101 :
[1日目午後4時半:パチンコ屋]:
「ゎ、ゎ…私がやったんかぁぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!???」
aikoは地団太を踏みながら自分のとった行動にショックを受けていた。
恋人を殺った奴に復讐した気持ちと、命ある一人の人間を傷つけてしまったショック感。
しかも兵士は見るも無残に皮膚がただれ落ち、のたうち回っていて、思わず目を背ける。
視線を落とした先に崩れ落ちた恋人の顔があった。
動かない恋人は、相変わらず何か言いたげな表情のままだ。
aikoは嗚咽を漏らし、カウンターの中に腰が抜けたようにしゃがみこんで泣き続けた。
102 :
[1日目午後4時半:パチンコ屋]:01/12/16 15:16 ID:0gSaXJKw
…aikoが泣き終えて気分を落ち着かせるまでにかなりの時間を要した。
外はもう夕暮れで、赤い日差しがパチンコ屋の入り口から長く伸びている。
aikoがカウンターの中からゆっくり立ち上がり、動かない恋人に語り始めた。
「太一くん… 私たちで理不尽な奴らを晒し者にしたろ!
私たちがすべてを正しくしたろ!私はぁ!私の職業は夢を売る天職なんやっ!」
赤い夕日がまるでスポットライトのように、顔を上げて拳を握ったaikoを照らしだしていた…
103 :
名無し:01/12/16 15:31 ID:HvHO4t53
だいたい何人くらい参加してんの?
104 :
名無し:01/12/16 15:47 ID:BqdLM+iv
おもろい☆
105 :
色物 ◆H10GgaWo :01/12/16 15:54 ID:D0tBi3yV
aikoは殺さんといてくれ。たのむ。
106 :
.:01/12/16 17:57 ID:c/5nW3fs
iine
107 :
名無し:01/12/16 18:07 ID:1qyyi3DW
ミュージシャンは、薬物に関して危機意識が低いので
ぜひともジャンキー・薬物中毒者を出して欲しいな〜。
109 :
:01/12/16 18:37 ID:anpClzG1
Cocco出して。おもしろくなりそう。
110 :
:01/12/16 19:07 ID:p6bvzEar
バトロワに清春は欠かせないっしょ?
111 :
名無しのエリちゃん:01/12/16 19:34 ID:9N2d9pqb
お願いだから、hydeを殺さんで下さい。
テルの仇、とって下さい。
・・・清春とhydeの対決みたい・・・
112 :
:01/12/16 19:34 ID:p3NFRyv/
,.-‐'" ̄ ̄ ̄ ̄"'‐-、
.i´ ,.―――――――`、
| i´ ⊂ニつ ⊂ニ⊃(
.| | ―― ―― ヽ
r⌒ヽ i / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ__ノ、 0 ノ < やれやれ…このスレも例によって、
⊂|\/⌒  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄´⌒ヽ/|⊃ | DAT落ちですなぁ
\/~| |~\/ \__________________
|________|
|____|ノ___|
|_| |_|
<~_) .(_~>
114 :
名無し:01/12/16 22:22 ID:+P5rP82e
なんか密かに感動してまうね。
映画化したらおもろいのにー
115 :
名無しのエリー:01/12/16 22:39 ID:3pWCBjX/
イエモン吉井も出して。
116 :
名無し:01/12/16 22:45 ID:Qigf6Lc4
生徒名簿見たいです。
117 :
名無しさん:01/12/16 22:48 ID:q+zRXppV
↑禿同
118 :
117:01/12/16 23:15 ID:q+zRXppV
間違えた
115に胴衣
119 :
nanasi:01/12/16 23:31 ID:NKw2rp1K
個人的に平井堅が好きなので何気なく読んでみたが結構面白かったのでage。
続き期待してます。
120 :
名無し:01/12/16 23:42 ID:q6NFtPCw
TMR西川を出してくれ。
やつは知り合いが多いから、どう絡むのかが見てみたい。
121 :
名無し:01/12/17 12:29 ID:yyg7MiLc
けっこうおもしろいage
122 :
1:01/12/17 12:39 ID:Cf2vRcDv
>>All
正直、出演者は途中から増える可能性大だから名簿はカンベンシテ
人数は30〜40人だと思います。
一人で書いてるかと?うむ。。。一人は一人ですけど『書いてる』というよりは『貼ってる』みたいな。。。
あとイエモン吉井と清春辺りは出そうかと思ってたんでそれぞれいい役を用意しときます。
Coccoのキャラを使うのはオモロイと思いやす。
西川貴教も出しても構わないですけど、そんなにいい役には持っていかないけどよろしいかな?
とりあえずちゃんと氏ぬシーンまでは持っていきますから(w
123 :
名無しのエリー:01/12/17 13:00 ID:UiHw9ZXE
やった!イエモン吉井登場!期待してますよ。
124 :
[1日目午後5時:図書館]:01/12/17 13:45 ID:u6uOXuHQ
時折鳴る銃声に脅えながらCHAGE&ASKAの飛鳥涼は使われなくなった図書館の一室に身を潜めていた。
この男はこれまでに途中立ち寄った公園で平井堅の、
食料を調達していた時に入ったコンビニで氷川きよしの遺体を見てしまっていた。
「まさか本当にやる気になってる人がいるなんて!!」
飛鳥は信じたくない事実と先程から聞こえる何発かの銃声に気持ちを押しつぶされまいと自己暗示にふけっていた。
「俺は死なない。大丈夫だ…。
やる気になっている人たち同士が潰しあって、このゲームは終わるんだ。きっとそうだ…。」
まるで既に壊れてしまっているかのように何度も何度もそう自分を励ましつづけていた、その瞬間、
「ガタッ」
明らかに不自然な物音がこの部屋の後方の出入り口から放たれた。
125 :
[1日目午後5時:図書館]:01/12/17 13:46 ID:u6uOXuHQ
「誰だ!!」
このような状況においては、相手がこの場所から立ち去るまで隠れている方が良策なのだろうが、
飛鳥の本来の気の強さからつい声をあげてしまった。
我に返った飛鳥は、わざわざ敵に自分の存在を教えてしまったこと自分の情けなさに対する怒りと同時に、
目の前に立っている男を見て安堵感が込み上げた。
「つんくくん……。」
そう、飛鳥の前に現れたのは、「あの」つんくだった。
126 :
[1日目午後5時:図書館]:01/12/17 13:46 ID:u6uOXuHQ
「つんくくん!!大丈夫だったか!!」
飛鳥はつんくに会えたことにより、まだ固いながらもこのゲーム開始以来初めての笑顔で問い掛けた。
「はい、まあね。貴方も元気そうですね。それよりメシ食わしてくれませんか?ラーメンみたいなの。」
つんくの日常的な発言が今の飛鳥には何よりも嬉しいことだった。
「この男といればこのゲームも無事に切り抜けられる…。」
そんな期待が飛鳥の胸の中で膨らんでいた。
「みそラーメンと塩ラーメンどっちにする?」
「ん、スープの濃い方がいいスね。」
こんな他愛の無い会話でも今の飛鳥には一番幸せなことだった。
127 :
[1日目午後5時:図書館]:01/12/17 13:46 ID:u6uOXuHQ
湯を注いだカップラーメン2つをつんくの座っている辺りの前に置き、自分は外を監視しながらつんくとの会話を続けた。
この男には背中を向けても安心だと飛鳥は思っていた。
それよりもこの幸せな時間が外部からの侵入者によって壊される事の方が怖かった。
「いやあ、参ったね。本当にやる気になってる人がいたなんて…。
俺、今日平井くんと氷川くんの死んでるとこ見ちゃったんだよ…。」
「…そうですか。気の毒でしたね。」
そんなアッサリとした返事に飛鳥はなんの違和感も感じなかった。
むしろその変わらないつんくのタフさに喜びさえ感じていた。
「つんくくん…俺と組んで、このゲームから脱出しようよ!!
つんくくんもこんな馬鹿げたゲームで死ぬなんてイヤだろう!?」
「ん?はい…まあね。」
「じゃあ、組もうよ。こんな、こんなゲーム馬鹿げてる!!
俺たちはこんなことをやるために歌手になったんじゃない!!畜生!!畜生!!…」
飛鳥は溜め込んでいた怒りを噴出すかのように話始めた。
128 :
[1日目午後5時:図書館]:01/12/17 13:47 ID:u6uOXuHQ
「まあ、落ち着きましょうよ。冷静になってください。ラーメン食いましょう。そろそろ。」
飛鳥はつんくに促されるようにラーメンを食べ始めた。
食べながらも飛鳥はこんな状況下に置いても冷静でいられるつんくに尊敬の念を抱いていた。しかし、
「グッ!!!」
ちょうどスープを半分飲みほしたと同時に強い吐き気に襲われた。
「……!!」
汚物だけではなく、遂には血まで吐き出し始め、のた打ち回る飛鳥を見下すようにつんくはこう言った。
「状況が状況だから、あんま他人を信用し過ぎないほうがいいですよ。」
そう、飛鳥のカップラーメンの中にすり潰して混ぜたと思われるタバコを口に咥えて…。
129 :
[1日目午後5時半:ライブハウス]:01/12/17 13:48 ID:u6uOXuHQ
夕方が近付いていた。
街中にある小さなライブハウスで、元ルナシーからの二人目の参加者、真矢は一人佇んでいる。
真矢は、床に無造作に放られたドラムのスティックに手を伸ばした。
そしてそれを使ってドラムを無心で叩き続けた。
昼12時の2回目の定期放送で、氷川きよしと平井堅が命を落としたことを知った。
本気でゲームに乗った奴がいる…。
いつ、自分の身にも危険が及ぶかわからない。
俺はこんな事をする為に音楽を続けてきた訳じゃない―――
真矢は何もかも忘れてしまいたくて、ドラムを鳴らし続けた。
体に染み付いた腕の動きは、流麗に乾いた音をを奏でて行く。
そして、ひとしきり叩き終わったその時――
パチパチパチ……
小さな拍手が聴こえた。
「誰だ!?」
真矢は慌てて拍手の先に目を凝らす。
いつの間にかライブハウスの最後列の席に、ポルノのアキヒトが一人、座っていた。
130 :
[1日目午後5時半:ライブハウス]:01/12/17 13:50 ID:u6uOXuHQ
「あ、す、すんません……驚かせてしまったみたいで……」
真矢は、アキヒトに殺意が無いのを感じ取ると、ホッと一息ついて、警戒を解いた。
「いや、気にしないでくれ………君は……ドラム、好きか?」
意外な質問に、藤田は少し戸惑った。
「え?は、はい、自分は使いませんけど。……真矢さんは……好きじゃないんですか?」
真矢は、表情を曇らせる。
「まあ好きだけど…正直言ってな……辛い、って思う時のほうが多かった。
変に周りに期待されちまって、それがプレッシャーになってた。
『もっと伸び伸びと、自由にやりたい』って……いつも思ってた」
真矢は上に吊るされた赤いライトを見ながら、溜め息をつく。
アキヒトは、ただ黙って真矢の話を聞いていた。
重い時間が、二人の間を流れて行く。
131 :
[1日目午後5時半:ライブハウス]:01/12/17 13:50 ID:u6uOXuHQ
「あの……良かったら、一緒に演奏しませんか?」
突然、アキヒトが提案した。
「……え?」
「色々と辛いのは解りますし、今は殺し合いの最中ですから、
晴れ晴れとした気分という訳にはいかないと思いますけど……
でも、さっきのドラム、なかなか様になってました。
気休め程度にしかならないと思いますけど、一緒に、なんか演奏しませんか?」
「でも……」
「ほら、アンプもギターも置いてありますから、本格的にできますよ。それに……
思い詰めたままじゃ、何も出来ません。気分転換も必要ですよ。……しませんか?」
アキヒトはそう言うと、階段を上り、ステージの中央に立った。
「気分転換、か……そうだな。やるか」
「じゃあ、ベタですけどレニー・クラヴィッツの『Are you gonna go my way』でいいですか?」
「ああ。練習だからな。それでいこう」
「わかりました。それじゃ……始めましょうか」
ステージが軋む音が、ジムを包み込む。
一緒に演奏することなどなかったのに、流れるような演奏が続く。
とても、殺し合いが行われている街の風景には思えなかった。
真矢の心に、束の間の充実感が満ちて行く。
132 :
[1日目午後5時半:ライブハウス]:01/12/17 13:51 ID:u6uOXuHQ
そして5分が経ち、演奏が終わった。
真矢は、スッキリした表情でアキヒトに向き直る。
「ありがとう。ちょっとだけど、気持ちが楽になっ……」
その瞬間、真矢の胸に銃弾が撃ち込まれた。
サイレンサーを装備したベレッタから、何発も、何発も、弾が撃ち込まれる。
「アキヒト君、どうして……」
真矢はそのまま、床に倒れ込んだ。
倒れ込んだ衝撃で、リングが軋み、奇怪な音を発する。
アキヒトは銃を構えたまま、真矢に向けて呟いた。
「つんくさんが言ってました。無闇に人を信じたら負けだ、って……
でも、真矢さんのドラムと一緒にギター弾けたのは楽しかったです。それじゃ……さようなら」
そう言うと、アキヒトは真矢の頭に銃口を押し当て、引き金を引いた。
スガシカオと別れた後、ずっと考えた末のアキヒトの決断だった。
赤い夕焼けのようなライトが、赤い血で染まった真矢の体を照らしていた。
133 :
名無しのエリー:01/12/17 14:20 ID:DZua7mmg
こんな昼間に更新なんて、ペース早いですねお疲れさまです。
でも
>西川貴教も出しても構わないですけど、そんなにいい役には持っていかないけどよろしいかな?
>とりあえずちゃんと氏ぬシーンまでは持っていきますから(w
よろしくないです(藁。
でもどうしても出すんなら清春には会わせてあげて下さい。
ライブに飛び入り出演するぐらい仲いいんで。
あ、完璧にコピペなんか、これ。
135 :
1:01/12/18 00:48 ID:JwCeYzIC
>>133 待ってくんろ
とりあえず今の所吉井和哉以外の出演依頼は全く保障できないです。
136 :
名無し:01/12/18 09:36 ID:/jxFXcSu
続き見たい〜!!!!
137 :
名無しのエリー:01/12/18 10:15 ID:EIlOiHeZ
早く続きが見たいんだけど!
頑張ってくれ。
桑田佳祐は行きつけだったバーにいた。
人相は悪いが気のいいマスターが一人でやっている小さな店だった。
頻繁に通ったわけではないが独りで飲みたい時は決まってここに来て
夜通しマスターと話した。思えば迷ったときが多かっただろうか。
今回もそうだ。桑田は迷っていた。
ミュージャン達と殺し合うべきか助け合うべきか、そんな事ではない。
―――自ら命を絶とうか迷っていた。
まぶたの裏に焼き付いて離れないシーンがその思いを強くさせた。
吉田拓郎が宮本浩次を撃った場面だ。
あの時桑田は拓郎に声をかけようとしていた。協力して殺人ゲームを乗り切ろうとしていた。
だが一発の銃声でそんな考えは打ち砕かれた。
倒れた宮本を助けることも走り去る拓郎を追いかけることも出来ず
桑田はただがむしゃらにその場から逃げ出し、気付いたときにはバーの前にいた。
当然扉は閉まっていたため、道路に面した窓を割り中に入った。
誰もいない店内はひどく広く感じたが、なんとも言えない懐かしさに包まれた時
彼はデイパックから「毒薬」と書かれたラベルのついた瓶を取り出し手近の席についた。
陽水の直筆らしいそのラベルには小さく「自殺なんてするんじゃねぇぞ馬鹿野郎」とも書かれてあった。
「…どっちがバカヤロウだよ……」
そうつぶやきながら桑田の顔には少し笑みすら浮かんでいた。
ただ、その笑みは乾いていた。
桑田は父親のいない子供の寂しさを悲しみを良く知っている。
だがそれ以上に人を殺してまで生きるのが自分にとっても家族にとっても嫌だった。
例えそれがこのゲームを強制した陽水だとしても…
そんな思いが桑田にバーのマスターを求めさせたのだろう。
しかし目に見えないマスターは何の福音ももたらしてはくれなかった。
桑田は毒薬を適当に入れたグラスによく飲んでいたウィスキーを静かに注いだ。
瞬く間に毒薬が溶け出しアーモンドの香りがする。青酸系の毒のようだ。
そして意を決しグラスを口に近づけた瞬間、怒号のような大声が狭い店内に響き渡った。
「ヤイコ殺ったんのは己か!!!?」
怒号の主は今夏の主役の一人だった三木道三だった。
このゲームの性質を考えれば無意味に大声など立てるものではない。
自分の居場所を知らせることは何か目的の無い限り自殺行為にしか成り得ない。
しかし三木からはそんな配慮は微塵も感じられなかった。
今右手にモップの柄、左手には支給された物であろう機動隊の持つような
ジュラルミンの盾を持っているとは言え、桑田の前に仁王立ちで立ちはだかっている事からも
配慮の無さを感じさせた。三木らしいと言えば三木らしいのだが。
そして今、三木はすさまじい殺気を放ち半狂乱状態で桑田を睨みつけている。
「己がヤイコを殺ったのかっつってんねん!!!!」
言うのが早いか三木は躊躇無くモップの柄を振り下ろした。
咄嗟に飛び退いた椅子に柄の先のT字の金具がぶつかると、金具はぐにゃりと曲がった。
桑田は驚いていた。急に三木が現れた事よりも矢井田を殺したと思われている事に。
(冗談じゃない!被りたくない濡れ衣まで被せられては死ぬにも死ねない。)
「ま、待て…えっと…(なんて名前だったっけ?)…やったのはオレはじゃない!!」
「じゃあ誰が…やったってゆうねん!!!?」
聞く耳も殆ど持たない風に、三木は叫びながらモップの柄を横薙ぎに振り回した。
激しく壁に叩き付けられたT字の金具は柄から弾け飛び、
カウンターを飛び越え大きな音を立てて流しに飛び込んだ。
何とか三木を説得しようとするが言葉が思い浮かばない。視線を巡らせた桑田は苦し紛れに言った。
「見ろ!オレの武器はそこの毒薬だ。簡単に殺せるわけ無いだろう!」
あまりにも意味の通らない言い訳だった。
(ダメだ…)
桑田は半ば諦め気味に覚悟を決めた。このまま殺されようと。
(どうせ死ぬつもりだったしな…)
心の中で今静かに家族に別れを告げた。
しかし意外にも三木に反応があった。うつむき気味に何かブツブツとつぶやいているのだ。
「…そういやヤイコの頭はなんか武器で殴られたみたいになってたな……」
意図せぬことではあったが説得は成功したようだった。
桑田は内心ホッとしていた。
そして自殺しようとした、また殺される覚悟を決めた筈の
さっきの自分との心境のギャップになんとも言えず苦笑いを浮かべていた。
桑田は落ち着いた三木から矢井田の遺体の状態などについて聞いた。
カウンターの影に座り、酒をあおる三木の大きな身体は小刻みに震えていた。
そして三木は重くしっかりとした声で言った。
「オレ許さないっスよ…ヤイコ殺したヤツも、陽水さんも!」
三木の目に恐怖心は微塵も感じられなかった。その瞳には純然たる怒りの光だけが灯って見えた。
「桑田さん。一緒にやりましょう!こんなモンブッ潰しましょうよ!!」
その目を見た桑田に何か後ろめたいような気持ちが去来する。
がむしゃらに音楽活動に明け暮れていた、
前だけを見つめていたあの頃の自分に心の中を覗き見られた気分だった。
「い、いや…オレは人を殺すなんて……イヤ…なんだ…」
耐え切れず目線を逸らし、なんとかそれだけつぶやいた。
途端に三木は感情を昂ぶらせ桑田に掴み掛かった。
「何言ってんスか!?桑田さんだって家族いるんでしょう!!このまま死んでいいんスか!!?」
感情が真っ直ぐな分その台詞が深く心に突き刺さった。
そして桑田は決意した。もう少しだけ戦ってみようと。
人とではなく、この辛い状況から逃れるために家族すらも捨ててしまおうとした自分の弱さと。
殺したくは無い。そしてそう思っている者は多い筈だ。だからこそなんとか出来るかも知れない。
既に何人も死んでしまっている現状を鑑みればあまりに甘い考えだとわかっていたが、
そう考えることだけが現状を脱する唯一の望みだということもわかっていた。
もう一つ、桑田はこの三木道三という男に対してある種の共感を感じていた。
桑田はアマチュアの青学でのピストン桑田時代を経て、「勝手にシンドバッド」でデビューした。
しかし当時サザンは一発屋という扱いしかされていなかった。
そういう扱いに人一倍神経質な性格である桑田はそのプライドを激しく苛まれることになるのだった。
そうした桑田のフラストレーションが「ものすごいバラードを作って俺達の本当の力を認めさせてやる」
というエネルギーとなって注ぎ込まれた力作が「いとしのエリー」だった。
その曲によってサザンは世間の一発屋の見方という呪縛から開放されたのだ。
だから桑田は世間から一発屋と称されたミュージャン達に、約四半世紀前の自分の姿を映し出していた。
それは三木道三に対しても言えることであったのだ。
「この…(なんて名前だったっけ?)…この男と組んでこそ意味があるはずだ!」
表情の変化から桑田の決意を汲み取った三木は小さく頷いた。
その時三木の背後から二人のものではない声が響いた。
「へぇ、結構仲良かったんだ。」
そこにはイエモンの吉井和哉がいた。
カウンターから身を乗り出したボウガンと共に。
静寂が続いていた。
吉井が二人に声をかけてから何分経っただろう。
一言も喋らずただニヤニヤ笑みを浮かべながら二人にボウガンをちらつかせている。
まるで二人の生殺与奪権を自分が持っているという事を殊更に強調するかのように。
そして無言のまま二人を店の奥の壁際に追いやり、自分はカウンターを乗り越えて二人が元いた辺りに位置取っていた。
桑田は数分間の静寂の間ひたすらに自分の思慮の足りなさを反省していた。
どうして吉井の侵入に気付けなかったのか、どうして誤解の解けた三木とすぐにここを離れなかったのか、
どうして軽々しく自殺などしようとしたのか、どうして…
一度引退を考えだした年頃から癖になってしまったネガティヴな思考の所為だと自分では気付いていなかった。
そしてその癖が今この瞬間も自分の邪魔をしていることにも。
桑田が思考停止の状態に陥っている時、三木はこの上なく苛々していた。
吉井の態度は彼の神経を充分に逆撫でしていたが、それ以上に桑田の態度が不満だった。
顔は吉井の方を向いているが目の焦点は明らかに合っていない。
そのせいで桑田に意思を伝えることが出来ずにいたからだ。
(呆けてる場合じゃ無いやろっ!アンタが気付けば何とか出来るのに!!)
桑田と正反対に現状の打破のみを考えていた三木は吉井の弱点に気付いていた。
ボウガンは連射できない。
つまり二人同時にかかれば少なくとも一人、吉井が瞬時に標的を絞れなければ上手く行けば二人とも無事で済む。
そう考えると今の桑田に苛立つのも仕方なかった。
そして三木の苛立ちが頂点に達しようかという時、夕方6時を告げる忌々しい放送が流れ出した。
「元気ですかー!!!」
いつもの返事を必要としない呼びかけが街中に響き渡る。
「元気があれば何でも出来る。一番元気なヤツが生き残るんだぞーッ!!!
ではこの6時間の脱落者を発表する。ルナシー真矢ーッ!矢井田瞳ーッ!浜崎あゆみーッ!
えー以上3名です。みんななかなかルールを理解してくれているようで非常に嬉しい。
では『真のミュージャン』を目指して皆頑張るように。ダーーーッ!!!!」
放送によって幾分冷静さを取り戻した桑田は三木と視線が合った。何かを訴えているようだった。
程無く三木が今にも吉井に襲い掛かろうと考えていることに気付いた。
(馬鹿な!一体どういうつもり…)
そこまで考えて三木と同じくボウガンの弱点を発見した。
が、どうにも釈然としないものがあった。
それが何なのかわからない内に三木は行動を起こそうとしていた
カラスの鳴き声が聞こえ吉井の目線がわずかに二人から離れた瞬間
三木が動き出した。桑田もそれに追従せざるを得ず吉井に飛び掛かった。
不意に聞こえた銃声にGacktは身をすくませた。
(遠くない場所で殺し合いが行われている…)
怖くなったGacktは隠れ場所に急いだ。
桑田の拳は確実に吉井の顔面を捉えた。
吹っ飛ばされた吉井はカウンターで後頭部を強かに打ちぐったりしている。
桑田の左腿にわずかに痛みが走った。
ボウガンで打たれた傷だが幸い少し肉をもっていかれた程度で済んだようだ。
そんなことより桑田には心配すべきことがあった。
桑田は素早く二つの凶器を適当にカウンターの向こうに放り投げ三木の元に駆け寄った。
三木は腹部から多量の血液を流していた。銃で撃たれたのだ。
三木を撃ったのは吉井が背広の袖に隠し持っていた小型の銃デリンジャーだった。
三木は腹に今まで味わった事の無い激痛を感じながらさっきからの違和感の正体について理解した。
(吉井の不自然な沈黙は焦れたオレ達に襲いかからせ同時に殺すためのものやったんやな…
あの時距離を取ろうと後ずさった吉井が足元に落ちていたボールペンで
バランスを崩さなければ、おそらく二人とも死んでいただろうな……)
三木の考えは当たっていた。
一応、事は吉井の予定通りに進んだが、ボールペン一本に
文字通り足元をすくわれてしまう結果となってしまった訳である。
桑田はとりあえずバー備え付けられていた救急箱で三木に応急処置を施した。
素人なのだから腹部を銃で撃たれた時の急所などわかる筈も無い。
とりあえず横っ腹のキズで銃弾が貫通していたのが桑田の気休めにはなった。
続けて三木の傷口を冷やそうと流しに向かった時、桑田の身体が凍りついた。
吉井が本来寝転んでいるべき場所にいないのだ。
煙のように消えたのでなければ、吉井が今いる場所はカウンターの向こうか外に逃げ出したかだ。
だが外に出たのならばドアからにせよ窓からにせよ気付かないと言うことはまずあるまい。
そして最悪なことに武器は二つともカウンターの外にある。
しかもどの方向に放り投げたのかも覚えていない。
吉井は次の瞬間にでもに襲ってくるであろう。
桑田が足音を立てぬよう姿勢を低くし摺り足で後ずさったその時、
カウンターからボウガンを構えた吉井が顔を出した。
この戦いで桑田はとても幸運だったと言えるのかも知れない。
まず床にボールペンが転がっていた事。
そして今吉井が桑田の真正面に現れた事。
何より勘違いして三木に襲い掛かった事!
桑田は吉井がボウガンを放つよりも早くフリスビーでも投げるかのように
さっき流しで拾ったモップの柄の先、金属でできたT字形の部分を全力で投げつけた。
柄の先は、桑田に殴り飛ばされ未だに意識が朦朧としていた吉井の顔面の芯を完全に捕らえた。
T字の片方の先端がが吉井の右眼にめり込んだ。
もう二度と右眼を使うことは出来ないだろう。
予想だにしなかった衝撃に吉井は自らの放ったボウガンの矢の行方を確認する事も出来ずに、
閉じられていたバーのドアの鍵を開け外へと飛び出した。
右手で目をおさえ左手にボウガンを持ったまま吉井は路地の奥へと消えて行った。
定まらない意識の中で呪詛の言葉をつぶやきながら…
桑田と三木はバーの近くの寂びれたビルのトイレの中にいた。
重症の三木を遠くまで連れて歩くわけにも行かず、誰かに狙われた時満足に戦う事も出来そうに無い。
そんな状況の中ではベストではなくともベターな選択だと桑田は思った。
お世辞にもキレイとは言えない所だったが水は幾らでもあるし
こんな状況でゆったりトイレに来る神経など真っ当な人間にはまず無いだろう。
同じ考えの者がいなければ。
頭に浮かんだこの言葉を桑田はかき消した。これ以上三木を連れ外に出ることは避けたかった。お互いのために。
水を飲み一息ついた頃三木が意識を取り戻した。
「…桑…田さん……すんません…」
「何言ってんだよ。そんなことより早く怪我治してくんないと。一緒に戦うんだから。」
にっこりと笑って桑田は答えた。
「…はい……!…あんさん……肩どうしたんスか…?」
吉井和哉が最後に放った矢は桑田の左肩を直撃していた。
かなり熱を持っていることからも骨折しているかも知れない。
「かすり傷だよ。それよりなんか食うモン取ってくるからちょっと待っててね。」
手酌で水を三木に与え桑田は立ち上がった。
「行ってくるから。」
右手にバーの隅で見つけたデリンジャーを持ち、静かにトイレのドアを閉めた。
念のため気配を殺し足音を立てずに階段を下りてビルを出た桑田は
辺りに誰もいない事をしっかり確認して食料の調達に向かった。
ただ、その姿を別のビルの窓から見ていた宇多田ヒカルに気付くことは出来なかった…
ふと三木が廊下の足音に気付いた時、足音の主がトイレに戻ってきた。
「なぁ桑田さん…無事に帰ったらオレの家に来てくださいよ……」
目を閉じ声は少し震えていたが、出来るだけはっきり聞こえるように言った。
「…じゃあちょっと……寝ますわ…」
言い終え、まどろむ意識の中で額に冷たい物が当てられた。
(…そこまで…してくれなくても……いいのに…)
感謝の言葉と共に意識が途切れる瞬間、頭部に軽い圧迫感を感じた後、三木の意識はブラックアウトしていった。
150 :
[1日目午後6時半頃:寂びれた雑居ビル]:01/12/18 15:21 ID:gyXzpMm1
桑田は嘔吐していた。止まらなかった。
もう十分間近く経ったのではないだろうか。
しかし胃液すら出なくなっても止まらなかった。
その傍らにはスーツを布団代わりに三木道三が寝転んでいる。
ただ熟れたスイカを地面に落としたようなものが頭の代わりをしていたが。
桑田がビルのトイレに帰り着いた時、既に三木の生命には終止符が打たれていた。
明らかに他人の手によって。
わけがわからない。?????????何故?いつ?誰が?????????
やっと前向きになりかけた桑田の思考は停止した。
そして込み上げる嗚咽は一時間以上続いた……
151 :
名無し:01/12/18 15:34 ID:/jxFXcSu
ヤイコと三木道三は付き合ってたのか!?
152 :
名無し@:01/12/18 16:58 ID:ejmZaV3C
Gacktがやっぱり参加していたぞ。
つーことでage
153 :
名無し:01/12/18 19:12 ID:/jxFXcSu
オザケンはいないのね…。
続きはいつかな?
154 :
名無しのエリちゃん:01/12/18 20:22 ID:cNKk/K9R
うわあ・・・宇多田殺人鬼に成り果てたな。
このままガクトもやっちゃって下さい。
何で桑田はそんなにしぶといの??
155 :
名盤さん:01/12/18 22:33 ID:2ocpIGlD
156 :
名無しのエリー:01/12/19 00:27 ID:RdO88N/O
名前の間違いを直して、あと「元気ですかー」を
「お元気ですか?」に変えてくれたら最高。
157 :
登場人物リスト:01/12/19 03:49 ID:Hls3Fyps
首謀者:井上陽水 側近:奥田民生
登場済参加者:[非暴力派]スガシカオ hyde 桑田佳祐 トータス松本 aiko 飛鳥涼
[武闘派]つんく アキヒト(ポルノグラフィティー) 桜井和寿 松岡充 宇多田ヒカル 吉井和哉
[どっち派?]キンキキッズ 河村隆一 Gackt
死亡確認参加者:矢沢永吉 テル 宮本浩次 中居正広 吉田拓郎 平井堅 氷川きよし 矢井田瞳
浜崎あゆみ 国分太一(非参加) 真矢 三木道三
登場予定参加者:B'z チャゲ CHEMISTRY 氷室京介 布袋寅泰 田代まさし YOSHIKI(X-JAPAN) IZAM
西川貴教 清春(SADS) 佐野元春
こんな感じです。順番は基本的に登場順と死亡順ですんで。あと登場予定の人は追加されると思います。
158 :
1:01/12/19 03:51 ID:Hls3Fyps
159 :
1:01/12/19 03:52 ID:Hls3Fyps
160 :
ななし:01/12/19 04:36 ID:eZkbzIzY
おもろい。あげ。
>>157 面白く読ませてもらってるんだけど
登場人物リストは出さないでほしかったな
これから誰が出てくるんだ?っていう楽しみが減るし・・・
162 :
名無し:01/12/19 08:52 ID:Mq90uCUv
んーでもおもしろいから良しっ!
163 :
名無し:01/12/19 09:30 ID:uC9dbY93
グレイタクローかヒサシ出して欲しいな…
反戦タクローならテルの後追い自殺、
首輪つけてMステ出たヒサシなら
仇討ち通り越してウタダ級の殺人鬼きぼん。
164 :
名無しのエリ−:01/12/19 17:31 ID:K/yu0L7j
参考までに。hydeは少林寺拳法2段です。
・・・武器ないんだもん・・・
165 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:04 ID:uEpeh6wN
「…松本さん、落ちつきましたか?」
B’zの稲葉浩志は心配げな表情で、松本孝弘の顔を覗き込んだ。
「…ああ。武道館にいた時よりはな」
そう呟く松本の顔色は、ずっと前から青ざめたままだった。
無理もなかった。
ただでさえ顔見知りと殺し合うという理不尽な状況に放り出されているのに…
スタート前に、矢沢の無残な姿を見せられているのだ。
あの武道館で、声をあげて泣く吉田拓郎のその後ろで、松本もまた涙していた。
「俺の憧れの…矢沢さんが…こんな酷い姿に…」
ただ泣く事しか出来ずに、立ち尽くしていた。
そんな松本を見て、稲葉は心配でたまらなかった。
「とにかく…松本さんと離れないようにしなくては」
大事なパートナーを見捨てる事なんて出来ない。
武道館の出発順は、稲葉が先だった。
茫然自失の松本に、稲葉は素早く囁いた。
「松本さん、ホビーショップまで来て下さい。いいですね!俺、そこで待ってますから…」
ホビーショップは、松本がよくフィギュアを買いに行く店だ。
そこならば、松本も迷わず安全な道を通って来れるだろう。
「じゃ…後で!」
稲葉は出口でデイパックを受け取り、駆け出して行った。
166 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:05 ID:uEpeh6wN
「しっかし、この店っていろんな物ありますねぇ」
稲葉は店内をぐるりと見まわして呟いた。
松本が来る前に、何か使えるものはないかと物色をしていたのだ。
この店がフィギュアの他にモデルガンも扱っていたのは好都合だった。
稲葉の手元には、サブマシンガンのモデルガンがあった。
『片手のみで操作可能。最大で1分間に最高750発発射出来ます』
ショーケースの説明書きには、そう書いてあった。
動き回る事を考えると、これがベストの選択であろう。
殺傷能力はないにせよ、はったりをかますのには十分だ。
「できる事なら、人殺しはしたくない…みんな生きていてほしい」
「みんないい人ばかりなのに…何でこんな事に…」
稲葉が目に涙を浮かべたその時、夕方6時の、3度目の定期放送が聞こえてきた。
『…ではこの6時間の脱落者を発表する。ルナシー真矢ーッ!矢井田瞳ーッ!浜崎あゆみーッ! えー以上3名です』
「真矢さんと矢井田…浜崎…女まで参加させてるのか!?いったい何考えてるんだ…」
「…矢沢さん、テル、宮本、中居、拓郎さんに平井、氷川…全部で10人か」
松本が力なく呟いた。
松本は涙があふれぬよう、天井を仰ぎ見た。
「陽水さん…本当に最後の一人までやらせるつもりなんだろな…」
そう呟く稲葉の目から、止まる事なく涙があふれた。
そして…悲しくも現実を伝える放送は、二人に長い沈黙をもたらした。
167 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:06 ID:uEpeh6wN
「俺たち…生き残らなきゃな」
天井を見つめながら、松本が呟いた。
「俺たちが死んだら…日本のコピーバンド、終わっちまう」
「そうですね…逝った人達の分も、頑張らなきゃ。ただコピーバンドってのは余計ですけど」
そう言って稲葉は涙をぬぐい、再び使えそうな物を物色し始めた。
「あ…松本さん!いい物がありますよ!ほら!」
稲葉は大声で叫びながら、ショーケースを指差した。
ショーケースの中には「非売品」と書かれた札が付いた防弾チョッキがあった。
「防弾チョッキ!?ああ、そういやここのオヤジが趣味で集めてたっけ」
「これ、本物ですよね?使えますよ!」
そう言うやいなや稲葉はショーケースの硝子を叩き割り、防弾チョッキを取り出した。
「うわ、結構重たいな」
だいたい2kgぐらいだろうか?ズッシリとした重みがあった。
「まあ、防弾っつうぐらいだしな。重い方が守りもしっかりしてるだろ。とりあえず、とっとと着ちまおう」
――――その時だった。
パンッ、パンッ、パンッ!
店の外で、乾いた衝撃音が鳴り響いた。
「…銃声!?すぐそばで誰かが…」
「隠れるぞ、稲葉っ!見つかったら俺たちもやられる!」
二人は急いで防弾チョッキを抱え、デイパックとモデルガンを拾い上げて店の奥へと向かった。
168 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:06 ID:uEpeh6wN
その時店の外では、松岡充と河村隆一が対峙していた。
撃ったのは、松岡。河村の太ももとヒザを撃ちぬいていた。
河村はといえば、ホビーショップに向かおうとしていた所だった。
この店は、河村の行きつけでもあった。
B’zの二人がいるなんて、知る余地もない。
ただ、稲葉と同じ様に「モデルガンがあれば、はったりになるかもしれん」
そう考えて、店を物色しようと考えていたのだ。
そして店まで後少しという所を、後ろから松岡に狙われたのだった。
足に衝撃を感じ、よくわからぬまま地面に崩れ落ちた。
そして一瞬カァッと熱くなったかと思ったら、とんでもない激痛がヒザを襲ってきた。
「グアッ…クッ…だ、誰だっ」
「俺ですよ、隆一さん。ダメですやん、背中にも目ぇ付けとかなきゃ」
「松岡、貴様ぁ…っ」
河村は松岡を睨みつけるが、立ちあがる事が出来ない。
(クソッ、ここで殺られるのかっ…)
松岡がゆっくりと近づいてくる。でも河村は、逃げる事が出来ない。
(死ぬにしても…無駄死にだけはするもんか!)
河村は片手で自分のデイパックをまさぐり、支給された大ぶりのナイフの柄をグッと握り締めた。
169 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:06 ID:uEpeh6wN
「松岡、何で足を狙った!後ろからなら一発で俺を殺せただろうが!」
「やだなぁ。天下の河村隆一さんに秒殺なんて…失礼な事、出来ませんよ」
目の前で仁王立ちした松岡は、口元に笑みを浮かべながらイヤミっぽく話し続けた。
「闘いってのは、相手を仕留めるまでの過程を演出しないとねえ。強ければいいってもんじゃないでしょう?」
そういうと松岡は銃を河村の胸元に突き付けた。
「さあ、お喋りはこれくらいにして…隆一さん。最後に何か言い残す事はありますか?」
「殺れるもんなら殺ってみろ…お前に人を殺すことが出来るのかっ!」
もう殺される以外道がない状況で、最後の足掻きとばかりに河村は叫んだ。
「ああ。出来ますよ。今さら一人や二人増えたって変わらないですよ」
「一人や二人って、お前…」
アッサリと答える松岡の言葉に、河村は寒気を感じた。
「今朝公園で平井堅を殺ってきた」
そう語る松岡の脳裏に、平井を殺めた時の事が浮かんできた。
(堅…この手で堅を刺したんだ…)
あの瞬間の感触が手に蘇る――――忘れたくても忘れられない、あの感触。
その時、ピンと張りつめていた松岡の殺気が緩んだ。
その一瞬を河村は見逃さなかった。
デイパックからナイフを握り締めた手を引き抜き、もう既に感覚の消えつつある両足を踏ん張り
ありったけの力を込めて松岡の腹部めがけてナイフを振り上げた。
170 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:07 ID:uEpeh6wN
ガツッッッ!!
―――切っ先に固い感触を感じた。
その衝撃で、河村の手からナイフが弾け飛ぶようにして地面に落ちた。
「…何するんですか、まったく…無駄な抵抗ですね。ま、刺さなくて良かったですね。いいもんじゃないですよ、あの感触は」
「何で…何か仕込んでるのか!?」
「ああ、デイパックに殺った奴の武器をしまってたら入りきらなくなったんで、腰に巻いたんですよ」
そう言いながら、松岡はシャツをめくってみせた。
その腰には…レプリカのチャンピオンベルトが巻かれていた。
(そ…そんなモン巻いてるなぁ〜っ!)
河村にとって千載一遇のチャンスは、チャンピオンベルトによってあっけなく打ち砕かれた。
「あーあ。隆一さんのせいで傷が入っちゃいましたよ…でも、さすが俺のベルトやな。命拾いしたわ」
松岡はベルトを愛おしげに撫でながら呟いた。
171 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:07 ID:uEpeh6wN
「さあ、そろそろお別れですね…」
「松岡!…なぜお前は殺すんだ!?なぜ殺さない方法を考えない…」
全ての力を使い果たしてしまった河村が、息も絶え絶えに訴えた。
「…結局、殺らないと殺られるだけやないですか。俺は自分が一番かわいいですからね。死にたくないんです」
そう話しながら、松岡は銃を河村の左胸にピタリと当てた。
「じゃあ…さよなら、隆一さん」
パンッ!パンッ、パンッ、パンッ!
最初の一発で、河村は声も立てずに崩れ落ちた。
そこへ追い撃ちをかけるように、三発。
みるみるうちに、地面に血だまりが出来た。
松岡はナイフを拾い上げてデイパックにしまいこんだ。
「…さて。あの店に何かあるらしいな。ちょっと漁ってみるか」
松岡は、ホビーショップの方に向かって歩き出した…。
172 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:08 ID:uEpeh6wN
パンッ!パンッ、パンッ、パンッ!
…店の奥と言っても、元々広い店ではないので外の音が良く聞こえてくる。
河村の叫び声も、何を言ってるのかわかるぐらいに聞こえた。
それによって、河村が絶命した事や、銃で河村を撃ったのが松岡である事がわかった。
「松岡充…殺っちまったか…」
松本がため息混じりに呟いた。
「アイツにだけは会いたくないなぁ。アイツなら、何の躊躇いもなく殺りそうだし」
「でも、生きている限り絶対どこかで顔を合わせる羽目になりますよ。俺は…戦いたくないですけど」
「…襲ってきたら、最低でも一撃食らわさないとダメかもなぁ。話してわかるヤツじゃないだろ、アイツは…」
イザとなったら、殺らねばいけない…。自分を守る為にはそれしかない。
それでも、殺したくない。知り合いを殺るなんて出来ない。
でも松岡は、殺ってくるに違いない。
(どうすればいいんだ…どうすればこれ以上誰も死なずに済む!?)
稲葉は必死に考えを巡らせた。でも、何も浮かんで来なかった…。
「松本さん、とりあえず今はここから脱出しましょう!松岡と顔を合わせる前に…」
稲葉がそう言いかけた時、バンッ!と勢い良く店の入り口のドアが開く音がした。
「まさか…松岡!?」
「念の為、防弾チョッキ着ておくか。しかし…最悪だな」
二人は息を潜め、防弾チョッキを着込んだ。松岡に見つからない事を祈りつつ…。
173 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:08 ID:uEpeh6wN
「…ん?もう誰か来た後なんか?」
叩き割られたショーケースが、誰かが物色した後である事を物語っていた。
「使えそうな物は残ってないか…ん?」
松岡は足元に何かが落ちているのを見つけた。
「このタオル…B’zの松本さんか」
落ちていたのは「B’z」タオルだった。T・Mというイニシャルらしき英数字が記されていた。
ツアーのグッズが余っていたのを、自分たちで使っていたのが垣間見られる。
店の奥に逃げ込む時に落としたらしい。
「B’zの松本さんがこのタオルを落としたって事は、よっぽどアセっていたって事やな」
松岡はグルリと店内を見渡した。まだこの店の中にいるかもしれない。
松岡は右手に拳銃、左手に盾代わりのジェラルミンケースをかまえて、ジリジリと店の奥へ歩を進めた。
「…松岡、こっちに向かってきてるみたいですよ」
稲葉が声を潜めて言った。
「バレたのか!?何で人がいるってわかったんだ!?」
松本は自分のせいである事をまだ知らなかった。
「仕方ない…来たら先制攻撃するしかないな」
「武器は使っちゃ…そういや松本さん、武器、何でした?」
二人は動揺していたのと最初から殺し合いをする気がなかったせいもあって
支給された武器が何であるかを未だに確認していなかった。
二人は松岡に気づかれないようにソッとデイパックの中を改めた。
松本に支給されたのは、シリンダー式の拳銃だった。
「ま、手足を狙えば殺さずに済むか…稲葉、お前のは?」
「松本さん…これ、何でしょう?…」
174 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:09 ID:uEpeh6wN
稲葉のデイパックから出てきたのは、黒い小さな箱だった。
てっぺんに赤いボタンがついており「迷わず押せよ 押せばわかるさ」と書いてあった。
「押せばわかるって…押してみるか」
「あ、稲葉!押すな!それってたぶん…」
「え?」
カチッ。松本が言葉を言い終わる前に、稲葉はボタンを押してしまった。
すると箱の正面のパネルが動き出し、中からデジタルパネルが現れた。そして
『お元気ですかー』
…突然、井上陽水の雄たけびが箱から聞こえてきた。
「…ん?」
陽水の声に、松岡の動きが止まった。
陽水の声が聞こえてきたという事は、何か良くない知らせに違いない。
松本達も同じ考えだった。嫌な予感がする…。
そんな彼らの気持ちなどお構いなしに、陽水の声は流れつづけた。
『元気があれば殺し合いも出来る!…エー、この箱は時限爆弾です。
今、ボタンを押した事により時限装置が作動しました!
制限時間は5分!5分経ったら爆発するぞコノヤロウ!みんな頑張って5分以内に逃げたまえ。
尚、このボックスに衝撃を与えたり分解しようとするとその場で爆発するから注意するように!
では諸君の健闘を祈る…いくぞーっ!!』
…陽水の能天気な声が聞こえなくなったのと同時に、デジタルパネルが作動し始めた。
「4:59…58…57…」時間はどんどん過ぎていく。
175 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:09 ID:uEpeh6wN
「あーっ、やっぱり時限爆弾だったかぁ…くそっ!」
「すみません…俺がボタンを押したばっかりに…」
稲葉が涙目でうな垂れ、呟いた。
「もう動き始めたんだから、言い訳してもしゃあないやろ。何とかして、この場から脱出せんとなぁ・・・」
爆弾のタイマーを止める事も、壊す事も出来ない。
それに今の陽水の声で、隠れている場所を松岡に悟られたのは確実だ。
松本が必死に考えを巡らせる横で、稲葉は押し黙っていた。
(俺のせいだ…何とかしなきゃ…そうだ!)
「…松本さん、俺が囮になりますから松岡を撃ってください!」
「な…稲葉っ、バカな事言うな!お前、武器持ってないのにどうすんだ!?」
松本は驚き、稲葉を見た。稲葉の目はこの上ないほどに真剣だった。
「さっき見つけたサブマシンガンのモデルガンで松岡を打ちます。
そこで松岡が怯んでいる隙に、松岡の動きを止めてください。
防弾チョッキも着てるし、何発かは弾を受けても大丈夫だろうから…」
「稲葉…」
「それしかないです!早く逃げないと爆発しちゃいますよ!」
松本はフーッと深いため息をつき、軽くうなづいた。
「そうだな…でも稲葉、死ぬなよ…」
「こればかりは運を天に任せるしかないですけどね。
松本さんも…死んじゃダメですからね。」
稲葉はニッコリと、しかし淋しさをたたえた笑みを浮かべた。
「ああ…死んでたまるか!俺は生きるぞ…」
二人は覚悟を決めた。誰も殺したくはなかったが、仕方ない。
松岡を倒さなければ爆死する。
たとえ松岡を撃ち殺さなくても、致命傷を負わせた時点で殺したも同然だ。
松岡だってここから逃げられなければ爆死してしまうのだから…。
176 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:11 ID:uEpeh6wN
陽水の声が聞こえなくなった時、松岡は呆気にとられていた。しかしすぐに我にかえり考えた。
突然の陽水の声。誰かがボタンを押し、時限爆弾を作動させた。
「…これで誰かいる事が確定したわけや」
相手は逃げようとするだろう。しかし、逃げ道には自分がいる。
自分はそのまま逃げられるかもしれない。でも、相手は自分を倒さないと逃げられない。
今ここで逃げようとして背中を向けたら殺られるだろう。
「松本さんだか誰だか知らんが、殺るしかないって事や…」
相手はおそらく正面にあるカウンターの中にいる。
さっきの陽水の声が聞こえてきたのも、カウンターの中だった。
松岡は再び拳銃を構えた。
稲葉の傍らに転がる時限爆弾のタイマーが、残り時間が3分強である事を示していた。
「俺が左から撃ち始めたら、松本さんはちょっと間を置いた後に右から撃ってください」
「…わかった」
作戦を確認した後、稲葉はモデルガンを構え、松本は拳銃の撃鉄を引いた。
「じゃ…行きます!」
稲葉は勢い良く立ち上がった。5mほど先に松岡の姿があった。
タタタタタタタタッ!
稲葉は一心不乱に、松岡に向けてサブマシンガンを撃ち込んだ。
松岡の気をそらせればいい。ほんの少しの間だけ…。
「しまった!二対一やったんか…!?」
松岡は、予想だにしなかった稲葉の登場に一瞬怯んだが
自分に当たった弾が本物でない事に気づくと、構えていた拳銃を発射した。
パンッ、パンッ、パンッ!
「ウグッ!」
177 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:12 ID:uEpeh6wN
ガーンッ!
「グアッッッ!」
…意外にもダメージを受けたのは、松本の方だった。
突然の激痛に松本の顔がゆがんだ。撃鉄を引き直す事も出来ないぐらいの痛みだった。
松本はTVドラマの刑事のように、片手で拳銃を撃った。
その瞬間ものすごい衝撃が右手を通じ、肩へと伝わった。
松本の右肩は春先に怪我をして以来、まだ完治していなかったのだ。
その肩にモロに衝撃を受けたのだった。
そして肝心の銃弾は……松岡を捕らえる事が出来なかった。
やはり衝撃で腕がブレて、的を外してしまったのだった…。
「松本さん、カッコつけて片手で撃つからですやん…アホが!」
そう言うと松岡は両手で拳銃を構え直し、松本の額に狙いを定めて引き金を引いた。
パンッ!と音がしたのと同時に、松本は額を撃ちぬかれて崩れ落ちた。
「松本さんっっっっっ!!」
稲葉が銃撃を止め、松本の方を向いた時、既に松本は事切れていた…。
「松本さんっ!松本さんっ!返事してください!松本さんっ!!」
稲葉は松本の両肩を持って揺さぶった。しかし、もう二度と松本が口を開く事はなかった。
「松本さん…」
うなだれる稲葉に松岡は素早く近づいていき、背後から腕めがけて拳銃を撃った。
パンッ、パンッ!
「ウガァッ!」
着弾の衝撃と痛みで、稲葉は松本に覆い被さるようにして倒れ込んだ。
「…防弾チョッキ着てても、頭や腕は剥き出しやからなあ」
松岡はニヤリと笑い、そう呟いた。
178 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:12 ID:uEpeh6wN
松岡はふと足元を見た。さっきの時限爆弾が転がっている。
拾い上げてタイマーを見ると、残り時間はあと2分を切っていた。
倒れ込んでいる稲葉に向かって、松岡が問い掛けた。
「さて、と。そろそろ逃げないとな。稲葉浩志さん、貴方はどうします?
大人しく爆発を待つか、今俺に撃ち殺されるか…どっちがいいでっしゃろ?」
稲葉は激痛が走る腕を使い、松岡の方に向き直り、息も絶え絶えに言った。
「…ほっといて…くれ」
「爆死を選ぶか…痛いで〜、爆死は。俺に頭撃たれた方が楽に死ねるんちゃうん」
「いいんだ…死ぬ覚悟は出来るさ。ただ…これ以上、お前に人殺しになってほしくないだけだ…」
「これ以上って、この後も誰かに会ったら俺は殺りまっせ?」
「お前が殺した人数が一人でも減るなら…俺はその方がいい…」
「この期に及んで優しい気遣いしてるとはねぇ…大したもんやな!」
松岡は稲葉を嘲笑うように言った。
「じゃあ、気遣いついでにアンタの防弾チョッキを譲ってくれへんか?そんなの着てたら爆死は無理なんちゃう?」
「ああ…もう必要ないから…勝手にしてくれ…」
稲葉は吐き捨てるように呟いた。
179 :
[1日目午後6時前:ホビーショップ]:01/12/19 23:13 ID:uEpeh6wN
松岡は稲葉が武器を持っていないことを確認すると、稲葉の上体を起こして防弾チョッキを剥ぎ取った。
「おおきに、すんません。ほんなら達者で!!」
松岡はそう言うと、稲葉の額に拳銃をあてがって撃った。
パンッ!
(な…何で…)
稲葉は意識が飛ぶ瞬間、そう思った。
「殺した人数が一人でも減るなら、か…余計なお世話や!」
松岡は無表情で、もう意識がない稲葉に向かってそう吐き捨てるように言った。
『…あと30秒で爆発するぞ、コノヤロー!』
時限爆弾から、陽水の声が響いた。
松岡はサッと荷物をまとめて脱出の準備を整えた。
「あ、そうそう。松本さん、忘れ物だよ」
そう言うと松本の屍に向かってB’zタオルを放り投げた。
『あと20秒で爆発するぞ、コノヤロー!』
その声を聞いて、松岡は荷物を抱え、ダッシュで店を後にした。
遠くへ…とにかく爆撃に巻き込まれないように、遠くへ…。
そして陽水の声が、最後のカウントダウンを始めた。
『あと10秒…それでは皆さん、ご唱和ください。いくぞーっ!サーン、ニーッ、イーチ、ゼロッ…』
ドンッ!ドカーンッ!ドドドドドッ…ガラガラガラ…
豪快な爆音と共にホビーショップは吹き飛んだ。松本と稲葉の屍と共に…。
180 :
名無し:01/12/19 23:18 ID:IqTegJJW
ま、松岡さんが・・・怖い・・・
181 :
名無し:01/12/19 23:24 ID:pt3YGg7D
コワイヨー(´Д`;)
182 :
おいおい:01/12/19 23:26 ID:Dhtzdte1
何これ?
オチつけようないじゃん スレね
183 :
名無しのエリ−:01/12/20 09:27 ID:VHtRKTU7
松岡、ヤバいです。こいつ、誰に殺されるんだろう・・・。
びーず、敗北か・・・。
さすが松岡。
唯一、1位とれそうだったALIVEがBzのベストにしてやられたからなぁ
185 :
。:01/12/20 19:14 ID:8QOg2ofV
ぜひ遠藤ミチロウ辺りもいれてほしい
186 :
名無しのエリー:01/12/20 19:41 ID:ZQU+01S2
桜井VS松岡 の予感。
布袋、氷室はどうなるんだろう・・
早く続きが見たい(読みたい)〜
188 :
名無しのエリー:01/12/20 22:27 ID:JDkmhtfB
松岡VS桜井・・・血みどろ合戦だろうか・・・。
松岡はhydeと仲がいいが、やっぱり非暴力派の彼にも
銃を向けるんだろうか。
松岡のイメージが何だか凄くなってきたよー怖いよー
飛鳥涼は生きていた。
不幸中の幸いというべきか、つんくがスープに混ぜたタバコの量は死に至る程のものではなかった。
さすがのつんくもタバコの致死量まではよく分からなかった。
あの男がこのゲームにおいて2度目の失敗だった。
ふらつく足元を気にしながら武器として支給された「他の参加者の位置を感知できるレーダー」を持って図書館の外に出た。
「このままあの部屋にいても、いずれは他の参加者に見つかっちまう…。」
幸い日は暮れて、辺りは暗くなっていた。
「これなら、他の参加者にも見つかりにくいはずだ…。今のうちに…。」
図書館の100メートル南に高校があった。飛鳥はそれを目標に重い足を引きずりながら必死に歩いた…。
…レーダーに反応はない。
「どうやら今日はついてるみたいだな…。めざましテレビの運勢…当たってるな…。これから毎日見よう…。」
一度死の淵まで追い詰められた飛鳥はこんな事を考えられるほど落ち着いていた。
あれから何分経っただろう…。いつもはランニングで20秒もかからない道がどんな地方の巡業先よりも遠く感じた。
学校の校門の壁を何とかの這い上がり、飛鳥は隠れることができそうな場所を探した。
校舎に忍び込み、2階の生物室らしい部屋の前に差し掛かった瞬間、レーダーが反応し始めた。
どうやらこの半径50メートル以内に誰かがいるらしかった。
廊下には人の気配は感じられない…。
飛鳥はゆっくりと生物室のドアに手をかけた。
「ガラガラ……。」
なにかが潜んでいるようには感じられない静寂が漂っていた。
しかし、レーダーの反応はよりいっそう強まった。
「誰か…いるのか…?」
先ほどのつんくとの「闘い」で飛鳥からは恐怖感は無くなっていた。
飛鳥は辺りを見回しながらゆっくりと歩いた。
レーダーの反応は強くなる一方だったが、飛鳥は怖くはなかった。
先ほどまで雲に隠れていた月がようやく顔を出し始め、この薄暗かった部屋を月明かりが照らし始めたその時、
飛鳥は見た。全身を紅く染めてやすらかに眠っているチャゲを……
「ちゃ…チャゲ…。」
飛鳥にとっておない年のチャゲは公私において兄弟のように慕っていた存在だった。
ある意味、自分が死に直面したとき以上の衝撃が身体を駆け巡った。
「チャゲェェーーー!!」
飛鳥はチャゲの身体を泣き叫びながら前後に揺らした。
もう二度とチャゲの目が覚めないことは飛鳥にも分かっていた。
今自分が殺人ゲームに放り込まれた身であることも忘れ、ひたすら泣き叫んだ。
「チャゲは敵じゃねえんだよぉぉ!!!」
飛鳥は自分の手に持っているレーダーにどうしようもない怒りを覚えた。
こういう目的の機械である以上、誰であろうと反応するのは仕方がない。
それは、飛鳥にも分かっていた。
飛鳥はほとんど残されていない力を振り絞り、レーダーを向かい側の棚にぶつけた。
飛鳥はそうせずにはいられなかった。
あれから何分経っただろう?
おそらくそれほど長い時間が過ぎたわけではなさそうだったが、
飛鳥は今までのありすぎた色んな事を頭の中で整理しながらチャゲに話し掛けた…。
今まで話していた時と同じように。
勿論、返事が返ってくることなどはありえなかったが飛鳥は話しつづけた。
「チャゲ、俺のノートパソコン調子…悪いみたいなんだ…。…家帰ったら…見てくれないか…。」
「俺、初めてコンサートやったとき…緊張しまくりだったんだよ…。ヘヘ…。
でも、チャゲ…落ち着いてて…オレ凄いなあ…と思ったんだ。」
「楽しかったなあ…。チャゲと歌ったの…。ずっと頑張ろうって…約束したよな?」
飛鳥の頭にチャゲとの楽しかった思い出が次々と浮かんでくる。
元々、飛鳥は涙もろいわけではなかったが、この時は自然と涙が溢れて止まらなかった。
「約束…したよな?チャゲ……?」
飛鳥は静かに眠るチャゲを見つめた。
「約束…したじゃないっすか!!…お互い頑張ろうって!!チャゲ…言ったじゃねえか!!」
今まで抑えていた感情が一気に爆発した。
「眼ぇ、開けてくれよ!!もう一回二人して組んで歌いましょうよ!!
ステージ一緒に立とうよ!!チャゲェェーーー!!眼ぇ開けてくれよぉぉぉ!!」
大声をあげて泣き叫ぶ飛鳥はもうこのゲームのことなんて忘れていた。
チャゲの死を自分の意識に受け入れることで精一杯だった。
「カチャ…」
チャゲに抱きついて泣き叫ぶ飛鳥の後頭部に冷たい感触が触れた…。
「タン」
あっけない音とともに飛鳥の意識は途絶えた。チャゲと同じように。
「…飛鳥さん、生きてたのか。失敗したな。やっぱりタバコ1本じゃ足りなかったか…。」
完璧主義者の男がボソボソと独り言で反省をした。
チャゲと飛鳥の向かい側の棚の下に転がったレーダーははっきりと反応を捕らえていた。
今までずっとこの校舎の屋上に身を潜めていたつんくの反応を。
CHEMISTRYの川畑要は、口答えした時に陽水に思い切り張られた頬をさすりながら
パートナーの堂珍嘉邦と行動を共にしていた。なんでも後発組へのサービスだそうだ。
(しかし二人一組っていきなり襲われたらどうしてくれるんだ…)
川畑は身震いしてそんな考えをかき消した。
それに人格者の堂珍と一緒と言うのは心強い面の方が遥かに大きい。しかし、
「ねぇ、堂珍?」
さっきから堂珍は殆ど喋ってくれない。ずっと何か考えているようだ。
きっと脱出の方法を考えているんだろうと邪魔しないようにしていた。
ちなみに武器は堂珍が和風の短い刃物、いわゆるドスと言うヤツだ。
自分は拳銃、確かロシア製のトカレフと言う銃だろう。
(まいったな…これ確か命中率悪いんだよな……ま、刃物よりマシか…)
そんな考えを巡らせていると、ふと堂珍がこちらを向いた。
「堂珍、今何か良い案浮かんだんだ…!!!?」
聞いた川畑に返ってきた堂珍の答えはドスの切っ先だった。
いきなりの事にドスを腹部に突き立てたまま、川畑は一言も発せず絶命した。
堂珍が川畑の手からトカレフを取ろうとしていた時、急に堂珍の意識は途絶えた。
堂珍の背後には今の一撃で血まみれになった金属バットを持った宇多田ヒカルが立っている。
宇多田はただにっこりと笑うともう一度堂珍にトドメを刺し二人の武器を回収して去って行った。
夕方6時の放送の後、氷室京介と布袋寅泰は体育館にいた。後発組のため勿論両者は首輪をしている。
「布袋さぁ…やっぱりやってるんだなぁ、殺し合い…」
氷室が寂しそうに呟いた。
「みたいだなぁ…氷室……」
答えた布袋はじっと体育館の天井を見つめていた。
布袋の武器は闘魂鎚となどと書かれたピコピコハンマー、
そして氷室は手錠だった。中身を知っていて渡したとしか思えない。
「なぁ、氷室。お前、ここで歌ってみないか?俺がギター持ってきてるし」
突然布袋が提案した。氷室は驚いたが布袋の表情から冗談ではないと理解し問い返した。
「……今からかい?」
「今しかできないだろ?」
そう言いながら立ち上がった布袋はちょっと照れくさそうな表情のまま私物として持参してきたギターを抱えた。
それを見た氷室は仕方なさげに立ち上がったが、その顔にはわずかに笑みが見られた。
二人は体育館の舞台に移動した。
向かい合いながら二人は言葉を交わす。
「もう12年だっけ?解散して。弾けんのかい?」
「この歳じゃ2年も12年も大差ないよ。お前もちゃんとミスらずに歌えよ。」
「そうか?じゃあいってみるか…」
二人にだけ聞こえるドラムが鳴りどちらからともなく曲が始まる。
BOOWYの代表曲が続く。
そして確かに二人の動きは若々しくなかった。
だが二人の目は最もパワフルだった時期の輝きを取り戻していた。
そこには後々のビジュアル系やビーイング系に多大な影響を与えた『BOOWY』が繰り広げられていた。
夕日が完全に沈もうかという頃、二人は息も絶え絶えにステージに寝転んでいた。
少しして先に布袋が呟いた。
「ハァハァ…おたが…お互い……歳喰ったな……」
「本当だ……なぁ…ハァハァ…」
氷室が答えた後しばらく呼吸だけが続く。
濃密過ぎる時間を過ごした二人は疲労困憊だった。だが堪らなく心地いい疲労だった。
そんな二人を祝福でもするかのような拍手が聞こえてくる。幻聴ではない。
拍手の主は窓の外で様子を窺っていた桜井和寿だった。
「いやすごくいい物見せてもらいましたよ。…でも何でここにいるんスか?」
事情を聞いた桜井はややオーバーな位のリアクションを見せた。
「はー、そりゃヒドい!いくらあのヒトらしいっつっても、ねえ!?つうことは後発組はお二人の他に…」
そこまで聞いた所でそれまで殆ど喋らなかった布袋が口を開く。
「情報収集はもうそれくらいでいいか?桜井。」
桜井は完全に図星を突かれた驚きに思わずかなりの動揺を表に出してしまった。
「はっ!?なっな、何言ってんですか!!」
「そんなに驚くな。大体仕草がオーバーになってるのは何か企んでる証拠だからな。それに別に俺達はお前をどうこうする気も無い。」
布袋の言葉に氷室が続けた。
「それと左耳に血がついてるぞ。お前からは見えんかったんだろうがな。」
既に桜井の顔から驚きの表情は消え、吉田拓郎と氷川きよしを殺したときの顔になっていた。
冷徹な殺人鬼の顔に。
桜井の眼光は先刻までと一変し、殺意が感情を塗り潰して行く様がありありと表れていた。
氷室に指摘された耳を触りながら、口元にだけわずかな笑みを浮かべ二人に話し掛ける。
「ったく、まいったなぁ。ま、そこまで分かってるって事は、オレがこれから何するかも分かってんでしょう?
こんな冷静なヒト初めてですよ…氷川や拓郎さんだってビビりまくってたのになぁ。
やっぱ解散して一つ吹っ切れた人間は死んだも同然って事なんですかね?」
二人は何も答えない。そして桜井は膝を少し気にしながら立ち上がり、
腰の拳銃を抜いてまず氷室に向けた。当然表情に躊躇(ためら)いの色は無い。
そして引き金にかけた指に力を込めた時、桜井が今までに見た以上に優しい顔で氷室は言った。
「生き残って、残りの人生大事に使えよ?」
桜井の目が大きく見開かれるのと銃声が響くのはほぼ同時だった。
続けて、かすかに震えながら桜井は布袋に銃口を向ける。
布袋も氷室の方を全く見ずにその大きな顔に負けない大きな笑みを桜井に向けた。
「色々言うヤツはいるかも知れんが、お前は音楽界の未来を担ってるんだからな。」
再び銃声が鳴り、体育館中に大きく反響した。
桜井は震えていた。二人への尊敬の念が、ゲームが始まった時捨てたと思っていた今までの多くの思いが
一気に頭の中に流れ込み、大粒の涙をこぼしていた。
膝がガクガクする。今にも地面に膝をついてしまいそうになる。しかし堪えた。
ここで膝をつくともう誰も殺せなくなる気がしたから。
数分後、シャツの胸をきつく握り締め息を落ち着かせた桜井は、
もう二人の姿を見ることもなく体育館の扉へ向かった。
二人の男たちの最後で最期の想いが残るこの場所に思い出を置き去り、桜井は戦場へと帰っていった。
198 :
名無しのエリー:01/12/21 01:42 ID:6OiwwP7C
age
199 :
名無しのエリー:01/12/21 01:57 ID:73mm6IMb
女性が少ないのがちょっと寂しいかなー。
プロレスからのコピペじゃ無理もないけど。
竹内まりや山下達郎夫妻とかいたらバリエーションあってよくない?
ユーミンと中島みゆきの対決とか…。
あくまで希望なんでよろしく。
楽しみにしてますよー。
200 :
名無し:01/12/21 09:18 ID:t1g8gFjK
死亡確認参加者:矢沢永吉 テル 宮本浩次 中居正広 吉田拓郎
平井堅 氷川きよし 矢井田瞳
浜崎あゆみ 国分太一(非参加) 真矢 三木道三
河村隆一 稲葉浩志 松本孝弘 チャゲ 飛鳥涼
川畑要 堂珍嘉邦 氷室京介 布袋寅泰
結構死んでるね〜
個人的には手負いの吉井が気になります。