小説 崩壊の前日

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1hane
 
2名無し娘。 : 2001/03/28(水) 03:58 ID:eum93WFw
なんだこれ?
3名無し石川 : 2001/03/28(水) 04:26 ID:xHn8PtbA
>>1
立て逃げ?それとも明日以降書くの?
4名無しちゃむ : 2001/03/28(水) 09:27 ID:qA8Lno32
ま、焦らずに1が帰ってくるのを待ちましょう(´ー`)y−〜〜
5hane : 2001/03/28(水) 13:32 ID:kxUNlWQE
「今日もポジティブで頑張りまーす!」
「お決まりのセリフが終わったらとっととどけよ、オラ」
かおりが正面から見えないように、背中を小突く。
「んっとにお前はトロいな」
足を踏みつける保田。
「痛っ、ごめんなさい…」
足早に立ち去る梨華、それをにやにやしながら見つめている中澤。

ポジティブ…ポジティブ…
半ばうわごとのように繰り返していた。
少しにじんだ瞳の向こうには、はしゃぐチャレモニメンバー4人の姿が映る。

真希、わたしもわたしなりに頑張ってるからね。
あとすこしで真希に会えるんだもの。
太陽のような微笑と、
耳をくすぐるクスクスとした笑い声を思い出すと
過酷な試練に直面した16歳の少女にも
ほのかに癒される瞬間があった。

「石川さん、お願いします」
ADの声にうながされ我に返る。
いけない!
小奇麗に着飾った衣装に似合わない慌てぶりでフロアーへ。
「テメー、自分の出番になったら2秒以内に戻れっつったろ?」
カメラに向けた笑顔のままかおりが言った。
(ばーか、ばーか、ばーか、ばーか…)
背後でなつみが、壊れたテープレコーダーのように反復している。
言葉に詰まりそうになりながらも、振り絞って何とか声にする。
「以上、チャーミー石川でした!」

「はい、OKでーす。本日の撮りは終了!お疲れ様でしたー」

去り際、中澤が舌打ちする。
「あーあ、どうしようもないね。今日もお仕置決定やな」
6hane : 2001/04/01(日) 02:21 ID:UBfgz4pM
「なつみ、BGM!」

涙 止まらなくても 昔のように叱って
my mother
涙 止まらないかも わがままな娘でゴメンね…

感情というものを
なんら失ってしまった人間に不釣合いな
透明で温かみのある声が楽屋に響く。

ビシッ!
保田のハイキックが綺麗に梨華のテンプルに命中した。
「顔はやめときなっ!」と中澤。
「姐さん、見くびらないで下さいよ。
あたいのキックの精度は、房総エリアじゃ
右に出るものはいなかったんですから」
そう言いながら、再びキックを繰り出す。

「ああ、そうやったね。半年前のハロプロの時に
事故に見せかけて吉澤を再起不能にしたのも
あんたの回し蹴りやったね。
いつもスカしてたあいつが、鼻血たらしながら
もんどりうって倒れていく様は痛快やった〜」
中澤はソファーに尊大なポーズで腰掛け、
大きな伸びをした。
7hane : 2001/04/01(日) 02:31 ID:UBfgz4pM
「でも、手強かったっすよ。
あん時はもう現役じゃないにしても、かつては、
峠の走り屋どもを牛耳った北関東の女狼と謳われた女ですから」
「ほんまやな、あんたがいなんだら、
うち一人じゃどうにもならんかった。保田の圭さんサマサマやで」
化粧を落しながら、大して感謝する様子もなく中澤が言う。
「そん代わり姐さん、北区と江戸川区の件…」
「わーっとる!わーっとる!皆まで言うな」

ひたすら梨華を、羽交い締めにしていたかおりが口を開いた。
「裕ちゃん、チビどものほうは大丈夫?
ののの情報によると最近、矢口のヤツが
湘南地区の反乱分子を集めて
不穏な動きを見せてるって話だよ」
中澤がふんっ、といった感じで鼻を鳴らし、
歌い続けるなつみに向かって唾を吐きかけた。
黙り込むなつみ。
「心配無いやろ、辻と加護はあんなパツキン女を
やりたいようにのさばらせとくタマやないし、
こっちには、この可愛い梨華ちゃんもおる」

かおりは中澤への問いを続けた。
「でも紗耶香と矢口がまた組むようなことがあったら」
「それは無い。サヤ坊は作詞作曲のお勉強に夢中や」
「あいつが!?ハハッ、柄にもねー」
馬鹿笑いする保田。
「そうかい、じゃあ、残るはあのいまいましい後藤…」
高く振り上げた踵。
特別にあつらえた保田専用のブーツが唸る。
「真希ッッ!!!」
梨華は声すら上げず、床に崩れ落ちた。
8hane : 2001/04/03(火) 01:36 ID:aLzDk2bM
飯田となつみが帰り仕度を終えるのを待って
圭達はテレビ局を後にした。

圭が運転する車の中。
「少しやりすぎたんじゃないの?」
いつも困ったような顔をした飯田が、
さらに心配そうな表情をする。
「何が?」
「梨華」

圭はフロントガラスから目をそらさなかった。
「平気だって、ちゃんと急所は外しておいたから。
明日になればケロッとスケジュールこなしてるだろ。
なんだかんだ言っても、梨華は仲間だし、
あたしはそんなにあいつのこと嫌いじゃない。
あたしが嫌いなのは、後藤真希ただ一人さ」

緩いカーブを曲がり、オフィス街の一角を抜けていく。

「しかし、あのおばさんにも困ったもんだ。
なんせ自己主張の固まりみたいな人だから。
関西のやつらってみんなあんな感じなのかな。
大阪行って、あんなのだらけだったら恐いよな」
珍しく保田が中澤に対して悪態をついた。

ノロノロと走る前方の黒塗りの車を、
勢い良く追い越すと三人は暫く黙ったままになった。
9名無し娘。 : 2001/04/04(水) 01:12 ID:LAvpicLg
始まったトコみたいなのでよくわかんないけど
レディース物、みたいなノリなん?
10木村 : 2001/04/04(水) 21:19 ID:e3bXlegI
なに、これ?
どういうテーマよ。
これからどんどん面白くなっていくってやつ?
11名無し娘。 : 2001/04/08(日) 00:16 ID:hAUOrdqI
小説総合スレッド(羊)で紹介してもよろしいですか?
12名無し娘。 : 2001/04/09(月) 12:33 ID:x.BN62wY
続き期待age
13名無し娘。 : 2001/04/09(月) 15:06 ID:uDeAkLWQ
梨華は中澤らに監禁されろ
14hane : 2001/04/10(火) 02:43 ID:8Pl36m.c
「もうそろそろだな、コンサート」
ハンドルを握った手で、リズムを取りながら圭が言った。
なつみが新曲のハミングを始め、
それに合わせ圭も口ずさむ。
飯田は一人、無言でサイドウィンドウの街明かりを見つめていた。

車は、飯田となつみが住むマンションの地下駐車場へ滑り込み、
エンジンを停止した。

なつみの部屋。

なつみは、ぼんやりとCDの音に聞き入っている。
しばらく、その姿を眺めている飯田と圭。

「いつからだっけ、なつみがこんな風になっちまったの」
気の無い感じで、圭が飯田に聞く。
「少しずつ、みんなの前にいる時と、一人でいる時とで変わっていった。
そのうち、メンバーと一緒の時も無口になって、
でも、私の前ではよく喋ってくれたけど、
いつのまにか、私にすら…」

「完全に、二重人格ってやつだな」
「正確には解離性人格障害っていうらしいけど」
圭は悪ガキが、優等生を見直すような目をして
聞き返した。
「へぇー、それって治す事は出来ないのかい?」
「出来ない事は無いみたい」
「難しいんだ」
「治せるのは、本人の意思か、
彼女を、実際に傷つけてしまった人だけ」

「誰だよ。なつみをこんな風にしたのは!
やっぱ、後藤だろ。あいつが…」
ソファーから腰を浮かせ、早々に独り合点する。
「違うよ、後藤は関係ない、わ…」
飯田が急に、口をつぐんで視線を外す。
「なんだ、知ってるのか?」
「え、知らない」
その時、CDが終った。
15名無し娘。 : 2001/04/12(木) 23:05 ID:wtU53qhc
age
16名無し娘。
期待ほぜむ