■ハイテク車両、安全運行
大きく丸みを帯びた先頭車両、銀色の車体に茶、金、白の3本線が施された
東京メトロの最新車両「10000系」。2007年度にはグッドデザイン賞を受賞した、
そのスタイリッシュな車体は、1953年に丸ノ内線に導入された「300系」を
イメージしてデザインされたという。2006年9月に有楽町線に投入された当初から、
副都心線での営業運転を視野に入れ、機能面でも最新設備を搭載した車両だ。
車内の天井高を従来よりも185ミリ拡大。さらに、車両間の貫通扉に幅900ミリの
全面強化ガラスを採用し、車両間の見通しをよくすることで開放感を持たせた。
和光検車区(埼玉県和光市)車両係の遠藤隆弘さん(28)は、受け取り検査で訪れた
綾瀬検車区(東京都足立区)で「10000系」に初めて対面したときの印象を、
「車内が明るく、地下を走るのにとてもいいと思った」と語る。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200805290016a1.jpg 副都心線を走るために搭載された設備の一つに、車内の空調やドアの開閉状態などを表示する
「車両制御情報管理装置(TIS)」がある。副都心線では、小竹向原−渋谷駅間で
ワンマン運転を実施。機器の故障など、非常時には運転士が1人で対応することになるが、
運転席の前面に配置された「TIS」のモニター画面に機器の故障情報やその処置方法を表示し
運転士に知らせることで、迅速に対応できるというわけだ。
もう一つが、和光市−渋谷駅間で実施する自動運転のための「ATO(自動列車運転装置)制御装置」だ。
あらかじめ各駅間の走行パターンをデータとして記憶しており、運転士のボタン操作で列車を自動走行、
ホームドアに合わせ停止させる。このため、遠藤さんは「10000系」を
「正常運転している限り良い電車」と評する。
というのも、「ATO」で列車を走行させることで車両扉やホームドアの開閉など、
車掌としての役割も担う運転士の負担は軽減される。一方で、車両が原因となる事故が起きないよう、
日頃の点検、整備の精度の高さが求められているからだ。
「安全運行のため、より一層の重い責任を感じています」(遠藤さん)。
副都心線と有楽町線を走る「10000系」「7000系」などを点検、整備する和光検車区は、
副都心線の開業に併せ、取り扱う車両数が420両から530両に拡大。人員もそれまでの
53人から65人に増員し、深川検車区を抜き東京メトロ最大規模となった。
今後も、現在21編成ある「10000系」を10年までに31編成にするなど、
副都心線を運行する列車数を拡大する予定で、同検車区の担う役割はますます大きくなる。
車両は最新の設備が導入され効率化が図られるたびに、点検内容も変わる。
「検査のヒューマンエラーを起こさないこと」(遠藤さん)が、車両を預かる社員の使命だ。
FujiSankei Business i.
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200805290016a.nwc 東京メトロ|副都心 縦断。
http://www.tokyometro.jp/fukutoshin/