1 :
( ´ Д `)気だるいのは生まれつきなの :
「おろ?ここはどこ」
白を基調とした何もない部屋の中。
部屋の壁にもたれかかった少女がいる。
「あなたは誰?」
少女に問いかける。
少女は答える。
「私は後藤真希、15歳よ」
「後藤真希ちゃん、15歳ね」
「そういうこと」
「ふうん、じゃあ、よろしくね」
私はその少女の隣に座り込んだ。
「ここはどこ?」
「さっきもそんなこと言ったね。私は知らない」
「知らないの?じゃあ、いつからあなたはここにいるの?」
「気が付けばここにいた。あなたはいつから?」
「私は今よ」
「知ってる」
「ふぅ」
「からかったのよ。あなたが出てくるのを見たもの」
「そうよねぇ。私はどんな風に出てきたの?」
「気が付けばいた」
「ふぅ。見てないじゃん」
「まあね」
「この部屋はなんなんだろうね」
「さあね。そこに扉があるから出てみれば?」
「あなたは部屋から出てないの?」
「出たわよ。さっき」
「何があったの?」
「質問ばかりね。見れば解るわよ」
私は立ち上がり、扉へ向かった。
私はドアのノブに手をかけた。そして振り返り言った。
「トイレってどこにあるの?トイレに行きたくなっちゃった」
「その扉のずっと先にトイレがあるよ」
「なんだ。じゃあ、行ってきます」
「はい、はい」
私は扉を開けた。目の前に便器があった。振り返る。
「あのお、もうトイレがあるんですけど」
「見たままね」
「ちょっとびっくりした」
「それは良かった」
私は用をたし、また部屋に戻った。
そして後藤真希の隣に座った。
「遅かったわね」
「そお?」
「早かったわね」
「ふぅ、からかうの好きだねぇ」
「そうかしら?」
「どうかしら?ふふ」
「あなたって気だるい感じね」
「あなたは無感動だね」
「そういうものよ」
「なんかお腹すいたな」
「そこの扉を開ければあるわよ」
「じゃ、食べようかなぁ」
「そうね、それがいいよ」
「あなたも食べる?」
「そうしようかな。じゃ、取ってきてよ」
「ふぅ、そうするよ。」
私は立ち上がりトイレではない扉を開けた。
目の前にバナナが落ちていた。
「あのお、バナナがひとふさ落ちてるんですけど」
「それは食べ物よ」
「ふぅ。知ってるよ。バナナしかないの?」
「そのようね」
私は黄色いひとふさのバナナを手にとり、後藤真希の
隣に座った。
「バナナかあ」
「不満なの?」
「うううん。大好き」
「じゃ、食べましょ」
バナナを丁寧にむいて、私はほおばった。
「これからどうするの?モグモグ」
「あなたはどうしたいの?モグ」
「ここから出たいねぇ?モグモグ」
「ならそこの扉を開けていけば出れるわよ。モグ」
「なあんだ。もう出れないのかと思ってたよ。モグモグ」
「入ってきたんだから、いつだって出れるわよ。モグ」
「そういうものなのかなぁ」
「そういうものよ」
「ところであなたは部屋から出ないの?」
「出るわよ」
「一緒に出ようか?」
「どうして?」
「なんとなく」
「じゃあ、一緒に出ましょうね」
「せえのでね」
「はい、はい」
「せえ…」
「まだ早いわ」
「…ん、そうなの?」
「慌てることはないじゃない」
「そうかもね。じゃあ、なにしようか」
「このままでいい」
「んんん。歌おうか?」
「バカみたい」
「確かにネ」
「でも歌おうか」
「ふぅ。そういう話し方くせなの?」
「あなたが質問が多いのと同じね」
「ぬ。それはしょうがないよ。ある程度興味あるもん」
「興味。何にたいして?」
「この部屋とかあなたのこととか」
「見たままよ。私は後藤真希、15歳」
「知ってる。あなたは後藤真希ちゃん、15歳ちゃん」
「そう。私は私」
「私も私」
「そうかしら?あなたも私じゃないの?」
「えええ。私も後藤真希、15歳なの?」
「たぶんね」
「後藤真希、15歳が2人いるの?」
「1人しかいないわ」
「じゃあ、私は後藤真希、15歳じゃないわね」
「そうとも限らないわよ」
「といいますと?」
「私が後藤真希、15歳じゃないの」
「あれれ。じゃあ、あなたはだあれ?」
「さあ」
「まあいいや。2人とも後藤真希、15歳で」
「そうね。それが一番ね」
「そろそろいこっか」
「そうね」
私ともう1人の後藤真希は立ち上がり、
トイレでもバナナの出てくる扉でもない扉に手をかけた。
「せえの」
扉が開いた。目の前には白を基調とした何もない部屋。
「あのお、同じ部屋なんですけどお」
私はそう言いながら振り返ったが、もう1人の後藤真希、15歳は
もういなかった。
「ふぅ。なるほどね。私が今度は座って待ってればいいのね」
私は壁にもたれかかり、次の後藤真希、15歳がやって来るのを
待った。
「おろ?ここはどこ?」
ふぅ。
(終)
10 :
( ´ Д `)気だるいのは生まれつきなの : 2001/02/21(水) 01:40 ID:NZy7Cw5w
えーと、10分ぐらいで読めると思うので
よかったら感想ください。
11 :
名無し募集中。。。 : 2001/02/21(水) 01:47 ID:G0zwPo8M
不思議な感じ。
ネタは面白いかも。
会話に魅力が足らないかも。
12 :
名無し娘。 : 2001/02/21(水) 01:50 ID:k3lWOnfw
会話はもう少し煮詰めてもいいんじゃない?
13 :
名無し娘。 : 2001/02/21(水) 01:52 ID:Da8hNob2
綾波の会話みたいだね
会話に魅力が足らないというのは大問題ですね。
だって、8割以上が会話ですもんね。意見をもらって読み返すと
無駄な会話が多い気がしてきました。
とても参考になります。やっぱ第三者の目は絶対不可欠ですね。
…当たり前か。
15 :
名無し娘。 : 2001/02/21(水) 01:58 ID:GnrvH0aE
16 :
名無し娘。 : 2001/02/21(水) 01:59 ID:qDkWSL/2
おもしろいショートショート。
17 :
名無し娘。 : 2001/02/21(水) 02:01 ID:GnrvH0aE
>>14 後藤真希の気だるさと
この物語の性格上この位が一番、良いと思う
18 :
名無し娘。 : 2001/02/21(水) 02:02 ID:qDkWSL/2
大島弓子とか知ってます?
綿の国星。
何となく思い出した。
19 :
名無し娘。 : 2001/02/21(水) 02:05 ID:LdevRSog
イイ感じ。
なぜかCUBEを思い出した。
感想を頂いてとても嬉しいです。こうすればもっとよくなるんじゃない?
てのがありましたらどしどしお願いします。(スレの私物化容赦!)
>>18 大島弓子は知りません。検索を欠けたら漫画家さんのようですね。
似てるんですかね?
21 :
名無し娘。 : 2001/02/21(水) 02:12 ID:iA.UjN/c
読んでよかったです。なんか好きです。
また書いてください。できればハンドルはそのままで。
22 :
名無し募集中。。。 : 2001/02/21(水) 02:15 ID:G0zwPo8M
11だけど最初は会話つまんないなーと思いながら読んでたんだけど、
「私」の正体とからへんの、のたーとした会話は味があっていいと思うよ。
ラスト、面白かったし。伏線にもなってるし。
俺はなんか脈絡なく藤子F不二雄を思い出したけど気にしなくていいと思うよ。
23 :
名無し娘。 : 2001/02/21(水) 02:43 ID:dXiTLau6
24 :
名無し娘。 : 2001/02/21(水) 02:54 ID:GnrvH0aE
遅ればせながら読ませてもらったけど、何かサイケデリックなとこがいいね。
26 :
名無し娘。 : 2001/03/06(火) 01:41 ID:6SF.AHhk
続きはないの?
27 :
名無し娘。 : 2001/03/12(月) 02:31 ID:Vl1c9dbg
ほぜん
28 :
名無し娘。 : 2001/03/18(日) 00:32 ID:RZGHvpC.
ほぜーん
29 :
名無し娘。 :
ほぜーーん