■異常事態へ緊迫の訓練
東京メトロ副都心線北参道−新宿三丁目間で、走行中の列車が急停車した。
運転席の前面に設置された「TIS(車両制御情報管理装置)」のモニター画面に、
最後尾車両の扉異常を知らせる表示が点灯。車内でただならぬ事態が起きたことを察知した
運転士の小山田初雄さん(26)は、周囲に異常を知らせる警笛を鳴らした。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200805300010a1.jpg これは東京メトロが26日、副都心線でテロが発生したことを想定し実施した訓練の様子だ。
東京消防庁や警視庁と合同で実施され、本番さながらの緊迫感が漂った。
異常時想定訓練は、営業運転に影響しない場所で年に1度行われるが、
副都心線は東京メトロとして最後の新線開業となり、
日中営業線となる場所での訓練はこれが最後になる。
副都心線の小竹向原−渋谷駅間はワンマン運転。車掌が乗務する区間では、2人で最善と思われる選択を
考えられるが、副都心線では運転士がひとりで最初の決断を下さなければならない。
乗客の安全を左右する重い判断であるだけに、運転士には常に冷静な思考と行動が求められる。
今回の訓練で運転士役を務めた小山田さんは、有楽町線の運転士として務めたこの5年間で、
運転中の事故や車両トラブルに巻き込まれた経験がない。異常が発生した際にどう動くべきか、
列車の折り返し時や休憩時にシミュレーションしイメージトレーニングを欠かさないが、
それでもいざというときに理想通りに体が動く確証はない。
実際の行動が伴う訓練に参加したことは、大きな意義を持つ経験となった。
副都心線区間を初めて運転したのは、養成運転と呼ばれる試運転が始まった3月17日。
和光市−渋谷駅間で実施する「ATO(自動列車運転装置)」による走行に、
「列車の発車ボタンとドアの開閉ボタン。2つのボタンで列車が動くことに感動した」という。
ただ、車両扉や可動式ホーム柵(ホームドア)の開閉も運転士の役目。
開閉操作をする際には、運転席の上部に設置されたモニターに映し出されるホームの様子に注視する。
「ドアを開閉する緊張感は、安全を心がけ運転するときと同じ」(小山田さん)。
運転士の仕事は確認の連続。そのため、日々の健康管理ができてこそ、利用客に最高のサービスを
提供できるという信条を掲げる。健康法は、週2回、1回で15ゲームはプレーするというボウリング。
休日には、ウオーキングなどで気分転換も欠かさない。
小山田さんが列車を運転する際に必ず運転台のハンドル脇に置くものがある。
運転する列車の路線や行き先、編成数などを書いた札で、
常にこれら意識することで事故を防ぐ工夫の一つだ。
「常に謙虚な目で自分の作業を見直し、安全水準を高め、
副都心線を安心して乗ってもらえる路線にしたいと思っています」
営業開始への心構えは万全だ。
FujiSankei Business i.
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200805300010a.nwc 東京メトロ|副都心 縦断。
http://www.tokyometro.jp/fukutoshin/