1 :
名無シネマさん :
2011/11/30(水) 17:48:07.94 ID:bioxMdrE ダン・オバノンによるエイリアン元ネタ
2 :
名無シネマさん :2011/11/30(水) 17:49:30.84 ID:bioxMdrE
明日から訳出致します。お楽しみに。
3 :
名無シネマさん :2011/11/30(水) 23:17:34.13 ID:90w8uoty
ダダンダダンダンダン ハッ ビバビバビバ ダダンダダンダンダン ハーッ オバ ノンノン
4 :
名無シネマさん :2011/12/01(木) 09:37:25.91 ID:pIE1BI3U
ALIEN 本プロジェクトの本来の名は「スタービースト」であった。 ストーリー:ダン・オバノン、ロナルド・シャセット 脚本:ダン・オバノン 1976 あらすじ 遥か遠くの銀河から地球へ帰還の途についていた宇宙船スナークのクルーはエイリアン言語の通信を傍受する。 発信地は近傍の、嵐に包まれた惑星であった。人類は、宇宙で他の知的生命体とコンタクトするのを何世紀も 待ち望んでいた。クルーは上陸調査の決意をする。調査を進めるうち、クルーは遭難したエイリアンの宇宙船 に出会うが、そのドアはぽっかり口を開けている…この船は死に、放棄されていた。内部でクルーは多くの 奇妙なものを発見するが、その中に不気味なスペース・トラベラーの骸骨があった。
5 :
名無シネマさん :2011/12/01(木) 10:15:31.45 ID:pIE1BI3U
遭難船で見つかった手がかりはクルーを惑星表面の障害を越え、太古の石でできたピラミッドへと導いていく。 このピラミッドは消滅した文明の唯一の遺物である。ピラミッドの深部で彼らは素晴らしい装飾品で一杯に 飾られた古代の墓を発見する。墓の中に睡眠状態で横たわっているのは何世紀をも経てきた胞子であり、人間 の存在を感知して生命を吹き返しす。寄生体はクルーの1人の顔に取り付き…除去できなかった。船の医療 コンピューターの分析により、クリーチャーは管を犠牲者の喉に挿入し、内部に何かを産み付けている事が判明 した。そしてまた寄生体の血液は強い腐食性を有しており、金属をも侵食する事が分かった…船の上で殺す こてゃできないのだ。
6 :
名無シネマさん :2011/12/01(木) 10:50:52.61 ID:pIE1BI3U
最終的に、寄生体は犠牲者から除去され船外へ射出され、船は地獄の惑星からブラスト・オフする。だが、 長い帰還の旅のための仮死状態に入る前に、恐ろしい、小さなモンスターが犠牲者の体から姿を現す… モンスターは寄生体によって産み付けられ、体内で成長し…そして今、船内に放たれたのだ。恐ろしい アドベンチャーが続いて起こる。彼らはモンスターをエア・シャフトに閉じ込め、クルーは火炎放射器を 持って這い下っていく…モンスターはクルーの頭をもぎ取ると、死体とともに逃げ去る…クルーは エアロック・ドアで押しつぶされ、暴風の中、船はその空気の大部分を失う…ある者は焼け死に、クリー チャーに喰われ、ある者はエイリアンの奇妙なライフサイクルの1部である繭へと織り込まれてしまう。 最後に生き残ったのはたった1人。船内には彼とクリーチャーが残される。空気は6時間分しか残されていない。 身の毛のよだつようなクライマックス。生きて地球へたどり着くのは…人間か、エイリアンか。
7 :
名無シネマさん :2011/12/01(木) 11:20:57.79 ID:pIE1BI3U
キャストとそのキャラクター チャズ・スタンダード:船長。リーダーであり政治家的。何もしないよりは何かする方がマシと信じている マーティン・ロビー:エクゼクティブ・オフィサー。注意深く聡明。生存者。 デル・ブロサード:ナビゲーター。冒険家。軽率なグローリーハウンド。 サンディ・メルコニス:通信士。メカに詳しく、ロマンチック。 クリーブ・ハンター:採掘エンジニア。神経質。ひと山当てようとやってきた。 ジェイ・ファウスト:エンジン技師。労働者。想像力に欠ける。 クルーはユニセックスで、体のパーツは全て男性にも女性にも交換可能である。
8 :
名無シネマさん :2011/12/01(木) 19:07:39.55 ID:UtruDyTu
フェイド・イン ちらつくインストルメンタル・パネルのクローズアップ。遥か未来のテクノロジー。ディジタル・ ディスプレイとリードアウトが不気味に脈動している。どこもかしこも寒く、暗く、無味乾燥 である。電子機器がくすくす自身に笑いかけている。突然ビープ・シグナルが聞こえ、機器は目覚め 始め、サーキットは閉じ、照明が明滅する。カメラアングルが広がり、更に多くの機器、層をなす パネル、震える計器の針などが明らかになる。 ハイパースリープ・ルーム。ステンレス・スチールでできや部屋に窓はなく、壁は機器で埋まっている。 明りは薄暗く、空気は冷たい。フロアスペースの殆んどを占めているのは、水平に置かれたフリーザー・ コンパートメントの列である。まるでミート・ロッカーのようである。フォーン!フォーン!フォーン! ガスが噴出し、フリーザーの蓋が開く。ゆっくりと、ふらつきながら、裸の6人が起き上がる。
9 :
名無シネマさん :2011/12/01(木) 19:26:18.54 ID:UtruDyTu
ロビー:オー…ゴッド…寒い… ブロサード:お前か?ロビー。 ロビー:ひどい気分だ… ブロサード:お前だな、オーライ。 彼らはあくびをし、体を伸ばし、そして震えている。 ファウスト:オー…生きてるようだな。死んだかとおもったぜ。 ブロサード:死んでるように見えるぞ。 メルコニス:吸血鬼が墓から起き上がったわけか。 笑い声が上がる。 ブロサード:(こぶしを握り)俺たち、やったんだな! ハンター:(まだ完全には覚醒していない)終わったのか? スタンダード:終わったのさ、ハンター。 ハンター:(あくびをして)ひどいもんだった。 スタンダード:(歯を見せて笑いながら周りを見渡し)金持ちになった気分はどうだい? ファウスト:寒い! 笑いが起こる。
10 :
名無シネマさん :2011/12/01(木) 19:52:49.24 ID:UtruDyTu
スタンダード:OK!全員、上甲板へ!パンツを履いて、持ち場に付け! 男たちは勢いよくフリーザーを出ていく。 メルコニス:誰か、猫を。 ロビーはフリーザーの外で元気を失っている猫を拾い上げる。 コントロールルーム。円形の部屋で、機器で埋まっている。窓はなく、頭上にはビュースクリーンが 取り巻いている。画面は空白である。4人分の座席があり、コンソールはまぶしいテクノロジーの 配列である。スタンダード、ロビー、ブロサード、そしてメルコニスが入って来て座席に着く。 ブロサード:俺は牛の牧場を買おうと思ってるんだ。 ロビー:(猫を下ろしながら)牧場だって! ブロサード:からかってる訳じゃないぜ。クレジットがあれば、お前だって買えるんだ。 スタンダード:オーライ、タイクーン。無駄遣いはやめて、仕事を大事にしよう。 ロビー:その通りさ。全システム、始動。 彼らはスイッチを入れ始め、コンソールをライトアップする。コントロールルームは生き返る。 部屋中、さまざまな色のライトがちらつき、機器のハム音や雑音で満たされる。
11 :
名無シネマさん :2011/12/01(木) 20:16:02.40 ID:UtruDyTu
スタンダード:サンディ、何か見せたいか? メルコニス:どうぞ。 メルコニスはコンソールに手を伸ばし、重なり合ったスイッチを押す。ビュースクリーンが 明滅して息を吹き返す。どのスクリーンにも、まばらな星と暗闇が映っている。 ブロサード:(1息おいて)地球はどこだ? スタンダード:サンディ、全天スキャンを。 メルコニスはボタンをはじく。カメラは動いていき、星々の像も動く。 船の外側、宇宙空間。リモートコントロールのTVカメラがゆっくり動く。カメラは船の外殻に 設置されている。カメラは引き、宇宙船“スナーク”の全長が露わになる。船は星間空間の深みに 漂っている。背景では星がかすかに明滅している。 内部、ブリッジ。 ロビー:俺たちはどこにいるんだ? スタンダード:サンディ、トラフィック・コントロールにコンタクト。 メルコニス:こちら深宇宙商業船スナーク。登録番号E180246。南極トラフィック・コントロール を呼び出し中。応答せよ、どうぞ。 空電が唸るばかりである。
12 :
名無シネマさん :2011/12/01(木) 20:42:37.21 ID:UtruDyTu
スタンダード:(スクリーンを見つめ)あの星座には見覚えがないな。 スタンダード:デル、我々の位置をプロット。 ブロサードはスイッチを叩く。 ブロサード:これだ。オー、ボーイ。 スタンダード:一体どこなんだ? ブロサード:ゼータUレティクルのすぐ傍だ。俺たちはアウター・リムにも達していない。 ロビー:どういう事だ? スタンダードがマイクを取り上げる。 スタンダード:こちらチャズ。すまない。ホームに帰ってはいない。現在位置は地球へやっと半分 来たぐらいだ。位置についてスタンバイ。以上。 ロビー:チャズ、セキュリティ・アラートに何か引っかかった。コンピューターは高い優先順位だと… スタンダード:聞かせろ。 ロビー:(ボタンを叩く)コンピューター、第3優先順位のメッセージだってな。メッセージは何だ? コンピューター:航海のコースを中断しました。 ロビー:何だって?何故? コンピューター:一定の状況が発生した場合そうするようプログラムされています。 スタンダード:コンピューター、船長だ。その状況とは何だ? コンピューター:発生源不明の通信を傍受しました。 スタンダード:通信? コンピューター:音声による通信です。 メルコニス:こんな所で? 男たちは視線を交わしあう。
13 :
名無シネマさん :2011/12/02(金) 06:51:11.87 ID:JUSnODUT
コンピューター:通信が記録してあります。 スタンダード:再生を頼む。 スピーカーから聞こえるのはハム音、パチパチという音、空電…そして奇妙な、この世のもの とも思えない音声が部屋を満たす。エイリアンの言語だ。異様な音声が長いセンテンス続き、 そして止む。男たちは驚き、互いに見つめ合う。 スタンダード:コンピューター、この言語は? コンピューター:未知のものです。 ロビー:未知!どういう意味だ? コンピューター:進歩した人類の話す、678の言語には当てはまりません。 一拍あって、皆一斉に話し始める。 スタンダード:待て!ちょっと待つんだ!コンピューター、通信を分析してみたか? コンピューター:イエス。非常に興味深いポイントが2つあります。1、高度に系統化された言語で、 発生源は知的なものだという事です。2、人間の口蓋では発声できない音が混じっています。 ロビー:オー、マイ・ゴッド。 スタンダード:ああ、とうとう来たか。 メルコニス:ファースト・コンタクト!…
14 :
名無シネマさん :2011/12/02(金) 07:11:27.47 ID:JUSnODUT
スタンダード:サンディ、あの通信電波を追えるか? メルコニス:周波数は? スタンダード:コンピューター、周波数を。 コンピューター:65330−99です。 メルコニスがボタンを叩く。 メルコニス:分かったぞ。経度6分32秒、緯度マイナス39度。 スタンダード:デル…スクリーンに出してくれ。 ブロサード:第4スクリーンに出します。 ブロサードはボタンを叩く。スクリーンが明滅し、そして小さな光点がスクリーンの隅に見えてくる。 ブロサード:あれだ。正面に持って来よう。 ノブをひねり、光点がセンターに来るよう動かす。 スタンダード:もう少し寄れないか? ブロサード:今やってます。 ボタンを叩く。スクリーンが光り、惑星が姿を現す。 ブロサード:小惑星だ。径120km。 メルコニス:小さいな! スタンダード:自転は? ブロサード:ああ、2時間。 スタンダード:重力は? ブロサード:0.8だ。歩けるな。
15 :
名無シネマさん :2011/12/02(金) 11:12:07.02 ID:YUpqsvCJ
スタンダードが立ち上がる。 スタンダード:マーティン、他の連中をラウンジに上げろ。 多目的室。クルー全員…スタンダード、ロビー、ブロサード、メルコニス、ハンター、それにファウスト。 皆、テーブルの周りに座っている。 メルコニス:これがSOSだとしたら、我々は道徳的に調査する義務がある。 ブロサード:そうだ。 ハンター:知るもんか。俺たちは金を稼ぎに来たんで、サイド・トリップに出かけるためじゃない。 ブロサード:(エキサイトして)金の事は忘れろ!人間以外の知性とコンタクトする初めての人間になれる チャンスだぞ! ロビー:この小惑星に知的な異星人がいたとしても、準備なしで行ってしくじったら大ミステイクだぞ。 ブロサード:ヘル、俺たちは準備が… ロビー:ヘル、ノー!このちっぽけな岩に何がいるのか分からないんだぞ!探査当局に通信して、処理を まかせるべきだ! スタンダード:それでもいいさ、返信に75年掛からないのなら、な。コロニーから遥か遠くにいる事を 忘れるな、マーティン。 ブロサード:商業レーンはない。直視しろ。俺たちはレンジ外にいるんだぞ。 メルコニス:人類は何世紀も、宇宙で他の知的生命形態とのコンタクトを待っていたんだ。こんな機会は2度と 来ないだろう。
16 :
名無シネマさん :2011/12/02(金) 14:45:22.49 ID:YUpqsvCJ
ロビー:おい! スタンダード:却下する、マーティン。ジェントルマン…レッツ・ゴー! ブリッジ。 スタンダード:デル、拡大像を。表面をもっと詳細に。どんな所か見たい。 ブロサード:やってみます。 彼は装置を叩く。スクリーンは惑星にズーム・ダウンするが、細部は灰色にかすんで見えない。 スタンダード:ピントが外れてるぞ。 ロビー:ノー。これは大気だ。雲の層だ。 メルコニス:マイ・ゴッド!小さな岩のかけらなのに大変な嵐だ。 ロビー:待ってくれ。(ボタンを叩く)水蒸気の雲じゃないな。水分は含まれてない。 スタンダード:船を大気中モードに。 スナーク、宇宙空間。巨大なディッシュ・アンテナが畳み込まれ、他のパーツもフラットになり、 船はエアロダイナミックなフォルムを呈する。 ブリッジ。 スタンダード:デル、コース設定、信号の方向へ。 宇宙空間。スナーク号のエンジンが咳き込んで目覚め、離れた光点、小惑星へと船を漂わせ始める。 スクリーン上で小惑星が大きく迫ってくる。風が荒れ狂い、焦げ茶色の雲にすっぽり覆われている。 スナークは惑星表面へと下降していく。
17 :
名無シネマさん :2011/12/02(金) 15:16:33.41 ID:YUpqsvCJ
ブリッジ。 スタンダード:リフター4基、作動。 ブロサード:リフター作動。垂直降下チェック。コース修正。現在接線コースで軌道上。(機器を調べ) 限界線を横断、夜側へ。 スナーク、軌道上。軌道を描くスナークの下、惑星を夜のカーテンが覆っていく。角度をなして、スナークは 小惑星の厚い大気層を通って下降していく。 ブリッジ。 ロビー:大気の乱流、砂嵐だ。 スタンダード:ナビゲーション・ライトを。 スナーク。豆スープのような大気の中を滑走しながら、まばゆく輝くライトにスイッチが入り、砂埃を切り裂くが 視野は改善しない。 ブリッジ。 ブロサード:発生源地点に接近中。あと20km、15km、速度低下。10、5。ジェントルメン、発生源真上だ。 スタンダード:下の地形はどうなってる? ブロサード:ああ、砂埃で視線は届かない。レーダーはノイズ。ソナーはノイズ。赤外線は…ノイズ。紫外線を 試してみる。これだ。フラットだ。全体的にフラット。平野だ。
18 :
名無シネマさん :2011/12/02(金) 15:44:45.31 ID:YUpqsvCJ
スタンダード:硬いか? ブロサード:これは…玄武岩。岩だ。 スタンダード:よし、降りるぞ。 ブロサード:降下開始!15km、降下中。12…10…8…速度低下。5。3。2。あと1km、速度低下。トラクター ・ビーム、ロック。 大きな電子ハム音。船は震える。 ロビー:ロックした。 ブロサード:ドライブ・エンジン停止。 エンジンは静まる。 ロビー:エンジン・オフ。 ブロサード:900m、降下中。800、700.みんな、掴まれ。 惑星表面−夜。夜に包まれた惑星表面は吹きすさぶ砂埃で地獄のようだ。スナークは照明を上げながら ホバリングし、ゆっくりと降りていく。ランディング・ストラットが昆虫の足のように広がる。 ブリッジ。 ブロサード:着くぞ… 惑星表面−夜。船は激しくタッチダウンし、巨大なショック・アブソーバーの上で揺さぶられる。 ブリッジ。船全体が、一瞬、激しく揺れる…そして部屋のパネル全てが同時に閃光を発し、明かりが消える。 ブロサード:ジーザス! 明かりが再び灯る。 スタンダード:何が起こった? ロビー:(スイッチを叩き)エンジンルーム、何事だ? ファウスト:ちょっと待ってくれ。チェック中だ。 ロビー:外郭が裂けたのか? ブロサード:ウム…(計器をスキャンし)いや、何ごともない。船内圧は保たれている。
19 :
名無シネマさん :2011/12/02(金) 15:47:53.49 ID:YUpqsvCJ
訂正。
>>17 。13行目、あと20km、15km→時速20km、15km。
20 :
名無シネマさん :2011/12/02(金) 16:33:59.61 ID:YUpqsvCJ
コミュニケーターからビープ音が発せられ、そして、 ファウスト:マーティン、ジェイだ。エンジンのインテークが埃で詰まったんだ。オーバーヒートが起きて 電池が全部燃えた。 スタンダード:(パネルを叩き)畜生!修理はどれだけ掛かる? ロビー:(マイクに)修理期間は? ファウスト:分からない。 ロビー:よし。始めてくれ。 ファウスト:分かった。 スタンダード:外を見てみよう。スクリーンを回してくれ。 メルコニスはボタンを叩く。スクリーンは明滅するが暗いままである。 ブロサード:何も見えんな。 船外−夜。わずかにきらめく照明が船と周囲の完全な暗闇を分けている。風が呻き、泣き叫んでいる。 小さな照明の前方では砂嵐が吹いている。 ブリッジ。 スタンダード:フラッドを。 船外−夜 フラッドライト(投光照明)の輪が目を覚まし、目も眩むような光を夜の闇へ投げかける。 照らし出されたのは灰色の地面と、吹きすさぶ砂埃の雲だけである。風が叫び声を上げている。 ブリッジ−夜。 ロビー:あまり助けにはならないな。 スタンダードは暗いスクリーンを見つめる。 スタンダード:この暗さではどこへも行けん。夜明けまでは? メルコニス:(計器と相談し)ええと…この岩は2時間周期で回っている。20分で日が昇るはずだ。 ブロサード:グッド!そうなれば何か見えるな。
21 :
名無シネマさん :2011/12/02(金) 16:56:46.56 ID:YUpqsvCJ
画面はディゾルブして、 船外−夜(メイン・タイトル・シークエンス)。 スナーク号のフラッドライトが闇と嵐を相手に戦い、負けつつある。不吉なメインテーマ・ミュージック が始まり、タイトルが現われる。 A L I E N 太陽が昇り、徐々にスクリーンが明るくなる。スナーク号のシルエットが見えてくる。まるで不毛の大地に うずくまる、動かない奇妙な昆虫のようである。フラッドライトが消える。
22 :
名無シネマさん :2011/12/03(土) 10:07:05.40 ID:lZw9Muzz
見通すことの出来ない、濃密な砂埃の雲が泣き叫び、呻き、全てを覆い隠し、太陽の光は弱められて 鈍いオレンジ色にしか見えない。メインタイトル終了。 ブリッジ−昼。男たちは立ち、座り、コーヒーを飲み、渦巻く砂埃しか映っていないスクリーンを見つめて いる。 ロビー:この辺に都市があるんだろうが、見えないな。 ブロサード:ここで座ってちゃな。サンディ、何か反応は? メルコニス:(イヤフォンを抜き)すまん、例の通信が32秒毎に繰り返されているだけだ。全周波数でトライ したんだが。 ブロサード:ここに座って招待されるのを待つつもりか?
23 :
名無シネマさん :2011/12/03(土) 17:52:23.18 ID:lZw9Muzz
ロビーはむっとしてブロサードを見ると、コンソールのpボタンを押してマイクに話す。 ロビー:おい、ファウスト! ファウスト:イヤー! ロビー:エンジンの具合はどうだ? エンジンルーム。ファウストは明るい照明の下、作業台に座っている。壁のインターコムに向かい、 ファウスト:これほど細かい埃は初めてだ…電池には全部、顕微鏡レベルの穴が開いている。こいつを 全部磨いてスムーズにしなくちゃならない。だからしばらくかかりそうだ。OK? ブリッジ−昼。 ロビー:ああ、OK。(マイクを置く) スタンダード:サンディ…通信の発生源まで遠いのか? メルコニス:発信源は、北東…300mだ。 ロビー:近いな… ブロサード:歩いていける! スタンダード:マーティン、大気組成は? ロビー:(ボタンを叩き、計器と相談士)アルゴン10%、窒素85%、ネオン5%…ほか微量元素。 スタンダード:無毒だな…だが呼吸はできん。大気圧はどうだ? ロビー:1平方センチあたり10と1/4ダイン。 スタンダード:グッド!湿度は? ロビー:ゼロ。骨みたいに乾ききってる。 スタンダード:微生物は? ロビー:皆無だ。ここは死んでるのさ。 スタンダード:他には何か? ロビー:ああ、岩のかけら、埃。
24 :
名無シネマさん :2011/12/03(土) 18:14:18.24 ID:lZw9Muzz
スタンダード:よし、プレッシャー・スーツは要らない。だが呼吸マスクは要る。サンディ…発信源 を追跡できるポータブル・ユニットを作れるか? メルコニス:ノー・プロブレム。 ブロサード:探検パーティに志願するぜ。 スタンダード:聞いたぞ。武器を出すか? メイン・アームロック−昼 スタンダード、ブロサード、そしてメルコニスはロックへ入る。3人とも手袋、ブーツ、ジャケット、 そしてピストルを無に付けている。ブロサードはボタンをタッチし、インナー・ドアがスライドして 静かに閉じる。ゴム製のフルヘッド・酸素マスクを付けている。 スタンダード:(マスクの無線を調整しながら)聞こえるか? ブロサード:聞こえる。 スタンダード:オーライ。忘れるな、俺が言うまでは武器に触れるなよ。マーティン、聞こえるか? ブリッジ。 ロビー:聞こえるよ、チャズ。 メイン・アームロック−昼。 スタンダード:アウター・ドア、開けろ。 重々しく、アウター・ドアがスライドして開く。オレンジ色の日光と、埃の雲が渦を巻く。風が呻いて いるのが聞こえる。可動階段がスライドして伸び、地面に触れて音を立てる。スタンダードが嵐の中へ 歩いていき、2人が後を続く。
25 :
名無シネマさん :2011/12/03(土) 18:43:13.29 ID:lZw9Muzz
小惑星−昼。3人はタラップを早足で惑星の表面へ降りていく。足は厚い埃の層と脆い岩石に沈む。 3人は群がって周りを見渡す。風が叫び、衣服を引っ張る。何も見えない。 スタンダード:どっちだ、サンディ? メルコニスは携帯の方向感知器をいじくる。 メルコニス:(指を指し)あっちだ。 スタンダード:先を頼む。 メルコニスは砂埃の雲の中へ歩いていく。2人は後を追う。 スタンダード:OK、マーティン。向かっている。 ブリッジ−昼。ロビーが1人、ブリッジにいる。コンソールに身を屈め、タバコを吸いながらスクリーン上の 3つの輝点が動いていくのを見ている。 ロビー:OK、チャズ。聞こえるぞ。ボードに捕らえてる。 スタンダード:グッド。よく聞こえる。ラインをオープンにしておいてくれ。 小惑星−昼。3人は悲鳴をあげる風と黄色い砂埃に苦労しながら進んでいく。ゴム製マスクとゆっくりした動き は、濁った海底の深海ダイバーのようである。 スタンダード:どっちを向いても3m以上見通せない。眼の見えない計器歩行だ。 彼らはメルコニスを追って歩く。メルコニスは突然立ち止まる。 スタンダード:どうかしたか? メルコニス:シグナルが消えていく。 彼は方向感知器を調べる。
26 :
名無シネマさん :2011/12/04(日) 10:59:31.12 ID:O3FWDV1w
ブリッジ−昼。ロビーはヘルメット通信の対話に真剣に聞き入っている。 メルコニス:埃だ。砂埃が妨害してるんだ… 集中するあまり、ハンターが背後に近づいてくるのに気付かない。 メルコニス:待ってくれ、また捉えた。あっちだ。 ロビーのすぐ背後でハンターが話す。 ハンター:どうした? ロビーは驚愕して振り向き、ハンターと向き合う。 ロビー:(驚いて)ヘル! ハンターはロビーを見る。つかの間の恐怖は当惑した怒りへと変わる。 小惑星−昼。3人は嵐の中を進んでいく。メルコニスは再び立ち止まり、方向感知器を調べる。 メルコニス:近いぞ、すぐ傍だ。 スタンダード:どれくらい? メルコニス:殆ど真上のはずだ… 突然ブロサードがスタンダードの腕を掴んで指を指す。渦巻く濃密な砂嵐を通して、なにかの巨大な 形がうっすらと見える。見る間にも砂埃が薄れ、巨大な毒キノコのように奇怪な船の姿が露わになる。 人間の手によるものでないのは明らかである。男たちはこれを見てショックを受け、口も利けない。 やっとスタンダードが口を開く。 スタンダード:マーティン、見つけたぞ。 ロビー:何を? スタンダード:ある種の宇宙船のようだ。近付いてみる。
27 :
名無シネマさん :2011/12/04(日) 11:28:19.46 ID:O3FWDV1w
彼らは異星人の船に向かう。 ブリッジ−昼。 スタンダード:生命兆候はない。光もなく…動きもない… ロビーとハンターは催眠術にかかったように聞き入る。 スタンダード:フー、基部に着いたぞ。 毒茸船基部−昼。奇怪な形のドアが基部で大きく口を開いている。埃と砂が吹き込み、入り口の床を 埋めている。男たちは身長に入り口に接近し、寄り集まる。 スタンダード:ドアは開いてるようだ。入り口はゴミで埋まっている。 ブロサード:乗り捨てられたらしいな。 スタンダード:マーティン、続いて進む。ここからは会話は最小限で。 異星人の船内−昼。戸口は光と暗闇に幾何学的にかすみ、埃を吹き出している。部屋の暗闇の中に、 巨大ではっきりしない形が見える。3人は戸口でシルエットとなって浮かぶ。彼らは懐中電灯に似た “データスティック”にスイッチを入れ、中へ入る。
28 :
名無シネマさん :2011/12/04(日) 11:53:01.20 ID:O3FWDV1w
慎重に周りを見回しながら、はっきりしない機械類を越えて3人は進んでいく。 メルコニス:エアーロックか? スタンダード:知るもんか。 ブロサード:コントロール・ルームを探そう。 明かりを動かすと壁、天井、そして機械類は大きく不規則な穴だらけである。 メルコニス:穴を見てみろ。スイスチーズみたいだ。 ブロサードは天井の大きな穴にライトを当てる。 ブロサード:この穴は何階層も続いてる…誰かがここで軍用の分解装置を発射したみたいだ。 彼らは闇に延びている穴を見上げる。 スタンダード:クライミング・ギアを。 スタンダードはずんぐりしたスピア・ガンを取り出し、グラプロンを装着する。彼は穴の上へ 狙いを付け、発射する。撃ち出されたグラプロンは細いワイヤーを引いて闇の中へ飛び、鈍い 音がしてワイヤーは垂れ下がる。 ブロサード:俺が先に行こう。 スタンダード:いや、お前は俺の後だ。 スタンダードはワイヤーを胸のパワード・ギアボックスに繋ぎ、ボタンを押す。機械音と共に 彼は穴の中へ、足をテコにしながら引っ張り上げられていく。ブロサードはワイヤーを自分の 胸のユニットに繋ぐ。
29 :
名無シネマさん :2011/12/04(日) 16:13:34.48 ID:O3FWDV1w
異星人の船、コントロール・ルーム。ブロサードが穴を抜ける。部屋は暗い。スタンダードは懐中電灯/カメラ (データスティック)で垂れ下がるゴミを辿る。ブロサードはワイヤーを外し、ライトを上げる。メルコニスも 到着する。光が部屋をスキャンする。漂う埃の中、ビームは光の円柱となってくっきり見える。重い、奇妙な形 が見えてくる。ブロサードは何かに躓く。そしてライトでそれを照らし出す。それは大きな、光沢のある壷だった。 茶色で、奇妙な模様がついている。ブロサードは壷をまっすぐに立てる。頂点に丸い開口部があり、中身は空だ。 突然、メルコニスがショックを受けて呻き声を上げる。ライトに、言いようも無く奇怪なものが浮かび上がる。 巨大な、異星人の骸骨である。死骸はコントロール・チェアに座っている。3人は骸骨に近づき、ライトを向ける。 死骸はグロテスクで、人類に似たところは全く無い。 メルコニス:ホーリー・クライスト! スタンダードは醜い骸骨の座っているコンソールを照らす。ライトを近づけ、パネルを見つめる。 スタンダード:見ろ。 3人は近づく。 スタンダード:何か、彫りつけられている…パネルの板に。見えるか?
30 :
名無シネマさん :2011/12/04(日) 16:35:41.84 ID:O3FWDV1w
パネルの表面に、道具の尖った先端で刻まれたギザギザの絵。それは、小さな三角形だった。何か物音が聞こえ、 ブロサードはライトを部屋の向うへ向ける。光は壁をスキャンし、何か動くものを捉える。メルコニスは発作的に ピストルを抜く。 メルコニス:気を付けろ!動いてるぞ! スタンダードがメルコニスの手を押さえる。 スタンダード:銃を放せ! スタンダードが押しのけて前へ出る。3人は明かりを照らしながら壁のコンソールへ接近する。機械の上、小さな棒が 間断なく前後に動いている。溝の中を音も無くスライドしている。 スタンダード:ただの機械だよ。 ブロサード:だが機能している。 メルコニスは方向感知器を見下ろす。 メルコニス:通信はここからだ。 メルコニスは方向感知器のスイッチを叩く…ハム音、バチバチ言う雑音とともにぞっとするような声がイヤフォンを 満たす。 ブロサード:録音だ!畜生、自動録音だ!
31 :
名無シネマさん :2011/12/04(日) 17:00:26.72 ID:O3FWDV1w
小惑星−日没。太陽の光は血の色に変わる。日は沈み、跡に濃密な暗闇を残す。船のフラッドライトが再び 燃え上がり、暗闇と嵐を相手に弱弱しく戦っている。 多目的室。クルー全員が会議机の周囲に座り、スクリーンに映し出されたホログラフィーを見ている。 データスティックで撮られた写真である。スタンダードがコメントを加えていく。 スタンダード:これがコントロール・ルームで… 数枚のスライドが連続してスクリーン上に映し出される。 スタンダード:コントロール・ルームの詳細だが… スクリーンに骸骨が現われる。反応してつぶやきが漏れる。 スタンダード:骸骨だ…これは別の角度から…これは通信デバイスで… 異星人のコンソールに刻まれた三角形が現われる。 スタンダード:これは、骸骨の前のコンソールに書かれた三角形のクローズアップだ… スタンダードはスライドをチェンジする。スクリーンは真っ白になる。 スタンダード:以上だ。 彼はプロジェクターを切り、照明をつける。 ハンター:驚くべき事だ。たまげたぜ。 ブロサード:戻って、もっと多くの写真を撮ろう。あらゆる物のホログラフを。 メルコニス:物理的な証拠もできるだけ持ち帰るんだ。骸骨の残骸、機械、記録、何もかもだ。 ロビーは椅子に沈み込んで、何も言わない。
32 :
名無シネマさん :2011/12/05(月) 14:18:38.29 ID:qBpm1d6U
スタンダード:マーティン? ロビー:賛成だ。歴史上唯一の、最も重要な発見だ。 スタンダード:しかし? ロビー:誰があいつを殺ったんだ? ブロサード:大昔に、恐らく何百年も前に死んでるんだ。星全体が死んでるんだ。 ファウスト:俺が思うには、奴らは何か修理のために着陸したが、離陸できなかったんだ。きっと埃でエンジンが 駄目になったんだろう。奴らはSOSビーコンをセットしたが、誰も来なかった。だから奴らは死んだのさ。 ロビー:奴が死んだんだ。 ファウスト:何だって? ロビー:奴らじゃない…奴だ…骸骨は1つしかない。 スタンダード:ジェイ…修理はどうだ? ファウスト:ああ…エンジンをブローアウトしなくちゃ… スタンダード:いつ、その用意ができるんだ? ファウスト:オオ…まだまだだな。 スタンダード:じゃ、何故そんな所に座ってる? ファウスト:分かったよ。 男たちは立ち上がり、散る。だがロビーだけは座ったままで、骸骨を見つめ、考えにふけっている。メルコニス が彼と共に部屋に残る。 メルコニス:人類と宇宙の知的生命体とのファースト・コンタクトだな。
33 :
名無シネマさん :2011/12/05(月) 15:47:57.09 ID:qBpm1d6U
エンジンルーム。想像もできないエネルギーを放出できる巨大なエンジン。部屋は脈動している。 ファウストは1台のエンジンの基部にスポットライトを当てて、手の掛かる作業をしている。ゴーグルと グローブを装着している。 ファウスト:用意はいいか? ブリッジ−夜。ブロサードとメルコニスがコンソールに着いている。計器を見ながらファウストと会話 している。 ブロサード:ああ、用意できてる。 エンジンルーム。 ファウスト:OK。抽出工程に入る。 彼は手を止めて眉を拭う。 多目的室。部屋にはロビーが1人。椅子に沈み込んでスクリーンのスライド写真を見ている。クリックする 指が骸骨の写真で止まる。彼はじっと見つめる。彼の隣のテーブルに、醜い異星人の頭蓋骨が置かれている。 彼は頭蓋骨を取り上げ、スクリーンと比較し、調べる。スタンダードが入り口に現われる。 スタンダード:ああ、哀れなユーリック。 ロビーははっとして頭蓋骨を置く。スタンダードはテーブルに腰掛ける。 スタンダード:(スクリーンに向かってうなづき)何か見つかったか? ロビー:(肩をすくめ)何を探してるのかさえ、分からんよ。
34 :
名無シネマさん :2011/12/05(月) 16:29:13.44 ID:qBpm1d6U
スタンダード:まだ心配してるのか・ ロビー:ああ…知ってるだろ、俺のことを。 スタンダード:あんたの意見はいつも尊重してるよ、マーティン。あんたが心配なら、俺も心配さ。 ロビーは手を伸ばしてスライドをチェンジする。異星人のコントロールパネルに乱暴に描かれた 三角形のスライドだ。 ロビー:こいつの意味するところは何だろうか? スタンダード:ああ…明らかに意図的なものだな…ある種のコミュニケーションの試み…彼らにとっては 何かのシンボルなのかも… ロビー:しかし、何故、壁に? ロビーはプロジェクターを切り、起き上がり、疲れた様子で顔をこする。立つとコーヒー・マシンに向かう。 ロビー:(コーヒーポットから毛をつまみ上げ)船は猫の毛だらけだ。 スタンダード:マーティン、エンジンが直ったらすぐに… ビープ!コミュニケーターがスタンダードをさえぎる。彼は体を伸ばし、ボタンを押す。 スタンダード:チャズだ。 ブロサード:デルだ。ちょっと来てくれないか。 スタンダード:何だ? ブロサード:ああ、また日が昇って、風は止んだらしい。外の空気は澄み切っている。見ておくべき物があるぜ。 スタンダード:今向かってる。 彼はロビーとドアへ向かう。 ブリッジ−昼。2人が到着する。ブロサードは1人である。 スタンダード:何だ? ブロサード:見ろよ。 船外−昼。砂嵐は吹いていない。空気は新鮮で澄み、音はしない。 ブリッジ−昼。 ブロサード:何か見えないか、水平線をスキャンしてたんだ。スクリーンの、あそこを見ろよ。 スタンダード:あれは何だ、俺には… ブリップ!ブロサードが像を増幅する。 スクリーンに映っているのは、水平線上にそびえる石のピラミッドである。 彼らは長い間、これに見入る。ピラミッドのシルエットは、エイリアン・シップに殴り書きされた三角形を直ちに 思い起こさせるものだった。
35 :
名無シネマさん :2011/12/05(月) 19:29:47.09 ID:kwNnnCwc
スタンダードは近くのコミュニケーターを押し、話す。 スタンダード:チャズだ。全員上甲板へ。今すぐだ。 ビュースクリーン。水平線上のピラミッド。 スタンダード:疑う余地はないな。違うか? メルコニス:あのクリーチャーは間違いなくピラミッドを重要だと考えていた…最後の力を振り絞って 絵を描いたんだ… ブロサード:ピラミッドを建てたのは、おそらく奴らだ。 ファウスト:何のために? ブロサード:埋めた機械類の目印? ハンター:あるいは集団墓地とか。 ブロサード:たぶん、残りの奴らはあそこにいる。何らかの形の仮死状態で、救援を待っているはずだ。 メルコニス:奴らが建てたとは限らないぜ。 スクリーンの上、ピラミッドの前を砂埃がひと吹きする。 ロビー:また砂埃がやってくるぞ。 叫び声を立てながら砂嵐が戻って来る。スナーク号はすっぽり砂嵐に覆われる。 ブリッジ−昼。 スタンダード:マーティンの他に、探索は止めたほうがいいという者は? 皆は部屋を見回すが、同意する者はいない。 スタンダード:よし、それなら行動は早いほうがいい。 小惑星−昼。ストーン・ピラミッドのロングショット。砂嵐が吹いている。ピラミッドはぼろぼろに なった太古の建造物で、浸食された灰色の石でできており、窓はなく、頂点へと先細りになっている。 スタンダード、ブロサード、そしてメルコニスは防護スーツを着てピラミッドに接近する。近づくと、 ピラミッドの高さは大凡50フィートと判明する。 スタンダード:細部や特徴はまだ分からないが…自然の構造物としては、明らかに規則正しすぎる… ブリッジ−昼。ロビーとハンターがいる。無線でスタンダードの声を聞いている。
36 :
名無シネマさん :2011/12/05(月) 19:46:19.12 ID:kwNnnCwc
スタンダード:一つ、確かに言えるのは… ブズズズズズ!スタンダードの声は空電で妨害される。 ロビー:何かまずい事が? ハンター:シグナルを完全に見失った。 ロビー:引き返させられるか? ハンター:試してみる。 ピラミッド基部−昼。3人は巨大な建築物の基部へやって来る。基部の灰色の石に埃と砂が厚く 堆積している。 メルコニス:古そうだな。 スタンダード:そうとも言えん…この気候では全てが急速に浸食される。 彼らは歩き回る。 ブロサード:入口が見当たらん。 メルコニス:たぶん埋まってるんだろう。俺たちの脚の下かもな。 スタンダード:おそらく入口はない。こいつはムクなんだろう。 ブリッジ−昼。 ロビー:ああ、どこか中へ入る道があるはずだ。 インターコムが鳴る。ファウストの声が聞こえる。 ファウスト:話をさえぎってすまん。ちょっとエンジンをチャージしたいが、いいか? ロビー:ああ、OK。やってくれ。
37 :
名無シネマさん :2011/12/05(月) 20:10:39.63 ID:kwNnnCwc
騒々しい、パワフルな鼓動が始まり、他のあらゆる音をかき消す。ロビーのパネルが光る。コンピューター の警報である。ロビーはいらついてスイッチを入れる。 ロビー:イエス! コンピューター:モニターにテンポラリー・シークェンスを捉えました。 ロビー:待て、聞こえん! ロビーはイヤフォンを装着し、コンピューター音声に切り替える。 ロビー:聞かせてくれ! ロビーはコンピューターに聞き入る。彼の眼が見開かれる。 ロビー:メッセージを…翻訳したと言うのか?よし、早く!何と言ってるんだ! ロビーの顔色が変わる。骨の髄まで冷え切ってしまったように見える。突然、エンジンが止まる。静寂 が広がる。 ハンター:何だって? ロビー:コンピューターがメッセージを翻訳した。SOSじゃない。あれは警告だったんだ。 ピラミッド基部−昼。 ブロサード:たぶん、てっぺんから入れるだろう。 スタンダード:試すか? ブロサード:ああ。 ブロサードはグラプロン・ガンを取り出し、ピラミッドの頂点を目がけてフックを発射する。うまく捉えた。 ワイヤーを装着する。 ブロサード:俺がOKと言うまでは、ここで待つんだ。 ブロサードはクライミング・デバイスにスイッチを入れ、ピラミッドの側面を登っていく。砂埃が吹き、 風が唸っている。
38 :
名無シネマさん :2011/12/06(火) 07:06:11.81 ID:fD4n6cuf
ピラミッド頂上−昼。ピラミッドの頂はひどく破損している。ブロサードが到着し、ギザギザに崩れた 石にしがみつく。 ブロサード:天辺に穴が開いてる。 ピラミッド基部−昼。 スタンダード:上がってもいいか? ブロサード:ノー。狭すぎる。1人がやっとだ。 スタンダード:穴の中に何か見えるか? ピラミッド頂点−昼。ブロサードは身を乗り出して穴を覗き込む。暗闇が見えるばかりだ。 ベルトからデータスティックを外すと懐中電灯機能のスイッチを入れ、穴の下方を照らす。 ブロサード:見えるのは…下りの途中までだ。ストーブの煙突みたいだ。壁は滑らかだ。底は見えん …光が届かない。 ブリッジ−昼。ファウストが階段を駆け上って来る。顔には疑問の表情が浮かんでいる。 ファウスト:イエス?何だ? ロビー:ジェイ、問題発生だ。修理をショートカットして、さっさと離陸する方法がないものかと 俺は考えてたんだが… ファウスト:何かまずい事が? ロビー:コンピューターが異星人のシグナルを翻訳したんだが、1種の警告らしい。 ファウスト:どういう意味だ? ロビー:全部翻訳できたわけじゃない。3つのフレーズだけだ。読むぞ。(紙切れを読む) 「…敵意がある…サバイバル…着陸しないよう忠告…」翻訳できたのはこれだけだ。
39 :
名無シネマさん :2011/12/06(火) 10:49:28.56 ID:vXB9hS0v
ピラミッド頂上−昼。穴の縁から釣り下がり、ブロサードはベルトからギアを外す。 スタンダード:デル、降りてこい。 ブロサード:いや、俺は行きたい。 ピラミッド基部−昼。スタンダードとメルコニスは視線を交わす。 スタンダード:OK、デル、しかしちょっと見回すだけにしておけ。ケーブルを外すなよ。10分以内に出るんだ。 ピラミッド頂点−昼。 ブロサード:ああ。 ブロサードは穴の入り口に3脚を置く。デバイスから数フィートワイヤーを引き出し、胸のユニットに接続する。 彼は穴を乗り越え、穴の中へ降りていく。ワイヤーで吊られ、頭と肩は穴の外にある。 ブロサード:今、煙突の入り口だ。降下を始める。 スタンダード:気を付けて。 ブロサードはクライミング・ユニットを作動させ、穴の中へ降りていく。 ピラミッド−昼。垂直なトンネルの粗い石壁に足を踏ん張りながら、ブロサードはデータスティックのスイッチ を入れ、深みへと向ける。ビームは30フィートほどまで達し、闇に消える。 ブロサード:凄く暖かい。暖かい空気が下から昇ってくる。 彼はラインを引き出し、小刻みにホップしながら降りていく。止まって呼吸する。荒い呼吸音がヘルメットの 中に響く。日光が上からわずかに差し込んでいる。見上げると、入り口は光る点となっている。スタンダードの 声がイヤフォンを通して聞こえる。 スタンダード:大丈夫か? ブロサード:(あえぎ声で)イヤー、OKだ。まだ底には着かない。暖かい空気が円柱様に昇ってくる。それがここ を砂埃から守っているんだ。 スタンダード:デル、何だって?見失ったぞ。聞こえるか? ブロサード:イヤー、ハードワークさ。今は話ができん。 彼は壁を蹴って降り続ける。ホップを長く、自信を持って。少し休んで呼吸を整え、計器を照らして見る。 ブロサード:地面レベルより下に来た。
40 :
名無シネマさん :2011/12/06(火) 14:40:35.00 ID:vXB9hS0v
ピラミッド基部−昼。 スタンダード:何て言ってる? メルコニス:分からん…干渉がひどいんだ。 ブリッジ−昼。 ハンター:駄目だ!ピラミッド周囲全体、通信が効かない。後を追うべきだ。 ロビー:ノー。 ハンター:ノー?どういう意味だ! ロビー:俺たちはどこへも行かない。 ハンター:だが、あいつらは翻訳の内容を知らない!たった今、危機に陥ってるかも知れないんだ! ロビー:人を割くことはできない!離陸に最低限の能力しか、今はないんだ。チャズが俺たちを船に 残したのも、そのためだ。 ハンター:何故だ、弱虫のクソッタレが! ロビー:できない!チャズが戻るまでは俺が指揮を執る!だれも船を出てはならん! ピラミッド−昼。ブロサードは再び降りはじめる。突然、足がかりが消える。トンネルの壁が消えた ようである。トンネルは終わり、彼の下には底知れない洞窟の空間が広がっている。 ブロサード:(あえぎながら)トンネルは消えた…下は洞穴か何かだ…熱帯みたいだ。空気は熱くて 湿っぽい…(計器を見て)…酸素含有率が高い。埃もない。完全に呼吸可能だ…
41 :
名無シネマさん :2011/12/06(火) 15:38:59.58 ID:vXB9hS0v
苦労してひと息つくと、彼は石壁から足を離し、自力で降りていく。今や彼は暗闇の中で宙ぶらりんで、ワイヤー の先でゆっくり回転している。やっと足が底に着く。彼は驚いて文句を言い、バランスを失いそうになる。 墓−昼。ブロサードは埃だらけの石の床に立っている。弱弱しい日光がトンネル上部から彼の周囲に差し込んでいる。 周囲は濃密な闇である。彼はデータスティックで周囲を照らす。石の部屋である。奇妙な象形文字が壁に刻まれている。 原始的で、宗教的なもののようである。象形文字は何列も何列も、床から天井へと延びている。未知の言語で描かれた 叙事詩のようだ。巨大な宗教的シンボルが壁を1つ占めている。一定の間隔を置いて並んでいるのは、様式化された彫像で、 彫られているのは奇怪な怪物たち…半ば類人猿で、半ば蛸のような。 ブロサード:信じられん!墓らしい…ある種の原始宗教!誰か、聞こえるか?スタンダード! いらだったブロサードは呼吸ゴーグルをむしり取る。彼は湿った空気を深く吸い込む。 ピラミッド基部−遅い午後。スタンダードとメルコニスと神経質そうに立っている。 スタンダード:すぐ連絡がなければ、後を追おう。 メルコニス:日はすぐ沈むぞ。 墓−遅い午後。顔をむき出しにして、ブロサードは部屋の中心に近づく。そこは大きく広い台座で占められている。台座の 上には、皮製の壷、或いは甕が列をなしている。異星人の船でブロサードがつまづいたものとそっくりである…違う点は、 これらには全部、穴が開いていない。彼は壷の周りを歩き、調べる。全て、蓋は閉じている。彼はその1つを照らし、手を かざす。 ブロサード:聞こえてるかどうか分からんが、この場所は大きな瓶、もしくは壷で一杯で〜あの船で見つけたのとそっくりだ。 こっちのは全部蓋が閉まっているのを別にすれば。それに、触ると柔らかい。
42 :
名無シネマさん :2011/12/06(火) 16:26:04.91 ID:JcHTjtbc
/ /ヘ ヽ ´ / ll\ l l / \ヽ/ヽ l l l ⌒ \ ⌒ヽ l l l _ ヽ \ _ \ l l l l lヽ l l l l / \ l l l l ━ ━ l l ヽ ヽ ‖__ ヽ l l l ヽ l l l l / / ヽ lヽ 丶┴ノ ノl l l l ヽ── ノ l l
43 :
名無シネマさん :2011/12/06(火) 17:20:18.89 ID:vXB9hS0v
彼は皮の壷を更に近寄って見つめる。 ブロサード:他にも奇妙な事が…手を乗せると、指先の当たる部分が持ち上がってくるんだ。 ピラミッド基部−遅い午後。太陽が水平線に沈む。景色は闇に包まれる。スタンダードとメルコニスはライトを 点ける。 スタンダード:行こう。 彼は胸のユニットにワイヤーを繋ぎ、出発する。 墓−夜。ブロサードは壁の象形文字の列をライトで追う。奇怪な怪物たちを様式化して描写している。彼は一休みし、 データスティックのフィルムクリップを急いで交換する。そして調べている「壷」を振り返る…しかし、今ではてっぺんに 穴が開いている。彼は「壷」の根本の床を照らし出す。「蓋」が落ちている。彼は拾い上げて調べる。人工的と言うより、 生物的で、内部表面は海綿状で不規則である。彼は今では口を開いている「壷」にライトを向ける。 彼は明かりで照らしながら、「壷」の開口部に身をかがめていく…猛烈な勢いで、小さな、蛸のような物体が飛び出し、 彼の顔に張り付く。触手が頭部を包み込む。くぐもった叫び声と共に、手で顔をかきむしりながら、彼は後ろへ倒れる。
44 :
名無シネマさん :2011/12/06(火) 21:53:43.45 ID:/mAvYTf6
すげえええええええええええ
45 :
名無シネマさん :2011/12/07(水) 09:52:44.73 ID:QUiRfn54
ピラミッド頂上−夜。 スタンダードとメルコニスが頂上に着く。砂埃が吹き、吼えている。光が暗闇に揺れている。 スタンダード:(あえぎながら)あいつのワイヤーだ。場合によっては引っ張り出せるぞ。 メルコニス:嫌だと言っても引きずり出せるだろう。何かと絡んでるかも知れんが。 スタンダード:だが、他にできることはない。通信はアウトだし。 メルコニス:もう数分待ってみるか。 スタンダードは穴の縁にしがみつき、躊躇している。 スタンダード:(決心して)いや、10分したら出てこいと俺は言った。短い時間だ。あいつを外へ出そう。 スタンダードはトンネルの縁に屈み、ブロサードのワイヤーが出ているウインチを操作する。 スタンダード:ラインはたるんでいる。クライスト!あの馬鹿め、ワイヤーを外したのか? 彼はウインチのモーターのスイッチを入れる。音を立て、ラインが巻き戻されていく。一瞬の後、ラインは 引かれて張り詰め、モーターはスローダウンする。何かの重みが加わったのだ。 スタンダード:捕まえたぞ! メルコニス:上がってきてるか?何か他のものを引っ掛けたんじゃないのか? スタンダード:上がってくる。 メルコニス:何か見えるか? スタンダードは穴の中へライトを向ける。 スタンダード:いや、よく見えない。ラインは動いている。 2人は狭いピラミッドの頂上にしがみ付き、力を節約する。ラインは巻き戻され、風は吼えている。 スタンダードは再びライトを下に向ける。 スタンダード:見えた!上がってくる!捕まえる用意を!
46 :
名無シネマさん :2011/12/07(水) 11:26:43.54 ID:QUiRfn54
ブロサードの姿が現われる。ワイヤーから力なくぶら下がっている。スタンダードが近づき…突然後ずさりする。 スタンダード:見ろ!顔に何かが! メルコニスはブロサードを助けようとする。 メルコニス:これは何だ? スタンダード:気を付けろ、触るんじゃない! 困惑しパニックに陥り、2人は動揺するが、やがてバランスを取り戻すし、ブロサードに ライトを向ける。意識は完全に失われ…蛸のようなものが顔に張り付いたまま動かない。 メルコニス:オオ、ゴッド。オー、ゴッド、ノー。 スタンダード:手を貸してくれ。こいつを剥がしてみる。 手袋をはめた手で、スタンダードは触手の生えた物体を掴んで、ブロサードの頭部から引っ張る。 スタンダード:取れない…張り付いてやがる。 メルコニス:こいつは何なんだ? スタンダード:知る訳ないだろ?さあ手を貸せ、彼を外へ出すんだ。 2人はぐったりしたブロサードの体を掴み、穴から持ち上げる。 ブリッジ−夜。ロビーとハンターは、不機嫌そうに黙って座っている。 ハンター:捕まえたぞ!スクリーンに戻ってきた。 ロビー:(跳び上がって立ち)何人だ? ハンター:ブリップは3つ!そこを来るぞ! ロビーはマイクを掴む。 ロビー:ヘイ!聞こえるか? スタンダード:イヤー、聞こえる!戻るとこだ! ロビー:サンクス、クライスト!見失ってたんだぜ!聞いてくれ、新しく進展があったんだ… スタンダード:今はその話はいい。ブロサードが負傷した。船内へ入れるのに助けが必要だ。
47 :
名無シネマさん :2011/12/07(水) 14:48:41.52 ID:QUiRfn54
ロビーは不安に、堪らず椅子に崩れ折れる。初めから、このような事態を恐れていたのだ。そして今、それが現実の ものとなってしまった。 ロビー:オー、ノー。 ハンター:ジェイ、クリーブだ!メイン・エア・ロックへ! ハンターは急いで出て行く。ロビーは残り、コンソールに座っている。彼は呆然とし、頭の中は空転している。 エアロック外の回廊−夜。ハンターが急いでやってきて、インナー・ロック・ドアへ急ぐ。彼は壁のインターコム を押す。 ハンター:マーティン、インナー・ロック・ドアだ。ここで待つから入れてやってくれ。 ブリッジ−夜。 ロビー:(妙に静かに)ああ。 エアロック外の回廊−夜。 ファウストが駆け上がってくる。ほこりだらけである。 ファウスト:一体何事だ? ハンター:分からん…ブロサードが何だか怪我をしたらしい。 ファウスト:怪我だと?どうした? ハンター:分からん…首を骨折したとか。俺たちはラッキーかもな。ここから降りないほうがいい。 ブリッジ−夜。ロビーは1人で座って、スタンダードとメルコニスの通信を聞いている。 スタンダード:マーティン、そこにいるのか? ロビーは上体を起こし、マイクに話す。 ロビー:ここだ、チャズ。 スタンダード:今上がる。アウターロック・ドアを開けてくれ。 ロビー:チャズ…ブロサードに何が起こったんだ? スタンダード:こいつは何らかの生命体で、ブロサードに貼り付いてる。入れてくれ。 ロビーは返事をしない。 スタンダード:聞こえるか、マーティン。アウタードアを開けてくれ。 ロビー:チャズ、もしそいつが生物で、俺たちが入れたとしたら、船は感染する。 スタンダード:ブロサードを置き去りにはできん。ドアを開けろ。
48 :
名無シネマさん :2011/12/07(水) 15:49:41.40 ID:QUiRfn54
ロビー:(切迫して)チャズ、聞くんだ…俺たちは検疫上のルールを全て破ってきた。もしその生物を船に 入れたら、防衛手段は残されていない。 スタンダード:マーティン!これは命令だ!ドアを開けろ! ロビーは上体を傾け、嫌々スイッチを入れる。 エアロック外の回廊−夜。壁のコンソール赤いライトが点き、大きなサーボ音に次いで金属音が響く。 ハンター:アウタードア、オープン。 一瞬後、再びモーター音と金属音がしてアウタードアは再び閉じる。赤いライトも消える。インナー・ドア がスライドして開き、スタンダードとメルコニスが、垂れ下がるブロサードの体を運びながら、よろめき 入ってくる。 スタンダード:(マスクを外しながら)みんな、離れてろ。寄生体がいる。 ハンターとファウストは後ずさりする。 ハンター:オー…ゴッド…オー… ファウスト:生きてるのか? スタンダード:分からんが、」触っちゃいかん。ちょっと手を貸せ、オート・ドックに乗せよう。
49 :
名無シネマさん :2011/12/07(水) 20:28:04.74 ID:P4aSkwPj
スレ主さん、本当にありがとう。 毎晩楽しみで仕方ないっす。
50 :
名無シネマさん :2011/12/08(木) 19:27:24.63 ID:n/KpO6sj
こちらこそ。張り合いがあります。
51 :
名無シネマさん :2011/12/08(木) 19:34:08.36 ID:n/KpO6sj
医務室。ブロサードを運んで彼らは医務室に入って来る。1人がライトを点ける。小さな寝室で、壁には機械類 が並んでいる。メカによるバンクベッドがクレイドルに収まって壁のスロットに収納されている。 スタンダード:手を貸してくれ。彼をここへ。 彼らはブロサードをバンクの上へ滑り込ませる。 ハンター:あの厄介な代物だが、剥がそうとしてみたのか? スタンダード:駄目だった。 スタンダードは手袋を外す。 スタンダード:医療用手袋。 彼らは壁のディスペンサーから薄い伸縮性のある手袋を取り出して装着する。
52 :
名無シネマさん :2011/12/08(木) 19:40:55.25 ID:n/KpO6sj
彼らは注意深くブロサードに近づく。スタンダードはブロサードの顔の上で脈を打っている蛸に手を置く。 手で触手を掴むと引き剥がそうとする。 スタンダード:ぴったり張り付いてやがる。 ファウスト:俺がやってみよう。 ファウストは棚から1組のプライヤーを取り出すと触手の1本を慎重に挟み、全体重をかけて反り返る。 スタンダード:(ファウストの手を掴み)止めろ。顔が剥がれるぞ。 ブロサードの頬を血が滴り落ち始める。 メルコニス:顔全体を剥がし取らない限り…あれも剥がれない… スタンダード:機械にやらせてみよう。
53 :
名無シネマさん :2011/12/08(木) 19:56:12.38 ID:n/KpO6sj
彼らはブロサードを裸にすると壁のスイッチを幾つか押す。機械がライトアップし、ブロサードは壁のスロットへ 吸い込まれる。機械は直ちに殺菌剤をスプレーし、まばゆいピンクの光で彼を消毒する。ビデオモニターが層をなして 立ち上がり、ブロサードの体の各パーツのX線イメージを映し出す。センサーがスキャンを開始し、リレーがさえずる。 ロビーが入口に姿を現す。スタンダードは振り向いて彼を見る。2人の男は長い間、じっと見つめ合う。そして スタンダードが前にでると、ロビーの顔を平手で打つ。他の者はショックを受ける。 ハンター:ヘイ!何だ! スタンダード:奴に訊け。 ロビー:(ゆっくり頬に手をやって)理由は分かってるさ。 スタンダード:グッド。 メルコニス:ロックを開けようとしなかった。俺たちを外へ置き去りにしようとしたんだ。 ハンター:イヤー…多分そうしただろうな。お前たちが厄介な代物をここへ持ち込んだんだ。ビンタを食らうべきは お前たちじゃないのか? ファウスト:(当惑して)すまん、仕事がある。 ファウストは出ていく。
54 :
名無シネマさん :2011/12/08(木) 20:08:49.03 ID:n/KpO6sj
ハンター:口外はしないでおくが、叩くのは好かないな。 ロビー:(スタンダードに)こんな事になるだろうと思ってた。れで終わりにしよう。 ロビーを強く見据えたあと、素っ気なくうなづくとスタンダードは注意を機械に向ける。 ロビー:(ゆっくり)誰か、説明してくれないか? スタンダード:奴は1人でピラミッドに入って行った。俺たちはコンタクトを失った。奴を引っ張り 出したら、あれが顔に乗ってた。怪我なしでは、剥がせない。 ハンター:あれはどこから? メルコニス:知ってるのはブロサードだけさ。
55 :
名無シネマさん :2011/12/08(木) 20:22:31.23 ID:n/KpO6sj
ハンター:呼吸はしてるのか? 彼らはモニターを調べる。 メルコニス:血液は完全に酸素化されている。 ハンター:イヤー。だがどうやって?鼻と口は塞がってる。 スタンダード:頭の中を見よう。 スタンダードはボタンを叩く。モニター上にX線イメージが活き活きした色で現れる。ブロサードの頭と 胴体である。寄生体がブロサードの顔の上にはっきり見える。ショッキングな事に、ブロサードの顎は 無理やり大きく開けられ、寄生体は長いチューブ状の物を延ばし、それは口から喉を下って胃の付近まで 挿入されている。 ロビー:あれを見ろ。 ハンター:何という…何も言えない… ロビー:何らかの器官…チューブだかが…喉へ入り込んでいる。 ハンター:(吐きそうになり)オオ…ゴッド…
56 :
名無シネマさん :2011/12/08(木) 20:47:12.47 ID:n/KpO6sj
ハンターは上体を折り曲げて吐こうとする。 ロビー:これで酸素を送り込んでるんだと思うな。 ハンター:道理に合わん…ブロサードを麻痺させて…昏睡に陥らせ…そして生かしておく… メルコニス:こんな生命体を理解できると期待しちゃいけない。家の裏庭から遠く離れてるんだ。 何もかも地球とは違うのさ。 ハンター:で、殺せるのか?このままにはしておけん。 メルコニス:殺そうとしたら何が起こるか分からん。少なくとも今のところ、こいつはブロサードを 生き永らえさせている。 ハンター:切断したらどうだ?顔に張り付いてる1番下の層以外なら、どこだって切れる。 スタンダード:言う通りだ…何もしないわけには行かん。
57 :
名無シネマさん :2011/12/08(木) 21:28:27.41 ID:vonZKYjY
58 :
名無シネマさん :2011/12/09(金) 08:58:47.40 ID:1+mmHcl1
支援感謝
59 :
名無シネマさん :2011/12/09(金) 09:58:05.00 ID:1+mmHcl1
スタンダードは汚れた呼吸マスクを外し、元の手袋をはめる。スイッチを押すと、ブロサードの体はブースの 外へ滑り出てくる。 スタンダード:誰か、メスをくれ。 メルコニスは壁のスロットから光るサージカル・ブレードを取り、慎重にスタンダードに渡す。手袋のために 操作に手間取るが、やがてちゃんとグリップできるようになり、親指でボタンを軽くはじく。メスはハム音を 立て始める。スタンダードは奇生体に向かう。他の者は神経質そうに後退する。ロビーは手を伸ばして、ラック からもっと長いブレードを引き抜き、目立たぬよう脇へ寄せる。スタンダードは奇生体へ体を屈める。彼は 慎重にメスを1本の触手の先端に当てる。エレクトロニック・ブレードは容易に異星人の組織に滑り込む。 即座に傷口から尿のような液体が流れ出し始める。 スタンダード:切開を加えた…反応はない…だが切開創から黄色い液体が漏れ出て… 有毒に見える液体はブロサードの頭の横の寝具に滴り落ちる。すぐに音を立てて、染みから細い煙が巻き上がる。 スタンダード:待て、煙が!
60 :
名無シネマさん :2011/12/09(金) 10:33:38.10 ID:1+mmHcl1
黄色い液体はバンクベッドに穴を穿ち、下の床に滴り落ちている。金属の床は泡立ち、シューシュー音を立て 始め、煙が上がる。 メルコニス:ゴッド、この煙は有毒だ! ハンター:(指差し)床に穴が! 男たちは出し抜けに押しのけあいながら部屋を出て、外の廊下に群れ集まる。ひどく咳き込んでいる。 マスクをしたスタンダードは残っている。あわてて傷口に包帯を当てるが液体はすぐに包帯を溶かし、何滴 かがスタンダードの手袋に落ち、煙を上げ始める。スタンダードはあせって飛び退り、手袋を引き外す。廊下へ 走り出て、マスクをむしり取る。 医務室横の廊下。 スタンダード:あの液体は金属を突き抜ける!デッキを食い破って外殻まで達しようとしている! スタンダードは階段めがけて走り出す。 船の回廊。皆を引き連れ、スタンダードは急いで1階下へと音を立てて駆け下りる。 スタンダード:あそこだ!見ろ! 天井で液体がシューシュー音を立てている。にじみ出た液体は床へ落ちる。床は泡立ち始める。 メルコニス:ジーザス!何を下へ置いたら? スタンダードとハンターは下の階へ階段を駆け下りる。
61 :
名無シネマさん :2011/12/09(金) 11:21:56.20 ID:1+mmHcl1
スタンダードとハンターは注意しながら回廊を下り、天井を見上げる。 スタンダード:(指差し)あそこだ。あの辺に来るはずだ。 ハンター:気をつけろ。下に行くなよ! 上の階では、ロビーとメルコニスが、酸が音を立てている床の穴にしゃがみ込んでいる。 メルコニス:クライスト。嫌な匂いだ。 ロビーはポケットからペンを抜き、床の穴に探り入れる。 ロビー:止まったようだな。 ハンターが急いで上がってくる。 ハンター:上はどうだ? ロビー:消えたと思う。 ハンターは近づいて見る。ロビーは体を伸ばし、ペンをポケットへ戻そうとするが止め、ペンの端っこを持って 立つ。 メルコニス:こんなものは見たことがない…モレキュラー・アシッド以外には。 ハンター:これがあいつの血なんだ。 メルコニス:大したディフェンス・メカニズムだ。殺せないわけだ。 スタンダードが階段を上がってくる。 スタンダード:止まったか? メルコニス:イエス。ありがたいね。 スタンダード:全くラッキーだった。外殻まで行ってた可能性もある…塞ぐのに何週間もかかったろう。 メルコニス:ガキの頃、雨漏りがしたのを思い出したぜ。皆ポットやパンを探して走り回ったもんだ。 ロビー:マイ・ゴッド。ブロサードは? 彼らは向きを変え、上がっていく。 医務室。全員が部屋へ入ってくる。ロビーは半分溶けたペンを持っている。ブロサードはバンクベッドの上で、 依然として動かない。
62 :
名無シネマさん :2011/12/09(金) 14:23:47.08 ID:1+mmHcl1
ロビー:変わりないか? スタンダードは近づき、ブロサードの頭を見る。 スタンダード:変わりない。サンクス、ゴッド…忘れてたよ。 メルコニス:まだ垂れてるのか? スタンダード:(調べて)切開創はふさがってるようだ。 ハンター:見てると気分が悪いぜ。 メルコニス:何か方法はないのか? スタンダード:分からん。だが何とかしてやろう。 スタンダードはボタンを押す。ブロサードは診断器具へ滑り込む。さらにボタンを押すと、ディスプレイが 明るくなり、ブロサードの体の別の部分が映し出される。 スタンダード:静脈栄養を始めた方がいいと思う。 スタンダードが操作すると機械はブロサードの体に針を滑り込ませる。 ロビー:(スクリーンを見ながら)あそこを見ろ。肺にあるあの染みは? X線はブロサードの胸のあたりに暗い染みが広がっているのを示す。中心部は不明瞭である。 メルコニス:何か重い液体かな…X線が通らない… ロビー:あのチューブが産み付けた物に違いない。 メルコニス:何かの毒物や毒液の可能性も… ハンター:恐ろしい。 ロビー:ヘイ!フィルムはどうした? スタンダード:何のフィルムだ? ロビー:ブロサードのデータスティックのフィルムだよ!何が起こったのか分かるぞ!
63 :
名無シネマさん :2011/12/09(金) 14:52:00.82 ID:1+mmHcl1
多目的室。暗くなった部屋でスライドを見る。スタンダード、ロビー、メルコニス、そしてハンターが、自動的に 撮影されたブロサードのデータスティックの写真を順番に見ている。カメラは「壷」を映し出す。「壷」から クリーチャーがカメラに向かって飛び出す場面でクライマックスが訪れ…その後カメラは落ち、ぼうっとした景色 だけが映し出される。リールは終了する。 ハンター:あの中にずっといたんだ。 ロビー:例のシップにいた生物にも同じ事が起こったんだ。 メルコニス:(スライドを「壷」の映像にクリックバックして)初め、おれは瓶か何か人工物だと思ってたんだ。 だが違った。卵か、或いは胞子のケーシングだったんだ。象形文字に戻ろう。 カチカチカチ…メルコニスはスライドを替えていき、望む場所で止める…墓の壁に象形文字が並んでいる。 スタンダード:個人的には、意味はないと思うが… カチ、カチ。彼らが話す間もメルコニスはスライドを替え、違うアングルからの象形文字を映す。 メルコニス:未熟な記号言語…太古のものだ。
64 :
名無シネマさん :2011/12/09(金) 16:02:41.43 ID:1+mmHcl1
ハンター:そうとは言い切れんぞ…プリント回線を表現しているのかも… スタンダード:少々非現実的だな… メルコニス:原始的な絵文字は、自然環境にある、ありふれたものに基づくもので、これが翻訳の 出発点にもなりうるんだ。 ロビー:ありふれたもの? ハンター:聞け、誰かブロサードをもっとチェックしなかったのか? スタンダード:(立って)俺がやろう。皆は続けてくれ。 ハンター:(立って)俺も行こう。 医務室横の回廊。スタンダードとハンターが通路をやってくる。 スタンダード:ファンタスティック!人類は他の進化した生命体と長い間会わずにに来た。そして、 今、俺たちは本物の動物園にぶち当たったんだ。 ハンター:どういう意味だ? スタンダード:いいか、あれは同じものじゃない…シップとピラミッドだ。2者は別の文明から 来た、別の種族だ。あのシップはここに着陸し…我々同様クラッシュした。そしてピラミッドと、 あの蛸は…ここの原産なんだ! ハンター:この小惑星原産なんてあり得るか?この星は死んでるんだぞ! 2人は医務室へ着く。
65 :
名無シネマさん :2011/12/09(金) 17:16:44.40 ID:1+mmHcl1
医務室。ドアがスライドして開き、2人は中へ入る。ハンターはベッドを作動させ、ベッドは壁から滑り出る。 長く、恐ろしい間が空く。 ハンター:消えた。 2人はうつぶせになったブロサードに駆け寄る。奇生体は顔から消えている。ブロサードは依然意識はないが、 呼吸はしている。顔には吸盤の跡が残っている。 ハンター:嫌な予感がする。 スタンダード:ドアは閉まってる。まだ中にいるぞ。 緊張が走る。ハンターはドアへじりじりと進み始める。スタンダードが手を掴む。 スタンダード:ノー、ドアを開けるな。逃がすわけにはいかん。 ハンター:(神経質に)ああ、ここで何ができる?捕まえる事はできん…飛び掛ってくるぞ… スタンダード:捕まえられるかも。 スタンダードはフタつきのステンレス・スチールのトレイを拾い上げる。 スタンダード:傷付けないよう注意しさえすれば… 容器を片手に、フタをもう1方に持ってスタンダードはゆっくり部屋を回る。隠れる場所は殆どない。 彼はしゃがみ込んでバンクの下を覗く。スタンダードのすぐ上の棚の上で、1本の触手が震えている。彼は立ち上がり、 肩が触手をかする。奇生体は床へ落ちる。 スタンダード:(飛び退って)クソ! 物体は動かない。床に動かず横たわり、触手は巻き上がっている。退色し、死んだような灰色になっている。スタンダードは 視線を外さずに、壁から長いプローブを取り出す。そして物体をつつく。反応はない。 スタンダード:死んでるようだな。 用心深く、彼はプローブで動かない奇生体を取り上げ、トレーに移す。そして素早くフタを閉じる。
66 :
名無シネマさん :2011/12/09(金) 21:49:29.03 ID:mDzc5Ztl
おお、こんなスレが! 小説版のALIENより全然こっちの方が面白い! 翻訳してくれてる1さんに感謝。
67 :
名無シネマさん :2011/12/10(土) 11:19:20.15 ID:fOvjFse5
実験室。ロビーとメルコニスはステンレス・スチールの机の上に奇生体の体を仰向けに広げ、照明を 当てる。手袋をはめて、スタンダードはプローブで物体を探査する。 スタンダード:この吸盤を見ろよ…剥がせないはずだ。 ロビー:これは口か? メルコニス:それよりあの器官…チューブみたいな…がそうかもな。 スタンダードは1組の先の尖ったプライヤーで、肉付きのいい開口部を探り、慎重にチューブ器官の端を引き出す。 ロビー:ウウ… 突然、プライヤーはばらばらになり始める。 スタンダード:分解してる…早く、何か掴むものを… プライヤーは煙を上げ、泡立ち始める。 ロビーはかべから長いトングを1組取り出しスタンダードへ差し出す…スタンダードはプライヤーを投げ落とし、 トングを取るとそれで物体を掴む。物体はくすぶり、酸を滴らせている。 スタンダード:クライスト!外へ出さなきゃ! 物体を持って彼はドアへ向かう。 船の廊下。男たちは通路を駆け下る。スタンダードは液体を滴らせる物体をトングで保持している。物体は床に 小さな、煙を上げる小滴を残していく。 エアロック外の回廊。彼らはエアロックへ駆け上ってくる。ロビーがボタンを叩き、インナードアがスライドする。 すぐにスタンダードがロックへ入る。 ロビー:(インターコムに向かって叫ぶ)メインロックを開けろ! インナードアが閉まり、ロビーが転げ込む。重い音を立てて厚いサーフェイス・ドアが開く。オレンジ色の日光が 差し込み、砂埃が後に続く。スタンダードは死骸もトングも、全てを投げ捨てる。奇生体は地面に落ち、くすぶり、 煙を上げながら埃の中へ沈み始める。
68 :
名無シネマさん :2011/12/10(土) 18:13:32.47 ID:fOvjFse5
アウタードアが回って閉まる。 ロビー:(壁に寄りかかり)マイ・ゴッド!死んだ後まで厄介を掛けやがる! メルコニスはしゃがんで床の小さな穴を調べる。スタンダードがインナー・ドアを開け、回廊へ出る。壁の インターコムを作動させ、数字を入力する。 ハンター:イエス? スタンダード:ブロサードの容態は? ハンター:熱を出している。 スタンダード:まだ意識はないのか? ハンター:イエス。 スタンダード:何かやってやれる事は? ハンター:機械が熱を下げてくれるだろう。彼のバイタル・ファンクションは強靭だ。 スタンダード:グッド。 彼はインターコムを着る。 スタンダード:(疲れきって)コーヒーを。 彼は背を向けて歩き去る。 多目的室。ロビーとメルコニスはシートに着く。猫はぶらついている。スタンダードはマシーンから コーヒーカップを取り上げる。 メルコニス:ここの昼夜のサイクルは頭が変になるな。何日もいるような気がするが、どれだけ経つ? ロビー:(猫に触りながら)約4時間だ。 スタンダード:(コーヒーカップを見つめ)初めから、お前が正しかったようだな。着陸すべきじゃなかったんだ。 ロビー:責める気はないよ。大事なのは、できるだけ早くここを離れる事だ。 スタンダード:これ以上ファウストを頼りにはできん…ノンストップでエンジンに掛かりきりだ。 ロビー:あの船の異星人に何が起こったのか、正確に分かれば… メルコニス:分かってるさ。 ロビー:イヤー? メルコニス:奴らは離陸できなかったんだ。奇生体が勝ったのさ。 冷え冷えちした沈黙。
69 :
名無シネマさん :2011/12/10(土) 18:55:09.97 ID:fOvjFse5
ロビー:奇生体はどこから来たのかな? スタンダード:この惑星原産のようだ。ここには大気もあるし、重力も強い。今は死んでいるが、かっては 豊かな惑星だったに違いない。 メルコニス:ノー。あの奇生体ほど大きな動物相を支えるには、この星は小さすぎる。仮にネイティブな 生物相があるとすれば顕微鏡的なもののはずだ。 ロビー:ピラミッドはスペース・トラベラーによって建てられたという可能性は? スタンダード:原始的に過ぎる。テクノロジー以前の構造だ。あの石板はせいぜい鉄器時代のエンジニアリング の産物だよ。 メルコニス:奴らは喪われた文明からやって来たんだ。墓の中の胞子だよ。いつからここにいるのか知っている のは神だけさ。 ロビー:この象形文字を見直したほうがいいと思うが。 突然ドアが開き、ファウストが頭を突き出す。汚れ、埃だらけである。 ファウスト:ヘイ、何だと思う? スタンダード:何だ? ファウスト:エンジンが直ったんだ。 小惑星−昼。スナーク号のエンジンが咳き込み、轟音とともに熱された空気を噴出し、砂埃を切り裂く。 船は無限のパワーを持つ巨大な猛獣のように震え、咆哮する。 ブリッジ−昼。全員、位置に着いている。 スタンダード:トラクター・ビーム、オン。 ちりちりするようなハム音が船全体に浸透する。そしてスナーク号は水中のコルクのように浮かび始める。 スタンダード:トラクター・ビーム、ロック。 ハム音のピッチが変化し、船は水平飛行する。 スタンダード:着陸ストラットを収納。 船外−昼。船はちらちら光るビームの力場の上で、地上を離れてホバリングしている。着陸ストラットは 船の腹部へ畳み込まれる。 スタンダード:上へ。 ロビー:(インターコムへ)1km、ジェイ。 小惑星−昼。スナーク号は光るビームに乗って空を浮上していく。
70 :
名無シネマさん :2011/12/11(日) 06:48:12.32 ID:uug6Jscj
設定というか考証がすごい。 生物相まで言及していたとは。 1さん引き続きよろ。
71 :
名無シネマさん :2011/12/11(日) 11:01:45.20 ID:PJw5I+bL
ブリッジ−昼。 スタンダード:リフター、スイッチ・オン。 パワフルで深い鼓動が始まり、船が振動する。 スナーク号−昼。ホバリングするスナーク号は、薄い大気を通して加速を始める。 ブリッジ−昼。 スタンダード:人口重力、エンゲージ。 ロビーがスイッチを押すと船はよろめく。 ロビー:エンゲージ。 スタンダード:船を離脱軌道へ。 ロビー:進路変更中。離脱速度は容易に得られ… 船を大きな振動が走り抜ける。 ロビーとメルコニス:(声を合わせ)今のは何だ? ファウスト:またインテークに埃が詰まったんだ! スタンダード:離脱するまでばらばらにならないでくれ!それだけだ! エンジンのピッチが変わる。事態は深刻である。 空。スナークは急角度で上昇し、沸騰する雲に突っ込んでいく。視界はゼロである。 エンジンルーム。エンジン。チェンバーは埃で充満し始め、ファウストはガスマスクを装着する。彼は埃を 吸い込み始めた巨大なエクゾースト・ユニットを作動させる。 ブリッジ−昼。スクリーンには雲しか映っていない。そして再び振動が船を走り抜ける。もはや男たちに言葉は ない。彼らの表情はこわばり、覚悟を決め、汗が流れている。彼らは計器を見つめている。そしてお互いに 技術面の指図を小声で交し合っている。 突然、船は雲の層を突き抜け、星のきらめく宇宙空間へ飛び出す。後には誇りの航跡が残っている。 ブリッジ。男たちは喝采している。 ロビー:(パネルを叩き)やった!クソ、やったぜ! スタンダード:やったな。マーティン、コースを地球へ。スタードライブまで加速。 ロビー:喜んで。 ロビーはボタンを叩き始める。 メルコニス:地獄から逃げ出した気分だぜ。
72 :
名無シネマさん :2011/12/11(日) 11:47:59.55 ID:PJw5I+bL
ディゾルブして… 光速の船。シップに接近する星は青く見え、遠ざかる星は赤く見えるために、奇妙なコロナ・エフェクトが生じて いる。これは赤色偏位であり、シップの速度があまりにも速いためにこう見えるのである。 ブリッジ。彼らはストラップを外す。 ロビー:光速へ入る時は、いつも吐きそうになるんだ。 スタンダード:文句はよせ。宇宙にいるんだぜ。 彼らは起き上がり、部屋を出る。 廊下。皆が歩いてくる。 スタンダード:ブロサードは、あのまま冷凍するのがベストだと思うんだが。それで病気の進行も止まるだろうし 、コロニーに戻ったときには完全な医療を受けられるだろうしな。 ロビー:俺たちも隔離期間に入らなきゃならん…短期間だろうけどな。 スタンダード:OK。ブロサードはハイパースリープのままにしておこう。 彼らは医務室へ入る。 医務室。部屋へ入った彼らは驚愕する。ブロサードがベッドに座っている…覚醒して。 ブロサード:(かすれ声で)…口が渇いた…水が欲しい… すぐに、ロビーが水の入ったプラスチック・カップを運んでくる。ブロサードは貪るように飲み下す。 ブロサード:もっと水を。 ロビーは大きなコンテナに水を満たしてブロサードに手渡す。彼は全て飲み干す。そしてうなだれ、あえぐ。 スタンダード:(そっと)気分はどうだ、デル? ブロサード:(弱々しく)ひどい気分だ。俺はどうなったんだ? スタンダード:覚えてないのか? ブロサード:何も。名前さえ…。 ロビー:傷むのか? ブロサード:そうじゃない。誰かがゴムホースで6年間も俺をぶちのめしてたような感じさ。 メルコニスが笑う。ブロサードはかすかに微笑む。 スタンダード:ヘル、元気そうだぜ。ユーモアのセンスが戻ったな! ブロサード:ゴッド、腹が減った。 ロビー:デル、最後に覚えてるのは何だ? ブロサード:…分からん…
73 :
名無シネマさん :2011/12/11(日) 14:25:19.11 ID:PJw5I+bL
ロビー:ピラミッドの事は? ブロサード:ノー。何だか恐ろしい夢を…俺たちは今どこに? スタンダード:家へ帰るところさ。ハイパースペースだ。 メルコニス:フリーザーへ入る所だったんだよ。 ブロサード:マジに腹ペコなんだ。フリーザーへ入る前に何か食わせてくれ。 スタンダード: (笑って)全く理にかなった要求だね。 多目的室。クルー全員がテーブルを取り囲んで座り、多くのポーションをがつがつ詰め込んでいる。猫はテーブルの 皿から食べている。 ハンター:気分がいいぜ。コロニーへまっしぐらだ。帰ったら鉱脈に入札できる。どんな高値でもな? ファウスト:(噛みながら)少なくとも自分用の惑星は買えるだろうな。 皆、くすくす満足げに笑う。 メルコニス:俺はこの探検の本を書くつもりだ。題名は“スナーク・ログ”さ。 スタンダード:(ぎこちなく)一般的には、最初の出版権は指揮官にあるもんだぜ。 メルコニス:共同執筆できるじゃないか。 ロビー:帰って俺が最初にやりたいのはバイオロジカル・フードを食うことだ。 メルコニス:どうした、ここの食い物は嫌いか? ロビー:ニワトリにもっと卵を産ませるためにくれてやった餌みたいな味だぜ。 スタンダード:OK。俺はこれより旨いものを喰った事もあるが、もっとひどいものを喰ったことだってある。 ファウスト:俺は嫌いじゃないな。 ロビー:このクソがか? ファウスト:いずれ気に入るようになるさ。 ロビー:この食い物が何からできてるのか分かってるのか? ファウスト:知ってるさ。それがどうした?今は食い物になってるし、お前も喰ってるじゃないか。 ロビー:旨いまずいじゃなく、もううんざりだと言ってるんだ!
74 :
名無シネマさん :2011/12/11(日) 14:57:21.16 ID:PJw5I+bL
ハンター:夕食でこんな話はよそうぜ。 突然ブロサードは顔を歪め、呻き苦しみだす。 スタンダード:どうした? ブロサード:(緊張した声で)分からん…腹が痛い! 皆は不安そうに見つめる。呻き声が漏れる。彼はテーブルの縁を掴む。拳は蒼白である。 スタンダード:深く息をしろ。 ロビー:どうした、デル…何が? ブロサードの顔は苦痛に歪み、頭から足まで激しく痙攣を始める。 ブロサード:(支離滅裂に叫ぶ)オー・マイ・ゴッ…アアアアアアア!!! ブロサードの上着の胸に血の花が咲く。彼らの目はブロサードの胸に釘付けになる。上着の布が破れてはじけ、 人間のこぶし大の、小さく、恐ろしく醜悪な頭部が押し出てくる。全員が絶叫し、テーブルから飛び退る。猫は 唸り、逃げ出す。小さな、胸の悪くなるような頭部が押し出ると、ブロサードの胸から飛び出す。後に太い、 芋虫のような尾を従えて…血と液体を撒き散らし…テーブル上の皿や食物の真ん中に降り立ち…そして男たちが 安全地帯を求めて先を争う間に走り去る。
75 :
名無シネマさん :2011/12/11(日) 18:55:47.91 ID:oJqjoFLc
う〜ん、素晴らしい。 原案が優れているので、 ALIENという名作が出来上がったということが、よく分かるわ。 もちろんリドリースコットやHRギーガーの功績は大きいが。 ワクワクワクワク
76 :
名無シネマさん :2011/12/12(月) 10:12:21.02 ID:N08+Qinb
彼らがやっとわれに戻った時には、それは消えていた。ブロサードは椅子に倒れ込んでいる。胸には大きな穴が開き、 血が噴出している。皿が散らばり、食物は血と粘液に覆われている。 ハンター:オー、ノー。オー、ノー。 ファウスト:あれは何だ?何なんだ? メルコニス:奴の体の中で成長してたんだ。奴はそうとも知らず! 彼らはゆっくりと、はらわたの抜かれたブロサードの死体の周りに集まる。 ロビー:ブロサードの体を孵化器代わりにしやがったんだ! 船外。ハッチが開き、くるまれたブロサードの体が静かに放出される。エレクトロニック・バスドラムが葬送曲を 奏でる。ブロサードは永遠に向かって漂い始める。 回廊。残されたクルー全員がブリッジへ歩いていく。 メルコニス:あいつがうろついてるのでは、ハイパースリープには入れないな。 ハンター:フリーザーの中の、いいカモってわけだ。 ロビー:といって、奴を殺す事もできない。殺せば、体液の酸を全部ばら撒いて甲板から外まで穴を開けちまう。 ファウスト:シット!… スタンダード:捕まえて、船から放り出す以外ないな。 メルコニス:(ため息をつき)ああ、こんな事は言いたくないんだが…備蓄は全て、仮死状態以外の極めて限られた時間 の分しかないんだ。そしてご存知のように、その大半を使い果たしてしまった。
77 :
名無シネマさん :2011/12/12(月) 11:02:12.71 ID:N08+Qinb
スタンダード:あと残りは1週間。だな? ハンター:その時には、食料と酸素は尽きてる。 ファウスト:水は既にリサイクルものだ。 スタンダード:オーライ。そういう事だ。1週間。時間は充分だ。 ロビー:だが、1週間以内に捕まえられなかったら?フリーザーへは、どの道、入らなくちゃならないんだぞ! 彼らはブリッジへ入る。 ブリッジ。 スタンダード:何か提案は? ファウスト:プレッシャー・スーツを着て、船から空気を全部ブローアウトしたらどうかな。殺せるかも。 スタンダード:ノー。そんなに酸素の余裕はない。追い立てるんだ。 メルコニス:どうやって? スタンダード:部屋から部屋へ、廊下から廊下へ。 メルコニス:で、見つけたらどうする? スタンダード:何とか罠に掛けねば。強靭なネットがあれば捕まえられるかも知れん。 ファウスト:あのメタライトのネットをカットすればいい。あの酸には耐えられないだろうが、凄く強いぜ。 ロビー:傷つける事だけは避けないと。本当に必要なのは、動物用の電流棒だ。 ハンター:何とかでっちあげられると思う。長い金属棒で、バッテリー内蔵。こいつは効くぜ! スタンダード:グッド。やってくれ。だがまず、命令を下す:今後、全員、防御装備を。ヘルメットも。さあ、 下のロッカーと更衣室へ。
78 :
名無シネマさん :2011/12/12(月) 14:58:49.34 ID:N08+Qinb
船外。スナーク号はハイパースペースの不気味な渦の中を飛び続ける。 船内の廊下。スタンダードは1人で廊下を歩いている。見慣れない服装に身を包み、透明なプラスチックのヘルメット を装着している。暴動を鎮圧する警官のように見える。彼は角を曲がる。この新しい通路は異なった重力方位を持ち、 スタンダードは垂直の壁を下っているように見える。また角を曲がると、今度は逆さまになって歩いている。階段に 近づくと、階段を上る…或いは下る。 船腹部の観測ドーム。メルコニスは逆さまになって椅子に座り、宇宙空間を見下ろしている。防護スーツを着ている。 スタンダードが逆さまになってドームに登ってくる。星間空間の星の下、静かで不気味である。幾つかのパネルだけが 光っている。 スタンダード:ここにいると思ったよ。 メルコニス:古い詩の事を考えてたんだ。“水はどこにでもあるけど、飲み水にはならない”ってね。外にはこんなに スペースがあるのに、俺たちはこの船に閉じ込められている。 スタンダード:アルバトロスの詩。だな? メルコニス:助けを求めて無線連絡することもできない。搬送波が到着するのは俺たちが死んで塵に還ったずっと後だ。 俺たちは、まったく、完全に、孤独なんだ。これほどの距離を誰が想像できる?全宇宙の中間… スタンダード:俺たちはここまで来て、そして帰るんだ。時計じゃ長い時間でも、俺たちにとっては短いもんさ。 メルコニス:ここでは時間も空間も無意味だ。俺たちはアインシュタインの方程式の中に生きているんだ。 スタンダード:残りの時間を有意義に使ってるようだな。(上体を乗り出し、膝を叩く)言わせてくれ:「ハイパースペース を長く見続けすぎると、気が狂う」そうなるのを、俺は見た事がある。 メルコニス:(微笑んで)俺たちは新しい開拓者だ、チャズ。開拓者特有の病気も持ってるのさ。 スタンダード:いい加減にしろよ…上へ行って道具の具合を見ようぜ。
79 :
名無シネマさん :2011/12/12(月) 17:02:23.92 ID:N08+Qinb
ブリッジ。クルー全員が集まっている。ファウストは数ヤードの、きらめく金属製のネットを広げている。ハンターは 細い5本のロッドを配る。金属製の箒のハンドルの「ようである。 ハンター:こいつにはポータブル発電機が内蔵されている。ここから下は絶縁部分で…先端には触れないように。 彼は1本のロッドの先端で金属に触れ、デモンストレーションする。青いスパークが跳ね飛ぶ。 ファウスト:焼いちまえそうだな。 スタンダード:(鋭く)それは困る。 ハンター:心配するな。ダメージはない。ちょいと刺激を与えるだけだ。 スタンダード:居場所をどうやって突き止める? ファウスト:これさ。 彼は小さなポータブル・ユニットを持ち上げる。 ファウスト:追跡装置だ。動くものを探す…レンジは狭いが、ある1定距離に入るとビープ音を出す。 スタンダード:こいつは役に立ちそうだな。少なくとも素手でクローゼットを探る必要はなくなったらしい。オーライ、 バトルプランはこうだ:2チームに分かれてシステマティックに船全体をカバーする。誰にせよ、最初に見つけた者が ネットで捕らえて、1番近くのエアロックから追い出す。いいかな? ロビー:全くシンプルだな。 スタンダードはロビーを憎憎しげに見て、続ける。 スタンダード:手始めに、ブリッジが安全か確かめよう。 ファウストは装置を取り、スイッチを入れ、部屋の周りをスキャンする。 ファウスト:クリア。
80 :
名無シネマさん :2011/12/12(月) 19:43:52.16 ID:GOs0ywOk
スタンダード:オーライ…ロビーとメルコニスはファウストと行け。ハンターと俺がセカンド・チームだ。 彼らは装備を着け始める。 スタンダード:全員、コミュニケーターを持て。常に連絡を。 船内の廊下。メルコニスとロビーはネットを持っている。ファウストはそのすぐ後につき、追跡装置を持ち、 絶え間なく端から端までスキャンを続けている。 ファウスト:まだ何も…何もない…装置に何も映らない限りはどんどん行ける。 他の廊下。スタンダードとハンターは静かに移動する。スタンダードはネットの一端を持ち、追跡装置も 持たざるを得ない。 廊下。ロビーのチームは勢いよく移動する。その時、 ファウスト:ちょっと待て。 ファウストの装置がビープ音を発し、小さなライトが光る。 ファウスト:何か捉えたぞ。 俄かに、彼らの緊張は高まり、周りを見渡し始める。 ロビー:どっちから? ファウスト:(装置を間近でみて眉をしかめ)機械がいかれてる。言えない。針が文字盤で回ってやがる。 メルコニス:故障か? ファウストは装置の側面を刺激する。と、針は安定する。 ファウスト:混乱したぜ。下から来てる。 彼らは全員、足元を見下ろす。 メインテナンス・レベル。ロビー、メルコニス、そしてファウストは慎重に金属製の階段を降りてくる。 船の機能セクションへ入っていく。この階の廊下は天井に並んだむき出しのバルブで照らされている。 照明は暗く、不快である。彼らは階段の根元で止まり、所定の位置につき、ネットを広げて廊下を横切る。 ロビー:OK。 ファウスト:(装置を見、うなづいて通路を示し)あっちだ。 彼らは通路を下り始める。金属むき出しの床にうるさく足音を立てて。真っ暗である。 ロビー:ライトはどうした? ファウスト:バルブが焼けちまってるのさ。それで困る人間もここにはいないしな。 彼らはヘルメットのライトを点ける。 ファウスト:待て! 3人は素早く止まり、つまづきそうになる。 ファウスト:(ささやくように)4m以内にいる。
81 :
名無シネマさん :2011/12/12(月) 20:33:09.00 ID:GOs0ywOk
ロビーとメルコニスははネットを持ち上げる。2人ともロッドを持っている。ファウストは片手にロッド、もう 一方に追跡装置を持ち、シグナルの源泉に接近せねばならない。嬉しくない仕事だ。彼は最大の注意を払い、 半ば屈み、いつでも飛び退れるよう、ロッドを伸ばし、定期的に装置に目をやる。追跡装置は彼を壁の小さな ハッチへと導いていく。彼は装置を下に置き、小さなドアへ近づいていく。プラスチック・マスクの裏では ファウストの顔を汗が流れ落ちている。彼はロッドを掲げ、ドア・ハンドルを握り、引いて開けると、ロッドを 内側に押し込む。神経を損なうような鳴き声と共に、小さなクリーチャーがキャビネットから飛び出る。眼は ギラギラ光り、かぎ爪が閃く。彼らは本能的にネットを投げかける。 ロビー:(いらついて)オー、ちょっと待て! 彼らはネットを開けてクリーチャーを放す。猫だった。猫はシューッという声を立て、唸りながら逃げ去る。 メルコニス:馬鹿な事をしたぜ! ロビーのコミュニケーターがビープ音を立てる。 ロビー:イエス! スタンダード:捕まえたぞ!早く上がってこい! ロビー:どこだ? スタンダード:食糧倉庫だ! ロビー:今行くぞ! 彼らは階段にダッシュする。 船の廊下。ロビー、ファウスト、メルコニスは廊下を突進していく。 廊下外の食糧倉庫。スタンダードとハンターは異常に興奮して彼らを待っている。 ハンター:俺たちは中にいるのを見つけて閉じ込めたんだ。今、この中にいる!
82 :
名無シネマさん :2011/12/12(月) 21:01:32.88 ID:ILdPB/xt
1さんって、もしかして翻訳関係のお仕事をされてるんでしょうか?
83 :
名無シネマさん :2011/12/13(火) 07:14:26.25 ID:rznMz+MJ
ドアの1方では、ドシン、バタンといった騒音が聞こえる。 ロビー:何事だ、発作でも起こしてるのか? スタンダード:俺たちが閉じ込めてから、そこら中ぶっ壊し始めたんだ。 ロビー:さて? スタンダード:ドアを開けて、ネットを。 物体は内部で破壊を続けている。 スタンダード:あいつは最初の姿とは全く異なっている…足と…触手のある芋虫のようだ。 ファウスト:何とかしないと。 ハンター:何もしなくてもいい。閉じ込められてるんだ。道中このままにして地球へ帰れるだろ。 スタンダード:(指を鳴らし)馬鹿を言うな。 ファウスト:できる事がある。毒ガスを部屋に送り込んでやっつけるんだ。そこのベンチレーター・ スロットを使おう。 彼はドア底部のスロットを指差す。 ロビー:ヘイ、ちょっと待て!ここにあるのは全部俺たちの備蓄食糧だ!毒ガスは使えん! スタンダード:あいつを殺せばもう食糧は必要ない…即、ハイパースリープへ入れる。それに あの音からすると、あいつはもう食糧に何かやらかしてると思う。全部、汚染されてるさ。 ロビー:その通りだ。 ファウスト:誰か手を貸せ。ガスを。
84 :
名無シネマさん :2011/12/13(火) 10:13:39.78 ID:YkY4/zE8
食糧倉庫外の廊下。彼らはドアの底部のベンチレーター・グリルに大きな漏斗型のデバイスを取り付けている。 漏斗は厚いホースに繋がり、その上流にはプレッシャー・ゲージの付いた大きな金属製タンクがある。 スタンダード:マスクを。 彼らはガスマスクを装着する。 ロビー:こいつは致死的なガスだ…俺たちは自分が何をしてるのか分かってるんだろうか。 スタンダード:やれ、ジェイ。 ファウストはマシーンを作動させる。それは鼓動を始め、ホースを通してガスを部屋へ送り込む。すぐに 破壊する音が高まり、物体が苦痛に絶叫し、悲鳴を上げるのが聞こえる…そして完全な沈黙。 スタンダード:止めろ。 ファウストはポンプを止める。 ロビー:それで? スタンダード:中へ入るのさ。 スタンダードが踏み出し、ドアを開ける。厚いガスの雲が渦を巻いて流れ出る。 食糧倉庫。部屋には毒ガスが立ち込めている。ガスマスクを着けた男たちは昆虫のように見える。食料の パッケージはズタズタにされ、食料が床全体に散らばっている。 ファウスト:好きなだけ喰ったらしいな。 慎重に男たちは残飯を調べていく。ネットとロッドを掲げて。
85 :
名無シネマさん :2011/12/13(火) 11:31:50.55 ID:YkY4/zE8
ハンターが指を指す。 ハンター:ガッデム! 彼らは指差す方向を見る。壁の、ベンチレーター・グリルは引き裂かれて、口を開けている。 ハンター:逃げやがった。 彼らはズタズタにされたベンチレーターに近づき、中を照らす。 ロビー:どこへ逃げた? ファウスト:船内どこへでも。チャートをチェックして確かめよう。 スタンダード:よし、やるぞ。 彼らはドアへ向かう。 ハンター:船内にもう食い物は何もないってわけか? 彼らはドアを叩きつけるように閉めて密閉する。 ブリッジ。スクリーンは船の換気シャフトシステムの図面が映し出されている。 ファウスト:あの換気シャフトの区画には2つの出口しかない…気が付いたか?1方が 食料倉庫で… ハンター:…もう1方がクーリング・ユニットだな。 スタンダード:だからあいつは、その間に閉じ込められている…狩り立てなくては。 ファウスト:毒ガスを… ハンター:クーリング・ユニットに毒ガスを送り込むわけにはいかん!船全体に広がっちまう! スタンダード:唯一考えられるのは、誰かが這いこんで、あいつを追い出す事だな。 ロビー:お前は狂ってるのか!?
86 :
名無シネマさん :2011/12/13(火) 11:34:52.38 ID:YkY4/zE8
>>82 いいえ。英語のテクニカル・タームも使う職業ではありますが、翻訳業ではありません。
英語の文献を読む程度です。
87 :
名無シネマさん :2011/12/13(火) 14:40:02.78 ID:OKCoy8nr
スタンダード:前方にいるクリーチャーを狩り立てるには何か防御手段が必要だな。 ファウスト:火炎放射器はどうだ?あれなら空気も汚さずに済む。 メルコニス:それで、俺たちの1人がエアシャフトへ入ってあいつを追いたて… スタンダード:残りがクーリング・ユニットで、ネットを用意して待つ。 ハンター:無茶だ。 スタンダード:もっといいアイデアが? ハンターは肩をすくめる。 ロビー:1つだけ質問だ。誰がエアシャフトへ入る? スタンダード:民主主義で行こうぜ。
88 :
名無シネマさん :2011/12/13(火) 15:22:27.11 ID:OKCoy8nr
彼はコンソールのパッドから5枚の紙片を破り取り、1枚に大きくXを書く。そしてそれぞれの紙片を丸めて 小さなボールにする。両手の間を転がし、テーブル上に、サイコロのように放り投げる。 スタンダード:マーティン、1つ取れ。 ロビーは1つを取り上げ、ほぐして広げる。白紙だった。メルコニスがもう1つを取り上げて開ける。再び 白紙。ファウストがボールを取り上げる。すぐにスタンダードも自分の分を取る。2つとも白紙だった。 スタンダード:開けるんだ、クリーブ。 食糧倉庫。ハンターは酸素マスクと火炎放射器を身に付ける。ファウストが手助けする。最後に、ファウストは 追跡装置を手渡す。 ファウスト:ああ、ウム…グッドラック。俺が必要とならないよう願うが、もしそうなったら…俺はここにいるよ。 ハンター:(不愉快そうに)ああ。 ハンターはターンして換気口へ上って入っていく。充分這い入る事ができる大きさだ。 エアシャフト。シャフト内は真っ暗である。ハンターはヘルメットのライトを点ける。そして無線のスイッチを入れる。 ハンター:ヘイ、みんな、聞こえるか? 温度調節室。スタンダード、メルコニス、そしてロビーはネットを広げる。巨大なクーリング・プラントがハム音を立て、 髪の毛はかき乱される。大きなエアシャフトがあちらこちらへ延びている。 スタンダード:イヤー、位置に着いた。 エアシャフト。 ハンター:OK。始める。 彼は細い金属製トンネルに這いこみ始める。角を曲がる。いくつか狭い角を曲がると、装置が突然ビープ音を立てる。 ハンターはびくっとする。彼は火炎放射器を掲げ、闇の中へ炎を放つ。炎は狭いチューブの中で轟音を上げ、気温が 即座に上昇する。煙が顔に当たる。彼は汗をかき始める。
89 :
名無シネマさん :2011/12/13(火) 17:23:40.29 ID:OKCoy8nr
温度調節室。ロビーは壁の、大きい長方形の開口部を指差す。 ロビー:(指差し)あそこだ。あそこから出てくるぞ。 彼はスイッチを叩く。大きな金属パネルが立ち上がり、開口部を塞ぐ。 ロビー:あれは空気の流れを替えるゲートだ。奴を罠に掛けるのに使えるぞ。 スタンダード:今は閉めておけ。 メルコニスは小さな・ポータブルユニットをセットアップする。スクリーンには船の区画図表が映っている。 メルコニス:ハンターを捉えている…その前に何かがいる。 スタンダード:近いのか? メルコニス:次の階に上がった。 スタンダード:ネットを。 彼らはネットを持ち上げ、開口部の前へ向ける。 エアシャフト。ハンターは手と膝を使って這っている。前方に、シャフトが急角度で下へ曲がっているのが見える。 彼は火炎放射器をもう1度発射し、逆さまに這って下っていく。殆ど真っ逆さまになった時、シャフトはもう1度 ターンし、彼はありえない姿勢を強いられ、殆ど動けなくなる。そしてその時、追跡装置が狂ったように鳴り始める! ハンターは半狂乱で火炎放射器をいじくり回すが、狭すぎ…操作は困難である。前方から怒りの叫び声が聞こえ、 鉤爪が金属を這う。彼は武器を正しい位置に構え、音のした方向へ必殺の火炎を浴びせかける。 温度調節室。メルコニスがスクリーンに見入る。 メルコニス:奴らは近づいてる。極めて。 スタンダード:オーライ、さあ…あいつがドアの別サイドに着いたら叫ぶんだ。そしたらドアを下ろす。OK? メルコニス:OK。 スタンダード:それから俺とお前で捕まえて、船腹のエアロックまで持っていく。いいな? ロビー:(緊張して)あ、ああ。 エアシャフト。ハンターはシャフトの中でちぢこまり、火炎放射器を掴んでいる。 ハンター:(ささやき声で)ヘイ、みんな。 温度調節室。 スタンダード:イエス! エアシャフト。 ハンター:このシャフトはそんなに長く続いているとは思えん…とにかくここは熱い… 温度調節室。 スタンダード:OK、スクリーン上では、お前は開口部のそばだ。俺たちが開けたら合図するから、火炎を放射しろ。 それで追い出せるだろう。それ以上進む必要はない。 エアシャフト。ハンター:グッド。
90 :
名無シネマさん :2011/12/14(水) 10:35:39.58 ID:DmwgDPjd
彼は火炎放射器を構える。 温度調節室。 スタンダード:OK。用意を。 スタンダードとロビーはおのおのネットの端を持ち上げ、かがんで、飛び出てくる小さなクリーチャーを捕える 用意をする。メルコニスは電気ロッドを拾い上げる。 スタンダード:ベントを開けろ、サンディ。 メルコニスは手を伸ばしスイッチを叩く。金属ゲートが下がり、シャフトが現われる。 開口部には、6フィートの醜悪で奇怪なものが立っていた。想像を超えた、身の毛のよだつような、触手に 覆われたもの。それは巨大な鳥のように跳び下りると、カミソリのように鋭い触手にメルコニスを捕える。 メルコニスは恐ろしい叫び声を上げる。化け物はその首を鉤爪でとらえ、ニワトリのように首をねじり切る。 投げ出されたメルコニスの頭部は音を立てて床に落ちる。メルコニスの胴体を抱え、化け物は方向を変えて、 ホールを跳躍していく。頭を失ったメルコニスの胴体はまだもがき、足を蹴りだしている。怪物はもう1つの エアシャフトへ真っ逆さまに飛び込む。 スタンダードとロビーはショックで立ち尽くす。ややあって、ファウストがシャフトを登って出てくる。
91 :
名無シネマさん :2011/12/14(水) 11:41:49.11 ID:DmwgDPjd
ハンター:何があったんだ?あいつはどこだ? 我に返った彼らは、クリーチャーが飛び込んだ開口部に走り寄る。もう1本のシャフト…それは暗闇へと 続いている。 スタンダード:(畏れ)どうやってあんなに大きく? ロビー:備蓄食料を喰ったのさ。 ハンター:メルコニスは? 食糧倉庫。ファウストはまだ待っている。 ファウスト:ヘイ、みんなまだそこか?何が起きた? スタンダード:ブリッジで会おう。気を付けろ…今では巨大だ。 ファウスト:ああ。 ファウストは食糧倉庫を出て背後のドアを注意深くロックする。 廊下。スタンダード、ロビー、ハンターが急いでブリッジへと上がっていく。 ハンター:メルコニスの体が、まだ足で蹴っていたって? ロビー:恐ろしい…恐ろしい。ニワトリみたいだった。 ブリッジ。スタンダード、ロビー、ハンターが入り、椅子に座る。すぐ後にファウストが続く。 全員無表情で、呆然としている。 ファウスト:何が起きた?サンディはどこだ? ロビー:死んだ。 ファウスト:死んだ!? ロビー:化け物だ…成長して…恐ろしいサナダムシのようだった。全く予想もしていなかった… ファウスト:まだ船内に? スタンダード:下のメインテナンス・レベルを密閉しよう。そうすれば、少なくとも閉じ込めてはおける。 (スイッチを叩く。回路図に明かりが点く) ハンター:これで、少なくとも今ここへ上がっては来られなくなった。 ロビー:2人死亡、後4人か。
92 :
名無シネマさん :2011/12/14(水) 15:45:53.11 ID:DmwgDPjd
スタンダード:(怒り)何が言いたいんだ? ロビー:別に。 ハンター:聞いてくれ。あいつはこの火炎放射器が嫌いなのは確かだ。 スタンダード:間違いない…船内で殺す事はできんが、少なくとも追い詰めることはできる…そしてエアロックに 追い込む事も。 ハンター:問題は、俺が燃料切れだって事だ。 ファウスト:ラウンジ横の保管ロッカーに、まだ何か燃料がある。(立ち上がり)俺が取りに行こう。 スタンダード:ノー、離れてはいかん。 ファウスト:今密閉したろ。あのセクションへは侵入できん。 ロビー:当てにならんな。 ハンター:火炎放射器は絶対に必要だ。 スタンダード:オーライ…だが、下のデッキには行くなよ・ ファウスト:ああ。(ドアへ向かう) スタンダード:ちゃんと帰って来いよ。 ファウストは出て行く。 ロビー:俺たちは、あの象形文字を綿密に検討すべき時期だと思うんだが。 ロビーはボタンを叩き始める。象形文字の写真が幾つかのスクリーンに映し出される。 ロビー:あれ全てに、何かパターンは見出せるか? スタンダード:(当惑し)ああ…イエス…パターンがあると…俺には分からん。 ロビー:ごちゃごちゃで無意味に見えるだろ?だが綿密に見れば、ある形が見えてくる。 スタンダード:見える?この中に? ロビー:シンボリックな形で…極めて様式化され…しかしじっと見れば、俺たちが相手にしてきたのとは異なる クリーチャーが見えてくる… ハンター:ああ…あの星型のものがブロサードに貼りついた奴かも。そうなのか? ロビー:そしてその右、模様の付いた楕円形のデザイン…こいつは胞子のケーシングそのものだ。 スタンダード:次のこれは…6本の足、触手…俺たちが食糧倉庫で見た奴だ。 ロビー:それなら、次のステップはきっと… ハンター:あのでかい奴だ。ここだ。
93 :
名無シネマさん :2011/12/14(水) 17:09:54.95 ID:DmwgDPjd
壁に描かれた無意味な幾何学的なシンボル…そこから異星人のライフサイクルの各ステージが見えてくる。 ロビー:これは全て、同一のクリーチャーなんだ。俺たちは奴のライフサイクルの異なるステージを見ている んだ。 スタンダード:そしてあの墓は…ある種の、繁殖の殿堂だったに違いない…そこに卵を備蓄し、多分交尾の 儀式が催され… ハンター:…そしてブロサードは奴らの繁殖サイクルに捕まったんだ。 ロビー:気が付いたか?他のフェーズはない。ここには4つの形態だけが描かれている。後は繰り返しだ。 スタンダード:と言う事は… ロビー:…もっと多くの胞子がやってくる… エアロック外の回廊。ファウストは急いで幾つか角を曲がり、そして突然立ち止まる下部デッキへ通じるドアが ヒンジ部分でもぎ取られている。彼はどうすべきか分からず躊躇する。その時エアロックの方向から音がし… インナーロック・ドアが開く。ファウストはためらい、中を見入る。 エアロック。クリーチャーが床の真ん中にうずくまっている。血まみれの大腿骨を齧っている。ファウストを 見てはいない。 エアロック外の回廊。そうっと後退って影の中に入り、ファウストは壁のインターコムを押す。 ファウスト:(囁くように)奴はロックにいる…メインロックを吹っ飛ばせ。 ブリッジ。スタンダード、ハンター、ロビーが写真を見つめている。ファウストの呼びかけがスタンダードを 捉える。 スタンダード:(インターコムに)何だ? エアロック外の回廊。(囁くように)奴はメイン・エアロックにいる。ロックを吹っ飛ばせ。
94 :
名無シネマさん :2011/12/14(水) 17:12:26.73 ID:DmwgDPjd
ストーリー・プロットは最高ですがモンスターは駄目ですな。50年代のB級SFですね。 ギーガーは偉大です。
95 :
名無シネマさん :2011/12/14(水) 19:29:09.14 ID:5kdpxaJa
それはオバノンの仕事じゃないんだから当たり前。
96 :
名無シネマさん :2011/12/14(水) 20:31:11.72 ID:38TXRZhr
う〜ん、このまま映画化して欲しい・・・
97 :
名無シネマさん :2011/12/15(木) 11:03:34.06 ID:luWvyM0R
ブリッジ。スタンダードはためらい、答えようとし…そしてコンソールへ走るとスイッチを叩く。 エアロック。音を立ててインナードアが閉じ始める。クリーチャーは音を聞きつけ、即座にロックから飛び出す。 エアロック外の回廊。クリーチャーははロックを飛び出てファウストに裏拳を食らわす。ファウストは倒れて エアロックのドアに挟まれる。閉じ始めたドアに腰を挟まれたファウストは死の苦痛に絶叫を上げる。ドアは彼を 3インチの厚さに押しつぶす。壁にはグリーンのライトが点く。“インナードア閉鎖” エアロック。ファウストの押しつぶされた体の為に、インナードアは数インチ開いている。アウタードアがスライド して開き始める。すぐに、抜け出して行く空気が大きな音を立て始める。 船外。完全な静寂の中、開いたエアロック・ドアから蒸気が噴出する。真空に出た船内の空気が凍ったのである。 ブリッジ。船の空気がロックへと吸い出されるため、即座に暴風が始まる。サイレンが鳴り始め、赤いライトが灯る。 “気圧低下、危機的” パニックと混乱。ロビーはコントロール・ルームを飛び出す。 廊下。書類や備品が通路をすっ飛んでいく。ロビーはロックへ急ぐ。半ば走り、半ば気流に身を任せて。 船外。巨大な蒸気の上昇流が船の側面から延びている。色んな物品の小片が中で散乱している。
98 :
名無シネマさん :2011/12/16(金) 10:32:19.78 ID:R1aSD6W6
ハリケーンのような強風に打たれ、壁に叩きつけられてロビーは止まる。彼はためらい、バランスを取り直そうと する。彼はクリーチャーが他の廊下を駆け下ってくるのを見る。モンスターを無視し、壁から離れて再び走り出す。 エアロック外の回廊。エアロックから続くホールの終点の出入り口につかまってロビーは止まる。恐ろしい勢いで 風が吹いている…衣服はばたつき、あらゆる物が宙を待っている…風は強烈に唸っている。ロビーは直ちに大きな 舵輪を回し始める。スライディング・ハッチのドアが閉じ始め、エアロックの廊下をふさぐ。ハッチが閉じて強風は 低下し、つには停止する。やり終えて、彼は床に崩れ折れる。と、彼はノドを掴み息苦しさにあえぎ出す。空気が 薄いために船内の音響レベルは低下し、殆ど聞こえなくなる。ロビーは大きなあえぎ声を上げるが、かろうじて 聞こえる程度である。足音は水中を歩くようにかぼそい。 廊下。ロビーはノドを押さえながら、他の男たちに出会う…スタンダードとハンター…彼らは窒息し、ノドを押さえて 水の外に出た魚のように喘いでいる。汗にまみれ、鼻血を出している。お互いに話しかけようとするが、くぐもって 遠いしわがれ声にしか聞こえない。スタンダードは何か言い、床へ倒れこむ。皆も後を追う。
99 :
名無シネマさん :2011/12/16(金) 11:20:14.06 ID:R1aSD6W6
訂正:床へ倒れこむ→ホールをよろめいて歩いていく メイン・エアタンク・ルーム。ドアが押し開けられ、スタンダードがよろめいて入ってくる。金属製のフロアーだが 足音はか細い。大きな酸素タンクが並んでいる。ホースで繋がれたタンクには幾つかのコックが付いている。 スタンダードはよろけながら近づき、ハンドルをひねり始める。シューッという鋭い音と共に空気が流れ出し、音響 レベルが徐々に正常化する。床に倒れているスタンダードたちは感謝しながら酸素の中であえぐ。回復した彼らは 上体を起こす。 ロビー:どれだけ酸素を失った? スタンダードはふらつきながら立ち上がり、計器を見つめる。 スタンダード:残りは6時間分だ。 ハンター:オー・マイ・ゴッド。 スタンダード:何が起きたんだ? ロビー:見た。ファウストがエアロック・ドアに挟まれて、ドアが開いたままになったんだ。 スタンダード:ファウストの所まで行けるか? ロビー:ノー。全セクションを密閉せざるを得なかった。もし連結するドアを開けたら、残った空気を失う 事になる。 エアロック。インナードアで破壊されたファウストの体が、真空の中、重量を失って浮いている。鼻と口は、大量の 乾いた血の塊で覆われている。 ブリッジ。3人の生存者…スタンダード、ロビー、そしてハンター…は椅子に沈み込んでいる。猫が恐怖で泣き声を 上げながら姿を見せる。
100 :
名無シネマさん :2011/12/16(金) 14:14:30.22 ID:R1aSD6W6
ロビー:(猫を抱き上げ)可哀相に。 スタンダード:少なくとも化け物からは免れたな。真っ先に船から吸い出されたに違いない。 ロビー:運がなかったな。あいつが廊下を走ってくのを見たぜ。 ハンター:(呻いて)オー、ノー!戦えない!空気は6時間分しかない…もう死んだも同然だ! スタンダード:そうは行かんさ。まだ時間はある。あいつを駆除して、俺たちはフリーザーへ 入るんだ。 ハンター:どうやって? スタンダード:ドラスティックな策を打つ時だ。 ロビー:何日も前に打つべきだった。 スタンダード:そんな意見は無意味だ。さあ、カモン…どんな意見でもいいから聞かせてくれ。 どんなに無茶でも構わん。 ハンター:船内では殺せない。あれほど巨大なら、体内の酸の量は途方もないに違いない。
101 :
名無シネマさん :2011/12/16(金) 15:05:48.33 ID:R1aSD6W6
ロビー:俺にアイデアがあるが、気に入らないだろうな。 スタンダード:聞かせろよ。 ロビー:OK。まず、スタードライブ・エンジンの冷却システムを全部シャットダウンする。 スタンダード:船が吹っ飛ぶぞ。 ロビー:そうだ…だがエンジンがオーバーヒートしてコアがメルトダウンするには数分かかる。その間に 俺たちは救命艇で船を去るんだ。 ハンター:船を吹っ飛ばすのか? ロビー:クリーチャーもな。俺たちは救命艇で地球へ帰るんだ。 スタンダード:だが、救命艇は光速まで加速できんぞ。 ロビー:問題ない…もうすでに光速で飛んでる。コロニーへ帰ったらネットワークで拾ってくれるさ。 ハンター:貨物の鉱物や元素はどうなる?俺たちがこんな所まで来たのは、鉱物や元素が目的だったんだぞ。 全部見捨てなきゃならん。俺たちは破産だ。 ロビー:命の方が大事だ。とにかく、救命艇には必要最小限の道具だけ持っていく。 スタンダード:そいつは無理だし、理由も分かってる。救命艇には1人分のハイパースリープ・フリーザーしかない。 1人しか生存できないんだ。 ロビー:イヤー…忘れてたよ。 スタンダード:だが、アイデアはいい。何とかこいつをアレンジできんかな。 彼らは考える。 スタンダード:クリーチャーを救命艇に押し込む事ができれば、宇宙空間へ射出して吹っ飛ばせるぞ。 ハンター:グッド!そいつはいい!
102 :
名無シネマさん :2011/12/16(金) 15:49:22.42 ID:R1aSD6W6
スタンダード:救命艇に爆薬を積み込んでおけば、切り離した時に遠隔操作で爆破できる。 ロビー:あいつを救命艇まで追い立てるのはまず不可能だと思うがな。 ハンター:火炎放射器が使えるじゃないか。 ロビー:無理だな。 スタンダード:そう言うな!グッド・プランだよ。 ハンター:火炎放射器にもっと燃料が欲しい。 スタンダード:ああ。やる事が沢山ある。行こう。 カーゴ・ベイ。3人が汚れたエリアへ降りてくる。多くの道具、機械類が貯蔵されている。 様々な形の金属コンテナにストックされた長い棚のラックがある。コンテナはパックされ、 ラベルが貼られている。 ハンター:どの爆薬がいい? スタンダード:N-13スティックがいい。携帯できるし、無線で爆破が可能だ。 ハンターはロッカーを開け、箒の柄のような長くて赤い棒を取り出す。その間、ロビーは 並んでいる金属製の缶を見て、その1つに触れる。 ロビー:おかしな話さ…掘り出すのにえらく苦労したこのお宝、この掘り出し物…あの化け物 のおかげで、うまく地球に着くんだ…俺たちはいなくてもな。 スタンダード:こっちだ、運ぶんだ。
103 :
名無シネマさん :2011/12/16(金) 17:28:58.42 ID:R1aSD6W6
ハンターが爆薬を1抱え取り、つまづく。 ロビー:(彼を掴んで)ヘイ、気を付けろ! スタンダード:(歯を見せ)大丈夫だ。落としても差し障りはない。 彼らは爆薬を運び上げ始める。 廊下。3人は機材を運んで廊下を進んでいく。その時、ハンターの追跡装置が突然ビープ音を上げる。 ハンター:止まれ! 全員が立ち止まる。再びビープ音が鳴る。ハンターは機材を下ろし、装置を周囲に向ける。 ハンター:(うなづいて示し)この上だ。 彼らはお互いを見合う。スタンダードは爆薬の束を下ろし、火炎放射器の用意をする。 ロビー:さあどうする?あいつを無視してボートに爆薬を積むか…それとも、今あいつを追い出すか? スタンダード:今やろう。ボートの中へ捕まえれば、吹っ飛ばす必要はない…宇宙空間へ射出できる。 スタンダードは火炎放射器を持ち上げ、歩み始める。 階段の吹き抜け。回り階段を登るスタンダードの顔は緊張している。突然、金属を叩く音が聞こえる。彼は しばし凍りつき、そして再び登り始める。 船背部の観測ドーム。星間空間が広がる壮観。スタンダードが上がってくる。再び金属音が聞こえる。 スタンダードは周囲を見回す。そして、ブロサードの死体がガラスの外に漂っているのを見つける。死体は 何かの索具と絡み、機械の動きにつれ、周期的にガラスに当たっているのだった。 スタンダード:(叫ぶ)上がってきてもいいぞ!安全だ! 2人は上がってくる。 ロビー:(死体を見て)オオ…ジーザス… ブロサードの死体は着衣が剥がれ、青く膨れ上がり、ガラスに突き当たる。中へ入りたいと望んでいるか のようである。
104 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 00:05:34.52 ID:f66CoW65
いや〜、面白いな。 このまま映画化できるじゃん。 1さん、毎日楽しみにしてます。
105 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 16:48:11.32 ID:aDIYUPcR
スタンダード:船の重力に引かれて戻ってきたんだ。 ハンター:中へいれてやろううか? スタンダード:ノー…リスクが大きすぎる。あいつをぶっ殺した後でな。 チラッと見て、男たちは観測ドームを後にする。ブロサードはガラスの向こう側で彼らを見ている…死んだ目で。
106 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 16:56:16.60 ID:aDIYUPcR
船首。廊下は狭くなって終わり、狭い通路への入り口となっている。床のスロープは少し上り坂となる。この つうろは船首と救命艇を繋ぐものである。3人は機材を運んで通路へ入ってくる。頭を屈め、救命艇への短い 距離を歩いていく。 救命艇。通路は救命艇の背部に繋がっている。
107 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 17:01:35.66 ID:aDIYUPcR
全くシンプルな、裸の乗り物である。金属製のストラットや梁すら剥き出しになっている。1台のハイパースリープ・ フリーザーが床のスペースの多くを占めている。脱出船、それ以上の何物でもない。 スタンダード:そこの、壁の基部に沿って。 彼らは赤い爆薬を救命艇の両側、壁の基部に積み重ね、針金でしっかり固定する。 ハンター:これでうまく行くだろう。
108 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 17:07:05.43 ID:aDIYUPcR
ロビー:そう願いたいね!吹っ飛ばした時に、本船から充分離れているようにしないと。 スタンダード:そうしよう。 ハンター:(不安そうに艇を見て)ここに、餌の何か赤肉が欲しいな。 ロビー:そんな物があれば俺が食うさ。腹が減ってきた。 彼らは立ち去る。
109 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 17:17:08.41 ID:aDIYUPcR
船首。 スタンダード:さて…あいつをここまで追い立てなくては。 ハンター:(神経質に)誰が追い立てるにせよ、両手は塞がるよな。あいつが中へ入った時にドアを閉めるには、 誰かが救命艇の傍にいた方がいいと思うんだ。そして…それで…(言葉を捜す) ロビー:餌になれと言うんだな?
110 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 17:29:19.50 ID:aDIYUPcR
ハンター:ヘイ!救命艇に入ったクリーチャーを閉じ込めるには、誰かが手を空けておかなくちゃならない! スタンダード:イエス、艇を発進させ、吹っ飛ばすのにもな…もし他が怪我をしたら。 ロビー:権利は誰が? 丸められた3枚の紙片。3つの手が拾い上げる。ロビーが紙をほぐす。そこには大きなXの字が。
111 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 17:43:23.56 ID:aDIYUPcR
すいませんブツ切りで。OSを乗せ換えたばかりで、修行が足りないらしく 長く書き込めないのです。
112 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 17:55:57.36 ID:aDIYUPcR
ハンターはロビーに、トランジスタ・ラジオのような小さなデバイスを見せている。 ハンター:艇が本船から離れるまで、ボタンから指を離しておけ。それだけだ。 ロビー:使えるのか? ハンター:今ボタンを押せば、船首が全部吹っ飛ぶぞ。 ロビー:ご心配掛けまして(起爆装置を胸ポケットに入れる)。
113 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 18:13:36.60 ID:aDIYUPcR
スタンダード:オーライ。マーティン、コミュニケーターで連絡を。 ロビー:あいつがこっちへ来たら教えてくれよ。 スタンダード:俺たちが追い込む間、わきにいてくれ。そしてハッチを閉め、ボートを発進させ、そして… ロビー:大爆発。 ハンターの顔がひきつる。
114 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 18:33:41.23 ID:aDIYUPcR
スタンダード:カモン。時間がないんだ。空気が。 彼らは船首を出る。スタンダードは火炎放射器を、ハンターは追跡装置を持っている。ロビーは制御装置に座り、 ざっと調べて慣れようとする。スイッチを使って救命艇のドアを何回か開け閉めする。ドアは極めて早く開閉する。 彼は幾つかボタンを押して、発進ボタンを“READY”にする。スタンダードの声がコミュニケーターから聞こえてくる。
115 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 18:36:29.03 ID:qq5XUhNk
116 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 18:40:37.40 ID:aDIYUPcR
スタンダード:追跡装置に何か捉えた…あいつだ。猫にしては大きすぎる。 恐怖のシーン。ロビーは救命艇の傍で1人ぼっちでコミュニケーターの声に聞き入っている。 ハンター:そこを…下からやってくる。 ロビーにかさかさする音、ガチャンと言う音、息遣いなどが聞こえてくる。 船の廊下。スタンダードは火炎放射器を構え、ハンターは追跡装置を作動させる。
117 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 18:49:40.89 ID:aDIYUPcR
ハンター:奴は止まったぞ。反応がなくなった。 スタンダード:俺が先に行こう。後をついて来い。 慎重にスタンダードは廊下を進んでいく。突然クリーチャーがハンターの背後から飛び出し、彼を捕らえる。 ハンターは叫ぶ。スタンダードは振り向き、物体がハンターを掴んでいるのを見る。物体は彼を片方の脇に 抱えている。スタンダードが取り戻せないようにしているかのようである。
118 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 18:57:21.94 ID:aDIYUPcR
スタンダードはどうしていいか分からない。 ハンター:火炎放射器を! スタンダード:できない!酸が! その瞬間、クリーチャーはハンターに噛み付く。ハンターは死の苦痛に絶叫する。スタンダードは最早 耐え切れず、火炎放射器を発射する。しかしクリーチャーはハンターを振り回してシールド代わりにする。 ハンターは炎をフルに浴びる。
119 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 19:16:49.73 ID:aDIYUPcR
スタンダードは即座に放射をストップするが、ハンターはもう火だるまである。 船首。ロビーはコミュニケーターで全てを聞いている。悲鳴と破壊音が聞こえる。そしてコミュニケーターは切れ、 聞こえるのは空電ばかりになる。 ロビー:へロー?スタンダード?ハンター? 彼はしばらく反応を待つが、何の期待もしていないのが表情から見て取れる。
120 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 19:26:15.25 ID:aDIYUPcR
彼は顔を両手の間に落とす。再び顔を上げ、何とか決意を固めようとする。 船の廊下。ロビーは追跡装置を見ながら、ピストルを持って歩いてくる。彼はスタンダードの火炎放射器を 見つける。彼は拾い上げ、ピストルと持ち替える。そして追跡装置をたどり続ける。メインテナンス・レベル へと彼は導かれる。 メインテナンス・レベル。シグナルの源泉は彼のすぐ下だと装置が示す。
121 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 19:34:41.77 ID:aDIYUPcR
見下ろすと、彼は四角い金属プレートの上に立っているのが分かる。彼はかがんで重いプレートを取り外す。 下へのハシゴの開口部が現れる。追跡装置を懐中電灯に持ち替え、火炎放射器を抱えて、ロビーはハシゴを 降り始める。 暗い倉庫。暗闇を照らしながら、ロビーは金属のハシゴを降りて床に着く。そこは怪物の恐ろしい巣だった。
122 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 19:47:23.74 ID:aDIYUPcR
骨、髪の毛、人肉の切れ端、衣服、そして靴。暗闇で何かが動く。ロビーは回ってライトを当てる。天井から ぶら下がっているのは、巨大な繭だった。細く、白い、シルクのような材料で編まれているように見える。そして ゆっくり波打っている。火炎放射器の準備をして、ロビーは繭に近づく。充分に近づくと、繭は半透明で、中には スタンダードの体があった。
123 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 19:51:57.26 ID:aDIYUPcR
不意にスタンダードの目が見開かれ、ロビーに焦点を合わせる。ロビーは飛び退る。 スタンダード:(弱々しく囁く)キル・ミー… ロビー:(吐き気を催し)何をされた? スタンダード:(頭を少し動かし)見ろ… ロビーはスタンダードが示す方向へライトを向ける。
124 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 19:59:35.44 ID:aDIYUPcR
もう1つの繭が天井からぶら下がっているが、少し違うように見える。少し小さく、黒ずみ、殻も固いようである。 事実、これは墓の胞子そっくりだった。 スタンダード:(囁き声で)あれはメルコニスだ…ハンターは喰われ… ロビー:(周囲に道具を探し)出してやるぞ。 スタンダード:ノー…よせ…
125 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 20:06:30.89 ID:aDIYUPcR
ロビー:助けてやるぞ。オートドックへ連れて行く! スタンダード:ノー・グッド…俺は大半、喰われてしまってるんだ… ロビー:(ぞっとして)何か俺にできる事は? スタンダード:キル・ミー… ロビーは恐怖におののきながら彼を見つめ、下を向くと、さらに近づいて彼を見る。
126 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 20:25:01.73 ID:aDIYUPcR
ロビーは背中を伸ばし、火炎放射器を上げ、溶岩のような炎を浴びせる。部屋全体が炎に包まれ、彼は向きを 変え、ハシゴを駆け上っていく。 メインテナンス・レベル。ロビーは崩れ折れて喘ぐ。吐きそうになるのを耐える。ややあってようやく我に帰る。 外宇宙−光速。スナークは動いていないように見える。惑星や星の群れが無限の距離を流れ去っていく。
127 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 20:35:35.23 ID:aDIYUPcR
ブリッジ。ロビーは猫を金属製の、真空でシールされた箱に押し入れる。脇に小さな酸素タンクを沿える。 加圧された空気がシュッと音を立てる。怒った目つきで猫は小さな窓から外を見る。悲しい鳴き声。ロビーは 加圧された箱を拾い上げ、ブリッジを去る。 カーゴ・ベイ。箱とショルダーバッグ、火炎放射器を持ち、ロビーは近くの金属缶の列に向かう。
128 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 20:43:33.25 ID:aDIYUPcR
ロビー:(ラベルを読み)何だと思う、キティ?タキタム35、10kgはどうだ?これで島1つが買えるぜ。 貴重な缶をショルダーバッグに入れ、彼は階段を急いで上がっていく。 エンジンルーム。片手に猫の箱、片手に火炎放射器を持ち、ロビーはエンジンルームへ入ってくる。 ここには巨大なスタードライブ・エンジンがある。荷物を降ろし、エンジンのメインコントロール・ ボードに近づく。
129 :
名無シネマさん :2011/12/17(土) 20:52:27.55 ID:aDIYUPcR
そ説明書を見ながら、彼は1つ1つスイッチを切り始める。サイレンが船全体に鳴り響く。 コンピューター:アテンション!スタードライブエンジンの冷却装置が停止!4分50秒でエンジンは オーバーロード。アテンション! ロビーは最後のスイッチを切る。興奮で震えながら、彼は箱、バッグ、火炎放射器を拾い上げ、 急いでエンジンルームを出て行く。
130 :
名無シネマさん :2011/12/18(日) 06:46:14.08 ID:fUcKvkqL
船の廊下。ロビーはサイレンを聞きながら先を急ぐ。 コンピューター:アテンション!エンジン・オーバーヒート。メイン・コアのメルトダウンまで4分30秒! 船首。ロビーは停泊している救命艇へ急いでやってくる。両手はいっぱいである。通路へ進む。 接続通路。通路の他端、救命艇の中でクリーチャーは待っている。シューッという音を出し、ロビー目掛けて 動き始める。
131 :
名無シネマさん :2011/12/18(日) 07:02:56.75 ID:fUcKvkqL
ロビーは通路から飛び退る。制御装置に飛びつき、スイッチを叩く。ハッチのドアがバタンと閉まり、化け物は 救命艇に閉じ込められる。 コンピューター:アテンション!エンジン・オーバーロードまであと4分! 決めかねて、ロビーは救命艇“発進”ボタンを見つめる。化け物があちこちいじくり回している音が聞こえる。 ついにロビーはきびすを返し、エンジンルームへと駆け戻っていく
132 :
名無シネマさん :2011/12/18(日) 07:10:47.79 ID:fUcKvkqL
船の廊下。ロビーは狂ったように船を駆け抜ける。階から階へ、回り廊下を走り下り、エンジンルームへ急ぐ 彼の足音が船中に金属的に鳴り響く。 コンピューター:アテンション!エンジン・オーバーロードまであと3分30秒! エンジンルーム。ドアが叩き開けられ、ロビーが飛び込んでくる。部屋は煙で充満し、エンジンは危険な音で 唸っている。
133 :
名無シネマさん :2011/12/18(日) 07:15:47.22 ID:fUcKvkqL
部屋の中は極めて高温で、ロビーはすぐに汗にまみれる。制御装置へ走りより、冷却装置のスイッチを戻す。 サイレンは依然鳴り続けている。 コンピューター:アテンション!エンジン・オーバーロードまであと3分! ロビーはボタンを押し、語りかける。 ロビー:コンピューター!冷却装置は全部スイッチを戻した!何がいけないんだ?
134 :
名無シネマさん :2011/12/18(日) 10:41:53.94 ID:oHjgeJPO
>>111 1さん
ブツ切りでも何でも結構です。
やり易い方法でお願いします。
感謝感謝
135 :
名無シネマさん :2011/12/18(日) 14:58:24.06 ID:rY5djKyG
コンピューター:反応は遥かに進行しています。コアはすでにメルトダウンを開始しました。エンジン・オーバーロード まであと2分35秒。 ロビーの表情に恐怖が浮かぶ。彼はターンしてエンジンルームを走り出る。 船の廊下。ロビーは再び、船の全レベルを駆け抜けねばならないが、今回は階段を上がらねばならない。疲れ切り、つまづきながら 彼は走る。その間もコンピューターのカウントダウンは続く。 コンピューター:アテンション!エンジン・オーバーロードまであと2分! 船首。よろめき喘ぎながら、ロビーは救命艇が停泊している接続通路へやってくる。彼は火炎放射器を掴むと通路へ向ける。 救命艇の扉は開いていた。 彼はすぐに周りを見渡し、背後にクリーチャーがいないか確かめる。そして通路へ歩を進める。 通路。汗まみれで、顔に恐怖の表情を浮かべ、ロビーは通路へ入る。火炎放射器が手にしっかりと握られている。サイレンと コンピューターが彼を追い立てる。 コンピューター:アテンション!エンジン爆発まで90秒! 彼は通路を抜け、救命艇に頭を突っ込む。
136 :
名無シネマさん :2011/12/18(日) 15:33:02.66 ID:rY5djKyG
救命艇。彼は素早く艇内を探査する。空っぽである。 通路。直ちに彼はターンして通路へダッシュし、猫の箱とバッグを掴むと救命艇の中へ走りこむ。 コンピューター:アテンション!エンジン爆発まで60秒! 救命艇。走って入ってきたロビーは箱とバッグを投げ出し、コントロール・チェアに飛び込む。 着席するや否や“発進”ボタンを叩く。 船首−外宇宙。リテーナー・クリップが下がり、ラムジェットが発火し、救命艇は“スナーク号”から 発進する。 救命艇。ロビーは半狂乱で自らをストラップで固定する。救命艇は加速して母船を離れていく。 宇宙空間。小さな救命艇が遥かに巨大なスナーク号から加速して離れていく。命の瀬戸際にも関わらず、 その光景は奇妙に穏やかに見える。 救命艇。ロビーは体を固定し終え、手を伸ばして猫の箱を掴む。猫は哀しげに鳴いている。ロビーは箱を 胸に抱きしめ、背中を曲げて頭を下げる。 宇宙空間。救命艇はスナーク号を背後に置き去りにし、かろうじて光る点にしか見えなくなる。その時、 スナーク号は爆発する。オレンジ色の火球が広がり、あらゆる方向へ金属片が飛散する。 救命艇。ショックウェーブが脱出船を直撃し、内部の全てをゆすぶり、吹っ飛ばす。そして静寂が訪れる。 ロビーはストラップを解き、立ち上がって救命艇の後部へ行く。舷窓から外を見つめる。彼の顔は オレンジの光に染まる。 宇宙空間。彼が見ている沸騰した火球は薄れ、くすぶり、そして消える。そして幾つかの残骸を後に残す。
137 :
名無シネマさん :2011/12/18(日) 16:05:14.55 ID:rY5djKyG
救命艇。ロビーの表情は悲しみに満ちている。彼の船も、友人も、とうとう消滅してしまったのだ。その時、彼の背後 からクリーチャーがどこからか現われる…こいつはずっと救命艇の中にいたのだ。猫が叫び声を上げる。ロビーは体を 回し、自分が船の対角線上で怪物と向き合っている事に気付く。怪物はしゃがんで、トロフィーを引き寄せる…それは 人間の腕だった。怪物はロビーを見ながら、腕を喰いはじめる。最初に浮かんだ考えは火炎放射器だった…だが、不運 な事に、火炎放射器は怪物のすぐ右の床に横たわっている。次に考えたのはどこか隠れる場所だった。彼の視線がふと 小さなロッカーを捉えた。スペーススーツを納めるロッカーで、扉は開いたままだ。彼はロッカーへとにじり寄り始める。 クリーチャーが立ち上がる。ロビーは凍りつく。怪物は喰っていた腕を投げ捨てる。同時に、ロビーは開いたロッカーの ドアに飛び込む。そして中からドアを強く引いて閉じる。 スペーススーツのロッカー。ドアには透明なガラスのパネルがある。怪物は顔をガラスに押し当て、ロビーをじっと見つめる。 ロッカーはあまりに狭く、ロビーの顔はクリーチャーの顔と数インチしか離れていない。ぞっとするような景色である。 怪物は頭を曲げ、もの珍しそうに彼を見つめる。その時、猫の唸り声が怪物の注意を引く。
138 :
名無シネマさん :2011/12/18(日) 16:59:44.92 ID:rY5djKyG
救命艇。クリーチャーは、加圧された猫の箱がある場所へよちよち歩いていき、体を折り曲げて中を覗く。猫は大きな声で 哀しげに鳴く。怪物は触手で箱を拾い上げる。 スペーススーツ・ロッカー。怪物の注意を猫から逸らそうとロビーはガラスを叩く。怪物は即座に反応しガラスに向き直る。 ロビーは驚嘆する。だがそれ以上干渉は受けず、怪物は猫の箱に戻っていく。ロビーは周りを見、スペーススーツを見つけ、 素早く身に着け始める。 救命艇。クリーチャーは箱を触手で持ち上げ、中に何が入っているのか、振ってみる。猫は呻く。 スペーススーツ・ロッカー。ロビーはプレッシャー・スーツを半分まで身に着ける。 救命艇。クリーチャーは箱を投げ落とす。箱は音を立てて弾む。怪物は再度拾い上げると壁に当てる。そして壁の割れ目に 押し込む。そして1本の触手で箱を打ち始める。猫はヒステリー状態である。 スペーススーツ・ロッカー。炉バーはヘルメットを装着し、所定位置へラッチして酸素を入れる。シューッという音がして スーツは充満する。壁の棚に長い金属製のロッドがある。先端は鈍いゴムで覆われている。ロビーはゴムを剥がす。スチール 製の尖った先端が現われる。再び彼はガラスを叩く。 救命艇。クリーチャーはターンする。それはロッカーに顔を向け、ロビーを見つめる。 スペーススーツ・ロッカー。 ロビー:こいつを喰らえ、ユー・ファッキン・バスタード! ロビーはドアを蹴り開ける。 救命艇。クリーチャーは立ち上がり、まさにその時、スチール・シャフトが胴体の真ん中を貫く。それは恐ろしい声を上げ、 シャフトを掴もうとする。傷口から黄色い酸が流れ出し始める。酸が床に達する前にロビーは手を伸ばし、スイッチを引き… リア・ハッチが開く。
139 :
名無シネマさん :2011/12/18(日) 21:12:28.23 ID:lEzRjJJh
すごいスピード感
140 :
名無シネマさん :2011/12/19(月) 09:53:39.81 ID:6RAIdngF
救命艇のわずかな空気が宇宙空間に吸い出される…そして血を流すクリーチャーも。ロビーは吸い出されまいと鉄製の ストラットを握る。しかし、クリーチャーはロビーの傍を通り過ぎる時、触手の先端を彼の足首に巻きつける。 救命艇−宇宙空間。今やロビーの体は半ば救命艇から突き出ている。物体は彼の足にしがみついている。彼は自由な方の 足で蹴飛ばすが、触手は離れない。 救命艇。ロビーは助けを求め、ハッチ・コントロール・レバーを掴むとそれを引く。ハッチは勢い良く閉まる。ロビーは 安全に中に残り、クリーチャーの触手の先端はドアに挟まれる。触手はロビーを放す。 救命艇−宇宙空間。今やクリーチャーは救命艇の外、真空の中で身もだえしている。触手の先端は閉じたハッチに捉われている。 救命艇。触手が挟まれているハッチの部分が酸で泡立ち始め、金属を侵食し始める。ロビーはよろめきながら制御装置へ向かい、 “ラムジェット”とラベルされたレバーを押す。
141 :
名無シネマさん :2011/12/19(月) 11:09:14.44 ID:6RAIdngF
救命艇−宇宙空間。ジェットの排気口は艇の後部、まさにクリーチャーがのたうっている場所にあった。エンジンは 数秒間炎を噴出し、そして止まる。クリーチャーは焼き尽くされ、のたうちながらゆっくりと船から離れていく。 救命艇。ロビーはリア・ハッチへ急ぎ、物体のあとを眼で追う。 宇宙空間。怪物の焼かれた塊がゆっくりと宇宙空間へ流されていく。煙を上げながらも、泡立ち、のたうちまわって いる。怪物はのたうちながら遠ざかり、いくつか破片が落ち…膨張し…そして破裂する。あらゆる方向へ、生焼けの 破片のしぶきを飛散させて。最後に見えるのは幾つかのくすぶる残骸が永遠に向かって遠ざかる光景である。 ディゾルブして、 救命艇。ボートは再加圧され、ロビーはコントロール・チェアに座っている。落ち着き、穏やかで、殆ど楽しそうである。 膝の上で猫は喉を鳴らしている。 ロビー:(口述筆記)…ともかく、予定通りコロニーへ帰れそうだ。前線まであと250年ほどかかるだろうが、運がよければ ネットワークが拾い上げてくれるものと思う。私は数日前までほどリッチではなくなったが…無一文になってしまったわけ でもない。この大騒ぎの中、ついでに、何とかおみやげを1つ引き揚げてきた。 彼はバッグの中に手を伸ばし、異星人の頭蓋骨を取り出す。 ロビー:哀れなユーリック。これで私がそれほどへそ曲がりではない事が分かるだろう。最初に会うのが彼であれば… 全てが変わってしまっているだろうが。
142 :
名無シネマさん :2011/12/19(月) 14:39:10.68 ID:6RAIdngF
彼は頭蓋骨を棚に置き、ガラスの蓋をかぶせる。 ロビー:私はマーティン・ロビー、エクゼクティブ・オフィサー。商業船スナーク号の最後の生存者。 署名、終了。カモン、キャット。寝ようか。 ロビーは体を乗り出してレコーダーのスイッチを切る。立ち上がると猫を抱いてハイパースリープ・フリーザーへと 歩み寄る。フリーザーは開いている。彼は中へ入り、背を伸ばし、猫を胸に抱く。もう1方の手でスイッチを押す。 カバーが閉まり、彼を覆う。 異星人の頭蓋骨のクローズアップ。ロビーは死んだ、憂いに満ちた小妖精のようにすやすや眠っている。 頭蓋骨は彼を警備する歩哨のように見える。 外宇宙。救命艇…スナーク2号…は、今から250年後の地球とのランデヴー目指して帆走して行く。 そして…スナーク2号がカメラの前を通り過ぎる時突然、艇の下腹部に胞子のポッドが付着しているのを、我々は見る。 ロールエンド・タイトル&ミュージック。 THE END 「スタービースト:全巻の終わりで御座います。ご愛読有難う御座いました。まだまだスペースがありますので、 「ALIEN」と「STARBEAST」を比較検討したサイトの翻訳、またオバノンが元ネタにしたとされる「恐怖の火星探検」 について重箱をつちいてみましょう。多謝、深謝。
143 :
名無シネマさん :2011/12/19(月) 17:18:32.55 ID:YNEqJt8F
お疲れ様。 これがネットだよなー久々に興奮したわ。ありがとう。
144 :
名無シネマさん :2011/12/19(月) 17:41:04.64 ID:ktK5kyKQ
凄いよ、お疲れ ありがとうございます。
145 :
名無シネマさん :2011/12/19(月) 20:00:31.61 ID:ev9DROaV
では早速、“Alien Explorations”というサイトから。 ダン・オバノンのオリジナル・エイリアン a)小惑星の発見:商業採掘船ノストロモ(スナーク)の所有権は全てクルーにある。彼らはインディの坑夫の グループで、個人的な財源を投機的な冒険など自由な事業に頼っており、鉱脈を発見して出資分を取り戻し、 ひと財産作りたいと願っている。鉱脈発見に成功した彼らは地球への帰途にあったが、船のコンピューターは 航海を中断し、発生源不明の通信を捉えた事を彼らに告げる。彼らは極めて重要な決断を迫られる:通信を 無視するか、調査するか。彼ら自身がボスなのだから、調査すべきという外からのプレッシャーはない。しかし これは人類が経験した事のない、人間以外の知的生命体とのファースト・コンタクトであり、その発見者になる 事の利点は計り知れない。冒険者として、またひと山当てようとして、彼らは着陸するのだった。
146 :
名無シネマさん :2011/12/19(月) 20:44:00.13 ID:9vDaNZdV
b)スペース・ジョッキーの死体:「骸骨はロン・コッブの仕事だ。のちにスペース・ジョッキーと呼ばれるように なったもので、完璧な出来だった。大きな頭蓋を持ち、4〜5個の眼窩がある。下顎骨は極めて小さく、歯はない。 勿論私は、フィルムの上では恐ろしく見える事を期待したが、もう少し傍で見れば、肉食獣に特有な大きな歯とか大顎 を持っていないことが分かり…多分想像するだろう。こいつらは宇宙を帆走する、非暴力的で草食性のクリーチャー なのだと」 「巨大な異星人の死体は全く人類に似てはおらず、コントロール・チェアに座った状態で発見された。壁のコンソール にはマシンがあり、その上で小さな棒が溝の中を無音でスライドして行き来している。ここが通信の発信源なんだ」 「これは自動録音である事が分かり、いつから繰り返されているのかは神のみぞ知る、だ。問題は、何がクルーを殺し たか?だ。死んだパイロットの前のコンソールに殴り書きされたのはシンボル、あわてて書かれた3角形だ。彼が メッセージを残そうとしたのは明らかだ」
147 :
名無シネマさん :2011/12/20(火) 06:16:50.22 ID:kyn0h2/g
「彼らが3角形の意味に頭をひねっている間に、外の嵐が一瞬止んで、水平線が見える。絶壁にピラミッドが 建っている。即座に3角形を思い起こさせる。パイロットが示そうとしていた物なのか?彼らは探査に出る」
148 :
名無シネマさん :2011/12/20(火) 06:28:35.40 ID:kyn0h2/g
イリアン・コレクターズ・エディションP40によれば、エイリアン脚本のオリジナル・ドラフトではジョッキーは 宇宙からではなく、エイリアンと全く同じ世界、小惑星の3つの文明の1つからやってきたとされている。そして 乗り物は宇宙船でなく小惑星上のセクターからセクターへ移動する上陸用舟艇だった。オバノンから、この事を 裏付ける発言はなかった。
149 :
名無シネマさん :2011/12/20(火) 07:01:55.67 ID:CEm8lClB
遺棄された異星人の船というアイデアは、クリフォード・シマックのSF“JUNKYARD”から来ている。この作品では 船のエンジンが、自分のエンジンパーツを置き忘れた他の種の異星人に剥ぎ取られてしまう。タワーに住む生物が 彼らのエンジンの操作法を忘れさせてしまったからだ。また、遺棄された船の存在は“PLANET OF VAMPIRES”にも 現れる。この船は巨大な甲虫のようでもあり、内部は長くうねったトンネルが広大なセントラル・チェンバーに 続いている。ここは住民の衰えた巨人の骸骨のための墓地のような役目も果たしている。
150 :
名無シネマさん :2011/12/20(火) 07:34:14.51 ID:wVlHKlCA
うわぁ… たしかに片鱗を感じざるを得ない。 広大なセントラルチェンバー… 巨人の骸骨… うわぁ…
151 :
名無シネマさん :2011/12/20(火) 10:04:55.41 ID:7FyVUO47
巨人の骸骨は、“PLANET OF VAMPIRES”から借りた事をオバノンは認めている。巨人のチェンバーにはオーディオ・ プレイヤーがあって、異星人の言葉をエンドレスに流している。“PLANET OF VAMPIRES”ではトランスミッターは 肉体から分離した魂によって作られたが、それは、スペース・トラベラーを惑星へ引き寄せるためである。オンライン の初期台本では、遺棄された船は毒茸のようだと描写されているが、DVDバージョンの台本ではグロテスクな船で 鼻先を砂に突っ込んでいる様は巨大なロブスターのようだと描写されている。これがクリス・フォスのコンセプト・ アートになっている事はオバノンも認めている。
152 :
名無シネマさん :2011/12/20(火) 10:39:11.30 ID:7FyVUO47
「3番目のクォーターマス・フィルムでで印象に残ったのは、異星人の難破船を見つけ、内部を探査し、クリーチャーの死体 を発見するというアイデアだ。オリジナルの映画脚本では、着陸し、クラッシュした異星人の宇宙船を見つけ、内部へ 入ってエイリアン・クリーチャーの死体を見つける。映画では2つのシーンが一緒になっているが、私のバージョンでは 2つに分かれたシーンになっている。彼らは遭難船を見つけ、異星人が何かに殺されたのだと推論する。その後土着のピラミッド を発見し、その中へ入り、卵を発見するんだ」
153 :
名無シネマさん :2011/12/20(火) 11:07:53.45 ID:7FyVUO47
c)ピラミッド:ピラミッドは太古の原始的なもので、遺棄された船とは明らかにデザインが異なる。ここでは 別のエイリアンを扱う:死んだ船はどこかからのビジターと思われ、ピラミッドは土着のものらしい。周囲を 歩いても入り口はない。入り口は堆積した砂に埋もれてしまったに違いない。それでケインはクライミング・ ギアを使ってモノリスの頂点まで這い登る。そこでまっすぐ下へ伸びるシャフトが開いているのを発見する。 1方、船ではコンピューターが通信の翻訳に成功しており、その意味は「着陸するな」だった。 だが探検隊はラジオ通信がカットオフしたためにこのいきさつを知る事ができず、ケインはシャフトを降りて行く。 底に着いた彼が見つけたものは奇妙な墓場或いは寺院を発見するが、それは理解できない絵画や象形文字で埋め 尽くされており、宗教的な重要性を持つもののようであった。墓場の中心は祭壇になっており、卵のような物体で 囲まれていた。
154 :
名無シネマさん :2011/12/20(火) 15:06:33.88 ID:7FyVUO47
この点からして、オリジナルの台本で語る価値のあるのは2つの差異だけだ。船へ戻った後、ケインが墓で撮ったフィルムを調べる。 象形文字は土着の異星人のライフサイクルを描いている。彼らにとって繁殖は非常に困難かつ複雑で、宿主と大変な管理を必要と する。その結果、ライフサイクルは彼らの文化の中核的なものとなった。この種族の致命的な欠陥は、生物学的に必要とは言え、 生物圏から搾取しすぎる事で、そのためにこの星が不毛で、種族が消滅したのだと地球人は推測する。 異星人の種族のオリジナル・コンセプトでこの事を発展させると、小惑星の住人はタフで、原始的で、非常に複雑なセクシュアル・ サイクルを持っているように見える。彼らにとっては繁殖は非常に困難で、それゆえに彼らの宗教の中核となったのである。 そしてピラミッドは生殖の殿堂であり、概観は高さ約20m、太古の原始的で粗暴な文化の産物である。内部はルーフから垂直なトンネル で部屋に繋がっている。通常の入り口は大昔に崩落している。部屋の中央の祭壇周囲に胞子のポッドが見つかる。この世界の住人はその ライフサイクルに全く異なる3つのステージを持ち、それは誕生の寺院の壁に様式化された象形文字で描かれている。模様のある楕円形 のデザインが胞子のケーシング、星型のものがフェイスハガー、そして星型のものは他の生命形態〜奇形的な雑種動物或いはガーゴイル とおぼしきもの〜と接合し、雑種動物から芋虫のような物体が飛び出るのが描かれている。胞子、そしてフェイスハガーの画像に次いで 6本の足と触手を持つ若い形態、そしてさらに大きな形態が描かれ、そのパターンが繰り返されている。
155 :
名無シネマさん :2011/12/20(火) 16:20:50.85 ID:7FyVUO47
オバノンは小惑星上のタワーのアイデアをクリフォード・シマックのJUNKYARDから借りたが、原始的な石のタワー の中にはメロン大のクリーチャーの胞子が充満した誕生の寺院があり、それに触れた生物の記憶を盗み、その記憶 は未知の種族の異星人によって集められ、このクリーチャーの体に地面からワイヤーやパイプが繋がっているのを みた探検者は、動物と機械の複合物だろうかと不思議に思う。JUNKYARDにおいては、なぜそれほど原始的な方法で 建設されたのか、探検者は発見できなかったが、同様に我々はピラミッドを建設した文化が幅120kmの小惑星で進化 したのかを本当には理解できない。タワー内の生命体はピラミッド内の胞子を思い起こさせるが、生命体に触れて 記憶を失うように、フェイスハガーの犠牲者になったものは胞子に出会った事を思い出せなくなる。
156 :
名無シネマさん :2011/12/20(火) 21:17:25.09 ID:sh+isG9S
1さん、本当にありがとう。 原案が日本語で読めるとは思わなかったよ。
157 :
名無シネマさん :2011/12/21(水) 10:31:14.32 ID:HhuLFBRw
d)胞子〜フェイスハガー:卵(胞子)は第3段階の成人にケアを受け、誕生の寺院の下部チェンバーに収納される。 孵化の準備ができると胞子は「いけにえの石」の中に置かれ、そこには血の水路がある。 胞子は革製のように見え、高さ約1mの卵型で、中にはエイリアンの幼虫が収められている。 エイリアンの種族は2つの性を持つが、繁殖には3番目に宿主となる動物を必要とし、それは下等動物で、メスの エイリアンと同じだけ必要で、石へと連れてこられる。これとは別に、エイリアンは胞子とチェストバスターに宿主を 用いて無性生殖を行うようにも見える。この場合、ライフサイクルに2つの性がある意味が理解できない。胞子ポッド の中の小さな幼虫は“フェイスハガー”として知られているものだが、移動用の尻尾があり、蛸のようなクリーチャー で、生物が近づくのを待ち、ポッドに触れたら体温を感知して蓋が落ち、動物に取り付いて、胃の中に胎児を産み付ける。
158 :
名無シネマさん :2011/12/21(水) 11:11:23.82 ID:HhuLFBRw
「私は、我々が離れる事のできないクリーチャーを考えた。それは我々の中から現われるのだ。じっと見下ろす空間… そこは洞窟であり、子宮であり、無意識であり、そして地獄でもある。何かがそこで生まれる。それは汚く、不潔で、 あなたの顔に取り付き、窒息させる。 私は外来種に口をレイプされる犠牲者を、男にした。女性の犠牲者だったら、チープになったと思う。偶然男性であった 事がエロチック度で驚きが少なく、観客のレイプ・ファンタジーを刺激しただろう。ホラー・フィルムが殆どいつも 女性を犠牲者にするのは、このためなんだ。男のフィルムメーカーは、本当に恐怖を感じたいとは望んでいないんだ。 彼らはそれより他のもの、むしろ美しい女性のほうを好むのさ。
159 :
名無シネマさん :2011/12/21(水) 14:30:53.69 ID:HhuLFBRw
全てが、エイリアンのセクシュアル・ライフ・サイクルを想定したものだ。 人々はみなセックスに関して不安を感じている。誰もがいつもセックスについて頭を悩ませている。これで 私は観衆にアタックしてるんだ。セクシュアルにアタックはするが、女性の観衆を得ようとしてるんじゃない。 男性の観衆だ!考えられる限りのイメージを全て押し込んで、男性の観客に足を組ませることができるだろう。 ホモセクシュアル的なオーラル・レイプ、そして誕生、この物体はあなたのノド深く、卵を植え込むのだ」
160 :
名無シネマさん :2011/12/21(水) 15:24:43.61 ID:HhuLFBRw
オバノンは、フィリップ・ホセ・ファーマーの“Strange Relations”という短編集にインスピレーションを 受けたと書いている。“My sister's brother”という1篇で、奇妙な繁殖方法が描かれており、男性にひどい 嫌悪感を与えるだろう。ベビーは芋虫の形をしており、両性具有の母の胃の中で育ち、成長すると胎児と男根 両方の役目を果たすようになり、エクスタシーを与え、性交中の若い成体の口から入り込んで、10〜20個の卵を 遺伝子を受け継ぐために自分の体に引き入れるのだ。地球から来た男性の探検者は「なにかが植え込まれたように 感じ、その何かは殻を破って芋虫となり、彼を食い、そしてすっかり食い尽くされてしまうまで、彼には何が 起こっているのか分からないのだった」この1節は、チェストバスターを卵或いは胎児として植え込むフェイスハガー のアイデアとよく一致する。 (ここ、関係代名詞が省略されまくってて訳に自信がありません)
161 :
名無シネマさん :2011/12/21(水) 16:10:01.88 ID:HhuLFBRw
e)チェストバスター〜若い成体:フェイスハガーはすぐ死んで取れ、落ちる。受精した動物はどこかへ去り 囲い込まれ、出産を待つ。胎児は中で育っている。 宿主はまさに物体にとっての孵化器だ。最後には噛み破って姿を現し、宿主を殺す。このクリーチャー、 “チェストバスター”はエイリアンのセカンド・ステージであり、走って喰いまくる。何も考えずむさぼり 喰う。 猛烈に飢え、繁殖したがっている。この段階のクリーチャーはまだ成人に養育されコントロールされている。 信じられないスピードで成熟する。チェストバスターが付属器官を失い無害になるまで。最後には殺人 への欲求は失われ、エイリアンは穏やかで知的なクリーチャーになり、芸術や建築学をに有能となり、 200年の学究的な人生を送る。
162 :
名無シネマさん :2011/12/21(水) 16:20:22.62 ID:HhuLFBRw
「もう1つのソースは、デューンの仕事中にギーガーに出会ったことだ。彼の写真集を見て、アメリカへ帰った時も 私は彼の作品に魅了されたままだった。いつも気にかかっていて、エイリアンに取り掛かった時、物体を ビジュアル化する事になったが、ギーガーの絵の通りビジュアル化している自分に気付いたんだ」
163 :
名無シネマさん :2011/12/21(水) 20:38:12.00 ID:QgEqgpvE
> チェストバスターが付属器官を失い無害になるまで。最後には殺人 > への欲求は失われ、エイリアンは穏やかで知的なクリーチャーになり、芸術や建築学をに有能となり、 > 200年の学究的な人生を送る。 のわんと、こんな設定もあったのか・・・ 貴重なソースを翻訳してくれる1さん。 私はそんな彼を、恐怖のチャンバールームツアーに 参加させてあげたひ・・・
164 :
名無シネマさん :2011/12/22(木) 09:48:58.25 ID:BvZhVQJu
「ここのソファで私はビジョンを捉えたんだ。ギーガーの怪物をベースにSFホラー・ムービーができないかとね。 そして、それは起こった。実際、デザインを手に入れるのと、私がやろうと決心したのは殆ど同時だったんだ。 私が気に入って、欲しいと思った怪物のデザインさ。後にリドリーがギーガーの作品を調べ、全く異なる インスピレーションのソースを発見し、ギーガーのデザインを手に入れたんだ。面白い事に、終わった時− ギーガーが修正改変し、デザインし、形を作り終えた時には、それは、私が心の中に暖めてはいたが口外しなかった 物にそっくりだったんだ。全くハッピーだったよ」
165 :
名無シネマさん :2011/12/22(木) 11:07:26.43 ID:BvZhVQJu
f)死んだ小惑星:「だがこの小惑星は今では死んでおり、ここの文明は何百万年も昔に滅亡しているんだ」 「大変動が原因でこのユニークな種族の成体が絶滅し、幼体を世話したり養育するものがいなくなったんだ」 「この種族の致命的な欠陥は、生物学的に、生物圏から過剰に搾取する必要がある点だ」 「残されたのはピラミッドと胞子が全てだ。ひどい逆境下でも信じられないほど長い期間、仮眠状態で生き延びる ことができる」 「誕生の寺院の、暗い、下部チェンバーには夥しい数の卵が眠っていて、何か暖かいものを感知するのを待っている」
166 :
名無シネマさん :2011/12/22(木) 21:00:37.91 ID:FfCtGtzw
ブレードランナーの原案もおながいします。
167 :
名無シネマさん :2011/12/23(金) 08:41:48.84 ID:1+pfE9vI
それもいいけど、映画版の脚本を訳しましょうか?日本語字幕だと随分こぼれ落ちてるものが あると思うんで。
168 :
名無シネマさん :2011/12/23(金) 12:05:47.03 ID:1+pfE9vI
g)スペース・ジョッキー・ストーリー:この小惑星へやってきたスペース・ジョッキーの目的は探検と考古学で、この 不思議な寺院と未知の文化に魅了された。中の1人がチェンバーを発見し、フェイスハガーに取り付かれる。彼は 救い出されるが、何が起こっているのか、誰にも分からなかった。彼らは犠牲者を船に持ち帰り、惑星表面の探検は 続けられた。チェストバスターが現われ、殺戮の限りを尽くすが撃たれ、殺される。エイリアンは死ぬが、突然 分解し始め、その酸がジョッキーの船の外殻まで侵食し、彼らは惑星上に立ち往生し取り残される。ジョッキーたちは 無電でメッセージを発する。この惑星には危険な奇生体がいる、我々を救う手立てはなく、救出を試みてはならない。 このメッセージはこの世のものとも思えない音声で語られるが、発音通りに綴るとこうなる。 “limtis/limtis/limtis,r'q'nniblas ai brek ph'nglui zur g'domastion r'zedro veton fhtagn, ai ren,tre horth limts linik cevnologner ,suitides,ai thorolast,gles gles gres”そしてジョッキーたちはゆっくりと餓死する。 たった1つ認識できるのは“fhtagn”である。オバノンはH・P・ラブクラフトの作品のオーソリティとして知られているが、 ラブクラフトのフィクションで古代に地球を訪れた地球外生物が扱われており、“fhtagn”は大まかに言えば「待つ」或いは 「夢見る」と翻訳される。
169 :
名無シネマさん :2011/12/23(金) 12:24:52.08 ID:1+pfE9vI
h)繭のシーン:ストーリーの終わりは失われたシーン、繭のシーンとしてよく知られている。このシーンでリプリーは ダラス船長が船内に蜘蛛の巣状に紡がれているのを発見する。ブレット、そしてパーカーも繭と化している。これは ピラミッドで見つかった卵へのメタモルフォーゼのプロセスにあるもので、エイリアンのライフサイクルがこれで完結 する。ダラスが捕らえられている最初の繭は細くて白いシルク状のもので編まれ、ゆっくり波打っている。もう1つの 繭は少し違って、小さく、黒っぽく、殻は固い。墓場の胞子と全く同じである。
170 :
名無シネマさん :2011/12/23(金) 12:29:41.11 ID:1+pfE9vI
以上で Alien ExplorationsのDan O'Bannon's original Alienの終了です。 次は何を行きましょうか? 映画版の脚本? 恐怖の火星探検? ギャラクシー・オブ・テラー? バンパイアの惑星?
171 :
名無シネマさん :2011/12/23(金) 14:10:04.27 ID:b5ZMtz+T
1さん、お疲れ様でした! 最高のクリスマスプレゼントでした。 次は、ブレードランナーをお願いできればと思います。 原案(あるのでしょうか?)、脚本の両方を希望いたします。 (欲張りですみません) あ・・・もちろん1さんのご希望を最優先してくださいね。
172 :
名無シネマさん :2011/12/23(金) 17:26:23.70 ID:1+pfE9vI
>>171 さん。ご愛読多謝。ブレードランナーの初期脚本(by ハンプトン・ハンチャー)を訳したサイトが
既にあります。「ハンプトン・ハンチャー単独」で検索して下さい。
173 :
名無シネマさん :2011/12/23(金) 17:32:57.02 ID:1+pfE9vI
というわけで、映画版の脚本を行ってみます。オバノン版と比べるもよし、字幕では分からなかった部分も あるでしょうし。プロメテウスまで暇つぶし…
174 :
名無シネマさん :2011/12/23(金) 18:30:10.02 ID:1+pfE9vI
“ALIEN” by Walter Hill and David Giler Based on screenplay by Dan O'Bannon story by Dan O'Bannon and Ronald Shusett 注意:この脚本のハードコピーにはシーン・ナンバーと削除されたシーンが含まれていたが、本ソフト・コピーでは 取り除かれている。 SFは、我々の内なる深い所から恐怖と希望をつまみ出し、その形を変えて我々に見せてくれる:モンスターと、ロケットに。 W・H・オーデン 我々は生きる、夢見るように…一人ぼっちで。 ジョセフ・コンラッド フェイド・イン 未来のいつか エンジンルーム内 無人で、洞窟のようである 小部屋内 円形で、計器で一杯である。全て止まっている。2人用のコンソール・チェア。人はいない。 オイルだらけの廊下−“C”レベル。長く、暗く、無人である。ターボが鼓動している。他に動きはない。 廊下−“A”レベル。長く、人はいない。 医務室−“A”レベル。象牙色の壁。機器は全て停止している。 ブリッジへの廊下−“A”レベル。暗く、無人である。 ブリッジ。空虚である。チェアの上にスペース・ヘルメットが2つ。電子ハム音。ヘルメットのライトがシグナルを発し始める。 一瞬の静寂。黄色いライトが点く。電子ハム音。ヘルメット前面のグリーンのライトが点く。電子的な脈動音。他のヘルメットの 赤いライトが点く。電子的な会話が始まる。会話は高まり、静寂が訪れる。ライトは消え、黄色が残る。 ハイパースリープ室への廊下。ライトが点く。曲がった壁から7着のガウンが下がっている。部屋のドアが開く。 ハイパースリープ室。ガスが音を立てて抜ける。フリーザーのカバーが開く。ゆっくり、ふらつきながら、ケインが起き上がる。 蒼ざめている。ケインは眼をこすって眠気を覚ます。立つ。周りを見回す。体を伸ばす。出て行く。 調理室。ケインはサイレックスをつなぐ。タバコに火を点け、咳き込む。コーヒーの豆を挽く。水を入れる。
175 :
名無シネマさん :2011/12/23(金) 21:24:45.14 ID:5IeVquDi
おおっ、次は脚本ですか。
出だしからいきなり濃ゆいですな。
>>3 今更ながらワロタわw
176 :
名無シネマさん :2011/12/24(土) 11:08:44.23 ID:X4UteTID
注)サイレックスとはコーヒーメーカーです。 ケイン:起きろよ、ランバート。 ハイパースリープ室。もう1つカバーが開く。若い女性が起き上がる。 ランバート:今、何時。 ケイン:さあな。 調理室。ポットは半分ほどになった。ケインがドリップを見、香りを嗅ぐ。 ケイン:次はダラスとケインだ。(大声で)グッドモーニング、キャプテン。 ダラス:コーヒーはどこだ。 ケイン:淹れてるとこさ。 ランバートがキッチンへ入る。カップにコーヒーを注ぐ。 ハイパースリープ室。更に2つのカバーが開く。男が2人起き上がり、視線を交わす。 調理室。ケインが新鮮なコーヒーを楽しんでいる。 ケイン:リプリー… 1拍あって、もう1つのカバーが開く音がする。 ケイン:パーカーが起きたか。ブレットは遅れそうだな。 カバーの開く音。 ケイン:よし。 ハイパースリープ室。ダラスはグロッギーな一団を見る。 ダラス:誰か、猫を。 リプリーがコンパートメントからぐったりした猫を拾い上げる。
177 :
名無シネマさん :2011/12/24(土) 15:00:17.68 ID:X4UteTID
合衆国商業宇宙船ノストロモのクルーがテーブルを囲んで座っている。 ダラス:船長 ケイン:エクゼクティブ・オフィサー リプリー:兵曹長 アッシュ:サイエンス・オフィサー ランバート:航空士 パーカー:エンジニア ブレット:エンジニアリング・テクニシャン ジョーンズ:猫 5人の男と2人の女性:リプリー、ランバート ランバート:ジーザス。寒いわ。 パーカー:まだ一緒だな。 ブレット:ヤー。 リプリー:ラッキーね。 彼らはあくびをし、体を伸ばし、震えている。ダラスは光る黄色いライトを点検する。 ケイン:死んだ気分だ。 ケインはまだ目覚めきっていない。あくびをする。 パーカー:そう見えるぜ。 アッシュ:お帰り。 パーカー:ドックへ入る前に、ボーナスの話をしようじゃないか。 ブレット:イヤー。 パーカー:ブレットと俺は全額頂けると思うんだがね。 ダラス:2人とも契約通りだ、皆と同じにな。 ブレット:皆は俺たちより多いだろ。 ダラス:皆はお前たち2人より多く貰う権利がある。 アッシュ:マザーが話したいと。 ダラス:見た。黄色いライトは俺専用だ…さあ、皆、位置に着くんだ。
178 :
名無シネマさん :2011/12/24(土) 15:42:14.06 ID:X4UteTID
コンピュータールーム別館。床から天井までのデータバンク。黄色いライトが光っている。下面に説明文。 「優先命令アクセス・オンリー」ダラスは入る。コンソールに着く。シャツに付いているマスターコンピューター 記章キーを外し、ライト下のボードへ差し込む。データバンク全てが俄然息を吹き返す。ダラスはキーボードに コンピューターコードを打ち込む。画面に説明文。コンピューターのプリントアウト。 二進法、01335。 ダラス:サンキュー、マザー。 ダラスはキーボードを叩き、リードアウトを始める。 ブリッジ。眼の高さより上はビュースクリーンで囲まれている。何も映っていない。ケイン、リプリー、ランバートが入ってくる。 ダラスのシートは空席である。全員着替えが済み、各々のコンソールに着く。リプリーは猫を下ろし、シートにストラップを掛ける。 ケイン:プラグ・インを。 3人のクルーはスイッチを入れ始める。コントロールルームは生き返る。ライトが点滅する。 ケイン:何か見るものは? ランバートがスイッチの列を押す。ビュースクリーンが明滅して生き返る。 ランバート:これを見て。 どのスクリーンにも星の散らばる暗闇が映っている。 ランバート:地球はどこ。 ケイン:お前、航空士だろ。 リプリー:私たちの星系じゃないわ。 ケイン:スキャンを。 ランバートは幾つかトグルスイッチを叩く。スクリーンの映像がドリフトし始める。星々の映像が動いていく。 ノストロモ外観。星間空間の深部を重々しく移動する工場型宇宙船。 機能:石油タンカー及び精錬所 積載量:2000.000.000トン 全長:1.5km 磨耗したエクステリアは黒いスラッジで覆われている。
179 :
名無シネマさん :2011/12/24(土) 15:57:38.40 ID:4T+5zgwE
乗員がスリープ中のコクピットでの コンピュータ同士の会話とか、 芸が細かいよね。 あと、マザーの起動画面、かっこよかったなあ。
180 :
名無シネマさん :2011/12/24(土) 16:05:41.53 ID:X4UteTID
ブリッジ。ランバートがチャートを熟読している。当惑している。 ケイン:トラフィック・コントロールにコンタクトを。 リプリーは通信ユニットのスイッチを入れる。 リプリー:こちら商業船ノストロモ。登録番号180246.聞こえますか?オーバー。 空電以外何も聞こえない。 リプリー:何も。 ケイン:続けるんだ。 ケインはランバートの方を向く。リプリーは通信を試み続ける。 ケイン:表示は。 ランバート:私たち、奥地にいるから… ケイン:続けろ… ランバート:努力してるのよ。 ユリイカ。 ランバート:見つけたわ。 ケイン:信じられんな。 ランバート:こんな所で何やってんの。 ケイン:何の事だ。 リプリー:私たちの星系じゃないのよ。 エンジンルーム。巨大なリアクター・システムがスムースに低い音を立てている。パーカーとブレットがガラスの小部屋にいる。 ビールを持っている。巨大なパワープラントが延びている。全ユニットがオートマチック・ハイパードライブである。 パーカーがデスク上のスイッチを叩く。 パーカー:そっちのライトはどうだ? ブレット:グリーンだ。 パーカー:こっちもだ。 2人とも、一気に呑む。突然ビープ・シグナルが始まる。 パーカー:クライスト。何だ。 ブレット:ライト。
181 :
名無シネマさん :2011/12/24(土) 16:50:12.93 ID:X4UteTID
リプリー:食堂へ報告を。 油だらけの廊下−“C”レベル。 パーカー:奴らは絶対ここへ降りてこないが理由を知りたいぜ。ここに用があるのによ。 ブレット:俺たちの手取りが奴らの半分なのと理由は同じさ。俺たちの時間は奴等の物。そう見てるのさ、奴等は。 パーカー:ああ。何か言うとしたら…ここは臭いぜ! 彼らは彰晃階段へ向かう。 食堂。全員が集まっている。 ダラス:家に帰ったんじゃない事には、気が付いた者もいるだろう。 ブレット:一体何事だ。 ダラス:マザーが航海を中断した。マザーは、一定の状況が発生した場合に航海を中断するようプログラムされている。 彼らは…(休んで)我々はQBR157.052の1/4象限から周期的に通信が発せられているのを発見した。誰かが墜ちたんだ。 ブレット:それがどうした。 ケイン:我々はB2項のもとに義務が… パーカー:クライスト。俺たちは商業船でレスキューチームじゃない。契約にこの類の義務はない。 アッシュ:契約書を読んだほうがいい。非商業レーンにおいて通信を受受信した場合… ダラスはパーカーとブレットを見る。 ダラス:俺たちは行く。以上だ。 ダラスは妥協すべきタイミングを分かっている。 ダラス:ライト、我々は行く。(微笑んで)サー。 ダラスはアッシュの方を向く。 ダラス:着陸できるか。 彼はマザーのプリントアウトを持っている。 アッシュ:他の船もやったんだからな。 ダラス:それだよ。 プリントアウトを調べる。 アッシュ:大きさは充分だ。着陸できない理由は見つからんね。
182 :
名無シネマさん :2011/12/25(日) 10:18:26.42 ID:ey4BfQkA
宇宙空間。ノストロモと精錬所は惑星系に接近していく。 ブリッジ。ダラスはコンソールに着き、アッシュに話す。 ダラス:惑星のレンジに入りつつある。カーゴの軌道はどうしようか。 アッシュ:ローカル・バーチカル・モードで。 ダラス:持つかな。 アッシュ:過重でCMGSコントロールが効かないのが心配なんだろ。 ダラス:イヤー。 アッシュ:CMGコントロールはDAS/DCSで抑制される。ATMDCとコンピューター・インターフェースを通してモニターしながら TACSを増やせばいい。(休んで)気分は良くなったかな? ダラス:大分、な。 ノストロモ外観。惑星レンジ内を移動していく。 ブリッジ。クルーはシートベルトを装着する。 ダラス:切り離しと、カーゴを軌道へ乗せる用意を。EC圧の表示を頼む。 アッシュ:3.45n/cm~2平方。 ダラス:変化があったら大声で頼む。探査船収納システム、オフ。 ケイン:圧シールはどうだ。 ダラスはスイッチを叩く。 ダラス:今、探査船収納システムだ。 ケインも他のスイッチを叩く。 ケイン:OK。 ダラス:キャプティブ・ハッチ、開放。探査船を分離。 ケインがボタンやスイッチを操作する。 ケイン:分離。 ダラスがボタンを叩く。 ノストロモ外観。精錬所がノストロモから離れていく。
183 :
名無シネマさん :2011/12/25(日) 10:48:08.74 ID:ey4BfQkA
ブリッジ。ダラスは、ビュースクリーン上を精錬所が遠ざかっていくのを見ている。 ケイン:オール・クリア。 ダラス:アッシュ。 アッシュ:軌道挿入完了。 ダラス:OK。これで金は無事だ。降りよう。 ノストロモ外観。エンジンが咳き込み、息を吹き返す。ノストロモは降下を始める。惑星の表面を夜の境界線が 横切っていく。 ブリッジ。ビュースクリーンがちらつく。 リプリー:乱気流。 ノストロモ外観。牽引モジュールが下を向き滑走していく。まばゆいライトのセットにスイッチが入り、熱い大気を 貫く。 エンジンルーム小部屋。パーカーとブレットはシートベルトで固定されている。激しい乱気流で振動が始まる。 パーカー:クライスト。オーバーロードだ。一体どこを通ってるんだ。 ブレット:塵でコンプレッサーがイカレるぞ。 パーカー:転換スタビライザーが。 ブレット:知らんぞ、もしデジタル・ソレノイドが… パーカー:忘れろ。 ブリッジ。乱気流は衰えることなく続いている。ランバートの眼はクロスプロット・ゲージを追っている。 ランバート:降下開始…15km、降下中…12…10…8…降下速度、低下。5、3、2、1km、速度低下。 ダラス:トラクター・ビーム、ロック。 大きな電子ハム音。 ケイン:ロックした。 ダラス:ドライブ・エンジン、停止。 エンジンは沈黙する。 ランバート:900m、降下中。800、700。
184 :
名無シネマさん :2011/12/25(日) 16:59:47.28 ID:ey4BfQkA
惑星−夜。夜の帳が下りた惑星表面に嵐が吹いている。白熱したライトの光の上、ノストロモがホバリングしている。 昆虫のようなランディング・ストラットが開く。船が地面に着く。巨大なショック・アブソーバーの上で大きく揺れる。 ブリッジ。 リプリー:着陸。 激しい振動。部屋のパネルが一斉に閃光を放ち、ライトが消える。 ケイン:損傷。損傷した。 エンジンルーム。再び大きな振動。3つのコントロール・パネルが火を噴く。 油だらけの廊下。廊下に沿って巨大なフラッシュファイアが走る。 エンジンルーム、小部屋。パーカーとブレットは船倉の大混乱を見ている。ブレットは補助発電機のスイッチを入れる。 プレッシャー・バルブがブローする。コンジットがもう1つ自由になる。ライトが全部消える。2人は壁のハンド・ライト を掴む。 ブリッジ。依然として真っ暗である。 ランバート:補助発電機が始動するはずだわ。 ケイン:どこにだ。 何も起こらない。ケインはダッシュボードから緊急ヘッドランプを取る。ダラス、ランバートもそれに倣う。 ダラス:何が起こった? リプリーが音声アンプを叩く。 リプリー:エンジンルーム、何事? パーカー:ガッデム、電気の火事だよ。起こったのはそれさ。 ブレット:大火事だ。 エンジンルーム。パーカーがパネルの火災と奮闘している。ブレットが音声アンプに向かって叫ぶ。 ブレット:インテークが詰まった。オーバーヒートでセルが全部焼けちまった…クライスト。 ブリッジ。 ダラス:誰か教えてくれ。外殻は破れてるのか? リプリーがゲージをスキャンする。 リプリー:何もないわ。圧は保たれてる。
185 :
名無シネマさん :2011/12/25(日) 17:22:29.39 ID:AgfAQvul
( ゚∀゚)o彡°1さん!1さん!
186 :
名無シネマさん :2011/12/26(月) 10:47:26.27 ID:2wpuss8R
コミュニケーターからビープ音が。 ダラス:スクリーンを。 ケインがトグルスイッチ3つを叩く。スクリーンはちらつくが暗いままである。 ケイン:何も。 船外−夜。風が鳴っている。船の周囲を嵐が吹き続けている。輝くライトが完全な暗闇とノストロモを分けている。 エンジンルーム小部屋。パーカーがコミュニケーターでブリッジへ、 パーカー:4つのパネルが全部やられた。補助ロードシェアリング・ユニットがアウト。モジュール12個のうち少なくとも セル3つがイカレた。 ブリッジ。リプリーはパーカーの話を聞いている。ダラスがそれを見ている。
187 :
名無シネマさん :2011/12/26(月) 17:03:20.76 ID:2wpuss8R
スクリーンには何も映らない。 パーカー:ここでは修理できない、どうにも。ダクトを修理に出さなきゃ。ドライドックがないと… ダラス:他には。 パーカー:セルがやられた。破片が固まりになって全システムが吹っ飛んだんだ。全部掃除して再加圧しないと。 ブレット:ライト。 リプリー:第4パネルを。5分で降りていくわ。 リプリーはボイス・コミュニケーターを切る。 ダラス:使い物になるのにどれくらい掛かるんだ。 リプリー:15から20時間… ダラス:補助はどうなってる。 リプリー:努力してます。 船外−夜。ブリッジの明かりが生き返る。変哲のない地面がまだらに照らし出されている。風と嵐のピッチが 上がっている。 ブリッジ。ダラス、ケイン、ランバート、アッシュがブリッジで前かがみに座っている。コーヒーを飲み、時々 スクリーンを見ている。 ダラス:何か反応は。 アッシュ:32秒毎に同じ通信が聞こえるだけだ。他のチャンネルは全部死んでる。 船外。フラッドライトが生き返る。ぼんやりと岩だらけの風景が照らし出される。風と埃のピッチが上がる。
188 :
名無シネマさん :2011/12/26(月) 18:54:03.56 ID:Q7pXH2UC
ブリッジ−夜。ダラスは真っ暗なスクリーンを見つめている。 ケイン:これじゃどこへも行けんな。 アッシュ:約20分で日が昇ると、マザーが言ってる。 ダラス:発信源まで大分あるのか? アッシュ:北東…約3000mだ。 ケイン:歩いて行けるな。 ダラス:大気組成を。 アッシュがボタンを叩き、パネルを調べ始める。 アッシュ:10%アルゴン、85%窒素、5%ネオン…微量元素、探査中。 ダラス:圧は。 アッシュ:1平方センチ当たり10.4ダイン。 ケイン:湿度は。 アッシュ:なし。ゼロだ。 ダラス:他には・ アッシュ:岩、溶岩主成分。寒いぞ…かなりの低温だ。 ケイン:先発隊に志願するぜ。 ダラス:いいだろう。ランバート、お前もだ。 ランバート:(一拍あって)素敵だわ。 ダラス:それと1つ。何か武器を。
189 :
名無シネマさん :2011/12/26(月) 19:39:40.55 ID:Q7pXH2UC
船外−日の出。大気が明るくなる。ノストロモのシルエットがかすかに見えてくる。シップは不毛の岩地の上に 止まっている。埃の雲が渦巻く。フラッドライトは自動的に切れる。 エンジンルーム小部屋。パーカーとブレットはダクトをレーザー溶接している。シャツは脱いでいる。汗が湯気を 立てている。リプリーはパネルの配線を交換している。パーカーはレーザーを切り、溶接の具合を調べる。 パーカー:ヘイ、リプリー、質問があるんだが。 リプリー:イヤー。 パーカー:俺たち、探検に出かけることになるのか?それとも修理が全部済むまでここにいるのか? リプリー:答えは分かってるでしょ。 ブレット:奴らが何か発見したら、分け前はどうなる? リプリー:心配しないで。貰えるものは貰えるから。 ブレット:分け前がちゃんと貰えねえなら、もうこれ以上仕事はしねえぞ。 リプリー:分け前は法的に保障されてるわ…もう黙って仕事に戻って。 パーカーはリプリーを見て、レーザー溶接のスイッチを入れ、他のセクションのダクトに取り掛かる。
190 :
名無シネマさん :2011/12/26(月) 20:16:37.67 ID:Q7pXH2UC
ブレット:ライト。 メイン・エアロック−夜明け。ラス、ケイン、ランバートがロックに入る。グローブ、ブーツ、ジャケットを 身に着けている。レーザーピストルを持っている。ケインがボタンに触れる。サーボが唸る。インナー・ドアが 静かに閉まる。3人はヘルメットを着ける。 ダラス:発信中。聞こえるか? ケイン:受信中。 ランバート:受信中。 ダラス:オーライ。俺が言うまで武器には触れるなよ。 アッシュのブリスター−夜明け。アッシュが昇降階段を下りてブリスターへやってくる。スクリーンと機器の スイッチを叩く。 メイン・エアロック−夜明け。 ダラス:ハッチを開けろ。 サーボが唸る。アウターロック・ハッチが重々しく開く。埃の雲が渦を巻く。可動性の通路が滑り出る。 遥か遠くにオレンジ色の日光が燃えている。 惑星−夜明け。3人は通路を下っていく。地面に着く。足は溶岩の層に当たる。 ダラス:どっちだ。 ランバート:あっちよ。 ダラス:先を頼む。 ランバートは嵐の中へ歩いていく。2人はすぐ後を続く。 ランバート:何も見えない。 アッシュ:探知機を使え。 ダラス:オン…アッシュ、聞こえるか? アッシュのブリスター−夜明け。アッシュはコンソールにかがんでいる。下方の彼らを見ている。前のスクリーンに 画像が映っている。
191 :
名無シネマさん :2011/12/26(月) 20:47:23.09 ID:Q7pXH2UC
アッシュ:見えるぞ、聞こえるぞ。感度良好だ。 ダラス:はっきり聞こえるようになった。ラインを開けといてくれ。 惑星−夜明け。3人のクルーは押し進んでいく。暗い深海のダイバーのように。風と埃が1面に吹いている。ランバートが 繰り返す。 ランバート:どっちの方向も3m以上見えない。 ケイン:文句を垂れるな。 ランバート:文句を垂れるのが好きなのよ。 ダラス:止さないか。 彼らはランバートを先頭に進んでいく。彼女は突然立ち止まる。困惑している。 ブリスター−夜明け。アッシュは真剣に見ている。スクリーンには3人が映っている。 ランバート:まただわ。 アッシュ:何か問題が? ダラス:イヤー。風と埃がひどいんだ。ビームに何かが… 惑星−夜明け。3人は歩き続ける。 ランバート:こっちよ。 ランバートは左を指し、そちらへ向かう。2人が続く。嵐がひどくなる。 ケイン:近いぞ。 彼らはそびえる岩の層に接近する。通信が止まる。 ランバート:また消えた。 ケイン:通り過ぎたのかな。 ダラス:地下にない限り、そんな事はないさ。1休みしよう。
192 :
名無シネマさん :2011/12/27(火) 04:01:21.50 ID:6gAsQ3gR
彼らは岩の層に避難する。周囲で嵐が吼えている。ダラスがヘッドセットを調整する。シグナルが始まる。 ダラス:また捉えたぞ。行こう。 ランバート:1休みするんでしょ。 ダラス:ノー。シグナルがある内に移動しよう。さあ。 ダラスは起き上がる。彼らは岩の層を離れる。岩の他端は化石化している。高さは15フィート。 ブリスター−夜明け。アッシュは映像を受信している。層の中の何かに気づく。像をフリーズし、拡大する。 更に拡大する。 ノストロモ−日の出。大気が血の色に変わり、太陽が昇る。 ブレットとパーカーはまだ仕事を続けている。リプリーは修理を終え、パネルから離れる。 リプリー:後はあなた達の責任よ。 パーカー:心配するなって。 リプリー:何かトラブルが起きたら、私はブリッジにいるから。 ブレット:ライト。 リプリーは去る。 パーカー:ビッチ! ブリスター−昼。 アッシュは画像に取り組んでいる。拡大画像をエンハンスする。画像を陰極線に転写する。画像は巨大である 事が分かるが、不明瞭である。 リプリー:そっちはどう? アッシュは急いでビデオ映像を切り、インターコムを叩く。
193 :
名無シネマさん :2011/12/27(火) 07:05:45.69 ID:fo6zM7jY
ブリッジ。リプリーはコンソールに着いている。スクリーンでアッシュを見ている。アッシュのビデオ映像はリプリー には見えない。 アッシュ:オーライ。 リプリー:あの通信をECIUにつないでみた? アッシュ:現時点ではマザーはまだ鑑定してない。 リプリー:送るわ。 アッシュ:そりゃどうも。 彼女はボタンを押す。スピーカーから雑音が聞こえる。 惑星−昼。塵が晴れていく。3人の小さな人影。無人の風景。ケインが上り坂をやってきて、見えたものに仰天する。 突然通信は聞こえなくなる。 ケイン:ジーザス・クライスト。 ダラス、ランバートも同様に驚く。 3人の視点。岩の中から、巨大で途方もない構造物がそびえ立っている。人間の手によるものでない事は明らかだ。 惑星−昼。鋭いノイズのピッチ。3人はボイス・アンプに向かって叫ぶ。 ケイン:ある種の宇宙船だ。 ランバート:確かに。気味の悪い… ダラス:アッシュ、聞こえるか? アッシュのブリスター−昼。アッシュは船でスクリーンを見つめている。
194 :
名無シネマさん :2011/12/27(火) 11:17:50.99 ID:KCHl6dNK
アッシュ:イヤー・こんなものは見た事がない。マザーもな。 ダラス:エンハンスメントをチェック。 アッシュ:通信内容が何にせよ、発信源はここだ。 ケイン:入って中を見てくる。 ダラス:待て。アッシュ、光も動きも見えないが、そっちはどうだ。 アッシュ:何の表示もないな。 惑星−昼。 アッシュ:すごい出力だ。何も読めん。 ダラスはレシーバーを切る。突然の静寂。 ダラス:ここからだと完全に死んでるように見える。基部へ接近する。 彼らは船に向かう。 ぶりスター−昼。アッシュはまだ画像を調節している。突然画像は綺麗になる。それは骸骨だった。長さ15フィートの。 アッシュは画像を拡大する。 ダラス:ただ1つできる事は… ダラスの声は、スクリーン上の像同様、消えたり、現われたりする。 アッシュ:ダラス…(狂ったようにボタンを叩き)ダラス…聞こえるか。 返事はない。
195 :
名無シネマさん :2011/12/27(火) 14:56:56.11 ID:KCHl6dNK
ブリッジ−昼。リプリーは通信をECIUに掛けている。スピーカーにダラスの声が聞こえる。 ダラス:生命徴候はない。光も無く…動きも無い… リプリーは2進法プログラムの長い1節を調べる… ダラス:基部の下だ。 ダラスの声は空電に薄れていき…消える。 構造物−昼。入り口の下部は塵と軽石で充満している。 ケイン:ここが入り口のようだな。 ダラス:イヤー…中へ… 彼らは登り口の1つへ入っていく。 チェンバー−昼。彼らは高い天井のチェンバーへ入る。壁は暗い格子で覆われている。ぼんやりとした光が、埃だらけの 空気を通して差し込んでいる。数mで開口部が現われる。ダラスはかがんで穴の中を見る。見えるのは暗闇だけである。 彼はベルトからライトを外し、穴の中を照らす。 ダラス:下へ向かっている…壁は滑らかだ。底は見えん、ライトが届かない。 ケインとランバートがやってくる。ダラスはベルトからギアを外し始める。 ダラス:まずはここの周りを見よう。 ケインとランバートは視線を交わす。ダラスはライトを照らし…大きな、光沢のある褐色の壷に気付く。頂上は丸く開いており、 中は空っぽである。ダラスは近くの登り口にライトを向け…近づく。 ダラス:こっちだ。 3人は近づく。ライトが床を沿って進む…機械だ。中で小さな棒が、前後に、休むことなく動いている。溝の中で音無くスライド している。
196 :
名無シネマさん :2011/12/27(火) 16:10:14.56 ID:KCHl6dNK
ケイン:まだ機能してる。 ランバートは方位測定器を見下ろす。 ランバート:自動録音だわ。 ダラス:さあ、下を見よう。(ケインを見て)ビッグ・チャンスだぞ。 ケイン:OK。 ダラス:ケーブルを放すな。10分以内に出て来い。ラインは開けておけ。 ケイン:アイアイ。 ダラスは床の開口部に3脚を設置する。数フィートのケーブルを引き出す。ケインはその端を胸のユニットに接続する。 縁に体を乗り出し、穴の中へ。ワイヤから吊り下がり、頭と肩は穴から出ている。ケインがクライミング・ユニットを 作動させる。 構造物開口部。ケインは垂直なシャフトの中で足をふんばる。ライトを点け、深みへと向ける。その光は30フィートほど 伸び、その先は闇に消える。 ケイン:ここは暑い。下から暑い空気が沸いてくる。 ラインを手繰り出しながら、ケインは降りはじめる。短く跳ねながら降りていく。止まって息を整える。ヘルメットの中で 荒い息の音を立てる。日光がわずかに上から差し込んでいる。見上げると穴の入り口は光る点に見える… ダラス:大丈夫か。 ケイン:まだ底に着かん。これは任務だ。今は話せない。 彼は壁を蹴り、降り続ける。自信を持って長く、さらに長くホップする。1休みして息を整え、ライトで機器を照らす。 ケイン:地面より下へ来たぞ。 ブリッジ。依然リプリーはコンソールで通信を分析している。リードアウトを手に入れる。心配そうである。彼女は コミュニケーターに向かって話す。 リプリー:アッシュ、ダラスに言って。マザーはあのノイズを1種の警告と推測してる、って。 アッシュ:何も伝えられない。コンタクトを失った。 リプリー:(1拍置いて)私が追いかけるわ。 アッシュ:やめたほうがいい。スペアの人員がいない。離陸に最小限の能力しか、今はないんだ。 ダラスが我々を船に残した理由も、それさ。 リプリー:それでも後を追うべきだと思うわ。 アッシュ:何になる?追いつくまでに、警告かどうか、彼らには分かる事になるさ。
197 :
名無シネマさん :2011/12/27(火) 16:51:46.29 ID:KCHl6dNK
リプリーはモニター上のアッシュをじっと見る。アッシュのスクリーンにはヘルメットを被った頭蓋骨〜人類ではない〜 の拡大像が映っているが、リプリーには見えない。 構造物。ケインは再び降りはじめる。突然、足がかりを失う。シャフトの壁は消えている。トンネルは終わり、彼の下には 暗い、洞窟だらけの空間が広がっている。彼は深い呼吸をする。 ダラス:何か見えるか? ケイン:ノー…トンネルは消えた。下は洞穴か何かだ。まるで熱帯… 彼は計器を見る。ヘルメットの計器が暗闇で静かに光る。 ケイン:…窒素高濃度、酸素はない… 息を切らしながら、石の壁から足を離し、彼は降りはじめる。今や彼は暗闇の中、宙ぶらりんである。胸のユニットが ラインを繰り出し、彼はゆっくりと回転する。足が底に着く。彼は驚いて呻き、バランスを失いそうになる。彼はライトを 点ける。大きな貨物室にいる事が分かる。床から天井まで、突き出た部分が列をなしている。 ケイン:気味が悪い。 ダラス:どういう意味だ。 ケイン:壁中に何かが… ケインはチェンバーを横切る。有機的な隆起を調べる。 チェンバーの上。ダラスとランバート。 ダラス:日没まで? ランバート:20分。 貨物室。ケインは部屋の中央に近づく。床の上には革製の卵形のものが列をなしている。彼はその周りを歩く。その1つを 照らす。 ケイン:これは1種の貯蔵エリアだ。誰か、聞こえるか。
198 :
名無シネマさん :2011/12/28(水) 10:58:47.56 ID:5xRN5K5J
ダラス:はっきり聞こえる。 ケイン:この場所は何だかシールされた物で一杯だ… ダラス:中身は見えるか? ケイン:見てみよう。 彼はその1つを開けようとするが、開かない。 ケイン:不思議な感触だ。 ダラス:空けるな。何が入ってるか分かったもんじゃない。 ケインは革製の卵型の物を近くで見つめ、脇を向く。触れた部分が持ち上がり始める。ライトを列に向ける。そして、 調べていた物に向き直る。何かが変化している。不透明だった表面が透き通ってくる。中身が見えてくる。ケインは ライトを床の基部に向け、調べる。 ケイン:ジーザス… ダラス:何だって? 今では内臓と顎が見える。内部表面は海綿状で不整である。ケインは内部を照らす。恐ろしい勢いで小さなクリーチャー が飛び出してマスクに飛びつく。ジュージューという音。クリーチャーはマスクを溶かし抜いてケインの顔面に付着する。 ケインは手で物体を掴んで剥がそうとする。口がこじ開けられる。ケインは後ろへ倒れこむ。 チェンバーの上。 ダラス:ケイン…ケイン。聞こえるか。 ランバート:何事? ダラス:引っ張り出そう。 ランバート:いきなり引っ張られたらケインの足が… ダラス:もう1度呼んでみよう。 ランバート:ケイン…ケイン…ガッデム!答えて!
199 :
名無シネマさん :2011/12/28(水) 14:28:24.52 ID:5xRN5K5J
ダラスはウインチを操作し始める。 ダラス:ラインがゆるんでる。 1拍おいて、 ランバート:返答がないわ。自分でフックを外せるものかしら。 ダラスはウインチのモーターを入れる。音を立ててラインが巻かれていく。1瞬の後、ラインはピンと張る。重量が 掛かったモーターはスピードを落とす。 ダラス:捕まえた。 ランバート:何かに引っかかったんじゃ? ダラス:いや。上がってくる。 ランバート:私には何も見えないけど。 ダラスはライトで穴の中を照らす。頭を振る。 ダラス:ラインは動いてる。 長い間。 ダラスは再びライトを点ける。 ダラス:そこだ。 ウインチが喘ぐ。 ダラス:捕まえる用意を。 ケインの姿が開口部に現われる。ワイヤーにぶら下がり、ぐったりしている。 ダラスは手を伸ばすが、後ずさりする。 ダラス:見ろ。顔の上に何かが。 ランバート:何よ、あれ。 ケインは全く意識を失っている。生命体は顔に張り付いたまま動かない。 ランバート:オー、ジーザス。 ダラス:触るな。 2人はぐったりしたケインの体と格闘し、穴の中から彼を引き上げる。 遺棄された船の入り口−日没。ケインはダラスとランバートの間で縛られている。嵐が荒れ狂っている。
200 :
名無シネマさん :2011/12/28(水) 17:14:06.86 ID:5xRN5K5J
ブリッジ。猫のジョーンズが舷窓から嵐を見つめている。リプリーはブリッジで待っている。アッシュは動きのない モニターに見入っている。突然、 アッシュ:捉えた。スクリーンに戻ってきたぞ。 リプリー:何人? アッシュ:輝点は3つだ。こっちへ来る。 リプリーはトランスミッターを押す。 リプリー:ダラス、ランバート、聞こえる? ダラス:聞こえる。戻る所だ…ケインが負傷して…船内に入れるのに助けが要る。 リプリーはスクリーンを見つめる。 アッシュ:私が行こう。 アッシュは部屋を出て行く。リプリーはコンソールに座ったままでいる。 ランディング・レッグ−夜。ダラスとランバートは橇に乗ったケインの体を引いてランディング・レッグまでやって来る。 エアロック近くの通路。アッシュが階段を下りてくる。インナードアロックへ急ぐ。壁のボイスアンプを押す。 アッシュ:リプリー、インナーロック・ハッチにいる。 リプリー:OK。 ランディング・レッグ−夜。ダラスとランバートはケインをリフトのプラットフォームへ乗せる。 エアロック近くの通路。パーカーが駆け上がってくる。 パーカー:何事だ。 アッシュ:どうもケインが負傷したようだ。 パーカー:ひどいのか。 アッシュは肩をすくめる。昇降階段からブレットが現われる。当惑した表情である。 ブリッジ。リプリーは1人で座っている。ダラスの姿がスクリーンに大きく映し出される。ランバートが後に続く。 ケインはダラスに縛り付けられている。
201 :
名無シネマさん :2011/12/29(木) 18:42:01.47 ID:pjC4TSv8
ダラス:リプリー、そこにいるか。 リプリー:ここよ。 ダラス:今上がる。ロックを開けろ。 リプリー:ケインに何が起きたの。はっきり言って。 ダラス:何らかの生物だ。そいつが貼りついてる。入れてくれ。(長い間)聞いてるのか。ロックを開けろ。 リプリー:もし入れたら、船は感染するかも。 ダラス:ガッデム。ハッチを開けるんだ。 リプリー:私たち、もう検疫規則を全部破ってるのよ。その生物を船内に持ち込んだら防衛手段は残されて いないのよ。 ランバート:ガッデム、ハッチを開けて。ケインを入れなくちゃ。 リプリー:私にはできない。あなたが私の立場であってもそうする筈だわ。 エアロック近くの通路。 ダラス:リプリー、聞こえるか。 リプリー:聞こえる。答えはノーよ。 アッシュが緊急スイッチを叩く。赤いライトが点く。サーボが唸る。 アッシュ:インナーハッチ、オープン。 ブリッジ−夜。リプリーはコンソールを見つめている。目にしているものが信じられない。ビュースクリーン を向く。ダラス、ケイン、ランバートが入ってくるのを見ている。
202 :
名無シネマさん :2011/12/29(木) 19:31:11.11 ID:GkGJK4Qx
エアロック近くの通路。再びサーボが始動する。アウタードアが閉じる。赤いライトは消える。インナードアが開く。 ダラスとランバートがよろめきながら通路へ入ってくる。ケインのか体は2人の間にある。ダラスはヘルメットを外す。 ダラス:クリア。 アッシュとパーカーが戻ってくる。 アッシュ:ゴッド。パーカー:生きてるのか。 ランバート:分からない。でも触らないで。 ダラス:医務室へ連れて行こう。 ブレット:ライト。 アッシュとブレッドはぐったりした体を慎重に運んでいく。 医務室。ケインのヘルメット。それをレーザーカッターで開き始める手。ヘルメットは簡単に2つに分離する。 生命体はケインの顔の上でゆっくり脈動している。ダラスは躊躇し、そして小さなクリーチャーに手を置く。 剥がし取ろうとするが、出来ない。異星人はケインの組織にしっかり固定している。 アッシュ:私がやろう。 アッシュはラックからプライヤーを1組取り出す。クリーチャーの先端を注意深く掴む。しっかり握り、反り返る。 ダラス:顔が剥がれるぞ。 ケインの頬を血がしたたり始める。 ブレット:顔全体を引っぺがさない限り、取れそうにないな。 ダラス:機械にやらせよう。
203 :
名無シネマさん :2011/12/29(木) 19:52:00.26 ID:GkGJK4Qx
アッシュはスイッチを押す。機械に明かりが点く。ケインは壁のスロットへ吸い込まれる。ガラスを通して 内部が見える。目も眩むような光が殺菌消毒を行う。ビデオモニターが2台、ポップ・オンする。 出入り口にリプリーが現れる。ダラスが振り向いて彼女を見る。 長い間。 ダラス:命令を出したら、従うべきだ。 リプリー:規則に反しても? ダラス:そうだ。 ランバートが歩み出て、平手でリプリーの顔を打つ。リプリーはゆっくりと頬に手をやる。 ランバート:置き去りにしようとしたわね。 パーカー:そうだろうとも。あれが何だか、知れたもんじゃない。 ブレット:ライト。 リプリーはランバートを見る。間を置いて、 リプリー:これで終わりにしましょう。 ランバートは素っ気無くうなづく。アッシュは機械の操作へ戻る。 リプリー:誰か説明してよ。 ダラス:ケインは1人で入っていき、俺たちはコンタクトを失い、彼を引っ張り出したら、あれが顔の上に…
204 :
名無シネマさん :2011/12/29(木) 20:08:17.17 ID:GkGJK4Qx
アッシュ:あれはどこから… ダラス:船内のどこかさ。 パーカー:呼吸はどうやって? 彼らはモニターを調べる。 アッシュ:血液は完全に酸素化されてる。 ダラス:どうやって。鼻も口も塞がれてる。 アッシュ:頭の中を見たほうがいいな。 アッシュは3つボタンを叩く。X線が現れる。ケインの頭と上半身のカラー画像。異星人がはっきり見える。迷路の ように複雑なバイオロジー。ケインの顎はこじ開けられている。クリーチャーは長いチューブを口とノドに 押し込んでいる。器官は食道の基部で終わっている。 ブレット:何かがノドの中へ。 アッシュ:あれで酸素を与えてるのに違いない。 リプリー:無意味だわ。麻痺させて昏睡状態にして、それでも生かしておく…
205 :
名無シネマさん :2011/12/29(木) 20:14:44.87 ID:GkGJK4Qx
パーカー:殺してしまおう。あのままにはしておけん。 アッシュ:分からんぞ。今の所、クリーチャーはケインを生かしている。もし剥がしたら、ケインは終わりかも… ダラス:そうは思わんな。思い切って切り離そう。 アッシュ:責任は取ってもらうぞ。 ダラス:ザッツ・ら
206 :
名無シネマさん :2011/12/29(木) 20:41:23.25 ID:1deWBclK
失礼。 ダラス:ザッツ・ライト! 手術用手袋を着ける。ボタンを押すとケインはブースから滑り出る。 ダラス:ナイフを。 リプリーはケースから外科用レーザーブレードを取り出し、慎重にダラスに手渡す。うまくグリップできるよう 調整する。親指で小さなボタンを軽く押す。ブレードはハム音を上げ始める。クリーチャーにメスを当てる。電子 ブレードは苦もなく切り込んでいく。突然、傷口から尿のような液体が滴り始める。 ダラス:出血だ。 液体はケインの頭の隣の寝具に流れ落ち、シュウシュウ音を立てる。染みから煙が巻き起こる。次いで、黄色い 液体は2段ベッドに穴を開け、下のデッキに滴り落ちる。金属が泡立ち、シューシュー音を立てる。さらに煙が上がり クルーは咳き込んで騒ぐ。クルーは争ってキャビンを出る。外の通路に群がって、まだ咳き込み続ける。ダラスは 焦って傷口を押さえる。液体から上がる煙がダラスの手袋を捉える。手袋は煙を上げ始める。ダラスは飛び退って 手袋を外す。そして廊下へと走り出る。
207 :
名無シネマさん :2011/12/29(木) 22:23:43.46 ID:uiJcxkPw
( ゚∀゚)o彡°1さん!1さん!
208 :
名無シネマさん :2011/12/30(金) 06:43:20.91 ID:XRsAzDLw
医務室外の通路。 ブレット:シット!デッキを侵食して外殻まで行くぞ… 彼は昇降階段へと走る。 通路−“B”デッキ。ダラスがソケットから緊急ランプをもぎ取り、昇降階段へとすっ飛んで行く。皆も後を追う。 ダラス:あそこだ。 天井の隔壁で液体がシューシュー音を立てている。にじみ出た液体は落ちてデッキに滴る。泡立ち続ける。そして 隔壁を突き抜ける。 アッシュ:何を下に置けば… リプリーとパーカーは昇降階段を駆け下りる。 セカンドレベル−“C”デッキ。 リプリーとパーカーは注意深く階段を移動する。天井の隔壁を見上げる。 パーカー:下になるなよ。 通路−“B”デッキ。ダラス、ブレット、そしてアッシュが酸が音を立てている場所に屈んでいる。アッシュは ポケットからペンを取り出しデッキの穴を探る。 アッシュ:侵食が止まったぞ。 リプリーが急いでやってくる。 リプリー:何事?
209 :
名無シネマさん :2011/12/30(金) 07:06:54.03 ID:eQZ9riYg
アッシュ:侵食力を失ったんだ。活性がなくなった。 リプリーは開口部を調べる。アッシュは背を伸ばす。ペンをポケットに戻そうとして止め、ペンの端を持つ。 アッシュ:こんなものは見たことがない…分子酸を除いては… ブレット:こいつは、酸を血液にしてるんだ。 アッシュ:アスベストが食い止めてくれたんだ。さもなきゃ直通だったろうよ。 ダラス:すばらしいディフェンス・メカニズムだ。殺せないんだ。 パーカーがやってくる。 パーカー:出血が止まったぞ。 ダラス:イヤー。階を2つ侵食してから、な。 リプリー:ケインの具合は。 医務室。彼らが戻ってくる。ケインは依然、寝台の上で動かない。異星人は顔の上に留まっている。傷口は 完全に治癒している。 パーカー:ケインの顔に酸は? ダラスは近づいて、ケインの頭部をじっと見る。 ダラス:大丈夫そうだ。
210 :
名無シネマさん :2011/12/30(金) 16:54:19.13 ID:GM3wy9mc
ブレット:あのクソはまだ液を垂らしてるのか? アッシュ:完全に治ってる。 ランバート:何か離す手がある筈だわ。 アッシュ:やめた方がいい。今度何かあったらおしまいだ。 リプリーはボタンを押す。ケインは診断用の棺にすべり戻る。更にボタンを押す。ディスプレイが再び輝き、ケインの体の 他の部分が映し出される。 アッシュ:静脈栄養を始めたほうがいい。今までのところ、異星人がケインから何を吸収してるのかは分からん。 機械がケインの体を調べ始める。 リプリー:あの肺の染みは何? X線は胸腔に広がる暗い影を示している。染みの中心部は不透明である。 アッシュ:何だか分からんが、X線を通さん。 長い間。 染みは広がっていく。 ブレット:何が起こってるんだ。 アッシュは溶けかかっているペンを脇に置き、ダラスを見る。 ダラス:仕事に戻るんだ。 エンジンルーム小部屋。ブレットが作業をしている。パーカーが監督している。 ブレット:できたと思う。試してみてくれ。 パーカーはボタンを押す。モニターに反応は現われない。 パーカー:何も。 ブレット:ダム!うまくやったんだが。 パーカー:駄目だったな。次のを試そう。 ブレット:ライト。
211 :
名無シネマさん :2011/12/30(金) 17:48:49.89 ID:GM3wy9mc
リプリー:どう? パーカー:クソ女が。(ボタンを押し)大仕事が一杯なんだ。マジでな。 ブリッジ−夜。 パーカー:1回、この仕事をやってみろよ。 リプリー:私には大変な仕事があるの。この船で。 スピーカーを通して、パーカーの嘲笑が聞こえる。 リプリー:あんたのたわ言を聞かなくちゃならないの。 エンジンルーム小部屋。 パーカー:俺の邪魔をするな。 リプリー:モジュール12個が直ったら、邪魔をやめましょ。 リプリーはスイッチを切る。パーカーは背を向ける。 医務室。アッシュは機器をテストしている。スクリーンにはケインが呼吸しているのが映っている。依然、深い昏睡 状態にある。異星人の位置は変わらない。リプリーが近づき、アッシュの傍に座る。 リプリー:何か新しい事は。 アッシュ:ケインに変わりはない。 リプリー:クリーチャーは。 アッシュ:外層は蛋白ポリサッカライド。長期間、悪環境に耐えるためにアミノ酸が豊富で…これで充分かな。 リプリー:もう沢山。で、どういう意味? アッシュ:色んな要素が興味深く組み合わさって、この小さくて強靭なサノバビッチが出来上がってるって事さ。 リプリー:それが理由で、貴方はあいつを船に入れたのね。 アッシュ:私は直接命令を受けて、従ったまでさ。思い出してみろ。 リプリー:ダラスとケインが船外にある場合、私が上級将校なのよ。 アッシュ:イエス、オブコース…忘れてたよ。 リプリー:科学部門のベーシックな検疫法も忘れてたと言うのね。 アッシュ:ノー。それは忘れてないさ。 リプリー:あなたは検疫法を破ったのよ。 アッシュ:ケインをどうするつもりだったんだ…生き残る唯一のチャンスは医務室に運び込む事だったんだ。 リプリー:検疫手順を破る事で、あなたは全員の生命を危機にさらした事になるのよ。 アッシュ:船外で彼を死なせるべきだったかも知れない…残り全員を危険にさらしたかも知れない…私が進んで冒した リスクだよ。 リプリー:これは科学士官としての公的なポジションなのよ。
212 :
名無シネマさん :2011/12/30(金) 20:02:27.40 ID:X+NkK1JJ
バン はよ バン(∩`・д・) バン はよ / ミつ/ ̄ ̄ ̄/  ̄ ̄\/___/ ALIENの続きはよはよ
213 :
名無シネマさん :2011/12/31(土) 15:39:34.89 ID:bD9Y7KQl
アッシュ:科学は人命の保護と改善を優先する。私は君同様、真摯に責任を全うする…君は君の仕事をし、私は私の仕事をする。 リプリーは立ち…アッシュを見つめる。そして歩み去る。 食堂。ランバートは紐でジョーンズをからかって遊んでいる。退屈そうである。 エンジンルーム小部屋。パーカーとブレットは最後のインテーク・スクリーンに取り掛かっている。 ナルキッソス号。ダラスはテープに聞き入っている。足をリズムに合わせてタップしている。ビープ音。コミュニケーターが割って 入る。 ダラス:ダラスだ。 アッシュ:ケインを見てみろ。変化があった。 ダラス:深刻なのか。 アッシュ:興味深いよ。 ダラスは出て行く。 医務室外の廊下。アッシュが窓越しに見ている。ダラスが加わる。リプリーも姿を見せる。 長い間。 ダラス:消えた。 ケインはうつぶせになっている。異星人は顔から消えている。ケインは依然意識がないが、呼吸は続いている。顔には吸盤の 跡がある。 リプリー:ドアは閉まってる。まだ中にいるのは間違いないわ。 アッシュ:ドアを開けるわけには行かん。あいつを外へは出せない。 リプリー:イヤー、覚えてる。掴めないし、殺せない… ダラス:捕まえる事はできそうだ。 アッシュ:傷つけないよう注意すれば…
214 :
名無シネマさん :2011/12/31(土) 16:48:11.73 ID:bD9Y7KQl
医務室。3人は慎重に入ってくる。ダラスはゆっくり部屋の周りを動き始める。ステンレス・スチールのトレイを拾う。 リプリーは腰を曲げ、寝台の下を覗く。何もない。偶然、トレイを蹴ってしまう。彼女は立ち上がる。上の棚の異星人 に気付いていない。リプリーの肩がクリーチャーをかすめる。クリーチャーは彼女の上に落ちる。彼女は叫び、身をよじる。 異星人は床へ落ちる。横たわったまま動かない。その皮膚は色あせて死んだような灰色に変わっている。リプリーはクリーチャー から眼を離す事ができない。異星人をつついてみるが、反応はない。 アッシュ:死んでるようだな。(リプリーを見て)ユー、OK? リプリー:イヤー。 彼女はクリーチャーを慎重に金属のプローブで触ってみる。動かない生命体をトレイにすくう。素早く蓋を閉める。そして ステンレス・スチールのテーブルへ載せる。明るいライトが異星人に向けられる。クリーチャーは仰向けになっている。アッシュは 手術器具で異星人に触れる。 アッシュ:この吸盤を見ろよ。剥がせない筈だ。 リプリー:口はどこ。 アッシュ:ここのチューブがそうだ。(注意深く器官の端を引き出し)硬くなってる。(クリーチャーをフルオロスコープへ滑らせ) 死んでる。何の生命徴候もない。 リプリー:処分しましょう。 アッシュ:考えてみろ。この標本とのファースト・コンタクトだぞ。あらゆるテストをせなばならん。 リプリー:こいつは酸でできた血を流したのよ。死んだからって何をするか分かったもんじゃないわ。 アッシュ:ゾンビじゃあるまいし、大丈夫さ…ダラス、標本を保存する必要がある。
215 :
名無シネマさん :2011/12/31(土) 17:15:06.83 ID:bD9Y7KQl
ダラス:あんたは科学士官だ。あんたが決める事さ。 アッシュ:じゃ、そういう事で…ステーシス・チューブに密封しよう。 リプリー:ケインの具合は。 アッシュは寝台に向き直る。生命補助計器を調べる。ケインの呼吸は安定している。 アッシュ:熱が出ているし、依然意識はない。機械が熱を下げてくれるだろう。彼の 生命機能は強靭だ…何とも言えんが、大丈夫だろう。 アッシュは異星人を大きな真空チューブに入れ始める。 リプリー:コーヒーが欲しいわ。 彼女は背を向け、歩いて去る。 コンピューター別館。リプリーとダラス。 リプリー:何故彼に決定を任せたの。 ダラス:俺は船を動かすだけだ。科学部門に関わる事は全て、アッシュが最終命令を下す。 リプリー:何故そんな事に? ダラス:他の事も全部同じさ。会社からの命令だよ。 リプリー:それが標準になったのはいつから? ダラス:奴等があんたに言った通りさ…それに、俺は操縦する事しか知らない…生活の為に 貨物を引っ張ってるのさ。
216 :
名無シネマさん :2011/12/31(土) 17:43:06.93 ID:bD9Y7KQl
リプリー:アッシュと一緒に航海に出た事は? ダラス:始めてさ。今まで5回航海に出たが、別の科学士官だった。今回セダスを発つ2日前にアッシュと代わったんだ。 リプリーはダラスを見る。 ダラス:それがどうした。兵曹長も君と代わったんだぜ。 リプリー:アッシュは信用できないわ。 ダラス:俺には誰も信用できないね…修理の具合はどうなんだ。 リプリー:大体終わってるわ。 ダラス:何故言わなかった? リプリー:まだやるべき事が幾つか残ってるの。 ダラス:例えば? リプリー:B,Cデッキは真っ暗。予備パワーシステムが吹っ飛んでるし… ダラス:どうでもいい。無くても離陸できる。 リプリー:いいアイデアだこと。 ダラス:俺はここを出たいんだ。この七面鳥を離陸させようぜ。 惑星−夜明け。ノストロモのエンジンが轟音を発する。加熱した空気を噴出する。宇宙船が振動する。上昇し始める。 ブリッジ−夜明け。クルーは位置に着いている。電子ハム音。 リプリー:トラクタービーム、ロック。 ハム音のピッチが変化する。船は水平になる。 リプリー:リーディング・ストラット、収納。
217 :
名無シネマさん :2012/01/01(日) 09:00:36.45 ID:txX3aFPo
惑星−夜明け。ノストロモはホバリングしている。力場の、ちらつくビームに支えられている。着陸ストラットが 収納され始める。 ブリッジ−昼。 ダラス:行こう。 ランバートは音声増幅器に屈んでいる。 ランバート:上昇、1km。 惑星。ノストロモは上空へ浮き上がっていく。光るビームに乗って進んでいくように見える。 ブリッジ−昼。船は振動し続けている。 ダラス:リフター4基、スイッチオン。 パワフルで深い脈動が始まる。振動は強まる。 リプリー:今の所、バラバラにはなってないわ。 エンジンルーム小部屋。パーカーとブレットはシートベルトをし、揺れている。 パーカー:修理はできてるな。 ブレット:ライト。 ノストロモ−昼。宇宙船は雲の下でホバリングしている。濃密な大気の中で加速を始める。
218 :
名無シネマさん :2012/01/01(日) 09:13:52.92 ID:txX3aFPo
ブリッジ−昼。 ダラス:人口重力、エンゲージ。 ランバートがスイッチを叩く。船は急によろめく。 ランバート:エンゲージ。 ダラス:ベクトル変更中。 大きな振動が船を走り抜ける。 パーカー:またインテークが塵で詰まった。オーバーロードだ。 ダラス:G1を越えるまで持ってくれ… エンジンのピッチが変化し、深くなる。 ノストロモ−昼。船は急角度で動いている。沸き立つ雲の中を切り裂いていく。 エンジンルーム小部屋。パーカーとブレットは計器を見つめている。 ブリッジ−昼。スクリーンには雲、雲、また雲。再び振動が船を駆け抜ける。クルーの目は計器に釘付けである。 ダラス:金を拾い上げて、家へ帰ろうぜ。
219 :
名無シネマさん :2012/01/01(日) 09:45:32.85 ID:syUb7QRd
ノストロモ。船は雲の層をクリアし、星のきらめく宇宙空間へ飛び込む。わずかな塵を航跡に残して。 ノストロモはホバリングしていた精錬所と合体、合流する。 エンジンルーム小部屋。ブレットは大はしゃぎで手を振り回す。 ブレット:やったぜ! パーカー:俺たちが修理すればバッチリさ。 大きなスマイル。 ブリッジ。 ダラス:コースをセット。4度上へ。 ランバートはボタンを叩き始める。 宇宙空間。光速で飛ぶノストロモ。コロナ効果が現れる。ノストロモに接近する星は青く見える。遠ざかる 星は琥珀色になる。船の速度のために赤色偏位が生じているのだ。 食堂。パーカー、ブレット、ダラス、そしてリプリーがテーブルを囲んでコーヒーを飲んでいる。 パーカー:凍らせちまうのが一番だ。病気の進行は止まるし、家に着いたら医者に診て貰える。 ブレット:ライト。 リプリー:パーカーが何を言ってもいつも“ライト”なのね、ブレット。 ブレット:ライト。
220 :
名無シネマさん :2012/01/01(日) 10:04:04.27 ID:syUb7QRd
リプリー:何考えてるんだか、パーカー。あんたのスタッフはいつも後を付いて回って、言うのは“ライト” まるでオウムだわ。 パーカーはブレットを向く。 パーカー:イヤー。しっかりしろや、お前は何か、オウムなのか。 ブレット:ライト。 ダラス:よせ…ケインは隔離すべきだ。 リプリー:イヤー。私もそう思う。 ランバートが入ってくる。 ランバート:元気のなくなるお知らせよ。 ダラス:わくわくするね。 ランバート:私の計算では…惑星間を行き来するのに消費する時間、およびその速度に基づき… ダラス:手短に頼むよ。 ランバート:コースに戻るのに6週間掛かるの。 ダラス:地球までは? ランバート:10ヶ月。 リプリー:クライスト。
221 :
名無シネマさん :2012/01/01(日) 10:21:13.34 ID:syUb7QRd
ビープ音。 ダラス:ダラスだ。 アッシュ:来て、ケインを見てくれ。今すぐだ。 ダラス:何か変化が? アッシュ:来て、見れば分かるさ。 医務室外の廊下。彼らが見ているものは…期待したとおりのものだった。ケインがベッドに起き上がり、すっかり 目覚めている。彼らは部屋へ入る。 ランバート:ケイン…大丈夫? ケイン:ノドが渇いた…水をくれ。 すぐにケインがプラスチックのコップで水を運んでくる。ケインは一気に飲む。 ケイン:もっと。 リプリーは大きな容器に水を満たしてケインに手渡す。彼は全部を飲み干す。そして喘ぎながら寝台に倒れこむ。 ダラス:気分はどうだ。 ケイン:ひどいもんだ。俺はどうなったんだ。 ダラス:覚えてないのか。 ケイン:何も覚えてない。かろうじて名前ぐらい。 パーカー:痛むか。 ケイン:そこら中な。誰かに6年間、棒で叩かれてたみたいだよ。(微笑)ゴッド、腹が減った。 リプリー:最後に覚えてるのは? ケイン:分からん。
222 :
名無シネマさん :2012/01/01(日) 10:27:05.60 ID:C2PtMvxQ
1さん、あけおめ 離陸シーン、すごい緊迫感。 ジェリー・ゴールドスミスの音楽が、脳内再生されるわ・・・
223 :
名無シネマさん :2012/01/01(日) 11:52:13.04 ID:qL9mkLDD
ダラス:惑星で何が起きた事を覚えてるか。 ケイン:何か、窒息する恐ろしい夢を…今、どこなんだ。 リプリー:家へ帰るとこよ。 ブレット:フリーザーへ入る用意もできてるぜ。 ケイン:腹が減った。まず何か食い物を。 パーカー:俺も腹ペコなんだ。 ダラス:ベッドの前に1食取るか。 食堂。クルー全員が座っている。人工食料の大きなポーションを貪っている。猫はテーブルの皿から食べている。 ケイン:戻ったらまずやりたいのはまともな食事を取ることだな。 パーカー:俺はこれよりもっとひどい物を食った事も、もっとまともな物を食った事もあるぜ。
224 :
名無シネマさん :2012/01/01(日) 12:08:31.71 ID:qL9mkLDD
ランバート:クライスト。明日が来ないぐらいの勢いで詰め込んでるじゃないの。 パーカー:俺はこれが好きだと言ってるんだ。 ケイン:まさか。 パーカー:イヤー。そのうち好きになるさ。 ケイン:かもな。原料が何か知ってるよな。 パーカー:何でできてるか知ってるさ。今は食い物になってるし、お前も食ってるだろ。 突然ケインは顔を歪める。 リプリー:どうしたの。 緊迫したケインの声。 ランバート:何事? ケイン:分からん…腹が痛い。 皆は心配して彼を見つめる。ケインは突然大きなうめき声を上げ、テーブルの縁を掴む。拳は蒼白である。 アッシュ:深く息をするんだ。 ケインは叫び声を上げる。 ケイン:オー、ゴッド、痛い、痛い、ひどい痛みだ。(立ち上がる)オーーーーーーーー! ダラス:何だ。何が痛いって?
225 :
名無シネマさん :2012/01/01(日) 12:53:30.39 ID:qL9mkLDD
もだえ苦しむケインの表情。彼は椅子に倒れこむ。 ケイン:オーマイゴオオオオアアアア! 赤い染み。ケインの胸に血の花が描かれる。シャツの布が裂ける。拳大の小さな頭が押し出てくる。クルーは パニックで叫び、テーブルから飛び退る。猫は唸って、飛んで逃げる。小さな頭が前方へ突き出される。太い 胴体を引きずりながら、ケインの胸から飛び出す。後に体液と血を跳ね飛ばし、食料と皿の間へ着地する。 クルーが四散する間にのたうち進み、異星人は視野から姿を消す。ケインは椅子に崩れ折れている。完全に 死んでいる。胸には大きな穴が。皿が散らばり、食料は血にまみれている。 ランバート:ノー、ノー、ノー、ノー、ノー。 ブレット:何だあれは。何なんだ、あれは。 パーカー:中で成長してたんだ。ケインは知りもしなかった。 アッシュ:孵化器に使ったんだ。 リプリー:という事は、振り出しね。 ダラス:イヤー。しかも船内で野放しだ。 彼らはゆっくり、はらわたを抜かれたケインの死体の周りに集まる。彼らはお互いを見つめあい、ケインを見る。 テーブルの上で死んでいるケインを。
226 :
名無シネマさん :2012/01/01(日) 15:59:27.36 ID:QHnwwyb1
廊下−“A”デッキ。無人である。パーカーとブレットが昇降階段を下りてくる。2人はアッシュ、ランバート、リプリー、 そしてダラスに加わる。 ダラス:何か徴候は? ランバート:何も。 アッシュ:何も。 パーカー:あいつは見なかった。 ブレット:何も見てない。 リプリー:あれが野放しになってては、ハイパースリープに入れない。私たちはいいカモだわ、フリーザーの中のね。まず あれを殺さなくては。 ランバート:できないわ。もしやれば酸を撒き散らして、外殻まで… ブレット:サン・オブ・ア・ビッチ! リプリー:捕まえて船外へ放り出さなきゃ。 アッシュ:我々の備蓄は、限られた仮死状態以外の時間に基づいて供給されている。極めて限られた量しかない。 リプリー:まずあれを見つけなくては。 ダラス:ノー。まず、それより先にやる事が。 ダラスはケインの体を見る。 エアロック。ケインの体はその場しのぎに白布で包まれている。
227 :
名無シネマさん :2012/01/01(日) 16:06:27.37 ID:QHnwwyb1
ブリッジ。クルーはビュースクリーンでケインの遺体を見ている。 沈黙し、打ちひしがれている。 ダラス:インナーハッチ、封鎖。 アッシュ:誰か、何か言う事は。 言うべき言葉はない。アッシュはリプリーにうなづく。彼女はボタンを押す。 エアロック。アウターハッチが開く。外には宇宙空間が広がっている。ケインの遺体が射出される〜永遠に向かって。 ハッチは閉じる。
228 :
名無シネマさん :2012/01/01(日) 17:03:28.50 ID:GeQfCKps
食堂。クルーが集まっている。 リプリー:備蓄をチェックしてみたの。約1週間、ハイパースリープに入らずにいられる。 ブレット:それで。 ランバート:食料と酸素が尽きる。 ダラス:オーライ。そういう事だ。1週間。時間は充分ある。 パーカー:プレッシャースーツを着て、船から空気を全部ブローアウトするんだ。これならあいつを殺せる。 ランバート:素敵なアイデアだこと。 パーカー:何かまずいか? アッシュ:プレッシャースーツ用の空気は48時間分。地球までは6ヶ月掛かる。 ランバート:もっと他にないの…素敵なアイデアが。 パーカーはあきらめない。 パーカー:タンクのどこか特別なラインをカットできるかも。ブレットと俺はできるエンジニアだ…バックアップを。 リプリー:自力でやって。 アッシュ:言いたくはないんだが、あいつは酸素がないほうが快適なのかも知れない。あの状況で長期間生きてきたの だから。 リプリー:もう1つ問題がある。どうやって見つけるの。BとCデッキはビジュアルが駄目なのよ。スクリーンは全部 アウト。
229 :
名無シネマさん :2012/01/02(月) 17:27:41.03 ID:nqzsXbm1
ダラス:追い出さなくてはならん。 アッシュ:それはいいが…どうやって? ダラス:部屋から部屋へ、廊下から廊下へ。 ランバート:で、見つけたらどうするのよ。 リプリー:何とか罠を。 ブレット:強靭なネットがあれば捕まえられるかも…何とかでっちあげよう。バッテリー内蔵の長い金属ロッド。 2〜3時間あればできる。
230 :
名無シネマさん :2012/01/02(月) 17:47:50.78 ID:nqzsXbm1
ランバート:このイカレポンチの言う事を聞くの? ダラスは考える。 ダラス:ブレットは正しいかも… 宇宙空間:ノストロモは渦の中を進んでいる。 食堂。ダラスが入ってくる。アッシュはリードアウト・セクションに取り組んでいる。 ダラス:話そう。 アッシュ:ちょっと忙しいんだがね。 ダラス:知るものか。 アッシュ:オーライ、聞こう。 ダラス:なぜ異星人をケインの体内で生かしておいたんだ。 アッシュ:何故私に? ダラス:マザーはケインの体をモニターしてた。あんたはマザーをモニターしてた。何が起こっているのか知ってたはずだ。 アッシュ:何が言いたいのかね。 長い間。 ダラス:あんたは異星人を生かしておきたかった…理由があるんだろ。
231 :
名無シネマさん :2012/01/02(月) 18:09:07.84 ID:nqzsXbm1
アッシュ:例えば。 ダラス:ヘイ、俺たちは同じカンパニーの為に働いてるんだろ。俺は何が起こってるのか知りたいだけだ。 アッシュ:何を言ってるんだかまるで分からんね。遠まわしな言い方は好かん。あの異星人は危険な生命体だ…これ以上 生きていて貰いたくはないね。 ダラス:確かだな。 アッシュ:イヤー、確かさ。君もだろ。 ダラスは歩き去る。アッシュはそれを見ている。長いあいだ… ナルキッソス号。ダラスがシートに座っている。宇宙空間の無数の星の光を見ている。リプリーがやってくる。 リプリー:ここにくれば見つかると思ったわ。 ダラスは星を見ている。 ダラス:ネットはできたのか。 リプリー:1時間あるわ…息抜きがしたいの。 ダラス:何故今まで待ってたんだ。 リプリーは前かがみになる。
232 :
名無シネマさん :2012/01/02(月) 18:21:39.19 ID:nqzsXbm1
リプリー:言わせて。星をあまり長く見続けると、気が狂うのよ。 リプリーはブーツを脱ぎ始める。 ダラス:俺たちは新しいパイオニアなんだ、リプリー。特有の病気にかかるようにもなるさ。 リプリー:もう話はいいの。 彼女は起き上がり、上半身の衣服を脱ぐ。 ダラス:長く待ってたんだね。 リプリー:好きなようにして。 衣服は脱ぎ去られる。 ダラスの腕がリプリーの体に回される。
233 :
名無シネマさん :2012/01/02(月) 18:23:29.79 ID:nqzsXbm1
訳しててびっくり。ダラスとリプリーのラブシーンがあるとは! もう訳するの止めて酒飲む事にします。独身はつまらんなあ。
234 :
名無シネマさん :2012/01/02(月) 18:40:52.81 ID:a/Yisb+J
おつかれです、 また気が向いたらお願いします ありがとう。
235 :
名無シネマさん :2012/01/02(月) 21:00:05.85 ID:96YbSlnd
ノストロモが最初に地球に交信を試みるところで、 「南極管制センター、聞こえますか?」がないのねん・・・ あとノストロモの登録番号が映画版と少し違うような・・・
236 :
名無シネマさん :2012/01/03(火) 09:56:18.18 ID:C/oFvSkX
ブリッジ。クルーが集まっている。ブレットが数ヤードのアスベストのネットを広げる。5本の細いロッドを配る。 金属製の、箒の柄のようである。 ブレット:ポータブル発電機を詰め込んである。ここから先は絶縁してある。くれぐれも先端に触れないようにな。 彼は先端を金属に当てる。青いスパークが飛ぶ。 ブレット:皮膚が、俺たちのより相当薄くない限り、あのチビにダメージはない…少しばかり刺激を与えるだけだ。 ランバート:あいつを見つけられれば、ね。 アッシュがポータブル・ユニットを持ち上げる。 アッシュ:追跡装置だ。動く物体をサーチするようセットする…範囲は広くないが、一定の距離に入ればビープ音を 発する。 リプリーは装置をアッシュの手から取る。 リプリー:何に反応するの。 アッシュ:空気密度の微小な変化だよ。前方に向けておくことだ。 ダラス:2チームに分かれよう。誰でもいい、最初に見つけた者がネットに捕らえて、一番近いエアロックから外へ 放り出すんだ。最初に、ブリッジが安全かどうか確かめよう。 パーカーがユニットにスイッチを入れ、部屋中をスキャンする。ブリッジは安全である。 ランバート:大丈夫みたいね…これがちゃんと働いてるとすれば。 ダラス:アッシュと俺はランバートと。ブレットとパーカーがセカンドチーム。リプリー、指揮は君が。 彼らは道具を片付け始める。
237 :
名無シネマさん :2012/01/03(火) 10:52:41.98 ID:C/oFvSkX
ダラス:全デッキ、チャンネルオープン。常にコンタクトを。 通路−“A”レベル。ランバートとダラスはネットを運んでいる。そのすぐ後をアッシュが続く。追跡装置を持っている。 端から端までスキャンを続けている。ランバートは吹き抜けで止まる。 ランバート:この下に何か。 通路−“B”レベル。パーカーとリプリーは静かに移動している。リプリーは先頭で追跡装置を持ち、吹き抜けに近づく。 リプリー:何も。 彼らは移動していく。小さなライトが光る。 リプリー:動かないで。何か捉えたわ。 パーカーとブレットの緊張が高まる。周りを見渡し始める。 ブレット:どっちから来てる? リプリーは追跡装置をじっと近くで見る。 リプリー:機械がいかれてる。針がぐるぐる回ってるの。 ブレット:ガッデム、故障か。 リプリーは装置をひっくり返す。針は安定する。 リプリー:ノー。おかしいわ。下から来てる。 3人は足元を見る。
238 :
名無シネマさん :2012/01/03(火) 11:30:53.63 ID:C/oFvSkX
メインテナンス−“C”レベル。リプリー、パーカー、ブレットがハシゴを下りて、果てしない油だらけの廊下に着く。 昇降階段の根本で止まり…廊下を、暗闇の中へと下っていく。 リプリー:OK。 追跡装置を見る。通路に向いてうなづき、止まる。 リプリー:戻りましょう。 3人は歩き始める。深い影に囲まれ、メタルデッキの足音が響く。 リプリー:12番モジュール、修理したわね。 ブレット:やった。 パーカー:回路が焼けちまってた。 彼らはライトを点け、あちこち動く。 リプリー:待って。 彼らは直ちに止まる。つまづきそうになる。 リプリー:5m以内にいる。 パーカーとブレットがネットを持ち上げる。リプリーは片手にロッド、もう片手に追跡装置を持っている。慎重に移動 する。半ばしゃがんで、いつでも飛び退れるように。ロッドを差し出しリプリーは、コンスタントにに装置を見る。 装置は彼女を隔壁の上、小さなハッチへ導いていく。リプリーの顔を汗が流れ落ちる。装置を脇へ置く。ロッドを上げ、 ハッチのハンドルを握る。そして引き開ける。ロッドを押し込む。神経を損なうような金切り声。 小さなクリーチャーがロッカーから飛び出す。ギラギラする眼、光る爪。彼らは本能的にネットをを投げかける。ひどく いらつく。彼らはをネット開け、獲物を放してやる。猫だったのだ。シューッという声を上げ、猫は逃げ去る。
239 :
名無シネマさん :2012/01/03(火) 17:22:32.75 ID:C/oFvSkX
リプリー:ガッデム…ちょっと待って。 パーカー:殺しちまう所だったぞ!もう一度追跡装置に捉えないと。 リプリー:つかまえて。私たちは行くから。 ブレット:ライト。 リプリー、パーカーは通路を下っていく。ブレットは猫の逃げた方向を追う。通路を横切り、機材のメインテナンス・エリアに 入っていく。 機材メインテナンス・エリア−“C”レベル。ブレットは影で覆われた機材の列の間を歩いていく。猫を探しながら。 ブレット:ジョーンズ…キティ…ジョーンズ…ガッデム、ジョーンズ。 何かを引っ掻く音。猫の哀しげな鳴き声。ブレットは移動していく。 通路−“C”レベル。リプリーとパーカーは歩いていく。追跡装置のシグナルが弱まり、ついには止まる。 リプリー:ここには何もない。 パーカー:戻ろうぜ。 着陸装置のルーム−“C”レベル。ブレットが入ってくる。ジョーンズを探している。シューッという音の後、再び哀しげな 泣き声。暗闇で2つの眼が光っている。ジョーンズだ。ほっとしたブレットはジョーンズの方へ動いていく。 ブレット:ほら、キティ…カモン、ジョーンズ。 ブレットはジョーンズに手を伸ばす。ジョーンズがシューッという声を立てる。
240 :
名無シネマさん :2012/01/03(火) 17:46:28.94 ID:C/oFvSkX
ブレットに向かって腕が伸びてくる。エイリアンである。今では7フィートにも成長している。着陸ストラットから逆さまに ぶら下がっている。腕はブレットを掴むと吊るし上げ、暗闇へ消える。ブレットは叫ぶが、その甲斐はない…入り口に リプリーとパーカーが。彼らは恐怖の目撃者となる。 食堂。残ったクルーが集まっている。沈痛な表情。 ランバート:今度は何。 パーカー:腐れ野郎をレーザーで吹っ飛ばそう。一か八かだ。 リプリー:ノー。今のサイズだと、船にこの部屋ぐらいの大穴を開けられるほどの酸を持ってるわ。 アッシュ:うまく行かないだろう。あいつは自己再生する。手術の時、見ただろ。 リプリー:前と同じ、たった1つのプランはエアロックに追い立てて宇宙へ吹っ飛ばす事よ。 パーカー:追い立てるったって…あのサノバビッチは馬鹿でかいぞ。 ランバート:1つだけポイントを突いてるわね。どうやって追い立てるの。 リプリー:科学部門が助けを…
241 :
名無シネマさん :2012/01/03(火) 18:23:16.39 ID:C/oFvSkX
アッシュ:マザーによれば、彼は頭足類の原始的な形態で… ランバート:何よ、彼って。 アッシュ:只の言い回しだよ。実際の所、彼はバイセクシュアル、或いは半陰陽なんだ、正確に言えば。 ダラス:セックス・ライフなんかとばせ。どうしたら殺せる。 アッシュ:酸素の豊富な環境にも適応したようだし、確実に栄養条件にもよく適応している。たった1つ 分からんのは温度だ。 リプリー:奇妙じゃないかしら…エイリアンが頭足類… アッシュ:何がそんなに奇妙かね。 リプリー:奇妙よ。下等動物は高等動物ほど早くは適応できないんだから。なのにこいつは凄くうまく やってる。リアル・サバイバーだわ。私たちと同じぐらいチャンスがある。 アッシュ:また誇大妄想的になってるね。 リプリー:オーライ。温度が何なの。温度を変えたらどうなると? アッシュ:試してみるさ。殆どの動物は火を嫌がる。 パーカー:15分もあれば焼却装置を作れるぜ。 ダラス:誰か、もっといいアイデアは?
242 :
名無シネマさん :2012/01/04(水) 10:37:46.34 ID:X7up6lxT
声はない。 ダラス:OK。パーカーの用意ができたら、Cデッキへ。 通路−“B"レベル。パーカーとダラスが先導する。火炎放射器で武装している。昇降階段を降りて行く。突然、追跡 装置が狂ったように鳴り出す。前方上、金属の裂ける音。彼らは身長に進む。 ダラス:食料ロッカーだ。 12番食料ロッカー。更に裂ける音が。 ランバート:ジーザス。馬鹿でかいわ。 パーカー:野郎、エアシャフトを使って動き回ってやがるんだ… ダラスは火炎放射器を上げる。 ダラス:ちゃんと動くんだろうな。 パーカー:俺が作ったんだぜ。 リプリー:だから心配なのよ。 ダラスはドアハンドルを指し示す。パーカーはしぶしぶ掴む。 ダラス:今だ。 パーカーは捻ってドアを開ける。ダラスは長く火炎を放射する。もう1回。もう1回、更に…そして静寂。 彼らは中へ入る。
243 :
名無シネマさん :2012/01/04(水) 15:06:17.71 ID:X7up6lxT
12番食料ロッカー“B”レベル。焦げた破片。パッケージはズタズタにされている。床に食糧が散らばっている。 彼らは慎重にくすぶる残骸の中を進んでいく。 リプリー:取り逃がしたわ。 ダラス:逃げたのはここだ。 壁の上、ベンチレーター・グリルが引き裂かれて口を開いている。彼らは近づき、シャフトの中を照らす。 ダラス:こいつは役に立つかも。このダクトは右舷のエアロックに通じている。途中、出口があるが、そこは閉じる事が できる。そうすればエアロックへ駆り立てて、奴を宇宙へ放り出せる。 ランバート:イヤー。やんなきゃいけないのは、あいつのいるベントへ這って入って、迷路の中で道を探して、そしてあいつが 火を恐れるようお願いする、ってことね。 ダラス;パーカー、分け前を同額欲しがってたな。 パーカー:イヤー。 ダラス:パイプへ入るんだ。 パーカー:何故俺が? ダラス:お前が全額手に入れるのを見てみたいのさ。 パーカー:冗談じゃねえよ。 リプリー:私が行くわ。 ダラス:心配するな。リプリーはエアロックを。パーカーとランバートは出口を頼む。 誰がベントへ入るかは明らかである。
244 :
名無シネマさん :2012/01/04(水) 15:27:57.88 ID:X7up6lxT
右舷エアロック−入り口。リプリーが入り口に立っている。隔壁のドアからエアロックまでを通して見ている。スイッチを叩く。 エアシャフトの入り口からエアロックが開くのが見える。罠の用意ができた。 メインテナンス・レベル。パーカーとランバートが用意をしている。 12番食糧ロッカー−“B”レベル。アッシュはダラスに間に合わせの火炎放射器を渡す。ダラスは数回、少量を放射してみる。 ダラス:まだ使い物になるな。 アッシュ:なぜ君が行かなきゃならない。リプリーに行かせればいい。 ダラス:これは俺の責任だ。俺はケインに宇宙船の中へ行かせた。今度は俺の番さ。 アッシュ:君は船長だ。もし君を失ったら大変な事になる。 ダラス:リプリーが全部やってくれるさ。 アッシュ:賛成はしないよ。 ダラス:最終決定だ。
245 :
名無シネマさん :2012/01/04(水) 15:54:26.55 ID:X7up6lxT
ダラスはマスター・コンピューターのキーを外し、アッシュに手渡す。 ダラス:もし俺が戻らなかったら、リプリーにはこいつが必要になる。 アッシュはうなづく。ダラスは背を回し、ベンチレーターの開口部へ登って入っていく。這って進むには充分な大きさである。 エアシャフト。全くの暗闇である。ダラスは」ヘルメットのライトを点ける。ノドのマイクのスイッチも入れる。 ダラス:聞こえるか。リプリー、パーカー、ランバート。 機材メンテナンス・エリア。巨大な冷却装置の立てるハム音。あちこちへ大きなエアシャフトが走っている。パーカーと ランバートがダクトの傍で待っている。ランバートは壁のアンプのボタンを叩く。 ランバート:位置に着いた。追跡装置であなたをピックアップしてみる。 パーカーが火炎放射器を持ち上げる。 ダラス:パーカー、もし奴が出てこようとしたら、追い返すんだ。俺は前方へプッシュする。 パーカー:ライト。 エアロック入り口。右舷エアロックの近く。リプリーがハッチをはね開ける。エアロックは開き、用意ができた。リプリーは エアダクトの開口部へ行く。 リプリー:エアロック、オープン。 ダラス:レディ。 リプリー:レディ。
246 :
名無シネマさん :2012/01/04(水) 17:03:06.30 ID:X7up6lxT
エアシャフト。ダラスは這って進み始める。トンネルは狭い…肩幅より1〜2フィート広いだけである。 ダラス:進み始めた。 コーナーを曲がる。更に狭いターンが幾つか。本能的にダラスは後退する。火炎放射器を上げ、コーナーから暗闇へ炎を 放つ。狭いチューブの中で轟音が響く。煙が顔にまとわりつく。 メインテナンス・レベル。壁の大きな長方形のダクト。 パーカー:メインシャフトから出たら、奴がやってくるのはここだ。 彼はスイッチを叩く。金属の枠が上がり、開口部を塞ぐ。 ランバート:開けたままにしておいて。何かが来るなら、知りたい。 パーカーは再びスイッチを嫌々たたき、金属の枠を立てる。 エアロック入り口。リプリーが待機している。 エアシャフト。ダラスは手と膝を使って這っている。前方で、シャフトは急角度で下へ向かっている。彼はコーナーへ 進む。もう1度、炎を放つ。そして逆さまになって這い下っていく。 機材メインテナンス・エリア。ランバートが追跡装置に何かを捉える。 ランバート:あなたが映り始めた。
247 :
名無シネマさん :2012/01/04(水) 17:22:14.56 ID:X7up6lxT
エアシャフト。シャフトは更に曲がっている。ダラスは殆ど動けない姿勢を強いられる。 12番食糧ロッカー。アッシュはベンチレーターの開口部をじっと見ている。 エアシャフト。ダラスはシャフトの壁にもたれかかっている。火炎放射器を握っている。マイクに囁きかける。 ダラス:リプリー。 エアロック入り口。 リプリー:はっきり聞こえるわ。 エアシャフト。 ダラス:このシャフトはそんなに遠くまで延びてないようだ…暑くなってきた。 彼は火炎放射器の用意をする。 機材メインテナンス・エリア。パーカーが武器の準備をする。 エアシャフト−2層になった通路。エアシャフトの支流が更に大きな2層のエア・トンネルに開いている。ダラスは 這い出て立ち上がる。狭い通路へ進む。周囲を見回す。リペアー・ジャンクションに着く。座り込む。ダラスの足は 狭い通路から、次の階へとぶらぶら揺れている。
248 :
名無シネマさん :2012/01/04(水) 21:53:04.36 ID:LMTvZRFI
マザーにマスターキーという設定があったんだね
249 :
名無シネマさん :2012/01/05(木) 09:58:34.94 ID:GoMt3wdL
ダラス:ランバート、追跡装置の表示はどうだ。 メインテナンス・レベル。ランバートは装置をいじくり回す。当惑している。 ランバート:はっきりしない。ダブル・イメージの1種みたいな… エアシャフト−2層になった通路。ダラスは座っている。足は狭い通路の闇に揺れている。 ダラス:何かの干渉だろう。先へ進むぞ。 ダラスは立ち上がろうとする。下方から、揺れている足に向かって何かがそっと動いてくる。腕が伸びてくる。ダラスが 立ち上がり、何かの腕は足を捉えそこねる。 ダラスは更に進む。 ダラス:ランバート、ちっとははっきり見えるようになったか? ランバート:オーライ、はっきり見えるわ。でも相変わらず輝点は2つ見えてる…どっちがどっちなのか。 ダラスは止まる。振り向く。狭い通路を見る。火炎放射器の先端を下げ、引き金に指をやる。ダラスの背後から腕が 伸びてくる。前方に見えたシグナルはエイリアンだった。 エアロック入り口。リプリーは上半身を屈める。取っ組み合う音が聞こえる。ダラスの悲鳴。リプリーは叫ぶ。 リプリー:ダラス!…ダラス!… 機材メインテナンス・エリア。ランバートとパーカー。全てを聞いている。 リプリー:オー、マイ・ゴッド! そして静寂。
250 :
名無シネマさん :2012/01/05(木) 11:25:56.64 ID:GoMt3wdL
食堂。テーブル上のダラスの火炎放射器。 パーカー:あそこに落ちてた。ダラスの跡形もない。中央冷却装置に向かって穴が開いてただけだった。 残ったクルーはテーブルの傍に立っている。 リプリー:これで、私が指揮権を執る事になったわ。 パーカー:OK。 初めて彼はおふざけをやめる。 ランバート:エイリアンと取引する、もっといいアイデアがないのなら、今のプランで行きましょう。 沈黙。 リプリー:武器はどうなの。 パーカー:ちゃんと動くぜ…もっと燃料が必要だが。 ダラスの火炎放射器を指差す。 リプリー:取ってきて。 パーカー:ライト。 パーカーは出て行く。リプリーはアッシュを向く。 リプリー:何かアイデアはないの。あなたでも、マザーでも。 アッシュ:特に新しいものはない。 リプリー:今の私たちでは、あのビーストに対しては無力だと言いたいのね。 アッシュ:そう思えるね。 リプリー:信じないわ。 アッシュ:すまない船長。私にどうしろと? リプリー:マザーの所へ戻って、ましな答えが返ってくるまで質問を続けることね。 アッシュ:オーライ…やってみる。 アッシュは行こうとする。 リプリー:ダラスがマスターコンピューター・キーを渡さなかった? アッシュ:君が貰ったんじゃないのか。 リプリー:ノー。 アッシュ:ああ、とにかく…多分必要ないだろう。 アッシュは去る。
251 :
名無シネマさん :2012/01/05(木) 18:57:01.32 ID:AH+poj46
リプリー:アッシュはキーを持ってるわ。分かってる。 ランバート:何故嘘を。 リプリー:私が彼をチェックアップしたいと思ってる事を、アッシュは分かってるのよ。あのキーがなければ 優先指揮情報にはアクセスできない。 ランバート:素敵。 ランバートは肩をすくめる。 メインテナンス・エリア−“C”デッキ。パーカーは2個のシリンダーを選び出す。メタンで満杯である。テストし、 出て行く。 ブリッジへの廊下。 リプリー:アッシュと寝たことある? ランバート:ノー。あんたは? リプリー:ノー。 ランバート:興味を持ったこともないわ… 通路−“B”レベル。パーカーはメタンのシリンダーを運んで戻る途中である。コーナーを曲がる。突然立ち止まる。 エアロックを越えた前方に動きが。パーカーはためらう。再び影のような動き。
252 :
名無シネマさん :2012/01/05(木) 19:15:37.29 ID:AH+poj46
ブリッジ。リプリーとランバート。ボイス・アンプにパーカーの声。くぐもった声。リプリーはスイッチを叩く。 リプリー:リプリーよ。 通路−“B”レベル。パーカーは壁のコミュニケーターを手で覆う。 パーカー:下へ行け… 廊下の上方、動きが止まる。 ブリッジ。 リプリー:聞こえないわ…繰り返して… 通路−“B”レベル。パーカーは囁く。 パーカー:エイリアンだ…メイン・エアロックのドアの外側にいる…ドアをそっと開けて…俺が叫んだら… すぐに閉めるんだ。 ブリスター。アッシュは聞いている。 通路−“B”レベル。 パーカーは囁く。 パーカー:開けろ…そっとだ… ブリッジ。リプリーは躊躇する。スイッチを叩く。 エアロック−“B”デッキ。 サーボが低く唸る。ドアはゆっくりと開く。 エアロックの内部でグリーンのライトが脈動する。クリーチャーは興味深そうにそれを見る。入り口へと近づく。
253 :
名無シネマさん :2012/01/05(木) 19:34:39.84 ID:AH+poj46
通路−“B”レベル。パーカーは見ている。 エアロック。クリーチャーは更にエアロックに近づく。ライトに魅了されている。 通路−“B”レベル。ボイス・アンプに急いで囁く。 パーカー:今…今だ… ブリッジ。リプリーはスイッチを入れようとする… エアロック。突然、クラクションが響く。クリーチャーはエアロックの入り口から飛び退る。うろたえている。 インナーハッチに尻尾をはさまれて叫び声を上げる。酸が泡立つ。尻尾は破損し、泡を立て、ドアの金属も泡立つ。 通路−“B”レベル。パーカーは見ている。凍り付いている。エイリアンは身を捻って自由になる。外へ飛び出して くる。パーカーは打ち倒される。エイリアンは逃げる。壁のグリーンのライトが表示する。 “インナーハッチ、閉鎖” エアロック。泡立つ金属。アウターハッチが開き始める。 ブリッジ。 リプリー:パーカー… スイッチを押す。再び押す。 ランバート:何が起こったの、パーカー! 彼女の前のグリーンのライトが明滅する。 “インナーハッチ、閉鎖”
254 :
名無シネマさん :2012/01/05(木) 20:01:49.20 ID:id0iMtdO
リプリー:インナーハッチ閉鎖、アウターハッチは開いた。 ランバート:パーカーは? リプリー:分からない。連れ戻すわ。 リプリーはブリッジを飛び出す。 ノストロモ。エアロックは開いている。 エアロック近くの通路−“B”レベル。意識を失ったパーカー。 エアロック。インナーハッチは閉じている。金属が泡立っている。穴は徐々に深くなっていく。 通路−“A”レベル。リプリーはエアロックへと駆けていく。 エアロック。ドアの金属が泡立っている。 通路−“B”デッキ。リプリーは隔壁にぶつかり一瞬止まる。バランスを取り戻すと再び走り出す。 エアロック近くの通路−2B”レベル。パーカーは意識を取り戻しかけている。ドアに穴が開いた時、 リプリーが到着する。抜けていく空気が金切り声を上げる。信号が光り始める。危機的な減圧。緊急 クラクション。ホールのドアが両端で同時に閉鎖する。リプリーとパーカーは密封される。パーカー に近いドアはメタンのシリンダーにさえぎられて半閉鎖状態である。大きな隙間。エアロックの穴が 大きくなり、嵐が巻き起こる。リプリーは他のシリンダーに手を伸ばし、挟まれたシリンダーを 叩き始める。2人の鼻と耳から出血が始まる。ついにシリンダーは叩き出される。ドアが音を立てて 閉まる。
255 :
名無シネマさん :2012/01/05(木) 20:37:35.85 ID:id0iMtdO
ブリッジ。ランバートが見ている。緊急表示。 “外殻、破損” “緊急隔壁閉鎖” ランバート:アッシュ、酸素を。エアロックで会いましょう。 駆け出し、廊下を下っていく。 エアロック近くの通路−“B”レベル。リプリーは緊急パネルによろめきながら近づく。廊下の端っこである。 ビシッという音。霧が立ち込めている。ドアを作動しようとするが、できない。ランバートが隔壁の別のサイド から現れる。外側からドアを作動する。酸素が押し寄せる。 ノストロモ。蒸気の柱が真空で凍りつく。 エアロック近くの通路−“B”レベル。再加圧の音。パーカーは意識を取り戻す。喘いで呼吸する。リプリーは動けない。 呼吸が浅くなっていく。ランバートは酸素タンクを持ってやってくる。アッシュが続く。リプリーとパーカーに酸素が 与えられる。 アッシュ:大丈夫だ。 パーカー:駄目だった!警報が鳴り出して奴は船へ飛んで戻った。 アッシュ:誰が警報を。 リプリー:教えてほしいわね。 アッシュ:どういう意味かね。 リプリー:警報が勝手に鳴り出したのかしらね。 アッシュ:言いたいことがあるなら言ったらどうだ。言いがかりはうんざりだ。 リプリー:誰も言いがかりなんかしてないわ。 アッシュ:そうだろうとも。 陰気な沈黙。 リプリー:やめましょう。
256 :
名無シネマさん :2012/01/05(木) 20:45:11.66 ID:id0iMtdO
アッシュとパーカーは去る。リプリーはランバートを向く。 リプリー:酸素はどれくらい無くなった?正確に。 ランバート:彼を告発するのね。 リプリー:コマンドコンピューター・キーが見つかれば、証明して見せるわ。 ランバート:まだ彼がキーを盗んだと非難するわけ? リプリー:私が間違ってると? ランバート:分からない。間違ってるか、でなければ狂ってるのよ。 リプリー:サンクス。 リプリーは慎重にブリスターへの階段を下りていく。手には火炎放射器を持っている。
257 :
名無シネマさん :2012/01/05(木) 20:49:20.64 ID:id0iMtdO
女性陣はお股が緩いですね。
258 :
名無シネマさん :2012/01/05(木) 21:18:53.28 ID:JfYTq0F2
小説版に近いところもあるね
259 :
名無シネマさん :2012/01/06(金) 10:49:31.12 ID:FKrFFRvI
アッシュのブリスター。リプリーは周囲を見渡す。誰もいないのに安心する。火炎放射器を置く。念入りにキーを探し始める。 何かが当たる、小さな音。リプリーの手が止まる。彼女は周りを見る。何もない。ブリスターのウィンドウの近くを再び探し 始める。リプリーはキーを発見する。何かが当たる音。彼女はさっと振り向く。ケインの変形した顔がプレキシガラスに当たって いる。リプリーは叫び声を抑える。キーはブリスターのカーブした表面に落ちる。拾おうとする…ケインの膨れ上がった顔が 漂って…リプリーの下へ。彼女はキーを掴み、将校階段を駆け上がっていく。 コンピューター別館。リプリーはボードにキーを差し込む。データバンクが眼を覚ます。彼女はコンソールに座る。ちょっと考え、 コードを打ち込む。反応はない。他の組み合わせを打ち込む。反応はない。もう1度他の組み合わせ。スクリーンの1つが眼を覚ます。 彼女は次のキーボードへ。最初のスクリーンに質問が映し出される。 質問:2番エアロックの警報システムにスイッチを入れたのは誰か。 返答:アッシュ。 別のコード。 質問:アッシュはエイリアンを保護しているのか。 返答:イエス。 新しいコード。 質問:その理由は。 返答:スペシャル・オーダー937.科学士官のみ閲覧可。 リプリーは新しいコードを入力し始める。 リプリーの腕の隣に手が打ち下ろされる。エルボーがコンピューターに深く叩き込まれる。彼女は椅子をさっと回し… アッシュと向き合う。彼女は足で蹴る。キックは真ん中に当たるが、効果はない。
260 :
名無シネマさん :2012/01/06(金) 11:32:20.81 ID:FKrFFRvI
リプリーは身を捩って逃げる。アッシュがパンチを繰り出す。当たらない。リプリーはアッシュめがけて椅子を押し出し、机を ひっくり返す。食堂へと走り出す。アッシュは後を追う。リプリーを捕まえる。パーカーとランバートが飛び込んでくる。 ランバートはアッシュの背中に飛び掛る。アッシュはランバートを向き、部屋の向うへ投げ飛ばす。リプリーに向き直り、再び 首を絞める。パーカーが追跡装置を持ち上げてアッシュの背後に歩み寄り、装置を振り上げ…強打を浴びせる。頭部が引きちぎれ …体からはワイヤーが生えている。手はリプリーを放し、失われた頭部を捜してまさぐる。皆の目が首のないアッシュの体に 注がれる。アッシュの体は部屋を歩く。失われた頭部を捜して。 パーカー:ロボットだ!ガッデム、ドロイド! アッシュがパーカーに向き直り、迫ってくる。パーカーは追跡装置で再度打ちのめす。もう1回。更にもう1回。効果はない。 アッシュはパーカーの首を絞め始める。リプリーはロッドを拾い上げ、アッシュの背後に近づく。衣服を剥ぎ取る。ランバートは アッシュの足を引っ張る。リプリーは頭部のあった空洞に埋め込まれている制御装置を引きむしる。 パーカーの目は痛みで膨れ上がる。首のないアッシュは首を絞め、首を絞め、首を絞め…リプリーはワイヤを見つけ、そこへロッド を突き刺す…アッシュのグリップが弱まる。もう1刺し…電光の閃き…グリップが弱まる…更に1刺し…回路が発火し…頭のない アッシュの体は虚脱する。パーカーは呼吸を取り戻そうとしている。
261 :
名無シネマさん :2012/01/06(金) 14:13:31.86 ID:FKrFFRvI
パーカー:ダム・ユー! 頭のない胴体を蹴飛ばす。ランバートがリプリーを見る。 ランバート:話して…どういう事。 リプリー:それを見つけるのよ。アッシュの配線を。バックアップ。 パーカー:何だってんだこのクソは? リプリー:やって。 3人は取り掛かる。アッシュの頭部の配線をつなぎ直し始める。 リプリー:アッシュがあいつを船に入れた。アッシュがケインの中であいつを育てた。アッシュが警報シグナルを鳴らした。 ランバート:何故。 リプリー:スペシャル・オーダー937。 パーカー:そりゃ何だ。 リプリー:私が知りたいのは、それよ。 アッシュの頭がテーブルに置かれる。眼がまばたき、意識を取り戻す。 リプリー:スペシャル・オーダー937とは? アッシュ:分かってるだろ。言えない。 リプリー:では話し合っても無意味ね。プラグを抜いて。 アッシュ:スペシャル・オーダー937の本質は、船を惑星へつれて行き、おそらくは敵対性を有するであろう生命体を探索し、 連れ帰って観察する事にある。勿論、慎重に、ね。
262 :
名無シネマさん :2012/01/06(金) 14:48:09.02 ID:FKrFFRvI
リプリー:何故。何故そう言わなかったの。 アッシュ:私が言ったら、行ったかね。 パーカー:そんなもの契約にはねえぞ。 アッシュ:そこがポイントさ。 リプリー:彼らはエイリアンを調査したかったのね。たとえ私たちに何が起ころうと… アッシュ:アンフェアだね。実際、命令の中では触れられていない。 ランバート:あのくそ野郎ども! アッシュ:彼らの視点から見てみるんだ。彼らはエイリアンとは何だか分かっていないんだ。 リプリー:どうやって殺すの。 アッシュ:君達には無理だと思うね。私も今はベストの状態じゃないが、つなぎ直してくれれば… リプリー:とんでもないわ。 アッシュ:そう怒るなよ。私の助けがなければ絶対に殺せないよ。 リプリー:充分助けて貰ったわ。 アッシュ:もう酸素は殆ど残っていない。ハイパースリープに入らないと、エイリアンのいるいないに関わらず、死ぬ事になる。 リプリー:ナイス・トライ、アッシュ。 アッシュ:私にできることなら何でもして助けよう。誓うよ。 パーカー:プラグを抜こう。
263 :
名無シネマさん :2012/01/06(金) 15:16:01.58 ID:FKrFFRvI
アッシュ:白痴どもめ。お前ら何を相手にしているのか、分かってるのか。あのエイリアンはパーフェクトな生物だ。その構造は 実に見事で、賢く、本質的に凶暴なんだ。お前たちの能力などたかが知れている。チャンスはない。 ランバート:あいつを賞賛するのね。 アッシュ:完璧なものを賞賛しないものがいようか。私が殺してやろう。知ってのとおり、私は人命を保護するようプログラム されているからね。 リプリー:人命を軽視していると言うのに? アッシュ:それでも、だよ。 リプリー:悪いわね、アッシュ。その話には乗れないわ。 アッシュ:エゴイストの馬鹿者め。バラバラにされるぞ、そして… リプリーが動く。アッシュは優しげに、 アッシュ:私は願うばかりさ、きみが良く… リプリーはプラグを抜く。
264 :
名無シネマさん :2012/01/06(金) 16:45:48.17 ID:FKrFFRvI
パーカー:アッシュは正しいかも。アッシュが必要だ。 リプリー:アッシュは嘘を吐いてるのよ。 ランバート:人命を保護するようプログラムされてるんでしょ。 リプリー:アッシュは人命を保護なんかしてなかった、それが全てよ。とにかくこれで終わり。 リプリーはブリッジへと出て行く。 ブリッジ。リプリーはコンピューター別館にいる。パーカーとランバートが入ってくる。 リプリー:アッシュは1つだけ正しかった。残った酸素は12時間ぶんもないわ。 パーカー:お終いだ。 沈鬱。 ランバート:残りがどうだか知らないけど、選ぶとしたら平和で痛みのない死に方を選びたいわ。 リプリー:まだそこまで行ってないわ。 ランバート:まだそこまで?フン! リプリー:船を吹っ飛ばすのよ。
265 :
名無シネマさん :2012/01/06(金) 18:42:49.06 ID:Zk+V5dB5
>>263 アッシュ:完璧なものを賞賛しないものがいようか。私が殺してやろう。知ってのとおり、私は人命を保護するようプログラム
されているからね。
このセリフ良いな。完成品でも削らないで欲しかった。
266 :
名無シネマさん :2012/01/07(土) 10:09:19.07 ID:QoIj52F9
ランバートはスパンスルの小さなカードを持ち上げる。自殺用ピルである。 ランバート:お邪魔でなければ、薬を持っていくわ。 リプリー:シャトルに乗って逃げて、それから船を吹っ飛ばすのよ。 エアロック−ナルキッソス号。リプリー、ランバート、そしてパーカーが酸素タンクをナルキッソス号に積み込んでいる。 リプリー:これで酸素は全部? パーカー:そうさ。 リプリー:さて。食糧を取って、エンジンをシャットアウトして…ジョーンズ。ジョーンズはどこ。 パーカー:知るかよ。 ランバート:私が最後に見たのは、食堂だったわ。 リプリー:行って見て。残しておきたくない。 ランバート:私は嫌よ。 パーカー:いつも面倒を掛ける猫だ。 リプリー:私が行くわ。あなた達は食糧を。 ブリッジ。ジョーンズはダラスのコンソールに寝そべっている。リプリーがやって来て、微笑む。 リプリー:ジョーンズ。お前、ついてるね。 リプリーが近づくと、ジョーンズはコンソールを飛び出して逃げる。 リプリー:カモン、ジョーンズ。 彼女は猫を追う。クーラント・ロッカーのコミュニケーターからパーカーとランバートの声が聞こえる。 ランバート:どれだけ食糧が必要だと思う? リプリーは猫を追う。
267 :
名無シネマさん :2012/01/07(土) 10:13:15.45 ID:QoIj52F9
いよいよクライマックスですが…「プロメテウス」のスレで教わったんで、次はウィリアム・ギブスンの ボツった「エイリアン3」脚本を行ってみるつもりです。面白そうですよ。
268 :
名無シネマさん :2012/01/07(土) 10:28:23.94 ID:QoIj52F9
6番食糧ロッカー−“B”レベル。パーカーとランバートが食糧を積み込んでいる。 パーカー:持てるだけ積むんだ。 ブリッジからリプリーの声。 リプリー:ガッデム、ジョーンズ。こっちへ来るのよ。 ブリッジ。リプリーは立腹しながらも優しく語り掛ける。 リプリー:ここよ、キティ…おいで、キティ… ジョーンズは逃げていく。 6番食糧ロッカー−“B”レベル。一杯に積み込んだパーカーとランバートはロッカーを出て行く。
269 :
名無シネマさん :2012/01/07(土) 11:09:54.63 ID:QoIj52F9
追跡装置にかすかな光が。2人は気付かない。 ブリッジ。リプリーはジョーンズを追い詰める。箱を見つけ、彼を入れようとするがジョーンズは抵抗する。 食糧ロッカー通路外側。パーカーは火炎放射器を拾い上げようとするがうまく行かず、食糧のパッケージを幾つか落とす。 パーカー:ガッデム。 ロッカーではランバートが食糧を集めている。 ランバート:どうしたの。 パーカー:何でもない。急いでくれ。 追跡装置の閃きが速度を増す。気が付いたパーカーは火炎放射器を拾い上げる。 パーカー:ここを出よう。 ランバート。今すぐ。 エアシャフトのベンチレーターからエイリアンが姿を現す。ランバートは振り向き、叫び声を上げる。腕を開き、彼女を 捕まえようとする。 ブリッジ。ランバートの叫び声を聞いてリプリーは凍りつく。 廊下外側。パーカーはロッカーを振り向く。ランバートに当たる恐れがあるため、火炎放射器は使えない。彼は一瞬 ためらうが、ロッカーへ踏み込む。火炎放射器を棍棒のように振り回す。 パーカー:ガッデム・ユー! 6番食糧ロッカー。エイリアンはランバートを落とす。パーカーは火炎放射器で殴りつける。効果はない。エイリアンは 彼を一撃する。即座にパーカーは死ぬ。エイリアンはランバートに迫る。 ブリッジ。リプリーはコミュニケーターで聞いている。ランバートの死の絶叫。そしてボイスアンプは沈黙する。 静寂。
270 :
名無シネマさん :2012/01/08(日) 09:45:49.15 ID:jmVB26Vy
リプリー:パーカー。ランバート。 彼女は返答を待つ。しかし何の期待もしていないのは明らかである。 長い間。 予想通りである。終わることのない悪夢。 “B”レベル−昇降階段。リプリーは火炎放射器を抱えて慎重に降りて行く。ジョーンズは喚いている。 廊下−“B”デッキ。リプリーは火炎放射器を持って油断せず移動していく。近くに食糧ロッカーへの入り口がある。覗き込む。 そこに見たのは大虐殺の跡だった。 油だらけの廊下−“C”デッキ。リプリーはエンジンルームへ駆けていく。息を切らして。疲れ切って止まり、空気を求めて喘ぐ。 突然、前方から人間のすすり泣く声が聞こえる。彼女はそっと歩いていき、泣き声の発生源が真下にある所まで来る。丸い金属 プレートの上に立っている。リプリーはそれを取り外し始める。 4番着陸装置メインテナンス・ルーム。丸い開口部からの光が暗いハシゴを照らしている。火炎放射器を持ってリプリーは降りて いく。真っ暗である。リプリーはデッキに着く。ライトを点ける。
271 :
名無シネマさん :2012/01/08(日) 12:56:29.14 ID:jmVB26Vy
エイリアンの層だった。骨。人肉の破片。布きれ。靴。壁の奇妙な出っ張り。暗闇の中で何かが動いている。天井から ぶら下がっているのは巨大な繭だった。細く白い、絹のような材質で編まれている。リプリーは火炎放射器を構えて 近づく。繭は半透明である。中にはダラスの体があった。突然ダラスの眼が開き、リプリーに焦点を合わせる。彼は 囁く。 ダラス:キル・ミー。 リプリー:あいつに何をされたの。 ダラスはわずかに頭を動かす。リプリーは明かりを向ける。天井からもう1つ繭がぶら下がっている。だが少し様子が 違う。小さく、黒っぽく、殻は固そうである。遺棄された船にあったものと同一である。 ダラス:あれはブレットだ… リプリー:出してあげるわ。オートドックを立ち上げて… 長い間。望みはない。 リプリー:私にできることは? ダラス:キル・ミー… リプリーはダラスを見つめる。火炎放射器を上げる。溶岩のような炎を浴びせかける。もう1度。部屋全体が炎に包まれる。 リプリーは背を向け、ハシゴを駆け上がっていく。 油だらけの廊下−“C”レベル。リプリーは急いで上がってくる。喘いで呼吸している。コントロールを取り戻す。
272 :
名無シネマさん :2012/01/08(日) 15:34:43.08 ID:jmVB26Vy
宇宙空間。光速。ノストロモと精錬所は動かず吊るされているように見える。星の群れが永遠の距離を過ぎ去っていく。 エンジンルーム小部屋。リプリーがパワーセンターへ入ってくる。巨大なライトプラス・エンジンを見る。メイン・ コントロール・ボードに近づく。次から次へとスイッチを切っていく。サイレンが鳴り始める。マザーが声を出す。 マザー:アテンション。ライトプラス・エンジンの冷却装置が故障。エンジンオーバーロードまで4分50秒… 油だらけの廊下−“C”レベル。リプリーは“B”デッキの昇降階段へ駆けていく。 “B”レベル−廊下。リプリーはナルキッソスへ向かおうとし、ジョーンズの事を思い出す。 “A”から“B”レベルへの昇降階段。ジョーンズが箱の中で泣き喚いている。リプリーは手を伸ばし箱を掴む。 “B”レベル−エアロックへの廊下。リプリーは火炎放射器を抱えてジョーンズを運んでいる。ジョーンズはシューッと 声を上げる。毛が逆立つ。リプリーは止まり、ナルキッソスへの階段を見下ろす。エイリアンがシャトルクラフトを 打ち据えているのが聞こえる。“B”レベルの昇降階段へジョーンズを置くと、リプリーはターンしてエンジンルームへ 飛んでいく。 油だらけの廊下への昇降階段−“E”レベル。リプリーは昇降階段を転げ降りる。金属的な足音が船に響く。エンジン ルームへ最後の全力疾走。
273 :
名無シネマさん :2012/01/08(日) 15:59:09.83 ID:jmVB26Vy
マザー:アテンション。エンジンオーバーロードまで3分20秒。 エンジンルーム小部屋。ドアが叩き開けられる。リプリーが転げ込んでくる。チェンバーには煙が充満している。エンジンは 危険な唸り声を上げている。ひどい暑さのため、リプリーは汗まみれになる。コントロールへ駆け寄る。冷却装置のスイッチを 入れ戻し始める。サイレンは鳴り続けている。 マザー:アテンション。エンジンオーバーロードまで3分。 リプリーはボタンを押し、話しかける。 リプリー:マザー。冷却装置は全部元に戻したわ! マザー:補正は手遅れです。コアはメルトダウンを開始しました。エンジンオーバーロードまで2分35秒。 リプリーはターンしてエンジンルームを走り出ていく。 油だらけの廊下−昇降階段。リプリーは駆け戻っていく。昇降階段を登る。疲れ切り、よろめきながら… マザー:アテンション。エンジンオーバーロードまで2分。 彼女は昇降階段へ着く。ジョーンズを拾い上げる。 “B”レベル−ナルキッソスへの廊下。リプリーはよろめきながらエアロックへ。その向うにナルキッソスが停泊している。 彼女はジョーンズを引き、火炎放射器を上げる。背後にクリーチャーがいないか確かめ、通路を下っていく。コンピューターが 追い立てる。 マザー:アテンション。エンジン爆発まで90秒。 彼女は入り口からシャトルを覗き込む。 ナルキッソス。リプリーは狭いデッキをスキャンする。何もない。 入り口。彼女はターンして駆け戻る。猫のボックスを掴む。シャトル内へ駆け戻る。 マザー:アテンション。エンジン爆発まで60秒。 ナルキッソス。リプリーが駆け込んでくる。猫のボックスを前へ放り投げ、コントロール・チェアに飛び込む。“発射” ボタンを叩く。
274 :
名無シネマさん :2012/01/08(日) 16:36:45.26 ID:jmVB26Vy
ノストロモ−宇宙空間。リテイナー・クリップが落ちる。ラムジェットがブラストする。マザーシップからシャトルが放たれる。 ナルキッソス。リプリーは半狂乱でシートベルトを締める。シャトルが加速し、Gフォースが彼女を押し付ける。 宇宙空間。ナルキッソスはマザーシップから離れていく。ノストロモの巨大な姿が静かに後退していく。 ナルキッソス。リプリーはベルトを締め終える。手を伸ばし、猫のボックスを掴む。猫は中で哀しげに鳴いている。リプリーは ボックスを胸に抱きかかえる。そして頭を下げ、体を丸める。 宇宙空間。ノストロモはシャトルの遥か彼方に漂い、離れ、ついには小さな光点になる。そしてブローアップする。 変身してオレンジ色の火球となり拡がる。4方へ飛び散る金属破片。次いで精錬所が爆発する。2億トンの燃料が音なく爆発し、 宇宙区間へ吹き飛ぶ。 ナルキッソス。衝撃波がシャトルを撃つ。中の物が全て揺さぶられ、音を立てる。そして静寂。リプリーはベルトを解く。 立ち上がり、シャトル後部へ。舷窓を通して外を見る。顔がオレンジ色に染まる。 宇宙空間。破片が漂い、遠ざかっていく。火球はフェードして無と化す。ノストロモは消滅したのだ。 ナルキッソス。船と友人の運命の最後を見ているリプリー。 長い間。 そして…彼女の背後の深い闇から死の手が現われる。エイリアンはずっとシャトルにいたのだ。猫が哀しげに鳴く。 リプリーは振り返る。そしてクリーチャーと直面している自分に気付く。リプリーの頭に最初に浮かんだのは火炎放射器だった。 だがそれはエイリアンの隣のデッキに落ちている。次いで彼女は隠れる場所を探す。プレッシャースーツを収納する小さな ロッカーが眼に入る。ドアは開いている。彼女はコンパートメントへとにじり寄り始める。クリーチャーは立っている。リプリー へとやってくる。リプリーは開いたドアへダイブする。中へ飛び込み、ドアを思い切り閉める。
275 :
名無シネマさん :2012/01/08(日) 22:14:30.20 ID:gd3U+k/a
異常にめんどくさい自爆装置の設定と解除のところは、 意外とあっさりしてるのねん・・・
276 :
名無シネマさん :2012/01/09(月) 10:01:37.90 ID:1dCThFAj
ロッカー。ドアの、透明なガラスパネル。エイリアンは頭をもたげ、窓からリプリーを見つめる。両者の顔は2インチしか 離れていない。興味深そうにリプリーを見るエイリアン。猫の鳴き声ががその注意を逸らす。 ナルキッソス。エイリアンは加圧された猫のボックスに近づく。上体を屈め、中を見る。箱を持ち上げられ、ジョーンズは 大きな泣き声を上げる。 ロッカー。リプリーはガラスをノックする。クリーチャーの注意を猫から逸らそうとする。エイリアンの顔は即座に窓の 方へ向く。だがすぐに猫のボックスに向き直る。リプリーは周りを見る。プレッシャースーツが。急いで着始める。 ナルキッソス。エイリアンは箱を持ち上げ、振ってみる。猫は呻いている。 ロッカー。リプリーはスーツを半分ほど身に着ける。 ナルキッソス。クリーチャーはボックスを投げつける。再度持ち上げ、ボックスを壁に叩きつける。そして隙間に押し込む。 箱を叩き開けようとする。猫はヒステリー状態である。 ロッカー。リプリーはヘルメットを着け、ラッチする。酸素バルブを捻る。スーツは酸素で充満する。壁のラックに長い 金属ロッドが置いてある。ゴムに覆われた先端を剥がすと、先端は鋭く尖っている。 スペーススーツ・ロッカー。リプリーは息を吸い込み…ドアを蹴り開ける。
277 :
名無シネマさん :2012/01/09(月) 10:20:55.97 ID:1dCThFAj
ナルキッソス。クリーチャーは立ち上がる。ロッカーを向く。胴体の真ん中をスチール。シャフトが貫く。エイリアンは スピアーを掴む。傷口から黄色い酸が流れ出し始める。酸が床へ落ちる前に…リプリーは手を伸ばし、スイッチを引く。 リアハッチがブローする。シャトル内の空気が即座に宇宙区間へ吸い出される。血を流すクリーチャーも吸い出される。 リプリーは吸い出されまいとストラットにしがみ付く。エイリアンはリプリーの足首を触手で掴む。 ナルキッソス船外。今やリプリーの半身はシャトルの外にある。エイリアンは彼女の足にしがみ付いている。もう片方の 足でクリーチャーを蹴る。 ナルキッソス。リプリーは眼で助けを求める。ハッチ・レベルを掴み、強く引く。ハッチは勢い良く閉まる。リプリーは 安全に船内に残る。 ナルキッソス船外。エイリアンは尻尾をハッチに押しつぶされ、真空のシャトル船外にいる。 ナルキッソス。ハッチの基部で酸が泡立ち始める。金属を侵食していく。リプリーはよろめきながらコントロールへ行き、 ラムジェットのレバーを押す。
278 :
名無シネマさん :2012/01/09(月) 12:21:40.82 ID:1dCThFAj
ナルキッソス船外−宇宙空間。クリーチャーはもがいている。船の後部のジェット排気口。エンジンが数秒間、炎を吐く。 そして閉じる。火葬となったエイリアンはのたうち回りながらゆっくりと離れていく。 ナルキッソス。リプリーはリアハッチへ急ぐ。ガラス越しに外を見る。 宇宙空間。焼け焦げたエイリアンの塊がゆっくりと漂っている。煙を上げ、もだえ苦しんでいる。のたうちながら遠ざかっていく。 破片が散らばる。その姿が膨れ上がり…そして破裂する。肉片があらゆる方向にばら撒かれる。そしてくすぶる破片が小さく なっていく。 ナルキッソス。再加圧が終わる。リプリーはコントロールチェアに腰掛けている。穏やかで、落ち着き、楽しそうですらある。 猫は彼女の膝の上でノドを鳴らしている。リプリーはレコーダーに口述を始める。 リプリー:あと5週間でフロンティアに到着する予定。運がよければネットワークが拾い上げてくれるかも…私はエレン・リプリー、 W564502460H、エクゼクティブ・オフィサー。商業宇宙船ノストロモの最後の生き残り。サイン・オフ。 さあ、おいで。 彼女はレコーダーを切る。宇宙空間をじっと見つめる。 宇宙空間。ナルキッソス号は帆走して遠ざかっていく。 フェイド・アウト。 THE END
279 :
名無シネマさん :2012/01/09(月) 12:26:35.80 ID:1dCThFAj
「エイリアン」脚本終了です。「スタービースト」の方が面白いと思うのは私だけでしょうか。 一休みして、次に行ってみます。暇だなあ俺も…
280 :
名無シネマさん :2012/01/09(月) 18:04:23.41 ID:+tl3Pen+
今回も乙でした! たしかにスタービーストの方が面白いですね。 アイデアも盛り沢山だし。 映画化する時は、いろいろ一般化せざるを得ないから、 仕方ないかも知れませんが。
281 :
名無シネマさん :2012/01/10(火) 10:03:18.24 ID:Mp7XEF3/
A L I E N V by William Gigson Revised first draft screenplay from a story by David Giller and Walter Hill
282 :
名無シネマさん :2012/01/10(火) 10:48:33.28 ID:Mp7XEF3/
フェイド・イン: 深宇宙−未来 無音のスターフィールド−接近する宇宙船の巨大な影で覆い隠される そびえ立つ金属の絶壁−スラコ号 スラコ−ハイパースリープ室 空のカプセルの列。凍りついた薄明。最後のカプセル4つは閉じている。 カプセル内部。ニュート、リプリー、次いでヒックス。彼の頭と胸には包帯が巻かれている。そしてビショップ。 彼はプラスチックの袋に入っている。ビショップのカプセルの蓋は温室の水蒸気で曇っている。 警報が鳴る。モニター上にデータがスクロールする。 トゥループ・トランスポート スラコ CNC846A/ベータ ミッション/LV-426/帰還 ステータス:レッド 条約違反 REF:#99AG558L5 理由:ナビゲーション・エラー
283 :
名無シネマさん :2012/01/10(火) 11:48:19.52 ID:Mp7XEF3/
船のコンピューター、物柔らかな女性の声。警報は鳴り続けている。 コンピューター:アテンション。ナビゲーション回路の機能不全のため、スラコ号はUPP(ユニオン・オブ・ プログレッシブ・ピープルズ)が権利を主張するセクターに入りました。補助システムは作動しません。コース修正の ハードウェア・プロトコールは差し止められました。外交上の優先権なく核弾頭の装備がなされないよう予防して下さい。 デクリプション・スタンダード・チャーリー・ナイン。現在のコース、U.P.Pセクター脱出まで900時間と53.8分。 スラコ号。船は滑っていく。AUPPの迎撃機が下降して見えてくる。進路と速度をスラコに合わせる。そして蜂のように、 スラコの上にとまる。 迎撃機。3人のコマンドがスペーススーツを着る。リーダーがデッキのハッチを開ける。スラコのエアロックが現われる。 最初のコマンドは若いベトナム人女性で、這い下りてエアロックにマグネットの装置を取り付ける。2番目のコマンドは モニターを調べ、キーボードにシークエンスを打ち込む。
284 :
名無シネマさん :2012/01/10(火) 14:42:29.68 ID:Mp7XEF3/
最初のコマンドがハッチからジェスチャーで示す:ノー・グッド。2番目のコマンドが再度トライする。大きな軋み音。 スラコのエアロックが開き始める。 スラコ−カーゴロック。暗闇。武装したコマンドが開口部からハシゴを降りてくる。デッキに着くと散開する。リーダーは ダメージを受けたドロップシップを調べる。最初のコマンドが切迫した様子のジェスチャー。何かを見つけたのだ。 ビショップの足は折れ、グロテスクによじれている。疲れきり、アンドロイドの白い血が凝固して粉になっている。最初と 2番目のコマンドがフェースプレートを通して視線を交わす。 コンピューター:アテンション。カーゴロック3に侵入者。セキュリティ・アラート。侵入者。Bデッキ… ハイパースリープ室。冷えびえとしたカプセルの通路。コマンドが銃を構えて下ってくる。彼らはニュート、リプリー、 そしてヒックスを覗き込む。ビショップのカプセルの蓋はパールホワイトに染まっている。リーダーはグリーンとレッドの インジケーターが光っているカプセル基部のコントロールを試してみる。何も起こらない。彼はパネルを開け、緊急レバー を見つけ、試してみる。グリーンのインジケーターが瞬いて消える。蓋が上がる。濃密で青白い霧が流れだし、カプセルの 縁からあふれ出て、灰色の、異星人の卵が姿を現す。
285 :
名無シネマさん :2012/01/10(火) 16:32:16.67 ID:Mp7XEF3/
卵はビショップの人工臓器の中心部に根を生やしている。卵は即座にフェイスハガーを射出し、フェイスハガーは酸を振り撒きながら リーダーのフェースプレートに衝突する。彼は叫び、酸で盲目となり、ヘルメットの中へ押し入ろうとする物体と取っ組み合う。その 尻尾は怒り狂って振り回される。リーダーはクリーチャーを掴み、盲目となって後ろ向きに通路へ倒れこみ、転び、空のカプセルを 叩き壊す。彼は入り口から姿を消す。叫び声が道を示す。最初のコマンドが後を追う。 カーゴロック。メイン・カーゴロック横のデッキでリーダーはもだえ苦しんでいる。最初のコマンドが飛び込んできてリーダーの脇に 屈み、両手で慎重に銃の狙いを付け、リーダーを傷つけずにフェイスハガーを殺そうとする。彼女は銃を撃つ。フェイスハガーは酸の しずくと共に破裂する。ヘルメットの側面をボロボロの穴が貫いている。コマンドは焦ってロック・コントロールを操作する。 インナーロックが開き、彼女はリーダーをつま先で押し出す。 スラコ船外。ヘルメットと頭部を失い、血と酸の雲を後に引きながらリーダーの体がのたうち、宇宙空間を遠ざかっていく。 カーゴロック。フェイスプレートを通して、ファースト・コマンドの眼。彼女の背後で何かが動く。彼女はさっと振り向き、銃を 構える。部屋の入り口、黒い、多数の武器を装備した人影。ライトに浮かび上がったのは−ビショップを腕に抱えたセカンド・コマンド だった。 ディゾルブして、 深宇宙。ステーション。小さな月ほどもあり、いまだ成長しつつある。外殻の未完成のセクションが真空に口を開けている。巨大で不整 な構造。継続管理下で目標が変化するためである。何百もの窓、殆どは真っ暗である。窓の1つに明かりが灯る。
286 :
名無シネマさん :2012/01/11(水) 11:18:40.39 ID:Q2pRGO6H
アンカーポイント−タリーの寝室。電話が鳴る。部屋はひどく汚れている。ハイテクのハムスターの巣のようである。部屋の 大きさは列車の段ベッドほどである。壁はポスターや、広告や、雑誌から破かれたビーチ、砂漠、グランドキャニオン、セコイア 青い空の写真等の物欲しげなコラージュで埋め尽くされている…閉所恐怖症と無限の宇宙に対する防衛策。 タリーはベッドに起き上がる。明かりにたじろぎ、眠気を振り払う。フォン・コンソールを平手で叩くと、、ジャクソン作戦 士官(女性)の不機嫌な顔が現われる。ナイロンの野球帽をかぶっている。帽子のひさしにはコンピューター・ライト・ペンが 付いている。 ジャクソン:おはよう、タリー。 タリー:朝だって?ジーザス。ジャクソン、休み時間の真っ最中だろ… コンソール・スクリーンのクローズアップ。ジャクソンの背後の部屋はアンカーポイントの中枢部、オプ・ルームである。 ジャクソン:ここの所、オプ・ルームでは誰も休み時間なんか見たこともないんだ、タリー。16時間前、海兵隊の運搬船が 自動操縦でセクターに入ってきた。 彼女は頭を動かし、スクリーン上のカーソルを帽子のペンで動かす。 ジャクソン:船名はスラコ号。4年前、15名の乗組員とゲイトウェイを出発。海兵隊12名、アンドロイド1名、会社代表1名、それに 商業船の元兵曹長… タリー:それで? ジャクソン:それで、バイオ・リードアウトが示したのは兵曹長、海兵隊1名、それに9歳の少女。何が起こったのか、不思議に 思うでしょ。思わない? 違う?
287 :
名無シネマさん :2012/01/11(水) 14:39:15.69 ID:Q2pRGO6H
タリー:ならそいつらに訊けよ。そいつらを起こして。俺じゃなく。 ジャクソン:グッドニュースよ、タリー。スラコが現われる3時間前、ゲイトウェイからのプライオリティ・シャトルと ドッキングしたの。乗員2名、武器ディビジョンよ、タリー。 タリー:バッドニュースだろ? ジャクソン:船を入れて欲しいと言うので、用心のためフルにバイオハザードを掛けてるの。バイオラボ・テックは甲板 チームを優先したの。タリー、あなたよ。 スクリーンは消える。 タリー:(心から)クソッタレ。 彼は衣服を探して寝袋をいじくり回し…スペンスを起こしてしまう。彼は若い技師で、眠そうに起き上がり、寝袋を 胸に抱える。 スペンス:何?どうした? タリー:軍産複合体に電話さ。俺のケツにもな。俺を引っ張り出そうってのさ…
288 :
名無シネマさん :2012/01/11(水) 17:04:57.20 ID:Q2pRGO6H
廊下。疲れ、いらつき、タリーは着古された革のフライト・ジャケットをまといながら部屋を飛び出る。その袖は様々な製品の 刺繍されたロゴパッチで埋まっている。彼の写真、名前、仕事の内容説明、そして番号がドアに透明な膜でスロットされている: タリー、チャールズ・A、テック−5、組織培養ラボ。ディゾルブして、 アンカーポイント−ドライドック。灰色の、鋼鉄の広場。幾つかのキャリア・デッキ。サービス・ビークルが重々しく動いていく。 タワーの上、むき出しの足場の上に待っている20人の人影。甲板チームである。スペーススーツは白い医療用のもので、その上に ディスポーザブルの、バイオハザード用の透明なプラスチック・フィルムをまとっている。幾人かは植民地海兵隊員で、パルス・ ライフルや火炎放射器で武装している。他は科学者や技師で、記録装置やサンプリング装置を運んでいる。ヘルメットラジオの彼ら の声は空電で荒れている。頭上でガチャン、ドーンという音がする。 士官:甲板チーム、圧低下に備えよ。船が入る。 突然デッキを風が押し寄せ、そして止む。頭上の怪物のようなハンガー・ドアがゆっくり開き、低音が轟く。星々の姿が見えて くる。スラコが降りてくる。暗い外殻が星々を覆い隠していく。 士官:補助カーゴロックへのエントリーチーム。 移動クレーンがブームを延ばし、音を立ててスラコに向かう。
289 :
名無シネマさん :2012/01/11(水) 20:13:15.99 ID:YWZXQIV+
ちょ・・・映画版と全然違うんだね? あまりにも違い過ぎて何が何やら・・・という感じも 無きにしも非ず
290 :
名無シネマさん :2012/01/12(木) 10:20:32.06 ID:4j1qy/0h
暗闇の中、ため息のような音を立ててロックが開く。空電の唸り。よく聞こえない無線のやり取り。ドロップシップ の上に半ダースのライトがきらめく。タリーが入ってくる。周りを見る。フェースプレート越しの眼は広く見開かれている。 横にはパルスライフルを持った海兵隊員がおり…明らかに戦闘におびえた様子である。 タリー:ライトを。ライトなしでどうやって? 海兵隊員:ヘイ、マン… 彼はライトで隔壁の黒い傷跡を照らし出す。 海兵隊員:あれを見ろ。lここで何かの戦闘が… タリー:戦闘? 海兵隊員:マン、ここで何があったと? タリー:深宇宙で人類のニュー・ホームをでっち上げてたのさ。 海兵隊員にはウケなかった。タリーは計器を持ち上げる。吸引する音がする。 タリー:空気のサンプルを採取してるんだ。 海兵隊員:じゃ、やれよ。 彼は去っていく。 タリー:勿論。 だが1人ぼっちにはなりたくない。海兵隊員の後を急ぐ。
291 :
名無シネマさん :2012/01/12(木) 11:16:30.18 ID:4j1qy/0h
士官:タリー技師、ハイパースリープ室へ。空気サンプルを… 海兵隊員:お前さんのことらしいぜ。 タリー:イヤー。 海兵隊員:あいつを待たせるなよ。 ハイパースリープ室入り口。海兵隊士官は追跡装置を持ち上げる。前の映画でおなじみの、小さな動きをセンサーする 装置である。彼の脇にはもう2人の海兵隊員が付いている。士官は追跡装置を揚げ、ドアの表面をスキャンする。装置の 表示はゼロ。 士官:ここで1つサンプルを。 タリーのデバイスから吸引音。 士官:中でもう1つ。パッチしたか? 2番目の海兵隊員:イエス、サー。ここです。 士官はボタンを押す。ドアは滑って開く。輝く白さ。通路は無人である。カプセルの列。海兵隊が最初にドアを通る。 銃を構え、ゆっくり、慎重に。タリーが続く。計器を持ち上げ、サンプルを採る。 ハイパースリープ室。他の海兵隊員2人がタリーを追い越す。ブーツの足音。タリーは何をすべきか分からない。サンプラー を下げ、ためらっている。最初の海兵隊員はニュートのカプセルに近づき、ライフルを下げる。
292 :
名無シネマさん :2012/01/12(木) 19:01:04.51 ID:dIy/WvLa
海兵隊員:(何かに驚き、優しい声で)ここにいたんだ… 見えない何かに持ち上げられ、8インチの、カミソリのように鋭い、鋸状の尻尾が彼のスーツの背中を貫く。 エイリアンはスティンガーを引き抜く。体が引き裂ける、いやな音がする。透明なバイオハザード用フィルムに 血が充満する。2番目のエイリアンのスティンガーが後2人の海兵隊員の首の周りで振り回される。エイリアンは 天井に張り付いている。タリーの海兵隊員はリプリーのカプセルの基部に倒れている。その腕はコントロールを 覆っている。グリーンのインジケーター・ライトが消える。最初のエイリアンが視野に入ってくる。顎のクローズ アップ。リプリーの目がパチッと開く。ビーストは彼女の棺桶に馬乗りになる。終末の悪夢。 リプリー:ノーーーーーーーーーーーーー! 彼女の手はプラスチック・キャノピーの滑らかなカーブを半狂乱でかきむしる。残った海兵隊員は恐怖とアドレナリンで 発狂し、火炎放射器を解き放つ。最初のエイリアンとリプリーのカプセルはナパームの火球に消える。海兵隊員はスピンし、 支離滅裂な叫び声を上げる。液状の炎が2番目のエイリアンに浴びせかけられる。獲物を落とし、燃えながらデッキに落ちる。 部屋は地獄と化した。リプリーのカプセルはたわみ、溶けていく。
293 :
名無シネマさん :2012/01/12(木) 19:46:35.75 ID:3lcE4qyY
ディゾルブして、 まばゆいランプの下、焼け焦げたハイパースリープ・カプセルが運ばれていく。待機しているクライシス・チームが バイオモニターのリード、酸素サプライ・ラインをカプセルのソケットに差し込む。携帯式電気ノコギリを持った 技師が焼けてヒビの入ったキャノピーを切り離し始める。手術用手袋をはめた手がキャノピーを持ち上げる。 リプリーは横たわり、胎児のようにちぢこまっている。 アンカーポイント−メドラボ隔離室。小さな白い部屋。医療器具に囲まれた白いベッド。下着姿のヒックスがベッドの 縁で背中を丸めている。イライラしながら煙草を吸っている。頭と肩の包帯は交換されている。スペンスが入ってくる。
294 :
名無シネマさん :2012/01/12(木) 20:09:45.28 ID:3lcE4qyY
訂正。スペンスは女性でした。 スペンスはカバーオールの上にバイオハザード用フィルムを羽織っている。バブル・ゴーグルと透明なフィルター・ マスク。 スペンス:(静かに)ここは禁煙なの。知ってる? ヒックス:イエス、マーム。 彼は煙草をふかす。 スペンス:私はスペンス。医療従事者じゃない。組織培養ラボから来たの。サンプルが必要でね。 彼女は白い小さな箱を開け、かすかに光るシリンダーを取り出す。 スペンス:ああ、親指をここへ入れて。 ヒックスは厳しい目を向け、親指を入れる。彼女はボタンに触れる−パチン!−彼は縮み上がり、悲しげに親指を 見る。 スペンス:御免ね。あなたが最後の1人なの… ヒックス:(彼女の手首を握り)他の皆は。リプリー、ニュート…大丈夫なのか? スペンス:ニュート?誰? ヒックス:子供だよ。 スペンス:レベッカね。レベッカは元気よ。 ヒックス:リプリーは? スペンス:(ためらいながら)リプリーは元気だわ、ヒックス。 ヒックス:ビショップ。ビショップはどこだ? スペンス:(当惑して)ビショップ? ヒックス:アンドロイドだ。
295 :
名無シネマさん :2012/01/12(木) 20:58:01.20 ID:ak+CLEvA
スペンス:(慎重に、頭の中を見透かされないよう気をつけて)いたのはあなた達3人よ。3人って聞いてるわ。とにかく 今は眠ったほうがいいわ。ナースを呼ぶ? ヒックス:(状態を前へ曲げ、手は依然スペンスの手首を握っている)何故俺に報告がない?高官はどこだ? スペンス:私が知ってるのは、あなたの船が来てから、私達はほとんど寝てないって事だけよ、兵隊さん。 廊下からガチャンという音。不機嫌な唸り声。ニュートが急いで入ってくる。病院のガウンを着ている。大柄な当番兵 が右手を握って入ってきて、ニニュートはコーナーへ後ずさりする。当番兵もスペンス同様、バイオハザード・ギアを 身に着けている。 当番兵:ガッデム!この子、俺を噛みやがった! 彼はニュートに迫る。ヒックスは弾かれたようにベッドから飛び出す。手は一撃喰らわせようと構えられている。 当番兵は後退する。 ニュート:(ヒステリックに)リプリーは?リプリーはどこ? ヒックス:この子がお前に訊いてるんだぞ。 当番兵:落ち着いてください、伍長。 ニュート:リプリーはどこ? ヒックス:じゃ、今度は俺が訊こう… スペンスが反射的にマスクを外す。非常に人間的なジェスチャー。ゆっくりニュートに向かい、手を広げる。 スペンス:レベッカ…ニュート。ハニー、OK。リプリーは大丈夫。いらっしゃい、連れて行ってあげる。リプリーを 見せてあげる… 当番兵:スペンス、それは駄目だ。 彼は3人を止めようとするが、ヒックスは落ち着いて歩を進める。
296 :
名無シネマさん :2012/01/13(金) 09:28:05.59 ID:G8AKKCmU
メドラボ−別の部屋。 昏睡状態のリプリーが横たわっている。白いコンソールにモニターされている。彼女の前額部に小さな電極が半ダース 貼り付けられている。ニュートは無表情にベッドサイドへ歩み寄る。ヒックスとスペンスは見ている。 スペンス:リプリーは眠っているのよ。(ヒックスと視線を交わし)人はときどき眠らなくてはならないの…何かを 乗り越えるために… ニュートはリプリーの脳波が映し出されているモニターを見上げる。脳波は山と谷を描いてピクピク流れている。 ニュート:リプリーは夢を見てるの? スペンス:分からないわ、ハニー。 ニュート:見てなければいいのに。
297 :
名無シネマさん :2012/01/13(金) 11:06:03.14 ID:G8AKKCmU
ロジーナ、UPPステーション。アンカーポイントより小規模。 ロジーナ−サイバネティック・ラボ。ビショップのクローズアップ。彼はまっすぐ前を見ている。口角が機械的に痙攣している。 ビショップの胴体は大きな四角いプラットフォームの中心に乗せられている。破壊された胸郭からチューブやワイヤーが這い出ている。 壁にはモニターのスクリーンやプリンターが並んでいる。アンドロイドから情報が高速で吸い取られていく。プリントアウト−測定値、 グラフ、公式。軍医のスースロフ大佐がベトナム人コマンドの横にいる。彼女のスリーブレスの作業着から連隊のタトゥーが見えている: イン・ヤン、袖章、スーパーマーケットのバーコードのようなIDマーカー。2人は、大きなモニターにフェイスハガーの解剖図が グラフィック・プログラムで描かれるのを見ている。彼女は短く何か言い、そしてベトナム語で強く繰り返す:イエス。 スースロフ:そしてこれは? 彼はキーパッドを叩き、フェイスハガーは消える。スクリーンにはエイリアンの前面および側面投影図が描かれ始める。 ファースト・コマンド:(眼は恐怖と魅惑でスクリーンに釘付けである)ノー… 安置台の上ではビショップの口角が依然ロボットのように痙攣を続けている。 スラコ−カーゴロック。バイオハザード・ギアを纏った2人の技師がビショップの足の両サイドにしゃがんでいる。小さな3脚の上に 電子顕微鏡がセットアップされている。
298 :
名無シネマさん :2012/01/13(金) 15:23:52.44 ID:G8AKKCmU
小さなモニターのディスプレイに皮膚と、幾つかの黒い球の拡大像が映っている。1人の技師が超微細プローブを無菌パッケージ から抜き出し、上体を乗り出す。 プローブを持った技師:テープを取ってるか、ミラー? モニターの中、プローブの先端が震え、球をこする。2番目の技師が受け取り、プラスチックのチューブに入れ、小さな金属缶に 密封する。そして側面に#17とグリースペンで描き込む。 2番目の技師:アンドロイドはいつから病気に? プローブを持った技師:分からん。この哀れな野郎に何かが取り付いたのは確からしいがな… ロゼッティのオフィス部屋。植民地海兵隊のロゼッティ大佐はアンカーポイントの軍事作戦のヘッドである。そのオフィスは 最高の未来的ペンタゴン・スタイルの家具が備えられている:イミテーションのローズウッド、艦隊記章の刻板、エイリアン2 のドロップシップのデスクトップ・モデル。ロゼッティはモニターから眼を上げ、入ってきた秘書を見る。若い女性で、海兵隊 のユニフォームのセミ・ドレスを着ている。 秘書:(硬くて赤いプラスチックの封筒を手渡し)ウェルズとフォックスです、大佐。軍事科学。武器ディビジョン。 ロゼッティは封筒を、あからさまに嫌そうな様子でじろじろ見て、開く前にサインを殴り書きし、文書を抜き取って封筒を 戻す。 ロゼッティ:入れろ。 秘書は出て行く。
299 :
名無シネマさん :2012/01/14(土) 10:37:55.48 ID:DrhCd3UA
2枚のマイクロフィッシュ・カード。フォックスとウェルズのフロント・ビュー、サイド・ビューが載っている。その他に 網膜のIDイメージ、縮小された指紋など。“軍事科学、武器ディビジョン”のスタンプ。 フォックス:ケビン・フォックス、大佐。 日焼けして逞しく、微笑むと最新のエナメル質接着術が開陳される。すぐ後ろにウェルズ。 ウェルズ:スーザン・ウェルズ。
300 :
名無シネマさん :2012/01/14(土) 17:11:35.24 ID:DrhCd3UA
共に同じ温泉地ファッション、高価なカジュアルウェア。 ロゼッティ:(単調に、敬礼もせず)ウェルカム、アンカーポイントへ。 フォックスとウェルズは勧められる前に腰掛ける。 フォックス:驚きました、大佐。スーザンも私も、全くの話。 ウェルズ:ビデオでは規模がわからなかったでしょう? フォックス:でも我々はとりわけ貴方の、事態の処理に驚かされましたよ、これまでの所。 貴方の御協力に驚きました… ロゼッティ:(敵意を抑えてカードをデスクトップに弾き飛ばし)“命令に従った”のです。 ウェルズ:イエス。誰にだってできたのなら単純な事ですわ。違います?特に甲板チームの文民メンバーなら。私は 潜在的な問題があるのではないかとかんがえています… フォックス:我々は精神面のプロファイルを調べてきました、大佐。アンカーポイントというプロジェクトは… 空想家を引き付けるようですな。 ロゼッティ:(少し笑って)自由主義者でしょ。 ウェルズ:言わせて頂きますが、軍事科学に対する明らかな反感がある事に、我々は気付いています、大佐。武器ディビジョン の目的に対するシンパシーが欠落しています… ロゼッティ:アンカーポイントは植民地管理局の統制下にあるのであって、軍事作戦とは違う。
301 :
名無シネマさん :2012/01/16(月) 14:43:26.96 ID:EAkd/+ti
ロゼッティ:もし軍事作戦だったら、我々は戦略的武器削減条約に違反している事になる。 フォックス:お説はご立派です。ですが、我々はスラコに搭乗していた文民たちを確保したいのです、きっちりとね。 ウェルズ:まずは取り分の没収です。皆が言います、彼らは取り分を失うと。我々は分かってます。大抵の場合、これが効くん ですよ。 フォックス:(プリントアウトの束をアタッチから執りながら)スラコのデータベースは途上での搭乗作戦である事を示しています、 大佐。 ロゼッティ:搭乗作戦?何故私に通知がない? ウェルズ:我々が通知しているんです。アンドロイドを見失ったようですな、大佐。ビショップはUPPの手に落ちた…
302 :
名無シネマさん :2012/01/16(月) 15:25:35.84 ID:EAkd/+ti
アンカーポイント−盗聴防止室。海兵隊員がヒックスを大きながらんとした部屋へ案内する。ヒックスは礼服を着ている。 鏡の球体、バブルで占められている。 海兵隊員:こちらです、伍長。 海兵隊員はヒックスを通路へ先導する。ヒックスはバブルへ入る。海兵隊員が背後でドアを閉める。 バブルの中。アンカーポイントの管理職3人(ロゼッティ、トレント、シューマン)がテーブルの周りに座っている。そして フォックスとウェルズが同席している。ヒックスは気をつけの姿勢を執り、敬礼する。 ロゼッティ:楽にしてくれ、ヒックス。座りたまえ。私はロゼッティ、ステーションの武官だ。右から、トレント、宇宙生物学。 シューマン、外交官。君の右が… フォックス:ケビン・フォックスだ、ヒックス。こちらはスーザン・ウェルズ、我々はカンパニーの者だ。ミッションの成功を 祝いたい。 ヒックス:成功ですって?私は隊を失いました… ウェルズ:でも貴方は生還した、伍長。それにコロニー唯一の生存者を救助した… ロゼッティ:(プリントアウトの束をつまみ上げ)我々は全員、君の報告の写しを読んだ。ヒックス… ヒックス:ビショップはどこですか?サー。 ロゼッティ:(瞬きして)君が迷惑でなければ、その事は… トレント:報告を読んだよ。ヒックス、エイリアンのライフサイクルに関して、もう話すべき事はないのかね?ディテールだよ、 ヒックス。ディテールが重要だ。
303 :
名無シネマさん :2012/01/16(月) 16:17:23.41 ID:EAkd/+ti
ロゼッティ:トレント、サブジェクトは機密扱いだ。その前にヒックス伍長のセキュリティ・レーティングを上げる必要がある… ヒックス:(ロゼッティを無視し、トレントに話しかける)私の知っていることは全て話しました。 ロゼッティ:ヒック… フォックス:伍長に発言権を、大佐。何と言っても彼は戦闘中にこのクリーチャーを見ているのですから。 ロゼッティ:サブジェクトを最高機密扱いにするよう命令したのは貴方ですぞ、フォックス。 トレント:ヒックス伍長が、語った以上の事を知っているとは私は思いません、残念ながら。ですがアンドロイドのビショップは 科学的な観測を目的にデザインされています。ハイパーダイン、モデルA/5。歩くデータバンクです。 ウェルズ:ヒックス伍長の質問は正しい。 ロゼッティ:(堅苦しく)君の質問への答えはだな、ヒックス、我々にも確かな事は分かっていないんだ。 ウェルズ:(皮肉に)でも推測はできる。違いますか、大佐。 ヒックス:(ウェルズに)どこに? フォックス:ロジーナ・ステーションだ。 ヒックス:UPP?一体UPPが何を? ロゼッティ:スラコのナビゲーションシステムが故障したんだ。君たちは紛争中のテリトリーに85分以上も入り込んだのだ、 ヒックス。UPPはこの違反に通常通りに応じた。これまでの所、抗議はない。何も。
304 :
名無シネマさん :2012/01/16(月) 20:03:41.47 ID:hJkBunTx
ロゼッティ:(躊躇して)スラコのコンピューターは搭乗作戦である事を示している。 フォックス:“示している” シューマン:外交用語で言えばだ、ヒックス、もし彼らがスラコの事件を敵対行動とみなしたいと考え、そして 彼らはそうするだろうと私が保証したとすれば…やがて彼らは現ラウンドの武器削減会談で我々のポジションを 不利なものとする事ができる。我々が話し合っているのはシリアスな派生効果の事だ。地球とのコミュニケーション にやり取りのタイム・ラグがある。どちらにも1週間のラグがね。だから政策の説明を待つのに2週間見ているんだ。 我々は大変な問題を抱え込んでいるんだよ。 ウェルズ:政策書類を持って来ました、シューマン。貴方は見ましたよね。我々はそれを実施する為に来たのです。
305 :
名無シネマさん :2012/01/16(月) 20:33:23.36 ID:QHmu1782
ロゼッティ:そしてあなた達はUPPの問題の情報を入手せよと。 フォックス:我々は任務を果たすために来たのです、大佐。 シューマン:この場合、“任務を果たす”事が、核戦争を早める可能性を意味するのは明らかでは… ロゼッティ:(素早く割り込む:サブジェクトはデリケート過ぎるのだ)伍長にもう質問はないのか? ない?この場合、ヒックスは… ヒックス:サー。 ヒックスは起立し、敬礼する。
306 :
名無シネマさん :2012/01/17(火) 06:54:00.47 ID:XNOUEJ2i
アンカーポイント−R&Rゾーン“ザ・モール” タリーはやつれ、疲れきっている。トレードマークのジャケットを着ている。モールはハイアットの中庭と 空港のショッピング・コンコースの間にあり、店、草木、ファーストフードのアウトレット、バーなどがある。 彼はエレベーターのドアらしい場所に到着する。ドアは小さな地下鉄に通じている。タリーは中に入り、ドアが 閉じる。 組織培養ラボ。スペンスが培養に取り掛かっている。彼女の腕は透明なプラスチックタンクの丸い開口部の横に 乗せられている。手には白い手袋。彼女はタリーが入ってくるのを見上げる。 タリー:ヘイ。 スペンス:ひどい様子ね。(手を引っ込め、手袋を外し)何があったの、タリー?セキュリティーに1時的な不調が あったみたいで… タリー:イヤー。俺もその中に…何も話せないんだ。新しい書類にサインしなくちゃならない。皆に言ってくれ、 俺は取り分を失ったと。取り分全部だぜ、え? スペンス:からかってるの、タリー? タリー:ならいいんだがな…
307 :
名無シネマさん :2012/01/17(火) 09:39:27.83 ID:pd2geYs7
スペンスはベンチへ行き、白いワイヤー・バスケットから何かを取り出す。 スペンス:これ、全部、貴方に。マニピュレーターを使えって。 彼女は白いプリントアウトのシートで包まれ、ゴムバンドで留められた何かを手渡す。タリーはバンドを外し、包み紙を ほどく。缶である。ナンバー17. スペンス:船で何が起きたの、タリー?3人のバイオプシーは?溜まった検死データは?何故極秘扱いに?何が進行してるの?
308 :
名無シネマさん :2012/01/17(火) 10:16:26.16 ID:pd2geYs7
スペンス:今日ここで、まるでこの場所を購入したみたいに幽霊が2つ、ゲイトウェイから出てきたのよ… タリー:(神経質にラボを見渡し)OK、OK…だが後で。OK?ここじゃ駄目だ… ディゾルブして、 組織培養ラボ。頑丈な長方形のタンク。厚いガラスを通して、タリーがハイテクのサーボ・マニピュレーターを 操作しているのが煮える。手袋の手首部分からケーブルが延び、タンクの表面に繋がっている。タリーは手を動かし、 テストしている。タンク内のスチールの骨組みが手の動きを真似て動く。彼は缶を開ける。タンク内には電子顕微鏡 が置かれている。窓のすぐ上にモニターがある。彼はプローブの先端を顕微鏡の下へ持っていく。 タリー:スペンス…これは何だ?これをどこから? スペンスはコーヒーカップを持って彼の背後をぶらついている。耳にペンが挟まれている。
309 :
名無シネマさん :2012/01/17(火) 15:25:42.70 ID:pd2geYs7
スペンス:カモン、チャーリー。スペックシートを読んでないの? プローブの先端が光る透かし細工の鞘に入る。タリーはラップボードを叩き、倍率を20倍に上げる。 モニターのクローズアップ。スクリーンは奇怪な景色に満たされる。そのラインや生地は“エイリアン”の遺棄船を思い起こさせる ものだった。 ディゾルブして、 エコ・モジュール、実験ポケット地区エデン。半エーカーの巧妙に汚されたコンクリートのディズニーランド。青々とした 熱帯雨林。日光でまだらに染まった小さな牧草地。アフリカサボテンの畑。ニュートは草地にしゃがんで小動物へ手を伸ばす。 キツネザルである。ヒックスが傍に立っている。 ニュート:ここに来た事ある、ヒックス?アフリカに? ヒックス:モロッコに4週間。でも山岳地帯だった。こことは違うよ。 キツネザルはヒックスの声に驚いて走り去る。ニュートはキツネザルが急いで木に登るのを見ている。 ニュート:私もあそこへ行きたい…
310 :
名無シネマさん :2012/01/18(水) 10:28:44.93 ID:lNWn4/Kc
ヒックス:ノー・プロブレム。スラコでゲイトウェイへ行き、シャトルを捕まえて降りればオレゴンだ。そこから水溜りを飛び越えれば アフリカさ。 スペンス白いワイヤートレイに、サンプルの入ったプラスチックボトルを載せて、小さなジャングルから出てくる。 ニュート:私、覚えてないの… スペンス:お爺ちゃん、お婆ちゃんを? ニュートは頷く。 スペンス:お爺ちゃんたちは覚えてるわよ、きっと。 ニュート:でも、リプリーが眼を覚まして、私がここにいなかったら?待ってちゃ駄目? ヒックス:ヘイ、ニュートは分かってるさ。この2ヶ月、ゲイトウェイへ戻る船はスラコだけだ。マップを渡してあげな、どこへ 行くのか… スペンスはヒックスに歯を見せて笑う。 ニュートの寮。ニュートは折りたたみのデスクで、詳細な多色のスターマップをフェルトペンで描いている。点線がアンカーポイントから オレゴンのポートランドへとジグザグに延びている。彼女は注意深く新しい住所を書く。 ニュート・ジョーデン Mr&Mrs リチャード・ジョーデン 34877 グリーンリーフ・アベニュー#582 ニュー・ポートランド、オレゴン AB994J2
311 :
名無シネマさん :2012/01/18(水) 11:29:47.82 ID:lNWn4/Kc
血の気がなく、昏睡状態のリプリー。ヒックスはぎこちなく入り口で待っている。ニュートのナップザックをぶら下げている。 ニュートが入ってきて完成したスターマップを壁にテープで留める。リプリーが目覚めた時、最初に見る物となるだろう。 ベッドの横のニュートは友達を見下ろす。 ニュート:リプリー?リプリー、ニュートよ。私…私、行かなきゃならないの。お爺ちゃん達と暮らす事になったの、オレゴンで。 ヒックスが、いい所だよって…。地図よ、リプリー。来る時のために。来て私と暮らせるよね、OK?きっとよ、OK? ニュートの頬に涙が流れる。ヒックスは手を彼女の肩に置く。2人は部屋を出て行く。 発着ベイ。パワーローダーやロボットビークルのざわめき。ニュートとヒックスは狭い廊下の入り口に近づいていく。 標識:発着ベイ−ここから先、乗員専用。 ヒックス:君のことだね。 ニュート:うん。 ヒックス:グッドラック・イン・オレゴン。 彼は赤いナップザックを持ち上げる。ニュートはそのストラップを肩に掛ける。 ニュート:ヒックス… ヒックス:イヤー? ニュートはヒックスを見る。少し笑顔を見せ、サムアップ・サインを示す。
312 :
名無シネマさん :2012/01/18(水) 15:02:58.40 ID:lNWn4/Kc
ヒックスもサインを返す。 ニュートはターンして狭い搭乗通路を上がっていく。小さな人影は遠ざかっていく。鮮やかなナップザックの点。彼女は 振り返って手を振る。彼も手を振り返す。ニュートは行ってしまった。 アンカーポイント。スラコはベイを離れ加速を始め、星々の中へ小さくなっていく。 ディゾルブして、 ロジーナ−会議室。狭い空間の狭く長いテーブルの上、タバコの煙が漂っている。折りたたみ式の椅子に沿って上級 テクノクラートが詰め込まれている。上座にいるのは軍医のスースロフ大佐である。 ブラウン:(ロジーナの研究開発部門のチーフ)明らかに、大佐、彼らのミッションの目的はこの生命体の標本を入手する 事です。アンドロイドが標本を1つ解剖しました。幼虫になる前の形態…レンコを殺した奴です。 士官:そして、このクリーチャーには、潜在的に、軍事的重要性があると? ブラウン:イエス。アンドロイドの衣服や皮膚から収容されたエイリアンの胞子をクローニングする事が可能ならば… スースロフ:その目標はこれら“マシーン”をプログラムして、兵器として用いる事だと? ブラウン:その成体は、大佐、恐ろしく強い“キリング・マシーン”である事は明らかです。素晴らしく精巧で、知性が 存在する証拠はない。純粋に本能的なのです。
313 :
名無シネマさん :2012/01/19(木) 10:58:42.95 ID:inc35B23
情報士官:会社のインフラにある情報源は、ウェイランド・ユタニの武器ディビジョンに特別なプロジェクトがある事に気付いた。 しかし我々はセキュリティに阻まれていた… スースロフ:情報士官は、その特別なプロジェクトがエイリアンに関するものだと言いたいのだな? 外交士官:思い出して欲頂きたい、大佐。我々がエイリアンの遺伝子材料の実験をするのは、戦略的武器削減条約における生物学的 戦争の制限にそむく用意ができた時のみなのです… ブラウン:外交士官、ウェイランド・ユタニにその用意があったのは明白です。相も変わらず、我々のテクノロジーのレベルは 資本主義者どものカルテルに遅れを取っている…しかし今、偶然に… 軍将校:偶然だと?我々人民のコマンド部隊の勇敢で不断のイニシアティブは証明済みだ… ブラウン:どういたしまして、少佐。彼らの勇気に疑問はありません。しかし、考えてみてください。我々は有望な武器を所有 しています−全く新しいテクノロジーの。明らかにウェイランド・ユタニが開発しようと意図していたものです。彼らが占めようと 考えていた位置に、我々は、今います。有利でありたいと考えるならばですが。 スースロフ:同意する。続行あるのみだ。
314 :
名無シネマさん :2012/01/20(金) 10:45:14.10 ID:yvR0uMJ3
外交士官:公式に申し上げるが、アンドロイドはアンカーポイントへ帰すべきです。我が技師達はあれを修理できますか? ブラウン:修理ですって?何故? 外交士官:ジェスチャーの重要性を分かっていないな、ブラウン。彼らの習慣である野蛮な言いがかりを避ける…そして 時間を稼ぐのだ… スースロフ:我が技師達がアンドロイドを修理し、彼らに帰す…そして我々は事を進める…エイリアンのクローニングを… アンカーポイント、組織培養ラボ。バイオラボのチーフ・トレント、ロゼッティ、そしてフォックスが座って待っている。タリーが ホログラフィック・ディスプレイ・モジュールを動かして位置に着ける。照明が弱まる。ぼんやりとしたキューブが3人の前で かすかに光る。 トレント:最初は、これはルーティンに過ぎませんでした。我々は地球のDNAとの適合性を測ってみたのです。 フォックス:どういうDNAなんです、ドクター? トレント:人間です、勿論。
315 :
名無シネマさん :2012/01/20(金) 15:47:43.88 ID:yvR0uMJ3
キューブの中で何かが震え、振動し、形を成していく。緑と赤の、光るビーズで織られた2重螺旋である。 トレント:どうか、じっと見てください。 エイリアンの遺伝子データはキュービズム芸術家の夢想するアール・デコ風の階段のように見える。
316 :
名無シネマさん :2012/01/20(金) 16:36:40.53 ID:yvR0uMJ3
その非対称なセグメントは蛍光インクのような緑と紫に輝いている。 ロゼッティ:あれが生物の構造なのか?機械の1部分と言ったほうが… エイリアンのフォームが人間のDNAと接触する。恐ろしく早い変異。しかしそのステージは追う事ができる。 自身はコイル状となり、瞬時に2者はかみ合い、ロックされ、そしてファイナルステージに至る。新しい 形態が輝く。ハイブリッドだ。緑と赤のビーズは変化して見えなくなる。 フォックス:ウイルスのテイクオーバーのように早い…!リアルタイムではどれ位なんだ、トレント? タリー:これがリアルタイムですよ。見たままです。どんなに早いか… アンカーポイント、マシーン・ショップ。ヒックスががらんとしたショップへ入ってくる。飛び出てきたパワーローダーを 避ける。油まみれの鋼材が林立している。様々な種類のマシーンが修理を待っている。作業台にいるウオーカー。グリース で汚れたベストを着けた大男。
317 :
名無シネマさん :2012/01/21(土) 11:45:45.10 ID:OAPPqLv3
ヒックス:臨時雇いのヒックスだ。 ウオーカーはリモコンのジョイスティックを扱っている。無人のパワーローダーが動き出し、作業台へ向かう。彼は軽く数回 スティックをいじるだけでローダーを思った場所へ巧妙に停止させる。 ウオーカー:ウオーカーだ。強制フィードバック・システムで水圧ラインをブローさせるやり方を知ってるか? ヒックス:いや。 ウオーカー:学ぶのに遅すぎるって事はない。 彼はヒックスにタバコを勧め、作業台のマイクロトーチで火を点ける。 ウオーカー:謎の船から降りたんだろ、ヒックス? ヒックス:スラコか?謎って? ウオーカー:(タバコに火を点け)皆、不思議がってるぜ。何もかもが超極秘で、甲板チームの2人が戻って来ないって噂だ。 ヒックス:(肩をすくめ)俺は凍ってたんでね。 ウォーカー:確かにな… ヒックス:フィードバック・システムを見られるかな? ウオーカー:ヒックスをじっと見て)いつでも。 オプ・ルーム。マルチスクリーンの列。アンカーポイントの様々な場所の映像。スペーススーツの人影や溶接ロボットが 外殻を修理している。 ブザーが鳴る。ジャクソンの目の前のモニター。 インカミング・トランスミッション ソース:UPPロジーナ >>>外交団シューマン ジャクソンの頭が動く。スクリーン上のカーソルを動かす。 ジャクソン:(ヘッドセットのマイクに)誰か、シューマンを探して…ロジーナから標準外交コードが来てるって伝えて。 彼の相手が決まったに違いないわ…週1会の会議の… 盗聴防止バブル。シューマンが1人で丸いテーブルに着いている。テーブル上には小さなビデオカメラ。反対側には壁に 大きなスクリーン。UPP外交士官の映像。相手も1人である。ロジーナの会議室、狭いテーブルの遥か向うに座っている。 シューマン:アンドロイドは、法律によれば、人間の地位を与えられた市民です。 外交士官:貴方がたのシステムでは、そうです。我々としては機械の地位を与えたいと思います。 シューマン:貴方達は我々の市民の1人を捕虜にしている。
318 :
名無シネマさん :2012/01/22(日) 14:27:43.75 ID:2rH+rER9
外交士官:“市民”は疑問ですな。偽者です。ビショップは、武装した船も含めて条約違反とみなされて来ました。 シューマン:スラコはアンカーポイントへ帰港しました。条約違反と言われているものは機能不全の結果です。 外交士官:本件は目下調査中です。 シューマン:繰り返しますが、貴方達は我々の市民1人を捕虜にしている。 外交士官:この事件は戦略的兵器削減条約に明らかに違反するものとみなされ、現在調査中でもあるのです。 シューマン:スラコのウェポン・システムは規定内の… 外交士官:私が言っているのは生物戦に関わる条項のことです。 UPPの外交官がスコアを付けたが、シューマンは平静を保っている。 その主張は誤っている。 外交士官:我々は公的な主張をまだしておりません。本件は現在調査中です。ビショップは、しかし、これ以上の 調査には使い物になりません。お返ししましょう。 アンカーポイント、シャトル・ベイ。シューマンと2人の海兵隊員がベイへ入ってくる。バイオハザード・フィルムと マスクを着けている。シャトルのハッチが開き、ベトナム人コマンドが出てくる。ビショップが現われる。ビショップは コマンドを見、それから通路の底で待っているシューマンと海兵隊員を見る。コマンドがジェスチャーで“行け”と促す。
319 :
名無シネマさん :2012/01/22(日) 15:06:15.31 ID:2rH+rER9
シューマン:隔離命令だ、ビショップ。(海兵隊員に)メドラボまでエスコートしろ。 ザ・モール。シフトから外れたヒックス。ザ・モールのバーが眼に留まる。外見が全てを物語る。古い、木造の居酒屋を模した 建物で、町で只1つの安酒場である。1方の壁はスクリーンで、ブラジルのサッカーの試合の古い再放送が映っている。何人かの 客がホログラム・ゲームのコンソールで遊んでいる。タリーが座っている。ヒックスは傍に腰掛ける。 ヒックス:ビール。 彼は自分のドッグ・タグを取り出し、バーテンダーに渡す。バーテンダーはそれを端末に入れる。レジを呼び、ヒックスに返す。 タリー:あんた、ヒックスだな。スラコの… トレードマークのジャケットを着たタリーは明らかに酔っ払っている。 ヒックス:あんたは誰だ。 タリー:タリーだ。テック5。組織ラボ。D−ファッキン−NA。ジーザス…スラコ…ラッキーだった。 ヒックス:ラッキー?誰が?お前がか、マン? タリー:お前さんだよ。お前さんはラッキー・サノバビッチさ、ヒックス。 酒をがぶ飲みする。 ヒックス:何だって?
320 :
名無シネマさん :2012/01/23(月) 09:52:31.59 ID:UHzobzc1
タリー:全てだよ。ファッキンな事ども全て… ヒックス:事ども?何だって? タリー:シット…サインしなきゃならなかったんだ…俺たち全員。ファッキンな取り分を失い…ライト? ヒックス:(全身が緊張し)船に乗っていたのか… タリー:イヤー。ジーザス。俺は見たんだ… グラスに手を伸ばすが、グラスは空である。 ヒックス:どこに?どれだけ?いつ? タリー:見た、俺は…(バーを見渡し)ここでは言えない…ここを出よう… ヒックス:(スツールから滑り落ちるタリーを掴み)どこへも行かん、バディ。 タリーに突然エネルギーが。 タリー:俺はあんな仕事をするために来たんじゃない。エコシステムのデザインをヘルプしに来たんだ。 ゴシップを聞きたいか?次の後のシフト、場所はDP-54、レベル7だ。ここじゃ話せん… タリーはヒックスのグリップをすり抜けると雑踏へ消える。ヒックスはビールに手も付けずバーに座っている。
321 :
名無シネマさん :2012/01/23(月) 11:22:55.11 ID:UHzobzc1
ディゾルブして、 バブル。ロゼッティ、トレント、フォックス、そしてウェルズ。 ウェルズ:それで、ビショップは完全な物理的、化学的分析を受ける事に同意したのか? ロゼッティ:自分から言い出したんだよ。 フォックス:結果は? トレント:これまでの所、異常はない。エイリアンの細胞の痕跡はない… ウェルズ:では調整中では?リプログラミングでは?我がミスター・ビショップの体内に何か新しい回路は? UPPのはからいによるちょっとしたサプライズは? トレント:ノー。何も。 フォックス:エイリアンに関するデータは?全部無事なのか? トレント:イエス、そのようです。しかし彼のメモリーが改竄されていたとしたら、我々に知るすべはありません。彼にも… ウェルズ:いずれにせよ、我々は、UPPがビショップのメモリーにアクセスしたと考えねばなりません。彼らはデータを持っている という事です。その上、エイリアンの遺伝子データの標本も手に入れているかもしれない…
322 :
名無シネマさん :2012/01/23(月) 13:55:20.74 ID:UHzobzc1
ロゼッティ:言い換えれば、受けた指示を円滑にこなしたいんだな、違うか?トレントに組織をクローニングして貰いたい、 そしてシューマンにはいて欲しくない、と。 フォックス:これは外交の問題ではない、ロゼッティ大佐。 ロゼッティ:S.A.R条約の違反ではないと? フォックス:誰か軍事的妥当性に言及しましたか?
323 :
名無シネマさん :2012/01/23(月) 14:52:10.72 ID:UHzobzc1
トレント:(微笑して)ノー。私は応用宇宙生物学にとってナイス・ケースと考えています。エイリアンに遭遇すれば エイリアンの生命体を継続的に調査する事になります。スラコから採取した材料を前もって分析しておけば、キャパシティの 適応度がはっきりします。ガンの研究の発展性1つにしても… ウェルズ:考えてみてください、大佐。もし仮にガン細胞のみを殺すようにプログラムできたとしたら… ロゼッティ:何を企んでる、トレント? フォックス:(トレントが答える前に)ステーシス・チューブの中で細胞を育てるのです、観察を絶やさず。そして胎芽になる前に 命を絶つ… ロゼッティ:なるほど、ガンの研究か。我々の目的は全く人道主義的だな。そうだな? ウェルズ:大佐、シューマンが地球からの回答を得れば、優先権はエイリアンの軍事開発へと移ります。我々は、命令の出所を知って いるから分かるのです。決定は既に成されているのです。 フォックス:それに、UPPも密かに同じ方向の研究をしている事も、緊急を要する要因の1つです。 ロゼッティ:決定の責任は私にある。 ウェルズ:貴方は誤解しているようだ。決定は成されている。 フォックス:彼らは貴方を破滅させはしないでしょう。貴方のキャリアには起こらなかった事として取り計らうでしょう。彼らはトップ ピープルです。だからできるのですし、貴方もその事は分かっている。
324 :
名無シネマさん :2012/01/23(月) 15:47:53.42 ID:UHzobzc1
ロゼッティは彼らを長い間冷たい目で見る:彼はメッセージを受け取ったのだ。 ロゼッティ:シューマンは、勿論、情報を与えられなくてはならん。 フォックス:勿論です。“ガンの研究”を、ね… メドラボ、スキャン・ユニット。ビショップがじっとスキャンを受けている:狭い台の上で仰向けになり、大きなドーナツ型 のセンサーが体の端から端まで動いていく。等身大のカラースキャン・イメージが大きなスクリーンに映っている。彼の “臓器”である。 技師:膝です。ポリカーボンの関節で… メディック:ここはどうだ、ビショップ?膝はOKか? ビショップ:イエス…(ためらうような微笑) 技師達:ポリカーボンか。価値がないな… ロジーナ、バイオラボ。アンカーポイントのラボより小規模。機材も遅れている。唯一の巧妙はステーシス・チューブからの 黄色い光である。ブラウンと2人のアシスタントがチューブの周りに集まっている。親指大の、灰色じみたピンク。胎芽である。
325 :
名無シネマさん :2012/01/23(月) 19:45:52.10 ID:QdT61S+P
アンカーポイント、建設区域の端のトンネル。ヒックスはジョギングで通り抜けていく。明るく照らされて弧を描く白い セラミックはロンドンの地下鉄の駅を思い起こさせるが、床は滑らかで黒く舗装されており、交通記号は塗り立てである。 彼は逆方向へジョギングする女性とすれ違い、進み続ける。間隔をおいて頭上に設置された小さなビデオカメラが端から 端までゆっくりとパンする。トンネルが終わる。タイルのセクションが見えなくなり、パイプ、ワイヤー、鋼材がむき出し になる。未加工の鉄のチューブ。彼は浅い水溜りの水を撥ねながらジョギングを続ける。ライトは少なくなり、空間は 広くなる。彼は交差点に達し、止まり、トンネルを選択する。 建設区域のチェンバー。ヒックスはトンネルの口から出てくる。その空間はフットボールのスタジアムほどもあるが、暗く ゴシック様式である。外殻プレート、測地ストラットが山積みになっている。すれ違う溶接ロボットが上げるスパークの シャワー。機材や重機器の通路を下っていく。スペンスが待っている。 スペンス:ヒックス。 彼女は影の中にいて、煙草を吸っている。 ヒックス:俺? スペンス:ラボでタリーと働いてるの。彼は来られないわ。 ヒックス:二日酔いか? スペンス:最高ね…これが没収同意書よ、彼がサインしなくちゃならなかった。 ヒックス:怖くないのか? スペンス:私はサインしてないの、まだ。奴ら、目撃した者だけに同意書を送ったのよ。 ヒックス:何故あんたが? スペンス:タリーは大丈夫、ヒックス。信じようと信じまいと、彼は恐れてないわ。船に何があったのか、私に話して くれたの、ヒックス。見たものをね。貴方は何だか知ってるわね。 ヒックス:知っているものがいるとは思えない… スペンス:奴らは私達にあれを育てさせた。私達はDNA組み換えルーティンを行なったの、人間の遺伝子材料を使って… ヒックス:何をしたって?
326 :
名無シネマさん :2012/01/23(月) 20:37:33.90 ID:OkXwOkFz
スペンス:(煙草の火を潰して消し)ガンの研究よ。タリーは偽装だって言ってる。ガンをショットガンで治そうと するようなものだって。とにかく、ゲイトウェイから来たこの2つの幽霊が軍事科学のものだって事は皆知ってるわ。 ヒックス:フォックスとウェルズは? スペンス:武器ディビジョン。存在を想定すらされてないわ、近頃は。とにかく公的にはね。 ヒックス:(煙草に火を点け)何故俺に話すんだ。未だに分からんね。 スペンス:私も分からないわ。誰か…今日、U.P.Pの船に乗って誰かが来たって言う噂があったの。スラコから 降りた誰かが… ヒックス:ビショップだ… スペンス:私は知らない。 ヒックス:おそらくU.P.Pもエイリアンを手に入れたんだ。そして育て… スペンス:(ぞっとして)シット!期待しないほうがいい… ヒックス:何故だ? スペンス:U.P.Pのラボは私達のより5年は遅れてる。コントロールできっこないわ。 ヒックス:あんたならできると? スペンス:分からないわ…
327 :
名無シネマさん :2012/01/24(火) 10:51:10.29 ID:UkFsvJwz
オプ・ルーム。ピーッという音がして、ジャクソンのスクリーンの1つにタリーが現われる。組織培養ラボ内でカメラを 見上げている。 タリー:誰か、メンテの人間を寄越してくれ。スターシス・システムのチェックをするんだ。圧格差をオフにして。 ジャクソン:(特徴的な頭の動き。ライトペンがウィンクする)いいとも。スーパーボウルを一寸どう?タリー。 タリー:ああ。 ジャクソン:デンバー… タリー:デンバー?とんでもない。シカゴで頼む。 ロジーナ、バイオラボ。ブラウンがコンピューターにデータを入力している。スースロフは成育中のエイリアンを入れた スターシス・チューブを見ている。 スースロフ:皮肉だな… ブラウン:(データに夢中で)皮肉とは?大佐。 スースロフ:こいつ自身が進んで遺伝子操作に身を任せているのだ、ブラウン。細胞増殖のスピード。 ブラウン:イエス。驚くべきスピードです。 スースロフ:まるで用意に操作できるよう遺伝子構造がデザインされているかのようだ。
328 :
名無シネマさん :2012/01/24(火) 11:33:10.31 ID:UkFsvJwz
スースロフ:そして、どんな原形質とも適合できる万能性… ブラウン:(嫌々仕事の手を止め)だから皮肉だと? スースロフ:皮肉さ、我々がこいつを兵器としてプログラムしようとしているのがな。 ブラウン:どうなんです? スースロフ:おそらく、これは太古に行われた実験の産物だ…生命を持つ人工産物であり、遺伝工学の成果…そして兵器。 我々はもう1つの軍備競争の最終的な成果を見ているのかもしれない… ブラウン:敗北主義者的ですぞ、大佐。我々のプロジェクトだけがU.P.Pの力を増強するのです。 クローズアップ−スターシス・チューブ−チェストバスター。眼のないイルカの胎児のように漂っている。
329 :
名無シネマさん :2012/01/24(火) 16:16:31.76 ID:UkFsvJwz
マシン・ショップ。店内にはヒックスが1人。厄介払いにあてがわれた見せかけ仕事を機械的にこなしていく。 ビショップ:(出入り口から)まるで1台の機械ですな、ヒックス伍長… ヒックス:(見上げ、歯を見せて笑い)俺たち、あんたをそう呼んでたっけな。具合はどうだい、ビショップ?ブラスから聞いたが、 U.P.Pにさらわれてたんだってな。社会主義者のパラダイスはどうだったい? ビショップ:私は返還されましてね。もう使い道がなかったんでしょうよ。 彼は物言わぬ機械類の中に行き、手を触れる。 ビショップ:噂では、ヒックス、武器ディビジョンがエイリアンを開発するつもりだとか。 ヒックス:(壁のカメラに眼をやって)クソ野郎ども、どこで手にいれたんだ、ビショップ? ビショップ:奴等の1匹がスラコに乗り込もうとしたんです、ヒックス。リプリーがそいつを殺し… ヒックス:グッド。 ビショップ:リプリーはそいつを“クイーン”と呼んでました。他の奴等よりでかいんです、すごく。どうやってか、そいつは 船に遺伝子材料を産み付けたんです。 ヒックス:全くクレイジーだぜ。U.P.Pは自分達でやろうとしてると聞いたが。 ビショップ:軍備競争の現状を考えれば、大いにあり得る事ですよ。私は人命を保護するようプログラムされています、ヒックス。 それは私の…天性です。私の存在全てが、私の知識全てが、その実験は中断されねばならない、と告げています。 ヒックス:イヤー。気持ちは分かるぜ。
330 :
名無シネマさん :2012/01/24(火) 16:51:47.74 ID:UkFsvJwz
ビショップ:ですが、貴方が信じてくれる、と完全には私は確信が持てないんです、ヒックス。 ヒックス:何だって? ビショップ:U.P.Pは、おそらく私をリプログラムしているでしょう。私は徹底的に検査を受けました、勿論の事です。しかし 可能性は残っています。 ヒックス:分からないのか? ビショップ:分かりません。敵のエージェントとして働いているのかもしれない。 ヒックス:何てこった。エージェントをやっつけなきゃならない。違うか? ビショップ:やらなければ。
331 :
名無シネマさん :2012/01/25(水) 10:14:46.73 ID:dLP1m9hn
ヒックス:どこか、ちょっとでも助けを… ディゾルブして、 組織ラボ。スペンスとタリー。 スペンス:ひどいコーヒーだわ。 タリーはステーシス・チューブの1つを覗く。小さな卵型の組織が漂っている。 スペンス:メインテナンス係は圧格差の問題を解決してくれたの? タリー:問題ないそうだ。一時的なものらしい。 スペンス:手も汚さず? タリー:勝手に直ったんだ。 スペンスは出て行き、タリーはチューブに近づく。 成長過程の胞子のクローズアップ。内部にあるのはエイリアンの卵の小型版のように見える。 タリー:ハーイ。調子はどうだい?栄養液は気に入ったかな?大分成長したじゃないか。違うか?凄いな。全く、ファッキング・ ワンダフルだぜ…
332 :
名無シネマさん :2012/01/25(水) 11:40:11.71 ID:dLP1m9hn
ウェルズが入ってきて、彼のモノローグは中断する。タリーは驚き、やましい様子で見上げる。重いガラスドアが彼女の背後で 閉じる。 ウェルズ:自然と対話してるの、タリー? タリー:バッジを着けてないな。(ラボ・コートにクリップされているプラスチックのIDを叩いて)白いストラップで汚染が判る。 誤って何かの危険にさらされると赤く変わるんだ。分かったかな? ウェルズ:トレントはどこ? タリー:ランチさ。 ウェルズ:で、我らが友人は? 彼女はスターシス・チューブに近づき、覗き込む。 タリー:友人ね。我らの小さき友。育ってるよ。 ウェルズ:この6時間のハードコピーをちょうだい。 タリー:すまない、トレントに言ってくれ。 ウェルズ:貴方が私を理解してるとは思わないわ、タリー技師… タリーはメインコンピューター・コンソールに近づく。ウェルズが追う。スターシス・チューブがシューッという音を立て始め、 大きな音を立ててひびが入る。細い割れ目から微細な液体の霧が噴出す。アラームが鳴る。 ウェルズ:一体… タリー:オー、ジーザス… 2本のチューブが破裂する。栄養液とプラスチックの破片が飛び散る。ウェルズとタリーは倒れる。大きなアラーム音。赤い ライトのストロボ。ドアのロックが音を立てて閉まる。自動封鎖処置である。外にいたスペンスはコーヒーを投げ捨て、ドアの コントロールと格闘を始める、タリーの所へ行こうとして。タリーは液体の水溜りに顔を付けている。エイリアンの組織〜灰色の ハトの卵のような〜から9インチしか離れていない。彼の眼が大きく見開かれる。できるだけ慎重に体を起こす。ゆっくり…ゆっくりと 横向きに進む。カウンターの浅いトレイと、プラスチックのトングを取ろうとする…
333 :
名無シネマさん :2012/01/25(水) 15:18:05.43 ID:dLP1m9hn
ウェルズは滑りやすい液体に足を取られてバランスを失い、タリーの腕を掴む。彼は物体の上に倒れそうになり、彼女を強く 振り払い、ひざまずく。トングは用意ができている… 小さな開口部が開く:一瞬、何かが物体の上で光る。かすかな、拳大 の暗い、霧の雲。タリーがトングとトレイを持って襲い掛かる。 スペンス:タリー、タリー、ガッデム!何が起こったの?大丈夫? タリー:汚染除去室だ。俺たちを汚染除去室へ! ウェルズはもがいている。 汚染除去室。裸でずぶ濡れになり、怒り狂っている。バイオハザード装置の技師がウェルズを洗剤と抗菌剤でこすり洗い、熱湯を 浴びせる。ウェルズの姿は殆ど見えなくなる。彼女は刺すような目つきでタリーを見る。タリーにはもう2人の技師が取り掛かって いる。 ディゾルブして、 オプス・ルーム。ジャクソンが仕事をしている。DNAラボのセキュリティ・カメラ。いまではクリーンになっているがステーシス チューブが2本足らない…映像が確認される。組織培養/8月25日/1900:15時間。ジャクソンの注意はここにはない。 廊下。ヒックスはビショップを監視している。ビショップは複雑な配線をはぎ取り、2本のワイヤーを剥がしてももためらう事無く、腰の ベルトからウォークマンサイズのVCRを外し、むき出しになったワイヤーをリードのクリップで挟む。 オプス・ルーム。ラボのモニターのクローズアップ。映像がぼやけ、無秩序となり、元に戻る。表示は…組織培養/8月23日/1200:2時間。 なくなったチューブは元通りになっている。
334 :
名無シネマさん :2012/01/25(水) 16:41:35.03 ID:dLP1m9hn
ラボ外側の出入り口。 ビショップ:3分あります。 ヒックス:ゴー。 ビショップがコードを打ち込む。ドアが音を立てて開く。2人は通り抜けて進む。 組織培養ラボ。2人はステーシス・チューブの列を通っていく。チューブを失った2つのユニットでビショップは一旦止まり、 素早く動く。壁のパネルを開く。コントロール装置と大きな、いかにも重要そうな赤いスイッチが現れる。スイッチの上に、 「スターシス・システム マイクロ波消毒」と書かれている。彼はためらう。ゆっくりとターンし、強制されているかのように 振り返って見る。光る、多くのチューブのライン。 ヒックス:やれ! しかし彼は動かない…ヒックスはビショップの背後から腕を伸ばし、赤いスイッチを引く。不愉快な高周波の音が炸裂する。 チューブ内の液体が即座に沸騰し始める。 エイリアンの組織のクローズアップ。組織は破裂し、崩壊してどろどろした薄い膜状になり、泡の嵐の中に消える。 ラボのアラーム・システムが鳴り出す。ドアがスライドして開き、3人の海兵隊員がヒックスとビショップにハンドガンを 突きつける。 海兵隊員:動くんじゃない、ジャック。
335 :
名無シネマさん :2012/01/26(木) 11:10:51.93 ID:GdcLg0wm
拘禁ユニット。ヒックスとビショップは白いプラスチックの医療用拘禁具を着けている。(手かせ、足かせのような) 後ろにはいかめしい顔つきの海兵隊員がいる。廊下を進み、2人は別々の部屋に放り込まれる。 ディゾルブして、 バブル。アンカーポイントの管理職ミーティング。ウェルズ、フォックス、ジャクソン、そして多くの新顔。ウェルズの 唇は怒りで白くなっている。 ジャクソン:彼らはコードを知ってた、違うかな?ドアのコード… フォックス:その通り。それにどこへ行って、どのボタンを押せば卵を駄目にできるかも知っていた。違いますか?これは 内部の者の犯行です。 ウェルズ:アンカーポイント・フェイズのプロジェクトは終結した、ロゼッティ。我々とゲイトウェイへ戻って反逆罪の裁判を受ける まで、ヒックスとアンドロイドを独房に入れておくのだ。 トレント:アンカーポイント・フェイズですと?どういう意味です?もう我々には材料がない…
336 :
名無シネマさん :2012/01/27(金) 10:53:27.49 ID:Dwtt8KTq
フォックス:君にはな、トレント。いずれにせよ、君がこの仕事に不適格であることは明白になった。用心のため、我々自身の サンプルを獲得してあるのだ。サンプルはゲイトウェイに向かっている。 ウェルズ:(満足げに、冷酷に)全て…我々は到着以来、貴方の行動の全てを徹底的に調査させて貰いました、C-C-C-C-C… ウェルズはどもり始める。目には驚愕の色が現れている。彼女は椅子から立ち上がり、前方へよろめく。手で自身を掴む。 濃厚な血の流れがテーブルに滴り落ちる。どもり声は麻痺したかのような機械的なものになる。ウェルズの左に座っていた フォックスは本能的に椅子を後ろに押しやり、逃げようとする。他の皆はショックで凍り付いている。 歯軋りは鋭い非人間的な激怒の叫び声に変わり、変異が始まる。腕の皮膚の下でバイオメカノイドの腱がうごめく。手はもう 一方の手を掴み、エイリアンの爪から余分な肉をはぎ取る。叫び声は止み、彼女は体をまっすぐに伸ばす。そして1動作で顔を 引き裂く。
337 :
名無シネマさん :2012/01/27(金) 15:21:46.28 ID:Dwtt8KTq
皮膚、眼球、筋肉、歯、骨の破片。光る鉤爪が現われ…衣服の裂ける音。ニュー・ビーストは体をくねらせ、人間の皮膚を 脱ぎ捨てる。血の波。早い脱皮。トレントは激しく嘔吐する。海兵隊員がホルスターからピストルを抜き、テーブルを挟んで 乱射する。管理職たちは部屋の遠い側へ突進し、物体は椅子から立ち上がろうとするフォックスの上に乗っている。歯の生えた 舌が眼窩を貫き、叫び声が上がる。火炎放射器を持った海兵隊員がドアを勢い良く開けて入ってくる。フォックスとニュー・ ビーストに炎を浴びせる。
338 :
名無シネマさん :2012/01/27(金) 16:28:06.81 ID:Dwtt8KTq
タリーの寝室外の廊下。スペンスが廊下を下ってくる。透明なプラスチックの食物コンテナを運んでいる。誰もいない。 彼女は疲れた様子だが、心配そうではない。部屋のドアに着くと手で叩く。 スペンス:タリー!ヘイ!開けて!食べ物よ… 返事はない。スペンスはもう一度ドアを叩き、そしてコードを打ち込む。ドアが開く。中は暗い。 スペンス:タリー?寝てるの? 彼女は中へ入る。真っ暗である。電話コンソールに赤いLEDが灯っている。タリーの日用品のがらくたを分けて進み、 ライトを探すが、スイッチは見つからない。 スペンス:タリー? ライトが灯る。誰もいない。最後に彼女が見たときよりも散らかっている。ため息をつき、食物のバッグを棚に置く。
339 :
名無シネマさん :2012/01/27(金) 17:01:57.96 ID:Dwtt8KTq
枕から汚れた衣類の山を拾い上げる。タリーのラボ・バッジが見え、拾い上げる。 バッジのクローズアップ。汚染インジケーターは赤に変わっている。 ディゾルブして、 拘禁部屋。狭い寝台にヒックスは座っている。ドアが開く。海兵隊員の1人が入ってくる。コンバット・アーマーを着けている。 ヒックス:何か問題でも?兄弟。戦争か? 海兵隊員は1歩下がり、やつれたロゼッティが入ってくる。 ロゼッティ:立つんだ、ヒックス。オプ・ルームへ。 ヒックス:俺たちはあれを殺してないぜ。 ロゼッティ:ノー。あれがフォックスとウェルズを殺したんだ… 建設区域、トンネル。小さな乗り物がやってくる。ごついロールバーの付いた電気モータージープである。傷だらけで、塗装は 剥げている。運転しているのはウオーカーである。その後ろには、1部コンバット・アーマーを着けたヒックスがいる。 コミュニケーション・リグを着け、パルス・ライフルを抱えている。ウオーカーは車を飛ばす。ジープはバウンドし、傾き、 コーナーを回る。巨大な建設チェンバーの暗がりに入って車は止まる。
340 :
名無シネマさん :2012/01/28(土) 10:40:24.32 ID:zdWO5OZT
ヒックス:リードアウトを。 ジャクソン:近いわ。左へ。 ヒックス:彼に動きは? ジャクソン:ノー… ウオーカーはカーブを切る。ジープは山積みになった測量ストラットの間の狭い隙間を進んでいく。 オプ・ルーム。ジャクソンはシミュレーター・スクリーンのカーソルを動かす。建設区域の3Dグリッド画像。ジープが進む。 カーソルがターンする。明滅する赤い輝点に近づいていく。スペンスの顔は不安で引きつっている。隣にビショップと ロゼッティがいる。 スペンス:彼だというのは確か? ジャクソン:これは彼のロケーターの周波数よ。違う?同じ物はないし、外科的に植え込まれた物なのよ、貴方達同様… スペンス:(唇を噛み)彼は動いていない… ロゼッティ:何故ここだろうと? ビショップ:バッジです。感染した事が分かったんです… スペンス:怖いのよ。彼は怖がってるのよ。(震えて)タリー… 建設チェンバー。暗闇。ジープはプレハブ建築の群れの間を這うように進む。突然、開けたスペースに出る。幾つかの廊下の 交差点である。床には1インチの深さの水が溜まっている。 ジャクソン:そこだわ!彼の真上!
341 :
名無シネマさん :2012/01/28(土) 17:19:52.42 ID:zdWO5OZT
ウオーカーはジープを止める。ヒックスは立ち上がり、懐中電灯をあちこちに向ける。ヘッドセットのミュートボタンを押す。 ヒックス:(怒鳴る)タリー!タリー! こだま。水滴。ヒックスは懐中電灯を銃身の下にクリップするとジープから飛び降りて前へ進む。反響が広がっていく。ビームを 水面に沿って振る…何かがある。破れ、血に染まったタリーのレザー・ジャケットの袖のロゴ・パッチが落ちている。人体の組織 片が浮いて漂っている… ジャクソン:彼は見える? ヒックス:イヤー。 建設材料の山のてっぺんから、タリーであった物体が飛び出す。ジープの上に着地し、ロールバーを抜けてウオーカーに襲い かかる。物体の尾がウオーカーの顔を襲い、鉄製のロールバーに食い込む。コントロール装置に2本のレバー。ウオーカーは1本を 引き、1本を押す。ドライブボタンを両方同時に押す。ジープは物体をヒックスの前方に投げ飛ばす。水しぶきを上げて叩きつけ られるが、すぐにヒックスめがけて跳躍する。
342 :
名無シネマさん :2012/01/29(日) 16:31:48.65 ID:FcfuN46Z
翻訳難しいです。辞書にない単語がやたら多いし…本職のSF小説家が書いただけの事はありますね… 誰か読んでてくれてるのかな…
343 :
名無シネマさん :2012/01/29(日) 23:44:56.13 ID:X4ktMLmo
何時もありがとうございます、 無理しないで下さいね。
344 :
名無シネマさん :2012/01/30(月) 01:15:58.56 ID:OwxlKxe3
すばらしい翻訳です 映画のシーンが思い浮かびます
345 :
名無シネマさん :2012/01/30(月) 09:33:10.09 ID:4pPOYNqc
読んでくださってる方がおいででしたか。励みになります。でもまだ半分も行ってないんですよ… まあ8月まではかからないと思います。
346 :
名無シネマさん :2012/01/30(月) 10:34:53.46 ID:4pPOYNqc
空中にある物体をヒックスのパルス・ライフルが捉え、おぞましい胆汁のような黄色い酸が噴出する…そして物体は再び 水面に叩きつけられる。もうもうたる水蒸気。ジープは水蒸気を突っ切ってよろめき進み、エンジンが悲鳴を上げる。水溜りに 足を取られ、トラクションを失い、水しぶきを上げて殆どひっくり返りそうになる。ヒックスはジャンプし、素早くロールバー を掴むと、水蒸気の中へパルスライフルをフルオートで、クリップが空になるまで撃ち込む。ウオーカーは回廊をバックしていく。 ジャクソン:ヒックス!何事なの? オプ・ルーム。 ジャクソン:ヒックス?ヒックス! スクリーンの上、ジープのカーソルがタリーのロケーターの明滅するドットから速やかに離れていく。スペンスは拳を口に強く押し 当て、眼はスクリーンに釘付けとなっている。
347 :
名無シネマさん :2012/01/30(月) 18:59:21.87 ID:Tjkhc9UK
ディゾルブして、 ロジーナ、バイオラボ。モニターの群れ。1台は壊れたストロボのように明滅している。他のモニターにはロシア語の リードアウト。キーボードの上にはひっくり返ったマグカップ。各種の機器。粉々になった太いスターシス・チューブの 残骸。繭にされたブラウンとスースロフ。エイリアンの樹脂でできた、光るバイオメカ・ストラクチャー。ブラウンは 死んでおり、胸郭には穴が開いている。
348 :
名無シネマさん :2012/01/30(月) 19:49:17.05 ID:9VWLD+yB
パニックに陥ったステーションのクルーが1つのドアを通って逃げ出す。テーブルにぶつかり食物のトレイが散乱する。 もう1つのドアから逃げようとお互いをつかみ合う。ベトナム人コマンドと相棒が最後に部屋に入ってくる。2人は同時に スピンしてドアを通して発射する。金属の裂ける音、そして人間のものではない大きな怒りの声。コマンド達は遠いドアへ 我勝ちに突進する。エイリアンがすさまじい音を立てて姿を見せる。ニュー・フォームのエイリアン。スースロフが遺伝子 操作でいじくり回した結果である。さらに大きく、さらに凶暴で、さらに素早く、さらに繁殖スピードの速い怪物。 半狂乱のクルーはハシゴを上る。コマンド達もハシゴを上り始める。彼らは円形のハッチを通る。ハッチは重いスチールの 格子になっている。エイリアンはハシゴに群れを成す。コマンドはハッチを閉じ、ロックする。エイリアンはハッチに打ち 当たり、スチールが突き出て裂け始める… アンカーポイント、オプ・ルーム。ヒックス、ビショップ、ロゼッティ、シューマン、そしてジャクソン。 ジャクソン:呼び出せないわ、ボス。 シューマン:外交コードを試そう… ジャクソン:外交コード?国際遭難信号にも反応しないんですよ。多分トランスポンダーがダウンしてるんでしょう… でも…ヘイ、これを見て。
349 :
名無シネマさん :2012/01/30(月) 20:31:41.97 ID:9VWLD+yB
ジャクソン:出て行く船…(頭を動かし、ラップボードを叩く)送信が一杯…標準軍用解読を。 ロゼッティ:奴ら、このエリアに何を? ジャクソン:多くはないわ。(スクリーンに新しいデータをタップして)NC-313の自動化採掘システム…MV-45途上のテラフォーミング 計画用テスト・モジュール…そして、ほら、巡洋戦艦、ニコラ・ストイコ。ロジーナから9時間。 ヒックス:俺が知りたいのはだ、このエリアに我が方には何が? ジャクソン:(別のデータをスクリーンに)多くない。カンサス・シティはどう?遭難信号を出せば、20時間で来てくれるわ。 ヒックス:で? ロゼッティ:ステーションを放棄するんだ。 ヒックス:ステーションをぶっ壊すのか、マン?核で? ロゼッティ:戦略的兵器削減条約では禁じられている。
350 :
名無シネマさん :2012/01/30(月) 20:58:06.94 ID:25PiKHXT
ジャクソン:核融合パッケージを書き換える事ができます。小さな新星ね。 ビショップ:我々が相手にしているのはニュー・フォームなのです、大佐。繁殖の新しいモードについて、我々は何も 知りません。他の者はもう宿主になってしまった… ロゼッティ:何が言いたいんだ? ビショップ:全てを確実にするためには、大佐、核融合パッケージを書き換える必要があるんです、今。 ジャクソンはビショップを見上げる。彼は集団自殺を示唆しているのだ。 ヒックス:あんたは人命を保護するようプログラムされてるんだったな? ビショップ:(無表情で)私は長い目で見ているんです。 ジャクソンのコンソールが鳴り、新しいデータが表示される。3人のクルーのID写真。 ジャクソン:行方不明者だわ。2人はブローアウトしたラボを掃除したクルー…3人目は符合しない…いえ、待って。 最初の2人の内の1人と生きて…でも、全部で15人…何かが起きて… ヒックス:ガッデム、ロゼッティ!捉えてるぞ! ロゼッティ:(無視して)遭難信号をカンサス・シティに、ジャクソン。 ヒックス:スラコはどうなんだ? シューマン:2日はかかるだろう。 ロゼッティ:スラコが着く前にゲイトウェイに我々の警告が届いてるさ。
351 :
名無シネマさん :2012/01/31(火) 07:09:45.27 ID:djDNefPH
シューマン:その通りです、大佐。で、進んでやろうというのはどの連中だと思います?武器ディビジョン? ジャクソン:ヘイ!何か捉えたわ!ブラザーの社会主義者の話がとうとう… 彼女のメイン・スクリーンが明滅し、スピーカーからは空電の唸り… ジャクソン:彼らの送信標準は悪化して… スクリーンがクリアになり、ジャクソンは黙り込む。若いスラブ人女性が現れる…スースロフのラボの助手の1人である。 血でずぶ濡れのカバーオール。手持ちのビデオのぎこちない動き。粗い画像、不磨医療な背景。彼女は書類を掴み、声を 出して読み始める。異国の言語。 シューマン:ジャクソン、翻訳プログラムを! ジャクソンはすでに打ち込んでいる。女性の唇が動く。コンピューターの同時通訳がカットインする。同調していない。 安っぽい音響効果のようだ。翻訳内容は平坦なシンセサイザーの声に変換される。
352 :
名無シネマさん :2012/01/31(火) 11:04:22.85 ID:49xuYVFH
女性スポークスマン:…P.Pの1級技師、タチアナ・マリクです。どうか…お知らせしたいと思います:私達は、軍の運搬船から 採取した遺伝子材料を使って実験に取り掛かっていました…スターシスの中でゼノモーフをクローニングしようとしたのです。 15時間目に、スターシス・システムにトラブルが生じ…遺伝子構造をモディファイしようとした試みが、結果的に恐ろしく複製 スピードの速い変異体を生み出してしまったのです。(気味の悪い微笑)私達の…殆どが…捉えられました…残った私達は… 私達は警告したいと思います:あの材料を用いたいかなる実験も今すぐ終わらせなくてはなりません。実験は不可能です。 封じ込める事はできません。いかなる… 映像はちらつき、消える。
353 :
名無シネマさん :2012/01/31(火) 14:22:02.97 ID:49xuYVFH
ジャクソン:彼らは失われた…これが全て…ガッデム、彼女は只の技師。お偉方は耳も傾けなかった… ヒックス:そのお偉方も、もういない… ジャクソン:これをチェックした方がいいわ、ヒックス。 彼女の他のスクリーン。殆ど同一のトンネルと通路。 ジャクソン:主集塵機の下。カメラはまだ機能してる、でも何か…何か大きな物が… アンカーポイント、エコ・モジュール。巨大なルーバーが回っている。ベネチアン・ブラインドのようである。厚い プラスチックを通して青々とした草木が見える。 エコ・モジュール。スペンスがニュートの草地に、あぐらをかいて座っている。泣きながら、飼いならされたプライメットを抱いている。 頭上のルーバーが開いており、光が草地に差し込んでいる。人工の夜明け。鳥たちがさえずり始める。嵐の前の静けさ… ロジーナ。何の動きもない。かすかな光。散らかったスペーススーツ、機械類。ベトナム人コマンドが壁を背に、床に座っている。銃を 抱いている。脇の床に相棒の死体が横たわっている。顔はひどく焼け焦げている。装甲は酸でボロボロである。彼女の顔は無表情で、 眼はまっすぐ前を見ている。
354 :
名無シネマさん :2012/01/31(火) 15:15:57.35 ID:49xuYVFH
失礼、プライメットとは霊長類の事でした。 ディゾルブして、 アンカーポイント、メドラボ廊下。ヒックスは依然戦闘用具を身にまとい、決然として歩みを進める。メドラボのスタッフは 彼が通っていくのに気付き、不審そうである。 メドラボ、リプリーの部屋。昏睡状態のリプリー。モニター類につながれている。カラー・ダイオードの列が休みなくちらつ いている。ヒックスが部屋に入り、横切ってベッドにやってくる。何かを語りかけるかに見えるが、どうしようもないという ジェスチャーをして…そしてベッドサイドのコンソールからモニターの配線を引き抜く。ダイオードは消える。ブザーが 鳴りはじめる。ベッドはキャスターの上に乗せられている。ヒックスは部屋からベッドを引っ張り出し始める。止まる。壁の 上の、ニュートの描いたマップを見上げる。彼は壁からマップを引き剥がし、リプリーのガウンの中へ突っ込む。 メドラボ廊下。メドラボの中、ヒックスはリプリーを押していく。止まる気配はない。驚いたスタッフが道から飛びのく。 アンカーポイント、もう1つの廊下…救命艇への入り口。救命艇発進手順の標識と詳細を述べた警告。ヒックスはリプリーを ベッドから持ち上げ、ハッチから艇内へ運ぶ。彼女をハイパースリープ・カプセルに入れ、ボタンを押す。蓋が降りる。ヒックスは 蓋を通してリプリーを見る。無言。滑らかなプラスチックの上で、彼の手はさよならとあきらめのジェスチャーを示す。そしてハッチを 通って戻り、ボートを密封する装置を作動させ、発進手順を始動する。
355 :
名無シネマさん :2012/01/31(火) 17:20:17.16 ID:49xuYVFH
ステーションの外殻のカーブに沿って後退していく救命艇の丸い船首。 救命艇のベイ。デジタル表示のカウントダウンを見ているヒックス。噴出する炎の鈍い音… 救命艇。光の噴出。リプリーの艇が夜の広がりへと発進していく。 救命艇のベイ。ビショップがヒックスの後から入ってくる。 ビショップ:しかし、リプリーは感染していないと確信が持てますか? ヒックス:賭けてみるさ。 ビショップ:何故? ヒックス:彼女には1つ借りがあるんだ。 オプ・ルーム。ジャクソンがスクリーンを見ている。前と同じく、集塵機近くのトンネル群が映っている。3つのスクリーンは暗い。 あるトンネルのクローズアップ。6輪の運搬車がカメラの前を通り過ぎていく。ヒックスが見上げている。5人の海兵隊員がフル武装 で乗っている。アルソップ、グリーンフィールド、ブライス、コステロ、そしてワラス。 ジャクソン:次の交差点を右へ… トンネル。トンネル沿いに、距離を置いてかすかな明かりが置かれている。運搬車は右へ曲がる。 ジャクソン:分岐点で左へ、そしたらスピードを落として。あのカメラの前方50mに何かが… ヒックスがドライバーのワラスにジェスチャーを。運搬車は停止する。トンネル下の集塵機の音。海兵隊員達は兵器を持ち替える。 トンネルの先は見通せない。彼らは若い新兵で、前作“ALIENS”のようなベテランではない。 ヒックス:聞いてくれ。規則どおりにはやらない。ペアも組まない。一緒にいるんだ、緊密に。グリーンフィールドは俺と前に。 何か動く物があれば炎を浴びせてやれ。残りの皆は、そいつが動くようなら殺すんだ。クソ野郎が近づく前に仕留めてやれ。酸の事 は知ってるな。赤外線には映らない。そして、奴等は俺たちを生かしては置かない事も知ってるな。友人は大事に…いいな?行くぞ。
356 :
名無シネマさん :2012/01/31(火) 23:50:45.42 ID:8d7jMkj3
すげー かっこいい事やってますね 頑張って! 楽しみに読んでます
357 :
名無シネマさん :2012/02/01(水) 10:05:03.16 ID:SHUOj2xC
ヒックスは運搬車を降りる。重量のある用具。他の者も続く。グリーンフィールドが火炎放射器を持っている。彼らは前方へ 進んでいく。次の明かりに向かって、そしてそれを越えて。トンネルは見えない所でカーブしている。 ジャクソン:右よ、ヒックス。角を右… ヒックス:了解。 彼らは曲がり角を回る。兵器は準備万端である。そして唖然として止まる。 グリーンフィールド:一体これは… 巨大な集塵機に達した所で広くなったトンネルが変形している。樹脂の膜を通してかすかな明かりが見える。集塵機の基部の 床を覆う、おぼろげで奇怪な形。そこから拡がる巨大な葉脈。エイリアンの洞穴。
358 :
名無シネマさん :2012/02/01(水) 11:04:32.84 ID:SHUOj2xC
黒く、真珠のような光沢のある、奇怪な妖精の国。形は左右対称で、何かの機能があるようだ。集塵機の巨大なファンの たゆみない音。 ヒックス:スキャンしろ。動きは? コステロ:(追跡装置のノブを調整し)ありません。 ヒックス:アルソップ、投光機を。 アルソップはヒックスにポータブル・ハロゲン投光機を渡す。ヒックスは親指でスイッチを入れる… ワラス:ホーリー・クライスト。 中央のおぼろげな形は、巨大なミュータント・クイーンだった。広い背中は樹脂で塗り込められ、退化した頭部は ヒックスと海兵隊員たちに向けられている。腹部はサソリの尾を逆にしたようにアーチを描き、先端は膨れあがった 半透明の卵嚢となって、ヒックスのランプのまばゆい光の中、波打ち、脈動している。バイオメカニカルな産卵工場。
359 :
名無シネマさん :2012/02/01(水) 14:48:45.93 ID:SHUOj2xC
ヒックス:(投光機をブライスに渡し)持て。そのままだぞ。 彼はひざまずき、ギアケースの1つを外して開ける。スクワット・チューブが。 ヒックス:動いてる。何かが動いてる… ヒックスはチューブ状の物をいじくり、部品をはめ込む。ブライスが突然ビームをクイーンから外す。洞窟の壁の窪みから 半ダースものニューモデル・エイリアンが体をくねらせて出てくる。 オプ・ルーム。ジャクソンとビショップはコム・リンクで銃の発射音と叫び声を聞いている。 ヒックス:明かりを!ガッデム、明かりを! エイリアンたちは生きているチェーンソーのように海兵隊員達の中へ突っ込んでくる。ワラスとコステロは瞬時に倒れる。エイリアンは2人 を引っ張って持ち去ろうとする。ヒックスは投光機を見つけ、チューブを足で支えながらクイーンにライトを当て続けようと奮闘する。 絶叫。パルスライフルの放つ青い光。グリーンフィールドの火炎放射器の炎。エイリアンが彼に飛び掛る。ナパームの奔流が弧を描いて 拡がり、樹脂の構造物に撥ねかかる…そしてクイーンが眼を覚ます。投光機のビームの中、巨大な尾が伸び、持ち上がる。
360 :
名無シネマさん :2012/02/01(水) 16:02:29.86 ID:SHUOj2xC
ヒックスは迫撃砲を組み立てている。膨れ上がり、ポッドのようになった尾の先端がむかつくような音を立てて裂け、口を 開ける。ホコリタケの胞子のような暗い霧の雲が放たれる。そっくりのミニチュア版を我々は既にタリーのラボで見ている。 雲は上昇し始め、集塵機の上にある巨大なファンに引き寄せられていく… オプ・ルーム。 ヒックス:ファンを止めろ! ビショップは即座に身を乗り出し、ジャクソンの肩越しに赤いボタンを叩く。しかし… 集塵機のトンネル。遅すぎた。ヒックスが薬莢を迫撃砲に叩き込んだ時、胞子の雲はファンに吸い込まれていく。砲弾が発射され、 クイーンは爆発でズタズタになり、集塵機の側面が裂ける。 ヒックス:通気口だ!通気口を密閉しろ! オプ・ルーム。ビショップの指が別のシークエンスを叩いて飛び回る。 通気口。パイプは回転するファンに向かって長く、下へまっすぐ延びている。巨大な密封障壁が連続して、音を立てて閉まる… 1,2,3。
361 :
名無シネマさん :2012/02/01(水) 16:58:01.58 ID:SHUOj2xC
集塵機のトンネル。ヒックスはあわてて立ち上がる。 ヒックス:出ろ!ここを出るんだ、今! ヒックスの傍で海兵隊員が痙攣し始め、がたがたと震え始める。ヒックスは彼の胸を近くから撃ち、運搬車へと全力疾走する。 ディゾルブして、 ロジーナ、中枢。ベトナム人コマンドがステーションの中枢に近づく。大きなチェンバーの壁。U.P.Pの芸術品で飾られている。 メキシコの社会主義者のアジ宣伝壁画とシド・ミードのテクノ・ファンタジーのブレンドのようである。戦闘の跡がある。壁に はね飛んだ、乾いた血の跡。靴の片方。壊れた機材。床の、でこぼこした酸の傷跡。これらを通り抜けていく彼女は小さく、 一人ぼっちで、子供のように見える。しかし無力ではない。猫のように用心深く進んでいく。銃は準備万端である。廊下の 交差点を3匹のフェイスハガーが走っていく。尾をムチのように振りながら… 彼女はロジーナの中枢に通じるドアにたどり着く。 コアを取り巻く、大きな円筒状の空間。半開きのドアをゆっくりと抜けて行く… ステーションのクルー全員、おそらく何百人もの人々が繭にされて、円柱に層を成している。
362 :
名無シネマさん :2012/02/02(木) 10:48:56.17 ID:gc41JcwO
それは、人体ときらめく樹脂のレリーフのように見える。彼女はこの光景を手すりから見ていたが、ぞっとして足を滑らせ、 ドアから落ちる。 アンカーポイント、オプ・ルーム。ロゼッティ、ジャクソン、そしてビショップ。 ジャクソン:この下で何があったかは分からないけど、内部コム・リンクから全エリアに… ジャクソンのコンソールからチャイム音が。中央のスクリーンが輝き、高解像度のロジーナのシミュレーション画像が。 ジャクソン:ロジーナがカンパニーを… 宇宙空間。U.P.P巡洋艦、ニコラ・ストイコが音もなく近づいてくる。醜い外観の、1マイルもある、武装した石版。ストイコは 速度を落とし、不気味に停止する。 ロジーナ。コマンドが廊下を逃げてくる。死に物狂いである。銃は失われている。彼女の背後で凄まじい音。ビーストの鋭い 怒りの叫び。彼女はドアに身を投げ…待機している迎撃機が見える。彼女はハシゴを急いで登る。ハッチを抜け、半狂乱で システムを作動させ始める。発進ベイにサイレンが鳴りはじめる。ベイのツインゲートが開き始め、迎撃機のハッチが閉じる。 ビーストが迎撃機の上に乗っている。ハッチの覗き窓を叩いている。彼女の顔から数インチしか離れていない。彼女は迎撃機の ジョイスティックのセーフティ・オーバーライドを指で弾いて開け、赤いボタンを押す。
363 :
名無シネマさん :2012/02/02(木) 11:30:41.31 ID:gc41JcwO
ロジーナ。迎撃機はエクゾースト・ガスの火球の中、半ば開いたゲートを抜けてブラストして行く。後にはビーストと ハシゴを残して… 宇宙空間、ストイコ。巡洋艦の艦首から何かが飛び出る。 アンカーポイント、オプ・ルーム。ジャクソンがスクリーンに見入っている。 ジャクソン:ミサイル! 宇宙区間、ストイコ、迎撃機。U.P.Pのミサイルがステーションを破壊する。核爆発のホワイトアウト。迎撃機はつむじ風 の中の木の葉のように黒いしみとなって吹っ飛ばされる… オプ・ルーム。ジャクソンのスクリーン上、ロジーナのシミュレーションは拡がって行く青い球体に囲まれる。球体の 拡がりは停止する。シミュレーションは霞み、デジタル空電に変わり、球体の縮小につれて消えていく… ジャクソン:核攻撃だわ!20メガトン!暗号で送信… ロゼッティ:遭難信号を。 ジャクソン:こんなの信じられない!助けを求めてたのに核攻撃を!
364 :
名無シネマさん :2012/02/03(金) 09:27:19.73 ID:L+ubwtuz
ヒックス:(静かに)俺たちにそうしてほしかったのかもな… ロゼッティ:これは命令だ、ジャクソン! ビショップはロゼッティを見て何か言いたそうだが、言わない。 ジャクソン:奴ら、私達にも核攻撃を… ビショップ:ノー。彼らは去っていく… 宇宙空間、ストイコ。巡洋艦は動き始め、加速し、去っていく。 ロゼッティ:クソ野郎!
365 :
名無シネマさん :2012/02/03(金) 10:59:18.32 ID:L+ubwtuz
ジャクソン:イヤー。それに奴等は兵器条約を破りました。違いますか?さて大佐、現在の状況は?1500時間でクルー56人が 行方不明… ディゾルブして、 ザ・モール。人通りはない。聞こえるのはBGMと、人工の滝を水がちょろちょろ流れる音ばかりである。トラブルの痕跡。ひっくり返った ゴミ箱、磨き上げられたコンクリートに落ちている、誰かの赤いナイロン製ベースボール・キャップ。ウオーカーがパルス・ライフルを 持ってバーの傍の角を歩いてくる。手榴弾や小道具を胸にぶら下げている。バーの入り口へ行き、ライフルの銃身でドアをそっと押して 開ける。誰もいない。大きなスクリーンには同じサッカーの試合が映っているが音はしていない。明滅するホロ・ゲームのコンソール。 彼は通りを見回してからバーに入る。店内を横切り、酒の入った大きなプラスチック・ジャグを拾い上げ、蓋を開けて酒を飲む。 彼の背後、マグが倒れて床に落ちる。彼は酒をゆっくりと下げ、カウンターへ置く。そしてゆっくりと振り向く。明滅するホロ・ゲーム の向うでビーストが待ち構えている。ウオーカーとビーストは同時に動く。だが彼は銃を取りには行かず、胸からぶら下げたコントロール ユニットを握る。無人のパワーローダーが正面のガラスを破り、テーブルと椅子を蹴散らして入ってくる。大きなバイス・グリップの鋏が 開かれている。エイリアンは叫んで飛び掛るが、スチールの鋏が閉じ、捕らわれる。ウオーカーはコントロールをあやつる。パワーローダー は反応し、エイリアンを壁に釘付けにする。エイリアンはのたうち、シューッという声を上げ、怒り狂って水圧アームを叩く。ウオーカーは グリップを締め上げ、ローダーをその場所にロックすると酒のジャグを取り上げ、もう1口呑む。
366 :
名無シネマさん :2012/02/03(金) 15:26:06.49 ID:L+ubwtuz
ウオーカー:ファック・ユー! 彼の満足げな笑みが何かに取って代わられる。変異… エコ・モジュール。人工の日暮れ。スペンスは食糧の入ったワイヤー・バスケットを持って小さな草地を横切っている。 頭上のルーバーが徐々に閉じていく。細まる日光の中で蛾が羽ばたいている。高い草の中のコオロギ。 彼女は小さな森に入り、枝やスペイン苔を避け、キツネザルを呼び始め…そして止める。突然静寂に気付く。完全な静けさ。 コオロギさえ…彼女は振り向き、はっと息を呑む。プライメット達が繭にされて木の枝からぶら下がっている。何かに頭上から 襲い掛かられ、彼女は叫び声を上げる。変異したキツネザル、小さなエイリアンである。彼女は死に物狂いの力で殴りつける。 クリーチャーはシューッという声をあげ、地面に叩きつけられる。彼女はバスケットを投げつけ、森から飛び出していく。 すすり泣きながら。
367 :
名無シネマさん :2012/02/03(金) 17:27:50.65 ID:L+ubwtuz
ディゾルブして、 トンネル。エンジン音が近づいてくる。6輪の運搬車が見えてくる。ヒックスが1人で運転している。顔はこわばり、白くなっている。 車はトンネルの壁に斜めに当たり火花を上げ、バウンドするが彼は気にも留めない。彼は大きなプラスチック枠の列に突っ込んでいき 子供の積み木のように弾き飛ばす。車は止まる。彼はコントロールから見上げる。貨物エレベーターのドア。 ザ・モール、回廊。エレベーターのドアが開く自動チャイム。ヒックスが銃を持って現われる。 ザ・モール。ヒックスは油断なくモールを横切っていく。絶え間ないBGM。バーの残骸をじっと見ながら、移動を続ける。ショップの 明滅するネオンの明かりに入って行く。壊れた配線がパチパチ音を立てている。彼は銃を構え、店へと向かう。 ショップ。ヒックスは中へ入り、ディスプレイ・ケースの残骸を調べる。散らばる、21世紀のおもちゃ。5体の繭を見つける。 ザ・モール。5発、パルス・ライフルの音。最後のショットでネオンの明滅は消え、BGMが止む。 ヒックスが現われ、モールを横切る。小さな地下鉄のエレベーター状の入り口に着き、行き先を打ち込む。くぐもったブレーキ音。 ドアがシューッと音を立てて開くと…そこにはスペンスがいる。
368 :
名無シネマさん :2012/02/04(土) 11:18:43.12 ID:ZQ1chctS
スペンスの両手はつり革の輪を恐怖で強く握り締めている。車両は屠殺場と化していた。変異の際の血液で赤く染まり、 衣服の切れ端と肉片が散らばっている。 ヒックス:スペンス!… 彼女は泣き叫ぶ。 オプ・ルーム。ロゼッティとジャクソンはスクリーンで背中を丸めている。ヒックスがスペンスを肩に乗せて入ってくる。 ドアにいる、神経質そうな2人の海兵隊員を払いのけて。ビショップはコンソールで計算中である。ヒックスはスペンスを そっと椅子へ下ろす。 ジャクソン:カンサス・シティの予定到着時間が変更。もう13時間… ヒックス: (椅子のロゼッティの体を引っ張り)事態はどえらい事になってるぞ、ロゼッティ。核融合パッケージの準備は どうなんだ? ロゼッティ:(ヒックスを無視しジャクソンに)一般警報を発令。救命艇の手順を。 ヒックス:一般警報だと?救命艇手順だと?救助を待ってる奴がどこにいると言うんだ?核融合パッケージをすぐやれと言ってるんだ! ジャクソン:(スクリーンから眼を上げないよう用心深く)ヒックス。集塵機を破壊したわよね、メイン集塵機。すぐにここは呼吸が できなくなるわ。
369 :
名無シネマさん :2012/02/06(月) 11:39:01.77 ID:E/WaP2lg
ジャクソン:5日ぐらいは大丈夫。もし貴方がまた電気火災をおっぱじめて、私達がそれを消火できなかったりしなければ、ね。 クルーは減って128人… ヒックス:(唖然として)半分以下?… ジャクソン:言ったとおりよ。 ヒックス:そして、ここを吹っ飛ばす準備はできていないと? ジャクソン:(ロゼッティを見て)そうよ。 ロゼッティ:(初めてヒックスに気付いたように)このセクターのグループを指揮するんだ、ヒックス。青い集合場所に集まり、 近くの救命艇ベイへ進み… ビショップ:(プリントアウトを持ってロゼッティに近づき)大佐。私の分析では128人の内少なくとも1/5が既に孵化の… ロゼッティ:(ヒステリー寸前で)聞くんだ、母無しゾンビ!彼らは一般人なんだ!分からんのか?
370 :
名無シネマさん :2012/02/06(月) 12:11:41.37 ID:4o/dm/Ft
371 :
名無シネマさん :2012/02/06(月) 14:55:50.86 ID:E/WaP2lg
ビショップ:はい、大佐。私は… ロゼッティ:(ヒックスに)命令は受けたな! ヒックス:ジャクソンがここを爆破する用意ができるまでは出て行かないぞ、ロゼッティ。分かるか?カンサスシティが姿を現わす、 恐らく拾い上げる人間は残されていない。そしたらどうなる?奴等は上陸班をここへ送ってくる! ジャクソン:できないわ、核融合パッケージは集塵機の下なの、ヒックス。貴方が配線をメチャメチャにしてしまった。ラインにリンク できない。セットはできないのよ。 ビショップ:私が行こう。私が手動で。 ヒックス:俺も一緒に行く。
372 :
名無シネマさん :2012/02/06(月) 15:26:58.78 ID:E/WaP2lg
ビショップ:ノー。援助は…(プリントアウトのシートを見下ろす) 撤退。 ジャクソン:(ロゼッティに)あなた自身が逃げたいんでしょ。違うかしら?彼らは貴方の同意がなくてはできない、そうね? スペンス:ヒックス! ガードの海兵隊員が前へよろめき、兵器を落とす。激しい痛みに両手を挙げ… 海兵隊員:どうか、私を… 彼はよろけ、ジャクソンのコンソールとヒックスの銃の上に倒れ掛かる。彼の胴体から血しぶきと共に半ダースのチェストバスター が同時に飛び出してくる。ヒックスは怒鳴り、飛び退り、スペンスを引っつかむ。チェストバスターは死んだ海兵隊員の体から のたうち出て、物陰へと逃げていく。1匹はジャクソンのキーボードに小さな血の痕跡を残す。 ヒックス:外へ!ここから外へ!
373 :
名無シネマさん :2012/02/06(月) 16:21:33.19 ID:E/WaP2lg
回廊。ヒックス、スペンス、ビショップ、ジャクソン、そして生き残りの海兵隊員が進んでいく。ヒックスとビショップがしんがりを 勤める。ロゼッティは死亡した海兵隊員のパルス・ライフルを持っている。交差点に着き、ビショップがヒックスの肩を叩く。 ビショップ:1時間あげます。オーバーロードは2200時です。 ヒックス:(それ以上聞かず、静かに)吹っ飛ばすんだ。 ビショップ:イエス。 クローズアップ:ヒックスは腕時計のアラームを2200時にセットする。 救命艇集合場所。別の回廊交差点。痛々しい、アンカーポイントの生き残りのクルー達。彼らは青いライトの下に群がっている。 何ダースもの人々。その中にハリデイ、スペンスの年頃の女性、そしてタツミ(日本人男性)含まれている。
374 :
名無シネマさん :2012/02/06(月) 19:22:07.94 ID:GK0aPhOC
訂正:何ダースもの→1ダースの ロゼッティ:他の者は?ここには30人いるはずだが… ハリデイ:(茫然とし、困惑して)トムが見当たらない。何が?何が起きているの?ここにいたのに。なのに… ジャクソン:忘れるのね。彼はきっともう船に乗ってるのよ。カモン、私達、ここを出るのよ…
375 :
名無シネマさん :2012/02/06(月) 20:08:26.22 ID:+SdT0u2b
ヒックスはベストからサービス・オートマチックを取り出し、ジャクソンのベストに入れる。 ヒックス:(小声で)全員を見張るんだ、OK? ジャクソン:(皆に)オーケー!みんな手順は分かってるわね!青のコンコースへ、A52で。離れないで一緒に。5番ベイで 他の2グループと合流して搭乗を… タツミ:いったい何が起きてるんです?プリーズ。 ジャクソン:起こってるのはね、艇への搭乗よ!行くのよ! ザ・モール。絶縁体が燃えて濃い煙が漂っている。照明は半分消えている。滝の下、プールに死体が浮いている。プール は溢れ、磨かれたコンクリートに水が飛び散っている。ドアからビショップが現れ、貨物エレベーターに急ぐ。彼は立ち すくむ。何かが聞こえる。音の方向へ静かに進む。バーである。彼は残骸を覗き込む。4体のエイリアンが犠牲者を 繭に変えている。繭にされたシューマンが大きなスクリーンに貼り付けられている。スクリーンにはエンドレスでくりかえ されているサッカーゲーム。ビショップはじっと見る。そして振り返り、見上げる…クイーンが立っている。全く動かない。 彼は1歩後退する。さらに1歩。クイーンの頭が傾く。もう1歩。ビショップはエレベーターへと駆け出す。クイーンは怒りの 叫び声を上げ、飢えたカマキリのように彼の後を追う。ビショップはエレベーターに着き、死に物狂いでコントロールを 叩く。ドアが開き、彼は通り抜ける。さらにボタンを叩く。クイーンが体当たりし、スチールのドアが歪む。スティンガーが 隙間から侵入し、ムチのように振り回され、切り刻もうとする。
376 :
名無シネマさん :2012/02/06(月) 20:52:32.55 ID:PbviKivP
ビショップはコーナーで踏ん張る。手はコントロールの上にある。エレベーターが唸り声を上げ、震え、下降し始めるが、 シャフトが止まる。スティンガーが振り戻される。クイーンの攻撃が続く。金属の裂ける音。 隔壁ハッチの回廊。最初にジャクソンがかがんで通る。次にロゼッティ、そしてスペンス。ハリデイを支えている。他の者が 続き、最後尾がヒックスである。ヒックスは一旦止まり、ハッチを振り返って見る。遠くから聞こえる破壊音。人間のもの ではない叫び声。小さな、棒状のプラスチック爆弾をベストから取り出し、隔壁のエッジに押し込む。ハーネスから手榴弾を 引き抜き、首を捻って遅延発火にセットしてプラスチック爆弾に刺し込む。ハッチを閉めると走り始める。煙がひどくなる。 青のコンコース。白いタイルの交通トンネル。このトンネルは両端に広い、青い帯がある事で見分けられる。小さな乗り物が ひっくり返っている。血と、裂けた衣服。ジャクソンと1行は残骸を避けて進む。ヒックスが1行に追いつく。ジャクソンは 走る足音に混乱し、ピストルを取り出す。 ヒックス:落ち着くんだ、ジャクソン! ジャクソン:どこへ行ってたの? 遠くの爆発がトンネルを揺さぶる。タイルが何枚か落ちる。 ヒックス:(低い声で)奴ら、俺達を追ってきている。何か食らわせてやろう。
377 :
名無シネマさん :2012/02/06(月) 20:58:33.93 ID:PbviKivP
現在、全191ページの125ページ目です。佳境に入ってきましたね。最初はもうやめようかと思いましたけど、何とか。
378 :
名無シネマさん :2012/02/06(月) 21:04:46.52 ID:XOQlk+cz
スレ汚しになるからいつもレスしないが 楽しみにしているよ。がんばってくださいな。
379 :
名無シネマさん :2012/02/07(火) 02:59:58.29 ID:781HTs8d
がんばー
380 :
名無シネマさん :2012/02/07(火) 07:04:47.34 ID:5bxBZgpK
ジャクソン:そうね。外殻に穴を開けないでよ。OK?(咳き込む)集塵機… ヒックス:行こう。 貨物エレベーター。ビショップはひざまずいてプラスチックの床を慎重に手で探っている。クイーンはシューシュー言いながら ドアを殴りつける。ビショップはフローリングに継ぎ目を見つけ、爪で持ち上げ、掴んで引っ張る。フローリングが持ち上がり、 スーパー接着剤が糸を引く。アンドロイドの力の強さが分かる。エレベーターはクイーンの激怒に揺さぶられる。彼は床に取り 外せる部分を見つける。接着剤で固まった留め金をこじ開けると手首を叩きつける。パネルが外れる。遠いシャフトの基部 へと煙の中を落ちていく。 シャフト。ビショップは開口部からぶら下がって降りていく。緊急用ハシゴが壁に置かれている。彼は足で横木を引っ掛けようと するが、ブーツのつま先がスリップする。遠すぎる。彼はスウィング・バックし、体操選手のようにはずみをつけ…飛びつく。 狙った場所から6フィート下で彼はハシゴを握る。彼はハシゴを降り始める。長い道のり。 青のコンコース。救命艇の1行が現れる。咳き込んでいる。鼻をつく煙の壁。 狼狽と驚愕。 トンネルはエイリアンの樹脂で塞がれている。人骨、兵器、海兵隊員のヘルメットがもつれ、とぐろを巻く樹脂の壁から突き 出ている。6輪の軍用運搬車が血のプールの中、トンネルを横切ってかしいでいる。
381 :
名無シネマさん :2012/02/07(火) 10:13:32.12 ID:zU8HM7R9
ロゼッティ:我々を外へ出したくないのだな… ヒックス:虫どもめ。クソッタレの虫けらどもめ…カモン。(運搬車のドライバーズ・シートに乗り込み)バスで行こう。道はどっちだ? ジャクソン:(彼の横に乗り)来た道よ、何か言い考えがあるのでなければ。 ハリデイ:“虫”って何のこと?あれは何?(樹脂の塊を指差し)トムは?トムはどこ? スペンス:(彼女の腕を取り、運搬車へ)大丈夫よ…ここを上がって…実験が行われたの、そしてコントロールを失って…私達は行かなきゃ ならない… タツミ:実験って、どんな? ヒックス:(運搬車のギアを入れ、質問をカットスル)カモン! 青のコンコース。ヒックスとジャクソンのクローズアップ。彼女はジャケットから平たい装置を取り出し、蓋を開ける。ミニチュアの アンカーポイントのコンピューター・マップ。ポケット・ビデオゲームのようである。ジョイスティックを動かすと、ミニチュアのカラー スクリーンがクローズアップされる。ジャクソンは救命艇への別ルートを探している。
382 :
名無シネマさん :2012/02/07(火) 11:21:31.88 ID:zU8HM7R9
ジャクソン:(マップを調べ)B83で左へ。水産養殖を通って空気栽培の階へ。そこから住宅区域へ入れるから、中央メインフレーム 裏のサービストンネルを上がって… ヒックス:複雑だな。 ジャクソン:最速の道よ。 マップを閉じる。スペンスはハリデイを慰めようとする。 水産養殖ファーム。オートメ化された魚類のファーム。深緑色の水が入った、腰の高さの白くて丸い水槽が何ダースも並んでいる。 低い天井、わずかな照明。ゆっくり風車が回っている。浮いている緑色の植物。ヒックスは1行を率いて、水槽の間の通路を進んで 行く。ジャクソンは一旦止まってマップをチェックする。ヒックスはタバコに火を点け、近くの水槽に肘でもたれ掛かる。 ジャクソン:うまく行ってるわね… ヒックスの背後の水面がざわめく。魚が餌を求めている。彼は声を上げて飛び退る。タバコを落とす。 スペンス:バスだわ。飢えてる…収穫するばかりになってる… ヒックス:そうだな。ここを出ようぜ。OK? 水槽から距離を取りながら、残りの者は後をついていく。 エレベーター・シャフト。ビショップは跳び下りる。揺れるパワーケーブルを避け、眼を細めて煙を通し見る。シャフトのドアを 開ける緊急マニュアルを見つける。 トンネル。彼が踏み出ると、背後で突風が広がる。運搬車がある。ヒックスが残していった車である。彼は乗り込み、パワーがあるか 試してみる。弱々しい泣き声。他のボタンをタッチする。ダッシュボードが光る。“バッテリー再充電を”。彼は車を降り、トンネル に沿ってジョギングしていく。
383 :
名無シネマさん :2012/02/07(火) 15:27:23.34 ID:zU8HM7R9
空気栽培ファーム。最先端の、エプコット(実験未来都市)スタイルの、土を使わない耕作。白いスタイロフォームの構造物が、 正確に間隔をあけて置かれた何百ものプラントに点在している。プラントの根は、周期的に噴射される高圧の霧によって水を 与えられている。先細りになる円柱の横から野菜が芽吹いている。全てが霧に包まれ、まばゆいハロゲンランプに照らされている。 ヒックスはチェンバーをスキャンする。銃は準備されている。1行が背後の白いデッキのハッチから出てくる。スペンスはハリデイを 助けねばならない。ハリデイの頬には涙が流れている。ロゼッティが最後に現われる。パルスライフルをしっかり握っている。視線を チェンバー周囲に投げかける。 ヒックス:安全装置を、大佐。誰も傷つけないように。 彼はひざまずいてハーネスからプラスチック爆弾と手榴弾を外すと、もう1つの爆弾と1緒に置く。 ロゼッティ:何をしてるんだ? ヒックス:奴ら、きっと追ってきてますよ。 彼はハッチに近づきロックする。スペンスの腕の中でハリデイが泣き始める。崩れ折れ、白いデッキの上で胎児のような格好になり、 震えている。子供のように泣き叫ぶ。ロゼッティが急いでやってくる。 ロゼッティ:聞かれるぞ! ロゼッティはハリデイの顔を平手で強く叩く。耳をつんざくような叫び声。スペンスはためらう事無く、彼の顔にきついパンチを お見舞いする。彼はダウンし、ライフルに手を伸ばす。激怒するスペンスは蹴飛ばそうと構える。ハリデイは大きく眼を見開き、 スペンスの行動に茫然となって沈黙している。ロゼッティの口は血まみれになり、手は銃の上にある。 ジャクソン:(彼女の銃の撃鉄を起こし)やってみろ。
384 :
名無シネマさん :2012/02/07(火) 16:19:51.54 ID:zU8HM7R9
ヒックスが呪縛を解く。 ヒックス:(軍曹に)ヒューズは2分だ。皆に伝えろ! ラボの技師がハリデイを掴むと肩にかつぎ上げ、走り始める。他の者も我勝ちに後を追う。中にロゼッティもいる。彼にとっては自己保存が 一番重要なのだ。ヒックスとスペンスがしんがりを勤める。ヒックスは走りながら彼女に歯を見せて笑いかける。 空気栽培所の通路のロングショット。ハイテク版のバビロン空中庭園。救命艇の1行が近づく。その背後、爆発でハッチが蝶番から外れて持ち上がる。 1行の幾人かがデッキに投げ出される。 ジャクソン:(静かに、急いで)ヒックス! ヒックス:イヤー? ジャクソン:見て… 彼女は別の空気栽培装置を指差す。 ジャクソン:一体あれは何? スタイロフォームの構造物に灰色がかったニセの植物が繁茂している。輝く蔓のような構造物。膨らんだ嚢。エイリアンのバイオメカニカルな モチーフの模倣。厚く黒いモールドの斑点がスタイロフォームと白いデッキに広がっている。 ヒックス:これは…キャベツか何か… タツミ:(皆と)来て下さい、ジャクソン!道はどちら… ジャクソン:(ヒックスの腕を掴み引っ張っていく)スペンスが言ってたわ。猿もやられたって…(声を張り上げ)3番目のドアを右!
385 :
名無シネマさん :2012/02/07(火) 17:22:24.81 ID:zU8HM7R9
核融合パッケージ近くのトンネル。ビショップが大股で走ってくる。ターンして、パッケージを収納しているチェンバーに入る。 アンカーポイントの動力源である。チェンバーはしみ1つ無く、照明も充分である。この騒ぎの徴候は煙だけである。パッケージ 自体の大きさははVWのバス程度であるが、これはアンカーポイントの心臓部である。ビショップは狭い金属製の階段を登って、 オーバーハングしたコントロール・ブースに向かう。小さなスロットの上、装甲ハッチの表面に鏡のようなディスクが載っている。 セキュリティ・プログラム:(もの柔らかで女性的なシンセサイザー・ヴォイスで)どうぞ身分証明を。 ビショップはドッグ・タグを外す。それをスロットに入れ、鏡の表面に手のひらを押し付ける。 ビショップ:ビショップ、科学士官。ハイパーダインA/5、マーク3、シリアルナンバーPL3358172438。ソフトウェア・セーフティ・ プロトコルの検閲許可を。 セキュリティ・プログラム:許可できません。ランク不足です。直属の監督官に要請を照会して下さい。 スロットはタグをリジェクトしようとするが彼は強引に押し込む。 ビショップ:緊急プロトコルだ。コード・シータ・ファイブ・スリー。ロゼッティ、コンマ、シューマン、認可。 セキュリティ・プログラム:許可できません。ランク不足です。直属の監督官に要請を照会して下さい。 タグがリジェクトされる。彼はディスクから手を下ろし、鏡の表面に映る自分を見つめる。瞬きする。再びドッグ・タグを挿入し、 手をディスクの上に。 ビショップ:緊急プロトコル。コード・シータ・ファイブ・スリー。ウェルズ・コンマ・フォックス認可。 シューッという音を立ててドアはすぐに開く。彼は中へ入る。
386 :
名無シネマさん :2012/02/08(水) 09:54:09.01 ID:0vvYRVs1
コントロール・ブース。手術室のように清潔で、未使用である:ジャクソンはオプ・ルームから采配を振るうのが常であった。ビショップは オペレーター・チェアに腰を下ろし、3台のモニターに向かい合う。 ビショップ:プロトコル、セーフティ。 真ん中のディスプレイに細かなメニューが映し出される。 ビショップ:オーバーロード・フェイルセイフ。 左のディスプレイに短いメニュー。 ビショップ:バイパス・オーバーロード・フェイルセイフ。 赤いライトが光り始める。 セキュリティ・プログラム:許可できません。ランク不足です。直属の… ビショップ:リクエストをキャンセル。オーバーロード・フェイルセイフ・ソフトウェアを要求。 セキュリティ・プログラム:許可できません。ランク不足です。直属の… ビショップ:ウェルズ、コンマ、フォックス、認可。 右のディスプレイに図表が現われる。何千もの線とシンボルが織り交ぜられ、絶え間なく動いている。ビショップは禅の静けさでスクリーン を調べる。キーボードの上の手はピアニストのそれのように止まっている。そして動き始める。前作のナイフのシーンが人工頭脳によって 再現される。ボード上を交差する彼の指は人間ではありえないスピードと正確さのために霞んで見える。核融合ソフトウェアのセキュリティ・ システムとの競争。
387 :
名無シネマさん :2012/02/08(水) 11:13:45.32 ID:3BdmblsH
スクリーンの線が乱れ、切り替わり、「ウインドウ」が開き始め…だんだん早くなり、完全に開く。 ビショップは満足したかのようにスクリーンを見つめる。目が輝く。スクリーンにメッセージが表示される。 「オーバーロード選択 初期化」 彼はオーバーロードの選択を再プログラムし始める。 ○居住区(既婚者用区画) 壁とドア(そのほとんどが開いている)の迷路。照明は点いているが、濃い煙が立ち込めている。 ジャクソンは咳をし、むせながら他の乗組員を押しのけ、広い共用キッチンへ入っていく。 電熱器の上の鍋から煙が立ち昇っている。彼女は消火器をつかみ、黒く焦げた鍋の中身に 吹き付け、スイッチを切る。煙がわずかに薄まる。 この区画はあのマリー・セレスト号の様な状態だ。テーブルには食べ物や飲み物が用意され、 灰皿のそばには煙草が一箱置かれている。スペンスが通り過ぎながら、煙草をポケットにしまう。 ヒックスは白い大きなポットを開けてみる。蒸気が立ち昇る。彼はカップにコーヒーを注いで飲む。 次の部屋は共用のラウンジになっている。スペンスはハリディを長椅子に連れて行くと、 そのそばに腰をおろし、頭を抱える。 ロゼッティはゲーム機に寄りかかり、ぼんやりした顔で切れた唇を撫でている。
388 :
名無シネマさん :2012/02/08(水) 11:15:34.26 ID:0vvYRVs1
スクリーン上のラインがのたうち、シフトする。“ウィンドウ”がが開き始め… 早くなり… 終了。 ビショップはスクリーンを見つめる。人間で言えば性交後の満足感。眼は輝いている。スクリーン上のメッセージ… “オーバーロード・オプション・リセット” 彼はオーバーロード・オプションを再プログラムし始める。 住宅地(既婚者用住居):壁とドアの迷路。明かりは点いているが煙は深い。咳、呼吸困難。ジャクソンは押し進み、大きな共同 キッチンへ入る。電子レンジの上のポットから煙が流れ出している。彼女は消火器を掴むとポットの黒くなっている中身に 浴びせかける。煙は少し弱まる。住居はマリー・セレスト号のようだった。テーブル上には食物と飲み物。灰皿横のタバコの箱。 スペンスはタバコをポケットに入れる。ヒックスは大きな魔法瓶の蓋を開ける。蒸気が上がる。彼はコーヒーをカップに注ぎ、 飲む。次の部屋は共同のラウンジである。スペンスはハリデイをカウチへ連れて行き、腰を下ろす。ロゼッティは娯楽コンソールに もたれかかる。うつろな表情。割れた唇にそっと触れる。
389 :
名無シネマさん :2012/02/08(水) 11:28:16.54 ID:0vvYRVs1
390 :
名無シネマさん :2012/02/08(水) 15:09:42.88 ID:D+crkBn8
スペンス:(頭を下げ)おかしいわね。でもコンテストに勝たなきゃならなかった。オマハの科学博覧会、ネブラスカの生物学で第1位、モノクローナル 抗体…(ロゼッティを見上げ)そして私はコーネル大学に入学したの。別のコンテスト、これはイージーじゃなかった。私達みんなが熱望してたに違い ないわ。全世代が、或いは私のような人達が。 ロゼッティ:(うんざりして彼女を見て)理想主義者。 スペンス:イヤー。そうかも知れない。新世界を築き、そこに生きる道を見出し…それがこんな事になるとは。ことは成されたのかもしれない、殆ど。 で、見て御覧なさい。おしまいよ… 彼女は起き上がり、ハリデイを抱きしめる。眼はきつく閉じられている。 スペンス:私が知りたいのは、ミスター、何故私達があなたを連れてこなくちゃいけなかったのか?って事よ。 ロゼッティ:(こめかみをマッサージし、冷静に)資金提供。 スペンス:イヤー。そうだと思うわ。ツケを払ったのよ。ぶち壊しになるんだわ。 ヒックス:(彼女にリンゴを放り投げ)カモン。移動する時間だ。彼女を起こすか・ スペンス:勿論。 彼女はふらつきながらハリデイを立たせようとする。しっかり固まったグループになって、彼らは移動する。先頭はジャクソン、最後尾はヒックス である。スペンスは毅然としてリンゴを齧っている。
391 :
名無シネマさん :2012/02/08(水) 15:24:31.24 ID:D+crkBn8
すいません改行ミスです
392 :
名無シネマさん :2012/02/08(水) 16:22:30.89 ID:D+crkBn8
ハリデイの眼が新しく、深い恐怖で満たされる。ここは保育所である。おもちゃが散らばり、壁には子供の描いた絵が貼られている。 ハリデイ:オー、ゴッド… スペンスとラボの技師が急いで彼女を保育所の外へ出す。その中、ハリデイは棚から縫いぐるみの人形をひったくる。 核融合パッケージから離れたトンネル。いつもの安定したペースでビショップはエレベーターシャフトに向かう。注意深く、開いたドア に接近する。聞き耳を立てる。何も聞こえない。じりじりと入っていく。誰もいない。回路はダウンしている。溶けた絶縁体がまだ 音を立てている。彼はシャフトを見上げる。長い登り道。エレベーターの底部がかすかに見える。
393 :
名無シネマさん :2012/02/08(水) 16:38:31.68 ID:E+ddnj4m
つうかイタチだろ
394 :
名無シネマさん :2012/02/09(木) 10:15:30.57 ID:yr1bb8uf
彼は手を伸ばし、横木を掴む。左のブーツを右のブーツの上にあてがい、体をまっすぐに伸ばす。脚の側面にかぎ裂きができ、膝関節が 金属疲労で折れる。白い、アンドロイドの血がしたたる。床に強く打ち付けられ、折れた脚はぞっとするような角度で曲がる。広がる、 白い液体のプール。壁で肩を支えようともがき、手を伸ばして人工骨のぎざぎざになったエッジに触れる。 ビショップ:(科学的な観察)ポリカーボンだ… メインフレーム・サービス・シャフト基部入り口。居住区を出て行く。ヒックスとジャクソンは1行を追い回して低い、床の高さの サービスハッチを通させる。 サービスシャフト。1行は見上げる。ハシゴ、プラットフォーム、キャットウオーク、アンカーポイントのコンピューターのメインフレーム にリンクするファイバーオプティック・ラインの束。漂う煙。ラインの束はかすかに真珠色の光沢を放っている。ヒックスはいつものように 最後尾でハシゴを登っていく。 サービスシャフトのハシゴ。1行は登っていく。ハリデイはまだ縫いぐるみを持っている。最後尾はヒックスである。
395 :
名無シネマさん :2012/02/09(木) 19:09:27.69 ID:o4OLZ7j1
サービスシャフトのプラットフォーム。オプからの海兵隊員ガードが狭い開口部から現れる。スペンスとハリデイが続く…エイリアンが 物陰から襲い掛かり、喉を引き裂く。スペンスはライフルに突進するが、ライフルはプラットフォームを滑って横切っていく。ハシゴの 下からの叫び声。銃は指から滑り落ち、縁を越えて…消える。ハリデイは縫いぐるみを抱いて隅ですくみ上がっている。エイリアンは 死んだ海兵隊員を尾で切り裂きバラバラにする。エイリアンはシューッという音を立て、振り向く。スペンスは凍りつく。 サービスシャフトのハシゴ。ヒックスは1行の先で、よじ登りながら必死で戦い、進路を切り開く… サービスシャフトのプラットフォーム。スペンスはサービスカートからケーブルのドラムをひったくるとエイリアンに投げつける。 ハリデイから注意を逸らそうとしているのだ。ビーストはスペンス目掛けて飛び掛るが、彼女は脆そうなキャットウオークへ突進する。 キャットウオークは揺れる。エイリアンは彼女を、いやらしいほどの軽快さでケーブルの森へと後を追う。ヒックスは登りきって 開口部に出るが、遅かった。スペンスとエイリアン視界から消えている。
396 :
名無シネマさん :2012/02/09(木) 19:54:58.20 ID:XHSM/VMN
光ファイバーの森。スペンスはメインフレームにへばりついている。心臓の鼓動。恐怖。一息し、光るケーブルの束の間から 外を見る。15フィート離れて、エイリアンの背中が見える。彼女は唇を噛み、すべり出て走る。エイリアンは彼女の背後で 叫び声を上げる。彼女はうっかり別の壁へ。ハシゴがある。彼女は急いで登る。青い緊急ライトで照らされた狭いスペースに 出る。逃げ道はない。前へ進み、散乱するコンテナに手を伸ばす。ハシゴに群がるビーストの立てる音。彼女は青い電球の 下にいる。見下ろすと、手は“植民地トランスAP-49フレア・シグナル、酸素-大気20mm”と刷られた平らなプラスチック・ ケースの上にある。彼女は留め金を引きむしり… ビーストは殆ど彼女の上に… 彼女は振り向き、大きなフレア・ピストルを持ち上げ、発射する。ビーストは後方へ吹っ飛ばされ、足がもげ、白熱する マグネシウムのフレアがビーストの内臓で燃え上がる。ビーストは縁から弾かれて落ちていく。 サービスシャフトのプラットフォーム。ヒックスとラボの技師は、燃えて落ちていくエイリアンを見ている。半透明の ケーブルを通っていく異様な光の脈動。 ラボの技師:何だ…? ヒックス:(大声で)スペンス!よう!スペンス! スペンスはキャットウオークを横切る。技師が続く。縫いぐるみの頭越しに、ハリデイが彼らを見ている。
397 :
名無シネマさん :2012/02/09(木) 20:38:34.65 ID:OycGYSPn
サービスシャフトのプラットフォーム。残りの者も登り終え、ヒックスと技師を見る。スペンスがキャットウオークをやって来る。 スペンスはフレアピストルを首ひもにつないでいる。 ジャクソン:(腕時計を見て)OK。みんな!行きましょう。登るのよ! ヒックス:ハリデイ! ハリデイがいた場所に駆け寄る。デッキに縫いぐるみが横たわっている。スペンスは掴み上げるが、ぬるぬるするものに触り、 すぐに投げ捨てる。 スペンス:(叫ぶ)ノー! ノー! ヒックスはメディカル・パックからオリーブ・ドラブ色のエロゾルを引き出して、スプレーで彼女の手を濡らす。 ヒックス:ジャクソンの言うとおりだ。行こう。 既にロセッティはハシゴを登り始めている。 エレベーター・シャフト。ビショップは登っている。左の大腿をウェブ・ベルトできつく締め上げている。裂けた骨は見えない。 ベルトの下の足は液体でびしょ濡れである。彼は両腕と右足を使って登っている。左足はグロテスクに揺れている。壊れた パペットの足のようである。ストレスの兆候が現れている。次の横木で右膝は壊れるかもしれない…彼は慎重に足を運び、体重の 多くを両腕に任せる。腕時計を見る。そのクローズアップ:2140時。 サービスシャフト。ジャクソンはピストル・グリップのパワードライバーでベンチレーター・グリルのネジを緩めている。ヒックス は開口部を照らし、這って入る。次いでジャクソン、そしてロゼッティ…
398 :
名無シネマさん :2012/02/10(金) 10:12:30.25 ID:oI7KYMJ7
ダクト。四つんばいで1列がやっとのスペース。ヒックスは懐中電灯を銃剣のようにライフルに留めている。ジャクソンが続く。 後ろ向きにキャップを被っている。 ヒックス:どうだ? ジャクソンは這うのを止め、マップを開く。ちっぽけなスクリーンの輝きに彼女の顔が映る。 ジャクソン:あと10mかな。そしたらK-58-Aへ入って、ボート・ベイまで真っ直ぐ。 ロゼッティ:(うつろなエコー)行くんだ!早く! ヒックス:イエス、サー。 彼らは進んでいく。 回廊-ダクトの出口。ヒックスとジャクソンは、腰の高さの開口部から1度に1人ずつ引っ張り出そうと構えている。ダクトが開口部から 鋭く傾斜して下っている事が分かる。丸く、滑らかで、登るのは困難である。 ダクト。下から1行のメンバーが四つん這いで登ってくる。 回廊-ダクト出口。ヒックスとジャクソンはロゼッティを引っ張る。両手はライフルを抱きしめている。そしてラボの技師、次いで スペンス。2人はタツミに手を伸ばし…ダクトから叫び声と凄まじい衝撃音。タツミは眼を大きく見開き、叫び声を上げる。ヒックスは 壁にブーツをあてて踏ん張り、彼を引っ張り出す…
399 :
名無シネマさん :2012/02/10(金) 16:12:11.73 ID:oI7KYMJ7
変異したばかりのニュー・ビーストが彼の足を捉えて離さない。ヒックスはライフルをオノのように振り回して頭部に1撃を 食らわす。ビーストはシューッという音を立て、身をよじってダクトへ戻る。 ダクトの中。閉じ込められた5人。ビーストが滑らかなスチールを滑ってやってくる。 ロゼッティはパルスライフルの銃身をダクトに突っ込むとマガジンが空になるまでフルオートで発射する。ヒックスは大振りの パンチを食らわせ、ジャクソンが銃に突進する。ロゼッティの後頭部が反対側の壁に激突し、彼はデッキに滑り落ちる。ロゼッティ が回復する前にジャクソンは上に乗り、パルスライフルの銃口を彼のノド元に押し付ける。 ジャクソン:いつか殺してやろうと思ってたわ、マザーファッカー! ロゼッティは彼女を見上げる。 ロゼッティ:やれよ。 静寂。ダクトからは何の音もしない。
400 :
名無シネマさん :2012/02/11(土) 06:13:23.22 ID:BY3f1vkL
400
401 :
名無シネマさん :2012/02/11(土) 12:10:30.91 ID:t/DFRPg6
タツミは歯を食いしばってすすり泣いている。裂けたズボンから酸の煙が一筋昇ってくる。ヒックスはダクト内部の下を ライトで照らす。 ヒックス:オオ、メン…忘れよう、ジャクソン。誰もいない。 彼は新しいマガジンを放って寄越す。 スペンス:ヒックス!明かりを!」スペンスと技師はタツミの傍にしゃがんでいる。パンツをナイフで切り開き、傷を露出する。 スペンス:気をつけて。生地についてる… 酸が手に滴り落ちて、技師は声を上げる。ヒックスはライトを外してスペンスに渡す。 スペンス:オー、マイ・ゴッド… エイリアンはタツミのふくらはぎから小さなグレープフルーツほどの肉片を噛み取っている。筋肉は酸で焦げて黒くなっている。 ヒックス:(ハーネスから平たいプラスチック・キットを外し)彼の名前は? ジャクソン:タツミ… ヒックス:カクテルをどうぞ、タツミ。 彼はキットを開け、プレッシャー・タンクの付いた銃の形の注射器を取り出す。 ヒックス:ギンザでも手に入らないぜ、な。ヘロインの6倍強い、約8種類のものが入ってる。効くぜ… 彼はタツミの着衣を通して針を刺す。シューッという音。
402 :
名無シネマさん :2012/02/13(月) 19:45:38.36 ID:x7Ali1J3
注射を受けて辰巳はかすかに呻く。はっきりと日本語で、仕事に戻る時間かどうかを尋ねる。 技師:彼は何と? スペンス:分からないわ… ヒックス:彼を運ばねば。(ハーネスから消毒手当てキットをスペンスに渡す)包帯を当てられるだろ?出血はひどくない。 焼灼されてるようだ。(ロゼッティに)起きるんだ。行くぞ。(ジャクソンに)大佐のライフルはあんたが持ってた方がいい。 モール、貨物エレベーター入り口。ドアは大きな缶切りで開けられたようになっている。荒廃しギザギザである。突然、 床の開口部からビショップの両腕が現れ、縁を掴む。体を引き上げ、その負荷で腕は震えている。最後は使い物にならなく なった足である。彼は両手を使って引き上げねばならない。不安そうにモールの中を見る。動くものはない。エイリアンは いない。クイーンの攻撃で合金のトリムの1部がゆるんでいる。ビショップはそれを2つ折りにして強化し、大腿部を巻いて いるベルトの下にあてる。眼はモールに向けられている。 集合点への回廊、救命艇のベイ。ヒックスとジャクソンが重い足取りで歩いてくる。2人の間をタツミが足を引きずっている。 フレア・ピストルを持ったスペンス、そしてロゼッティ、技師。煙が層をなしている。スペンスが咳き込む。アンカー ポイントの酸素レベルが火災で枯渇していると全員が感じている。タツミの容態は悪そうである。顔は火照り、眼はどんより し、痛みも感じていない。ジャパニーズ・ポップ・ソングを途切れがちに歌おうとする。彼の足のクローズアップ。黄色い 滴りが包帯を巻かれた足の通った後に残されている。 ラボの技師:いいぞ、マン。もう遠くない。 ヒックス:ヘイ、ジャクソン…ガッデム、お前さんの言うとおりだった。 彼はパルスライフルで回廊の壁に設置されたプラスチックの表示を指す。「20m先、救命艇」
403 :
名無シネマさん :2012/02/13(月) 20:20:27.14 ID:3A1Lqcaf
ジャクソン:(歯を見せて笑い)勿論よ。マップを持ってなかったの? 彼らは角を曲がる。前方には青いライトと、もう1つの表示。 「救命艇発進集合地点」 スペンス:他のグループは…他の皆はどこ? ヒックス:ヘル、もう発進しちまったのかも… ジャクソン:ノー。 彼女は壁のLEDパネルを見ている。救命艇の発進状況を示している。 ジャクソン:ボートは全部ここにあるわ。 技師:つまり誰も… ロゼッティは彼らを無視して歩き続けている。 ジャクソン:(ロゼッティを見て)賄賂を渡すべきだったわ。 ヒックス:シット。どういう意味だ? ジャクソン:意味?意味はね、あいつがファっキンな実験を許した事よ!止めることもできたのに!でも、止めなかった! 貴方はトライしたわ、あなたとビショップは…あいつがやらせたのよ!
404 :
名無シネマさん :2012/02/14(火) 14:37:58.22 ID:s8LDZZSD
ヒックス:シット・ノー!あいつは多只のお偉いさんさ。こんな有様にしちまった人間にとっては、俺もお前さんも似たような ものさ。賄賂なんか渡したって役には立たなかったろうよ。 ジャクソン:ブルシット! ヒックス:お前さんが賄賂を渡そうと思った相手はカンパニーだからな… 回廊の末端に近づき、ロゼッティはよろめきながら走り出す。救命艇のベイへの入り口である。彼は半狂乱でコードを打ち込む、 ドアを開けようとして。ドアは絹のようにスムーズにスライドバックし、そこに現われたのは明るく照らされた無垢の空間と、 無数のエイリアンであった。尾は絡み合い、取れたての鰻のように黒く光っている。 ロゼッティ:ノー!ガッデム・イット!ノー! ロゼッティが回廊を皆の所へ戻ろうとすると、エイリアン達は動き出す。ヒックスはタツミの体を放し、ライフルを持ち上げる。 タツミはジャクソンの腕に倒れこむ。ヒックスはロゼッティ越しに、混乱の中心部へ火矢を放つ。
405 :
名無シネマさん :2012/02/14(火) 15:14:44.48 ID:s8LDZZSD
スペンスがフレア・ピストルを発射し、ロゼッティは手探りで這いずる。弾は全て遭難信号用のもので、入り口をまっすぐ通過し、 破裂して真紅の稲妻と化し、エイリアン達をバラバラにする。今や全員が回廊を駆け下って戻っていく。ジャクソンはタツミを 抱えている。ロゼッティは他のドアにコードを打ち込む。ヒックスは退却しながらライフルを撃つ。エイリアン達は収まりつつある 炎を通り越し、飛び出してくる。叫び声が回廊に響く…2番目のドアが開き、ロゼッティが通り抜け、技師が後に続く。
406 :
名無シネマさん :2012/02/14(火) 16:13:41.96 ID:s8LDZZSD
ロゼッティはスペンスの目の前でドアを閉め、ロックしようとする…しかし、技師が彼をぐいと引いて退ける。他の者も転げ込む。 ジャクソンはタツミを背負っている。ヒックスはドアを蹴って閉じ、ロックする。ジャクソンは床の絨毯へタツミを下ろす。 ヒックスが明かりを点ける。部屋の周囲に銃口を振り向ける。このオフィスはロゼッティの物より大きく、21世紀風で、官僚的な 陳腐さをたたえている:まやかし物のチーク材、ニセのレザー。ウェイランド・ユタニ社の大物のポートレイト。スペンスは棚の 四角い物体に触れる…小さな、ホログラム・プロジェクターの基部である。輝く、DNA螺旋が現われる。 ヒックス:何も触るな… 技師:(ロゼッティを指差し、ジャクソンに)奴はドアをロックしようとした。我々を閉め出そうと… ジャクソン:(オートマチックをジャケットから抜き)ロゼッティ…
407 :
名無シネマさん :2012/02/14(火) 16:55:29.28 ID:s8LDZZSD
ヒックス:その事は忘れろ。奴が欲しがってる物はこれだ。 ジャクソン:欲しがってる物って? ヒックス:前に見たことがある。戦闘中に。 ロゼッティは彼らから後ずさって行く。 スペンス:カム・ヒア、ヒックス…これはトレントだわ… デスクのコンソールを仕切る、パッドの入ったパーティションの角で、ヒックスは彼女を見つける。ライトは、デスクの後ろの 椅子に座った、コーティングされた死体を照らし出す。頭蓋骨の1/4は吹き飛んでいる。隔壁に飛び散った乾いた血。サービス・ オートマチックがこわばった指に握り締められている。 ヒックス:(肩をすくめ)自分でやったんだ。ヘイ、ロゼッティ!来い! ロゼッティはパーティションの縁を見回し、トレントを見つける。 ヒックス:このザマだ。見ての通りだ。頭を冷やすんだ、でないと誰かに同じザマにされるぞ。 ロゼッティ:(死体を見つめ)才能のある男だった…カンパニー・マンだった…野心的な… ヒックスは死体からライトを逸らし、小部屋を照らす。シュレッダー、空のファイルホルダー、シュレッダーに掛けられた書類で 膨らんだプラスチック・サック。 ヒックス:イヤー… ヒックスはトレントのデスクの後ろの壁を照らす。 スペンス:壁だわ、ヒックス! 彼女はヒックスをビックリさせる。ライフルの安全装置はオフになっている。壁には何もないが、額縁に入った証書があり、その 間に謄写された文字が… スペンス:ジーザス・クライスト!ロックよ、ヒックス。エアロックだわ!
408 :
名無シネマさん :2012/02/14(火) 16:56:48.19 ID:s8LDZZSD
訂正 コーティングされた→ラボのコートを着た
409 :
名無シネマさん :2012/02/15(水) 09:37:32.76 ID:tvel0DTV
彼女はデスク・コンソールによじ登り、死体を押しのけると壁の証書を引きちぎる。ハッチの輪郭と謄写された注意書きが現われる。 “緊急エアロック-外殻セクター308出口” 回廊からエイリアンがドアにぶち当たる音。 スペンス:チャンスだわ!唯一のチャンス!外殻へ出て、横切ってボートへ。そうすれば入れるわ、外側から… ヒックスは腕時計を見下ろす。2146時。ビショップが核融合パッケージの爆破を2200時にセットしていれば…希望はない。 だが、スペンスを落胆させられようか。 ヒックス:やってみよう。 スペンスは緊急エアロックの、赤いエアライン・スタイルのはめ込みハンドルを強く引く。
410 :
名無シネマさん :2012/02/15(水) 11:13:32.92 ID:tvel0DTV
ハンドルはフリップ・ダウンし、ハッチは旋回してスムーズに開く。内部のライトが点き、シンセサイザーの声が告げる。 アナウンス:これは5人用の空気ロックで、外殻セクター3-0-8への出口です。5着のマーク12緊急スーツが装備されています。 マーク12スーツには2時間分の酸素が供給されており、オートマチック・レーダー・ビーコン、スーツ内ラジオ、そして靴底には 磁石プレートが装着されています。ヴェルクロ・ストリップの0−リングが分かりにくいようでしたらアドバイスを致しますから 2次プログラムを作動して下さい。 ジャクソン:私達は6人… 棚からスペーススーツがぶら下がっている。それぞれ異なった色のヘルメットが付いている。ロゼッティは彼女の背後から体を 押し付ける。目はスーツに釘付けである。 ジャクソン:邪魔しないで、ロゼッティ!あなたよ。 技師:ライト。急いで!何か…
411 :
名無シネマさん :2012/02/15(水) 15:19:05.90 ID:tvel0DTV
技師はタツミから後ずさる。タツミは床のカーペットに横たわり、口を大きく開き、白目を剥いている。ヒックスがタツミの 包帯を巻かれた足にライトを当てると、包帯は盛り上がり、蠢き、裂ける音がし、黄色い液体がにじみ出る。ニューモデルの チェストバスターが傷口から現われ、椅子の下の下の陰へ飛び込む。タツミの白いシャツに2つ、赤い点が現われる。更に 2体の怪物が胃袋を破って現われ、彼は弓なりに体を反らせて呻き声を上げる…4匹目のチェストバスターが口から飛び出て 呻き声はカットされる…ジャクソンはピストルを両手で構え、タツミの頭部を撃つ。 ヒックス:ロックへ入れ!スーツを! 緊急ロック。ヒックスはインナー・ドアを引いて閉じる。ロックは白く、輝き、5人にぴったりの狭さである。技師はぶら 下がっているスーツに手を伸ばし、大声で叫ぶ。血でぬるぬるするチェストバスターがスーツの中から転がり出る。 技師:アアアアア! ヒックスはドアに肩をぶつける。ロゼッティがヘルメットを下手で掴んで振り回し、小さな恐怖をロックの外へ叩き出す。 ヒックスは再びドアを閉める。スペンスは震えている。ロゼッティはヘルメットを装着し、スーツに手を伸ばす。 スペンス:ジ、ジーザス、ロゼッティ…どうやったの? ロゼッティ:私は兵隊だったんだぞ。 彼らはあわただしく下着姿になり、スペーススーツと格闘する。ロゼッティのヘルメットは黄色、ヒックスは赤、ジャクソンが 緑、そして技師はオレンジ色。スペンスはそばかすと、軍交付のブラジャーの上でスペーススーツを閉じる。ヒックスは ドッグ・タグと胸の酸の傷跡の上でスーツを閉じる。 アナウンスメント:着席してラップベルトを締めて下さい。
412 :
名無シネマさん :2012/02/15(水) 16:53:35.47 ID:tvel0DTV
ロックの両サイドには狭い棚。5人は座る。スペンスと技師はドアに1番近い位置にある。ヒックスとジャクソンは彼らと向かい合う。 ロゼッティ:(ヘルメットを回し、スペンスに向いて)君の言うとおりだ、スペンス。私は止めるべきだった。勿論駄目だったろうが、 トライするべきだったな… スペンス:戻ったら査問会議が開かれるでしょう。彼らに言えばいいのよ、大佐。何が起こったのか言えばいいんだわ。誰に責任が あるのか、分からせてやれば… アナウンスメント:警告、10秒。アウターハッチ、起動中。 ロゼッティのヘルメットがゆっくりと回って彼女の方を向く。フェイスプレートを通し、失われた両目と血の筋の混じったよだれ… ジャクソン:彼はやられた!ジーーーーザス! ロゼッティのヘルメットの中へ血が湧き上がり、充満する。何か黒い物がフェイスプレートの内側から表面に打ち当たる。激しく、 何度も何度も。スペーススーツは弓なりに曲がり、人間にはありえないかたちを取る…
413 :
名無シネマさん :2012/02/15(水) 16:54:31.95 ID:tvel0DTV
ALIENじゃなくてTHE THINGですね本作は。
414 :
名無シネマさん :2012/02/16(木) 11:13:58.74 ID:vcX6z5gY
アウターハッチが水圧で旋回し、真空で小物が吸い出される。ロゼッティのスーツを着たニュー・ビーストはナイロンのラップベルトを 引きちぎり、スペンス目掛けて突進する。彼女のフェイスプレートに血の泡が当たり、歯の生えた舌は杭打ち機のように、頑丈なロゼッティ のフェイスプレートを割ろうとする。毛のように細いヒビ。小さな血の泡。 技師はラップベルトを外し、スーツを着たビーストと取っ組み合い、スペンスから引き離す。ヒックスはパルスライフルに取り組み、ベンチ から動けない。スーツ・ラジオはビーストの吼え声で充満する。ビーストは技師に向き直り、彼を開いたハッチの外へ投げ飛ばし、後を追う。 外殻、エアロック。真空、無重力。ロゼッティのスーツを着たビーストは技師を捕らえ、技師のヘルメットと首のジョイントを掴み、 ヘルメットをむしり取る。スーツの首から空気が奔出し、3秒後には凍りつき、小さな氷の結晶の雲となる。眼は凍ったビー玉である。彼は ゆっくり回転しながら外殻を横切っていく。
415 :
名無シネマさん :2012/02/16(木) 18:47:30.66 ID:HwuWszYi
ビーストは飛び出たストラットを掴み、バレリーナのような優美さでスピンしながらエアロックへ… 昇降口のヒックス。パルスライフルを持ち上げるとトリガーを引く。弾丸カウンターは光って00を示す。空だ。 ジャクソンは背後から新しいマガジンを渡す。ヒックスはそれを銃に叩き込む。ビーストはストラットから彼に飛び掛る。 彼は発砲する。スペーススーツは血と酸の煙の中で爆発する。ヒックスはハッチの縁を越えて飛び出す。ジャクソンと スペンスは後を追う。アンカーポイントの外殻は果てしなく続いている。さまざまな構造ででこぼこの、平坦で灰色の 広がり。技師の体はゆっくりと宇宙空間へ。 スペンス:私達、あの人の名前も知らなかった…ヒックス、ヒックス、私達、やったのね? ヒックスは腕時計を見下ろす。2159時。ヒックスは彼女の目を覗き込む、まるで初めてのように。 ヒックス:やったって?イヤー…確かにな。 彼は歯を見せて、絶望的に笑いかける。彼の手は彼女を掴む。腕時計のアラーム。2200時。ヒックスの目は堅く 閉じられる。だが何も起こらない。 スペンス:ヒックス?ヒックス、大丈夫?どうしたの? 彼は目を開ける。彼女を見て、手を離す。腕時計のクローズアップ。2201時。 スペンス:大丈夫? ヒックスは腕時計を投げ捨てる。腕時計はゆっくり転がっていく。 ヒックス:OK。ボートへの道は?
416 :
名無シネマさん :2012/02/16(木) 19:43:44.90 ID:3/HIkN/W
ジャクソン:マップでは丁度この中よ… ヒックス:ラジオマストが見えるだろ?あそこから行こう。 彼らは1列となって外郭を横切っていく。ヒックスが先導し、しんがりをジャクソンが勤める。水平線の上に見えるラジオマストは 視界内では1番高い建築物で、星々に斜めに突き出した鉄製の針である。背後では開いたままのエアロック。明かりが漏れている。 外殻、ロングショット。3つの小さな人影。モノトーンの外殻の平原に明るい点。赤、青、緑。 ロックから漏れる明かりの中で影が絡み合う。動いている。ハッチの縁から黒い爪が滑り出る。続いて目のないエイリアンの マスクが現れる。別の1匹である。クリーチャーは寒さにも真空にもびくともしていない。 外殻、救命艇ベイへの進入路。ヒックスはライフルを使ってジェスチャーする。艇の船首である。 ヒックス:お前から行きな。 ジャクソン:見事なナビゲートね。 ヒックス:見事に当てたな。だがまだ、このどれかに乗り込まなくちゃならない… スペンスは下りようとして足を踏み外し、スローモーションで回転し始める。ゼロG。ジャクソンが彼女を掴まえる。 ヒックスは接近していく。手は舷窓の上である。ヘルメットが当たって音を立てる。ライトの光が差し込まれる。端から端まで 明かりは振られる。 外殻、救命艇ベイ。ヒックスは舷窓からまっすぐ体を伸ばす。 ヒックス:大丈夫そうだ。どうやって入るか? ジャクソン:ハッチのラッチでバイパスできるわ。でもショートさせないと… スペンス:(艇の側面を登り始め)太陽電池からケーブルを引き剥がせば… ヒックス:そんな事したら空気がなくなるぞ。 ジャクソン:タンクの予備を使わなきゃね。ハイパースリープに入ってしまえば問題ないわ。他に手はないし… 救命艇上部。平らで長方形の太陽電池にしゃがみこんで小さなアクセスポートを引っ張る。うまくグリップできない。 スペーススーツの手袋は細かい作業用にはデザインされていないのだ。
417 :
名無シネマさん :2012/02/17(金) 10:39:24.08 ID:7JhEz4fr
スペンス:(自らを落ちつかせようと話し続ける)科学博覧会みたい。昔、叔父さんの地下室から運び出したTVのハンダを剥がす のに1ヶ月かかったもんだったわ… 彼女はどうにかカバーを外す。彼女はカラーコードされた配線のぎっしり詰まった塊りを見つめる。 スペンス:ヘイ、ジャクソン。特別欲しい物ってある? ジャクソン:赤と緑のを20cm位どう? スペンスは探し始める。 スペンス:OK。他に欲しい物は? ジャクソン:コーヒーとデニッシュ。ブラックで、ワン・シュガー。 外殻、救命艇。ヒックスとジャクソンは大きめのアクセスポートを開けようとしている。舷窓の横にあり、船首の長方形の ハッチにセットされている。簡単ではない。ヒックスはパルスライフルの台尻を何とかカバーの縁の下に引っ掛け、銃身を レバー代わりに用いる。台尻はスリップする。 ヒックス:シット。 再び試みると、カバーは跳ね上がり、開く。ジャクソンは配線を叩く。
418 :
名無シネマさん :2012/02/17(金) 15:11:29.66 ID:7JhEz4fr
救命艇上部。スペンスは獲物を見下ろす。赤と緑のワイヤーの1部である。 スペンス:コーヒーは切らしてるけど、ショートさせることなら… スペンスは外殻を見渡す…そして1ダースものエイリアンがやって来るのを見つける。 スペンス:ヒックス!奴等がやって来る!スーツは不要なんだわ! 外殻、救命艇。ヒックスはライフルを振り回す。ゼロG下では早すぎる動きのため、はずみで彼は回転を始め、船首を通り過ぎるが 何とかライフルを発射する。先頭の2体のエイリアンを破壊するが、残りが急いでカバーする。残弾表示:09。ヒックスは着地し、 後退し、別の緊急エアロックにぶつかる。これはまだ密閉されている。彼は登り、突き出たハウジングに向かってしゃがむ。 狙いを確かにするためである。エイリアン達は再度突っ込んでくる。5回の射撃で5体のエイリアンが吹き飛び、残りは視界から消える。 残弾表示:04。ヒックスのフェイスプレートから6インチ、エアロックのハッチに赤いライトが明滅する。ロックは開き始める。 ハッチが開き、ヒックスはライフルを腰だめにし、急いで後退する…スペーススーツの人影が立ち上がる…黄色いヘルメット。 ヒックスのクローズアップ。 ヒックス:(困惑の瞬間)ロゼッテ…
419 :
名無シネマさん :2012/02/19(日) 11:36:33.33 ID:seXwYbgp
エイリアン達は突っ込んでくる。人影は振り向くとパルスライフルを構える。 フェウスプレートを通し、ビショップのクローズアップ。全弾丸を叩き込み、エイリアン全てを殺戮する。 ビショップ:ヒックス、ロックから出してくれ… ヒックスはビショップの腕を掴み、縁から引っ張り出す。アンドロイドの左足はエレベーターから取った金属を添え木にしており、 スペーススーツに頑丈な銀色のテープで固定されている。 ヒックス:どうしたんだ?2200時なのにふっ飛ばさなかったじゃないか。 ビショップは彼に新しい弾薬のクリップを渡す。 ビショップ:2230時に2箇所、オーバーロードの予定だ。 ヒックス:ホワイ? ビショップ:あんたには時間が必要だろうと思ってね。
420 :
名無シネマさん :2012/02/19(日) 14:23:32.86 ID:seXwYbgp
ヒックスはビショップを助けて外殻を横切る。開いたサービス・ポートの傍にしゃがむスペンスとジャクソン。彼らは ポートの配線で7色のスパゲティを作り出したが、ジャクソンはワイヤーの剥き出しになった一端を握っている。到着した ヒックスとビショップを、スペンスが見上げる。 スペンス:脚をどうしたの? ビショップ:分子疲労だよ。 ヒックス:今すぐ行け、とビショップが。 ジャクソン:ノー、シット…さあ… 彼女はワイヤーを接触させてスパークを飛ばす。 何も起こらない。 再度挑戦。 やはり何も起こらない。 ジャクソン:3度目の魔法よ。 更に大きなスパーク。 ハッチは突然開き、もれ出る空気の突風。 ジャクソン:どうよ!OK! ジャクソンはしゃがんで開口部にヘルメットと肩を押し込む…クイーンサイズのスティンガーが首の後ろを貫いて現われる。 スーツの合金製カラー・リングをバターのように切断する。 スペンス:ジャクソン! ジャクソンは、姿の見えないクイーンによって開口部へ引きずり込まれていく。スペンスは怒りに燃えてジャクソンのスーツを 握り、引き戻そうとする… ヒックス:忘れるんだ!ジャクソンは死んだ! ビショップ:ヒックス!
421 :
名無シネマさん :2012/02/19(日) 17:09:04.67 ID:seXwYbgp
ヒックスとスペンスは振り向く。彼らが見たもの…それはジャクソンを助ける事さえ忘れさせるものだった。救命艇のハッチを通って、 ジャクソンのブーツは姿を消す。クイーンは星々に向かって鶏冠を高く掲げ、雲のような大群を率いている… ヒックスはパルスライフルのグレネードランチャーを反射的に発射する。ゼロGでの反動も考えずに。突撃してくるエイリアン5体を排除した時、 反動で彼は救命艇へと跳ね飛ばされる。ヘルメットが艇の外殻に当たる、鋭い音。フェイスプレートの中、彼は気を失っている。 進んでくる大群に、ビショップはひとり対峙している。脚は外殻の狭い溝に押し込まれている。彼はロボットの正確さで発射する。ライフルは オートマチックの銃座のように旋回する。 ビショップの表情のクローズアップ。そこには怒りも、恐怖も浮かんではいない。ただ現在の任務に没頭している。 スペンスはヒックスの銃を持ち、ヒックスをビショップの足元へ引きずってくる。 ビショップの弾丸表示のクローズアップ。ストップウオッチの1秒ごとに着実に減っていく。そびえ立つクイーンが最後の勝負の相手である… アンドロイドはミスを犯さない。顎への直撃段でクイーンの頭は吹き飛ぶ。だが頭を失っても動きは止まらない。よろめき、のたうちながらも 向かってくる。
422 :
名無シネマさん :2012/02/21(火) 16:19:28.19 ID:14nytvjF
クイーンはひっくり返る。星空を背景に、広い腹部、ムチのように振り回されるスティンガー…振り下ろされたスティンガーは 外殻の輝くスチールを抉り取る。ビショップは脚を引き抜いて転がる。胴体は救命艇に激突する。大群はさえずり、躊躇する。 群れを統率するクイーンの知性を失ったエイリアンは本来の本能的行動に戻る。 ヒックス:ビショップ!カモン! ヒックスとスペンスはゼロG下で長く跳躍し、外殻を横切って逃げる…そのまま漂流してしまうかもしれない。 スペンス:マストよ、ビショップ!ラジオマスト! ビショップは後を追う。空になったパルスライフルを捨てる。健常なほうの脚で跳躍しようとする。3体のエイリアンが 追いつき、彼はバランスを崩す… ヒックスとスペンスはラジオマストの基部に到達し、手で先端まで達する。ヒックスは、バランスを取り戻そうと苦闘する ビショップを見る。エイリアン達は迫り来る。ヒックスはスペンスからライフルをひったくる。
423 :
名無シネマさん :2012/02/21(火) 17:17:41.54 ID:14nytvjF
ヒックス:(スペンスに)行け! ヒックスは再び外殻を横切りビショップのもとへ。近くのエイリアンを撃ち、ビショップのスーツを掴み、引っ張る。2体目の エイリアンを撃つが外す。2人はマストを目指し、ヒックスは背後の大群に向けてライフルを撃つ。スペンスはマストの道中1/3 にいる。体は宙に浮き、手でしがみ付いている。 ビショップ:核融合パッケージが、ヒックス…オーバーロードを… ヒックス:イヤー…でも、俺達の勝ちさ…カモン。 大群がマストの基部に集まり、ひと塊になってのたうっている。1体が跳躍して蜘蛛のようにマストを登っていく。ヒックスは それを吹っ飛ばす。残弾表示:04。 ビショップ:オーバーロードまで、あと4分。 もう1体のエイリアンをヒックスは吹き飛ばす。耳をつんざくフィードバックの大音響がっスーツ・ラジオに。次いで空電が。 宇宙空間。ロジーナへの核攻撃で焼け焦げ、穴だらけのU.P.Pの迎撃機がジェット操作でアンカーポイントに降りる。
424 :
名無シネマさん :2012/02/22(水) 10:35:52.82 ID:5NqPE07A
ガンポートのクローズアップ。ガンポートがスムースにスライドして開き、物騒な外観の、ガトリング・スタイルのパルス・ キャノンが現われる。炎の奔流がエイリアンの大群をなぎ倒していく。 ベトナム人コマンド:来い!さあ、来やがれ! そして母国語でわめき散らす。 キャノンを発射しながら迎撃機はマストの先端に接近する。迎撃機の下面のエアロックがスライドして開き、明かりが漏れる。 スペンスはマストを蹴って何とか迎撃機のエアロックの縁を掴む。ヒックスはマストのエイリアンに最後の射撃を見舞う。 迎撃機は下降し続け、ヒックスとビショップがキック・オフした時、マストの先端にぶつかってスパークを飛ばす。ヒックスは スペンスの空いた手を握り、ビショップはヒックスの足首を掴む。スペンスは2人を引っ張り、もろともエアロックの狭い空間に 飛び込む。エイリアンがマストから飛び掛った時、ロックは閉じる… 迎撃機のエアロック。エイリアンがロックに激突する音。ヒックス、ビショップ、そしてスペンスはすし詰めになっている。 迎撃機、ロックの外。エイリアンは怒り狂いながら、手がかりを探して引っ掻き回す。
425 :
名無シネマさん :2012/02/22(水) 14:30:54.70 ID:5NqPE07A
迎撃機。インナーロックが開き、コマンドは刺青の入った腕を差し入れ、スペンスを引っ張り出して自由にする。スペンスは ヘルメットをいじって取り外す。ビショップは自力でロックから出て操縦席へ飛び込む。彼の手はスイッチボードの上を 次から次へと素早く動く。何も起こらない。ビショップはフェイスプレート越しにコマンドを見上げる。 ビショップ:ゴー! コマンドはビショップを無表情で見る。そして3つのボタンを連続して押す。 宇宙空間。エイリアン達はマストに沿ってアリマキのように群がっている。迎撃機のエンジンが轟然と火を噴く。エアロックの エイリアンはグリップを失い、ロケットの炎の中へ落ちていく。 アンカーポイント外観。ステーションは遠ざかっていく。核融合パッケージがオーバーロードに達する。 ホワイトアウト。 そしてフェイド・トゥ・ブラック。 フェイド・イン。星が1つ、そしてまた1つ。迎撃機は漂流している。明かりは消えている。アンカーポイントの爆発で損傷が増えている のが見える。
426 :
名無シネマさん :2012/02/22(水) 15:29:48.45 ID:5NqPE07A
迎撃機。かすかな明かり。コマンドは死んだスイッチの壁に向かって、ぐったり座り込み、ビショップを見る。ヒックス、 スペンス、そしてビショップはスペーススーツを着ているが、ヘルメットと酸素タンクは外されている。ビショップは 剥き出しになった回路のパネルにかがみ込んで繊細なプローブを使って作業をしている。スーツは腰までで、小さなライトを 前額部にバンドで留めている。スペンスは頭をヒックスの膝に乗せて眠っている。 ヒックス:ビショップ… ビショップは見上げる。ライトがヒックスの両目に映って輝いている。 ビショップ:イエス? ヒックス:ビショップ、スペンスと俺は…つまりその…俺達は感染してるのか? 小さく、一定した音色。ビショップのスーツからだ。彼はプローブを置き、スーツに手を伸ばして腕時計を引っ張り出す。 彼は時間を見る。音は止まる。彼は時計を置くとヒックスを見る。 ビショップ:いや、感染してはいない。孵化期間に関してはしっかりしたパラメーターを得ている。あんた達も、彼女も キャリアーじゃないよ。(コマンドをちらりと見て)まだ確信はできないが… ヒックス:時計か?時計が鳴るまでは? ビショップ:イエス。 ビショップは再びスーツに手を伸ばし、サービス・オートマティックを取り出す。コマンドは怒り、だるそうに自国語で 何か言う。ビショップは彼女に銃を手渡す。彼女はいとわしそうに脇へ投げ捨て、体を丸めると眼を閉じる。 ヒックス:銃は俺達用だったのか?もし俺達が… ビショップ:イエス。(再びコマンドを見る)彼女は死にかけてる。放射線障害で… ヒックス:俺達にできる事は? ビショップ:ノー。 スペンスは眠りながら呻き声を上げる。ヒックスは彼女の髪の毛を眼から後ろへとなでつける。
427 :
名無シネマさん :2012/02/23(木) 18:46:46.20 ID:DBBcGGQ+
ビショップ:君達は人間なんだ、ヒックス。共通の敵に向かって力を合わせ… ヒックスはスペンスの頭を動かし、畳んだジャケットを枕代わりにし、コマンドにプラスチック・ボトルの水を勧める。 彼女は拒否する。 ヒックス:イヤー? ビショップ:源泉だよ、ヒックス。奴らをたどって、その起源を探り当てなければならない。最初の源泉を。そして破壊 せねば。
428 :
名無シネマさん :2012/02/23(木) 19:05:02.37 ID:DBBcGGQ+
ヒックス:分からないな、ビショップ。奴らには関わらないほうがいいんじゃ… ビショップ:それは駄目だ。これは単なる異種間の競争などというものをを遥かに越えた問題だ。あのクリーチャーと 生物は、反物質と物質の関係にある。 ヒックス:どういう意味だ? ビショップ:両者が共存できる場所はないと言う事さ、ヒックス。この宇宙のどこにも。 ヒックス:クレイジーだ、ビショップ… ビショップ:ノー。もう戦いは始まっている。絶滅への戦いが。エイリアンにはそれしかないんだ。 ヒックス:ヘル、マン。俺達はずっと戦ってきた。
429 :
名無シネマさん :2012/02/23(木) 19:09:47.25 ID:0S2io7Vu
なが
430 :
名無シネマさん :2012/02/23(木) 19:30:52.51 ID:DBBcGGQ+
ヒックス:人生の殆どをだ。彼女や(コマンドを見下ろし)、彼女の兄弟や姉妹と戦ってきたんだ。だからこんな羽目に! ビショップ:だが君は敵を知った。彼女もだ。ここはダーウィンの宇宙だ、ヒックス。最後に勝ち残るのはエイリアンだと? ヒックスは答えない。彼はビショップを見る。ビショップは回路の作業に戻る。 クローズアップ:眠っているスペンスの顔、そして死にゆくコマンドの顔。 ディゾルブして、 宇宙空間。巨大な宇宙船の接近。ホーミングレーダーの探査音。宇宙船が滑っていく。巨大な文字:カンサスシティ。 カンサスシティ底部に広いベイが開く。迎撃機がフレームに入ってくる。そして明るく照らされた船倉へ引き込まれていく。 ベイは閉じる。 宇宙空間。カンサスシティは遠ざかっていく。 星々。 フェイドアウト。 THE END
431 :
名無シネマさん :2012/02/23(木) 19:36:15.39 ID:DBBcGGQ+
これにてギブスン版「ALIEN3」終了です。私には難しすぎる翻訳でした。お付き合い頂いて有難う御座いました。 長かったけど、あんまり面白くないですね。映画化されなくて当然かも。次はボツった「ALIEN5」でもやりましょうかね。 まだまだネタはあるんで、8月のその日が来るまでボチボチと…
432 :
名無シネマさん :2012/02/23(木) 20:23:11.85 ID:1mzZbkaW
どうもありがとうございました。 面白かったですよ。ヒックスに会えたのが嬉しかった。 意識してのことだと思いますが敢えて直訳をされていますね。 小説ならもっと意訳して日本語にしてしまうでしょうが シナリオらしさを演出してお陰で映画のシーンを彷彿とさせていただきました。
433 :
名無シネマさん :2012/02/23(木) 21:22:49.97 ID:iS/+xFrk
おつかれさまでした。 是非観たいと思ってたスクリプトなので和訳嬉しいです。
434 :
名無シネマさん :2012/02/24(金) 06:50:23.65 ID:S2ZwDV2t
お疲れさんでした。ギブスンには悪いけどボツで正解だったかもね。
435 :
名無シネマさん :2012/02/24(金) 14:49:13.16 ID:r0vS4kdw
ALIEN LEGEND-ALIEN5 RUMOR CONTROLより。 Resurrectionが劇場公開される前に、既に続編の噂が始まった。実際、Joss Whedonは、ウィーバーが断ったのに5番目のフィルム のスクリプトを書いている。ジェームス・キャメロンとリドリー・スコットはFOXがエイリアンVSプレデターの製作を決定するまで 他に取り掛かっていた。リドリーがprequelの監督になるであろう事は、現在では知られているが、リプリー・サーガの完結に ふさわしいものにはならないであろう事は、不運な事である。Ressurectionでリプリーのストーリーを終えるのは正しい道ではない。 以下を読めば過去の噂を読む事ができる。 Current Details タイトル:エイリアン5 プロット:リプリーのクローンがエイリアンのホームワールドへ行き、最後の決着をつける。
436 :
名無シネマさん :2012/02/24(金) 14:57:12.36 ID:r0vS4kdw
1997.8.20 Joss Weldon(Ressurectionのライター)は2000万ドルの取引を20C-FOXと自身のプロダクション会社、Mutant Enemyの間で交わし、映画を 作る事になった。そのうちの1本がエイリアン5であろうか?ありうる事だが、現時点では本当とは思えない。
437 :
名無シネマさん :2012/02/24(金) 15:04:17.94 ID:r0vS4kdw
199711.30 ウィーバーは、5番目の映画が作られる事は間違いないと認め、交渉する用意ができているとFOXに伝えた。別の噂ではウィーバーと ライダーは2本のエイリアン・ムービーにサインを終えたと言う。
438 :
名無シネマさん :2012/02/24(金) 15:28:09.30 ID:r0vS4kdw
1997.12.2 Entertainment WeeklyはFOXの社長、トム・ロスマンがエイリアン5の製作は明らかな事実だと認め、Joss Weldonが初めて スクリプトを書くことになるだろうと認めた事を報じた。本プロジェクトの仮題は“Alien Revelation”とされ、1999の クリスマスに公開予定である。この作品では地球が登場すると言われているがファンが考えるようなものではなく、 Whedonのヒントによれば地球で興味深い事が起こるが、大きなストーリーはまだ語られていないと言う。
439 :
名無シネマさん :2012/02/24(金) 15:50:04.82 ID:r0vS4kdw
1997.12.15 海兵隊員が荒廃したLV-426へ戻り遺棄船を発見するが、着陸船が母船に戻ったとき、乗船したエイリアンにより再び何かが 起こる。母船は吹き飛び、送り出された着陸船は惑星に戻るがクラッシュする。数人の海兵隊員が生き残り、ここから ストーリーは続くが、1998.1.19、これは偽りのストーリーとされた。それはLV-426がエイリアンのホームワールドではなく、 エイリアン5はニュー・グラウンドのみを扱う映画になるからである。
440 :
名無シネマさん :2012/02/24(金) 15:59:08.92 ID:r0vS4kdw
1997.12.17 ジュネは監督を要請されたが却下した。それは、彼が新しい監督が起用されるべきだと感じているからである。他にはリドリー・スコット、 リュック・ベッソン、そしてヴィンセンゾ・ナタリの名が挙がっている。
441 :
名無シネマさん :2012/02/24(金) 16:16:17.80 ID:r0vS4kdw
1998.5.7 ビショップが第2世代のアンドロイドのリーダーとして戻ってくる。彼はエイリアンによって荒廃した地球を核兵器を用いて消毒 したいと望んでいる。以下はエイリアン5のスクリプトからの抜粋とされている。 ビショップ:地球は滅びた。科学者達が最初の標本を持ち込んだ途端にだ。 リプリー(唖然として)ビショップ? ビショップ:ビショップ8号だ。 リプリー:私はリプリー。 ビショップ:リプリーは死んだ。 リプリー:貴方だって。 ビショップ:アンドロイドは再生可能だ。改良を施し、自由意志を持って。 リプリー:私も生まれ変わったわ、改良して。 2人は面と向き合うが、ビショップが緊張をほどき、微笑する。
442 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 17:46:13.26 ID:pTEltnxy
ビショップ:エイリアンの標本を入手しようという試みは大失敗に終わり、カンパニーは総力を挙げて新しいアプローチを 模索した。私を再生し、その任に就かせた。だが私は独自でエイリアンの痕跡全てを破壊し始めたのだ、遺伝子レベルに おいても。私は助手として第2世代のアンドロイドを作りだし、サンプルを発見するという口実の元、LV426とFURY161へ戻り、 エイリアンの存在を一掃したのだ。 リプリー:でも貴方は確かな血液サンプルを見落とした…私の。 ビショップ:(頷いて)FURY161のドクターは記録を残していなかった。カンパニーはクリーチャーの追求で財政的に破綻し、 破産した。我々は勝ったと思った。10年前、君の血液が発見され、軍はカンパニーが残したものを再開したのだ。
443 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 18:04:15.39 ID:pTEltnxy
ブリース:そして、清算するために貴方は戻ってきたのね。 ビショップ:それは正確ではない。私は数十年間、実験と理論化を続けてきた。 リプリー:なら、奴らを食い止める方法も、私達の惑星を取り戻す方法も知ってると? ビショップ:地球は汚染されている。完璧な消毒が必要だ。LV426同様の処置が有効だろう。 ブリース:LV426で何が起きたの? ビショップ:核による消毒だ。 ブリース:地球に核攻撃なんてありえない。 ジョーナー:(呟く)役立つかもね。 ブリース:リプリー?そんな事させちゃいけないわ。 リプリー:(思い出しながら)確実な方法はそれしかないわね。
444 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 18:12:57.07 ID:pTEltnxy
1998.6.9 Whedonはスクリプトを完成し、FOXに提出したが却下された。理由はリプリーのキャラクターのドラスティックな変化である。 シナリオのタイトルは“Alien Revelation”であった。Ressurectionはリプリーをわずかに変化させ、FOXはそれを捨てなかった。
445 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 18:20:07.70 ID:pTEltnxy
1998.6.22 シガーニー・ウィーバーはエイリアン5出演に1800万ドルでサインした。噂では2000万ドルになっている。彼女は脚本と 監督を助けることになるらしい。
446 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 18:20:32.97 ID:pTEltnxy
1998.6.22 シガーニー・ウィーバーはエイリアン5出演に1800万ドルでサインした。噂では2000万ドルになっている。彼女は脚本と 監督を助けることになるらしい。
447 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 18:27:02.73 ID:pTEltnxy
1998.8.17 Joss Whedonはエイリアン5の執筆をオファーされたが断ったと述べた。最後のフィルム、Ressurectionが余りにプアーだと分かったからだ。 サンディエゴのComiconでWhedonは彼あるいは他の誰かがエイリアン5のスクリプトを書いているのか尋ねられたが、彼の答えは“それは ビッグ・ノーだ。エイリアン4を見たかね?”だった。
448 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 18:33:39.03 ID:pTEltnxy
1999.8.29 Total Film Magazineの最新号はエイリアン5のスクリプトの存在について述べ、シガーニー・ウィーバーはリプリー8 を演じ、エクゼクティブ・プロデューサーとしても活躍しているとした。またチームは監督として適切な人材を 探しているとも。映画の公開は2000年5月と噂されている。
449 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 18:40:52.48 ID:pTEltnxy
1999.9.18 シガーニー・ウィーバーはカナダのオンタリオにおけるトロント・インターナショナル・フィルム・フェスティバルに 出席中、トロント・スター紙のインタビューに答えた。エイリアン5の舞台は地球でなくエイリアンのホームワールドが 望ましい、何故なら地球を舞台としたエイリアン・フィルムはシリーズの地位を貶めるものだからだ、と彼女は述べた。
450 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 18:57:38.95 ID:pTEltnxy
1999.12.5 エイリアン5の撮影は2001の5月に始まり、2003には世に出るであろう。Alien Ressurectionで生き残ったキャラクター全員が 同じ役を演じる。これはカナダのMovie Networkでのインタビューから配信されたものである。この噂は2000.5.31にも流れる が、カナダ在住のあるエイリアンのファンはMovie networkには気づかなかったと言っている。この混乱を終わらせるため、 カナダに31年住んでいる男性が踏み込んでmovie networkの存在を確認した。ひどい事に、これらの噂は確認できなかった。 エイリアン5の計画はされていない。
451 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 19:05:20.63 ID:pTEltnxy
1999.12.20 シガーニー・ウィーバーはSci-Fi Wireにこう語った。“私はずっと、エイリアンが生まれた惑星に戻る映画を作りたいと思っていた。 他のプランがあるのかどうか、私は知らない。20年後あたりのいつか、白髪のリプリーがヨタヨタ歩いていることになっても、私は 驚かないでしょう。でも、私は何も聴いていないのよ”また、“5番目の映画に関して、シリアスなディスカッションがなされた事は 1度もない”とも語っている。
452 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 19:10:39.14 ID:pTEltnxy
1999.12.26 エイリアン5はエイリアン自身のさらなるバリエーションを呼び物とする事になるだろう。2000.1.21、この噂を始めた同じ 人物はプレデターとの遭遇もあるかも知れない事を付け加えた。
453 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 19:14:32.01 ID:pTEltnxy
2000.5.31 Cinescape Presents最新号はエイリアン5のティーザー・インフォメーションを掲載した。リプリーのクローンが エイリアンのホームワールドへ行き、最後の決着を付けると言う物で、公開は2004、エイリアンの25年目の誕生日 であるとしている。
454 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 19:24:25.54 ID:pTEltnxy
2000.4.28 シガーニー・ウィーバーはギャラクシー・クエストをプロモーションするFilm 2000においてBBC TVに出演し、 リプリーを再演する可能性について質問された。かってはポジティブで熱望しているように見えた彼女だが、 今回は手短かに名ばかりの返答をし、インタビュアーに早く進めるよう指示した。
455 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 19:31:05.79 ID:pTEltnxy
2000.5.6 ローランド・エメリッヒとディーン・デブリン、インディペンデンス・デイとゴジラ(全時代のワースト・ムービー)の 製作者はエイリアン5の執筆と監督のために雇われていた。しかしこれは馬鹿げた噂である。彼らがこのフランチャイズに 近づく事を許される事はありえない。
456 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 19:35:41.61 ID:pTEltnxy
2000.7.30 イギリスの雑誌、Science Fiction Worldによれば、Resurrectionの俳優数人が5番目の映画で同じ役を再演するよう 依頼を受けたという。明らかにこれは事実ではない。希望的観測である。
457 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 19:49:48.81 ID:pTEltnxy
2001.2.4 2大メジャー・ニュース・サービスのロイターとヤフーは英国のタブロイド誌、サンデイ・エキスプレスに掲載された エイリアン5に関する噂を報じた。シガーニー・ウィーバーは1500万ポンド(2200万ドル)でリプリーの再演に同意し、 映画の舞台は地球であり、公開は2004年、そしてWhedonがスクリプトを書く、と。また“私はずっと、エイリアンが 生まれた惑星に行き、更に地球にやって来るものを望んでいた”というウィーバーの発言を引用した。Sci-Fi Wireに 対する1999の発言に酷似しているが、地球に関する発言はしておらず、この部分は嘘に違いない。以前ウィーバーは エイリアン5が地球を舞台にすれば、それはシリーズを安っぽくするものだと語っている。
458 :
名無シネマさん :2012/02/25(土) 20:08:52.44 ID:pTEltnxy
2001.2.5 ムービーニュースサイト、Coming Soon!のスタッフが直接20thFOXに赴きロイターの記事について尋ねた。 全く事実ではないという返答で、ウィーバーはリプリーの再演のほかにもプランがあると言われた。
459 :
名無シネマさん :2012/02/26(日) 06:49:42.80 ID:k1nxHF/m
2001.2.21 ウィーバーはAccess Hollywoodに語った。“私がとんでもない金額で5番目の映画に出る、という記事は興味深いですが、残念ながら 事実ではありません、少なくとも総額に関しては。それに、もう1本撮る事についてFOXに話した事はないわ”
460 :
名無シネマさん :2012/02/27(月) 15:42:19.11 ID:PWncb/1R
2001.3.15 ウィーバーはエイリアンの5番目の映画で2500万ドルという記録的な金額を手に入れるというニュースが流れている。 “スリリングな金額ね”彼女はTVガイド・オンラインに語った。“私は私は夫の(マンハッタン)シアターをサポートしているん だけど、彼はわくわくして、もう5年のリース契約にサインできるらしいって” オスカー賞候補の女優が主張する所によればエイリアン5に関して“今すぐというプラン”はなく、“私が知る限りでは何の事実も ない”とイギリスのタブロイド誌は報じている。“ 私のエージェントが私に連絡してきて、「こんな記事がある」って言うの。だから私は言ったの。「からかってるの?」って。” ところで、ウィーバーは、地球を舞台にしたプロットのエイリアン5のスクリプトが存在する事を認めた。“私はそれを読んで いないし、読むよう言われた事もないの”彼女は言う。“20C-FOXはエイリアンVSプレデターのプランを立てているんだと思うわ。 でも私は出ないつもり。どっちにも打ち勝つことができると私は確信してるけど” Buffy the Vampire Slayerのクリエーター、Joss WhedobnはResurrectionの最終稿の執筆者であるが、彼はエイリアン5のスクリプト の作者にはならないという。“一片の真実もない”彼はTVガイド・オンラインに語っている。“噂の出所は知らない。興味を持った 時期もあったが、今では、誰かのフランチャイズで作る事には興味がないんだ”
461 :
名無シネマさん :2012/02/28(火) 14:38:17.63 ID:WgWNOp9u
シンディ・パールマンがウィーバート5番目のエイリアン・フィルムについて語った。 “正直、リプリーがエッフェル塔近くのパリに胴体着陸してもいいと思ってるの。私のアイデアはね、この高級なフレンチ・ レストランの皆が轟音を聞いて、見上げるとしずくを垂らしたエイリアンがシップから降りてくるの。そして彼らは肩を すくめて食事に戻る。何故ならフランス人は何事があっても動じないから” ありそうな話だが、ともかく、最後のエイリアン映画-Ressurection-はリプリーが地球を目指す場面で終わる。しかしウィーバー は地球でエイリアンと戦うのには少しも興味がないと語っている。“スタートレックの連中が地球に来た時を覚えてない? 「オエッ」よ”女優は言う。 しかし、プロットに関して幾つか議論はあろうが、だからと言ってウィーバーがリプリーを再演する事を拒絶する事には繋がらない。 “私はあれから次に何が起こるか見てみたい。彼女の内部にはクールなジキルとハイドがいて、どちらが勝つのか私には確信がない” Alien Ressurectionで彼女のキャラクターが半ば人間、半ばエイリアンである事に言及しもした。 ウィーバーは、加えて、“素晴らしい脚本が手に入るまではあわてない”と語った。現時点で20C-FOXがそのような脚本を進めている かどうかは明らかではない。だがもしそうであるなら、リプリーは帰ってくるだろう。“もう1つ続編を作るのは悪い事じゃないわ” ウィーバーは言う。“今では、全世代の映画ファンがこのシリーズをを、長い冒険のエピソードの集まりだと考えている。そして私は この冒険が完全に終わってはいないと考えているわ”
462 :
名無シネマさん :2012/02/28(火) 15:52:36.33 ID:WgWNOp9u
2001.4.26 カナダの新聞、カルガリー・ヘラルドにウィーバーに関する記事が掲載された。 シガーニー・ウィーバーは巨額の報酬に屈して、断りきれず、勇猛なモンスター・ファイター、リプリー役の再演に同意した。 “それが事実だったら!”ウィーバーはため息を付いた。だがこの報告には根拠がないようである。“皆が私の所へやって 来て言うの。「エイリアン5は?」って。だから私は言うの。「撤回したのを知らないの?」って” 1979年、リドリー・スコット監督の最初のエイリアンで彼女はスターになり、キャリアには大きな力が付いた。彼女が リプリーのアイデンティティに囚われるのはよくない傾向だ、特に続編の成功−ジェームス・キャメロンのエイリアン2、 そしてデビット・フィンチャーのエイリアン3のあとでは。事実、3番目の映画で殺されてからは、彼女は解放されたのである。 しかし大衆の要求に応え、DNAの奇跡を持ち込んで1997、Alien Ressurectionでリプリーを再生させた。ウィーバーは舞台でも スクリーンでも女優として多才である事を照明したのに、彼女は永久にこのキャラクターと同一だと見なされ続けているのである。
463 :
名無シネマさん :2012/02/28(火) 16:30:12.10 ID:WgWNOp9u
結果的に、スタジオのお偉方は常に他分野でのウィーバーの才能−たとえばコメディ、を思い出させられるのだった。MGMは 最近のヒット作、Heartbreakersでの機転の利くペテン師の役を受けるよう説得するのに長い時間をかけた、と彼女は言う。 ウィーバーは13年前にワーキング・ガールででのコミカルなパフォーマンスに対してゴールデン・グローブを受賞し、オスカー 候補になったが、以来ギャラクシー・クエストまで、このジャンルでは何もして来なかった。heartbreakersのオファーを受けた 時、彼女はこう感じた。“私は死んで天国へ行ったわ。何故ならエイリアン以来、これはずっとハリウッドで私が得たいと思い、 トライしてきた類の役だったから” それでも、彼女はずっとエイリアン・ムービーに感謝の念を持ち続けるだろう。数年前、FOXが“エイリアンVSプレデター”を 考えている事を知ってショックを受けた。“私は出たくない。第一私はもう死んでいるんだし”51才のウィーバーはエイリアン5の ドアを閉じてはいない。しかし彼女は警告する。“全ての要素が整っていなくてはならない。もしもう1本やるなら、もっと小規模で キャラクター重視でなくては”
464 :
名無シネマさん :2012/02/29(水) 14:01:26.42 ID:if0y5/Db
2001.8.10 シガーニー・ウィーバーは5番目のエイリアン・フィルムと将来の映画キャリアについてロンドン・サンデー・タイムズに語った。 彼女はこれに関して熱望しているようである。“彼らがもし、いい脚本を書こうと考え、私に2000万ドルくれるって言うのなら、素晴らしい 事ね。もっとセクシュアルだったら、グレートだわ。もう1本、ブリリアントなドラマを?イエス、どうぞ。もし私がこの年齢で妊娠したと しても、私は子供が欲しいわ。私は何に対しても用意があるの”
465 :
名無シネマさん :2012/02/29(水) 15:15:35.02 ID:if0y5/Db
2002.2.19 シドニーでのプレス・カンファレンスでエイリアン5について尋ねられたリドリー・スコットはこう言った。 “ナイスだと思ってるよ。やってもいいね。全くの話、材料によるな。全ては材料だ。私はエイリアン5について訊かれて来たが、 私は勿論だと言ってきた。我々はスクリプトのミーティングをスタートした。つまり、私は動き始めたので、ドアを閉めようかと 思う…もしこれが最後の1本になるなら”1月の後半、彼はこう語っている。“私はじっくり考えている。非常に楽しみではあるが、 最も重要なのはストーリーを真っ当なものにする事だ。今回はシガーニー・ウィーバーと彼女のエイリアンどもが地球を荒らすの かね?地球を舞台にするのは面白いし、そういう噂もある。私が言ってるのは、エイリアンが最初に見つかった場所に戻り、 どのように生み出されたかを説明するべきだ、という事なんだ。これを説明した者は誰もいない。兵器になりうるバイオメカニカル な生物を運ぶバトルシップが宇宙へと送り出される。そこにはもう寿命の長くないスペース・ジョッキーが乗っている…いつも こんな風に思い描いているんだ”彼の意思や過去の経験から考えて、リドリー・スコットが最適任だと私は思う。Ressurectionが 残した混乱をか彼がクリーンアップできるよう幸運を望むものである。
466 :
名無シネマさん :2012/02/29(水) 15:24:33.71 ID:if0y5/Db
2005.1.30 Sci-Fi Wireがリドリー・スコットに、エイリアン5の監督にまだ興味があるのかを尋ねた。彼はぶっきら棒に答えた。 “ノー。彼らはそれを絞ってカラカラにしてしまったと私は思う”私の想像では、彼のこの態度は悪趣味なAVPの ためだと思う。
467 :
名無シネマさん :2012/02/29(水) 15:44:59.00 ID:if0y5/Db
2008.5.3 MTVのインタビューでシガーニー・ウィーバーは語った。“リドリーと最後に会った時、話をしたの。キャラクターは依然 興味深いし、リドリーともう1度仕事をしたいわ。でもFOXは事実上、チャンスを殺してしまったの。AVPでね。この クリーチャーで他に何ができる?”彼女は付け加えた。“数百歳の人間を演じる事は魅力的だけど、リプリーを休ませてあげて” 2人はAVPやその下らない続編を無視しているだろうし、実際、優良なエイリアン・フィルムを再び作ろうとしている。
468 :
名無シネマさん :2012/02/29(水) 16:10:01.34 ID:if0y5/Db
2009.2.20 シガーニー・ウィーバーはMTVにこう語った。“FOXはもう1本作るつもりよ。書いたのはJoss Whedon。地球が部隊になるんだ けど、言っておかなきゃならないのは、私は全く興味を持てないって事。本当のオリジナル・ピースが欲しいわ。オリジナルの 惑星の戻る事に私は大賛成。きっと面白いと思う”彼女は説明する。“でも私は孤独なの。何が興味深いか、について本当に 同意できた事はなかった。一旦彼らがAVPに関わってからは…”“クリーチャーを大事にしないと、陳腐なものになってしまう”
469 :
名無シネマさん :2012/02/29(水) 16:12:40.14 ID:if0y5/Db
以上でALIEN LEGEND-ALIEN5 RUMOR CONTROLは終了です。次は、「エイリアン5 オープニング・シークエンス?」 を行ってみます。途中で終わっちゃいますけど。
470 :
名無シネマさん :2012/02/29(水) 17:42:06.83 ID:if0y5/Db
ALIEN5 OPENING SEQUENCE? 宇宙空間。星々を背景に、カラフルな銀河。 画面が引き、ビーコンがフレーム・インしてくる。古く、傷だらけで、側面は爆発で凹んでいる。ウェイランド・ユタニのエンブレム が見える。ビーコンのナビゲーション・ライトは不規則に明滅している。 更に画面が引くと、ビーコンに携帯ジェットパックを装着した宇宙飛行士が近づいていくのが見えてくる。繋ぎ縄が蛇のように背後に 繋がっている。 繋ぎ縄は巨大なスイス製アーミー・ナイフのような宇宙船に繋がっている。修理船である。側面にはこう書かれている:B42−GOV/WY −フロンティア“ベルタ”開いたカーゴ・ベイに新しいビーコンが置かれている。船外のものよりスリークである。ナビゲーション・ ライトはしきりに明滅している。 ベルタ船内。ウェイランド・ユタニのオーバーオールを着た20台半ばのコンラッド。無重力で浮かび、船室の天井に逆さまに立っている。 彼はコンパートメントから分厚いマニュアルを回収するとキックしてメイン・ビュースクリーンに向かう。そこには50台の太ったティッブス がおり、パイロットチェアにバックルで体を固定している。ティッブスはフード・コンテナのストローを通して、紫色のマッシュを吸って いる。パンパンに張ったTシャツにはこう書かれている:WYリトルリーグ−ゴー、コルツ、ゴー!コンラッドはヘッドセットを装着する。 2人はスクリーン上の宇宙飛行士を見つめる。
471 :
名無シネマさん :2012/03/01(木) 10:30:12.67 ID:243F7fQh
ビーコン。20台のデビーはジェットパックに着火し、一直線にビーコンへ到達する。彼女は手すりを掴むと、登ってコントロール・ ボックスへ、そしてスーツ・ハーネスから繋ぎ縄を外し、ビーコンの1部に接続する。 デビー:これでよしと。繋がったわよ! コンラッド:花嫁にキスをしてもいいかい? デビー:ノー。でもお尻ならね。 ベルタ船内。 コンラッド:聞いてくれ。損傷したあのパネルはどうも不安定だ。外観の事は飛ばして、直接検査に掛ける。OK? デビー:ボスはあなたよ、コンラッド。 ティッブス:(デビーに)あー、技術的には私がボスだよ。カンパニーには20年もいる。コンラッドは6ヶ月で、人事課に叔父さんが いる。 ビーコン。デビーは小さなツールを使ってパネルを開く。内部にはボタン、スクリーン、そして大きなスイッチ・ブレーカーが2つ ある。ボタンがライトアップする。スクリーンがちらつき、息を吹き返す:予備パワー・オン/最大フルロード50分/コマンド? スクリーンは断続的に途切れる。 デビー:電池がダウンしてる。でもバックアップ・パワーはOKみたい。 コンラッド:万一のために、フィルターにパッチを。
472 :
名無シネマさん :2012/03/01(木) 18:41:51.83 ID:okjjX6X4
彼女はユーティリティ・ベルトから小さな電子ユニットを取り出し、もう1方の手で銃の形をしたツールを使い、ねばつく液体を ユニットの後ろへ噴きつけ、コントロール・パネルの縁に押し付ける。そして繋ぎ縄の本幹とコントロール・パネルの間に留める。 デビー:てオール・セット。これでクリーンな電気が来るわ。 スクリーンが光って幾つかメニューを映し出し、次いでデータの奔流で満たされる。 ベルタ船内。食べながら、ティッブスは近くのモニターがデータで霞んでいるのを見ている。 ティッブス:いいようだな。 ティッブスとコンラッドは船のコンピューターを動かしている。 デビー:結果はどうなの?回収できた? コンラッド:(リードアウトをスキャンして)こいつは完全な脳死状態だ。
473 :
名無シネマさん :2012/03/01(木) 19:13:27.99 ID:okjjX6X4
ティッブス:分析によればサブストラクチャーに多数の損傷が見られる。オンボードするにはリスクが大きすぎる。 だから、標準の手続きを踏んで、船外投棄にしよう。 ビーコン。 デビー:で、あれはイエスなの、ノーなの? コンラッド:あー、デビー、駄目だと思うよ。 デビー:OK。で、どうやってブローするの? コンラッド:“自爆”と書かれた大きな赤いボタンが見えるだろ? デビー:(じっくり見て)私には見えないわ。 ティッブス:そんなの書いてないからさ。お嬢さん、基礎訓練の時に聞いているはずだよ。ここからリアクター 爆破の用意を。スタンバイ、コンラッド。コア作動のストリングを。 コンラッドはマニュアルを調べる。表紙:ウェイランド・ユタニ/フロンティアDIV/アドヴァンスド・ウォーニング・ システム/機密B2. コンラッド:デルタ・チャーリー・ダッシュ・ワン・セブン・ゼロ。 ティッブス:(打ち込んでいる)D-C-ワン-セブン-ゼロ。確認。 ビーコンのコントロール・スクリーン:イベント・ディレイ(分)? デビー:タイマーだわ。 コンラッド:(ティッブスの意見を訊く)彼女が戻ってスーツを脱ぐのに10分、安全な距離を取るのに10分、万が一の ために15分。35分かな? ティッブス:35分なら充分だね。(打ち込む)
474 :
名無シネマさん :2012/03/01(木) 19:36:57.61 ID:fKluZpuf
コンラッド:戻って新品のビーコンを設置したら夕食だ。それからスクラブル・ゲーム…そして数時間の内には ハイパースリープに入ってホームを目指す。素晴らしいね。 デビーはスクリーン上でシャッフルするメニューを見ている。カウントダウンが現れる:パワー・コア点火まで 35分。 デビー:私のスリッパをウオームアップして。行くわね。 ベルタ船内。アラームが鳴る。2人の男はコントロールに飛びつく。 コンラッド:接近警報だ。膨大なニュートリノ・エコーを検出。L-スペースから何物かが我々の真上に落ちてくる。 ティッブス:こんな所に誰が…
475 :
名無シネマさん :2012/03/01(木) 20:01:48.45 ID:fKluZpuf
コンラッド:恐ろしく大量の物質が流入。1隻の船にしては多すぎる。惑星クラスだ! ティッブス:デビー!コピーしたか?L-スペースに活動を捉えた!つかまれ! 宇宙空間。ポータルが開き、正常空間に割り込んでくる。目も眩む光の壁。デビーはビーコンの影の中で縮み上がっている。 コンラッドとティッブスは眼を覆う。そして…全ての光がピンホール大の源に吸い込まれていく。何もなかった空間に、異星人 の宇宙船の艦隊が現れている。合計20隻。造りとサイズには数種あるが、全て基本的なデザインは同一である。我々は以前、 このタイプを既に見ている…LV-421で…恐るべきフェイスハガーを載せた、遺棄されたスペースシップだ。赤-青のエネルギー波 が艦隊からさざなみの様に広がる。ショック波は強烈だが、放散され、すぐにエネルギーを失う。
476 :
名無シネマさん :2012/03/01(木) 20:48:48.63 ID:wqAL4UX+
ベルタ船内。メイン・ビュースクリーンが幾つかのウィンドウに別れ、ビーコン、エネルギー波、異星人の艦隊のラピッド・ スキャンを映し出す。コンピューター・レポート:スキャン完了/多数の未知のオブジェクト、鑑定失敗。構造及び組成、 不明/生命体検出、種類不明。 コンラッド:クソ野郎、最初にノックぐらいしやがれ。 ティッブス:オー、クライスト。フェイズ・シフトの余波が来るぞ。 コンラッド:デビー!ビーコンをシールド代わりにしろ!ビーコンの後ろへ! ビーコン。デビーは迫り来るショック波を見て、苦心しながらビーコンの後ろへ回り込む。 ベルタ船内。ブラストウェーブが激突する。数秒間、シップはもみくちゃにされる。無重力の船室を物品が滝のように 流れる。全ての電子装置がごちゃ混ぜになる。システム・フェイル。ノー・パワー。 ビーコン。デビーはのたうち回るビーコンにしがみついている。繋ぎ縄は伸びきり、張り切っている。デビーは投げ飛ば されそうになっている。余力でベルタとビーコンは押し出され、お互いの周りを回転して眼の回るような円を描く。 デビーはグリップを取り戻し、星はぐるぐる回っている。彼女はコントロール・スクリーンを見る。死んでいる。ライトは 全て消えている。 デビー:ベルタ、ベルタ。ビーコンのバックアップが駄目になった! ベルタ船内。ティッブスとコンラッドは衝撃から回復し、コンピューターをスキャンする。 コンラッド:ブラストウェーブでパワーが駄目になった。 ティッブス:外にいるのが誰にせよ、人類じゃない。奴らは送られて来たんだ。 コンラッド:デビー、今すぐここへ戻れ! ティッブスはパネルを剥がし、半狂乱で配線と部品を調べる。コンラッドはスクリーン上のデビーを見ている。
477 :
名無シネマさん :2012/03/02(金) 07:15:01.45 ID:491uAEFa
ビーコン。デビーは繋ぎ縄を取り外せない。ブラストウェーブが留め金を捻じ曲げ、フックから外れなくしてしまったのだ。 彼女は引っ張るが、全く動かない。 デビー:この縄ったら、コンラッド、取れないわ! コンラッド:カモン、デビー!外して、大急ぎでやって来るんだ! 突然、ビーコンがどもりながら息を吹き返し、デビーは動きを止める。ナビゲーション・ライトが明滅し、コントロール・パネル がライトアップし、スクリーン上にカウントダウン・タイマーが戻ってくる。デビーの血液が血管内で凍りつく。タイマー・ リード:リアクター点火まで4分50秒。 ベルタ船内。 デビー:オー、シット!パワーは戻ったけど、タイマーが4分へ… ティッブス:何?爆破まで4分だと? コンラッド:パワーはゼロ。爆弾に縛り付けられて、周りには異星人。こんなの契約になかったぞ。ファック! ティッブス:(必死で作業中)契約事項をチェックしてみるんだな。 ビーコン。デビーはコントロール・パネルのキーをつつくが、あきらめて拳で叩きまくる。フラストレーション。 デビー:自爆命令をキャンセルするのよ。ティッブス、今すぐコードを送って! ベルタ船内。 ティッブス:駄目だ。もう遅すぎる。5分を切るとフェイル・セイフは働かない。もう止められない。 コンラッド:聞くんだ、デビー。メインラインを切れ。スーツのレーザーで。
478 :
名無シネマさん :2012/03/02(金) 10:43:21.34 ID:tpkDGRR+
ビーコン。デビーはグローブ上のスイッチを押す。ペンシル・サイズのレーザーが人差し指を越えて延びて来る。それを、彼女と ビーコンを連結している繋ぎ縄に向け、親指で作動させる。細いビームが太いケーブルに食い込む。レーザーは切れ、ちらつき、 再び切れる。 デビー:ガッデム! ベルタ船内。ベルタのパワーが復帰する。全システムがオンラインに戻る。ティッブスは喜びの声を上げ、パイロット・チェアへ飛び込む。 そしてナビゲーション・コンピューターのプログラミングを開始する。 コンラッド:デビー、船はオンラインに戻った。ファッキン・ビーコンと間隔を空けなくちゃいけない! ティッブス:時間は? デビー:3分。繰り返す、3分。 ティッブスはエンジンのパワーを上げる。 ベルタ船外。船は回転を止め、安定する。そしてスムースに加速を始める。 ビーコン。ビーコンが急に動き始め、ベルタに引かれていく。デビーはしがみ付いている。 デビー:ヘイ!何なの…? ベルタ船内。 コンラッド:ティッブス!何をするんだ! ティッブス:異星人の艦隊から逃げるんだ。偵察ビーコンが停止している所へ奴らが現われたのは偶然の一致ではない。恐らく奴等はあらかじめ ビーコンを故障させたんだ。 コンラッド:それは分からないぞ。友好的かもしれないだろ! ティッブス:そうだろうとも。ここまでピクニックに来たのさ。 ティッブスはコンラッドを見下ろし、こっそりコンソールのボタンを押す。
479 :
名無シネマさん :2012/03/02(金) 14:23:15.79 ID:tpkDGRR+
ベルタ船外。カーゴ・ベイのドアが閉じ始める。ドアに挟まれた繋ぎ縄のラインが切断される。内部の配線がスパークを上げる。 シップは加速して行き、ビーコンは立ち往生のまま取り残される。 ビーコン。デビーは船が去っていくのを見ている。彼女は深呼吸してから仕事に戻る。タイマーの残り時間1分30秒。 デビー:(震え声で)さあみんな、悪いニュースよ。夕食をご一緒できそうにはない… ベルタ船内。 コンラッド:シット!シット!ティッブス、デビーが!船を戻せ! ティッブス:ダム・ユー!時間がない。俺達は全員死ぬ。ご免よ、デビー。 コンラッド:ファック!今すぐ戻るんだ!
480 :
名無シネマさん :2012/03/02(金) 14:44:27.79 ID:tpkDGRR+
デビー:ノー!コンラッド、いいのよ。私に感謝することね、付け加えるなら。事態を収拾するのは、いつも女。 コンラッド:(どうする事もできず)君は最高の女だ、デビー。 デビー:(欠陥品のレーザーをいじりながら)正直に言いなさいよ。私はルックスだけじゃなくて頭もいいんだから。それに私の 素晴らしいファッキン・パーソナリティを忘れないでね。 コンラッド:忘れないさ。 ティッブス:シップをL-スペースへ。1分で進入速度に達する。 デビー:私、ティッブスの考えに同意する…これはある種の侵略だわ。 レーザーはデビーをビーコンに結び付けている繋ぎ縄の殆どをカットする。彼女はレーザーを切り、ジェットパックと接着銃 を掴み、べとべとする樹脂をジェットパックのフロントに大量に噴きつける。そしてジェットパックをビーコンに押し付ける。 再び繋ぎ縄を切断にかかる。タイマーは1分を切っている。
481 :
名無シネマさん :2012/03/02(金) 14:46:25.63 ID:tpkDGRR+
これ、面白くないですか?拾い物ですよねえ。もうすぐ終わっちゃうんだけど。 書いたのだれですかねえ。
482 :
名無シネマさん :2012/03/02(金) 15:50:06.20 ID:tpkDGRR+
デビー:私に惚れてるんでしょ、違う?コンラッド。 コンラッド:(あがってしまい)俺は…ああ、イヤー、そうかも。 デビー:残念ね、スイートハート。私、ベッドでもファンタスティックかもよ。 コンラッド:(哀しそうに微笑み)だろうと思ってたんだ。 デビーとビーコンの間の繋ぎ縄が切れる。彼女はジェットパックのスイッチを 平手で叩く…ロケットはフル点火し、彼女は吹き飛ばされて後方へ宙返りする。ビーコンは飛び出し、異性人の艦隊に向かう。 デビー:イエーーーーーー!ゴー、ベイビー、ゴー!私とファックなんかするなって、奴らに言ってやんな! ベルタ船内。ティッブスは船をL-スペースへ入らせるのに夢中になっている。コンラッドは茫然となっている。ビュースクリーン でデビーの窮状を見ている。 コンラッド:ヘイ!デビーは切って、自由になった!それにビーコンに何か細工して、ビーコンが艦隊へ向かってるぞ! ティッブス:シット!第一段階に点火したところだ。奴らも今までは友好的だったろうが、今となっては… コンラッド:待とう。ビーコンが… デビーはゆっくりと回転している。少なくとも、まだ生きている。小さくなっていくビーコンを見ようと努めている…だがビーコンは 大きくなってくる。彼女目掛けて戻ってくる!ジェットパックのせいでループを描いているのだ! デビー:(うんざりして)イヤー、一体何事… ビーコン。カウンターの残り時間5秒。デビーの100m以内を通り過ぎようとする。 異星人の艦隊。サーチライトのような連続的なビームが大きな船から放たれる。 ビーコン。ビームがビーコンの周囲をエネルギーの繭で覆う。タイマーはゼロに達する。デビーは畏れながら見ている。パワフルな 爆発がその内部で起こる。ビームは消える。 異星人の艦隊。2番目のビームが同じ船から放たれる。デビーはビームに捕らえられ、全ての動きが止まる。ビームは彼女を 大きな船へと引っ張り始める。
483 :
名無シネマさん :2012/03/04(日) 12:36:50.87 ID:xrdvb0y2
コンラッド:デビー!デビー? デビー:私は生きてるわ。シップに引っ張られてるの。私に会いたいのよ、きっと。責められないわ。私は、女性としての 素晴らしい標本… ベルタ船内。コンラッドとティッブスはパイロット・チェアに固定されている。恐怖の表情は変化している:異星人は 彼女をどうするつもりなのか? 異星人の艦隊。小型のシップが武器を発射する。 デビーはミサイルが飛んでいくのを見ている。 ベルタ船内。 ティッブス:準備完了… 警報が鳴り響く。モニター:脅威警報!緊急メモリー・ダンプ!ネットにアップロード中… コンラッド:攻撃が来る!今すぐ入力を! ティッブス:L-ドライブ、オンライン。 ベルタ船外。遅すぎた。ミサイルはベルタを消滅させる。 デビーは異星人のシップの間近にある。遠い爆発を目撃する。そしてシップの下部のアクセス・ポートへと消える。
484 :
名無シネマさん :2012/03/04(日) 12:39:09.99 ID:xrdvb0y2
ここで中断しています。おしまい。もっと読みたかったのに…残念です。 ギブスンよか面白くなりそうだったのにねえ。 次は…「ALIEN HARVEST」でも行ってみますか?アッシュが再登場するという…
485 :
名無シネマさん :2012/03/04(日) 20:02:34.32 ID:K5x7q/Yq
いつもありがとうございます、是非お願いします!
486 :
名無シネマさん :2012/03/05(月) 09:24:23.01 ID:X8Xex34V
ALIEN HARVEST by Jon Sphaihts based on characters by Da O'Bannon and Ronald Shusett
487 :
名無シネマさん :2012/03/05(月) 10:22:32.84 ID:X8Xex34V
恐怖の中に生きるのは並外れた体験だ、違うかね?奴隷であるというのは、そう言う事さ。 ロイ・バッティ フェイド・イン 惑星−昼。広い大空が藤色に染まっている。マスタード色に金色の斑点が混じる丘の起伏。遠くに、高く積まれた作物と 鎌を振る家畜の列が見える。もう1つの列は不平を漏らす。姿は2足歩行するラバのようである。作物を袋に掻き入れながら 後に続く。別の種類のメンバー2人が全てを監督している。身長は15フィート、簡素なローブを纏っている。栽培者(スペース ジョッキー)である。彼らは時折不平の声に、その象のような顔を向ける。だが栽培者たちの注意は2人の人間、フィンと カリクに向けられたままである。 フィン:刃物を振り回さなくてもいい、これがグッド・ニュース。重いものを持ちあげるのは不満だがね。バッド・ニュースは エーカー毎にもっと多くの作物を搾り出す責任があること。 カリク:OK。 カリクはクルーカットで、当惑した様子である。フィンは彼より背が高く、ヒゲを生やしている。
488 :
名無シネマさん :2012/03/05(月) 14:30:43.20 ID:X8Xex34V
フィン:あちらは引き割りトウモロコシらしい。葉柄の重量を測ってきたんだが、それに基づいてどこの畑に授粉するか 決める。カリク、分かったか? カリク:水はあるか? フィン:イヤー。ヘイ、座れよ。 カリクはよろめき、片膝をつく。フィンが助ける。脇の草むらに灰色のメス猫がうずくまって、何かを狙っている。猫の 瞳孔は広がり、尻尾がぴくぴく動いている。栽培者は作物を調べるとその注意を足元に向ける。猫が、小さな オレンジ色の動物を口にくわえている。猫は獲物を栽培者の足元に落とすと、小さく泣き声を上げる。栽培者は喜び、笑っている ように煮える。 カット・トゥ・ブラック 低い、機械の唸る音。突風、そしてクラッシュ。 栽培者の船−コックピット。栽培者の目が開く。驚いている。ノイズの発生源を確かめようと、周りを見渡す。
489 :
名無シネマさん :2012/03/05(月) 16:46:39.59 ID:X8Xex34V
栽培者のシップ、船外。シップは8の字型をしており、2つの円環型が圧着された物である。先頭の円環は後部に比し比較的小型である。 シップはコントロールを失い、とある惑星の大気圏へらせん状のコースを描いて進入していく。 栽培者の船、コックピット。栽培者はコントロール・チェアにもたれ掛かっている。眼は再び閉じられ、いまでは穏やかである。腕は 両脇に垂れ下がっている。大きな長方形のコンソールが斜めに置かれている。コンソールが輝き、ハム音を上げ始める。 栽培者の船、船外。シップの描くらせん形は広がり始め、徐々にコントロールを取り戻す。大気中をスムースに飛行し、上昇するかのように 上向きになるが、まっすぐ落ちていく。 栽培者の船、コックピット。栽培者は困惑しているようである。シップのコントロールを取り戻そうと懸命である。 栽培者の船、船外。シップはまっすぐ落下していく。船尾を先頭にスピンしている。スピンは弱まり、やがて止まる。自由落下からは 脱出したが高度を保持できず、独力では上昇できない。 栽培者の船、コックピット。栽培者は歯を食いしばっているが、その表情はあきらめに変わる。 栽培者の船、船外。シップはごつごつした惑星の表面を疾走していく。
490 :
名無シネマさん :2012/03/05(月) 19:46:35.36 ID:GjxCy/Ac
Peter Weyland : guy pearce でしょ? ----------------------------------- プロメテウス・キャスト エリザベス・ショー:ノオミ・ラパス レイドン・ホロウェイ:ローガン・マーシャル・グリーン メレディス・ヴィッカース:シャーリーズ・セロン デビッド4.0:マイケル・ファスベンダー ジェレミア・ジャネック:アイドリス・エルバ テオ・ゼッドモア:ガイ・ピアース ← これは一体どういうこと? ローガン:ベン・フォスター ラベル:ベネディクト・ウォン チャンス:エムン・エリオット ミュドー:ケイト・ディッキー ユリ:ラフェ・スポール アルドリッチ:フランク・ケリー フランシス:ショーン・ハリス シエナ:タル・ベルコヴィッチ レタップ:ジェームス・ペイトン テムブルック:タッペンス・ミドルトン
491 :
名無シネマさん :2012/03/06(火) 11:41:32.50 ID:J+tHTIap
シップは衝撃に備えて船首を上げるが、外装が地面をこすり始め、行く手に岩だらけの岬が姿を現わす。シップは岬を避けて 飛び上がり、再び離陸するが、つんのめって地面に落ちる。8の字の先頭の円環が地中に埋まり、大きい方の円環は斜めに 空中へ突き出る。 栽培者の船、コックピット。栽培者はため息をつき、チェアに沈み込む。コンソールは暗くなっている。栽培者は周囲を調べ、 フロアを見渡すと、はっと驚く。手は口に触れ、哀れみの表情が顔に浮かぶ。彼は平静を取り戻す。眼が閉じられ、左腕は 胸に、右手はフロアへ。手がフロアに触った瞬間…
492 :
名無シネマさん :2012/03/06(火) 14:30:43.64 ID:J+tHTIap
爆発の閃光が上がり、シップの後部が吹き飛ばされる。爆破でシップのセクションがばらばらになると、残ったのは馬蹄形の 残骸だった。 栽培者の船、コックピット。栽培者はチェアの上で動かない。時間が経っても動かず、穏やかなままである。更に時間が経つ。 栽培者は瞑想に入っている。突然栽培者は両手で頭を抱える。そして叫びだす。ローブが紫色に染まり、肋骨の間から チェストバスターが飛び出す。 栽培者の船、船外。馬蹄の両端の隆起が広がり始める。くぐもった、緊急通信の音。オリジナル“エイリアン”でダラス、ケイン、 ランバートが初めて見た景色を思い起こさせる。 フェイド・イン 人間の宿舎、厨房。カリクがテーブルに座っている。栽培者の惑星の調度はシンプルだが原始的ではない。どれも電化ではないが、 よくできている。厨房の高いところには大きな窓があり、ロッカーエリアが隣接している。窓の向うには外へ出るホールがある。
493 :
名無シネマさん :2012/03/06(火) 15:40:53.77 ID:J+tHTIap
フィンがボウルをカリクの前へ置くと、カリクはすぐに食べ始める。フィンはすわって、1口、2口食べる。 フィン:シチューは好きかい? カリク:(飲み込み)ああ、この2年で1番の食い物さ。 フィン:アームストロングで凍ってたんだろ? カリクは食事から目を上げる。 カリク:アームストロングは吹っ飛ばされて…たぶん海賊だろう。俺はリアクターに配置されていて、最初にメルトダウンを見たんだ。 それでブリッジに報告すると直接EEVに向かったんだ。俺は離船命令を待たなかったが、だから今ここにいる。もししくじってたら、2度と 目を覚ます事はなかっただろう。 フィン:よく海賊の捕虜にされなかったもんだ。 カリク:奴らに訊いてくれよ。 フェイド・イン。 背景でフィンが皿を洗っている。カリクは動かない。頭をテーブルへ垂れている。フィンの手が彼の肩へ。 フィン:来いよ。 カリクはフィンの後に続いて厨房を出て行く。 人間の宿舎、寝台エリア。フィンはベッドに座り、ジェスチャーで示す。 フィン:あれがお前のベッドだ。 カリク:仕事に戻らなくても? 猫がフィンの膝に飛び乗る。フィンは愛撫する。 いや、ここまでだ。ほぼ毎日働くが、数時間にすぎないんだ。 カリクはベッドに座る。 カリク:俺達はどこにいるんだ? フィン:ノー。俺は航海士じゃない。星座から考えて、何パーセクもヴェールの外側じゃないかな。 カリク:本当か? フィン:ただの推測さ。 カリク:で、いつ家へ帰れるんだ? フィン:栽培者が俺を解放するだろうなんて、考えた事もないよ。それにに俺はもう9年もここにいるんだぜ。 カリク:ああ。この惑星にシップは何隻ある?そいつで… フィン:ストップ。そこまでで止めとけ、カリク。少し説明してやろう…第一に、俺の推測では、栽培者はテラフォーマーだ。ここの 環境をナイスなものにするのが奴らの狙いさ。つまりシップが全てここを去ったら、環境は今より悪化するってこと。だから、無賃乗車 は忘れる事だ。それからシップを盗む事も忘れろ。なぜならお前には操縦できないからだ。奴らはどうやるのか、心でシップを操る、 お前の頭の中に考えを伝えるように、な。見てみろ、この生活も悪くないぜ。収穫を増やすことさえ心配してればいい。自由にさせて くれてるんだ。奴らを困らせるな。
494 :
名無シネマさん :2012/03/06(火) 17:28:04.88 ID:J+tHTIap
フィンは猫の顎をくすぐる。猫はノドを鳴らしている。カリクはフィンを見、部屋の周囲を見る。 カリク:OK、フィン。お前はどうする? フィン:ああ。オレオ(猫の名)がいるし…お互い慰めあってるんだ。散歩に行き、雑誌に記事を 書く。充分休養は取ってる。 カリク:雑誌は読んでる。面白くなってきたな。 フィン:やがて、な。 人間の宿舎、寝台エリア。フィンは穏やかに眠っている。オレオはフィンの腕の中で顎を前腕に 乗せて寝ている。カリクは自分のベッドで寝ている。彼の体動は激しく、喘ぎながら目覚める。 目をまばたき、部屋を見渡す。フィンはまだ眠っている。オレオが彼を見上げる。カリクは目を こする。
495 :
名無シネマさん :2012/03/07(水) 11:12:11.54 ID:niAJN7yc
栽培者の船内。幼いエイリアンの楕円形の頭部で、黄褐色の皮膚が裂ける。骸骨のような胴体が震え、収縮する。 人間の宿舎、寝台エリア。カリクは再び目をまばたく。 栽培者の船内。壁が樹脂で飾られた、洞窟のような空間。エイリアンは、レオタードを脱ぎ捨てるダンサーのように黄褐色の 皮膚を脱皮し、アーチ型の天井を見上げる。エイリアンは成長し、大きくなっている。 人間の宿舎、寝台エリア。オレオがカリクのベッドに登り、彼を見上げる。カリクは彼女の顎をくすぐる。オレオは気持ち よさそうにもたれ掛かり、喉を鳴らす。 惑星−夜。前景に人間の宿舎。アーチ型の長いビルディングがたなびく草の中に建っている。背景には同じようなビルが2つ。 空には満天の星と、紫色の月。オレオが喉を鳴らす音が聞こえる。 フェイド・イン。 アローヘッド。アローヘッドは円柱状の黒いシップで、ギザギザの輪郭はF−117ステルス・ファイターに似ている。先端の赤い ライトが点滅する。
496 :
名無シネマさん :2012/03/07(水) 14:46:29.33 ID:niAJN7yc
アローヘッドは白と灰色の雲に覆われたガス状惑星の周りを漂っている。遠くにオレンジ色の太陽が見える。 巡洋艦“アローヘッド” 乗員:5人 ミッション:辺縁系のセキュリティ・パトロール 98日目/180日 アラエ星座、ムー星系 アローヘッド、ブリッジ。ドーム上の天井の下、コマンド・チェアの前にコンピューター・ステーションと シップの操縦装置が拡がっている。全員が同じユニフォームを着ている。アフリカ系アメリカ人女性のオリバーがコマンド チェアに座ってクリップボードのページをめくっている。もう1人の女性トラックスがハッチからハシゴを登っていく。 トラックス:オリバー、コアのフロー・レギュレーターをもう1度見てみたけど、リアクターの効率は94%。1日量が55 マイクロシーベルト。すべてOKよ。 オリバー:サンキュー、トラックス。 トラックス:ヘイ、Eメールで、フレッドが杖なしでファミリー・ステーションを歩いてたって。 オリバー:私のフレッド? トラックス:イヤー。 オリバー:はあ。フレッドのメールではそんな事言ってなかったわ。 トラックス:杖を使わない彼女、見たことある? オリバー:いいえ。 ブリッジの他端ではガニー、ヘンジル、そしてシンの3人の男が小さな折り畳みテーブルでトランプをしている。 ガニーはクルーカットで、カリクによく似ている。 ヘンジル:(低い声で)とラックスがまたやってるぜ。(女の声を真似て)イヤー、オリバー、今夜貴方の船室に行っちゃだめ? しゃぶってあげるわよ。 シンが笑う。ガニーは黙っている。 ガニー:ビッド。 ヘンジル:トラックスは初日からオリバーの周りを嗅ぎまわってやがる。 ガニー:ビッド。 ヘンジル:確かに。俺は69だ。 シンは再び笑う。
497 :
名無シネマさん :2012/03/07(水) 17:20:58.30 ID:niAJN7yc
オリバーはシンが笑っているのに気付く。 オリバー:で、あなたのリトル・レディは? トラックス:最初のメールは、家族を失った事で始まってはいなかったわ。 オリバー:いい事じゃない。 トラックス:ええ、友達ができたのか、酒場を見つけたのか、その両方か。 オリバー:オー。 トラックス:両方ともじゃなきゃいいけど…貴方は?メールで何かニュースは? オリバー:ええ、フレッドは事故からの回復中。今は歩いてるけど、それ以上ではない。わかる? トラックス:イヤー。 オリバー:歩いてる、だけど…正直言って、子供達には失望してるの。 トラックス:オー。 オリバー:フレッドが子供達にカメラを向けて「ママに『ハイ』って言って」と言っても、フレッドJr はゲームに夢中でゴーグルも外さず、コントローラーにかかりきりで、スティックを振り回して 「ヘイ、マム」って叫ぶの。 トラックス:ママと同じパイロットになるのね。 オリバー:イヤー、ライト。それからベイリーが飛んできて、後ろで何だか子供の歌を歌って踊るのよ。 背景でまたシンが笑う。 トラックス:キュート。 オリバー:シン! シン:イヤー?
498 :
名無シネマさん :2012/03/08(木) 11:03:47.57 ID:7ekyhzeg
オリバー:セキュア・チャンネルの報告を。 シン:今やってます。 オリバー:期限を8時間も過ぎてるのよ。 ヘンジル:今終わらせますか? オリバー:遊びたいのね、ヘンジル?私だって同じよ。やんなさい、シン。 シンはしぶしぶ部署に戻り、仕事を始める。ボタンを押し、コードを調べる。 オリバーはトラックスを見る。 オリバー:ベイリーは可愛いわ。でも、どこに会話が?あの子達が座って、どうやって膝をすりむいたか、どんな女の子を好きに なったか、私に言うのよ。私は気晴らしの相手みたいだわ。 シンのモニターに、中央に特大の地球を持つ星のリングが見える。1つの星は規則正しく明滅し、もう1つの星にはオレンジ色の 3角形が見える。 シン:ここです。エンデュランスがイプシロン・エリ空域を、オクタビアをエスコートしながら通過していきます。この1/4 象限 では、他にコンタクトはありません。 オリバー:OK。 シン:それで、私は…待ってください。 オリバー:何なの、シン? シン:クラス3のアイソトープを積んだオブジェクトとコンタクト、とネットワークからの報告です。 ヘンジルとガニーが気付き、少し驚く。 オリバー:OK、シン。1時間毎にチェックして、2番目のデータポイントが来たらすぐに教えて。 シン:もう3つ来てます。 ブリッジに沈黙。 オリバーは椅子を回して、シンを見る。シンはうなづいている。オリバーははじかれたようにシンの部署へ行き、2人でスクリーン を見つめる。太陽系のマップに彼らの現在位置、そして太陽系の遥かな端に、マゼンタ色の点が3つ、列を成しているのが見える。 オリバー:OK、ハード・ターゲットだわ!相対性理論トラベルの用意!
499 :
名無シネマさん :2012/03/08(木) 11:37:25.64 ID:7ekyhzeg
ブリッジが騒がしくなる。ヘンジルとガニーはトランプを押しやり、椅子とテーブルを畳んで部署に戻り、作業に没頭する。 オリバーは座る。 オリバー:シン、ヘンジルにあれを… ヘンジル:シン、分析用のパケットをくれ。 オリバー:シン、最適の迎撃コースを。トラックス、この軌道で、ペナンブラから出るのに20%欲しいわ。 トラックス:分かった。 オリバー:この軌道よ! トラックス:このバウンティ号を乗っ取って2ヶ月前に姿を現わしたら、子供達は大興奮ね。 オリバー:イヤー。そしたら、まず最初にJrのゲーム・ステーションを踏みつけてやるわ。
500 :
名無シネマさん :2012/03/08(木) 18:46:51.04 ID:tAEUC6hX
アローヘッド船外。シップが息を吹き返す。スラスターが点火し、シップに方向を与える。エンジンがまばゆく 青い炎を噴き出す。シップが惑星の影に入ると、エンジンの出力は3倍になり、アローヘッドはスピードを上げる。 フェイド・イン。 人間の宿舎、ロッカー・エリア。カリクは疲れ、悩んでいる様子である。髪は伸び、うっすらヒゲが生えている。 オレオはしきりに何かを調べている。2人は彼らのロッカーにいる、肘と膝が赤く染まっている。ベルトからツールを 外し、ロッカー内に吊るす。カリクがチェーンの輪を解くと、それがオレオの眼を捉える。オレオはカリクのツールを 追いかけ、何度もパンチを繰り出す。 カリク:オレオ、ノー!行くんだ! オレオの興味は尽きない。後足で立ち、カリクのロッカーを独占する。 カリク:ガッデム!ファッキン! カリクは荒々しく猫を叩く。オレオは鳴きながら出て行く。フィンは傷ついた様子で振り返る。密かにウィンドウを チェックし、誰も来ていない事に満足し、オーバーオールを脱いで自分のロッカーの前に座る。 フィン:もう1人いたって、俺、話したっけ? カリク:いや。どこにいる? フィン:アンスリーは死んだんだ。 カリクは脱ぐのを一旦止め、そして脱ぎ終えて自分のロッカーの前に座り、フィンと向かい合う。 カリク:どんな死に方を?
501 :
名無シネマさん :2012/03/08(木) 19:45:28.27 ID:M8y3akch
フィン:全部話してやろう。まずだ、家畜の1匹が死ぬと、栽培者は奴らを屠殺して串焼きにしてしまうんだ。 カリク:奴らを?(ぶうぶうという鳴き声を真似て) フィン:イヤー。肉はゴムみたいに硬いが、フレーバーは悪くない。 カリク:フィン、お前、食べたのか? フィン:ヘイ、肉をな。それで6年ほど前、栽培者が1匹、ローストしてた。アンスリーは興奮してた、ナイスだったんだ。 奴はここで生命を信奉した事がなかった。不平ばかり言ってたんだ。だがその日は、彼はハッピーだった。家畜の口に 突っ込むリンゴがあればなあ、なんて言ってた。そして肉を取るとごく薄切りにして、ブリスケだって。で…俺達は草の上に いたんだが、アンスリーは皿を置くと、一瞬目を離したんだ。で、振り返ると、オレオがいて、アンスリーのブリスケを舐めたり 噛んだりしていたのさ…で、アンスリーはオレオを足で押さえて捕まえた。お前がさっきやったよりもそっとだ。すると素早く 栽培者がアンスリーを見ると、肩から地面に叩きつけたんだ。手も触れずにだぞ。見ると、アンスリーは空き缶みたいに潰されて いた。脊椎は3ヶ所で折れ、肋骨が突き出ていた。内出血もな。意識がないのはよかったが、死ぬまで1日かかった。オレンジ色の 小さなものを、オレオが殺すのを見ただろ? カリク:イヤー。 フィン:栽培者の寄生虫らしい。彼らを苛立たせるんだ。栽培者は、俺やお前よりもオレオを、ずっと上位の存在だと見なして いるようだ。それに、オレオは奴らと何らかの方法でコミュニケートしているんだと、俺は思う。奴らなりの方法でね。
502 :
名無シネマさん :2012/03/08(木) 20:40:46.09 ID:xmSCPTJ9
カリク:俺は結婚したことがある。 フィン:イヤー? カリク:イヤー。ワイフは教えてくれた、猫より大事なものはない、とね。 2人は立ち上がり、カバーオールや汚れた衣類をバスケットに放り込む。 カリク:ワイフから幾つか役立つ事を学べてよかったよ。 彼らはロッカー・エリアを出て行く。 カリク:アンスリーはローストにされなかったのか? フィン:分からん。 フェイド・イン。 惑星、昼。2人は黄色い草の中の踏み慣らされた道を歩いている。周りを起伏する丘が取り囲んでいる。2人の前にオレオが 草から飛び出し、道を横切ると再び草の中へ消える。2人は歩き続ける。オレオが姿を消した場所に来ると、突然オレオが飛び 出て来て、低く身構える。爪が地面を掴んでいる。 フィン:オレオ! オレオはこそこそ左右を見て、2人が近づくと飛び上がって草の中へ消える。 カリク:あれは何だ? 彼は宿舎に似た、丘にあるビルディングを指差す。 フィン:蟻の養殖場さ。 カリク:蟻の養殖場?
503 :
名無シネマさん :2012/03/09(金) 11:06:08.74 ID:xp5wEf6C
フィン:本物の蟻じゃない。俺がそう呼んでるだけだ。小型の頭足類の1種で、栽培者が養殖してるんだ。蟻そっくりさ。 ブラジルの軍隊蟻よりたちが悪い。 カリク:なぜ養殖を? フィン:俺が知ってるのは、奴らがジェネレーション間の適応性に長けていて、栽培者がテラフォーミングの初期に奴らを使ってる、 って事だけだ。新しい環境を、住む事ができるように新陳代謝で変化させるんじゃないかな。 オレオが草から飛び出し、2人の後を早足で追っていく。 カリク:ブラジルに行った事が? フィン:ノー。 カリク:でも、地球から来たんだろ? フィン:タクソン。 カリク:タクソン?いい時に逃げ出したようだな。 フィンはカリクを見る。 フィン:ノー。俺はいたんだよ。山から火が降りてきて、空は灰で真っ暗になった。 2人は山腹にある岩の険しい尾根に着く。高さは約7フィート。フィンは慣れた足場を使って登っていく。オレオは尻尾を巻いて、頂上へと 飛び跳ねていく。カリクが後を追う。頂上近くで、カリクはフィンが伸ばした手を掴む。彼らは再び歩き始める。 カリク:奴らはリ・エンジニアリングしたんだ、タクソン。あそこにはエクゼクティブしか住んでいない。 フィン:見ろよ。丘の向うは… カリク:イヤー? フィン:丘の向うはクリークだ。そこで少し休もう。カモン、オレオ!
504 :
名無シネマさん :2012/03/09(金) 16:55:07.70 ID:xp5wEf6C
人間の宿舎、寝台エリア。ショーツとTシャツ姿のカリクが暗い寝台エリアに入ってくる。ベッドに座り、部屋を見渡す。 フィンはベッドに入ってロウソクの明かりで本を読んでいる。 カリク:何を読んでるんだ? フィン:シップの厨房にあったセイフティ・マニュアルさ。 カリク:何故? フィン:他に本と言ったら、技師向けの古い注油スケジュールがあるきりなんでね。(1息ついてカリクを見る)俺たちが必要だと 思っていたものを思い出してみると、面白いな。 カリクは横たわり、天井を見上げる。瞼がゆっくりと閉じられる。 栽培者のシップ、コックピット。エイリアンの醜い顔。手を栽培者のわき腹の穴に突っ込む。紫色の内臓の塊りを口に押し込み、 栽培者の体からつながる腸を噛んでいる。 フェイド・イン。 惑星、日没。オレオが屋外で寄生虫を狙っている。瞳孔は一杯に開いている。オレオは寄生虫を追跡し、這い、飛び掛る。やがて 彼女はアント・ファームの外壁までやって来る。ビルディングから延びるベンチレーター・シャフトが地面近くに口を開いている。 オレオは考え、そして開口部に足を踏み入れる。 アント・ファーム、ベンチレーション・シャフト。オレオはシャフトを這っていく。彼女よりさほど大きくないサイズである。やがて シャフトは上向きにターンする。彼女は見上げ、飛び掛かれそうな棚を見つける。そしてジャンプする。
505 :
名無シネマさん :2012/03/10(土) 10:29:57.68 ID:t2deP5L/
オレオは棚を越えて落ち、暗くつるつるした地面に着地する。濡れた足をなめて掃除し、上を見る。低い天井から真っ直ぐ シャフトが下へ延びている。オレオは周囲を確かめ、数歩歩いて止まる。シューッという音を立てて唸り、足を引き寄せる。 惑星、日没。アントファーム周囲で黄色い草が風になびいている。日が沈む。ベンチレーション・シャフトが見えるが はっきりしない。 アント・ファーム。オレオは数歩進んで止まる。キーキーいう音が聞こえ、彼女は後退し、身を乗り出す。彼女に向かって 飛び掛かる、鋭いはじけるような音を、オレオは聞く。 人間の宿舎、ロッカー・エリア。男達が仕事から帰ってくる。 カリク:終わったぜ! フィン:ノー。まだだ。 2人は道具を外し始める。 カリク:苗木を植える話だけど。 フィン:畑のサイズによる収穫曲線を見せただろ?収穫が標準偏差内に収まる苗木のプラントの話だけをしたんだ。
506 :
名無シネマさん :2012/03/12(月) 11:14:53.49 ID:dTsPeHRb
カリク:何? フィン:正規分布曲線…抽出できるだろ? カリク:イヤー、できる。だが、それが? フィン:俺は収穫を増やそうとしてるんだよ。 カリク:イヤー。何故? カリクは頭を振る。 フィン:そいつが焦点だ。ビッグ・バンさ。初めて水から這い出た魚。毎日、生命は生まれる。俺たちもその1部分だ。 カリクは目をぎょろつかせる。 フィン:もし収穫が落ちて、俺たちがバーベキュー・ピットでおしまい、った事にでもなったら? カリク:そうなるのか? フィン:分からん。たぶんそうはならん。考えたくもない。お前、アームストロングではリアクター・エンジニア だったんだよな? カリク:ああ。 フィン:そうか。正規分布曲線をどう抽出するか見せてやろうか。 カリク:ファイン。教えてくれ。だが5段フュージョン・ケトルの操作法とかは言わないでくれよ。 栽培者が窓に立ち、2人を調べているのに、カリクは気付く。カリクはソックスとショーツを着ている。細く、筋肉質である。 カリクは狼狽して窓を向き、栽培者を見つめ返す。栽培者は少しカリクの表情を調べ、瞼はゆっくりと下がり、表情はリラックス する。カリクのイライラした表情は徐々に心配そうな様子へと変化する。フィンは栽培者を見上げる。 カリク:俺たちに言っているのは… フィン:イエス。繁殖だ。
507 :
名無シネマさん :2012/03/12(月) 15:40:58.15 ID:dTsPeHRb
フィンはカリクの腰をつかみ、開けた口をカリクの耳の下へ持ってくる。カリクはショックを受ける。フィンは彼をテーブル 上に押し倒す。 アントファーム。オレオが横向きで寝ている。目は閉じられている。前足が震えている。平穏そうに見える。だが傍に小さな、 死んだフェイスハガーが横たわっている。 人間の宿舎、ロッカー・ルーム。フィンは片手をカリクの首の後ろへ添え、もう片手は胴体を上下に動いている。上体を 曲げ、彼の背中にキスを続ける。カリクはもがくが抵抗できない。フィンはカリクのショーツを剥ぎ取って尻を露わにする。 次いでカバーオールを脱がせ、腰まで脱がせると、フィンのショーツは硬い陰茎で膨らむ。 アントファーム。平穏そうなオレオの目が急に見開かれ、チェストバスターの為に胃が膨れ上がる。 人間の宿舎、ロッカーエリア。男達がテーブル上でセックスをしている。フィンはカリクを1度、2度と貫く。フィンがファックする 間、カリクは激痛に耐えている。
508 :
名無シネマさん :2012/03/12(月) 19:57:10.43 ID:xi17MyAl
アントファーム。裂けた猫の隣に、肉色のチェストバスターが横たわっている。ゆっくりと、成虫の“蟻”がチェストバスターに 近づいていく。“蟻”は独自の外観を持つエイリアンである。皆、特徴である長い頭部と眼のない顔を持っている。色は黒く、 尻尾はなく、足の数は4から8本。長さは約3インチ。チェストバスターよりわずかに小さい。蟻のエイリアンたちは動かない チェストバスターを掃除し始める。小さな顎が突き出て、チェストバスターの顔から血や肉のかけらをすくい取っていく。尾や 足も同様に掃除される。チェストバスターは徐々に成体に反応を示し始める。4つ足で起き上がると体を伸ばし、猫のように 背中を丸くする。上を見上げ、あくびをするように大きく口を開く。そして憎憎しげに尾を大きく振って取り囲んでいる成体に 飛んで掛かる。 人間の宿舎、ロッカー・エリア。フィンの手はカリクの髪の毛に絡んでいる。 カリク:ゴッド!ダム・イット! フェイドして、 アローヘッド。アローヘッドの後方にムー星系のオレンジ色の太陽が見える。だがエンジン・エリアは噴出する青い炎で燃えている。 まるで動いていないように見える。 アローヘッド、ブリッジ。男達はまたカードで遊んでいる。トラックスとオリバーは、オリバーの部署で話している。 オリバー:給料日は、たんまり貰えたものよ。 トラックス:これからもよ! オリバー:でもね、真面目な話、明後日に次のE-メールを送ったら、ターゲットの事を誰にも話せなくなるのよ。誰にも。 トラックス:分かってるわ。
509 :
名無シネマさん :2012/03/12(月) 20:52:40.60 ID:XZhATmf7
オリバー:ええ、貴方の事は心配してないわ。心配なのはこの、仲間のお馬鹿さん達。 シンは腕時計をチェックするとカードを置き、部署へ行く。 オリバー:(声を低めて)1人でも感じが悪かったら、私が奴らのE-メールを全部消してやるわよ。 トラックスはくすくす笑う。 オリバー:プロトコールを話してなかったわね。彼らの家族はどうかしら?望みはスカイ・ハイ。 もしこの賞金が手に入らなかったら? トラックス:カモン。 オリバー:彼らがE-メールを受け取る。そして裕福になったら?狂ったようにお金を使い始めるわ、 きっと。そしてからっけつ。 トラックス:そうはならないかも知れないじゃない。クルーはやる気だし、やり終えるでしょうよ。シンを御覧なさい。 シンは部署で働いている。心配そうな表情である。 トラックス:彼が、貴方にケツを蹴られずに、最後にレポートしたのはいつ? オリバーはくすくす笑う。 トラックス:早期退職を考えた事ある? オリバー:このパトロール中、毎日ね。この航海も引き受けたくなかったんだけど、フレッドは働けないしね。 トラックス:よくなるわ。 オリバー:(肩越しに)シン、テレメトリーのアップデートは?(トラックスに)ベビー達と会ってファミリーになる 時間だわ。貴方は…年齢的にもう働かなくていいし…見てればいい。でなきゃ太って怠け者に。 トラックスは笑う。
510 :
名無シネマさん :2012/03/13(火) 06:50:46.33 ID:FWDvbPhS
オリバーはシンに向き直る。 オリバー:シン、迎撃体制は?うまく行ってる? シン:ああ、ノー。 皆、静まる。オリバーはシンの部署へ行く。 オリバー:何ですって? シン:1400以来、データが来ないんです。 ヘンジル:シット! オリバーがヘンジルに視線を飛ばす。 オリバー:見せて。 オリバーはシン越しに身を伸ばし、コントロールをいくつか操作する。 オリバー:これがデータポイント。そのうち2つは…ずっと向こう。星系の外…
511 :
名無シネマさん :2012/03/13(火) 10:36:34.03 ID:0gsGIOJ4
オリバーはさらに操作する。 オリバー:OK、シン。何が起きたのかが、ここに。チャーリー・プラネットから重力アシストを受けて、スリング・ショットを 引いたんだわ。貴方は見逃したのね。 ヘンジル:ガッデム! オリバー:ヘイ、ヘンジル、こっちは私がやるから、自分の仕事をして。シン、新しい迎撃コースのプロットをお願い。OK? シン:イエス。 オリバーは席に戻り、トラックスに「言ったでしょ」という表情を見せる。 シン:キャプテン? オリバー:ゴー・アヘッド。
512 :
名無シネマさん :2012/03/13(火) 11:01:59.95 ID:0gsGIOJ4
シン:現在の巡航スピードですと、迎撃まで24日と5時間。太陽圏外に出ます。 クルーは呻き声を上げる。 オリバー:(トラックスに)スピードをもっと上げられないの? トラックス:ケミカル・エンジンを使わなきゃ無理。 オリバー:ノー。それは駄目。ガニー、アンマとのランデブーは? ガニー:32日後です。 オリバー:あの後ね? ガニー:今回のパトロールでは他のエスコートは予定ありません。 オリバー:シン、ターゲットには、はっきりした目的地があるの? シン:イエス。グリース777。 オリバー:ザッツ・グレイト! 皆、静まる。 オリバー:リムの外側。 ヘンジル:それにネットワークから外れてる。 オリバーはヘンジルを見て座り、ちょっと考える。 オリバー:OK、みんな、やりましょう。さあ、最後の過ちを…シン、新しい迎撃コースを…ガニー、ネットワークにコンタクト。 我々の状況と行動方針を報告。ファルコナー(鷹匠、鷹使い)に、我々のエスコート・ミッションを要請。 ガニーはコンソールで作業している。
513 :
名無シネマさん :2012/03/13(火) 15:01:29.99 ID:0gsGIOJ4
ガニー:チェック!(ヘンジルに)ワイフがいらつかせやがる。次からメールなんか読まねえぞ。 オリバーはうんざりした表情で椅子に座る。 アローヘッド。エンジンは死んでいる。スラスターが点火し、シップの方向を定める。リアから小さな青い炎が噴き出し、 アローヘッドは動き出す。突然、エンジンは生き返って咆哮し、全力で動き出し、すぐに離れていく。 フェイド・イン。 惑星、昼。フィンとカリクがフィールドで働いている。カリクが数歩進み、かがんで穀類の茎を掴む。引いて切り払い、 根本に置く。立って茎の断面を計測する。ゲージは金属のシートで、穴が沢山開けられている。穴のサイズは順に大きくなっている。 茎の断面をある穴に入れるが、フィットしない。更に大きな穴にトライすると、ぴったり合う。カリクは茎を落とし、板に所見を 書き込む。少し進み、かがんで他の茎を切り、立つと、低い吼え声が聞こえる。彼は肩越しに一瞥する。無関心に、彼は茎を計測 し始める。突然、彼の背後で深いな吼え声があがる。彼は茎を落として周りを見回し、近くの開拓地へ走って行き、フィンを見つける。 カリク:一体何事だ? フィン:家畜だよ。何かが近づいてきたんだ。 フィンは見回し、アントファームを指差す。 フィン:カモン。アントファームから来たんだ。 2人は丘を駆け上がっていく。
514 :
名無シネマさん :2012/03/13(火) 16:26:03.06 ID:0gsGIOJ4
アントファーム。アントファームのレイアウトは人間sの宿舎と同じで、玄関には大きな窓があり、ロビーを見渡す事ができる。 男達は2匹の家畜が3匹目をロビーから引きずってくるのを見つける。3匹目は死んでおり、足を1本、そして骨盤の1部を失って いる。2匹は吼えている。悪臭に反応し、カリクは鼻と口を覆う。フィンは家畜が仲間を引っ張るのを手伝う。何匹かが加わって 同じように吠え出す。死体がロビーから引き出され、フィンはドアを閉めて死んだ家畜を調べる。周りでは家族が泣き叫んでいる。 カリクがフィンの体を叩く。もう行こうと言わんばかりに。そして突然、家畜たちが静かになる。見上げると、栽培者がホールに 入ってくる。栽培者は2歩進み、家畜を調べ、そしてロビーを見渡す大きな窓の中心へ行く。栽培者の瞼が下がり、右を見る。 窓の向うは埃とゴミが舞っている。栽培者は左を見る。アントファームをスキャンしているのだ。驚きの表情が浮かぶ。
515 :
名無シネマさん :2012/03/14(水) 10:54:07.23 ID:l/FFBejK
オレオの体がロビーの後部のハッチから飛んできて風に舞う。腹部が破裂しているのが見える。栽培者に哀しげな表情が浮かぶ。 栽培者は体を廻し人間と向き合い、じっと凝視する。2人は肩を並べて立ち、まばたきもせずに栽培者を見上げる。1拍置いて彼らは わずかにうなづく。 フェイド・イン。 アントファーム。男達はヘビー・ギアを身に着けている。ブーツ、グローブ、ヘルメット、そしてマスク。彼らはテーブルの傍に 立っている。フィンは板をテーブルの上に置く。 フィン:さあ、巣のコアに飼料を置いてきた。蟻たちは下にいる。見つけるのに30分ある。 カリク:巣にはいないんじゃないか・ フィン:かもな。オレオの中にいた位だから、大きいはずだ。 カリク:どれくらい? フィン:分からん。家畜は不意打ちされたんだと俺は確信してるし、家畜は武装してない。俺たちなら何とかできるさ。 フィンは板に長方形を描く。 フィン:これは窓の外のチェンバーだ。 フィンは最初の合流点から曲がって分かれていく2本の廊下を描く。 フィン:2つの廊下は幾つものハッチを通って別れ、ここで再合流する。分かるか? カリク:イエス。 フィン:お前は左のハッチへ行く。俺は右だ。ずっと行けば、オレオから出てきた物が何であるにせよ、追い出すことになる。 俺が見つけたのが聞こえたら、廊下を走って来てくれ。引き返してはいかん。
516 :
名無シネマさん :2012/03/14(水) 15:18:58.94 ID:l/FFBejK
板の上、2つの廊下が合流する部分に、フィンは最初の物より少し小さな長方形を描く。別の2つの廊下がここで別れ、合流する。 アントファームは8の字型をしているのだった。 フィン:ここで会って、蟻が見つからなければ、別のループにいるんだ。そうしたら、プロセスを繰り返す。 カリク:追い出したらどうする? フィン:このネットを被せる。 フィンは大きな、くすんだシートを持ち上げる。きらきら生地が光っている。カリクは手に取り、疑い深そうにフィンを見る。 フィン:俺を信じろ。蟻には破れない。いいか? アントファーム、ロビー。2人は三叉の鋤を構えている。カリクは左のハッチへ入る前に、フィンに頷いてみせる。フィンが頭を 振る。 フィン:ダム・イット、オレオ。 フィンは右のハッチへ入る。 アントファーム、左廊下。カリクは床の裂け目を鋤で突く。そして振り返って見る。 アントファーム、右廊下。フィンが同じ事をしている。 アントファーム、左廊下。カリクは前へ進み、再び振り返る。 アントファーム、右廊下。廊下の最初の部分の半ばまでやってくる。 アントファーム、左廊下。カリクは何ヵ所か鋤でつつく。 アントファーム、右廊下。フィンは最初のカーブを曲がる。音が弱まる。 アントファーム、左廊下。フィンの立てる音が小さくなったのにカリクは気付き、歩いて戻り始める。 アントファーム、ロビー。カリクはハッチに近づき、鋤を脇へ投げ出す。 アントファーム、右廊下。カリクは静かに数歩、廊下を下る。ブレードを引き抜く。最初のカーブに来ると、コーナーの内側に ぴったり体を寄せ、周りを見渡す。
517 :
名無シネマさん :2012/03/14(水) 16:23:13.31 ID:l/FFBejK
フィンは2番目のカーブに差し掛かる。カリクは壁から反り返って耳を澄ます。フィンの立てる音が聞こえ、次へと足を踏み出す。 足取りは速くなっている。フィンは念入りに動き、廊下の3番目の部分を下っていく。隠れ場所と思しき部分を鋤で突く。廊下の 最後の部分を下っていく。カリクは廊下へ入り、静かにフィンの後を追う。ブレードが握られている。 アントファーム、センタールーム。2つの廊下が合流し、新しく2つの廊下が始まる。新しい廊下のフロアは鵞鳥の卵ほどのエイリアン の卵で覆われている。頭上低く、チューブとパイプが張り巡らされている。フィンは止まり、カリクの廊下を見下ろす。何も見えない。 アントファーム、右廊下。カー区は駆け下り始める。 アントファーム、センタールーム。天井からもう1本チューブが下りているが、フィンは気付かない。彼は再びカリクの廊下を見下ろす。 フィン:カリク!どこだ! カリクは走り続けたまま、センタールームへ入ってくる。ジャンプしてキックを見舞う。フィンがカリクに気付いた時、キャット・エイリアン が壁から飛び掛かる。カリクのキックがキャット・エイリアンのど真ん中を捉え、部屋の後部へ蹴り飛ばす。フィンとカリクの体がぶつかり カリクのブレードが床を滑って部屋を横切る。ふらふらしながらカリクは立ち上がろうとするが、形勢を確かめる前に何か黒い物が彼を 跳び越える。彼はダッキングして避けるが、何かが背中を引っ掻いていく。彼は呻き声を上げる。
518 :
名無シネマさん :2012/03/16(金) 15:49:23.51 ID:2fEYXbDf
申し訳ありませんが、一旦中断します。「プロメテウス」のリーク脚本が現われたので。まあフェイクでしょうけども。 一応訳してみます。「プロメテウス」のスレにいます。
519 :
名無シネマさん :2012/03/25(日) 19:22:48.62 ID:hKb5t4JH
520 :
名無シネマさん :2012/03/25(日) 20:22:51.29 ID:wPSh8N4C
わーい
521 :
名無シネマさん :2012/03/28(水) 16:38:52.20 ID:B3ldsAa/
キャット・エイリアンはボブキャット大で、長く、先端が刃になった尾を引き戻す。尾はカリクの血で光っている。キャット・エイリアンは 背を丸めると唸り声を上げる。フィンは立ち上がる。 フィン:クライスト! カリクは低い、マーシャルアーツのスタンスをとってキャット・エイリアンに踏み出す。キャット・エイリアンとカリクは回り始める。 キャット・エイリアンは鋭い尾でカリクを突こうとする。カリクは受け流す。キャット・エイリアンは再び突きかかる。カリクは避ける。 キャット・エイリアンは尾で3回目の攻撃をし、素早くカリクに飛び掛かる。顎が開けられている。カリクは尾をブロックし、楕円形の 頭を捕らえるとラウンドハウス・キックを食らわせて後退させる。フィンは畏怖にかられてそれを見ている。鋤を持つ手が緩んでいる。 彼は怒り、ネットを見つめる。カリクは電光のように早いマーシャルアーツを使って防御しながらキャット・エイリアンと戦っている。 フィンは鋤を壁に立てかけるとネットを持ち上げ、振り向くと、揺さぶって広げる。そして投げようとするが、痛みに襲われ、見下ろす。 アント・エイリアンがブーツの上からふくらはぎに噛み付いている。もう1方の足で蹴り飛ばす。 センタールームにはアント・エイリアンが群がって、カリクの血に集まっており、左の廊下から更に押し寄せてくる。 アントファーム、ニュー・ルーム。ホールの端に足の高さの蟻塚があり、アント・エイリアンがそこから出てくる。 アントファーム、センタールーム。フィンは不安にかられながらもカリクをチェックしている。カリクは何発も華々しい打撃をキャット・エイリアンに 食らわす。フィンは鋤を握って地面に突き立て、前へ押す。戦いのさなか、カリクは卵を幾つか踏む。卵は破裂して煙を上げるが、カリクのブーツは それに耐える。フィンはアント・エイリアンを押すと退いてカリクを見る。パイルは倒れる。キャット・エイリアンは飛び掛かろうとする。フィンは ネットを振り回してキャット・エイリアンに被せる。キャット・エイリアンはネットを尾でブロックするが、ネットは尾に絡みつく。キャット・ エイリアンはフィンを見る。カリクがブレードを拾い上げる。
522 :
名無シネマさん :2012/03/29(木) 19:20:37.43 ID:uC0ProNf
キャット・エイリアンはフィンに向かい、襞で覆われた尾はとぐろを巻く。カリクは左手で尾を掴んで回し、キャット・ エイリアンに自分のほうへ向かせる。カリクは裏拳を喰らわせようとするが、キャット・エイリアンは飛び掛ってカリクの 前腕に噛み付く。その歯は頑丈な手袋を貫き、血が噴出す。カリクは呻く。フィンも同様に呻く。もう1匹のアント・エイリアン がフィンのふくらはぎの傷口に噛み付く。彼の足はアント・エイリアンでびっしり覆われている。もう片足で蹴り飛ばすと、 ブーツが脱げる。ブーツはアント・エイリアンの群れの中へ滑り込む。群れの大きさは倍になり、興奮している。カリクは キャット・エイリアンと面を突き合わせている。彼は左手でブレードを掴むとキャット・エイリアンの前額部に突き立てる。 緑色の血がフェイスマスクに向かって噴出し、カリクはフェイスマスクを押してヘルメットを外し、キャット・エイリアンを 押しのけ、血の滴る傷口はキャット・エイリアンの顎から開放される。フィンは怒りに燃えてアント・エイリアンを見、 食い止めようとする。キャット・エイリアンは頭部にブレードが刺さったまま、よろめいている。カリクがフィンを見る。 カリク:鋤だ! キャット・エイリアンは攻撃のため、尾はとぐろを巻き始める。フィンは驚いて見上げ、何とか鋤を放り投げる。先端に刃の ついた尾が空を切って飛んでくる。鋤をキャッチしたカリクはそれをキャット・エイリアンに突き立てる。鋤の先端がキャット エイリアンの頭部に穴を開け、虚脱したキャット・エイリアンは地面に倒れる。
523 :
名無シネマさん :2012/03/30(金) 07:11:32.15 ID:ZQFKNSEP
カリクは最後にもう1度鋤を突き立てる。尾の先端が飛んできて彼の首をかすめる。フィンはブーツを履いた足で地面を なぎ払うようなキックを出し、のたうつアント・エイリアンから走って逃げ出す。カリクは柄を持ってまだ立っている。 殆ど固まっている。フィンが肩に触ると、カリクは飛び上がる。 フィン:フー。ヘイ、行こうぜ。 アント・エイリアンの群れが迫る。 フィン:血の匂いを嗅ぎつけたんだ。 カリクは動かない。フィンは片方のブーツだけで不器用に早足で歩いていく。 フィン:来るんだ、馬鹿! カリクは鋤を捨て、フィンの後を追う。 アントファーム、玄関。ロビーへのドアが2人の背後で閉じる。フィンはヘルメットを外して地面へ落とす。シャツも脱ぐ。 フィン:帰るまで、これで腕を。 カリクが穴が開き、血にまみれた手袋を外すと、いくつも傷口が現れる。カリクもフィンもかすかに呻く。フィンはカリクの 前腕をシャツで包む。 カリク:あいつは蟻が変異したのか? フィン:(肩をすくめ)遺伝子間適応性。 カリク:(1拍おいて)あんな物を…地球で聞いた事があるか? 疑い深い視線を投げる。フィンはシャツを前腕に巻き、出血を抑える。 フィン:サンキュー。オーライ? カリク:栽培者は、ここで働かせる家畜をどうやってもう1度手に入れるのかな。 フェイド・トゥ・ブラック
524 :
名無シネマさん :2012/03/30(金) 15:31:57.01 ID:P2tC1UMQ
アントファーム、玄関口。窓を通して、フィンがロビーへ入って行き、背後のドアをチェックするのが見える。ゴム製の ウェーディング・パンツなど重装備である。シャベルを持って右へ歩いていく。シャベルにアント・エイリアンの死骸を シャベルに入れて戻り、ロビーの中央へ投げ捨てる。カリクが入ってくる。フィンの行動を熱心に見ている。フィンは戻っていく。 アントファーム、センタールーム。最後の玄関口2つに、卵の列が拡がり、中央の長方形の部屋に続いている。シャベルがキャット エイリアンの骨盤と尾の1部を掬い取る。フィンは歩いていき、また戻ってくる。フィンのブーツのつま先に2匹のアント・エイリアンが いる。ブーツが持ち上がり、1匹を振り飛ばす。もう1匹はシャベルで放り出される。フィンはカリクが戦闘で破壊した卵をかき集める。 アントファーム、玄関口。フィンは割れた卵を、部屋の中央のキャット・エイリアンの死骸の上に積み重ねる。シャベルのエッジを 用いて、フィンは死骸と卵を叩いて敷きわら状にする。 フィン:フー。 フィンは窓のカリクに気付く。 カリク:(笑って)イヤー。 彼は止まり、笑い、手を振る。 フィン:(笑って)カモン。 カリク:ああ…奴らが卵の事を教えたのか? カリクは笑い、手を振る。 人間の宿舎、寝台エリア。寝台が寄せられ、2人は裸で一緒に横たわっている。 フィン:イヤー。家畜がやってくれた。収穫の準備ができたよ。 カリク:収穫?穀物の? フィン:分布曲線を? カリク:イエス。 フィン:OK。何か進歩は? カリク:ああ、苗木が早く芽を出したよ。 フィン:グッド。その穀物は俺たちのだ。幾らかは栽培者が種まき用に使うだろう。花あたりの核の数を見ておけよ。 カリク:そうしよう。
525 :
名無シネマさん :2012/03/30(金) 16:04:46.28 ID:P2tC1UMQ
フィン:栽培者は、この方法をアントファームにも応用して欲しいと思ってるようだ。 カリク:何のために? フィン:ああ、ロスを埋め合わせるためさ。他は分からない。 カリク:訊けないか? フィン:お前、訊けるか?訊いた事あるのか? カリク:ノー。 フィン:俺もさ。無性の種にこの選択的受粉の法則を応用するのは難しいんだ。栽培者がこの動物王国での、異性間の繁殖を 理解してるのか、俺には分からない。家畜どもは単性だし、栽培者も同様に見分けが付かん。 フィンは話を止め、2人は見つめあい、そして笑う。 カリク:奴ら、俺たちに失望するだろうな。 フォン:イエス、イエス、そうだろうさ。 2人はもう少し笑い、そして抱き合う。フィンはカリクの前腕に手をやる。 カリク:お前、アンスリーと? フィンは頭を振る。 カリク:今まで男といた事は?ここ以前に。 フィン:イヤー。俺は女も好きなんだ。可能なら女のケツを追い回すさ。 カリク:だが俺とじゃ、15フィートの異星人のある種のマインド・コントロールが必要だっただろ?
526 :
名無シネマさん :2012/04/02(月) 15:07:56.90 ID:SuaM9RLZ
フィン:ノー。そういうことは考えた事がない。お前は?男と? カリク:ゴッド!ノー! 彼はフィンを見る。 フィン:俺に付いてくるのには地球外生命のマインドコントロールが必要だったと言うんだな? カリク:イヤー。栽培者が俺の番号札を引き当てたのかも…だが…分からない…驚いたんだが、そのお蔭で時間が過ぎた。 フィン:イヤー。ライト。 2人は笑い、抱き合ってキスをする。 フィン:ヘイ、これは? フィンがカリクの傷のないほうの手首の皮膚をつまむ。フィンの親指と人差し指の間に乳首のようなものが見える。カリクは蒼ざめ、そ そして元に戻る。
527 :
名無シネマさん :2012/04/02(月) 15:42:01.65 ID:SuaM9RLZ
カリク:遺伝子的改造だよ。これは… フィン:何の為の? カリク:これは分泌腺で、過酷な状況でも皮膚を保護する蛋白を分泌するんだ。 カリクの親指と人差し指が乳首を搾ると、濃い、白い物質が噴き出す。カリクはそれを手首と唇に塗りつける。 カリク:どうだい?天然リップクリームさ。 フィン:イヤー。天然だな。 カリク:試してみろよ。カモン。信じろよ。 フィンは液体を唇につける。 フィン:モイスチャークリームにも? カリク:ああ、それ以上さ。いいだろ・ フィンは唇をこすり、そして黙り込む。 フィン:スティーブン? カリクはフィンを見る。 フィン:栽培者がここへ送り込む前、お前は何をしてた?
528 :
名無シネマさん :2012/04/02(月) 19:34:23.29 ID:Opy7WDQy
カリクは視線を逸らす。 フィン:カンパニーの使い走りだったのか・ 反応はない。 フィン:お前はアンドロイドじゃない。だろ? カリクは狼狽して彼を見る。 カリク:違う。 フィン:グッド。お前がリアクターの技師じゃない事は分かってる。それにここじゃそんな秘密には意味はない。奴らは お前に給料を払っていない。俺が保障する。 カリク:女房が問題なんだ。 フィン:オーライ。忘れろ。どうだっていい。 カリク:話そう。オーライ?俺は複合体のスパイだった。 一瞬、フィンの表情に嫌気があらわれるが、努めて微笑を浮かべる。 フェイド・イン。 人間の宿舎、寝台エリア。 2人はベッドに入っている。カリクは横を向いてぐっすり眠っている。フィンは寝ていない。 栽培者の船、カーゴ・ホールド。列を成すエイリアンの卵。大きなエイリアンの手が1ダースの卵を掬い上げる。 人間の宿舎、寝台エリア。フィンは横になっているが眼は大きく開かれ、眠れずにいる。彼は起き上がり、カリクを見る。 栽培者の船、カーゴ・ホールド。手に一杯の小さなエイリアンの卵はエイリアンの口に突っ込まれる。エイリアンはそれを 噛み、卵は口の中で破裂する。 フェイド・トゥ・ブラック
529 :
名無シネマさん :2012/04/02(月) 20:15:25.65 ID:xdBBzlnW
惑星、昼。2人の男は草の生えたスロープを歩いている。フィンは杖を使い、背中に小さなパックを背負っている。 カリク:家畜がクソをしているのを見た事あるか? フィンは彼を見る。 カリク:奴らの屈み方だよ。奴らは生まれながらのヨガ・マスターだな。 フィンは笑わない。 フィン:栽培者がお前を発見した時、貨物船に勤務してはいなかった。だな? カリク:ノー。巡洋艦だ。 2人は丘の頂きに到着する。赤い葉の木々が生えている。フィンはパックを外して木の根元に置く。カリクが手を 伸ばして水のボトルを引っ張り出す。自分が飲んだ後、フィンに渡す。フィンは辞退し、田園風景を見渡す。基地は 1マイル離れている。 フィン:オレオがいなくて寂しいよ。ここに来るとこの枝に登っていたな。(枝を指差し)“何?”って俺を見下ろす んだ。3回目からは俺が後について登って、オレオを下ろしたんだ。 フィンは木下に座ってボトルを握って水を飲む。カリクは隣の木下で彼を見ている。 フィン:で、クーリング・システムが故障を? カリク:何だって? フィン:リアクターだよ。ブローしたのか? カリク:ノー。攻撃を受けたんだ。話しただろ。それしか考えられない。 フィン:何物が巡洋艦を攻撃し、何物が生き残ってその事を話すんだ? カリク:馬鹿な。 フィン:カモン。 カリク:長い話さ。 カリクは何もない空間を見渡す。
530 :
名無シネマさん :2012/04/03(火) 10:47:10.65 ID:nKo6DiHy
カリク:いいだろう。俺たちは関税法違反でアームストロングを追跡していたんだ。1週間して、奴らがネットワークにはない 星系へ入っていくらしい事が分かった。その時、奴らは小惑星を使ってスリングショットをやった。俺たちもそれに倣った。 この惑星には大気がないので、スリングショットを最大化し、奴らに近づくために地表までわずか3クリックまで近づいたんだ。 エンジンは地獄のように過熱した。俺たちは知らなかったが、反乱分子が地表に防御砲台を設置していたんだ。俺たちは デブでイージーなターゲットになった。ミサイルがロックするのを聞いてから命中までたった10秒しかなかった。それで終わりさ。 フィン:じゃお前達は海賊船だったんだな。 カリク:海賊船?奴らは法律を破る。 フィン:オー。奴らが法律を破るだと?関税法違反か?奴らはおそらくオフ・ネットワーク・コロニーへ食糧を運んでるんだろう。 カリク:ウラニウムと硫黄だ。 フィン:オー。燃料と肥料だな。何故奴らはオフ・ネットワークのコロニーを始めたんだ?お前、知ってるだろ。 カリク:何故俺に言わない? フィン:お前に?複合体が、コロニーからジュース・バーのオレンジみたいに搾り取っているのは俺たち2人とも知ってる事だ。 カリク:オー、カモン、アダム。法律の話をしてるんだ。カンパニーと子会社…奴らが出て行こうとするならセキュリティが必要だ。 俺たちがやってたのは、その事だし、俺が加わったのも、その為だ。地球の安全を守る事さ。 フィン:オー、ファック・ユー! カリクはあっけに取られる。フィンは起き上がり、立つ。
531 :
名無シネマさん :2012/04/03(火) 11:14:13.44 ID:nKo6DiHy
フィン:“地球に安全を!”か。誰が複合体から地球を守るって言うんだ? フィンは顔を背けて風景を見渡す。 カリク:アダム、その様子じゃ、お前の最後の兵役は、会社の命令に従う事じゃなくてどこかの修道院で聖歌を歌う事のようだな。 反応はない。カリクは立ち上がる。 カリク:まだタクソンの事で腹を立ててるのか? フィンは少し彼のほうを向き、顔をしかめる。 カリク:皆、何故水もないところに住んでるんだ? フィンは向きを変え、カリクの襟首を掴む。
532 :
名無シネマさん :2012/04/03(火) 14:22:09.85 ID:nKo6DiHy
フィン:お前は、生きるために隣人をまたぎ越した事があるか? カリク:何…? フィン:逃げたいと言う衝動。あの大波を追い越すためなら何だって。 カリク:アダム、一体… フィン:アダムと呼ぶな! フィンはカリクを突き飛ばす。 フィン:ソノラン砂漠が地獄と化した時、みんな…タクソンの人々皆…は通りに出て、命がけで走っていた。唯一の道は国境を越える 事だった。国境に兵を配置したのは誰だと思う?イヤーお前の複合体だ!もしお前があの中の1人なら、国境を越えた。もしカンパニーの ファミリーなら、脱出した。でなかったら、幸運を祈るばかりだった。 カリク:脱出したんだな。
533 :
名無シネマさん :2012/04/03(火) 14:51:06.75 ID:nKo6DiHy
フィン:ザッツ・ライト!俺は脱出した。砂漠の生活なんか知った事か。もし俺たちが海岸にいて、満潮になったら、お前達 複合体の人間はこう言うだろうよ。何故こんなに水だらけのところに住んでるのか、ってな。 フィンは再び顔をそむける。 カリク:ヘイ、あんな事を言って済まなかった。オーライ? 反応はない。 カリク:俺は地球に行った事がないんだ。知らなかったんだ。俺が軍隊に入ったとき、親父には住む場所がなくなった。 これがフィンの注意を引く。カリクは木の下に座っている。自分に向かって語りかけているようである。
534 :
名無シネマさん :2012/04/03(火) 15:25:31.79 ID:nKo6DiHy
カリク:それに、女房はウイルスの保有者だった。俺はやるべき事をやって、彼女は治った。だがその事を知って、彼女は去っていった。 カリクは黙り込み、顔を手で覆う。フィンはカリクの肩に手をやり、カリクは見上げる。 フェイド・トゥ・ブラック アローヘッド。アローヘッドのエンジンはフルパワーを出している。船は連星を目指して進んでいる。連星の1つは小さくて赤く、もう 1つは大きく、黄色く輝いている。 アローヘッド、ブリッジ。オリバーはクリップボードで計算中である。心配そうに見える。計算結果にあっけにとられる。彼女は結果を 念入りに調べ、うんざりしてクリップボードを置く。 オリバー:シン、ターゲットがグリース・アルファ星系に向かってるのは確かなの? シン:ターゲットがムー星系を出発するまでは、ネットワークの全データがそう示していました。 オリバー:ヘンジル、いつになったら視認できる・ ヘンジル:すぐです。 オリバー:すぐって? ヘンジル:シンが言ったのは、あいつがムー星系にいた時の最後の状態です。ですから私が言えるのは、できるだけ早く、って事 だけです。 オリバー:部屋にいるわ。その時は呼んで頂戴。 オリバーは起き上がり、床のハッチを下りていく。
535 :
名無シネマさん :2012/04/03(火) 16:46:56.96 ID:nKo6DiHy
ヘンジルとガニーはシンを見る。シンはオリバーの椅子に向けて頷き、笑う。ヘンジルとガニーは視線を交わす。 ガニーはかすかに頭を振る。 アローヘッド、オリバーの部屋。オリバーの背後でドアは閉じている。部屋は窮屈で、小さなデスク、ドレッサー、そして 寝台がある。彼女はクリップボードを投げる。額縁入りの写真の傍のデスクに落ちる。彼女は写真を取り上げる。オリバーと 家族の写真である。フレッドJrは11歳ぐらいで、ベイリーは2〜3歳若い。写真の皆は微笑しているが、フレッドSrだけが 無表情である。ドアがノックされる。オリバーは気を静め、ドアを開ける。トラックスだった。 オリバー:エンジンがイカれたなんて言わないでよ。 トラックス:ノー、ノー。効率は95%です。 オリバー:OK。で、何か? トラックス:ノー、ちょっと伺いたくて。 オリバー:伺う? トラックス:私は…いいですか? オリバー:カム・イン。
536 :
名無シネマさん :2012/04/03(火) 17:40:48.62 ID:nKo6DiHy
オリバー:私、時間の遅れ(ウラシマ効果)を計算したの。スピードが速いし、距離は長いから。あなた、分かってる? トラックス:何を? オリバー:約3年。私達が戻ったとき、予想より3年遅れる事になるの。 トラックス:だからファミリー… オリバー:ファミリー・ステーションには調整できない。報酬の上に3年。あなた、奥さんより4歳上になるのよ? トラックス:5歳です。 トラックスは考え込む。 トラックス:だから年下を好きになったんですよ。 トラックスは微笑むがオリバーは笑わない。トラックスはオリバーの手の中の写真に気付く。 トラックス:ヘイ、子供達との残りの人生があるでしょう。 オリバー:(殆ど叫んで)その時にはジュニアはティーンエイジャーよ! トラックス:確かに。ですが… オリバー:クライスト、子供でいるのは1度きり。成人はそのままだけど、父親に育てられれば育てられるほど子供は 怠け者になり、私の存在は消えるのよ。 トラックは少し笑う。オリバーも同様に笑う。 トラックス:失望するのは分かります。私には2人の友人がいます。2人とも母親です。子供達が思春期の時、遠くの 船で長いミッションに付けたら、と望んでいたものです。つまり、貴方は… オリバー:オー。話は聞いたわ。でも私は子供達といたいの。でもそうも行かない。それは… トラックス:何です? オリバー:私にはやる事がある。 トラックス:ミッション?
537 :
名無シネマさん :2012/04/04(水) 09:50:27.74 ID:ydyDtRag
オリバー:イエス。ノー。それ以上のもの。全てよ。フレッドは再徴兵でペンションを手に入れた。もう1回遠征の義務があって、 そうすればセキュリティーが手に入る筈だった。でも、それはアクシデントでおじゃんになったの。だから私はチェアに戻って、 今に至る、ってわけ。安定を得れば、一緒になれるかもね。 トラックス:イヤー、でも… オリバー:トラックス、3年あれば、もう3回パトロールに出られるのよ。自分のペンションを買うには4回行かなくちゃ。 ヘンジル:(インターコムで)オリバー? オリバー:イヤー。 ヘンジル:ターゲットを視野に捉えました。 オリバー:すぐ行くわ。 アローヘッド、ブリッジ。オリバーが入ってくる。3人は位置について作業に掛かっている。トラックスが遅れて入ってくる。 オリバー:OK。見せて。 オリバーはヘンジルの持ち場で身を乗り出して、コンソールから飛び出た双眼鏡ビューアーを覗き込む。 外周の辺りには距離計測の種々のインジケーターがある。中心には白い光の点があり、上・左に黄色い太陽が見える。
538 :
名無シネマさん :2012/04/04(水) 10:26:37.66 ID:ydyDtRag
オリバー:ヘンジルが見つけた時、どれ位離れてた? シンが見上げる。 シン:少し調整が必要でしたが、ムーを出てから、大きなコース変更はしていません。 オリバー:攻撃範囲に入るまでは? ヘンジル:1時間42分です。 オリバー:グッド。もし… シン:オリバー! オリバー:もしコースに偏移があれば教えて。 ヘンジル:はい、確かに。 オリバー:何か探知は? シン:艦長! オリバー:何?
539 :
名無シネマさん :2012/04/04(水) 11:34:39.12 ID:ydyDtRag
シン:ターゲットの現在の軌道からすると、惑星リマ-ビクター-4-2-6とのランデブー地点へ移動しています。 オリバー:OK。ご苦労様。いつ? シン:2時間7分です。 オリバー:敵はもう1回スリングショットの用意をしてるの? シンがコンソールをチェックする。 シン:測定できません。
540 :
名無シネマさん :2012/04/04(水) 14:18:25.05 ID:ydyDtRag
オリバー:オーライ、みんな。ターゲットは射程範囲内に入りつつあるけど、ぎりぎりリマ-ビクターへ間に合うかも知れない。 もう1度スリングショットを使うかもしれないし、ステーションが待っているかも知れないし、増援部隊が待っているかも知れない。 私は答えを探すつもりはない、遠くへは行かせないから。だから皆、しっかり準備をして。交戦になった時に驚かされるのは御免だわ。 オリバーは椅子に座り、クルーを見る。 ヘンジルは機器をチェックして興奮してくる。 ヘンジル:オリバー? オリバー:何? ヘンジル:ひどく奇妙です。 オリバー:教えて。
541 :
名無シネマさん :2012/04/04(水) 14:36:17.59 ID:ydyDtRag
ヘンジル:ターゲットには電磁信号が見られません。 オリバー:どういう意味? ヘンジル:星からの反響や、運搬しているアイソトープのタグは分かりますが、ラジオ・シグナルは出ていないし、電流さえ 見られない。推進システムすら見られない。 オリバーはショックを受けている。ヘンジルは頷く。 オリバー:トラックス! トラックス:イエス。 オリバー:どれだけ早くリアクターをシャットダウンできる? トラックス:重要なのはコアを凍らせずにプラズマを減圧する事です。1時間、或いは2時間。 オリバー:射程距離に入る前にパワーダウンしないのは、鹿に忍び寄る時に、首にカウベルを付けとくようなものね。 トラックス:全くです。 オリバー:いった通りにして。 トラックスはハッチを下りていく。
542 :
名無シネマさん :2012/04/04(水) 15:32:29.30 ID:ydyDtRag
オリバー:オーライ、みんな。きちんと整頓するよう言ったわね。私のアドバイスを受け入れたかどうか、もうすぐ分かる。 これから隠れるの。1回のミスファイアも、1回の進路エラーも、そして見失う事も敵は容赦してくれない。この時のために トレーニングを積んできたのだから、自分の仕事をしなさい。質問は?(1拍置いて)トラックスがリアクターを冷却中です、 私達のネックのね。彼女が助けを求めてきたら、私に訊かなくていいから行ってあげて。その間に準備をしたほうがいいわよ。 掛かりましょう。 アローヘッド、リアクター・ステーション。トラックスはコントロールパネルのボタンを幾つも押す。スクリーン上には垂直の 高さ一杯の棒グラフが映っている。高さは次第に減っていく。トラックスは長い取っ手を引っ張る。 アローヘッド船外。エンジンからの輝く青い炎が太くなり、丸くなり、見えにくくなる。 アローヘッド、ブリッジ。低い轟音。オリバーは行ったり来たりしながら、皆の作業を見ている。 シン:ナビコムがターゲットを追っています。パワーダウン前の最終データのハードコピーが来ます。 オリバー:用意は? シン:イエス。 オリバーは重い生地でできた黒いフードを広げ、シンの頭に被せる。 オリバー:眼を開いていて。 シン:分かってます。
543 :
名無シネマさん :2012/04/05(木) 11:06:07.37 ID:In7Sys5c
オリバーはシートの前の床のはね蓋を開ける。彼女がレバーを引くと、水圧シリンダーの上に畳まれたクルー・シートが上がってくる。 彼女はシートを広げ、シンの所へ行き、手を掴むとチェアへと歩かせる。彼は座り、オリバーはシートベルトのストラップを手渡す。 彼はロックして締める。 オリバー:大丈夫? シン:イエス。 オリバー:じっとしてて。 オリバーは再度レバーを引く。シンはドーム型の天井の真ん中までせり上がる。オリバーは別のレバーを引く。天井には滑車が 取り付けられており、そこにチェーンが載っている。滑車が回転し、チェーンが繰り出される。1対の大きな双眼鏡がぶら下がって おり、シンの上に下がって来る。 オリバー:眼を開けてて。 シン:はい。 オリバー:(ヘンジルに)何かニュースは? ヘンジル:コースは変わりません。我々に気付いたら、変えてるはずです。 オリバー:下へ行って、ガニーの海兵隊員の準備をして。 ヘンジルはハッチへ向かう。
544 :
名無シネマさん :2012/04/05(木) 19:24:38.98 ID:mpXEuoak
オリバー:ヘイ、解凍を始めて。でも覚醒はさせないで。アドレナリン注入の用意と、上陸船の充電の確認を。 ヘンジル:勿論。 アローヘッド、リアクター・ステーション。トラックスはクリップボードをチェックし、コンソールのボタンを押している。 棒グラフの円柱は前よりずっと下がっている。ヘンジルが通り過ぎて隣のドアへ向かう。ヘンジルがキー・パッドにコードを 入力するとドアがスライドして開く。彼は中へ入る。 アローヘッド、フリーザー・コンパートメント。この広間は両サイドにフリーザー・チェンバーが並べられている。それぞれに 小さな窓があり、かすかな青い光を発している。ヘンジルはドア内側のコンソールに向かい、幾つかボタンを押す。 何回も音がして、チェンバーの上部のチューブが外れる。窓の明かりが青から赤に変わる。 アローヘッド船外。エンジンからの青い炎のボールが明らかに弱まる。そして小さくなっていく。ついには炎は消え、見えなくなる。 アローヘッド、リアクター・ステーション。 トラックス:(インターコムに)リアクターはダウンしました。でもコアはまだ熱いので、再点火は問題ないと思うわ。 アローヘッド、ブリッジ。トラックス以外の全員がいる。 オリバー:(インターコムに)グッド・ワーク。パワーダウンの用意は? トラックス:できてます。 オリバー:(インターコムに)ガニー、ターゲットから何かシグナルは? ガニー:ありません。完全に沈黙しています。 オリバーはシンのところへ行き、ボタンを押す。 オリバー:ヘンジル、射程距離までどれ位? ヘンジル:20分です。 オリバー;海兵隊員は? オリバーはシンの部署のプリンターから紙を破り取り、クリップボードに挟む。
545 :
名無シネマさん :2012/04/05(木) 19:41:57.14 ID:mpXEuoak
ヘンジル:海兵隊員の体温は室温に近づきつつあります。 オリバー:リッパーは? ヘンジル:フル充電です。 オリバーはシートに着き、シートベルトを締める。 オリバー:OK、グッド・ワーク、みんな。さあ、やるわよ。ガニー、ブリッジ・シールドを開けて。 ガニー:チェック。 ガニーはレバーを引く。 アローヘッド船外。アローヘッドの背部にドームがある。黒い装甲部分のヒンジがドームの基部に 後退して船の表面へ移動し、ガラスの下のブリッジが現れる。 アローヘッド、ブリッジ。内部の明かりで外宇宙の光景が見えなくなる。 オリバー:(インターコムに)トラックス、位置に着いてる? アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは大きなレバーの列に囲まれ、シートに ストラップで固定されている。 トラックス:(インターコムに)イエス。 アローヘッド、ブリッジ。 オリバー:(インターコムに)メン、ゼロGに備えて。いい? 皆返事はなく、頷く。 オリバー:ガニー、人工重力を切って。 ガニーはスイッチを叩く。
546 :
名無シネマさん :2012/04/05(木) 20:28:15.69 ID:3wjV4Jcn
小さな物品、ペンやら何やらがクルーのコンソールから離れて漂い始める。皆は近くにあるものを掴んでユニフォームの ポケットやクリップボードへ押し込む。ブリッジの後部を数枚の紙切れが漂っている。 オリバー:(インターコムに)OK、パワーダウンに備えて。 彼女はキーを差し込んでパネルを開ける。 オリバー:3、2、1。 オリバーはパネル内部の大きなスイッチを引く。 アローヘッド船外。ブリッジの輝くドームが暗くなる。船の外側の赤いライトがちらついて消え、アローヘッドは暗闇に 姿を消す。見えるのは星ばかりで、星のない部分がアローヘッドである。 フェイド・トゥ。ブラック アローヘッド、ブリッジ。ガラスのドームの彼方、背景は星で一杯で、そこにグリース星系の連星が見える。徐々に、 ドームの補助ビームの底面がダーク・ブルーに輝き始める。光は緯度をディスプレイしている事が分かる。ドーム周辺 には経度を現わす光。 オリバーはグロー・スティックを叩く。 ヘンジルは緑色に光るグロー・スティックを握り、頭にバンドをはめる。 アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスはヘッドバンドを装着し、緑のグロースティックをヘッド バンドに差し込む。 アローヘッド、ブリッジ。ガニーは緑のグロー・スティックの付いたヘッドバンドを装着して座っている。オリバーも 同様にしている。 オリバー:シン、いいわよ。 シンはフードを外す。彼の瞳孔は大きく、完全に開ききっている。 オリバー:OK。見つけて。 シンは頭上のチェーンの大きな双眼鏡を掴む。サイズは大きいが、シンは双眼鏡を操って眼に当てる。 オリバー:見える?
547 :
名無シネマさん :2012/04/05(木) 20:42:08.70 ID:3wjV4Jcn
註)グロースティックとはサイリュ-ムの事ですが、グロースティックで通します。 ターゲットは小さな、楕円形の光の筋に見える。 アローヘッド、ブリッジ。 シン:捉えました。 オリバー:進路を見ましょう。 シンは双鏡鏡で見ながら上部にあるボタンを押す。双眼鏡から赤いポインター・レーザーが発せられ、ドームの緯度ゼロ、 経度ゼロに赤い点が現れる。 オリバー:コースは変わってないわ。 オリバーは伝声管の先端に小さなファンネルを接続する。 オリバー:トラックス、ケミカル・エンジン始動、50%。 アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。 トラックス:(伝声管に)了解、50%。 トラックスは2つのレバーを叩き、大きな真鍮の取っ手を押す。
548 :
名無シネマさん :2012/04/06(金) 07:20:34.92 ID:rqvwfI8W
アローヘッド、船外。星々、そして暗闇。突然深く赤い炎が噴出し、アローヘッドの後部を照らし出す。前の青い炎ほど 明るくはなく、船体後部を照らし出すのがやっとである。 アローヘッド、ブリッジ。オリバーが腕時計をチェックしている。 オリバー:射程距離まで3分半。 ターゲット・シップ、船外。船は楕円形で、輝いている。 オリバー:グッド・ワーク。ガニー、今よ。 ガニー:アイ。 ターゲット・シップ、船外。接近すると、今では輝く楕円形の中に船の形が識別できる。 オリバー:こいつを気絶させるのよ、パンケーキにしては駄目。 ガニー:了解。 ターゲット・シップ船外。更に接近すると、栽培者の船である事が明らかになる。
549 :
名無シネマさん :2012/04/06(金) 10:43:42.69 ID:F1YOlqsl
オリバー:接線縦距が最大値なら、あいつを吹っ飛ばして宇宙の塵してやるわ。 栽培者の船、コックピット。栽培者は椅子に座り、完全な瞑想状態に入っている。上部のコンソールが光り、脈動している。 オリバー:最初の一斉射撃は出力1.25で始めましょう。いい? ガニー:了解。 栽培者の顔は穏やかな瞑想状態を保っている。 オリバー:OK。一斉射撃の準備をし、命令を待つように。 栽培者が眼を開く。オリバーの声が聞こえたかのようである。表情に怒りが浮かんでいる。 フェイド・イン。 惑星、昼。2人の男が野原にいる。カリクの髪が伸びている。大麦に似た茎を持っている。 カリク:23、24、25。この茎には核が25か。 フィンは何かを石版に書き、数歩歩く。 フィン:OK 。こっちだ。 何も起こらない。フィンは振り向く。カリクが口を開けて空を見上げている。巨大な栽培者の船が彼らの頭上を低空で滑空し、 丘の彼方へ降下していく。 カリク:あれは何だ?奴らの… フィン:栽培者のカーゴ・クラフトだ。 カリク:見に行かなきゃ。 カリクは丘へ向かって歩き出す。 フィン:これを終わらせないか? カリクは止まる。 カリク:何故…何をしてるんだ? フィン:積むのさ。 カリクは再び丘を登っていく。 カリク:(肩越しに)あれを見なくちゃ。 フィン:ファイン。おもちゃを見てきな。 フェイド・イン。
550 :
名無シネマさん :2012/04/06(金) 14:09:36.42 ID:F1YOlqsl
アントファーム、ロビー。ロビーは卵で一杯である。死体と壊れた卵のあった場所には、識別できない樹脂が山を成している。 アントファーム、センタールーム。ここも卵で1杯である。カリクのヘルメットが落ちて壊れた場所が窪んでいる。 アントファーム、裏玄関。卵の傍に蟻塚が立っている。開口部が大きなコンクリートのストッパーで塞がれている。 アントファーム、ロビー。重装備のフィンが念入りに卵の収穫を始める。
551 :
名無シネマさん :2012/04/06(金) 15:02:06.84 ID:F1YOlqsl
フィンは鋲打ち機を持っている。その先に長いステンレス・スチールのチューブが延びている。彼は離れた所から卵の垂れ蓋をつづっていく。 彼は広い範囲で何度も繰り返す。フィンはブレードを引き抜いて卵の樹脂をカットする。ブレードのカーブを使って卵を床からもぎ取る。 フィンは金属トレイを取ると卵を入れ、6列に並べる。フィンは高い棚のスロットへ満タンのトレイを押入れ、空のトレイを引き出す。フィンは このプロセスを繰り返しながら広いスペースを進んでいく。彼は裏玄関に達する。這って角を曲がり、トレイを引き寄せ、幾つか卵を切り取る。 彼は見上げ、はっと驚き、後ずさる。オレオが落ちてきたベンチレーション・シャフトの傍に、2フィートの卵が他を抜きん出てそびえている。 アントファーム、玄関。フィンは透明な容器を取り、水が入っており、かすかに湯気を立てている。彼はロビーへ行き、ブレードに樹脂を採取 してくる。彼は樹脂を水に入れ、溶けるまでかき混ぜる。 アントファーム、
552 :
名無シネマさん :2012/04/09(月) 14:56:15.27 ID:xxu7AlKY
アントファーム、広間。フィンは光るネットを前に構えながら広間を下ってくる。そしてかがんで大きな卵に近づく。彼はネットを投げる。 シースルーの布地が卵にかぶさり、そこから引き紐がぶら下がる。引き紐が締まり、卵はネットにぴったり収まる。フィンは引き紐を持ち、 他の道具をチェックする。彼はあごひもを締め、フェイス・シールドを何回か叩いて確かめる。彼は体を乗り出す。卵の蓋が開き、それに つれ布地が伸びる。蓋の内部はレース状で、ピンク色の横隔膜が見える。横隔膜はかすかに震えている。フィンはため息をつく。 音もなくフェイスハガーが現われ、フィンに飛び掛かり、鼻が前へ飛び出す。最後の瞬間、ネットがフェイスハガーを捕らえる。フィンは 尻餅をつき、引き紐を引く。布の縁が卵から滑ってポーチにフェイスハガーを捕らえる。引き紐を握ってフィンは転げまわるフェイスハガー と取っ組み合う。彼はやっとフェイスハガーを透明な水の容器に入れ、引き紐も中に入れて蓋を叩いて閉める。フィンは容器を持ち上げて 眺める。フェイスハガーは布から逃れようと容器の中でもがいている。フィンの顔面を覆うに充分な大きさである。 フェイド・イン 惑星、昼。20フィートの高さの滝が、下のプールに注いでいる。プールの縁や前景は砂州になっている。フィンは立ち泳ぎをしてカリクを 見ている。カリクは「全裸でスネまで水に漬かっている。 フィン:冷たくないぞ! カリク:(ゆっくりと水に入りながら)温泉はないのか? フィン:聞いたことないな。複合体で泳ぎを教わらなかったなんて言うなよ。 カリク:イヤー、イヤー。 カリクは水へ飛び込む。 フィン:どうだ?悪くないだろ。 カリク:ここの深さは? フィン:分からない。見てみよう。 フィンは大きく息を吸い込み、水面から潜っていく。カリクが続く。 フェイド・イン
553 :
名無シネマさん :2012/04/09(月) 17:15:28.01 ID:xxu7AlKY
惑星、昼。フィンが全裸で滝の土手に立って、プールを見下ろしている。カリクは彼を見上げている。 カリク:大丈夫だと思うのか? フィン:お前は? カリク:俺?お前、前にもやった事があるのか?アダム? フィン:ノー。 カリク:アダム、何故さっさと降りて来ない? フィン:スティーブン? カリク:さっさと降りるんだ。 フィン:スティーブン? カリク:イヤー? フィン:約束してくれ。俺が首の骨を折ったら、手短に、痛くないように頼む。 カリク:馬鹿な。 フィン:手短に、痛くないようにな。 カリク:アダム、降りて来い! フィン:頼んだぞ。 フィンはプールへダイブする。カリクは大声を上げる。 カリク:アダム! フィンは水面へ飛び込む。カリクは恐る恐るプールを覗き込む。何も見えない。一瞬後、フィンが 現われる。 カリク:大丈夫か? フィン:(笑って)イヤー。アンスリーはいつもこうしてたよ。 カリク:馬鹿め。 フィン:いつも、やってみろと言われてたんだ。 フェイド・イン
554 :
名無シネマさん :2012/04/09(月) 19:51:11.57 ID:3wI3yfVA
惑星、昼。フィンは滝の裏側の洞窟で、腰から上を水面から出して立っている。青い光を浴び、低い轟きを聞いている。 数フィート離れた場所に、水面を破ってカリクが現れる。 フィン:ナイス、だろ? カリクは頷き、歩み寄ってフィンにキスをする。 フェイド・イン 惑星、夜。2人は砂州で焚き火を燃やしている。水の入ったバケツが火の中に置かれている。フィンは手袋をしてバケツを 火から引っ張り出す。石鹸の棒を取ると手で泡立て、座る。 フィン:来いよ。 カリクは頭をフィンの膝に乗せる。フィンは髭に泡を塗り付ける。 フィン:訊きたい事があるんだ。 カリク:何だ? フィン:アントファームにいた時だが。 カリク:イヤー? フィン:お前が蟻と戦ってた時の話だ。 カリク:イヤー? フィン:どこで習ったんだ? フィンは長いカミソリを取り出し、カリクの髭を剃り始める。 カリク:複合体のトレーニングさ。基礎的な格闘術だよ。 フィン:基礎的な格闘術?あれでも基礎的なのか? カリク:イヤー。 フィン:スパイが何かを学ぶとは知ってたが、考え付きもしなかった。前にもやった事が? カリク:オー、イヤー。何回か、警備隊でね。1度はバーでだった。 フィン:誰かに怪我をさせた事は?殺した事は? カリク:ノー。誰も殺してはいない。
555 :
名無シネマさん :2012/04/09(月) 20:37:14.35 ID:mYI5umcR
フィン:船に残してきたのか? カリクはたじろぐ。 フィン:ヘイ。OK。オーライ? カリクは頷く。 フィンはカリクの髭の周囲を綺麗にする。荒めのブレードを取り出して角度をつけて髭を刈り込んでいく。 フィン:火事のあとは、殺してやりたいほど怒ってた。お前のような技があればな。そうでなくて良かったよ。 カリク:ここへはどうやって? フィン:俺が知りたいよ。地域の管理人が、何故タクソンにいるのかといつも訊くんで、俺はいつも、俺がタクソンを出る 時は地球を出る時だ、と答えてたのさ。で、タクソンは死んだ。俺は移動する事にした。麻酔を掛けられたときには、俺は 地球の軌道上にいた。で、目覚めたら、ここにいた。俺とアンスリーともう1人…何て名前だっけ?思い出せない。そいつは 眼が覚めなかった。3週間昏睡状態で、そして死んだ。移動の事は記憶にないんだ。 カリク:その通り。 フィン:俺はいい仲間じゃなかった。初めて栽培者を見たとき、悲惨な生活…奴隷生活の実験の始まりだと俺は思った。こんな だとは想像もしなかった。(髭剃りを終え)さあ、起きろよ。 カリクは起き上がる。フィンはカリクのロングヘアーを手で寄せ集め、捻ってブレードでカットし始める。 フィン:それから3年ほどして、栽培者はオレオを連れてきた。他には何も。EEVにオレオだけがいたんだ。 カリク:何故オレオという名を?
556 :
名無シネマさん :2012/04/09(月) 21:01:34.77 ID:mYI5umcR
フィン:首輪に付いてたのさ。 フィンはカリクの後ろ髪をトリミングし、首の後ろを剃っていく。 フェイド・イン 惑星、夜。2人は砂州の上で眠っている。焚き火は今では残り火と化している。カリクがはっとして眼を覚ます。眼は瞬き、 焦点を合わせる。今夜、彼に見えるのは満天の星である。彼はフィンを見て、顔に手を触れる。 フェイド・トゥ・ブラック アローヘッド船外。アローヘッドのケミカルエンジンが赤く燃えている。背景に栽培者の明るい2重楕円の船が見える。その 後ろに、輪を有するLV-426(リマ・ビクター・4・2・6)が見え、更に遠くにはグリース777の連星が見える。 アローヘッド、ブリッジ。 ガニー:(伝声管に)1番、2番、装填。 オリバー:(伝声管に)出力1.25。消しては駄目。能力を奪うだけよ。いい? ガニー:(伝声管に)チェック。 オリバー:(伝声管に)OK、トラックス。エンジンを切って。 アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは真鍮の取っ手を引く。音が止む。 アローヘッド船外。赤いエンジンの炎が消える。アローヘッドは再び見えなくなる。
557 :
名無シネマさん :2012/04/13(金) 09:58:31.94 ID:ZNezcPE7
アローヘッド、ブリッジ。 オリバー::(伝声菅に)ガニー、チューブのドアを開けて。 アローヘッド、兵器ステーション。 天井に沿って2つの長いラックがあり、ミサイルが並んでいる。丸く灰色で、その大きさはガニーの体程もある。ステーションの 端には2つの丸いハッチがあり、チューブに繋がっている。横には大きな真鍮の輪がある。壁のコントロール類とマーキングの 真ん中にEEVのハッチがある。 ガニー:(伝声菅に)チェック。 ガニーは輪を左へ回し始める。
558 :
名無シネマさん :2012/04/14(土) 11:21:38.57 ID:r6Hon9sQ
栽培者の船、コックピット。栽培者は目を開けたまま座っている。目が反転し、上にあるコンソールの光と脈動が強まる。 船は加速していく。 アローヘッド、ブリッジ。シンは双眼鏡を覗いている。 シン:ホー!ホー! 光る楕円は急速に縮んでいく。 オリバー:何? シン:逃走します! オリバー:方向は? レーザー・ポインターはまだ緯度、経度とも0を指している。 オリバー:(伝声管に)トラックス、エンジン出力80%。 アローヘッド船外。エンジンが咆哮し、息を吹き返す。 アローヘッド、ブリッジ。 オリバー:見つかったのかしら? シン:はっきりしません。 オリバー:敵は何を?スリングショットを? シン:多分。或いは、我々から逃げているんです。 ヘンジル:逃げ道はない。 オリバー:(伝声菅に)ガニー、攻撃準備は? アローヘッド船外。船の前部、丸いチューブのドアがスライドする。 アローヘッド、兵器ステーション。ガニーは真鍮の輪を右へ回す。数回、止まるまで回す。少し息切れをしている。 ガニー:(伝声菅に)ドアは開きました。待機中。
559 :
名無シネマさん :2012/04/14(土) 11:48:36.44 ID:r6Hon9sQ
栽培者の船、船外。船の前方に輪のあるLV426と月が大きく迫ってくる。 アローヘッド船外。栽培者の船が遠くに見える。アローヘッドの暗いノーズが徐々に忍び寄っていく。 アローヘッド、ブリッジ。 シン:射程距離に入りました。 オリバー:(伝声菅に)ガニー、1番、2番、発射! アローヘッド、兵器ステーション:ガニーはチューブ・ハッチの間の2つのレバーを両手で引く。シューッという音。 アローヘッド船外。チューブからガスが噴出し、2基のミサイルが発射される。船を離れたミサイルはノーズのエレクトロニクス により息を吹き返し、エンジンはまばゆい青色に点火する。ミサイルは船を離れ、遠くへ突進していく。 栽培者の船、船外。いまやLV426が視野の大部分を占めている。
560 :
名無シネマさん :2012/04/15(日) 07:26:29.68 ID:5eVDD1/x
ミサイル。ミサイルのはるかノーズの向こうにまっすぐLV426と明るい楕円形の栽培者の船が見え、ライトが点滅している。 アローヘッド、ブリッジ。 オリバー:命中時間は? 双眼鏡の映像。大きな栽培者の船の楕円、その後ろの視野を占めるLV426、そしてミサイルの、青く輝く点。 アローヘッド、ブリッジ。 シン:約40秒。 オリバー:(伝声管に)ガニー、もう2発装填。 ガニー:(伝声管に)了解。 アローヘッド、兵器ステーション。ガニーは最初のチューブのハッチの輪を回し、取っ手を引き、息切れしながらハッチを 開く。そして足を床のストラップに滑り込ませる。頭上のミサイルの棚に向かうとミサイル表面の取っ手を掴む。そして そうっと大きなミサイルを持ち上げてチューブへ入れるとハッチを叩いて閉める。 栽培者の船、船外。大きなLV426の輪の下に栽培者の船が見え、徐々に大きくなる。遠く離れて、星のように見えるピンポイント が大きくなり、ミサイルである事が分かる。 アローヘッド、ブリッジ。 ガニー:(伝声管に)1番、2番、装填。 オリバー:(伝声管に)OK。(シンに)命中時間は? シン:10秒です。 栽培者の船、船外。迫るLV426の輪。ミサイルが栽培者の船の背後に迫ってくる。 アローヘッド、ブリッジ。 シン:5、4、ホー!駄目だ!回避する! 栽培者の船、船外。ミサイルが船の頂点に達した時、船は信じられないような鋭いターンをし、上昇して右へ向かう。ミサイル は尚後を追う。船は惑星の輪の破片の中へ消える。ミサイルは船の侵入点へ飛び込み、岩のかけらに当たって爆発する。
561 :
名無シネマさん :2012/04/16(月) 11:03:59.88 ID:UzrDpLUs
アローヘッド、ブリッジ。ドームの視野はLV426で占められている。輪の上に2ヶ所、閃光が現われる。 オリバー:インパクト!当たった? シン:いえ。 オリバー:ヘンジル、監視ステーションへ。 ヘンジルはシートベルトを外し、ハンドレールを伝って浮いたままブリッジを横切りハッチへ向かう。 オリバー:(伝声菅へ)トラックス、エンジン停止。 アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは真鍮の取っ手を戻す。ヘンジルが浮いてやって来て、彼女の下の デッキへハッチを下りていく。 アローヘッド船外。赤いエンジンは再び停止する。アローヘッドは惑星の輪の下にあり、背景一杯にLV426が浮かんでいる。 アローヘッド、監視ステーション。ヘンジルが天井のハッチを通ってきて、上下逆さまのシートに着き、シートベルトを締める。 ここは小さなドームになっている。彼は棚から大きな双眼鏡を取る。 アローヘッド、ブリッジ。 オリバー:何が見える? シンはドームの天辺で輪を見上げている。 シン:何も。 オリバー:アイソトープ・タグ以外は濾過を。 シンの指が双眼鏡の上側のドラム・ダイヤルをゆっくりと回す。 双眼鏡の映像。輪を作っている個々の破片。それらのイメージがが濾過され…オレンジ色が緑、青、紫、そして黒い影と シルエットへと変化する。 アローヘッド、ブリッジ。 オリバー:見つけた? シン:ノー。 オリバー:カモン! シン:少し待って!
562 :
名無シネマさん :2012/04/16(月) 15:19:53.90 ID:UzrDpLUs
シンは椅子を回し、ドーム越しに見上げる。かすかな、明るいマゼンタ色のちらつき。 シン:もう少し待って。 さらにちらつく光。 シン:あそこだ! オリバー:見せて。 シンは双眼鏡のレーザーポインターを使う。赤い点はドームの頂点近くを指す。 オリバー:(伝声菅に)トラックス、北87度、右舷4度へ。 アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは呻きながらレバーを強く引く。アクチュエーターは船の前部の バルブに繋がっている。 アローヘッド船外。船の前部、左舷とノーズの下のスラスターが点火する。後部では右舷と上甲板のスラスターが火を噴く。 船は右を向く。輪に対して垂直になった時、逆スラスターが少し火を噴き、回転を止める。 アローヘッド、ブリッジ。 オリバー:(伝声菅に)OK。バースト2秒、出力20%。 アローヘッド船外。エンジンからわずかに赤い炎が2秒間噴き出し、船は輪の中へ滑っていく。 オリバー:(伝声菅に)ヘンジル、しっかり眼を開けてて。 アローヘッド、監視ステーション。ヘンジルは双眼鏡を眼に当てる。輪のゴミがドーム周囲を漂っている。 アローヘッド船外。アローヘッドが輪とLV426の間の空間に現われる。 アローヘッド、ブリッジ。シンは熱心にドームをスキャンしている。
563 :
名無シネマさん :2012/04/16(月) 19:27:48.07 ID:LQC1tdnN
アローヘッド、監視ステーション。ヘンジルもスキャンを続けている。 ヘンジル:カモン。姿を見せな。みだらなビッチ! アローヘッド、ブリッジ。 オリバー:何か? シン:まだです。 アローヘッド、監視ステーション。 オリバー:(伝声管に)ヘンジル、捕まえた? ヘンジル:(伝声管に)探し始めたとこです。 ヘンジルは管を傍のフックに掛け、見下ろし、はっと気付く。輪の破片に寄り添い、栽培者の船が彼らの真横にいる。 ヘンジル:(伝声管に)ここだ! オリバー:(伝声管に)進行方向は? ヘンジルは驚嘆している。船はドームの視野一杯である。 ヘンジル:(伝声管に)南10度、左舷170。我々の真上です! 栽培者の船、コックピット。栽培者は再び静かに座り、瞑想状態に入っている。
564 :
名無シネマさん :2012/04/16(月) 20:11:24.38 ID:5k4+Rxfl
アローヘッド、ブリッジ。聞いたオリバーはショックを受ける。 オリバー:(伝声管に)トラックス、左へインメルマン・ターン。今よ! アローヘッド船外。アローヘッドは前方への推進力を保って漂っている。そのすぐ下、輪と水平に栽培者の船。 アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは急いで2本のレバーを引き、真鍮の取っ手を押し込み、そして 更に2本のレバーを引く。息切れをしている。 栽培者の船、船外。前景に栽培者の船が斜めに見え、周囲に輪の塵が広がっている。アローヘッドはターンしようとしている。 栽培者の船、コックピット。栽培者は瞑想状態にあるが、呼吸が速くなり、コンソールの明滅も早くなる。突然栽培者の目が 開く。表情は張り詰め、歪み、呻き声を上げる。コンソールは脈動から、溶けそうに熱いコンジットに変化し、放電し、天井に 向かってライフル・ボルトのように後退する。 栽培者の船、船外。アローヘッドはターンの途中にある。突然、見えない拳に打たれたかのようにスピンし始める。 アローヘッド、ブリッジ。スピンのため、オリバーとシンはシートの周りに吊り下げられ、双眼鏡はシンの手からすっ飛ぶ。 アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは体勢を立て直し、レバーを引き始める。 アローヘッド、監視ステーション。双眼鏡はヘンジルの手から飛び出し、ドームの横へ飛ぶ。 アローヘッド船外。アローヘッドはスピンしながら栽培者の船から離れていく。スピンを止めようとスラスターが火を噴く。 アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは別のレバーを握り、引っ張る。
565 :
名無シネマさん :2012/04/16(月) 20:40:24.03 ID:alKgd9tT
兵器ステーション。ガニーは真っ直ぐ立っている。ミサイルが触れ合って音を立て、棚の上で位置を変える。 アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは呻きながらレバーを引く。 アローヘッド船外。更にスラスターが火を噴き、アローヘッドの縦揺れは収まる。 アローヘッド、ブリッジ。シンは息の下でののしりの言葉を発する。伝声管越しに、クルー達から似た言葉が聞こえる。 オリバー:(伝声管に)静かに!静かにして! クルーは静まる。 オリバー: (伝声管に)聞くのよ。 アローヘッド、監視ステーション。ヘンジルはドームの外を見つめ、耳はハッチに向いている。双眼鏡が傍へ漂ってくる。 彼はそれを掴む。 アローヘッド、兵器ステーション。ガニーは直立し、耳に注意を集中している。 栽培者の船、コックピット。栽培者の呼吸は激しい。コンソールは冷えている。落ち着くと栽培者は再び瞑想に入り、 コンソールは音を立ててスライドバックする。
566 :
名無シネマさん :2012/04/17(火) 07:29:07.42 ID:43LPt/wk
栽培者の船、船外。背景にアローヘッドが見える。栽培者の船は回転し、輪から離れ、LV426に浮かぶ2つの月へ飛んでいく。 アローヘッド、ブリッジ。 オリバー:(伝声管に)誰か、何か聞こえる?(返事はない)トラックス、表示は? トラックス:(伝声管に)依然10.000パスカルです。 オリバーは気圧計を見る。 オリバー:(伝声管に)こっちも同じ。無傷のようね。OK。ヘンジル、シン、誰か、進行方向を。 アローヘッド、監視ステーション。ヘンジルは首を伸ばして輪から出た場所を見る。双眼鏡を取り上げる。 双眼鏡の映像。均一な輪の中に、黒い、渦を巻く2つの破片。 アローヘッド、監視ステーション。 ヘンジル:(伝声管に)消えました。 オリバー:(伝声管に)どういう事? ヘンジル:(伝声管に)ヒット・アンド・ランって事です。 アローヘッド、ブリッジ。 オリバー:(伝声管に)探すのよ。遠くへは行ってない筈。 シン:分かりました。 シンは船の後部を向いてドームのはるか上を見つめる。オリバーは椅子を回しドームの後部を見る。 オリバー:(伝声管に)トラックス、北84度、右舷92度。出力50%。 アローヘッド船外。スラスターが点火し、アローヘッドは月の方向を向く。赤いエンジンが生命を取り戻し、栽培者の船 目掛けて飛んでいく。 アローヘッド、ブリッジ。オリバーは冷静に座っている。エンジンの咆哮がブリッジを満たす。 シン:射程距離です! オリバー:(伝声管に)ガニー、1、2番、発射! アローヘッド、兵器ステーション。ガニーは発射レバーを同時に引く。そしてもう1度。ミサイル発射のシューッという音。
567 :
名無シネマさん :2012/04/17(火) 15:13:02.48 ID:JsB7VMXX
LV426近くの宇宙空間。からし色の天体、LV426には赤い斑点があり、乱流が渦を巻いている。遠くに、2重楕円の栽培者の船が 惑星へ向かっていく。船が近づくと、その軌道は惑星表面に対して接線方向となり、加速する。船より早いミサイルが後を追う。 アローヘッド、ブリッジ。 シン:スリングショットに入ります! オリバー:(伝声菅に)トラックス、スリングショットの用意!エンジンを切って! オリバーはドームを真剣に見つめる。惑星はぐんぐん大きくなってくる。彼女はコンソールを見る。 オリバー:(伝声菅に)マーク! 船の咆哮が止む。 アローヘッド、船外。LV426がアローヘッドのノーズの下で回っている。背景に、2発のミサイルのジェットが地平線のすぐ手前で 光って見える。 アローヘッド、ブリッジ。 オリバー:命中時間は? シン:不明です。ターゲットは水平線の向うです。ミサイルは追っています。 アローヘッド船外。アローヘッドが上に、LV426が下に見える。ミサイルは水平線を越えて加速していく。 栽培者の船、船外。ミサイルが栽培者の船に忍び寄り、惑星を回って疾走してくる。 栽培者の船、コックピット。栽培者は再び緊張し、コンソールは溶け、天井に向かって後退する。 栽培者の船、船外。突然ミサイルはでたらめにLV426の大気に突っ込んでいく。眼に見えない手に打たれたかのようである。 栽培者の船、コックピット。再び栽培者は静かになり、コンソールは冷たくなる。船の垂木から何者かが落ちてくる。 それはフェイスハガーだった。フェイスハガーは落ちながら足を大きく開く。栽培者の目がそれを捕らえ、はっきり認める。 アローヘッド、ブリッジ。 シン:ミサイル、ロスト!
568 :
名無シネマさん :2012/04/17(火) 15:46:43.97 ID:JsB7VMXX
栽培者の船、コックピット。小さなフェイスハガーは栽培者の口を覆わんばかりであり、拡がった脚は落ちないように体を 保持し、尾は栽培者の首に巻きつかんばかりである。栽培者の前腕は動きを止め、眼は反転する。 アローヘッド船外。LV426がアローヘッドの下で回っている。背景に赤い月が水平線から登ってくる。 オリバー:水平線の向こう? シン:ノー。 栽培者の船、船外。栽培者の船はゆっくりと錐揉み状態となってLV426へ向かっていく。 アローヘッド、ブリッジ。オリバーは何かいい知らせを求めている。 オリバー:当たった? シンはがっかりして双眼鏡を下ろす。 シン:ノー。 フェイド・イン
569 :
名無シネマさん :2012/04/17(火) 16:36:05.60 ID:JsB7VMXX
アローヘッド、ブリッジ。 オリバー:最新情報を。 ヘンジルがヘッドフォンを着けて部署に着いている。 ヘンジル:依然、レシーバーには何も。 オリバー:シン? シンは双眼鏡から眼を離し、頭を振る。オリバーはため息をつく。 オリバー:観察を続けて。隠れるのは、この1周が最後。次はパワーアップしてスキャナーをオン。ちょっと話を。ヘンジル? シン、眼を開いたままで話せる? シン:イヤー。 ヘンジルは片耳をヘッドフォンからずらしてオリバーのほうを向く。 オリバー:最後にターゲットを目撃したのは、惑星を巡ってスリングショットを始めようって時だったわね? シン:ええ。 ヘンジル:イヤー。 オリバー:そして、ミサイルを最後に見たのは水平線へ接近していった時ね? ヘンジル:下からでは、シンのようには。 オリバー:シン? シン:イヤー、そうです。 オリバー:ミサイルが命中しなかったのは確かなのね・ シン:確かです。もし命中すればターゲットはエネルギーで惑星外に吹っ飛びます。惑星へ向かいはしません。 シンは時計を見て、考え込む。 オリバー:その通りね。でも、もし自分から大気内へ飛び込んだとしたら? ヘンジル:ええ、ありえます。でも、違うでしょう。 オリバー:何故? ヘンジル:ええ、このタイプの惑星の大気はひどく危険です。それに、大気内へ入るならスリングショットを始める必要は ありません。 オリバーはヘンジルの顔を見て、うんざりして頭を振る。
570 :
名無シネマさん :2012/04/18(水) 10:11:38.06 ID:P07GHLn2
オリバー:地平線を越えた時、月に向かっていた筈ね。シン? シンはまだ考え込んでいる。 オリバー:シン、奴は赤い月へ進めたかしら? シン:いえ。 オリバー:地平線を調べていれば、10時の高さにいたかも知れない。 シン:捉えていたでしょう。 オリバー:ターゲットが軌道のどこかにいた事は分かっている。でも、今はいない。去るのを見てもいない。近くにいるんだわ。 可能性は限られている。けど答えが見つからない。 シン:オリバー? オリバー:イヤー? シン:他にも。 オリバー:教えて。
571 :
名無シネマさん :2012/04/18(水) 10:45:48.49 ID:P07GHLn2
シン:ネットワークに話をしてパトロールを再開するなら、2時間以内でないと。 オリバーはシートで上体を反らす。 オリバー:では、これが最後の1周ね。 ヘンジル:何ですって! オリバー:パワーアップして進めば、スキャンできるわ。 ヘンジル:ノー! オリバー:真面目な話よ。 ヘンジル:私は真剣です。もうチャンスは来ない。 オリバー:私が分かってないとでも?裁判所へ行って何故持ち場にいなかったか説明したいの?パワーアップの準備をして、相対論 トラベルをするのよ。分かった? ヘンジルは何も言わない。 トラックス:(伝声菅に)了解。
572 :
名無シネマさん :2012/04/18(水) 11:23:47.92 ID:P07GHLn2
ガニー:(伝声菅に)チェック。 クルーが動き始め、騒がしくなる。 オリバー:(自分自身に)ファック。 人間の宿舎、厨房。カリクは液体をセラミックのバットからカップに注いでいる。フィンが入ってくる。 フィン:それは何だ? カリクは笑い出す。少し酔っている。 カリク:やってみろよ。 彼はフィンにカップを差し出す。 カリク:カモン。 フィンはためらいながら少し飲み、喘ぐ。 フィン:どうしたんだ? カリク:俺が作ったんだ。 フィン:分かってるよ。これは何だ? カリク:グリーンベリーを集めて潰し、古いグレーンを見つけて… フィン:オー、ゴッド! カリク:効いたんだ。発酵した。 フィン:イヤー。 カリク:さあ。 フィンが断る前に、カリクはもう1つのカップに注ぐ。それをフィンに手渡すと自分のを飲み干す。カリクはカップを持ち上げて 祝杯をする。 カリク:バーベキュー・デイに。 フィン:バーベキュー・デイに。 2人は乾杯する。フィンはまた喘ぎ、カリクは笑う。 惑星、昼。フィンとカリクは丘の頂上にいる。カップを手に持ち、フィンはバットを持っている。下はバーベキュー・ピットで ある。串に刺された家畜がローストされている。半ダースの栽培者が静かに周りに立っている。2人が近づくと、栽培者は彼らを 見る。
573 :
名無シネマさん :2012/04/19(木) 10:00:25.54 ID:0NvH70kX
2人は頷く。栽培者はジェスチャーで返礼する。周囲にはボウルやバット、様々な調理器具の乗った高いテーブルがある。 カリクはバットを置く。2人は栽培者たちに加わる。2人が突然見上げる。カリクは困惑している。 フィン:新顔の栽培者が俺たちに会いたがってる。 カリク:オー、ノー。 フィン:カモン。 栽培者がテーブルの傍に立っている。2人はカップをテーブルに置き、前に立つ。軽くお辞儀をし、カリクはまた笑う。 栽培者は彼らを見下ろしている。アローヘッドに追われていた栽培者である。2人は頷き、カップを取る。2番目の栽培者が 近づき、カリクのカップを頷いて指す。カリクはカップを掲げる。2番目の栽培者は匂いを嗅ぎ、鼻を鳴らし、そして首を 振る。新顔の栽培者は笑う。カリクは爆笑してフィンを見る。フィンは微笑する。 惑星、昼。栽培者達は2人を見ている。2人は遠くの木に向かって走っている。2人は木の周りを回って、栽培者に向かって 走ってくる。2人が近づくと栽培者達は歓声を上げる。2人は駆け抜ける。最初がカリク、次いでフィン。栽培者達は大笑い する。走り終えた2人は膝に手をついて喘いでいる。 カリク:俺たちにレースをさせるとは。 フィン:負けちまうとは。
574 :
名無シネマさん :2012/04/19(木) 11:09:53.60 ID:0NvH70kX
惑星、昼。カリクはまたバットから注ぐ。 カリク:ヘイ、アダム!もっと飲むか? カリクは2番目のカップに注ぎ、地面に座っているフィンに手渡す。カリクは座り、フィンが穀物や野菜や薄い肉片を乗せたプレート を渡す。 カリク:オー、ボーイ。 フィン:カモン。 カリクは最初はためらいながら、そして思う存分食べる。そして笑い出す。 カリク:こいつはまるで… カリクは更に笑う。 カリク:こいつはまるで…ブリスケだ! フィンは面白がって頭を振る。2人は食べ続ける。 惑星、日没。栽培者達とフィンが丘の斜面に座って日没を見ている。カリクがフィンの隣に座り、カップを手渡してキスをする。 カリク:明日、滝の向うへハイキングは? フィン:行けない。 カリク:何故? フィン:家畜が作物を船に積み込むのを監督しなきゃならない。 カリク:オー、ファック! フィン:何だ? カリク:ああ、言わなきゃならない事が… フィン:イヤー? カリク:(上体を曲げ、ささやくように)あー、今の所、収穫はゼロだ。 フィン:穀物じゃない。卵だよ。蟻の。 カリク:(笑い、ほっとして)オー。 フィン:イヤー。ファースト・ステップさ。 カリク:待ってくれ…何だって?蟻が船へ? フィン:ああ、そうさ。 カリク:蟻が? フィン:イヤー。今日、発送だ。(1拍置いて)今季の収穫はよさそうだな。按配はどうだ?前と同じぐらいか? カリク:イヤー。これまでになく、な。
575 :
名無シネマさん :2012/04/19(木) 19:43:56.23 ID:mJotcYX1
フィン:本当に? カリク:オー、イヤー。 フィン:卵を積み終えたら、助けてやれそうだ。 カリク:そりゃいい。 フィン:心配するな。家へ戻らないか? カリク:オー、イヤー。小便をして、残りを呑もう。 カリクは身を伸ばして、キスをする。 フェイド・イン 惑星、昼。カリクは丘に立って、ドックの栽培者の船を見渡している。ドッキング・ステーションは木のプラットフォームが 並んだもので、無数の木製の止め木が船の下面を支えている。カリクは丘を下り、船のフロントへ向かう。歩き回って調べる。 彼は立ち止まって考える。近くの潅木に寄って放尿する。船に戻り、見て、考えにふける。そしてため息をつき、左の袖を 捲り上げる。左腕の小さな乳首をこすり、液体が右手へ噴き出す。そして右ひざを落とし、パンツを左のふくらはぎまで捲り 上げる。そこにも乳首がある。同じように搾る。彼は立ち上がると船首に近づき、振り返り、そして右手を表面にこすりつける。 右手の液体が反応し、化合し、煙の上がる染みを残す。彼は蒸気で咳き込む。手の跡は煙を上げながら消えて行き、見えなくなる。 カリクは数歩退き、身を伸ばして草むらへ嘔吐する。 フェイド・トゥ・ブラック
576 :
名無シネマさん :2012/04/19(木) 20:25:24.65 ID:7em2EHN5
アローヘッド船外。アローヘッドの赤いライトが点いている。ブリッジのシールドが上がっている。 栽培者の船、コックピット。栽培者は座っている。左手は胸に当てられ、右手は床に触れている。 アローヘッド船外。アローヘッドのエンジンは明るいブルーに輝いている。 栽培者の船、コックピット。栽培者の目はゆっくりと閉じ、表情はリラックスする。 アローヘッド船外。アローヘッドは背景のグリース777の連星を接近飛行している。男達は再び トランプに興じている。オリバーがチェアに着いている。 ヘンジルはカードを置く。 ヘンジル:彼女、なぜパワーアップをあれほど長く待っていたんだ? オリバーはチェアに着き、膝にクリップボードを置き、だが眼は遠くを見ている。
577 :
名無シネマさん :2012/04/19(木) 20:44:47.08 ID:7em2EHN5
シン:お前に指揮を執ってほしかったよ。 オリバーが起き上がり、ハッチへ歩いていく。 オリバー:ヘンジル。 ヘンジル:イエス、マーム? オリバー:部屋にいます。ネットワークに乗ったら呼んで。 ヘンジル:イエス、マーム! シンは隠れて笑う。オリバーは立ち止まって彼らを振り返る。 栽培者の船、ブリッジ。瞑想状態の栽培者の目が突然開く。 栽培者の船、船外。ダラス、ケイン、そしてランバートが見た遭難船の場面。警報の送信が聞こえる。 アローヘッド、オリバーの部屋。ユニフォームのブラウスの最後のボタンを外している時、何かが彼女の眼を捉える。 彼女は動きを止め、デスク上の家族の写真を折りたたむ。最後のボタン2つを外し、ブラウスを脱いでチェアに掛ける。 下にはぴったりしたTシャツを着ている。寝台に座って右のブーツを緩め、脱ぐ。もう片方のブーツを脱ごうとしていると ドアにノックがある。ブーツを脱ぎ、ドアに向かって答える。シンだった。
578 :
名無シネマさん :2012/04/19(木) 20:55:16.31 ID:7em2EHN5
シン:グリースの太陽系圏を出ました。 オリバー:OK。 シンはクリップボードを渡す。 シン:それに、これがクルーの戦闘レポートです。 オリバーはレポートをざっと見てページをめくる。 オリバー:ベスト・デイじゃなかったわね、シン? シン:ああ、はい。 オリバーは身を伸ばしてクリップボードをデスクへ投げる。シンはぴったりしたTシャツを着たオリバーのすらりとした 姿を眺める。オリバーはシンに向き直ると、彼を掴まえる。 オリバー:入って、シン。 シンはあっけに取られている。
579 :
名無シネマさん :2012/04/20(金) 11:16:56.05 ID:Nk/gILi9
シン:一体… オリバー:さあ! シンはそっと部屋へ入る。オリバーは身を乗り出してドアを閉める。 オリバー:こんなの好き・ シン:好き?何を? オリバー:分かってるでしょ。どれほど好きだか、見せて。 彼女はシンのベルトを掴んで自分へ向かせ、手を伸ばしてスクリーン外で彼をしごく。シンは喘ぐ。 オリバー:オー、カモン。 フェイド・イン アローヘッド、オリバーの部屋。シンとオリバーが寝台の上で交わっている。シンは寝台に横たわり、オリバーが上に乗っている。 2人は全裸である。シンは頂点に達し、オリバーの目は閉じられる。 フェイド・イン アローヘッド、シンの部屋。シンは衣服を身に着けている。 オリバー:シン? 彼は振り向く。オリバーは寝台で上掛けを掛けているが、まだ裸のままである。 オリバー:次の迎撃の時には、この太陽系には惑星が1つ以上あることを忘れないことね。 シン:イエス。 オリバー:さあ、出て行って。 ドアは閉じ、オリバーは天井をじっと見る。 フェイド・イン
580 :
名無シネマさん :2012/04/20(金) 16:45:30.17 ID:Nk/gILi9
人間の宿舎、寝台エリア。カリクが目覚めると、フィンが背後から愛撫している。フィンはベッドから起きて服を着る。 カリクの顔は青白く、病的である。 フィン:(カリクを突いて)スティーブン?スティーブン? カリク:(眼を閉じたまま)イヤー。 フィン:大丈夫か? カリク:イヤー。 フィン:死んでるみたいだぞ。 カリク:呑み過ぎたんだ。 フィン:本当か? カリク:イヤー。 フィン:今日は家にいるんだな? カリク:イエス。 フィン:よし、ランチタイムには戻ってこよう。 フィンはカリクの前頭部に触れ、出て行く。 惑星、昼。栽培者の船の外側に家畜が列をなしている。それぞれ、卵で一杯のラックを押している。フィンが列の先頭へ歩み寄る。 野球のバットほどもある金属製の鍵を持っている。彼は鍵を船の側面の鍵穴へ差し込み、回す。大きな音がする。そして側面の 大きなメカニカル・ホイールを回す。涙滴形の入り口のハッチが上がってくる。彼は家畜に向き直る。
581 :
名無シネマさん :2012/04/22(日) 11:18:05.44 ID:HonJBu00
フィン:チップ! 傍の家畜はラックに手を掛ける。 フィン:タップ! 家畜たちはゆっくりとラックを船に向かって押し始める。とぼとぼ歩くこの軍団が船に飲み込まれていくのをフィンは立って見ている。 人間の宿舎、寝台エリア。フィンが入ってくる。カリクはまだベッドの中である。相変わらず具合が悪そうである。 フィン:クライスト!起きれないのか? カリク:起きるとこさ。 フィン:どれほど飲んだんだ? カリク:覚えてない。沢山だ。 フィン:今朝は俺も少し…だけどお前は…ちょっと待ってろ。 フィンは去り、水を持って戻ってくる。 フィン:飲めよ。 呻きながらカリクは起き上がり、カップを手に取り、飲む。フィンはもう1杯渡す。カリクは殆ど飲んで、フィンにカップを渡す時、 彼はベッドの中にずり落ちる。フィンはカリクの手首に触れる。フィンは残りの水を飲もうとカップを口へ持っていくが何か匂う。 フィン:ダム!何だ? カリク:何が? フィン:ウウ…臭え! フィンは飲まない。 カリク:オー、昨夜はちょっと調子が悪くてな。まだ残ってるんだ。 フィン:調子が?どんな? カリク:吐いたんだ。 フィン:吐いた?ここでか? カリク:ノー、外だ。すまん。 フィン:そうか、もっと水を飲めよ。 カリク:そうだな。 フィン:あとでまた来るよ。 カリク:まだ仕事か? フィン:イヤー。船に積み込むんだ。
582 :
名無シネマさん :
2012/04/22(日) 11:44:00.91 ID:HonJBu00 カリク:オー。 フィン:日暮れには戻る。水を飲んで、何か食うんだ。 フィンはカリクの頬にキスをする。 栽培者の船、カーゴ・ホールド。家畜が長い列を作り、ラックからトレイを取ってオープン・スペースへ置いていく。フィンは彼らの 間を歩き、慣れない言語で命令を与えていく。船倉が一杯になり、フィンは彼らに戻るよう命令する。彼らは各々空になったラックを 押していく。やがて船倉はフィンだけになる。 惑星、日没。フィンは船の周りを歩いている。船首に差し掛かり、彼は足を止める。何か匂いがする。 フラッシュバック。フィンはカリクの水を飲むのを途中で止める。 惑星、日没。フィンは船の外殻の匂いを嗅ぎ、強烈な匂いに後ずさりする。そして考え込む。 フラッシュバック。フィンはカリクからカップを取り、手首に触れる。 惑星、日没。フィンは全てを悟る。恐怖と怒りが表情に浮かぶ。 栽培者の船、カーゴ・ホールド。フィンは船倉を再び見渡す。少し考え、そして頷く。 惑星、日没。フィンはアントファームへ歩いていく。 そして何かを運びながら船へ戻っていく。 栽培者の船、船外、日没。フィンは涙滴型の入り口に立って考えている。最後に彼は頭を振る。 フィン:シット! フィンはフェイスハガーの容器を船内に放り込む。フェイスハガーは床をすべり、そして立ち直ってフィンに襲いかかろうとする。 フィンは入り口のレバーを引く。大きな輪が素早く逆回りする。ハッチは重い音を立てて降りる。フィンは大きなキーを回す。