■周辺案内も細やかに
東京メトロ副都心線(池袋−渋谷駅間)がいよいよ3週間後に開業する。
池袋、新宿、渋谷の3大商業圏を結び、開業の6月14日には東武東上線、西武有楽町・池袋線と、
2012年からは東急東横線とも相互直通運転を開始し、埼玉南西部から副都心、
さらに横浜方面に至る首都圏の大動脈となる。同社が整備主体として建設する最後の地下鉄新線は、
これまでの技術を結集、梅崎壽社長(65)も「副都心線は地下鉄建設の集大成」と語る。
延べ約1万人の社員が携わり、7年間に及んだ工事もほぼ完了。毎日、試運転車両を76往復させ、
万全な体制で開業を迎える準備を進める。大詰めを迎えた副都心線開業の舞台裏に迫った。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200805260029a1.jpg 白を基調に“ステーションカラー”であるふじ色を所々に配したデザイン。吹き抜け構造を取り入れた、
開放感ある副都心線新宿三丁目駅の真新しいホームには、時折、真上を走る丸ノ内線の走行音が響く。
頻繁にホームに滑り込んでくる試運転車両に乗客がいないことを除けば、
すでに営業開始している駅のような錯覚をしてしまう。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200805260029a3.jpg いすや机などの備品があわただしく運び込まれる駅事務室に隣接する一室では、
新宿駅管区統括駅務係の佐藤嘉信さん(35)が、車両のホームへの進入路を制御する「連動制御盤」
を前にしていた。列車の運行管理は、通常は東京メトロ全線を管理する総合指令所の役割だが、
“養成運転”と呼ばれる試運転期間中は、運転担当係員である佐藤さんらの役目。
スムーズな営業運転開始に欠かせない業務だ。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200805260029a2.jpg 同駅の06年の1日当たりの乗降客数は4万7000人。副都心線の開業で4万9000人に増えると
予想されている。たいした増加ではないようにも思えるが、これはあくまでも改札を通過する人の数。
実際は、乗り換えを含めそれ以上に多くの人々が行き交う駅となる。
14人だった同駅の係員も、34人と大幅に増える。
佐藤さんは、勤務時間のちょっとした空き時間や就業時間外を使って、他社線への乗り継ぎや
駅の出入り口周辺施設の情報収集に余念がない。新宿駅とつながり、もともと出入り口は多いが、
開業と同時に明治通り沿いの花園神社から、JR新宿駅南側の高島屋まで787メートルの連絡通路が開通し、
さらに9カ所の出入り口が新設される。乗客が迷うことなく目的地へ行くサポートをするためにも、
どの出口にどのような施設があるのか的確に把握する必要があるからだ。
必要なのは新宿エリアの情報だけではない。たとえば、これまで新宿から池袋駅に行く人には
「JR山手線や埼京線を使えば早いですよ」と言えばよかったが、副都心線は新宿三丁目−池袋駅間を
最短6分で結ぶ。「池袋のどこへ行きたいのか」を把握してアドバイスしなければ、
目的地の正反対に到着し歩かせてしまうことになるかもしれない。
混雑状況によって、時には理想通りの対応ができないこともある。しかし、
「副都心線は便利とPRしているのですから、実際に快適に利用していただけるように、
今まで以上にきめ細かい対応を考えていかなければなりません」と、佐藤さんは表情を引き締めていた。
FujiSankei Business i.
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200805260029a.nwc 東京メトロ|副都心 縦断。
http://www.tokyometro.jp/fukutoshin/