小説 いしかわさん(復刻版)

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1転載人
中3 いよいよ今年は受験だ。
学校の成績は決して自慢できるような状態ではない。
そんなわたしを心配してか、普段あまり勉強にうるさく言わない母が

「もう行きたい高校は決めたの?」
「ん?うーん なんとなく・・・ はね」
「行けそうなの?」

「・・・・」

「塾行く?」

基本的に習い事教室といった類のものは昔から嫌いだった。
母もそれを分かっていた。
「実はね、母さんの友達に、今年高校に入ったあんたの一つ上の女の子がいるの、
 で家庭教師をお願いしてみたら、やってもいいって言ってくれてるんだけど どうする?」

「かていきょうし?!」

「すごくしっかりしたいい子よ。あんたと違ってすごく女の子らしいし」

もちろん今の成績ではやばい事は分かっていた。しかし家庭教師って・・・

「ね 早速明日から来てもらうから」
「へ? あしたー?!」
「じゃ かあさんもう寝るから」
「ちょ ちょっとまってよ」

聞いてないし・・・   強引だなあ・・・
その夜はどんな人が明日来るのかが気になってなかなか寝付けなかった。
2転載人 : 2001/01/29(月) 13:03 ID:lZafgu4E
学校でも今日やってくる家庭教師の事が頭から離れずゆううつな一日だった。

「はあーー  ただいまー」

重い足どりで家に帰ると、玄関にみなれないくつが・・・   まさかもう?!
ドアをあけてリビングに入ると

「遅いじゃない もう来てくれてるわよ」

むこう向きに座っていた女の子がこっちを振り返った。
その子は淡いピンクのワンピースを着ていた。 わっ  ほんとに女の子らしい・・・

「石川りかです。よろしくね。ひとみちゃん」
そういって微笑んだ彼女の笑顔にどきっとしてしまった。
一つしか違わないのにめっちゃ大人っぽい・・・
ひとみは恥ずかしそうに 頭をちょこっとさげた
「もう ひとみも何か言いなさいよー りかちゃんごめんね ほんとこの子愛想がなくって」
「いえ」
そういってにっこり微笑む彼女の顔を見てなぜか慌てて目を反らしてしまった。
な 何やってんだろ わたし

3転載人 : 2001/01/29(月) 13:03 ID:lZafgu4E
「じゃ ちょ ちょっと着替えてくるから」
そう行って自分の部屋にかけあがった。
なんか変だ なんでだ?!でもかわいい人だなー
着替えて制服をかけるとベッドに座ってボーっとしていた。

いつまでも降りてこないわたしに
「ほんとあの子は何してるんだろ りかちゃん ちょっといってみてくれる?もうびしびしやっていいからね」
「あ はい」
クスっと笑うと、りかはリビングを出て階段を上っていった。
 ひとみのへや  そうかいてあるドアをノックした
「ひとみちゃん?」
「あ!  ど どうぞ」
「おじゃましまーす」
ひとみはあわてて立ち上がった。
無意識に体に力が入って、きをつけの姿勢になっていた。
そんなひとみを見て りかはクスっと笑った
「そんなに緊張しなくても」
「え?ああ すいません・・・ って何謝ってるんだろ」
ひとみはなんだか照れくさそうに笑った
そんなひとみを見てりかはまたクスっと笑った。
「早速べんきょう 始めよっか」
「あ はい」
4転載人 : 2001/01/29(月) 13:04 ID:lZafgu4E
そういってひとみは机につき、りかはその横にいすをおいて座った。
なんか ドキドキするなあ  なんだか近いし・・・
 ひとみはりかの方をむけず机の上を見ていた
「どうしよっか 苦手な教科からしたほうがいいのかな」
そう言ってりかは少し首を傾けてひとみをのぞきこんだ
    
っどきっ

「ほえ?あ  ああ 数学お願いします。一番苦手で」
そう言って赤くなった顔を見られないようにひとみはカバンをごそごそした。
やぁばい こんなんじゃ勉強になんないよ・・・   落ち着け落ち着け

5転載人 : 2001/01/29(月) 13:04 ID:lZafgu4E
平静を装い、なんとか勉強は順調に進んだ。
時々ヒントをもらいながら、問題を解くのを見ててもらい、間違った所を教えてもらった。
少しずつ緊張はほぐれていった。
彼女の教え方はとてもやさしく、分かりやすかった。

やっぱり一人でやるより、はかどり方が違うなあ
あっという間に時間がたち、あたりは暗くなってきた
「りかちゃーん あんまり遅くなるといけないからー」
下から母の声がする
「あ もうこんな時間 じゃ今日はここまでね」
「はい あの すごく分かり易かったです。今まで解けなかった問題もできるようになったし」
「ほんと?そう言ってくれるとうれしい」
そう言ってほんとにうれしそうに微笑む彼女に 自分までうれしくなった。

6転載人 : 2001/01/29(月) 13:04 ID:lZafgu4E
身支度をすませ、二人は階段を下りながら
「ここまでどうやってきたんですか?おうち遠いんですか?」
「あ ううん 結構近くだから歩いて来たの 15分くらい」
「そうなんですか でも15分もかかるなら自転車とか」
すると彼女は恥ずかしそうにうつむきながら
「わたし 自転車乗れなくて・・・」
「あ ああ そうなんですか え あ いやごめんなさい」
「ううん いいの 気にしないで」
そう恥ずかしそうに笑う彼女がとてもかわいかった。
「じゃあ わたし送ります 女の子が夜道を一人でなんて危ないですから」
「え うん大丈夫だから」
「勉強教えてもらってるんですから、その位させて下さい。」
「ほんとにこんなに遅くまでごめんねー ひとみーちゃんと家まで送っていってあげなさいよ」
「いえ ほんとに大丈夫ですから」
「遠慮しないで下さい ほんとに さ 行きましょう」
「りかちゃん今日はほんとにありがとね できの悪い娘ですけどこれからよろしくね」
「いえ そんな こちらこそよろしくお願いします。」
できの悪いって・・・もう恥ずかしいなあ
「さ 行きましょう」
「じゃあ おじゃましました」
7転載人 : 2001/01/29(月) 13:04 ID:lZafgu4E

りかのかばんを自転車のかごに入れ、ひとみは自転車をおしながら二人は歩き出した。
勉強中は結構スムーズに話していたのだが、いざ 歩き出すと何を話せばいいのか戸惑ってしまった。しばらく 二人は無言で歩いていた。
すると突然
「ひとみちゃんは彼氏いるの?」
「へ?い いえ いませんけど なんでですか?」
「ひとみちゃんかわいいからいるのかなって思って」
・・・!?
ひとみはりかにも同じ質問をしてみようと思ったが
ん? ・・・なんて呼べばいいんだろう 聞きたいのに・・・
「・・・はいるんですか?」
「え?なに?」
どうしよ・・・なんて呼ぼ・・・ 
「先生は彼氏いるんですか?」
「え?先生?先生ってわたしの事?」
りかは恥ずかしそうに笑った
「先生なんて、りかでいいよ」
「え?そんな 呼べませんよ」
「どうして?」
りかは首をかしげた
うわっ か かわいい
「だって、先生だし、先輩だから・・・ あ じゃあ 先輩って呼びます」
「もう りかでいいのにー」

と そうこうしているうちに
「あ ここ」
「あ それじゃ 先輩また」
「うん また明日 気を付けてね」
「はい それじゃ」

 かわいいーなあ
なんだか体がうきうきして自転車をガンガンこぎながら家へ帰った。

はっ!  結局彼氏がいるのか聞きそびれた
でも いるだろうなー あんなにかわいくてやさしいんだもんなー

8転載人 : 2001/01/29(月) 13:05 ID:lZafgu4E
「恋をするーってステキじゃなーーい♪」
「どうしたの?ひとみ 今日変よ 朝からにやけっぱなしだし」
「へ?そう?それじゃ わたし帰りまっすー まったねー」
「やっぱ 変よ」

昨日とはうって変わって足取りは軽かった。
とにかく早く家に帰りたかった。
どうしちゃったんだろ くうーーー

毎日先輩と過ごす時間が楽しみで仕方なかった。

ひとみは完全にりかの事がすきになっていた。
先輩はどうなんだろ・・・
最初の日 聞いてみた事
先輩に彼氏がいるのかどうか
実はその答えはまだ聞けないでいた。
9転載人 : 2001/01/29(月) 13:05 ID:lZafgu4E
一週間が過ぎた。
もうだいぶお互いに打ち解けていた。
「おじゃましましたー」
いつもなら自転車を押しながら一緒に歩くのだが、今日はちょっと冒険
「さ 先輩行きましょう」
「うん」
りかは歩き出した
「そうじゃなくて」
「え?なに?」
「乗ってください。後ろに。今日は乗っけていきますよ」
「二人乗りって事?」
「はい」
「でも わたし した事なくて・・・」
「あ そうなんですか?」
ひとみは自転車からおりてスタンドを立てた。
「こことここに立って、わたしの肩につかまって下さい。」
再びひとみは自転車に乗った。

10転載人 : 2001/01/29(月) 13:05 ID:lZafgu4E
「はい いいですよ」
「でも・・・」
「大丈夫ですって」
「うん」
りかはひとみの肩に両手をおき、片方づつ足を自転車にかけた。
「ひとみちゃん ちょっとこわいよ・・・」
「大丈夫ですって」
「お願い ゆっくりね 」
「行きますよー  ほっ」
自転車が動き出すと
「キャツ」
と同時にりかはひとみにしがみついた
「ダメっ ダメっ」
そう言ってひとみの首にしがみついている
 うわっ どうしよ 抱きしめられてる!? 先輩の胸が・・・    ちょ 超おっきー
暗くて分からないがひとみは耳まで真っ赤になっていた。
「ダメっ ひとみちゃん おろして」
頭が真っ白になったひとみは、ぼーっと自転車を止めた。
11転載人 : 2001/01/29(月) 13:05 ID:lZafgu4E
「やっぱりダメだよー」
「・・・・」
「? ひとみちゃん?」
相変わらずりかはひとみにつかまっていた。
ひとみのたましいはどっかにいってしまっていた。
りかがぐっとひとみの顔をのぞきこむと、ひとみははっと我に返った
「!!! あっ え??」
「どうしたの?」
かなり至近距離にりかの顔が

うあっ

鼻と鼻が当りそうな距離にりかの顔があった。
ひとみは動けず、二人はしばらく見つめあっていた。
少し不思議そうな顔をしているりかと・・・
12転載人 : 2001/01/29(月) 13:05 ID:lZafgu4E
っと なにかを感じ取ったりかは突然

    ちゅっ

いきなり、りかはひとみの頬にキスをした。
「ひとみちゃんてほんとかわいいね」
!!!!!!!!!!!!!!?
ひとみはあまりの恥ずかしさに下をむいた。
「照れてるの?もーかわいいー」
そう言ってりかはひとみをぎゅうーと抱きしめた。

ものすごいどきどきがはやくなって心臓が止まりそうだった
かおはぶわーとあつくなった。

りかはひとみの顔をのぞきこもうとしたが、下をむいているひとみの顔は髪の毛で見えなかった。
りかは自転車からおり
「やっぱりダメ ごめんね」
「行こ」
りかは歩き出した
ひとみは無言で下をむいたまま歩き出した。
りかはちょっといたずらっぽく笑ってひとみを見ていた。
が、ひとみは気づくどころか 相変わらず下を向いたままだった。

ひとみの頭の中は真っ白だった

ひとみははっと気がつくと
りかの家の少し手前で自転車を止め座り込んでいた。
????
りかと分かれた時の記憶は無かった。
おそらく りかと別れたあと 腰が抜けて座り込んでしまったのだろう。

まだ体に感触が残っていた
りかのぬくもりが  そして頬にも

もうまともに顔見れないかもしれない・・・
しばらく 座って 空を見上げていた
ひとみは何も考えられなくなっていた。

その晩ひとみは相変わらずどきどきしたまま、結局一睡もできなかった。
13転載人 : 2001/01/29(月) 13:05 ID:lZafgu4E

翌日、学校でもぼーっと昨夜の事を考えていた。
先輩 軽い感じだったよなあ
軽くキスできるって事は、わたしの事別になんとも思ってないんだろうな・・・
妹みたいな存在・・・かな

家に帰っても部屋でぼーっとしていた。
「こんにちはー」
りかが来た。ひとみは気づいていなかった。
りかが部屋をノックしているのも気づかなかった。
「ひとみちゃん??」
りかがそーっと部屋のドアを空けると、ひとみは窓から空をぼーと見上げていた。
??? どうしたんだろ?
「ひっとみちゃん?」
りかは後ろからひとみに抱きついた。
14転載人 : 2001/01/29(月) 13:06 ID:lZafgu4E

突然りかに気づいたひとみは、あまりにびっくりして泣き出してしまった。
あまりの気持ちの高ぶりを自分で整理できなくなり混乱したのだ。
「え?ひとみちゃん?どうしたの?」
ひとみは何も答えない
「どうしたの??何かわたし悪い事でもしたかな?」
ひとみは何も言わずうつむいたまま首を振った。
どうすればいいのか分からない
ひとみは途方に暮れていた。
涙はとめどなく流れた。
りかはひとみの前にひざをついて座った
「一体どうしたの?ひとみちゃん」
りかの声は絶えずやさしく、ひとみの胸はちくちくした。

りかはひとみの横に膝立ちし、
何も答えず泣きつづけるひとみをりかは自分の胸に抱き寄せた。

ひとみが泣き止むまで髪をやさしくなでていた。


15転載人 : 2001/01/29(月) 13:06 ID:lZafgu4E
ひとしきり泣いた後ひとみはぽつりぽつり話し始めた。
「わたし・・・どう・・・したら・・いい・のか・・」
「どうしたの??なにがあったの??」
「・・・・」
りかはしゃがみ、ひとみの頬を両手でやさしく包んだ
「見て ひとみちゃん」
ひとみは顔が上げれなかった・・・

「・・・わたしの事なのね」
ひとみは固まった
「わたしひとみちゃんを泣かせちゃうほど傷つけちゃった?」
ひとみは首をぶんぶん振った。

りかはひとみから少し離れた。
16転載人 : 2001/01/29(月) 13:06 ID:lZafgu4E
しばらく二人ともそのまま無言だった。

少し落ち着きを取り戻したひとみはりかの方を見た
りかは悲しげな表情で床を見つめていた。
どうしたらいいんだろう
このままでは先輩を傷つけてしまう・・・

「先輩・・・
しゃべりだしたと同時にひとみの体はふるえ始めた。
「わたし・・・先輩の事が・・好きなんです。」
「まじで好きになっちゃったんです。」
ひとみは目に涙を一杯浮かべていた。

その時りかはいろいろな事がひとつにつながった

そうだったの・・・ それなのにわたしはひとみちゃんの気持ちをからかうような事を・・・

「ごめんね・・・」

りかを見つめていたひとみに絶望の色があらわれた・・・
やっぱり女同士じゃ・・・

すーっとひとみの頬を涙がつたった。
呆然としているひとみに

「わたしはひとみちゃんの事、そういう対象としてみてなかったな・・・」
「ごめんね それでひとみちゃんをこんなに傷つけてたんだね。」
りかは本当に悲しそうな顔をしていた。

そんな顔しないで・・・
ひとみはぎゅうと目をつぶってうつむいた。
17転載人 : 2001/01/29(月) 13:06 ID:lZafgu4E
「・・・・・ちゃん!・・!」
ひとみの混乱は限界に達し、気を失ってしまった。

どれくらい時間がたったのだろう
ひとみが目を覚ますと、りかの腕の中で抱きかかえられる様に横になっていた。
!!!!
「え?!あ ごめんなさい」
慌ててひとみが起き上がろうとすると
「いいの このままで」
「へ?」
「このまま・・・ お願い」
「・・・・・」
ひとみはそのまま横になった。
りかの顔を見上げると、とても穏やかな表情でひとみにほほえみかけた
「ほんとにごめんね・・・」
「・・・・」
「全然ひとみちゃんの気持ちに気付いてあげられなくて・・・。
こんなになるまでひとみちゃんはわたしの事想ってくれてたんだね。」

18転載人 : 2001/01/29(月) 13:06 ID:lZafgu4E
ひとみはなみだでりかの顔が見えなくなっていた
「とってもうれしいよ。わたしもひとみちゃん大好きだから。」
「へ?」
ひとみは驚いた。もう終わりだと思っていた。
「自分では分かってなかったの。
こんなにもわたしを想ってくれてるひとみちゃん見て気付いた。
わたしもひとみちゃんが好きなんだって。」
「だから もう泣かないで   ね」
りかはひとみにやさしくほほえみかけた。

ひとみの目にはぶわーと涙がうかんできた。
今度はうれしなみだだ
「もー 泣いちゃだめー」
りかがちょっといたずらっぽくひとみに言うと
「うん」
涙をこらえながらひとみはうなずいた。
そんなひとみがたまらなくいとおしかった。

そっと、りかはひとみの唇に唇を合わせた。

二人は向かい合って座った。
「胸・・・ きゅうって痛いね」
「うん」
「ふふふ」
「やっと笑った」
・・・・・・・・・・・・・
そう言って二人は照れくさそうに視線をはずした。

二人はベッドにもたれ、並んで手をつないで座っていた。
静かに空を見上げて。
沈もうとしてる日に照らされた空はオレンジ色で、ゆっくりと雲が流れていた。

19転載人 : 2001/01/29(月) 13:07 ID:lZafgu4E
いよいよあさって進路を決定する試験だ。
わたしはいままでのテストとは比べ物にならないほど 燃えていた。

それは・・・

「あー   もうやばい 今度のテスト範囲広すぎだよー・・・」
「大丈夫 がんばらないと 進路決定のテストなんだよ」
「うーーん もう日にちないのにーー・・・」
「もー   じゃあね・・・・・ 今度のテスト5教科全部点数上がったら ごほうび あげる☆」
「へ?! ごほうび!? なに???ごほうび」
「ひみつ☆」

ひみつ?なんだ?ごほうび何だろ?
キスから先全然進んでないからなあ・・・ ま まさか!?

「よくがんばったね ひとみちゃん。  ごほうびは・・・わ・た・し(照れ)」(想像・・・)
なんて事に!?!?

くおーーー がんばるぞおーー!!!

というわけで

もちろん志望校は、りかと(り・か・と)同じ高校なんだけどね むふふふふ・・・
20転載人 : 2001/01/29(月) 13:07 ID:lZafgu4E
キーんコーンカーンコーン
「よし、やめ」
「ふうー とりあえず全部終わった・・・」
どうかなあ・・・5科目全部はきついなあ・・・
やっぱ数学がなあー心配なんだよねー・・・

りかとはごほうび発言のあった、試験の2日前から会っていなかった。
ほんとは前日も勉強の約束をしていたのだが、ごほうび獲得に必死の姿は
見せられなかったからだ。

あれから5日 こんなにりかに会わないのは初めてだった。
「くうー やっと先輩に会えるよー 早く会いたいなー。」
はやる気持ちを抑えつつ 家へと急いだ。

家に帰ると
「ちょっとひとみー おつかい行って来てくれない?」
「えっー!?今?」
「うん おしょうゆ無くなってたの忘れてたのよー。」
「えーー たかしに言えばいいじゃーん」
「たかしまだ帰ってきてないのよー、いいじゃない ちょっと行ってきてよ。」
「うーーーーん・・・」
「何?あんた晩御飯まずくてもいいの?」
「分かったよ 行って来ます。」
もーもうすぐ先輩来るかもしんないのにーー
21転載人 : 2001/01/29(月) 13:07 ID:lZafgu4E
ぶつぶつ言いながら急いで買い物を済ませ、家に向かっていると
公園から見慣れた姿が出てくるのが見えた。

「あ!先輩だ!」

りかを驚かせようと声を掛けず ゆっくりと走り出した。

「きゃーひとみちゃーん 久しぶりー 会いたかったよー」
ぎゅう なーんて・・・
と想像をふくらませながら ゆるむ口元をぐっとこらえ りかとの距離を縮めた。

その時、りかは公園の方に振り返りなにやら話していた。
ん?誰かと一緒かな?

なっ!?

りかに駆け寄ってきた一人のかっこいい

お 男!?

ひとみはその場に固まった。
二人は並んで楽しそうに歩いている。
少し遠いので相手の顔はしっかり見えなかったが、遠目でみても分かる位
その顔は整っていて、スタイルがよく 服装もおしゃれで目を奪われるほどだった。

ひとみはぼーぜんとその場に立ち尽くしていた。
え? 彼氏?  え? そんな・・・
22転載人 : 2001/01/29(月) 13:07 ID:lZafgu4E
はっと我に返り、急いで家に向かって走り出した。
!!! 彼氏なのかな・・・ 私の事好きって・・・
そういや彼氏いるのか聞かなかったもんな・・・ いや で でも 彼氏が?・・・
パニック状態だった。

家に戻ると まだりかは来ていなかった。
ひとみは部屋に駆け込み、頭を抱えた。
ど どうしよ・・・ 一人で空回りしてたのかな・・・
23転載人 : 2001/01/29(月) 13:07 ID:lZafgu4E
いつもより30分程遅れて、りかが家に来た。
コンコン
はっ き きた
「は はーい」
ひとみはできる限り平静を装って返事を返した。

ガチャ
「ひとみちゃん?」
りかは満面の笑みで扉を開けた。
ひとみはなんともいえない変てこな表情をしていた
りかはひとみと目が合うと、駆け寄り 抱きついてきた。
ひとみをぎゅーと抱きしめ
「会いたかったよー ひとみちゃん」
何日もこの時を待ちわびていたのに。
ひとみは素直に喜べなかった。
「・・・ う うん」
その物足りないひとみの反応に、りかは体を離し不思議そうにひとみを見た。
ひとみは普段どおりに振舞おうと思っていたが、様子が変なのは一目瞭然だった。

24転載人 : 2001/01/29(月) 13:07 ID:lZafgu4E
「どうしたの?ひとみちゃん」
「え な なにが?」
「だって・・・」
りかは雰囲気を変えようと 話をかえた。
「試験どうだった?」
「あ う うん まあまあかな」
なんとも煮え切らない返事だった。

一気に気まずい雰囲気になってしまった。
ひとみ   あーなんで こうなっちゃうんだろ・・・
りか    楽しみじゃなかったのかなー ひとみちゃんは・・・

今日は試験も終わり、ゆっくり色んな話をしようと話していたのに
二人は少し離れてベッドに座り黙り込んでいた。
25転載人 : 2001/01/29(月) 13:08 ID:lZafgu4E

思い切って りかがしゃべりだした。
「どうしたの?ひとみちゃん うれしく・・・ないの?」
りかは不安げに聞いた。
「うれしい   けど・・・」
「けど?」
「・・・・・・・・・」
「わたしはすっごく会いたかったんだよ ひとみちゃんに」
ひとみはうつむいていた顔を上げ、りかの方を見た。
りかは真剣な表情でまっすぐひとみを見ていた。
うそじゃないんだな・・・

ひとみは思い切って聞いてみた。
「今日見たんだ・・・先輩の事」

りかはじっと次の言葉を待っている。
しかしひとみはその次なかなか話せないでいた。

26転載人 : 2001/01/29(月) 13:08 ID:lZafgu4E
痺れを切らしたりかは聞いてみた。
「いつ?」
「さっき」
「さっき?」
「うん 公園の所で・・・」
「公園?   ああ いたいた 声掛けてくれれば良かったのにー」

「掛けられないよ」
突然 ひとみは少し怒った口調で返した
りかはびっくりして
「どうして?」
「・・・だって ・・・」
「???」
りかは不思議そうな顔でひとみの顔を見つめている。
「い  一緒にいたじゃん・・・」
「え?    ・・・・     ああいっちゃん?」

いっちゃんって言うのか・・・ いっちゃんって呼んでるんだ・・・
「学校の友達だよ?かっこよかったでしょ?」
なっ!?

「友達?ほんとに」
「友達だよー」
「・・・・・・・・・」
ひとみは下を向いて考え込んでいる
27転載人 : 2001/01/29(月) 13:08 ID:lZafgu4E
そんなひとみを見てりかは
「? もしかしてひとみちゃん なんか変な事想像してない?」
「だって・・・」
「だって?」
「だって若い男女が公園から楽しそうにでてきたら・・・」

―――沈黙―――

何も答えないりかの方を ひとみはおそるおそる見ると
りかは目を丸くしてひとみを見ていた。

りかはひとみと目が合うと 突然笑い出した。
あははははははは

「なに? なんで笑うの?」
ちょっと怒ってひとみは聞いた。

りかは答えず 大笑いしている。
ひとみはぷーと頬をふくらませて そっぽを向いた。

28転載人 : 2001/01/29(月) 13:08 ID:lZafgu4E
・・・ははは はあ はあ ふーー
「お腹痛い・・・」
そう言ってりかは起き上がった。

りかはぐっとひとみに近寄り
「それでひとみちゃんは その男の子にやきもち焼いてたんだ」
ひとみは相変わらず 頬をふくらませたままそっぽを向いている。
「ねえ? そのいっちゃんにやきもち焼いたんでしょ?」

「・・・・・・」
そりゃ 焼くさー 大好きな人が知らない奴と楽しそうに二人で歩いてたら
しかも こんなにかわいくてやさしくてスタイル抜群でもう男はほっとかないだろ
と思うと心配で夜もおちおち眠れないのに・・・・
りかはそれをさえぎるかのように
「女の子のいっちゃんに」


・・・・・・・・・
!?
ビックリしてりかの顔を見ると にっこり笑ってうんうんとりかはうなずいた。
「    今   なんと?」
「女の子」
「いっちゃんは?」
「女の子(笑)」
一気にひとみの顔が真っ赤になった。ひとみは恥ずかしくて死にそうだった。
女の子? 女の子・・・   なんだー  よかっ  たーーー
29転載人 : 2001/01/29(月) 13:08 ID:lZafgu4E

りかはそんなひとみがたまらなくかわいく思えて ぎゅうと抱きしめた。

そして 耳元で
「ばかだなあひとみちゃんは   

私がすきなのはひとみちゃんだけだよー」
とやさしくつぶやいた。

かーーーーーーー  再び赤くなるひとみの頬

「  幸せです・・・」
そう ひとみは精一杯答えた。

しばらく二人は抱きしめあっていた。

30転載人 : 2001/01/29(月) 13:08 ID:lZafgu4E
急に元気を取り戻したひとみは
ばっと体を離し
「先輩 ごほうびは?ごほうび」
「え? 今日終わったばっかりでしょ? テスト」
「もう 点数 分かったの?」
「ううん まだ」
「じゃー まだ おあずけー」
「いーじゃーん  心配かけたんだから ね?ね」
「えー 」
「ひとみちゃん 頑張りましたよ 頑張ってましたよ。」
そんなひとみに

ちゅーーー

前回よりも随分長いちゅう
あまりの急な出来事にひとみはびっくりして目をあけたままだった。
その瞳にうつったのは すぐ目の前にあるりかの顔
やさしく瞳を閉じているりかの顔はとってもきれいで色っぽくて・・・
31転載人 : 2001/01/29(月) 13:09 ID:lZafgu4E
そっとりかがくちびるを離すと

くぅらー とひとみは後にぶっ倒れた。
「え?! ひとみちゃん?!」
慌ててりかがひとみの顔を覗き込むと
ひとみはデレーっと幸せそうな顔で天井を見つめている。

「もー かわいいんだから」
そう言って りかはにっこり微笑んだ

32名無し娘。 : 2001/01/29(月) 14:40 ID:2HqepN1E
コレって途中で終わってなかった?
33転載人 : 2001/01/29(月) 22:14 ID:YsMTQlFk
31で完結です。
34名無し : 2001/02/01(木) 19:10 ID:pTqK77tc
35名無し娘。 : 2001/02/01(木) 20:42 ID:R.kUV1P6
続きが読みたい
36転載人 : 2001/02/01(木) 21:52 ID:MGdHgIXQ
この作者はどこへいったんでしょうね?
37踊り : 2001/02/01(木) 21:55 ID:jJBX0KQA
才能無いよ作者君。へへへ
38名無し娘。 : 2001/02/02(金) 00:43 ID:Qw4Fo63w
>>36
ここにスレ立てるよりも、まず、白板で聞くべきではないのか?
作者がここに来ているとは限らないだろ。
39転載人 : 2001/02/02(金) 08:53 ID:b4O67G86
>>38

白板って何?
40名無し娘。 : 2001/02/02(金) 09:55 ID:7qsxphA6
>>39
ホワイトベリー板
41転載人 : 2001/02/04(日) 18:36 ID:EH3R1F.w
42名無し娘。 : 2001/02/06(火) 10:06 ID:yhSIAZd.
あぼ〜ん
43名無し娘。 : 2001/02/07(水) 08:55 ID:fkuxIMVQ
「き〜たま〜がみぎ〜によっちゃった〜 お〜るないろ〜んぐ」
44名無し娘。 : 2001/02/09(金) 15:10 ID:nhmjdVO.
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45名無し娘。 : 2001/02/12(月) 16:11 ID:W6ikFrwI
続き読みたい
46名無し娘。 : 2001/02/13(火) 18:52 ID:viW7XZzg
47ゾルス旧友 : 2001/02/14(水) 19:33 ID:v7AXXYCo
ふ〜ん
そんな人気あったんだ
48名無し娘。 : 2001/02/15(木) 00:58 ID:9H0i7cbQ
みんなの所へ幸せを運んで来てくれました。
49名無し娘。 : 2001/02/15(木) 18:53 ID:/Px5wf5M
いい話よ脳
50名無し娘。 : 2001/02/18(日) 17:58 ID:bfXHM.0c
見本あげ
51名無し娘。
続き早く読みたい。