一話完結「大河なっち(● `へ´ ●)」

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1名無し娘。
なっち「おのれ、後藤!!」
保田「で、殿中でござる!!」
後藤「ぐはぁーーーっ」

<完>
2むりやりつづける : 2001/03/24(土) 19:41 ID:Eosrq7PE
安倍氏による刃傷事件で,ハロプロ城は大混乱となった。
最高権力者つんく将軍の居城・ハロプロ城内では,刃傷沙汰はもちろん,
刀を抜くこと自体が御法度中の御法度。

かねてより予定されていたUFA社長接待の儀式は延期された。
今回の刃傷事件についての安倍氏の処遇について,城内では意見が分かれた。
モーニング娘。メインの座を後藤氏に奪われた安倍氏に対して同情する意見も多く,
「アイドルとして当然のことをしたまでだ」とさえ言い切るものもあった。

が,しかし,側用人中澤氏の下した判断は「法の遵守」…つまり,安倍氏の
即日切腹,室蘭城明け渡し,安倍家お家取りつぶしであった…。
3名無し娘。 : 2001/03/24(土) 19:53 ID:Eosrq7PE
「風さそう 花よりだんご 我はまた 腹の虫を いかにとかせん」

…美食家としても名を馳せた安倍氏にふさわしい辞世の歌であった…。
4名無し娘。 : 2001/03/24(土) 20:08 ID:Eosrq7PE
ハロプロ城および大名屋敷周辺は急激に騒々しくなった。
安倍氏の重臣で,江戸家老・矢口は江戸中の早馬・飛脚を呼び集め,
即座に情報を国元へ伝達した。
また,ハロプロ幕府も,刃傷事件の事後処理と,室蘭城接収に向けての
準備を開始した。

そのころ…意識不明であった後藤氏も,快方に向かい始めた。
やがて,後藤氏が意識を取り戻したという知らせは,モーヲタの間にもひろまった…
5名無し娘。 : 2001/03/24(土) 20:21 ID:Eosrq7PE
ということで,変なスレを引き受けてしまった…
登場人物設定をどうするか?

将軍(綱吉):つんく
側用人(柳沢):中澤

安倍側(おもに北海道関係者?+タンポポ?+ミニモニ?)
 藩主(浅野):安倍
 国家老(大石):飯田
 江戸家老:矢口
 家臣:加護,辻,石川,りんね,あさみ,(石黒)

後藤側(プッチモニ)
 藩主(吉良):後藤
 家老(色部):保田
 家臣:吉澤

この調子で,完全な「忠臣蔵」にしてしまうと,プッチモニが悪者になってしまうが,
それは避けたい…。うむ。少し考えよう。
62 : 2001/03/24(土) 21:58 ID:gHbOHfSE
修正
1.りんね&あさみはなっち側からはずし,中立とする。
 モー娘。以外のハロプロメンバはみな中立。
2.時代背景は近未来(んなあほな)。
72 : 2001/03/24(土) 23:28 ID:6wa00G6E
第1章 飯田の動揺

使者A「飯田さん!東京の矢口さんから緊急の書状です」
飯田「ご苦労様」
 飯田は無表情のまま書状を受け取り,開封した。
が,書状に書かれた内容を読み進めるにつれて,次第に,そして
激しく動揺した。
飯田「『…安倍なつみ氏はハロプロ城内にて抜刀し,後藤真希氏に対し
   刃傷に及んだ模様…』って,いったい何があったのよ!
   これじゃなんだかわからないわ!」
使者B「飯田さん!矢口さんから続報です!」
飯田「早くよこしなさい」
 飯田は,書状を使者から奪い取ると急いで開封し,震える声で読み上げた。
飯田「『…側用人中澤ゆうこの裁断により,安倍なつみは即日切腹…
   モーニング娘。は直ちに解散…ただし,後藤真希にはお咎めなし…
   後藤ソロおよびプッチモニのみユニット存続…』」
 飯田はしばらくその場で呆然とした---
82 : 2001/03/24(土) 23:29 ID:6wa00G6E
 飯田は,少なくともその後数分間は「交信中」だった。
 そんな飯田を正気にさせたのは「石川のアニメ声」だった。
石川「飯田さん!何があったんですか?安倍さんがどうかしたんですか?」
飯田「なっちが…なっちが…どうして…どうして裕ちゃんが…」
 石川は,飯田のてから書状を奪い取り,自ら内容を検めた。
石川「安倍さんが切腹?モー娘。解散? ど〜なるですか?」
飯田「石川…,矢口に連絡して。みんな集めて,タンポポとミニモニ。の
   みんなを集めるのよ。プッチの3人以外のメンバーみんな集めるのよ!」
石川「は,はいっ!」
92 : 2001/03/24(土) 23:31 ID:6wa00G6E
 中澤が脱退し,そして安倍を失った今,プッチモニを除いたモーニング娘。
とは,言うまでもなく,飯田,石川,矢口,辻,加護の5人であるである。
 ミニモニ。の3人は現在ユニット活動中であり,飯田のもとへ駆けつけるまで
には,しばらく時間がかかるだろう。飯田は,安倍なつみとモーニング娘。
について思いをめぐらせた…。飯田にとっての「モーニング娘。」と,
現在のモーニング娘。はいささかかけ離れた存在だった。
 石黒彩や福田明日香が今でも自分のそばにいるような錯覚を,飯田はしばしば
感じていた。ステージで歌うたびに,福田や石黒の声を聞いていた。
しかし,歌い終わって,ステージを降りると,自分の周りには,変わり果てた
モーニング娘。の姿しかない。あの仲間たちはもういない…と,いつも自分に
言い聞かせてきたのだ。
 そして…今日,安倍なつみを失った。
 モーニング娘。デビュー当時の苦労を知る,今となっては唯一の親友である
安倍を失った---
102 : 2001/03/24(土) 23:32 ID:6wa00G6E
 モーニング娘。はデビュー以来常に変化し続けてきた。メンバー増員,脱退,
ユニット内ユニットの結成…。
 しかし,モーニング娘。の姿が最も大きく変化したのは,中澤裕子の脱退直後
である。これまで娘。たちを束ねてきたリーダーが不在になり…
モーニング娘。は分裂状態に陥った。
 プッチモニとタンポポの対立が激化した。
また,(飯田に言わせれば)「さして実力もない」のにソロデビューし人気を博した
後藤は,飯田の天敵となった。
 もともと空想癖のある飯田は,このころからますます現実逃避的になり,
一日の大半は白昼夢にひたっている。
112 : 2001/03/24(土) 23:33 ID:6wa00G6E
 安倍なつみは,飯田よりもさらに悲惨だった。飯田にはタンポポがあったが,
安倍にはそれがなかった。モーニング娘。の「分裂」は,安倍にとっての
失業・敗北・退廃・暗黒を意味していた。
 モーニング娘。結成当時の安倍は輝いていた。娘。のリードヴォーカル,
「顔」として,絶大な人気を誇っていた。
 が,後藤がモー娘。に加入したころから,次第に安倍の人気は衰え,
後藤が娘のメインにとって代わった…
122 : 2001/03/25(日) 00:46 ID:xqA2O/ec
第2章 娘。たちの動揺

矢口「…というわけで,なっちは切腹したわ。そして,裕ちゃん…じゃなくて側用人の
  中澤さんからのお達しによって,モーニング娘。は即日解散。ただし,後藤のソロ
  とプッチモニだけは活動継続。これは中澤さんの命令ということになってるけど
  上様の判断と考えたほうがよさそうね」
飯田「なっちは…,どうして後藤に切りかかったんだろう? 何か聞いてない?」
矢口「わかんない。側用人からの発表によると,なっちは犯行動機についてなにも
   語らなかったそうだから。刃傷のあったとき,そばを通りかかった人の証言に
   よると,なっちは『おのれ,後藤!!』って叫んで切りかかったんだって。
   それ以上のことはわからない。」
飯田「そう…。で,なっちは,私たちのことは何も言ってなかったの?」
矢口「それについても何も言わなかったって。あ,そうそう,辞世の句を残したそうよ
   『風さそう 花よりだんご 我はまた 腹の虫を いかにとかせん』
   だって。」
飯田「…そう。それだけ…。(なんぢゃその歌は)」
132 : 2001/03/25(日) 00:47 ID:xqA2O/ec
飯田「矢口…,なっちは結局どうなったの?」
矢口「どうって,切腹したじゃん」
飯田「矢口は見たの?なっちが切腹する場面」
矢口「え,見てないよ。娘。のメンバーには見せてくれなかったんだよ。って言うか,
   刃傷事件以来,あたしたちの誰もなっちにあってない。裕ちゃんが会わせてくれ
   なかったんだよ。」
飯田「で,なっちの亡骸は?どうなったの?」
矢口「裕ちゃんが言うには,幕府の役人が罪人として処理したって…」
飯田「…ってことは、全部裕ちゃんが仕切ってるのね。ひどい…。どうして…?
   裕ちゃん,どうして私たちに何も言わずに,なっちに切腹させたの?
   裕ちゃんは昔は私たちのリーダーだったんだよ。ひどいよ。あたし…なっちに
   会いたかった。なっちはあたしの親友なんだから…ごめんね…なっち…。
   ひどいよ…裕ちゃん…。矢口,あんた裕ちゃんと仲良かったじゃない。なぜ?
   どうして裕ちゃんがそんなことするの?」
矢口「しらねーよ!もうあんなババアのことなんか忘れたよ!上様に取り入って,今で
   は側用人様になったんだ。もう私たちのことなんか,何も考えちゃいねーんだよ」
142 : 2001/03/25(日) 00:47 ID:xqA2O/ec
飯田「みんな,ほかに質問は?」
加護「はーい!加護はー,ミニモニ。とー,タンポポもやってるんですけどー,
   加護はこれからどうしたらいいんですかー?」
飯田「プッチ以外の娘。は解散。だから,ミニモニ。もタンポポも解散になるのよ」
石川「あのー,カントリー娘。はどうなるんでしょうか?」
飯田「りんねとあさみはモーニング娘。じゃないから関係ないわ。でも石川,あんたは
   微妙ね。元モー娘。のメンバーとして,私たちと一緒に…あ,何でもない…。
   えーと,このまま芸能界を引退するか,カ娘。のメンバーとしてハロプロに残る
   か,それはあなたしだいよ。あなたがカ娘。に残るといえば,上様も中澤さんも
   反対はしないと思うわ」
石川「……」
飯田「悔しいけど『チャーミー石川』はヲタに人気があるのよ。あんたならこれからも
   アイドルとしてやっていけると思う。りんねによろしくね。これからもカントリ
   ー娘。を応援するよ。がんばれよ!チャーミー」
石川「…飯田さん……」
152 : 2001/03/25(日) 00:48 ID:xqA2O/ec
しばらくの間,沈黙が続いた。
飯田「辻,あんたは質問ないの?」
辻希「辻はー,辻はー…まだー,やめたくないれすぅ…」
加護「加護もやめたないねん!」
 辻と加護の目からは,いつしか大粒の涙が溢れていた。一滴一滴の涙はやがて滝のよ
うにながれ,二人のすすり泣きはいつしか号泣へと変化していた。
矢口「加護!辻!なくな!泣くんじゃねーよ!」
 矢口が怒鳴った瞬間,二人の幼い少女は泣き声を止めた。二人の前には,まぶたを腫
らして,目に涙をためた矢口がいた。

 今この瞬間,感情を表に現していないものが一人いた---飯田である。
162 : 2001/03/25(日) 13:31 ID:bhUiavJw
飯田「・・・みんなわかった?わかったら,これで解散」
石川「解散って,ひとまず解散,ってことですよね?」
飯田「『ひとまず』じゃなくて,モーニング娘。自体解散。
   もう,みんなと会うこともないわね。みんな元気でね」
石川「え…そんな・・・。飯田さん・・・。矢口さんはなんとも思わないんですか?」
矢口「御公儀に逆らうわけにはいかない。カオリンの言うとおりよ」
飯田「そう。解った?
   加護・辻,明日からはちゃんと学校に行くのよ。あんたらは一番若いんだから
   これから別の人生を歩みなさい。芸能界だけが幸せじゃない。
   石川,カントリーがんばってね。あ,そうそう,りんねがすぐに会いたいって
   言ってた。打ち合わせするって。今出発すれば今日中に帯広に着くから,もう
   行きなさい。」
石川「飯田さん・・・」
飯田「さぁ,はやく! じゃね。りんねとあさみによろしく。義武さんにもちゃんと
挨拶するのよ! 気をつけてね!」

 飯田に促されて,石川は両手で顔を覆いながら飛び出した。
 加護と辻は暫く何も言わず佇んでいたが,やがてお互いの顔を見合わせると,あきら
めたように歩き出した・・・二人仲好く手を繋いで・・・。二人が出て行った直後,
室外から二人の号泣する声が聞こえた・・・。
 残された飯田と矢口は,互いの顔を見て,うなづきあった。
172 : 2001/03/25(日) 13:32 ID:bhUiavJw
登場人物紹介(括弧内はモデル人物)軌道修正版

つんく:ハロプロ幕府5代将軍(徳川綱吉)
中澤:側用人。元モーニング娘。リーダー(柳沢吉保)

安倍:モーニング娘。結成時からのメンバー。早安城主(浅野匠守)
飯田:モーニング娘。結成時からのメンバー。早安浪娘。リーダー(大石内蔵之助)
矢口:早安浪娘。サブリーダー
石川,加護,辻:早安浪娘。のメンバー(赤穂浪士)

後藤:プッチモニリーダー。ソロ活動も行う(吉良上野介)
保田:プッチモニメンバー。実際にプッチをリードする実務家(色部又四郎)
吉澤:プッチモニメンバー

時代背景:西暦200X年。
 中澤脱退によって,モーニング娘。は分裂状態。とくに,タンポポとプッチモニの
対立は日増しに激化していった。いっぽう,中澤は,将軍つんくの厚い信望を受け,
側用人に出世,絶大な権力を振るう。
182 : 2001/03/25(日) 13:33 ID:bhUiavJw
第3章 保田の動揺

 急な知らせに保田は動揺した。
保田「ちょっと,それ,どういうことよ? なっちがどうしたって?後藤は?」
使者「ですから,安倍さんが,ハロプロ城松の廊下で後藤さんに切りかかったのです。
   幸い,(どういうわけか)安倍さんの動きがニブく,後藤さんに怪我はないそうで
   す。安倍さんは殿中で刀を抜いたということで,即日切腹。
   後藤さんは現在,側用人様のもとで事情聴取中,とのことです」
保田「なっちが切腹?それほんとなの?」
使者「はい,残念ながら。側用人様からの正式な発表です」
保田「なっちが…なっちが…」
 さすがの保田も,普段の冷静さを失い,しばしの放心状態になった。
使者「…で,中澤様からの発表によると,安倍さんの刃傷事件の連帯責任ということで
   モーニング娘。は即日解散になります。ただし,後藤さんは被害者側ですので,
   お咎めなし。との事です。」
保田「え?」
使者「つまり,後藤さんのソロおよびプッチモニは活動継続ですので御安心ください」
保田「何言ってるのよ!安心なんてできないわよ!」
192 : 2001/03/25(日) 13:34 ID:bhUiavJw
吉澤「保田さん…。話は聞きましたが,まだ事情が飲み込めません。ごっちんはどうな
   るんでしょうか?」
保田「さぁ…。問題は,プッチ以外の娘。はどうするのかしら?」
吉澤「え? 解散,と聞きましたが」
保田「そう。解散。でも,私たちだけ活動継続。」
吉澤「……」
保田「タンポポ,とくにカオリンはプッチのこといつもライバル視してたのよ」
吉澤「ええ,それは知ってます」
保田「カオリンがおとなしくしてるかしら?」
吉澤「どういうことですか?」
保田「カオリンが後藤とプッチのことを逆恨みする可能性があるわ」
吉澤「え,そんなぁ,だからって…」
保田「カオリンはモーニング娘。結成以来のメンバー。それなのにいつも後藤においし
   いところをもっていかれてたのよ…。最悪の事態も想定しておいたほうがいいか
   も…」
吉澤「…最悪って…そんな…」
保田「ヨッシー!愚図愚図してる場合じゃないよ。すぐにカオリンの動きを探ってきな
   さい!!!」
202 : 2001/03/25(日) 19:38 ID:HZshdK8Q
第4章 安倍と飯田

 石川,加護,辻が相次いで退出し,矢口と飯田が取り残された。
 二人は一言も発しないまま,お互いを見詰め合った。
 沈黙が続いた。沈黙を破ったのは矢口だった。
矢口「何か意外だったなぁ」
飯田「うん。なっちがあんなことになるなんて,カオリまだ信じられない」
矢口「あ,そのことじゃなくて,カオリのこと」
飯田「え,カオリ?」
矢口「そう。意外なことのひとつは,カオリがいつもより頼もしく見えること」
飯田「そうかなぁ。あたしはいつものカオリだよ」
矢口「ううん。そんなことない。いつもはボーっとしてるのに,ご免,でも今日はシャ
   キッとしてる。下の子達に出している指示もてきぱきしてるし」
飯田「やっぱさー,なっちがいなくなったからかな・・・なっちの敵は命がけで討たな
   いとね。そう思ったから・・・。
   なっち・・・会いたかったよー。なっち・・・もう一度・・・会いたい・・・」
矢口「カオリン・・・それが,もうひとつの意外なことなの」
212 : 2001/03/25(日) 19:39 ID:HZshdK8Q
矢口「気に障ったらご免ね。でもね,カオリン,なっちとそんなに仲良かったっけ?
   さっきも親友だって言ってたけど・・・みんなの前だったから黙ってたけど」
飯田「うん。なっちは親友だよ。いっつも喧嘩してたけど,親友。今のカオリがあるの
   もなっちがいたからだよ。喧嘩したのはね,いつもカオリが悪かったの。ごめん
   ね,なっち。今まで一度も素直になれなくて・・・」
矢口「ごめん,カオリン。変なこと訊いちゃったね。みんな仲間だよね」
飯田「そう。みんな仲間・・・」
 それまで気丈夫を装っていた飯田の目にいつの間にか涙がたまっていることに,
矢口は気づいた。
222 : 2001/03/25(日) 19:40 ID:HZshdK8Q
第5章 血判状

 飯田らと別れ,駅前近くまで小走りにきた石川は,突然,足をとめた。まぶたはやや
腫れてはいるものの,視線は一点を見つめ,くちびるは堅く閉じられていた。
 おもむろにバッグから携帯電話を取り出し,番号を押した。
石川「もしもし・・・りんねさん?石川です」
りんね「あ,梨華ちゃん? どうしたの? 聞いたよ。大変だったねぇ」
石川「私,急用ができちゃって,打ち合わせにいけなくなったんです。すみません」
りんね「え,打ち合わせって?なんのこと?」
石川「今まで,いろいろとありがとうございました。カントリー娘。の仕事ができて
   とても楽しかったです」
りんね「いったいどうしたのよ」
石川「義武さんと,あさみちゃんにはくれぐれもよろしくお伝えください。本当に,
   最後の最後で迷惑かけちゃってすみません。本当にありがとうございました!」
 そこまで言い終わると,石川は携帯の電源をきった。
 そして,踵を返し,飯田の元へ早足で向かった。
232(うっかりageちまったぜ) : 2001/03/25(日) 19:41 ID:HZshdK8Q
 ほんの十数分前まで,他のメンバーと一緒にいた部屋の扉を開けた。
 そこにはまだ,飯田と矢口がいた。二人とも無口であった。
石川「飯田さん。矢口さん。私,このままでは我慢できません!
   安倍さんのためにも何かしないと気がすまないんです!
   お二人が何もなさらないというのなら,私一人でもやります!
   後藤さんも,側用人も,将軍も怖くありません!!!」
加護「加護も梨華ちゃんと同じ考えです!」
辻希「辻もです!」
 いつのまにか,加護と辻もその場に戻っていた。
飯田「石川,あんたなんか物騒なこと考えてるんじゃない?」
石川「物騒?そうです。そうかもしれません。
   でも,安倍さんあってのモーニング娘。です。モーニング娘。あっての私です。
   安倍さんのためなら,私なんでもします!」
242 : 2001/03/25(日) 19:42 ID:HZshdK8Q
 飯田と矢口は顔を見合わせて,うなづいた。
 矢口は,引き出しの書類入れから一枚の紙片を取り出した。
 そこには次のように記されていた。

『 血判状
 我等は,安倍なつみの無念を晴らし,モーニング娘。の名誉を守るため,
 命を賭けて戦うことを誓う。
   飯田圭織(血判)
   矢口真里(血判) 』

石川「ち,はん,じょう?」
飯田「ケッパンジョウ,血判状よ!
   本当はあなたたちには参加して欲しくなかったんだけど,意思が固いみたいだし
   ほっといたら暴走しかねないからね」
 石川は,飯田と矢口の確固たる表情を見てすべてを悟った。
 (この人たちは,なにか大きなことをやろうとしている・・・)
石川「お願いします。私も参加します。迷惑はかけませんから」
 というと,矢口の手から血判状を受け取り,自ら署名した。そして,左胸のブローチ
をはずすと,その針先で親指を刺した。一瞬表情をしかめたが,染み出た血液を見ると
小さくうなづき,その指を書類に押し付けた。
 加護と辻は,何も言わずに,石川と同じ行為をした。
25名無し娘。 : 2001/03/25(日) 21:52 ID:RyK19e2k
>>24
結構知られてない話だけど、血判って、耳たぶの血でやるらしい(渡辺美智雄の息子によると)
262 : 2001/03/25(日) 22:31 ID:cPADCAm2
>>25
ソウナンダ,知らなかった。
以前,『元禄繚乱』では,脇差で指を切ってたので,それを参考にした。
272 : 2001/03/25(日) 23:50 ID:xqA2O/ec
しょうもないものを書き始めてしまったけど,読んでる人いるのかな,25氏の他に?
ワタクシ明日から1週間仕事で出張しますので,今度の日曜日に続きを書きます。
それまでの間にdat行きになってなければいいが・・・
28名無し娘。 : 2001/03/26(月) 00:31 ID:iN3kEmMk
久し振りに面白そうで、期待してるゾナー。ブックマークもしたよ。上げてはいかん?
29名無し娘。 : 2001/03/26(月) 00:33 ID:0IUkYGLI
同じく期待票一票
30名無し娘。 : 2001/03/26(月) 06:55 ID:Xmvtt/X.
面白そうですね。期待してます。

もしかして日本史板で安倍ネタ書いてた人かな?
312(出先から) : 2001/03/29(木) 00:11 ID:TZsd.Rtg
何処まで皆さんのご期待にこたえられるか・・・ちょっと不安.

>>28
べつにいいんですけど、長文ネタは上げると嫌がられるような.

>>30
そんなスレがあったんですか?私じゃありません.
322(出先から、ちょっと更新) : 2001/03/29(木) 00:30 ID:TZsd.Rtg
 最後に署名を済ませた辻の手から血判状を受け取ると、飯田はメンバーの顔を
順に見回した。辻、加護、石川の順に、一人一人の決心を確かめるように視線を
あわせた後、最後に自分の左隣に立つ矢口の方を向き、お互いに軽くうなづき
あった。
飯田「みんなの気持ちは、これで判った。では、今後の打ち合わせをしよう」
 メンバーの誰もが、飯田の口から発せられる言葉を待った.
飯田「石川。あんたは明日の朝一番の汽車で帯広に行きなさい。
   加護と辻は、明日からは普通の中学生。わかった?」
石川「え、どういうことですか?さっきの血判状は何だったんですか?」
矢口「いい?私たちは、あくまでも『解散』したんだよ。何時までも一緒にいたら
   怪しまれるじゃない」
石川「あ、なるほど。わかりました。そうですよね」
辻「・・・?」
飯田「『その時』がきたら連絡するから、それまで君たち二人は普通の『中学生』
   のふりをしていなさい」
加護「は、はい」
飯田「みんな明日からインターネットを毎日必ずチェックすること。
  『http://teri.2ch.net/test/read.cgi?bbs=mor2&key=985422045
   このアドレスをメモしときなさい。今後の進展はこの掲示板で逐一知らせる
   から。もちろん、私たちにしか分からない暗号で書くから安心してね」
33名無し娘。 : 2001/03/30(金) 09:32 ID:TJmeod7c
d
342 : 2001/04/01(日) 00:22 ID:Rszshfko
第6章 後藤の帰宅

 捜査本部による後藤の事情聴取が終わったと,側用人の側近から連絡があった。
 松の廊下での刃傷事件から,すでに5日が過ぎていた。
吉澤「・・・そうですか!わかりました。あの・・・後藤は・・・はい・・・はい
   ・・・はい,ありがとうございます。では失礼します」
 吉澤が受話器を置くと,保田が問い掛けた。
保田「何だって?」
吉澤「今夜,ごっちんが帰ってくるそうです!ごっちん元気だそうです」
 吉澤がやや興奮した口ぶりで言った。
保田「・・・あぁ・・・よかった・・・」
吉澤「今夜はお寿司でも取って,ごっちんの帰宅祝いをしましょう!」
保田「いいわね。おねがい。出前頼んどいて」
352 : 2001/04/01(日) 00:23 ID:Rszshfko
 日没時になって,後藤は帰宅した。後藤にとって,事件以来初めての帰宅だった。
 保田は,後藤の様子が少しおかしいことに気づいたが,その事について本人には何も
言わなかった。あのような事件に巻き込まれ,怖い思いをしたのだ。その後も休息する
暇も与えられず,捜査本部の事情聴取を受けていたのである。まだ15歳の後藤にとって
は無理もないことだ。今回の事件が,後藤にとってトラウマにならなければ好いが,と
保田は思った。
保田「おかえり」
吉澤「ごっちん,今夜はお寿司だよ。ごっちん好きでしょ?」
後藤「・・・うん。ありがと・・・」
保田「あー,これでやっと安心したわ。大きな怪我をしなかったのが,せめてもの救い
   よね。裕ちゃんもひどいよね。後藤は被害者なんだから,もっと早く帰らせてく
   れてもいいのにねぇ」
後藤「・・・うん。そうだね・・・」
保田「なっちもひどいことをしたもんよねぇ」
後藤「え?なっち?・・・あぁ・・・そうね・・・」
保田「あ,ごめん。思い出したくもないよね」
後藤「べつに・・・うん,そうだね・・・」
保田「後藤,今夜はゆっくり休むんだよ。一週間でも十日でも,のんびり過ごしてね。
   私たちのことは気にしなくていいから。後藤の気が晴れたら,新曲の練習をしま
   しょう---」
 保田の気遣いとは裏腹に,後藤の休日は3日で中断された。後藤真希ソロの新曲発表に向けてのレッスン,レコーディングの日程が,側用人から発表されたのである。
362 : 2001/04/01(日) 00:24 ID:Rszshfko
第7章 側用人公務

 ハロプロ城内では,側用人・中澤を中心として,幕府重役による定例会議が行われて
いた。
勘定奉行「・・・というように,あの事件以来,幕府の支出は増加しており,財政は
   逼迫しております」
中澤「そう。わかった。その件については数日中には手を打つ。それまで少し待ちな
   さい」
勘定奉行「はっ,承知しました」
中澤「ところで,町奉行,飯田の動きは?」
町奉行「はい,今のところ,目立った動きはありません。刃傷事件の当日から翌日にか
   けて,安倍氏の居城である室蘭城に,飯田氏以下5名が集結したようですが,
   その翌日には解散したようです」
中澤「ふーむ」
町奉行「飯田氏と矢口氏は,室蘭城をあっさりと明け渡した模様です。城受取役の平家
   殿は,飯田氏と矢口氏の潔さにいたく感心しておりました」
中澤「メンバーはどうしてるの?」
町奉行「はっ,石川氏は帯広経由で中札内村に向かいました。現在,村内の牧場で働い
   ている様子です。辻氏と加護氏は,それぞれ郷里に帰って中学校に通学していま
   す」
中澤「そう。で,飯田と矢口は?」
町奉行「はい。矢口氏は,城明け渡しのすぐ後に神奈川県内の実家に帰ったようです。
   現在『家事手伝い』とでもいいますか。飯田氏は現在住所不定です。東京近郊の
   安ホテルを転々としているようです」
中澤「ふーむ。そうか。わかった。今後新しい動きがあれば,すぐに報告しなさい」
町奉行「承知しました」
中澤「ほかに報告すべき事は?」中澤は幕府重役たちの顔を見回した。
中澤「何もなければ,今日の会議はこれで終わりにします。このあと連絡事項があるの
   で寺社奉行は残るように。では解散」
372 : 2001/04/01(日) 00:25 ID:Rszshfko
 その日の午後,中澤は会議の議事録を将軍つんくに報告した。報告が一通り終わったところで,つんくは中澤に声をかけた。
つんく「おー中澤。後藤とプッチモニの今度の新曲の事やけどなぁ」
中澤「上様,その件でご相談があるのですが」
つんく「なんや。言うてみい」
中澤「その前に,お人払いを」
つんく「ん?人払いやと?・・・お前,いったい何をたくらんでんねや?お前も相当の
   狸やなぁ。・・・まぁ,ええわ。
  (部屋全体を見回して)おい!そういうことや。皆さがってええで!!
  (再び中澤のほうを見て)ええか?中澤。オレはなぁ,娘。どうしのいざこざは,
   これ以上,見とうないんや。みんなオレの可愛い家臣や。お前も『マジヲタつん
   くの説教部屋』いうのを読んだことあるやろ?あれなぁ,実話やねん。お前も
   『モーニングマスク』みたいにならなアカン!なのに,何や,お前は。お前の最
   近の処置は,どれも娘。の神経を逆撫でするような事ばかりやないか。ほんま,
   たのむでぇ」
中澤は,微笑んで「御意」と答えただけだった。
382 : 2001/04/01(日) 18:26 ID:Lpy7i3PY
第8章 新しい生活

 室蘭早安城開城後,飯田は実家のある札幌に一時滞在した。札幌で数日間休息を取っ
たあと,再び東京へ戻った。東京へ戻ってからの数日間は,郊外の安ホテルを転々とし
ていた。しかし,現在収入のない無職の飯田にとって,これ以上ホテル暮らしを続ける
わけにもいかない。矢口の勧めもあり,飯田は神奈川県内でアパートを借りた。首都圏
のアパートで,キッチン・ユニットバス付四畳半の家賃が38000円/月というのは魅力的
だった(もちろん,モーニング娘。全盛期に借りていたマンションより,はるかに質素
であるが)。
 神奈川県が矢口と石川の地元であることは,いうまでもない。
392 : 2001/04/01(日) 18:27 ID:Lpy7i3PY
 石川は,室蘭開城の知らせを,中札内村の牧場で聞いた。そのとき石川は,あさみの
搾乳の仕事を手伝っていた。朝のニュースをテレビで見た牧場主・田中が報せてくれた。
 牧場の住み込みとはいえ,実際には,石川はほとんど牧場仕事をしていない。「お嬢
様」石川に対する田中の配慮であり,また,カントリー娘。メジャーデビューを成功
させた石川に対する「ご機嫌取り」でもあった。
 実際,田中は石川を厚遇した。
石川「義剛さん,牧場の仕事のお役に立てずに,散々お世話になっておきながら,
   こんなお願いをするのは厚かましいと思うのですが・・・」
田中「なんだ?どうした?言ってみろ」
石川「あの・・・ひと月に2〜3日でいいので,実家に帰りたいんです。あの事件以来,
   両親がすごく心配していて・・・しかも北海道に来てからは親にぜんぜん会って
   いないんです・・・」
 石川の言葉は,嘘ではなかったが,真実でもなかった。田中を騙すようでうしろめた
い気持ちもある。でも,今はそんなことをいっている場合ではない。石川は自分に言い
聞かせた。
田中「何だ,そんなことか。んだなぁ,土日はイベントやらライブやらがあっから,り
   んね・あさみと一緒にいてくれねーと困るけど,平日ならいいんでないかい。番
   組収録もレコーディングもほとんどが東京だかんなぁ。実家は神奈川だべ?んな
   ら,月に2〜3日なんていわずに,ずっと親御さんのところにいてもいいぞ。こっ
   ちで仕事があるときには,前もって連絡すっからよ」
石川「ありがとうございます!本当に何から何まですみません」
 満面の笑顔で丁寧に礼を述べる石川を見て,田中は「この娘がカントリーに来てくれ
て,本当によかった」と思った。
402 : 2001/04/01(日) 18:28 ID:Lpy7i3PY
 辻と加護は,それぞれ東京・奈良の郷里の中学校に通学をはじめた。親友同士離れ離
れになってしまったが,二人の友情は続いた。東京と奈良は,新幹線を利用すればいつ
でも会える距離である。「ののちゃんに会いたい」という思いからか,加護にとっても
独りで電車に乗ることに抵抗がなくなった。
 二人とも,よく似た中学生生活を送っていた。二人は「転校生」であった---元モー娘
。の二人は,はじめ同級生からちやほやされた。が,いつしか学級にも完全に溶け込ん
でしまった。同級生たちがモー娘。に言及することも,ほとんどなくなった。今では,
仲のよい同級生が何人もいる。
 二人は,互いに現在の生活の自慢話をすることがある。
辻希「ののはねー,また新しい友達ができたんだよー」
加護「うちもなー,今度の休みになー,友達の○○ちゃんとなー・・・」
 二人の自慢話が嫌味に聞こえないのは,二人が無邪気であることと,二人の間に深い
信頼関係があるからだろう。
412 : 2001/04/01(日) 18:29 ID:Lpy7i3PY
 矢口はしばしば飯田のアパートを訪ねる。二人とも職はなく,自由な時間がふんだん
にあった。そして・・・二人は・・・「浪娘。」のリーダーであり,「その日」に備え
て綿密な計画を立てる必要があった。

飯田「ねぇ矢口,いま貯金いくらある?」

 彼女らにとって,最大の悩みはお金だった。もちろん,モー娘。時代に稼いだ貯金は
まだ底をついてはいない。当面の生活費には困らない。とはいえ,それも時間の問題だ。
「来るべき日」のための軍資金も確保しなければならない。二人は幾度となく議論を重
ねたが,結論はいっこうに見えてこなかった---。
422 : 2001/04/01(日) 18:30 ID:Lpy7i3PY
第9章 再会

 ある日の昼下がり,矢口が飯田を訪ねると,部屋の明かりは消えていた。「留守かな」
と思ったが,ドアノブに手をかけると,鍵が開いていた。「無用心だなぁ」と少し呆れ
ながら,矢口は中に入った。四畳半の片隅で,部屋の明かりもつけずに,膝を抱えて座
る飯田がいた。
矢口「カオリ?電気もつけないでどうしたの?」
 飯田は返事をしなかった。
 飯田は歌を歌っていた,ささやくような,ごく小さな声で。
飯田「・・・いつのまに 涙はかわいた なにかを 残して・・・」
 歌詞の内容が,矢口にもかろうじて聞き取れた。
飯田「・・・何度でも 笑顔になれるよ 地球が 回るから・・・」
 矢口は,蛍光灯のスイッチを引いた。
飯田「あ,矢口,いつ来たの?」
矢口「もー,カオリったらー」
飯田「今ねー,昔のこと思い出しちゃったんだ・・・」
矢口「あたし,カオリがうらやましいな」
飯田「え?何が?」
矢口「あたしも,カオリやなっちや裕ちゃんと一緒に,『愛の種』の手売り,やりたか
   った」
飯田「???どうしてわかったの?カオリがいま思い出してたこと」
矢口「わかるよ。カオリの考えることくらい」
 目を丸くする飯田にむかって,矢口は微笑みかけた。
432 : 2001/04/01(日) 18:31 ID:Lpy7i3PY
飯田「でもね,かなり大変だよ。手売りって」
矢口「うん。わかってる。でもやってみたかった。だって,カオリやなっちや他のみん
   なが,手売りをやってくれたおかげで,今の私達がいるんだもん。私も娘。に貢
   献したかったな・・・って思うんだよね」
飯田「そんなもんかなぁ」
矢口「そんなもん,あたしはね。・・・でもさぁ,もう娘。自体がないんだよね。まだ
   信じられないなぁ」
飯田「信じられない。なっちにも,もう会えないんだ・・・」
 ほんの数十秒の沈黙が,何時間にも感じられた---さまざまな出来事の移ろいゆく速さ
が光の速さに近づくと,その当事者の時の流れは遅くなるのだろうか?---飯田はそのよ
うに空想してみた。
442 : 2001/04/01(日) 18:32 ID:Lpy7i3PY
 ドアのチャイムが沈黙を破った。
矢口「だれだろ?石川かな?」
 飯田のアパートの住所は,メンバーにしか知らせていない。石川はまもなく実家に戻
ると言っていた。今日到着したのだろうか?
 飯田がドアをあけると,そこに石川はいなかった。かわりに,懐かしい二つの顔があ
った。
飯田「・・・あすか。・・・あやっぺ・・・?」
 福田明日香と石黒彩---二人は飯田,安倍,中澤とともにモーニング娘。結成当時のメ
ンバーであったが,2年以上も前にグループを脱退した。
福田「お久しぶりです」
石黒「よ!元気にしてる?」
飯田「・・・うん・・・」
 友人たちの突然の来訪に,飯田は気が動転し,言葉を詰まらせた。
飯田「・・・あ・・・とにかく,上がって。矢口も来てるの」
石黒「やっぱりね」
 何がやっぱりなんだろうと,一瞬疑問に思ったが,すぐに忘れて,二人の友人を招き
いれた。
452 : 2001/04/01(日) 18:33 ID:Lpy7i3PY
 飯田の入れた紅茶は,味が薄かった。しかし,誰もそんなことを気にしなかった。4人
の娘。は再会を喜び,しばしの間,思い出話に花を咲かせた。
 話題が一段落すると,石黒はティーカップを口元に運び,そしておもむろに切り出し
た。
石黒「みんなにね,いい知らせと悪い知らせがあるの」
飯田「???」
矢口「いい知らせと,悪い知らせ?」
 矢口が福田の顔を見ると,福田はうなづいた。
矢口「なんだろ?じゃあ,悪い知らせから聞かせて」
石黒「『側用人様』の命令で,モーニング娘。のCDがすべて販売中止になるんだって。
   シングルもアルバムも,すべてゼティマが回収するそうよ」
 ゼティマは幕府直営のレコード会社である。
 飯田も矢口も,いまさら何を聞かされても驚かなかった。モーニング娘。解散も仕方
のないことと受け止めていた。
 しかし,CDの販売中止とはどういうことであろうか?レコード店に行けば,すでに
解散したグループのCDもたくさん売られている。なのに,どうして娘。のCDだけが
販売中止・メーカー回収になるのだろうか?
 もしかしたら,中澤はモーニング娘。の存在を,過去・現在そして未来永劫,完全に
消去しようとしているのかもしれない---飯田には,そう思えてならなかった。飯田は,
ただただ悲しかった。
462 : 2001/04/01(日) 23:34 ID:fmgICUAg
第10章 『愛の種』作戦

 飯田も矢口も,どんな言葉を発していいのかわからなかった。矢口がようやく見つけ
た言葉は:
矢口「そういえば,いい知らせってのは,何なの?」
石黒「うん。ゼティマが回収したCDはね,廃棄処分になるんだって」
矢口「ちょ,ちょっと!それのどこがいい知らせなんだよ!!もういいよ!!!」
 矢口の堪忍袋の緒が切れる音が,飯田には聞こえた気がした。
福田「まりっぺ,最後まで話を聞いて。廃棄処分といってもね,集めたCDをすぐに壊
   したり燃やしたりするわけじゃないのよ。実際にはね,倉庫にしばらく放置しと
   くんだって」
矢口「???」
石黒「そうなの。でね,ゼティマにとっては『ごみ』だから,ちゃんと管理してるわけ
   じゃないのよ」
飯田「それがどしたの?」
石黒「これは例えばの話だからね。誰かがそのCDをごっそり盗み出したとしても,誰
   も困らないわけ」
飯田「あたしたちに盗みをやれとでも言うの?」
石黒「そのCDを,カオリンやまりっぺや他のメンバーが『手売り』すれば,よく売れ
   るでしょうね」
飯田「・・・」
福田「お金,必要でしょ?」
飯田「どうして?」
石黒「要らないの?」
飯田・矢口「・・・・・・」
石黒「要るんでしょ?」
矢口「・・・要る」
福田「討ち入り,するんでしょ?」
矢口「・・・」
飯田「・・・あたしたちは『討ち入り』なんて一言も言ってないからね」
石黒「わかってるよ」
472 : 2001/04/01(日) 23:36 ID:fmgICUAg
 ---背に腹は変えられない。
 石黒と福田が帰った後,飯田と矢口は議論し,そして,合意に達した。
飯田「やろうか・・・」
矢口「うん。やろう!」
飯田「この計画は,大きく二つの仕事に分かれるわね」
矢口「うん。CDの強奪と,CDの手売り」
飯田「そう。どちらも人数は多いほうがいいわね」
矢口「石川と辻・加護にも伝えたほうがいね」
飯田「うん。みんなの都合を聞いて,みんなが集まれる日に決行しよう。ゼティマから
   CDを強奪する日程と,手売りを開始する日程をそれぞれ決めないとだめね」
矢口「この作戦のコードネーム,あたしが決めていい?」
飯田「いいよ。何?」
矢口「『愛の種』作戦!」
飯田「あいのたねさくせん?」
矢口「そう。『愛の種』の手売りをやりたかったって,言ったでしょ」
 矢口は無邪気な笑みを見せた。
482 : 2001/04/01(日) 23:42 ID:fmgICUAg
一旦保全ageします。
最近,娘。の「対立」について(つまりこのスレのネタ)ばかり考えているので,
現実とのギャップを感じてしまいます。鬱だけど生きよう
昨夜からテレビでは娘。漬けの日々。たのし〜で〜すね〜!
49名無し娘。 : 2001/04/02(月) 00:11 ID:To8c7MRs
吉良側
吉澤=小林平八郎
浅野側
矢口=吉田忠左衛門
辻=大石主税
加護=矢頭衛門七
てな具合か。
石川=大野九郎兵衛
にしてみたら…
502 : 2001/04/02(月) 00:43 ID:eUsjVYGE
>>49
スマソ,そこまでやる気ない。あんまりやりすぎると読者が(作者も)ついてこれないような。
「堀部安兵衛はどこいった?」とか言う人も出てくるだろうし。
なんたって,赤穂浪士47人に対して,娘。は5人しかいないから,どうしても無理がある。
やっぱり娘。は,娘。のキャラでいきます。
ただし,辻=大石主税はすでに考えに入れてます。
512 : 2001/04/02(月) 18:18 ID:jV/Qm3Hc
>>50
新しいかちゅ〜しゃを入れてみたので,テストカキコ。
なかなか便利。ローカルルールが表示されるのがいいね。
あと,レスを付けるとき,いちいち数字を書かなくていいのが楽でいいかも。
522 : 2001/04/03(火) 00:02 ID:.9.s24P.
 翌日,午後になって,飯田は一人で出かけた。
 ゼティマの倉庫は,本社から離れた辺鄙な場所にあった。
 飯田は,少しはなれた場所から倉庫の様子をしばらく観察した。ときおり,小型トラ
ックが出入りしている他は,ほとんど人の出入りはなかった。夕方5時を過ぎると,トラ
ックの出入りもなくなる。倉庫のそばまで近寄ってみると,門にも入り口にも鍵はかか
っていない。管理人もいないようだ。
 飯田は思い切って倉庫の中に入った。倉庫の中には廃材や,不要な書類の束が山積み
されていた。そして,片隅には,見覚えのある,懐かしいCDが何千枚も積まれてい
た,無造作に。
 さらに翌日,時計の針が午後5時を回るのを確認してから,飯田は矢口とともに倉庫
内を偵察した。
飯田「昨日よりCDの数が増えたみたい」
矢口「あ,懐かし〜。『サマナイ』だ!『抱いて』だ!
   やだー,あたしこんな顔してたんだ。今更ながら恥ずかしーよ!」
飯田「『ふるさと』だ。カオリの顔,怖い」
矢口「なっちも今とぜんぜん違うよー!」
飯田「・・・今?・・・もう,なっちいないよ・・・」
矢口「・・・ごめん。調子に乗っちゃって・・・」
飯田「いいの。そんなことより,この倉庫の内部をよく見ておかなくちゃ」
 二人は,モーニング娘。のアルバムおよびシングルCDのおよその枚数を確認し,さ
らに倉庫の構造も詳細に観察した。
飯田「ここならさぁ,盗り放題だよ」
矢口「うん。あすかとあやっぺが言ってたとおりだったねぇ」
飯田「ほんと。あの二人,どこでこんな情報仕入れたんだろ?」
532 : 2001/04/03(火) 00:04 ID:.9.s24P.
 その日の夜,二人は,石川,辻,加護の3人と連絡をとった。
 CD強奪決行は,二日後の金曜日夜21時,そして土曜日から5日間の日程でCD手売り
を実行することに決定した。その週の土・日曜日は,辻・加護ともに学校が休みで,
石川もカントリー娘。の仕事がない。
 彼女らの具体的な計画は次のとおりだ。金曜日の夜,メンバー5人でゼティマ倉庫にむ
かい,各自200枚以上をノルマにCDを持ち帰る。そして翌日土曜日の正午に手売りを開
始する。初日の手売り実行の場所は横浜市の繁華街。当日の夜にもゼティマ倉庫に赴き,
売上分のCDを入手する。手売りを行う都市は,横浜の他には,千葉市,さいたま市,
宇都宮市,前橋市に決定した。東京都内で販売しないのは,このCD販売計画が違法行
為であることに,飯田と矢口が薄々気づいているからである---いくら自分たちの演奏と
はいえ,正規の販売ルートに乗らない,「バッタモノ」なのだ。
 ゼティマ倉庫の管理・保安状態を考慮すれば,一度に全てのCDを奪う必要はない。
必要なときに必要な枚数を確保すればよい。おそらく,ゼティマ側は盗られたことにす
ら気づかないだろう。もちろん彼女たちには,何万枚ものCDを一度に奪う技術も体力
もない---CDの運搬に自動車は使えないし,CDの保管場所は飯田のアパート以外にな
い。
542 : 2001/04/04(水) 19:10 ID:Zy4Oq0Qg
保全sage
10章と11章は少し長くなりそうなので,エディタで一通り書いて推敲してから上げます。
以前のを読み返して,ちょっと冷や汗・・・鬱
55名無し読者。 : 2001/04/06(金) 04:58 ID:lplHe7BU
続きが楽しみ。さげ
56第10章 : 2001/04/07(土) 00:44 ID:ewe6BB5U
 木曜日の午後,飯田と矢口は『愛の種』作戦について,あらためて意見を交わした。
飯田「でもさー,ほんとに売れるかなぁ・・・」
矢口「テレビや雑誌で宣伝するわけにもいかないしねぇ」
飯田「どうやって人を集めようか?」
 いっこうに答えが見つからない。危ない橋を渡るのだ。売れなければ意味がない。
 そのときドアのチャイムが鳴った。
飯田「またあの二人かな?」
 ドアをあけると,そこには制服姿の辻がいた。
辻希「辻もきちゃいました。きょうはがっこうがはやくおわったんですー」
 『愛弟子』の突然の来訪に,それまでの重い空気が一気に吹き飛んだ。
辻希「辻はねー,きょうもがっこうにいったんですけどー・・・」
 普段はわりとおとなしい辻も,今日は饒舌だった。仲良しの加護と離れ離れになって,
話し相手に飢えているのだろう。辻にとって,飯田と矢口は,ある意味,親・兄弟以上
に大切な存在なのかもしれない。学校のこと,同級生のこと,家族のこと,最近見たテ
レビの話・・・そんなとりとめのない話を,辻は,得意げに,楽しげに語り続けた。飯
田も矢口も,辻の話を遮らずに聞いた。二人にとっても,辻は実の妹以上に可愛い存在
だった。
57第10章 : 2001/04/07(土) 00:44 ID:ewe6BB5U
辻希「・・・いまがっこうではねー,コンピュータのじゅぎょうもやってるんですよ。
   それでね,辻はね,じゅぎょうちゅうにこっそりインターネットみてるんです。
   モーニング娘。のけいじばんもみちゃいました・・・」
飯田「それだよ・・・」飯田がはじめて辻の話を遮った。
矢口「うん!それだよ!それだよ!!」矢口も飯田に応じた。
辻希「???---おふたりとも,どうしちゃったんですか?」
矢口「辻ー!ありがとうー!!!」と叫んで,矢口は辻に抱きついた。
辻希「???」
飯田「あのね,あたしたちのCDを売るのに,どうやってお客さんを集めたら良いか,
   さっきから矢口と二人で相談してたの。あたしたちがテレビや雑誌で宣伝するわ
   けにいかないでしょ?」
矢口「そうだよねー。インターネットで宣伝すればいいんだよー。始めから辻に聞けば
   よかったなー」といって,矢口は笑った。
飯田「でも,具体的にどうすればいい?」
矢口「前にね,圭ちゃんから教えてもらったサイトがあるんだ・・・」
 飯田は早速ノートパソコンを取り出し,インターネットに接続した。
 矢口は「2ちゃんねる掲示板」というサイトを表示させ,次のように書き込んだ:

 『 極秘情報です。
   今週末に,モー娘。元メンバーがCDを手売りします。
   土:横浜,日:千葉,月:さいたま,火:宇都宮,水:前橋 』

 矢口は「Good Morning」というサイトの掲示板でも同じような書き込みをした。
 飯田と辻は,矢口の手際を見守った。
58第10章 : 2001/04/07(土) 00:45 ID:ewe6BB5U
 翌日,午後7時,飯田のアパートには5人のメンバー全てが集結した。石川は帯広から
飛行機で,加護は学校が終わってすぐに新幹線に飛び乗り,駆けつけた。
 モーニング娘。解散から約1ヶ月が過ぎようとしていた。久しぶりの集合を,皆で喜ん
だ。5人で簡単な食事をした。食事をしながら,今夜の計画をもう一度確認しあった。

 無我夢中だった。
 下調べも十分に済ませ,綿密な計画を練った。失敗はありえない。しかし,飯田の心
臓は破裂しそうなほど高鳴った。両手に大型のバッグを抱え,詰められるだけのCDを
詰めた。ずしりと重い---重いはずなのだが,やすやすと持ち運ぶ自分がいることに驚い
た。他のメンバーの顔を見た。誰もが真剣に,黙々と作業をこなした。飯田は倉庫の周
りを見回した。大丈夫だ。
 飯田「よし!みんないい?では退却!!」

 午後11時前にはアパートにたどり着いた。部屋に入り,ようやく皆の緊張が解けた。
矢口「やった!やったね!!」
飯田「うん,やった!」

 その夜は,飯田の四畳半に5人で寝た。久しぶりの『合宿』だった。5人で寝るには四
畳半は狭すぎるが,彼女たちは「狭くてよかった」といって笑いあった。加護と辻は,
大はしゃぎし,夜遅くまで語り合った。
592 : 2001/04/07(土) 00:49 ID:ewe6BB5U
おねもーが始まったから落ちます。
今日はプッチの3人が出てないな。今ごろ「吉良邸」で襲撃に備えてるのかな?
60第10章 : 2001/04/08(日) 00:42 ID:BJlRbMfM
 手売り開始初日の朝,飯田はかつてない重圧感に襲われた。
 これまで夢中で準備を進めてきた。矢口との度重なる議論を通して,綿密な計画を立
てた。しかし・・・本当に実行できるのだろうか?繁華街で違法行為を堂々とおこなっ
てよいものか?奉行所に通報されたら?役人や同心に咎められたらどうするか---?
 そもそも,どうして自分がリーダーなんだ?単に年長者というだけではないか。自分は
メンバーに対して責任が取れるのだろうか?まだ年端のいかない辻や加護をこんなこと
に巻き込んでよいのか?何と言っても石川は現役のアイドルだ---彼女の将来をこんな
ことで奪ってよいのだろうか?
 まだ間に合う。止めるなら今だ。まだ間に合う,まだ間に合う,まだ間に合う---。

辻希「じかんですよ。いいださん。いきましょう!」
 辻に背中を押された。逃げ出したい気持ちを呑み込んで,飯田は立ち上がった。
61第10章 : 2001/04/08(日) 00:44 ID:BJlRbMfM
 手売り初日。横浜市。
 手売りを実行する場所は,あらかじめ矢口と相談して決めてあった。
 飯田の足取りは重かった。4人のメンバーたちに「連れられて」,リーダー飯田は手売
り会場にたどり着いた。
 もう後には退けない。全身から冷たい汗が噴き出た。
 4年前と同じことをやればよい---しかし前回は,中澤・石黒という頼れる年長者がい
た。安倍・福田という心を許せる友がいた。しかし今回は・・・

 大勢のファンが集まった---北海道や九州から駆けつけた熱心な人もいたという。昨夜
5人で「仕入れた」CDは,僅か1000枚ほどである。すぐに完売した。CDを手渡すこと
ができたのは,集まったファンのうちのごく一部であった。彼女たちは,CDが売り切
れたあとも,握手やサインなどでファンたちにサービスした。もちろん,ファンたちも
モーニング娘。の現状を理解している。多くの人が「頑張ってください!」と声をかけ
た。
 そして・・・気が付いたら一日が終わっていた。
 その日の夜,飯田のアパートに戻るなり,矢口が大きなため息をついた。
矢口「疲れたよー。手売りがやりたいなんて言わなきゃよかった!!」
辻希「でも,辻はたのしかったです。ひさしぶりに,いいださんややぐちさんやりかち
   ゃんやあいぼんといっしょにおしごとできて,うれしかったです」
加護「うん。加護もー,楽しかったです。明日もー,頑張ります!」
石川「私も勉強になりました。飯田さんや安部さんがデビューしたときは,こんなにも
   大変だったんですねぇ・・・」
62第10章 : 2001/04/08(日) 00:46 ID:BJlRbMfM
 手売り二日目。千葉市。
 きのう成功したのだから,今日もうまくいくはずだ。そう思ったとき,飯田の中で何
かが変わった。
 モーニング娘。から福田が抜け,石黒が抜け,中澤が抜け,そして安倍を失い,自分
ひとりが取り残された。自分は孤独な存在だ---少なくとも今までそう思っていた。
 では,いま目の前で必死にCDを売り,ファンと握手を交わしている4人の少女は何
か?モーニング娘。ではないのか?
 4年前のモーニング娘。はもはや存在しない。しかし,今ここにいる5人は紛れも無く
「モーニング娘。」だ。
 頼りない自分に全幅の信頼を寄せてくれる,4人のメンバー。苦労を分かち合い,共通
の「目的」に向かって共に力を出し合うメンバー。喜怒哀楽をともにするメンバー。今
ここには,私の「モーニング娘。」がある・・・。
 リーダーだからと肩肘張る必要は無いんだ。メンバーがいるからリーダーがいる。
現に,みな素直に従ってくれているではないか。分からない事は矢口や他のメンバーと
相談すれば良い。

飯田(裕ちゃんも,カオリと同じ気持ちを味わってたのかもしれないなぁ・・・)
63第10章 : 2001/04/08(日) 00:48 ID:BJlRbMfM
 5日間が瞬く間に過ぎ去った。予定通りの日程を全て終えた。
 さいたま,宇都宮,前橋でも大勢の人が集まり,全てのCDを完売した。
 自分たちにできる最高の仕事をやり遂げた・・・。

 894万9000円。この5日間で,アルバムとシングル併せて4983枚を売った。
 4年前に『愛の種』を手売りしたときと比べて,売上枚数はその10分の1でしかない。
赴いた地域も,関東地方の5都市でしかない。しかし,前回と異なり今回は『商品』の仕
入れ,運搬,販売の全てを自分たちだけの力でやりとげた。そのことに,飯田はこれ以
上ない充実を感じていた。
 もちろん,飯田だけではない。石川は言葉を詰まらせ涙を拭うのに必死だ。辻と加護
は抱き合って喜んでいる。そして意外なことに,矢口までが大粒の涙で,この5日間の
「偉業」を讃えた。

 軍資金が手に入った。
 そして何よりも,最高のメンバーがここにいる。
 今こそ行動を開始しよう。怖いものは何もない。
 飯田は,強く心に誓った---。
64名無し娘。 : 2001/04/08(日) 15:03 ID:p926mS5.
おもしろい。
今後に期待ですな。
65第11章 : 2001/04/08(日) 21:22 ID:gQaI0.Ko
第11章 もうひとりのプッチモニ

 一週間ぶりに後藤が帰宅した。あれ以来,後藤は泊り込みのレッスンが続いている。
保田も吉澤も,後藤の体のことを心配した。ただでさえ精神的衝撃を受けているのだ。
幸い,後藤も以前の明るさを次第に取り戻してきている。
後藤「もうすぐ新曲のレッスンが始まるからね。圭ちゃんもヨッスィーも覚悟してね!」
保田「そうなんだ・・・『後藤真希』もたいへんだ」
後藤「圭ちゃん,なに他人事みたいに言ってるの?『娘。』の新曲だよ」
吉澤「娘。?」
後藤「モーニング娘。の新曲」
保田「なに言ってるの!プッチでしょ。モーニング娘。なんてもうないわよ!」
後藤「え?あ。そうだ,そうだ。なんでもない。
   ごっつぁん,なまらボケてるべさー!」
 保田と吉澤は,なかば呆れながらも大笑いした。安倍の口真似をするとは,後藤も精
神的に余裕ができた証拠だ---そう考えると,保田もいくぶん安心した。
66第11章 : 2001/04/08(日) 21:23 ID:gQaI0.Ko
 久しぶりにプッチモニメンバー全員が揃い,くつろいでいると,ドアをノックする音
が聞こえた。
保田「ヨッシー,お願い,みてきて」
吉澤「わかりました。
   はーい!どうぞ!あいてますよー!」
 意外な人物がそこにいた。プッチモニオリジナルメンバーの市井紗耶香だった。
吉澤「い,市井さん・・・ど,どうもお久しぶりです!」
市井「どう?うまくやってる?」
吉澤「ええ。まぁ。最近いろいろありまして・・・」
保田「サヤカー!ごぶさたー。よく来たねぇ!」
後藤「市井ちゃーん!会いたかったー!!」
 保田と後藤は,市井に対してそれぞれ特別な親近感をもっている。いっぽう,吉澤と
市井がともに過ごした期間は短く,ほとんどすれ違いだったといってもよい。しかし,
市井はかつてプッチモニの基礎を作ったヒロインであり,吉澤もそのことを十分承知し
ている。
市井「みんな元気そうだね。母さんうれしいよ!」と,市井はおどけて見せた。
後藤「市井ちゃーん」
 最近はプッチモニメンバー全員が揃うことも珍しいのに,今日は市井を入れて4人も集
まった。今日は特別な日だな,と保田は思った。
67第11章 : 2001/04/08(日) 21:24 ID:gQaI0.Ko
 4人の話題は,現在の市井の活動のこと,プッチモニのこと,後藤のソロ活動のこと,
モー娘。時代の活動のこと---そして,安倍の刃傷事件以降の娘。たちの置かれた状況に
ついて話題が及ぶのは,当然の成り行きだった。
市井「ねぇ,圭ちゃん知ってる?カオリンたちのこと」
保田「CD手売りしたんでしょ。実はあたしもこっそり見に行ったんだ」
市井「これは噂に聞いたことなんだけどね,900万近い売上があったんだって」
後藤・吉澤「きゅ,きゅうひゃくまん?」
市井「うん。問題は,その金額じゃなくて,そのお金で密かに武器を買い集めてるって
   こと」
保田「・・・それ,本当なの?」
市井「どうやら本当みたい。『討ち入り』の日が近いんじゃないかって,もっぱらの噂
   だよ」
保田「討ち入りって・・・そんな・・・」
後藤・吉澤「・・・・・・」
保田「・・・そうか。カオリンは,やっぱりそのつもりだったんだね・・・」
市井「本人に聞いたわけじゃないから,誰も本当のことはわからないよ。でもね,カオ
   リンたち5人はCDの手売りを成功させて一段と団結が強まったみたいだよ」
保田「そうなんだ・・・」
68第11章 : 2001/04/08(日) 21:24 ID:gQaI0.Ko
 保田の頭の中で,様々な情報と感情が錯綜した。
 保田は,飯田について考えた。
保田「カオリンもやるわね。『軍資金』とメンバーの団結心。その両方を一度に手に入
   れたんだ」
市井「そう。カオリンは今や立派なモー娘。リーダーだよ」
保田「カオリンにはかなわないなぁ。オリジナルメンバーの強みだね。同じ状況に立た
   されたとき,あたしにも同じことができるかな。モー娘。がデビューした時の苦
   労を,あたし達はちゃんと理解してないからね」
 市井がうなづいた。後藤と吉澤は何も言葉を発しなかったが,二人の胸のうちには,
保田の言葉が深くつき刺さったようだった。
 保田は,飯田が羨ましかった。飯田の元に集う4人が羨ましかった。ユニット活動を続
けていくだけの資格と実力を備えているのは,自分たちではなく,彼女たちのほうだ。
今のこの状況は,何かが間違っている。いったいどこでボタンを掛け違えたのだろう・・・。
69第11章 : 2001/04/08(日) 21:25 ID:gQaI0.Ko
市井「・・・とにかく,狙われているのは後藤,あんただよ。気をつけなさい!」
後藤「そ,そんな・・・あたしなんか・・・」
吉澤「ごっちん・・・市井さん・・・」
 吉澤は,後藤と市井の顔を見比べた。
 その時,しばらく考え込んでいた保田が,真剣なまなざしで言った:
保田「後藤。安心しな。カオリン達の好きにはさせない。私があんたを,全力で守る」
70第12章 : 2001/04/10(火) 01:01 ID:7DOv6/TQ
第12章 保田の反撃

 その日の夜,保田は自室に戻ってからあれこれ考え事をした。
 飯田が何らかの行動の出ることは,保田も予想していた。しかし,先ほど市井から聞か
された話は衝撃的だった。何らかの手を打たなければならない。どうするか?味方は3人,
敵は5人。やはりこのままでは不利だ。
 翌朝,保田は吉澤を呼び寄せた。
保田「ヨッシー。このままではあたしたちが圧倒的に不利なの」
吉澤「そうですね。向こうは5人もいて,チームワークも良いみたいですから」
保田「そう。3対5」
吉澤「何か『ウチカイサク』を考えないと」
保田「それを言うなら『打開策』でしょ!ちゃんと国語の勉強しなさい!
   ついでだから算数の勉強もしましょう。3+1と5-1,どっちが大きい?」
吉澤「・・・どちらも4ですから,同じでは?」
保田「こっちはチームワークのある4,相手はチームワークを乱された4」
吉澤「???」
保田「敵の一人を,こちらに取り込む」
吉澤「誰をですか?そんなこと出来るんですか?」
保田「ターゲットは辻。辻は後藤に憧れて『娘。』に入ったんだよ。切り崩せる可能性が
   あるとしたら,辻だけよ」
吉澤「そうかもしれませんね」
保田「辻が崩れれば,カオリンとまりっぺも相当ダメージを受けるわね」
吉澤「ええ。確かに」
保田「そして,この仕事が出来る人がいるとしたら,吉澤,あんただよ。辻と『同期』だからね」
吉澤「はい。でも,すごく難しい気がします。辻が,飯田さんや加護のもとを離れるでしょうか?」
保田「わかってる。ダメモトだよ。やり方はあんたに任せる。やれるだけやってみて。
    うまくいけば加護も一緒に崩せるかもね。駄目なら駄目で,相手の内部事情を探れるから,
    無駄にはならないよ」
71第12章 : 2001/04/10(火) 01:05 ID:7DOv6/TQ
 次の日の夕刻,帽子を目深にかぶりサングラスをかけた背の高い若い女が,東京都内
某中学校の校門前にいた。女は,帰路につこうとする女子生徒の様子を一人一人観察し
ているようだった。
 やがて,数人の女子生徒の集団が校舎から出て,校門に向かって歩いてきた。彼女た
ちは楽しそうに会話をしている。門を出たところで,一人の女子生徒が「じゃね。また
明日!」といって,他の生徒達とは反対側の方向へ歩き出した。彼女の顔には,楽しい
会話の余韻がまだ残っている。
 すると突然,少女の前に,帽子とサングラスの女が立ちはだかった。少女は驚いた。
少女がかろうじて発した言葉は,「・・・よっすぃー?」だった。
吉澤「辻ちゃん。久しぶり」
辻希「よっすぃー・・・?」
吉澤「どう?元気にしてる?」
辻希「・・・」
吉澤「辻ちゃんにね,相談あって来たの。聞いてくれる?」
 辻は,吉澤の後について歩いた。二人は無口だった。
72第12章 : 2001/04/10(火) 01:05 ID:7DOv6/TQ
 二人は駅前まで歩くと,『ココナッツ』という名の小さな喫茶店に入った。
 店に入るや,吉澤は,ベーグルとアロエヨーグルトを二つづつ注文した。
 テーブルに運ばれてきたお冷で唇を湿らしてから,吉澤はおもむろに切り出した。
吉澤「辻ちゃん。あたしね・・・」
 辻は,吉澤の次の言葉をじっと待った。
吉澤「あたし,保田さんのやり方についていけない・・・」
辻希「???」
吉澤「保田さんは頭の良い人だよ。でもね,冷たいというか,なんでも理屈で考える人
   なの。保田さんはね,まるでコンピュータを操作するかのように,私のこと操ろ
   うとするんだ」
辻希「・・・」
吉澤「ごっちんはソロ活動で忙しくて,私達と一緒にいるのはライブや収録のときだけ
   だし・・・」
辻希「・・・」
吉澤「ごめんね。変なことで呼び出したりして。でもね,辻ちゃんしか相談できる人が
   いないんだ・・・」
辻希「でも・・・辻には・・・」
吉澤「・・・私,プッチ辞めようかな・・・」
73第12章 : 2001/04/10(火) 01:06 ID:7DOv6/TQ
辻希「だめですよ。よわきになったら。よっすぃーがやめたら,ぷっちもにもだめにな
   っちゃいますよ」
吉澤「でも,今のままじゃ,私,耐えられない・・・」
辻希「・・・」
吉澤「そうだ!辻もプッチに来ない?それがいいよ!上様もプッチを増員したいような
   ことを言ってたし」
辻希「・・・辻には,そんなこと・・・」
吉澤「あいぼんにも声かけようよ!二人が来てくれたら,私も心強いよ!また昔みたい
   に,みんなで賑やかにやろうよ!ねぇ,お願いだから!」
辻希「・・・」
吉澤「辻ちゃん,ごっちんと仲好くしたいって言ってたでしょ?今度こそうまくいくよ,
   きっと」
辻希「・・・」
吉澤「明日さっそく上様にお願いしてみる。辻ちゃんも考えといてね。またみんなでド
   カーンとやろうよ!」
74第12章 : 2001/04/10(火) 01:06 ID:7DOv6/TQ
辻希「・・・あのー,よしざわさん。せっかくですけど,辻はもういんたいしたんで
   す。辻はいまでは,ふつうのちゅうがくせいなのです」
吉澤「え?」
辻希「ぷっちもには,ごとうさんとやすださんとよっすぃーの3にんのグループです。
   辻がはいったら,ぷっちもにじゃなくなっちゃいますよ」
吉澤「・・・」
辻希「よっすぃーなら,ぷっちもにで,ちゃんとやっていけますよ。辻もおうえんして
   ますから,がんばってください」
吉澤「・・・」
辻希「辻はですねー,『ちゅうがくせい』っていいましたけど,それいぜんに『モーニ
   ング娘。』なんですよ」
吉澤「え?!」
辻希「『モーニング娘。』があるから,いまの辻がいるんです。
   辻は,よっすぃーがだいすきです。辻は,ごとうさんのことも,やすださんのこ
   とも,そんけいしています。でも,それいじょうに,辻は『モーニング娘。』な
   んです」
吉澤「・・・辻ちゃん」
辻希「やすださんにも,つたえといてください。わたしたちは,モーニング娘。の
   『めいよ』と『そんげん』のために,たたかってるんです!」
 辻はアロエヨーグルトとベーグルを美味しそうに頬張った。
 吉澤は,大好きなはずのベーグルも,なぜか咽を通らなかった。
75名無し娘。 : 2001/04/10(火) 06:39 ID:r84GgCUA
プッチファンとしては複雑な心境ですが、マジおもしろいです。
つづき、楽しみにしてます♪
76アップ職人 : 2001/04/11(水) 14:17 ID:5TlieNmc
いざ上に参らん
77名無し娘。 : 2001/04/11(水) 15:04 ID:ZNLN7Utk
>>76 上げあらしウゼー、と思うがこのスレを紹介してくれたことには感謝する。
作者さん、面白い、頑張れ。今日からここをチェックさせてもらう。
78第12章 : 2001/04/11(水) 22:21 ID:19Htp.q2
 同日。
 吉澤を辻のもとへ送り出した後,保田は書類の束をバッグから取り出し,テーブルの
上に広げた。『松の廊下事件』以来の,新聞や週刊誌の記事のコピーである。全ての記
事に一通り目を通してから,保田は「わからないなぁ」とつぶやいた。

保田「今回の事件は一体何なんだろう?全貌が掴めない。順を追って整理しないとね。
   まず,事件の発端は,なっちが後藤に切りかかったこと。以前のなっちと後藤の
   関係を考えれば,二人の間にいざこざがあったのは仕方がない。でも,わからな
   いのは,後藤に一切被害がなかったのに,なっちだけが一方的に処罰されたこと。
   なぜ?新聞記事によると,なっちの切腹は裕ちゃんの判断。なっちの遺体は裕ち
   ゃんが処分した。ということは,この事件で最も損害を受けたのは,なっちだ。
   つまり,この事件は「安倍→後藤」の関係というより「中澤→安倍」じゃないか
   な。
    次に,娘。の解散の問題ね。娘。を解散させたら,カオリンたちが反発するの
   は目に見えている。それなのに,問答無用に解散させられた。そこまでする必要
   性ってなんだろう。とにかく,これは「中澤→飯田グループ」という関係かな・・・」
79第12章 : 2001/04/11(水) 22:23 ID:19Htp.q2
保田「カオリン達の『手売り』も,何か腑に落ちないなぁ。カオリンは4年前に手売り
   を経験しているから,うまくやって当然だと思ってたけど,よく考えたらおかし
   いんだよね。4年前の手売りは,ASAYANの企画だったから,カオリンたちはそのレ
   ールに乗っかってただけ。売れるか売れないかのどちらかだったわけね。でも,
   今回は違う。CDの入手から販売まで,カオリン一人の力で,あるいはカオリン
   と矢口の二人だけで計画を立てて実行したことになる。もちろん,二人の行動力
   は認めるよ。でも,あの二人にそこまでの計画立案・情報収集が出来るかしら?
   どうも巧く出来すぎてるよなぁ。裏を返せば,誰かが『手引き』したと考えたほ
   うがいいんじゃないかな。裕ちゃんかな?・・・いや,それはないか。この状況
   で,カオリンが裕ちゃんの言うことを聞くわけがない。とりあえず「謎の人物→
   飯田グループ」ということか。誰だろう?カオリン達の『計画』が成功して一番
   得をする人物は・・・?」
80第12章 : 2001/04/11(水) 22:26 ID:u8vdFtL2
保田「私達のことも要点をまとめる必要があるね。
    まず後藤のことかな。後藤は5日間もの間,取調べを受けた。言ってみれば,後
   藤は5日間裕ちゃんに身柄を拘束されていたということ。その間に何があったんだ
   ろう?後藤には何度かそれとなく聞いてみたけど,後藤は一切何も喋らなかっ
   た。あの時は後藤のトラウマを気遣ってそれ以上は追及しなかった。でも,今思
   えば,後藤が黙ってたのは,後藤と裕ちゃんの間に何か秘密があるから,という
   ことなんじゃないかなぁ・・・。
    次に,後藤のスケジュールが急に過密になったこと。後藤はほとんど帰宅して
   いない。これも裕ちゃんの意図?いったい,裕ちゃんは後藤になにをしてるの?
   いつものレッスンでは,こんなことはないよなぁ。最近は,後藤も笑ったり冗談
   を言ったりするようになったけど,最初ひどく落ち込んでいた。「中澤→後藤」
   の関係も要注意だ。
    そして,私自身のこと。私が今こういうことを考えてるのはカオリン達の襲撃
   に備えるため。でも,カオリンの襲撃なんて,今までは現実の問題として考えて
   なかった。これは紗耶香に感謝すべきかな。本当に良いタイミングで教えてくれ
   た。あと少し遅れたら大変なことになってた。
    ん?ちょっと待って。タイミングが良すぎる。そもそも,紗耶香はどうしてあ
   んなこと知ってたの?カオリンたちの手売りの事なら誰でも知ってる。でも,紗
   耶香はそれ以上の事を知っていた。カオリン達のCDの売上げ金額とか武器を集
   めてる話とか,どうして紗耶香が知ってるの?紗耶香はカオリンと通じてる?い
   や,それは違う。だったら,私たちに教えてくれるはずがない・・・」
81第12章 : 2001/04/11(水) 22:28 ID:u8vdFtL2
 保田は,今回の事件にかかわった人物の名前を,手帳に記した。

 『 安倍−−飯田+矢口+石川+辻+加護

   後藤+保田+吉澤 (市井)

   中澤
  
   飯田を手引きした謎の人物  』

保田「・・・この事件は,単なるプッチモニ対タンポポの争いじゃない。裏に裕ちゃん
   がいるんだ。本当の敵はカオリンじゃなくて,裕ちゃんかもしれない。
    仮にそうだと仮定して,裕ちゃんの目的は何だろ? モー娘。を潰すこと?
   確かに形の上では成功したけど,却ってカオリンたちは団結を強めた。そして,
   カオリンたちの矛先がこちらに向いた。じゃあプッチを潰すのが目的かな?何の
   ためにそんな回りくどい方法で?プッチの新曲がもうすぐ出るらしいから(後藤
   は『娘。』と言ったけど),プッチ潰しというのも違うよな。同時に,後藤潰し
   の線も消える。でも,後藤に何かさせているのは事実ね。
    この事件で,完全に抹殺されたのは・・・なっちだ。なっちは抹殺されたとい
   うより,消去されたという感じだね。でも,なっちの消去が目的なら,その後の
   ゴタゴタは何なの?
    うーん。わからないなぁ。やっぱり疑問点は一番最初の事件に戻ってくる。
    今のところ,公表された情報とプッチの内部事情しか,私は知らない。事件の
   全貌を解明するには・・・」

 そのとき,吉澤が戻った。吉澤は,ひどく落ち込んだ様子だった。
82第12章 : 2001/04/11(水) 22:31 ID:u8vdFtL2
吉澤「ただいま戻りました・・・」
保田「お帰り。ご苦労様。どうだった?」
吉澤「・・・」
保田「うまくいった?」
吉澤「わたし・・・辻のことが,好きになりました」
 その一言で,保田は,吉澤の失敗を悟った。
吉澤「辻が,私より大きく見えました。辻が言ってました。『私たちはモーニング娘。
   の「名誉」と「尊厳」のために戦ってるんだ』って。まさか辻の口から「名誉」
   とか「尊厳」なんて言葉が出るとは思いませんでした。でも,今日の辻は,まさ
   に『名誉』と『尊厳』という言葉がふさわしい存在でした・・・」
保田「そう。さすがだね。負けたよ。小細工は通用しないってことか・・・」
吉澤「すみません。お役に立てなくて」
保田「なにいってるの。ヨッシーのおかげで,相手の状況がよくわかったよ。
   今度はあたしが行く番だね」
吉澤「今度は・・・加護ですか?」
保田「飯田だよ。今度のターゲットは,飯田圭織!」
吉澤「え?まさか」
保田「そのまさかだよ」
 保田の微笑には,自身が満ちていた。
 飯田の襲撃から,プッチモニと後藤を守るには,この事件の背景を正確に理解しなければ
ならない。そのためには,飯田に会って話を聞く必要がある。それが保田の考えだった。
83第13章 : 2001/04/11(水) 22:33 ID:u8vdFtL2
第13章 辻の試練

 さらに同日。
 矢口は,都内で要件を済ませた帰り道で,辻の学校がそこから程近いことを思い出し
た。
矢口「そろそろ授業が終わるころかな?よし!いっぺん辻を驚かしてやろう」
 ささやかな悪戯心が,矢口を辻の中学校へと導いた。
矢口「あ,ここだ!」
 すでに授業は終わっており,中学生たちが三々五々帰路についている。矢口は中学生
の群れの中に,辻の姿を探した。と,そのとき,通りの向かい側から中学生たちの姿を
じっと見つめる怪しい女がいることに気づいた。
矢口「あいつ何やってんだ?・・・あれ?もしかして,吉澤じゃねぇか?あんな目立つ
格好して,何してんだろ?」
 矢口は,とっさに物陰に身を隠した。吉澤が何をしようとしているのか,見届けよう
と思ったのだ。
 しばらくすると,数人の女生徒が校舎から現れ,そのうちの一人が友人たちに手を振
って反対の方向へ歩き出した。辻だ。その時,通りの反対側にいた吉澤が,辻に駆け寄
った。辻は驚いた様子で立ち止まった。
矢口「吉澤のやつ,何を企んでるんだ?」
 矢口は,二人の後をつけて歩いた。二人は駅の方角へ向かっている。二人は駅前の喫
茶店に入った。矢口は,店の名前を確認した。
 矢口は,ガラス窓越しに店内を覗いた。二人はなにやら話し込んでいるようだ。二人
のテーブルに,食べ物が運ばれてきた。しかし,二人はそれに手をつけようとしない。
何の話をしてるんだろう?話が一段落したのか,辻は微笑んでから,食べ物に手を伸ば
した。辻がお菓子を頬張る。相変わらず幸せそうな表情でスプーンをなめている。

矢口「まさか・・・辻・・・さては・・・辻のヤロー,寝返りやがったな!」
84名無し娘。 : 2001/04/12(木) 02:11 ID:e4DGlp0A
ふむ、急展開、続きが気になりますな。
85第13章 : 2001/04/12(木) 22:22 ID:0SyPEUz2
 辻と吉澤は店を出ると駅で別れた。吉澤はそのまま駅の構内へと消えた。辻は自宅の
方向に歩きだした。矢口は,意を決して辻に近づいた。
矢口「やぁ!辻」
辻希「やぐちさん!」
矢口「辻。楽しそうだね。今度は矢口とデートしよう!」
辻希「・・・」
矢口「さぁ,来なさい!」
 矢口は,辻をつれてもう一度同じ喫茶店へ入った。
 席につくと,矢口はメニューを手に取った。
矢口「さ〜て,ののちゃんは何がお好みかな?・・・なるほどね。この店は,アロエ
   ヨーグルトとベーグルがあるんだ。二人のデートにはもってこいね。あたしもそ
   れにしよ。ののちゃんも食べるかしら?」
辻希「辻はー・・・なにもいりません・・・」
矢口「へー,めずらしいわねー。さっきはあんなに美味しそうに食べてたのにねぇー」
辻希「・・・」
矢口「・・・」
辻希「・・・」
矢口「辻。どういうつもりなの?」
辻希「・・・」
矢口「まさか,アロエヨーグルトとベーグルで寝返ったなんてこと言わないでね」
辻希「そんな!辻はねがえったりしません」
矢口「どうだかね」
辻希「ほんとうです。しんじてください」
矢口「・・・」
辻希「辻が,やぐちさんやいいださんのことを,うらぎるわけが,ありません」
矢口「だといいけどね」
辻希「・・・」
86第13章 : 2001/04/12(木) 22:22 ID:0SyPEUz2
矢口「辻。覚えてる?あんたも血判状にサインしたんだよ」
辻希「はい・・・」
矢口「あたしたちはね,『娘。』のために命を捨てると誓ったんだよ」
辻希「はい・・・」
矢口「・・・」
辻希「・・・」
矢口「・・・」
辻希「・・・やぐちさん・・・辻は・・・」
矢口「?」
辻希「いまここで,やぐちさんのために,いのちをすてます!」
矢口「え?ちょっと,どういうこと?」
 辻は急に立ち上がり,テーブルのメニューを手にとって,店員の居るカウンターまで
赴いて何かを注文した。
矢口「どうしたのよ?」
辻希「辻の,かくごをおみせします」
87第13章 : 2001/04/12(木) 22:24 ID:0SyPEUz2
 しばらくして,ウェイトレスが飲み物の入ったグラスを,辻の前に運んできた。
 それを見て,矢口は仰天した。
矢口「辻!待てっ!早まるな!」
 辻は何も言わずにグラスを手に取り,目をつぶって,グラスに口をつけた。
矢口「辻!もうわかったよ!疑って悪かった。あたしの負けだよ!」
 辻は,矢口の言葉を無視して,一気に飲み干した。
矢口「やめろ!辻!無理するな!」
 矢口の顔は青ざめ,表情がこわばった。
矢口「・・・辻,大丈夫か?」
辻希「・・・」
矢口「・・・」
辻希「・・・おいしい・・・」
 辻は今,物心ついて以来はじめて,牛乳を飲んだ。
 その後数時間,矢口は言葉を失った。
882 : 2001/04/12(木) 22:58 ID:0SyPEUz2
13章はただのお遊びでした。スンマソン。なんとなく辻をいぢめてみたかったのだ・・・
89名無し娘。 : 2001/04/12(木) 23:43 ID:fEUPCgrc
ま、ええんとちゃう?
もうちょいひねりが欲しかったが。
90名無し娘。 : 2001/04/14(土) 22:50 ID:PIl8exxo
保全。ちょとワラタで>13章
91第14章 : 2001/04/15(日) 00:11 ID:oSXCIE.o
第14章 保田対飯田

 矢口や他のメンバーと会うとき以外,飯田は一日の大半を,四畳半で一人で過ごして
いる。午前中に一度だけ,近所のスーパーマーケットに,その日の食料品を買出しに行
くのだが,その他にはほとんど外出することはない。芸能界を引退してから時間がたっ
たとはいえ,飯田の顔を覚えている人は多い。そもそも,飯田は背が高く,髪が長く,
整った顔立ちをしているため,街中に居ても目立つ存在なのだ。一度だけ,何気なしに
外出して,周囲の視線を浴びたことがあった。それ以来,外出するときは,午前中の人
通りの少ない時間帯にあわせるようにしている。
 その日も同じだった。いつものように,アパートの鍵をかけ,階段を下り,いつもの
道を通って,買物に出かけた。
 普段と違うことがひとつだけあった。背後か,自分を呼び止める声が聞こえたのだ。
それも,ごく親しげに「カオリン!」と呼ぶ声が。飯田が振り返ると,保田がいた。
飯田「・・・圭ちゃん?」
保田「カオリン,久しぶり。元気?」
飯田「う,うん・・・久しぶり」
 かつての仲間同士とはいえ,すぐに打ち解けるわけにはいかない。相手は「敵」なの
だ。飯田は,笑顔で近づく保田に対して,警戒心を持った。
保田「今日はね,カオリンに少し訊きたい事があって来たんだ。ちょっとお茶でも飲ま
   ない?いま時間ある?」
飯田「うん。あたしは圭ちゃんと違って『無職』だから。時間ならいくらでも」
92第14章 : 2001/04/15(日) 00:14 ID:oSXCIE.o
 飯田は,いつも前を素通りする小さなコーヒーショップに,保田を誘った。コーヒー
を二つ注文して,二人はテーブルについた。
 保田は,運ばれてきたコーヒーを一口すすり,ようやく口火を切った。
保田「ねぇ,カオリン。討ち入りするの止めてくれない?」
 コーヒーカップへとのばした飯田の手が,空中で止まった。
保田「ちょっと言ってみただけよ」
飯田「・・・」
保田「『はい,そうですか』と素直にきく人じゃないよね,カオリンは」
飯田「・・・」
保田「やっぱり,やるつもりなんだね。そのことを直接確認したかったんだ」
飯田「・・・」
 保田は,ハンドバッグから手帳を取り出した。
保田「今日ここへ来た本当の目的はね,今回の事件のことについて,カオリンにも一緒
   に考えて欲しかったからなんだ・・・」
 保田は,新聞記事やプッチモニ内部の事情にもとづく『推理』を語った。安倍のこと,後藤のこと,中澤のこと。

保田「私に判らないのは,カオリン達の手売りのことなんだ」
飯田「手売り?」
保田「私はカオリンを尊敬するなぁ・・・。あんな大仕事をやってのけたんだもん」
飯田「・・・」
保田「本当は後藤や吉澤にもやらせるべきよね。後藤・吉澤以上に,この私もやるべき
   なんだよね」
飯田「・・・」
保田「率直に聞くけど,あれは全部,カオリンのアイデアなの?」
93第14章 : 2001/04/15(日) 00:17 ID:oSXCIE.o
飯田「・・・」
保田「『娘。』のCD販売中止。そのすぐ後に,ゼティマの倉庫でCDを入手,横浜,
   千葉,さいたま,宇都宮,前橋で手売り。売上げ金は約900万円。お金の使い途も
   知ってるよ。・・・びっくりしたでしょ。実はね,これ全部,紗耶香から聞いた
   んだ。」
飯田「え?紗耶香から?」
保田「そう,紗耶香」
飯田「ふーん。紗耶香がねぇ・・・」
保田「ねえカオリン,知ってる?『松の廊下』の事件以来の,一連の出来事にかかわっ
   てるのは,みんな『モー娘。』のメンバーか脱退メンバーなんだよ」
飯田「それはまぁ・・・そうね」
保田「でね,これまでに名前が挙がったのは11人。『娘。』は脱退メンバーを含めて,
   全部で13人。残りあと2人」
飯田「・・・」
保田「まだ名前が出てないのは,石黒彩と福田明日香。
   プッチモニに紗耶香だから・・・タンポポには彩っぺかな?」
飯田「・・・両方だよ」
保田「え?」
飯田「彩っぺと明日香の二人が,ある日突然うちに来た」
保田「二人とも?」
飯田「うん。それで,CD販売中止の話と,ゼティマが回収する話を教えてくれた」
保田「そうか・・・やっぱりね。これで全体像が見えてきた」
94第14章 : 2001/04/15(日) 22:50 ID:HzwCppgk
飯田「全体像?」
保田「全体像というか,人間関係なんだけど。
   つまりね,今まで私たちは,この一連の事件のことを,『プッチモニ 対 その他
   のメンバー』という関係でしか見てこなかったでしょ?」
飯田「違うの?」
保田「うん。違う。カオリン,思い出してみて。彩っぺと明日香が,来た日のことを。
   丁度お金に困ってたんじゃないの?」
飯田「・・・うん。そう言えば,絶妙なタイミングだった」
保田「やっぱり。あの二人,やけに物知りだったんじゃない?」
飯田「・・・そう言えば・・・ゼティマの倉庫に矢口と二人で忍び込んだんだけど,
   『どうしてあの二人がこんなこと知ってるんだろう』って,その時思った。
   それに・・・裕ちゃんがCD販売中止を決めたってニュースが流れるより前に,
   明日香と彩っぺが来たんだ。」
保田「やっぱりね。つまりあの二人は,裕ちゃんと通じてるんだよ」
飯田「・・・じゃあ・・・紗耶香も?」
保田「たぶんね」
飯田「でも・・・紗耶香はどうして,私たちのCDの売上金額を知ってたの?カオリ誰
   にも言ってないよ。明日香にも彩っぺにも言ってない。あたしたちの中に,裕ち
   ゃんのスパイがいるって事?」
保田「うーん,それは違うと思うな。これは私の推測だけど,裕ちゃんはゼティマの倉
   庫にあるCDの数を,予め数えてあったんだと思う。だからカオリンたちが何枚
   持っていったかすぐにわかったんだよ。あとは当日に,カオリンがCDをいくら
   で売ってるのか,役人に調べさせたんだと思う。それで売上げ金を計算して,計
   算結果を紗耶香が私達に教えてくれたってわけね」
飯田「・・・ってことは・・・あの手売りは・・・全部,裕ちゃんが仕組んだの?」
保田「そういうことになるね」
飯田「・・・」
保田「そんながっかりするなって。カオリン達が凄いことには変わりないよ。とにかく
   ね,裕ちゃんを中心とする『脱退者グループ』があるんだよ」
飯田「脱退者グループ?・・・何のために?」
保田「カオリンたちに『討ち入り』をやらせるため」
飯田「目的は?」
保田「・・・わかんない。あたしにも,裕ちゃん達の目的が解らないんだ」
95第14章 : 2001/04/15(日) 22:53 ID:HzwCppgk
 飯田の頭は混乱した。中澤が何かをしようとしてることは理解できた。しかし,その
目的は何なのか?自分たちをどうするつもりなのか?他のメンバーをどうするつもりな
のか?そして何より,犠牲になった安倍の責任をどのようにとるつもりなのか---?
飯田「・・・裕ちゃん,ひどいよ・・・私のことはもうどうでもいいよ・・・でも,な
   っちが可哀想・・・なっちを返して・・・なっちに会いたい・・・裕ちゃんひど
   い・・・どうしてあの時,なっちに会わせてくれなかったの?・・・カオリじゃ
   なくてもいい・・・メンバーの誰でもいいから,なっちに会わせてくれればよか
   ったのに・・・」
保田「ねぇ,カオリン。もうこれ以上『側用人』に踊らされる必要はないんだよ」
飯田「・・・踊らされる?カオリたちは踊らされていないよ。皆で決めたんだ。なっち
   がいなければモーニング娘。じゃない。裕ちゃんなんてどうだっていい!
   これは,なっちのための戦いなんだよ!!」
 飯田が立ち上がった。その時,保田が発した声は,飯田の耳には届かなかった。
 飯田は,テーブルの上の伝票を掴んで一歩前に出た。
保田「カオリン,待って!」
飯田「?」
保田「今,なっちがどうしたって言った?」
飯田「???」
保田「・・・なっちだよ・・・なっちが鍵を持ってるんだ・・・私たち誤解してる!
   違うよ!!違うんだよ!!」
飯田「違う?何も違わないよ。私たちの計画に変更はない。予定通り行くよ。
   圭ちゃん,今日は来てくれて有難う。久しぶりに会えてカオリ嬉しかった。
   この次に会うときは,メンバー全員一緒だからね!!!」
保田「ちょ,ちょっと,全員一緒って・・・そう。そうね・・・メンバー全員一緒よね。
   わかったよ。私たちも『全員一緒』で待ってる。楽しみに待ってるよ!」
96第14章 : 2001/04/15(日) 22:54 ID:HzwCppgk
 保田と別れてから,飯田はわが身の不幸を嘆いた。
飯田「圭ちゃんだけは,敵に回したくなかった」

 今まで自分は,自分たちだけのことしか考えていなかった。しかし,保田は事件全体
について考えていたのだ。保田はたった一人で事件の全貌をほぼ解明してしまった。自
分にそんなことが出来るだろうか?自分に出来ることって,何だろう?自分は今,元モ
ーニング娘。5人のリーダー格だ。しかし,現在のような混乱状態だからこそ,強引な方
法でもリーダーが務まるのだ。しかし,もし矢口がいなかったら,自分には何も出来な
いだろう。矢口のように,年下のメンバーをうまく取りまとめる力は,自分にはない。
そして,保田のように状況を冷静に分析する能力も,自分にはない。

飯田「もし圭ちゃんが味方なら,どんなに心強いか・・・もし,なっちさえ,あんな事
   にならなければ・・・」
97第14章 : 2001/04/15(日) 22:56 ID:HzwCppgk
 飯田は,この事件と中澤との関係についても自分なりに考えてみた。確かに,事ある
ごとに中澤の名前が挙がるが,側用人・中澤は事実上の最高権力者なのだから,それを
当然のことと受け止めてきた。しかし,飯田には,中澤がモーニング娘。を潰そうとし
ているようにしか見えなかった。
 飯田は,中澤と出会ってから最後に別れたときまでのことを,あれこれ考えた。
 そして,中澤の脱退記者会見のときの,中澤の発言を思い出した。

飯田「そう言えば,裕ちゃんは娘。を脱退するとき・・・モーニング娘。のことを
   『青春です』って言ったんだよね。その『青春』とやらも,今や真っ二つ。こん
   な『青春』見たくないよね。カオリにも,裕ちゃんの気持ちがやっとわかったよ。
   大切な思い出は,いつまでも綺麗なままで残しておきたいよね。ごめんね裕ちゃ
   ん。裕ちゃんの大切な『青春』を,こんな醜い形にしちゃって。裕ちゃん,あと
   少しだけ目をつぶっててね。モーニング娘。は,モーニング娘。自身の手で,ち
   ゃんと後始末をつけるから。もう裕ちゃんには心配かけないよ・・・」
982 : 2001/04/16(月) 22:07 ID:BXbQMkhU
飯田さん,ホントにリーダーになっちゃったそうで何よりです。
しか〜し!この続きが書きづらくなっちゃったじゃないか〜!
まぁ,いいんですけど。私,これ書いてるうちに,飯田ヲタになりました・・・
99名無し娘。 : 2001/04/16(月) 22:13 ID:TyOuqBOQ
確かにこれ読んでるとホントにリーダーとサブリーダー
って感じですね。頑張って下さい。
1002 : 2001/04/16(月) 22:41 ID:BXbQMkhU
>>99
薄々それを予想してたからこういうストーリーにしたんだけど,
現実に決まっちゃったとなると・・・何か先越されたって感じですよ。
101名無し娘。 : 2001/04/16(月) 22:55 ID:JUslPF7s
大河って文字は羊板では禁物です。
昔「大河好き」という名の犯罪者がいたため、
以後封印されているのです。
102名無し娘。 : 2001/04/16(月) 23:07 ID:TyOuqBOQ
仕方ないんじゃないの。この小説も多分終盤だし。
削除されるわけじゃないんでしょ?
1032=作者 : 2001/04/17(火) 01:08 ID:hH26OAyg
>>101
このタイトル付けたの私じゃないんです。このスレの1と,2以降の作者(私)は別人です。
放置スレッドがあったので,勝手に乗っ取って,ストーリーを書き始めて,ついにここまで来ちゃいました。

では,気を取り直して,続けます。
104第15章 : 2001/04/17(火) 01:09 ID:hH26OAyg
第15章 プッチモニ事務所移転

 飯田は,機が熟したと判断した。
 矢口と頻繁に連絡をとり,決行当日の詳細についての具体的な話し合いを重ねた。し
かし,最後まで結論が出なかったのは,それを「いつやるか」だった。
 ある朝,飯田が配達されたばかりの新聞のページをめくっていると,次の記事に目が
とまった。

 『プッチモニ事務所まもなく移転
  中澤ゆうこ側用人は,プッチモニ事務所を来週の月曜日に移転するよう指示した。
 これは昨夜の側用人定例記者会見の席で明らかにされた。移転先は東京都墨田区両国
 三丁目に現在建築中の建物で今週末には完成する見込み(第1社会面に関連記事)。
  新築されるプッチモニ事務所には,メンバーの合宿施設の他,レコーディングスタ
 ジオ,ダンスレッスン場等も併設される。事務所が移転される月曜日以降は,プッチ
 モニメンバーは基本的にこの合宿所に居住することになる。建物周囲の敷地には植樹
 や塀が設けられ,プッチモニメンバーのプライバシーに配慮されている。また,建物
 には防音壁が採用されており,深夜の発声練習,ダンスレッスンでも,周辺住民へ迷
 惑がかからない構造になっている。
  事務所移転の当日は,プッチモニメンバーのみで過ごすことになるが,翌日の火曜
 日には,幕府高官や芸能関係者,報道陣を集めたレセプションパーティーが催される
 模様だ。水曜日以降も,各種のイベントが計画されており,早くも関係多方面からの
 注目を浴びている---』

 飯田は直ちにメンバーを招集した。
105第15章 : 2001/04/17(火) 01:11 ID:hH26OAyg
 矢口は新聞記事を熟読してから,顔を上げた。
飯田「どう思う?」
矢口「・・・これは・・・あたしたちへの挑戦だよ」
飯田「うん。カオリもそう思った」
加護「挑戦てー,何ですか?」
石川「挑戦---それは戦いを挑むこと・・・どうもー,チャーミー石川でーす!」
矢口「一見もっともらしく書いてあるけど,合宿所に寝泊りさせるのは,あたしたちが
   襲撃しやすくするためだと思う」
飯田「そう。塀や生垣があるのも,防音壁になってるのも,戦闘時の騒ぎが外からわか
   らないように,だね」
矢口「この日程では,月曜日の夜に襲撃しなさいと言ってるようなものだよ」
飯田「うん。カオリは正々堂々と受けて立とうと思ってるんだ。私達に奇襲攻撃は似合
   わないよ。これは『娘。』のための聖なる戦いだからね」
石川「聖なる戦い---ですか?」
矢口「そう。モーニング娘。のための『聖戦』」
辻・加護「・・・聖戦・・・」
飯田「『討ち入り』決行は来週の月曜日深夜。どう?」
矢口「異議なし!」
石川「異議ありません!」
加護「異議ありません」
辻希「いぎありません」
106第15章 : 2001/04/17(火) 01:12 ID:hH26OAyg
飯田「ふー。討ち入り決行まであと6日。気合を入れないと」
加護「あのー。質問があるんですけどー」
矢口「なに?」
加護「あのー,両国3丁目ってー,どこにあるんですか?」
矢口「そんなの決まってるじゃない。両国ったら,両国だよ。ねぇカオリ」
飯田「カオリもよくわからない。どこにあんの?」
 飯田は,4年前に初めて上京したときに購入した,東京の街路地図を取り出した。
飯田「墨田区・・・墨田区・・・ここだ。両国・・・両国・・・両国3丁目,あった!」
矢口「ふーん。こんな所にあるのか」
飯田「矢口,知ってたんじゃないの?」
矢口「えへへー・・・」
飯田「もー。辻と石川も知らないみたいだし・・・一度下見しとかないと駄目だね」
矢口「でも全員で行ったら,目立っちゃうよ」
飯田「うん。じゃ,明日,カオリと矢口の二人で行ってみるよ。プッチの事務所の場所
   を確かめたら,あらためて皆で見に行こう」
矢口「うん。そうしよう」
107第15章 : 2001/04/17(火) 01:13 ID:hH26OAyg
 翌日,二人はJR両国駅で下車した。駅の売店で,墨田区の街路地図を購入し,両国3
丁目の位置を確認した。駅の南口を出て,商店街を抜け,国道を渡ってから,さらにし
ばらく歩いた。
矢口「ねえ,カオリ。あれじゃない?」
 そこには,一街区全体を塀と生垣で囲った敷地があり,その中央には二階建ての白い
建物があった。
飯田「中までよく見えないねぇ」
 二人は,塀伝いに敷地の周囲を一回り歩いた。
 プッチモニ事務所の敷地は,東西に細長い形をしており,その東側に正門,西側に裏
門があった。まだ看板はかけられていないが,「プッチモニ事務所・合宿所建築作業現
場」の表示があるので,間違いはない。
飯田「中の様子がわからないと,攻めようがないね。どうしよう・・・」
矢口「まぁ,それはそれとして,周りの町の様子を先に見ておこうよ。当日の集合場所
   とかも,今のうちに決めとこうよ」
108深夜でも快適なレンタルサーバサービス : 2001/04/18(水) 19:54 ID:6mLsMlCI
連載中の小説の中でこれが一番好きです。
がんばってください。
109第15章 : 2001/04/19(木) 01:16 ID:UkUVc2B6
 二人は駅とは反対の方角に歩いた。
飯田「当日集まるとしたら,こんな人通りの多いところじゃ駄目だよね」
矢口「うん。何処がいいかなぁ。ちょっと地図見せて」
 二人は地図を広げて,まず,現在位置を確認した。そして,周囲でなるべく閑散とし
ていそうな場所を探した。
矢口「このあたりなら何もなくていいかも」
飯田「うん。じゃあ見に行ってみよう」
 二人は,首都高速をくぐり,小さな川を渡ると,東の方向へ歩いた。
飯田「この辺かなぁ」
矢口「この辺かなぁ。まぁ,ここならプッチ事務所からそんなに離れてなくていいかも
   ね。今どこにいるの」
飯田「えーと,こう来て,ここを曲がって,このあたりかな。立川2丁目」
矢口「そこにボロいホテルがあるよ。そこの部屋を取っといたらどうかな?」
飯田「そうしよう。さすが矢口!」
矢口「へへへ。じゃあ,集合場所はここだね。当日は,ホテルでゆっくり準備をしてか
   ら出かけよう」
110第15章 : 2001/04/19(木) 01:19 ID:UkUVc2B6
 二人はもう一度,地図を広げて検討した。
 二人は,当日のことを考えながら,再びプッチモニ事務所まで歩いた。
矢口「今通ってきた道が,一番近いよね。当日もこの道を使おうよ」
飯田「うん,賛成。ほかのメンバーにも教えとこう。
   でもさぁ・・・やっぱ,この中がどうなってるのか気になるよ」
矢口「こればっかりは,忍び込むわけにいかないよねぇ・・・」
 二人とも途方にくれた。建物の間取り,入口や非常口の場所,そして,後藤の居室が
どこに位置するのか---そういった諸々の情報が欲しかった。
 やがて,西の空に赤味が差してくると,それまで建物内部で作業をしていた職人たち
も後片付けをはじめたようだった。
 飯田と矢口は,何をするともなしに,職人たちの様子を,ただぼんやりと眺めてた。
職人の中には,『親方』らしい職人や,ベテランの職人に混じって,まだ若い見習の職
人もいた。『見習』は雑用のほとんどを任されているようだった。『親方』が『見習』
にむかって「おい,二岡!向こうのほうも片付けとけよ!」と命令する声が聞こえた。
どんな世界でも新人は大変だ,と飯田は思った。二岡と呼ばれた若い職人は,陽気な性
格らしく,威勢の好い返事をしてから,鼻歌混じりに作業をはじめた。
 二岡の口ずさむメロディーは,飯田にも聞き覚えがあった---二岡の鼻歌につられて,
飯田もつい口ずさんでしまった。
矢口「カオリ・・・その曲・・・」
飯田「この曲,どっかで聞いたことある」
矢口「当たり前だよ。あたしたちの曲だもん」
111第15章 : 2001/04/19(木) 01:20 ID:UkUVc2B6
飯田「・・・だーいれんあいが はーじまーるよな いんすぴーれいしょん・・・
   そうだ!『インスピレーション!』だ!」
 矢口は満面の笑みを浮かべた。
矢口「・・・二岡君,モーヲタだよ!」
飯田「うん。そうみたいだね。この曲,普通の人あんまり知らないもんねぇ」
矢口「ねぇ,彼はモーヲタなんだよ!」
飯田「うん。嬉しいよね。まだあたしたちの歌を覚えててくれてるなんて」
矢口「そうじゃなくって,彼に訊くんだよ!建物の中のこと」
飯田「え?あぁ!そうか!彼なら,教えてくれるかもね。
   よし!じゃあちょっと訊きに行ってみよう!」
矢口「ちょっと待って。それは明日にしよう」
飯田「どうして?今じゃ駄目なの?」
矢口「明日,5人みんなで会いに行こうよ。二岡君,きっと喜ぶよ」
飯田「なるほどー。それもそうだね。・・・矢口・・・今日は冴えてるねぇ」
 矢口が得意そうに笑った。
 しばらくして,職人達の乗ったバンが,表門から出て行った。
 バンの側面には『長嶋内装工務店(株)』と書かれていた。
1122 : 2001/04/19(木) 01:27 ID:UkUVc2B6
test
113第15章 : 2001/04/19(木) 01:27 ID:UkUVc2B6
 翌日,正午には,飯田のアパートにメンバーが集合した。ここ数日というもの,メン
バーは頻繁に集まっている。この日の約束は,午後2時集合ということになっていたのだ
が,一番乗りの矢口が10時過ぎ,一番遅く来た石川でさえ正午前には到着していた。
 加護が率先して台所に立ち,メンバー全員の昼食を作った。加護の作ったホットケー
キは,片面が黒焦げだった。その不細工な出来に,みな大笑いしながらも「美味しい美
味しい」と平らげた。
 午後3時には,メンバー全員がアパートを出た。目立たないように,時間をずらして出
発し,両国駅で落ちあった。両国駅からも,飯田と矢口を案内役に,二組に分かれて,
立川2丁目の安ホテル前に向かった。
 ホテル前にメンバー5人が集まると,飯田は先ず,辻と石川の二人にプッチ事務所まで
往復するよう命じた。二人が戻ると,今度は加護を先頭に立たせ,加護・矢口・飯田の
3人で往復した。
114第15章 : 2001/04/19(木) 01:28 ID:UkUVc2B6
飯田「ここからプッチ事務所までの道順は覚えた?」
辻希「おぼえました」
石川「覚えました」
飯田「加護は?」
加護「私も大丈夫です」
飯田「この道順,忘れないでね。当日は,このホテルが集合場所だからね。
   それから,石川と加護は,当日とその前の晩,このホテルに泊まること」
石川「ということは,日曜の晩と,月曜の晩,ですね?」
飯田「うん。ま,実際には月曜の晩は・・・ね」
石川「は,はい。そうですよね」
加護「日曜の晩というと・・・あさってですねぇ」
飯田「そう。あさってだよ」
115名無しちゃげ : 2001/04/19(木) 02:58 ID:vIifsTxM
二岡君、登場ですか。
「とら屋」の福原にも登場してほしい
1162 : 2001/04/19(木) 09:22 ID:oVU4cHRI
>>115
二岡という名前に深い意味はありません。
モーヲタにふさわしい名前,ということで実在のモーヲタをモデルにしました(笑)
117第15章 : 2001/04/19(木) 22:42 ID:DMT8YBjA
 メンバー5人は両国を後にすると,予め電話帳で調べておいた『長嶋内装工務店』の
所在地へ向かった。彼女らが到着してまもなく,職人たちを乗せたバンが事務所脇の駐
車スペースに入った。飯田は,事務所に入る職人たちの中に,二岡の姿を確認した。
 十数分後,さっぱりした普段着に着替えた二岡が,事務所玄関から現れた。家路につ
こうとする二岡に,矢口が駆け寄った。
矢口「あのー,二岡さん,ですよね」
二岡「え?あ,はい。そうですが。・・・あれ?も,もしかして・・・?」
矢口「はじめまして。矢口です」
二岡「モーニング娘。の矢口さんですよね!いやーびっくりしたなー。僕,大ファンな
   んです!娘。のCDは全部持ってますよ!・・・でも,どうして僕のことを?」
矢口「実は・・・二岡さんにお願いがあって来たんです。あそこに,他のメンバー4人も
   います。もしお時間がよろしければ,私達と一緒にお茶でもどうですか?」
二岡「え?いいんですか?なんか夢見てるみたいです!」
118第15章 : 2001/04/19(木) 22:43 ID:DMT8YBjA
 飯田は,なるべく客入りの少ない喫茶店を選んで,二岡とメンバーを招いた。
二岡「・・・僕,今でも娘。が大好きなんですよ。親方に怒鳴られて凹んだ時なんか,
   いつもモー娘。聴くんです。モー娘。聴いてると元気が出てくるんですよね!」
飯田「本当に有り難うございます。二岡さんのようなファンがいてくれたおかげで,私
   たちもずいぶん勇気付けられました」
二岡「モー娘。再結成って,やっぱ無理なんですかね?」
飯田「ごめんなさい。それはもう,いまさらどうにも・・・」
二岡「すいません。変なこと訊いちゃって。でも,こうして皆さんに会えただけでも,
   僕,もう思い残すことありませんよ!」
 この店に来てからの,ほんの数分間に,石川は二岡の視線をしばしば感じていた。
 その石川が,口を開いた。
石川「あの,二岡さん。私たちのお願いを,聞いてもらえないでしょうか?」
二岡「は,はい!なんでしょうか?石川さんのためなら,僕,何でもしますよ!」
 当初は,矢口が本題を切り出す予定であったが,石川の機転によって,予想以上の成
果が得られた。
119第15章 : 2001/04/19(木) 22:44 ID:DMT8YBjA
 二岡は,プッチモニ事務所内部の構造を詳しく教えてくれた。
 二岡の話によると,プッチモニ事務所の1階には事務所,食堂,厨房,2階はメンバ
ーの個室と合宿施設,地下1階は楽曲・ダンスのレッスン場とレコーディングスタジオ
が併設されていた。
 二岡の話を元に,飯田は次のような見取り図を,手帳に描いた。
120第15章(上手く描けるかな?) : 2001/04/19(木) 22:46 ID:DMT8YBjA
  ________________
  |             |        |
  |             |録音ブース |
  |             |        |
  |             |        |
  | レッスン場       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  |             ____    |
  |             |     |階 | 
 |             |更衣室|段 |   地下1階
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  ________________
  |   |               |
  |   | 食  堂        | 玄関
  | 厨 |               |
  |   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    |
  |   | __________   |
  | 房 | |             |階|  
  |   | |  事 務 所     |段|
  |   | |             |  |   1階(地上階)
  ̄ ̄ ̄ 裏口 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  _________________
非|炭貯| |
常|蔵庫| 集 会 所 |
階|   | |
段| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
|________________|
  |   |W|後 |吉 |保 |空 |  |
  |風呂|C |藤 |澤 |田 |室 |階 |
  |   |  |  |   |   |  |段 |   2階
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
121第15章(気を取り直してもう一度) : 2001/04/19(木) 22:51 ID:DMT8YBjA
  ________________
  |             |        |
  |             |録音ブース |
  |             |        |
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  | レッスン場       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
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  |   |               |
  |   |  食  堂        | 玄関
  | 厨 |               |
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  ̄ ̄ ̄ 裏口 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

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非|炭貯|                    |
常|蔵庫| 集 会 所         |
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  |   |W|後 |吉 |保 |空 |  |
  |風呂|C |藤 |澤 |田 |室 |階 |
  |   |  |  |   |   |  |段 |  2階
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
122第15章(時にはコピペ厨房のように) : 2001/04/19(木) 22:54 ID:DMT8YBjA
  ________________
  |             |        |
  |             |録音ブース |
  |             |        |
  |             |        |
  | レッスン場       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  |             ____    |
  |             |     |階 |
  |             |更衣室|段 |  地下1階
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  ________________
  |   |               |
  |   |   食  堂        | 玄関
  | 厨 |               |
  |   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    |
  |   | __________   |
  | 房 | |             |階| 
  |   | |  事 務 所     |段|
  |   | |             |  |  1階(地上階)
  ̄ ̄ ̄ 裏口 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  _________________
非|炭貯|                    |
常|蔵庫|     集 会 所         |
階|    |                    |
段| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
|__________________|
  |   |W|後 |吉 |保 |空 |  |
  |風呂|C |藤 |澤 |田 |室 |階 |
  |   |  |   |   |   |  |段 |  2階
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
123第15章 : 2001/04/19(木) 22:57 ID:DMT8YBjA
飯田「この『集会所・工事中』というのは,どういうことでしょうか?」
二岡「あー,これですか。工期があまりに短すぎて,まだ完成してないんです。側用人
   様が再三催促してきたんですが,いくらなんでも無理でした。結局,優先順位の
   高いところだけ,月曜日に間に合わせることになったんです」
飯田「中はどうなってるんですか?」
二岡「すみません。わかりません。うちの会社は内装工事だけなので,ここはまだ手を
   つけられないんです」
飯田「そうですか・・・」
矢口「ここは何ですか?」
二岡「ここは,炭の貯蔵庫だと聞いてますが」
矢口「スミ?」
二岡「ええ,炭です。備長炭とかの『炭』」
矢口「炭を,何に使うんですか?」
二岡「さぁ・・・そこまでは。バーベキューでもするんじゃないですか?」
飯田「バーベキューねぇ・・・」
 飯田は生返事をした。
 この時すでに,飯田の頭の中では,月曜日の深夜の行動を想定していた。
1242 : 2001/04/19(木) 23:02 ID:pFkQsA/A
>>122
お見苦しい図ですみません。
さらに訂正:3階の「集会所」に,「工事中」と書くの忘れてました。
125第16章 : 2001/04/19(木) 23:04 ID:pFkQsA/A
第16章 戦闘配備

 土曜日。
 飯田は,久しぶりに静かな朝を迎えた。こんな穏やかな目覚めは何年ぶりだろうか。
まどろみの中で,自分が生まれ育った家にいるかのような錯覚を覚えた。カーテンの隙
間から差し込む光がまぶしかった。
 今日一日は,一人で,のんびりと過ごす予定だった。しかし,他の4人は,それを許さ
なかった。
 飯田が遅い朝食を摂っていると,辻と加護が現れた(昨夜は加護は辻の家に泊まった
のだ)。飯田の四畳半は,あっという間に賑やかになった。辻と加護の話し声に引き寄
せられたかのように,石川が,そして矢口がやってきた。
 そんな仲間たちがいることが,飯田は嬉しかった。
 日が暮れて,夜が来ても,誰も家に帰ろうとしなかった。
126第16章 : 2001/04/19(木) 23:07 ID:pFkQsA/A
 日曜日。
 飯田は,加護の笑い声で目がさめた。結局,昨夜は4人とも飯田の部屋に泊まったの
だった。辻と加護の二人は,昨夜遅くまで喋っていたくせに,今朝はやけに目覚めが早
い。矢口と石川も,辻・加護の話し声で目がさめた。石川も,辻・加護のお喋りに参加
した。
 飯田と矢口は無口だった。今日の午後は,明日に向けての準備をしなければならない。
ここまでにやり残したことはないか,これから何をすべきか,飯田は,心の中で何度も
繰り返した考えた。考えれば考えるほど,不安が募った。おそらく,矢口も同じ心境な
のだろう。
 石川,辻,加護の3人が昼食の支度をしてくれた。飯田と矢口の心境が伝染したのか,
食事中は,皆ほとんど喋らなかった。
 食事が終わると,今度は飯田が自らお茶をいれた。
127第16章 : 2001/04/19(木) 23:09 ID:pFkQsA/A
 飯田は,お茶が全員に行き渡ったのを確認してから,おもむろに話し始めた。
飯田「ねぇ,みんな・・・いよいよ,今夜から行動開始だよ。わかってるね」
 皆がうなづいた。飯田は手帳の頁を開いた。
飯田「じゃあ,これから,明日の夜の打ち合わせをするよ。用意はいい?」
 皆,表情を緊張させた。
 飯田は,プッチモニ事務所の見取り図を,大きな紙に清書したものを広げた。
飯田「この敷地には表門と裏門があって,建物にも表玄関と裏玄関があるの。だから,
   私たちも,二つのグループに分かれて突入するからね」
 矢口はうなづき,他のメンバーは飯田の次の言葉をじっと待った。
128名無しちゃげ : 2001/04/20(金) 02:02 ID:qJy4XhOA
炭蔵ですか。
忠臣蔵っぽくなってきましたね(w
129第16章:2001/04/20(金) 23:20 ID:8gol83mY
飯田「グループ分けを発表するよ!
   第一小隊,飯田圭織。
   矢口真里」
矢口「はい!」
飯田「加護亜依」
加護「はい」
飯田「小隊長は飯田圭織。
   第二小隊,辻希美」
辻希「はい!」
飯田「石川梨華」
石川「はい!」
飯田「小隊長は辻希美」
辻希「は,はい・・・辻,ですか?」
飯田「うん。石川と力をあわせて頑張るんだよ」
辻希「は,はい!」
石川「ののちゃん!ファイト!」
130第16章:2001/04/20(金) 23:21 ID:8gol83mY
飯田「突入時刻は,明日の深夜12時丁度。第一小隊が表門から突入。敷地に入ったら,
   爆竹を鳴らして,敵を表玄関に集めるからね。爆竹は,矢口が鳴らしてね」
矢口「わかった」
飯田「先陣は,加護,あんたにやってもらう。出来るよね」
加護「いいんですか?そんな大事な仕事を,加護がやっても」
飯田「大事な仕事だからこそ,加護がやるんだよ」
加護「はい!頑張ります!」
飯田「そして,第二小隊は,爆竹がなってから1分後に裏門から突入。いい?」
辻・石川「はい」
飯田「実は,第二小隊のほうが忙しいからね。第二小隊は,突入したら,非常階段を一
   気に駆け上がって,二階に行くこと。そして,後藤の部屋を目指して突っ走るん
   だよ。後藤の部屋に入ったら,後藤の身柄を確保。笛を吹いて,私達に合図して
   ね。どう?できそう?」
辻希「・・・」
石川「ののちゃん,大丈夫だよ。二人いれば大丈夫だって」
辻希「うん。りかちゃん,よろしくね」
131第16章:2001/04/20(金) 23:22 ID:8gol83mY
飯田「うん。大丈夫だって。今石川がいったように,必ず二人で行動してね。君たち二
   人は,敵との戦闘は,なるべく避けること。もし,敵に出会ったらその場は逃げ
   るんだよ。万が一,片方がやられたら,一旦外に退却して,表門に回って,第一
   小隊に合流してね」
辻・石川「わかりました」
飯田「後藤を捕まえても,すぐに殺しちゃ駄目よ。私たち全員が集まってから,モーニ
   ング娘。の名において,後藤を処刑する。いいね」
4人「はい!」
飯田「集めた武器は,今日の夕方に手分けしてホテルに運ぶからね。
   石川と加護は,この前言ったように,今夜はホテルに泊まるんだよ。もし何か動
   きがあったら,カオリに知らせてね」
石川「はい。わかりました」
飯田「『ホリベヤスコ・他1名』で部屋を予約してあるからね」
132第16章:2001/04/20(金) 23:24 ID:8gol83mY
 その時,ドアのチャイムが鳴った。飯田は「もしや」と思った。
 飯田の予感どおり,来客は石黒彩だった。
石黒「やあ!みんなお揃いだね」
飯田「・・・」
 飯田は,友人の訪問を素直に喜べなかった。石黒は本当に中澤と通じているのだろう
か・・・だとしたら,一体どういうつもりでここへ来たのだろうか・・・。
石黒「今日はすぐに帰るから,そんな怪訝な顔しなさんなって」
飯田「・・・」
石黒「みんなにね,プレゼントがあるんだ」
飯田「プレゼント?」
石黒「いよいよ明日の夜なんでしょ。みんなはどんな『衣装』を着るつもりなの?」
飯田「衣装?それなら『匍匐前進クイズ』で使った迷彩服を用意してあるけど・・・」
石黒「やっぱりね。そんなことだろうと思った。迷彩服なんか着て夜中に歩いてたら,
   余計に目立つじゃないの」
 石黒は,大型の紙袋を飯田に手渡した。
飯田「これ,なに?」
石黒「あたしがデザインした『衣装』だよ。『討ち入り』にはね,火事装束と相場が決
   まってるんだよ」
133第16章:2001/04/20(金) 23:25 ID:8gol83mY
 飯田は,袋の中身を取り出した。
 石黒らしい斬新なデザインだが,まさにそれは「火事装束」だった。
石黒「これがカオリンの分だよ」
 衣装の胸の部分には,「モーニング娘。リーダー 飯田圭織」の文字が刺繍されてい
た。他のメンバーの衣装にも「モーニング娘。」の文字と各人の名前が記されていた。
飯田「これ,あたしたちのために作ってくれたの?」
石黒「そうだよ」
飯田「彩っぺ・・・ありがとう・・・本当にありがとう!カオリ,すっごく嬉しい!」
 飯田は,心から感謝した。
 試しに上着を羽織ってみた。胸の文字を見ると「自分はモーニング娘。なのだ」とい
う実感がこみ上げた。そして「リーダー」の文字が,飯田に自覚と勇気をもたらした。
他の4人も,石黒の衣装が気に入った様子だ。
石黒「じゃあ,今日はこれで帰るからね。じゃあね」
飯田「彩っぺ,本当にどうもありがとう」
石黒「いいのよ。趣味で作っただけだから」
飯田「ううん。衣装のことだけじゃなくて・・・今まで,いろいろお世話になったなぁ
   と思って。今のカオリがいるのは,彩っぺのおかげだよ」
石黒「・・・」
飯田「彩っぺ,モーニング娘。のこと,忘れないでね。彩っぺも,モーニング娘。だっ
   たんだよ。私達のこと,ずっと忘れないでね」
石黒「カオリ・・・ありがとう。私がいたときよりも,今のモーニング娘。のほうが,
   ずっと輝いているよ。みんな素敵だよ。みんなのこと,忘れるはずがないじゃな
   い」
134第16章:2001/04/22(日) 00:45 ID:wYaKL.Oo
 夕刻。
 5人は,手分けして荷物をホテルまで運んだ。
 石川と加護をホテルに残して,他のメンバーは銘々帰宅した。

 その夜,久しぶりに一人になった飯田は,中澤宛てに手紙をしたためた。
 真白の封筒の表に『側用人・中澤裕子様(親展)』と宛名を書き,手紙をいれ,封を
した。
 それは,飯田の遺書だった。
135第16章:2001/04/22(日) 00:46 ID:wYaKL.Oo
『 大好きな裕ちゃんへ

 裕ちゃん,お久しぶりです。お元気ですか?
 今回は,こんなことになっちゃって,本当にごめんなさい。なっちが起こした事件に
ついても,なっちに代わって圭織が謝ります。なっちも私たちも本当に悪いことをした
と,思っています。
 でもね,なっちの悔しさを思うと,圭織は黙っていられなかったのです。圭織たちの
今回の行動は,純粋になっちへの友情のためです。裕ちゃんの判断に不満があるとか,
そういうことじゃないから,誤解しないでくださいね。
 それと,裕ちゃんのためでもあります。私達の醜い姿を見て,裕ちゃんはきっと心を
痛めていたと思います。でも,もうこれで,モーニング娘。はこの世から完全に消え去
ります。あとは裕ちゃんの心の中だけにしまっておいてくださいね。裕ちゃんの大切な
「青春」は,裕ちゃんだけのものです。
 裕ちゃんとは,もう二度と会えないけど,圭織のことを忘れないでね。裕ちゃんと私
達みんなが輝いていた,あの素晴らしい日々を,永遠に忘れないでね。
 裕ちゃんにお願いがあります。
 この騒動の責任は,圭織ひとりが取れば済むことです。これが終われば,圭織はなっ
ちに会いに逝きます。あの世でなっちに全てを報告します。そして,なっちと二人で,
いつまでも仲良く暮らしますから,安心してください。そして,矢口以下4人のメンバ
ーについては,どうか許してやってください。みんなはまだ未成年です。圭織の言うこ
とに従って動いただけなのです。私たちの大切な4人の友達が,今後ふつうの女の子と
して幸せな人生を送れるよう,手助けしてあげてください。これが,圭織から裕ちゃん
への最後のお願いです。
 さいごに,裕ちゃんにはいろいろと迷惑をかけちゃって,本当にごめんなさい。

                                 飯田圭織 』
136第16章:2001/04/22(日) 23:42 ID:REZRj4V.
 月曜日。午前11時。
 さすがの飯田も,昨夜はなかなか眠れなかった。
 目が覚めた時には,すでに日が高かった。
 冷蔵庫に残っていたコップ二杯分の牛乳を飲み干してから,歯を磨き,身支度を整え
て,飯田は外出した。行き先は,いつものスーパーマーケットだ。外は,雲ひとつない
快晴だった。
 飯田は,肉や野菜,果物,お菓子など,大量に買い込んだ。すっかり顔なじみになっ
た店員が,「かおりちゃん,今日はパーティーでもやるのかい?」と気さくに話し掛け
てきた。飯田は笑顔で答えた。
 アパートに戻ると,飯田は,レトルトパックのスープパスタで簡単な昼食を済ませた。
 部屋の掃除を済ませ,たまったごみを整理した。
 部屋の空気を入れ替えようと,窓をあけると,石川と加護の姿が見えた。
石川「こんにちは!」
加護「おじゃましま〜す!」
飯田「じゃ,さっそく始めようか!」
石川・加護「はい!」
 3人は,早くも夕食の支度に取り掛かった。
 まもなく,辻と矢口もやってきた。5人は,和気藹々と,『最後の晩餐』への仕度を整
えた。
137第16章:2001/04/22(日) 23:43 ID:REZRj4V.
 18時00分。
 早めの夕食を済ませ,石川と加護はホテルへ向かった。
 飯田のアパートでは,食後の片付けを手分けしておこなった。飯田は,いつもより念
入りに,キッチンを清掃した。アパート前のごみ収集所に,ごみを出しておいた。
 19時30分。
 飯田の携帯電話に,石川からの最初の連絡が入った。プッチモニ事務所には明かりが
ついており,現在,宴会がおこなわれているという。参加者は,プッチモニメンバーと
事務所職員のほか,幕府高官らしい人物が数人来ているそうだ。つんく将軍と中澤側用
人も出席している可能性があるが,警護が厳重で確認できなかったらしい。
 20時10分。
 飯田,矢口,辻が,アパートを後にする。私鉄とJRを乗り継ぎ,両国へ向かった。
 21時30分。
 両国3丁目のプッチモニ事務所前に到着。見張を矢口・辻に交代。飯田,石川,加護
は,ホテルへ向かう。石川によると,宴会は21時頃に終了し,21時15分にはプッチモニ
メンバー以外の参加者は全員帰宅した。なお,リムジンに乗り込む将軍と側用人の姿を,
一瞬だが確認したと加護が言った。
 22時00分。
 矢口からの連絡。15分ほど前に,事務所の明かりが消え,その後,動きがないと言う。
飯田は,あと30分様子を見てからホテルに戻るよう,矢口と辻に命じた。
138第16章:2001/04/22(日) 23:44 ID:REZRj4V.
 22時50分。
 矢口と辻がホテルへ戻った。
 飯田は,4人の顔を見渡してから,直ちに準備にかかるよう,号令した。
 銘々が火事装束を身にまとった。
 飯田は,全員に武器を手渡した。飯田と石川には大・小の刀を一本ずつ,矢口・辻・
加護には小刀を二本ずつ渡した。
飯田「敵が現れるまで,刀を抜いちゃ駄目だよ。危ないからね。
   石川は予備の刀を一本背負ってってね。残りの刀は,カオリが背負ってくよ」
 飯田と石川は,それぞれ背嚢を用意した。
 23時15分。
 全員の準備が終わったところで,飯田がお茶をいれた。皆それぞれ座り込んでお茶を
飲んだが,誰も口をきかなかった。
139第16章:2001/04/22(日) 23:45 ID:REZRj4V.
 23時30分。
 飯田が立ち上がった。他の4人も,飯田に従った。
飯田「みんな。いよいよだね。
   矢口,よろしくね。いろいろとどうもありがとう」
 飯田は,矢口に近寄り,矢口の頭を抱いた。矢口も,飯田の腰に手を回した。
 飯田は,メンバーをひとりひとり抱きしめて,それぞれに礼を言った。

 23時40分。
 飯田の合図で,全員がホテルの外に出た。
飯田「みんな。用意はいい?大丈夫?じゃあ,いくよ!
   がんばっていきまっ!!!」
矢口・石川・辻・加護「しょーい!!!」
飯田「出陣!」
 飯田を先頭に,全員が走りだした。
140名無し娘。:2001/04/23(月) 13:40 ID:2mPnXXqk
ますます楽しみだ
ageると荒らされそうなので応援sage
141第16章:2001/04/24(火) 21:41 ID:aSP1WvIs
第17章 攻撃開始

 第一小隊。
 飯田は腕時計の針を見た。秒針の動きが今まで以上に遅く感じた。あと2分,1分,30秒
・・・。
飯田「3人で一斉に門を開けるよ。開いたら,矢口,爆竹」
矢口「はい」
飯田「爆竹が鳴り終わったら,加護」
加護「はい」
 あと20秒,10秒・・・
飯田「いくよ!」
 3人の力で,門は一気に開いた。
飯田「矢口!」
 矢口が爆竹に火をつけ,敷地内に投げ込んだ。甲高い爆発音がこだました。
飯田「加護!」
 加護が敷地内に飛び込んだ。そのあとを矢口と飯田が追った。
 加護は腰の刀に手をかけて,叫んだ。
加護「モーニング娘。見参!安倍なつみの無念,晴らしに来た!」
142第17章:2001/04/24(火) 21:42 ID:aSP1WvIs
 第二小隊。
 辻と石川は,裏門の構造を調べ,鍵がかかっていないことを確かめてから,じっと息
を潜めた。
 夜空を劈くような破裂音が聞こえた。
 辻は腕時計の針を凝視した。24時00分。1分後に突入。
 あと60秒・・・50秒・・・40秒・・・
 辻と石川は顔を見合わせて,うなづきあった。
 30秒・・・20秒・・・10秒・・・
辻希「いきましょう!」
 辻が門扉を押し開け,石川が中に飛び込んだ。二人は,敷地内の小道を突き進んだ。
石川「非常階段だよ!」
辻希「うん!」
 石川が非常階段を駆け上がり,辻があとを追った。
 2階にたどり着いた。辻が身構えた。
 今度は石川が非常ドアを押し開け,辻が建物内に飛び込む。
 人の気配はなく,明かりは消えていた。非常口の位置を示す緑色の照明で,かろうじ
て内部の様子が見渡せた。
 辻は,一歩一歩ゆっくりと前進した。
 風呂場,脱衣場,便所,倉庫・・・そしてドアに「後藤」と書かれた部屋を見つけた。
143第17章:2001/04/24(火) 21:42 ID:aSP1WvIs
 第一小隊。
 飯田は焦った。敵の気配がない。どういうことだ?
 まもなく,辻と石川が突入する。敵をこちらに釘付けにしなければ,二人の身が危険
だ。
 裏をかかれたのだろうか?飯田は,不安を感じた。
 飯田は,最後に会ったときの保田の自信に満ちた態度を思い出し,いまさらながら,
保田を甘く見たことを後悔した。
 3人は,ゆっくりと玄関に向かって前進した。
飯田「矢口,加護,もう一度やろう!」
 矢口は,玄関内に爆竹を投げ込み,その後,加護が踏み込んだ。
加護「モーニング娘。見参!」
 ここにも,人の気配がない。
飯田「駄目だ!あの二人が危ない!後藤の部屋へ急ごう!!」
 3人は玄関内に突入し,事務所わきの階段を駆け上がった。
144名無し娘。:2001/04/25(水) 04:25 ID:73dFo.ac
hozen
145第17章:2001/04/25(水) 23:01 ID:uuX8/Uz6
 第二小隊。
 辻が刀を抜いた。
 石川は後藤の部屋のドアノブに手をかけ,一気に引きあけた。
 辻が室内へ滑り込んだ。
辻希「モーニング娘。の辻です!ごとうさん!かくごしてください!」
 石川が部屋の明かりをつけ,辻は後藤のベッドの掛け布団をめくり上げた。
辻・石川「いない・・・」
 辻は,一旦抜いた刀を,鞘に収めた。
 二人は,部屋の内部を調べたが,人が隠れられるスペースは,どこにもなかった。
 部屋の外から,飯田の声が聞こえた。
146第17章:2001/04/25(水) 23:01 ID:uuX8/Uz6
 第一小隊。
 飯田は後藤の部屋に入った。
飯田「辻!石川!大丈夫か!」
 飯田は,辻と石川の姿を見て,幾分安心した。
辻希「わたしたちは,だいじょうぶです。でも,ごとうさんが,いません・・・」
石川「この部屋はよく調べました。他の部屋も調べてみましょう」
飯田「わかった。辻と石川は,トイレやお風呂を見てきて。
   私たちは,圭ちゃんと吉澤の部屋を」
 両小隊ともに,ドアを開ける係と中に飛び込む係を交代しながら,一つ一つ部屋を調
べて回った。
矢口「吉澤の部屋にもいないよ!」
加護「保田さんのとこもいません!」
飯田「ここは何?」
矢口「空き部屋だよ!」
飯田「よし。見てみよう!」
 その部屋も,後藤や保田の部屋と同じようなつくりになっていた。何やら荷物があっ
たが,誰もいないことには変わりなかった。
飯田「ここにもいない!」
147第17章:2001/04/25(水) 23:02 ID:uuX8/Uz6
辻希「いいださん!おふろにも,トイレにも,だれもいません!」
飯田「ここは?」
矢口「そこは工事中の集会所!」
 壁全体が,ベニヤ板で覆われており,中には入れない。板の隙間から仲を覗き込むと,
中はまだ伽藍堂で,人が隠れる場所はなさそうだ。
矢口「辻!石川!そこは何だ!見たのか!」
石川「はい!炭の倉庫です。中は炭が山積みされてました!」
飯田「炭が山積み?・・・何で?・・・何のために?・・・今時,炭なんてそれこそバ
   ーベキューの時にしか使わないじゃん・・・怪しい・・・怪しいよ!もう一度調
   べよう!!」
1482:2001/04/25(水) 23:05 ID:PDo5BcJw
>>144
保全ありがとうございます。最近dat逝きのペースが速くなっているようで,更新が大変だ・・・
149名無し娘。:2001/04/26(木) 04:42 ID:JuQA1qRg
スペイン戦保全。
150第17章:2001/04/26(木) 22:39 ID:6eygzle2
 辻と石川がすでに調べた後だが,飯田は,矢口と加護にも調べさせた。
 矢口と加護は,積まれた炭の山を一つ一つ崩して,中を確かめた。
矢口「ねぇカオリー,本当にただの炭の倉庫だよ」
加護「バーベキューの道具もちゃんと揃ってますよ!」
 飯田も中に入ってみたが,やはり誰もいなかった。加護が言うとおり,そこにはバー
ベキューの道具---鉄板,七輪,そしてジンギスカン鍋までが揃えてあった。
飯田「・・・なにこれ?・・・馬鹿馬鹿しい・・・あいつら本当にジンギスカンやるつ
   もりだったのか・・・」
 飯田は廊下に出た。
飯田「2階はもういい!次は1階だ!」
 全員が1階に下りた。
 第一小隊は事務室の中を,第二小隊は食堂を仔細に調べた。次に,両隊は合流し,厨
房の内部を確かめた。
矢口「ここにもいないよ!」
飯田「よし!地下に降りよう!」
151第17章:2001/04/26(木) 22:40 ID:6eygzle2
 5人は,さらに地下1階に駆け下りた。
加護「飯田さん!電気がついてます!レッスン場です!」
 飯田は,4人を制止した。
飯田「静かに!人の気配がする・・・中から話し声が聞こえるよ!」
 飯田は,「レッスン室」と書かれたドアの前まで,静かに歩み寄った。
飯田「カオリが合図したら,矢口,加護,ドアの右側を開けて。辻と石川は左」
 飯田は,ドアの前に立ち,大きく深呼吸してから,腰の大刀に手をかけた。
飯田「開けて!」

 開いた扉の隙間から,飯田は室内に飛び込んだ。
 その時,部屋の奥から,パーン!パーン!という乾いた音が2回,そしてさらに2回聞こ
えた。
 飯田は,微かに火薬の匂いを嗅いだ。次の瞬間,飯田の体は,床に崩れ落ちた。
152終章:2001/04/26(木) 22:43 ID:6eygzle2
終章 勝利の行方

 飯田は,安倍の姿を見た。
飯田(なっち!)
 飯田は安倍の名前を呼ぼうとするのだが,なぜか声が出ない。
飯田(なっち!)
 唇は動くが,言葉が声にならない。
飯田(なっち!会いたかったよ!なっち!カオリの手を握って!)
 一所懸命に叫んだ,叫ぼうとした。
飯田(お願い,なっち。カオリにそばにいて。どこにも行かないで)
 飯田の目に涙が溢れた。涙が止まらなくなった。
 安倍は何も言わず,ただ微笑むだけだった。
 そこへ後藤がやってきた。後藤が安倍に話し掛ける。安倍が嬉しそうに笑う。飯田に
は二人の会話が聞こえない。
 後藤が安倍を手招きした。安倍は後藤のほうへ歩き出した。
飯田(後藤。お願い,なっちを連れて行かないで。私のなっちを返して。
   後藤。もうあんたを恨んだりしない。あんたを許すよ。だからお願い。なっちを
   連れて行かないで!)
 涙で安倍の姿がよく見えない。
飯田(なっち!)
 安倍が自分から遠ざかっていく。
 今ここで安倍を失ったら,もう二度と会えない気がした。
 飯田は大きく息を吸い,全身に力をこめ,力の限りに叫んだ。
飯田「なっち!!!」
153終章:2001/04/26(木) 22:45 ID:9Cm85KhI
 飯田の目の前に,安倍の顔があった。
飯田「・・・なっち?」
 飯田は,安倍の膝枕で寝ている自分に気づいた。
 飯田は,安倍の手を握った。
飯田「なっち?・・・ここはどこ?・・・カオリ,死んじゃったの?」
安倍「心配しなくていいよ。ちゃんと生きてるよ。驚いて気を失ってただけだよ。
   ごめんね,驚かしちゃって。クラッカーの音で気を失うとは思わなかったんだ」
 飯田の周りには,色とりどりの紙テープが散在していた。
飯田「だって,どうして,なっちがここに・・・なっちは死んじゃったのに」
安倍「なっちも生きてるんだよ」
飯田「だって,なっち,切腹したんじゃ・・・」
安倍「してないよ」
 安倍は,飯田を抱きかかえ,飯田の上半身を起こした。
 そこには,「火事装束」をまとった矢口,石川,辻,加護の姿と,軽快なジャージ姿
の保田,後藤,吉澤がいた。
 飯田には,状況がまだ理解できなかった。
154終章:2001/04/26(木) 22:46 ID:9Cm85KhI
 飯田は,後藤の手からコップいっぱいの水を受け取り,飲み干した。
 ようやく,気持ちが落ち着いた。
安倍「・・・あのあとね,裕ちゃんがあたしのとこに来て,いきなり『辞世の歌を作れ』
   なんていうんだよ。辞世の歌なんて,なっち今まで作ったことないべさ。かった
   るいなー,腹減ったなー,なんて考えながら詠んだのが,あの歌なの!」
飯田「・・・どうりで・・・」
安倍「でね,裕ちゃんはね,なっちは死んだって発表してから,こっそりあたしを側用
   人公邸にかくまってたんだ」
飯田「・・・で,なっち,あれからずっと何処にいたのよ?」
安倍「うん。最初の5日間はね,裕ちゃんの所にいた。そのあとはね,ずっとお寺にいた
   んだ」
飯田「お寺?」
安倍「そう。デビュー前に合宿やった,あのお寺だよ。
   そこでね,後藤と二人で新曲の練習してたんだ。ね〜,ごっちん」
後藤「えへへ〜」
 後藤は,甘えた声を出して,安倍に抱きついた。
飯田「・・・」
保田「あたしもね,きょう二ヶ月ぶりになっちと会ったんだよ。
   薄々気付いていはいたけど,やっぱびっくりした。ヨッスィーなんてね・・・」
吉澤「あーー,やめてください!もういいじゃないですか,その事は」
保田「どれもこれも,後藤,あんたが何も言わないからよ!」
後藤「だって,秘密にするって,裕ちゃんと約束したんだもん。
   いちど口を滑らせそうになって,焦ったけどね」
飯田「ふーん・・・」
155終章:2001/04/26(木) 22:47 ID:9Cm85KhI
 安倍と後藤の様子を見て,飯田が言った。
飯田「カオリ・・・一体何やってるんだろ・・・。
   なんか・・・カオリ一人が馬鹿みたい・・・」
保田「そんなことないよ,リーダー!」
後藤「飯田さん・・・リーダー・・・これからは,私のこともよろしくお願いします」
飯田「カオリが,リーダーなの?」
吉澤「私も飯田さんについていきます。今日の飯田さん,最高に格好いいです!」
矢口「すぐにぶっ倒れたけどね」
 皆が笑った。
保田「ねぇ,カオリン,さっき私達プッチの3人で話し合ったんだけど・・・」
飯田「?」
保田「もう一度,やり直そうよ・・・」
飯田「・・・」
保田「カオリンだけじゃなくて,矢口や石川や辻・加護の意見も聞きたいんだけど・・・
   今ここに居る9人の心を,もう一度ひとつにすることができるなら・・・もし,
   その覚悟があるのなら・・・もう一度,ゼロからスタートしようよ・・・」
飯田「・・・」
安倍「圭ちゃんの言うとおりだね・・・」
保田「それとも・・・もう懲りたかな?カオリンにその気がないなら,私も諦めるよ」
飯田「・・・しばらく・・・考えさせて・・・」
保田「うん。ぜんぜん急いでないから,ゆっくり考えてね」
飯田「うん・・・」
156終章:2001/04/26(木) 22:47 ID:9Cm85KhI
安倍「そうだ・・・大事なこと忘れてた!
   せっかくこうして,『モー娘。』全員が久しぶりに集まったんだ。明日ここの庭
   で,ジンパ(ジンギスカンパーティー)やろうよ,ね!材料も道具も,全部そろ
   えてあるんだよ!」
飯田「・・・そうか・・・あの備長炭の山は,なっちのだったのか・・・」
安倍「そうだよ。カオリが来たらジンギスカンをやろうと,楽しみにしてたんだー。
   なっちねぇ,二ヶ月もお寺にいて,すっかり痩せちゃったよ。
   さぁ,明日からは,またバリバリ食うべさー!!」
飯田「なっち,お願い・・・それだけは・・・やめて・・・」
157終章:2001/04/26(木) 22:48 ID:9Cm85KhI
 後日。城内にて。
中澤「上様,こちらが今朝の幕臣会議の議事録です。ご確認ください」
将軍「ふーむ」
 将軍つんくは,書類の束をぺらぺらとめくっただけで,脇に投げやった。
将軍「おい,中澤!」
中澤「はい,何でしょう?」
将軍「モー娘。は再結成やぞ!これは決定や。俺が決めたんや。文句あるか?」
中澤「再結成ですか・・・それはどうも有り難うございます」
将軍「お前が礼を言うな。お前は,モー娘。を潰した張本人やないか」
中澤「はぁ,すんません」
将軍「飯田がリーダー,保田がサブリーダーや。・・・あいつら,どないなっとるんや?
   大したもんやで。お前にあれだけ無茶苦茶されといて,前より団結心が強うなっ
   とるやないか。あいつら全員揃って,『もう一度デビューさせてくれ』って俺ん
   とこに頼みに来よったんや。そら,迫力あったで」
中澤「はぁ,そうですか」
将軍「来月,さっそく新曲や」
中澤「それは,おめでとうございます」
将軍「・・・俺はな・・・嬉しいんや!」
中澤「はぁ,それはどうも」
将軍「・・・」
中澤「・・・」
将軍「中澤・・・お前,あいつらに何したんや?」
中澤「いえ・・・私は・・・何も・・・」
 中澤は,ただ微笑むだけだった。
158終章:2001/04/26(木) 22:49 ID:9Cm85KhI

   「大河なっち(● `へ´ ●)」 <完>
159「大河なっち(● `へ´ ●)」 の作者:2001/04/26(木) 23:05 ID:9Cm85KhI
おかげさまをもちまして,無事終了いたしました。
読者の皆様,ありがとうございました・・・というか,しょぼいストーリーで,スマソです。
160名無し娘。:2001/04/26(木) 23:24 ID:faNIDuZg
ご苦労様でした
楽しく読ませてもらいましたよ
161名無し娘。:2001/04/26(木) 23:37 ID:RumzuBQM
おつかれさま。また気が向いたらどっかで書いてくださいね。
1622:2001/04/27(金) 09:47 ID:i83FU55U
hozen
163名無し娘。:2001/04/27(金) 14:53 ID:bm.rpTKI
完結age
164名無し娘。:2001/04/27(金) 16:14 ID:5j.Ntr02
おもしろかったYO!
165名無し娘。:2001/04/27(金) 19:53 ID:ETgg0tng
aa
166名無し娘。:2001/04/27(金) 22:12 ID:RMBXxvuY
最後にどんでん返しでしたな。
お疲れ様でした。面白かったです。
167名無し娘。:2001/04/27(金) 22:17 ID:.zVe0fr6
お疲れさま、最後、上手くまとめたなぁ〜おいらも書いたことあるけど、感服
しかし今見ても>>1はインパクトある 作者がそっからインスピレーション得たのねん♪

今後はお笑いものもきぼうします>作者さん
1682=作者:2001/04/27(金) 22:26 ID:IH.i4tg.
これは一応「ミステリー小説」なので(?),ストーリーについてのコメントは控えます。
>>167
インスピレーションというか,放置スレッドを放置できなかったんです(笑)

ところで,1さんは,何処いったんでしょう?
169名無し娘。:2001/04/28(土) 02:37 ID:eQfN5MIo
最後のところがばたばたしすぎたきらいもあるけど、
お疲れ様でした。脱稿おめでとうございます。
1も草葉の影で喜んでいる事でしょう(w。
170なっち完結ありがとう( ● ´ ー ` ● ) :2001/04/28(土) 04:11 ID:RzjtYZ8c
なっち完結ありがとう( ● ´ ー ` ● )
1712=作者:2001/04/28(土) 10:43 ID:ELiQgrtM
>>170
なっち( ● ´ ー ` ● )さんも読んでくださったんですか,光栄です(笑)
172名無し娘。:2001/04/29(日) 11:12 ID:DQQIcNfs
一応保全
173名無し娘。:2001/04/30(月) 18:28 ID:0T40DISM
まだdatに逝かないで・・・sage
1742=作者:2001/05/01(火) 23:33 ID:e2WYoiVM
新しいネタを考えているのだが,なかなか良いものが思いつかない・・・
「忠臣蔵」が如何に優れたストーリーであるかを実感しました。
元ネタを提供してくださった大石氏ほか浪士の皆様,浅野氏,吉良氏,
その他赤穂事件関係者の皆様に深く感謝いたします。
175名無し娘。:2001/05/03(木) 02:08 ID:m05nY.b2
>>174
また続編書いてね。
176名無し娘。:2001/05/08(火) 13:38 ID:6czfQSk6
さげ
177名無し娘。:2001/05/10(木) 10:04 ID:tnwpaZqU
sage
178:2001/05/11(金) 01:31 ID:NFByxIMU
>>1
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壺飛び職人
179:2001/05/11(金) 01:41 ID:/4WxPQWY
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壺飛び職人
180:2001/05/11(金) 02:43 ID:/4WxPQWY
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壺飛び職人
181:2001/05/11(金) 02:59 ID:/4WxPQWY
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壺飛び職人
182名無し娘。:2001/05/14(月) 18:55 ID:jtnkeA.Y
sage
183名無し娘。:2001/05/16(水) 17:43 ID:kuU5DLuo
★6/13(水)に松浦亜弥の待望の2ndシングルの発売が決定!
タイトルは「トロピカ〜ル恋して〜る」!!
お早めにお近くのCDショップへご予約下さい!
184モー娘。板に名無しさん(羊):2001/05/22(火) 23:01 ID:v5cNkmaA
hozen
185名無し娘。:2001/05/29(火) 23:28 ID:n8bPc0tU
保全しとくか。
186名無し娘。:2001/06/07(木) 02:11 ID:RJ9/qEQw
読んでみいやあげ
187名無し娘。:2001/06/19(火) 05:00 ID:9ncph4Ds
ほぜむん
188名無し娘。
sage