■子供一人でも安全に
東京メトロ副都心線は、転落防止のための可動式扉(ホームドア)を全駅に設置した。
高さ1・3メートル、幅約2・5メートルのドアが乗客の安全を守る。
副都心線の小竹向原−渋谷駅間(小竹向原−池袋駅間は現在の有楽町線共用区間)は
ワンマン運転となるため、車両のドアやホームドアの開閉は運転士の役割。
ホーム上に4台設けられたカメラの映像が、運転席のモニターに映し出される。
それを確認し運転士がドア操作するという仕組みだ。駅係員が操作できる
「ラッシュモード」に切り替えることで、朝夕の混雑時などは列車運行の遅延を防げる。
副都心線は、東京メトロの車両「7000系」と「10000系」をはじめ、
相互直通運転する西武鉄道、東武鉄道、東京急行電鉄(2012年から)などの
計11種類の車両が行き来するようになる。
すでに、丸ノ内線などでホームドアを設置してきたが、これだけ多くの種類の車両が
乗り入れる路線への設置は、同社としても初めての取り組みだ。駅に設置された
ホームドアを見ていると、片側の扉が長かったり、短かったりと複数の扉の組み合わせが
あることに気が付く。1両に左右4つずつあるドアのうち、中2つは同じ長さの扉2枚の
組み合わせだが、前方と後方のドアは大小の扉を組み合わせているのだ。
実は、各社とも車両の扉の幅は、1・3メートルだが、取り付け位置が少しずつ異なる。
車両扉の幅に対し、開口部の幅を約2・5メートルと広くしたのに加え、
大中小の3種類の扉を組み合わせた。こうした工夫により各社の車両の特性に対応する。
電気事務所工事課統括電気係の高橋良雄さん(34)は、
「車両とホームドア間への閉じ込めを防止するカーテンセンサーの調整にかなりの時間を割いた」
と振り返る。センサーが感知するエリアを広く設定すると列車運行に支障をきたし、
狭くても安全面で不安が残るためだ。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200805270010a1.jpg ホームドアの設計は06年2月に着手。その1年後には、まだレールも敷設されていない
ホームで設置工事が始まった。すでにホームドアの調整は終わっているが、ホームと車両の
すき間が広い西早稲田、東新宿、北参道の3つの駅では、踏み外し防止の可動ステップを
取り付ける微調整が続く。
昼間は試運転が始まっているため、作業によっては夜間しかできないものもある。
夜を徹した作業は、すべて営業開始後の安全性の確保のためにある。高橋さんは、
「営業開始後は設備の故障は起こさない自信がある」と言い切る。
自身も3歳になる女児の父である高橋さん。子供が小学校に上がる際にはぜひ私立に通わせたいと、
ホームドアが設置され、子供一人の電車通学でも安心な南北線沿線に自宅を構えた。
「有楽町線でも順次ホームドアを設置していく予定ですし、副都心線は子供が安心、
安全に一人でも利用できる路線です。ぜひ沿線で子育てしてもらいたいですね」
FujiSankei Business i.
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200805270010a.nwc 東京メトロ|副都心 縦断。
http://www.tokyometro.jp/fukutoshin/