青だ…
どうやら背後の男は拳銃を2丁も持っているらしい。

「……何をやっている…」 男は必死に感情を殺そうとする。が、銃口が憤怒により震えている 。
男は諦めた。感情の抑制を中止し、心の底からの怒鳴り声を発射した。
「フザケンナ!お前ら、ここで何やってんだ、エーッ!!」 松本の救出に掛け付けたのは、桑田佳祐であった。

「…クワ…クワタ…さん…?」目は見えず体動かずとも、その声だけで誰が来てくれたかハッキリと認識できる。
次の瞬間、松本の目から大量の涙が溢れ出した。「…やっぱ、カッコえぇわ、あの人は…」
478【二日目・午前8時40分】病院:02/01/12 23:56 ID:dHsBS0sn
「…い、いや、ち、違うんですよ、桑田さん」「何が違うんだ!俺にわかるよう説明してみろ、エーッ!」
「…そ、それは長渕さんから…」「……」「…ナ、長渕さん!?」「長渕!何とか言って見ろ、テメー!!」
実に7、8年振りの長渕と桑田の遭遇である。長渕と桑田は絶縁してから一切しゃべる事も会う事もなかったからである。
「…ヘッ」と何故か長渕は失笑を漏らす。その意外な対応に桑田は戸惑いを禁じ得ない。
「…『すべての歌に懺悔しな!!』ってか。誰かと思えば、ヘタレ歌手の中でも一番のヘタレの御登場か」
「何ィ」「未だ一人も殺ってないんだって、大将?」 「……」
「だろうな。お前みたいな根性無しじゃ人間はおろか、犬一匹殺せやしねぇよ」「……」
長渕は完全に開き直ったらしい、ニヤニヤしながら悪罵を放り続ける。
「パクリの先駆者のお前がまたどんどん表に出てるから音楽界は腐ってくるんだよ。だから陽水さんは涙を呑んで今回のプログラムを…
そうじゃなかったらこんな事やらねぇよ、あの人は!!全部、お前が悪いんだよ、クワターー!!」

普段の冷静な桑田ならば、その身勝手な屁理屈を一笑に伏せただろう。
しかし疲れ切った桑田の心には長渕の理不尽な罵倒が突き刺さった。「…俺のせい?…俺のせいで、こんな…」
「…グゥの音も出ねぇようだな」「……」「なら、こっちから行くぜ!」長渕は桑田に襲い掛かった。
479【二日目・午前8時40分】病院:02/01/12 23:57 ID:dHsBS0sn
長渕は桑田の拳銃を奪い取ろうとした。しかし長渕の体は宙を掴む。黙って襲えばいいものを…
桑田は冷静にステップバックすると、長渕の顔を思い切り銃で殴りつけた。
固い鉄の塊で鼻を強打された長渕は蹲り足をバタバタ動かす。余りの激痛に声も出せない。

「ヒィーッ!」と悲鳴を上げ堂本剛が逃げ出す。桑田は舌打しながら冷静に引鉄を下す。
弾丸は堂本の脛を貫通した。転げ回りながら堂本は必死になって命乞いをする。
「…こ、殺さないで!僕は松本さんに何も手を出してませんよ!やったのは全部長渕です!
 そ、それに、今僕はプログラムの参加者から抜けてるんです。僕を殺してもポイントになりませんてば!」

「…当り前だろ」桑田は堂本に一瞥もせず、松本に近寄りながら冷静に呟く。
「これは人間を殺す為のプログラムだ。ゴミ掃除の実習時間じゃない事は、理解している。」

桑田は松本を抱え上げる。直視に耐えられない惨状だ… 桑田の怒りは再度非参加の二人に向けられる。
「貴様ら!どういうつもりだ、エーッ!よくも松本を!」「…アホ言わんで下さい、桑田さん…」
トータス松本は最後に残されたプライドを守るかの様に、尊敬する先輩へ事情説明を行う。
「…誰がこんな奴等に…やられまっかいな…この傷の99%は吉井和哉にやられたもんですわ…」
480【二日目・午前8時40分】病院:02/01/12 23:57 ID:dHsBS0sn
…吉井、吉井和哉が?前も遭遇したが、やはりあいつは危険人物には間違いないと桑田は確信した。
「…それより桑田さん、その拳銃は?…まさか…」「馬鹿言うな」桑田は苦笑混りに松本に説明する。
「Gacktとhitomiの遺体から頂戴した。連中はもう武器も奪い獲らず殺しあっている。狂ってる…」桑田は松本に視線を落す
「…とりあえず、応急手当が必要だ。」「…何言うとるんですか?見たらわかるやないですか、もう…」「……」
「それより桑田さん、未だ…」「…あぁ…」「…なら、丁度いい」松本は優しく微笑む。「…俺を殺って下さいよ」

「バカ言ってんなよ!俺がお前に手を掛けられる訳、ないだろうが!」 桑田は本気で後輩を叱る。
「…勘弁して下さい。もう時間ないっすよ。何より俺が持ちませんよ…」 松本は諭す様に言葉をかける。
「…そんな優しい顔をするな。俺の事は俺が自分でどうにかする。だからお前はお前の事を…」「……」
松本は寂しそうに頭を振り続ける。「…松本ぉ…そんな寂しい事、言うな!松本!」

ガタッ、という物音がした。桑田は視線を松本から正面に移す。
そこには顔面を血塗れにした長渕剛が手術用のメスを振り被り立ち上がろうとする姿があった。
「…このクソが…」桑田は引鉄を再度振り絞る。何のポイントにもならない事は承知の上だが。

しかし次の瞬間、信じられない事が目前で起こる。
桑田の腕の中で半死半生だった松本が左足一本で起き上がると、凄い勢いで長渕に向い飛び込んだ。
不意を突かれた長渕は何の抵抗をする事もなく、松本の胴タックルによって部屋の壁まで運ばれた。
長渕は病室の角のコンクリートで出来た梁柱で頭部を突き刺し、脳漿を垂らし白目を剥きながら絶命した。
481【二日目・午前8時40分】病院:02/01/12 23:58 ID:dHsBS0sn
「……」桑田はたった今起こった不可解な出来事に只すら言葉を失い続ける。
ふと正気に戻ると、堂本の姿が無い。床に大量の血の痕跡がへばりついている。
『逃げたか。まぁあんなクズはどうでもいい。それより松本は…』 再び松本の飛んだ方角へ視線を移す。
松本は床に這いつくばりながら、苦しそうに血を吐き続けていた。

「松本!」息を切らして後輩の下に駆け寄る。松本は顔を真っ青にしながら、再び優しく語り掛ける。
「…自分のケツくらい…自分で拭かにゃぁ…あんな奴等にやられたままじ…ブホッ!!」
「松本!わかったからもうしゃべるな!松本ぉ…」松本の吐血は止った。が、話す体力は既に尽きている。
彼は懇願するかの様な眼差しで自分を見つめている。『早く…早く…』と。
桑田は観念したかの如く深く吐息をつくと、松本の体を丁寧に床に横たわらせてやった。

桑田は松本の心臓に耳を当てる。そのトーンが徐々に弱まっていく様がまじまじと理解できる。
たった二日前に、道場から旅立つ際の松本の呼びかけが鮮明に脳裏で蘇る。
桑田の細い目から大量の涙が溢れ出した。

勿論、今までの人生で他人を殺めた事など一度も無い。そうする様な事情も必要性も全くなかった。
しかし今、自分は自分の意志に関係なく犯罪に手を染めようとしている。それも自分の僚友に対して、だ。
『…俺は引き返せない道に入り込もうとしている…』 先刻とは全く質の異なる震えが体中を貫く。
愛する妻子の顔が脳裏を掠める。暫くの間、か細い嗚咽が部屋中に鳴り響いた。
482【二日目・午前8時40分】病院:02/01/12 23:59 ID:dHsBS0sn
桑田佳祐は意を決したかの様に顔を上げる。その目には最早迷いも恐れも無い。
彼は息絶え絶えの後輩に向って静かに話し始める。

「松本、俺はお前達に詫びたい。俺の弱さをお前達に詫びたい。俺がもっと早く決意してれば…」「……」
「でも」桑田は言葉を繋ぐ。「今、その弱さをここに捨てていく。お前を殺す事から俺は目を背けない。俺は、残るぞ」
桑田が松本の心の臓に狙いを定める。まるで参加者達に意思表示をするかの様に、彼は大声で叫んだ。
「スタンドーー!!アリーーナ!!カモーーーーン!!!」
銃声が響いた瞬間、トータス松本の長かった苦痛の時間にようやくピリオドが打たれた。

桑田は堂本の血跡を辿るかの様に病院の廊下を歩く。
そして出入口まで辿り付いた瞬間、その痕跡とは逆の方向へ向い出した。『…あんなのに構っている暇はない』
桑田は自分が生き残る事でこのゲームを終らせる道を選んだ。
スガシカオが見たら非難するであろう。『桑田さん、アナタもこのゲームから逃げるんですか!』と。
何とでも言え、と桑田は心の中で嘯く。ここに至るまで数多くの葛藤があった。しかしそれは最早、遠い過去の話だ。
シカオは自分の弱さを克服する為に戦う。桑田は自分の弱さも何もかも飲み込もうとした、結果を残す事で。
心を固めた時の桑田は誰よりも強い。彼は前だけを見つめながら次の戦場へと向う。
遅れてきたゲームの大穴は、遂に舞台の中央に踊り出る決意を固めた。自分が主人公となる為に。
483:02/01/13 00:04 ID:NZMTUNot
長渕も好きなのにこんな役にしてもうた。ちょっと鬱…。
三木道三が登場したシーンを長渕にして桑田と合体させるでもよかったな。
でもこの毒づく長渕もらしくて好きです。
484 :02/01/13 00:24 ID:e5LAV5eB
今回のストーリー、面白い!
今後はスガシカオと桑田の対比を中心に展開してくのかな?
1さん、期待してます。
485名無しのエリー:02/01/13 01:30 ID:x8xJDE1u
亀レス。
清春西川編で「??????????」だったんですが(藁
後の補足でやっと分かりました。
ハイドってなんであんなにお姫様なんだ?
西川死んじゃったー脱力。
でも思ったより頑張って派手に男らしく死んでくれたので満足。
西スレ住人もそれなりに萌えてましたよ。
ありがとう1さん
486追伸:02/01/13 01:39 ID:x8xJDE1u
ところで、爆発で全身血まみれのずたぼろ姿を
想像して思わず萌える西川ヲタってどうなの…いや自分もだけど(藁
1さん、あんまり無理しないでゆっくり作業してください。
ちゃんとみんな待ってくれてると思いますんで。
487:02/01/13 01:52 ID:NZMTUNot
>>486
いやあ、実はもうだいぶ先まで準備ができてるんですよー。
で、なんとなくドンドンレスしたくなっちゃうんです。
でももうそろそろゆっくりでもいいですね。
あんまり速いとついていきずらいでしょうし。
488名無し:02/01/13 02:49 ID:BX7GjTEm
今回良かったです
レスがだいぶできているとは・・早く見たい気もしますが。
でも気長に待ちます
489名無しにして頂戴:02/01/13 06:29 ID:fajXUENc
7割くらいよんで疲れた。後日また読む
でも面白かった。どんどんお願い

林檎は次出てきたら死んじゃうんだろうなあ
コシヌケ状態で生き残るってパターンはないのかな
(でも一人殺してるしな)。aiko・矢井田との関係が藁えた
490ななしんじゃ:02/01/13 13:35 ID:gPrxaUVy
桑田武闘派逝っちゃうの?

非暴力派がどんどん減ってるよう。

早く続き読みたいなage
491名無しのエリー:02/01/13 17:24 ID:NtiJVDrt
>「スタンドーー!!アリーーナ!!カモーーーーン!!!」
この辺ワロタ。プ板との違いがいい感じですね。
松岡とキンキもはまるんだろうな...
492名無しのエリ−:02/01/13 20:20 ID:1eQ/qP5I
>485
「ハイドってなんであんなにお姫様なんだ?」

俺はそれよりも実は生きてた事に、ジャンプキャラを感じた・・・
493名無しのエリー:02/01/14 01:37 ID:iCHP54N7
桑っちょ…。こないだ吉井と仲良く対談してたのに
こんな対立関係になるなんて(藁
ちなみに吉井が最初にコピーしたのはサザンだそうだ(藁
494名無しさん:02/01/14 01:54 ID:EPQ0MI9N
明日早いのに一気に読んじまった。
495百戒:02/01/14 14:30 ID:lMi4PFUQ
ゴスは・・・出てこないよね、ここまで来たら。
つよちゃんと光ちゃん、悲しすぎまふ・・・。
496名無しのエリー:02/01/14 15:43 ID:MPD2Ax/l
>492
ワロタ。
紫龍とか…ふるっ。しかもサブキャラ。
497ぱんくす:02/01/14 15:52 ID:rVxn7SkY
新日本プロレスのパクリだけどなかなか面白い
でも、NOAH編の方がコンパクトで面白いからそっちでやればよかったのにな
498名無しのエリー:02/01/14 22:49 ID:EW0xOR0u
続きが楽しみです
499名無しのエリー:02/01/15 00:39 ID:x11sGN/D
ヘイヘイヘイの年間チャート見てたらここ思い出しちゃったよ。

1さんがんばって下さい。楽しみにしてます。
500名無しのエリー:02/01/15 01:06 ID:f73Dg3FH
500!
501やっと全部読めた、6時間くらいかかった:02/01/15 10:01 ID:WunRrIgT
なんか陽水が猪木キャラのままなのが気になる。
別に猪木のままでも変わらん、というかセリフ読んでると猪木の顔がちらつく(w
「!」「コノヤロー」「元気ですかぁー?」を多用してるところがまた猪木っぽい
あと参加者が「アゴ」って呼んでたり、ワラタ(陽水だと髪型とかサングラスかな)

最初の方で桜井が「ファンのため」とか理由にしてるけど、ちょと違うなあ。
「妻」とするほうが適切だったかも。

桑田と桜井の絡みきぼん。できれば草野も
502名無:02/01/15 21:39 ID:YPhECa8p
マサムネは昔「陽のミスチル陰のスピッツ」とか自分で言ってた
から仲いいらしいけど桜井を意識してるよね。(今、売り上げでは
だいぶ差つけられてるけど)だから二人の絡みはおもしろいかも
503名無し:02/01/15 22:48 ID:m2L7F8t1
オーケン(筋肉少女帯の大槻ケンヂ)登場してくれないかな〜。
腰抜けそうで、最後まで戦いません、か、
宇多田も真っ青な武闘派になりそう。
504名無しのエリー:02/01/15 22:48 ID:dYCCeDYY
age
505名無しさんは見た!:02/01/16 07:12 ID:O0z0xOh8
吉井って、もしかして、1人も殺してないんじゃないか?
(田代が12時まで生きていれば)
506 :02/01/16 07:58 ID:AqCqLt1q
>>505
三木道三を殺してるとオモタよ
507 :02/01/16 08:21 ID:tQDvoy8t
桑田対長渕をみたいと書いたものですが
実現しうれしいです。
有り難う作者さん
508名無しさんは見た!:02/01/16 08:29 ID:O0z0xOh8
>576
三木道三を殺したのは宇多田じゃなかったっけ?
吉井はとどめは刺してないような。
509508:02/01/16 08:30 ID:O0z0xOh8
>576じゃない、>506だ!  …鬱。
510名無し:02/01/16 16:14 ID:Opiy7Lx/
新作はまだかなー
511名無しのエリー:02/01/16 16:34 ID:ilokVqpA
同じく
512名無しのエリー:02/01/16 18:03 ID:JsQS1wOz
吉井は田代を殺してる。田代はもう死んでるはず。
IZAMも殺したんじゃない?
513名無しのエリー:02/01/16 22:09 ID:DjWfvhMT
age
514名無しのエリー:02/01/17 01:24 ID:KmUAvIXi
続きが読みたいっす!
1さん、これからもよろしくお願いします。
515【二日目・午前10時頃】路地裏:02/01/17 03:36 ID:5kIIp8wr
桑田佳祐の放った弾丸によって右足を貫通されたキンキキッズの堂本剛は今、まさに絶望の渕に立っている。
命辛々に病院から脱出した彼の最後の『武器』である専用レシーバーの電源が入っていないのだ!
彼は陽水と自分を守らなかった長渕剛を口汚く罵るも、その口調に当然普段の勢いはない。
必死で自分に都合の良い想像を張り巡らそうと葛藤するも、状況はさすがにそれさえも許さない。
『-殺される理由は無い。でも殺されない理由も、無い-』
もはやゲームの直接の参加者ではない堂本だったが、だからと言って誰にも襲われないという保証にはならなかった。
激痛と迫り来る恐怖に襲われた堂本が採れる対処方法は、再度の失禁とその直後の失神しかなかった。

…あれからどれ位時間が経過したのか?長かった気もすれば、あっという間だった気もする。
堂本はビルの路地裏で下半身を露に曝け出しながらも、何故か手当を受けていた。
だが堂本は、自分を介抱してくれている人間の正体に気付いた瞬間、御丁寧にも再度失神する。
しかしこればかりは堂本を責める事は誰にも出来ない。
この2日間の概ねの経緯を知る人間にとって、『彼』と出会う事がどういう意味を持つか、を考えれば…

「しかしヒドイよなぁ、剛くん。何もいきなり気を失わなくても(苦笑)」
「…いや、まさか桜井さんが助けてくれるなんて思ってないもの」
ポロシャツに下半身丸出しという珍妙な格好をした堂本の素直な述懐に、桜井和寿は再度苦笑いを漏らす。
「そのワッペン付けてる人を放っておけないでしょう、日本国民として(笑) 」
「…桜井さぁーん」 堂本は只管感動している。
516【二日目・午前10時頃】路地裏:02/01/17 03:39 ID:5kIIp8wr
勿論、この男が損得勘定抜きに善人面する事などある訳がない。桜井は堂本の存在を利用価値アリと判断した。
それは大別して@:政府側に恩を売っとく(…効果は0に等しいだろうが)A:緊急時の囮や楯としての活用、
そして何よりもBの、『戦況の情報収集』がしたかった。桜井は不釣合いの猫撫で声でネタ集めを開始する。

「…で、一体誰に?」 「クワータだよ、桑田!無抵抗の民間人、傷モノにしやがって!あんな卑怯な奴、見た事ないよ!」
「くぅわぁたぁ?」 表情が一変した。目が爛々と輝き出す。桜井の普段の怜悧な仮面が剥ぎ取られる。
自分でも馬鹿らしいと思うが、昔からその名前を聞くと自分にストップが掛けられない…
「ウソォ?桑田さんにやられたの?ホントに?ねぇねぇ、詳細は?今、桑田さんどんな状況なの?」
堂本はあまりの豹変具合に面食らうもとりあえず大まかに桑田がとった行動を説明する。
それを聞いて、これ以上愉快な話はない!とばかりに桜井は喜色満面で歓声を上げる。
「やっぱり凄いわ、あの人は!俺の期待を遥かに上回ってくれる。さすがとしか言い様がないね、全く!」
『ヘェ、桑田さんもとうとう覚悟決めたんだ』
自分と非常に親交の深い桑田佳祐だ。大きな喜びと軽い驚きを胸に、桜井は誘導尋問を続ける。
517【二日目・午前10時頃】路地裏:02/01/17 03:39 ID:5kIIp8wr
「しっかし、それは酷いな、桑田さんも」 「でしょ!やっつけてよ、あんな奴!本気でやれば桜井さんの楽勝だよ!」
「でもさぁ」 調子に乗り出した堂本に構わず桜井は最も腑に落ちない点を問い質す。
「何でそんな危ない場所に出かけたの、剛くんは」
「アゴだよ!あのバカアゴのせいだよ!あのクソ野郎がトータス松本にとどめを指せとかクダラナイ命令をさぁ…」
「へえ松本くんに止めを?」
「そーなんだよ!イエモンの吉井和哉にやられたらしいんだけどさぁ、もう体ピクピクさせて惨めなモンだったよ!」
堂本はここぞとばかりに罵詈雑言に諂いのお世辞をブレンドさせ語りまくる、唾を撒き散らしながら。
「おいおい、吉井さんにかよ?さすがトータスくんだ。あの人も思いも寄らない人にやられるなぁ」

桜井は脇腹を抱えながら質問を連射する。「で、剛くんはどうしたの」「えっ?」「いや、倒れてるトータスに対してさ」
…難しい質問だ。下手に答えられない…しかし目前で笑う最強の殺人鬼はすっかり舞い上がってる…様に見える。
『えぇい、ここは賭けだ!』 堂本は従来以上に明るい声色で自分の戦歴を自慢する方法を採択した。
「もちろん!ボコボコにしてやったさ!あんな頭の足りないゴリラ野郎なんざ!」
518【二日目・午前10時頃】路地裏:02/01/17 03:40 ID:5kIIp8wr
「………何?…」 殺人鬼は急に冷酷な雰囲気を取り戻す。堂本の背筋にイヤーな電気が走る。
「……松本に…手を出した…?」「……い、いや、ウソ!ウソ…です。ジョーク…の…つまんない…ですか…」
堂本は水不足に悩むアフリカの人達が見たら羨ましがる程の大量の冷や汗を流しながら、必死で弁解し始める。
「…そ、そんな…倒れてる人、殴るわけないじゃん!…看病したんだよ…それを桑田の馬鹿が勘違いしてさぁ…」
「……アッ?…」 桜井の機嫌の急降下ぶりは留まる事を知らない。「……松本を…かんびょうしたぁ?…」

すっかり立場に窮した堂本はここで伝家の宝刀を抜く。 そう、『逆ギレ』だ。
「じゃぁどうしろって言うんだよ!殴れば怒るし、助けりゃ不機嫌になるし!どうすればいいか、教えてくれよ!」
「死ね」「ヒェッ?」
言うが早いが桜井はポケットから拳銃を取り出し、冷たい目で至近距離から発砲する。
堂本の頭は夏の夜空に美しく輝く仕掛花火の様に大輪の花を咲かせた。
残念なのは、それが昼間に行われてしまった事だけ、だが。
519【二日目・午前10時頃】路地裏:02/01/17 03:40 ID:5kIIp8wr
『…やってしまいました。俺もまだまだ、精進が足りん…』 桜井は返り血も拭わず殊勝に反省する。
結局、最重要課題であった情報収集に関しては、桑田がやる気になったらしい事と吉井が別人と化した事だけであった。
しかし桜井はどうしても許せなかった。堂本剛如きがウルフルズのトータス松本に手出しをする事が。
『トータス松本はお前みたいなカスが弄っていい代物じゃないんだ』

それ以外にも彼はほんの少しだけ憂鬱になっている。先程の堂本の報告内容が原因だ。
『まさか、吉井さんが…ねぇ?今朝会ったポルノのアキヒトくんも、最初の時と別人だし… (アキヒトは死亡済だが桜井はまだ知らない)
 そういや西川貴教や元XのYOSHIKIさん、スガシカオといったお人好し軍団や
 個人的に真っ先に殺されちゃいそうな清春あたりの名前も未だに聞こえてこないよなぁ…』
それは当初から奇襲戦法で勝ち慣れし過ぎた桜井にとっては少々億劫な結論だった。
『…連中、人変りしてやがる。これからの戦いは、一筋縄じゃ行かない…』

だが彼は弱気になった自分に喝を入れるかの様に、新たなる目標を自らに課す。
『とにかく桑田さんだけは僕がやっつけないといけないな!僕からトータス君を奪った罰として』
……どこまでが本気でどこまでが冗談なのか、全くこの男だけはわからない。
520名無しのエリー:02/01/17 04:02 ID:B7FmQSbe
おー、こんな時間なのに新作age。1さん乙カレー。
相変わらずおもしろいよ!
521名無しにして頂戴:02/01/17 04:17 ID:jMrGB05J
お疲れ様!!でさ・・
・・真琴ちゃん出演きぼん、してもいい??
こういうとこに放り込まれたらどうなっちゃうのかな、なんて
思ったりして・・・・
522 :02/01/17 09:10 ID:nLRaYy8h
生き残り:
桑田圭佑
桜井和寿
松岡充
宇多田ヒカル
吉井和哉
椎名林檎
草野マサムネ
hyde(?)
YOSHIKI
スガシカオ
{残り:10人}
違ってたらゴメソ。
523 :02/01/17 09:29 ID:nLRaYy8h
清春生きてるっけ?
生きてたら11人だ。

もう難しいよぉ・・・・・・・・・
524名無しさん@:02/01/17 10:12 ID:tBF6YdYH
お〜やはりやる気になっている戦闘派がたくさん残りましたね。
どうなっていくんでしょうドキドキ。
525名無しのエリー:02/01/17 11:13 ID:7yYrx1rc
堂本と桜井の絡み、ワラタ。実際にもミスチルのファンだし
526名無しのエリー:02/01/17 13:35 ID:xzOxFL3U
ヴィジュ板のバトロワが終わってました。
あまりにもあっけなく・・・

ヒッキーガムバレ
527名無し:02/01/17 14:49 ID:3M/7WymM
>>462でhydeは氏んだんじゃないの?
528名無しのエリー:02/01/17 18:00 ID:FypF/MgZ
>527
>>454参照。1つ抜けて>462を1さんが足してるから、まだ生きてる。
529名無し:02/01/17 18:05 ID:ZTUg+zuy
いいとものテレフォンゲスト
桜井→シカオ

ワロテしもた
530527:02/01/17 19:45 ID:3M/7WymM
>528
漏れ>>454の最後の一行読み忘れてたらしい…(苦藁
スマソ、逝ってくる〜
531名無しのエリー :02/01/18 00:44 ID:cFG3Zb+o
>529
自分もいいとも見ててこのスレ思い出してたよ。
しかも月曜には松岡も出てて、今週のテレフォンはバトロアウィークじゃん!!
532名無しのエリー:02/01/18 01:35 ID:ZrCk5HCp
>529、531
同じく!! 今週のいいとも、スゴイゾ!?
なぜに、桜井くんからスガシカオへ?
これから戦うくせに、とか思ってワラタ〜!
シカオの次は誰だろ?
533  :02/01/18 02:58 ID:1qPoghB3
>>532
山崎まさよしとか出てこないかな〜
534名無しのエリー:02/01/18 04:08 ID:DG0flbSz
>533
仲イイよね、スガシカオと。
535名無し:02/01/18 13:26 ID:osVr9aoq
>>532
お互いの音楽好きで
親交深めてたんだよ。
そんなこんなでシカオと桜井のバトルきぼー
536    :02/01/18 21:42 ID:GKfgnFSw
今日のMステ!
桜井・スガ・剛・hitomi!!(w
537名無しのエリー:02/01/18 21:45 ID:Mrj9zpC0
今日のいいとも 
シカオ誰呼んだの?
538名無しのエリー:02/01/18 21:54 ID:u0HxzU8H
>>537
326
539537:02/01/18 21:58 ID:Mrj9zpC0
>>538
ありがとうです。バトロワ続きでなかーたね。
ジャンネン。。。
hydeは生きていた。確かに数時間前にhydeは自分の喉元で銃の引き金を引いたが
彼の持つマイクロウージーにはご存知の通り最初から弾は入っていなかった。
だが銃の構造上、銃弾が入っていなくても引き金を引く際の衝撃と発砲音に似た音が鳴るようにできていたのである。
その瞬間hydeもショックで気を失ったのだが、その場で目撃していたYOSHIKIも後から来たシカオもhydeの死を確認することはなかった。
三十分か一時間か経った後に目を覚ましたhydeは自分が生きていることに驚いた。

そして今hydeは焦っていた。夏の日差しが照りつけ蝉がひっきりなしに鳴いている。
そんな当たり前の物が今のhydeを殊更苛立たせた。もうすぐタイムリミットだと言うのにhydeは一人も殺していないからだ。
数時間前、瀕死の状態の西川にトドメをさすようにYOSHIKIから催促されたhydeだったがどうしても引き金をひけなかった。
だがタイムリミットが目前に迫った今では、あの時西川にトドメをさしておけばよかったとさえ思えてくる。
結果的にYOSHIKIと別れてしまった後は自分を奮い立たせ積極的に行動した。だが不運にも誰にも遭遇することが出来なかった。
この数時間の収穫と言えば途中で拾った鉄パイプ、自分が死のうとした場所に戻った時見つけたデイパック一つだけだった。
とりあえず拾ったが中身には期待できそうも無い。
そう思いながら駐車場の中程で車と車の間に身を隠し中身を確かめていた時思わぬ事が起こった。
更に奥の車の陰から何者かが立ち上がるのを見つけたのだ。距離にして3〜4m。
様子からすると眠っていたらしい。立ち上がった男は松岡のようだ。
(アイツは……松岡か?何でなんでこんな所で眠ってるんだ。ヘンなヤツが多いんだな。)
違和感にhydeは一瞬自分の状況を忘れてしまった。
(っと、呑気に考えてる場合じゃねぇ。チャンスだ。アイツにゃ悪いが死んでもらう。
 ここで余裕こいてるって事は少なくとも一人は殺してるって事だろ。なら遠慮はいらねぇ。あいつは友達だけどそんな事問題じゃねえしな。)
だが覚悟を決めようとしたhydeの脳裏にIZAMの無残な死に様がよぎる。
ろくに抵抗の出来ない状態で矢を撃ち込まれたIZAMの腹部。それを思い出しhydeは急激に
吐き気を催した。あの時流れていたIZAMの血は今もhydeの瞼にべっとりと染み付いているのだ。
呻き声が出そうになる。だがなんとか堪えた。気付かれてはいけない。気付かれる前にケリをつけるんだ。
そう考えhydeは車の陰からデリンジャーを松岡に向けた。その時、
『コホッ』
hydeは軽く、本当に軽く咳き込んでしまった。さっきの吐き気のせいだ。
松岡はそれを聞き逃さずこちらを振り向く。しかし焦りながらも意外と冷静にhydeは引き金を引いた。
充分弾は当たる
……気持ちの上ではその筈だった。しかしhydeの期待に反し松岡は無事だった。それもその筈、弾が出なかったのだから。
先程述べた通りhydeの持つマイクロウージーは「とっかえ弾システム」とやらで最初から弾が入ってなかったのである。
だがhydeは銃器に詳しい事もなくこの重大な欠落を数時間の間忘れていた。hydeは己の短絡さを悔いた。
そんなhydeを嘲笑うように松岡はすぐに車に身を隠しながらhydeの方に銃を撃ってきた。
あちらには充分弾があるようだ。
(クソッどうすりゃいいんだよ、クソッ!)
銃声と共に降って来る車の窓ガラスの雨を浴びながらhydeの苛立ちは強まっていく。
その時、hydeは拾った方のデイパックを踏みつけた。その足はデイパックの中にまだ見つけていなかった『何か』があるのをhydeに知らせた。
さっきまで晴れていた空がすっかり雲に覆われている。今にも一雨来そうな空模様だ。
(フゥ、hydeがバカで助かったな。)
hydeの方に威嚇射撃しながらやや目覚めきっていない頭の中で松岡は安堵の息をつき、そして考えた。
全く打ち返してこない所を見ると少なくとも持ち弾はあまり無い。爆弾の類が来る気配も無い。
また、弾が無いのに気付かない程度のオツムで銃器の扱いにも慣れていないだろう。
という事はこちらが明らかに有利である。こちらが有利であることは向こうも承知だろう。
ならhydeは今、必死でどうするか考えている筈だ。こちらから時間をやって相手に対策を
考えさせてやる必要は無い。まして何か思い付かれたら厄介だ。そして結論。――――こちらから攻める。
目覚めに比例して冴えてくる頭で、松岡は瞬時に相手と自分の状態を分析し、結論を出した。
更に相手の思考を乱すために言葉を投げかける。hydeに最も効果的な言葉を。
「おい、hyde!YOSHIKIさんが死んでたの見なかったか?あれをやったんはオレや!」
実際に松岡がYOSHIKIを殺ったという事実はないし、YOSHIKIもまだ生きている。これはあくまでもhydeを乱心させるための手段だった。
その言葉にまんまと乗せられ、冷静さを失ったhydeが車の陰から頭を出す。
待ち構えていた松岡はhydeの位置を確認すると、もう一発銃を撃ち、hydeの頭が引っ込ませた。
その隙に車の陰を飛び出し、素早くhydeの隠れている所へ駆け寄る。
そしてhydeの顔を確認するより先にhydeめがけて二度引き金を引き、勝利を確信した。
だがそこで松岡は意外なものを目にする。車と車に挟まれたそこにはhydeでは無く銀色の壁があり、
その壁に先程放った銃弾はめり込んでいた。そして壁の上の方に開いた穴からhydeらしき二つの目が
松岡を覗き、無言のまま壁は松岡めがけて突っ込んできた。
(ちっ、何だよこりゃ!盾なんか持ってんじゃねぇよ!)
松岡は完全に虚を突かれ、苦し紛れに銃を放つ。だが迫り来るジュラルミンの盾の体当たりは、
全く止まることなく松岡の身体を突き飛ばした。
突き飛ばされた松岡はその先にある、空いた駐車スペースに倒れこみ、持っていた銃は数メートル
向こうの車の下に滑り込んだ。hydeは更にそのまま盾で松岡の身体を上から押さえつける。
左手と左膝で盾ごと松岡に乗りかかりながらhydeは目を血走らせていた。
「お前、YOSHIKIさんを殺ったのか。…お前ホントに殺りやがったのか!」
hydeは怒りに任せ、盾に更に体重をかけた。盾の下でもがきながらも松岡は冷静に答える。
「あぁ、オレが殺したで。中途半端な情けなんてかけやがったんでな……あのアホは………。」
言葉の途中、松岡の声のトーンが少し変わる。だがhydeはそんな事に気付かず怒りを充満させた。
「…この野郎、ブッ殺してやらぁ!!!」
そう叫び鉄パイプを握り潰さんばかりに右手に力がこもった直後、
hydeの身体は弾かれるように松岡から離れ、地面に倒れ込んだ。
hydeは右足から全身を走った衝撃に身体の自由を奪われながらも何とか松岡の方に首を回すと、
そこには左手にスタンガンを持った松岡が立っていた。
パラパラと雨が降り出してきた。松岡は念のためデイパックを拾い上げスタンガンをしまった。
「フン、だいたい喋りすぎなんだよお前らは。殺したいんなら無駄口叩かずさっさと殺せ。それが出来ないからこうなる。」
そう言って松岡はデイパックから別に取り出した銃をhydeに向け近付いた。
それを見ているhydeは何とか左手を地面に立てて起きようとするが上手く行かないようだ。
右手に鉄パイプを握り締め何か言いたげに口を動かすが言葉は出ない。松岡はその様に笑みを漏らした。
松岡の向けた銃口をhydeは強く睨みつけている。まるで勝負の最中に何かを狙うような目だ。
次第に強まる雨の中、その違和感に松岡が気付いた時には、hydeの右手の鉄パイプは力強く
振り抜かれていた。鈍い音を立てて銃が宙を舞う。hydeは、松岡が鉄パイプを思い切り叩き付けられた
右手を押さえている間に、ふらつきながらも松岡の胴にタックル、というよりももたれこんだ。
二人はもつれ合いながら地面に倒れこむ。松岡はすかさずhydeを振り払おうとした。
だがスタンガンによってダメージを受けている筈のhydeは、凄まじい力で松岡の首を鉄パイプで
押さえつけそのまま馬乗りになった。更に松岡の首にhydeの体重がかかる。
(…演技かい……このアホタレがっ…普通動けねぇぞ……)
松岡は左手で鉄パイプを何とかずらそうとするが、hydeは鬼の形相で更に力を込めて来る。
身体を揺すってもマウントは外せない。次第にゆっくりと遠のく意識の中で松岡は右手を腰にやった。
大きな音と共にhydeは腹に灼けるような痛みを感じ、口から血の飛沫を吹き出した。
降りしきる雨も今hydeの腹部から溢れ出す血を流しきることは無い。
松岡は完全に力の抜けたhydeの下から抜け出し、うずくまりながら咳き込んでいた。
(隙だらけだ。)
そう思ってもhydeの身体には力が入らない。
傷は時間と共にhydeの血と命を奪っていく。まるでザルに水を注いでいるかのように。
呼吸を整えた松岡は立ち上がりhydeを見た。
その左手には今hydeを撃った松本孝弘の銃、スミス&ウェスンM629Cが握られていた。
松岡は地面にへたり込んだまま動かないhydeを見ている。遠目には死んだようにも見えるが
まだ呼吸はしているようだ。いつもの松岡ならこのままhydeを撃っておしまいだろう。
だが松岡は止めを刺さず口を開いた。
「…まだ生きてやがる、しぶといヤローだな。そんなに敵討ちがしたいのか?」
その言葉を聞いた瞬間hydeの身体が急に動き、松岡に向かって来た。
完全に油断していた松岡は、それでも咄嗟にhydeへ向けて銃を撃つ。辺りに銃声が響いた。
「ぐぅぁっ!…」
呻き声を出したのは松岡の方だった。痛みで感覚の無い右手を庇い、松岡は思わず片手で銃を撃ってしまったのだ。皮肉にも松本の銃で。
そして銃弾はhydeには当たらず、銃を地面に落としてしまう。
hydeは銃声すら聞こえなかったのか何の躊躇も無く接近し、松岡の右腕ごと胴体に両腕を廻した。
「チッ、離れろこの死に損ないがっ!」
松岡は自分の身体に抱きつく形になったhydeの肩に何度も左肘を落とし、顔面を殴り、膝で突く。
だがもうhydeは虚ろな表情のまま方膝を地面につきながらも腕の戒めを弱める気配を見せない。
「…なぁ松岡ぁ…………お前の方が喋り…すぎだ…ろ?」
何か嫌な予感を感じた松岡は首を捻って自分の身体に廻されたhydeの腕の先を見た。
hydeの左手は右の手首をがっちりと握り、右手にはボールのような物が握られている。手榴弾だ。
この手榴弾はhydeが拾った西川のデイパックに残っていた物である。
そしてhydeは右手の手の平で手榴弾を包み、指先でピンを抜こうとしていた。
「!!…お前、自爆する気か!?離せ、クソッ!!」
松岡は火が付いた様に身体を振り回してhydeから逃れようとするが離れる事は無い。
むしろhydeの力が徐々に強まってくる気さえする。
「………テルさん…仇…取れなかったなぁ……」
呟くhydeの目はもう彼の身体の限界を告げていた。しかしhydeの最後の力で手榴弾のピンに指をかけた。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
松岡は歯を食いしばり声も出せずに必死でもがく。

そして既に豪雨となった雨の中、辺り一帯に爆発音が木霊(こだま)した。
通り雨だったのか先程までより雨脚はかなり弱まってきた。
コンクリートの壁を背に、地面に座り込んでいる男の身体には所々血が滲んでいる。
彼はデイパックからタオルを取り出し、顔と短い髪を拭いた。そして下を向いていた男は視線を上げる。
彼の3m程向こうには別の男の死体が転がっていた。
その死体を眺めながら、しばらく言葉を忘れていた男はようやく感傷を込めず呟く。
「…運が無かったな、ハイド……」
男は松岡充だった。

―――10分程前、松岡にしがみついたhydeがようやく手榴弾のピンを抜いた瞬間、
hydeの頭は破裂した。丁度12時が来てしまったのだ。
それまで一人も殺していなかったhydeはルール違反の罰則に倒れた。
突然hydeを襲った悲劇に状況を飲み込めないまま、松岡はhydeの手から手榴弾を奪い、
放り投げて爆発を逃れた。直後、松岡の疑問は定期放送によって解かれる。
相変わらずふざけた放送だったが。

疲れきった身体を起こし、松岡は立ち上がる。
そして水と汗と血と塵に塗れた姿のまま、hydeだった死体にもう一度目を向けた。
「YOSHIKIさんは殺してないから勘違いすんなよ。これから先はわからねえけど。
 あと、さっきも言ったが堅にもよろしくな。」
そしてジュラルミンの盾と落とした武器を拾い、松岡は駐車場を離れた。
残されたhydeの横には平井堅の日本刀が置かれていた。
549:02/01/18 23:53 ID:kgFJ3HB7
hydeは元ネタのままだと前のシーンであのまま自殺してるんですけど
ここのシーンの役(小川直也)に相当する人が話の流れ的にいなかったので
無理やりhydeをこのシーンまで生かしておきました。
でも結果的にはこの方がよかったかも。

今日のMステは面白かったですね〜。桜井と堂本剛が並んでしゃべってたんだもの(ワラ
550ななしのエリー:02/01/19 00:00 ID:weGTZ1x4
キャア!更新されてる!
久しぶりに松岡登場カコイイよ〜。松岡最強!
551:02/01/19 00:03 ID:NC1dwJdW
もう一つ、ネタバレ覚悟で質問なんですけど清春と桜井ってもししゃべるならどんな感じが一番自然だと思いますか?
桜井がタメ口か清春がタメ口か。。。呼び捨てが自然なのかどうか。。。
年齢とか結構微妙な二人だと思ったんですけど。
552名無しのエリー:02/01/19 00:52 ID:58xcIUaY
>>551
最初は両人とも半敬語使い
多少打ち解けてきたら清春がタメ口とか・・・
553名無しのエリー:02/01/19 00:57 ID:6gAFMrEo
>551
お互い「さん」付け・敬語じゃない?
別に相手に敬意を払ってるわけではなく、
単に距離を置いて腹の探り合いをしてる感じ。
でも心の中ではお互い、呼び捨て・タメ口で罵倒してそう。
554名無しのエリー:02/01/19 12:46 ID:IFOU5XJC
松岡が関西弁じゃなくなった・・・
555 :02/01/19 19:43 ID:QhOODOr9
hyde死んじゃった…
556=:02/01/19 22:11 ID:u9ZGJkk1
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/geinin/1009967966/l50

ここにもバトロワスレあったんだね。
お笑い板にもあるよ。見にくいし、マニアックだけど…
他にも三国志版・四季版のバトロワスレがある。
557 :02/01/20 16:27 ID:UrunriN+
http://school.2ch.net/test/read.cgi/recruit/1010784122/

就職板にもあった。1人の作者が孤軍奮闘してる様子。文章は結構上手いからこれからに期待。
558名無し        :02/01/20 18:45 ID:Z4rJfuBH
アキヒト、hydeとラスト候補が二人も死んだ…これでラストはかなり絞られたかな。
559名無しのエリー:02/01/20 19:27 ID:D8Afp6Qp
not at allは蘇らないのか?
560 :02/01/20 20:37 ID:nt+v/zao
ラストはスガシカオのような気がする。
今までの話の流れからすると。
スガvs松岡・・・って感じかな?
あ、松岡vs宇多田も忘れてた・・・。
松岡にとって宇多田はaikoの仇なんだよねー。
561 :02/01/20 21:19 ID:mKk5O+xa
ヒッキ−、スリ−ピ−ス、子供氏のうちの二人が残って共倒れ。
シカオ不戦勝。
562 :02/01/20 22:58 ID:UrunriN+
清春を・・・・!忘れるなっ・・・・・!!
563名無しのエリー:02/01/21 01:44 ID:r+24QFJM
>>556 あのスレは、大阪の吉本base芸人がかなりいるから、
MBSorケーブルテレビGAORAで
マジっすかとクワンガクッって番組見てないとまずわけ分からないと思う。
ロザン(菅・宇治原)に限っては
探偵ナイトスクープ(ABC・テレ朝系列)を見れば顔は分かるかもしれない。
(東京の人向け注釈。)

なるほど、お笑い芸人板の住人が減るわけだ。。。
564名無しのエリー:02/01/21 18:09 ID:S35h0lDc
ヒッキー頑張れ!!(w
565名無しのエリー:02/01/21 20:16 ID:6Roen2vL
続き楽しみ♪age
566テトラドトキシン:02/01/21 22:54 ID:a9pjiD32
続き読みたいぜ!age
567 :02/01/21 22:58 ID:c+d5wfsQ
今日のドラマで松岡影薄かったような・・・
568名無しのエリー:02/01/22 00:56 ID:TchMyNDC
吉井はどうなる?
569名無しのエリー:02/01/22 01:09 ID:ujChMeOx
そーだ
手負いの吉井は何処へ。。。
570名無しのエリー:02/01/22 12:47 ID:ZTCipi5v
570!
571   :02/01/22 15:41 ID:WFbL0I7P
戦場で偶然の再会を果たし、今後の共闘を固く誓い合ったYOSHIKIとスガシカオは
山場となるであろう、午後から夜半に掛けての激闘に備える為、人気の無い自動車整備工場にて
休息を兼ねた戦略会議を開いている。
悪趣味だとは思ったが、シカオはホワイトボードに参加者名簿を記入し、過去の放送で判明した
死亡者を消し、YOSHIKIとの情報交換により要注意人物のリストUPを行う。
「…一番の要注意人物はやはり松岡のようです。アイツは強い。アイツは完全に割り切ってます…」
「…吉井はもはや狂人だ。奴にはもう言葉も何も届かない。見掛けたら覚悟を決めて殺るしかない…」
「…あと清春だな、怪しいのは。西川の時に見たヤツの余裕は…野郎、ネコ被ってやがった…」

当然の様に極悪三人衆の名前が呼ばれた後、YOSHIKIは溜息交じりに第二グループの評論を始める。
「桜井と宇多田も臭うな…アイツ等は善人面してても自分が一番!という性格だ。共闘は難しいな… 草野マサムネもよくわからん」
「曲者揃いですね」「まったくだな」
YOSHIKIは苦笑交じりに白板の二つの名前をマルで囲う。 「せめてコイツ等だけはマトモでいてくれればいいが…」
しかしそこに至るまでの経緯はともかく、桑田佳祐がトータス松本の生命を剥奪した哀しき事実を二人は知る由もない。

シカオとYOSHIKIの休息を奪うかの様に、工場の近くで再び銃声が轟き出す。
「…何やってんだ、この時間まで」 YOSHIKIは癖で唇を若干突き出す、独特の不機嫌な表情に戻る。
「…御苦労なこった。陽水じゃねぇがホントに酷い奴等も多いんだな…生き残ったら他人との付合い方を見直さんとな」
しかしシカオにYOSHIKIのジョークは聞こえていない。あの銃声には聞き覚えがある… 忘れもしない、あの忌わしい場面を…
「…椎名…」 シカオは騒音の方角を見やり哀しげに呟いた。
「林檎?あぁ、いたなアイツも」 YOSHIKIは興味なさげな風情で言葉を続ける。
「アイツもネコ被ってた類だな。まぁどっちでもいいって。大して影響ないだろう、ヤツの存在は…」

「いや」 シカオは強い口調で遮るとYOSHIKIに向って新案を申し述べる。
「行きましょう、アイツの所へ」「おいおい、勘弁してくれ。お前が佐野さんの仇を討ちたいのはわかるが…」
「違います。その逆です。アイツを助けに行きます」「助けるぅ?」「えぇ、そうです。アイツが一番苦しんでると思うんです」

シカオは朝方の情景を回想する。あの犯行直後の引き裂くような咆哮が今も彼の耳にこびり付いて離れない。
『…家から、自分の育った家から追い出された私の気持ちの何がわかるってんだよ、あんたに!!』
林檎は怪しげなキャラ作っていても無類の寂しがり屋だ…俺にはよくわかる…
暖かい愛情に包まれて育った林檎にとって、『業界から出された』という事実は想像以上に心を蝕んだのだろう。
…だからこそアイツは今、逃げちゃいけない。現実に不貞腐れている時間はない。シカオは強くそう思う。

「根は好い奴なんです、林檎は。 混乱してるだけなんですよ、今。 本気で僕を殺す気なら、あの時果たせていた…
アイツは佐野さんの分まで生きなくちゃいけない。佐野さんの死を無駄にさせちゃいけないんです」
「わかった、わかったって。一肌脱ぐよ。」 YOSHIKIはこれ以上シカオの長演説に付き合うのが億劫らしい。
太陽が最も強く輝き出し、風はその存在を完全に消す。スコールが近いのか辺り一面に独特の匂いが充満している。
林檎は最早限界だった。流血・疲労・心労にこの暑さが加わった。彼女は何かに導かれるかの如く、公園に佇む小池に近寄る。
倒れ込む様に水面に顔を突き出し、今までの全てを消し去ろうとすべく、顔面を洗い落とす。
ふと視線を上にやる、そこには木陰で呑気に転寝する二人の人間がいた。佐野元春とアキヒトだ。
林檎は思わず大きく仰け反る。しかしその後、彼の採択した行動は意外なものであった。彼女は佐野の遺体に向い土下座した。

「…スイマセン、許して下さい!…撃つ気なんてなかった…ましてや殺すなんて…」
彼女の述懐に嘘は無い。山中を駆けずり回っていた林檎は、偶然佐野とシカオの会話に遭遇する。
この二人が自分に危害を与える存在ではない事は一発で理解できた。でも彼女は二度と裏切られたくなかった、自分の心に。
佐野がシカオに対し『託す!』という言葉を出した事も不都合だった。シカオに対して嫉妬、寂しさ、疎外感が派生する。
心を決めかねていた林檎に佐野の大喝が降り注ぐ、彼女は条件反射で飛び出した、そして発砲した、それだけの話だ。
だが『それだけの話』が確実にひとりの人命を奪った。あの時のシカオの悲痛な叫びが今も耳から離れない…

林檎は我慢しきれぬかの様に顔を上げる。今度は頭部から出血した見た事が無い程穏やかなアキヒトの顔が見えた。
「!…あんた、何寝てんの!あんたはポルノグラフィティーのアキヒトだろうが!こんな所で終る様な安い存在じゃないだろ!」
顔をクシャクシャにしながら怒鳴り上げる。暫く嗚咽が止らない。動悸を静めると林檎は優しげにアキヒトに決意表明をした。
「…私、頑張るから。頑張るから!頑張って生き残るから……」

「無理だろう、お前じゃ」 背後から冷たい野次が聞こえた。
林檎は咄嗟に前方へ大きくジャンプする。結果的にこの選択は大正解であった。
背後を振り向いたら最後、マサムネの放った手裏剣は確実に林檎の前頭部を捉えていただろう。それが背中への裂傷で済んだ…
「…またあんたか!いい加減、しつこいぞ!」「しょうがないだろ、俺だって死にたくないし」
草野マサムネはあくまでも冷静を装う。「とにかくだ、5時間も追っかけっこしてるんだ。そろそろケリ付けようぜ」

「……」ベンチの陰の叢からは応答が無い。また逃げられたら、今度こそピンチだ。マサムネは林檎専用の特効薬を再度取り出す。
「お前、大体何で参加してんだ、リンゴだかパンプキンだかが?」
「うるさい!黙れ、村上ショージかアンタは!私は何処にいようが椎名林檎なんだよ!」
「そう言う割には逃げ回ってばっかだけどな」
(おやおや、まーた引っ掛かったよ。随分、小さな事に囚われる奴だ。
 こんな安い挑発にも乗ってくれるだなんて。自分の命の瀬戸際だっていうのに…)
「……」「来いよ。軽く揉んでやるよ。不肖草野マサムネ、パク林檎にだけは負けねえよ!」

「…貴様ぁ---!!」 とうとう林檎がブチ切れる。マサムネの声の方角へショットガンを連射する。がまたしても、何の反応も無い。
さすがに林檎は悔いた、自らの思慮の浅さを。だが今更後悔しても始まらない、アイツを倒さねば前に進めない…
『…落ち着け。落ち着くんだ…武器の差を考えてみろ…私の方がどう見ても有利だろうが!』
そう心中で呟く程、反比例して吐息が荒くなる。それでいながら今まで仕留められなかった事実は林檎自身が最も理解していた。
彼女は何かに脅えるかの如く、ジリジリと後退りする。次の瞬間、左足に硬性物の感触が伝わる。林檎は後ろを振り向いた。

『…佐野さん?』 視線を上部へ移行する。そこには音を立てずに手裏剣を握り自分に襲い掛かるマサムネの姿があった。
林檎は発砲した。眼を瞑りながら。まるで自分に降り注いだ全ての悲惨な事実から眼を逸らすかの様に…

「YOSHIKIさん?」「あっちだ!」シカオとYOSHIKIは銃声の轟く方角へ駆け出していた。
剣道の試合で言えば、マサムネの一本勝ちであった。彼の持つ鋭利な鉄は林檎の右の肩甲骨と首の付根の間に完璧に入り込んだ。
しかし最後の最後で、兵器性能の差が如実に現れる。突き刺さる前に引鉄を引いた銃弾はマサムネの腹部を捉えた。
林檎は肩を押え、後方へ倒れ込む。マサムネは前方へくの字の形で崩れ落ちた。

腹部を押えながらマサムネは嘗ての先輩にクレームを付ける。「…佐野さん、どうして俺の味方、してくれないんすか…」
苦しげにマサムネは体を仰向けに反転する。見上げると天空からはポツポツと雨が降り出してきている。
冷たい雨に撃たれて、彼は悲しげに呟く。「…今度ばっかしは、上手く立ち回れなかったなぁ…」
草野マサムネ、絶命。陽水の思い付きだけで参戦させられた後発軍団は完全にこの時点で全滅した。

林檎は重たそうに体を起す。マサムネの絶命を確認すると肩を押えながら、大声で勝ち誇った。
「…この椎名林檎を舐めるからだ…思い知ったか!」
そして彼女は再び池の水面を見付ける。マサムネの返り血で溢れた自分の顔面を見る。その瞬間、林檎は号泣した。
『…この手は!この手は何の為にある!人殺しの為か!違うだろ!マイクを持つ為にあるんだろうが!』
『…奇麗事をぬかすな!生き残らなきゃハナシになんないんだよ!椎名林檎は、勝って他を見返すんだろうが!』
またも相反する二つの気持ちが林檎の心を蝕む。その直後、貧血を覚える。流血は一向に止らない…
『…チキショー…結局、無駄死にかよ…』「椎名ァ!!」 諦めかけた林檎を現実に呼び戻す声がした。

林檎は自分を呼ぶ声の方角に鬱陶し気に眼を向ける。スガシカオとYOSHIKIの姿があった。
「椎名!大丈夫か!」「…うるさいっ!」気力を振り絞り、ショットガンを杖に身を起す。
左手は右肩の止血の為、当然使用不可である。銃は構えられない。しかし林檎は野良犬の様な視線で二人を威圧する。
「…椎名…」シカオは狼狽する事しかできない。
577【二日目・午後12時】公園:02/01/22 17:05 ID:uy+4Ied+
雨は益々勢いを増す。最早、雷雨と言ってよい。スピーカーから声が流れるも、今の林檎の耳には入らない。
「…椎名、聞いてくれ」「…佐野元春の仇を討ちに来たんですか?残念だったね。今、スピッツの奴も退治してやった所だ」
「スピッツ、だと?」 越中聞き返す。
「林檎!テメッコノヤロッ!草野マサムネみたいな優男をやったのか!」「うるさいっ!外様が語るなっ!」
林檎は必死で似つかわしくない悪役を気取る。
「私がいい加減終わらしてやった!何年も中途半端な活動してる奴には死んでもらったんだ!私が業界の健全な姿を守った!」

「…言いたい事は、それだけか…」YOSHIKIは激昂のあまり拳銃を抜き、発砲体勢をとる。
しかしYOSHIKIの手を固く押し留めた人間がいる、シカオだ。「オイッ!」「…ここは自分に任せて下さい」
そう言うとシカオは雨の中、林檎に歩み寄る。YOSHIKIはその断固とした決意に唖然とするしかない。

「椎名、傷の手当が先決だ」 「カッコつけんな!何を偉そうに… あんただって人殺しだろうが!」
「…残念ながら、そうだ」シカオは更に林檎に近付き説得を行う。「…でも終りにしなきゃいけないんだよ、こんな事」
「テメーのやった事、棚上げしてんじゃねぇ!」「椎名、さっき言ったよな。『私が業界守った』って」「…それがどうした」
「…人を殺す事が、お前の守り方か?」「…何だと」「お前の音楽の世界は、そんなに汚いものなのかよ!」

シカオは大喝する。後輩に必死で自分の思いを届けようとする。
「…いい加減、目を覚ませ。俺もお前も殺人者だ、その事実は消えない。消しちゃいけない…」「……」
「そこで俺達が殺し合う事が彼等の望みか?違うだろ!俺達が死んでいった仲間の為にしなくちゃ…」
578【二日目・午後12時】公園:02/01/22 17:06 ID:uy+4Ied+
「アンタの説教は聞き飽きてんだ!」林檎はシカオの言葉を遮り、叫ぶ。
「…椎名!」「…アンタ、佐野さんに言ってたよな。俺が邦楽を守るとか… じゃぁ何でこんな事になったんだよ、教えろよ!」
「…もうしゃべるな、傷の…」「…何だ、その眼は」シカオの全ての感情を林檎は拒否し続ける。
「…何だよ…何なんだよ、その眼は!同情なんかすんじゃねぇ!どいつもコイツも馬鹿にしやがって!」
林檎は右肩から左手を外す。渾身の力でショットガンの銃口をシカオに向けた。

「……」シカオは観念したかの様に眼を瞑る。
「林檎ォ!」状況を見守っていたYOSHIKIはシカオの背後から姿を現し、覚悟を決め引鉄を絞った。
林檎の体はそれとほぼ同時に地面に崩れ落ちていた。

「椎名!」シカオが駆け寄る。YOSHIKIも駆け寄るが、彼は万一に備え素早く林檎から銃を強奪する。
「…無駄ですよ、YOSHIKIさん…」林檎は寂しげに呟く。「…だって、タマ、入ってなぃすもん、もう…」
YOSHIKIは慌てて銃創を確認する。佐野とマサムネの生命と引換に、忌わしい銃弾は粗方も無く姿を消していた。

「…馬鹿野郎!どうしてそんな無駄な意地を!」「…同情されたくなかったんですよ、誰にも…」
林檎は弱々しげに最後まで虚勢を張り続ける。雨は一向に降り止む気配を見せない。
579【二日目・午後12時】公園:02/01/22 17:07 ID:uy+4Ied+
林檎は雨に打たれながら疑問に思う。さっきから雨より大粒で生暖かい水滴が自分に降り注いでいる。
…シカオだ。シカオの涙だ。林檎は愕然としながらか細い声で質問する。
「…シカオさん…何で?」「……」「…私、アンタを二度も殺そうとしたんですよ…酷い事も言ったし…何で…?」

「…馬鹿だ…お前は本当に大馬鹿野郎だよ…」シカオは既に涙声になり、聞き取りにくい事この上ない。
しかし林檎は必死にこのお人好しの先輩の言葉を聞き取ろうと努力する。
「…いつ、馬鹿にしたよ…お前の事を。誰か一度でも…お前を馬鹿にしたか…?」「……」
「…同情されたっていいだろ!泣きたきゃ泣けよ!…そんな時の為に俺達が…いるん…。
 椎名、教えてくれよ、逆に…俺はお前にとって何なんだ?…俺は…助け…合えると…思っ…て…」

もうシカオの声は判別不可能だ。しかし林檎の頑なな心はようやく溶けた。彼女もまた細い一筋の涙を流す。
林檎は再び後悔していた。自分の取ってきた行動や言動について。
私は勝手に僻んでいた。自分の心に囚われていた。自分で自分の世界を小さくしていた。
勝手に仲間外れにされたと思い込んでいた。でもこんな私の為に泣いてくれる人もいるんだ…。
そうだよ、今いる場所は関係ない。私達自身が音楽だろ?何でこんな事、今までわからなかったんだ…

…ごめんなさい、ごめんなさい…シカオさん、貴方の優しさを拒んでしまって。貴方に嫉妬してました…
…ごめんなさい、ごめんなさい…aikoさん、あの時声を掛ければよかった。貴方の力になれたのに…
…ごめんなさい、ごめんなさい…佐野さん、草野さん、貴方達の命を無駄にしました。許して下さい…
…ごめんなさい、ごめんなさい…父さん、母さん、私は強くなれませんでした。一目でいいから会いたかった…
580【二日目・午後12時半】公園:02/01/22 17:08 ID:uy+4Ied+
林檎特有の荒い吐息が見る見るか細くなっていく。雨は一向に降り止む気配を見せない。
「…椎名…しっかりしてくれぇ…」「林檎!フザけるなって!未だお前は何にも成し遂げてねぇだろ!」
シカオとYOSHIKIの激励が遠ざかる。…やり直したい、もう一度、ステージの上に立ちたい…
…歌を歌いたい…ファンの前で歌いたい…でももう遅いんですね…遅いんですね、何もかも…

林檎は泣き顔のまま、シカオにしがみ付く。
「…しか…お…さ…」「もう、しゃべるなって!」「何だ…椎名?…言ってくれ…何だ?」
「……死…にた…く…」 最後の二言を言い残せずに、林檎の首は力なく崩れ落ちた。

「…クッ…」シカオは林檎の顔に自分の額を押し当てる。
YOSHIKIは暫く天を仰いだ後、用無しとなったショットガンを無言のまま大地に叩きつけた。
林檎の安らかな寝顔を見ながら、シカオは手の掛る後輩に労いの言葉を投げる。
「…椎名…お疲れ様…もう、いいから…もう…いいから…な…」

林檎の迷走を弔うかの様に雨脚は一段と強くなる。雨は、一向に降り止む気配を見せない。
581:02/01/22 17:14 ID:uy+4Ied+
    /。     \
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   |     ┃─┃|  < 正直、ここらへんのやりとりは微妙だった。
   |  \  ┃  ┃/   \________
   |     ̄  ̄|
582名無しのエリー:02/01/22 17:40 ID:91VVIG7p
泣いてもた・・・
583ド低脳@下手すぎ  ◆Bdgk.3JY :02/01/22 17:59 ID:M/I3s+30
林檎に感動した!実に感動した!
584名無しのエリー:02/01/22 19:51 ID:ZTCipi5v
新作age
585名無:02/01/22 21:11 ID:NS9MaFeV
マサムネすぐ死ぬだろうとは思ってたけど...(悲)

武器が手裏剣ってちょっとワロタ
586 :02/01/22 21:27 ID:StI0HhHx
林檎vsマサムネ、YOSHIKI&シカオvs林檎かぁ・・・
結構色々な人間模様が面白いね。大好きよこのスレ。
生き残りは
スガシカオ、YOSHIKI、松岡充、宇多田ヒカル、
清春、桜井和寿、桑田圭佑、吉井和哉
(残り:8人)

か。
587 :02/01/22 21:29 ID:StI0HhHx
清春と吉井はすぐ死にそうだね・・・
588名無し:02/01/23 00:00 ID:E7RZM7co
マサムネ氏ぬの早っ!もうちょっと変質者っぷりを見たかったな。
589テトラドトキシン:02/01/23 00:28 ID:NEeOBO57
所詮マサムネだって(w
戦場となっている地域中に雨が降っている。まるで散っていった者達の無念を慰撫するかのようだ。
脱いだシャツを手に持った松岡は、肉体的にも精神的にも疲弊した身体を車のボンネットに預けて
大の字になり空を仰いでいる。雨粒が身体に当たる度に微かに疲労が和らぐ気がした。
だが突然、そんな雨をも止ませるかのような大きな音が街中に設置されたスピーカーから鳴り響く。
いきなり騒音に松岡は舌打ちした。騒音の正体が『少年時代』だったからだ。
「おっと、もうそんな時間か。じゃあそろそろ動くかな。」 放送に合わせて宇多田はベッドから身を起こした。
『幸せ気分でコモエスタ!元気ですかーーっ!!!』
「…もういいっての。」  陽水の第一声に桜井は辟易した表情を浮かべる。
『えーしかし今の挨拶とは裏腹に、私は非常に気分が悪い。
 何故ならこの時間までに一人も殺せず、爆死したバカが本当にいたからだ。』
「馬鹿はあんただろ…」  桑田は手にした銃を悲しげに眺めながらそれだけ呟いた。
『あんまり言いたくないんだが、そのバカとはラルクのhydeだ!』
「んだとぉ?…ふざけんな!!アイツを縊(くび)り殺すのは俺だろうが!!!」 
路地裏で、残り少なくなったボウガンの矢を田代の亡骸から回収していた吉井は、
怒りのあまり既に土色になっている田代の顔面を久しぶりに蹴り飛ばした。今回は何の反応も無かったが。
『…まぁあの程度の小心者じゃあ仕方ないかもな。』
陽水は自分の意にそぐわない者には本当に容赦が無い。自分以外の者に執着が無いだけかも知れないが。
『おっと話が脱線したな。ではこの6時間の脱落者を発表する。今回も多いぞ〜、ンッフッフ〜。
もう残りは10人を切った、とだけ言っておいてやろう。…じゃ民生、お前が読め。』
『こんにちは、奥田です。では脱落者を発表しましょう。まず先程挙がったhyde、草野マサムネ、
 アキヒト、トータス松本、西川貴教.。…と陽水さん、あの二人はどうしますか?』
『ん〜?……あぁ、長本と堂渕だったか。別にいいだろ、死んだし。』
長渕と堂本だ、とか民生が言っている。
「あぁヤクチュウ野郎か。にしても相変わらずやたらと死んでんなぁ。
 やっぱ悪いヤツ多かったんだねぇ。そういや貴教はともかくhydeも死んでんじゃん。
 YOSHIKIさんの仕業かな?だったら結構面白いのになぁ♪」
この放送を一番楽しそうに聞いていたのはこの清春だろう。
清春は放送を聞きながら、鼻歌まじりに自分に支給されていた『各種銃弾詰め合わせセット』から、
西川から奪った銃に合う弾を込めていた。
スピーカーからは、再び陽水の声が聞こえている。
『えーとにかくこれで半分が終わりました。めでたくみんな人殺しになったワケだ!
 実は、俺はお前らが羨ましいんだぞ。俺なんて何回加山雄三や小田和正を殺そうかと…っとまた脱線したな。
 まぁ「何があるかわからん」がこの調子でガンバレ!!では最後にまた諸君に詩を送ろうと思う。今回は相田みつを氏の詩だ。』
ありがたい詩の朗読が終わるまで放送は続いた。
592現在(二日目・正午)の状況:02/01/23 01:06 ID:x52HhFmX
総出演者:52名

首謀者:井上陽水 側近:奥田民生


生存中参加者:ベスト8確定!!
[非暴力派]スガシカオ 
[武闘派]桜井和寿 松岡充 宇多田ヒカル 吉井和哉 清春(SADS)
[微妙派]桑田佳祐 YOSHIKI(X-JAPAN) 

死亡確認済出演者:42名
矢沢永吉 テル 宮本浩次 中居正広 吉田拓郎 平井堅 氷川きよし 矢井田瞳
浜崎あゆみ 国分太一(非参加) 真矢 三木道三 河村隆一 B’z CHAGE&ASKA CHEMISTRY
氷室京介 布袋寅泰 つんく 田代まさし 稲垣吾郎 aiko ゆず 福山雅治 
IZAM Gackt 小室哲哉(非参加) hitomi 佐野元春 堂本光一 アキヒト 西川貴教
長渕剛(非参加) トータス松本 堂本剛 草野マサムネ hyde 椎名林檎(瀕死)

林檎が死ぬのは12時半ですけど文章的にはもう死んだ場面が書かれているので死亡済に入ってます。
593現在(二日目・正午)の状況:02/01/23 01:19 ID:x52HhFmX
>>552
>>553
ありがとうございます! じゃあお互い半敬語でいかしてもらいます。

ちょっと思ったんですけれどもこのスレを元にして洋楽版を作ってくれる方いらっしゃらないでしょうか?
もしやるとしたらこんな感じがいいかも。
陽水→チャックベリーorエルビソ、矢沢→ポール・マッカートニー、拓郎→ミック・ジャガー
松岡→エミネム、平井堅→リンプのフレッド、B’z→ケミブラ、CHAGE&ASKA→ギャラガー兄弟
hide→カート・コバーン、YOSHIKI→デイヴ・グロールorコートニー・ラヴ
上の二つは絶対そうしてほしいなあ。
つうかそんなワケわからん依頼してもしょうがないか。。。
うん、でもなんか自分じゃ無理っぽいからだれかにやってもらいたいなぁ。
エミネムvsフレッドみたいなー
594:02/01/23 01:21 ID:x52HhFmX
 
595名無しさん:02/01/23 01:24 ID:Q3CYBhZj
未だに明らかにされてないが、
最初に靴箱に爆弾(手榴弾だっけ?)を仕掛けたのは
結局誰なんだ?

…まさか…。
596名無しにして頂戴:02/01/23 02:21 ID:LlaG9cMr
林檎ォォォォ〜〜〜〜〜!!
597 :02/01/23 09:30 ID:+f8T7zOu
氷室・布袋→ボノ・エッジ  桜井→トムヨーク
マサムネ→ベック  テル→ボンジョビ
な〜んちって
肝心のシカオ・桑田が思い付かねーや
598名無しスマパン好き:02/01/23 13:18 ID:f4xE6j3E
アメリカの若手のロック勢とラップ勢だけに限ってもおもしろいかも
ボスはマリリンマンソンかフレッドで、もし主人公を
ここの1さんがお好きのビリーコーガンにしたら
マリリンマンソンやコートニーラブとの愛憎劇も描けるしさ
ここの宇多田→コートニー
清春→ドクタードレー
アキヒト→ジェイムスイハ
hyde→元レイジのザック
松岡→キッドロック
マサムネ→ウィーザーのクォモ
とか、ヘヴィロックの連中が多くなっちゃったかな?
っつうか皆…若手じゃないな(w
599  :02/01/23 15:50 ID:vnj6wmD1
HIPHOP板でやっても面白いかも
でもスキルが無ぇ…
600ピロッチ警部〜蘇生編1〜 ◆3lwyg3Nk :02/01/23 17:50 ID:N5+7Mvrc
600
601名無しのエリー:02/01/23 18:10 ID:YANn0TIY
新作
602:02/01/24 01:10 ID:x7+2Iw3U
>>597
シカオは誰にすればいいか難しいですね。桑田は適当にクラプトン辺りでいいかな。
あと佐野はビリー・ジョエルかエルトン・ジョン、これ最強。
テルがトムヨークでしょう(w

>>598
>アキヒト→ジェイムスイハ

威覇ーーーー!!(爆
603 :02/01/24 01:26 ID:UGOtZKmL
草野マサムネと椎名林檎の話がイイ!
YOSHIKIの話はいつ終わるんだろう?
604名無しのエリー:02/01/24 01:31 ID:KjfI0eHZ
続き楽しみ♪age
605名無しのエリー:02/01/24 02:33 ID:69vt+a2Z
では桜井→デーモン・アルバーンで・・
606名無しチェケラッチョ♪:02/01/24 17:05 ID:OtZwJIyU
>>602
や、TERUはリアム・ギャラガ−の方が…
でもこれ洋楽板で受けるかねぇ
あっち結構人口多いし
607名無し:02/01/24 17:33 ID:welc2lq7
>>579 >>580
感動した。
608 :02/01/24 17:33 ID:aVBVv1m1
中央高等学院の従業員「西部」が女子トイレに闖入し
汚物入れを物色して女子生徒の使用済みタンポン・ナプキン等を
個人的に収集しているというのは事実。

中央高等学院では
生徒及びその保護者の個人情報を名簿図書館等に売却しています。
中央高等学院 http://chs-f.com/index.html 中央高等学院福岡校
http://www.chuo-school.ac/
609名無しのエリー:02/01/25 01:46 ID:ebFgshYW
保全あげ
610名無しさん:02/01/25 17:59 ID:dikPe0nm
とにかくage
611名無しのミヤジ追悼:02/01/26 00:05 ID:UGMDvff+
いちおうage
612名無しのエリー:02/01/26 00:09 ID:hM8Ko1h/
やっぱりage
613名無し:02/01/26 00:50 ID:KayHg8kS
さらにage
614名無:02/01/26 01:44 ID:OEi4pS+n
とりあえずage
615名無しのエリー:02/01/26 02:09 ID:12A+p+PO
何が何でもage
616名無しのエリー:02/01/26 02:09 ID:12A+p+PO
って、sageのまんま書いてた…(鬱
617名無しさーん:02/01/26 02:21 ID:L+2G1V31
>>616
気の毒なんで更にageておきましょう。
618名無しゴン太郎:02/01/26 11:36 ID:yO0YeuUG
油断大敵age
正午の放送でhydeの名前が呼ばれ、憤怒の鉾先を失った彼の昂った心は、眼前に転がる男の死体を蹂躙することで
何とか落ち着きを取り戻した。とは言え狂気から解放された訳ではなく、本能が保身を要求したのである。
右眼が酷く疼き、右腕の銃創から熱を帯びた痺れが肩口にまで侵蝕していたことに今更ながら気付かされる。
普段、怪我や病気に無縁な身体も、流石に限界に近付いていたのだろう。疲労と激痛が彼を苛む。
安全な隠れ家を求め、揺らぐ身体と心を引き摺りながら雨の中辿り着いたのは…病院であった。

プログラム進行上、人が心の拠り所にしそうな場所はわざと開放されている。
病院はその最たる場所であった。
トータス松本を監禁した最初の病院は規模も大きく、立地条件からも人が集まるには格好の場所で
恐らくその後も誰かが立ち入った可能性が高い。それに体力を消耗した身体で戻るには遠過ぎた。
狂気の縁に立つ彼がそこまで計算していた筈はないのだが、本能的な行動の末に吉井和哉が身を隠したのは
住宅街の一角にある小さく古い個人医院だった。

自宅と併設されたその医院は施錠されていた。注意しながら建物を一周し、中に人の気配がないことを確認し
裏手から窓を破り侵入する。内部は薄暗く、歩く度に床が軋む。衣服や髪から滴る水粒が床を打つ微かな音が響く。
どうやらプログラム以前に閉鎖されていたらしい。積もった埃が年月の経過を物語っている。
それでも診療室に入ると、病院特有の薬品臭が微かに鼻孔を擽った。
雑然とした室内----床には未整理のカルテやレントゲンが散らばり、段ボールに無造作に詰め込まれた器具や
薬品が置き放しになっている。
「……」
室内をぐるりと見渡し、吉井は無言のまま必要な物を探し始めた。
精製水・生理食塩水・消毒用アルコール・メス・抗生物質・鎮痛剤・包帯…等々。
住居部から運び込んだガスコンロで湯を沸かす間、支給のミネラルウォーターで高カロリー携帯食と薬を流し込む。
ついでに失敬してきた酒を呷ると一心地ついた。
急激に睡魔に襲われるが、まだ仕事が残っている----右腕に残った弾を取り除かなくてはならない。
煮沸したメスをピンセットで摘まみ上げ、消毒したトレイの上に置き、熱を冷ます。
傷口より少し上をゴム管で縛り、生食で周辺を洗い流す。雨に濡れた所為で再出血していたが、傷自体は既に
赤黒く変色し、周辺組織が細胞レベルの「死」に侵蝕されつつあった。

―――「死」。
改めてその実感が身に沁みる。
自分が死に追いやった男達の表情を反芻しながら、吉井は…笑う。笑うしかなかった。
何故、こんな状況になったのか? 始まりの記憶は朧げで、正気と共に遠く彼方にある。
 三木道三に撃ち込んだ銃弾。
 田代に加えた暴行と矢の雨。
 松本に与えた加虐と致死量の薬物。
 IZAMに突き刺したニ本の矢。
残り少なくなった矢を回収する為に田代の死体だけは確認したが、後は放送で名を聴いただけだった。
だから止めを刺したのが誰なのか、本当の所は判らない…けれど。
確かに「死」が、様々な形で自分の周りに充満している。

タオルを口に喰わえ、メスで傷口を探る。グウゥッと咽喉から獣が威嚇するような唸り声が漏れるが
構わず弾丸を探り当て抉り出す。コンッと堅い音を起て、血塗れの弾丸が落ちた。
暫くの間は身動きもままならず、壁に凭れ掛かり息さえも殺すしかなかった。
漸く呼吸が出来るようになり、拙いながらも後処置を終えた頃には眠気がピークに達していた。
唾液に塗れたタオルを投げ捨て、堅いベットに傾れ込むと…意識を失うように眠りに堕ちた。
暗い海の底を思わせる眠りが覚めようとしていた。意識が浮上する感覚と共に、周囲の闇が解けていく。
投げ出していた四肢がピクピクと痙攣し、足元近くにあったタオルハンガーを蹴飛ばした。
倒れ込んだ先にあった器具を道連れに、ハンガーは大きな音を起てて床に転がる。
その振動を感じ取り、吉井は肩を跳ね上げ、飛び起きた。
一瞬、意識が混濁する。
ワァァアンと観客の声が聞こえた気がして、バンド仲間やスタッフの姿を探し周囲を見渡した。
だが静まり返った室内には自分以外誰も居ない。
自分が居る場所がステージの上でないことに気付き例えようのない違和感に襲われる。
既に現実と夢の境目も危うい上に、嫌になる程、リアルな夢が連続している。

現在はまだ、悪夢の中で足掻いている。自分にそう言い聞かせる。「死」から逃れる言い訳をする。
意識を明瞭させる為、2、3度頭を振り、ベットから降りる。
―――夢の中なのに、と苦笑しながら。
足元はまだ振らついたが休息が効を成し、疲労は幾分和らいでいた。鎮痛剤も効いているのか痛みも
我慢出来る程度である。
―――夢なのに。
仕上げとばかりに吉井はポケットを探る。煙草は殆どが湿っていたが、比較的大丈夫そうな一本を
取り出し火を付けてみる。一度目は直ぐに消えたが、ニ度目はスウッと火が入った。
深々と吸込んだ煙がゆっくりと肺に染込む。充分に味わい、ゆっくりと吐き出す。煙と一緒に痛みも
吐き出すように。大気に溶ける煙を見ている内に、身体が心持ち軽くなった気がした。
―――夢。
ブラインドの隙間から外を覗くと、まだ雨が降っている。暗い天空から正確な時間を推し量ることは
出来ないが、少なくともまだ日中であることは間違いなかった。
「半分…か…」
煙と共に吐き出された言葉は、この時点で生き残っていた全員が一度は思い、また一度は口にした言葉だった。
ある者は懐古と共に。ある者は焦躁と共に…。
そしてもう一つ。誰もが考えることがあった。
「誰が残ってるんだ…?」

―――悪夢は着実に進行している。
この時、吉井は少しだけ正気を取り戻していた。
しかしその正気は、残念ながらYOSHIKIやシカオのようにプログラムへの反発へ向けられることはなく
主旨通りにプログラムを終了させる…即ち「最期の一人」を決めることに向けられた。
―――夢とは言え、そっちの方が容易そうに思える。
「残り十人を切った」という現状と自分の記憶を比べ、生き残りの当りをつけようと試みるが
夜中の放送だけがどうにも曖昧で…結局は諦めた。
とにかく出逢った相手を消していけば、終わりは必ずやって来るのだから。
―――とにかく…悪夢は終わる筈だ。

デイパックの中身をテーブルに並べ、持ち物を再点検する。
支給されミネラルウォーターと携帯食。
道場から半径10キロ圏内を赤く囲った地図とコンパス、黒マジック一本が入ったビニールケース。
そのケースに抗生物質と鎮痛剤を入れる。
武器が入っていたスペースには、自分のスポーツバックから移した私物を突っ込んでおいた。
煙草、新聞、財布。着替え用に入れておいたジャージとシューズ。御丁寧に換えの下着まであった。
一瞬、脳裏に妻子の姿が浮かぶ。
財布には「恥ずかしいから」と何度出しても何時の間にか戻されている家族の写真が入っている筈だ。
「……」手を伸ばしかけ…思い直して止まった。
感傷に浸る暇があったら、生き残る算段をする方が余程、前向きだろう。
強制的とは言え、殺人者になった自分を家族が暖かく迎えてくれるか…という疑問には至らない。
―――夢だから。

防水仕様の為、中身は濡れていなかった。激しい行動と雨に型崩れしたスーツを脱ぎ、着替えようと
畳んで丸めたジャージ―――こうやると、スペースが無駄にならないでしょう?と言う妻の声が聞こえる―――を手に取る。

ビクリと身体が反応したが…声は幻聴だった。

正気の欠片は沸き上がった戦闘意欲の波に呑まれ、再び狂気だけが吉井を突き動かす。
手早く荷物を纏めると、豪雨降りしきる中に標的を求め、吉井は駆け出す。
623:02/01/26 12:56 ID:6lBpJFhL
>>598
あら、スマパンスレの方でしたか。あそこはたまに見てます。
あとフレッドをボスにしたら最初に運ばれてくる遺体はウェスですね(w
ageてくれてる方どうもです。でもsageのままでも倉庫逝きは防げるらしいですよ。
624名無し:02/01/26 15:49 ID:PVMxc/dw
更新感謝age
625名無しのエリー:02/01/26 19:22 ID:XKrj5Xgp
よしい。。。
626うう・・・:02/01/26 21:43 ID:gNsfLyad
吉井・・切ないね・・・・
627名無しのナンシー:02/01/26 21:54 ID:MS+3C73V
一気に読んだ。時間はかかったけど(・∀・)イイ!!
感動age
628名無しのエリー:02/01/27 13:19 ID:ApUIPgs0
ドラゴンアッシュの降谷とかUAも出して欲しかったなぁ…
つーか1000までに結末迎えられるの?
このままのペースだとちょっとムズそう
629林檎ヲタ:02/01/28 00:21 ID:80c3TStI
ちょっとスレ流れとは逆らうが林檎良かった!
是非、闇に降る雨(椎名林檎『勝訴ストリップ』より第5番)を献歌させていただきたい!

貴方に降り注ぐものが譬え雨だろうが宿命だろうが
許すことなど出来る訳ない この手で必ず守る
側に置いておいて・・・

感動した!
630名無し:02/01/28 05:09 ID:CA/yHfM6
そういえば先週のうたばんにスガシカオ出てたんだよね。
このスレのはじめの方のスガと中居の関係を思い出したよ。
余談スマソ。
631名無しのエリー:02/01/28 13:49 ID:YUQkjvXT
さつまあげ
632名無しのエリー:02/01/28 16:29 ID:BC32LDvE
唐揚げ
633厚冶 ◆.x.x/iWA :02/01/28 18:23 ID:zEtA16Ns
精進揚げ
634名無しのエリー:02/01/28 18:26 ID:LROS7krS
かき揚げ
635名無しのエリー:02/01/28 20:52 ID:4BI7+C4E
串揚げ
636名無しのエリー:02/01/28 21:04 ID:808ISBDX
竜田揚げ
637名無しのエリー :02/01/28 21:04 ID:+3DCwP9g
もみあげ
638名無しのエリー:02/01/28 21:28 ID:qI3uHyBB
かつあげ
639 :02/01/28 22:32 ID:7MPz++4C
ageハ蝶
640 :02/01/28 22:59 ID:4VbDuJ3l
age足
641        :02/01/28 23:00 ID:fbkfibsF
642名無しの希望:02/01/28 23:47 ID:GdWWN77e
千スレ逝ったら、無料ホームページサイトに移転しようね。
643名無し:02/01/29 11:43 ID:AwcG3myo
かまageうどん
644河村隆一:02/01/29 12:52 ID:sxIjFXU4

 
   「今日はちょっとみんなさんに音楽やってもらいまーす」
645トルネード:02/01/29 13:46 ID:LAI9+VUK
age玉ボンバー
646:02/01/29 16:24 ID:ocuugM5t
>>642
実際問題パソコン兼2ちゃんねらー歴一年なんですけれど
ホームページサイト他の作り方の知識がゼロなんです。
マジでアホですいません!どうしましょう?
647【二日目・午後2時半】武道館:02/01/29 16:32 ID:ocuugM5t
椎名林檎の非業の死は、戦場に束の間の休息をもたらしていた。

昼の放送終了の約30分後に林檎が死亡した事により、ようやくベスト8が確定した。
しかしあれだけ活発であった参加者達の活動がパッタリと止っている。誰もが武器を携えたまま動こうとしない。
原因は色々と考察出来る。第一に参加者達の心身の疲労、降りしきる雨、何よりも大きな原因は『この時点』を迎え
残っているメンバーというのは、ここに至るまでの経緯は各人違ったとしていても、ひとつの共通項目があるという事だ。
そう、今生き残っている連中は自分も含め全員が『人殺し』であるという悲しむべき事実!
鳴り止まない雷雨が億劫さを増してはいるのだろうが、彼等は動かない。戦場は完全に膠着状態を迎えていた。

「…動きませんねぇ…」「……」 作戦本部で井上陽水と奥田民生は退屈そうにモニターを見やる。
「…ブレイク、かけます…?」「……」「立ち入り禁止区域を増やすとか、新ルールを急遽設ける、とか…」
珍しく民生が弱々しい口調で語り続ける。彼は非常に気懸りだった、陽水の虚ろな表情が。
自分が太鼓持ちになったかの様で気分は優れないが、この気まずい沈黙をどうにか打ち破りたかった。
「…どうか、しました…?」「……」 必死で語り掛けるも、悪魔は無反応を貫き通す。民生の脳裏に嫌な考えが走る。
『乗り気薄な顔して…また変な謎掛け言い出すのかな…』

「…なぁ、民生よぉ…」 悪魔はようやく口を開く。何を思ったのかこの男は、その場全員の思考を停止させる発言を行う。
「…もうやめるか?このゲーム」 民生の悪い予感は又しても的中してしまった。
648【二日目・午後2時半】武道館:02/01/29 16:33 ID:ocuugM5t
作戦本部内の空気が一瞬にして固まる。冷たい沈黙が続く。当然の話だ、何を今更…
「アハハハ。やだなぁ、陽水さんったら。まーたツマンナイ冗談を」 周りを気にして民生は敢えて明るい声を出す。
が、当の御本人は相変わらず腑抜けた顔を維持している。『ふざけるなよ、このガイキチが』キレかかる自分を押え民生が続ける。

「どうしたって言うんですか、急に?」「……」「あっ、わかった!善人のフリして評判上げようとか思ってるんでしょ〜。勘弁して下さいよ〜」
かなり際どい言い草だが、官僚や自衛隊員の手前、これ位は言わざるを得ない。民生は笑みを絶やさぬまま、相手の出方を待つ。
「…いや、別にそういう訳じゃねぇんだけどな…」 陽水が面倒くさそうに唇を開く。「じゃぁ、何です?」「まぁ、大したこっちゃねぇが」
彼は異様に長い顎に手を添えたまま、その理由を発表する。それは呆れ返る程、シンプルなものだった。

「飽きた♪」
その一言で民生は席を蹴飛ばす様に立ち上がる。行政側の人間も皆一様に顔色を変えた。
「何言ってんすか、アンタ、一体」「だから飽きたって言ってるじゃねぇか」「これからでしょう、面白いのは!それをアンタ、一体…」
民生は既に逆上している。元来これ以上キレ易い男もいない。既に眼は細まり、敬語すら用いなくなっている。
キレた理由の大半は『誰が生き残るか』を見たい事に尽きるが、参加者達の先輩(後輩)として死闘を繰り広げてきた漢達の思いを
『飽きた』の一言で片付けられちゃタマンネェ、という気持もあった。今更この男に先輩面をする権利があるとも思えないが…

「そうですとも!これは政府が主催するプロジェクトです!それを貴方の感情ひとつで…」「ウルセェッ!権力の犬が!」
クレームを付けた官僚に対し、陽水は一喝する。「俺に指図するな!百年はえぇっ!バカヤローッ!!」
さすがにこの男の怒声には威厳と迫力がある。民生始め関係者一同が不服そうに口を噤む。
「…見えねぇんだよ…」 陽水は不機嫌極まりない表情で言葉を繋ぐ。「誰が残ろうと、見えねぇんだ、先が!!」
649【二日目・午後2時半】武道館:02/01/29 16:33 ID:ocuugM5t
『…見えない?…先が?』 またお得意の謎掛けが始まったよ、と思いつつ民生は次の言葉を待つ。
陽水は歌舞伎役者の如く周りを嘗め回す様に一瞥すると、御自慢の葉巻に点火し、煙を燻らせながら解説を始める。
「…このプログラムの趣旨は何だ?」「……?」「真の強者を育てるんだったよなぁ、確か」「…その通りですが」
「なぁ、民生」 陽水は急に微笑を湛える。「アイツ等から育つと思うか?真の強者が。育つ訳、ねぇだろうが!」

必死で戦っている後輩達にこれ以上の冒涜はないだろう。この男は誰が残っても俺は認めん!と言っているのだ。
しかし民生は反感を覚える反面、陽水の意見に共感もしていた。 『誰が残ろうが、この人は越えられない・・・』

井上陽水と言うミュージシャンは全てを持っている。彼には天使と悪魔が常に同居している。
松岡充の持つ『冷酷』、吉井和哉の持つ『狂気』、清春の持つ『詐欺』、
桜井和寿の持つ『センス』、宇多田ヒカルの持つ『探究心』、桑田佳祐が持つ『プライド』、
そしてYOSHIKIとスガシカオが持っている『正義』、これらの矛盾した性格がこの男の中には全て含まれている。
それも中途半端な量ではない、場面場面で万華鏡の様に性格が変る。ある意味で人間の傑作と言えるであろう。

「…な?やってて無駄だろ、こんなもん」「……」 民生は妙に熱っぽい目で師匠を見つめている。
「アイツ等じゃ期待感が持てねぇんだよ。気合が足りねぇっうか。奴等じゃ俺は殺せねぇよ…」
すると陽水は民生に対し謎掛けを投げた。悪戯小僧の様な笑みを浮かべながら…
「…お前くらいだと思ってたがな、俺を殺してくれるのは。ンムフフフフ」
650【二日目・午後2時半】武道館:02/01/29 16:34 ID:ocuugM5t
民生の背筋に強い電流が走る。忘れ掛けていた、いや、忘れようとしていた感情が蘇る。
「 − 井上 陽水を 殺す − 」
思えばミュージシャンになってからの自分の人生はその為だけにあった。富も名声も捨てて、俺は彼の否定に走った筈だ。
なのに何故、俺はここにいる…傍らで笑っている場合じゃないだろう!彼を倒す事が俺の人生の集大成じゃないのか!

民生の脳裏を幾つもの妄想が駆け抜ける。元々、想像力は普通人より数段逞しい性格だ。
『…この男を殺したい。無様に泣きながら俺に命乞いをするこの男が見たい…』
『…この男に殺されたい。虫けらを見るが如き冷たい視線で俺を見下す、この男が見たい…』
世界一の陽水ファンは様々なイメージプレイにより、脳内勃起を続けている。そのどれもがタマラないシチュエーションだ…

民生の感情に大きな波紋を投げかけた事を知ってか知らずか、陽水は愉快そうに言葉を繋げる。
「という事で終りにしませんか!俺も家、帰りてぇしな」「……」 今の民生にはその悪質な冗談は届いていない。
「面倒くせぇから、全員爆破しちまえ!解散、解散!」「いい加減にして下さい!」 はしゃぐ悪魔を諌めたのは自衛隊幹部である。
「これは国家の威信を掛けたプログラムです!貴方の主催興行ではありません!いくら全権委任とは言え…」

「オーケー、オーケー。わかった、悪かった。撤回します!」 陽水は快活に白旗を上げる。周囲はその豹変振りにただ唖然とする。
但し、先刻の中断指令は冗談で言った訳ではない。本気だった。この男の気分は何時しもカメレオンの如く変化する。
「まっ、それでもだ」陽水は椅子から立ち上がり民生の肩を軽く叩く。民生は今だ熱っぽい視線を失っていない。
「疲れてる事も事実だ。しばらく寝る。6時の放送に間に合わなかったら代役としてモノマネ芸人のイジリー岡田でも呼んどいてくれ」
益々呆然とする行政関係者を尻目に、全権司令官は退出した。
651【二日目・午後2時半】武道館:02/01/29 16:34 ID:ocuugM5t
暫くは唖然とするばかりだった官僚達は、民生に聞こえぬ様、口々に指揮官の不真面目さを批判し出す。
しかし彼を知り尽くした民生にとっては、その中傷は全てお門違いの内容であった。
『…お前等みたいな杓子定規野郎には、あの人は千年経ってもわかりゃしねぇよ…』 民生は愉快そうに忍び笑う。

民生を愉快にしている原因はもう一つある。先程、自分の肩を叩いた時の力強さとその燐とした背筋だ。
いくらやる気のないブラフをかまそうが、陽水の本気はいつも背中に現れる。民生は誰よりもそれを熟知している。
『…まったく。不機嫌そうにしてたのは、要は自分も参加したくなっただけじゃないか。懲りないジイサンだ…』
その懲りないっぷりが民生の心を一層沸きたてる。これで自分にもチャンスが巡ってきた、我が歌手人生の清算の機会が!
『…これからの残り一日半、色んな意味で楽しくなりそうだなぁ。皆さん、よろしくお願いしまーす』

師匠同様、すっかり上機嫌になった民生に対し更にモニターから嬉しいプレゼントが届けられる。
「おっ!ようやく動きがあったみたいだね。今動いたの、誰?」 「宇多田です。病院の方角へ動き出しました」
「病院って言うと…桑田さんがいる方向じゃないか!凄いなぁ。こんな豪華なカード、準々決勝で見ちゃっていいのかなぁ(笑)」

骨肉の争いは再び幕を開けようとしている。
井上陽水の持つ『探究心』を偶然継承してしまった、悲運の女の手によって。
652:02/01/29 16:37 ID:ocuugM5t
かなりマターリした更新ですけれど
今の所は確実に更新はできますのでよろしくお願いします。
次回から本格的な動きに入ります。
653 :02/01/29 23:55 ID:P+OzXbkB
>>652
話の流れも少々マターリしてるね。
654 :02/01/30 00:50 ID:YIj2JoDx
楽しみage>本格的な動き
655 :02/01/30 12:02 ID:qEndawWs
意外な展開…
656猿三匹:02/01/30 23:14 ID:T1p/2TC5
伊賀のかage丸
657厚冶 ◆.x.x/iWA :02/01/31 07:29 ID:w9YKjGQF
保守
658 :02/01/31 09:26 ID:7XKaXFM4
保守党
659トルネード:02/01/31 09:54 ID:6snQflEe
凧age
660厚塗り:02/01/31 12:19 ID:6KFcpwRp
扇ちかage
661名無しのエリー:02/01/31 15:32 ID:YERiLmTy
やっと読み終わりました。
チャゲアスヲタなんで今さらながら、つんくにやられたのが悔しいっス。
でも松岡好きなったよ〜。これからは松岡とシカオに期待。
と、言うわけでage。
662 :02/01/31 16:08 ID:XFGcYonM
ageますよ
663名無しのエリー:02/01/31 18:46 ID:OsgeAkHH
ミスチルヲタなので桜井たんに萌え…
おもしろくて一気に読みました。
aikoと林檎には涙…
これからの展開に期待しますage
664 :02/02/01 01:14 ID:6IgFYv/S
一応age
665トルネード:02/02/01 04:42 ID:iI/rOMg5
♪age・age下げるな母さんが♪
♪バトルロワイヤル見ているよ♪
♪続きが気になるランランラン♪
666トルネード:02/02/01 12:48 ID:9yjRD0Dw
age
667名無しのエリー:02/02/01 15:42 ID:1+4zqjh0
>1よがんばれ
668;:02/02/01 20:23 ID:qEgIpBEq
age
669bossx:02/02/01 21:10 ID:E8dlyBto
dreamだしてよ!玉砕でも良いぜ。
670名無しのエリー:02/02/02 00:46 ID:RtnGtsKp
↑三行で殺してーな
671トルネード:02/02/02 09:47 ID:VSBGoKKB
↑いや、2行で十分でしょう。
672 :02/02/02 10:35 ID:ZNwaHP7T
↑このプログラムでは人知れず参加し、人知れず死んでいった者たちもいた。名はdream。
 迷い込んできた彼女らはホビーショップに隠れ、逃げることも知らずに時限爆弾で死んでいったのだった。
673名無しのエリー:02/02/02 11:00 ID:R2xpcd0s
このプログラムでは人知れず参加し、人知れず死んでいった者たちもいた。名はearth。
 迷い込んできた彼女らはホビーショップに隠れ、逃げることも知らずに時限爆弾で死んでいったのだった。
674 :02/02/02 11:13 ID:rGfw6jQA
このプログラムでは人知れず参加し、人知れず死んでいった者たちもいた。名はFolder5。
 迷い込んできた彼女らはホビーショップに隠れ、逃げることも知らずに時限爆弾で死んでいったのだった。
675nanasi:02/02/02 12:15 ID:M+Dp4Co7
保存age
桑田はトイレの洗面所で顔を洗っている。
松本から「生きる権利」を貰った桑田はそのままずっと病室に潜み、
松本の実質の仇である吉井が戻るのを待っていた。
あの男はどうしても自分の手で葬らなければならない、そう思ったからだ。
しかしいくら待っても吉井は現れず、今に至っている。
この極限状況下において神経を張り詰めさせたまま時を過ごすのは並大抵のことではない。
それが9時間近くも続き桑田の精神は極度に消耗していた。
桑田も流石に耐え切れなくなり、一度息を抜く為にトイレへ向かったのだ。

特に催していなかったが無理矢理用を足し、洗面所で手を洗ったあと
両手に溜めた水を顔に押し付けた。
気温に比べれば幾らかは冷たい水が顔に触れると、少し楽になる気がした。
濡れた顔をタオルで拭い大きく一つ溜息をつく。そして慎重に辺りの気配を探りながら
松本の眠る病室へと戻っていった。しかしその間全く人の気配は感じられなかった。
(どこに行きやがった、吉井の野郎…)
桑田は毒突きながら病室の扉を静かに開ける。だが病室には思いもかけない先客がいた。
「アッ!桑田さんだったのかぁ、元気そうですね桑田さん。」
突然自分に向けられたあまりに場違いな声に桑田は懐の銃を抜くのも忘れたまま声の主を見た。
視線の先の宇多田はいつものように笑顔を湛えていた。
(は、宇多田?)
思えばこのゲームが始まってから、桑田は自分に敵意を向けない健康な人間に初めて会った。
その嬉しさに、思わず宇多田に駆け寄りそうになる。
しかし桑田は踏み止まった。不自然だ。どうして宇多田はこんなに平然としているのか?
ベッドで眠る松本の遺体は見た筈だ。しかし顔色一つ変わっていない。
更に桑田が部屋に入って来た時も少しも慌てなかった。そして手には武器も持っていない。
まるで入って来るのを知っていたかのようだ。それ以外にも妙な違和感を感じる。
桑田には目の前の女が自分の知る宇多田とは違う気がしてならなかった。

「宇多田……お前これまでに誰を殺した?」
目の前の女を試す意味で問い掛けてみた。答えによっては…桑田は懐の銃を確認する。
その問い掛けに宇多田は片眉を少しだけ吊り上げたが、それ以外表情に何の変化も見せぬまま
まるで数字でも数えるかのように何でもない顔で、今までの『戦績』を挙げ出した。
「んー?…え〜とCHEMISTRYさんの片方の人でしょ、それからヤイコさんと浜崎さんに三木道三さん。
 aikoさんも私が殺ったことになるか。あと、稲垣メンバーかな(笑)」
もう三木道三と聞いてから桑田の耳に宇多田の声は殆ど届いてはいなかった。
そして次の瞬間、桑田はただ黙って懐からベレッタM93Rを引き抜き、宇多田に向ける。
それでも宇多田は身じろぎ一つ見せない。既に桑田の悪い予感は確信に変わっていた。
「ねえねえ待ってよ、ホントに真面目な人だね。私は話があって来たんですって。」
無言のまま自分にべレッタを向ける桑田を無視して宇多田は続ける。
「ねぇ、私と組みません?」
「は!?……何言ってんだよ?」
桑田には完全に理解できなかった。一体この女が何を考えているのか。
「いや何人か殺したら飽きちゃってさぁ、でやっぱ私だって生き残りたいワケよ。
 その為には仲間ってのもいたほうがいいっしょ?その方があなただって…」
「フザケンナコラァ、エー!テメェなんかと組めるかよ、宇多田ぁ!!」
桑田の怒声が病室中に響く。そんな桑田の剣幕にも宇多田は軽く溜息をつくだけだった。
「…アンタ一体どうしちまったんだよ……」
一転して桑田は悲しげな顔を見せる。むしろこれが本当の桑田の顔ではあるが。
「どうしたって言われてもなぁ。確かに前とは違うけど、私もよく分かんないし。
 ただすごく気分いいんだよね。このゲーム始まってから。」

「?……」
桑田には宇多田の言葉は理解出来なかった。
当然宇多田の身体に起きた異常は誰も、陽水や宇多田自身ですら知らないのだから無理もない。
「…さっさと消えてくれ。オレはアンタとは組む気は無い。」
「なんだやっぱダメ?しょうがないな、他探すか。ま、桑田さんも殺されないように頑張ってくださいな♪」
宇多田はそう言うと、自分に銃を向ける桑田の横を通りすぎて出口のドアノブに手をかけた。
「…おい待てよ。」
桑田が宇多田を呼び止める。ベレッタは向けたままだ。
「俺の言った『消えろ』ってのは出て行けって事じゃない、死ねって事だ。
 三木道三を殺したアンタを生かしとく訳にはいかないんだよ。」
言い終えた桑田は、引き金にかけた指に力を込めながら自分に背を向けたままの宇多田を見た。
――――笑っている。
向こうを向いたままで顔は見えないが、背中に銃を向けられた状態で確かに宇多田は笑っていた。
「今の」宇多田の持つ空気、態度の異常さが桑田の背筋に言い様の無い悪寒を走らせる。
だがそれを意地でねじ伏せ桑田は引き金を引いた。
しかしもうそこに誰もいなかった。すでに宇多田は素早くドアを開け、廊下へと出ていたのだ。
桑田も部屋を出て、廊下を走る宇多田の背中を捉え再び銃を放つ。
だが弾は虚しく床を削り、それに気付いた宇多田は窓を突き破り外へと飛び出した。

桑田も宇多田の後を追い、窓から外へと出る。
3m程の高さの外壁と病棟に囲まれたそこには植物が生い茂り、宇多田の姿を認めることも出来ない。
それでも桑田は葉の擦れる音を頼りに数発銃弾を放つ。すると辺りは静寂に包まれた。
耳を澄ませ物音を探るが何も聞こえてこない。2分程待った所で桑田は着弾の確認に動いた。
その直後、乾いた音の後に桑田の首の左側を衝撃が掠める。
「!…つぁっ」
宇多田の反撃だと気付くのには数秒を要した。今まで『実戦』経験の少なかった桑田は宇多田の反撃が無いのを
離れた距離での攻撃手段を持たないからだ、と安易に考えてしまっていた。
その間違いに気づいた時には、既に茂みから現れた宇多田に間合いを詰められてしまっていた。
桑田は銃を向ける前に押し倒されはずみで銃を落としてしまう。
「動きが硬いな桑っちょ〜、慣れてないでしょ、んん?」
宇多田は馬乗りになった桑田の額にトカレフを押し付けながら勝ち誇るように薄笑いを浮かべた。
苦渋に満ちた顔のまま、桑田は宇多田を見上げている。
「そんな顔しないで〜♪しょうがないって、あなたは殺しには向かないんだから。」
「じゃあお前は向いてるのか?」
「あれ?…YOSHIKIさん、なんでここにいんの?」
突然の言葉に反応して宇多田が見上げた先で、ブローニングを構えるYOSHIKIが喋っていた。
「あれだけドンパチやってりゃ気付くだろ。それより桑田さんから離れろ。」
それでも宇多田はYOSHIKIの呼吸のほんの一瞬の隙を突いて胸元からSIGザウエルP226を抜きYOSHIKIに向けた。
「ちっ!…」
この銃は稲垣から奪い、拾ったhydeのデイパックの弾を込めたものだ。
つまり『とっかえだまシステム』でhydeがGacktのベレッタの弾、
Gacktが稲垣のザウエルの弾、そして稲垣がGacktの銃の弾を持っていたのである。
ただYOSHIKIも舌打ちで悔しがりこそしたが怯みはしなかった。
「宇多田、腕が一本足りないんじゃないか?」
YOSHIKIが言い終えた頃には宇多田の背後からシカオが銃を向けていた。
「このまま消えるなら見逃してやる。でも戦うなら少なくともお前は死ぬぞ。」

「大丈夫ですか、桑田さん。」
三人から離れていく宇多田を見張りながらYOSHIKIは桑田に話し掛ける。
だが桑田は答えるよりも先に落とした銃を拾い上げ宇多田に向かって発砲を始めた。
「おい!何してんすか、やめなって!」
「アイツはここで殺しとかないといけないんだよ!」
桑田は止めに入るYOSHIKIと揉み合う。その時横からシカオの声が聞こえた。
「危ない!!」
二人がその声に反応した時には乾いた連続音が聞こえ、YOSHIKIの左ふくらはぎに銃弾が当たっていた。
YOSHIKIはバランスを崩して倒れる。
桑田は反撃したがすでに宇多田は弾が当たらない程遠くに逃げた後だった。
「YOSHIKI君、本当にすまなかった。」
事情を説明しながら何度となくYOSHIKIに謝っていた。
「何度も言わなくていいですよ、そういう事ならしょうがないでしょう。」
YOSHIKIは治療を終えた足を眺めながら言った。
「足も肉持っていかれただけだったですしね。それよりさっきも言ったけど俺達と組みませんか?」
「……その話なんだけど…断らせてくれ。」
「どうしてなんですか、桑田さん。僕らが信用できないんですか?」
シカオが詰め寄る。
「そういう事じゃない。現にオレは助けてもらってるだろう。
 ただどうしても会いたい奴と殺さなきゃいけない奴がいるんだ。
 …これがあればそれも出来そうだしな。」
桑田はさっき拾った宇多田のレーダーを見た。桑田と戦った時に落としたのだろう。
「でも…」
「行かせてあげよう、シカオ。桑田さん、今日の夜12時に俺らがいる場所を教えときます。
 用事が終わって合流する気になったら来てください。」
「…不満そうだな。」
YOSHIKIは釈然としない表情で桑田を見送ったシカオに話しかけた。
「不満です。折角まともな人に会えたと思ったのに。」
「あの人にはあの人の考えがある。こんな状況なんだ、
 やりたいことのある人にはガタガタ言わずにやらせてあげよう。」
「でも僕らと一緒に行動する方が安全じゃないですか。」
「俺達を戦いに巻き込みたくないんだろうな。そしてそれ以上に自分でカタをつけたいんだ。
 吉井や宇多田だけじゃなく桜井とも戦うかも知れないんだからな。
 どういう事になろうと自分を納得させたいってことだろ。」
「……そういうことなんですか…」
「プライドが高いのに他人に気を遣う奴ってのは大変だよなぁ。」
「…そうですね…12時にまた会えると良いですね。」
「そうだな…って俺達も他人の心配してる場合じゃないけど。」
「あははは。」
桑田ともこうやって話が出来れば良いのに、
シカオは桑田の張り詰めた顔を思い出しながらそう思い彼の無事を祈った。
683:02/02/02 14:30 ID:uSFR9d83
K助ひつこいね。。。
684 :02/02/02 15:39 ID:flTnOO/2
お疲れ〜
685名無しのエリー:02/02/02 18:32 ID:ssskEyuM
吉井逃げろー
686 :02/02/02 21:13 ID:LM7x+ivr
いよいよ佳境か・・・
687名無しのエリー:02/02/02 21:49 ID:WGiiU2nC
1さんお疲れ様です。
ソフィアマンセーな私としては最近松岡出てこなくて淋しいような気もしないでもない。
でも、出てきたらそれはそれでいつ殺されるかドキドキだから、やっぱ淋しくないや(w
しかし、もとネタもレベル高いと思いますが、
1さんのキャスティングも結構(・∀・)イイ!!と思います。
ただの独り言なんで、さらっと流しておくれ…。
688【現在の生き残り:8人】:02/02/03 01:36 ID:joSbNi38

宇多田ヒカル、清春、桑田圭佑、桜井和寿、
スガシカオ、松岡充、吉井和哉、YOSHIKI
(五十音順)
689名無しのツンベルク管:02/02/03 01:36 ID:I11Z3i18
吉井とスガシカヲとりあえず生き残ってくれ。。。ムリ?
690名無し:02/02/03 01:44 ID:KBc4j6Ir
そろそろ松岡VS宇多田かな?
松岡は宇多田殺そうとしてるし。
691 :02/02/03 07:57 ID:ARENnZBW
>>689
スガはともかく、吉井は無理だろ・・・
692名無しのエリー:02/02/03 17:43 ID:u7uaqpqk
あげ
693桑っちょ:02/02/04 00:32 ID:EB8wMDmE
>>688よ、ここは正しい漢字で書いてやってくれ
「佳祐」
でないとK助(683)がネタにならん(藁
694トルネード:02/02/04 11:45 ID:IO25QeBW
age
695名無し:02/02/04 13:06 ID:3BgprgS/
今日はじめて発見したんだけど・・・お気に入り追加。

松岡、元ヤンキーなだけに戦闘能力も高いな(藁
宇多田の配役が絶妙かも。
696HONEY:02/02/04 14:04 ID:haNF8sfw
吉井のJ−POPの微妙な位置関係が如実に表れてますな
697名無しのエリー:02/02/04 21:24 ID:gJSsTsyz
あと8人かー
いよいよってかんじだなー
>1よがんばれ
698トルネード:02/02/05 03:34 ID:qnutDuCx
age
699トルネード:02/02/05 13:13 ID:f89N3kIu
AGE
700頭蓋骨忍者VS腹斬り侍2 ◆0SLvJ/Uw :02/02/05 20:46 ID:v65pT88N
700
大きな店内に鈍い銃声が響き店の扉が開かれる。銃声は扉の鍵を壊すための物だったらしい。
扉の開かれたそこには、右手にデザートイーグルを携えた桜井和寿が立っていた。
桜井は懐かしげに店内を眺めながら店の奥へと歩を進める。
更にその桜井の後に続く影があった。清春だ。
桜井は無言のまま店内に幾つもある大きな円形のテーブルの一つ近付き、
机の上に逆さまに置かれた椅子をいくつか放り投げた。
そしてできたスペースに清春の方を向いて座り、やっと口を開く。
「ここならいいだろ?話すにしても殺し合うにしても。」
それを聞いた清春は、立ったまま何とも言えないような表情を見せた。

ここで時は少しだけ遡る。

この店の前で清春は以前立ち寄った時を思い出していた。
この中華料理店はよく取り上げられるような有名な店なのである。
「そういやこの店の料理って…」
「高いクセにえらい不味いんだよな。」
「!!?」
誰かの声が背後で自分に合わせた。

全く予期しなかった声に清春は懐からグロック34を抜きながら弾かれるように振り向く。
だが無防備なまま立っている桜井を視界に捉え、グロックは途中で止まった。
自分が生き残るために桜井も殺さなければならないし、当然そのつもりだったのだが
色々思い出していたせいで思わず手を止めてしまったのかも知れない。
そんな戸惑う清春を横目に桜井は扉に向かうと手に銃を持ち店の扉に向ける。
二度の銃声の後、扉が開くことを確認した桜井は清春の方を向き直った。
「清春さん、中入りなよ。」
それだけ言うと桜井は店へ入っていく。
清春は複雑な感情を抱きながらもなんとなく桜井の雰囲気に押されその後に続いた。
一応手持ちの二丁の銃の存在を確かめて。
「で、君何人くらい殺したの?」
桜井は昨日の夕飯の献立でも聞くかのような調子で清春に問い掛けた。
「い、いや、何人ってオレそんなに殺してないよ!」
清春は慌てて否定して見せた。そんな清春の態度に桜井は笑みを漏らす。
「ハハッ、そうやって何人騙したかって聞いてんだよ、役者さん。」
「………やっぱバレてるんだ?桜井さんには敵わねぇなぁ。」
清春はイタズラのばれた子供のような顔を見せた。これも半分演技かもしれないが。
「…知ってる奴の嘘ってのは結構分かるみたいだな……」
不意に桜井は伏し目がちになり呟く。
「何かあったの?」
「……何でもないよ。それで君は誰殺したの?」



「福山?彼もつくづく運が無いヤツだよなぁ…」
清春の報告を一通り聞いて、しみじみと桜井は首を左右に振る。色々思う所があるようだ。
「運って言うか何て言うか(苦笑)ま、あのマヌケな死に方、仮にも福山雅治とは思えなかったけどね。
 それより桜井さんはどんな感じなの?」
福山への一応のリスペクトのせいか清春の言葉を桜井は少しきつい表情で咎める。
「おい『それより』って言い方はねぇだろ。」
「あ、ごめん。いや正直スマンかった(笑)」
桜井は仕方なさそうに小さく溜息をついた。
「…やれやれ、もういいよ。しかしこのゲームで一番元気なんじゃないか?アンタ。」
「かも知れないね。で桜井さんはどうなんだ?」
清春はどんどん調子が上がってきているらしい。
「俺は…」『ギィィ』「!!」
桜井が言いかけたところで店の扉が軋みながら開いた。
二人が反射的に銃を向けたそこには、こちらに銃を向ける桑田佳祐がいた。
「あれえ?桑田さんじゃ〜ん!ホントに生きてたんですね!入って来てくださいよ〜。」
桜井は銃を下ろし、場に似つかわしくない程の笑顔を浮かべて桑田を招いた。
覚悟を決めて店に踏み込んだ桑田は勿論、一緒にいた清春も驚いている。
「ほら、清春さんも桑田さんも銃下ろしましょうよ。たまにはゆっくり話しません?最後になるかも知れないんですし。」

桑田は桜井のマイペースぶりに勧められるまま席に着き2人に松本や宇多田との事を話した。
YOSHIKI達のことは2人に迷惑が掛かる可能性を考え伏せておいた。
「…へぇ〜吉井さんにヒッキーかぁ。」
「やっぱりみんな頑張ってんですね。松岡も動いてるみたいだし。」
「他人事みたいに言うなよ。清春さんも大概だろ?」
「いやそうだけどさ。あ、俺まだ桜井さんの話聞いてねえよ。」
「うるさいな。わかってるよ、次話すって。」
桑田の話に反応した二人のやりとり。まるで下積み時代の音楽談義のようだ。
ふと桑田の脳裏にそんな懐かしさが去来する。口には出さないが桜井も人恋しかったのだろう。
「こんな状況」なら無理も無い………こんな状況?
桑田はやっと現実を思い出す。いま自分たちが巻き込まれているふざけたデスゲーム。
目の前で楽しそうにしている二人はその話をしているのだ。
今生き残っている者は皆人殺しだ。だがそれぞれのスタンスから大別して3種類の人間に分けられる。
シカオの様にこのゲームを真っ向から否定し殺人を拒否しながらもある種の偶然で生き残っている者、
YOSHIKIや桑田の様に否定はするがある部分を受け入れている者、
そして基本的にこのゲームを肯定する者。宇多田、そして目の前の二人のように。

既に懐かしさは影を潜めた。それと同時に懐に挿した二丁の銃が質量を増していく。
「……さん!ねえ桑田さん、聞いてんすか?」
「えっ?…あぁ桜井君、どうしたの。」
「どうしたじゃねぇっすよ。ボーッとして話聞いてないじゃないすか。やっぱ松本君の事思い出した?」
「えぇちょっと、ね…」
(違うんだ、桜井君…オレはこれから君と清春君を…)
「………殺すんだ。」
桑田は銃を抜いた。様々な想いと共に。
場を静寂が支配している。
魂はジョン・レノン、才能はボブディランを自称する男の両手に握られた黒い鉄の塊がそれを強要していた。
塊の先端が捉えた先で二人の男はそれぞれの表情を見せる。
桜井はいくらか驚いた顔をしていた。だが清春の表情には妙な含みがあった。
「随分余裕だな、清春君。」
桑田が口を開く。
「まぁ、ね。昔取った杵柄ってヤツかな?人の表情見るのは得意だし。」
返す清春の顔には笑みが浮かんでいる。銃口を向けられた事に対する緊張も多少はあるようだが。
「…でも桑田さん、それ安全装置外れてませんよ?」

「!」
その言葉に桑田は視線を下ろし清春に向けている銃、マカロフPMを見た。
考えればhitomiの遺体から入手してから一度も使っていない事を思い出したからだ。
しかし安全装置などどうすればいいのか全く知らない。
そこで一つの疑問、清春は本当に銃について知っているのか?答えはすぐに出た。
「桑田さんってほんっとに素直なんだから(笑)」
視線を戻したときには清春も桑田と桜井の両方に銃を向けていた。はめられたのだ。
清春はたっぷりの余裕を顔に出しながら続ける。
「これで桑田さんとは五分ですね。不利なのは桜井さ…アレ?」
いつの間にか桜井と清春の間に大きな銃があった。デザートイーグルだ。
「…バレてた?」
「今のはちょっとな。そんな三文芝居じゃ桑田さんしか騙せねぇぞ。」
それまでのくだけた表情は桜井には既に無かった。
桜井は右手のデザートイーグルを清春、左手にFNファイブセブンという銃を桑田に向けている。
そのことで三人の間にはそれぞれの伸ばされた腕と銃によりいびつな三角形が出来ていた。
店内の空気が張り詰めていく。
今まで無かった、というより全員が隠していた緊張感が一気に噴き出し、
場の空気を目視できそうな勢いで塗り替えていった。
そして耳に痛いほどの沈黙。三人ともが残りの二人に、二人の向ける銃口に目を走らせる。
その状況で清春が口を開いた。

「でもいいのかな?桜井さん。その銃片手で撃てるの?反動スゴイでしょ。」
「……確かにえらい反動だったね、さっき撃ったけど。じゃあ撃てるかどうかお前の身体で試そうか?」
「…………」
そしてまた沈黙が訪れ、誰も動けずにただ時間だけが過ぎる。
店内には時計も無く時間の経過がわからない。
まだ5分も経っていないような、30分以上続いているかのような心地悪い沈黙は続いた。
全員が額から汗を流す。蒸し暑い店内と緊張が余計に発汗を促した。
そんな時に不意に物音が聞こえた。一度だけなら全員が幻聴だと思ったかも知れない。
だが物音は店の奥から確実に三人のいる所へと近付いていた。足音だ。
一番最初に桑田の顔色が変わった。足音の主を見たのだ。
続いて清春。完全に桜井の背後から足音は聞こえていた。
振り向くに振り向けない状態に桜井は苛立つ。
そんな桜井の心中を察したわけではないのだろうが桑田はその人物に話しかけた。
「なんであんたが…ここにいるんだ……民生……。」
707 :02/02/06 01:56 ID:6HSSfpGZ
ついに民生登場!
ある意味一番華のない役だったんでちょっと残念に思ってたんだけど。
ここで出てくるとは、この後に期待。
708名無:02/02/06 01:58 ID:sZy/KgUj
更新されてるウヒャッホイ!おつかれさま!
709名無しのエリー:02/02/06 12:28 ID:5n7xg6I2
更新感謝あげ
710名無し:02/02/06 17:28 ID:kQD9Vy3C
更新感謝。
緊張に次ぐ緊張!!
711名無し:02/02/06 17:55 ID:9BK+ixjq
おお、更新されてる
もうちょいペース早かったら嬉しいんだけどな
毎日更新してくれ

アンチミスチルなんで桜井死んで欲しいな
712 :02/02/06 18:16 ID:kxHKYoKF
>>711
ゼイタクイウナヨ
713名無しの711:02/02/06 19:00 ID:9BK+ixjq
>>712
すまんこ

あくまで希望なんでマイペースでやってくれ、1さん
714 :02/02/06 23:07 ID:GadNHT9o
おもしろい
一気に読んでしまったYO
715名無し:02/02/07 12:37 ID:wapu8hSK
レス数を気にしながらage
716_:02/02/07 13:12 ID:9Eu3E4QH
すげぇな。
桜井好きなんで殺さないでくれー。
(と対立してみる)
717   :02/02/07 13:25 ID:MiB14s29
桜井氏の運命は1さんに任せます……。
(と中立してみる)
桜井は驚きのあまり今の状態も忘れ振り向いた。とはいえ他の二人ももう忘れていたが。
そこには確かに奥田民生が立っていた。迷彩のアーミールックに身を包み粘り気のある笑顔で。
民生の存在を確認した桜井は一瞬間を空けた後言った。
「民生さん何でそんなカッコイイ迷彩服着てるの?なんかベトナム兵を彷彿とさせるんだよなあ、その格好と民生さんの顔がマッチして。」
清春は笑いを堪えきれずに軽く吹き出した。
だがそれでも笑みを崩さない民生に気味悪さを感じ桜井達の表情はやや固まる。
そんな場の雰囲気にも冷静なまま桑田は民生に聞いた。
「なんであんたがここに居るんだ?」
「君らに餌になってもらおうと思ってね。」
「餌?…どういう意味だ。」
「分かりやすく言うと、お前らに死んでもらうって事だ。」

今この場に居ること自体が不思議な男から聞かれた意外な台詞に全員が身構える。
そのまま桜井はデザートイーグルを民生に向けた。もちろん両手で。しかし、
「桜井さん!銃はヤバいって。足元足元!」
清春の声に止められ視線を落とした。そして民生の足元の2つの物体に気付く。
業務用の5キロLPガスボンベ。民生に気を取られ気付いていなかったのだ。
「そうそう、銃はやめといた方がいい。とっくに厨房はガスが充満してるしこっちにも来てる。
 そろそろ匂って来てるだろう。」
桜井は鼻に意識を集中して空気を吸い込んだ。微かに、だが確かにガスの匂いが混じっている。
「チッ、大分前に裏口からでも入ってきてたな。」
舌打ちしながら仕方なく桜井は銃を懐に仕舞った。その様子に民生の笑みが更に粘り気を増す。
「正解。ずっと様子は見てたよ。ガス臭くてちょっとキツかったがね。」
「それよりさっきの死ねってのはどういう事だ。殺し合いをさせてるのはテメェらだろうが。」
桑田が口を挟んだ。民生はそんな桑田を鼻で笑ってから答えた。
「…あのなぁ、お前らの生き死になんざどうでも良くなったんだよ。そんな事より100倍大事な用事ができてな。」
「ハァ?何言ってんのアンタ。つーかアタマ大丈夫?」
清春は呆れ顔で民生を馬鹿にした。だがまるで民生の耳には届いていないようだ。
「『あの男』を殺す為には俺の手にしっかり血をつけとかなきゃダメなんだよ。
 狂気が足りないんだ今の俺には。お前らはそれを補う餌なんだよ、分かるだろ。」
さっきまでは常人の物に見えていた民生の目がみるみる狂気を帯びていくのが分かる。
そしてそれに併せて口元の笑みが亀裂のように広がっていく。

「んなもん分からねぇよ。」
桜井は腰からサバイバルナイフを抜いた。それを見て民生は笑う。
「あぁ、それで拓郎を殺したんだっけな。あと布袋や氷室も殺ったし、恩を仇で返しすぎだろ、全く。」
桜井以外の二人の顔が強張る。特に桑田は驚きを隠せずにいた。
よりにもよって先輩と言える拓郎を桜井が、しかも3人も殺していたことに。更に民生は続けた。
「でもその後がダメだ。ぱったり殺せなくなりやがった、このヘタレが!
 ちょっと優しい言葉かけられたくらいでせっかく貰ったチャンスをドブに捨てやがって。
 お前らがそんなだから陽水さんがゆっくり隠居も出来ない。」
「何言ってんだか。アゴはただのでしゃばりだっつーの。」
不機嫌な顔で清春が言った。その清春を民生は鬼のような形相で睨む。
「お前らは何も分かってない。長年『井上陽水』を見ながら少しも、だ。
 『井上陽水』を超える男が居れば陽水さんははあっさりその座を譲ったんだ。
 だが一向に現れやしない。この先もまるでその気配が無い。どれだけあの人が無理をしているか…。」
民生の眼から涙が溢れた。だが清春はさっぱり理解出来ずに困惑している。
「陽水さんは誰かを、『井上陽水』を殺せる誰かを待っている。
 俺は随分遠回りしたがやっとそれに気付いた。しかし全てが足りない。及ばない。
 神と悪魔の棲む『井上陽水』には。だからこそあの男を超える物が要る。」

「その為に俺たちを殺す事が必要だってことか。くだらねぇ。」
言い終わると同時に桜井は民生との間合いを一気に詰め、民生の胸を目掛けナイフを突き出す。
「少しは理解出来たらしいな…一応天才と言われただけはある。」
だが民生は喋りながら、桜井の突き出した右手を左手の甲で払い
右手の人差し指と中指を桜井の二つの眼球にめり込ませた。
「〜〜〜〜っ!!!!!」
両目を突かれ、桜井は痛みに声すら出せずに地面を転がる。
「狙いはいい。銃もそうだが的の小さい頭部にそうそう素人が当てられるもんじゃないから、なっ!」
続けて民生は、言い終わりに併せ桜井の横っ腹を蹴り上げた。桜井は更に悶絶する。
「ただやはりネックはその膝だな。踏み込みにスピードも勢いもまるで無い。問題外だ。」
民生の表情はいつの間にかこの上なく冷徹に変貌していた。
さっきまで笑い、怒り、泣いていたとは思えない程に。
民生はうずくまる桜井に一瞥もくれずサバイバルナイフを拾い上げた。
そしてポケットから別のナイフを出しその刃の先を桜井に駆け寄ろうとする桑田に向ける。
次の瞬間にはその刃は桑田の腹部に突き立っていた。
スペツナズナイフ――刃の部分を飛ばすことの出来る殺傷能力の高いナイフ――だ。
何が起こったか分からないまま桑田が倒れこむ。
「!!?」
清春も桜井も驚きに固まった。だが民生はさも当然と言わんばかりに吐き捨てる。
「そんなに驚くなよ。その人に支給された武器は青酸カリの毒薬と釣り糸なんだ。
 それでどうやって戦う?必殺仕事人か(笑)
 それに俺の相手にそんなポンコツは要らないから仕方ないだろう。」
「ポンコツ?」
言葉の意味が分からず清春は聞くともなしに呟いた。
「あぁお前らは知らなかったんだったな。その人はどの道もうじき死ぬんだよ、ガンでな。」

「……ガン?」
清春は戸惑う。誰の事だ?桑田?でも桑田はこの間も普通にテレビに出ていたじゃないか。
「表向きは内臓疾患だったな。でも本当はあちこちに転移して手遅れになったガンなんだよ。
 でどうせなら最期までステージに上がりたいなんて言ったらしいぞ。あえて今ソロ活動してるのもそれが理由らしい。
 会社のビクターにとっちゃ迷惑な話だよなぁ。いつ死ぬか分からんのに。でも人気考えりゃそうそう断れんしなぁ。」
清春は桑田を見た。桑田はなんとか起き上がり壁にもたれかかっている。
そのナイフの突き刺さった腹部は絶え間なく血を流し、素人目にはとても大丈夫とは思えない状態だった。
「なぁ清春、hydeの死体から持ってきたポン刀があるだろう。そんな奴はいいから早くかかって来い。」
「…ケッ何でも知ってんだな。でも別にここでやり合う必要はねーんだよ。」
清春は背後にある店の出入り口に目を向けた。そう、外に出ればいい。そうすればガスは関係無くなる。
しかしその考えも見透かしたような民生の笑い声に遮られた。
「ハハハ、そこの扉なら開かないぞ。外から閉めさせといたから。」
「折角高い税金払ってるんだ、使えるものは自衛隊でも使わないと。」
そう言って民生はトランシーバーを手に持って見せる。自分が命令して閉めさせた、と言いたいらしい。
「これで自分の置かれた状況が分かったか?。この店には窓も無い。
 変に高級ぶった店の造りが災いしたなぁ、アハハハ。」
心底楽しそうに笑う民生を尻目に、清春は鬱陶しそうに顔をしかめ舌打ちしながら
デイパックの中の日本刀を一息で鞘から抜いた。
ここまで思い付く限りの策で生き延びてきた清春の考えは全て民生に見抜かれている。
それでも清春の顔はまだ余裕を漂わせていた。
「良かったねぇ、自衛隊をアゴで使えてさ。陽水のおかげだけに(笑)
 でも民生さんさぁ、俺の趣味が『剣術』って知ってた?」
清春は刀を構える。その佇まいから先程の言葉が虚勢でないことは容易に見て取れた。
だがその清春を見て民生はサバイバルナイフを地面に放り捨てた。
そして民生は丸腰のまま、清春に向かって無言の上に薄笑いで手招きをした。

民生の挑発に清春の顔が不快感に歪む。いや正確には『そう見えるように』演技をした。
普通なら清春は挑発する側の人間である。だからこそ冷静に考えることが出来た。
奥田民生という人間は自分と同じく計算高い。それはあの男が今の状況を作り出したことからも実証されている。
つまり何の打算も無く丸腰になるような男ではない。さっきは桜井を素手であしらった。
しかし何か、恐らくスペツナズナイフ以上に性質(たち)の悪いものがあるとほぼ確信していた。
だから敢えて挑発に乗り手の内を探る、その為の演技なのだ。
刀を持つ手に力を込め、冷静さを欠いたフリで民生に走り寄る。
勿論民生に妙な動きがあった時には反応できるよう気配りは忘れずに。
しかしあと2mのところまで迫っても民生は身構え以外の動きを見せない。
清春はそのまま民生に切りかかった。横薙ぎに振られた切っ先が民生のがら空きの脇腹に達しかける。
だが清春はそこで刀の軌道を止め攻撃を突きに切り替えた。
民生が防御すらしないことから清春は恐らく防弾チョッキでも着込んでいると予想した。
そして防弾チョッキの類は刃物で突き刺される場合には殆ど役には立たない。
だからこそこれで民生を殺せる…筈だった。
刀の先端は清春の読みも虚しく民生の大きな腹で止まっている。予測は見事に当たっていた。
ただ惜しむらくは、民生の身に付けた防具は渾身の突きすら通さないほど強力な物だったことだった。

次の動作を起こす前に右手で服の首元を掴まれ思い切り民生の方に引き付けられる。
その次の瞬間には民生の左肘が清春の側頭部を捉えていた。
瞬時に打点をずらした為こめかみには当てられずに済んだが衝撃が側頭部を突き抜ける。
一瞬思考が停止し足が制御を失い倒れそうになる。しかし民生の手は首元を持ったままそれを許さない。
更に膝を地面についた清春の鳩尾に民生は右膝を叩き込んだ。
鳩尾に受けた衝撃で清春の思考が戻る。だがその代わりに訪れた息も出来ない痛みに襲われた。
「…ぅぁぁっ…ぇふ……ぁぐぅ…」
呼吸どころか咳も出来ずに地べたに這いつくばる清春を見下ろしながら民生は満面の笑みを浮かべた。
「…ぐほっ……ゴホッ、ゴホ…てめ……汚ね…ぞ……ぐぁっ!」
ようやく呼吸が戻りだした清春の背中を踏みつけ、民生は再び怒りに満ちた顔になり胸元を親指で指した。
「本当にバカだなお前は。汚い?銃弾も刃物も通さねぇこのスーツがか?騙しなんざやって当然だろうが!
 俺が殺すのは『井上陽水』だぞ?あの男には何でもありなんだ!こんなもんで足りるかよ!」
民生は清春を一喝すると桜井にしたのと同じように横っ腹を蹴り上げた。清春が痛みに転がる。
そして民生は清春に近づき拾い上げた日本刀の先端を清春の肩口にゆっくり押し込んでいった。

「ぐぁあぁっぁぁ!」
清春の肉の感触を刀伝いに右手に味わい、民生の快感は沸点に達する。
「アッハッハッハッ これだよ。俺が欲しかったのはこの感触なんだよ。もっとだ、もっと味わわせてくれ。」
民生は清春の肩から刀を引き抜くと最高の快楽を得るために刀を振り上げた。
「いい加減にしとけこのサド野郎!」
残念ながらお楽しみは突然背後から飛んできた椅子によって阻まれた。民生は前のめりに膝をつく。
怒りの表情で振り返った先で今椅子を投げた桜井が店の出入り口の前に立っている。
そしてその背後の、民生が命令して封鎖させた筈の扉は何故か開いていた。
数分前――――桜井は痛む右膝を庇いながら椅子を支えに立ち上がる。
民生と対峙する清春を手伝わねばと思ったがその前に桑田の様子を窺うために振り返った。
だが桑田はさっきまでの場所にはいない。驚いた桜井がさらに見回すと、
血を流しながらも壁にもたれて立ち上がり、民生に閉ざされた筈の出入り口へと向かう桑田が見えた。
[ さっきの民生の言葉が聞こえなかったのか?腹刺されちゃ仕方ないか… ]
桜井は仕方なく方向転換して右足を引き摺りながら桑田を追いかける。
この時にはさっきまで銃を向け合っていたことなどすっかり忘れていた。
「ねえ桑田さん、ドアは開かないんですよ。じっとしててください。」
ドアの前で桑田に追いついた桜井は声をかける。だが桑田はそれを無視して扉の取っ手に手を掛けた。
「おい!桑田さん…」
「ゴホ…聞こえてるよ…でも口で言ってただけだろう…」
「そうは言っても桑田さん……!」
桜井の口が止まる。桑田が少し押しただけ両開きの扉の間に隙間が出来たからだ。
僅かに出来た隙間から外の光が差し込む。
その縦に真っ直ぐに伸びた線は一ヶ所、真ん中のあたりが欠けていた。丁度表側の取っ手のあたりだ。
この様子から桜井は予想した。この扉の取っ手は太い棒状の物なのだが、
どうやらこの扉は今左右の扉の取っ手に何か棒のような物を渡してあるだけではないかと。
もしそうなら杜撰な仕事だ。まず民生の指示通りではないだろうがおかげでここを出られる。
桜井は桑田を扉の横の壁にもたれさせると、痛みを堪えて距離をとり助走をつけて扉の中央に体当たりした。
何かが弾けるような音が鳴って扉は拍子抜けするほど簡単に開く。
見れば3cm程の太さの細い棒が二つに折れて地面に落ちていた。
棒の残骸を眺め、すっかり民生の口車を信じきっていた自分に桜井は軽く苦笑いした。
「清春、早く来い!ここを出るぞ!」
桜井の声が響く。清春は身体を起こして状況を把握し立ち上がろうとしたが、
既に民生は立ち上がり今にも桜井達の方へ向かおうとしていた。
「ふざけやがってあの(自衛隊員の)ボケが!後でブッ殺してやる。」
だが走り出そうとした民生の右足の甲に痛みが走る。
足元を見ると清春が、さっき民生の捨てたサバイバルナイフを靴の上から突き刺していた。
「ぐぅ……清春ぅぅ…」
「へっ足の先までは着込めなかったみたいだな。とりあえずさっきのお返しさせてもらうぜ。」
清春はナイフを抜こうとしゃがんだ民生の顔面に蹴りを入れ、素早く立ち上がって出口へと走った。
「おい桑田さん、出ますよ。立てますか?」
桜井は桑田を立ち上がらせようとしていた。
桑田の顔色は土色になっており、額には大粒の汗が浮んでいる。
桑田の肩に手を回した所で桑田はかなりはっきりした口調で桜井に呟きだした。
「…なぁ桜井くん…」
「なんですか?大丈夫ですか?」
「布袋らを殺したとき…どんな気分だった?」
桜井は言葉に詰まった。あの時の、布袋と氷室を撃ったときの光景が甦る。
自分たちに銃を向ける桜井に笑いかける二人。身体を気遣ってくれる二人。
あの後から桜井の銃を握る手は明らかに鈍っていた。民生に対してもどこか本気になれない部分があった。
後ろめたさが桑田の言葉でくっきりと浮かんでくる。なんと言えばいいのか答えに窮する。
「二人とも早く、民生が来るって!俺先に出るぜ。」
出入口まで来た清春の声に桜井は我に返った。そしてとりあえず桑田を連れて出ようとする。
だが桜井を真っ直ぐ見る桑田の目は答えを待っていた。それを聞くまで動く気は無いらしい。
桜井は仕方無く溜息をつき呟くように答えた。
「…拓郎さんの時は正直何とも思いませんでした。布袋さんらの時は……最悪でした。」
その言葉を聞くと、桑田は釣り糸と紙切れを桜井に手渡して言った。
「外からこの糸でドアを開かないようにしてくれ。もう裏口は閉めてある。」
言葉の通り、桑田は店に踏み込む前に中の人間を裏口から出られなくするために
釣り糸で裏口のドアノブを近くの電柱と何重にも固く結び付けておいたのだ。
まさか中に民生も居るなどとは知らなかったが。
「ちょっあなた何言って…」
立ち上がった桑田は言葉を待たずに桜井を外へと突き飛ばした。
「おい!桑田さ…」
「うるさいぞ桜井!!オレは桑田だ!オレの死に場所はオレが決めんだ!
 お前は黙って俺の言う事聞けばいいんだよ!分かったか!?」
桑田は桜井の言葉をかき消すように叫んだ。
腹に刺さったナイフを抜き、胸元から出したハゲヅラをかぶって、桜井に背を向ける。
「桑田ぁどけぇ!」
更に走ってくる民生の顔面を拾った椅子で殴り飛ばした。
だがそれと同時に桑田の腹部から勢い良く血が吹き出し、流れ出る血が勢いを増す。
それでも桑田は両足を踏ん張らせて地面に立ち尽くし叫んだ。
「桜井、早く閉めやがれ!ガスが無くなっちまうだろうが!」
桑田の最後の強がりが桜井には余計に悲しく映った。
「………このお人好しのバカオヤジが…」
桜井は苦悶の表情で扉を閉め、震える手で取っ手の間に釣り糸を何度も通し固く縛りつける。
もう眼の痛みなど忘れていた。空はまた雨を降らせていた。
「…これで終わりだな、民生。…ゴホッ」
咳を受けた手の平に血が飛び散る。その手を固く握りもう片方の手で拳銃を天井に向けた。
「桑田ぁ、やってくれるじゃねえかこの死に損ないが!
 それでも俺は死なねぇよ。お前如きに殺られてたまるかよぉ!」
今にも怒り狂わんばかりの形相で吐き捨て、民生は店の奥、厨房の方へと走っていった。
裏口が閉ざされているのも知らずに。
「今度はテメェが焦る番だ。オレが…グブッ…引き金を引くまで精々逃げ惑いやがれ。」
桑田の身体の限界を知らせるかのように銃を持つ手が震え口から血が溢れる。
「…畜生!なんで開かねぇんだ、くそったれがぁ!…」
民生の叫び声が響いてくる。しかしもう桑田の耳には届いていなかった。ガスの匂いももうしない。
明らかに全身の体温が下がっているのが分かる。天井に向けていた腕もいつの間にか下りていた。
目を開けているのも億劫だった。
ぼんやりした意識の中、目を閉じると妻の原由子の顔が浮かぶ。
もう陽水のことも民生のことも宇多田のことも吉井のことも、桜井や清春のことですらどうでもいい。
ただ彼女を置いて逝くことだけが心残りだった。
仕事でも家庭でもいつも一緒だった。
ガンだと宣告されたときも優しく支えてくれた。
そしてが二人の息子達のことも浮かんでくる。
せめて息子達が成人するまでは生きていてやりたい。
でも物心つくまで育ててやれただけよかったのではないか?
でも最初からこんな事に巻き込まれなければよかったんじゃないか?
でも…でも……
もう考えがまとまらない。妻子の顔にも薄い靄(もや)がかかってきた。
三人の顔が消える前にせめて一言言いたい。最も伝わる言葉で。

「…胸いっぱいの愛と情熱をあなたへ 」
三人が笑ってくれた気がした。そしてふと右腕に感覚が戻る。ちゃんと別れを告げろと言うことなのか。

最期の言葉の代わりに桑田は引き金を引いた。
730:02/02/07 16:27 ID:UWNKVED3
正直、萌えた
731:02/02/07 16:42 ID:WzUu93/P
桑田カコイイ!!感動しました
732名無しの名無し:02/02/07 18:18 ID:H4MhH+eW
「…胸いっぱいの愛と情熱をあなたへ 」
1さんナイスです!!(w
桑田さん萌えです・・・。
733名無しの711:02/02/07 18:34 ID:9UpgbXpY
更新感謝age

おもしれー
これで7人になるのか?
でも多分民生しぶとく生きてるな・・・で、桜井が敵討ちって感じか?
734ななし:02/02/07 18:43 ID:H7aRWXFW
仕事中だが…泣いた。
桑っちょー!!
735名無しのエリー:02/02/07 20:15 ID:qFchrKbr
桑田カコイイ・・・最高だよ。
プ板の方は見てないんだけれど、ひょっとして桜井=武藤?
だとしたら萌え(w
736名無しのエリー:02/02/07 21:33 ID:gJV9igfn
桑田〜…泣いちゃたYO!(´;ω;`)
死に際にハゲヅラ…!((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
738名無しのエリー:02/02/07 22:31 ID:07qyWRwi
>>735
プ板のほうは桑田=蝶野なんだよ〜
両方カッコよすぎ。
739名無し        :02/02/07 22:42 ID:DaC/xhDx
く、桑田〜最高だよ、この人!!
740正直、桑田どうでもイイ。:02/02/07 23:36 ID:mraQWwqR
いよいよ吉井かぁ〜〜!?
741名無しさん:02/02/08 00:21 ID:aIrtR1RW
胸元にどうやってハゲヅラをしまっていたのか…。
742名無しのエリー:02/02/08 01:30 ID:Nf28CsZI
うわぁ〜ん、桑っちょー(/_;)
あんた、カッコいいよぉ!!
743emanon:02/02/08 01:58 ID:qRuztRWH
桑っちょ…
布袋&ヒムロックとセッションしてた映像を思いだして泣けた…。

ガンがリアルすぎる…(;゚Д゚)
744名無し:02/02/08 02:41 ID:9njm3Olb
桑田さん…カコ(・∀・)イイ!!
745名無しのエリー:02/02/08 11:08 ID:x0UyU5hK
>>738
マジですか?
やっぱりプ板の方にも逝ってみよう(w

ハゲヅラって、額に「G」とか入っているヤツだよね。
・・・スゲェよ桑田さん。
746:02/02/08 14:20 ID:KDdrwBFt
個人的に、鏡(桑田佳祐『孤独の太陽』より第5番)を献歌させていただきたい!w

俺が死んだら闇の銀河に誰を招待する?
光の中じゃ永遠に嘘はつけない
罪深き胸の人物のために
鏡よ君に語ろう Hey Na Na Na……

お粗末様でした。
747:02/02/08 14:34 ID:KDdrwBFt
すいません、実際問題なんですけど
ホームページサイトに移転するという作業
誰かお願いできませんでしょうか?
ホント厚かましいお願いなんですけれども。
別に編集しなくてもこのスレに直接リンクされるようにすればいいと思います。
748名無し野えりー:02/02/08 19:05 ID:7WK/JjWo
>747
このスレ1000こえたらもう新作うpできないよ?
誰か代行でサイトにうpするとしても、その内容自体1さんしか
知らないわけで。過去ログ保存の手段としてはオケーだけど、
問題はこのスレ以降の新作をどこでどうやって代行人へ渡すかだね。
ま、方法はいろいろあるけど。
749とりあえず ◆nlIuqPGI :02/02/08 20:47 ID:x64Cbjip
>747

作ってみました。

ttp://page.freett.com/jmbr/

まだ途中ですが。
こんな感じでどうでしょう?
750とりあえず ◆nlIuqPGI :02/02/08 20:49 ID:x64Cbjip
オッケーなら、残りも順次うpしますが。
751トルネード:02/02/08 22:35 ID:KplVwV6Q
age
752:02/02/08 22:51 ID:W+FyBt3R
>とりあえずさん

本当にありがとうございます!
もうありがたくてしょうがないですよ!
神降臨です、ホントに!
arigatai!!
753:02/02/08 22:53 ID:W+FyBt3R
>>748
1000いけば『2』を立てればいいだけですからご安心を。
754:02/02/08 23:17 ID:W+FyBt3R
>>ALL

あと一つ、重大な修正をさせていただきたいのですが。。。
最初のシカオvsつんく(つんくが中居を撃つシーン)
あそこのつんくを松岡に変えさせてもらいたいんです。
そうでないと後々のストーリーにつじつまが合わなくなるんです。
元からあそこは松岡の予定だったんですが、何を血迷ったのか
「松岡のシーン多いYO!」って思ってあそこは適当につんくにしちゃったんです。。。
755とりあえず ◆nlIuqPGI :02/02/08 23:46 ID:x64Cbjip
>752
いえいえ。

で。

>754
サイトの方はどうしましょ?
とりあえず、書き換えてみますね。
756とりあえず ◆nlIuqPGI :02/02/08 23:54 ID:x64Cbjip
う…、早速言葉遣いで詰まったYo!
松岡とシカオはどっちが年上?タメ語でもOK?
>>1さん、HELP!!(w
757名無しのエリー :02/02/09 00:18 ID:NgWnPnKC
>>756
1さんじゃないんですけど松岡が30歳でシカオが35歳です。
松岡は関西弁で敬語を使った方がいいのではないでしょうか?
758:02/02/09 00:27 ID:wOr5O2yw
>>756
757さんのおっしゃるとおりでお願いします。
そうそう、そういう微妙な言葉遣いを変えていかなきゃなんないんですよ(ワラ
書きなおす際にいつもやってるんですけれど。


759とりあえず ◆nlIuqPGI :02/02/09 00:42 ID:Mcp5dMZ3
>>757
ありがとうございます。
何とか頑張ってみます。
760名無しのエリーに首ったけ:02/02/09 01:21 ID:TympMFgu
>>759
アンタは えらい!!らびゅううう
761名無しのエリー:02/02/09 03:13 ID:Uzm7dmdI
小室さんは死んでしまってからはもう出ないですよね?なんか怖い役だったし、変なイメージ役でしたが楽しかったです(藁
762名無し:02/02/09 04:58 ID:bbAH+3C+
>>753

642 :名無しの希望 :02/01/28 23:47 ID:GdWWN77e
千スレ逝ったら、無料ホームページサイトに移転しようね。

の意味はここでするなという様にとれるんだが。
763名無しのエリー:02/02/09 05:04 ID:mBDxaOgk
>762
そうとれるよな。俺もそれが気になってたんだ。
764 :02/02/09 15:07 ID:Y73gxmfL
別にパート2スレ立てなくても>>1がとりあえずさんに
メールで送ってサイトにうpすればいいんじゃない
今までここ見てた人たちだったら更新されたか毎日見に行くでしょ
765保守:02/02/10 01:21 ID:fpyTkiAY
保守ります。
766age:02/02/10 13:41 ID:n/SrAa58
ageります。
767:02/02/10 14:35 ID:Mzo15Grd
>>764
正直、このスレ方式を続けさせてもらいたいんス。

ちなみにこれから貼る文章、作者さんのリアル追及と描写の多さが…う〜ん。
いや、こんな事言う資格ないんですけれど。。。
じゃあ貼ります!
昼過ぎから降り出した雨は強弱を繰返しながら続いている。

プログラム開始後、殆どの者が武道館から離れる一方だったが、人数が少なくなった現在、
危険だと判っていても武道館の近くに戻ろうという心理が働き始める。
松岡も例外ではなかった。
立入禁止区域を避け、雨脚の弱くなった隙を縫って少しずつ武道館近辺へと移動していた。

普段なら行き交う車の騒音や排気、隣接する鉄橋を忙しく通過する電車の音で騒々しい場所だが
現在は厚い雲に覆われた天空から堕ちる雨滴だけが、寂しく路上で跳ねている。
当然、普段なら行楽客で賑わう河川敷やサイクリングロードにも人陰はない。
遠くなった雷鳴―――自然の奏でる音だけが、この世界に残されていた。

対岸まで見通せる橋の上を、松岡はゆっくりと歩き始める。
小糠雨に煙る色褪せた景色を眺め、何かに想いを馳せるかのように。
それは春に見た満開の桜並木だったかもしれない。或いはこの地域の夏の風物詩である花火大会…。
どちらも目紛しく過ぎて行く月日に、季節の移り変わりを告げる役目を果たしていた筈である。
しかし本当の処、松岡の眼に何が映っていたのかは…判らない。

―――只、ゆっくりと歩いている。
プログラム開始以来、先制攻撃を常とした事が吉井をここまで生き残らせていた。
その代償として満身創痍ではあったが、精神的な疲労は感じていない。
打たれ強い体質であることに加え、皮肉にも『狂気』が原動力となって吉井を戦へと駆り立てる。

隠れ場所の医院を後にし、豪雨の中を闇雲に徘徊した吉井に天運は味方した。
弱まった雨脚に誘われるように姿を現した松岡を発見したのは一時間も前になる。
その後、隙を伺いながら尾行を続け…漸く機会を得ようとしていた。
武道館の方角に向かって移動する松岡の進路から二子橋を渡ることを推測し、
見失う危険も承知で尾行を解いた。
二子新地駅から東急新玉川線を伝い、隣接する二子橋をじっと凝視める。
雨に打たれるままにした身体の大部分は冷えていたが、
傷口からジワリと拡がる熱と内から滾る心がそれを補う。
普段、滅多に使わない鎮痛剤の効果はまだ持続していたが、念の為、追加した。
武器の確認を済ませ、標的の動向を再確認する。

―――眼下に松岡の姿が見える。
ゆっくりと持ち上げたボウガンの照準が、確実に標的を捉え…狂気の矢は放たれた。
ヒュン―――
背後から一陣の風が耳元を掠めたのと同時に、右頬にカッと熱が拡がる。
松岡は左に飛び退りながら振り返ったが、路上には相変わらず人陰はなかった。
ヒュン―――
ニ度目の飛来物の気配に、反射的にジュラルミンの盾を構える。
ガッと金属を弾く音と衝撃、
その方向に襲撃者を視認すると盾とジュラルミンケースを放り投げ
ベルトに挟んでいたグロッグを抜き2、3発連射する。
弾かれるように倒れた襲撃者の姿は、鉄橋の影に隠れた。
視線を固定したままグロッグを構え、用心深く襲撃者が倒れた辺りまで移動する松岡の顔の皮膚は、
右頬をジンと痺れるような痛みと共に雨とは違う暖かな感触が伝う。

神経を研澄まし気配を探るが、強くなり始めた雨と増水した多摩川の流れる音
そして再び近付いてきた雷鳴が視聴覚を鈍化させていた。
時間の流れが渦を巻くように、緩急の感覚が喪失する。
実際には僅か二、三分の間が、永遠にも思われ…

ヒュン―――
三度松岡を襲ったボウガンの矢が、手元からグロッグを弾き飛ばす。
「―――!」 
予想外の方向から襲撃に、常人なら降り返って相手を確認してしまう所だが
一瞬が命取りになる世界に身を投じていた松岡は、サッと前回転して追撃の矢を避け、
腰から抜いたS&W M629Cを構える。
鉄橋の上を匍匐前進しながら雷鳴の間隔を計り、吉井は光速と音速の時間差を読んだ。
絶好の機会を逃したものの、依然、勝機は自分にあるのだと信じる心が、怯む事のない行動を可能にする。
最接近した部分から二子橋に飛び移るという危険な行為も、その産物である。
雷鳴に合わせて気配を隠蔽し、着地点で転がるように受け身を取って衝撃を最小限に抑えつつ「ある物」に近付いた。
睨むように松岡を見遣り、悟られなかった事を確認した。
松岡は足元に転がったジュラルミンケースを手探りで開いて、『戦利品』の中から手触りだけで目的の物を選び取る。

吉井は無表情のまま、ボウガンを構え、無防備な松岡の側面を突いて攻撃を再開した。
片目という遠近感の狂いを勘で修正し、三本目、続けて四本目の矢を放ち松岡に向かって全速力で駆け出す。
グロッグを弾かれたものの、追撃から逃れた松岡がS&W M629Cを構え、迎撃体勢にあるのを視認すると、
吉井はボウガン本体を投げ付けて銃口を逸らし、一気に間合いを詰めた。

隙を突いて首を捕ろうとした吉井の動きを察し、松岡は寸前に首を抜く。
バランスを崩した吉井の後頭部に銃のグリップを叩き込み、
間髪入れず衝撃に沈んだ身体に膝を突き上げた。
まともに顎に入った蹴りの勢いで仰向けに倒れた吉井を跨ぎ、
松岡は容赦なく引金を引く。しかし寸前に足首を捕られ、体勢を崩した。

路上で跳躍した銃弾―――そこに吉井の姿はない。
揉み合いながら路上を転がる二人は、既にどちらも武器を手放していた。
己の肉体のみで相手に挑む。お互いが忘れかけていた「何か」を思い出しているかのように。
しかし現実は容赦ない。二人を支配しているのは「私闘」。
「トータス松本殺ったんやろ?!」 松岡が叫ぶように問う。
「河村隆一狩りは楽しんだか?」 吉井も叫ぶように問う。
その問いは応えを求めたものではなかった。各々が心に蟠った激情を吐き出したに過ぎない。

そうして死者への手向けのように、再び無言の格闘が始まる。

時間無制限の「死」でしか終わらない闘い。
文字通りの「死闘」はどちらが制してもおかしくなかった。
しかしこのプログラムの本当の終焉を理解していた分、松岡が有利であった。
生き残る―――それが最優先事項。
松岡は隙を突いてジュラルミンケースに駆け寄り武器を取る。
それは皮肉にも河村から奪われた武器、ブッシュナイフであった。素早く死角に入ると、松岡はナイフを降り下ろす。

潰れた右眼の死角を狙った松岡の攻撃は右肩を直撃した。
骨まで喰い込んだナイフの感触は、始めヒヤリと冷たく次の瞬間には燃え上がるような熱に変わる。
吹き出した大量の血は、既に余す所無く濡れていたシャツを染め上げ血塗れにした。
吉井の脳裏に様々な記憶が渦を巻き、膨れ上がった感情が胸を圧迫し…遂に「死」が自分を捉えた事を知る。
吉井は最期に自らを鼓舞させる為、獣の様な咆哮を上げた。
咆哮した吉井が血の吹き出す肩でタックルをかけ、
松岡は欄干に押し付けられた。
圧迫と、激しい雨でさえ流し切れない濃厚な血の匂いに一瞬息を詰まらせながら
横に払い退けると、吉井は無抵抗のまま、勢いで欄干を越えた。
「―――っ!」 反射的に伸ばした松岡の腕を掠め、吉井の身体は墜落する。
その瞬間の表情がどんなものであったのかは判らないが
僅かに口元が微笑していたように見えたのは…気の所為ではない。
その笑みが何を意味していたのかは、最早知る由もないのだが―――。

増水した多摩川の濁流に、吉井の姿は呑まれた。
虚しく宙を掻いた手を…松岡はゆっくりと握り締める。

―――何時の間にか遠離った雷鳴が、弔鐘のように響いていた。
西の空に浮かぶ雲がほんのりと赤らんでゆく…。
日中に降っていた雨はいつの間にかあがり、雲の切れ間から青空が垣間見える。
松岡の疲れは、心身共にピークに達していた。
それでも松岡にはやらなくてはいけない事があった。
――――倒さんと。まず、ヤツを倒さんと。
その一心が、疲れ果てた松岡を突き動かしていた。
約束をしたんや。aikoちゃんと…生き延びる、と。
そして音楽をするんや、と。
「あんたは音楽界に必要なミュージシャンだ」と言ってくれた、友の為に。
そして何よりも…音楽を愛する、自分自身の為に。

今はただ、この無益なゲームを終わらせなければならない。
最初で最後。本気で殺りに行く。ヤツらを殺りに。
まずは宇多田ヒカル…そして、諸悪の根源。井上陽水。
「…誰も殺らないなら、俺が殺ったる!」

とはいえ、宇多田がどこにいるのか全く見当がつかない。
たった一人の人間を探し出すには、このゲームのフィールドはあまりにも広過ぎた。
それに、宇多田を探してる最中に他の誰かに遭遇して戦う羽目になる可能性がある。
そう、今の吉井和哉のように。
無駄な戦いをしてこれ以上体力を消耗するのは避けたいが、相手がその気なら付き合わねばなるまい。
「今生き残ってるんのは…林檎、宇多田、桜井、シカオ、桑田…YOSHIKI…それと清春か」
(夕方6時の放送前なので誰が正午以降死んでいるか把握していない)
自分を入れて、あと8人。林檎、桑田、YOSHIKI、清春には、まだ一度も遭遇していない。
やる気になっているのは、宇多田と桜井。
桑田とシカオは、武道館での様子から察すれば穏健派であろう事がわかる。
YOSHIKIも…たぶん穏健派だろう。林檎はよくわからないが器用に仕事はこなせていないのは確かだろう。
「問題は清春や…」
穏健派の連中には全面降伏すればいいが、やる気なヤツにはそれなりに動かねばならない。
人の事を言えた義理ではないが、清春というヤツは考えている事がサッパリつかめない。
くわえてあの身体能力――――身軽な身のこなしに翻弄される可能性は高い。
…そう考えると、清春にだけは遭遇しない事を祈りたくなる。
そしてシカオ…降伏しても、はたして信じてくれるかどうか?
目の前で中居を殺ったのは自分なだけに…どうなるか。
「どうせ信じちゃくれへんやろな…」
今までの自分の言動のせいだと思うと、松岡は苦笑いするしかなかった。
「ま、最後は自分を信じるしかないわな…」
己の肉体と頭脳、そして今まで負けなかった運を信じて。

松岡は荷物を確認し、銃をベルトに差し直した。
土手に上がってジッと辺りを見まわし、様子を探る。
「――――こっちやな」
松岡は自分の勘を信じ、西に向かって土手を駆け下りていった。
776:02/02/10 14:53 ID:Mzo15Grd
age
エイジ
777名盤さん:02/02/10 15:17 ID:Mzo15Grd
>とりあえずさん

あっ、修正ありがとうございます。
778:02/02/10 15:18 ID:Mzo15Grd
>>777=1です。
779んん?:02/02/10 18:23 ID:ivmR2VgB
吉井死んだの?
780nanasi:02/02/10 19:18 ID:nKmR4LHy
林檎って死ななかったっけ?
781名無しのエリー:02/02/10 19:23 ID:pqaQ1ity
吉井〜(涙
782名無しさん:02/02/10 19:33 ID:qPFmbwQz
吉井いずこへ…
783名無しのエリー:02/02/10 21:23 ID:3lAHiSiQ
>780
夕方6時の放送前なので〜って、>774でフォローしてあるよ。
784 :02/02/10 21:57 ID:nHTFUqoH
文章力高いッスね。
吉井が川に落ちていくとことか最高。
二人の余分な会話がないとこがカッコいいって思います。

あと生き残りは・・・松岡、宇多田、YOSHIKI、シカオ、清春 かぁ
785名無しのエリー:02/02/10 22:27 ID:fkEZ919b
>>784
さ、桜井は?
786名無し        :02/02/10 23:49 ID:XaAcm8xz
松岡は宇多田と玉砕しそうな雰囲気。
787 :02/02/11 02:18 ID:Hdv5yziP
オモシロカタヨ〜
788【現在の生き残り:6人】:02/02/11 02:32 ID:MzgdcJLe

宇多田ヒカル、清春、桜井和寿、
スガシカオ、松岡充、YOSHIKI
(五十音順)

789:02/02/11 06:03 ID:DyGa4lru
清春の番外編として、今まで文章化されてなくて謎になっていた
vsチャゲ、vs西川貴教というのがございます。
タイミングを見計らってうpしますね。
790.:02/02/11 06:40 ID:E7xLRdWX
(・∀・)ii!!
791ななし:02/02/11 13:57 ID:x6J7oK5B
ドキドキage〜
792名無しのナンシー:02/02/11 18:26 ID:lBkquJUR
おつです
ではワクワクage
793名無しのエリー:02/02/11 21:38 ID:tY/q6ohx
age。
ちなみに「グロッグ」ではなく「グロック」です。
794名無しのエリー:02/02/11 23:56 ID:gjcS4VbP
読者の人数を数えるために出欠をとってみましょう
1!
795名無しのエリー:02/02/11 23:58 ID:bQybYwtX
煮!
796名無しのエリー:02/02/12 00:03 ID:wLe5/6ZJ
散!
797 :02/02/12 00:05 ID:G4g5EKul
屍!
798名無し:02/02/12 00:08 ID:KK3wH5x5
参!
799名無しのエリー:02/02/12 00:09 ID:Q1TybYP0
800テトラドトキシン:02/02/12 00:11 ID:umyyZCEq
801名無しのエリー:02/02/12 00:11 ID:JS/aN/cN
鉢!
802ななし:02/02/12 00:13 ID:1dcGbsuB
803名無しのエリー:02/02/12 00:16 ID:v1Vv2S/Y
804おいおい:02/02/12 00:16 ID:vHf7R6c7
1000までいったら、次に無料HPに移行した方がとか
2で続行かって言ってんのに出欠で無駄遣いしなさんなや。
感想とか書くならともかくさー。

って、風紀しちゃう俺も俺だけどな。
1さん、続き楽しみにしてます。
元ネタの方にも感謝!
805 :02/02/12 00:42 ID:G4g5EKul
っちゅーか、無料ページに移動しろとか言ってる人もいるが
2ちゃんねるでやるからこそ意義があるのだと思われ。
新しい人も入ってきやすいだろうし、本編の進行と同じ場所で
気軽に感想が書き込めるのもここの魅力だと思う。
別にスレ違いではないんだから、数人の(しかも根拠もよくわからない)
反対意見で無料サイトに移転する必要は全くないと思うんだが。

点呼は確かに無駄だけど(俺もやったが)。
806ななし:02/02/12 01:51 ID:8ydYyHOp
新スレにHPのリンク貼って、1さんととりあえずさんが両方でやっていけばいいんじゃない?
そして二人に感謝。
807.:02/02/12 03:20 ID:hMJR43EM
(・∀・)一一!!
808名無し:02/02/12 04:35 ID:aKETzhpt
獣煮!
809NO NAME:02/02/12 07:51 ID:fdVDUlx7
揉産!!
810 :02/02/12 12:36 ID:EiuWTSI4
渋死!!!
811_:02/02/12 14:59 ID:V4hHiGdX
銃誤
812:02/02/12 15:43 ID:iJJST/fV
汁録
813おもろい:02/02/12 16:19 ID:qitxN2xs
縦質
814とりあえず更新 ◆nlIuqPGI :02/02/12 17:25 ID:brWtn+qD
充芭血
815A:02/02/12 17:25 ID:homTlJr6
住蜂
816(´Д`) {ハァハァ、光萌え〜:02/02/12 17:26 ID:b/9PuZ2v
獣蜂
漏れも宇多田に
マウント取られたいYO!(w
頃されたくは無いけど(w
817とりあえず ◆nlIuqPGI :02/02/12 17:28 ID:brWtn+qD
あと、亀レスですが私もスレ形式きぼんぬ。
特に板違いということもないと思いますし。
>>815
勝った( ̄ー ̄)。
818(´Д`) {ハァハァ、光萌え〜:02/02/12 17:29 ID:b/9PuZ2v
19(ジューク)じゃね〜か・・・
逝ってきます。
819名無しのエリー:02/02/12 18:09 ID:znAKDLMn
弐重
820名無しのエリー:02/02/12 18:18 ID:I7fsW5IV
あのさ。スレ無駄に使うのはやめようよ。ROMっている人、全員が
書き込むわけないじゃん。意味ないじゃん。804に激しく同意。
書き込み読めよ、みんな。
821 :02/02/12 22:00 ID:xgfbwyTN
ちゅーか>>1がスレ形式で行くのを躊躇してるのは何故?
822とりあえず ◆nlIuqPGI :02/02/12 23:33 ID:brWtn+qD
>>821
>>1さんがスレ形式を躊躇してるんじゃなくて、
一部からスレ形式を疑問視する声が上がってるだけです。
823 :02/02/13 00:07 ID:AMj0vprM
birthdayage
824804:02/02/13 01:36 ID:2rqYl/f3
蒸し返してスマソ。

1さんは2ちゃん続行を希望。
ただ一部から無料HPに移行すればという声があり。
俺の推測だけど、転送量が多いってのと自治問題が上がってる時期だってのが
理由なのかな、と。
転送量っていうのは、これから頭に置いておくべきだけど
これくらいのネタスレはあってもいいじゃないかと俺は思う。
1スレで収まるならそれでいいだろうし、だから点呼のみの
無駄遣いはやめた方がいいんじゃと思った次第。

喉元過ぎて忘れてるかもだけど、鯖への負担、転送量ってのを忘れてると
結局、自分の首を締めると思うぞ?
俺は2ちゃんの存続を願うから、こうやって風紀しちゃうんだが。
では、今からマイクコードで逝ってくる。
825 :02/02/13 14:44 ID:Nvyx96O9
煮獣市
8261 ◆FOpuHkuA :02/02/13 14:50 ID:lvcPRlvz
はい、スレとHPの同時進行でいかせてもらいます。
今桜井と清春は[マンション建設予定地]の看板が立てられた空き地の片隅にある
このプレハブ小屋で雨を避けていた。窓からは爆発した中華料理店から立ち昇る煙がまだ見える。
休憩所として使われていたのだろうそこにはボロボロのソファーとテレビ、
あとは塗料などの入った缶などが散らばっているだけだった。
中に入った清春は空の一斗缶に手ごろな太さの材木を数本挿して小屋の真ん中に置く。
それに少量シンナーをかけ、落ちていたライターで火を着けて焚き火にした。
「シンナーが燃え尽きたら匂い無くなるからそれまで我慢しててね。」
シンナーの燃焼する匂いが篭らないように窓を開けながら清春は話し掛ける。
桜井は無言でソファーに腰掛けた。中華料理店の爆発を見てからここまで桜井は口を開いていない。
気力を失った訳ではない。だが口を開く気にはなれなかった。
「じゃあ桜井さん、俺もうちょっと燃やす木探してくるから。」
焚き火の前にしゃがみ込み、タオルで顔と頭を拭きながら清春は言った。
それでも桜井は俯き加減のまま黙りこくっている。

清春は、そんな桜井の目を盗んでさっきデイパックから取り出したものをタオルに包んだ。
それを火の中へ放り込み、小屋を出て行った。
桜井は清春の行動に気付かずソファーに背中を預けて天井を仰ぎ目を瞑る。
吉田拓郎・氷川きよし・氷室京介・布袋寅泰・Gackt・小室哲哉・hitomi・堂本剛。
自分が死を見届けた者達の顔が浮かぶ。そして桑田佳祐。
「何の為に殺すのか」そんな今更な問いが頭を掠めた。
[拓郎さんを殺すときに腹は括った筈だろう…]
桜井は頭を振って忘れることに努めた。
ふと辺りを見回して清春のいないことに気付き、薪を探しに行ったことを思い出した。
[戻ってきたら話でもしよう。そうすりゃ気が紛れるか。]
そう思った直後、焚き火から大きな破裂音が聞こえ火の中から何かが飛び出した。
「それ」は真上に跳ね天井に穴を開ける。とても薪が弾けたような物ではない。
更に爆竹を大きくしたような連続音とともに火中から入れ物の缶や小屋の壁に次々と穴が開く。
―――銃弾か! 「それ」の正体は清春が火にくべた余った銃弾だった。
絶え間なく銃弾が飛び交う中を桜井はソファーから身を起こし窓から飛び出した。
それでも小屋の壁を破り銃弾が飛び出してくる。桜井は地面に伏せて銃弾の雨が止むのを待つしかなかった。
程無くして音が止み、桜井は身体を起こした。痛みが走る。流石に無事では済まなかった。
左腕上腕部の肉は抉れ右太腿を銃弾は貫通している。下腹部にも痛みが走る。
民生に目を突かれた時すら比べ物にならない痛みは逆に笑いが漏れるほどだった。
「ハッ…ハハッ……あ、清春の野郎…やってくれるじゃねぇか…」
清春を非難するつもりなど無い。むしろあいつの方が正しい。
桜井は勝手に清春を仲間のように思っていた自分の甘さを非難した。
そんな桜井に追い討ちをかけるように何かのエンジン音が聞こえてくる。道路の方からだ。
道路に視線を移す。するとそこに車が現れ桜井の方を向いて止まった。
運転席に座る清春は笑顔を見せていた。

腑抜けた桜井に置き土産を施した後、清春は近くの道路脇に止められていた車の前に来ていた。
車はホンダシビックだった。
「ちぇ、FF車かよ。FRの方が好きなんだけど贅沢言ってもしょうがないしな。」
FF車とはフロントエンジン・フロントドライブ車の略で、エンジンも駆動輪も前に付いている車である。
ぼやきながら銃の柄で助手席のガラスを割り、ドアロックを解除して中に入った。
「非常事態には色々知識がある方が強いよな。知識があって良かったよほんと♪」
清春は鼻歌まじりに己の知識を披露し車のエンジンを起動させる。
桜井との距離は約10m。だがシビックは桜井の方を向いたままなかなか動かない。
まるで肉食獣が獲物の品定めを行うかのように。
その様子に苛立った桜井が懐の銃に手を伸ばそうとする。
それを待っていたかのようにシビックは飛び出した。

清春はアクセルを踏み込む。とは言ってもまだ殺す気はないが。あくまで様子見だ。
雨のせいで傷口を確認することは出来ないが、桜井の緩慢な動きから置き土産の効果が見てとれた。
それでも桜井はその場を飛び退き紙一重で躱した。
その様子に清春は満足げに笑みを浮かべる。この程度で死なれては困るから。
そして少し走って方向転換し再び桜井を視界に捉えた。

立ち上がるのも困難であろう状態で、桜井は足を引き摺りながら必死に距離を開けようとしている。
敷地から道路に出ようとしているのか。
その姿に不意に清春の目頭が少し熱くなる。
自分の気持ちの中では常に追いつけない存在だった男は今自分の前で無様に必死に逃げている。
その変わり果てた姿が清春に‘らしくない’感情を抱かせた。
しかし涙など流す気は無い。無駄な感傷が死を招くことは熟知している。清春は自分を切り換えた。
もう手を抜く気は無くなった。無様に逃げ回る桜井など本人にとっては当然、清春もこれ以上見たくなかった。
しばらく様子を見ていた為桜井との距離は30m程になっている。
「じゃあな、桜井和寿。」
桜井に最後の言葉を告げ、清春はアクセルを踏んだ。
シビックのエンジン音が一際大きくなる。背中越しに受ける音はまるで獣の唸り声のようだ。
今度は仕留めにくるつもりだろう。
「クソッ」
桜井は、今の自分の状態からして加速してくる車の回避は余りに困難だと考えた。
懐からFNファイブセブンを取り出し一度眺めた後、向き直ってそれを構える。
そして急発進するシビックに向け、傷に響く衝撃に耐えながら何度も引き金を引いた。

桜井の足掻きに気付き清春は座席に身を屈める。
しかし一発は助手席の方のフロントガラスに穴を開けたが、他は何発かが車体に当たっただけだった。
清春は更にアクセルを踏む足に力を込める。同時にシビックの速度が上がる。
あと20m・15・10…まだ無駄な抵抗を続ける過去のチャンピオンはもう目の前だった。
しかし――ボゥンッ――とくぐもった爆発音と共にボンネットは火と煙を噴き出した。
更にハンドルが清春の意思を無視して左に回り、桜井を目前にして進路は大きく横に逸れていく。
ボンネットの中がどんな状態かは分からないが、この車が制御不能になったことだけは
勝手に回り切って固定されたハンドルが雄弁に物語っていた。
「んだよ!?何発か当たっただけじゃねぇか、これだからFFはっ…」
八つ当たり気味に毒づく清春の横目に桜井の顔が見え、それが離れて行く。その顔を見て清春は呟いた。
「へっ結局お客さんの期待通りのシナリオかよ…」
そしてシビックは轟音と金切り音とタイヤの擦れる音を同時に奏でてコンクリートの壁に激突した。

「ふぅ…」
桜井は大きく溜息をつき銃に視線を落とす。
拓郎から奪ったこの銃の妙な文体の説明書の中の一文を思い出していた。
――この銃、FNファイブセブンは200m先のケプラーヘルメットを貫通し、
50mの距離ではなんとレベルVAクラスの防弾チョッキを貫通する。
VAクラスだぞ。わかるか?わかんねーか。
まぁつまり現在存在するほとんどの防弾ベストが役に立たない、というとっても過剰防衛な銃な訳だ。
で、なにが言いたいかっていうとお前はラッキーってことだ。――
説明書は不快なものだったがこの銃は役に立った。普通の銃ではこうはいかなかったかも知れない。
桜井はこの銃に恋人の頬にでもするかのように口づけた。
8311 ◆FOpuHkuA :02/02/13 15:00 ID:lvcPRlvz
通津君
832名無しのエリー:02/02/13 15:08 ID:dVqCturu
桜井萌え
833SuperGirl:02/02/13 15:08 ID:RIyZyiax
うあ・・・清春が・・・ショック・・・・・・
こうなったらオレの期待は充だけだ
でもヒッキーと共倒れになりそうな雰囲気だしな

とりあえず更新お疲れ!>1さん
8341 ◆FOpuHkuA :02/02/13 15:11 ID:lvcPRlvz
>>833
いや、まだちゃんとこの続きありますよ、念のため。
今月いっぱいは三日に一回の定期的なペースで更新します。
835 :02/02/13 21:34 ID:J1Mn4uaY
うん、これで志んだら
清春あっけなさすぎ。
836 :02/02/13 22:40 ID:hHxhRUmo
死地
837とりあえず保守 ◆nlIuqPGI :02/02/14 12:11 ID:qYxuNO9t
838名無しのエリー:02/02/14 21:11 ID:nVyusQ76
桜井・・・氏にそうだ
ガムバレや!
839_:02/02/15 00:43 ID:VMulMjbO
清春ガムバレ!
840いんちき:02/02/15 07:19 ID:6UIH2chF
保守age
841名無し        :02/02/15 17:40 ID:2XjrfEri
清春は氏んではいないと思うが傷は負ったんじゃないか?
桜井VS清春か…。
842名無しのエリー:02/02/16 10:02 ID:x7M3xmKu
ほっしゅ。
843:02/02/16 13:10 ID:b4NicETi
age
「…痛ってぇな……」
清春は目を覚ました。衝突のせいで身体のあちこちに痛みはあるがどうやら生きているらしい。まだ殆ど動けないが。
壁にぶつかる直前にサイドブレーキを必死で引いたおかげかも知れない、などとまだはっきりしない頭で考えた。
そこでふと疑問が頭を掠める。天井が見えるということは寝転んでいるようだ。
それも天井に見覚えがある。さっきのプレハブ小屋だ。

清春は部屋中に視線を走らせた。そして見覚えのある顔を頭上に見つける。
壁にもたれた桜井が見下ろしていた。
「…助けてくれたんすか。」
清春は寝転んだまま憮然とした表情で話し掛ける。
桜井は立ち上がらずに身体を引き摺るように清春の横に移動し顔を覗き込んだ。
「不満そうだな。」
「不満ですよ。あんたはそんな人間じゃないでしょう、桑田さんじゃあるまいし。」
清春は助けてもらった恩も忘れて捲し立てる。
「おいおい、助けなきゃ今頃黒焦げになってったってのにお前ってヤツは…ったく。
 …そういやまだ言ってなかったな…」
桜井は布袋達を殺した時のことを、ゆっくりと思い出しながら清春に話しだした。
「…それが俺を助けた事と関係あるんすか?」
桜井の話を聞き終えた清春は身体を起こしながら聞いた。桜井は伏し目がちに答える。
「ちょっと布袋さんらの気持ちが分かった気がしてな。お前にはまだ先があるだろ。
 思ったんだよ。別に生き残るのは俺じゃなくてもいいんだってさ…
 あの人らや桑田さんも多分そんな気持ちだったんだろうな…。」
「……桜井さん…」
清春は俯き、拳を固め微かに身体を震わせる。そして静かに、抑揚を押さえた声で呟いた。
「あんたもそんなもんか…ヘタレの桜井和寿なんざいらねーよ。」
感動などする訳がない。それどころか桜井の言葉は清春にとって失望に他ならないものだった。
陳腐な感傷に囚われた桜井など見たくはなかった。その想いが瞬時に殺意に変わる。
清春はワルサーPPKを桜井に向けていた。
「!……清春…」
「知ってるかい?親切の押し売りはお節介って言うんだぜ。」
何の感傷も抱かずに清春は引き金を引いた。
小屋の中に届く雨音は小さくなっていた。今日は降ったり止んだりの天気らしい。
その雨音を縫うようにカチンという音が数回響く。
清春は理解出来ずに更に繰り返し引き金を引いた。だがワルサーが銃弾を吐き出す事は無かった。
「無駄だな。弾入ってねぇんだもん。」
桜井は半ば勝ち誇ったような笑みを浮かべながら呟いた。
そして清春の視線は桜井が持つデザートイーグルの銃口に注がれる。
「運試しだよ運試し。お前が撃ってくるのは分かってたからさ。お前の持ってた二丁の銃、
 ワルサーとグロックだっけ?その片方の銃だけ弾抜いといたって訳だ。
 さっきも言ったろ?俺が生き残らなくてもいいって。…ただ、そいつが俺より強けりゃ、の話なんだよな。」

デザートイーグルを向ける桜井の左腕と右足は付け根が布切れで縛ってある。
「俺の勝ち…だな。」
桜井の呼吸は微かに荒れていた。だがそんなことが気にならないほど清春の視線は銃口に向けられている。
頭をフル回転させて助かる手段を考えた。
だが清春の頭脳は求める結果を導き出す答えを割り出してはくれない。
体中を鳥肌が覆うような錯覚を覚えるほど清春は自身の死を恐怖した。
何人もの死体を見たがまさか自分にその順番が巡ってくるとは。まさかここまで自分が死を恐れるとは。
自分と敵しかいない。この敵には簡単な騙しなど通じない。この場面を切り抜ける手段が無い。
死という名の蛇が鎌首をもたげ喉元に食らいつこうとしている。
――死ぬ?ふざけるな!何の為にここまでやってきたんだよ!結局桜井の噛ませ犬で終わるのかよ!?
必死で最悪のイメージを振り切ろうと努力し足掻く。
だが目の前の桜井という名の死神はその鎌を人差し指で振り下ろすところだった。



「あははははははははは。あっひゃはははははは・・・」
半ば狂気じみた笑い声がプレハブ小屋を包む。
桜井のこめかみにグロック34を押し付けながら天を仰ぎ、清春は笑いを堪えきれなかった。
傍にはさっき桜井を殴った血のついた特殊警棒とデザートイーグルが落ちている。
清春はさっきまでの恐怖心の反動で笑いが後から後から噴き出した。
――まさか不発だったとは。
桜井のデザートイーグルからも弾は出なかったのだ。
雨に打たれ続けたせいなのか元々不発弾が混じっていたのかは分からないがとんでもなく幸運だった。
弾が出なかった時の桜井の間抜けな表情もビビりまくっていた自分も遠い昔のようだ。
その桜井の顔面に特殊警棒をめり込ませ、すかさず銃を突きつけるともう馬鹿笑いが止まらなかった。

そして一頻り笑った所でさぞや悔しがっているであろう桜井に話しかける。
「しっかし神様ってヤツぁ素晴らしいシナリオ書きやがる。そう思わね?」
しかし頬の肉が少し裂けた桜井はいたって冷静だった。
「別に思わねぇな。映画なんかじゃわりと良くあるんじゃねぇか?
 それよりこのシナリオにゃまだ続きがあるんだぜ。」
そして続けて出た桜井の言葉に清春は耳を疑った。
「さっき言った片方だけの弾抜いたってのは嘘さ。その銃にも弾は入ってねぇよ。」
「!!?」
清春の思考は混乱した。嘘だろ?ハッタリだ。そう思いながらも思い込むことは出来なかった。
「そう言っといた方がお前も楽に死ねると思ったんだけどな。ま、嘘だと思うんなら引いてみな。」
桜井の表情は何の作意も匂わせない。対称的に清春の顔は引き攣っていた。

[そんな嘘をつく筈が無い。でも最初から死ぬつもりが無いなら両方弾を抜くのが普通だ。
 いや殺すつもりなら気絶している間に出来ただろう。そうだハッタリだ。]

「やっぱり俺の勝ちだろ?」
やっと結論は出たが、出すのが遅すぎた。
清春が思考を彷徨わせている間の一瞬の隙に桜井は怪我人とは思えぬ動作で
グロックを掴んで方向を逸らし、会心の速度で銃を清春の鼻先に押し付けていた。

「………やっぱり嘘かよ。」
今の清春にはこれだけ言うのが精一杯だった。
「悪いな。ホラ、俺って何やらせても天才だから。いい演技だったろ?」
「…どこが。最悪の演技だったぜ……ふっ…ハハハ」
それまで強張りきっていた清春の顔は何故か次第に口元から緩み出し、笑いを漏らす。
「あ〜あ、やっぱあんたにゃ敵わねーか。そう思ったら気抜けちゃったよ。」
嘘ではなかった。
桜井との差をはっきりと認識した時、
あれほど高まっていた恐怖心は清春の中からすっかり霧散していた。
「さっさと殺ってくれよ。焦らされんのは好きじゃねーしさ、女でも何でも。」
「…駄目だな、お前に…まだやってもらうことがある…」
「え?」
途端に桜井の身体は地震でも来たかのように震え出し、銃を床に落として崩れ落ちていった。
「おい……何してんだよ…?」
清春は自分の足元に、そしてそれ以外にも床のあちこちに血痕が散っているのに気付く。
今動いた事によって、先ほどの銃弾による傷から再び大量に出血させてしまったのだ。
その夥しい血の量は今の桜井の状態を語るのに十分だった。
無言で床に仰向けで大の字になっている桜井を見下ろす。アゴには顔に似合わない髭がうっすら生えていた。
その視線に気付いたのか地面を背にしながら桜井も足元の清春を見上げる。
そして右腕を動かし人差し指でしっかりと清春の顔を指差し白い歯を見せる。
「お前は絶対に生き残れ。そうすりゃお前より強かった俺が一番になるからな。」
桜井が悪ガキのような笑顔でそう言い放つと、その右腕はゆっくり下りていった。

清春はしばらく桜井を見下ろしていた。桜井の胸の浮き沈みが次第に小さくなっていく。
「…いい加減な事言ってんじゃねーよ。死んだヤツが一番の訳ないだろ。
 生き残ったもの勝ちなんだよ。つまり俺の勝ちだ。残念だったな。」
清春は語気は荒げず蔑むような視線を送りながら吐き捨てた。
もう桜井に聞こえているとは思えないが。
しばらく眺めた後、ずっと握っていたグロックを桜井に向け引き金を引く。
桜井の身体は着弾の衝撃で動いたがそれ以上の反応は見られなかった。
「言われなくても生き残るに決まってじゃん。桜井和寿に勝ったのに他のヤツに負ける訳ねーからな。」
清春は桜井に背を向け出発の準備を始めた。
8501 ◆FOpuHkuA :02/02/16 14:29 ID:B7KLoEB8
バンクルワセ
851名無しのナンシー:02/02/16 14:40 ID:Q7b7ISNu
乙!
桜井・・・(´Д⊂
852名無しのエリー:02/02/16 15:08 ID:428ZVtZT
こう来たか・・・桜井カコイイ!
853名無しのエリー ◆bzx9FKd2 :02/02/16 15:16 ID:HSua1fmW
またどこかで 会えるといいな 死んだ桜井
854名無しのエリー:02/02/16 15:28 ID:cvZLvnMz
桜井まで死んだら鬱だYO…
855とりあえず更新 ◆nlIuqPGI :02/02/16 19:57 ID:x7M3xmKu
オツです。
残り5人ですか…(多分)。
スガ・YOSHIKI・松岡・宇多田・清春
でもここまで来ると、死んだっぽいヤツでも生き残ってそうでなんとも。特に吉井。
856名無しのエリー:02/02/16 20:04 ID:qD0pVYA7
お疲れ様です。
次は誰が逝くかな・・・宇多田辺りと予想
857名無しのエリー:02/02/16 21:50 ID:EDWVPwN7
今回の話は凄いね。
最後の最後までどっちが勝つか全く分からなかった。
858age:02/02/17 02:50 ID:Nfn/thay
おお、優良スレ!
4時間もかけて1からずっと読んでしまったよ。
宇多田のキャラがいいので、最後までがんばってほしい。
最後には消えるキャラではあるが…
>1さん、がんばって!
859名無し        :02/02/17 12:24 ID:Brh4AY5n
嗚呼、90年代J-POP界を支えた双璧のもう一方も崩れたか・・・。
しかし桜井と違ってBzはあっけなかったな。
860名無しのエリー:02/02/17 16:39 ID:Z4Zfca20
吉井はホントに死んだっすか?
生存キボーン
861 :02/02/17 19:21 ID:pUSNYRFX
桜井タン(´Д⊂
862SuperGirl:02/02/18 10:38 ID:zE1HgX3Q
正直清春やられると思ってたので嬉しい☆
今回のは最後までどっちが勝つかわからんかったので面白かった!
いよいよクライマックスが近付いてきましたが、どうなることやら・・・

次は誰と誰だ?
順当に行けば充VSヒッキーか・・・
863名無しタソ:02/02/18 23:06 ID:2x5+or3h
次ぎは穏健派のスガvs宇多田と予想してみる
864age:02/02/19 13:36 ID:n2z3dNhf
age
突然のことだった。
空の一角がキラリと光ったかと思うと、
炎に包まれた2つの球体が、派手な轟音と共に振ってきたのだ。
恐らくは大気圏外、即ち宇宙からやってきたのだろう。
恐ろしいほどの加速度がついたそれは、
落下の衝撃だけで武道館の一部を灰燼に帰した程だった。
「お、おい。なんだよ、ありゃー?」
「し、しらねー。しらねーよ」
当然の事ながら慌てふためく兵士たちをよそに、
その球体はウィィィンと金属的な音を立てて開き始めた。
「ふうっ」
中から現れたのは2人の男だった。
1人は大柄で筋肉質の身体をした30代ほどであろう男だった。
ただでさえいかつい顔つきなのに加え、
つるりと禿げ上がった頭がより一層の威圧感を生んでいた。
もう1人はやや小柄な男、いやまだ少年と呼んでも差し支えない程の年齢だろう。
総毛立った頭髪が、あたかもこの男の攻撃性を象徴しているようだった。
見かけは日本人そのままのような彼らだったが、それにしては違いすぎる点があった。
「お、おい。あいつら……」
「あ、ああ。シッポ…シッポが生えてやがる。ウソだろう」
そう、2人の男は共に猿を思わせる尻尾が生えていたのだ。
無論尻尾が生えた人間などいない。いる筈も無い。
それは、ここに居合わせた男たち全てに共通した認識であった。
また、男たちにとって一大イベントであるプログラムに水を差されたという思いも、
彼等が等しく抱くところであったろう。
「チッ。なにかと思えばただのコスプレバカじゃねーか」
「ウラッ!!ここはよー、おめーらみてーなのが来ていいとこじゃねーんだよ!!」
騒ぎを聞いて駆けつけた陽水の眼に、次第に暴力の色が宿ってきた。
それも無理もない話であろう。
ここまでの名勝負の数々は、彼のボルテージを最高潮まで高めてなお余りあるものだったからだ。
極端に言えば、彼は己の暴力欲の捌け口を、この得体の知れない2人組みに求めていたのだ。

だが、2人の男たちは全く動じる色を見せなかった。
まるで周囲の状況などお構いなしであるかのように。
「地球とかいったな。まあまあの星じゃないか」
不意に小柄な男の方が口を開いた。
それを受けて、大柄な男の方もニヤリと笑う。
「ピーピーうるさいヒヨコどもに挨拶してやろうかな」
そう言うが否や、右腕をバッと突き出した。
「ああ!?さっきっから、なに訳わかんねーこと言ってんだテメーラ!!」
陽水が、そう言って掴みかかろうとした瞬間。
クンッ、と大柄な男の人差し指と中指が勢いよく曲げられた。
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンン!!!!!!!!!
凄まじいほどの衝撃波が男を中心として発生し、周囲の者達を全て巻き込んでいった。
立ち昇った土煙が晴れた頃、その場に立っていたのは得体の知れない2人組だけだった。
「おっといけねえ。ちょっとばかりハデなあいさつになっちまったかな」

◇◆★邦楽バトルロワイヤル★◆◇   〜完〜
868:02/02/19 16:30 ID:e84zG4cg
いや、まったく予想外の結末でしたね。
長い間ご愛読ありがとうございました。
869名無し        :02/02/19 16:36 ID:3gFKvouP
アホか
870  :02/02/19 16:40 ID:9WD/Xtwx
本当にこれで終わり!?
871:02/02/19 17:19 ID:KztOjJ94
・・・・?
なんかのネタ?
872みるく:02/02/19 17:40 ID:ppQgQdOp
マジこれで終わり??じゃあ、充VSヒッキーは〜??
873息子(ほのぼのレイプ) ◆rapednTk :02/02/19 17:42 ID:yqfJeLZY
いや〜ホント近年稀に見る予想外の結末でした。
874荒らすなゴルァ:02/02/19 17:43 ID:n2z3dNhf
>>865-867
氏ね と言っておこう
875 :02/02/19 17:55 ID:vYqdl6lk
これからクライマックスっていう時に何を・・・。
というか次スレ逝く意味ないやん。
876ちょっと:02/02/19 18:12 ID:E69hudn3
コレほんとじゃないよね?
かなりびっくりしたんだけど。
877  :02/02/19 18:24 ID:gPHqC7tZ
???
878   :02/02/19 18:59 ID:NRIURdV9
あにょ……
>868様は本当に>1様なんですか???
879ななしんじゃ:02/02/19 19:08 ID:jlSWQsF9
>>865-867
は、1じゃないと信じたい。
880SuperGirl:02/02/19 19:19 ID:Wzcdc9pR
つーかなんでドラゴンボールなん?
881 :02/02/19 19:28 ID:/3bIvLfr
                    ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
            ,,--―'''""`ヽ'         ̄`ヽ、
           /        ヾ  /       ~`ヽ
         /           ヽ;:  /"""ヾ   ヽ
        /        ;:;;:::''''   l /;:;;:::'''  \   i
      /        /;:;;:::'''           ヽ  ヽ
      |         |               ヽ  |
      /        ;/                ヽ ヽ
     /        ;:;:ヽ            ,,,,;;::'''''ヽ  |
     i          /  ,,,,;;:::::::::::::::       __ ヽ ヽ
     |          |  "   __ ::::  '"ゞ'-' |  |
     |          |.    - '"-ゞ'-' ::::::..      |. |
     |         ;:|           :::::::       | :|
      |         ヽ.         ( ,-、 ,:‐、   | | 
      |       /ヾ..                  | |
      |          |         __,-'ニニニヽ .  |  |
..       |        `、ヽ        ヾニ二ン"  /  |
        |         ヽ\             /  |
        |          l  `ー-::、_       ,,..'|ヽ./ 
        ヽ.        :人      `ー――'''''  / ヽ
        /;:;:;:;;:;:;: _/  `ー-、          ,.-'"   \ー-、
           ,.-'"  \:      \      .,.-''"     |
         /.     \        ~>、,.-''"      |
    ,,..-‐'''""        ヾ    ,.-''"|    /――――、/

            うそはうそであると見抜ける人でないと
           (掲示板を使うのは)難しい
882 :02/02/19 20:35 ID:yBkI+6tp
なんか、不人気で途中で打ち切りになった
連載漫画やドラマにありがちなオチだな・・・
883名無しのエリー:02/02/19 20:59 ID:/URC8ntV
でも少しワラタ
884Lucyさん:02/02/19 21:23 ID:gilzq0ZD
ナッパ萌え。
自然な形で溶け込んでんなー。。。。
885mm:02/02/19 22:11 ID:JP/iIRFc
え…終わり?
ヒッキーはどーなったの(怒)
886名無しのエリー:02/02/19 22:27 ID:MTEhUcab
つーかニセモノでしょ、このラスト書いたアフォ・・
8871 ◆FOpuHkuA :02/02/19 22:52 ID:L5rw0SZw
>>365-368
偽者です。
8881 ◆FOpuHkuA :02/02/19 22:55 ID:L5rw0SZw
この◆FOpuHkuAっていうトリップ以外は全て偽者だとみなしてください。
8891 ◆FOpuHkuA :02/02/19 23:16 ID:L5rw0SZw
HR・HM板の偉大なる固定様が突然御登場なさったのがどうも気にかかるのですが。。。
今から貼るのは清春の番外編です。
とりあえずさん、下のシーンのために新たに『番外編』
という項目を作っていただけないでしょうか?
890 ◆FOpuHkuA :02/02/19 23:20 ID:L5rw0SZw
SADSの清春は今高校の生物室に身を潜めている。
身を潜めているといっても彼は決してこの現実から逃げようとしているのではない。
だからと言ってこのゲームに反発するつもりがあるかといったらそれもまた違う。
しっかりと闘いのための準備を整えているのだ。
 
彼もまた突然この殺人ゲームの戦場へと投げ出されることとなった一人だ。
ここまで過酷なゲームとなると半ば諦めが漂うと思われるが清春は違った。
このゲームは最も腕っ節が強い男が勝つわけではない、最も殺人への割り切りができた男が勝つのだ。
さらに彼には何故か元々『演技力』という武器があった。
このゲームをあくまでも舞台の上のような場所だと自己暗示すればいい。
真に暗示が掛かれば殺人でさえも恐ろしいほどに割り切ってできるはずだ。
そしてこの演技力は相手を油断させるためには非常に頼りになるはずである。
正気な人間ならば簡単に殺人へと走る事はない。そして「これは夢だ」と現実逃避するものである。
さらにそういう男は、実はその逃避が非常に前向きな考えではない事に気付かない。
だからその正気を捨てられない男に近づくには自分もそんな男になりすます。
そこから先はスキを突いて殺せないはずはない。
「よーし、これで二つ完成したな。それにしても作るのにだいぶ手間かかるんだな…これって。」
彼が今製作していた物は高濃度の硫酸である。
これだけ濃度が高い硫酸だと手から被っただけで骨まで溶けるほど強力な溶液となる。
高校の時に実験でやった蒸留作業を思い出して、その作業を繰り返して作った物だ。
「時間もかかるし、もうこれ以上は作りたくねえな。でもしょうがねえか、支給された武器が『各種銃弾詰め合わせ』なんだもん(苦笑
 あんなもんじゃ不意打ちなんて喰らわせらんねえっての!でもこんだけ濃度の高い硫酸だったらそらマジでヤバイんだろうなぁ……。」
清春はビンに入れた硫酸を一つ、両手で慎重に持ちながら生物室内を見渡す。
「なにかで試してみようか……。」
目についたのは教室の窓側に並んでいる水槽。淡水魚やカエル、ザリガニなどがその中に入ってある。
「あれだな…あいつらで試させてもらおう。」
 
清春は硫酸ビンを教卓に置き、水槽に向かうと手ごろな大きさのザリガニを水槽から出して持ってくる。
それを教卓の上に置いた。「はあ……。今からこのザリガニ君に硫酸をかけるわけだな。」
少しばかりためらいつつも、ザリガニ相手に戸惑ってはいられないとばかりにほんの20ccほどの硫酸を注ぎ込んだ。
シューーッ
ザリガニの背中が蒸発するかのように溶け出す。
「うわっ!グロッ!気色わりいなー、全くよぉ。
 でも人間に至ってはこんなモンじゃねえんだからな。
 やっぱちょっくら戸惑っちまうよな……。…つうかスゲエなおい!
 木でできた教卓まで溶けて貫通してるじゃん!
 これなら別にザリガニで試さなくてもよかったじゃねえか。」

コツコツコツ……
「ヤ、ヤベッ!」廊下から突然足音が聞こえ出したのでさすがに清春は驚いた。
だが冷静に教卓の下に隠れ込み、聴覚を研ぎ澄ませながら相手の動きを覗う。
ガラガラ……
自分の今いる教室の後ろのドアが開く音が聞こえた。
「…すいません、誰かいらっしゃるんですか?」
その声を聞いた清春はかなり安心したと同時に、冷静にこの後とるべき最善の行動を考えた。
(入ってきやがったのはCHAGE&ASKAのチャゲさんか。ひとまず安心だ。向こうから襲ってくるとは思えねえからな。
 さてと……。いつのタイミングで現われようか。教卓に隠れ込んだこと自体で不信がられそうだからな。)
「……だ、誰もいないんですか?」
このままチャゲが入ってくる可能性は高いが逆に教室に入らずにそのまま素通りされるかもしれない。
清春からするとできれば後者の方を避けたかった。
せっかく遭遇した相手が無抵抗としか考えられないチャゲなのである。ここは殺して武器を頂戴するチャンスだ。
チャゲが動揺してこちらに武器を向けることさえ防げれば楽勝なはず。
 
ガラガラ……
またドアが閉まる音がした。
ただこの音はチャゲが教室内に進入してきた音なのか、廊下側に出て行った音なのかがどうも判別できない。
焦った清春は思わずチャゲを立ち止めようとして叫んだ。
「ねえ、チャゲさんだろ!?俺です、SADSの清春です!待ってくださいよ!」
叫びながら思い切り立ち上がる清春。それと同時に少しばかりの後悔も感じた。
「う、うわぁー!!ううう、撃たないでーー!!」
チャゲは教室内に進入していたのだ。そして清春の不意打ちじみた突然の登場に思わず腰を抜かしてしまう。
「ちょっと待って、待ってくださいチャゲさん!落ち着いてくださいよ!」
「いやだーーやめてくれーー!!お、お…俺も飛鳥みたいにするつもりなんだろーーー!!」
「……飛鳥?どういう事です?教えてください、チャゲさん!飛鳥さんがどうしたんです?」
「こっちに来ないでくれーーー!」
歩み寄ってくる清春に対してチャゲは武器らしき物を投げつけた。
それをよけた清春は自分の後ろの壁に当たった武器らしき物に目をやる。
警棒―――それを見た清春は多少拍子抜けした。なんだ、そんな物持ってやがったのか。
しかし清春は演技の一環として安心した顔を作った。
「ハハハッ!安心したましたよチャゲさん!
 俺もてっきりあなたがヤバイ武器持ってるんじゃないかって思ってたんです。
 そしたらそんな棒持ってるんだもん(笑)。大丈夫ですよ、俺だって何にも持ってませんもの!」
「清春…くん?」
清春の満面の笑みを見たチャゲは一気に我にかえって安堵感が溢れ出す。
「清春くん、本当に…本当に撃たないんだな?俺…清春くんを信用していいんだな?」
「当たり前でしょ。人殺し?よく考えてくださいよ。そんなことできるわけないじゃないですか。」
「き…清春くーん!」
突然なんの前触れもなしにチャゲが立ち上がって接近してきた。
当初は接近した直後に不意打ちを喰らわせようと考えていた清春にとっては逆に不意打ちを喰らった格好だ。
しかたなく清春は近づいてくるチャゲを抱擁する。
「ハハハ…いきなり抱きついてきて気持ち悪いですよ。
 まあ心配だったんですね。でももう安心してください。」
 
その後一応の冷静さを取り戻したチャゲは清春と共に教壇に腰を掛けて話し込んだ。
内容は飛鳥についてだ。それについては清春も多少なりに興味があったので聞き込んだ。
「つまりこっから少し北にある図書館内で泡吹いて倒れてたわけですね、飛鳥さんは。」
「そうなんだよ。飛鳥にあんな事した人許せないし、怖いし。俺、どうしたらいいのかわからなくて……。」
「でも本当に死んでたんですか?倒れてただけかもしれませんよ。」
「うん、それについては俺自身動揺してたもんではっきりわからないんだ。
 確かに顔面は真っ青だったけれども、もしかしたら…」
その時突然、夕方6時の放送が流れてきた。
放送を聞き終えた二人。少し間を空けた後に清春が口を開いた。
「今、飛鳥さんの名前上がらなかったですよね?」
「ああ、確かに上がってなかったみたいだね。」
「でしょ?なーんだ、飛鳥さんも生きてるんじゃないすか。よかったですねー。
 もしかしてまだ図書館にいるかもしれませんよ。近いから行ってみましょうか?」

ここまで喋った瞬間に清春は自分のすべき事を思い出す。
―――そうだ。こんなところでおしゃべりもいい加減やめにしないと。
     ここで思い切って殺れなかったら後々まで割り切って殺せなくなるぞ。
「じゃあ、清春くん。今から二人して飛鳥がまだいるかどうか見てこようよ!」
チャゲはそう言って自分のシューズの靴紐を締め直し始めた。
 
―――早く殺さなくては―――
そんな強迫観念を抱きながらその様子を見つめる清春。
清春は静かに立ち上がって教卓に置かれたビンを手にとった。
「じゃあ早いとこ行ってみよ………」
「ちょっと待ってください。」
後から立ち上がったチャゲの後ろの首筋をガッチリ掴んだ清春は一言つぶやく。
「な、なんのつもりなんだ……清春…クン…」
「あなた、さっき撃たないでって言いましたよね?そりゃあ撃たないさ。銃持ってねえんだもん。」
「ね、ねえ……そりゃあ…ねえ?まま、まさか…まさか人殺しなんて…ねえ?」
「俺も銃がなかったら他の方法を考えるさ。常に前向きに生きていこうと考えてるからな。」
「一体……一体何をお考えなので…しょう…か…?」

清春は思い切って手に持った硫酸をチャゲの脳天へ流し込んだ。
「ギャーーーーッ!!!」
チャゲの頭蓋骨が溶けて煙が上がった。
「今度生まれてきたらもっと賢く育ってくださいよ。」
8951 ◆FOpuHkuA :02/02/19 23:26 ID:L5rw0SZw
ここまでが『番外編1』っていうことで
896【1日目午後9時頃】ビジネス街:02/02/19 23:28 ID:L5rw0SZw
清春は夜のビジネス街を徘徊していた。

数時間前に初めて味わった感触、人間を殺した感触がいまだに残っている。
大体、人間が殺人を犯した後は精神的に非常に不安定になってしまうものだが清春の場合違った。
むしろチャゲを殺したことにより清春の精神は安定しつつある。
それは当初から不安だった「自分に殺人ができるのだろうか?」
という、どうも確信の持てない疑問をチャゲ殺害により一気にかき消すことができたからであろう。
そしてなにより清春の『環境に速やかに適応する』という優れた能力が功を奏したのであった。
つまり彼はもはやこの殺人ゲームという環境に完全に適応しつつあるのだ。
今や清春は何事にも動じない。
これから先も無抵抗な相手なら速攻に仕事をこなし、
強敵が現われても頭脳を使って闘う覚悟ができている。
 
この時は今日中に立ち入り禁止区域に指定されそうなこの区域を徘徊していた。
「何か…何か武器になるモンが欲しいんだけどな。」
現時点で清春の持つ武器は、まず最初に支給された各種銃弾詰め合わせ。
銃を所持している場合ならばこれほど『当たり』なアイテムもない。
だが銃のない現時点ではこんな物は邪魔な荷物にしかなり得なかった。
だからといって銃調達後の事を考えると捨てられるはずもない。そういう意味で大変に迷惑な荷物である。
次に高校の生物室で自作した高濃度の硫酸。
この威力は先ほど実践済みなので役には立ちそうである。
だが最初からビン二つ分しか製作なかった上に一つは使用済み、つまり残りも一つだけしかない。
最後の武器はチャゲから奪った警棒。
素手よりはマシだといえば相違ないのだが当然多くは期待できない。
そこまで考えると現時点の清春の不安材料は武器一点に尽きるのだ。
897【1日目午後9時頃】ビジネス街:02/02/19 23:29 ID:L5rw0SZw
運がいいのか否か、清春は数十メートル先にいた西川貴教を発見した。
「おっ?あそこに突っ立ってんのは西川君じゃねえの。どうしよっかな……話しかけよっかなぁ。」
この時なぜか清春はすぐに殺すことは考えなかった。
なにしろ公私ともに自分と仲の良い西川貴教である。
見逃す気もないが殺すのはあくまでも西川と談笑でも交わしてからで構わないと思った。
いくら良心を捨てたといってもなんとなく気晴らしがしたかったのかもしれない。
だがその考えはプログラムを遂行する上では賢いとは言えなかった。
「西川くーん。こっち向けよーー。」
「あ、清春君か…あいつこんな時でもずいぶん呑気なんだな…。」
「西川くーん。いいかー近づいてもー?」
相手が多少警戒しているかもしれないことを考慮して清春は近づく前に前置きをした。
「おお、清春君。こっち来なよ。」
898【1日目午後9時頃】ビジネス街:02/02/19 23:30 ID:L5rw0SZw
二人はとあるオフィスビルの一角にあった銀行に入った。
清春は窓口の前の席に腰掛けながら両の足を机の上に乗せて、西川に半分背を向けたままで話し始める。
「西川君、どうなんだぁ?これ始まってからなんかいろいろと動いてる?」
清春から見て入り口に近い方のソファーに腰を掛けている西川は顔を下に向けながら押し黙っている。
(こいつ、誰も殺ってそうにねえな。こっちから一人殺ってるって言ったらどんな顔すんだろ?)
どう見てもどこか顔色の悪そうな西川の様子を垣間見した清春はためしに相手が驚くであろう言葉を投げかける。
「俺の方はねえ、今んとこ一人殺ってるんですよ。まあチャゲさんなんだけど。」
「ああ、そうなのか…。やっぱみんなそんなもんなんだな…。」
西川はすぐにそう返事をした。そのつれない反応に驚いたのは清春の方だ。
(なんだぁこいつ?俺がチャゲさん殺してるって言ってるのになんで少しもビビらねえんだ?)
清春は驚いた後大人気なくも多少腹の立つ感情を覚えた。
 
このプログラムを遂行するにあたってのとりあえずの自らによる大きな収穫なのだ。
それに対して西川の見せる、ほとんどムダ話を聞くかのようなこの反応。

「じゃあなんなんだ?西川君も誰か殺してるとか?」
「え、ああ。まあね。俺も一人殺してるんだよ。
 なんであんな事やっちまったんだろう…。ホントに無念だよ。」
「エッ!ウソッ…!」
さらに西川の言葉に驚かされる清春。
今度はあからさまに驚きを見せてしまった。
その清春の反応をよそに西川は続ける。
「aikoちゃんだよ。日の暮れた後だったと思うんだけど、
 aikoちゃんを見つけたから声掛けようか距離おこうか迷ってたんだ。
 そしたらついうっかりあの人の首筋に一発放っちまったんだよ。
 すまねえ、ホントにすまねえaikoちゃん。頼むから成仏してくれよ……。」
899【1日目午後9時頃】ビジネス街:02/02/19 23:31 ID:L5rw0SZw
それを聞いた清春にはもう驚きの気持ちはない。
清春の興味は一気にそのaikoを殺したときに使った武器とやらに向いた。
(一発?放つ?それって銃持ってるって事だよな?それなら貰っとかなきゃなんねえよな。
 よし、スキを見て奪ってやろう!殺すなりなんなりはその後考えりゃーいいもんな!)
清春は立ち上がって西川に詰め寄った。

「へえ、西川君も満更でも無いんだ〜。
 でもホントにaikoちゃんを殺っちゃったって事は銃かなんか持ってるんだよね?
 どんな形の銃なの?ちょっと今見てみたいんだけど出してみてもらえるかな?」
「ああ、別にいいよ。銃っていうんじゃないんだけどなぁ。」
そう言いつつ西川がデイパックから出してきた物は
―――長さが50センチ有るか無いかほどの棒であった。
「ええっ!?なんなのそれは?」
「吹き矢だよ。これの矢に毒を塗りこんでから吹くんだよ。」
「へへへ、なんスか?なんスかそれー?ふきやあ〜??
 吹き矢で人殺しただって?あはははははは!ひゃっはははははは!」
普通は落胆するはずの所でなぜか清春は爆笑してしまう。
 
「おいおい、笑ってんなよ清春君。
 この猛毒を矢に塗りつけるんだぞ。
 すごいシャレになんない武器なんだぞ実は。」
不機嫌そうな西川はそう言いつつ付属の毒薬のケースを見せた。
中にはヘアーワックスか軟膏のようなクリーム状の毒薬らしき物体が入っている。
それを受け取った清春は笑いながら外部に書かれた文字を読んだ。
「いやあ、どうやら毒薬でもなさそうだー。
 なんか書いてあるもん、『麻酔作用を促します』みたいな事が。
 つまり睡眠薬でaikoちゃん眠らしたってわけなのね。
 西川くんにはかなわねえよなー。吹き矢に睡眠薬塗ってサバイヴしてるんだもの。
 ははははははは!ホント成仏してくれよなaikoちゃん!わはははははははは!」
900【1日目午後9時頃】ビジネス街:02/02/19 23:31 ID:L5rw0SZw
一通り笑い終えた清春に残ったのは苛立ちであった。
西川が取り出した吹き矢は確かに滑稽な物ではあったが
よくよく考えると少しづつ腹立たしさが大半を占めてくる。
せっかくやっと拳銃という武器を入手して今後の装備的充実を得られる
と思った矢先に文字通り吹き矢が出てきたのである。
そしていい加減西川との井戸端会議には飽きてきたところであった。

「西川君。西川君が持ってる武器ってそれだけなのか?」
「ん、ああ。まあな。これだけだ…。」
「そっか…。それならもういいかな。」
清春は右手に警棒を持って突然威嚇を始めた。
 
「おい、西川。とりあえずその吹き矢はこっちによこしてくれや。
 そんな物でも身なら守れるからな。素直に渡してくれたらケガしねえで済むぞ。」
警棒などで威嚇したところで役不足だというのは当然承知の上だ。
しかも警棒ならさっきから普通に手に持っていたので
自分自身でもまるで真剣に威嚇している感触がない。
だからこそいつの間にか巧い具合に周り込み、
西川の逃げ道をふさぐことによって
武器における説得力のなさをカバーしようと努力もした。
それを見た西川は少し笑みを浮かべているかような表情を作った。
「なんだよ清春君。最初から武器目当てならそう言えよ。」
「ああ、まあちょっと様子見ってヤツかな?
 吹き矢なんてもらったところでどのくらい
 有効活用できるのかは正に未知数だけどね(笑)」
「そっか、じゃああげるよ。受け取れっ。」
901【1日目午後9時頃】ビジネス街:02/02/19 23:31 ID:L5rw0SZw
西川は吹き矢を清春に向かって投げた。
そして清春が吹き矢を受け取ったその瞬間には
すでにワルサーPPK9ミリを構えて立っている西川がいた。
「……チクショウ……。やっぱり銃持っていやがった。
 テメエもまた計算高いヤツだったってわけだ。」
「ナメるなよ清春。俺だってこのゲームに乗った輩だ。
 別にaiko殺したのだってやむを得ない事だと思ってる。」
「いや、aikoちゃんは死んでないだろ。その毒薬ってヤツを塗りこんだだけなら。」
「彼女が生きてるか死んでるかは大した問題じゃあない。
 どうせあの子はこんなゲームに乗る気にはならんだろうからな。
 それにこの銃を奪い獲ったという収穫があったのには違いないんだ。」
「なるほどな。その銃はaikoちゃんのだったんだ。」
 
「そういう事。まあ結局はお前みたいな
 しょうもない男にその吹き矢が似合ってるんだろうな。」
「言ってろや。クソッタレが……。」
「そうそう、一つ聞いておきたいんだが。
 お前、たとえこの今の危機的状況から抜け出せたところで
 最後まで生き残る自信って奴はあるのか?」
「何言ってやがんだ。俺は当然最後まで残るぜ。その自信があるんだ。
 『この今の危機的状況』って奴もすぐにでも形勢逆転してやろうか?」
それを聞くと西川は冷笑した。
「ふふ、だからお前は頭が足りないんだ。」
「なんだとぉ?」
902【1日目午後9時頃】ビジネス街:02/02/19 23:32 ID:L5rw0SZw
「俺もお前も言うなれば雑草。あるいは何者かのかませ犬。とりあえずそういう意味合いでは同類なんだ。
 その雑草がこのゲームの勝者へと成り上がるだと?それこそ愚かな発想だとは思わないか?
 底力を見せた所で最終的でも中堅狙い。そうなる事は必然だろ?それがぴったりじゃないか、俺たちは。
 誰も俺らが生き残る事を望んじゃいない。あえて言うならば自分自身だけがそれを望んでいるのだ。
 俺たちの骨がどこに落ち着くのか?それは知らない。塵になるんだろうなと俺は思う。
 忘れ去られ、土の中に吸収され、空虚さと退屈さを欺く。それが俺たち雑草の死に様だろうが!!」
 
「こいつ、何言ってやがんだ……。」
西川の今まで見たことのないような雰囲気に清春は同様を隠せない。
「それが雑草の死に様?じゃあなぜ俺らは今闘いの場にいるんだ!?」
「なぜ闘ってる?そんなことを俺に聞くもんじゃない。
 少なくとも今言えるのは、俺たちが二人して殺し合う、
 それが俺たちの最もたる死に様なんだろうな。」
「ふざけんなよ…。目立たないヤツはとっとと最期を迎えろだと?
 それは西川、お前だけが望んでいればいいじゃねえか。
 このクソゲームには命が賭かってるんだぞ?
 今度は誰かのかませ犬にはならねえ!
 今こそ俺の真の実力を見せる時なんだよ!」
「そうか。今度はお前にも理解しやすい話をしてみようか。お前は所詮……」
「うるせえ、もう喋るな!!」
清春は話を続けようとする西川に対して怒鳴りつけた。
903【1日目午後9時頃】ビジネス街:02/02/19 23:33 ID:L5rw0SZw
「喰らいやがれ西川ーー!!」
投げつけたのはデイパックにしまいこんでいた自作の硫酸ビンであった。
西川はよけようとしたが間に合わず、右の脇腹辺りにビンが命中してしまった。
「グアァアァーーーーッ」
脇腹の服の生地が一気に溶け出す。
もしも上半身が裸だったのなら致命傷であったかもしれない。
さすがに銃相手では分が悪いとみた清春は銀行の外へと走り出した。
「またそのうち会った時相手してやるよー!
 その時は銃も持ってくるから、またナメて話し込むんだったらすぐ殺すぞー!」
「清春ぅうぅ……!逃げるなコラァァ……!!」

パンッ、パンッ

西川は銃を二発発砲したが命中せずに清春は走り去っていった。
この二人が翌朝図書館で再び対決することとなる。
9041 ◆FOpuHkuA :02/02/19 23:36 ID:L5rw0SZw
ここまでが『番外編2』ですね。
今日はジョージ・ハリスンに萌えて荒氏に萎えました。
905名無し:02/02/20 00:41 ID:CPWdeOhx
CHAGEが別人だわ
906名無しのエリー:02/02/20 13:24 ID:7Ox5F2N1
清春・松岡・西川がキャラかぶってみえる。。。
907SuperGirl:02/02/20 15:50 ID:9h903fPT
頑張れ清春!!
出来れば最後まで残ってほしいけど、でも生き残るのはシカオっぽい・・・

さぁいよいよクライマックスか?
908外野席:02/02/20 21:01 ID:vk/p6Tmd
J-POP界の売れっ子がどんどん消えていく中、
それをニュースで見ながら「またアタシの時代ね」と、ほくそ笑む吉田美和。
なんてことはないのかな。
で、突然後ろからMISIAに棍棒で襲われるみたいな。

あと「何でアタシは参加できないのよ!」と抗議する今井絵里子ってのも欲しい。
909 :02/02/21 20:28 ID:nOMxcm0m
↓元ネタ?
ttp://ad2ch.tripod.co.jp/

最初にこの邦楽スレから読んだから
パクられたのかと思たよ
910age:02/02/22 11:55 ID:0P+Kyx/a
age
911名無しのエリー:02/02/22 17:53 ID:bALiD5BS
>909
はじめは貼ってたって1さん
自己申告してたじゃん。
それでも偉業だよ。。。
完結してほしくないエリーがここに一人
9121 ◆FOpuHkuA :02/02/23 12:34 ID:wi6bs+LN
>>909
詳しく説明しますと
その『ときメモ版』の最初の部分のみ(ここで言うレス1〜65まで)を『プロレス版』の1さんがパクって
その後、その1さんが突然引退宣言をしたので何人もの方がプロレス版の続きを書くことになったんです。
つまりこのスレは5%はときメモ版の、95%がプロレス版のパクリとなってます。

>>911
いやぁ偉業だなんて恐れ多い。
9131 ◆FOpuHkuA :02/02/23 12:41 ID:wi6bs+LN
貼ります
9141 ◆FOpuHkuA :02/02/23 12:41 ID:wi6bs+LN
日本武道館に程近い地下鉄九段下駅から南へ1キロ。
辺りには軍のジープや消防車が散乱している。
更に銃火器で武装した自衛隊員がゲーム参加者の襲撃に備え近辺を見張っていた。
つい先刻までここでは火災の消火活動が行われていた。

消化ホースを片付け終えて3人ほどの隊員が会話している。
「何で俺らが消防士の真似事させられるんだよ。これで二軒目だぞ?」
「しゃーないやろ。『マグロ拾い』隊よりマシやで。」
「そうですよ、赤嶺さん。死体の回収の方がよっぽど嫌じゃないですか。僕だったら頭おかしくなりますよ。
 今回のは建物が吹っ飛んでたから鎮火も早かったし、消防士の真似の方がマシですよ。」
後輩であろう人物に赤嶺と呼ばれた男はそれなりに納得した面持ちで続ける。
「まぁ確かにマグロ拾いよりはいいか。
 あの奥田民生が一緒に吹っ飛んでくれたからちょっとは気が晴れたけど。
 奥田民生なんかに命令される筋合いなんか無ぇからな。」
「あ、そういやお前何かやらされてなかった?」
関西弁の男が思い付いたように尋ねる。
「ああ、ここにあった店のドアの…ん?」
会話は鎮火によって訪れたばかりの静寂を打ち消すエンジン音に遮られた。

騒音の正体は街辻から突如として姿を現した自衛隊の90式戦車。
120mm滑腔砲を携えた市街地にはあまりに不釣合いなそれは、
進路上にあった1台のジープを路傍のゴミのように踏み潰しながら瓦礫の山の前で動きを止めた。
そして呆気にとられる自衛隊員たちの視線の中、
昇降口の蓋が開き、そこから夕日を背に影が伸びる。
現れた影の正体は隊員たちの頭痛の種、井上陽水だった。
9151 ◆FOpuHkuA :02/02/23 12:42 ID:wi6bs+LN
隊員たちのざわめきの中、一人の男が戦車の上に立つ陽水に食って掛かるように身を乗り出した。
「陽水さん!あなたいい加減にしてもらえませんか!」
詰め寄った人物はこの小隊の隊長だった。男は更に捲し立てる。
「勝手に戦車を持ち出すなんて何を考えてるんだ!
あなたの勝手な行動にはこっちは本当にうんざりしてるんですよ!
『管理側に対する直接的な反抗』以外で参加者を死なせた以上あなたの責任追及は免れ得ない。
上層部から通達があるまで本部でじっとして…」
男の言葉が途切れる。戦車の砲身が周波数の高い音を立てながらこちらを向こうとしていたからだ。
そして男に完全に砲門が向けられる。
他の隊員たちは散り散りにその場から離れ小隊長一人が残った。
 [この場に居る者達の長として、そして己の行動の正しさを示す為に引く訳にはいかない。
  なにより、自分に諫言を呈する者一人に――如何にこの男がまともではないとは言え――
  まさか戦車砲など撃つ訳が無い。只の脅しの筈だ。]
しかし戦車の上からサングラス越しに自分を見下ろす陽水の笑顔に小隊長の顔は自然と引き攣っていた。

「男が細けぇ事をウダウダ言うんじゃねぇバカヤロウ。」
陽水の抑揚の無い声に男の血の気は引いて行く。
そして戦車が徐々に下がり男との距離を10mほど空けた。
男は動かない。まだ冗談だとでも思っているのか。それとも恐怖で動けないのか。
「撃て。」
陽水はそれだけ言った。
「柿原さん!!」
隊員の一人が隊長の名を呼ぶ。
その声に振り向こうとしたまま柿原小隊長の身体は轟音と共に消し飛んだ。
場の空気は凍りつき全ての者に沈黙を強いる。
その様子を見つめながら陽水は微笑んだ。自身の行為の威嚇効果にご満悦のようだ。
だがそれ以上構うことは無く、戦車から取り出したスピーカーを傍らに置き、マイクを握り締めた。
「俺と戦うつもりでいながら桑田なんぞに一杯食わされた大馬鹿者、奥田民生!いたら出て来いッ!!」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
暫し沈黙が続く。陽水はその間も勿論堂々と戦車の上に立ち尽くしている。
そんな中ふと誰からとも無く笑い声が漏れ、数瞬後には陽水以外の全員が笑っていた。
普通ならばとても笑える状況ではない。しかし
陽水の余りに常軌を逸した行動は常人である彼らの理解を軽く飛び越え
笑うことしか出来なかったのかも知れない。
そんな狂った笑い声を全身に浴び夕日に照らされた陽水は輝いていた。

笑い声が薄れ出した頃、隊員の一人の顔が硬直する。
それを口火にその周りの者達から連鎖するように表情が固まって行き、
その者達は一箇所を見つめていた。
異変に他の隊員たちも気付き出し、場に完全に笑いはなくなる。
そして静かになった時、多くの隊員たちに聞き取れる音が瓦礫の山から聞こえてきた。
…カツン……カツン…カツン…
金属を金属で叩くような音。瓦礫に包まれているせいか聞き取りづらいが確かに聞こえる。
陽水の自信に溢れた笑みに変化は無かった。
隊員たちはジープのウインチなどを使って瓦礫を退かせていく。
全員がもう何が何だか分からないままその作業を行っていた。
そして大きなコンクリートの塊の下から黒い鉄の蓋が見つかる。下水道の蓋だ。
蓋を見つけた隊員たちが陽水を振り返る。
「開けろ。」
陽水がそう言うと隊員の一人が蓋に手をかけ持ち上げた。
隊員たちの視線が下水口に注がれる。そこからゆっくりと恰幅のいい男が現れた。
その男は間違いなく奥田民生だった。
周りのざわめきの中、陽水は戦車の上から民生と視線を合わせる。
そしてニヤリと笑うとそこから降りることも言葉を交わすことも無く
戦車に乗り込みその場を去っていった。

「赤嶺君はいますか?」
陽水が去るのを確認した民生はまだ狐に抓まれたような顔の隊員たちに尋ねる。
その表情は気味が悪いくらい穏やかだ。
「は、はい…」
一人の男が名乗り出る。さっき民生の死を喜んでいた男だ。
「私が君に何て言ったか覚えてますか?」
民生は優しい笑顔で問い掛ける。表情もだが口調もいやに優しかった。
「えっ…と、『店の扉が開かないようにしろ』だったと思いますが…。」
「その通り、確かにそう言いました。…で、誰が細〜い木の棒一本突っ込んどけっつった?」
突然民生の表情も口調も一変したかと思うと、死角から来た民生の拳が赤嶺の顎の先を掠めた。
赤嶺の顔が横に振れ、振り子のように元の位置に戻った後腰が砕けたようにぺたんと座り込んだ。
脳が揺れて立っていられなくなったのだ。
更に民生は丁度いい位置に来た赤嶺の顔面に膝を打ち込んだ。
顔面を血に染め倒れた同僚を心配して駆け寄る者たちを尻目に、
民生は停めてあるジープの一台に乗り込みエンジンを掛けると空を睨む。
「見たか桑田、言っただろ?『俺はお前如きにゃ殺られない』ってな。
お友達がそっちに逝くのを精々悔しがりながら待ってろ。」
民生の言葉に反応したように、夕日に染まった空はその赤味を増した気がした。
9191 ◆FOpuHkuA :02/02/23 12:49 ID:wi6bs+LN
桑が成仏できない。。。
9201 ◆FOpuHkuA :02/02/23 12:51 ID:wi6bs+LN
そろそろ『2』の立て時ですね。
HNの方に直リンしてもOKですか>とりあえずさん
921911:02/02/23 13:22 ID:TdDVEvGb
立てて立てて。
922911:02/02/23 13:23 ID:TdDVEvGb
スミマソ。自分とりあえずさんじゃないよ。
923とりあえず ◆nlIuqPGI :02/02/23 17:17 ID:fjJsqau+
>>920
OKでございます。
そろそろいっぱいいっぱいですね。スレが。

なお、サイトの更新は週明けにはする予定です。
924名無しのエリー:02/02/24 18:10 ID:3YP+Jft4
dat落ち回避age
925いんちき:02/02/25 11:22 ID:rfSgVWst
age
926名無しのエリー:02/02/26 04:54 ID:S07+5YQj
保守age
927新スレ立てて:02/02/26 15:20 ID:BSUmX/8r
キリンジ堀込兄弟入れてage
928 :02/02/26 15:59 ID:F12eXakg
もう遅いsage
929トルネード:02/02/27 11:38 ID:tabx3P40
age。
930名無しのエリー :02/02/27 15:20 ID:uZdGUoBR
 
931 :02/02/28 05:42 ID:ASuxGhKF
もう更新しないの?
楽しみにしてたのに。。。
932nanasi:02/02/28 14:15 ID:uUO/mhFq
保守sage
933パン:02/02/28 18:15 ID:bFg2qdXw
まだかい?
9341 ◆FOpuHkuA :02/03/01 01:14 ID:pxHAqnvU
9351 ◆FOpuHkuA :02/03/01 01:27 ID:pxHAqnvU
で、ぶっちゃけそろそろ元ネタに追いつく瞬間が近づいてもいます。
それで今月からは必ずしも今まで通りスムーズにはいかないと心得て頂ければ幸いです。
それについて敢えて個人的な意見を言うなれば
「これだけの質を保とうとしつつ文章を書き続けるのには時には驚くほどの時間を要する」
という事なのです。
9361 ◆FOpuHkuA :02/03/01 14:43 ID:kgsQfg7a

      \∧_ヘ     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ,,、,、,,, / \〇ノゝ∩ < 1000取り合戦、いくぞゴルァ!!       ,,、,、,,,
    /三√ ゜Д゜) /   \____________  ,,、,、,,,
     /三/| U |\      ,,、,、,,,                       ,,、,、,,,
 ,,、,、,,, U (:::::::::::)  ,,、,、,,,         \オーーーーーーーッ!!/
      //三/|三|\     ∧_∧∧_∧ ∧_∧∧_∧∧_∧∧_∧
      ∪  ∪       (    )    (     )   (    )    )
 ,,、,、,,,       ,,、,、,,,  ∧_∧∧_∧∧_∧ ∧_∧∧_∧∧_∧∧_∧
      ,,、,、,,,       (    )    (    )    (    )    (    
937三村(古?):02/03/01 14:46 ID:eQ0Mopx7
やるのかよ!
938三村:02/03/01 17:03 ID:KFJJ3NwS
三村はまだ古くねーよっ!
939名盤さん:02/03/02 13:03 ID:BZ8A0oUB
よっ
940名盤さん:02/03/02 13:07 ID:BZ8A0oUB
 
941名盤さん:02/03/02 13:07 ID:BZ8A0oUB
          
942名盤さん:02/03/02 13:09 ID:BZ8A0oUB
cxvxfgfg
943名盤さん:02/03/02 13:09 ID:BZ8A0oUB
 だ
944名盤さん:02/03/02 13:11 ID:BZ8A0oUB
じゃあ
945名盤さん:02/03/02 13:12 ID:BZ8A0oUB
                             マチクタビレタ
    ☆ チン                    マチクタビレタ          
        ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ヽ ___\(\・∀・)< 千まだ〜?
             \_/⊂ ⊂_)_ \____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
        l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| .|
        | ・  みかん   ・ |/  
946名盤さん:02/03/02 13:12 ID:BZ8A0oUB
ひょっ   
       
 
947名盤さん:02/03/02 13:14 ID:BZ8A0oUB
  ・ 。 _ ・ .
 ・ ___ノ。。\____
  ー_  ̄_--ノ
948名盤さん:02/03/02 13:20 ID:BZ8A0oUB
あげ
949 :02/03/02 15:03 ID:rCK2muIH
…あれからどれ位時間が経過したのか?長かった気もすれば、あっという間だった気もする。
小田和正はビルの路地裏で下半身を露に曝け出しながらも、何故か手当を受けていた。
だが小田和正は、自分を介抱してくれている人間の正体に気付いた瞬間、御丁寧にも再度失神する。
しかしこればかりは小田を責める事は誰にも出来ない。
この2日間の概ねの経緯を知る人間にとって、『彼』と出会う事がどういう意味を持つか、を考えれば…

950950:02/03/02 15:16 ID:GtQuMfux
950
951 :02/03/02 15:35 ID:T/20uZQa
TOKYO FM スペイン坂スタジオ
w-indsの生動画配信中です。
お見逃しなく!!!
http://www.bb.tfm.co.jp/tfm/countdown/index.html
952こんばんわ@名無しです:02/03/02 17:25 ID:2OA86sZG
↑スレ違いです。
ウザイ。  逝っちゃって。
953 :02/03/02 18:04 ID:dXDhOaAC
藤木直人の足掻きに気付き藤井隆は座席に身を屈める。
しかし一発は助手席の方のフロントガラスに穴を開けたが、他は何発かが車体に当たっただけだった。
藤井隆は更にアクセルを踏む足に力を込める。同時にシビックの速度が上がる。
あと20m・15・10…まだ無駄な抵抗を続ける過去のチャンピオンはもう目の前だった。
しかし――ボゥンッ――とくぐもった爆発音と共にボンネットは火と煙を噴き出した。
更にハンドルが藤井隆の意思を無視して左に回り、藤木直人を目前にして進路は大きく横に逸れていく。
ボンネットの中がどんな状態かは分からないが、この車が制御不能になったことだけは
勝手に回り切って固定されたハンドルが雄弁に物語っていた。
「んだよ!?何発か当たっただけじゃねぇか、これだからFFはっ…」
八つ当たり気味に毒づく藤井隆の横目に藤木直人の顔が見え、それが離れて行く。その顔を見て藤井隆は呟いた。
「お釜キャラだけど・・・本当は本物のハードゲイなんだキャラじゃないんだ・・・ホントなんだ・・そしてあなたを・・・」
そしてシビックは轟音と金切り音とタイヤの擦れる音を同時に奏でてコンクリートの壁に激突した。

954名無しさん:02/03/02 19:12 ID:O0E05KE5
953の続き楽しみ(w
955名無しのエリー ◆RkilFxSo :02/03/03 01:07 ID:2JyyNb7U
956名無しのエリー:02/03/03 14:44 ID:Yt9/sCHU
さげ
957名無しのエリー:02/03/03 14:46 ID:Yt9/sCHU
958名無しのエリー:02/03/03 14:48 ID:Yt9/sCHU
age
959名無しのエリー:02/03/03 14:48 ID:Yt9/sCHU
agu

960名無しのエリー:02/03/03 14:54 ID:Yt9/sCHU
agya
961名無しのエリー:02/03/03 14:54 ID:Yt9/sCHU
vaio
962名無しのエリー:02/03/03 14:55 ID:Yt9/sCHU




         
963名無しのエリー:02/03/03 14:55 ID:Yt9/sCHU
               
964名無しのエリー:02/03/03 14:56 ID:Yt9/sCHU
              
                
965名無しのエリー:02/03/03 14:56 ID:Yt9/sCHU
             j
966名無しのエリー:02/03/03 14:57 ID:Yt9/sCHU
ffff      f
                     fjhfcvkla
                           
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        vf

       
967名無しのエリー:02/03/03 15:00 ID:Yt9/sCHU
    fff
968名無しのエリー:02/03/03 15:00 ID:Yt9/sCHU
 g
969名無しのエリー:02/03/03 15:01 ID:Yt9/sCHU
sage
970名無しのエリー:02/03/03 15:01 ID:Yt9/sCHU
残り30レス       
 
971名無しのエリー:02/03/03 15:02 ID:Yt9/sCHU
残り29レス
972見習いウォッチャー:02/03/03 17:52 ID:pOfgsALN
こんにちは、初めまして。
下のスレでラウンジ固定のバトロワを書いているものです。

ラウンジ的バトルロワイアル
http://ex.2ch.net/test/read.cgi/entrance/1012494234/

こちらのスレッドを参考にさせて頂いておりますので一言ご挨拶を。
いつもお疲れ様です。
お互い頑張っていきましょう。
ちなみに私は「スタンドーーーーーアリーナカモーーーーン!!!」の辺りまでしか
まだ書いておりません(藁
973見習いウォッチャー:02/03/03 17:58 ID:9yJDU6ov
あ、それから微妙に「殺しの理由」とか筋を改変させて貰ってます。
登場人物も増えてるみたいです(藁
9741 ◆FOpuHkuA :02/03/03 18:30 ID:CH8a6g95
>>972
オモロイです。
なんか文章も結構オリジナル性があっていい感じですね。
頑張ってください。
9751 ◆FOpuHkuA :02/03/03 18:34 ID:CH8a6g95
ラウンジ板ってなんでしょ?
厨房な質問だなこりゃ
976名無しのエリー :02/03/03 23:43 ID:eUaHWZFF
あげる
sage
979名無しのエリー:02/03/04 01:25 ID:fjHWcSc1
fa
980名無しのエリー:02/03/04 01:25 ID:fjHWcSc1
981名無しのエリー:02/03/04 01:26 ID:fjHWcSc1
oijhi
982名無しのエリー:02/03/04 01:27 ID:fjHWcSc1
uijyhi
983名無しのエリー:02/03/04 01:27 ID:fjHWcSc1
l;fjwqtofai
984名無しのエリー:02/03/04 01:27 ID:fjHWcSc1
sage
985名無しのエリー:02/03/04 01:29 ID:fjHWcSc1
あとちょい
986名無しのエリー:02/03/04 01:29 ID:fjHWcSc1
mouchoi
987名無しのエリー:02/03/04 01:29 ID:fjHWcSc1
うお
988名無しのエリー:02/03/04 01:29 ID:fjHWcSc1
ほい


         
989名無しのエリー:02/03/04 01:30 ID:fjHWcSc1
あjhfぴあ
990名無しのエリー:02/03/04 01:30 ID:fjHWcSc1
990
991名無しのエリー:02/03/04 01:31 ID:fjHWcSc1

      \∧_ヘ     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ,,、,、,,, / \〇ノゝ∩ < 1000取り合戦、いくぞゴルァ!!       ,,、,、,,,
    /三√ ゜Д゜) /   \____________  ,,、,、,,,
     /三/| U |\      ,,、,、,,,                       ,,、,、,,,
 ,,、,、,,, U (:::::::::::)  ,,、,、,,,         \オーーーーーーーッ!!/
      //三/|三|\     ∧_∧∧_∧ ∧_∧∧_∧∧_∧∧_∧
      ∪  ∪       (    )    (     )   (    )    )
 ,,、,、,,,       ,,、,、,,,  ∧_∧∧_∧∧_∧ ∧_∧∧_∧∧_∧∧_∧
      ,,、,、,,,       (    )    (    )    (    )    (    
992名無しのエリー:02/03/04 01:33 ID:fjHWcSc1
992
993名無しのエリー:02/03/04 01:35 ID:fjHWcSc1
993
994名無しのエリー:02/03/04 01:35 ID:fjHWcSc1
994



995名無しのエリー:02/03/04 01:36 ID:fjHWcSc1
995



996名無しのエリー:02/03/04 01:36 ID:fjHWcSc1
996
997名無しのエリー:02/03/04 01:36 ID:fjHWcSc1
997






998名無しのエリー:02/03/04 01:37 ID:fjHWcSc1
998







999名無しのエリー:02/03/04 01:37 ID:fjHWcSc1
あえて最後は誰かに譲ろう
1000 :02/03/04 01:41 ID:i74uNHci
1000!!
10011001
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。