小説「真実」

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1TONBA
推理小説系の小説を書いてみようと思います。
ま、もともと思いつきだから。
基本的に毎日更新ね。
2コナン:2001/05/25(金) 17:27 ID:UK1vFrOM
じっちゃんの名にかけて!
3TONBA:2001/05/25(金) 17:30 ID:csDwl326
>>2
レスしたあかんと思うけど聞いてくれ。
馬鹿
4TONBA:2001/05/25(金) 17:31 ID:csDwl326
加護が辻と言う存在を知ったのは、中学2年に上がる時のクラス分けの
時だった。
その時の加護と辻は、お互い友達がいて、お互いに名前も知らない
存在だった。
2年のクラスで、二人は一緒のクラスになった。
そして、二人の共通の友達を通じて、二人は始めて顔を合わせて
携帯の番号を交換した。

始めに携帯にかけたのは、加護だった。
次の日の宿題どこだったかを聞こうとしただけだったが、ついつい
話が広がった。
そして、次の日から、辻が加護に話しかけてくるようになった。
二人は、非常に良く似た性格だったので、すぐに仲良くなった。
しかし、そんな二人に、非情な運命が待ち受けていた。
5TONBA:2001/05/25(金) 17:34 ID:csDwl326

ある夏の日、加護と辻は、学校の帰り道、アイスを食べながら
家路についていた。
「あついね〜、あいぼん。」
二人は、あいぼん、ののと呼び合う仲だった。
「そうやな〜。ちょっと暑いな・・・・・・。」
と、夏バテ気味の加護が言った。
「今から、ゲーセンに行かない?」
と、辻が言った。
「良いね行こう!」

学校の帰り道、ゲームセンターに寄った。
そこは今、賞品付きルーレットを目玉商品にして、繁盛している
所だった。
「あ!賞品付きルーレットだって!やろうよ、のの!」
と、加護がせかしたので、辻は仕方なく参加した。
他にもたくさんの人がやっていた。
「うちは、黒12。ののは、どれにする?」
と、10枚のメダルを置きながら言った。
「え〜っと・・・・赤12かな?」
と、同じくメダル10枚置いた。

ルーレットは、赤の12に止まった。
「のの!当たったやん!」
と、加護が言った。
「賞品ですよ。」
と、店員が、インスタントカメラを持ってきた。
周りの人が拍手していた。
辻は、うれしそうに受け取った。
6TONBA:2001/05/26(土) 20:46 ID:P00T.frk

夜まで遊んで、駅で二人は分かれた。
「じゃあ、辻!また明日な!」
「うん!生きてたらあおうね!」
と、笑って言ってきた。
その言葉に加護は背中に悪寒が走るのを感じた。
(なに?なんだか不安になってきた・・・。)
加護は不安になったので、もう1度辻に声をかけた。
「のの!また明日!絶対だよ!」
と、言った。
「うん!ばいばい!」
と手を振りながら言って、辻は家へと歩いていった。
7TONBA:2001/05/26(土) 20:48 ID:P00T.frk

いつもの帰り道が、工事中だった。
回り道として、ホテル街を通っていった。
辻は、顔を真っ赤にしながら、歩いていると、前方に人影を発見した。
(あれ?あの人ってもしかして・・・・。)
と、辻がホテルから出てきたカップルについていった。
女性が横を向いた瞬間、辻はカメラを急いで取り出し、写真をとった。
そして、女性が一人になったとき、辻はその女性の所へと駆け寄った。
8TONBA:2001/05/27(日) 21:42 ID:Ek8fBaTE

加護は、AM1:00になっても寝れなかった。
仕方なく、携帯をいじっていた。
ふと、辻のことを思い出した。
(のの・・・・今何してるやろ?)
と思って、辻の携帯に電話をかけた。
なかなか電話に出ない。
出ないので、イライラして電話を切った。
そして、辻の家に電話した。
辻がでたら、文句を言おうと思ったからだ。
すると辻の母親が出てきた。
「あの、2年の加護ですけど、辻希美さんはいますか?」
と、加護は聞いた。
辻の母親は、涙声で言った。
「じつは先程、希美が・・・・・・・・・。」
加護は携帯を床に落とした。
9TONBA:2001/05/27(日) 21:45 ID:Ek8fBaTE

加護は夜なのに辻の家に行って、事件の事に付いて聞いた。
警察の話では、ビルの屋上に置かれていて、靴があってその横に遺書が
置かれていたらしい。
両親は現場の写真を見せてもらったらしく、その写真の内容を加護に教えてくれた。
加護はそんな事、とても信じられなかった。

加護は遺品を見せてもらおうと思って辻の両親に言った。
なんとなく、遺品を見せてもらえれば安心する気がしたらしい。
両親は快く引き受けてくれた。
見せてもらった遺品は、どれも靴の横にあったらしい。
しかし、加護は違和感を感じた。
(何か足りない・・・。何か・・・。)
と、思ったが、何かわからなかったので、心に閉まっておくことにした。
「おばちゃん、希美ちゃんは最近・・・変な態度とってませんでした?」
と、加護は聞いてみた。
「・・・そうねぇ・・特に無いわね・・・。」
辻の母親は、一生懸命考えた。
「あ、そうですか・・・。ちょっと、希美ちゃんの部屋見せてください。」
「いいですよ。」
と、辻の母親は2階の辻の部屋まで案内してくれた。
10TONBA:2001/05/28(月) 20:53 ID:it4m5W6s

辻の部屋はちょうど蛍光灯が切れていて暗かった。
「じゃ、明日の用意があるから・・・。」
と言って、辻の母親は階段を下りていった。
「さて・・・。」
と、加護は辻の机を物色し始めた。
(ののは、日記書いてたはずやから・・・。ここかな?)
と、辻の日記を探し始めた。
引き出しを適当に物色していると、青いノートを見つけた。
(これかな・・・・・。)
と、中を見てみた。
それは、日記帳だった。
(あ、ののの日記帳や。どれどれ・・・。)
その日記帳は今年のものらしく、加護のことばかりかかれていた。
加護は悲しくなって涙が出てきた。
(のの・・・どうして?)
11TONBA:2001/05/28(月) 20:57 ID:it4m5W6s

加護は、その日記帳を机において、次は部屋を物色し始めた。
ありとあらゆるものを物色した。
ふと、壁を見るとそこにはポスターが貼られていた。
2人組のユニットらしいが、加護は良く知っている人だった。
(これは・・・。)
と、近づいていくと辻の母親が来た。
「加護ちゃん・・・今日はうちに泊まる?」
と聞いてきた。
「え・・・・・。いいのでしたら母に聞きます。」
加護は電話を借りて、家に電話した。
加護の家は、みんなおきているらしく、電話にすぐ出た。
辻に家に泊まって良いか?と聞いた。
加護は多少ごねたが、泊まって良いと言われた。
明日の朝、家に帰るとの、条件付だった。
辻の母親は、辻の部屋に泊めてくれた。
加護は朝まで部屋を物色しまくった。
特に何も出てこなかったが、加護はひたすら物色しまくった。
12TONBA:2001/05/28(月) 20:58 ID:it4m5W6s
ageてみよう
13TONBA:2001/05/29(火) 23:29 ID:yWO1hBdo

次の日、辻のお通夜が行われた。
通夜が始まる前に、加護は簡単な取調べを受けた。
その後、色情に行くと喪服姿の生徒がたくさんいた。
先生も発見した。
加護はみんなの輪に入らず、一番後ろの席でひとり泣いた。

お通夜が終わり、加護は家に帰って、昨日の事を思い出していた。
(たしか、学校終わって、帰りにゲーセン行って・・・・・。)
と、順順に整理していくと、加護は重要な事を思い出した。
(あ!あれか!そうやあれや!)
と、加護は辻の家に走っていった。
そして、辻の母親に聞くとやはりそうだった。
加護は自殺現場を教えてもらい、そこへ走っていった。
14TONBA:2001/05/29(火) 23:35 ID:yWO1hBdo

そのビルの屋上に行くと、花束と線香が置かれていた。
線香はまだ煙を出していた。
加護はその事に気付かず、ひたすらある物を探していた。
(ないないない!)
加護は下に降りて、辻が落下した場所の近くも探した。
(やっぱり無いよ・・・。大変だ・・・。)
加護は急いでちかくの交番に駆け込んだ。

交番で、加護はそこにいたおまわりに言った。
「あの・・・・昨日自殺した子のことについてなんですけど・・・。」
と言うと、加護を中に連れて行った。
中で話を聞くらしい。
「実は・・・昨日死ぬちょっと前まで一緒だったんです。」
と言うと、おまわりが言った。
「はい。それは知ってます。で?」
と言ってきた。
加護は、一応簡単な取り調べは受けていた。
「実は・・・カメラがないんです。」
「は?」
加護が言うと、おまわりが聞き返した。
「一体なんのカメラ?」
と聞いてきた。
加護はその日のことを全て話した。
15TONBA:2001/05/30(水) 21:24 ID:RWjlUt5c

「あ、っそう・・・。で?」
おまわりの反応は意外とあっさりしていた。
「捨てたかもしれないのに、そう言うことは言わないでくれ。
 仕事がややこしくなる。」
と言って、交番の外へ追い返された。
(なんやねん!うちは・・・うちは・・・本当の事が知りたい・・・。)
加護はそう思ったが、どうすればいいかわからなかった。

辻に他殺の可能性があると考えたのは、この世に加護だけだった。
警察は、もう動いてないし、両親も自殺と認知している。
加護はどうしようもない、いらつきを感じていた。
(どうしたらいいんやろう・・・。警察はダメだし・・・。)
加護はそう思いながら商店街を歩いていた。
と、ふと電柱を見ると張り紙がはってあった。

≪浮気調査から事件の捜査まで。なんでも調べます お気軽にご相談ください
中澤私立探偵事務所 電話番号××○ー○△■☆ー◎▽★◇
 住所 ○○駅前のビル4階≫
16TONBA:2001/05/31(木) 22:44 ID:BVgnXFIg

加護は、すぐにその張り紙の住所まで歩いていった。
そこは、とっても大きいビルで20階建ての高層ビルだった。
加護は、すごいな〜。と思ったが、良く事務所を思い出すと事務所は
4階だけだった。
4階までエレベーターで行った。
その階をうろうろして、やっと事務所を見つけた。
それは、階の端っこで、周りにはダンボールがたくさん置いてある
どんよりとした雰囲気の場所だった。
加護は恐る恐るドアを開けて言った。
「あ、あの・・・すいません。」
そこに湯呑みが飛んできた!!
スコーン
いい音がした。
17TONBA:2001/06/01(金) 22:18 ID:ZdatY3d.

加護は、気が付くとソファーで寝ていた。
頭がなぜか痛い事に気づいた。
「大丈夫か?」
と、一人の女性が言ってきた。
加護は何がおこったかわからなかったが、とりあえず起き上がった。
「え・・・っと・・・。」
と、加護が何か言おうとするとその女性が言った。
「悪かったな。湯呑みを頭に当てて。」
加護は頭の痛みの正体を知った。
「いえ・・・。」
加護は頭を押さえた。
またその女性は言った。
「ここは中澤私立探偵事務所や。なんの用事?」
「えっと・・・・友達の自殺の事に付いて調べて欲しいんですけど・・・。」
加護は思い切って言ってみた。
「は〜面白そうな依頼やな。」
その女性は興味を示した。
「そうそう、名前言うてなかったな。私は中澤。よろしく。」
と、握手を求められた。
加護は握手一応、応じた。
18TONBA:2001/06/02(土) 23:31 ID:9WfZGuls

「で、依頼の話やけど・・・。」
と、中澤が加護を応接室に連れていきながら言った。
中澤は応接室の扉を開けると、加護を席につかせた。
「依頼金の頭金として3万円必要ですわ。最終的には、40万必要です。」
「えぇ!そんなお金・・・持ってないです。」
「そうですか・・・そしたら残念ですがこの話は無かった事に・・・。」
中澤が席を外そうとした。
その時、加護が慌てて言った。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください。」
すると、中澤が加護を見ていった。
「どないする?真実を知るか、自殺とされている現実を受け止めるか・・・。」
その言葉に加護は心を決めた。
「わかりました・・・。お金は何とか用意します。頭金の3万は・・・これで。」
ポケットからそっと小切手の束を取り出し、ボールペンを手に持った。
「なんやその小切手?」
「それは、私の勝手でしょう。・・・・これでよし。3万円、確かに渡しました。
 領収書を。」
3万円と書いた小切手を中澤に渡した。
中澤は唖然としたが、我に返り領収書を取り出した。
「あ・・・。ほいほい・・・っと。これでええか?」
と、領収書を加護に手渡した。
「はい。ありがとうございます。」
「ええねん。こっちも仕事やから。で、その事件に担当する人やけど・・・。」
と、中澤が言いかけると誰かわからない女の人が出てきた。
「わたしにやらせて!!!!!!」
19あ名無し娘。:2001/06/03(日) 21:32 ID:5HaSj5EM
いいね!
20TONBA:2001/06/03(日) 23:07 ID:l5i.4QhE
>>19
このスレ開始から、初めて褒めてもらった・・・・。
感激です・・・・。(泣)

言いにくいですが、今日はちょっと無理です。
明日更新します。
よって保全
21TONBA:2001/06/04(月) 22:32 ID:XBtEE9Js

その女の人は眼鏡をかけていて、とても背が高い人だった。
「ねぇ、お願い!裕ちゃん!やらせてよ〜!」
おねだりしている。
「なんやねん圭織!こっち寄ってくるな!」
腕をつかんで、中澤の腕に頬をすりすりしている圭織と言う人に向かって
中澤は言った。
「あ、ごめんな。ちょっと待って。こいつどかせるから。」
そう言うと、中澤は廊下に出て圭織という人を突き放した。
そして、圭織と言う人をおいて部屋に入り、扉のかぎを閉めた。
「ごめんごめん。で、担当は安倍なつみと言う人にしてもらうから。」
今度は外で泣く声が聞こえた。
「ちょ、ちょっとごめん。」
と言うと、中澤は廊下の圭織と言う人に向かって、注意した。
「うるさいねん!ちょっと静かにして!」
「だって・・・。」
「駄々こねるな!」
と言うと、また部屋のかぎを閉めた。
「あ、あの・・・・。」
心配になってきた加護が中澤に声をかけた。
「だ、大丈夫や。で、今から安倍なつみの所にいって欲しいねんけど・・・。」
「今どこにいるんですか?」
加護が中澤に聞いた。
22TONBA:2001/06/05(火) 22:01 ID:C43TTwdQ

加護が、貰ったメモを持って、事務所を出て行った。
あの後、中澤の背後から、圭織と言う人が泣きながら言ってきた。
「ゆ〜ちゃ〜ん!ど〜してなっちなの?」
「しっかりしろ!飯田圭織!次期社長候補やねんで。それにあんたには
 他のと〜っても大切な仕事が・・・・。」
というと、飯田が泣き止んだ。
「大切な仕事って何?ねぇ?ねぇ?」
と、せまってきた。
中澤は後ろに引きながら、飯田に言った。
「あのな・・・あの加護って子、小切手持ってたやろ?だから素性が気になんねん。
 で、圭織に調べてきて欲しいねんけど・・・。」
飯田がにやっと笑って言った。
「任せといてよ!素性調査なら、圭織めっちゃ得意!」
胸を張って飯田が言う。
「ところで報酬は?」
中澤は少し考えた。
「・・・・今度の給料1.5倍にしてあげる。」
「オッケーーー!じゃ、行ってきま〜す!」
飯田はさっさと走っていった。
(真実か・・・。)
中澤は先程加護に言った言葉を思い出していた。
23名無し娘。:2001/06/06(水) 01:15 ID:6oGijVI.
おもしろいっぽい
24TONBA:2001/06/06(水) 16:47 ID:retRqNLw

加護は、おしえてもらった住所の所に行った。
そこは、10階建ての高級マンションだった。
安倍は6階の608号室にいるらしい。
加護はエレベーターで6階まで上がっていくと、608号室を発見した。
チャイムを鳴らす。
「うん?誰だべさ・・・・。」
寝起きの安倍が現れた。
「あの・・・中澤さんに言われて・・・ここまで着たんですけど・・・・。」
「仕事だべか?どんな仕事?迷い犬探し?それとも不倫調査?」
「いや・・・親友の自殺の真相を知りたくて・・・。」
その言葉を聞くと、目の色を変えた。
「ホントだべか!?ああ、苦節3年!このような事件を待ってただべさ!で、で?」
と言うと、加護を中に入れた。
25TONBA:2001/06/06(水) 16:50 ID:retRqNLw

安倍は加護を座らせて、お茶を出すと事件の事について聞いてきた。
加護は辻のこと全て話した。
すると安倍は、加護に向かって言った。
「加護ちゃんにも手伝ってもらう事になると思うけど、お願いね。」
「はい・・・。で、一体何を手伝うんですか?」
と、加護が聞いた。
「えっとね・・・・まずは探偵の基礎をかる〜く覚えてね。それまで私一人でするから。」
と言った。
「え、あの〜。仕事するわけでは・・・・。」
と、基礎を覚える事に抵抗を感じた加護が安倍に言った。
「うちの事務所の方針で、依頼者は探偵入門コースを無料で受講できるんだべ。
おとくじゃない?エヘ!」
と、安倍が言った。
加護は驚いた。
まさかこんなでたらめな探偵事務所に頼んでいるとは思わなかった。
26TONBA:2001/06/07(木) 22:42 ID:kUuy0ozM

「じゃあ、裕ちゃんの所に戻っといて。なっちは、調べてくるから。」
加護と同時に部屋を出た。
て言うか加護を締め出してついでに安倍も外に出た、と言う感じである。
仕方なく、加護は中澤私立探偵事務所に戻った。
中には中澤と、ちっちゃい人がいた。
「ねぇ、裕ちゃん。こんな所呼ばれても困るんだけど・・・・。」
ちっちゃい人が言っている。
「でもな、今回は事件性もあるからあんた等の協力が必要やねん。」
中澤が言っている。
「でも・・・・。」
とちっちゃい人が言った時、加護がドアを開けたのに二人は気付き
加護のほうを向いてきた。

加護はとっさに言った。
「だれですか?」
中澤は親切に答えてくれた。
「警視庁副総監の矢口真里さんや。この若さでそこまで登りつめるんやで。
この子はほんまにえらいこやわ〜!」
そう言う風に矢口を褒め称えた。
「何言ってるんのよ〜裕ちゃん!裕ちゃんだってそれぐらいは出世したじゃない!」
「あ、あのなんでそんな偉い人がここにいるんですか?」
と、加護が遠慮気味に言った。
「あんたの事件のことや。それだけ。」
と言った。
「じゃあ裕ちゃん、もう帰るから。上にはちゃんと言っとくよ。」
と言って矢口は帰っていった。
27TONBA:2001/06/08(金) 22:53 ID:2VrYgwvs

「あ、あの安倍さんに追い出されたんですけど・・・・・・。」
加護は安倍と会ったときのことを話した。
「あ〜それはなぁ、安倍が真剣に事件を解明してやろうと思ったときにする行動や。」
「え?どう言うことですか?」
加護が驚いた様子で言った。
中澤が、その事について、話してくれた。
「詳しい事は言われへんけど・・・・。ところで人出足らんから、探偵ならへんか?」
「丁重にお断りします。」
加護は頭を下げた。
中澤は残念そうな顔をしている
「ま、なっちの手伝い言うてもあの子は優秀やから、なんもせんでも大丈夫や。
 ま、ほっといてみ。すぐにレポートが届くわ。」
その日は加護を家に返した。
もう1つの仕事のために。
28TONBA:2001/06/09(土) 22:26 ID:XHbK0jx2

飯田は加護の後を追いかけていた。
尾行について飯田は、多少なり自信があった。
見事、家まで気付かれず(?)についていった。
ごく普通の家だ。
(いや、そんなことは無い。何か隠されてるはず。)
飯田は思った。
なぜなら、普通の家庭の子なら小切手なんか持ってないだろう。
そこで、尾行を中止して、飯田はコンピューターの使える喫茶店に入店した。
広い空間にの喫茶店の中の無料のパソコンを使って、加護の個人データを
盗もうとした。
先程調べた住所を入力すると、簡単に個人データが出てきた。
(加護亜依は・・・・あった!)
と、そのページを開いた。
≪加護亜依 13歳 Kミュージック・エンター副社長≫
「はぁ!!!!????」
飯田はつい大声をあげてしまった。
周りのお客さんに睨まれる。
飯田は謝りながら座った。
29TONBA:2001/06/10(日) 23:09 ID:qQkZ3js.

次の日、中澤は飯田の報告書を見てビックリした。
「Kミュージック・エンターって言うたら、あれやん!今年、株価トップに
 なった所やん!」
と言った。
「そうなんだよ〜。ビックリでしょう?」
飯田が言ってる所に加護が来た。
「すいませ〜ん、今日は午後からはこれないので午前中に来ました〜。」
笑いながら加護が部屋に入ってきた。
「あれ?今日の午後に安倍からの報告書が届くって昨日電話で言うたのに・・・。
 聞いてないんか?」
飯田からの資料を机の下にとっさに隠して中澤が言った。
「いや、今日の午後はこれませんから、こっちに報告書をファックスで
 送ってください。」
番号を書いた紙を渡し、加護が帰ろうとして、飯田の横を通った時、加護が囁いた。
「ダメですよ・・・勝手に人の家までついてきたら。」
飯田の尾行はバレバレだった。
飯田はショックを受けた。
30TONBA:2001/06/11(月) 21:51 ID:kIHKTYj.

加護は、副社長室にいた。
普段はこんな所にいたりしないが、物思いにふけるにはここがちょうど良かった。
一人っきりになれる空間で、静かな場所・・・ここは加護にとってそう言う場所だった。
(のの・・・・・。)
加護は辻との事を思い出していた。
その時、1階の受付から電話がかかってきた。
「もしもし。」
加護が受話器を取って話した。
『実は、naturalさんが、社員バッチを無くしたらしいんですが・・・。』
受付の人が言った。
「あ、そう・・・。再発行の許可をだします。naturalは今や、アイドルの頂点だしね。」
電話を切った。
31TONBA:2001/06/12(火) 22:12 ID:tlqmqEbs

そのまま、2時間が過ぎた。
辻のことをその間ずっと考えていた。
なぜこれほど暇かと言うと、これからの説明どおりである。
副社長とはいえ仕事は、社員バッチの許可を出すだけである。
Kミュージック・エンターは規律が厳しく、社員バッチの紛失はリストラの
対象である。
そしてそのバッチは朝、入社する時に警備員に提示しなければいけない。
過去に一度、前例としてそこそこ売れていた歌手をリストラしたことが
あるので社員と歌手のみんな、バッチを無くす事を恐れている。
もちろん再発行中止を言ったのはその時、12歳の加護である。
しかし、naturalはいまや事務所の稼ぎ頭となっているので
特例としてリストラ対象とはならなかった。

それからファックスがくるまでその部屋にいた。
夕方からは歌手の編成会議に出席しなければいけないので
中澤のところにはいけなかった。
だから部屋までファックスで送るように頼んだのだ。
なかなかファックスが来ないので、イライラして待っていた。
(あと、6:00まで15分しかないやんけ。早くしてや・・・。)
加護のイライラは限界近くに達していた。
机のへこんでいる個所が、1分づつ増えていった。
しかし、結局6:00までにはファックスが来なかった。
加護はイライラしながらも、仕方なく会議室へと移っていった。
加護が部屋から出て2分後、ファックスが届いた。

<TO あいぼんへ 明日の12:00に、なっちの部屋にきてください。>
<調査について報告します。 FROM なつみことなっち        >
32TONBA:2001/06/13(水) 21:12 ID:pe73tX76

翌日、加護は12:00に安倍の家まで行った。
加護は、部屋の前まで来ると、チャイムを60回連続で鳴らした。
安倍は出てこなかった。
加護は仕方なく、さらにチャイムを押しつづけた。
そして、ドアも叩いた。
10分して、やっと安倍が出てきた。
「なんだべ・・・・。借金取りなら帰って・・・あ!あいぼん・・・。どうぞ。」
ドアを開けて加護を見た瞬間に加護との約束を思い出したようだ。
加護は中に入ると、安倍が加護を座らせ、話し始めた。
「悪かったべ。わざわざ家まできてもらって・・・・。報告書の件だけど・・・。」
引出しから報告書を取り出して、加護に手渡した。
33TONBA:2001/06/13(水) 21:19 ID:pe73tX76

安倍の報告書

その1.警察に確認を入れた所、確かに遺留品に、カメラは無かったそうだ。
その2.警察は辻の自殺に関して、これ以上の捜査を無駄と判断し、捜査打ち切りとした。
その3.飛び降りした場所は、Kミュージック・エンターのボロビルとわかった。
その4.辻の死因は全身打撲となっている。が、この情報が怪しいとなっちは考えている。
その5.自殺か他殺かと言われれば、現時点では自殺としか考えられない。
その6.現場には壊れた南京錠が階に1つづつ落ちていた。これは加護が1度来た時に壊したものと考える。
その7.遺書の内容は現在調査中。どうもパソコンで打たれたものらしい。
34TONBA:2001/06/15(金) 00:03 ID:dvEVPeE.

「・・・・・。」
加護は、その報告書を食い入るように見た。
「で、なっちはその現場に行きたいんだけど、場所がわかんないの。だから副社長に案内してもらおうと思って・・・。」
「どうして副社長と知ってるかわかりませんが・・・わかりました。
 真実に近づくためつれていきますよ。」
早速、加護と安倍はそのビルまで行く事にした。

加護はそのビルにくるのは2回目だった。
前回きたときは、自分の会社のビルと言う事も知らず、南京錠を壊して入った。
でも、今回自分の会社のものだとわかったので、鍵を本社から秘書に送ってもらい
屋上まで出た。
以前は線香が上がっていた場所には、しおれかけた花しかなかった。
線香は燃えきってしまったらしい。
(あたりまえか・・・・二日前だもんね・・・・。)
と、安倍が持ってきた花と線香を供えながら思った。
「あいぼん、この辺りを調べるから、ここにいてね。」
と言うと、安倍はさっさと調査に行った。
加護は、どうせ何も出てこないと思っていた。
そこで、持ってきた安倍の報告書にもう一度目を通す事にした。
そうしていると、再び屋上に上がってきた安倍が大きな声で加護を呼んだ。
「あいぼん、なんか変な人が追いかけてくる。」
と、加護を安倍のほうへ誘った。
35TONBA:2001/06/16(土) 22:12 ID:rxeDZn3c

加護は急いでそこへ行った。
「だれですか?あなた?」
警備員の人が安倍に言っている。
「あの・・・保田さん?あの・・・加護ですけど・・・。」
加護がそこに行くとすぐに警備員風の人に言った。
「あ、Kミュージックの社長のご家族の方ですか。ところでこちらの方は
 どちら様でしょうか?」
警備員の保田が言った。
「その人は私の知り合いだから。あと、この事はおじいちゃんに内緒にしててね。」
「わかりました。」
そして保田が1階に下りていった。

安倍は加護に言った。
「どうして、見た瞬間に保田って言う名前がわかったの?」
加護は、普通に答えた。
「え・・・・・胸に名前が入ってるでしょう?」
「え〜!!なっちぜんぜん気付かなかったよ。」
笑いながら言った。
加護は思った。
(こんな観察力の無い探偵で大丈夫だろうか・・・。)
とても心配になった。
36てうにち新聞新入社員:2001/06/18(月) 10:37 ID:F9Yhb0LE
面白いからお気に入りに登録しておきますね。
これからも毎日覗こうと思います。
体育祭の代休のいい暇つぶしになりました。(良い意味で)
37TONBA:2001/06/18(月) 22:57 ID:qNdtFBh6

加護はその後、安倍と分かれて家に帰った。
加護はすぐに部屋に入り、今日の事と報告書の事を考え直した。
(ビルは私たち会社の管理化・・・・。南京錠がかかっている・・・・でもその南京錠は
 ぼろくてすぐに壊れるものだった。つまり誰でも入れた。)
と、推測する。
(辻の自殺は地方の新聞は取り上げたけど、全国的にはあまり知られてないから
 各地から線香をあげにこないよね・・・・。で、自殺の場所を知っているのは
 犯人と私と両親と警察関係くらいか・・・・花を供えたのは、この中の誰か・・・・。
 で、両親は現場を見たくないみたいだったから、犯人があげたものと見て間違いないよね?
 だから他殺ならばこの辺りの人間が犯人かな・・・・?)
加護は犯人探しの事をここまでにして、現在の辻の死亡原因の可能性について考えた。
(辻の自殺の可能性が現時点では90%・・・約8%が事故・・・・残りは他殺・・・・。
 のの・・・・・やっぱり自殺なの?)
加護はそう思うと、悲しくなった。
(どうして・・・・自殺なら私に相談してほしかった・・・。のの・・・・・。)
涙があふれてきそうになったが、それを抑えて我慢した。
38TONBA:2001/06/18(月) 23:10 ID:qNdtFBh6
>>36
こんな書き込みがあると多少励まされますね。
頑張ります。
39名無し娘。:2001/06/19(火) 18:47 ID:I3rJOWuU
つーか毎日更新って尊敬しますよ
40TONBA:2001/06/19(火) 22:32 ID:ye6yKWX2

次の日、加護は久しぶりに学校に行った。
仕事や安倍のお手伝いであまり行ってなかった。
学校に行っても、辻の席には当然のように人気が無かった。
机の上には菊の花がそえられていた。

加護は、特別に何かすることなく、家に帰った。
家に帰ると、携帯電話が鳴った。
「もしもし?」
加護が電話に出た。
『あ、中澤やけど・・・。ちょっと事務所に来てくれへんか?』
「はい。じゃあ6時ごろに行きますから。」
言って電話を切った。
41TONBA:2001/06/19(火) 22:33 ID:ye6yKWX2

6時近く、加護は事務所についた。
中澤に応接室まで連れて行かれて、座らされた。
「あのな・・・・・あんたの依頼の件やけど・・・。安倍が何か確信を掴む為に
 情報屋に行ったみたいなんや。」
中澤が心配そうにこう言った。
「ただな・・・情報屋の人と、安倍はあんまり仲良くないんや・・・。
 だからちょっと様子見てきて欲しいんやけど・・・。」
「飯田さんに頼んだらどうですか?」
「飯田はな、他に仕事があるねん。うちが行ってもええねんけど
 うちもあんまし仲良くないし・・・・。」
「・・・・・わかりました。場所はどこですか?」
中澤はメモ用紙に地図を書き、それを加護に渡した。
「安倍はさっき行った所やから、ちょっと遅れて着くぐらいになるやろう。」
加護は早速タクシーをひろい、もらった住所の所まで行ってもらった。
42TONBA:2001/06/19(火) 22:35 ID:ye6yKWX2
>>39
たまに出来なかった時もあるけどね。

そんなに珍しい事なの?
43TONBA:2001/06/20(水) 21:57 ID:JUUOG0Do

そこは、地下に潜っているバーって感じの場所だった。
とりあえず中に入ろうと思い、ドアを開けた。
「だから、お願いだって!頼むよ。ねぇ?」
安倍の声が聞こえた。
「でもですね、プライバシーとかいろいろあってややこしいんですよ。」
誰かわからない女の人の声がする。
「お願いだよ。依頼者のためだと思って・・・・・。」
「ダメです〜。帰ってください。」
と、女の人が言った時、加護が中へと入っていった。
「どうしたんですか?」
「あ、あいぼん。こちらは、情報屋の松浦亜弥さん。」
「はじめまして。」
松浦が頭を下げる。
「あ、どうも・・・・・。」
加もに頭を下げた。
「あのぉ・・・・なんの話してたんですか?」
加護が二人に聞く。
「亜弥ちゃんに、調べて欲しいことがあったんだけど、なんかいやだって
 言うんだよ。」
「だって・・・あちらから圧力がかかってるんだよ・・・。常連のあなたになら
 言ってもいいけど、圧力かかってるとちょっと・・・・。命狙われるし・・・・。」
松浦がカウンターの奥へと入っていこうとした。
44TONBA:2001/06/20(水) 21:58 ID:JUUOG0Do

「ちょっと待ってください!」
加護が松浦に言った。
「お願いです!私の親友の自殺の真相が知りたいんです。なんでもしますから!」
加護はその場に土下座した。
「お願いします!」
「でも・・・・・・。」
「ねぇ、亜弥ちゃん、お願いだよ。なっちもこの通り。」
安倍も土下座した。
「・・・・・わかりました。頭を上げてください。」
松浦が二人に向かってそう言う。
二人がその場に立つと、松浦が言った。
「ただし、条件が二つあるよ。・・・1つは報酬として2億円払う事。
 もう1つは私の命を守る事。いいかな?」
「2億も、命を守る事も全ての条件を呑みます。だから!」
加護が一歩前に出て言う。
「・・・・わかった。そしたらとても重要な事教えてあげます。」
松浦は手帳を取り出した。
45TONBA:2001/06/21(木) 22:35 ID:GAuQjsoM

松浦は手帳から一枚の紙切れを取り出した。
「これは、現場に落ちてた紙です。個人的に指紋を調べた所、実はそこに
 いるはずのないあの人の指紋がついてたんです・・・。」
「それは誰?」
安倍が一歩前にでて、興奮気味に催促する。
「まぁ、ちょっと落着いてください。」
安倍をなだめる松浦。
「いろいろ犯罪者の履歴を調べたんですが・・・同じ指紋の人がいなかったんです・・・。」
松浦が店内をうろうろしながら語りつづける。
「それでいろいろな筋の人から話を収集した所、大変な事がわかりました。」
松浦がある地点で止まって二人のほうを向いた。
「・・・・指紋の持ち主は・・・。」
46TONBA:2001/06/22(金) 22:43 ID:b/Viqv2k


加護は会社に所属しているあるアーティスト二人組みに電話をかけた。
そして会社に収集した。
二人のマネージャーも同時に収集した。
「・・・・・・。」
加護は会議室の椅子から窓の外を見てぼんやりしていた。
まさかこんな身内の指紋が現場から出てくるなんて・・・・。
どう言うことか、一応副社長として聞いておく必要がある。
辻の親友として意見を聞きたいが、今回は副社長として意見を聞くことになる。
ぼんやりしながら窓の外を見ていると、そのユニットのマネージャーがやってきた。
「すいませ〜ん。naturalもうすぐ入りま〜す!」
加護は入ってきたマネージャーを見た。
「なんだ・・・・後藤真希か・・・。二人は?」
「いま〜タクシーから降りた所で、二人とも急いでトイレに行ったよ。」
「ふ〜ん・・・。ところでお前、敬語使えよ。」
「え〜!いいじゃない!同じ年頃だし〜。」
加護が後藤の態度にあきれて再び窓の外を見ようとしたところに
二人がやってきた。
「すいません。吉澤、遅れました〜。」
「ごめんなさ〜い。梨華、遅れました〜。」
47TONBA:2001/06/24(日) 00:37 ID:5eDAlwZs

加護が二人とマネージャーを机を挟んで向かいの席に座らせて、話を始めた。
「この間、この辺りのビルで飛び降り自殺あったの知ってるか?」
まず3人に知ってるかどうかを確かめる。
「はい・・・何でも副社長の中学校の同じクラスの人が自殺したとか・・・。」
吉澤がそれに答える。
一応3人全員知ってるようだ。
「実は、そこの現場からお前達に指紋が出てきたって警察から連絡があってね。
 心当たりあるかな?」
加護がそう言うと、後藤が答えた。
「その時間は、ちょうど撮影が終わり、解散した時間ですので
 みんな一緒にいました。」
「ふ〜ん。そう・・・・わかった。」
加護は机の下にこっそり安倍に貰った盗聴器をつけて、部屋を出て行った。
48TONBA:2001/06/24(日) 20:54 ID:mUvvEKVY

加護が別室で安倍と合流して、でイヤホンを耳に当て、その部屋で待機していた。
「安倍さん、こんなことして大丈夫なんですか?」
安倍の指示で行った事だが、やはり心配なようだ。
「大丈夫だよ。それにもし、この事件がこの3人のうち誰かが殺人をしているなら
 これが捜査の資料となるから。」
安倍が盗聴内容を録音するテ−プをセットする。
「まだ、3人とも何も話しませんね。」
加護がそう言った時、誰かが言った。
「ばれてるじゃん・・・・。どうするのよ・・・・。」
「この声は・・・・石川?」
加護が驚きのあまりつい声を出してしまう。
石川はそのハスキーボイスで、男性をとりこにしている普段おとなしい子である。
まわりの人がそう思って無くても加護は間違いなくそう思っていた。
「ねぇ、どうするのよ・・・・・。」
おそらく石川の横にいるであろう2人に石川が再び言う。
加護は衝撃を受けた。
「あいぼん、ちょっと落着こうよ。ね。」
加護は安倍の声で我に返った。
気が付くと、コップを持つ右手が震えている。
怒りか、悲しみか、憎しのどれかの感情で加護は動かされていたのだろう。
「うん・・・・。」
そうして、2人は静かに3人の会話を聞き始めた。
49TONBA:2001/06/24(日) 21:21 ID:mUvvEKVY

「どうしろっていわれても・・・・・。」
後藤が石川に向かって言ってるみたいだ。
「ねぇ・・・・その事は言わないって約束・・・・・。」
吉澤が石川に言いかけたところで石川が吼えるのが聞こえる。
「馬鹿ぁ!警察が動いたら、私たちはもうおしまいよ〜。
 芸能界引退はあたりまえ。そしてその後・・・・。あぁ!考えるだけでも
 ぞっとするわ!」
「でもぉ・・・・まだ警察が動いたわけでは無いんでしょう?」
後藤が石川か吉澤か言ってるみたいだ。
「だったら、そんなに焦らなくっても良いんじゃない?」
「動いてからじゃ遅いのよ!」
石川が机をすごい勢いで叩く音がした。
「何これ〜?盗聴器?」
その衝撃で盗聴器が机の下から落ちたみたいだ。
「誰、これ仕掛けたやつ?逆探知で、見つけてやろうか?」
石川がそこかわいい声で言うので、迫力が無いが、そんなことされてはたまらない。
受信機につけていたテープを取り、安倍が動かない加護に言った。
「あいぼん!作戦は中止だよ。さ、早く事務所へ逃げるべ。」
安倍は加護の手を引き、無理やり加護を立たせると、急いで会社を後にした。
50名無し娘。:2001/06/25(月) 04:36 ID:dfATTiFE
どう考えても安倍・加護の立場のほうが有利なような……
51TONBA:2001/06/26(火) 23:21 ID:cPowQutk


情報屋の松浦が誰かに襟元を捕まれている。
「サツに情報流しただろう・・・・あぁ!?おまえ・・・・・死にて〜のか?」
「あ、あの・・・警察には流してません!安倍と言う探偵に流しました。ゴメンナサイ。」
涙目になって松浦が謝る。
「ふん・・・・・安倍か・・・・・。邪魔者は消すか・・・・。」
と言うと、その人は立ち去っていった。
(ゴメン、安倍さん。私は・・・・私は・・・・。)
松浦はその場に崩れて、泣き出した。
(安倍さんは・・・・殺されてしまう・・・・。そして私も・・・・。)
松浦はそのままの状態で、しばらくの間、震えが止まらず立つ事が出来なかった。

加護は中澤に呼ばれて、事務所へと駆けつけた。
どうも大きな証拠をつかんだらしい。
加護は応接室に通され、中澤が話し始める。
「この間の盗聴は失敗したやろ?だから安倍が必死になってその失敗を
 取り返そうと動いた結果、あんたが前に言うてたカメラが見つかりそうなんや。」
「ほんまですか?それさえ見つかれば完璧じゃないですか。」
「そこの鍵は手に入れたからそこで今、探し物してる。ちょっと様子見て
 きてあげて。」
「わかりました。」
加護は急いでそこへ行った。
犯人が見つかるかもしれない・・・・・・・。
辻は自殺じゃないと証明できる・・・・・・。
その気持ちが加護の気持ちをはやらせていた。
タクシーにのって、その住所へと向かった。
52TONBA:2001/06/26(火) 23:44 ID:cPowQutk
>>50
そう思って、話の内容を改正しました。
(面白くないかもしれないが)期待しててください。
53名無し娘。:2001/06/27(水) 20:54 ID:NFVg.O2.
保全
54TONBA:2001/06/28(木) 00:01 ID:vweXOyNE

「ないな〜・・・・。一体どこいったべさ・・・・。」
安倍はその場所を探しながら独り言を言った。
「亜弥ちゃん以外の情報屋の言う事だと、ここにあいつらが入ってくるのを
 見たって言ったから、ここにあると思うんだけどなぁ・・・・。」
安倍は決定的な証拠を見つけようと思ったが、情報屋の松浦との連絡が
取れないので仕方なく他の情報屋に行ってたくさんの情報を仕入れた所
全員一致の情報がこれだった。

≪港の倉庫にある芸能人が徘徊している。≫

「ある芸能人ってやつらだろうけど・・・・。ここにあるのかなぁ・・・・。」
その時、安倍は古びた倉庫にある、場違いな金庫を発見した。
その金庫だけが他の金庫にない光沢があり、新しい物だとわかった。
「あれはなんだべさ?」
安倍が近寄っていく。
金庫は鍵がかかっていなかったので、思い切って開けてみた。
「あ・・・・あったべさ・・・・・。なんで処分しないんだろう?」
安倍がそう呟いて、そのカメラに手を伸ばしたとき、後ろに人の気配がした。
「うん?」
振り向くや否や、安倍は鉄パイプで殴られた!
55TONBA:2001/06/28(木) 23:57 ID:W6w1Y8wE

安倍は後頭部をやられ、意識がもうろうとしてきていた。
(殺される・・・・。)
安倍は遠のく意識の中でその恐怖を感じた。
しかしその恐怖もはっきりとした意識の中では無い。
ぼんやりとした恐怖である。
ポケットを探られ、何かを取られるが、それが何か考える余裕が無かった。
「あ、安倍さん!」
加護が安倍を発見した。
鉄パイプを持った安倍を殴ったやつが、逃げていく。
「あ、安倍さん!しっかりしてください!」
加護が安倍の上半身を抱えて、必死に声をかける。
「あ・・・・あいぼんなの・・・・・?」
かすれていく意識の中で、安倍が懸命に声を出す。
「そうです!しっかりしてください!安倍さん!」
「そ・・・そこに・・・・カメラ・・・・。」
「カメラがなんですか!?」
「あるはず・・・・回収して・・・ね・・・・・・・」
「安倍さん!ちょ・・・・安倍さーーん!」
加護はすぐに救急車を呼んだ。
安倍には既に意識が無い。
緊急事態に陥った。
56TONBA:2001/06/29(金) 23:44 ID:Io2MDB0c

病院で3時間、手術室の前で安倍の手術の成功を祈っていると、遅かったが警察の人が来た。
矢口も同行していた。
「今回の事件の事で聞きたいんですが・・・・。」
中年ぐらいの私服警察官が警察手帳をこちらに向けて、こう言った。
「この事件の目撃者と言う事で、答えて欲しいことがあります。まず、犯人はどのような服装を?」
「えっと・・・・すいません、あんまり良く覚えてないんです。」
「そうですか・・・・・。じゃあ、あなたが現場についた時、どういう状況でしたか?」
「安部さんが頭から血を出して倒れていて・・・・。駆け寄っていくと、犯人らしき人が走って逃げていきました。」
「もう1度聞きます。犯人はどのような服装を?」
刑事が近寄ってくる。
加護は怖くなって、矢口のほうを向いた。
矢口は加護の心境を察したのか、2人きりにするように要求した。
57TONBA:2001/06/30(土) 21:52 ID:p/gWc1Qw

「どうしたの?」
矢口が二人きりになってから加護に聞いた。
「ちょっと怖くなっちゃって・・・・。」
「そう・・・・・ところで、何か思い出した?」
「はい、確か髪の毛が茶色で・・・・・黒い帽子をかぶっていて、
 身長が私よりも大きかったと思います。」
矢口はそのコメントを手帳に書き留めた。
「ありがとう。ところでどうして二人はそんな所に行ったの?」
「それは・・・・・。」
加護は今までの経緯を矢口に話した。
「そう・・・・・でも、どうしてそう思うの?カメラが無いだけじゃないでしょう?」
矢口が加護が自殺では無いと思った真相を知りたかった。
「それは・・・辻と私は信友だからですよ。」
「親友?」
「はい、信友だからです。」
加護はそう言うと、手術が終わったらしい安倍の所へと向かった。

加護が安倍のいる病室にいくと、チューブがたくさんつながれていて
痛々しい姿の安倍が横たわっているのがわかった。
(安倍さん・・・・・。)
加護はその姿を一目見ると、病室を去った。
58モー娘。板に名無しさん(羊):2001/07/01(日) 01:32 ID:THZCWuEU
ゴメンね、保全age。
59TONBA:2001/07/01(日) 22:45 ID:zBJeGgRc

翌日、中澤が、加護を呼んだ。
「なっちのことは残念やった・・・・・ところで依頼、どうしようか?」
中澤が体を机の上に乗り出して、加護に言った。
「やめるか?続ける?」
加護はためらいもなく言った。
「続けてください。お願いします。」
「ふん・・・・じゃあ、飯田に続きをやってもらおうか・・・圭織!ちょっとこっち来て!」
中澤が飯田を呼ぶ。
「な〜に裕ちゃん?」
飯田が何かの資料を片手に持ってやってきた。
「このこの依頼、なっちの代わりにしてくれへんか?」
「え〜・・・・・私は殺されるの勘弁です。」
「あほ!殺されるか!やってくれや。」
「うん〜・・・・・・わかりました。祐ちゃんがそこまで言うなら。」
飯田はどこか納得しきれない表情を出しながらも、目が笑ってた。
よほどこの仕事がしたかったんだろうな〜。と、加護は感じた。
その後すぐ、中澤は「仕事がある。」といって部屋を出て行った。
部屋には飯田と加護の2人しかいない。
加護はとりあえずこれまでの事を全て飯田に説明した。
「・・・・・・要するに、証拠は無いわけね?」
飯田は完結にまとめたつもりだった。
加護もそれで終わりだと思っていた。
「そうだな・・・・まずは証拠探しだね。じゃあ、私は情報屋あたってみるから、加護は心当たりのあるところに行っといてよ。」
飯田は走って外へと行った。
(心当たりって言われてもなぁ・・・・・。)
加護は考えた結果、あそこへ行く事にした。
辻が落ちた現場へ・・・・・。
60名無し娘。:2001/07/01(日) 23:46 ID:PWB7hFG2
あの〜……読んでて思ったんですけど、ちょっと
情報屋を便利に使いすぎじゃないですか?
61TONBA:2001/07/02(月) 18:50 ID:aXh7pUTE
ん?あ、もうすぐ使わなくなるから、気にしないで。
62TONBA:2001/07/02(月) 22:19 ID:9NuqoaqY

保田の監視のもと、加護は屋上へとのぼった。
屋上にはこのあいだ置いた花束が枯れたようすでそこにある。
加護はその枯れている花をひろい、新しく持ってきた花をおき、合掌する。
そのとき、保田がぽろっと、考えていた事を声に出す。
「はぁ・・・・南京錠代4個分、払わないといけないわ〜。」
「え?どうしてですか?」
加護はその声を聞こえたので保田に聞いた。
「いやぁ、前に亜依さんの壊した鍵代を払わないといけないんですよ。
 なんか私の管理ミスとかで・・・・。」
「え、あ、じゃあ私が出しますから・・・・。」
「あらそう?悪いね〜。・・・・ところでさぁ、辻ちゃんはどうやってここまで
 着たんだろうね?」
保田が思ったことを口にする。
「鍵だって壊れてないしさぁ〜、鍵なくなったことも無いじゃん?じゃあさ
 どうやってきたのかなぁ〜って思うわけ。」
加護ははっと今までもやもやしていた事が吹き飛んだ。
(そうか・・・・鍵の置き場を知っているのは・・・・。)
「ありがとう!保田さん!お礼にボーナス3倍にするわ!」
「え?ありがとうございます。」
保田は何のことかわからなかったが、とりあえず恩赦は受け取った
63TONBA:2001/07/03(火) 22:34 ID:x0gKpwAs

飯田に電話して、加護は飯田を自分の家に呼んだ。
飯田は加護の家に来て、すぐにか後の部屋へと駆け込んだ。
「加護!どうしたの?なにかあったの?」
飯田が息を切らしながら加護に言った。
「はい。ここに図を書きますからこっちへ来てください。」
と、机の横に飯田を呼んだ。
机の上には相関図らしきものが広がっている。
「え〜っとですね、まず、あの屋上への行き方なんですが、何通りかあります。
 右隣の屋上から飛び乗るとか、左のビルの8階から窓をつたってのるか。
 確かに何通りかありますが、その時は1通りしか通れなかったんです。実はその日
 両隣のビルは改装工事中で中に入れなかったんです。だから方法は南京錠を
 壊すか、鍵を使うか、です。この時、大切なのが、壊された南京錠の数です。
 自殺する人は多分壊していくでしょう。わざわざ鍵を開けていく人のほうが
 珍しいと思います。しかも、ののは鍵の場所を知らなかった。で、壊れた鍵の
 数なんですが、ちょうど4個・・・・私が壊した南京錠の数と一致します。」
ここまで言って、加護は一息ついた。
「そう・・・・じゃあ、犯人は鍵のありかを知っている人は・・・・。」
飯田が加護のコメントの間を縫って質問した。
「そうです。鍵のありかを知っているのは、うちの社員だけ・・・・。」
「じゃあ、あの人達も一応容疑者に入るんだね!」
「はい。」
加護は自信を持った目でそういった。
64TONBA:2001/07/03(火) 22:35 ID:x0gKpwAs
質問

まとまった更新と、毎日少しずつの更新どっちが良いですけ?
65名無し娘。:2001/07/03(火) 23:05 ID:tHmhx/h6
>>64
他の話と混乱するのでまとまってたほうがいいですけど
自分のペースでどうぞ〜♪
66TONBA:2001/07/04(水) 23:29 ID:s72DQDHo
今日は無し。
明日、おそらく更新します。
ゴメンナサイ。
67TONBA:2001/07/05(木) 22:18 ID:WrsrV2Uw

「そして、犯人は訳あって、辻を殺した。・・・・と解釈するわけです。」
「後は証拠だよね・・・・・。」
飯田が天を仰ぎ、呟いた。
「あ・・・・・。」
加護は証拠がなかったことに、今気づいた。
「証拠さえわかれば、後は矢口さんに頼めるのに・・・・。」
盗聴のテープも、あのカメラも、二つとも気付いたら、失っていた。
きっと、安倍が襲われた時に、盗聴のテープを取られ、さらに加護は焦っていたので
カメラを回収する事も出来なかった。
「肝心な事がわからないよね・・・・。辻と彼女達をつなぐものが・・・・。」
飯田は呟き、そしてため息を漏らす。
加護は、思い当たる節もなく、ただ考えるだけだった。
「仕方ないね・・・。これからしつこくあの3人につきまとうよ。加護ちゃんは
 何か手がかりを探してね。」
「はい。」
加護がそう言うと、「じゃあ。」と言って、部屋を出て行った。
68TONBA:2001/07/06(金) 22:57 ID:090wlr/.

次の日、副社長室で加護は辻とあった最後に日の事を思い出した。
(整理しようか・・・・。うちとあの子はその日、ゲーセンに行って
 カメラ貰って、そんで分かれてんな・・・・。その後の事や・・・・。その後の事を
 わかるにはどうしたらいいんや?)
加護は試行錯誤した結果、1つの結論に達した。
(あぁ・・・同じ事したらいいんや。)
そう思うと、加護は会社を出て、辻と分かれた駅へと行った。
そこにつくと、携帯用の電子地図を取り出し、それを見ながら歩き始めた。
(辻の家への方向は・・・・。)
加護はその地図の道をゆっくり歩き始めた。
何か無いかな、何か・・・。
加護は、何か手がかりになるようなことがあるようにと商店街を祈りながら歩いた。
しかし、無情な事に難なく辻の家の前まで歩いてきてしまった。
(もう・・・・本当に手がかりがなくなったんじゃあ・・・・。)
加護の顔にあきらめの表情が出た。
そして、うなだれたまま近くのバス停へと行き、加護は帰って行った。

加護の心理状態はいま、極限まで疲弊していた。
家に帰って寝ようとすると、ベットの中で辻の声が聞こえてくる。
69【加護の幻想】:2001/07/06(金) 22:58 ID:090wlr/.

加護のまわりは暗黒の世界に。
見渡す限り、視界が利かない。
「あいぼん、あいぼんは私のことどう思ってるの?」
「どこ?ねぇ!」(信友と思ってるよ。)
「じゃあ、その『信じる心』って言うの、見せてください。」
「姿を見せて!」(どうやって?どうすれば・・・・。)
「ののが自殺すると思う?あいぼんは思わないよね?それだよ。
 それを証明してくれたら良いんだよ。」
「なあ、どこにおるん?」(どうやって・・・?ねぇ、教えてや、のの。)
「犯人の事?それとも殺害方法?」
「意地悪せんといてよ!」(両方教えてよ。)
「それはね・・・・・。」
・・・・・亜依!亜依!起きなさい!
70TONBA:2001/07/06(金) 23:00 ID:090wlr/.
加護は朝になって起こされたことに気づいた。
(あぁ・・・もうちょっとで事件の真相がつかめると思ったのに・・・・。)
加護は起こした母親を恨んだ。
(でも、夢ってうちの記憶をもとに作られるんだよね?そしてら、どうせうちが
 思ってることをののが言うだけや。)
冷静になって、最近疲れている心をなだめた。
そして、1階に降りて朝御飯をさっさと済ませて、学校へは行かず、会社へと向かった。
学校には連絡をしており、数日間、休むと言っておいた。
仕事の為だと言っておけば、いつもの事だと学校側も簡単に承諾してくれる。
そうして休んだ加護は、なんの手がかりもないままふらふらと昨日行った
商店街に歩を進めていた。
そうしてボケ―ッと歩いていると、後ろから保田に声をかけられた。
「あ、副社長!本日は学校では無いのですか?」
私服姿の保田を初めてみた加護は、誰だかわからなかったが、声でなんとなく
わかった。
「今日は学校休んだんです・・・・ところで保田さんは何をしてるんですか?」
「私はね、今日は久しぶりの休暇を取りまして、ショッピングを楽しんで
 いる所なんですよ。」
保田が満面の笑みで言う。
「ふ〜ん・・・ところでこの商店街、心なしか少し新しくないですか〜?」
加護が周りを見渡しながら保田に聞いた。
「そうなんです!この間、自治会のほうでこの商店街を新しくしたんですよ。
 工事は確か一昨日までやってたかな?」
「へぇ・・・・?・・・・・・・!!!」
加護はこの道を辻が歩いて帰ってない可能性に気づいた。
「ね、ね、保田さん!この道の替わりに回り道ってあったでしょう?
 その回り道を教えてよ!」
「へ・・・・?そこの角を右に曲がった所がそうですよ。」
その道を指差して加護に教えた。
「ありがとう!!保田さん!お礼するから明日、副社長室まで来て!」
そう言い残すと、加護は走ってその道へと行った。
取り残された保田は首を傾げたが、気にすることをやめて、ショッピングを再開した。
71TONBA:2001/07/07(土) 23:24 ID:OvHvRNBM

加護は携帯電話を取り出し、その商店街に飯田を呼び寄せる。
「今、テレビいいとこだったのに・・・・・・。」
飯田がそんな事を言うので、加護は少し頬をふくらせた。
「今は仕事ですよ!テレビは我慢してください!!」
飯田は加護にそんなこと言われて、少し反省したようだ。
「ところで、今日はいったいなんの用事?」
「じつは、これから飯田さんに調べてもらおうと思って・・・。」
「はぁ?あんたが調べたらいいじゃない・・・。」
「それが・・・・そのぉ・・・・なんていうんですかね・・・・。」
加護がもじもじしている。飯田がイライラしてきた。
「だからなんなのよ!」
「ラブホテル・・・・。」
「ああ、あそこにあるよ。それで?」
「あの・・・だからその・・・・・。」
飯田が何か思いつきで言葉を発した。
「ま、まさか私と・・・・・。」
加護が間髪を入れずに首を横に振る。
「ち、違いますよ!!」
加護は一息つけてから、言った。
「実は、辻は事件当日、ここら辺を歩いてたんですよ。」
飯田は加護の情報に、ひどく感心した。
「へぇ、そんな話、よく仕入れたね。私は1個もそんな話聞いた事ないよ。」
「だから・・・・・その・・・・。」
しかし、さっきからもじもじしてばかりいる加護にいらつきを感じ始めていた。
「なによ!さっきからもじもじしないでさっさと言いなさいよ!」
飯田が加護の態度にイライラしてついに大声を出した。
加護が言いにくそうに言った。
「えっと・・・・・・その・・・実は・・・・。」
72名無し娘。:2001/07/08(日) 16:50 ID:9lsnVYZw
続きが気になる〜
73TONBA:2001/07/08(日) 23:16 ID:ahpEYAQc

「すいません、この子達のだれか見た事ありませんか?」
「悪いね〜。見たこと無いよ。」
「そうですか・・・・。ありがとうございました。」
飯田が顔を真っ赤にしてその人に頭を下げ、急いで玄関へと歩いて行った。
「どうでしたか・・・?」
「何にも手がかりが無かったわ・・・・ってどうして私がこんな恥ずかしい目に!?」
飯田がまた大声で叫ぶ。
「だって私はまだ思春期ですからその・・・そんなところに入れないし、入りたくないもん。」
加護がいかにもらしいことを言う。
「私だってできれば・・・入りたくないよ。」
飯田ももっともらしい事を言う。
「でも、飯田さんは私が雇った探偵さんなんだから、これぐらいなんてことないでしょう?」
加護にこういわれては仕方ない。
飯田一応やとわれの身であるので、雇い主には文句は言えなかった。
「はいはい!わかりました。とにかく聞きまくればいいんでしょ!」
「そうですよ〜。では飯田さん!加護は家に帰りますから。じゃあね〜。」
「あ、ちょっと・・・・。」
加護は飯田の引止めを聞かずにさっさと帰った。
飯田はその後、全ホテルをまわり、通行人にもできるだけ聞きまくった。
74TONBA:2001/07/09(月) 23:45 ID:CWI9RT22
明日、更新させていただきます。

ご了承ください。
75TONBA:2001/07/10(火) 22:56 ID:JMXtdJ86

次の日、飯田は加護を事務所の自分の部屋に呼び出した。
そしてソファーに座らせて、加護に話しかけた。
「昨日、恥ずかしいながらも仕事をしてきました!これが結果報告書ですよ。はい!どうぞ!」
レポート用紙3枚程で簡潔に書かれたものを机に放り投げた。
「どれどれ・・・・。」
加護はその資料を手にとり、目を通す事にした。
76飯田の報告書:2001/07/10(火) 22:56 ID:JMXtdJ86

1.辻の目撃証言:なしに等しい。
  ラブホテル30件に当たった結果、一軒も辻を見たという人はいない。
  また、近くを通ったカップルにも聞いたが、確かな証言は得られなかった。
2.容疑者Yの目撃証言:1件あり
  Yがチェックインするのを目撃したとか。
  近くを通りかかった中年男性が目撃。
  ただ、酔っていただけに信じ難い情報。
  服装は制服だったらしい。
3.容疑者Gの目撃証言:多数あり
  Gが急いでこの通りを走り抜けていたとの証言が10件あった。
  すごい顔で走り抜けたらしく、何か起こっていたのは確実だ。
  服装は赤のTシャツに白のズボン。
  髪を赤いゴムでくくっていた。
4.容疑者Iの目撃証言:あり
  G、Yと一緒に歩いてるのを目撃。
  ファンだったらしく、その後駅までついて行ったらしい。
  Gの服装は上記のとおりと見て間違いないと思われる。
  Yの服装も。
  Iの服装は、ピンク色のジャージだった。
5.建物への道順
  その道をまっすぐ行って、右に曲がった所に建物発見。
6.不審物を発見
  建物近くにホースを発見。
  近くに水道がある。
  事件に関係ないと思われたが、どうもIの物らしきヘアバンドを発見。
  水道の所に引っかかっていた。(回収して、ビニール袋に入れている。)
77TONBA:2001/07/11(水) 22:57 ID:RhjJYOe.

資料を読み終わると、この6の証拠が見たくなった。
「飯田さん、6の証拠品を見せて欲しいんですけど・・・。」
「ああ、ちょっと待ってね。」
と言うと、飯田は部屋を出て中澤の所へと向かった。
飯田は案外マジメで、集めた証拠品は全て中澤に渡し、それを金庫に保管してもらっている。
安倍はと言うと、自分の手元に無いと心配性なので、全て自分の家に管理している。
それゆえ、紛失も無い事は無かった。
中澤は管理方法をすべて個人の方法に任せているので何も言わないが、安倍の紛失だけには頭をいためていた。
また、飯田の何でも人に任せる管理法にも頭をいためていた。
中澤が金庫から証拠物品を取り出し、飯田に渡すと、飯田はすぐに自分の部屋へと向かった。
78TONBA:2001/07/11(水) 22:58 ID:RhjJYOe.

「お待たせ〜。」
ドアを開けるとともに、その言葉を発した。
「これだね。」
と、袋を顔のあたりまで上げて言う。
そして飯田は席に座り、手袋をはめて袋の中に入っているヘアバンドを取り出した。
「これが後藤のものだと思うんだけど・・・・。」
加護は見入るようにそのヘアバンドを見た。
テニス用のものらしいそのヘアバンドは、見覚えのあるものだった。
「確かに・・・見た事あるよ。オーディションの時だったかな?」
加護はオーディションに立ち会う時もある。
それは、社内一流行に敏感でセンスがよいという理由である。
特に呼ばれるのが、アイドルのオーディション。
ルックス、スタイル、歌唱力はもちろん、雰囲気やキャラクターの見極めを必要とするこのオーディションに、加護は必要不可欠だった。
もちろん、naturalのときもオーディションに呼ばれた。
合格を出したのは加護である。
その時身に付けていた物・・・・それがこのヘアバンドである。
今も事あるごとに何かとつけているのを見かけるが、事件後、そのヘアバンドが見られなくなった。
「そう・・・じゃあ、これは石川のと断定しても良いね?」
「はい。」
袋に詰めなおし、手袋を外す。
「ありがとう。じゃあ、これはなおしておくから。今日はもう私に用事無いよね?」
飯田が去り際に加護に聞く。
「無いです。もし出来たら、メールを送りますから。」
「うい〜。わかったよ〜。」
ドアを開けっ放しにして、飯田は中澤のところへ行った。
(さ、帰ろうかな?)
加護は立ちあがり、部屋を出た。
2人に挨拶をして、事務所を出た。
79TONBA:2001/07/12(木) 23:25 ID:Kyva1G6E

これから忙しくなる時期だ。
加護はたくさんの資料を見ていた。
それは仕事の資料であり、決して辻の事件の資料では無い。
以前、加護が学校に休み届けの理由として、仕事が忙しいと書いたが、あれは本当なのだ。
「ふ〜・・・・。とりあえず、一次審査合格者はこの6000人で良いよ。」
朝からずっと人事部が決めた合格者の写真、履歴書を呼んでいた加護に、疲労の色が出る。
「副社長、少しお休みになられたほうが・・・・・。」
秘書が親切にも、加護に休むように言うが、加護はそれを受け入れなかった。
「いや、まだこっちのオーディションの審査結果出してないから。」
書類を受け取り、秘書を退室させて、加護は資料に目を通さずに、遠くを見つめるような目で、考え事をした。
80【加護の幻想】:2001/07/12(木) 23:27 ID:Kyva1G6E

加護の周りに、暗黒の世界が広がる。
「あいぼん・・・・。」
(またや!以前も・・・・・。)
「のの?どこにいるん?」
「ここだよ・・・。早く見つけてよ・・・。」
「わからない・・・・。ねぇ?どこにいるん?」
「後ろにいるよ。」
「え?」
振り返る加護。しかし、背後には何も見えない。
「もうそこまできているよ・・・・・。」
「本当にののなん?姿を見せてよ!この間は声だけやったやん!」
「もうちょっと・・・・・もうちょっとだよ・・・・。」
「なにが?なあ!のの!のの!!」
・・・・・トントン。副社長。入りますよ。
81TONBA:2001/07/12(木) 23:28 ID:Kyva1G6E

ノックの音で、加護は目を覚ました。
(あぁ・・・・資料の一番上の子の顔がよだれでわからんようになってもうた・・・。)
加護は口の辺りを拭き、その資料の顔写真のところに集中して垂れたよだれを拭いた。
「ど、どうぞ〜。」
資料を一気に机から引き出しにいれて姿勢を正した。
ドアを開けて、入ってきた。
「保田ですけど〜。昨日、副社長室に呼ばれてきたんですけど・・・・・・。」
「あ、あ、保田さん。どうぞどうぞ。」
部屋にあるソファーへと座らせ、自分も座る。
「あの〜、今日の御用って何ですか?」
「は、ハイ。え〜っとですね、あ、これが南京錠代のお金。それと・・・・。」
「まだ何かあるんですか?」
保田が渡されたお金を持ってきたカバンに入れながら聞く。
「あなたを正社員として雇うことを正式決定しました。明日からは、芸能科に入ってください。」
突然のことで、返事が出来なかった。
「え・・・・あ、あの芸能科というとどのようなことをすれば・・・・。」
「ああ、私が送る新人を教育してくれたらいいんですよ。教育方針は、チーフに聞いてくいださい。」
そう言うと、立ち上がって、机の椅子に座った。
「じゃあ、もう用事は無いです。帰っても良いですよ。」
「は、はぁ・・・・・。」
保田は困惑した様子であったが、とりあえず帰って行った。
そうすると、回転椅子を回転させて、窓ガラス越しに外を眺めた。
(そろそろ・・・・・矢口さんの出番かな?)
再び仕事にかかったのは、保田が帰って、6分後である。
82名無し娘。:2001/07/13(金) 21:33 ID:KF3mu.Wk
「芸能課」じゃないの?
83TONBA:2001/07/13(金) 22:04 ID:hWXRbaYg
>>82
そうですね。
すんません。
84TONBA:2001/07/13(金) 22:12 ID:hWXRbaYg

加護は、矢口とある約束をしていた。
それは事件性が臭ってきた時、必ず矢口に報告する事だった。
結構な情報がある今、事件性が臭ってきたので、矢口の手にゆだねようと思った。
先日、中澤と電話で連絡を取った時、中澤がこの先、加護たちでは立ち入れないようなことが起きるかもしれないと言ったのである。
ただ、飯田がこの事を知らなかった。
それとなく話をしようと思っていたが、いつもその話を飯田の前では忘れてしまう。
今も飯田はあちこち駆け回っているだろう。
飯田には悪いが・・・・・。
次の日、加護は悪いと思いつつ、加護は警察署へと足を運んだ。
「すいません、矢口真里さんはいらっしゃいますか?」
一人の警察官に尋ねると、その警察官は親切にも、矢口のいる所まで連れて行ってくれた。
お礼をして、ドアをノックする。
「加護亜依です!はいっていいですか〜?」
「・・・・亜依ちゃん?入って。」
会釈をして、中に入っていく。
「用事って、あのことかなぁ?」
矢口が机にほをづえをついて聞いた。
「あ、そうなんですよ。実は・・・・・。」
加護はすべての、事件の事を矢口に打ち明けた。
矢口もそれを一言一句聞き漏らす事内容に聞いている。
外では雨が降り始めてきていた。
「そう・・・事件の臭いがプンプンするね・・・・・。わかった。捜査本部を作って、捜査をしようか。」
矢口が、受話器を取り、電話をしようとすると、一人の警官が走って部屋に入ってきた。
「大変です!○○銀行で立てこもり事件!犯人は人質を取り、立てこもってます!」
矢口が受話器を電話機において、椅子から立ち上がった。
「わかった!指揮は私が取る!総員○○銀行へと向かわせろ!」
「はい!」
「ゴメン、亜依ちゃん。また、今度きてくれるかな?」
そう言うと、矢口は加護の返事を聞かずに、さっさと部屋を出て行った。
やっぱり警察は・・・・・・。
加護は裏切られた気持ちのまま、雨の中、警察署を後にした。
85TONBA:2001/07/15(日) 00:02 ID:ewTMS7nY

中澤は、びしょぬれの彼女を見て仰天した。
「どないしたんや?えらい濡れて・・・・・。」
中澤は急いでタオルを探す。
「ゴメン、今これしかないわ・・・・・。」
汚い物を差し出す。どうも雑巾のようだ。
それで拭こうとする中澤を「大丈夫ですから。」と言って、やめさせる。
すると奥から髪を濡らした背の高い女性がやってきて「裕ちゃ〜ん、これ、かび臭い・・・・。」と言いながら頭を拭いている。
「ああ、悪い悪い。部屋の中で干し取ったさかい、カビくさ〜なってもうたんやろう。」
返事をする中澤、それをじっと見る加護・・・・・。
「うん?あ、あぁ、あのタオルな、さっき飯田来た時渡して・・・・この事務所に、あれしか置いてないんや。」
それでも加護は見つめるのをやめようとしない。
「どうしたん?なにかあったんか?」
そういわれると、加護は急に泣き出した。
「な、なんや?と、とりあえず話きこか。」
86TONBA:2001/07/15(日) 22:31 ID:zpY6R0qU

加護を落着かせ、その部屋にある少しかび臭い、所々破れているソファーに座らせる。
「落着いた?」
飯田は中澤に頼まれて持ってきたあったかいお茶を加護の前に差し出しながら聞いた。
首を縦に振る加護。
「一体、じぶんになにがあったんや?教えてみ〜や。」
そう言うと、加護はうつむいたまま警察署での話を始めた。
話し終わると、中澤が信じられないと言った表情を見せる。
「矢口・・・・・一体何考えてんねん・・・・・・。」
飯田は、そのような話を聞いたことが無かったので、驚いた。
そして怒り、ソファーから立ち上がる。
「じゃあさ、亜依ちゃん、私が解決してあげるよ。心配しなくても良いよ。」
その言葉に、加護はすくわれた思いがした。
「大丈夫だよ!もう動機もだいぶわかってきたんだから。後一週間、いや5日で良いよ。」
そう言うと飯田はその事務所においてあるビニール傘を取って、ドアの所に立ち止まった。
「5日後、ここに容疑者連れてきてよ。」
そういい残すと、飯田は雨の中、傘をさして走ってどこかへといってしまった。
加護はその後、中澤の折り畳み傘を借りて家に帰っていった。
「私の傘が無いよ・・・・。」
一人事務所に残った中澤は、そう呟いて、その日、事務所で寝泊りする事を決意した。
87TONBA:2001/07/16(月) 23:06 ID:OMznzxBw

次の日、ニュースが入った。
「えぇ?安倍を殴った犯人がつかまったぁ?はい。はい・・・・。」
中澤がその電話を取り、少しビックリした表情で加護に聞こえるように言った。
加護はその時、ソファーに座ってポテトチップスを食べていた。
「えぇ・・・・・はぁ・・・・・。」
中澤が受け取りをしている時、加護はテレビのチャンネルを変えていた。
飯田は昨日でてったきりで家にも帰っていない。
加護はというと、この日の朝、中澤が起きたと同時に部屋に入ってきた。
また今日も学校を休んだらしい。
本人曰く「午後からの仕事に間にあわない。」かららしい。
「えぇ・・・・・あ、加護ですか?・・・・・はい。わかりました。」
受話器を電話機において、中澤は加護の食べかけのポテトチップスを後ろから取り上げた。
「何するんですか〜。」
「警察があんたに話があるみたいやで。ちょっと警察署行こうか。」
そういわれると、妙に納得したみたいで、加護は立ち上がり、中澤と一緒に警察署へと向かった。
88TONBA :2001/07/17(火) 23:04 ID:hw7pumWY

「この人なんですが・・・・。」
加護は取調室の隣の部屋に入って、ガラス越しに犯人を見た。
「え・・・・この人が犯人なんですか?」
加護が警察官を見やる。
「はい。」
首を縦に振る。
「この人は・・・・身なりは一緒ですけど・・・・でも、こんなことしても・・・・・。」
「まだ、何もしゃべらないんで詳しい事はわかりませんが、家の中から血が付着した鉄パイプが見つかりまして。」
そういいながら、加護を廊下へと出した。

数時間後、その人は、加護をロビーへと連れて行ってくれた。
「あ。加護。何やったん?」
ロビーで待っていた中澤が加護に詰め寄ってくる。
「犯人の確認らしですけど・・・・ちょっとショックです・・・・。」
「なにがよ?」
中澤が加護に詰め寄る。
警察官がいないかを確認して、加護が耳打ちした。
「犯人、松浦さんだったんですよ。」
中澤が「えーー!」と大声を出す。
大した人数のいないロビーでそのような声を出すので、酷く響いた。
「中澤さん、声が大きいです。」
加護が口の前で人差し指を立てる。
「詳しい事は事務所でしゃべりますよ。」
そう言うと、加護と中澤はそそくさと人があまりいない警察署を後にした。
89TONBA:2001/07/18(水) 23:34 ID:UfQ9sOgM

2人は、事務所へと帰った。
他に人に聞かれず話ができるような場所が近くには無く、事務所が最適と思ったからである。
「加護、どう言うことか教えてもらえるか?」
加護をソファーに座らせて、向かいに中澤が座る。
「松浦さんは何もしゃべんないんですけど、警察の調べではどうも、間違いないみたいなんです。」
加護は、警察で判った事を話した。
「事件が起こった日、松浦さんを現場近くで見たって言う情報もあって、他にも鉄パイプが家にあったり、血のついた服がビニール袋に入れられてあったって・・・。」
加護は真剣な顔つきで、自分の考えを言った。
「・・・・でもね。加護は思うんです。この事件、裏ではあの3人が絡んでるんじゃないかって・・・・。」
「どういうことや?」
「だって、松浦さん、死人みたいな顔で椅子に座ってたんですよ。何かあったに決まってます。」
「そうか?」
中澤は姿勢を正す。
「まぁ、関係してる、っつうのは否定できひんかもしれへんけど、それでも自分の意志でやったんちゃうか?それで、捕まってから事の重大さに気づいて、顔面蒼白になったって考えるんが普通やろ。」
「自分の意志って・・・・何にも理由が・・・・。」
「あるんや。」
加護が「無い」と言いかけた所に、中澤が「ある」と先に言った。
「え・・・・・それは・・・・。」
「松浦の親父さんな、安倍のお祖父さんに殺されてんねん。」
「!!」
90TONBA:2001/07/18(水) 23:35 ID:UfQ9sOgM

加護は驚きの表情を隠せない。
「どんな理由があったかわからへん・・・でも、松浦はその時、1歳やってんな。それを、つい最近松浦が知ったとしたら・・・・。」
「でも・・・・。」
加護が言葉に詰まる。
「警察もその辺りを調べてるに決まってる。だから、松浦を自信満々に捕まえたんや。」
「じゃあ、なんで何もしゃべらないんですか?」
「それがわからへんねん。」
中澤が頭を掻く。
「まあ、ここであ〜だこうだいっても、所詮は仮説やからな。何にも得るものは無いな。」
「そうですね。」
加護がソファーから立つ。
「とりあえず、帰ります。あ、あと、この事件終わったら、私を雇ってくれませんか?」
急な事に驚く中澤。しかし、返事は決まっていた。
「いいよ。そのかわり、バイトな。」
加護はその返事を聞いて、笑みを浮かべた。
加護が帰った後、中澤は安倍の事を思った。
(なっち・・・・いつになったら起きるねん。大変やねんで・・・うちら。)
91名無し娘。:2001/07/19(木) 01:15 ID:1EJf5.YY
保全age

>>作者
コソーリ応援してるから頑張ってね。
92TONBA:2001/07/19(木) 23:27 ID:Z/EtFz66

加護は帰り道で、飯田を見つけた。
大変疲れているようすだった。
「飯田さん、どうしたんですか?」
加護が後ろから声をかける。
「あぁ、加護か・・・。あのね、今聞き込みしてるんだよ・・・・。わかった事がいくつかあるよ。」
そう言うと飯田はポケットに入れていた手帳を取り出し、加護に説明した。
「あのね、辻さんのことなんだけど・・・見たって言う証言が見つかったよ。時間を照らし合わすと、加護と別れた時間から計算しても、本当の事なんだよ。それと、辻の通った時間と同じ頃に、Yがチェックアウトしてるんだよ。監視ビデオで確認したから間違いないよ。だから、このとき何かあったと思うんだよね。」
飯田は一通り言うと、手帳を元のポケットになおした。
「今わかってるのはこれぐらいよ・・・・。まぁ、後は一気に解決まで持ってくから、もうちょっと待ってて。」
飯田が駆け出しながら言った。
「あ、飯田さん!どこへ行くんですか?」
「いろいろ行く所あるの!じゃあね〜!加護。」
飯田はそう言うと前を向いて、何処かへ走っていった。
(飯田さん、ありがとうございます。)
加護は感謝し、帰った。
93TONBA:2001/07/19(木) 23:28 ID:Z/EtFz66
>>91
もうすぐ完結だからきっちり最後まで読んでね。
94ミカ:2001/07/20(金) 14:48 ID:R/JhcQ6Y
ワタシモダシテ
95TONBA:2001/07/20(金) 22:57 ID:hJM13e1o

安倍が起きたと言う一報が入ったのは、次の日の正午過ぎだった。
久しぶりに学校に行っていた加護の携帯が震え、安倍の回復を伝えると、加護は授業どころではなかった。
授業が終わると、加護は飛ぶようにして病院へと向かった。
「安倍さん!」
加護が病室の扉を勢いよく開ける。
「ちょっと!静かにし〜や。」
中澤が先にいたらしく、加護を注意する。
安倍はベッドで頭を枕に乗せ、横になりながら、笑っている。
「加護〜、なっちが加護に言いたいことあるんだって。」
飯田もいたみたいだ。
「なんですか?」
加護が安倍に近寄る。
安倍は小声で、近づいてきた加護の耳元で囁いた。
「ゴメンね。仕事中に倒れちゃって。」
加護はその言葉を聞いた瞬間、目に涙がたまった。
「な、なにを言うんですか?助けられなかった私が悪いんです!」
加護が耳を安倍の口もとから離した。
「違うの・・・。決定的な証拠を持って帰れずにごめんって言ってるの。圭織もごめんね。苦労かけて。」
飯田の方を向いて、安倍が言った。
「いいよ。別に、なっちが早く回復してくれればね。」
飯田は少し微笑んでいる。
「ところで、事件のほうどうなったべ?」
安倍が中澤、加護に目線を送って聞く。
「あのね、それについてなっちに言いたい事があるんだけど・・・・・。」
飯田が安倍に近寄り、周りに聴かれないように小声で言った。
「そう・・・じゃあ、なっちは、あれを持ってくべ。」
安倍は飯田にそう言うと、加護に向かって言った。
「あと3日で真実がわかるよ。楽しみにしててね。」
そう言うと、安倍は「寝るから。」と言って、3人を外に出した。
96TONBA:2001/07/20(金) 23:01 ID:hJM13e1o
>>94
おなか痛いから無理。
97TONBA:2001/07/21(土) 23:36 ID:B/pfsAZg

加護が朝、起きたときにまず、辻の家に行きたくなった。
仏壇に線香でもあげようと思い、学校の帰りに行く事にした。
学校では、加護が辻の自殺の原因を突き止めているなんて誰も知らなかった。
ただ一人を除いて・・・。
加護は、ついポロリとその事を口にしてしまった。
「市井先生!」
加護は廊下でその人のもとへと歩いていった。
「な〜に?加護ちゃん?」
先生は、加護のほうに振り向いた。
「あの事、もうすぐ解決しそうなんですよ。」
「あの事って・・・・辻ちゃんの事かな?」
「ハイ・・・・。」
「いつも言うけどいいのかな?辻ちゃん、私が嫌いだったんでしょ?」
辻は、市井が嫌いだった。
酷く嫌っていて、授業があると「保健室に行ってきます。」といって、市井の確認も取らずに保健室に行くぐらいだ。
「市井先生、辻のこと嫌いだったんですか?」
加護がいつも聞きたかったことを今日初めて聞いた。
「ううん、私は好きだったよ。」
市井は完璧な笑いを加護に見せた。
「そうですか・・・・。あ、今日は辻の家に行くんですけど、一緒にどうですか?」
「いや、私は今日忙しいから・・・。」
そう言うと市井は加護に微笑みながら手を振って職員室へと歩いていった。
「ふ〜ん・・・・・。」
加護は市井の後姿を見ながら、そう呟いた。
98TONBA:2001/07/22(日) 21:34 ID:RPZyC6bo

市井は、去年、他の中学校からここにやってきた。
結構人気のある先生で、芸能人とも結構親しいと、自分で言っていた。
本当かどうかわからないが、ドラマにもエキストラで出たことがあるらしい。
男前な女子教師でもあるために、女子生徒にも人気があった。
ただ、辻だけが酷く嫌がっていた。
「市井先生は、実は援交してるんです。」
1度、辻がそんな事を言った事があった。
みんな、相手にしなかった。
それで、辻は市井に直接言った。
「先生、援交してるところ、私見ました。」
市井は酷く怒ったみたいで、辻の頬をぶった。
辻はそれ以上何も言わなかった。
それから、辻は少しの間、いじめられた。
市井がそのことを言いふらしたらしい。
辻はそれから市井について何も言わなくなった。
そして、市井を避けるような態度、行動を取った。
市井も辻を見ると、少しいやそうな顔をする。
そう言うことから、加護は市井の回答がおかしいと思った。
しかし、親友の私が前にいたから、社交辞令としていったんだろうと解釈すると、妙に納得した。
そして、加護は辻の家へとカバンを持って歩いて行った。
99TONBA:2001/07/22(日) 21:35 ID:RPZyC6bo

辻の家に行くと、おばさんが出てきた。
おばさんに「ののに線香をあげたいんですが。」と言うと、中に入れてくれた。
辻の仏壇は、元の辻の部屋にあった。
辻の部屋は綺麗に片付けられていて、辻の遺影と仏壇・仏具ぐらいしかなかった。
加護は仏壇の前で座って、線香を上げ、手を合わせた。
それがおわると、加護は部屋を見回した。
この部屋にはポスターが残っていた。
そのポスターに乗っているのは・・・・naturalだった。
「おばさん、これは?」
「あぁ、それね。希美が好きだったアイドルなの。」
そう言うと、辻の母親は辻の遺影をじっと見つめた。
「あの子の憧れだったの・・・。それで、ライブのチケットの予約も取れたんだって・・・。それも行けなくて・・・。かわいそうな子だね。」
辻の母親は笑った。
加護の目から見て、それは作り笑いの様だった。
加護もそれにあわせて作り笑いをした。
その後、辻の母親と少しの間、話していた。
辻の事、最近の事・・・・・最後に探偵の事も。
辻の母親は困惑した様子だったが、落着いていた。
「でもね、希美が他殺でも自殺でもあの子はもう帰ってこないのよ。」
加護はそれをわかっていた。
それでも知りたいには訳があった。
(辻は私に相談せずに死ぬわけ無い。だって私たちは・・・・。)
「そろそろ帰ったほうが良いんじゃない?」
辻の母親はそう言うと、加護を家に帰らせた。
100TONBA:2001/07/22(日) 21:36 ID:RPZyC6bo

ある個室で、3人は話していた。
「どうしよう!亜弥ちゃん捕まっちゃったよ!」
「とりあえず落ち着きなよ。」
「松浦はつかえないな・・・ったく。」
石川は頭を抱えた。
「どうにかしないとダメだよ。」
その時、電話がかかってきた。
「はい石川ですが・・・・・・。」
「亜弥ちゃんには既に手を打ってあるわ。心配しないで。」
「な、どうして!」
石川は、会話が聞かれてることがわかり、顔が青ざめた。
「あなた達の会話は全て筒抜けなの・・・・・。」
「もうやめてください!こんな事・・・・・・。」
「じゃあいいの?みんなにあの事話そうか?」
石川はそういわれると、こちらを向いている吉澤の顔を見た。
「いや・・・・。すみませんでした。」
石川が電話ごしに謝った。
「いい?あの事、言われたくなかったら、おとなしく私の言いなりになりなさい。いい?」
「はい。」
そう言うと、電話の主は、電話を切った。
電話が終わって、吉澤たちのほうを見ると、二人は笑っていた。
(naturalのためなら私は・・・・。)
吉澤の笑い顔を見て、石川は決意を固めた。
101TONBA:2001/07/23(月) 23:42 ID:03WEYdkQ

「残り2日か・・・・。」
加護は朝起きると、カレンダーを見た。
今日は学校がおやすみである。
加護は、パジャマから着替えると、ふらふら〜っと行く当てもなく町を徘徊した。
すると、商店街で、仲良さげに歩いている2人の見知った女性を発見した。
加護はその意外な組み合わせに驚き、ついて行った。
2人は、ファーストフードの店に入っていった。
そして、飲み物だけを頼み、3階へとトレイを運んでいく。
加護はセットを買い、同じく3階へとついて行った。
そして、2人にできるだけ近いあいてる席に座った。
「紗耶香、もうやめにようよ。こんな関係・・・・・・・。」
「何言ってるの?私は言ってもいいんだよ。今この場で。大声で。」
「だ、ダメです。でも、こんな関係、もうしんどいよ・・・・・。」
「・・・・・ごっちん、過去の屈辱を忘れた?」
「あれは・・・・私が悪い・・・・・。」
「いいえ、あなたは悪くなかった。全て石川が悪いのよ。」
加護は何の離しかわからなかったが、大切な話というのはわかった。
「・・・・とにかく、ここじゃ危ないわ。場所を変えて、もっと大切な話をしましょう。」
「じゃあ、どうして今日ここに来たの?」
「・・・・あんたが待ち合わせ場所に来ないからだよ。」
そう言うと、二人は揃って階段を下りていった。
加護はセットを食べ終え、追いかけたが、2人の背中は見つからなかった。
102TONBA:2001/07/24(火) 23:19 ID:bfxu2qp2

加護は思った。
犯人と思っていた人物が、もしかしたら違うのではないか?
・・・いや、そんな事は無い。
いろいろな証拠から、犯人はあいつに間違いないんだ。
でも・・・・・。
加護はとりあえず、自分を落着かせて、飯田に電話した。
「もしもし?加護ですけど。」
『ん?何?』
「あのね、犯人の事なんですが・・・・。」
『あ、明後日!明後日まで待ってよ。』
「違うんです!聞いてくださ・・・・。」
飯田は加護のことばも聞かずに電話を切ってしまった。
(どうしよう・・・・どうしよう・・・・・。)
加護の頭の中に、冤罪の言葉が浮かぶ。
(し、仕方ない。うちが・・・・・うちが調べる!)
そう思うと、加護は2人の行きそうな場所を考えて、探した。
偶然にも、1発目でヒットした。
2人は、安倍が殴られた工場にいた。
加護が脳裏に浮かんだのは、誰もいない、広い場所・・・・・。
その条件に当てはまるところで近くにあるのは、ここぐらいだったからだ。
加護は(ラッキー)と思いながら、物陰に音を立てないようにして、隠れた。
103TONBA:2001/07/25(水) 23:13 ID:gsQhGZ7w
本日は休日とさせていただきます。
104TONBA:2001/07/26(木) 23:49 ID:nr.VBads

「で、次は何をするんですか?」
「次は・・・そうだね・・・加護を殺して!」
加護は驚きで、目が開いた。
他人から見ると、ドライアイになるのではないかと思うほど、目を開いた。
「あの子ね、探偵つかって調べてるって前言ったでしょ?それで、もうすぐ犯人がわかるって、喜んでたの。」
「・・・・でもですね、恩師にあたる亜依ちゃんを殺せって・・・。」
「・・・辛いだろうけど、お願いするよ。依頼者さえ殺せば、探偵も動かないだろうね。」
加護は、気分が悪くなり、急いで倉庫を出て、家へと帰った。
途中、何度もめまいがした。
何度もこの町、いやこの国から逃げようと思った。
しかし、加護にはそれが出来なかった。
部屋に入ると、ベットに飛び乗り、布団を抱えて、三角座りをした。
加護は恐ろしかった。
自分が消される事が。安倍のように怪我をさせられる事が。
そこに、電話がかかってきた。
携帯電話を取り出すと、公衆電話と表示される。
怖い電話でないことを祈り、電話を取った。
「もしもし、圭織だけど・・・・。」
加護は、この怖さを、誰かに伝えたかった。守って欲しかった。
飯田が電話をかけてきたことにより、加護は少し、ほっとした。
それでも、命が狙われてると思うと、怖かった。
105TONBA:2001/07/27(金) 23:10 ID:di39mhEU
「・・・・そうなの・・・・。さっき、電話かけてきたでしょう?その時、ちょっと気になって電話かけたんだけど・・・・。電話かけて良かった。」
加護は全ての事情を話した。目に涙をためながら。
「あの・・・私どうしたら・・・・。」
「そうだね・・・・・・。」
飯田がしばらくの間、沈黙する。
「・・・・・あ!これを逆手に取ればいいんだ!圭織、頭いい〜!」
飯田は明るい声でそう言った。
「・・・どうしたんですか?」
「加護ちゃん、今から私の言う事、守ってくれるかな?」
飯田はそう言うと、加護に対していくらかの指示を出した。
106名無し娘。:2001/07/28(土) 00:34 ID:cQZo/yvg
ん?なんか急展開。
TONBAさんがんばってくらさい。
107TONBA:2001/07/28(土) 23:48 ID:YGesvNQs
みずさすようで悪いんですが、少し休載します。
8月1日を復帰目標の日としておきます。
ゴメンナサイ。
108名無し娘。:2001/07/30(月) 23:58 ID:ya4UwRA2
というわけで保全
109 :2001/07/31(火) 19:37 ID:fdhuvAb.
 
110TONBA:2001/08/01(水) 00:22 ID:.wSdXYEc
1個俺の小説スレが消えてたからビックリしたよ。
でもここがあって良かったと思う。

只今、続き作成中。
PM11:50頃に更新予定。
111名無し娘。:2001/08/01(水) 00:26 ID:1AakrQl6
>>110
がむばってくらさい。
112名無し娘。:2001/08/01(水) 07:09 ID:08emb2Ks
>>110
消えちゃった方はもう書かないの?
割と楽しみにしてたのだけど。
113クズ学生 :2001/08/01(水) 16:02 ID:esbdu2IY
114TONBA:2001/08/01(水) 23:46 ID:3L0Pp2w2

2日間、加護の身に何も起こらずに過ぎた。
加護はその日、事務所に行くために正午におきて、着替えていた。
今日、全てのことが完結する・・・・。
そう思うと、長かった今までを思い出した。
中澤達との出会い、安倍の怪我、松浦の事・・・・・。
今日、自分にとって全てが報われる日が来た。
加護は、玄関を出ると、帽子を深々とかぶり、事務所へと歩き出した。
後ろから、誰かがついてくるが、作戦どおりである。
そして人通りの少なくなった路地に入ると、加護は後ろを向いた。
「なんの用事ですか。石川さん。」
後ろには、帽子にサングラスをかけた石川がいた。
手にはナイフを持っている。
「ゴメンナサイ・・・でもこうするしかないんです。」
石川が強くナイフを握り締めたまま言った。
「育てられた恩は無いんですか?こんなことして、悪いと思わないんですか?」
加護は怯える素振りを見せなかった。
「梨華ちゃんは・・・・自分の意思でこの事をやってるんですか?」
石川は答えなかった。
そして加護から目線をそらし、話題を変えた。
「副社長・・・あなたは私を助けてくれますか?」
115TONBA:2001/08/02(木) 00:00 ID:mhyGNFQg
>>112
この小説が終わり次第、このスレでやろうと思ってます。
116TONBA:2001/08/02(木) 00:01 ID:mhyGNFQg
>111
ありがとうございます。
117TONBA:2001/08/02(木) 22:54 ID:/EftXG7Y

「まぁまぁ、ここに座って〜な。」
中澤が吉澤と後藤の2人をソファーに座らせた。
「もうちょっと待ってな。もうすぐしたら加護がくるさかいに。」
中澤は微笑みかけながらそう言って、そしてお茶を入れに行った。
それと入れ替わるように飯田が玄関から入ってきた。
「裕ちゃ〜ん。圭織にもお茶入れてね。」
そう言うと、カバンをカバン掛けにかけて、二人の前に座った。
「え〜とね、今日は話があるんだ・・・・。」
「なんですか?」
後藤が手帳を片手に飯田に言った。
「この後仕事があった忙しいんですが・・・・・。」
「この後、仕事無いの知ってるよ。この先、仕事、1つもはいってないんでしょう?」
そういわれると、後藤は反論してこなかった。
なぜならそれは本当の事。
これから先のスケジュールは全て加護によってキャンセルされていた。
飯田はそのことを知っていたので、後藤のウソをすぐに見抜いた。
「今日、ここに呼ばれた理由、わかってるよね。」
2人は一言も話そうとしなかった。
「じゃあ、圭織一人でず〜っとしゃべるから、それを聞いててくれる?」
2人はやはり一言もしゃべろうとしなかったので、飯田が話を始めた。
「この事件知ってる?中2女子自殺・・・・ってやつ。」
二人の反応を見る。
2人ともうつむいたまま、黙っている。
「その事件ね、本当は自殺じゃないんだ・・・・。」
2人とも動かなかった。
「私たちの調べによると・・・・・。」
「もういいです!」
後藤が立ち上がった。
「もう・・・もういいです。わかってるんでしょう?私たちが犯人だってことを!」
吉澤は手で顔を覆って泣き出した。
「私たちだって・・・・・本当はやりたくなかった・・・・でもね、弱味握られてたのよ!彼女にね・・・。」
後藤は目に涙をためながら言った。そして座って下を向いた。
飯田は後藤のうなだれている姿を見ていた。
118TONBA:2001/08/03(金) 23:40 ID:KQWgVcfM

「彼女って、殺した辻さんのことかな?まぁ、私たちがわかってる事を話すから。」
後藤が下を向きながらうなずく。
「え〜っと、2週間ほど前の夜、辻さんは、商店街が工事中だったので、ホテル街を通りました。そして、そこで何かあって、それに腹を立てたあなたが辻さんをビルに呼んだんですね?」
吉澤を見て飯田は言った。
吉澤はピクリとも動かなかった。
「・・・そして、自殺に見せかけるために、辻さんを落として、証拠品を全て回収したわけだが・・・指紋が残ってたと・・・・。」
飯田は二人の反応を見たが、後藤も吉澤も反応しなかった。
「それを見つけた松浦に口止めしたが、安倍に伝えられて、むかついたあなた達は、どうやってかわからないけど、亜弥さんを洗脳して、指紋のあることを知ったなっちを狙ったんだね?理由として、加護に恐怖心を与えるために・・・。」
吉澤が首を少し上下に動かした。
「それだけしても、加護はあきらめなかった。焦ったあなたたちは、どうすればいいかわからず、仕事も上手くいかなかった・・・。加護ちゃんからはそう聞いてるわ。」
吉澤と後藤は顔を手で覆った。
飯田は「ふう」とため息をついて、もう一人のメンバーの事について言った。
「ところで、石川さん・・・・・っだったっけ?どこにいるの?」
「今・・・加護さんを殺しに・・・・。」
吉澤が小さい声で言った。
「そう・・・・でも、彼女に加護ちゃんを殺せないわ。」
飯田は2人に微笑みながら言った。
「それより・・・頼んどいた事、ちゃんとやってくれてるかな?」
119TONBA:2001/08/04(土) 12:22 ID:73LoO88A
保全
120やまだぁ:2001/08/04(土) 20:08 ID:rZdHOQIY
この小説、今までの中で1番好きです。
この続きがすごい気になりますね〜。
TONBAさん頑張ってくださいね!
121TONBA:2001/08/04(土) 21:36 ID:OMbsgYic

「どう言うこと?」
加護が石川に言った。
「私を・・・・・助けられるの?」
石川の今にも泣きそうな声を加護は頭に入れた。
(助ける?どう言うこと?)
加護の頭では、なかなか理解できない石川の心理状態がその言葉によって表されていた。
呪縛から解放されたい自分と、それをする勇気の無い自分との葛藤・・・・。
それに加えて、芸能人としての生活のストレスや、日常生活におけるストレス・・・・。
これら全てが石川を苦しめていた。
それを加護がわかった時、石川はもう1度言った。
「加護ちゃん・・・・私を助けてくれる?」
そう言った瞬間、石川の体が膝から崩れ落ちた。
どこからも、血は出てないし、怪我した様子は無い。
「梨華ちゃん、梨華ちゃん・・・どうしたの?」
「ちょっと、立ちくらみしただけです・・・・。」
そう言って石川は立ち上がり、ホコリを払った。
「こんな事言うのもなんだけど・・・梨華ちゃんを助けることは出来ない・・・・。」
「じゃあ・・・・。」
石川がナイフを構える。
「ちょっと待って。話は最後まできいて。助けられないけど・・・・助ける手助けはするわ。」
「・・・・?それって助けるって意・・・・・。」
「違うの。手助けはするわ。でも、自分でそれを解決しなきゃ。」
そう言うと、石川の持っていたナイフを手で押さえて石川に近づいた。
「これ、頼んだの市井紗耶香さんだよね?ここに呼んでくれないかな?」
そう言うと、石川は無言で携帯を取り出して、市井に連絡した。
122TONBA:2001/08/04(土) 22:20 ID:sfW0klE2
>>120
ありがとう。頑張ります。
123TONBA:2001/08/05(日) 22:51 ID:MAB9ArFQ
明日、試合なのでお休みします。
124名無し娘。:2001/08/06(月) 12:28 ID:KyZlEHmI
期待しつつほぜん
125TONBA:2001/08/06(月) 23:11 ID:uUr9kY8I

市井がやってくるのにそう時間はかからなかった。
市井は加護がいる事も知らずにのこのことやってきた。
そして、石川に平手打ちをかました。
「なにやってんのよ!加護を早く殺しなさいよ!」
加護は物陰に隠れていたため、市井は加護がいることに気付かなかった。
「すみません・・・・・・でも、彼女だけは殺せないんです・・・・・。」
「どうして?私の言う事が聞けないの?なら、あの事言うよ?」
「それでも・・・私には彼女を殺す事は出来ません。」
石川はそう言うと、持っていたナイフを後ろの加護の隠れている箱の横に投げ捨てた。
「いいのね・・・・・写真付きで週刊誌に送るわよ。石川は・・・・・・・。」
「あれぇ?市井先生じゃないですか。」
加護がそれとなくでてきた。
すると市井はその表情を緩やかなものへと変えた。
「あら!加護ちゃん。どうしたの?」
石川の前から離れて、市井が加護のそばに寄ってくる。
「先生、今から探偵さんのところに行くんです。でも、なんだか怖いから来てくれませんか?」
加護がとてもぶりっ子していった。
石川はその隙を見計らって、何処かに電話している。
「・・・・そうね、いいわよ。」
そう言うと、石川をほっておいて、2人は事務所へと歩いていった。
126TONBA:2001/08/07(火) 23:10 ID:ddsXnTS6
今までに無い腹痛が襲ってきたので、更新は中止です。
明日します。
・・・ヤバイ・・・腹痛い・・・。
127名無し娘。:2001/08/08(水) 01:18 ID:foTn3pEY
おぉ!大丈夫か?無理せずゆっくり休むよろし
128TONBA:2001/08/08(水) 23:31 ID:zr4MOwNA

石川はそこから逃げ出したかったが、加護と、市井がくるまでに約束した事を守ろうとした。
それは『この人に電話して事務所に連れてきて。』と言って渡された電話番号にかけること。
電話した。
『もしもし。』
知らない女の人が出た。
「すいません、加護さんが呼んでるんですけど・・・・・・。」
『わかった。ところでさぁ、あんた・・・・・。』
あんた、と言った所で電話を切った。名前を名乗るつもりは初めから無かった。
そして携帯をポケットに入れて、近くにあったバイクを拝借して、事務所へと向かった。
129TONBA:2001/08/08(水) 23:34 ID:zr4MOwNA
>>127
何とか、助かったッペ。
しかし、昨日はやばかった。
130TONBA:2001/08/09(木) 22:59 ID:PukTEAco

電話をもらった矢口は、どう言うことかわからなかった。
加護が呼んでると言われても、どこに行けばいいのかわからないし、誰が電話してきたかすらわからない。
そんな未確認情報の多い中、自分が行くのはちょっとしんどい。
それに、今立てこもり事件の陣頭指揮をとっている身なので、自分で行くわけには行かない。
「・・・・・ってわけだから行ってくれないかな?」
矢口は代わりに自分の側近を行かせる事にした。
「でも、どこにいったらいいんですか?その話聞いただけでは、さっぱりわからないんですけど・・・。」
「私もわからないんだけどね〜。ま、とりあえず裕ちゃん・・・中澤さんの事務所に行って。」
「は〜い。」
そう言うと、その代わりの人はそそくさと矢口のもとをさった。
「・・・・大丈夫かな・・・。」
矢口は心配そうにその背中を見送った。
131名無し娘。 :2001/08/10(金) 00:51 ID:m15837lA
側近…誰だ気になる…
132名無し娘。:2001/08/10(金) 01:13 ID:n9WqO/oA
tえ
133名無し娘。 :2001/08/10(金) 21:15 ID:TsONb7nI
(略 か だろ。言っちゃうと作者の進行妨げそうなのでさよなら
134TONBA:2001/08/10(金) 23:00 ID:IvdsuUMA
本日は、お休みにさせていただきます。
135TONBA:2001/08/11(土) 23:20 ID:ylSoDdvE
ゴメンナサイ。今日も休みます。
136保全:2001/08/12(日) 20:06 ID:6YlcNarU
最近kako逝き早すぎ
137TONBA:2001/08/12(日) 21:34 ID:olwTzsaQ
>>136
そうっすねぇ・・・はやいっすねぇ・・・
138TONBA:2001/08/12(日) 21:35 ID:olwTzsaQ

「先生、ののはどうして死んだんでしょうね?」
歩きながら加護が市井に言う。
「さあ?今から聞きに行くんでしょう?」
「・・・・実はもう知ってるんですよ。」
市井が歩きを止める。加護が振り返る。
「どうしてんですか?・・・・市井先生?」
「・・・・・。」
市井が無言になる。何か考え事をしているようにも見えるが、ただ、まずくなったので黙ってるとも思える。
「先生?」
加護が近寄っていって、市井の手を引く。
市井は加護の歩む方向へと逆らわずについてくる。
139TONBA:2001/08/12(日) 21:41 ID:olwTzsaQ
一番後ろまできちゃったよ。
・・・昼は300番代だったのに・・・。
140名無し娘。:2001/08/13(月) 00:09 ID:Dk71r6gU
test
141名無し娘。 :2001/08/13(月) 03:03 ID:lATKvzYI
絶対に消えてほしくないので保全
142名無し娘。:2001/08/13(月) 04:37 ID:V1deRWKI
クライマックスに期待 保全
143(0^〜^0)@狼:2001/08/13(月) 17:30 ID:Ab4EY1Sw
おいら頭いいよ
144TONBA:2001/08/13(月) 23:51 ID:towDSwSo
今日も休みます。
マジ、ゴメン!
145TONBA:2001/08/14(火) 00:13 ID:J0113JPE
あ、後、保全してくれてる人、本当にありがとう。
146名無し娘。:2001/08/14(火) 05:20 ID:z6qkX6Ng
保全
147名無し娘。:2001/08/14(火) 19:46 ID:esM1TbW2
保全…。
148TONBA:2001/08/14(火) 23:14 ID:f/iuD/ek

加護の行きついた場所は交番だった。
「すいませ〜ん。おまわりさ〜ん!」
ビックリする市井。
「どうしたの?道ならわかるでしょう?」
「・・・・もういいですよ。市井先生・・・。わかってるんですから。」
「何が?」
「ののを殺したのは、先生でしょ?」
市井はそれを聞いて笑ってしまった。
「ははは!どう言うことそれ!馬鹿らしい!」
「全部聞いたよ。後藤さんから・・・・・・。」
そう言うと、市井の顔から血の気が引いた。
「全部話すよ・・・。私の推測、後藤さんが知っている限りの真実を・・・。」
149(0^〜^0)@狼:2001/08/15(水) 19:36 ID:vQOAp.ac
どういたしまして
150名無し娘。:2001/08/15(水) 19:39 ID:hMC/3ds2
このスレッドを
151TONBA:2001/08/15(水) 21:27 ID:QRUjbbtk

市井はその交番に警官が1人もいない事に気づいた。
そこはどうやら誰もいない、昔、使われていた、今では使われていない交番なのだろう。
周りには公園があり、団地が立っていて、この場所だけ浮いている。
きっと、ここに通っていた警官は、交番の場所の移動に伴い、どこか近くに出来た交番に移ったのであろう。
市井がその交番に入る。加護は後から入ってきて、ドアの鍵を閉める。
「あなたと私の2人きりで話しましょうよ。」
加護が市井を奥の席に座らせる。加護はドア側の席に座る。
「お茶はそこに置いてありますから。」
指差された場所には、電気ポットが。この場所を下調べしていたらしい。
「・・・・お茶、いる?」
市井が湯呑みを取り出してお茶を入れる。その様子は普段と変わらない。
「・・・お願いします。」
もう1つ湯呑みを取り出し、お茶を入れる。それを加護に差し出す。
「ありがとうございます。」
それを一口飲み、加護が話し始める。
「・・・2週間程前、辻さんは自殺しました。」
152名無し娘。:2001/08/16(木) 01:42 ID:9wwrMcAg
保全age
153名無し娘。:2001/08/16(木) 01:43 ID:AELwtdbU
保全
154TONBA:2001/08/16(木) 22:19 ID:QAo8U5PQ

「そして、一週間ほど前、安部さんが襲われました。犯人は捕まりました。・・・・松浦亜弥さんです。」
加護が机の引出しの中に入れておいたファイルを取り出す。
「・・・と、まぁこれまでが世間で認知されている事ですね・・・・。でも、よく調べてみると、面白い事がわかったんです。」
ファイルを開く加護の目の前で市井がお茶を飲む。
「naturalの後藤さん、松浦さん、のの・・・・。この3人の共通点・・・それはあなたですよ。」
市井は茶のみを置いた。
「松浦さんとあなたとの接点は・・・去年、松浦さんに家庭教師してますね・・・。ののとの接点はご承知のとおり、教師と生徒・・・。あとは後藤さんの接点ですけど・・・。」
その話を市井がさえぎる。
「確かに松浦さんを教えたし、辻さんは生徒です。でも後藤さんとは何の面識も・・・・。」
「あれぇ?確か2年前に私が解雇した人が後藤さんで、その付き人が市井さんだったんですが・・・・。」
市井は再びお茶を飲みだした。
155TONBA:2001/08/16(木) 22:27 ID:QAo8U5PQ
>>152,>>153
保全ありがとう

それと、今日の夜、スレッド数545付近になったら、誰か保全してください。
よろしくお願いします。
156名無し娘。:2001/08/17(金) 00:39 ID:mWK.ZX36
とりあえず保全
157名無し娘。:2001/08/17(金) 00:46 ID:we1z3.Kk
犯人当て小説じゃなかったのか・・・
158名無し娘。:2001/08/17(金) 01:18 ID:d2F.H8.U
保全
159TONBA:2001/08/17(金) 18:39 ID:4oS4EoRI
>>157
そう言う展開にしてみるよ
160TONBA:2001/08/17(金) 23:00 ID:zl5tqKh.
今日はとりあえず、休みます。
161TONBA:2001/08/18(土) 00:19 ID:5C5nyt9s
保全、お願いします。
162名無し娘。:2001/08/18(土) 13:44 ID:aJuOjafs
保全
163TONBA:2001/08/18(土) 22:24 ID:.xW/2Vu6
今日は休みます。
今晩、きっとこのスレの存亡のやまと思うので保全をお願いいたします。
164名無し娘。:2001/08/19(日) 00:13 ID:hxPyZDsY
保全
165名無し娘。:2001/08/19(日) 07:52 ID:35MU79iQ
166名無し娘。:2001/08/19(日) 19:54 ID:nPQnVhxc
167TONBA:2001/08/19(日) 20:38 ID:w8sbwGKQ
平家と握手してきた!
ん〜〜!最高!
168TONBA:2001/08/19(日) 23:39 ID:D8jrQyyE
今日は、いろいろあったから、とてもしんどいんで、休ませてください。
・・・・パソコンとの距離感も遠く感じます。
169名無し娘。:2001/08/20(月) 12:11 ID:dMEOMX0U
170名無し娘。:2001/08/20(月) 21:48 ID:w47Ooszg
そろそろかな
171TONBA:2001/08/20(月) 23:01 ID:m14ucz0E

「おかしいですね・・・・。確か2年前の社員リストに“市井紗耶香”ってかいてあったはずなんですけど・・・。」
市井が茶のみを置く。
「確かに、あなたとは会った事があったとは思ってたけど、まさか副社長とはね・・・・。」
「学校に来た時、少しビックリしました。なんで市井さんが・・・ってね。」
「私は『どこかであったかな?』程度に考えてた。」
市井も加護も笑う。
「ばれてちゃしょうがないね。確かに後藤とは歌手と、その付き人って言う関係だったわ。でも、これとどう言う関係があるの」
加護が口元に笑みを浮かべる。
「これで3人はあなたという共通点で結ばれた・・・殺しの理由もね。」
その言葉を聞き、すぐに反論する市井。
「ちょっと待って。辻さんは自殺じゃないの?」
「・・・よくそんな事がいえますね。市井先生。」
172TONBA:2001/08/20(月) 23:03 ID:m14ucz0E
毎日、更新は不可能になってしまった・・・・。
ゴメンナサイ。2日に1回程度にします。

>>170
なにがそろそろなの?
173名無し娘。:2001/08/21(火) 00:00 ID:dUDkTRHc
私もMeicosでショポーイ小説書いていますが、
毎日更新は辛くてできません。
しょうがないと思いますよ…
ただ、自分の小説には読者さんがいるのかどうか…
174名無し娘。:2001/08/21(火) 21:36 ID:ddAn1OJw
保全 
175TONBA:2001/08/21(火) 23:09 ID:W08KZaAE
保全
176名無し娘。:2001/08/22(水) 06:36 ID:m8Gq5qqI
177名無し娘。:2001/08/22(水) 14:41 ID:Am3sVUGo
@  @
(‘д‘)<ほ・ぜ・ん
1784126:2001/08/22(水) 15:07 ID:d0b81gCg
あー、これもTONBAさんだったのね。知らなかった。
179名無し娘。:2001/08/23(木) 10:24 ID:7s7yd8vk
ホゼム
180てうにち新聞新入社員:2001/08/23(木) 15:50 ID:f3Rzs/lc
緊急事態発生?
警戒警報発令中?
保全
181TONBA:2001/08/23(木) 19:52 ID:8fZDe6lo
昨日更新するの忘れてた。
ゴメン。昨日の分の更新。
182TONBA:2001/08/23(木) 19:53 ID:8fZDe6lo

「ははは・・・。面白い事を言うね。」
市井が高笑いする。
「ホントですね。はははは・・・。」
加護も同じになって笑う。
「面白い事を言うのは、市井さん、あなたですよ。」
市井は笑うのをやめない。
「ははははは!!・・・面白い!はははは!」
加護は少し腹が立ったらしく、怒った顔をする。
「・・・じゃあ、今から笑えなくしてやりますよ!」
そう言うと加護はファイルの次のページをめくって、それに目をやりながら、市井に向かって言った。
「全て調べがついてます。まず、さっきの石川さんの事からいきますよ。」
「はぁ?私は何の関係もないし、私とは通りすがりであったんでしょう?」
「いえ。私はあなたを物陰で待ってたんですよ。」
少しだけビックリするが、その表情は変えない。
「へぇ〜趣味が悪いね。」
「なんとでも言ってください。」
加護も市井も少し微笑む。
183TONBA:2001/08/25(土) 00:05 ID:5af28.Og
hozen
184名無し娘。:2001/08/25(土) 10:37 ID:PoQsmNV2
保全
185TONBA:2001/08/25(土) 22:36 ID:qtxOfEm6

っていうか、上げないで。
186TONBA:2001/08/25(土) 23:09 ID:qtxOfEm6

お互い腹の探りあいだ。
隙があれば完全に罪を否定しようとする市井。
何も言えないくらい完璧な推理で、相手を自首させようとする加護。
「石川さん、何かで脅されてるみたいですね。ま、そんな事
 私に取っちゃどうでもいいんですが。」
「あら?あなたの事務所からスキャンダル芸能人が出るわよ。」
市井も反撃に出る。加護は表情を崩さない。
「クリーンな事務所のイメージのあなたの事務所にとって
 それはいたいことじゃないの?」
「そして・・・。」
話を戻そうとするが、市井によって妨げられる。
「いいのかな〜?初めてのスキャンダルが出ても?」
「どの事務所にだってスキャンダるの多い芸能人はいます。
 うちの事務所が今までいなかったのは奇跡です。」
そう言うと、市井は「やるわね。」と言った表情で加護を見る。
187TONBA:01/08/26 21:23 ID:IbxWj2Rs
保全
188ありがとう、神様!
板復活記念保全。一時はどうなることかと・・・。