神秘主義的映画のスレ

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238これでいいですか
>>225
>、「ジャンヌは一度ですが、あのフィルムは二度焼かれました
からね。」と、最後にぽつんといったのですが、詳しく聞く時間がなくて残念でした。いろいろ、
数奇な運命をたどったフィルムのようです。ご存知のかたがいたら、また、教えてください。

「裁かるるジャンヌ」は完成後、2本のプリントが焼かれ、デンマークでじ4か月間上映された。
フランス公開時では検閲でカットされた版で上映。
が、この直後、オリジナルネガが保管されてあったウーファ撮影所で火災が起こり、ネガ焼失。
そこでドライヤーは未使用ネガ、つまり別テイクを使って映画を再構成する。これが「ジャンヌ 第二版」
である。このバージョンでアメリカ、日本などで公開されたが、この第二版のネガが保存してあ
ったブーローニュ=ビランクールの撮影所も火災にあい、第ニ版のネガも焼失してしまう。
1944年にフランスの映画評論家ロ・デュカの助力で16ミリプリントからサウンド版の改変版が作られる。
これがいわうるロ・デュカ版で、インタータイトルをカットし、スーパーインポーズで字幕処理し、バッハを
伴奏としている。オリジナルにはない教会の窓を何度もインサートするなど問題も多いこのバージョンを、の
ちに見たドライヤーは激怒し、抗議の手紙を出す。
一方、スネマテーク・フランセーズやニューヨーク近代美術館では、フランス公開版を基にした不完全なプリント
を1930年代末には所持しており、ここから8ミリ、16ミリがデュープされた。今日、シネクラブやビデオで
広く見られるのはこのバージョン。

さて、1981年ノルウェーの精神病院でほぼオリジナルに近い「ジャンヌ」の綺麗なプリントが発見される。院長が
ジャンヌ・ダルクの研究えを行なっていたため、コレクションしていたのである。
このプリントはデンマーク映画博物館でナイトレイト(ニトロベース)からセイフティに不燃化され、シネマテーク・
フランセーズがフランス語の字幕を入れた。現在、この復元版はあちこちの映画祭で上映されている。

東京では1994年暮に有楽町の朝日ホールでただ1回のみ上映されている。
ビデオや16ミリ版でしか見ていない者は、映し出された「ジャンヌ」がまったく別物であると思い知らされ、愕然とし、
打ちのめされた。が、このことを日本の映画ジャーナリズムは伝えなかったし、その後上映の機会はなく、もちろんビデオ
やDVDで発売されるという気配もない。