箱(小説)

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1( ´ Д `)気だるいのは生まれつきなの
「おろ?ここはどこ」
白を基調とした何もない部屋の中。
部屋の壁にもたれかかった少女がいる。
「あなたは誰?」
少女に問いかける。
少女は答える。
「私は後藤真希、15歳よ」
「後藤真希ちゃん、15歳ね」
「そういうこと」
「ふうん、じゃあ、よろしくね」
私はその少女の隣に座り込んだ。
2( ´ Д `)気だるいのは生まれつきなの : 2001/02/21(水) 01:27 ID:NZy7Cw5w
「ここはどこ?」
「さっきもそんなこと言ったね。私は知らない」
「知らないの?じゃあ、いつからあなたはここにいるの?」
「気が付けばここにいた。あなたはいつから?」
「私は今よ」
「知ってる」
「ふぅ」
「からかったのよ。あなたが出てくるのを見たもの」
「そうよねぇ。私はどんな風に出てきたの?」
「気が付けばいた」
「ふぅ。見てないじゃん」
「まあね」
3( ´ Д `)気だるいのは生まれつきなの : 2001/02/21(水) 01:28 ID:NZy7Cw5w
「この部屋はなんなんだろうね」
「さあね。そこに扉があるから出てみれば?」
「あなたは部屋から出てないの?」
「出たわよ。さっき」
「何があったの?」
「質問ばかりね。見れば解るわよ」
私は立ち上がり、扉へ向かった。
私はドアのノブに手をかけた。そして振り返り言った。
「トイレってどこにあるの?トイレに行きたくなっちゃった」
「その扉のずっと先にトイレがあるよ」
「なんだ。じゃあ、行ってきます」
「はい、はい」
私は扉を開けた。目の前に便器があった。振り返る。
「あのお、もうトイレがあるんですけど」
「見たままね」
「ちょっとびっくりした」
「それは良かった」
4( ´ Д `)気だるいのは生まれつきなの : 2001/02/21(水) 01:29 ID:NZy7Cw5w
私は用をたし、また部屋に戻った。
そして後藤真希の隣に座った。
「遅かったわね」
「そお?」
「早かったわね」
「ふぅ、からかうの好きだねぇ」
「そうかしら?」
「どうかしら?ふふ」
「あなたって気だるい感じね」
「あなたは無感動だね」
「そういうものよ」
「なんかお腹すいたな」
「そこの扉を開ければあるわよ」
「じゃ、食べようかなぁ」
「そうね、それがいいよ」
「あなたも食べる?」
「そうしようかな。じゃ、取ってきてよ」
「ふぅ、そうするよ。」
5( ´ Д `)気だるいのは生まれつきなの : 2001/02/21(水) 01:30 ID:NZy7Cw5w
私は立ち上がりトイレではない扉を開けた。
目の前にバナナが落ちていた。
「あのお、バナナがひとふさ落ちてるんですけど」
「それは食べ物よ」
「ふぅ。知ってるよ。バナナしかないの?」
「そのようね」
私は黄色いひとふさのバナナを手にとり、後藤真希の
隣に座った。
「バナナかあ」
「不満なの?」
「うううん。大好き」
「じゃ、食べましょ」
バナナを丁寧にむいて、私はほおばった。
6( ´ Д `)気だるいのは生まれつきなの : 2001/02/21(水) 01:32 ID:NZy7Cw5w
「これからどうするの?モグモグ」
「あなたはどうしたいの?モグ」
「ここから出たいねぇ?モグモグ」
「ならそこの扉を開けていけば出れるわよ。モグ」
「なあんだ。もう出れないのかと思ってたよ。モグモグ」
「入ってきたんだから、いつだって出れるわよ。モグ」
「そういうものなのかなぁ」
「そういうものよ」
「ところであなたは部屋から出ないの?」
「出るわよ」
「一緒に出ようか?」
「どうして?」
「なんとなく」
「じゃあ、一緒に出ましょうね」
「せえのでね」
「はい、はい」
7( ´ Д `)気だるいのは生まれつきなの : 2001/02/21(水) 01:34 ID:NZy7Cw5w
「せえ…」
「まだ早いわ」
「…ん、そうなの?」
「慌てることはないじゃない」
「そうかもね。じゃあ、なにしようか」
「このままでいい」
「んんん。歌おうか?」
「バカみたい」
「確かにネ」
「でも歌おうか」
「ふぅ。そういう話し方くせなの?」
「あなたが質問が多いのと同じね」
「ぬ。それはしょうがないよ。ある程度興味あるもん」
8( ´ Д `)気だるいのは生まれつきなの : 2001/02/21(水) 01:36 ID:NZy7Cw5w
「興味。何にたいして?」
「この部屋とかあなたのこととか」
「見たままよ。私は後藤真希、15歳」
「知ってる。あなたは後藤真希ちゃん、15歳ちゃん」
「そう。私は私」
「私も私」
「そうかしら?あなたも私じゃないの?」
「えええ。私も後藤真希、15歳なの?」
「たぶんね」
「後藤真希、15歳が2人いるの?」
「1人しかいないわ」
「じゃあ、私は後藤真希、15歳じゃないわね」
「そうとも限らないわよ」
「といいますと?」
「私が後藤真希、15歳じゃないの」
「あれれ。じゃあ、あなたはだあれ?」
「さあ」
「まあいいや。2人とも後藤真希、15歳で」
「そうね。それが一番ね」
「そろそろいこっか」
「そうね」
9( ´ Д `)気だるいのは生まれつきなの : 2001/02/21(水) 01:38 ID:NZy7Cw5w
私ともう1人の後藤真希は立ち上がり、
トイレでもバナナの出てくる扉でもない扉に手をかけた。
「せえの」
扉が開いた。目の前には白を基調とした何もない部屋。
「あのお、同じ部屋なんですけどお」
私はそう言いながら振り返ったが、もう1人の後藤真希、15歳は
もういなかった。
「ふぅ。なるほどね。私が今度は座って待ってればいいのね」
私は壁にもたれかかり、次の後藤真希、15歳がやって来るのを
待った。

「おろ?ここはどこ?」

ふぅ。

(終)
10( ´ Д `)気だるいのは生まれつきなの : 2001/02/21(水) 01:40 ID:NZy7Cw5w
えーと、10分ぐらいで読めると思うので
よかったら感想ください。
11名無し募集中。。。 : 2001/02/21(水) 01:47 ID:G0zwPo8M
不思議な感じ。
ネタは面白いかも。
会話に魅力が足らないかも。
12名無し娘。 : 2001/02/21(水) 01:50 ID:k3lWOnfw
会話はもう少し煮詰めてもいいんじゃない?
13名無し娘。 : 2001/02/21(水) 01:52 ID:Da8hNob2
綾波の会話みたいだね
14( ´ Д `)気だるいのは生まれつきなの : 2001/02/21(水) 01:56 ID:NZy7Cw5w
会話に魅力が足らないというのは大問題ですね。
だって、8割以上が会話ですもんね。意見をもらって読み返すと
無駄な会話が多い気がしてきました。
とても参考になります。やっぱ第三者の目は絶対不可欠ですね。
…当たり前か。
15名無し娘。 : 2001/02/21(水) 01:58 ID:GnrvH0aE
こういうの好き
そういうのが好きな人にコレを推薦。

http://teri.2ch.net/test/read.cgi?bbs=mor2&key=981721426&ls=50
16名無し娘。 : 2001/02/21(水) 01:59 ID:qDkWSL/2
おもしろいショートショート。

17名無し娘。 : 2001/02/21(水) 02:01 ID:GnrvH0aE
>>14
後藤真希の気だるさと
この物語の性格上この位が一番、良いと思う
18名無し娘。 : 2001/02/21(水) 02:02 ID:qDkWSL/2
大島弓子とか知ってます?
綿の国星。
何となく思い出した。

19名無し娘。 : 2001/02/21(水) 02:05 ID:LdevRSog
イイ感じ。
なぜかCUBEを思い出した。
20( ´ Д `)気だるいのは生まれつきなの : 2001/02/21(水) 02:12 ID:NZy7Cw5w
感想を頂いてとても嬉しいです。こうすればもっとよくなるんじゃない?
てのがありましたらどしどしお願いします。(スレの私物化容赦!)

>>18
大島弓子は知りません。検索を欠けたら漫画家さんのようですね。
似てるんですかね?
21名無し娘。 : 2001/02/21(水) 02:12 ID:iA.UjN/c
読んでよかったです。なんか好きです。
また書いてください。できればハンドルはそのままで。
22名無し募集中。。。 : 2001/02/21(水) 02:15 ID:G0zwPo8M
11だけど最初は会話つまんないなーと思いながら読んでたんだけど、
「私」の正体とからへんの、のたーとした会話は味があっていいと思うよ。
ラスト、面白かったし。伏線にもなってるし。

俺はなんか脈絡なく藤子F不二雄を思い出したけど気にしなくていいと思うよ。
23名無し娘。 : 2001/02/21(水) 02:43 ID:dXiTLau6
24名無し娘。 : 2001/02/21(水) 02:54 ID:GnrvH0aE
>>23
あっ やべぇ 泣きそう
25名無しmusume : 2001/02/25(日) 17:46 ID:6TEe42Co
遅ればせながら読ませてもらったけど、何かサイケデリックなとこがいいね。
26名無し娘。 : 2001/03/06(火) 01:41 ID:6SF.AHhk
続きはないの?
27名無し娘。 : 2001/03/12(月) 02:31 ID:Vl1c9dbg
ほぜん
28名無し娘。 : 2001/03/18(日) 00:32 ID:RZGHvpC.
ほぜーん
29名無し娘。
ほぜーーん