モー。の小説A

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1木村
よろしくこんにちわ。
またとちゅうで投げ出すかもしれませんが、やるだけやります。
またサボりまくったらすいません。
2木村:2001/04/22(日) 02:30 ID:IjeyZ0WE
『沈黙の殺人狂』

〜プロローグ〜
6月も、もう終わる・・・。
湿度が多い為か、朝からいつも以上に蒸し暑い。
外に出て上を向けば、今にも一雨来そうなどんよりとした空が、目に入った。
爽やかでない風が髪を少し乱した。
「何、してるんですか?」
聞き慣れた声がする。後輩の辻希美の声だった。
「変な空だね」
吉澤は隣にきた小柄な少女の方を見た。その少女は、純白のワイシャツにベージュのロングスカートをはいている。一瞬似合わないと思ったがしばらく無言で見ると、何か特別な雰囲気が感じられて、意外と彼女に合っていた。
「降ってくるらしいですよ、今朝の予報はそう出てました」
「誰から聞いたの?飯田先輩?」
「いえ・・・」
辻は少し微笑んだかと思うと、俯いてしまった。
正解といわんばかりの表情に吉澤は笑った。辻は高等部1年だったが、大学の方に何人かの友人がいた。飯田圭織もその1人で、気象予報士の資格を持っている才女だった。辻から紹介された時に聞いた話で、当時吉澤はこの才女という表現にいくらか興味を持った。資格を持てば才女という辻の発想が滑稽だったし、それ以外の行動では全く持って自分以上の存在ではないと認識したからだ。
何度かそういう人物とは出会っていた。飯田は文理学部の3年で辻はもちろん吉澤とも僅かな年齢差だった。第一印象の悪さで人はその後の付き合い方を変えるというが、吉澤はそういう気は毛頭なかった。しばらく付き合っているうちに性格も知り親しい関係になった。
3チーズ:2001/04/22(日) 02:31 ID:Rvk48N.2
きむりん
4木村:2001/04/22(日) 02:31 ID:IjeyZ0WE
そんな飯田の事を辻が信頼するのは当然の話だった。
「傘持って来たの?」
「いいえ。聞いたのは今日の朝なもので」
「何だ・・・。持ってきてたら入れてもらおうとしたのに」
「いいじゃないですか。先輩はすぐ近くのマンションなんですから」
確かにそうだ。吉澤の自宅はこの無駄に広い敷地のすぐ側に位置する、これまた無駄に広い3階建てのマンションだった。
「あ・・・」
辻が何かに気付いたのか、突然言った。
吉澤は強くなり始めた風で乱れた髪を耳の後ろに指で運んだ。空を見ると鳥が(種類は分からないが)群れを成して舞っていた。
「先輩、さっき石川先輩が呼んでましたよ」
「あ、そう・・・」
「図書館にいるから呼んできてって」
「こんな遅くになにかな・・・」
石川とは、一歳年上の先輩で芸術学部の文芸学科の学生だった。吉澤の親友で小説書きが趣味らしい。家にも行った事がある。その時はまだ敬語を使っていた。石川の部屋は机以外は整頓され、丁寧に芳香剤までおかれていた。
本棚には異様な数の小説やら文芸書、評論本。よく見れば画集など様々なジャンルの書籍が奇麗なオブジェの様に並んでいた。手に取るのも失礼なくらいの奇麗な配列に吉澤は驚愕した。
5木村:2001/04/22(日) 02:31 ID:IjeyZ0WE
そんなショールームのような部屋の中で机だけが何かを意味するように(もしこの部屋で、殺人事件が起きたら警察はまず始めにここに手がかりを見出すだろう)散らかっていた。
その中央には端の方が折り曲がってしまっている原稿用紙が2,3枚置かれ、それを押さえつけるように黒いペンがおかれていた。
その周りには城壁を築くかのように分厚い辞書や参考資料が積まれていた。右端のスペースには埃をかぶった古い鉄製のスタンドが足っている。
スタンドは明かりを点したままだった。
石川は学校にきても図書室がお気に入りのようで、よく昼休みや放課後は一緒に過ごした。
吉澤はすぐに辻と分かれた、しばらく歩いてから振り替えると辻は南門の方に向かって歩き出していた。
図書館は大学校舎と体育館の間にあった。高等部の入口からは行けないので吉澤は仕方なくグランドの横を通る事にした。
途中飯田がグランドで走っている事に気付いた。飯田は陸上部員なのだ。
6名無し娘。:2001/04/22(日) 23:58 ID:REZRj4V.
木村君や,書きかけの小説を完成させる気はないのかい?
7木村:2001/04/23(月) 16:45 ID:FYRdDvk6
>>6シーサイはあるかもしんないけど、石川バトロワはやる気0。
8木村:2001/04/25(水) 01:03 ID:MtFy/Jlo
吉澤は金網越しに飯田に声をかけた。
気付いた飯田は走るのを辞めて吉澤の方に向かって歩いてきた。
「先輩、今日は傘持ってきました?」
「何?知ってたんだ。あ、辻と話したでしょ?」
吉澤は小さく頷いた。
「やっぱりね。うん、今日は雨ふるよ。・・・て言うか吉澤ならわかってるか」
吉澤は再び小さく頷いた。
「一昨日の天気を覚えてれば大体わかりますよ。第一、今日は朝から曇ってましたし」
「まあね。でも辻に言ってもわかんないでしょ?」
吉澤は笑った。この性格が飯田の一番魅力的な所だった。
「傘持ってきてないの?」
「ええ、濡れて帰るのもたまには良いじゃないすか」
「そっか・・・」
そういって飯田はまたトラックに戻った。
走り出す飯田を見送った後、吉澤は小走りに図書館へ向かった。
9木村:2001/04/25(水) 01:04 ID:MtFy/Jlo
図書館に入ると、もう司書がいなかった。貸し出しカウンターと書かれたカードが床に滑り落ちている。吉澤は入るなりそれを拾ってカウンターに乗せた。
この位置からでは、石川は確認できない。この図書館はL字型になっておりカウンターからは人の存在を全く確認できない状態だった。
「梨華ちゃん・・・いるの?」
返事はない。吉澤は急いでスリッパを取って奥へ入っていった。
茶色い粗末な読書用の机に石川は突っ伏していた。
吉澤はゆっくり近づいていく。このたった二人しか存在しない空間で、静かに歩く意味はなかったが、石川の突然の反応を警戒して吉澤はそうした。
途中スリッパがカーペットにつく音が何度かしたが、石川は動かなかった。
「梨華ちゃん。ちょっと、おきて」
とうとう吉澤は、石川の体を突いた。
石川はしばらく体制を変えたりしながら、寝惚けた様子でいた。
「何用事って」
「あ、よっすぃー。来てくれたんだ」
石川はそういうと椅子から立ちあがって手に持っていた冊子のようなものを吉澤に差し出した。
医学部で発行している医学の情報誌だった。
10木村:2001/04/25(水) 01:05 ID:MtFy/Jlo
「見た?これ」
吉澤はじっとその冊子を見詰めた。見たも何も表紙には自分の父親が載っている。吉澤の父は医学部の講師でもあり、内科医の権威だった。
きっとまた何かすごい発見をしたのだろう。しかしそれは吉澤にとってあまり興味の無いことだった。渡された冊子を石川に返す。
「ちょっと、中身ぐらい読んでよ」
「こんな事だったらいいよ。帰るね」
吉澤は石川に背を向けて歩き出した。
「ちょっと待ってよ。よっすぃーのお父さんが・・・」
石川が右腕を掴んだ。咄嗟に掴んだせいか少し強く握られている。
「とりあえずこれを。これだけ見て」
吉澤は仕方なく冊子を取り無造作にページを開いた。その一連の作業で、冊子はすっかり折れ曲がって新品とは程遠いものに変わってしまった。
久しぶりに見る父親の顔は懐かしさも感じられなかったが、見出しに大きく書かれた文字に聊かの驚愕を覚えた。
「・・・これって・・・」
「凄いでしょ?よっすぃーのお父さんの研究・・・」
石川はまるで自分の身内の出来事のように喜んでいた。吉澤のほうはといえば先ほどとは打って変わって興味深げに父親の長方形に縁取られた写真の丁度横にレイアウトされた、詳細の文章を隅々まで読んでいた。
11木村:2001/04/25(水) 01:06 ID:MtFy/Jlo
記事の内容は吉澤の父の研究時の発見の逐一が報告されている。文章によると研究の成果は驚異的な偶然性を持っていると書かれている。
「・・・・・・」
吉澤はしばらく記事を見つめたまま無言でいた。
何かあるのかという目でその吉澤を見ていた石川が沈黙を破る様に言った。
「ねぇ・・・どうしたの?そんなに黙り込んで・・・」
「ねえ、この記事知ったの今日?」
「そうだけど・・・
「じゃあさ、これっていつ発行されたの?」
「今日じゃないかな。昨日は置いていなかったから・・・」
「じゃあ、もし仮に昨日発行されてこの図書室に置かれた分が、置かれた時間から今日の図書館会館時までに誰かに全部取られるって事は?」
「うーん・・・ありえることではあるけど・・・。でもあんまりこういう冊子をもらう学生はいないかもしれないよ」
「そうだよね・・・。ちょっと発行日を調べられないかな・・・」
「え?」
「この冊子の発行日を知りたいんだよ。できる?」
12木村:2001/04/25(水) 01:07 ID:MtFy/Jlo
「うんまあ・・・。司書室に行けばそういうのを管理する書類がすぐ見つかるはずだから」
吉澤は半ば石川を引っ張るように司書室に向かった。司書室は貸し出しカウンターの後ろにある扉を開ければそこにある。白井ドアには分かりやすくプレートが貼り付けてある。鍵は閉まっていない様で司書がいないにもかかわらず不用心だなと吉澤は思った。まあ、進入してる自分が言えることじゃないか・・・。石川は図書委員をやっているらしくこの部屋は慣れている様子だった。吉澤が躓きそうになっている床をすいすいと歩き回り目的の書類を捜している。
「あった?梨華ちゃん」
吉澤は形だけでも探している雰囲気を出そうと勤めていた。時々机の上にある正体不明の紙切れを退かしてみたりするが完全に当てが外れている。というか的が外れた行動ばかりしている。
「あったぁ!!」
石川が大声で叫んだのは、探し始めてから10分後だった。
「ちょっとみせ・・・」
石川に近づこうとしてついに吉澤は重いダンボールに躓いた。
「うわっ!よっすぃー。大丈夫?」
「いて・・・いいから、本見せて」
13木村:2001/04/25(水) 01:09 ID:MtFy/Jlo
本当に更新させてもらいました。
ありがとうございました。

あと、なんか小説投票で俺の小説二つがランクインしてるのを見ました。
本当に嬉しいです。ありがとうございませぇ。
14木村:2001/04/27(金) 00:00 ID:FQOocKMY
「うん。これだよ」
吉澤が手に取ったのはB5サイズの大学ノートだった。吉澤はこの大学ノートが大嫌いだった。センスの欠片も無い赤いノートは吉澤の芸術的感性に大いに反していたからである。
かなり使い古されているらしく回りは黒く縁取られている感じだった。
「これか・・・」
開いてすぐにそれはあった。例の冊子の発行日は昨日になっている。
「やっぱり・・・」
「なにが・・・?」
「この記事は、多分この本以外には載っていない。ていうことはまだこの大学内での機密事項なんだよ。大袈裟だけどね・・・。発表があったのはこの大学内での話でまだ世間には知られていないって事なんだよ。だからもうすぐ公の場での発表が必ずある。それまでにもしお父さんを殺してこの情報をうまく奪おうって人がいれば簡単にできて、その情報は基からその人が発見した物って事になっちゃうこともあるんだよね・・・。」
吉澤の言葉に石川は軽い動揺を顔に出した。
15木村:2001/04/27(金) 00:02 ID:FQOocKMY
「でも・・・それって憶測でしかないわけでしょ?実際にはそんな簡単に・・・」
「ううん。これはお父さんに聞いたことから全然可能性の低いことじゃないよ。ましてこんな大きくて、いやらしい話お金になる情報だからなお更ね・・・」
「やばいんじゃ・・・ないの・・・」
「うん、正直やばい・・・」
吉澤はここに来て初めて動揺を見せた。心臓の鼓動は確実に早くなっていた。
この不安は何だろう・・・。
「梨華ちゃん・・・。今日はありがとう。いいこと教えてくれて」
「今度おごってよ。ラーメンでいいよ」
吉澤は軽い苦笑いを返して石川と別れた。
16名無し娘。:2001/04/30(月) 11:58 ID:djqnspEg
きむ、がんばれよ。
とりあえずあげてやるから。
17名無し娘。:2001/05/04(金) 02:23 ID:MZ4KPI26
保全?
18名無し娘。
age