リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第82話
リゾスレ初心者向けQ&A
Q.このスレについて教えて!
A.このスレはモーニング娘。36thシングル「リゾナント ブルー」のPV(Another ver.)から想像に想像を膨らませて生まれたスレです
作者一人ひとりによって設定は異なりますが、大まかに共通している設定は
【超能力を持つ「リゾナンター」を名乗る少女たちが仲間同士心を通わせつつ「ダークネス」を名乗る敵の組織と戦う】といった感じです
Q.どの話から読めばわかりやすい?
A.テンプレ
>>1の過去ログまとめで第1話(第1スレ)に目を通すことを推奨。
スレの雑談では『蒼の共鳴』の名がよく上がります。但し一大長編ですけどねw
2周年を記念してスレの住人が色んな質問に答えているスレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/22534/1271246993/も参考になるかと Q.メンバーのキャラ設定は?
A.作者個々によって違うが多くの作品で共有している設定は以下の通り
高橋愛…………リゾナンターのリーダーで戦闘も強い実力者。喫茶店のマスターをしている
新垣里沙………リゾナンターのまとめ役?だがその正体は「ダークネス」から放たれたスパイ。後に真の仲間となる
亀井絵里………心臓病を患っておりよく入院している。さゆみと親友
道重さゆみ……絵里と親友。心の奥には「さゆみの姉・さえみ」という別人格が眠っている
田中れいな……喧嘩最強でリゾナンター屈指の武闘派。愛の喫茶店で住み込み店員をしている
久住小春………売れっ子芸能人。何も考えていないように見えて案外熱血だったりするかも
光井愛佳………家庭の内外で孤独を感じていたところを愛に救われた。リゾナンター随一の常識人
ジュンジュン…パンダに変身する一族の生まれ。変身が解けると裸になる
リンリン………パンダ一族を守る組織「刃千吏(バッチリ)」の一員。ギャグセンス以外はエリート
譜久村聖………出てきた設定は、サイコメトラー、譜久村財閥のお嬢さん、変2など
生田衣梨奈……出てきた設定は、KY、無感情、新垣さん命
鈴木香音………出てきた設定は、物体をすり抜ける、すごい聴力、数少ないツッコミ要員など
鞘師里保………出てきた設定は、水軍の家系の末裔、御神刀使い、念動力(水限定)など
飯窪春菜………出てきた設定は、はう、ラブベリーナ魔法学院最終学年、ジョジョバカ
石田亜佑美……出てきた設定は、蒼の剣士、ぺったん、貧しさが憎い、石プロ
佐藤優樹………出てきた設定は、こんちくわ〜、たなさた〜ん
工藤遥…………出てきた設定は、強い責任感、男前、
【今まで出てきた能力まとめ】
高橋愛:精神感応(リーディング) /瞬間移動(テレポーテーション)/光使い(フォトン・マニピュレート)
新垣里沙:精神干渉(マインドコントロール)/鋼線使い
亀井絵里:傷の共有(インジュリー・シンクロナイズ) /風使い(ウィンド・マニピュレート)
道重さゆみ:治癒能力(ヒーリング)
さえみ(姉人格):物質崩壊(イクサシブ・ヒーリング)
田中れいな:共鳴増幅能力(リゾナント・アンプリファイア)
久住小春:念写能力(ソートグラフィー) /幻術(ハルシネーション)/発電(エレクトロキネシス)
光井愛佳:予知能力(プリコグニション)/心の浄化(ハート・プリフィケイション) /水守(みまもり)
リンリン:念動力(サイコキネシス)/発火能力(パイロキネシス)
ジュンジュン:念動力(サイコキネシス)/獣化(メタモルフォシス(トゥ・ビーストorパンダ)
譜久村聖 :能力複写(リプロデュスエディション) /残留思念感知(サイコメトラー・オブジェクトリーディング)/液状化(リキュエファクション)
生田衣梨奈:精神妨害(マインドジャミング)/精神破壊(マインドデストロイ)/植物と会話(スピリチュアル・トーキング)/鷹の目(ホークアイ)/空間誘導(スキップ)
鞘師里保 :水限定念動力(アクアキネシス)/水軍流の達人
鈴木香音 :非物質化(ディマテリアリゼーション)・物質透過(ペネトレイト)/超聴覚(ハイパー・ヒアリング)/獣化(マンティス)
飯窪春菜:五感共鳴(センス・リゾナント)/魔術(マジック)/粘液放出(アドヒア・セクレイト)
石田亜佑美:幻獣召喚(イリュージョナル・ビースト)/小石限定念動力(ペブルキネシス)/加速(アクセレレーション)
佐藤優樹:瞬間移動(テレポーテーション)/死霊魔術(ネクロマンシー)/音響分析(アナライズ)
工藤遥:千里眼(クレヤボンス)/精神??(マインド・ブラスト)
小田さくら:幻獣召喚(イリュージョナル・ビースト)/精神干渉(マインドコントロール)
【まとめサイト(仮)で投稿日順に読む裏技】
裏技などございません。小説に関してはトップページからストーリー:スレ別分類のページに飛んでいただければ投下順に並べております
タグによる分類など作業中ですがいつ完成することやら(遠い目
【まとめサイトVer.2で投稿日順に読むには】
タグでスレごと(第○話)の作品群を見ることができます。
登録日の順になっているのでそこからたどっていけばおk
閲覧できないよという場合は火狐やChromeなどIE以外のブラウザを導入してみて
【暫定保管庫(まとめサイト3)で投稿日順に読むには】
トップページからスレ別分類に飛んで(ry
最近の作品に関しては簡単な解説のページもありますのでそちらも参考に
【代理投稿を依頼するときのお願い】
したらば掲示板のアク禁スレに作品を上げるときは対処方法の指示も書いてください
例えば
・規制食らったので転載してほしい
・レス数多いから掲載を手伝ってほしい
など
転載する人は必ず投下する旨をアク禁スレに宣言していってください
(投下かぶり防止のため。宣言が同タイミングなこともあるのでリロード&しばらく待つのも大事)
川*’ー’) < テンプレの設定やまとめサイトを参考にして自由に想像するやよ
ノ|c| ・e・) < 登場人物の能力やストーリーの背景・設定は作者さんの自由なのだ
ノノ*^ー^) < シリアル路線でもコメディ路線でもお好きなものどうぞ
从*・ 。.・) < AAを使ったものや1レス完結ものでもOKなの
从*´ ヮ`) < 他の作者さんの設定を流用するのもありっちゃ
ノリo´ゥ`リ < 気に入った話の続きや繋ぎの話を書いてみるのもありカナ☆
川=´┴`) < プロットを書いて他の作者さんにストーリーを書いてっておねだりしてもええで
川*^A^) < アーでも書いてくれるかは作者さん次第ヨ
川´・_o・) < ソッカー
作品投稿の際、10レスを越える場合は連続投稿規制(バイバイさるさん)がかかるので注意。
それから1レス当たり最大32行までしか入らないのでそれも注意。
http://resonant.web.fc2.com/data/toro18266.jpg 君の作品を待ってる
<※初めてスレを訪れた方へ>
お勧めの作品やわからない用語については遠慮なく質問してみてください
スレに何人もいるであろう「生き字引」が24時間以内に答えてくれるでしょう(多分)
以上テンプレ
何らかの規制に引っかかったのかと思い
>>5以降を勝手ながら引き継がせて頂きました
もし何か新しいテンプレを用意していたのでしたら申し訳
9 :
名無し募集中。。。:2013/07/01(月) 19:10:25.98 O
スレ立てテンプレ乙でした
今スレもさゆえりぽん生誕とイベント盛りだくさんな予感ですなあ
10 :
名無し募集中。。。:2013/07/01(月) 20:43:15.72 O
スレ立ておつですよ〜
11 :
名無し募集中。。。:2013/07/01(月) 22:20:50.72 O
あげ
12 :
名無し募集中。。。:2013/07/01(月) 23:53:04.43 0
新スレおめ♪
そっか、小田の『時戻し』は『イリュージョナリービーストクロノス』の力だったか…すっかり忘れてた汗
13 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 00:55:44.04 O
新スレおつであります!
14 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 01:50:59.08 0
寝る前あげなんと
15 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 06:20:27.26 0
おぱよんと
16 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 06:53:00.68 0
わーい新スレだー
17 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 08:28:24.84 0
82話まできたか
18 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 12:51:18.35 0
昼保
19 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 15:39:18.77 0
繋いどきますか
20 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 17:42:13.67 O
ほぜなん
21 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 19:00:41.15 O
ぱさらん
22 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 19:03:11.74 0
23 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 21:24:22.96 O
あげなんと
24 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 21:25:03.53 0
ほ
25 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 21:51:29.26 0
『リゾナンターЯ(イア)』
前スレ
>>869-873 の続きです
香音のうめき声が、広いスタジオに絶望を彩る。
壁に侵入した時点で異変に気づき、優樹を先に出し、自身も最低限の接触で壁の中で凍結は免れたのは不幸中の
幸いか。しかし、ディフェンスの上での貴重な戦力を失ってしまったのは間違いない。
「敵前逃亡しなきゃ、あたしは手を出さないから」
スタジオの入口に立ち、面倒そうに言う「魔女」。
ひとまずは二人がかりで攻撃、ということはなさそうだった。
「やっぱ持つべきものは友達だよねえ」
「は?ビジネスでしょ。これも大事なお仕事の一つだから」
「仕事熱心じゃないあんたが言っても説得力ないから。ま、好意はありがたく受け取っておきますか」
終始、リラックスした魔女と粛清人のやり取り。
里保は、入口を塞いでいる女もまた「赤の粛清」と似たような地位にいる人物という事を見抜く。それだけに、とりあえ
ずの不参加表明は額面通りに受け取ればありがたいことだった。
「戦えば、あなたは満足するんですか」
「とりあえずはね。言ったでしょ、この機会を作るだけのためにあの爆破事故を起こしたって」
亜佑美は、喫茶店で見た凄惨な事故現場を思い出し、頭に血が上りそうになる。
あれを、あんなことを、私たちをおびき出すだけのためにやったなんて…許せない。
だが、「赤の粛清」に問いかけた里保は至って冷静だった。このことのために数々の策を弄したということは、それだ
け強いこだわりがあることの、裏返し。そう判断した。
「みんな、よく聞いて。今、私たちに残されている選択肢は。目の前の相手と戦うだけ。そのことだけに、集中して」
里保の一言が、全員の空気を変える。
怒りに震える衣梨奈、春菜、遥、亜佑美も。後悔の念に駆られている聖も。今やれること、やらなければならないこと
に目を向ける。
「赤の粛清」を、打ち倒す。
もちろん、相手は組織の幹部だ。生易しい相手ではない。
だが、ダークネスと全面対決する時にはそういった部類の人間ともやり合うだろう。幹部たちの相手を、全てさゆみや
れいなが引き受けなければならないのか。否。今いる若いリゾナンターたちが、倒さなければならない。
六人の能力者たちが、一斉に駆け出した。
目標はただひとり、朱き凶刃を手にした粛清人。
真っ先に飛び出した里保が、間合いを一気に詰めて斬りかかる。
クローンとは言え、一度「赤の粛清」とは手合せ済み。他の仲間たちと比べて有利に相手と対峙できるはず。
「クローンって言ってもさ、オリジナルと同じ動きができるとは限らないんだなあ」
里保の思考を読んだが如く、大鎌の柄で器用に斬撃を弾く「赤の粛清」。
疾さも、力強さも、クローンとは比べものにならない。
その一瞬の戸惑いが、隙を生んだ。軸回転させた鎌の切っ先が、無防備な里保に襲い掛かる。
「しまっ…!!」
しかし赤い刃は里保の体には届かない。
大鎌が掬い取る前に、亜佑美が里保を確保しその場を離脱したのだ。
「大丈夫ですか鞘師さん」
「あ、ありがとう亜佑美ちゃん」
里保の戸惑いは。
亜佑美が見せた、圧倒的な迅さ。確かに、これまでも彼女は「高速移動」能力で常人の域を遥かに超えたスピードを見
せていた。が、今のは。
「亜佑美のやつ、やるじゃん」
「私の視覚強化でも、捉えられませんでした…」
同期の二人も亜佑美の成長に舌を巻く。
今までよりも、ワンランク上の高速移動。そして遥は、千里眼の能力で、その能力の根源を垣間見ていた。
なんか今、青いライオンみたいのが見えた気がしたんだけど…
遥の直感は正しく、そして。
亜佑美はふとした偶然から出会ったリゾナンターの先輩・ジュンジュンの言葉を思い出していた。
― お前の力、ジュンジュンの力に少シ似テいル ―
最初は意味がわからなかった。
もしかしたら自分も獣化できるのかと思い、どや顔で鏡の前で練習したが何の変化もなかった。
しかし、ジュンジュンの言葉は日に日に亜佑美の中で具現化してゆく。自らの心の裡に棲む、一匹の獣。
その獣のことを意識しはじめてから、亜佑美の能力は向上した。
と言っても、実際に行動に移したのは先ほどが初めてではあったけれど。
「へえ、だーいしちゃんそんなことできるんだ」
「赤の粛清」が言うより早く、亜佑美が行動する。
鎌の内側に入り込み、そこからの攻撃ラッシュ。鎌の柄でそれを受ける粛清人の前に、再び里保が急襲する。
「行くよ、亜佑美ちゃん!」
「はいっ鞘師さん!!」
体捌きの得意な二人による、コンビネーション。
里保が足元を刀で掬えば、亜佑美は上段からのハイキックを繰り出す。上段からの袈裟懸けには、下段からの足払いで合わせる。
その動きは、まるで二人でダンスを踊っているかのよう。
「なかなか。じゃああたしももう少し頑張ろっかな」
背後から姿を現す、二本の大鎌。
粛清代行者とも言うべき凶刃が、宙を彷徨いながら里保と亜佑美に狙いを定めた。
29 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 21:57:40.70 0
「そうはいかんったい!!」
鎌の動きが、止まる。
ピアノ線を操りその軌道を止めたのは、衣梨奈だった。
「聖、衣梨奈たちは里保と亜佑美ちゃんのサポートやろ!?」
「そうだね。みんなは二人が戦いやすいように、後方援護をお願い!」
聖の指示で、春菜と遥が後方に下がる。
さらに春菜が付与した五感強化の力で、衣梨奈のピアノ線による攻撃は普段より速度、強度ともに冴え渡る。
「凄い!衣梨、新垣さんになったみたい♪」
彼女のようなタイプは、調子に乗ると手がつけられないほど勢いが増す。
春菜の能力とは相性がいいのは間違いない。
衣梨奈の攻撃が大鎌を凌ぐ一方で、里保と亜佑美による連携攻撃は激しさを増す。
そして互いに目配せをすると、
「じゃんけんぽん!」
「あっち向いてホイ!!」
「赤の粛清」を挟んでの、じゃんけん遊びに見立てた攻撃。
里保が刀を上段から打ち、亜佑美は水平からの手刀。
そして怯んだ所でお互いに肩を組み、体を支えながらの連続蹴り。まともに喰らった粛清人はその場から大き
く後退する。
そんな様子を、「氷の魔女」は腕組みをしつつ眺めていた。
一見リゾナンターたちが優位にことを運んでいるように見える。ただ、魔女の目には旧友が追い込まれてい
るとは思えない。
あたしの出番なんてないじゃん。
もともと、この襲撃自体は「赤の粛清」の独断かつ個人的な事情で行われているもの。
勝手にやってろという気持ちもなくもないが。
― 黙認した手前、おおっぴらに手を打つこともできませんから ―
白衣を着た変わり者たってのお願いで、表向きは「赤の粛清」の協力者、真の目的は彼女がリゾナンターた
ちを殺さないよう監視すること、そのためにこの場所にいる。猛獣は戯れているつもりでも、標的の小動物
が死んでしまうというのはない話でもない。
でも。「氷の魔女」は思う。
この程度じゃ、遊びにすらならないと。
それを証明するかのように、攻撃ラッシュを決められたはずの「赤の粛清」は平然とした顔で立っていた。
「やるね。『キッズ』たちとの戦いで成長したって感じか。おかげであたしもようやく、気兼ねなく楽しめる」
そう言いながら、若きリゾナンターたちに視線を送った。
背中に氷板を当てられたような、寒さ。
「忠告してあげる。『全員で』かかっておいで」
勢いでは圧しているはずなのに。
相手が発する異様なプレッシャーを、里保たちは感じずにはいられなかった。
●
「ただいまー」
喫茶店を訪れた田中れいなは、予想外の反応に目を丸くする。
いや、予想外の反応のなさにと言ったところだろうか。
たなさたーん!
ごめんなさい田中さんいつもまーちゃんが鬱陶しくて。
わぁ、田中さん今日もおしゃれですねえ。
これくらいの反応がすぐに返ってくると思ってたっちゃけど。
喫茶店の中は、静まり返っている。
客席にも、カウンターにも、後輩たちの姿は見られない。
不意に今時珍しいブラウン管の小型テレビが、ばらばらに破壊されていることに気づく。
何かがあったのだ。後輩たちの身に。
さゆみからは、今日発生した爆発事故の怪我人救護の応援を頼まれた、との連絡があった。れいなの心を、
不安が過ぎる。
とにかく、今、彼女たちはどこにいるのか。
それを探らなければならない。
れいなは近くの椅子に座り自らの心を鎮め、意識を集中させる。
リゾナンターの特性の一つ、それが互いの心を繋ぐ事による意思疎通。
オリジナルメンバーがいた頃に比べてその力は幾分弱まってはいるものの、相手が今どこにいることくらい
は掴む事ができた。
しかし聞こえるはずの心の声は、あちこちから飛び込んでくる雑音に阻まれたのか、まったく届かない。怒
り、悲しみ、嘆き。そんな感情が町のあちこちで生まれては消えてゆく。
あの事件のせいか。
駅前ビルにある大画面のビジョンで報道される、爆発事故。無慈悲、無差別とも言える殺戮は人々の心を大
きく揺さぶる。それが、妨害電波のように立ち塞がるのだ。
ともかく。
れいなは後輩たちを闇雲に探すのはやめようと思った。
先の「キッズ」たちとの一戦で、彼女たちはリゾナンターの名に恥じない戦いぶりを見せた。庇護されるだ
けではない、信頼に値する働きがあった。
今日は久しぶりに店番をするんだった。いろいろ準備せんと。
カウンターに向かうため立ち上がったその時。
吸った息が、出口を求め暴れる。胸の奥が締め付けられるような鋭い痛み。
れいなは数度、激しく咳き込み、そしてこみ上げるものを手で抑える。
「…なんね、これ」
思わず口をついた言葉。
そして掌についた、血。
それはれいなが見慣れたものではなかった。
血。黒い血。
それはれいなに嫌でも過去の出来事を思い起こさせる。
― これであんたは、あたしから逃げる事はできない ―
まだ喫茶リゾナントに来る前の出来事。
薄闇に包まれた資材置場に佇むその女が嬉しそうに言った台詞を、れいなは忘れる事ができない。血。黒い
血。呪いの、血。
黒血。
刻が来たのだ。
今更ながらに、自分の期限付きで助けられた命の事を思い出した。
残された時間は、さほど多くない。
34 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 22:03:32.77 0
35 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 22:10:44.96 0
代理投稿乙です
まさか前スレの
>>692 L・I・O・N リオン!
が、伏線だったとはw
910期の能力も覚醒してきましたね
36 :
名無し募集中。。。:2013/07/02(火) 23:57:45.23 0
あげ
37 :
名無し募集中。。。:2013/07/03(水) 01:58:41.28 0
寝る前あげ
38 :
名無し募集中。。。:2013/07/03(水) 03:35:34.87 O
おやすみなんと
39 :
名無し募集中。。。:2013/07/03(水) 06:23:24.36 0
読んでてゾクゾクした
40 :
名無し募集中。。。:2013/07/03(水) 10:26:44.05 0
あ
41 :
名無し募集中。。。:2013/07/03(水) 11:18:46.98 0
>>34 更新代理乙です
香音ちゃんの物質投下を凍結で防いだり赤の暴走を監視したりする冷静な魔女が妙に新鮮だった
れいなの期限とか気になることがあり過ぎる
42 :
名無し募集中。。。:2013/07/03(水) 13:26:22.01 O
何気に黒バラの創作ダンス引用してるんだな
43 :
名無し募集中。。。:2013/07/03(水) 17:22:35.40 0
夕方
44 :
名無し募集中。。。:2013/07/03(水) 19:35:50.12 O
残業
45 :
名無し募集中。。。:2013/07/03(水) 20:55:44.49 0
食後のほ
46 :
名無し募集中。。。:2013/07/03(水) 22:03:52.25 0
ナチュラル。
ニュートラル。
本当に孤独な人間というのは、それだけで『完全』な人間だ。
世界と一切関係せずに生きていけるような概念があるとすれば
それほどの角度からどんな具合に観察したところで、やはり『完全』と
表現せざるを得ないと言える。
完全なる孤独。
孤独なる完全。
それは『生死』が無いということ。
愛し愛され殺し合うことが無いということ。
真の意味で孤独であろうと、完全であろうとすることは全ての連鎖
から解放されようという行為に他ならない。
因果から抜け出そうという行為に他ならない。
つまり殺さず、殺されず。求め合わず、必要とせず。
だから本当に孤独な人間というのは完全であり、そしてあまりにも寂しい。
誰とも、何とも関係しない。
そんな『完全』な人間に対等な人間が存在するだろうか。
誰かが願った『完全』な人間だとしても、何があっても何が起こっても
誰と会っても誰と別れても、運命も必然も因果も因縁も、そんな有象無象が
あろうがあるまいが、そんな魑魅魍魎がいようがいるまいが、物語の
流れになんの関わりもなく、
ずっと、変わらないのだ
それが、きっと、つまり、「死なない」という事。
何のために生まれたのか、どういう意味で生まれてきたのか。
二つの疑問に対する答えに一切の持ち合せがない。
それが「死なない身体」だ
生死には膨大なエネルギーが必要だ。
保存則にのっとって言えば、エネルギーは総じて「移り変わる」もの。
マクスウェルの悪魔でも無ければ、一定のエネルギーが厳密な意味で
「固定」されたままというのは有り得ない。
だがそれは、人間の常識であり、法則であり、道徳だ。
異能力を保持する人間の常識と、法則と、道徳は違う。
住む世界が、次元が、違う。
種族や種類ではなく、裏や表や逆や対偶ではなく。
違う世界の住人であるという事実があることで、『完全』な人間は
事実上の『完全』と成る。
それは屁理屈だと嘆くか。
解明は出来ずとも、確立をすることが出来なかった真実を。
ならば、傍観者であればいい。
永遠を与えられた人間を、傍観していればいい。
痛みを忘れ、戦いをやめ、他にも様々なものを放棄して
それは終わりがあったときには大事だったはずの思いも平気で捨てればいい。
死んだように時を過ごせばいい。
本当の生も死も知らず、ルールすら無視すればいい。
それが嫌なら、守れ。
死を認識し、獲得し、捕縛し、対峙し、勝負し、対決すればいい。
死ぬのが怖いか。死ぬのは怖いか。
それでも向かい合え、殺しあえ、喰らい合え。
此処は、そんな世界だ。
死を覚悟すれば、生きてる間は死なずに済むのだから。
『完全』の外側で、『不完全』の彼女達は生きている。
―― ―― ―
久し振りに食べる蕎麦は、美味しい気がした。
普通の子供はカレーライスや、ハンバーグ辺りを選ぶらしい。
喫茶『リゾナント』に来る親子連れでスパゲッティを不器用に
フォークで取り、啜っているのを何度か見たことがある。
新垣と田中も自分が好きなものをそれぞれ選んで食べていた。
だがどちらとも小食なのか、それとも緊張からなのか、あまり食が進んでいない。
佐藤優樹も緊張はしている。
だが、食べたい物を食べただけで、人は簡単に笑うことができる。
田中や新垣は、ちゃんと笑っているようには見えなかったが。
佐藤が今の状況がそれほど良くない、というのは自覚している。
自分にも危険が及んでいることも。
だが新垣が「大丈夫」だと言った。田中も「良かったね」と言ってくれた。
あの三人が好きな食べ物も覚えてる。
工藤遥は抹茶が好き。 石田亜祐美はスイカが好き。
飯窪春菜はチョコレートが好き。
でもそれ以外にもたくさん好きなものがある。
その数だけ、笑顔があった。
たくさんの笑顔が浮かんで、消えていく。
こんな時間が続けば良いのに、と思う。
でも皆が居ないのは嫌だな、と思う。
食べた後、埠頭へ行くために電車を乗り継ぐことを決めた。
その時に佐藤は、田中の隣に居た。降りるまでの間、ずっと、ずっとだ。
彼女の横で手を握り、田中もそれを拒まなかった。
あの時、田中の両目から流れた黒い水。
そして、今佐藤が掴んでいる手が、何か別の生物ような違和感を覚えた、あの時。
本当は聞いてみたい。
様子がおかしいから、本当は具合が悪いのではないかと。
それは自分のせいではないのかと。
自分ができることは何なのか、聞いてみたい。
もしそれが自分のせいだとしたら、このまま自分を捨ててくれても良いとさえ思うほど。
……嘘だ。
本当は捨ててしくない。できればずっと田中の傍に。
「佐藤、ちょっとの間だけ、寝といてもいいっちゃよ。まだ着かんからね」
「たなさたん、わたしにできることがあったら、なんでも言ってください。
どうしていいかわかんないけど、おいてかれるのだけはやだけど。
それいがいのことはできるから。できるかもしれないから」
「大丈夫。れなはずっとおるよ。だから寝ときい」
電車に揺られながら、佐藤は田中の声と共に瞼を閉じる。
マスクを付けていて苦しいが、寝顔を見られるのはどこか気恥ずかしいので我慢する。
佐藤は祈りたくなった。鈴木香音が言っていた『神様』という存在に。
神様は一つ、願いを叶えてくれるという。
たくさん願いを叶えてくれたらいいのに、と思い至った時に、佐藤は祈る対象を変える。
どんなに祈っても助けてはくれない神様ではなく、自分達を救ってくれた
神様のような人達が、これが終わったらいつまでも笑顔で居られますように。
寝息を立て始めた佐藤を見て、田中は呟いた。
「なあガキさん、佐藤のこと、頼むけんね、こいつ、ガキさんのことも
好いとぉみたいやし、ま、まだまだ子供やけん、わがままやけど」
「田中っち、それは卑怯だと、私は思うよ」
「別にガキさんやなくても誰かに頼んどお、れなにはもう時間が少ないから」
「…約束はしないよ。私も覚悟してるから」
「そっか、まあ、こいつらなら大丈夫やね、さゆもおるし。うん、さっきの忘れていいよ」
穏やかな表情でそう言った。見た事のないほど覇気のない、掠れた笑顔。
そして田中れいなは、海に臨む。
傷だらけの身体と魂を抱えて、臨む。
自身の限界を知りながらも、ただひたすらに。
それが自分の在り方だと奮い立たせるように。
51 :
名無し募集中。。。:2013/07/03(水) 22:10:02.80 0
>>46-50 『異能力 -Blue flames and butterfly-』
以上です。
新スレおめでとうございます。そしてまた巻き添え規制です(涙)
>>34 れいなの設定をリゾナントしてくれたのはスレ内で二度目です(照)
------------------------------------------------------ここまで代行
52 :
名無し募集中。。。:2013/07/03(水) 22:55:27.68 0
異能力キター!どんどん話に引き込まれていく。。。どんな結末が待っているのか…
53 :
名無し募集中。。。:2013/07/04(木) 00:38:48.30 0
あげ
54 :
名無し募集中。。。:2013/07/04(木) 05:21:28.87 O
おはよう
55 :
名無し募集中。。。:2013/07/04(木) 07:11:24.02 0
また更新されてたー
56 :
名無し募集中。。。:2013/07/04(木) 11:38:50.40 0
>>51 まーちゃんが健気だねえ
その切なる願いが叶えられるといいのだが
57 :
名無し募集中。。。:2013/07/04(木) 13:26:24.47 0
昼保
58 :
名無し募集中。。。:2013/07/04(木) 14:29:00.28 O
ほぜにゃー
59 :
名無し募集中。。。:2013/07/04(木) 17:18:50.90 0
れいにゃー
60 :
名無し募集中。。。:2013/07/04(木) 19:18:42.38 O
てらにゃー
61 :
名無し募集中。。。:2013/07/04(木) 20:55:35.35 0
作品待ち
62 :
名無し募集中。。。:2013/07/04(木) 22:46:07.93 0
えらい落ちとるで〜
63 :
名無し募集中。。。:2013/07/04(木) 23:11:28.45 O
64 :
名無し募集中。。。:2013/07/04(木) 23:35:07.91 0
かっけーw
65 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 00:17:39.19 0
最近こんなの出てきたらソッコー逃げるw
66 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 02:49:19.87 0
おやすみ
67 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 04:31:13.55 O
おはなんと
68 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 08:22:46.18 0
ハo´ 。`ル<前話のおさらいだよ
突如現れた悪の集団とそれを指揮する関西弁の女ボス
そんな奴らを倒さんと正義の味方が現れた!その名も『(株)リゾナントガールズ」』
相変わらずのボケボケなヒーローに耐えきれず、女ボスの雨嵐のようなつっこみが炸裂!!
そんななか(株)リゾナントガールズの女社長、ももち色こと譜久村は自己紹介ついでに敵に贈り物を!
それはリゾナントガールズオレンジこと工藤遥
そう、譜久村は正義の御旗のもとでオレンジ色を手に入れるための戦いへと何気なくすり替えたのだ
さあ、いよいよ悪の集団とリゾナントガールズが戦うぞ!オレンジ色の行方は?そしてはるの運命は?
「・・・長いな」
「そうでしょうか?全話のあらすじがこれだけにまとまるくらい事の方が珍しいと思いますが」
女ボスの率直な感想に対して可愛らしく首をかしげてももち色は答えた
「要点かいつまんで書かれていますし、オレンジ色の行方を巡っての戦いということが簡潔に」
「そやない」
「ではどういうことですか?」
「・・・前の更新からの期間や!前の話でたのいつや!去年の年末や!2012年や!半年過ぎてとる!
この話忘れてるホゼナンターぎょうさんおるで」
何も言い返せない5人の(有)リゾナントガールズの面々
「おい、ももち色、地味に名前また変えたやろ」
「はい・・・アットホームを掲げるために、規模縮小して有限会社にしましたわ
社長のももち色、副社長のハニー色、専務のレッド、係長のグリーン、パン屋のブルー」
「・・・突っ込み待ちか?せんで」
「私は満足していますよ!いくらでもパン焼き放題です!理想の味、フランスの味、石田パン」
「朝食に」「石田パン」「昼食にも」「石田パン」「ご飯のお供は」「石田パン」
「・・・」
そんな譜久村と女ボスの様子を少し離れた場所から眺めている鞘師は首をかしげた
「どうしたの、里保ちゃん。なんか表情険しいよ」
「あ、香音ちゃん、なんかね、雰囲気が違う気がする」
「え?聖ちゃんが?」
「ううん、あの女の人の方」
「フフフ・・・これはあれっちゃね」
話を盗み聞きしていた新垣グリーンの生田が話に割り込んできた
「あれってなんなんだろうね?」
「ずばり!更年期っちゃね。女性としての自分が失われることへの恐怖!
女じゃなくなる、愛されなくなる!ああ、もっと愛して 愛して!」
・
・
・
「ほんとなんだろうね。いつもならここでエリちゃんの身に何かがおこるのに」
「いやな予感がするね」
「でもそうはならなかったと!!」
同期二人の愛の鞭として生田の腹にグーパンと峰打ちが捧げられた
「パン! パン! 石田パンいかがですか?」
しつこいくらいのパン推しの石田に女ボスは近づく
バシンッ 「うぎゃっ」
気持ちいいくらいの音と共に石田は崩れ落ちた
「あゆみちゃん!」「なにをするんですか!いくらうざくてうざくて仕方ないといっても!」
「「ありがとうございます!!」」
頭をさげてお礼を述べる社長と副社長
「・・・で、戦うんやろ?」
「・・・突っ込みもしないんですなんて」「やっぱりおかしいんだろうね」
「も、もちろんですわ!覚悟しなさい!ダークネス!そして裏切り者の工藤」
慌てて構えを構えるももち色
「・・・やって。さて、オレンジ色はどうするんや?」
「は、はるは・・・戦う」
「ほう、どっちとや?」
「それは・・・」
腰に手を回し、女ボスと対峙する工藤
「お前とだ!ダークネス!!」
手にはナイフが握りしめられている
「ええんか?お前、裏切り者扱いされているんやで。あいつの仇にされとうのに、それでもももち色の味方するんか?」
「そんなこと関係ない!はるははるだ!たとえ、みんなから嫌われても心はリゾナントガールズ(仮)だ!」
両手でナイフの柄をしっかり掴み、視線は女ボスから外そうとしない
「くどぅー、いやオレンジ色、そんなに私達のことを・・・」
「正義の名のもとにはるは戦う! 覚悟!ダークネス!!」
そして工藤はナイフを手に飛びかかる
女ボスは退屈そうに胸の前で十字を切る
「『space―」
女ボス目がけて駈け寄る工藤の前に突如、空間の裂け目が生じた
「なんだよ、これっ」
「lipper(空間裂隙)」」
そして、その空間に飛び込んだ工藤は裂け目ごと姿を消した
「「「「「オレンジ〜」」」」」「DOどぅ〜」
仲間達の悲痛な叫びが響く
「・・・これでどうや?うちはお前らの敵で、仲間の仇にもなった」
相変わらず冷めた声の女ボス
「心おきなく戦えるやろ?」
「・・・許さない。私達は心から繋がっていたのに、それを消そうとするなんて許しませんわ」
体を小刻みに震わせるももち色
「「「譜久村さん」」」「フクちゃん」「みずき」
しゅびしぃぃっと小指を女ボスにむけるももち色
「たとえオリオン座が許しても、私が許しませんわ」
「おいおい、なにいっとるんや?さっきまでどこのどいつや?オレンジ色は裏切り者っていうとったのは?」
「そ、それは」
「オレンジ色を守るために工藤を倒すとか」
「や、やめて」
「今後のためにうちらに工藤を差し出したのも」
「やめてください!それ以上言わないでください」
膝から崩れ落ちるももち色
「本当は工藤のことすきなんやろ?」
「・・・」
「なのにオレンジ色、亀井という幻想にいつまでもしがみついて、今をみれなくなっとる」
「・・・」
「不器用やな、おまえ。素直に言うたらええんや、『工藤が大好き』やって」
「遥ちゃんが大好きです!」
大声で叫んだももち色に続く仲間達
「私も」「私も」「香音も」「私も」「えりも」「まーちゃんだって」「「「「「「大好きです」」」」」」
「くだらん・・・せやけど嫌いやないな」
舌打ちして、吐き捨てるように女ボス
「だからお願いです。オレンジを返してください」
「・・・会いたいか?」
「もちろんです!!」
「お前らもか?」
「「「「「「はい」」」」」」
「逢わせたろうか?おまえらこっちに集まれ」
7人は女ボスの元に集まる
そして・・・
★★★★★★
ドシンッ
「イタッ」
背中から床に叩きつけられ思わず工藤は声をあげてしまった
(くそっ、油断して変な空間に閉じ込められてしまった。でもここどこだろう?)
打ちつけた腰をさすりながらゆっくりと立ち上がる
薄暗い室内と目の前に並んだ無数のモニター
遠くて良く見えないが、どうやらどこかの建物をモニタリングしているようだ
そしてその前には机と椅子が置かれ、その椅子には手にグラスを持って誰かが座っている
工藤に背を向けているが、その後ろ姿に見覚えがあった
「!! おまえ、さっきは油断したが、今度はそうはいかないからな!」
ゆっくりと振り返る椅子の人物
「・・・なんや、工藤か」
関西弁のその人物はゆっくりと机にグラスを置き、振り返る
「なめたマネしてくれてるんじゃねえよ!今度こそおまえを倒し、リゾナントガールズとして認められるんだ」
「『リゾナントガールズ』?・・・そういうことか」
「なに知らねえフリしているんだよ!こっちからいくぜ!」
ベルトに忍ばせておいたナイフを女目がけて投げつける
73 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 08:29:01.09 0
ナイフが眼前にせまっても女は眉一つ動かさずに、その軌道を目で追い、そして−消えた
「ほう、この工藤はナイフを使うんや。おもろい」と呟きながら
通り過ぎたナイフは部屋の奥にあるモニター画面に当たり、一つの小さな画面を砂嵐に変えた
「消えた?だけど、はるの『千里眼』からは逃れられないよ」
能力を解放し、部屋を俯瞰できる視覚へと移す
(どこだ?前か?後ろか?それとも上か?
さっきのあれは『空間裂隙』で自分の姿を消しただけだから、すぐに姿を現すはず
そこを撃ち抜けば、楽勝だ)
頬に一陣の風を感じた
(!! 視えた!! はるの左斜め後ろ、1メートルほど上に出た)
左足を一歩さげ、勢いよく体を反転させる。
そして、その遠心力を利用して、目的の場所めがけて、ナイフを投げつける
何百回、何千回と練習したんだ、外れることはない
「ハズレ」
気がつけばいつの間にか女は椅子の上に戻って、工藤に背を向けて座っている
「残念やったな。終わりや」
(な、何をいってるんだ!この手に持ったナイフで)
そこで工藤の思考は一旦停止する
(あれ?おかしくね?はる、今、ナイフを投げるために後ろ向いたよね?
なのになんで、この椅子の上にいる女をみていられるんだ?)
そして、視界がグラリと揺れ、見ている世界がゆっくりと下がっていく
(ん?はる、倒れようとしている?でもおかしくね?なんも痛くないんだけど)
どんどん床が迫ってきたため、床に叩きつけられるのを防ごうと手を伸ばした
―にも関わらず、顎を強打してしまう
「イテッ」
そして続いて、何かが倒れる音
−受け身が取れなかった、というよりも体が動かない?そして天井をなんで見ているんだ?
視線を横に逸らすと無機質な床が眼に映った
−立ち上がらないと。戦わないと
そう思い反対側に眼を向けると奇妙な『モノ』が手を伸ばした格好で倒れていた
マネキンのようだった。上から下まで黒を基調とした衣装で着飾られている
−変なもの置いてあるなあ?・・・あれ?こんなのさっきまであったっけ?
そう思ったのも仕方がないだろう、マネキンには首がなかったのだから
―ん?マネキンの手に何かあるな?
―これ、まぁちゃんからもらった指輪に似てる?
−・・・いやいや違うよな。偶然だよ。偶然
そう思いながらも心の中に不安が生まれ、改めて千里眼を発動する
−嘘だよね?
先程と同じく天からの俯瞰の視野を眼に写す
−ありえないよね?だってはるだよ?リゾナントガールズだよ?
ゆっくりと姿を現していく全体図
―嘘だと言ってよ。ねえ、お願い!
無数のモニターと壊れた小さな一画面、机といすに座る女性、そして・・・床に倒れ込む首の無い身体と生首
―嘘だ、嘘だ、嘘だ 嘘だね! 絶対違うから!
眼の前に倒れている首の無い身体が自分のものだと納得できない工藤
―だって、はるがいなくなったら?どうするの?
そこに低い特徴的なアクセントの関西弁が響く
「・・・『space」
次に何が起こるのかを瞬時に察知した工藤だが恐怖のあまり声が出ない
「lipper(空間裂隙)」」
親指を首の前で横にラインを引くようにすべらせた
咲き誇る血しぶきで眼の前が紅く染まり、工藤の意識は永遠の闇に落ちた
★★★★★★
「ちょっと、なにしてるん?せっかくうちが見つけてきた面白いヤツなのに」
「・・・お前か」
ゆっくり立ち上がり向かい合う二人
「うわっ、床真っ赤っ赤やんけ!」
その顔は鏡合わせのように全く同じ。
「邪魔やったんや。こいつ」
倒れた工藤を指差す
「面白そうな工藤だったんやで。あんたの計画にちょうどええやろと思ったんやで
仲間から裏切り者扱いされて、ナイフ使いで、ちょっと気が強い千里眼の工藤
なかなか調べがいあると思うんけど」
「遅い。お前のとこ、半年も経っているやろ?もう始めてるんや」
「・・・なかなかうまいこといかんくて」
「ところで、それ、なんや?」
今、現れた女が手にしてる袋を顎でしゃくって示す
「あ?これはな」
袋の開け口を下に向けると何か球状のものが7つ落ちてきた
「仲間に『逢いたい』いうたから連れてきた」
「・・・気色悪い趣味やな。こんなことするとは最初からお前も消すつもりやったんちゃう?
他のやつはこんなことせえへんかったで」
7つの球を工藤の傍に黙って置きながら女はもう一人の女に問いかける
「で、どうや?計画は?」
「その工藤のせいで一画面見えへんくなった」
「あのナイフ投げか?やっぱこの工藤の方がええんちゃう?」
「工藤は普通の工藤でええんや・・・で、お前はどうするんや、これから」
並び終えた女はゆっくりと立ち上がり、もう一人の元へと近づく
「なんていうかな、もう『飽きた』。せやから、知識渡してうちは休ませてもらうわ」
「わかった。ほな、お休み」
そう言い同じ顔をした二人は手を重ね合った
一瞬黒く淡い霞が舞い上がり、二つの姿は一つになった
「・・・くだらねえ世界造りやがって。あいつも暇やな。
ま、これで世界がまた一つ消えたことになる、か。さて、観察の続きや」
部屋の中には机と椅子とグラスと女
工藤の死体と7つの球、投げられたナイフに床を濡らした赤い液体も跡形もなく消えていた
モニターに映るは鞘師、譜久村、生田、鈴木、飯窪、石田、佐藤、工藤の8人
ロボットの残骸と白い床と壁に囲まれた奇妙な舘
一つだけ壊れたモニター以外の無数の画面があらゆる角度から彼女たちを映しだしていた
78 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 08:34:34.51 0
>>68-77 『colorfull戦隊リゾナントガールズ(仮)C(終)+米 2.5話』です。
『米』を前話で異能様が気にいっているとおっしゃってくれて特に嬉しかったです
ただ『米』が面白いのは他の作者さんの話が面白いからです。
そして、早速「Я」「異能力」と前話で活躍された作品が投下されてますね
「Я」のメリハリの大きなバトルシーンと小ネタのちりばめられた部分、二度、三度と楽しめますね
「異能力」の終末への理不尽な疾走感、捉えきれない世界観大好きです。
ここまで代理投稿
79 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 10:49:12.97 0
昼休みに読む
80 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 13:04:57.85 0
>>78 乙っす
話のテイストは好みじゃないけど構造には痺れた
匠の技を見せ付けられたみたいな
一つの世界は終わったわけだけどもう一つの世界はどんな結末を迎えるか
第3話に期待してます
81 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 13:45:37.32 0
>>78 後味は少し悪いけど面白いな
最初からこういう展開にしようとして二つの話を書いていたんだったらたいしたものだ
82 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 15:52:47.21 O
いやいやそう来ましたか
まだまだ楽しませてくれそうで次も楽しみです
83 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 16:29:14.75 0
こういうのが流行ってんのかい
84 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 17:41:11.71 0
流行ってるというわけでもないだろうが
85 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 17:41:28.74 I
これが共鳴ってやつだよ
86 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 17:50:57.14 0
>>78 更新&代理乙でした
コメディ路線の地繋ぎにシリアス路線が登場したことで驚かされたというか振り回されたというか
中澤の目的は明らかになるときは来るのかな?
このざらついた読後感はmotorさんならではだ(誉めてます
87 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 19:40:23.69 O
新作期待あげ
88 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 21:27:15.40 O
ほげなんと
89 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 23:22:14.18 0
ナマタ生誕話思案中。。。
90 :
名無し募集中。。。:2013/07/05(金) 23:32:31.65 O
期待して待つ
91 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 01:17:24.73 0
あげ
92 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 03:47:08.76 0
93 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 07:19:56.21 O
一人の朝
94 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 09:34:11.14 O
朝保
95 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 12:29:14.80 0
蒸し暑い
96 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 14:09:18.48 O
大量投稿の週末の予感
97 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 14:34:56.73 0
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/805.html の続きです。
それは、さながら赤い三日月が沈んでゆくように。
「赤の粛清」が腰を落とし、大鎌の刃を下に下げた。
今までとは、違う。
本能的にそれを悟ったリゾナンターが先手を打とうとフォーメーションを組む。すなわち、前衛の里保・亜佑美・遥と
後衛の衣梨奈・聖という体勢。
里保が下段からの斬り上げ、亜佑美が正面での前蹴りという二方向からの攻撃に加え、手前で跳躍した遥の急襲。だが、
「赤の粛清」はそれを横向きに突き出した大鎌で受け止める。
「なにっ!」
「嘘だ!」
「マジかよ!!」
三人分の攻撃をまともに受けたにも関わらず、「赤の粛清」は体勢を崩さない。
それどころか、鎌を前に突き出してじりじりと三人を押しはじめた。
単純な力勝負で、押し負けている。
ここは一旦引き、次の攻撃のための態勢を整えるべき。
そんな考えを嘲笑うかのように、粛清人は鎌を持ったまま矢継ぎ早にキックを繰り出す。正確無比な蹴りが、里保たちの
体にめり込んだ。
ただ蹴られただけとは思えない衝撃に、全員が膝をつく。
そこへさらに振り下ろされる、紅い大鎌。
「あぶないっ!!」
咄嗟に後方にいた聖が、念動弾を連射した。
「赤の粛清」が反射的に鎌を回し被弾を防ぐも、今度は風を切る勢いのピアノ線が鎌に巻きつく。
きりきりと音を立て、鎌を締め上げる線。
「さっきからうざいんだけど、この糸」
言いながら、絡みついていたピアノ線を鷲掴みにした。
本来であれば、線に触れた瞬間に衣梨奈の精神破壊の餌食となるはず。ところが、「赤の粛清」の表情は微動だにしな
い。
「何で衣梨の精神攻撃が効かんと!」
「あいにくそんな軟な精神じゃないんで」
そして、手にした糸を軽く手繰り寄せた。
尋常ならざる力によって引っ張られた衣梨奈が宙に舞い、そして無防備な体を晒したところで「赤の粛清」の強烈な蹴
りがヒットする。抵抗すらできずに、蹴りの衝撃をまともに受けた衣梨奈が床に転がった。
強い。
六人の能力者を相手に一歩も引かないどころか、逆に圧倒している。
これがダークネスの幹部の座につく人間の、実力の真価なのか。
それぞれの心に、暗雲が立ち込めはじめていた。
「先輩二人がいないだけでこれじゃ、期待はずれだよ」
そこに追い打ちをかける、「赤の粛清」の言葉。
リゾナンターたちにしてみれば、勝手に期待をかけられて勝手に失望された。理不尽な話。
「あたしは、楽しみにしてたんだよ。あんたたちと戦うのを。でもね、足りないんだよ。実力はあるのに、足りていな
い」
「…何なんだよ、何が言いたいんだよお前!」
訳知り顔で語り始める「赤の粛清」。
遥はそんな彼女に、いら立ちを隠そうとはしない。
「何?教えて欲しいの?」
「敵に教えを乞うほど私たちは愚かじゃありません!!」
「…お姉さん親切だから、教えてあげるね」
珍しく声を大きく張って抗議する春菜を無視し、粛清人が話を続ける。
「あんたたちに絶対的に足りないもの。それは『悲しみ』。おや、今納得いなかいって顔したよね。あたしたちだって
それくらい知ってる、望まない能力を身に着けたことの悲しみを。そんな感じ?でもね、あたしが言ってるのは、そん
なおままごとの悲しみじゃないんだよね」
おままごと。
「赤の粛清」が、はっきりそう言った。
リゾナンター全員の心に、怒りの炎が燃え上がる。
「ふざけんな!衣梨奈たちがこの力で、どれだけ苦しんだか!!」
直情型の衣梨奈が、ピアノ線を躍らせ襲い掛かる。
しかしそれはまたしても粛清人の片手で絡め取られ、引き倒される。
「通っていた学校のクラスメイトたちが、次々に発狂。その後、リゾナンターにより事態は収拾」
地に伏す衣梨奈を、つまらないものを見るような視線で「赤の粛清」が見下ろす。
そこに同時に遥、春菜、亜佑美が攻撃をしかけた。
「物心がついた時から隔離されていた宗教団体の施設、リゾナンターの介入によって団体は壊滅。それと、だーいしちゃ
んは東北の能力開発組織に身を置いてたんだっけ」
口を開くのと、三方の攻撃を防ぎつつ反撃のダメージを与えるのは、ほぼ同時。
背後への裏拳、正面への中段蹴り、そして大鎌の柄による突き。よろけて後退する三人の影から、小さな体が飛び出した。
「で、鞘師ちゃんは代々伝わる水軍流の後継者。能力を持て余し、おじいちゃんの伝手で喫茶リゾナントを訪れた」
里保の、最上段からの刀の一閃。
それもまた、想定済み。鎌を翻し、朱色の刃で受け止め、弾き返す。
「フクちゃんなんて、立派なおうちに護られてた箱入り娘だもんね。他のみんなよりさらに性質が悪い」
超低温により負傷した香音の傍らにいる聖にも、辛辣な言葉は投げかけられる。
一斉に集まる、六人の敵意。
101 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 14:39:12.83 0
「さて問題です。あんたたち六人に共通する、足りないものはなんでしょう。A 実力 B 経験そして C…」
言葉が、核心に触れる。
「血塗られた過去」
それぞれの過去が悲しみを呼び、そして互いの心を揺さぶり続ける。
それが、共鳴。魂の、叫び。
「人を殺すためだけに製造された人造人間。闇の道を歩み敵対組織の人間たちの精神を徹底的に破壊してきたスパイ。呪わ
れた血を受けることで生を繋いだ不良。実の親からも利権として扱われず、已む無く心を二つに分けるしかなかった治癒の
少女…みんな、あんたたちの先輩だよね」
そして粛清人が、一人一人の顔を覗き込む。
まるであんたたちには薄っぺらい過去しかない、とでも言いたげに。
「言いたい事は、それだけか!!」
里保が、叫ぶ。
叫び声と刀がしなやかに踊るのは、ほぼ同時。
それに合わせ、亜佑美が、遥が双方から攻撃を仕掛ける。その隙間を縫い衣梨奈のピアノ線が、さらにその軌道上を聖の念
動弾が飛ぶ。春菜の力が、全員に行き渡っていた。
「だから。あんたたちだけの共鳴は、まだ弱い」
「赤の粛清」が、動いた。
飛び交う銃弾を避けつつ、体を捉えようとするピアノ線を鎌の一振りで刈り取る。振り向きざまに死角から飛びかかる遥に
回し蹴りを喰らわせた。
強烈なインパクトに、遥の全身が悲鳴を上げる。
だが「赤の粛清」の攻撃は終わらない。回転した勢いで、今度は鎌の刃のついてない頭で亜佑美の腹を一突き。的確に急所
を突いた一撃で、攻撃すらできずに亜佑美は体を崩した。
大鎌を伸ばした一瞬の隙。
里保はそれを見逃さなかった。
鎌を戻し里保を攻撃範囲に入れる前に、斬る。
熟練した剣豪でないと、とてもではないが無理な所業。
やるしかない。そこにしか、勝機は掴めない。
「うーん。まだまだかな。授業料としてその足首、もらってくね」
だが「赤の粛清」が鎌を戻すほうが、迅い。
引き戻しつつ、駆け寄る里保の足首を刃が攫う。
「あれ」
思わず目を疑う。
紅い刃は、足首を切断することなく振り抜かれる。
里保の後方、そこには聖の治癒の力によって回復した香音がこちらを睨んで立っていた。
「ああ、香音ちゃんがいたんだっけ」
袈裟懸けに、里保の斬撃が「赤の粛清」を切り伏せる。
紅い刃と同じ色の液体が、鮮やかに飛び散った。
●
ここはダークネスの本拠地、Dr.マルシェこと紺野博士の個室。
部屋に設置されたモニターに映される映像、そこで繰り広げられる登場人物の一挙一同に、紺野は心を躍らせていた。
「実に、興味深い」
「は?何のことですか?」
「いや、一遍言ってみたかっただけです」
電話を通しての会話より、目の前の映像に意識が向いている。
紺野の言葉に、受話器の向こう側の女性は明らかに苛立っていた。
「とにかく。その計画についてはあなたにお任せします。異能力阻害装置の小型化に成功した研究部門のホープの手腕、期
待していますよ」
受話器を置くのと同時に、部屋のドアが開かれる。
「…いつも思うのですが、我々の組織にはドアをノックするという概念がないように思います。これは由々しきことだと思
いませんか」
「習慣がないのは、必要ないからじゃないか?」
黒のライダースーツに、白い肌と金髪が映える。
ダークネスの幹部が一人、「鋼脚」は自らの行為に仕方が無いさとばかりに微笑んでみせた。
「なるほど。不必要なものは自ずと淘汰される。我々ダークネスが心を捨てたのと同じように」
「捨てたんじゃない。食われたのさ」
「そうでしたね。我々は闇に『心を食われた』存在。ゆえに、ダークネス、でしたね」
言いながら、回転椅子を「鋼脚」に向け正対する紺野。
「立ち話も何ですから。コーヒーでもいかがですか。お茶受けならそこの棚に大福があるはずですが」
「悪いけど、ここでゆっくりするために来たんじゃないんだ」
「ほう」
紺野の眼鏡の奥の瞳が、細まる。
好奇心に満ち溢れた光を湛えつつ。
「お前、リゾナンターに『赤の粛清』をけしかけたろ。そしていつもの調子で、その様子をモニターで監視している」
「別にけしかけたわけじゃありませんよ。勝手に向こうで判断し、勝手に飛び出ていった。ただそれだけの話です。もちろ
ん、責任を感じなくもありません。だから、『氷の魔女』に動いてもらいました」
「そうじゃねえだろ」
「鋼脚」の語気が、強まる。
「あんたは、魔女の他にもう一手打った。話があるのはそっちのほうだ」
「さすがは諜報部門のトップ。お見通しでしたか」
紺野のあくまでも、平静な返答。
それに対する「鋼脚」は、薄く笑ってから、拳を壁に打ち付ける。
コンクリート製の頑丈なはずの壁面に、大きく皹が入った。
「ふざけんな。『赤の粛清』と『あいつ』を近づけたらどういうことになるか、お前もわかってるよな。いいぞコンコン、
とでも言うと思ったか?」
明白な怒り。空気が張り詰めていることは紺野にでも理解はできる。
「私が彼女を呼んだのは」
しかし、紺野は臆せず言った。
「それが、リゾナンターたちの命を守るのに最善の手だと思ったからですよ」
どうやら、「鋼脚」は紺野の答えに些か拍子抜けしたようだった。
緊張していた空気が急速に、緩和してゆく。
「どうにも解せないんだよな。あいつら守って何の得がある?例の田中れいなを巡る計画の障害になることはあっても、
助けにはこれっぽっちもなんないんだぜ?」
「それが、なるんですよ。彼女たちもまた、計画にとって大事な『駒』ですから」
「・・・科学者の考える事は、さっぱり理解できないね」
最終的に、「鋼脚」は紺野の考えを推し量るのをやめた。
意志の疎通の断念は、話を終わらせるには悪くない材料だった。
「まあいいや。ただ、『氷の魔女』はきっとお前を許さない。その時のことを考えておくんだな」
「ご忠告、ありがたく受け取っておきます」
むしろ、それが楽しみなんですけどね。
紺野は出かかった言葉を、ゆっくり飲み込む。それを聞いた時の「鋼脚」の顔を見るのもまた一興だが、今は事を荒立てる
ことはない。
来た時と同じように何の挨拶もなく部屋を去る「鋼脚」の後姿を一頻り眺めた後、紺野はゆっくりと回転椅子を回し、研究
対象としての両者の争いを観察すべく再び部屋のモニターへと体を向けた。
107 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 14:44:38.54 0
>>97-106 >>78 小ネタが話の邪魔になってるかもと心配してましたがこれで堂々と小ネタに走(
にしてもこのような形でネタ話とシリアスが繋がるとは。次回の「米」も楽しみです。
ここまで代行
108 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 16:49:02.78 0
乙!
読ませていただくよん
109 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 17:40:34.06 O
>>107 乙です
相変わらずマルシェさんはいい味出してますねえ
110 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 19:35:48.03 0
>>107 乙おつ
赤の粛清が圧倒的過ぎる
そんな赤を制するために動員されたあいつって誰?
111 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 20:39:32.63 0
安定した面白さを維持しとるなЯ
112 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 22:22:35.89 0
ほぜにゃんと
113 :
名無し募集中。。。:2013/07/06(土) 23:58:32.68 O
まつーらさんの圧倒的な力に震えがきた
一矢報いた感じだけどどうなることやら
114 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 02:16:52.11 O
あげ
115 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 05:01:51.90 O
寝るのだよ
116 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 07:39:52.67 0
あら久々にきたらまた楽しみな作品が更新されてた嬉しい
117 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 10:26:53.79 0
日保
118 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 13:36:39.47 O
昼下がりの保全
119 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 16:21:00.70 0
蒸し暑いですな
120 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 18:32:10.78 0
夕方
121 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 18:57:00.75 0
公務員
122 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 20:23:59.43 0
会員
それはまだ、仲間と出逢う前、えりが中学校に入ってすぐの話。
学校から帰ると、えり宛に郵便が届いていた。DMっぽかったけど、聞いたことのない会社だった。
「Office quarante-huit?何て読むんやろ?何かな?」
封を開くと、その内容に目を奪われた。
戦隊もの!仮面ライダー!他にもプリキュアとかの、色んなコスプレ衣装のカタログ!
しかもそれらが、とてもリーズナブル!
たまにコスプレのサイトとか見ても、売ってるのはすごく高いし、作るのもすごく手間がかかるみたいだし、あきらめとったと。
でもこれなら、お小遣いを少し貯めれば買えそう!
お年玉の残りとかも合わせて、念願の衣装をついに買ったっちゃん!
大好きなボ○ケンピンク!早速着ては、鏡の前で色んなポーズを取って、一人で笑う。
あ〜、コスプレのイベントとか行ってみたいっちゃ。
それから何日か後、また郵便が届いた。新しいカタログかなと思って開けると、そうじゃなかった。
そこには、招待状と書かれていた。
“日頃のご愛顧の感謝を込めて、モニター会を開催致します。新商品の試作品についてモニター様の視点からの直のご意見を賜り、より良い商品の開発に活用させて頂きます。参加費無料。記念品プレゼント有。なお、当招待状はご本人様のみ有効です。”
試作品のイメージ画像には、最新ライダーや、某アイドルの歌衣装なんかもあった。
これらを試着することもできるらしいけん。
そしてそのモニター会の日、えりはその会場へと向かっていた。
会場の部屋へ通されると、何人かの同年代の女の子たちがいた。
最終的に10人くらいになり、同じ趣味を持つの同年代の人が近くにこんなにいたんだと嬉しくなったと。
時間になって、スーツ姿の男の人が数人入ってきた。
「本日は当社のモニター会にご来場頂き、誠にありがとうございます」
その後、早速試作品の衣装が出てきて、試着してみたり、ここはこうした方がいいんじゃないかとか、もっともらしい意見を言ってみたりした。
記念品の箱を渡され、これで終わりかなと思ったら、箱を開けて是非身につけてみて下さいと言われた。
開けてみると、お洒落なチョーカーとブレスレット!
みんな一緒につけてみると、会社の人が言った。
「実はそちらのチョーカーとブレスレットは、現在当社が制作を進めております、ご当地ヒーローの重要なアイテムになっております。
まだヒーローの詳細を申し上げることはできませんが、実は皆様には、このご当地ヒーローのオフィシャルサポーターになって頂きたいと思っております」
こんなことがあるんだ!
一も二もなく、えりは早速志願した。えりの他にも何人かが志願し、別室へ案内された…
「…あれ?」
気がつくと、いつの間にか自分の部屋にいた。
どうやって帰ってきたんだろう…?全然思い出せない。
「夢じゃあ…なかとね」
腕にはブレスレット、首もとに手をやるとチョーカー。夢じゃないのは確かなようだ。
そう言えば、一緒だった人たちとアドレス交換したっけ?携帯を取り出すが、それらしきものは見当たらない。
せっかく同じ趣味の人と会えたのに…。サポーターになる人たちとはまた会えるかな?
というか、自分がサポーターになれたのかどうかも覚えてないw なんであれから何も覚えてないっちゃろ…。
それからというもの、外出してたはずなのに、気がつくと帰宅していた、という事が何度かあった。
その時は決まって、あのチョーカーとブレスレットを付けていた。
…これ、絶対何かあると。
あのモニター会の日以来、あの会社からは何の音沙汰もない。何が起こっとーのか、この目で確かめてやるっちゃ。
次の休みの日、あの時の会場に再び行ってみた。
前来た時は気にしてなかったけど、テナント表示はOffice quarante-huitだけ。
裏手にある非常階段を忍び足で上り、中を窺う。しかし、どうやら人気はない。日曜日だし、誰も出勤してないだけとかいな…?
非常口の扉のノブを回すと…開いた!
ギィ…
不用心っちゃねー。お邪魔しまーす。
部屋を一つ一つ覗いていく。
モニター会をした一番広い部屋。折り畳みイスがいくつか立て掛けてあるだけ。
仕事をしてるらしき部屋。机がいくつかあるが、その上にパソコンが数台あるだけ。机の中に書類なども見当たらない。これでお仕事できるとかいな?
倉庫らしき部屋もあったが、ここは鍵がかかっていた。
その時、エレベーターが動く音が!慌てて非常口の外へ出る。
ところが、エレベーターはこの階を通過し、最上階まで行って止まったようだ。
テナント表示はこの階だけだったはずやけど…。
音を立てぬよう、階段を最上階まで上る。
この階は、外からは中を窺えない間取りだった。慎重に扉を開けて潜り込む。
一室から声が聞こえる。天井近くにある窓から室内を覗き込む。
そこには、モニター会の時に出てきた男の人たち。さらに、一緒だった女の子も何人か。
そして、女の子たちの首元には、あのチョーカーが見えた。
例のサポーターの打ち合わせとか?それにしては、女の子たちは身動きせずただ立ち尽くしたままだ。
あっ…ちょっと…腕が…。
懸垂よろしく窓枠に手をかけて覗き込んでいたが、もう限界…。その時、手が滑ってしまった!
「あっ!!」 ドシン!
「誰だ!」
ヤバっ!!
猛ダッシュで外の階段を下って逃げる。
しかし、下から先回りされ挟み撃ちとなってしまい、あえなく捕まってしまう。
「離して!はーなーしーてー!」
「なんだ、コイツもこないだ来た奴じゃねーか」
「ちょうどいい、予定外だがコイツも連れてくぞ」
先程の部屋へ連れていかれる。
女の子たちは表情を変えることなく、連れてこられたえりを見つめたまま相変わらず立ち尽くしていた。
「おい!」
男のその一言で、えりは女の子たちに抑え込まれた。
同年代の子とは思えない、すごい力だ。
「なんこれ!?サポーターじゃなかったと!?ご当地ヒーローとか嘘だったんやね!?」
「…フッ。ご当地ヒーローというのはあながち嘘ではないぞ」
「!?」
「強いて言えば、こいつら自身がヒーローかな」
「はあ!?どういう事!?」
「そのチョーカーとブレスレットの力を発動させると、超人的なパワーを持ち、意のままに操ることができる」
「これが…」
「ここは日本でも抗争の多い街だ。どこも兵隊を欲している。そこで、こいつらのような傭兵を作り出し、貸し出して大儲けするのさ」
「そんな…そんなのヒーローなんかじゃなか!ヒーローは平和を守る存在っちゃ!」
「なんとでも言えw まあお前は今回は採用を見送るはずだったが、見られてしまったからには仕方ない。おい、こないだ出来たばかりのVersion.2があったろ。あれ持ってこい」
少しして戻ってきた男は、前のものとはやや違うチョーカーとブレスレットを持っていた。
「改良を重ねて、ゆくゆくは世界中に売り出すのさ。おい、付けてやれ」
それを受け取った女の子たちは、えりの体に付けようとする。
「嫌!嫌!やめてー!!」
「お前は新型の被験者の第1号なんだぞ。もっと光栄に思ってほしいものだな」
もう…私、このままになっちゃうのかな…。もっと色々楽しいことしたかったな…。
その時、部屋のドアが勢いよく開いた。
「そこまでや!」
「な、なんだお前ら!?」
「え?えーと、あっしらは…」
「愛ちゃん自己紹介してる場合じゃないでしょーが!あ、話は全部聞かせてもらいましたから」
「おい!やっちまえ!」
女の子たちはえりをほったらかして、現れた2人の若い女性に向かっていった。
ところが、あっという間にみんな気絶させられていった。
「なんだこいつら、戦い慣れてやがる…」
「さあ、あんたらもおとなしくしな」
「誰がするかッ!」
男たちも女性に抵抗しようとしたが、すぐに組伏せられてしまい、細い紐のようなもので縛られた。
そして2人の女性は、えりに近づいてきた。
「大丈夫?ケガはない?」
「あなたの後をつけさせてもらってたの。もっと早く助けてあげることも出来たんだけど、私達もなるべく情報を引き出したかったからさ。怖い思いをさせてゴメンね」
「ウッ…ウッ…ふえええええええ〜」
えりは安心して泣き出した。
そして、平和を守るヒーローに出逢えた。
「…っていう話なんですぅ」
「ウソ!?あの時の子、生田だったの!?」
「そうだったんです〜、んふふ〜」
「てゆーかさ、あんた警戒心なさ過ぎw」
「え〜!?」
「なんでいきなり手紙来てホイホイ行っちゃうのよw」
「え〜だって〜」
「それに、あんた不合格だったんだw」
「見る目がないですよね〜」
「そーゆーことじゃない!」
でも、えり、強くなりましたよ。
色んなことを経験して、色んな人と出逢って。
平和を守るヒーローに、少しでも近づけてるとかいな?
132 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 21:38:40.56 0
133 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 23:13:32.54 0
あげ
134 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 23:54:43.50 I
『Help me!!』とかの作者です。
ギリギリですが、生田さんのBD作を投下します。
時期はリアルタイムです。今でしょ!
投下開始↓
135 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 23:56:05.62 I
「生田さん、前に出過ぎですよ!」
「1人じゃ危険です!」
はるなんと小田ちゃんが心配してるけど、衣梨なら心配ないっちゃ
「おりゃー!」
敵の左側に回ってパンチだぜ!
ドス!
「うぐっ!」
ドサ!
「よっしゃ、まず1人! 衣梨サイコ〜!」
「まだ6人も居るんですから、油断しないで下さい!」
──土念動力──ウォール
ドドドド!
はるなんが地面から茶色い土の壁を出す
「うわあー!」
壁に押し上げられた敵が2メートル位の高さから落ちる
ドン!
「うぎゃ!」
136 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 23:56:58.65 I
「おー、はるなんやるー!」
「余所見しないで下さい! 後ろから来ますよ!」
余裕っすよ
──空間誘導──スキップ
「なんだこれは!?」
衣梨の作った光の壁を通ると……
「うわ!」
ゴン!
ドサ!
「はい、KOったい」
やっぱり、壁際までスキップさせてぶつけるの使えるっちゃね
ま、室内限定やけど
こいつらのアジトが工場跡でラッキーやったと
「キャー!」
「「小田ちゃん!?」」
ありゃ、捕まったよ
「へっへっへ。こいつを助けたかったら大人しく
「小田ちゃん、やっちゃって」
──精神干渉──フェイク
137 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 23:57:51.59 I
「ん?……う、ウギャー!?」
ドサ!
うわ
白目剥いてるっちゃ
「小田ちゃん、何を観せたと?」
「この人のトラウマ・フェスティバルです!」
苦手な物とか嫌いな物とか全部まとめて?
何気にドSったい
「この女!」
小田ちゃんに敵が向かって行く
──土念動力──ウォール
ドドドド!
ゴン!
「ぶふ!」
ドサ!
「ちょっと、はるなん! 壁にぶつけるやつ、衣梨の先輩特許やろ!」
「それを言うなら専売特許≠ナす! 良い技なので使わさせてもらいました」
「そうか、良い技なら真似されるのも仕方なかね」
やっぱ衣梨って天才やーん
138 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 23:58:54.08 I
「生田さーん! あっちの人までお願いしまーす!」
「OK!」
──空間誘導──スキップ
小田ちゃんの前に光の壁を出す
「えい!」
光の壁を通って、
小田ちゃんの手が敵の腕を掴む
「ギャー!」
ドサ!
うん、やっぱドSっちゃん
「キャー!」
はるなん!?
ドサ!
「てめーら、ただの能力者じゃないみたいだな。だが、ここまでだ!」
──念動力──サイコキネシス
ドン!!
「うわ!」
「キャ!」
139 :
名無し募集中。。。:2013/07/07(日) 23:59:42.81 I
ドサ!!
いったー……
念動力っちゃね
にしても、強過ぎるやろ
「ガキだと思って油断したぜ……これだけ荒らしてくれたからな。3人共、ここで終わりだ」
これはやばいっちゃ
──念動力──サイコキネシス
ゴゴゴゴ……
ボロボロのフォークリフトが衣梨達に向かって来る
はるなんも小田ちゃんも気絶しとーし、衣梨も痛みで能力に集中出来ん……
「コンテナを運ぶアームで串刺しにしてやる!」
ゴゴゴゴ……
やばいヤバイ!
どーすると!?
他のメンバーは別のアジトに行ってるから、助けには来れんやろ……
亜佑美ちゃんの能力でも間に合わんやろうし……
衣梨がなんとかせんと!
でも、何も出来ん!
ピンチや!
お願いっちゃ!
誰か助けて!
140 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 00:00:48.95 I
「ぐあ!」
何?
「く、苦しい……」
敵が縛られてる?
「う、ぐ……」
ドサ!
死んだと?
いや、ピクピク痙攣しとーし生きてはいるみたいっちゃ
痛む体を無理やり動かし、倒れた敵の所に向かって行く
一体どーなってると?
まさか自分で縛った訳なかろ?
敵の側まで来た
「縛ってるこの線!」
間違いない!
そもそも間違える訳なかろ!
この生田衣梨奈が!
「助けてくれたんですね」
141 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 00:05:08.63 I
あの時、死んだと思っとった
信じたくなかったけど、最期の姿はしっかりこの目で見たけん
でも……
でも!
このワイヤーは絶対に間違いなか!
「生きてるんですよね? 居るんですよね? 出て来てくださいよ……にーがきさーん!」
──
「──新垣里沙、か。もう居ないんだよ。この世界に、そんな女は」
142 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 00:15:03.72 I
投下完了↑
>>135-141 『──渡れない7月7日の天の川──』
生田さん、誕生日おめでとうございました。
リアルでは不思議な魅力を振りまく可愛らしい方ですね。これからの活躍も楽しみです。
143 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 03:03:06.90 0
生誕記念が相次ぐとは喜ばしい
144 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 06:28:13.19 0
おはよう
145 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 08:17:41.74 0
ねむ
146 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 12:13:08.72 0
>>132 生田のヒーロー好きとか天然っぽさがよく出てるね
>>142 ナマガキ頂きました
あの時に何があったのか想像を誘うところがいいですね
お二方とも乙ですた
147 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 12:32:22.46 0
>>142 スキップとかウォールとかバトルの展開が今の仮面ライダーのウィザードっぽいと思うのは俺だけかw
姿を消して後輩を見守るガキさんというシリアスな展開は「この世界の〜」で描かれる時が来るのか?否か
本編の方も待ってます
148 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 14:16:20.45 0
149 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 16:56:49.27 0
暑い
150 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 18:33:10.15 O
ほぜ
151 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 20:27:35.99 O
浮上
152 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 20:30:17.41 I
153 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 20:31:53.48 I
急に景色が変わった
「ここは、どこ?」
「わかんない……あたし達、さっきまで公園にいたよね?」
鞘師と鈴木も戸惑ってるみたいだ
周りを見ると、階段状に並んだ座席がたくさんあった
「ようこそ。闘技場Bud-Dock-Can≠ヨ」
ブドーカン?
傀儡師様がハル達をここへ?
確かに、今いる場所は2階席みたいだけど
ドゴン!
下の方から大きな音がした
「「何!?」」
2人が1階部分を覗く
ショートカットとロングヘアの女がいた
「「高橋さん!!」」
高橋って、リゾナンターのリーダーの高橋愛か?
2人の視線からすると、ショートカットの方が高橋愛だな
高橋が急に後ろに跳ぶ
ドン!
154 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 20:33:28.09 I
高橋が居た地面が凹んだ
ロングヘアも能力者か?
「あいつが、お前達をここに連れて来た理由だ」
傀儡師様がロングヘアの女を指して言った
「あいつはg923、以前は黒翼の悪魔≠ニ呼ばれていた能力者だ」
「「黒翼の悪魔!?」」
誰だ?
「ダークネスの元幹部の……」
「ダークネス史上最強と言われていた能力者……だよね?」
そんな伝説みたいにスゲー人なのか
ん?
元♀イ部?
「なんだ、知っていたのか」
「高橋さん達から話は聞いていたので」
「知ってるなら話が早い。g923を倒せたらこの子を返そう」
そう言って、傀儡師様がハルを引き寄せる
元幹部を倒すって……粛清!?
しかもリゾナンターにさせるのか!?
155 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 20:36:40.92 I
「そんな約束、信じられません」
「信じなくてもやってもらうさ。どっちにしろリーダーは助けに行くだろう? 早くしないとやられるぞ」
傀儡師様が2人の後ろに見える階段を指す
「……わかりました。約束ですよ」
「ああ」
2人がハルを見る
「遥ちゃん、必ず迎えに来るからね!」
「待ってて!」
えーと、今のハルは人質の設定なんだよな
この場合は……
「わかりました、待ってます」
で、良いんだよな……
振り返って階段を降りて行く2人
2階にはハルと傀儡師様だけになった
ダークネスの元幹部……g923か
156 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 20:37:10.83 I
傀儡師様
どうしてg923はダークネスを離れたんですか?
(方向性の違い、ってやつさ)
なんか、グループの解散理由みたいっすね
(簡単に言うとな。さあ、この戦いを見逃すな。最強クラスの能力者同士の戦いを──世界の未来を賭けた戦いをな)
は、はい!
157 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 20:46:43.12 I
投下完了↑
>>153-156 『この地球の平和を本気で願ってるんだよ!』11
前スレで頂いたレスの返信です。
第81話/808
話がなかなか進みませんね。自分なりに必要と思って書いていますが……。
第81話/819
先輩方のgやiの描き方には到底叶いません。新参者なりに頑張ります。
本スレで頂いたレスの返信です。
>>146 描きたいなと思いますが……皆様の想像には叶わないかと。
>>147 コネクト(テレポート)やディフェンドでしょうか? 描きたいなry
完結に向けてラストスパート。
158 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 21:30:16.67 0
159 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 23:14:26.15 0
あげ
160 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 23:44:16.49 0
161 :
名無し募集中。。。:2013/07/08(月) 23:47:10.39 0
162 :
名無し募集中。。。:2013/07/09(火) 00:54:50.36 O
あげとくよんおやさゆみん
163 :
名無し募集中。。。:2013/07/09(火) 02:45:31.08 O
おやすみ日本
164 :
名無し募集中。。。:2013/07/09(火) 06:23:16.35 0
>>157 連日乙
この最強決戦の場に居合わせたことがどぅを変えるきっかけになるのかな
暑い中たいへんでしょうけど続き待ってます
165 :
名無し募集中。。。:2013/07/09(火) 08:27:00.99 0
>>157 愛ちゃんと後藤のバトルをどう描くのか楽しみ
166 :
名無し募集中。。。:2013/07/09(火) 12:29:43.03 0
あげあげ
戦いがあればそれは一瞬だ。
『戦い』と呼ばれる命の賭け事に時間を費やすことはない。
全ては一瞬。
全身全霊を込めた一撃。強者であればあるほど、強者が相手であればあるほど。
同時に言葉が交わされるだろう。
別れの挨拶を、再会の約束を。永劫の煉獄を、永遠の楽園を。
―― ―― ―
誰かは目を覚ます。
朝だから目覚めた。目覚めたからには起きるしかない。
瞼を上に引き上げ、眼球を外気に晒す。
光が物体に当たり反射したものを網膜で受けとり、視神経から脳に送って
画像処理し、見るという行為に成る。
天井。横を見ると部屋。机、椅子、床に転がる雑誌に本。
視覚情報の確認をしても、何も感じない。
炭素と水素。その他の物質の繋がりにしか思えない。
これが目覚める事、なんて無意味な行為だろう。
自分が生まれてから、こうして時が始まる。
なんて無駄な行為だろう。
それでも起きたからには立ち上がる。
床に足を下ろし、冷蔵庫を開けて、朝食を取りだす。
牛乳の瓶を脇に抱えて、左右の手に林檎とパンを手に取る。
牛乳と林檎とパン。
これらがなんのためのもので、そこからどうしたらいいのか判らなくなった。
冷蔵庫に戻す。
そこでようやく分かる。
冷蔵庫を閉じるように、内心を封じる。
いつまでも冷蔵庫に屈んだままではいられない。立ち上がった。
行き場を探して、椅子に腰を下ろして、テレビの番組を無機質な目で見つめる。
ああ、ここには、居場所が、ナイ。
―― ―― ―
快楽殺人者でもなければ、『戦場』の中であっても戦いは一瞬で終わる。
破滅する。その為の戦いであれば尚更だ。
そうでなければ意味がない。意味のある戦いがないのなら、戦いを
求める者がその答えを求めるしかない。
『戦い』に理由を求めることは、既に魅入られているからだ。
戦いに、命に、人間に。
―― ―― ―
何度か人間を殺したことがある。
全てが罪を背負っていた者ばかりだった。
重さに耐えきれず、苦痛に歪んでいた異能者達だった。
それは奪い合う戦いではなかった。ただ一方的な暴力だ。
何故なら誰かは誰よりも一番強かったから。
強者だったから、誰もが簡単に殺されてしまった。
抗っても尚、その事実から逃れられないのなら、諦めるしかない。
なんて、悲しい真実だ。誰かにとっても、相手にとっても。
「平和な世界でなにをしてるんだろうね、私達は」
「平和な世界なんて無いよ」
【言霊】使いは誰かの対等になることを拒んだ。
だが、隣に居ることを許してほしいと言ったあの日から
彼女は誰かの隣に居座っている。
「あたしは、世界のすべては戦場だと思ってる」
「そういえばごっちんって、軍の人たちとも相手したことあるんだっけ」
愛称で呼ばれた誰か、後藤真希は氷雪が荒れ狂う戦場の話をした。
分厚い戦闘服に着込んだ異能兵団や、幾千ものチカラの煌めき。
異能が撒き散らす破壊と死の嵐が、戦士たちの命を麦穂のように刈り取っていく。
後藤の虚ろな瞳は、遠い過去の戦場を彷徨っていた。
自分の異能が命を呑む。自分の手にはその感触がないからなのか、
あまりにも罪悪感が薄い。
戦友と共に後藤へと挑んだ兵士たち。
異能の雨を潜り、自身のチカラを振るって敵の頭蓋を叩き割ろうとした
一人を潰した時も。
硝煙漂う荒野を越え、血河を渡り、戦友の腐乱死体が溢れた塹壕を進んだ
異能者達を一掃し終えた時も。
「って、そういえば私が依頼したんだよね。
あの人達が日本への潜入を模索してるって情報が入ったから。
…暇かい、何もないこの日常が」
「戦いはいつも一瞬なんだよ。断続的にある訳じゃない。
だから別に不満があるわけじゃない、ただ寂しいってだけ」
「寂しい、か。…じゃあさ、また頼まれてくれないかな」
「またお使い?」
「まあ、ごっちんにしてもちょっと気になるんじゃないかってさ」
【言霊】使い、安倍なつみはある写真を取り出す。
都内の孤児院へと向かった後藤はそして出逢う事になった。
突然の来訪者である後藤を、孤独の色で見つめていた田中れいなと。
とても綺麗な瞳の色彩だった。
浅瀬に輝く海に近い、だがそこには誰もおらず、彼女だけが佇む静寂。
誰かを寄せ付ける前に、誰かを拒んでしまう波の音。
どちらから言葉を交わしたのかは分からない。
きっかけとしては、孤児院の中にある竹に短冊を付けたがっていた
彼女の手伝いをしたのだけは覚えている。
そう、あの日は、世間一般では七夕というものの日だった。
彼女の短冊を見て、何も感じない。
ただ、少女もまた、空っぽなのだと感じる。
空っぽの日々に何を見出せばいいのか、彼女も模索していたのだろうか。
其処に現れた謎の人物。後藤に、初めて田中は喋った。
「ねえ、おかあさんとおとうさんの知り合いって、ホント?」
―― ―― ―
あれは戦いというものでも、闘争本能というものでもない。
虐殺。暴力。力で無力を捩じ伏せるだけの、意味のない戦いだった。
田中博士。夫妻。
i914の母親。i914の数々の失敗作。妹達。
田中博士はあの時に起こしてしまった。
全てが狂ってしまったあの日。止めなければいけなかった。
闇の帝王と呼ばれたダークネスが絶望を叫び、魂は目醒めた。
後藤は外されて、独りになった。
この世界には必要とされていない人間達が生きてしまった。
だから、あたしは、仲間を殺した。
拒まれた世界の中で、ただ、生きるだけの存在にならないように。
この世界には居ない筈の仲間を。
だから、終わらせなければいけない。自分でもなく、仲間でもなく。
この世界を創ってしまった彼女達が。
だから田中れいなを逃がす手引きをした。
既に高橋愛は姿を消している。
彼女だけではいけない、完全に消滅させる者が残っていてはいけない。
抑制できる異能者を、あともう一人。
【悪魔】は笑う、嗤う。これで全ての形が当てはまる。
世界を整えよう。【天使】と共に、この世界の傍観者として。
172 :
名無し募集中。。。:2013/07/09(火) 12:41:54.23 0
>>167-171 『異能力 -Blue flames and butterfly-』
以上です。
>>123さんのが懐かしい響きがしてポクポク。
七夕のお願い事はどうしようかな、フクちゃんのフクちゃんを揉まsうわなにすr
173 :
名無し募集中。。。:2013/07/09(火) 15:27:02.72 0
後藤の内面が判ったようなさらに判らなくなったような
積極的な更新乙です
174 :
名無し募集中。。。:2013/07/09(火) 18:10:51.47 O
夜保全
175 :
名無し募集中。。。:2013/07/09(火) 19:57:48.44 O
ダークネスの残党たちは物語にどう絡んでいくのか
やはりOGらしく傍観者としての立ち位置かな
176 :
名無し募集中。。。:2013/07/09(火) 22:15:33.87 0
落ちる!
177 :
名無し募集中。。。:2013/07/09(火) 22:50:57.75 O
落ちたらあかん
178 :
名無し募集中。。。:2013/07/09(火) 23:58:05.67 0
「うふふ、ミント君やっと芽が出た♪早く育たないかな〜?」
「そうだ!この能力を使えば・・・水は全ての生命の源!」
「早く大きくなーれ!しゅわしゅわーポン!!」
(水限定念動力暴走)
『プシュー!!!!!』
カランカラン
「ただい・・・キャー!!」
「な、なんですの?」
「ここはナ○シカの樹海ですか?!」
「ミ・・ミチシゲサン・・・フクチャン・・・ハルナン・・・タスケ・・・」
「ギャー!!!カビの塊がこっちにくるーーーー!!!」
「え!!この声リホリホなの?キャー大変!!」
初ホゼナント(文章稚拙ですみません。
>>160に書こうとしたら落ちてた)
179 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 00:22:50.06 0
乙w
でも樹海じゃなくて腐海ではハゥ
180 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 00:25:12.59 0
181 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 01:00:10.25 O
りほりほカビの季節は終わったんだよりほりほ
182 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 03:19:22.83 O
おやすみなんと
183 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 05:16:57.98 0
184 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 09:13:16.89 0
おぱ
185 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 10:21:59.71 0
>>178 もしかして俺が向こうのスレに書いた能力の話か
186 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 12:50:25.57 O
あげ
187 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 13:10:26.54 0
しかしりほりほはどこから水を持ってきてるんだ?
ペットボトルでも水質的にそれほどないだろうし。
188 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 15:59:12.58 0
189 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 15:59:51.67 0
「にゃはは。いいよいいよ、全部壊しちゃって」
ここではないどこかの世界。
その世界は危機に瀕していた。
「闇の帝国・ダークネス」を名乗る組織が、世界を闇に呑みこまんと再び動き出したのであった。
今日も、一つの街がダークネスの一個師団によって襲撃されていた。
「グッバイボーイ。にゃはは」
師団を率いているのは、当作者が一度も登場させたことがない(※理由:書けないから)粛清人A。
「ちょっと?書けないのに書こうとしてんの?にゃははって書いておけば何とかなるらしいとか思ってるならそれ違うから」
「誰か分かりさえすればそれでいいんやよ!っていうかむしろ出てくんな!」
「!?」
予想されたパターンを寸分も裏切ることなく、粛清人Aの前にいつものごとく女性たちが姿を現す。
「煌めく光の共鳴!リゾナントイエロー!」
「吹き荒ぶ風の共鳴!リゾナントオレンジ!」
「轟く雷の共鳴!リゾナントレッド!」
「滾る水の共鳴!リゾナントパープル!」
「燃え盛る炎の共鳴!リゾナントグリーン!」
「猛ルパンダノ共鳴!リゾナントインディゴ!」
「6人揃って…」
「「「「「「共鳴戦隊・リゾナンター!!!!!」」」」」」
そしてコピペが決まる。
190 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 16:00:27.03 0
「……出てくんなってどういうこと?愛ちゃん」
「…え?あ、いや……脇役は……その……あまり活躍されると……」
「ボソボソ喋られても聞こえないんだけど」
「ひっ…!ご、ごめんなさい」
「何で謝ってんの?」
「松浦さんがそんなドスの利いた声で話すから愛ちゃんビビっちゃったじゃないですか」
「別に普通に聞いただけじゃん」
「いやでもそれが、ほら、このシリーズの悪役さんのノリとちょっと違ごてるいうか…」
「何?あたしのノリが悪いってこと?」
「い、い、いや、別にそういうこと言うてるんとちゃいますけど……」
「みっつぃもビビってんじゃん」
「ソウ言ウクッスミモ腰ガ引ケテルゾ」
「はぁ!?ビビってないし!小春全然怖くないし!自分が怖いだけじゃん!」
「ジュンジュンハ全然マッタク怖クナイ!」
「嘘だね!絶対内心ビビりまくりだね!」
「ナイ!ジュンジュンハ平気ダ!」
「じゃあ一人でやっつけてきてよ」
「クッスミサンガ行ケバイイ!」
「何で小春がやんなきゃなんないの?ジュンジュンが―――」
「あー、リンリンがまとめマス。ぶっちゃけみんな怖い。デショ?HAHAHA」
「怖くないし!少なくとも小春は怖くないし!」
「あ、あーしかって余裕やよ!」
「愛佳かって!オンリーメン舐めてんちゃうで!」
「ソウダ!共鳴ノ力デ、オ前ナンカブットバス!」
「そうだー!サイボーグがなんだー!」
「おー皆さんさすがデス!リンリンも燃えてきましタ!」
「へぇ〜……そう。この『赤の粛清』に挑むんだ」
ぱちん、と指を鳴らす。
きらきらした衣装は、瞬く間に処刑人のローブへと姿を変えた。
手に持つ桃色の刃を携えた大鎌は、死神のそれによく似ている。(c『リゾナンターЯ(イア)』)
191 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 16:01:01.05 0
「ちょ!自分のならともかく他の作者様の文章そのまんまコピペはダメやよ!完全にアウトやよ!」
「それももちろんあかんけどほんまあかんて!急に設定変わってるやん!聞いてへん!赤の粛清とか聞いてへん!」
「怖いんですけど!あの大っきい鎌ちょー怖いんですけど!」
「ヤッパリクッスミサンガ一人デ倒セ」
「だからジュンジュンだよ!ジュンジュンがやればいいよ!」
「あーリンリンの炎もチョト消えかけデスねHAHAHA」
「…情っさけないなー。それでも自称オンリーメン?あの子たちの方がよっぽど張り合いがあるじゃん」
粛清人のその言葉に、6人の戦士の表情が変わる。
「あの子らってまさか……」
「そ。『新生リゾナンター』の子たち。まだまだ青いったらないけど、あんたたちよりは遥かにマシ」
「ナンダト!?モウイッペン言ッテミロ!」
「言わない」
「あー!真顔で断った!何か腹立つ!」
「ちょっと調子乗りすぎだよね!」
「ほんまや!このまま舐められっぱなしやったらあかん!」
「ワタシたちの力、思い知らせてやりまショウ!」
「あーしらがあの子らに負けてるやて?ふざけんな!」
「そうだー!ふざけるなー!」
「あんなやつらリゾナントブルーAnother Versに出てこない脇役メンだし!」
「ソウダ!ソレニコイツモ出テコナイ!」
「脇役同士がショボイ戦いしてるだけのくせに何デカい顔してんねんほんま」
「私たちこそ本物のリゾナンターデス!」
「………あーしの番?えっと……あーしらがそもそもリゾナンターで……」
「ねえ?これ時間稼ぎ?もしかして戦わずに会話だけでこの話なんとか終わらせようとしてる?」
「あ、ばれたw」
「ちょっと亀井さん、言うたらあきませんって!」
「……いい加減ウザいんだけど。あんたらもう死んどく?」
鎌の刃が、光を反射して怪しく煌めく。
192 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 16:01:34.36 0
「これマジでヤバいよ……マジで終わったかも……」
「アー遂ニコノシリーズモ最終回カ……」
「そういえば『colorfull戦隊』もマサカの最終回を迎えマシタからネ……」
「何縁起悪いこと言うてんねん!そんなことあらへんって!まだまだ続くって!」
「6人戦隊だしさ、6回はいきたかったよねせめて」
「いや、亀井さんまで何言うてはるんですか!人数と回数全然関係ないし!」
「あー…あの3人に意地悪せんと仲間に入れといたらよかったのー。ほやったら9回まではいけたのに」
「そやから9人やったら9回とか何の根拠もないですって!っていうかこのシリーズのコンセプトまで投げ打ってどうするんですか!」
「『colorfull戦隊』の子たちもさ、あんな最期を迎えるって知ってたら……もっと優しくしてあげたのにな……」
「ソウダナ……マサカアンナ残酷ナ最期ガ待ッテイルトハ……」
「因果応報という言葉がありマス。きっと私たちもあの大鎌であのような無残な最期を遂げるのでショウ……」
「そやから縁起悪い言うてんねん!っていうか悪すぎるわ!あきらめたらあかん!」
「あきらめたらそこで試合終了ですよ?」
「ですよね亀井さん!亀井さんならそう言うてくれはると……何笑ろてはるんですか?」
「三井と光井……うへへ……うへへへへ……」
「スラムダンクネタやったんかい!どんなタイミングでぶっこんできはるんですか!」
「うへへ……『バスケがやりたいです』って…うへ…言ってよミッチー…じゃなくてミッツィー……うへへへへへへ………」
「なんか壊れてはる!亀井さん!気を確かに亀井さん!」
「『死んどく?』やて?それあーしらに言うてんのか『赤の粛清』」
「!!高橋さん……ッ!」
「笑わせてくれるのー。ほんまにあーしらのこと殺す気でおるんか?」
「そうだけど?何か可笑しいことでも?」
「可笑しいかやて?当たり前や。可笑しくてたまらんやよ」
「高橋さんが…愛ちゃんが遂に本気出してくれはる!こうなったら強いで!やっぱり愛ちゃんが最強や!」
「へぇ〜……それは楽しみだね。最強とやらがどれほどのものか見せてよ」
「あーしと本気で闘り合う気でおるんやね。笑ってまうわ。笑いが止まらんわ。…………膝の」
「膝が笑ろとるんかい!普通にビビってるんやん!震えてるだけやん!」
「震えてるだけ?それは違うやよ愛佳」
「やっぱり!愛佳は愛ちゃんのこと信じてました!そう見せかけてちゃんとなんか考えて―――」
「人生最後の祈りも捧げとるやよ」
「あかんやん!完全にあきらめてるやん!試合終了やん!」
193 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 16:02:49.93 0
かくして、ダークネスの野望は今日は食い止められなかったのであった。
共鳴という名の絆をもってしても、街の平和は守られなかったのであった。
世の中そうそううまくいくばかりではないことを、このスレは教えてくれるのであった。
でも明日も力を合わせて戦えリゾナンター!
世界の未来を希望で満たせリゾナンター!
共鳴戦隊リゾナンターの勇姿は今でもみんなの心の中に!
いつまでもみんなの心の中に!
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
>>188-193 『共鳴戦隊リゾナンター 五度』
もうね 謝りません
……やっぱり該当作者様方だけには陳謝します
194 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 16:27:08.47 0
謝らなくても許してニャン
195 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 17:23:24.77 O
それでも六度を期待してしまう
196 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 17:34:12.37 0
>>193 思えば自分も粛清人Aを出した記憶がないんだYO
これは六度のフラグと思っておこう。
197 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 19:32:17.52 O
Aさんで覚えてるのはRとRシリーズと方程式シリーズくらいかな
どちらも強烈なインパクトではあったが
198 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 20:05:55.70 0
Air on Gにもちょろっと出てきた
「赤」のイメージはあれが初出じゃないかな
199 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 20:11:18.05 0
>>193 電車の中で読まなければ良かった…ニヤニヤが止まらんw
200 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 20:25:30.69 0
誰ですかw
992 名無し募集中。。。 2013/07/10(水) 19:47:48.74 0
リゾナンターRとAir on Gを忘れちゃならない
201 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 22:50:05.99 O
あぶあぶ
202 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 23:00:18.39 0
203 :
名無し募集中。。。:2013/07/10(水) 23:42:16.63 0
>>202 ピンポンダッシュの前スレにあったような…
204 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 00:43:13.44 0
「ねぇねぇ、里保ちゃん」
「ん?どうしたの香音ちゃん」
「カビ・・・大量発生させたんだって?」
「う・・・(人の傷口に塩を塗るような)」
「私ね、キノコの部屋を作るのが夢なんだ〜」
「え?話が見えてこないんだけど・・・」
「だからね、キノコもカビと同じ菌類でしょ?私の栽培してるキノコもいっぱいに出来ると思うんだよね〜」
「…また、私にあれをやれと?」
「ほら、キノコならカビと違って食べれるし、この…秘蔵の松茸なら結構良いお金になるし…喫茶リゾナントも経営苦しいから助けになるでしょ?」
「なるほど…そういう事なら!」
「水は全ての生命の源!早くいっぱいになーれ!
『しゅわしゅわーポン!!(水限定念動力-成長促進-)』
”プシュー!!!!!”
カランカラン
「ただい・・・キャー!!」
「な、なんですの?」
「ここはスーパーマ○オのキノコ王国ですか?!」
「タスケ・・・・ヤシ」
「ギャー!!!キノコ人間がこっちにくるーーーー!!!」
「え!!この声リホリホなの?きゃー大変!!」
「こっちは鈴木さんも!?」
「シアワセ・・・ナンダロウネ…」
駄作ホゼナント
(文章稚拙ですみません。モー女聞いてたら思いついちゃって…)
205 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 01:47:46.61 O
保全作乙
生えてきたのはきっと毒キノコだろうけど負けるなりほりほ
206 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 02:08:16.33 0
それぞれが違う世界の能力者の話ってまだ終わってないよね?
207 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 06:25:37.12 O
ほぜなん
208 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 08:15:26.86 O
ひとりの朝
209 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 11:43:41.10 O
昼休みあげ
210 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 11:59:51.31 0
>>206 「米」のことを言ってるんなら終わってはいないかと
211 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 13:06:39.59 0
同じ作者さんの書いてたやつが「米」に取り込まれる感じで終わった
「米」は終わってないね
212 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 13:54:24.64 0
>>97-106 の続きです
まずい。
「氷の魔女」は「赤の粛清」が窮鼠猫を噛む一太刀を浴びせられた瞬間、そう思った。
この地に入り最初に感じた、新しいリゾナンターたちへの侮り。
だが現実に目の前で起こった出来事から、状況を総合的に判断しなければならない。
言うなれば、纏わりつく蝿をまどろみの中尻尾だけで追っていた猫が、目を開けた。
里保に斬られ、立ち尽くすだけの「赤の粛清」。
胸から脇腹にかけて刻まれた傷に手をやり、そのぬるぬるした液体の感触を確かめる。
赤い。暖かい。けれど、冷たい。
自らが人の手により作られし傀儡であることを、改めて実感しながら。
「…遊んであげる」
粛清人から表情が消えた、ほんの一瞬の出来事だった。
1、2、3、4、5、6、7。
まるでリズムでも刻んでいるかのように、その場にいた全員のリゾナンターたちが倒れたのだ。
相手の動きが見えない。防御する間さえ、ない。
機械のように正確に、心臓への一撃が見舞われた。
七人が知覚できたのは、それだけ。
胸を押さえ、蹲り、床に這いつくばる。
「これで終わりじゃないよね?あたしはまだまだ、物足りないんだ。無理にでも、満足させてもらうからね」
無表情のまま「赤の粛清」が、大鎌を投げ捨てる。
人を装っていたものが、完全に本来の姿を現している。
その時点で、「氷の魔女」は覚悟を決めた。
組織に身を置き、闇に心を食われ、失うものなど何もないはずだった。
そんな魔女が、結果的に組織の意に沿うことも厭わず、目の前の少女たちが命を失うのを止めなければならない理由。それは。
「させないよ」
「…どいて。じゃないと」
目の前に立ちはだかる「氷の魔女」を、感情のない瞳に映す「赤の粛清」。
満足させてくれと言いつつ、そこに喜びなどないことを魔女は知っている。
ただ、機械的に自らの本能を満たす。自らが強者であり続けるためには、強い者を打ち倒し続けるしかない。それを守るための、本能を。
あの日に抜けてしまった大甕の底に、水を注ぎ込むかのごとく。
黒い外套を翻し、「氷の魔女」が周囲に冷気の渦を作る。
気温差によって巻き起こる、激しい風。
ゆらゆらと揺れる赤いスカーフとは対照的に、「赤の粛清」の表情に変化はない。
そんな一触即発の状況を、里保は冷静に見ていた。
受けた打撃は自分が一番浅いだろうが、他の者も様子を見るに完全に気を失っている優樹以外は動けそうだ。となれば、がら空きとなった
スタジオの出口から一気に駆け抜けることは不可能ではないはず。
まずは優樹を、自分が背負わなければならない。
速さなら亜佑美が、体躯なら聖か衣梨奈が適役ではあるが、今最も敵に気づかれずに優樹に近づけるのは里保しかいなかった。敵同士が互
いに意識を向けている隙に優樹を抱え込めば、全員で逃げおおせる可能性は高いと里保は踏んでいた。
だが。
半歩、足を踏み出したその時に。
「逃がさないよ」
見つかった。獲物を見つけ、ゆっくり近づいてくる「赤の粛清」。
咄嗟に「氷の魔女」が手を伸ばすが、その瞬間不可解な力によって手が弾かれたように見えた。
「止めてもいいよ。でも、あたしの体に触れたら。あたしごと、ドカンだから」
その言葉に、「氷の魔女」は躊躇せざるを得ない。
命を賭けてでも、彼女を止める覚悟はあったのに。それを自爆テロなんて手を使われたらどうしようもないじゃん。突如与えられたジレ
ンマに、唇を噛む魔女。
残された出来る事は、「赤の粛清」がリゾナンターを「死なない程度に」蹂躙してくれるのを願うことだけだった。
赤い死神が目の前に立っている。
誇張ではなく、里保には本当にそう見えた。
大鎌すら持っていないのに。今の彼女は、自分達の生殺与奪を自由自在に行える存在のように思えた。それでも、里保は自らの刀を前
に構える。それすらできなければ、完全に心が折れてしまう。荒れ狂う大海を受けるには、あまりにもか弱い、防波堤だとしても。
里保が力を振り絞り刀を掲げた時、それは起こった。
眩しい。自分の目の前が、真っ白になってゆく。
敵の能力?いや、違う。どこか懐かしい、それでいて力強い。光。
心の奥から、湧き出るようにその名前が飛び出てくる。
「高橋さん!!!!!」
里保と「赤の粛清」の間に立つ、小さな体。
けれど、そんな小ささを感じさせない、後姿。
「…まさかあんたのほうから姿を現すとはね」
「そんなつもりは、なかったんだけど」
愛の言葉を聞き、「赤の粛清」の表情が、戻る。
全ては、この日のために。全身の血が沸きあがり、その鼓動が意図しない笑みを作った。
そんな様子を、愛は何故か悲しげな表情で見つめる。
まるで、この邂逅が望んだものではなかったかのように。
●
遡る事数時間前。
かつてのリゾナンターのリーダーである高橋愛は、不思議な光景に遭遇していた。
とある犯罪組織が関わっていた、誘拐事件。能力者を複数抱え、そして警察に所属する精神感応能力者たちの網の目のような包囲網を難
なくかわすことができる集団。そういった連中には、同じくその手の能力者から感知されない人間を充てるのが妥当とされた。
上層部からの指名により愛は単身組織のアジトに乗り込み、瞬く間に制圧した。
組織のボスを締め上げ、奥の部屋にいる人質を確保する。
冷たいコンクリートに転がされ、縄で縛られていた女性は、愛の手によってその束縛を解かれると。
「どうも。ご無沙汰しています」
その女性は、さも親しげにそう話しかけてきたのだ。
愛は本能的に、身構える。
目の前の女性とは、面識などない。だが、愛は確信を持っていた。
かつて友と呼んだ、その女性の名は。
「随分手の込んだ事をするんやな、こんこん」
「なに分本拠地から離れられないものですから。こうやって他人の体を借りてお話させていただいてるんですよ」
その女性は。
愛とは何の関係も無い、犯罪組織によって不幸にも拉致されたごく普通の女性。
だが、愛とこうして話をしているのは、紛れも無くダークネスが誇る「叡智の集積」Dr.マルシェ。
愛はその事実を、直感で理解していた。
「この事件も、あんたが仕組んだの?」
「まさか。たまたまあなたが追っていた事件を知って、状況を利用させてもらってるだけだよ、愛ちゃん」
紺野は、自分の口調が段々と昔のものに戻っていくのを感じていた。
ダークネスの新人として共に過ごした、あの時。
「…誰に『伝令』の能力使わせてるか知らんけど、対象に相当負担がかかってるはず。早く用件だけ言って、この子を解放してあげて」
「つれないなあ。せっかくの再会なのに」
「再会を喜ぶような間柄じゃ、もうないやよ」
冷たく遮断する愛に、人間スピーカーにされた少女が皮肉な笑みを浮かべた。
「じゃあ単刀直入に言うよ。愛ちゃん。あなたには今から、私が指定する場所に行ってもらうよ」
「…どういうこと?」
「あなたの助けを待ってるか弱き乙女たちが、そこにいる」
まさか。
愛が自らの闇 − i914 − に打ち克った日から、それまでの精神感応能力は喪われ、代わりにi914が得意としていた光を使役する力
を手に入れた。しかしながら、精神感応の力は人の言うところの「第六感」として微かに愛の中に残留していた。
だから、紺野の言わんとしている「か弱き乙女たち」が誰を指しているのか、理解できる。
今のリゾナントを支えているあの子たちのことか。
「さすが元リーディングの達人、その顔は察しがついたようで」
「あいにく。あの子たちならもうあーしの手助けはいらない。さゆや、れいなもいる」
「そんな悠長なこと言ってていいのかな。あの子たちが今戦ってるのは『赤の粛清』だよ」
その二つ名を聞いた時、愛は心臓を鷲掴みにされたような眩暈を覚える。
愛は、赤い粛清人の性質を知っている。無論、何が「彼女を動かしているか」も。
その動揺を見て、マルシェの代理人は嬉しそうに表情を崩した。
「変わってないんやね。あんたのその嫌な癖」
「ただの探究心だよ。科学者としてのね」
視線を絡ませあう二人。そこにあるのは、二人の築いた歴史の長さか、長さゆえの愛憎か。
「残念ながら、先輩二人はあの子たちの元へは辿りつけない。行くのは愛ちゃん、あなたしかいないんだよ」
「もし断ったら?」
「愚問だね。私が自らの計画を曲げたのを見たことある?もちろん、あらゆる手を使ってでも、愛ちゃんにあの子たちを助けに行っても
らうよ。例えば今、私のメッセンジャーになってるこの子を木っ端微塵に吹き飛ばしてもいいし」
その女性は自らのこめかみに人差し指と親指をピストルの形にして、ばーん、とおどけた声をあげてみる。
愛は、紺野が自らの目的のためなら無関係の女性の命を奪うことなど躊躇せずやることを知っていた。強く拳を握り、女性越しの紺野を
睨み付けるのが、せめてもの抵抗。それもまた、空しいことだと知りつつも。
「選択肢はないんだよ愛ちゃん。今すぐ、愛しの後輩を助けに行きなよ。か弱き乙女を泣かしちゃならない、でしょ?」
愛はそれには答えず、紺野に背を向ける。
押し殺すような笑い声が、いつまでも耳に纏わりついて離れなかった。
218 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 14:00:16.99 0
あ
219 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 14:00:49.38 0
220 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 17:22:14.13 0
ちょっとひとまず上げときます
後で読みますからナ!
221 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 19:44:25.99 O
緊急あげ
222 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 20:34:25.71 0
ついに愛ちゃん参戦!どんな戦いになるか楽しみ
223 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 20:38:36.81 0
>>219 乙ですた
愛ちゃんとまつーらさんの確執というか因縁っていうと『絶対解ける問題』でちょこっと描かれとったけどこの話もそれに由来してるのかなとふと思った
しかし豪華な顔合わせだなあ
224 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 21:47:21.40 0
>>219 さすが本物の愛ちゃんはカッコいい!膝笑ってない!w
いつもネタに使わせてもらってすみません
上の方で松浦さんの登場する作品の名前がいくつも上がっていましたが多く高橋愛との絡みがあるのも共通点ですよね
同い年同士の存在感ある2人の組み合わせは非常に魅力的です
そして遂に新旧リゾナンターの物語が交わり始めた今後が非常に楽しみです
…久しぶりに本スレで感想書けました
仕事に戻ろう
225 :
名無し募集中。。。:2013/07/11(木) 23:28:33.20 0
あげ
226 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 01:03:07.23 0
質問!12期加入したら、リゾナンターにも参加する?まぁ、作者さん次第何だろうけど…いまだに小田が本格参戦してる作品少ないし…新生リゾナンターは910期で完成された感じ?
227 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 01:07:03.93 0
>>226 【教えてホゼナンター!】
入れるの忘れた
228 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 03:38:50.07 0
おやすみ
229 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 06:23:03.11 0
>>226 ■■みたいな魅力的な作品が上がったら乗っかれるんだけどなあ
230 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 07:40:42.06 0
生きようと考えながら日々を生きる存在がいる。
死にたくないと考えながら日々を生きる存在がいる。
人は、生物は、今を生きている。それは同じだ。
死もまた、平等に訪れる。
ただ、其処には差異がある。
今、死ぬのか。
明日、死ぬのか、百年後に死ぬのか。
それは誰にもわからない。
今生きて、明日生きて、百年後にも生きているのか。
誰にも分からない。
けれど、分からないはずのことを、理解する存在がいる。
他者の命を絶ち、自らの命をも絶とうとする生物がいる。
自分は自分である。そう結論は出ている。
しかし、今はそう考えられない自分がいる。
自分は自分ではない。そんな結論がでている、ような気がした。
自分の中に、自分ではない何かがいて、自分に勝手なことを囁いてくる。
生きて、戦って、死ね、と。
なんとも酷い話だ。
許容など到底できるものではないが、そうしなければいけない気もする。
それはきっと、とても楽なことだろう。
何も考えず、何もしようとせず、ただ生きてただ死ぬだけの存在になるのは。
気楽なことはいいことだ。
楽に生きて、楽に死にたい。それは誰もが思う結末だから。
がちり。ぎちり。ぎちぎちぎち。
―――――― 今。
空気の中で、何かが軋むような音を聞いた気がする。
後藤真希は、身体に触れた。
軋む、歪む、この音は、自分から出ている音。
そろそろ、限界らしい。
そしてこの限界のときこそ、彼女があの空間から這い上がって来る時だ。
不器用なくせに科学者という地位についてしまった少女が浮かぶ。
延命のために心身を注いでくれたことに感謝したあと、自身に引き裂かれる
痛みが走る前に、彼女の意識は闇に堕ちた。
―― ―― ―
例え全てが黒血に呑まれようとも、其処に意志があれば生きられる。
暴走への道を歩もうとも、破滅への絶望に怯えようとも。
生きたいと思うなら、黒血はその本能に乗っ取って行動する。
全ては宿主の意志だ。
異能力が宿主の意志であるように。
共鳴が【言霊】であるように。
全てを決めるのは自分自身だ。
そして田中れいなは決めた。自分の命を賭けて、自分が歩んできた
道を外さない意志を示し、i914への対峙を果たす。
それは【悪魔】と称された自分ではなく、彼女との繋がりを誰よりも
強く感じてきた少女でしか成し遂げることが出来ない。
何故か。
自分には、"先"がない。"未来"がない。
そして、その"意志"がなかった。
―― 後藤真希としての意志ではなく、【闇】が其処に漂ってしまったから。
天使と悪魔は神のために世界を傍観する。
【闇】は傍観する。
次の"光"を探す為に。
疼く。疼く。この数日よりも徐々に強くなり始めている心臓の疼き。
痒みを通り越して息苦しさを覚えるほどに。
銭琳が乗りこむ船が辿り着いたのは、どこかの岸壁だった。
人間の姿が見当たらないのは、不幸中の幸いだろうか。
近くに倉庫のような建物が並んでおり、雰囲気は埠頭そものもである。
時間帯としては夕刻を過ぎた頃だ。
すぐにでも動き出したいところだが、船旅の疲れが溜まっている。
今日はここに停泊し、明日に行動をうつしたほうが得策だろうか。
だが何か肌寒さを感じる。
疼きは止まらない。
嫌な感じが、する。
この不安は一体、第六感、というものなのだろうか。
―― 兇人の昏い瞳。そして煌々と瞬く黄金の燐光。
何処から。
遠く、そして近く、嫌な予感が疼く。疼く。
銭琳に声をかけようとした船員が、異常な汗をかいて瞳孔を
見開く彼女に恐怖を抱いていることに気付かない。船長が顔を出した。
「張さん。貴方の保持する【認識阻害】の範囲はどこまでですか?」
「ああ、そうだなあ、最高でも200…いや、300ならなんとかなるか。どうした?」
「使用時間は?」
「正確には分からないが、さすがに1時間もてばいいくらいだな。
…まさか、もうアイツが来ているのか?」
船員と、船長である張には目的を話している。
だが彼らは異能者であっても、戦闘向けではない、いわゆる工作員だ。
銭琳の尋常ではない状態になにかを悟ったように、彼は声をかける。
「お前の父親とはガキの頃からの付き合いで、いろんな任務で
アイツを助けてやったもんさ、娘のお前を誰よりも心配してたが…。
俺のことは気にするな、全力でサポートしてやる」
張はそう言って、他の船員へと声をかけていく。
銭琳は李純の眠る部屋へと向かった。
彼女はまだ眠る。以前よりも痩せてしまった身体、そして温かかった手。
「ジュンジュンも望んでたネ、また会いたいト。
きっト、愛ちゃんハ私達を待っててくれタ。だから私ハ、会いに行ク。
起きてくれたラって思ってたケド…ごめんネ」
故郷の言葉ではなく、片言の日本語で話しかける。
それは彼女に帰ってきたことを伝えるかのように。
同じ言葉を理解しているはずなのに、あの頃の自分はそれを拒んでいた。
だけど今なら言える気がした。自分に対するしがらみは、もうないのだから。
銭琳が手を離そうとした時、グッと手首を引っ掴まれて驚愕する。
流れる涙、李純の純朴な瞳が輝いた。
235 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 07:45:23.10 0
>>230-234 『異能力 -That's why murder of-』
以上です。
>>173 まあ、天使と悪魔の根源は同じという事だけ。
---------------------------------------ここまで
236 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 08:26:59.70 0
朝からおっつー
リンリンがあえて日本語でジュンジュンに話しかけるのがなんかいいな
237 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 11:27:07.69 0
あげ
238 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 12:55:44.72 0
いよいよ最終決戦かな
239 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 15:31:42.85 0
ジュンジュンが目覚めるところでぐっときた
240 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 17:56:27.62 O
暑いダ
241 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 19:35:14.92 0
暑いっていうか熱い
242 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 21:45:34.48 O
ホゼナンター
243 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 23:32:13.45 0
あげ
244 :
名無し募集中。。。:2013/07/12(金) 23:32:24.06 I
生誕作期待ナンター
245 :
名無し募集中。。。:2013/07/13(土) 00:00:06.06 0
先に言うと良さげな話は思い浮かんだのですが
考えてくうちになかなか壮大になってきてまとめきれませんでしたw
またのきかいに
変態リーダーおめ
246 :
名無し募集中。。。:2013/07/13(土) 02:43:08.50 0
真夜中の保
247 :
名無し募集中。。。:2013/07/13(土) 04:48:26.83 O
りほなんと期待あげ
248 :
名無し募集中。。。:2013/07/13(土) 07:36:40.70 O
おはやう
249 :
名無し募集中。。。:2013/07/13(土) 10:27:11.87 O
今日も暑いぜ
250 :
名無し募集中。。。:2013/07/13(土) 12:56:42.67 0
ホホホーホーのーゼゼゼゼー
251 :
名無し募集中。。。:2013/07/13(土) 14:19:44.26 O
あげパン
252 :
名無し募集中。。。:2013/07/13(土) 16:45:49.69 0
食パン
253 :
名無し募集中。。。:2013/07/13(土) 18:55:06.52 O
しゅわしゅわぱん
254 :
名無し募集中。。。:2013/07/13(土) 21:02:17.05 O
連休だからみな外出中と
255 :
名無し募集中。。。:2013/07/13(土) 22:43:01.26 0
あげ
256 :
名無し募集中。。。:2013/07/13(土) 23:57:20.64 O
あげ
257 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 00:40:17.51 0
生誕はまだ来ない…?
258 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 00:40:27.00 O
おやさゆみん
259 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 01:49:25.03 I
さゆみ
24歳になったよ
さゆみ
24年も生きたよ
さゆみ
こんなに生きるなんて思ってなかった
さゆみ
こんな未来を考えた事もなかった
愛ちゃんに会って
ガキさんに会って
絵里に会って
れいなに会って
小春に会って
愛佳に会って
ジュンジュンに会って
リンリンに会って
260 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 01:50:55.78 I
生きるのが楽しくなった
苦しい事や
辛い事だって
いーっぱいあった
だけどね
みんなが居たから
大丈夫だったよ
261 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 01:51:34.17 I
小春が居なくなって
絵里が居なくなって
ジュンジュンが居なくなって
リンリンが居なくなって
愛ちゃんが居なくなって
ガキさんが居なくなって
れいなが居なくなって
やっぱり
苦しいって思ったり
辛いって思う事だって
いーっぱいあった
だけどね
262 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 01:52:16.46 I
フクちゃんに会って
生田に会って
りほりほに会って
鈴木に会って
飯窪に会って
石田に会って
佐藤に会って
工藤に会って
小田に会って
やっぱり
生きるのが楽しかった
263 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 01:52:56.60 I
さゆみ
とーっても幸せだよ
さゆみ
みんなと居て幸せだよ
さゆみ
これからも幸せだよ
大好きな
リゾナントのみんなと
きっと
これからも出会う誰かと
一緒に
幸せに
生きるよ
264 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 01:58:36.68 0
愛情が
たんないの
265 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 01:59:13.06 0
あーん
266 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 02:01:59.75 I
>>259-263 道重さゆみ 24歳記念
『──今更で今尚、幸せな事──』
時間が無く翌日の投下でゴメンナさゆみん
加入当時は本当にリーダーに成るとは思いませんでした。
有言実行、本当に素晴らしいです。
これまでの24年以上の幸があります様に。
おめでとうございます。
267 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 06:51:26.47 0
おはよう
268 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 08:08:57.50 T
>>266 ℃ストレートな気持ちですな
大声で叫びながらかな?と想像しつつ読みました
269 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 09:09:30.03 0
素敵なお話キター!胸が熱くなりました
270 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 11:33:28.43 0
あげ
271 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 14:07:58.27 O
昼なんと
272 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 16:35:26.39 0
うそーん
273 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 17:21:44.67 O
新作マダーチンチン
274 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 19:51:22.08 O
よいしょ
275 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 21:46:20.40 T
うええおええ
276 :
名無し募集中。。。:2013/07/14(日) 23:07:28.24 O
早めに就寝
277 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 00:56:36.40 O
寝るのだよ
278 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 02:01:44.17 0
天井が、低い。
大きなスタジオなはずなのに、聖には今いるこの場所が酷く小さく息苦しいように思えた。
先ほどまで嫌と言うほどに感じていた、染み渡る冷気も今は微塵もない。
濃密な、爆ぜる寸前のような、空気。
それを、目の前の二人が作っていた。
「ねえ、覚えてる?」
先に言葉を発したのは「赤の粛清」のほうだった。
その口調は、まるで小さな頃からの幼馴染に話しかけるように、優しく。
「『約束』のことやろ」
「そう。剣はスペード、ハートは心臓」
「あの日、あーしがハートを。あんたはスペードを選んだ」
「約束したよね。約束は、果たされなければならない」
まるで二人以外の全ての事象を拒絶したかのような会話。
そこには、何人たりとも入り込めない壁が確かに存在していた。
もちろん、粛清人の盟友である「氷の魔女」すら例外ではない。
何で。何で、こいつが!!
ただそれは、横たわる現実に対する拒絶という形によって緩和される。
氷の魔女はただひたすらに心の中で愛を罵倒する。まるで自らが二人の間に入れないことの、腹いせのように。
「あの日。あんたがダークネスを離脱したあの日から。こうなることは決まってたんだよ」
「赤の粛清」が両手を愛に向けて、広げる。
掌から伝わる、不穏な空気。
激しい爆発音とともに、互いが弾かれるように双方に距離を取る。
愛が光を右手に携え、「赤の粛清」目がけ、投げつけた。
全てを消し去る至高の能力。流星のように光の尾を引きながら、対象を無に還そうと光弾が襲いかかる。だが、それが「赤の粛清」の
体に届く前に。
光は爆ぜ、そして飛沫となって消えていった。
爆発(エクスプロージョン)。
それが「赤の粛清」の、本来の保有能力。
その爆発が、戦闘開始の狼煙だった。
濛々と立ち上る煙幕から、「赤の粛清」が躍り出る。
愛に至近距離まで近づいた粛清人の、息もつかせない連携攻撃。
拳での牽制に始まり、フェイントを使っての大振りな一撃、ガードを潜り抜けての下段蹴り。全てに、爆発属性がつく。まともに防ごう
とすれば、盾とした肉体ごと吹き飛ばされてしまう。
それを、愛は逆に自らの手足に光を纏う事でほぼノーダメージに抑える。
発生する膨大なエネルギーを、光をピンポイントに発生させて吸収。「赤の粛清」のラッシュを受けてなお平然としていられる理由はそ
こにあった。
「i914を屈服させて統合した光の力。でも防戦一方じゃ…」
連続攻撃から、やや溜めを入れた一撃へ。
両の掌を組みハンマーを振るうが如く、愛の腹部に強烈なインパクト。全てを受け切れなかった愛は、そのまま後方へと吹き飛ばされた。
「いつかは綻びが出来ちゃうね」
先ほどの戦闘マシーンぶりが嘘だったかのように、「赤の粛清」が満面の笑みを浮かべる。
明らかに彼女はこの戦いを楽しんでいるように見えた。
爆発によって発生する細かな粒子が、光を遮る。
そんなことは、ずっと前からわかっていること。
愛は再び体を撓らせ、散弾のように光の矢を放つ。
だがそれも、「赤の粛清」が展開する爆煙を抜きぬけることは叶わない。
さらに攻撃を加えようとした愛の眼前に、赤いスカーフが急接近する。
心臓の位置への、正確な掌底。
赤き死神は、手のひらで愛を抉りこんだまま、壁際まで思い切り打ち付ける。
光の防御ですら突き抜ける衝撃に、愛が小さく血を吐いた。
「約束。もしもお互いのどちらかが道を外したら。あたしがスペードを選んで、愛ちゃんがハートを選んだのは。必然だったんだね」
「剣が、心臓を貫く?」
そうだね、と言いかけた「赤の粛清」の言葉が止まる。
愛の表情に、あまりにも余裕があり過ぎる。何かをする気だ、と気づいた時には時既に遅し。
自分がされているように、愛もまた「赤の粛清」の心臓目がけて強い打撃を打ち込む。その一瞬で爆煙を発生させるような余裕は、なか
った。
溢れ出す光が、「赤の粛清」の全身を突き抜ける。
勢いのままに吹き飛び、倒れこんだ「赤の粛清」。
勝負はついたかに見えたが、彼女自身が立ち上がることで、結末は否定される。
「ねえ。ずっと待ってたんだよ、この時を」
羽織っていたコートは、既にずたぼろになっていた。
それでも、「赤の粛清」の目には炎が燃え上がり続けている。
迂闊に割って入れば、取り返しのつかないことになる。
目の前に現れた愛に憎悪を滾らせながらも、「氷の魔女」は手を拱かざるを得ない。
交差する多彩な感情の前に、彼女の脳は揺さぶられ、そして一切の命令系統を奪われてゆく。
だがそんな中、頭に響く「赤の粛清」の放つ言葉。
彼女は本当に待っていたのだ。
絶対的強者として愛を、屠るその時を。
そんなことを、「氷の魔女」は今更ながらに実感していた。
同じくただの傍観者と化していた新しきリゾナンターたちは、圧倒され、一言も口が利けない。
これが、上位の能力者同士の戦い。
そもそも、自分達は「赤の粛清」が戯れに操っていた大鎌にすら翻弄されていた。
彼女の真の能力である「爆発」を引き出すことすら、できなかった。
だが。
対等以上の力で渡り合い、逆転の一手で相手を大きく後退させたかのように見えた愛だったが。
先に受けたダメージは想定以上に堪えていた。
無論、「赤の粛清」もまた同じような深手を負っているにも関わらず。
愛は自らの劣勢を認めざるを得ない。
ただ目の前の相手を倒せばいいだけの「赤の粛清」に対し、愛には敵を退けつつ後輩たちの安全を確保するという義務が課せられてい
た。この不利は決して小さくない。
●
白き光があらかた引いた後。
「赤の粛清」の前には、背丈の倍ほどもある巨大な氷壁が聳え立っていた。もちろん、誰がこんなものを打ち立てたかは明白だった。
「もう。余計なことしないでよ」
「…その程度で済むんだ?」
あたしの楽しみをよくも奪ったな、くらいのことは言われるのかと思ってたが。
「氷の魔女」はやや拍子抜けしながら、言葉を続ける。
「あんたの綺麗なお目目が目玉焼きになるのを防いであげたんだけど」
「はいはいどうも」
愛とリゾナンターたちは、姿を消していた。
光の目くらましにまんまとやられた形だ。
「にしても、お主も役者よのう。あたしに協力する体で、実はあたしを監視してたなんて。どうせ紺ちゃんあたりの差し金なんだろう
けど、nonconformity(不服従)の名が泣いてるね」
「あたしは、誰にも、何者にも従わない」
それは、「氷の魔女」の信条だった。
自らの意思が伴わなければ、動かない。今回はたまたま、紺野の思惑が重なってきただけの話。
「で、どうすんの? あんたのお目当てのi914は逃げちゃったけど」
「大丈夫。愛ちゃんはきっと、あたしの前にもう一度姿を現す」
愛との戦いで着ている服は千切れ、所々の肌が露出しているにも関わらず。
首のスカーフは綻びることもなく、「赤の粛清」に巻き付いていた。
「…そんなことさせないって顔、してるね」
粛清人が魔女の顔を覗き込む。
粛清の名にふさわしくない、いつもの道化じみた仕草。
魔女は、答えない。
「でもダメだよ。あたしと愛ちゃんはもう、再会しちゃった。たんには邪魔、して欲しくないな」
懐かしい呼び名。そんな名前で彼女に最後に呼ばれたのはいつだったか。
ただ、そんなノスタルジーに浸っている場合でないことは、魔女自身が理解していることだった。
「何が邪魔して欲しくないだよ。ひよっ子に思わぬ反撃食らってる癖にさ」
「ああ、鞘師ちゃん?あの子、なかなかやるね。見てこれ、せっかくの戦闘服が袈裟懸けに真っ二つだよ」
「だったらi914の前にそいつをやったらいいじゃん」
悪あがき。ただの時間稼ぎ。
それでも、抗う事をやめたりしたくなかった。ただ。
「氷の魔女」は、「赤の粛清」とは幹部候補生からの付き合いだった。相手のことは、些細なことまで知り尽くしているつもりだった。
だから。
「それでも。愛ちゃんがもたらすものには遠く及ばない」
そう言われることも、わかっていた。
勝っても、負けても。待ち受けるのは破滅。
心を闇に食われてしまったものが、これ以上何を喪うことができるだろうか。それでもなお。魔女は目の前にいる赤いスカーフの少女
を喪いたくはなかった。
285 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 02:09:40.43 0
286 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 07:02:09.89 0
朝から作品が読めて幸せ
287 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 11:31:35.04 0
とりあえずの保
288 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 11:52:34.16 O
り保り保なの
289 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 12:14:47.12 0
したらばにЯ作者さんが書き込んでいたものを転載します
73 名前:名無しリゾナント[] 投稿日:2013/07/15(月) 10:31:22
>>282と
>>283の間に下の文章が入っていたのが抜けてしまいましたorz
恐れ入りますが代理していただけると助かります
「さあ。もっと出し惜しみしないでさあ。全力でおいでよ。i914の力をフルに使えば、わけもないでしょ?」
「赤の粛清」は。
愛が全ての力を出し切っていないことを知っていた。
自らの力が後輩をも傷づけてしまう、そう恐れていることを見抜いているのだ。
それでも、粛清人は信じている。
やがて理性のタガは外され、破壊本能のままに全てを光の彼方へ消し去ろうとすることを。
自分と同じステージの上に、立ってくれることを。
「…正直言って。あんたとは戦いたくなかった」
体を屈めながら、愛がゆっくりとそう言う。
「そう? あたしはずっと願ってた。この瞬間を」
「でも、『約束は果たさなければならない』」
瞬間の出来事だった。
愛の強い意思が、その場にいたリゾナンター全員に伝播する。
― 今すぐ、目を閉じて!! ―
里保が。聖が。衣梨奈が。香音が。
春菜が。亜佑美が。そして遥が。
理由はわからない。けれど、彼女たちは自然に瞳を閉じた。
まるで朝の光を待ちわびる、薄闇に佇む少女たちのように。
愛の体から、眩しい光が溢れ出す。
彼女自身がまるで太陽になったかのような、強い光。
突然のことに、「赤の粛清」は自らの網膜を強烈な光から保護することができない。
愛の姿が、周りの景色が、闇とは無縁の純粋な力によってかき消されてゆく。
全てが、光によって白く染められていった。
292 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 12:22:44.91 0
293 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 13:50:07.04 0
294 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 14:23:26.98 0
>>285 面白かったよ
これまで他の作者たちが意図的に無感情っぽく描いてきた松浦さんがイイ意味で弾けていて魅力的だった
ただスカーフの少女と呼ぶのはどうなんだろうかw
295 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 16:47:56.59 0
>>285 更新代理共に乙です
高橋と松浦の間に入り込めない藤本という構図をこのスレで目にするとは思わなかった
まだまだ先が長そうですね
296 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 18:05:58.81 O
>>285 更新代理乙です
二人の因縁は思った以上に根深いですね
れいなの件と合わせて物語のもう一つの軸になりそう
297 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 19:51:35.32 O
ほぜなんと
298 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 20:28:35.36 I
>>285 ワクワクが止まらない。この先も楽しみだ!
299 :
名無し募集中。。。:2013/07/15(月) 23:16:53.73 O
あげ
300 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 00:36:51.88 O
おやさゆみん
301 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 02:02:54.80 O
ミティってそういう意味だったのか!
てっきりミキティからキを抜いたものとばかり……
302 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 02:09:22.20 0
ん、ミティ…何の話?
303 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 06:19:52.24 0
気になるのう
304 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 08:16:15.84 0
>>285 赤の能力は「AとA」に由来しとるんだろうか
スペードとハートの例えとか意味ありげでイイね
305 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 08:22:27.66 I
306 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 09:11:19.04 O
nonconformityってどこからの引用だろうか
307 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 12:59:36.81 0
昼保〜
308 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 12:59:38.78 O
昼あげ
309 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 13:52:43.99 0
>>301 「Я」の世界の中では、ということかと
上手い単語を見つけてきたもんだというのは素直に感心した
310 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 14:06:06.67 O
ああオリジナル設定なのか
てっきり引用だと思ってた
311 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 14:50:49.14 0
爆発の能力はRとRから取ってたり引用とオリジナルの配分が見事だね
312 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 14:55:23.29 0
>>310 いや他の作品からの引用ということなら自分が気が付いてないだけでそうかもしれん
どっちにしろ見つけて来た人に感服つかまつる
313 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 17:42:04.61 O
夕方あげ
314 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 19:39:29.43 O
夜あげ
315 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 20:12:22.82 0
自演君
316 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 22:06:43.69 O
さあ寝るか
317 :
名無し募集中。。。:2013/07/16(火) 23:28:25.03 0
>>266 レスしそこねて今更でごめんだけどこれ好き
シンプルだけどだからこそ思いが伝わるね
保管庫の解説もなるほどって思った
318 :
名無し募集中。。。:2013/07/17(水) 00:26:04.64 0
ネルナンター
319 :
名無し募集中。。。:2013/07/17(水) 05:11:38.87 0
opa
320 :
名無し募集中。。。:2013/07/17(水) 06:56:08.46 O
朝なんと
321 :
名無し募集中。。。:2013/07/17(水) 09:17:28.82 0
朝保
322 :
名無し募集中。。。:2013/07/17(水) 11:47:22.00 O
昼前保
323 :
名無し募集中。。。:2013/07/17(水) 12:57:36.32 0
あちぃ
324 :
名無し募集中。。。:2013/07/17(水) 13:58:55.36 O
くそ暑い
325 :
名無し募集中。。。:2013/07/17(水) 16:12:20.50 0
くそだなんてお下品ですわ
326 :
名無し募集中。。。:2013/07/17(水) 19:07:11.65 0
あげ
327 :
名無し募集中。。。:2013/07/17(水) 21:25:36.58 0
そんなに暑けりゃだーいし生贄にして雨乞いすればいい
328 :
名無し募集中。。。:2013/07/17(水) 21:29:19.04 O
生け贄!
フクちゃんに捧げるのかそれとも変態リーダーか
329 :
名無し募集中。。。:2013/07/17(水) 23:12:47.38 T
おやすす
330 :
名無し募集中。。。:2013/07/17(水) 23:13:18.94 0
ノリ*´ー´リ<ヤシ
331 :
名無し募集中。。。:2013/07/17(水) 23:53:46.31 0
「生田…ダメ…なの」
「えりぽぉん…ハァハァ」
「えりぽんはうちのえりぽんヤシ」
「うぃくたさ〜ん」
「生田さん・・・・好き・・・・」
「うーん、えりってば、モテモテっちゃね〜♪」
「それは・・・えりちゃんの能力がちょっと漏れちゃってるんだろうね」
「え?」
「だからみんなの理性が少し外れて媚薬のような効果が・・・ウゥ…クッ!!私にまで影響が…」
「ちょっちょっと香音ちゃん」
「生田ー!!てめーこのヤロー好きだー!!」
「きゃー!香音ちゃんが壊れたー!」
『精神破壊能力−媚漏−』発動中
駄作ホゼナント(文章上手くなりたい…)
332 :
名無し募集中。。。:2013/07/18(木) 00:29:54.85 O
保全作乙
困ったえりぽんですねw
333 :
名無し募集中。。。:2013/07/18(木) 03:05:34.81 0
おやすみ
334 :
名無し募集中。。。:2013/07/18(木) 07:13:04.68 0
おはよう
335 :
名無し募集中。。。:2013/07/18(木) 08:50:25.74 O
おきた
336 :
名無し募集中。。。:2013/07/18(木) 09:01:08.86 0
>>327 8 名無し募集中。。。 2013/07/17(水) 00:28:49.75 0
ノリ*´ー´リ<デモ、アメハフラナカッタ
337 :
名無し募集中。。。:2013/07/18(木) 09:09:19.55 0
338 :
名無し募集中。。。:2013/07/18(木) 12:31:36.59 0
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/720.html#id_923ed4e2 の続きです
女は苛立っていた。
先ほどまで電話で話をしていた、相手に。
物腰こそ柔らかいが、その奥に潜む、軽視と侮蔑。
女はその上司に、殺意さえ抱いていた。
先代の科学部門統括の意志と才能を継いだ、100年にひとりと噂される天才。
彼女が発明した「モノ」の数々は組織の発展に貢献し、能力を持たない一般人にも関わらずその功績が評価され
て幹部の地位にまで上り詰めた。
「ドクター、マルシェ…」
女はその天才の名を呟き、心中に潜む悪意の炎を燻り続けさせる。
女は、Dr.マルシェこと紺野あさ美の部下だった。彼女自身もまた科学分野において秀でた才能をダークネス
に買われ、ヘッドハンティングされた存在。
組織加入後も、溢れる才能を組織の研究につぎ込んだ。その成果の最たるものが「小型異能力妨害装置」。組織
は彼女にダークネス本拠地の研究室長という地位を与えた。
だが、女は気に食わなかった。
実質的には紺野に次ぐ科学統括部門ナンバー2の地位。それが、気に入らない。
あいつなんかより、私のほうが優れているのに!!
苛立ちはピークに達し、女は机の上に置いてあった研究資料を掴み投げ飛ばす。
彼女は科学者としては良質ではあったが、人間的な資質にやや欠けていた。
クローン技術に物質転移装置、量産化した戦闘部隊「戦獣」。全て、先代からの研究を引き継いだだけじゃない。
あたしは違う。あたしは、たった一人であの装置を小型化するのに成功したんだから。
それまで2トントラックで1台運搬するのがやっとだった異能力阻害装置、それをピアス型のアクセサリーとして
小型化したのが、彼女の研究の成果だった。
― 小型異能力妨害装置を発明したホープの手腕、期待していますよ ―
事あるごとに、紺野は女にそう声をかけていた。
それが、女の心を逆撫でする。まるで、あなたにはそれしかないんですから、と言われているような気になるのだ。
気に入らない、許せない。
「さくらの教育の最終段階、あなたにお任せしたいのですが」
それが、紺野の電話の用件だった。
だが、驚くべきところはそこではない。問題はもっと深刻で、困難を極める。
「さくらを、『銀翼の天使』と会わせようと思っています」
その一言を聞いた時、女は自らの心臓が凍りつくのを実感した。
それほどまでに紺野が発したキーワードは、恐怖を抱かせる対象として十分な効力を持っていた。
銀翼の天使。
ダークネスの幹部でありながら、他の幹部たちとは一線を画した穏健派だった人物。
だった、と過去形になっているのは、最早当時の彼女とは「違う存在になっている」から。
紺野の投薬によって破壊兵器と化した天使は、瞬く間に敵対していたリゾナンターたちを壊滅寸前まで追いやった。
女はその様子を映像で見ただけだったが。
正直、身震いが止まらなかった。人間は、こうも簡単に無慈悲に、残酷になれるものなのかと。
そして、その人物に紺野の秘蔵っ子であるさくらを会わせると言う。
「あくまでも一般的な見地から申し上げるなら…正気の沙汰ではないように思いますが」
「それで結構ですよ。それに、『銀翼の天使』は周期的に本来の人格を取り戻しています。その時間帯を使えば、問
題なくさくらは天使との邂逅を遂げられる」
「…何があっても、知りませんよ」
「責任は私が取ります。それに、あなたがついていれば問題ないでしょう。小型異能力阻害装置を発明したホープの
手腕、期待していますよ」
女からすれば、屈辱的な要求。
しかし、女は敢えてその指示に従うことにした。
●
数時間後。
女は、さくらを車に乗せて郊外のとある施設へと向かっていた。
そこには、「銀翼の天使」が隔離されていた。
組織でも一部の人間を除き立入ることもできない、最高機密。
女自身、その場所へ赴くのははじめてのことだった。
― 心配いりませんよ。案内役をつけていますから ―
ならば最初から案内役にやらせればいいのだ。
そう思いつつも、紺野はあなたにしかできないと話した。
女が開発中の、最新型の小型能力阻害装置。
何かあった場合はそれを使用して欲しい、紺野はそう要求したのだ。
確かに現在女が手がけている装置は、現行のものの数倍の威力を誇るものの、操作方法についてはまだ簡略化が叶わ
ず、事実操作できるのは彼女ただ一人だけだった。
それにしても。
女はバックミラー越しに、後部座席のさくらを見る。
薄気味悪い、少女だ。
さくらは、女と初めて対面した時から、必要以外のことを一切話さなかった。
車に乗り込んでからも、ずっと外の景色を眺めている。
組織の造りだした、人造人間。
つまりi914やa625の後継に該当するのだが、先輩たち同様、掴みどころが無い。
i914とは面識はなかったが、a625、つまり「赤の粛清」には一度遭遇したことはある。
― へえ。あんたがポスト紺ちゃんねえ。ま、よろしく ―
多分に含みのある言葉をかけられたのを憶えている。
「ツクリモノ」ごときに見下されるなど、女のプライドが許さなかった。が、仮にも相手は能力者の幹部。しかもご
丁寧に「粛清人」の地位も付加されている。下手に機嫌を損ねれば面倒なことになりかねない。ただ黙って、耐え忍
ぶしかなかった。
今同席しているさくら、これもまた言いようのない得体の知れなさに包まれている。
紺野が言うには、組織のこれからになくてはならない能力を持っているのだと言う。戦闘系か、戦闘補助系か。紺野
が多くを語らないため詳細は不明だ。
ただ、これだけは言える。
彼女は、「銀翼の天使」と会わせるだけの価値を、持っている。
施設敷地の正門を、抜ける。
詰めている警備員を除いて、この施設内にいる人間は存在しない。ただ一人、紺野の言う「案内役」を除いては。ま
ともな人間は、施設の最深部にいる「銀翼の天使」の発する負の気を受けて発狂してしまうという。
正門からは簡素な車道が一本道で、目的の建物まで伸びている。
白い、飾り気の無い正方形の建造物。
それが通称「天使の檻」と呼ばれる建物だった。
建物入口の、横に車を付ける。
先にさくらを降ろし、次に自らも車を降りる。
入口には、誰もいない。
まさか、遅れてやって来るのか。
そう思いかけたところに、周囲の状況に異変が起きた。
空間が、ばりばりと音を立てて裂け始めていた。
凶獣の口のように開いた黒いクレバスから、体を捩じらせ現れる人物が、一人。
「いやあ、お待たせ。あたしが案内役だよー」
金髪のその女性は、無邪気な笑顔を湛えてひょっこりと顔を出す。
タイトなその服装、背中には小さな蝙蝠の羽。それをぱたぱたとはためかせ、ゆっくりと地上に着地した。
「あなたは、まさか」
「んあ?知ってるの?」
知ってるも何も。
「黒翼の悪魔」。「銀翼の天使」と並ぶ、ダークネスの二枚看板。
しかし女は、と言うよりは組織の誰もが彼女については突如謎の失踪を遂げた、と聞いていた。
「な、なぜ、こんなところに…」
うろたえる女を尻目に、悪魔がさくらのほうを見る。
白衣を着たいい大人が震えているのに対し、さくらは悪魔を見ても表情ひとつ変えない。
「はじめまして。あたしは紺野博士の真の友にして最大の理解者。なんてね。気軽にごっちんとでも呼ん
でちょーだい」
「はい。宜しくお願いします。ごっちんさん」
ぺこり、とさくらがお辞儀をする。
そんな様子を満足そうに眺めてから、
「おいでよ。『銀翼の天使』のいるところまで案内してあげる」
と手招きするのだった。
345 :
名無し募集中。。。:2013/07/18(木) 12:36:40.66 0
346 :
名無し募集中。。。:2013/07/18(木) 14:03:42.13 0
>>331 生田が無自覚なところがそれっぽいw
>>345 更新代理乙
銀翼の天使が本格的に登場してくるのは初めてだったかどうか
天使との出会いがさくらに何をもたらすか楽しみにしてます
347 :
名無し募集中。。。:2013/07/18(木) 16:25:12.88 0
ごっちんさんておださく物怖じしないなw
348 :
名無し募集中。。。:2013/07/18(木) 18:40:14.48 O
>>345 更新代理乙
安倍さんとの出会いで小田ちゃんがどう変わるのか楽しみです
349 :
名無し募集中。。。:2013/07/18(木) 20:33:54.96 O
あげ
350 :
名無し募集中。。。:2013/07/18(木) 22:07:22.17 O
またあげ
351 :
名無し募集中。。。:2013/07/18(木) 23:28:18.10 0
支援
352 :
名無し募集中。。。:2013/07/19(金) 00:51:05.10 O
里山でも見るか
353 :
名無し募集中。。。:2013/07/19(金) 02:13:21.14 O
おやすみ
354 :
名無し募集中。。。:2013/07/19(金) 06:23:20.65 0
暑くて目が覚めた
355 :
名無し募集中。。。:2013/07/19(金) 09:06:44.25 0
おぱよん
356 :
名無し募集中。。。:2013/07/19(金) 12:37:28.43 0
「…というわけで『海上の監獄』に囚われしガキさんを救いに行くか、見殺しにするのかみんなで投票して決めることになったの」
「え、ええいきなりそこから始めるんですか唐突過ぎませんか?」
「だって裏切り者の哀れな末路を知りたがってたのはりほりほでしょう」
「それはそうですがって裏切り者の末路なんて言わない」
「だって新垣里沙が私たちを裏切っていたのは誰もが否定し得ない事実なのよ」
「そそれはそうですけどもうその件に差し掛かってから半年以上時間が経ってるんですから挨拶代わりにこれまでの経緯というかあらすじみたいなものを」
「シャラップ、プッシーキャットちゃん。さもなきゃその瑞々しい唇をさゆみの唇で塞いでしまうから」
「ですけどおわぁぁっと。大丈夫ですか道重さん」
「さすが水軍流の達人。少しの隙も見せやがらないの」
「達人とかやめてくださいよ。私は飛んだり跳ねたり踊ったりしていたじいさまの真似をしてただけなんですから」
「それはともかくスパイの話が仰ってくださった前スレ
>>812さんの期待に応えるためにも…」
「ちょっと待ったぁぁぁぁ!」
「いきなりそんな大声を出してどうしたのりほりほ」
「何を他の作者さんに対するレスに便乗しようとしているんですか」
「他の作者さんに対してって前スレ
>>812さんはさゆみが話してたガキさんのスパイ話が面白いと言って…」
「前後の状況から考えてるとそのレスは「この世界の平和を本気で願ってるんだよ」に対するものでしょうまったく」
「やなのやなの」
「何駄々をこねてるんですか」
「さゆみほめられたら伸びる子なのもっともっとチヤホヤされたいの」
「もうわがままなんだから〜。だったらスレのみなさんがリホナンターを期待されてた時に出動してたら良かったのにぃ〜」
「はそういえばさゆみ大切なことを忘れていたの」
「今度は何ですか」
「♪ハッピーバースデイトゥユー ♪ハッピーバースデイトゥユー」
「あどうも」
「♪ハッピーバースデイりほりほの新しいチカラ」
「はい?」
「♪ハッピーバースデイトゥユー」
「あありがとうございます道重さん」
「ほんとにごめんね記念すべき六月六日から一ヶ月以上も遅れたけどおめでとう」
「祝ってくださる気持ちは本当に嬉しいです嬉しいです。けれど」
「けれど?」
「わたしの誕生日は五月二十八日ですよ暑さでどうかしちゃったんですか」
「何を言ってるのりほりほ。六月六日はりほりほの新しい能力が開花した日じゃないの」
「え何を言ってるんですか私判らないんですけど」
「りほりほの新しいチカラでミントの種を腐らせちゃったんでしょ」
「そそこを突いてくるとは。何か誤解されてるみたいですけどミントくんは腐ったんじゃなくてカビが生えちゃったんですよ〜」
「りほりほの能力は開花したけどミントくんは花開く前にカビちゃったのよねえ」
「ぐぬぬ」
「ミントテロと言われるぐらい成長力の強い植物を腐らすなんてりほりほの新しいチカラはとんでもないポテンシャルを持ってるわね」
「あははは、もう笑うしかないですね」
「しかもミントに次ぐ生け贄として選んだラディッシュくんはかいわれ大根みたく育っちゃう始末」
「生け贄とか言わないで下さいよ失礼な」
「新しい生命を創造するその有様はまさにゴールドエクスペリエンス!!」
「やめて私のHPはもうゼロよ」
「りほりほの新しいチカラは何と呼ぶべきかしら。植物腐乱(プラントフラン)鞘師腐乱(サヤシンランドール)一寸胞子」
「いいんだいいんだ(涙 今度こそちゃんとした植物を育てて収穫して見返してやるんだ」
「りほりほ!」
「何ですかそんなに怖い目をして」
「ミントくんだってラディッシュくんだって生きているのよ」
「わかってますよ。そんなこと」
「ミントくんはカビるために種を結んだんじゃない。ラディッシュくんだってかいわれ大根として食べられるために」
「わかりましたから。今度はいろんな人に教えてもらってちゃんと育てますから」
「いいかげんに植物を弄ぶのはやめなさい」
「そそんなもてあそぶだなんて」
「弄ぶならさゆみのことを弄んでよ」
「え、ええええ」
「とにかくもう植物で遊ぶのはやめなさい。新しい能力の実験台にするなんてもってのほか」
「だからミントくんがカビちゃったのは私の能力のせいじゃなくて水をやり過ぎちゃったからです」
「えそうだったの」
「あとちゃんとお日様に当ててあげなかったこととか」
「そうだったの。新しい能力を手にするための犠牲にしたんじゃなかったのね」
「ですから植物腐乱とか一寸胞子とかやめて下さい。そんなチカラ最初から無かったんですからだいたいですね」
「惜しい! 実に惜しい」
「何をいきなり大声を出すんですか」
「もしもりほりほが植物を腐らせる能力を手にしていたとしたら」
「手にしていたとしたら?」
「五年以上に及ぶダークネスとの抗争を集結させる決め手になっていたというのに」
「ちょ待ってください道重さん。安倍さんのスノーエンジェルや後藤さんのグラビティ。保田さんの時間停止や中澤さんのspacelipper」
「えら〜いそんなにたくさんのチカラよく言えたわねりほりほ。安倍さんはスノーエンジェル、そしてさゆみはスモーエンジェル。相撲取り裸で風邪ひかん、どすこーいどすこーい」
「大変だ。あまりの暑さで道重さんがおかしくなってしまった何とかしないと」
「そんな風に言われたこともあったってことよ」
「確かにリゾナントブルーAnother Versで道重さんと亀井さんのツーショットを見ると、むしろ道重さんの方が病人っぽいとか言われてましたっけ」
「顔が腫れてるとか失礼な」
「あの私はそんなこと言ってませんから」
「わかってるわそんなこと確かにあの撮影の時は顔のコンディションがイマイチだったけど」
「み認めちゃいますか」
「今じゃ逆に痩せすぎて病んでるって狼の住人どもにクソみたいなスレを立てられる始末」
「ままあそれは道重さんのことを心配してのことでしょうから」
「平日の午前十時に狼を開くような人間の屑どもに病んでるとか言われたくないの」
「その気持ちわからなくはないですが平日がお休みの人もいるでしょうし」
「能力が私の青春を奪ったのううん能力のおかげで絵里や愛ちゃんに出会えたことは神様に感謝してるわ」
「道重さん」
「リゾナンターになってなければジュンジュンやリンリンと知り合うこともなければ愛佳と巡り会うこともなかったそれは事実」
「あの大切な人たちを何人か忘れてる気がするんですけどああそうだきっと暑さのせいで頭がボーっとしてるんですね」
「さゆみが能力者だったからダークネスに狙われて普通の青春を送れなかった」
「おーい聞こえてないんですか〜」
「それはちょっと悲しいことだけど絵里と駆け抜けた日々もさゆみにとってはとても大事な思い出の日々だからリゾナンターになったこと後悔したりしていないけど」
「行き着くところは自分語りですか」
「でもりほりほやフクちゃんその他大勢の若い子たちには平凡で当たり前な日々を過ごして欲しい」
「基本的にはもの凄くいいことを言ってるって思いますその他大勢というのさえなければ」
「りほりほと愉快な仲間たちが平和な日々を送るためにはダークネスをなんとかしなければならない」
「決して間違ったことを言っているわけじゃないと思うんですよわたしと愉快な仲間っていうのさえなけりゃあ」
「りほりほの鞘師腐乱(サヤシンランドール)ならダークネスとの抗争に終止符を打てると思ったのに」
「だから腐敗能力なんてありませんしそれにもしももしもですよ」
「もしももしもってスレ立ても満足にできない携帯が生意気にレスするんじゃねあごめんなさいりほりほ」
「今度は何なんですいったい」
「せっかくさゆみがりほりほの為に立てたスレに粘着するもしもしの荒らしが生意気なのよそれでりほりほのもしもは仮定の話ん?ん?それとも妄想?妄想は好きだよ」
「ですからもしも仮に仮にですよわたしに腐敗能力が発現したとして」
「朽ち果てよ鞘師腐乱(サヤシンランドール)!!って使ってくれていいんだよ」
「遠慮します。仮に私が腐敗能力を手にしたとしましょうあまぜかえさないで下さい」
「それはもう一度鞘師腐乱(サヤシンランドール)っと言えという振りなの」
「違います切なる願いですわたしが腐敗能力を使えるようになったとしましょう」
「あリゾナントが食べ物を扱っているのを気にしてるのなら別にいいのよりほりほのためなら喫茶店の一つや二つ」
「お願いですからちゃんと聞いて下さいってそんな頬杖をついて瞳を輝かせながら私を見るのはやめてください」
「真剣に話してるりほりほの顔ってかわいい」
「もしも腐敗能力が使えたとしてもそのチカラがダークネスの幹部たちに通用するとは思えません。綱脚や粛清人は勿論のこと銀翼の天使安倍なつみのスノーホワイト」
「そう安倍さんはスノーホワイトそしてさゆみはスモーホワイト。出稽古で磨きをかけた突き押し相撲で二ケタは勝ちたいですごっつあん」
「た大変だ道重さんが本格的におかしくなってしまったぞきっとリーダーとしてのプレッシャーに耐えきれなくなったんだどうしよう」
「りほりほ」
「どうしたんですか急に真顔になって」
「りほりほやフクちゃんにかのんちゃんはるなんやあゆみんどぅにまーちゃんさくらちゃん。みんなの命を預かるプレッシャーは確かに大きいけどでもさゆみは押しつぶされたりしないよ」
「本当なら感動するところなんでしょうけどこれまでのやりとりが散々なので白々しいです」
「そうねみんなさゆみのせいねでも聞いてりほりほ」
「なんでしょうか」
「もしりほりほが腐敗能力を手にしたらダークネスとの戦いで大きなアドバンテージになると思ったのは本当よなぜかというと」
「なぜかというと?」
「中澤裕子に飯田圭織、安倍なつみに保田圭そして知」
「誰もが名だたる能力者じゃないですか」
「でもみんな女として賞味期限が過ぎた腐りかけの存在。そこへ腐敗能力を行使すれば」
ピンポ〜ン
「もう誰かしらさゆみとりほりほの語らいの時間をジャマするのはちょっと待っててね」
「私が行きましょうか」
「業者の支払いかもしれないからさゆみが出るわ」
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「道重さん遅いな〜」
…りほなんと
363 :
名無し募集中。。。:2013/07/19(金) 12:44:38.27 0
364 :
名無し募集中。。。:2013/07/19(金) 15:38:34.17 0
お帰りリホナンター
365 :
名無し募集中。。。:2013/07/19(金) 16:29:58.70 0
リホナンターが相変わらずでなにより
366 :
名無し募集中。。。:2013/07/19(金) 18:52:03.15 0
久しぶりだと思ったらスゴい毒を吐くw
367 :
名無し募集中。。。:2013/07/19(金) 20:27:09.55 0
帰ってきた!
ぼくらのリホナンターが帰ってきた!!
368 :
名無し募集中。。。:2013/07/19(金) 21:58:20.48 0
やっぱりリホナンターあってのリゾスレだね〜
369 :
名無し募集中。。。:2013/07/19(金) 23:34:59.18 0
あげ
370 :
名無し募集中。。。:2013/07/20(土) 00:47:01.05 0
さて寝るか
371 :
名無し募集中。。。:2013/07/20(土) 02:47:33.61 0
寝落ち寸前ホゼナンター
372 :
名無し募集中。。。:2013/07/20(土) 05:05:24.72 O
おはナンター
373 :
名無し募集中。。。:2013/07/20(土) 08:41:19.91 0
おはよう
374 :
名無し募集中。。。:2013/07/20(土) 11:09:09.21 0
今日は意外と過ごしやす
375 :
名無し募集中。。。:2013/07/20(土) 13:09:26.48 0
あげ
376 :
名無し募集中。。。:2013/07/20(土) 15:00:41.63 0
ほ
377 :
名無し募集中。。。:2013/07/20(土) 15:51:34.18 0
夏枯れ〜
378 :
名無し募集中。。。:2013/07/20(土) 16:25:13.53 0
379 :
名無し募集中。。。:2013/07/20(土) 17:32:20.35 O
380 :
名無し募集中。。。:2013/07/20(土) 19:40:38.34 0
熱波
381 :
名無し募集中。。。:2013/07/20(土) 22:14:08.15 O
あげ
382 :
名無し募集中。。。:2013/07/21(日) 00:12:06.17 0
今日はもう寝る
383 :
名無し募集中。。。:2013/07/21(日) 02:03:35.88 0
おやすみ
384 :
名無し募集中。。。:2013/07/21(日) 05:20:37.25 0
おおう
385 :
名無し募集中。。。:2013/07/21(日) 05:51:58.21 O
おはナンター
386 :
名無し募集中。。。:2013/07/21(日) 10:03:03.53 0
ゲームしながら保
387 :
名無し募集中。。。:2013/07/21(日) 11:47:00.83 O
昼前保
388 :
名無し募集中。。。:2013/07/21(日) 14:28:29.92 0
あげ
389 :
名無し募集中。。。:2013/07/21(日) 15:13:09.69 O
またあげ
390 :
名無し募集中。。。:2013/07/21(日) 17:21:39.78 0
さらにあげ
391 :
名無し募集中。。。:2013/07/21(日) 18:46:08.63 O
夜もあげるぜ
392 :
名無し募集中。。。:2013/07/21(日) 20:31:55.16 O
投票行って外食あげ
393 :
名無し募集中。。。:2013/07/21(日) 22:11:12.13 0
選挙特番見ながらあげ
394 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 00:14:00.58 0
月曜日あげ
395 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 01:44:15.17 O
おやすみ
396 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 04:56:20.53 0
朝から熱い
397 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 07:12:53.86 0
うむ
398 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 08:06:37.91 0
土日は作品あがらなかったかぁ残念
399 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 08:18:10.10 0
>>338-344 の続きです
外装同様に、建物の内部もまた一切の飾り気の無い単純な構造をしていた。
ただ一つ特徴があるとすれば、過剰なほどに設置された、防護壁の数々。
ごく一部の人間に与えられたパスカードにより、核シェルター並みにに厳重な防護壁が開閉する。もし仮に何かがあ
ったとしても防護壁を作動させつつ建物を脱出すれば、命を拾うことができるわけだ。
まさか。マルシェと「黒翼の悪魔」が繋がってるなんて。
ぱたぱたと羽を動かしながら先導する後姿を眺めながら、女は思う。
これは、組織にとって重大な裏切り行為なのではないか。
何を企んでいるのかは知らない。ただ、組織に隠れて何かをする行為について組織が是であると認定する可能性は限
りなく低い。
「しかし、さすがはダークネス1の能力者ですね。こんな気の狂いそうな空間にいても平気で動けるんですから」
思いを隠すかのように、女が言う。
常人なら発狂しかねない、濃密な負の気が満ちている場所。
女は、自らが身に着けているピアス状の小型異能力阻害装置によって守られている。とは言え、多少気分が悪いのは
確かだった。
「あはっ。一般人とは鍛え方が違うからね。そこの子もね」
さくらもまた、顔色一つ変えることなく、悪魔の後をついている。
こいつらは、バケモノだ。
女は心から嫌悪感を示した。そのバケモノたちの手によってダークネスが運営されているのは事実であるけれども、
彼女はそう言った連中を尊敬し畏怖することはなかった。
それまで場を覆っていた、重い空気がさあっと晴れてゆく。
同時に、女の中に渦巻いていた気分の悪さも嘘のように消えていった。
「『天使』が正気に戻ったみたい。これで、問題なく会えるよね」
「黒翼の悪魔」が言うのと、最後の障壁が開き始めるのは、ほぼ同時。
壁の隙間から、ゆっくりと視界が開けてゆく。
そこは透明なガラスによって部屋の半分を仕切られた、何の飾りもない部屋だった。
そしてガラスの向こうに、一人の白いワンピースを着た女が椅子に座っているのが見える。
「あれが…『銀翼の天使』?」
女がそれを見て漏らした感想は、至極当たり前だった。
肩にかからない程度の短い髪の女は、少女と見まごうばかりの華奢な体躯をしていた。
これが、あの殺戮兵器?
本拠地で見た、「天使」とリゾナンターの戦闘の映像は。
まさに、赤子の手を捻り潰すが如く。
光は散らされ炎は踏み躙られ風はかき消される。
ピアノ線を駆使した精神攻撃などまるで効かず、獣人族の爪と牙を片手でいなし、電撃を受けてもまるで表情が変
わらない。
9人のリゾナンターの攻撃を受けきった後、その「奇跡」は起こった。
「天使」の背中から、文字通り、天使の羽が生えていた。
羽の一つ一つが、きらきらとした光に包まれ、輝いている。
美しい。思わず、その光景に見とれてしまう。
だが、それは天使の祝福であるとともに審判でもあった。
女は、実際に体験していないというのにその事実、恐怖を心から実感したのだ。
「…ごっつぁん?」
まどろんでいるように見えた「天使」が、ゆっくりと目を開き、そんなことを口にする。
「やあやあ、久しぶり。今日はね、あんたに会わせたい子がいるんだ」
「…誰?」
軽くガラス越しの挨拶を交わすと、「悪魔」は自らの後ろについていたさくらを一歩前に出させた。
「あの、はじめまして『天使』さん。私、さくらって言います」
「この子はね、こんこんが作った最新作なんだよ」
こんこん、と言う言葉を聞いた「天使」が顔を曇らせる。
だが、すぐに表情を緩めると、
「そっか。おめでとう」
とだけ言った。
「おめでとう、ってどういう意味ですか?」
「あなたが生まれてきたこと。その全て」
ゆっくりと微笑む「天使」。
さくらは、その瞬間に湧いた疑問をそのままぶつける。
「生まれたこと、生きること。生きていることは価値のあるものなのですか?」
「ん?」
「人間は、簡単に死にます。そんな存在に、生きていることの意味なんてあるんですか?」
さくらは、これまでに施されたダークネスの幹部たちによる教育の集大成を見出そうとしていた。
人を簡単に殺すことのできる、自らの能力。
それ以前に、簡単に死んでしまう、人間という存在。
死んでしまった人間の行き先は、知らない世界。知られない存在は、無に等しい。
無に還ってゆく存在に意味など、祝福される意味などあるのか。
「生きることって。人生って、素晴らしいんだよ」
さくらの難題を突き崩す、たった一言。
「素晴らしい?」
「うん。誰かと出会ったり、笑ったり泣いたり。強い絆で結ばれたり」
「強い絆、ですか」
「そうだよ。あたしも、そういう子たちを知ってる。たった9人の、か弱いけれども、力強い存在をね」
何かを懐かしむように、目を細める「天使」。
「リゾナンターのことだね」
「リゾ、ナンター?」
「そう。共鳴しあうものたち」
横で、悪魔が補足を入れる。
天使の言葉は、まさしく福音。そこに存在するのは、正しさ。揺るがない、光。
さくらは目の前の人物を、人の形をした光のように感じていた。
そんな様子を見ながら、すっかり蚊帳の外だった女科学者が、ゆっくりと前に出る。
決意と、そして悪意を持って。
「そんなリゾナンターは、あなたの手によってばらばらに引き裂かれた」
再び、表情を曇らせる「銀翼の天使」。
それを見て女は自分の推論が正しかったことを確信するとともに、さらに言葉を重ねる。
「たった9人の、か弱いけれど力強い存在だったリゾナンター。あなたはその子たちの信頼を裏切り、踏み躙り、そ
して徹底的に破壊した」
「違う!あたしは裏切ってなんか」
「へえ?私はDr.マルシェから、あなたには心の奥底に眠った闇を呼び起こす薬が投薬されたと聞いていますよ。
つまりそれは、あの日に起きたことは、あなたの本当の願望」
「違う!!!あんなこと、あんなことを望んだわけじゃ!!!!」
「あんなことって、こんなことですか?」
女が、懐から数枚の写真を取り出し、ガラスを隔てた天使の前に突き出した。
徹底的に破壊された、喫茶店。
ガラスは打ち破れ、テーブルはへし折られ、壁は所々が深く抉られていた。
ぼろぼろに崩れた床に横たわる、9人の能力者たち。
血を流し瞳を閉じている、「天使」を敬愛していた能力者。
「やめて!!もうやめて!!!!!」
「そこまでにしときなよ。これ以上は、『天使』の心がもたない」
見かねた「悪魔」が、女に声をかける。
女は、口の端をにぃっ、と吊り上げた。
「あんたは。自分を慕って、助けようとしている人間を。信頼を。自分の手で、壊したんだよ」
臨界点。
まさにそう呼ぶのが相応しい状況だった。
建物は根から打ち震え、頑丈なつくりのはずの壁が、床が、大きく揺さぶられはじめた。
先ほどまで微笑をたたえていた女性は、もうそこにはいない。
天使が、翼を広げて煌く羽を舞わせる。
その羽の一つ一つが、途方もない膨大なエネルギーの塊。常人が迂闊に触れようものなら、魂ごとこの世から存在を
かき消される。
頑丈な透明な壁によってその影響はこちら側には及ばないものの、いずれ壁が崩れることは明白だった。
「あんた、一体」
「あはははははは!!!!!!最初から、こうするのが目的だったんだよぉ!!!!!!!!」
自らの目論見が、達成される快感。
女は自然に自分の感情が頂点に達するのを感じていた。歓喜に体が、打ち震えていた。
「これでこの建物の中にいる人間はおしまいだよ!『天使』の暴走に巻き込まれてねえ!マルシェには無謀な試みに
よって貴重な実験体が失われましたとでも報告するさ!!」
一方、女の罠に嵌ったはずの「黒翼の悪魔」とさくらは、ただただ女のことを見つめていた。
その目に映る感情の色を女は量ることができない。が、その疑念はすぐにバケモノの気持ちなんて人間にわかるもの
か、という侮蔑に摩り替えられた。
「そしてあんただけがここから逃げ果せる、か。随分おめでたい思考してるんだね」
「…誰が『天使』からそのクソガキを守る?あんたがバケモノを食い止めてる間に私はこの建物を出ることができる。
セキュリティーカードもこっちの手にある。万が一あんたが生き延びたとしても、『組織から黙って姿を消した』人
間のいう事なんて誰も信じないわよ」
「なるほど、ね」
「黒翼の悪魔」が、くるりと背を向ける。
小さな蝙蝠のような羽が、みるみるうちに姿を変え翼となり、果てしなく大きくなっていった。
その様子を、さくらは黙って見ていた。まるでそうなることが当然であるかのように。
やがて翼は、天井を覆いつくし夜の闇と化す。
天使と悪魔を隔てる、ミサイル数発の直撃すら耐えるガラスの防護壁。しかしそんなものは、神域の争いの前にはま
ったく意味を成さない。
「じゃあ、あとは勝手にやってちょうだい」
優越感を胸に、女は争いの行く末を見ることなく踵を返す。
世界の全てが、手中に収まった。そんな錯覚すら覚えながら。
407 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 08:25:35.84 0
408 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 11:29:07.09 0
>>407 「Dr,」様の半端ない小物感が最高ですw(褒めています)
あんな適当キャラに過ぎた活躍の場を与えていただいて何だか申し訳ないw
「天使」と「悪魔」の間にあって静かな存在感を示すさくらちゃんがまた魅力的です
409 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 12:56:33.99 0
凶悪な天使との対峙で小田ちゃんが本格的に覚醒するのかな
410 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 13:49:08.46 O
>>407 更新代理乙です
安倍さんの聖母と破壊神の二面性が際立ってますね
破壊神バージョンは異能力の愛ちゃんのようでもあり
411 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 15:55:05.41 0
さくらの生誕を祝ってあげられる銀翼の天使は本質的に優しいんだろうな
そんな彼女の暗黒面を引き出したという点でマルシェも小者も同質の存在ってことか
412 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 18:57:34.89 0
あげ
413 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 21:06:07.54 O
再あげ
414 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 21:25:40.33 0
>>331 気付いたらまとめサイトに載ってる!?しかも、解説付きで…嬉しいやら申し訳ないやら。。。まとめさんありがとうございます涙
415 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 21:37:29.05 0
ほ
416 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 23:18:27.52 0
>>414 嬉しいよね自分の書いたのが収録されるっていうのは
417 :
名無し募集中。。。:2013/07/22(月) 23:54:40.09 0
418 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 01:07:00.57 O
ある意味獣人化やで
419 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 01:32:46.80 0
ダークネスに落ちたジュンジュン…カッケーw
420 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 02:18:11.98 O
おやさゆみん
421 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 06:50:37.77 O
一人の朝
422 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 10:10:17.49 O
暑いね
423 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 12:24:20.43 O
昼だね
424 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 14:00:10.23 O
二時の保全ショー
425 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 14:03:04.51 0
もしや携帯ホゼナンターさん1人で頑張ってくれてる?
すまぬ
426 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 15:49:10.16 O
たぶん俺以外に最低もう一人いるかと思われる
いずれにせよありがたい
427 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 18:29:23.87 O
夜あげ
428 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 19:40:06.80 0
>>399-406 の続きです
行きしなに開けていった防護壁を丁寧にひとつずつ閉じていきながらも、女はセキュリティカードをリーダーに翳す
手の震えを止められない。興奮が、抑えられないのだ。
「これでマルシェ、あんたもおしまいだよ!!!!!」
そして感情は声となり、叫びとなった。
止めようのない、歪んだ感情。
組織最大の危険人物である「銀翼の天使」を安易に実験体と接触させたがために暴走を起こし、実験体は命を奪われ
た。この責任は重大である。マルシェはいずれその座を追われることになるだろう。一方こちらは”上官”の命令に
従っただけだ。咎を受ける理由は無い。
「黒翼の悪魔」が現れたのは予想外の展開だった。
だが、それすらも女は契機に変えて見せた。
もともと天使を暴走させた後はさくらを置き去りにしようとしていた女だが、その場に天使と同等の力を持つものが
居れば互いに力をぶつけざるを得ない。果てしない能力の闘争は、女が施設を抜け出すのにちょうどいい時間稼ぎだ。
こちらが「天使」の感情を煽り暴走させたという証拠もない。それを知っているさくらは既にこの世にいない。万が
一「悪魔」が「天使」に打ち克ったとしても、今まで姿を隠さざるを得なかった人物の証言など何の価値も無いだろう。
「私は!天使も、そして悪魔さえも屈服させた!!そして無能なマルシェを放逐して、私が、私こそが『叡智の集積』
となるんだ!!!!!」
女が最後の扉を開ける。
隙間から、ゆっくりと外の光が溢れていった。
「はい、おつかれさま。随分遅かったから、途中で寝てるのかと思ったよ」
「え?」
女は自分の眼を信じることができない。
それもそのはず。光を切り抜く、闇のシルエット。
目の前にいるのは紛れも無く。
「ねえ。あんた程度が仕組んだ策略で、ことがうまく運ぶとでも思った?」
悪戯っぽい笑みを浮かべているのは、「黒翼の悪魔」。
本来ならば、今頃「銀翼の天使」と熾烈な争いを繰り広げているはずの人物だ。
ありえない。
空間を切り裂いてここまで来る余裕など、なかったはず。
激しくうろたえた女が搾り出した結論は。
「そ、そんな。お前が、無傷でここへ来るなんて。瞬間移動を使う『二重能力者(ダブル)』だなんて、聞いてない
わよ私は!!」
「はぁ。やっぱバカなんだね。あたしの隣にいる子は、誰?」
「黒翼の悪魔」に言われて、ようやく女は悪魔の傍らに立つ、ひどく青ざめた顔の少女を認めることができた。
「さ…くら? そうか、こいつが瞬間移動の能力を……!!」
「そんな生温い能力であの修羅場を潜り抜けられるはずないじゃん。やっぱ無能は無能か」
女のプライドが、限界を迎えた。
バカだ無能だと散々こき下ろされるなどという屈辱を、女が捨て置くわけがない。
「バケモノごときが言ってくれるじゃない!!私にはこの『小型異能力阻害装置』があるのを忘れた?あんたには、
いや組織の誰にも言ってなかったけど、こいつの性能は『詐術師』の使役する能力阻害の威力に匹敵するのよ?」
得意げに耳のピアス状のそれを弄びながら、懐から護身銃を抜き出す。
「どんな能力かは知らないけど、そっちの子は随分消耗してるみたいよ?能力阻害が働いてるフィールドで、私の
銃がその子を打ち抜くのを防ぐ事ができるかしら」
「黒翼の悪魔」は、ゆっくりとさくらの頭を撫で、それから呆れたように女のほうに視線を向けた。
「さすがに直接あんたがこの子に害を与えるってのは、まずいんじゃないの?」
「黙れ!私に指図するな!!」
やれやれ。
悪魔は深くため息をつくと、ゆっくりと人差し指を女に向ける。
「何をするつもり?さっきの私の話を聞いて…」
「あんたのさあ、手の甲を見てみ?」
「その手には乗らないわ。隙を見て飛びかかるなんて、随分原始的な考えね」
言いつつも、銃口を向けた手の甲は自然と女の視界に入る。
戯言か。女の手の甲はいつもの見慣れたそれだ。
いや、手の甲に、黒子がひとつ。
こんな場所に黒子なんてあっただろうか。気づかなかっただけか。
違う。錯覚じゃない。
黒子は、一つが二つ、二つが四つ、四つが八つと加速的に増加してゆく。
何だこれは、これは黒子なのか、いやこれは…穴?
女は、次の瞬間には全身に無数の孔を穿たれて倒れ伏していた。
白衣が、あっと言う間に真っ赤に染まる。
「がッ・・・・・・ごほっ・・・がほっ・・・」
自らの身に何が起こったのか、理解が出来ない。
全身から吹き出る鮮血を目にしてなお、認めることができない。
能力は、忌々しい能力は阻害装置によって全て無効化されるはず。
なのに、どうして私は畑に打ち棄てられた蓮根のように転がっている?
「あ、わ、私を殺すの?まさか…偉大な発明で組織に貢献したこの私を!!」
苦痛にのた打ち回る女の眼前に、「黒翼の悪魔」が迫る。
女が発した言葉を無視するかのように、悪魔は最後の大きな穴を女の心臓に穿つ。
「あんたの代わりなんて、いくらでもいる」
苛烈な苦痛と投げかけられた言葉への憤怒で、女の目が限界まで見開かれた。
「その『おもちゃ』がやぐっつぁんと同等の能力?笑えないねえ」
「『おもちゃ』…ですって…」
「最後に教えてあげるよ。どうしてこんこんが能力阻害装置の小型化を手がけなかったのか」
「え…なにを…」
「それはね。高次元の能力者同士の戦いにおいて、能力阻害は『まるで意味を成さない』から」
自らが作った血だまりを這いつくばる女を、若干の哀れみを持って見下ろす「黒翼の悪魔」。
悪魔の言っていることは意味がわからなかったが、自分がこうなった原因は理解できた。
手にしている「それ」で、私を貫いたのか。
悪魔の掌で踊るは、黒く渦巻く空間の穴。
瞬時に女の全身に空間の穴を開けることで、同時に女を蜂の巣にすることができたのだ。
「でも…ありえなび…わ、だじ…の、そぶち…が……」
血の池に顔を埋め、歪な泡を吐きながらの言葉。
それっきり、女が次の言葉を発することは無かった。
最後まで、自分の発明が役立たずなことを認めることなく。
「さよならおばかさん。ま、最後はおばかさんなりに大いに役に立ってくれたけどね」
「黒翼の悪魔」が、先ほどから一言も言葉を発しない少女に目を移す。
明らかに色を失い、けれども鮮やかな感情を植えつけられた顔がそこにあった。
彼女は見てきたのだ。
死と生の、狭間の世界を。
●
「そうですか。ご苦労様」
暗闇に佇む、白衣。
施設に三人で入り、そして二人で出てきた。受話器越しのたったそれだけの報告で、紺野は実験の成功を知ること
ができた。
紺野がさくらを「銀翼の天使」に会わせた理由。
それは、自らも奪われる可能性がある命の一つだということを、さくらに理解させること。
ただのロボットでは、田中れいなに関わる実験を成功させることはできない。
紺野は、確信を持ってそう言うことができた。死の意識は、そして生の意識は。自らがその狭間に立つことでしか
知り得ない。
そしてさくらをそこまで追い込める人物は。
理性の箍が完全に外れてしまった破壊の化身をおいて他にない。他の誰でもない。「銀翼の天使」でなければ、彼
女にそれを理解させることはできなかったのだ。
「ただいまー」
そんな間の抜けた声とともに、空間に避け目ができる。
そこから顔を覗かせるのは、暗闇に映える金髪。
「お疲れ様です。『黒翼の悪魔』さん」
「嬉しそうな顔してるねえ。実験は大成功、と言ったところ?」
「ええ。さくらは、どうしてます?」
「部屋に篭りっきりだね。ま、殺されかけたんだから当たり前か」
目論見通り。
さくらは「能力」を発動させ、無事に帰還した。
有り余るほどの、恐怖を抱え込んで。
「例のおばかさんも始末したよ。にしてもあそこまでこんこんの言うとおりに動いてくれるなんてねえ。もしかし
てこんこん、予知能力者だったりする?」
「まさか。私は普通の人間ですよ。ただ…」
紺野は眼鏡のフレームを、少しずらす。
「私が一見無茶な依頼をすれば、彼女は必ずそこに付け込んでくる。そう信じてましたけどね」
「さっすがー。全部お見通しって感じだったんだねえ」
「さて、楽しい語らいはここまでにしておきますか。今、あなたにあまりうろうろされると、都合が悪い」
「はいはい。でも、久しぶりになっちと戦いたかったなあ。なんかさあ、最近ごとーずっとおあずけされっぱなし
じゃない?」
そんな不平を述べながら、悪魔は再び空間の狭間へと消えていった。
紺野は、再び闇の中にその身を委ねはじめる。
闇の中から、一人の人物の姿が浮かび上がる。
紺野を深く恨み、そしてその地位に取って代わろうとした、女科学者。
「私はね。あなたを評価していたんですよ。だから、あなたにこの役目を果たしてもらった。もちろん評価してい
たのはあなたの能力ではなく、その浅ましいほどのプライドと野心、でしたがね」
女の姿は闇に呑まれ、かき消されてゆく。
それと同時に、紺野の記憶の片隅からも消えていった。
モニターの電源を付ける。
与えらられた個室で、植えつけられた恐怖に震えているさくらの姿が、映し出された。
その姿を見た紺野は、目を細める。
さくらの育成も、最終段階。
一刻も早く、着手をしなければ。
次の一手は既に、指し示されていた。
436 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 19:46:32.86 0
437 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 21:33:07.86 0
読む前保
438 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 22:39:24.60 0
更新乙です。読んでてなんか、ぞくぞくしてきた…どのタイミングで仲間になるのか楽しみ(なるんだよね?)
439 :
名無し募集中。。。:2013/07/23(火) 23:20:21.96 0
>>436 代理ともどもお疲れ様です
なるほど「死の意識」と「生の意識」…
ここまでの各幹部による「教育話」での布石が上手く生きていて余計にぞくっとしました
次の一手……いよいよ邂逅となる……のでしょうか?
楽しみにしています
440 :
名無し募集中。。。:2013/07/24(水) 00:17:00.11 O
窮地を脱した小田ちゃんの能力が気になりますね…
441 :
名無し募集中。。。:2013/07/24(水) 01:40:57.70 0
緊急保全
442 :
名無し募集中。。。:2013/07/24(水) 02:18:15.04 I
>>436 乙です。このシリーズ面白い!マルシェの暗躍(?)が効いてる。さくらについては全て客観視だから心理描写が待ち遠しい
443 :
名無し募集中。。。:2013/07/24(水) 06:35:46.69 0
おぱ
444 :
名無し募集中。。。:2013/07/24(水) 07:42:43.34 0
期待の朝
445 :
名無し募集中。。。:2013/07/24(水) 11:53:52.63 O
期待の昼
446 :
名無し募集中。。。:2013/07/24(水) 13:00:41.80 0
昼飯終わりの保
447 :
名無し募集中。。。:2013/07/24(水) 15:37:23.09 0
あげ
448 :
p5121-ipad29okayamaima.okayama.ocn.ne.jp:2013/07/24(水) 17:26:30.50 0
突然だけど誰か喫茶リゾナントの画像持ってない?
間取りは見つかるんだけど外観の画像がないんだよ
右斜めから店を見てるアングルだったと思うんだけど
449 :
448:2013/07/24(水) 17:34:26.53 0
名前欄入れ忘れた…
作りたいものがあるんで
持ってる人いたらください
450 :
名無し募集中。。。:2013/07/24(水) 17:44:35.54 0
451 :
448:2013/07/24(水) 18:19:53.09 0
≫450
ありがとうございます
でもちょっと違う…
ぶっちゃけ作りたいものってゲームなんだけど
プロローグの背景に喫茶リゾナントの外観を表示したいと思ってて探してます
この画像も3Dぽくて分かりやすいので使わせてもらいます
452 :
名無し募集中。。。:2013/07/24(水) 18:27:11.35 0
たびたび申し訳ない
アンカー変換ミスったorz
慌て過ぎはよくないですね
453 :
名無し募集中。。。:2013/07/24(水) 18:29:23.55 0
建物の外観というとこれしかなかったように思うのですが…
どれのことを言われているのでしょう?
動画や既存のゲームに出てきた画像でしょうかね
454 :
名無し募集中。。。:2013/07/24(水) 20:19:26.17 O
>>450 新参だからはじめて見た
想像が膨らみますな
455 :
名無し募集中。。。:2013/07/24(水) 20:38:42.66 0
>>448です
>>453さん
リゾナンターを離脱した亀井、久住が喫茶リゾナントに帰ってくるみたいな話の
イメージ画像だった気がするんですよね
違うかもしれませんが
まとめであるかどうかもう一回探してきます
456 :
名無し募集中。。。:2013/07/24(水) 23:09:26.28 O
緊急ほぜ
457 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 01:20:46.47 0
ホゼーカタ始め!
458 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 02:05:45.44 O
おやすみずき
459 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 05:13:43.51 O
おはえりぽん
460 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 08:12:11.87 0
>>455 >リゾナンターを離脱した亀井、久住が喫茶リゾナントに帰ってくるみたいな話
何それ気になる
知ってる人いる?
461 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 12:07:47.72 O
古参の方ならご存知かと
探したけど見つからなかった
462 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 12:41:28.46 0
リゾナンターを離脱したカメが(戦いを挑む為に)ジュンリンを引き連れて戻ってくる話なら知ってるがw
463 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 13:05:13.08 0
卒業が決まるまでは離脱なんて話はなかったはずなのでそれ以降の作品?
それにしても思い当たらない
464 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 13:32:52.79 0
>>455です
記憶が曖昧なんですよね
戦いが一区切りついてリゾナンターが解散した後の設定だったような気も…
思い出そうとすればするほど頭がこんがらがってきた
本当にそんな話がなかったら
リゾ設定が好きすぎて夢でも見たのか自分は
465 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 14:27:22.59 0
>>464 申し上げにくいのですが重度のリゾスレ病です
治療法はありません
466 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 14:53:38.55 0
治療法があるとするならば強いて言えば
その話をこれから君が書くのだ
467 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 14:57:43.65 0
リゾスレ病患者久々に見れて嬉しいわw
468 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 15:57:42.19 O
そりゃこんだけ作品群があれば混乱しますよ
そういうわたしも脳内が「米」化してますよ
469 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 17:30:03.45 0
これだけ誰も思い出せないということはやはり存在しないということでは
是非とも自分で形にしてみてほしいですw
ゲームも形になるのを楽しみにしてます
470 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 19:36:38.76 0
あげ
471 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 20:54:48.29 I
いろんな作品が交わるソレガリゾスレあげ
472 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 22:55:31.90 0
ほんといろいろありすぎてまだ全部読めてない…多様なジャンルあるから飽きないし♪ヴァリブレみたいな異色作品もまた読みたいなぁってか、続きはもう来ないのか!?
473 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 23:40:41.92 0
どれを読んでおくべきか悩むね
474 :
456:2013/07/25(木) 23:42:52.14 0
みなさん作品探しの協力ありがとう
やっぱり夢だったのか
そんな夢なら毎日見たいんだけど
セリフの言い回しとかへたくそなんで小説書くのは無理っすw
センスが皆無なものでかなり時間がかかりそうですが
ゲームが満足できる仕上がりになったらここで発表してみたいですね
475 :
名無し募集中。。。:2013/07/25(木) 23:50:06.77 0
476 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 00:08:47.51 I
477 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 00:10:25.40 I
里保ちゃんと1階に降りて来た
いた!
高橋さんと、黒翼の悪魔だ!
「「高橋さん!!」」
「鞘師に鈴木!? なんでここに!?」
「……可愛らしいお仲間だね」
黒翼の悪魔があたし達を見る
「あの子らに手を出すな!」
高橋さんがジャンプして飛び蹴りの体勢になる
──光速移動──テレポーテーション
高橋さんが黒翼の悪魔の目の前に移動した
「はあっ!」
黒翼の悪魔に向かって飛び蹴りをする
ガッ!
左腕で受け止める黒翼の悪魔
478 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 00:11:25.61 I
「まだまだぁ!」
着地した高橋さんがパンチやキックの猛ラッシュで攻める
黒翼の悪魔は全て避けた
「くそっ!」
黒翼の悪魔が右ストレートを放つ
「くっ!」
後ろにジャンプで下がり距離を置く高橋さん
凄い……
あたし達とはレベルが違う……
でも!
「ウチらも行くよ、香音ちゃん!」
「OK、里保ちゃん!」
高橋さんと、遥ちゃんを助けるんだ!
「うおおおお!」
──部分獣化──マンティス・アーム
2人で黒翼の悪魔に向かって行く
「へえ、獣化能力か」
「2人共、駄目やって!」
「「はあっ!!」」
479 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 00:12:25.73 I
黒翼の悪魔のお腹を狙って腕を伸ばす
バシッ!
「「うわっ!!」」
黒翼の悪魔が右手の甲であたし達を弾いた
「鞘師! 鈴木!」
ドサ!
勢い良く床に叩きつけられた
「いたたた……」
黒翼の悪魔が居る場所から10メートルくらい後ろまで飛ばされてた
強い!
あたし達の事、虫でも払うみたいに……
「香音ちゃん、大丈夫!?」
里保ちゃんがあたしに駆け寄る
「なんとか、ね……」
里保ちゃんは流石だね
上手く受け身をとったみたい
「鞘師に鈴木?」
480 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 00:14:06.32 I
後ろから声がした
「愛ちゃんに……黒翼の悪魔!?」
「一体どう言う事ったい……」
振り返ると新垣さんと道重さんと田中さんが居た
いつの間に?
「あれ、ここどこ?」
「わからん。衣梨達リゾナントにおったやろ。あ、高橋さん達みんな居るっちゃ!」
3人の後ろに聖ちゃんと衣梨ちゃんが現れた
「ガキさん達、なんでここに?」
「そんなのこっちが訊きたいわよ。さゆみんの家に居たのに突然……」
新垣さんが辺りを見回す
「ちょっと、ここって!?」
「……そうや。絵里達を失った場所や」
絵里って……亀井絵里さん?
「リゾナンター大集合、かな」
黒翼の悪魔があたし達を見る
「ちょうど良かった。会いたかったんだ、あんた達に」
黒翼の悪魔が振り返って高橋さんに向く
481 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 00:15:09.48 I
「あんたに何かあれば、仲間が集まると思ったから」
「それであーしを襲ったんか!?」
「そう」
「愛ちゃんに手を出すと、ただではおかんったい!」
田中さんが黒翼の悪魔に向かって行く
「れいな! ちょっと待ち!」
高橋さんも黒翼の悪魔を挟む様に向かって行く
「2人掛かり? 何人でも良いよ」
田中さんが低い姿勢から素早いパンチで攻める
黒翼の悪魔には全然当たらない
「腕を上げたね」
「あの頃とは違うと!」
高橋さんが黒翼の悪魔の真後ろまで迫る
「まあそれは、あたしも同じだけどね!」
ドドン!
黒翼の悪魔の回し蹴りが高橋さんと田中さんに当たる
「「ぐっ!!」」
2人がガードしながら後ろに飛ばされた
482 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 00:16:37.01 I
ザザッ!!
「やっぱ強か!」
上手く着地した2人
「まだまだ行くけんね!」
「れいな、落ち着きって!」
──光速移動──テレポーテーション
田中さんの前に現れて肩を掴む高橋さん
「何で止めると!? あっちが先に襲って来たっちゃろ!?」
「この状況おかしいやろ! ほとんどがここに集められて、何か目的があるはずや!」
「そうだね。あたしも話したいから、じっとしててもらおうかな」
黒翼の悪魔が両腕を広げる
──重力制御──グラビテーション
「「「「「「「「うわっ!!!!!!!!」」」」」」」」
ドン!
急に体が重くなって地面に押さえつけられる様に倒れた
立ち上がれない!
自分の体重が何倍にもなったみたい……
これが黒翼の悪魔の能力、重力を操る力!
「聴いてもらうよ。あたしがあんた達に会いたかった理由」
483 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 00:18:32.94 I
投下完了↑
>>477-482 『この地球の平和を本気で願ってるんだよ!』11
>>158 半月以上空きました……胸の方は大丈夫でしょうか。
>>164 お待たせしました。今回はどぅ出ずですみません。暑さのせいで遅くなった事にして下さい。
>>356-362 全スレ812さんのコメはリホナンター宛てでしたか。「スパイの話は面白い」と言う感想に思い上がって恥をかくところでした。いやー危ない危ない。今回も安定のりほなんと、乙でした。
>>リゾナンターΧの作者様
黒翼の悪魔も賛同している様子のマルシェの目的が非常に気になります。人物も魅力的で展開も裏切りの連続で、こんなに次回を期待させる作品を生み出せる才能が羨ましいです。
484 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 00:32:34.24 0
485 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 01:31:02.31 0
>>483 続き読んで更に高まりましたw最後には破裂するかも?
486 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 07:38:45.45 O
むむむ
487 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 13:12:05.77 0
昼保
488 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 16:32:45.00 0
夕方
489 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 17:58:56.54 0
>>483 スピーディーな展開が魅力的
こっちの話では後藤さんになんか思惑がありそうですね
次も待ってます
490 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 20:29:07.09 O
あげ
491 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 21:22:30.07 O
492 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 22:12:08.90 0
ホゼナンター!参上!!
ホゼナンターシリーズも好きだったなぁ…名もなきホゼナンターが陰ながら9人を支えていく話。。。
493 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 23:01:33.95 0
ホゼナンターおじさん?
494 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 23:20:15.29 0
かな?結構昔に読んだんで記憶あいまいかも?w
495 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 23:43:30.23 O
日陰にいてもホゼナンターさ
496 :
名無し募集中。。。:2013/07/26(金) 23:59:25.33 0
497 :
名無し募集中。。。:2013/07/27(土) 01:52:10.71 O
ねるなんと
498 :
名無し募集中。。。:2013/07/27(土) 02:39:45.02 0
>>496 おー!これですね〜ホゼナンターの中にリゾスレ博士がいますねw大変助かります
499 :
名無し募集中。。。:2013/07/27(土) 03:28:44.79 0
久しぶりに読んだら泣いた(T^T)。どんだけこのスレ名作揃いなんだ!
500 :
名無し募集中。。。:2013/07/27(土) 07:34:57.73 0
北の国から保
501 :
名無し募集中。。。:2013/07/27(土) 11:02:32.91 O
今日も暑い保全
502 :
名無し募集中。。。:2013/07/27(土) 13:27:33.77 0
蒸し暑い保
503 :
名無し募集中。。。:2013/07/27(土) 16:44:00.81 O
ほぜなんと
504 :
名無し募集中。。。:2013/07/27(土) 20:14:14.37 0
あげ
505 :
名無し募集中。。。:2013/07/27(土) 20:25:52.52 0
>>283-284 の続きです
☆
ねえ。
約束だよ。
もしもうちらのどちらかが道を踏み外した時は。
その時は、どちらかの手で。
必ずだよ。
☆
愛が、目を覚ます。
見知らぬ部屋だった。倒れこんでいた自分の周りを、後輩たちが囲んでいる。
「よかった。ここに着いた途端に高橋さん、倒れちゃうから」
聖が、愛の体に手を当てながら言う。
その顔には疲労の色が出ている。瞬時に光の力を放出した自分を、懸命に治癒してくれたのだろうと愛は理解した。
そうか。あーしはあの後、瞬間移動でこの廃屋の部屋にたどり着いて、それで限界になって…
そこで愛に疑問が浮かぶ。
瞬間移動?一体誰がそんな力を。
「まーちゃんの能力がなければ、今頃どうなってたか」
春菜の言葉で、にこにこしながらこちらを見ている優樹に目が向く。
「そっか。確か優樹ちゃんは瞬間移動の能力があったんだよね。でも、自分の近くにしか物体を移動できない限定
的な力だったんじゃ」
「んー。まさが目覚めたら何か大変なことになってたんで、とりあえずどっか行こうって思ったらここに来ちゃっ
たんです」
あっけらかんとそんなことを話す優樹。
そんなノリで能力が拡張してしまうのか、と呆れつつも、周りの人間は彼女の突発的な行動に感謝せざるを得ない。
が、愛にはまず聞かなければならないことがあった。
「そんなことより。どうしてこんなことになったのか。説明して」
気を取り直すように、表情を引き締める愛。
そもそも、なぜ「赤の粛清」と彼女たちが戦うことになったのか。前リーダーとして、彼女には知る権利があった。
促されるように、ぽつり、ぽつりと状況を説明する後輩たち。
里保や聖たちの話をしばらく黙って聞いていた愛だったが、やがて一言、
「それは拙速だったね」
とだけ言った。
若きリゾナンターたち、特に聖にとっては、胸を締め付けるような言葉。
「たとえ優樹ちゃんが人質に取られている状況だったとしても。あんたたちだけでどうこうできる話じゃなかった
よね。少なくとも、連絡が取れないさゆ以外の先輩たちに相談するべきだった」
「はい…」
優樹を助け出したら、隙を見て逃げ出せばいい。聖も、他の仲間たちも、そう考えていた。
だがそれは、大きな間違いだった。「赤の粛清」が自分達と戦うのが目的ならば、そうやすやすと逃がすはずはない
のだから。
聖も、衣梨奈も、香音も。里保ですら。明らかに顔色が悪い。
おそらく、先の戦いでの恐怖が徐々に蘇ってきているのだろう。これ以上、彼女たちを言葉で追い込むようなことを
するのは得策ではない。それに。
この子たちを導くのは、さゆとれいなの役目やよ。
自分はもうリゾナンターのリーダーではない。
きっかけは警察上層部の引き抜きだが、自分があえて喫茶リゾナントを離れさゆみやれいなに託したのは、もっと大
きな理由。ここでしゃしゃり出ては、その意味がなくなってしまう。
「とにかく。今日はもう帰んな。家に帰る前に、リゾナントに寄ってね。さゆやれいなが、心配してるはずだから」
「えっ…高橋さんも一緒じゃないんすか?」
不安げな遥に、愛はゆっくりと首を横に振った。
「あーしがついて行ったら、あの二人の顔を潰すことになるから」
おそらく。
さゆみやれいなは彼女たちを叱責するだろう。下手すれば全員生きて帰ることも叶わなかったかもしれない大事件だ。
そうなるのが自然の流れ。
できれば、一緒にリゾナントまでついて行ってあげたい。
ただ、それをしてしまえば色々なものが無に帰すだろう。
愛がさゆみやれいなに託した未来への思いも、そして後輩たちが自ら立ち上がるきっかけも。
明らかに今回の件で肉体的にも、精神的にも疲弊している面々。
それでも、そのか弱き背中を見送ることしかしてはいけない。愛は、自らの心を必死に鬼にしようとしていた。
●
ダークネスの本拠地。
建物の中央に位置する大講堂には、多くの人間が詰め掛けていた。
ストリート系の若者、学生風の女性、身なりを整えた紳士。老若男女その数、ゆうに百を超えている。彼らは、ある一
つの目的を持ってこの場所まで足を運んできた。
「よくもまあ、こんな僻地まで足を運べるよな。ゲートがなかったらおいらはこんなクソ田舎、ゴメンだね」
そんな様子を講堂の二階に設置された幹部席から眺めながら、「詐術師」が眉をひそめる。
「彼らには、必要なのよ。心の寄り辺がね」
まるで地面を動き回る蟻の営みを観察するが如く目を向けるのは、「不戦の守護者」。
その傍らには従者である「神取(かんとり)」が、数人。
「…あの黒いタンクトップの男。いつか組織を裏切るわ。鈴音、処置を」
「かしこまりました」
「神取」の一人、鈴音と呼ばれた女性は小さく頷くと、次の瞬間にはその場から掻き消えていた。
幹部席の眼下では、タンクトップの男が数人の黒服に取り押さえられ連行されてゆく。
その一部始終を見ていた「詐術師」がひゅう、と口笛を吹いた。
「組織の守護神、こんな時でも仕事が速いねぇ」
「仕方ないじゃない。”視える”んだもの」
「すごーい。こりゃ下手な行動は取れないってか。それより…」
気の無い相槌を打ちつつ、「詐術師」は気になっていた事を口にする。
「幹部連中、集まり悪すぎじゃね?なんでおいらたちしかいないんだよ」
「『永遠殺し』も来る予定だったんだけど。急な用事が入ったって、さっき連絡があったわ」
下の講堂から、ざわついた声がする。
目ざといものの一人が、最奥の壇上に現れた人物を見つけたからだ。
頭まですっぽりと覆っている、黒頭巾。
身に着けた黒い法衣と一体化し、その人物はまるで黒い影のように見えた。
「だ、ダークネス様がおいでになられた!」
「ダークネス様!ダークネス様!!」
大講堂のざわつきが、急激に大きくなってゆく。
老いも若きも、ダークネスと呼ばれる存在の名を、必死に叫んだ。
壇上に立った黒い影、それを集まった男女の声が大きく揺さぶる。
まるで炎をうねらす風のように。それが最高潮に達した時に、ついに影は口を開いた。
「…静粛に」
低い、しわがれた声。
しかし同時に、この場を覆いそして集いし者どもの心を掴むような、声。
先ほどまでの喧騒が嘘のように、ぴたりと全ての音は止んだ。
「我々が、能力者がこの世界を支配するためには」
言葉を、ゆっくりと吐く。
「能力者に相応しい世界に、作り変えていかなければならない」
その言葉は、少しずつ、だが確実にしもべたちの心にしみ込んでいった。
「これからも、一層の働きを期待している」
黒頭巾越しに、黒い影が群集を見る。
堪えきれなくなった者が、ダークネス様!と叫ぶ。それをきっかけに、狂熱の渦が再び巻き起こった。
「ダークネス様、闇の帝王ダークネス様!」
「ダークネス様万歳!!」
その瞬間、大講堂の心は一つにまとめられた。
全ては、帝王ダークネスのために。そして能力者が支配すべき、世界のために。
「さすがは『闇の帝王ダークネス様』、民衆の心を掴むのがうまいねえ」
そんな狂乱を遠巻きに見ながら、「詐術師」が息を吐く。
「中身はただのおっさんなのに」
闇の帝王、ダークネス。
組織と同じ名を冠した「組織の長」。ここに集まったダークネスの構成員が、そう信じている存在。
そして、中身のない、虚構の存在。
「どんな組織にも、わかりやすい記号は必要よ。それが、ピエロだとしても」
「つうか哀れすぎんだろ。あいつなんかついこの前までしがない一般構成員だったんだぜ?能力も確か、エロいものし
か動かせない念動力」
「代わりがいくらでもいる存在に、哀れみは必要ないわ」
代わり、という言葉に「詐術師」が声を上げる。
「でも、『赤の粛清』の代わりなんていないぜ。あいつ、どうすんだよ。完全に暴走しちまってるって報告が入ってる
ぞ。お前の予知能力で何とかなんないのかよ」
「さあ。あたしの能力は、あくまでも『組織に害をなす未来』を摘み取るための予知。それにひっかからないってこと
は、あの子がしようとしていることは『組織にとって正しいこと』」
あくまでも、冷静に。
「不戦の守護者」は淡々と自らの前に横たわる事実を述べる。
「確かに。i914は厄介な存在だし、いずれ障害になるならさっさと潰したほうがいいか」
「あたしの予知は、絶対よ」
「ま、お前の予知が外れたことなんてないからな。マルシェのやつだって、メチャクチャやってるように見えて組織を
いい方向へ導いてんだろ?」
「そうね…」
「詐術師」の言うように、変わり者の科学者のやろうとしていることもまた、組織にとって正しいこと。その、はず。
それでも、「不戦の守護者」は心に湧く小さな染みのような疑念を拭い去ることができない。
本当にそうだろうか。目に見えるものだけが、果たして真実なのか。
幹部席の下方では、支持者たちの喝采を浴びている『闇の帝王』が、両手を掲げて偽りの栄光を享受していた。
514 :
名無し募集中。。。:2013/07/27(土) 20:33:21.63 0
515 :
名無し募集中。。。:2013/07/27(土) 22:45:35.00 O
読む前保
516 :
名無し募集中。。。:2013/07/27(土) 23:58:56.02 0
まーちゃんのアンオフィがかわいいという情報が(´・ω・)!
Twitter sabotty (さぼてぃ)
ハロコン一人スレにあったんだか、これって伝説のあの人?
517 :
名無し募集中。。。:2013/07/28(日) 00:02:30.75 0
しかしその情報を流したのはまだリゾスレに居る私だ
ふははははははは
518 :
名無し募集中。。。:2013/07/28(日) 00:04:51.71 O
>>514 更新代理乙です
ダークネス様の中身がまさかマ○タスポーツだったとはw
519 :
名無し募集中。。。:2013/07/28(日) 00:49:23.72 0
>>517 えっと、つまり現住民の一言が巡り巡ってまたリゾスレ戻ってきたと?w
520 :
名無し募集中。。。:2013/07/28(日) 05:05:43.59 0
おはよう
521 :
名無し募集中。。。:2013/07/28(日) 08:19:35.65 O
新作期待あげ
522 :
名無し募集中。。。:
>>483 最初はスパイ視点が売りのネタ色の強い作品かと思ってたけどどんどん本格的な話が展開していくのに驚きです
次回は後藤の思惑が明らかになるんですかね
>>514 王道的展開と鈴音とかエロいもの限定念動力とかの小ネタのバランスが絶妙ですな
どちらも楽しみにしてますので続きを待ってます