宇宙の戦士 パワードスーツ総合スレ2 WAVE

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391冨士俊雄
>>390
同じことです。スタジオぬえの人達には「立体で発想する能力」がありません。
それは別に悪いことではなく、絵(2D)における表現の可能性を追及していく過程で、
3Dとしての整合性を考えるのは無駄であり、多くの場合邪魔にさえなります。

本物としての存在感や、立体としての整合性にこだわらなかったから、ぬえのデザインは短期間であそこまで進化できた、ということです。
したがって、そのデザインを元に本物を作ったり立体の模型を作る場合には、ぬえがこだわらなかった、
またそれゆえ持っていなかった能力や経験を後世の人間が投入し、時間をかけてまともな図面を起こす必要があります。

これまでに何回か(股関節などで)「PSには宮武さんにも判らない部分がある」と書きましたが、
それが単に時間がなかったから、もしくは絵だから省略した部分なのか、能力がなくて省略せざるを得なかった部分なのかが問題です。

素質としては、もちろん宮武さんは素晴らしいものを持っていました。
しかしながら、結果的に「時間がないから、もしくは絵だからこのぐらいでいいや」という仕事を繰り返した結果、
「本物(の立体)を作る能力」が全く進化せず、「絵的なイメージを作る能力」とのかい離がどんどん進んでいったようです。

ぬえが爆発的に進化した70年代前半のことは、私も直接は知らないのですが、
私がぬえに行くようになった78年当時では、本物(や立体模型)に関して話すのは「気まずい」というような雰囲気さえありました。
そのまま3D化すると元デザインの欠点や弱点がぞろぞろ出てくるからです。
392冨士俊雄:05/02/25 23:44:50 ID:uddENQt+
当時宮武さんは、「絵と図面は違う」、「図面ではカッコ悪く見えるが、絵にすればカッコよくなる」
などとよく言っていましたが、これらの言葉が宮武さんの能力の限界をよく表しています。
絵と図面が違うのは確かですが、「いい絵」のイメージをよく再現した「いい図面」や「いい立体」が存在するのも確かなのです。

これは別にリアル系のデザインに限らず、「鉄腕アトム」や「鉄人28号」のようなキャラクターデザインに対してでも「いい図面」や「いい立体」は存在します。
「いい絵」は描けても「いい図面」を描けなかったのは、本質的な問題ではなく単に宮武さんの立体化能力の問題だった、ということです。

最後に、ロダンやミケランジェロを引き合いに出していますが、非常にいい例の出し方です。
私の基準ではロダンやミケランジェロには「立体で発想する能力」はなく、スタジオぬえと同レベルです。
厳密に言えばロダンは優れた「立体」を作っていますが、PSの話しの流れに沿って考えれば、
ここでいう「立体」というのは「複雑な構造や機能を持った動く立体」であって、ロダンやミケランジェロはそのような作品を作っていません。

当時、「複雑な構造や機能を持った動く立体」をイメージする能力があったのはレオナルド・ダ・ビンチだけで、
たとえ模型とはいってもPSの図面を引くには彼と同種の能力が必要です。そして私が目標としているのもこの能力です。

それから、「陰影や表面の質感」に関して図面と三面図を混同しているようですが、
「回路図」も「表面処理指定書」も「塗装工程表」も「組み立て図」も全部「図面」です。
図面とそれによって作られた立体物は、公差を除けば1対1に対応します。それが「図面」です。

例えば、レオナルドは製銅像を作るにあたって、その鋳型の図面や、それを組み立てる足場の図面まで描いています。
ロダンやミケランジェロやスタジオぬえに足場の図面は描けません。だからまともな三面図も描けないのです。