1 :
('A`):
2 :
('A`):2007/06/10(日) 21:36:54 0
乙
3 :
('A`):2007/06/10(日) 21:56:39 0
次は絶対に落とさせない!
ところで、最近の女見ると殺意が沸くんだけどどうしたらいい?
4 :
('A`):2007/06/10(日) 22:05:16 0
5 :
('A`):2007/06/10(日) 22:17:43 0
今のもし時の現状を産業で教えてくれ
6 :
('A`):2007/06/10(日) 22:47:37 0
>>5 作者も住人も減った
ねこだいすき
ねこだいすき
7 :
('A`):2007/06/10(日) 22:57:08 0
しっかり保守しろ貴様等ッ!
8 :
('A`):2007/06/10(日) 22:58:34 0
9 :
('A`):2007/06/10(日) 23:01:50 0
>>6 そうか、ありがとう。俺は昔ここで作者をしてたんだ。
今は無理だが暇を見つけてまた書こうと思う。
ねこだいすきクポー
うっわ、クポーなんてどんだけ久しぶりなんだw
投下待ってます
12 :
('A`):2007/06/10(日) 23:18:38 0
保守age!
生存している作者はどのくらいいるんだろ?
それは現役でってこと?
17 :
('A`):2007/06/11(月) 01:10:50 0
取り合えずシュガーは生きている
一停止目に投稿してから文章書く楽しみを覚えて、今は精進すべく他サイトに投稿してる
19 :
かつを:2007/06/11(月) 02:07:01 0
>>18 もうここでは書いてないのかな
せっかくスレ立ててもらったので何かしら晒そうと思う
まあ、他の人の作品待ち、間埋めの投下。みたいな感じで
細々タラっとね
20 :
('A`):2007/06/11(月) 02:07:44 0
age
21 :
かつを:2007/06/11(月) 02:14:08 0
●ふらじゃいる
目を覚ますと、まず何やら美味しそうな匂いが鼻をくすぐる。その匂いに
つられる様にベッドから体を起こして、リビングに向かった。テーブルに着
くと、開け放たれたカーテンから快い朝日が差して。
「おはようお兄ちゃん。今日は早いね」
妹のその一言で、朝なのだと改めて実感する。
時計をちらりと見て、
「いつもと変わらないだろ」
独り言のように、建夫は言った。なんだかママゴトみたいだな、なんて思
いながら、朝飯がテーブルに運ばれるのを待つ。実際、成人してすらいない
兄妹が夫婦のように暮らす様は、傍から見ればママゴトである。
「変わるよ」
妹の真琴はせっせとご飯をよそう。そんな思春期の拙い自覚が微笑ましい。
できぱきとテーブルに並べていく真琴の小ぶりなお尻に、建夫は朝立ちが
収まらない。
朝のニュースが、どこぞの紛争を伝えている。ストーカーの果ての凶行を
伝えている。続いて……。
そんな話題とは対照的に、ここは争いやイザコザなどとは全く無縁の世界
だ。建夫は考える。ホカホカご飯に焼きたての卵焼き、鳥の鳴き声。朝の
ニュースなんて気にせず朝食を口にする真琴の姿を見る。全くもって変哲の
無い平凡で平和な日常だ。そして、それはきっと些細な事で崩れてしまうも
のでもある。
もしも、そんな日常を脅かす存在が出現するならば、きっとそれを許さな
い。例えばニュースであったような、ストーカー。迷惑な隣人。さらには普
通なら見過ごしてしまうような些細な事であっても監視、必要ならば排除で
ある。平和を保つためには、積極的な干渉、言ってみれば闘争が必要なのだ
と考える。それが、平和とは逆行しているように思えても。
よって、
「……この小包は何なのだ!」
建夫は、テーブルの上に無造作に置かれた小包も決して見逃さない。見慣
れない小包に手を伸ばし、眼前に据えた。
「さあ何だろうね。今朝郵便受けに入ってたんだけど」
差出人不明である。
建夫は一息に包装を破いた。もしそれが災いの種ならば、確実に迅速に葬
らねばならない、と判断したのだ。
22 :
かつを:2007/06/11(月) 02:17:14 0
中には操縦桿のような物が入っていた。メタルブラックで、しかしコード
も電池の入り口も無い。ただのガラクタのようにも見えるが。それでいて、
頭頂部の赤いスイッチ(?)がやたらに映えていた。
握ってみると、まるでオーダーメイドのように手に馴染んだ。
「……何ソレ?」
変なモノを扱うような目で見る真琴と、建夫は対照的に。
「分からんが……大変美しい」
それに見入るようにして、心の中で呟いた。魔力。オーラ。持つ本人にし
か分からない、それでいて正体不明な凄みが滲み出ているような気がした。
建夫は吸い込まれるように、赤いスイッチに親指を向かわせていき……。
「それ押すの?」
真琴の言葉で、我に帰り親指を離した。そして自分の軽挙さを呪う。
もしも仮にそれが爆弾だったら。自分の手でこの平和を跡形無く消し飛ば
していた。いや、さすがにそれは無いとしても、何かしら害のある物かもし
れない。そう思うと、少しうすら寒くなった。
「……さっきからね、何だか変な音聞こえる? きゅるきゅる、みたいな」
そして、建夫の悪寒は止まない。
「……ああ、俺の腹だ」
ちょっとトイレ。
23 :
かつを:2007/06/11(月) 02:20:33 0
「オラッ」
勢いをつけた上に、腸を絞るように意識する。次いで「モリッ」
尻に残された質感をたどると、快便とはいかないまでも、そこそこの排便
だという事が分かった。引き続き脱糞に専念する。
やがて寒さも退き、次第に体が温まる。建夫は最後の一捻りを効かせてお
く。両手を握り込み、血圧が急上昇しないように息を吐きながら最後の一つ
を放った。――はずなのだが、然るべき反応が無い。肛門と排泄物が分かれ
る際の感覚のひずみが無い。水の跳ね返りも無い。
「何故」
股グラを覗き込んで、建夫は飛び上がった。排泄物が宙に浮いていたのだ。
そして、それは建夫が離れた後も、ひたすら静止し続ける。
そんな光景にまず自分を疑い、「夢かもしれない」頬を抓ろうとした時、
「こつん」自分の右手に何かがある。見てみるとメタルブラックのスイッチ
が握られていた。
次の瞬間、排泄物が音をたてて水に飛び込むのを見て、建夫の中で一連の
出来事が繋がった。
恐らく――あまりにもしっくりきたものだから、そのスイッチを手にした
ままトイレに来てしまったのだ。そして、気張った時に思わずスイッチを握
り締め、押し込んでしまったのだ。
それならば、先程の現象はこのスイッチに因るものだろうか。
「もしかして、うんこをその場に止めておくスイッチ……じゃあないよな」
爆弾のスイッチではなかった事にひとまず安堵し、そそくさとトイレを出
ることにした。スイッチの事を考えるにしても、学校へ向かう準備をするに
しても、トイレは適切な場所ではない。
湧き上がってくる非科学的なクセに現実的な考察を、中途半端なまま排泄
物と一緒に流した。そして、トイレのドアを開き。
建夫は目を剥いて再びトイレにもぐり込んだ。
「……ん、俺の平和に災いが来てる?」
便器に腰かけ、呟く。ドアの向こう――洗面台に見た事のない老人が佇ん
でいた。 突拍子も無い光景の意味も原因も分からず、ひいては災いだとし
ても、一体どうすればいいのか分からない。
そんな建夫の事情など知らず、真琴は「いってきまーす」元気に家を飛び
出た。
建夫は絶望的な気持ちで、その挨拶を聞くのだった。
24 :
かつを:2007/06/11(月) 02:21:47 0
そんな感じで
投下が来ない時の暇つぶし(?)として、よければ読んだってくださいな
あと、思い思いにこきおろしてやってください
25 :
('A`):2007/06/11(月) 02:22:12 0
バイブおちか!!先読みしてやっっっっっったぜバーカ!!うひょーーー
ちょっと、バカとか止めて下さい
ねむぃ
27 :
('A`):2007/06/11(月) 06:58:28 O
age
28 :
('A`):2007/06/11(月) 07:46:12 0
また鬱な日が始まりますよっと
俺は極度の妄想癖持ちだと予想するぜ!!!うひょーーーー!!
29 :
('A`):2007/06/11(月) 18:50:37 0
俺がアク禁中に落ちやがって!
だがこうしてまたかつをのSSを読んでいる。
復活!
30 :
('A`):2007/06/11(月) 20:52:42 O
>17
今日死んだっぽいけどな
31 :
('A`):2007/06/11(月) 22:07:09 0
>>30 今日は?
よし、今からちょっくら見てくるわ
シュガー志望糞ワロタwwww
33 :
かつを:2007/06/12(火) 01:14:09 0
ふらじゃいる その2
「それは時間を止めるスイッチ」
建夫が、声のした方へ顔を上げると、その老人の顔があった。……ドアを
透り抜けた顔がこちらに晒されている。かなり非常識な光景に、記念撮影
の時の顔抜きハリボテを連想したりする。
何だか急に馬鹿らしくなって。建夫はドアを無造作に開き、老人を無視し
てリビングへと向かった。
テレビをつけると、空楽しそうなバラエティーが繰り広げられていた。そこ
で、手元のスイッチを押す。テレビの画面は止まる。壁に備えられてある
アナログ時計を確認。ここで、時間停止のスイッチだと確定。
しばらくするとテレビ画面もアナログ時計も動き出した。「放っておくと、
勝手に動き出すのか」などと考えながら、傍で佇む老人に手を伸ばすが、
触れることはできない。
成程、科学的だとか、そういったものとは無縁。まともな存在ではないら
しい。
止まる時間は30秒程度で一定。
停止中に椅子を蹴ると、時間が動きだすと同時に吹き飛ぶ。
試しに何度も押してみて、分かったのはそれくらいだ。実験するにしても、
考察してみるにしても、あまりに突拍子の無い事なので、手のつけ方が分
からない。
「ところでアンタは何なんだ?」
「神様だよ」
「ま、そんなところだよな」
時計を見ると、既に10時を超えていた。今更学校に行くのも気が進まない
ので、本日は休む事にする。
真っ直ぐ自室に向かって、そのままベッドに潜り込んだ。睡眠時の脳の働
きに期待する。今までの情報の整理の一切を自分の脳に丸投げしてやるのだ。
現状の理解だとか、スイッチの使い道だとか。
それに、やっぱり夢かもしれない。
頬を抓ってみる。夢の中だろうが痛いものは痛いものなのだ。
34 :
かつを:2007/06/12(火) 01:19:14 0
――気がつくと、夕陽が窓から差していた。時計を見ると午後4時をまわ
っている。
約6時間の睡眠に腹を空かせ。食べ物をつまもうとベッドを軋ませながら
身を起こすと、(自称)神様が同じベッドに腰掛けているのが目に入った。
自分の頬を抓ってみる。
建夫はとりあえずテレビをつけて、神様の隣に溜息と座り込んだ。やかま
しいベッドとテレビが、二人(?)きりの空間を心地よく裂く。
「……ところで、アンタ何で俺の所に来たんだ?」
「いや、君の所というか何と言うか。何故、と言われると割と難しいんだけ
どもね……」
歯切れが悪い。ベッドは家に響くくらいに激しくギシギシ軋む。
睡眠の末に理解など無かった。しかも、起床時の気だるさで余計に酷い事
になっている。
建夫は頭を抱えながら、フローリングをぼんやりと眺めた。すると、リビング
から足音がするのに気づいた。どうやら、自室に近づいてきているらしい。
「……真琴、もう帰ってたのか」
なんて悠長に構えつつ真琴を待っていたが、足音が近づくにつれ、
「この状況……ダメだよな」
憂慮が噴き出し始める。
ベッドが激しく軋み。あまつさえ見知らぬ老人と兄がシーツを共にしてい
る状況。多分、妹にとってあまり良い光景ではない。
とりあえず、老人(神様)をベランダにでも放り出しておくか。なんて、
焦りを隠すように敢えて悠長に構えてみるが。
「あ、そういえばコイツ触れないんだ……」
差し出した手が、虚しく空を切り。同時に汗が噴き出す。老人のすっとん
きょうな表情に破壊衝動が湧き、テレビのコメンテイターの張り上げ声がそ
れをかき回す。
どうにもならない状況に、建夫は同じような思考をひたすら繰り返し。ドア
ノブが回される音で、それは臨界点に達した。
ドアを開けて真琴が見せた怒り顔は、建夫に「うお、可愛い」などと思わ
せる暇も無く――しかし建夫の心配とは裏腹に、
「お兄ちゃん、学校行ったの?」
強い語気ではあるものの、そう言うだけだった。
「いや……行ってないけど」
予想外れな真琴の言動に、建夫は妙にすかされた気分になる。
「はぁ……」と呆れたような真琴の溜息が、建夫にとってむしろ落ち着ける
くらいに。
「受験生なのに、全く」
そう言って、真琴は部屋を出た。
「……アンタ、俺以外の人には見えないんだな」
「うん、そう」
建夫は途端に脱力するような感じを覚えた。
「じ、じゃあ改めて、アンタがここに来た理由は何だ?」
「その黒いスイッチの付き添い」
なんとも舐めた返答である。そんなやりとりの間、台所では真琴が夕食を
つくる。
35 :
かつを:2007/06/12(火) 01:22:31 0
「ちなみに、ウナギを生で食べると中毒になるらしい。血がダメらしいんだ、
血が」
「……知らないよ。それよりも、明日は学校に行きなよ」
そんな会話を交わしながら、建夫は鰻丼をかきこんだ。こころなしか食べ
ている傍から滋養が強壮されていくような気がする。さすがは鰻。
建夫が鰻をおかわりしている間に、真琴はごちそうさまを済ませ入浴の
用意を始める。
大抵の女の子がそうであるように、真琴もまた一番風呂は譲らない。
「ま、入った後の方が、色々とな……」
風呂場に向かった真琴をちらりと見ながら、建夫は懐からスイッチを取り
出した。
「これを何に使うか……」
真琴を肴に妄想は良からぬ方向へと進むが、建夫はそれを悪しとしない。
「――で、アンタも風呂に入るのな……」
真琴が入浴を終えて。建夫が風呂場に向かうと、神様もついてきて真っ先
に湯船につかった。止めようとしても止めようがないので、そのまま放って
おくと、顔を赤くして恍惚に染まった顔になった。
神様に少し遅れて建夫が湯船につかると、成程良い湯加減だった。次第に
湯熱で染まっていき、先程食べた鰻と相乗して体が脈打った。
風呂から上がっても、脈は止まず心臓が跳ねる。血液は巡り巡って体中の
動きが勃興した。
そのままリビングへ向かうと、そこでは真琴がテレビを見ていた。入浴後
のみずみずしい髪に丸い目。余熱で耳は以前赤く、幾分大きなパジャマは――。
不意に意識してしまう。建夫の活性化された細胞はダイレクトに性欲を喚
起した。それに促されるがままに懐のスイッチに手をかざす。
「本当にいいのか?」
気後れする気持ちを必死で取り繕う。結局は虚構なのだ。この世界では
神様は何にも触れず、また認識されないように、自分が時間を止めて何を
しようと、それはこの世界には特に問題は無い。従って何をしても良い。
「真琴、お前もしかして初めてか?」恐らく初めてだろう、と自問自答。夜遅く
まで遊んだ事も無ければ、白々しい色気を感じた事も無いのだ。
それならば、
「初めての相手は他の誰でもない。この俺だ」
真琴の瞳に映り込んだ。と同時に、建夫はスイッチを押した。
36 :
かつを:2007/06/12(火) 01:27:09 0
次の瞬間、真琴の小ぶりな胸が揺れた。次いで左右に揉み回され、その
胸に添えられた手は、喜びを噛みしめるように、丹念に蠢く。
「アレ? 俺まだ触ってないぞ」
その光景を建夫は信じられない思いで見た。――神様が背後から真琴の
胸を揉んでいたのだ。今までの人畜無害な表情からは考えられない形相で。
ズキュウウウン! などと奇声をあげて、建夫は神様に飛びかかった。理
性は弾けて、殴り飛ばさずにはいられなかった。横っ面目掛けて拳を振り回
すと、会心の一撃――神様は吹き飛んだ。
振りぬいた拳には確かな感触と、不確かな困惑。
「何で、コイツ実体化しているんだ?」
などという疑問は、しかし、次々に湧き上がる怒りに塗り消されて、建夫は
本能のまま追い討ちをかけた。
「ふう」と一息つく頃には15秒。神様の顔は膨れ上がって、もう痙攣すらしない。
そんな神様を転がしたまま、一連の流れで真琴と唇を合わせる。止まって
しまうと、頭が冷めてしまいそうだった。
「おッ、ウソっ」
女の子の唇とはこれほど柔らかいのかと、感心する。続いて舌の挿入を試
みるが、真琴の歯でつっかえた。口の開きが足りなかったのだと考え、手を
真琴の口に入れて半ば強引に開いた。
そのまま手で顔中をまさぐりながら、舌を押したり舐めたりする様は、蜜を
前にした虫のようだ。――25秒。
悪あがきに、建夫は真琴の股間に触れた。しかし、30秒への焦りで感触は
よく分からない。
建夫が真琴から離れると、30秒。途端にフィルターが剥がれたように、周り
が鮮明になり、相変わらず真琴は建夫の方を見ていた。
「ん……どうしたの」
目を逸らしながら真琴は言った。顔はまだ赤く、建夫の息が不自然に上が
っている事に気づく様子は無い。
神様は部屋の隅で虫のように転がっていた。
37 :
かつを:2007/06/12(火) 01:28:36 0
大方の人が寝静まった頃。
夕飯時に気絶していた神様は気を取り戻し、今は建夫を威嚇する作業に
努めている。
「やってくれたなキサマ!」
本性を剥き出しにして、建夫の静かな夜を妨げている。
建夫はベッドに腰掛けて、今日の出来事を思い返していた。神様に手を
伸ばしてみる。触れる事はできず、通り抜けてしまうだけだ。しかし、自分は
実際に神様を殴ったのだ。
どうやら、時間が止まる間だけ、神様は実体化するらしい。
「うかつに時間を止めれば、殺されかねないぞ」
目を吊り上げる神様を見ながら、建夫は懐柔する方法を考える。しかし、
夜も更けて頭が上手く回らない。だが、隣で騒がれているためにこのまま
では眠れない。
建夫は、仕方無しに、一つだけ浮かんだ妥協案を神様に提示してみる事に
した。
「あのな――――」
実際にその通りにするかどうかは別として。
38 :
かつを:2007/06/12(火) 01:29:31 0
こんな感じで周に2,3回ペースで晒していこうかな、と
>>32 何と不謹慎なw
39 :
('A`):2007/06/12(火) 14:22:47 0
かつを乙!
気になるところでで区切るねぇ
そしてエロいw
そのペースの連載が一番楽しめるよ!
40 :
('A`):2007/06/12(火) 22:50:00 0
絵ノヒトさんはどうしちゃったのだろう?
ごめん、誤爆
42 :
('A`):2007/06/13(水) 00:48:26 0
この前漫画描くって言っていた人思い出した
43 :
('A`):2007/06/13(水) 08:33:45 0
居たねぇ
読みたかったなぁ
44 :
('A`):2007/06/13(水) 22:35:16 0
もう終わりだなこのスレッドもな
45 :
('A`):2007/06/13(水) 22:36:30 0
まだ終わらんよ
ま、スレがある限り僕は居座るだろうけどもね
書きたい話はあっても投下するとスレが荒れる。
本当かいな
みなさんこんばんわ
突然ですが、このコテを半永久的に封印しようと思います
理由はと言いますと、先月ネットを解約して、今月始めから既に回線が切られています
と言っても、コテを封印するだけなのでこのスレには名無しでずっと潜伏し続けますが
wikiの方は月二ぐらいでネカフェにでも行って更新作業は続けていきます
再びネットに繋げるようになればまたコテで出てくるかもしれません
ホントに急ですが、よろしくおねがいします
そして最後に…今なら言える!
ロリータコンプレックスDEATH=俺
もし時よ、永遠となれ!!!
50 :
('A`):2007/06/13(水) 23:46:10 0
死ねよカス野郎
何だか急な事だが、とりあえず乙
ちなみにスレの最初の頃、
喪女板にスレ立てようとした人=支配人
いや、僕の勝手な妄想だけども
時間ネタにそろそろ限界があるのかなぁ
まだSS書いてる人も多いみたいだし
他の人に関してはどうなんだろうね。
といったところだが、少なくともワシは108まであるぞ
>>50 すいません
カスというのは十分承知しているつもりです
死ねという事に関しては、怠けた分、まだ自分の仕事が終わりきっていないのでまだ無理ですが…
>>51 はい、確かに喪女板にこのスレの出張所のようなものを立てようとしたのも私です
改めて自分の過去の書き込みを思い出してみると恥ずかしさで消してしまいたい衝動にかられます…
まぁ、これも後から見ると恥ずかしい書き込みの一つになるんでしょうが…
55 :
('A`):2007/06/14(木) 11:16:00 0
>時の支配人
おまいがこのスレをここまででかくしたといっても過言ではないな
乙
そして俺は前みたいにアク禁にならなければ基本的に
毎日1書き込みする
56 :
('A`):2007/06/14(木) 11:16:56 0
連投だが昔の書き込み読みたいんだけど無理かな?
このスレは歴史あるし自分の書き込みもみたいw
57 :
('A`):2007/06/14(木) 12:16:18 O
ヒント にくちゃんねる
58 :
('A`):2007/06/14(木) 20:28:52 0
にくちゃんねるは確か前に閉鎖したはず
ああ、そういえば妄想男のHPも無くなったんだったな…
過去ログが無いぜ
60 :
('A`):2007/06/14(木) 22:12:13 0
うお?
にくちゃんねる復活したのか?
62 :
('A`):2007/06/14(木) 22:46:00 O
うわー懐かしい!
そしてこれは読み始めたら止まらないな
63 :
('A`):2007/06/15(金) 01:22:17 0
うわああぁぁぁ
あの中には封印したい黒歴史があるんだが…
64 :
かつを:2007/06/15(金) 01:33:47 0
ふらじゃいる その3
「おーい、そろそろ起きろー」
リビングから聞こえるその声を、ようやくの思いで聞いた。
待ちわびていたのだ。うつらうつらとやってくる眠気も、その都度、膨れ
上がった妄想で台無しにされた。
昨夜の戸惑いは一欠けらも残されていない。眠気は多少あるが、かえって
寝起きの問題も無い。
パタパタと、真琴が自室に向かってくる音。
建夫は身構えながらそれを聞いた。朝立ちとともに、興奮のボルテージも
低くない。
「おい、昨日の話だけど……」
緊張で固まった沈黙の中、神様は切り出した。
建夫は応える代わりに、机の上のスイッチを手に取り、何度も握りなおし
た。しっくりくるポイントを探す。
カーテンから漏れる光。ふと、その上に蛍光灯の灯りが重る。それを辿る
と、ドアから顔を覗き出した真琴が
「あれ、起きてたんだ」
意外、というような声を出した。
建夫はスイッチを背に隠しながら、真琴に近づき。
「うん、まあね。朝ごはんできたのか?」
「うn――」
そして、真琴の言葉を遮るように時間を止めた。
65 :
かつを:2007/06/15(金) 01:37:28 0
「え、マジ?マジ? いいんだな? オイオイ」と神様が吼え、「ムードを読め」
と建夫は喝を飛ばす。
言葉とは裏腹に、神様は何の躊躇もなく、真琴の顔に吸い付いた。頬、耳、
鼻。見境無く舐め回し、自分の唾液ごと吸い上げる。
建夫は正面から真琴に抱きついて、できるだけ強い力で全身を擦りつける
事に専念した。すぐ耳元で神様が鳴らす、不快で卑猥な音は「んッ、うッ」
聞こえない。
スクワットの様に体を上下させ、さらに腰のこねあげる動きで、最大限に
固くなった性器が、柔らかい体に食いつく。服の上からでも、ぴったりと交
わるような感覚を得た。
股間を32回擦り合わせたところで、建夫は離れた。――25秒。
真琴の股間に手をあてて振動を加えた。押し込んでみると、表面は柔らかい
くせに、奥は多少筋張っていたのが、少し官能的でもある。
さて、神様の表情――あらゆる煩悩または害悪を埋め込んだような面に吐
き気が差すが、これが神様を懐柔するための昨夜の妥協案であり、時間停止
の交換条件なのだ。我慢するしかない。
それに、時間停止中の出来事などまやかしなのだ。例えば、神様が真琴に
つけた唾液も、時間が動き出せば全て無かった事になる。――30秒。真琴の
体に刺激だけを残して。
「――んっ」
30秒が経つと、まるで刺激を受けた合図のように、顔を染めて目を逸らす。
言うまでも無く、その刺激は性的なものである。
「あ……あとは、テーブルに並べるだけだよ」
真琴は振り返ってリビングに向かっていく。
建夫は引き止めるように時間を止めて。背後から抱き締め、真琴の匂いを
嗅ぎながら、まるで交尾みたいに体を動かし続けた。
停止中に蹴った椅子が、30秒後に倒れた。
停止中に放ったボールが、30秒後に飛んでいく。
停止中に加えた力は、30秒後に働くのだ。
停止中に刺激を受けた真琴は、30秒後に赤く染まる。
66 :
かつを:2007/06/15(金) 01:39:02 0
――授業一時間目から体が重い。窓際、最後尾の席で上体をダラしながら
建夫は授業風景をぼんやりと見つめた。
味を占めた体は、真琴の事を求めるばかりで、黒板に集中する事も授業に
ペンを走らせる事もままならない。
最後まで体験してしまいたい。くすぶったままの体ではつらい。然るべき
部分に力強く挿し込んでしまいたい。注ぎ込んでしまいたい。しかし、その
ためには、30秒はいささか短すぎる。
絶賛発情期な建夫の横には神様が立ち、教室をつまらなさそうに見ていた。
「何じゃこの空間は? 授業? 実につまらんなあ。それに何という不細工
の溜まり場。全く喚起されんぞ、こりゃ」
「あのなあ、つまるつまらない云々じゃないんだ授業は。……ちなみに後半
には同意」
目配せと筆記で、建夫は自分の意見を適当に伝えておいた。
ただ「――ここからの景色は格別だな、おい」
神様は窓際に手をつき、校舎一つ向かいの教室を見やった。建夫もまた、
窓の向こうに視線を送った。
そこからは真琴のいる教室が見える。
窓際に来れて本当に良かった。姿勢を正しながら授業を受ける真琴を見て、
建夫はつくづくそう思う。
67 :
かつを:2007/06/15(金) 01:41:08 0
六時間目の授業が終わり、HRの時間。先生が教壇に立ち、小話やプリン
ト配布に取り掛かり、生徒達は思い思いにお喋り等に興じる。
建夫と神様は変わらず真琴の教室を覗き見ていた。ただ、神様の表情が
急激に、穏やかでなくなってきている。
「……あの男、いつもああなのか? ほらアイツ」
神様がいきなり指した男子を、建夫は訝しんで見た。
真琴の後ろに席取るその男子はHRの間中、真琴を凝視し続けていた。
「まあ確かに変ではあるが……」
年頃の男子というのは、普段着の女にさえ興奮してしまうものだ。それは
最早、生理みたいなもので、許容するべき事だろう。
しかし神様は依然、その男子を睨み続けていた。
放課後、たむろう同級生達を尻目に、建夫は神様だけを連れて帰る。
一緒に帰る友達がいない件に関しては、特に何の感情を抱くことも無い。
周りを行く何人もの制服姿には目をくれずに、土手の坂道を上って行く。
左側には川原。水面を置いて、西日が建夫の目に入った。少しばかり強
すぎる日光に、建夫は瞼を落としながら歩いた。
そうしてしばらく歩くと、視界の端に見覚えのある制服――スカートから
のぞく脚が見えて、顔を上げると真琴だった。
建夫は目を開き、先を行く真琴に駆け寄ろうとして、ピッチを上げた途端
「少し待て」神様の言葉で歩みを止めた。
「あの男がいる」
神様が指した方向を見てみると。真琴をずっと見ていた男子がいた。
そして、今も真琴を見ながら歩いている。もしかして、同じ方向に家があ
るのかもしれない。とも考えてみたが――だが、何かがおかしい。
意に介せず真琴の元に向かうには、明らかに奇妙なものを感じた。しかし、
具体的に何がその原因なのかは分からない。
建夫は様子を見つつ、真琴と男子を尾行する事にした。
68 :
かつを:2007/06/15(金) 01:42:57 0
まあ、そんなこんなで
いやしかし、ジャンプ的王道展開だなあコレ
>>63 なに、かえってはくがつく
69 :
('A`):2007/06/15(金) 07:10:50 0
金曜の朝だお♪
今日が終われば明日は休みだおっおっお
70 :
('A`):2007/06/15(金) 10:44:08 0
>かつを
おいす!
連載乙だぜ。
時間の描写のしかたが今ままでありそうでなかったものだから
久々にちょっとぶるった。安西先生みたいに
さて、今日からまた労働だ。
全く嫌になるね
73 :
('A`):2007/06/16(土) 01:05:10 0
自宅警備員?
違うわいw
75 :
('A`):2007/06/16(土) 14:54:53 O
かつをー
あいよー
77 :
('A`):2007/06/17(日) 02:51:38 0
オナ禁を一月くらい続けたけど欲に負けてしまった
78 :
('A`):2007/06/17(日) 08:06:56 O
そんなにしたら女子高生の大群をみかけたとき犯罪おきるだろう
79 :
('A`):2007/06/17(日) 12:52:23 0
女子校生見ても性欲わかないから無問題
二次元なら話は別だけど
80 :
('A`):2007/06/17(日) 14:56:00 O
俺は今日朝早く出たんだが電車の中はむちむちのフトモモの女子高生ばっかだったぜ
バレーボール部だったのかな。
81 :
('A`):2007/06/17(日) 14:59:21 0
三次に興奮するなぞまだまだ修行が足りん証拠じゃわい
82 :
('A`):2007/06/17(日) 16:12:59 0
バレーボールより長刀や弓道やっている女の子に興奮する
>>82 大和撫子への憧れや理想ってやつですな、茶道もいいよね
欲情はするが、興奮はしないな…
二次元に性欲湧くというのもおかしな話。
トキメキ、もしくは興奮なら理解できるんだけどもね。
ちなみに三次元に対しては欲情するものの、
トキメキや慕情なんて有り得ない事だね
カワマコは別として
86 :
('A`):2007/06/17(日) 23:23:22 0
4次元を極めし者にとって二次元や三次元など興味の範疇にも入らんわい
鬼才現る
88 :
('A`):2007/06/18(月) 00:24:11 0
俺 サトラレ かも
89 :
('A`):2007/06/18(月) 08:11:54 0
朝かららきすた見て元気100倍アソパソマソって世界だぜ!
90 :
('A`):2007/06/18(月) 22:59:28 0
アニメ観ようと思ってDVD借りてきたけどこれだけでお腹一杯
91 :
('A`):2007/06/19(火) 07:51:45 0
俺のかつをはまだかね
読者「かつを・・・かつをはどこじゃ」
かつを「作者は・・・もう・・・いないのよ」
かつを:パンチ
何だ、今日辺り書くらしいね
>>92 いや、よく分からん
94 :
かつを:2007/06/19(火) 20:38:34 0
ふらじゃいる その4
男子は真琴をじっと見ながら、ストーキングを続ける。
その姿に、(ストーキングに拠るものだけではない)何か奇妙な雰囲気を感
じて、建夫は真琴の元に駆け寄る事ができないでいた。
ストーキングの理由も分かりかねる。
しばらくは様子見ということで。男子にも真琴にも気づかれないようにして、
建夫は後を追けた。
しかし一向に、男子が行動を見せる兆しが無い。
自分の検討違いだったのかもしれない。と建夫は思い始めた。
改めて見ると、結構男前な男子である。その上、髪型や服装を崩したりして
いないものだから、果たして、疑っていた自分の見当違いのような気さえして
くる。
とてもじゃないが、悪事を働くような人間には見えないのだ。
「勘違い、なのか……」
男子は行動を起こさない。
やがて、真琴が家に上がるのを見届けて、建夫もまた家へと向かうことにした。
「ちょっと、待て」
建夫を神様が引き止めた。
真琴が帰宅すると同時に、男子が行動を起こし始めたのだ。懐から何やら
ゴソゴソと取り出す。
その姿に、建夫の猜疑心が再び顔を出す。建夫は急いで物陰に姿を隠し、
そこから男子の様子を伺った。
建夫の視線の先で。男子がストップウォッチのような物を取り出し、それを
見ながらメモ帳に書き込んでいく。
「真琴の帰宅時間でも測っていたのか?」
建夫は、身を乗り出して確認しようとするが、多少距離があるために詳しい
ところまでは分からない。
時間を止めることにする。
95 :
かつを:2007/06/19(火) 20:41:35 0
瞬間、全てが固体化。
建夫は男子の元へ向かった。10秒。男子が手にしていた物が、ストップウォ
ッチではなく、万歩計だという事が分かる。
次いで「――何を書いているんだ?」メモ帳を確認してみると。
「歩数で考える真琴ちゃんの今」などと題されている。途端に、建夫の背中に
気味悪いものが走った。
指先でつまむようにしてメモ帳を開いていくと、整然と立てられた表に、恐ろ
しい程丁寧な字で、真琴の帰宅に要した歩数が記されていた。それもほとんど
毎日欠かさず。
建夫は、心地悪い汗を流しながら、男子の考えを理解しようと努めた。
男子は真琴を追跡することで、その姿を堪能するだけではなく、彼女の歩
数を測り取っていたのだ。そして、彼独自の何らかの方法でそれを吟味し、
楽しんでいる。
建夫が今まで感じていた違和感の正体は、男子の雰囲気だとかそういった
ものでは無い。ごく物理的な――真琴と歩調を合わせる上での、男子の不自然
な歩みだったのだ。
不意に体中が毛羽立った。男子に対する極めて強い不快感――生理的嫌悪感
が建夫をすくみ上がらせた。
時間は、進む。25秒。
ふっと我に帰る。今は、身を隠す程度の時間しか残されていない。
96 :
かつを:2007/06/19(火) 20:44:19 0
――――男子が帰るのを物陰から見届けた。
帰宅すると、出迎えた真琴を抱き締めた。
「何だか疲れた顔してるね。どうしたの?」
心配そうな素振りを見せた真琴の、無抵抗な口に舌を入れた。
晩御飯を作っている最中も、食べた後も、テレビを見ている最中も。事ある
毎に建夫は時間を止めた。
その都度、真琴は赤い顔と乱れた息を返す。
どうやら、世界には建夫の脅威で充ちているらしかった。
時間を止めても決して平和ではない。神様が息を荒くして待ち構えている。
積極的に動く必要がある。何者かに壊されてしまう前に。
――建夫は時間を止めて、幾度も真琴を弄ぶ。
真琴を欲情させてしまえばいいのだ。我慢できないくらいに。そうすれば、
真琴に関しての脅威は無くなる筈だ。既成事実を作れたならなお良い。
97 :
かつを:2007/06/19(火) 20:45:09 0
とりあえず折り返し地点、ってところで
いやしかし、胡散臭い話だ
文章書くのって難しい
>>90 数十分も、何かを見(し)続けるだけの集中力が無いよな
98 :
('A`):2007/06/19(火) 22:07:04 0
>>かつを
GJ!内容もさる事ながら、この堅実な投下ペースは素晴らしいね
てかライダースレ見てる?
あれ、かつをってこんな読ませる文章書く人だったっけ?
100 :
かつを:2007/06/19(火) 22:21:02 0
いや見てないよ
101 :
かつを:2007/06/19(火) 22:22:30 0
ってことで、とりあえず今見てみた。>ベルトスレ
企画やら何やらで、僕には難しすぎるスレですぜ
それと何だか、僕と同じような事を言ってる人がいるなあ
>>99 褒め言葉は嬉しい
ちなみに、責め言葉は大好き
まあ何だかんだでこのスレで20個程
SS書いているからなこの男
さすがに上達するだろう
103 :
('A`):2007/06/19(火) 22:28:37 0
>>101 うん、同じような書き込みだったからもしやと思ったんだけど見てはいなかったか〜
104 :
かつを:2007/06/19(火) 22:37:36 0
>>102 うち、七割方は自分でもよく覚えていない(記憶から消した)わけだ
>>103 時間ネタ以外のあらゆる妄想が枯渇してしまっているので、
2ちゃんでは、近頃ほぼカスレスオンリー
105 :
('A`):2007/06/20(水) 08:58:25 O
エースはかつを
106 :
('A`):2007/06/20(水) 11:38:11 O
かつを以外のコテはどこに行ったんだ…
107 :
かつを:2007/06/20(水) 19:30:53 0
>>105 かつをはカスだよ
>>106 どうなんだろうね…
とりあえず、新しい人もどんどん募ろうage!age!
108 :
('A`):2007/06/20(水) 20:13:41 0
みんなどこー?
109 :
作者:2007/06/20(水) 21:53:16 0
「ふらじゃいる」が「ブラジャーいる」に見えるからもてない
110 :
かつを:2007/06/20(水) 22:24:42 0
ハイ安堵乙ー
何か書こうぜ
111 :
('A`):2007/06/21(木) 05:28:32 O
朝一age
112 :
('A`):2007/06/21(木) 17:24:03 O
かーつを!うん!かーつを!
113 :
('A`):2007/06/21(木) 18:31:21 0
もしもシュガーやディックが彼女持ちだったら
114 :
('A`):2007/06/21(木) 19:04:04 0
彼らが道程を捨てる前に俺が頂戴する
115 :
かつを:2007/06/21(木) 20:43:03 0
僕のリサイタル会場はここですか!?
116 :
かつを:2007/06/21(木) 20:47:18 0
ふらじゃいる その5
直面する問題一つ一つを先送りしたりせず、地道に解決していけば、やが
て平和が訪れるはずだ。こと、個人的な問題となると、質・量ともに、本人の
努力次第でどうにでもなるものが多い。
さしあたり建夫の抱える問題は。真琴に付きまとう男子、その一点だ。
チャイムが鳴り、授業が始まっているが、優先すべきは男子の問題。建夫
は、黒板や教師の言葉を蔑ろにして、窓の向こうを見やる。
その一連の行為そのものは、特に普段と変わりはない。しかし、彼の目が
捉えるのは真琴と――それと男子。
問題への対処法は頭にある。しかし、男子がとっていた歩数メモの意味だけ
がはっきりせず、どうにも靄っとした気分だ。
授業が頭に耳に、入らない。
やがて六限目のチャイムが鳴り。HRもあっさりと終わった。
自教室から、真琴が教室を出るのを見届けた。真琴の後を追っていく男子
に吐き気がした。
――校門。――土手。――交差点。いつもの帰り道。
建夫は、監視を悟られないように、それらしく振舞う事に余念が無い。
男子は、真琴と歩調を合わせる事に集中しているために、自分が尾行され
ている事に気づかない。
男子の腹の底を垣間見た建夫にとっては、男子の爽やかなツラさえ嫌悪
の対象となっていた。その容姿で特別に得ている恩恵、温い環境、順風満帆
であろう半生を考えると「ヴぁあ!」発狂しそうになる。
一見爽やかな青年が、ストーキングしているだなんて誰が思うだろうか。
その上、奇行に走っているなどと。
そうして、自らの特権を、意識的にしろ無意識にしろ利用している、男子の
やり口が、建夫は許せなかった。
もちろん、嫉妬も多分に含まれてはいるものの。それでも、出来る限り公平
な正義に拠った思考、もしくは行動だと。建夫は確信している。
それゆえに――――。
117 :
かつを:2007/06/21(木) 20:50:06 0
真琴も男子も、自分が尾行されている事に気づかない。
真琴は何も知らず家にあがり、男子は慣れた手つきでメモ帳に書き記す。
「1361歩」と。「歩数がどんどん多くなってくるね。ということは真琴ちゃん……」
――建夫は時間を止めて。時間を食わないように駆け寄り。――――メモ
帳と万歩計だけを、男子の手から引き抜いた。
それ以上は何もしない。災いの根を摘むだけだ。「罪を憎んで人を憎まず」
とはよく聞くが、建夫の心境もそれに近い。
それは単に自己満足か、もしくは時間停止・人外の力への慢心かもしれな
いが。いずれにしろ、建夫は美徳に従い、必要以上に力を乱用しないように
努めた。
そんな建夫を尻目に、神様は物凄い勢いで男子に向かっていくものだから、
「あっ、しまっ……」
建夫は自らの迂闊さを後悔した。
神様が男子の頭をゴチンと殴る。十分に想定できたはずの出来事ではあっ
たが、建夫はそれを予想する事さえ出来なかった。
20秒。
神様の暴挙が少し気にかかるが――仕方がない。成るようにしか成らない。
とりあえずは時間が動き出す前に、奪ったメモ帳と万歩計を鞄に仕舞い込む。
そそくさと元の場所に戻り、30秒が経つのを待った。目立たないように、何気
なく。
「うお、痛ッ?」
時間が動きだすと同時に、男子は身構え。そして、手元から消えた二点に
対してうろたえ出した。
建夫はその横を、何も無かったように通り抜けて、家に帰る。
そして、出迎えた真琴を、時間を止めて抱き締める。股間を強くあてがう。
「もう、大丈夫だよ」
118 :
かつを:2007/06/21(木) 20:54:39 0
大きな充足感に。晩御飯を済ませると、真琴を愛でるのもそこそこに、自
室に篭った。
そこでメモ帳を確認する。相当丁寧に扱われていたらしく、懐に忍ばせて
いた割には、シワや破れ等ほとんど無い。それほど大事なものだから、失く
した時のショックたるや、想像もつかない。
恐らく、そのショックで、真琴に対する変態的行為の意欲も失うはずだろう、
と建夫は考える。
さて、メモ帳に掲載されているデータは半年分。
数値は、(手作業ゆえ多少の雑はあるものの)約一ヶ月周期で上下して
いた。一つの周期で「1300→1350」まで上昇。ピーク(約1350)を経て、次の
周期は再び1300から、となっている。
過去のデータをまとめると、そんなところだ。その数値が示す事は……。
結局、建夫は、歩数の周期と生理を関連付けた。(それしか思いつけな
かった)
恐らく、ピークの時点で生理が起きているはずだ。生理には多少の苦痛
が伴うと聞く。それに股間のムレも加わり、歩調にも直接的な影響が出る
はずだ。
もしも男子が、それとは違う意図で歩数を計っていたとしても、歩数と生理
に関係があるのは、論理的に見ても間違っていはいないはずだ。
そう思い至り、建夫は再びメモ帳に目を落とす。本日の数値は「1361」
その数字が目に飛び込んだ途端、真琴への愛おしさが募って、建夫は
自室から走り出た。
「あの男の子は天才か!」
リビングへ行くと、真琴は風呂上りの火照った体に、薄いパジャマを着て
いた。
建夫は時間を止めて、
「真琴ぉ、お前今日生理なのかぁ? うん?」
などと言いながら真琴の目を覗き込んだ。そのまま口をすぼめて、真琴の
鼻先を吸った。見つめ合いながら、真琴の下着に手を入れて股間を触る。
そして、その手を嗅いだ。
入浴後のためか、においはよく分からない。
建夫はしゃがみ、真琴の股間に顔を埋めた。鼻を出来るだけ奥に差し込ん
で、腹の底から呼吸を繰り返した。
119 :
かつを:2007/06/21(木) 20:55:59 0
建夫の平和に関して、一先ずの障害は排除した。後門の憂いは今のところ
無い。後は、ひたすら真琴を刺激すればいい。
神様が傲慢な音をたてて彼女を貪っているが、建夫の眼中には無い。
建夫の不健全な生活は続く。時間を止めて、浴場に至るまでひたすら待つ
のだ。
真琴はやがて、時間を止めなくても、見つめるだけで軽く赤面するように
なった。それでもなお、毅然と振る舞い続ける。
建夫は欲情に持ち込む事が出来ず、日々は過ぎる。
120 :
かつを:2007/06/21(木) 20:57:04 0
起承部分終了。
論理的におかしな部分があるかもだけど、
僕が無知無学なゆえに、それはもう仕方がない。
121 :
('A`):2007/06/21(木) 21:24:28 O
>113
このスレの変態2トップだからな、それはないだろww
むしろその二人がガチホモってる方が自然
122 :
('A`):2007/06/21(木) 22:05:13 0
ディックはスカトロ属性あるからスカトロプレイしてそう
123 :
奈々氏:2007/06/21(木) 22:35:48 0
「はーいみんな席についてくださーい。」
朝から先生の威勢のいい声が響きわたり、騒いでいた生徒たちがみな着席する。
僕の名前は・・・まぁクラスのみんなは僕のことを「教授」とか「博士」と呼ぶ。
なぜかメガネをかけているだけでそう呼ばれることになった。
他にもメガネかけてる奴なんて五万といるのに不思議なことだ。
とはいえ僕は別段変わったことは何もないどこにでもあるような平凡なクラスの平凡な一生徒だ。
今日もまた何も変わらない日常が始まる。
「今日はビッグニュースがあるぞ。」
先生の言葉に教室がざわめく。
「え〜、今日は転校生を紹介します。」
周囲がさらにざわつく。
正直僕にとってはどうでもいいことだ。
それに教室の机が一つ増えてたんだ。勘のいい奴ならとっくに気づいてる。
「では入ってください。」
先生がそう言うと、教室前の扉をゆっくり開けて女の子が入ってきた。
「では自己紹かぃ〜・・・
すでに僕の耳に先生の言葉は入ってこなかった。
もうすぐ夏休みだというのにこんな時期に転校生か。
ちょっと興味あるけど今の僕を襲っている睡魔に転校生じゃ勝てないよ。
「〜・・・。〜田!」
先生が俺の名前を呼んでいるが聞こえ、ハッと現実に戻る。
「じゃあ小宮さんは今起きたあいつの隣に座ってください。」
そうか・・・転校生は小宮というのか・・・下の名前は・・・ま・・いいか・・・。
そこで朝の俺の記憶は途切れた。
寝ているうちに「あっ」と言う間に一日の授業が終わった。
僕は放課後が好きだ。特に学校から家に帰るまでの時間が大好きだ。
学校では嫌が応にも他人と接さなくてはならないし、家は家で家族とだけはあまり距離は取れない。
そんなわけで下校中の完全に自由な時間が俺にとっての至福のひとときなのだ。
HRが滅茶苦茶短い僕のクラスはいつも一番に放課になる。
僕は一応部活には所属しているが、幽霊部員なので毎日はなうた混じりに一番乗りで学校をあとにするのだ。
「〜田くん!・・・・だよね?」
校門を出たところでいきなり背後から声をかけられた。
神聖なる下校中の時間を侵害されて、僕はかなり気分を害したが、平静を装って振り向いた。
「・・・・こみや・・・さん・・・だっけ?」
そう、そこには転校生の小宮が立っていた。
「よかった!名前あってたっぽいね。」
無駄にハイテンションで馴れ馴れしい彼女が喋れば喋るほど俺の不快指数が指数関数的に上がっていく。
「何か用?僕・・・早く帰りたいんだけど」
「うん、別に用ってわけじゃないんだけどアナタ今日一日中寝てたでしょ?隣の席だし挨拶くらいしておこうかと思って。」
「あ、そう、じゃあヨロシク、サヨウナラ」
「うんよろしくぅ!」
あからさまな態度で追い返そうとしたが小宮は全く気にする様子がない。
だがそんなことはどうでもいい。
僕は早々に帰途につきかったのでそれだけ言うと小宮に背を向けて再び歩き始めた。
〜五分後〜
「アナタ教授ってよばれてるの?」
「うん・・・。」
「私もそう呼んでもいい?いやじゃない?」
「別に・・・。」
「じゃあこれからは教授って呼ぶね。」
「うん・・・。」
「教授って何か趣味とかはまってることってある?」
「別に・・・。」
「私ね、結構スポーツ得意なんだ。」
「ふぅん・・・。」
「でも転向してきたばかりで右も左もわからないからどんな部活があるのか教えてよ。」
「また今度・・・。」
「うん、ヨロシクね。で、教授は何部に入ってるの?」
「別に・・・。」
「帰宅部?まぁそうっぽいもんねー。色白だし。もうちょっと焼けなきゃ」
「別に・・・。」
「アハッ!怒った?ごめんねー。」
なんなんだこいつは。
一体全体何の恨みがあって僕の神の与えしフリータイムを蝕むんだ。
しかも僕が教授と呼ばれていると誰に聞いたんだ。
そんなことはどうでもいい、どうせ僕が寝てる間にクラス中の奴と話したんだろう。
だが・・・
「小宮・・・さん。」
「ナニナニ!?質問?」
「何で僕についてくるの?」
「え〜!だって
私 の 家 も こ っ ち の 方 向 な ん だ も ん。
今日はまだ引越しが完全に終わってないから早く帰らなきゃいけなくて
急いで出たら前に教授がいたのよ。
折角だし喋ろうと思って。学校じゃ滅多に起きないって聞いたしさ〜。
でさ、そんな生活なのに学年トップの成績ってすごいよねー。
塾も行ってないらしいじゃない?」
「・・・え?」
〜続く〜
126 :
('A`):2007/06/21(木) 23:02:20 0
お、投下きてるなGJ
あからさまな伏線が怪しいぜw
127 :
('A`):2007/06/22(金) 18:09:52 0
名無しつったらAAAしか思い浮かばない俺懐古厨
128 :
('A`):2007/06/22(金) 18:36:08 O
かつをと新しい作者さんお疲れ!
どちらもテンポいいから携帯でも疲れないな
129 :
('A`):2007/06/22(金) 18:48:48 0
どこかで見たことアル文章だな〜
130 :
('A`):2007/06/22(金) 18:59:35 0
いや、僕は全く検討つかないわ>奈な氏
131 :
('A`):2007/06/22(金) 19:06:00 0
名前がエロい
132 :
('A`):2007/06/23(土) 12:18:17 O
上がれ
雨鬱陶しいぜ
働きたくないぜ
134 :
('A`):2007/06/24(日) 11:38:01 0
梅雨明けていい天気
135 :
('A`):2007/06/24(日) 23:07:42 0
age
ならsage
137 :
('A`):2007/06/24(日) 23:14:32 0
さらにage
もう休みが終わってしまった…
また嫌な日が始まるのか
139 :
('A`):2007/06/25(月) 09:38:21 0
暑い……
140 :
('A`):2007/06/25(月) 12:36:18 O
暑いな
141 :
('A`):2007/06/26(火) 07:40:17 0
もは
最近生活リズム崩れてる
でも、何やかんやで朝起きとるがな
143 :
('A`):2007/06/27(水) 01:17:08 0
最近エラーでスレというか喪板に繋がり辛いんだけどみんなそう?
144 :
('A`):2007/06/27(水) 01:20:37 0
携帯では時々なるよ
専ブラ(jane)だとそんなことないよー
それよりもSSはまだかい
147 :
('A`):2007/06/27(水) 01:24:53 0
書いてるよ
無茶苦茶ゆっくりしたペースだけど
乙だねぇ
このスレって保守って書き込まない妙なふいんき(ryがあるよね
>>143 ウィルコマーだけど、このところずっとエラー
過疎だからか?
151 :
('A`):2007/06/27(水) 21:01:32 0
a
最近の2ちゃんは携帯に意地悪だなぁ
もは
何もしてないと一週間早く感じる
わかる。去年とか思い出もないのに気付いたら終わってた。
てか今年も半年終わってるじゃん
155 :
('A`):2007/06/28(木) 13:29:41 O
楔ってブログも消してたんだ…
雲の上の存在だけど、どうしてるのかな…
楔もいなくなったのか…
なんだか時の流れを感じるな
157 :
('A`):2007/06/28(木) 17:37:43 O
まぁ俺がいる限り最古参の称号は渡さんけどな。
だが楔との交流手段が消えたのは辛い
たった30秒だと厳しいな
スカートめくりぐらいしかできんじゃん
159 :
('A`):2007/06/28(木) 18:55:18 0
いつから楔のブログの名前変わってたんだろ?
最初は溢れ出す程〜 だったのに今は迸る程〜 だ
俺の妄想男はどこ?
記事の大量殺戮してからだと思う
今日歩いていたら、目の前のJK二人組に走って逃げられたぜ…
163 :
('A`):2007/06/29(金) 07:04:51 0
だがその日の
>>161はいつもと違っていた。
「JK・・・俺の力を見せてやる!」
一瞬で静まり返る世界。
>>161は高らかにあげた人差し指をおろしJKに近づいていく。
笑いながらそして逃げようとした格好で止まるJK二人組。
あとで俺をネタに笑話しでもするんだったのだろうか。
だが甘い。
ぐっと首筋をつかみこちらに抱き寄せ濃厚なディープキスをかます。
こちらのJKはやりまん臭ぷんぷんで化粧が濃いが顔は美少女か。
顔をはなすがお互いのよだれがひっついたままの状態でそう呟く。
もう一人は肌が黄金色でスポーツをしている子。
太ももがむちむちパンパンで俺の一物が騒がしくなっていった。
俺はその子のおしりをつかみ持ち上げ一気に挿入を開始した。
ジュッポジュッポジュッポ
汗が余計にそのこのまんこの具合を心地よいものにする。
スポーツをやってる子は引き締まっていると言われるが
なるほどその通りだ。吸い付いてくるようだ。
ジュッポジュッポジュッポ
ドピュ!ピュ!ピュ!ピュ!
残らず中だしした。
俺は満面の笑みで人差し指を高らかに上げその場を去った。
ズボンをその場に忘れたのに気づいたのは電車の中であった。
164 :
('A`):2007/06/29(金) 07:14:58 0
>>158 俺ならおっぱいもんでキスしてかんちょーするね
165 :
('A`):2007/06/29(金) 08:16:34 0
ニコニコはアカウントとってないから見れん
168 :
('A`):2007/06/29(金) 21:15:45 0
.ヘ⌒ヽフ
( ・ω・) 適当な文章を書いてうpし採点してもらうスレ から来ますた!(`・ω・´)
/ ~つと)
>>117 つ 【57点】
>>118 つ 【71点】
>>123 つ 【71点】
>>125 つ 【86点】
>>163 つ 【25点】
170 :
かつを:2007/06/30(土) 00:14:27 0
>>160 俺のゴメスはまだ?
何か71点ついててヤッター
え〜、さてさて
171 :
かつを:2007/06/30(土) 00:16:20 0
ふらじゃいる その6
相変わらず、建夫は真琴のクラスを眺めている。
メモ帳と万歩計を奪った次の日。男子の落ち込んでいる様子が容易く見て
とれた。それを見て、建夫は胸のすくような思いがした。そして、優越感に
浸る。
男子が創り上げたデータを、建夫が引き継ぐことにした。まるで、あてつけ
るように。
帰り道、慣れない足の運びで懸命に測る。
「1361」→「1369」
帰宅後、真琴を抱いて、自室に篭り、メモ帳と時間のスイッチを肴にいつ
までも起きていた。
二日後。男子はメモ帳を失ったショックを少しずつ払拭しているようだった。
あまつさえ、真琴と談笑する場面さえも見られる。
測り取った真琴の歩数も
「1369」→「1365」
イマイチ上手くいっていない様子で。優越感が底をつきはじめた。
三日後。
「あの野郎―!」
神様が真琴のクラスを見て絶叫している。そんな神様に、自分の姿を重ね
てみて、建夫は机に突っ伏した。
修平と真琴の仲は(嫉妬による補正が加わっているものの)睦まじく見え
ないことも無い。
ふと、時間を止めて彼をどうにかしてしまおうとも考えてが、それはただの
嫉妬であるからに、あまりにもスマートではない。
172 :
かつを:2007/06/30(土) 00:17:54 0
半年間使い続けたメモ帳も。身体によく馴染んだ万歩計も。既に自分の手
元に無い。
しかし、男子は悪い気はしない。授業に身を置きながら、三日前の事を思
い出していた。
真琴の歩数をメモ帳に控えた途端、それが忽然と消えた事。その瞬間、頬
に喰らった謎の打撃。頬が赤く腫れた。
近くには誰もおらず、消えるはずなど無いし、叩かれるはずも無い。
有り得ない出来事ではあるが。しかし、思い返せば思い返すほど、やはり
実際に起きた事なのだ。
男子はそれら一連の出来事を常識の範囲内で片付ける事が出来ず。人智
を圧倒的に超えた――言ってみれば、神様によるものだと結論付ける。
「こんな姑息で卑怯な手段は止めて、真っ当に正々堂々としろ」
神様が、自分にそう言っているのだ、と。
授業中、真琴の後姿をじっと見る。それだけは性分なのでどうしても変えら
れないが。その他は大分変わった。
真琴と、なんの気後れもせず喋り合える。
帰り道では、以前よりも遥かに健全的な雰囲気で、真琴の後ろを建夫が行
く。
川沿いの土手の坂道で、二人の間は大きく。やがて、信号で立ち止まった
折に修平が追いつき。一言二言の後、青信号を修平は一人先に歩いていく。
そんな光景を見ながら、建夫は真琴の歩調に合わせて歩く。少し重くなる
光景だが、せっせと足を運ぶ。
自分の行動が正しかったかどうかなんて、考えてもキリが無いと分かって
はいるが。修平の様子と、測り取った数値を見て、一種の疑いを禁じえない。
「1361」→「1369」→「1365」→「1373」
周期的、あるいは今までの上限数値と比べて、数字がおかしい。一向に測
定に慣れないのだ。と建夫は嘆いた。
173 :
かつを:2007/06/30(土) 00:19:26 0
メモ帳と万歩計を手に入れて、建夫と男子の心の持ち様が逆転したように
思われる。
しかし、建夫にはスイッチが強い心の拠り所となっている。それがあるだ
けで、男子よりもよっぽど恵まれているはずだ。
建夫は家に帰って、時間を止めた。不安から逃れるように真琴を抱き締め
た。だが満たされる事はない。常習的な行為であるからに、知らず知らずの
うちに慣れてしまったのかもしれない。
いよいよ、次の段階に入るべきなのだろうが。それにしても事が進展しない。
時間が動きだすと、真琴は赤くなり顔を背けるだけなのだ。身体をあずけて
こない。
ひょっとすると、根本的に問題があるかもしれない。そもそも真琴は建夫
に僅かな好意も抱いていないのかも。
もしもそうなら、何をしたところで無駄。もしくは逆効果だ。他の男に欲情
してしまう。
台所で調理する真琴を見ながら、建夫は考えた。
だいたいにして、本来なら遊びたい盛りの年頃である。放課後に友達と繰
り出したいと思っているかもしれない。あるいは部活に汗を流したい、と。
それなのに、毎日夕食――どころか朝食、その他の用事までこなしている
(ひょっとすると、こなさせられている)わけだから、募ったストレスの矛先が、
出不精な兄に向かってもおかしくはない。
174 :
かつを:2007/06/30(土) 00:22:20 0
そんな心配に急に襲われて。
「アレなら、夕食の支度なんて放り出せばいいよ」
堪えきれずに、何の脈絡も無く。夕食時に建夫は言った。
「何なら、朝飯の支度もだな……」
自虐に近い言葉を並べ立てようとして、真琴に足を踏まれた。
「夕食の支度゛なんて゛って……失礼」
真琴はそう言いながら、卓上の唐揚を一つ吟味する。
建夫は、妙に狭い肩身で、夕食に向かう事になる。
「いや、あのな……」
「だいたい私が支度しないとして、ご飯はどうするのさ? お兄ちゃんが
ご飯――」
「いや、作れないね」
無駄に歯切れの良い即答に、真琴は「ふふん」と上機嫌に鳴らして、
「だったら遠慮なんてしないでいいよ。それよりもお茶頂戴」
建夫のすぐ傍にあるお茶を指差した。
「で、でもだな。友達と遊びたくならないのか? 周りを見てて、少しでも
羨ましく思ったりするだろう」
退くに退けない思いで。とりあえず、建夫はお茶を渡した。
「ま、まあ、そりゃそうかも……しれないけど」
自分から訊いたクセに、それを肯定されると、少し泣きそうになる。
しかし――
「……か、家事が好きなんだよね」
真琴は少しぎこちない笑顔で言った。
――しかし、少し赤い彼女の顔を見て、思わず噴き出してしまう。そして、
もう一度足を踏まれた。
振り返ってみると、久しぶりの会話らしい会話だったように思う。
時間のスイッチを手に入れてからは、めっきりと喋り合う事も減った。特
にこの三日間はそれが顕著だった。
その日は時間を止めずに過ごした。
「何故時間を止めない?」
神様が隣で騒ぎ立てていたが、取り立てて相手にせずに、ベッドに潜り込
んだ。
時間を止めて一方的に触れる気に、その日はならなかったのだ。
175 :
かつを:2007/06/30(土) 00:25:21 0
もう少しで終わりそうだ
とりあえず、破綻は避けて
幾らかSSが投下されててウホ的気分が良いなあ
177 :
('A`):2007/06/30(土) 21:43:30 O
あげときますね
179 :
('A`):2007/07/01(日) 00:42:41 0
>>179 確かに素晴らしいが、発射が無いな
僕のちんちんが欲求不満ですぜ
俺のちんちんは三次じゃ立ち上がらない
182 :
('A`):2007/07/01(日) 20:19:36 0
age
183 :
('A`):2007/07/01(日) 22:22:03 0
>>179 あ?
俺 の か つ を だ
間違えるんじゃねえ
きんめーw
185 :
かつを:2007/07/01(日) 22:40:29 0
薄消しモザ無し超高画質なんざ見るに耐えない
マンコ、女体はグロ過ぎるんだな
なので、
>>179の動画は(フィニッシュが無い以外)かなり優良完全勃起
そんな僕のちんちんを萎えさせた
>>183たるや、もうね
186 :
('A`):2007/07/02(月) 02:40:19 0
おまえらがあまりに楽しそうで書き込む内容忘れたよw
187 :
('A`):2007/07/02(月) 15:22:32 0
二次に勝る三次なし
188 :
('A`):2007/07/02(月) 21:05:23 O
そういえば大会から一年だ
妄想男のまとまが無くなったから順位が分からんなぁ
キャッシュ残ってるんじゃない?
ウェブ魚拓とか使ってみたら見れないかな?
190 :
かつを:2007/07/03(火) 01:28:26 0
キャッシュとかウェブ魚拓とかよく分からんが
少なくとも僕はケツから3,4番目、ってどうでもいいね
191 :
かつを:2007/07/03(火) 01:31:08 0
ふらじゃいる その7
翌朝一番、リビングへ向かうと、いつものように真琴が朝食の準備をして
いた。真琴と目が合う。彼女の顔は赤い。
「ホラ! 今止めろ今!」
彼女の様子を見て、神様が「時間を止めろ」と、建夫を急かす。だが、建夫
は時間を止めない。
恐らく、真琴は欲情に近い。伏せがちにした瞳に、火照った表情からの呼
吸は少しだけ強くて細い。
そんな様子に、しかし、建夫は何となくバツの悪さを感じた。オナニー後の
感覚に似ていた。
時間を止めずにいる程、神様の興奮のボルテージはあがっていった。やが
て、やみくもに腰を振るようになった。
一方、その姿に、建夫の興奮もしくは性欲は一層削がれていく。
学校に着き、窓から見える景色。真琴のクラスだ。彼女と男子の仲は昨日よ
りも深まっているように感じられる。しかし――。
「野郎ォ! 野郎ォ!」
けたたましく吼える神様の隣にいると、随分と冷静でいられた。
改めて真琴達を見ていると、二人の様子は、何だか男子の一方的な好意に
見えない事もない。
192 :
かつを:2007/07/03(火) 01:33:40 0
今朝、男子は学校に来るなり真琴に声をかけた。そして、ガードの脆さに
驚いた。
昨日まで感じていた(ほんの僅かであるが)よそよそしさなどまるで感じない。
それどころか、心あるいは体まで預けてくるような力無い色気まで感じる。
「こ、これはイケるかもしれない」
出来るだけ平静を装って接する。自然に真琴に話しかけ、触れ合うが、それ
自体若干の下心に基いた行動だと男子本人は気づかない。
その日は建夫の心がいつになく落ち着いているだけに、横にいる神様の騒ぎ
ようが、やたらに映えた。
真琴が動く度に、男子が真琴に接触する度に、あるいは時間を持て余す時
など、神様は頻繁に騒ぎ。その様子を見て、建夫はげんなりするのだった。
「こんな奴と共同作業(真琴弄り)をしていたのか」と。
193 :
かつを:2007/07/03(火) 01:36:51 0
やがて下校する頃になると、さすがに疲れたのか飽きたのか、神様はとぼ
とぼと建夫についていくだけになった。
建夫は土手の坂道を上る。
夏が訪れつつあるみたいで、西日はいつもよりも高い所で川原に映えていた。
下校する生徒達はいくつかのグループを作り歩く。その中、建夫は一人で歩く。
その日、土手に真琴の姿は無かった。男子の姿も無い。
「HRが遅れているのか?」
少し遠くを見渡してみても、いない。
そして帰宅。誰もいないリビングに上がり、電気をつけた。そして椅子に座り、
「……寂しいな、おい」
神様がいる事も忘れて独り言。神様がそれに返す。
「確かにな、小奇麗な部屋に一人(と一神様)じゃ様にならん。ところで、何で
今日は真琴ちゃん遅いんだ?」
妹を「真琴ちゃん」と馴れ馴れしく呼ばれた事に、多少憤りを感じながらも、
「さあ、HRが長引いてるんじゃないの」
と、適当に返しておく。そんな事訊かれても分からないのだ。
多少の暇つぶしにと、建夫はメモ帳をパラパラと開く。
「1361」→「1369」→「1365」→「1373」
現在の真琴の歩数は、過去のデータと比べてみて数値が大きすぎる。周期
的にもそろそろ落ち着いているはずだ。
何か原因を建夫は探す。生理以外の要因を。しかし計測ミスの他には、特に
理由が思いつかない。
194 :
かつを:2007/07/03(火) 01:39:05 0
結局考えても分からなかったので、建夫は理由を探す事を見限った。その
頃には窓から夕陽が差し込んでいて、夕方の6時だった。
真琴は未だに帰って来ない。
じれったい気持ちを抑えようと冷蔵庫に立ち、お茶を一杯汲もうとすると。
「オイオイ、さすがに変だろ?」
神様がしびれを切らして言った。
建夫はお茶を冷蔵庫に戻し、
「そうだよな」
神様の言葉に押されるように、玄関に向かった。
どう考えてもおかしいのだ。
もしも遅くなるなら、連絡の一つくらいよこすだろう。連絡も無しに遊び
にふける人ではないはずなのだ。
建夫は靴を履くと、制服のまま自転車に飛び乗った。
「それに、好きなんだよな、家事が」
一方、真琴は西日に染まりながら――男子と影を重ねて歩く。
195 :
かつを:2007/07/03(火) 01:39:57 0
ま、そんなこんなで。
明日(今日)で、この話も終わりそうだ
196 :
('A`):2007/07/03(火) 07:52:45 0
いいところで止めやがるな畜生!
俺の妄想だけど神様は神様の皮を被った悪魔
197 :
('A`):2007/07/03(火) 10:35:09 0
‘‘俺の‘‘かつをキター
198 :
('A`):2007/07/03(火) 10:37:26 O
かつをさん素敵よ!
どないやねんw
201 :
('A`):2007/07/03(火) 14:32:57 0
かつをとシュガーの強力2トップ
202 :
('A`):2007/07/03(火) 18:31:26 0
シュガーは死亡説あるけどな
203 :
('A`):2007/07/04(水) 03:21:31 0
スレに全く関係ない私事なんだけどさ、いつのまにか右足の爪がなくなってるのよ
おかしいね、左足は普通なのにさ…
生存報告にきますた
文字が浮かばないorz
おお!本物か?!
208 :
('A`):2007/07/05(木) 08:20:56 0
>>205 爪が取れた?ちゃんと切ったほうがいいな
>お砂糖
生きてたか!
209 :
シュガー:2007/07/05(木) 17:48:26 O
新しいの出来たんで第一話投下します
210 :
シュガー:2007/07/05(木) 17:52:42 O
[僕の一生、十年と一瞬]
始まりは僕の誕生日の夜だった。
ケーキを食べた後、リビングでみんなとプレゼントを開けていた。
母さんの方のおじいちゃん達からは、財布と、『欲しい物を買いなさい』と五千円を貰った。
母さんが『ちゃんと貯金しててあげる』と言われたけど、欲しい本があるから三千円だけ貯金することにした。
父さんの方のおじいちゃん達からは、前から欲しかった天体望遠鏡を貰った。
何でか父さんも嬉しがって『今度の休みに見に行こう』とはしゃいでた。
もちろん僕も早く見てみたかったから、次の休みの日が楽しみでしょうがなかった。
「これはお父さんとお母さんからだよ」
と、綺麗な包装紙で包まれた、少し大きな箱をくれた。
中身がすごく気になったけど、母さんの後ろで落ち着きのない妹に目が行った。
妹の手には小さいけど、可愛くラッピングされた袋が握られている。
「ゆめは何をくれるのかなぁ?」
「え、えーとね……にいちゃ、誕生日おめでと!」
ちょっと照れながらその袋をくれた。
開けようとした時、もじもじしながら僕の服を掴んで来た。
211 :
シュガー:2007/07/05(木) 17:54:30 O
「あのね、ゆめお金持って無いからね、幼稚園で作ったの」
「そっか、ゆめが作ってくれたのか」
「うん……でもにいちゃのいらない物かもしれないの」
少し泣きそうになりながら、僕の服をぎゅっと握って我慢しているのが分かった。
たまに生意気だけど、こういう妹は可愛いと思った。
「そんなこと無いよ、ゆめが作ったんだから嬉しいよ? 開けてもいい?」
「うん……」
結んでいるリボンを取ってみると、ビーズで出来たネックレスが入っていた。
「おー可愛いじゃん。ありがとうね。今から着けてもいい?」
「……ほんと? にいちゃ嬉しいの?」
「うん、嬉しいよ。せっかくだから、ゆめに着けて貰おうかな」
「うん、いいよ!」
ネックレスを渡してしゃがむと、首にかけてくれた。
「……似合うかな?」
照れくさかったけど、後ろに立っていた二人に聞いてみた。
母さんはにこにこしながら、父さんは羨しそうに見ていた。
「えぇ、凄く似合ってるよ。ね? お父さん」
「俺も欲しいな〜。ゆめはパパにも作ってくれる?」
父さんは何でか断られて、ちょっと寂しそうにしていた。
212 :
シュガー:2007/07/05(木) 17:56:18 O
「ゆめ、ありがとうな。大事にするよ」
「うん、よかった〜」
妹の頭を撫でてあげて、父さん達からのプレゼントを開けた。
「新しい靴だ、ありがとう!」
従兄弟のお兄さんが履いていた靴が格好よくて、欲しいとせがんだ事を覚えてくれてたんだ。
「にいちゃよかったね!」
妹は凄く嬉しそうで、笑顔のまま僕を見ている。
……その時だった。
『お前らも呪ってやる』
確かにそう聞こえた。と思った時には、何も聞こえなくなっていた。
時計の針の音も、開いていた窓から聞こえる鈴虫の鳴き声も。
「……?」
ゆめの笑い声も、父さんと母さんの話し声も、自分の声すら聞こえない。
(あれ、みんななんで動かないんだ?)
父さんと母さんは口を開けたまま固まっている。
ゆめは笑顔で僕を見ながら少しも動かない。
(え、何なんだ? うわっ!?)
開いている窓の外、人が逆さまになってこっちを見ている。
マンションの上の階に住んでいる大学生だ。
(さっきの声、確かこの人の声に似てた……)
凄く怖い顔で僕たちを見ている逆さまの人。気持ち悪いからカーテンを閉めようとした。
213 :
シュガー:2007/07/05(木) 17:57:18 O
(あれ、動かないぞ? 窓もだ……どうなってるの?)
妹も父さんも母さんも、押してもひっぱっても電信柱みたいにびくともしない。
と言うか、凄く堅い。僕以外の物全部が、鉄みたいに堅くなって動かなくなっていた。
それとまだ不思議な事がある。いろんな物がそのままだった。
落ちてる途中の逆さまの人、風に吹かれて広がろうとしたままのカーテン。
舞い上がった葉っぱも、いつまで経っても落ちてこないし、鏡の前に立っても僕は映らない。
(まるで時間が止まったみたい……でもなんで僕は動けるんだ?)
考えてると凄く怖くなって来た。父さんも母さんも妹のゆめも動かない。
今日は僕の誕生日だって言うのに、なんでこんな事になったのか分からなかった。
訳も分からないままただ泣いた。リビングにいると逆さまの人が怖かったから、キッチンの隅で座って泣いた。
「…………」
気がついたら眠ってたみたいだ。相変わらず声は出ないし何も聞こえない。
思いっきり泣いたらちょっと吹っ切れた。いきなり止まったんだから、みんな突然動き出すかもしれない。
214 :
シュガー:2007/07/05(木) 17:58:49 O
「……! ……、……!?」
ちくしょう! なんで、何で動かないんだ! と、叫んでも声は出なかった。
ただ喉が痛くなって、疲れただけだった。
待とうと思って多分四日くらい経っていた。未だに逆さまの人がこっちを見ている。
(もう怖くも何とも無い、見慣れちゃったよ)
みんな止まってからはおなかも空かないし、トイレに行きたいとも思わなかった。
食べ物も鉄みたいに堅くて動かないから、餓死しちゃうんじゃないかと思ったけど、それはないみたいだ。
(あ、外には動ける人がいるかもしれない)
僕の家はマンションの三階にある。飛び下りたら死んじゃうかもしれない。
玄関はもう壁と同じで開かないから、窓を開けてたベランダからしか出られない。
(この隙間を通れないかな……)
ベランダにある仕切りの下に少しだけ隙間が開いている。
火事になった時に突き破って隣りの家に逃げるあの仕切りだ。
今は鋼鉄みたいに堅くて突き破る事は出来ない。
(な、なんとか行けそう……っふぅ)
一枚目を抜けて隣りの家のベランダに出た。
非常階段に一番近いベランダまで、後四枚潜らなきゃいけない。
215 :
シュガー:2007/07/05(木) 18:00:41 O
最後の仕切りを潜って、一つ分かった事があった。
(いって〜……)
みんな止まってるけど、僕は針金にひっかかれば怪我はするし、血も出るという事だ。
着ていた服も破れたから、少なくても僕が身に着けてる物は動くみたいだ。
(結構遠いな……ジャンプしても届くか分かんないな)
非常階段に行けないとなると、外に出られない。
下には花壇があるけど、今は道路みたいに堅いだろうから、漫画みたいには助からない。
(あっ、このパイプに伝って行けば、降りれるかな)
ベランダの隅っこの雨水とかを流すパイプなら、一階まで続いてるはずだ。
(でもベランダの内側にあるし、上手くいかなかったら落ちるよな)
でも、それ以外の方法が見つからない。怖いと思う心と戦う事一時間くらい。
(よ、よし!)
ベランダに手を掛けてぶら下がる。足で二階のベランダのパイプを探す。
(んぁっ! あ、あったけど手が……)
右手で柵を持って、左手をパイプに移そうとしたけど、ギリギリで届かない。
片手だけで体を支えるのはかなりきつい。もうそんなに保ちそうもなかった。
(足はちゃんと掴めてる……こうなったら)
216 :
シュガー:2007/07/05(木) 18:02:45 O
一か八か、両手を放して足で体を引き寄せることにした。
すぐに抱き付けば落ちる事はないし、ベランダの柵にお尻をぶつけなくて済む。
(いち、にの……さんっ!)
ふわっと浮いたような感じがした。目の前の壁が急に消えて、二階のベランダが見えた。
足を目一杯パイプに絡ませる。ちょっとだけ落ちる体を支えられた。
(今だっ!)
ぐっと体をパイプに引き寄せる。そのままパイプに抱きついて二階に降りた。
少し間に合わなかったみたいでお尻を打ったけど、ただ痛いだけみたいだ。
(あとはぶら下がって落ちれば出られるな)
ちょっとだけベランダに座る。今ので手が疲れてぶら下がる力が出ない。
(誕生日が晴れで良かった……)
星が綺麗に光っている。動けるなら天体望遠鏡を覗き込んでたのに。
と言うか、雨が降ってたらどうなるんだろう?
雨も空中で止まって堅くなるのかな、だとすると外に出られなかったな。
(ますます晴れで良かったよ……よし、行こう!)
気合いをいれてベランダにぶら下がる。それでも地面まで結構あった。
足の裏に力が籠る。一回だけ深呼吸をして、柵から手を放した。
217 :
シュガー:2007/07/05(木) 18:04:05 O
「……〜!」
足から頭の先まで電気が通ったみたいにビリビリと来た。
しばらくその場に座って痛みがひくのを待った。
(家に帰れなくなったなぁ)
三階のベランダ、人が逆さまになって浮いている丁度その前の部屋。
そこから漏れる明りを見ていたら、少し泣きたくなった。
(待ってても元には戻りそうにないから、行かなきゃ)
僕は動ける。外にも出た。よく分からないけど、止まってしまった世界を元に戻さないと。
流れても止まらない涙を拭って中庭の出口を目指した。
[第一話 終わらない誕生日 完]
218 :
シュガー:2007/07/05(木) 18:13:09 O
あ、プレゼントの靴を履く描写書き忘れた方を投下してる……orz
>>212の
>従兄弟のお兄さんが履いていた靴が格好よくて、欲しいとせがんだ事を覚えてくれてたんだ。
の後に
履いてみると少し大きかった。すぐに大きくなるからと、大きめの靴にしたらしい。
を脳内で付け足してもらえると助かりますorz
それと誤字脱字はご愛嬌、脳内補完よろしくです
じゃあ二話書いてまた来ます
219 :
('A`):2007/07/05(木) 20:43:39 0
>シュガー
おぉ!おまえの新作待ってたぞ!
最初がすげぇ微笑ましい描写なだけに
逆さまの奴が〜っていう表現がめちゃくちゃ
鳥肌たった・・・下手なホラーより怖い・・・
そして感の良い俺はなぜ時間が止まったか
わかったかもしれないぞ!笑
続きに期待!てかもう書いてよね!
220 :
かつを:2007/07/06(金) 00:07:01 0
ヤバイ、シュガーの物語設定にワクワクが止まらんw
ところで、パラレルワールドは一旦凍結するのか?
221 :
かつを:2007/07/06(金) 00:09:15 0
ふらじゃいる その8
しまったなあ。……お兄ちゃん、心配しているだろうな。
真琴は夕陽に顔を赤く染めながら、男子と並んで歩く。男子の誘いから抜
け出る機会、それと体力が無く、家路に着く頃にはすっかり夕方だった。
「帰る方向も同じだし。一緒に帰ろう」
嬉々とした表情で言う男子に対して、真琴はうつむき加減で口を締めた。
土手の坂道を身体に鞭打って上っていく。
重たい足取りを、真琴は引きずるような感覚で歩いた。風邪をひいてしまっ
たのだ。
最近、兄の建夫を見る度に、体が熱くなったり鼓動が激しくなったりとヘン
なのだ。それがしばらく続き、体調を崩してしまった。
建夫に心配をかけまいと、頑なに毅然と振舞う打ちに、悪化させてしまった
のだった。
真琴の顔が赤いのは、夕陽のためだけではない。
坂を上るのさえ辛く感じた。
「これは間違いなく本気でイケる」
男子はそんな事を思いながら、真琴と並んで川原沿いの土手を上っていく。
先程の真琴の仕草。恥ずかしそうにして俯いた仕草は、照れ隠しだろう。
恐らく脈は有る。
西日が水面に輝いて、シチュエーションにも問題は無い。
「あ、あの、真琴ちゃん」
呼びかけながら、男子は真琴の方を向いた。
真琴は坂道の途中で、立ち止まったまま動かない。
男子は怪訝に思い、真琴の袖を少しだけ掴んで引いた。真琴は力なくそれ
に応えて、男子に体を傾けた。彼は咄嗟にその体を支えた。
真琴の小さな顔が、男子の目の前だ。かなり近い距離で、体温を感じる。
半分だけ開かれた彼女の瞳は濡れっぽくて、睫毛越しに男子を見ていた。
「いけッ、今いけッ!」
そして男子は、真琴の双肩をしっかりと掴み。押し倒すように唇をよせて
いった。背景の夕陽が、重なり合おうとするシルエットを克明に映す。
ふいに真琴の体から力が抜け。
「完全にイクッ!」
男子の唇は俄然勢いに乗って――。
222 :
かつを:2007/07/06(金) 00:09:59 0
「こんのォ、クソガキがーッ!!」
土手の下方に真琴と男子の姿を視認するなり、建夫は絶叫した。今にも接
吻を交わそうかという状況だったのだ。建夫はなりふり構わずスイッチを押
して時間を止めた。
そして、下り坂をノンブレーキで駆け下りた。7秒分の距離を一気に詰め
て、そのまま男子に激突した。男子の体は少しだけ、土手の方へずれた。
「オラオラオラオラ」
神様が男子に追い討ちをかける。よっぽど気に食わなかったのだろう。
その間、建夫は、真琴の肩を抑え込む指の一本一本を丁寧にはがしていっ
た。そして、25秒が経った頃。建夫は、押し倒されそうな真琴の体勢を直して
やるのだ。
気づくと、修平は土手を転がり落ちていた。
やがて、川原に叩きつけられて。頬にはかつての打撃を感じた。そして、
傍らにはかつてのメモ帳と万歩計があった。
223 :
かつを:2007/07/06(金) 00:11:16 0
「……お、降りよっか私」
真琴は、建夫が漕ぐ自転車の後ろに乗っている。
「別に気にしなくていいよ」
二人乗りで、坂道を上っていく。
「いや、あの……恥ずかしい」
強烈な西日に当てられて。また坂道での二人乗りであるから、建夫は汗を
噴き出す。息も上がり、心臓が胸を締め付けた。
それでも、建夫は地面に足をつけようとせず。半ば意固地になって二人乗
りを続けた。
体力はあまり残されていないが、坂道はもう終わる。それに、メモ帳と万
歩計分軽くなっている。問題は無い。
「なあ、あれで良かったのか?
坂道の終わりに差し掛かった頃、建夫は一連の出来事を思い返していた。
同時に懸念、あるいは雑念が顔を出す。
本当にこれで良かったのか。メモ帳……。万歩計……。グフフ、真琴ちゃん
グフフ。今すぐ時間を――。
神様がそれに便乗するかのように、建夫を煽る。「時間を止めてしまえ」
と耳元で囁く。
坂が終わり赤信号で立ち止まると、軽くなった胸に再び、やましい思考が
芽生え始めた。
しかし、真琴はそんな事など知らず「へへへ」と上機嫌に笑って、言った。
「お兄ちゃんがいる間は、そんなのできそうにないよ」
不意に、建夫は背中に重みを感じた。さらさらした質感が伝わり、次いで
女の子のにおいが。そして、真琴の体温を感じた。
真琴が頭を、身体を、建夫の背中にもたれかけたのだ。
224 :
かつを:2007/07/06(金) 00:13:42 0
建夫はその時、全てを悟った気がした。五里霧が一息に晴れ渡ったような
感覚。それと同時に、自分の煩悩を一切許せない正義感と罪悪感が身体を貫
いた。
時間を止めた隙に欲情させる――あながち間違った案ではなかったのだ。
しかし真琴に、それに応えるだけの経験もしくは体験が無かったのだ。つ
まり、受けた刺激を性欲へと喚起させるには幼すぎたのだ。恐らく、単純な
慕情のみに換えていたのだ。
真琴の行動、温もりを感じてそう思った。
そして、建夫は今までの自分の行動に吐き気がした。無垢な正直さを欺い
て、延々と卑怯にも。あまつさえ第三者(神様)にさえも真琴の体を許して
いたのだ。
「時間を止めろ!」
神様の叫びと同時に、建夫は時間を止めた。
そして、真琴にかぶりつく神様を引き剥がし。道端に落ちていた拳大の石
で、実体化している神様の脳天を打った。
「へべれけ! へべれけ!」
と神様は言った。
恐らく、神様は建夫を許さないだろう。和解など二度と出来ない。もしも
時間を止めれば、実体化した神様に建夫は殺されてしまう。
だがそれでいい。時間は二度と止めない。
そんな考えと、自戒をこめて、神様へ一撃だ。
信号が変わり、建夫は自転車を進める。いつになく清々しい気持ちで我が
家へ向かう。時間を止めないで過ごす゛これから゛を考えたりしながら。
ちなみに、真琴は高熱でダウンしている。意識がほとんど無いので、建夫に
もたれかかっているのだ。建夫の気持ちなど露も知らない。
糸冬
225 :
かつを:2007/07/06(金) 00:16:31 0
結というか締め方というか収束のさせ方というか
まとめ方があまりにも童貞臭いが、まあそれは仕方がない
これで一区切りついたことだし、とりあえず他の作者さんがんがれー
プロットをPCにでも打ち込めば、ささっと作れるんだろうけど
そうすると何故か完結出来ない屑っこシュガーですどうも
メダパニとバーサクかかってるから、SS書くの少し休憩しに来ますた
>>219 すいません、メダパニとバーサク解けたらすぐ書きますごめんなさい
フフフ
>>かつを
ふらいじゃる完結お疲れ様です
メダパニとバーサク解けたら読ませてもらいますです
実はパラレルワールドは一章の後半から暴走しだして、二章ですでにプロット無視で話を書いてる状態です
なので、話を思い付かないと書けないんス……orz
終わりは決めてるんですが、途中のプロットは頭の中から消えちゃったし
書いた物の修正に時間かかるしでなかなか進まないのが現状です……orz
不定期でも不安定でも、完結はさせるつもりです
途中に投下する別のSSも含めて、皆さんよろしくお願いしますです、はい('A`)
物凄いへりくだりようだなw>シュガー
とりあえずマイペースでがんがれ
228 :
('A`):2007/07/06(金) 06:06:24 O
シュガーの日記カオスだなw
229 :
('A`):2007/07/06(金) 12:46:59 O
人いなくなったなぁ
230 :
('A`):2007/07/06(金) 12:54:17 O
確かに…。
まあ、いいんじゃないか
のんのんといこうぜ
232 :
('A`):2007/07/06(金) 14:31:15 0
ぽ
233 :
('A`):2007/07/07(土) 10:39:07 O
俺のかつを
おつ〜!最後になんでこの作品をかいたのかわかった気がする。
そして続編に期待!
シュガー
はやく書け
234 :
('A`):2007/07/07(土) 17:03:59 O
今日って七夕なんだよなー
時間が経つのは早いもんだ
235 :
('A`):2007/07/07(土) 17:17:59 O
俺の巡回してるスレが4つ並んでてワロタ
てか七夕かよー
七夕祭りからもう一年か。早いな
最近見なくなった作者多いけど、みんな元気でやってるといいな
239 :
('A`):2007/07/07(土) 22:51:49 0
筒井康隆のお助けみたいな止まり方はイヤだな
240 :
('A`):2007/07/08(日) 21:41:50 O
上がれ
241 :
('A`):2007/07/08(日) 23:21:07 O
砂糖続きマダー?
242 :
('A`):2007/07/08(日) 23:43:36 0
>かつを
へべれけ!へべれけ!
243 :
('A`):2007/07/09(月) 19:52:27 0
規制解除来た!
244 :
('A`):2007/07/10(火) 06:02:51 O
へべれけ
245 :
('A`):2007/07/10(火) 12:33:36 0
試験でカンニング
246 :
('A`):2007/07/10(火) 18:31:32 0
もちろん時間とめたよな?
247 :
('A`):2007/07/10(火) 23:59:14 0
静かだったし、試験官もこっち向いたまま止まっていたから多分時間は止まってた
248 :
('A`):2007/07/11(水) 07:58:27 O
あからさまなカンニングに監視もポカーンww
249 :
('A`):2007/07/11(水) 19:49:57 0
神様「あなたは時間を止めるときになんと言いますか?」
俺「ウルトラソウル!」
神様「はぁい!!」
250 :
('A`):2007/07/12(木) 16:40:26 O
それでも俺は保守
ならば僕も
252 :
('A`):2007/07/13(金) 09:47:01 0
もは
253 :
ニー太:2007/07/13(金) 21:08:29 O
保守を兼ねてチラ裏
普段は面倒臭いと思うのに試験期間ほどSSが書きたくなるのは何故でしょう…。
試験期間終わったらきっと書きます。
254 :
('A`):2007/07/14(土) 08:16:30 O
うほ!ニータちゅわん!
マッテタゼ!
俺もそろそろネタ出しも良い頃合いだし書くかな
255 :
('A`):2007/07/14(土) 08:51:59 0
前ここに張られてたサムネイルがバーっとでるエロ画像サイトのURL
わかる人います?
256 :
('A`):2007/07/14(土) 10:11:08 O
雨ダリイ
サボリすぎたから今日も行かないとダメ…
257 :
('A`):2007/07/14(土) 15:19:13 0
258 :
('A`):2007/07/15(日) 18:31:34 O
PSP液晶割れて鬱
なんで確認しないで座っちまったんだよおぉぉぉ
260 :
('A`):2007/07/16(月) 17:47:24 O
馬鹿……
261 :
('A`):2007/07/16(月) 20:56:12 0
262 :
('A`):2007/07/16(月) 23:21:10 0
東京また揺れたな
新潟また地震あったみたいだね
北海道とか関東も地震あったみたいだね
地震あった所の住民は大丈夫だろうか
東京は大丈夫っす
265 :
('A`):2007/07/17(火) 11:06:07 O
もは
関西は全然揺れんね
それよりも、話書こうとすると
どうにも中盤が省略されてしまうな
267 :
('A`):2007/07/18(水) 05:50:46 0
あーそれわかるw
どうしても最初と最後に偏るからなw
もは
269 :
('A`):2007/07/19(木) 11:17:36 O
まさか昨日の俺に挨拶するとは
もは
270 :
シュガー:2007/07/19(木) 18:22:58 O
遅くなりましたが、続きを投下します
271 :
シュガー:2007/07/19(木) 18:23:33 O
僕がマンションから脱出して、多分十四年は経った。
世界は相変わらず止まったままで、動いている物はまだ一つも見つけられない。
僕はと言うと、しっかりと時間が進んでいた。
身長も髪も爪も、どんどん成長してる。鏡にも水溜まりにも映らないから、詳しくはわかんないけど。
(時間が戻ったら、みんな僕だって分からないかも……)
そう言えば、変わった事がある。たまにお腹がすいた感じになる。
けれど少し時間が経つと、すぐにお腹がいっぱいになった気にもなる。
と言うより、知らない所で何か食べているような気がした。
寝てる間かと思ったけど、そうじゃない気もした。起きててもお腹がいっぱいになる気がしたから。
(まぁ少し変な感じだったけど、別に困る事はないし、いいか)
次は何処に行こうか、それを考える方が難しい。
もう海の上で迷うのは勘弁だし、着いた島が断崖絶壁に囲まれてるのは嫌だ。
(取りあえず大陸を目指せば人がいるだろうからな、動ける人がいるかもしれない)
変な顔をした石像が並んでる島から、太陽の方向を目指して再び海の上へ出た。
[僕の一生、十年と一瞬 第二話 終わる誕生日]
272 :
シュガー:2007/07/19(木) 18:24:16 O
島を出てひたすら海の上を歩く。見渡す限り海しかない。
最初はぐるぐると同じ場所を回ったりしたけど、慣れたらある程度真っ直ぐ進めるようになった気がする。
(本当なら今ごろは、会社とかに入って働いてるんだろうなぁ)
体内時計とか言う物でしか分からないけど、僕の体はもう二十四歳位だ。
時間が戻っても、僕の頭も心も十歳のまま。なんか凄く不安だ。
何度か戻らなくてもいいんじゃないかとも考えた。でも、そんな訳にもいかない気がした。
(あ、陸地が見えたぞ! 大体六ヵ月か、今回はなかなか早かったなぁ)
遠くに見える陸地まで、あと二日位だ。
爪先を破って指が出ている靴を脱いで枕にして、今日は寝る事にした。
(汚れて無いのに、破れたりして服もボロボロだなぁ……)
服も靴も小さくて、所々破ったりして無理矢理着ている。
ホームレスでももう少しちゃんとした服を着てると思う。
(時間が動き出したら……まずは服を、買お、う……)
そんな事をかんがえながら、今いる世界から、元通りになっている夢の中に潜っていった。
273 :
シュガー:2007/07/19(木) 18:25:15 O
見えていた陸地は大陸だったけど、やっぱり動いている人はいなかった。
あれから何十年もかけて、大陸は全部行った。
けれど、僕は一人ぼっちだった。元の世界に戻す方法も、動いている人も見つけられなかった。
(もう、辞めてもいいよね……)
手にはシワが沢山刻まれて、抜け落ちる髪も白が多い。
そんな弱音を吐いたのは、僕が生まれたちっぽけな島国。
元に戻る事が出来ないなら、最後に皆の顔が見たくなった。
僕がこのマンションを出て七十五年以上経った。
僕が住んでいた部屋のベランダの少し先、逆さまの人はあの時のまま止まっている。
狂った時間が刻んだ歳でボロボロになった身体で、必死にマンションをよじ登る。
(あぁ……母さん、父さん……ゆめ)
何一つ変わって無かった。それを見て、なんでか涙が止まらなかった。
「…………」
出ないと分かっていても、喉を震わせて、口を動かして、声を出した。
誰にも届かないけど、僕にすら届かないけど。
何十年も離れていたけど、僕はまた帰って来たから。
『ただいま』
これが僕の一生、十年と、永遠に続くように思った一瞬。
274 :
シュガー:2007/07/19(木) 18:26:09 O
「なんで笑ってんだぁぁぁ!!」
窓の外でおっきな声が聞こえた。私はびっくりして、にいちゃにしがみつこうとした。
『ただいま』
「……にいちゃ? あれ? ママ、にいちゃがいないよ?」
私の前には、ボロボロの服を着たおじいちゃんが寝てた。
ママがおっきな声を出して、私を急いで抱き上げた。
パパはおじいちゃんに声をかけながら、警察に電話してとママに言っていた。
ママは泣いていた。電話しながら、にいちゃの名前を何度も読んでいた。
パパも寝ているおじいちゃんの首からネックレスを外しながら泣いていた。
私にはよくわかんない。そのおじいちゃんが、にいちゃにあげたネックレスをしてて、余計分かんなくなった。
「ママ、にいちゃは何処に行ったの? なんで泣いてるの?」
何も言わないパパとママ。なんで泣いてるのかも教えてくれない。
にいちゃを探そうとベランダに出ると、遠くから救急車とパトカーの音が聞こえてきた。
[僕の一生、十年と一瞬 完 ]
275 :
シュガー:2007/07/19(木) 18:28:13 O
これで終わりです
最後のは無くて良かった気もする……orz
と言うより、なんかはしょり過ぎたかも……orz
gdgdするよりはいいと思ったけど、やり過ぎたかもな('A`)
では、また新しいのが出来たら来ます
276 :
('A`):2007/07/19(木) 18:47:49 O
.ヘ⌒ヽフ
( ・ω・) 適当な文章を書いてうpし採点してもらうスレ から来ますた!(`・ω・´)
/ ~つと)
>>271-274 【3点】
277 :
('A`):2007/07/19(木) 20:23:42 0
>シュガー
俺が2ちゃんで最近一番ワクテカしてた作品だっただけに
面白いけどあっけなく終ってしまって悲しい。
もっとgdgdしてほしかった。
そしてちょっと聞きたい。
逆 さ ま の 奴 は な に も の だ
278 :
シュガー:2007/07/19(木) 20:28:07 O
物凄いはしょったので、描写不足過ぎて分からない部分が多くなったと思うんで補足と説明します
主人公は、誕生日の日に飛び下り自殺の人に呪われて死にました。
でも、寿命が余ってたので、死後の世界に行くことが出来ず、時間の止まった世界で寿命を消費する事になります
そこで主人公は死んでいるけど、生きている、通常の時間と止まっている時間が混ざり合った曖昧な存在になります
通常の時間の流れでは死んでいるので、お供え物などでお腹が空かないし、トイレも必要ありません
主人公の死後、途中からお腹が空くようになったのは、お供え物と主人公の成長が合わなくなって来たから
身体が成長したのは、寿命を消費するためと、消費していると主人公が理解するため
主人公が完全に死者になる瞬間に、『ただいま』と最後の言葉を残しました
飛び下りをした人と同じように、強い意思をもった言葉だったので、両親はたまたまそれを聞けました
そのおかげで、急に現れた老人が主人公だと理解しました
妹はまだ死を理解出来るほど成長してなかったので、分からないままと言う事です
ちゃんと描写してれば2レス分は書けたなorz
分からない事があれば答えます
279 :
('A`):2007/07/19(木) 20:31:23 0
そんなに面白い設定だったのに
説明文として読んだのが非常に惜しい。
でも乙
主人公だけ時間止まっただけで他人は絶えず動いてたわけね。
時間が止まったのではなく主人公が止まったわけか
280 :
シュガー:2007/07/19(木) 20:34:36 O
>>277 すいません、随分と投下が遅れたので急ぎ過ぎました……orz
逆さまの人は上の階にすんでいるただの大学生です
たまたま主人公の誕生日に自殺をはかり、幸せそうだった主人公を呪い殺した
と言う事でしたorz
>>279 すいません、ちゃんと書こうと思ったんですが、これ以上時間かけるのが申し訳なくて('A`)
そうですね、そんな感じです
281 :
('A`):2007/07/19(木) 20:48:25 0
打ち切りじゃあるまいしw
282 :
('A`):2007/07/19(木) 21:01:47 0
おれだったら金を盗むために時間を止めるな
283 :
('A`):2007/07/20(金) 17:24:31 O
ちょシュガー話しはやすぎワロタ
284 :
('A`):2007/07/21(土) 06:28:21 O
もは
285 :
('A`):2007/07/21(土) 09:30:33 0
もは
286 :
('A`):2007/07/21(土) 10:28:53 0
話端折らなければよかったんだけどなぁ
287 :
('A`):2007/07/21(土) 11:10:10 0
シュガーは才能あるけどいかんせん性格が作家向きじゃないなw
>>287 そういうのを才能がないって言うのかもなw
話は、面白いんだけどなぁ……
289 :
('A`):2007/07/22(日) 02:02:04 O
真夜中の浮上
290 :
('A`):2007/07/22(日) 02:03:33 0
センスがあって才能が無い、か。
291 :
('A`):2007/07/22(日) 02:04:37 O
シュガーは後ろ向きだからな
292 :
('A`):2007/07/22(日) 22:29:48 O
テラボイス
293 :
('A`):2007/07/23(月) 09:22:41 O
もは
294 :
('A`):2007/07/24(火) 00:08:41 O
真竜拳
295 :
かつを:2007/07/24(火) 02:29:29 0
シュガーが人格障害だと聞いて飛んできます田
メダパニとバーサクもまだ治ってないんかね…、とにかくがんがれ
SSだけども、それを中略するなんてとんでもない!
とんでもなくおもしろそうな設定だったので、
消化するまではいくらでもグダグダして欲しかったよ
そんなわけで 次回作 たのむ
296 :
かつを:2007/07/24(火) 02:32:08 0
母子に死神
「やあ、こんにちは」
少女が帰宅すると、二部屋の小さな家には見知らぬ男がいた。その男はと
ても人懐こい笑顔で少女を招く。
普段、少女が帰宅する時間には誰もいない。母子だけで暮らしているこの
家に、男がいるのはいささか不思議だ。けれども、男の表情があまりにも澄
んでいたため、最初は訝しんでいた少女も、次第に男の元へと近寄っていっ
た。
「ところで、おじさんだあれ?」
「おじさんかい? 死神だよ」
愛想の良い笑顔を崩さずに、男は言った。
「シニガミ……って、なあに?」
「神様のことだよ」
「うそだあ」
男は少女の頭を撫で、部屋に一つある窓を開けた。
「本当だよ。外を見てごらん」
まるで少女を諭すように、男がそう言うと。
世界が止まっていた。人も犬も雲も空気も、目に見えるものは全て止まっ
ていた。
「す、すごい! おじさん本当に神様なの!?」
少女は、目の前に広がる光景にドキドキを隠せずにはしゃぐ。
「そうだよ。時間よ止まれ、って思うだけで止まるんだよ」
男はまた少女の頭に手を添えた。そして「やってみてごらん」少女を誘う。
それに従って、女の子はワクワクしながら願った。
「時間よ止まれ!」
すると、男が言ったように、少女がそう願うだけで時間は止まった。少女
は、何度も何度も、熱心に世界を止めてみせた。
その度に、色々な可能性や希望が少女の目には映り。それには不平等や
不自由などはまるで無かった。
297 :
かつを:2007/07/24(火) 02:34:08 0
男は少女を見守るだけで、少女はそんな男にすっかり気を許した。
「ねえ、おじさん。どうしてこんな事をしてくれるの?」
少女の瞳には、一層の輝きがうかんでいた。興味や好奇心や希望。目の前
には、それらがぎっしり詰まった存在がいて、少女は純粋な正直さをそれに
向けた。
男はそれに、「キミに死んでもらうためだよ」と答えた。
少しだけ沈黙が訪れる間に、少女の輝きはみるみる褪せていく。
男が表情を変えずに言ったものだから、少女は最初、何を言われたのか
分からなかった。しかし、何度も反芻するうちに、褪せる輝きに変わり、重く
気味悪いものが体に纏わりついた。
体がすっかりと冷えてしまって、こぼれる涙でさえも冷たい。澄んだままの
男の表情が、少女を見ていた。
「あ、ど、どうして?」
「シニガミだからだよ。人を死なせてまわるのが、おじさんの仕事なんだ。
で、その時生じた不幸を養分にしているわけなんだけれども。
ただ単に死なせるだけじゃつまらないし、効率が悪いから゛時間を止める力゛
を貸す。すると、死ぬ人も最後に良い思いができて。反面死ぬ時の不幸が
大きくなる。するとおじさんも嬉しいわけで。……一石二鳥でしょ?」
そう言われて、女の子は何も返せなくて、家の中声をあげて泣いた。
男の言っている事なんて、突拍子も無い事だけれども。実際に、時間が止
まるなんて突拍子もない事が既に起きているわけなので。きっと、自分は死
ぬんだと少女は思い、泣いた。
泣いても、誰も助けに来てはくれない。鍵っ子だから当然なのだけれども、
やっぱり悲しくて余計に泣いた。
そして、無き果てて、知らず知らず寝入った。
「安心して。死ぬまでその力はキミに貸してあげるから」
男は少女の頭を、そっと撫でた。
298 :
かつを:2007/07/24(火) 02:37:02 0
少女が目を覚ますと、そこは病室だった。白くて小奇麗に整った部屋の真
ん中、真っ白なベッドの上に少女がいて。隅にはあの男がいた。
腕には注射がささっていて、体が重い。部屋から出ようとしてベッドから
起き上がると、目が勝手にぐらついて、まるで視点が合わない。おまけに頭
がくらくらするものだから、少女は壁に寄り添いながら歩いた。
その姿は、かなり人目についた。
それを見た看護婦が「○○さーん!」と医者を呼びながら、事務所へと向
かった。
少し遅れて駆けつけた医者達が、少女を病室に連れ戻した。
病室では、質問や検査を繰り返し受けた。
「大丈夫。もうすぐ良くなるからね」
最後に、看護婦が言ったが、少女はそれを真に受けない。男がまだ傍にい
るし、「時間よ止まれ」と願えば叶うのだ。
しかし、時間を止めても状況が変わるわけでもない。腕に、鼻に通された
管。それに繋がる大仰な装置。少女を覗き込む、中年医師の堀が刻まれた
眉間。シニガミの男。それに伴って、無力感しかやって来ない。
ベッドから窓を覗くと、曇った空が見えた。
しばらくして、母親が病室に走りこんで来た。
母親の涙で濡れながら、少女は力なく笑い泣いた。視界の端に男がいるの
が邪魔だった。
その日は、そのまま母親と過ごした。母親を独占できるのは久しぶりだった。
それでも、高揚できないのは薬の副作用のせいだ。それとも、男が少女に
憑いているせいかもしれない。
男が部屋の中を行ったり来たりしていた。しかし、母親も医者達もそれを気に
する様子はなかった。きっと見えていない。男は、憑かれている者にしか見えない
のだ。
299 :
かつを:2007/07/24(火) 02:39:45 0
翌朝、母親は仕事に出かける。ベッドにくくりつけられた物を握り、少女に
挨拶をして、病室を出た。
母親がいなくなると、男と一緒にいなければならない。少女はそれが憂鬱
だった。
「キミね。一週間も気を失っていたんだよ。それでも助かったんだから凄い
よね」
ベッドにくくりつけられた物を確かめようとすると、男が話しかけてきた。
「ところでキミさ。時間は止めないの?」
「……だって、止めても一緒だもん」
「それなら仕方がないよね。うん、仕方がない。けど、もっと嘆いてもらわ
ないと。時間を止めたりして、ああ、あれって本当はこうなんだ。これって
こんなに良いものだったんだ、と気づいて。それなのに、せっかくなのに
自分は……、って。絶望してもらわないと。
……冷められると、おじさん嬉しくないなあ」
母親がいない間、男は少女に話しかけてくる。それがわずらわしくて、少女
は首をぷいと、そっぽ向いた。
夕方頃に母親が帰ってくると、朝と同じように゛物゛を握りしめた。
少女が気になって訊ねると、それは御守りらしい。刺繍も無ければ、非常
にこぢんまりとしていて、少女が知っているお守りとは随分違う印象だった。
それは少女が生まれた時に偉い人から貰った物で、「一生に一度」大変な
時に使うと効果があるとの事で。先日、少女が倒れた時も、母親はこの御守り
を一日中握りしめていたらしい。
「だとすれば、もうその御守りに力は無いんだよ」
少女は思わず心の中で呟いた。それは今までに無かった卑屈さを持ってい
て、とても悲しかった。
ふと、視界の端の男が嬉しそうに微笑った気がした。
それがたまらなく嫌で、少女は弱気な自分を戒める事にした。
暗い事を考えてはダメだ。こういう時こそ気丈になるのだ、と。
300 :
かつを:2007/07/24(火) 02:40:57 0
続く
やはり幼女〜少女は良い
wikiほんの少しだけ更新しました
302 :
('A`):2007/07/25(水) 02:30:41 O
俺のかつをキタ!!!
いいよいいよー死神と女の子のやり取りにもうね!!
支配人も乙!
303 :
('A`):2007/07/25(水) 04:22:50 0
いや俺のかつをだな。
しかしだいぶ待たせやがって!だが面白いから許す
支配人も久しぶりだなおい
304 :
('A`):2007/07/25(水) 23:02:56 O
上げてみますか
バイオスレ復活してたんで覗いてみたら、荒れまくってて凹んでるシュガーですどうも
>>かつを
投下乙です!これまた面白いSS……その才能に嫉妬ww
メダパニもバーサクもお陰様で軽くなってきてますよ
>>支配人
wikiの更新乙です!&久しぶりです
夏だし、皆様お体に気をつけてくださいね
さて、新作か続き書いてまた来ます
シュガーも乙〜
SS待っとるぞ
それにしても、バイオスレ確かに荒れてるなあ…
あそこまでいくと、飽きるまで待つしかないよなあ
そういえば、以前このスレも荒れたっけ('A`)
307 :
('A`):2007/07/26(木) 03:50:50 O
新参だから知らないがこのスレでも荒れた事なんてあるのか
308 :
('A`):2007/07/26(木) 05:13:38 0
バイオスレは荒れてて悲しいな。
2ちゃんではこことバイオスレと虹板しかいかないし
>>307 深刻な荒れ方はないな。盛り上がり方が半端なかったから
荒らしが書き込みしてもすぐ流れちゃってた。
てか荒らしを空気化してたな。
今は過疎って逆に荒らしも来ないがw
俺が起きたぞ。挨拶は?
荒れ方がちょっと違った。
住人が多かったから意見のスレチガイで荒れたって感じ。
ネトラジに雑談にいろいろあったからな。
笑えた荒れ方は「くのいちハァハァ」
作者読者を大切にし過ぎたり、空気を考え過ぎると
かえって荒れやすい罠
やはり適当にダレていくのが一番よ
311 :
('A`):2007/07/26(木) 11:03:49 0
312 :
かつを:2007/07/26(木) 23:09:29 0
まあ、そういう事ですな
313 :
かつを:2007/07/26(木) 23:11:19 0
母子に死神 後
御守りも虚しく、少女の容態は悪化していくばかりだった。
医者達が頻繁に病室に来るようになった。部屋に置いてある機械類も、
少し大袈裟になった。
「もう、そろそろだね」と男が言う。「時間を止めないの? もっと希望とか
可能性とか考えたりしないのかな?」
「しないよ」
擦れ声で少女は答えながら、体を動かそうとしてみた。首はまわる。指先
も動く。けれども、体は起こせない。それに喋るのも辛くて、なるほど、死期
が近いみたいだ。と幼いなりに体の変化をそう捉えた。
母親も、外出帰宅の時間、少女への接し方は変わらないものの。雰囲気
や印象は少しづつ変わっていく。
そんな風に変化していく周囲、もしくは自身は、死ぬ事への準備なのだ。
医者達の対応も、男の言葉も、母親の雰囲気も、少女の考え方も。
三日後、少女は倒れた。平日の昼間だったため、母親はその場にいなかった。
男だけが、その様子を逐一見ていた。
「よくもった方だ」
少し遅れて、医者達が病室に駆けつけると、少女を搬送用のベッドに移し
替えて、治療室へと向かった。看護婦達は治療の準備や、あるいは母親への
連絡に走り。いつかの御守りは、病室にぽつり、取り残された。
母親は連絡を受けて、職場を抜け、病院へと向かった。
314 :
かつを:2007/07/26(木) 23:12:50 0
雲が空を灰色に固めていた。薄暗く殺伐とした路を母親は急ぐ。嫌な予感を
払拭するように走った。
平日の人気の無い町は、一層気味が悪かった。胸をかすめる嫌な予感が
強くなり、病院に差し掛かった辺りで、ぽつりと雨が降り始めた。
病院に駆け込み、真っ直ぐ治療室へと階段を駆け上がる。冷えた空間に母親の
足音が鋭利に響く頃、雷が空を打ち破いた。
治療室の扉を開くと、電子音が弱弱しく不規則に刻まれていた。降り注ぐ雨や
雷鳴が嘘みたいに、その場では脆弱な電子音が全てだった。
医者達は、母親を一瞥した後、再び各々の作業に戻る。しかし、その動きに
鋭気は無く、電子音が途切れるのを待つばかりだった。一通りの処置を施しても
なお、少女の容態は変わらないのだ。
予想できた事ではあるが、母親は半ば動転してしまい。苦し紛れに動くばかりの
医者達をかきわけて、少女の元に駆け寄った。
そして、とにかく少女を抱きしめた。何をすればいいのか分からなかった。
少女の静かで細い呼吸と、母親の荒く混乱した息が、歪に重なった。
そこで少女は目を覚ました。
315 :
かつを:2007/07/26(木) 23:14:40 0
触れた事のある安らぎを感じた。――しかし、小さくはない違和感に戸惑い
さえ覚え、少女が目を覚ますと。母親が自分を抱いていた。
「あ、……おかあさん」
少女が呟くと、母親は少しだけ涙を溜めた。
急に周りの医者達は騒がしくなり、偉そうな医者がそこら中に指示を飛ばし
始めた。
しかし、母も少女も、逃れられない死を感じていたために、周りの事など
目に入らなかった。
自分を抱く母親の手が、見守る表情が、かつてよりも疲れていた。こけた
頬に、増えた白髪。この幾日かの変化に、少女は今更気づいた。過労と
心労で、体が痛んでいる。相当な無理をしているに違いなかった。
だとすれば、自分がいなくなることで、母親は楽になれる。金銭面でも
体力面でも精神面でも、随分な余裕が得られる。自由になれるはずだ。
それなら、少女は死ぬ事に、もう悔いは残らなかった。
少女の四肢はもう動かない。それでも、口元は少し動く。やっとのことで、
自分の考えを母親にかいつまみ伝えると、母親は涙を流した。
少女はふと時間停止の事を思い出して、最後にもう少しだけ母親を見て
おきたい、と考えた。時間を止めたところで、所詮ただの独りよがりなのだけ
れども。
「時間よ止まれ」と強く願った。
そして、母親に近づこうとした。――母親の流す涙が、床にぽつんと落ちた。
周りの大人たちの騒々しさが消えない。時間が止まっていない。
気がつくと四肢が軽くなっていた。動かそうと思えば、かろうじて動く。
いつの間にか、母親の手にはあの御守りが握られていて、
「ご利益……あったね」
少女はそれを見て少し笑った。すると、心までも軽くなったような気がした。
もうすでに少女の目には、男の姿は無かった。男が言っていた事を思い出す。
「――おじさんはカミサマだよ」
ひょっとすると、男は本当に神様で。自分に、辛い事や悲しい事を乗り越
えるための試練を与えてくれたのかもしれない。
そんな事を考えて、温もりに包まれながら、少女は眠りについた。
少女は死なずに済んだ。
316 :
かつを:2007/07/26(木) 23:16:25 0
――その時の事。治療室に入るなり、母親は少女の死を悟った。治療室の
重苦しい雰囲気、今にも途切れそうな電子音。そして、何よりも死のにおいが
鼻をついたのだ。思考を固めてしまうくらい強烈に。
それでも、母親はやってくる死を認められず、少女の体を抱え、その名前を
何度も呼んだ。
すると、悲哀に充ちたその呼びかけに、少女は応じた。そして、治療室は
再び、少女の救命へと走り出したのだった。
しかし相変わらず、死のにおいは充満しており、少女に先が無い事は変わり
なかった。しかし、諦めなどつかず、抱きしめる腕に力がこもった。
すると、少女は腕の中で、遺言に似た台詞を放った。悲しみや嘆きのまるで
無い、澄き通った声だった。
屈託の無い少女の決意に、ついに母親は折れて、少女の死を受け入れる事を
決心し。涙が床に落ちた。
゛不幸などまるで無い゛死。のはずだった。
そこで、時間が止まった。
医者や看護婦や、少女さえも動かない世界で。少女を抱く母親だけが時間を
持っていた。
あらゆるものがありのままの世界。全く動じず、毅然とした世界で、母親は
思わず自分を恥じた。
娘の考え――自身よりも、母親の事を優先する考えを、心から受け入れて
しまったのだ。
母親としてあるまじき事だった。止まった時間の中で、全てが露になる事で、
ようやくそれに気づいた自分が恨めしかった。
母親は、少女を寝台に戻した。
我が娘におんぶに抱っこだった自分を、戒める必要がある。
「何故、時間が止まっているのか?」そんな事は二の次だ。今、自分が出来る
事をするのだ。
317 :
かつを:2007/07/26(木) 23:18:16 0
母親は病室を出た。所詮、悪あがきかもしれないが、母親は少女のために
走った。
病室のベッドにくくりつけたままの御守りを、持ってくるのだ。
時間がどれくらいの間止まるのか、なんて知る由も無いが。治療室と病室を
往復する間、母親は「時間よ止まれ」と願い続けた。そして、それに応じて
時間は止まっていた。
治療室へ戻り、しばらくすると時間が動き出した。
御守りをぐっ、と少女に向けると、今まで脆弱だった電子音が力強さを取り
戻した。
「ご利益……あったね」
少女は安らかな表情でそう言い、静かに寝入った。少女は死なずに済んだ
のだ。
後は医者が何とかしてくれるだろう。御守りを握りしめながら、母親は少女の
無事を祈った。
もう大丈夫なのである。少女が助かるは間違いない事なのだ。それでもなお
止まない不安に、母親は胸をひきつらせていた。
引っかかる事がある。
一向に死のにおいが消えない事。
「時間よ止まれ」で時間を止められるようになった事。
それと――――。
母親の視界の端で、男が微笑った。
318 :
かつを:2007/07/26(木) 23:19:21 0
そんな感じで終わり
幼女だとか少女だとかは書いてて楽なんだが、
大人が書けないのは、どうも僕の思考レベルに問題があるからに違いない
そんなわけで、シュガーや他の人達のSSウェルカーム!
僕はウェルカム体勢で、SS投下を待ちまっさ
お、絵が晒されてるな
絵の事はあまり知らないが、
色使いがとても丁寧で良いね
321 :
シュガー:2007/07/27(金) 00:21:56 O
parallel worldが進まないから休憩を兼ねて参上しました
かつを投下乙です
練り困れた設定、引き込ませる描写と構成に脱帽しました
少女のこれからと母親の末路が気になって仕方ないです
>>319 思わず萌えた……今すぐでも漫画書いていただけませんか?
ワンコかわいいよワンコ
ワンコがウンコに見えてしまった・・・
ウンコじゃないもんワンコだもん!
妄想男喪ひさ('A`)ノシ
この名スレまだ残ってたのか…ちょっと感動した
記念カキコ
かつてここはな・・・SSも絵も同時に楽しめた夢のようなスレだったのじゃよ・・・
328 :
('A`):2007/07/27(金) 17:06:23 0
かつをGJ
母親に出られるとやっぱぐっとくるね。
てか絵もGJw
妄想男、久しぶりに見た
またSS持ってきてくれ
あと、FC2ホームページのファイルをマネージ出来ないんだが、
何とかしてくれ
>>326 記念だけじゃなく、これからもカキコを続けるんだ
331 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 03:27:51 O
真夜中の浮上
332 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 04:36:41 O
もし時党に清き一票を
うお、名無しがドクオじゃないな
きもちわりぃー
うおっ妄想男が居る!
335 :
('A`):2007/07/30(月) 00:39:20 O
真夜中の浮上
336 :
('A`):2007/07/30(月) 00:50:48 0
>>259 今日PSP買ったんだがなんか近々PSP2出るんだってな・・・
はぁ・・・いつもこうだよ
それってただ薄いだけじゃないの?
性能は大して変わらんと思うけど
338 :
('A`):2007/07/30(月) 05:37:20 0
読み込みとか早くなるらしいよ
後AVIが見れたり、テレビに映せるとか
結構性能良くなってる
>>336 乙
339 :
('A`):2007/07/31(火) 04:15:32 O
早朝の浮上
336
CFW入れてメモステから起動すればUMDより早くなるぜ
テレビに映すのも改造したら出来た気がする
341 :
('A`):2007/08/01(水) 04:36:06 0
342 :
('A`):2007/08/01(水) 22:42:02 O
浮上
誰かHP制作について詳しい人ヘールプミィ
まあ、このスレ関係のHPなんでおkかな、とw
それよりも
>>344は詳しいかい?
FC2なんだが、ファイルマネージャーっつう便利ツールの調子がおかしくて、
更新できないのだ
347 :
('A`):2007/08/01(水) 23:28:41 O
>>344が正論。
gdgd言わんとよそで調べろ。
349 :
('A`):2007/08/02(木) 13:50:40 0
たしかにHP関係はスレ違いだな。
もし時関係を作るのはかなり乙だが・・・
ところでブログを書こうと思うんだが詳しい人ヘールプミィ
>>349 くやしいのうwwwwwwwくやしいのうwwwwwwwwww
351 :
('A`):2007/08/02(木) 19:35:11 0
7月中に課題終らそうと思ったのに・・・
そういやくのいちはどんな話題にも必ず「時間が止められたら」というキーワードを
入れてた健気でかわいい子だったのぉ
そういえばくのいちもブログをやってましたね〜。
あとは楔も現在進行形で頑張っているみたい。
353 :
('A`):2007/08/02(木) 20:52:59 0
くのいちは俺の嫁
355 :
('A`):2007/08/03(金) 01:02:59 0
現在の職人さんはかつをとシュガーか?
昔はすごいいたんだがな
356 :
('A`):2007/08/03(金) 01:11:42 O
そろそろもし時も幕を下ろす時なのかもしれん
>>345 どうしようもないならバックアップ取って再インスコ
>>357 バックアップだとか再インスコだとか
上級用語すぎてよく分からんが、
とりあえず調べてみる、どうもアリ
>>355 妄想♂さんもこのスレに身を置いているみたいだけど、
また書いてくれるのかな。
新しい人の話にも大いに期待ですぜ
ほぁー。なんというスレ。
なんか落ち着いたら書きたくなってきたな。
360 :
ニー太:2007/08/04(土) 18:58:28 O
テストも終わったので書こうと思うんですが、何かお題頂けませんか?
何も思い浮かばなくて…。
361 :
('A`):2007/08/04(土) 22:53:50 0
>>ニー太
時間を止めるたびに身内が死んでしまう話
最初はためらうが目の前の欲求に耐えられず止めてしまう。
ちなみに家族は二人の妹と一人の姉と両親。
年齢が高い人から死んでいき年齢の分だけ秒数をとめられる。
そしてもう自我が崩壊して最後の妹も殺してレイプしようとするが
妹が時間を止めて兄である主人公死亡。
妹は兄を殺して手に入れた30秒で魔王に挑む
ってのはどうだい?
最後の一行なんだよw
久しぶりに萌えるスレが立ってるじゃないか
何年ぶりだろう。
364 :
('A`):2007/08/05(日) 02:11:40 O
萌えるスレもバイオスレもここも最高だな
365 :
ニー太:2007/08/05(日) 02:21:12 O
>>361 おお!面白そうですね。
ってそこまで考えつくのでしたら
>>361さんが書くべきですよ。
きっと面白い作品になりますって。
ニー太お疲れ様です〜。
>>363 萌えるゴミスレ懐かしいですね。前に見たのはいつだったろうか……。
確か住民の方がSS大会に参加したりしてくれましたよね。
大会2位だったっけ?
なかなかやる奴だったな>萌えスレ住人
毎日の愉しみだったんだよな…
更新頻度異常に高かったし。
終わったときはアニメの最終回に似た絶望を感じた
369 :
('A`):2007/08/06(月) 01:39:42 O
もうこの際統合しようぜ
370 :
('A`):2007/08/06(月) 10:14:11 O
まぁそれは無理だろうなw
371 :
('A`):2007/08/07(火) 13:30:00 O
浮上
人間のゴミビンゴ(1列揃えばアウト)
@│A│B
─┼─┼─
C│D│E
─┼─┼─
F│G│H
@ 無職 A 童貞 B 引きこもり
C キモ顔 D 肥満 E 毎日オナニー
F 低学歴 G 30歳以上で独身 H 貯金100万未満
2469が当てはまった
最近肥満気味だから5も当てはまるとして
ダメ人間オワタ
FGHが狙い目だなぁ
5と2を入れ替えればビンゴしやすくなると思う
スレ違いのマルチコピペに3つもレスがつく
もう語ることがほとんどないからね
378 :
('A`):2007/08/09(木) 20:23:28 O
皆もう一度SS読みたい作者とかいる?
俺はディック。
379 :
('A`):2007/08/09(木) 23:31:18 0
ボーイと喪君は読みたいかね
あとまとめの人ちゃんと更新してる・・・ご苦労様です
380 :
('A`):2007/08/10(金) 10:53:57 0
>>372 2ビンゴ!
なんか懐かしい作者の名前が並んでるな。
刹那とくのいちかな。
初代全員リレー(今思えば究極の面子)は今でもたまに読みたくなる。
381 :
('A`):2007/08/10(金) 12:29:35 0
初代リレーは神すぎた。なんという布陣
究極の面子だよねえ
くやしいのぅ
384 :
('A`):2007/08/11(土) 20:01:47 0
俺のばあちゃんのほうが可愛いな
至高はうちのシーズータソハアハア
387 :
('A`):2007/08/12(日) 03:57:40 0
388 :
('A`):2007/08/13(月) 10:46:47 O
あついー
時間止めれば絶対零度まで下がるぜ?
時間が止まるなんて事自体有り得ない事だから
零度になるかどうか怪しいもんだけれどもね
391 :
('A`):2007/08/14(火) 13:28:43 O
絶対零度になったら体積なくなって暑いとか寒いとかってレベルじゃねぇぞ
392 :
('A`):2007/08/14(火) 16:56:57 0
漫画での時間停止世界では全てが保存された状態だから大丈夫
393 :
('A`):2007/08/16(木) 02:16:40 O
あぶねぇ
ナイスです
395 :
('A`):2007/08/16(木) 23:07:36 O
さっきからかつをのSSの僕は必死に内股だという言葉でずっと笑ってる
そんな言葉いつ書いたっけかな
397 :
('A`):2007/08/18(土) 01:32:32 0
おいおい、俺の書き込みから一日以上書き込み無かったんかい
398 :
('A`):2007/08/18(土) 11:29:20 O
かつをのSSのウンコにあるよ
内股
【ぼくの二歩はきみの三歩】
「万人に平等なのは、太陽の光と時間ぐらいだ」と目の前の高校教師は生徒達に言い聞かせていた。
なるほど、と僕は思う。
太陽の光と時間。これほど、僕にとって"不平等"なものは無い。
「時間は皆に平等で、絶対だ。誰に対しても一秒は一秒。大学受験までは7ヶ月。
誰一人時間を無駄にしないことを先生は願っているぞ」
時間が有限だと仮定した場合、教師の話は正当である。
だが、もしも。
――もしも、無限とも思える時間を生きられるなら。
「起立、礼」
HRが終わる。賑やかになる教室。
僕はその光景を見て、少し楽しい気分になる。
鞄に机の中身を仕舞ったところで声を掛けられる。
「帰ろうぜ、俺の悠(ゆう)」
悠。僕の名前。悠久、悠遠の悠。
「僕は薫(かおる)のものじゃ無いよ。だからさ、抱きつかないで。男同士なのに」
薫。このクラスの男子。変な人間。
「悠は今日も可愛いねー」
抱きついて後ろからすりすりしてくる。不快指数が急上昇。
あと女子達が遠巻きに観察しているのがすごく気になる。
「とりあえず離れてくれない? 端的に言うと、気持ち悪いんだけど」
「あれ、気持ちよくない?」
「ないよ」
どういう思考回路しているんだ。
「今日はどうする? 悠」
「ごめんね、僕は用事があるんだ」
「つれないなぁ……。暇になったら電話でもメールでもしてくれよ。最優先で付き合うから」
「優先順位もっと下げてもいいよ。むしろ下げてよ」
「あーあ、悠が女の子だったらなー……じゃあね」
そんな不気味なことを呟きながら、薫は教室を去る。
さて、僕の用事をすませなくちゃ。
放課後。
今朝下駄箱に入っていた手紙に従い、行動する。
誰かに呼び出されていた。
名前も顔もまったく知らない人。
もしかしたら告白、と思った僕が甘かった。
呼び出し先が、屋上だったから。
この学校の屋上は普段閉鎖されている。
地上4階。郊外に位置するこの学校の周りには高いビルも無い。
――それゆえ、この学校の屋上は天井の無い密室となりえる。
屋上への階段を上りきる。
ドアを開けようと思ったら、取っ手が吹き飛ばされていた。
「……」
入り口の鍵が吹き飛ばされている時点で密室じゃなくなったけど。
まぁ、いいか。
重たいドアを押して屋上へ。
「……まぶしい」
容赦なく7月の日光が降り注ぐ。
それだけで僕の体がだるくなる。焼けて灰になりそうだ。
――これも作戦のうちなのかな。
「無駄なのに……」
ぽつりと、呟く。
「本当に来た」
僕の足元に人影がぬらりと立つ。
太陽の光を背にして、給水塔からこちらを見下ろしている人がいた。
「あきれた"吸血鬼"。夏の直射日光を浴びてなお、動けるなんて」
僕達の学校の指定の制服。スカートのシルエットから女子であることが分かる。
この国では珍しい、ウェーブがかった腰元まで垂れた金の髪。頭の両端をかわいらしいリボンで結っている。
年齢はどれくらいだろう。外見からだと僕と同じくか、それ以下に見えるけど。
「やぁ、こんにちわ」
トスン。
僕がしびれる右手を頑張って肩の高さぐらいまであげて挨拶すると、そこに包丁ぐらいの短剣が刺さった。
吸血鬼の僕。
吸血鬼を狩る彼女。
つまりこれは、そういう構図。
「……痛いなあ」
まったく、体もだるいのになんてことをしてくれるんだろう。
左手で短剣の柄を握る。金属製の刃が肉を擦っていく感触。
ガランと耳障りな音をたてて引き抜いた短剣がコンクリートに落ちた。
銀製の短剣なのか、再生しにくい。血が垂れていく。
「反撃の一つもないなんて。余裕のつもりかしら」
「余裕? 僕は精一杯なんだけれど」
「その程度だと、あと5秒後には灰になるわよ」
「さて、それはどうだろう」
彼女は先ほどの短剣よりも刃の長い剣を取り出すと、給水塔から急降下してきた。
明らかに人間離れした速度。
僕でさえ彼女が飛び降りてきたと分かったのは、心臓に刃が打ち込まれてからだった。
衝突の勢いでコンクリートに背中を預けることになった僕。
その上に堂々と馬乗りになり、刃で僕の心臓を貫く彼女。
「痛い? 吸血鬼さん」
「そうだね……死ぬほど……痛い、よ」
肺もやられたようで、少し喋りにくい。
剣が引き抜かれていく。何度経験しても嫌な感触。
「こんな可愛らしい吸血鬼さんを殺すのは心が痛むけど……」
そう言って彼女は血まみれの杭を手に取る。
「――死になさい」
幼い吸血鬼ハンターは、僕の胸の傷跡へとそれをうち込んだ。
少しの静寂のあと。
彼女は怪訝な顔を見せる。
僕が灰にならないことに不思議がっているのかな。
「死んだとでも思ってる?」
聞いてみる。
「!?」
彼女がばっと飛びのく。
「まぁ、普通の吸血鬼なら今ので死ぬところだけど……」
ぼくはゆっくりと立ち上がる。
「だめだめ。日の光に当てても、頭をつぶしても、心臓にトネリコの杭をうちたてても」
僕は起き上がり、何匹もの吸血鬼を殺してきただろう杭を心臓から抜き出す。
「その程度じゃ僕は殺せない」
かららんと乾いた音をたてて杭が転がる。
彼女の目が恐怖でにごる。体を細かく震わせている。
僕はいつものように、吸血鬼ハンター達を脅す文句を唱える。
「……殺してやろ――ごほっ、ごほっ」
「……」
「……」
――大事なところで思いっきり咳き込んでしまった!
「ごめん、話はまた後で。少し再生するから……。
あ、寝てる間はあまり痛めつけないでね。回復遅くなっちゃうから」
ごろんと、コンクリートに寝転がる。
もう、動けない。
「……何、この吸血鬼」
まどろむ途中で、彼女のそんな呟きが聞こえた。
――――
暗い意識の中で考える。
時間に関する、僕なりの考え方について。
時間というものは観測者と観測対象がいて初めて成立する概念だ。
歩く人間がいる。走る車がいる。
人間が後方から来る車を見る。3秒後に、車は前方にいる。
時間という概念によって、この現象は簡単に説明できる。
この観測実験を例えば夜の田舎道で行うとする。
歩く人間がいる。走る車はいない。
3秒後、自分だけが歩いている。
そこに時間という概念はほとんど存在しない。
自分と同じ時間・空間を共有する観測対象が存在するからこそ、人は時間を認識できる。
このように時間は絶対的ではなく、相対的なものとして考えることができる。
ここで似たような実験をもう一つ。
歳をとらない15歳くらいの観測者がいる。同じくらいの年齢の人間がいる。
老いていく人間を見る。70年後、その人間は死んだ。
観測者だけが生きている。
観測者はカレンダーを見る。
70年経っていた。
自分は変わらず、若い体のままだった。
愛する人は、年老いた顔で死んでいた。
観測者は悲しい顔をしながらこう考えた。
――僕には時間が流れていない。
虚ろな気分を埋めるために、僕は普通の人間と同じように生活をしてみた。
朝起きる。学校に行く。友達と遊ぶ。夜は寝る。
日の光は嫌いだったけど、何もしないで生きるよりはマシだった。
虚構だと分かっていても、時間を感じることができたから。
――――
目が覚めた。
太陽はもう落ちかけていて、西の空が黄色と赤と紫のグラデーションに染まっている。
あれから一時間くらい寝ていたのかな。
「吸血鬼って泣くのね」
僕以外の声が聞こえる。
顔を上げると、先ほどの彼女が僕の隣に座り込んでいた。
目元をぬぐってみる。確かに涙が流れていた。
夕焼け空が視界の半分を埋める。
学校の屋上から見える街は、静かなざわめきで満ちている。
「ねぇ、不老不死ってどんな気分?」
どうでもいい疑問を投げつけるような口調で、彼女は僕に尋ねる。
「あまりいいものじゃないよ」
「多くの人はそれを願ってやまないのに? なぜ?」
「孤独」僕の愛した人のことを思い出す。「自分と同じ歩幅で生きてくれる人がいないんだ」
「ふぅん……」
大して興味なさそうに、彼女は自分の剣を取り出して眺めている。しばらく無言。
「血は吸うんでしょう?」
また質問。
「昔は"貰って"いた。知らない人から吸ったことは、無いんだ」
「へぇ……。お腹、空かないの?」
「そうだね。体を維持する栄養分は食物から摂取できるんだけど。
吸血鬼の本能っていうのかな。吸血欲みたいなものは、やっぱり満たされないよ」
「……」
彼女は刀身に中指を滑らせる。
音もなく、細い指先から赤い血がにじんだ。
「飲む?」
そう言って指先を差し出す。
赤い赤い他人の血。ひどく喉が渇く。
「……いただきます」
「噛み付かないでよ」
彼女の手をとり、中指を吸う。
舌先に感じる鉄の味。
「ん……く……」
「くすぐったいわ……」
人間の血。
懐かしい味。
――甘美な、生の味。
認識した途端、心臓が跳ねた。
吸血衝動が濃くなっていく。
いくら吸っても飢えが満たされない。
足りない。
噛み付いて、生き血を貪ってしまいたい。
白い首筋に犬歯を突き立てて――
ぐいっと、口の中に指が突っ込まれる。
「ふぐっ!?」
「いつまで吸っているのかしら?」
「あ、む、むー!?」
「それとも、生まれたばかりの吸血鬼みたく、吸血衝動の自制もできないのかしら」
「んーー!?」
舌や頬の内側をかき回してくる彼女の指先。
僕は少し呼吸困難に陥る。
「それにしても、血ってそんなに美味しいかしら?」
「ぷはっ」
指が引き抜かれる。少し涙が出た。
「ご、ごめんなさい、久しぶりだったから……つい」
「本当、変な吸血鬼。血を吸っておきながらごめんなさい、だって」
笑われた。
幼さの残る綺麗な笑顔だった。
――続く
【次回予告!】
実は魔王だった薫は吸血鬼の悠を我が物にしようと襲い掛かる!
そこに現れちゃった謎のバイオレンスツインテール剣士!
「俺の邪魔を……するなぁーー!!」とバイオレンスツインテールにも襲い掛かる魔王!
通りがかりのツインテールは思いっきりとばっちりをくらうことに!
吸血鬼の悠はバイオレンスツインテールと、最近調子にのってムカついてた魔王薫をぶちのめすことにした!
次回!
ぼくの二歩はきみの三歩「魔王降臨! 泥沼のトライアングル・リレイション!」
そんな愛で世界を救うのか!?
お楽しみに!
悠「あのさ……キャラも立たぬうちにこんな事しても読者が引くだけじゃ」
薫「いいじゃない、どうせ妄想小説なんだから。あと微妙に24時間テレビを風刺しているのが笑えるよね」
悠「いや、不謹慎だから……」
ツ「えーっと……バイオレンスツインテールって……私のこと?」
悠「うん、多分」
ツ「失礼な」
悠(いや、結構的を得ているよ……)
410 :
作者:2007/08/19(日) 01:04:44 0
30秒停止とはまったく関係ないです。サーセン。
時間関係ではあると思います。サーセン。
あとエロは無いです。サーセン。
なんか謝ってばっかりでサーセン。
サーセン。
411 :
('A`):2007/08/19(日) 01:54:09 0
>>410 まずは久々にこのスレにSSが投下されたことにGJ!
そしてSSの内容だが・・・
個人的に待ってましたと言わんばかりの展開。
エロがない?俺ほどの人間になると「飲む?」の一言で
フル勃起するほどご都合脳なのだよ。
ここから死神とそれを狩るものの学園ストーリーになるのか
どんどんいろんな奴が出てきて超バトルになるのか大いに期待。
続き楽しみにしとくZE
おお、久々に投下きてるGJ!
仕事が終わったら読むぞー
HPが機能しないんで、
(臨時だけれども)まとめ掲載はちょっと待ってね
GJGJ!
ツンデレツインテールハアハア
414 :
('A`):2007/08/19(日) 21:48:15 O
ここの作者はみないいところで終わらすから嫌い(>_<)
またきまーす
415 :
('A`):2007/08/20(月) 22:33:23 0
これは久々に滾るSSだ
バトルもの期待大!バトルものはいつ以来だろう?
416 :
('A`):2007/08/21(火) 00:15:14 0
はやく続きが読みたいんじゃ
417 :
('A`):2007/08/21(火) 15:38:45 0
臨時まとめ人も乙じゃけーのぉ
418 :
('A`):2007/08/21(火) 18:19:24 0
wikiで最後に更新されてた「俺」を久々に読んだが
「ごめん」
小さく言葉を紡ぐ。
それは誰に対する謝罪の言葉だったろうか?
足元で、朽ちていくディックの死骸。
何時間も、何日間も、何年間も、ただ立ち尽くす。
この文章が妙に心にきた。
もし時はこのSSの「世界」のように滅びないでほしいな
419 :
('A`):2007/08/21(火) 23:20:36 0
このスレって愛されてるね、今も
【ぼくの二歩はきみの三歩 第2話】
――――
70年ほど前のことだ。
「ねぇ、あなた。名前は無いの?」
「名前? それって必要なの?」
「もちろん。人間はまずそれで対象を認識するの。犬や猫ならにおいで識別してるかもしれない
けれど。……それとも、犬や猫と同じ感覚であなたのこと扱っていいのかな?」
「……それは、やだな」
「うん。それじゃあ、永遠を生きる吸血鬼さんにはどんな名前がいいかな……?」
縁側に座った彼女は、しばらく考えたあと
「悠。悠久、悠遠の悠。……うん、いいと思わない?」
僕に名前をくれた。
――――
名前も知らない吸血鬼ハンターに襲われた次の日。
「悠から俺以外の匂いがする」朝のHRの前、背後からやってきた変態に不快なことを
言われる。「女の匂いだ」
「失礼な。僕は薫に匂いをつけられた覚えはないけど」
「つけ直してやろうか?」
「……どうやって?」
「……」
「うわっ、気持ち悪っ! 近い、近いって!」
あとなんか隣の席の小島さんがなんか興味津々にこちらを見ていた。
――――
今から約70年前。1930年代後半の話。
世界情勢が緊張する中、日本は軍事国家として色合いを強める。
1936年。日本は正式に大日本帝国として名乗り、軍政を拡大していく。
対向する連合国と枢軸国。
軍事産業が拡大し、様々な兵器が登場していく。ジェットエンジンを持つ航空機、
ミサイル、レーダー、コンピュータによる暗号解読、などなど。
そんな中、日本が参加する枢軸国側である薬品が試作段階に入った。
人体の生命力を飛躍的に上昇させる。
撃たれても死なない、刺されても死なない人間を作る不死の薬。
白兵戦において最強の戦士を薬品一つで作り上げる。
そんな薬品が日本に提供されたのは終戦近くの1944年。
僕は14歳だった。
人体実験の為に身寄りの無い子供や浮浪者、犯罪者が集められ、投与された。
生き残ることができたのはごく少数(僕を含む)だと聞く。
Vumpire Blood――吸血鬼の血。
それがその薬品の通称。
開発元の研究所は、僕が知った頃には連合国側の攻撃を受けて壊滅。
僕達が人体実験を施された研究所も、敗戦により撤収命令が下る。
結局、その薬品は戦争に活かされることなく闇に消えた。
そして僕は、一人になった。
――――
数学の授業中。
ポケットに入れた携帯電話がぶるぶる震える。
『遊ぼうぜ』
薫だった。
『授業を聞きなさい』
『俺、分かるからいいの。暇だから何かネタをくれ』
いや、まぁ確かに薫は数学が得意ではあるけれど。
しかたない、適当に流すか。
『それじゃ薫が小声でハァハァ悶える遊び。
なんかもう、聞く人皆が落ち着かなくなるような怪しさでお願い』
それを送信するとしばらく返事が来なかった。
怪訝に思っていると、どこからかハァハァと悶える声が聞こえてきた。
周囲の席の人も聞こえているらしく、教室が微妙に落ち着かない雰囲気に包まれていた。
もしやと思い、薫を見てみる。
「……?」
机に突っ伏している。どう見ても寝ているようにしか……。
「……ん?」
よーく見ると、背中が呼吸するよりも早く動いている。
そう、このハァハァという謎のつぶやきと同じリズムで――!
『な、なにやってんだよ変態!』
『言ってきたのは悠のほうじゃないか』
『本当にやるな、バカ!」
――――
研究所を出て、ひとりで森の中をさまよった。
人から逃げるように。誰にも合わないように。
今何時だろう。
自分はどこにいるんだろう。
何をしなければならないんだろう。
何も分からない。
ただ歩く。
体力が尽きてその場に倒れこむ。
目の前がぐるぐる回る。
高い木々が僕を見下ろしている。
木の葉の隙間から月の光が差し込んでくる。
――これが、ひとりで森の中をさまよった結果。
目を閉じるとそのまま死ぬことができそうだった。
普通の体なら。
生きることは、もうあきらめていたのに。
体は腐りもしなかった。
動かなくなった体をあきらめ、僕は夢の世界で遊ぶことにした。
そこでなら僕は好きなだけ体を動かすことができた。
空を飛ぶ事だってできた。
目を覚ますと、また退屈に空を見上げるだけだった。
僕はまた夢を見るために目を瞑る。
そうやって森の中で見た最後の夢は、一人で誰もいない世界を飛び回る夢だった。
ある日、夢の世界から帰ってくると粗末な木製の梁が目に入った。
どうやら、どこかの小屋にいるらしい。
体を動かそうにも力が入らない。
「起きたの?」
僕を覗き込むように視界の右側から女の子が入ってきた。
見た感じでは僕より年上。お姉さんみたいな感じ。
「芋のおかゆしかないけど、食べる?」
精一杯の力を振り絞って、頷いた。
僕の、愛した人との出会い。
――――
放課後。
「本当に、そのキャラで勝つ訳がわからない……」
と、隣に座った薫がつぶやく。
「弱キャラで勝つことに価値があるんだよ」
僕と薫は駅前のゲームセンターにいる。
格闘ゲーム。ここ最近の僕の趣味。
一番最初に薫とした遊び。
名前も知らないどこかの誰かと対戦台を通じて遊べる魅力。
相手に勝つ喜び。
「薫、入ってよ」
「いやだ。悠、強すぎる」
「僕、キャラランダムでいいからさ」
「俺に屈辱感を与えるつもりかい? Sだねまったく……ってほら、乱入だ」
「ん? あれれ」
画面が暗転、相手側がキャラクターを選ぶ。
「可愛そうに。悠がこのあたりの有名プレイヤーだということも知らずに……」
「勝負はやってみるまでわからないよ」
相手の選んだキャラクターは……かつをか。強キャラの部類に入る。
僕の使用キャラ、シュガー(ゲーム中最弱)でどう戦えばいいか。
頭の中で立ち回りの定石を確認していく。
「さて……お手並み拝見、と」
レバーをぐるぐる回す。対戦前の僕の癖。
「たまには負けろよ。俺そろそろ腰が痛いぞ」
「うん」
生返事を返す。意識はすでに画面へと向けられている。
「……」
「……」
「弱いなぁ……」
「うん……そうだね」
お粗末ともいえる立ち回り。手を抜いているとしか思えないコンボ。
第一ラウンドをあっさり拾ってしまう。
「ああ、この調子じゃ今日も腰痛だ」
薫が嘆き始める。
第二ラウンド。
開幕直後に相手かつをのジャンプ強キック。
無敵技を持たない僕のシュガーでは受けるしかない。ガードして引き離そう。
「ん……」「お」
下段と投げの二択を迫られ、僕のシュガーは容赦なく投げられる。
投げからの追撃で2割持っていかれる。ダウンを取られ、相手の起き攻め。
「なぁ、相手の動きがさっきと違わないか?」
「さあ……代打の人かな。少しは楽しめそう」
投げ間合いの外から下段をかぶせてきて、再び相手の二択。これだけの動作でも
無駄が無い。
バックステップで距離を離し、飛び道具でけん制する――
「え」「お」
こちらの行動が読めていたかのように、ジャンプで飛び込んできている相手の
かつを。ジャンプ強パンチを当てられて
「う、うあ」「おお、すげぇコンボ」
ゲージなしで4割は削られ、ダウンを取られる。この異常な起き攻めループが
かつをの強さ。それにしても
「何……このコンボ精度の高さは……?」
ゲージ無しで起き攻めループするにはタイミングの難しいコンボルートを決め
なければならない。それを難なくこなす相手。そして
「あ」「あ」
密着状態から中段技を振る思い切りの良さ。鋭い読み。
「珍しい、悠が負ける」
完全に、相手は自分の格上だった。
敗北。もう完璧な負け。1ラウンドのあれは手を抜かれていたのか。
「無難な手ばかり。相手のうちを読んで行動を起こすのがまだ甘いわね」
「――!?」
聞き覚えのある声。筐体の向こうから姿をみせたのは昨日の女の子だった。
「え、お、女ぁ!?」
薫は驚いている。
「コンボの精度は悪くないわ。状況によって使い分けもできている。ただ、読みや
思い切りの良さがまだまだね。それに、何でそんな弱いキャラを使うのかしら」
「え、な、なんで……?」
「? 何が?」
一旦間をおく。少し深呼吸。大丈夫、こんなところでいきなり剣を刺してくる訳
はない……はず。
「……何してるの?」とりあえず聞いてみる。
「格ゲー」それが? とでも言った顔できょとんとしている。「流石日本はビデオ
ゲームの本場だけあってレベルが高いわね。あなたみたいなのがごろごろいるわ」
「え、何。この金髪っ子? 悠の知り合い? 外国人? うちの制服着てるけど?」
薫が思いついた疑問を物凄いスピードでまくし立てる。
「あ、うん。ちょっと、ね」
微妙に濁した答えに不満が在ったようで、
「……何だ、何をごまかそうとしている。さぁ、吐け。ついに彼女か?」
じとーっと瞳を見てくる。
「いや、そんな大したことじゃないよ。まだこの子の名前も知らないし」
「……話がみえん」
そんな僕たちを見かねてか、彼女は口を開く。
「エリザベス」なんとも似合いそうな荘厳な名だった。「リズとでも呼んで。向こう
でもそう呼ばれていたから」
「リズ」「リズ」僕と薫でなんとなく口にしてみるその名前。エリザベスってリズって略すんだ。
「で、どうするの? まだやる?」リズは挑戦的な目で、座っている僕を見下して
いる。「キャラ性能から見れば、あなたが勝てるはずはないけれどね」ふふん、と
鼻で笑って肩をすくめられる。「私に負けても、弱キャラだからしょうがないわよ」
――弱キャラ使いが一番言われたくないことを……!
倒す、今すぐ倒す、絶対倒す。押し倒す。
「キャラ性能が戦力の決定的な差で無いことを教えてあげるよ」
「も、燃えてる! 悠の瞳が真っ赤に燃えてる!」
こんな気分は久しぶりだ。傷つけられたプライドからふつふつと湧き上がる闘志。
――負けられない。
「ふふ……負けたほうが罰ゲームね……今日一日、語尾に"にゃ"をつけて会話すること」
「く、黒悠が覚醒した! 罰ゲーム内容はなかなかに屈辱だ!」
「へぇ、楽しそうじゃない。今日一日猫さんにしてあげるわ……悠」
「ふふ……くくく」
「ゆ、悠が怖い! しかもこれ、キレた時の笑い方だ!」
「私はどんな時も手を抜かないわよ……身をもって覚えているでしょう?」
「ああ、分かっているよ……」
「なんか二人とも怖えーー!!」
ポケットから100円玉を何枚か出す。筐体の上に重ねておく。
「5戦勝負で3本先取。いいかな?」
「別にいいけど」リズは僕の手元に視線を落とす。「先にコインをだしておくのは
負けた時の準備ってことかしら」
「くっ――!」
「お、おお……悠が動揺している」
僕を挑発し、余裕の表情でツインテールを揺らしながら対戦台の向こう側に消えるリズ。
震える手でコインを筐体に入れる。――なんとしても、勝つ。
「……なぁ悠、俺もかまってくれよ」
「さあ……狩りの時間だ」
「狩り取られんなよ。はぁ……悠は俺のものなのに」
――――
木製のスプーンでおかゆを運んで、僕にご飯をくれるお姉さん。
僕は噛むのに精一杯で、食事を取るのがこんなに疲れるって初めて知った。
嚥下するとき喉元に抵抗を感じ、けほっけほっと咳き込んでしまう。
「大丈夫?」
心配そうに聞いてくるお姉さん。
「少し、疲れました……」
おなかは空いている、でも食べたくない。食べられない。
「うーん……」困った表情のお姉さん。「おなかいっぱい?」
「すごく空いているけど……食べるのがつらいです」
「そっか……やっぱり大きめに切りすぎたかな」ごろっとした大きな芋を
スプーンに乗せている。……本当に大きい。
「そうだ」ぱっと明るい表情。「少し食べやすくしてあげるよ」
そう言ってその芋をお姉さんは口に含んで……――!?
「わっ、むぐっ!」「ん……」
口移し。頭の後ろを軽く押さえられ、逃げられない。
やわらかく噛み砕かれたおかゆが移されてくる。後は飲み込むだけで食べる
ことができた。
「……ごめんね。嫌だった?」
僕は、多分真っ赤になっている顔をぷるぷる横に振る。
「よかった……まだあるからね…………んっ」
誰かに優しくしてもらえるのがすごく嬉しかった。
本当に嬉しくて、嬉しくて、僕はこの時"ありがとう"も言えなかった。
ただ、涙が流れていく。
お姉さんはそれを服の袖で優しくぬぐってくれた。
その日見た夢は、お姉さんと一緒に夜の森を歩く夢だった。
――続く
――――
【次回予告!】
「もう遅いからさ……俺の家に泊まって行きなよ」
「え、で、でも……」
「大丈夫、何もしないからさ……ね?」
そんなやりとりをタクシー運転手はハンドルに手を掛けながら聞いていた。
この時間帯にはよくある話。あくびがでるほど、ありふれた出来事。
――ただ……。
「……ねぇ、薫。こういう会話って普通男女の間でやるんものだよね?」
「ん? そう?」
なんでこいつら、男どうしでこんな会話しているんだ。しかも学校の制服着て。
「どうするん、兄ちゃん達。乗るの? 乗らんの?」
「ほら、運転手さんを待たせたら悪いからさ」
「え、や、いや……」
普通の女なら、ここで仕方なく乗ってお持ち帰りになるんだよなぁーと運転手は考え
た。それで俺がいるにも関わらず乗ったまんまキスとかしやがって……と運転手はだん
だん腹がたってきた。が、よく考えたら男同士なので別にどうでもよくなった。
「ちょっと、待ちなさいよ」
「え……あ、リ、リズ!?」
「……ちっ、また邪魔しに来やがった」
そこに現れた第三の登場人物。これなんてドラマ、と運転手は思った。
「今日は私も悠に用事があるの。少し身を引いてもらえないかしら?」
「はっ、お断りだね。悠が誰のものなのか、わかっているのかい?」
「ちょっと……ふたりとも」
対立する薫とリズ。運転手は微妙に先が気になってきた。
が、次回予告は気になる形で終わらせて、視聴者の興味を引かなければならないので、
ここでこの話は終わりである。「え、終わりかよ」と運転手はナレーターに突っ込んだ。
次回!
ぼくの二歩はきみの三歩「恋のどろんこレスリング ポロリもあるよ」
君のハートに弱キック!
お楽しみに!
432 :
作者:2007/08/22(水) 01:07:22 0
サーセン。
あんまり話は進んでいません。サーセン。
今回は過去の話メインでした。サーセン。
次回も同じかもしれません。サーセン。
時間はメインテーマですが、今のところあんまり関係ないです。サーセン。
まだ未熟っす。サーセン。
やったー、ポロリがくるー
非常にGJ!
定番のツンデレ金髪ツインテール娘に、
ふざけているように見えない事も無い事も無い自戒予告だけれども
それでもオナニーっぽいにおいはまるでしないね
「作品」って感じだよ
遅刻しそうだよ
434 :
('A`):2007/08/23(木) 05:35:34 0
そろそろ名前を名乗ってほしいねぇ〜〜
しかし個人的にはトップレベルの構成力と文章力で
読みやすくてすらすらいっちゃうなぁ
リズとのやりとりなんかにやにやしちゃうし。
あと薫は俺の中で女って設定にしないときもすぎるなw
とりあえずなぜ吸血鬼になったかも意外とはやく判明して
過去と現代を交差しながら進むのは良いね。参考にしてみる
「ぼくの二歩(ry」を読んで、輪廻の向こうとかいう電撃ラノベを思い出した。
アレは本当に酷い出来で、ろくでもない文庫だったが…
それに比べて、こっちは面白いですぜ
436 :
('A`):2007/08/23(木) 18:11:40 0
続きまだー?
437 :
('A`):2007/08/23(木) 18:12:54 0
続きまだー?
438 :
('A`):2007/08/23(木) 18:42:18 0
一回目読んでシュガーっぽいなと思ったら
二回目で自虐っぽいし、これはホントにシュガーかな?
439 :
('A`):2007/08/23(木) 22:51:54 0
ふとここのところのSSを読んで亀仙人の言葉を思い出した
「武天老師と言われた頃が懐かしいわい」
シュガーだったら、妄想男の方が近いだろうよ
文章の書き方で近いのは、シュガー、妄想男、加賀見、かつをあたりかな。
俺じゃないですよ、こんな上手く練れないし表現できないです
それにすごく面白いですよ、俺なんかの産業廃棄物とは桁が違います
なんかもう俺みたいな妄想オナニストなんかに間違われて申し訳ないです……
443 :
('A`):2007/08/25(土) 00:44:47 0
シュガーは胸を張っていいと思う
444 :
('A`):2007/08/25(土) 12:48:42 O
シュガーはこれでも第二回もし時大会二位の実力者
【ぼくの二歩はきみの三歩 第3話】
――――
そこは人口30人ほどの小さな集落だった。
主に農耕による自給自足の生活。稀に街へ赴き、物々交換でものを仕入れてくる
人もいた。
山脈の連なる地方の日当たりのよい谷に構えたその集落は、外界との接触がなく
一つの独立した国のようでもあった。
――――
「てりやきバーガーセット3つ、オレンジジュースで二つ、コーラで一つ……にゃ」
「はい、照り焼きバーガーセット3つで、オレンジが2つ、コーラが一つですね。
ご注文は以上ですか?」
「は、はい……いっ!」ぎゅっとおしりがつねられる。「に、にゃっ!」
「……? それではこの場で少々お待ちください」
怪訝な表情を見せながら、店員はドリンクを作って持ってくる。
「残りのご注文は席までお持ちしますので、どうぞおかけになってお待ちください」
「……にゃー」
トレーを持ちながら後ろを振り返る。
意地悪そうな笑みを浮かべたリズがいた。
「ほんと、おかしい……ぷふっ……!」半分涙目でリズが笑う。
「……なんだ……にゃ。そんな笑う……にゃ……」
レジを離れて席をぐるりと見渡すと、薫が窓際の席を陣取っていてくれた。
「おまたせ……にゃ。薫はコーラだった……にゃ」
「だんだん慣れてきているね、悠。似合っているよ」薫が慈しむ様な視線をよこす。
「う、うっさいにゃ。少し黙ったほうがいいにゃ」
惨敗だった。あそこまで勝てないと思ったのは久しぶり。
ここら辺のゲーセンにいる人には大体勝てるようになっていたから向上心を忘れて
いたかもしれない。僕の驕りが敗北の原因。
「くそぅ、もっと修行しなきゃ……ぐっ」向かいに座るリズが靴を踏んできた。「に、
にゃっ!」
「ダメよ悠。自分で言ったんだからしっかり猫さんになりなさい」
「ふーっ!」
「おお、威嚇してる。よしよし、怖がらなくてもいいんだよ」
隣に座る薫が頭を撫でてくる。……くそぅ、噛み付いてやろうか。
「てりやきハンバーガーとポテト、お待たせいたしました」
トレーに3つづつてりやきとポテトを乗せて、店員がやってくる。
「ほら悠、とって頂戴」
「ぐっ……あ、ありがとう……にゃ」
「あ、はい、どうぞ……?」
もう半分やけになりながら、店員のトレーを受け取る。
横と前を見ると、二人とも声を押し殺して笑っていた。
――――
月の無い、暗い夜だった。
研究所では昼間は寝て、夜は起きる生活だったので体が自然とそうなる。
「早く寝なさい」とお姉さんは僕に言い聞かせる。
でも、体はなかなか順応してくれなかった。
一人で布団を抜け、真っ暗な闇を歩く。
月明かりの無い森の中を目指す。
――僕は、ここにいていいのかな。
死なない体。そんなものを持つ僕が、普通の人間と暮らしていて、問題が
起こらないはずがない。大体、歳も取らないのだ。僕の体は15歳で成長を
止めたままだ。
「つっ……」
考え事をしながら潅木をまたいだ時、脚を切ってしまった。
座り込んで傷口を眺める。目に見えて、傷の修復が始まっている。肉が盛
り上がり、元の形へと戻っていく。
「……気持ち悪い」
――――
「それじゃあ」
「さようなら」
「……じゃあにゃ」
すっかり猫語に慣れてきた僕だった。
ハンバーガーを食べて談笑の後、二人と別れ、帰り道を歩く。
今日は新月。星だけが黒い空に瞬いている。
「はぁ……」
思いっきりため息をつく。やっと猫語から開放され――。
「――誰が普通に喋っていいと言ったのかしら……?」
「う、うぉぁあっ!?」
背後から肩に手を掛けられ、誰かに耳元で甘く囁かれる。
なりふり構わず走って逃げようとして、転んだ。
「……あなた、本当に吸血鬼?」
「い、痛たたた……」
「あら、大丈夫?」
全然心配してなさそうな顔で、リズが僕を覗き込む。
「どれどれ」
「う、うわっ、何!?」
ズボンがひざ上まで捲り上げられる。
傷口が外気に触れる。
「あら、もう再生しているのね」
「……」
――――
水汲み場に使っている川にやってきた。
潅木に引っ掛けた足の傷はとうに治っている。
近くの小岩に座って、川の音に耳を澄ませる。
「――ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」
研究所で教えてもらった古典作品の序文を思い出していた。
「――よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」
流れ、浮かび、消え、ふたたびそれを繰り返す。
「――世の中にある人と住家すみかと、またかくの如し」
人が流れて浮かび、消えていく泡のようなら、僕は……。
「流れの無い、暗い沼に沈む、小石」
暗い、暗い沼の底。
水面は遠く、浮かばない。
――しかしその光景は、救いのようにも見えた。
少しずつ、明かりが近づいてきていた。
「あ、いた」
灯篭を持って、お姉さんがやってきた。
「探したよ。ダメだよ、夜に出歩いちゃ。心配したんだよ、帰ろう」
「……」
――――
人気の無い高架下を歩く。後ろをリズが着いてくる。
転んだ時の足の傷はとうに治っている。
「さっきから、どうかしたの?」
「……なんでもないよ」
「猫さん言葉は?」
「……なんでもないにゃ」
「怒ってる?」
「怒ってないにゃ」
「嘘ね」
「……嘘じゃないにゃ」
「もう猫じゃなくてもいいわよ」
「そう」
歩く。まだ後ろについてくるリズ。
「本当に、どうかしたの?」
「……うるさい。着いてこないでよ」
「何か言った? 聞こえなかったわ」
「うるさい……うるさいんだよっ!」
その態度が気に障る。
「大体何様のつもりだよ!
人のことにづかづかと入り込んできて……!
人間ごときに僕の気持ちの何がわかるんだよっ……!」
「……」
「いつまで経っても変わらない、すぐに再生する、死ぬことが
できない……その苦しみが人間に分かってたまるか……!」
「……ダンピール」
「……何? ――っ!」
ガッと胸倉をつかまれて、地面に叩き伏せられる。
再び、僕の上に馬乗りになる。手を物凄い力で押さえつけられる。
「私のこと。ダンピールなのよ、私」
――――
心臓が早鐘を打つ。
僕はお姉さんに別れを告げなければいけない。
「ぼ、僕は……」
「? なあに?」
「お姉さんと一緒に……いられない」
「どうして?」
「……み、見て」
震える手で、先のとがった小石を取る。
それを左腕に、思い切り、刺す。
「――!?」
痛みとともに裂けた傷口から血が流れていく。
「な、何してるのっ!」
「っ……見てて」
傷口を見せる。肉が盛り上がり、修復を始める。
「え、う、あ、あぁ……」
「……」
30秒もしないで、傷口はふさがる。もう、元通り。
「ど、どうして……妖怪さん、なの?」
「僕は……死なないんだ。歳もとらない。……吸血鬼、だから」
――――
「リズ……君が、ダンピール?」
「そう。吸血鬼と人間のハーフ。呪われた化け物。
超人的な身体能力と、あなたほどじゃ無いけど自己修復能力。化け物を
感じ取る能力。……そんな私が社会に適応できるとでも思ってる?
子供の頃なんて、何かの気配を感じたら怖くて泣き喚いてばっかり。また
リズの気が狂ったって、ね。
ねぇ、あなたに私の気持ちが分かる?」
「……」
「教会に拾われて、トレーニングを受けて、こんなことしてる私の気持ちの
何が……何があなたに分かるのよ……!」
リズの頬を涙が伝い、僕の顔にぽつぽつと落ちてくる。
ああ、そうか。
君と僕は同じことを思うんだ。
「普通の人間に生まれたかった」
――――
「だから、僕は、お姉さんと一緒に、いられない……」
「……あ……」
お姉さんに背を向ける。
「水の中は、体がだるくなってあんまり力が入らないんだ」
「……」
「……海に流れ着いて、底に沈めたらいいな」
「あ……!」
岩場から川の流れへ身を投げる。
あ、どうしよう。また言い忘れちゃったな。
ここから届くかな。届いて欲しい。
言い忘れていた「ありがとう」って。
……。
…。
水面に飛び込む音が
もう一つ聞こえた気がした。
…。
……。
目が覚めた。
体を起こしてあたりを見渡してみる。
一面、真っ白に靄がかかっている。
「……死んだのかな?」
「ダメ、君はまだ生きなければいけません」
「わっ、ぷ」
後ろから思い切り抱きつかれる。
「このバカ、命は大切にしなさい」
「……どうして」
「たとえ死ななくても、何もしないでいたら死んでいるのと一緒でしょう。
まずは一回生きてから、死になさい」
「……難しいです」
「そうよ、生きるんだもの。難しいに決まってる。
でもね、あなたは一人じゃ無い。私がいる」
「……」
靄が少しずつ晴れていく。
次第に影が濃くなり、座っていた小屋の縁側から見慣れてきた村の光景が目に映る。
「……帰ってきちゃった」
「おかえりなさい」
「ねぇ、あなた。名前は無いの?」
「名前? それって必要なの?」
「もちろん。人間はまずそれで対象を認識するの。犬や猫ならにおいで識別してるかもしれない
けれど。……それとも、犬や猫と同じ感覚であなたのこと扱っていいのかな?」
「……それは、やだな」
「うん。それじゃあ、永遠を生きる吸血鬼さんにはどんな名前がいいかな……?」
縁側に座った彼女は、しばらく考えたあと
「悠。悠久、悠遠の悠。……うん、いいと思わない?」
僕に名前をくれた。
だから僕は言った。
「ありがとう」
――――
自動販売機で買ったアイスコーヒーを飲み、高架下の公園から都会の喧騒を二人で眺める。
「もう少ししたら、日本を離れるわ」
「え」
リズが突然、そんなことを言う。
「あなたを観察して、無害な吸血鬼であることを教会に報告してくる。そうすれば
あなたを襲う吸血鬼ハンターも減るでしょう」
「……もう、いなくなっちゃうの?」
「そうね」
「……」
なんだか、寂しい気持ちになる。
「そんな顔しないの。あと一月はいるから。思い出を作ってさよならしましょう」
「………………うん」
ゆっくりとコーヒーを飲み干して、リズは立ち上がる。
「……」
そのまま無言で、一点をじっとにらんでいる。
「……リズ? どうしたの?」
「何、かしら」
「え、わっ」
スカートの中から長めの剣を取り出して構えるリズ。
「ど、どうしたの……?」
「どうして……だって、さっきは……」
焦りの表情をみせるリズ。その視線の先から現れたのは……。
「やぁ、二人とも」
薫、だった。
――続く。
【次回予告】
ついに本性を現す薫。
対峙する悠とリズ。
はたして、薫の正体とは。
次回、ぼくの二歩はきみの三歩「第4話」
お楽しみに。
悠「普通だ!?」
薫「そういうこともあるさ」
460 :
作者:2007/08/25(土) 18:15:48 0
過去と現在を行き来するんだけど、読みにくいだけかも。サーセン。
5話でおわるっす。サーセン。
大まかな話はもう書けてまっす。アザース。
いえいえどうも。
しかし5話で終了とは、中々性急だな
462 :
('A`):2007/08/26(日) 18:28:47 0
むしろ完結させられる度量に感服するよ、俺からしたら
なかなか計画性を持って物語を進められない
GJでした!
463 :
('A`):2007/08/26(日) 22:38:57 0
なんという更新力!!
てか超展開でワロタがこれはSSとしては
ちょうどいいくらいなのかもな。
最終話に期待
464 :
('A`):2007/08/26(日) 22:40:10 0
俺勘違い乙
最終話は次の次だった。
第4話に期待!
更新マダー?
467 :
作者:2007/08/28(火) 20:24:36 O
マーダダヨ。
家帰ったら見直ししまっす。サーセン。
慎重なのはいいことだ
469 :
('A`):2007/08/28(火) 21:19:52 0
いくら検索しても引っかからないから落ちたかと思って
検索ワードみたら
「もし時」
次から【】でくくってサブタイトルに入れろと
だが断る
472 :
('A`):2007/08/29(水) 23:19:49 O
もうすぐ今日が終わる
【ぼくの二歩はきみの三歩 第4話】
「水くさいじゃ無い、俺抜きでお話なんてさ」
「か、薫……?」
いつもと雰囲気が違う。迫ってくる何かがある。
「悠は俺が目をつけていたのに……何様のつもりなんだい?」
「あなた……どうして? だって、さっきまでは……!?」
リズが苛立ちを含んだ口調で問いただすと、いつもと変わらぬ口調で薫は言う。
「ああ、俺? 言っておくけど、吸血鬼ではないよ」
吸血鬼、というスラングが薫の口から出てくる。どうして……?
「……どういうこと、かしら?」
「変身するのさ。夜の間だけ。人間から、人外のものに、ね」
「変身?」
「そう。人呼んで、狼男。夜の支配者――」
瞬間、薫のシルエットが消え、風が吹いた。
僕の隣にいたリズが駆けてきた薫とともに消える。
地面を引きずり、砂埃を立て、停止する。
「残念ながら、神話のように毛むくじゃらにはなれないんだけれど」
「ぐっ……くはっ」
首に手を掛けられ、苦しそうに咳き込むリズ。
「――薫!?」
「悠? ああ、待っててね。
今コイツ、殺すから」
「どうして……どうして?」
「悠の血だよ」
「……どういうこと?」
「不老不死なんだろう、悠は?」
「……」
「だからその血を手に入れれば永遠の命が手に入るはずさ」
「し、知らないよそんなことっ!」
「悠の力が未知数だから上手く近づけなくってね……。
まったく、それをこの女は……!」
「うっ……うううぅ!」
ぎりぎりと、リズの首に指が食い込んでいく。
「まぁ、おかげで分かったよ。悠は危険な吸血鬼ではない。この女を
殺したら、悠を切り刻んで血をもらう。それでおしまいさ」
薫が、狼男?
僕に近づいてきたのは僕の血を手に入れるため?
「嘘だ……」
「悠?」
「嘘だ、嘘だ。薫はそんなこと……!」
「するさ。俺だって永遠を生きたいもの」
「嘘って言ってよ……ねぇ」
「ああ、悠は可愛いなぁ」
そうやって、いつもの表情を見せるから……。
「嘘でしょ……嘘だって……言ってよ」
ああ、涙ばかり出てくる。
リズの胸元に鼻先を近づけて匂いをかぐ薫。
「そうか。やっぱり昨日、悠に匂いをつけたのはコイツだったのか……」
ごりっと、肉に指が食い込む音。
「ぐっ、うううぅぅっ!」
「いい顔で悶えるね。悠を傷つけたお礼に、嬲り殺しにした後に犯してあげようかな」
もう片方の腕を振り上げる薫。そして――
「あぐっ……あああああ!」
ドクン。
薫の指先が、リズのおなかを切り裂く。
ドクン。
「あーあ、暴れるから結構深くいったなぁ……赤ちゃん作れなくなったかも」
湧き出すように、溢れては流れていく真紅の液体。
ドクン。
その光景を――血を見て――
ドクン。心臓が跳ねる。
「――やめろ」
自分でも驚くくらい、低い声が出た。
喉が渇いていく。
「何? 死なない以外にとりえの無い吸血鬼のくせに」
リズから手を離し、俺と対峙する。
「くくく……少し黙れよ?」
「……悠?」
意識が黒く塗り替えられていく。
考えるよりも前に体が動き出す。
景色が後方へと去っていく。
振りかぶっていた右手が薫を捕らえた。
「死ねよ――」
「え?」
衝撃とともに薫が吹き飛ぶ。
右腕が壊れる。全身が軋む。激痛が走る。
振り切った右手は、すでに形を成していない。
仕方ない、直そうとぼんやりしていく頭で思った。
視界に血まみれのリズが映る。
「――」
血。赤い血。生の味。
おいしそうだなって思う。
そこでスイッチを切ったように、意識が落ちていった。
*
* ◆リズ
*
* 痛い 痛い 痛い 痛い――。
* 焼ける――。
* 裂かれたお腹から血が流れていく――。
* 私は可笑しな声で必死に叫ぶ――。
* やめて――殺さないで――。
* だけどその声も、無様な悲鳴にしかならない。
*
*「――やめろ」
*
* 低くうなる、誰かの声。
* 恐怖すら感じさせるその声色は、私に冥界の番犬ガルムを思わせる。
* だけどどうしてだろう。その声で私は正気を取り戻す。
*
*「何? 死なない以外にとりえの無い吸血鬼のくせに」
*
* 強がるように、誰かが答えた。
* 恐怖ににごった口調は隠せていない。
*
*「くくく……少し黙れよ?」
*
* 私の目が、その言葉の主を捉えた。
* ひりひりと死の予感を感じさせるほどに、絶望的な威圧感。
* そこにいたのは、私が今までに見た中でも――最悪の吸血鬼。
*
*「……悠?」
*
* その言葉に含まれるのは戸惑い、苛立ち、焦り、恐怖。
* 私だって同じ気持ちだ。だってアレは……あんなのは悠じゃない!
*
*
* 悠の体がぶれる。
*
*「死ねよ」
*「え――?」
*
* 私だって悠が移動したと分かったのはその言葉が聞こえた後。
* 次の瞬間、薫の体が吹き飛ぶ。
* 踏み込んできていた悠が、薫を吹き飛ばしていた。
*
* 右手から腕、肩にかけて無残な姿に成り果てている悠。
* 当然だ。あんな一撃、悠のやわな体じゃ耐えられない。
* だけど……
*
* 耐える必要なんてなかった。
*
* 崩壊した部分がたちどころに修復していく。
* 捻れた手首はぐるんと回って正常な方向に。
* 肩から飛び出た骨は体の中に納まり、開いた傷口は瞬きする間に元通り。
* 人を超越した膂力と、異常な再生能力。
* そして何よりも、死ぬことがない。
* これを最悪と言わず、なんと言うのだろう。
*
* 吸血衝動に襲われた吸血鬼は恐ろしい力を発揮することもあるけれど、
*悠のそれは異常だった。まるで、普段押さえられている分が一気にあふれ
*出すように。
*
*「ぐっ……はぁ……はぁ」
* 膝をつき、肩で息をしている悠。
* 喉を押さえている。
*「悠……」
* 呼びかけると、悠はこちらを向く。
* その目に私は映っていない。
*
*
*「ぐぅ……」
* ああ、これが悠の声?
* ひどく歪んだその声は、獣のうなりのよう。
*「悠……」
*「ぐっ……はっ、はぁ、はぁ」
* 苦しそうに肩で息をする悠。
* 私を……いや、私の首筋をじっと見ている。
* 苦しそうに喉を押さえながら。
*「……吸血衝動に襲われているのね。可哀想に」
*「うぅぅ……ぐぅぅぅ」
*
* 膝をついた体勢から手をつき、ゆっくりと私に迫ってくる。
*「……どうしたの? 血が飲みたいの?」
*「うううぅぅ……」
* 全身を戦慄(わなな)かせながら、顔と顔との距離が近くなる。
*「おびえないで。私はあなたを脅かさない」
*「ううぅぅ……」
* 悠の口がほんのすこし開く。可愛らしい犬歯が覗く。
*「私の声、聞こえてる? 私の目、見えている?」
*「ぅぅ……」
*「……ねぇ、私がわからないの……? 悠――」
*「……」
* 私の声が聞こえていないみたいに、悠の顔が私の首筋に近づいて――
*
*「――このバカッ!」
*「!?」
* ごちんと、歯と歯がぶつかる音。
* むりやり、その唇を奪ってやった。
*
*
* 首の後ろに腕を回して、思いっきり抱きよせる。
*「んっ、ぐっ、ううっ!?」
* 顔を離そうともがく悠。少し、黙らせよう。
*「……ん」
*「!?」
* 舌まで入れて、悠の口の中を蹂躙してやる。噛み付こうとしたお礼とばかりに
*悠の唇を軽く噛んでやる。
*「んぐっ!?」
*「……」
* 言葉で伝わらないなら、キスで悠に伝えてやる。
*
* "目を覚ましなさい"って。"私はここにいる"って。
*
*「んっ……!?」
*「……」
* 次第に悠の体から強張りが抜けていく。目の焦点が定まってくる。
*「ん……ぐっ、んん!? ぷはっ、リ、リズ!?」
*「…………起きた?」
* つーっと、どちらのものとも分からない血が混じった赤い唾液が悠との間にひく。
* 口の中に血の味もする。
*「まったく……初めてのキスが血の味のディープキスだなんてね」
*「え、わ、わぁっ!?」
* 顔を真っ赤にして、唇に手を当ててる悠。初めてキスした女の子みたいな仕草。
* どっちが女の子なんだか分かったものじゃ無い。
*
*「ご、ごめんなさい!」
* その言葉、その表情で。
* 私は屋上で血をあげたときのことを思い出していた。
*
*
* ちりっと、首筋が焼けるような感覚。
*「来る――」
*「え?」
* 人外の気配を感じ取る。間違えようもなく、薫と名乗る狼男のもの。
* 体を起こす。下腹部の痛みはもう、嘘のように消えていた。
*
*「どういうこと……だろうねぇ」
*
* 薫の声が公園に木霊する。
* イラつきを含んだそれは、聞くものすべてを落ち着かなくさせる。
*
*「悠、お前にそんな力があったのか……訂正するよ。悠は強い。死ななくて、強い」
*
* 銀の剣を構える。とん、と悠に背中を預ける。
*
*「……なんだよ、お前。格闘ゲームだって俺よりすぐ強くなっちゃってさ。俺、バカ
*みたいじゃん。ホンと、イラつくよ、お前みたいなやつ見てるとさ……」
*
* ぴりぴりとした雰囲気が私達をつつむ。いつまで経っても薫の姿が見えない。
*
*「……だからさ、悠。お前は殺せそうにないけど」
* 頭上から落ちてきた影が――
*「この女を殺してやるよ」
* ――私の心臓を貫いた。
*
* ◇リズ
*
静寂が場を支配していた。
まるで現実感を伴っていないその光景。
マジックみたいに、薫の腕がリズの胸を貫通していた。
「……リズ」
「……」
「……」
ヨクモ、コロシタナ。
頭の中で再び、スイッチが落ちて――
「死んだとでも思ってる?」
「!?」
リズの声だった。
その声を聞いた薫はばっと飛びのこうとする。
だが、銀の一閃が代償を払わせる。リズを貫いた薫の腕が、肩から分かれる。
突き刺した腕をリズの体に残して、薫は銀の間合いから離れる。
無造作に薫の腕を捨てて、薫に向き直るリズ。
「あら狼さん。脚も切れているけど大丈夫?」
「あ……? !?」
気がつくと両手に剣を携えているリズ。
今の一瞬で薫の腕と脚を斬っていた。
「な、なんだよ、お前……、なんなんだよ!?」
「黙りなさい、犬畜生の分際で」
かつかつかつと、早歩きで薫との距離をつめていくリズ。
「あなたに今与えるのは二つの選択肢。生きるか死ぬか。さあ選びなさい。あと2秒」
「ぐっ……!」
「ダメね」
「がっ」
すとんと、銀の剣で薫の胸を一突き。
「2秒って言ったでしょう。時間にルーズな人って嫌いなのよ」
「! ……!!」
「心臓と肺は外してあるわよ」
音もなく剣を抜き出すリズ。容赦のない口調で薫を問い詰めていく。
「もう一度選択肢をあげるわ。生きるか死ぬか。どっち?」
「ぐっ……く、くそおおおおっ!!」
ありったけの憎悪をぶちまけながら、視界から薫が消える。
金色の長い髪が揺れる。微笑を湛えながらリズが振り向く。
正直に言う。かなりリズが怖かった。
ぐらりとリズの体が傾いた。
「……リズ?」
「ぐっ……ちょっと、悠」
「ど、どうしたの?」
近づくと、背中に手が回ってがばっと抱きしめられる。
「これが吸血衝動なのね……ああもう、血を見ただけでどうにかなりそう……」
「……? どういうこと?」
風邪でも引いたみたいに息が荒いリズ。
「あなたの血……飲んじゃった……みたい」
「――え?」
ということは……薫の言うことが正しかったら、リズは……?!
「ふふ、よかったわね悠。もう一人じゃないわよ。私も、一緒に歩ける……」
「リズ……?」
「……ごめんなさい、疲れちゃった。少し、横になる」
「大丈夫?」
「一つだけお願い。隣にいて」
「……うん」
近くの芝生にリズを寝かせる。
走りつかれた犬のように、リズは体を丸めて眠る。
吐く息が苦しそうだったので、ぼくは背中をさする。
リズが泣く。寝たまま、涙を流す。
「……ほんとだ」僕はつい昨日のことを思い出す。
「吸血鬼って、泣くんだな」
――続く
【次回予告!】
不老不死の吸血鬼になったリズ!
彼女はその力で世界を支配しようと目論む!
だが、現代社会において武力制圧など個人でできるものではなかった!
つらく厳しい現実がリズに襲い掛かる!
「ならば……マネーゲームよ!」
金による力で世界を制圧するために!
組めよカルテル! 占めよトラスト! そしてコンツェルンへと……!
「いらっしゃいませー こんにちわー」
とにかく、資本金を集めるために時給850円のコンビニアルバイトを開始したリズであった!
やがて彼女は資本主義の魔王へと……なるわけがなかった!
次回! ぼくの二歩はきみの三歩!
最終話「愛の独占禁止法」
お楽しみに!
悠「コンビニのアルバイト……ぷっ」
リズ「何がそんなにおかしいのかしら?」
悠「だって、リズが……接客してるところなんて想像できない……ははは」
リズ「いらっしゃいませー こんにちわー」
悠「ぶっ」
リズ「105円が一点、148円が一点」
悠「ちょっと……あはは、リズ、やめ、やめて……」
リズ「おにぎり温めますか?」
悠「ぶふっ!」
リズ「合計253円になります。ポイントカードはお持ちですか?」
悠「あっはっはっはっは! すごいねリズ! もうコンビニで働けるよ! 本当に店員そっくり!」
リズ「やってたから」
悠「あはは…………え?」
リズ「コンビニ。働いていたから」
悠「……………………えー」
次でおわりっす。展開速くてサーセン。
あんま長すぎるのもアレかなって思いまして。サーセン。
何だこれ時間かんけーねーじゃんって突っ込まれそうで怖いっすね。
最終話でメインテーマに触れる感じなんで、目をつぶってくだせぇ。サーセン。
キスで舌噛んだのは最後に結びつけるための下地か、上手いな
488 :
('A`):2007/08/30(木) 19:44:10 0
展開はやいなぁ
もうちょっとやり取りをみたい。
次が最後かよ・・・結構好きな文体だから終らしてほしくないのぉ
自給850円、…いいねぇ
僕なんて自給800円だよ。さっさと就職しよう
490 :
('A`):2007/08/31(金) 00:30:13 O
くそーリズとももうお別れかよー
492 :
('A`):2007/09/01(土) 09:01:36 O
定期的に良作が投下されるな
時給3000円の仕事になりますた。
いつまで続くか分かりません
494 :
('A`):2007/09/02(日) 15:39:32 0
>作者
早くしろーっ!!!
何日間待ってると思っているんだ!!
496 :
('A`):2007/09/03(月) 18:43:40 0
ダーマーの心臓の音を聞くという行為にとても共感を覚える
497 :
496:2007/09/03(月) 18:56:13 0
ごめん誤爆
>>495 急かすなよ、自由に投稿して自由に感想言うスレなんだから
>>498 急かすことすら自由なのだよ
作者ターソ!!
500 :
('A`):2007/09/03(月) 23:30:50 O
501 :
咲車:2007/09/04(火) 00:00:53 0
催促アザース。半分書けてるっす。サーセン。
最後はもう考えてあるけれど、どう表現すればよいかで手こずってるっす。サーセン。
水曜の夜ぐらいには投下できるっすかね。サーセン。
502 :
('A`):2007/09/04(火) 00:10:17 0
サーセン期待しているぞ
>>501 納得いくまで書いたり修正したりしてくれたまえ。サーセン。
504 :
('A`):2007/09/05(水) 18:27:09 0
今日くるのか
ワクテカ
もうそろそろ木曜です
だから何だって話ですけどね
506 :
策者:2007/09/06(木) 03:08:20 0
バイト先で突発飲み会イベントが発生して、今帰宅しました。
とりあえず落ち着くために鮭とばかじってます。サーセン。
今からラスト書いて、見直してから23:00頃投下しまっす。サーセン。
507 :
柵舎:2007/09/06(木) 13:23:57 0
【ぼくの二歩はきみの三歩 最終話(前)】
新しい靴を買った。アディダスのスニーカー。シンプルな白地に三本の黒いライン。
汚れのない真っ白なスニーカーは、買ってすぐなのが一目で分かる。
「踏みつけて汚したくなるわね」
「やめてよ」
この靴もいつかは履きつぶして汚れてしまうだろうけど。
靴の汚れはきちんと歩いてつけたい、と思った。
8月。
あの事件から一月経った。
夏休みが終わり、学校が始まった。
薫は僕達の前に姿を見せない。相当な深手を負っていたから、どこかで療養しているの
かもしれない。
もし薫と出会ってしまったなら、僕はどうすればいいのか、未だ分からない。
「痛っ」
ぼーっとしてたらベンチから飛び出ていた釘に人差し指を引っ掛けて切ってしまった。
血がにじむ。
「……」
「ん……? 何、リズ?」
切れた指先に横からじーっと視線が注がれていた。
「え? あ、えーっと、何でもないわよ」
取り繕うように顔を背けるリズ。素直に言えばいいのに。
「……ねぇリズ、勿体無いから飲む?」
「………………す、少しだけ」
「うん」
人差し指を差し出す。リズは行儀よく両手を添えて、そこに柔らかい唇をつける。
「……ん」
遠慮がちに湿っぽい舌が傷口を這う。こくこくとリズの喉が鳴って、血が嚥下されて
いくのがわかる。リズは頬にほんのりと朱をそそぎながら、その行為を続ける。
……少しって言った割には随分飲んじゃってるなぁ。
リズが僕の人差し指から唇を離す。こくんと、顔を俯かせながら口に残った最後の血
を飲み込む。傷口はもう再生が終わっていて、リズの唾液で薄く濡れている。
「……ねぇ、悠」
「何?」
「前から言おうと思ってたけど、どうして私が血を飲む時そんなにじっくりと観察する
のかしら?」
「えーっと……ほら、他にすることがないし」
「空でも見てなさい。恥ずかしいのよ。大体、私が口でするときも――」
「わーあー! うあー!」
こんな感じに、リズは完全に吸血鬼になってしまった。
もともと半分吸血鬼のダンピールだったので、完全に吸血鬼に変わってもあまり抵抗が
なかったようだ。振る舞いも以前とあまり変わらない。吸血衝動を抑えながら血を飲む事
もここ一ヶ月で習得にした。
吸血鬼になった事は吸血鬼ハンターとして所属している教会にはまだ報告していないら
しく、どうしたものかと本人も迷っているらしい。
「放課後はどうするの?」
リズに聞いてみる。
「そうね。私は郵便局に用があるぐらいだけど。あなたは?」
「最後だし。ゲームセンターに寄っていかない」
「……あのね、最後なのよ? それでいいの?」
「うん。最後だからさ」
「ふーん……」
不満、とでも言いたげに口を尖らせるリズ。
いや、まぁ、うん。分かってるよ。最後のデートがゲームセンターじゃ不満なのも。
でもね、僕にだって考えがあるんだ。
太陽が夕焼けに変わる少し前。
下校して駅前までの道のりを、少し不機嫌なリズと歩く。
新しいスニーカーは、まだ足に慣れていなくて歩きにくい。
リズの綺麗な髪が光を反射して揺れる。
特徴的なツインテールと可愛らしいリボンが、心地よい風になびく。
じっと見惚れてしまっていると、尖らせた口で「何よ」なんて聞いてくる。
なんだか微笑ましくて、嬉しくて。
僕は笑いながら「別に」と答えた。
今気がついたのは、慣れない靴で歩くぐらいがリズと一緒のペースなこと。
僕達の歩幅は、僕の二歩に対してリズの三歩ぐらい。
少し足元が変な感じがするけれど、リズと一緒に夏の夕暮れを。
歩く。
ぼくの二歩はきみの三歩、ぼくの四歩はきみの六歩。
そんな風にこれからも、歩いて行ければいいと思うんだ。
/*
Reporter : Elizabeth=Walker
Area : East Asia
Vampire code : 00001305
Vampire name : immortal prince
Result : failed
Report :
当体は非常に安定した吸血鬼で、人間と変わらない生活を送っていた。
普段は一般人と変わらない力しか持たない。
驚異的な再生能力は剣で刺し、杭で心臓を打ち抜いても死ぬことがないほど。
当体を滅ぼすには、個人の武装では不可能。
吸血衝動下において異常な身体能力を発揮することが判明。
その残虐的行動に走る様は暴走とも取ることができるが、沈静化は可能。
以上より、当吸血鬼に無期限の保護監察処分を提案する。
監察官としては、自分が名乗り出るものである。
27/08/2007 エリザベス=ウォーカー
追伸。神父さんへ。
相談したいことがあります。
一旦帰国したら、直接お伺いします。
*/
リズの用事で郵便局に寄ったあと、駅前のゲームセンターにやってくる。
僕たちのように学校帰りの学生でにぎわっている。
「……」
目に見えて不機嫌なリズだった。禍々しいオーラを噴出させている。
「さて、最後にあれで勝負しよう」
そう言って僕が指差したのは前に対戦した格闘ゲーム。
「……ふーん、最後の最後にリベンジマッチってわけね」
「そう。負けたままだと悔しいし」
「……まぁいいわ。すぐに片付けてあげる」
そう言って、ドカッと空いている席に座りバッグからファンシーな財布を
取り出す。そこで僕は一つ提案する。
「で、今回も罰ゲームありにしよう」
「罰ゲーム……ああ、アレね。今度は何? 犬にでもしてあげようかしら?」
「それも面白そうだけど、実はもう考えてあるんだ」
「ふーん……内容は?」
「とてもシンプル。負けたほうが勝ったほうの言うことを聞く。それだけ」
「いいの? そんなこと言っちゃって」
「かまわないよ」
「……ふん、いいわ。相手してあげる」
「うん、ありがとう」
リズは相変わらず強い。
ただ、今日のリズは少し違う。
前にやった時よりも立ち回りが雑だ。
……まぁ、今の機嫌がでちゃっているんだろうけど。
心の中でごめんねと呟きながら。
「あ、ちょっと、悠!!」
シュガー起死回生の画面端ハメ。ハメ技持ちだけど、そこに至るまでがつらいのと、
このゲーム最高レベルの難易度の連携。故にシュガーは最弱キャラだった。
「ごめん、このラウンドはもらったよ」
「……許さないわよ」
筐体の向こうから低いトーンでリズの声が聞こえてきた。
第二ラウンド。
リズがついに覚醒した。
超強気の接近戦でガンガンぶつかって来る。
守勢一辺倒の僕は画面端でガード。ひたすらガード。
切り返そうとガードキャンセル技を出したらあっさり返されて5割ダメージ+画面端ダウン。
ガードゲージが溜まったところを下段と投げと中段の三択で迫られる。
密着ダッシュから下段といういやらしい攻撃。そこからもじわじわ削られていく。
切り返しの手段は……シュガーパラダイス!(超必殺技、出始めの動作に無敵がある)
「あっ……!?」
空中から重ねてきた、と思った攻撃は着地と同時にキャンセルされ、リズのかつをはガード。
そしてそこに超必殺技を突っ込むシュガー。
――読まれていた!?
超必殺技の硬直で動けないシュガーを、リズのかつをは冷静に仕留めた。
第三ラウンド。カウントは1−1でもう後がない。だけどそれは相手も同じ。
とにかく、勝たなきゃ。
――どんな手段を使ってでも。
開幕。お互いバックステップ。しばらくは様子見、と言ったところか。
何もしないで攻め込まれるとつらいので、オプションを設置して逃げられる位置へ。
かつをが駆けてくる。このままではダッシュから無敵技と投げの二択。
設置したオプションを起動して牽制。ガードして止まってくれたが、効果が切れると僕の
シュガーはもうどうしようもない。
前進か、後退か。
とにかく、"勝つために"後退する。飛び道具で牽制しつつ、距離をとり、再びオプションを
設置する。右の画面端に行くまではこのパターンで耐える。
慎重に画面端へ誘導する。飛び込んできた時が僕のチャンス……!
だが、相手のリズがなかなか飛び込んでこない。先ほどのハメ技を警戒しているようだ。
画面端を背にしながらちくちくと飛び道具で牽制する。攻撃された時のリスクを減らすため
に、オプションを設置する。
やがて痺れをきらしたのかかつをが空中ダッシュで突貫してくる。そして僕はそれを――
回避して、画面の左、1P側へ。
再び同じように飛び道具で牽制し、オプションをばら撒く。
タイムカウントが20秒を切ったところでリズは僕の狙いが分かったようだ。
そう、画面端のハメ技がまず一つ。
もうひとつは、タイムアウトによる勝利……!
残り16秒。二段構えのこの作戦は果たして成功するのか。
リズのかつをがなりふり構わずダッシュで突撃してくる。
ガードか、ジャンプして回避か、小キックで牽制か。リスクが一番少ないのはガード。
――ならば
「シュガパラぶっぱ!」(ぶっぱ:ぶっぱなし、読みあい放棄で適当に強い技を繰り出す)
「!?」
リズなら僕が何をするのか読んでくる。ならば読み合いを捨てて強い技を振る。
ヒットしたシュガーパライダイスは3割ぐらいのライフを奪う。
このアドバンテージはもう崩せないだろう。
残り8秒。
起き上がったかつをは空中ジャンプからの攻撃。
設置したオプションで打ち落とす。
が、リズはあえてそれを食らい、復帰して空中ダッシュ――!?
ジャンプ強キックから恐怖の二択!
僕はダメージの大きい投げを警戒し、投げ入力しつつガードを選択。
が、読み合いはリズのほうが一枚上手だったようだ。
「!?」
再び、ジャンプ強キック――。
ガードに気を取られ反応が遅れた僕は再度、二択を掛けられる。
ライフの差は……大丈夫、コンボを食らったとしても巻き返しはもう――不可能だ!
リズの選択は下段。投げを警戒した僕のシュガーはそれを食らって、ダウン。
――勝った。
と思った。
しゃがみ強キックをキャンセルして、かつをの超必殺技マーブルファンタジー!(妄想具現化)
ああ、負けた――。
と思った。
かつをの超必殺技でガンガンライフが削られていく中、タイムカウントが0になる。
そこで超必殺技のダメージは無効となり、僕のシュガーが立ち上がって勝利ポーズをとった。
「卑怯な勝ち方ね。やるじゃない」
負けを認めたようで、リズは納得した顔だった。
「本当に危なかった。こんなぎりぎりな対戦は初めてかも」
「私もよ。勝ったと思ったのに」
「あれが最後まであたってたら僕の負けだったね」
僕は椅子から立ち上がって
「一旦外に出よう。ここじゃ言いにくい」
「な……何させる気よ」
「ふふふ……」
「……怖いわよ」
まだ残っているゲームを捨てて、僕たちはゲーセンの外に出る。
夕焼けが落ちていく中、僕とリズは鉄道高架の下を歩く。
車通りの多い時間帯で、時折クラックションの音が響く。
「どこに行くの?」
「うーん……人通りの少ないところ?」
「え、ちょ、ちょっと、何させる気よ!?」
「ん? ああ、うるさい所だと言いにくいんだ」
「こ、こんな所で……部屋でいいじゃない……」
「……リズ? 何言ってるの?」
「分かってるわよ……負けたからには聞くわよ、悠の言うこと」
素直なのはいいけれど、何か勘違いしてないかな。
やがて、公園にたどり着く。
僕たちと薫が戦った、あの公園。
「ここならいいかな」
子供は家に帰り、大人も車で動き回る時間帯。
公園に人影はなかった。
「……」
後ろを振り向くと、リズは落ち着かない様子で周囲を窺ったり、スカートの端を
ぎゅっと握ったりしている。……なんで?
「それじゃ、一つお願い」
「っ……」
「いや、お願いじゃないな。これは命令。拒否はさせないよ」
「わ、わかってるわよ……何?」
リズは顔を上げる。夕焼けがまぶしいのか目を半分だけあけながら。
僕はリズを見据えて言う。
これは、勝利した僕の命令。
「リズ、帰らないで」
――後編へ
ちょい長くなったんで分けて投下いたしやっす。
とりあえず前編。
後編はできたら今日の夜、最悪明日。
今からエヴァの劇場版みてきまっす。サーセン。
519 :
('A`):2007/09/06(木) 15:04:10 O
ラスト前後半とは味な真似を!
しかし熱い展開だ!
これならじらされてもいい。
そして後半はエバの影響を受けるに1000シュガー
520 :
('A`):2007/09/06(木) 15:21:51 O
30秒あったら挿入して中出しできる自信がある
でも逃げる暇がないな〜
確かに熱い展開だ
ラストが待ち遠しいようで、終わってしまうのがもったいないような
>>520 ちんちんをパンツにしまいさえすれば、
逃げずとも全然おk
忘れられているだろう存在ですどうも
またまたPCフォーマットしちゃったZE☆
最近ニートからの脱出計画実行中でスレに来れないまに、この間の良作がラストを迎えていてびっくりしますたw
帰ったらじっくり舐め回す様な目で読ませていただきます
この流れに便乗して、俺も明後日までに同じく忘れられてるSSの続きか別のSS投下します
宣言したから逃げられないぞ俺……
では、チラ裏失礼しました
楽しみにしてるZO★
シュガーのSS、これからの半生も
サクシャのラスト(後編)も
524 :
('A`):2007/09/08(土) 12:03:46 0
シュガーも咲者も楽しみにしておる
525 :
('A`):2007/09/09(日) 22:11:45 0
まだー
526 :
シュガー:2007/09/09(日) 23:15:20 O
今日中に投下すると言いつつ、申し訳ありませんorz
今書いてるんで、あと一〜二時間待って貰えませんか('A`)
おk
528 :
策車:2007/09/10(月) 00:04:55 0
送れてサーセン。
シュガーの先に投下しまっすYO
【ぼくの二歩はきみの三歩 最終話(後)】
「リズ、帰らないで」
その言葉は少しの間、意味を成さなかったように空間を漂う。
「……それが、あなたの命令なの? 悠」
「……」
僕は頷く。帰らないで欲しい、ずっと、僕のそばにいて欲しい。
でも、どうしてだろう。
「残念だけど、その命令は聞けないわ」
リズは意地悪に微笑みながらそう言った。
「……どうして」
「残念だけど、私が帰ることはもう決定済みなのよ」
「嫌だ、帰らないでよ、リズ……どうして……」
どうして、そんなに笑顔でいるの?
「いい? 私が帰ることは決定してるの。それはもう覆せない。私も覆す気は無い」
「だけど……」
「まったく、バカね」
僕の言うことなんて聞かないみたいに、くるりと背を向ける。
「――だったら、別の命令にすればいいだけでしょう?」
突然の謎かけ。
どういう、こと?
帰ることは決定していて、それを覆す気は無くて……。
……もしかして。
僕の考えが正しいなら。
解答を待つリズの背中に答えを返す。
それが正しいと信じて。
僕の命令は――。
「――命令変更。リズ、"帰ってきて"」
「――はじめから そのつもりよ」
12月を過ぎて、1月を過ぎて。
冬の街に冷たい白が舞う。
僕は厚手のコートを着込んで蛍光灯で灯された街を歩く。
雪の降る夜はとても静かで、寂しい。
すれ違う人を見る。
あれも違う、これも違う。
僕は今日も、探している。
ポケットの中で携帯が震える。
「見つかった?」
誰かの声が聞けて、僕は少し安心する。
「いや、いないみたい」
「うーん、確かにこの辺りで見たはずなんだけれど……」
吐く息は白く、携帯を持つ手が冷たい。
話しながらも僕は探す。
あれも違う、これも違う。
「特徴的な髪型の吸血鬼だから、一目見たらすぐ分かるはず」
電話相手の吸血鬼ハンターはそう言うけど。
特徴的な髪型、ねぇ。
「……ねぇ、どんな髪型だった?」
「うーん……明らかにアレだろ、みたいで……あ、はい、どうも」
あまり要領を得ない。
と言うか口調からして説明する気もやる気も無いみたいだ。
あとなんか誰かにお礼言ってるし。誰だよ。
「もう少し具体的にお願い」
「とにかく、一目見たら分かるはず。
もう少し頑張りなさい。こっちも今、忙しいの」
「あ、ちょっと、
――リズ!」
ぷつっ、つー、つー。
ひどい。手伝わせておきながら。
――――
一ヶ月ほど前、12月27日のこと。
インターホンが鳴り、ドアを開けると
「メリー……えーっと、誰か」
頭に雪を積もらせながら、帰ってきたリズはそう言った。
「キリストも天皇も誕生日は終わってるよ」
クリスマスが過ぎてもうすぐ年越し、なんて頃にリズは帰ってきた。
本当はもっと早く帰りたかったけど――そうリズは言っていた。教会の中で
リズと僕の扱いに関して意見が割れて、処分が遅れたらしい。
戻ってきたリズは、あんまり変わっていなかった。
吸血鬼のままだったし、髪形も変わっていない。
やることも以前のまま吸血鬼ハンターだった。
僕はそのお手伝いとして借り出され、その成果によっては教会にとって無害な
吸血鬼と認められるらしい。
――――
喫茶店に乗り込む。
僕としては断固抗議の構えだ。
「いらっしゃいませー」
「ホットココア、Mサイズで一つ」
マグカップに入ったそいつを持って、喫茶店の二階へ。
で、さっき電話してた吸血鬼ハンター・リズ様は、悠長にショートケーキなんて食べて
いらっしゃりやがった。楽しそうにケーキをフォークでつついてるし。
うん、あのね。
「何が忙しいの?」
リズはびくっと体を震わせて、持っていたフォークをお皿に落とす。
がちゃんと大きめの音が店内に響いた。
「あ……ほ、ほら、いちごのへたを取るのとか……」
「見苦しいよ。……まったく、何で僕だけこんな寒い中を真剣に探してるのさ」
対面の椅子にどすんと腰掛けて、ホットココアで体を暖める。
「……どうしてここが分かったのよ」
「さっきの電話。「イチゴショートお待たせしました」って聞こえた。リズがイチゴショートを
頼むのはここの喫茶店しかないし」
「ちっ……」
舌打ちしながらも、ケーキを口に運ぶ手は止めない。
くそぅ、僕だけ働かせて。恨めしそうな目で見てやる。
「あげないわよ」
「違うよ」
喫茶店でしばらく休憩して。
明るい店内を出て、白い息を吐きながら。
僕とリズはすっかり雪で覆われた街を歩く。
「すっかり暗くなっちゃったわね」
「誰のせいだろう」
「半々ってところね」
「100パー、リズだから。もう完全に」
「あのイチゴショートが悪いのよ」
「責任を転嫁するのはやめようね。おいしいケーキに罪はないよ」
「……ごめんなさい」
「素直でよろしい」
「ケーキ……」
「僕に謝ってよ!」
こんな風に。
言葉をかければ返してくれる誰かがいる。
雪が降る。
街を白く染めていく。
やがてそれも解けて、春になって。
また暑い夏が来て、木の葉が落ちて。
そんな繰り返しも、もう無意味に感じたりしない。
540 :
妄想男:2007/09/10(月) 01:13:54 0
「悠、行くわよ」
一緒に歩いてくれる人がいる。
僕の時間は動き始める。
どこまでも続く時間だけど。
「うん」
でも、大丈夫。
きみが隣にいてくれるなら永遠だって歩ける。
□ ぼくの二歩はきみの三歩 / 妄想男 / 完
541 :
シュガー:2007/09/10(月) 01:57:40 O
作者=妄想男でしたか、しかしなんという綺麗な作品……
完成度、表現方、構成力、何より登場人物に凄く魅力を感じました
読んでいて楽しかったです
感想下手くそですいませんorz
こんなSSの後に投下か……俺なんて生粋のM?
542 :
シュガー:2007/09/10(月) 01:59:25 O
「お、金の腕輪だ。高く売れるが袋はいっぱいだしなぁ」
ここは鬱蒼と生い茂る木々が作っている天然の迷路。
その迷路の中に入って早一週間。
随分と深い所まで来た筈だが、目的の場所は未だ見つからない。
「アイテムは溜まる一方だが、食料は無くなる一方だな」
足を踏み入れる度に構造を変える迷いの森。
と言っても、ダンジョンと呼ばれる場所は大抵同じ構造だ。
「どんな原理なのかはさっぱりだが……あ、おにぎり発見」
お宝がわんさか落ちているから、そんな些細な事はどうでもいい。
最近じゃ森や洞窟はもちろん、押し入れや掛け軸の裏なんかもそんな構造らしい。
年に二〜三ヶ所そういったダンジョンが唐突に出来るそうだが、これもまた何故かは分からない。
「だがそれだけお宝が増えると言う事だしな……お?」
そして冒険家達の間で幻と言われ、未だ誰も踏破した事の無い最難関ダンジョンが……。
『ようこそ! 星のヘソへ!』
「ここの筈なんだが……なんか新しいぞこの看板」
【とある冒険家と星のヘソ】
543 :
シュガー:2007/09/10(月) 02:00:57 O
「しまった……」
フランクな看板に誘われうっかり入ってしまった。
まぁ、過ぎた事は悔やんでも仕方ない。まずは装備の確認。
「食料と薬草の数が心許無いが……あぁ、お前達がいるから大丈夫だよな」
腰に携えた刀に手を伸ばす。
抜刀時独特の小気味の良い音を起てて、淡く紅い光を発する刀身を露にした。
俺の愛刀、枝垂桜。
そして左手に携えた血塗られた諸刃の盾。
俺に攻撃した魔物を血祭りにあげて来た頼れる相棒。
「あぁ、二人ともいつ見ても綺麗だ……でもやっぱり君が一番だよぉぉ」
右腕に着けている銀の腕輪。
一見価値が低そうだが、世界で俺だけしか持っていない。
一昨年俺の家のトイレがダンジョンの入口に変わった。
この腕輪はそこの最下層の宝だった。
他の人にも行かれたら困るので、ダンジョンから戻った後、家ごと入口を燃やしてしまった。
「はぁぁ……っと、悪い癖だ、また浸ってしまっていた」
装備を確認する度に、愛用の物を見つめて浸ってしまう。
「さて、お前達がいれば星のヘソで在ろうと容易いさ」
最後にちゃんと装備されているか確認し、俺は探索を開始した。
544 :
シュガー:2007/09/10(月) 02:02:40 O
「粉砕!」
愛刀・枝垂桜が迫り来る魔物を次々と切り捨て、
「玉砕!」
飛び付いて来たり体当たりして来る魔物を諸刃の盾で地に沈め、
「大喝采!」
自分がどんどん強くなるのを実感しながら、ずんずん奥深くへと潜って行く。
「くぅ、しかし腹が減るのはどうにも防げないな」
これ以上の空腹には耐えられそうにないので、最後のおにぎりを食べて一息つく。
現在34階、ダンジョンはどんな場所でも99階が最下層と決まっている。
星のヘソに入って五日で3割か、良いペースだが先はまだまだ長い。
現在58階、階段を降りた先に待っていたのは、洞窟が揺れる様な雄叫び。
「フフン……やっぱこうでないとな」
見渡す限り魔物、魔物、魔物。俗に言うモンスターハウスだ。
どうやらここの階層のモンスターで構成されているようだ。
「よし、このレベルの魔物なら問題無いはずだ」
稀にレアハウスと言って階層に関係なく強い魔物がいる事もある。
倒せれば凄い経験値を稼げるが、大抵リタイアコースだ。
「ついにこの時が来たか……」
腕輪に意識を集中する。すると、くすんだ銀色の腕輪が白く光り出した。
545 :
シュガー:2007/09/10(月) 02:04:17 O
「もう使い古されたネタだが……ザ・ワールド! 時よ止まれ!」
細いガラスの棒が折れた様な、か細い音が辺りに響いた。
普段なら魔物達の雄叫びにかき消されるような小さな音が、このフロアを支配した。
「いまから30ターンは、俺のみ行動可能! 俺が神だ!」
なんて格好つけている間に1ターン経過。悪い癖だが、やめられない。
ちなみに、1ターンは多分1秒位だ。行動しなければカウントされないが。
「ふはは! ……見ろ! 敵がゴミの様だ!」
時間が動き出す頃には、フロアにいた魔物は半分以下になっていた。
「そして時は動き出す……おはようございました」
30ターン経過して、止まっていた魔物が一斉に押し寄せる。
腕輪を使うと代償で、そのフロアでの自然治癒ができなくなり、体力の最大値の八割をダメージとして受ける。
今の最大値は125だから、今回は100のダメージを受けた事になる。
深く潜れば潜るほど使い所は難しくなるが、これ以上ない俺の切り札だ。
「この気配……死神か!」
近い奴から片付けたが、後方の死神には2ターンで隣接されるな。
流石に死神を倒すには骨が折れるし、魔物は他にもいる。
546 :
シュガー:2007/09/10(月) 02:05:35 O
弟切草を頬張りながら、物凄い速度で近付いて来る死神を睨み付けた。
「何勘違いしてるんだ……むしゃ」
弟切草で体力を100回復し、これで完全回復。
そう、腕輪を使える体力さえあればもう一度時を止められる!
「まだ俺のバトルフェイズは
☆SYU☆U☆RYO☆U☆
してないぜ!」
目前で鎌を振り上げ今にも攻撃してきそうな死神、光り輝く腕輪。まさに一秒を争うスリル。
死神の鎌に切り付けられるが、強化された諸刃の盾が何とか防ぐ。
「お前の攻撃力がもう少し強ければ、お前の勝ちだった」
俺にとっては30ターンだったが、魔物達にとっては1ターンですら無い。
時間が動き出したフロアには、俺を除いて誰も立っていなかった。
「命とは……俺の前ではこんなにも脆い物なのか。なんてねぅわ!?」
かっこよく去るつもりが、落とし穴にはまってしまった。
死神にやられた傷も、腕輪に奪われた体力も回復していない。
(ドジった……リタイアか?)
落ちて行く間、腕輪が心配で仕方なかった。
リタイア後はアイテムは全て没収される。ダンジョン内では、寿命以外では死なない仕様なのだ。
547 :
シュガー:2007/09/10(月) 02:06:54 O
「ぐあっ……てて」
どうやらまだ星のヘソにいる様だ。体力は7だったが。
辺りを見回してみても、魔物はいない。今回は通常フロアの様だ。
「弟切草はさっき使い切ったし、自然回復を待つか」
と、足踏みを始めようとした瞬間だった。
通路から死神が飛び込んで来た。腕輪も使えない、攻撃を受ければ終わる。
「くそ、こんな時にぃ!」
袋を覗いて見る。使えそうなのは……
未鑑定の巻き物が一つ、未鑑定の杖(回数は0)が一つ。
(杖が幸せの杖じゃなければ、何とか……)
かといって、外せば積みだ。一瞬で間合いを詰められ、気付けば迷いの森の入口に転がっているだろう。
(ならば巻き物なら! お助けの巻き物か、何なら自爆でもいい……しかし、これが罠や口無しなら終わる)
「くっ……杖だ!」
美しい放物線を描きながら、杖が死神に向かって行く。
杖は見事に当たり、死神を肉に変えた。
「助かった……しかも肉までゲット」
548 :
シュガー:2007/09/10(月) 02:08:48 O
肉を拾おうと一歩出た瞬間、前から丸太が飛んで来た。
何故こうもフラグが立つのか不思議で仕方ない。
「くそっ! こうなりゃ一か八か!」
丸太に向かって拳を突き出す。以前、何かで見た超絶パンチだ。
それは岩を砕く程の威力、上手く行けば俺にだって!
「フタエノキワミ、アー!」
駄目でした。見事壁まで吹き飛ばされた。
発動した罠に対しては何をしても無駄な事、冒険家の基本だ。
固定ダメージ5で助かった、残りは3だが薬草を拾えた。
すかさず飲んで体力は28、即死は無くなった。
「よし、全快だ」
自然治癒で全快にする。お腹が空いたので、死神の肉を食べた。
モンスターに変身中は罠にかからない、しかも通常の二倍速の死神だ。
どっかの赤い奴は3倍だが、こちらは壁抜けもできる。性能では負けていないつもりだ。
「階段発見、落ち着けば楽勝だな」
その後は大した問題も無く、順調に探索を進めて行った。
刀と盾を強化し、途中露店でおにぎりを買い込み、腕輪を上手く使いながら。
……あの露天商、あれだけ強いなら冒険家になればいいのに……。
549 :
シュガー:2007/09/10(月) 02:11:37 O
星のヘソに入って半月、以前誰かが叩き出した記録を超え、85階に辿りついた。
ここからは前人未踏の領域、そしてドラゴン系の魔物の巣だと言う。
ドラゴン系の魔物は固定ダメージの炎を吐くし、自然と気も引き締まる。
「そう言えば未鑑定の巻き物があったな」
もしかすると初めて見る巻き物かもしれない。
「魔法カード発動! モンスターハウス!! ……え?」
次の瞬間、回りをドラゴン系の魔物に囲まれていた。
「EVAシリーズ……完成していたの? ってぼけてる場合じゃない」
早速炎の洗礼を受けつつ、動ける様になるのを待った。
しかし、俺なんで素直に魔物の攻撃食らってるんだ?
「まぁいい……速攻魔法発動! エターナル・フォース・ザ・ワールド!」
効果、時間が止まるが俺は死ぬ。腕輪の代償に体力が足りていない。
「ごふっ! 俺は、何度でも蘇るさ! 速攻魔法……死者蘇生」
袋の中で、レアアイテムの復活の種が弾け飛んだ。
その瞬間、体力が完全回復した。これで、もう後が無い。
「さぁ、この枝垂桜の錆となれ」
回復手段の無い今、腕輪はもう使えない。残り28ターンでけりをつける!
550 :
シュガー:2007/09/10(月) 02:12:58 O
「23式波動球!」
2300Gがアークドラゴンに直撃した。流石のアークドラゴンも力尽きる。
「ワシの波動球は108式まで……あ」
誤って壺を投げてしまった。ドラゴンが一匹霧散した。
仕方なく次の作戦に切替えるべく肉を食べた。
「私の戦闘力は54万とかそのへんです」
イッテツ戦車の砲弾がドラゴン達を次々と爆撃していく。
「私は楽太……ラピュタ王となるのだ!」
30ターンが経過する前に、全ての魔物が爆死した。
「これで主力アイテムが無くなった訳だ」
もうここからは一切のミスすら許されない。全神経を集中して進んで行く。
86階……87階……88階……89階……90階……
「これ以上は……無理か……」
流石にドラゴン系は強い。体力は178、回復アイテムは無い、空腹もそろそろ危ない。
まさに万事休すだ。
「く、アークドラゴンに出て来られると、もう……」
スカイドラゴンを葬った後、壁に凭れかかる様にして座った時だった。
551 :
シュガー:2007/09/10(月) 02:13:54 O
「おおわっ!?」
壁がくるんと回転し、さっきまでいた洞窟とは雰囲気の違う部屋に入り込んでしまった。
「ム、久しぶりにここまで来る人間だったと言うのに……」
「え、あ? こ、ここは?」
俺の目の前には白い服を来た、そう店主の色違いの人が見下ろしている。
「ここはネ、星のヘソダンジョンの91階の管理室だよ」
「管理室? 一体……どういう?」
「ハハッ、分からなくていいネ、ただ……」
混乱して上手く動けないでいる俺に、白店主が顔を近付けてきた。
「お前なかなか強いネ、だから……」
552 :
シュガー:2007/09/10(月) 02:16:39 O
「お、銀の腕輪だ。見た事無いタイプだな」
ここは鬱蒼と生い茂る木々が作っている天然の迷路。
その迷路の中に入って早五日。
随分と深い所まで来た筈だが、目的の場所は未だ見つからない。
「そろそろアイテムを整理するために店に寄りたいんだけど」
足を踏み入れる度に構造を変える迷いの森。
「どんな原理なのかはさっぱりだが……あ、お店発見」
「いらっしゃいました」
変な感じの店主だな……やたらとさっきの銀の腕輪を見つめているが……。
「お客さん、その銀の腕輪……1200Gで買い取りますが」
「1200Gだと屑かな、お願いします」
「ありがとうございました」
ここは迷いの森、未だ誰も踏破した事がない星のヘソへの入口。
ここの何処かにある店には、絶対に泥棒する事が出来ない店があると言う。
そこの店主は珍しい事に、店主なのに銀の腕輪をしていると言う。
【とある冒険家と星のヘソ 完】
>妄想男
力作GJ!
自慰後の感覚が、物語の世界観に良く馴染む
>シュガー
何というアホな話w
あと、アホな自分にはラスト一行がよく分からなかったので
補足頼む
554 :
シュガー:2007/09/10(月) 14:33:26 O
投下後に補足書こうと思ったらさるさん食らったorz
SFCの風来のシレンやってたんでそれっぽい物を書きたくなって書きました
>>553 主人公はダンジョンの見てはいけない所を見てしまい、処分される筈でした
しかし、最難関ダンジョンの記録を塗り替える位強かったので、店主になる事で助けられます
店主はNPCなのでアイテムは装備出来ないが、主人公は元PC
思い入れのあった銀の腕輪を売って貰い、身に着けていると言うわけでした
説明下手くそですいませんorz
555 :
('A`):2007/09/11(火) 15:01:27 O
age
556 :
('A`):2007/09/11(火) 19:22:40 0
妄想男の名乗り出方と話の流れに二重感動
そしてシュガーのスーパーオナニーに吹いたw
スーパーオナニーワロタ
僕もその域まで達したい
559 :
('A`):2007/09/13(木) 21:37:17 0
あの人のHPが消えてるようですな・・・
ん、楔のブログがなくなってるね・・・。
作者さんの近況が知れなくなるのは寂しいかぎりだね。
561 :
妄想男:2007/09/13(木) 22:22:15 0
はい、ここで10月まで夏休みな妄想男が通りまーす。
はい乙ー
563 :
('A`):2007/09/13(木) 23:10:09 0
>>妄想男
たまにはネトラジでもやってくれ
564 :
妄想男:2007/09/13(木) 23:19:20 0
565 :
('A`):2007/09/13(木) 23:23:56 0
初めて見るキャラだな。
誰コレ?
566 :
妄想男:2007/09/13(木) 23:31:08 0
髪長いキャラはめんどくさいからショートになるのは俺の悪い癖なんだ。
で、誰かって? 俺も知りたいよ。
……。
長門……いや違うな。
QMAのルキアに見えてきた。
上達してるがな
568 :
妄想男:2007/09/13(木) 23:43:13 0
うん。昔に比べると自分でも違いが分かる。
初期の絵が未だハードディスクに入ってるけど、黒歴史過ぎて直視できん。
なんであんなものうpしてたんだ俺……orz
で、また一年後に同じこと思うんだろうか。
569 :
('A`):2007/09/14(金) 00:08:03 0
過去の自分を振り返ると発狂したくなるのはよくわかるぜ。
ho
571 :
('A`):2007/09/15(土) 23:29:47 O
age
572 :
('A`):2007/09/16(日) 22:30:38 0
妄想男は確実に上手くなってるね
全体のサイズがコンパクトになって安定感が増している
喪君には一日の長があるとして、追い越すのはごく近い将来だよ
妄想男の万能っぷりは嫉妬するのに丁度良い
さて、何か書くか
575 :
('A`):2007/09/18(火) 00:41:27 0
>>564の妄想男
その娘にムチムチ感が出せたら金出すぜ
>>563 ネトラジやってたころの過去ログ見てたらまたやりたくなったよ・・・
出来る環境さえあればやるのになぁ
誰かやらないかなぁネトラジ
577 :
妄想男:2007/09/18(火) 03:30:50 0
ほ
580 :
('A`):2007/09/19(水) 23:21:01 O
妄想男は絵書きはじめてからもう一年たつ?
581 :
妄想男:2007/09/20(木) 17:09:03 0
一年と3ヶ月ぐらいか。去年の6月に描き始めたからな。
20才過ぎてから絵描く俺って。
582 :
('A`):2007/09/20(木) 18:41:10 O
ふつうだよ。
定年から書く人だっているだろうし
一年前から俺も続けていたら今よりは上手くなってたんだろうな
やっとけばよかったよ
やっても下手すぎて三日で飽きました
喪板のdat落ちのペースが上がってきてるかな?
前は3日書き込みがなくても大丈夫だった記憶があるのだけど
587 :
('A`):2007/09/23(日) 14:58:29 O
『灰色の空、赤色の月』
第零章『少女』
世界には静寂が広がっていた。
普段は喧騒に満ち溢れているはずの街も、どこか無機質な、つまらない物に見えた。
その街のビルの暗がりに、少女は、いた。
艶やかな黒髪は腰辺りまであり、腰には刀を携えていた。
「あと少し、あと少しで終わる…。」
誰に話しかけるでもなく、少女は呟く。
――КЁЕЕДДДД!!!――
と、静寂を切り裂く様な異質な音が、空気を震わせた。
「994匹目…か。」
そう呟くや否や、少女は灰色の街に駆け出して行く。
その横顔は何の感情も表していなかった。
『灰色の空、赤色の月』
第零章『少女』 完
みじかっ!w
零章、プロローグというやつですな
これからに期待
さて試験も終わったし、多少は時間ができる。
本読むか自慰するかゲームするか何かかくか
590 :
('A`):2007/09/24(月) 20:37:51 O
新たな作品がスタートしたわけですな!
期待
591 :
('A`):2007/09/25(火) 00:07:30 0
これは期待だな
そういや以前は喪君だか誰だかの絵がうpされただけで文句いうやつを思い出した
そいつすらもういないのか
592 :
('A`):2007/09/25(火) 21:17:55 0
勢いがあったころはいろんな考えを持った人がいたからねぇ
保守sage
594 :
ニー太:2007/09/27(木) 11:35:58 O
七月くらいに書くと言っていたニー太です。
ちょこちょこ書いていたのですが八月半ばにパソコン大破。
データがあぼーんして以来嫌になってました…
万が一楽しみにしていた方がいたら申し訳ないです。
やっとパソコンに復旧の目処がつきましたので保守兼生存報告をさせていただきます。
595 :
('A`):2007/09/27(木) 12:10:31 O
ここの作者の人はよくパソコンが大破しますよね
ニー太生存把握
僕のパソコンは、何で壊れないの?ってくらいに
ウイルスにまみれていますがね
>>596 何で病気にならないの?ってくらいにグチャグチャの部屋で暮らしてる奴がいるのと同じ
598 :
ニー太:2007/09/28(金) 01:37:04 O
ウィルスならデータが壊れるだけじゃないんですか?
自分の場合、不慮の事故でパソコンを蹴っ飛ばしてしまって以来起動しなくなりました…。
リカバリしろよ
どうでもいいけど喪板にしては珍しく新参の入りづらそうなスレだな
600 :
('A`):2007/09/28(金) 02:23:56 0
いやまぁ来る者拒まず去る者追うかも
みたいなスレだから気軽に来てほしい
去るものは決して逃がさn
>>602 サンホラー乙
603 :
('A`):2007/09/29(土) 13:37:47 0
いまだにワクテカを与えてくれるな
604 :
('A`):2007/09/30(日) 21:59:56 O
保守
605 :
('A`):2007/10/01(月) 03:24:10 O
授業中に時間停止の妄想すると時間がはやく感じる
時間が止まることを考えてるのに時間がはやくすすむパラドックス
お、なんかいいねソレ
って、学生ならもっと早く寝ろ
それにしても、歳を重ねると時間が早くなるって本当なのな
最近、クソ程の時間もねえぜ
607 :
('A`):2007/10/01(月) 20:07:46 0
次の日何して遊ぼうかと考えていたガキの頃が懐かしい
大人になるなんて想像つかなかったよな
609 :
加賀見:2007/10/02(火) 18:22:39 0
今の小学生は土曜日が休日なんですよね、そういえば。
土曜日の昼頃に学校が終わり、石蹴りなんかしつつ帰り道を歩き、
「昼ご飯食べたら遊びに行くよー」とか言って友達と別れ、
家に帰ったら婆ちゃんが作ったパサパサの焼き飯がお出迎え……
って土曜日も悪くないと思うんですけどねぇー。
まあね、って加賀見お久ー
611 :
加賀見:2007/10/03(水) 00:02:50 0
>>610 うい。お久ですー。
シュガーの新日記読んでたら「秒速5センチ〜」の文字が。
シュガーも観たのかなぁ? 新海さんの背景は相変わらず綺麗ですな。
>>611 見ましたよー。新海誠の背景は吸い込まれるような魅力を感じますよね
物語も綺麗で本当に才能に恵まれた人の手本のようですよ
憧れるなぁ……
613 :
('A`):2007/10/03(水) 23:20:57 0
>>606 仕事してると時間ないよなぁ
仕事は自分の時間を売ってるというが売りすぎたかな
加賀見とシュガーのやり取りでなんか和んだ
二人とも久しぶりだなage
614 :
('A`):2007/10/04(木) 00:14:36 0
>>614 なつかしい。
この時間停止シーンのために買ったわ。
616 :
('A`):2007/10/04(木) 18:28:35 O
妄想男って
まだネトラジやってんのかなぁ
それにしても最近寂しいね、駄作でも投下して行こうかな
おk投下していきな
618 :
('A`):2007/10/05(金) 11:32:02 0
エキセントリック少女ガァル 第一回
スズメが鳴きながら窓の傍を飛んでいく。
カーテンを開け窓の外を見ると,忙しそうに
歩くスーツの人がちらほら。
それにうちの学校の制服を着た男の子が
必死な顔で自転車を漕いでいる……?
私は慌てて目覚まし時計を見る。
8時をほど10分回っていた。
また、やっちゃった。
急いで着替えて階段を駆け下り、誰もいな
い洗面台に前のめりで飛びこむ。一応私も
可愛らしい女の子。寝癖は厳禁だ。
「モエコ。あんた朝ご飯は?」
「いらない! 急いでんの!」
「あんたそんなんじゃ」
役立たずのお母さんが何やら言ってるが私に
聞こえる訳がない。
セット完了
こういう時、髪の毛は長すぎない方が便利。
私、天才。
とりあえず最速で準備をし 玄関を出ようとす
ると役立たずがパンを口に突っ込んできた。
反論する時間もないので
口にくわえたまま「いってきます」とちゃんと
発音出来ずに家を出る。
腕時計を見ると8時25分。
今日は流石にやばかったので最終兵器原チャリに
跨り学校を目指した。
619 :
('A`):2007/10/05(金) 12:25:36 O
一応投下
この題名誰かが付けてたような気もするんだけど
被ってたら超ごめん
エキセントリック少女ガァルワロタ
題名といい、「モエコ」といい、B級臭さがたまらんな
あと、一行につき25〜30文字くらいが見やすいと思
621 :
('A`):2007/10/05(金) 23:03:37 O
さすがにこのタイトルはかぶらんだろ(笑)
続き期待
投下待ち保
623 :
('A`):2007/10/06(土) 23:42:57 0
エキ少 第二回
原チャリで大気圏を超えるかのような加速度でスピードをあげ
原チャリが出せる限界ギリギリのスピードで二車線の旧街道を
ひた走る。
どこかのヒーローのようにマフラーがたなびく訳ではなく、食パンが
上下にバタバタと暴れ、視界を時々遮ってくる。
目の前の信号が黄色を差し、奥の信号が赤を差しているのを見て
面倒だなと思いながら右折し入り組んだ住宅街の道へと入る。
スピードを限界ギリギリから法定速度まで落としながら進むと
急に曲がり角から同じ学校の制服を着た少年が姿を表す
ちょうどその時、食パンが視界を遮り反応が遅れた。
食パンを口に咬えた少女と曲がり角でぶつからんとする少年。
恋愛シミュレーションゲームとちょっと違うのは少女がちょっと
早すぎるだけ。
「これはヤバイ!」
食パンが下に降り、彼女がそう一瞬思考した後
食パンは中を舞っていた。
お、結構いい描写だな、と思ったが
展開が遅いなオイw
だがしかし期待
タイトルは作者自身煩わしくなったとみえる
GJ!
ここで先の展開予想してみる。
1:少年が時間を止めて事故回避
2:事故でモエコが時間止めに覚醒
3:モエコと少年の中身が入れ替わる
4:食パンが
626 :
喪'A`)なんともないぜ ◆fHlB.GOGGU :2007/10/07(日) 02:59:45 0
ナイフを回収しに行ってる
627 :
('A`):2007/10/07(日) 03:10:59 0
夜中に小出ししたほうが人戻ってくるかな?
また皆で大会とかしたいよね
628 :
('A`):2007/10/07(日) 04:45:15 O
タイトル略しすぎだろ(笑)
言い回しがおもしろいな。
大会やったなぁ
結局優勝どころかベスト3にも入らなかった
629 :
加賀見:2007/10/07(日) 17:32:58 0
>>シュガー
新海さんが写真をトレスしながら背景を描いてる動画を観たので
真似てみたりした事もありましたが上手くいかず……まぁ当たり前だけど。
やはりあの色彩感覚がキモなんですな。
新海さんが作った新聞のCM、長野県以外でも放送して欲しいなぁ。
>>613 お久しぶりです。
最近は文章書く時間があまり無く、
かわりにお絵描きばかりやっています。ハイ。
>>623 投下乙です。
上でも言われてますが、言い回しが面白いですな。
630 :
('A`):2007/10/07(日) 19:34:14 0
このスレは絵も見れるからいいね
てか絵書き多いのか?
631 :
('A`):2007/10/08(月) 11:14:07 O
絵書いてる人はみせてほしいなぁ
633 :
('A`):2007/10/10(水) 00:00:59 O
投下はまだか!!
635 :
('A`):2007/10/11(木) 00:54:15 0
エキ少 第三回
ヤバイと思った瞬間口からほころんだ食パンが、
空中で静止し、全ての物が止まっていた。
原チャリも、急に出てきた間抜けな顔になってる少年も。
でも、その中でモエコだけは動けたのだ。
何が起きているのか彼女は理解出来ず目をしばたく。
必死にハンドルをガチャガチャと動かすが、
原チャリは、曲がるどころか全く進まない
腕時計に目を落とすと時計の針は8時32分を差し
秒針までもが止まっている
訳が分からず、あるのかないのか分からない頭で
10秒近く考えこんだが、
即座に遅刻の二文字を思い出し。
大事の前に小言は気にするな。
と、ない頭と思える結論を付けた。
仕方なく原チャリから身を降ろし、原チャリを押し
て少年を追い越す。
そして、食パンを忘れたと思ったその刹那。
急に原チャリや周りの全てのものが動き始めた。
彼女は原チャリに猛烈な勢いで引っ張られ100m走の
オリンピック選手以上のスピードで走り出す。
走るというよりは横から見ると走り幅飛びを
繰り返しているかのようだ。
彼女は必死でブレーキを押さえ原チャリをコケ
ながらも止めた
時計を見ると秒針が動き始めたのを見て、
このままいけば余裕かもと思っていた自分を
呪ったのだった。
636 :
('A`):2007/10/11(木) 00:58:49 0
ついに時間止まったな。
女が時間止めるとやっぱイケメンの・・・
もっと展開をクレ!
638 :
('A`):2007/10/11(木) 22:23:51 0
この後どういうふうに利用すんだろうか。
展開がよめねぇw
ほ
640 :
('A`):2007/10/13(土) 01:32:02 0
641 :
かつを:2007/10/14(日) 00:49:41 0
液晶の投下待ち、保守がてら投稿
人という字は支え合っていません 1話目
平日の昼間だというのに、店内に客足が絶えることはない。平日の昼間だと
いうのに、古本屋に入り浸って立ち読みに耽る人間というのは、フリーターか
ニートか、やる気の無い営業マンあたりか。
そんな人間の姿・表情にはどうにも覇気が無い。彼らの醸し出す雰囲気で、
店内もどんよりとしてしまいがちである。
しかしそんな空気など、水尾さんがかき消してしまう。
「いらっしゃいませーっ」
「ありがとうございましたーっ」
客の出入りの度に自動ドアへと向き直り、水尾さんはハリのある声を出す。
思わず私も、それに続いて声をあげる。
元気で滑舌の良い水尾さんの挨拶に続くと、私の声は幾分劣ってしまう。
しかしそれでも、二つの声が続いて通ると、気持ちが通じ合ったような気が
して、顔がほころびそうになる。
私は顔の緩みをおさえるのに躍起になった。気味悪がられる事を懸念し、
内心ふしだらな気持ちを抱えながら、必死に無表情に努める。
すると、横から水尾さんが肘で私の体を小突き、「いらっしゃいませーっ」
と声を出した。
「お客様が来ましたよ、ボーっとしないで」と注意を促されたのだ。私は
水尾さんに続いて「いらっしゃいませー」と声を出すが、ついつい挨拶が
尻切れになってしまう。
自動ドアを見ると、吉原と鈴木がこちらを見て薄っすら笑っていたのだ。
私の友人であり常連である吉原と鈴木は、いつものようにレジ横の本棚に
陣取り、何やら話し合う。私は怪訝な――万引き犯にくれてやるような目で
それを見るのだった。
642 :
かつを:2007/10/14(日) 00:50:59 0
しばらくすると、鈴木に押された吉原が「す、すみません、店員さーん」
水尾さんを呼びかけ、「はいっ」水尾さんは小走りで彼らの元へ向かう。
「えとですね、○○っていう本を探してるんですけど、どこに置いてますか?」
吉原は顔を赤くしながら、水尾さんに言った。
水尾さんは笑顔を返し、「え〜、こちらですね」吉原と鈴木を引率していく。
吉原と鈴木は、彼女との距離を出来るだけ詰めてついていく。吉原は、彼女
の制服と後ろ髪の間に見え隠れするうなじに目を剥き、鈴木は鼻をひくつかせ
彼女の残り香を一つも漏らさず吸い取っていく。
やがて目的の本棚につくと、水尾さんは膝に手をおき、目を凝らし始める。
吉原と鈴木も腰を折り、目を凝らし始めた。しかし、視線の先は本棚では
ない。本を探す体勢ゆえに、少し突き出された水尾さんのお尻。彼らはその
お尻目掛けて熱視線を送る。また、最大限に水尾さんの香りを取り込もうと
しているのだろう、(私のいる)レジからでも彼らの腹が大きく動いているのが
分かった。
私の血圧は急上昇、恐らく眉間には青筋が浮かんでいることだろう。思わず
飛びかかりそうになってしまうのだが、いかんせん、彼らはお客なのでそれは
タブー。行動はあまりにも下劣なのだが、購買力はあるし、店員に対して
傲慢な態度をとることも無い。店にとってはお得意様なのだ。
「あっ、ありました。○○はこちらに揃えております」
水尾さんがそう言って振り返る頃には、先程までの彼らの血走った目は
消えていて、
「あ、じゃあ、それ貰います」
好青年とまではいかないものの、柔らかい物腰で水尾さんに礼を言って、
商品を棚から抜き取った。
会計1800円。まことに良客である。立ち読みで本を傷めることもしないし、
買い渋ることもない。レジを終えれば真っ直ぐに帰り、立つ鳥跡を濁さない。
羨望からくる私の性的興奮を除き。
643 :
かつを:2007/10/14(日) 00:52:20 0
一人につき50分の休憩が、一日のスケジュールに設けられている。
忙しくない時間帯。私は休憩に向かうべく、レジに取り付けられた読み取り機に
自分の名札を通す。゛ピッ゛と電子音が鳴り退出登録完了。
「では、そろそろ休憩もらいます」
「はい、お疲れ様ですー」
水尾さんを一人レジに残し、私はスタッフルームへと急いだ。
先程感じた性的興奮は一向に止んでいない。いやらしいことへの衝動と願望
が私を駆り立てる。
スタッフルームの扉を開け、冷蔵庫の扉を開け、私はおもむろにペットボトル
のお茶を口に含んだ。
そのペットボトルのラベルを見る。そこには丸く可愛い字で「水尾」と
書かれている。その文字に私は萌える。売り場での、スタッフへの毅然とした
振る舞い。客に対する理想的な接客。彼女がみせる責任感と仕事への切実さ
とは裏腹な、可愛い書体。
私はその文字にすら愛しさを募らせるし、欲情さえする。
含んだお茶で口をゆすぎ、ペットボトルの中に戻す。そして、ペットボトルの
注ぎ口やキャップの裏を丹念に舐め、改めてお茶を一口含む。私と水尾さん
の唾液が混じり合ったところで、私はようやく一口を体内に流し込んだ。
――美味い。
そうすることで、一時的に私の興奮や欲望は抑えられる。しかし、またすぐに
欲望はやって来、先程よりも強い力をもって私を突き動かすのだった。
例えばエプロン。彼女が売り場で着用するエプロンがある。タイミング次第で、
それをいくらでも愛でることができるというのに、今それがここにはない。
吉原や鈴木がやっていたように、お尻を覗き込むことも私は出来ない。
考えてみれば、彼女へのあらゆるアプローチの手段に対して、私が今できる
ことやしていることは、あまりにも少なすぎて。結局、私の欲望はエスカレートし、
欲求不満となってしまう。
果てには、「時間が止められたらなぁ」などと、完全な妄念にとりつかれてしまい、
仕事が手につかなくなってしまうのだった。
644 :
かつを:2007/10/14(日) 00:53:52 0
まあこんな感じで周2くらいの頻度でいきます
久しぶりに加賀見がいるな。また、何か書いてくれぃ
物語もそうだが、喪前さんの文章は丁寧で気持ちいい
> 含んだお茶で口をゆすぎ、ペットボトルの中に戻す。そして、ペットボトルの
>注ぎ口やキャップの裏を丹念に舐め、改めてお茶を一口含む。私と水尾さん
>の唾液が混じり合ったところで、私はようやく一口を体内に流し込んだ。
ここの描写がリアルすぎて、流石かつをだなって思た
俺もなんか書くか
いやもう半分書けてるけど
646 :
('A`):2007/10/14(日) 04:32:29 O
かつを乙!
休憩のあたりで主人公の確変しすぎワロタ
647 :
('A`):2007/10/14(日) 20:04:54 0
結局こうなるのかw
648 :
('A`):2007/10/14(日) 21:22:06 0
レーイプ!
650 :
('A`):2007/10/15(月) 23:57:28 0
かつをあげ
ほ
保守sage
653 :
かつを:2007/10/18(木) 00:11:59 0
654 :
かつを:2007/10/18(木) 00:14:11 0
人という字は支え合っていません 2話目
平日、定休日、起床すると既に昼の一時だった。
カーテンを開け放つと、閑静と呼ぶには生温い程の町並みがあり、可能な
限り身を乗り出して、ようやく野良犬を一匹見た。
人気のない町並みを背景にして、私はコーヒーを作り始める。
――今頃は、健全な汗を流し、頭を働かせる学生や社会人。あるいは昼間
から娯楽にうつつをぬかし、不健全な行いに勤しむ連中もいることだろう。
そんな連中を肴にコーヒーを飲むと、孤独が高貴なものになる。
優越感は禁じえない。
カーテンの外を見、達観した気になりながら、ヤカンをコンロに置く。コップ
には、コーヒー粉・クリームパウダー・砂糖を入れて、再びカーテンの外を
気にする。
その時、ふいに電話が鳴った。
「平日の昼間から電話なんて、よっぽどの暇人に違いない」
私はコップに湯を注ぎ、スプーンでかき回す。
電話は止まない。
コーヒーをかき混ぜ終え、次に多少コーヒーを冷まさなければならない。
猫舌の私は電話に出た。
「……はい、もしもし」
私が悠長な動作で電話に出ると、対照的に相手は焦った様子で、
「も、もしもし吉原だけどッ」
と言った。なるほど、暇人に違いなかった。
「おぉ、どうした」と私が言い切るまでもなく、
「山本(私の名だ)、ちょ、ちょっと来てくれ」
吉原はまくしたてる。ちっとも暇人らしくない。
「ちょっと、どうすればいいか分からないからさ。た、頼むから頼む」
電話口の向こうから、唾が飛んできそうだった。
しかもその勢いはどんどん加速していって、
「た、頼むから来てく、ちょ、どうすればいいか分からない」
仕舞いには音飛びするCDのように、同じことを果てしなく言うのだった。
思わず吐き気をおぼえた私は「わ、分かった、行くから待ってろ」と強制的に
電話を切り、コーヒーを飲んで、吉原の家に向かった。
655 :
かつを:2007/10/18(木) 00:15:03 0
曇り空の元で、町は人気がない。少数の不健全な者がつくる町の空気は甘く
苦くて、コーヒーのようだった。
麻薬的な町中、自転車で吉原宅へ飛ばす。すれ違う人々、不良学生や疲れた
主婦や野良犬にさえ、仲間意識のようなものを感じる。
だから私は吉原の家へ急いだ。さっさと目的を果たすために。
吉原の住むアパートは、私の住処よりも薄汚れていて、もちろん周りの
町並みからも一際浮きだっている。そして、敷地内に踏み込むと一層だった。
生ゴミや動物の糞は乾き切り、黒い塊としてコンクリートにこびりついて
いる。虫でさえ、それには見向きもせず、階段の端には蜘蛛が垂れ下がって
いた。
コンクリートのジャングルを進み、吉原宅に辿りつく。しかし、インターホンを
押してみても反応は無い。音が鳴らない。
「おーい、入るぞ」
仕方がないので、そのまま入ることにした。
扉を開くと、今までで一等甘い腐敗のにおいがした。
脳を揺さぶられるようなにおいに目が眩み、赤と黄色の靄が視界から消える
と、ガラクタがまず目に飛び込んだ。
玄関からでも、十分視界に収まる家の間取り。その半分がガラクタで積まれ
ていた。
間取りの中央には吉原が力なく座っていて、見ようによっては彼自身も
ガラクタにみえた。
私が音を立ててガラクタを掻き分けると、その音に反応したのか、吉原は
顔をあげて、部屋の中央から私を見た。
「おい、どうしたんだ」
私が声をかけると、彼は少し落ち着いた表情をみせた。その表情に私もまた
幾らか安心し、「今いくから待ってろ」玄関から私が行った瞬間。
「歩き辛くてごめんな」
吉原が、私の隣でガラクタを掻き分けていた。
656 :
かつを:2007/10/18(木) 00:16:39 0
そのまま吉原は部屋の中央へと、ガラクタを掻き分け道をつくっていく。
そして、「早く来いよ」何事も無かったように、柔らかい表情で私を招いた。
「どうしたんだ?」不思議そうな面持ちで、部屋の中央から私を見る。
しかし、その表情は私の「お前、……いつの間に隣に来たんだ?」ほとんど
無意識の一言で無惨なくらいに消え去り、やがて呈す悲哀とも憤怒ともつかない
表情は、先程の無機質さすら通り越していた。
吉原の思考など知る良しもないが、穏便ならぬ雰囲気くらいは分かる。
私は身の危機を感じ吉原宅を去ろうとするが、気づくと部屋の中央にいる。
先程の吉原の行動が頭を掠め。
――お前、瞬間移動なんてできるのか。台詞は、――非常事態である、喉に
ひっかかり。
その代わり、吉原の声が私の耳元で厭に聞こえた。
「時間を止められるようになった。どうしよう?」
蜘蛛の巣に引っかかったような気がした。走っても走っても、まるで地に足
つかない。私は耳元で聞こえる吉原の声に向かって、闇雲に手足を振り回した。
すると、それが――奇跡に違いなかった、私の拳が吉原を捉えた。拳に感触
が伝わる。確実でいて戦慄を感じる程柔らかい感触に身震いしながら、それ以上
の戦慄から必死に逃げた。
ガラクタを掻き分け辿り付いた玄関で、私は吉原に振り返る。彼は部屋の
中央でうずくまっている。
「な、なぁ、どうすればいいと思う?……時間を止めて、な、何をすればいいのか
分からない……」
「し、知るか! 人助けでもしろ! レイプでもしろ!」
「ど、どっちやればいいんだよぉ……」
吉原はうめき声をあげる。私の叫びは負け犬のように響いた。
帰り道に感じた空気には、もう甘さはなかった。
吉原のせいに違いなかった。
657 :
かつを:2007/10/18(木) 00:22:06 0
つづく
>>645 はやく書け書け書いてくれ
レスありがと
>>645-647 類稀なる文才無い、物語に深みを出せない以上
奇をてらおうとして、かえってパターン化しがちなんだよなー
>>647の言うとおり
精進したい
658 :
('A`):2007/10/18(木) 08:16:03 O
かつを絵うますぎだろ(笑)
つぎはそのクオリティでエロいの頼むよ。
時間停止を主人公以外が手に入れるのは珍しいケースだな。
てか吉原はこれからとんでもない悪魔になりそうでワクテカが止まらん。
次回も楽しみにしてるぜ
659 :
('A`):2007/10/18(木) 12:03:10 O
文芸部の方は人増えてるね
ここも文芸部みたいに盛り上がればいいのに
660 :
('A`):2007/10/18(木) 12:10:56 0
i! ヽ.: : :ハ:゙、: : :i ヾ゙、 "/ i...:J:..)ゝ 〉,.:‐!;..
ゝ ヽ: : ! ヾ:i、:'´ゝ、 ` ._.ゝ-‐' _i ".::\
\:、 リ,イ! じ: : ' ゝ.__.:イ`
,.-、 ` !:ィ! ー' " " J i:;;::;ハ;.
ノ::::::`:.ー---- 、-‐'" ̄ヾ、:.l " i:'":ハ;..
/..::::::..... `ヽ:. ! l、 ` ヾ:;;:;;. ヽ、
/ ヽ丿 ノヽ、 ー::.'"´ ,.: ヽ:;;:. ..:::'
,.' u ゙、'´_..バ:ヽ、 ,.イ´ ヽ:;;:. :.
,' : ヾ、__...::く `ヽ..__,...::'"ヾ ヽ:;;:. :.
i J `ヽ._.ノ .: i '" J i:;;:.. .:::
', ,...:-──-゙- 、 .: !:. ヽ:;;:. ..::ヽ
゙、 ,.:'"´.:,:-、:::::... `ヽ、 ゙i:;;:.
/ ヽ / ..::::(.` :::::::... ヽ:... `ヽ、 .:: i:;;:.
./ 〈:;;..ヽ、 / ..:: ...:::::::::::. ヽ:..::... `ー-‐'"´ i:;;
' |:;‐-.、__>─一;' ゙、:.. `,: i:;;,::':"
l:;;::... /ヽ! _ ',:.. .:' i';;:
`i:;;ー-‐'" ,.イ ', i´.:;| / i:;;:.
ゝ、:;;..__/ ノ ゙、 J i .:;! ,' u i:;;:.
/ ヽ:_/ |ゝ. ,! .;i ! !:;;:.
/ ./ ,! l:゙、ヽ、 / .:;{:i /:;;:.
J:/ ./ | uヽ:゙、:;;:.`:.:.:.ー─--- 、... ノj .:;゙;:、
661 :
('A`):2007/10/18(木) 22:33:25 0
otiru-
体が濡れる感覚で目が覚めた。
途方も無く久しぶりの感覚で、正直それが何なのかすぐに思い出せない。
「……あれ、ここどこだ?」
何があったのかは分からない。けれど、目の前にはいつもの白い壁も白い天井も無い。
そこにあったのは果てしなく高い灰色の天井と、瓦礫の山、そして天井から落ちてくる無数の水滴。
「これは雨? で、あれは空だよな……あれ、なんで外にいるんだ?」
辺りを見回しても、いつもいた白い服を着た人達はいない。
そのかわりと言うのか、ボロボロの服を着た人が溢れていた。
「ねぇ……一つ聞きたいんだけど」
近寄ってきた人に声をかけてみた。なんだか怪我をしていたが、見たことのある人だった。
とりあえず聞いておきたい事が二つあった。一つは何があったのか。そしてもう一つ。
「ねぇ、僕もう『外に出てもいい』の?」
近寄ってくる人は唸るだけで何も答えてくれない。確か僕がいた場所の一番偉い人だったと思うのに。
少しずつイライラしてきた。お腹も空いてきたし、ここにいても仕方ないし。
「もういいや、僕行くよ? ここにいるのもいい加減飽きてたし、久しぶりに外の世界だし」
唸っていた人は行かせたくないのか掴み掛かってきた。すごい悪臭を放っている。
鬱陶しいし気持ち悪いから手を払おうとすると、噛み付かれた。物凄い力で僕の腕を噛んでいる。
「痛っ! ……やめてよ! もういい、僕はもう僕の好きにするし」
噛んでいた人を思い切り突き飛ばし、遠くに見える建物の方に足を向けた。
いつの間にか、雨は止んでいた。聞こえていた雨音が無くなって、崩壊しかけの建物の中は俺が出す音しか聞こえない。
カチカチと鳴る歯の音と、カタカタと震える体の音。後はこれ以上ないくらい抑えた呼吸音。
「……っ……」
本当にそれだけの筈だ。事実周りには不死者どころか野良犬一匹いない。
全部殺した。時間を止め体をバラし、生存者も不死者も何もかも関係なく殺した。
それなのに、目の前の扉の中から物音がした。
「ひっ!?」
あの不死者から逃げて、俺の耳にはずっと声が聞こえている。あの時からずっと、俺はあいつの声から逃げている。
死んだはずの妹。そう、絶対に死んだんだ。俺が殺した。
事故だったと周りは言ったけど、あの時の母親の顔は俺が殺したと告げていたんだ。
「あ……生きてる人いたんだ、よかった……」
「ひぃ! う、うわぁぁぁ!!」
「え?」
開いた扉の中、妹がいた。さっきも殺した、何人も殺したのに、また俺の前に出てきて俺を責める。
『お兄ちゃん、助けて……』
だからまた殺した。バラバラにしてこの時間も止めてこれ以上ない手段で目の前から消した。
消える瞬間、どれもこれも妹じゃないヒトになっていた。それでようやく幻覚と分かる。
「ふぅ……ふぅ……」
少しだけ取り戻せた正常な自分、その間に考える。そう、あれは紛れもなく歩だった。
並行世界なんだから、生きていてもおかしくないのは分かる。
俺はあの時何も出来ずに、見殺しにしてしまった。
けれど、この世界に元々いた『俺』は助けたんだろう。
「ふっ……はぁ、は……ひっ!」
少しずつ少しずつ考えて、ここまでは理解した。いや、きっと頭ではあの時既に分かっていたんだ。
けれど、それでも心が否定する。『歩はお前が殺した』と、記憶が耳元で怒鳴っている。
そうしているうちに、せっかく取り戻した理性も記憶の中の歩の声に殺された。
ひっそりとparallel worldの続き投下します
俺と同じくもう忘れ去られている存在ですねw
必要かどうかはわかりませんが、登場人物をまとめた物を出来次第投下します
では、また後できます
第一章 鏡の中の星降る世界 あらすじ
2006年5月25日
地球に隕石が飛来するとの噂がインターネットで話題になった
そんな噂に若干の期待をして過ごしていた弦太は、鏡に映った自分に鏡の中に引きずり込まれてしまう
鏡の中の弦太(以下彼)は、2006年5月24日に隕石が落ち、バイオハザードの様になった世界にいて、時間を遡って来たと言う
そこで自分のいる世界と弦太のいる世界を変わってくれと持ちかけた
彼と存在していた世界を変わる事になった弦太は、彼から『時間停止』の能力を貰う
目が覚めると2006年5月24日、彼が書いたと思われるメモを読み、世界が入れ替わったことを実感する
弦太はいつも行っていたスレにこれから起こる事を書き込み、それに備えて準備を開始する
自室で見つけた攻略本通りに準備を進め、隕石を逃れるためのトンネルを探す
そこで斉藤水月と小林優香と出会い、一緒に行動することに
そして彼女らからこの世界には能力を持った人間が多数いて、二人も能力者と言うことを知らされる
その後、車を調達しトンネルに戻っている途中に隕石が落下し始める
斉藤の能力でトンネルに結界を張り、弦太は崩壊していく世界を見つめていた
第二章 不死者たちが踊るダンス あらすじ
隕石が衝突し崩壊した世界の中、それでも生存者はいた
千里眼の魔眼を持つ工藤友成と、時間の流れを減速させる能力者の武下海人
二人は斉藤が張った結界をみつけ、弦太達がいるトンネルへ向かった
しかしトンネル前で動く死体に襲われ、抵抗するも追い詰められる
弦太に助けられるも友成は気を失い、海人は能力を使いすぎて動けなくなってしまう
彼らもスレの書き込みを見たといい、共に行動することに
そうこうしていると、優香の姿が見えなくなり、弦太と斉藤が探しに行くことに
トンネルの反対側で見たものは、ゾンビになってしまった優香だった
斉藤を海人達の所に行かせ、一人優香と戦う事になった弦太
その時能力が覚醒し、全てのモノをその瞬間に止める個の時間停止の能力を得る
能力の反動で意識を失った弦太は、鏡の中に似た空間にいた
そこには彼がいて、このままでは世界がまた入れ替わってしまうと告げた
それは、弦太がその世界にいる理由を忘れそうになっているからなのだと
彼に理由を半ば無理やり思い出させられ、目を覚ました
目を覚ますとトンネルは不死者の大群に襲われていた
海人や友成が必死に抑えてはいるが、このままでは危ないと斉藤がいう
弦太は三人を避難させ、一人不死者の大群に向かっていった
第三章 再び掴めた手は幻 あらすじ
5月27日の朝、友成は見張りをしていた
昨日、弦太の本質を垣間見た事で彼に恐怖を覚え、嘘を言って皆から弦太を遠ざけた
その事を自問自答していた
5月26日、あれだけいた不死者の大群を一人で倒した弦太
彼を支配していたのは破壊衝動、それを抑えるため、友成に不死者を探させた
友成が見つけたのは能力を使う不死者だったが、生存者が不死者に襲われていると嘘を吐いた
少し感づきながらもそこに向かう弦太
そこにいたのは攻撃を跳ね返す能力を持った不死者だった
悪戦苦闘していると、その不死者が死んだ妹の歩だと気付いてしまう
混乱した弦太は不死者となって現れた歩から逃げ出してしまう
登場人物
永沢弦太 20歳 男
体型は普通だが、顔はやや不細工気味
根暗な性格だったが、能力に目覚め性格が激変した
時間停止の能力者で、元は違う世界から来た
途中能力が覚醒し、全ての物をその瞬間に固定する個の時間停止を使えるようになる
斉藤水月 21歳 女
長身でスタイル、顔共にいい
性格は大雑把、言葉遣いが微妙に男っぽい、胸が大きいことを気にしている節がある
能力は結界、媒介は自らの血液
詳しくは物語が進むにつれ明らかに
小林優香 21歳 女
背が低く、中学生にも間違われそうな童顔
性格は人見知りが激しいが、親しい人間には明るいと思われる
能力は回復と治癒だったが、不死者になり暴走、能力が半不死にランクアップする
弦太の個の時間停止により、その瞬間に固定される
武下海人 19歳 男
平均的な身長、実は結構筋肉質だったりする、童顔だがそこそこイケメン
性格は明るく、誰とでも仲良くなれる
能力は時間の減速『スロウレイン』
元は普通の人間だったが、思い込みと長年の努力により能力を得た
工藤友成 20 男
小柄な体型とは反対に、整った顔のイケメン
性格は冷静だが、結構精神的に脆い
千里眼の魔眼をもち、その範囲は気力によって変わる
数秒先の未来なら見ることが出来るが、持続時間は短い
歩 17歳 女
不死者?
体型は普通、髪が長く普段は顔が見えない
能力は反射? 現在は攻撃をその相手に返す能力を使う
詳しくは物語が進むにつれ明らかに
669 :
シュガー:2007/10/21(日) 12:19:11 0
必要かどうか分かりませんが、今までのあらすじと登場人物を簡単にまとめてみました
まぁ皆さんの暇つぶしになれば光栄の極みです
では、長文大変失礼しました
またきます
670 :
('A`):2007/10/21(日) 12:48:11 O
日曜日の起きたときにこういうのよむと得した気分になる。
シュガー乙ー
671 :
('A`):2007/10/21(日) 20:11:21 0
>シュガー
リレーを思い出す能力の数々だ。
これは期待せざるを得ない!
672 :
('A`):2007/10/21(日) 20:30:55 0
シュガーさんが投下してたんで
久しぶりについで
エキ少第四回
原チャリをマンションの駐輪場に止め、私はダッ
シュで靴箱へ向かった。急いで靴を履き替え、足が
もつれそうになりながら階段を駆け上がり、教室に
飛び込む。
教壇の前には先生が立っていて前かがみに手元腕
時計を見ている。
「は……判定は?」
そう尋ねると先生は両の手でセーフと表した
「モコ、また最終兵器使ったの?あんた絶対いつか、
事故起こすよ」
そうチセが、ちゃちゃを入れてくる
「大丈夫だって私がそんなヘマするとでも?」
今朝の事があったけど私はそう答えた
「お前ら俺の居る前でそんなでかい声で言うなんて。
いい度胸だな」
そういえば、先生がいたのを忘れてた
「え? 最終兵器ってのは、欧米でちょっと話題に
なってるリカンベントってヤツの事ですよぉ。
変な疑いかけるなんて、やだなぁ」
昨日、テレビの自転車特集で出てた、速い自転車の
事らしい
「制服で乗るのか――?それにここ、山の上だぞ。」
正直言うと名前以外あまりよく見ていなかったら、
私は言葉を詰まらせた
しかし、先生は私の事などすぐに興味を失いソワソワ
していた。
廊下から急ぎ足の足音が聞こえてくる。
「おお、ようやく来たか。どうした? まぁ別にいい、
転校生を紹介する」
673 :
('A`):2007/10/21(日) 21:33:07 0
シュガー久しぶりの投下乙ー
「またきます」じゃなくて毎日こい、毎日長文くれ
あらすじと登場人物まとめで、風呂敷のでかさを再確認
まとめるのは骨が折れそうだがガンガレ
エキ少GJ、もっと展開を!展開をくれ!
頻度も上げて!毎日きて!
人が少なくてもほしゅするもん
ho
シュガーのは12メサイアを思い出させるな
完結まで頼む
677 :
('A`):2007/10/24(水) 23:06:16 0
12メサイヤナツカシス
このスレがこんなに下に来ていたとは・・・
これは何かSS書かねば
人が集まるのって難しいよねえ
一時期のような妙な荒しがいなくて助かるっていうのはあるんだけどね
681 :
('A`):2007/10/27(土) 00:12:02 0
大昔の作者だけど実は商業デビューしました
デビュー作は時間を止めるお話ですw
商業デビューワロタ
じゃ、せっかく身も落ち着いたことだし、
エロギャグSSでも書いてクレ
684 :
('A`):2007/10/27(土) 02:32:54 O
遂に商業デビューの人も出てきたのね
頑張れ、シュガー
685 :
('A`):2007/10/27(土) 03:59:15 O
連載期待あげ
686 :
('A`):2007/10/27(土) 15:14:56 0
商業デビューってw
すんごいなぁ
688 :
('A`):2007/10/28(日) 07:31:35 O
商業デビューかぁ
しかもデビュー作が時間とは
このスレも46まできた甲斐があったな
689 :
('A`):2007/10/28(日) 07:40:51 O
これ本当かよ?
誰だか知らないけど本当だったら凄いな
商業デビューって、単に就職したってことじゃないのか?
とりあえず、試しにそれ読んでみるか
自分の好きなことやって飯食っていけたら幸せだよね
商業デビューとは凄いですね
やりたい事で食べていけるなんて夢のようですなぁ……
俺もしてぇなぁ……
693 :
('A`):2007/10/28(日) 18:12:21 0
誰もが夢見る時間停止で己の夢を掴むとはさすが妄想男ですね
ここのまとめのリンクもあるな
696 :
('A`):2007/10/28(日) 23:58:40 0
>>687 妄想男なのか?w
あいつやりやがったな!
まじで応援するぜ。
何故妄想男で確定な流れなのだw
そういえばそうだねw
でもおもしろさは別にしても文章構成力とか語彙量とか考えて妄想男の線は十分ありえる
加賀美やボーイも
699 :
('A`):2007/10/29(月) 01:27:18 0
もちろん俺もな!
エキ少氏の文章を読んでいて『リカンベントとはなんぞ?』
と思い調べてみると、なんか未来チックな自転車が。
坂道とかどうなんだろアレ。
>>かつを
お久しぶりですー。
そして新作の文章が素敵です。
語彙もさることながら、朗読したときのテンポも良いじゃないかと思ったり。
吉原のこれからにも期待。
>>シュガー
あらすじと人物紹介良いですね。
あらすじを読んでみて内容の濃さを再認識。
人物紹介を読みながら、過去に投下された文章を読んでみたりもしてますー。
このダークな雰囲気はシュガーの持ち味の一つだぜぃ。
>>698 自分ではないですよー。
最近は文章全然書いてないですし。
トレス台が欲しい今日この頃。
703 :
('A`):2007/10/29(月) 22:26:16 0
第一回優勝者が来てると聞いて飛んできました
>>702 あ、はい一応。
名前付けるの忘れてましたー。
まあ、このままでもいいかなとも思ったり。
いえ、加賀見です
くはー、時間におわれすぎて死にそう
706 :
('A`):2007/11/01(木) 01:13:24 0
定期あげ〜
加賀見おひさ
なら不定期さげ
708 :
('A`):2007/11/03(土) 01:37:27 0
こわいからあげとくね
709 :
('A`):2007/11/03(土) 23:41:13 O
俺が糞SSでも書いて連載中の作者さんの中継ぎすっかな。
昔の勢いは何処へいったもし時よ…
建物はどれもまともな形をしていない。いつ崩壊してもよさそうな程だ。
最近の建物のことはよくは知らないが、これはどう見ても何か物凄い力によって破壊された後だと分かった。
「これが人の住んでいた街なの? 何が起こったんだし……」
何が起きたのか見当もつかない。加えて出会う人全て様子がおかしかった。
研究所のあった森を抜けてこの崩壊した街に辿り着くまでに二十人ほどに襲われた。
中には四肢を失っても近寄ってくる人まで……。
「けど、おかげで人々がおかしい原因は分かったし、まぁいいか」
彼らは所詮出来損ない。研究所の人間は結局、七百年以上経っても完成させられなかったらしい。
「だから僕は言ったんだし。『お前達には過ぎた幻想だし』ってね」
所詮出来損ないは出来損ないのままなんだ。何百年経とうが神にはなれない。
過ぎた力はその身を焼く、それが今この現状が物語っているじゃないか。
「所詮は『不死』すら手に入れられない種だったんだし、滅びても問題は無いし」
のそのそと蠢く出来損ないの群れを横目で見ながら、この街を見下ろせそうな場所を探す。
建物はどれも崩れそうで使えそうに無い、軽く頭を抱えていると山の方に異様な気配を感じた。
そこだけ「ブツリ」と切り取られたように世界に『隙間』が出来ている。面白そうな予感がしたので行ってみることにした。
「あそこならこの街を大体見下ろせそうだし、何より僕の『子供達』にも会えそうだし」
どんな人がいるか想像を膨らませながら、灰色の空の下を進んでいく。
鼻歌を歌いながら、次々によってくる出来損ないを文字通り『消して』いく。
それは元ネタが分かれば造作も無いことだった。彼等は僕の能力の一つ『不死』の『劣化コピー』だ。
どうやったかは分からないけど、普通の人間に無理やり能力を刷り込んでいる状態だ。
いちいちそれを解くのは面倒だから、さらに能力を強化させる。
すると普通の人間は自らの限界を超えて存在できなくなって消えてしまう。
「過ぎた力はその身を焼くって言うし。しっかしわらわらとうっざいし……」
弾け飛ぶ様な音を立てて目の前から出来損ないが消えたと思ったら、建物の陰からもう一人飛び出してきた。
何十回目かの正常を取り戻し、ようやく幻聴が聞こえる時間も少なくなってきた。
時間停止や個の停止を使うと幻聴が聞こえる事が分かってからは、一度も使わないようにした。
けれど、能力を使わないと俺は所詮普通の人間だ。
殺す事に慣れてしまっているとは言えど、不意打ちや大群に襲われたらどうしようもない。
時間を止めなければ武器もただのナイフと鉄のパイプでしかない。
「くそっ! このままじゃ駄目だ、もっとコロシタイのに……うぅ……」
曇った空が少しずつ灰色から黒に染まっていく。もう一時間もしない内に夜になるだろう。
不死者を確認しにくくなるにつれ、能力が使えない今は不意打ちをうける可能性が跳ね上がっていく。
かといって一つの場所に留まっていたくも無い。歩が追ってきているような気がして仕方が無かった。
「とにかく何処かに……」
隠れていた瓦礫から飛び出した瞬間、何かに左肩を捕まれた。
心の中で動転しながらも、右腕は相手に向かってナイフを振るっていた。
「くっ……ぅあっ!?」
「うわぁ!」
ナイフが相手の首を切り裂く刹那、掴まれていた左肩が爆発したかのような衝撃に襲われた。
激痛に支配された頭のまま、崩れかけた建物まで吹き飛ばされた。
骨が軋む様な痛みを無視し、追撃に備えようと跳ね起きる。
「はぁ……はぁ……どこだ?」
俺を弾き飛ばした相手はそこにはいなかった。感覚を研ぎ澄ませて辺りを警戒する。
すると、ちょうど目の前の瓦礫から白い服の男が起き上がった。
男はさっきまでは纏っていなかった殺気を明らかに放ちながら、ゆっくりと近づいてくる。
どう見ても生きている人間だったが、その尋常じゃない殺意に中てられて狂いそうになる。
「……んだし……お前」
「うっ……くっそぉ! 止まれぇぇぇぇぇ!!」
能力を開放し、時間を止めて一気に切り込む。神速のナイフが白い男を切り刻もうと空間を駆ける。
狙いは首。一撃でその命を絶つ必殺の軌道。時間を止めて五秒と経たない内に男は死んだ。
……そのはずだった。
「な……なん?」
ナイフは今までなら有り得なかった『抵抗』を受け、弾かれた。
時間を止めた世界で、壊せないものなんて無かったのに、この男は殺せないどころか傷すら付けられない。
「時間停止か、その力そのまま返してやるし」
「な!? しまっ……」
混乱しているうちに世界は動き出していて、気がつけば男が右肩を掴んでいた。
ぐっと力を込められる。何をされるのか分からない恐怖で無意識に目を閉じてしまった。
一秒にも満たない間の後、再び吹き飛ばされた。
「「うわあ!!」」
今度は大した衝撃は無く、お互いに尻餅をつく程度だった。
特に攻撃を受けた感じは無いみたいだ。思わず力が抜けてしまった。
けれど、男の顔は見る見る強張っていく。
「お前は一体なんなんだし!」
怒りとも恐怖とも取れる表情で男が叫んだ。俺は何も言えず、ただ男の声だけが黒い空に響き渡った。
713 :
シュガー:2007/11/04(日) 02:39:50 0
parallel worldの続きを投下。また新キャラ出てきましたすいません
そろそろ三章も終わりそうですが、まだ全体の半分も行ってない気がします……orz
ぶっちゃけ、風呂敷広げすぎた間が否めない……
もう少し話を上手くまとめられるようになりたいなぁ。
今日はこのまま書き続けるんで、また出来たらきます
それで少しでももし時が盛り上がれば光栄の極みです
714 :
('A`):2007/11/04(日) 04:48:10 O
シュガー乙
まとめで今までの読もうと思ったらwikiも臨時のまとめも途中で更新止まってるのな
支配人や臨時の管理人は元気でやってるんだろうか
臨時の方は元気でやってるよ
ただホームページの調子が悪くて更新できないんだよ
シュガーおつ〜
試験が終わったら読むぜ〜、就職うぜー
716 :
('A`):2007/11/04(日) 13:30:07 O
皆の年齢層が今就活とぶつかってて忙しいから人いないのかもな
もうちょっと若いとかの年齢層が違うヤツも来たら回りそう
717 :
加賀見:2007/11/04(日) 17:03:34 0
718 :
かつを:2007/11/04(日) 20:30:54 0
目の前にいる白い男。最初服だと思っていたのは異様に長い白髪だった。
その白髪を胸と腰の辺りに巻いている。鳩尾の辺りには拳大の、その瞳と同じ青い宝石が埋め込まれていた。
世界が崩壊したから狂ったのか、元からおかしいのか、ともかくまともじゃないのは明らかだ。
「何なんだし! 僕は絶対の存在なんだし! こんなのありえないし!」
まるで子供が思い通りにならないからと駄々をこねる様に、俺を掴んで揺さぶった。
と、白い男の後ろから不死者が飛び出してきた。叫びまわる白い男は気付く様子もなく、俺を放す事もしなかった。
「あ、危な……」
「あ゛ぁぁぁ」
俺が時間を止めようか迷っていたその時、白い男がぶっきら棒に不死者に手を突き出した。
その手にぐっと力が入ったと思うと、不死者が消えた。
そこにいたのも忘れてしまうほど、綺麗さっぱり消えた。
「な……」
「ほら見てよ、僕は絶対なんだし! 僕は神なんだし!」
呆然としている俺などお構いなしに、それこそ不死者を消したことなんて記憶にも残っていないかのように叫んでいる。
「お前は、いったいなんなんだ?」
「ぁあ!? 僕は神だし! 絶対の存在で、お前達の始まりだし!」
「そうじゃない、落ち着け。俺は永沢弦太。時間停止の能力者で、お前は?」
「え? あ、あ? 僕は芥子劫。神様だ」
落ち着いて自己紹介をしてみると、簡単に乗ってきた。多少意味の分からないところもあるが、落ち着かせるのが先決だ。
芥子劫(けしこう)と名乗ったこいつが不死者を消せるといっても、このごちゃごちゃとした街の中じゃいつ襲われるか分からない。
能力を満足に使えない今、一刻も早く安全な場所に避難しないといけなかった。
「……よろしく芥子劫、とりあえずここだと奴らの餌食になる。場所を移してもいいかな」
「あ、うん。けど、場所を移すって言ってもどこいくんだし」
「そうだな……あそこの建物の屋上なら飛び降りれないこともないし、建物も崩れそうにない」
「屋上って……高いところは苦手なんだし……」
嫌そうな顔をしながらも着いて来る芥子劫を気にしながら、近くにあった建物に避難する。
と、その時、忘れていた声が頭の中から聞こえてきた。
……それも、今までより大きく、今までよりはっきりと。
『おにいちゃん』
「うっ……あぁぁああああぁああ!!!??」
「ちょ、ちょっと!? 一体何だし」
黒い空には見たこともない数の星が散りばめられている。
僕は崩落しそうな建物の上で、降って来そうなその星空を見上げていた。
「いや、実際降って来たんだなぁ……信じらんないし」
「……」
永沢弦太と名乗った男は、この場所に移ってから膝を抱えて動かなくなった。
僕のした質問にぽつぽつと答えるだけで、それ以外は何もしゃべらない。
けれどお陰で世界が壊れた事、それが原因で僕の出来損ないが大量に出来たことが分かった。
大方研究所でウイルスを使って僕の能力を植え込む実験でもしていたのが、隕石によってばら撒かれたんだろう。
「お腹すいたし……あの山は気になるし、そろそろ行かない?」
「……山って、あそこか?」
やっと反応したかと思ったら、気になっていた山の方をゆっくりと指差した。
どの山が気になるなんて教えていないのに、一発で当てられて少し驚く。
「そうだけど、何でお前が知ってるんだし」
「俺は行かない、行けない、行きたくない……行きたきゃ一人で行けよ」
「は? 一体何なんだし……知ってること話せよ」
「別に……能力で結界張って引きこもってる奴がいるだけだ」
「ははぁん……お前、そいつらと何かあったんだろ? バレバレだし」
「別に……そっちの方角に行きたくないだけだ」
そう言ったきり、また何も話さなくなった。
別に置いて行っても良かったが、気になることがあったのでそんな気にはなれなかった。
「お前、普通の人間じゃないだろ。そもそも俺の『子供』でもないみたいだし」
「子供って何だよ、俺と変わらないような歳で」
「……お前、その能力の『本当の持ち主』じゃないだろ?」
「……だったら何だ」
膝を抱えたまま、顔だけを僕に向けた。その目は落ち着きがなく、酷く怯えるような目をしている。
けれど、それは僕に対して怯えている目じゃなかった。僕以外の何かに、僕に会う前から怯えている。
僕の能力で探ろうとしても、暴れまわる恐怖と不安が邪魔でよく分からなかった。
「ははぁん、なるほどね……それなら知らなくても不思議じゃないし。だけど『能力操作』が効かないのは何でだし」
「……さっきから何を言ってるんだ?」
「僕は能力の始祖だし。能力者は全て僕の因子を持つ、言わば僕の子供なんだし」
721 :
シュガー:2007/11/05(月) 02:16:27 0
parallel worldの続きを投下。
いつもこのくらいのペースで書けたらいいのに……orz
>>714 心配ですね、元気にしていればいいのですが
>>715 お疲れ様です、元気そうで何よりですw
まとめの方、なにやら大変そうですね……
就職の方も頑張ってください
>>716 そういえば俺もそんな歳でした……orz
俺も就活しないと……
>>加賀見
絵の投下乙です
俺も投下出来るような絵の技術がほしい……orz
>>かつを
絵の投下乙です。ドクオで隠してる部分をkwsk
セルですかww近からず遠からずって感じですww
ブウがどんな奴だったか失念……多分ないとは思いますww
応援ありがとうございます
では、またきます
722 :
シュガー:2007/11/07(水) 02:17:14 O
ごめんなさい
落ちそうなんであげておきます
乙なんだぜ
724 :
('A`):2007/11/08(木) 23:18:48 0
久々にきたよ・・・
どのくらい来てなかったってシュガーが2回投下するくらい
きてなかった。
漫画を一気にまとめ買いして読んだ感覚を思い出したぜ。
725 :
('A`):2007/11/11(日) 15:51:36 0
落とさせない
726 :
('A`):2007/11/11(日) 19:10:42 O
もういっそ落とせよ
小説書きたい奴は小説スレにでもいけばいいさ
まあ、惰性で続いてる感はあるわな
スレタイが目に留まる度にこのスレでの思い出が走馬灯のように甦ってきてやりきれない気持ちでいっぱいになる
もうあの頃には戻れないんだな
思い出として残したいしもし時住人にSSを読んでもらいたい気持ちはある。
出世した作者の書き込みをみると自分のことのように嬉しい。
そして新しい作者や読者がくると嬉しい。
後にも先にも、このスレを超えるスレには二度と出会えないだろう
このスレでは語り尽くせないくらい、たくさんの思い出が詰まってる
もし時が設立してから今に至るまでの間、本当に色んなことをやってきたもんな
いま振り返ると、あの頃のことがまるで夢物語のようだ
普通なら適度にレスが付いた後dat落ちするようなネタスレが、
大会開催して雑談スレ並みの進行速度を弾きだしたり、
ネトラジしたりして2年近くも続いてるなんて凄い事だと思う。
後1ヶ月ちょっとで、もし時も2歳か。
733 :
('A`):2007/11/12(月) 01:07:26 O
急激にレスが増えてワロタw
ここまできたし二周年まで頑張ろうぜ
どうせなら二周年を迎えて終ろう
おkがんがれ
2歳か。
そして俺が2ちゃんやってるのも同じくらい。
なんだかなぁ
ところでふと思ったんだがこのスレは良作がいくつも途中で終ってて
そのままWIKIのまとめに眠ってるがその続きを書いてみてもおもしろくないかな?
シュガーやかつをみたいに定期的に更新してる作品ももちろんだめだけど
あきらかに続きが書かれることのなさそうなでもそのままじゃ惜しいって作品が
山ほどあるんだよな。
スタートやネタに困ってるけど書きたいって人はこれで解決だし
続き読みたいって人も願ったり叶ったりだしどうだろうか。
もしいいならおれは3作品くらい書いてみたいのよ
よしいけ
全然構わんだろう
もし時を思い出のままで終わらせてはいけない
>>737 おk。そういえば続き読みたい作品ある?
とりあえずリメイクというか後継者的な感じで書かせてもらうよ。
>>736 いい考えだと思うぞ、是非書いてみて欲しい。
ちなみにおまいの気になる続きの3作品はどれとどれとどれ?
もし時は何度でも蘇るさ
ピンポン玉とか大好きだぞ
延命処置か・・・
面白そうな企画のにおいがしたんで飛んできました。
>>745 よくきた
しかし臨時まとめには200を越える作品があるのか・・・
何気完結率高いし
747 :
('A`):2007/11/13(火) 17:09:43 O
ここだけの話
短い話以外は、終らせた記憶がない俺
俺が来ると荒れるという理由で話を続けられません
なんだそれはw
もう荒れないから安心しる
安心しるとかいつの時代のひとだよ
751 :
('A`):2007/11/13(火) 18:33:28 O
もう荒れるほど人がいないからなぁw
皆、脱喪していったのかね
>>749 荒れるっていうのだけを理由に書かないのはちょっと卑怯だったかな
一番の理由は気力的なものと無理して話を広げすぎた事なんだけどねw
奈落は完全に脱喪したしねぇ・・・幸せにやってるかな?
まだ俺なんかのことを覚えててくれる人がいたんだ……
>>753 奈落?三巨頭(だっけ?)の一人を忘れる事は無い
それはこのスレの作者さん全員に言える事だけどね
>>754 ありがとう…、ワシは嬉しいぞい!
俺もここにいたみんなの事は忘れずに覚えてるよ。
それくらいみんな一人一人が個性豊かな人間ばかりだったからな。
楔もとい奈落っぽい人がいるな
喪君とは元気でやってるのか?
>>756 アッーなんて言わないんだから><
ちなみに俺はあるちんこディックだがこのスレの757レス中30レスくらい名無しで
書き込みしてるのは内緒。
ちなみに専門学校生活はいたって順調でそろそろ冬休みになるころ。
休みに入ったらバイトやら教習やらでまた忙しくなるけど夜が自由きくので
糞SSでも書いて連載中の作者さんの中継ぎすっぜ。
あとクリスマスは妄想男と奈落とロリータコンプレックスのネトラジが
予定されてるんだよね?w
>>756 そう、楔もとい奈落という人です
喪君か…、喪君は何処へいってしまったんだろうな…。
喪君のことは俺にも分からないんだ。
本当に元気でやってるといいけど・・・。
喪君だけでなく、ほかの作者さんや住人さんもみんなそれぞれ元気でやってるかな。
「ちなみに」を二回連続で使うあたりが俺の文才の無さを
物語ってるな。おっほっほ
おぉタイムリーで楔に会えるとは!
元気でやってるか?
ブログなくなってから状況が全くわからないから不安だったぜ。
まぁ俺の方がよっぽど不明な点はありそうだがw
いや〜なんか胸が熱くなる想いだ・・・懐かしい・・・
>>758 喪君に関しては、オマイが戸口を閉ざしたんだぜw
それはそうとウンコがいるな
今、俺の目の前で奇跡が起きているようだ。
変態の巣窟へおかえり。待ってたよ。
やべ・・・下三枚みれないな。
みんな久しぶりに集まってきたな。
俺は満足だよ
ウンコの行動に成長が見られねぇwww
やばい・・・ディックに奈落に・・・何か胸が高鳴ってる・・・
もし時ってこんなに俺の中で大きかったんだなぁ・・・
>>760 本当に久しいなディック…。
こうしてこのスレで、しかもリアルタイムで会うのも何ヶ月ぶりくらいになるだろうか・・・。
俺の方は何とか元気でやってるよ。
ディックの方も騙し騙しやってるみたいだなw
しかしまさかお前が名無しになって書き込んでたとは正直予想外だった。
てっきりこのスレを回してるのは、シュガー、かつを、加賀見、妄想男、住人の少数精鋭で回してるのかと思ってたよ。
>>765 ウンコが成長したら怖いだろうw
ようするにそういうことだ。
>>766 かつての仲間に会えるとなんともいえない気持ちになるよね。
俺も今きっと同じ気持ちだよ。
>>naraku
あぁ久しぶりだな。
ネットだけの関係とはいえ何か特別なものを感じる旧友よ。
リアルタイムではもう会えないと思ってたからほんとにサプライズだぜ。
元気ならなによりだ。俺はほんと騙し騙しって感じだw
まぁなんとかこの通りさw
たまにだが名無しで潜伏してるよ。
SSに感想コメつけたりageたりかな。
太ももムチムチ最高とか書いた記憶もある。
>>761 それもそうだったな・・・。
でも縁があれば、また喪君とは会えると思うんだ。
きっとまたどこかで…。
>>762 待つほどの人間でも無いと思うけど…
でもありがとう、ただいま
なんだかその言葉を久々に聞いた気がするよ。
懐かしいなあ
>>766 それは俺もだよ、さっきから体中が火照ってしょうがない。
書きたいことは山ほどあるのに、恥ずかしくてうまく言葉に言い表せられない…。
このスレはロムってる人より書き込みする人のが少ないからね
ディックは今でもハルヒ好きなのかw
773 :
シュガー:2007/11/13(火) 22:58:48 O
トイレでウォシュレットを堪能しながらスレ開いたら楔にディックが……
これはウォシュレットが醸し出す幻覚かなにかですか?
>>772 支配人じゃありません
彼は恨まれるような人じゃなかったと記憶している
でも懐かしいなぁ
いつだったか、こうやって作者さんがポツポツ現れたと思ったらオールスター大集合になった覚えがw
シュガーもキター!
お、プチ祭りになっとるがな
777 :
('A`):2007/11/13(火) 23:08:09 O
集まってきたな。
いや戻ってきたな。
そろそろ加賀見がお久しぶりですってカキコミで来ると予想。
そして呼ぶと高い確率で召喚される妄想男。
まとめの話題をすると通りすきでいく支配人。
SSを置いていってくれるかつを
まだまだこれからよ
俺2ちゃんでも嫌な思いばっかしてたけどさ
このスレだけはすごい好きなんだ
779 :
楔:2007/11/13(火) 23:11:50 0
しかし、かつをがはたちくんだということを知ったときは驚いたよ。
ホントあの人だけは掴みどころがないというか謎が多い人だ…。
>>シュガー
ウォシュレット付きとは、なんというブルジョア……。
シュガーが見てるのはきっと幻覚じゃないと思うよ。
相変わらず元気そうで何よりです。
もし時はじまったな
かがみんかわいいよかがみん
どうせまたすぐ過疎るくせに
どうせまた保守の書き込みが淡々と増えるだけのくせに
どうせまたたまに投下されるSSだけが目的になるくせに
どうせまた人知れず落ちたりもするくせに
でもほんとにたまに起きる小さな奇跡を目の当たりにすると
これもいいかなと思っちまうんだよな。
こうやって持ち上げるとまた叱られちゃうかもしれないけど、ここって名無しの名言も多くてそこがまたイイ
>>783みたいな詩的な書き込みとかね
楔委員長元気そうでなにより
たまには自慢話でもいいから書き込みしろよな
>>779 うぉいw
はたちくんとか言っても誰も分からんぞ、微糖のぞき
そしてシュガー家はまちがいなく裕福層
停滞するときだってあるさ
どんどん書き込みが……なんかもう泣きそうww
数日前の不安が嘘みたいだ……
>>786>>楔
俺の家は裕福と言うより貧乏です
ウォシュレットは家を買った時に付いていただけですよw
789 :
('A`):2007/11/13(火) 23:37:10 O
裕福というより貧乏で鼻水吹いたw
|l、{ j} /,,ィ//| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ | あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ | < 『おれはもし時できょうも保守と
fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人. | 思ったらいつのまにかオールスター』
ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ | うんこだとかシュガーだとか
ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉. | そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ. │ もっと恐ろしいものの奇跡を味わったぜ…
/:::丶'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
791 :
楔:2007/11/13(火) 23:38:25 0
>>785 ちょw自慢することなんて何も無いんですけど…
しかし委員長とか、これまた懐かしいなあ・・・。
それにくのいちはぁはぁも・・・。
今思えばくのいちは喪にとって、惨事女の最後の良心とも言えるくらいいい子だったな…。
>>786 ブログ、このスレで晒せばいいのに・・・。
自分みたいな何もこのスレに貢献してない輩が平気でブログを晒してるのに
まとめスレの運営もやって、SSも書いて、絵も描いてる君が晒さないのはおかしいですよ!
でも、仮にそれをはたちくんが望んでないというのならしょうがないけど…。
792 :
('A`):2007/11/13(火) 23:44:10 0
家買うだけの金があるのに貧乏とかどんだけ謙虚なんだよ
くのいちはワシが育てた
もう作者さんは皆このスレに帰ってきてほしい
>>792>>794 どう見ても築二十年越えのボロ中古物件です
本当にry
親父が定年になってもローンが残るんだぜ
それまでに絶対この家崩れるんだぜ
797 :
楔:2007/11/13(火) 23:50:56 0
>>シュガー
SAWは良い映画…。
1→2→3とグロさが段々パワーアップしてきてるよな。
あのグロさは日本じゃ絶対に真似できないと思う。
往年のもし時っぽくなってきました!!!
799 :
('A`):2007/11/13(火) 23:53:58 O
シュガーが頑張って返済するしかないな
>>798 感嘆符をいくつも同時に使うんじゃない
SAWは0<1<2<3と回を追うごとパワーうpしてるよねえ
801 :
('A`):2007/11/13(火) 23:57:34 O
かつをblogくわしくといわざるを得ない
>>楔
SAWはもう俺の中でベスト3を独占してますよ
あの映画を見た後は毎回グロい物を書きたくなります
まぁいつも途中で断念するんですが……
>>799 その役目は弟と妹に任せました
3の出だしで自分の肉に食い込んだ鎖を引き千切るシーンはグロかった
804 :
('A`):2007/11/13(火) 23:59:19 O
そんなにおもろい映画ならみようかしら。
ソウ123
>>801-803 ogrishを奨めよう
って懐かしいな。昔よく「ogrish!!ogrish!!」とか言ってたわそこら辺で
かつをブログあるなら教えてくれればいいのに。
水臭いじゃないか。
この流れなら言える!
……特に言うことないな。
またなにか出来ないかな
>>805 ググったけど、英語だらけでわかんないですぅ……
なにやら世界の衝撃的なニュースをそのまま見れるサイトのようですね
これは刺激的ww
>>809 そうですね、またスレの住人みんなで盛り上がるようなことをやりたいですね
今いるメンバーで何かできないものか
1レスリレー小説
即興お絵かき大会
お絵描き大会いいな
このスレには絵描ける人が多いし
1レスリレーとお絵かき大会をあわせて
即興漫画大会にすればいい
よーしお前ら、絵を描いておじさんに見せてみろ
風呂入っている間になにやら始まってた
絵が描ける人は羨ましいです
819 :
加賀見:2007/11/14(水) 01:01:52 0
なんだ……一体何が起こっているんだ……?
帰宅して何気なくスレを覗いてみたらなんか凄いことに……。
そして何だか乗り遅れた感がするんだぜ。
なんという減速……
加賀見乙、俺も乗り遅れたみたいだ
821 :
加賀見:2007/11/14(水) 01:12:00 0
>>820 こんばんはー。
まさか漫画読んでいる間にこんな事が起きていようとは……。
さすがに予測できませんでしたよ。
お題:今萌えてるキャラ
祭り逃した……orz
823 :
シュガー:2007/11/14(水) 01:38:27 0
急に静かになりましたね……
>>822 今からまた祭りを起こせば、あるいは……!
という事で、俺が生贄としてちょっと絵を描いてきます
826 :
('A`):2007/11/14(水) 04:24:18 0
>>824 なんすか・・・その・・・ゴミをみるような目は・・・
ハァハァ
>>825 これは今流行の初音ミクという奴ですかい?
そういやかつをも何気絵上手いよなw
このスレか前スレかわからんが絵をうpしてた
828 :
('A`):2007/11/14(水) 05:23:27 0
>>シュガー
みえんぞ
帰ってきてみれば絵のうpが行われていたとは・・・
皆それぞれの味がありすぎますぜ。GJ
昨夜が嘘のような静けさ
832 :
('A`):2007/11/15(木) 05:20:37 O
昨日は時間が止まったのさ
いや、うまくないぞ
魚っ!? めちゃくちゃスレが進んでて嬉しい
妄想男じゃないけど僕は最近、喪のゲーム実況でよく遊んでるんだ
835 :
('A`):2007/11/15(木) 20:47:52 0
魚!
未だに二回目のリレー悔やまれるな
一回目があまりに良かったから余計そう思う
いいえ
そうですか・・・
それじゃあ大人しく帰ります
840 :
('A`):2007/11/15(木) 22:49:53 0
レスポンスが遅いぞ
支配人ワロスw
お久しぶりです
843 :
('A`):2007/11/16(金) 22:14:26 0
時の支配人来たか。
844 :
('A`):2007/11/18(日) 16:24:45 O
落ちちゃうよ…
845 :
('A`):2007/11/18(日) 20:49:59 0
もうこのスレ無くなってもいいだろうと思う人もいると思う
でも俺はこのスレが大好きで、無くなるのは寂しい
どうすればまた盛り返せるだろうか?
こないだは少しだけスレの流れが速くなったけど、
あれだけでは盛り返したとはいえんしな。
今現在、もし時の住民ってどのくらいいるんだろう?
最後に行った大会の時点でも結構少なかった気がするけど。
847 :
楔:2007/11/18(日) 22:32:08 0
>>845 永遠のテーマだね。
本当にどうすれば盛り返せるんだろう。
>>846 単にレスをする人が極端に減ってしまったんじゃないだろうか…。
住民自体は従来通りいると思うんだ。
848 :
('A`):2007/11/18(日) 23:17:21 0
楔乙
>>846が言うようにこないだは結構人も作者さんもいたんだよね
やっぱり何か催しが必要なのかな?
難しいよね、ドライオーガズムくらいの難易度
楔が自然に姿出しててワロタ
ドライオーガズムの境地には未だ立てない俺
思ったけど作者さんが普通に顔出してくれてた事が以前の活気の元だったのかな
851 :
楔:2007/11/18(日) 23:49:02 0
あかりルートを攻略サイトなしでハッピーエンドまで持っていくくらいの難易度の高さだな…
>>848 一時は集まるかもしれないけど、終わればまた元の木阿弥に戻ってしまうと思う。
>>846が言わんとしてることは、絶頂期の頃のもし時ように、普段からスレが潤ってる状態にしたいんじゃないかな。
>>849 自分はただ
>>845の熱い想いに胸を打たれたのですよ。
>>850 そう!正にその通りだよ!
昔はSSとかネタとか何にも無くても、普通にみんな顔を出して雑談したり、適当にネタを出し合ったりしてたんだよ。
そこから思いもよらぬ企画が飛び出したり、またそれが思わぬ急展開へと運んだりしてたんだよね。
852 :
('A`):2007/11/18(日) 23:53:29 0
そうそう、以前は確かにそうだったw
単なる雑談から企画も生まれたしね
それに作者さんが集まった時の興奮は住人にはたまらないものがあるんだ
853 :
('A`):2007/11/19(月) 00:09:27 O
昔みたいに気軽に書き込んでくればいいのにな
854 :
加賀見:2007/11/19(月) 00:13:24 0
スレのパート数が多い&以前より雑談が行われることが少なくなった事もあり、
新規の方が偶然スレを覗いたとしても、どのようにしてもし時に混じっていけば
良いのか解りにくいのもあるのかもしれませんー。
やはりまずは何気ない雑談とかからなのですかねー
855 :
('A`):2007/11/19(月) 00:16:56 0
加賀見乙
うん、やっぱり雑談からかね
それにSSもクオリティの高いものを求めてないんだし、気軽にネタでも何でも投下してほしいし
856 :
楔:2007/11/19(月) 00:47:18 0
加賀見お久〜。
もし時は途中から物凄い勢いでSS投下したり雑談したり大会したりして、とにかくずっと飛ばし続けてたけど
新規の訪問者さんや作者さんはパート数が上がっていくに連れて次々と来てくれてたじゃない。
やっぱり新しく来る人というのは、スレの指向よりスレの雰囲気に惹かれてくるんだと思う。
自分も一応その一人だし。
857 :
シュガー:2007/11/19(月) 07:17:55 O
喪板自体観覧数が減っているらしいから、なかなか難しい問題ですよね('A`)
思ったんですが、もし時と似たような趣向のスレがあれば、合併や共存などで人もネタも増えていいと思うんですが、どうでしょう?
喪板にもし時のようなスレが他にあるのかは分かりませんが、悪くないと思ったんですが……
人が集まれば、以前のように何か企画も立ったりすると思うんです
って、検討違いな事言ってたらすいません……
858 :
('A`):2007/11/19(月) 18:03:46 0
シュガー乙
合併とかになると色々難しいかも・・・
でもこうやって案を出してくれるだけでももし時は少しずつ潤っていくと思うよ〜
859 :
('A`):2007/11/19(月) 20:41:38 O
2ちゃんでの合併はほんと最終手段だぜシュガーよ
んじゃ喪板にある他のSSスレの住人とリレー小説
テーマは「喪男VSイケメン」
861 :
('A`):2007/11/19(月) 21:03:20 0
光と影は交わらぬ・・・
862 :
('A`):2007/11/20(火) 21:00:42 0
今日もageちゃうよー
863 :
('A`):2007/11/21(水) 06:29:39 0
もおとこVSイケメン・・・
なんという勝ち目のないたたかい・・・
ところでなぜかへんかんきのうがこわれてしまったんだが・・・
ニコニコどうがもみれない・・・
こんだけじゃわからんとおもうがどうすればいいかな?
864 :
('A`):2007/11/21(水) 20:50:40 0
ゴメン、わからない
865 :
('A`):2007/11/22(木) 05:32:19 0
そいつはよかった・・・
さて、他スレで評価すらつかなかった腕でSSを書いてみるか・・・
867 :
('A`):2007/11/22(木) 21:08:47 O
どんとこい、待ってるぜ
868 :
('A`):2007/11/24(土) 01:14:55 0
869 :
('A`):2007/11/25(日) 01:10:53 0
>>867-868 長年このスレでも言われてるけど、時止め30秒が絶妙に難しいね・・・
30秒じゃなくてもおkかな?
870 :
('A`):2007/11/25(日) 01:40:14 O
>>869 確か随分前から時間に関係してればよくなったよ
今のもし時は実質「もしも時間を操れたら」ってテーマになってる気がする
871 :
('A`):2007/11/25(日) 21:58:40 0
>>869 絶妙な難しさが人気なんだぜ。
まぁ上にもあるように時間に関係してれば基本おk
872 :
('A`):2007/11/27(火) 00:56:47 0
あげ
今喪男板にSSスレってどれくらいあるんじゃろか?
874 :
('A`):2007/11/27(火) 22:02:42 0
最近徘徊してないからわからないが
ここ、バイオ、ツンデレマックそして小説スレは健在じゃないかな?
ツンデレマックw
こ、これはなんという便利屋さん…
878 :
('A`):2007/11/27(火) 23:48:21 0
>>876 すごい乙
SS書き始めてるがこれ程ストーリーを無理なく繋げるのが難しいとは・・・
作者さん達の凄さがよくわかる
879 :
('A`):2007/11/28(水) 17:29:04 0
>>867 乙
もし時のパート数はSSスレでは異常だな。
今勢いは小説スレか。あそこのSSもなかなか。
朝起きたら美少女スレは俺は投下したことあるw
結構SSスレあるんだな。でもやっぱりもしもシリーズが一番好きかな。
支えsage
そういえば小説スレおちたみたいだな
うーん、創作系スレ住人のなんと気まぐれなことだ
882 :
('A`):2007/11/29(木) 23:27:49 0
ここも落ちそうだったのであげとくぜ
師走乙です。
先生、筆は走ってますか?
884 :
('A`):2007/12/02(日) 09:44:52 O
まだおわらん
885 :
('A`):2007/12/02(日) 20:46:57 0
同じく
最初をしっかりしないと完結まで持っていけないのは目に見えてるし・・・
ハイDIOですら9秒、全盛期承り太郎ですら5秒なのに30秒は強すぎるよね
887 :
('A`):2007/12/03(月) 02:42:26 0
889 :
('A`):2007/12/04(火) 23:35:47 0
>>887 自分にレスだがこれはどうやら体験版のようだ。
すぐ噛み切られるのはそういうことらしい
もうすぐもし時二周年だな
月日が経つのは早いものだ
891 :
('A`):2007/12/07(金) 01:19:22 O
892 :
('A`):2007/12/09(日) 11:11:55 O
浮上
893 :
('A`):2007/12/11(火) 01:00:33 O
塗り成長したな
乙!
すごい…、進化してやがる
これはコピックですかな
口が二カッと笑ってる表情だと尚良い
899 :
('A`):2007/12/12(水) 06:00:40 O
上手くなったなぁ!!
クリスマスが近付いてますね…
喪男には関係のない日だけどな
902 :
('A`):2007/12/13(木) 16:18:57 O
あと一週間でここも2周年か…あげ
今日、駅で「今のオレンジきもくねー」
「顔やばいよー」
って言われました。
オレンジの服は俺だけなので久々にダイレクトきもい攻撃受けたわww
ちなみにディックです。
903 :
('A`):2007/12/13(木) 17:46:40 O
電車の中で可愛い子を見かけると異常にムラムラしてくるから困る
904 :
('A`):2007/12/13(木) 18:31:46 0
ニー太乙
てか妄想男?の塗りはすごい
まとめで公表してた時から感心してます
今年のクリスマスはもし時で迎えるとするか
907 :
('A`):2007/12/16(日) 00:23:35 O
908 :
('A`):2007/12/16(日) 00:52:40 O
いいよね
909 :
('A`):2007/12/16(日) 04:35:09 O
クリスマスの三連休
一日目買い出し→ゲーム
二日目ゲーム
三日目ゲーム
なーんだ。俺忙しいじゃん
とりあえず俺はお題クリスマスでSSを書いている。
911 :
('A`):2007/12/18(火) 19:21:33 0
明後日2周年ですね
クリスマスも仕事じゃ
二周年というのにこの静けさ……
明日になれば変わるかな?
僕なんかは風俗に沈んでしまっているからね
時間を止めてどうするか、よりも
いかにして給料から風俗代を捻出するか、しか考えていません
風俗に興味あるけどチキンなんで行けません
もし時2周年おめでとう
これはどうもありがとう
20日の1時過ぎだったか21日の1時過ぎだったか・・・
どっちでもいいか。
だらだらと2ちゃんねるを続け気づけば1時をとっくに過ぎてた。
まだ寝るにははやいな・・・
受験勉強なんか全くしなかった高3の冬。
来年はニート確定でもはやなにもかもどうでもよかった。
自分で自分の首をしめてるから誰のせいにもできない。
もしもバイオスレではじめて書いたSS。
もともとなにか作ったり物語を考えたりするのが好きでRPGツクールは
今でも現役なくらい。
もしもバイオって名前に惹かれてちょっと覗くだけだったのにそのスレが
俺の日課になってた。
はじめて投下したSSにはじめてついたレス。
「乙」
なんとも言えない心地よさと満足感、達成感。
もっと褒めてくれ・・・もっとレスをくれという気分になった。
だが突発的にはじめた初心者の俺が続くわけも無く人知れずSSを放棄。
もしもバイオスレを離れた。
1時半過ぎか・・・
気づけば冬休みも終わりみんなが進路を決めていく中俺は惨めな思いを
するのだろう。
自分のせいだから文句はいえないが後悔くらいはさせてくれ・・・
家族にも冷ややかな目で見られもはや家でもアウェイ。
自分の居場所がほしい。このまま冬休みが終ってほしくない。
このまま夜の不毛な時間を過ごしていたい。時間よ止まってくれ。
こんな時こそSSを書きたいな。
久々にスレでも立てるか・・・
ふと2年前の夜を思い出してみてちょっとかっこつけた内容にしてみた。
我ながらきもいな。
もし時も2周年か
良くここまで頑張ったものだ
さて、こんだけ頑張ったもし時のために、俺が短編書いてくる
ついに2周年ですね
自分がスレにきたのはもし時始動半年くらいでした。
最初はロム専でしたがついつい書き込むようになり幾星霜
もし時は新参古参関係なしに楽しめるスレですからこれからももし時が進みますように
922 :
('A`):2007/12/20(木) 13:33:21 O
一時は雑談に匹敵したんだよな。
最初の半年かそこらで一気にパート30まで伸びたわけか。
いやー夢のようだった。
誰か短編書いて、堕落しまくってる僕の目を覚ましてくれ
>>918 僕と一緒だな
2ちゃんなんて結局のところ糞にすぎないんだけれど
糞は糞でも、ものっすい良い臭いのする糞だからこまらない
もし時2周年オメ。
SS投下しなくなってから大分時間が経ったけど
ちゃんとROMってるぜ。
もし時二周年おめでとうございますです。
もう二年かー時間が経つのは早いもんだ。
もし時2周年おめでとう。
これからももし時スレに、そして自分を含むここにいる住人達全員に幸あれ。
今年中には1000までいきそうだな。
もし時も二周年ですか、おめでとうございます。
このスレには沢山の思い出が詰まってるなぁ
なんですかこの流れは
2周年おめ、とか言って、結局日をまたいでしまっているからモテない
少し遅れましたが・・・
もし時二周年おめでとうございます。
思い返せば、私が2ちゃんねるに来て始めて見たスレがここでした。
ここで、いろんな方と交流することが出来ました。
リアルでのコミュ能力が皆無の私にとって、このスレを見ることが毎日の楽しみでした。
日頃の反動か、調子に乗ってやりすぎたことが沢山ありました。
それも今となっては立派な黒歴史です。
こんな私ですが、影ながらもし時を支えていきたいと思っています。
スレ住人の方々、これからも宜しくお願いします。
も し 時 よ 、 永 遠 と な れ !
>>929 ここが最初だと2ちゃんを勘違いしてしまいそうだなw
こんな俺でも書き込みするとキターとか待ってましたとか
言われたあの頃は懐かしいぜ。
ただ思い出話ばかりじゃダメだな。まだまだ新しい伝説を作れるはず。
こうしてみんななんだかんだで集まってくるわけだし。
とりあえず妄想男はハルヒのクリスマスコスチュームを25日までに提出しなさい。
931 :
('A`):2007/12/21(金) 05:54:33 O
もは
もう2年経つのか・・・早いもんだな。
1停止目に書き込んだのが半年前に思えるくらいなのに
遅くなりましたが、もし時2周年おめでとうございます。
色々と御迷惑をかけてしまった存在ですが、今でもこのスレと皆が大好きです。
モテなくて友達少なくてしょんぼりする時も多々ありました。
それでも良い事は訪れるものです。
だってこのスレと出逢えたのだから。
俺という存在に居場所を与えてくれたこのスレに感謝を。
934 :
('A`):2007/12/23(日) 06:27:46 0
聖なる夜の扉が開く……
くそっ!俺たちにはどうすることもできないのか!!!!?
こんなときに・・・
こんなときにアイツがいてくれたら・・・!
↓アイツ
938 :
新一:2007/12/24(月) 00:27:18 0
蘭ーーー!
939 :
('A`):2007/12/24(月) 22:13:17 0
さて、お前ら今日の予定は?
940 :
妄想男:2007/12/24(月) 22:14:35 0
男だらけのクリスマスだった。
本屋で色々と買い物した後、一人で街をブラブラと。
バイト終わったらゲーセンで蟲姫さまかメルブラを。
943 :
('A`):2007/12/27(木) 16:19:48 O
もうそろそろ今年も終わりか
最近時間がたつのが早くて困る
もし30秒止められたら、ほんのちょっとでも長く感じられるのだろうか
時間が止められたら金持ってそうな女からスル
947 :
('A`):2007/12/28(金) 01:33:17 O
ついでにおっぱい揉め
毎年この時期にアク禁になるのやめてくれー
つい最近まで規制されてた
久々の規制はキツいなぁ・・・
さよならはとつぜんに
あのころにもどりたい
あなたをこえたくて
かがやけるひのために
きみがいてくれたから
950 :
('A`):2007/12/29(土) 01:20:35 O
今年は何事もないと思ったら…
やっちまいましたよ。
風呂場でいきなり腹痛でびしょびしょのままでトイレ行くのもなーとか考えてたら
OrZの状態から動けないくらい腹が痛くなりとりあえずシャワー止めてしばし耐えてたら…
ぶり…ぶりりりりりり!
風呂場にうんこの山ができあがっちまった!
後始末に30分かかるし体冷えるし散々だったぜ。
今思えば写メでもとっとけばよかったなってよくねぇ!
今度からあだ名うんこマンな。
>>950 おまえ、そういうのは僕の立てたクソ過疎スレにも書いてください
953 :
('A`):2007/12/30(日) 07:47:39 O
それはきもい事したら優勝スレですか?
あのスレはなかなか好き。
だが俺のはしたというより事故w
いいえちがいますよ
そんなに人気のあるスレでは
955 :
('A`):2007/12/30(日) 19:40:11 O
ではどこ?
教えてくれい
956 :
('A`):2007/12/30(日) 19:41:47 O
なんとなく「うんこ」で検索したらみつけたような気がするw
うんこで検索掛けたら四つ出てきた
喪ッピーニューイヤー
あけまして喪めでとうございます
今年は親戚宅に行くことが確定しているようでので、既にストレスで死にたいです
永遠に昨日ならいいのに
あけましておめでとう!
俺も親戚が一週間くらい泊まりにくるから死にそうだ。
とりあえず新年最初のオナニーのおかずは誰がいいか語ろうじゃないか。
俺はらきすたにでてきたむちむちの水着ハルヒで一発いこうかしら。
銀様の同人誌もいいな。
バラシーも最近いいし、やっぱブラマジか?
アーーーーー!!
そういやあけおめーるしたらあなた誰?と宛先確認汁ばっか返ってきてる件。
ブラマジガールは俺の嫁
あ、あけおめです。
あけましておめでとうございます
去年からずっとPC立ち上げたままの俺を誰か救って下さい
963 :
('A`):2008/01/01(火) 01:44:27 O
そのPCシャットダウンしたらなんか駄目な気がする…
まぁあれだ。結構ダウンロードかなんかで消さない人いるし…平気だよ!
明けまして喪めでとうございます。
ギャル曽根が、ザーメンスープのラーメンの大食いするだとか考えてるから絶対に今年もモテない
今年の一発目の俺のオナネタでした。
965 :
('A`):2008/01/01(火) 01:58:54 O
ギャル曾根が
>>964のちんぽを超おいしいってむさぼりついてるところを
想像しながら初夢みるために寝るかね
966 :
('A`):2008/01/01(火) 13:49:13 O
友達とキスする初夢をみた。なんでやねん
967 :
('A`):2008/01/01(火) 14:01:28 0
アク禁解けた〜
きのうと今日合わせてもう4回近く抜いたかな
新年早々風俗にいきたいが
正月価格3k増しって、ふざけるな
969 :
('A`):2008/01/02(水) 04:30:31 O
初保守
新年だしオナホも新しくしよう
昨日夢見れなかったから今日が初夢を見るラストチャンス
男友達に体触られて悶える初夢でしたァッ
973 :
('A`):2008/01/03(木) 11:40:23 O
エロい夢みてぇ
去年は数えるほどしかみれんかった。
974 :
('A`):2008/01/04(金) 00:22:35 0
エロい夢に出てきた女を好きになるのは仕様だよね?
僕は母親を好きになってはいませんが何か?
976 :
('A`):2008/01/05(土) 02:41:10 O
母親のエロい夢はどっちかというと悪夢の分野ではないか
977 :
('A`):2008/01/05(土) 10:28:12 0
二次元女の夢しかみないが…
978 :
('A`):2008/01/05(土) 11:46:05 O
ずっと前ハルヒがでてきてその時はこれは夢だとすぐ気付き
ハルヒとエッチしようと思い抱き着こうとしたらいつのまにかよくわからんことになってた
産め
梅梅
後は任せた
>>978 >よくわからんことになってた
肝心な部分を濁すな