水銀燈3

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1('A`)
ここは水銀燈SSスレです。
74氏を待ちつつ53他自信のある香具師は気軽に書くよろし。

前々スレ
http://etc4.2ch.net/test/read.cgi/motenai/1132094892/

前スレ
http://etc4.2ch.net/test/read.cgi/motenai/1149521456/
2('A`):2006/08/27(日) 15:07:47 O

3('A`):2006/08/27(日) 15:08:03 0
勃起した
4745:2006/08/27(日) 15:12:44 0
ごめん、俺の書き込みのせいで512KB越えて誘導貼れなかった


前スレ840の続き

いつの間にか降り始めていた弱い雨で、ワイシャツが体にぴったりへばりついている。
固まって、と言うより全身がダルくなって動かない。
内腿を撫で回され、濡れたシャツの上をゆっくりと舌が這う。
頭の中が真っ白になり、下半身がゾクゾクしてくる。
これは…異常だ、でも…
「あ、はぁあ…」
少女の生暖かい吐息が腋の下を通り、鎖骨から首筋へとだんだん上ってくる。
身も心も快楽で痺れ…ああ、もうどうでもいいや…


              ――だめっ!――


「水銀燈…」
数メートル先に、今にも泣き出しそうな顔の水銀燈が立っている。
家から出て歩いてきたのか?
そうだ、僕は、何を…

「…はっ!」
慌てて少女の手を振りほどく。
こいつ、迷子なんかじゃない。
まさか…
「まさかあんたのだったとはね」
〈そいつ〉の茶髪が発光ダイオードでも当てたように青くなっゆく。
「もう少しであたしのモノになったのに」
間違いない、こいつが〈敵〉だ!

「必要ないだろ?あんたにはさぁ」
紫陽花が左手を水銀燈に向けた。
まずい!
「やめ――」

紫陽花の手から発せられた水が、えぐるような音とともに水銀燈の目の前で飛び散った。
――やられた!?
飛沫の奥に見えるのは…
「はぁ、はぁ、…何とか間に合ったわね」
「はぁ、はぁ、ホーリエ飛ばしといて正解だったな」


第12話に続く
5475:2006/08/27(日) 17:52:41 0
precious junk〜第12話「Smoke On The Water」〜

ぺたりと座り込んだ水銀燈。
その前に立っているのは下僕君、そして薔薇の生垣でバリアを張った真紅。
「勝てそうか?真紅」
「やってみなければ分からないわ」
「だな。喪さん!」
下僕君が僕を促す。
僕は真紅の背中を呆然と見つめる水銀燈に駆け寄り、ぎゅっと抱き締めた。
「ごめん、ごめんよ水銀燈。ごめん」
「喪、絶対にその子を守るのよ」
真紅が前を向いたまま言った。

「ウザイウザイウザイ!べたべたしやがって、反吐が出るよ」
「あら、紫陽花って言ったかしら。あなた水銀燈に喪を取られて妬いてるの?」
「誰がそんな醜い人間。媒介として力を奪っただけよ。試してみる?」
くそっ、僕は敵に協力したってのか。

下僕君がTシャツの中に手を突っ込んでいる。
ナイフでも隠し持っているのだろうか。
「真紅」
「ええ、分かってるわ。ここはnのフィールドとは違う、現実世界に紫陽花が作り出した空間」
「この雨がやばいってことだな」
本降りになった雨で、僕たちはずぶ濡れになってしまっている。

ひときわ大きく水の跳ねる音が響いた。
先に仕掛けたのは真紅だ。
薔薇の花びらが螺旋状に舞う。
が、それは紫陽花の目の前に現われた水のカーテンに飲まれて流されてしまう。
「ぅるぁぁあああああああッ!!!!!」
背後から下僕君が振り被ったその手には…フライパン!?
「ぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
命中するより一瞬早く、紫陽花の右手からの放水がそれを叩き落とした。
「くっ、そ…テフロン加工なのにな」
その隙に真紅が懐まで飛び込む。
「無理よ」
左手の放水が真正面から真紅にぶつかる。
とっさにガードしたようだが、真紅は詰めた間合い以上に押し戻されてしまった。

「くっ、」
直撃を受けた真紅が体勢を崩す。
「真紅!」
「人間…邪魔な人間」
「ああ?やんのか?」
下僕君が身構えるが、紫陽花は真紅に向かって一直線に飛び出した。
「やべっ、」
狙いは真紅だったのか。
とっさに追いかける下僕君。
二人の中間地点にいる紫陽花を雨のカーテン、いや、滝が包み込む。
水の壁に阻まれて真紅から向こうの様子が全く分からない。

だが滝はすぐに無くなった。
真紅の先には下僕君がいて、同じようにこちらの様子を伺っている。
紫陽花がいない…?どこだ?

雨音の中でもはっきりと分かる、鈍い、そして不快な音が響いた。
6('A`):2006/08/27(日) 17:56:50 0
勃起した
7475:2006/08/27(日) 17:59:22 0
13話に続きます

今日中に完結させたいな
8475:2006/08/27(日) 18:04:09 0
と思ったけど一人で連投してたら怒られそうだな
318氏どこー?
9475:2006/08/27(日) 19:29:56 0
precious junk〜第13話「Night Flight」〜

水しぶきの中で下僕君が倒れている。
それを見下す青い髪。
下僕君は地面に両手を突いて立ち上がろうとした。
「がっ、ぁぁぁぁぁぁっぁぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!??????」
右腕が力なくぐにゃりと曲がり、重力のままにぶらぶらと揺れている。
彼は顔からぐしゃりと這いつくばった。
「下僕!」
「黙れっ!」
走ろうとする真紅を集中豪雨が押さえつける。
「あんたたちはもう何も出来ないんだ」

紫陽花がゆっくりとこちらに歩いてくる。
「く、来るな!」
カチカチと小刻みな音がする。
僕の腕の中で水銀燈が震えていた。
「ぁ…、ぁぁ…」
「見ちゃだめだ!」
僕は水銀燈に覆いかぶさるようにして丸まった。

「そういうのが…今度こそ壊れろ!」
紫陽花が背中から頭から蹴りつけてくる。
僕の体力はほとんど奪われて、なされるがままだ。
痛い、背中が、後頭部が。
「離れろ!ほら、離れろよっ」
いやだ、絶対いやだ。
守るんだ、今度こそ守るんだ。
(水銀燈、僕は君を――)

********

(――とう…水銀燈…水銀燈)
(誰?誰なの?お父様?)
(水銀燈、僕の声が聞こえるかい)
(どこ?どこにいるの?真っ白で何も見えないの)
(水銀燈、僕はもうだめかもしれない。だけどどんなになっても絶対に君だけは守る)
(死んじゃうの?いなくなっちゃうの?いやっ、行かないで)
(水銀燈、僕は死んでだって君を守り抜く。だから君にはもう一度翔んで欲しい。僕のために、そして君自身のために)
(だめっ、死んじゃいや!どこ?どこ?)

ずっと分かっていた。
水銀燈が求めていた声の主。
羽ばたくために必要な人の名前。
「喪――!」
10('A`):2006/08/27(日) 21:16:58 O
いいよいいよ(゜∀゜)
11475:2006/08/27(日) 22:14:22 0
むせ返りそうな光の中で小さな点が見えた。
「あれは喪の…」
あの手袋だった。
喪が水銀燈にくれたプレゼント。
優しい優しい黒。
その色は水銀燈の涙を止めた。
そして手袋の周りをぐるぐる飛んでいるのは…
「メイメイ!」

もう光は怖くない。
ここは水銀燈の世界だ。
漆黒の世界だ。
「メイメイ、こっちへ」
しかし強固に絡まるツタが彼女たちを阻んでいる。
「もう少しなのに…」

そのとき、金属が擦れ合う音と共にツタが切り落とされた。
一本、また一本。
「これは…」
せっせと鋏を動かしているのは蒼星石だ。
「言ったろ?君自身が戦うなら僕たちは手助けするって」
ツタを刈った跡には翠星石が水をまき、図太い木が通路を作っている。
「やっとやる気になったですよ。ぶりぶりしてる水銀燈はキモかったですぅ」
「あなたたち…」
「「さあ」」

水銀燈と喪の手袋は互いに引き寄せられるように進んだ。
「メイメイ、わたしならもう大丈夫よ」
そして、
「喪…」
水銀燈の目の前で一組の手袋は2つの黒い薔薇の花になり、両肩で黒い輝きを放ち、背中に染み込むようにして輝きは散った。
遥か天を仰ぐ。
喪のために、そして水銀燈自身のために。

********

蹴られ続けて感覚が無くなってきた。
痛みは感じないけど体中が痣だらけだな。
意識が遠くなる…

ふと身体が軽くなった。
ああ、死ぬときってこんなふわふわした心地なんだ…

水銀燈は守れたかな。
僕は両腕の中を覗いてみた。
小さな手が僕の胴体を持って――
「――?」

僕は宙に浮いて、いや夜空を飛んでいた。
そう、水銀燈に抱えられて。


第14話に続く
12475:2006/08/27(日) 22:17:44 0
>>10
(///)

でも今日中に完結は出来ないかも…
13('A`):2006/08/28(月) 02:33:33 O
続きに期待
14318:2006/08/28(月) 19:44:21 O
いつの間に3に移行してたんだよ……迷子になったじゃないか!!(泣
15318:2006/08/28(月) 19:55:43 O
前スレからの続き


今この世界に置き去りにされた俺は取り敢えず煙草を吸うことにした

紅「まだ話は終わってないのだわ!!」

銀「あはははは」

怒るシャア専用と笑い狂う水銀燈を後目にベランダに出る

「……ふぅ……最近誰も俺の話を聞いてくれないな……」

孤独……居ながらにして他とは相まみえることはない孤独……

「……センチメンタルだよマジで」

後ろでは何やらギャーギャー聞こえるが気にしないでおこう……

「てかいつの間に3に移行してたんだよ……板がなくて迷子になってたんだぞ俺は…」

意味不明な呟きと共に煙を吐く

「……さて物語が進まないから部屋に戻りますかね…」

もの凄く不安だが進展を求めるためにベランダを後にした


つづく
16318:2006/08/28(月) 20:13:22 O
部屋に戻るとかろうじて笑死を免れた水銀燈と明らかに不機嫌なシャア専用が待っていました


「あー……なんだ…順を追って現状を把握しようか」

銀「ふぅ……」

紅「そうね。言い訳くらいなら聞いてあげてもよくてよ」

「まず、俺は被害者である事を主張する」

紅「強気ね?」

「俺は窓からやって来た水銀燈により攻撃を受け気絶した。目が覚めると君が居て俺を加害者呼ばわりしたわけだが、意識を失うまで君に会った覚えはない。よって俺は君に何かをすることは事実上不可能だ」

紅「私を鞄ごと撃ち落としておいてよく言うのだわ」

「鞄ごと?」

紅「そうよ。棒か何かで」

「……」

思い当たる節がある。水銀燈が乗ってきたあれがシャア専用の鞄であるとすれば、すべてに納得がいく……

紅「思い当たる節があるようね」

「……あれか?水銀燈が乗って特攻してきたアレがお前の鞄だと?」

紅「え?」

「俺は防衛のために叩き落としたが、この場合正当防衛だ。つまり全ての元凶は……」

紅「……水銀燈!!」

銀「にゃ?」

俺とシャア専用の論議中、既に水銀燈は逃走態勢に入っていた……素早いなお前

銀「な、なんのことかしら?」

紅「ふふふ……やはりあなたとはここで決着をつけなくてはならないようね」

一触即発の空気…
あのー……俺が居ること忘れてないかい?


つづく
17318:2006/08/28(月) 20:32:33 O
戦争はいつも周りを巻き込む。平穏に暮らしていた者を巻き込み侵して行く……
つまり、ここは戦場である

キレたシャア専用とその攻撃をノリノリで返す水銀燈……
見た目とは裏腹なパワーにより俺の部屋は半壊滅状態……

「……ちょっ、お前等」

銀「ほらほら真紅ぅ!あなたの力はその程度なのぉ?」

紅「言わせておけば…!!」

誰も俺の声を聞いちゃくれない……人間不信になるぞオイ。いやこの場合人形不信か?

銀「そんなんじゃぁ私は倒せないわよぉ♪」

紅「きー!!」

「い い か げ ん に し ろ !!」

銀「……」
紅「……」

普段は温厚な俺だけど自室をこれほど滅茶苦茶にされて大人しくしているほど弱気じゃない

「てめぇら!そんなトンでもパワーで喧嘩するなら俺の知らないとこでやれ!!てかこの有様をどうしてくれるんだよ!!」

銀「……あなたのせいよ真紅」

紅「人に罪を擦り付けないで頂戴」

「……ほぅ?反省する気は無いんだな?……よかろう両者魔改造に処す」

紅「魔改造?」

銀「……ごめんなさい」

「そいじゃ水銀燈。片付け開始」

銀「…わかったわよ」

紅「あら、随分と素直なのね水銀燈」

銀「あなたは魔改造の恐ろしさを知らないからそんなことが言えるのよ!!」

紅「誇り高きローゼンメイデンが…情けない」

「よーし。シャア専用をシャア専用にするぞぉ♪」

満面の笑み(邪悪)で小脇にシャア専用を抱える。

紅「離しなさい!!」
銀「御愁傷様」

俺はめくるめく改造プランを掲げシャア専用を抱えながら部屋を出た


つづく
18('A`):2006/08/28(月) 22:21:23 0
19475:2006/08/28(月) 23:36:34 0
318ぃー!
会いたかったよぉぉおおお
移行が分かりにくかったのは俺のせいだごめんn
それはそれとてお仕置きされる真紅に期待だぁぁ嗚呼ああああああああ!!!!!
20318:2006/08/29(火) 00:13:50 O
>>475
俺もあいたかったよ(///)

てっきりのけ者にされたのかと思ったよ…
21('A`):2006/08/29(火) 08:55:56 0
          ラプラス
オレも容量による脱兎オチを気づかずあたふたしてましたよ。
22('A`):2006/08/29(火) 10:16:20 O
53氏はこのこと知ってるのかな…?
23('A`):2006/08/29(火) 20:56:29 0
318 まるで美しい旋律を奏でるよう
24475:2006/08/29(火) 21:01:17 0
>>20,21,22ほんとごめんorz
喪板で「水銀燈」って検索ヒットするのここだけだから迷うことはないと思うけど…
53氏〜53氏〜おいで給へ〜53氏〜

…続き投下します
25475:2006/08/29(火) 21:04:42 0
precious junk〜第14話「Dead Flowers」〜

水銀燈と飛んでいる。
初めてのはずなのに違和感は全くなかった。
飛んでいることよりもむしろ、
「…れ?僕は…生きて…、」

さながら浅い河のようになった道路に着地する。
僕の目と水銀燈の目が合った。


「水銀燈…」

「…ばか」


それだけ言うと彼女は静かに波紋を立てて浮かんだ。
彼女の瞳にもはや怯えはない。
あの、何者にも屈しないクールな輝きを宿していた。

「どこで砕け散ったかと思ってたよ」
早くも紫陽花が水銀燈に照準を定めている。
「あぶ――」

一閃

黒い軌跡を残して水銀燈が消えた。
「なッ、?」
紫陽花も彼女の姿を見失った様子でいる。

豪雨に押さえ付けられる真紅の前に、水銀燈はいた。
黒い翼を‘一回だけ’羽ばたかせる。
その一度きりで真紅の自由を奪っていた雨水が全て吹き飛んだ。
真紅が姉妹の顔を見上げる。
「ケホッ…!……すい…銀燈?」
それを黙って見つめ返す水銀燈の翼は、よく見ると以前とは違っていた。
彼女の双肩から伸びているのは黒い光――そんなものがあればだが――に見える。
その輝きは水面を漆黒に染めていた。
「水銀燈、あなた…」
「あなたもミーディアムも、水も滴るブサイクねぇ」
「…!」
倒れたままの下僕君めがけて真紅が走り出した。
「下僕!しっかりなさい!」

「ほぉんと、あんなに濡れて…」
水銀燈は真紅たちから紫陽花へと視線をもどした。
「ナメやがって。媒介の力が残ってたのか」
紫陽花からの剥き出しの憎悪が水銀燈の視線と交わった。
26('A`):2006/08/29(火) 21:34:03 O
wktkwktk
27475:2006/08/29(火) 22:10:04 0
「下僕、私の声が聞こえて!?」
「ああ、起き上がれないだけだ…クソッ、痛ぇ」
「腕が折れてるわ。じっとしてなさい」
「真紅、もしかして水銀燈は、アリスに…?さっきの動き…」
「分からないわ、でも…」
水銀燈は紫陽花と対峙していた。
黒い光の翼はさっきより大きく広がっているように見える。
「あの子は怒っているわ。自分のプライドではなく、喪や私たちが傷付けられたことに」

「あんたの媒介から奪った力、その辺の雑魚人間とは比べ物にならないよ。さすが、本家は餌も高級ね」
「あなた、喪から何も感じなかったの?」
「!…。…撹乱のつもり?そんなことしてもあんたは勝てないよ。媒介の力はほとんどあたしが吸収したんだ」
そうだ、僕はもう辛うじて立っているだけだ。
こんな状態で水銀燈に力を供給できるのか?
「ジャンクと搾りカスがどうしようっての?」
「力なら…」
漆黒の翼がいっそう煌いている。
「力なら充分もらったわ。喪のそばでずっと。今度は私が…」
「無理よ!」
紫陽花が跳び上がると同時に水銀燈も舞い上がった。

「堕ちろォッ!」
水銀燈の周囲だけが一気に強い雨となる。
「水銀燈!避けないと羽が、」
だが水銀燈は光の翼をはためかせ、真上に突っ込んだ。
「雲の上まで逃げる気?だけど…」
そう、敵がここから出ない限り雲の上では戦えない。
紫陽花が路面に目を落とした。
「くっ!」
真紅がとっさに身構えるが、もうほとんど戦えないはずだ。
紫陽花が掌を構えた。
来る!
「紫陽花!!」
水銀燈!?
黒い光が敵めがけて一直線に突っ込んできた。
とっさに張られた水の膜が放射状に弾け、光は紫陽花にぶつかった。
28475:2006/08/29(火) 23:42:14 0
なんか長くなりそうなので後編に続く
29('A`):2006/08/30(水) 16:43:22 O
次回で最終回?
だったらさみしい(´・ω・`)
30('A`):2006/08/30(水) 16:58:22 0
次回感動の最終回!




金「もうちょっとだけ続くのかしらー」
31('A`):2006/08/30(水) 20:49:30 O
DB乙wwww
32475:2006/08/31(木) 19:18:54 0
precious junk〜第15話「Dead Flowers」後編〜

巨大な水しぶきが上がり、そのてっぺんで水銀燈は滞空している。

「大丈夫みたいだな」
「ええ」
真紅は小さな腕を伸ばして、下僕君の目に飛んでくる飛沫をさえぎった。
「紫陽花があやつるのは雨。落下の向きに合わせて動けばダメージは少ないわ」
「雨より速いあのスピードが出せれば、な」

ようやく低くなった水柱の中に紫陽花の姿が見える。
さっきの水しぶきで防御していたのか。
「この…ローゼンメイデンッッ!!」
両手を使った紫陽花の放水を水銀燈は翼を翻して真っ二つにした。
「紫陽花、あなたは出会えなかっただけよ。私だって今まで…」
「ふざけるな!」

「あんたには分からない!生まれたときから高いところにいて、人間どもにちやほやされているあんたには!!」
紫陽花が振り乱す髪からは青色が急速に引いていく。
「あたしは負けない!みんなの憎しみは!!」
雨がまた一段と激しさを増した。
それも局部的なものではない。
このフィールド全体が洪水のような大雨に襲われている。
この期に及んで容赦なく叩きつけてくる雨はまずい。
下僕君の体力は限界のはずだ。
その傍で雨を防ぐ真紅の薔薇が、今にも果てそうに弱っている。
僕は立っていられなく、片膝をついた。
「ぜんぶ…全部全部全部全部全部全部ぜんっっっぶ―――壊れてしまえぇぇぇええッッッ!!!!!」
水銀燈は…?

雨のフィールド、その空間の中心に巨大な黒い蕾が出現していた。
黒い輝きを放つ雌しべの位置に水銀燈はいる。
次の瞬間――

「止んだ…雨が」
上空には天を覆う漆黒の花びら――水銀燈の翼が広がっている。
雨はもう降らない。
「な…んで…?あたしは…みんなの…負けられないのに……」
今まで僅かだが浮いていた紫陽花が、小石でも投げたような音を立てて着水した。
全ての力を使い果たしたのか、僕から奪った力も。
すっかり茶色の髪に戻った彼女には、もう1滴の雨も降らせられないようだ。

静かになった水面に星が映った。
降り注ぐ星明かりと共に水銀燈も着水した。
33475:2006/08/31(木) 19:21:28 0
>>29ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ

>>30あと1,2回の投下かなー
34('A`):2006/09/01(金) 02:42:43 O
銀ちゃんツヨイヨー

あと1、2回っすか…さりげなく第一話から読んでますよ(´∀`)

そういや53氏の銀ちゃんにちゅっちゅな話も気になりんぐ
35('A`):2006/09/01(金) 21:55:16 0
今までのまとめってないの?
36('A`):2006/09/02(土) 01:19:17 O
投下に期待
37('A`):2006/09/02(土) 15:42:55 0
過去ログ
38475:2006/09/02(土) 20:30:00 0
>>34
最初から読んでくれてありがとう(ノД`)・゚・
その言葉を貰えただけで書いてきた甲斐があります
きっちゅも魔改造もwktkりんぐ

>>35
自分のだけならテキストファイルに下書きしてから貼ってるのであるけど、他は過去ログ行かないと

>>36
書けるまで投下はもうちょっと待ってね
39475:2006/09/02(土) 22:14:58 0
precious junk〜最終話「Baby,Don't You Want To Go」〜

降り立った水銀燈の翼は随分と小さな光になっている。
あれだけの力を出したのだから無理もない。

程なく、かすかに出ていたその光もガスの切れたライターのように消えてしまった。

まるでそのときを待っていたかのようだった。
みんなの顔がオレンジ色に照らされている。
「…!?」
紫陽花の全身が橙色の光に包まれていた。

目を刺すような眩しさは、揺らめく炎から放たれている。
「うぁぁあああああ!!!!!」
一体誰が攻撃を?
「水銀燈!?」
「私じゃないわ。なぜ…」
真紅も下僕君も当然動いていない。
さっきまでの敵が炎上する様子を唖然として見守っている。

炎は紫陽花自身が発しているかのように勢いを増してゆく。
「な…んで……やっぱり…贋物…だから?」
燃え盛る炎の中で、彼女の瞳が僕の瞳を捉えた。
「あんた…喪?だっけ…あたしに…」
その言葉は最後まで聞けず、何かを悟ったような眼差しとなり、次第に小さくなる炎と一緒に紫陽花は消えた。


水面には細波が放射状に広がっている。
「灰も残っていない…」
これがドールの末路…なのか?
40475:2006/09/02(土) 22:16:09 0
道路の水もあらかた退いた頃に下僕君が口を開いた。
「とにかく、だ」
真紅が続ける。
「終わったわね」

下僕君は折れた腕をかばいながら左手を使って立ち上がった。
「そういうことだな。あー腕痛ぇ」
「情けない声を出すものではないわ」
「朝んなったら医者行かないとな」
「帰りは電車よ」
「マジで?」
「nのフィールドを開くには力が足りないもの」
「こんな格好で電車かよ…」
空中にいた水銀燈以外はみんなびしょ濡れだった。

「まだ電車あるよな。じゃあ、お疲れー」
僕は歩き始めた二人に、あまり出ないながらも声を振り絞った。
「あー…ありがとう!下僕君も、真紅も!」
「礼には及ばなくてよ」
「ちょっ、おま、俺の台詞取るな」
小さな貴婦人とそのパートナーは、あーだこーだ言いながら駅へと角を曲がっていった。

二人が行ってしまうと辺りは急に静かになった。
雫の落ちる音が等間隔で聞こえる。

「水銀燈。あー、えーと…」
この角度からは水銀燈の表情がよく見えない。
「僕たちも、その…」
僕たちも帰ろう、そう言いたかった。
「何よ…」
「だから、その…家に…」
「一人で帰れば」
そう言い放つと、水銀燈は僕の家とは逆の方向に歩き始めた。
彼女はまた翼のない身体になってしまったのだ。
「あ…」
僕が声をかけそびれると、水銀燈の後姿はすぐに暗闇の向こうへ消えてしまった。
41475:2006/09/02(土) 22:55:57 0
雨上がりの涼しい風が入ってくる。
部屋に戻ってからしばらく、くたくたに疲れているのに僕はまだ眠れないでいた。
翼を失った彼女が飛んでくることもうは無い。
分かっているのに窓を開けておいた。

紫陽花は最期に何を伝えようとしたのか。
そんなことを考えていたが、不覚にも僕は彼女の唇の感触を思い出してしまった。
「でも…」
あの時、水銀燈はほんとにヤキモチを妬いてたよな…

可愛かったな、水銀燈の寝顔…

また一緒に暮らせたらな…

ぼんやりと光る都心上空の夜空。
ぼんやりとした頭でそれを眺めていたら、目の前にふわふわと飛ぶものがある。
これは確か水銀燈の…
「メイメイ!?」

メイメイは一階の高さまで下降すると、玄関の方に回り込んでいった。
僕は大急ぎで階段を駆け下りた。
玄関を開け、道路に飛び出す。

コンクリートの塀に寄り掛かるようにして水銀燈が立っていた。
ふてくされたような顔をして、両手で大きな鞄を持っている。
「…水銀燈!」
「力を奪いに来ただけよ。アリスになるのは…」
「うん!さあ、上がって」
「あ…ちょっと、、、」


水銀燈と僕の日々が始まる。

今度はお父様としてではなく、喪として。

僕たちの家へ。

「お帰り、水銀燈」
42475:2006/09/02(土) 23:36:10 0
――Epilogue――

花が落ち、緑の濃くなった紫陽花が夏の日差しに焼かれて暑そうだ。
梅雨は完全に明けた。

みんな今まで通りの日常を過ごしている。
下僕君は『真紅がゲームばかりやって出不精で困る』というメールをくれた。
双子は最近見つけた野良犬に、マスターさんの作ったご飯をあげたりしてるらしい。
僕と水銀燈は――

僕たちは、まだお互いぎこちないながらも一緒に生活している。
もちろん彼女は鞄で寝て、僕のベッドに入ってくることはないけれど。

僕が仕事から帰ると水銀燈は決まってベッドの上にいる。
いつも窓の外を見ているが、傍らには必ず僕の編んだ帽子やマフラーが転がっている。
「水銀燈、これ…」
「さぁ、もとからあったんじゃなぁい?」

二人で部屋にいると、時々僕の手の下を頭でかすめるように通ってゆく。
僕がこっそり頭を撫でようとすると、
「何よ」
とすぐにばれてしまうんだけど。

それと…

「…喪」
「なに?」
水銀燈が僕を見上げている。
「もしかして…抱っ――」
「地べたを歩くなんて、疲れるだけでばかみたぁい」
「そ、そうだよね」

僕は水銀燈の背中に腕を回した。
ドレスにおおわれた華奢な身体を丁寧に持ち上げる。
絹のような髪がしなやかに流れる。
「…あ!」
ドレスではない柔らかな感触。
銀髪の間から小さな小さな黒い翼が覗いていた。


precious junk〜fin〜
43475:2006/09/02(土) 23:49:22 0
最後まで書かせてくれてありがとうございました。

今回はやり遂げられて本当よかった。
74氏に触発されて、以前別スレで書いてた話は落ちてそのままだったので。

そのときの設定を流用したんだけど水銀燈の話はこれにて完結です。

53氏、318氏、そしてレジェンド74氏の物語をwktkする名無しに戻ります。
44('A`):2006/09/03(日) 00:26:12 O
>>475
いやはや、とうとう完結しましたね。
自分も以前53氏や318氏に触発されてSSを書いたことがありますが、やはり一つの作品として物語を完結させるということは非常に大変で、すぐに断念してROMに戻ってしまいましたwww
ということであまり長くするとアレなので、ここら辺で失礼します
475氏、お疲れさまでしたm(_ _)m
45('A`):2006/09/03(日) 00:28:50 0
475氏お疲れ様です!
46('A`):2006/09/03(日) 11:42:47 0
>>44
真紅と水銀燈の人?
YOU、書いちゃいなよ!
47318:2006/09/03(日) 13:17:40 O
>>475
大作完結お疲れさまです。

一つの物語を完結させると言う偉業を成し遂げた貴方様は尊敬に値します。

機会がありましたらまた投下してください。
私はいつでも待ってますから



さて、俺も今日中に一回は投下しよう……
48318:2006/09/03(日) 17:22:57 O
銀「ひどい有様……」

魔改造を免れた私は不本意ながらも部屋の片づけをしている。
普段からお世辞にも綺麗とは言えない部屋がバカ真紅のせいで更に荒れ果てていた

銀「まったく…人の家を何だと思ってるのよ」

テキパキと片づける。掃除自体は嫌いじゃないし、汚いのは耐えられない。

銀「?何かしらこれ?」
パソコンの横の棚にまるで隠すように入っていた物体が目に入った

銀「……っ!!」

それは明らかにいかがわしいPCゲームのパッケージだった

銀「……廃棄」

捨てよう
まず、パッケージの子の服装が私に似ているのがいけない。

銀「……まったく……何を考えているのかしら…」

私のミーディアムは良く言えば個性的、悪く言えば変わり者。
それでも一緒に暮らしはじめて結構経つから、それなりに彼の行動や思考は理解できる。
しかしながら、彼の怒るタイミングがイマイチつかめない。

銀「最近の若者はキレやすいってテレビで言っていたけど…アレは別次元よ……」

どこまでが本気でどこまでが冗談なのか……未だによくわからない。
ただし、魔改造をする気になったと言うことは恐らくかなり怒っているのだろう……

銀「真紅……今度ばっかりはあなたに同情するわ…」

シャア専用に改造された真紅が安易に想像できてしまう私はきっと彼の毒電波に犯されているのかも知れない……


つづく
49318:2006/09/03(日) 17:34:22 O
魔改造……それは悪魔の業…
彼女らローゼンメイデンにとってアレは屈辱的なものだろう……
そう、魔改造される前に抵抗してしまえばいい……それが出来ないのには理由がある。

「よーし♪覚悟してね♪シャア専用♪今日から君は真のシャア専用に生まれ変わるのだ」

紅「ふざけないでちょうだい!さっさと離すのだわ!」

彼……水銀燈のミーディアムに連れてこられたのは薄暗い部屋……無数の箱が積まれた……そう例えるなら処刑場……

「おっと!抵抗は無駄ですよ?大人しくしてないと大変な出来に成りますよ?いいんですか?」

彼は楽しそうに言う……冗談じゃない!!私は力を使うことにした

紅「あまり調子に乗らないことね」

「上等だ。貴様の無力さと愚かさを後悔しながら深淵の眠りに着くがいい!!」

カチっ♪

小意気のいい音がして私は意識を失った……
50318:2006/09/03(日) 17:46:11 O
「ふぅ……ローゼンメイデンってみんな好戦的なのか?」

大人しく眠っているシャア専用を眺めながらつぶやく。

さて、ここで諸君等はどうやって俺がシャア専用を眠らせたか気になることだろう。知りたい?知りたいよね?みんな知りたがりなお年頃だもんね?いいよ。お兄さんが説明してあげよう。

ローゼンメイデンの背中あたりにはネジを巻く穴があります……うん。なんかエロいよね。
ポイントはこの穴にあるわけですよ?
本来これはネジを巻き彼女らを起動させる役割なのですが、逆が出来ないかと思ったのが水銀燈に魔改造を施したときのこと。

本来、右巻きのところを俺は左に巻いてみたのよ。
すると、効果覿面。見事に眠らすことが出来たのです。
(※破損の恐れがありますので真似しないで下さい。

「さて……シャア専用機を全て投入してシャア専用完全体を生み出そうか」

気持ちは少年時代の遠足の前日並にワクワクしている
今の俺なら今世紀最大の作品を作り出せるかも知れない。

「レッツプレイ」

めくるめく魔改造タイムが幕を開けた


つづく
51('A`):2006/09/03(日) 20:31:49 0
薔薇乙女の意表をつく技吹いたww
52('A`):2006/09/03(日) 22:01:59 O
>>46
ちゃいますよwww
一応前スレで一回だけ投下したものです

そういえば真紅と水銀燈の人はどうしたんだろ…

>>318
魔改造wktkwww
53('A`):2006/09/03(日) 22:47:02 0
>>318
めくるめく 改 造 プ レ イ kwsk
54318:2006/09/03(日) 23:45:16 O
>>52
もしや受験生と水銀燈のやつ書いた方ですか?

>>53
>>52
やっぱり魔改造中の写実は必要ですか?
しらばっくれて端折ろうと思ったんですが……
55('A`):2006/09/04(月) 00:29:08 0
新参でよく分からんが必要なんだろうよ
56('A`):2006/09/04(月) 00:36:46 0
>>54
318が判断してくれ
俺たちにはどんな展開も受け入れる『覚悟』があるッ!!!!
57('A`):2006/09/05(火) 00:12:54 O
>>54
ひぃっ!!バレてる(゜Д゜)!!
そうです、覚えてていただけて幸いです

とはいえ自分リア浪なんでもう投下はできなそうだし、ROMも最近はあまりできない状態です……
来年までここが残ってたら受かって書きたいものです(´∀`)

自分語りしてごめんなさい
58('A`):2006/09/05(火) 00:33:23 0
>>57
俺も浪人したけど今では良い経験だよ
是非本懐を遂げて書きに戻って来てくれ
59('A`):2006/09/05(火) 01:42:50 O
>>58
ありがとう(´;ω;`)ウッ
頑張るよ
60('A`):2006/09/05(火) 23:20:50 0
>>318ぃ〜
遅いわぁ
318のがい、…いっぱい欲しいのよぉ…
61318:2006/09/06(水) 10:29:40 O
皆様へ

今週は仕事が忙しくて投下出来ないかも知れません……ごめんなさい。
62('A`):2006/09/06(水) 23:21:46 0
いいんだよ
63('A`):2006/09/06(水) 23:49:30 O
グリーンダヨー
64('A`):2006/09/07(木) 17:56:21 0
でかパン先生だよ〜ん
65('A`):2006/09/07(木) 20:45:31 0
age
66('A`):2006/09/08(金) 23:02:39 0
拡散薔薇粒子砲&メガ薔薇花弁ランチャー保守
67('A`):2006/09/09(土) 14:44:52 O
まだ残暑がきつい保守
68318:2006/09/09(土) 16:10:26 O
放置してすいません…

明日の晩あたりに投下を予定しております。


……続き考えなきゃ……
69('A`):2006/09/09(土) 23:55:35 0
放置などしていないじゃないか。
期待保守。
70('A`):2006/09/10(日) 21:33:43 0
待機
71318:2006/09/10(日) 21:51:43 O
人類の歴史は失敗の連続だ。しかし、失敗の上に今の繁栄がある。
魔改造も然り。数々の失敗、モンスターを生み出した結果、今に至る。

「……俺は天才かもしれん」

シャア専用の魔改造の結果があまりにも素晴らしくて俺は陶酔しかけてました。

「さて……シャア専用を再起動させますかね」

ただし、今の状態で再起動させたら、間違いなく俺の身が危うい……

「逃走ルートは確保しておかなくては……」

ドアを開け放つ。
因みにローゼンメイデンは再起動に最短でも15秒かかる(水銀燈で実証済み)

「よし。んじゃ右巻き巻き……っと」

ネジを巻く。
逃げるには今しかない

「まだ見ぬ明日へ!!」

駆け出す。それはもうスプリンターよろしくなダッシュで。目覚めたシャア専用が困惑する姿が目に浮かぶ…

「ふはははは…」

実に格好いい。そして可笑しい。
我が才能のなんと恐ろしいことか……


続く。


久しぶりに投下しました。
間が空いたからストーリーがわからなくなったのは内緒だ。
72('A`):2006/09/11(月) 00:47:58 O
>>318氏キタ―――――(゜∀゜)――――――――!!!!!!!
心待ちにしておりましたよ
73318:2006/09/11(月) 00:53:52 O
彼が部屋を出てからかれこれ二時間近く……家に居るのに私だけ相手にされないのはなかなか不愉快だ。

銀「……なにやってるのよぉ…もう!!」

無性に腹が立つ。
紅茶もかれこれ五杯目だ。

銀「……?」

走る音がした。
どうやらやっと戻ってきたみたいだ。
文句の一つでも言ってやらないと私の気が晴れない

「アルカディア!!」

銀「……突っ込む気も失せたわよ……」

「どうした?テンション低いぞお前」

銀「あなたが異常なのよ…麻薬でもやってるんじゃなぁい?」

「お薬はやってません。お?紅茶か?俺にもくれよ」

銀「ちょっと!!」

有無を言わさず私のカップルが奪われ飲み干されていく……

「……ふむ。なかなか」

銀「なっ……」

ここでの問題は彼が「私の」カップルで紅茶を飲んだことにある。
さっきまで私が紅茶を飲むのに使っていた……つまりは間接……

「なんだ?なに赤くなってんだよ?赤いのはシャア専用だけで十分だぞ」

銀「そ、そう言う問題じゃないわよ!!」

「はぁ?わけわからん」

何もわかっちゃいない……乙女心の何たるかを小一時間(ry

銀「……あ、あなたそれ……」

「んあ?」

彼が手に持っていたのは…真紅の服……

銀「……ばか!スケベ!変態!ロリコン!!」

「いや、まて!!なぜそこまで言われにゃならん!!」

銀「あなたがその服を持ってるってことは真紅を脱がして悪戯したに決まってるわ!!!」

「………」


続く
74318:2006/09/11(月) 01:11:07 O
あらぬ疑いをかけられた俺はすごく傷つきますよ?

「……なぜそのような結論に至るのかね君は」

銀「………」

無言の圧力……くっ!俺はそんなものには負けないんだからね!!

「そもそも俺はシャア専用を魔改造しに行っていただけだ。んで、この服は魔改造時に剥いだだけだ」

銀「私の時は剥がなかったでしょ!!!」

「あれはお前が規格外だったからだ!!!」

銀「なによ!規格外って!!」

「……」

説明しよう。
水銀燈を魔改造した時に気付いたのだが水銀燈は無駄に出るとこは出てて引っ込むとこは引っ込んでる……だからボディパーツを組むことは不可能だったのでその他のパーツを装着するだけにしたのだ。
しかし、今回シャア専用の魔改造は実に有意義だった。
何故ならシャア専用は平坦で凹凸の少ない体だったからボディパーツを組む事が可能だったのだ。
だから服を剥いでボディパーツを装着したわけです。

銀「何とか言いなさいよ!!」

「……なに?お前も剥いで欲しかっ……ぶべらっ!!!」

言い終わる前に水銀燈の殺人ローブローが炸裂した……俺…子供作れなくなるかも……などと思いながら意識を失った


続く


>>72
ただいまぁ♪
性懲りもなく帰ってきましたよ
75('A`):2006/09/11(月) 18:06:17 0
下がりすぎはよくない
76('A`):2006/09/11(月) 21:36:24 O
さて、スィンクは何を装備させられたのか?wktkwww
77('A`):2006/09/11(月) 22:04:24 0
間違えてイデ〇ンガンつけられたしんく
78('A`):2006/09/12(火) 23:19:20 0
>>318
剥いたのか?
真紅を剥いたのか!?
79('A`):2006/09/13(水) 13:40:53 0
昨日は投下無し、か
80318:2006/09/13(水) 18:55:46 O
度々すいません……
今週も忙しくて投下が日曜日あたりになってしまいそうです……
81('A`):2006/09/14(木) 00:44:34 0
age
82('A`):2006/09/14(木) 23:22:30 0
日曜日が待ち遠しいな
83('A`):2006/09/15(金) 17:55:56 0
保守っといてやるですぅ
84('A`):2006/09/15(金) 21:41:05 0
あげ
85318:2006/09/16(土) 16:13:26 O
目が覚める

「私は……」

薄暗い部屋……ドアは開け放たれている
現状を把握した。
私は真紅。ローゼンメイデンの第五ドール
水銀燈のマスターに強制的にこの部屋に連れてこられた。
………その後が思い出せない。
凄く嫌な夢を見ていた気がする。
肝心の水銀燈のマスターは……

「……いないのだわ」

どうやらこの部屋には私だけのようだった。

「まったく人間の雄は(ry」

体を起こす

「……あら?」

妙に体が重かった……

「…きっとこの陰湿な部屋のせいね」

歩き出す。
歩く度に妙な音がする……心なしか頭までも重い

「なにかしら……」
歩く
一刻も早くこの部屋を出たかった

ドアの近くには鏡があった。
何気なしにのぞき込む

「………」

映し出されたのは私ではない“何か”

「……っ!!!」

それが自分だと気付くのに時間はかからなかった

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


つづく
86318:2006/09/16(土) 16:45:43 O
なんだろう?
温かく柔らかい……
??「……!……!」
なんか言ってる……
??「……!……!」
ああ……俺を呼んでるんだ……起きなきゃ……

銀「ちょっと!しっかりしてよ!」

「……お前なにやってんの?」

銀「急にあなたが泡を吹いて倒れるから……」

「………」

思い返す…
俺は水銀燈の殺人ローブローを喰らって気絶していたわけか……泡まで吹いて…

銀「し、心配かけないでよね!!」

「………」
自分でやっといて心配してたのかこいつは……
銀「な、何とか言いなさいよ!」

「ん……もうちょいこのままでいてくれ。回復まで時間がかかる」

銀「し、仕方ないわね」
因みに気絶している間、どうやら水銀燈の膝枕にあやかっていたようだ。悪い気はしないので罪滅ぼしにしばらく膝枕していてもらおう。
銀「…ねぇ」

「なんだ?」

銀「真紅はどうしたのよ?」

「……あ」
完全に忘れてた。そろそろ目覚めてやってくる頃なのだが……

??「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

銀「!?」
「ぉ?」

悲鳴が聞こえた。
おそらくはシャア専用のモノだろう。
余程、俺の魔改造が気に入ったのか嬉しい悲鳴なのだろう。
銀「……」
どうやら水銀燈も事態を把握したようだ。走る音が近づいてくる…近くなるにつれて走る音がMSのそれに酷似していることがわかった。

「ふははは…俺は天才かもしれんなぁ」

銀「…間違ってる…」

ついぞ足音は部屋の前まで来た


つづく
87('A`):2006/09/16(土) 16:56:28 0
88('A`):2006/09/16(土) 17:46:28 0
>>1
89('A`):2006/09/16(土) 18:43:07 0
投下確認。
また明日かな?
90('A`):2006/09/17(日) 18:34:07 0
ひっざまっくらっ
91('A`):2006/09/17(日) 22:06:05 0
 
92('A`):2006/09/17(日) 22:14:56 0
              _
             ,'´r==ミ、
       ,_ _ _   卯,iリノ)))〉 _ _ _
     /   `."-|l〉l.゚ ー゚ノl/    ヽ <乳酸菌とってるぅ?
    '"'⌒`~"'" ''|!/'i)卯iつゝ '''"ー"``
            ''y /x lヽ
           l†/しソ†|
           lノ   レ 
アニメ最萌トーナメント2006 投票スレhttp://etc4.2ch.net/test/read.cgi/vote/1158475984/

只今銀様苦戦中。投票は23時まで。是非清き一票を。
93('A`):2006/09/17(日) 22:53:29 0
なんでこんな過疎すれに宣伝してんだ
94('A`):2006/09/18(月) 02:54:58 0
>>1
95('A`):2006/09/19(火) 01:42:22 O
たまにはあげる
96318:2006/09/19(火) 15:49:49 O
人はパニックに陥ると笑い狂ったり、発狂したりと実に面白い生き物だ。

かく言う俺も今、身の危険を感じながら笑いが止まらない。
理由は簡単。我が魔改造最高傑作シャア専用完全版がその勇姿をその性能をもって生みの親である俺に憎悪を殺意を向けているのがドアの向こうからひしひし感じられるからだ

「( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」
銀「………っ!!」

瞬間、水銀燈は身を翻しドアから距離をとる。結果、膝枕してもらっていた俺の頭は床へと……

ゴン!!

「………いたい」

泣きそうだ……地味に痛い
この数秒の隙は致命的で俺は後に後悔する……

「……っ!!」

殺気だ……常人なら発狂しかけない殺気……

「やばっ……」
銀「……お気の毒……」

瞬間、ドアは吹き飛んだ…次いでやってきたのは爆風。俺の体はまるで人形のように舞う

「ばかなっ!!」

我が目を疑った……
そこにはザクバズーカを担いだシャア専用……そんなモノを装備させた覚えはない

紅「殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺ぁーーーっ!!」

「………」
銀「………」

シャア専用……完全に目が逝っちゃってます。

銀「……あなた責任とりなさいよ」

「俺かよ!!」

空中で水銀燈に支えられながら、なぜか説教されてます……

紅「殺スゥ……肉塊モノコラヌホドニ……」



続く
97318:2006/09/19(火) 16:03:45 O
「……やばいなアレ」

銀「……私は知らないわよ?」

「汚ぇぞ!!それでも俺の相方か!?」

銀「誰が相方よっ!!」

紅「無視すんなぁぁぁぁ!!」

次いで飛んできたのは……

「ふぁ、ファンネル?!」

なんと言うことでしょう。シャア専用はニュータイプだったのです。

「……ふざけんな!なんでプラモが火力兵器になるんだよ!?」

銀「知らないわよ!!そんなこと!!」

「あぶねっ?!」

ファンネルのビームを避ける

「オイオイ…洒落になんねぇよ!こんなもん喰らったら死んじまう!!」

銀「な、何とかしなさいよ!!」

ファンネルによるビームの嵐を避け続ける俺と水銀燈……ただし、水銀燈は空を飛べるので回避には苦労していないっぽい

紅「殺ァーーーッ!!ちょこまかしてんじゃねぇ!!ウジ虫がっ!!」

「……キャラ変わってないかあいつ……」

銀「…不細工が更に不細工に……」

紅「死死死死死死死死殺殺殺殺殺殺殺ーーーッ!!」

流石に避け続けるのが辛くなってきた……

「……調子に乗りやがって!!」

銀「ちょっ、ちょっと?!」

水銀燈の制止を振り切り俺はシャア専用に特攻をかける。
いくら火力があろうとも、どつきあいなら負ける気がしねぇ


続く
98('A`):2006/09/19(火) 16:31:19 0
おおっとぉこの時間帯に投下されるたぁ予想外だったぜ。
乙。
99('A`):2006/09/19(火) 16:46:31 0
まあかwww
100318:2006/09/19(火) 18:15:04 O
疾走
中学時代嫌々やっていた陸上で培った瞬発力と土方でこき使われて改造された鋼の肉体
それらから繰り出される一撃はシャア専用を粉微塵にする……はずだった

紅「遅いわっ!!」

「なっ…?!」

銀「嘘っ…?!」

必殺の一撃はシャア専用に掠るどころか完全に空振りに終わった

銀「……ありえない!?真紅があんなに速いはずはないわ!?」
紅「滅殺ぅ……」

「やべっ!?」

とっさに身を反らす
風が…否、シャア専用がもの凄い勢いで通り過ぎた……

「くっ……」

上着の腹の部分がぱっくりと裂けていた

銀「ちょっと!大丈夫?!」

「……次は死ぬ確実に」

伊達にシャア専用ではなかったということか……奴の動きはもはや人間の目で捉えることは不可能だ……カンで避けてたまたま避けられただけだ

「やばいもん作っちまったなぁ……」

銀「どうするのよ!?」

紅「人類はこの真紅が粛正する!!」

今が恐らく人生で最大のぴんち!!
どうする俺!?


続く
101318:2006/09/19(火) 20:00:51 O
考える……おそらく奴の装甲は破壊できない。プラモが火力兵器になったりする点から奴に装備させたものは限りなく本物に近づいている。
だから仮にも俺の攻撃が当たっても奴にダメージは無い。

「……水銀燈」

銀「…何よ?」

「シャア専用の動き止められるか?」

銀「出来なくもないけど長くは無理よ?」

「最低でも五秒止めてくれ。なんとかなるかもしれんから」

銀「失敗したら死ぬわよ?!」

「……俺は死なんさ……まだお前に……」

銀「え?」
紅「ウケケケケ……殺ス殺ス殺スゥ……」

「来たぞ!!」

銀「もう!!どうなっても知らないわよ!?」

猛スピードで突っ込んでくるシャア専用……迎え撃つ水銀燈は羽を広げ拳に変える。たぶん水銀燈にはシャア専用が見えてるはずだ

銀「このバカ真紅!!私の家を壊さないでよ!!」
「いや俺の家だから」

紅「?!」

バキッ!!

見事、水銀燈はシャア専用を捉えた

紅「ぐはっ!」

シャア専用の動きが止まる。

「待っていたぜ!この瞬間を!!眠りやがれ!!!」

カチッ♪

紅「…………」
銀「……止まった……?」

「ふっ……生みの親には勝てんのだよ」

銀「なにしたのよ?」

「ん〜?左巻き」

銀「はぁ?」

「気にするなよくあることだ。それにお前が知っては俺が遊べなくなる」

銀「……なんだか凄く不快だわぁ…」


続く
102318:2006/09/19(火) 20:19:58 O
「さて、こいつどうするよ?」

銀「捨てましょう♪」

「即答?!お前、仮にも姉妹なのに捨てちまうんですか?」

銀「そんな不細工でイカレポンチのおバカはいらないのぉ♪」「………」

本気だ……水銀燈は間違いなくシャア専用をゴミとして捨てる気だ……
それは人権問題ですよ?

「……せめて鞄に入れて持ち主に返してやろうよ」

銀「やぁよ。面倒くさいもの」

「はぁ……この有様…修復するのは骨が折れそうだな……」

銀「これくらい簡単に戻るわよ?」
「は?」

銀「部屋ごと巻き戻せばいいのよ」

「……お前そんなとんでもパワーあったのか?」

銀「ローゼンメイデンは伊達じゃないわよ」

「んじゃよろしく」

銀「あら?どこへ行くのよ?」

「シャア専用を持ち主に返還してくる」

銀「……あなた場所わかるの?」

「………わかりません」

銀「もう…おバカさぁん。……しょうがないわね……私が送っといてあげるわよ」

「随分と気前がいいな」

銀「部屋ごと巻き戻すのに力を結構もらうからそのお礼よ」

「……なんか変なもん食ったのか?」

銀「な、なんですとっ?!」

「いや、だっていつものお前からは想像できないほど律儀だぞ?」

銀「う、うるさいわね!!ただの気まぐれよ!!」


続く
103318:2006/09/19(火) 20:23:47 O
こうしてシャア専用との戦いは幕を閉じた。

「そういえば結局シャア専用は何しに来たんだ?」

銀「ん〜?忘れたわ」

「………」

なんてマイペースな奴なんだ……それに巻き込まれた俺はとんだ災難だぜ……


続く……かな?


取り敢えずシャア専用死闘編は終わり。
104('A`):2006/09/19(火) 22:06:48 0
だから!>>318に乙しなきゃならないんだろ!!
105('A`):2006/09/20(水) 02:06:39 O
>>318氏乙カレー
久しぶり銀ちゃん分補給できました(´∀`)
106('A`):2006/09/20(水) 20:53:57 O
乙!携帯からだけど一気に読んだ。
107('A`)
乙です
ミノフスキー粒子散布しながら読んだ
新章にも期待